成宮由愛「鳶に油揚げを攫われる」 (73)

アイドルマスターシンデレラガールズのSSです。

当SSはアイドル名「ことわざ」でタイトルをつけているシリーズです。

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前回
矢口美羽「提灯に釣鐘」
矢口美羽「提灯に釣鐘」 - SSまとめ速報
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 ─ 前回のお話 ─

・矢口美羽が仲間になったっぽい!


}



 ─ 事務所・会議室 ─


ベリッ

八神マキノ「『お菓子の魔人』・・・これで4枚揃ったわ」

ベリッ

モバP(以下P)「うっし、すぐに必要なのは揃ったな!っと、『甲虫女王』かー、デッキ作ってないんだよなぁ」

ベリッ

藤居朋「ほら、P。『アヤコ』のホロだったわ」

ベリッ

P「あー、そっちかー!うーん、あんまり美味しくない箱だなー」

ベリッ

マキノ「『甲虫女王』のホロ?あら、最高レアリティのホロは1箱に1枚じゃなかったのかしら?」

ベリッ

P「前言撤回、これエラー箱だわ。大収穫」

ベリッ

朋「あー・・・何これ。『不思議の扉』?」

ベリッ

P「あー、それコンボ用カード、使うのムズい」

ベリッ

マキノ「あら、これは当たりじゃないかしら。『怠けの魔人』」

P「おー、これはいい感じだわ」


村上巴「なにやっとんじゃP」

P「おー、巴悪いな。みんなここに来る?」

巴「まだ来んわ、それよりもちぃーとお店広げすぎじゃ」

P「そうか、まぁ・・・そうだよなぁ・・・」

巴「それに加えて八神と仲良くしよって・・・」

P「別に八神さんは俺の手伝いしてくれてるだけだしなぁ」

マキノ「そうよ。村上巴、少なくとも今は敵ではないわ」

巴「信じられんのぅ」

P「この後のレッスンに参加するってだけなんだしね」

マキノ(裸エプロン)「わざわざ○○プロに入るためだけにサイズのあった裸エプロンに替えてきた。ここでのレッスンも今後のためだと思ってるわ」


朋「それよりも巴ちゃんも手伝って!Pの購入した箱を全部開けるのよ!」

巴「箱ってなんぞや」

P「久しぶりにカードゲームのパックが買えてね・・・思わずカートン買いしちゃったんだ」

巴「はー、オモチャに・・・」

P「はははっ、俺の数少ない趣味さ」

巴「こんな作業、由愛や桃華にやらせるわけにゃいかん。とっとと終わらせる」

P「おー、ありがとなー」


ベリッベリッ ベリッベリッ




マキノ(そんなくだらない作業が終わり、Pは仕事の時間となり外へと行ってしまった)


朋「はー、平和ねー」

マキノ「目の前にライバル会社の人間がいるのによくそんな口が叩けるわね」

朋「だってマキノちゃんがすっかり馴染んじゃってるんだもん」

巴「認めとうないが違いない」

マキノ「・・・裏切ったら?」

朋「ギッタンギッタンにしてやるわ」

巴「東京湾の水かさが増えるだけじゃ」

マキノ「ま、こっちの利益になってる間は裏切るつもりはないわよ」

朋「利益ねぇ・・・」

マキノ「スパイ活動なんてやってないわ。レッスンはこっちの方が楽しいもの」


朋「裸でやるのが?」

マキノ「・・・・・・それは答えないわ」

朋「まぁ、ここのところPがレッスン場に来てないしね」

マキノ「来たらトウガラシエキスを目にかけてやる」

朋「さっきは一緒にいたじゃない?」

マキノ「イスに座ってたから見られる心配はなかった」

朋「それにPはカードの方に目がいってたものねー」

マキノ「・・・何が言いたい」

朋「あんたの体に魅力がないんじゃないか、ってことよ」

マキノ「それはそれで度し難いな・・・」


マキノ「藤居朋、キミはPの事が好きなのか?」

朋「はっ、当然じゃない」

マキノ「年子の女は好意を互いに隠したがる。だが、このプロダクションは正直異常だ」

朋「そうなのよー、異常!12人もPも好意を示してるのよー!?」

マキノ「こちらのプロデューサーもアイドルにモテているが、アイドル側がライバルに公表する事はないぞ」

朋「そうよねー、それが普通よねー・・・」

マキノ「不思議なプロダクションだ。普通なら今すぐにでも崩壊しているはずだろう」

朋「まっ、そこはあたしたちの絆かしら」

マキノ「それにあの女子会議というのはなんだ」

朋「あたしも知らないわよ。雪乃さんが始めたことだし、あたしたちは集まるの好きだしね」

マキノ「集まるのと、Pの取り合いを同じ場所でやっているようなものだぞ?」

朋「うーん、元々Pは運が悪いのか怪我ばっかりしてるからかしら。Pの負担になるような事はしてないの」

マキノ「・・・・・・」

朋「どうしたのよ」

マキノ「やはり度し難いな、と」


マキノ「私のように、計略的にPを誑かそうとする輩がいてもキミたちは排除できるだろう」

マキノ「だが、キミたちと同じ心を持った人間が外部に現れたらどうするつもりだ?」

朋「どういうことよ」

マキノ「Pを好きな子がライバル会社から生まれたらどうするつもりだ」

朋「その時はその時だと思うの」

マキノ「あの女子会議に参加させるのか?」

朋「最悪、そんな感じよ。裸エプロンは確定かもね」

マキノ「同士が出来るのか・・・見てみたい所ではある」

朋「さっすがにPの良さが分かるのは同じ空間にいるやつだけよー。なんだかんだで頼れて、なんだかんだで怒ってくれて、なんだかんだで側にいてくれる」

マキノ「ほう」


朋「ただのお人好しだけど、あの大バカと心繋いじゃったら逃げられないのよ」

マキノ「経験談か」

朋「さすがに10年以上一緒にいると分かってくるわよ」



夕方・・・。


 ─ ◇◇号線・車内 ─


早坂美玲「プロデューサー!後ろの席狭いぞっ!!横になれない!」

P「スマンスマン、つい買っちゃってね・・・」

大和亜季「P殿がプレイしているカードですな、いやー、助手席でよかった」

P「妹ちゃんもやってるんだろう?欲しいやつあったら譲るよ」

亜季「本当でありますか?」

P「珍しくカートン買いしたからな。ダブりがとんでもない」

亜季「妹が聞いたら喜ぶであります」

美玲「ってか、こんなに買って邪魔じゃないのかッ!というか金がもったいないんじゃないかッ!?」


P「俺は金の為に働いているなんて一度も感じたことないよ。だから金に糸目はつけないかな。それにお前たちが輝く姿が見たくて頑張ってるんだ」

美玲「むー、でもだからって無駄遣いはダメだぞッ!」

P「おっしゃる通りで」

亜季「男の人はこういうの好きですからなー」

P「コレクター魂って言うのかな、揃えたくなったりするんだよね」

美玲「ウチにはプロデューサーの気持ちが分からないぞっ!」

P「うーん、例えば服装とか化粧品をを同じブランド物で揃えたくなったりしない?」

美玲「そ、それはあるかも・・・」

亜季「分かります!先日、ガスガンの方の購入を東京マリュイで揃えたであります!」

P「その興味がカードっていうオモチャに向いただけだよ」

美玲「うーん・・・」

P「日用品として使うか使わないかで価値が変わっちゃうかな?」

美玲「うん」

P「まぁ、互いの理解は急がずゆっくり深めよう」


P「さてと、あと30分ぐらいかな?」

美玲「はやく着いてほしい」

亜季「はははっ、美玲殿は食いしん坊でありますな」

P「何かあるのか?」

亜季「先ほどちひろ殿が銀座の有名店のプリンを買ってきたと報告があったであります」

P「ほー、んで美玲は食べたいわけか」

美玲「そうだっ!!今日はお昼は少ししか食べれてないんだ!おかげでお腹減っちゃって・・・」

P「ほいほい、デザートタイムは大事だな」

亜季「私も是非とも食べてみたいであります。食を侮ってはいけません」

P「そうだね、そんなに言うから俺も食べたくなったよ」

美玲「よし、プロデューサー!全速力で帰るぞ!」

P「ちゃんと速度は守るけどな・・・って、ん?」


キキキ─────ッッ!!!


美玲「むむむーぅ!?」

亜季「ど、どうしたでありますか!?」

P「スマン、思わず急ブレーキ踏んじまった」

美玲「何があったんだ!?」

P「あの車・・・怪しくないか・・・?」


亜季「あの黒いボックスカーでありますか?」

美玲「確かに・・・ここの道は住宅街だし、大きめの車が止まるなんて事は少なそうな気が・・・」


P(ってか、ベタな気がするんだよね・・・ハイエースだぜ、あの車・・・)



?「いや、離してくださいっ!!!離して!!!」

男1「うるせぇ、黙ってろ!!」




3人(んなベタベタなぁ──────っ!!!!)



P(近くに撮影車は・・・!?)

P(ない!見学者もいない!つまり、誘拐・・・!!)

P「くそっ、美玲隠れて、警察に電話しろっ!!」

美玲「わ、分かった!!」

P(敵は把握できる数で2人!あとありえるのは運転席に1人いるかどうか!)

P「亜季ちゃん、エアガンは!?」

亜季「ここにあるでありますっ!」

P「なんで社用車に入れてあるかは不問にする!これ借りるぞ!!」

亜季「P殿!?」

P「亜季ちゃんは美玲を守ってて!!」



P「その子を離せ!!」

男1「あー?なーにサラリーマンが偉そうにしちゃってるわけ?」

男2「分かっちゃった。にーちゃんモテないだろー?ここで女の子にかっこつけたいってわけ?」

P「・・・・・・」

?「助けっ・・・」

男2「黙ってろ!!」

P「待ってて、今助ける!」

男1「かっこいいにーちゃんだこと!でもなー」

男2「誘拐して身代金をもらわないとねー」

男2「にーちゃんは身代金5千万円出せる?出せたら今ここで解放してあげてもいいけど」

P「・・・・・・出せない」

男1「あははっあははははっっ!!!だっせぇー!!」

男2「まー、こんな話聞いちゃったからには、黙っててもらうぞ!!」

P(トロいパンチ・・・!)


男2「こふぅ・・・!?」

P(飛ばしてきたパンチを手で引き、体勢が崩れた所を肘で首を打ち抜く!!)

男2「・・・・・・」ガクッ

P(気絶できた・・・死んではいないと思うけど。亜季ちゃんと組み手やっててよかった!)

男1「お、おい!!この子がどうなっても・・・」

P「動くな」

男1「う、嘘だろ・・・!ピストルなんて聞いてないぞ!?」

P「・・・・・・」

P(サバゲー友達に教えてもらってたのが功をなした・・・構えだけ本物っぽくすれば意外とエアガンってバレない・・・)

男1「お、おい起きろよ!おい!!くそっ!!」

P「・・・・・・」

男1「う、うわぁぁぁっ!!」

P(よし、彼女から離れて逃げた!!)

P「もう大丈夫だっ!!」

?「へぁ・・・・・・?」

P(方針状態になっているだけだ、良かった・・・怪我はないぞ!・・・ってあれ、この子・・・)


男1「うわぁ、さ、サツだ!!」

P(ダサいのはどっちだろうね、警察で尻餅ついちゃって)

男1「お、お前、警察だったのか!!」

P(男は戻ってきた。いや、戻らず捕まっててほしかった)

P「・・・・・・」

男1「おい答えろ!!」

P「・・・・・・」

P(どうしよう、警察さん、はよ来て・・・)

警察「取り押さえろ!!」

男1「くそがぁっ!!」

P(っ!?メリケンサック!?)

?「・・・・・・」

P(ダメだ、この子に被害がいったら・・・!“涼宮さん”を守らないと!!)

男1「だぁぁぁぁあああ!!」

P「う゛う゛ぁっ・・・・・・!!?」

P(俺は彼女を庇う体勢を取ったため、色々と無防備になった)



P(横っ腹に鈍い音が響いた。ミチミチと磨り減るような音が)


バタッ!


P「あぁ゛ぁ゛ぉ゛ぁ゛!!あぉ゛っ!!!?」



涼宮さん「・・・っ!?だ、大丈夫ですかっ!!!」

P(悲惨な声で放心状態から戻ったのか、涼宮さんが俺に声をかけてくれる・・・)

P「よかった・・・無事で・・・あぁぅぐっ」

涼宮さん「い、今救急車をっ!!」


警察「確保!!」

警察「こっちも確保!!」

P(2人いた誘拐犯はどちらも警察に捕まったようだ)

P(よし、これで・・・)


警察「これで最後だ、確保!!!」

P「うがぁっ!?」

警察「いたがってんじゃねーぞ、犯罪者!!」

P「まっ・・・やめっ!!」

涼宮さん「そ、その人は!!?」

警察「すみません、署までご同行お願いできますか?」

涼宮さん「は、はい・・・」


P(そうだった、俺は今エアガン持ってたんだった・・・それを見た警察は俺もまた誘拐犯の1人だと勘違いして・・・ぇ)

P「いだっ、やめっ!あがががっ!!!!」


P(屈強でガタイの良い男性に俵を担ぐように運ばれる俺・・・)

P(彼の肩が先ほど殴られた横っ腹にひどくダメージを与え、俺はそのまま意識を失った)



 ─ いつもの病院 ─


P「んあっ・・・?ここは・・・?」

「め、目が覚めましたわっ!!」

「おいっ、大丈夫なのかッ!」

「大丈夫でありますか?」

P「あー・・・・・・ここか・・・」

P(いつも通ってる病院・・・しかもいつも使っている病室だ)

P「俺は一体・・・」

亜季「P殿は星花殿を助けた後、警察に捕まったのであります」

P「・・・星花・・・あっ、思い出した!け、怪我はない!?涼宮さん!!」

涼宮星花「はい、P様のおかげで」

P(ん?P様?)


亜季「大変でありましたよ。P殿が目を覚まさないから3人でなんとか警察に弁明して通報した側の人間だってのを伝えるの大変でありました」

美玲「そうだぞっ、ウチがスマフォで録画してなかったら今ごろあの奴らと一緒に牢屋行きだぞっ!」

P「あはは・・・ありがと・・・いだだだだ・・・」

星花「P様はわたくしを庇われた時にお腹に大きな痣が出来てしまったのですわ・・・」

P「え、あ、ホントだ・・・」

P(広範囲。腹に枝が刺さった時とは違った意味で痛々しい)

P「それでも、涼宮さんに怪我がなかったなら良かったよ・・・」

星花「・・・はい。P様、ありがとうございます」

美玲「6時間くらい目が覚めなかったから心配したぞ」

P(今は午後10時をまわっていた)

P「もう夜も遅い、3人とも今日は俺が送って・・・あだだだ・・・」

亜季「無理はなさらない方が」


P「いやいや、俺さ・・・これ2、3度目だし・・・」

星花「2、3度目?」

P「誰かを助けようとして庇ってさ、病院送りなの・・・」

美玲「あー、えっと、雪乃・・・さんの時とかウチの時か?」

P「うん。んで、自惚れじゃなければ、この後に俺が新聞に載るパターン・・・」

亜季「あー、ありましたな。そんなこと・・・」

P「だから、強引でも事務所に戻るよ・・・あだだっ、痛い」

星花「大丈夫なのでしょうか」

美玲「まー、ウチらのプロデューサーは回復力だけはゾンビレベルだっ!」

亜季「それにこの病室だって、特別に開けてもらってるわけであります」

P「正規の面会時間過ぎてるものなぁ・・・」

星花「それもそうですわね」



 ─ 車 ─


P「うーん、そーっと運転すれば響かないか・・・」

美玲「大丈夫か?」

P「まぁ、大丈夫だろう・・・」




P「涼宮さん、なんであんな所にいたんだい?」

星花「あんな所とは・・・あの住宅街でしょうか?」

P「うん、捕まってしまうのには理由があるんじゃないかなぁ、と」

星花「お恥ずかしながら撮影の途中だったのです・・・」

P「撮影!?」

星花「はい、今回の収録は自分の家をレストランとして構えている所に行く、という内容でして・・・」

P「あー、ありますね」

美玲「そーいうところは行った事ないぞ」


P「現代の集会所みたいになってたりして入りにくいけど、自信のあるシェフが多いことでも有名だったり」

P「早い話がフリーランスの料理人の仕事場にお世話になるようなもんさ」

美玲「ふーん、行ってみたいぞっ!」

P「今度、仕事で上手く行ったら連れてってやるよ」

美玲「・・・絶対だぞッ!?」

P「おう」

星花「続き、よろしいですか?」

P「あ、すみません」

星花「それで夕食も兼ねて収録していたのですが、舌に合って普段の倍近く食べてしまったんです・・・」

P「あらー・・・」

星花「このままだと次の収録に響いてしまう、とあの住宅街を散歩していたわけです」

P「マネージャーとかはいましたか?」

星花「はい。わたくしと一緒に1人来ていたのですが、わたくしと交代で夕食を取り始めてしまったのです」


P「それで一緒じゃなく、1人だったと」

星花「その通りです。こんな事になってしまうとは思ってもいませんでした・・・」

亜季「そりゃそうであります。犯人の目的は住宅街の若い子を攫い、身代金を要求する、だったであります」

星花「住宅街に撮影用の衣装を着ていれば、それはお金持ちの娘だと・・・思われてしまっても当然ですわ」

P「実際、お嬢様アイドルですものねぇ・・・」

星花「・・・P様、今日は本当にありがとうございます」

P「ん?いや、気にしなくていいですよ。俺は大変な目に逢ってる人を見ると、いてもたってもいられない人なんで」

星花「そ、それでもわたくしの恩人です・・・」

P「どういたしまして」

星花「後日、わたくしのプロデューサー・・・Cuteプロデューサーから直々にお礼が言いたいとおっしゃっていました。是非会ってくれませんか?」

P「もちろんです」

P(CutePか・・・Cuteプロには桃華の件で行ったことはあるがプロデューサーなどには会った事がない。それに御三家で唯一会ってないプロデューサーだ。どんな人なんだろう?)


星花「それと・・・P様、個人的なお願いなのですが・・・」

P「ん?」

星花「今度、一緒に・・・その・・・」

P「?」

星花「あの・・・・・・」


星花「一緒に・・・お食事でもいかがですか・・・?」


P「む?・・・うーん、そうだなさっきの美玲の件、いろんなヤツ呼ぶことにしよう。そうすれば、キミも呼んでも問題ないな」

美玲「お、おいっ!!」


星花「本当ですかっ!?」キラキラ

P「お、おう!」

星花「本当ですかぁっ!!?」キラキラキラ

P「おう!」

星花「ありがとうございます!!」ギュッ

P(て、手を握られた・・・!)

P「涼宮さん・・・?////」

星花「えっ・・・あっ・・・////」テレテレ


美玲「ぐるるるるぅ・・・!!!」

亜季「P、P殿ッ!!前、前ぇっ!!!」


P「へっ?ほわああああああああああああああ!!!!?」




常日頃から安全運転を心掛けましょう。



次の日・・・。


 ─ 事務所・会議室 ─


若林智香「はい、そこでそれを右クリックして・・・」

美玲「貼り付け、だなっ」

智香「はい、それで完成ですよ!」




杉坂海「美玲ー?なんだ、呼び出して」

相原雪乃「何かあったのでしょうか?」

梅木音葉「焦り・・・でしょうか?」


美玲「みんな、来たな!!」

朋「今日はどうしたの?」

音葉「イヴさんと芽衣子さんはお仕事中です・・・それと候補生組はレッスン中です」

雪乃「それではここにいるメンツで全員ですわね」


美玲「第4回、緊急女子会議だッ!!」


海「珍しく壇上に雪乃さん以外が立ってるわけだけど」

五十嵐響子「だからさっき智香さんにパソコン教えてもらってたんですね」

海「智香ってそういうの得意だよね、なんで?」

智香「へへっ、部活のポスターとか作るのに必要で覚えたんですっ!」

朋「それで美玲ちゃん、何がどうしたのよ」


美玲「この画像は今日の朝刊たちだ!!」


【またもお前か!モバP、命を救う!】

【アイドルより目立つ謎のプロデューサー】

【涼宮星花、誘拐されかける】



音葉「Pさんの記事ですね・・・。確か・・・どこかのプロダクションの方を風の如く助けたって話でしたね・・・」

美玲「そうだっ!実際、ウチはこの目でそいつを助けている所を見ている!」

海「それで?」

美玲「問題はその記事のここだ!」ズームアップ!


【モバPさんと涼宮星花さんに熱愛疑惑!?】


全員「!?」

美玲「理由としてはこんな事が書かれてるんだ、読むぞ!」


【本来、モバPさんは○○プロダクション、涼宮星花さんはCuteプロダクションであり繋がりとしてはアイドル業界という面だけである】


海「うん、確かにアイドル業界・・・だけど、いまやアイドルの数なんてごまんといるよ?」


【○○プロダクションとしては少しでも上のCuteプロダクションの戦力が落ちて欲しい所、それにも関わらず命を助けたのはこの2人に友人以上の繋がりがあると見ている】


雪乃「我々、○○プロの人間から見ればPさんのお人好しっぷりはもはや周知の事実」

雪乃「ですが、第三者の目線から見ればこれは怪しい関係ということですわね、美玲ちゃん」

美玲「ちょっと違うッ!!」

雪乃「?」

美玲「ここでいつものアレだ!!」


つ ボイスレコーダー


海(遂にあんたも持つようになったのか・・・)

海(そんな感想は頭の隅に。そのボイスレコーダーから流れたのはおそらく昨日の夜、車の中での会話だった)

海(普段聞きなれない声を1つ感じ、それが涼宮のモノであるのはすぐに感じ取れた)

海(だがその声から感じたのは強く慕うような声だった、これが分かった途端、メンバーの目線が怪しくなっていた・・・)


美玲「正直、新聞屋の妄想じゃないんだッ!」


雪乃「・・・つまり、○○プロ以外のプロダクションの人間がPさんと男女の仲になろうとしているわけですね」

海「いつかこんな日が来るんじゃないかなーっと思ってたよ」


マキノ『Pを好きな子がライバル会社から生まれたらどうするつもりだ』


朋(八神マキノが言ってた事がもう現実化したわね・・・)

音葉「それでどうするのでしょうか?」

美玲「可能な限り、涼宮星花がプロデューサーに近付かないように妨害する!」

雪乃「ですが相手側のプロダクションに知られたらただでは済みませんよ?」

美玲「悠長な事言ってられないんだ!!特に雪乃ッ・・・さんは!!」

智香「そうですね、雪乃さんは特にマズイかもっ・・・」

雪乃「???」


美玲「だって同じお嬢様アイドルじゃないか!」

雪乃「被ってても差別化はされて・・・」

海「あれっ、惚れた理由同じじゃない?」

雪乃「」グサッ

海「というかPさんが相手を救って怪我して病院で寄り添うまで同じなんじゃない?」

雪乃「」グサッグサッ

美玲「しかも、あっちは様付けで呼ぶぐらい慕ってたぞッ!!」

雪乃「」グサッグサッグサッ

朋「よくよく考えたら涼宮さんはPのどストライクの年齢の19歳じゃない」

雪乃「」グサァーッ!



雪乃「分かりましたわ・・・!」

雪乃「ここに涼宮星花Pさん接触妨害作戦を発足しますっ!!」

全員「おー!!」





こうしてPさん大好きクラブの一同は涼宮星花によるPへの接触を回避しようと企むのであった。


 ─ V局 ─


P「はぁ・・・」

成宮由愛「どうしたのですか・・・?」

P「いや、ここのところメールや電話がひっきりなしに鳴ってるからさ、おかげで夜も眠れない」

由愛「大変ですね・・・」

P「まぁ、大体が恨みのメールとかなんだけどさ」

由愛「なんで・・・Pさん、何も悪い事してないのに・・・」

P「いやー、立場的には悪い事してるのよね・・・こないだ涼宮さんを助けた、ってのは知ってるね?」

由愛「はい・・・怪我は大丈夫なのですか?」

P「なんとか痛み止めと塗り薬で抑えてます。それで新聞屋に涼宮さんと俺に熱愛疑惑!って書かれちゃってね・・・」


由愛「熱愛・・・そんな事、ありませんよね?」

P「もちろん。その日初めて会ったわけだし、恋人同士なわけないんだがなぁ・・・」

由愛「そうですよね」

P「まぁ、そんな新聞記事に踊らされたファンの人たちが俺に文句言ってるってのが流れなんだ」

由愛「どうにかならないんですか?」

P「こればかりは付き合ってませんという事をSNSとかで流すしかないんじゃないかな」

P「黙りすぎるとかえって怪しまれるだろうしね」

由愛「これ以上、問題が広がらなければいいですね・・・」

P「そうだね」

P(今は大丈夫だけど、そのうち助けなければ良かったと考えそうでやだ・・・)



「フーン、アレが星花さんの・・・」

星花「幸子ちゃん的はいかがでしょうか?」

輿水幸子「まぁ、いいんじゃないですかっ!?素朴そうな人で!カワイイボクと並ぶにはレベルが低すぎますけどねっ!!」

星花「幸子ちゃん、しーっ!!見つかってしまいますわ」

幸子「おっと、これは申し訳ありません」

星花「今は成宮さんと一緒ですわ。下手に接触すると警戒されてしまうかもしれません」

幸子「そのためのボクでしょう?」

星花「そうですね、幸子ちゃんお願いします」

幸子「頼まれた事はキチンとやります。ボクはカワイイので」

幸子「先に行って成宮さんを引き離します。その後、時間を見計らってコンタクトしてみてください」



由愛「あれ・・・もしかして・・・」

幸子「○○プロのプロデューサーですね?」

P「キミはCuプロの輿水幸子さん・・・」

幸子「先日はカワイイボクが所属しているCuプロの仲間、涼宮星花さんを救っていただきありがとうございます」

P「あはは、どういたしまして」

幸子「もっと胸張ってもいいのですよ?なんたってボクが直々にお礼に言いに来るレベルなんですからねっ!!」

P「・・・当然のことだよ。男の子は女の子の前で格好付けたくなるものさ」

幸子「フフン♪いずれ戦う相手としては申し分ないですね。って、おや」

P「?」

幸子「成宮由愛さん、ですね?」

由愛「えっ・・・あっ・・・」

P(由愛は俺の後ろに隠れた)

幸子「隠れなくてもいいじゃないですか?寛大なボクはキミと是非とも話したいと思ってたんですよ」


由愛「私と・・・」

P「せっかくだ、他のプロダクションに友達がいるのはいいと思うぞ」

由愛「でも・・・」

P「いがみ合うのは上の人間だけでいいんだ」

幸子「アナタのプロデューサーも言ってるんですし」

由愛「分かり・・・ました」

P「ん、行ってらっしゃい。帰る時間になったら電話してな?それまでここにいるから」

由愛「はい」


星花「・・・P様から成宮さんが離れました・・・!今・・・」

星花(そういえば、どうやって話しかければいいんでしょうか・・・)

星花(怪我はいかがですか、ではP様にストーカーしてたみたいで怪しまれますし・・・)

星花(だからと言っていきなりフレンドリーにしては警戒されてしまいますわ)

星花(そうですわ!幸子ちゃんがどこ行ったか、と急いだ感じで近付けばいいのですわ!!)

星花(そうと決まれば・・・)


星花「Pさm」

雪乃「あら、あなたは・・・」

星花「あなたは・・・相原雪乃さんですね」

雪乃「初めまして、涼宮星花さん。あなた達、CuプロもV局に来てたのですわね」

星花「ええ、意外と世界は狭いですわね」

雪乃「・・・・・・」

雪乃(もしかしてと思って来てみたら、輿水さんを使ってPさんに近付く算段・・・そしてその目・・・)

星花「・・・・・・」

星花(私がP様に近付こうとした瞬間に動き出すそのタイミングの掴み方、そしてその笑み・・・)



2人((この方、やはり敵ですわ!!))



雪乃「LIVEバトルを挑ませていただきますわっ!!」

星花「もちろん受けますわ!!」





P「ふわぁっ・・・ねみぃ・・・痛いのもあるけど・・・」

P「体がだるい、怪我人は大人しく寝るべきだな」

ドンドンパフパフ!!!

P「近くでLIVEバトルがやってるみたいだなー、今日は体調的に止めとくかなー」

P「ウチのプロダクションからは仕掛けないように言ってあるしね。よほどの事が無い限り、ウチのLIVEじゃないさ」



 ─ ゲリラ用LIVE会場 ─


『勝者、相原雪乃!!!』


星花「さ、さすがは○○プロのリーダー・・・!!」

雪乃「Cuプロのどのランクかは知りませんが、容赦はしませんわ!!」

星花「くっ・・・」

雪乃「アナタにはPさんに触れさせません」

星花(や、やはり朝刊にあった私とP様の熱愛報道で○○プロを怒らせてしまったのかしら・・・?)

雪乃(Pさんに近付く他社の泥棒ネコは何度でもコテンパンにしてさしあげますわ!!)

星花「き、今日のところは引き上げますわ!!」

雪乃「何度でも返り討ちにして差し上げます」



次の日・・・。



 ─ K局 ─


星花「また会いましたね、相原さん」

雪乃「あら、ごきげんよう」

星花「いきなりですがリベンジですわ!!」

雪乃「当然受けて立ちますわ」



 ─ ゲリラ用LIVE会場 ─


『勝者、相原雪乃!!!』



雪乃「また私の勝ちですわ!」

星花「むぅ・・・」

雪乃(危なかった・・・K局はCuプロのお膝元と言っても過言ではありませんでしたね。僅差で勝てましたわ)



また次の日・・・。



 ─ G局 ─


星花「相原さん、今度こそですわ!」

雪乃「何度でも同じ目に合わせてあげますわ!」



 ─ ゲリラ用LIVE会場 ─


『勝者、Cuプロ「カワイイボク~バイオリンを添えて~」!!』



幸子「フフーン!ボクが負けるワケないです!」

星花「幸子ちゃん、ありがとうございます。一緒に戦えて幸せですわ」

幸子「いつでも頼っていいですよ!ボクはカワイイので!!」


雪乃(さ、さすがは上位ランカーの輿水さんですわね・・・盛り上がり方が段違いですわ)

雪乃(ならば・・・)


そのまた次の日・・・。


 ─ Z局 ─


雪乃「涼宮さん、ちょっとよろしくて?」

星花「ええ、もちろんですわ」



 ─ ゲリラ用LIVE会場 ─


『勝者、○○プロ「ともキュービックwithゆきのん」!!』



巴「なんじゃ、用があると聞いて来てみりゃぁLIVEバトルか」

朋「巴ちゃん、結構重要な対戦なのよー」

巴「よーわからん」

智香「涼宮さんが相手だったんですね、これは勝たないと」

雪乃「皆さんのおかげで無事勝利を掴めましたわ」

巴「じゃがのぅ雪乃」

雪乃「?」

巴「こりゃぁPに言っておるん?不用心なLIVEは控えろゆっとったはずじゃ」


雪乃「あ・・・・・・」



幸子「こ、今回は勝ちを譲ってあげたんです!」

星花「次がありますわ、へこたれず次回の対戦では勝ちましょう」

幸子「当然です!」




後に引けなくなってしまった雪乃。

そして互いに負けられなくなった戦いは何度も続いた。


『勝者、相原雪乃!!!』


『勝者、涼宮星花!!!』


『勝者、○○プロ「相原雪乃とその番犬」!!!』


『勝者、Cuプロ「ユニゾンデュエット」!!!』




・ ・ ・ ・ ・ 。



 ─ 相原宅・浴室 ─


雪乃「まずいですわ・・・このままでは戦いが無駄に続く上にLIVEバトルを頻繁にやっては他のプロダクションからの挑戦が来てしまう・・・」

雪乃(Pさんの考えと私たちの行動が真逆となり、そのうちPさんは私たちに対し嫌悪を・・・!!!!)

雪乃(そんなのいけませんわ!誰ひとりとして幸せになれない結末なんて迎えてはいけません!)


雪乃「自分の尻ぬぐいは自分でしますわ!早急に次の行動を・・・」


雪乃「ってあら・・・?」


雪乃「あらあらあら?」


雪乃「あらあらあらあらっ!?」





次の日の夕方、雪乃の身に起きた異変について集合がかけられた。


 ─ 事務所・会議室 ─


雪乃「み、皆さん・・・集まりましたか・・・?」

海「来たけど、どうしたの?なんだか切羽詰まった顔してるけど」

大原みちる「もしかして生理・・・いや、生理じゃ皆を呼び出したりはしませんよね」

小松伊吹「んー、今来てないのは由愛だけだよ。今Pが車で迎えに行ってるし、すぐ来るよ」

雪乃「では・・・先に話しておいてもいいですね・・・実は・・・」



由愛「ただいま・・・です」

P「ただいま、って」

雪乃「おかえりなさいませ・・・」

全員「「「      」」」


由愛「えっと、なんで皆さん・・・鳶に油揚げを攫われる・・・って顔でしたっけ?」

P「いや、ちょっと違う」

由愛「あ、あぅ・・・恥ずかしい・・・////」


P「んで、この状況はどうしたんだい?」

海「・・・ッハ!?Pさんと由愛か・・・」

P「意識飛ぶほど強烈なのことがあったのか?」

海「え・・・あっと、由愛だけに先に聞かせていい?」

P「分かった。外に出てるよ」



由愛「     」

P「んで、由愛までこうなった理由を教えてくれ」

朋「っだぁもう!Pは分かって言ってるんじゃないのっ!!!?」

P「?」

藤原肇「Pさん・・・知らないフリは許しませんよ?」

西川保奈美「信じてたのに・・・Pさんはマジメな方だと思ってたのに!」

P「!?!?!?」

大原みちる「今すぐその顔に噛みつきたいくらいですよ」

P「待て待て、何がなんだか!?」

朋「雪乃さんの口から直接聞いてみなさいよ!!」


雪乃「あの・・・」

P「雪乃さん、一体何があったんですか?」

雪乃「・・・が・・・」

P「?」

雪乃「母乳が出るようになっちゃったんです!」

P「     」

P(ま、待て・・・母乳ってことはにんっしんっ!?)

P「ほ、本当に母乳が出るようになったんですかっ!?」

雪乃「は、はい・・・」

朋「だからー、Pがズッコンバッコンしたんじゃないの?」

P「やってない!断じてやってない!」

海「その焦りよう、怪しいね」

P「やってないわバカ!雪乃さん、最近性行為したりは・・・?」

雪乃「いえ、そんなはずは・・・」

朋「ハッ!?まさかP、寝ている雪乃さんをこっそり・・・」

P「誰がそんな卑劣なことをするか!!」


雪乃「その・・・覚えがないんですわ・・・」

P(雪乃さんは負けず嫌いではあるが、自分に不利益になるような事に首を突っ込まないはず・・・)

P(つまりは自ら襲われたりはしない、と俺は見てる)

P(どこで妊娠・・・いや、待てよ)

P(目の付け所がおかしいんだ!妊娠したから母乳が出るという固定概念から外れればいい)

P(母乳が出る、何かしらの原因が・・・って)

P「あああああああああああああああああああ!!!?」

みちる「!?」ビクッ

由愛「!?」ビクゥ

巴「なんじゃいきなり大声を出して」

智香「もしかしてやっぱり・・・?」

P「け、ケータイはどこだ!!!あった!病院病院!!」ピポパポ


P「も、もしもし日頃お世話になっております。Pです!」

朋「病院、産婦人科よね、この場合」

海「・・・Pさんも男だとは知ってたけど、まさか雪乃さんに手を出すとは」

P「バカ、そうじゃない!雪乃さん、性行為もせずに母乳が出るようになったんですよね!?」

雪乃「は、はい」

P「レントゲンの準備をお願いします!はい、すぐ行きます!」

雪乃「レントゲン・・・?」

P「雪乃さん行きますよ!!」

肇「待ってください、Pさんもいきなりすぎて・・・」

P「雪乃さんに脳腫瘍があってからじゃ遅いんだ!!」

肇「腫瘍・・・って」

全員「えええええええええ!!?」

雪乃「腫瘍・・・」クラッ



 ─ いつもの病院 ─


女医者「相原さん、あなたには高プロラクチン血症の疑いがあります」

雪乃「プ、プロラク・・・?」

女医者「高プロラクチン血症、不妊の原因とも言われているホルモンの異常生成ですね」

雪乃「不妊・・・!?わ、私子供できないんですか・・・!?」

女医者「それはまだ分かりません。ですがレントゲンの結果から腫瘍はありませんでしたし、おそらく原因は日頃のストレスの方だとは思います」

女医者「血液検査を待ちましょう」

雪乃(す、ストレス・・・思い当りがありますわ・・・涼宮星花さんとの毎日戦ってますものね・・・)

女医者「お薬を本来の半分で出しておきます。2週間後、再検査しましょう」

雪乃「・・・・・・」

女医者「大丈夫ですよ、相原さん。早い段階で病院に来てくれましたし、正直言って医者の目から見てもアナタは健康です」

雪乃「でもプロラク何とかなのでは・・・?」

女医者「これだけ健康なのに、そこだけ異常なんて方がおかしいです。医者がこういうのも何ですが仕事のし過ぎとか思い当りますか?」

雪乃「は、はい・・・」

女医者「やっぱり。ホルモンバランスが崩れただけですね、しっかり休んでください」

女医者「再検査しますが一番大事なのは気の持ちようです、病は気からですよ?」

雪乃「分かりました」



 ─ 相原宅 ─


雪乃「ありがとうございます、送って頂いて・・・」

P「お安い御用ですよ。普段は頼もしい雪乃さんが弱ってるなんて見たくないですからね」

雪乃「あはは・・・」

P「それにしても良かったですよ、乳ガンとかじゃなくて・・・」

雪乃「そうですわね・・・でも不妊になってしまう可能性は無きにしも非ず」

P「気の問題です。ひと時の不安で体壊す事は俺が一番知ってます」

雪乃「・・・ふふっ、そうですね」

P「雪乃さんがこんなになるまで働いてたなんて、何やってたんですか?」

雪乃「そのー・・・勝手にLIVEバトルやってましたわ」

P「え!?」

雪乃「Cuプロの涼宮さんと何度もぶつかり合ったというか・・・Pさんの取り合いしてたというか・・・」

P「う゛ぇ゛!?」

P(いや・・・うん、涼宮さんの反応的にまさかな、とは思ってたんだけどね・・・)

P(それに俺の知らない内にLIVEバトルやってたのか、確かに俺はここの所は腹の怪我の事を考えて皆に指示出したりしてないしね)

P(うーん、今後のペースに影響がなければいいけど・・・)


雪乃「その・・・ごめんなさい」

P「・・・・・・」

雪乃「勝手に動いたことには懲罰を受けますわ」

P「懲罰は・・・そうですね、しばらくお休みしてください」

雪乃「えっ!」

P「アナタは仮にも病人の疑惑があるんです。しっかり治して、万全の体調でまた舞台にあがりましょう」

雪乃「・・・はい」

P「俺のために動くのもいいけど、今のアナタの体はファンのモノです。ファンのために動きましょう」

雪乃「分かりました・・・」



後日、SNSを通して相原雪乃が体調不良で1ヶ月程休むことを報告した。

原因は隠さず、「妊娠せずに母乳が出る状態」という事を報告したらファンの人たちの応援メッセージがたくさん届いた。

・・・たくさんの妄想も届いたが。

雪乃さんのグラマラスな体に加え、母乳が出るなんて知ったらどこのエロマンガだよ!って突っ込みたくなるのも分かる。

だが、どうにしろずっと酷使していた雪乃さんを休ませるチャンスでもあった。

いずれ彼女はもっと大舞台に立つ事になる、休息を入れるのも仕事の一環だ。

また、次の場面で頑張りましょうね、雪乃さん。



ちなみに・・・。



『涼宮さんに手を出しやがってこのクソプロデューサー!!』

『明日コンクリートに埋めるたるわ』

『さっき○○プロに包丁送った』


P「これどーしよ・・・」


俺のSNSページはいまだ大炎上していたという・・・。




終わり

以上です。読んでくれた方はありがとうございます。
オチの弱さは書いた後に気付く、20過ぎると色々と体に異変が見えるとはよく言ったものを書いてみました。

「鳶に油揚げを攫われる(とびにあぶらあげをさらわれる)」とは自分の大切なモノを奪われること、それに加えて奪われて呆然してしまうことです。
劇中では由愛ちゃんの使い方が違うと書いてますが雪乃さんに子供出来る→それはほぼPとの子供→Pを奪われる という思考が働いたメンツにはこの言葉が合ってたりします。


さて、次回は

・前川みく「猫も杓子も」

を予定しています。

次回のお話は婚活のお話です、なんでみくにゃん選択したんだろう・・・。

ではまた。

チラ裏
雪乃さん→保奈美ちゃんと私歓喜な流れ。次は志保ちゃんあたり来るだろうなぁ・・・また19歳組だ頑張らないと・・・

乙です
とりあえずこっちVer.のURLも過去作交えて貼っておきます

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