早坂美玲「能ある鷹は爪を隠す」 (49)
アイドルマスターシンデレラガールズのSSです。
当SSはアイドル名「ことわざ」でタイトルをつけているシリーズです。
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前回
西島櫂「恋は思案の外」
西島櫂「恋は思案の外」 - SSまとめ速報
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─ 前回のお話 ─
・西島櫂が○○プロにやってきた。
・だが変な性癖を抱えてきてしまった。
─ 事務所・事務室 ─
若林智香「Pさ~ん!」
モバP(以下P)「・・・おう、どうした智香」
智香「悩みごとですか?」
P「・・・そうだな、ここの所うまく寝れてないんだ。顔に出ているか?」
智香「それはもうたくさん!」
P「マズイな、取引先の人に言われたらどうしたもんかな」
智香「それっ☆」チュッ
P「それで、今日の仕事の事なんだがな・・・」
智香「はい・・・、・・・」
早坂美玲「・・・・・・」
~ 2日後 ~
P「智香ー、いるかー?」
智香「はーい、いますよ」
P「今日の智香の仕事なんだがな、キャンセルになった」
智香「えっ!?そうなんですか・・・」
P「もうすぐ夏用の商品をカタログとかに載せないといけない時期なのにね。何やってるんだか」
智香「そうですねー」チュッ
P「まぁ、水着を着る機会がそろそろ来るから身構えておいてよー?」
智香「はーいっ」
美玲「・・・・・・」
~ それまた2日後 ~
P「はぁ・・・」
智香「どうしたんですか?」
P「最近はどのテレビ番組も3ヶ月とか半年で終わっちゃうからね。実は営業の量が物凄く多いんだ」
智香「そうですね。こないだ長寿番組のひとつが終わってしまったのも昨日のように感じますね」
P「言うのもなんだけど、どの新番組も同じようなものばかりでね」
智香「あ~・・・あははは・・・」
P「いかに皆を売り出すには尖ったところで大きく見せないといけない」
智香「個性を出すってやつですね」
P「だから同じような番組やるんだったらと今、模索中のことがあってね。それで今日出会う相手が初めてのタイプの会社だから心配でね」
智香「大丈夫ですよ」チュッ
P「・・・・・・おう」
智香「それじゃー☆お仕事いってきまーす」
美玲「・・・・・・」
─ 事務所・会議室 ─
美玲「う゛~・・・・・・」
村上巴「どうした犬っころ、いつもの倍老けて見えるぞ」
美玲「うるさいッ!ってか老けてない!」
巴「それでどうしたんじゃ?」
美玲「いや・・・智香、さんが物凄いなって」
巴「?」
美玲「だってプロデューサーと会う度に・・・その・・・キスしてるんだぞッ!!」
巴「ああ、あれか。ウチはもう慣れた」
美玲「慣れちゃダメだろ!」
巴「『元気が出るおまじない』であり、本人にはそれ以外の意思はないと言っているんじゃけぇ、気にせぇでもいいと思うが」
美玲「う゛う゛ぅぅぅ」
巴「それともなんじゃ・・・嫉妬か?」
美玲「!?」
巴「その顔は図星のようじゃな」
美玲「ち、違うッ!!そんなんじゃないッ!ウチは事務所が健全であって欲しいから・・・!!」
巴「だからあのおまじないは中身が健全と言っておろうに」
美玲「うぐぐぐぐぐぐぅ!!」
巴「犬が心配してるのはなんじゃ。Pが盗られることか?」
美玲「違う!違う!!ちがう!!!」
巴「(少し煽ってみるか)大体、口付けひとつでなんじゃ。大事なのは心を込めること、心がなければキスもただの接触にすぎん」
美玲「そ、そんなわけ・・・ッ!!」
巴「なら、経験してこい」
美玲「経験?」
巴「犬もPにキスしてこい、ということじゃ」
美玲「 」パクパクパクパク
巴「なんじゃ、その鯉みたいな顔は」
美玲「は、は、ハレンチだぞッ!!」
巴「心を込めてるか込めてないかなど、人の主観でしかない・・・とは美玲が言っている内容じゃ」
美玲「ま、まぁ、そうだけど・・・!」
巴「じゃけぇ智香姐さんの真似してしっかり理解してこいという事じゃ」
美玲「え゛」
巴「真似すれば、智香姐さんの考えが理解できるじゃろ?」
美玲「それはそうだけどさ・・・」
美玲(ウチとプロデューサーがキスするってことだよな・・・)
美玲「 」ボンッ!
巴(・・・頭から煙が出てるのぅ)
─ 事務所・事務室 ─
P「───、はい!えっ!?───」
美玲(ウチがプロデューサーと・・・ウチがプロデューサーと・・・)
P「───、確認してみます。あとで折り返し電話を致しますね。──はい!では、失礼致します」
美玲(プロデューサーは長電話に捕まっていたようだが、終わったようだ)
美玲「な、なぁ・・・プロデューサー・・・!」
P「美玲!ちょうど良かった!」
美玲「な、なんだッ!?(まさかキスしたかったとか・・・)」
P「お前に大きな仕事が入りそうなんだが、取るか?」
美玲「大きな仕事?」
P「テレビTokioの旅行番組。出演者としてお前が呼ばれているんだ」
美玲「ほ、本当かッ!?それならウチの事聞かずに取っちゃえばいいのに」
P「いや、それがなんだがな、一緒に出るのがさ・・・R子さんとM江さんとU与さんなんだよ・・・」
美玲「え、その三人って・・・」
P「そう、ドラマ女優大御所の3人だ」
美玲「ちょっと待って、その3人とウチの4人で旅行に行くのかッ!?番組作るのか!?」
P「・・・そういう事になる」
美玲「・・・・・・」
P「事実上、お前の大先輩にあたる。女優とは言え、昔はアイドルという立場は今以上に曖昧なものだからね」
美玲「つ、つまり大先輩3人とウチだけ・・・」
P「多分、プレッシャーはとてつもなく大きいだろうな。だから仕事の受諾までワンテンポずらして貰ったんだが」
美玲「こ、これに成功したら・・・」
P「間違いなく今後の仕事も上手くいくだろうね」
美玲「失敗したら・・・」
P「・・・最悪、大御所を抱えている事務所に美玲だけでなく俺ら全員干されるだろうな」
美玲「・・・・・・」
P「その・・・なんだ、俺は美玲なら成功できると思ってる。お前は人を大事に出来る子だからな」
美玲「う、う~ん・・・」
P「だが、無理なら無理と言ってもいい。俺からすれば美玲が一番大事だ」
美玲「な、なぁ、プロデューサー」
P「どうした?」
美玲「その仕事さ・・・一緒に付いてきてくれないか?」
P「俺が?」
美玲「・・・・・・」
P「怖いのか?」
美玲「うん。いきなりそんな大仕事を言われて驚いてるのもあるけどさ、一番は失敗した時の事を考えると怖いってのが」
P「・・・」
美玲「そ、側で見ててくれッ!失敗しないように・・・!」
P「分かった。お前からそんな言葉を聞くとはな」
美玲「ウチだってまだ14歳だぞッ!・・・不安なことだってあるんだぞッ」
P「おう。一緒に頑張ろうな」
美玲(よしッ、プロデューサーと一緒に仕事できるぞッ!!)
そして当日・・・。
美玲「 」ガタガタブルブル
P「美玲。血の気が引いてるぞ?大丈夫か?」
美玲「だ、大丈夫だッ!!」
P「不安になったらいつでも俺に声かけていいからな」
美玲「そ、そうする」
─ バス ─
美玲(プロデューサーはスタッフ用の車に乗り、ウチは出演者用のバスに乗った)
美玲(まだ、撮影は始まってない・・・でも)
U与「うふふ、そうよねぇ!」
R子「この3人を集められるのも久しぶりね」
M江「昔はひっぱり出されたのに、時代を感じるわー」
美玲(一緒の3人は昔話に花を咲かしている。ウチは入れなさそうだぞッ・・・)
美玲(下手に入らない方が今は懸命だ)
U与「それで今日は一緒に来てもらったのが早坂美玲ちゃんなのよ」
美玲「えッ!?あ、はい!!」
M江「Z子さん、いきなり話振っちゃかわいそうよ♪」
美玲「スイマセン、昔話には邪魔しちゃダメかなーッて思いまして・・・」
R子「ふふっ、ダメよ。もっと貪欲に行かないと」
U与「美玲ちゃん、だっけ?」
美玲「そうですッ!早坂美玲、14歳ですッ!!」
M江「この感じ、懐かしいわー♪私たちもね、アナタみたいに自分も物凄く飾ってた時期があったのよ」
美玲「うぇ!?」
U与「そうそう♪あの時はほとんどアイドルと同じだったわね、やっぱりテレビに映ってる人間としては真似したい存在にならないといけないから」
R子「変な格好ばっかりしてたわ」
美玲「変な格好・・・」
R子「ああっ、美玲ちゃんが変な格好ってわけじゃないの。でもね、私たちの若い時に雰囲気そっくりなの」
美玲「ウチが・・・ですかッ!?」
U与「うんうん、ちょっとガチガチな敬語とかね」
美玲「うぇッ・・・////」
M江「真っ赤になっちゃって~かわいい~」ワシャワシャ
美玲「う、うぎゃー!!」
U与「今日は美玲ちゃんに引っ張ってもらうからね?」
美玲「は、はいッ!!」
美玲(ちょっとだけ、助けられたかも・・・。心が軽くなった)
─ 温泉街 ─
P(収録はこの温泉街から始められる。この温泉街はファミリー向けに、と開発を進められており収録はここだけで行なわれる予定だ)
P(スタッフとしてもありがたい事だ、下手に車での移動がないからグダグダになる事は少ないだろう)
R子「さて、今日は最近人気の△△温泉街に来ました!」
M江「前から来たかったのよー、家族連れに人気なんでしょ?」
U与「でも今いる私たち、50、60代だけじゃない!」
R子「若い子には負けないわ!って言っても無理なので、今人気の子を連れてきました!どうぞー!!」
美玲「がお─ッ!!早坂美玲ですッ!今日はよろしくだぞッ!!!」
P(おっ、美玲・・・まだ緊張が解れてないけど、いつもの雰囲気出せてるな)
R子「このカワイイオオカミちゃん連れてきました♪」
美玲「お、オオカミだぞーッ!がおーッ!」
美玲(巴がいつも犬犬言うから、一瞬戸惑ったゾ・・・)
U与「今日はよろしくね、美玲ちゃん」
M江「いいわー、こんな孫欲しいわー」
R子「今日は1日!美玲ちゃんが私たちの孫になって引っ張ってくれるからこの温泉街を全力で楽しみましょう」
3人「おーっ!」
P「美玲・・・うん、やっぱりあの子に任せてよかった」
─ ショッピングモール ─
R子「へぇ~、最近の温泉街はこんなにお店があるのね~」
美玲「若い人をターゲットにするには温泉だけじゃダメらしいです。日本各地の有名店舗がいっぱいあるぞッ!」
M江「じゃあ、美玲ちゃんのオススメを教えてくれるかしら?」
美玲「ウチがオススメするのはコレッ!!マルメターノおじさんのロールケーキだぞッ!」
U与「あれ、マルメターノってソーセージじゃなかったっけ?」
美玲「本店はドイツ料理のレストラン!ここのは丸めたデザートで一杯だぞッ!」
美玲「ここではロールケーキを作る体験が出来るんです!皆さん行きましょう!!」
ディレクター(以下D)「美玲ちゃん勢い凄いですね」
P「多分、先輩らのオーラに押し負けないように必死なんだと思います」
D「ここまで、迫力あるとなー・・・」
P「ダメですかね?」
D「いやいや、実はこの後しっとりした雰囲気のミュージアムを予定していたのですが、変更してショッピングモール内のアトラクションコーナーに行った方が見栄えがいいかなと」
P「なるほど・・・。是非、お願いします。今日の美玲は何かが違うんです」
美玲(この後、洋服店を回り簡単なファッションショーをしたり、道行く人とこの辺りの事を話しながら撮影は進んでいった)
スタッフ「は~い、一旦休憩に入りまーす」
~ 昼食時 ~
P「美玲、お疲れ様。お前の頑張り、凄く伝わってきたよ」
美玲「おうッ!今日は大先輩が見てるんだ!負けられない!」
P「見てて、って言うから一緒に来たけど、こりゃ俺のいる必要なかったかな?」
美玲「そんなわけないだろッ!プロデューサーがいなかったら多分、この仕事取ってなかったと思う」
P「・・・そっか」
美玲「プロデューサーはウチの事を見てるだけでいいんだ!そうすれば安心できるから」
P「ん(理解)」
P「んで、この後のスケジュールだけどな、少し変更になった」
美玲「?」
P「昼食の撮影した後、アトラクションの方に向かう。まぁ、ほぼ遊園地だな」
美玲「ここ、遊園地もあるのか!?」
P「ああ、先ほどパンフレットを確認したがジェットコースターや大型すべり台、観覧車まであった」
美玲「完全に遊園地だなぁ・・・」
P「そういう事だからお昼ご飯は軽めにしておけ」
美玲「分かった。プロデューサーはどうするんだ?」
P「俺は・・・食事はこっそり食べておくよ。撮影はこの後、アトラクション続きだし、遠くから見てるよ」
美玲(なんだ・・・プロデューサーと一緒のお仕事なのに、全然一緒にいられないぞ!!)
美玲(・・・ってバカバカ!今日のウチはプロだぞッ!プロデューサーの事は後回しだッ!!)
美玲(でも、キスしなきゃ・・・)
美玲(ってヴァアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!)
P「どうした美玲、そんなに悶えて・・・」
美玲「うっさい!黙って見てろッ!!////」
P「アッハイ」
M江「・・・・・・」
P(そうして、午後の撮影が始まった)
U与「美玲ちゃん、あれ乗りましょう!」
美玲「ゴーカートだなッ!負けないぞッ!!」
<スピードデスギィィィィィッ!!!
M江「水流下りだって!美玲ちゃん、行こう!?」
美玲「おうッ!一度も叫ばないでやるぞッ!!」
<ギャァァァァァァァァ!!
R子「・・・美玲ちゃん、大丈夫?」
美玲「も、もちろんですッ!次、コーヒーカップ乗りましょうッ!!」
<ウワァァァァァァッ!!メガァ!メガァァァッ!!
美玲「ばたんきゅ~・・・」
D「美玲ちゃん頑張ってるねぇ!!おかげでストックがいっぱい溜まったよ」
美玲「そ、それはよかったです・・・」
美玲(あの三人、体力凄いなぁ・・・)
D「もうちょっとで終わりだから、頑張ってね」
美玲「は、はい・・・」
美玲「つ、次はなんですか・・・?」
M江「次はアレだよ」
美玲(じぇ、ジェットコースター・・・)
R子「締めとしては、これが一番とは思ったんだけど、このパンフレット見てくれるかしら?」
美玲「『親子連れ・カップル専用』・・・うぇっ!?」
R子「それに私たちじゃ、ジェットコースターに乗って心臓止まっちゃうかもしれないから」
M江「年は取りたくないねぇ」
美玲(絶対嘘だッ!!)
U与「そこでね、美玲ちゃんのプロデューサーさん!」
D「(コソコソ)カメラ!Pちゃん映しちゃって!!」
P「えっ」
U与「美玲ちゃんのプロデューサーさんと美玲ちゃんで乗ってもらいます!」
P「Oh...」
美玲「ぷ、プロデューサーと!?」
R子「私たちよりは家族連れに見えるしね」
─ ジェットコースター ─
美玲「うぅ・・・」チラッ
P「ジェットコースターなんて久しぶりだなぁ」
美玲「ぷ、プロデューサーはこういうの大丈夫なのか?」チラッ
P「ん?どうだろ、ただ落ちるだけのジェットコースターなら大丈夫だけど、捻りとかあるとね」
美玲「ふーん・・・」
美玲(い、今のウチらって・・・か、カップルに見えるかな!!?)チラッ
P「いやぁ、スーツでジェットコースターに乗るなんて考えてなかったヨ」
美玲(そ、そっかスーツか・・・頑張っても遅れてきたパパと子供にしか見えないかな・・・)チラッ
P「おっと、そろそろ出発するようだぞ」
美玲「おうッ、いつでもこいッ!!」
M江「───トオモワナイ?」
U与「──ダヨネ」
R子「───シヨウ」
美玲「って、あの3人何話してるんだろう・・・」
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
美玲「あっ、出発・・・」
三人「いってらっしゃーい」
美玲「行ってくるぞッ!!!」
<ギャアアアアアアアアアア!!!
<ヌワアアアアアアアアアアアア!!!
<ヒィイィイイィィイィィィ!!!
─ 宿・温泉 ─
R子「今日はたくさん楽しんだわね」
M江「1日の疲れを温泉で癒せるって最高の場所よねー」
U与「美玲ちゃん、今日の感想はどう?」
美玲「ずっと夢中になって遊んでましたッ!どんな年齢でも楽しめる素敵な所だと思います!!」
R子「ふふっ」
M江「さぁ、あとはぐっすり寝るだけ!ホント子供に戻れたみたいだわー」
D「撮影終了でーす!お疲れ様でしたー!!」
美玲「ふぅ・・・」
U与「美玲ちゃん、お疲れ様」
美玲「あっ、お疲れ様です」
U与「やっぱり若い子と一緒にいると負けてられないなって気持ちが湧き上がるね」
R子「そうね、大先輩として後輩を失望させないようにね」
美玲「今日の3人は凄かったです。体力が違うというか・・・」
M江「そりゃ、アイドルって名前が浸透する前にアイドルやってたもの」
U与「あれ、そうだっけ?」
R子「やってた事は今のアイドルと変わらないわね」
美玲「この人たち本当に50歳60歳なのかとむしろ不安になったというか・・・」
M江「ちょっと時間が過ぎればアナタもこうなるんだよー?」
美玲「・・・・・・なれるのかな?」
U与「なれるよ!でもね、他にも言いたい事があるんだ」
M江「あとで私の所においで」
美玲「あっ、はい」
─ 宿・M江の部屋 ─
M江「あっ、いらっしゃーい」
U与「ほらほら、こっち」
美玲「失礼します。あれ、R子さんは?」
U与「うーんとね・・・」
M江「R子はどうしてもこの手の話が苦手なんだよね。トラウマというか」
美玲「?」
M江「美玲ちゃんを呼んだのは、ちょっと説教しようかなと思ってね」
美玲「せ、説教・・・!?う、ウチ何か変な事しましたかッ!?」
U与「してないしてない、むしろ凄くいい子だったよー」
M江「説教ってもね、美玲ちゃんがどうしたいかーってのを聞きたいからってのがあるかなー」」
美玲「ウチがどうしたいか・・・」
M江「うん。じゃあ、単刀直入にいくよ?」
美玲「は、はい」
M江「美玲ちゃん、自分のプロデューサーの事好きでしょ?」
美玲「ッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!?!?!?////」
U与「あははっ、すっごく顔真っ赤だよ?」
美玲「う、う、う、ウチはッ、プロデューサーの事なんて!!なんか!!なななななな、なんぞぉ!?」
M江「なんぞ?」
美玲「・・・」
美玲「・・・・・・」
美玲「・・・・・・ッ////」
美玲「・・・・・・好きです・・・////」ボソッ
U与「きゃー美玲ちゃんかわいいー♪」ナデナデ
美玲「う、うぎゃぁぁぁぁッ!!!」
M江「はははっ、やっぱりねー」
美玲「ど、どうして分かったんですか!?」
M江「そりゃ、私たちはアナタの4、5倍生きてるもの」
M江「それにあれだけチラチラ顔覗いてりゃねぇ」
U与「ジェットコースターの時なんか横顔ずっと見てたもんねー」
美玲「うぅ・・・・・・ッ////」
M江「それで、今はそのことについてお説教したいの」
美玲「あ、はい・・・」
M江「美玲ちゃん・・・その恋はね・・・」
M江「絶対ゲットしなさい」
美玲「え゛?」
M江「『え゛?』って何よ『え゛?』って」
美玲「いや、この勢いだったら『恋は叶わない。諦めなさい』って流れかと・・・」
U与「そんなことないよ」
M江「ちょっと聞くけど、私たち3人がなんで大御所なんて呼ばれるまで女優やってるか知ってる?」
美玲「い、いえ、知りません」
M江「それは簡単な事なんだよ。単純に婚期逃しちゃったの」
美玲「え゛」
U与「私たちもアイドルみたいな事やってたんだけどね。そのおかげで結婚できなくて・・・」
M江「特にR子は同期の子と同じ人の事を好きになってね」
M江「それで取られちゃったからずっと自分を誤魔化すために女優やってる」
美玲「もしかして今いないのも・・・」
U与「多分、思い出したくないからだと思う」
M江「美玲ちゃんがアイドルやってるのもアレだっけ、シンデレラプロジェクト」
美玲「えっと、そうです。一般人の中からシンデレラのように輝ける人物を探し、アイドルとして育てるってやつです」
M江「シンデレラ、いいよねぇ・・・魔法をかけられ、素敵な男性と出会う」
U与「美玲ちゃんのプロデューサーさんは魔法使いかな、王子様かな?」
美玲「ど、どっちでしょーか・・・////」
M江「でもね、魔法は解けないといけないの」
美玲「解けないといけない・・・」
M江「解けない魔法は呪いと一緒よ。しかも他人にかけられる癖に自分から解かないといけない」
U与「私たちはずっとその魔法から抜けられなかったお人形。シンデレラのバッドエンド」
M江「はははっ、私たちに12時の鐘は鳴らなかったわねー」
美玲「そんなことは・・・!」
M江「確かに今の時代、結婚しなくても生きていける。でもね、人が人を好きになるのは決して消えないの」
M江「もし、美玲ちゃんがプロデューサーの事が好きだと言えるなら、アナタから彼に魔法をかけてあげなさい」
M江「王子様になってくれませんか、って」
美玲「・・・・・・////」
U与「美玲ちゃん、今日中にAもBもCもやっちゃいなさい!!」
美玲「ヒィィィッ!?////」
M江「そうだね、この宿の壁は防音に優れてるらしいし」
美玲「へっ・・・へっ?」
U与「がっつり朝まで・・・ね?」
美玲「む、無理だあああああああああああ!!!」
─ 宿・Pの部屋 ─
コンコン♪
P「おっ、美玲か。どうしたんだ♪」
美玲「いや・・・ちょっと話したくて・・・」
P「あ~・・・俺、お酒入っちゃってるけどいい?」
美玲「うん、別に大丈夫だぞ」
P「ん。それじゃ、奥のイスに腰掛けててくれ。ジュース持ってくる」
美玲「お酒、チューハイか・・・」
P「美玲がものすごく褒められたからねー。俺も嬉しくなっちゃって♪2本も飲んじゃったよ」
美玲「ウチが褒められたのか・・・?」
P「おう、あちらさんのマネージャーさんとかディレクターがな。『真面目で真剣!そして身の丈に合ったカワイさ!』だってさ」
美玲「そ、そうか!プロデューサーが一緒になって頑張ってくれたからだぞッ!!」
P「ふふん♪能ある~・・・あれ、なんだっけ・・・」
美玲「能ある鷹は爪を隠す、じゃないのか?」
P「そうそう。鷹が出なかった。ともかく、美玲が年上とのコミュニケーションをガンガンとれるってのは初めて知ったよ」
P「俺の見かけじゃ、M江さんと仲良くやれたんじゃないか?」
美玲「・・・・・・」
P「なーに塞ぎこんでるんだ?褒められた本人の顔じゃないなー」
美玲「いや、M江さんに説教されて・・・」
P「は・・・?ちょっと待て、お前何かしたのか?」
美玲「ち、違う!怒られたわけじゃないんだぞ!」
P「あっ・・・もしかして、今後の生き方とかを教えてもらってたのか?」
美玲「う、うん」
P「はははっ、そりゃ良かったよ。あとでM江さんにお礼言っておかないとな」
美玲「それでさ・・・それからずっと考え事してて・・・」
P「そっか」
美玲「・・・・・・」
P「こーら」ツンツン
美玲「うぎゃー!ほっぺたつつくな!!」
P「元気出せー♪美玲に辛い顔は似合わないぞー♪」ツンツン
美玲「や、やめろぉ!!」
P「よーし元気に」ズボッ
美玲「ふぁ・・・?」
P(アカン、美玲の口の中に指つっこんじゃった・・・)
美玲(ど、どうしよう、プロデューサーの指咥えちゃった・・・)
美玲(でも、これはもしかしたら・・・アタックするチャンスかな・・・)
美玲「ちゅぱ・・・ぇろ・・・」
P「み、み、み、美玲さんぅ!?」
美玲(こ、これで嫌がらなければ・・・ウチにだって、プロデューサーを・・・)
美玲「ちぅ・・・れぉ・・・んっ・・・」
P(ひ、ひ、人差し指に美玲の舌がからまってくぅ!?)
美玲「ぷろ・・・りゅーしゃ・・・」
P(あ、でも・・・なんか・・・なんか気持ちいい・・・)ナデナデ
P(はっ!?俺はなぜ、美玲の頭を撫でている!?)
美玲「ぅぅんっ・・・れろっ・・・」
P(物凄いとろんとした目になってる・・・い、今までに見たことないくらいエロい顔・・・)
P(そのまま美玲は俺の指をしゃぶりながら5分が経過した・・・)
美玲「ぷはっ・・・・・・」
P(や、やっと止めてくれたか・・・)
P「美玲・・・」
美玲「・・・・・・」ジー
美玲(い、今しかない!キスするには・・・!)
P「き、今日は疲れたんだな!こんな・・・こんな・・・」
P(マズい、いきなりの事で言葉が出てこない!)
美玲「ハァ・・・ハァッ・・・」
美玲(キスしないとキスしないとキスしないと)
P「どうした?気持ち悪くなったか?」
美玲「ぷ・・・プロデューサー・・・」
美玲(キスしないとキスしないとキスしないとキスしないとキスしないと)
P「なんだ?」
美玲「ップロデューサー!!!」
・ ・ ・ ・ ・ 。
翌日・・・。
─ 事務所・事務室 ─
美玲「・・・・・・」
巴「おう、犬。なに下を向いているん?いつものお前はキャンキャンと・・・」
美玲「巴」
巴「なんじゃ」
美玲「・・・しちゃった」
巴「しちゃったって何を・・・あれか?キスか?」
美玲「・・・・・・うん」
巴「おーっ、やればできるじゃn」
美玲「舌・・・入れちゃった・・・」
美玲「え、エッチなキス!しちゃったんだッ!!!」
巴「・・・・・・は?」
終わり
以上です。読んでくれた方はありがとうございます。
「能ある鷹は爪を隠す(のうあるたかはつめをかくす)」とは実力を持つ人はそう簡単にはその能力を見せないということです。
能なしのPは爪を美玲ちゃんの口の中に隠しましたが。
今回はモブが多かったと思います。人によっては退屈だったかもしれませんね。
それと今回のテーマは自分が誰かを見るように自分も誰かに見られているというものです。
さて、次回は
・榊原里美「危ない橋を渡る」
その次の回に
・イヴ・サンタクロース「月に叢雲、花に風」
・梅木音葉「据え膳食わぬは男の恥」
のどちらかを予定しています。
不吉なタイトルが見えますがお楽しみに。
ではまた。
このSSまとめへのコメント
やっぱ、美玲ちゃん最高やな
乙!