早坂美玲「うちは完璧だからなッ!」 (29)
―――ある日 どこかの公園
タッタッタッ……
ルーキートレーナー「……はいオッケー! セット終わりだよ、美玲ちゃん!」
早坂美玲「はあ、はあっ……うあーっ! 疲れたー!」パタッ
ルキトレ「お疲れさま。はい、ちゃんと水分補給してね」スッ
美玲「はーっ……ありがとトレーナーさん、んくっ」ゴクゴク
美玲「ぷはぁ……あー、もう走れないぞ……」
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ルキトレ「うーん、体力づくりだからそこまで気にしなくてもいいんだけど」
ルキトレ「一周走った時より結構タイムが落ちてるね……」
美玲「ううっ……! 分かってるぞ! そんなこと!」
美玲「けどちょっとだけ疲れて……もうムリ……」
ルキトレ「そっかぁ……」
ルキトレ「じゃあ、ここで休憩にしよっか」
ルキトレ「私、法子ちゃんたちの方も見てくるから、戻ってきたら再開でいいかな?」
美玲「うん、分かったぞ」
ルキトレ「オッケー、じゃあちゃんと休んでてね!」
タタタ……
美玲「…………ふぅ」
美玲「ライブロワイヤルまであと十日なのに……大丈夫かなウチ」
美玲「もうちょっと、頑張らなきゃいけないのに……」
「ばうっ!」ドンッ
美玲「うわあッ! なななんだ!?」ビクッ
「ばう、ばうっ!」
美玲「で、でっかい犬!? いきなり何だよオマエッ!」
「ばうっ」ガバッ
美玲「わあっ! 何するんだよ! 重いだろッ!」バタバタ
美玲「わっ、バカ! なめるな! ベタベタする……!」
美玲「あ、あははっ! 待って、くすぐったいって……」
「いぬ美ー! 勝手に先に行っちゃダメだって……」
「って、うぎゃー! いぬ美が知らない子に乗っかっちゃってるぞ! こらー! いぬ美ー!」タタタッ
―――
パシャパシャ キュッ
美玲「……ベタベタしなくなったかな」
「ごめんなー、いぬ美が迷惑かけちゃって……」
美玲「そ、そんな謝んなくていいって! ちょっとだけビックリしただけだし……」
美玲「スゴくでっかいけど、よく見たらそんなに怖くないぞ、いぬ美」ナデナデ
いぬ美「ばうっ!」
「もー、これだとまたプロデューサーに散歩控えるように言われちゃうぞ! いいのか?」
いぬ美「ばう……」シュン
美玲「プロデューサー? もしかして、アイドルの人?」
「え? うん、そうだぞ! 君もなのか?」
美玲「まあ一応……早坂美玲って言うんだけど、そっちは?」
我那覇響「響! 我那覇響だぞ! よろしくな美玲!」
美玲「がなは……?」
響「我那覇響! 765プロって所に所属してるんだけど……」
美玲「765プロ? えっと、誰がいたっけ……?」
響「うーん、やっぱりまだ知らない人が多いかー」
響「例えば春香とか……美希は有名なのかな?」
美玲「美希って星井美希のこと? だったら雑誌でよく見るぞ!」
響「美希なら知ってるのか?」
美玲「うん! ウチがアイドルになる前からずっと見てたもん!」
響「そうかー、自分ももうちょっと有名になりたいなあ……」
美玲「ウチからしたら星井美希と一緒の事務所にいるのがもうスゴいぞ……」
美玲「それだったら響はなんかやってないのか?」
響「何か? ライブとかイベントとかは……普通にやってるか」
響「あとは今度テレビで自分のコーナーが始まることとか……」
美玲「テレビ!? スゴいじゃんか響!」
響「え? そ、そうかな?」テレテレ
美玲「だって芸能人みたいじゃん! テレビに出られるなんてさ!」
響「え、えへへ……ふふんっ! まあ自分は完璧だからなっ! 」ドヤッ
美玲(あ、なんか幸子みたいだ)
いぬ美「ばう」
響「そういえば、美玲はトレーニング中だったのか?」
美玲「うん、今は休憩中なんだけど……あっ」
響「ん? どうしたんだ美玲?」
美玲「あ、あのさ、ウチにちょっと教えてほしいことがあるんだけど……いい?」
響「教えてほしいこと? アイドルのことか?」
美玲「うん、なんかよく分かんなくなってて……」
響「もちろん! 後輩に頼られたら助けてあげるのが先輩だからな!」
美玲「ありがと響、じゃあ……」
美玲「ウチ、今度ライブロワイヤルっていう大きいライブに出ることになったんだけど」
美玲「それが今までやってきたのと比べたらホントにホントに大きくて」
美玲「その、なんて言うかそこで上手くライブができるか、その……」
響「不安なのか?」
美玲「うん、たぶん……そのせいなのか分かんないけど練習もあんまり……」
響「なるほどなー……」
美玲「ウチだって頑張らなきゃいけないのは分かってるんだぞ! けど……」
響「ライブで不安……」
響「なんだ、そんなの簡単じゃないか!」
美玲「えっ?」
響「美玲が、ライブを思いっきり楽しむことを考えればいいんだぞ!」
美玲「楽しむ? ウチが?」
響「そうだぞ!」
響「たぶん、美玲は何のためにレッスンとかを頑張るか分かんなくなってると思うんだ」
響「あと大きな所だし、失敗するのがヤダ、とか」
美玲「……そうかも」
響「これ、自分のプロデューサーが言ってたことなんだけど」
響「ライブって、そこにいる人みんなが楽しむためにあるんだって」
美玲「みんな?」
響「そう! お客さんもアイドルもみーんな!」
響「お客さんを楽しませるのはもちろんだけど、それってまず、アイドルがライブを楽しまなきゃ始まらないんだって」
響「怒った顔した人がやってるのを見ててもおもしろくないでしょ?」
美玲「そっか、なんとなく分かるかも」
響「で、それを見てお客さんが楽しんで、それを見てアイドル側がもっと楽しんで、またお客さんが……」
響「そうやってずーっと続いてくのってスゴくないか?」
美玲「おおー……!」キラキラ
響「だからさ、上手にやるとかとりあえずそういうのは後にして……」
響「まず思いっきり楽しむ! それもみんなを巻き込むくらいに!」バッ
響「それを考えながら練習すれば、きっと上手くなっていくはずさー!」
美玲「な、なるほど……!」
響「……まあ、これ全部プロデューサーが言ってたことなんだけどな、あはは」
美玲「ん……でもありがとう、響。なんか元気出た気がする!」
響「本当か? それなら自分も嬉しいぞ!」
美玲「ウチにもそんなことが出来るのかな……やってみたいな」
響「美玲ならきっと、絶対に出来るぞ」
美玲「そっか……よしッ!」パチンッ
美玲「ずっとすっごい悩んでたけど、響のおかげでなんとかなりそうだぞ!」
響「なんとか……あ、そうだ! いいこと教えてあげるぞ!」
美玲「いいこと?」
響「うん、レッスンで上手くいかなかったときとか、失敗したときとか」
響「そういう時はとりあえず、なんくるないさー! って言っておけばきっと大丈夫だぞ!」
美玲「なんくるないさー?」
響「なんとかなるぞ、って意味の言葉!」
美玲「へぇ……失敗しても、なんくるないさー!」
響「そうそう! そんな感じだぞ!」
いぬ美「ばうっ!」フリフリ
響「え? そろそろ散歩に戻りたい?」
美玲「あ、そっか。響は散歩の途中だったっけ」
響「それじゃ行くかー。ごめんなー美玲」
美玲「ううん、すっごく助かったぞ。じゃあないぬ美ー」ナデナデ
いぬ美「ばうっ!」
響「あ、そうだ! ライブロワイヤルなら自分も出るからな!」
美玲「え? ホントに?」
響「うん! だから一緒に頑張ろうな! またね美玲! ちばりよー!」
美玲「えっ? あ、うん! ち、ちばりよー!」
タッタッタッ……
美玲「楽しむのと、なんくるないさー……か」
タタタ……
ルキトレ「お待たせ美玲ちゃん! どうしたの? さっきの子友達?」
美玲「あ、いや、さっき知り合ったばっかなんだけど……それよりトレーナーさん!」
ルキトレ「えっ? な、何?」
美玲「トレーニングの続きやる! ちゃんと時間測ってて!」
ルキトレ「おお! 休憩したら途端にやる気出てきたねー。でもその前に少しストレッチ!」
美玲「ふん、ふんっ! もういいぞ!」グッグッ
ルキトレ「オッケー、それじゃあ……」
ルキトレ「よーい、スタートっ!!」ピッ
―――ライブ当日 ステージ袖
美玲「失敗しても、なんくるないさー……」
美玲「……よしっ」グッ
P「美玲、次が出番だぞ。準備は出来てるか?」
美玲「今できた! いつでも大丈夫だぞ!」
P「うん……最近特に自信付いてきたよなあ美玲」
美玲「来てくれた人みんなを楽しませるんだ、これくらいじゃなきゃ出来ないだろ!」
P「そりゃあいい心がけだ。でも、ちゃんと出来るか?」
美玲「ふふん! 当然だぞ! なんたって……」
美玲「ウチは完璧だからなッ!」
おしまい
早坂美玲(14)
http://i.imgur.com/Bpl3iof.jpg
http://i.imgur.com/zjWrgyD.jpg
ルーキートレーナー(19)
http://i.imgur.com/3K0mSUi.jpg
我那覇響(16)
http://i.imgur.com/QxJQ51x.jpg
http://i.imgur.com/1VauZCL.jpg
急に美玲ちゃんが来たので
読んでくださった方々ありがとうございました
スレタイの「ウチ」をカタカナ表記にしていないのに終わってから気づく
吊ってくる
それと美優さんとあずささんのを書いていた人とは違います
何度も申し訳ない
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