並木芽衣子「箸にも棒にも掛からない」 (106)

アイドルマスターシンデレラガールズのSSです。

当SSはアイドル名「ことわざ」でタイトルをつけているシリーズです。

以前のお話に戻る場合はSS wikiを通ってください。
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前回
梅木音葉「据え膳食わぬは男の恥」
梅木音葉「据え膳食わぬは男の恥」 - SSまとめ速報
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SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1400596385


 ─ 前回のお話 ─

・Coプロの渋谷凛が色々ピンチらしい。

・それに焦ったCoプロは八神マキノを利用し、ハニートラップを仕掛けてきた。

・だが、梅木音葉がモバPへの愛のために奮闘し、八神マキノを屈服させることに成功する。


 ─ ??? ─


モバP(以下P)「あ゛あ゛あ゛あ゛~・・・・・・」

P(俺が今いる場所、それは温泉。しかも貸し切った旅館の露天風呂)

P「1人でこんな贅沢に使うなんて、あり得ないもんなー・・・あー癒される~・・・」



P「うん、1人っきり・・・」



「そうでもないよっ」



P「!?」



 ~ 数日前 ~


P(俺たち、○○プロが20人のアイドルを抱え持ってから約1ヶ月半の月日が経った時だった)


千川ちひろ「一体どういうことなんでしょうかねぇ・・・」

P「さぁ?でも、いつも通りパーティーでしょうね、何かプレゼント用意しておかないとダメでしょうか」

ちひろ「確かに用意しておかないといけませんね。でもパーティーにするにしても土曜日と日曜日の二日とも空けとけ、との命令でしたし・・・」

P「違う、と言いたいのでしょうか?」

ちひろ「私はそう思いますね・・・」


P(スタッフ、所属アイドル、アイドル候補生の計22名は社長から『次の土日を空けておくこと』と命令が下っていた)

P(俺とちひろさん、そして社長の3人は大のパーティー好きだ。だから今回もパーティーだろうと思っていたが、全員二日連続で休みにするという点が謎だった)


並木芽衣子「ねーねープロデューサー!次の休みは何するのかなっ!?」

P「ごめん、分からない。多分、パーティーなんだろうけど・・・」

芽衣子「まぁ、そうだと思ってたよ!どうしようかなー、甘いモノ好きな子増えたし、お菓子でも買って来ようかなっ!?」

P「それがいいさ、羊羹とかドーナツとか、あと菓子パンは外さないでね?」

芽衣子「みちるちゃんのためだね!了解!」


P(社長は忙しく、海外に飛んでいる事が多い。理由は衣装やステージの機材を格安で手に入れるためであったり、単純な営業であったりする)

P(ステージなどは業者に頼めばいいのだが、社長は『自分が相手にやって欲しい事は、まず相手が欲しいモノを押しつけておく』という考えの持ち主。目標のためならば世界を股に掛ける)

P(そのため、連絡が上手く繋がらない事がある・・・。ギリギリで通知が来ることも少なくはない)


Pipipi

P「もしもし、Pです。社長、今どちらに?」

社長『ハネダ空港だ、ようやく帰ってこれた』

P「お疲れ様です。お迎えに行きましょうか?」

社長『いや、いい。今日はケイヒン急行に乗りたい気分でな』

P(ハマの赤いあんちくしょう・・・)

P「それで、電話された理由とは?」

社長『そうだそうだ。土日に何するか言ってないのを思い出してな』

P「そうでしたね、皆パーティーだと思い込んでますが」

社長『パーティーではない。俺の知り合いに頼んで旅館を貸し切ったんだ』

P「は?」

社長『みんなで旅行だ。一泊二日だが羽伸ばせるよう準備しておけ』

P「は、はい・・・」

社長『おっと、そろそろ電車が来る。切るぞ』

ツーツーツー

P「・・・・・・」



P「はいいぃぃいぃぃぃぃ!?」



P(急遽、全員に連絡。身支度をさせることとなったのだった・・・)

P(そして、例の土日となった)


 ─ ○○プロ・玄関前 ─


P(玄関前では既に全体の半数以上のアイドルが揃っていた・・・後は残りのメンバーとバスが来るのを待つだけ)

P(私服とはいえ、この人数のアイドルをタダで並べるのはこういう時くらいだろう」

芽衣子「る~る~んらる~ん♪」

P「芽衣子、ご機嫌だな」

芽衣子「みんなで旅行と聞いて居ても立っても居られなかったんだよっ!くるくる~♪」

早坂美玲「ぎゃーッ!!バス乗る前に吐くぅ!!」

P「あ~・・・テンション高いのは分かるけど、美玲が顔真っ青にしてるからそこら辺にしておきなさい・・・」

芽衣子「はーいっ!」

美玲「死ぬかと思った・・・」

P(あやうく美玲がジャイアントスイングされるところだった)

美玲の背中を摩りながら、俺は移動用のバスが到着するのを待った。


P「しかし、社長はまだ着いていないのですか?」

ちひろ「いやぁ、それがですね・・・自家用車で先に行ってるとの事で」

P「マジデスカ」

ちひろ「奥さんと娘さんを連れている、家族サービスをさせてくれとの事」

P「それは大事ですね」

ちひろ「なので、現場監督はPさん、アナタになります」

P「・・・分かりました」


P(社長の方は大丈夫だろう。何か具申しなくても空を駆け回る人だし)


美玲「うぉぉぉぉ・・・気持ち悪いッ!」

P「酔い止め飲んでおくか?一応、持ってきたんだ」

美玲「欲しいッ!くれッ!!」

喜多見柚「Pサン、アタシにも欲しいなー」

P「ほいほい。他にも欲しいやついるー?」


P「響子が居ないのは驚きだな・・・こういう事にも真面目なのに」

小松伊吹「試しに電話してみたらー?」

P「そうだな・・・」


Pipipipi


P「きょうこー?朝だぞー?」

五十嵐響子『えへへー・・・♪Pさんおはおーぅ・・・♪』

P「ほらっ、モーニングコールしてあげたんだから早く起きなさい」

響子『やだやだぁ・・・Pさんの声もっと聞いてらいです・・・むにゃ・・・』

P「今日は旅行だぞー?」

響子『ほぇ?』

P「りょ・こ・う!」

響子『りょこう・・・りょこう・・・旅行!!!!!』


響子『ってああああああぁぁぁあぁぁぁ!!!今何時ですかっ!!!!』

P「バス到着10分前」

響子『ま、ま、間に合わないです!!』

P「あらら・・・」

響子『ご、ごめんなさい!!』

P「あとで言い訳聞いてあげるから、準備だけして自宅で待ってなさい。車で迎えに行くから」

響子『ごめんなさいっ!!』


P「響子、寝坊」

伊吹「あちゃー・・・」

芽衣子「響子ちゃんが寝坊?珍しい事もあるんだねっ」

P「ホントだよ・・・そんなに楽しみだったのかな」

伊吹「そりゃねー、前回のパーティーが半年前だしね」

P「あの時は新人が入る度にパーティーしてた気がするよ」

伊吹「忙しくなった証拠じゃない?」

P「そうだね、確かに仕事が多くなった印象ある。でもなぁ・・・柚が裁判で勝てたり、目標の20人に到達したり、パーティーする口実は多々あったんだけどね」

伊吹「それをまとめて、って意向なんじゃない?社長としては」

P「そうかもね」


Pipipi

P「メールだ、なになに・・・」


藤居朋『人身事故ー!電車止まったー!』

P「マジカヨ」

伊吹「えっ?どうした・・・って、あ~あ」

P『一番近い駅で一旦降りて、またメール寄越せ。迎えに行く』

P「これでよし、と」

伊吹「でもさ、社用車で迎えに行くの?Pって車持ってないよね?」

P「流石に仕事用の車を使うわけにはいかない。どこかでレンタカーを借りてくる」

伊吹「ですよねー」

杉坂海「あと連絡ないのは!?」

P「えっと・・・女子寮メンバー12人全員いるなー?」

「「はーい!!」」

P「んで、来てないのが響子、朋、ミッチーと・・・」

村上巴「由愛が来とらんぞ」

P「なぬっ!!?」


伊吹「ミッチーと由愛はどうしたんだろう?」

P「いや、ミッチーは朋と一緒だろう。なんだかんだいつも一緒にいるからね」

伊吹「それもそっか」

P「問題は由愛か・・・」

美玲「由愛も多分、寝坊だぞッ!!昨日は夜遅くまでメールしてたからな・・・」

P(よほど楽しみだったんだろう・・・電話してみよう)

Pipipi

P「おはよう、由愛」

成宮由愛『P、Pさんっ、わだじ、わだじ・・・!!』

P(泣いちゃうレベルだったか・・・)

P「大丈夫、俺が迎えに行くから。今どこだい?」

由愛『家の近くの゛ZZ駅ってところでず・・・ズルッ・・・!!』

P「鼻かんで、その駅前で待ってなさい。車で迎えに行くから」

由愛「はい゛・・・」


伊吹『ミッチーと一緒?』

朋『うん』

伊吹「やっぱりPの言ったとおりミッチー一緒にいるって」

P「言ったとおりだろー♪あいつらと何年従兄妹の関係取ってると思ってるんだ」



P「よし、全員と連絡がついた」

伊吹「んで、どうするの?」

P「ちひろさん」

ちひろ「はい、なんでしょう?」

P「現場監督バトンタッチ!」

ちひろ「はい・・・って、えぇぇぇええええ!?」

榊原里美「おにいちゃん・・・一緒に行けないのですか?」

P「はははっ、ごめんな。置いてけぼりは作りたくないからね、後で合流するよ」

里美「分かりましたぁ・・・」

P「残念がるなって、あっち着いたらお饅頭とかいろいろ買ってあげるから」

里美「本当ですの?忘れちゃ嫌ですの」

P「おうよ」


ちひろ「はぁ・・・ただのアシスタントでいたいのに・・・」

伊吹「ちぇー、バスん中でPにずっと歌わせたかったのに」

P「やめい、俺に歌えるレパートリーはないぞ」

伊吹「歌わせなくても色々の修羅場にはなるかも・・・」コソコソ

P「・・・・・・怖い」

伊吹「Pが蒔いた種でしょうが!こっちのメンツがそちらのメンツに嫉妬したらどうすんの」

P「響子、朋、みちる・・・あっ」

伊吹「ねっ?胃が爆発しそうでしょ!?」

P「由愛が唯一の緩衝材か・・・」

伊吹「なんとかならない?」

P「・・・何とかなるとは思わんが、確かちひろさんがタブレットPCを持っていたはずだ、巴に渡しておいてくれ」

伊吹「?分かった」



 ─ 高速道路 ─


P(最速でレンタカーを借り、遅刻組をなんとか回収した・・・。バス組とは30分近くの遅延だ)


4人「ごめんなさい」

P「久しぶりの全員集合で嬉しくなるのは分かるけど、まずは管理を怠らないようにね」

4人「はーい」

P「分かればよろしい」


P(助手席には由愛を座らせ、残りのメンバーは全員後ろの席に座らせた。響子が)

響子『助手席は奥さんの席なんです!!!』

P(と、目を光らせたのは驚いたが、彼女には悪いが保身のために由愛を座らせた。もちろんこれ以外の理由もあるが・・・)


朋「あー、朝の星座占いの時からなんかあるとは思ったのよ!」

P「カニ座は何位だったの?」

朋「カニ座は10位よ!しかもひどいのよ、何かが自分の前に立ち塞がるって!」

P「当たってるじゃないか」

朋「ィヤッフゥータロット占いもタワーの逆位置。ホントあたしに対する占いは容赦ないわ・・・」

P(タワーの逆位置は『災難』だったな・・・お見事)

大原みちる「朋さんへの占いがピンポイントに当たってるなんて、朋さんはどんな星の下に生まれてきたんですかね・・・」

朋「まー、兎にも角にも白馬ならぬプリウッスの王子様が助けに来てくれたから助かったわ」

みちる「ホントですねー」

P(プリウッスが最安値だったんだよなぁ・・・エステマ借りたかった)

響子「ちなみに獅子座は何位でした?」

朋「獅子座は4位、勝負どころを見極めましょう、だって・・・へぇ・・・」ジロッ

響子「そーですかー、じゃあ決める所は決めないとダメですね・・・!」ジロリ

P(後部座席が冷戦状態だけど気にしたら胃が負けそうだ)


由愛「ぐすっ・・・」

P「由愛、泣くなって」

由愛「うぇ、私、私のせいで・・・」

P「巴と美玲と一緒にいられないのは残念だけど、あとで会えるんだ。泣き顔見せちゃダメだぞ」

由愛「ふぇっ、分かってます・・・」

P「まぁ、今すぐ会えるんだがな」

由愛「?」

P「朋、そこにタブレットあるだろう?」

朋「ああ、うん」

P「電源付けて」

朋「どれよ」

P「上の方」

朋「これね。パスワード」

P「いつもの」

朋「あー、はいはい」

響子「むっ・・・」

みちる「むむ・・・」


P「どうした、響子、それとミッチー」

みちる「朋さんには負けたくないです!」

響子「そうです!なんですか『いつもの』って!?まるで熟年夫婦みたいな会話して!!」

朋「そりゃ、ミッチーよりもあたしの方が長くPの従妹やってるし、しょっちゅうPの家にいるし」

響子「ずるいです!私もPさんの家1回しか行ったことないんですよ!!」

朋「ただのアイドルとプロデューサーの関係で1回行ければいいじゃない!アタシは家族なのよ?」

みちる「あたしも家族なのに、頻度が全然違いますー!!」

朋「ふふんっ、あたしはPの家行くためにもスケジュールとか調整しているの」

P「その調整能力を仕事で活かせバカモノ」

朋「なによー、ちょっとぐらい褒めてくれたっていいじゃない」

P「普段からエロ本読んで、俺の料理待ってるだけじゃないか」

響子「Pさん、料理作れるんですか!?」

P「んまぁ・・・大学4年間+何年で自炊能力はそこそこあるからな」

響子(ガッツポーズ)


みちる「なーにガッツポーズしてるんですかー!」

朋「多分、結婚後は子供生まれて3人で料理するんだーって妄想よ」

響子「ふぇ!?なんでバレたんですか!!」

朋「あたしも同じ妄想したからよ!!」

みちる「あたしもしましたっ!!!」


響子「・・・・・・」

みちる「・・・・・・」

朋「・・・・・・」


3人「・・・・・・うん////」


P(後ろから熱い視線がド直球!!)

由愛「?」


P「おーい、朋。可愛い顔してるんじゃなくてタブレットのだなぁ・・・」

朋「え、ぁ、かわいい?あ、うん・・・・・・////」

P「褒めてるからとっとと、『Skypo』ってのを押してくれ」

朋「『スカイポ』?これね」

<すぽおおおおおおおおおおおおおん!!

朋「起動音うっさいわね」

P「画面の中に『千川ちひろ』ってのない?」

朋「あるわ、押せばいいの?」

P「うん。そしたらカメラ通話っての押して」

朋「ポチっとな」

『ぎゃーぎゃー!!わーわー!!』

『海ー!!おちゃー!!!』

『お茶?こっちにないけど』

『って、あっ!足元にあったゴメンゴメン』

朋「・・・・・・これって」

P「おーい!ともえー!!」

由愛「!?」


巴『ん?んお!?朋姐さん!?』

朋「巴ちゃーんだ!!おはよう!」

巴『おはようあります。今、Pの声がしたはずなんじゃが』

P「俺は運転中だよ」

巴『把握』

朋「P、カメラどこ?」

P「上」

朋「これね、今こんな感じ」

巴『おー、みちるに響子!それに由愛!!』

由愛「巴ちゃん!!」

響子「おはよう、巴ちゃん」

みちる「おはようございます!」

巴『なるほど、この『たぶれっとぴーしー』で会話できるのじゃな』

P「ああ、仕事先から帰れない時用にちひろさんと俺のPCの中に入れといたんだが、こんな形で役に立つとはな」

巴『転ばぬ先の杖じゃな』

P「うん。朋、由愛に渡してやってくれ」

朋「はーい」


巴『なんじゃ由愛、泣いとったのか?』

由愛「ご、ごめん・・・みんなに悪い事したと思って・・・」

巴『気にするでないぞ?あとでたんまり遊ぶんじゃ、涙はその場には似合わん』

由愛「うんっ・・・うんっ・・・」

美玲『巴なにやって・・・由愛ぇー!!』

櫻井桃華『由愛さんですの!?』

柚『ゆっめー!どうしたのかと思ったよー!』

由愛「み、みんなぁ・・・ぐすん・・・」

巴『犬、また由愛を泣かしよって・・・』

美玲『さすがに今のはウチのせいじゃないぞッ!!』

桃華『まぁまぁ・・・うれし涙ってのもありますのよ?』

柚『さっきサービスエリアでご当地お菓子買ったんだー。あとで食べようねー!?』

由愛「うんっ・・・・・・!」


P「はははっ、やっぱり由愛はにっこりしてた方がいいよ」ナデナデ

由愛「Pさん、ありがとう・・・!」

P「どういたしまして」ナデナデ

由愛「はふ・・・・・・////」

巴『Pよ、さすがに由愛までオトしたら擁護しきれんぞ?』

由愛「?」

後ろ三人「じー」


P「と、とりあえずだなぁ、タブレット使って必要な連絡は先にしちゃってくれ。終わったら年少組独占でいいから」

桃華『分かりましたわ!先ほどこちらで旅館に到着した後のルートを考え付いたのですわ!』




P(あちらの画面からは雪乃さんが色々相談事を出している。班分けやお風呂の時の注意、社長への配慮などなど)

P(これらは彼女らに任せて、俺は安全運転で目的地へと向かおう・・・目指すは温泉地、確か・・・)



 ─ 温泉地・旅館前 ─


由愛「みんなっ・・・!!!」ギュー

巴「むぐっ!!」
美玲「ほごっ!!」
桃華「はがっ!!」

柚(由愛チャンの腕が届かなくてよかった・・・)

由愛「みんなぁ・・・ごめんね・・・!!!」ギュー

柚「由愛チャン・・・みんなの首が絞まってる・・・!!」

由愛「ご、ごめんなさい・・・!」


P(由愛は年少組に感謝と謝罪の言葉を連ねた。後ろに座ってた3人はそれぞれ事務所の面々に深々と頭を下げたという)


P(特にいざこざはなく、普段通りの皆に戻っている・・・いや、元々普段通りだった。失敗した側はそうは思えない感覚に陥るものだ、今まで経験した人も多いだろう)

P(さて、ホテルに荷物を預けて、遊びに行こう・・・)


P(そーいえば班分けされていたな・・・俺が一緒に行くのは・・・)


里美「ふぇぇ・・・おにいちゃんこっちですぅ」

P「里美と保奈美だけ?」

西川保奈美「あと社長家族と合流するそうよ。まだ来てないみたいだけど」

P「なるほどね・・・」

P(なるべく不満が出ないように分けたんだとか・・・。里美とはさっき約束したし、俺としてもありがたい所・・・)

P(社長が来るまでに候補生生活はどうか聞いてみるか・・・。今の最初の候補生と最後の候補生だもんな・・・)


P「里美、保奈美、レッスンの方はどうだ?」

保奈美「候補生になってから体がずっと軽いわ。運動で体力ついたのもあるけど、精神的問題かしら」

里美「私はまだ慣れません~」

P「はははっ、里美はまだ始めて一ヶ月経つか経たないかぐらいだしなぁ」

P(保奈美はだいぶ慣れてきたという所か・・・だが、ここが俺の正念場だな。レッスンで終わりにさせちゃいけない)

P「そうだな・・・保奈美、次のステップに行ってみたいと思わないか?」


保奈美「次のステップ?となるとモデル撮影とか?」

P「ああ、俺の感じる限りだともう保奈美は公の場に出てもいいと思うんだ」

保奈美「そうかしら?まだまだレッスンが足りないと思うけど」

P「自分に納得が出来てないのか?」

保奈美「そうね、微妙なところはどんどん直していきたいわ。それが私の目指す道に繋がると思うでしょ?」

P(訂正。保奈美はレッスン中毒だ)

P(歌手になりたいという志や見通しは765プロのかの如月千早に似ているかな?とは思ったけど)

P(あの人とは違う、もはや変わる自分に感動している感じ・・・。レッスンにスランプを感じる前に対処しなくては・・・)


P「里美の目から見て、保奈美はどうだ?」

里美「保奈美ちゃんですか~」

P「ああ、今現在、保奈美は候補生組のリーダーみたいなもんだ。彼女はお前の目から見てどうだ?」

里美「かっこいいです~」

保奈美「ちょっ・・・////」

P「かっこいい、他には?」

里美「髪が綺麗ですぅ」

P「そうだな、保奈美の髪は惚れ惚れするよ」

P(里美のドリルも凄いと思うけどな)

保奈美「た、確かに手入れは大事にしてるわ・・・だからって////」

P「照れるなって、これからどんどん言われていくんだぞ?」

P「アイドル・・・というか自分を見せる人間なんて軽いナルシストぐらいがいいんだよ」

保奈美「そうかしら・・・」

P「そうなんだよ。みんな自分の体の一部を武器にしている、それは否定したってしょうがないんだ。だったら売り込んでいく」

P「保奈美はやはりモデルだな、あとはCM・・・これを基本にして売り込んでいこう」

保奈美「もう・・・分かった、Pさんに委ねます」

P「委ねられました♪」


社長「おーい、待ったかー!?」

P「あ、社長!こちらです!」

里美「ご家族も一緒ですぅ」

社長「すまない、付近のガソリンスタンドがセルフの所でな。自分で入れるのは初めてで手こずった」

P「なるほど・・・でも、私たちも今着いたばかりですし、お気になさらず」

社長「ありがとう。おっと、紹介するよ。私の妻と娘だ」

社長夫人(以下夫人)「今日はよろしくお願いしますね」

娘「よ、よろひくおねがいします!」

P「こちらこそよろしくお願いします!」

娘「おじさん、よろひく!!」

P「おう!」

P(下手な会話よりおじさんと呼ばれる方が安心するのは何故だろう・・・そういえば俺おじさんって呼ばれる年だったっけ・・・?)

P「娘さんはおいくつで?」

夫人「今年で4歳です。やんちゃが始まったばかりで・・・」

娘「おねーちゃんたちおっぱいでっかい!!」

里美「おおきいですか~・・・?」

保奈美「私はともかく里美さんは大きいわ、牛さんみたいよ」

P(ガチで牛っぽい子はいるんだよなぁ・・・Paプロに)


夫人「里美さんと保奈美さん・・・ですね?今日は娘共々よろしくお願いしますね」

里美「よろしくお願いしますぅ~」

保奈美「こちらこそ。よろしくお願いします」

社長「2人ともこれから羽ばたく新人だ。しっかりと目に焼き付けておけ」

娘「はーい、パパ!!じぃい───!!」

保奈美「ジッと見つめちゃ恥ずかしいわ」

P「何言ってるんだ、これからたくさん見られるんだからな」

娘「おねーちゃん、テレビで見れるようになるのー?」

P「うん。テレビとか本とかに出すんだよ」

娘「ほあみおねーちゃんすごい!!」

保奈美「えっ、あっ・・・ふふっ♪ほなみ、よ?ほ・な・み」

娘「ほなみおねーちゃん!!」ムギュー

P(さっきの仕事やレッスンに用心深い意識に対して良い薬になったかもしれない・・・小さなファンが出来たね)

保奈美「こらこら、私に抱きついちゃうとお母さんがヤキモチ焼いちゃうわ」

夫人「大丈夫ですよ。普段、私とこの子で家で遊んでるだけなので・・・お父さんもいてお姉さんの友達も出来て嬉しいんでしょう」

娘「うれしー!」

保奈美「そっか・・・今日はいっぱいお姉ちゃんの友達できるからね?」

娘「やったー!」


里美「・・・・・・」

P「どうした、里美。ボーっとして」

里美「・・・羨ましいです・・・」

P「あの子が?」

里美「はい。お母様とお父様はおにいちゃんの事でよく・・・喧嘩してました」

P(里美は母親の刷り込みによって兄がいると思い込んでいる。父親は反対はしていたみたいだが、里美が兄に関する口論を自分の育て方等によるものと認識できなかったのだろうな・・・)

P「里美、つらくなったら俺の側にいていいからね?」

里美「はい・・・おにいちゃん」ムギュー

P「言った側から抱きつくんかい・・・」

P(しかも強烈にデカいのが当たってるし・・・)

娘「あー!わたしもおじさんにくっつくー!」ギュー

P「おぅ!?足にくっつかないでー!」

娘「ほなみおねーちゃんもはやくー!」

保奈美「わ、私は遠慮しておくわ・・・」

里美「・・・・・・」ムギュー

P「里美は嫉妬して力込めるなバカ!」

里美「おにいちゃんは私のおにいちゃんですぅ・・・」

社長「ほら、おしくらまんじゅうならいくらでもできるだろー?」

娘「はーい!」

P「さて、行きましょうか」


P(さすが観光地をしているだけあって観光する場所が多い。以前、美玲と共に違う温泉街に行ったがあの時も多くの名所があった)


P(ここでは・・・釣り場や工芸体験、ロープウェイで山の上からの風景を楽しむなど多くの人が集まる所が満載だった)


保奈美「Pさん、鮎釣りなんて初めてよ」

P「はははっ、女性はあまり来ないよなーこういう所」

里美「お魚さん食べれるんですか~?」

P「ああ、塩焼きで食べるのがセオリーだな。あとさっき炭アイスクリームってのがあったから2人に買ってあげよう」

里美「炭ですかぁ・・・でもアイスは楽しみですぅ♪」

保奈美「なんだか苦そうね・・・」

P「一緒にワサビアイスクリームってのがあったからそっちでもいいんだぞ?」

保奈美「炭で、絶対炭で」


P(・・・すごい平和だった。それはもう普段の女性問題なんてないくらいに)


娘「おじさーん!こんなにつれたー!」

P「おっ、すごいな!3匹かー!」

娘「おじさんはいっぴきなのー?」

P「食べる分だけ釣ってるんだよ。他に釣れたのは逃がしたり、ほかの人にあげてるんだ」

娘「おじさんやさしいねー!」

P「はははっ、普通だよ」

娘「でもパパはママとずっとしゃべっててつらないんだよー」

P「そっか。でもさ、パパは今まで海外で働いてたでしょ?」

娘「うん!」

P「今は自分よりキミやキミのママの事が大事なんだよ」

娘「そーなの?」

P「2人に寂しい思いさせてるからね。家族の時間って年を取ると作れなくなるもんなんだよ」

娘「うーん、わかんない」

P「んじゃおじさんからアドバイス教えたげる」

娘「?」

P「あとで泊まる場所に戻ったらパパに『いつもありがとう』って伝えてあげて」

娘「パパに?」

P「うん。おじさんが言ったってことは内緒だよ?」

娘「わかった!」




P(彼女は元気な足取りで親の下に戻っていった)

P(・・・俺もいつかああやって子供を育てていくのだろうか・・・)

P(子供・・・か、欲しいなぁ・・・そのためにも奥さん作らないといけないんだけどさ)



P(はぁ・・・・・・悩ましい)




P(その後はガラス工房や展望台などを回って、旅館に戻る時間となった・・・)


 ─ 旅館前 ─

P「俺らが最初に戻ったのか」

保奈美「そうみたい。一番最後に出発したのにね」

P「芽衣子は旅上手だから、あいつのチームはギリギリまで楽しんでるんじゃないかな?」

保奈美「亜季さんのいるチームはスタンプラリーしてくるとか、雪乃さんのチームは美術館行くとか・・・」

P「どこのチームも楽しんでるといいね」

保奈美「ただちひろさんが食べて飲んでくるって言ってたから・・・」

P「うわぁ・・・」


娘「おじさーん!!」

P「ん?どうしたー?」

社長「娘を抱っこしてみるといい」

P「社長?急にどうしましたか!?」

社長「俺としてはキミには子を持つ幸せと苦労を感じてほしい。性格の荒療治というわけではないが、是非抱っこしてみてくれ」

P「ま、マジデスカ」

娘「だっこー!」

保奈美「やってみたら?子供欲しくなるかもね」

P「元々俺は結婚願望ある方だし、子供も欲しいよ。でも・・・お言葉に甘えて」


娘「わーい!!」

P「わっと、うぉ!?」

社長「どうだ?」

P「重くて軽いです!」

社長「はははっ、どっちだよ」

P「精神的に重くて、体重的に軽いです!」

娘「でーす!!」

保奈美「ふふふっ、かわいい♪」ナデナデ



伊吹「たっだいまー♪」

若林智香「戻りましたっ!」

藤原肇「ただいまです・・・」

P「おかえりー、なんだみんな集まって戻ってきたのか」

相原雪乃「はい、そこの坂の下でちょうど全員・・・って、はっ!?」

P「ん?雪乃さん、どうしましたか?」


芽衣子「・・・あれ?」

智香「おや?」

美玲「むっ・・・!」

梅木音葉「・・・・・・っ!?」


P「なんだ、みんなして怖い顔して・・・」

娘「こあい・・・」

保奈美「どうしたんでしょうか」ナデナデ


大和亜季「P殿・・・その子はまさか・・・」

P「ははっ、かわいいよなー」

亜季「P殿と・・・保奈美殿の子でありますか・・・?」


P「・・・・・・」

保奈美「・・・・・・」



2人「ええええええええええええええええええええ!!!?」





 ─ ホテル・宴会場 ─


肇「社長の娘さん、でしたか。Pさんにも保奈美ちゃんにも似てないからおかしいな、とは思ったんですが・・・」

P「まぁ、説明もなしに見たら勘違いするわなー」

肇「でも保奈美ちゃんは私と同い年なのに、ずっと大人っぽくて・・・それが勘違いさせたというか」

P「そうかな?俺からすれば肇もすごく大人っぽいと思うけど」


P(皆の誤解が解け、一部のメンバーは娘さんとはしゃいで遊んでいる。皆、面倒見が良い子たち、こんなところでも発揮したか・・・)


肇「はぁ・・・でも今日は残念でした」

P「どうしたタメ息なんてついて」

肇「釣りに陶芸・・・私の得意なことばかりで私の腕をPさんにも見て頂きたかったです」

P「あははは・・・」

P(そーいえば、陶芸体験もできる場所があったなぁ・・・)

P「釣りも得意だったんだ」

肇「はい、海より川や山で釣ることが多いですが・・・それでも釣りが好きでして・・・」


P「・・・うーん、今度別な機会を設けるか」

肇「本当ですか?」

P「地方局なら釣り番組をゴールデンとかにやるからさ。もしかしたらそこに入れることが出来るかもしれない」

肇「・・・期待していいですか?」


P(彼女からの期待の眼差し。そこには期待以外の念が込められている気がして、直視できなかった)

P「ああ・・・」

P(思わず生返事。やってしまった感はある)


娘「パパー!ママー!おじさーん!」

社長「はっはっはっ!!眺めがよさそうだな!!」

夫人「落ちないでねー?」

娘「はーい!!」

P「元気だなぁ」

P(うちのアイドルの中で身長の一番高い櫂に肩車してもらい上機嫌の娘さん、なんとも微笑ましい)

肇「Pさんも子供、欲しいですか?」

P「まぁ、欲しいかな・・・」

P(って、あっ、口から漏れた・・・!)



P(その時、何人かの目が光った気がした・・・)




P(その後、食事を済ませ自由行動となった。俺は・・・どうしよう、露天風呂にでも行こうかな・・・)



雪乃「社長さんたちはお部屋に戻りましたか?」

音葉「確認済みです・・・遊び足りない子たちは・・・亜季さんと一緒にゲームコーナーに行きました・・・」

雪乃「海ちゃんが残ると思っていたのですが、お酒飲みすぎたちひろさんの面倒を見てるとのこと」

肇「それよりも美玲ちゃんや櫂さんがいるのは謎ですが」

美玲「どうせプロデューサーを狙う女子会議をやるんだろッ!?今回は自分から参加するからな!!」

櫂「いやぁ・・・あはははっ・・・」

雪乃「ライバルであり、仲間ですわ。何人いても困ることはありませんわ」

芽衣子「まーねっ!どう選ぶかはプロデューサー次第なんだし」


雪乃「集まったのは11名・・・」

智香「事務所のアイドルの半分ですね!!」

響子「でもさすがに11名は多すぎな気もしますが・・・」

雪乃「そうやって篩にかけられるのですわ。臆しましたか?」

響子「そ、そんな訳ないじゃないですか!」


雪乃「では第1回旅行先女子会議を始めましょう」

全員(第2回はいつになるんだろう・・・)

雪乃「今回のお題・・・Pさんの発言を思い出してください」

肇「なぜかここにICレコーダーが」

櫂(なんで持ってきてるんだろう・・・?)



肇『Pさんも子供、欲しいですか?』

P『まぁ、欲しいかな・・・』



雪乃「Pさんの衝撃発言・・・聞き逃した人もいるでしょう」

櫂「こんなの録音して大丈夫なの!?」

音葉「いざ事件に巻き込まれた時にとすでに出回っているアイドルは皆、ICレコーダーの携帯か電話に録音用のアプリを入れる事を推奨されています・・・」

櫂「あ、そうなんだ・・・」

朋「でも、今回はこれからどうやって話を広げるの?」

みちる「そうですよね!Pさんの独り言ですし・・・」

美玲「ま、まさか!今からプロデューサーと子供作れって事かッ!?」




雪乃「・・・・・・」



美玲「え、黙ってるってことは・・・」

イヴ・サンタクロース「ほ、本当に・・・?」


雪乃「ええ、ここで契りを結んでしまおうかと考えています」


全員「・・・・・・」

雪乃(やはり、全員うつむいていますね。企画した肇ちゃんでさえ口に出すことは避けてましたからね)

雪乃「私は・・・皆でPさんと子づくりしてしまえばと思っています」

全員「!?」

雪乃「今まで恋心を抱き、現れる障害、ライバルと勝負し勝った上で結婚、後に子供を作りあげるのが普通だと考えていました」

雪乃「ですが、ここまでPさんの事を想う人が増えてしまうと順番を入れ替えた方が不幸な人が減るのではないか」

朋「それってつまり・・・先にみんなでPとエッチしちゃえば・・・ってこと?」

雪乃「そうです。Pさんは恋愛まで至ってないから私たちの中から選ぶ事ができない・・・ならば」

音葉「逆から順に行えば・・・」

雪乃「子供が出来た以上、選ぶことを拒否することはできない・・・」

響子(子は鎹・・・決して外すことの出来ない幸せの呪い・・・)

智香「で、でもそれってPさんを無理矢理・・・」

雪乃「そういうことになりますわ。でもPさんは社長の娘さんを見て子供を欲しがっています・・・今ならチャンスかと」


美玲「う、ウチはやるぞッ!!」

朋「ちょっと、美玲ちゃんアナタ14でしょ!?」

美玲「だからなんだッ!ウチは獣なんだ!プロデューサーにそれを分からせるんだ!!」


音葉「私は元よりやるつもりですが」

響子「わ、私だって!!」

みちる「あたしも負けられないです!!」

朋「ちょっと!私を置いてPのこと決めないでほしいわ!」


肇「・・・半数以上がこのような結果です」

雪乃「さて、どうしますか?」

智香「え・・・あははーっ!どうしよっかなー☆」

イヴ「そうですね~・・・」

櫂「そこまで弾けたことをいきなりは・・・(へ、変態は変態を呼ぶのか・・・?)」

芽衣子「・・・・・・」


雪乃「11人で挑めばPさんと言えど陥落しますわ。1人じゃない・・・皆で気持ちをぶつけるのです」

雪乃「それに海ちゃんだって増援として引き込めるはずですわ」

朋「智香ちゃんイヴちゃん、いつもPに応援されてるでしょ!?今日こそお返しするのよ!」

音葉「それに智香さんは・・・日頃おまじないしてますし・・・」

智香「・・・そうですね!Pさんにはお世話になってますからやります!!」

イヴ「お返しになるのでしょうか~?」

朋「なるわ!普段からエロ本買ってるようなPよ?興味ないわけがないわ!」

イヴ「普段の感謝になるならやります~♪」

肇「櫂さん、私たち候補生であっても、皆Pさんを想う気持ちは一緒です。一緒にどうですか?」

櫂「いや~、そう頼まれると拒否できないんだよね、あたし」




雪乃「あとは芽衣子ちゃん、アナタだけです」

芽衣子「うーん・・・」

響子「芽衣子さん!」

みちる「芽衣子さんっ!」


芽衣子「・・・ごめん、ちょっと頭冷やしてくるね・・・」スタスタ


美玲「あ、あれ大丈夫か?」

雪乃「芽衣子ちゃんは真っ直ぐな人ですわ。Pさんに泥沼勝負を仕掛けるのは避けたいのでしょうか・・・」







芽衣子「・・・・・・露天風呂いこ」



 ─ 露天風呂 ─


P「あ゛あ゛あ゛あ゛~・・・・・・」

P「1人でこんな贅沢に使うなんて、あり得ないもんなー・・・あー癒される~・・・」



P「うん、1人っきり・・・」



芽衣子「そうでもないよっ」



P「っ!?芽衣子!?ちょっと待てタオルで隠すから!!」

芽衣子「驚かなくてもいいのにー。ここ混浴だったよ」

P「マジか・・・知らなかった」

芽衣子「それに貸切の旅館だしね、混浴じゃなくてもこっそり入れるよ」

P「バカモノ」


芽衣子「それにほら、タオルで隠してるし大丈夫でしょ?」

P「そりゃそうだけどさ。線が際どいっていうか・・・」

芽衣子「そーいうところ見ちゃうんだーっ!」

P「見えちゃったんだよ!」

芽衣子「えへへっ、プロデューサーにはみせちゃおっかなー?」

P「やめい!バスタオル外そうとするな!」

芽衣子「見せちゃう魅せちゃうー!」

P「お前それLIVEの決めゼリフだろ!」

芽衣子「えへへ・・・横に行っていい?」

P「・・・ん(肯定)」

芽衣子「よっと・・・はぁ・・・」

P「どうした、急にタメ息なんてついて・・・」

芽衣子「・・・プロデューサー、子供欲しいなんて言ったみたいだね」

P「うっ、やっぱり迂闊だったか・・・アレ言った後、ちょっと後悔したが遅かったか」

芽衣子「うん。朋ちゃんとか、響子ちゃんとか張り切っちゃってる」

P「いやいや、1人も選んじゃいけないのに2人以上は・・・」

芽衣子「私はプロデューサーさえよければ何人彼女にしてもいいと思うよー」

P「さすがに・・・それはダメだと思うけどな」


芽衣子「そう?常日頃から頑張ってるプロデューサーなら別にいいと思うけどなーっ」

P「・・・・・・そうなのか?」

芽衣子「もちろん、それだけの熱意を見せないとね!」

P「そうだね、不甲斐ない男は誰だってイヤさ」

芽衣子「でもねー、今はそれどころじゃないんだよね」

P「?」

芽衣子「宴会場で女子集まって話してたんだけど、皆でPさん襲おうって」


P「はぁっ!?」


芽衣子「正直、箸にも棒にも掛からない状態だよっ!戸惑った智香ちゃんもイヴちゃんも櫂ちゃんも一瞬で賛同させちゃうし」

P「んなバカな」

芽衣子「私はね、別にPさんが1人選ぶならそれも選択肢だと思うよ。複数選んだってそれは選択肢の一つ」

芽衣子「私も含め皆だって、Pさんを好きになった選択肢を選んだはず」


芽衣子「でもね、強制的ってのはダメだと思う。一方的な恋愛ってどちらかが壊れるまで終わらないからね」


P「何がスイッチになったのやら・・・」

芽衣子「多分ね、プロデューサーとの繋がりを他の人より欲しいって感情が皆あったんじゃないかなーっ」

P「繋がり・・・子は鎹って言うしね」

芽衣子「私だってプロデューサーとの子供なら欲しいなー」

P「バカッ、大声で言うなし・・・////」

芽衣子「ラスベガス行った時、バニーガール衣装でゆーわくしたつもりなんだけどなー」

P「あの時は睡眠薬持っててよかった」

芽衣子「ちぇーっ・・・セクシーポーズ!今ならどうだっ!?」

P(明後日の方向)

芽衣子「ちゃんと見てよーっ!」

P「見たら死ぬ!」

芽衣子「見なきゃチューするっ!」

P「・・・・・・」チラッ

芽衣子「えーっ、それは卑怯だよ!」

P「でも分かってくれ・・・お前たちは男が恋人にしたいって思えるようなアイドルに、女に育ってる」

P「だからあえて言う。それが商品なんだ、プロデューサーである俺はそれに傷をつけてはいけないんだ」

芽衣子「あはは・・・プロデューサーは頑固だよっ」

P「知ってる」

芽衣子「凄いね、鋼の精神だ!」

P「劣情に駆られる事もあるけど、みんなの為なら我慢できるさ」


芽衣子「じゃあさ、プロデューサーが我慢し続けて、私がトップアイドルになったらさ」

P「?」

芽衣子「結婚してくれる?」

P「は?」

芽衣子「改めて申し込んでるんだよっ!前に言ったよ?結婚しよって」

P「確かに言われたけどさ・・・」

芽衣子「プロデューサーが困らないようにトップアイドルって条件つけてるのになー」

P「それも強制的じゃないのか!?」

芽衣子「これは駆け引きだよ。プロデューサーと私の勝負」

P「それに・・・いつなれるか分からないんだぞ?」

芽衣子「はははっ、なら私も我慢で勝負しようかな!何年経って、足腰立たなくなってまでアイドルやってもトップアイドルになって結婚できるなら・・・!」

P「むー、話が通じてるのかよくわからん」

芽衣子「私もー」

P「勢いで言ってるのか?」

芽衣子「うん。でもプロデューサーの迷惑はかからないようにしてるつもりだよ?」

芽衣子「今の皆みたいにプロデューサーの事を考えないで恋愛語るのは嫌いだなー」


P(芽衣子以外で俺に好意を見せてる奴は・・・自分に酔ってる状態なのか・・・?)


P(・・・・・・見方を変えれば芽衣子は今まっすぐに俺と向き合っている・・・?)



P「・・・分かった」

芽衣子「何が?」

P「芽衣子がトップアイドルになったら結婚する」

芽衣子「ホント!?」

P「指切りするか?」

芽衣子「もちろん!」


P(芽衣子は物凄い笑顔で俺の小指と自分の小指を絡ませた)


芽衣子「みんなを出し抜いちゃったかな」

P「それは今後の頑張り次第だ。それに俺が他の子に目移りしないとは言ってない」

芽衣子「えーっ、それは聞いてないよ!!」

P「言ってないからな。実際、俺はみんなのファン一号でもあるんだ。つまり・・・」

芽衣子「みんなに一目惚れしてる、ってこと?」

P「うん、ちょっとロマンチックな言い方だけどね」

芽衣子「むーっ、ずるいなー」

P「何人選んでもいいって言ったのは芽衣子だろー?」

芽衣子「結婚はひとりだよーっ!」

P(なるほど、彼女と妻の間に隙間があるのが芽衣子か・・・)

P「じゃあ、もっとずるい言い方させてくれ。これからも俺を・・・ファンを魅了してくれ」

芽衣子「・・・了解っ!気持ちが溢れちゃうくらいに魅了させてあげるっ!」

P「さてと・・・」

芽衣子「もう出るのー?」

P「そのつもりだけど」

芽衣子「だったら皆に捕まる前に部屋に戻って寝た方がいいよー」

P「そうだな・・・一日経てば、ほとぼり醒めて冷静に判断できるように戻ってるかも・・・」




翌日・・・。



Pさん大好きクラブ一同「       」グダラー

P「なんだろうあの状態・・・」

亜季「なんでも午前4時まで作戦会議してたとか・・・私も参加したかったであります」

P「止めておけ、ちゃんと休める時に休むのが戦士の務めだ」

亜季「はっ、了解であります!」



P(アイドル20名中10名がグロッキーな状態で旅を終えた)

P(徹夜で猥談を繰り返していたらムラムラと疲労で倒れるに決まってる・・・)

P(でも忘れてはいけない。この状態を引き起こしたのは自分であると)



芽衣子「・・・・・・」ニコッ




P(こんな頭の抱える環境、何度も生み出してはいけない)

P(選択を徐々に迫られているのは・・・目に見えていた・・・)


終わり

以上です。読んでくれた方はありがとうございます。
今回のお話は少し長かったですね。前後編に分けた方が良かったかもしれませんね。

「箸にも棒にも掛からない」とはあまりにもひどすぎて、手がつけられないこと。
匙を投げるという言葉もありますがちょっと違います。


さて、次回は

・矢口美羽「提灯に釣鐘」

その次の回に

・成宮由愛「鳶に油揚げを攫われる」

を予定しています。


それとこの後、日をおいておまけを2点ほど書きたいと思っています。
・もし芽衣子がPに忠告をしなかったら・・・(ちょいエロ)
・もし芽衣子じゃなくて亜季と混浴したら・・・

の2点です。

ではまた。

チラ裏
音葉と桃華同時に出すとか運営[ピーーー]気だろ・・・イベントの後半に由愛入るって噂あるけどホントかよ・・・
トークバトルで彩華さんだ19歳組のSR増えたぞわーいって喜んでた私どこいったんだよ・・・

おまけ1個目投稿。


 ~ もし芽衣子がPに忠告をしなかったら・・・ ~

芽衣子「そうでもないよっ」

P「芽衣子!?ちょっと待て、今タオルで隠す・・・」

芽衣子「ここ混浴だったよ。気にしなくていいのにー」

P「それでも礼儀とか秩序ってのがあってだな」

芽衣子「プロデューサーは頑固だなー」

P「芽衣子が軽すぎるんだよ、海外のノリをそのまま受け継いでるんじゃないか?」

芽衣子「えへへーそうかもねっ」


P「なぁ、芽衣子。事務所のメンバーが増えたけどさ楽しい?」

芽衣子「楽しいよー、みんな良い子だし、私も良い子なんですっ!」

P「良い子のアイドルは混浴なんてしないと思うけどナー」

芽衣子「あーっ、ひっどーい!」

P「ひどくて結構。プロデューサーだから厳しくしないとね」

芽衣子「憎まれて口言ってやるー」

P「おう、どんどん言ってくれ」

芽衣子「プロデューサーのバーカバーカダイスキー!!」

P「」グサッ


芽衣子「プロデューサーを黙らせるには好意をぶつけるのが一番だねっ」

P「止めてくれ、心臓に悪い・・・」

芽衣子「プロデューサーが私と結婚してくれるまでは言い続けるかなー」

P「マジですか・・・」

芽衣子「絶賛芽衣子の左手薬指は空いています!!」

P「おう、トップアイドルになるまでは空けておきなさい」

芽衣子「じゃあトップアイドルになったら結婚してくれるんだねっ!!」

P「・・・・・・」

芽衣子「プロデューサー?」

P「そこまで輝いてもなお、俺に好意をぶつけるなら・・・考えなくはない」

芽衣子「ホント!?嘘ついたら怒るよっ?」

P「いやいや考えなくはない、だから・・・」

芽衣子「わーい!プロデューサーが結婚してくれるんだーっ!」

P「はぁ・・・でも、それでいいか・・・」

P(芽衣子のまっすぐな好意がちょっとだけ怖い。まるで俺が縛っているみたいで・・・)



P「さてと・・・」

芽衣子「プロデューサー、出るの?」

P「さすがにこれ以上はのぼせそうだ」

芽衣子「ははっ、じゃあまたねー」

P「おう、早く寝ろよー?」



芽衣子(あっ・・・女子会議で皆が暴走しているの伝えてなかったよっ!?どうしようっ)




P(体も暖まったし、皆に声かけたら寝るかなー)


柚「あっ、Pサン」

P「柚か、どうした?」

柚「今からみんなと卓球やるんだ!いっしょにやるー?」

P「それが風呂出たばっかだから汗かきたくないんだよなぁ」

柚「むっ、残念」

P「ははっ、ごめんね」

柚「お風呂は気持ちよかった?」

P「もちろん、最高の湯加減だったよ」

柚「んー♪あとが楽しみだナー」


亜季「柚どのー?早く行くであります」

柚「あっ、待ってー!」

柚「じゃあPサンまたねー!」

P「おう」



P(あれは・・・年少組と亜季ちゃんか・・・里美や伊吹もいるな)


P(残りのメンツはどこにいったんだろう・・・)


 ─ 宴会場 ─


P「ここかな・・・?」

P(真っ暗・・・ここじゃなかったか)


カチャン・・・


P(今の音・・・っ、鍵を閉められた!?)


ガシッ!!


P「は、離せっ!!」

P(くそっ、両腕をそれぞれ取られたっぽい・・・!身動きが・・・)

?「えいっ!!」

P「んごっ!?」


真っ暗の中、俺は唇を奪われた。

P(・・・んっ!?)


智香「んっ・・・ちぅ・・・ぇろ」

P「んーっ!?」


目が慣れた時、俺に飛び込んできたのは智香だと認識できた。



P(智香!?し、舌が・・・!!)

智香「Pすぁん・・・♪」

P「んーんーっ!!」


間髪入れずに智香に舌を捻じ込まれ、逃げようとしゃがみ込むも彼女は抱きついてガッチリと首をホールド。

結果として彼女に押し倒されてしまった。


P「っむー!!んー!!」

智香「ぁんっ!んっんっんっ、んぅー・・・」


逃げようと足掻けば足掻くほど、彼女の舌と俺の舌、彼女の体と俺の体は擦りあっていく。

P(ダメだ、こそばゆい何かが、背中を往復する電撃が脳をぶっ壊そうとする・・・!)


P「っだっ!!」

智香「ひゃんっ////」


P(なんとか縦四方固めの要領で足を絡ませられた!)

おかげで智香の体勢は崩れ、唇は離れた。

唾液の橋がかかり、それを掬って飲み込む智香には今までにない焦りと興奮を感じずにはいられない・・・。


智香「ふぁんっ・・・Pさぁん・・・応援したりないですよ・・・////」

P「ば、バカ智香!腰を揺らすな!!」


強く絡んだ足は万力のように局部同士を密着させる。

間にある布を燃やすかのようにドロドロに熱いものを感じさせた。


P(そ、それに・・・)


肇「Pさん、智香ちゃんばっかり、ずるいです」

みちる「ホントですよーっ!!」


P「お、お前ら・・・」


P(嘘だろ、さっきから腕を抑えてたの・・・こんな体の細い2人なんて・・・)


肇「んっ♪」

P「!?」

P(またキスされ・・・!)

みちる「ちゃーんと時間守ってくださいよー?」

肇「ふぁーふぉうふふぇふふぉー♪(大丈夫ですよー♪)」

P「んーっ!?」

みちる「ではあたしはこっちをー」


P(舌を入れたまま喋るな!!また違った感覚に・・・!!)


肇は太ももに俺の片腕を挟んだまま、唇に飛び込んできて。

みちるはもう片方の腕を抱きしめ、手持ち無沙汰に指をしゃぶってきて。

智香は足を自ら強く絡ませて、アイドルが感じてはいけない快感にゾクゾクと震える目をして。



自ら望んだのならハーレムだろう。

本来、テレビの向こうの存在であるアイドルたちが自分の体目掛けて我を忘れてくれるんだ。俺だって、頭のどこかの隅には嬉しさはあった。


でも、そうはいかない。こんなものはただの暴力でしかなかった。



肇「ふぅ・・・バトンタッチです」


キス地獄を抜けた後はまたキス地獄だった。


音葉「次は・・・」

イヴ「私たちの番です~♪」

P「くは・・・ぁ」


ただでさえ2人連続のディープキス。意識が朦朧としているなかに飛び込んでくる金と銀の女の子。


音葉「・・・えい」

P「ふが!?」


鼻をつままれ、思わず口を開いてしまう。


音葉「んちゅぅ・・・」

イヴ「んー♪」


2人の舌が同時に入れられて・・・俺の舌には逃げ場はなくて・・・。



音葉「んっ・・・・・・P・・・さんっ」

イヴ「はむっ・・・じゅるっ・・・」


息をさせて、と暴れる俺の舌は彼女たちをよりエスカレートさせていく。

部屋に木霊するかのようにぴちゃぴちゃと唾液が混ざっていく音が響かせていく。

イヴと音葉が寄り添うように絡みつく舌から気持ちいいという感覚しかなくなってくる。


でも、もう無理。


物理的に呼吸困難に陥り、今にも崩れていきそうな体力。

淫靡な音や行動から興奮を我慢する体力もないが、興奮を爆発させるような体力さえなく。


イヴ「Pさん・・・大好きですよ~・・・♪」


この一言で俺の意識は99%消し飛んだ。


残りの1%、俺はおぼろげながら見えてしまった。


満面の笑みを浮かべる雪乃さんを。


涙ぐんで慰められている美玲を。


不安に顔を歪ませている櫂を。





気付いた時には・・・俺の腹は、太ももは赤く染まっていた・・・。



BADEND1 ─ 四面楚歌 ─

以上でおまけ1終了です。

地の文を入れたのを書くの忘れてました。苦手な方には申し訳ありませんでした。
とりあえず物語の終わりを1つ作っておこうと考えた結果、このような結末に。

はたしてこれがBADENDかどうかは人次第でしょうね・・・少なくとも気負いするこのPにはBADでしたが。

ではおまけその2をお楽しみに。

おまけ2個目。


 ~ もし芽衣子ではなく亜季がきたら・・・ ~


モバP「あ゛あ゛あ゛あ゛~・・・・・・」

P「普通1人でこんな贅沢に使うなんて、あり得ないもんなー・・・電気代も水道代も気にしなくていいこんな贅沢♪」



「随分と主夫なことを言っておりますな・・・」




P「!?亜季ちゃん!?」

亜季「し、失礼するであります・・・////」

P「ちょ、ちょっと!?どうしちゃったの!?」

亜季「ここは混浴だと聞いています。ですがまさかすでにP殿が入っているとは思いませんゆえ・・・」


P「あー、マジか・・・ごめんね、すぐ出るよ」

亜季「気にしなくてもいいであります!郷に入っては郷に従え、混浴をた、楽しむであります・・・」

P「む、無理しなくてもいいのに・・・」

P(と、言いつつも亜季ちゃんのそのセリフで出るに出れなくなっちゃったんだけど・・・)

亜季「少しくらい話していこうじゃありませんか」

P「まぁ、そうだな」

亜季「P殿はいかがですかな、事務所に20人の戦士が集まって」

P「正直、辛い」

亜季「ははははっ、P殿の仕事の弱音が聞けるレベルでありますか!これは相当ですな!」

P「俺はいつも弱音吐いてる気がするけど」


亜季「仕事で、であります。P殿は人間関係にはすごく弱いけど、自分のやる仕事にはプライドを持って全力で挑むイメージがあります」

P「そうかな」

亜季「そうであります。まだまだ若輩者ではありますが、私もP殿の仕事っぷりに助けられているであります」

亜季「私のような女性のミリオタなぞ本来忌み嫌われる存在でありますが、P殿の采配によってその価値が見出せています」

亜季「P殿の全力に応えたい、この○○プロダクションをもっと発展させたい」

亜季「この数ヶ月でそう思えるようになりました」

P「・・・・・・ありがとう」

亜季「お礼を言うのは私の方であります。お会いできて良かった」

P(なんだかんだ信頼されているのが伝わってくる。・・・よし、もっと頑張らないとな!!)


亜季「そ、そういえばP殿にアイドルにスカウトされたのもこうやってお風呂の場でありましたね」

P「うっ・・・////」

亜季「か、顔を赤らめないで欲しいであります!////」

P「そりゃなー・・・互いに全裸で風呂に入ってたものな・・・」

亜季「流石に羞恥心はこの身に刻み込みましたとも!////」

P「今タオルで隠してなかったら『痴女だー!』って叫んでたよ」

亜季「部下を売らないで欲しいであります」

P「セクハラは女性から男性の方にも適応されるんだ、例は少ないけどね」

亜季「はははっ・・・」


P「まぁ、乾いた笑いしか出ないね。こんな素敵な女性が横にいるのに」

亜季「素敵な女性っ・・・////」

P「亜季ちゃん?」

亜季「・・・私は出会ったあの日、アナタに体を褒められました。今は・・・どうでしょうか、魅力的になってるでありますか?」


P(亜季ちゃんはその場に立ち上がって、俺の目を捉えていた)

P(空は黒一色、この場は露天風呂、彼女を照らすのは下方面からのうすい橙色のライト)

P(髪や肌は濡れ、淡い光で照らされ輪郭を作っている)

P(それらを踏まえて、少なくとも彩られた環境がタオル一枚の彼女をくっきりと目立たせる・・・)


ゴクリ・・・


P(自分が息を飲む音を認識できるくらい、艶っぽい姿に目を奪われた)


亜季「P殿、何か言ってほしいであります」

P「あ、ああ、ごめん・・・見惚れちゃって・・・」

亜季「見惚れた、でありますか?」

P「うん、すごく・・・俺好みの体だよ。ううん、体だけじゃない、キミを作る心も相まって、凄く良い。綺麗だ」

亜季「うっ、褒め殺しはよくないであります。・・・ちょっと、調子に乗っちゃいます////」

P「乗ってもいいのに」

亜季「た、ただでさえ気になっているのに・・・好きと意識してしまいそうで・・・チョロいでしょうか・・・?」

P「・・・・・・」

亜季「・・・私はアイドルであります、だからP殿を好きになってはいけないのであります」

P「俺は亜季ちゃんのこと好きだけど」




P(ん!?今俺なんて言った!?)



亜季「!?!?!?!?!?!?!?!?」

P「あー・・・」

P(亜季ちゃん顔真っ赤になってら・・・)

亜季「P殿が私のことを・・・!!」

P(でも・・・そうだよな、俺ずっと呼び捨てじゃなくてちゃん付けで呼んでるもんな)

亜季「す、す、す・・・!!////」

P(・・・そうだな、よくよく考えれば亜季ちゃんは好みの体だからスカウトしたようなもんだ・・・)

P(心のどこかでは俺は亜季ちゃんのこと)

亜季「好き・・・////」

P(だったのだろう・・・)

亜季「私も・・・好き・・・?」

亜季「好きすき・・・スキ・・・・・・P殿LOVE?」

亜季「ひぇっ・・・」


P「何だその変な悲鳴は」

亜季「いやでもだって」

P「戦士がそんな情けない声出さない!」

亜季「私をお、女にしたのはP殿ですっ!!」

P「・・・その言い方はアカン」

亜季「あっ・・・」

P「・・・両想いだったのか・・・?」

亜季「は、はて・・・?でもP殿・・・もっと好きになっていいですか?」

P「うん・・・」


亜季「・・・P殿が朋殿や音葉殿に靡かなかった理由は・・・私なのでしょうか」

P「多分」

亜季「多分とはなんですか!」

P「お前の事好きだなんて、自分でも気付いてなかったんだ。口から出て、反芻するように納得した」

亜季「つ、つまり?」

P「一目惚れに今気付いた」

亜季「・・・そうでありますか・・・初めから・・・」

P「気付かなければよかったのかもな」

亜季「私はどこか嬉しいであります。心が満たされたような・・・」

P「でも亜季ちゃんはアイドルだぞ?」

亜季「こうなったら何がなんでもトップアイドルになるであります。確かトップアイドルは結婚した例があったような」

P「ああ、かつてパッと出で大暴れして嵐のように去って行ったアイドルが」

亜季「なら先人に見習い、私も先頭に立ちましょう・・・軍事パレードで先頭に立つようにアイドルたちの先頭に立つのです!」

P「・・・それじゃあ、ゴールで待ってるか」

亜季「少しの間待たせるであります。その時は・・・」

P「?」

亜季「・・・私の何もかもをP殿に差し上げます・・・////」

P「ん。それはいくらでも待てそうだ」


亜季「こうしてはいられません。今すぐに寝て、次のレッスンのために体を養いましょう!!」

P「あっ、こら!走るっ・・・」

ゴテーン!

P「あーもう、お尻丸見えだぞ」


亜季「・・・・・・」

P「・・・?」

亜季「・・・・・・」

P「亜季ちゃん?」

亜季「・・・・・・」

P「亜季ちゃん!?」


P(彼女は気絶していた。首あたりを鞭打ちしたのだろうか・・・)


P(・・・ここで俺はとあるミスを犯す)

P(女性が倒れたならば、旅館の女性従業員を呼んで介護してもらうのが良い)

P(だが、俺は亜季ちゃんと心で繋がった、そんな気持ちが自分で彼女を救おうとしてしまった)



P「とりあえず外に放置はまずい!亜季ちゃんを更衣室に連れていこう!」

P(彼女の体に触れた時、妙な興奮が流れた・・・)


ぐいっ・・・!


P「いま連れていくからn・・・」


P(何の躊躇いもなく、抱きかかえた・・・その時だった)


グラッ・・・!


P(うわっ!?)

P(その瞬間、足を滑らしたか風呂を出た事による立ち眩みで背中から倒れこんだ・・・)



P「いてててて・・・!!」

P「しまった!亜季ちゃん!!」



P(俺は・・・やってしまった・・・)


P(抱きかかえた彼女を転倒の際、離してしまった・・・)



P「あ、亜季ちゃん・・・!」



P(彼女の頭からは流血・・・)

P「亜季ちゃん!!」

P(急いで彼女の頭を確認した)

P「か、陥没・・・」

P(彼女の後頭部は陥没、落とした時に温泉を彩っていた岩に激突したようだ・・・)

P「ほ、骨が見えてしまって・・・」

P(こ、呼吸は・・・!?)





P(無呼吸状態・・・誰がどう見ても即死だった)


P「・・・・・・俺が・・・やったのか・・・?」



ドクンッ



P「俺が・・・亜季ちゃんを殺したのか?」


ドクンッ


P「俺が・・・俺が俺が俺が・・・!!」

ドクンッ


P「・・・・・・」




ドクンドクンッ!!




P「・・・・・・」


P(なぜだ・・・なぜだ・・・)

P(なぜ声が出ない!!)

P(助けを呼ぶんだ、P!)

P(まだ間に合う、亜季ちゃんを救うんだ!)



ドクンドクンッ!!


P「!?」

P(動け、動けよ俺の体!)

P(な、なんでだよ!!亜季ちゃんを・・・俺の大切な人を・・・!)


ドクンドクンドクン!!


P(止めろ止めろ!!なんで・・・なんで・・・)

P(嫌だ嫌だいやだいやだぁ!!)


P(心臓よ、止まってくれ・・・!!うそだと教えてくれ!!)


ドクンドクンドクンドクン!!!!


P(なんで俺は・・・)


ドクンドクンドクンドクンドクン!!!!





P(亜季ちゃんを殺して・・・興奮しているんだ・・・?)





ドクンドクンドクンドクンドクンドクン!!!!





P(亜季ちゃんを殺して・・・喜んでいるんだ・・・!!!!?)





ドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクン!!!!





P(止めろ止めてくれ!!俺は殺人鬼でもネクロフィリアでもない!!)

P(誰か誰か、嘘だと、一言でいい!嘘だと言ってくれ!!)

P(止めろ止めろやめろやめろヤメロヤメロヤメロォ!!!!!)


P「助けて、亜季ちゃ────────」



───────ドクンッ



 ~ 午前5時 ~


コンコンッ!

「だれですか・・・こんな時間に・・・」

コンコンッ!

(まだ5時ですわね・・・1時間しか寝ておりませんわ・・・)

コンコンッ!

「わかりましたわ!今あけますの!」


ガチャ


P「ごめんなさい・・・こんな時間に」


「あら、Pさん・・・って、夜這いなら・・・もう少し早く来てくださって頂ければ・・・////」

P「雪乃さんにも話しておきたくて・・・」

雪乃「どうかしましたか?」

P「俺・・・みんなに好意をぶつけられて、今まで逃げてきたけど・・・ようやく覚悟ができました」

雪乃「まぁ・・・」

P「日が昇るまでに決めたい・・・。誰の想いを受け取るのか・・・」

雪乃「まぁまぁまぁ・・・」

P「それで・・・“一人一人”、聞きにまわってるんです」

雪乃「なるほど、Pさんの一世一代の舞台の準備というわけですわね」

P「それで雪乃さんが“最後”なんです」

雪乃「・・・でも皆さんからよく聞けましたね、こんな遅くなのに・・・」


P「美玲と櫂は・・・眠りを妨げられたのもあってイライラしてましたね・・・“黙らせる”のが大変でした」

P「それに音葉はこの話を切り出して、“放心状態”になってしまいましたし・・・」

P「朋とみちるは『なんでもするから!!』なんて“必死に”なってました・・・」

P「残念ながら芽衣子は“目を覚ましてくれません”でしたけど」

P「・・・でも俺、愛されてたんですね」

雪乃「今更気付いたんですか?ふふっ、でも気付けただけ進展ですわね」

P「ええ。朝日を拝んだら“死ぬ”んじゃないかなーってぐらい」

雪乃「幸せモノさんですね」

P「だから、雪乃さんの“心の声も聞きたい”」

P「“胸の奥底に秘められたものを見てみたい”」

雪乃「・・・ええ、愛情込めて伝えさせて頂きます」

P「では、お部屋に入れさせてもらってもいいですか?」

雪乃「はいっ・・・」







P「─────ふふっ」


HAPPYEND1 ─ 死人に口なし ─

もうすぐこのSSも一周年か
>>1 は一体どこへ行こうとしているのかね。

おまけは以上です。

「四面楚歌(しめんそか)」とは周りが敵のみになり、孤立すること。

「死人に口なし(しにんにくちなし)」とは死人は何も言えないため、罪を着させても何も証言を取ることが出来ないこと。

BADとHAPPYが逆だろって言われそうですが、合ってます、たぶん。

ではHTML化してきます。

>>98
SSであまり見ない子を書いてみようで始めたので完璧なゴールは全アイドル登場かもしれません(汗)
ひとまず今は、数いるけど何故か目立たない19歳組の全員登場を目指してます、いつ終わるかな・・・

いくら登場しにくい子らといっても死なせてしまうのは魅力もへったくれもないと思うの
ことわざに拘るあまり可哀想なことをしてはならない(戒め)

まさか、この作者が真性のキチガイだったとは……

>>102
そうですね、無理矢理強引に使うもんじゃないですし、死なせてしまうなんてもっての外ですね
あまりにも酷いことは今回だけにして、次回よりまたマジメに(?)イチャコラ書いてきます

>>104
海外産ホラーゲームとかやりすぎたかな・・・
ドリームクラブのバッドエンディングとか報われないエンディングの方が印象残ってしまうんです

ごめんよ亜季さん、中途半端になってるヴォヤージュSRとハロウィンSRをSR+にしてくるよ

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