芽衣子「この冬を過ごすとっておきの方法」 (33)


・並木芽衣子さんのSSです




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1480431857


~事務所にて


芽衣子「ねぇ、プロデューサー」

モバP(※以下表記P)「ん?」

芽衣子「寒いねー」

P「あぁ、すっかり冬だな」

芽衣子「気がついたらもう12月が目の前だよ」

P「この歳になると一年なんかあっという間だなー」

芽衣子「お年寄りみたいなこと言ってる」

P「もうおっさんだからな」

芽衣子「童顔なのにね」

P「人が気にしてることをすぐ言うな」

芽衣子「てへ」


P「で」

芽衣子「で?」

P「世間話するために呼んだんじゃないんだろ」

芽衣子「んー、半分正解かな?」

P「半分?」

芽衣子「世間話『も』だね!」

P「はぁ」

芽衣子「ここ、喜ぶところだよ?」

P「いいから、本題に入りなさい」

芽衣子「ノリわるーい」ブーブー

P「暇なわけじゃないからな」


芽衣子「プロデューサーも言った通りもう冬じゃない?」

P「あぁ」

芽衣子「冬は寒い!」

P「事務所は快適だけど」

芽衣子「まぁそうなんだけどー、なにか足りなくないかなぁ?」

P「随分回りくどい言い方だな」

芽衣子「プロデューサーとの会話を楽しみたいからね♪」

P「俺は量より質だな」


芽衣子「ここで問題です! ジャジャン!」

P「長くなりそうな予感しかないんだけど」

芽衣子「冬と言えば、なんでしょうか!」

P「ヒント」

芽衣子「早いよ!」

P「問題がふわふわしすぎて答えが絞れない」

芽衣子「プロデューサー、こういうのすぐ本気になるよね」

P「こういうのだからこそ外したら悔しいだろ」


芽衣子「じゃあヒント! デデン!」

P「さっきとSEが違うぞ」

芽衣子「冬を乗り切るために必要なものっ!」

P「新しいコートならこの前買ったんだろ」

芽衣子「あれっ、なんで知ってるの?」

P「間中から聞いた。伊集院と3人で行ったって」

芽衣子「むぅー、内緒にしてたのにー」

P「よっぽどパンチのあるものじゃない限り、驚きはしないから」

芽衣子「芽衣子さんの新しい一面が見れてドキッとするかもよ?」

P「今更だな」

芽衣子「むぅーん」


芽衣子「はい、じゃあ2番目のヒント! デデン!」

P「違うのか」

芽衣子「みんなが幸せになるものだねー」

P「またふわっとしたヒントを」

芽衣子「これで正解できたらすごいよ」

P「問題を出す側がそれを言うかー」

芽衣子「当てずっぽうで言ってもいいんだよ?」

P「悔しいからそれはしない」

芽衣子「なんだかんだでプロデューサーも楽しむよねー」


P「……」ブツブツ

芽衣子「本気で考えてる」

P「……次のヒント」

芽衣子「最後のヒントは……これでホッとあったかくなるもの!」

P「……」

芽衣子「さぁ、答えをどうぞ?」


P「……」

芽衣子「本当に真剣だね」

P「……ふたつまで絞った」

芽衣子「二者択一!」

P「……」

芽衣子「さぁ、選んだのはー?」

P「……鍋で」

芽衣子「ファイナルアンサー?」ズイッ

P「近い。ファイナルアンサー」


芽衣子「……」

P「……」

芽衣子「……」

P「……溜めるな」

芽衣子「……」

P「……近い」


芽衣子「……ブッブー! 残念、不正解ー!」

P「……」グニグニ

芽衣子「うひゃ、ひゃにするのふろりゅーしゃー」グニグニグニ

P「……」

芽衣子「もー! 乙女の柔肌は優しく扱わなきゃダメだよ!」

P「つい」

芽衣子「つい、じゃないよー! 私だったからまだこれだけで済んでるんだからね!」

P「他の子にはそもそもしないから」

芽衣子「それならいいけどさー」


P「それで、正解は?」

芽衣子「あぁ、そうだった」

P「そうだったって……」

芽衣子「正解はー……ジャジャン!」

P「……」

芽衣子「こたつ、でしたー!」

P「……」チッ

芽衣子「今すっごいわかりやすく舌打ちしたよ!」

P「もう一個浮かんでいたのがそれだったんでね」

芽衣子「あー、なるほど。惜しかったねー」


芽衣子「じゃあ、不正解のプロデューサーには罰ゲームとして」

P「ちょっと待て」

芽衣子「どうしたの?」

P「そんなの聞いてない」

芽衣子「だって言ってないもん」

P「言ってないもん、じゃないよ。言いなさいよ」

芽衣子「サプライズってやつだよ?」

P「物事にはいい、よくないがあって、これはどっちかというと後者だな」

芽衣子「はーい、罰ゲーム発表でーす」

P「聞けよ」


芽衣子「罰ゲームとして、プロデューサーは事務所にこたつを置いてもらいます!」

P「……それだけ?」

芽衣子「それだけ、だよ?」

P「こたつならなんでもいいのか」

芽衣子「できるなら大きいのがいいかなー。みんな使えるようにね」

P「……経費で落ちるかな」

芽衣子「そこはプロデューサー次第だね。ファイト♪」


* * *


~次の日


雪美「……」

芽衣子「……」

P「なにか言ってくれよ……」

雪美「……」

芽衣子「……こ」

P「こ?」


芽衣子「こたつだー!」

雪美「こたつ……」

芽衣子「長方形で、これならふたり余裕で座れちゃうね!」

雪美「ペロも……気に入ってるって……」

芽衣子「ふふっ、ペロが一番乗りだね!」

志乃「そして私が2番……」ニュッ

P「い、いつの間に」

志乃「こたつで飲むワインも趣があるわ」

P「飲める場所場所で言ってそうですね」


P「というか、子供がいるんですから飲酒は控えてください」

志乃「あら、芽衣子ちゃんには甘いのに私には厳しいのね」

雪美「志乃のにおい……嫌いじゃない……大丈夫……」

志乃「ありがとう。私も大丈夫よ、これファンタだから」

P「ややこしいいたずらはやめてください」

志乃「大人だって、たまには茶目っ気を見せたいのよ……ねぇ、芽衣子ちゃん?」

芽衣子「えっ? あ、う、うん、そうです、かねー、あはは」

P「顔赤いけど、熱か?」

芽衣子「だっ、大丈夫、うんっ、大丈夫だから!」


雪美「あったかい……」

志乃「冷たいこたつほど悲しいものはないもの」

芽衣子「はー……やっぱり日本の冬はこたつだねー」グデーン

P「おばあちゃんみたいなこと言ってるな」

芽衣子「……でもこれで完全体じゃないんだよ」

雪美「かんぜん……たい……?」

芽衣子「このこたつには足りないものがあります」

志乃「今度はグルメ漫画の口上みたいね」


芽衣子「プロデューサー?」

P「また俺かよ」

志乃「わかったわ、お酒」

P「志乃さんは静かにしていてください」

志乃「しゅん」

雪美「P……答え……」ワクワク


P「……」

芽衣子「こたつと言えばー?」

雪美「言えば……?」

P「……みかん」

芽衣子「そうっ、みかん!」

志乃「みかん酒ならあるわ」

P「没収です」

志乃「ひどい」


芽衣子「こたつと言えばみかん。これは白いご飯に梅干しと同じくらいスタンダードなものだよね」

志乃「言われてみれば……猫はいるのにみかんがない」

雪美「ペロもこたつで丸くなる……ふふ……」

P「確かにな」

芽衣子「ということでー」

P「買ってこいと」

芽衣子「さっすがプロデューサーだね♪」

P「流れ的にね」


志乃「腰までしっかりこたつの中に入っている私に言われたくないとおもうけど」

P「年長者なんだからしっかりしてください。で、なんですか」

志乃「仕事は大丈夫なの?」

P「今日は残務処理が主なんで、まぁ」

芽衣子「じゃあみかんよろしくね、プロデューサー♪」

P「はいはい、行ってきますよ」

志乃「あらあら……ふふ」


* * *


P「あら」

芽衣子「おかえりなさーい」ヌクヌク

P「ふたりは?」

芽衣子「志乃さんはレッスンで礼子さんに引っ張られていって、雪美ちゃんは他の子と外へ遊びに行ったよー」グデーン

P「なんだ、いろいろ買ってきたのに」

芽衣子「あっ!」

P「今度はなんだ」

芽衣子「隣あいてるのにー」

P「いや、これだけ自由に座れるのにその選択肢はないだろ」

芽衣子「でも真正面に座ってくれるんだねー」

P「特に意味はない」


芽衣子「本当にいっぱい買ってきたね」

P「せっかくだからな。無駄になったけど」

芽衣子「余ったらちひろさんに渡せばいいよー。みんなおやつで食べるだろうし」

P「自腹なのに」

芽衣子「気にしちゃ負けだよ」

P「これでアイドルのみなさんがお仕事頑張れるなら安いもんですよ」

芽衣子「先行投資だね」

P「じゃあこのみかんで……また頑張ってください」

芽衣子「はーい。みかん、みっかん♪」


芽衣子「……あーっ!」

P「さっきからなんだよ」

芽衣子「これ!」

P「これ?」

芽衣子「こ、れっ!」

P「みかんが?」

芽衣子「これ、和歌山のみかんじゃないじゃーん!」

P「……はぁ?」


芽衣子「しかも香川! 四国でも愛媛じゃなくて香川って!」

P「あぁ……そうか、和歌山。なるほど」

芽衣子「まぁ、みかんなことにかわりないからいいんだけどね」パカッ

P「なんだよ」

芽衣子「みかんの収穫量は和歌山が全国一位なんだよ。すごいでしょ」パカッ

P「そうか、地元か……ってなんだ、その剥き方」

芽衣子「えっ、知らない?」

P「初めて見た。そんな剥き……いや、割り方?」

芽衣子「和歌山剥きって言うんだよ。なんでそんな名前なのかはわからないけどね」

P「へぇ……俺、まだ剥いてるのに」

芽衣子「おいひー♪」モグモグ


P「おぉ……爪に皮が入らないし、こんな革新的なことを今更知るなんて……」

芽衣子「感動しすぎだよー」

P「いや、これは人に教えたいレベルですごい。剥くのが楽しい」

芽衣子「みかんは食べるものだよ?」

P「もちろん食べるから」


芽衣子「あー」

P「あ?」

芽衣子「あーん」

P「自分で食べなさい」

芽衣子「今ちょっと手がふさがっちゃってて」

P「持ってるみかんを置きなさい」

芽衣子「いいじゃーん、減るもんじゃないし」

P「ああ言えばこう言う……ほら」

芽衣子「へっへー♪ あーん……んむっ」モグモグ


芽衣子「んー、おいひぃ♪」

P「もうちょっとすっぱくてもいいかな」

芽衣子「ん、そこらへん気にしてなかった。だからもう一回!」

P「両手がふさがってるんだ」

芽衣子「みかん置きなよー!」



惠「……」

美里「……」

惠「……どうすればいいのかしら」

美里「うーん……とりあえず、見てるだけであったかくなりますねぇ」

惠「というか、胃が重たくなるくらい甘ったるい空間ね……」

美里「胃薬、使いますぅ?」

惠「ありがとう、いいわ……」



おわり

芽衣子さんと一緒にこたつでみかん食べたい

続きではないけど、同じ世界のお話です。こちらもよろしければ。

芽衣子「コール・ミー!」
芽衣子「コール・ミー!」 - SSまとめ速報
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