千川ちひろ「後悔先に立たず」 (45)
アイドルマスターシンデレラガールズのSSです。
現在の描写がよくある通常のSSの書き方、過去の部分が地の文アリです。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1371571865
モバP(以下P)「はぁ・・・」
千川ちひろ「プロデューサーさんがため息なんて珍しい。どうしたんですか?」
P「ああ、ちひろさん。こんな事をあんまり自分から言うのもなんですが・・・」
ちひろ「歯切れが悪いですね、きっちり言ってスッキリしちゃいましょうよ!」
P「えっと、では・・・、俺ってセクハラプロデューサーって言われてますか?」
ちひろ「は?」
ちひろ(プロデューサーさんのため息の理由は何もしていないのにセクハラ疑惑を着せられたこと?そんなことは一度もない!噂もない!)
ちひろ「大丈夫ですよ!プロデューサーさんはこの業界でもけっこう健全物件ですよ!」
P「はぁ・・・」
ちひろ(え、そこでため息?)
P「すみません、やっぱりかと思っちゃいまして」
ちひろ「というと、もしかしてセクハラプロデューサーと呼ばれたかった、とか?」
P「半分合ってますね、いや合ってて欲しかった・・・かも」
ちひろ「随分と変な返しですね、理由を求めます」
P「このプロダクションの子たちってみんな、元気で、素直で、心が強くて、仲がよくて、とにかく良い子ばっかじゃないですか」
P「俺がこのプロダクションに入って、ずっと思ってたことです」
ちひろ「ま、まさか仕事辞めたいとか!?」
P「早とちりしすぎです!そんな訳ないじゃないですか」
ちひろ「このネガティブっぷりと過去を振り返る姿からどう判断すればいいんですか・・・」
P「では、例をあげますね。こないだの響子との会話です」
三日前・・・。
この日はアイドル五十嵐響子は休み、そのはずなのにPの目の前にはその響子がいた。
額には少しの汗、何かした後だと分かるが、その答えはすぐに判明した。
五十嵐響子『PさんPさん!仮眠室掃除しておきました!』ドヤッ
P『おー、ありがとな、俺とちひろさんと社長のオアシスだからなー。響子に掃除しなくてもいいくらい綺麗にしておかなきゃなー』
この仮眠室はスタッフ一同がしょっちゅう寝泊りに使う部屋であり、もしかしたらどの部屋よりも使用頻度が高く、
英気を養うためには絶対の存在だった。
本来ならば我々スタッフが掃除すべきなのだ。
響子『うー、私の取り柄がなくなっちゃうのですか?』
P『悪い悪い』ナデナデ
響子は家事を得意とし、それをアイドルとしての武器にしている。
今の話を冗談にし、Pは響子の頭を撫でた。
すると、響子は問題の答えを知った小学生のようなワクワクした顔でPに部屋の変更について話した。
響子『えへへ・・・あ、そうだ!あの仮眠室にインテリアとしてアロマポット買ったんですよ!ぜひ見てください!』
P『何から何まで悪いな』
響子は気が利く、それもお嫁さんにしたいくらい。
そんな彼女に手を引かれ、仮眠室に入った。
仮眠室『トビラガチャー』
入ってすぐ目の届く奥の机、その上にロイヤルな可愛さが目立つ白のポットが。
P『お、あれだn』
響子『Pさん足元!』
Pは一歩踏み出した、そのとき奥のポットに目を取られ、足元に気付かなかった。
不覚だった、空気清浄機が置かれているとは思わなかった。
空気清浄機『Hello?』ゴンッ
P『のわぁぁっ!?』
迂闊。痛みから逃げようとする体勢と空気清浄機という置物を避けようとする体勢が重なり、
Pはバランスを崩す。
響子『P、Pさん!』
響子はPの手を引き、Pのバランスを保とうとするが、若干15歳の少女の体で大の大人を支えることはできず、
一緒に倒れこんでしまう。
空気清浄機『Excellent!』ゴンッ
響子『きゃーっ!』
彼女もまた倒れる時に置いてあった空気清浄機に足を掬われ、しばらく宙を浮いた。
響子『いたた・・・』
P『だ、大丈夫か響子』
響子『こっちは大丈夫ですっ、Pさ・・・』
響子 on the P、床の上にP、その上に響子。
それも男性側が仰向け、女性側がうつ伏せ、いわゆる対面。加えて言うなら抱きしめている。
顔と顔の間は3cm未満、それは花嫁に憧れ、恋愛に初心な15歳の少女には致死量とも言える威力だった。
響子『き、きゃああああああああああ!!////』
驚きと羞恥心でいっぱいになった良妻系アイドルは脊髄反射かのごとく立ち上がり、
出口へと走りだした。
空気清浄機『Have a nice day?』ゴンッ
響子『はうっ!?』
あ、また空気清浄機が人を転ばせた。
どこかの巫女系アイドルと似た、顔からの転倒は見てる側も痛い。
P『ほ、ホントに大丈夫・・・?』
響子『うううう゛う゛う゛う゛う゛・・・・・・////』
ぶつけた鼻を押さえながら、彼女はPの方に喜怒哀楽のどれでもない睨みを見せた後、
そそくさと立ち去ってしまった。
・・・・・・。
P「・・・という事があったんですよ・・・」
ちひろ「は、はぁ・・・、んで、何がダメだったんですか?」
P「響子が睨んで逃げたんですよ!あくまで助けようとしたという前提があったとしてもこんな野郎に抱きしめられたんだ、どう考えたって響子は心にダメージを受けてるはずだ」
ちひろ「自分を過少評価しすぎです!」
ちひろ(響子ちゃんと言えど女の子ですよ、気になる人に急に抱きしめられたらキャパシティが間に合いませんよ)
P「響子は周りの仕事に影響がないように1人で抱えてるに違いない。あぁ、響子・・・ごめんなぁ・・・」
ちひろ「で、セクハラプロデューサーって言われたいんですか?」
P「いや、噂が出回らないってことは響子が独りでにふさぎ込んでるかもしれないんですよ!」
ちひろ「んなバカな話があるわけないじゃないですか。響子ちゃんはそんなに気にしてませんよ(気になる人だって私には言ってましたし)」
P「じゃあ、なんでこの三日間、響子は事務所に来てないんだろう・・・」
ちひろ「だから噂が立ってないか気になったんですね、心配性すぎますよ」
ちひろ「仕事先からの苦情の連絡は来てませんし、ちゃんと撮影などには行ってるとは思いますけど」
ちひろ「こちらから連絡すればちゃんと返してくれますよ」
P「したかったんですが、じ、実は四日前から朋も・・・」
ちひろ「朋ちゃんにも何かやったんですか!?あの子、けっこう繊細ですよ!?」
四日前・・・。
藤居朋『ふーふふーん♪るーるるるん♪』
事務所の真ん中、円形のテーブルに愛用の本を開いて、鼻歌を鳴らしていた。
P『今日の朋は調子良いみたいだな』
朋『あ、P聞いて!ここ三日間、かに座が星座占いで1位なのよ!恋愛運が特にやばいんだって!』
Pの顔を見つけるなり、顔を綻ばせる朋。
彼女はその日の朝、テレビの占いでテンションが変わるが確かに最近の朋はかなり高いモチベーションをしている。
P『変にスキャンダル引っ張ってくるなよ?』
朋『分かってるわよ、あんたには最高の運も持ってきてあげるわ』
P『おう、頼んだぞ』
ふと、テーブルに目を向ける。
かの銀座の母 ヨコタ ヨシエのインタビュー記事が載った雑誌。
そして、一冊の新品の本。この本は間違いない。
P『手相占い、か』
ヨコタ ヨシエと言えばテレビでの出演で手相占いが凄いというのは覚えている。
朋も同じく手相について見るのだろう。
朋『そうなの、今日は自分の手相について調べようと思ったの』
朋はその手をクイックイッと手招きする。
腰掛けろ、と目で訴えていた。
おそらく、Pに手相の話をしたくてウズウズしているのだろう。
朋『んじゃ、まず有名なところね。左手の親指の下の膨らみに沿うようにあるのが生命線ね』
彼女はゆっくりと自分の左手の線をなぞる。
P『ほう、ここだな』
Pは朋のなぞった生命線を撫でるよう人差し指で触る。
朋『あっ・・・』
突如としてPの奇襲。朋はあっけに取られ、「くすぐったい」そんな顔を見せる。
だが、負けまいと話を続ける。
朋『P、手を見せてよ』
強引にPの手を引き、その手のシワを指でなぞる。
朋『ねぇ、これが運命線よ。あんたのは・・・人情に厚い相らしいわ、プロデューサーという職種に合ってるかもね』
Pの手を柔らかく、握り、そっと上目遣い。
そこにはアイドル藤居朋の本気の魅力が詰まっていた。
静かで熱く、同時にいつか壊れていきそうな、そんな魅力が。
そんな熱いまなざしを知ってか知らずか、Pは。
P『朋、お前の手小さいなぁ』
Pの左手を掴んでいた朋の右手を、両手でキュッとやさしく握る。
朋『あっ、バカ・・・////』
朋はすっと、手を離そうと縮こまろうとするが、Pは離さない。
朋『こら、もう・・・あんたの手、暖かいわね』
彼女は諦めたのか、手を握り返す。
ほんのり、頬が赤みを帯びてるのを誰も指摘しない。
P『手の大きさ比べてみようぜ』
Pの提案にあっさり乗る朋。
男の右手と女の左手が重なり合う、端から見たら、わずかに淫靡な雰囲気も醸し出す。
P『ははっ、俺の手の方が1.5倍はあるなぁ』
朋『男と女よ、そりゃ・・・』
はっと、気付く。
朋はこの状況が他人に見られると意外とやばいということを。
男女がイチャイチャと手のひらを絡めているのだ。恋人同士がじゃれあってるようにしか見えない。
そして、相手はPであることを。Pは顔こそは平凡だが、その勢いと女だからって壁を作らない性格のためか競争率はそれなりにある。
現に朋も気にしている方だ。アイドルという仕事のこともあり、女性・藤居朋を知る数少ない男性でもあるのが、心を許してしまう。
露骨に狙っているアイドルに見つかったら宣戦布告とかされそうだ、と。
朋『ちょっとP、もう・・・』
P『ん?』
話しかけたのと朋が動こうとしたのもあって、キュッと二人の指が絡まる。
俗称・恋人つなぎ、熊手と熊手を向かい合わせて重ねたような状態。
二拍経ってから、朋は首から頭にかけて、一瞬で真っ赤になった。
P『お、おい朋・・・』
彼女は何も言わずトボトボと下を向いて去っていってしまった。
・・・・・・。
P「うぉぉぉぉぉおおおおおおおおん!ともぉぉぉぉおおおおおお!!」
ちひろ「うっさいですよ!大の大人が泣いてちゃアイドルたち帰ってきませんよ」
P「うん゛、泣き止む゛・・・」
ちひろ(何度も思ったけど、プロデューサーって始めは気にしないけど後から後悔が押し寄せてくるタイプ?)
ちひろ「ちなみにプロデューサーさん、朋ちゃんに一体何の悪いことしたと思ってるんですか?」
P「きっと俺のベタベタな手で触られたのが嫌で頭に血が上ったんだ・・・じゃなきゃあんな顔真っ赤にして俺のこと無視しないよ」
ちひろ「プロデューサーはスキンシップが少しラフすぎるんですよ!」
ちひろ(でも本当は単純に頭が興奮しすぎて、何も聞こえなくなっちゃっただけだと思いますけど)
P「せっかく運勢ばっちしで、良いモチベーションだったんだろうに、ガタ崩れしちゃったんじゃないかなぁ」
ちひろ(その日はグラビア撮影で、その日だけなら、かのシンデレラガールの二人の業績の2倍近くはたたき出してますが。恋愛運最強すげー)
P「ともぉ・・・ううぅ゛」
ちひろ「大丈夫ですって!私から伝えておきますから!」
P「あ、ありがとうございます・・・でも・・・」
ちひろ「ま、まだ何かあるんですか・・・?」
P「実は先週、芽衣子と一緒に海外LIVEに行ったじゃないですか、帰ったきり、見てないんですよ・・・」
一週間前、飛行機内・・・。
満席の飛行機、向かう先は南国、リゾートのキーワードから連なるハワイ。
並木芽衣子『プロデューサー♪プッロデューサー♪』
P「もう、すっごい楽しみのようだな。伝わってくるよ」
芽衣子の趣味といえば旅行、今まで積み上げた実績がついに実を結び、念願の海外LIVEへと繋がった。
彼女はすでに着いてもないのに浮かれ気分だ。
芽衣子『ほらほら横に座って?もうすぐ発進だよ?』
P『おう』
イスをばんばん叩き、はよ座れと催促される。まるで子供のようだ。
芽衣子『ニヤニヤがこぼれちゃうよっ、えへへ』
P『その顔はLIVEが始まったら、な?』
芽衣子『うんっ♪』
年甲斐もなくイスの上で跳ねそうな喜び方。こっちにニコニコと笑顔を振りまいては「キャー」と黄色い声をあげている。
さっきから肘掛に置いたPの腕を両手でスリスリしたり、手の甲をペチペチと優しく連打したり、落ち着きが見当たらない。
さすがパッションというべきか。
P(大丈夫かなぁ)
Pの心配を他所に、芽衣子はまだかなーまだかなーと辺りをキョロキョロしていた。
本当に22歳なのだろうか・・・。
芽衣子『そーいやさっ、今日泊まるとこってどんなとこー?部屋はツインかな?きゃー♪』
P『ちゃんと二人分の部屋は取ってあるよ』
一瞬、彼女の眉がハの字になったが、すぐに「おっけー」と返事をした。
所変わって、ハワイのホテル。
LIVEは明日。今日はホテルにすぐにチェックインして、飛行機で疲れたから早く寝ようという魂胆。
の、はずだった。
P『二部屋分の予約が取れてない!?』
『申し訳ございません、こちらのミスでシングルを2つのところがツインが1つになってまして・・・』
ホテルのエントランスで声を張って、レスポンスするPがいる。
なにせ、ここで男性プロデューサーと女性アイドルが同じ部屋で寝たなんて情報が生まれてしまったら、二人の人生はどん底である。
『お値段の方を通常の半分にし、後日、スタッフが直接謝罪する形で今は・・・』
スタッフの許して、という声を聞きながら、Pは芽衣子の方を向いた。
彼女はイスに座っては足をブラブラさせ、退屈という表情をしていた。
しょうがない、Pはやや呆れ気味にホテルのスタッフの言い分を許諾したのだった。
芽衣子『さっきの質問がホントになったちゃったねーっ』
借りた部屋に着くや否やさっきまでの退屈フェイスはどこかに消え、左右にリズムを取りながらトラベルバッグを開いて中身を確認している。
P『まー、でも俺は外で寝るけどな。流石に結婚前の女性と同じ屋根の下で寝たら・・・』
芽衣子『えー!ダメだよっ、南国だとしても体冷えて風邪引いちゃうよ!』
P『駄菓子菓子』
芽衣子『お菓子も歌詞もありませんっ!プロデューサーはここで寝るんですっ!』
彼女にさっきまでのニコニコ笑顔とは反転、真面目な顔で無理矢理押し切られてしまう。
Pは渋々フロントに電話し、謝罪はいいから警備を強くして、と頼んだ。
その夜。
芽衣子『プロデューサー寝たー?』
P『んー(肯定)』
芽衣子『明日楽しみだねー』
P『んー(上記と同じ)』
芽衣子『私がんばっちゃうよー』
P『ん(応援)』
興奮で眠れない芽衣子に対し、Pは眠気でうつらうつらと返事をしている。
当然、ベッドは別々。芽衣子に窓のそばのベッドを譲り、Pは彼女とは反対の方向を向いて寝ている。
芽衣子は彼の背中に向かって話しかけることになる。
何もせず、早く寝て、早く起きて、何事もない素振りをする。
実際、夜寝る時間に担当アイドルに手が届く範囲でいるのだけが、やましいことであり、それ以外はないんだ。
そうPは言い聞かせて、意識が深淵に落ちるのを待っていた。
芽衣子『えへへ・・・』
Pが完全に眠りにつくまで、彼女のこぼれる微笑みは途切れはしなかった。
・・・・・・。
ちひろ「同じ部屋で寝る以外は何にもおかしくないじゃないですか!」
P「次の日から芽衣子は一度も口を利いてくれなかったんですよ・・・、俺何か悪いことしたかなぁ・・・」
ちひろ(うーん、これはよく分からないですねぇ)
P「響子も朋も芽衣子も・・・俺、もう信用ないのかな・・・」
ちひろ「どの子もいい子なんですから!私からメールしてみますから!!」
P「あぁ^〜ちひろだそ〜・・・」
ちひろ「喜ぶのか馬鹿にしてるのか泣くのか落ち込むのかどれかにしてください!」
ちひろ(でもどうしたらこのプロデューサーが落ち込むのを止めるか・・・)
スマフォを取り出しポパピプペ・・・
ちひろ(まー、多分強引にでも会わせればこの問題も解消するでしょうね、みんないい子ですし!)
ちひろ「まずは原因が不明の芽衣子さんにっと」
ちひろ〔○○プロダクション事務員の千川です。芽衣子さん、プロデューサーが無視されて寂しがってますよ?〕
メールダヨフェイフェイダヨ
ちひろ(メールは・・・よし、芽衣子さんですね)
芽衣子〔並木です。とりあえずこれ見てっ!〕
ちひろ(映像データ?動画名はP_LOVE、録画時間は30秒・・・撮影した日は、問題のホテルの日ですね)
ちひろ「何か怪しそう・・・プロデューサーさん、ちょっと部屋変えますね!」
P「はーい・・・」
芽衣子『時刻は日本時間18時。場所はLIVEで借りれたホテルでーすっ』
動画を再生したら、まずは芽衣子のドアップの画面が映った。
ひそひそ声と周りの暗さから夜中だろう。ハワイと日本との時差は約19時間ほどある。
芽衣子『んで、こちらが私のだーいすきなプロデューサーでーすっ』
ちひろ「ぶっ!!」
思いっきり、アイドルとして言ってはいけない言葉を思いっきり発してた気がしてちひろの頬に冷や汗が走る。
画面内のPはと言うと、すでに寝息を立てていた。
動画は止まらず、次のステップに映り変わった。
コトンッ
カメラをおそらくベッドの横のナイトテーブルに置き、向きはPへ。
ちひろ(超ぐっすりじゃないですか、あ、寝返りうった)
寝返りで天井を見る体勢になったP、それに対し芽衣子はPに馬乗りを・・・。
ちひろ「ってちょっ!?おまっ!?」
芽衣子『プロデューサー、実は起きてたりしない?』
えへへ、そんな笑いの後、彼女は自分のプロデューサーの首筋の辺りに手を添えるようにして
決して子供がやるようなキスではない、啄ばむようなキスを・・・。
ちひろ「Oh...」
ちひろ〔なにやってるんですか!〕
芽衣子〔魔が差しました。多分プロデューサーにバレてる。恥ずかしくて顔が合わせられません〕
ちひろ〔バレてません、むしろ芽衣子さんが事務所に来てくれなくてプロデューサーが芽衣子さんに悪い事したんだーって泣いてますよ〕
芽衣子〔えっ、ホント!?わかりました。今から会いに行くよっ!動画のことは内緒にしてくださいね!〕
ちひろ(あとで説教すればいいですよね・・・たぶん。先にプロデューサーを立ち直らせないと)
ちひろは届いた動画をいつもの癖でオンラインストレージに送った後、削除した。
ちひろ(あとは響子ちゃんと朋ちゃんに・・・)
ちひろ〔○○プロダクション事務員の千川です。響子ちゃん、プロデューサーが寂しがってますよ?〕
響子〔五十嵐です。プロデューサーさんは怒ってませんか?〕
ちひろ〔怒ってません、むしろ心配で涙流してましたよ♪〕
響子〔今行きます!Pさん、事務所にいますよね!?〕
ちひろ〔○○プロダクション事務員の千川です。朋ちゃん、プロデューサーが心配してますよ?〕
朋〔恥ずかしくてPと顔が合わせられません〕
ちひろ〔手を繋いじゃったことですか?そんな事気にしてたらプロデューサーさん他の子に取られちゃいますよ?〕
朋〔でも、Pさんは私のような占いとか何かにすがる女は嫌いだと思う〕
ちひろ〔でももなにもありません。女は度胸です。〕
朋〔ちひろさん、ありがとう。挑戦してみる〕
ちひろ「そんなこんなもあって・・・何十分後」
P「うぉぉぉぉおぉおおおおん、みんなごめんよぉぉぉおおお!!」
響子「そ、そんなPさん、大げさですよ」
朋「こっちが一度も連絡しなかったのが原因なんだから・・・もう」
芽衣子「あははっ、Pさん嬉し泣きだねっ」
ちひろ「しかし、プロデューサーさんがあんな心配性だとは思いませんでしたよ!」
P「仕方ないじゃないですか、俺はみんなの親から娘さんの身柄を預かってる以上、みんなのことを一番に想わないと・・・」
朋「想いすぎて、Pがラッキースケベになったらしょうがないじゃない」
響子「Pさん!体が触れ合うのは大事な人だけですよっ!」
朋「しかし、響子ちゃんが抱きしめられて、あたしが手を絡められて、芽衣子さんが寝ぼけて胸触っちゃったんでしょ?」
ちひろ(ん?)
P「すみません、今後一層の注意を払います」
朋「ホントー?あたしたち以外だったら今頃セクハラプロデューサーって呼ばれてるわ」
P「う゛っ!?」
響子「どうしたんですか!?」
ちひろ「さっきねー、響子ちゃんたちの安否を確認する方法がセクハラプロデューサーって呼ばれてるかどうかだったんですよ」
芽衣子「自分のことは全然考えてないあたり、プロデューサーらしいねっ」
P「後悔先に立たず、だな。朋に言われるのがこんなにも心が痛いとは・・・」
朋「ほらほら、暗くならない。あ、雪乃さんにいいお店紹介してもらったのよ。仲直り?も兼ねて皆で行きましょうよ」
響子「あ、行きたいですっ!雪乃さんの御用達ならいい紅茶とお菓子が・・・」
朋「アクセス調べないとね。ちひろさん、PC借りるわ」
ちひろ「どうぞどうぞ」
芽衣子(ねぇちひろさん、ちゃんと秘密にしてくれましたか?)コソコソ
ちひろ(大丈夫ですって!ちゃんと端末からは動画を消して・・・はっ!?)
朋「んー?”同期が完了しました。動画ファイル「P_LOVE」”・・・P、あんた自分のPVでも撮った?」
P「自分のことを気にしない俺が、そんなことは」
朋「そうよね」
響子「気になりますっ!」ポチっとな
芽衣子『時刻は日本時間18時。場所はLIVEで借りれたホテルでーすっ』
芽衣子「あーっ!?いーいーっ!?!?」
響子「芽衣子さんの海外LIVEの時のですかね?」
P「あ、俺だ」
芽衣子『んで、こちらが私のだーいすきなプロデューサーでーすっ』
朋「っ・・・!」
響子「・・・・・・」
P「め、芽衣子・・・?」
芽衣子『えへへー』チュッ
朋「・・・どういうことよ」
響子「芽衣子さん・・・セクハラされたから来れなくなったんじゃないんですか・・・?」
P「芽衣子!これはどういうことなんだ!聞いてないぞ!?」
芽衣子「えーっと、あのー、そのー・・・」
朋「あなたがPにセクハラして事務所に来れなくなったって話なの!?」
響子「抜け駆けは許せませんっ・・・」
芽衣子「あうっ・・・その・・・」
P「芽衣子!」
芽衣子「う、ううっ・・んんーっ・・・んんんんんんんんっっ!!!」
芽衣子「プロデューサー結婚しよっ!(突然のパッション脳)」
朋「ちょっと待ちなさいよ!恋人つなぎしたんだからPとあたしが恋人になるのよ!(クール特有の既成事実)」
響子「PPPPPPPP、Pさん!私をお嫁さんにしたいから今まで私を側に置いてくれてたんじゃないんですかっ?(ヤンデレの片鱗)」
P「おいちょっと、落ち着けお前ら・・・」
朋「P、今ここで選んでよ!」
響子「私ですよねっ!?」
芽衣子「私を選ぶとハネムーンは世界旅行だよっ!!」
P「これは無理」シュタッ
朋「あ、逃げた」
響子「待ってくださいPさん!」
芽衣子「待てーっ!!」
ドタドタドタドタ・・・
ちひろ「やっぱりいい子の集まりでしたけど、嵐のようでしたね。ふぅ」
ちひろ「プロデューサーさんですが、まぁ、なんだかんだで何とかなりそうですが」
ちひろ「さて、パソコンの整r・・・」
社長「ちひろくん」
ちひろ「ひっ!?」
社長「あの動画はどういうことかね?」
ちひろ「あっ・・・あっの・・・」
社長「あとで社長室に来たまえ」
ちひろ「こ、こ、後悔先に立たずぅぅぅううううううううう!!!」
おわり
以上です。
見てくれた方はありがとうございました。
初SSなので、よくあるパターンに頼ったり、雑だったりと見てる側も大変だったと思いますが
私のお気に入りのメンツの名前を覚えてもらえれば幸いです。
では。
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