モバP「ヒーローだぁぁぁぁぁッ!!!」 (121)

ちひろ「プロデューサーさん、今日も残業ですか?」

P「ええ。ちょうどキリよく終わらせたいので」カタカタカタカタ

ちひろ「ここのところずっとそうじゃないですか。ちゃんと休めてます? というか、そもそもちゃんと寝ていますか?」

P「正直に言うと……実はここ二、三日事務所に泊まっちゃってます」

ちひろ「やっぱりそうでしたか! もう、何やってるんです!?」

ちひろ「一旦仕事をやめて、帰宅してください!!」

P「そうもいきませんよ。今月末にはあの某TV局の有名音楽番組に事務所のみんなが出演することが決定したんですから……準備を万全にしないと」

ちひろ「だからといって、そんなに無理したらプロデューサーさんが倒れちゃいますよ! いい加減休んでください!」

P「大丈夫ですよ。こう見えて体力には自信ありますから」

ちひろ「ダメです! 早く家に帰ってください!!」

P「だから平気ですって――――」


フラッ


P「あ、あれ………? なんだか……眩暈が………」

バタリ

ちひろ「ちょ、プロデューサーさん!? しっかりしてください!! プロデューサーさん!!」



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―――――――――

―――――

―――


P「あれ、知らない天井だ」

ちひろ「よかった! 目が覚めたんですね」

P「ちひろさん………ここは……?」

ちひろ「病院です。プロデユーサーさんが突然倒れたので救急車に来てもらったんですよ」

P「そうだったんですか………すいません。お手数かけてしまいまして」

ちひろ「まったく………私の言った通りでしたでしょ? 反省して下さいね」

P「は、はい……」

医者「疲労による貧血だと思いますが、念のために検査をいたしましょうか?」

P「あっ、いえ。結構で―――」

ちひろ「ぜひ、お願いします!」

P「ちょ、ちひろさん!?」

ちひろ「これを機に診てもらってください!」

P「ええぇぇ~」

ちひろ「業務命令です。先生、お願いします」

医者「わかりました。では、こちらにどうぞ」

P「ちぇ、面倒くさいな………」

ちひろ「な・に・か・いいましたか?」

P「な、ナンデモナイデス……」

―――

医者「お待たせして申し訳ございません。検査の結果が出ました」

P「どうせ、ただ疲れが溜まって倒れただけでしょ?」

医者「…………」

P「な、なんですか先生。そんな神妙な顔して………ち、違うんですか?」

医者「Pさん………どうか落ち着いて、気をしっかり持って聞いていただけますか?」

P「な、なんですかそれ!? どういう意味で………」

医者「X線検査の結果、胃に腫瘍が発見されました」

P「腫瘍? 腫瘍ってなんです?」

ちひろ「!?」

医者「更に調べてみたところ……その腫瘍は、悪性腫瘍と判明いたしました」

P「ど、どういう意味ですかそれ……?」

ちひろ「ああ……そ、そんな………」

医者「Pさん……貴方は―――」






医者「末期癌に侵されています」



P(その後、医者の先生は淡々とそして詳しく、俺の症状を述べていった)


P(俺の癌は末期であること)


P(あちこちに転移しちゃってるから、手術で取り除くことは不可能だということ)

P(症状が進んでしまってるから、放射線療法等も効果が望めないとのこと)


P(そして―――)



P(俺の余命は、あと一か月しかないとのこと)

―――――――――――――――――


P「…………」

ちひろ「ぷ、プロデューサーさん………だ、大丈夫ですか………?」

P「…………」

ちひろ「ご、ごめんなさい!! 大丈夫なわけないですよね……あんな話を聞かされたら誰だって……」

P「…………」


P「ちひろさん、申し訳ありませんが、一人にしてもらえますか?」

ちひろ「えっ!? で、でも……今の状態で一人になんか………」

P「大丈夫ですよ。自暴自棄になって何かやらかして事務所に迷惑かけるようなことはしませんから」

ちひろ「プロデューサーさん………ッ! 私は事務所の事が心配で言ったわけじゃないんですよ!!」

P「………ごめんなさい。でも、一人にさせてください」

P「俺は大丈夫ですから」

ちひろ「………わかりました。何かあったら連絡してください。いつでも駆けつけますから」

P「ありがとうございます。では、失礼します……」

P「…………………」トボトボトボ


P「末期癌……ねぇ………」


P「いきなりそんなこと言われてどうしろってんだ………ハハハ……唐突にもほどあるだろうが……」

P「まだ俺二十代で若いのに……それなのにあと一か月で死ぬとかさ……アハハハ…」

P「…………」


P「なんで………なんで………ッ!」

P「なんでこんなことに………俺、何も悪いことしてないのに………理不尽すぎるだろうが……」

P「それなのに、どうして………ッ!」



P「ちくしょう………ちくしょう!! ちくしょおッッ!!!!」

P「なんでだよ……なんで俺だけこんなつらい目にあわなきゃならないんだよぉ……ッ!」

P「クソが……ッ! ちくしょう! こんなの……あまりにも不公平だ………ッ!!」

P「くそぉ………くそぉ…………ッッ!!」

P「まだ………死にたくなんか………ないのに………ッ!」

P「ちく…しょう……ッ! うううっ………ああぁぁっ………」ポロポロポロポロ



光「あれ? そこにいるのプロデューサーか?」

P「!?」

P「ひ、光!? ど、どうしてここに!?」

光「アタシはいつもこの時間はここらでランニングをしてるんだ。ヒーローになるための特訓の一つさ!」

光「プロデューサーはどうしてここに? 確か今日は事務所で残業するとか言ってなかったけ?」

P「あっ、いやその………」

光「それに……泣いて……なかったか?」

P「そ、そんなことないぞ?」アセアセ

光「いや、絶対に泣いていた」

P「お、お前の見間違いだ」

光「そんなことはない。一体どうしたんだ? プロデューサーが泣くなんて……只事じゃないぞ!」

光「何があったんだ? アタシに話してくれ。力になるから!」

P「ほ、本当になんでもないから―――」

光「隠すなんて水臭いぞ! アタシ達は共に芸能界で戦う相棒同士じゃないか! さぁ、話してくれ! アタシはプロデューサーの力にr」

P「―――ッ!!!」


P「うるせぇッ!! なんでもないって言ってんだろうがッ!!!」

光「!!」ビクッ

P「ヒーローごっこも大概にしろッ!!  うざってぇだけだ……もう放っといてくれ!!」

光「…………」



P「―――ハッ……! す、すまない光……お、俺はなんてことを………」

P「ご、ごめんな……。で、でも……今の俺には……色々と余裕がないんだ……。だから一人にしてくれ………」

光「……………」


光「いや、そうはさせない!」

P「なっ………光!?」

光「アタシは絶対にプロデューサーを一人にはさせない!」

光「何があったかは想像できないが、今プロデューサーを一人にしてはいけないことぐらいはわかる!」

光「つらくて苦しいことがあったのなら、一人で抱え込んじゃダメだ! アタシ達は相棒だろう? 話してくれ!」

P「な、なんでお前は………そこまで―――」

光「そんなの決まってるだろ! アタシはヒーローを目指してるアイドルだからさ!」

P「!!」

光「ヒーローは絶対に仲間を見捨てたりはしない!!」

光「プロデューサー、話してくれ。確かにアタシは何も力にはなれないかもしれない」

光「でも、プロデューサーの抱えてる苦しみ受け止めることはできる!」

P「光………」

光「アタシ達は仲間だろう? どんなことがあったって、アタシはプロデューサーのパートナーさ!」

光「だから一人で苦しまないでくれ。どんなことも、アタシは受け入れるから!」


P「ひ、光………うっ……」

抱きっ

光「うぉっ!? ど、どうしたプロデューサー!?」

P「すまない……悪いけど、少しだけ………こうさせてくれないか?」ギュウウウウウ

光「…………」

光「いいぜ相棒。それでプロデューサーが楽になれるならさ」ギュ!

P「うううぅぅぅっ………うあぁっっ…………」ポロポロポロ

――――――――――――


P「すまなかったな………みっともないところを見せちまった」

光「別に構わないさ。アタシ達は相棒だろう?」

P「ハハハ、そうだな………」

P「……………」

P「光、本当にありがとうな。おかげで少し元気になれたよ」

光「いいってことさ! でも、なんで泣いていたんだ?」

P「……ちょっとした理不尽な目にあっちゃってな」

光「理不尽?」

P「ああ。お前の大好きな仮面ライダーと戦う悪の組織なんかよりも性質の悪い……そんなものに出会っちまってな」

P「それは本当にどうしようもなくて……つらくて……悲しいことで……それでちょっと落ち込んでしまったんだよ」

光「それって……鎧武でやってた『理由のない悪意』みたいなもんか?」

P「まぁ……そうかもな。俺にとっては『ヘルヘイムの森』並にやっかいなことだな……」

光「そうか………。難しくてアタシにはよくわからないけれど……でもプロデューサー! ヒーローだったらそんなことに負けちゃダメなんだぞ?」

P「そりゃそうだろうけど。俺はヒーローじゃなくてプロデューサーなんだから……勘弁してくれ」

光「何を言ってるんだ? プロデューサーだって、立派なヒーローだろ?」


P「えっ……?」

光「プロデューサーは、みんなの夢を叶えるために毎日仕事を頑張ってくれてるじゃないか」

光「それがヒーローじゃないくてなんだって言うんだ!」

P「いや、しかしそれは仕事だから―――」

光「例え仕事でも、誰かのために必死で頑張ってくれてる」

光「ただ悪い怪人を倒すのがヒーローってわけじゃないんだぜ! みんなの夢を守ることもヒーローの立派な仕事なんだぞ」

光「そういう意味ではプロデューサーは、アタシにとって一番身近なヒーローさ!」

P「そ、そうなのか………?」

光「そうだよ。事務所のほかのみんなも、きっとそう思ってる」

P「………」

P「そうか……俺はヒーローか………」

光「そうだ! だから負けちゃダメだぞプロデューサー! アタシは信じてるぜ……プロデューサーならその理不尽なこともなんとかできるって!」

P「やれやれ……お前は一々大げさなんだよ」

P「でも確かに、ヒーローだったら……理不尽なことがあっても泣いてちゃいけないよな」

P「…………よし!」

光「プロデューサー?」

P「よ~~し! 何か色々と吹っ切れたぜ!! イ~マ―ージ~ネ~~~ショ~~~ン!!!!!」

光「おお、関根さんの物真似! 流石はアタシのプロデューサー、すでにトッキュウジャーはチェック済みか!」

P「ありがとう光、もう大丈夫だ! 完全復活したぜ!」

光「おお、そうか! 相棒が元気になってくれてアタシも嬉しいぜ!!」

P「うん、本当にありがとうな光。俺なんかよりもお前こそが真のヒーローだぜ!!」

光「いや~~それほでも~~。アタシなんてまだまださ~~」


P「でも、それはそうと」

光「ん?」

P「なんでお前はこんな夜遅くに外にいるのかなぁ~~?」

光「」ギクッ

光「だ、だからその……さっき言った通り、ヒーローになるための特訓でランニングを―――」

P「そういえばそう言ってたな。けれど俺は前々から口酸っぱくして言ってたよな~? 夜遅くに外出てトレーニングしちゃ駄目だって……」

光「うっ………」ギクッ

P「ご両親にもそう言われてただろう? それなのにこうして外にいるってことは……」


P「こっそり抜け出してきたなこの野郎! 夜遅くに外出たら危ないってあれほど言っただろうが!」

光「し、しかしだな相棒! 正義の味方になるためには日々努力が―――」

P「言い訳はお前の家で聞いてやる。ご両親と一緒にな」

光「うわぁぁぁ~~? 説教コースか!? 酷いぞ!? 恩を仇で返すなんて~~~!!」

P「やかましい! ほら、帰るぞ」ズルッズルッ

光「ううぅっ……染みるわぁ~~!」

P(ありがとうな光。お前がいてくれてよかった。あのまま一人になってたら俺はどうなっていたことやら………)


P(お前のおかげで、俺がこれから成すべきことがわかった気がするよ)



P(死ぬ前に……成すべきことが………)

☆翌日☆


社長「えっ、このまま仕事を続けたいだって!?」

P「はい、お願いします!」

ちひろ「何言ってるんですかプロデューサーさん! 貴方は末期癌なんですよ!? 先生に勧められた通り、病院で入院しないと―――」

P「入院したところで、俺の中にある癌が消えるわけじゃありませんよ」

ちひろ「そ、それは………」

P「どっちにしろ死ぬのなら、少しでもこの事務所にいるアイドル達に何かしてやりたいんです!」

P「今月末の音楽番組への出演………あれは俺がとった仕事です。あの番組に出演すれば、間違いなくみんなのアイドルランクは上がります!」

P「だからその仕事をやり終えるまで、俺にプロデューサーをやらせて下さい! お願いします!!」

ちひろ「プロデューサーさん………」

社長「わかった………許可しよう。君の好きなようにしたまえ」

ちひろ「なっ、社長!?」

社長「彼が言った通り、プロデューサー君には時間がない。ならば我々にできることは、彼に残された時間を有意義に使えるようにサポートするぐらいだろう」

ちひろ「社長………」

社長「プロデューサーくん。君のやりたいようにやりたまえ。あとの始末等は私たちにまかせればいい」

P「ありがとうございます!」

P「あとついでにもう一つ………聞いてもらえますか?」

社長「なにかね?」

P「俺の癌のことですけど、アイドル達には言わないでおいてください」

社長「それは……言っておいた方がいいことではないのかい?」

P「確かに後々の事を考えたらそうした方がいいと思います。でもみんな優しいですから………俺の状態を聞けば間違いなく動揺すると思うんです」

P「これから大事なライブが控えているのに、俺の病気なんかのせいで台無しにしたくはないんです!」

P「ですから、くれぐれも俺の体の事は内密に―――」

ちひろ「そんなことよりも、貴方にはもっとほかに心配することがあるでしょうが!!」

P「ち、ちひろさん?」

ちひろ「そんな体の癖に、優先するのはアイドルの事ですか!? 少しは自分の事を省みたらどうなんです!?」

ちひろ「貴方は末期癌なんですよ!? だったら今のうちにもっとほかに好きなことでもやればいいじゃないですか!」

ちひろ「旅行に行くなり、家族と過ごすなり、ほかにやるべきことはいっぱいあるでしょう!!」

ちひろ「なんでそんなに自分の事を軽んじるんですか! そんなんだから病気にかかっちゃうんですよ!!」

ちひろ「そんなんだから……死んで………しまうんですよぉ………ううぅっ……」ポロポロポロポロ

P「…………」


P「ちひろさん……すいません。貴方にこんな思いをさせてしまって……」

ちひろ「うっ……ヒック……ごめんなさい………一番つらいのはプロデューサーさんなのに……私は……」ポロポロポロ

P「俺なら大丈夫です。ちひろさん………ありがとう」


P「さぁ、もうアイドル達が出勤して来ます。どうか、いつも通り笑顔で迎えてやってください」

ちひろ「は、はい……」グスッ




―――――――――――――

ガチャリ!


「おはようございまーす!」


P「おう、みんなおはよう! 今日も一日頑張ろうな!」

P(それからというもの、俺は今月末に行われるライブをより素晴らしいものにするために奮闘した)

P(俺の余命は一か月。ライブを見れるかどうかわからない。でも、それでも―――)

P(俺はアイドル達にバレないよう、いつも通りに仕事をする日々を過ごした)


―――――――――

P「さてと、大物デザイナーさんとの約束は取り付けたし。次は―――」

みく「ふにゃぁぁぁぁ! Pチャン、ヘルプミーにゃ―――ッ!!」

P「なんだ、みく。どうかしたのか?」

みく「お弁当にお魚が~~~!!」

P「なんだそんなことか………ほら、俺が食べるから落ち着け」モグモグ

みく「流石みくのPチャンなのにゃ。ありがとなのにゃ♪」

P「まったく………こんなことで一々大騒ぎするな」

みく「ついでに、みくにお弁当あーんしてもいいよ?」

P「やれやれ……しょうがねぇな。ほら、こっちおいで。あーん……」

みく「あ―――ん………モグモグモグ……おいしいにゃあ♪」

P「まったく……お前は相変わらず甘えん坊だな」

みく「みくは猫系アイドルだから甘えん坊でも問題ないにゃあ♪」

P「やれやれ…………」

P「…………」

P「…………そんなんで、もし俺がいなくなったらどうする気だ?」

みく「そんな心配はご無用なのにゃん♪」

みく「だって、Pチャンはこれから先もず―――っとみくのプロデューサーだからね」

P「!!」

みく「だから、そんな心配必要ないのにゃ。そうでしょ?」

P「……………」


P「そう………だな」

みく「? Pチャン、なんだか元気ないね」

P「そんなことな―――ゲホッゲホッ!!」

みく「Pチャン、大丈夫? 風邪?」

P「あ、ああ………ちょっとな? 事務所の中もまだ寒いしな」

みく「じゃあ、みくが暖めてあげる♪」ギュウウウ

P「おいおい。アイドルが無暗に抱きついちゃ―――まぁ、いいか」ギュウウ

みく「うにゃ? Pチャン今日は素直だね? いつもならアイドルだろ云々って説教するのに」

P「そうかな?」

みく「そうにゃ。何か嫌なことでもあったの?」

P「……………」



P「いや。なにもないよ」

南条光(14)
http://i.imgur.com/9IL9lUC.jpg
http://i.imgur.com/ghtHUEb.jpg

前川みく(15)
http://i.imgur.com/yUbpS6m.jpg
http://i.imgur.com/eOtY37v.jpg

――――――――――

P「よし文香。居残りレッスンを始めるぞ!」

文香「はい…よろしくお願いします」

P「よし、じゃあまずはダンスから―――」

文香「あの…Pさん……ごめんなさい……」

P「ん? 何で謝るんだ?」

文香「私の物覚えが悪いせいで…居残りレッスンすることになって……Pさんにまで突き合わせてしまって………」

P「なんだそんなことか……気にするなよ。お前はウチの事務所の中では一番の新人なわけだし、まだ慣れてないところもあるだろうしさ」

文香「でも……」

P「大丈夫だよ。ライブまでまだ時間はある。慌てる必要はないよ」

P「焦って事を進めようとすると却って仕損じる。こういうのは本を読むように1ページ1ページしっかりやることが大事なんだ」

P「安心しろ、俺がついてる。お前ができるようになるまでずっと支えるからな」

文香「Pさん………///」

文香「ありがとう…ございます/// Pさんは…本当に優しいですね」

P「そんなことないよ」

文香「いえ……。Pさんがそういう人だから……、私も安心してアイドルをやれるんです」

文香「貴方でなければ…きっと私の世界は…あの書店の中だけだったと思いいますから」

P「おいおい、大袈裟すぎるさ。例え俺じゃなかったとしても、お前ならきっと―――」

文香「そんなことはありません。Pさんはきっと…私という物語の中で……重要なキーパソン…だと思うんです…///」カァァァ

P「自分で言って照れるなよ。こっちまで恥ずかしくなるじゃないか」

文香「す、すみません…!///」

P「はははははっ、やれやれ………」


P「…………」


P「本当の俺は、お前らに自分の病気のことを話せないようなヘタレなんだぞ?」ボソッ

文香「えっ? Pさん…今何か言いました…?」

P「いや、なんでもないよ。さぁ、話はここまでにしてレッスンを始め―――ゲホッゲホッ!」

文香「Pさん!?」


文香「だ、大丈夫ですか…!?」

P「ああ、すまない。ちょっと風邪気味で―――」

P「!! こ、これは………」

文香「Pさん?」

P「ああ、いや……すまない。ちょっとトイレに行ってくるから、少し待っててくれ」

文香「は、はい……?」





P「ハァ……ハァ……不味いな……」

P「胃に癌があるせいかな……ハハハ……」




P「血を吐いちまった…………」


―――――――――――


P「―――という訳なので、今月末にはこのアパートから引き払おうと思いますのでよろしくお願いします」

大家さん「末期癌だなんてねぇ……可哀想に。Pくんまだ若いのに……」

大家さん「わかったわ。そういう事情なら敷金礼金等はいらないから」

P「ありがとうございます!」


P(よし、これで住居の件はクリアだ)

P(社長は後の始末はまかせろと言ってくれたけど、やはり最低限の事は自分で始末しておかないとな)

P「さてと、次は家具を業者に―――」

まゆ「なにしてるんですぁ? Pさん?」

P「うぉっ!? びっくりした!!」

P「ま、まゆ!? な、なんでお前こんな所に!?」

まゆ「うふふふ、それは貴方のまゆですから♪」

P「いや答えになってないから! ってかアイドルがこんな一人暮らしの男の家に来ちゃダメだろ!!」

P「ってかいつからいた!?」

P(まさか……大家さんとの話を聞かれた!?)

まゆ「それはもちろん、ずっといたに決まってるじゃないですか。ふふふ♪」

P「なっ………」

まゆ「―――な~んて。本当は今さっき着いたところなんですよぉ。そこでPさんを驚かそうとこっそり侵入したんですよぉ♪」

P「な、なんだ………そうだったのか……あははは」

P(ということは……聞かれてないのか?)

まゆ「それよりもPさん。さっき話していた壮年の女性は誰なんです? まさかPさん―――熟女趣味なんですかぁ……?」ゴゴゴゴゴ

P「いや、違うから!! あの人はただの大家さんだよ!!」

まゆ「なんだそうだったんですかぁ……うふふっ、まゆ、勘違いしちゃいました♪」

P「まったく、そそっかしいなぁ~まゆは………」

P(どうやら本当に聞かれてはいないな。よかった………)

P(まゆには……まゆだけには………)

P「まぁ、とにかくだ。さっきも言った通り、アイドルが男の家にいるなんて言語道断なんだから、早く帰りなさr」

まゆ「そんなこと言わないでください。せっかくPさんのために手料理を披露しようと思ったんですからぁ」

P「えっ……俺に?」

まゆ「はい♪ 最近Pさんは風邪気味みたいじゃないですかぁ。よく咳をされていますし、顔色も悪いですし」

まゆ「それなのに今月末に行われる音楽番組の準備のために毎日残業されてるのしょう? それじゃあ治る病気も治らないじゃないですか」

まゆ「ですからせめて栄養だけでもとってもらおうと思いまして……お邪魔しちゃいました。ふふっ♪」

P「そ、そうだったのか………ありがとうな、まゆ」

P「それじゃあ、御馳走になろうかな?」

まゆ「うふふっ♪ わかりました。じゃあ、ちょっと待っててくださいね♪」

P「…………」




P(まゆ、お前は本当に優しくていい娘だよ……)

P(そんなお前が、俺が死ぬことを知ったらどうなるかと思うと、考えるだけで俺は恐くてたまらない……)

P(ちひろさんに……まゆがめったな行動をとらないように頼まないとな……)

P「ゲホッ! ゲホッ!!」ドボォ

P「やべっ、思ったそばから血が―――まゆには見られてないよな?」チラッ

まゆ「~~♪」トントン

P「ふぅ……料理に集中してるようで助かった……」

P「…………」




P「血の量が増えてきたな」


ナチュラルに病気がまゆにバレてるんですが

>>32 まゆは風邪だと思い込んでいるということでお願いします。

P(それからというもの、時折俺は気絶したり、吐血するような症状にみまわれた)

P(胃に癌があるせいだろうか、やたらと俺は血を吐くようになった)

P(確実に俺の体は死に近づいていると、日に日に実感させられる……そんな毎日が過ぎていった)

P(俺はそれをアイドル達になんとか隠しつつ、ライブの準備にいそしんでいた)

P(そして、そうこうしているうちに、ついに――――ライブ前日となった)


―――――――――


凛「プロデューサー、どうしたの? 急に呼び出して……?」

P「わざわざすまいな。明日は大事なライブだってのにな」

凛「別に構わないけど……私だけを呼び出すなんて……何かあったの?」

P「いや。ただお前にこれを渡しておきたくてな………」つネックレス

凛「何これ………ネックレス? 凄く綺麗………こ、これを私に?」

P「ああ。俺の死んだ婆さんの形見だ。お前に受け取って欲しい」

凛「お、お婆さんの形見って! そんな大事な物を受け取れないよ!!」

P「いいんだよ別に。いくら形見だからといって女物のアクセサリーなんてこの先使うことなんてないだろうし。文字通り俺が持ってても宝の持ち腐れだしな」

P「だったらちゃんと使ってくれる人に渡した方がいいだろう? それにそのネックレスは……凛に似合うと思ったからさ」

凛「プロデューサー…………///」

凛「で、でも……急にこんな大事なものを渡すなんて…何かあったの?」

P「…………」

凛「まるでプロデューサーがどこか遠くに行っちゃうみたいで―――縁起でもないよ!」

P「逆だよ。縁起担ぎさ」

凛「えっ?」


P「明日は大事なライブだからな。成功しますようにと願かけを兼ねてお前に渡したんだ」

P「それに凛は俺が最初に担当したアイドルだからな………本当に、今までよくやってくれたよ。俺なんかのプロデュースでさ」

P「そういうお礼の意味も含めて、お前に受け取って欲しかったんだ」

凛「プロデューサー………///」


凛「うん。わかった………ありがとね。このネックレス……宝物にするよ///」

P「ああ。そうしてくれよな」

P「…………」


P「凛………本当に今までありがとな」

P「お前が俺の担当アイドルでよかった………今までこの仕事をやって来てつらいこともたくさんあったけど。お前がいつも傍にいてくれたおかげでやっていけた」

P「本当に………ありがとう!!」

凛「ちょ、ちょっと……!!/// ほ、本当に今日はどうしちゃったのさ……///」

凛「きゅ、急におんなことを……改めて言われちゃったら……私……///」

P「あ、ああ……す、すまない! ちょっと感傷的になっちまった………あはははははっ」

凛「も、もう……いくら明日が大事なライブだからって。それで終わりなわけじゃないんだからね」


凛「これからも、ちゃんと私のことをプロデュースしてよね」

P「!!」


P「……………」


P「ああ、もちろんだよ」ニコッ

P「よし……俺の用事はこれで終わりだ。わざわざすまなかったな。送ってくから先に駐車場で待っててくれ」

凛「うん、わかった」

タッタタッタッタッ


P「…………」

P「ゲホッ! ゲホッ!!」ドプシャ

P「ハァ……ハァ………やばいな。シャレにならん量を吐いちまった」




P「そういや、もうそろそろ一か月になるか………明日まではもってくれよ……」



★ライブ当日★


みく「あわわわわわ……こんな大きいステージで歌うのは初めてだにゃ……緊張してきたにゃあ!!」

文香「周りには大物アーティスト達がたくさん……わ、私ちゃんとやれるでしょうか……」

まゆ「うふふっ、大丈夫ですよぉ。この日のためにたくさんレッスンしてきたじゃないですか」

凛「まゆの言う通りだよ。私達ならやれる!」

光「そうだ、アタシ達は無敵のスーパースターだぜッ!!!!」


P「お前たち、よくぞここまでやって来れたな」

アイドル達『プロデューサー!!』

P「もう、俺からは何も言わん。観客たちにお前たちの魅力を存分に見せつけてやれ!!」

アイドル達『オ―――ッ!!』

みく「うにゃあ! 燃えて来たのにゃ~~~!!」

文香「私……頑張ります!!」

まゆ「見ててくださいねぇPさぁん♪ 貴方のために歌います♪」

凛「それじゃあ、みんな………行くよ!」

光「おう! ここからはアタシ達のステージだッ!!」


タッタタタッタタッ


ちひろ「プロデューサーさん、とうとうこの日が来ましたね」

P「ええ。これでもう俺は――ゲホォッ! ゲホッ!!」ドバシャ!

ちひろ「プロデューサーさん!?」

ちひろ「ち、血を…………こんなにも!!」

P「す、すいません………。控室汚しちゃいました………」

ちひろ「や、やっぱり体がもう………今すぐ病院へ!!」

P「ま、待ってください! あいつらのステージだけでも見せてください!!」

ちひろ「そんなこと言ってる場合じゃ!!」

P「俺なら平気です。だから、ちひろさん………お願いします!」

P「あいつらの晴れ舞台を最後に観なきゃ、死んでも死にきれません!!」

ちひろ「で、でも………」



光「な、なんだ………この血は…………?」

P「!?」

ちひろ「光ちゃん!?」

P「ひ、光………なんで!?」

光「わ、忘れ物取りに来たんだ……そ、そしたら血が………」


光「ぷ、プロデューサーが吐いたのか………?」

ちひろ「ひ、光ちゃん、これは―――」

光「こ、こんなにたくさんの血を………プロデューサーは病気なのか!?」

P「ひ、光。落ち着け。これはだな―――」

光「ずっとおかしいなとは思っていたんだ。ここのところずっと顔色は悪いし、無理して頑張ってるような感じはしてたんだ!」

光「プロデューサー……重たい病気にかかってるのか? ちひろさんも何か答えてくれ!!」

P「………」

ちひろ「………」


P「ただの………胃潰瘍だよ」

ちひろ「!?」

光「胃潰瘍?」

P「ああ。ここの所ずっと働き通しだったからな。ストレスで胃をやられちまったんだよ」

光「で、でも……それでこれだけの血を吐くなんてことは―――」

P「症状が酷いとこうなる時もあるんだよ。これだけの量から察するに、俺はかなりの重症だな……ははは……」

光「だ、だったら病院に!!」

P「お前らのステージが終わったら病院に行く。だから、お前は早くステージに向かえ」

光「ほ……本当に……ただの胃潰瘍なんだな!?」

P「………ああ、そうだよ」


光「病院に行ったら、ちゃんと治るんだよな!?」

P「もちろんさ。俺が今までお前に嘘ついたことあるか?」

光「で、でも………」

P「……………」

P「光、ヒーローってのはみんなの夢を守ってくれる者なんだって言ってたよな?」

光「う、うん……」

P「このステージには光たちを一目見ようと、多くのファンの方たちが集まってくれている」

P「その人たちの夢を守るためにはどうすればいいか……お前にならわかるだろう?」

光「ぷ、プロデュ-サー……うっ……」グスッ

P「ほらほら、言った傍から泣くんじゃない。スマイルスマイル」

P(裏声)「キープ・スマイリングよぉ~~~♪」

光「ブフッ! ぷ、プロデューサー……こんな時にキャンデリラの物真似は卑怯だぞ……」

P「うん。我ながら全然似てないな」

光「わかったよ、プロデューサー……アタシは歌って踊れるスーパーアイドルだ!!」

P「そうだ、その意気だ!!」

光「アタシ達のステージが終わったらちゃんと病院に行くんだぞ!! 約束だ!」

P「ああ、もちろんだ」

光「よ~~~し!! 南条光の、花道・オン・ステージだ!!」

光「アタシは最初から最後までクライマックスだぜ―――ッ!!」タッタタッタタッ



P「………」

ちひろ「嘘つきですね」

P「………今日ぐらいは見逃してください」

ちひろ「……たぶん感づいていると思いますよ? 光ちゃんはああ見えて意外と鋭いところもありますから……」

P「そうですね……でも、大丈夫です」


P「あいつは……光は、俺なんかよりもずっと強いですから」

―――――――――――――――――

――――――――――

―――――


ワー! ワー! ワー!


ちひろ「見てくださいプロデューサーさん! すごい歓声ですよ!」

P「はい……ライブは大成功ですね」

ちひろ「光ちゃんも笑顔で頑張ってくれてましたね。それにほかのみんなもレッスンでやった以上のパフォーマンスを魅せてくれて……」

ちひろ「これでプロデューサーさんが望んだとおりに、みんなのアイドルランクは確実に上がりますよ!」

P「そう……ですか……よかったぁ………」

P「ゲホッゲホッ!!」

ちひろ「大丈夫ですか!?」

P「だ、大丈夫です……すいません」

ちひろ「まったく、そんな体になってまであの子たちを心配するなんて―――どうしてそこまでできるんです?」

P「……俺はヒーローらしいですから」

ちひろ「えっ?」

P「光に言われたんです。俺はあいつらにとってのヒーローだって……ヒーローだったら、どんなつらい事があっても最後まで戦わなきゃいけないから………」

ちひろ「プロデューサーさん………」

P「―――な~んてね。本当はそんなんじゃないんです」

P「本当は俺、ただ死ぬ前にカッコつけたかっただけなんですよ。あいつらの前で………バカですよねぇ」

ちひろ「………それでもいいじゃないですか。TVのヒーローなんて一年中カッコつけてるわけなんだし」

P「ははは……そうですね……」

P「……………」


P「ちひろさん……お願いがあります」

ちひろ「……なんですか?」

P「あいつらのことを―――お願いします」

ちひろ「……ッ! もう、本当に貴方って人は―――気が早すぎますよぉ……まだ、生きてるじゃないですかぁ……!」ポロポロポロ

P「あははは、そうですね……すいません………」

P(みんな、よくやってくれたな。本当に素晴らしいステージだったよ)

P(凛、まゆ、みく、文香、それに光。お前たちが俺の担当アイドルでよかった……ありがとう、大好きだ)

P(お前たちがいてくれたおかげで、俺の残りの人生が非常に有意義なものになった)

P(もう、これで……俺がしてあげられることはないよな………)

P(あっ、何だか少し眠くなってきたな………そういえば、この一か月間働き通しだったもんな……)

P(少しだけ眠ろう……別に構わないよな…? この後光との約束通り…病院に行くだけだし…少しだけ眠るだけなら……)

P(ほんの………少し………だけ)

P(少し……)

P(…………)

P(…)

ちひろ「それじゃあ、プロデューサーさん。光ちゃんと約束した通り病院に行きますよ。いいですね?」

ちひろ「プロデューサーさん? ちょっと……私の話を聞いてます?」

ちひろ「返事して下さいよ。プロデューサーさん! ちょっと!!」ユサユサユサ

ちひろ「反応が……ない?」



ちひろ「……………ま、まさか…………」


ちひろ「起きてくださいプロデューサーさん! お願いです! 目を開けて!!」

ちひろ「ああ………そんな…………ッ!」

ちひろ「プロデューサーさん!! 起きてください!! プロデューサーさん!!!」




ちひろ「プロデューサーさん!!!」


―――――――――

――――――


ちひろ「それから私は、アイドルのみんなにプロデューサーさんが隠していた秘密を打ち明けました」

ちひろ「みんな泣き崩れました。特に凛ちゃんとまゆちゃんは狂ったかのようにプロデューサーさんの名前を叫び続けました」

ちひろ「ただ光ちゃんだけは、やはり感づいていたのでしょう。プロデューサーさんとの約束通り泣くまいと必死にこらえていました」

ちひろ「けれど、最後には耐えきれなくなり、ほかのみんなと同様に泣き崩れてしまいました」


ちひろ「そして―――あの日のライブが終わって……もう、二週間が経ち―――」

 
――――――――――――――――

――――――――――――

―――――――――











P「なんで俺は生きてるんだろ?」



ちひろ「ですね」









P「おっかしいな………もう一か月は過ぎたのに、ピンピンしてる」


ちひろ「まったく、人騒がせなんですから。あの時死んだかと思ったら、実は寝ていただけだなんて……」

P「す、すいません………紛らわしいことをしてしまって……」

ちひろ「あれから二週間ですか……。やれやれ、一体いつくたばるのやら………」

P「ちょ!? なんてこと言うんですかあんたは!?」

ちひろ「だって、結局社長との約束通りプロデューサー辞めちゃいますし、そのくせ仕事もしないで事務所に居座るもんだから。正直邪魔で……」

P「酷い!!」

みく「みくは、Pチャンが生きていてくれて嬉しいにゃあ♪」

P「あはは……みく、ありがとな」

まゆ「もちろん、まゆもPさんが生きていてくれて嬉しいですけど………」

凛「何か府に落ちないよね」

文香「も、もしかして………」

P「何だ文香。心当たりでもあるのか?」

文香「わ、私達への……あ、愛の力で…生きてる…とか?」

P「おま」

文香「ご、ごめんなさい……/// ロマンス小説の読みすぎでした……///」

光「ハッ! もしや……プロデューサーは、鉄砕やラミレスと同じくスピリットレンジャーに―――!?」

P「それもない」

社長「おはよう諸君。おお、プロデューサー君! 今日も生きていくれて何よりだよ」

P「なんか本当にすいません……退職届出した身でありながら事務所にいちゃって……」

社長「はははっ、別に構わないさ。君の好きなようにしなさいと言ったわけだしね」

社長「それはそうとちひろくん。私はこれから数日の間、事務所を空けることになるだろうから後の事はまかせたよ」

ちひろ「何かあったんですか?」

社長「うむ。実は私がお世話になった恩人が亡くなってしまってねぇ……その葬儀に出席することになったのだよ」

ちひろ「それはお気の毒に………」

社長「なんでも、末期癌だったそうでね」

P「!?」

P「ま、末期癌!? お、俺と同じ!?」

社長「おお、そういえばプロデューサーくんもそうだったね」

P「ど、どんなご様子だったんですか?」

社長「うむ。つらい闘病生活だったらしい。癌があちこちに転移してるから激しい激痛におそわれるそうでねぇ。それを防ぐためにモルヒネ等をたくさん投与したそうだよ」

ちひろ「………プロデューサーさん、モルヒネとか投与してましたっけ?」

P「いえ………モルヒネはおろか何も薬を飲んでいません………」

社長「体調はどうなのかね?」

P「以前は……血を吐いたり、時々意識が飛ぶようなことがあったんですが……最近はなくなってきてます」

P「それどころか、前よりも体調がよくなった気が………」

社長「血色も良さそうだねぇ。うん、実に健康的だ!」

ちひろ「ま、まさか…………」



医者「あっ、Pさん。こちらにいたんですね!!」

P「!!」

医者「よかった………ずっと、探していたんですよ!」

P「あ、貴方は、俺に癌と診断した……双海総合病院の―――」

ちひろ「どうして、ここに………?」

医者「あ、あの……Pさんのご病気についてお話がありまして……」

P「お、俺の癌のことですか!?」

医者「は、はい……じ、実は……あの時の診断なんですが―――」」






医者「誤診………だったんです」

P「………は?」


医者「実は同じ時に定期健診をしに来た末期癌患者のカルテと間違えてしまいまして……それを貴方の検査結果だと……」

P「ってことは……俺は………」

医者「はい。癌ではありません」

P「!!」

医者「本来の検査結果は、過労から来るストレスによる貧血と胃潰瘍だったんです」

P「」

医者「だから適度に休息を取れば治るものだったんです」

P「」

医者「ほ、本当に申し訳ございません!!」

P「」



光「本当に胃潰瘍だったんだな」

P「ってことは……俺の症状は癌なんかじゃなくて…………」


P「ただの……ただの……………」


P「ただの――――」




















P「疲労(ひろう)だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッッ!!!????」












P「」

医者「ご、ごめんね~兄ちゃん☆ ま、間違って診断しちゃった~~~テヘペロ☆」

医者「で、でも癌じゃなくてよかったしょー?」

P「」

医者「ほ、ほら……うちの娘が出したCD上げるから許してね☆」つCD

P「あっ……『ジェミー』だ」

医者「いい曲しょ~~?★」

P「確かに!! 真美ちゃんサイコー!! 真美ちゃんビックバン可愛い!!」

医者「でっしょでっしょ~♪ あははははははははっwwwwwww」

P「ふぁ~ははははははははwwwwwwwww」




P「オラァ!!!」ドゴォ

医者「ぐはぁ!!」

P「このヤブ医者がッッ!!! 血祭りに上げてやるッ!! 氏ねェ―――ッッ!!」ドゴォバl\キッ

医者「ぐはぁ! あふぅ! なのぉ! ぎゃび!」

ちひろ「ぷ、プロデューサーさん。気持ちはわかりますけど、どうかその辺で………」

P「はぁ……はぁ……」

医者「」ピクピクピク


P「い、今までの俺は……なんだったんだ………。色々と覚悟を決めていたあの一か月間は……」ガクリ

P「一か月後に死ぬなどと、その気になってた俺の姿はお笑いだったぜ!」

P「わひゃはははははははははははwwwwwwwwww(泣)」

P「あひゃはははははははははははwwwwwwwwwww(泣)」

P「うわへへwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww(泣)」



光「で、でもプロデューサー……これはつまり―――これからもずっと生きていられるってことだろ!?」

P「!!」

光「よかったじゃないか!! これでアタシ達はずっと相棒でいられるんだぜ!!」

P「ひ、光………!」

みく「Pチャン、よかったのにゃあ! みくも嬉しい―♪」抱きっ

文香「本当に…よかったぁ………」

まゆ「ふふふっ♪ やっぱりまゆとPさんはどうあがいても結ばれる運命なんですねぇ♪」

凛「もう……本当に人騒がせなんだから」グスッ

ちひろ「まったく……私は泣き損じゃないですか!!」

社長「ははははははっ。実にめでたいねぇ!」



P「み、みんな………ありがとう!」

P「そうだ……俺はこれからも生きていられるんだ! プロデュースできるんだ!!」

P「やった………やったぁ―――――ッッ!!!!!」



P「―――――ってうわぁぁぁぁぁ!?」

ちひろ「ど、どうしたんですか?」 

P「俺……住んでるアパートを引き払っちゃいました……」

全員『あっ……』


P「お、おまけに辞職しちゃったし………貯金も全部寄付しちゃたし!」

ちひろ「ちょっと何やってんですか!? 寄付するならどうして全額私に渡さないんです!?」

P「論点そこじゃねぇだろ!!」

P「ど、どうしよう……俺ってば職無し、金無しの根無し草じゃないか!!」

P「しゃ、社長!! もう一回俺を雇ってください!!」

社長「それは構わないが………」

P「よ、よし……これで職は確保できた! で、でも、住むところと金が………!!」


P「ど、どどどどどうしよう~~~ッッ!?」

みく「しょうがないにゃ~。Pチャンはみくのお家で面倒を見てあげるのにゃ♪」

P「いや……気持ちはありがたいが。そういうわけにも―――」

まゆ「冗談はキャラだけにして下さいねぇ? みくちゃん?」

みく「ちょ、それどういう意味にゃ!?」

まゆ「Pさんはもちろん、このまゆの家に来ることが決定してるんですからぁ♪」

まゆ「しばらくとは言わず、一生でも――――うふふふふふっ♪」

凛「まゆこそ冗談はそのヤンデレだけにしてよ。プロデューサーが住むとしたら私の家以外ありえないんだから」

まゆ「やけに自信満々ですねぇ、凛ちゃん………?」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

凛「だって、私………プロデューサーから大事なものを受け取ったし………///」

凛「まゆやみくは受け取ってないよね………このネックレス。プロデューサーのお祖母さんの形見なんだよ。知ってた?」

凛「プロデューサーが、私だけに………私だけにくれたんだよ。この意味わかるよね? ふふふっ♪」

みく「にゃん………だと!?」

まゆ「Pさん……どういうことです? なんで凛ちゃんだけに……」ゴゴゴゴゴゴ


P「いや、ちょ!? お、お待ちください!!」


文香「Pさん、叔父さんから許可を取りました…。書店に部屋が空いていますから…遠慮なく住んでください♪」ニコッ


凛まゆみく『!?』


凛「先手をとられた………だと?」

まゆ「文香さん………正直ノーマークでした……」

みく「みく達より一歩も二歩も先に行ってたのにゃ!」

文香「ふふふふ………」


凛「でも……こういうのは早い者勝ちってわけじゃない」

みく「その通りにゃ! 決めるのはPチャンにゃ!!」

まゆ「もちろん……Pさんはまゆを選んでくれますよねぇ……?」

文香「私は…この中で最年長ですから……。世間的に一番大丈夫…だと思います///」


P「いや、ちょっと……あの………」

社長(事務所に住んでもいいよって言い出しにくい空気だなぁ)

P「あわわわわわわわわ」


凛まゆみく文香『………………』ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


P(こ、このままでは……修羅場になって何もかもお終いだぁ!!)


P「ちひろさん、光! お助け下さい!!」


光「それで。デーボスと一緒に爆散したと思われていたダイゴは無事生還できて、最後はスタッフ全員集まってEDダンスをしたんだ!」

ちひろ「へぇ、キョウリュウジャーの最終回はそんな風だったのね」


P「ハァッ!?(スルー!?)」

みく「さぁ、Pチャン!」

まゆ「誰に養ってもらうんです?」

P「えっ、俺ヒモになるの確定なの!?」

凛「さぁ……誰を選ぶの……?」ゴゴゴゴゴゴ

P「くっ……こうなったら……」


P「避難するだぁ―――ッ!!」タッタッタッタ



文香「あっ、ダメです」ガシッ

P「ダニィ!? まさかの文香!?」

凛まゆみく文香『………………』ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

P「お、お前ら……落ち着けェ!! や、やめるんだ! ヤメロォォォォォッ!!!」

P「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!??」

――――――――――――

―――――――――


ちひろ「その後。プロデューサーさんは、凛ちゃん達をなだめたり、実家のご両親が葬式の準備するのを止めたり等、色々なことを処理するのに体力を使い果たしてしまい」


ちひろ「今度は本当に疲労で入院しちゃいましたとさ」






光「やはり、ヒーローは生還ENDだよな♪」



おしまい

★おまけ★

※上記とは別世界ということでお願いします



P「俺こそ伝説の超ヒーローなプロデューサーそのものだった……」

P「生まれつき持っていた圧倒的なブレイブは、キョウリュウジャー顔負けに轟くほどであった……」

ちひろ「朝ぱっらから頭が沸いてるんですか?」

P「あんまりな言いぐさですね。だったら、俺のヒーローぷっりを見せつけてやろうではありませんか!」

ちひろ「へぇ……どうするか見ものですね」

P「見せてやろう! 超エリートプロデューサーの圧倒的なブレイブを!!」


P「お~い、晴~。ちょっとこっち来て―!」

晴「何か用かよ?」

P「ん―――ちゅ♪」

晴「!?」

ちひろ「ちょ!?」

チュチュチュチュチュ♪

晴「ん~~~! や、やめ………んあっ!///」

レロレロレロレロ

晴「~~~!!!??」

ちひろ「こいつ、舌までいれやがった!?」

P「そ~こ~か~ら~の~!! πタッツィー!!」

モミモミモミモミモミモミモミモミモミ

晴「ふわぁぁぁぁぁ!!??///」

ちひろ「タッチどころじゃない!? 完璧揉んでやがる!?」

晴「いっ……いきなり何しやがるんだてめぇッッ!!!///」

P「お、オラ………もう我慢できぬぅ!!」ガシッ

晴「ちょ……こらてめぇ! は、放しやがれぇ! この変態!!」

晴「ど、どこに連れてく気だ……このッ!!」バタバタバタ

P「悪いけどちひろさん。オラ用事を思い出しちゃったんで…ええと……この近くのラブホはどこだっけな―――」ピュー

晴「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!?」


ドドドドドドドドドドド!!


ちひろ「」ポカーン


ちひろ「ハッ! つい呆気にとられてしまった……あの変態を追いかけないと!!」

★ラ○ホテル前★


ちひろ「ハァ……ハァ……やっと着いた!!」

ちひろ「は、早く中に入って晴ちゃんを助けないと!!」

P「遅かったですねちひろさん」

ちひろ「プロデューサーさん!? 貴方がここにるってことは……、ま、まさか………!?」

P「はい……」コクリ








P「ガッツリやりました」

ちひろ「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!!」

P「晴はやはり処女でした」

ちひろ「うわぁ」

P「五回もやりました」

ちひろ「うわぁぁぁぁぁ」

P「劇場再登場を記念して、バニーコスを着せてやりました」

ちひろ「うわぁぁぁぁぁぁッッッッ!!!??」

P「安心して下さい。ちゃんとコンドーさんは着けました」

ちひろ「そういう問題じゃないでしょう!?」

P「穴あきですけどね」

ちひろ「意味ないじゃん!! むしろ、悪意すら感じますよ!?」


ちひろ「ってか晴ちゃんは!? 姿が見えませんけど!?」

P「晴ならラブホに置いてきた。次の戦いにはついていけそうにないからな……」

ちひろ「意味わかりませんよ!? というか12歳の女の子をラブホに置き去りって、あんたどんだけ鬼ですか!?」

P「どうですかちひろさん! 俺のヒーローぷっりは!」

ちひろ「どこがですか!? むしろ悪の化身そのものでしょうあんた!!」

P「じゃあ、聞きますけど。普通の人間が12歳のオレっ娘美少女をラブホに連れて行くことができると思いますか?」

ちひろ「できるわけがないでしょうが!!」

P「その通り………だが、俺はできる!!」

ちひろ「!?」

P「普通の人間ができないことを平然とやってのける。それがブレイブじゃなければ何だって言うんだ!」

P「俺こそブレイブの化身………すなわち、伝説の超ヒーローなプロデューサーというわけだぁ! はい、論破!!」

ちひろ「も、もはやツッコミきれない………だ、誰か助けて!!」

P「ふぁ~ははははははははwwwwwwwww」

ポンポン!


P「ん?」チラッ


早苗「やぁ」


P「シュワット!?」

ちひろ「早苗さん、来てくれたんですね!!」

早苗「ふふふっ、ちひろさん。安心してね。もう大丈夫よ」

P「くっ………早苗さんが来たってことは―――」

早苗「そうよPくん………お約束(オチ)の時よ」


P「やはりそういうことか………いいだろう! 殺すなら殺せ!!」

P「だがしかし!! 晴のSRが来るころには、俺は再びよみがrグホォア!」


ドガッバキツゴスッボカァッ! デデーン!


ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!???


早苗「悪・即・斬。これが私の正義よ」


ちひろ「早苗さんこそが真のヒーローそのものってわけね……っと! それよりも早く晴ちゃんを助けないと!!」

――――――――――


ちひろ「晴ちゃん、大丈夫? しっかりして!!」

晴「も、もっとぉ……/// プロデューサーの……欲しい……///」

ちひろ「!?」

早苗「手遅れだった………」ガクリ




おしまい

これで終わりです。長文&駄文で失礼しました。

今回はいつもと違ってシリアス書いてみようかなと思ったのですが、私程度の文才ではシリアルしか書けないとわかったのでこうなっちゃいました。

俺は………俺にしかなれないッ!!

こぉ~んな最低の>>1の前作です。なんなりとお読みください。

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※冒頭を読んで、シリアスSSだと思ってしまった方がいたら、本当の本当にごめんなさい。
 な、なんでもするから許してください!!

駄文失礼しましたッ!!

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年05月13日 (火) 11:47:44   ID: RVlSMy_9

なんじゃこりゃあ!
まあ楽しかったからいいか、
乙!

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