輿水幸子「ヒッ……!も、もう殴らないで!」 (28)

幸子の請願を無視し、
俺はドラミングを続けた。

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幸子「も、もうやめてくださいプロデューサーさん!」

P「……」ドコドコドコドコ

幸子「自分で自分の胸板を殴るなんて、どうかしてますよ!」

P「……」ドコドコドコドコ

幸子「む、胸がこんなに腫れてるじゃないですか!もう怪我どころじゃないですよ!」

P「……」ドコドコドコドコ

幸子「ぼ、ボクが何かしたのなら謝りますから!せめて何か喋ってください!」

P「うおおおおおおおおおおおおおお!!!」ドコドコ!ドコドコ!

幸子「ヒッ!?い、勢いが増した!?」

ちひろ「すいません!ただいま戻りま……!?」ギョッ

ちひろ「プ、プロデューサーさん!?何してるんですか!?」

P「うおおおおおおおおおおおお!!おおおおおおおおおおお!!!!」ドンドコドコドコ!

ちひろ「お、落ち着いてください!血が出てるじゃないですか!」

P「うおおおおおおおおおおおおあああああああああ!!!」ドコドコドンドコ!

ちひろ「ほ、ほらプロデューサーさんの大好きなスタドリですよ!今なら大特価ですよ!」

P「うおおおおおおおおおおお!!!!!!!」ドコドコドコドン!

ちひろ「さ、サービスですよ!な、なんと今ならスタドリ10本にエナドリが5本も付いて……」

P「おおおおおおおおおおおおおお!!!」ドコドンドコドコ!

幸子「も、もうやめてくださいよぉ……!」グスン

ちひろ「こ、こうなったら実力行使です!幸子ちゃん、プロデューサーさんの左腕を抑えて!」

幸子「へ?は、はい!」ギュッ!

P「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?!?」ドンッ…ドンッ……

ちひろ「そして私が右腕を掴みます!」ガシッ!

P「うおおおおお!?うおっ、うおっ!?!?」

ちひろ「Pさんがアイドルに怪我をさせるような危ないことをするはずがありませんからね!掴みさえすれば幸子ちゃんでも抑えられ……」

P「うおおおおおおおおおお!!うおおおおおおおおおおお!!」ブンブン!

ちひろ「きゃあああああ!?ちょっ、私にも配慮してくださいよプロデューサーさん!」

幸子(片腕だけをすごい振り回すなんて器用だなぁ……)

ちひろ「い、いい加減止まってくださいよプロデューサーさん……」ボロッ…

P「うおおおおおおおおおおおお!!!ああああああああああ!!!」ブンブン

幸子「ち、ちひろさん大丈夫ですか!?」

ちひろ「だ、大丈夫です……それよりも、どうしてプロデューサーさんは急に……」

ガタッ!

P「!!」ピクンッ

幸子「え、な、なんですか今の音」

ちひろ「部屋の隅……か……ら……」

幸子(え、なんで部屋の隅にプレゼントボックスが?)

ちひろ(衣裳も注文してないのに……?)

箱 <ガタッ!ガタガタガタッ!

幸子「ひっ!?な、何……!?」

幸子(あ……手、手?手が……リボンを巻かれた手、が……箱の中、から……)

P「!!」バッ!

ちひろ「あっ、逃げた!」

幸子「机の上に……」

P「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」ドンドコドンガドンガ!!

∑箱 <ビクッ!

幸子「あ、手が箱の中に……」

ちひろ「な、何がなんだかわかりませんが、プロデューサーさんはあの箱の中の何かを音で抑え付けてるみたいですね……」

幸子「え?でもあの手、どうみても佐久間さ……」

ちひろ「幸子ちゃん?」 ←慈愛の女神がごとき笑顔

幸子「アッハイ」

ちひろ「でもどうしましょう?プロデューサーさんを止めると箱の中身が……」

P「さあああああああああああああああああああ!!!!!」ドンガドンガ

幸子「う、うーん……確かに、あの箱が開くのはまずい感じがしますね……」

P「なあああああああああああああああああ!!!!!」ドゴンドゴン

ちひろ「いっそのこと、誰かを呼んだ方がいいんでしょうか」

P「えええええええええええええええええええええええ!!!!!」ドコッドコッ

幸子「そうですね、誰かあの箱を片づけられそうなのは……」

P「さああああああああああああああああああああああ!!!!」ドンッ!ドンッ!

ちひろ「うーん、片づけられそうな人というと……」

P「んーっ!んーっ!んーっ!」ドンッ ドンッ ドンッ

幸子「あっ、木場さんなんてどうですか?」

ちひろ「そうですね……危ないかもしれませんが、木場さんならなんとか……」

P「……」ドンコドンコ

木場「それで私を呼んだのかい?」

幸子「はい、そうです」

ちひろ「すいません、本当はアイドルにこんなことをさせるわけにはいかないのですが……」

木場「いや、いいさ。頼むべき男手がああなっているのだからな」

P「うおおおおおおおおおおおお!!!あああああああああ!!!」ドンガラドンガラ

木場「さて、問題なのはあの箱かな?」

ちひろ「はい……あの、気を付けて……」

木場「ふむ、こうして紐で結んで……と。意外にあっさり終わったね」

幸子「あ、あれ?話している間に終わっちゃいました?」

木場「ああ。特に動きがなかったから、中から開けられないように縛らせてもらったよ」

P「ありがとうございます真奈美さん、本当に助かりました」

幸子「! Pさん、元に戻ったんですね!」

P「戻ったっていうか、ドラミングを続ける必要がなくなったっていうか……」

P「とにかく、真奈美さんを呼んだのはいい判断だったな。迅速に行動してくれた」

木場「ああ、それでだがP君、この箱はなんだい?人一人が入れそうなくらいの大きさはあるが……」

ちひろ「ああ、それならさっき……」

P「ペットですよ、ペット」

幸子「……え?」

ちひろ「……ん?」

木場「……む?どうしたんだ、二人とも」

P「家から逃げ出して事務所に入っちゃいまして……なんとか箱の中に追い詰めたんですがね」

ちひろ「え……?P、さん……?」

P「普段しつけとして叩いてるんで、今回は自分自身を殴って音で威嚇して、箱の中から出ないようにしていたんですが」

幸子「じょ、冗談ですよね……?」

P「うーん、なんで逃げ出したんだろうなぁ……やっぱりしつけとは言え、殴ったのが悪かったんですかね?今度は別の方法にしなきゃなぁ……」

幸子「冗談なんですよね!?だってあの箱の中、佐久間さ……」

P「幸子、人のペットのことをとやかく言うのは、あまりよくないぞ?」ニコッ

幸子「ヒッ……!?」ビクッ

木場「P君、君は……」

P「ああ、そうだ」

P「躾が終わったら、皆にもじっくりと見させてあげますよ」ニッコリ




おわり

こんなオチになったのも向井拓海って女と木場真奈美って女の仕業なんだ……
次回マイペットままゆ編に続かない

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