大原みちる「牛を馬に乗り換える」 (62)
アイドルマスターシンデレラガールズのSSです。
当SSはアイドル名「ことわざ」でタイトルをつけているシリーズです。
以前のお話に戻る場合はSS wikiを通ってください。
http://ss.vip2ch.com/ss/%E3%80%90%E3%83%87%E3%83%AC%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%80%91%E3%81%93%E3%81%A8%E3%82%8F%E3%81%96%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA
前回
喜多見柚「渡る世間に鬼はなし」
喜多見柚「渡る世間に鬼はなし」 - SSまとめ速報
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~ 前回のあらすじ ~
・酔ったモバPにより大和亜季、若林智香が悶絶
・喜多見柚が仲間になりそう
・モバP、全裸で寝てしまい、風邪をひく
─ ○○プロ・事務所 ─
千川ちひろ「本当に申し訳ありませんでした」ドゲザー
並木芽衣子「ほらっ、ちひろさんも謝ってるんだし、許してあげなって」
大和亜季「そうはいきません!あんな恥辱を味わったのであります、根本を潰さなければ、また再発します!」
若林智香「そうですよ!モバP(以下P)さんとあんな事してたなんて!気付かなければ良かった!!」
千川ちひろのいらない策略により、Pは物凄く強いアルコールを飲んでしまい、酔った。
その結果、亜季は胸をこれでもかと揉まれ、智香は皆の前で2度もキスされたのだった。
亜季「ちひろ殿にはこれ以上の辱めを受ける義務があると思います!」
智香「そうだーそうだー!」
ちひろ「待って!亜季ちゃんはともかく、智香ちゃんは普段からキスしてたってことですよね!!」
智香「うぐっ、それがどうしたのですか!?」
ちひろ「それならば止めなかったPさんにも原因あるし、それに智香ちゃんの自業自得ってことでもありますよね!?」
智香「うぐぐぐっ・・・」
亜季「と・に・か・く!ちひろ殿には罰を受けてもらいます!」
ちひろ「何をする気ですか・・・?」
ちひろ「ひぃーんっ!!なんで事務所で裸エプロンなんてしなきゃならないんですかー!!」
芽衣子「まぁ・・・これで2人の気が済むなら我慢して欲しいかなって」
ちひろ「こ、こんなの・・・キャンペーンガールの人数が足りなくて急遽水着着せられたときよりも恥ずかしい・・・」
小松伊吹「ははっ、似合ってるよ、ちひろさん。これネットに流せばすぐにお婿さんゲット出来るって」
ちひろ「他人事だと思ってぇ・・・」
伊吹「はははっ、今日はPは風邪でお休みだし、社長は柚ちゃんと一緒に法律相談所行ってるし、男性の目には当たらないって」
ちひろ「だと、いいんですけど」
伊吹「これで許すよね、二人とも」
亜季「文句なし!」
智香「いえーす!」
伊吹「でもなんで智香はPとキスするようになったんだ?」
智香「Coプロの周子さんがおまじないだ、って教えてくれたんですよ。元気が出るって評判だとか」
伊吹「あ~・・・そういうこと(元気になる方向性が違うね)」
智香「まぁ、これからもやりますよっ☆」
伊吹「キスは恋人たちがやるような事だって理解したのに?」
智香「ほらっ、Pさんいっつも忙しいじゃないですかっ!だから少しの間だけでもアタシが恋人の代わりになろうかなーって。それに・・・」
伊吹「それに?」
智香「Pさんは私たちを支えてくれる人ですし、いつまでも元気でいて欲しいです!」
伊吹(智香の頭の中ではキスの意味は理解してるのに、性の問題より応援の意味が強いんだろうね)
智香「えへへ、いつもキスの後はこそばゆいんですけどねっ!」
伊吹「は?こそばゆい?」
智香「はい!こう・・・胸の奥でもぞもぞする感じです!きっと、人を元気に出来た事を肌で感じられたからですよっ!」
伊吹(自分で自分の恋に気付いてない!?智香もパッション脳かっ!!)
相原雪乃「うぅ、ずるいですわ!ずるいですわ!」
智香「はい?」
雪乃「智香ちゃんはPさんと何度もキスしてるのですね?」
智香「まー、そういう事になりますねっ!」
雪乃「それに亜季ちゃん!」
亜季「は、はいっ!なんでありますか!?」
雪乃「おっぱい揉んでもらったのですよね!?」
亜季「おっぱ・・・胸を揉まれたが正しいであります!」
雪乃「バストサイズ同じなのに・・・Pさん、なぜ亜季ちゃんを選んだのですか・・・?(同値92)」
芽衣子「まぁまぁ、酔っ払ってたんだからPさんであってもPさんじゃないんだし・・・」
雪乃「こればかりは哲学的に言われても結果だけ見てしまいますわ・・・うぅ」
芽衣子「そう言われても・・・」
雪乃「芽衣子ちゃんだって同じ屋根の下で寝てたりするじゃないですか・・・」
芽衣子「まぁ、旅行費減らしたいってのが事務所の意向だもんね。絶対ではないけど、Pさんと一緒の部屋で寝たりするよ」
雪乃「それでこっそりキスとかしてるのですよね・・・」
芽衣子「えへへー♪」
雪乃「・・・私は何もないですわ・・・せいぜい振り向いた時に胸に手が触れてしまった程度・・・」
雪乃「私は嫌われてますの!?」
ちひろ「いや、そんなことは・・・」
亜季「P殿は雪乃殿に絶対の信頼を寄せているであります」
ちひろ「そうですよ。いつも『最近、響子ちゃんとの接触が多い』とか『由愛の仕事場に同年代がいなくて怖い』とか心配ばかりしているプロデューサーさんが雪乃ちゃんの事だけは心配した所見たことありませんよ」
雪乃「それでも・・・私は愛情が欲しいですわ・・・」
ちひろ(贅沢すぎるわっ!!)
智香「それじゃあ、雪乃さんもキスしてみては?」
雪乃「へ?」
智香「もしかしたら、Pさんお返ししてくれるかもしれませんよっ?」
雪乃「ちょ、ちょっと待ってください。どういうこと?」
智香「だからっ、アタシと同じようにおまじないでPさんにキスすればいいんじゃないですかっ!?って話です」
雪乃「・・・・・・」
伊吹「あれ、雪乃さん黙っちゃった」
雪乃「分かりましたわっっっ・・・!!」
芽衣子「わわっ、凄い覇気!?」
ちひろ「アイドルがしちゃいけないタイプの覇気ですよっ!?」
亜季「あ、圧倒されそうであります!」
雪乃「必ずや・・・」
雪乃「必ずやPさんとキスして参ります!」
ガチャ
朋「おはようございまーす」
雪乃「!!!」ギロッ
朋「ひっ!!朝から何っ!?」
智香「あ~っ・・・まぁ、雪乃さんがね、Pさんとキスしたいんだって」
雪乃「朋ちゃん・・・?」
朋「ゆ、雪乃さん?アタシに何か用で・・・?」
雪乃「朋ちゃんはPさんの家の合鍵を持っていますわね・・・?」
朋「う、うん・・・」
雪乃「お願いします!!私の分の合鍵を作らせてくださいっ!!」
亜季「あの覇気のまま頭を下げた!?」
伊吹「とも~、合鍵作ってあげなって」
朋「そうは言ってもねぇ・・・仮にもPにだってプライバシーはあるわけだし」
雪乃「それをどうか!!」
朋「ん~・・・」
伊吹「雪乃さんはPとキスしたいだけなんだしね、どうせPのファーストキスは朋なんだろ?」
朋「え?違うわよ」
一同「!?」
芽衣子「従妹でずっと昔から一緒にいるって聞いたから、朋ちゃんが最初の相手かな~って思ってた」
伊吹「アタシもてっきり朋が奪ってるのかと・・・」
朋「アタシは一度も出来なかったの、今でも忌々しい気持ちになるわ」
一同(あっ、涙が・・・)
朋「な、何よ、皆揃って変な顔して・・・」
雪乃「朋ちゃん!!Pさんのファーストキスの相手はどこにいるんですかっ!!」
朋「だ、大丈夫。その子はPとは最近会ってないはずだし」
雪乃「それでも!」
朋「う~ん・・・とりあえず、今はファーストキスなんてことより、合鍵のことでしょ?」
雪乃「そ、そうでしたね」
朋「今日、アタシは午前中は暇してるし、Pの見舞いついでに合鍵作っていいか聞いてみる」
雪乃「本当ですかっ!!」パァァァ
朋(ま、眩しい!!なんて笑顔なの!?)
─ P宅 ─
P「あ゛あ゛あ゛・・・」
体温計の文字は37.7℃。風邪の真っ最中の状態。
P「お見舞いとかはほぼ無理。ウチのアイドルたちに風邪が移っちゃえば、利益に影響する」
響子が物凄い声でこちらに来ると電話があったが、やんわり断っておいた。
あと、断っておかなければいけないのは朋。彼女はこの家の鍵を持っている。
P「そんなことより、智香と亜季ちゃんのことだ」
後で聞かされたが、ちひろさんが自分に酒や睡眠薬etcを盛ったらしい。
おかげで女子寮で全裸で寝てしまったのは記録に残ってしまった。
それだけではない。酔っ払った俺は智香に何度もキスをし、亜季ちゃんの胸を鷲づかみにし、セクハラの限りを尽くしたとかなんとか。
P「あの二人の事だ。ちゃんと誠実に謝ろう。許してくれるかどうかは分からないけど、話は聞いてくれるはず・・・」
が、俺の脳裏にはある光景が浮かんだ。
P(俺が謝るじゃろ?智香が悲しんでいる俺を見るじゃろ?今までの流れだと俺が悲しんでいる=キスのタイミングじゃろ?智香がキスしてくるじゃろ?)
まずい。
P「ぬぉぉぉぉおおおおおおおおおおおお!!!?智香にあやまれねぇえええええええええええええええ」
布団の上でグルングルンと回転しながら悶絶していた。
P「はぁ・・・はぁ・・・俺風邪だった・・・辛い・・・」
P(智香にキスしたことを謝るのに、なんでキスしなきゃいけないんだよ。本末転倒だろ・・・)
・ ・ ・ ・ ・ 。
P(・・・そんなことより、風邪を治すことが先決だ!)
P(でも・・・仕事残ってるんだよなぁ・・・そうだ、署名系の仕事は今のうちにやっちゃおう)
ガサゴソガサゴソ・・・
P(あ、あれ?確か、カバンの中に入れて・・・あっ)
P(しまった、明日やろうと優先順位振り分けた作業した後、机の上に置きっぱなしだったんだ!)
P(くそっ、アイドルに風邪をうつす訳にはいかないし、ちひろさんや社長は多忙なはず・・・そうだ!)
P「ピ、ポ、パ、ポっと」
P「もしもし、叔母さん?Pです・・・」
─ マンション前 ─
朋「あ~あ、勢いでPから合鍵貰うなんて言っちゃったけど、雪乃さんを有利にするだけよねぇ・・・」
朋「ってか雪乃さんにきっかけっていう武器与えたら誰も勝てないんじゃないかしら」
朋「雪乃さんに鍵を持たせた上でアタシが有利になるには、今日中にPをアタシのモノにしなければならない!出来ればいいんだけどなぁ・・・」
蟹座の恋愛運・・・☆ 6/10
朋「ちょっと足りないわね・・・アタシにしては多いほうだけど・・・」
朋「間違いなく雪乃さんだけじゃなく、皆を出し抜くには10中10は必要ね」
朋「でも・・・あとは度胸で補うわ。Pにはアタシ抜きで生活出来ないってのを改めて理解してもらわないと・・・」
~ ~ ~ ~ ~
朋『P、お雑炊作ってあげたわ』
P『おっ、美味しそう。風邪で寝込んでたから何も食べてなくてな・・・』
朋『気にしないの。アタシの事、今まで支えてくれた分、これからはアタシがPを支えるの』
P『はははっ・・・昔っから俺は朋に甘えてばかりだな』
朋『そうかしら?』
P『そうさ、俺には昔も今も朋がいてくれて・・・』
ギュッ
朋『こらっ、抱きしめてる場合じゃないでしょ?お雑炊冷めちゃうわよ?』
P『・・・朋』
朋『キャッ・・・なに急に抱きしめて』
P『甘えていいか?』チュッ
朋『もうっ、首にキスしてから言わないでよ♪』
P『・・・まだお前は俺のモノじゃないからな、今から・・・俺のモノにするから』
朋『・・・ふふっ』
~ ~ ~ ~ ~
朋「はっ!?いけない、妄想の中に閉じ込められるところだったわ!」
朋「善は急げよ!P、待ってなさい!!」
─ P宅前 ─
朋「隣は保奈美ちゃんの家なのよねぇ・・・羨ましい・・・」
ガチャ
朋「P-!!きたわよー・・・」
・ ・ ・ ・ ・ 。
朋「返事はない。Pは寝てるのかしら」
─ P宅・リビング ─
P「・・・」zzzZZZ
朋「ふふっ、しっかり寝てるじゃない」
P「・・・んぁ?」
朋「あっ、起こしちゃった?」
P「なんだもう来たn・・・」
朋「?」
P「・・・・・・朋か・・・」
朋「ちょっとぉ!?今ものすっごく『しまった!』って顔したでしょ!?」
P「そんなはずは・・・」
朋「Pと何年の付き合いだと思ってるのよ!そんな顔の表情ぐらいすぐ読めるわ!!」
P「むむ・・・」
朋「待ってよ、『もう来た』って言葉が出て、アタシを見て苦虫噛むような顔をするってことは誰か来るのね!」
P「・・・朋」
朋「何?」
P「ゴホッ、ゴホッ・・・すぐに来るやつは分かる。が、取り乱すなよ?」
朋「?」
─ 事務所 ─
ガチャ
?「こんにちはーっ」
ちひろ「あら、こんにt・・・」
?「おや、痴女の方ですか?」
ちひろ「え゛・・・?」
ちひろの装備→エプロンと靴下とハイヒールのみ
ちひろ「え゛っ、いや、これ罰ゲームで・・・////」
?「芸能界はいろんな人がいるって聞いてるんで、お気になさらず」
ちひろ「ちちちちちがいますっ!!////」
?「あっ、これ差し入れなんです。ウチで焼いたパンなんで、みんなで食べてください」
ちひろ「ど、どうも・・・」
杉坂海「あれ、見かけない人だね」
?「あ、どうも初めまして。大原みちるといいます。Pさんの親戚です」
海「Pさんの?」
大原みちる「はいっ、忘れ物を持ってきてほしいって頼まれて来たんですが」
海「忘れ物・・・」
みちる「なんでも衣装代のまとめとか言ってましたね」
海「衣装代、衣装代・・・あった、これだ」
みちる「確かに受け取りました!Pさんに渡してきます!」
ちひろ「お願いしますね」
みちる「っと、その前に充電させてください」
海「?(ポケットからクロワッサンが)」
みちる「フゴフゴッ、モグモグ、ゴックン!あはー!やっぱりパンは最高です!」
海(物凄い速度でクロワッサンを食べていた・・・大食いの方、なのかな?)
みちる「ではまた!杉坂海さん!痴女さん!」
ちひろ「痴女じゃないですって!!!ねぇ、海ちゃん!?」
海「初対面の人でも名前知っててもらえるってのはやっぱりアイドルとして嬉しいな」
ちひろ「無視しないでぇっ!」
─ P宅 ─
朋(マズい、合鍵の事を言い出せる雰囲気じゃないわ・・・誰が来るのよ)
P「んー・・・ちょっと遅いなぁ。1時間は掛からないって言ってたんだが」
朋「連絡したのはいつなのよ」
P「2時間前近く」
朋「もう大幅に遅れてるわね、そもそも誰を呼んだの」
P「それは・・・」
ピンポーン
P「おっ、噂をすればなんとやら。今開ける」
ガチャ!
みちる「ごめんなさいPさんっ!道草ならぬ道パン食ってたら遅れました!!」
朋「!?(えっ、うそ)」
P「“ミッチー”の事だし、そんなことだろうと思ったよ、ゴホッゴホッ」
みちる「ダメですよ、布団から出ちゃ」
P「でも出ないとミッチーをこの家に入れることは出来ないし」
みちる「あははー、っておや?そこにいるのは朋さんじゃないですかっ!お久しぶりです!」
朋「えっ、あっ、久しぶり・・・ミッチー」
みちる「Pさん、いや今は朋さんがいるからプロデューサーって呼んだ方がいいのかな?朋さんがいるなら言ってくださいよー、差し入れのパン足りませんよ」
P「悪い悪い、あの連絡の後に朋がすぐ来てな」
みちる「しょうがないですねっ、また事務所に差し入れしましょう!」
P「そうしてあげてくれ。食べ盛りな子が何人かいるから」
みちる「かしこまりました!パン屋の娘としてとっておきを作ってきます!」
朋(どうしよう・・・合鍵のこと切り出せなかった上にミッチーが来るなんて・・・)
朋(それは今から何年か前のこと)
Pの家は大のパーティ好きであり、何かと親戚を呼んではわいわい騒いでいた。
そのパーティ好きが功をなして、今の社長にPは拾われたんだけど、それはまた後日。
それで特にPからして“母方”の従妹であるアタシこと藤居朋、“父方”の従妹である大原みちるはしょっちゅうPの家にお邪魔していた。
みちる『モグモグモグ!』
朋『ちょっとミッチー、パンくずこぼし過ぎ!』
みちる『あれっ?あははー!ごめんなさい、パンを食べるのに夢中になってました!』
朋『もうっ、ゴミ箱ゴミ箱・・・』
P『いいよ、俺がやる』
みちる『Pさん、ありがとうございます!』
P『気にしなくていいの』
朋『もう、Pにばかり迷惑かけて・・・』
三人は激しいぶつかり合いもなく、仲良く過ごしていた。
そんな中、Pが大学に行くために遠く(上京)に行く事になったのだった。
朋『えっ、Pいなくなっちゃうの・・・?』
P『いなくなるって、死ぬわけじゃないんだから。しばらくすればまた会える』
しばらくしたらまた会えるどころか毎日会うことになるのだが、この時のアタシは焦った。
朋(どうしよう、Pと離れ離れになっちゃう・・・)
アタシはこの頃からすでにPには「腐れ縁」に近い恋愛感情を抱いていた。
言い換えれば日常、依存。
「いつでもすぐ会える」そんな距離が遠くなってしまう事が強く胸を打った。
朋(Pに告白しよう)
アタシは恋愛雑誌を読み漁り、また占い雑誌も読み漁った。
絶対に失敗したくない。Pと結ばれたい。
朋(Pには受験のためにラッキーアイテムの指輪を渡した。けど、恋愛運を上げるラッキーアイテムがない・・・)
そう、キッカケがないのだ。いきなり言われても困るのが普通。ワガママな自分は正直見せたくない。
だからせめて、ずっと覚えてくれるような方法とかアイテムを・・・。
朋(ミッチーに相談してみるかな)
朋『ねぇ、ミッチー』
みちる『フゴフゴゴ?(なんですか?)』
朋『アタシ、Pに告白しようと思ってるんだけど』
みちる『モグモグ、ゴクン。・・・それでどうしたんですか?』
朋『どうしたって』
みちる『あたしに聞いてもしょうがないと思いますよ。パンも恋もいつでも直球勝負が大事です』
朋『・・・そうね。そうだったわ!』
みちる『ではでは』
みちるの直球勝負という言葉に強く共感できた。モノに頼らず、チャンスは自分で作るもの。
そしてそのチャンスはすぐにやってきた。
何かとあればパーティを開くPの家。当然、Pの送迎会パーティが行なわれた。
大原家も藤居家もPが一人で大学に行く事を応援するため、Pの下に集まった。
藤居父『Pも一端の大人になるため頑張ってるんだな!』
大原母『P君、アナタのアパートとウチのパン屋近いし、いつでも遊びに来てもいいからね?』
P『ありがとうございます!』
朋『ねぇ、P』
P『ん?どうしたんだ朋。まだ心配してるのか?』
朋『当然じゃない。Pはうっかりな所が多いし、アタシが付いていないと・・・』
P『はははっ、さすがに一人での生活で直ると思うけどなー』
朋(そうじゃない、そういう話をしたいわけじゃないのに)
なかなか本題を切り出す事ができず、アタシは苦悩した。
でもそこに・・・。
みちる『Pさん』
P『どした?』
みちる『屈んでください』
P『こうか?』
チュッ
朋『!?』
みちる『あはーっ、これは恥ずかしいですね////』
P『ミッチー、お前・・・』
みちる『Pさん大好きですよーって、あははっ!』
不覚だった。
アタシがPの事を好きな理由は簡単。今まで一緒に過ごしてきたから。
だけど、こうやって過ごしてきたのはアタシだけはない。みちるにも同じ条件があったのだった。
アタシがこうやってPに恋する可能性があったのだから、同時にみちるがPに恋する事はあり得たのだ。
朋(ミッチー・・・アナタの直球勝負って・・・)
アタシがPに勝負を挑むことじゃなくて、アタシとみちるの一騎打ちということだった。
目の前でPのファーストキスが奪われる光景を見せられ、アタシの感情は絶望感の淵に追いやられた。
大原父『あはははっ、みちる!よくやった!将来のお婿さんをもうゲットしてくるとは!』
大原母『ウチのパン屋の後継者が出来たわ!』
藤居父『ウチの娘はずっと難しい顔してるからなぁ、母さん。結婚できそうなのかねぇ』
藤居母『さぁ?』
空気は完全にみちるとPが付き合う、そんな雰囲気だった。
そんな空気の中でアタシはPに告白する事など出来ず、その後Pは旅立ってしまった。
~ ~ ~ ~ ~
朋(それでもPのことを諦めずに追いかけたのに・・・また、アタシの前に立ち塞がるの?)
みちる「あははっ、久しぶりに3人揃いましたね!」
P「何年ぶりだろうね、もう忘れちゃったよ」
朋「・・・・・・」
P(やっぱりか)
P「なぁ、ミッチー。何か作ってくれないかな?朝から何も食べてないからお腹すいちゃって」
みちる「おまかせください!」
P「おっ、お粥でも作ってくれるのかな?」
みちる「いえいえ、実はつけパンにハマってた時期があって、スープは作れないことはないのです!」
P「はははっ、やっぱりパンなのね」
みちる「じゃあ、キッチン借りますね」
P「朋」
朋「・・・・・・」
P「なんだ、ふて腐れてるのか?」
朋「違うわ。・・・ちょっと、考え込んでるだけ」
P「今日の占いに『昔の人と出会う』なんて書いてなかったって?」
朋「それは・・・そうだけども。みちると再会するなんて思いも寄らなかったから」
P「一番のライバルだからか?」
朋「・・・そうよ。相変わらず自分のこと客観的に見るのね、ハーレムプロデューサーさん」
P「セクハラプロデューサーよりはほんのちょっとだけマシかな、うん」
朋「あら、少しはポジティブシンキングになってきたかもね」
P「でも、いずれ誰を選ぶか決めないとな。選ばないのがプロデューサーとして一番だけど、全員の意思を汲み取れたら、どれだけ良い事か」
朋「そうね。頑張ってね」
P「でもな、ミッチーの立場を考えるとな、はたして事務所内だけの問題なのかって思えちゃって・・・」
朋「は?どういうことなの」
P「返事は返してないけど、ミッチーにも告白されてる身だからさ。もう何年も前の話だけどね」
朋「あの時は目の前でPを奪われたと思ったわ」
P「あの頃からってお前・・・」
朋「そうよ、あの頃から好きなの。知ってた?」
P「まぁ・・・追いかけてきた挙句、ここの所のお前の動きを見てればね」
朋「・・・Pを奪われたくないの。ずっと一緒にいたからダメだったなんて、後悔したくない」
P(さすがに襲われた事は言わないでおこう)
朋「んで、事務所内だけの問題じゃないって事はどこいったのよ」
P「おっと、そうだった。なんだか俺が事務所内の誰か1人と付き合う、みたいな見方になってるから、みちるのような外部の人間はどうすれば納得してくれるかなーって」
朋「・・・・・・」
P「ミッチー・・・いや、みちるだってさ、好きだって言ったのに返事もしてないような酷い男の所に、嫌な顔もせず来てくれた」
P「もしかしたら、まだみちるの中では俺の事・・・」
みちる「好きですよ?」
P「!?」
朋「!?」
みちる「そんな2人して変な顔しなくても」
P「ミッチー・・・」
みちる「あたしはですねー、ずっとテレビの前で○○プロのアイドルが出る度にPさん頑張ってるなーって思ってました」
みちる「でも、朋さんがテレビに映る度に悔しいってのもありました」
みちる「なんでずっと一緒だったのに、あのステージになんであたしがいないんだろうって」
P「・・・・・・」
みちる「そして、考えました!今、どうすればいいか!」
みちる「Pさん、あたしをアイドルにしてください!」
みちる「牛を馬に乗りかえるように、あたしが○○プロの顔になってみせます!」
みちる「朋さんや他のアイドルの方と同じ、いやそれ以上行ってみせます!」
朋「ちょ、ちょっと待ってよ。いきなり言われてもPは」
P「いや・・・ありなのかなぁ・・・」
朋「え゛っ」
P「うちのアイドルは未確定の柚含めて、16人。社長からは20人集めろって言われてるんだ」
朋「うん、それは分かってるつもり。でもそんなに簡単に」
P「中小企業レベルの人数しかいないこの○○プロに自分から来たいってんならそれはそれでありがたいし」
P「なにより俺としては目が付く場所にいてくれた方が気持ち的に楽。外部の人と喧嘩した、なんてことよりはマシかと思ってる」
P「ましてや俺が原因になるなら、ね」
みちる「Pさん!あたしがアイドルになったら美味しい思いさせることできると思うんですよ!会社的にも、誰かのためにも」
みちる「それにあたしは出遅れてしまいましたが、朋さんと同じ舞台に立って勝負がしたいんです!」
P「うーん・・・」
P(勝負するなら他の事務所に推薦してあげた方がいいのか?いや、だがそれは同じ舞台ではなく、同じ目線なだけであって同じ看板を背負っていない)
P(みちるは笑顔はCuteタイプに感じられるし、パンを齧ってる顔が先行して忘れやすいが美人の分類でもある。アイドルとしては長続きしそうな感じ、でも・・・)
P(俺が懸念しているのはプロダクションに身内ばかり置くことはデメリットになるのではないか?)
P(いや、社会はコネクションで出来ていると言っても過言ではない。みちるは俺というコネクションを使ってアイドルになろうとしているだけ。何一つ悪いことはしていない)
P(強いて言うなら、俺に対する好意だけが難点なだけか・・・)
P(この難点さえなければ二つ返事でアイドルにするんだが)
P(ホント、俺が俺じゃなければなーって思っちゃうな・・・だが、俺はプロデューサー。決断しなくては)
P「大原みちる、この業界は成果がなければ生きていけないぞ?それでもいいのか?」
みちる「はい!やってみせますよ!」
P「これは俺からの言葉じゃない、○○プロダクションのプロデューサーからの言葉だ」
P「アイドルの世界は華やかに見えてドス黒い世界だ。明日生きれるか分からないような環境に、お前は来れるか?」
みちる「はい!」
P「自分のプロダクションの利益がプラスになるなら、今よりも増えるならお前を入れる。マイナスになるなら入れるどころか貶す。それが出来るか?」
みちる「はい!」
P「・・・・・・」
みちる「・・・・・・」
朋「・・・・・・」
P「分かった。お前を候補生で入れる」
みちる「やったぁ!!」
朋「P・・・ホントにいいの?」
P「分からない。Cuプロの佐久間まゆの例の類似だと思うが、如何せんリスクがデカい・・・」
P「だけど、俺から切り捨てるなんて真似はできない」
P「ヘタレでごめんね」
朋「はぁ・・・分かったわ。同じ舞台に来るなら先輩として徹底的に叩きのめしてやるわ」
みちる「すぐに追いついてみせますよ!一瞬で芳醇のあるパンのようになってみせます!」
P(一応、新しい風にはなっているのかなぁ・・・)
P「んじゃ、こうしてられないな・・・ごほごほ」
朋「どうするの?風邪ひいてるのに」
P「明日からすぐにアイドル候補生の大原みちるにはレッスンを受けてもらう、適性であるかどうかは早く分かった方がいい」
P「そのための書類はさすがに保護者として俺が同伴しないとマズい、親戚の朋がいるにしても親には連絡しないとね」
P「俺が連れて行ったら、そこからはちひろさんにバトンタッチかな」ゴホゴホ
みちる「ほほー」
P「まぁ、流石に車は運転できないな。タクシー呼んで行こう」
─ 事務所前 ─
みちる「あたしがトップアイドルになったら、Pさんはあたしを選んでくれますよね?」
P「トップアイドルになったら選ぶか。それもいいかな」
朋「そんな簡単になれるわけないでしょ」
P「モチベーション維持に繋がるなら、ある意味アリかなぁ・・・いやでも、乙女心を利用した最低行為だよね・・・」
みちる「大丈夫ですって、むしろ2人のうちから選ぶなら良い指標に・・・」
朋「誰がPの事が好きな人が2人しかいないなんて言った」
みちる「え゛っ」
P「OTL」
朋「ほらっ、P。先に進まないと何も解決しないわ」
P「そうだな。ごほっ、俺がしっかりしないと、うん」
ガチャ
P「こんにちはー」
ちひろ「こんにちは、Pさ・・・ん・・・?」
P「 」
ちひろ「 」
P「 」
ちひろ「 」
みちる「またお邪魔しますね、痴女さん!」
ちひろ「 」
朋(あちゃー、ちひろさん今裸エプロンだった・・・)
こうして大原みちるは○○プロダクションの一員になった。
終わり
朋はこの後滅茶苦茶説教された。(雪乃さんに)
以上です。読んでくれた方はありがとうございます。
今回はやや急ぎ足で作ったので展開が急な気がします。
「牛を馬に乗り換える」とは劣ったものを捨てて、より良いものに乗り換えること。
もしくは自分から見て、不利なものから有利なものに変えることです。
ただ、このことわざを人に使うのはマズいので、劇中でみちるが言ったような使い方はグレーゾーンだったりします。
会社から見て、アイドルは商売道具という見方をすればギリギリでしょう。それでも朋には喧嘩売ってる書き方になりますが。
さて、次回は
・藤原肇「井の中の蛙大海を知らず」
・西島櫂「恋は思案の外」
・村上巴「隣の花は赤い」
のどれかを予定しています。
ご要望があれば優先的にそちらを書こうかと思います。
ではまた。
並木芽衣子(22)
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大和亜季(21)
http://i.imgur.com/ashrqRj.jpg
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若林智香(17)
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小松伊吹(19)
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相原雪乃(22)
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藤井朋(19)
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杉坂海(18)
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大原みちる(15)
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画像支援ありがとうございます。
では次回は
・藤原肇「井の中の蛙大海を知らず」
で行きたいと思います。
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