【艦これ】艦娘達と過ごすちょっとした学園もの★16【安価】 (1000)

・艦娘×提督の学園もの
・全然艦隊とか関係ありません
・エロ、グロといった描写があるかもしれません
・なんかドロっとしているかもしれません

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前スレ

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ヒロインまとめ(○はエンド艦娘、次回登場は不可、○付いてない子は出せます)


【1周目】

電(幼馴染)         
浜風(娘)          
あきつ(後輩)         
足柄(先輩)          
○青葉(同士)   



【2周目】

大和(管理人)       
○不知火(親友)      
飛鷹(教師)        
五十鈴(転校生)       
北上(同居人)       


【3周目】

雷(クラスメイト)       
球磨(スラッガー)      
間宮(バイト先の店長)   
○那珂(超人気アイドル) 
阿武隈(義妹)        


【4周目】

陽炎(幼馴染)        
川内(学生であり怪盗)  
卯月(妹分)         
榛名(後輩)         
○暁(妹)           


【5周目】


初春(宇宙人)
叢雲(↑のライバル)
長門(ながもん)
響(帰国子女)
山城(元カノ)

BAD。


【6周目】


千代田(義妹)
吹雪(親友)
赤城(大食いチャンピオン)
由良(後輩)
古鷹(フライフェイスとオッドアイの演劇の天才)

BAD。


【7周目】


比叡(記憶喪失・幼馴染)
○漣(家政婦)
明石(近所のお姉さん)
大井(クラスメイト)
レ級(クラスメイト)

【8周目】

○明石(義姉)
鈴谷(同居人)
文月(姉)
熊野(財閥令嬢・崩壊寸前)
白露(クラスメイト・電波)


【9周目】

○潮(従妹)
村雨(幼馴染)
鳳翔(先生)
朧(後輩)
武蔵(応援団長)


【10周目】

深雪(親友)
曙(従妹)
大鯨(母)
翔鶴(弟の彼女)
瑞鶴(弟の彼女)

BAD。


【11周目】

伊58(未亡人)
隼鷹(お嬢な同級生)
○初風(面白い同級生)
蒼龍(担任)
ビスマルク(留学生なお姫さま)


【12周目】

阿賀野(いつもニコニコガチサイコストーカー)
○瑞鳳(いじめられっこ)
龍驤(陰陽師)
睦月(おなちゅー)
翔鶴(従妹で居候な部活の後輩)


【13周目】

舞風(殺し屋)
○羽黒(許嫁)
雷(幼馴染)
霧島(生徒会員)
荒潮(未来からやってきた娘)


【14周目】

飛龍(家庭教師)    
磯風(幼馴染)    
卯月(お隣さん)    
大鳳(新人体育教師)    
○浜風(昼はクラスメイト/夜は…) 


【15周目】

霞(鬼教官)
雪風(幼馴染)
○島風(従姉妹)
弥生(クラスメイト)
加賀(部活の先輩)

【16周目】

摩耶(年上の同級生)
満潮(弟離れ出来ないダダ甘姉さん)
曙(脳天気でだらしない優しい妹)
○鬼怒(脳筋中学生)
山城(やたら尽くす幼馴染)

非常に忙しい
今日は埋めネタ安価のみ、今回は2択
ではこれにて

>>+1-5


A.ぽんこつ加賀さんのあたっく、というお話。


どうも、加賀さんの友人です。
え?…名前?いえ、別に特筆するほど珍しいものでも、おほん。
えーと、実は加賀さんについてなのですが。
なんとまあ、恋をしているようです!わーぱちぱち、ひゅーひゅー。
…真面目にやれ?…はいはい、わかってますよ。
こほんこほん、しかし…やっぱり不器用というかなんというか。
あの無表情の下に隠したぽんこつっぷりを全力で発揮しておりまして。
中々想いを伝えられない!もどかしい!お腹空いた!
…ちょっと中断して…え、ダメ、はい…。
とにかく、そんな彼女のお話です。じゃあご飯食べてきます。


B.霞ねーちゃんの選択、というお話。


霞は悩んでいた。
横須賀大よりもいい大学に行きたいと言い出した弟っぽいのに。
それはきっと笑顔で励ましてやるべきだったのだろうが…。
ついその場では難癖つけて、お前には無理だと突き放してしまったのだ。
……姉としても、勉強を教える者としても失格である。
でも…だって、そもそも、自分が勉強を教え始めたのは。
そんな霞ねーちゃんのお話。
ネタバレ、黒幕は雪風と島風。



【エピローグ】



「…うぅー…緊張しますっ、緊張ですっ」

「だよなあ、俺も今めっちゃ緊張してる」

家の前に立つのは、俺と鬼怒ちゃん。

何を隠そう、今から俺達は挨拶に行くのだ。

妹と姉に。

一応、話があるとだけ二人には伝えている。

しかし内容には全く触れていない。

…曙、キレたりしないだろうか。

そんときは…まあ、そんときだ。

「…鬼怒ちゃん、アレならもうちょい後でもいいんだよ?言っちゃなんだけど…姉さんも妹も、かなり色々アレだから」

「いえ!大丈夫ですっ!お気遣いありがとうございますお兄さんっ!」

「…ん、そんならいいけど」

「…では、行きましょう!」

勢い良く、鬼怒ちゃんが一歩を踏み出す。

俺もそれにならって、ビジター気味の我が家に足を踏み入れた。

……山城?

あいつなら交通費あげて扶桑さんとこほっぽり出したよ、夏休みだししばらく滞在してくんだろ。

端的に言うと、ちょっと放置。

だって怖いもの。

…と、置いて行かれてしまう。急がねば。



「………兄貴、何この女?」

「……ふーん」

妹、威嚇。

姉、微笑。

初対面の反応はこんな感じである。

妹が結構ヤバいオーラ出してる。

「……ねえ、兄貴」

「…曙、…んー、とな…き、鬼怒ちゃんは」

「鬼怒?…ああ、この前の、へぇ、うちに何の用なのよ?」

「じ、実はさ――」

「…付き合ってます、俺達」

俺の言葉は姉に遮られて。

その代わり、言いたいことを完璧に代弁してくれた。

「でしょ?」

「…あ、うん、そうだけど」

それに頷くと、曙の顔が更に険しくなった。




「……はあ?どういうこと?」

「…曙、あのさ」

「兄貴に聞いてない、そこのクソ女に聞いてんの」

「……き、鬼怒ですか!?」

「そうに決まってんじゃない、あんた兄貴になにしたのよ?」

「…い、いえ…特に何も…む、むしろ鬼怒が…………あ、何もされてないや…うう」

「……わけわかんないこと言ってないでさぁ、とりあえず…そうね、手っ取り早く言うわ」

「な、なんですか?」

「別れなさい、今すぐ」

「……ほへ?」

「兄貴の気の迷いは後できつく言って聞かせるとして―邪魔なのよ、あんた」

「…邪魔、ですか」

「そうよ、邪魔、すっごく邪魔、あたしの家族に勝手なことしないで」

「………」

「勝手に入ってこないで、あたしから兄貴を奪わないで」

「…えと」

「兄貴は、あたしにとって―――」

…流石に何か助け舟を出した方がいいか。

そんな事を思いながら傍観していた、その時。



「……大丈夫ですっ!」

「…ちょ、ちょっと!?」

鬼怒ちゃんが曙を抱き締めた。

…あ?なんだこの百合ワールドは。

「ちょ、何してんのよ、離せこのクソ女!」

「鬼怒は―鬼怒は、お兄さんを奪ったりなんかしません」

「だから、離せっての!」

「…曙ちゃん達の事情は、勝手ながらお兄さんから聞きました」

「……それに同情したとか、軽々しくそんな事は言えません、だけど」

曙を抱く手に、鬼怒ちゃんが力を込める。

必死に振り払おうとする曙を、持ち前の陸上部パワーで制している。

「だーかーらー!離せこのバカっ!」

「…鬼怒も、曙ちゃん達の家族になりたいです」

「……はあ!?何わけわかんないこと言ってんの!?バカ!?」

「曙ちゃんの苦しみは鬼怒にはわかりません、でも、お兄さんみたいに、側にいることならできます」

「あんたなんかいてもこれっぽっちも嬉しくないのよ!」

「だから、鬼怒は曙ちゃんと仲良くなりたいんです」

「フザケたことばっか言ってんじゃないってのクソ女!意味わかんないのよ!」

ぎゃーぎゃーと喚く曙と、話し続ける鬼怒ちゃん。

それを見て、姉さんがふっと息を吐いた。



「…面白い子ね」

「…俺もそう思う」

まさかあんな事をするとは。

何も聞かされてなかったから超びっくりしたです。

「でもまあ、あの子なら私も死ななくて済みそう」

「…認めてくれるの、姉さん?」

「言ったじゃない、誰であっても私は認めるって」

「…だけど、私があんたに認められなかった時は死ぬって、さ」

「……それ、本気だったの?」

「当たり前でしょ?できるだけあんたが忘れられないような死に方で死んでやろうって考えてたのよ」

いたずらっぽく笑みを見せる姉さん。

…この人もこの人で、やっぱりなんかネジが飛んでる。

「はーなーせー!」

「曙ちゃんが認めてくれるまで、鬼怒はずっとこうしてます!」

視界の端では、二人がまだ続けている。

姉さんがもう一度笑った。



「…良いんじゃない、曙、ああいうのに弱いから」

「…俺がやった時みたいに、かな」

「そういうことでしょうね、ま、私もだけどさ」

「…私も抱き締めてもらおうかしらね、今度」

「……え?鬼怒ちゃんに俺の立場奪われる?」

「ふふ、そうならないように気を付けたら?」

「…なんか今日の姉さん、嬉しそうだね」

「そりゃそうでしょう、弟が彼女を連れてきたんだから」

「…どういうことさ」

「そういうことよ、…私はね、いつまでたっても弟離れ出来ないの、結局、それだけなのよ」

「……?」

「…さて、いい加減あの子達離してあげなさいな、提督」

「あ、うん」

「…ご飯食べさせて行きなさいよ、作るわ」

「…あ、うん」

「……提督」

「…うん」

「おめでとう、大事にしなさいよ」

「…う、うん」

姉さんが、心の底から嬉しそうに笑った。

その顔の動きに合わせて、髪の毛が揺れる。

久々に、姉さんのそんな綺麗な笑みを見た気がした。

その真意は測れなかったけれど。

何となく、俺もつられて笑ってみたのだった。

そしてヘラヘラしてんじゃないわよと怒られたのであった。



【鬼怒 HAPPYEND】

今度から性格を細かに指定するのはやめて頂けると嬉しいです
あくまで主人公との関係ですので
伝えておらず申し訳ありませんでした



【プロローグ】



『…あの…ごめんね?呼びだしちゃって…』

『ああ、いや…構わないですけど』

夕暮れに染まる校舎裏。

俺達以外に人気はない。

俺と、目の前に立つ大鯨先輩以外には。

『……え、えとぅ…』

顔を地面に向けて口ごもる大鯨先輩。

横須賀学院、生徒会執行部会長。

眉目秀麗、頭脳明晰、性格良。

紛うことなき我が学園一の美少女である―と、一般に言われている。

まあ、俺もだいたいそんな認識だった。

だからこそよくわからない。

なんかこの告白っぽい状況が。

ドッキリなのか、ドッキリなのだろうか。

『あの、……よ、呼び出してごめんね?』

『…話題ループしてます』

『……はぅ』

指摘すると、大鯨先輩が更に顔を地面の方向へと向ける。

夕日に染まった顔は赤い。

やー、やっぱこの人可愛いなあ、そりゃ皆噂するわけだ。



『…あの、ね』

『…いきなりこんなこと言うのも、気が引けるんだけど』

『は、はい』

連帯保証人になってください、が第一候補じゃないかな。多分。

その次に壺買って下さいとか宗教に興味ありますかとか。

そんな感じだろう、夢を抱くことは悪いことじゃないが現実を直視するのもまた大切だ。

俺はしっかりと覚悟をして、彼女が告げる言葉を待つ。

『……わ、私と、私とぅ…わた、わたひっ…私と!』

『…は、はい』

やたらに自分を強調するのだなぁ、なるほどこれが超自我か、ありがとうお髭のユダヤ人。

と心の中で努めて冷静にフロイト大先生へ感謝をしながらも、非常に心臓がバックバク言っていた。

だって、だってこれじゃあまるで。

『私と、お付き合いしてくださいっ!』

告白、みたいじゃないか、って。

『え、あ、え?』

『…ず、ずっと、好きだったんです』

大鯨先輩が、俺に少しだけ近寄る。

いや、その足を止めずに、どんどんと近づいて来る。

ま、まさかキス!?キスしちゃうのか!?

しかしその小さな唇は、唇を通り越して、耳に。

『へ、あの?』

『…ふっふー、提督くん、よーく眠ってるなぁ』

かぷっ。

俺の意識は、そこで覚醒した。



「はむー……」

「うぎゃああああああっ!?」

起きるなり布団をふっ飛ばして叫ぶ。

俺の眠りを妨げた野郎は、煩わしそうにそれを見ていた。

「…わ、おはよー、朝から元気だねー」

「何してんだぶっ殺すぞテメェコラァ!」

「おいおい、酷いじゃないか、朝ご飯の時間だから起こしに来てあげたのに」

「人の耳食って起こす奴がどの文明に居るんだよアホ!」

「ん?ボク」

「………はぁ」

耳を食んでいたのは大鯨先輩なんかじゃない。

そもそもあの場ではあそこで俺が逃げるように考えておきますと―いや、真に逃げたのか。

とりあえず、保留ということにしてあの場は立ち去った。

耳を甘咬みしていたのは同居人の一、最上さん。大学生。

敷波荘に住む、俺以外で唯一の『男子』。

特徴、ホモ。じゃなきゃあんなことしてこない。

確かに中性的な容姿ではあるが、しっかりと生えているのだ、というかデカい。

何で知ってるのかってこの前風呂で見せられたの。死にたい。

「敷波さんに起こしてこいーって言われたからさぁ」

「普通に起こして下さい」

「アレがボクにとっての普通さ」

「…一回痛い目見ないとわかんないんですかね」

「はっは、怖い怖い、そんじゃ早く来るんだよー、皆揃わないと朝ご飯食べられないからね」

真剣に睨んでみるも、軽くひらひらと手を振って躱される。

この敷波荘、実に個性的な住人揃いであり。

その一番苦手な奴が、彼であった。



「はよーっす」

「お、遅いぞこらー」

食堂へ向かう廊下。

丁度台所から出てきたらしく、食器を運びながら、この敷波荘の管理人である敷波さんが気怠げに俺を見た。

敷波さんは…何と言えばいいのか、多分まあ、恩人みたいなもので。

こうして住居まで厄介になっている。

正直厄介な住人しかいないから出て行きたいと週2くらいで思っているが。

けれど、敷波さんには頭は上がらないし、もとより上げるつもりもない。

故に、ここは素直に謝っておく。

「すんません、敷波さん」

「明日から気を付けなよー、春休み時間はもう終わりだかんね」

「うっす…あ、手伝いましょうか?」

「んな気ぃ利かせなくたっていいよ、気持ちだけ受け取っとくから」

「…わかりました」

「そんじゃ、もーちょい待ってて」

「うす、楽しみにしてます」

「大袈裟だね、ただの朝飯だってば」

なんて言いながらも、俺の返事に敷波さんは満足そうに頷いた。

台所の鍋から、味噌のいい匂いがする。

…今日は和食か、いいなあ、うん。

そんな事を思いながら、足早に食堂へと歩いて行ったのだった。



食堂に入ると、なるほどあの野郎の言ったことは正しかったようで。

殆ど全ての住人がそこに集まっていた。

といってもここは食堂、なんて名前が付いているだけで大してそれっぽい部屋でもない。

敷波荘は、入って中央に玄関、その奥が食堂で、東西に男女でスペースが分かれている。

ちなみに去年高校卒業とともに出て行った留学生のレーベくん先輩がいなくなってからは、男スペースは俺とアレだけになってしまった。

畜生訴えてやるいつかケツ掘られそうだしつーかなんであいつの部屋にはワセリンが常備してあるんだ。

…閑話休題。

さて、つまり食堂と名付けられた中央の部屋は、ただ馬鹿でかい机が真ん中に置いてあるだけの、多人数食事空間だ。

と、これが言いたかっただけなのに随分脱線してしまった。

その場所を見回すと、そこにはやはり多くの住人が揃っていた。

さっきの最上さん。

俺に向かって手を振っている。殺すぞ。

その隣に陣取る仲の良いレ…友人達、近所の女子高に通う大井と北上。

彼女らは相部屋である、何やってんのかは知りたくもない。

テレビの前に陣取って朝の番組を興味深そうに眺めているのは、大学生の夕張さん。

マッドな物ばかり作っていて、薬品の臨床実験を俺にやたら勧めたがるので迷惑である。

勧めて来なくてもしょっちゅう謎発明で周りをかき回すので迷惑である。

それからいつも黙っててよくわからない社会人の加賀さん。

比較的常識人に位置するが、そもそもあまり話さない、喋らないから常識人という悲しい位置づけである。

でも時折物凄いにやーと笑っているのが気になって常識人と断定できない。

の、隣は…ああ、あいつまだ寝てんのか、後回し。

そして最後に、俺を見てにこっと笑った大学生の黒潮さん。

その笑顔につられて、つい隣に座ってしまう。

「おはよーさんやね、提督くん」

そんな俺の行動にも嫌な顔一つ見せず、黒潮さんは柔和な笑顔のまま挨拶をした。

相変わらず癒やされる人だ。

もうこの人だけで良い、そう思う。




「ども、黒潮さん」

「今日はええ天気で、良かったわぁ」

「ですね、始業日に相応しい」

「せやねぇ、大分暖かくなってきて、ぽかぽかやねぇ」

窓から中庭を見て、ほら、桜があんなに咲いとるよ、と指をさす。

その指の先に視線を移して、俺もつい笑顔になってしまった。

「うんうん、ボクのここもぽかぽか――って痛い!?痛いよ提督くん!?」

視線に割り込んできた奴がいたのでとりあえず蹴っておく。

床にべだぁっと転がった。

もうそのまま一生転がっていてくれ。

「黒潮さんすいません、雑音が」

「あはは、キミも大変やね」

最上さんと俺を交互に見て、黒潮さんがさもおかしそうに笑った。

ああ癒される。さっき割り込んで来た奴のことも忘れられそうだ。

「…ほんと、黒潮さんがいてくれて助かりますよ」

「ん?ウチ、なんかしたんかな?」

「そのままのあなたがとても素敵なんです」

「たはは、いきなり口説かれてもうた」

「あ、いや、そういう意図では」

「わかっとるわかっとる、ちょっとしたお茶目や」

「それに、キミには衣笠ちゃんが――」

噂をすれば影。

という名ゼリフを知らないのかよとでも言いたげに。

「そうだよ提督っ!」

唐突に、残りの1人が現れた。

朝から非常に元気であった。


「…いたのか」

「今さっき起きたの!衣笠さん朝弱いからねーぇ」

「というか!何を口説いているのさ!」

「…口説く?」

「そう!黒潮さんを!」

そう言って、俺と黒潮さんの間に割りこむように入ってきた。

「うぐっ!?」

…あ、床に転がってるホモ踏んだぞこいつ。

いいぞもっとやれ、じゃない。

「…いや、別に口説いてなんかない」

「うっそだー!あの目つきは完全に野獣だったね!ふん!」

「…あーのなぁ」

「ダメだよー、この提督の右腕である衣笠さんを差し置いて彼女なんか作っちゃあ!」

「いや、勝手にそんなこと言われても…そもそもお前にとっての俺は何なんだ」

「…右腕?」

「……両方右腕なのか」

想像してみると中々にシュールな図であった。

右腕二本でどうしろというのか。

…まあ、けれどあながちそんな言葉も間違ってはいない。

中学時代、「鉄人」と呼ばれたこの女と、…いや、俺の二つ名はいいや、恥ずかしい。

とにかく、俺とこいつはなんか色々暴れた。

そりゃもう人殴って物壊して暴れた。

何でやったんだと言われれば、親が構ってくれないだとか、勉強ができなかっただとか色々あるが――

こいつと組んで色々するのが楽しかったのであろう、少なくとも、俺はそう思っている。

…それも、敷波さんによって止められる事になるが。

そして、俺達は二人仲良く親が面倒見るのに手を挙げて。

この三食付き下宿敷波荘にほっぽり出され―今に至る、というわけだ。

…誰に説明してんだ俺。

「…ってこらー、衣笠さん無視してんじゃないぞー」

「…ああ、悪い悪い…で、どしたよ」

「朝ご飯、敷波さんが待ってるよー?」

「…え、うげっ」

ぼーっとしていたら、いつの間にか朝飯の準備が整っていたようだ。

並べられた食事に、半眼の敷波さん。

それに急かされるように、慌てて手を合わせる。

「いただきます」

そして敷波荘唯一の団結、食事の挨拶の合唱が行われたのであった。



「おっす、吹雪」

「おはようございます、昨年度以来ですね」

残念ながら、衣笠とはクラスが別だった。

…そのクラス表を見て衣笠が教師に殴りこんでやると昔の血を滾らせていたのは内緒だ。

だが、同じクラスにはしっかり知り合いもいて、そんな知り合いにフレンドリーに声をかける。

始業式からさっそくぼっちでいるのは嫌だ。

「あ、提督くん少し痩せましたか?ふふ、LINEで言ってましたもんね、あんまり食欲が沸かないって」

「ん、それでもしっかり食ってたつもりだけどなぁ、見てはっきりわかるくらいなのか?」

「どうでしょう、私も久々に見たので、見間違いかも」

「はっきりして欲しいもんだ、太ってるよりゃいいけどさ」

吹雪がそれに、ですね、と笑う。

「でもダメですよ、成長期なんですから食べないとー」

「そうだな、なるべくそうするよ…にしても、お前は…少し太ったか?」

「……わ、私太った?え、ええ!?」

腹を指してそう言ってやると、吹雪はその場所を手で抑えてこれでもかと狼狽えた。

そんな様子に、思わず笑みが溢れる。

…ああ、普通だと。

「…嘘だよ、冗談だ、気にすんな」

「も、もう!からかわないで下さい!特に体型の話題なんて女の子にしちゃダメです!」

ぷんすかぷんすかと怒る吹雪。

ああ、普通だ。素晴らしい。

「…どうしたんですか、いきなり感極まったみたいに目頭抑えて」

「……別に、ただ…」

「ただ?」

「お前が敷波荘に欲しい……」

「ど、どういうことですかぁ!?」

黒潮さんとは違う意味で、非常に癒される。

そんな貴重な存在であった。



始業式は半ドン授業。

昼にはかったるい学校から解放され、各々好きな様に遊ぶ。

のはずなのに、俺は13時を少し回った今でもまだ学校に居た。

それも、縁もゆかりも無い、生徒会室に。

理由は――まあ、一つしかない。

「…ほんとは、こういう私的な利用は…いけないんだけど」

「まあ、いつも真面目にやってるから、うん、大目に見てくれる…といいなぁ」

「……バレなきゃ問題ないですよ、多分」

「…そうなんだけど…ね、あ、ぅ、えっと、お、お茶飲むかな?」

「…もう3杯目です」

「……えぅ…ご、ごめんなさい」

「それで…お話って」

…といっても、察しはつくが。

流石の俺もそこまで鈍ではない。

「…う、うん」

「……えっと、ね」

大鯨先輩が、しっかりと俺の方向を向く。

そして、すーはーすーはーと何度も大きく息を吸い込んで吐いた。

「……よし」

そこで小さく気合を入れて―ついに、口を開く。

「…お、お返事を…くだひゃっ」

「…………」

「…………」

…噛んだ。

向き直った筈の顔をすぐにぷいと背ける。

……これ計算でやってるんだったら物凄いと思う。

…だが―うん、非常にもったいない、もったいないとは感じる。

けれど、…今のところ、あまりそういう気が起きない、というのも真実だ。

キープなんて真似はしたくない、しっかり意思を伝えよう、と大鯨先輩を見る。

その視線だけで、大凡の意思が伝わってしまったようだ。

彼女は耐え切れないといった風に、下を向いた。



「…………先輩」

「…俺は――――」

「そ、卒業っ!」

「…え?」

「卒業まで、卒業までにっ、返事、くれたら、いいからっ」

必死に言葉を紡ぎながら、そう言って。

俺をそのまま生徒会室から押し出そうとする。

「ちょ、ちょま、先輩」

「だ、だから、今日は、ありがとう、ごめんなさい!」

ばしん。

俺が廊下に出るなり、声を一切を遮るが如く生徒会室の扉は閉められた。

………。

…まじか。

無理矢理期限を伸ばされてしまった。

案外強引なところもある―のだろうか。

…まあ。

…今度、断りゃあいいか。

そんな、少しいつもと違う始業式の日。

俺は、昼飯の約束をすっぽかした衣笠にこってり絞られたのであった。




【プロローグ 終】

書き始めたらすっごい早く終わった
サブ登場人物は趣味、ある1人の設定は完璧に趣味、ごめん
寝ます

おはようっぽい
こんな時間から始めて果たしてコンマは取れるのだろうか

まあもしもの時は>>1くん迫真の5連投して自作自演で続けてやらぁ


【4月1週】


敷波荘の中庭に一本だけ生えた大きな桜の木。

俺達はその下で、敷波荘恒例の花見を行っていた。

最上「うーん、花見!いいねぇいいねぇ、花見」

提督「何で隣に陣取ってんだよ」

最上「ボクの定位置ー♪」

提督「……頼むからやめてくれ…」

夕張「ふっふー、やあやあ提督くん、どうだいこの桜がカラフルに見える薬を一度試してみないかな?」

提督「僕はピンク色の桜が見たいので遠慮しときます」

夕張「ちぇー、チャレンジ精神の無い奴ねー、ならもがみんでいいや、えいっ♪」

最上「ちょ、もごっ!?……う、うわぁ、桜が青い!?え、今度は緑!?あ、目がチカチカして…きゅう」

夕張「…あちゃ、コントラスト強すぎたわね、要改良、っと…」メモメモ

提督「……おいこら」

大井「提督さん、これ、おひとついかがですか?」

提督「…ん、コロッケ?貰っていいのか、大井?」

大井「はい、北上さんにと作ったんですけどね、作りすぎちゃって」

提督「そういうことならサンキュ、…あれ、そうだ、その肝心の北上は?」

大井「ああ、北上さんなら私がお酒…いえ、少しジュースを飲み過ぎて眠そうだったので部屋に、ええ」

提督「………あ、そうなん、へえ、大変だねー…そりゃ大変だー」

大井「ええもう大変なんです、そのコロッケ、お好きに食べて下さいね、私はこれから部屋に…うふふ」

提督「ほどほどになー」

加賀「…………」

提督「あ、加賀さんもどうですか、コロッケ」

加賀「……ありがとう、頂くわ」

提督「礼なら大井の奴に言ってやって下さい、それにしても…今年は特にいい感じですね、桜」

加賀「……そうね」

加賀(花より男子……最上くん×提督くん…いつ見ても良いわね……)

加賀(でもレーベくんが帰ってしまったのは本当に残念だったわ…提督くん×レーベくんがイチオシだったのに)

加賀(…っ!?よく見たら最上くんが提督くんの隣で寝かされてる!?)

加賀(ま、まさかの攻守逆転!?アリ…そういうのもアリね………ふ、ふふ、ふふふふふふふふふふふふ………)

加賀「…………っふ、ふふ、…ふふふふ…」ニヤー

提督(……また加賀さんがいきなりニヤけてる、何なんだろう)

敷波(…………何でこんな奴らしか集まんないんだろうなあ、あたし何か悪い事したのかな)



大鯨    **0/500
敷波    **0/500
黒潮    **0/500
衣笠    **0/500
吹雪    **0/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ



衣笠「うおーい」

提督「…何だお前は、何やってんだ」

衣笠「衣笠さんと遊びましょーぅ」

風紀の面から、基本的に敷波荘では男子スペースと女子スペースにはそれぞれ異性の立ち入りは禁止されている。

これはインフォーマルなルールではあるが、皆が知るところだ。

衣笠もしっかりそれを守っているようで、男子スペースの境界線前に寝そべって俺を待っていた。

そこまでするなら呼べよ。

提督「…声掛けてくれりゃあ普通に出て行くぞ?」

ちょっと大きい声出せば、家が古いから壁が薄くてよく聞こえるし。

実際、用事がある時は皆そうしている。

衣笠「えっへへー、ちょっとね、こうしてたら何か待ち合わせみたいでしょ?」

提督「待ち合わせ……だとしてもそんな事する意味あんのか?」

そもそも、待ち合わせ場所で相手が寝そべっているのは如何な物かと思うが。

衣笠「デートっぽいと思わない?」

ふふ、と笑みを浮かべて首を傾げる。

デートっぽい…か?

提督「…よくわからんなあ、…それに、俺は男の金的蹴って猛々しく笑うデート相手はちょっと遠慮したい」

衣笠「ちょ!?若気の至り!それは若気の至りなのよー!」

提督「はっは、俺の中での印象は未だにそれだけどな」

というか、あんな強烈な印象を拭えという方が無理だ。

こいつとは絶対に対峙したくない、味方でよかったと今でも思ってる。

衣笠「うー、そりゃ…確かに、あんま女の子っぽくはないけどさー」

衣笠「でもでも、衣笠さんだってそういうのに興味あるんだよ、人並みにはねー」

提督「へぇ」

衣笠「だーかーらー、デートするの!」

提督「誰と?」

衣笠「提督!」

提督「いつ?」

衣笠「今から!」

提督「………」

マジか。

非常にウキウキしてれりごーれりごー歌ってらっしゃるぞ。

…うーむむ。

確かに特にやることもないが――


直下


A.わかった、ちょっと待っててくれ。

B.最上ー!

C.……悪いが、やめとく。

A.わかった、ちょっと待っててくれ。(*1.5)


提督「わかった、ちょっと待っててくれ」

衣笠「…素直だぁ」

提督「何驚いてんだよ」

衣笠「…ははーん、もしかして提督、衣笠さんとお出かけするの、結構楽しみだったりするの?」

提督「……」

衣笠「ほれほれ、素直に言いなよー」

纏わりついてくる衣笠。

非常に鬱陶しい。

つーか境界線超えてるぞ。さっきまで絶対に超えなかったマジノラインあっさり超えてるんじゃねーよ。

提督「……そう、だな」

衣笠「んー?」

提督「すっごい楽しみだ、ずっと衣笠とそういう感じでデートしたかったんだよ」

衣笠「………」

衣笠「……はわっ!?」

提督「んじゃ、そういうことで待っててくれな」

衣笠「……は、はいっ」

衣笠「…………」

衣笠「…………嘘ぉ!?」

衣笠「どうしようどうしようえちょっと待って待って少しからかっただけなのにあんなてゆーかやっぱりデートなのかなうぁぁ」

この後――

着替えを済ませ、手荷物を持って出てきてみれば。

衣笠はまた境界線前でばったりと倒れておった。

何をしてるんだろうこいつは。




衣笠→  *75/500



【4月2週】


大鯨『新入生の皆さん、本日は――』

吹雪「………」

提督「…どうした吹雪、そんな熱い眼差しで壇上を見つめて」

吹雪「…凄いですよね、大鯨先輩」

提督「そう…だなぁ、凄いな」

吹雪「いつか私もあんな風に…」

提督「は、無理だろ」

吹雪「酷いっ!?」

提督「吹雪には吹雪の良さがある、無理すんな、ってこった」

吹雪「…あ、…そういう…」

吹雪「えへへ、早とちりしちゃってごめんなさい」

提督「良い良い、気にすんな」

吹雪「…あ、そうだ!私の良さって何ですか!?」

提督「………はっは」

吹雪「何で笑ってごまかすんですか!?」



大鯨    **0/500
敷波    **0/500
黒潮    **0/500
衣笠    *75/500
吹雪    **0/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ

連投してくれて構わんですよ 正直セルフ5連打まであると思ってた


敷波「暇そーだね」

提督「ん、暇っすよ」

敷波「…はい、お茶」

提督「…おお、これはわざわざ…どうも、ありがとうございます」

敷波「そんなお礼言うなって、お茶一杯淹れただけだってーの」

休日、あまりの暇さに1人食堂でテレビを見ていると、突然差し出されたお茶。

勿論天井から出てくるというような事があるはずもなく、それは誰かの手によって淹れられたもので。

つまり、敷波さんが気を遣ってくれたのであった。

提督「…うーん、美味いっすねー、敷波さんのお茶」

敷波「提督、何でも褒めるよなぁ…それ、あたしがお茶やら飯やら出す度に言われてる気がするぞ?」

提督「ま、事実ですから」

敷波「何だそりゃ、褒めても何も出ないぞ」

提督「ですから、事実なんですって」

敷波「…ん、……んー…まあ、なら…いいや」

少し口ごもって、言いかけた言葉をしまう。

それでバツが悪くなったのか、敷波さんは自分のお茶に口を付けた。

提督「……にしても…」

敷波「うん?」

提督「敷波さんって、若いっすよね」

敷波「…おいおい、いきなり何だよ」

提督「30…くらいでしたよね?とてもそうは見えないんで」

提督「…なんつーか、綺麗だなー、と」

敷波「………そーゆうのはいいって、やめて」

提督「あ、…すいません、どうも話題に困って」

敷波「…だいたい」

そこでもう一度お茶を啜る。

そのまま湯呑みに残っていた液体を全部飲み干してから、続けた。

敷波「あたしみたいなおばさんなんか口説かなくても、一杯いるじゃん、女の子」

提督「…い、いえ、そういう意図は無くて」

敷波「…ふん、ほら、ウチに住んでる子皆可愛いじゃん、提督だって、1人くらい気になる子くらいいるでしょ?」

提督「……え、えっと…」

敷波荘の子、という事…だろうか。

…だったら――――


直下


A.最上。

B.敷波。

C.北上。

C.北上。(*1.0)


…ふーむ。

あのレ…仲良しの片割れの北上、結構タイプなんだよなぁ。

提督「…強いて言うなら、北上ですかね」

敷波「ふーん…ああいうのが好みなんだ」

提督「まあ、…好みっつーか、直感?的な、はい」

敷波「…ふーん」

言って、湯呑みに手を伸ばす。

しかし、その中身はさっき飲み干していて空。

底に溜まった茶葉が、虚しく揺れただけだった。

提督「あ、お茶、淹れてきましょうか?」

敷波「…ん…じゃあ、お願いしようかな」

提督「うっす、頑張ってくるっす」

敷波「…お茶淹れるのに、頑張るも何もないでしょ」

提督「気持ちの問題っすよ、気持ち」

しかし…。

敷波さんにあんな質問をされたのは初めてかもしれない。

…やっぱ、管理人としては住人同士のこう…公序良俗に違反するような関係への発展を防ごうという意志があるのだろうか。

真面目だなあ、敷波さんは。




敷波→  *50/500



【4月3週】


北上「お、提督提督」

提督「…ん?何だ北上、珍しいな、1人か」

北上「まま、たまにはそーいうこともあるって、うん」

北上「それよか、聞いたよー?アタシが好みなんだって?」

提督「なっ…お、おま、それどこで」

北上「敷波さんが漏らしてたんだよねぇ、にひひ」

提督「…あくまで見た目、な、見た目」

北上「素直になりなってー、アタシもさ、提督なら…」

提督「…え?」

北上「……ぷっ、なーに本気にしてんの」

提督「…驚かすな、心臓に悪い」

北上「あはは、ごめんごめん、まあアタシとしても提督は友人としてならそれなりに好きだけどさ、やっぱそれ以上はキツいかな」

提督「性癖の問題か?」

北上「そうそう、提督がタイにでも行って切り取ってきたら考えたげる」

提督「……勘弁して下さい」



大鯨    **0/500
敷波    *50/500
黒潮    **0/500
衣笠    *75/500
吹雪    **0/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ

中断

さいかーい


大鯨「むにゃ……すぅ」

提督「……呼び付けておいて寝てるのか」

『生徒会室に来て欲しい』

なんて、そんなお手紙を頂いたので。

一体何の用事だろうと来てみれば、ぐっすりぐーすか生徒会長。

大鯨「……ぐぅ」

なるほど、きっと彼女は疲れているのだろう。

脇に積み上げられた書類の山はしっかり処理されていて、まさにこれを終了した瞬間気が抜けてバタン、という感じだ。

…だったら、寝かせといてあげたいのは山々なのであるが…。

提督「会長、あの、会長ってば」

大鯨「…んー」

俺だって別に放課後めちゃくちゃ暇というわけではない。

流石にそこまで時間を割くのはごめんだ。

なので起きてもらいます会長、おはようございます。

大鯨「…ふぁ……ん、おはよぅ……」

提督「おはようございます、会長」

大鯨「……ふぁー……今、何時だろ…」

手でぐしぐしと涎を拭く。

わーすげーレア。これ写真取ったら売れそう。

提督「えーと、4時半っすね」

大鯨「4時半…?早いよぉー………って、あ、え、ええっ!?」

…絶対今この人寝ぼけてたな。

キョロキョロとあたりを見回して、生徒会室であることを認識したらしい。

大鯨「…て、提督くん!?ど、どうしてここにいるの!?」

提督「…呼び出されたんですけど」

大鯨「あ……そ、そうだった」

なんと、お茶目さんめ。

そっから忘れてたのかよ、忘れんなよ。

大鯨「って私提督くんの前であんな…うぅー…」

提督「…あ、ああ、いえ、まあ、寝起きってのは皆あんなもんですし…」

提督「それに――」


>>+2


A.レアな物見れて、嬉しかったです。

B.可愛かったですよ、あの会長も。

C.別に、なんも思いませんから大丈夫です。

B.可愛かったですよ、あの会長も。(*1.5)


提督「可愛かったですよ、あの会長も」

大鯨「か、かわっ!?…ほ、…本当…かなぁ?」

提督「…え、ええ…まあ」

尤も、よし付き合う!っていう様なノリじゃなくて一般論だけどね、あくまで一般論。

…というか、俺ごときが会長の告白キープしてるっつー状況が中々にヤバいな。

大鯨「………ふふっ」

…そして何も喋らないなぁ会長と思っていたらなんかにへーと頬を緩めきっていらっしゃる。

やだ俺会長をここまでふにゃふにゃにするなんて罪な男。

…あ、つーか用事、用事聞かないと。

提督「で、会長、用事――」

「失礼します、会長?」

と、俺の声を遮ったのは。

腕に「生徒会」となんとも分かりやすい腕章をこれ見よがしに付けている集団。

彼らがぞろぞろと生徒会室になだれ込んでくる。

その先頭、いかにもやり手という風体の眼鏡の男が口を開いた。

大鯨「…あ、副会長」

「風紀との会議、終わりました」

大鯨「ありがとうございます、お疲れ様です」

「いえ、こちらこそ、書類を押し付けてしまって申し訳ありません」

「…それで…ええと、彼は?」

大鯨「あ……え、えと――」

提督「クラスで集めたプリント、持ってきました」

「ああ、そうだったのか、ありがとう」

提督「いえいえ、お気になさらず…それでは」

スッと手を挙げて、なるべくかっこ良く去る。

流石俺、空気の読める男。

…まあ、結局用事は聞けなかったのだけれども。

今回は会長の寝顔+αという報酬で手を打つことにしよう。



大鯨→  **9/500



【4月4週】


夕張「へーい提督くん、バリーさんとイイコト、しない?」

提督「その注射器は何ですか」

夕張「気持ちよくなるお薬♪」

提督「……それじゃ」

夕張「あーうそうそ!嘘だってばぁ!これはね、本音をつい言っちゃうようになるお薬なの」

提督「本音?…自白剤みたいなもんですか?」

夕張「そう言うんじゃなくて…なんだろう、ついポロっと思ったことが出ちゃうようになるの」

提督「…へえ、…いや、でも…流石に遠慮させていただきます」

夕張「ま、そうだよねぇ……お、もーがみんっ♪」プスッ

最上「いたっ!?…な、何すんのさ!?」

提督「ちょ、ちょっと夕張さん、流石に相手がこいつでも…」

最上「ほんとだよもう、いきなりびっくりしたじゃないか…はぁ、愛してる、提督くん」

提督「…………」

最上「え、ええっ!?ちょ、ちょっとまって今何か思ったことが口に、提督くんの○○を××して△△で――――」

夕張「……だ、大成功?」

提督「……俺はすごーく嫌な気分になりました」

最上「違うんだよ!オトコノコ的につい考えちゃうんだよ!あ、今日も提督くんのパンツ洗濯の前に」

提督「も!?テメェマジで何やってんだよ!?」



大鯨    **9/500
敷波    *50/500
黒潮    **0/500
衣笠    *75/500
吹雪    **0/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ



衣笠「ふふふーん♪ふふふーん♪」

提督「お、最近流行りの歌か、音が外れてるな」

衣笠「一言余計だよー!」

中庭、遂に葉っぱだけになってしまった一本の桜の前で鼻歌を歌うのは衣笠。

この前も歌ってた…何だっけ、ヨハン・サンタナと打撃の女王?みたいな映画の主題歌。

提督「しーっかし、鉄人様も随分丸くなったもんだ」

衣笠「だから、あれは若気の至りだってばぁ」

衣笠「だいたいそれを言うなら提督だってだよ?」

提督「…まあ、なあ」

思えば随分まともになったものだ。

普通に学校に行って普通に勉強するなど、あの頃では考えられなかったからな。

…あ、そう、ちなみに。

衣笠の鉄人という渾名は、背後から鉄パイプを持った男3人の奇襲を受けてそいつら全員ノシたというエピソードに起因している。

特にその中の、鉄パイプが背後からの奇襲で出した最高の打撃成績は打撲であったという部分。

なるほど鉄人である―と当時は俺も納得して、同時に空恐ろしさなどを覚えたものだ。

非常にどうでもいい事を語ってしまった、とりあえずつまりこの女は戦闘力がバカ高いのである。

衣笠「にひー」

提督「なんだ、ニヤけて」

衣笠「んー、今思うとあの頃も結構楽しかったな、って思ったの!」

提督「…うーん…そりゃあ、それなりには楽しかったが…」

衣笠「やっぱ、提督がいたからかな?」

提督「………っ」

衣笠「…?どしたの提督、顔赤いよ?」

提督「…あー…いや」

なんだこの女は一々ドキドキさせるようなことを言いやがって。

…こ、こうなったらこの前みたいに俺も意趣返ししてやろうか――


>>+4

A.俺も、衣笠がいたから楽しかったんだろうな。

B.A+…でもな、実は俺、今は衣笠に対してあの時とはちょっと違う気持ちを――

C.……やっぱいいや、適当に返事しよう。

A.俺も、衣笠がいたから楽しかったんだろうな。(*1.5)


提督「…俺も、衣笠がいたから楽しかったんだろうな」

衣笠「…提督」

とても恥ずかしいが、…一応、本心である。

やっぱり、こいつとつるんでいたからこそ楽しかったのであろう。

…例えやってたことが人をぶん殴るだとか物をぶっ壊すことであっても。

提督「………」

衣笠「………」

何となく、お互いに視線を逸してしまう。

微妙に直視が難しい雰囲気だ。

……な、何を俺は衣笠なんかを意識しているのだろうか。

え、ええい落ち着け落ち着かんか。などと言い聞かせてみてもやっぱり視線は合わせられない。

そんなどこか居心地が悪くて、だけど悪くない、ピンク色っぽい沈黙を破ったのは――

最上「おー、おふたりさーん!」

最上「やーやー、すっかり桜も散っちゃったねぇ、中庭なんかで何してるんだい?」

提督「………」

衣笠「………」

…場を読めよ。

何やねんお前は。

…でもまあ、あのままだとちょっとアレな部分はあったし、今回はちょっと感謝だな。

―と、適当に相手しようと向き直ると。

最上「あれ?どしたのさ黙っちゃっでぇっ!?」

衣笠「………あ、ごめんなさいねー、掴みやすそうだから掴んじゃった」

最上「ちょー!?どういう理論さぁ!?いだいいだいいだいっ!?」

衣笠さんのアイアンクローが既に決まっていた。

…うわ痛そう、最上さんご愁傷様。



衣笠→  174/500

ここまで
ありがとうございました



【5月1週】


大鯨「…………」ジッ

提督「…………」チラッ

大鯨「…………」ササッ

提督「…………」スタスタ

大鯨「…………」ジッ

提督「…………」チラッ

大鯨「…………」ササッ

吹雪「……?何してるんですか?さっきから歩く度振り返って」イドウキョウシツオクレマスヨ

提督「…いやあ、何か楽しくなってきて」

吹雪「……??」



大鯨    **9/500
敷波    *50/500
黒潮    **0/500
衣笠    174/500
吹雪    **0/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ



吹雪「……んー…」

休み時間、机に向かってうんうん唸る吹雪。

かれこれ3分前くらいからずっと唸っている。

提督「どした吹雪、見るからに困った空気を出して」

吹雪「あ、提督くん」

このままいつまでこの態勢を維持するか観察するか一瞬迷ったが…。

とりあえず声を掛けてみることにした。

なんたって俺は優しいのである。えっへん。

提督「良ければ力になるぞ?」

吹雪「ホントですか?じゃあ、ちょっとお言葉に甘えます」

と言って、さっきまでずっと見ていた物を俺の目の前に広げる。

そこには数式。

なるほど、今日の数学の宿題か。

提督「これで悩んでたのか?」

吹雪「はい…昨日、部活で疲れてて、家でやり忘れて」

吹雪「数学、ゆっくり考えないとわかんないんですよね、私」

………。

…感動的なまでに普通な悩みだった。

悩みがあると言って話しかけてきて、怪しげな薬を勧めてきたり、下半身を露出させたりはしなかった。

それだけでちょっと泣きそうになった。

吹雪「ど、どうしたんですか?」

提督「…い、いや…なんでもない、にしても、数学か」

別に特段苦手というわけでもないが、かといって教えられる程得意でもない。

文系な俺は公式と解法を暗記して、それの延長で問題を解いているだけだから、正直人に教えるのは難しい。

いっそ俺のノートでも見せてやろうかと思ったが、それは…如何なものだろうか、と思う。

吹雪「……え、っと、無理、しなくていいですよ?身から出た錆ですから、ちゃんと自分でやります」

提督「ああ…」

さて、どうしたものか――――


>>+4


A.じゃあ、頑張れな。

B.…よし、頑張って教えてみよう、出来る範囲で。

C.…俺のノート見るか?

B.…よし、頑張って教えてみよう、出来る範囲で。(*1.5)


……まーそれでも。

(少ない)友人の為に何か出来るだけの事はしたいと思うのが人間だ。

決してただでさえ少ない友人を失いたくないからとかではない。

そんな利己的な考えは無い、どこまでもアンセルフィッシュな思考だ。

提督「…よし、吹雪、俺の話を聞け」

吹雪「……?」

提督「ふふ、数学万年平均点の俺がきっちり教えてやろう」

吹雪「…いいんですか?」

提督「当たり前だ、友達だろ?」

吹雪「…あ、ありがとうございます!助かりますっ!」

…万年平均点の部分は無視されてしまった。

しかもその上めちゃくちゃ感謝されてしまった。

…大丈夫だろうか、俺はこの好意に応えられるだけの能力を持っているのだろうか。

いやしかし、やるしかなかろう。

提督「……さーて、よし、やるぞ」

吹雪「はい!…あの」

提督「…ん?」

吹雪「…優しいですよね、提督くん」

提督「……んなこたーない」

吹雪「ふふっ、やっぱり優しいです」

提督「…………」

その笑顔に負けて顔を逸らしてしまう。

…あー。

どうにも、こういう正面からの好意には…弱いです、はい。



吹雪→  141/500



【5月2週】


北上&大井「――――」イチャコライチャコラ

提督「………」

衣笠「なーに見てんのよー?」

提督「…いやあ、朝からご馳走様だな、と」

衣笠「…あー、もしかしてあーいうの羨ましかったりするのかな?」ニヤニヤ

提督「んなっ!…んなわけねーだろ、俺は硬派だからな、ストイックなお付き合いをしたいの」

衣笠「…ふーん?ふっふー、はい、あーんっ!」

提督「……な、…何だと…」

衣笠「どしたのー?食べないのー?」

提督「…く、この硬派クールな俺が……ぐぐぐ、……あむっ」

最上「ほいっと……あ♪食べてくれたー!」ワリコミー

提督「…………なん…だと……?」

加賀(………………)

加賀(…………今日も一日頑張りましょう)ガッツポ



大鯨    **9/500
敷波    *50/500
黒潮    **0/500
衣笠    174/500
吹雪    141/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ

なんかもう別にコンマ取らなくて直下にしてもいいんじゃねと最近思う
ksk風呂



敷波荘、縁側。

俺と敷波さんはお茶を飲んでいた。美味しい。

敷波「……提督もさぁ、変わったよねー」

提督「…そっすかねぇ」

敷波「…うん、初めて会った時は、獣みたいな眼してたよ」

それを思い出したのか、はは、と笑いながら敷波さんが言う。

…そんな目つきだったのだろうか。

提督「変われたのは…多分、敷波さんのお陰っすよ」

敷波「…あたし、別になーんもしてないけど」

提督「介抱してくれたじゃないですか」

敷波「そりゃまあ…家の前に人倒れてたらねぇ」

提督「…誰かに打算無く優しくされたの、初めてだったんすよね」

思い返す。

やんちゃしすぎた俺が、たまたま衣笠の居ない時に因縁のある奴らに見つかって。

ボコボコになりながらも這々の体でそれこそ這いずるように逃げて。

けど、家までは遠くて、道端でゴミみたいに倒れて。

冬の日で、寒かったから…もうこのまま死ぬんじゃないかって思った時に。

『……大丈夫?』

と、差し出されたあの手の温もりを。

…やだ俺ポエミー。

提督「……あの日食った飯、多分人生で一番美味かったっすよ、冗談抜きに」

敷波「…やめろよなぁ、ただの残り物出しただけなのにさ」

敷波「というかお前、今のあたしの飯は残り物より不味いって言いたいのか?」

提督「あ、や、そういうわけじゃ」

敷波「はは、冗談だよ冗談、そんなに真剣に受け止めんな」

提督「……そっすか」

提督「…まぁ、それ抜きにしても―敷波さんにはお世話になってますからね、色々」

感謝です、と頭を下げると、敷波さんは何故か嫌そうな顔をした。

敷波「…やーめろって、あたしはただ、ここの管理人としての仕事を全うしてるだけだよ」

敷波「だからあんま感謝なんかすんなよな、…なんか…微妙に照れ臭い」

頬を掻きながら、視線を背けて言う。

そんな敷波さんの様子に、思わず笑みを漏らしてしまった。

提督「…ふふっ」

敷波「…なんだよ」

提督「いえ、その――――」


直下

A.今の敷波さんが可愛くて。

B.今の敷波さんが子供っぽくて。

C.なんでもないですよ。

B.今の敷波さんが子供っぽくて。(*1.0)


提督「今の敷波さんが子供っぽくて、つい」

敷波「…こ―子供っぽいって何だよ、あたしはお前よりも全然年上だぞ」

提督「いや、そうなんですけどね、…ふふっ」

敷波「…また笑った、あのなぁ」

提督「…く、くくっ、あ、いや、ごめんなさい、ほんと」

敷波「………飯抜くっ」

短い言葉とともに、ぷいっ、と思い切り顔を横に向ける。

その横顔は、心なしか赤い。

…やっぱ子供っぽい―じゃなくて、飯抜きはマジでマズい。

提督「…そ、それはご勘弁くだせぇ」

敷波「…ふんっ」

提督「ちょ、敷波さん、飯抜きは、飯抜きはマジで洒落にならんですって!」

敷波「…じゃ、お茶のお代わり、入れてこい」

提督「うっす!」

空の急須を持って、台所に走る。

…しかし。

…さっきの敷波さん、結構可愛いかったなぁ。

本人に言ったら、また怒るだろうけど。

なんて、そんな事を思ったのであった。

提督「あちっ」

そして、ポットのお湯を手に引っ掛けた。あぢぃ。




敷波→  *59/500



【5月3週】


黒潮「あ、提督くん、ちょうどええところに」

提督「黒潮さん?」

黒潮「ちーっと、口開けて?」

提督「…こうすか?……もごっ!?」

提督「……あむ……うん?…お、甘い」

黒潮「ふふ、マドレーヌさんやで」

提督「…おお、美味いっす!どこのですか?」

黒潮「ちょっとお台所借りてな、ウチが作ったんよ」

提督「へえー!?凄いっすね、黒潮さん、これめっちゃ美味いのに」

黒潮「大袈裟やなあ、…あ、そや、皆に声かけてくれんかな?おやつの時間よー、って」

提督「かしこまりました!俺の分は大目に確保しといてくださいね!」

黒潮「はいはい、言われんでもぎょうさん作っとるから、安心しーな」

提督「うっす!では呼んできます!」



大鯨    **9/500
敷波    *59/500
黒潮    **0/500
衣笠    174/500
吹雪    141/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ



敷波「………」

提督「お?」

廊下をすたたたたと歩いていると、珍しい物を発見した。

なんと、敷波さんが何もせずにぼーっとしておられる。

いつもあの人は家の中の仕事ばかりしているというのに。

今日は縁側に座って、中庭を物憂げに眺めておられる。

提督「……うーむ…」

敷波「…………」

さて、そのまましばらく観察していたが、一向に動く気配がない。

私は風景と同化するとでも言いたげにひたすらにぼーっとしている。

動きといえば、時折庭に投げ出した足をぷらぷらとさせるくらいだ。可愛い。

提督「……ふむ」

別にこのまま見ていてもいいし、ここを去ってもいいのだが。

何かこう…見てたらちょっかいかけたくなった。

あんなに隙たっぷりな敷波さんなんて久々―いや初めて見たし。

……ちょっとくらいなら…かまへんか。

…ふふ、ふふふ。

一度燃え上がった思いは、簡単には消えない。

あの隙だらけの敷波さんへのいたずらをしたいという気持ちがどんどん強くなっていく。

男は度胸。何でも試してみるもんさ、ってな。

よっし――――


>>+2

A.大声を出しておどかしてみる。

B.…やっぱいいや、普通に声かけよ。

C.………いや…敷波さんもゆっくりしたい時くらいあるよな、帰ろ。

A.大声を出しておどかしてみる。(*1.5)


…よし、やったろかな、おもろなってくるやん。

というわけで。

蛇ばりのスニーキングスキルを駆使して、敷波さんの後ろまで回りこむ。

…いける、いけるぞ…!

敷波「……………」

目の前には、無防備な背中。

大きく、それでいて気取られぬように息を吸い込んだ。

提督「――わあっ!」

敷波「ひゃあああああっ!!?」

瞬間。

そのまま前のめりに中庭へと倒れていく敷波さんの身体。

これはマズい―とそれを抱きかかえて止める。

提督「…っと!」

敷波「………ひ、あ、……え?」

身体に結構な負担はかかりはしたが、何とか阻止に成功した。

ゆっくりと振り返った敷波さんと、目が合う。

敷波「……お、おまっ、お前なっ」

割と半泣きで、かつ死ぬほど怒りを湛えた瞳が俺を見ていた。

提督「………か、…可愛い声、出すんですね?」

敷波「…め、飯抜きっ!絶対飯抜きだかんなっ!」

提督「え、ちょ、ごめんなさい、すいません!わざと―ですけど、悪気はなかったんです!」

敷波「うっさい!知らん!て、てゆーか離せ!へ、変な場所触るなーっ!」

……離した後、しっかり殴られた。

…完全に自業自得であった。

けれど、ちゃんと夕飯は用意してくれる辺り、優しい人である。



敷波→  *81/500



【5月4週】


提督「……最上、ごめん、俺」

最上「…うん、わかってるよ、ほんと…素直じゃないんだから、キミは」

提督「……照れ隠し…ってかさ、…まあ、そんな感じだったんだよ、今まで」

最上「ふふ、ボクにはわかってたってば」

提督「…え…――っ!?」

最上「んっ…ぷは、だってさ、ボクはキミが好きなんだもん」

最上「だから―わかるよ、そのくらい」

提督「…も、最上っ…!」

――――――――

加賀(………く、くふ、ふふ、ふふっ)

加賀「……えふっ」ニヤー

提督(………まーた加賀さんが笑ってる)



大鯨    **9/500
敷波    *81/500
黒潮    **0/500
衣笠    174/500
吹雪    141/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ


吹雪「てーいとーくーくーん」

提督「……にゃーご」

吹雪「猫の鳴き真似なんてしても無駄ですー、早くロッカーから出てきて下さい」

提督「…俺は掃除などしたくないのだ、アウトローなのだ」

吹雪「……今時何言ってるんですか」

ロッカー薄い扉の向こうから、吹雪の大きな溜息が聞こえた。

いや、別にそこまでして掃除から逃げたいというわけではないけれども。

毎日の掃除当番というつまらない日常に、少しでも新しい光を差し込んでやりたかったのである。

提督「…ま、そういう訳だ」

吹雪「あ、出てきた…って、どういうわけですか、もう」

提督「吹雪にはわからんでしょうねえ!」

吹雪「…いや、わかりませんけど、叫ばれても…」

提督「ふんだ、いいよいいよ、俺にしかわかんないもん」

吹雪「……いつもにまして意味分かんないですね、今日は」

提督「あー…、面倒だなあ、掃除なんて」

吹雪「いつも使ってる教室なんですから、ちゃんとしないとですよ?」

提督「へっ、いい子ちゃんぶりやがって、実は床に唾吐きまくってるくせに」

吹雪「吐いてないですよっ!?」

こんな感じで吹雪を弄りながら、掃除をこなしてゆく。

しかし何で教室の掃除が二人なのじゃ。…というのは簡単な理屈で、割り当ての残り3名がなかよーくおサボりしているからである。

まあ、俺も昔を鑑みれば人のこと言えねーけどさあ、なんともなんともだよ、全く。

提督「…あーあ、二人じゃ作業量多いよなぁ」

吹雪「ん、まあ、確かにちゃんと掃除くらいして欲しいですけど――」

「…って、あー?何それ?俺らに言ってんの?」

……噂をすればなんとやら、という諺はなるほど正しいと、そんなことを思った。

吹雪が俺に便乗するように彼らに対する悪態をついたと同時に開けられる扉。

うんこ色の下品な頭の糞野郎を筆頭にぞろぞろと教室に侵入してくる3人。

「まーじショックだわー吹雪ちゃん、せーっかく手伝いに来てやったんにさぁ?」

「だよなあ、陰口とか陰湿だぜ」

吹雪「え、あ、あの…」

「…おい、こういう時はさあ、普通謝るもんじゃねーの?」

吹雪「は、はいっ、ごめんなさいっ」

「……だーってよ?どする?」「…俺ら傷付いたしなぁ、そんな言葉だけではい良いよってのはキツいよなぁ」

「だーな、つーわけで吹雪ちゃんさ、こっち来いよ」

吹雪「え、え、えっと…」

彼女はたじろぎ、そして、助けを求めるように俺を見た――

>>+2

A.…まぁまぁ、落ち着きんさいな皆さん。

B.………殴って止める訳にもいかんし―。目を逸らす。

C.…よし、任せろ。

A.…まぁまぁ、落ち着きんさいな皆さん。(*1.5)


提督「…まぁまぁ、落ち着きんさいな皆さん」

掃除用具を両手に持って、吹雪を押しのけるようにしてずいと前に出る。

「あ?」

3人の視線が、一斉に俺を射抜いた。

だが効かん。こんな全く体鍛えてない煙草で肺から腐ってそうな奴らなど全く怖くないね。

衣笠の上半身だけのほうが多分よっぽど怖い…いや、上半身だけだったら誰でも怖いか。

提督「皆さんお話を聞きましたら、お掃除を手伝いにきたと、そういうことらしいじゃありませんか」

「…んだよ、俺らは吹雪ちゃんと話してんだけど?」

提督「あーいやいや、申し訳ない、ただ折角なので掃除用具を渡したくて」

「…いらねーっての、さっさとどけよ、そこ」

提督「あーあ、善意で言ってるんだけどなあ」

「ああ!?」

提督「いや、丁度この時間て――」

「………そこの3人、何も持たずに何をしているのですか?」

「…げっ!?生徒指導の不知火!?」

提督「……不知火せんせーが見回りに来る時間だからさー」

…ふっ。

毎日掃除をこなしてきた俺達にしかわからん事である。

これぞ情報力の差。現代戦において趨勢を決めるのは情報力だ!

「…あなた達、そういえばいつもここの掃除をすっぽかしていますよね」

「いや、それは違くて――」

「…そろそろ少しお灸を据えようと思っていました、丁度いいです、生徒指導室まで来なさい」

「…な、え、違うんすよ!」

抵抗も虚しく、アホ3人は不知火せんせーに引っ張られていく。

はっはっは、良い気味じゃ。

吹雪「…あ、あの、提督くん」

提督「…ん?」

吹雪「あ、ありがとうございました」

提督「んにゃ、俺は何もしてねーよ、どうせなら不知火せんせーに感謝してくれ」

吹雪「い、いえ…そ、その…さっき、私を守るみたいに、前に出てくれて…凄く、助かったんです」

吹雪「こ、怖かったから…えと」

提督「……ふふん、まあ、俺といえば女の子ときたら見境なく守っちゃうナイト系男子だからね」

吹雪「………ぷっ、何ですか、それ、初めて聞きましたよ」

提督「だから…気にすんな、それよか掃除しようや掃除」

吹雪「あ、はいっ!」

やっぱりこの吹雪という奴は、普通に笑顔でいる時が一番いい。

改めて、そう思った。



吹雪→  214/500

ここまで
お付き合いいただきありがとうございました

ん?どゆこと?

ん?どゆこと?



【吹雪―その1】


「……ふふ」

昨日の提督くん、何かカッコ良かったなぁ。

なんでだろ、あの背中が凄く頼もしく見えたような気がして。

「…ナイト、かぁ」

……じゃあ、私はお姫様?

………ないない。

自分で即否定。悲しいけどこんな物だよね、現実。うぅ。

「…………お姫様…」

…には、どうやっても見えない。

何もかも普通以下だし、私。

……でも…お姫様、か。

「……こほん、…ふふ、頼りになる騎士様ですね、提t――」

「吹雪さーん?」

「うっひゃああああ!?」

「……?な、何してるの、変なポーズ取って」

「…な、ななななんでもなかですよ!?」

「…ん、ま、まあ…それなら…いいけど」

「そ、そうです!いいです!そ、それで一体何の用ですか!?」

…あーびっくりした。

…お姫様ごっこはもう二度と学校でやらないことにしましょう。

「えと、さ、最近吹雪さん、提督くんと仲良いよね?」

「…え?…えぇー、そ、そう見えますかー?」

うわあ、なんだろ。

人に指摘されると凄く恥ずかしいよ、それ。

な、仲良く見えるのかな、…仲良く…。

「…それでさあ、吹雪さん、ちょっと変な話聞いたんだけど、提督くんってさ――」

指摘サンクスです


【6月1週】


夕張「暇ー…」

提督「…何で俺の部屋にいるんでしょうか」

夕張「…暇だったのー…CoDやろうよー、CoDー」

提督「俺、PC版やってないっすよ」

夕張「…ふん、コンシューマごときで満足してるようじゃまだまだよ、提督くん」

提督「こっちの方が楽しいからいいんです」

夕張「やーろーうーよー!」ベター

提督「纏わりつかないでくださいよ暑いから」

夕張「キミが頷くまで離れないー…」

提督「………何で休日までこんな目に…」



大鯨    **9/500
敷波    *81/500
黒潮    **0/500
衣笠    174/500
吹雪    250/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ



黒潮「………」

提督「……ほー…」

黒潮「どしたん?」

提督「ああいえ、何というか、癒されるなーと」

中庭、縁側。

すっかりいつものくつろぎポイントと化したそこで、俺は黒潮さんと並んで座っていた。

黒潮「癒される?」

提督「はい、…黒潮さんの側にいると何か落ち着くなーって…マイナスイオンとか出してます?」

黒潮「ふふ、出しとるかもなぁ…ほれほれー」

両手を俺の方に出して、何かを送り出すようなジェスチャーをする。

…ああ、本気で何か出てるかも、超癒される。

提督「……ホントもう、黒潮さんがいて助かりますよ」

黒潮「またそれかぁ、もー、せやから、なーんもしとらんってば」

提督「いやいや、助かってるんですよ」

残りの面子が濃すぎるからなあ。

まさに砂漠に咲く一輪の花とでも言うべき貴重な存在だ。ほんと。

黒潮「……あ」

そんな時、外を見ていた黒潮さんが短い声をあげた。

提督「どうしました?」

黒潮「…んー…雨の匂いがするなあ、て」

提督「…雨の匂い?……んん?」

黒潮「ふふ、ウチはそういうの、結構敏感でなぁ、わかるもんなんやで」

提督「へえ…って、雨、降るんですか?」

黒潮「うーん…そうやね、そろそろ降り出しそうな気配や」

提督「…つーことは…洗濯物!」

黒潮「ん、取り込もうかぁ」

目の前に無防備に並べられた洗濯物へと急いで駆け寄る。

…しかし、凄いなぁ、雨の気配とかわかるのか。

確かに言われてみれば少し暗くなったか?くらいしか俺にはわからない。

けどまあ、冗談でそんな事をいう人ではないし――

と、洗濯物に伸ばした手が。

何かさらさらした布を掴んだ。

提督「………こ、これは…!?」

……黒潮さんの……パンツ…!?し、しかも生乾き…!

…黒潮さんは……俺の後ろでいそいそと洗濯物を取り込んでいる――

>>+2

A.よし、嗅ぐ。

B.……さって、続けるかな、作業。

C.…非常に口惜しい、が…流石にやめておこう。

C.…非常に口惜しい、が…流石にやめておこう。(*1.5)


…非常に口惜しい。

が…流石にやめておこう。

だいたい、こんな洗い終わった後のパンツなんかただの濡れた布だろ。

最上のでも黒潮さんのでも変わりゃしねーよ。

と、ぺいっと後で干す用のかごに投げる。

黒潮「……ほほーう?」

提督「…うおっ!?」

…場面を、ばっちりと黒潮さんに見られていた。

提督「…え、い、いつから見てたんですか?」

黒潮「んー、提督くんがウチの下着を両手で持ってなーんか難しい顔しとったところから♪」

提督「…ほげえ!?」

ほぼ全部じゃねーか。

ほぼ全部見られてるじゃねーか。

黒潮「ふふ、そんまま顔にひっつけたりでもしたらどーしよー、って思っとったで?」

提督「はははそんなことするわけ無いじゃないですか、いやちょっと濡れてるかなってよくわからなかったんで念入りにですね」

危ねえ。ギリギリセーフだった。

あのままでは俺が変態になってしまうところだった。

黒潮「にしてもー…ふふー、何や提督くん、ウチに興味あるんか?」

提督「…い、いえ…そういうわけでは」

黒潮「じゃあパンツに興味あったん?」

提督「…く、黒潮さんに興味ありましたぁ!」

黒潮「ふふ、そっかそっかー」

何だこの恥ずかしい誘導尋問。

しかし流石にパンツに興味ありましたぁ!とは言えん。

…この後、少しだけ上機嫌の黒潮さんと洗濯物を取り込んで。

程無くして、彼女の言う通りぱらぱらと水滴が落ち始めたのであった。



黒潮→  **6/500



【6月2週】


提督「……衣笠、待った」

衣笠「なーし」

提督「…待て、違うんだ、このままじゃ俺の飛車が死ぬ」

衣笠「えへへー、残念だねー」

提督「…というかお前、将棋強いな」

衣笠「んふふー、褒めてもなーんにも出ないよ?」

衣笠「ほらほら、早く動かす!」

提督「…仕方ない、こっから挽回してやるか」

――結果、ボロ負け。



大鯨    **9/500
敷波    *81/500
黒潮    **6/500
衣笠    174/500
吹雪    250/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ

(マジレスすると未成年はCOD出来ない)



黒潮「おーい、提督くーん!」

提督「あれ、黒潮さん?」

下校中、背後からの声に振り返ると、買い物袋をぶら下げた黒潮さんがいた。

黒潮「奇遇やなあ、帰り?」

提督「はい、黒潮さんは…買い出しですか?」

黒潮「うん、そうなんよ、自分の買い物ついでになあ」

提督「なるほど…あ、袋持ちますよ」

黒潮「おー、頼りになるわぁ、男の子」

提督「こんくらいはお安いご用っすよ、鍛えてますから」

黒潮「へえー…鍛えとるん?」

提督「はうっ!?」

つー、と。

笑顔のままで黒潮さんが、俺の腹のあたり、そのシャツの下を指でなぞった。

提督「ちょ!?」

黒潮「本当やなぁ、腹筋カチカチやー」

提督「…え、ええまあ、はい、鍛えてますから…」

すっごい心臓に悪い。

でも向こうも意識はしてないっぽいし、うん、おけおけ、問題ない問題ない。

黒潮「ウチはー…うーん、ちょいと最近ぷに気味やなぁ」

提督「見えないっすけどねえ、そうは」

黒潮「いやいやー、中々大変なんよこれが」

黒潮「…あ、せや、ほれほれ提督くん、ウチのぷに具合確かめてみ?」

提督「なっ!?」

と言うと、黒潮さんがシャツを捲る。

健康的なおへそがルックアップ。なんぞこれ。

…え、これ確かめていいの?

ど、どうする俺――


>>+4

A.…やってやろう。

B.…いや、失礼だろ。

C.……も、もうちょい上…もしくは下…。

A.…やってやろう。(*1.5)


…ふ。

この程度で怖じ気づく俺ではない。

そのくらい、いくらでもぷにってやる。

…やってやろうじゃないか。

提督「…………」

買い物袋を一旦置く。

そして大きく息を吐く。

…よし、いける。

提督「…で、では、失礼して…」

黒潮「優しくなー?」

提督「……うす」

黒潮「…………っ」

指が触れる。

…うわすげーすべすべっ。

もうなんか指が気持ちいいってこういう感覚なのか。

…あ、ダメだこれ、早く離そう、色々あかん。

提督「ふぅ……ぜ、全然ぷにってないっすよー?」

黒潮「…そうかなあ?」

提督「そ、そうっすよ、ええ、全く問題無しっすよ」

視線を逸らして、地面に置いた買い物袋を慌てて掴んで歩き出す。

…はあ、なんつーか。

……なんつーか、心臓に悪い…。

…あ、でも、気持ち良かったなあ…。



黒潮→  *39/500

>>288 CoD(Call of Dutyとはいってない)

PS3でやってるとさあ…こう、色々ね


【6月3週】


最上「あ、おはよー……」

提督「…元気無いな?」

最上「…んー…ちょっとあんま体調良くなくてさぁ、最近…ご飯も…食べられないかも、今日」

提督「……大丈夫か?」

最上「え?」

提督「…な、何だその意外そうな声は」

提督「…相手がお前でも、そんだけ悪そうにしてりゃ心配くらいするっつーの」

最上「…て、提督くん」

提督「で…大丈夫か?」

最上「…キツい、かも」

提督「……はあ、じゃあ休んでろ、敷波さんから薬貰ってくるから、さっさと部屋戻れ」

最上「……ん、ありがとね」

加賀(――――――――――)

加賀「………く、くふっ」ニヤー

北上「加賀さん加賀さん、その笑い方はダメ、女の子としてちょっとダメ」オサエナサイ



大鯨    **9/500
敷波    *81/500
黒潮    *39/500
衣笠    174/500
吹雪    250/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ

偏りまくっていたコンマさんは何処行ったんだ

>>308 きっとあの夜空に輝いているよ···



提督「……会長、失礼します」

大鯨「…あ、…うん、いらっしゃい、提督くん」

提督「いいんすか、俺ってこんな勝手に生徒会室に出入りしても」

大鯨「大丈夫だよ、…ば、バレなければ?」

提督「…そっすか」

そんなもん隠しておけばいいのに。

全くもって真面目で律儀な人である。

提督「それで…どうしたんですか、何度も」

大鯨「ん、…と、この前、ほら、用事、言えなかったから」

提督「ああ…確かに」

そういえばこの前見たのは寝顔だけであった。

あれはあれでレア度高いからいいけど、…あ、写メっとけばよかった。

大鯨「えっと、それでね」

提督「はい」

大鯨「……提督くん、生徒会活動に興味ない?」

提督「………」

凄く魅力的な笑顔で、全く魅力のない提案をされた。

いや、無いよ。

提督「…いえ、別に」

大鯨「……あ、あのね!生徒会庶務は、生徒会役員の推薦があればだれでも!すぐに!なれるんだよ!ここのね、生徒会規則7条の――」

提督「……へ、へえ」

大鯨「…し、仕事もあんまり…無い、よ?」

提督「いや、でも…俺ってほら、自分の時間を大事にしたい感じの…」

大鯨「…え、えっと…他には…内申点も、良くなって…推薦とかも…」

視線を右往左往させながら、必死に生徒会庶務の素晴らしさをアピールしている会長。

…どこか悲痛さすら感じさせる所作である。

あの大鯨会長をここまでさせてしまうとは、どんだけ恐ろしいのだ俺は。

…とまあ、冗談は置いといて――



>>+4


A.ここまで頼まれたら…。

B.……いやあ、見返りがあればなぁ(チラッ

C.…考えときます。

19?高いじゃないか!(白目)

ご、誤爆

>>320 どのスレか分かったわ

A.ここまで頼まれたら…。(*1.5)


提督「……」

嫌だけれども。

黄金の鉄の塊系男子としては、ここまで頼まれて嫌ですとは…言えない。

提督「……わかりました」

大鯨「…っ!」

提督「…やっても…いいっす」

大鯨「…ほ、本当ですか!?」

提督「は、はい」

大鯨「で、では…えっと、これが書類です!この丸で囲んだ部分を記入して、私の所に持ってきて下さい!」

提督「…?…あれ、これもう他の条項書かれて…」

大鯨「…あ、…ふふ、ごめんなさい、少し気が早かったでしょうか」

提督「………」

パーフェクトに準備されとるやんけ。

なんかもう手際が良すぎないかこの人。

大鯨「…はぅ……でも、良かったです、断られるかと思ってました」

提督「…でも、俺正直戦力としては数えないほうがいいですよ?」

大鯨「大丈夫です!一緒に勉強していきましょう!」

提督「……えぇ」

…あんまり話が通じてない。

…つーか。

生徒会活動ってことは、あの眼鏡副会長とかもいるんだよな。

……うへぇ。

…こりゃ、安請け合いだったかもしれん。



大鯨→  *37/500



【6月4週】


最上「おかげさまで、ボクも全快だよ!」

提督「そりゃおめっとさん」

最上「んー…冷たい、先週はあんなに…」

提督「何も無かったろうが」

最上「そうだけど………というか、キミいつの間に敬語やめたのさ」

提督「…だってさあ…」

最上「…や、それ自体は別にいいけどね」

最上「…というか…キミ、なんか顔赤い?」

提督「……あー?…んなわけねーだろ」

提督「…あれ、何だ、ふらつく」

最上「あちゃー…移しちゃったかなあ」

提督「…げほっ」

最上「…ごめんね…ボクのせいで」

提督「…いーよ、気にすん…ごほっ!」

最上「ああ!ダメだよ!休まなきゃ!」

衣笠「……ねー、大井さーん」

大井「はい?」

衣笠「…普通さー、あの立場にいるのって衣笠さんでしょ?」

大井「…さあ?」



大鯨    **37500
敷波    *81/500
黒潮    *39/500
衣笠    174/500
吹雪    250/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ

すっぽんぽん

風呂っす

>>1の風呂 うっ······ふぅ 一旦おつ


黒潮「……ふふふふーん♪」

提督「あ、黒潮さん、これどうすればいいっすか?」

黒潮「んー、あ、混ぜといてやー」

提督「了解っす!」

本日、雨の日ということで。

家の中に籠もるしかない。

だが、そんな閉塞感を打ち破ってくれたのは黒潮さんだった。

「お菓子作りでもやらん?」

なんてことを提案してくれたのである。

というわけで俺は今卵をかき混ぜまくっている。

頑張れ俺、人間ミキサーになるのだ。

しゃかしゃかしゃかしゃかしゃかしゃか。

良いぞ、いい感じだ、素晴らしい回転。

卵の色も相まって、まさにこれぞゴールデンローリング、黄金の回転。

…意味わかんねぇや、何言ってんだ俺。

黒潮「あ、ちょ、提督くん、混ぜすぎや混ぜすぎ、そんな勢い良く混ぜんでええよ」

提督「え?」

人間ミキサーと化した俺の回転を阻害したのは、黒潮さんの言葉。

言いながら、彼女は近付いてくる。

だが、俺はといえば。

やべえこんなに回転させたらダメなのか―と、慌ててその急速回転をゼロにしようと手を止める。

それがいけなかった。

急激に回していた泡だて器をいきなり完全に止めた瞬間、その反動で飛び散る中身。

先程まで混ぜていた卵黄が、大量に俺達に降り注いだ。

黒潮「…………」

提督「…………」

黒潮「……っ、っく、はは、あははっ!もー!なーにやっとるんや!」

提督「っはは、いや、すいません、止めなきゃなーって思ったら」

黄色く染めた顔を見合わせて、どちらともなく笑い出す。

はー…いや、にしても大失敗だ大失敗。

黒潮「っはは…あー…笑った笑った…で、とりあえず拭かんとなあ、これ」

提督「ああ、タオル持ってきますよ」

黒潮「……ふふ、食材を粗末にしたらあかんし、舐めとってくれてもええんやで?」

提督「なぁっ、舐め!?」

黒潮「なーんて、冗だ――」

…な、舐めていいのか!?ど、どうする俺――――

>>+2

A.…いや、まあ普通にタオル取って来るけどさ。

B.で、では失礼してー。

C.む、むしろ俺の顔についたのを舐めて欲しいです!

B.で、では失礼してー。(*1.5)


黒潮「――やけどな、流石にそないな事はさせんて、じゃ、タオルお願いしようかなぁ」

提督「……」

ごくり。

…よし。

提督「で、では…失礼して」

黒潮「…へ?…わひゃあっ!?」

…とりあえずそのまま顔だけ伸ばして手近な頬を舐めてみた。

生卵の味がした。

黒潮「ちょ、ちょちょちょちょおっ!?何やっとるん!?」

提督「え、舐めました」

黒潮「冗談言うたやん!」

提督「冗談だったんですか!?」

黒潮「当たり前やろ!?」

…珍しく黒潮さんが慌てている。

………まあ、そりゃいきなりほっぺた舐められたらなぁ。

提督「………な、なんかすんません」

黒潮「…い、いや…元はといえば…変な冗談振ったウチが悪い、し」

提督「…と、とりあえずタオル取ってきます」

黒潮「……う、うん…頼むわ」

お菓子作り。

この後はちょっとだけ微妙な雰囲気だった。

…いや。そりゃね、舐めたらあかんですね。はい。



黒潮→  139/500



【7月1週】


敷波「……んー、なんだ、元気になったか」

提督「あ、はい、おかげさまで」

敷波「…そりゃよかった、気を付けろよな、お前も最上も」

提督「うす、心配かけてすんません」

敷波「…し、心配なんて……まあ、したけど、さ」

提督「…ふっふ」

敷波「な、何だよニヤニヤすんなよ!」



大鯨    *37/500
敷波    *81/500
黒潮    139/500
衣笠    174/500
吹雪    250/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ



放課後。

俺は吹雪に呼び出されていた。と言っても、掃除が終わった後の教室なのだが。

吹雪「…あの、提督くん」

提督「どうした、悩みでもあるのか?」

吹雪「あ、えっと、…そういうことじゃないんですけど、聞きたいことがあって」

提督「……?そりゃ、わざわざこんな人の少ない場所じゃないとダメだったのか?」

吹雪「…え、と…はい」

提督「…ふむ、…まあ、わかった、それで?」

……告白、とか言わねえだろうな。

自意識過剰かもしれんが、なんとなくあの時の会長と微妙に被るぞ。

吹雪「…提督くんについて、ちょっと、変なお話を聞いたんです」

提督「…変な話?」

…良かった、違うっぽい。

……いや、…それは良いことなのだろうか。

普通、男子高校生的には告白であった方が嬉しいのじゃなかろうか。

…ま、俺は皆の盾、ナイト系男子だしね。…つーのは置いといて、今は吹雪の話に集中しよう。

吹雪「…提督くんが、昔…えっと、なんか、凄く暴れてた、って」

提督「……あー……」

…なるほど。そういう系の話か。

別に隠してた訳じゃないが、中学の場所自体が横須賀から離れてるのもあって取り立てて話題にもならなかったから今までは放置してた。

…まあ、知ってる奴が一人や二人いてもおかしくはないわな。

吹雪「本当なんですか?」

提督「…んー、まあ…そうだなあ、この前の3人組なんて比じゃないくらいには、荒れてたよ」

吹雪「…そうなんですか」

提督「…別に、隠してた訳じゃないんだけど…話すようなことでもねーと思ってさ」

提督「もしかして、幻滅したか?」

吹雪「あ、いえいえ!そういうんじゃないです!」

ぶんぶんと顔の前で両手を振って、必死で違うとアピールする吹雪。

…?ではどういうことだろうか。

吹雪「…えっと…喧嘩とか、してたんですか?」

提督「…うーん、…まあねー、してたよ」

吹雪「……ですか、じゃあ…えっと、これはただのお願いなんですけど…んーと、ゆ、友人としての」

提督「…?」

吹雪「…もう、そういうことはしないでください」

提督「そういうこと…って、喧嘩か?」

吹雪「…はい、そんな危ない事は、してほしくないです」

言って、にこっと吹雪が笑う。



そして、先程まで振っていた両手で、俺の手を包んだ。

吹雪「私は、提督くんが凄く優しいって知ってます」

吹雪「…まあ、たまにいじわるですけど、たまに」

吹雪「だから、…私は提督くんに、優しいままの提督くんでいて欲しいんです」

提督「…吹雪」

包んだ手に、吹雪が力を込める。

じんわりと、そこから暖かさが伝わってくるような気がした。

吹雪「…・もう、この手で人を殴ったりしないでください」

吹雪「…優しい手で、いてください」

吹雪「……なんて…えっと、ごめんなさい、凄く勝手なお願いです、けど」

吹雪「……ん、と……えへへ、意味分かんないですね、なんか」

吹雪「…なんだろ……とにかく、私は提督くんが…優しい提督くんが…す…す、素敵、だと思いますから」

吹雪「……ぜ、全然纏ってないけど…そんな、感じです」

吹雪「…あ、い、意味が分かんないー!とか、思ったら!正直に言ってくれればっ!」

提督「…・……」

…中学の事を聞いたなら―俺のやったことだって粗方耳に入ってるだろうに。

その上で、…そんな事を言うのか、吹雪、お前は。

…………。


>>+4


A.…わかった、約束しよう。

B.…自衛の為くらいなら…。

C.……意味がわかんないー。

A.…わかった、約束しよう。(*1.5)


提督「…わかった、約束するよ、吹雪」

吹雪「……提督くん」

提督「俺はもう、この手で人を殴ったりはしないってさ」

吹雪の手を解いて、今度は逆に俺の方から手を握る。

驚いたように、吹雪が俺を見た。

吹雪「…じゃあ…」

提督「…まー正直、抽象的過ぎて何が言いたいのかはよくわからんかった」

吹雪「わかんなかったんですかっ!?」

いやだって。

優しい手でいてくださいって。石鹸のCMかよ。ミュー○かよ。

…とは、思ったけども。

提督「…ただ、お前が俺を考えて、想って言ってくれてるってのは…伝わってきたよ、ちゃんと」

吹雪「……あ」

提督「大切な友人にそこまで言われちゃ、聞かないわけにはいかんだろ」

提督「だから―うん、大丈夫、約束するよ、吹雪」

吹雪「………ありがとうございます!勝手なお願い、聞いてくれて」

大袈裟に頭を下げて、また笑う。

だから、俺も笑って言ってやった。

提督「全くだな、何か奢れよ」

吹雪「雰囲気台無しだぁっ!?」

…………。

…勝手なんかじゃない。

吹雪は、多分、何よりも俺を思って―言ってくれたのだと。

わかっていたけれど、それを口に出すのが気恥ずかしくて。

ついつい、そんな照れ隠しをしてしまったのだった。



吹雪→  376/500



【吹雪―その2】


握られた手が、ぽかぽかして。

心の中にまで届いてくるような暖かさ。

「……深雪ー…私さー…」

「…なんだよ、姉ちゃん」

「…ちょろい?」

「はぁ?」

何でだろう―と思った時に、気付きました。

ああ、きっと私は、提督くんが――って。

「…いつの間にか好きになってたみたいなの…」

「…いや、意味わかんねーんだけど」

「…あ…でも、決め手は…あれなのかな」

私を守るように、割り込んでくれた背中。

その時に触れた、優しい手。

「……やっぱりさ、…優しいよね」

「…うん、凄く優しいんだ」

「…だーかーら!何の話だっつってんじゃん!」

「好きっ」

「…………は、はぁっ!?な、何言ってんだ!?何言ってんだ姉ちゃんおかしくなったか!?」

「…あー…うん!口に出したら、スッキリした!」

「私、好きなんだよっ!」

提督くんのことが、いつの間にか。

好きになってたんだ、って。

「ふっふー…うん、うん!」

「おい姉ちゃん!勝手に納得すんなよ!何か言えよ!説明しろよ!」

「…姉が妹に告白しているんだがどうすればいい…っと、スレ立てスレ立て…」



【7月2週】


提督「……あづい」

夕張「…何で私の部屋にいるのかな?」

提督「だってここしか冷房無いですもん、分けて下さいよ」

夕張「……そりゃ別にいいけどさー…結構現金だよね、キミ」

提督「あー…すずしー」

夕張「聞いてないし…ま、いっか、アニメ見る?」

提督「見ます見ますー」



大鯨    *37/500
敷波    *81/500
黒潮    139/500
衣笠    174/500
吹雪    376/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ



衣笠「ひゃっはーっ!」

提督「ぶほっ、もごっ、もががっ」

油断していた。

市民プールで沈められるとは。

この衣笠という女をどこかでなめていた。

提督「ぷはっ!げほげほっ!てめぇ!殺す気か!?」

衣笠「ふっふー、市民プールの女王と呼ばれた衣笠さんと泳ぎに来て、まさか無事に泳げるとでも思ってたのかなー?」

提督「いや、無事に泳がせろよ!」

…夏の日は暑い、そして俺達の高校には水泳の授業もプールもない。

だから市民プールに遊びに行こうと、そんな誘いにまんまと乗ったのが間違いだった。

さっきからめちゃくちゃ遊ばれている。沈められたり投げられたりウォータースライダー排出口に落とされたり。

つーか市民プールの女王って何だよ。何を支配するんだよ。

提督「…あーしんどい」

そんな訳で、すっかり体力が無くなってしまい。

プールサイド、安っぽい色のパラソルで作られた頼りない日陰に身を投げ出していた。

衣笠「ほーい提督、ぽかりー」

提督「…ありがとうとは言わん」

衣笠「む、恩知らずめ」

その体力を奪った張本人プールサイドの女王。

鮮やかな、陽によく映える色の水着を着た彼女は俺の隣に腰を下ろし、何故か笑った。

衣笠「…んーふふ」

提督「…何だよ、いきなり」

衣笠「いや、楽しかったなーって」

提督「そうかそうか、俺は全くだったぞ女王様」

衣笠「素直じゃないなー、もー!」

提督「ほっぺたをぷにるなこの野郎」

衣笠「ふー……でも結構衣笠さんも疲れたよー」

提督「そりゃ、あんだけはしゃげばな」

衣笠「…あのさ提督、気付いた?」

提督「…あ?何がだ?」

衣笠「……ん、と…いつもと違うところ、あったりしない?」

提督「………?」

…いきなり何言ってんだこいつ。

違うところなんて――――


>>+2


A.…ムダ毛?

B.…水着?

C.…髪型?

C.…髪型?(*1.0)


…古来より。

女性を見たらとりあえず髪を褒めろという。

よし、それにあやかってみるか。

提督「…衣笠」

衣笠「!うんうんっ!」

提督「…今日は――」

衣笠「うんっ!」

提督「…素敵な髪型、だな?」

衣笠「……………」

提督「……あ」

…当然といえば当然ではあるが。

さっきまで水に浸かっていた髪の毛は、水を吸って無造作に垂れているだけ。

そこに美意識のような物は…多分無い。

これでせめて衣笠が泳ぐ時に髪をまとめてくれでもしていたら少しは言い訳も出来るのだろうけれど。

このめんどくさがりはそんな事はしていない。

…まあ、なんだ、つまり。

衣笠「違うよぉー!」

外しちゃった。古来より伝わる言葉使えねぇ。

提督「…そうか」

衣笠「水着!新しく買ったんだよぉ!?」

提督「あ、そうなのか?」

衣笠「あのね、これ、この夏の――」

提督「………」

衣笠「店員さんもね――」

提督「………」

そして俺は、間違えた罰としてずっと衣笠による衣笠が着ている水着の説明を聞くことになったのであった、なんのこっちゃ。



衣笠→  213/500



【衣笠―その1】


鈍感鈍感どんかーん。

なーんて心の中で悪態をついてみたって、どーせ提督には届かない。

ほんっと、昔からずっとだよ。

服を買った時にも、髪を切った時にも。

お世辞の一つも言いやしない。

『ああ、そうだったのか』なんて、適当に言うだけで。

「……そこは、昔っから変わんないなぁ」

私達は、色々と変わって。

もう、提督と一緒に馬鹿なこともしなくなったけど。

「…今でもさ、衣笠さんが背中預けられるのは、提督だけだよ」

「提督は―どうなのかな?」

「…衣笠さん以外にも、預けちゃうのかな?」

それを直接訊く程の勇気は無い、衣笠さんなのです。

はぁ。



【7月3週】


最上「海だねー!」

提督「行かねーよ」

最上「なんでっ!?」

提督「つーか勝手に部屋入るなよ」

最上「キミと夕張は男女の境界線超えて部屋行き来しまくってるじゃないか!」

提督「録画してたアニメ放映会がなぁ」

最上「ボクじゃダメなのかい!?」

提督「え、あ、うん」

最上「……こうなったら…また風邪引いてくるっ!」

提督「…ほどほどになー」



大鯨    *37/500
敷波    *81/500
黒潮    139/500
衣笠    213/500
吹雪    376/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ

流石に寝ます
ありがとうございました 



提督「…………はぁ」

「お前さ、ちーっと舐めすぎじゃねーの?」

「だよなあ、この前の事といい、昼といい」

「謝れ、っつってんの?わかる?」

校舎裏。うんこ×3に絡まれている。

あーちくしょう面倒くさいなこの野郎ども。

事の発端は、昼休みにこいつらにこの前の教室での件について謝れと言われて、つい断っちゃったこと。

そしたらば、こんな場所にまで呼び出されてしまった。

ひいい、リンチ待ったなしですやん。こわーい。

「……あのさあ、俺らもそう気が長いわけじゃないよ?」

「つーか、短いぜ?」

「ほら、さっさと謝れって、おい」

提督「…………」

思うんだけどさぁ。どーせこいつらって謝った所で殴ってきそうだよね。

…まあ、それでも謝りますけども。

提督「…ごめんなさい」

「…は?おいおい、ちょっと待てよ、何だそれ?」

「そりゃー謝ってるうちには入らねーよなあ?」

「ああ、馬鹿にしてんのか?」

提督「………」

…じゃーどうすりゃええのん。

ごめんなさいなんて言葉久々に使ったのに。

「…土下座しろって土下座、な?」

提督「…………」

…ああ、そういう日本の伝統重視しちゃうタイプの人達だったか。

あー畜生、だったら見せてやろう伝統芸能ばりの土下座を。

提督「………ごめんなさい」

「…く、くはははっ!おいおい!ホントにやったぜこいつ!」

「プライドねーのかよ!?」

「ぎゃはははははっ!」

…はっは、好きに笑うと良いわ。そいでさっさとこの茶番終わらせてくれ。

「ははは、おらよっ!」

提督「………ぐっ!?」

…と思っていた所に、頭を上から強かに踏まれる。それを許すのは美人のドSさんだけだっつーのに、くそ。

流石に頭が熱くなり始めて、その時、吹雪の顔が思い浮かんだ――


>>+1-5

A.…大人しく、されるがままにしている。

B.………よし、足使おう。

C.ぷっつん。

A.…大人しく、されるがままにしている。(*1.5)


――そうだよなぁ。

約束したもんなあ、吹雪と。

…そんな約束、別に守る必要も無いはずなのに。

それを思い出しただけで、何故か身体から力が抜けていって。

…はあ、とりあえず、急所だけは守ろう―――

―――――――――――――

―――――――

――――

――


提督「いっつー……あー…好き勝手やりやがって、っ、唇切れてら」

…どうにも、適当にうずくまって亀さんガードしていたら、うんこは勝手に満足したようで。

しこたま殴ってから、ボコボコの俺を置いてどっか行った。

提督「……いてぇ、起き上がれん」

急所を守ったとはいえ、あれだけの暴力に晒された身体は中々にボロボロで。

痛みのために、俺には転がって空を見上げるくらいしか出来なかった。

提督「…空青いなー…」

校舎が切り取った四角い空は、夏らしく、どこまでも澄んでいて。

久々に殴られて転がったなぁ、なんて事を思った。

吹雪「て、…提督くんっ!?」

そんな時、声がした。

その声の主は、バタバタと足音を響かせながら俺の側に寄ってくる。

吹雪「酷い怪我…だ、大丈夫ですかっ!?」

提督「…おう、見た目ほどには酷くねーぞ、少なくとも致命的な致命傷はない」

吹雪「あ、頭まで影響が!?」

…あ、通じなかった。夕張さん通じないじゃないですかこれ。

提督「…にしても…吹雪、何で此処が?」

吹雪「あ、あの人達が、さっき、廊下で提督くんの事話してて、それで、急いで…」

提督「…なるほどなあ」

吹雪「……抵抗、しなかったんですか?」

提督「そんなことまで話してたのか?」

吹雪「…は、はい…大声で、あいつはずっとうずくまってるだけだった、って話してました」

提督「…武勇伝語りたい年頃なんだねぇ、なんとも」

吹雪「……も、もしかして、私が言ったことのせい、ですか…?」

提督「……ん、まあ、だいたいはな」

吹雪「…あ、…え、…その」

提督「…でもさ、『せい』じゃねえよ、『おかげ』だ」

吹雪「え?」

提督「吹雪のおかげで、あいつらを殴らずに済んだ」



提督「…俺も、ちょっとは進歩出来たんだよ」

提督「何でも暴力で解決してたあの頃とは違うんだって、…うん、胸を張って言えるね」

提督「なんたって、ここまでされて何もしなかったんだからな、えっへん」

吹雪「…提督くん」

提督「…んで、それをさせてくれたのは、お前の言葉だ」

提督「あれがなかったら、多分キレてた、昔みたいに」

そうだ。

敷波さんに助けられて、色んな事を学んで、折角まともみたいになって。

今まで積み重ねてきた物を―全部、壊す所だった。

一度くらい、自衛の為に、そんなことは関係ない。

殴ってしまったら、手を出してしまったら、確かにあいつらは倒せるだろう。

でも、きっとそこで終わらなくなる。…なにせ、あいつらがそこで終わらせるとは思えない。

戦いは、始めるのは簡単で、終わらせるのは難しい。

あいつらが俺を恨んで、もし他の奴の手を借りるような事態になってしまったら。

その時俺は、一体いつまで戦い続ければ良いのだろうか。

そりゃ、これはただの可能性の話でしか無いが。

それでも―うん。殴られてそれで終わるんなら、それでいい。

だけどさっき、そんな事を忘れて、俺は殴りかかる所だった。

しなかったのは―吹雪の、目の前のこいつのおかげ。

吹雪「…私の言葉」

提督「……ああ、お前が言ってくれたから、踏みとどまれたんだ」

誰でもいいってわけじゃない。教師に言われても、親に言われても、そんな物が心に響きはしない。

吹雪が、俺の事を想って言ってくれたあの発言だったから。

打算なんて無い、底抜けに優しいあの言葉だったから。

提督「…なあ、吹雪」

吹雪「……な、なんですか?」

転がったままの、きっと非常にかっこ悪い態勢。

視界に映るのは切り取られた空と、心配そうに俺を覗き込む吹雪。

…それを眺めていたら、何故だろうか、変なことを言いたくなった。

提督「……好きになってもいいか?」

吹雪「……………ふえっ!?」

覗き込んだ彼女の顔が、途端に赤く染まる。

こいつの優しさに、もっと甘えたい。

そんな事を思ったら、勝手にこんな言葉になってしまった。

…やだ俺ポエミー。

吹雪「え、とあ、えっ!?」

視界の真ん中で、吹雪の頭が揺れる。

そのさながら状態異常混乱といった動きは、俺の言ったことの意味を理解しかねているようであった。



吹雪「……っ、え、と、えー…あー…」

ふぶきはこんらんがとけた。

次第に揺れが治まってきて、しっかりとした思案顔になる。

それからややあって、彼女はにっこりと笑った。

吹雪「…ダメですっ!」

提督「…………」

……振られた。

…見事なまでに失恋した。

しかも満面の笑みで断られた。ああ、空青い。空青いよぉ。

吹雪「だって、…それは、私から言いたいですから!」

提督「………え」

……振られてなかった。

やったぜ神様、空が青いぜひゃっほう!

吹雪「だから―提督くん」

吹雪「…好きになっても、いいでしょうか?」

俺の言った言葉のまま、変わらぬ笑顔で彼女が返した。

そんな彼女はそわそわと少しだけ身体を揺らして、俺の言葉を待っている。

…ふ、と釣られて唇が歪む。

紛らわしいことしやがって、この馬鹿。

提督「……やだ」

吹雪「ええっ!?」

提督「…だって、俺から言いたいし」

吹雪「何でまた私と同じ事言うんですか!?子供ですかっ!?」

提督「…つーことで、好きになっていい?」

吹雪「しかもラフだぁ!?言い方超適当だぁ!?」

ツッコんでから、視界の真ん中の彼女が大きく溜息を吐いた。

その彼女と目が合って。

「………ふっ」

「……あははっ」

どちらからともなく、笑いが漏れた。

身体は非常に痛かったけれど、心の中は暖かくて。

きっと、答えなんて、わざわざ言う必要も無かったのだ。



吹雪→  415/500



【吹雪―その3】


「…………ふふっ」

漏れだす笑いが、止められない。

なんだろう、事あるごとに、提督くんの事を思い出してにやにやしてしまう。

「……ふふふっ」

「…おーい姉ちゃん、最近おかしいぞ」

「ね、深雪」

「んだよ?」

「えへへ、なんでもない」

「………?」

心が跳ねて、身体が踊って、自然と笑顔になって。

これが、恋なのかな。

ふふ、そっか、きっとそうなんだよね。

皆が良いって言う気持ちが、わかったかも。

「ふふっ」

「…まーじでどうしたんだよ、姉ちゃん」

「ひみつっ!」

でも、いつか深雪にも紹介すると思うから―

その時に、驚いてね?

はぁ、提督くんに会いたいなぁ。

早く明日にならないかなぁ。

ふふっ、学校、楽しみだなぁ。



【7月4週】


衣笠「…提督、何その傷」

提督「転んだ」

衣笠「…嘘付かないでよ、それで衣笠さんに隠せると思った?」

提督「…まあそうだよなぁ…殴られたんだよ」

衣笠「誰に」

提督「通りすがりのうんこ」

衣笠「……誰に」

提督「…いいから、そういきり立つな、折角の美人が台無しだぞ」

衣笠「…教えてよ」

提督「……大丈夫だから、な?」

衣笠「……そう、わかった、諦める」

衣笠「…でも、それ増えてたら…その時は、衣笠さんちょっと本気出すから」

提督「ああ…そんなことがないように祈っとくよ」

提督「…ありがとな、心配してくれて」

衣笠「……ん、いいよ」



大鯨    *37/500
敷波    *81/500
黒潮    139/500
衣笠    213/500
吹雪    415/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ

いつも遅い時間でごめんね、ちょっと眠気覚まし風呂
吹雪が多分過去最短で駆け上がってるんだけど何この子

再開しやす
せっかくの連休だしね、行けるとこまでいく




提督「…黒潮さーん」

黒潮「うん?」

提督「…あ、いえ…えと、いいんすか、部屋入って」

黒潮「うん、ええよええよ、気にせんで、ほら、座り座り」

提督「は、はいっ」

…黒潮さんのお部屋、初めて入った。

というか女子の部屋初めて入った。

…夕張さんと衣笠は…除外、アニメ鑑賞仲間と変なのだから。

いや、というのもアレである。

『黒潮さん、確か、高校の時の参考書取ってるって言ってましたよね?』

『おー、あるでー』

『貸してくれないですか?』

…そうしたらば、なら折角やしどれがいいか選んでや、と招待されてしまったのだ。

ふむ、別に全然ピンク色な理由ではない。

それに…俺には吹雪が居るのだ、ピンク色な理由だったら断っている。

…だって、吹雪が一番だし…へへへ、あー…すげーバカップル思考、でもいいじゃん、うん。

黒潮「なーにニヤニヤしとるんや?」

提督「…おっと失敬、いえ、何でもないです」

黒潮「ははーん、お姉さんの部屋に入れて嬉しいとか?」

提督「はは、そうかもしれないですね」

黒潮「あら、なんや、全然動じんなあ」

提督「ふふ、まあ色々ありまして」

下心が無ければ、そんな誂いには動じない。

今の俺は大きな余裕を身につけているのである。

黒潮「そんなら、さっさと探すからちょっと待っとって」

提督「うっす」

言うと彼女はしゃがんで押入れの中に入って、あれやこれやとかき出し始めた。

…結構押入れの中は汚いのな。

提督「……!?」

…が、それが問題だった。

黒潮さんの今日の服装はスカート。

それが四つん這いのような姿勢でしゃがみ、此方に尻を突き出しているものだから色々とヤバい。

……いかん。これはいかんぞ、下心が目を覚ましてしまう。

俺は――



>>+2

A.…く、黒潮さん、スカートが。

B.…目を逸らす。

C.……じー………。

A.…く、黒潮さん、スカートが。(*1.5)


…ふっ。

まあ、並みの男子高校生ならガン見してしまうだろうね。

だが…俺は違う。

提督「…く、黒潮さん」

黒潮「んー?あ、ちょいまってーな、もうそろそろ」

提督「…えっと、その、スカートが」

黒潮「…え?……わっ!?」

慌てて押入れから飛び出し、スカートの裾を押さえる。

黒潮「…み、見た?」

提督「……はい」

黒潮「……そ、そうよな、そりゃそうやね」

黒潮「………」

提督「………」

黒潮「…あ、あはは!や、やっぱ、うん!持ってくわ!夕飯の時間に!そん時選んでや!」

提督「え…はい、わかりました」

黒潮「ご、ごめんなー」

提督「いえいえ!貸してもらえるだけでもありがたいですから!」

黒潮「あはは、そう言って貰えると助かるわー……はぁ」

…紳士な俺は、こうしてまたイケメン度を上げた。

……しかし、やはり勿体無い事を…ごほんごほん。




黒潮→  166/500




【8月1週】


衣笠「怪我、治ったね」

提督「元々大した傷じゃねえよ」

衣笠「それでも、良かった!」

提督「…おう、ありがとよ」

衣笠「はぁー…ホントは、衣笠さんがやった相手見つけ出してボコボコのグチャグチャにしてあげたいんだけど」

提督「ボコボコはまだしもグチャグチャってなんだ、おい」

衣笠「…むー…言ってくれない?」

提督「いや、相手が不憫だからやめとく」

衣笠「……衣笠さん、信用されてない?」

提督「…ちげーよ、お前にそんな事させたくないの」

衣笠「…提督」

提督「……だから、気にすんな」

衣笠「……へへー」

提督「何笑ってんだよ」

衣笠「なんでもなーいっ」



大鯨    *37/500
敷波    *81/500
黒潮    166/500
衣笠    213/500
吹雪    415/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ

やばい、やっぱり眠い
風呂に入った意味とは
ここまでにさせてください、ありがとうございました
明日はちょっとできるかわかりません

始めていきます
パイの実美味しい




提督「……ふむぅ」

黒潮「んでなぁ、これは――」

インザ黒潮さんルーム。二回目。

今回の用件は勉強を教えてくれ、である。

頼んでみたら、これまたウチの部屋にどうぞと招待されてしまったのだ。

…というわけだ吹雪、ごめん。

と、何故か少し吹雪に後ろめたい気持ちを覚えた。

だってまだ吹雪の部屋どころか家にも行ったことないし、うぐぅ。

黒潮「…提督くん?」

提督「ああ、…すいません、少しぼーっとしてました」

黒潮「こーら、しっかりせな」

提督「はい、…もう一度、お願いしていいでしょうか?」

黒潮「うん、今度はよく聞いとくんやで?」

提督「うっす」

それからは、しっかりと机に向かった。

部屋には、カリカリという音と黒潮さんの声だけがしばらく響いて。

始める前は昇りかけだった太陽が、すっかり空の真ん中に達したくらいで、やっと俺は一息をついた。

提督「いよーっし、単元終わりっ!」

黒潮「おつかれさーん、はぁ、あっついなぁ」

提督「ですねぇ…扇風機だけでは厳しいです」

あっついあっつい、と黒潮さんがシャツをパタパタと―うっ!?

……いかん、いかんぞ、今ちょっと胸の辺りにこう…布地が見えた。

…あーうあ、なんぞそんな視線釘付けの魔力を込めた動きをするのか。

…落ち着け、落ち着け俺。

少し汗ばんだ肌もまたグッド…じゃねえよ、じゃねえんだよ俺。

……ぐう――――――


>>+4


A.ちょ、ちょっとくらいなら見ても…。

B.…黒潮さん、飯の時間ですよ、そろそろ。

C.…まあ、向こうが勝手にやってるんだしいいか。

B.…黒潮さん、飯の時間ですよ、そろそろ。(*1.5)


提督「…黒潮さん、飯の時間ですよ、そろそろ」

黒潮「ん、ほんまやなぁ、良い時間やね」

その言葉に時計を見て立ち上がり、思いっきり背伸びをした。

黒潮「くぁー、ひっさびさに勉強なんて教えたわぁ」

提督「にしては、凄くわかりやすかったですけど」

黒潮「そう?そう言ってくれたら嬉しいわぁ、ありがとな」

提督「いえいえ、此方こそ」

黒潮「……うーん、提督くんってさぁ」

提督「…はい?」

黒潮「結構、真面目よね」

提督「……真面目、っすか?」

黒潮「うん、…なんつーか…ちこーっと、ウチ、色々やって提督くんを誂っとったんやけど」

提督「……え?」

黒潮「あはは、ごめんごめん、悪気は無かったんやで?」

ただ提督くんの反応がおもろくてなー、と続ける。

…待て、じゃあ今までのアレ、全部わざと――なのか?

黒潮「…あ、こん前のあれは別やで、別」

提督「……ああ、慌ててましたもんね」

黒潮「…う、うん…まあ、そういうわけやったんやけど」

黒潮「提督くん、結構紳士よなぁ、って思ったんよ」

提督「…いやいや、…つーかですね、そんな手を出すとかそういう勇気がないだけです」

提督「それに…今は、彼女も出来ましたし」

黒潮「え?…提督くん、彼女さんおったん?」

提督「はい、最近ですけど…あ、写真見ます!?」

黒潮「…あ、いや…遠慮しとくわ、…そんならなんか悪い事したなぁ」

提督「…まあ、良いことではないっすけど」

黒潮「とりあえずお昼急ごうか、敷波さんが呼びに来る前に揃っとこーや」

提督「うーっす」

…ふーむ。

今までは、見事に誂われていたのか。

…だとしたら、途中まで黒潮さんの思う壺だったのかぁ…ぐぅ。




黒潮→  200/500

前回200じゃ書かなかったとか言ってたけど実は書いてたのよね、暁で
でも言っちゃったもんはもう書かずに言っちゃおうかなと思ったけどなんか気持ち悪いから200とか300とかピッタリでもこれからは書きます
本音はその2(300)と被る確率が高いから書かないと困る


【黒潮―その1】


一目見た時に。

なんや可愛い子やなぁ、って思った。

ま、もがみんも可愛いっちゃ可愛いんやけどねぇ。

あれとは違って…なんやろ?

照れた顔とか、焦った顔とか、凄く可愛いなぁって。

勿論、喜んだ顔も真剣な顔も可愛いけど―って言ったら、怒るやろか?

…とにかく、そんなわけで。

柄にも無く色仕掛けで誂ってみたりして。

…ただ、舐められたり下着丸出しだったりしたりした時は…焦ったわぁ。

もしかしてウチは年下にそういうことをするのが好きな性癖なんやろか…。

…微妙に認めたないわ、それ。

………にしても。

…彼女、おるんかぁ。

……うーん。

ちっとだけ、もやもや。



【8月2週】


夕張「……ううっ…ぐすっ…」

提督「………くっ、…何度もやってるはずなのに…」

夕張「…やっぱり良いわね…FF10」

提督「……にしても、何故今更」

夕張「いや、HDリマスター版買ったのよ」

提督「あー、なるほど」

夕張「…でも私、初回プレイの時、ラスボス一撃でノシちゃったのよね」

提督「……うわー、感動が台無しだぁ」

夕張「…だってゲーマーだもん、色々極めていきたいもん」

提督「…まあ、わかりますけど…クリア後にやったら良かったんじゃ?」

夕張「いつの間にかクリアが後回しになっちゃってたのよねー…」

提督「ああ…そういう」




大鯨    *37/500
敷波    *81/500
黒潮    200/500
衣笠    213/500
吹雪    415/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ



提督「……敷波さん、これでどうっすか?」

敷波「……ん、ちょい待って……おー、うん、大丈夫」

提督「…ですか、良かった」

いつもお世話になっている敷波荘。

その見返りが家賃だけというのは、なんとも淋しいものがある。

というわけで、俺は敷波さんにお手伝いを申し出た。

そして掃除を申し付けられたは良いが―やはり敷波さんは真面目である。

こうして、掃除した後直々にチェックを入れてくるのである。

…うーん、これだとあんまり休めないんじゃないかな、敷波さんも。

提督「…なんか、すいません」

敷波「へ?…どしたよ、いきなり」

提督「…いや、逆に気を遣わせちゃってるみたいで、なんか」

敷波「あー……」

それに、敷波さんは途端にバツの悪そうな顔をする。

そしてしばらく悩んだ後、俺を見ないで言った。

敷波「…別に…提督の仕事を信用してないって訳じゃないんだ、けど…こういうの、自分でチェックしないと落ち着かない質だから、その」

敷波「…えっと、だから、だからな?…休めてない訳じゃないし、提督の申し出は嬉しかったし…えー…なんだ、…ああもう」

敷波「………と、とにかく!……提督には、感謝してるから…そういう事、言うな」

一気にそう言って、今度は視線だけではなく顔まで横に向けた。

…はは、なんとも敷波さんらしい、と。

それに、少し笑いがこみ上げてくる。

敷波「な、なんだよ!笑うなよ!」

提督「…やっぱ敷波さん、俺より一回りも上には見えないですよ」

敷波「うっさい!」

顔は相変わらず明後日の方向を向いたままだ。

…この人の優しさは、吹雪のひたすらに真っ直ぐな優しさとは違って…少しだけ、不器用な優しさだ。

だけど、だからこそ…俺の事を考えてくれているって、伝わってくる。

…この人に会えて、良かった。

それを、…伝えたいな、なんて思って。

俺は――――


>>+4


A.…敷波さん、ありがとうございます。

B.………恥ずかしいっ。

C.…お、顔赤いっすよ敷波さーん。

A.…敷波さん、ありがとうございます。(*1.5)


提督「…敷波さん、ありがとうございます」

敷波「…な、なんだいきなり」

その思いのまま頭を下げてみると、敷波さんの何か慌てたような声が聞こえた。

顔は見えないが、きっと声以上に慌てているんだろうな、なんて思うと、また笑みがこみ上げてきそうになる。

それを抑えて、続けた。

提督「俺は…貴女に会えてよかった」

敷波「……は、はぁ!?な、何言ってんのさ!?」

提督「あの時貴女に会えて、本当に良かったです」

敷波「…こ、この前も言ったけど、やめろってば!」

提督「…いえ、お願いです、言わせて下さい」

敷波「……提督」

提督「……いや、柄じゃねーってのはわかってるんですけどね」

提督「…それでも…言葉にしたかったんです」

提督「ほら、思ってるだけじゃ何も伝わらないって言うでしょう?」

敷波「………何でお前は、飯食わせて介抱しただけでそんなに恩に感じるんだよ」

提督「…俺の親、俺に興味が無かったんすよ」

敷波「…………」

提督「だから…風邪引いても放ったらかしで…手料理とか、まあ、不味かったっすけど、数えるほどしか食ったこと無かった」

提督「……なんかこういうの不幸自慢みたいで言うの嫌だったんですけどね、はは」

提督「まあとにかく、俺は…本当に、生まれて初めてだったんです」

提督「…あんなに、優しくされたのは」

提督「え、と…だから――」

敷波「もういい」

提督「…あ」

敷波「…もういいよ」

…あー…なんだろ、ヤバいなぁ、いらんこと語りすぎたか。

…もしかして、不幸自慢に聞こえたのかもしれないなぁ。

機嫌、損ねちゃったかな。

そんな時、俯いた敷波さんが、耳を澄まさないと聞こえないような大きさで言った。

敷波「……夕飯」

敷波「…お前の好物、作ってやるから」

提督「……え?」

敷波「…そんだけ、掃除、ありがと」

提督「………」

提督「……は、はいっ!」




敷波→  118/500



【8月3週】


吹雪「おはよございます、提督くん」

提督「おはよう吹雪!会いたかったぞ!」

吹雪「は、はいっ!わ、私も…会いたかったです…」

提督「…ははっ、おんなじだな」

吹雪「…ふふっ、そうですね」

提督「……お?…というか、なんか今日、凄いアレだな、お洒落してる感じだな」

吹雪「…わ、わかりましたかっ」

提督「…うん、いつもにまして…なんつーか、可愛い」

吹雪「……か、かわ……あ、ありがとうございましゅっ」

提督「………ぷっ」

吹雪「笑わないで下さいーっ!」




大鯨    *37/500
敷波    118/500
黒潮    200/500
衣笠    213/500
吹雪    415/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ



大鯨「と、言うわけで…今日から生徒会庶務となりました、提督くんです」

提督「……ど、ども」

「…………」

「…………」

何だお前、と鋭い視線が突き刺さる。

結局、あれやこれやの手続きをしている内に、今日―つまり新学期にまで庶務の話は持ち越され。

本日始業日、やっとこさ生徒会庶務としての一歩を踏み出したのであった。

そして、その挨拶。

生徒会室の空気が最悪なのですがどうすればいいでしょうか。

「…色々聞きたいことはありますがが…まず、会長」

大鯨「は、はいっ」

「……何故僕らに知らせずにこの話を進めたのですか?」

大鯨「…そ、それはー…え、えっと、急な話で」

「生徒会役員一人の承認だけで庶務になれるというのは理解しました、しかし…本当にそれで通ると思ったのですか?」

大鯨「…き、規則的には…通ります」

「…この空気が何よりの証拠です、皆、歓迎などしていません」

大鯨「……う、…ぁ」

副会長眼鏡太郎(仮名)が会長を容赦なく責める。

…いやさー、流石にそこまで言うのはどうなのよ。

俺も確かにえ?話通してなかったの!?って思いはしたけど。

こんなか弱そうな子をよってたかってさー、他の人も何か言ってあげたらいいのに。

「僕らは、会長はしっかり仕事をしてくださる方だとは認識しております…しかし…」

「…流石に…いきなり新しいメンバーとか言われても…困るって言うか…」

「…だよねぇ」

ああ、どんどん大鯨さんが縮こまっていく。

…うーむ――――


>>+4


A.…ま、うん、俺のせいじゃないし。

B.…助け舟を出してあげようか。

C.よし、ここは俺に注目を集めさせよう!

B.…助け舟を出してあげようか。(*1.5)

…しゃーない。なんとかしよう。、

しかし…えーと、どうすりゃいいんだろ。

…大鯨さんに矛先が向かない、かつ皆が納得出来るような理由。…あるか?

……あ。

…一つ浮かんだ。…でも実行したくない。絶対やだ。

「…会長、何とか言って下さい」

…と思っている間にも鬼畜眼鏡五郎は大鯨さんを責める。

大鯨さんがびくっと身体を跳ねさせた。

……あー畜生、わかった、わかったやってやるよ。

世のため人のため可愛い女の子の為のナイト系男子だからな。俺が悪者になってやるよこのやろー。

提督「…んんっ!」

大きく咳払い。視線を全て、こちらへと向かせる。

提督「あーお前ら、何だ、さっきから大鯨責めてるけどさぁ、何やってんの?」

大鯨「て、提督くん…?」

大鯨さんに視線を送って黙って下さい、と目配せする。

…理解したかどうかは微妙だったが、とりあえず口を噤んでくれた。

「…何だね、キミは」

提督「いやいや、そんなもん真面目な大鯨が答えられる訳ねーからよ、代わりに答えてやるってんだ」

「……ちっ、…早く言え」

提督「おー怖い怖い、いやな、俺さぁ、大鯨に告白したんだけどよー、…振られてさ?」

大鯨「……っ!?」

ものすっごいびくうってした大鯨さんにお願いですからそのまま俯いて下さい、ともっかいアイコンタクト。

それから彼女がちゃんと下を向いたのを確認して続ける。

提督「でもさー、一緒にいた時間が足りねーとか、そんな訳で振られたんよな」

提督「で、どうすりゃいいか俺なりに考えてたら…生徒手帳に書いてたんだよね、この方法」

提督「やー、『頼み込んだら』、大鯨、簡単に頷いてくれてさ?」

提督「まーそういうわけっす!生徒会活動とか全然できねーっす!よろしくっす!」

「な、…キ、キミは…馬鹿にしているのかっ!」

提督「いんやいんや、真面目も真面目、大真面目っすよ!言われたことはやります!」

「ふざけるな!会長を脅して…なんて、この件、教師に掛けあってやる!」

提督「はは、誰も脅したなんて言ってないっすよ、ねえ、かいちょー?」

大鯨「あ、う、うん!そうです!私が…わ、私が頼みました!…えへへ、提督くんったらあんなに嫌がってたのに実は――」

「……キミはっ…!」

鬼畜眼鏡以下その他生徒会役員、俺に怒りを燃やす。

よし、大鯨さんの後半の意味わからない呟きは誰も聞いてないな、セーフセーフ。

提督「まーそんなわけで、よろしくーっす!」

…こうして、ボクも生徒会役員になりました!誰か助けて!

ナイトを助けてくれる人はいない、そんなお話。世知辛ぇ。


大鯨→  *60/500



【8月4週】


提督「………」

最上「あんさー」

提督「…ん」

最上「何でそれボクに相談したの?」

提督「…話せる奴が思いつかなかった」

最上「吹雪ちゃん?だっけ、に相談したらいいのに」

提督「……怒られそうだったから」

最上「…子どもかい、キミは」

最上「……ま、信頼されてるっていい方向に受け取っていいのかもね」

最上「そうだねぇ……はっきり言うけど、バカだと思うよ」

提督「だよなぁ」

最上「全方向に良い人気取って、全部抱え込んで、そんなんでやってけるわけないじゃん」

提督「…別に、そんなつもりは」

最上「…ああ、気取ってない分、もっと質悪いか」

最上「アレだね、昔悪いコトやってた反動?」

提督「…さぁなぁ」

最上「…そ、ならいいや」

最上「……ま、そんなキミだから惚れたんだろうね、ボクは」

最上「またなにかあったら、相談してね…あ、お風呂一緒入る?」

提督「…やーだよ」

最上「…ツッコミ弱いなぁ」



大鯨    *60/500
敷波    118/500
黒潮    200/500
衣笠    213/500
吹雪    415/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ


さて、色んな悩みはありますが。

しかし、それらは全て簡単に消えます。

そう、吹雪がいれば!

提督「あー…吹雪可愛いー」

吹雪「…ボキャブラリーが貧困ですー」

昼休み、中庭、ベンチ、ひざまくら。

…ちょー癒される。最高。

…はあ、こんなに癒やしを求めるのも、渦中の悩みについて、だ。

先週のお話は、勿論生徒会役員達に外部に漏らさないように釘を差しておいた。

大鯨先輩を引き合いに出すと簡単に言う事聞くからなあいつら、どんだけやべーんだよ大鯨先輩。

…ただ、あの後しっかり説明しておいたが…俺はやはり先輩とは付き合えない。

…としっかり改めて断ったのだが…聞いてたんだろうかあの人、どうも不安だ。

…ま、聞いてただろう、返事もしたし。

そしてその理由は単純、だって吹雪がいるから、である。

提督「この微妙に肉付きの悪いひざまくらが眠気を阻害してくるから目もパッチリで最高だな!」

吹雪「何で今ちょっと悪口混ぜたんですかっ!?」

提督「その吹雪の反応が可愛いからー」

吹雪「………ちょっとウザいです」

提督「…だよねぇ、ごめん、浮かれてた」

吹雪「………何かありましたか?」

提督「ん?」

吹雪「…少し、変だなーって」

提督「…別に、何も無いよ」

吹雪「……そうですか?…何かあったら言ってくださいね、お願いだから」

提督「…ありがとよ、吹雪」

膝でごろごろと頭を転がしてみる。

吹雪の匂いがして、何というか幸福だった。

吹雪「ちょ、や、くすぐったいですよぉ」

提督「…はっは、止めたければ止めてみなさい」

吹雪「むー…えいっ!」

…と言ったら、転がしていた頭を本当に止められた。

丁度真上、吹雪の顔の辺りを向いたままの顔を、両手で挟むように。

提督「………」

吹雪「………」

きっちり向かい合った俺達の顔は、少し伸ばせば届いてしまうような距離で――


>>+4

A.…そのまま、近付ける。

B.…そのまま近付けようとして――乱入者。

C.…は、離せよー…。

A.…そのまま、近付ける。(*1.5 ED解放)


そのまま、近付けて。

唇が触れた。

その瞬間、吹雪の事しか、吹雪の感触しか、感じられなくなって。

吹く風も、騒がしい校舎の喧騒も、何もかもが遠くなって。

まるで世界に、吹雪と二人きりであるかのように。

吹雪「………」

提督「………」

一体どれだけ触れ合わせていたのだろうか。

その感触が、離れていく。

世界が、再びうるさくなった。

提督「……お、おいっ!?」

吹雪「な、なんですかっ!?」

提督「な、何だ今の!?」

吹雪「じ、事故じゃないですかっ!?」

提督「事故なのか!?」

吹雪「か、かもしれないです!」

提督「…じゃ、じゃあ…いい、のかな」

吹雪「…は、はい…良いと…思います」

…そして。

そういうことになった。

そんな、幸せな昼休み。




吹雪→  500/500



【9月1週】


提督「ふふふーん」

衣笠「……ご機嫌だねー」

提督「おう、俺は…愛を知ったからな?」

衣笠「…へん、良かったねー」

提督「何だ何だ、羨ましいか?」

衣笠「…うん、羨ましい」

提督「そっかそっか、素直でよろしい!」

提督「ま、お前も早いとこ見つけるこったな!幸せを!」

衣笠「……吹雪さんが、羨ましい」

提督「…ん?なんて?」

衣笠「…んーん、そんなもん提督に言われなくたって、衣笠さんなら男の一人や二人かーんたんに見つけてあげます!」

提督「お、言ったなこいつ、…期待してるぞ!」

衣笠「……ありがと」




大鯨    *60/500
敷波    118/500
黒潮    200/500
衣笠    213/500
吹雪    500/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ

凄えな、理論上多分最短で駆け抜けた
つーか00って何なんすかね
気を取り直してキャラ安価いくよ、うん

17週目

一人目>>+4

阿武隈(幼馴染)

二人目>>+4

58(幼馴染)
幼馴染量産型

三人目>>+4

磯波(幼馴染)
何人居るんですかね…

4人目>>+4

摩耶(幼馴染)
えぇ…

ラスト直下

阿武隈(幼馴染)
伊58(幼馴染)
磯波(幼馴染)
摩耶(幼馴染)
野分(親友)

なんとも言えない
少しマンネリ感あるのでしょうかね、そろそろ畳む事を考えた方が良いのかもですね
まあその時はちゃんと宣言します
それではこの辺で、プリケツちゃん可愛いです



【エピローグ】


「申し訳ない、…此方の確認不足だった」

「……あ、いえ、えと…いいっす、別に」

放課後の生徒会室。

鬼畜眼鏡三郎に頭を下げられていた。

理由は簡単。

大鯨さんが全部ゲロった、もとい自分でペラペラと話してしまったからである。

あの後、どうにも我慢できなくなった次郎は、しばらく悩んだ後、教師に相談した方がいい、と大鯨さんに勧め。

その結果、彼女の話を聞かされ、持ち前の理解力で全てを理解したらしい。

「…つーか、…まあ、大鯨先輩庇おうと思ってたとはいえ、そもそも俺が言った事が皆を混乱させただけなんで」

「…それも……確かにその通りではある、か」

何故あんな面倒くさいことを―と眼鏡又三郎は問う。

今考えてみると、かなり自己満足的かつ女の子救う俺かっけーという自己陶酔的な行動である。

「…そっすね、それも、わかっちゃいましたけど」

「でも……ええ、それでも、あの時の大鯨先輩を放っておけなかったんすよ」

「………っ」

眼鏡一号の隣に、まるで受刑者のように縮こまって控えていた会長が身体を跳ねさせた。

そして一瞬だけ俺を見て、すぐにその視線を外す。

「…はあ、それはどうにも…僕には理解出来ないな」

「……求めてねーっすよ、自己満足です」

「……そうか、…で、…庶務の仕事だが…規則的に、籍を今から外すわけにも…」

「ああ、大丈夫です、仕事しますから」

「…いいのか?別に籍だけ置いておけばそれでも…」

「いーっすよ、どうせ暇ですから、年中」

「……そうか、…すまないね」

「いえいえ、だいたいは俺の決断のせいですから、何も貴方が謝る事は」

「…いや…元はといえば、会長の暴走に気付かなかった僕が悪い」

「それに、あの時も全く君の演技にしてやられたしね」

「……嫉妬、なのかな」

「…?何か?」

「ああいや、なんでもないんだ」

言って、眼鏡をクイッと上げる。

おお、まさに鬼畜眼鏡九十九に相応しい仕草。

…つーても、こいつだって話してみりゃ案外普通の奴だったが。

「…とりあえず、今日の仕事は無い、僕はこれで帰るが…」

「すいません、ちょっと…会長とお話させてくれませんか?」

「…わかった、生徒会室の鍵は閉めるようにな」

「うっす」


姿勢良く歩いて、生徒会室を後にする眼鏡。

気持ち悪いくらい物分かりが良い。

まあ、別にそりゃどうでも良いか。

「…えっと、大鯨さん」

「……ご、ごめ、…」

「あ、いえ…それは良いんです、半分以上俺の責任なので」

「…それじゃなくて、聞きたいことは別です」

「……は、はい」

思い切り下げかけていた頭を中途半端に上げて、上目遣いで大鯨先輩が俺を見る。

何この可愛い生物、じゃなかった。こほん。

「…先輩は、何で俺を好きになったんですか?」

「…………」

頭が、上がる。

彼女の顔は、少し寂しそうで、悲しそうだった。

「……そっかぁ」

「…やっぱり、覚えては…無かったんだね」

「…はい、心当たりは…ありません」

その言葉に、瞳の奥に込められた悲しさが濃くなる。

けれど、彼女は無理矢理に笑顔を作った。



「……何でも、ないんだよ、…ただ、好きになっただけ…」

「…うん、なんでも…ないの…」

「…会長」

「…………返事、…もう一回だけ、聞かせてくれるかな?」

「………」

今度は、俺が俯く番だった。

そんな俺を見て、先輩が溜息を吐く。

「…何で言いにくそうにするのかなぁ、もう」

「……そんなことされたら、その先、わかっちゃう…」

後半になるほど、その声は小さくなって。

そのまま彼女は膝から床に崩れた。

「…か、会長?」

「……今日のお仕事は、終わりです」

「…また、明日の放課後に」

「………はい」

返事をして、背を向けた。

あの姿を見ないように。漏れる声を聞かないように。

…これは、俺が選択したことだ。

…だから、後悔はしない。

両手で目のあたりを押さえる大鯨さんが。

生徒会室の扉を閉める前、チラリと映った。

「………ごめんなさい」

意味は無い。

誰も聞いていない言葉。

それは、校舎の外から聞こえる運動部の掛け声に混ざって消えた。

勿論、大鯨先輩に届くことなどあるはずも無く。


「…ん、おめでとう」

「……へん、おめでとー、提督」

「おめでとー!あ、吹雪ちゃんアニメとか興味ある?」

「…ボクは認めないからね!?」

「おめでとさん、提督くん」

「おめでとうございます、提督さん」

「うおー、おめっとー、提督」

何故か食卓の上座に置かれた俺達二人に向かって、濃い住人たちの挨拶が一斉に飛んできて。

吹雪は少しだけ面食らい、曖昧に笑った。

夕張さんによると今日は「提督と吹雪ちゃんカップル成立記念おめでとうパーティー」らしい。

恥ずかしいから本当にやめて欲しい。

本当はただ、敷波さんに彼女を紹介しに来ただけだったのに。

いつの間にか、こんな大事になってしまった。

「…にしても、提督も案外隅に置けないね」

「…敷波さん、誰に言ったんですか」

「……いや…こんな大事になると思っちゃ無かったんだよー、本当にな」

「……はぁ…此処の住人舐めてました」

「…ま、騒ぎたいんだろ、最近イベントも無かったしさ、許してやれ」

「……はい、しゃーないですね」

「………それよか…あー…今日は、結構気合入れて作ったぞ、料理」

「はい!美味いっす!」

「そうか…」

「…そんなら、良かった」



言って、敷波さんが笑った。

そして、俺の好物ばかりが並べられた食卓を指す。

「…ほら、まだあるぞ」

「うっす!頂きます!」

「おいこらーてーとくこらー!衣笠さんに吹雪ちゃんとの馴れ初め教えろこらー!」

「…って、おい、やめろ、飯食えねぇじゃねーか」

「そうだそうだー!聞きたい聞きたいー!ボクも聞きたいー!」

「あ、面白そうだから私もー♪」

「やーめーろー!」

「…吹雪っち、ねぇねぇ、一体どうやってあの提督を落としたのさ」

「…せやなぁ、…おねーさんとしても、ちーっと気になるなぁ、それ」

「あ、いえ…えっと」

「ふふ、答えて下さいよ、ね?」

「わ、わー!ほんと、ほんとに大したことじゃないんですー!」

「………あー…相変わらず、うるさい奴ら」

「…でも…ま、良いか」

横須賀にあるボロ家、敷波荘。

変な住人ばかり集まるその家は、今日も騒がしかったのだった。



「……くわぁー…」

「…お疲れふぶきー」

「……うぅ、疲れました」

自室。

遅くなりすぎて、図らずも吹雪を敷波荘に止めることになってしまった。

じゃあ衣笠の部屋にでも―と思ったのだが、全員に無理矢理俺の部屋に押し付けられ。

……今、自室に彼女連れ込んで二人きり。

………あと去り際に夕張さんから笑顔で渡された袋の中に近藤さんが入ってた、馬鹿じゃねぇのかあの人。

…あーやべぇ意識してきたどうしよどうしよ。

だって考えてもみろよ今俺の部屋に吹雪がいるんだぞ。

ありえねーよ、ベーって、マジベーわ。

「…あの、提督くん?」

「…うおう!?」

「お布団は…」

「ああお布団!?お布団ねオッケー!…布団?」

…布団。

…俺の分以外に…あるわけがない。

……………。

「…な、無いぞ!?」

「無いんですか!?」

「……あ、ああ…そ、そうだ、かくなる上は俺が床で…」

「…だ、ダメです、ダメですよっ!家主なんですから!」

「や、家主は敷波さんだぞ!?」

「そ、そういうことを言ってるんじゃないです!」

「…で、でも…吹雪が床、なんて…」

「………え、えっと…ですね」

「……?」

「……て、提案が…あります」



「……暑く…ないですか?」

「…い、いやー……最近はそれなりに涼しくなってきたでおますから…」

「…そ、そうですか…」

嘘です。すっごく暑いです。あと狭いです。

そりゃ俺の狭いシングルベッドの中に、そのキャパシティを超えた二人が入っているのだから当然ではあるが。

そう、吹雪の提案とは、至極単純。

一緒に寝ましょう、それだけ。

…ある意味一番難しいんだけどな。畜生幸せだ!もう死んでもいい!やっぱダメ!

「……あの…こ、こっち、向かないんですか?」

「…え?…い、いや…えっと、俺、背中で物を語るタイプだから」

…因みに態勢は、俺が吹雪に背を向けた形。

当然である。正面向いて向き合ったら死ねる。

…が、どうにもそれはふぶきんにとってはご不満だったようだ。

「……確かに、提督くんの背中は好きですけど…えっと……こっち、向いて欲しいです」

「………吹雪」

…ここまで言われて尚背を向けられる奴が居るだろうか、いや、いない。

俺もやはりその言葉には逆らえず、身をくるりと回す。

「……あ、…えへへ」

そしたら吹雪の顔が真ん前にあった。

うわーおヤバい、もうヤバい。




「……こ、こほん、ではお休み」

「…あ、そ、その前に!」

ちょっとマジでヤバかったので速攻で目を閉じると、吹雪が声をあげた。

何だ―そう思う間も無く、唇に触れる柔らかな感触。

「………な、ご、え?」

「…え……えへへ…」

「…じ、事故か…?」

「…ううん、事故じゃないです」

「…今度は、事故なんかじゃないです、提督くん」

「……好きです、この世界で、一番好きですっ」

「……吹雪」

「…えへへ、…それだけ、です、おやすみなさい」

そう言って目を閉じる吹雪。

その、少し荒い吐息が唇。

…今度は、俺からそれを塞いだ。

「…………んっ……え…?」

「…俺も…好きだ、吹雪」

「…おやすみ」

返事は、なかった。

その代わり彼女は、俺の身体に腕を巻き付けた。

少し暑かったけれど、払う気にはなれなかった。

―きっと、今日は良く眠れることだろう。




【吹雪 HAPPYEND】

おやすみなさいです



【プロローグ】


『…じー』

『…何だよ、ごーや』

『…てーとくくん、この中で誰が好き?』

『は、はぁっ!?いきなり何だよ!?』

『……それ、あたしも気になるかも』

『あぶくまもどうしたんだってば、おい』

『だいたい、好きとかそーゆーのは…な、なぁ、まや?』

『……あ、アタシも…気に、なる』

『…ま、まやまでっ!?』

『ねーってば、答えてよー、てーとくくん』

『ごーやはべつに、誰をえらんでもおこらないでち』

『い、いや…だから…その、い、いそなみ!なんとかしてくれよ!』

『……わ、わたしも…気になります、ていとくくん』

『い、いそなみぃ……』

『……じー』

『……じー』

『……じー』

『………じ、じーっ』

『わかった!わかったってば!…言うから!言えばいいんだろ!』

『……あのな、おれは…え、えっと……』

『………きらきらしてる人が好きだ!』

『……え?』

『……きらきら?』

『………どういうことだ?』

『……ていとくくん?』

『あ、あのな、おれていどにもなると、ふつうの相手じゃまんぞくしないんだよ!』

『だから、きらきらしてる人が好きなんだ!』

『お、おまえらじゃぜんぜんふそくだね――――――



ばっちん。

そんな音と一緒にやってきた衝撃で、頭の中に浮かんだ風景が消えた。

「……つうー…」

「おっはよーさん、てーいとく」

「……摩耶…かぁ…痛え、お前、デコペンとかまた懐かしい物を…」

「ちょうどいい具合に枕元にペンがあったもんでなー、借りたぜ?」

「事後承諾かよ」

「まぁまぁ、とりあえず学校の準備でもしろよ」

「…まだそんな時間でもねーだろ」

「ま、そうだけどよ、アタシが今日目覚めるの早かったんだ、許せ」

「すげー自己中っすねぇ…あー…朝日が目に染みるー……」

「こーらー、布団に沈むな」

タオルケットを頭から被る。

…あー、まだ微妙に暑い。

まだ9月だし、当然といえば当然だけれども。

しかし、どうにも懐かしい夢を見たものだ。

全くもって忘れてたような幼いころの記憶だが―ああ、そうか、テレビで磯波を見たからかね。

「そーいやさぁ」

「ん?」

「磯波、覚えてるか?」

「……ああ、覚えてるぜ?」

摩耶が、何故か窓の方を向いた。

手に持ったペンを、しきりに回しながら。

「全国陸上出てたんだよ、この前」

「……へぇ、すげーのな」

ペン回しに失敗したらしい。

彼女の手から、ペンが落ちた。

それに苛ついたのか、彼女が眉を曲げる。

…いや、拾えよ。


畜生、と自分でペンを拾って、机に置く。

そのまま、文句を言いたい気持ちを噛み殺して続けた。

「…だよな、すげーさ…そういや、磯波と最後に会ったのって中学の卒業式以来かぁ…」

「…2年で、随分遠くなったもんだよなぁ」

「……なんだよ、感傷に浸りたいのかよ」

「そういうわけじゃねーよ、ただ、ほら、ゴーヤと阿武隈…は覚えてねーか、流石に」

「…いや、覚えてる」

「…お、なんだ、案外覚えてるもんなのな」

「……さっきから人の記憶力試して何がしてーんだっつーの」

昔話をしただけなのに、摩耶が苛ついた様子で突っかかる。

落ち着けよと掌を振っても、やはり眉間に寄せた皺は取れなかった。

「いやいや、それこそあいつらなんか小学校卒業してから会ってないしさぁ」

「…まーな」

「薄情な奴らだぜー…昔は仲良かったのに、…じゃない、えーと…」

立ち上がって、本棚を漁る。

はて、たしかこの辺にあったはずだが。

「……んだよ、エロ本でも見せてくるつもりか?」

「するかっつーの」

手を動かしながら摩耶の声に答える。

…だいたい、以前こいつにエロ本を破かれてからこいつの目の届く範囲には置かないと決めたのだ。

あれお気に入りだったのに―っと。


「あったあった」

「…ん?…おい、エロ本じゃねーかこれ、スク水ってお前なぁ…」

「ちげーよ!水泳の情報誌だよ!」

「…水泳……?って、これ、ゴーヤか?」

「そうそう、やっぱわかるもんだなぁ、見ろよこれ、女子水泳界の期待の星だってさ」

「………ふーん」

「友達の出世なのに、随分興味無さそうだなぁ」

「…まぁ、会ってねぇしよ…なあ、提督、そろそろ学校――」

「ああ、もういっこ見せたいもんがだな…」

摩耶を手で制して、もう一冊の本を差し出す。

「…今度こそエロ本か?」

「違う!テニス情報誌と書いてあるのが見えないか!?」

「……ああ、…で、それがなんだよ?」

「ここ、女子インターハイのところ」

「…………これ、阿武隈か?」

「おう、優勝してるぞ…こっちも女子テニス界のなんたらとか――」

「………へぇ」

「…まーた気のない返事をしおって」

「……だって、会わねーしよ…友達…って間柄でもねーだろ、もう」

「悲しいこと言うなよ!小さいころあんだけ遊んだのに!」

「…覚えてねーなぁ、あんまりよ」

「…あー…向こうも俺の事まだ覚えてたらなー、自慢できるのになー」

「…ははっ、ちっせぇ自慢」

「うるさいわ、ちっさくて悪うござんした」

「…さーて、準備すっかね」

「…おー、急げよ、下で飯食って待ってるから」

「何でお前ちゃっかりうちで飯食ってんだよ」

「いーじゃねーか、おばさん、歓迎してるぜ?」

「…はぁ」

「んじゃな、さっさとしろよー、提督」

ぱたん、と閉じる扉。

…もうあの子うちの子みたいになってるんだけどどういうことさね本当に。

「にしても…」

ベッドの上に投げ出した二冊の本を見る。

「…ゴーヤに、阿武隈なぁ」

…向こうは…まだ、俺を覚えているのだろうか。

……本当にいきなりいなくなったからなぁ。

…有名人だからってわけじゃないけど…もう一度くらいは、会いたいもんだ。

「…ええい、やめやめ!」

こんな女々しい考えは捨てよう。さっさと学校行く準備だ。



「のわっち!課題!」

「…誰がのわっちですか、そして私は課題ではありません」

恥の多い生涯を送ってきました、と誰かが言った。

だが、きっと彼の生涯は恥は少なかったのではないかと思う。

だって、思い出せる範囲に全て恥の記憶があるのだろう?

だったら、それは少ないじゃないか。そのくらいの恥を多いと誇るな。

俺は多すぎて自分の恥を覚えていない。

例えば、こうして前の席に座っている女の子に向かって宿題を見せろと要求するのは都合何度目なのかすらも覚えていない。

「プリーズって言ってるのさ!プリーズ!」

「…言いましたよね、確か一週間前から毎日」

席に座り、わざわざスマホを取り出してからLINEを開く。

「…な、何をさ」

「…課題、大丈夫ですか?と」

そして、ご丁寧に毎日俺にアドバイスしてくれたそのありがたい履歴を目の前に掲げた。

物凄い笑顔で。

「ごめん、のわっちに写させてもらう心積りだった」

だからとりあえず謝ってみた。

違うんだよ、それはちゃんと見てたんだけどさ、俺もホラ、24時間テレビ全部見るのとかで忙しくてさ。

というやむを得ない事情を赤裸々に語るわけにはいかないので、のわっちに対する俺の信頼度を笑顔で語ってみる。

「では、課題の最終チェックをしますのでしばらく話しかけないで下さい」

銀髪を揺らして、彼女は再び前を向く。

その肩を縋るように掴んだ。

「待って待ってウェイトウェイト!」

「…なんですか」

面倒臭そうに向けた半眼。

あ、そんなのわっちも素敵。じゃなくて。

「い、いやね、ほんと、ほんとわかんないところだらけでさぁ!?俺もできるだけ頑張ったのよ!?」

「……やけに白紙の部分が多いですけど、ね」

「あ、いや…これは……うーん…やむにやまれぬ…」

「……はぁ」

大きく溜息を吐いて、問題集を俺の机に投げて渡す。

そして、憮然とした顔で言った。



「…どうぞ」

「……ありがとうのわっちぃー…!」

「ですから、のわっちはやめてください」

「…それと」

「…は、はい」

「…わからなかったら、せめて声を掛けて下さい」

「友達に勉強を教えるくらい、何でもありませんから」

きっぱりとした口調でそう言うと、少しだけ視線を逸らした。

…何この可愛いツンデレちゃんのわっち。

「……の、のわっ…」

「のわっちはやめろと言っているでしょう」

「…野分ぃ…もう最高…最高だ野分…付き合ってくれ…」

…いけね、あまりの感動でつい心の底から本音が出てきてしまった。

「ふふっ、嫌です」

「……ぐふぅ」

そして振られた。結構な笑顔で。

「今時夏休みの課題を忘れるような人を彼氏には出来ません」

「…か、課題ちゃんとやったら付き合ってくれんの!?」

超食い気味にのわっちに詰め寄る。

彼女は迷惑そうに身を引いて、呆れた顔をした。

「どんだけがっついてるんですか…」

「…さーせん」

「はぁ…まあ、…とりあえず、さっさと写して貰えるでしょうか」

「…へいへい、うーっす、課題ありがとな、野分…いや、のわっち」

「何で言い直したんですか」

「…のわっち…うむ、気に入った」

「……もう好きにして下さい」

「おう、…ほんとにすまんな、野分」

「……そう思うなら先生が来る前に写して下さい」

「うい、了解」

なんだかんだと世話を焼いてくれる彼女に対して、心の中で感謝するのであった。

あとブラが透けた夏服が非常に素晴らしくて、もう一度感謝した。

さんきゅーのわっち。青は提督くん的にポイント高いぞ。



「…あー…お前ら、夏休みは――」

体育教師のくだらない話。

夏の間の野球がどうだの、サッカーがどうだの。

思わずお前の話題はそれしかないのか、と言いたくなる。

もう少し広く受け入れられる話題を探してみても良かろうものなのにな。

別に体育教師が春樹の話をしても責められはしないぞ。

ほら見ろ、のわっちなんか全力で頬杖付いてお船漕いでるぞ。

のわっち可愛い。付き合ってくれないかな。無理か。

あーでもほんとのわっちの寝顔可愛い…。

「…ごほん!で、だな…あー…信じられん事に、だ、…転入生が3人もいる」

その話を聞いた瞬間、にわかに色めき立つ教室。

ざわざわという話し声が広がっていく。

「あー、うるさいぞ!…で、な…なんと、3人とも女の子だ」

「…それに、もしかしたら諸君らの中には知っている人がいるかもしれない」

女子のざわつきが少し収まり、その代わりに男子が大きくどよめく。

え、女子3人!?しかも知ってるって芸能人とか!?

…なんとも俗世的な会話だ。

俺にはのわっちがいるから全く関係ないというのに。

でもサインとか貰いたいかも、なんとなく。

「それでは、入ってきてくれ――」

その体育教師の声を合図に、扉が開かれた。

まず入ってきたのは、ピンクの髪の女子。

彼女は少しだけ教室を見回し、俺を発見した所でその視線を止めた。

そして、にっこりと笑った。

その後に続くように、綺麗な金髪をツインテールに纏めた女子が入ってきて――やはり俺に視線を止めて、笑った。

最後に…黒髪の地味そうな――磯波ィ!?

…待て、…前の二人、まさか…ゴーヤと阿武隈じゃないか!?

教室が更にざわめく。

可愛い子じゃん!だよなぁ!…待てって、アレ、阿武隈さんじゃね!?え、テニスの!?いや、アレゴーヤさん…水泳の………陸上の…。

色んな声が、耳に入ってきた。

のわっちは、相変わらずこっくりこっくりと船を漕いでいた。

可愛いと思った。

つまり、野分が可愛いという事以外は良くわからなくて。

なぜか教壇の前に立つ3人が俺に視線を注いでいることなど、気付く余裕はありもしなかったのだ。



「…なーんで、お前らがいるんでちか」

「…それ、あたしの台詞なんだけど」

「………ゴーヤさんも阿武隈さんも、どこか遠くへ行ったのだと思っていましたが」

「…………ゴーヤは素直な子なのでち、あんな言葉を真に受けるくらいにはね」

「…あたしは…素直だったのかなぁ、わかんない……でも、多分一番強いから、気持ち」

「……そんな事はない、です、私も…頑張れました、彼への想いだけで」

「………」

「………」

「………」

「……久しぶりに見たけど提督かっこいいでち」

「……だよね!?だよねぇ!?」

「……中学時代も素敵でしたけど…更に素敵です」

「…だ、誰か話しかけて来てよ!」

「…む、無理無理!無理だってばぁ!忘れられてたら死ねるよ!?」

「……そ、そんな、いきなりお話なんて…」

何もわからない主人公の代わりに説明するのならば、つまり――

行動力のある馬鹿共に、何の因果か才能が伴っていた、というお話であったのだ。

そして、少しだけ賢かった子は彼の側にいて。

のわっちは可愛かったのであった。




【プロローグ 終】

おやすみなさい
野分のボイスひたすら聞いてたらこうなった



【4月1週】


提督「野分、野分」

野分「何ですか?」

提督「…いや…あの、えと、転校生なんだけどね」

野分「…ああ…貴方も興味があるんですか?」

提督「え、まあ…うん、広域的な意味で取れば確かに興味はあるんだけど…」

野分「…そう、ですか…案外ミーハーなのですね」

提督「ち、違うって!そういうんじゃない!えっと、ただこう、俺は純粋にあの子達に興味があって」

野分「……純粋に、興味…」ジトッ

提督「わ、わぁ!?違う!そういう興味じゃない!」

野分「…別に提督くんが誰に興味を持とうが勝手ですが、私を巻き込まないで下さい」

提督「違うんだってのわっちーぃ!」

野分「誰がのわっちですか!」



野分    **0/500
摩耶    **0/500
伊58    **0/500
阿武隈   **0/500
磯波    **0/500


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ゴーヤ「………じぃーっ」

提督「………」

その目だれの目?

はい、ゴーヤちゃんの目です。

なんて言ってみても別に俺がギガロマニアるわけでもないので、とりあえず振り返ってみる。

ゴーヤ「……わぁっ」

さささっ。

すると(バレバレの)動きで陰に隠れるゴーヤ。

…うーん、…やっぱ、覚えてるのかなぁ、俺の事。

こう、毎度毎度付け回されてる気がする。

ゴーヤ「……じぃーっ」

前を向けば、再び視線。

ナズェミテルンディス!?とか言って勢い良く振り返ったろうかとも思ったが…やめとこう、有名人だし。

…あー気になる。超気になる。

廊下を歩いていると常に付け回されている気すらする。

提督「………はぁ」

ぴたりと、動きを止めた――――


>>+2


A.…あの、ゴーヤさん?何してるんですか?

B.何してんだよ、ゴーヤ。

C.……おいこらでち公てめぇ何やってんだァ!

C.……おいこらでち公てめぇ何やってんだァ!(*1.5)


提督「……すぅ」

大きく息を吸った。

…うむ、懐かしいアレを久々にやってみるか。

いやぁ、あいつの変な語尾をあげつらって誂ってたんだよなぁ、うむうむ。

提督「……おいこらでち公てめぇ何やってんだァ!」

ゴーヤ「でちぃっ!?」

勢い良く振り返って、腹の底から大声で怒鳴る。

その剣幕で、後方のゴーヤが思わず尻餅を付いた。

提督「なーんでずーっとこっち見てんだこら」

ゴーヤ「ご、ごめんなさいでち!別に悪気はなかったんでち!」

提督「言いたいことがあるならはっきり言えっての」

ゴーヤ「……言いたいことは…って、あれ…提督…普通に…」

提督「んだよ、俺はいつから異常になったんだ」

ゴーヤ「……な、何でもないでち!」

ぶんぶんと手を振り回す。

そして、少しして落ち着いたのか短く息を吐いた。

ゴーヤ「…でも…よかった、忘れてなかったんだね、ゴーヤのこと」

提督「忘れるかよ、大事な幼馴染じゃねーか」

ゴーヤ「……っ!…う、うんっ!だ、だよね!そうだよねっ!」

ゴーヤ「…じゃ、じゃあ…あの時、言ってた…ことも…」

提督「…?」

ゴーヤ「…な、何でも!何でもないでち!」

またぶんぶん手を振り回す。

お前はボクサーでも目指しているのかスイマー。

ゴーヤ「…提督」

提督「どした?」

ゴーヤ「…ただいまでちっ!」

提督「…おう、お帰り」

そう言って、ゴーヤは笑った。

それは、何年分にも値するような、綺麗な笑顔だったのだ。

……にしても小学校の時のノリが通じるのか、こいつ。


伊58→  *34/500



【9月2週】


提督「…つい日付を間違ってしまったよ」

野分「……?って、ああ…何で先週が4月なんですか」

提督「いや、春休み気分的な?」

野分「…何ですかそれは」

提督「つまり今日ものわっちが可愛くてハッピーってことで、な」

野分「……絞め殺しますよ」

提督「現実的な殺害方法っ!?」

ゴーヤ(…会話に入る隙が無いでちー)

阿武隈(…大丈夫、うん、大丈夫……コホン、ひ、久しぶりっ!元気にしてた!?あ、あたしはさ――…よし、うん、これで…)

磯波(……全然、話しかけてくれないです…忘れられてるんでしょうか、…というか、あの人誰なんでしょうか…)



野分    **0/500
摩耶    **0/500
伊58    *34/500
阿武隈   **0/500
磯波    **0/500


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提督「…………」

休み時間、ぽけーっと窓の外を見る。

少しだけ落ち始めた木の葉を見て、季節の移ろいを感じていた。

「……あ、あの…」

…なんてことはない。

本当は少しだけ吹き始めた秋の風に揺れるスカートを見て、季節の移ろいを感じていたのだった。

「……あ、………あのぅ……」

…我ながら本音がひどすぎる。

まあ本音も建前も関係ない。誰かに言われたらこれは風に舞う木の葉を見ていたんだと言い訳すればよろしいのだ。

「……あの…」

しかし…中身までは見えないなぁ、もうちょっとなんだけどなぁ――

「あのっ!」

提督「い、いやこれは木の葉が綺麗で木の葉隠れをねえっ!」

磯波「…え?」

提督「…あ…い、磯波…か、驚かせやがって」

磯波「……あ…名前…覚えて」

提督「ん?そりゃそーだよ、中学も一緒だったんだしさ」

磯波「……ほっ…」

磯波が、大きく胸を撫で下ろした。

…ううむ、これは辞書に載せたいくらいの「ほっとした」である。

一体、何に対して安心を覚えたのかは俄然不明ではあるが。

提督「…で…どしたんだよ、磯波」

というか、ゴーヤといい俺の幼馴染連中はなぜ俺に話しかけるのを躊躇うのだろうか。

なんつーか…阿武隈もそうなんだけど、やたらめったら警戒してる、…みたいな。

お陰で阿武隈とも磯波とも話せていなかった。

嫌われているのか?とも思ったのだが…こうして直々に来るのだから…うーん、よくわからない。

磯波「ひ、久しぶり…です、提督くん」

提督「ああ、久しぶりだな、ほんとに」

磯波「…ずっと会えなくて、寂しかったです」

提督「そうなのか?…だったら、会いに来てくれればよかったのに」

磯波「い、いえ!…絶対、絶対…ちゃんと、誇れる私になろうって…その…」

提督「…?」

磯波「て、提督くんっ!わ、私、どうでしょうか!少しは、変わりましたかっ!」

……?

…話がイマイチ飲み込めない。

しかしまあ――――

>>+2

A.…昔より、綺麗になったか?

B.……?どういうことだ?

C.…磯波は磯波…じゃないかな?

A.…昔より、綺麗になったか?(*1.5)


提督「…昔より、綺麗になったか?」

磯波「……っ、ほ、本当ですか!?」

提督「あ、ああ…」

…うわー恥ずかしい。

なんか…なんかこう、アレなゲームの主人公が吐くようなキザなセリフ吐いちゃった。

※だというのに、こういうのは…。

しかし、磯波はそうやって地味に落ち込んでいる俺を気にする様子もなく、微笑んでいた。

彼女らしい、控え目な微笑。

けれど、その底にはそれ以上の喜色が込められているような―なんとなく、そんな気がした。

…いや、実際はわかんねーけどね。幼馴染の勘。



磯波→  **1/500



【9月3週】


摩耶「……あいつらと話したか?」

提督「ん」

摩耶「……いや、…あの3人と」

提督「ああ、阿武隈だけは…ちょい避けられてるけどな」

提督「そっちは?」

摩耶「…アタシは……アタシは、まぁ…まだ、だよ」

提督「まだなのか、てっきり真っ先に行ったもんかと」

摩耶「何でだよ」

提督「摩耶ってこう、どうでもいいとか言いながらめちゃくちゃ友情を大事にするタイプじゃん?」

摩耶「じゃん?じゃねーよ!何だお前その偏見!」

提督「じゃん?」

摩耶「がーっ!」



野分    **0/500
摩耶    **0/500
伊58    *34/500
阿武隈   **0/500
磯波    **1/500


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風呂
正直今回どうなんだろとは書いてて思ったけどのわっちに免じて許して下さい



阿武隈「…ひ―久しぶりっ!」

提督「うおおっ!?」

阿武隈「げ、元気にしてた?あ、あたしはね、元気だったよ!」

提督「……お、おう」

阿武隈「………え…な、なに…その反応…あたしのこと…忘れたの?」

提督「…あ、いや…覚えてるぞ、阿武隈」

阿武隈「…あ、…よかった…よかったぁ」

…覚えてるんだけどさぁ。

いきなり後ろから大声でまくしたてられたら、誰だって困惑するだろう。

…というか、さっきの挨拶をするならそれこそ転校初日にでもして欲しい。

提督「…むしろ俺が忘れられてたかと思ったよ」

阿武隈「そ、そんな事!」

提督「うおっ」

阿武隈「…あ、ごめん…でも、そんな事、あるわけないから!」

ずいと身体を乗り出して、食い気味に言う阿武隈。

その剣幕に、ちょっと身を引いてしまった。

提督「…そうなのか?…でも、俺が話しかけようとすると逃げたじゃないか、お前」

阿武隈「えっ!?……あ、あれ…話しかけようとしてくれてたんだ…」

提督「…だから、てっきり嫌われてるか、忘れられてるのかと」

阿武隈「ううん!違うの!えっとぉ…あのね!…あ、あたしは…提督のこと、一日たりとも忘れたこと無かったよ!」

提督「…そ、そうか…そりゃ、ありがとう」

…店頭であのテニス雑誌見るまで記憶が曖昧だったってことは黙っておこう。

ソーリー阿武隈。

阿武隈「…だから…えっと、…そうだ!あのね、あたし、テニスでさ!すごーく頑張ったの!」

提督「おう、知ってる、雑誌買ったりして、実はちょこっと応援してた」

阿武隈「そ…そうなのっ!?…そうなんだぁ…えへへへへ…」

俺の言葉に、阿武隈の頬がゆるんゆるん。

…やはり、部活なんかで友人に応援されると嬉しいものなのだろうな。

生憎そういう体験をしたことがない俺には気持ちがわからないが、畜生。

阿武隈「…あのさ、提督」

提督「うん?」

阿武隈「…あたし…今、きらきら、してる?」

提督「きらきら?」

…お星様ってやつだろうか?

……うーん、ホントにどういう意味だ――


>>+2

A.…ああ!確かに綺麗に輝いてるよ、髪。

B.…してる…ように見える。少なくとも、俺みたいなのからすれば。

C.………ごめん、よくわかんないや。

B.…してる…ように見える。少なくとも、俺みたいなのからすれば。(*1.5)


きらきら。

その言葉の意味は、抽象的でよくわからなかったが…。

…きっと、今の阿武隈は輝いているのだと思う。

いや、そういう風に見えた。

…少なくとも、俺みたいなのからすれば。

提督「…ああ、してる、きらきら」

阿武隈「ほ―ほんとっ!?」

提督「めちゃくちゃきらきらだよ、…阿武隈だけじゃなくて、お前ら3人」

阿武隈「……え?」

提督「あ、いや…考えてみたら、お前も、ゴーヤも、磯波も…凄いからさ」

阿武隈「…ゴーヤちゃんも、磯波ちゃんも?」

提督「ん?…あ、ああ」

一瞬だけ、阿武隈が俺を睨んだような気がした。

だが、それもすぐに笑顔に変わる。

阿武隈「…そっか、…ま、うん、そだよね」

提督「何だよ、阿武隈」

阿武隈「なーんでもないっ、…あのね、提督」

提督「おう?」

阿武隈「…ぜーんぶ、提督のためだからねっ!」

そう言って、彼女は自分の席へと戻っていく。

…俺のため?

その言葉の意味を、俺は測りかねていたのだった。



阿武隈→  *97/500  



【9月4週】


ゴーヤ「ねーねー、提督」

提督「何だでち公」

ゴーヤ「もー、その名前やめてよー!」

ゴーヤ「…じゃなくて…こほん、今日、おうち――」

阿武隈「おはよー提督!今日のあたしの前髪どう!?」ズイッ

提督「おはよ阿武隈、…ああ、いいんじゃないか、可愛いと思う」

阿武隈「えっへへー、そう?そうかなぁ?」

阿武隈「…あ、それでね、実は放課後――」

磯波「…おはようございます、提督くん」ズイッ

提督「おはよう、磯波」

磯波「いいお天気ですね、…落ち着きます」

提督「…だなぁ、…うん、落ち着く」

提督「…もしかしたら、磯波がいるからかもなぁ」

磯波「…あ、ふふっ、…何ですか、それは」

磯波「……それで…ですね、今日はお天気もいいですから――」

ゴーヤ「提督!あのね――」ズイッ

―以下、ループ。



野分    **0/500
摩耶    **0/500
伊58    *34/500
阿武隈   *97/500
磯波    **1/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ

今日はここまでです
のわっちのために指輪を買うことを決めました
400複数そろそろ来てくれ…(届かぬ想い)



提督「そうだ、磯波」

磯波「は、はい?」

提督「お前、いつから陸上なんかやってたんだ?」

ふと、気になった。

よく考えてみるとこいつが陸上をやっていた記憶が無い。

中学の時は、帰宅部だったはずだ。

…それが、いきなりなぜ?と。

磯波「…えと…高校、決めるときに」

磯波「…私も…変わりたい、って、思ったんです」

提督「変わりたいって、…どういうこと?」

磯波「う、上手くは…言えないですけど」

磯波「……提督くんの前で、ちゃんと、胸を張っていたくて」

提督「…俺の前で…胸を?」

…胸を…あんまり張ってないな。控え目。

じゃない、…んー…よくわからない。

磯波「……だから…陸上じゃなくても、良かったんですけど」

磯波「…幸い、向いてたみたいなので」

磯波「とにかく…そういうこと、です」

提督「……ふーん…うーむ…?」

磯波「…あはは、ごめんなさい…ちょっと、抽象的すぎましたね」

言って、磯波がお下げを弄る。

…そういうことと言われても。

中々に難しい、というか…かなり難しい。

さて、…なんと答えたものか――


>>+2


A.まあ、とりあえずありがとう。

B.…つまり……俺の為なのか?

V.…………胸、まだ小さいぞ?

B.…つまり……俺の為なのか?(*1.5)


……とりあえず。

理解できる範囲を抜き出すと……。

……俺の為?…いや、なんでやねん。

…それをする理由など何処にあるというのだ。

…しかし…。

提督「…えーっと…お、俺の為、なのか?」

磯波「…は、はいっ!」

……そうらしい。

…一体陸上と俺に何の関係があるんだ。

提督「……うーむむ」

…なんだかますますわからなくなってきた。

磯波「あ、あの、提督くん」

提督「…ん、ああ」

磯波「…今度…また、提督くんの家に行っても、良いでしょうか?」

提督「…え?…お、おう、勿論」

磯波「……あ、ありがとうございますっ!おばさんにも会いたかったんです!」

提督「…に、にしてもいきなりだなぁ…随分」

磯波「いえ、…ずっとタイミングを図ってたんですけど、…なんとも…」

提督「…?」

磯波「う、ううん!こっちの話ですから!」

………。

……やはり、全体的によくわからない。

…俺の周りは最近謎だらけである。



磯波→  *38/500



【10月1週】


提督「野分、頼むよ!」

野分「…嫌です」

提督「…頼む、俺を助けると思って!」

野分「い、や、で、すっ!」

提督「先っちょだけ!先っちょだけでいいから!」

野分「何ですか先っちょって!?」

提督「な!?野分が提案したら皆乗るから!メイド喫茶!」

野分「そんな物を学園祭の出し物にするわけにはいきません!」

提督「メイドのわっちぃ!」

野分「欲望丸出しじゃないですか……まあ、そこまで求められるのは、その」

提督「マジでっ!?」

野分「まだ最後まで言ってませんからね!?」

ゴーヤ(…お帰りなさいませでち、ご主人様…うーん、…あんま想像出来ないなぁ)

阿武隈(…お、お帰りなさいませ、ご主人様ぁ…あ、ひぅ、やぁ、ダメですっ、あたし、こんな場所でぇ……)トローン

磯波(…和服がいいなぁ…)



野分    **0/500
摩耶    **0/500
伊58    *34/500
阿武隈   *97/500
磯波    *38/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ



阿武隈「提督ぅー!」

昇降口、靴を履いたところで後ろから掛けられた声に振り向く。

そこには、俺に向かって大きく手を振る阿武隈がいた。

提督「お、阿武隈」

阿武隈「今、帰り?」

提督「ああ」

阿武隈「そっか、じゃあ一緒に帰らない?」

提督「おう、喜んで」

阿武隈「やたっ!お隣失礼するね!」

急いで靴を履いた阿武隈がパタパタと俺の隣に駆けてきて、並ぶ。

そしてなぜかにこにことだらしなく頬を緩めた。

阿武隈「やー、運良かったなぁ、へへー」

提督「運?」

阿武隈「うん!誰にも見つからずに来れたし!」

提督「ああ…まあ確かに、有名人だもんな、色々聞かれたりするのか?」

阿武隈「あ、やや、そういうわけじゃないんだけどね…」

提督「…?」

阿武隈「ま、いいじゃない!細かいことはー!」

大声でそう言って、鞄を持っていた手を替えた。

その空いた手で、俺の手を掴む。

…や、やわっこい…え?

提督「!?」

阿武隈「懐かしいよね、昔、こうして手を繋いで二人で帰ったこと覚えてる?」

提督「…え、あ…あ、った…かな、そんなことも」

阿武隈「よかったぁ!忘れられたかと思ってた!」

提督「…だ、だけど、それとこれと何の関係が…」

阿武隈「んー…と、ちょっとした思い出回想?ほら、久しぶりだから…ね?」

ね、と言われても。

ふむ――


>>+2

A.…いやいや、あの時は恋人繋ぎだったね。……とでも言っときゃやめるだろ。

B.…まあ、損はないし。

C.……はーなーせ。

B.…まあ、損はないし。(*1.0)


…まあ…損はないしな。

放っといても。うん。やわっこいし。

阿武隈「…でねでね、信じられないんだよ!?あの人ったら…」

提督「ははー…そりゃ災難だったなぁ、阿武隈」

阿武隈「でしょ!?あたしいーっつも巻き込まれるんだから!」

提督「…そっかぁ、…大変だな」

阿武隈「だからね…」

提督「…お、おう?」

声のトーンを落として、繋いだ腕を絡めるように阿武隈がしなだれかかってくる。

あ、あかん。やわっこい。いい匂い。女の子が近い。

阿武隈「…あたしが落ち着けるの、提督の側だけなんだよ?」

提督「…そ、そうなのか?こ、光栄だな!」

阿武隈「…ね…もうちょっと…こうして側にいていい?」

提督「い、いいですよ!?」

阿武隈「…ありがと!提督っ!」

…あ、阿武隈はちょっと甘えてるだけ…ちょっと昔の事を思い出して童心に浸って甘えてるだけなんだ…落ち着け俺。

頑張れ理性。負けるな理性。

ああ、女の子とはなぜかくもいい匂いがするのでしょうか神様。

だが、その答えはきっと神様も知らないのであろう。

そんな帰り道だった。




阿武隈→  133/500



【10月2週】


摩耶「それで結局、メイド喫茶に決まったのか?」

提督「ああ…ふっ、なーに、ちょっとした組織票をな」

摩耶「…お前のクラス、多分男子の方が多いだろ」

提督「いやはや、学校側もわかっておるねぇ」

摩耶「…はーぁ、つくづくお前もなぁ…」

提督「…ただ…一つだけ残念だ」

摩耶「あん?」

提督「だって、摩耶がクラス違うからさ、お前のメイド服が見られない」

摩耶「な!?な、ななにゃなに言ってんだお前!?」

提督「あー摩耶のメイド服みたいよー」

摩耶「う、うるせぇよバカ!」バキッ

提督「ぐふぅ!?」



野分    **0/500
摩耶    **0/500
伊58    *34/500
阿武隈   133/500
磯波    *38/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ



提督「野分、今ちょっと大丈夫か?」

野分「…提督くん?どうしたの?」

提督「ああいや、この前言ってたろ、勉強教えてくれるとかなんとか」

野分「……うん、…あ!もしかして」

提督「そうそう!勘がいいな!」

野分「…提督くん、ついにやる気に…」

提督「今日の放課後遊ぼうぜ!」

野分「なんでっ!?」

ふっ、引っかかったな。

勉強などするわけなかろうが。

いや、テスト前には多分お世話になるけどね、うん。

提督「ダメか?」

野分「いや、ダメっていうか…どうしてあの流れからそうなるんですかぁ…」

提督「はっは、俺は時に人の予測を大きく越えていく男だからな!」

野分「…アレは予測を越えたとかじゃなくてただの悪ふざけです…」

提督「まーまーのわっち落ち着けよ、桃の天然水飲む?」

野分「いりませんよ!」

…いやぁ、やっぱり野分を誂うのは楽しい。

にしても可愛いな、結婚してくれねーかな。婿養子でもいいのに。

提督「…で、…まあ、そんなわけなんだけど」

野分「はぁ…構いませんよ、暇ですから」

提督「よっし!」

野分「…楽しそうですね」

提督「そりゃ楽しいさ、のわっちとのお出かけだ!」

野分「だからのわっちは………ふぅ…もう、いいです」

野分「…というか…提督くんは、どこまで本気なんですか」

提督「…?本気?」

野分「…その、…いつも可愛い、とか…なんとか…言ってて…」

手を合わせて、指先をいじいじしながら。

伏し目がちに野分が問う。

はは、そんなもの――


>>+2


A.……は、恥ずかしいななんか…。

B.勿論、本気だぞ?

C.…だ、男子がいつも言ってるからさ、あはは。

B.勿論、本気だぞ?(*1.5)


勿論本気だ。

頭のてっぺんからつま先まで余すところなく本気だ。

むしろ嘘の部分が無い、とまで言っていい。

提督「うん、勿論本気だぞ?」

提督「野分のことは心の底から可愛いと思ってる」

野分「…………は、恥ずかしげもなく…よくそんなことを言えますね」

提督「はは、だって本心だしね」

野分「……こ、こっちが恥ずかしくなりますよっ、もう…」

そう言いつつも、野分はまんざらでもなさそうに微笑んでいた。

相変わらず指先いじいじも続けていて、そんな状態でちょっとはにかんで笑っているのでとてもグッドだ。

提督「だから付き合って下さい!いやむしろ結婚してください!」

野分「………あー…そうでした、そういえば目の前にいるの提督くんでした」

提督「なんでいきなり冷静!?」

この空気なら行ける!そう思ったにも関わらず。

やはり今日も振られてしまった。何故だ。

因みに、今日のデートコー…ごほん、遊びコースはウィンドウショッピング。

…野分ならどんな服でも似合うよなぁ、とか思った一日だった。

あ、でも、でもさ、どんな服でも似合うからこそその中で最高の一着を探す喜びっていうの?そういう――(略)



野分→  121/500



【10月3週】


磯波「……あの…学園祭って、文化の日にあるんですよね?」

提督「そうだぞ?」

磯波「…メイド喫茶って…絶対、文化に関係無いですよ…ね」

提督「そんな事はないさ、サブカルチャーだ、文化って言葉が入ってる」

磯波「…で、ですけど…せめて、着物喫茶…みたいな…」

ゴーヤ「いーそーなーみーちゃん?逃げようとしても無駄でちよー」

磯波「ひゃああ!?」

ゴーヤ「さー観念してメイド服着なよー、じゃないとサイズ合わせられないでちー」

磯波「む、無理です、あんな丈の短い服ぅー!」

提督(……思うのだが)

提督(…陸上競技のユニフォーム着られるなら、大抵のものは大丈夫だろ)




野分    121/500
摩耶    **0/500
伊58    *34/500
阿武隈   133/500
磯波    *38/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ



ゴーヤ「てーとくくーん!はやくはやくー!」

提督「…ひぃ…ひぃ…」

学園祭の準備も色々と忙しくなってくる時期。

俺達のクラスも右へ左へ、色んな作業で動いていた。

その一環の買い出し。withゴーヤ。

看板用のスプレーだとか、そんな百均で揃う細々とした物。

それを買いに行った帰りである。

提督「…お、重い…」

ゴーヤ「あはは、ふがいないねー」

いくら一つ一つが小さい物とはいえ、集まればそれなりの荷重となる。

それを一手に受けて、俺の指はかなりのダメージを被っていた。

…因みにゴーヤは軽々とこれを持ってしまったりするのだが、男としての面子にかけて絶対に荷物は渡さない。

提督「…休憩…入れてくれ」

ゴーヤ「はーい」

言ってベンチに座った俺を、半ば呆れのような笑いをたたえてゴーヤは見ていた。

そのままぴょーんと軽い動きで俺の隣に座る。

…しっかしやたらめったら楽しそうっすねあんた。

提督「…あー…しんど」

ゴーヤ「情けないでち!」

提督「うっさーい」

ゴーヤ「だから、袋2つにしてくれたら半分持つよーって言ったのに」

提督「男としてのプライドがあるの!」

ゴーヤ「えー?休むのは良いのー?」

提督「……ギリギリセーフ」

ゴーヤ「あははっ!」

提督「…しかし…あと半分くらいか、学校まで」

ゴーヤ「大丈夫?」

提督「ん、いけるいける」

ゴーヤ「…手伝おうかー?」

……再度、お手伝いのお申込み。

…ふむ、確かにキツいけど――――


>>+2


A.それでも譲れぬ誇りがある。

B.なら、一緒に…。

C.じゃあ頼んだわ、あーきつかったー。

A.それでも譲れぬ誇りがある。(*1.0)


…ふん。

しかし、しかしだ。

それでも譲れぬ誇りがある!

提督「ぬんっ!」

ゴーヤ「わ、立った」

再び指にかかる荷重。

…だが、それが何だというのだ!

提督「行くぞ、ゴーヤ」

ゴーヤ「はーいっ、ふふ、かっこつけちゃってー」

提督「それが男ってもんだ!」

ゴーヤ「はいはい、かっこいいでちよ、男の子っ」

提督「うっさい!笑うな!」

ゴーヤ「えー?ホントに思ってるよぉ?」

提督「畜生ダッシュしてやらぁ!」

ゴーヤ「あ!待って!待ってってばー!」

この後結局学校まで休みなく超ハイペースで運搬。

その俺の後ろをゴーヤは非常に楽しそうについてきた。体力やべぇこいつ。

あー…、指の先っぽが取れるかと思った。

「…ところで提督くん、俺のチャリ貸すって言ったじゃん」

提督「………あ」

まあ、結局そんなお話。



伊58→   *64/500



【10月4週】



摩耶「……おー、提督」

提督「…摩耶か…なんかお前、全然教室来てくれなくなったよなぁ」

摩耶「…別に、…こっちはこっちで友達がさ」

提督「ま、そりゃそうか」

摩耶「…何だ、寂しいのか?」

提督「おう、勿論、泣きそうだ」

摩耶「ははっ、言ってろ」

提督「…しかし…」

摩耶「ん?」

提督「どこのどいつが俺から摩耶を奪ったのよ!?」キィー

摩耶「裏声出すな気持ち悪ぃ!」





野分    121/500
摩耶    **0/500
伊58    *64/500
阿武隈   133/500
磯波    *38/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ

ここまでです
おやすみなさい



阿武隈「………ふっ!」

痛烈一閃。

まさにそんな勢いで、俺の横をテニスボールが通り抜けていった。

提督「………ほげっ」

なんだあれ。全くボールが目で追えなかったんだけど。

どこの雑魚キャラだよ。ま、全く見えなかった…!?とか言えばいいのかよ。

阿武隈「お望み通り、本気出したけど?」

ふふん、と鼻を鳴らしてネットの向こうで阿武隈が得意げに笑う。

今は昼休み、人もいないのでテニスコートを借りて阿武隈とスポーツに勤しんでいたのだが…。

彼女は明らかに手を抜いて緩い放物線を描くボールばかり放つ。

いやいや俺だって男だ、そんな舐められちゃあ面子が立たない。

…と、いうことだったのだが…。

提督「ごめん、手加減して」

阿武隈「わかればよろしいーっ♪」

ちょっと流石にアレは無理。

降参だとばかりに両手を挙げた。

提督「…にしても、すっげぇなあ」

阿武隈「…?何が?」

提督「いやー、テニス、やっぱ…凄えんだなって」

阿武隈「…だったらそれは、提督のおかげだよ」

提督「…は?」

そんな返しは予想していなかった。

思わず怪訝な顔をしてしまう。

阿武隈「…うん、…提督のおかげ」

提督「だから…」

阿武隈「あのさっ!」

何が、と言いかけた言葉はやたらと大きな声に遮られる。

彼女はポケットからボールを取り出して、それを掲げた。

阿武隈「勝負、しない?」

提督「…勝負?」

阿武隈「うん、提督があたしのサーブに…そうだなぁ、当てられたら勝ち」

提督「…いや、その条件でも厳しいぞ…で、負けたら?」

阿武隈「勝った人の言う事を、一つ聞くってことで!…あ、でも、簡単な事ね」

提督「簡単な事…か」

ジュース、とかかね?…まあ、そんなら別に受けても構わんが――


>>+2

A.…あのサーブ怖いからなぁ。

B.……ふっ、俺を舐めたこと、思い知らせてやるよ。

C.…嫌だ、絶対勝てねぇ。

B.……ふっ、俺を舐めたこと、思い知らせてやるよ。(*1.5)


…ふっ。俺を舐めたこと、後悔させてやろう。

来いよ。

と言わんばかりに、人差し指をクイクイと動かしてみた。

どうやらちゃんと意図は伝わったようで、ポーンポーンとボールを地面に跳ねさせる音が聞こえてくる。

そして何度か手に馴染ませた後、空にボールをひょいと投げる。

俺はその動きを、一つたりとも見逃すまいと注視していた。

…ま、さっきはいきなりだったが…今回は違うってことを――

阿武隈「ふっ!」

提督「…………」

………かしゃぁん!

ボールが後方のフェンスに当たる音がした。

…わっつはっぷん。本格的に見えなかったんだけど。

阿武隈「よーし、あたしの勝ちだよねっ!」

提督「……消える魔球とか卑怯ちゃいますか?」

阿武隈「いや、使ってないしっ!?」

…違うのか。じゃあ一体どういうことだ。

阿武隈「…じゃあ、一つだけお願いするからね」

提督「…ん、ああ」

あー、そういや罰ゲーム的なのあったな。サーブの事ですっかり忘れてた。

すっかり上機嫌の阿武隈が、ネットを跨いで超えて此方側のコートへやってくる。

阿武隈「えーと…あたしが良いって言うまで目を閉じててくれる?」

提督「…へ?そんなんでいいの?」

阿武隈「う…うん」

提督「んじゃまあ…はい」

目を閉じた。

明るい光が遮られて、世界が急に真っ暗になる。

その代わりに耳から入ってくる音、その中でも阿武隈の息遣いが強く感じられた。

阿武隈「…まだ、だからね」

じゃりっ、と人工芝のコートに広げられた砂を踏む音がする。

…近づいて、来たのだろうか?

心なしか、阿武隈の呼吸が大きく聞こえた。

阿武隈「……まだ、だよ」

じゃりっ、じゃりっ。

音はどんどん大きくなって、急に止まった。

そして―唇に、何かが触れた。

柔らかくて、暖かい何か。

阿武隈「――もう、いいよ」

遅れて聞こえる、声。



目を開いた。

照れ臭そうに目を逸らす阿武隈がいた。

その手は、唇を撫でていた。

提督「…へ、は……うえぇっ!?」

阿武隈「提督」

提督「おいぃっ!?なんぞこれ!?」

阿武隈「あのね、好き」

提督「隙だらけぇっ!?」

もう阿武隈が何言ってるのかわからない。

そして自分が何言ってるのかもわからない。

頭の中がカーニバルのリオでジャネイロだ。

褐色の女の子が踊っているブラジル。

阿武隈「…ずっと、ずっとなんだよ」

阿武隈「ずっとね、好きだったの」

噛み締めるように、そう言って。

それからややあって、視線を俺に戻した。

阿武隈「……ね、提督」

提督「は、はひいっ!?」

そろそろ落ち着いてサンバしないと。

水着はブーメランでいいだろうか。

阿武隈「…ごめんね、いきなり」

提督「えーいやいや!全然気にしてない!」

阿武隈「でもね…言っときたかったんだ」

阿武隈「あたし、すっごい臆病だから…すぐ怖くなって、言えなくなるから」

阿武隈「え、…えーと、ね…今のところは、それだけっ」

どんどん口調が早くなって。

最後の方は早口言葉みたいな勢いで言って、くるりと身を翻す。

彼女はそのまま、テニスコートの向こうへと駆けて行った。

……これは一体どういうカーニバルなんだろうか。

…つーか、さっきからカーニバルってなんなんだ。

そして阿武隈は一体なんなんだ…。

俺は誰も答えてくれない疑問を抱えたまま、一人テニスコートに立ち尽くすのであった。



阿武隈→  240/500



【11月1週】


磯波「お、お帰りなさいませっ、ごしゅ、ごしゅじ、ご主人さまっ」

ゴーヤ「お帰りなさいませでち!」

阿武隈「お帰りなさいませー♪」

提督「………イイ」

提督「…いやいや、うん、良いよ、マーベラス」

磯波「…う、うぅ…ほんとですか?」

提督「ほんとほんと、マジマジ」

ゴーヤ「にひひー」

提督「馬子にも衣装」

ゴーヤ「酷くないかなぁ!?」

阿武隈「………」カァァッ

提督「………」メソラシー

野分(……随分、楽しそうですね…)

野分(……私も着たんですが…私も、着たん…ですが…ねえ、何で気付かないんですかー、メイド服ですよー)ヒラヒラ

野分(…はっ!?ち、違う!違うんです別に提督くんに気付いて欲しいとかじゃなくてあれだけ着て欲しい着て欲しいって言ってたのにいざ着てみたら何も言わないなんて許せないという――)ブツブツ




野分    121/500
摩耶    **0/500
伊58    *64/500
阿武隈   240/500
磯波    *38/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ



野分「お、おかっ、おかえ、お帰り下さい…」

提督「何ででしょうかっ!?」

学園祭当日。

我らが2年B組メイド喫茶は大盛況。

だが勿論、働いてばっかりではない。

俺はしっかりと休憩を取って、学園祭を回って楽しむことも忘れない。

…その為にシフト表を俺と野分がズレるように仕込んでおいた。

正直野分と一緒に学園祭回るというのも魅力的で捨てがたい提案だったのだが…。

それでも俺は野分のメイド服が見たかった!のに!

野分「……だ、だって…は、恥ずかしいですってば」

提督「それでも客帰らせないでくれよぉ!」

メイド服は確かに可愛かった。

しかし俺に向かって野分がまともに相手しちゃくれない。

これは酷いじゃないか!教育がなってない!詐欺だ!責任者…は、…あ、俺だった気がする。

ゴーヤ「はーいはーい、入り口でいつまでも遊んでないでさっさと入れでちーごしゅじんー」

提督「扱いぞんざいだなぁおい!?」

ずいずいとゴーヤに押されるようにして席へ。

…しかも普段俺が使ってる席。なんの面白みもねぇ。

ゴーヤ「なんか食べるのー?」

提督「…いや…食べ物はいらん…ああ、そうだ、写真撮影を!」

ゴーヤ「…はーいはい、…野分ちゃん?」

提督「おうともよ!」

ゴーヤ「…ゴーヤじゃだめなの?」

提督「え、うん」

ゴーヤ「何で素で反応するのかなぁ!?」

ばーかばーかとぶつくさ呟きながら、ゴーヤが奥へと消えていく。

その代わりにやって来たのは、カメラを持った野分。

野分「あの…」

提督「…お、おう!」

野分「…しょ、ごほん!それでは…えと、写真撮影を…はい、…させていただかれます」

提督「野分野分、言葉がおかしい」

野分「そんなことはありみゃ…ません、いつも通りです」

提督「…ええー…」

写真撮影。

それは俺の考案した金のなる木、もといサービス。

身体を触れることを許さないという条件で一回100円で実施している。

よく許してくれたものだ、学校も。

まーそんなものを考えた理由は単純で。

こうすればメイド服のわっちの写真を保存できるからであった。



カメラを撮影係のゴーヤに預け、二人並ぶ。

野分「………」

提督「………」

…が、遠い。

肩と肩が1メートルくらい離れている。

ゴーヤ「それじゃあ見切れるでちー!」

提督「…だ、そうだぞ?」

すっ。

近寄る。

野分「……そうですか」

すすっ。

逃げる。

提督「………」

野分「……な、何か…?」

一向に距離が詰まっていかない。

これでは埒が明かないな――――


>>+2


A.肩を抱いて、無理矢理こちらに寄せる。

B.…このまま撮るしかねーか。

C.のわっち、こっち来てくれよ?

A.肩を抱いて、無理矢理こちらに寄せる。(*1.5)


提督「……」

…しゃーない。

このまま撮っても意味が無い。

それじゃなんかお互い身体半分が写ってるだけの写真になっちまう。

提督「…野分、すまんな」

野分「へ?ひゃあ――っ!?」

右手を、野分の肩へ。

そのままグイッとこちらに引っ張り、無理矢理密着してみた。

野分「な、何をしているのよ提督くんっ!?」

提督「いやぁ…こうでもしねーとほら」

野分「ほ、ほらじゃなくて!離して下さい!」

必死に野分が逃げようと身を捩る。

…が、恥ずかしいのか抵抗する力が弱いので、全く意味を成していない。

ゴーヤ「ちょ、こらぁ!おさわり!おさわり禁止でちー!」

提督「ちょっとくらいいいだろ俺は責任者だぞ!?」

ゴーヤ「いや、ダメに決まってるよ!?」

提督「とりあえずシャッター押せシャッター!」

ゴーヤ「……ぬぐ…はーい、わかったよぉ…」

カシャッという音と共に、フラッシュが焚かれた。

…こうして、俺とメイドのわっちの密着写真は永久保存されたのであった。

めでたしめでたし。

野分「………ほわぁ…」

磯波「の、野分さん!?野分さーん!?」

…余談ではあるが、その日野分はもう使い物にならなかったとか。



野分→  134/500



【11月2週】


摩耶「……学園祭、随分楽しそうだったなぁ」

提督「はっは、楽しかった!」

摩耶「いーなぁ」

提督「…摩耶のクラス、何だっけ?」

摩耶「……展示、世界の火山岩」

提督「…うっわぁ」

摩耶「…クラスのみんなの意見がバラバラで、最終的に全員の意見からくじ引きになったんだけどよ」

提督「ああ、もういい、もういいんだ、辛かったんだな」

摩耶「…すっげー辛かった………」




野分    134/500
摩耶    **0/500
伊58    *64/500
阿武隈   240/500
磯波    *38/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ



提督「ふふふん♪」

野分「………」

提督「ふふん♪」

野分「………」

提督「ふんふふーん♪」

突然ですが写真鑑賞タイム。

その写真というのも勿論俺とメイドのわっちのツーショット。

提督「いやー、最近の写真屋は現像も早いよなぁ」

野分「…ぼ」

提督「…ぼ?」

野分「没収ですっ!」

ひゅばっ。

俯いて震えながらもずっと黙りこくっていた野分が、突然顔を上げたかと思うと、素早い動きで俺の手から写真を奪った。

提督「ああーっ!?」

野分「な、何ですかこれは!?」

提督「何って…この前の」

野分「こ、こんな恥ずかしい物、処分すべきです!処分!」

野分「…こ、こんな……」

ちらっ、と一瞬手の中の写真を見て、野分はすぐに顔を真っ赤にした。

野分「何でこんなに近いんですかぁ…」

そしてもう泣き出しそうな目で俺を睨む。

…ど、どうしたのわっち。情緒不安定なのか。

提督「いや、だって…めっちゃ離れてたし…」

野分「だ、だとしても…こんなことしなくても良かったでしょう!?」

提督「…でもさぁ、のわっち全然話聞いてくれなかったし、逃げたし…」

野分「………で、ですが…」

自分でも自覚はあったのだろう、少し言い淀む。

野分は珍しく慌てた様子で、続ける言葉を探していた。

提督「……嫌だった?」

野分「…え?あ、い、嫌というかですね!恥ずかしい、ですから…えと…」

…やはり、いくらなんでもあれはやり過ぎたのだろうか…?

うーむ――――


>>+2


A.………なんかごめん。

B.……へぇ、嫌じゃなかったんだ?にやにや。

C.…………どうしよう。

A.………なんかごめん。(*1.0)


提督「……なんか、ごめん」

野分「…え?」

提督「俺も…ちょっと、調子乗りすぎてた」

野分「……あ、ち、違いますよ!…わ、私も…必要以上に、…えっと…」

提督「…ごめんな野分、いつものノリでさ」

野分「……え、えっと…だから…」

野分が、また俯いた。

俺も何となく、窓へと視線を移す。

提督「…………」

野分「…………」

流れる沈黙。

…このままじゃいかん。

提督「あのさ――」

野分「あのっ――」

提督「…あ、の、野分どうぞ」

野分「い、いえ…提督くんが先に」

しかし、被るタイミング。

結局俺達は、そのまま黙っていることしか出来なかったのだ。



野分→  168/500



【11月3週】


ゴーヤ(……ふっふー、今日はてーとくのおうちを家探しするでち)

ゴーヤ(最近酷い役回りばっかりだからたまにはこんな事も許されるでち)

ゴーヤ(ちなみにおばさんが快く通してくれたでち)

ゴーヤ(…というわけで…さっそく本棚!)

ゴーヤ(『高校水泳』…?あ、ご、ゴーヤだぁ!?)

ゴーヤ(…他にも水泳の本、いっぱいでち…)

ゴーヤ(…しかもゴーヤのページ、読みグセが…)

ゴーヤ(………にゅ、にゅふふふふふふ……)



野分    168/500
摩耶    **0/500
伊58    *64/500
阿武隈   240/500
磯波    *38/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ

ちょいと休憩ついでに埋めネタ仕上げてきます
30分程頂きます

阿武隈その1忘れてた……埋めネタ短いからもうちょい話進めるね


【阿武隈―その1】


キスした。

キスしちゃった。

…キス、しちゃったぁ…。

「……ほへぇ」

家に帰るなり、魂が抜けたようにベッドに倒れ込む。

「…い、言っちゃった」

ずっと秘めていたあの想いを。

ついに、口に出してしまった。

しかもキスまでしてしまった。

「…て、提督はなんて思ったのかな」

驚いてた…けど。

あの後の言葉を聞くのが怖くなって逃げ出してしまったから、詳しいことはよくわからない。

…少なくとも…嫌がって…は、なかったよね。

「……やだもー…言わなきゃよかったぁー…」

隠しておくのも辛い。

言ってしまっても辛い。

そんな扱いづらい恋心。

でも、捨てる気にはなれないのだ。



ゴーヤ「てーとく、お暇でち?」

提督「………ん…あれ、ゴーヤ」

ゴーヤ「…わ、お昼寝してたんだ」

提督「…ああ…ふぁ…良い良い、気にすんな」

休日の昼過ぎ。

やることもないので惰眠を貪る幸せを味わっていたところ、ゴーヤが家にやってきた。

ゴーヤ「それじゃあ、お言葉に甘えるでち」

提督「へいよ、汚い所で悪いな」

ゴーヤ「大丈夫だよー、気にならないよ」

提督「さんきゅー」

ぼふっと、ゴーヤが床に置いていた座布団に腰を投げ出す。

そして、大きく息を吐いた。

ゴーヤ「はふぅー」

提督「…どした、お疲れか?」

ゴーヤ「ううん、違うよ…なんていうか」

提督「なんていうか?」

ゴーヤ「提督の側は、落ち着くんでち!」

提督「…何だそりゃ…つーか、…いつの間にか呼び捨てになってるな?」

ゴーヤ「…わ!?ほんとだぁ!?」

提督「はは、いやいや、別に良いぞ、むしろそっちの方が良いや」

ゴーヤ「んー…ならいいかなぁ?」

提督「おう、良い良い」

ゴーヤ「…それなら、てーとくでいいね!」

ゴーヤ「そうだ!提督もゴーヤと居ると落ち着いたりしない?」

提督「ん、何だ唐突に…そうだなぁ…」

ゴーヤといると…落ち着く…ねぇ。

落ち着く――――


>>+2


A.…わけねーだろ。

B.…かもな、落ち着く気がするよ。

C.…む、むしろドキドキする…。…なーんつって。

C.…む、むしろドキドキする…。…なーんつって。(*1.5)


提督「…むしろ」

ゴーヤ「うんうんっ」

提督「…むしろ、ドキドキする」

ゴーヤ「うん――え!?」

ゴーヤ「ド、ドキドキ!?ドキドキって、え、ええっ!?」

ふぅ、と一度間を挟む。

そして、真面目な顔をしてゴーヤに向き直った。

提督「ゴーヤの顔見てるとさ」

提督「ドキドキして、胸が締め付けられるみたいに苦しくて」

ゴーヤ「え、そ、それって…えええっ!?」

提督「…近付くと――」

ゴーヤ「……っ」

座布団に座ったゴーヤに一歩踏み出す。

すると、彼女はぎゅーっと固く目を瞑った。

なので――

提督「めっちゃデコピンしたくなる」

ゴーヤ「いたあっ!?」

びしぃ。

デコピン直撃。ミッションコンプリート。

提督「はっは、冗談だ」

ゴーヤ「冗談っ!?酷いでち!酷すぎるでち!」

じたばたと暴れるゴーヤ。

提督「はっはっはー」

ゴーヤ「むー!聞けー!話聞けー!」

うむ、割と楽しい休日になった。



伊58→  118/500



【11月4週】


野分「……」

提督「…のわっち?」

野分「…ん、あ、はい?」

提督「なんか最近ぼーっとしてんなぁ」

野分「そうでしょうか、特段自覚は無いのですが」

提督「いやいや、だってのわっち呼びしても反応しないし」

野分「それは…諦めただけです」

提督「…えぇ…寂しい」

野分「何でですか…」

提督「のわっちのツッコミが癖になるのにっ!」

野分「意味がわかりませんっ!」




野分    168/500
摩耶    **0/500
伊58    118/500
阿武隈   240/500
磯波    *38/500


>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ

【艦これ】艦娘達と過ごすちょっとした学園もの★17【安価】
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次スレ
ついに未婚状態を脱した
もう演習以外には使わないくらいの勢いで大事にするねのわっち

辛い思い出は新しい幸せで塗り潰すんやで
とりあえず埋めネタ行きます



【霞ねーちゃんの選択】


「っあー……もうっ!」

ぼふぼふぼふぼふぼふぼふぼふ。

ベッドの上に置かれたふかふかのクッションを殴り続ける。

その理由はよくわからない。

多分自己嫌悪なんだろうけど、それだけじゃないような。

そんな感じで、もやもやするのだ。

「何やってんのよ私っ!」

今日、提督に言われた言葉。

『…あのさ、俺…帝国大、目指したい…なって』

『ちょっとさ、本気になれる気がするんだ』

『だから――』

あいつの目は、いつになく真剣だった。……気がする。

…だってほんとはわかんないし。

言葉の方に意識が行っちゃってて、全然見てなかったから。

でも、返した言葉は覚えてる。

『―む、無理に決まってんじゃないっ!』

『バカなこと言ってないで、ちゃんど勉強しなさいよっ!』

強い口調で、まくし立てるような早口で。

そこまで言って、はっと口を覆った。

あいつは―悲しい顔を、していた、ような…気がした。



「……うあーっ!」

私のバカ。

バカは私だ。

あいつの気持ちを汲んでやることなんか全く考えなかった。

絶対、あいつは本気だったのに。

…嫌になる。

「……ほんと、嫌んなるわ」

それは一体何に向けた言葉だったのか…自分にもわからない。

自分なのか。

あいつなのか。

それともやっぱり自分なのか。

「…はぁ」

ベッドに転がって、天井を見る。

賛成してやれば良かった。

頑張れっていってあげれば良かった。

せめて、どうしてって理由くらい聞いてあげれば良かった。

色んな後悔がぐるぐる頭の中を回っている。



「最悪だ、私」

…何で、あんな事言ったんだろ。

………何で――

「………わかってる、けどさぁ」

…その答えは、ある。

それに関して言えば、しっかりとあるのだ、自分の中に。

「…一緒の、大学」

『霞ねーちゃんと、同じ学校行きたくて』

あの言葉だ。

あの言葉を曲げたことが許せなかったのだ。

だから―あんな事を言った。

それだけ…裏切られた、って気持ちになったから。

キツい言い方になってしまったのは、きっとそのせい。

いや、きっとじゃなくて、絶対。

「横須賀大行くって…言ったのに…」

唇を尖らせる。

何でわかってくんないのよ、バカ。

あんたをそんな所に行かせるために勉強を教えた訳じゃないのに。

私は、あんたが私と同じ大学に行きたいって言うから…。

「…わかりなさいよ、…バカ」



「もーっ!バカバカバカバカバカっ!」

ぼふぼふぼふぼふぼふぼふぼふ。

再びサンドバッグになるもふもふクッション。

が、それを何度目か思いっきり殴った時、勢い余って吹っ飛んでしまった。

「ああっ」

それは机の方まで飛んでいって、上に積んだプリントを散らす。

ぱさぱさと紙が舞う音がした。

見れば、机の上にあったプリントは余さず床に放り出されていた。

「……もー…最悪」

仕事が増えた。

溜息を吐きながら、ベッドを降りて、手近なプリントを掴んだ。

「…………あ」

…真っ赤なプリントだった。

添削だらけ、間違いだらけの真っ赤な答案。

上部に、『第一回』と書いてある。

これは…そうだ、初めてあいつに勉強教えに行った時の…。

なんとなく捨てられなくて、取ってたんだっけ。



『……酷いわねー…なにこれ、やる気あんの?』

『ねーちゃん…むずい…むずすぎるよー…』

『…何言ってんのよ!このくらいで――』

「……そっか」

…最初は、こんなに酷かったのだ。

それからずっと、あいつは頑張ってきた。

私の出す課題、しっかりこなして。

文句一つ―言うことはたまにあったけど、頑張って。

そして、今…あんな事を言えるくらいまで成長した。

「……頑張ったのよね」

言葉に出すと、よりそれが重くのしかかってくるような気がして。

なんだか堪らなくなって。

「…ごめん」

届かないけど、謝った。

やっぱり、酷い事を言った。

……うん。

…しっかり、説明しよう。

…私は、あんたと同じ大学に行きたいんだって。

だから、もやもやして…あんな事言っちゃったんだって。

その上で…その上であいつが他の大学に行きたいって言うなら、その時は、応援してあげよう。

頑張れ、って。

ねーちゃんが手伝うぞ、って。

笑顔で言ってあげよう。

…でも、もし私と同じ学校にやっぱり行きたいって言ってくれたら。

その時は……そ、その時は…えっと。

「……嬉しい、な」

だから。

…ちゃんと言ってよね、ばか。



――――――――――

「ねーねー、雪風ちゃん?」

「なんですかー?」

「おにーさんに、何であんな事言えって言ったの?」

「ふふふー、そしたら、霞おねーさんが素直になるかと思いましてー」

「………?」

「まぁまぁ、見ててください!」

―頑張ってくださいね、霞さん。

そんな小さなお節介、というお話。


【END】

最近綺麗な話しか書いてないなぁと思った
すいません、後お願いします

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