【艦これ】艦娘達と過ごすちょっとした学園もの【安価】 (1000)

・艦娘×提督の学園もの
・全然艦隊とか関係ありません
・エロ、グロといった描写があるかもしれません
・なんかドロっとしているかもしれません

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前スレ

【艦これ】艦娘達と過ごすちょっとした学園もの【安価】
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ヒロインまとめ(○はエンド艦娘、次回登場は不可、○付いてない子は出せます)


【一周目】

電(幼馴染)         
浜風(娘)          
あきつ(後輩)         
足柄(先輩)          
○青葉(同士)   



【二周目】

大和(管理人)       
○不知火(親友)      
飛鷹(教師)        
五十鈴(転校生)       
北上(同居人)       


【三周目】

雷(クラスメイト)       
球磨(スラッガー)      
間宮(バイト先の店長)   
○那珂(超人気アイドル) 
阿武隈(義妹)        


【四周目】

陽炎(幼馴染)        
川内(学生であり怪盗)  
卯月(妹分)         
榛名(後輩)         
○暁(妹)           


【五周目】


初春(宇宙人)
叢雲(↑のライバル)
長門(ながもん)
響(帰国子女)
山城(元カノ)

BAD。


【六周目】


千代田(義妹)
吹雪(親友)
赤城(大食いチャンピオン)
由良(後輩)
古鷹(フライフェイスとオッドアイの演劇の天才)

BAD。


【七周目】


比叡(記憶喪失・幼馴染)
○漣(家政婦)
明石(近所のお姉さん)
大井(クラスメイト)
レ級(クラスメイト)

【8周目】

○明石(義姉)
鈴谷(同居人)
文月(姉)
熊野(財閥令嬢・崩壊寸前)
白露(クラスメイト・電波)


【9周目】

潮(従妹)
村雨(幼馴染)
鳳翔(先生)
朧(後輩)
武蔵(応援団長)


いまここ。

テンプレ終わり
唐突に雷ちゃん病ませてごめんち
続き書く



――部室


放課後。

窓から外を眺めていると、褐色の肌をした少女と目が合った。

提督「よっ」

武蔵「……ちっ」

提督「舌打ちっすか!?」

武蔵「…何だ?」

提督「…なんだって言いたいのはこっちだよ」

最近―というか、この前から。

武蔵が冷たい。

めっちゃ冷たい。

何だお前アレかリア充となった俺への嫉妬か?ん?

提督「…武蔵、冷たくないか?」

俺の言葉に、武蔵が大きな溜息を吐く。

武蔵「…お前には彼女がいるのだろう?」

武蔵「…だったら、私があまり仲良くするのも…なんだ、その…ダメだろう」

提督「……何だお前、そんな事を気にしてたのか」

武蔵「…そんな事とはどういうことだ」

明らかにむっとした様子で、武蔵が俺を睨む。

彼女持ちの男子だから話さないってお前は大正生まれのお嬢様かよ。

提督「別にそんなん、誰も気にしないって」

提督「俺も武蔵と話せなくなるのは嫌だしさ、な?」

武蔵「…そんな物なのか?」

提督「おう、だからよ、これまで通り友達でいてくれよ」

武蔵「…私でいいのか?」

提督「……?」

武蔵「…いや…私なんかが、友達でいいのか?」



>>+4

A.……?そりゃ良いに決まってるだろ。

B.勿論。武蔵が良いんだ。

C.……そう言われてみると――なんてな。

A.……?そりゃ良いに決まってるだろ。(*1.0)


提督「……?そりゃ良いに決まってるだろ」

一体どうした―と視線を送る。

武蔵はごまかすように笑みを作った。

武蔵「ああいや、すまん、そうだな、変な事を言ってしまった」

提督「全くだ、意味がわからん」

武蔵「…ただまあ…男子の友達というのは、あまりいなくてな」

彼女持ちなんて物も初めてで、少し戸惑ったんだ―と続ける。

提督「…そうなのか?あんなに応援団の奴らだって…」

武蔵「あれは……舎弟に近い」

提督「…なるほど」

納得できる。

姐さんって呼ばれてそうだ。

提督「ま、たまに話くらい付き合ってくれよ」

武蔵「…そうだな、話くらいは…いい、よな」

提督「おう、待ってるぞ!」



武蔵→  294/500



【9月3週】


提督「………なーつーのおーわーりー」

鳳翔「そうですね、受験も近付いてきました」

提督「…俺、高卒就職…」

鳳翔「には、もう遅い…ですよ?」

鳳翔「…今から面接だったり、そういう最低限の知識を完璧に短期間で身につけられますか?」

提督「ああ……どうすれば…」

提督「……鳳翔先生、俺を永久就職させてくださいっ!」

鳳翔「…………ちょっと!?」

<ザワザワ

<…エ、ホウショウセンセイッテ…

<…ソウイエバヨクシリョウシツニコモッテオリマスナ

鳳翔「ち、違います!違いますからー!」



コミュ対象 >>+4


潮     500/500
村雨   153/500
鳳翔   194/500
朧     *84/500
武蔵   294/500

風呂っす

武藏派だったから「お、ギスギスくるのか?」って期待してたがこういうのはなぁ…


――部室


提督「そうだ、武蔵」

武蔵「…うん?」

他愛のない話の間、ふと思いついた事がある。

提督「お前は彼氏とか――」

武蔵「嫌味か?」ギロッ

提督「………すんません」

思いつき、轟沈。

はっやーい。

提督「…しかし、見た目も良いのになぁ」

武蔵「そういう分かり易い慰めはいらん」

機嫌悪そうに、武蔵が顔を背ける。

その横顔は、…やはり、端麗であると思う。

提督「…いや、マジだっての」

武蔵「はいはい、そうかそうか」

提督「怒んなって」

武蔵「…怒ってなどいない」

低い声音は、明らかに怒を含んでいた。

…どうにも、あの一件以来めんどくさいやつになったものだ。

提督「…ホントなんだがなぁ」

武蔵「………ならば」

提督「…ん?」

武蔵「…ならばお前に、もしその件の彼女がいなかったとして」

提督「ああ」

武蔵「…私に告白されたら…お前は、受けてくれるか?」

ふむ?

潮ちゃんがいなかったとして――武蔵に?

…うーん――――


>>+4


A.そうだな、受けるかもな。

B.…保留、ってとこか?

C.………ないない。

A

A.そうだな、受けるかもな。(*1.5)


提督「…そうだな、受けるかもな」

武蔵「……気を遣うなよ」

提督「んなこたないさ、…事実だよ」

武蔵「…そう、か」

武蔵「だったら、遅かったんだろうな…気付くのが」

提督「……?何の話だ?」

武蔵「何でもないさ…うん、何でもない」

提督「ならいいが…まあ、元気出せって」

提督「あ、なんなら俺が紹介でもしてやろうか?」

武蔵「…お前の友達に何を期待すれば良いのだ」

提督「ひっでーな」

武蔵「ふっ、…ではな、提督」

提督「おう、練習頑張れよー」




武蔵→  314/500



【武蔵―その2】


……私は、恋をした。

でも、漫画なんかで見るような素晴らしい物じゃなかった。

『…上手くいったよ――』

『…恋人に――』

「…………くそっ!」

綿の詰まった枕を思いっきり殴る。

ぽす、と乾いた音がした。

甘くなんかない。

美しくなんかない。

楽しくなんかない。

ただただ苦くて、醜くて、辛いだけじゃないか!

『…そうだな、受けるかもな――』

…或いは。

この気持ちにもう少し早く気づけてさえ居れば。

あの隣にいるのは自分だったかもしれないのに。

…………。

「いなければ――」

「…あいつの隣に、誰もいなければ――!」

ここで終わればいい思い出いい青春で済むんだがな。この発想だってまだ常軌から逸脱とはギリギリ言えない



【9月4週】


潮「…………あの…ど、どう…ですか?」

提督「ふむ………」

ひざまくら。

それはとても甘美である。

潮ちゃんの潮っぱいが俺の顔に乗っかっている。

勿論俺がお願いした。

その頼みを恥じらって必死に断ろうとする姿もまたグッドだった。

潮「お兄さん…?」

提督「…潮ちゃん」

潮「は、はい」

提督「最高だよ!」

潮「えへへ……」

まあ、俺が言うのもなんだけど。

なぜこの状況でデレるんだろうね、潮ちゃんは。

恋は盲目とはよく言ったものだ。



コミュ対象 00:53に一番近いレス


潮     500/500
村雨   153/500
鳳翔   194/500
朧     *84/500
武蔵   314/500

終わったか  チッ
エピローグの前に10周目決めるね
次で安価出します

多分記念すべき10周目

一人目>>+4

お、おかーさん…

二人目>>+4

皐月

瑞鶴(幼馴染)

従妹再びか

三人目>>+4

皐月
仲のいい年下(男だと勘違い)

瑞鶴(幼馴染)

村雨
母の連れ子(義妹)

背徳の香りがすげぇな、今回ww

ファーwwwwwwwwwwwwwwwwww

4人目>>+4

くまりんこ
学園のアイドル

瑞鶴(幼馴染)

これって別に同じ学校に通ってなくてもいいんだよね?

北上 家の前で倒れてた

>>168 いいよー
これは深雪さんオアシスあるで

ラスト>>+4

村雨
母の連れ子(義妹)

瑞鶴(幼馴染)

なにこれ

皐月
仲のいい小学生(男だと勘違い)

イムヤ
双子の姉

おい            おい

弟が二股かけてやがる…wwwwww

鶴姉妹ハーレム目指そうぜ(ゲス顔

弟が二人いる可能性が微レ存

非モテで不細工の俺がイケメン弟から彼女を寝取る話 960円


大鯨(母)
曙(従妹)
翔鶴(弟の彼女)
深雪(親友)
瑞鶴(弟の彼女)

流石10周目だぜ
なんすかこれ

深雪と曙に癒やされなくちゃ

カオスが戻ってきたな

まあ大和(ペット)よりマシか
まだ人間としての尊厳が保たれとる

瑞鶴採用されたけど複雑な気分だわ

今回考えるポイントは1つだね、弟の名前だ
…まあ気長にお待ちください、どちらにせよ朧エンドが先です
お付き合いいただきありがとうございました

朧?

潮ちゃんですはい

とりあえずおつおつ

結構前に近親はNGって>>1が言ってたような希ガス

>>233
言ってたけど暁で解禁したんじゃね

まああまりに何回も続かなきゃな

>>235
逆だったかと
暁ENDになった後近親相姦は勘弁って言ってたような

この先妹が出た時に同じ様な葛藤はさせませんって事でした
ギャグっぽく行くか文月のように突き抜ける

本人達の心持ちが違うからセーフってのはそういう意味だったのか

鶴姉妹って二人共貫通(意味深)済みなのだろうか そしたら何か泣きそう

臭いのが湧いてるな

ってか鶴姉妹はどっちも提督に選ばれなかったらバッド確定じゃね?
鶴√→選ばれなかった方が二股弟とゴール?引っ掛けてる女、他にもいるでしょ…
鶴以外√→いつか姉妹で鉢合わせ、修羅場で姉妹仲崩壊

唯一希望があるのは、提督が二人とも可愛がってあげる√だな…(幸せになれるとは言っていない)

ほのぼの青春ラブストーリー(目指すとは言ってない)

>>283
那珂ルートがまさにそれ

ほのぼのって何だっけな

よかった、弟くんは畜生じゃなかったんだね…
だが提督が(ry

最初から提督屑だし弟ムカつくし色々と引っ掻き回してやろう
どうせこの提督ならBADになっても心痛まんし

安価通りに書いたらこうなった、そんだけ
再開



【4月1週】


深雪「今日は提督にこの深雪さまが講義をしてやるぜ!」

提督「ほう」

深雪「題して『たばこの引き起こす健康障害』!」

提督「……」

深雪「いやー、一生懸命調べたぜー」

提督「………」シュボッ

深雪「っておいこらー!何やってやがる!」

提督「たばこ吸ってる」

深雪「むがー!」ポイッ

提督「あ、おい、捨てるな馬鹿!」



コミュ対象 00:15に一番近いレス


深雪   **0/500
曙     **0/500
大鯨   **0/500
瑞鶴   **0/500

翔鶴   **0/500



――リビング


提督「ただいま」

リビングに繋がる扉を開ける。

その真ん中のソファーで寝転がっていたのは、曙。

曙「……ちっ」

俺を見て、露骨に舌打ちをかます。

提督「……はぁ」

そりゃ、俺が原因だとはいえ。

こうまでやられると…少しは堪える。

しかも、家の中で―となれば。

というわけで関係の改善に臨む。

ソファーの空いたスペースに座ってみる。

曙「……何よアンタ」

提督「……ソファーで休みたかった」

………これは苦しいな。

だがまぁ別に重要なのはそんな物ではない。

提督「…なあ、曙」

曙「……なによ」

気安く呼ぶな―向けられた視線には、そんな言葉が篭っている。

それを承知した上で、続ける。

提督「……ちょっとした気の迷い…みたいなもんだったんだよ」

曙「はぁ?」

提督「いや…なんだ、その、やんちゃはさ」

曙「………」

提督「ホラ、中学時代ってそういう――」

曙「違うわよ」

提督「…え?」

曙「あたしが怒ってるのは、そこじゃない」

提督「…じゃあ、何に怒ってんだよ」

曙「アンタが!」

びし、と俺に指を差す。

曙「あんだけ迷惑かけたのに、おばさんにもおじさんにも謝んないで、そうやってヘラヘラしてんのが気に入らないの!」

曙「そりゃ、ふたりとも優しいから何も言わないけどさ!」

曙「アンタ、一回でも二人に…いや、提弟くんも入れて三人に、まともに謝ったことあんの!?」

提督「…………」

>>+4

A.……悪いとは、思ってる。

B.……無いよ、それが?

C.……無いな。

A.……悪いとは、思ってる。(*1.5)


提督「…悪いとは、思ってる」

曙「っ…!何よそれ!?」

提督「……迷惑かけたことは、反省してる」

――まあ「母さんに」という枕詞が入るが。

それでも、悪いと思っている事に変わりはない。

曙「だったら!何でそれを言わないのよ!」

提督「……それは…」

両親に対してならばともかく。

弟に謝るなど言語道断である。原因はあいつで悪いのはあいつだ。

責任転嫁だろうが何とでも言え。

…とは言えんな。

曙「そんなんだからあたしも……!」

提督「…あたしも?」

曙「っ……!な、なんでもないわよバカ!」

すっと、ソファーから立ち上がる。

そして床を踏み鳴らしながらリビングの扉へと歩いて行く。

曙「いい!?ちゃんと謝りなさいよ!今からでも!」

提督「……善処するよ」

曙「ふんっ!」

壊れるんじゃないかというくらいに扉を叩き付けて閉め、そのまま2階へと上がっていく。

提督「…よーわからんやつ」

…しかし、また絡まれるのか。

…あいつ早く帰んねーかな、実家。


曙→ 138/500



【4月2週】


大鯨「てーくんてーくん」

提督「ん?」

大鯨「お使い、行ってくれないかな?」

大鯨「お肉もお野菜も足りなくて…」

曙(……いやいや、おばさん、行くわけ無いじゃん)

(……流石に絶対行かないって、兄さん)

提督「勿論!お安いご用だよ!」

曙「えぇ………」

「えぇ……」



コミュ対象 01:00に一番近いレス


深雪   **0/500
曙     138/500
大鯨   **0/500
瑞鶴   **0/500

翔鶴   **0/500

凄い(こなみかん)
今日はここまでです
お付き合いいただきありがとうございました

○ンポが悪いとな、始めます
グッバイコバフト
フォーエバーコバフト


――リビング


曙「ねぇ」

提督「あん?」

曙「…謝ったの?」

放課後、家に帰り。

リビングに入って開口一番。

曙はそう、俺に尋ねた。

一瞬何のことか分からず、上を見上げて。

ああ―と思い当たる。

提督「謝ったよ」

曙「……そう、何て言ってた?」

提督「ぽかんとしてたさ」

曙「でしょうね」

曙が苦笑する。

俺もそれに合わせて笑った。

曙の笑顔を見るのなんて、思えば久方ぶりだ。

曙「…ま…クソ兄貴もクソ兄貴で反省してたってことね」

提督「言ったろ?変わったんだって」

…まあ。

謝った、なんて大嘘も良いところなのだけれど。

どうせ正直に言ったらまたこいつは怒るだろうからな。

しかし曙は、そんな俺の言葉を全く疑うこと無く続ける。

曙「少しはスッキリしたんじゃないの?」

提督「どうだか…わかんねーさ」

曙「そ、まぁ…そんなもんでしょうね」

…スッキリ、ねえ…俺は最初からモヤモヤしてないのに、スッキリも何もなかろうて。

強いて言えば母さんに対しては罪悪感もあるけど、あれはまた別口だ。

というか…謝ったくらいで俺が勝手にスッキリしてたら、弟とか絶対モヤモヤするだろうな。

そういう意味では、加害者の謝罪ほど傲慢なものも無いと思うのだが。

…ま、曙には曙の価値観があるのだろう。

曙「…もう心配かけるんじゃないわよ、クソ兄貴」

提督「へいへい、わーってますって」

曙「それと………私も、心配…してたんだから」

小さな声で付け足して、視線を彷徨わせる曙。

…ほう?

>>+4

A.…そうか、じゃあ曙にも謝んねーとな。

B.…そいつは知らんかった。

C.……嘘こけ。

A.…そうか、じゃあ曙にも謝んねーとな。(*1.5)



提督「…そうか」

提督「じゃあ、お前にも謝んねーとな」

曙「…はぁ!?だ、誰もそんな…!」

提督「心配かけて、迷惑かけて悪かった、曙」

提督「…許してくれ…とは言わんが、せめて謝らせてくれ」

曙「………アンタ…」

…多分。

曙が求めているのはこんな所だろう。

果たして、それは正しかったようで。

しばしの沈黙の後、視線を虚空に彷徨わせたままで曙が答えた。

曙「…半分」

曙「……半分、許したげる」

提督「半分?」

曙「…そ、半分」

残りの半分は――と、強引に視線を俺の方へ向けて。

曙「これからのアンタの態度で、考える」

提督「………ははっ、そうか…」

ぽん、と曙の頭に手を置く。

提督「だったら頑張んなきゃいけないな」

曙「っ……!さ、触んな!クソ兄貴!」

……というか。

…こいつチョロいな、案外。


曙→  234/500



【曙―その1】


最低な奴。

それがあいつ。

皆に迷惑をかけたくせに。

悪びれもしないで、笑っていて。

あたしには、どうしてもそんなあいつが許せなくて。

『…ふっざけんな、このクソ兄貴――!』

2年前のあの日。

思いつく限りの罵倒をした。

あたしは躊躇い一つなく殴られて、床に転がって。

それでも、まだ、諦められなかった。

『待ってよ、おにいちゃーん…!』

『…曙ー!走るな、コケるぞー!』

いつか、あんな風にまた戻ってくれるんじゃないかという期待を捨てられなかった。

…だから。

『…悪かった、曙』

あんな言葉でも、嬉しかったのだろう。



【4月3週】



深雪「…深雪さまはすげーことに気付いちまった」

提督「すげーこと?」

深雪「…この屋上、立入禁止だったらしいぜ」

提督「………」

提督「……今まで気付いてなかったのか!?」

深雪「えっ!?何だよ提督知ってたのか!?」

提督「………」

…こいつを見ていると。

決して上等ではない自分の頭が、いくらかマシに思える。



コミュ対象 00:10に一番近いレス


深雪   **0/500
曙     138/500
大鯨   **0/500
瑞鶴   **0/500

翔鶴   **0/500



――屋上


深雪「お」

教室に鞄を置いて、スマホとタバコと財布だけを持って屋上へと昇る。

壊れた南京錠を外して開いた扉の先には、既に深雪がいた。

深雪「おはよーさん、遅刻魔」

提督「30分くらいだろ」

タバコを取り出し、火を点ける。

副流煙副流煙―と深雪が顔を顰めた。

深雪「ごほっ……深雪さまを30分待たせた罪は重いぜー?」

提督「…具体的には?」

深雪「今日一日深雪さまの荷物持ちっ」

ぴっ、と屋上から見える駅前のデパートを指す。

提督「…今から制服でか?」

深雪「あたぼうよ!」

提督「…資金は?」

深雪「昨日小遣い貰ったぜ!」

提督「……ついに貞操売ったのか」

深雪「そういうんじゃねーよ!」

言葉とともに腹へ拳が飛ぶ。

……結構当たりどころが良い上にこいつ力強いな、普通に痛い。

提督「…悪かったって…で、マジで言ってんのかそれ」

深雪「深雪さまはいつだってマジの大マジなエブリデイだぜ?」

提督「……すっげー頭悪そうだな」

…にしても、今からなぁ…。

ふむ――――


>>+4


A.いってら。

B.…ま、いいや。

C.面倒臭いが、付き合ってやるか。

B.…ま、いいや。(*1.5)


…たまには、そういうのも悪くないか。

提督「…おし」

短くなったタバコを弾く。

それは屋上際の柵を超えて、下へと落ちていった。

深雪「……おし、じゃねーよ…アレ見つかったらまった問題になるぞー」

提督「そんときゃその時だな」

深雪「…しーらね」

提督「んじゃ、出かけっかー」

深雪「お、珍しくやる気だな、出不精の癖に」

提督「深雪が折角金持ってるんだし、何か奢ってもらおうとなー」

深雪「…素直な子は嫌いじゃないけどお前は嫌いだぜ」

提督「冷たいこと言うなよ…あ、でも昼飯は良いわ」

深雪「……あん?昼飯奢れって話じゃねーのな?」

提督「母さんの弁当がある」

深雪「……そっすか」

提督「…何だその目は」

深雪「…いや、1年くらいの付き合いになるけど、それだけは理解できねーぜ」

提督「……へいへい」

ちなみに昼飯はドリンクバー(奢り)と弁当。

…まあ、自覚はしてるさ。



深雪→  *69/500



【4月4週】


曙「……うげ」

提督「ただいま、曙」

曙「…おかえり」

提督「どした、変な顔して」

曙「……何でも」

…ふっ。

驚いているな、俺の変貌っぷりに。

出来たらそのまま俺から距離を取って関心を無くしてくれ。

その為ならいくらでも何処にでも居るモブお兄さんみたいに振る舞うぞ。



コミュ対象 00:51に一番近いレス


深雪   *69/500
曙     234/500
大鯨   **0/500
瑞鶴   **0/500

翔鶴   **0/500

ここまで
お付き合いいただきありがとうございました

1時間後くらいに始めるよー
三浦とかいう永世終身名誉エース


――リビング

曙「ねぇ」

提督「……ん?」

喉が渇いたので冷蔵庫まで茶を飲みに来た、その帰り。

ソファーで呆けてテレビを見ていた曙に呼び止められた。

珍しい。

まさか曙の方から俺に話しかけてくるとは。

若干の警戒を抱きながら振り返る。

提督「…どうした?」

――珍しいな、とは言わない。

一応仲直りっぽい事を達成した以上、余計な諍いはごめんである。

曙「半分」

提督「……んん?」

曙「…だから、半分…覚えてる?」

………?

そんな事――

『……半分、許したげる』

提督「……ああ、そういや…言ってたな、なんか」

曙「…忘れんな」

提督「…悪い悪い」

……面倒臭いやつ。

なぜ俺がお前の一言一言を全て記憶せねばならんのだ。

俺の記憶領域は狭いんだよ。本当に自慢じゃないけど。

提督「……それで…その半分がどうしたって?」

曙「ん……」

軽く頷いて、曙が口ごもる。

ややあって、小さな声で続けた。

曙「……見極めたげる、半分」

提督「…どうやって?」

曙「…今度…買い物、付き合いなさいよ」

提督「…あ?…っと、か、買い物?」

…いかん、一瞬素が出た。

しかし買い物とは…全くもって意味不明である。

曙「……その時の態度で、許すかどうか決めるから」

……何言ってんだこいつ。

…そんなもん――

>>+4

A.…嫌だよ。

B.…ごめん、忙しい。

C.………わかった。

B.…ごめん、忙しい。(*1.5)


提督「…ごめん、ちょっとしばらくは忙しい」

―何で俺がそんなもんに付き合わなきゃならんのじゃボケお断りに決まってんだろ。

…という本音は隠す。

しかし、曙は食い下がる。

曙「…空いてる日で良いわよ」

提督「…いつになるかわかんないし……」

曙「…あんたの都合に合わせる」

提督「………」

なぜコイツは無駄に食い下がるのじゃ。

さっさと諦めろ。

だがまぁ…。

提督「……わかった」

提督「…都合のいい日があったら、連絡する」

曙「……ん」

そういう条件なら、受けておこう。

なんたって都合のいい日がいつ来るかは俺にしかわからんからな!

曙「…待ってる」

頷いた勢いで、下を向いたままの曙が、何かをつぶやいた。

それは、俺の耳にはボソボソとかすれた音にしか聞こえない。

提督「…どうした?」

曙「…何も言ってない」

提督「…そうか」

…しっかし。

ホントにわかんねー奴。


曙→  294/500

あ、ちげーよ、1.5だったよ
上がり幅60は合ってるのに、ミスったごめん



【5月1週】


提督「お、弟」

「げぇっ…兄さん…」

瑞鶴「…ど、どうも…」

帰り道。

何とも微笑ましい距離感の幸せそうなカップルに出会う。

提督「こんにちは」

瑞鶴「こ、こんにちは…」

その女の方に満面の笑みで挨拶してやる。

提督「今日は両手に花じゃないのか?」

「…翔鶴さんは、部活」

提督「…へぇ、ま、頑張れな」

「……兄さん、そっち、家じゃないけど?」

提督「深雪とゲーセン」

「…そう」

言って、片手を上げて去る。

…最後、俺が家に帰らんって言った時。

あいつめっちゃ嬉しそうな声だったな。

…まあいい。


コミュ対象 23:30に一番近いレス


深雪   *69/500
曙     294/500
大鯨   **0/500
瑞鶴   **0/500

翔鶴   **0/500



――学校・校門前


長髪白髪の方の女―翔鶴は、部活だと。

そう聞いた俺は、深雪と遊んだ後ストーカーよろしく校門前へとやって来ていた。

ここの学校の完全下校時刻は、以前付き合ってた女から聞いたことがある。

提督「…人生、何が役に立つかわからんなぁ」

…その女をこうして下校時刻に迎えに来た事など無いのが、何とも皮肉だ。

提督「っと」

遠目にマークしていた校門に、目的の人物を見つける。

何気ない素振りをしながら学校前を通りかかり――

提督「よお……えっと…翔鶴、だったか?」

翔鶴「え?……あ……て、提督…さん?」

丁度、校門前の横断歩道で信号を待っていた翔鶴の肩を叩いた。

なるだけ警戒心を抱かせないように気をつけて、柔らかい声を出す。

驚きの目で此方を見つめる白髪。

提督「駅前のゲーセンからの帰りなんだ、歩いてたらあんたを見つけたもんでな」

翔鶴「…そ、そうなんですか」

信号が、青に変わる。

早く渡りたそうにしながら、チラチラと翔鶴が俺を見る。

提督「どうだ、最近弟とは?少しは進展したのか?」

それに気付かない振りをして、話を続けた。

翔鶴「……進展、と言いますと…その」

提督「…まあ、そりゃだいたいあんたの想像通りの事だよ」

わかるだろ?と問うと、翔鶴はやや俯いて。

翔鶴「……それは…彼は、真面目な方ですし」

翔鶴「…何より、私達の事を思ってくれていますから」

どこか蕩けたような目で言う。

その様子に心の中で溜息を吐く。

提督「…そりゃ、いきなり最終段階突破しろとは言わんけどよ」

提督「もしかしてアンタら、付き合って2月にもなろうってのに、キスもしてないとか?」

翔鶴「………は、はい」

―それが何か問題なのか、という表情を作る翔鶴。

……弟ェ………いや、こいつらもこいつらだけどさ。

……さて――


>>+4


A.……信じられんな。

B.…つまらん奴だ、あいつは。

C.……満足か?

C.……満足か?(*1.5)


提督「……満足か?」

翔鶴「…?」

提督「ああいや…何て言えば良いか」

提督「あんたは、弟の事が好きなんだろ?」

翔鶴「…はい」

提督「…だったらさ、多少なりともは…そういう事をしたいって気持ちもあるんじゃないのか?」

翔鶴「それは―――」

反論しようとして、口ごもる。

翔鶴「……いえ、私は提弟くんの意思を尊重していますから」

提督「ふーん…」

提督「…でも、それって何かズレてるよな」

翔鶴「ズレてる…?」

提督「ああ、だってさ――」

その時、いつの間にか赤になっていた信号が、再び青に変わる。

それを見て、わざとらしく申し訳無さそうな顔をしてみせる。

提督「すまん、信号待ちだったんだったよな、あんた」

翔鶴「…え?」

提督「ついつい余計な話しちまった、悪い悪い」

じゃあな、と右手を上げ踵を返す。

あの、という制止の声は聞こえない振りをした。最近流行りの作曲家の真似である。

…とまぁ、冗談は置いといて。

また、近い内に会いに行くかね…話題もあることだし。




翔鶴→  122/500



【5月2週】


「兄さん」

提督「あん?」

「…翔鶴さんに会ったの?」

提督「ああ、たまたまな」

「……変な事、言ってないよね」

提督「お前な…俺の事どんな人間だと思ってんだよ」

「…言ったほうがいい?」

提督「……母さーん、弟が虐めるー」

「なっ、ちょ!?」

大鯨「ダメだよ弟くん、てーくん虐めたら」

大鯨「ほら、学校遅れるよぉ」

提督「そーだそーだー」

「…兄さん…」

提督「はっは」



コミュ対象 00:30に一番近いレス


深雪   *69/500
曙     294/500
大鯨   **0/500
瑞鶴   **0/500

翔鶴   122/500


提督「よ、また会ったな」

翔鶴「あ…」

前回とほぼ変わらぬ時間。

幸い、翔鶴はまた一人で下校していた。複数だと此方の手間が増えるのでこれは非常によろしい。

提督「…っと」

声を掛けたと同時に、翔鶴が待っていた信号が青になる。

だが、彼女は俺の方を見たまま動かない。

提督「…どうした?渡らないのか?」

手で青だぞ―と促すが、やはり動かない。

その信号が点滅し始めた頃になって、やっと彼女は口を開いた。

翔鶴「あの…」

提督「…うん?」

翔鶴「…この前のお話…」

翔鶴「あれは、一体どういうことでしょうか?」

提督「この前…?」

翔鶴「ズレているとか…そういう」

提督「ああ…そういや、そんな事を言ったな」

提督「……そうだな、まあ、単純なこった」

提督「あんたらはお互いを思っちゃいるが、想っては無いって事だよ」

翔鶴「……想う…?」

提督「…ま、言葉じゃわかりにくいな…前者が思考の思で、後者が想像の想、だ」

翔鶴「………?」

提督「……男女の付き合いすんのにさ、あんたら、お互いで気ィ遣ってんだろ?」

提督「あんたは弟の意思を尊重するとか何とか言って、弟は弟であんたに嫌われないように慎重な言動取って」

翔鶴「……それは、悪いことなのですか?」

提督「さぁな、良いか悪いかなんてことはわからん――たださ」

提督「それは多分、恋なんかじゃねーよ」

翔鶴「なっ…」

違います―と翔鶴が声を上げる。

翔鶴「私は、提弟くんが好きです!だから一緒に居たいって…」

提督「…そうだな、それは本当なんだろうさ、だけど、そりゃ友達に抱く気持ちの延長上だ」

提督「じゃねーと、…自分以外の恋人の存在なんて認めねーっての」

翔鶴「っ…」

翔鶴が、視線を俺から逸そうとする。

俺は――


>>+4


A.更に詰め寄る。

B.………こんくらいでいいか。

C.……信号。

B.………こんくらいでいいか。(*1.0)



提督「……と、今日はこんな所で」

翔鶴「…え?」

提督「いやー、変な事語りすぎたな…そろそろ夕飯の時間だ」

翔鶴「あ、あの?」

提督「まぁ、また会う機会があれば」

翔鶴「ちょ、ちょっと…」

提督「信号」

翔鶴「え?」

提督「変わってるぞ、渡らないのか?」

翔鶴「……貴方は…何がしたいのですか?」

提督「ん?」

翔鶴「…私と提弟くんの関係は…確かに少し変かもしれませんけど」

翔鶴「……そんな風に妨害しなくたって、良いじゃないですか」

提督「…妨害、ね」

翔鶴「……何でそんな事を――」

提督「簡単な話だよ、翔鶴」

手を振り払って、背を向ける。

そのままで、翔鶴に言った。

提督「お前に惚れたからだ」

翔鶴「…………え?」

背後から聞こえたのは、調子外れの、抜けた声。

その表情を見ることは叶わなかったが。

きっと――さぞかし呆けた顔だったのだろうな。



翔鶴→  189/500



【5月3週】


大鯨「てーくん、肩揉んでくれないかなぁ?」

提督「おまかせあれ」

大鯨「ありがとねー…ふふっ」

提督「…どしたの?」

大鯨「…こうしてると、幸せだなぁ、って」

提督「…俺もだよ」

大鯨「ふふっ、そっかそっかぁ」

曙(………何アレ)ヒソヒソッ

(…兄さんの持病)ヒソヒソッ



コミュ対象 01:33に一番近いレス


深雪   *69/500
曙     294/500
大鯨   **0/500
瑞鶴   **0/500

翔鶴   189/500

今日はここまで
お付き合いいただきありがとうございました
明日は無し、明後日からは通常回線が復帰するよ

4位になるチャンスでした。でした。はい。
やります


曙「…………」

提督「…………」

休日の繁華街。ごった返す人波の中を、付かず離れずの距離で歩く。

もしかすれば、他人からは同行者には見えないかもしれないような、そんな距離。

…件の買い物。

いい加減さっさと済ませてしまおうと思ったのだ。

「半分」とやらの見極めなどどうでも良い。

単に、これ以上この件を引っ張るのが面倒臭くなった。

家で顔を合わせる度に、毎度毎度買い物について言及したそうな表情をされるのは沢山だ。

曙「……荷物」

提督「…ん?」

曙「…荷物、持ってくれるのね」

提督「……まあ、一応な」

買い物中、曙は俺をチラチラ見るだけで、特に何も言わない。

服や靴なんかのいかにも女らしい買い物を、俺はただ眺めているだけだった。

荷物持ちを務めるのは…まあ、矜持みたいなものだろう。男としての。

曙「…休まない?」

提督「…そうだな」

丁度通りがかったバーガーチェーン店を指さして、曙が言う。

特に反論する理由もなく、それに頷いた。

提督「普通のセットでいいか?」

曙「…うん」

提督「飲み物は?」

曙「コーラ」

提督「あいよ」

自分の分は自分で出す、と言った曙を制止して、セットを2つ購入する。

向かい合う形の、小さな2人掛けのテーブルにそれを置いた。

提督「………」

曙「………」

食事中も、やはり無言で。

しかしそれを破ったのは、曙だった。

曙「…アンタってさ」

提督「あん?」

曙「何であんな事してたの?」

提督「……」

…あんな事。その言葉が指すのは…十中八九――

>>+4

A.…寂しかったのかもな。

B.関係ねーだろ。

C.さあ、よくわかんねーよ。

C.さあ、よくわかんねーよ。(*0.5)


提督「…さあな」

提督「よくわかんねーよ、自分でも」

食べ終わったバーガーの紙を丸めて、トレイに弾く。

手に付いたソースが煩わしい。

曙「…そ」

俺の返答に、曙がつまらなさそうにコーラを啜る。

何処か拗ねているような、そんな仕草だった。

曙「別に、隠さなくたって良いのにさ」

提督「…そういう訳じゃねーって」

曙「…喋り方」

提督「あん?」

曙「…そっちの方が、似合ってるんじゃない?」

提督「……」

言われて気付く。

どうやら、お兄さんモードを脱ぎ捨てていたらしい。

曙「嘘、下手くそね」

提督「…うるせーよ」

曙「…でも、そっか」

提督「…あ?」

飲み終わったコーラを脇に置いて、頷く。

何をこいつは一人で納得しているのだろう。

曙「…理由、あったのよね」

提督「……だったら何だよ」

曙「考えてみれな当然の事だけど…あたしが気づかなかっただけ」

曙「……悪かったわね、今まで勝手に責めて」

曙「…残りの半分、ちゃんと許すわ」

提督「……本当にどうした、お前」

曙「…どうもしないわ、どうもね」

じゃ、行くわよ―トレイを持って、曙が立ち上がる。

頭に疑問符を抱えながら、俺はそれに付いて行った。


曙→  299/500



【5月4週】


本日の天気は晴天なり。

暖かな日差しの中で吸うタバコは格別である。

深雪「……あー…健康が削られるぜー」

深雪「お前のせいで深雪様の貴重な寿命が縮むぜー」

提督「うっせーっての」

隣で文句言ってる奴がいなけりゃもうちょう気分も良かったのだろうが。

だいたい、タバコなんかで寿命が縮むかよ。

人間死ぬ時は健康論者のベジタリアンだろうがぽっくり逝くんだよ。

深雪「…つーかよー」

提督「あー?」

深雪「お前、良くタバコ買えるよな」

高いらしいじゃん、と箱を指さして深雪が言う。

提督「ああ…」

そこから新しいタバコを一本取り出して、咥え、火を点けた。

提督「母さんの手伝いしてお小遣い貰ってるんだ」

深雪「小学生かよ!?」

…ん?

あるか?突っ込みどころ。


コミュ対象 01:23に一番近いレス


深雪   *69/500
曙     299/500
大鯨   **0/500
瑞鶴   **0/500

翔鶴   189/500



――リビング


曙「兄貴」

ソファーで寛いで、半分意識が飛びかけていた所を、無遠慮な声に呼び戻される。

寝転がる俺の前で仁王立ちをしていたのは、曙。

提督「…クソが取れたな」

曙「…変な言い方すんな」

提督「悪い悪い」

曙「…アンタも、喋り方変わったわね」

提督「…こっちの方が楽だ」

曙「…そ、…ま、どうでもいいけどさ」

曙「…ソファー、空けてくれない?」

提督「…どかんぞ」

動きたくないのだ俺は。なんならこのままソファーと同化してしまいたいのだ。

…待てよ。そうなると俺の上にこいつとか弟が座ることになるのか?…そりゃ生理的に無理だ。

いや待て!…母さんも俺の上に座るんじゃないか!?

曙「スペース空けろって言ってんのよ、座れないじゃない」

提督「…わーったよ」

母さんの椅子になるという特異すぎる性癖に目覚めようとした俺の思考を遮ったのは、やはり曙の言葉。

しかし、珍しい事もあるもんだ、こいつが俺の隣に座るなんざ。

提督「よいしょっと」

曙「…何それ、親父くさっ」

提督「つい出るんだよ、ほっとけ」

曙「はいはい」

隣に座る曙に、いつもの敵意は見られない。

…どうにもこの前からおかしいな、こいつ。

曙「兄貴さ」

提督「クソは?」

曙「…殴るぞ」

提督「…さーせん」

曙「……はぁ…それで、兄貴さ」

提督「ああ」

曙「…何で、誰にも相談しなかったのよ?」

提督「…相談?」

曙「……理由、あったんでしょ?だから、相談」

…ああ、…にしても、随分と過去を振り返る事にご執心だな――

>>+4

A.…どうせ意味なんか無かっただろうからな。

B.いなかったからな、誰も。

C.……知るか。

C.……知るか。(*0.5)


提督「……知るかよ、んなもん」

提督「単に話すような内容じゃなかっただけだろ」

吐き捨てるように言う。

ご執心なのは結構なことだが、俺にしたって掘り返されて嬉しい思い出じゃない。

曙「…そ」

対する曙の反応は、短かった。

ただ一言だけ、そう言って。

俯き、少し考える素振りを見せてから続けた。

曙「……ごめんね」

提督「……いきなり何だ」

曙「…あたしは、アンタの事を考えてるようで、結局何も考えてなかったのよね」

提督「…頭でも打ったか?」

曙「後悔してるだけ、ただ」

曙「…殴られて、当然だったのかもね」

提督「…………」

薄く笑いながら言う曙に、得体の知れない寒気を感じる。

いきなり何を言い出してるんだこいつは。

俺の事を勝手に考えるな。なんか怖いから。

曙「ねぇ」

提督「…これ以上何かあるのか」

曙「…露骨に邪険にしないでよ」

曙「……これからもし何かあったら、あたしに相談しなさいよ、兄貴」

提督「…なぜそんな事をしなきゃならん」

曙「話すだけでも、スッキリするって言うじゃん」

曙「それと…寂しい兄貴の話し相手になってあげようかな、ってさ」

提督「余計なお世話だ」

曙「……ま、考えといてよ」

それだけ言って、曙が立ち上がる。

ぐっと大きく伸びをしてから、俺の方に振り向いた。

曙「あたしは見捨てたりしないから、兄貴の事」

曙が、優しく笑う。

提督「……だから、余計なお世話だ」

それは、俺が久しく目にしていない表情だった。



曙→  334/500



【曙―その2】


行動には理由があって。

理由があるから行動するんだって。

そんな当然な事も、あたしは見ていなかった。

あいつの心の中なんて全く考えないで、ただ責めた。

皆に迎合するように、間違っているんだと責めた。

もちろん、あいつが悪いってことに変わりは無いけど。

遠目からでも、あの時あいつは、ずっと一人だった。

抱え込んだ物を発散出来ないから、あんな風になってしまったんだ。

今度は、ちゃんと側に居よう。

話を聞いてあげよう。

「……兄貴」

お兄ちゃん、という呼称は恥ずかしくなってしまって。

あいつも、あたしに素っ気なくなってしまったけれど。

『曙ー!置いてくぞー!』

『お兄ちゃん、早いってばー!』

きっと、中身はあの頃のままだから。

ずっと、変わっていないはずだから。

「…そういえば」

…良く考えたら。

…何であたしはここまで兄貴に執着するのだろうか?

「……むぅ」

わかんないなぁ。



【6月1週】


大鯨「…んー」

提督「どしたの母さん、このドラマ、面白くない?」

大鯨「ううん、違うの…この俳優さんより、てーくんの方がかっこいいなって」

提督「…そうかな?」

大鯨「うんうん、そうだよー」

提督「…ありがと、でもそういう事なら、このヒロインよりも母さんの方が綺麗だよ」

大鯨「…もう、お母さんを誂わないの、てーくん」

提督「誂ってなんかないって!ほんとだよ」

大鯨「…ふふ、もう」

曙(……この親子…)

(…こんな母さんと兄さんは嫌だ…)



コミュ対象 02:25に一番近いレス


深雪   *69/500
曙     334/500
大鯨   **0/500
瑞鶴   **0/500

翔鶴   189/500


いつもの時間、学園前、校門。

違うのは唯一つ、翔鶴が信号待ちをしているのではなく、壁に寄りかかって俺を待っているということだろうか。

提督「や、待たせたな、すまん」

翔鶴「………どこで私の連絡先を知ったんですか」

提督「弟のスマホから抜いた」

翔鶴「……っ」

明らかに侮蔑と警戒を含んだ視線が俺を刺す。

そう、俺は今日、翔鶴をわざわざ呼び出したのだ。

提督「話の続きをしたくてさ」

翔鶴「…続き?」

提督「そうそう、言ったろ、惚れたって」

翔鶴「……だから、そうやって私達を妨害するんですか?」

提督「ああ、そうだな」

翔鶴「…そんな事――!」

提督「間違ってねぇよ、翔鶴」

突っかかってきた翔鶴を、逆に壁に押し付けるようにして迫る。

提督「…そういうもんだろ?恋ってさ」

提督「何としてもその対象を手に入れたくて、どうしようもなく焦がれて」

提督「それこそ何だって出来るくらいに、理性が飛ぶんだよ」

提督「スマホから連絡先抜くなんざ、むしろ甘い部類だろ」

提督「…だから、お前らのやってることは恋じゃねーって言ったんだ」

提督「…本当に好きなら、気なんて遣ってらねーよ」

翔鶴「な、何を――」

きっと今の俺達は、遠目から見ればキスでもしているんじゃないかと思われるだろう。

そのくらいに、近い距離。

気丈に振る舞おうとしている翔鶴は、明らかに動揺している。

提督「なあ、翔鶴」

提督「俺は、お前が欲しいんだよ」

提督「弟なんか比較にならないくらいに、お前を求めてる」

提督「一目見た時から、ずっとな」

翔鶴「……あ……っ」

真っ直ぐに射抜いた視線を、翔鶴が必死に逸らす。

しかし、抵抗らしい抵抗はそれだけ。

提督「…俺の物になれ」

提督「お前だけを愛してやるし、求めてやる」

提督「…弟よりもずっと、深く――な」

>>+4

A.抱き締める。

B.このまま立ち去る。

C.身体に触れる。

B.このまま立ち去る。(*0.5)


翔鶴「っ……」

もはや視線を動かすことすら出来なくなった翔鶴。

言葉が出ないのだろう、口だけが必死に動いている。

提督「……んじゃま、そういう事で」

翔鶴「…え?」

ひょい、と壁に押し付けていた手を離す。

今度は少し違う意味の驚きで、俺を見た。

提督「言いたいことは言ったしな」

後ろを向いたまま、ひらひら軽く掌を翔鶴に振る。

もちろん、それに返答など無い。

けれど、おそらく。

視線だけは、俺の背中に張り付いていたことだろう。





翔鶴→  210/500



【翔鶴―その1】


「…翔鶴さん?」

「え!?あ、は、はい!?」

「…翔鶴ねぇ、おやつ、食べないの?」

「ご、ごめんね瑞鶴、提弟くん…頂くわ」

…意識が飛んでいた。

考えていたのは、あの言葉。

『俺は、お前が欲しいんだよ』

あれほどまでに、率直に、素直に。

自分を求められたのは初めてで。

心臓が早鐘のように鳴っていた。

提弟くんと居る時のような、優しい高鳴りではなくて。

激しくて、荒い鼓動。

あれが、真に自分が求められているのだという感覚なのだろうか。

「…翔鶴さん、大丈夫?」

「あ…は、はい、ごめんなさい、何度も…」

「…もしかして体調が悪いとか…」

提弟くんの手が、私の額に触れる。

「あ、ご、ごめん、翔鶴さん!」

「……いえ、良いのですよ、気にせずとも」

だが、すぐに何かに弾かれたように手を引っ込めた。

『だから、お前らのやってることは恋じゃねーって言ったんだ』

『…本当に好きなら、気なんて遣ってらねーよ』

…あの人が簡単に越えていった線の前で、いつまでも立ち止まる提弟くん。

心の隅で、私はそれに、どこかもどかしさを覚えていた。



【6月2週】


「であるからして――」

黒板には、数式。

久々に授業に出た気がする。

心なしか、俺を見るクラスメイトの視線も奇異が混じっているきがする。自意識過剰だろうか。

提督「…ん?」

そんな時、急にスマホの画面が明るくなる。

深雪『屋上にいねーじゃねーか!』

提督「……ふむ」

『授業に出てる』

深雪『嘘だろ!?』

『マジだ、お前も来いよ』

深雪『絶対に嫌だぜ』

『ふ、落ちこぼれめ』

深雪『…ほう、いい度胸じゃねーか』

提督「んなっ…」

その一言の後にやって来たのは、怒涛のスタンプの嵐。

やめろ、俺のLINE通知を荒らすんじゃない!


コミュ対象 03:19に一番近いレス


深雪   *69/500
曙     334/500
大鯨   **0/500
瑞鶴   **0/500

翔鶴   210/500

今日はここまで
お付き合いいただきありがとうございました
ぼのちん強いのが意外

ごめん、今日は無しで

始めていく
明日は休みじゃ、羨ましかろう



――リビング


曙「おかえり、兄貴ー」

提督「…ただいま」

家に帰る。

リビングに入る。

挨拶が曙から飛んでくる。

……異常だ。

今までならば無言、または冷たい視線だったというのに。

しかもその表情を見れば皮肉なんて一切なくニコニコしてるもんだから、余計に対処に困る。

曙「どうだったの、学校」

提督「…どうって、いつも通りだよ」

曙「そっか」

このやり取りに意味などあるとは思えない。

なのになぜこいつは楽しそうに笑っているんだ。

提督「…なあ」

曙「何よ?」

提督「…お前、いきなりどうしたんだよ」

曙「別に」

提督「別にってな」

曙「…兄貴には、ちゃんと見ててあげる人が必要だって思ったの」

それだけよ、と笑顔のままで曙が続ける。

提督「…それがお前だって?」

曙「今のところね」

大きなお世話だ。

そんなもんいらん。

…と言いたい気持ちを抑える。

提督「……参考までに、理由を聞いていいか?」

曙「…ん……何でだろ、何となく?」

提督「………」

…こいつは何なんだ。

突っかかってくるのをやめたかと思えば、途端にこんな意味不明な事を言い出す。

情緒不安定なのか。

……ああ――


>>+2-5

A.迷惑だ、やめろ。

B.…何となくでわかるわけねーだろ。

C.………まあ、今はとりあえず放っとくか。

B.…何となくでわかるわけねーだろ。(最低値401 *1.5)


提督「何となくでわかるわけねーだろ」

そりゃそうだ。

お前は一体俺の洞察力にどこまで期待しているというのだ。

何となくで納得なんて出来るわけない。

提督「おい、曙」

曙「……うっさいわね」

提督「…さっさと理由を言え、お前が俺に優しいと気持ち悪いんだよ」

弟とお前は俺に厳しい人類ツートップだからな。

そんな奴がニコニコしてりゃあ、気持ちも悪くなる。

曙「…………」

俺の言に、曙はしばし考えるように手を顎に当てる。

そして、ぽつりぽつりと話し始めた。

曙「…最初は……」

曙「最初はただ、アンタがウザかっただけ」

曙「大嫌いな、最低なやつだった」

提督「………」

曙「…でもさ」

曙「気付いたの」

曙「あたしが一つの面しか見てなかったって事と――」

曙「アンタが、きっと自分で思ってるよりも、ずっと弱いって事に」

提督「…弱い?」

曙「…そ」

曙「さっきも言ったみたいに、アンタ自身は気付いてないと思うけど」

曙「…だから、なのかな」

曙「支えたくなった、のかも」

提督「……訳がわからんな」

曙「あはは、あたしも」

うんざりした俺と対照的に、変わらぬ笑顔で曙は言う。

そのわかったような顔が、余計に俺の癪に障った。




曙→  401/500



【曙―その3】


前言撤回。

気付きました。気付いたの。

あたしが求めているのは、過去じゃない。

戻ることなんかじゃない。

『お兄ちゃん』じゃない。

ひねくれてて。

学校の授業もサボって。

煙草も吸ってて。

そんな最低で、どうしようもないくらい『兄貴』。

誰もあいつを理解してあげられないから。

だから、あたしが側に居たい。

弱いから。

すぐ壊れちゃいそうなくらいに、弱いから。

だから、支えたいんだって。

先に、進みたいんだ。

あいつの止まった時間を、動かしたいんだ。

それは、家族としてなのか。

それとも――――



【6月3週】


夢を見た。

俺はまだ小学生で。

帰ってきた家には誰も居ない。

母が、夕食の時間に帰ってきて。

食事を作って、すぐに病院へと行く。

父が、そのうちに仕事から帰ってきて。

2、3言だけ話して、やはり病院へと行く。

『てーくんは、お兄ちゃんだから』

『…お兄ちゃんだからな、お前は』

…だから、何だ。

何で、俺には誰も構ってくれないんだ。

話したいことは、たくさんあった。

たくさん。

何で――――

『どしたの兄貴、悩み事?』

提督「………っ!」

夢が覚める直前に、浮かんだ笑顔。

それは――


コミュ対象 23:56に一番近いレス


深雪   *69/500
曙     401/500
大鯨   **0/500
瑞鶴   **0/500

翔鶴   210/500

眠気覚ましに風呂

いっそのこと息子のシャツの匂い嗅いで欲情したり弟の彼女にちょっかい出す姿みて彼女の方に嫉妬するような浅ましい母親になってほしかったんだが
どうやら少数派なようだ…

>>832 
そういう意図の安価でしたか、至らず申し訳ない
再開


――私室

曙が何を言おうと。

変わる訳などない。

今更変えられるはずもない。

俺の人生なんて、こっからどう戻した所で底辺で。

だから、せめて。

嫌がらせくらいはさせてくれよ、俺をこんな風にしたのはお前なんだから。

提督「……よ、翔鶴…今日はいつもと違う部屋で、迷わなかったか?」

翔鶴「…………」

翔鶴はもはや、俺に言葉を送る事もない。

あるのは、固い拒絶を込めた視線だけ。

けれど、張り詰めた線は、緩い線よりも簡単に切れる。

その態度こそが、思う壺だというのだ。

翔鶴「……用件を」

提督「わかってんだろ?」

翔鶴「………」

この前の話の続きだよ―と、以前と同じように壁へ翔鶴を押し付けようとする。

しかし。

翔鶴「……っ!触らないでくださいっ!」

今回は、以前よりも些かしっかりとしているようだ。

心の準備をする時間があったからだろう。

伸ばした手が、強い力で払われる。

提督「…ははっ、そんな態度もいいじゃないか」

翔鶴「私は、貴方の思い通りにはなりません!」

提督「…へぇ?」

翔鶴「…私は、提弟くんが――」

提督「違うな、お前はあいつのことなんか、これっぽっちも好いてない」

翔鶴「…え?な、何をふざけた――!?」

提督「事実だよ、翔鶴」

再び、手を伸ばす。

今度は、払われる事は無い。

指の間で顎を挟んで、翔鶴の顔を無理矢理に俺へと向けさせた。

提督「別に、お前はあいつと友達って肩書であったって何の問題もない―そんな関係だろ、今」

翔鶴「そんな、事――」

提督「なら、お前らはなにか恋人らしいことをしたか?」

翔鶴「……知りもしないくせに、勝手な事を言わないで!」

提督「…そうか、それじゃあ、わかりやすく聞こう」

掴んだ顔を、引き寄せる。

端正な目鼻立ちが、目の前にあった。

提督「お前、あいつとこの距離まで近付いたことあるか?」



翔鶴「………」

逸らした視線は、質問の肯定。

漏れそうになる笑みを抑えて、続ける。

提督「…欲しいって思ったら、恋人だったら」

提督「近付きたくて、触れたいんだよ」

顎に伸ばした手はそのままで、空いた左手を肩へ。

提督「目の前にいるお前をさ、自分の物にしたくて、それだけで気持ちが埋め尽くされていく」

提督「…お前の恋人様は、そんな態度を見せたか?」

翔鶴「……違う…!提弟くんは、貴方とは違って優しいから――!」

提督「優しいってのは、つまりさ」

提督「興味なんてねーんだよ、お前のことなんて」

提督「本当に興味があるなら、自分に惚れてる女に手を出さねー筈があるかっての」

翔鶴「……何を…」

提督「薄々気付いてんだろ、お前も」

提督「そうだ、優しいんだよな、あいつは」

優しいから―言って、今度は俺が翔鶴に顔を近付ける。

提督「お前の告白を、受けてくれたんだよな?」

提督「興味も無いのに、優しいからさ」

提督「『悲しませたくない』んだろ?なぁ?」

翔鶴「………あ」

抵抗の意思が、一気に緩む。

張り詰めた糸に、切れ目。

俺は――――


>>+4


A.優しく抱き締める。

B.キスをする。

C.……離す。

B.キスをする。(*1.5 最低値301)



提督「……けどさ」

力が抜け落ちていこうとする顎を、掴んだ指で押し上げる。

その先、震える唇に、優しく触れた。

翔鶴「……何…を」

提督「俺は違う」

提督「俺は、お前が好きなんだ」

提督「お前の全部が欲しいんだ」

提督「…だから、こんな強引な方法でも…手に入れたかった、お前を」

翔鶴「……」

提督「…もう一度言うよ、翔鶴」

提督「俺の物になれ」

提督「愛してやる、求めてやる」

提督「お前の欲しい物は、俺が与えてやる」

翔鶴「………」

翔鶴「…提督……さん」

提督「……どうした?」

翔鶴「……待って……待って、下さい…」

翔鶴「…いきなり…いきなりで、私…」

嫌だとも、やめてとも。

それどころか、先程までの鋭い眼光すら、今の彼女には無い。

解れた糸が向かう先。

提督「ああ、もちろんさ」

提督「それが、翔鶴の望みなら…待つよ、俺は」

…その行末など、想像に難くはないのだ。

そうだろう、翔鶴?



翔鶴→  301/500

500だとこういう描写がどうしても急ぎがちだなぁ


【翔鶴―その2】


待て、などと。

意味のない引き伸ばしをした。

…そう、意味のない。

わかってしまっているんだ。

それに、意味が無いって。

「翔鶴さん、いきなりこんな場所に呼び出してどうしたの?」

「提弟くん……すいません、忙しいのに」

「ううん、良いって良いって、それに珍しいし、翔鶴さんからこういうのって」

昼休みの校舎裏。

私と提弟くん以外は、誰もいない。

「……失礼しますね」

「え―――っ!?」

正面から近付いて、触れた。

大好きなその顔に。

大好きだったその顔に。

「……しょ、翔鶴さんっ!?」

「…ごめんなさい、えっと、その」

「い、いいよ!び、びっくりしたけど…僕も…えっと…」

ああ。

違う。

これじゃない。

私が求めているのは、私が欲しているのはこれじゃない。

この人は、与えてくれない。

あの高鳴りを。あの興奮を。

私は、恋をしたんだ。

やっと私は、恋をしたんだ。



【6月4週】


「~♪」

朝、食卓で珍しく上機嫌の弟。

呑気に鼻歌まで歌ってやがる、気持ち悪い。

曙「提弟くん、どしたの?」

「あ、い、いや…何でもないんだ、曙ちゃん」

曙「にしては上機嫌だけど…」

大鯨「あー!もしかしてもしかして!彼女さんと何かあったとかー!?」

「か、母さん!?違うってそんな……その…」ボソボソ

大鯨「ふふ、今日はお赤飯かなぁ」

提督「ははっ、何だ、遂にお前も覚悟決めたか」

「兄さんも誂わないでよ!」

提督「はは、怒るなよ」

曙「ニヤニヤすんな兄貴、趣味悪いぞ」

提督「…ああ、いや、すまんな、抑えきれんかったもんでな」

曙「…本気で趣味悪い」





コミュ対象 01:41に一番近いレス


深雪   *69/500
曙     401/500
大鯨   **0/500
瑞鶴   **0/500

翔鶴   301/500

今日はここまで
ところで学園要素ってあるのかな
お付き合いいただきありがとうございました

ポジポジポジポジ
1時間後くらいに始めるよ



――リビング


曙「兄貴さ」

提督「あん?」

学校が終わって、家に帰った先のリビング。

いつしかこいつと寛ぐのも定例事項と化してしまったその場所で。

曙が、唐突に言った。

曙「……」

提督「…何だよ」

曙「ん……いや、まぁ」

が、続く言葉は無い。

最高に歯切れが悪い態度で、口をモゴモゴと動かしている。

曙「…告白とかされたことある?」

提督「…一応」

曙「…あっそ」

提督「……それだけか?」

曙「あー…む、いや、何だろ」

…はっきりしない。

その質問をした意味がわからない。

提督「言いたいことがあるならさっさと言え」

曙「……え、っと…」

促してみるも、やはり歯切れは悪い。

視線を泳がせて、右手でソファーの革を弄っている。

曙「…あ、兄貴はさー」

提督「…ああ」

曙「…こ、これはその…なんてーか、えと、仮定の!仮定の話なんだけど!」

提督「…ああ」

曙「兄貴は……あたしに告白されたら、どう思う…のかなーって」

提督「は?」

…んなもん、考えたくもねーよ。

まあでも…そうだな、こいつにか。

ありえない話ではあるが――――


>>+3-5


A.…最悪だ、無理。

B.…案外――

C.やっぱり思考放棄。

B.…案外――(500 ED解放、ただし分岐あり)


提督「案外…悪くないかもしれない」

曙「……え!?ほ、ホントに!?」

提督「…まあ…お前が言ったように、ありえない話ではあるけどよ」

提督「お前の顔だけなら、結構好みだぞ」

曙「……ふーん、そう」

それだけ聞くと、曙は立ち上がり背を向けた。

曙「…そっか、そうなの」

提督「…で?この質問はどういう意味があるんだ?」

曙「意味―意味は、ね」

提督「ああ」

曙「…近々アンタに、可愛い彼女が出来るかも、ってだけ」

提督「……占いにでもハマったか?」

…それとも心理テストの類だろうか。

どちらにせよ、なんとも気持ち悪い。

曙「…わかんないなら、それでいいわよ」

提督「俺はよくない」

曙「いいの!」

それだけ言って、どすどすと床を大きく踏みながら曙が歩いて行く。

その姿は、すぐにリビングの扉の奥へと消えた。

提督「…………」

提督「…意味わかんね」

とりあえず。

ソファーに寝転がってテレビを見ることにしたのだ。



曙→  500/500



【7月1週】


深雪「いい加減屋上は暑いぜー……」

提督「……うむ」

全くその通り。

死にそう。

人がいるというのに、屋上に照り付ける日差しに遠慮は無い。

むしろ死ねとばかりに太陽は張り切っている。

深雪「…どっか新しいサボり場所見つけよーぜー」

提督「……何処にするよ」

深雪「…お前が考えろよー」

提督「やだよめんどくせぇ……」

深雪「深雪様だってめんどくせぇぜー…」

…しかし。

梅雨の時期も、厳しい冬の時期も。

変えよう変えようと言いつつ、動かない。

だからきっと、俺達は駄目なんだろう。



コミュ対象 23:04に一番近いレス


深雪   *69/500
曙     500/500
大鯨   **0/500
瑞鶴   **0/500

翔鶴   301/500



毎日を、ただ何となく生きていて。

このまま生きていたら、どうなるのだろうか。

それは、今までずっと考えずにいた事。

意味もなくだらだらと生きる毎日に、溺れていたかったから。

未来のことなんて、全部、全部先送りにして。

怠惰な今だけを見ていた。

見たくないんだ、そんな物。

何も無い未来なんて。

曙「………っ…ふっ…」

リビング。

床に転がり、頬を腫らして、此方を睨む曙。

久方ぶりに、こいつの反抗的な目を見た気がする。

腫れた頬は、俺の掌によるもので。

提督「なあ、曙、何だって?」

曙「……アンタは…」

曙「…アンタは、今に満足してるの?」

もう一度、さっきと同じ事を曙が繰り返す。

提督「してねーよ」

だから、同じように俺も返す。

曙「……今のままでいいわけないって、気付いてるんでしょ?」

提督「…そうだな、だから何だ?」

曙「…変えたいと、思わないの?」

曙「今のままじゃダメだって――」

提督「…うるっせえよ!」

今度は腫れてない方、右の頬を思い切り叩く。

立ち上がりかけた曙が、再び倒れた。

提督「…最近馴れ馴れしいとは思ってたけどよ、一体何だ、お前」

提督「カウンセラー気取りたいのか何か知らねーがよ、馬鹿にしてんのか?」

曙「………そんなんじゃ…ない」

提督「…じゃあ何だ?有り難くも心配して下さってるってか?」

ああ、全くもって。

全くもって素晴らしい話だ。

いきなり真面目な話があるなんて言い出したから聞いてみれば。

馬鹿にしてんのか。

誰かに言われるまでもなく、俺が一番わかってる。

わかってて、見てないだけだ。

今更何を変えろってんだ。

今更何をすればいいってんだ。

何も出来ないから、今の俺があるんだよ。



曙「……あたしは…」

提督「あ?」

曙「…あたしはあの時、気付けなかったから」

呻くような小さな声で、曙が言う。

曙「アンタが苦しんでるんだって、悩んでるんだって…」

提督「……あの時?」

曙「…今みたいに、アンタに殴られた時よ」

言われて、思い返す。

2年前も、俺は同じようにこいつを殴った。

『何で、人の迷惑を考えないのよ!』

『アンタが好き勝手やってるから――!』

…そういえばあの時も、こいつは変わらず、アホなことを抜かしていたか。

提督「はっ…懲りないな、お前も」

提督「…けどよ、いい加減やめろよ、マジで」

提督「……次、本気で殴るぞ?」

曙「…あの時は――」

曙「あたしは、何にもわかってなかくて…ただ、責めただけ、皆が言ってたように、責めただけ」

俺の言葉など聞こえていないかのように、続ける。

手で抑えた頬は、真っ赤に染まっていた。

曙「…だけど、今は違う」

曙「……あたしは、アンタに変わって欲しいんだ」

提督「ああ?」

曙「…放っておきたくないの、今のままにしておきたくないの」

曙「今からだって、変われるから――っ!?」

提督「……うっせえっつってんだろーが!」

室内用スリッパのつま先が、曙の腹に飛ぶ。

それでも咳き込みながら、彼女はまだ、続けた。

曙「…何でも、いいの」

曙「どんな事からでも、いい」

曙「アンタがすることは、あたしが見てるから」

曙「見捨てたりなんか、しないから」

曙「どんな話でも聞いてあげる、ずっと、側にいてあげる」

曙「…だから、諦めないでよ」

曙「…変わろうよ、兄貴」


>>+3-5


A.ふざけんな――!

B.……変われる、のだろうか。

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