【艦これ】艦娘達と過ごすちょっとした学園もの★6【安価】 (1000)

・艦娘×提督の学園もの
・エロ、グロといった描写があるかもしれません
・なんかドロっとしているかもしれません


前スレ

【艦これ】艦娘達と過ごすちょっとした学園もの【安価】
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ヒロインまとめ(○はエンド艦娘、次回登場は不可、○付いてない子は出せます)


【一周目】

電(幼馴染)         
浜風(娘)          
あきつ(後輩)         
足柄(先輩)          
○青葉(同士)   



【二周目】

大和(管理人)       
○不知火(親友)      
飛鷹(教師)        
五十鈴(転校生)       
北上(同居人)       


【三周目】

雷(クラスメイト)       
球磨(スラッガー)      
間宮(バイト先の店長)   
○那珂(超人気アイドル) 
阿武隈(義妹)        


【四周目】

陽炎(幼馴染)        
川内(学生であり怪盗)  
卯月(妹分)         
榛名(後輩)         
○暁(妹)           


【五周目】


初春(宇宙人)
叢雲(↑のライバル)
長門(ながもん)
響(帰国子女)
山城(元カノ)

BAD。


【六周目】


千代田(義妹)
吹雪(親友)
赤城(大食いチャンピオン)
由良(後輩)
古鷹(フライフェイスとオッドアイの演劇の天才)

BAD。


【七周目】


比叡(記憶喪失・幼馴染)
漣(家政婦)
明石(近所のお姉さん)
大井(クラスメイト)
レ級(クラスメイト)

いまここ。


――女子寮・私室


提督「…あー…ホント疲れるね、毎日」

漣「おつー」

提督「軽いよ…」

漣「まーまー、どぞどぞ、心の安らぐカモミールティーでございます」

提督「…ありがとう」

どこから取り出したのか、ポットとティーカップを机に並べ、慣れた手つきで紅茶を注ぐ。

ふわっと、部屋に香りが広がった。

提督「…美味しい」

漣「この漣、お嬢様に喜んで頂けて至上の幸せでございます」

提督「……お嬢様はやめてよ」

漣「では着替えたら如何ですか?お・じょ・う・さ・ま?」

ニヤ、と意地の悪い笑みを浮かべる漣。

視線の先を追う。

提督「…へ…?う、うわっ!?」

そうだった。

未だに僕は制服にウィッグと、女装状態のまま。

…この格好で寛いでたのか僕…。

漣「ぷーくく…」

僕の絶望的な顔に、堪え切れない、そんな様子で漣が吹き出した。

提督「漣ー…言ってよ、ちゃんと」

漣「ぷぷ…なーに言ってるんですか、ちゃんと言いましたよー?」

提督「…もうちょっと早く」

漣「次からなるべく善処いたしましょう」

提督「…はぁ」

…ほんと、漣は変わらない。

主人だぞ僕は…なんて言っても適当にかわされるんだろうな。

漣「…しかしですね、ご主人様」

提督「うん?」

漣「私は、確かにご主人様をからかって遊ぶのが大好きですが」

漣「ご主人様の事は大好きですので」

提督「なっ!?」

淀みない言葉を、変わらぬ表情で並べる。

相変わらず、その本心は笑顔に隠されて見えない。

どういうつもりなのか――


>>+4

A.…なんか気持ち悪いよ、漣。

B.…僕も。

C.…まぁ、ありがと。

B.…僕も。(*1.5)


提督「…うん」

提督「僕も好きだよ、漣のこと」

意趣返し、という訳では無い。

一応、偽らざる本心である。

昔からずっと、まるで姉のように僕の面倒を焼いてくれていたのだ。

勿論、変えて欲しい事は一杯あるけど。

漣「………ごしゅ…ごほん!ご主人様、何ですかいきなり」

珍しく、漣が言葉に一瞬詰まった。

提督「別に、思ったことを言っただけだよ」

漣「…生意気です、ご主人様のくせして」

提督「そうかな?」

漣「そうです、気に入らないです」

提督「……えー…」

このメイド、なんとも傲慢である。

でも、それが漣だ。

漣「何笑ってるんですか、ご主人様」

提督「いーや、漣はやっぱり、漣だなあって」

漣「…意味がわからないです、ぶっ飛ばしますよ」

提督「はは、それは困るね」

漣「…むぅ」



漣→ 187/500



【4月4週】


一番困るのはいつですか?

…体育の時間です。

パーフェクトメイド漣のフォローにも関わらず、割と毎度毎度危機を迎えている。

それというのも…。

大井「…うへへ…お姉様のお着替え…生お着替え…うへへへへ…」

「…大井、貴女目が怖いわよ」

大井「そうでしょうか?どうかお気になさらず続きを…うへ、うへへへ…」

「…………」

漣助けて!

視線を送ると、しょうがないですね、と漣が息を吐く。

漣「申し訳ありませんがお嬢様のお着替えは比叡様と私だけしか見てはいけない決まりになっていまして」

大井「何ですって!?」

…君は何を言っているのか。

比叡「…そうだったんですか?」

…君も何を言っているのか。



コミュ対象>>+4


比叡  **0/500
漣    187/500
明石  *74/500
大井  **0/500
レ級  **0/500

今日はここまで
お付き合いいただきありがとうございました

大丈夫だって安心しろよハッピー書くからさ
始める



――女子寮・私室


漣「ご主人様、夕食をお持ちいたしました」

提督「…ありがと」

漣「いえ、お気になさらず」

一応、寮には食堂なるものが存在するのだけれど、いつも夕食は部屋で取る。

理由は単純に女装が嫌だから。

…嫌だからね?ホントに嫌がってるからね?

…こほん。

まあ、基本的に寮の食堂や大浴場には近寄らない。

……そのせいでまた変な噂ができていたりもするのだが。

肌を執拗に隠す理由がなんとかみたいな。

ただ、それは仕方ないと割り切るしかない。

だって食堂はまだしも浴場は…ねぇ?

そんなわけで、夕食はいつもこうして漣と一緒である。

漣「美味しいですか、ご主人様?」

提督「うん、ありがとう漣、美味しいよ、いつも」

漣「…それは良かったです」

本人は無表情のつもりなのだろうけど、口元が少し綻んでいる。

こういう所、可愛いなあ、漣。

漣「…何ですか、じっと見つめて」

提督「何でもないよ」

漣「……そですか」

何か不満気に、漣が食事へ戻る。

彼女の食事の姿勢は、かなり美しい。

それは食事に限ったことではない。

全ての所作が、漣は完成されている。

いい意味で適当なのだ。

漣「…だから、なんなんですか」

提督「あ、いや…ごめん、漣、礼儀正しく食べるなあって」

漣「当然です、私の恥は、ご主人様の恥…そんな物を晒すわけにはいきません」

漣「貴方にとって常に良き従者となるよう、私は心がけていますから」

提督「…そ、そうなの」

…結構重い理由だった。でもそんなに忠誠を見せるなら主人を女装なんてさせないでくれ。

しかし、漣め…案外僕の事を想ってくれてるんだな―――



>>+4

A.…ま、これからも精進しなさい。

B.…いつもありがと、漣。

C.………お礼を言うの、なんとなく照れくさい。

B.…いつもありがと、漣。(*1.5)


提督「…漣」

漣「はい?」

提督「いつもありがと」

漣「……へ?」

完璧な動作が乱れる。

牛肉に突き刺そうとしたナイフが、皿を擦った。

甲高い音が鳴る。

漣「…な、なんですか突然」

提督「いや、さっきの言葉が嬉しかったから、感謝したくなった」

漣「い、いいんですよそんな事しなくて!」

漣「そもそもあんなの、従者として当然の心がけなんですから!」

提督「それでも、漣にありがとう、って言いたかったんだよ」

漣「……なんですか、もう、ホント…ご主人様のくせして」

漣「…………」ボソッ

小さく、漣が呟く。

それは、僕の耳には届かない。

提督「…今なんて言ったの、漣?」

漣「………」

漣「……これからも、頑張りますので」

提督「ん、お願いね」

漣「…ま、というかご主人様には私が付いてないとダメでしょうからね、しゃーねーですねホント」

提督「うんうん、そうだよ」

漣「……くぅー…」

おそらく恥ずかしさを誤魔化すために吐いた悪態を、笑顔で肯定してやる。

すると、今度こそ何も言う事がなくなったらしく、漣は黙って食事に戻った。

その動作は、やっぱり少し、ぎこちなかったのだけれど。


漣→ 284/500





【漣―その1】


幼い頃の記憶。

よくわからないままに、薄れていった記憶。

気付いたら、独りだった事は覚えている。

施設の中で、ただ、生きていただけの私。

そんな私を拾ってくれた人。

貴方が、私を拾ってくれた。

貴方が、私を人間にしてくれた。

だから、私は人間としての一生を、貴方に捧げようと思ったんです。

貴方が望むなら、どんなことでも叶えてみせます。

貴方を害する物は、何であっても排除します。

それが、私という存在。

私は、真に貴方の物。

だから、感謝などしてくれなくて良いのです…けれど。

「…こりゃまいったなー…ちっくしょー…」

湧き出る嬉しさと、止まらぬ高鳴り。

「………いやはや、なんともなんともー…」

予想以上に嬉しかったです、ご主人様。



【5月1週】



「………あ、大井さん」

大井「はい!?な、何ですかっ!?」

「…いえ、大した事じゃないのだけれど…シャー芯が無くなってしま」

大井「はいっ!」シャーシンドザー

「……机に出されても困――」

大井「…………迷惑でしたか?」ウルッ

「…ありがとう大井さん、お礼はちゃんとするわね」

大井「お、お礼なんて!お姉様の靴下くらいで十分です!」

「……………」

…最近の女の子って。

お礼に同姓の靴下を求めるのが流行ってるのだろうか。




コミュ対象>>+4


比叡  **0/500
漣    284/500
明石  *74/500
大井  **0/500
レ級  **0/500

最近始まるの早いのな
野球はどうしたんだ?



――女子寮・私室


身体が熱い。

頭がぼーっとする。

提督「……ごほっ」

漣「…ご主人様、平気ですか」

提督「…うん、そんなに大したことは無い…ごほっ!」

漣「ご主人様!」

提督「…平気だって、本当に」

漣「……ですが」

提督「…痛いって、手」

漣「手?」

それ、と漣が握りしめた僕の右手を指差すと、弾かれたように手を引っ込めた。

漣「……んんっ!…ホントに、大丈夫なんですか?」

提督「…うん、休ませて貰ってるし、寝たら治るよ」

漣「…それならいいですけど…」

漣「……申し訳ありません、私が付いていながら、このような…」

深々と、漣が頭を下げる。

それに、軽く手を振って答える。

提督「何いってんのさ、風邪引いたのは僕の責任だよ」

漣「…申し訳ありません」

先程よりも深く、それこそベッドに顔を埋もれさせそうな勢いで、漣が頭を下げた。

漣「…もっと、ご主人様の健康に、気を遣うべきでしたのに」

漣「…言い逃れも出来ません」

……うーん。

大したことないし、そんなに思い詰めなくても良いのに…。

こんな時だけ真剣なんだよな、漣――


>>+4


A.だから、気にしないでいいよ。

B.別に、漣が防げたって訳じゃないんだから…。

C.…じゃあ、手でも握ってて貰おうかな。

>>78 今週の土日は普通の試合はやってないんですよ
AS見ながら書いてたが中継終わっちゃったのでお風呂と夕飯
ブランコが大丈夫そうで何よりです

C.…じゃあ、手でも握ってて貰おうかな。(*1.5)


提督「…じゃあ、手でも握ってて貰おうかな」

漣「…は?」

提督「いや、お詫びってことでね」

提督「さっきは流石に強く握りすぎだったけど」

漣「…あの、ご主人様、話が見えないのですが」

提督「…んー…なんて言えばいいのかな」

提督「…漣に手を握られてると、安心する」

漣「……ご主人様…」

提督「だから、握っててくれないかな?」

提督「きっと、よく眠れると思うんだ」

漣「………しゃーないですねー、まったく」

漣「…はい、お安い御用です」ギュッ

提督「…うん、ありがと」

漣「お礼なんてどうでもいいですから、さっさと寝て下さい」

提督「あはは、わかった」

漣「…何笑ってるんですか」

提督「漣の手、暖かいね」

漣「……冷たかったら一大事でしょう」

提督「そっかそっか」

漣「…だーかーらー、さっさと寝て下さいってば!」


漣→ 399/500




【漣―その2】


私はご主人様の従者。

そうあると決めた。

それ以上を求めないと決めた。

貴方の側にあるだけの存在であると決めた。

なのに。

なのに、抑えきれない気持ちがある。

求めている私がいる。

その先を。

貴方の、隣を。

「…無理だってーの」

認められない。

認められるわけがない。

他の誰が認めても、私が、私自身が認めない。

あの日、貴方に拾われた日から。

漣は、貴方の従者。

後ろにいて、貴方を守るだけの物。

だから、これは余計な感情。

捨ててしまわないとダメなのに。

…なのに。

必死でそれにしがみついて、離さないようにしている私がいるんだ。



【5月2週】


「……比叡さん」

比叡「はい、どうしました?」

「……いえ」

料理。

嫌な予感がしたんだ。

だって比叡はアレだったから。

料理の腕が…その…アレで、アレなんだ。

人よりちょっと…アレだったんだ。

でも、僕は賭けたかった。

この比叡なら、って。

なのに…。

「……うぅ…」

「…水…水を…」

「……お姉様…キスしてください…」

家庭科室、同じ班のメンバーは凄惨たる有り様。

あと大井、君は多分生きてるだろ。

比叡「…何がいけなかったのでしょうか?」

「……とりあえず…次からは比叡さんには皿洗いでも任せたほうが良いのでしょうね」

比叡「…?まぁ、何でも頑張ります!」



コミュ対象>>+4


比叡  **0/500
漣    399/500
明石  *74/500
大井  **0/500
レ級  **0/500



――女子寮・私室


提督「……それでさ、今日も大井がね…って、漣、漣ー…さーざーなーみー?」

漣「……えっ?ご、ご主人様、何か言いましたか?」

提督「…いや、別に大した話じゃないんだけど…」

最近、漣がおかしい。

何と言えば良いのか…ずっと、上の空だ。

ぼーっとしている事が多い。

普段には無い、細かい見落としやミスまでする。

…体調でも悪いのだろうか?

確かに、ずっと働かせてるしなぁ…。

漣「…申し訳無いです」

提督「いいよいいよ、気にしないで」

漣「……ありがとうございます」

提督「…ところで、今日の夕飯だけど…」

漣「…夕飯?」

提督「うん、夕飯…」

漣「あ!?…も、申し訳ありませんっ!」

提督「…漣、もしかして疲れてる?」

漣「…え?」

提督「ずっと働き詰めだったからさ、結構参ってるのかな?」

漣「ち、違います、良好です、体調は」

提督「…だったらいいんだけど…最近おかしいよ?」

漣「……おかしい、ですか」

提督「…うん、ちょっとね…って、こんなこと言える立場じゃないかもだけど」

漣「…………」

漣「…ご主人様、一つだけ、質問、よろしいですか?」

提督「…うん?」

漣「……私は…ご主人様に、心から感謝しています」

漣「孤児の私を拾ってくれて、ずっと、側に置いてくださった貴方に」

漣「…ご主人様は、お優しい事に、こんな私に…好きだ、と言ってくださいました」

漣「………その、好き、という言葉の意味を…お聞きしたいです」

提督「…………」

…漣に言った、好き、の意味。

……それは――


>>+3-5


A.家族として。

B.異性として。

C.…なんだろ?

B.異性として。(進行度401)


………。

…どういう意味か、なんて決まってる。

『ご主人様っ!』

漣。

僕は、彼女を…。

提督「…そりゃ、まぁ、その…」

提督「……一人の、女の子として…だけど」

漣「…………」

提督「…いつも、助けてくれるし」

提督「僕の方こそ、感謝しきれないくらい、感謝してて…」

提督「そんな漣を、いつしか――って、あ、いや、これは違って…違わないけど、あー…」

漣「……なるほど」

漣が僕に顔を向けた。

それは、いつもの彼女の顔。

意地の悪い笑みを満面に湛えた顔。

漣「いやいや、うんうん、ご主人様は可愛いですねー」

漣「そして私は罪な女…ですねっ」

提督「…勘弁してよ」

漣「いやー、情熱的な告白頂いちゃいました、メイド驚きですよ」

提督「……別に告白ってわけじゃ」

漣「ふひひひ、恥ずかしがるもんじゃねーぜ、お嬢様」

提督「…なんか、いきなり楽しそうだね」

漣「何をおっしゃいますか、この漣、いつも楽しそうに生きていますですよ」

提督「……ま、なんでもいいけど」

漣「あ、夕飯でしたねー、夕飯、腕によりをかけて作っちゃいますねー」

漣「ふんふふふーん♪」

提督「……」

…あれはあれで。

いつもの漣じゃなくなってしまった気がする。

…ま、沈んでるよりは良いけどさ。


漣→ 401/500







【漣―その3】


……。

………。

なんつーかね。

仕方ないんじゃないかな?

うん、そーだそーだ、仕方ない。

いや、私からアタックしようってわけじゃないし。

向こうが好きって言ったのを受け入れるくらいは良いんじゃないかな。

…うん、しゃーないしゃーない。

「……ふひひ」

好きって。

ご主人様が私のこと好きって。

なんて言えばいいんだろこういう時、ヘヴン状態?

わかんねー。

わかんねーけど、うん。

断言できることは、幸せだってこと。

貴方の隣に居ていいよ、って言われたみたいで。

とっても、幸せです。

…よし。

明日もがんばろ。



【5月3週】


凄く気になることがある。

いや、4月からなんだけどね。

「…………」

レ級「…………」ジー

「…………」

いつもこっちを見つめている彼女は何なんだろう。

話しがしたいのだろうか?

…でも、彼女が誰かと話しているのは見たことないし…。

なんか、お嬢様学校って感じの雰囲気の人じゃないし。

有り体に言ってしまえば、なんか不良っぽい。

…うーん。

「………」ジー

レ級「………」ジー

見つめ返してみる。

…逸らさないなぁ、目。

大井「お、お姉様が熱い視線を送っている…!?」





コミュ対象>>+4


比叡  **0/500
漣    401/500
明石  *74/500
大井  **0/500
レ級  **0/500



――教室


「……うん、えっとね、比叡さん、ここは…」

比叡「…はい、……あ、こうですか?」

「そうそう、良く出来たわね」

比叡「えへへ、ありがとうございます」

放課後。

比叡に勉強を教えている。

あくまで比叡が失ったのは記憶で、知識ではない。

…けれど…その、元々あまり成績がいい方ではなかったので。はい。

「……よし、じゃあ今日はこんな所ね」

比叡「ひえー…疲れました」

「…ごめんね、付きあわせて」

比叡「そ、そんな!むしろ、私が謝るべきです!」

比叡「…勉強もそうですけど…その、提督くんを…こんな事までさせて巻き込んで…」

こんな事(女装)。

…ま、別に気にしちゃいないよ。

比叡の為だ、僕だって男だし、いつまでもグズグズと他の手が…なんてひきずりはしない。

…ホントに気にしてないってば。

「……良いのよ、別に」

「…好きでやってることだもの」

比叡「……え?好きでやってたんですか?」

「……この格好以外はね」

…危ない。

危うく女装大好きの変態と化す所だった。

比叡「…でも、凄い似合ってますよねー…」

「似合ってるって、何が?」

比叡「…その格好です」

比叡「…なんか、私よりもレベル高いような…」ジー

比叡が、じっと僕の全身を見つめる。

…褒められてるのかなあ、それ。

……えーと――


>>+4


A.比叡の方が――

B.…そんなに似合ってる?

C.だったら誰かに――

A.比叡の方が――(*1.5)


「そんな事ないわ、比叡さんの方が…その、可愛いわよ」

比叡「…ふえっ!?…あ、い、いや…そう、でしょうか?」

「ええ、とっても」

比叡「……な、なんか…その格好で言われると、変な気持ちになっちゃいますね!」

「…そうかしら?」

比叡「…は、はい…い、いけない気持ちというか…」

「……え?ちょ、比叡さん?」

比叡「…お、お姉様とお呼びしたくなるというか…」

「…比叡さん、私はノーマルよ」

比叡「ノーマルなら大丈夫じゃないですか!」

「……あ、それも…そうだけど、確かにそうだけど違うのよ」

比叡「…ふふっ、冗談です」

「………比叡さん」

比叡「…でも、感謝してるのは本当です」

比叡「ごめんなさい、私なんかのために…」

「…なんか、なんて言わないで」

「私は、他の誰でもない、比叡さんのためにしてあげたいの」

比叡「…はい、ありがとうございます…お姉様」

「…だから、お姉様は…」

……ああ。

このウィッグさっさと取っちゃいたい。

…というかこの比叡の発言、記憶を失って弱気になってるから…だよね?

…素とかじゃ…ないよね?


比叡→ *45/500



【5月4週】


大井「……ああ、お姉様!」

「大井?あら、寮で会うのは珍しいわね」

大井「…だって、お姉様はいつもお部屋に篭もりきりですもの…」

「……まぁ、色々あるのよ」

大井「ですが!こうして会ったのも何かの縁!」

大井「お風呂!お風呂へ行きましょう!」

「…ごめんなさい、大浴場は…」

大井「……そんな」

「……本当にごめんなさいね」

大井「やはりメイドが個室の浴場でお姉様の身体の隅々まで洗っているという噂は本当だったのですね!」

「…えぇ……」

漣「…ふっ、ええ、そうでごぜーやす」

大井「きぃーっ!」

「…メイド、貴女も話をややこしくしない」




コミュ対象>>+4


比叡  *45/500
漣    401/500
明石  *74/500
大井  **0/500
レ級  **0/500




――廊下


この学校は、山の中だ。

学校の周りを囲む深い森は、排他的な空気をさらに加速させているかのよう。

そんな緑を、窓から眺めている人が居た。

明石「…………」

どこか物憂げな目で、外を眺める明石さん。

「……こんにちは」

明石「…あら、どうも」

「…景色を見てらっしゃったんですか?」

明石「ええ…まあ、気分転換、といったところです」

「……嫌なことでも?」

明石「いえいえ、別にそういうことじゃ無いですよ」

明石「…ただ、…人の心というものは、簡単に移ろうものだなあ、なんて…ふふ、詩的でしょう?」

言うなれば、この森の木々のように。

人の心は、簡単に変わってしまう。

「………比叡さんのことですか?」

明石「…よく、わかりましたね」

驚きの色を込めて、明石さんが僕を見る。

…まあ、そういうことだろうな。

明石「…小さい頃、…それも、小さいと言っても小学生位の時に、あんなに楽しく遊んでいたのに」

明石「…忘れちゃうんだなあ、って…少し、寂しくて」

「…明石先生」

明石「あの子も、忘れちゃったのかな…」

…忘れてはいません。

きっと、本当の彼女は覚えています。

勿論、僕だって。

…そう、言いたかった。

………――――――


>>+4


A.…仕方ないことです。

B.…きっと、もう一人は覚えてると思います。

C.…だったら、もう一度。

C

C.…だったら、もう一度。(*1.5)


「だったら、もう一度」

明石「…え?」

「…もう一度、仲良くなればいいと思います」

「確かに、人の心は変わってしまうかもしれません」

「でも、それだけで諦めるのは、ダメだと思うんです」

…変わってしまった、比叡。

でも、諦めるなと。

まるで自分に言い聞かせるかのような言葉。

明石「…もう一度」

「…はい、もう一度、です」

明石「……そっか、うん、そうね」

明石「…あはは、年下に慰められちゃいました」

明石「ふふ、ありがとうございます、提子さん」

「…別に、そんな大したことは」

明石「…あーあ、これじゃあどっちが先生かわかりませんね」

明石「ふふ、提子さんに代わりに授業をしてもらおうかしら」

「……もう、明石先生」

明石「あはは、ごめんなさい」

「…それじゃあ、私はこれで」

明石「はい、あ、提子さん」

「はい?」

明石「良かったら、またお話しましょうね?」

「…はい」



明石→ 133/500



【6月1週】


「……部活ねぇ」

「は、はい!て、提子様が来てくれると、ウチの部も活気付くといいますか!」

「…ごめんなさい、生憎、茶道には疎くて」

「全然大丈夫です!初心者歓迎ですから!」

「…ごめんなさい」

「…そうですか…わかりました」トボトボ

「…………ふぅ」

漣「モテモテですなー」

「……メイド、なんとかしてくれないかしら」

漣「…ふむ…部活、おお、いっそ私らで部活を作ればどうです?」

漣「そしたら勧誘もねーですよ?」

「…珍しく良い案ね」

漣「…へえ、ま、考えといてくださいな」

漣(……というか)

漣(…言葉がナチュラルに馴染み過ぎてて怖いです、ご主人様)



コミュ対象>>+4


比叡  *45/500
漣    401/500
明石  133/500
大井  **0/500
レ級  **0/500



――帰り道


「…………ふー」

今日も一日疲れた。

溜息をつきながら、珍しく寮までの道を一人で歩く。

比叡の勉強も無いし、漣は夕飯の買い出しに行ったし。

…と、一息ついているそんな時に、近づいてくる声。

大井「お姉様ー!」

「……げ……」

大井「うふふ、お姉様お姉様、今、お帰りですか?」

「…ええ、そうよ」

大井「でしたら、私もご一緒させて頂いてよろしいでしょうか?」

「……わかったわ、大井」

大井「…えへへ…」

心底嬉しそうに、大井が僕の隣に並ぶ。

…何も、僕が嫌な顔をするのは面倒臭いからという理由だけではない。

単純に、罪悪感だ。

僕はこの子を騙しているから。

だから、あまり大井といるのは好きじゃないんだ。

「…あの、大井」

大井「はい?」

「…前々から気になっていたのだけれど、何で貴女、私に…その…そこまで好意的なのかしら?」

大井「それはもう、入学式の日での事です!」

大井「あの時のお姉様は、本当に素敵で…」

「…別にたいした事じゃないわ」

「私が助けなければ、他の誰かが…」

大井「誰も助けなかったから、お姉様が助けてくれたんですよ」

「…うっ」

大井「…私、実家は普通の家で…ここの特待生制度を利用して、何とか通わせてもらってますから」

大井「ずっと、所謂お嬢様、って人達に偏見を持ってて…なんか嫌味っぽい方々なんだろうなーって…」

大井「…あの時も、やっぱりそうでした…」

そこで言葉を切り、でも!と物凄い剣幕で此方に向き直る。

大井「お姉様は違いました!ああ…お姉様のような方を、高貴、と呼ぶのでしょうね…」

……んなこと言われても。

…えーと…うーん…――


>>+4


A.…見捨てて置けなかっただけよ。

B.…貴女があまりにも…その、可愛らしくて。

C.………む、無視!

A.…見捨てて置けなかっただけよ。(*1.0)


「…見捨てて置けなかっただけよ」

「…ただそれだけ、深い意味は無いの」

「だから、変に感謝なんかしないで」

大井「…もう、お姉様ったら照れちゃって!」

でもそんなところも素敵です!と大井が僕の腕を握る。

…不味い。流石にここまで接触されると違和感を覚えられるかも…。

大井「あら?お姉様の腕…」

「………っ!」

…やっぱりか!

くぅ、やはり僕の溢れ出る細マッチョは隠し切れなかった!

大井「…細くてスベスベで…凄く素敵…」

「……え?」

大井「うふふ、ずっとこうして頬を寄せていたいです…」

「……………」

………。

…隠しきれました。

…隠しきれちゃいました。

…僕って……。



大井→ *35/500




【6月2週】


………。

とても緊張した。

とても緊張していた。

なぜなら今日から夏服。

半袖。

つまり、肌の露出が多くなる。

それは危険ということだ。

やはり、男であることを隠すのは難しいのではないか。

そんな心配をしていた。

なのに!

「あら提子様、やっと夏服にしましたのね…ふふ、白魚のようなお肌、という言葉が本当にお似合いですわ」

「ええ、まさにその通り…思わず手を這わせたくなりますわね」

大井「……お姉様に手を出したら………」ブツブツブツ

「…過分なお言葉、ありがとうございます、皆さん」

漣「…………」プークスクス

なぜ誰も不審に思わないんだ!?

おかしい!



コミュ対象>>+4


比叡  *45/500
漣    401/500
明石  133/500
大井  *35/500
レ級  **0/500


――屋上

屋上に来て欲しい。机の中に入っていた、そんな手紙。

それを見て禁断の愛の予感に震えながらやって来た屋上。

そこに居たのは、白い女の子。

肌も、髪も、陽光に透ける程に白かった。

レ級「…おー、やーっと来たねー、こんちゃー!」

「…こんにちは、呼んだのは貴女かしら?」

レ級「はいそーですボクですっ!」

ビシッと敬礼。…元気だ。子供っぽいと言った方が適切かもしれないけど。

「…そう、何の用かしら?」

レ級「んっとさー…うーん、ソッチョクに言った方がいっか」

「…?」

レ級「キミ、なんで女のカッコーなんかしてんのー?」

「……………なっ!?」

なっなっなっ。

何をおっしゃりやがっておるのだこの子はっ!?

「…あ、あの…いえ、意味がわからないのだけれど…も」

レ級「ん?あれ、おっかしーな、違う?」

「……も、勿論よ、勿論違うわ失礼ね貴女」

レ級「…んー…」

さっさと立ち去ろう、と屋上の扉まで後ずさろうとすると、レ級がすぐ側まで近寄って来る。早い。

一体何を―と思った瞬間だった。

むんず。

「…ほあっ……!?」

レ級「にゃはー!やっぱあるじゃんかー!」

「……な、ななななな何をするのかしららら!?」

レ級「ショーコの確認でっす!」

ビシッ、再度敬礼。そういう手でくるとは予想していないぞこっちも!

「……何が望み?」

レ級「…?」

「…今まで黙ってたってことは、何か狙いがあるんでしょう?」

レ級「……狙い…おー!そうそう、本題を伝え忘れてたー!」

レ級「トモダチになってください!」

「……はぁ?」

レ級「へへー、キミがそんな事してるリユーは知らないけど、なんかキミといると楽しそうじゃん!」

……何を言っているんだこの子は――

>>+4

A.……従うしかない。

B.…ま、そのくらいなら。

C.…凄い嫌だけど…嫌だけど…仕方ない…。

B

これで、取りあえず全員とコミュしたな。
あとは漣狙いで一途な主人公と平和な世界を目指すぞ。

B.…ま、そのくらいなら。(*1.5)


…良かった。バラされるとかじゃなくて。

ま、そのくらいなら軽い軽い。

「…ええ、良いわよ」

レ級「ホント!?やったー!」

「…………」フッ

…なんだ、子どもっぽい良い子じゃないか。

僕は一体何を警戒していたんだ。

レ級「じゃ、遊ぼうよ!」

レ級「その後は、一緒にご飯食べてさ、あと、えっとえっと…」

「…ご飯も食べるの?」

レ級「…だって、トモダチだもん、一緒に居なきゃ!」

「…別に、ずっと一緒にいなきゃいけないわけじゃないのよ?」

レ級「そなの?」

…訂正。

子どもっぽいというか。

凄く一般人から外れた子だった。

レ級「てか、なんでずっとそのしゃべり方なのさー?」

レ級「…シュミ?」

「違うわ、いきなり誰か来たら困るじゃない」

レ級「ふーん、よくわからないねー」

レ級「でも、男なのにヘンだね!」

「……うごっ」

ちょいちょい精神にクリティカルヒットさせてくるなぁこの子。



レ級→ 129/500



【6月3週】


レ級「それでねそれでね!」

大井「お姉様、…ああお姉様…」

比叡「ひえー…」

漣「お嬢様、とてもかわいらしいです」クスクス

……休み時間。

机の周りがもう動物園みたいな状態。

僕は聖徳太子ではないのでできたら一人ずつ喋って頂けませんか。

…うう。

というかメイド、お前だけはわざとでしょ。



コミュ対象>>+4


比叡  *45/500
漣    401/500
明石  133/500
大井  *35/500
レ級  129/500

寝ます
お付き合いいただきありがとうございました

乙なのです。
漣さん大勝利の巻。

電「なのです」

響「そうだね」

千代田「そのとおりね」

>>233
間宮「そうかしら?」

陽炎「そうかな?」

叢雲「そう思ってんの?」

始めます



――女子寮・私室



漣「……むー」

提督「……?」

漣「……むむー」

提督「………漣?」

漣「……むむむむー!」

部屋で勉強をしていると、側に控えている漣に恨みがましい瞳で見つめられた。

…何を怒っているのだろう。

提督「漣、どうしたの?」

漣「……なんでですか」

提督「…なんで…って?」

漣「なんで私に何もしないんですかご主人様っ!」

提督「……ええー…」

言いがかりだった。

というかどういう意味なのかよくわからない。

漣「私のことが好きなんじゃないんですか!?」

提督「………まぁ、それなりに」

漣「それなりってなんですか!?」

提督「……あ、あのさ漣、勉強」

漣「ふたりっきりですよ!?」

提督「…いや、今までだって普通にあったし」

漣「……なんでですかー!?」

…どうしよう。

……いや、その、好き…とは言ったんだけど。

ああダメだ、違う、勿論漣は好きなんだけど、気持ちの整理が付かないと言うべきか。

当然漣に…こう、変な気持ちを抱くことがないわけじゃないんだけど。

……えーと…うーん――


>>+4



A.……いいの?

B.……ごめん漣、いきなりはそうそう接し方を変えられない…かな。

C.……無視だ無視。

A.……いいの?(*1.5)



提督「……いいの?」

漣「…ほへ?」

提督「……その、…何か、しても」

漣「……ほあっ!?」

提督「…えっと…漣?」

漣「べ、別にご主人様がしてーなら勝手にしやがればよかろうでごぜーますだ!?」

提督「…漣、落ち着こう、深呼吸」

漣「……すー…はー…えと、あの」

提督「……僕もさ、うん、男だし…やっぱり、漣に対してそういう気持ちになったりもするよ?」

提督「…でも、そういうのは無理矢理するもんじゃないかな、って…」

漣「……あ、え、う…うあー…」

提督「…わかってくれるかな?」

提督「…じゃ、僕は勉強に――」

漣「ご、ご主人様っ!」

声に、机へ傾けかけた首を、再び漣の方へと戻す。

目に入ってきたのは、視界いっぱいに広がった漣の顔。

…同時に、鋭い痛み。

漣の歯が、僕の歯に当たってガチッ、と音を立てた。

それは、キスというには、余りにも荒い口付け。

けれど、その行動には、漣の気持ちが詰まっていた。

漣「……い、嫌じゃないです…」

漣「…むしろ、も、もっと…あの、ご主人様に、構って欲しいです」

漣「……じゃないと、不安です」

漣「…ご主人様の言葉が、どんどん、薄れてしまっちゃいそうで…」

漣「だ、だから…えーと…あの…あー…!ダメだ私のキャラじゃないしこんなのわかんねー!」

提督「……漣」

漣「ひゃいっ!?」

提督「好きだよ」

漣「……にゃー……このジゴロめー…ぷしゅー…」

漣「…うがー…メイド再起不能ですー…」

いつもの漣も良いけれど。

たまには、こんな彼女も良いかもしれない。

なんて言ったら、怒るかな?



漣→  414/500



【6月4週】



大井「そういえば、お姉様」

「…何かしら?」

大井「…あの、下心とかやましい心とか一切ないのですけれど」

「…………」

(嫌な予感がする)

大井「…お姉様のあの日の周期は…」

「…それ以上いけない!」ズビシ

大井「きゃっ!?な、何をするんですか!?」

「大井、貴女ね…」

大井「ち、違います!私はただお姉様のゼr…体調を心配してですね!」

「………余計なお世話よ!」

比叡「……ゼリー?」

漣「比叡様は、一生気にしなくていい問題でございます」



コミュ対象>>+4


比叡  *45/500
漣    414/500
明石  133/500
大井  *35/500
レ級  129/500



――女子寮・私室


漣「…ご主人様、少し、狭いです」

提督「…あ、ご、ごめん」

漣「い、いえ!…元々、言い出したのは私、ですから…」

ベッドのスプリングが、いつもより重い荷物に溜息を吐くかのように喧しく鳴る。

いや、そこに意識を向けていたから煩く聞こえるだけなのかもしれない。

狭いのは当然。

このベッドは高級品だが、一人用だ。

大人二人が並んで寝られるような設計ではない。

漣「………ご主人様…」

漣が、布団の中で僕の手を握った。

吐息が触れる距離。

僕の世界には、今、彼女しかいない。

『…あの』

『今日は…忙しくて、全然、一緒にいられなかったので』

『だから…ここで、寝たいです』

…ああ。

今更になって後悔する。

良いよ、なんて軽々しく受けなければよかったなぁ。

漣「……ん」

狭いスペースに、なんとか自分の体を押し込もうと漣が動く度に、僕に彼女が当たる。

当然だけど、暖かい身体。

大好きな人の、躰。

全身が、彼女に触れている。

……絶対寝られない、これ。

寝られるはずがない。

…無理無理、今からでも断ろう。

漣「ご主人様…?」

何も喋らないのを不審に思ったのか、漣が声を上げる。

…僕は――


>>+4


A.や、やっぱさ、いつも通りに…。

B.…も、もうちょっとこっちに来ないと…落ちる、よ?

C.…あ、な、何でもない!

B.…も、もうちょっとこっちに来ないと…落ちる、よ?(*1.5)



提督「漣…あの」

提督「もうちょっとこっちに来ないと…落ちる、よ?」

握られた手を、引く。

漣の身体が、僕にもっと押し付けられる。

漣「あ、ご、ご主人様…」

提督「……う、うん…これで、大丈夫」

漣「……は、はいっ…」

そのまま、沈黙が流れる。

ふたりとも、何も喋らない、いや、喋れない…のか。

聞こえるのは、時計の音と、漣の心音。

漣「…あの、ご主人様…起きてますか?」

提督「…うん、起きてる」

漣「……ね、眠れないですね」

提督「……眠れないね」

漣「はい…」

この後。

ふたりとも、一体いつ眠ったのか覚えていない。

けれど、朝起きた時、僕の腕の中にはしっかりと漣がいた。



漣→  500/500(ED開放)

イチャイチャって何だよ
風呂入るね

漣が幸せになってくれたのでこの週はおおいに満足である
女子校設定は大井とかレ級の方で発揮できる設定だから仕方ないさ…諦めるんだ

毎度すまんな
続ける



【7月1週】


大井「お姉様、脱衣麻雀しましょう!」

「…普通の麻雀で良いんじゃないのかしら」

大井「いえ、やはり賭けるものがないと盛り上がりに欠けます」

「…生憎、麻雀のルールが…」

大井「では脱衣ポーカー!」

「ルーr」

大井「脱衣ブラックジャック!」

「……ルーr」

大井「脱衣!」

「…せめて最後まで隠し通しなさいよ…」



コミュ対象>>+4


比叡  *45/500
漣    500/500
明石  133/500
大井  *35/500
レ級  129/500


【エピローグ】


「おはようございます、ご主人様」

「……おはよー、漣…」

「ああもう、酷い寝癖ですよ、ほら、シャキッとしてください!」

「…うん……」

「…もーしゃーねーですねー、ご主人様、…んっ」

「……っ!?」

「へへー、目、覚めましたか?」

「……おはよう、漣」

「はい、おはようございます、ご主人様」

「ほら、着替えた着替えたー」

「…わかったよ」

慣れた手つきで、女子の制服へと着替える。

いつしか抵抗が無くなってしまったその行為。

……悲しい。

「……そういや、ご主人様」

「ん?」

「……下着、女物だったんですね」

「………そりゃ…うん、そうしないと」

「…ビミョーにメイド、ドン引きです」

「そもそも漣が買ってきたんじゃないかこれ!」

「…てへ?そーでしたっけ?」

「……ああもう…」

「拗ねないでくださいよー」

入り口の漣を押しのけるようにして部屋を出るも、後ろからピッタリと付いてくる。

「おはようございます、提子さん」

「…ええ、おはよう、尾状さん」

校舎への道を歩きながら、すれ違う女子生徒に、礼儀正しく挨拶を返す。

毎朝の登校、すっかり日常と化してしまった光景。

ただ、最近は少しだけ違うことがあったりする。

「おはようございますお姉様―って!?な、何ですかお姉様それは!?」

大井が愕然とした表情で指差したのは、僕と漣がしっかりと握った手。

「…別に、何でもないわ」

「そーそー、何でもないです」

「何でも無いわけないでしょうこらメイド貴女どういうことか説明しなさいさもないと――!」

…結局、いろんな事が解決しないまま、先延ばしになっているけれど。

進んだ事もちょっとはある、というお話。

今回のお話は、ここでおしまい。


【漣 HAPPYEND】

漣が幸せでメシがウマイ

一山挟もうかと超悩んだ、が…うん
えらくサッパリ終わってしまった
とりあえず次行きましょう

さて、雪風を妹で取りに行く作業が始まるのか…

一人目>>+4

提督お兄ちゃんの妹、雪風ですっ!

明石さん連続とな
二人目>>+4

雪風
義妹(本人は知らない)

北上に続き、同居人再びか

鈴谷か ヌメヌメした同居人でいいでしょうか

三人目>>+4

雪風
義妹(本人は知らない)

ヌメヌメした同居人…クトゥルフ的な…

大家族ですね

四人目>>+4

雪風
義妹(本人は知らない、明石さんと姉妹)

熊野派頑張ったな、おめでとう

鈴熊揃い踏み

ラスト>>+4

しまった、出遅れた…
白露当選おめでとう。このメンバー、どうなるかわからんな…

明石(義姉)
鈴谷(同居人)
文月(姉)
熊野(財閥令嬢・崩壊寸前)
白露(クラスメイト・電波)

です
そういえばエロもグロも未だに使っていない、初期から注意書きしてるのに
お付き合いいただきありがとうございました

おっつおっつ、(住民の脳内が)エログロだから問題ないね
というよりそういう前置きだからやっぱりハーレム修羅場で刃傷沙汰を狙うべきか…ただし0,5は狙わない方向で

時間かかりそう
最初にスパッと書いたのが鬱すぎたから流石に書き直し、そして無駄に忙しい
エピローグに後日談付けなかったのは漣以外プロローグから状況が何も進んでないから書くこと無かった
なるべく急くから許して欲しいのね この通りなのね

マイルドに訂正してみた
ダメそうなら書き直すだけ
今年も最下位っぽい



【プロローグ】


昔から、干渉されることが嫌いだった。

誰かが自分の領域に入ってくる事が嫌いだった。

自分が侵されているような感覚が大嫌いだった。

自分を覗かれるようなあの感覚が。

だから、当然の結果と言えるが…昔から友達がいなかった。

でも、満足だった。

家族がいたから。

優しい家族がいたから。

大好きな母と姉。

時代錯誤なまでに厳格な父と違い、際限の無い程の愛を注いでくれた2人。

けれど。

それもいつしか狂ってしまった。

まず、母が間男と駆け落ちしてしまった事が始まり。

俺は、ただひたすらにそれがショックだった。

愛する家族が、1人居なくなってしまった。

父は、多分その時怒っていたように思う。

わからない、興味がなかったから。

姉は、呆然とする俺の側で、ずっと励ましてくれていた。

俺は、姉がもっと好きになった。

家族として、異性として、女として。

つまるところ、まだこの時点ではさほど変わった事などなかったのかもしれない。

ただ、姉にべったりとくっつく弟がいただけだ。

決定的に何かがおかしくなったのは、父の再婚。

死ぬほど興味が無かったし、どうでもいいことだった。

だが、どうしても許せなかったことがある。

「家族」が増える事だ。

義姉と呼ばれる存在に、義母と呼ばれる存在。

許せなかった。

偽りの家族が俺の領域に入ってくる事が、何よりも許せなくて、腹が立って、怖かった。

だから、姉に縋った。

側にいてくれと、愛してくれと縋った。

姉だけは、変わらないで欲しかったから。

そして姉は、俺の言葉に頷いた。




『…しょうがないなぁ、弟くんは』

『おねえちゃんはね、弟くんを――』

あの日。

きっと、本当に全てが狂ってしまったのはあの日。

俺は姉を抱いて。

それが家族にバレて。

父に、死ぬんじゃないかと思うくらいに殴られて。

そのまま家を放り出されて。

寒空の下で凍えていた。

そんな日、薄れ行く意識の中で聞いた言葉。

『しょうねーん?』

『…ありゃ、死んでる?』

『……参ったにゃー、これじゃ鈴谷さん第一死体発見者じゃん』

『……んお、動いた』

『おはおは少年、生きてるー?』

『おお、生きてる生きてる、生命の神秘ってやつだねぃ、うへ、ひっどい腫れ方』

甘ったるい声だった。

耳に掛かるような、不快な声。

『………おーい、しょうねーん』

『…朝だぞー』

…そう、例えばこんな。

『あっさだぞー』

なんというか、いかにも女らしい声というか。

「朝じゃー!」

「………鈴谷さん…」

「今日から新学期だよー、たるんでるんじゃないかな、少年」

「…ああ…そっすか」

「…うわお…あんまりにも冷たい反応過ぎてお姉さんびっくらこいたよ」

自らの躰を惜しげも無く晒す、ラフすぎる寝間着を身に纏った女。

この女―鈴谷さんが、俺の命の恩人だった。

「ふふふ、いやー少年、今日は何とですね、鈴谷さんと少年の生活が始まりまして、3ヶ月記念日なのです」

「…へぇ」

「最初はあんなにクールというかクソコミュ障だった少年も、すっかり鈴谷さんに心を開いてるじゃん?」

「……」

うるさい、コミュ障なのは知ってる。

そもそも他人が嫌いなのだ、人間嫌いとでも言え。

…と、かなり対人能力に問題のある俺なのだけれども。

鈴谷さんとだけは、何故か普通に接している。

…不思議だ。


「そんなわけで、コミュ障年に鈴谷さんが手作りの朝食を作ってやったよー」

「…ありがとうございます」

合体させるなよ言葉を。

しかし理由、理由…か。

強いて言うのならこの人もどこか、俺と同じでズレているのだ。

拾われてから3ヶ月、一緒に過ごしてきてそう感じた。

だから、と結論づけていいのかはわからないが…多分、そんな理由だろう。

つまらない考えを飲み下すように、記念日と言いはしたものの、全く普段と代わり映えのしない朝食を口に運ぶ。

「……普通っすね」

「鈴谷さんは君ほどご飯の作り甲斐がない子を見たことないよ!」

「…すんません」

別に良いけど、と鈴谷さんが大きく溜息を付いて、テレビのリモコンに手を伸ばす。

テレビは幾分か気が楽だ。

意識が逸らせるから。

『…引き続き、熊野グループの子会社数社に対する敵対的買収問題について――』

「……そいや、鈴谷さん」

「んおー?」

「鈴谷さんっていっつもパソコンに向かってますけど、お仕事とかしてらっしゃらないんですか?」

「……ふっ、甘いなー、少年」

「今はこいつで何でも出来るんだよん?」

そう、仕事なんかもね――

無知を嘲るかのように、彼女が笑う。

「…この前めっちゃエロサイト見てませんでした?」

「………それはそれ?」

「まーどーでもいいっすけどね」

「んじゃあ聞くなよ!」

今俺がいる場所。

横須賀一等地の高層マンション、最上階。

鈴谷さんがどうしてこんな場所に1人で住んでいるのか、とか。

どう見たって仕事をしている様子も無いのに家賃を払えているのか、とか。

今まで聞いてきて、毎度毎度はぐらかされてきたことだし。

それに、俺だって此処に来ることになった原因をまだ語っていない。

思えば、奇妙な同居生活だ。…同居っつーか、ヒモくさいけど。

『以上、熊野グループ代表の会見をお送りしました…この後はお天気…』

「あ、んじゃ俺、そろそろ行きますんで」

「てらすー、あ、帰りにみかん氷買ってきて」

「…うーす」

オートロックの重厚な玄関を閉じる。

バタン、と喧しい音が、誰も居ない最上階の廊下に響いた。

…新学期、か。



結論から言えば。

俺はもはやあの家とは無関係になってしまった、とは。

他ならぬ親父様の言で。

だが、どうしてか学費は支払われているらしい。

現に、学校で教師が俺の学費について詰問してくることは無かった。

…相変わらずわからん親父だ。

住む場所も提供しないくせに学費を払ってどうする。

まぁ、そんな事はどうでも良い。

俺にとっては、学校に行けるとか行けないとか、家があるとかないなんてもんは些細な問題だ。

「……文月姉さん」

姉を想う。

優しい姉を想う。

『弟くん…?おふぁよぅ……って、ええ!?おひる!?』

『…というかまた弟くんあたしの部屋にいるー…勝手に入っちゃめーっ!』

彼女は、親父の命で全寮制の学校に行かされた。と聞いた。

俺から引き離すためだろう。

…口惜しい。

何故あの時、いっそ姉さんと一緒に逃げ出さなかったのか。

彼女の手を引いてやれなかったのか。

何故俺は、親父に屈してしまったのか。

姉さん。

文月姉さん。

大好きな姉さん。

「……提督、くん?」

「………………」

急に掛けられた声に、苛立ちが募る。

それを何とか振り払って振り返る。

「……明石さん」

再び、隠し切れない程の苛立ちが沸いた。

義姉―いや、偽姉、とでも言った方が適切か。

偽物の家族。明石さん。

…だが、ダメだ、気取られては。

精一杯、愛想良く笑え。

攻略対象から嫌われてるならまだしも
提督が嫌ってるとか辛すぎるんだけど



「…おはようございます、あれから、何か変わったことはありましたか?」

「ううん、無いですよ…相変わらず、お父さんは怒ったままで…」

「そうですか…ごめんなさい、迷惑を掛けて」

「いいのいいの、気にしないで、好きでやってることだから…」

「…いえ…本当に、明石さんにはご迷惑を…」

姉がどうなっただとか、家の中で変わったことが無いかとか。

それを知る為の手段が必要だった。

同じ学校に通う、1年先輩の義姉。

この上なく適当な相手だ。

…それ相応の対価も、勿論支払っているけれど。

「……ほんとに、それは良いんだけど…あの、提督くん…」

「…ああ…はい、明石さん」

義姉が、目をつむって唇を突き出す。

それに触れてやると、義姉は嬉しそうに笑った。

嫌悪感を必死に押し殺して、俺も笑顔で応える。

「……誤解なんですよ、あれは」

「…はい、…ええ、わかってます、提督くん」

「…明石さんと、俺はまた一緒に暮らしたいんです」

「……だから、お願いします、迷惑を掛けますけど…」

「ううん、私も、私も…提督くんと、一緒に暮らしたいから…」

「明石さん…」

ああ。

反吐が出る。

「…ありがとうございます」

笑った。

「はいっ」

彼女も笑った。

綺麗な笑みだ。

偽物の癖に。

壊してしまいたかった。

粉々に、バラバラに。

「…それじゃあ、これで」

「あ、はい…えっと、今日も1日、頑張ってください」

別れの言葉は、押し出したように低い声が出た。

明石さんが見えなくなってから、思いっきり近くにあった電柱を蹴る。

痛いのは、足だけじゃなかった。


新学期の喧騒に包まれた教室。

煩わしい。喧しい。五月蝿い。

そんな感想以外、何も持てなかった。

同じ空間にいることさえ嫌になる。

どうでも良い話をひたすらに繰り広げるクラスメイト達。

「てーいとーくくんっ!」

「……あ?」

不快な声。

誰かよりもずっと甘ったるい、不快な声。

顔を上げると、…誰だ?こいつ。

「…ふっふーん」

「…何ですか?」

「君は今、悩んでいる事があるだろう!」

「…………」

…何だこいつ。

大きく舌打ちを一つして、再び机にうつ伏せる。

「…例えば、そう……姉のこと…なんかね!」

「…っ!?」

それも長くは続かなかった。

二言目に、顔を上げざるを得なかったからだ。

「お前…!?」

「はっはー、びっくり仰天、って顔だねー」

「…どうでも良い、どういう意味だ?」

「……ふふ」

笑っている。

ずっと笑っている。

その笑顔の奥にある表情が、見えない。

先の発言の真意も、何もかもがその奥に隠されている。

「私はねー、提督くん」

「君が思っているより、ずーっと君を知ってるよ?」

「…だから、どういう」

「そして、君が思ってる程は、君を知らない」

「……何が言いたいんだよ!」

「よーするにっ!」

俺に向かって、手を伸ばす。

一切変わらない笑顔と共に。

「友達になろーってことだっ!」

「…………」

出会い。これが出会いだった。

白露という少女との。



「……訳がわからん」

帰り道、歩道を歩きながら考えるのは、あの奇妙な少女。

意味がわからなかった。

どれだけ考えても、俺の記憶に彼女は無い。

というか、俺の記憶ある他人の数なんてほんの一握りだ。

「……っと」

頭を振る。

考え事に没頭していたせいか、セブンを通り過ぎていた。

鈴谷さんに頼まれていたみかん氷を買って帰らなければ。

考えても出てこない物を、いつまでも考えていたって仕方がない。

通りすぎてしまった信号へと振り返る。

「…………ん?」

「……………」

その信号は赤色。

歩行者が通れない事を示す色。

だというのに、ふらふらと車道へ歩いて行く少女がいた。

「おい、あんた――!」

「……………」

覚束ない足取りの彼女は、止まらない。

やがて、向かいの道路から、車がやって来るのが見えた。

……当たる。

このままでは間違いなく。

「……くそっ!おい!」

そう思った瞬間に、駆け出していた。

相変わらず言葉は届かない。

ふらふらとした足は、ずんずん車道へ伸びていく。

「……ああ、もうっ!」

なんとか追いついて。

躊躇せず、その少女の襟を掴んで思いっきり歩道側へと引く。

「きゃあっ!?」

小さな悲鳴とともに、俺の胸に少女の背中がぶつかった。

その先を、一瞬遅れて乗用車が通り過ぎていった。

「……はぁ…おい、あんた」

「……あれ…私…」

「…何やってんだ、死ぬとこだったぞ?」

「…あ……死……っ!?」

先程までの自分の行動を思い出したらしく、呆けた少女が怯えた顔を見せる。



「…も、申し訳ありません…助かりました…」

「…礼なんかいらん、立てるか?」

胸に寄りかかったままの少女に言う。

彼女は俺から離れようとしてよろめき、再び胸へと倒れかかった。

「……申し訳ありません、腰が…」

「…ちっ…わかった、支えてやる…家は?」

「家……家は……」

「…家には、帰りたくありませんわ」

「はぁ?」

思わず、両手で顔を覆いたくなった。

どうしてこう、今日は面倒臭かったり変な奴ばかりに遭遇してしまうのか。

「…帰りたくないってなぁ…」

「……帰りたくありませんの」

「…………」

議論は平行線―いや、そもそも議論にすらなってない。

ただの主張だ。

もう適当に交番にでも預けて逃げるか、なんて思っていたその時。

「しょうねーん…鈴谷さんは確かみかん氷を注文したはずですがー?」

「……今から買いに行こうと思っていました」

「…そんな熱い抱擁を交わしといてそれはないでしょ、うん」

「………この方は?」

「…俺の家主」

「家主…?」

「少年がいつまで経っても学校から帰ってこないから自分でみかん氷を買いに行こうとした鈴谷さんが見たものとは…おくてな少年と、若い少女のラブロマンス…」

「黙ってください、えーと、鈴谷さん」

「……熊野」

「…え?」

「……え?」

2人の疑問符が、重なった。

この子を拾った経緯を説明しようとしたら、いきなりその言葉は発せられた。

ニュアンスからして、どうも名前のように聞こえる。

そして、彼女が俺の胸で固まっているのを見ると、それは少女の名前らしかった。



「…ふふーん、ってまぁ、大したこっちゃないよん」

「熊野財閥、その一人娘さんじゃん、知らない少年?」

「いえ…生憎…」

だが、熊野財閥という名前だけなら知っていた。

『…引き続き、熊野財閥の子会社数社に対する敵対的買収問題について――』

日本でも有数の大グループ。

そして、今、崩壊の危機にあるとささやかれている。

「………知ってましたのね」

「ま、ねー………ちょっとした事で知ってさ」

と、語尾を濁して、再び少女―熊野に向き直る。

「…んでんで、そんなくまのんは何でこんな場所にいるのかな?」

「くまのん…!?」

「…家に帰りたくないんだそうです」

「ほへー」

「そりゃまたどって?」

「…別に、…理由なんて特にありませんわよ」

「…ほーん」

「はぁ、…鈴谷さん、こいつ、さっさと交番にでも」

幸い、身元が割れたのはいいことだ。

交番でもスムーズにやりとりが出来る。

が、鈴谷さんは笑って、熊野に言った。

「じゃ、ウチ来る?」

「………え?」

「…ちょ、鈴谷さん!」

「拾い物1号は黙っとれー」

「…拾い物って…」

「…いいんですの?」

「もちろん、この鈴谷さんの家は家出中の少年少女を大歓迎しているからね!」

熊野は、その申し出に一も二も無くと言った様子で飛びつき。

鈴谷さんが、楽しげに、満足そうに笑った。

その笑みは。

俺が見た中で、最も楽しそうで、非の打ち所の無い、完璧な笑顔だった。

熊野を、俺が偶然助けて。

偶然、通りがかった鈴谷さん。

そんな奇跡のような偶然。

鈴谷さんは、それを噛みしめるかのように笑っていた。



【プロローグ 終】

>>452 これを丸ごと消そうと思った主な理由としてはこれ 一応ハッピーはあるのよ?
選択肢によってはどんどん鬱になっていくお話
いやちょっと…と言われるようなら訂正というか全く違う物にします
とりあえずサッパリ感は消えたはず(適当)

だって熊野は熊野だし…


【4月1週】


鈴谷「おはよーん」

提督「…おはようございます」

提督「……で、なんすかこの机の上の惨状」

鈴谷「んにゃー、それがさー」

熊野「………」

鈴谷「予想以上に料理出来ない子だった!」

提督「……はぁ、なるほど」

鈴谷「だが食材は粗末に扱ってはならん、食うのじゃ!」

提督「…理解しました」

提督「………」モグモグ

提督(……不味い)

鈴谷「…まずっ」

熊野「……」ガーン



コミュ対象>>+4


明石   **0/500
鈴谷   **0/500
文月   **0/500
熊野   **0/500
白露   **0/500



――鈴谷家


夕方。

鈴谷さんがみかん氷を買いに行った。

あの人どんだけ好きなんだよみかん氷。

それは別に良いのだけれども。

熊野「………」

提督「………」

彼女がいなくなるということは即ちこの熊野と2人になるということ。

…話すことがない。

かといって部屋に下がるのもなんとなく気が引ける。

熊野「…あの」

提督「……あん?」

熊野「…いえ…提督さん、でしたかしら?」

提督「…そうだな」

だからどうした、と視線を返す。

熊野はその視線を少し不快そうに受け流して、続ける。

熊野「…まだ」

提督「?」

熊野「…まだ、先日のお礼をしておりませんでしたので」

熊野「ありがとうございました、改めて、感謝致しますわ」

提督「…ああ…」

そういやこいつは車道に突っ込んで行くとこだったんだか。

すっかり忘れてた。それもどうなのかと思うが。

提督「別にいい、気にすんな」

提督「……しかし、なんだってあんなにぼーっとしてたんだ、あんた?」

熊野「…色々あったのですわ」

提督「そりゃ、家に帰りたくないってのと関係が?」

熊野「…一応は」

提督「ふーん…」

提督「ま、俺が言えた事じゃねーが、親とは仲良くしてた方がいいんじゃねーか?」

あくまで一般論としてだがね―と、まるで常識人の如くアドバイスをしておく。

熊野「別に、母や父と何かあったわけではありませんわ」

提督「…へぇ、そうなの」

熊野「そう言う貴方こそ、両親と何かあったのでして?」


>>+4


A.あんたには関係ない。

B.……まぁな、色々。

C.…親父と、少しな。

C.…親父と、少しな。(*1.5)



提督「…親父と、少しな」

熊野「…お父様、ですか?」

提督「…昔から馬鹿みたいに厳しい人で、さ」

提督「色々あって…ぶん殴られて、追い出された」

提督「もう、俺は息子じゃねーんだと」

熊野「…貴方…良いのですか?それで」

提督「ああ、こっちからあんな奴の息子なんて願い下げだ」

熊野「……そ、ま、貴方が決めたことなのですし、私からは特に言うこともありませんけれど」

熊野「…親御さんとは仲良くしていた方が良いのでは無くて?」

提督「……良いんだよ、別に」

熊野「あら、貴方が言ったことですのに」

提督「それとこれとは別なんだ」

熊野「なんですの、それ」クスッ

提督「…笑うな」

熊野「もしかして、反抗期ですの?」

提督「……違う」

提督「というか、俺もここまで話したんだ、あんたも――」

鈴谷「鈴谷さん帰還っ!しゃきーん!」

熊野「残念、ここまでですわ」クスッ

提督「…ぐっ」

鈴谷「…え、何これ、鈴谷がぼっちになっちゃう感じ!?自分の家なのに!」



熊野→ *84/500

一旦ここまで



【4月2週】



提督「…………」

白露「おはよー!」

提督「……ああ」

白露「いい天気だねー!」

提督「…うん」

白露「こんな日はー!教室にいるのが勿体無いっ!」

提督「…ああ」

白露「春ー!って感じだねー!」

提督「………」

白露「はーるー♪はーるー♪」

提督「…………」


コミュ対象>>+4


明石   **0/500
鈴谷   **0/500
文月   **0/500
熊野   *84/500
白露   **0/500

プロローグのマイルドにしてない版も見てみたいなぁ

気になったけど鈴谷のみかん氷好きって何か元ネタあるのかな?

>>499 白露の電波度が比べ物にならないくらい上だったり、ある人物がもしかしてそれは貴方の想像上の(ryだったりしてハッピーが鬱エンドは流石に怒られそうだなーって思った
>>501 強いて言うなら最近の私のマイブーム(ステマ)

ちょっと敗戦のショックで寝込んでた、再開しまう

鈴谷「…………ふっ」ッターン!

先程から。

やることも無いので鈴谷さんがPCに向かっているのをじっと眺めていた。

どうやら途中から俺の視線に彼女は気付いたらしく。

鈴谷「……はっ!」ッターン!

タイピングの速度が上がった。

そしてちょくちょくこっちをちらっと見てくる。

…なんだかなぁ。

鈴谷「……よっ!」ッターン!

ああ。もはやチラ見なんてレベルじゃなくなってきた。

ガッツリこっち見ながらタイピングしてる。早い。

それ自体は素直に凄いと思うのだけれども…。

鈴谷「…おいこら少年!」

提督「…はい、何ですか」

鈴谷「……ふぅ、鈴谷さんに何か言うことは無いのかな?」

提督「…………」

提督「…あー…タイピング、早いっすね」

鈴谷「にゃっはっははー!それほどでもないよー!」

これでもかとばかりに胸を張る。…なんだかなぁ。

提督「…そういや」

鈴谷「んー?」

提督「何してたんですか?」

それ、とPCを指差して言うと、仕事、そう鈴谷さんは短い言葉で答えた。

鈴谷「君らを養うのにはお金が必要なのだよー…うぅっ…」

提督「…仕事って…PCで金って稼げるんですか?」

まさか、騙して金獲ってたりしないでしょうね――続けた言葉に、鈴谷さんが不快を露わにした。

鈴谷「きーみーはー…失礼だねー、ほんとにー」

提督「…冗談のつもりでした」

鈴谷「わかりにくいんじゃ!」

ぺし、手のひらが俺の胸に飛ぶ。

軽く頭を下げると、鈴谷さんは俺にPCが見やすいように画面の前から少しズレた。

よくわからない画面に、数字が大量に並んでいる。

鈴谷「いわゆる、デイトレード、ってやつさー」

提督「デイトレード…株、ですか?」

鈴谷「うむうむ、この稼ぎで日々、私達は口に糊しているのだよ…」

…どうにも、普通に全うかつ知識のいる稼ぎ方だったようだ。

冗談でも、あれは少し言い過ぎたか――

>>+4
A.…へー、そっすか。

B.…すんません。

C.…ありがとうございます。

B.…すんません。(*1.0)


提督「すんません」

鈴谷「んお?」

提督「…なんか、居着いちゃって」

ああいや、と俺の顔の前で鈴谷さんが2、3度手を振る。

鈴谷「気にしなくていいよいいよー!」

鈴谷「こっちこそごめんね、まるで少年を責めてるみたいな言い方だったね」

提督「いえ…」

よく考えると。いや、よく考えなくても。

俺は鈴谷さんに多大な迷惑を掛けている。

その上、俺の方は彼女に何もしてないのだ。

鈴谷「…なーに真剣に考えてんだよー」

鈴谷「少年はこの鈴谷さんに存分に甘えて良いんだから、気にしない気にしない!」

提督「…鈴谷さん…」

鈴谷「ふふー、余りの大人オーラに参ったかー」

提督「腹減ったんで夕飯食いたいです」

鈴谷「いつもの少年が戻ってきたっ!?」

まあいいか。

勝手に拾ったのこの人だし。



鈴谷→ *44/500



【4月3週】


提督「そういやあんた…いや、熊野、お前、学校は?」

熊野「…学校は…自主休講ですわ」

提督「…良いのかそれで」

熊野「何もしたくないんですもの」ゴロン

提督「…良いご身分でございますねぇ」

熊野「あら、貴方だって休んでもいいのではないの?」

提督「……ちょいと、事情があってね」

熊野「いつも事情ばかりね、貴方」

提督「お前ほどじゃねーよ」

熊野「ふふ、遅れますわよ?」

提督「…へいへい」



コミュ対象>>+4


明石   **0/500
鈴谷   *44/500
文月   **0/500
熊野   *84/500
白露   **0/500



――屋上


明石「…提督くんっ!」

提督「明石さん、こんにちは」

提督「お待たせしたみたいで、すいません」

明石「良いんですよ、そんな全然…全然、待ってないですから」

昼休み、呼び出されたのは屋上。

至る所にある花壇で埋め尽くされたこの場所は、人気の昼食場所だ。

…主に、カップル同士での。

現に周りを見渡せば、皆楽しそうに食事を摂っている。

俺も、なるべくその空気に合わせて笑顔を作る。

上手くなったものだ、表情を作る事も。

そして、彼女が座るベンチの隣へ腰を降ろした。

明石「えと…あの、これを…」

おずおずと、彼女が小さな弁当箱を差し出す。

俺の反応を伺うかのように、上目遣いでこちらを見ながら。

提督「え…これ、俺に…ですか?」

明石「は、はい…」

白々しい。俺じゃなければ他の誰の為に作ったというのか。

提督「ありがとうございます」

貼り付けた笑顔のまま、明石さんに向き直る。

提督「嬉しいです」

明石「はぁ…良かったです」

安堵の表情を見せた明石さん。

そんな彼女に、今だとばかりに質問を投げる。

提督「…そういえば、家、変わったことありましたか?」

提督「例えば…文月…姉さんの事、とか」

明石「…いいえ…特に…連休中も、父さんはあちらに置いておきたいみたいですし…」

提督「そう…ですか」

…ゴールデンウィークに帰ってくるなら、とも思ったが。

そうやらその当ても外れてしまったようだ。

…相変わらず、状況に変化は無い。

さて…俺の用はここまでで終了だ。

明石「…えっと…それで…」

もう一つ、小さな弁当箱を手に携えた明石さんが再び、俺を伺う。


>>+4

A.…それじゃあ、食べましょうか、弁当。

B.…ああ、すんません、これから少し用事が。

C.…っと、そういやコンビニで買った弁当が。

C.…っと、そういやコンビニで買った弁当が。(*0.5)


…明石さんの弁当、か。

俺が明石さんにどんな感情を抱いていたとしても。

この弁当自体に罪は無い。

それでも、それでもだ。

提督「ああ…すいません、明石さん」

明石「…どうしました?」

提督「実は…俺、ちゃんと弁当買ってたの、忘れてました」

明石「え…?」

だから―と、先程受け取った弁当箱を、明石さんに突っ返す。

提督「ごめんなさい、いや、教室にあって」

明石「…え…あの、提督くん?」

提督「だから、その、明石さんの気持ちは本当に、本当に嬉しいんですけども」

提督「俺、帰って向こうで食べますから」

明石「…提督くん?あっ――」

盛り上がる男女の間を縫うようにして、校舎へ繋がる階段へと駆けてゆく。

後ろから、俺を呼び止めるような声がしたけれど。

結局、振り向かずに俺は最後まで駆け抜けた。




明石→  **1/500



【4月4週】


鈴谷「毎度思うんだけどさー」

提督「はい?」

鈴谷「少年、友達いなそう」

提督「………」

提督「…それが何か」

鈴谷「いや、ただの事実確認だよん」

鈴谷「実は鈴谷もあんまいない!」

提督「それは…少し、意外っすね」

鈴谷「そーでもないと思うけどねぇ」

鈴谷「あ、でもきっとくまのんはいるね、間違いない」

提督「……そんなに良いもんでも無いでしょう」

鈴谷「そーかね、ま、少年がそう言うならそーなのかもね」


コミュ対象>>+4


明石   **1/500
鈴谷   *44/500
文月   **0/500
熊野   *84/500
白露   **0/500

すいません、今日はここまでです
お付き合いいただきありがとうございました

おつおつ
質問なんだけどこの前今後また姉妹設定が出てきても多分暁みたいな展開にはしないって言ってたけどさ
もしかして文月ルート入れなかったりするの?それとも入れてもヨスガらないで家族愛ルートみたいになっちゃうのか?
家族愛っていってももうやることヤっちゃってるけどここからどう持ち直すのだろうか

導入の明石の部分ってあれ二人キスしてるってことでFA

>>595 本人達の心持ちが違うからセーフ
>>608 そんな感じ
体調不良(2回目)
ごめんなさいお休みです
どうも最近調子が良くない

後1時間後くらいに始める
まさか勝つとは…



――鈴谷家


『熊野グループの子会社買収問題は次々と――』

休日、柄にもなく早起きした俺は、特にすることもないのでテレビを眺めていた。

…することがないなら起きなきゃいいのに、と思うかもしれないが起きてしまったものは仕方ない。

熊野「…ふぁ…ああ…あら、お早いのね」

提督「そっちこそ」

寝ぼけ眼でリビングのドアを開いたのは、熊野。

熊野「朝食はありませんの?」

提督「コーンフレーク」

熊野「…侘しいですわね」

提督「うっせ、食いてーなら自分で…ああ、お前の腕ならコーンフレーク食ってた方がマシか」

熊野「…不愉快ですが、同意ですわ」

冷蔵庫から牛乳を取り出して、ザラザラと盛ったコーンフレークに注ぐ。

チョコ味。正直何味でも良いけど。

提督「…そういやさぁ」

熊野「何ですの?」

提督「この会社って、お前の家の会社なんだろ?」

熊野「…ですわね、何か?」

提督「いや…こんなでっかい会社持ってんのに、娘も探さねーのかなって」

この1ヶ月、どのニュースにも財閥令嬢失踪なんて話題は上がっていない。

ここまで放って置かれるというのも不自然ではなかろうか。

熊野「ああ…いえ、しっかり両親には生存報告をしておりますわ」

提督「生存報告ってお前…」

熊野「仕方ないじゃありませんの、そういう他無いのですから」

乱暴にスプーンでふやけたコーンフレークを口に入れて、咀嚼する。

熊野「んぐ……はっきり言って、両親は私に構っている暇なんてありませんの」

提督「この問題?」

大きく『熊野財閥の今後』などと銘打たれた特集を映すテレビを指差すと、熊野がそれに頷く。

熊野「…ええ、とても大変なようで、家でもそれは凄い荒れようでしたわ」

提督「…つーことは、それが嫌で家出を?」

熊野「ええ、概ねそんな感じですわ…あんな家、おられませんわよ」

空になった皿に、スプーンを投げる。

カラン、と乾いた音が響いた。

熊野「ごちそうさまですわ」

…ふーん、そういう理由だったのか――

>>+4

A.…ま、頑張れ。

B.慰めてやる。

C.…金持ちも大変なのな。

B.慰めてやる。(*1.5)


…いつもなら、他人の事情なんてどうでも良い、と流すのだけれど。

何故だろう、熊野の事をそういう風に流すことが出来なかった。

勝手な親に振り回されている彼女に、自分を重ねたのだろうか。

…だとしたら、とてもアホらしい話だ、我ながら。

提督「…まぁ、うん」

提督「俺もさ、親父の事で苦労してるし…なんだ、その」

提督「…親っつーもんは、勝手だよな」

熊野「……何ですの?いきなり…」

提督「いや…えー…何て言えば良いか…」

熊野「……ぷっ」

上手く言葉を継げず、髪をポリポリ掻く。

そんな俺を見て、彼女は耐えられないといった様子で吹き出した。

熊野「もしかして、慰めてるつもりですの?」

提督「…そうかもしれないな」

熊野「ふふ、珍しい事もあったものですわね」

提督「…うるせぇ、良いよ、じゃあ放っとくよ」

熊野「あら、怒らせちゃいました?」

熊野が、目を細め微笑ましそうに俺に視線を送る。

…ああ。

柄にも無いことなんてするんじゃなかったよ。

今度から休日は昼まで寝よう。



熊野→ *97/500



【5月1週】


白露「………ねー、ねーってばー」

提督「…何だよ」

白露「…おひまですかー?」

提督「見ての通り何もやることはないが…だからと言ってお前に付き合っている暇はない」

白露「…ひっどいなー、ぶーぶー」

提督「だいたい、お前は一体――」

白露「おっと!もう授業が始まっちゃうね!」

白露「それじゃまたねー!」

提督「…何者だ……はぁ」



コミュ対象>>+4


明石   **1/500
鈴谷   *44/500
文月   **0/500
熊野   *97/500
白露   **0/500



――繁華街


鈴谷さんのおつかい。

それが俺の主な仕事。

対価として寝床と食事とお小遣いを得ている。なんて効率のいい仕事なんだ。

そんな訳で頼まれたものを買いに繁華街までやって来たのは良かったのだが…。

…近道しよう、と裏路地なんざ通ってしまったのが運の尽きだった。

「いやマジでさ、俺らホントこの辺詳しいから!顔も効くから!」

明石「…いえ、あの、困ります…」

「えーそんな事言わずにさー!」

「そうそう!ちょーっと付き合って欲しいだけだって!」

…古典的。古典的すぎる。

今時そのナンパの仕方はいかなものか。

まあ…こんな道を1人で通る明石さんの方にも問題があるっちゃあるんだけどね。

…すげーどうでも良い事なんだけど、俺にとっては。

ただ、俺はこの現場を見てしまったわけで。

まだ、明石さんには利用価値があるわけで。

「いいからさー!ほらほら!」グイッ

明石「ちょ、ちょっと…!」

「あ、そういやあっちの方に俺らの溜まり場があるんだよねー!」

……あー。

…どうするか――


>>+4


A.…親切な日本人、頼んだ。

B.…仕方ない、助ける。

C.……気付かれないように助ける。

B.…仕方ない、助ける。(*1.5)


確かに好きじゃ無いけども。

あの人が居なくなれば困るのは確かだ。

…助けるしかないか。

…それに、俺の事をもっと信用させるのにも役立つ。

最大限利用するためには、ここで捨て置くのはむしろ悪手だ。

私情じゃなく、その先の利益を見ろ。

大きく、息を吸い込む。

腹に力を込める。

提督「こっちです!こっちで女の人が絡まれてて!」

「……!?」

「…ちっ、クソがっ!」

俺の声と反対方向へ、一目散に駆けていく悪漢ども。

これぞ頭脳プレイだ、思い知ったか馬鹿め。

明石「……提督くん…!?」

提督「ども、明石さん…大丈夫ですか?」

明石「…は、はい…大丈夫、です…」

提督「良かった」

笑顔を作る。

彼女の前でよく見せる、綺麗な笑顔を。

大丈夫、安心していい、と。

提督「何でこんな道を?」

明石「…あ、…えっと…学校から、近道したくて」

提督「…なるほど…ダメですよ、気をつけないと」

明石「ご、ごめんなさい」

提督「次からは気をつけて…それじゃ、大通りまで、送っていきますよ」

明石「あ、あのっ…!」

提督「はい――っ!?」

一面に、彼女が映る。

俺に彼女が口付けたとわかったのは、一瞬遅れて。

明石「…ありがとう、ございました…」

提督「…………いえ」

反射的に口を拭おうとした手を抑えて、笑顔を作り直す。

提督「それじゃあ、行きましょうか」

明石「はい!」

そう言って、彼女が俺の方へと露骨に寄せた右手には、気付かないふりをした。



明石→ *88/500



【5月2週】


熊野「………」グデー

鈴谷「………」カタカタ

提督「………」

何だこの家。

家庭崩壊だろ。

平日の夕方にリビングのソファーで死んでる奴が1人。

そしてひたすらPCに向かってるのが1人。

勿論会話もない。

熊野「……ふぁ…あれ…提督くん、帰ってたんですの…」

提督「たった今」

鈴谷「…んー…あ、おかおかー」

提督「ただただー」

鈴谷「…よ、予想以上にノリが良い…!?」

…ふむ。

………。

もしかしてこの2人って普段あんま話してない?



コミュ対象>>+4


明石   *88/500
鈴谷   *44/500
文月   **0/500
熊野   *97/500
白露   **0/500



――屋上


他人が自分の領域に踏み込んでくるのは、嫌いだ。

だから、俺は心を他人に開かない。

これだけは絶対に変わらないと思う。

しかし、だ。

明石「はい提督くん、あーん」

提督「…あ、あーん…」

開いたように見せなければならない状況があるとは、聞いてないぞ。

…つっても、これは姉の為に自分がやり始めたことなのだ。

完遂せねばならぬ。

笑って食べるしかない。

明石「どうですか?」

提督「…お、美味しいですよ!」

明石「良かったぁ…ふふ、この前食べてもらえなかったから――」

豪華で、やけに手の込んだ弁当。

曰く。

俺へのこの前のお礼だそうである。

……だというのなら普通に食べさせて欲しい。

カップルだらけのこの場所であるから俺も何とか耐えられている。

これが教室なら死んでる。主に普段とのギャップで。

提督「……あぐ」

と、そんな事を考える内に、いつの間にか食べ終わってしまっていた。

…俺は餌を貰う雛鳥か。

明石「わ、早いですね」

驚きながらも、彼女は嬉しそうに言う。

提督「…ご馳走様でした」

明石「はい!お粗末さまでした!」

明石「えーと…」

明石さんはそう言った後、少しだけ視線を逸らして、髪に手をやった。

……まるで何かを待つように。

…さて――


>>+4


A.美味しかったです。

B.…また、食べたいです。

C.…それじゃあ、俺はこれで。

B.…また、食べたいです。(*1.5)


提督「えー…と、重ねて、美味しかったです」

明石「……っ」

待っていた言葉を受けて、明石さんの頬が緩む。

本当に、嬉しそうな顔を浮かべる。

提督「……また、食べたいです」

明石「は……はいっ!」

更に、明石さんの顔が輝いた。

…言った後に、思わず後悔する。

最低限の接触で良いのに。

知りたいことを知れさえすれば、それだけで良かったのに。

何故か、口を付いて出てしまった言葉。

明石「頑張りますねっ!」

提督「……期待、してます」

かと言って、引っ込めるわけにはいかない。

明石さんはもうやる気満々である。

…何であんな事言ったんだろう、俺。



明石→ 109/500



【5月3週】


鈴谷「……………」

<……エネミーエーシーワンサーティーアバーブ!

<…ドーン

<…ズドーン

鈴谷「…うがー!抜けてやるー!」カチカチッ

提督「あ」

鈴谷「…何だね少年、鈴谷さんのPCを覗きこんで」

提督「いや、いいんすか、途中で抜けても」

鈴谷「良いのだよ良いのだよ」

提督「…マナー違反とか…」

鈴谷「ふ、鈴谷さんには関係無いね」

鈴谷「よーし次の部屋探すぞー」

提督「……フリーダムですねぇ」




コミュ対象>>+4


明石   109/500
鈴谷   *44/500
文月   **0/500
熊野   *97/500
白露   **0/500



――特別棟


うちのクラスでは、特別棟最上階の掃除当番が割り振られている。

教室から遠いため、人気は無い。

けれど、俺はどうしても此処の掃除当番になりたかった。

理由は――

白露「わー!提督くん、どうもだよー!」

こいつが此処の掃除当番に割り振られていたからである。

都合の良い事に、この場所は殆ど人も通らない。

…つまり、話をするのに好都合、というわけだ。

提督「……おい、白露…だったか?」

白露「はいさー!」

提督「…お前、何で俺の姉の事を知ってる?」

白露「…んんー?」

提督「惚けるな、あの時確かに言ったじゃないか」

白露「ふふー、気になるー?」

提督「…あのなぁ」

一歩詰め寄ると、白露は両手を上げて、俺に向かって頭の上で大きなバツを作った。

白露「でもダメ!教えませーん!」

提督「……おい、いい加減に…」

白露「やっぱりさー、それを教えるには、もっと仲良くならなきゃだよ!」

提督「仲良く?」

白露「そーだ!提督くんとあたしがねー!」

提督「………」

…こいつ、何言ってんだ?

……――――


>>+4


A.…努力はしよう。

B.…いいからさっさと言え。

C.…アホらしい、ふざけるな。

A.…努力はしよう。(*1.5)


提督「…わかった」

白露「おおー!?ということは!?」

提督「…極力努力はしよう」

白露「わー!やったー!」

提督「だが、それにしたってその…仲良くなるにはそもそも何をすればいい?」

白露「簡単だよー、そんなの!」

提督「は…?」

白露が、俺の眼前まで迫る。

その双眸を見開いて、俺を見ている。

白露「提督くんも、あたしをちゃーんと見てくれれば、それだけで良いんだよ?」

提督「…見る、って…どういう」

白露「だって、提督くん、今、あたしを見てないでしょ?」

白露「ずっと、違うものを見てる」

白露「提督くんが見てるのは、あたしの中にある情報だよ、ね?」

提督「……何を」

白露「もっと言っちゃえば、『お姉さんの情報』かなー?」

提督「…お前…」

吸い込まれそうな、白露の瞳。

底の見えない、栗色の海。

白露「っふふ、言ったでしょ?あたしは、君が思ってるより、君の事を知ってるよ、って」

白露「…だから、仲良くしよ?」

白露「君があたしを見てくれた時は―その時は、全部喋ってあげるから」

白露「ふふっ」

――ね、提督くん?

俺は、そこで彼女の瞳から目を逸らした。

ただ純粋に、怖かった。

あんな目を、見たことがなかったから。



白露→ *48/500




【5月4週】


提督「………」

熊野「………」

提督「………なあ」

熊野「……なんですの?」

提督「一応聞くが、これは料理か?」

カップラーメン「やあ」

熊野「…広域では、そのような意味に該当するのでは?」

提督「いーや、しないね、しないしない」

熊野「…グズグズとうるさいですわね、下げますわよ」

提督「…まだ5分経ってねーから食えねーだけだよ」




コミュ対象>>+4


明石   109/500
鈴谷   *44/500
文月   **0/500
熊野   *97/500
白露   *48/500


――山奥の学校

提督「………此処に…」

PCって凄い。改めてそう思った。

それとも、それを使いこなす鈴谷さんが凄いのか?

…いや、どちらでも構いやしない。

重要なのは今、俺が姉のいる学校の前にいるということだ。

提督「……あ……」

さて、どうやって中に入るか―

そんな事を考えていた、その時だった。

何人かで連れ立って、下校している女子生徒たち。

その真ん中に、いた。

間違えない。

間違えるはずがない。

遠目であっても、俺が間違えるはずがない。

提督「……文月、姉さん――」

逢いたかった。

ずっと、逢いたかった。

ふらふらと、吸い寄せられるように、彼女の元へと歩いて行く。

「でね――――」

文月「あははー、そうなんだぁー」

「そうそう、それで―」

提督「姉さんっ!」

文月「………えっ…?」

姉が、驚きに固まった。

提督「…姉さん!…久しぶり、です…!」

声が聞きたかった。

優しい声が聞きたかった。

姉の、俺を甘やかしてくれる声が聞きたかった。

文月「………どなた、ですか?」

提督「…え…?」

提督「…は、はは…ね、姉さん、冗談キツイって…」

文月「……失礼します」

前に立つ俺の横を、スッと姉さんが通り過ぎて行く。

戸惑っていた女子生徒達も、それに続く。

…え?何だよ、何だよこれ?

どういうことだよ。

>>+4

A.…そのまま呆然と立ち尽くす。

B.姉さんの背中に声をかける。

C.姉さんの肩を掴んで引き止める。

B.姉さんの背中に声をかける。(*1.5)


提督「姉さん!」

提督「文月姉さん――!」

声を張り上げた。

みっともなく、ただ叫んだ。

周りの視線が、俺に集まる。

なのに。

一番振り向いて欲しい彼女は、一瞥すらくれずに校門へと歩いて行く。

提督「……ねえ――」

そして、その向こうへと消えていった。

提督「…………あ」

乾いた砂のグラウンドに崩れる。

集まっていた好奇の視線も、いつしかひとつ、またひとつと減っていく。

1人残されたのは、俺。

追いかける気力は無かった。

姉さんのあんなに冷たい声を、俺は聞いたことがない。

あまつさえ、あれは。

俺に向けられていたのだ。

やっと逢えたのに。

ずっと逢いたかったのに。

『弟くん』

優しい、姉さん。

俺を愛してくれた、唯一の人。

なのに――



文月→ *73/500

本日はここまで
お付き合いいただきありがとうございました



【6月1週】


提督「…姉さん…姉さん、なんで…」ズーン

熊野「おは…って、何ですのあの端っこでぶつぶつ言ってるのは…」

鈴谷「…昨日帰ってきてからずっとその調子、放っといたら?」

熊野「…そうさせていただきますわ」

熊野「ところで、朝食は…」

鈴谷「…戸棚」

熊野「まーたコーンフレークですのね…」



コミュ対象>>+4


明石   109/500
鈴谷   *44/500
文月   *73/500
熊野   *97/500
白露   *48/500



――教室


明石「…提督くん?」

提督「……明石さん」

昼休み、自分の机でぼーっとしていると、不意に掛けられた声。

どうしてここに―と言いかけて、思い当たる。

『今度の月曜日のお昼、ご一緒しましょう』

その言葉に。

提督「……す、すいません!」

明石「…やっぱり、忘れていたんですか」

提督「っと、あの…いえ…すいません」

言い訳を探すも、上手いものが見つからず、結局もう一度頭を下げた。

失態だ。大失態だ。

いくらあれがあった後とはいえ、こんな事をしてしまうとは。

今まで築いた信頼を失ってしまうような失態に、思わず自分を殴りたくなる。

明石「……しょうがないですね」

けれど、明石さんはふぅ、と軽くため息を吐いただけで、俺の机に弁当を置いて対面に座った。

明石「…何だか、顔色も優れないようですし…」

明石「きっと、何かあったんですね」

提督「…まぁ…はい、ちょっと色々立て込んでて…そのせいで」

明石「わかりました…だったら、いっぱい食べて、少しでも元気出してくださいね?」

提督「………」

…どういうこった。

怒られるどころか励まされたぞ。

そりゃ好都合ではあるんだけどもさ――


>>+4


A.…とりあえずもっかい謝っとくか。

B.…ま、助かったって事で良かった。

C.…怒らないんですか?

C.…怒らないんですか?(*1.5)



提督「…怒らないんですか?」

明石「……怒ってほしいんですか?」

提督「…いえ、そういう訳では…」

明石「ふふっ、冗談です」

弁当に伸ばしていた手を止めて、視線を俺に向ける。

明石「勿論、ちょーっとだけ、怒ってましたけど」

明石「でも、提督くんの顔を見たら消えちゃいました」

提督「…?」

明石「…一目で分かるほど顔色が悪くて、凄く心配になっちゃいましたから」

明石「今は、提督くんに元気になってもらいたい、って気持ちでいっぱいです」

提督「…明石さん…」

そう言い切った彼女の顔は、どこまでも優しくて。

『…大丈夫?弟くん?』

『…無理しちゃダメだよ?』

その姿に、かつての姉が重なった。

反射的に、首を振る。

提督「…………っ!」

明石「提督くん?」

提督「い、いえ…何でも…」

…俺は…。

俺は、この人を…。




明石→  184/500  

野球見てくる
またあとで

カッタデー
再開します、学園成分がどんどん薄くなってるけど全力で目を瞑ってくだちい



【6月2週】


雨は好きだ。

落ちる雨音が、水の匂いが好きだ。

街を見下せる、最上階のベランダ。

そこからは、落ちる雨がよく見えた。

鈴谷「しょーねーん、濡れっぞー」

提督「…その時は、風呂借ります」

鈴谷「おー、一緒に入るかー!」

提督「…遠慮します」

鈴谷「つーれないなーっと」

鈴谷「…んで、何見てたん?」

提督「雨を」

鈴谷「……雨?」

提督「雨を、見てました」

鈴谷「……」

鈴谷「…相変わらず君は、よーわからんねー…」

提督「…好きなんすよ、雨」

鈴谷「ふーん…」

鈴谷さんが、ベランダの柵の向こうへと手を伸ばす。

指先に触れた温い液体に、うへ、と顰め面をした。

鈴谷「…よーわからん!」

提督「俺も、よくわかんねーっす」




コミュ対象>>+4


明石   184/500
鈴谷   *44/500
文月   *73/500
熊野   *97/500
白露   *48/500






――山奥の町


…自分が、ストーカーの様に思えた。

まぁ、事実その通りなのだろうけど。

姉へ対する執念は、どこまでも深い。

俺の唯一の家族。愛してくれる人。

そして、俺の愛する人。

提督「…………っ!」

どれだけ待っていただろうか。

ずっと見ていた寮の入り口から、文月姉さんが出てくる。

慌てて、その背中を追った。

今度こそ、せめて話だけでもしたかった。

提督「姉さん――!」

寮からある程度離れた、人気のない道。

そこで、後ろから声を掛ける。

文月姉さんは、振り向いて――固まった。

提督「…姉さん、あの…こ、この前は…」

文月「………」フイ

だけど、それも一瞬。

すぐに、姉さんは前に向き直り、歩みを続ける。

提督「ま、待って…待ってって!姉さん!」

縋るように、声を出す。

情けない声だった。

文月「…………」

姉さんは、俺の事など気にも留めないといった様子で、ただ歩いていた。

…また、地面に崩れ落ちてしまいそうな絶望感。

俺は――


>>+4

A.…それでも、まだ姉に縋るように声を出し続けた。

B,…今日は、もう帰ろう。

C.…足の力が抜け、倒れるように側の電柱に寄りかかった。

B,…今日は、もう帰ろう。(*0.5)


……はは。

…惨めだなぁ、俺。

何やってんだろう。

提督「…………文月姉さん」

最後に、未練がましくその名を呼んで。

やはり返ってこない反応に、また、胸が苦しくなって。

……帰ろう。

…今日は、もう帰ろう。

動かしていた足を止める。

姉の背中が、どんどんと小さくなっていく。

遠い背中。

姉は、俺にまた、笑顔で振り向いてくれる事はあるのだろうか。

…わからない。

もう、何もわからない。

――――――――


消えた背中。

彼女は、自分を呼ぶ声が聞こえなくなったのを確認してから、振り向く。

そこに、彼の姿が無いのを見て、ひとつ、安堵の息を溢した。



文月→ 108/500



【6月3週】


提督「姉さん…姉さん…」ボソボソ

熊野「……悪化してますわね」

提督「…………」ブツブツ

熊野「…カップめんがありますわよー?」ツンツン

提督「………ふふ…あはは…」ブツブツ

熊野「………」

熊野(…怖いですわ)



コミュ対象>>+4


明石   184/500
鈴谷   *44/500
文月   108/500
熊野   *97/500
白露   *48/500




――山奥の町


俺は、結局捨て切れないのだ。

姉への想いを。

いや、捨ててしまいたくないのだ。

それが俺の全てだったから。

それを捨てることは、今までの俺を否定することになるから。

だから、何度拒絶されたとしても――

提督「姉さん……」

声を出す。

捨てないでくださいと。

前のように優しくしてくださいと。

そんな想いを込めて。

提督「姉さん!」

文月「…………」

何度目だろうか、その名前を呼んだ時。

溜息と一緒に、初めて彼女が俺を見た。

提督「ね、ねえさ――」

文月「…迷惑です」

提督「……え?」

文月「…付き纏わないでください」

提督「ね、姉さん?」

また、あの時の声。

どこまでも冷たい声。

初めてあの時聞いた声。

俺を、拒絶する声。

目の前にいる、大好きな人が、俺を拒絶する声。

提督「…は、はは…」

俺は――


>>+4


A.…そのまま、小さな笑いを漏らし続けた。

B.…どうして――と、姉に詰め寄った。

C.…ごめんなさい。

B.…どうして――と、姉に詰め寄った。(*1.5)


提督「どうして…」

提督「…何でだよ、姉さん!」

何で――

その先の言葉は、継げなかった。

姉が、とても哀しそうな目をしていたから。

それこそ、その瞳に映る、俺よりも。

文月「……あたし、だって…」

そこに篭められたのは、どんな感情だったのか。

文月姉さんは、言いかけた言葉を止めてから、一度、目を瞑る。

そして再び開かれた瞳は、先程と同じ、感情の無い瞳だった。

文月「お願いですから」

文月「……もう、付き纏わないでください」

文月「…きっと、お互い、辛いだけです」

提督「…………」

くるりと振り向いて、去っていく背中。

それを、ずっと俺は眺めていた。



文月→ 249/500



【文月―その1】


『……よくも、やってくれたものだな』

鮮明な記憶。

忘れられない記憶。

『…あれを誑かして、お前は一体何がしたかったんだ?』

『お前の母を追い出した私への嫌がらせか?』

違う、と答えた。

ただ好きなのだと言った。

『…そんな事ばかりを言うから、あれがあんな風に育ったんだ』

『…お前は、あれの人生を壊したいのか?』

違う、と答えた。

ただ側に居たいだけだと言った。

『それがあれにとって害悪だというのがわからんのか?』

『…幸い、あれは優秀だ』

『今からでも、まともな道を行ける』

『…それを、お前は邪魔したいのか?』

違う、と答えた。

そんなことはしたくないと言った。

『…だったら、この家を出ろ』

『あれに見つからない場所へ行け』

『……不満そうだな』

『…なら、はっきりと言う』

『邪魔だ』

『お前はあれの人生にとって、邪魔でしかない存在なのだ』

『…お前だって、薄々気付いているんだろう?』

『あれが歪んだ原因は、何なのか』

『…どうなんだ?』

…違う、とは言えなかった。

父の言う通りなのだ。

弟くんがあたしに甘えていたんじゃない。

あたしが、弟くんを甘えさせていただけ。

だからあたしはきっと、弟くんにとって――

お風呂
地雷というのが鬱ルートという意味なら全員可能性はあるで
そんな大した展開でもねーんだけどね

ていうか提督有能て何に関してやろか...
ここまで見る限りただのシスコンでしかないんだけど...
本人は無自覚の何かあるんかな?

>>797 お勉強がよく出来るって事で

【6月3週】


鈴谷「ふっふっふっ」

提督「…何笑ってるんですか」

鈴谷「知りたいかね、しょうねーん」

提督「別に…」

鈴谷「知りたいかね、しょうねーん!」

提督「だから、別に」

鈴谷「知りたいかね!しょうねーん!」

提督「…はい」

鈴谷「教えないっ!」

提督「………」イラッ


コミュ対象>>+4


明石   184/500
鈴谷   *44/500
文月   249/500
熊野   *97/500
白露   *48/500



――山奥の町


姉が最後に言った言葉。

『お互い、辛いだけです』

…彼女は確かにそう言った。

お互い、と。

つまり、彼女も今、辛いということだ。

それが意味することは――

提督「姉さん」

文月「………」ピクッ

提督「…姉さん、やっぱり無理してたんじゃないか」

提督「…言ったよね?辛いってさ」

提督「…だったら、無理しなくていいんだよ」

提督「姉さんがあの人達になんて言われたかは知らないけど――」

文月「…ダメ」

提督「…え?」

文月「……ダメなんだよ、弟くん」

文月「弟くんは、あたしに逢っちゃダメなの」

提督「……」

文月「…お父さんに言われたことなんて関係ないの」

文月「あたしは、気付いちゃっただけ」

文月「…弟くんをおかしくしちゃったのは、あたしだって」

文月「……だから――」

これ以上はダメなの、と姉さんは言った。

………――


>>+4


A.別に良いよ。

B.……?…よく意味がわからない。

C.……おかしいって、どういうことだ?

B.……?…よく意味がわからない。(*0.5)


…?

…うん?

…わからん。

姉さんがやっとまともに喋ってくれたのに。

何言ってるか全然わからない。

…待て、きっと俺に伝えたいことがあるんだ。

……考えよう。

えーと…あー…。

………。

提督「………あれ?」

考えて、やっぱり答えが出ず、顔を上げる。

…姉さんが居なくなっていた。

………。

まぁいい。

ついにちゃんと話してくれた。

…大丈夫だ、何も問題ない。

よし、また会いに来よう。



文月→ 253/500



【6月4週】


早いもので、そろそろ1学期も終わる。

…何だその目は、ちゃんと学校には行ってるぞ。

白露「てーいとーくくんっ!」

提督「………何だ」

白露「顔怖いよー!」

提督「…お前…」

白露「おっと、今日は別な用事がありまして!」

提督「あ?」

白露「宿題見せて!」

提督「………」

提督「…ほらよ」

白露「わーい!持つべきものは友達ー!」

…思うのだが。

人の課題を写して、何の意味があるのだろうか。

自分の糧にならない課題なんて、やらない方がマシだろう。

この場ではわけわからない奴と議論なんざしたくないので、一番てっとり早い収め方をするが。


コミュ対象>>+4


明石   184/500
鈴谷   *44/500
文月   253/500
熊野   *97/500
白露   *48/500



――屋上


此処に通う意味も、もうあまり無い。

確かに親父の事は気になるけれど、姉さんに会うという目的は果たしたのだから。

それでも、俺は。

明石「…美味しいですか?」

提督「はい」

こうして、明石さんと食事を続けている。

聞きたいことも、知りたいこともなかった。

…なのに。

明石「あ、もう、零してますよ?」

提督「…すいません」

偽りの触れ合いをする内に、知ってしまった。

この人を。

この人の優しさを。

抱いていた嫌悪感が、いつの間にか消えた。

義務感でなく、自主的に会いに来るようになった。

提督「……ご馳走様でした」

提督「美味しかったです」

明石「はい、お粗末さまでした」

空になった弁当箱を見て、明石さんが嬉しそうに笑う。

俺は――



>>+4

A.…いつしか、この時間を手放したくないと考え始めていた。

B.……落ち着け、流されるな。

C.…この人を、前ほど悪いように考えられなかった。

A.…いつしか、この時間を手放したくないと考え始めていた。(*1.5)


手放したくない。

…そんな言葉が浮かんだ。

明石「…あの、どうしました?」

心配そうに俺を覗き込む明石さん。

その目は、どこまでも優しい。

優しい、俺が求めていた目。

明石「…え?……――っ!?」

提督「あ……」

明石「……もう」

それを見て、気持ちが抑えられなかった。

俺は初めて、自分から彼女に口付けた。

それに、明石さんはしょうがないですね、と。

やはり、笑ったのだ。


明石→ 264/500



【明石―その1】


義弟の―提督くんの事が気になり始めたのは、いつからか。

最初は、生意気…というか、全然話してくれない子だと思っていた。

ずっと文月さんとばかり話していたし、私の事なんて目もくれやしなかった。

けど、文月さんが居なくなってから。

『……助けてください、明石さん』

助けを求めてきた彼。

弱々しくて、情けない声で。

案外歳相応なところもあるんだな、と思ったのを覚えている。

それから仲良くなって、彼をもっと知って。

いつしか、私は思ったのだ。

彼の側にいて、支えてあげたいと。

…家族、としてではなく。

もう一歩、進んだ形で――



【7月1週】


鈴谷「暇じゃー」

提督「その箱で遊んでりゃいいじゃないですか」

鈴谷「………」

提督「…な、なんすか」

鈴谷「…少年はもうちょい鈴谷さんに感謝すべきだと思うんだよねー」

提督「感謝はしてますよ」

鈴谷「そう見えねー!」

提督「ありがとうございます」

鈴谷「取ってつけたように発言するんじゃねー!」



コミュ対象>>+4


明石   264/500
鈴谷   *44/500
文月   253/500
熊野   *97/500
白露   *48/500

寝る
偏るなぁ
お付き合いいただきありがとうございました

始める
やっぱり三浦ってエースだわ
今日の粘りは本当に痺れた




――屋上


明石「…あの」

提督「…はい?」

明石「やっぱり、何か悩みがあるのではないですか?」

提督「………」

いつもの食事中、唐突に告げられた言葉。

思わず少し沈黙して、何でもないという様子を装う。

提督「…いえ、別にそんなことは」

明石「……いいんですよ、隠さなくて」

明石「提督くん、あの時―私との約束を忘れて、教室で呆けてた時から…」

明石「ずっと、何か心配事があるような―そんな顔をしてます」

提督「………」

明石「…違いますか?」

…今度こそ、無表情を装うことは出来なかった。

驚きに目を開いて、明石さんを見る。

それに、ほら、と言った様子で彼女は微笑んで応えた。

明石「…私には、言えませんか?」

提督「……それは…」

明石「提督くんは私を、信じてくれませんか?」

提督「………」

俺は――



>>+4


A.信じてみても――

B.…わからない。

C.いや、やっぱり――

A.信じてみても――(*1.5)



信じてみても、いいのかもしれない。

そうだ、素直になればいい。

何故、この人と居て、俺は安らいでいたのか。

何故、この人に抱いていた嫌悪感が消えたのか。

それはきっと、愛してくれるから。

この人が俺を愛してくれるから。

偽物なんかじゃない。

それは決して、偽物なんかじゃない。

提督「……明石、義姉さん――」

義姉さん――と。

初めて、俺は彼女をそう呼んだ。

明石「はい、なんですか?」

一切間をおかずに、その呼びかけに彼女が応える。

…信じてみてもいい、じゃない。

きっと、俺は信じたかったんだ。

この人を、信じたくなっていたんだ。

ずっと、俺は彼女を騙していて。

優位に立っているつもりだったのに。

気付けば、俺は彼女を求めていた。

…それはまるで、姉に抱いていた感情のようで――――



明石→ 399/500



【明石―その2】


支えたいという感情。

側にいたいという感情。

それは義姉として?家族として?

それとも、恋人として?

違う。

違うのだ。

どれもが違う。

正確には、何でも良い。

彼の側に居られるのなら、それでいい。

簡単に壊れてしまいそうな、歪んだ彼を支えたい。

それだけでいい。

その役目を負うのが自分であるのなら、それだけで――



【7月2週】


提督「…そういやさぁ」

熊野「……?」

提督「お前結局ずっと学校行ってなかったよな」

熊野「…まあ、そうですわね」

提督「いいの?」

熊野「知りませんわ、そんなこと」

提督「…そんなことって」

熊野「別に何も言われませんし、構わないんじゃないかしら?」

提督「…はぁ…そうか、そんじゃ、何も言わねーよ」

提督「悪かったな」

熊野「ふふ、心配してくださってありがとうございますわ」

提督「そういうんじゃねーよ」

熊野「あら、存外照れ屋さんですのね」

提督「…………」



コミュ対象>>+4


明石   399/500
鈴谷   *44/500
文月   253/500
熊野   *97/500
白露   *48/500

だ…誰だ?
良ければお答え下さい、しばらく経っても無ければ下で

熊野か、了解
また一つ知識が増えた



――鈴谷家


提督「なぁ」

熊野「……なんですのー…」グデー

暑い夏の休日。

鈴谷さんが出かけている中、俺達はクーラーの効いた室内でひたすらグダグダしていた。

服が乱れるのも構わずにソファーで横になるお嬢様ってどうなんだろう。

提督「…お前ってさ、親が嫌だから家出したんだろ?」

熊野「ですわねー…」

提督「…戻りたいと思わねーの?」

熊野「…それは…家に?」

提督「ああ」

提督「こんだけ離れてたら、そういう感情も沸かないか?」

熊野「……どうでしょうね」

熊野「…結構、私はこの生活が好きですから」

提督「……変わり者だな」

熊野「あら、自由で素晴らしいと思いませんこと?」

提督「自由、なぁ…」

熊野「そういう貴方こそ、どうなのかしら?」

提督「俺?」

熊野「ええ、戻りたいとは思いませんの?」

提督「……そう、だな――」


>>+4


A.…何故お前にそんな事を言わなきゃならん。

B.…お前と同じ、だよ。

C.……さぁな。

C.……さぁな。(*1.0)


提督「……さぁなー…」

熊野「あら、黙秘ですの?」

提督「…本当によーわからんだけだ」

熊野「謎多きお方ですのね」

提督「からかうなっての」

提督「…帰りたいっちゃあ帰りたいような気もするし、そのままでもいい気がする」

熊野「…ま、そんなものですわよ」

熊野「不満の無い生活なんて、ありえませんもの」

提督「…そうかね」

提督「俺なんかからしたら、金持ってりゃ大抵はなんとかなるってイメージなんだが」

熊野「人は、際限なしに上を求めるものですわよ?」

提督「なんだ、体験談か?」

熊野「一般論ですわ」

提督「一般論ね…」

提督「それにしちゃ、お前は満足してるように見えるけどな、今」

熊野「そう見えますの?」

提督「少なくとも、交差点で轢かれそうになってた時よりはな」

熊野「これでも不満だらけですのよ?」

提督「…例えば?」

熊野「素敵な彼が欲しい、なんてどうかしら?」

提督「……鈴谷さんでも口説いたらどうだ?」

熊野「ふふ、相変わらずつれませんわね」

提督「……だから、からかうなっての」

…イマイチ、なんというか、こう。

掴み所のない奴である。



熊野→  177/500



【7月3週】


提督「………」

スマホ「♪」ティロン

提督「?」

『提督くん、明石です』

提督「…そういや、教えたんだっけ」

提督『…どうも』

『夏休みですが、やっぱり文月さんは向こうで過ごすそうです』

提督『…わかりました』

提督『お手数掛けて、すいません』

『いえ、構いませんよ』

提督「………ふう」

…姉が帰ってこないという知らせ。

…なんだろうな。

それを聞いても、揺れ動くものが少なくなった、というか。

……はあ。


コミュ対象>>+4


明石   399/500
鈴谷   *44/500
文月   253/500
熊野   177/500
白露   *48/500

寝る
忙しいから週末まで更新無いかも
正直この周回行き当たりばったり過ぎて何かもう
お付き合いいただきありがとうございました

見られない時に限って素晴らしい試合をするチーム
はっじめっるよー



――山奥の町


提督「…どう?夏休みは?」

文月「……まぁ…そこそこー…かなぁ」

提督「はは、そこそこじゃわかんないよ」

文月「……ごめん」

あれから。

会いに来る事を、俺はやめなかった。

その成果あってか、姉さんは少なくとも無視はしないようになってくれた。

表情には、未だ陰りが見えたままだったけれど。

それでも、俺は満足していた。

提督「…でさ――」

文月「弟くん…」

提督「…?どうしたの?姉さん」

文月「弟くんはさ、今、ちゃんとごはんとか、食べてるの?」

提督「…うん、ちゃんと食ってるよ」

文月「…お父さんの所にいないのに、どうやって暮らしてるの?」

提督「えーと…まぁ、色々しながら…」

文月「危ない事とか、してない?」

提督「…それは、うん、してない」

文月「……ねぇ、弟くん」

文月「やっぱりさ、ちゃんとお父さんに謝ろうよ」

提督「え?」

文月「謝って、家に入れて貰おうよ、ね?」

提督「…でも」

文月「…だって、弟くんの今の生活はきっと、おかしいよ?」

文月「あたしも一緒に謝るから、だから」

文月「ちゃんと謝って、お父さんに許してもらおうよ」

提督「……謝って…」

それを、何度か考えたことだけはある。

明石さんに勧められた事もある。

だけど、その度に破棄して、断ってきた選択肢だ。

だってつまり、親父に謝るのならば。

文月「……」

この人の―姉との関係を、捨てなければならないだろうからだ。

…そんな事――

>>+4

A.…嫌です、絶対に。

B.……考えておきます。

C.…姉さんが、それでいいなら。

A.…嫌です、絶対に。(*1.5)


提督「嫌です」

文月「…弟くん」

提督「別に、変な意地なんかで言っているんじゃありません」

なんでわかってくれないの。

そんな視線を向けてきた姉に、きっぱりと言い放つ。

提督「俺は、姉さんが、貴女が好きだから」

文月「――っ!」

提督「だから…絶対に、嫌です」

久方ぶりに、口に出した。

文月姉さんが好きだ―と。

その言葉に、姉さんが俯いて固まる。

そして、しばらくしてようやく漏れた言葉。

文月「…そんなの、ダメ」

文月「…ダメ、なのに…」

下を向いた姉の表情は見えない。

それは、果たして俺に向けられた言葉であったのか。

それとも、彼女自身に向けられたものだったのか。

それきり、姉さんは黙ってしまったから、わからない。



文月→ 319/500



【文月―その2】


ダメ。

それはきっと、認められない。

誰からも祝福されない。

なのに、どうして君は――

「……おとーとくん…」

あんなに迷い無く、言葉を紡げるの?

なんで、諦めさせてくれないの?

もう、追うのはやめたのに。

嫌われようって思ったのに。

君の邪魔をしないようにしようって思ったのに。

「……あたしも…」

「…あたしも、好き…だよぉ……」

言葉にすると、想いが止まらなくなって。

泣き出しそうなほどに、君に逢いたかった。

捨てたくない。

やっぱり、捨てたくない。

君を好きでいたい。

「会いたい、なぁ…」



【7月4週】


鈴谷「世間は夏休みだねーぃ、しょーねんや」

提督「ええ」

鈴谷「ふふふー、しかし、しかしだよ?」

提督「はぁ」

鈴谷「なんとこの鈴谷さんは…」

提督「…毎日休みですね」

鈴谷「違うよ!寧ろ毎日働いてるって言いたかったんだよー!」

提督「そのパソコンカチカチがですか?」

鈴谷「ふっ…これでしっかりと仕事をしているのだよ、少年」

提督「…めっちゃ銃弾撃ってますけど」

鈴谷「…これはー…気分転換だから」

提督「気分転換ってのは何かに集中してた人がするものらしいですよ」

鈴谷「うっせーやーい!」ポカッ



コミュ対象>>+4


明石   399/500
鈴谷   *44/500
文月   319/500
熊野   177/500
白露   *48/500



――繁華街


白露「あ、てーいとーくくんっ!」

提督「…おう」

昼間、太陽がやたらと気合を入れて輝く時間帯。

勿論、普段ならこんな時間に外出など絶対にしない。

白露「にへへー、やー、あっついねー」

提督「…そうだな」

暑いと言いながら、俺の腕に躰を絡めてくるのは、笑顔の白露。

こいつに呼び出されなければ、今頃はクーラーの中でひたすら涼んでいたというのに。

それでも、断れなかったのは――

提督「なあ、それで、あれはどういう意味だ?」

白露「あれー?」

提督「とぼけんな」

スマホの画面を差し出す。

『提督くん、何で私が君のことを知ってるか、知りたい?』

提督「こんな意味深な誘い方してきやがって」

白露「あははー、そかそか、そだったねー」

提督「いいから…」

白露「まぁまぁ、焦らない焦らない」

白露は悪びれもせず、俺の手を引いて歩き出す。

提督「お、おい――」

白露「こーんな暑い所で立ち話ってのもね!」

白露「涼しい所に行こうよ!」

と言って、指したのは喫茶店。

確かにこの糞暑い中で立ち話は辛いが、別に俺はこいつと仲良くお話をしに来た訳じゃない。

……――――


>>+4


A.どうでも良い、さっさと話せ。

B.…わかったよ。

C.……話す気がないなら帰るぞ。

B.…わかったよ。(*1.5

ミス 許してくださいなんでもしまかぜ
B.…わかったよ。(*1.5)


提督「…わかったよ」

白露「ほんと!?やったー!」

提督「…ちゃんと話してくれるんだろうな――って、おい、引っ張るな!」

白露「えっへへー!デートっぽいねー!」

喫茶店の扉が開き、カラン、と来客を知らせる鐘が鳴る。

店に居た人達は、俺達の方を一瞬見て、微笑ましそうな顔をした。

…そしてこの後どうなったかといえば。

結局、ずっと話題を逸らされて、重要な話など何も出来なかった。

何のために呼ばれたんだ、俺は。



白露→ *75/500

次スレ立ててくる
学園に通ってれば学園ものでしょ(すっとぼけ)

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次スレ
実際どの周回みたいなんが一番良いんだろ
変な設定付けずに1、2あたりのノリのままで行きゃ良かったのかな



【8月1週】


熊野「………」

提督「………」

今俺達がやっているのは知的遊戯。

その名も将棋という。

…しかし、だ。

熊野「………」パチッ

提督「…え、ちょ、待って…」

熊野「…はぁ」

俺は駒の動かし方くらいしか知らなかった。

致命的である。

その上熊野はしっかりとした戦法で打ってくるのだから勝てるわけがない。

今しがた、6枚落ちで負けた。

どうやったら負けるんだよあっはははははは、とか思ってたら負けた。

なんぞこれ。

熊野「…ふぅ、相手になりませんわね」

提督「ちくしょう…」

ドヤ顔が腹立つ。



コミュ対象>>+4


明石   399/500
鈴谷   *44/500
文月   319/500
熊野   177/500
白露   *75/500



――鈴谷家


鈴谷「………」カチカチ

提督「…鈴谷さん」

鈴谷「んあー?」

今日も今日とて、だらーんと椅子に躰を伸ばしてPCを弄る鈴谷さん。

そんな彼女に声をかける。

暇潰しに話でもと思ったのだが特に話す話題も浮かばなかったので、前から気になっていた事を聞いてみることにした。

提督「…鈴谷さんって、親は何やってるんですか?」

鈴谷「………あー…っと、んー…死んだよ、昔に」

提督「…すいません」

軽い気持ちで聞いた質問は最大級の地雷だった。

…まぁ、そんな事もある。

気まずさに目を逸らす俺に、鈴谷さんは笑って、気にすんな、と続ける。

鈴谷「鈴谷さんも言ってなかったし、そこまで気に病むことじゃないって!」

提督「…いえ、無神経でした」

鈴谷「いいのいいの、…それに、病気とか事故とかじゃないしね」

提督「……?」

鈴谷「じーさーつ」

顔をPCの画面に向けたまま、背中で彼女が俺の疑問に答える。

相変わらず、両手は忙しなくキーボードを叩いていた。

鈴谷「…工場が潰れたんで死んじゃった、あはは、そんくらいで死ぬなよってね」

提督「……大変だったんすね」

鈴谷「まぁねー、そのせいでこんな変な人間になってしまったよー…およよ…」

提督「…大変だったんすね」

鈴谷「否定しろよ!」

そのツッコミにも、どこかいつもの覇気が無いような気がした。

ふむ――


>>+4


A.何となく頭を撫でてみる。

B.慰めてみる。

C.触れないでおく。

続きは次スレで
埋めてくだされば助かります

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