・艦娘×提督の学園もの
・全然艦隊とか関係ありません
・エロ、グロといった描写があるかもしれません
・なんかドロっとしているかもしれません
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前スレ
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【艦これ】艦娘達と過ごすちょっとした学園もの★18【安価】
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【艦これ】艦娘達と過ごすちょっとした学園もの★19【安価】
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ヒロインまとめ(○はエンド艦娘、次回登場は不可、○付いてない子は出せます)
【1周目】
電(幼馴染)
浜風(娘)
あきつ(後輩)
足柄(先輩)
○青葉(同士)
【2周目】
大和(管理人)
○不知火(親友)
飛鷹(教師)
五十鈴(転校生)
北上(同居人)
【3周目】
雷(クラスメイト)
球磨(スラッガー)
間宮(バイト先の店長)
○那珂(超人気アイドル)
阿武隈(義妹)
【4周目】
陽炎(幼馴染)
川内(学生であり怪盗)
卯月(妹分)
榛名(後輩)
○暁(妹)
【5周目】
初春(宇宙人)
叢雲(↑のライバル)
長門(ながもん)
響(帰国子女)
山城(元カノ)
BAD。
【6周目】
千代田(義妹)
吹雪(親友)
赤城(大食いチャンピオン)
由良(後輩)
古鷹(フライフェイスとオッドアイの演劇の天才)
BAD。
【7周目】
比叡(記憶喪失・幼馴染)
○漣(家政婦)
明石(近所のお姉さん)
大井(クラスメイト)
レ級(クラスメイト)
【8周目】
○明石(義姉)
鈴谷(同居人)
文月(姉)
熊野(財閥令嬢・崩壊寸前)
白露(クラスメイト・電波)
【9周目】
○潮(従妹)
村雨(幼馴染)
鳳翔(先生)
朧(後輩)
武蔵(応援団長)
【10周目】
深雪(親友)
曙(従妹)
大鯨(母)
翔鶴(弟の彼女)
瑞鶴(弟の彼女)
BAD。
【11周目】
伊58(未亡人)
隼鷹(お嬢な同級生)
○初風(面白い同級生)
蒼龍(担任)
ビスマルク(留学生なお姫さま)
【12周目】
阿賀野(いつもニコニコガチサイコストーカー)
○瑞鳳(いじめられっこ)
龍驤(陰陽師)
睦月(おなちゅー)
翔鶴(従妹で居候な部活の後輩)
【13周目】
舞風(殺し屋)
○羽黒(許嫁)
雷(幼馴染)
霧島(生徒会員)
荒潮(未来からやってきた娘)
【14周目】
飛龍(家庭教師)
磯風(幼馴染)
卯月(お隣さん)
大鳳(新人体育教師)
○浜風(昼はクラスメイト/夜は…)
【15周目】
霞(鬼教官)
雪風(幼馴染)
○島風(従姉妹)
弥生(クラスメイト)
加賀(部活の先輩)
【16周目】
摩耶(年上の同級生)
満潮(弟離れ出来ないダダ甘姉さん)
曙(脳天気でだらしない優しい妹)
○鬼怒(脳筋中学生)
山城(やたら尽くす幼馴染)
【17周目】
黒潮(ほんわかさん)
敷波(恩人)
大鯨(提督に片思いしている先輩)
衣笠(相棒)
○吹雪(凡人)
【18周目】
阿武隈(幼馴染)
伊58(幼馴染)
磯波(幼馴染)
摩耶(幼馴染)
○野分(親友)
【19周目】
大和(学園王)
○陽炎(転校生/ぱんつ)
金剛(帰国子女)
天津風(幼馴染)
雲龍(義姉)
【20周目】
秋月(貧乏高校生)
○如月(お母さん)
三日月(就職難のアラサーフリーター)
陸奥(姉)
龍田(ショタ食い先生)
【21周目】
蒼龍(水泳部)
山雲(料理部)
白雪(幼馴染)
ビスマルク(ずっとも)
春雨(後輩)
いまここ。
>>+1-5
A.団子より花、というお話。(6・赤城)
「………」
ご飯が喉を通らない。
こんな事、初めてだった。
ずっと考えているのは、彼のこと。
そして、その隣にいつも付き添っている少女のこと。
―付き合ってるんですか?
聞く勇気は、無くて。
やっぱり今日も、食欲が沸かなかった。
B.恋と勇気とぽんこつと、というお話。(15・加賀)
「……よし」
少女が、手に持っていた本を閉じた。
途中読み進める中で何度も顔を赤くして視線を逸したりもしたが、それでもしっかりと内容を理解したつもりらしい。
「……これなら、提督くんも」
彼女が恋愛のお手本に選んだのは、恋愛小説。
その主人公の女の子に自らを重ね合わせる事で、道を拓こうとしていた。
普段は出せない勇気を、恋のために。
ぱん。
自らの頬を両手で挟むように叩く。
気合十分、といった構えだ。
「…えっと…まずは、…色っぽい下着…」
…ただし。
そもそも道の行き先が間違っている事には、気付かないようであったが。
勇気を出したら、明後日の方向へ。
そんな加賀さんの明日はどっちだ。
C.……………。(9・潮)
「……やばくねぇか?」
「……で、でもよ、…む、武蔵さんがさ」
「…か、返そうぜ、さっさと…」
「………そ、そうだよなぁ…やっぱさ、こういうのは…」
「おい」
「む、武蔵さんっ!?」
「何を躊躇っている?」
「…え、む、武蔵さん…その、これは」
「…構わんと言ったろ?」
「で、でも流石に…あがっ!?」
「ひっ!?」
「私はやれ、と言ったのだが…聞こえなかったか?」
「なに、応援団の慰労会のような物だよ、何も気にする必要はない」
――――――――――――――
「…お?」
「…およ、提督、どーしたの?」
「いや、潮ちゃんの携帯が落ちてる」
「ほんとだ、そそっかしいのかなー、案外」
「どーだろな、さて…村雨、この後どうする?」
「んー…とりあえず家帰って、潮ちゃんに携帯届けたげよーか!」
「…って、何この待ち受け!バカップルみたいな事してる!」
「はっは、バカップルだからなー」
「……むー…むかつくー…」
応援団部の部室の中央には、縛られた少女。
目を覚ましても、助けなど望めるはずもなく。
彼女はただ震えることしか出来なかった。
マイカゼ リュウジョウ
D.第一次学園もの大戦(13・殺し屋―12・陰陽師)というお話。
「その札で戦ってんの?」
古臭いね、金髪の少女が笑った。
それに反応して、相対する栗毛の少女が眉を歪めた。
「抜かせや、鬼」
「あら、こんなに可愛い子捕まえて鬼だなんて、酷くない?」
「はっ、確かに可愛げはあるかもしれんな、なんたって鬼は鬼でも最下級や」
なあ、殺人鬼?
栗毛が、挑発でもするかのように語尾を吊り上げた。
「……へえ、そういうこと言っちゃう?」
金髪が刀を抜き、八相に構えた。
その表情の余裕を、欠片も崩さぬままに。
「最下級かどうか、アンタの身体で試してみなよ」
「上等や、地べた這いつくばらせてやるわ」
「…どこまでその余裕、保ってられるかな」
鬼が、地を蹴った。
陽を反射した銀色の刃が煌き、呼応するように札が光を放った。
「さぁ――踊ろうか、陰陽師」
やっぱり加賀さんは選ばれないじゃないか(呆れ)
風呂入って本編書きます
白雪「………あ」
提督「………」
会いたくない、と思うと。
なぜか顔を合わせてしまうものだ。
放課後、昇降口。
靴を掴んだままの態勢で、白雪が俺を見て固まっていた。
提督「……よ」
白雪「…どうも」
無視するわけにもいかず、とりあえず軽く頭を下げておく。
できればそのまま去ってくれることを期待していたのだが、それに反して彼女は俺を待つように靴を履く動作を緩め、非常に鈍重な動きで踵を叩いていた。
後から来た俺が靴を履いて昇降口を出る頃になってやっと白雪は靴を履き終え、無言で俺の隣に並んだ。
…なんだよ。
そう言いたい気持ちは、喉の奥に言葉ごとしまう。
どうせ、明るい話題なんかじゃない。
俺を責める言葉か質問に決まっている。
白雪「……提督くん」
提督「……ん」
白雪「…この前、蒼龍さんとお茶をしました」
提督「………」
白雪「……元気が、無いように見えました」
提督「…そうでもないだろ」
白雪「…いえ、明らかに――」
貴方が隣にいるときよりも。
聞きたくない言葉だった。
できれば、ずっと。
白雪「…変わったのは、蒼龍さんだけじゃないです」
白雪「提督くんも―提督くんも、こんなことをして、平気でいられるような人じゃなかったのに」
白雪「なのに――」
彼女の方を向くことは出来なかった。
表情も、仕草もわからなかった。
けれど、声の震えは伝わった。
俺は――――
>>+2
A.…関係ないだろ。
B.…ごめん。
C.……黙っていることしか出来なかった。
C.……黙っていることしか出来なかった。(*1.0)
提督「…………」
白雪「………そう、ですか」
白雪が、息を吐く。
正面に見える信号が青に変わった。
それが刻限だとでも言うように、白雪が歩む速度を上げた。
提督「あ…お、おい」
遠くなる、小さな背中。
手を伸ばした時には、既に彼女は通りの向こう。
信号は、点滅を初めていた。
彼女は最後、何に対して溜息を吐いたのか。
俺なのか、それとも自分なのか、はたまた別の誰かなのか。
教えてくれる人などいないとはわかっていたけれど、無性に気になった。
白雪→ 177/500
ミス
【4月4週】
山雲「………なんでいるんですかねー」
提督「…土をな、ちょっと」
山雲「……はぁ…別になんでもいいですけどねー」
提督「…そりゃよかった」
山雲「………提督くんは」
提督「…ん?」
山雲「…何で、ここに来るんですか?」
提督「……何でって、…それは…」
山雲「……いえ、やっぱりいいですー」
提督「…?」
山雲「…それを聞くのは、少し怖いので」
蒼龍 **0/500
山雲 **0/500
白雪 183/500
ビスマルク *76/500
春雨 **0/500
>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ
蒼龍「……あ、提督?」
提督「……蒼龍」
蒼龍「どうしたのよ、また覗き?」
水泳部のためだけに設置された、高校生には豪勢な温水プールの建物の前。
通りがかった蒼龍が、柔らかい表情を見せる。
提督「ちげーよ、ゴミ捨ての帰りだ」
近道なんだよ、と言い訳のように付け加えた。
彼女はそれに、わざとらしい程に驚いた表情を浮かべた。
蒼龍「あら、真面目に仕事することもあるんだ、めずらし」
提督「どーいう意味だ」
蒼龍「そのままの意味よ!」
なんだそれは。
というかまるで俺がプールを覗くのが普通みたいに言わないでくれ。
提督「…はぁ、だいたいな、もう覗きなんかしねーっての」
蒼龍「つい先日忍び込んでたじゃない」
提督「あれは…新学年だからさ、そういう」
蒼龍「あはは、何よそれ」
蒼龍が笑って。
不意に、その表情に陰が差した。
蒼龍「ま…そうよね、提督が見たいのはもう、私じゃないしね」
提督「……え?」
蒼龍「…これも、そのままの意味」
でしょう?
確認するように、語尾を上げる。
意味するところは、すぐにわかった。
けれど、何を返すことも出来ずにいた。
蒼龍「……あのさ」
蒼龍「…未練とかじゃなくて、ひとつだけ聞きたいの」
提督「…あ、ああ」
蒼龍「…提督は、私との恋人ごっこ、楽しかった?」
提督「………」
その言葉は、重いのに恐ろしく平坦な口調だった。
蒼龍は、建物の方を眺めて、俺の返事を待っていた。
>>+2
A.……どうだろうな。
B.……楽しかったよ。
C.……お前は?
C.……お前は?(*1.5)
提督「……お前は?」
蒼龍「………その返し、卑怯じゃないかなぁ」
彼女は、俺の返答を苦笑で受け止めた。
名前通りの蒼い髪を、片手でくるくると弄りながら。
蒼龍「質問で質問に返しちゃダメだよ、って習わなかった?」
提督「…いや」
蒼龍「そっか、ならしょうがないのかもね」
そこで一度言葉を区切って、蒼龍が俺へと視線を移す。
瞳を思わず逸しかけたところで、彼女は声を発してそれを遮った。
蒼龍「……忘れられない、かな」
彼女は、楽しかったとも、つまらなかったとも言わずに。
ただ一言だけそう言って、プールの方へと歩き出した。
心に掛かる軋みが、更に増したような感覚がした。
蒼龍→ *79/500
【5月1週】
春雨「散りましたね」
提督「え?」
春雨「桜、ですよ」
提督「…本当だなぁ…もう5月かー」
春雨「はい、5月です」
提督「学校、慣れた?」
春雨「お陰様で」
提督「そりゃどうも、なんの役に立ったかはよくわかんねーけど」
春雨「変な人と話をする練習…でしょうか?」
提督「………」
春雨「じょ、冗談ですよぅ!」
蒼龍 *79/500
山雲 **0/500
白雪 183/500
ビスマルク *76/500
春雨 **0/500
>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ
おやすみなさい
C選ばれたらどうしようって思ってたけど選ばれなくてよかった
ビスマルク「テイトクさ」
放課後、「友達」らしくファーストフード店で食事をしていた時だった。
ビスマルクが、その端正な顔を珍しく苦くしたのは。
提督「ん?」
その変調は、俺がポテトへと伸ばした手を止めるに十分な物だった。
彼女の顔へ目をやると、いかにも不思議そうな眼で此方を見返していた。
ビスマルク「…いつまで続けるつもりなの?」
提督「いつまで…って」
ビスマルク「この関係よ」
言って、紙袋に包まれたハンバーガーにかぶりつく。
余りに勢いが良すぎたせいでソースがはみ出て手にかかったようで、Scheise、と彼女は小さく呟いた。
提督「……いつまで、って言われても」
ビスマルク「…言っておくけど、変わりはしないわよ、友達、ずっと、ずっと友達」
提督「………」
改めて言われてみると、中々に堪える言葉ではある。
それなのに、不思議とそういう感情は自分の中には無かった。
なぜ、と言われても、余りに抽象的な状態で浮かんでいて答えようは無いのだが。
ビスマルク「そろそろ諦めるって思ってたのよね、最初の予想だと」
提督「……俺は…その」
ビスマルク「……そうだ、もう一つ質問してもいい?」
提督「…ああ」
どうせ最初の質問には答えられようがない。
間髪入れずに、ビスマルクの言葉に頷いた。
ビスマルク「…貴方、何で私の事が好きになったのかしら?」
女の子には困ってなかったでしょ、別に――視線の裏には、多分そんな言葉がある。
だが、この質問に関しては…迷わずに、ただ一言で答える事ができた。
提督「綺麗だったから」
ビスマルク「……え?」
提督「君が、凄く」
一瞬で、それまでの気持ちなんて全部吹き飛ばしてしまうほどの強い風が、彼女を初めて見た瞬間に吹き抜けたのだ。
ビスマルク「………は――」
俺の返答に満足したのかどうかはわからないが、ビスマルクはその言葉に笑った。
可笑しそうに笑って、そのままの表情で。
ビスマルク「…残念だけどね、綺麗なんかじゃ、無いわ」
噛み締めるがごとく、そう言った。
笑っていたけれど、声にはどこか陰があった。
>>+2
A.……どういう意味だ?
B.…嫌味かい?
C.綺麗だよ。
C.綺麗だよ。(*1.0)
提督「綺麗だよ」
提督「…君は、本当に」
もう一度言うと、やめてよ、とでも言わんばかりに手を左右に大きく振った。
ビスマルク「そういう言葉は、何度も繰り返すものじゃないわ」
提督「……そうだな、すまなかった」
ビスマルク「…まあ…貴方の言う通り、きっと私は綺麗なんでしょうね」
提督「……?なんだ、いきなり」
ビスマルク「今まで言われた言葉を思い出したのよ、似た言葉、いっぱい言われたわ」
提督「…だろうな」
ビスマルク「…でもね、そんな事は無いのよ」
提督「………」
彼女は俯いて、氷だらけのコーラを啜った。
この話はこれで終わり―そう言いたそうに。
ビスマルク「……とりあえず、そろそろ諦めたら?」
次に顔を上げた時、彼女はいつもの笑顔になっていた。
そこに主語は無かったが、それは簡単に想像出来た。
さっきの話は終わって、その前の話を引き出してきたらしい。
提督「…考えとくよ」
ビスマルク「ええ、ご英断をお待ちしているわ、テイトク」
その冗談とも本気ともつかぬ言葉。
…いや、きっと本気なのだろうな。
だけども、彼女の提案を飲む気にはどうしてもなれなかった。
ビスマルク→ *93/500
【5月2週】
室内プール。
水が綺麗だ。
女の子も綺麗だ。
提督「……また来てしまった」
いつもの場所に立って。
いつものように、彼女が声を掛けてくれるのを待っている。
今日は、ビスマルクが先に一人で帰ってしまったから。
「……まーたいるし」
提督「……こんにちは、っと」
「…プール叩き込んであげようか」
つまり、まぁ。
白雪が俺に怒る理由も、知れるというものであろう。
蒼龍 *79/500
山雲 **0/500
白雪 183/500
ビスマルク *93/500
春雨 **0/500
>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ
春雨「へぇー…お花の管理って、奥が深いんですね」
山雲「そうですねー、ちゃーんと、愛情を込めないとダメですよー」
提督「あれ、春雨ちゃん?」
放課後、のろのろとやって来た料理部菜園。
そこで、珍しい顔を見つけた。
春雨「…先輩?」
山雲「あらあら、提督くん、お知り合いなんですかー?」
提督「ああ、ちょっとな…そっちこそどういう縁だよ?」
山雲「縁、というほどでもありませんけどー…」
春雨「部活見学の時に、良くしてもらったんです!」
提督「へぇ…良い先輩なのな、お前」
山雲「……茶化さないでくださいねー…」
視線を逸らしながらも、山雲はどこか嬉しそうだ。
土をひっきりなしに掘っているスコップは、その現れだろうか。
提督「つーか、ここ、花も育ててたんだな」
山雲「…今更過ぎますよー」
提督「いや、なんつーか、な?」
山雲「な?じゃないですよ、提督くんに贈ったお花も、山雲が育てたんですからねー」
春雨「お花を贈ったんですか?」
わぁ、と素敵な物を見たように春雨ちゃんが目を輝かせた。
なんか、最近何となくこの子の琴線がわかってきた気がする。
提督「いやいや、そんな立派なもんじゃねーよ」
山雲「…それ、ものすごく失礼って気付いてますかー?」
提督「ん、すまんすまん」
山雲「はぁ…まぁいいです、提督くんはそんな人ですし…」
春雨「くすっ、それで、花ってどんなものだったんです?」
提督「ああ…えっと、その…」
山雲「提督くんに彼女が出来た時に、…花束、ってほどのものではありませんけど、少しですねー…」
春雨「彼女さん!?」
春雨ちゃんが飛び上がらんばかりに驚いて、俺を見る。
その視線を真っ直ぐに受け止める事はできなかった。
提督「…いや…もう、別れたんだけど、さ」
春雨「あ……ご、ごめんなさい」
提督「…ううん、気にしないで」
良い子だ。本当に、良い子だと思う。
また一つ、自分を嫌いになる理由が増えていく。
春雨「え…あ、その!それで、どんなお花だったんですか!?」
山雲「んー…そうだ、この時期なら、きっとあっちの方に咲いてますねー」
立ち上がって、花が咲いているらしい場所の方へと移動する。
確かに、野菜の陰に、いやに綺麗な一画があった。
提督「ほー…」
山雲「本当に、気付いてなかったんですかー…」
呆れ顔で溜息を吐く山雲。
自分でもこの視野狭窄さにはびっくりであった。
提督「…普段、こっち見ないし」
山雲「……いいですけどねー」
言って、山雲が腰を下ろす。
そのまま、愛おしそうな手付きで花に触れた。
山雲「ふふー、綺麗に咲いてますねー♪」
春雨「ですね、綺麗ですっ♪」
その横について、春雨ちゃんも恐る恐る花へ手を伸ばしていた。
提督「………」
笑顔の二人。
それを見て、山雲の笑顔を久々に見たという事を思った。
本当に、久しぶりに。
山雲「……あ、これですよ、提督くん」
花を愛でていた手が、一つの群生を差す。
丁度季節らしく、その花は鮮やかに色を付けていた。
提督「…ん…そうそう、確かにそれだ」
春雨「スイートピー…、ですか」
提督「確かー…うん、そんな名前だったな、うん」
山雲「しっかりしてくださいよー」
提督「しゃーなかろうが、忘れるっつーの」
春雨「…花言葉はー…うーん…何でしたっけ、先輩」
提督「…俺に聞かないで?」
春雨「あはは、ですよね」
山雲「………門出、ですよー」
提督「……かどで」
直ぐに漢字に変換出来ないでいて、一度復唱して――門出か、と気付く。
なるほど、恋愛の出発点に相応しい贈り物の花束だった。
あれを玄関に飾ってたら、母さんが少し驚いたのを覚えている。
そう思うと、なんだか懐かしい気持ちになった。
山雲「お祝いに、お二人のこれからを…と、思ってたんですよねー」
語尾を濁して、こっちを見る。
今度は視線は逸らさなかったが、思わず頭を掻いた。
春雨「……あ、あははー…だ、大丈夫ですよ!先輩にはまた素敵な人が!」
事情を知らない春雨ちゃんが、俺を励ますように笑った。
山雲「………」
山雲は、それに何も言わずにただ黙って花の手入れをしていた。
春雨「そ、それとも、私が立候補しちゃいましょうかー!なんてー、あはは――」
その言葉は明らかに冗談だった。
俺を慰めるために言ってくれた冗談。
そう判別できる声音。
だけれど。
山雲「ダメですよ」
春雨「え?」
提督「…山雲?」
山雲は、そんな春雨ちゃんのぎこちない笑い声を遮った。
そこに先までの軽い感じなど、どこにもなかった。
山雲「そんな事をしたら、私は、春雨ちゃんも嫌いになっちゃいます」
春雨「え、えと――」
花の手入れをする手を止めて、山雲が立ち上がり、振り返った。
その視線は、春雨ちゃんへと向けられている。
笑みの色など、どこにもなかった。
>>+4
A.…は、春雨ちゃんかー!それはいいなー! とりあえず、この場を誤魔化すために冗談に乗っておく。
B.…お、おい、山雲。 山雲を宥める。
C.…い、いやぁ、花が綺麗だー。 話題を変える。
A.…は、春雨ちゃんかー!それはいいなー! とりあえず、この場を誤魔化すために冗談に乗っておく。(春雨*1.5 山雲*0.5)
提督「は、春雨ちゃんとか!それはいいなぁ!」
春雨「ふぇっ!?」
山雲「…提督くん」
提督「…おいおい、山雲、冗談だろ、ちょっとした冗談」
提督「なあ、春雨ちゃん?」
春雨「え、あ、は、はい!です!先輩とはちょっと…」
提督「…え、何それ酷い」
山雲「……くすっ、そうですねー、…冗談、ですねー」
山雲「そして、また振られちゃいましたねー、提督くん」
提督「うっせぇやい!」
春雨「あははっ、でも、先輩は凄く優しいですから」
提督「……そんなことは無いってば」
提督「…つ、つーかその優しいとか良い人って絶対気のない人に使うフォローだよねぇ!?」
春雨「あはは…」
提督「乾いた笑い…」
山雲「ふふっ」
――――――――
スイートピーの、花言葉。
門出、思い出、別離。
そして。
「私を、覚えていて――」
山雲→ *13/500
春雨→ *39/500
【5月3週】
提督「意識高い系…」
ビスマルク「イシキタカイケイ?」
提督「…最近そういうのが流行ってるらしい」
ビスマルク「…へぇー…よくわかんないわねー」
ビスマルク「でも、何がどういう風に意識高いの?」
提督「…なんか、こう、センシティブっていうか、グローバルっていうか、そんな感じ」
ビスマルク「…よくわかんないわねー…」
蒼龍 *79/500
山雲 *13/500
白雪 183/500
ビスマルク *93/500
春雨 *39/500
>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ
提督「…部室、めっちゃ久しぶりに来たなぁ」
山雲「そうでしたっけー?」
料理部部室。
今日は菜園ではなく、しっかりとした活動の場にやって来たのである。
勿論、俺は料理部員ではないのだが。
山雲「はい、どうぞー」
提督「…おー、いやいや、悪いな、なんか」
山雲「お気になさらずー、どうせ、余り物ですからねー」
山雲曰く、料理部で作ったクッキーが余っている。
それを聞いた俺が一も二もなく此処へ来たというのが、今回のことのあらましであった。
提督「…うん、おいしい!」
サクッとした食感。
口に広がるバターの風味と、品の良い砂糖の甘さ。
市販品よりも数段美味しいと素直に感じた。
山雲「それは…よかったですー」
はぅ、と。
彼女は胸を撫で下ろした。
こんなに美味しい物を出すのに、緊張などしなくてもよかろうに。
提督「…あ、全部食べていいの?」
山雲「はいはい、大丈夫ですよー」
提督「いやー、そっかそっか、そんじゃ遠慮無く」
皿に積み上げられたクッキーを次々と口へ放り込んでいく。
俺、料理部に入ろうかな、うん、そうしよう。
山雲「……あの」
提督「ん?」
山雲「…いきなりで申し訳ありませんけどー…提督くんは、いつまで続けるつもりなんですかー?」
提督「……続ける?」
さくっ。
山雲の話に首を傾げながらも、菓子を喰う手は止めない。
そんな俺に構わずに、彼女は続けた。
山雲「…ビスマルクさんとの関係、ですよー」
手が止まった。
流石に、そんな質問は予想してなかった。
山雲「……振られたんですよねー?だったら、潔く諦めた方がいいんじゃないですかー?」
……その言葉は、尤もである。
俺だって…そう思う事はあるくらいだ。
>>+2
A.…でも、無理だよ。
B.…はは、お前が貰ってくれるってんなら――
C.……やめよう、その話。
B.…はは、お前が貰ってくれるってんなら――(*1.5)
提督「…はは、そうだな」
提督「お前が貰ってくれるってんなら――」
山雲「いいですよー」
提督「……へ?」
山雲「だから、いいですよー?」
提督「……あ、いや」
真面目にそう返されて、狼狽える俺。
その状態でたっぷり1糞程放置されたところで、山雲は不意に微笑んだ。
山雲「なんて、…冗談、ですよー」
提督「…あ、ああ…冗談、か」
山雲「はい、この前のー、提督くんたちの、意趣返しですー」
提督「…そ、そうか…まあ、そうだよな」
山雲「……でも、あんまりそういう冗談は言わない方がいいですねー」
提督「…ん、そうだな、すまん」
山雲「…本気には、取りませんけど」
山雲「……本気にしたく、なりますからー」
提督「…………」
積み上がったクッキーへと手を伸ばした。
そうして掴んだ一枚は、少しだけバターの風味が薄いような気がした。
山雲→ *73/500
【5月4週】
提督「………」スタスタ
白雪「………」スタスタ
提督「……なあ」
白雪「……はい?」
提督「……先に行かないのか?」
白雪「…提督くんこそ」
提督「……まだ、時間に余裕はあるし」
白雪「……そうですね」
提督「………」スタスタ
白雪「………」スタスタ
蒼龍 *79/500
山雲 *73/500
白雪 183/500
ビスマルク *93/500
春雨 *39/500
>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ
ごめん、10分程休憩
糞は…ごめん、ホントごめん
コンマは単発でも構いません
山雲「珍しいですねー」
提督「何が?」
山雲「菜園のお手伝い、してくれるなんて」
提督「クッキー貰ったし、な」
山雲「…そんなに美味しかったんですか?」
提督「ああ、凄く美味かった、手伝ってたらまた食わせてくれるかなーって」
山雲「ふふ、そうですかー」
素直なのは好きです、と山雲が笑みを見せた。
土の匂いが、心地良い。
スコップが吸い込まれるように柔らかいのは、日頃の手入れのお陰だろうか。
提督「…種まきかぁ」
山雲「はい、夏のお花を植えるんですよー」
提督「はえー…この花は、何て名前?」
山雲「マリーゴールドですー」
綺麗に咲くんですよ、と言った言葉に、その花を夢想する。
マリーゴールド。
実物は浮かばかなったが、名前の通り、さぞ可愛らしく咲くんだろう。
色はどんな色だろうか…ゴールドってくらいだし…黄色?
そんな事が気になって、山雲に声を掛ける。
提督「どの位で咲くんだ?」
山雲「んー…一月もすれば、大丈夫かなー…そうだ、また提督くんにあげましょうかー?」
提督「…ありがたいけど…それは…いいかな、見るだけで」
山雲「そうですかー…冬になったら枯れちゃいますから、それまでに見に来て下さいねー」
提督「ああ、見に来るよ、なんたって俺が植えたもんだからな!」
山雲「……種だけ植えて偉そうにしないでくださいー…」
提督「あっはっは!」
山雲「はぁー……」
しかし…この菜園は見れば見るほど凄いな。
今まで野菜を植えてある端の一画だけが料理部のスペースかと思ってたのに、野菜だけじゃなく花まで育ててるなんて。
山雲へと視線を移す。
山雲「……んー?なんですかー?」
きょとんと首をかしげた、穏やかな彼女。
彼女以外が菜園の手入れをしている場面を見たことはない。
つまり、ここは全て彼女が一人で管理しているのだ。
…うーむ――
>>+2
A.山雲は、凄いな。
B.土いじり、好きなんだなー。
C.……大変っすなぁ。
A.山雲は、凄いな。(*1.5)
提督「…山雲さ」
山雲「はいー?」
提督「…凄いな、お前」
山雲「…………?」
不可解そうな表情で、彼女がもう一度首を傾げた。
俗に言う何言ってんだこいつってやつである。
提督「いや、なんだろ、なんつーかな」
提督「こんなに頑張ってるとは知らなかったというか、その」
山雲「……はぁ」
山雲「…褒めたいのはわかりましたから、もういーですよー」
提督「……すません」
山雲「嬉しいですけどねー、もう少し言う事纏めて下さいねー」
提督「…うう」
山雲「…でも…そうですねー、誰かにそう言われると、嬉しいものですねー」
山雲「特に、こんな場所の事なんて、気にする人もいませんから」
山雲「…本当に、提督くんくらいですよ、こんな場所にわざわざ来てくれるのはー」
提督「……好きだけどな、ここ」
山雲「くすっ、やっぱり変な人ですねー、提督くんはー」
提督「…そうかね」
山雲「だから、もっと褒めて欲しいですねー」
見るからに上機嫌が窺える表情で、山雲が胸を張る。
褒められる準備は万端らしい。
…ふむ…頑張って賞賛のボキャブラリーを漁らねば。
山雲→ 197/500
【6月1週】
提督「……んーむむ」
春雨「雨、ですねぇ」
提督「…屋上が…」
春雨「しょうがないですよ、天気ばっかりは」
春雨「ね、先輩、どうしますか?」
提督「…踊り場で食うかー」
春雨「えぇ、埃っぽいですよー」
春雨「ね、学食行きませんか?席だけ借りて」
提督「遠いしー」
春雨「むー…行きましょうよー」
提督「…はーい」
春雨「えへへ、ありがとうございます、先輩っ」
蒼龍 *79/500
山雲 197/500
白雪 183/500
ビスマルク *93/500
春雨 *39/500
>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ
山雲「えーと…そこの土をですねー…」
提督「…………」
俺は戦慄していた。
ホームセンターのレジの横で。
何を隠そう、今日という休日に俺は山雲の荷物持ちとしてお呼ばれしたのだが。
買う物が土だなんて聞いてない。
…一体何キロ買うんだ、こいつ。
「以上でよろしいですか?」
山雲「はいー、それだけでいいですー」
提督「…あのー、や、山雲さん?」
山雲「…?提督くん?」
提督「こ、この土…全部持って帰るんですか?」
山雲「…ふふっ、そーですよー?」
提督「………ひえーっ…」
山雲「期待してますよー、力持ちさん?」
提督「…い、いやぁ…」
山雲「くすっ、なーんて、だーいじょぶです、土は後で先生が車で運んでくれますからー」
提督「…へ」
山雲「提督くんには、もうちょっと細々した物を運んで貰いますねー」
浮かべたのは、意地の悪い笑み。
ぽかんとする俺を見て、それを更に強くした。
山雲は、そのまま喉を鳴らしながら園芸コーナーに歩いて行く。
………どうにも、騙されたらしい。
提督「…って、待った!待てってばー!」
そしてついでに、置いて行かれかけていた。
――――――――――
提督「ぬぐ…」
山雲「がーんばってくださいねー」
ビニールの食い込んだ指が悲鳴を上げる。
何なら第二関節辺りからポロッと取れてしまいそうだ。
提督「…くそう、負けんぞ」
山雲「ふふ、ムリしないでください、半分持ちますよー」
提督「へ、でも袋は一つ――っ!?」
2つあるビニールの取っ手、その一本を俺の指から外して。
彼女が、自分の指にかけた。
山雲「これで、半分こ、ですよー?」
提督「…あ、ああ…そうだな」
その行動に、思わず面食らってしまう。
全く気にしていない様子の彼女を見て、少し面映い気持ちを覚えた。
そのまま、しばらく無言で歩く。
ビニールがガサガサと鳴る音だけが、俺達の間に響いていた。
その歩みが止まったのは、正門前の信号。
大通りに面した此処は、歩行者用の青信号が短い。
必然、待ち時間も増えることになる。
行き交う車から風を浴びて、相変わらず半分にしたビニール袋を持って俺達は立っていた。
山雲「……あのですねー、提督くん」
正面を向いたまま、山雲が言う。
提督「…うん?」
山雲「…結局、提督くんはどうしたいんですかー?」
提督「………」
山雲「……全部、中途半端ですよねー?」
提督「……そうだな」
ビスマルクのことも。
蒼龍のことも。
白雪のことも。
そして、山雲のことも。
何もかも、中途半端だ。
俺は一つを選べはせずに、全ての実をまだ掌に乗せたままだった。
結局持って帰ることができるのは、一つの実だけなのに、それを知っていても。
山雲「……酷い男の人ですねー」
提督「………そうだな」
山雲「…山雲はー、どうする、とは聞きません」
山雲「……ただー…どうしたいか、って言ってるんですー」
提督「……どう、したい…」
俺は―――
>>+2
A.…わからない。
B.……ビスマルクを。
C.…決着は、付けたいと思ってる。
C.…決着は、付けたいと思ってる。(*1.5)
提督「…決着は、付けたいと思ってる」
決着――つまり、誰か一人を選ぶこと。
傲慢、なのだろう。
この物言い自体が、とても。
それでも、山雲は俺の言葉に満足そうに頷いた。
山雲「ですかー」
信号が、青に変わる。
また、ビニール袋が鳴りはじめた。
山雲→ 207/500
【山雲―その1】
選ばれるのは、きっと山雲じゃないんだろうなって。
そんな事は、何となくわかってた。
蒼龍ちゃんの時も、今も。
それでも、良かった。
あの菜園で話す時間は、なくならないから。
『……なんだこれ、野菜?』
『…どちら様ですかー?』
『あ、いや…学校探検…みたいな』
『……そうですかー』
『…あのさ』
『はいー?』
『…見てっていい?』
『…は?』
「………懐かしい、ですねー…」
土を弄りながら。
何となく、そんな事を思い返した。
「………提督くんは、初めて会った時の事なんて覚えてるんでしょうかねー?」
あの時、スイートピーを贈ったのは。
言えない本音を、伝えたかったのだ。
『…山雲は、提督くんが――』
『――そう、ですかー…』
『…蒼龍ちゃんと、ですかー』
『いいえー!山雲は、それならそれで、応援しますよー!』
『お二人の幸せを、祈ってますからねー!』
別離、私の事を覚えていて、忘れないで。
その花言葉通りになって、喜んでいるくせに。
……蒼龍ちゃんも、ビスマルクさんも、大嫌いだった。
流石に私も寝る
明日は仕事が休みでち
【6月2週】
前を見れば、金髪の少女がいた。
走っても走っても、追いつかない影が。
後ろを振り返れば、蒼い髪の少女がいた。
どれだけ進んでも、いつもすぐ後ろに立っている影が。
そしてその側に、影はもうふたつ。
止まってしまえば、その影は俺の隣に並ぶのだろうか。
蒼龍 *79/500
山雲 207/500
白雪 183/500
ビスマルク *93/500
春雨 *39/500
>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ
山雲「最近、良く来ますねー」
提督「…言われてみれば、そうだなぁ」
山雲「お花、気にいりましたかー?」
提督「…かもな、綺麗だから」
俺の返答に、彼女は微笑む。
自らが手塩に掛けて育てた花を褒められるのは、気分が良いようだ。
提督「花、良いよな」
山雲「…?どうしたんですか、いきなり?」
少し力を入れれば潰れてしまいそうな柔らかな花弁に、指で触れる。
指先に心地の良い感触と、鼻孔に甘い香りが広がった。
提督「……綺麗に咲いてるだけでさ、何も言わないから」
提督「…だから、良いよ」
手折ってしまわないように気をつけて、花の一つ一つに触れてゆく。
山雲はそんな俺を見て、苦い顔をした。
山雲「……何も言わないなんて、そんなことはないですよー」
提督「…そうなのか?」
山雲「はいー、お花はー、ちゃーんと、愛情を込めて毎日手入れをしてあげなきゃ、ダメですからー」
山雲「彼女達はですねー、そうしないと、すぐ枯れちゃうんです」
山雲「…むしろ、すっごく我儘なんですよー?」
提督「……そっか」
菜園の一画に広がる小さな花畑。
これだけの物を維持するのに、彼女はどれだけ労力をかけているのだろうか。
山雲「…ただ綺麗に咲いてるだけのお花なんて、ありませんよー」
提督「……ごめん」
山雲「いえいえ、お気になさらないでくださいー」
ただ綺麗に咲いているだけ。
そんな都合の良いものなど、どこにもありはしない。
それを思い知らされたようで、何か嫌な気分になった。
提督「…なあ、山雲――」
>>+2
A.手入れ、がんばれよ。
B.水やり、手伝っていいか?
C.…帰るよ。
B.水やり、手伝っていいか?(*1.5)
提督「…水やり」
山雲「……?」
提督「手伝って、いいか?」
山雲「珍しい、ですねー」
山雲「どうしたんです、提督くんがそんな事を言うなんて」
提督「…俺だって、手伝いくらいしたくなることはあるさ」
山雲「そうですかー…それなら、ありがたーくお願いしますねー」
山雲が、いつも使っているじょうろを俺へと差し出した。
ありがとう、と取っ手へ手を伸ばす。
山雲「……あ…っ」
その拍子に、じょうろを握った彼女の手と、伸ばした俺の手の甲が触れた。
提督「あ…ご、ごめん、その」
山雲「い、いえ…大丈夫ですよー、…では、お願いしますねー」
早口で言うと、すぐにスコップを手に取って山雲が作業へと移る。
彼女は意味もなく、何度も同じ場所を掘り返したり埋めたりしていた。
…それはもしかして照れ隠しなのか、とは…流石に聞くことは出来なかった。
山雲→ 322/500
ごめん寝ます
【山雲―その2】
恋。
その言葉を初めて山雲が知ったのは、お母さんに花言葉を教えてもらった時だった。
そしてそれ以来、もっとお花が好きになった。
まるで、綺麗に咲いている彼女らの本音を知ったような気がしたから。
恋。
山雲がそれを実際に体験したのは、高校に入って間もなくだった。
切欠は、きっと些細な事。
雑草だらけの菜園を手入れしている時に掛けられた言葉。
『頑張ってるんだね』とか、ただそれだけの言葉。
だってそんな事は、初めて言われたから。
昔から土いじりが好きな変人だと言われる事は多々あったけれど、褒められたのは初めてだった。
勿論、そういうことを言われたくて菜園の手入れをしていたわけじゃないけれど、なんだか自分が認められたような気がして。
恋。
それは、実らなかったもの。
山雲には、叶えられなかったもの。
もう、枯れてしまったもの。
「……あ…」
知らず、力が入って。
手入れをしていた花を手折ってしまう。
豊かに色付いていた花が、ぐったりと掌の中に横たわっていた。
その花を見て、ある光景が瞳の奥に浮かぶ。
「………マリーゴールド」
提督くんに、植えてもらった花。
嫉妬、悲しみ、不変の愛――
言えない本音を、お花に包んで。
枯れた筈の花を、いつまでも大事に抱えていた。
続きは0時過ぎくらい
休日の方が忙しい気がする
つーかありがたくお願いしますってヤバイな、推敲しようぜ
【6月3週】
春雨「あの、先輩」
提督「ん」
春雨「先輩って、いつも私とおひるご飯食べてますよね」
提督「そうだなぁ」
春雨「……え、えと…その、お友達…とか」
提督「…………」
春雨「……な、なんでもないです!なんでもないんです!ごめんなさいっ!」
提督「…うん」
蒼龍 *79/500
山雲 322/500
白雪 183/500
ビスマルク *93/500
春雨 *39/500
>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ
梅雨。
その中の一日、毎日降り続く雨が珍しく顔を引っ込めた日。
春雨ちゃんの強い要望で屋上にやって来たは良いが、雨の残滓は全く乾く気配も無く。
屋上に差し込む陽が水たまりに反射して、眩しい程に俺達を照らしていた。
提督「…食堂、行かないか?」
春雨「いーじゃないですかー、ほら、ベンチは乾いてますよ」
安っぽい水色のベンチをぽすぽすと二度程叩いて、手に水滴が付かない事を確認する。
その小さな掌を、春雨ちゃんは俺へ向かって差し出した。
春雨「ね、座れますよ」
提督「…わかったよ」
わざわざ御手自らで確認して貰っては、座る他無い。
濡れてはいないものの僅かにまだ湿っぽさが残るベンチに腰を下ろすと、やはり冷たい感覚が広がった。
春雨「ふふ、やっぱり此処がいいですよね」
提督「そうかい?」
なのに、そんな場所に座っていても春雨ちゃんは笑顔を崩さない。
いかにも楽しそうに弁当箱を取り出しながら、身体を左右に揺すっていた。
春雨「お外で食べるご飯は、美味しいです」
提督「もしかして、あの日に屋上に来たのも?」
春雨「はいっ、こんなに人がいない場所だとは知らなくて…って、わわっ!?」
大袈裟に頷くと、拍子に手に持っていた弁当箱の蓋が取れそうになる。
それを懸命に抱えた彼女が、なんだかとても可愛く見えた。
春雨「危なかったー…」
提督「はは、そそっかしいなぁ」
春雨「むー…普段ならこんなミスはしないですよぅ」
春雨「やっぱり、屋上で久しぶりのお弁当が楽しいんです!」
提督「…屋上でねぇ」
結果的に俺は此処で2年生になってからの昼休みの殆どを過ごしているわけだが。
それでも、生憎屋上でご飯を食べる事が素敵だとは思ったことはない。
一体この後輩は、屋上の何を気に入ったのだろうか。
春雨「ここからの景色、すっごく好きなんです」
そんな俺の気持ちを読み取ったかのように、彼女が言う。
眼の先は、遠い山々に向けられていた。
春雨「…別に、特に変わった所もない風景ですけど…でも…いいじゃないですか、何となく」
先輩は、お嫌いですか?
彼女が顎を曲げて、此方を見た。
>>+2
A.…嫌いじゃない、けど。
B.んー、俺は景色よりも春雨ちゃんが。
C.確かに、素晴らしい景色だねぇ!
B.んー、俺は景色よりも春雨ちゃんが。(*1.5)
提督「…んー、俺は景色よりも春雨ちゃんがいいかなぁ」
春雨「え?」
呆けた様子で、春雨ちゃんが視線を俺へと動かした。
それを受けて、気障に笑顔を浮かべてみる。
春雨「……もうっ」
ちょっと間があって、彼女は視線をじとっとした半眼に変えた。
次いで、誂わないでください、と唇を尖らせた。
春雨「…先輩は、すぐにそういう事を言うんですから」
提督「ごめんごめん、でもさ、あながち冗談ってわけでもないよ」
春雨「…どういうことですか?」
提督「俺、春雨ちゃんがいなかったら、屋上で飯なんか食ってないもん」
春雨「……~~っ、も、もうっ!や、やめてくださいっ!」
今度は、彼女は俺を見ることはなく。
ただ、視線をもう一度屋上から見える景色の方へ動かしたのだった。
春雨→ 132/500
【6月4週】
提督「………ねっむい」
蒼龍「…だっらしないなぁ」
提督「……うっせぇ」
蒼龍「生活習慣がダメだからそんな風になるのよ、全く」
提督「…お前はどうなんだよ」
蒼龍「ふふん、ちゃーんと毎日日付が変わる前には寝てるもんっ」
提督「……なるほど、それでなぁ」
蒼龍「…ちょっと、今どこ見てたの?」
蒼龍 *79/500
山雲 322/500
白雪 183/500
ビスマルク *93/500
春雨 132/500
>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ
提督「おーい…山雲ー?」
料理部の部室、もとい家庭科室。
此処に来るのは、この前クッキーを貰って以来だろうか。
今日もそのような用件であることを期待してやって来たのだが、肝心の呼び出し主が見当たらない。
提督「おっかしいなぁ…」
キョロキョロと室内を見回していると、不意に部屋のドアが開いた。
提督「山雲?」
山雲「ごめんなさいねー、少し、菜園の方に言っていたのでー、遅くなりましたー」
提督「ああ、そうだったのか、そりゃ構わんが…」
彼女は一歩室内に足を踏み入れて、後手にドアと、鍵を閉めた。
ガチャン、と施錠の音が静かな家庭科室に響く。
提督「それで、話って…」
山雲「…はいー」
そこで、声とともに息を吐いた。
山雲「大事なー、お話ですー」
一歩、今度は俺の方へと足を出す。
思わず身体を引きそうになって、それをなんとか押し留めた。
提督「大事な…?」
山雲「…はいー」
彼女が、息を吸う。
つられて、俺も息を呑んだ。
山雲「ビスマルクさんを、諦めて下さい」
提督「……え?」
お願い、というには余りに鋭すぎる言葉。
視線も、言葉と同じように尖っていた。
山雲「もう、いいじゃないですか」
山雲「提督くんだって、気付いてる筈ですよね」
山雲「貴方は、ビスマルクさんには…」
提督「山雲」
それ以上言うな、とばかりに名前を呼んだ。
しかし彼女は、何も聞こえなかったかのように言葉を紡ぎ続ける。
山雲「…きっと、このままじゃ、貴方はどんどん一人になっちゃいますよ」
山雲「決着なんてつけられなくて、全てが悪い方向に向かっていって」
提督「山雲っ!」
名前を呼んだ。
彼女は一度口を閉じて、今度は俺に一転して笑顔を浮かべた。
山雲「……代わりには、なりますからー」
提督「……代わり?」
はい、と頷く。
山雲「…山雲が、ですよ」
提督「……いや、代わりって、どういう」
山雲「代わりに、貴方の側にいます」
もう一歩、詰まる間合い。
リノリウムの床を叩く足音が、やけに大きく聞こえた。
山雲「…ずっと」
山雲「あの時からずっと、気持ちは変わってないんです」
山雲「ずっと、提督くんが好きなままなんです」
提督「……」
足音が、また響く。
気づけば、触れるような距離。
山雲「…やっぱり、山雲では…ダメ、なんですか?」
彼女が、俺の服の裾を掴んだ。
その手は、震えていた。
>>+1-5(選択肢によっては他の娘の展開に変化あり)
A.………黙っている。
B.………出来ないよ。
C.………手を取る。
C.………手を取る。(*1.5 401~499)
提督「……山雲」
山雲「………っ、あ」
その震える手を握った。
彼女が、俺を見た。
瞳の奥で、今にも堰を切らんと液体が揺れていた。
提督「……忘れられない」
山雲「…………っ!」
提督「…ビスマルクに抱いたあの気持ちは、きっと忘れられなんかしないよ」
山雲「……そう、っ、ですか…」
提督「……だけど、その努力は、するよ」
山雲「………え…?」
提督「……自分でも、酷い事を言ってると思う」
提督「…忘れるようにする」
提督「…そして、代わりなんかじゃなくて、山雲を好きになる」
提督「……こんな決着しか付けられない人間で、ごめん」
山雲「………提督くん」
山雲は、潤んだ目を驚きに見開いていた。
…最低だ、最低なのだろうと思う。
こんなことを思うことも、こんなことを言えることも。
それでも、嘘を吐きたくなかった。
それでも、山雲を代わりなんかにしたくなかった。
山雲「……はいっ」
そして、彼女は頷いた。
それでいいと、頷いた。
手の震えは、もう収まっていた。
山雲→ 401/500
【山雲―その3】
萎れた花が、再び色を灯した。
鮮やかな、どこまでも明るい色。
「………代わりなんかじゃ、ない」
何度も何度も、繰り返す。
山雲は、誰かの代わりじゃない。
彼は、他の誰でもない山雲を好きになってくれる。
「……~♪」
――嬉しかった。
もう、そのまま枯れ果てるだけだと思っていたから。
実ることなど無いと思っていたから。
だから、この花は二度と手放したりなどしない。
そう、絶対に。
絶対に。
【7月1週】
山雲「あ、提督くんじゃないですかー、今日はお早いですねー」
提督「うん、また手伝おうと思ってさ」
山雲「それは助かりますー、では、お願いしてもよろしいでしょうかー」
提督「勿論、なんなりとお申し付け下さい、ってな」
山雲「ではではー、山雲の側にいてくださいー」
提督「…え、何もしなくていいの?」
山雲「はいー、いつもみたいに、横にいてくれたら、十分ですー」
提督「…わかった、そうする」
山雲「ふふっ、ありがとうございますねー♪」
蒼龍 *79/500
山雲 401/500
白雪 183/500
ビスマルク *93/500
春雨 132/500
>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ
おやすみなさい
時間守れなくてごめんなさい
蒼龍「…………そ、っかぁ」
提督「…ああ、……そう、なった」
定まらぬ曖昧な表情。
どこを見ているのか分からない瞳。
いつもの水着姿で、彼女はひっきりなしに身体を揺らしていた。
何を考えているのかは、わかるはずもない。
ただ、次に告げられる言葉を待っていた。
蒼龍「山雲と、なんだ」
確認でもするように、先程の言葉を復唱する。
無言でそれに頷くと、やっと焦点が俺を捉えた。
蒼龍「…なんでかなー、ほんと」
蒼龍「諦めてた、筈なんだけどさぁ」
浮かべた笑みは、やはり曖昧で。
きっと、彼女自身もどんな顔をしているのかわかっていないだろうと思えた。
提督「蒼龍」
蒼龍「なーに?」
提督「…怒ってるか?」
蒼龍「……提督、さ」
表情も、声音も変わらない。
だけど重さは増した、そんな感じだった。
蒼龍「…提督はいつも、全部知ろうとするよね」
蒼龍「……それはね、一種の暴力だよ」
提督「……暴力」
鸚鵡返しで、言葉を返す。
暴力―と、何度もそれが頭の中で反響していた。
蒼龍「いいじゃん、もう」
蒼龍「よかったね、おめでとう、それで終わり」
蒼龍「…それで、終わりなんだから」
だから、早く此処から立ち去ってよ―と。
そんな含みを持たせて、彼女は俺を見た。
いつの間にか曖昧さは溶け出して、瞳にはどこか必死な物が宿っていた。
蒼龍の声がそのままずしりとのしかかったように、胸が重苦しくなった。
>>+2
A.…ごめん、もう、来ないよ。
B.……怒ってるか?
C.…立ち去る。
C.…立ち去る。(*1.0)
何か言おうと、ずっと言葉を探していた。
だけど、結局言うことなど、言うべき事など何も無かった。
だから、ただ無言で背を向けた。
提督「……帰るよ」
蒼龍「…そ」
2階からプールサイドへと繋がる階段に足を掛けて、早足でそこを下っていく。
タンタン、という自分の足音に混じって、水を含んだ布が地面に落ちるべちゃっと言う音が聞こえた。
いつもならもう少し慎重に抜けていくけれど、そんな事を考える余裕など無かった。
別に、誰かに見つかってもいいと思った。
プールの蒼い水に反射して揺れる光は、今日もゆらゆらと揺れていた。
その光の元、水を横目で見ると、クロールで泳いでいる生徒が何人か見えた。
―そういえば、蒼龍が泳いでいるのを最後に見たのは、いつだろうか。
彼女はいつも、俺が此処に来るのを見つけて2階に上がってくるから。
それは何故か―なんて、その理由は、想像しないようにした。
結局、屋内プールを出るまで誰に見つかることはなかった。
蒼龍→ 175/500
一字抜ける現象 推敲?知らない子ですね
【7月2週】
提督「夏休みかぁ」
春雨「夏休み、ですねぇ」
提督「春雨ちゃんは、どこか出かけたりするの?」
春雨「うーん…どうでしょう、部活があるので」
提督「……水泳部…だっけ?」
春雨「はいっ、お陰で最近、ちょっと日焼けしてきちゃってます」
提督「…白く見えるけどなあ」
春雨「そうでしょうか?結構焼けてるんですよ、こことか…」ウワギメクリー
提督「ちょ、春雨ちゃん」
春雨「わわっ!?ご、ごめんなさいっ!?」
提督「……いや…嬉しいけどさ、うん」
春雨「わ、忘れて!忘れてくださいーっ!」
蒼龍 175/500
山雲 401/500
白雪 183/500
ビスマルク *93/500
春雨 132/500
>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ
春雨「や、山雲先輩とですかっ!?」
提督「うん」
わー、と口を半開きにしたまま、春雨ちゃんはしばらく呆けていた。
再起動に掛かった時間は、おおよそ30秒くらいだろうか。
春雨「と、とにかく…えと、おめでとうございますっ」
提督「ありがとう」
地面と平行になるくらいまで、春雨ちゃんが頭を下げる。
一生懸命さが見えて、なんか頭を撫でたくなってしまった。
勿論出来やしないで、再び彼女が頭を元の位置に戻すのを待っているだけだったが。
頭を上げると、ふぅ、と自分を落ち着けるように一つ息を吐いて、彼女は微笑んだ。
春雨「…ふふっ、素敵な人、出来ましたね」
提督「え?――ああ、そうだね、出来たよ」
春雨「先輩も、山雲先輩も、凄く良い人ですから」
きっとお似合いですねっ――無邪気なその言葉が、少しだけ心を軋ませた。
動揺を見て取られぬように、些か無理矢理に笑顔を作った。
提督「…あはは、そう見えるんなら、良かった」
春雨「はい、見えますっ、とってもお似合いですっ!」
力説、まさにそれが相応しい動作。
両腕の握りこぶしを、身体の前ぶんぶんと振っていた。
提督「……そうだ、春雨ちゃん」
春雨「はい?」
提督「あのさ――――」
>>+2
A.もう、俺は屋上でご飯は食べないよ。
B.…二学期も、一緒にご飯を食べてもいいかな?
C.春雨ちゃんにも、素敵な恋人が出来る事を祈ってるよ。
C.春雨ちゃんにも、素敵な恋人が出来る事を祈ってるよ。(*1.0)
提督「春雨ちゃんにも、素敵な恋人が出来る事を祈ってるよ」
あの時、俺に言ってくれた言葉。
そっくりそのまま、それを返した。
春雨「あ――は、はい、どうもですっ、頑張りますっ」
提督「いやいや、頑張らなくても大丈夫だと思うけど」
春雨「あ、あはは…」
春雨ちゃんはとても良い子だし、きっと引く手は数多であろう。
それこそ、もしかしたら二学期にはもう誰かが隣にいるかもしれないな――
そんな思考を打ち破ったのは、予鈴の音。
提督「…っと、そろそろだね」
春雨「ですね」
提督「それじゃ春雨ちゃん、またね」
春雨「はい、…えと、重ねて、おめでとうございますっ」
提督「うん、ありがと」
屋上から見える、蒼い空。
もう、そこから目を逸らすことはやめた。
辛くても、見続けなければならないのだから。
春雨→ 217/500
【春雨―その1】
素敵なこと、だと思う。
あの時、山雲先輩と提督先輩の並ぶ姿は、すっごくお似合いに見えたから。
「…ふふっ、そっかぁ、あの二人が――」
手を繋いだ二人、そんな光景を夢想して。
なんだか、自分のことみたいに嬉しく感じた。
「……あ、でも」
屋上、今までみたいに行っていいのかな。
一応彼女さん持ちってことになるんだし…提督先輩も、やっぱり迷惑するんじゃないかな。
…と、そこまで考えて。
いつの間にか、屋上でご飯を食べるのが、景色を見るためじゃなくなってたって事に気付いた。
【7月3週】
いかにも夏らしい日差しが、俺を照らしていた。
だらだらと流れる汗に、一秒ごとに奪われていく体力。
提督「……死ぬ」
山雲「だーめですよー、ほらほら、頑張りましょうねー♪」
提督「…中庭、日陰にならないの」
山雲「この時間はー、お日様が直下でーす」
なぜ、隣の少女は平然としていらっしゃるのだろうか。
なにか特殊な訓練でも受けたのだろうか。
俺も受けたい。
蒼龍 175/500
山雲 401/500
白雪 183/500
ビスマルク *93/500
春雨 217/500
>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ
続きは夜
ビスマルク「ふーん…」
興味が有るようにはとても見えない、そんな様子で彼女は頷いた。
話の内容は他でもない、山雲との関係の話。
そして、ビスマルクを諦めるという話。
ビスマルク「そう、お疲れ様、テイトク」
提督「………」
お互いに―と、彼女は微笑を見せた。
期待なんて、していた訳じゃない。
…いや…こんな事を言い出す時点で、心の何処かで期待していたのだろう。
もしかしたら、彼女は自分を止めてくれるのではないか。
もしかしたら、寂しそうな表情を見せてくれるのではないか。
そんな、淡い、淡い期待。
提督「……ははっ」
ビスマルク「…どうしたの?」
提督「…何でもないよ」
自分の馬鹿らしさに、思わず笑みが漏れた。
もしその期待通りになったとして、自分はどうするつもりだったのか。
また、誰かを捨てて彼女の元へと走るのか。
…アホらしい、本当にアホらしい話だ。
ビスマルク「…でも、意外ね」
提督「…ん?」
ビスマルク「ヤマグモだけは無いと思ってたから」
提督「どうして」
ビスマルク「どうして…って言われてもね、強いて理由をつけるなら、女の勘、とでも言うのかしら」
提督「……そうかい」
正直、どうでも良い話だった。
さっさと帰ろうと、背を向ける。
ビスマルク「ああ…そうだ、テイトク」
提督「…なんだよ」
ビスマルク「貴方、今までで一番長く保ったのよ」
何が―と問おうとして、自分達の関係の事だと思い当たる。
…俺の前にも、こんな風にビスマルクと友達になった男がいる、ということだろう。
ビスマルク「…まぁ、別にだからどうだってわけでも無いのだけど…」
ビスマルク「そうね………ああ、抱いてみる?」
提督「…は?」
ビスマルク「私を――よ」
思わず、振り返った。
ビスマルクの舌がが、唇の間からちろ、と覗いた。
それはまるで俺にこっちにこいと誘うように、妖しく蠢いていた。
>>+2
A.…そういうことがしたかったんじゃない。
B.…いいのか?
C.…何言ってんだ。
C.…何言ってんだ。(*1.0)
提督「…何言ってんだ」
ふざけたことを抜かすなとばかり、視線に力を込める。
しかし、彼女は涼し気な表情で受け止めた。
ビスマルク「あら、付き合ってって…そういう意図じゃなかったのかしら」
提督「あのなぁ」
ビスマルク「まあ、どちらでも構わないのだけれどね、選ぶのはあくまでテイトクだから」
提督「………」
ビスマルク「…どうするの?」
提督「……アホか、誂うな」
もう一度背を向けた。
くすくす、と静かな笑い声が、後ろから聞こえた。
ビスマルク「Wiederhoren――」
ビスマルク→ 108/500
【7月4週】
提督「…………」
これでいいのだろうか、と。
そう思ってしまう時点で、自分はダメなのだと思う。
でも、もう元には戻れない。
蒼龍、そしてビスマルク。
彼女達の側には戻れない。
これでいいのだ。
これで、いい。
提督「…これで、よかったんだよな」
答える声は、あるはずもなかった。
蒼龍 175/500
山雲 401/500
白雪 183/500
ビスマルク 108/500
春雨 217/500
>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ
夏休みの一日。
暇すぎて少し服でも買いに行くかーと出かけた先。
提督「あ」
春雨「あ」
何の偶然か、春雨ちゃんが同じ場所にいた。
提督「…や、春雨ちゃん」
春雨「どうもです、先輩」
提督「買い物?」
春雨「はいっ、…あはは、やることなくて…」
提督「そっか、それは奇遇だね、俺も同じようなもんなんだよ、実は」
春雨「そうなんですか、先輩も…」
当然だが、春雨ちゃんは今日は制服ではなく、私服。
桜色の髪が、夏らしい薄手の白いワンピースによく映えていた。
提督「…服」
春雨「はい?」
提督「…いや、可愛いな、って」
春雨「え、あ…っと、ありがとうございますっ、…えへへ、ちょっと子供っぽいかなって思ってたんですけど」
提督「あー…言われてみれば、確かに」
春雨「酷いですっ!?」
提督「冗談、冗談……春雨ちゃんも、服?」
こく、と春雨ちゃんが頷く。
服装と相まって、なんだかいつもよりも幼く感じた。
提督「じゃあ――」
>>+2
A.折角だし、一緒にさ。
B.俺はこれで。
C.あ、誰かと一緒だったりするの?
B.俺はこれで。(*0.5)
提督「俺は上で男性用の服見てくるから、これで」
春雨「はいっ、また」
提督「うん、また」
軽く手を挙げると、春雨ちゃんもそれに同じ動作で返した。
ふむ、たまには出かけてみると、こんな偶然もあるものなのだな。
…そうだ、山雲に声掛けてくればよかった。
……しかしなぁ、あいつ、多分学校だろうし…。
ま、いいか。
春雨→ 230/500
【8月1週】
山雲「………ふー、あついですねー」
提督「…やめようぜ、作業」
山雲「あと1時間も頑張ればー、終わりますよー♪」
提督「何でお前そんな元気なの…」
山雲「だってー、提督くんがー、いますからねー」
提督「……む」
山雲「…んー?んふふー、照れちゃいましたかー?」
提督「…はい」
山雲「あはは、素直なのはー、好きですねー♪」
蒼龍 175/500
山雲 401/500
白雪 183/500
ビスマルク 108/500
春雨 230/500
>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ
山雲「……くー……」
提督「………山雲ー?」
家庭科室。
土いじりの後お昼をご馳走になって、その片付けをしていたのだが。
食器を粗方洗い終わると、山雲が寝ていた。
椅子を何個も並べて、豪快に横になって。
提督「…疲れてるんだろうな」
俺も椅子を一つ引っ張ってきて、その顔の側に腰を降ろす。
穏やかで、静かな寝顔だった。
提督「………うむ」
何となく芽を出した悪戯心。
ふわふわとした前髪に触れてみた。
山雲「…んー…いけませんわー…そこは、デリケートですー…」
提督「……ふむふむ」
手触りの良い髪。
いつまでも触れていたくなってしまう。
山雲「…んんー…ダメですよー……って、…あれ…?」
が、勿論そんなことが許されるはずもなく。
くるくると前髪を指に巻いていると、山雲が目を開けた。
山雲「…山雲ー…寝てましたかー…」
まだどこかぽけーとした様子の彼女。
ああ、と頷くと、俺へ向かって両手を差し出した。
提督「?」
山雲「えへへー…起こして下さいー」
提督「…ほう」
広げた両手の意味を測りかねていたが、なるほど、そういうことか。
よしよし――
>>+2
A.ああ、任せろ。
B.…待てよ、今ならもっと――
C.自分でどうぞ。
B.…待てよ、今ならもっと――(*1.5 500)
待てよ、山雲が動けない今ならもっとこう…凄いことが。
山雲「提督くんー…?」
そう、例えば。
山雲「早く起こしてくださ――」
キス、とか。
山雲「…………ほへ…?」
提督「……あ、ああ…うん、今、起こす」
一瞬だけ唇が触れて、すぐに離れて。
その後は、何も無かったみたいに涼しい顔を作ってみた。
…上手く出来ているかどうかは、知らない。
山雲「…え、えー…?ええー!?」
提督「あ、こら、おい、暴れるな」
山雲「い、今今っ、今あのその今っ」
山雲が両手を伸ばしたまま身体をバタつかせる。
その動きで、椅子を並べただけの簡易ベッドは簡単に崩れ落ちた。
がしゃんがしゃんと、大きな音が鳴って。
彼女はリノリウムの床へ、その身体をしたたかに打ち付けた。
提督「…だから、暴れるなって」
山雲「えへへー……」
なのに、幸せそうな顔を浮かべていたのは。
……その理由を考える必要も無いだろう、今更。
山雲→ 500/500
【8月2週】
突然ですが、墓参りの空気が最悪です。
なんかもう俺、墓石になりたい。
白雪「…………」
提督「…………」
『墓参り…ああ、そうだ、提督と白雪ちゃん、一緒に行って来いよ』
『あっはっは!いーじゃないか、若い者同士!』
『行き先は一緒の霊園なんだしよ、…え、父さん?…あの坂道登るのしんどいから、パス』
…もうちょっと先祖に敬意を払ってくれ。
それに同意した白雪の両親も、だ。
提督「………し、白雪…帰りのバス…」
白雪「…20分後です」
提督「そ、そっかそっかー…ちゃんと見てるなー…」
長い。
長すぎるぞ、バスの間隔。
蒼龍 175/500
山雲 500/500
白雪 183/500
ビスマルク 108/500
春雨 230/500
>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ
結局200が春雨ちゃんしかいないじゃないか
ビス子は犠牲になったのだ…
22周目
一人目>>+4
天津風(従妹)
二人目>>+4
秋月(クラスメイト)
三人目>>+4
神通(天才)
4人目>>+4
イムヤ(幼馴染)
ラスト直下
天津風(従姉妹)
秋月(クラスメイト)
神通(天才)
イムヤ(幼馴染)
磯風(クラスメイト)
普通だな!
おやすみなさい
【エピローグ】
「……転校、するんだってな」
「ええ」
ドイツに帰るの――
彼女はそう言って、背中を向けた。
正門へと遠ざかっていく姿。
なんで、今―とか、気になることはあったけれど。
事情は、教えてくれそうもなかった。
「…なあ」
「……?」
声を掛けられるとは思っていなかったのだろう。
彼女は立ち止まって、不思議そうな顔を向けた。
「Wiederhoren、だっけか、あの時、俺に言った言葉」
「…?…それがどうしたの?」
「いや、何言ってたのか気になって少し調べてみたんだけどさ…ああいう場合の挨拶なら、Wiedersehen―って言うんじゃないのか?」
「……ああ」
得心がいった、とばかりに微笑を見せて。
―どうしてだと思う?
そんな視線を送ってきた。
「……皮肉かい?」
「ええ、日本流のね」
「…俺の事なんか、見てなかったと」
「…さぁ、どうかしらね?」
「……ビスマルク」
「ええ」
「…初恋だったんだよ、本当に」
「…ありがとう、嬉しいわ」
「――Mein ewige Freund」
それが、彼女の最後の言葉。
金髪が風に凪いで、正門の向こうに消えていった。
「………最後まで、よーわかんねー奴」
「……でも、まぁ…後悔してねーってのが…悔しいところだ」
2学期が始まる、ほんの少し前の出来事だった。
「おーはよっ!」
「ごふっ」
「おはようございます、提督くん」
「ごはっ」
後頭部に平手。
背面に通学カバン。
蒼龍と白雪の華麗な連携プレイによって、俺中破。
「………おはよう」
「朝から辛気臭い顔、しないのっ!」
「誰のせいだと思ってんだ!」
「新学期ですけど、課題はやってきたんですか?」
「あ、…課題…まあ、7割は超えてるから、一週間以内には」
「もう、ダメじゃないですか、…だから、教えるって言ったのに」
「……いや、だってさ…」
白雪と勉強すると胃が持たないだろうから、とは言えず口ごもる。
そんな俺を見て、可笑しそうに白雪は喉を鳴らした。
「変わらないんですから、昔から」
「……変わらない、のかな」
「ええ、変わりません」
変わらない。
何も変わらない、日常。
おかしかった一年間は、すっぽりと抜け落ちて。
少しだけ暴力的になった幼馴染と友達が、帰ってきた。
それで、いいのだろうか。
それで、いいのだろうな。
目を背けずに、しっかり謝った結果が、これで。
もう、彼女はいないのだから。
きっと、これで良かったのだと思う。
「…蒼龍」
「なーに?」
「……怒ってるか?」
「…………」
答えは無くて。
視線を逸らして、彼女は笑った。
「……ばーか」
「…それでー…、お花、……ねー」
「…わ……ですかっ…ですね!」
菜園から、歓談の声が聞こえた。
最近はすっかり恒例となってしまったそれに、思わず笑いが漏れる。
「よ、おふたりさん、相変わらず仲良いねー」
「わっ、先輩っ!?」
「こんにちはですねー、提督くん」
「おう、こんちは」
もう山雲一人が土を弄っているだけじゃなくなった菜園。
嬉しさと、それからちょっとの嫉妬を感じながら、俺も彼女たちの横に腰を下ろした。
「…いやぁ、手狭になったなぁ、ここも」
「あははー…ごめんなさい、おじゃましちゃって…」
「ああ、いやいや、そういう訳じゃないよ、春雨ちゃん」
「そうですねー、邪魔なのはむしろ何もしない提督くんですよねー」
「ええっ!?」
「あ、あはは…山雲先輩ってば…冗談きついですよー」
春雨ちゃんはそう言ったが、あれは多分半分…いや8割方本気だ。
いや、確かに何もせずに見てるだけだけどさ……ぐぅ。
「……あ、そういえば」
「…どしたの?」
「いえ、山雲先輩は、提督先輩にお花を贈ったりしないんですか?」
以前に山雲が俺と蒼龍の事を祝福して贈ってくれた花を思い出したのだろう。
春雨ちゃんが言うと、山雲はんー、と考える素振りを見せて、すぐににぱっと笑顔を浮かべた。
「お花は、いらないですー」
「だって、山雲はもう、しっかり自分の言葉で伝えるって決めましたからー」
「提督くんが、好きだって」
「…山雲」
差し出された手。
それを握ると、少しだけざらざらとした土の感触が俺の手にも残った。
「…………えへへ…そですか」
「…やっぱり、二人はお似合いですねっ!」
春雨ちゃんは、しばらくその光景を見ていて。
不意に勢い良く後ろを向いて、やたらと大きな声でそう言った。
「……で、ではっ、お邪魔みたいなので、今日はこれで失礼しますねっ!」
そのまま、止める間も無く駆けて行く。
疑問符を浮かべたまま山雲の方へ視線を向けると、彼女は何故かため息を吐いていた。
「…まあ…わざわざ言うこともないですねー…」
「…?」
「………提督くん」
「…ん?」
「…お返事を」
「…あ、……返事、な、返事……ごほん」
「……俺は――――――」
【山雲 HAPPY END】
こんなもんで なんかなぁ
次週先生にしていいかな
ちょっと先生で書きたくなった
ダメなら普通に書きます
ごめん
普通に書く
やっぱ書きたいって思った物を書くのが一番だよね(遠い目)
実は普通バージョンは昨日にはもう出来てたけど淡白すぎたの
【プロローグ】
忘れ去られてしまったような校舎の片隅にある、社会科準備室。
埃っぽい、古い紙の匂いで満ちた場所。
そこに混じるのは、香ばしいコーヒーの香り。
最近の物は、インスタントといえども侮れないな、と思う。
後は―そうだな、何か音楽でもあれば、さぞかし優雅なのだろうが。
「……ふむ」
そんな部屋へ最後に一つ落とされたのは、少女の吐息。
俺の対面に座った彼女は、カップを傾けてから、その余韻を味わうがごとく息を吐いた。
「いつもながらに美味しいよ、先生」
「そいつは何より」
「いいバリスタになれるな、貴方は」
「残念だが、インスタントだ」
その言葉に、少女は嘘だろう、と目を大きく見開いた。
そしてカップを置き、長い髪に手を差し入れた。
指の関節に髪の毛を絡ませるようにして弄んでいる。
彼女なりの照れ隠し―なのだろうか。
不覚にも可愛いと思ってしまったのが情けない。
じっと見られているのに気付いたのか、彼女はバツが悪そうに視線を外した。
「…そうだったのか、いや、本当に知らなかった」
今まで通ぶったコメントをしていたのが恥ずかしいな、そう言って口を拭った。
「気にするな、コーヒーの違いなんて俺にもわからん」
別に擁護した訳じゃなく、割と本当のことだ。
まあ、流石にインスタントとドリップの違いくらいはわかるが。
どこ産の豆だなんてところまでは、昔から興味がない。
というか、多分興味を持ったところで美味い不味い以上の事はわからないだろう。
「好きなんじゃないのかい?」
「好きだからこそ、かな」
「…と言うと?」
「好きだから、何でも良いんだ」
「インスタントでもドリップでもコロンビアでもエチオピアでも、何でも楽しめる」
それが一番良い、言って、俺もティーカップを傾ける。
慣れた苦味が口に広がった。
「ははっ、なるほど…それは、良いな」
まるで言い訳のようだとも思ったが、それを少女―磯風は、いたく気に入ったようだった。
「磯風だって好きだろう、コーヒー」
「…どうだろうな、多分好きなんだろうけど、断言は出来ない」
「こんな場所までわざわざ飲みに来るくらいなのにか?」
社会科準備室など、この校舎においては辺境も辺境だ。
俺がこうして超私的利用をしても、それを咎める人間などいないほどに。
「……ふふっ」
磯風が鼻を小さく鳴らした。
次いで、テーブルの上の角砂糖に手を伸ばす。
それを二つほど摘んで、自らのカップの中に落とした。
「あまり好きじゃないんだ、ブラックコーヒーは」
だからきっと私は言うほどコーヒー党では無いんだろう、と笑った。
「…何でもっと早く言わなかったんだ」
「先生の趣味に合わせてみたかったのさ」
言って、彼女は再びカップを傾けた。
「………うん、甘いな」
満足気に笑う。
それに感化されたのか、何となく俺のコーヒーまで甘くなったような錯覚を覚えた。
年頃の少女とは、よくわからんものだ。
「神通」
「はい」
放課後、社会科準備室でティータイムを楽しんだ後の仕事。
それは出来の悪い3年生の補修だった。
なのに、そこにいたのは出来の良い2年生。
「俺は、那珂を呼んで欲しいと言ったはずだが」
「…はい、姉が捕まらなかったので…」
「だから君が代わりに?」
「はい」
出来の良い2年生が微笑んだ。
思わず頭を抱えた。
いや、出来の良い―なんてもんじゃない。
我が横須賀女学院始まって以来の才女とまで呼ばれる程の子だ。
神通―帝都大進学という我が校創立初の快挙を楽々成し遂げるだろうと実しやかに囁かれる程の、天才。
俺の担当の世界史ならばともかく、それ以外の教科に関しては間違いなく彼女に俺は勝てないくらいだろうには、頭が良い。
…悲しくなってくるな、なんか。
とりあえず、補修が必要な生徒ではない事は確かである。
「……あのな、神通」
「…はい?」
「お前はなんでいつも俺の補修を受けようとするんだ」
「はい、先生のお話は、楽しいですから」
「他の、ただ意味もなく覚える教科とは違います」
「…何言ってんだ、歴史なんてその意味もない最たる物だろう」
「いえ」
即答だった。
否、そう断言した神通は、相変わらずその微笑みを浮かべたままで。
「凄く、わくわくするんです」
「わくわく?」
彼女のイメージと到底重ならないその言葉を復唱する。
それにはい、と頷いて、続けた。
「先生は、歴史の色んなお話を知っています」
「全部、私が知らない事です」
「それを聞いて、情景を想像するのが…とっても、楽しいです」
俺がよく授業中にする趣味の脱線話のことだろうか。
…あれをそんなに真面目に聞いている人間がいたなんて。
「……そんなもんか?」
「はい」
「…無駄な知識だと思うけどな」
そう言って黒板に向き直る。
そうして神通から顔を隠してから、密かに笑顔を浮かべた。
めっちゃ興味無い振りしたけど、実はさっきの言葉が凄く嬉しかったりするのである。
…そっかー、あれそんなに真面目に聞いてくれてるのかー。
「よし、なら今日は…そうだな、オランダのチューリップ・バブルの話でもしよう」
「あ……聞いたことがあります」
「ああ、いやいや、それなら話が早い、これは色々と面白くてな――経済史的な観点からも――」
「くすっ」
「ん、どうした」
「いえ、先生、楽しそうですね」
「…ん、んんっ!…あー、授業の進行を妨げないこと」
「はい」
…。
……。
………。
「……あ、そうだ、そういえば」
「…どうしましたか?」
「お前の姉、なんとかしといてくれ」
「…なんとか…?」
「進路希望調査票、第一から第三までアイドルって書いてたって蒼龍先生が頭抱えてたぞ」
「……あ、あはは……ご、ごめんなさい…」
「テイトクセンセー、おはようございまーす」
「お、テイトクじゃん、ちーっす」
「おう、おはよう」
朝、女学生でごった返す校舎。
そんな中を、受け持ちの教室目指して歩く。
親戚のつてでこのそれなりに由緒ある女学院に運良く拾われたとはいえ、最初はひどく緊張したものだった。
何と言っても女学院、女子しかいない環境が問題だ。
素直にハーレムだなんだのと喜べるのは画面の中の話で、実際は赴任前日は夜も眠れなかったくらいだ。
「提督先生、おはよー」
「おー、おはよう」
だが、3年目ともなるといい加減慣れたもの。
女子に囲まれても、壇上で授業をしても、それくらいじゃ全く動揺しない図太さを得た。
最近では本名をもじって、『提督』先生、なんて呼ばれる程には人気だ。
しかもこのアダ名、他の先生まで呼びやすいからという理由で呼んでいる。
そしてかくいう俺も中々に気に入っていた。
横須賀で、提督――何となく、ロマンある響きだ。
「おはようございます、提督先生」
「おう、元気かー」
ふふ、いいね、この感じ。
こうなるとやはり女子校という環境が素晴らしい物であると実感する。
周りが皆自分を慕ってくれる女の子ばかりとは、素晴らしいじゃないか。
「おはよっ!お兄ちゃんっ!」
「ああ、おはよう」
そう、こうして提督、提督と――
ん、あれ、お兄ちゃん?
「…お兄ちゃん?」
「……ああ、イムヤか」
その声の出処へと視線を移せば。
どこか幼い顔付きの少女が、下から俺を見上げていた。
「何でそんなつまらなそうな顔するの!?」
「……まあ、お前の顔なんて赤ん坊の時から知ってるからなぁ」
「酷いよ、せっかく会えたのにー」
「はいはい、悪かったな」
「……子供扱いしないでよー」
ぽんぽんと頭を叩いてやると、文句を言いながらもその下に収まるイムヤ。
こういう時に身体は正直だなぁ?とか言ってみたいけど、誰かに見つかったら洒落にならなそうなのでやめとく。
何の縁か、昔から知っているこの女の子は、今年からこの学校の生徒だ。
…まあ、単純に家から近い学校を選んだら此処だったのだろうけど。
俺が10歳くらいの頃に隣の家に生まれて、小学生くらいまでずっと遊び相手をしてあげた子。
そんな子がもう高校生―とかそういう事を考えると悲しくなるのでやめとこう。
「イムヤ、学校はどうだ?」
「楽しいよ!」
「そうか、そりゃ何よりだ」
「ねぇ、お兄ちゃんは私のクラスに来てくれるの?」
「ああ、…この前の月曜は行事で潰れてたが…本当なら月・金曜4限の世界史Bの担当だ」
「ほんと!?楽しみにしてていい!?」
「…なーにいってんだ、楽しみにするものでもなかろうに」
「むしろビシバシ扱いてやるから、覚悟しとけよー」
「…うぅー…お兄ちゃんのバカー」
「先生ってのはそんなもんなの、ほら、さっさと教室行け」
「はーい、じゃあ、またね!」
手と、ついでに笑顔を振りまいて去っていく。
つい釣られて笑ってしまうような、そんな笑顔。
ああいう表情が出来るのも、また一種の才能では無いだろうか。
そのまま廊下の向こうに消えていくまでイムヤを見送って、さて歩き出そうと足を上げたところ。
「あなた!」
「…天津風」
もう一名、先生という呼び名を使ってくれない生徒がやって来た。
「やっと見つけたわ、もう!」
そんな彼女はずんずんと此方へ歩み寄ってきて、小さな身体を精一杯張って仁王立ちをした。
包みを持った右手を、精一杯伸ばしながら。
「あなた、机にお弁当忘れてたわよ!」
「ぶーっ!?」
「わぷっ、ちょっ!?」
慌てて口を塞ぐ。
何を口走ってるんだお前は―と。
彼女の耳に口を寄せて、誰にも聞かれないような声で続けた。
「天津風!学校でそういう事を言うなって!」
「どうしてよ!あなたが忘れ物をしたから届けてあげたのよ!?」
「一緒に住んでるってバレるだろ!?」
「…ダメなのかしら?」
「ダメだろ!というか言っただろ!バレないようにしてくれって!」
「……そ、そうだったわね…ごめんなさい」
「…でも、お弁当は忘れないでね?」
「……あ、ああ…ありがとう…」
天津風。
従姉妹。
横須賀女学院1年生。
同居人。
二人暮らし。
先生と生徒。
……インモラル感の役満であった。ダブルくらいの。
「わざわざ悪いな、秋月」
「いえ、お気になさらず……どうしましたか、先生?」
「いや、進路希望票のことなんだけどさ…」
「……あ…」
放課後の職員室。
わざわざ来てもらったことだしさっさと本題を済ませてしまおうと、問題の紙を差し出す。
「記入が第一希望だけで…その、就職、ってのは…どうなんだ?」
「勿論、先生はそれもそれで道の一つだとは思うが…ほら、秋月は成績も上位じゃないか」
「もっと色んな道があるって、先生は思うんだがな」
「……いえ」
彼女は暫くその紙を見つめ、ややあってそれを俺へと移した。
複雑な物が織り交ざったように、瞳はどこか昏かった。
「…就職しか、考えられません」
「……んー、いや、そのな、秋月」
「ごめんなさい、少し所用がありますので、失礼します」
「…ちょ、秋月ー……って、ああ」
引き留めようと手を伸ばすも、彼女はそんなものなどまるで意に介さずに進んでいく。
その姿が扉を潜って行くのを見て、ため息を吐いた。
「…強敵だなぁ」
「秋月さんですか」
「…ああ、鳳翔先生…これはこれは、なんともみっともないところを」
「いえいえ、そんな事はありませんよ……ですが、苦戦しているようですね」
「いやぁ、そうですねぇ、何か事情だけでも教えてくれればいいんですが…」
「…そういえば、鳳翔先生は去年秋月の担任でしたよね、何かご存知ありませんか?」
「申し訳ありません…実は、私も彼女のことは…」
「そうですか…ガードが硬いですね」
最近の女の子には珍しい、なんて軽口を飛ばしてみれば、鳳翔先生は険しい顔をして此方を睨んだ。
「セクハラですよ、提督先生」
「…申し訳ない、というか…貴女までその呼び方ですか」
「ふふ、凛々しいじゃないですか、何となく」
「…まあ、俺も気に入ってはいますが…」
「しかし…秋月…そうだ、家庭訪問とかはしなかったんですか?両親が厳しそうだった、とか」
「先方の都合で、学校での三者面談だったんです、お母様は…優しそうな方でしたし、進学にも興味を示されておりましたが…」
「ふーむ……それはなんとも…」
「…提督先生、このお話は長くなりそうですし…どうですか、この後、一杯」
「あ、いいですねぇ、ちょっと待って下さい、実力考査の答案がもうちょっとで……」
…まぁ、就職も…アイドルって書く奴よりはマシかなぁ。
そんな事を思いながら、パソコンに向かったのだった。
【プロローグ 終】
いやさ、書いたは良いけど正直なんか今までと被ってるような気がしてさ
とにかくごめんなさい
でもほのぼのだから許してくれるはず
またあとで
あー那珂ちゃんナチュラルで姉にしてた ゆるして
あっちは前作みたいにガバガバ感がもうガバガバすぎて全然ゆるケツじゃねぇかお前ってなって戦意喪失してた 更新しなきゃ
ほんのちょっとだけ進めます
【4月1週】
提督「……磯風」
磯風「何かな?」
提督「……お前は頼むから金輪際コーヒーを入れるなどと言わないでくれ」
磯風「なぁっ!?ど、どうしてだい!?」
提督「インスタントコーヒーを不味く淹れる奴がこの世に存在したことが驚きだ」
磯風「……おかしいなぁ…」
提督「…お湯を注ぐだけなのに味が変わった現象に立ち会う身にもなってくれ」
磯風 **0/500
神通 **0/500
イムヤ **0/500
天津風 **0/500
秋月 **0/500
>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ
提督「…あー、いいか、つまりフランスを中心とする戦勝国の莫大な賠償金の請求がだな――」
授業中の生徒の反応は、大体して3分割できる。
真剣な表情で黒板を見て、解説を聞き、それをノートに写す者。
あまり真面目に聞いてはいないが、たまに思い出したようにノートに手を掛け、とりあえず黒板を写しとく者。
最初から寝る、ないしは落書きや余所見、バレてないと思って使っている携帯で暇をつぶす者。
めちゃくちゃさっぱり分けるとこんな感じだ。
だが――どうにも、この3つどれにも当てはまらない人間が教壇の目の前に居て、気になる。
神通「…………」
黒板でも、外でも、友達でも携帯でもなく。
俺に向かって視線を送ってくる者、である。
提督「……と、いうわけだ…うん、少しノートに写す時間を取ろうか」
その声に、話を聞いていなかった者も、一斉に黒板の内容を板書する作業にとりかかった。
基本的に、生徒とは思ったほど教師に対して興味を抱いていない。
それが普通だと思っていたし、実際その通りだった。
…だというのに。
神通「…………♪」
目の前の才女は、ずっと俺の方を見ている。
何か凄く楽しそうな笑みで。
ノートには丁寧な字で板書が書かれているが、あれは一体いつ写したのだろうか。
提督「……………」
…ふむ。
…どうにも気になるなぁ――――
>>+2
A.話し掛けてみる。
B.笑いかけてみる。
C.気にせず続ける。
B.笑いかけてみる。(*1.5)
よし。
目には目を、歯には歯を、笑顔には笑顔を。
この社会科教師スマイルを見るがいい。
提督「………」
にこっ。
社会人力の基礎、笑顔を見せて彼女へ向き直った。
神通「………♪」
それを相変わらずの笑顔で出迎えた彼女。
いや、心なしかさっきよりも嬉しそう、だろうか。
提督「…………」
神通「…………」
そのまま、笑顔で見つめ合う。
一体何をやっているのだろうとは甚だ俺も疑問に思うところだけれども、逸らしたら負けな気がしてきた。
磯風「……先生」
提督「…ん?」
何の勝負かよくわからないそれを妨げたのは、磯風の声。
いいとこなんだよ邪魔するな、という視線を向けると、逆に睨み返された。
磯風「……皆、書き終わっているようですが」
提督「…………そうか」
…本当に何やってんだろう、俺。
提督「んんっ、では続きを解説しよう、黒板消すぞー」
神通「………♪」
それからも、やっぱり神通は俺を見て笑っていたのだった。
今度、ゆっくり理由を聞こう。
神通→ *78/500
【4月2週】
イムヤ「……お兄ちゃーん」
提督「ん」
イムヤ「歴史の勉強して何の役に立つのよー」
提督「受験」
イムヤ「…それだけ?」
提督「高校で習うもんなんて、殆どがそんなもんだ」
提督「ま、要は活かし方だよ、活かし方」
イムヤ「勉強辛いー…」
提督「…補修とかは仕事増えるからやめてくれな」
イムヤ「…うぅー…正直だぁー…もっと心配してよー」
磯風 **0/500
神通 *78/500
イムヤ **0/500
天津風 **0/500
秋月 **0/500
>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ
寝ます
中途半端でごめんなさい
磯風「秘密のティータイムとは、なかなか乙なものだと思わないか?」
提督「…ご大層な言い方だな、随分」
ティーカップを二つ、目の前の机に並べる。
磯風は、軽く頭を下げて口元を緩めた。
磯風「だって、ほら、素敵じゃないか、教師と生徒が放課後に二人きり――だよ?」
提督「生憎だが、俺は料理の上手な女性が趣味でね」
磯風「…むぅ」
俺の言葉に、磯風は顔を苦くする。
それを紛らわすようにコーヒーに口を付けて、更にその顔を歪めた。
磯風「………にがい」
提督「砂糖はセルフサービスだぞ、お客様」
磯風「…忘れていたよ」
角砂糖の入ったポットへ急いで手を伸ばし、適当な手付きで中身を引っ掴む。
いつもよりも砂糖の数が多いのは、口直しのつもりだろうか。
…あそこまで砂糖を入れたものはコーヒーじゃない、とは思うが…まあ、人の好みはそれぞれだ。
磯風「…しかし、先生は見事に動じないな」
提督「動じる?」
磯風「ああ、こんな場所で二人きりだぞ、少しは意識したらどうだ」
提督「バカ言え、聖職者たるもの、そんな気持ちは抱かん」
再び磯風は唇を曲げた。
甘いコーヒーを流し込んでも、今回はその苦さが取れないようだった。
提督「というか、磯風」
磯風「何だ?」
提督「それだ、何だその口調は…教室では敬語使ってる癖に」
磯風「…いや、あそこでは立場があるからな」
提督「立場?」
磯風「そう、教師と生徒という立場、後は周りの目線かな」
磯風「あそこで私がこんな口調で話しかけるのは、お互いの不利益だろう」
提督「ここなら良いって?」
磯風「ああ、ここにいる私達は…ふふ、ただの男と女だよ、先生」
例えばいけない気持ちを抱くことも――と。
舌を出して、妖しく笑う。
…つっても、微妙に似合ってないしその上無理してるのが透けて見えるのが悲しいところだ。
さて――
>>+2
A.無視。
B.…へぇ、いいのか?
C.………生暖かい目。
末尾Oだけやから… すまんな、通達はします
B.…へぇ、いいのか?(*1.5)
提督「…へぇ、いいのか?」
磯風「………か、構わないが…それがどうした、先生」
提督「だったら、俺も俺で聖職者の仮面を脱ぐぞ?」
磯風「…ふ、ふん、あまり出来もしないことを言わない方が」
提督「磯風」
磯風「ひうっ」
がた、と音が大きく鳴るように、わざと椅子を地面に擦りつけながら立ち上がる。
目の前の彼女は、びくっと震えて身体を固くした。
提督「……無理はするな」
磯風「………うん」
すまない―俯いて、再びカップに手を伸ばす。
…まあ、こんなもんで揺れるような人間ではないが。
この好意の処理を、どう行うかというのは…教師的に、結構大きな問題であろう。
磯風→ *19/500
正直いらないんじゃねと思うこともありますが、ご指摘の通り次スレからは明記致しますのでご容赦下さい
【4月3週】
天津風「…あーなーたー!」
提督「……ぐぅ、うん、ああ」
天津風「起きなさい!もう9時なのよー!」
提督「…休日だろう…今日くらい…」
天津風「ダメよ!いい!?あなたは教師でしょう?そういう弛みを持っているのが――」クドクド
提督「………」
天津風「だいたい、昔っからあなたは――」クドクド
提督「………」
なんか。
また母親と暮らしている時に戻ったみたいだ。
磯風 *19/500
神通 *78/500
イムヤ **0/500
天津風 **0/500
秋月 **0/500
>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ
リアルでファッ!?ってなった 何目指してんのかこれもうわかんねぇな
一人暮らしの時には気を遣わなかったものは、結構ある。
例えば、飯。
とにかく必要カロリーとエネルギーを満たせられるのならば何でもいいと思っていた。
きっと不健康な食生活だったのだろうが、それに気を払う余裕など無かった。
例えば、掃除。
たまの休日に掃除なんて面倒なことをする気にならず、家は汚れ放題。
とりあえず床の物を片付けるだけで、見えない埃やカビ、汗臭い布団はそのままで放置していた。
だからこそ、思う。
天津風「あなた、お風呂沸いたわよ?」
提督「…ありがとう」
見違える程綺麗になったフローリング。
食卓に並べられていた、すっかり空になった料理。
布団はさっきまで天日に干していて、シーツは洗いたてでピカピカだ。
提督「……天津風…」
天津風「………?」
提督「…お前がいてよかった……」
天津風「ちょ、ちょっと!?どうしたのよ、あなた!」
思わず、感極まれり。
手を取って拝み倒してみる。
提督「…いや、一人暮らしの時と色々違ってな、こう」
天津風「……大袈裟ね」
そんなこと気にしないでいいのよ、と笑う。
ああ畜生、良く出来た従姉妹だなぁこいつめ。
天津風「さ、お風呂、沸いてるわ」
>>+2
A.お前も一緒にどうだ。
B.それでも、感謝させてくれ。
C.今度からは俺もしっかり手伝わないとな。
A.お前も一緒にどうだ。(*0.5)
提督「お前も一緒にどうだ?」
天津風「…え?」
提督「風呂だよ、風呂」
天津風「…………お風呂?」
提督「ほら、昔は一緒に入ったこともあったろ?」
天津風「……………あなた」
提督「ん?」
天津風「いいからさっさと入ってきなさいーっ!」
提督「……へいっ」
天津風→ **2/500
【4月4週】
鳳翔「おはようございます、提督先生」
提督「鳳翔先生、どうも」
鳳翔「…あら、何のプリントですか、それ?」
提督「補修用の課題ですよ」
鳳翔「補修用…」
提督「どうにかわかりやすい様に作ってるんですけどね…うーん」
鳳翔「ふふ、手伝います」
提督「あ、これはどうも…」
磯風 *19/500
神通 *78/500
イムヤ **0/500
天津風 **2/500
秋月 **0/500
>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ
イムヤ「……なにこれ」
提督「補修課題」
イムヤ「何でなの!?」
提督「お前の成績が悪いからだよ!」
我が校では、4月に実力考査が行われる。
それは新入生も受験対象としていて、その名の通りとりあえず実力を測るために使う、のだが。
『社会 9点』
この答案を見た時、俺は割と目眩を覚えた。
ちなみに学年平均は79.4点だ。かなり高いほうだ。つまり簡単に作ったつもりだったのだ。
提督「さぁ、逃がさんぞ、やれ」
イムヤ「…うぅー……横暴だぁー…」
そんな訳で、これはさすがに見過ごせない。
そう思い、本来ならやる必要は無い課題まで作ってしまった。
勿論、解けない問題を解かせても意味は無い。
だから、教科書とにらめっこさせながら補修課題に取り組ませている。
最初はとにかく、正答を書くことが重要なのだ。
調べても良いから、自分の力で。
イムヤ「ねー…お兄ちゃーん…?」
提督「…………」
さて、明日の授業について少し確認するか…と仕事用ファイルを取り出したところで、響く声。
イムヤ「……ねーねー、お話しよー?」
提督「………」
…イムヤ。お前は全く昔と変わらないな。
でもそれは良いことじゃないぞ。
イムヤ「ねーってばー」
…はぁ――――
>>+2
A.付き合ってやる。
B.その問題、解けたらな。
C.無視を決め込む。
A.付き合ってやる。(*1.0)
イムヤ「ねー…ねー!」
……ああ。
微妙にこう、面倒臭い。
…はぁ、これでは勉強になどならんな。
提督「…何だよ」
イムヤ「やーっと反応してくれたー!イムヤのこと嫌いになったのかと思ったよー!?」
提督「そんな訳無いだろう」
イムヤ「よかったぁ…あ、それでね、お話っていうのはね――」
クラスであったこととか。
中学であったこととか。
会えない間にあったこととか。
話したいことはいっぱいあったらしい。
…しかし、勉強の方も本気でどうにかせねばならんな…。
イムヤ→ *41/500
わかったからもうやめてくだちい
【5月1週】
提督「そうだな、じゃあこの時使われた文字は…イムヤ、どうだ?」
イムヤ「……お…先生っ」
提督「…なんだ?」
イムヤ「な、何でイムヤばっかり当てるのー…?」
提督「いや、しっかり覚えてほしいからなあ」
イムヤ「こんなのいじめだよー!」
磯風 *19/500
神通 *78/500
イムヤ **0/500
天津風 **2/500
秋月 **0/500
>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ
おやすみなさい
お手数を更にお掛けすることになって申し訳ありませんが、選択肢安価においてのみ単発取得は全て安価下とさせていただきます
キャラ・コンマは何発でも構わないです
天津風コミュから
バケツの底をひっくり返したような雨。
それは唐突に、突然に俺の前に現れた。
いやさ、何の事はない、つまり自宅の最寄り駅から歩いて帰るまでに濡れ鼠になったというだけだ。
スーツはびしょびしょ、これは恐らく下着まで達しているだろうと、股のあたりに感じた冷たさに思わず頭を抱える。
提督「…たでーまー…」
天津風「おか――って、凄い格好じゃない!?傘持ってなかったの!?」
提督「朝、晴れてたからさ」
天津風「はぁ…だったらこう、途中でコンビニにでも寄ってビニール傘でも買うとか」
提督「考えることは、皆一緒ってこった」
天津風「…とりあえず、お風呂に入った方が良いわ、それと、ああもう、スーツが酷い有様ね…」
今週末は折り畳み傘を――なんて、ぶつぶつ呟くのはそんな事。
…こいつマジで高校1年生なのだろうか。
既に死別した俺の母親の魂が乗り移ったんじゃないかと本気で天津風を見ていると、それに気付いたのか彼女も俺を見た。
天津風「……どうしたのよ、あなた?」
提督「……あなた、ねぇ」
天津風「………?」
昔からの呼び名ではある、あるが…。
なんだろう、今の状態でそれを言われると少し、こう…夫婦的な感じもしないでもない。
ああ、そうこうしているうちに天津風が死んだ母親でなく、むしろ未来の妻に見えた。
…一部、というか多くの部分が容量不足であるが、まあ、保留で。
要するに俺は疲れていたのだろう。
仕事の疲労に雨の追い討ち、なるほど思考を蕩けさせるには十分だった。
天津風「…どうしたのよ、ジッとこっち見て…」
そんな視線に気づいた彼女。
またもや怪訝そうに俺を見る。
提督「ん――」
>>+2
A.何で、その呼び方なんだっけ?
B.…夫婦みたいじゃないか?
C.…何でもない、シャワー浴びてくるよ。
B.…夫婦みたいじゃないか?(*1.5)
提督「…夫婦みたいじゃないか?」
天津風「………へ?」
浮かべたのは、呆けた顔。
俺の鞄を受け取ったその態勢でしばらくそのまま固まって、やっと思考回路が繋がったらしい。
天津風「…夫婦?」
提督「そう、あなた」
天津風「………~っ!?」
そして繋がった思考回路はしっかりと俺の言葉に対する理解を示してくれたようで。
しっかりと顔を赤く染めてくれた。
提督「……天津風?」
までは、良かったが。
それからの再起動がない。
天津風「……ふ、ふーふ、夫婦…」
どころか、夫婦、と何度も呟いて何となく満足気な笑みを浮かべちゃったりする有り様。
…これは少し、誂いすぎたようだ。
というわけで、俺は渡されたタオルで簡単に水を拭い、彼女の横を通りすぎて風呂場へ。
……ああ、疲れてんなぁ、今日。
天津風→ 128/500
前作投げたのは話がクソすぎて嫌になっただけだから…
【5月2週】
提督「………」
「………」
提督「那珂」
「…なんですかー…」
提督「俺はお前の事を心配しているんだ」
「だーいじょうぶ!那珂ちゃんはアイドルになるからね!」
提督「…はぁ、…そればかりだが、お前は何を根拠に…」
「えっへん!この前ね、笑顔が素敵だってスカウトされたんだ!」
提督「………怪しい業者にか?」
「違うから!アイドルにだよ!」
提督「……えぇ」
「名刺もホンモノだったもん!」
提督「………とりあえず、蒼龍先生とも相談してみないとなぁ」
「なんで嘘と決め付けてかかってんの!?」
磯風 *19/500
神通 *78/500
イムヤ *41/500
天津風 128/500
秋月 **0/500
>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ
剥き出しの好意は、本来心地良いものだ。
自分を信頼してくれているとか、自分を想ってくれているとか。
そんな相手と話す時に悪い気はしない、相手がよっぽど嫌いな人間でない限りは。
さて、目の前の少女は嫌な人間か、と問われれば否であり、むしろ好きな部類に値する。
この社会科準備室での暇つぶしに付き合ってくれる奇特な人間であり、話をしていても面白く、節々で感じる少し背伸びしたところは可愛いと思う。
だが、向こうから好意をぶつけられるとあっては困りものだ。
なにせ俺は教師で向こうは生徒。
この場合、好意を断っても受け入れても非常に不利益が発生する事となる。
つまり―結局俺が出す答えは、一つ。
提督「磯風、ほら、コーヒー」
磯風「うん、どうも、先生」
固い動作で優雅にカップを口につけて、砂糖を入れ忘れた事にそこで初めて気付いて舌を出す彼女の好意に、気付かないふりをする。
あくまで、ただの暇つぶしの話し相手と、そんな風に思い込む。
こうなると、彼女がそれを仕舞ってくれているのが幸いだ。
流石に吐露されてしまうと、いくらなんでも聞こえないふりで乗り切るわけにもいかなくなる。
尤も、懲戒免職にも停職にもなりたくはないので、その場合でも出す答えなど一つなのだが。
そうなればこのコーヒーブレイクが失われてしまうのか、と思えば少し心が曇った。
磯風「どうした、先生」
提督「うん?」
磯風「浮かない顔をしているな、と思ったんだ」
年頃の少女というのは皆表情の変化に鋭い、それとも俺の隠し方が下手なのか。
どちらでもさしたる差異は無いが、とりあえず適当な話題を挙げて誤魔化した。
提督「いや…コーヒーメーカー、持ち込もうかなってさ」
磯風「ほう」
少女は目を開いて、口元を緩め、存外の食いつきを見せた。
それは素晴らしい提案だと、表情が雄弁に語っていた。
磯風「いいね、いや、私は味などわからんが、香りが段違いだと聞く、それだけでも心が踊る」
磯風「ふふ、なかなかどうして素敵な提案だ、先生」
その笑顔に先程までの悩みを思い出し、喉へ苦さが残った。
全く、女子高教師などろくでもない仕事である。
提督「そりゃ重畳、買うかな、ほんとに」
磯風「是非ともそうして欲しい、ふふ、いいなぁ、うん」
大人びた喋りに混じる、子供の笑い声。
この年頃にしか出せないそのアンバランスさが、妙に魅力的に聞こえた。
って、いかん、俺が流されてどうする。
…さて、どうしたもんか――
>>+2
A.…まぁ、しばらくはこのままでもいいか。
B.…やんわりと、あまり来るなと注意してみるか。
C.…ああ、他の誰かを呼んでみるのは…。
C.…ああ、他の誰かを呼んでみるのは…。(*0.5)
…ああ。
そうだ、他の誰かを呼んでみるのはどうだろう。
緩衝材というか、緩和剤というか。
そのような働きと言ってしまうのは些か言葉が過ぎるが、多少なりとも役に立つはずだ。
加えて、単純に話し相手が増えるのは嬉しい。
それが女の子であるなら尚更―だ。
提督「磯風」
磯風「うん?」
我天啓を得たり、と声を出す。
心なしかいつもより声が高いのを不審に思ったのか、磯風は殊更に首を曲げた。
提督「他にも誰か、此処に呼べないか?」
磯風「………」
…が。
どうにも、それを妙案だと思ったのは俺一人のようだった。
少女は笑顔を固くして、さらに浅く溜息などまで吐く。
磯風「…どうしてだい?」
提督「……い、いや…賑いが、な」
自分よりも一回り二回りも小さな身体の少女が纏った妙な迫力は、俺の言葉を留まらせるに十分だった。
ついでに目を逸らしてしまう辺り、どうにも俺は腰抜けだ。
磯風「……まあ、考えておこう」
提督「……あ、ああ…」
善処する、前向きに検討する、考えておく、気が向いたら。
それらはつまり、一般的にお断りの言葉であるのだ。
磯風→ *63/500
【5月3週】
提督「神通、……凄いな、何だこの点数」
神通「…い、いえ…別に…その、教えられたことをやったまでです」
提督「うーむ…何でお前うちの学校来たんだ…?」
神通「姉がいたので…それだけ、です」
神通「…でも、来てよかったなぁ…って…」ボソッ
提督「ん?」
神通「…い、いえっ!なんでもっ!なんでも…ない、です」
磯風 *63/500
神通 *78/500
イムヤ *41/500
天津風 128/500
秋月 **0/500
>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ
一年生―それもこの時期の彼女らなど、はっきり言って中学生と何ら変わらない。
姦しいお喋りは留まることなく、授業に集中した様子を見受けられる者も少なく。
これに腹を立てる教諭陣も多いが、まあ、俺からすれば微笑ましいくらいにしか映らない。
昔の自分という何よりの例もあるし、一年経って成長した姿を見比べて感慨にふけるのもまた面白い。
……しっかしなぁ。
天津風「……………」
その統率バラバラの生徒の中で、一人だけあまりに異質な少女。
勿論真面目にノートを取っているのは彼女だけじゃないが、あそこまで肩肘張って授業を受ける態勢を作らなくても。
あいつ、もしかして他の授業でもあの態度なのか?
疲れるだろうに、ようやるもんだ。
提督「…えー、いいか、シュメール人は――」
かりかりかりかり。
天津風のペンを持つ手はひっきりなしにノートを叩く。
…几帳面だからなあ、昔から。
悪い事ではないが、息抜きもまた重要だ。
授業時間50分、ずっと授業を受ける姿勢を作っているのはむしろ効率が悪い。
適度に疲労を抜いてやらねば、勉強の妨げになる。
さて――
>>+2
A.いつか気付いてくれ、それに。
B.…いきなり質問して驚かせてやる。
C.板書時間と称して休憩時間を入れるか。
B.…いきなり質問して驚かせてやる(*1.5)
提督「さて、天津風」
天津風「…えっ!?」
ぽき。
急激に加わった力に、シャー芯は脆くも力尽きた。
掛けられると思っていなかった声に驚いたのだろう、瞳は困惑の一文字で染まっていた。
提督「今日の昼飯はなんだ?」
天津風「えー…と、…回鍋――って、なんなの…何なんですか、その質問は!?」
提督「いやいや」
椅子をけたたましく鳴らして立ち上がる天津風を、どうどう、と手で押し止める。
提督「真面目に授業を受けるのはいいが、ずっとその調子だと疲れるだろう?」
天津風「…そんなことないわ…ないです!」
提督「そういう風にできてるんだよ、人は」
提督「だから、ずっと勉強の事ばっかり考えてないで、たまにはお昼ごはんの事でも考えて気を紛らわせなさい」
天津風「………むぅ」
納得行かぬ、そんな表情で彼女は席に座った。
けれどとりあえず、その言葉の意味について考えてはくれているようだ。
…そりゃすぐに納得はせんだろうけど、考えてくれるだけでも十分。
人の意識の改革など、急いだとて詮無きこと。
「せんせー!じゃあ私達も他の事考えていいですかー!?」
提督「………あのなぁ」
ま、高校生なんてこんなもんで。
どんな風にも、変わるのには時間が掛かるのだ。
天津風→ 168/500
【5月4週】
教育とは難しい。
見守りすぎても、手を出しすぎても失格だ。
その程々のラインを見つけなければ、真の教育者にはなれない。
そもそも真の教育者って何だろうと思うけど。
提督「………」
イムヤ「……うぅー…」
んでまぁ、例えば。
全く進んでないプリントの前で四苦八苦する幼馴染。
これに簡単に手を差し伸べるのも、かといってこのまま放置するのもどちらも失格に思える。
教育の神様、助けてくれ。
お前が今開いているページに答えが載っている、そう言いたい気持ちは抑えていいのか開放していいのか。
イムヤ「…あっ!」
…おお、見つけたらしい。
…サンキュー神様。
磯風 *19/500
神通 *78/500
イムヤ *41/500
天津風 168/500
秋月 **0/500
>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ
別にコーヒーメーカーを導入したところで、その漆黒の液体が素晴らしい様変わりなどするわけでなし。
磯風「……何だい?」
提督「別にー」
少女は今日はしっかりと砂糖を忘れずに落として、さしたる影響も無さそうにカップを傾けていた。
気付いて欲しかったわけではないが、何となく寂しいものだ。
疑問符を浮かべる少女を尻目に俺も口の中に液体を注ぐ。
うむ、素晴らしいような気がする。
…ま、こんなことを言う俺だってこの程度だ。
立場が逆なら、気付いていないかもしれない。
…だが…うん、この前の笑顔に負けてわざわざ通販で買ったというのに、無反応は中々に虚しいな。
磯風「……なあ、先生」
提督「…ん?」
そんな気持ちを心で燻らせていると、磯風が口を開いた。
彼女はんー、とかあー、とか唸って、躊躇いがちに続けた。
磯風「いや…その、間違いだったら、申し訳ないんだがな」
磯風「…もしかして、…新しいインスタントコーヒーを開けたのか?」
なんだかいつもよりも美味しい気がする、と伏し目がちに言う。
ははぁ、なるほど、今までの失敗で尻込みしていたのか。
そう思うとなんだか可笑しい気持ちになって、知らず笑い声が漏れる。
磯風「あ、あー…いや、違うなら…な、いいんだが」
それを失笑と勘違いしたらしい磯風が、バツの悪そうに長髪へと手を伸ばす。
提督「いやいや、正解だよ、お前がお求めだった機械を導入したんだ」
磯風「え……」
その言葉の意味を噛み砕く時間を少しばかり要して、そしてそれが終わった途端に唇を曲げた。
磯風「…黙っていたのか」
提督「悪い悪い」
磯風「…悪趣味だ、先生は」
言いつつ、もう一度カップを傾ける。
一見不機嫌そうながらも、コーヒーの味を見ぬいた事は嬉しいようで。
瞳の奥に、笑顔が見えた。
全く、やっぱりどこか子供らしい。
磯風「先生は、そうやっていつも私を誂う」
磯風「…嫌いなのか?」
誰が、とは言わなかったが、指している対象は容易に想像できた。
ふむ――
>>+2
A.さぁ、そうかもな。
B.とんでもない。
C.磯風の困り顔が好きなんだ。
A.さぁ、そうかもな。(*0.5)
提督「さぁ、そうかもな」
わざとらしく笑いを浮かべて、言ってみる。
何を言い返してくるかと予測したその言葉には、しかし何も返ってこなかった。
磯風「………そうか」
提督「……ん」
冗談だと、それはきっと彼女にも伝わったはずだ。
それでも、たとえ冗談だとしても―その肯定は恐らく、それなりに彼女にとっては辛いものだったのだろう。
好意を察していながらこの有様では、流石に少し発言を後悔した。
流れたのは、微妙な空気。
言葉を発すれば流れてしまうほどの淀みなのに、何かを言う事を躊躇った。
正確には、何を言えばいいかわからなかった。
提督「…おかわり、いるか?」
磯風「……いや、まだ残っているから」
提督「…そうか」
結局、新しい機械が始めた役目を果たしたその日。
俺達がコーヒーを飲んだ量は、いつもより少なかった。
磯風→ *87/500
【6月1週】
提督「……さて、なぁ」
天津風「…何よ?」
提督「…いや、なぜに弁当がハートマークに彩られておるのかと」
天津風「れ、練習なの!将来に向けての!」
提督「…だとしたら彼氏にこれをもたせるのは未来永劫やめておいた方が良いとアドバイスしておこうか」
天津風「…食べてくれないの?」
提督「……ちくしょー」
磯風 *87/500
神通 *78/500
イムヤ *41/500
天津風 168/500
秋月 **0/500
>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ
寝る
色々手間掛けてごめん
補足
3年生
2年生 神通 秋月 磯風(全員クラスは同じ、担任)
1年生 イムヤ 天津風(クラス別)
ああ、気付いたからついでに訂正しとこ
>>753 新しい機械が始めた→新しい機械が初めて
普段はしないけどめちゃくちゃ気になったから、ごめん
酒入ってるから日本語怪しいかも
天津風コミュから
大学を卒業してから帰った実家。
そこは親戚によって定期的に掃除されていたお陰で住める環境ではあったが、ひどく寂しい場所であった。
父は大学進学の際に他界していたし、母も在学中に亡くなって。
あれだけ狭くて飛び出したかった実家は、帰ってみれば嘆息するほどに広くなっていた。
勝手に食事は出てこない、見送ってくれる人もいない。
ただいまにも、いってきますにも返答はなかった。
提督「…ただいま」
天津風「おかえりなさい、あなた」
提督「おう、良い匂いだな、今日は煮物か?」
天津風「ええ、肉じゃがなのよ」
ふふん、と笑う天津風。
その可愛らしいエプロン姿の奥に、かつての実家の光景が見えた。
どうして、だろうか。
こんなやりとりに、どうしようもないほどに心が安らぐのは。
家に帰ったら、誰かが居る。
食事の用意をしてくれて、一緒にそれを食べてくれる。
そんな事が、たまらなく嬉しいのは。
天津風「あなた?」
提督「…いや――」
>>+2
A.抱き締める。
B.ありがとよ、いつも。
C.母さんみたいだな、お前。
C.母さんみたいだな、お前。(*0,5)
提督「…母さんみたいだな、お前」
天津風「……?」
提督「お前見てると、死んだ母さん思い出すよ」
はは、と笑いながら言う。
そのまま靴を揃えて玄関に上がった時の事だった。
天津風が非常に微妙な表情をしているのに気付いたのは。
天津風「……それは…どういう意味かしら、あなた?」
提督「…あ、ああ!い、いや違うんだ!その、そういう老けてるとか言いたいんじゃなくて、お前がその」
天津風「…ふん、…良いわよ、好きに思ってればいいじゃない」
提督「だから、本当に……」
天津風「ご飯、準備しとくから、着替えてから来て」
提督「………ぐぅ」
そう言って台所へと去っていく背中。
やはり、それにはどこか母の面影があった。
…いや、日本語って難しい。
天津風→ 202/500
【天津風―その1】
従兄、という存在は。
なんでも出来る人だって、ずっと思っていた。
小さい頃から、私に出来ないことが出来て。
私の知らないことを、たくさん知っていて。
いつも笑っていて、私のワガママにだって笑顔で応えてくれた。
だから―よく覚えていた。
おばさんのお葬式の時の、彼の顔を。
あの、寂しげな瞳を。
そんな彼を、支えたいと思った。
もう、あんな顔をさせたくないと思った。
いつもみたいに、笑っていて欲しかった。
少しは、役に立ててるの…かな。
【6月4週】
イムヤ「あーめあーめふーれふーれ♪」
提督「…………」
イムヤ「あ、お兄ちゃん!」
提督「…………おう」
高校1年生が、足元の水たまりを跳ねさせながら歩いている光景。
しかもその張本人が知り合い。
全力で無視したかったが、つい固まってしまって失敗。
磯風 *87/500
神通 *78/500
イムヤ *41/500
天津風 202/500
秋月 **0/500
>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ
イムヤ「おにーちゃーん!」
提督「はぐれるなよー」
沢山の人出で賑わう遊園地。
今日はイムヤと二人、そんな場所にやって来ていた。
ただし断じてデートなんて色っぽい話では無いと、前もって断言しておく。
この幼馴染の両親に今週末だけ面倒を見てほしいと頼まれ断りきれず。
暇潰ししてもらおうと頼りにしていた天津風は部活で夜までいない。
その間こいつとずっと家にいるのは…少し、なんか、うん、ぶっちゃけて言えば面倒臭い。
勉強させ続けようかとも思ったが、それは非常に文句を言われそうなので。
こうして子供の大好きな場所にやって来たのであった。
イムヤ「もー、いつまでも子供扱いしないでよー」
提督「そうやって頬を膨らませるのをやめれば、少しは大人になるんじゃないか?」
イムヤ「むー、いじわるー」
私だって成長してるもーんと唇を尖らせるが、先程から興味のあるものを見つけてはあっちへふらふらこっちへふらふら。
どの口で成長しているなどとのたまえたものか。
…ああ、身体は結構…まあビッグではないが、そこそこくらいには育ってる、か。
イムヤ「お兄ちゃん、あれのろあれのろ」
そんな思案をしている間にも、ずずいと後ろから俺を押す幼馴染。
…ふむ、思えば遊園地など久しぶりだ。
少しは俺も楽しんでやろうか、一つ決意して、イムヤの手を借りずに歩き出す。
提督「よし…ジェットコースターか!いいな!行くぞ!」
イムヤ「ちょ、い、いきなり早く歩かないでよぉ!」
さて――
>>+2
A.童心に帰ったつもりでイムヤも気にせずに駆け出す。
B.同行者の手を引いて歩き出す。
C.…うーん、やっぱ押してくれ、イムヤ。
C.…うーん、やっぱ押してくれ、イムヤ。(*1.0)
……うーん。
やる気を出した瞬間にそれが萎んでいった。
そんな日もあるさな。
提督「……はぁ」
イムヤ「……どしたの?」
提督「…やっぱ押してくれ」
イムヤ「ええー!?」
ああ、健気な幼馴染はまた俺を押して歩き始める。
…遊園地に来てワクワクしなくなったのって、いつからだっけなぁ。
イムヤ→ *97/500
【7月1週】
磯風「アイスコーヒー」
提督「いや、氷を持ち込むのは大変だった」
いつもの様にカップが出てくるのを待っていた磯風が、目の前に置かれた涼し気なグラスを見て目を丸くする。
それはすぐに、嬉しそうな表情へと変わった。
提督「暑いだろ?」
磯風「うん、先生は気が利くな」
提督「ま、お客様への最低限の気遣いだ」
磯風 *87/500
神通 *78/500
イムヤ *97/500
天津風 202/500
秋月 **0/500
>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ
この辺で、短くてごめんなさい
いつも遅くてごめんなさい
天津風コミュから
提督「あまつかぜー」
天津風「……………」
休日。
清々しいまでの晴天。
この前まではすっぽり空を覆っていた雲もどこかに追いやられ、元気な太陽が縁側の俺を照らしていた。
提督「あまつかぜってばー」
天津風「……………」
縁側の向こう、庭の物干し竿に洗濯物を干す天津風の、その集中たるやすさまじい。
なんせこうして俺がずっと呼んでいるというのに、全く聞こえないようなのであるから。
……無視されてる?なんのことやら。
提督「あまつかぜー」
天津風「……もう、何よ」
さて何度目か名前を呼んで。
やっと彼女は億劫そうに俺を見た。
手に持ったバスタオルが、風に吹かれてひらひらとはためいている。
この分なら風鈴でも飾っておけばさぞ涼し気な音を奏でてくれたろう、などと思いながら笑顔を作った。
提督「いや、腹減った」
天津風「……………」
表情が苦くなって、やがてそれは呆れを伴ったものになった。
多分、彼女の心情なんてこんなものだろう。
良い歳こいた大人がわざわざそれだけを言いにやって来たのか―と。
ふむ、いやはや、まさに全くその通りである。
まあ我ながら情けないものだ、でもお腹空いたから仕方ないよね。
目を細めたまま天津風が何を言うかと待っていると、そっぽを向いて。
天津風「……たまには」
提督「…ん?」
天津風「たまには、あなたの作った物が食べたいわ」
提督「………」
その返答があまりに予想外で、思わず少し言葉を失った。
何を言い出すかと思えば俺の料理を食べたいとは――
>>+2
A.お前が作った方がずっと美味しいだろう。
B.…わかった、たまにはな。
C.いや、無理。
B.…わかった、たまにはな。(*1.5)
…考えてみれば。
天津風が家に来てからというもの、彼女に家事は任せっぱなし。
厚意を当然のものと受け取っているだけで、ろくに感謝の言葉さえない。
このままじゃどうしようもないダメ人間じゃないか、俺。
提督「…わかった、たまにはな」
天津風「…本当?」
ならば、昼飯の支度くらいは承ろう。
勿論天津風の今までの働きになど比べるべくもないが…。
提督「…なら、…そうだな、焼きそばでも作るか、一人の時によく作ってたし」
天津風「…う、うんっ、楽しみにしてるわ」
せめて、頼み事くらいは、と。
そう思って作った昼食は、やはり天津風が作るものに比べると微妙であった。
味がやたら濃かったり、野菜の切り方は雑だったり。
でも、彼女は嬉しそうに笑って、美味しいと、そう言ってくれたのだった。
天津風→ 259/500
【7月2週】
提督「秋月」
秋月「…………」ポケー
提督「秋月、聞いているか?」
秋月「…雲……」ポケー
提督「……雲?」チラッ
秋月「…あの雲…綿菓子みたいで……甘そう…ふふ…」ジュルリ
提督「………秋月?」
秋月「へ、あ、えっ!?な、何でしょうか先生!?」
提督「……腹でも減っているのか?」
磯風 *87/500
神通 *78/500
イムヤ *97/500
天津風 250/500
秋月 **0/500
>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ
磯風「……夏休みか…」
提督「ああ、夏休みだよ、…俺達に休みは無いけどな」
磯風「いいじゃないか、先生はそれで給料を貰っているんだから」
提督「…まあ、そうだけどさ」
手元のグラスを口に寄せれば、氷同士のぶつかる高い音。
そこに注がれたアイスコーヒーは、段々と適当な物になっていって。
今ではボトル詰めの1リットル百円のコーヒーにまで成り下がった。
磯風「しかし…暑いな、此処は」
提督「扇風機くらいしかねーからなー」
磯風「…先生」
提督「ん?」
磯風「いや、先生は一体何を好き好んでこんな部屋で放課後を過ごすようになったんだ?」
こんな部屋―とは。
また随分な言い草であるとは思うが、なるほど確かにその通りでもある。
校舎の外れ、立地は最悪の社会科準備室。
冷房暖房、加湿除湿、その他装置は無い。
夏は扇風機、冬は小さな電気ストーブが唯一の友。
だけれど、こんな部屋までわざわざ俺が出張してくる理由というのは、しっかり存在する。
提督「や、そりゃコーヒー飲むだけなら職員室でもいいんだけどさ」
提督「なんつーか、学生の頃、こういうのに憧れてて」
磯風「というと?」
提督「そう、学校の中にある秘密基地」
磯風「…秘密基地」
ヒミツキチ、と何だかよくわからない物へ触れたかのように復唱する。
それからややあって、彼女は笑みを漏らし始めた。
磯風「なんだ、先生は子供だな」
提督「いつまでも子供の心を忘れないのは大事だよ、磯風君」
提督「…ま、単純に一人になれる場所が欲しかったってのもあるけどさ」
グラスを傾ける。
中の液体を一気に嚥下すると、喉に残るひやりとした感触が心地良かった。
磯風「…一人に、か」
そこで彼女を見て、また自分が不適切な言葉を言ってしまったことに気づく。
提督「……ああ、その」
磯風「…先生、…私は、邪魔か?」
磯風が、真っ直ぐに俺を見つめた。
>>+2
A.…んなこたない。
B.…かもな。
C.磯風なら、構わない。
B.…かもな。(*1.5)
提督「…かもな」
少なくとも、彼女が来て一人になる時間は確実に減ったわけだし。
勿論それはそれで悪い物ではないけど、本来の目的からすると外れている―ということになるだろう。
だからその言葉は、そんな心境が覗かせた悪戯心のようなもの、だったが。
磯風「……そうか」
それが冗談ということがわからない程鈍くはなかろう彼女は。
気まずそうに目を逸らして、俯いた。
以前のごとく、流れる沈黙。
提督「…そんな神妙な顔をするなよ、磯風、冗談だ」
磯風「……うん」
磯風「…なあ、先生」
提督「どうした?」
磯風「……また、来てもいいのだろうか?」
提督「ああ、勿論」
磯風「…ありがとう」
磯風→ 133/500
【7月3週】
イムヤ「海ー!」
提督「いってらっしゃい」
イムヤ「一緒に行こうよー!」
提督「…や、忙しいんだよ」
イムヤ「行きたいー!」
提督「……天津風」
天津風「ごめんなさい、部活があるのよ」
イムヤ「海ー!」
提督「はは、海はダメだが庭に子供用プールでも膨らませて…」
イムヤ「いいの!?」
提督「……え、それでいいの?」
磯風 133/500
神通 *78/500
イムヤ *97/500
天津風 250/500
秋月 **0/500
>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ
おやすみなさい
休みます
明日も無理です
17:00~くらいで、秋月コミュから
無理な場合は22:00~位になりますが、そん時は16時くらいに連絡します
提督「秋月ー」
秋月「…はい?」
提督「良かった、残ってたか」
3年からの文理希望調査用紙を持って、教室の秋月の机へ。
そして机にその紙を置き、とんとんと叩く。
提督「…一応、これはこの前とは違うんだけどな」
秋月「……えっと」
提督「文理選択の希望用紙だからさ…まあ、これは少し困る」
「就職」と書かれた二文字。
流石にこの紙に書かれていることを理解できないような娘じゃなかろうに、どういう訳だろうか。
秋月「…ごめんなさい、それしか考えられないんです」
提督「…いや、そう言われてもなぁ…これをそのまま先生方の所に出すのは…」
そりゃ勿論就職する人間だってこの学校には大勢とは言えないが、いる。
けれど、それにしたって大多数が成績面でまるっきり無理だったり、受験勉強の辛さに心折れたりした者達で。
秋月の成績は上から数えるとすぐに出てくるような位置。
こうまで固執する以上、なにやら理由だってあるのだろうけれど…。
この成績の人間を受験レールに載せないと、俺が責められるのだ、学校から。
学校にとって後々有利になる進学実績を残せるであろう秋月―それが高卒就職となっては、担任の先生何やってるんですかと突っ込まれる世の中。
現に、これは一回学年主任に提出した後、説得してこいと突っ返されたものである。
と、そんなわけで、俺は秋月の事情と上の圧力で板挟み。
提督「あー…と、とにかくさ、文理どっちかでも書いてくれれば!うん!今回はまだ意識を問うくらいだし、それでいいから!」
こうなるともう今はさっさと乗り切って3年の担任に秋月の説得を押し付けちまえ、なんて考えるのも致し方ないことではなかろうか。
生徒と必要以上に関わるのと後の人間へ押し付けるのは、果たしてどちらが教師として正しいのか―と言われれば、それは甚だ疑問だが。
昨今の事情では、正直後者の対応が求められている気もするし。
秋月「…無理です」
提督「…そう言わずにさ、秋月…」
秋月「……ごめんなさい、失礼しますね」
なおも説得を続ける俺に構わず、席を立つ。
そのまま些か乱暴に、彼女が横を通りすぎようとした。
>>+2
A.…せめて事情だけでも。
B.…お手上げ。
C.肩を掴む。
B.…お手上げ。(*0.5)
提督「……はぁ」
教室のドアから出て行く彼女を見送って、溜息。
どうしようもないな、こりゃ。
手強い手強いとは思っていたがこうまでとは。
鳳翔先生に聞いた情報や、普段を見てると良い子なのに。
神通「…ふふ、先生、振られましたね」
提督「……見てたのか」
神通「はい、ばっちり、です」
何とも格好悪い場面を見せてしまったものだと、もっかい溜息。
神通「幸せ、逃げますよ」
提督「…癖になっちまってなぁ」
溜息が多いから幸せが逃げるのか。
幸せが逃げるから溜息が多いのか。
…どっちなのかなぁ。
秋月→ *19/500
【7月4週】
神通「あの」
提督「…ん?」
神通「夏休みも補修はありますか、先生?」
提督「…やりたいのか?」
神通「はい、部活もしてないですから、暇なんです」
提督「……何もわざわざ…」
神通「…やりたい、です」ジッ
提督「…………」
提督「……わかった、うん、都合が良ければ」
神通「本当ですか!?」
提督「…いえいえ、まあ意欲があるのはね、いいことですから」
神通「ありがとうございますっ、先生」
…こうして余計な仕事が増えた。
……しかし、どうしても断れなかったのだ。
磯風 133/500
神通 *78/500
イムヤ *97/500
天津風 250/500
秋月 *19/500
>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ
提督「………」
悩んでいた。
本日は1学期最終日で、今日を境に夏休みというものに突入することになる、のだが。
どうにもスッキリした気分で迎えられない。
それというのも秋月の再提出用紙が問題である。
文理志望の用紙、なるほど就職とは書かれていない。
しかし「どちらでも構いません」とは如何なるものであろうか。
…流石に、これはこれで提出できない。
業を煮やして上が秋月の進路を決めちまったら流石に困る。
秋月「先生、呼びましたか」
提督「…ああ、秋月、悪いな」
秋月「いえ……用紙のことですか?」
提督「…まぁ、そうなる」
聡い彼女、用件など言わずとも理解している様子で。
殊更面倒臭そうに表情を顰めていた。
秋月「……なぜ、ダメなのでしょうか」
提督「…なぜってなぁ…」
…ふむ、なぜ、と言われると。
微妙に困ったもんである。
………。
>>+2
A.秋月が怒られるかもしれない。
B.これじゃあ俺が困るんだ。
C.秋月の将来を俺なりに心配している。
C.秋月の将来を俺なりに心配している。(*1.5)
…模範的回答ではあるが。
こう言うのが、一番良いだろう。
提督「…秋月の将来を、俺なりに心配しているんだ」
提督「ほら、最近は高卒だと色々厳しかったりするしさ」
提督「勿論、だからって大学が絶対とは言わないぞ?だけど、最初っから選択肢を――」
秋月「わ、わかりました、わかりましたから」
早口で続ける俺を、秋月が両手で制す。
確かに模範的回答だけれど、これは俺がしっかりと秋月に伝えたいことでもあった。
苦労するのは本人で、やっぱり入りたいと思っても大学の社会人入学なんて本当に難しい。
特に一度就職すると、もうそれを考える余裕なんて無くなる。
そんな俺の熱意、その数分の1でも伝わればという逸る気持ちが、俺を早口にさせてしまった。
提督「いや、秋月…大事なんだ、聞いてくれ」
秋月「…か、考え直しますから、また、夏休みに持ってきますから」
提督「…そうか?…うん、ならいいが…」
秋月「……はぁ…」
無理やり押し付けるような形になった用紙を持って、秋月がとぼとぼと職員室を歩いて行く。
…いやぁ、うん、まあ、良かった良かった。
秋月→ 112/500
【艦これ】艦娘達と過ごすちょっとした学園もの★21【安価】
【艦これ】艦娘達と過ごすちょっとした学園もの★21【安価】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1422608265/)
次スレ、この後コンマ取って休憩
22:00~くらい、埋めネタから
まあこれから1ヶ月位かなり時間に余裕あるから何スレあってもよゆーよゆー
【8月1週】
提督「また素麺か」
天津風「…何よ、不満?」
提督「……不満」
天津風「…もう…実家から送ってきたのよ、しょうがないじゃない」
提督「まあ、そうなんだけどさぁ…」ズルズル
天津風「…これでも高いやつなのよ?」
提督「……素麺でアレンジ料理とか」
天津風「例えば?」
提督「………にゅうめん」
天津風「…こんな暑いのに?」
提督「……だよねぇ」
磯風 133/500
神通 *78/500
イムヤ *97/500
天津風 250/500
秋月 112/500
>>+1-5までのコンマに対応、最高値の子とコミュ
【団子よりも花、というお話】
その気持ちは何と呼称した物だろうか。
じわじわと、自分を蝕む気持ち。
清水に垂らされた汚水の一滴が如く、ゆっくり広がっていく黒さ。
「……………」
私は今日も、食が進まない。
「……赤城、どうした?」
心配そうに、それはもう心の底から心配そうに私を眺める彼。
その視線は目の前に置かれた食事へ向けられていた。
皆まで言うでもなく、言いたいことなど目がしっかりと語っている。
つまり、お前今日もそれだけしか食べないのか、と。
…確かに、心配する気持ちもわかる。
自分だって、これだけしか食が進まない事に驚いているのだから。
「…いえ、あの…ダイエット、です」
「……最近ずっとじゃないか、…無理してるんじゃ?」
「そんなことはありませんよ、平気ですから」
あまり納得の言っていないような表情でそうか、と頷く。
理由を隠したくはない。
言ってしまえば楽になる、そうは思う。
けれど、理由は貴方です、とでも言える程の強さは持っていなかった。
「…あの、提督くん」
「ん?」
「…いえ、…最近…吹雪ちゃん、でしたっけ、よく一緒にいますよね?」
「ああ、…つっても、結構昔からな気がするけどな」
最近って程でもない、笑う彼。
また、私を何かが蝕んだ。
「……お二人は、仲が良いのですね」
「誂うな、…普通だよ」
「…普通、ですか」
「付き合いの長い友達なんだ」
「なるほど」
箸で、学食のとんかつを掴んで口へ。
さくっと心地の良い食感がしたが、味は良くわからなかった。
「……提督くんっ!」
「…っと、わっ、吹雪!?」
その時だった、彼の肩の上に顔。
後ろからやって来た彼女が、勢いを殺しきれないで彼にぶつかる。
「お前こら、人が飯食ってる時に何やってんだよ」
「あ、あはは…ごめんなさい、あの、うれしくって」
「嬉しい?」
「はいっ!じゃーん!学食の限定パンです!」
「……おま…これ買えたのか?」
「はいっ!ふふん、どうですか?」
「…どうですかってなんだよ」
「欲しいですかー?って」
「……いらん」
「…えー、あんなに食べたがってたじゃないですかー」
「お前が買ったものなんて食えるかっ!」
「…じゃあいいです、あげません」
「……ま、待てよ吹雪、何本気にしてんだって、ちょっとした茶目っ気だろ?」
「………茶目っ気…へぇー…」
「いやぁ、吹雪さんの優しさを信じてんだけどなぁ、俺!」
「はぁ、しょうがないですね、はいっ」
「サンキュー!いやあ、食いたかったんだよ!チョコクリームパンだっけ?」
「はい、ベルギー産なんですよ!」
「お前が威張ってどうするんだ」
「私が買ってきたんですから!」
彼の手に、パンをポトリとひとちぎり。
さも大切そうな物のようにそれを扱う彼が、なんだか癪に障った。
「………あ、あの…?」
「……ん、…っておい赤城、何怖い顔してんだ」
「…え?」
突然此方を向いた視線。
二つの目は、私を不思議そうに見ていて。
自らが今、相当に険しい表情をしていたことに気付く。
「……あ、ごめんなさい…何か、勝手に入ってきて」
「い、いえ…構わないんですよ、此方こそ」
ごめんなさい、と言おうとして、なぜだかその言葉は続かずに。
ただほんの少しだけ頭を下げた。
「…吹雪、いいか、こいつが気にしてるのはそんなことじゃない」
「…え?」
「……パンだよ、お前がそんなもん持ってくるから、それを睨んでるんだ」
「………パン?」
「ほら、こいつにも一口あげなさい」
「……あ、ああ!」
「勝手に人が飯食ってる所に乱入してきて盛り上がった挙句、最後まで無視する気だったんだな」
「ち、違いますよぅ!嬉しくて、えーと、提督くんに自慢しようかなって!」
「というか、人聞きの悪い事言わないで下さい!」
気が利かなくてごめんなさい、差し出された、ひとかけらのパン。
ありがとうございます、とそれを受け取って。
私はただ手の上のそれを、ずっと眺めていた。
水は、このまま濁っていって。
いつしか全て汚水に変わってしまうのだろうか。
…そうしたら。
その時、私は。
握った右手で、くしゃりと軽い感触がした。
中身のチョコクリームが飛び出して、手を茶色く染めていた。
【終】
オチは…ないっ!
うめる
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