浜風「深海棲艦が鎮守府まで襲って来ないなんて誰が言ったのですか」

浜風「奴らにとって、敵の拠点であるこの鎮守府は落としておきたい要所のはず」


浜風「現にアニメでは襲われていたじゃないですか」

提督「いやでも………」

浜風「戦争時に、本丸を落とそうとしない敵なんて存在しない………そうでしょう？」

提督「う、う～む……そう言われればそうだけど……」

浜風「故にいつ何時も油断はできません。例えそれが鎮守府内に置いてでもです」


浜風「深海棲艦が、スパイや暗殺者を送り込んでる可能性だってあるのですから」

提督「いや流石にそれはないだろ……」

浜風「いえ、十分にあり得る話です」


浜風「提督はこの鎮守府の要。我々艦娘にとって唯一無二のものです」

浜風「深海側からすれば何としてでも抹殺したい対象！　スパイや暗殺者を一個師団送り込んできてもおかしくはありません」

提督「十分おかしいと思うんですけど……」


浜風「ですがご安心を。この浜風、命に代えてでも提督の身を守り抜きます！」

浜風「なので提督は安心して業務をしてください」

提督「お、おう……」

提督「ま、まぁいいや………それじゃ、仕事を開始するかな」

浜風「はい。では失礼します」

提督「えっ？」


抱きっ！


提督「ちょ浜風！？　な、なんだ！？　急に抱き付いてきてどうした！？」

浜風「提督の身を守るためです」

浜風「こうして私が零距離にいれば、どこから敵が攻め込んできても素早く対応することができます」

浜風「万が一の場合、提督を庇う盾にもなれますし」

提督「いや、だからっておま………これじゃ仕事しにくいんだけど？」

浜風「申し訳ありません」


浜風「ですがこれも、提督の身を守るための、致し方ないコラテラルダメージです」

提督「弥生に似ている大尉みたいなこと言うのやめいッ！！」

浜風「」ｷﾞｭｳｳｳｳｳｯ

提督「う、う～ん……」

浜風「」ｷﾞｭｳｳｳｳｳｳｳｯ

提督「ぐぬぬぬぬ……」


提督（だ、ダメだ……全然仕事に集中できない）

提督（浜風のたわわな二つのグレープフルーツが密接してなんとも……）


ﾑｸﾑｸﾑｸﾑｸﾑｸ


提督（い、いかん！　ムスコに血流が―――アカン！　抑えきれへん！？）


浜風「ん？　どうされたのですか提督？　急に前かがみになって？」

提督「いや、その……」

浜風「どこか具合でも悪いのですか？」

提督「お、女の子には一生わからんことだ………」

浜風「？？？」

ガチャリ


金剛「ＨＥＹ、提督ぅー！　グッモーニンデース！！」

提督「うおっ！？　金剛！？」

金剛「今日も一日、私のバーニングラーブで提督のハートを掴み―――って何してるんデースか！？」


金剛「なんでハマカゼが提督にハグしてるネー！？」

浜風「見ての通り、秘書艦として提督の身を守っているだけです」

金剛「提督をガードするのにハグする必要なんてないデス！　私にはイチャついてるようにしか見えないデース！」


提督「正論だよなぁ……」

浜風「そんなことありません。これは非常に利に適った護衛方法です」


浜風「現に貴方がいつものように提督に抱き付こうとしても、私がこうしているせいでできなかったじゃないですか」

金剛「うっ！　そ、それは……」


浜風「提督は大事な業務の最中。貴方がスキンシップをとろうとしたら仕事の能率が下がってしまいます」

提督（浜風が抱き付いてる時点で十分邪魔なのだが……）


浜風「秘書艦として、私は絶対に提督を守り抜きます」

浜風「例えそれが金剛………貴方が相手だとしても！！」

金剛「ぐぬぬぬぬ！」

金剛「くっ、隙がないデース……」


浜風「………」ｷﾞｭｳｳｳｳｳｳｳｯ

金剛「………」



金剛「フッ、いいでしょう。今日のところは私の負けデース……」


金剛「でも覚えておくネー！　最後に提督のハートを掴むのは、この私だということを！！」


金剛「では、see you again♪」


ﾀｯﾀﾀﾀﾀﾀｯ


浜風「やりましたね提督！　我々の勝利です！」

提督「お前らは一体何と戦ってるんだ！？」

――――――――――――――

――――――――――


提督「さてと、そろそろお昼の時間だな。浜風、食堂で一緒に飯でも食うか」

浜風「お待ちください提督、それは危険です」

提督「き、危険って………何が？」

浜風「大多数が集まる施設で食事だなんて、暗殺者にとっていい的になるだけです！」

提督「だから暗殺者なんていないっての」


浜風「食事に毒を盛られる可能性だってあるのですよ？」

提督「おいおい、いくらなんでもそれはないだろう！」

提督「浜風……疑わしいにも程があるぞ？　食事を作ってくれる間宮に対し失礼だ！」

提督「仲間のことは、最低限信じてあげないと」


浜風「私だって、仲間のことは信用しています。しかし―――」


浜風「艦娘とて所詮は人の子。深海棲艦から多大な報酬を約束されたのなら、裏切ったとしてもおかしくはありません」

提督「全然信用してないじゃないかッ！！」

提督「それじゃ何か？　昼飯は食うなってこと！？」

浜風「ご安心を。私が昼食を用意しております」つ弁当


提督「おお、手作り弁当………浜風が作ったのか？」

浜風「は、はい……私が作ったので、味に期待しないで欲しいですが……でも、毒の心配はありません！」

提督「まぁ、そこは全然心配してないが」


浜風「な、なので……///」

浜風「私が提督のために作ったお弁当………」





浜風「た、食べりゅ……?///」






提督「うわぁぁぁぁぁッッ！！　中の妖精さんが同じぃぃぃッッ！？]


提督「食べりゅううううううううううううッッッッッッ！！！！！」

――――――――――――――

――――――――


提督「ふぅ、食った食った」

浜風「お口に合ったでしょうか？」

提督「ああ、美味しかったよ。ありがとうな、浜風」

浜風「い、いえ……///　これも秘書艦としての任務のうちです……///」


提督「さてと、それじゃ仕事の続きをしますかねぇ」

浜風「了解。それでは―――」


抱きっ


提督「やっぱりまた抱き付いてくるのか………」

浜風「これも提督を守るためです」

浜風「」ｷﾞｭｳｳｳｳｳｯ

提督「ぐおおおっ………！？」


提督(このままじゃまともに仕事なんてできへん！　なんとかして浜風を言いくるめて離れさせなければ！！）


提督「浜風、ちょっと聞いてくれ」

浜風「なんでしょうか？」ｷﾞｭｳｳｳｳｳｯ

提督「お前がそうやって俺の身を案じてくれること自体は嬉しい。だが、そんなものは俺には不要だ」


提督「俺とて帝国海軍軍人の端くれ！　お国のためなら死など恐れはしない！！」

提督「だから俺の護衛などに気をかけないでいい。いざという時の覚悟ぐらいできている」

提督「それが、お前たちの指揮をとる提督としての覚悟だ！！」


浜風「提督………」

浜風「いいセリフですね。感動的ですね」




浜風「だが無意味です」




提督「えええええええええええぇぇぇぇぇッッ！！？？」

浜風「そんな古臭い軍人魂を持ったところで、何の役にも立ちませんよ」

提督「お、お前……仮にも艦娘のくせに、海軍の理念を全否定かよ……」

浜風「覚悟があろうがなかろうが、提督がいなくなればこの鎮守府は実質機能しないも当然。深海棲艦に負けたのと同意義になります」

浜風「貴方は、いてもいなくても鎮守府に影響を与えないアニメ提督とは違うのですよ」

提督「アニメディス発言はやめろっての。二期も決定したんんだからさぁ」


浜風「総大将ならば死ぬ覚悟よりも、最後まで生き抜いて、私達を指揮し続ける覚悟こそが必要なはずです」

浜風「それが上に立つ者の責任というもの………そうでしょう？」

提督「た、確かに………その通りかもしれん」

浜風「なら、提督を守るのは必須ということになりますね？」

提督「あっ、うん……」

浜風「では、引き続き護衛をいたします」ｷﾞｭｳｳｳｳｳｯ

提督「………」



提督（―――ハッ！？　逆に言いくるめられた！？）

提督「は、浜風……やっぱりその……お前のその立派なものを押し付けられると……仕事できｒｙ」


浜風「えっ、なんですか？」ｷﾞｭｳｳｳｳｳｳｳｯ!!!

提督「ふおおッ！！？？」

ﾑｸﾑｸﾑｸ


提督（や、やばい！　ムスコがもう限界だ！　誤魔化しきれん！？）

提督（無理矢理にでも浜風を引き離さないと―――））


提督「は、浜風！　ほんの少しでいいからマジで離れ―――」

　フラッ！

浜風「えっ」

提督「あっ、やば！（しまった！　体制が崩れて椅子から落ち―――）」


ドガシャーン！

浜風「大丈夫ですか提督！？」

提督「いてて……転げ落ちちまった……」

浜風「て、提督！！　か、肩に傷が………ッ！！」

提督「えっ………あっ、本当だ。ちょっと血が滲んでる。少し擦り剥いちまったかな」

浜風「も、申し訳ございません！！　私が支えなかったせいで！」

提督「いいよこれぐらい。傷って言えるものか怪しいぐらいのもんだし」

浜風「今すぐ消毒を―――んっ……」


ﾁｭ♪


提督「ヘアッ！？」

浜風「んちゅ……んっ……///」ﾁｭﾁｭﾁｭﾁｭﾁｭﾊﾟﾁｭﾊﾟ


提督「は、浜風……お、お前何して―――」

浜風「動かないでください……傷口の消毒を……んんっ……///」ﾁｭﾁｭﾁｭﾁｭ

提督「消毒！？　これ消毒なの！？」

浜風「んっ……んちゅ……///」ﾁｭﾁｭﾁｭﾁｭ

提督「あわわわわわわわわ」

提督（や、やばい………こんなんされたらまたムスコがいきり立ってまう！？）


ﾑｸﾑｸﾑｸﾑｸﾑｸﾑｸﾑｸﾑｸ


提督（ひぃ！　やばい！　早速ムスコがぁぁぁぁあぁ！！？？）


ｶﾞﾁｬﾘ


青葉「失礼します！　ども、青葉です。提督、何かネタありまってえええええええええええぇぇぇぇぇッッ！！？？」


提督「げっ、青葉！？」

青葉「提督と浜風さんが……まさかこんな関係だったなんて……///」


提督「ち、ちがっ……こ、これはー――」


浜風「んちゅ……ん？　あ、貴方は青葉！！」



浜風「またパパラッチしに来たのですね！　そうはさせません！」

浜風「提督のプライバシーは、私が守ります！」


青葉「………いえいえ、もうその必要はなくなりましたよ？」ﾆﾔﾘ

提督「！？」


青葉「では、青葉はこれで失礼しますねぇ～……ふひひひひ♪」

ｶﾞﾁｬﾘ


浜風「どうやら諦めてくれたようですね。提督のプライバシー、守り切れました！」

提督「守られてないんだよなぁ……」

―――――――


――――


提督「はぁ……今日も色々あって疲れた……」

提督「そろそろ寝るとするか」


浜風「就寝のお時間ですね。お疲れ様です提督」

提督「………で当然のごとくお前は布団の中に待機してるんだな」

浜風「就寝中も警護いたします！！」

提督「そ、そう……」

提督「もう聞くのも何だか無粋な気がするけど、警護するのに添い寝なんてしなくてもいいんじゃ……？」

浜風「前にも言った通り、警護するには護衛対象の零距離にいるのが望ましいのです」

提督「でも、やっぱしこれじゃ色々と……寝にくいというか―――」


浜風「どうしても気になるのでしたら、私にいい案があります」

浜風「まずは『隣に浜風が寝ている』という言葉を思い浮かべてください」

浜風「そしてゆっくりこう唱えるのです………そんなものは『そ　ん　ざ　い　し　な　い』と……」

提督「メタルマンやめい！！」

浜風「ともかく、提督は私のことなど気にせず、どうかお休みになられてください」

提督「生憎、年頃な娘を隣に置いて、平然と寝られるほど俺は老いてないんだよなぁ……」

浜風「……どういう意味でしょうか？」

提督「お前はもう少し自分の魅力を自覚してくれ……」

浜風「？？？」

―――――――――

―――――

浜風「」ｷﾞｭｳｳｳｳｳｯ

提督「うぐぐぐ………（だ、ダメだ……眠れるどころか、これじゃ生殺しじゃないか！！）」



提督「浜風、護衛なのはわかるけど、少しくっつき過ぎじゃない？　もう少し離れてくれると―――」

浜風「………」


提督「浜風？」


浜風「………」



浜風「んっ……すー……」Zzzz


提督「えっ、寝てる？」

浜風「んっ……むにゃ……すー……」Zzzz

提督「おおっ、熟睡してやがる………あれだけ張り切って警護するとか言ってたくせに」


提督「まぁ、今日一日はりきってたからなぁ。その疲れが出たんだろう………」

浜風「んっ……ふあっ……」Zzzzz

提督「ふっ、いくらナイスボディで大人ぽっいどいえど、所詮は駆逐艦。可愛いものよ」



提督「さてと、今のうちに別の部屋で移るとするかね」ｽｯ


提督「え～っと、まずは抱き付いてる浜風を離してっと……」

ガシッ！


提督「うわっ、掴まれた！？




浜風「てい……とく……むにゃ……」Zzzz


提督「なんだ寝ぼけただけか……やれやれ、驚かせやがって」


浜風「提……督を……守り…ます……」


提督「ん？」

浜風「金剛や……武蔵……信濃のようには………させないから………」


浜風「今度こそ……私は………」


浜風「大事な……人を………まも……る……」


浜風「すーっ……」Zzzz


提督「浜風………」

提督「そういえばこいつ、史実ではたくさんの艦を看取ったんだよな………だから俺を必死に守ろうと……」


提督「………」



提督「はぁ、これじゃ抜けるに抜けれないなぁ……」


浜風「んっ……///」ｷﾞｭｳｳｳｳｳｯ


提督「今夜はこのまま生殺しか……ううっ、つらいぃ～……」

――――――――――

――――――

―――

☆翌日☆




提督「ふぅ、ようやく一日が過ぎて浜風の護衛が解かれたぞ」


提督「浜風には悪いが、解放感があって清々しい気分だ」


提督「さてと、今日も提督業を頑張らんとな」


提督「ええと、今日の秘書艦は確か―――」


　ｶﾞﾁｬﾘ


磯風「おはよう司令、いい朝だな」


提督「い、磯風！？」

磯風「今日はこの磯風が秘書艦及び護衛の任に就くことになった。よろしく頼むぞ、司令」

提督「そ、そうか……今日はお前か……」

磯風「安心しろ、司令。今日一日貴方のことを守ってあげる」


磯風「深海棲艦から……そして鎮守府に侵入してるであろうスパイや暗殺者からも……」

提督「お、お前も浜風と同じなのか……」


磯風「護衛方法は浜風からすべて引き継いでいる。だから司令は大船に乗ったつもりでいるといい」

磯風「まずは朝食だが、食堂で食べるのは危険だ。毒が盛られてる可能性がある」

提督「またそれか壊れるなぁ……」


磯風「よって私が朝食を用意した」

提督「！？」

磯風「さぁ、司令よ。遠慮なく食べてくれ」

提督「いやでも……その……お前のメシは………」

磯風「遠慮することはない。さぁ、食べてくれ」

提督「この朝食……アニメでの比叡カレーと似たような色してるんですけど………」




磯風「この磯風が司令のために作った朝食………」



磯風「た、食べりゅ……？///」




提督「た、た、た………」

提督「誰か助けてぇぇぇぇッッッ！！！！！？？？」





終わり