【まどマギ】小巻「見滝原中に転入したわ」【安価あり】 (936)



 朝日が差し込むガラス張りの廊下を歩く。

 すれ違う生徒たちがこっちを見て、ひそひそと話しはじめた。


「ねえ、あの制服どこのだろ?」

「なんかすごいお嬢様学校とかじゃなかった?」

「ええっ、なんでそんな人がこんなとこにいるの……?」


 もう三年生だが、この校舎に足を踏み入れるのは今日が初めだ。

 困惑の声で噂をする生徒たちに、あたしはあえて堂々と挨拶をした。


小巻「今日から転入してきたわ。急だったからまだ制服がないの。よろしくね」

「は…… はい」


 生徒はたじろいだように気を抜けた返事をする。

 そんな雰囲気に、前にいた学校のことを思い出して苦い気持ちになった。


小巻(まったく、どこ行ったって面と向かって話す勇気もない人たちばかりでイヤになるわ!)

小巻(……でも、変なプライドがない分は『あいつら』よりはマシかしらね)



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1628421143




 ――――その発端は、放課後の教室で残ってたヤツらの会話を偶然聞いてしまったことからだった。



「くすっ、見てみてよこれ。きっと面白いことになるわ」

「でもこんなことしたらさすがにまずいんじゃない? まあ、いっか。美国だし」


 ちょっと忘れ物をとりに戻ったら、二人の生徒がそこにいた。

 二人は意地の悪い笑い声とともに携帯をいじっていて、悪巧みをしてるのは明らかだった。

 それを隠そうともしてなかった。今となってはそんな人ばかりだ。

 みんなが嫌ってるから何をしてもいいと思っていて、そのくせ本人と顔を合わせたら何も言えなくなる奴。


小巻「何? あたしにも見せてよ」

「あっ、ちょっと」


 携帯を取り上げると、画面に映ってたのは怪しいサイトだった。たぶん援助交際用のものだろう。

 入力中の投稿フォームに下品な文章が書き込まれていた。

 それといつ撮ったのかもわからない隠し撮りの写真まで。



「……ね、面白くない? 浅古さん」

小巻「これどうするの?」

「どうって、投稿してやるのよ。汚職議員の娘がエンコーとか皮肉がきいてて面白いし、汚いおっさんに迫られた美国がどうするのかも見ものじゃない」

小巻「バカじゃない? 全然面白くないんだけど」

「携帯返してよ」

小巻「変なことするなら返さない」

「な、なんであんな子のこと庇うのよ? 浅古さんだっていつも美国の悪口言ってるじゃない」

小巻「あたしは本人に思ったことを言ってやってるだけよ! こんな姑息な手を使って陥れようとするアンタたちとは同じじゃない!」


 別に、正義感を発揮したわけじゃない。

 美国のことなんて、あんなヤツ庇ってやる理由もない。

 ただこいつらのやり方があんまりで、許せなかったから。


「きゃあっ!」


 奪い合いになった生徒がよろめいて机にぶつかって、派手に声を上げた。その拍子に携帯が床に落ちて画面が黒くなる。

 こんなのじゃ怪我もしてないだろう。悪いことをしたとは一切思わなかった。

 でも、もう一人が一緒になって騒ぎ始めた。


「校内暴力よ! 先生を呼んで!」

小巻「は? あたし全然力入れてないんだけど?」

「私も見てたの! 浅古さんが暴力を振るったわ!」


――――
――――

『オール安価でまどか☆マギカ 27』


このスレは、安価で決めた主人公・時系列・前提設定で進める安価SSシリーズスレのひとつです。
【まどマギ】ってついてますが、今回の主人公はおりマギの浅古小巻です。

過去作は以下に。


【完結した話】
なぎさとあすみの見滝原
・・・[貴方「略]3スレ目>>473~おまけ投稿中
オリジナル主人公編(桐野巴編)
・・・キリカとその幼馴染というだけのモブの物語。
・・・話の本筋と関係ないギャルゲのようななにかと、シリアスかつバッドエンドの二周。
・・・話の性質上、オリキャラと恋愛要素とかが苦手な人は閲覧注意になります。
・『キリカルート』[22]>>820~[23]>>828
・『メインルート』[24]>>11>>530
・『番外編(裏ルート)』[25]>>380>>470
あすみ編  :[21]>>465~[22]>>680
・・・呪いから生まれた異端な魔法少女の話。
・・・願いにより復讐を遂げたあすみが見滝原の事情を引っ掻き回していく。
・『補完後日談』[23]>>847>>959
・『続編』[24]>>594>>748、『夏休み編』[25]>>545>>711
あすみ編外伝『かずみ編』  :[24]>>849~[25]>>348
・・・あすみの盗んだトランクに入ってたかずみが主人公の、見滝原周辺の外伝が全部入り混じった大変カオスな話。
・・・あすみ編の世界観および出来事、あすみのキャラ設定を引き継いでいる。
・『後日談』[25]>>483>>531
キリカ編2  :[14]>>719~[15]>>182,[17]>>927~[21]>>426
・・・未契約キリカが黒猫と謎の少女に出会い、不思議な運命を知る話。
・・・前半シリアス、後半ほのぼの系。“みんな”で目指す、原作とは違う幸せなエンディング。
・『統合後(後篇)』 [18]>>846
杏子編  :[15]>>197~[17]>>918
・・・マミの“先輩”な杏子のifストーリー。
・・・マミと仲直りしたり、色んな人と仲良くなったりする比較的ほのぼのなストーリー。
・After『マミさんじゅうごさい』:[17]>>436
なぎさ編  :[12]>>717~[14]>>616
・・・謎の神様によって魔女化から助けられたなぎさが見滝原で奮闘する話。
・After『あすみ参入』:[13]>>953
恭介編   :[6]>>815~[7]>>240(BadEnd+)
・・・恭介の病院での日々と、退院してからの話。
Charlotte編 :[7]>>264>>285
・・・チーズを求めるCharlotteの小話。

【その他】
まどか「野良猫が家族になった話」
・・・24スレ目のエイミー小話の本編にあたる番外スレ、安価成分はほぼなし

『貴方がヒロインを攻略するまどか☆マギカ』
・・・[26]>>736~[貴方「略]3スレ目>>444まで


【注意】
*安価の内容について
★無効安価は自己判断で安価下。明らかに無効になりそうな内容は、その下に別の安価をしてくれるとスムーズに運びます。
★自由安価は基本的に主人公から起こす内容のみ。主人公以外の視点に移っている時はその場にいる人の言動まで可。
★『相談したい事がある』『話したいことがある』のみの安価は不採用とします。必ず話す内容まで書いてください。

*安価の取り方について
★基本的に連続で安価を取っても構いません。連投は1レスとして考えます。
★多数決は連続・連投無しです。
★多数決で同数に意見が割れた場合は指定内の最後のレス内容を採用。
★主レスは安価先を指定する数字に含まない。
★「下2レス」と書いた時には1時間以内に2レス目がこなければ「下1レス」に変更します。
 投下時間外は下2レス目があればそっちを優先。

*このスレの話について
★まどマギのほかに、おりマギ本編・かずマギ・漫画版まどマギ・TDS・PSP・劇場版のネタを含みます。
 それ以外からのネタは出さないか考慮しませんが、知ってるとより楽しめるネタはあるかもしれません。


・前スレ

『まどかマギカで安価練習』 :まどかマギカで安価練習 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1369643424/)
『オール安価でまどか☆マギカ 2』:オール安価でまどか☆マギカ 2 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1370979872/)
『オール安価でまどか☆マギカ 3』:オール安価でまどか☆マギカ 3 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1371835671/)
『オール安価でまどか☆マギカ 4』:オール安価でまどか☆マギカ 4 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1372909496/)
『オール安価でまどか☆マギカ 5』:オール安価でまどか☆マギカ 5 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1373645366/)
『オール安価でまどか☆マギカ 6』:オール安価でまどか☆マギカ 6 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1377690974/)
『オール安価でまどか☆マギカ 7』:オール安価でまどか☆マギカ 7 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1385884667/)
『オール安価でまどか☆マギカ 8』:オール安価でまどか☆マギカ 8 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1397729077/)
『オール安価でまどか☆マギカ 9』:オール安価でまどか☆マギカ 9 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1409071003/)
『オール安価でまどか☆マギカ 10』:オール安価でまどか☆マギカ 10 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1417014605/)
『オール安価でまどか☆マギカ 11』:オール安価でまどか☆マギカ 11 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1424792933/)
『オール安価でまどか☆マギカ 12』:オール安価でまどか☆マギカ 12 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1430323957/)
『オール安価でまどか☆マギカ 13』:オール安価でまどか☆マギカ 13 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1439045180/)
『オール安価でまどか☆マギカ 14』:オール安価でまどか☆マギカ 14 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1448012780/)
『オール安価でまどか☆マギカ 15』:オール安価でまどか☆マギカ 15 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1461427177/)
『オール安価でまどか☆マギカ 16』:オール安価でまどか☆マギカ 16 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1475061935/)
『オール安価でまどか☆マギカ 17』:オール安価でまどか☆マギカ 17 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1483717207/)
『オール安価でまどか☆マギカ 18』:オール安価でまどか☆マギカ 18 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1491232637/)
『オール安価でまどか☆マギカ 19』:オール安価でまどか☆マギカ 19 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1497797899/)
『オール安価でまどか☆マギカ 20』:オール安価でまどか☆マギカ 20 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1504964306/)
『オール安価でまどか☆マギカ 21』:オール安価でまどか☆マギカ 21 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1511090204/)
『オール安価でまどか☆マギカ 22』:オール安価でまどか☆マギカ 22 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1516880466/)
『オール安価でまどか☆マギカ 23』:オール安価でまどか☆マギカ 23 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1523754962/)
『オール安価でまどか☆マギカ 24』:オール安価でまどか☆マギカ 24 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1527599223/)
『オール安価でまどか☆マギカ 25』:オール安価でまどか☆マギカ 25 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1534003266/)
『貴方「略』:貴方「安価でヒロインを攻略するまどか☆マギカ?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1569759132/)
『貴方「略2』:貴方「俺が魔法少年でヒロインを攻略するまどか☆マギカ?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1581868368/)
『貴方「略3』:貴方「僕がヒロインを攻略するまどか☆マギカ…オカルト?」マミ「それは終わったわ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1594395036/)

 脇道逸れた小話を書いたり本スレで出来ない安価募集をしたりする場所。次スレが見当たらないよ!という時にも覗いてみると情報があるかも。
 避難所はSS速報からおーぷんに移りました。旧『21.5避難所』はこちら→オール安価でまどか☆マギカ 22 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1516811060/)

☆随時募集

*安価で魔女を作ろうぜ*


 主に風見野や見滝原外などで登場するオリジナル魔女を募集中です。

 登場の機会があれば色んな物語に出させます。

 被りは一部再安価か統合。


・名前:【安価内容】の魔女(思い浮かんだものがあれば魔女名も)

・攻撃方法/見た目/特徴/性質/弱点/使い魔 など




 そんなこんなで、学校側はあたしには厳重注意をして、あいつらのことはあっちの言い分を鵜呑みにお咎めなしに終わった。

 学校も美国のことで事を大きくしたくないってことだ。

 『次問題を起こしたら処分を考える』なんて脅しをもらったけど、バカバカしくなって辞めてやった。


 ――それで今に至る。


 せいせいしてる。

 あたしが辞めてやったんだから、あいつも辞めちゃえばいいのに。今この場に居ないムカつく存在のことを考えた。


 ……でも心残りがあるとすれば、あそこにも友達が居て、妹も同じ学校に通ってるってことだった。

 晶からは特に心配されたし、退学を決めたって知らせたあとは山のようにメールがきてた。

 離れても友達は友達だ。腐った連中とは付き合わず、これからは距離が離れても付き合いたい相手とだけ付き合っていけばいい。そう思うことにした。


「――じゃあ浅古さん、入ってきて」


 考えていると、先生が呼ぶ声がした。

 朝のHRが始まって、自己紹介の時がまわってきたみたいだ。教室に入るとみんなが注目する。



小巻「浅古小巻よ。あと一年しかないけど、みんなと仲良くなれたら嬉しいわ。よろしく」

「浅古さんは白羽女学院から転校してきたんだったね」

小巻「ええ」


 その発言から巻き起こるのは、疑惑の嵐。憶測飛び交う噂だ。

 やれ、『白羽ってお嬢様学校じゃないの?』『なんで転校?』『家が落ちぶれて学費はらえなくなったんじゃ…』――大体ろくでもないこと。


小巻「聞きたいことがあるなら面と向かってあたしに聞いてちょうだい。聞かれたら答えるわよ」


 こう言ってやると嵐は止んだ。

 ひとまず自己紹介が終わって席に案内される。変わったデザインの机と椅子だ。

 ……こうして見ると、外観を見た時も思ったけど公立とは思えない造りになってるわよね。むしろ白女よりも先進的な感じ。


 HRが終わって自由時間になると、こちらから何かする前にあたしのところにさっそく人が来た。

 『面と向かって』って言ったのはちゃんと効いてたみたい。



・小巻のクラスメイトは…
1模範的な少女『マミ』
2あの空席は…?『キリカ』
3上記二人とは違うクラス

 下3レス中多数決

おわっ!?もう新スレ来てたの気づいてなくて前スレみてました!(汗
小巻とは何かと因縁があから2で。

-----------------------
今回更新はここまで
次回は9日(月)17時くらいからやります
うーん、あまり人がいないのかな…知名度の問題か…次回開始までにレス揃ってなかった場合は>>8にします。

と思ったら書いてる間に来てた!2ですね。



「――――えーっ、じゃあ本当に浅古さんは悪くないじゃない?」

「悪いのはイジメてた人だよね。あたしも金持ち同士の事情はよく知らないけど」

「やっぱ権力者の娘が集う学校って怖いんだぁ……」


 集まってきた何人かの自己紹介を聞いたのち、あたしも自己紹介では癒えなかった自分のことを話した。

 聞かれたら答えると言ったとおり、転校した経緯について隠すことはしない。

 隠したり曖昧に言ったりするから誤解が生まれるんだ。ちゃんと話せばトンチンカンな噂はなくなるだろう。


小巻「ところで、あとでいいから校内を案内してくんない? この学校、結構変わった造りでしょ。慣れないと迷いそうなのよね」

「いいよ! 昼休みになったら一緒に回ろう!」

小巻「そういえばあの席は今日は休み?」

「休み?」 「休みかな?」


 とりあえず今話した子たちの名前が把握できたところで、

 朝あたしの案内された席の他にもう一つだけ席が空いてたから聞いてみると、微妙な反応が返ってくる。


小巻「知らないの? 病気がちとか?」

「いや……病気? ではないんじゃないかな?」

「あの席の子、呉さんっていうんだけど、あんまりよくわかんないんだよね」

小巻「ふうん、そう」


 どういう意味なのか、どんな奴なのか、と少し考えたが勝手な想像なんかしても仕方ない。

 本人にとってもいい迷惑だろう。

 それよりそろそろ、転入初日・一発目の授業の準備をする。


 ――――……さすがに市立だけあって、普段やってたものより簡単な内容だった。



「浅古さんっ、お弁当は持ってきてる? なかったら購買でも売ってるけど」

小巻「持ってきてるわよ」

「じゃあ一緒に食べよう! 私も浅古さんと話したいと思ってたの」


 昼になるまでには話したクラスメイトもさらに増えた。

 女子校に慣れてたから普通に男子がいるってだけでも新鮮だし、前の学校じゃいないようなタイプの生徒や教師も居る。

 品格がないとか、付き合ってるだけで落ちるとか思われるかもしれないけど、根が悪くないならプライドだけの奴よりはいい。



 ……なにより、あたしはもう【ここ“見滝原中”】の生徒になったんだから。



 昼食を食べ終えると、教室を出て朝の約束を果たしに校内へと繰り出す。

 授業で使う特殊教室や、職員室、保健室を案内してもらうと、最後に屋上まで上がっていった。


小巻「屋上も開放されてるのね」

「いい景色でしょ!」


 こういう場所があると、確かにリフレッシュするにはいいかもしれない。

 隣でそこから見える景色を眺めてみる。

 そうしていると、チャイムが鳴った。


小巻「今のは予鈴?」

「うん。そろそろ戻らなくちゃね」


 ここにいる他の生徒もみんな急いで戻りはじめていた。

 でもそんな中、動こうとしない生徒が一人いるのに気づいた。


「どうしたの?」

小巻「……いえ、別に。行きましょ」



 あたしたちも校内の散策を終えて屋上を後にした。



――――
――――





 学校での一日はとくに問題なく終わった。

 使っていた教科書や筆記具を片付ける。放課後になったら――あたしにはまた別のやらなきゃいけないことがある。



小巻(……あれ?)


 ……ふと帰りのHRの最中、なんとなく教室を見ていて朝との違いに気づいた。

 空いていたと思っていた席に人がいた。


小巻(朝言ってたヤツ、いつのまにか来てたんだ)


 ていうかどれだけ影が薄いのよ。

 でも、よくわからないと言ってた意味が少しわかった気がする。いてもいなくてもわからないくらいの存在感しかないってことじゃ?

 視線が向けられていることに気づいたが、目が合いそうになった途端に相手のほうが目をそらしてしまった。


小巻「何よ。聞きたいことがあるなら面と向かって聞いたら?」

「べ、別にいいよ。なんでもない」

小巻「はあ?」


 その態度が、ふてくされたみたいに見えてちょっとムカついた。

 相手があたしと話す気がないんだったら話してやる義理もない。

 どうせ朝のみんなと同じく、転入初日のあたしに対する些細な疑問程度なんだろうし。




 HRも終わって学校を出ると、帰路につく前に脇道にそれた通りを歩き出す。



 ――実はあたしには【魔法少女】の使命がある。

 この年になってその呼称も戦うときの格好も恥ずかしいことこの上ないけど、魔女の驚異は本物だ。

 魔女は人を襲う。魔女を野放しにしておけば使い魔を生み、仲間を増やしていく。戦う力のない人間が魔女や使い魔に襲われればひとたまりもない。


 契約してから数ヶ月、あたしなりに活動していたけどずっと時間が足りないと思ってた。

 それも今日からは近くの学校に転入したことで、電車で移動する分の時間がなくなった分やりやすくなった。


小巻(……今日はまだまだ明るい時間ね)


 活動場所も分散してたけど、これからは本格的に見滝原で活動するようになりそうだ。

 一応、縄張りでトラブルになったり争う魔法少女が多いってことは知っている。

 キュゥべえはあまり気にしてほしくないと言ってたし、あたしもそんなことで争うのは馬鹿らしいと思ってるけど。

 縄張りどころかグリーフシードを奪おうと襲ってくる奴までいるくらいだ。広く活動してると無用なトラブルを拾いやすくはなるかもしれない。



1人気のある場所を探す
2人気のない場所を探す

 下2レス



 住宅街から大きな通りのほうに出る。

 人で賑わう場所で魔力がないか一通り探っていると、ちょうどその中に独特の反応を感じた。


 ……やってやるか。



・ところでこの話で戦闘を安価でやる?やるならコマンドとか作って魔力とか詳細に管理することになるよ。
やる/やらん

 下2レス

おけー 需要があるならやります
どうせ結末決まってるならテンポ悪くならんかと心配になったもので…
-----------------------------------------------------------


―鳥かごの魔女結界



 『魔力』ってのを感覚で察せるようになったのもどのくらい経ってからだったっけ。

 あたしたちのソウルジェムは魔力に反応して光る。最初はそれを見ないとわからなかった。


 結界に足を踏み入れると、『お高く止まった』魔女の姿が目に入った。

 鳥かごの中にいて、なんだかすでに捕らわれてるみたいだけど。


 周りには鳥のような使い魔が飛んでいる。



小巻 魔力[100/100]  状態:正常
GS:2個
・[100/100]
・[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv2]


敵:魔女Roberta  <-攻撃対象A
  使い魔Gotz×7  <-攻撃対象B

1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
2ガード(魔力-3~5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
3バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】

 下2レス



 使い魔を先に蹴散らしてもいいけど……的が大きくない上に飛んでるときた。


小巻「だったら、ここからってのもアリよね」


 斧の柄を力強く握り込み、大きく振って勢いをつける。

 当然ながらこれで使い魔一体一体なんて狙ってられない。

 こちらから捕らえるまでもなく魔女が捕まっててくれるのなら、使い魔を無視したっていいわけでしょ?


小巻「ま、これで外したら修行して出直してやるわよ」


 魔女に向けて斧をぶん投げると、鳥かごごと魔女を粉砕してやった。



小巻 魔力[95/100]  状態:正常
GS:3個
・[100/100]
・[100/100]
・鳥かご[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv2]


――――


 結界から出れば、見滝原の中心街に戻ってくる。駅前も近い。

 そこであたしは見覚えのありすぎる制服姿を見てしまった。



小巻「アンタはまだあんな学校通ってるんだ? 辞めちゃえってあたしもみんなも前から言ってるのに」

小巻「まあもういいわ。あたしはもうそっちの生徒でもないし」

織莉子「……」


 今はまだあたしも同じ制服だけど……まあそんなことはいい。


織莉子「なぜあんな事件を起こしたの? 無視するか合わせておけば自分は何事もなく過ごせたのに」

小巻「何を勘違いしてるのか知らないけど、あたしが退学を決めたのは自分の意思よ。バカバカしくなったの」

小巻「アンタなんかのためなわけないでしょ」


 いつもと同じ能面のような澄ました顔。そんなところが苦手なんだ。こいつのことは。

 それでいて、まだ納得してなさそうな顔していた。

 同じ街に住んでるとはいえ、学校も違えばこうやって偶然会わない限り、ほとんど顔を合わせることはなくなるだろう。



1何が納得できない?
2まだ何か未練でもあるの?
3自由安価

 下2レス

----------------------------------------
>>5 ★『相談したい事がある』『話したいことがある』のみの安価は不採用とします。必ず話す内容まで書いてください。
話す系は内容まで書かないと駄目な世界なんだ…!

1何が納得できない?
2まだ何か未練でもあるの?
3自由安価

 下2レス


小巻「ま、あたしのほうは結構楽しくやれてるわよ。環境が変わるって色んなものが見えてくるものなのよね」

小巻「アンタはあんな学校に居続けたい理由があんの?」

小巻「白女でなきゃいけない理由がないなら、アンタもこっちにでも移ってみれば少なくとも今とは違うものが見えるかもよ」

織莉子「……平凡な市立では駄目で、白女でなきゃいけない理由はあったわ。でも今はどこに行ったって私の望むものは得られない」

小巻「……」


 冷静で諦めたような口調。

 未練? 結局こいつもあそこに通う大多数の生徒と同じように、学校の持つネームバリューに引きづられてるってこと?


小巻「……それって結局動くのが面倒くさいから同じところにいるってことじゃない?」

小巻「なくなったものに縋り続けるって、自ら負け犬で居続けてるみたいで虚しい生活ね」

織莉子「何とでも言えばいいわ」


 ああもう、気にしてませんって顔してるのもムカつく。

 こいつはいつもこうだ。何もないわけないだろうに無理に取り繕って、大人ぶって。

 見てるとイライラしてくる。そんなだからいじめられるんだ。


小巻「じゃあね負け犬さん。もうアンタとは会うこともないでしょうね」


 きっぱりと言ってやって、美国と別れた。

 ……一人になった後の帰り道でもあたしの心はモヤモヤとしていた。



―1日目終了―


小巻 魔力[95/100]  状態:正常
GS:3個
・[100/100]
・[100/100]
・鳥かご[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv2]

――――――
2日目



 転入二日目。また新しいクラスメイトの名前を覚えられた。

 周りの人と話して、授業を受けて、お昼になる。



小巻「……ん」


 昼食の後、ポケットに着信の振動を感じて見てみると、前の学校の友達からのメールだった。

 『そっちは元気?』とか『楽しくやれてる?』とか、そんだけの内容だったけど。


 心配させないように返しておく。


「そういえば、浅古さんってカレシとかいるの?」

小巻「何よ急に?」

「何って、気になるじゃない! 勉強も運動もできるし、お嬢様でしょ? やっぱモテるのかなってさ!」

小巻「ムリ。まず出会いがないわ。元々いたの、女子校よ」

「あ~~、そっか~。そのハンデは大きいな~。じゃあ今のメールは普通に友達とかか」

小巻「ええ、浮いた話じゃなくて残念ね。前の学校の友達」

「まあ、出会いはこれからだよね! もしかしたらここで出来るかもしれないし!」

小巻「まあ、そうね」


 今まであんまり考えたことなかったけど、機会があるならそういうのも悪くない。

 普通の学校だとこんなことを話すんだ。



*昼休み行動*
1屋上へ
2購買部へ
3教室にいる
4校舎の外へ

 下2レス

----------------------
今回更新はここまで。
次回は10日(火)19時くらいからの予定です



「ちょっと購買いってくるね」

小巻「購買? そういえばあるって言ってたわね」

「うん。飲み物とか自販機で買うより安いのもあるんだよね。……あっ、浅古さんにはいらない情報だったかなぁ」


 昨日は結局寄らなかったっけ。

 飲み物や食べ物じゃなくても文房具とか足りなくなることがあるかもしれないし、何があるかくらい見ておいてもいいか。


小巻「あたしもついてくわ。どんなところか見に行ってみる」

「おけー、じゃーいこー!」


 ついてってみると、そこは広くない一室に所狭しと棚が並んだ部屋だった。

 パンや弁当にお菓子などの食品やら、あと文房具もペンやノートだけでなく色々品揃えがあるみたい。

 昼休みだけあってそこそこ混んでいる。


「買いたいものはある? ないんだったら一人で並んできちゃうね」

小巻「そうね。混んでるみたいだしあたしはいいわ。今日は見にきただけだし」


 レジからは快活な声が響き、流れ作業的に会計が済まされている。忙しそうだ。

 外で待っていようかと思ったところで、なにやらレジでもたついてる人がいるのが目に入った。


小巻(これだけ並んでるんだから、その間にお金準備しとけばいいんじゃない……?)


 下1レスコンマ1桁
0or1



 そんなことを思っていると、今度は硬貨の落ちる音がした。


小巻「気をつけなさいよ。ほら」


 こいつは同じクラスの生徒だ。……今思い出したけど、昨日屋上にいたのもこいつだった。

 呆れ半分だけど、ちょうど手が空いてたから落ちた小銭を拾って渡す。


「……うん」


 すると、相変わらず意地でも張ってるみたいに無愛想に、それだけの反応を返して会計を済ませた。

 ……別にお礼とかしてほしくてやったんじゃないし、いいけど。


 予定通り外に出て待つ。

 その後も、すれ違う時にそいつはチラチラと視線を送っていた。

 なんと表したらいいかわからない微妙な表情だった。



1何?
2今度から会計の前に準備しておいたら?
3友達を待ってるの
4自由安価

 下2レス



小巻「……アンタ、名前なんだっけ? 他の人から聞いたことがあると思うけど忘れたの」

小巻「あたしは浅古小巻。昨日ここに転入してきたんだ」

「知ってる。昨日からみんなの注目の的だし」

小巻「そう? 好きにやってるだけだけど」


 なんだか卑屈っぽい喋り方に感じた。

 一言二言言葉を交わしたところで、待ってた子が戻ってきた。


「浅古さん、おまたせ! ……あれ? 呉さんもいたんだ。何か話してた?」


 そういえばそんな名前だった、と聞いてから思い出した。

 すると、名前はわかったからもういいでしょ、とでも言いたいのか。


「別に……もう行くよ」


 ……どこかへ去っていった。

 まあ、そういう奴もいるでしょう。気を取りなおした。


小巻「あたしたちも戻る?」

「うん。次は移動教室だし、準備もしなくちゃね」



――――
――――



 それから放課後。

 今日は塾もあるし、魔女狩ってる余裕はないかな。


 ……でも、その前に少し時間もある。


1校内
 a屋上
 b図書室
 cその他
2白女の友達とメール
3自由安価(校外の場所移動は時間がかかりすぎるので無理)

 下2レス



 教室に残り続けるのも人が減って寂しいし、場所を変えようか。

 リフレッシュがてら屋上にでも行こう。――階段を上りながら携帯を取り出した。

 昼はこっちのことを聞かれたけど、あたしだってあっちがどうなってるか全く気にならないわけじゃない。


 屋上に足を踏み入れたところで、黄昏れてる先客の姿が見える。

 クラスメイトの。人づてに二回は聞いたから名前は一応覚えた。


小巻「アンタこんなところで何してんの?」

「な、なんでもないよ! ていうか……そっちこそ!」


 足元に目をそらした気がする。

 そっちに何が? と思ったけど、何もなかった。


小巻「あたしはちょっと次の予定までに時間があったから、風に当たりながら暇を潰そうと思ってただけだけど。……アンタは一人で元気そうね」

「全然元気じゃないよ。私は……どうせ君みたいにはなれないんだから」

小巻「あたしみたいに?」


 何のことかわかんないけど、あたしには理解できないくらい何かしょーもないこと考えてるってことはわかる。



1言わないとわからない
2何を悩んでるの?
3自由安価

 下2レス



小巻「……何を悩んでるの? どうせくだらないことなんでしょうけど」

「……そうだね。どうせくだらないよ。君は悩んだこともないんだろうし」


 こうやって話を終わらせようとする。

 理解できないし理解したくもないし、煮えきらない態度が誰かさんと被ってムカついてきた。


小巻「昨日も今日も、何かこっち見てたじゃない」

小巻「そんなに話したくないなら、あたしはアンタのことはいないもの思うわ。だからアンタもあたしのことはいないものと思いなさい」

小巻「……そうやって、独り言だと思えばつぶやけたりはしないの?」


 わざと顔を背けて無視をするように、携帯に目のほうを向ける。

 『小巻はいい子だけど、みんながそんなに強いわけじゃないんだよ』 いつか、誰だったかに言われた言葉が響いた気がした。

 ……あたしには理解できない。


「……とりあえず、昼のことはありがとう」

小巻「はいはい」

「返事はするの? いないものと思うって言ったじゃん」

小巻「うるさい。独り言よ」

「無茶苦茶だよ……」


 ちょっとぶん殴ったろかこいつって思った。

 ちらっと見てみると、まだなにか不機嫌そうな顔が目に入った。一体何にふてくされてんの?



 そうしているうちに決めていた時間になって、あたしは下校した。



 ――――白女のほうは相変わらずだって。

 いつもと同じ先生の、進学校らしい実力主義の指導。相変わらず美国は陰口を叩かれる一方で腫れ物のようにされてる。

 あたしがいなくなってまだ数日だし変わらない、か。




―2日目終了―


小巻 魔力[95/100]  状態:正常
GS:3個
・[100/100]
・[100/100]
・鳥かご[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv2]

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今回更新はここまで
次回は11日(水)19時くらいからの予定です

――――――
3日目



 放課後になったら勉強に身を入れたり、妹の相手をしたり、あたしの日常は相変わらずだ。

 ……そういえば、進路はどうしようか。

 元々白女には系列校もあるし、そうでなくても似たような場所に行こうと思っていた。

 『エリート』を集めたような雰囲気というのはもう知っている。


 もちろん良い意味もあって、決してブランドというのは名ばかりなわけじゃない。

 平凡な環境で努力もしてない人たちを超えた身分を持つ証明にはなるし、それに対する誇りはあった。


「小巻ー、何か考え事?」

小巻「まあ、少し。進路のことをね」

「うわ、偉い! 私なんてまだまだだと思ってた!」


 ……そんなことを新しくできた友達に少しこぼしてみたら、こんな反応が返ってきた。本当に何からなにまで新鮮。

 でも、白女に残してきた友達のことは気になるけど、こういう雰囲気も楽しいと思い始めてる。

 ここには本当に色んな人がいる。性格も学力の良し悪しもピンキリ。

 全員のことを深く知れたわけじゃないけど、もう一言くらいはみんなと話せてると思う。そのくらいにはあたしもこのクラスに馴染んでいた。



 少し教室を見渡してみる。

 休憩時間の教室には、友達同士で話している人や、自分の席で何かしている人、寝ている人まで……思い思いに過ごしている生徒たちがいた。


「ところで、今日の放課後って空いてる?」

小巻「ん……今日ね」

「あ、なにか予定があるならまた今度でいいよ!」


 歯切れ悪く言ったのは、今日は魔法少女としての仕事もしたいと思ってたからだ。

 昨日は勉強に専念してたし、予定はなくても自分の意思で契約したんだからそっちも疎かにはできない。


小巻「何に誘おうとしてくれてたの?」

「近くに新しいカフェがオープンしたって雑誌で見たからどうかなって思って」

「それ私も見たよ!」


 ……話を聞いていると、あたしたちの会話に入ってくるヤツがいた。

 眠そうに大きなあくびとともに伸びをしていて、興味のある話題が聞こえてきたから起きたって顔に書いてあるみたいだった。

 絶妙に抜けてて憎めない感じの表情だ。



「それってクリーム山ほど乗ったパンケーキがあるとこでしょ? 私も気になってたんだ」

「じゃあ三人で行く?」

小巻「それなら今度の休みにでも時間をつくっておくわ。それでどうかしら?」

「うん!」


 さっそく休日の予定が決まった。

 ……別に大したやりとりでもないし、基本的に来るものは拒まずだ。

 全員のことを深く知れたわけじゃないし、話があまり弾まなかった相手にまで同じように興味を持ててたわけじゃない。


 だけどちょっとだけ、違和感はあった。


小巻「あんた……そんなんだっけ?」

「えっ? なにが?」

小巻「いや、いい。アンタのことそんな知らないし」


 転入して三日のあたしでも結構馴染めた。

 でもコイツは、『よくわかんない奴』って言われてたわりには今になって自然に馴染みすぎじゃないか――と。


――――
――――




 さて、放課後は魔女退治だ。




1人気のある場所を探す
2人気のない場所を探す

 下2レス



 校舎から離れると、街の中心のほうへと進んでいく。

 どこを回るかは気まぐれだけどルートはいくつか決まってる。




 下1レスコンマ判定
0~30 遭遇判定1
31~60 遭遇判定2
61~80 使い魔
81~ 魔女



 ……魔力の反応。

 もうかなり判断できるようになってきたはずだけど、魔女だか使い魔だかわからなかった。


 とはいえ、そんなことは重要じゃない。そう思い直して結界の位置を探りはじめる。

 結界の扉はすでに開いていた。


小巻(結界からすると魔女のものみたいだけど、綺麗なくらい使い魔がいないわね……)

小巻(もしかすると、もう誰かいるのかしら。だから判断できなかった?)


 だとしたら喧嘩売りに来たと思われるのはよくない。

 苦戦してなければあたしはよそを探ろうかと思って、気づかれないように結界の最奥を覗いてみると、掛け声のようなものが聞こえてきた。


「ティロ・フィナーレ」


小巻「……」


 その直後に白銀の大きな銃身から魔力が弾け、結界が消える。

 センスを疑いたくはなるが、効果は抜群のようだった。



「あら? そこに誰かいるの?」


 魔法少女がこちらを振り返る。

 攻撃的な素振りには見えないけど、声色にはやや冷たさを感じた。

 ろくでもない奴もいる中で、初対面の相手なんかいきなり信用できないのはあたりまえか。


 魔法少女は続けて言った。


マミ「私のほうから自己紹介しなくちゃね。私の名前は巴マミ。この街の魔法少女よ。あなたはどこから来たの?」

小巻「あたしは浅古小巻。そういえばこの街の魔法少女とは話したことなかったわね」

小巻「一応、住まいはこの街よ。遠出することも多くてここ以外でも狩ることがあったの。まあ、これからはこっちで活動することが増えると思う」

マミ「そう。余計なお世話かもしれないけど、事前に話しておいたほうがいいと思うわ……何かと物騒なことがあるから」

小巻「……そうみたいね」


 マミの言うとおり、あたしも実際に襲われたことはあった。よくあることらしい。


マミ「でも、ここなら安心していいわよ。今のところ他に魔法少女はいないし、危ない人が来たら私が対処するから」

マミ「“あなたも、この街のために戦ってくれるのなら”……私は喜んで迎え入れるわ」



 何か含みを感じるけど……。



1よろしく
2あなたもグリーフシードのために人を襲う奴が嫌いなのね
3あなたはグリーフシードのために戦うのが嫌いなのね
4自由安価

 下2レス

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今回更新はここまで
次回は12日(木)19時くらいからの予定


小巻「よろしく。あなたはグリーフシードのために戦うのが嫌いなのね?」

マミ「……そうね。だって、人を助けるのが私達の使命でしょう? グリーフシードを目的にしたら本末転倒よ」

小巻「そういう相手だったら喜んで迎えられないってことね」

マミ「……」


 感じた『含み』を率直に言ってみれば、マミは意図を測るかのようにあたしをじっと見た。

 危ない人が来たら対処するって言ってたし、マミのほうが縄張りに対して重いものを背負ってるんだろうとは思う。


小巻「安心してよ。あたしも同意見だわ」

マミ「それならよかった。よろしくね、浅古さん」


 たまには話が通じる奴もいるらしい。

 『魔法少女』やりはじめてから、珍しくそう思ったけど――。


マミ「この後もパトロールを続けるなら一緒にどうかしら?」

小巻「ええ、それでもいいわよ。あたしも始めたばかりだったし」


 断る理由もないので了承して、今日はマミと行動することになった。

 魔法少女と一緒に魔女を探したり倒したりってことは今までにない経験だ。


 ――――同意見だしあたしは争う意味もないけど、もし争って排除し合ったらそれって他の縄張り争いと何か違うんだろうか?

 今まで縄張りを意識したことがなかった身としてはそういうふうにも映ったところもあった。



 それから二人で街を歩いているうちに、また魔力の反応を見つける。




マミ「浅古さん、わかるかしら?」

小巻「もちろんわかるわ」

マミ「使い魔の魔力ね。二人ならすぐに片付けられると思うけど……」


 マミは言葉は不自然に止めたが、足は止める気はないようだった。

 一体何を考えたのかあたしにはわからなかった。


小巻「そうね、すぐでしょうね」

マミ「! ええ。行きましょう。恐らくこの奥よ」


 マミが裏通りのほうを指す。あたしもそれに頷いて、マミに並んで進んでいった。



―鳥かごの魔女結界



 この結界は知ってる。この前の魔女の残党だ。



小巻 魔力[95/100]  状態:正常
GS:3個
・[100/100]
・[100/100]
・鳥かご[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv2]


仲間:
マミ 状態:正常

敵:使い魔Gotz×5

1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
3ガード(魔力-3~5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
4バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】

 下2レス



 こんな小物だけなら小細工はいらない。踏み込んで斧を振るいにいった。

 あたしには盾がある。こう見えて隙はない。


小巻「!」


 ――そう思っていたが、マミは器用に斧の軌道から外れた使い魔を撃ち落としていた。

 おかげでガードを使う必要も拘束を使う必要もなくなった。


 大振りな攻撃はあたしがやって、漏れた敵はマミがやる。なかなか作戦としてはいいものじゃない?


マミ「……これで全部ね」

小巻「やっぱりすぐ終わったわね。こんなところさっさと出ましょ」


 たった五匹だけの使い魔でも逃げられるのは厄介だ。翌日まで探し回るハメになることもあるし。

 けど、今回に限ってはその心配もなかった。

 やっぱり、一人だとやりづらいところもある……か。そんなことを思いながら、再び街中に戻っていった。



―3日目終了―


小巻 魔力[95/100]  状態:正常
GS:3個
・[100/100]
・[100/100]
・鳥かご[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv2]

――――――
4日目



小巻「……やっぱり。制服でわかってたけど、ここの生徒だったのね」

マミ「私は他校の生徒かと思ってたわ。制服が違うもの」


 今日になって、廊下でマミを発見した。

 他のクラスまではさすがに把握してなかったし、もしすれ違ってたとしても今までは意識から漏れていたんだろう。


小巻「制服のことはちょっと都合があるのよ。多分次の週にもなれば届くでしょ」

マミ「最近転入してきたの?」

小巻「ええ、その通り」

マミ「まさか同じ学年にいただなんてね」


 初めて会った時と比べて打ち解けてきた感じがする。


マミ「同じ街に住む魔法少女同士、話しやすいほうがいいわよね。今度、一緒にお茶でもいかがかしら?」

小巻「それは考えておくけど……マミは長くやってるの? 今のところ他に魔法少女はいないって言ってたけど、ずっと一人?」

マミ「長いこと一人だったわ」

小巻「その間誰も契約しなかったの?」

マミ「いいえ、そういうわけじゃないわ。……脅すわけじゃないけど、あなたも気をつけてね。魔女にも魔法少女にも」


 マミの言葉は重い。経験を伴わないような軽い言葉ではなさそうだった。

 でも、そんなの今更。当然のことだ。


小巻「言われなくてもわかってるわよ」

マミ「私もできるだけそのお手伝いをするわ」



 マミと連絡先を交換した。


――――
――――


*放課後*
1魔女狩り(一人)
2魔女狩り(マミを誘う)
3マミのお茶会の誘いに乗ってみる

 下2レス



 放課後になると、さっそくマミの誘いに乗って一緒にお茶をすることになった。

 カフェだったら週末に行くクラスメイトとの約束にも被るんじゃないかとも思ったけど、自宅に招いてくれるらしい。


 キッチンのほうからいい香りが漂ってくる。まさか淹れてくれるとは。


マミ「紅茶が入ったわ。どうぞ召し上がれ」

小巻「思ってたより本格的ね。ケーキも焼いたの?」

マミ「趣味なのよ」


 マミの雰囲気は、どちらかというと白女に通うような身分の人たちにも似てるけど……

 いや、ここまで紅茶もお菓子作りも自分で極めようとする人はそうそういないだろう。

 単に努力家なのかもしれない。



*雑談*
1戦い方についてアドバイスをもらう
2お茶の淹れ方についてアドバイスをもらう

 下2レス



小巻「ところで、マミはあたしより契約してからの経験があるのでしょうね。あたしの戦い方について気になるところはあった?」

マミ「武器からしても攻撃が大振りになりがちじゃないかとは思ったけど……何かカバーできる手段は用意していたかしら?」

小巻「いざとなれば盾があるし、バリアを張ることも出来る」

マミ「思ったより器用なのね。でも過信はしすぎないほうがいいかも」

マミ「近づいての攻撃はどうしても危険が伴うものだし、バリアが絶対に破られないとは限らないから」

小巻「……回避できるならそのほうがいいとは思ってるわ。でもあれこれ考えるより先にぶちのめしたほうが早いって思っちゃうのよね」


 そう言うと、マミはどこか懐かしそうに笑う。


マミ「近接系の子ってそう思いがちなのかしらね……。間違ってはいないのだけど、ちゃんと考えないと危ないことがあるわね」



 そのあとも雑談を交わしながら、マミとお茶を楽しんだ。

 魔法少女とこうしてプライベートでお茶するなんて考えたこともなかったけど、いい情報交換になったと思う。


 ――――それから、帰り道。



小巻(今日は少し遅くなったし、明日の予習もしたいから魔女狩りはするとしても少しかしら……)

小巻(まあいいわ。少しだけ寄り道してから帰りましょう)


 暗くなってきた道を、少し回り道をして帰路の方向を目指す。

 その途中で魔力の反応を見つけて、やっと結界の最奥までたどり着いたところだった。

 その倒すべき姿を目にした瞬間。


 結界が、消えた。


小巻(あれ……?)

小巻(……今のところ他の魔法少女はいない、って言ってたわよね?)




―4日目終了―


小巻 魔力[95/100]  状態:正常
GS:3個
・[100/100]
・[100/100]
・鳥かご[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv2]

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今回更新はここまで
次回は13日(金)19時くらいからの予定

――――――
5日目



 休憩時間になると、あたしは昨日のことを早速マミに話しにいった。

 昨日のうちにメールでも伝えたけど、どうせすぐ会えるなら対面のほうがいい。


マミ「そう……それはおかしいわね。新しい魔法少女が誰か来ているのか、まさか」

小巻「心当たりでもあるの?」

マミ「……いいえ。可能性としては色々と考えられると思う。でも、結界にいて魔女の手前にまで行ったのなら、浅古さんはその魔法少女とも会ったんじゃないの?」


 マミの抱いた疑問は、あたしも考えてみてすぐに気づいた疑問だった。


小巻「そうよね、普通は」

小巻「考えてみればおかしかったのよ。魔女にたどりつくまでの道のりもたどりついてからも、それまで誰か戦っていたようでもなかったし突然すぎたの」

マミ「速攻で魔女を倒して去ったってことかしら……とすると、かなり強力な魔法少女かもしれない」


 マミの言うとおり、相手はわざと接触を避けたってことなんだろう。結局はコソコソと逃げたってことだ。

 グリーフシード目当てではないとはいえ、横取りされたみたいなものだからいい気はしない。


マミ「警戒しておくに越したことはないわね。一度キュゥべえにも聞いてみるわ」



 ――――それから教室に戻ってみると、クラスメイトからはこんなことを言われた。


「最近よく教室を出てるよね。もしかして、さっそく他のクラスの人とも仲良くなったの?」

小巻「まあ、そうね」


 関わったきっかけは魔法少女のことだけど、マミは他のクラスの生徒だし間違ってはいないか。


「えー、さすがだなあ」

「浅古さんって誰とでも気兼ねなく話すし、ズバッともの言うよね。さっきの授業だと先生の間違いまで正してたのカッコよかった~」

「ねー。それあたしにはムリ! まず訂正できるほど授業わかんない!」

小巻「事前に予習してたらわかるようになるわよ。勉強なんてやるかやらないかの違いでしょ?」


 あたしからすればこの学校の人はどうにもやらずに諦めてる人が多いように思えた。

 他にやりたいことがあるならあたしから強制する気はないけど。


 そんな話をしていたあと、休みの約束をしてた子があたしに頼み事があるって言ってきた。明日は土曜――約束は明日だ。


「ねえ、明日ちょっと勉強も見てもらってもいい? カフェで勉強会ってのも王道でしょ?」

小巻「確かにそうね。あたしは構わないけど」

「あ……、呉さんもどうかな?」


 白女の友達とも前は勉強会開くこともあった。

 といってもこの二人とじゃ、あたしの勉強にはならないかもしれないけど。


「えーべんきょう…………誰かといっしょだったらちょっとは捗るかな?」


 ……あまり返事を期待してないみたいな遠慮がちな誘いだったけど、本人は気にしてないようで結局こいつも頷いた。

――――
――――



 放課後、今日は習い事があった。ここからそう離れた場所ではない。

 予定の場所に向かう途中、マミからメールが来たことに気づく。


小巻(キュゥべえから無事に話を聞けたんだ)


 でも、肝心の内容がよくわからない。わからないまま終わっている。

 『どうやら契約した覚えのない魔法少女がいるっぽい』……というなんとも曖昧な内容だった。

 誰も何かされたというわけじゃないから噂はこの程度に留まっていた。



 それから予定を終えて、その帰り道。



 繁華街の近くを歩いていると、クラスメイトの姿を見かけた。


小巻「あたしは用事があったけど、あんまり夜にうろつかないほうがいいわよ」

「私も用事があるんだよ」

小巻「どう見ても買い食いしてるように見えるんだけど」

「……。 ついで!」

小巻「だといいけど。明日はよろしくね」




―5日目終了―


小巻 魔力[95/100]  状態:正常
GS:3個
・[100/100]
・[100/100]
・鳥かご[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv2]

――――――
6日目



*「おまたせしましたー。『エベレストデラックス苺パンケーキ』でございます」

「わぁ!」


 パンケーキが運ばれてくると沸き立った。

 ――――あたしたちは新しくオープンしたというカフェに来ていた。


「すごいね! 写真撮ろ写真!」

「それより早くたべたい!」


 『山ほど乗った』という表現はまさにそのとおりで、マミのところで食べたような上品なケーキとは趣が違うが何しろインパクトがある。

 こういうのが好きな人にはたまらないだろうって思えるメニューだ。

 カフェ自体の雰囲気も、内装は綺麗だしゆったりとしていていい感じ。


「クリームもすごいけど生地もふわっふわだよ!」

小巻「量だけでなく質もなかなかいいみたいだし、美味しいわね」


 まずはみんなで舌鼓を打つ。


「転入して数日だけど、浅古さんはこっちでの学校生活はどう?」

小巻「気楽にやれてるわよ。良い意味でまとまってなくて、面倒も少ないし」

小巻「もしかしたら、あたしにはこっちの雰囲気のが合ってるのかもね」

「やっぱりお嬢様学校って面倒多いの?」

小巻「派閥とか体裁とか、そういうの気にする人は多かったわね」


 あたしが白女から離れてからも数日。だけど、そんなにすぐには変わるものではない。

 いつもと同じ先生が授業して、あたしを除いて同じやつが通って。……相変わらず美国は陰口を叩かれる一方で腫れ物のようにされて。


「今日は一緒に来られてよかったー。それに呉さんも、話してみたら思ったより話しやすかったし」

小巻「こういうのが好きなのね。よく夜に買食いしてるの?」

「か、買食いはともかく甘いものはみんな好きでしょ」

「え、夜遊び疑惑? 夜買食い?」

「夜遊びはしてないよ……買食いはともかく」




*雑談*
1どう思ってたの?
2黄昏れてたのはもうよくなったの?
3自由安価

 下2レス



小巻「思ったよりって、どう思ってたの?」

「もっと人を寄せ付けないタイプかと思ってたよ」

「えー、そうだった……?」

小巻「思い違いだったってことね。そういえば前に黄昏れてたのはもうよくなったの?」

「黄昏れてた? へ、私のこと? ……そんなことあったっけ?」

小巻「……まあ、アンタにとっても大したことなかったんならそれでいいんじゃない」


 そんな雑談を交わしながら、レモンティーを口に運ぶ。

 そのへんのカフェにしては本格的な紅茶だ。マミとのお茶会のことを思い出す。

 マミは学校の友達ともああしてお茶会を開いたりしてるんだろうか。



 パンケーキを堪能すると、机にノートを取り出した。



「じゃあ、そろそろはじめようか――――……勉強会!」

小巻「まずは何の教科から? どこからやる?」

「昨日の英語の宿題わかんないとこあったんだよね。あのへんから教えてくれると助かるよ」

「私も――」


 途中で飲み物を追加しながら勉強を見る。

 居心地は良い。学校で話すのと同じ雰囲気の延長みたいな感じだった。


――――――

――――――


 魔力の砲撃を撃つ。


マミ「さて……これで『お終い“フィナーレ”』よ」


 魔女は声を上げることもなく、その技の名通りに消え失せた。

 代わりに遺したグリーフシードを拾い上げると、誰もいなかったこの場所に人のではない足音が駆け寄った。


QB「やあマミ。今日も順調だね」

マミ「ええ。仲間も出来たことだし、こんな魔女相手に後れを取っているわけにはいかないもの」

QB「なるほど、仲間という存在が人に元気を与えるんだね」

マミ「素敵な響きね」


 マミは柔らかく笑ったが、それからすぐに表情を戻した。


マミ「それで、昨日言ってた魔法少女については何かわかったの?」

QB「ボクもその姿は見てるんだ。小巻の証言もあるし、結界にいたから魔法少女だとは思うんだけど……」

QB「すぐに見失ってしまったんだ。彼女を追うことができなかったんだよ」

マミ「その魔法少女の魔法かしらね……?」

QB「彼女はボクに見つかりたくないと思っているのかもしれない。もしかしたら、他の魔法少女にも」

QB「……その目的が何かはわからないけどね」


 隠れて何かを企んでいるかもしれない者の存在。それはマミにとっても、心の休まらない事態であった。


マミ「一応、何もされてはいないのよね?」

QB「ボクの知る限りではその覚えはないね。他の魔法少女からも被害は聞いていない」

マミ「『他の魔法少女』? 今、他の魔法少女って言ったの?」

QB「……そうだね」

マミ「私と浅古さんとその魔法少女のほかに、この街に魔法少女がいるってことね? 最近増えたの? どうして言ってくれないのよ、もう……」



QB「ボクの使命は、願いのある者と契約することだからね。伝える前にも増えることはあるよ」

QB「いつか、マミとも会うかもしれないね。その時はよろしく頼むよ。また仲間が出来るかもしれないからね」




―6日目終了―


小巻 魔力[95/100]  状態:正常
GS:3個
・[100/100]
・[100/100]
・鳥かご[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv2]

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今回の更新はここまで
次回は14日(土)17時くらいからの予定

――――――
7日目



小糸「……今日も出かけるの?」

小巻「ええ。ちょっとね。なによ、寂しくなっちゃったわけ?」

小糸「べ、別に……そういうわけじゃないけど、学校も離れちゃってますます何してるかよくわかんなくなっちゃったから」


 魔女狩りのために家を出ようとすると、妹に呼び止められた。

 ……ますます、か。いつのまにそんな風に思われてたんだろうか。


小巻「行ってくるわね。今度の休みには一緒にお出かけでもしましょ」

小糸「! 約束だからね? 行きたいとこつれてってもらうからね!?」


 なんか機嫌を取るみたいになってしまった。

 たしかに最近家族で何かをすることもどこかに行くこともしてなかったな……なんて考えた。



 街を回りはじめる。休日の日中、街は活気に満ちているように見えた。



 下1レスコンマ判定 1/3
0~20 使い魔
21~40 魔女



 ……しかし、こんな場所にも『沸く』のねぇ。


 魔力を察知して警戒を強める。魔女よりも不安定な魔力の気配がした。使い魔だけの結界だ。

 大きな建物の裏に回ってみると景色が揺らぎ始めた。



―薔薇園の魔女結界



 宙に浮かんだ使い魔があたしを見てベルを鳴らす。

 鋏を持った使い魔がこっちにワラワラと近づいてきて、空を飛ぶ使い魔はその上をくるくると飛び回っている。



小巻 魔力[95/100]  状態:正常
GS:3個
・[100/100]
・[100/100]
・鳥かご[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv2]


敵:使い魔Anthony×3 <- 攻撃対象デフォルト
  使い魔Adelbert×4
  使い魔Adelbert(幼)×2

1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
3ガード(魔力-3~5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
4バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】

 下2レス



 まずはまともに接近戦を挑んでくる奴らから蹴散らすのが早いかしら?


 鋏が斧に勝てるわけがない。このくらいは一気に押し切れる。

 斧を振るえば、三体をいっぺんに倒すことが出来た。


 それより、ちょっと鬱陶しいのは飛び回ってるやつのほうかな。


小巻「ああもうっ、ジリジリうるさい!」



 下1レスコンマ判定 戦況
0~(劣勢) < 99(優勢)

+一桁0クリティカル(優勢時は自分)
+ゾロクリティカル(自分)
+補正 自[格闘Lv2]*3

小巻さんも呪われるん…?
---------------------------------
劣勢:15



 突進を盾で受け止める。

 それからベルの使い魔に斧を振るうが、いつのまにか足元に張り付いた小さい奴のせいで思ったように踏み込めなかった。

 ひとまず絡みついた茨を振り切って、踏み潰す。……イライラしてきた。


小巻(もう小さいのはいないわね? あとはこれだけ――!)


 残る使い魔はベルの四匹。

 飛び回る使い魔たちを潰していき、あと一匹となったはずだった。


小巻「ああっ!?」


 いつのまにか一匹がいない。

 気づけばすでに手の届かないほうへと空高く飛んで逃げていた。


小巻「逃げるなバカ! 叩き切ってやるからきなさいよ! くっ、見失った……」



 ……周囲から結界が完全に消える。

 そのうちまた会えると信じて、魔女探しを続けるしかないか。



★ガードを3ターン分を使用しました。

小巻 魔力[84/100]  状態:正常
GS:3個
・[100/100]
・[100/100]
・鳥かご[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv2]



 下1レスコンマ判定 2/3
0~20 使い魔
21~40 魔女
41~50 逃した使い魔



 最初に探索していた住宅街付近をもう一度歩き回ってから、川を越えて探索の範囲を広げていった。

 あの使い魔、案外遠くまで逃げたらしい。

 ……駅の近くまで来たあたりで再び魔力の反応を見つけた。



小巻「――――まったく、面倒をかけさせられちゃったわ」



 残りは一匹。あれから増えてもいない。

 見つけてしまえばこっちのものだ。路地裏の隅に潜んでた使い魔を仕留めて、やっと肩の荷が降りた気分になる。


 さて……あんまり遅くなるとまた心配されるし、あと少し回ったら帰ることにしようか。



 下1レスコンマ判定 3/3
0~20 使い魔
21~40 魔女



 少し繁華街のほうを見て回っていると魔力の反応を見つけた。

 また使い魔。

 今度こそ漏らさないようにしなきゃ最悪明日まで延長戦だ。意気込んで使い魔の結界を見つけにいく。



―マジシャンの魔女結界



 人気もなく殺風景な場所に、どこか華やかな景色がチラついて見えた。

 そこに踏み入れるとどこかのステージのような結界に包まれる。


 居るのは小さなからくり人形だけ。



小巻 魔力[84/100]  状態:正常
GS:3個
・[100/100]
・[100/100]
・鳥かご[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv2]


敵:使い魔Mr.Clown×4

1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
3ガード(魔力-3~5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
4バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】

 下2レス



 からくり人形はステッキを持って踊っている。

 そこに斧を振り下ろす。



 下1レスコンマ判定 戦況
0~(劣勢) < 99(優勢)

+一桁0クリティカル(優勢時は自分)
+ゾロクリティカル(自分)
+補正 自[格闘Lv2]*3

優勢:88



 使い魔を一刀両断に粉砕する。

 さっきの使い魔のように飛んで逃げるような心配もないだろう。


小巻「もう一発!」


 道化師の人形は跡形もなく消え去った。

 結界も崩れ、景色が戻る。……これで今日はもう帰ろう。


 ――――すっかり日常に戻った気でいた矢先、鋭い何かが迫った。


小巻「!?」


 咄嗟に目の前に盾を出す。

 あたしは驚いていた。相手のほうも驚いた顔をしていた。


「えっ……!?」


 それ以上の攻撃は来ない。

 そういえば、もう一人魔法少女がいるんだった。


小巻「……ああ、警戒しろって言われてたんだったわ」

小巻「キュゥべえの契約した覚えのない魔法少女って、アンタ?」



「なんのはなし……?」


 あの時居合わせた魔法少女だったら、向こうはあたしのことを知ってるはずだ。

 今更とぼけたりするだろうか。それにあの時何もしなかったのに今になって襲ったのは?


小巻「……違うのね。じゃあまた増えたの?」

小巻「なんにしても、一体これはどういうつもりなのかしら?」


 昨日別れたきりだ。こんな身近なところに魔法少女がいるなんて思ってなかった。――まさか、クラスメイトが。

 襲ってきた強気はどこへやら、キリカは気まずそうな顔をしていた。


 ……呆れた。


キリカ「小巻だって気づいてなかったんだよ! わかってたらやらなかったって!」

小巻「違う人だったら襲う気だったの? まったく感心できないわね」

キリカ「うぐ……」

小巻「目的はグリーフシード? さっきの結界には使い魔しかいなかったわよ」

キリカ「……べつに戦ってたのが魔女でも使い魔でも関係ないよ。ちょっと八つ当たりをしてみようかなって思っただけだったんだ」

小巻「やっぱりろくでもない! ……それに、そんなことばっかしてると寿命縮めるわよ。ただでさえ変な魔法少女もいるんだからね」

小巻「ソイツとアンタは別人なんだろうけど、変な疑いもかかるかも」


 一応クラスメイトとして、これがあたしからできる最大限の忠告だった。

 こいつのことはあとでメールでもしておこう。詳しいことは明日だ。


1明日学校には来るわよね?
2アンタは何か聞いてないの?
3自由安価

 下2レス



 ……明日。転入初日に見た時からたびたび空いていた席が浮かぶ。


小巻「明日、学校には来るのよね?」

キリカ「……行かないとダメ?」

小巻「駄目」

キリカ「だってこれでも気まずいんだよ」

小巻「悪いと思ってるなら逃げようとすんな」


 なんかへらへらした顔がムカついたのでげんこつを落としといた。

 悪いとは思ってるんだろうけど、全然本気で考えてはいなさそうだ。


キリカ「痛いんだけどっ!」

小巻「仕返しよ。これで済んでよかったわね」


 八つ当たりとか言ってたけど、思いつきみたいなもの?

 ろくに考えて行動してないんだろうなって気がした。ますます呆れる。


小巻「まだアンタとは色々話すことがあんのよ。あたしだけじゃなくてね。……今日はもう遅いし送ってく」

キリカ「そこまでしてもらわなくても……」

小巻「また変な気起こすかもしれないでしょーが! アンタの信用いま0だし、拒否権ないからね! で、道どっち!」

キリカ「……こっち」

小巻「本当にこれで済んで良かったわよ。魔法少女なんてろくでもない奴ばっかだけど、知り合いまでそうなったらさすがに気分が悪いんだから」



 ……道を教えてもらいながら、半ば強制的にキリカを家まで連行していった。

 それからあたしも帰宅した。



―7日目終了―


小巻 魔力[81/100]  状態:正常
GS:3個
・[100/100]
・[100/100]
・鳥かご[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv2]

----------------------------
今回の更新はここまで
次回は15日(日)18時くらいからの予定

ついに…連休という特大バフが切れる…。久しぶりに集中して書けてこちらも楽しかったです。

――――――
8日目



 新しい制服が昨日のうちに届いていた。

 あたしも今日からは他の生徒と同じ服装だ。朝教室に入った時にはクラス中から色々な反応が返ってきた。


「あ、制服変わってる!」

「前のもよかったけどこっちも似合ってるねー」

小巻「ありがとう。これでやっと見滝原中の一員って感じね」


 ひととおり反応をもらってから、あたしの横にいる存在のほうにも目を向けられた。


「あれ? 一緒にきたの?」

キリカ「まあちょっと……」

小巻「つれてきた」

「え!?」



 ――――学校での魔法少女会議にも一人増えた。


マミ「確かに私達と『他の魔法少女』がいるってことはキュゥべえも言ってたのよ」

マミ「でも、あなたが……」


 マミは疑いの目で見てる。

 ……あたしはこいつのことについて、隠したりせずにあったことを伝えた。

 八つ当たりで人を襲うような奴。あたしだって、知り合いじゃなかったらただのろくでもない奴としか思わなかったかも。


マミ「聞いておくけれど、私達から隠れてる魔法少女については知らないのよね。……それにあなたでもない、と」

キリカ「知らないし、私じゃないよ」

マミ「そう。私は断定はできないけど、それはキュゥべえに聞けばはっきりするでしょう。でも、それでなくてもあなたの行いは良いとはいえないわね」

マミ「ここは私の縄張りよ。私は危険な存在には対処すると言ったの」

キリカ「……じゃあ私退治されちゃうの?」

小巻「ちょっと、喧嘩するな。ていうかアンタね、やっぱり悪いと思ってないでしょ」


 受けて立つとでも言いたさそうだったから割って入った。……『説教うざい』って顔に書いてありそうだ。

 マミの言い方もわざわざ煽るように好戦的に見えたけど。


 そんな様子を見て、やっぱり本気で考えてないと思った。

 しかしキリカもまだ納得できてないらしく、引き下がらずに言い返してくる。


キリカ「私はキュゥべえから言われたとおり、ちゃんとヒーローしてたんだよ? 魔女だって使い魔だって倒してたしさ」

キリカ「結局何も起きてないじゃん。それに、ちょっとくらい魔が差したからって別にどうにかしてやる気もなかったのに」



マミ「それを本気で言っているの?」

マミ「魔女を殺すための魔法は、人に向けても命を奪える。……あなたにそれを完璧に制御できる自信があるの?」

キリカ「それは……」

マミ「そんなつもりはなかったとしても、殺したり殺されたりするかもしれない。安易に人に向けるものではないわ」

マミ「それに、襲いかかってきたあなたを意図的に『どうにかしてやろう』とする人もいるでしょうね」

キリカ「!」

マミ「残念だけれど、あなたが思う以上の悪人もたくさんいるのがこの世界なのよ」

マミ「そんな人には私が対処する。あなたが理解していなかっただけなら何もしないわ」

キリカ「……わかったよ。私が悪かったよ」


 マミの話を聞いて、キリカはまだふてくされたみたいなどこか暗い顔してるものの素直に謝った。

 いつまでもつまらない意地を張らないだけ、そういうところはちょっとだけ見直してやってもいい。


マミ「私達の使命は魔女を倒すことよ。でもそれだけしてればいいってわけじゃない」

マミ「人を救うのが目的なの。私はそう考えてる。やっぱり、それを共有できない人とは『仲間』には……」


 キリカのほうも見てみるが、特に反論はなしといったようだ。

 マミは魔法少女の使命ってやつにかなりこだわってるみたいだから。


小巻「……じゃ、戻りましょ。『魔法少女』としてどうでも、あたしは同じクラスの友達だから」



 マミと別れて、並んで教室に戻る。

 横から確かめるように、もしくは驚いたように、『友達……』と小さくつぶやく声が聞こえた。



――――
――――




 ――――放課後になると、キリカにつれられて屋上に向かった。

 何か話したいことがあるらしい。


 前にもこいつとはここで会ったことがあった。その時のことがちょっと浮かんだ。


小巻「どうしたの? こんなところまで来て」

キリカ「小巻にはちょっと話しておこうと思って……」


 またしょーもなさそうな悩みの続きだろうか。もうどうでもいいみたいな口ぶりだったけど。

 キリカの言葉の続きを待つ。


キリカ「私さ、契約する前の記憶がないんだ」

小巻「はあ!?」

キリカ「正確には、『契約する前の自分』……の」


 記憶喪失、だったら一大事だけどそうでもないらしい。

 それならここまで変わらず生活できていないだろうし。いや、本人にとっては変わるのか。


小巻「どういうこと?」

キリカ「私の願い事、『違う自分になりたい』って願ったらしいんだけど、そのせいか覚えてないこと多くてさ」

キリカ「何を思って契約したのかもわかんないし……キュゥべえに聞いても自分で願ったんだからって、全然とりあってくれなくてムカつくし」

小巻「……まああいつはちょっと融通聞かないとこはありそうよね」

キリカ「それでイライラしてたんだよね。……昨日も」


 一応、襲ったのは思いつきでもその奥に理由はあったらしい。

 前の悩みは解決してたわけじゃなかった。

 あの時何に悩んでたのかは今となっては誰にもわからずじまいで、そこに新しい悩みが取って代わってきたってこと。


キリカ「一応喧嘩売るんだから、反撃されて酷い目に遭わされるかもって、そのくらいは考えてはいたんだよ?」

キリカ「……でも、無意識のうちに、もう死んでもいいやって思ってたのかな?」

キリカ「なんか、私だけおこちゃまみたいでカッコ悪くってもう嫌になる……今の自分だって好きにはなれない」



 ふてくされたような不機嫌さは、自分に向けて――か。

 契約する前のこいつなんてこの学校に来て日の浅いあたしが詳しいわけないし、その時の心情なんて更にわからないけど。



1いつから契約してたの?
2マミには言わないの?
3自由安価

 下2レス



小巻「マミには言わないの?」

キリカ「言ってどうなるっていうのさ。私はああいうふうにはなれないよ」

小巻「そうね。アンタの場合、人を助けるより前に自分の気持ちのほうをなんとかしないといけなさそうね」

小巻「それでも事情くらいは話しておいたほうがいいと思うけど」


 マミは魔法少女として、同じ考えを持つ人を求めているようだった。

 助けを求めるとして、縄張りの主としての責任にこだわるマミがそこまでの度量まで持ちあわせているのかはわからない。


小巻「……あのさ、前に屋上で話したのって覚えてる?」


 問いかけても特段の反応が返ってこない。

 心当たりがないんだろう。でもむしろ、そのおかげで確信した。


小巻「契約した日くらいは覚えてるでしょ。先週の火曜の放課後だったりしない?」

キリカ「! そ、そうだけど……!」

小巻「やっぱり。次の日会った時に違和感があったもの。まさか契約したせいだとは思わなかったから流したけどね」

小巻「あの時のアンタは屋上で黄昏れてて、何か悩んでるんじゃないかって思ったのよ。その悩みが契約にも関わってるってこともわかったわね」

キリカ「肝心の内容がわからないんじゃ意味ないよ」

小巻「そんなの、なんかの拍子に思い出すかもしれないじゃない!」


 妙に弱気になってるので一喝してやる。

 こいつは考えなしで動くわりに立ち止まるとウジウジするらしい。



小巻「それに、記憶がなくても味の好みまでは変わってないみたいね。前にもいくつも甘いお菓子買ってるの見たわ」

小巻「まさかあの時は休日一緒に過ごすとは思ってなかったけど」


 購買で会ったときのことだ。あの時も甘いものばっか買い込んでると思った。


小巻「パンケーキ頬張ってる時のあなたのお気楽な笑顔は、本当に幸せそうだったわよ」

キリカ「お気楽って!」


 カフェに行った時の様子見てたらそんなこと抱えてたことなんかまったく気づかなかった。

 本当にお気楽そうだったし。


小巻「自棄にならずに自分を大切にしなさい。あの時はイライラなんて忘れてられたんでしょう」

小巻「アンタ自身の身に何かあったらそんなささやかな幸せだってなくなっちゃうんだから」

小巻「あんたがしっかり今の自分と向き合って何とかしようと思うなら、あたしも助けてあげるわよ」


 キリカはなんともいえない表情をして、少し気恥ずかしげに笑ったあと……

 これだけ言った。


キリカ「…………またなんか食べにいこっか」

小巻「ええ。あたしも甘いものは好きよ」



―8日目終了―


小巻 魔力[81/100]  状態:正常
GS:3個
・[100/100]
・[100/100]
・鳥かご[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv2]

-------------------------
ちょっとだけ解説をしますと、
2日目で小銭落とす判定が出たことによりキリカの契約が予定よりも早まっています
今回は小巻主人公ということもありますが、かなりの運絡みの判定があるので元々原作同様の流れにはそうそうならない予定でした
そう考えると原作は小巻にとってもキリカにとっても、最悪の運を連続で引き続けてしまったって感じですね…

今回の更新はここまで
次回は20日(金)19時くらいからの予定です

――――――
9日目



 授業を終えて、鞄の中身を整え始める。



「浅古さん、今日ってこれから時間ある?」

「カラオケ行きたいねーって話してて、もしよかったら浅古さんもどうかなって!」

小巻「ごめんなさい、今日は用事があるの。あたしは今度にさせてもらうわ」


 今日も放課後は塾だ。

 少し余裕はできたけど、大きい予定は入れられない。


「あ、うん! じゃあまた今度ね!」

小巻「ええ、今日のところは二人で楽しんできて。それか他の人でも……」

キリカ「?」


 ふと、目が合った。


キリカ「カラオケ! たまにはいいよね!」

小巻「まあ、アンタは暇そうね」

「じゃあ呉さんも一緒に行こっかー」


 学校で用があれば集まれる魔法少女は増えたが、教室ではクラスメイトに魔法少女がいようと変わらずだ。

 キリカに対する反応も、最初こそわずかに意外そうな反応もあったもののそんな様子もすぐになくなった。

 ……それにしても、今街にいる魔法少女はみんな見滝原中の三年か。


小巻(案外、近いところに固まってるのよね)



*放課後~余白時間*
1クラスメイトと話す
2校内移動
 a屋上
 b図書室
 cその他
3白女の友達とメール
4自由安価(校外の場所移動は時間がかかりすぎるので無理)

 下2レス




 あと、正体不明のだれかもいたっけ。そいつがどこの誰かは知らないけど。


 荷物をまとめて教室を出た。

 もう生徒が下校していく時間だ。段々と廊下からも人が減っていく。

 まさかこの中にいたりして。なんて考えて、すぐにそれを否定した。


 あたしたちは顔も知らないし、パッと見じゃ見つけようがない。でもキュゥべえは姿を見てる。

 大勢の人間の中から一人を見つけ出すことは難しくても、学校ならキュゥべえだってよく見てる。

 この学校に通っていればもうとっくに見つかっているんだろう。



―9日目終了―


小巻 魔力[81/100]  状態:正常
GS:3個
・[100/100]
・[100/100]
・鳥かご[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv2]

----------------------------
今回更新はここまで
某獄激辛な焼きそばに挑戦したら結構ぺろっと食えたものの
後々腹壊したという間抜けな理由により微妙に本調子じゃない…

次回は21日(土)18時くらいからの予定

――――――
10日目



キリカ「……充実してそうだよね、キミは」


 今日の最後の授業が終わった後、キリカがぽつりと言った。

 なんでいきなりそう思ったんだろう。思わず『は?』って返した。


キリカ「だって、小巻って大体忙しそうにしてるじゃん。今日も予定あるの?」

小巻「今日は……そうね、何もない日には優先的に魔法――……『仕事』を片付けに行ってるけど」


 ……危ないところだった。

 『魔法少女』とか『魔女』なんて、たとえ周りに聞かれてなくても恥ずかしくて教室で口に出来ない。


キリカ「『仕事』……ね。やっぱり小巻もマミみたいに誇りとか感じてるんだ」

小巻「……で、アンタの言う充実ってのは『忙しい』ことなわけ? だったらアンタも勉強するなり、何か予定を詰めたらいいじゃない」

キリカ「まあそれはそうなんだけど、そうやる気が起きないんだよ」

小巻「何事もやる気なさそうにしてるとそれだけで無意味なものに思えてくるものよ」

キリカ「そういうもんかなぁ」

小巻「とりあえず何でもいいからちょっとは本気出してみたらいいんじゃない。勉強くらいなら少し見てやってもいいけど?」

小巻「この前見た時かなり壊滅的だったし、どれもこれも答えが異次元に飛んでたわよ」


 ある程度下地がないと頑張ろうにも難しいものだろう。

 正直にいってこんなことを言い出させるくらい、ちょっと心配になる出来だった。


キリカ「あはは、ホントに……?」

小巻「ええ、壊滅的なのはホントだったわよ」

キリカ「いやそっちじゃなくて、ていうかそれはわかってるんだけど……忙しそうなのにこれ以上時間使わせるのも」

小巻「休憩時間にでも少しずつね。せっかく同じクラスにいるんだから」




 ――――……チャイムが鳴る。



*放課後*
1魔女狩り(一人)
2魔女狩り(マミを誘う)
3魔女狩り(キリカを誘う)
4【約束/いつでも】キリカと何か食べに行く
5たまには早く帰ってゆっくりしようかな

 下2レス



 帰りのHRが終わると、キリカと一緒に学校を出た。


 放課後は魔女狩りだ。

 多分何もされないとは思うけど、正体不明の魔法少女のこともあるから一応出発前にマミにも連絡しておいた。


 ……何かあったらあっちも気づくでしょう、多分。簡単にどうにかされてやるつもりもないけど。


小巻「言っておくけど、あたしだってマミと同じじゃないわよ」

キリカ「え?」

小巻「マミは『魔法少女』として誇りや使命感があるのでしょうね。あたしはなんかこっ恥ずかしいし、やめられるならやめたいところよ」

キリカ「でも、こうして忙しいなか優先してやってるんでしょ」

小巻「自分で決めたことだってわかってるから」

キリカ「……」



 下1レスコンマ判定 1/3
0~20 使い魔
21~30 ※遭遇
31~40 魔女



 こいつはそれを忘れてしまったからやる気が出ないし納得できないと言っていた。

 そこを除けばそんなに違うわけじゃない。


 けど、もしあたしがその立場だったとして、同じ行動はとっていなかっただろうとも思ってる。



キリカ「……今日は魔女さんも使い魔さんもいないのかなー?」

小巻「まだ始めたばかりよ」



 下1レスコンマ判定 2/3
0~20 使い魔
21~30 ※遭遇
31~40 魔女



 街を回っているものの、今日のところは気配がない。


キリカ「せっかくやろうと思ってもさ、すぐ戦えないのもダルいよね」

小巻「それはわかるわ。見つけたらぶちのめしてやれるけど、見つからないとどうにもできないもの」



 下1レスコンマ判定 3/3
0~20 使い魔
21~30 ※遭遇
31~40 魔女



小巻「ここまで来ても何もなし、か」

キリカ「きっともう誰かが倒しちゃったんだよ。今日は終わり!」

小巻「アンタねぇ…… まあでもこれ以上歩いてても遅くなるし」

キリカ「お腹空いてきたなぁ」

小巻「仕方ないわね、何か食べに行きましょ」

キリカ「えっ? きみも買い食いとかするの? お嬢様なんでしょ?」

小巻「その辺で売られているものとかはあんまり気が進まないけど、衛生面がきちんとしてるお店ならまあいいわ」


 小腹がすく時間なのも事実。

 万が一おなかでも鳴ったりしたら格好が悪いもの。


小巻「詳しいなら案内してくれない?」

キリカ「……それじゃあイチオシに連れてくから、文句言わないでよ?」

小巻「はいはい」


 入ったのはチェーン店のアイス屋だった。

 そういえば、この前の約束はこれで一応果たしたことになったんだ。


小巻「種類がありすぎて迷うわね」

キリカ「でしょー? 迷うのも楽しいんだよ」


 キリカの顔は言葉通り楽しげだった。 

 今日は魔女狩りはハズレだったけど、誰かと一緒ならこうして楽しめるなら、あたしもこれでこれでいいかなと思った。


>>168 【訂正】最後の行「これでこれで」→「これはこれで」
------------------------------------------------------


小巻「そういえば、何事もなく魔女狩りが終わったってマミにも報告しておかないと」

キリカ「何事もなさすぎたね。まあよかったけど」


 マミにメールを打つ。


小巻「……アンタ、マミには言ったの? 自分のこと」

キリカ「言ったよ。ちょっと話す機会があったから」

小巻「で、どうだったの」

キリカ「『そう』だってさ。それだけ」



1マミのことどう思ってる?
2あたしからも何か言ってやろうか?
3自由安価

 下2レス

-----------------
今回更新はここまで
次回は22日(日)19時くらいからの予定



小巻「アンタ、マミのことどう思ってる?」

キリカ「どうって言われてもね…… 向こうにどう思われてるかはわかるし」


 マミ自身がどう思うかまでは変えることはできない。その思いは、この前聞いたとおりだろう。

 自分のことをよく思ってないってわかってる相手にすり寄るなんて、そりゃしたくなくなる。こっちから願い下げってやつ。

 こいつだってどう見てもそういうことが出来るタマじゃない。


小巻「……まあそうよね。あたしは『仲間』だけど」


 マミは縄張りの魔法少女としては認めてる。その上で『仲間』になれるかっていうのはもっと感情的な問題だ。

 心から信じられない、気に入らないヤツなんか仲間とは思えないのも当然だ。


 ……でも、それでもなんかモヤっとくるんだ。


小巻「あたしからも何か言ってやろうか?」

キリカ「へ…… 何を?」

小巻「アンタだって契約したばっかでしょ。マミのがベテランで、街ごと仕切ってて、力も強いだろうに」

小巻「自分の眼鏡に適わなかったからって、早々につまづいた新人の手を取りもせず、いつまでも見放すような態度取ってるのは大人気ないってのよ」


 キリカはぽかんとしてた。



キリカ「いや、でもそれは……」

小巻「それは、何よ?」

キリカ「私が悪いってのもあるし、仕方ないんじゃない?」


 言うと思った。後ろめたさか無関心か知らないけど、うんざりした気分だ。


小巻「あのね、あたしの嫌いな言葉教えてあげましょうか?」

小巻「仕方ない、って言葉よ。そういう言葉で片付けるのが一番嫌いなのよ!」

キリカ「で、でもさぁ……」

小巻「は!? 今度は何?」

キリカ「いや……なんでもないよ。なんか、すごい人だね、きみ」



 あたしはマミとは反発する理由もなかったけど、考え方については気になっていたところだ。

 普段聞けないことを話すのにはちょうどいい機会になりそうだ。



―10日目終了―


小巻 魔力[81/100]  状態:正常
GS:3個
・[100/100]
・[100/100]
・鳥かご[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv2]

――――――
11日目



 マミのほうの報告が返ってきた後、あたしはすぐに明日話したいことがあるとメールを送った。

 昼休みになると、いつもの場所で向かい合っていた。


 言いたいことを一通り言ってやると、マミは少し意外そうに驚いた顔をしていた。


マミ「……少し驚いたのよ。ずっと一人だったからっていうのもあるけど、そういう風に言ってくれる人って初めてだなって」

マミ「前に仲間がいた時も、私についてきてくれるって感じだったもの……ね」


 いつの話かは知らない。

 その仲間はもう何かあっていなくなってしまったってことは雰囲気でわかった。


小巻「まあ別に、仲良くしろとか言うつもりは最初からないわ」

小巻「でも仲間って言ったって色々あるでしょ。結局同じ街でやってくんだし、のけ者みたいに拒絶されるのは誰だっていい気がしないわよ」

小巻「あたしのことは気にかけてくれるなら、それを少しでもアイツにもしてやったらって、こと」

マミ「でも……向こうは私のことどう思ってるのかしらね?」

小巻「それはマミにもよるんじゃないの? 向こうだって同じこと気にしてたわよ」

小巻「嫌われてると思えばそれなりの対応しかしないものなんだから、出方伺ったりしないで動けばいいのよ」

小巻「相手の気持ちを変えさせるつもりでぶつかれば、案外いつのまにか気の合う仲間になれてるかもしれないわよ」



マミ「……そうね。もう少し接し方は考えてみるわ。もう少し歩み寄ったらわかり合えることもあるかもしれないしね」

マミ「でもやっぱり、私にとって同じ考えを持てる仲間は特別だわ。他の人ともそう……なれたらいいわね」


 マミの言葉は自信なさげにすぼんでいくようだった。


マミ「だって、仲間と思ってても途中で裏切られるかもしれないし、やっぱり嫌になったって言うこともあるかもしれない」

マミ「そう思うと……やっぱり、中途半端な人は信用できないって思っちゃうわ」


 ここまで言うのだから、『何か』はあるんだろう。

 自分の考え以外認めないタイプなのかと最初は思ってたが、それだけでもないのかもしれない。



――――
――――



*放課後*
1魔女狩り(一人)
2魔女狩り(マミを誘う)
3魔女狩り(キリカを誘う)
4たまには早く帰ってゆっくりしようかな

 下2レス

---------------------------
遅筆さがやばいですが更新ここまで
次回は23日(月)20時くらいからの予定です



 昨日は結局買い食いしかしてないから、今日の放課後もリベンジってことで街に出た。

 明日も明後日も予定が入ってるしやれる時にやらないと。


 同じようにマミにメールを打って、昼の会話を思い出す。


小巻「……言ってきてやったわよ。マミも疑り深いみたいだからいきなり好意的にはならないだろうけど、言わないよりはきっとマシよ」

小巻「アンタのことももう少しは気にかけてくれるようになるでしょ」

キリカ「あ、ありがとう?」


 なぜか疑問系のくっついたような返事がかえってきた。


キリカ「小巻はさ、嫌われたらどうしようとかは考えたりしないの? そっちはそこそこ仲良くしてたんでしょ」

小巻「考えない」

キリカ「うわあ、即答」

小巻「言いたいことを我慢してまで仲良くしたいわけ? それこそしょうもない」

キリカ「……言われてみればそうかも」

小巻「別に今回のこともアンタのために言ったってわけじゃないからね。あたしが言いたいことを言っただけ」



 下1レスコンマ判定 1/3
0~20 使い魔
21~30 ※遭遇
31~40 魔女



キリカ「小巻ってなんていうか……」

小巻「?」

キリカ「……うーん、いいや、言っちゃおう。ツンデレって言われない?」

小巻「よくわかんないこと言ってないで、集中しなさいよ。魔女がいる」


 歩き続けて、かなり人気のない雰囲気になってきたと思ってたとこだった。

 魔力の気配を感じた。


キリカ「えっ、ホント」

小巻「さっさと入り口見つけて乗り込むわよ」



―鏡の魔女結界



 元がなにもないような場所だ。浮かぶ紋様はあっけなく見つかった。

 結界に乗り込んでみれば、キラキラと光る景色に飛び回ってあちこちを浮遊する鏡。

 目が痛くなりそうだった。


小巻「使い魔はいないのかしら? だったら手間もないんだけど」


 武器を構える。すると、鏡の中に映る使い魔が一斉にこちらを見た気がした。

 今まで虚像でしかなかったものが、実態を持って飛び出してくる。


小巻「……そんなことだろうと思った!」



小巻 魔力[81/100]  状態:正常
GS:3個
・[100/100]
・[100/100]
・鳥かご[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv2]


仲間:
キリカ 状態:正常

敵:魔女Mirrastrece
  使い魔Twinker(鏡)×7
  鏡×12

1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
3ガード(魔力-3~5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
4バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】

 下2レス



 空気を裂くような軽い一閃ののち、鏡の割れる破壊音が響く。


キリカ「このくらいなら鏡ごと斬ってやれるよ!」


 キリカが使い魔の出てくる鏡に向けて、魔力の刃を袖ごと振るう。

 使い魔も素早いがキリカの反応も素早い。あたし一人じゃ反応は出来てもこうはいかない。

 数が多いのは厄介だけど、今日のところは二人いて助かったかも。


 割られた分の補充か、追加の鏡を取り出そうとした魔女めがけて、あたしは斧を振り下ろしにいった。



 下1レスコンマ判定 戦況
0~(劣勢) < 99(優勢)

+一桁0クリティカル(優勢時は自分)
+ゾロクリティカル(自分)
+補正 自[格闘Lv2]*3

優勢:93



 鏡に刃がぶつかって砕ける。

 砕けた破片すら魔女の武器みたいなものだ。足を取られないように注意しながらもう一発分振りかぶる。


小巻(次こそ、狙って……!)


 あたしの一発は重い。する方も食らう方も。

 焦って中途半端な攻撃をするより、渾身の一撃を振るうチャンスを待ったほうが確実なことが多い。


 魔女の攻撃をガードする。

 ……そして、大抵、相手が攻撃した後にはその『チャンス』がやってくるんだ。


小巻「うらああああっ!!」


 ギラギラと光ってる鏡の鎧ごと砕いてやった。


 ――――砕けたガラスの破片と砂埃が舞う。

 結界が消える前、その奥に見知った姿を見た気がした。



小巻 魔力[78/100]  状態:正常
GS:3個
・[100/100]
・[100/100]
・鳥かご[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv2]

見知った顔?誰だ?
そしてGSは3個のままということは・・・



織莉子「小巻さん……?」


 ……やっぱり。なんでアンタがこんなところにいるのよ。

 そう思ってから結界が消えて、景色が戻った。


 あたしは慌てて変身を解いた。

 は? 見られた? こいつに? ……うっわ、サイアク。せっかく二度と会わないと思ってたのに。


小巻「てかアンタ、なんでこんなところにいるのよ!?」

キリカ「知り合いー?」

織莉子「そ、それは私が聞きたいのだけど……」


 ……魔女に取り込まれてた。

 そりゃこんだけ陰気くさい顔してるんだもの。何もおかしくはない。


 逃げ出したいけど、関わっちゃった手前放っておくわけにもいかない。

 放っといたらまたこんなことになるだろうし。追い込まれたら契約とかしちゃうかもしれないし。



1アンタがそんな顔してるからよ
2ちょっとついてこい!
3アンタは聞かなくていいの
4自由安価

 下2レス


追加で話してる時にきゅうべぇが営業に来たら織莉子に素質があるか聞く



小巻「アンタがそんな顔してるからよ。ちょっとついてこい!」


 美国を引っ張っていく。ついでにさっきの魔女のグリーフシードはキリカに投げ渡した。


小巻「それはあげるから。今日は解散!」

キリカ「えぇっ、ええ!?」



 キリカを置いてこの場を離れる。

 適当にそのへんのカフェにでも入って腰掛けると――――あたしは怒鳴った。



小巻「アンタ、バカでしょ!? さっきも言ったけど、アンタがあんな場所にいることになったのはそんな景気の悪い顔してるからなのよ!」

小巻「あたしたちが来たから偶然助かったものの、下手すりゃ死んでたのよ! わかってんの!?」

織莉子「ええと……」

小巻「もう~~~~――ええとじゃないッ!」

織莉子「じゃあなんて答えたら……」


 美国に詰め寄ってたら、キュゥべえがテーブルの上に降りてきた。


QB「さすがにそれじゃ答えようもないと思うけど」

小巻「……キュゥべえ。口挟まないでくれる? ていうか何しに来たのよ。まさか……」


 さっきもうっすら考えたけど、美国に契約を迫りに来たとか言う気じゃ。



 たとえもう学校が変わって関係なくても、知り合いが魔法少女になるとかもう嫌。

 こいつが魔法少女になんかなったらむしろ関係ができちゃうし。

 考えただけでも腹がたった。


小巻「……いい? さっきアンタを襲ったのは魔女っていうバケモノなのよ!」

小巻「魔女は人を襲うしすっごい迷惑な存在よ! あたしはそいつらを狩る……魔法――」

QB「『魔法少女』だよ。なんでいつもそこで詰まるんだろうね……?」

小巻「うるさい! 中三にもなって魔法少女なんて、恥ずかしくて口に出来ないのよ! 同業者だけの場ならまだしも!」


 美国は首をかしげて見ている。その視線がムカつく。


小巻「とにかく、魔法少女になろうとか絶対にやめときなさい。恥ずかしいし危ないし同業者ったって変なヤツもいるんだからね」

小巻「で、アンタは何しにきたの? こいつの契約勧誘?」

QB「いや、違うよ。少し落ち着いてくれ」

小巻「え」


 カップを手にして口に運ぶ。……その手にも当然指輪もない。あるわけない。魔法少女じゃないんだから。


QB「魔法少女は誰でもなれるものじゃない。ボクのことが見える、素質のある少女じゃないと契約できないよ」

小巻「……なんだ。心配して損した」


 あれ? じゃあ今までの下り、こいつには全部あたしが何もないところに向かって一人芝居続けてたように見えてるってこと?

 さっき首をかしげてたのもキュゥべえのことが見えてなかったからだ。

 …………一気に恥ずかしくなった。テーブルを全力で叩くと、美国は肩を揺らした。


小巻「美国!! 今の忘れなさい!!!」

小巻「ああ、でも前半は忘れなくていいから! そうやってウジウジしてるとひっどい危ない目に遭って死ぬかもしれないのよ!」

織莉子「……なんだかわからないけど、心配してくれてるのよね? ありがとう」

小巻「うるさい!」



 二人でカフェを出た。

 外に出てみると、すでに日が落ちかけていた。



小巻「あーあ、アンタのせいで今日の予定丸つぶれよ……」

織莉子「ごめんなさいね? 改めて礼を言うわ。小巻さんのおかげで助かったみたいだから」


 ……陰気くさい顔、やっぱりまだ直ってない。

 これはあれか、バカは死なないと治らないってやつか。でも死んだら手遅れだ。



1近況を聞いてみる
2家まで送ってく
3自由安価

 下2レス



小巻「そっちはどうなのよ、今」

織莉子「そんなに変わらないわよ。でも、小巻さんがいなくなって寂しそうにしている子もいるわ」


 さっきは一方的に喋っちゃったから、こいつにも話を聞いてみる。


 あたしに気を使ったのかしらないけど、あたしの周りのことなんて聞こうとしたわけじゃない。

 こっちはこっちであんな学校に頼らずとも友達付き合いは続けてるし。


小巻「アンタもまだ毎日懲りずに通い続けてるの?」

織莉子「ええ」

小巻「だから前から言ってるけど、あんな学校行かなきゃいいのよ。腐るわよ。それかこっち来たら?」

織莉子「学校にいるほうが落ち着くのよ。それに、あんなことになっても、今まで努力してきたものを全てを失うのは怖いの」


 役にも立たないみみっちいプライド。

 ……それに苦しめられてるんだだろうに。気づいても手放そうとしない。


小巻「……家まで送ってくわよ。また襲われたりしたらさすがに嫌だからね」



 美国を家まで送っていくと、その先にあったのは不審な人だかりだった。

 よく見れば窓ガラスも割れている。

 学校だけじゃなく、家までここまでされて。なんで澄ました顔でいられるんだ。


小巻「アンタたちなにやってんの!? 変なことしようものなら警察呼んでやるわよ!」


 人だかりに向かって怒鳴ってやると、蜘蛛の子を散らすように逃げていった。


小巻「まったく、アンタもこの程度やってやればいいのよ」

織莉子「しつこい人にはそうすることもあったけど、もう慣れたから余計な力を使いたくないのよ」

小巻「そんなこと言ってるからつけあがらせるんだっての」

織莉子「……大丈夫。気にしてないわ。学校のことも、家でのことも」

織莉子「みんなのことを恨んだりもしていない。だから…… ね?」


 そう言ってやってもいつもと同じ、澄ました顔で。……どこか陰気くさくて。


小巻「アンタが口でなんて言おうと、大丈夫じゃないからあんな目に遭ったんだっての。やっぱり理解してないわね?」

織莉子「……」



 久しぶりにこんなヤツと会っちゃったからイライラする。

 どうにかしてやりたいのに、本人がそれを拒んでる。意味分かんない。

 こいつのことは、本当に理解できない。



小巻「……で、アンタはホント何しにきたの」

QB「ちょっとどんな話をするのか少し気になっただけだよ。学校を出た時からずっと見てはいたんだ。ボクの使命は魔法少女を見守ることだからね」

小巻「あっそ」


 ……あたしも帰ることにした。


―11日目終了―


小巻 魔力[100/100]  状態:正常
GS:3個
・[78/100]
・[100/100]
・鳥かご[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv2]

-------------------------
今回更新はここまで
次回は27日(金)20時くらいからの予定
>>192 GSが追加されてないのは分ける前だったからですね

見滝原制服verの小巻さん
http://i.imgur.com/eRv3Feh.png

リンクをクリックすると接続がリセットされましたってページが出ますね
アドレスをコピーして他タブに貼り付けて移動すると画像が表示されました

おそらくSS速報側の不具合と思われます
外部サイトのリンクに移動する時のリダイレクトが機能してないのかなと
画像に限らず他のリンクでも同じようでした

――――――
12日目



 朝、教室につくと、昨日置いてけぼりにしてったキリカがまず一番に話しかけてきた。


キリカ「昨日の人って知り合いだったんだよね? あれから大丈夫だったの?」

小巻「知らないわよ!」

キリカ「えー……ご機嫌ナナメ?」


 あんなヤツに調子狂わされてる事自体ムカつく。

 ……でも、昨日のことを見てたら気づいちゃったんだ。

 絶対このままじゃいつかアイツによくないことが起こるって。


 魔女に食われて死ぬかもしれない。それとは関係なしに、もっと酷いことが起こるかもしれない。

 変わらないように見えて、現状維持なんてできっこない。あんな状態が続けば悪くなる一方だ。


小巻「そっちはどうだったの」

キリカ「あれから一人でもちょっと回ってたよ。使い魔倒した」

小巻「そういえば、昨日はマミにも連絡し忘れちゃったわね……」


 あとで会いに行ってみようか、そんなことを考えてるとキュゥべえが目の前に現れた。


QB「今まで正体不明だった魔法少女のことを見つけたよ。さっきマミにも伝えたところだ」

QB「詳しいことを話したいから、あとで集まることは出来ないかい?」


キリカ「えっ!?」


小巻『あのさ、それはお手柄なんだけど』


 あんまり使うことのなかった魔法少女の力のひとつ、テレパシーをキュゥべえに向けて使う。


小巻『素質もないような人がいる前で出てくるのやめてくれない!? アンタのせいで恥かいたんだからね!』

QB「……わかった。気をつけることにするよ」


 キュゥべえはそれだけ言うと、どこかへ消えるようにしていなくなった。

 まったく、いつもどこから出てどこへ消えてくのかわからない。神出鬼没なヤツだ。


小巻「キリカも気をつけなさいよ」

キリカ「な、何?」

小巻『忘れがちだけど、キュゥべえは普通の人には見えてないし声も聞こえてないんだから』


 これもテレパシー。これからは多用することになるのかしら。

 ……便利と言えば便利な魔法だけどまどろっこしいのは嫌い。


キリカ「!」



 キリカは両手で口を押さえた。



――――
――――




マミ「それで、正体不明の魔法少女ってどんな人なの? どこにいたの?」

QB「この学校の二年生の、暁美ほむらって生徒だね。どうやら今日転校してきたみたいだ」

小巻「少なくともこの学校には『いなかった』って推測してたのは合ってたか。どおりで見つからなかったわけ」


 昼休みの会議。いつのまにかそこまで特定してきたらしい。

 やっぱり人探しとなるとあたしたちよりキュゥべえのほうが上手か。コソコソするの向いてそうだし。


QB「どうやって魔法少女の力を得たのかわからないって意味では正体不明のままだけどね」

QB「それに、さっき教室で声をかけたらものすごい剣幕で睨まれてしまったよ。『早くどこかへ行って、消えなさい』ってね」

キリカ「君が記憶にないだけで嫌われるようなことしたんじゃないの?」

QB「それは困ったね。ボクに原因があるなら言ってほしいな」


 キリカはあんな事情があるからか、キュゥべえのことはよく思ってないらしかった。

 その魔法少女のことも案外同じような理由ってのもありえるけど、だとしたら今起きていることは逆。


マミ「……確かに、それはただごとじゃないわね。あまり近づいたら危ないかも」

マミ「原因がなんだったとしてもそれは逆恨みよ。あなたが気にすることはないわ」


 対照的に、マミはキュゥべえのほうに入れ込みがち。これもマミの事情によるのだろうか。


キリカ「本当にそうかな? 肩持ち過ぎじゃない? 本当の理由もわかんないのに」

小巻「それはその通りよ。現時点で何もしてないなら、責めるのは事情がわかってからにするべきね」


 それについては今あたしたちで話してたところで答えは出ない。

 いったん区切りがついたところで、マミが動き出した。


マミ「ちょっと挨拶してくるわ。この街を仕切る魔法少女としてね」


1ついていく
2やめたほうがいい
3自由安価

 下2レス



小巻「あたしもついていくわ。キリカは……」

キリカ「購買行ってくるー。みんなでぞろぞろ話しに行く必要もないでしょ?」


 キリカは一足先に行ってしまった。

 またお菓子でも買いにいくんだろう。暁美ほむらには今のところは興味なしって様子だ。


小巻「じゃあマミ」

マミ「ええ」



 マミと二人で二年の階に向かう。

 廊下にいた人に少し聞いてみたらすぐにわかった。転校初日ながら、2年の間じゃすでに話題になっているみたい。



小巻「あいつ……か」


 腰まで伸びた黒い髪に、凛として澄んだ紫の瞳。

 クラスメイトに囲まれて話す姿を見てると、キュゥべえから聞いたような印象は感じられない。

 しかし、手元に注視すればたしかにあたしたちと同じ指輪があった。


小巻「マミ、さっきも言ったけどいきなりあまり厳しくあたったらダメだからね?」

小巻「責めるのは何かやらかしてから。反感を持たれたら話だって進まないわよ」

マミ「ええ……わかってる。敵意まで向ける気はないわ。今の時点ではね」


 教室の外から覗いていると、暁美の視線が一瞬こっちを向いた気がした。

 それから暁美はクラスメイトに一言断ると、椅子から立ち上がった。

 外に出るつもりだろう。あたしたちのいるほうへと歩いてくる。



小巻(話しかけるなら今ね)


 そう思った矢先に、こちらから声をかけるまでもなく暁美は立ち止まった。

 暁美の視線は、今度こそ見間違えではなくマミのほうだけに向いていた。


ほむら「私に聞きたいことがあるのでしょう? 話せることだけ話すわ」

マミ「……ええ」


 マミが街を仕切ってるって知ってるのか。あたしのほうはガン無視か。

 暁美はあたしたちを先導するように早足で歩き、周りの生徒から離れた場所で足を止めた。


マミ「私のことを誰から聞いたの?」

ほむら「この街に前からいる魔法少女なのだから、知っていたっておかしくはないでしょう」

マミ「そうとも言えないのよね。他の街から来て魔法少女のことを知るとしたら、大体キュゥべえから聞くものでしょうし」

マミ「あなたはキュゥべえとも今朝出会ったばかりだもの。……それとも、これについてもどういうことか教えてくれるのかしら?」

ほむら「……」


 暁美は黙り込む。マミは焦れた様子だ。


ほむら「話せることだけ、話すと言ったわ」

マミ「じゃあ、話せないというのね?」


 あたしたちが知りたい核心はそこだ。

 結局核心については話す気がないと言われたようなもので、ぎこちない空気が漂う。


小巻「ちょっと、あたしのこと無視してんじゃないわよ」

ほむら「別に無視したつもりではないけれど…… 巴マミに比べたら話す意味を感じなかっただけ」

小巻「そんなのアンタが勝手に決めないでくれる? 話が逸れたけど、あたしたちはアンタに挨拶をしにきたのよ」


 思ったとおり暁美はずいぶんと自分勝手なヤツらしく、これはこれで腹が立ってくる。

 マミがいなければあたしが代わりに怒ってたくらいだ。


 ……クラスメイトが相手のときは普通に話してそうだったのに。


マミ「そうね。といっても、自己紹介はもう必要がないみたいね」

マミ「挨拶ついでにあなたのことも聞かせてもらおうと思ってたけど、一番知りたいことは教えてくれないようだからこれだけ聞いておくわ」

マミ「あなたの目的は何?」

ほむら「別に目的なんて無いわ」


 暁美はそう言うが、マミは半信半疑のようだ。


マミ「……そうだといいのだけど。あなたがこのまま何も問題を起こさないのなら、信じてもいいわ」


1よろしく、と言っておく
2キュゥべえに対して恨みでもあるの?
3自由安価

 下2レス



小巻「アンタって、あたしの名前ももう知ってるわけ?」

ほむら「……いいえ」

小巻「あっそ。興味がないみたいだけど、ここまで来たんだから名乗っとく。浅古小巻、一応よろしく」

小巻「見たことはあるんでしょ? 結界の中で」

ほむら「……」


 あのときの魔女結界。

 あたしから見れば魔女も結界も丸ごといきなり消えたようにしか見えなかったような出来事。

 聞いてみても、暁美はまた黙り込んだままだ。こっちが根に持っていると思ったのかもしれない。


小巻「別に怒んないわよ。どうやったのかは知らないけど、アンタのほうが先にいたあたしより早く倒せたってのは事実なんだから」

小巻「それにあたしはグリーフシードが目当てじゃないから。無作法だとは思ったけど、直接喧嘩を仕掛けなかっただけまだいいわ」

小巻「アンタなら多分、それもできたんでしょうしね」

ほむら「……ええ、そうね。私もグリーフシードが必要なの」

マミ「それって、グリーフシードが目的ってこと?」

ほむら「あるに越したことはないけれど、争って求めるほどでもないわ。少なくとも私は貴女達に何かをする気はない」


 暁美は明らかにあたしやマミとは違う。

 キリカよりもさらに利己的な考えに近いスタンスのようだった。


小巻「まあ、こう言ってるんならいいんじゃない? そんなに警戒しなくても」

マミ「今のところはね」


 『仲間』にはできなくとも、今のところは争う理由もない。マミもそう判断したようだった。

 ――――休み時間も残り少なくなって、自分たちのフロアに戻っていく。



小巻「相変わらず堅い返事ね。向こうの態度も態度だけど」

マミ「何か起きてしまったら手遅れだもの。守らないといけない人もいる立場だから、常に疑いは持っていないといけないの」

マミ「特に暁美さんについてはわからないことだらけなんだもの。それを話す気もないのなら、すぐには信じられるはずもないわ」

小巻「わかんないでもないけど…… なんか疲れそうに思えるわよ。縄張りに人増えたときって、毎回こんなことやってたの?」

マミ「私はもう慣れてるから大丈夫よ。でも、そうね。疑うべきか信じるべきかを見極めるのは難しいことよね」


 マミの表情は、前にキリカのことで話した時に似た苦笑だった。

 多分、実際に裏切られたことでもあるんだろう。だから簡単には信じられない。そう言っているように聞こえた。


 廊下の途中でマミと別れて、自分のクラスへと戻っていった。


キリカ「おかえりー」


 教室では、あたしたちよりも先に購買から戻ってたキリカがお菓子をつまんでいた。

 こっちはこっちで相変わらずだ。

 勧められるまま一口サイズのチョコレート菓子をひとつ受け取る。……少し安っぽい甘い味がした。


キリカ「どうだったの?」

小巻「ある意味思ったとおりだったかも。ろくに秘密は話してくれないし。でもまあ、そんなに危険なやつでもなさそうよ」

キリカ「へえ」


 聞いておきながらやっぱり興味がなさそうな。害がなさそうとわかったらそれで十分って反応だった。


キリカ「こういうお菓子も食べるんだね!」

小巻「たまにはね。でも、あんまりこうやってもらったりあげたりすることはなかったかもね」



 授業がはじまるまでの少しの間、一緒にお菓子をつまみつつ、周りのクラスメイトとも世間話をして過ごした。


――――
――――



 放課後。今日は習い事の日だ。

 朝から思いがけない魔法少女のことはいったん忘れて気持ちを切り替える。



 ――――用事の終わった帰り道、少しだけ寄り道をしてから帰路につく。

 昨日も通った道の近くを通っていることに気づいたからだった。

 ちょうど時間も同じくらいだろうか。あの荒れた家を遠目に見て、昨日の苛立ちが少しずつ蘇ってくる。


小巻(もう二度と会わないはずだったし、無関係になったって思ってた)

小巻(でも本当にこれからこのまま放っといていいわけ……?)


織莉子「小巻さん、どうかしたの?」


 そうしていると、後ろからムカつく声がした。


小巻「……なによ、今帰りなわけ?」

織莉子「ええ、そうだけど……」

小巻「何の用事が知らないけどね、アンタみたいのがふらふらうろついてたらまた昨日みたいなことになるでしょ!」

小巻「暗くなったらただでさえ変な奴が沸くのよ! 寄り道しないでまっすぐ帰りなさいよ! バカ!」

織莉子「え、ええ。そうね……できるだけそうするわ」


 なんでこんなこと言わないといけないんだか。

 それもこいつがこんな風にのんきにしてるせいだ。そう思うと、もう呆れてきた。


織莉子「小巻さんも気をつけて」

小巻「あたしはいざとなったら怪物だって変な奴だってぶっ飛ばせる力があるわよ。アンタなんかが心配すんな!」


 絶対にコイツ、状況をわかってない。

 話せば話すだけさらにムカついて……美国と別れて帰った。



織莉子「…………」


―12日目終了―


小巻 魔力[100/100]  状態:正常
GS:3個
・[78/100]
・[100/100]
・鳥かご[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv2]

――――――
13日目



 ……約束通り、この土曜日には妹の趣味にガッツリつきあわされていた。

 映画にショッピング、果てには水族館まで回ることになった。本当に、こんなのいつぶりだろうか。


小糸「あー、楽しかったね!」

小巻「それはいいんだけど、ちょっと一日に詰め込み過ぎじゃない? 結構慌ただしかったわよ」

小糸「だって、いつも遅くに帰ってきて忙しそうにしてるから。休みも大体どっか行っちゃうし」


 それだけ一緒にいる時間を貴重だと思ってるってことらしかった。

 家族なんて一番近くにいると思ってたから、いつも後回しにしがちになっていたんだろうか。


小糸「いつも何してるの? 塾とか習い事とかあるのは知ってるけど、それだけじゃないんでしょ」

小巻「それは……」



1友達づきあい
2散歩
3バイト
4人助け
5言えない
6自由安価

 下2レス



 正直になんて言えない。

 恥ずかしいし、危ないし、できれば関わらせたくない。心配もかけるだろうし。

 でも明らかな嘘もつきたくはなかった。


小巻「別に悪い事をしてるわけじゃないわよ。人助けのバイトみたいなことやってるの」

小糸「バイト……? そんなのするほどうち余裕なくないよ。なんでそんなことしてるの?」

小巻「そ、そうだけど、まぁお金じゃないっていうか? ……心配かけてるけど今はそれだけしか言えないのよ」

小巻「ごめんね。その代わりと言ってはなんだけど、また今日みたいに付き合ってあげるから!」

小糸「……」


 納得、できないか。


小巻「お腹すいてない? アイス食べにいこ! このまえ新しくできた友達に連れてってもらったところがあるのよ」

小糸「アイス? やった!」


 また機嫌とるみたいになったけど、ひとまず喜んでくれた。

 話せないことを少し心苦しく思いつつ、ごまかせたことに安堵した。



 ――――それから、帰宅して自室で一息つくと、携帯を開いた。

 あたしが毎日顔合わせられなくとも、毎日顔を合わせてる人から話を聞けばいい。


 気にかけてやれとも、あたしの代わりにいびってやれとも言えないけど。


小巻「は……?」


 前と同じように近況の話を聞くと、『いつもどおり』の他に一個だけ美国自身が言わなかったことが追加されていた。

 美国は、ほんの数日だけ学校を休んだらしかった。

 そのままもう来なくなるんじゃないかと思われていたものの、何を思ったのか結局何事もなかったように復帰してる。


 あたしが前に聞いた時にはなかった情報だ。ほんの数日の、本当に小さいことだけど、なんで出てきたんだろう。


小巻「……そのまま出てこなきゃよかったのに」



 向ける相手も目の前にいない悪態をついていた。



―13日目終了―


小巻 魔力[100/100]  状態:正常
GS:3個
・[78/100]
・[100/100]
・鳥かご[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv2]

------------------------
ここまで
次回は29日(日)20時くらいからの予定です

――――――
14日目


 今日になると、携帯に新しいメッセージが追加されていた。

 昨日の続きかと思って中身を見てみる。でも、違った。


 マミからのお茶のお誘いだった。美味しいケーキがあるから一緒にどうかって。


 ……昨日のメールでも、たまには会って一緒に話したりしないかって誘いが来てた。

 わざわざ予定を作らないとそうそう顔を合わせることがなくなっちゃったから。



*今日の予定*
1マミの誘いに乗る
2白女の友達に会いに行く
3白女の友達に何か伝える、他の用事をする、とか(自由安価)

 下2レス



 美国のことも思い出す。

 やっぱりあいつのことは理解できないけど、何か心の変化とか、覚悟とか。休んだからには全く何事もなかったってわけじゃないはずだ。


 今日のところは、友達と会う約束は今度にしよう。そう返事を返す。

 ついでに、『美国は復帰してからどうしてるのか、何か変わってないか』――って文を追加しておいた。


小巻「じゃあ、行ってくるわね」

小糸「昨日言ってたバイト……?」

小巻「いや、今日はちょっと見滝原の友達にお茶に誘われただけだから! 大丈夫だって。そんなに遅くならないわよ」

小糸「……わかった」


 マミの家に向かう。

 前にもあがらせてもらったが、眺めの良いマンションだ。エントランスにつくと、下まで迎えにきてもらった。


マミ「いらっしゃい。すぐにお茶を淹れるわね」

小巻「ええ。お邪魔するわ」

マミ「そういえば、浅古さんは紅茶の好みはある?」

小巻「紅茶ねぇ……そんなに詳しくないわ。こだわる人はこだわるんでしょうけどね。あたしは大体その時のオススメで満足しちゃう」

マミ「じゃあ、今日も私のオススメにしておくわね?」

小巻「それなら安心ね」


 こんな話題を振るくらいだから、マミは詳しいんだろう。

 少し待っていると、クリームの添えられたシフォンケーキが出てきた。



マミ「どうぞ。今回のは自信作よ」

小巻「いただくわ。あ、いい香り! 蜂蜜?」

マミ「ええ。香りが良くなるのよ」

小巻「へぇ、工夫してるのね」


 紅茶、か。

 そういえば、あんなことになる前に美国が誰かに雄弁に語ってるのを見たかもしれない。


 何を考えてるんだ。よりによってこんな時にまでアイツのことが過るなんて。


小巻「……マミもさ、趣味が合いそうな人とは話してみたいと思う? どんな人でも」

マミ「どんな……って、それはたとえば悪人とかじゃなければね」

小巻「ええ、別にそういうのじゃないわよ。ただバカみたいにうじうじしてて、周りから嫌われてるってだけ」

マミ「もしかして、浅古さんにそういう知り合いでも……?」



1マミを会わせてみる?
2すぐにじゃないけど、ちょっと覚えておいて
3なんでもない
4自由安価

 下2レス

安価↑+白女の友達に織莉子に私が会いたいと伝えて欲しいとメールする。

暁美は私たちと合わせる気がないみたいだし、問題を起こす気がないなら今は放置でいいでしょ。
キリカは自棄にならずにちゃんと魔法少女やってるから、そろそろマミにも歩み寄ってもらってもいいかも。
一緒に魔女狩りをすれば連携の訓練にもなるし問題点もみえてくるでしょうし。

いきなり会わせるのもなんだし、一応本人に一言伝えてからにしよう。



小巻「すぐにじゃないけど、ちょっと覚えておいて」

マミ「覚えておくわ。浅古さんの知り合いなら楽しみよ」


 多分マミなら悪いようにはしない。マミは厳しい一面もあるけど、それは魔法少女だからってのが大きいし、無関係な場なら。

 友達でも増えればアイツだってちょっとは持ち直すはず。


小巻(後でもう一つ送るメールができたわね……)


 そこまで考えると、少し気分がすっきりした。


小巻「そういえば、あれからキリカとはなんか話した?」

マミ「この前魔女狩りに誘って、少しだけね」

小巻「マミから見てどうだった? 今のあいつ」

マミ「……」

小巻「もう自棄にはなってないと思うわよ。割とちゃんと魔法少女やってるし。そろそろ認めてあげてもいいんじゃない?」

マミ「……悪い子ではないのはわかるわ。でも、これ以上何をしてあげたら?」

小巻「バカなこと考えたのも一人でどん詰まってた時でしょ。案外、誰かと一緒にいるってだけでなんとかなってるのかもよ」

小巻「今度はみんなで魔女狩りに行ってみない? まあ、暁美は合わせる気がないみたいだから放置でいいと思うけど」

マミ「ええ、そうね。それくらいなら」


 キリカはマミの求める完璧な『仲間』ではないにしても、少しは認める気にはなったようだ。

 魔女との戦いに対して完全に前向きになるには、やっぱり契約した動機がわからないと難しいのかもしれないけど……。

 あたしが前に言ったみたいにいつか思い出すってこともあるかもしれないし。



 マミの家で紅茶とケーキを楽しんで過ごした。



―14日目終了―


小巻 魔力[100/100]  状態:正常
GS:3個
・[78/100]
・[100/100]
・鳥かご[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv2]

-----------------------------
今回の更新はここまで
次回は30日(月)19時くらいからの予定

――――――
15日目



 メールの返事が来てた。


 美国との約束はさっそく今日の放課後。

 こっちも今日なら特に予定はないから、それで構わないって伝えてもらった。


 何の用事かは言ってない。

 ……いきなり会わせるのもなんだから、あたしはマミのことを紹介しにいくだけだ。



*「浅古さん、また明日ね~」

小巻「ええ。また明日」


 向こうのが通学も遠い分、今日は着替える時間くらいはある。

 学校が終わると、一旦家に帰ってから美国の家に向かった。


 あんな荒れさせてた家でも人を招くくらいの余裕はあるらしい。

 繊細なのかと思ったら、思ったよりは図太いとこもあるっていうか。

 適当にそのへんの店でも使ったっていいのに。


小巻「美国! いるわよね?」

織莉子「……ええ、いらっしゃい」


 玄関のチャイムを鳴らしつつ呼びかけると、少ししてから美国が出てくる。



小巻「夜逃げでもしたみたいに静かで陰気な雰囲気だから、てっきりいないかもと思ったわ」

織莉子「いたずらも多いから声をかけてくれると助かるわよ。少し待っていてくれるかしら」


 いつもみたいに軽口を叩くが、澄ました顔で流される。


 中は割と綺麗。ソファに掛けて待っていると、昨日に続いてここでも出てきたのは紅茶だった。

 一口飲んでから、本題を切り出すことにする。

 あたしには細かな違いとか詳しいことはわからない。


小巻「あたしももうかなり馴染んできたけど、見滝原中って色んな生徒がいるのよ」

小巻「アンタと趣味の合いそうな人もね。庶民の集まりってバカにしちゃいけないわね」

織莉子「そう……それはなによりね」

小巻「アンタも友達くらい作ったら?」

織莉子「……?」

小巻「ちょっと会わせたい人がいるのよ。たとえばこの紅茶についてとか、あたしよりずっと話せるわよ」


 美国はしばらくとぼけたような間の抜けた顔をしていた。


織莉子「……今日はそのために私に会いに?」

小巻「そうよ! あたしの友達だから変な心配はしなくていいわよ。会いたいっていうなら今度つれてくるけど!」

小巻「ていうか会いなさい! 向こうは楽しみにしてるって言ってるんだから! このまま一人で陰気臭くしてたら、アンタ本当に腐ってキノコでも生えるわよ!」

織莉子「わ、わかったわ。今度ね?」



1伝えたいことは伝えたし、あたしは帰るか
2あれから何かあったか
3学校を休んだことについて
4自由安価

 下2レス


小巻「とにっかく! アンタの事を嫌ってる私がわざわざ気を使ってあげたんだから、この機会をちゃんと活かしなさいよ!」

小巻「さっきも言ったけど紅茶のことで色々盛り上がると思うからちゃんと準備はしなさい!」

小巻「お膳立てした私の顔に泥を塗るような事をしたら承知しないからね!」

織莉子「ええ、おもてなしの用意くらいはしておくわね」


 まくしたてると、美国はちょっと気圧された様子でそう言った。

 こっちから喋りすぎたか。こいつを見てるとついあれこれ言いたくなってしまう。いっつもやられたい放題で隙だらけなのが悪い。


小巻「……で、あんたの方から何か言う事はないの? ないなら帰るから」

織莉子「気を使ってくれたのはありがとうね? でも、私ってそこまで心配されるような顔色してるのかしら……?」

小巻「自覚ないの!? あーっ、もうこれだから!」


 まったく、本人は隙だらけって自覚すらないのだから救いようがない。

 帰り際にちょっと、近況のこととメールで聞いたことを聞いてみることにした。


小巻「そうだ。そっちはあれから何かあった?」

織莉子「いつもどおりよ」

小巻「そう? この前何日か休んだんでしょ? 何かあったの? 体調でも崩したわけ?」

織莉子「……そうね。そんなところよ」


 嘘かホントかはわからない。

 けど、待っててもこれ以上言わないようだからこっちも言葉を続ける。心身に悪そうなのは変わりないんだから。


小巻「あんな学校に行き続けるから辛気臭さが身体にも影響するのよ!」

織莉子「とはいっても、ずっと家にいたいわけでもないもの」

小巻「……何度も言ってるけどね、アンタもあんな学校辞めちゃえばいいのよ」

小巻「もう通ってても意味ないんでしょ? あたしには合ってなかったし、アンタにも合ってなかったのよ。きっと」

小巻「別にアンタの心配をしてるわけじゃないから! それだけであたしのイライラの原因が1つ減るからよ! いいわね!?」

織莉子「……」


 言い訳も聞かないうちに、あたしは美国の家をあとにした。

 今はまだ心が動かなくても、友達ができればちょっとは心が変わることだってあるかもしれない。


――――――

――――――



織莉子「そうね、確かに悪い提案ではないのだけどね……――でも」

織莉子「さすがに動きが大きすぎる。今あの場にこれ以上注目を集めるべきじゃない」



――――――


「……ここは?」


「――あっ、そういえば今日約束してたんだった! てことは、あの人の家……か」

「今日はもう動きはナシかな」


「ん……? 帰り、じゃない。今度はなんでこんなほうに?」




――――――
――――――



 帰り道を歩く途中、あたりに魔力の気配を感じた。

 この感覚は魔女だ。でも……。


小巻(強い……いや、複数いる……?)


 何か普段とは違うものを感じた。気のせいかもしれない。

 感覚的なもので、はっきりとはわからなかった。



小巻(とにかく、行ってみるか……!)


 感覚が強くなるほうへと探りながら足を進めていく。

 街並みから少し外れて、雑然とした倉庫のほうへと。結界へはそう迷わずに着いた。




―回転の魔女結界



 結界に入れば、そこは舗装すらなくなった洞窟の中だった。

 狭い通路を奥へと進んでいく。


小巻「うっとうしいわね!」


 歩くたびに飛び出してくる使い魔に斧を振り回して当てる。

 一体一体はそこまで手強いわけじゃない。

 不意打ち気味に出てくるのは、卑怯な手でも使わなければよほど自信がないからだろう。



 最深部にたどり着くと、ドリルのたくさんついた不格好なロボットみたいな魔女が待ち構えていた。

 どうせここにも使い魔が隠れてるはずだ。警戒はしておこう。



小巻 魔力[100/100]  状態:正常
GS:3個
・[78/100]
・[100/100]
・鳥かご[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv2]


敵:魔女Degrenne
  使い魔Mr.Trill(見えている分)×4

1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
3ガード(魔力-3~5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
4バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】

 下2レス



 とりあえず、同時にかかってこられたら面倒くさい。

 魔女の周りにバリアを張って閉じ込める。すると、その中からギュルギュルと耳障りな音がけたたましく響いた。


小巻「っ――!? うるっさ……!」


 ドリルが回転する、モーターのような音だ。そこにバリアがぶつかりあって火花を散らし始めている。

 使い魔が手に持つそれより大きく、身体中にもつけているそれは魔女にとっては自慢の武器。

 長くは閉じ込められてやらないってことか。


 ……まあ、そう焦んなくたって、今から出してやるわよ。『アンタごと』。


小巻「――――はああッ!」



 斧を握りしめ、魔女のほうへと駆け出した。



 下1レスコンマ判定 戦況
0~(劣勢) < 99(優勢)

+一桁0クリティカル(優勢時は自分)
+ゾロクリティカル(自分)
+補正 自[格闘Lv2]*3

結果:50以上orクリティカルで撃破

優勢:69


 立ちふさがる使い魔を斬り跳ばし、飛び出してきた使い魔にも対処する。

 魔女がバリアを突き破った。でも、ここまで足止めできたなら上出来。

 間に合ったっていえる!


小巻「とりゃあぁあ――っ!」


 バリアすらなくなってさらけ出された魔女の頭部――自慢の大きなドリルに渾身の一撃を叩き込んでやると、

 硬質そうな金属のボディまで真っ二つに両断された。



 結界がなくなって、景色は土が囲む洞窟から薄ぼけた鉄色の倉庫へと戻ってくる。

 そこに、『いつのまにか横にいた』誰かがグリーフシードを掴み上げていった。



「あらららぁー? ……もうやられちゃった。一応、硬さと威力が売りだったんですけどねぇ」



 顔を上げ、そこに現れた人物の顔を捉える。

 強盗、というには、ただ待ち伏せして奪いにきたというよりその口ぶりには謎が残る。


「見たところあなたも同じようなタイプみたいですし? 効きづらいってことかあ」

「もうちょっと戦えるかと思ったら……約立たずのゴミでしたね」


小巻「……アンタ誰。グリーフシード奪いにきたの?」


「私が先に見つけました! だからこれは私のものですっ。――次はもっと、相性の良い魔女を出しますね」

小巻「は……!?」


 女がそう言った次の瞬間、再び景色が変わった。



―お菓子の魔女結界



 瞬間、鼻についたのは甘い匂い。

 あんな場所にあるはずもなかった、似合わない結界に包まれていた。


 孵化したてだからか、まだ使い魔はいない。

 女はファンシーなピンク色のぬいぐるみを抱いて――そして、それを両手で二つに裂くように引きちぎった。


小巻「!」


 咄嗟に身を守る。それから思わず後退した。

 引き裂かれた布の中から、ぬいぐるみから出てきたとは思えない巨大な黒い身体が口をあけて飛び出してきた。


「この子は使い魔から『育てて』みましたがなかなかのアタリです。良い出来でしょう? 可愛くって強そうで。くふふ」

小巻「育て……って、お前、それってまさか! 人を!?」


 なにを言わんとしてるか気づいて、あたしは女の顔を睨んだ。

 使い魔が魔女になる条件は一つ。人間を食べて力をつけることだ。もし、意図的に魔女として成長させるとしたら。

 どういうわけだか、魔女はコイツを襲わない。それどころか、自分の駒や作品のように語っている。


 目の前に視線を向け直す。魔女が再び迫ってきていた。


「ほら! よそ見なんてしてないで! 食べられちゃいますよ!」

小巻「アンタはあとで絶対倒す!」


 ひとまず、魔女の方に集中したほうがいいだろう。


小巻 魔力[87/100]  状態:正常
GS:3個
・[78/100]
・[100/100]
・鳥かご[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv2]


敵:魔女Charlotte <- 攻撃対象デフォルト
  謎の魔法少女

1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
3ガード(魔力-3~5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
4バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
5自由安価(話したりとか)

 下2レス



 突っ込んでくる攻撃は正面から受け止めることができるけど、巨体の割に動きは素早い。

 歯でも欠けさせてやればちょっとは楽になるのかしら。

 今度こそその大口開けた顔面に刃をくれてやろうか。


 女はどこからか出てきたお菓子の椅子に座り、ニヤニヤとしながらこっちを眺めている。



 下1レスコンマ判定 戦況
0~(劣勢) < 99(優勢)

+一桁0クリティカル(優勢時は自分)
+ゾロクリティカル(自分)
+補正 自[格闘Lv2]*3

結果:35以下で『苦戦』

優勢:75



 いや、顔面と言わず――やれるとこまで引き裂いてやる!


 斧を構え、魔女に斧を突き立ててやった。

 わざわざ勢いよく突っ込んでくるんだ。自ら斬られにいってるようなもの。


小巻「なっ――――!?」


 勝った、勝てなくても致命傷を与えたと思った途端に、攻撃する前と変わらない『無傷の』大口が飛び出してきた。

 この至近距離だ。無理に下がるよりも突っ切って逃げる。

 一か八かにはなるが、斧を構え直して魔女の身体を裂きつつ横に抜けた。


 ……手応えは硬くなかった。でも、攻撃が効いてるのかどうかもわからなくなる。

 今までの魔女は大抵、力いっぱい攻撃すれば倒せた。でも、こいつを倒すのに必要なのはパワーじゃないんだろう。再び魔女に向き直る。


 観戦してた女が楽しそうな声を上げていた。


「どうですか? 驚きましたよね!? これがこの子のすごいところです!」

小巻「うるさい……!」


 あたしに相性の良い魔女を出す、だっけか。確かに戦いづらい魔女だ。


小巻「グリーフシードのために使い魔をあえて逃がす奴ってだけなら珍しくはないわ。まったくイイとは思わないけどね」

小巻「でもお前はなにがしたいの? 魔女を育てて人を襲わせるなら、もうお前は魔法少女じゃなくて魔女よ!」

「面白いですねぇー。なんとでも言えば?」

小巻「なにそれ。開き直り?」

「私にとってはそんなことどうでもいいんです。魔法が使えて、その力で私の思い通りにできるのなら」

「魔女でも、魔法少女でも」



*脱皮により戦況リセット*
 下1レスコンマ判定 戦況
0~(劣勢) < 99(優勢)

+一桁0クリティカル(優勢時は自分)
+ゾロクリティカル(自分)
+補正 自[格闘Lv2]*3

結果:80以上で撃破。35以下で『苦戦』

優勢:86 + クリティカル!
これはまぐれラッキーどころの騒ぎではない…結果ボーナスがあってもいいはず。

[格闘Lv2]→[格闘Lv3]



 コイツに会ったのは最悪の運だが、この戦いのおかげで何かを掴めた気がする。

 まず、今までのあたしは身を守りながら隙を狙って全力で攻撃することしかしてなかった。

 でもこの状況じゃ重い斧はどちらかというと枷みたいだし、思いっきり攻撃なんてしようものなら次の瞬間には脱皮した魔女にこっちが齧られる。

 さっきはうまくいったけど、何度も寸手で切り抜けるような危ないことはしたくない。


小巻(落ち着け…… 魔女の行動は単純だ)


 魔女はどうせ向かってくる。だって、あたしを食べたくてしょうがないんだもの。

 手も足もない魔女は本能に任せて真正面から近づいて噛み付くことしかできない。

 近づきすぎちゃいけない。こっちから踏み込む必要もない。


 最小の動きで攻撃を避けて、魔女を裂く。正面に身体を伸ばすのは素早くても、所詮小回りは効かない。

 あとは繰り返す。落ち着いて対処できるようになってきた。


「……!」


 何かに焦って女が立ち上がろうとする。

 そこに向かって、刃を投げた。さすがに2対1になったらきつい。


「は…… ひィ……!?」


 当たらなかったようだが、椅子が壊れ、女は腰を抜かしていた。


小巻「動きやすくなったわね。こっちはもう行動パターンは掴んでるんだから。武器がなくても避けるだけならたやすいわ」

小巻「武器は作り直せばいい。邪魔しようとしたら次は当てるわよ……!」


 魔女を裂く。

 ――すると、魔女は気の抜けた風船のようにしぼんで落ちていった。



 周囲に満ちていた甘い匂いが元からなかったかのように霧散し、結界が消える。

 現実の景色が戻ってくると、あたしはさっきまではいなかったはずの人の姿を見て目を見開いた。

 向こうも同じような反応だ。


晶「な、にこれ。 小巻? 今どこから!?」

小巻「晶……なんでここに。いや、それより!」


 晶――白女にいたころからのあたしの友達だ。


 すると、腰を抜かしていた女が立ち上がって晶の背後に回りこんだ。

 思いがけなかった出来事に動揺してすぐに気を回せなかった。まだ戦いは終わってない。魔女はこいつの武器の一つにすぎない……!


「動くなぁ!! こいつを殺す!」

晶「え……!?」

小巻「お前……本当に卑怯ね」

「く、は、は、は。卑怯で結構! こんな絶好のチャンス逃すやつがいるかよ……!」

小巻「……それじゃあ、何をすればいいの」


 悔しいけど、この状況を打破する手段が思いつかない。

 聞くだけ聞いてから考えようとすると、女はあたしにこう要求した。


「変身を解いて、ソウルジェムを渡してください。あとグリーフシードも」

「魔法少女じゃなくなるんだからもういらないでしょう? そうすれば二人共生きて帰してあげます」

小巻「……」


 ソウルジェムを渡すってことは、魔法少女やめろってことだ。

 確かにあたしはやりたくてやってたわけじゃない。


 コイツにとっては競争相手が減る。……コイツのやってたことを考えたら、殺すと決めたら人くらい簡単に殺すんだろう。

---------------------------
ここまで
次回更新は1日(水)19時くらいからの予定



「ほら早く! オトモダチ殺されてもいいのか!?」

小巻「くっ……」


 女に急かされ、しぶしぶ変身を解除する。これでまた一つ状況が不利になった。

 とはいえ、コイツも余裕がないんだろう。下手なことを考えたら最悪の結果になりかねない。

 コイツからしたら、あたしが友達を見捨てて襲いかかる可能性もないわけじゃないから。


 ……でも、あたしはやっぱりそんなことは考えられない。


小巻「そうね。本当はもうちょっと続けてやるつもりだったけど」

小巻「……そのために守れなくなるんじゃ結局、本末転倒だわ」


 ソウルジェムを手に持って近づく。女はその間も、あたしをじっと見ていた。


 ――……疑いもある。従ったところで本当に無事に帰してくれる保証はあるのだろうか。

 一般人すら養分にして殺す魔女だ。期待なんかできない。


晶「ぁあああああああっ――――!」

「!!?」


 瞬間、劈くような咆哮。

 晶が振り返りざまに肘を打ち込み、女を突き飛ばしていた。晶があたしの手を掴んで走る。


晶「小巻! 逃げるよ!!」

小巻「えっ、ええ!」



 ひたすら走る。まずは人気のない場所を離れていく。

 離れた街中まで来て、ようやく足を止めた。


 晶はまだ息を切らしている。

 逃げるときは連れられるように出たけど、本気で走ればあたしのほうが速いし疲れない。

 そんなあたしを見て、晶は驚いているようだった。


小巻「無茶しすぎ…… でも、やるじゃん。助けられたわよ」


 たしかに女はあたしのほうしか見てなかった。

 魔法少女でもない晶が反撃するなんて思ってなかったんだろうから。


晶「意味わかんなかったけど、人のためにらしくもなく、したくないことさせられそうになってるのはわかったからさ」

晶「今度はこっちが守ってやろうかなって……」

晶「うまくいってよかった……! もう心臓バクバクだよ。なんだったのアレ……!」


 あたしも思ってなかった。まさかあたしのほうが守られるなんて。

 これから美国のときみたいに、あいつや魔法少女についての説明もしなきゃいけない。

 そう思うと、どう切り出そうか迷った。


晶「何もないとこから現れるし! 変なカッコウしてたし! 一瞬で服変わっちゃったし!」

小巻「へ、変なってっ…… そ、そもそも晶は一体なんであんなところにいたのよ」


 直球で言われて顔が熱くなる。あの女のこともだろうけど、あたしのこともだ。

 ……いったん話を逸らそう。あたしのことよりも、先に晶のことを聞いておくことにした。



晶「実は小糸っちから相談されてて。夜遊びしてるかもとか、一昨日聞いた話だとなんかバイト? させられてるらしいって言うんだけど……」

小巻「……たしかにそう言ったわね」

晶「とにかく、そのことについて知りたがってて。あたしもそう言われちゃ気になったから」


 晶が携帯を取り出してあたしに見せてきた。

 そこには、地図のようなものと目立つ丸いマークがあった。


小巻「なにこれ。……あれ? もしかしてこれって、このあたりの地図?」

晶「うん。小巻の携帯をGPSで追跡できるように設定させてもらった」

小巻「は? 設定!? いつのまに!? ……ていうかジーピーエスってなに」

晶「昨日の夜って聞いたかな。やっぱり小巻ってそういうの詳しくないでしょ? まあ今いる位置がわかると思ってくれればいいよ」

小巻「ってことは、晶はあたしを追って……」

晶「来たんだけどね? なぜかいないし、もしかしたら携帯落としたのかなーとか、ヤバいことでもあったんじゃ……とか思ってたら急に現れた」

晶「あたしは話したから、今度はそっちの番だよ!」


 ……やっぱりこうなるのか。

 話さないわけにはいかないらしい。小糸にも。

 隠したせいでこれだけ心配かけて、危険な目に遭わせてしまったんだ。事によっては死んでた可能性だってあった。


小巻「あたしがいなかったのは、魔女の『結界』の中にいたからよ」

小巻「魔女ってのは人を襲う怪物。普段は結界の中に潜んでて、普通の人には見つからないとこから人をおびき寄せてるの」

小巻「あたしはその魔女を倒す…………魔法少女」



 言った。言っちゃった。

 晶も何言ってるんだって思ってそうだ。その反応は正しいと思う。


小巻「――……に、なっちゃったのよ。林間学校のとき」


 しかし、そう言うと、晶は何か納得したような顔をした。


晶「なるほど、それであんな格好を!?」

小巻「格好についてはふれないでよ! 恥ずかしいんだから!」


 ……すぐに、そういうことかって思った。

 趣味であんな格好してると思われるのも癪だけど、そんなこと納得しないでほしい。


小巻「さっきの女も魔法少女よ。でも、あいつは魔女を操れるみたい。あの魔女もあいつが出したの」

晶「魔法少女同士でも戦うことあるの?」

小巻「あるわよ。報酬を巡ったり、人助けよりもそういうのしか興味ない輩もいるみたいだから」

晶「へぇ……、危ないんだね……」



 話したら話したでまた心配されちゃった。



1危ないからもうこういうことはしないで
2小糸にはあたしから話しておくから
3魔法少女になるなと言っておく
4自由安価

 下2レス


小巻「危ないからもうこういうことはしないで。あたしなら大丈夫よ。身体も強くなったし、魔法だって使えるんだから」


 あたしの身体の強さについては晶ももう目の当たりにしてる。


小巻「さっきのヤツなんて、本気でこっちを殺そうとしてきていたわ」

小巻「契約して強くなったからってうぬぼれて、他人をなんとも思わない人でなしもいるの」

小巻「名前とか衣装とかは恥ずかしいけど、アニメとかマンガみたいなファンシーな世界でもないのよ」

晶「でもそれって、他の魔法少女もでしょ? 小巻もヤバいんじゃ……?」

小巻「そうだけど、それでもあたしは魔法少女になったことは後悔してない。状況が何であれ、自分でなると決めた事だから」


 とりあえず、さっきのヤツのことは後でマミにも連絡しよう。

 晶があんな無謀ともいえるような勇気を出さなければ、あたしはもう魔法少女じゃなくなってた。

 あたしはそのことに感謝していた。


晶「……そっか、そうなんだね。話聞いたらちょっとだけ小巻の気持ちがわかったよ」

小巻「ただ、アンタは絶対契約しちゃダメよ。もし契約を迫りにくるヤツがいたとしても突っぱねなさい!」

小巻「恥ずかしいけど、まだ魔法少女でいさせてくれてありがとう。危険な事に巻き込んじゃってごめんなさい」

小巻「小糸にはあたしから話しておくから」


――――
――――



 晶を家まで送り、いつもより遅い帰りになると、小糸はすごく心配そうな顔で出迎えてくれた。

 ずっとあたしが帰るのを待ってたらしい。


小糸「お姉ちゃん! 今日もバイトもしてたの?」

小巻「小糸、そのことだけどね……」


 小糸にもさっきと同じように説明した。


 これであたしが魔法少女ってことを知るのは3人になっちゃったわけだ。

 美国はキュゥべえが見えなかったけど、2人はまだどうだかわからない。



 あの女のことをマミに連絡してみると、詳しいことは明日話すとしつつも、やはり積極的に対処に動くつもりのようだった。

 あとは、事態が解決するまで『気をつけて』……とだけ。注意喚起はキリカにも送っておいた。



小巻(……にしても、そういやまだこの携帯にはジーピーエスとやらが仕組まれてるのかしら?)


 操作を終えた後の携帯をじっと見る。友達とはいえプライベート丸見えなのは気に食わない。

 あたしにはどこをいじればいいのかさっぱりだから、妹を呼びに行く。


小巻「ねえ、ジーピーエスってやつもう解除してくれない? アンタ設定したんでしょ?」


 その時だった。

 あたしは見てしまった。――――……妹とキュゥべえが話しているのを。

 小糸にも止めておいた。でも、小糸にも素質がある。嫌な汗がつたった。


小巻「……契約してないわよね?」

小糸「うん。まだ願いも思いつかないし、お姉ちゃんにも言われたから」



―15日目終了―


小巻 魔力[100/100]  状態:正常
GS:4個
・[55/100]
・[100/100]
・鳥かご[100/100]
・お菓子[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]

---------------------------
今回更新はここまで
次回は3日(金)20時くらいからの予定

来ないね。
今日はなしかな?

--------------------------
・・・・あっ
すみません、ちょっと変則的なスケジュールだったので曜日日付感覚がどこかへ旅立ってました
てことは今日休みですね…?(さっき気づいた)
本日はちょっと早めに、15時くらいからはじめますー!

――――――
16日目



 昼休みはあたしが昨日送った魔法少女のことについての対策会議だ。

 こっちにはキュゥべえもいるんだし、暁美のような事情がなければ名前くらいならすぐにわかった。


マミ「さっそくだけど、今日は一緒にパトロールに行くのはどうかしら」

マミ「相手は結界に隠れ潜むこともできるのだし、今は一人で動くのは危ないと思うの」

キリカ「結界に隠れ潜むって、ホントに魔女みたいだねー。私はまあどうせ暇だからいいけど……」

小巻「……」

マミ「浅古さん、いいかしら?」

小巻「えっ、ああ。今日は塾があるからあたしは行けないわね。明日なら何もないわ」


 ……小糸のことで考え事してた。

 そうだ。すぐに契約はしないと思うけど、特に今は超はた迷惑で危ないヤツまでうろついてるんだ。


マミ「そう。だったら明日ね。とにかく私のほうでもまだ調べてみるから、無茶はしないでいいわ。呉さんはどうする?」

キリカ「キミは一人でも行くつもり?」

マミ「ええ。危険があっても全員が動かないでいるわけにはいかないから」

キリカ「じゃあ私も行くよ。予定はないし。 ……でも、本当にマミって熱心なんだね」


 なんでそこまで出来るのかわからないって顔だ。

 あたしだってそうだ。あたしは愚痴くらいこぼすけど、マミは本当にそれすらなさそうだし。



小巻「ねえ。二人は家族とか友達とかに魔法少女の素質があるってわかったときってどうする?」

マミ「魔法少女のことはもう話してるの?」

小巻「まあね。簡単なことくらいは」

マミ「家族や友達か……私じゃ参考にはできないかもしれないわね。兄弟もいないし、家族って今は私一人だけだから」

小巻「一人って、親も?」

マミ「ええ。もういないわ」


 不意に重い話が出てきてしまった。

 たしかにマミに家には上がらせてもらったけど、あのときも誰もいなかった。


マミ「素質があるのなら、魔法少女になったらどうなるのかをもっと詳しく見せてみてもいいと思うわ」

マミ「魔女と戦うこととか、話に聞いただけじゃイメージわかないでしょうし」

小巻「でも、連れてくなんて危ないわよ。せっかく願い事もないって言ってるんだし……」

マミ「まあ、現時点で契約の意思がないのなら無理に連れて行く必要もないけれどね。もし興味を持ったら、私もついていきましょうか?」


 そりゃ安全性は増すけど、なんか、そういう問題じゃない――と思った。

 そもそも興味なんて持ってほしくはない。大体、興味本位なんかで足を突っ込んでいい世界じゃないんだから。

 でも、もしこの先、本気で叶えたい願いが出来たとしたら。


小巻「……今は保留にしておくわ」

マミ「優木さんのこと、暁美さんにも一応警告はしておくわ」



1キリカとクラスに戻る
2マミについていく
3自由安価

 下2レス


小巻「じゃ、あたしもついてく。この前も一緒だったし」

キリカ「なんだ、小巻もそっちいくの? マミはまた放課後でー」


 マミと一緒に階段のほうに向かう。

 それから教室の前まで行くと、暁美はこの前みたいにこっちを見つけてすぐ廊下に出てきた。


ほむら「……何の用事」


 暁美の態度はやはり無愛想で、不機嫌そうに見えた。


小巻「アンタね、そっちのが後輩なんだからその態度はなんとかしたらどうなの?」

ほむら「魔法少女の話に先輩も後輩もないと思うのだけど。どうせそういう話でしょう?」


 いけすかないヤツだ。

 この街に来たのだってまだ日が浅いというのに、どうしたらこんなにふてぶてしくなれるんだろう。


マミ「……まあ、私はどちらでもいいわ。今日は警告を伝えておこうと思って」

ほむら「警告?」

マミ「この街に魔法少女を襲う魔法少女がいるわ」

マミ「浅古さんが襲われたの。幸い逃げることはできたのだけど、まだこの街にいるでしょうから、気をつけて」

ほむら「……名前は?」

マミ「優木沙々というそうよ」


 暁美はその名前を聞くと、興味なさそうな無表情で一言だけ返す。


ほむら「そう」


 どうでもいいとでも言いたげだ。

 よほど自分の実力に自信でも持ってるのか。



小巻「アンタ……それだけ?」

ほむら「ええ。そちらの話もそれだけならもう戻らせてもらうわ」

マミ「話は、そうね。それだけよ」


 マミも少し困惑していた。


小巻「せっかく教えてやったんじゃない。アンタのことは連絡先も知らないし、わざわざこうして会いにきてやって」

ほむら「頼んでいない。連絡先を知ることでこうして無駄な時間を過ごさなくて良くなるのなら、教えてあげる」

ほむら「――私にあまり接触れないで。その程度、私ならどうとでも対処できる」


 暁美は携帯を操作して表示された電話番号をこちらに見せ、連絡先を教えると教室に戻っていった。

 ……まるで迷惑とでも言いたそうだ。こっちは親切にしてやっただけなのに。


小巻「あぁぁぁぁムッカつく! ああいうこと言うヤツに限って一番最初にやられたりすんのよ! 映画じゃお決まりなんだから!」

マミ「でも……あの子、本当に実力はあるんだと思うわよ。魔女を一瞬で仕留めて姿まで消したんだから」

小巻「そうか……それはそうね。あー、でも納得がいかないわ!」


 暁美は番号を教えてくれたが、交換はしなかった。

 自分からあたしたちに連絡を寄越すことはないって意思表示だろう。


 ……とりあえず、滅多なことがない限りもう顔を合わせることはしないと誓った。




 教室に戻ってから美国のことも頭に浮かんだ。

 優木の被害は一般人にも無関係じゃない。危ないヤツが居るってことは美国にも教えておこうか。

 気をつけててほしいのはいつもだが、それにしても今はちょっと特殊だ。


小巻(また晶から伝えてもらうか……)


 晶はまさか美国まで魔法少女のことを知ってるとは思ってないだろう。

 言ってやったらなんて思うか。驚くかな。


 そういえば、昨日話したこともマミにも話しておかないと。今度会いに行こうって。


キリカ「なんか難しい顔してるね? もしかしてさっきの家族だか友達だかのこと?」

小巻「それとはまた違うけど…… 難しい顔することくらいあるわよ」

小巻「そういえば、アンタだったらどう? 自分の周りに素質がある人がいたら」

キリカ「とりあえず反対はしとくよ。でもその人次第じゃない?」

小巻「……あたしもどうでもいいヤツだったらそう思えたんだけどね。そう簡単には思えない相手もいるのよ」

キリカ「それもそうだね。やっぱわかんないや、私も一人っ子だし」



 放課後にならないうちに携帯を操作して晶にメールしておいた。

 学校が終われば、この後は塾だ。今日はあたしも寄り道しないで、用事が済んだらさっさと帰ることにしよう。



―16日目終了―


小巻 魔力[100/100]  状態:正常
GS:4個
・[55/100]
・[100/100]
・鳥かご[100/100]
・お菓子[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]

――――――
17日目



小巻「昨日はどうだった?」

キリカ「ああ、放課後のこと? 特に何も起きなかったけど」


 パトロールのことを聞いてみる。

 昨日は何事もなく終わったらしい。

 身構えててもそうそう来ないのはわかる。でも、油断してるとこにこられるのが一番まずいんだから。


小巻「まあそう会わないか。あっちもあれから警戒してるかもしれないし」

キリカ「んーもう迷惑だなぁソイツ。なんのために魔法少女になんかなったんだよ」

小巻「まったくね」


 そう言うキリカも、なんのために魔法少女になったのかわかってさえいればって悩みを抱えていたはずだけど。


キリカ「……案外、覚えてないとかいうオチじゃないといいな」


 自分でもその言葉に重ねて思ったのか、苦笑いで言い足した。

 でも、何も考えないでこんなことを言えるのなら、こいつの場合はきっと忘れちゃっててもろくでもない理由ではないって気がした。



 ――――昼休み、マミが教室まであたしたちを呼びに来た。

 昨日のパトロールでは何も起きなかったけど、話しておきたいことがあるらしい。



マミ「……ニュースで見たんだけどね、不審な行方不明がいくつか起きているのよ」

マミ「全部が例の魔法少女の仕業かはわからないけど、私はまだこっそり活動してるんじゃないかと思ってるわ」

小巻「見滝原での話よね?」

マミ「ええ。見滝原と…… あと、風見野のほうでも」



小巻「風見野でも?」

マミ「隣町にまで手を出したのかしらね。だとしたら行儀の悪い魔法少女だわ」

キリカ「そもそもどっから来たわけ?」

マミ「わからないわね……。もう少し遡って見てみたらわかるかしら」


 地域のニュースを調べるって手は単純だけど思いつかなかった。

 マミは普段から見てるんだろう。


マミ「とにかく、早いところ手は打たないといけないわね。危険なのは私達にとってだけじゃないもの」

小巻「……そうね」


 昨日送ったメールを思い出す。

 ちゃんと伝わっただろうか。またバカみたいにのんきに外うろついたりしてないといいけど。


小巻「今日はみんなで行きましょう」

マミ「ええ」



 それから、放課後になると、今日はみんなで学校を出る。

 こんなに大人数でのパトロールははじめてだ。



 下1レスコンマ判定 1/3
0~20 使い魔
21~40 魔女



マミ「魔女の反応ね。注意して探っていきましょうか」


 気配を察知すると、強くなるほうへと歩いていく。

 たどり着いた先は長いこと放置されてそうなボロボロの廃屋だった。


キリカ「うわぁ、ここに入るの?」

マミ「長居したくない場所だけど仕方ないわ。早く倒して出ましょう」

小巻「まったく魔女もどんな趣味してんのかしらね……お邪魔するわねー」



 おそるおそる足を踏み入れていく。結界を見つけてしまえばこっちのもん。



―ハコの魔女結界



 入ってからも不気味な結界だった。

 足場は不安定で現実味のない景色だけど、動きにくくはない。結界の中って大体こんなもんかしら。


 奥へと進んでいくと、古いテレビのような魔女がいた。



小巻 魔力[100/100]  状態:正常
GS:4個
・[55/100]
・[100/100]
・鳥かご[100/100]
・お菓子[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


仲間:
マミ 状態:正常
キリカ 状態:正常

敵:魔女H.N.Elly(Kirsten) <-攻撃対象デフォルト
  使い魔Daniyyel+Jennifer ×4

1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
3ガード(魔力-3~5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
4バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
5自由安価

 下2レス



 いつも一人かせいぜい二人ってとこだったし、戦力は十分なはず。

 どう立ち回るかは考えないと。


キリカ「とりあえず邪魔なヤツからやっつける!」


 最初に動き出したのはキリカだ。周りを飛び回る使い魔から狙いに動く。

 その奥で魔女は左右の触手のようなものをばたつかせている。


マミ「そうね、じゃあこっちは……ゆっくりと必殺技の準備でもしましょうか」


 マミが何発か銃弾を撃ち込んでいくと、あっという間に魔女にリボンを絡んだ。


キリカ「こっちは片付いたよ!」

小巻「あたしの番ね」


 相手はもう動かない的だ。邪魔者もいない。後はいつもどおり、力いっぱい斬りつけるだけ。

 全力を込めて斧を投げ込んだ。



 ――結界が消えて、グリーフシードが落ちてくる。

 廃屋を後にした。



小巻 魔力[95/100]  状態:正常
GS:5個
・[55/100]
・[100/100]
・鳥かご[100/100]
・お菓子[100/100]
・ハコ[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]



小巻「あたしが持ってていいの?」

マミ「ええ。さっきの戦いは浅古さんのおかげですぐに倒せたもの。私一人ならもう少し魔力は使うわね」

キリカ「べつに私もそれで問題ないよ」


 キャッチしたのが近くにいたあたしだった。

 二人は目的が目的だから当然だけど、魔法少女同士でする会話にしては平和だな、なんて思っていた。

 一人で活動してると奪い合いみたいのばっかり目についたから。


小巻「じゃあ今回はそうするけど。あたしも戦いやすかったわよ」


 ――そう、今のところは普通に平和だ。

 でも、今も優木はどこか知らないところで人を食い物にしてるのだろうか。



 下1レスコンマ判定 2/3
0~20 使い魔
21~40 魔女



 再び街中を歩き出す。


 マミはその途中にもニュースをチェックしていた。

 やっぱり、マミも優木の動向を気にしてるんだろう。


小巻「何か手がかりは見つけられそう?」

マミ「いえ……まだ今日の分は新しい情報はないわ。でも、少し調べてみると風見野での行方不明も度々起きてるのみたいなのよね」

小巻「アイツの仕業? それとも普通の魔女かしら」

マミ「わからないけど、でも風見野のほうっていうと……」


 マミは言いかけてから、不自然に言葉を途切れさせる。


小巻「何か心当たりでもあるの?」

マミ「少し知り合いがいるってだけ。使い魔を放置する魔法少女はいるから。私も縄張りの外にまでは口出しできないしね……」

マミ「でも、優木さんのように意図的に人を殺している魔法少女がいるなら、今回と同じく話題になるくらいの頻度になっていると思うの」

小巻「そっか。もうちょっと調べなきゃってとこね」

マミ「ええ。……と、話してるうちに今度は使い魔ね」

キリカ「今度はさらに楽できそうかな?」

小巻「そうね。さくっと片付けちゃいましょ」



―落書きの魔女結界


 使い魔の気配を追っておくと、それは人気のない通りにいた。

 魔女や使い魔はこうして変なところばかり好んで居座るみたいで、やっぱり気が知れない。


 一人一匹、と少しくらいを相手にすれば事足りそうだ。


小巻 魔力[95/100]  状態:正常
GS:5個
・[55/100]
・[100/100]
・鳥かご[100/100]
・お菓子[100/100]
・ハコ[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


仲間:
マミ 状態:正常
キリカ 状態:正常

敵:使い魔Anja ×4

1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
3ガード(魔力-3~5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
4バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
5自由安価

 下2レス



 使い魔とはいえ1対1。余裕で倒していいとこ見せたいけど。



 下1レスコンマ判定 戦況
0~(劣勢) < 99(優勢)

+一桁0クリティカル(優勢時は自分)
+ゾロクリティカル(自分)
+補正 自[格闘Lv3]*3

結果:40以上orクリティカルで『余裕で倒せた』。仲間がいるので1ターン撃破は確定。

劣勢:39(相手クリティカル)



 武器を構えてひと振り。この一撃で決める。


小巻「終わりよっ! ――あれっ」


 狙いを定めたつもりだったけど使い魔が刃の下をすり抜けていった。

 こいつ、すばしっこい……!


小巻「ちょっと、ちょこまかするな! 使い魔のくせに!」


 その後も何振りかしているものの、振り下ろす時には移動していてなかなか刃が当たらない。

 使い魔と格闘しているうちに、ほどなくして銃弾が撃ち抜いていった。


小巻「あっ…… 今回はいいとこ見せられなかったわね」

マミ「いえ、大丈夫よ。相性の問題だと思うわ」


 これで全部倒したみたい。

 たしかに、さっきみたいにトドメまで整ってればいいけれど、細々と使い魔を相手にするのはあまり得意じゃない。

 少し悔しいけど、仲間がいるときは頼らせてもらおうか。



★ガードを1ターン分を使用しました。

小巻 魔力[92/100]  状態:正常
GS:5個
・[55/100]
・[100/100]
・鳥かご[100/100]
・お菓子[100/100]
・ハコ[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]

-------------------------
今回更新はここまで
次回は5日(日)18時くらいからの予定




 ――再び歩き続けて、パトロールも時間的にはあともう少しってところ。

 今日も何事もなく終わりそうだけど。




 下1レスコンマ判定 3/3
0~20 使い魔
21~40 魔女



マミ「今日はこのくらいにしましょうか」


 夕焼けが沈む時間になってマミがそう宣言した。

 いくらか戦いもしたし、パトロールの成果としては上出来ってとこ。


小巻「無事なのはいいけど、今日も優木には会えずじまい……か」

マミ「もしかしたらもう風見野のほうに移ってるってこともあるかもしれないしね」

マミ「とりあえず、無事に済んだのは本当によかったわ。みんなお疲れ様」


 風見野のほうでも出ている被害。そっちも気になる。

 あたしたちに目をつけられたことで一時的に逃げたのかもしれないし。隣町に移ったから安心、とは言えない。


マミ「……この後、うちでお茶でもどうかしら?」

キリカ「お茶? お茶にはあんまり興味ないけど……」

小巻「ふうん? そう? あたしはマミに少し話しておきたいこともあるし、お邪魔させてもらおうかしら」


 お茶菓子とか用意するなら多分あとで悔しがりそうだけど、とりあえず本人がそう言うんならいいや。

 あたしだけあがらせてもらうことになった。



 カップから紅茶の香りが立ち上る。

 お茶のお供はクッキーだ。チョコレートとプレーンが渦の模様を描いている。


小巻「これも手作り?」

マミ「こういうの作っておくと便利なのよ。ちょっとしたお茶請けになるしね」


 ……キリカはまあ、何か違うもんでも想像したんだろう。それにまだ壁は感じてるのかも。

 マミはパトロールが終わってからもう一度、携帯の画面を眺めていた。


マミ「……風見野での被害、増えてるわね」

小巻「違う縄張りに行っちゃったらあたしたちに出来ることってないのかしら?」

マミ「向こうの魔法少女に注意しておくことくらいでしょう。向こうと協力できればそれもいいのだけど……」


 向こうにはマミとは考え方の違う知り合いがいるらしい。マミは言いながらも少し渋った様子だった。


マミ「そういえば話しておきたいことがあるって言ってたわね」

小巻「ああ、そうそう。この前覚えといてって言った件よ。向こうには話したからさっそく会ってもらいたいと思って」

小巻「その知り合い、美国織莉子って言うんだけどね。ニュースとかよく見てるなら、その名前は聞いたこともあるのかしら」

マミ「美国さん……? ニュースに出るような人なの?」

小巻「どっちかっていうと悪い方のニュースだけど、それは関係ないのよ。アイツと親は違うし」


 そう言うと、マミも思い当たる名はあるようだった。けど特に調子を変えることなく続けた。


マミ「わかったわ。その人と会ってほしいのね?」

小巻「そういうこと。……まあ、初対面のときくらいはあたしも一緒にいるわよ」



1美国について話す
2風見野の魔法少女とは協力できそうか
3自由安価

 下2レス



小巻「わかってたけど、ちょっと安心したわ。マミが態度を変えなくて」

小巻「あたしの元いた学校、美国は今も通ってるとこだけど、そこだと露骨に避けたり嫌がらせしたりするヤツばっかなのよ」

マミ「そうなのね…… それは辛いわね。だから私に話を?」

小巻「まあね。別にアイツのためってわけじゃないけど! いつまでもウジウジしてばっかで、あたしの思い通りにならないのが気に入らないのよ!」


 ……マミは苦笑いを浮かべてた。


マミ「わかったわ。仲良くなれるようにしてみる」

小巻「ところで、話戻るけど、風見野の魔法少女とは協力できそう?」

マミ「……わからないわ」

小巻「何かあったの?」

マミ「ええ……すこしね」

小巻「そう、話しづらいなら今は聞かないけどさ」


 クッキーはまだ残っている。

 これ以上は手を付けないことにして、尋ねてみる。


小巻「これおいしいわね。キリカも来てみればよかったのに」

小巻「さっきはわざわざ気を使ってくれたんでしょ? 渡す分を包んでもらってもいいかしら?」

小巻「アイツって甘いものに目がないし、こういうのがあるって知れば次は来てくれるかもしれないからね」

マミ「ええ、それは構わないけど」

小巻「まだぎこちないんだろうけど、こういう手はきっと有効よ。この間パンケーキ食べに行ったときなんか目を輝かせてたんだから」


 キリカの分のクッキーを包んでもらった。

 それからお茶がなくなると、今日はお開きにして遅くなりすぎないうちに帰った。



 ……帰宅した後、小糸に見つかってねだられたのはまた別のはなし。


――――
――――


小糸「あっ、もしかしてお菓子? それお土産?」

小巻「アンタにじゃないわよ。それより、今日はまたキュゥべえこなかった?」

小糸「えぇ、それよりって」

小巻「それよりよ」

小糸「今日は来てないけど……そういえば、魔法少女って変身して戦うんでしょ? お姉ちゃんの見せてよ」

小巻「見せるか!」



 げんこつを落とした。本当に魔法少女の大変さをわかってんのか心配になる。



小巻(……妹にも今度なんか買ってきてやるか)



―17日目終了―


小巻 魔力[92/100]  状態:正常
GS:5個
・[55/100]
・[100/100]
・鳥かご[100/100]
・お菓子[100/100]
・ハコ[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]

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今回更新はここまで
次回は6日(月)19時くらいからの予定

――――――
18日目



小巻「昨日はお疲れ様。マミの家で出されたお茶菓子、包んでもらったからあげるわ」

キリカ「お茶菓子? 砂糖の塊かなにか……?」


 やっぱり、お茶っていっても麦茶とかウーロン茶とか、もしくは結構なお手前で……みたいなのを想像してたとか。

 色んな人が集まるこの学校の中でもキリカの発想はザ・庶民って感じだ。逆に面白い。


キリカ「!」

小巻「砂糖の塊って…… 何想像してたわけ?」


 ラッピングを見ると一気に反応が変わる。


キリカ「いや、なんかあるじゃん……とにかくこういうのとは想像してなかった」

小巻「マーブルクッキーですって。しかも手作り。おいしかったわよ」

キリカ「ありがとうね。まあ紅茶もコーヒーもそんなに好きでもないけどさ。お菓子を主役にして持ってきてくれるなら大歓迎だよ!」


 ともかくキリカは機嫌良さそうだ。

 朝の時間を教室で過ごしつつ、携帯が振動したのを感じ取って見てみる。

 晶からだ。美国のほうは今日でも都合は悪くないって。



小巻(向こうは暇してるみたいだし、それなら早いほうがいいわよね)




 ――――放課後になると、適当な場所でマミと待ち合わせる。

 こっちのほうが一足だけ早かったようだ。


マミ「おまたせ、浅古さん」

小巻「そんなに待ってないわよ。じゃ、ゆっくり行きましょうか」


 家を知ってるあたしが少し先を歩く。その間に昨日の話の続きもした。


マミ「……風見野の魔法少女へはキュゥべえに伝言を頼んでおいたけど、返事をくれるかどうかはわからないわ」

マミ「私としては久しぶりに一度会って話してみたいのだけどね」

マミ「それと、過去のニュースも遡って見てみたのだけど、少し気になる動きなのよ。この街に来る前、優木は元々風見野のほうにいたんじゃないかって」

小巻「あたしたちが思ってたのとは逆で、風見野のほうからこっちにきたってこと?」

マミ「ええ、恐らくその前はまた隣の街から。目をつけられては逃げるってことを幾らか繰り返してるのかもしれない」

小巻「そうなると余計に厄介ね…… 逃げ回るのに慣れてるんだ」


 どこに行っても被害を出すんだろうから、そんなヤツいつまでも取り逃がしてたくはない。

 ――話しているうちに美国の家が見えてくる。


小巻「着いたわ。ここよ」

マミ「まあ…… お嬢様とはわかっていたけど、さすがに立派なお家ね」


 マミは少し圧倒されたみたいに驚いていたが、よく見るといたずらで汚されたりした痕跡もある。

 それがどこか暗い雰囲気を放っているようにも見えていた。


小巻「家の前で話してると変な勘違いをされかねないわ。早いところ入ってしまいましょう」


 チャイムを押した。



織莉子「……いらっしゃい」

マミ「はじめまして。私は巴マミ。浅古さんと同じ学校の友達よ」

織莉子「マミさんというのね。はじめまして。私の名前は美国織莉子。立ち話もなんだから上がって」

織莉子「紅茶が好きだと聞いたわ。色々と種類は揃えてあるけど、何か好みはあるかしら?」

マミ「そうね、私は最近は――――」


 紅茶談義がはじまったのを眺める。

 出会ったばかりなのに、こうしてると入れない雰囲気だ。とりあえずこれだけ伝えとく。


小巻「あたしは適当におすすめのにしといて。美味しければいいから」


 『ええ』と言った声が重なって、二人が顔を見合わせた。

 相性は悪くなさそうだ。


織莉子「ケーキも用意してあるわ。近くのパティスリーで選んできたのだけどね」

マミ「お洒落な箱ね。楽しみだわ」

小巻「なるほど、もてなす準備はちゃんと整えたのね」


 しかしどこか、すでに甘い匂いが漂っていることに気づく。

 箱に入っているケーキとはまた別だろう。甘い、だけじゃなく、苦くもあるような。


小巻「ちょっと美国! なによこれ!?」

織莉子「あ……! ごめんなさい、片付け忘れていたわ。見なかったことにしてくれる?」


 ……キッチンのほうを見ると、その元凶が置いてあった。

 放置されたままの、歪に凹んだスポンジケーキのような何かだ。ついでに美国も慌てはじめていた。


小巻「さては手作りに失敗して急遽買ってきたのね……?」

織莉子「ええ…… 慣れないことはするものじゃないわね」

マミ「ま、まあそんな時もあるわよ」

小巻「マミも失敗なんてするの? いつも下手な店より上手く作ってるじゃない」


 これのおかげでさらに空気は緩んだ気がした。あたしも美国のこんな失態見られるとは思ってなかった。



 ……紅茶が入り、お茶会がはじまると改めて腰を落ち着けて会話がはじまる。



織莉子「マミさんはケーキも普段から手作りされるのね。今度コツとか聞いてもいいかしら?」

マミ「ええ、もちろん。私のはただの趣味だけど、それが役に立つなら嬉しいわ」

織莉子「ちなみに、今回のは何が悪かったのかわかる?」

マミ「泡立て方や材料の分量、焼き方……考えられる原因はいくらかあるわね」

織莉子「なるほど、気にしなければいけないことが多いのね」

マミ「難しく考え過ぎないで、慣れちゃえば出来るわよ」


 あたしも詳しくないから、マミの話にふむふむと相づちを打って聞いていた。

 こうして見ているとマミが講師かなにかのように見えてくる。


マミ「美国さんは、浅古さんが見滝原に転入する前に同じ学校にいたのよね? 浅古さんとも仲良かったの?」

小巻「仲良くないから!」

マミ「そ、そう。でも色々と気にかけてるのよね?」

小巻「それはコイツが揶揄い甲斐もないくらいふわっふわな態度で、やられたい放題で、そのうえ暗い顔ばっかしてるからよ」

小巻「……そのせいで、魔女にも食われかけるし」

マミ「魔女に? 魔法少女のこと知ってるの?」

織莉子「小巻さんから聞かせてもらったわ。もしかしてマミさんも魔法少女なの? あんな存在がいるなんて驚きね……」

小巻「でもコイツはキュゥべえも見えないし、そっちとはなんも関係ないから。普通にただのあたしの知り合いとして接してよ」

マミ「わかったわ。美国さんが無事でよかった」



 ……この調子なら大丈夫そうだ。これでちょっとはマシになってくれるといいけど。

 ケーキの箱が入ってた袋にあるロゴを見る。この近くって言ってたし、帰りに寄って妹に何か買っていってやるか。



*お茶会*
1優木について注意喚起
2様子を見る
3早めに帰ろうかな?
4自由安価

 下2レス



小巻「ところで美国、ちゃんと放課後は寄り道しないですぐ帰ってるわよね?」

織莉子「ええ。気をつけてるわ、大丈夫よ」


 最後に、人づてには伝えてもらったけど、優木についても一度直接注意喚起してやろう。


小巻「伝わってるとは思うけど、優木とかいう魔法少女。相当ヤバい奴だからね。今見滝原と風見野をうろついてるらしいから気をつけておきなさいよ」

小巻「会わないように安全な道だけ歩くのが一番だし、なんの力もないアンタが目をつけられればアウトなの」

小巻「優木ってのは、そんな人すら食い物にする最低なヤツなんだから」

織莉子「もしかして、小巻さんはその魔法少女と戦う気なの……?」

小巻「当たり前よ! アンタと違って、あたしは戦える力があるもの。あんなヤツは絶対に許しておけないわ」

小巻「何が楽しいのか知らないけど、なんであっても誰かを犠牲にするってやり方を選んだ時点で理解してやる気もないわ。当然、あたしはそんなのには負けないから!」


 それから、マミも美国を安心させるように言った。


マミ「浅古さんだけじゃなくて私も仲間よ。それに、他にも仲間にできる人はいるかもしれないから」

織莉子「そう。そうなのね」

織莉子「……あなたの考えは、よくわかったわ」



 ……一瞬、美国が息を呑むほどの気迫を持って見えた。

 ただその一瞬だけだ。気のせいだったのかと思い直す。美国はまたいつものふわふわとした澄ました表情を浮かべている。

 なんで考えていたことが上手くいって、安心しようとしたその矢先にこんな『気のせい』が起こるのだろう。



織莉子「二人とも、今日は来てくれてありがとう。どうか気をつけて」

小巻「……ええ。じゃあ、帰るわね」



 忘れずに、お土産も買っていかなきゃ。

 でも、なぜだか、ほんの少しだけ心にヒヤリとしたものが暫く残っていた。



―18日目終了―


小巻 魔力[92/100]  状態:正常
GS:5個
・[55/100]
・[100/100]
・鳥かご[100/100]
・お菓子[100/100]
・ハコ[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]

--------------------------
今回更新はここまで
次回は8日(水)19時くらいからの予定

――――――
――――――



 ――――……抱いたのは殺意。言い換えれば『殺す覚悟』だ。それがもう一人増えた。

 私にとってはひどく今更なものだった。



織莉子「……やはり、そう。わかりきっていた事だった」


 彼女はその刃を汚せない。彼女はこの道を択ばない。……だから私も彼女は択ばなかった。そしてそれは、正解だった。


織莉子「私の味方はそっちで、彼女は味方にできないのだから」

織莉子「私はまだ“あの駒”は失うわけにはいかない。まだ利用できる駒を、決して味方につかない駒のために落とす理由はない」


 だからこれも、仕方の無い事。

 力のある者がやらなければいけない。私も彼女と同じ事を考えているはずなのに、なぜこんなにも――。


 自分の中で答えを導く為の思考。自問自答に似たモノローグは、自分を見つめるもう一人の自分への言い訳でもあるのかもしれない。

 そんなことをどこか心の隅で感じはじめたのは、『運命』を識り、この使命を背負ってからだった。



織莉子「敵対するのなら、殺さなきゃいけなくなった」




――――――

――――――
19日目



 いつになく落ち込んでる様子のマミがやってきた。

 ……またキュゥべえを介した伝言だけど、風見野の魔法少女からの返答はこんな感じだったらしい。


 『関係ない人たちの被害なんて知ったこっちゃない』

 『自分の魔法を活かしてグリーフシードを稼いでるんだから魔法少女としては正しいし冴えてる』

 『マミも見習えば?』


 そしてトドメに、

 『自分に手を出してくるようだったら殺す、それ以外で関わる気はない』――――だそうだ。



 うん、どんなヤツかってマミから聞いてはいたけどね。それにしても。



小巻「そいつなんなの!? バカ!?」

小巻「そういうヤツの考えてることってわかるわよ。自分では利口なつもりでしょうけど、あたしから言わせればバカよ!」

小巻「自分にさえ火の粉がかからなければどうでもいいってわけ? 今が団結しなきゃいけない時でしょうよ!」

マミ「あ、浅古さん、ちょっと落ち着いて……」


 思ったことを捲し立てると、マミがたじろいだように言った。

 人気はないとはいえちょっと廊下で騒ぎすぎた。それは反省する。


小巻「……やっぱ、そんなヤツばっかなのね。マミが縄張りに変なの入れないように気を張ってる気持ちも少しわかったわ」

マミ「それだけじゃないのよ」

小巻「え?」


 たしかに協力できなかったのは残念だけど、

 それだけと言うにはマミはどこか悲しそうな顔をしているように見えた。



マミ「見滝原に魔法少女が増えたことはもうあっちも知ってるみたい。そのことも良く思ってないみたいでね」

小巻「はあ? そんなのこっちの勝手でしょ?」

マミ「……『また』仲間なんて作るんじゃない、って」


 そろそろその魔法少女に対してイライラが最高潮になってたところだったけど、その言葉には違和感を覚えて聞き返す。


小巻「『また』?」

マミ「その魔法少女のことは詳しく話してなかったけど、昔はその子と私で組んでたのよ」


 ソイツとの間に何かあったとか、前に仲間のことで嫌なことがあったのかもしれないとか、そんな片鱗は感じてたものの意外だった。

 どう考えてもマミとは合わないだろうに。裏切られて酷い目に遭うのは目に見えてる。

 だから少し呆れ気味だった。


小巻「なんでまたそんなヤツと……」

マミ「……」


 すると、マミはまた少し悲しそうな顔をした。それとも最初は善人ぶってて、騙されでもしたんだろうか。


キリカ「まあまあ。それよりまさかだけど、その魔法少女まで敵に回ったりしないよね……?」

マミ「優木さんと組むってことはさすがにない……とは思いたいけれど。注意はしておいたほうがいいわね」

マミ「……ごめんなさい。いい結果にならなくて。むしろ危険を増やしてしまったかもしれない」

小巻「そんなのマミのせいじゃないわよ」

キリカ「そ、そうだよ」


 結局、ソイツの協力なしでなんとかしなきゃいけないってことだ。


小巻「今、優木って見滝原と風見野のどっちにいるわけ? どっちも?」

マミ「今朝までだと風見野での被害が増えていたわね。見滝原のほうは増えていなかった。あと他の街でもいくらか行方不明の文字はあったけど……」

マミ「メインは風見野に戻ったと考えてもいいのかも」


 とはいえ、またいつこっちに来るかわからない。

 風見野の縄張りに踏み込んだとして、もし魔女を狩らないにしても……間違いなくその魔法少女とは揉め事になるだろう。



1とりあえず見滝原を守ることに徹する
2揉め事覚悟で風見野に行く
3あたしからもソイツに伝言してやる!
4自由安価

 下2レス

------------------------------------------------------------------------------------------------------------
【補足】>>348 『見滝原に魔法少女が増えた』はキリカや(前から契約はしてたものの正式に仲間になった)小巻を指しています
小巻たちの視点では他に魔法少女がいるかどうかについては知らないです
------------------------------------------------------------------------------------------------------------



小巻「とりあえずは見滝原を守ることに徹したほうがいいわね。こっちが手空きになりすぎても思う壺って感じがするし……」


 守りの体勢しかとれないのはじれったい。あたしは一度会ってるのに。

 暁美もどうせ協力してくんないし。……後で現状は伝えるだけは伝えておくか。


小巻「それと、あたしからもソイツに伝言してやることがあるわよ! キュゥべえ、悪いんだけど伝えて!」


小巻「アンタとマミの間になにがあったかなんて知らないけど、いちいちこっちに指図するな!」

小巻「チンピラまがいのことしか考えない、出来ないくせに、マミにはケンカを売れない臆病者は口をつぐんでひっこんでなさい――――!」




――――――
――――――



 ――――……それから、遠く離れたどこか、“風見野の魔法少女”は言葉を伝えに来た白い獣とともにいた。

 その顔に浮かべるのは不機嫌を表す怒りの表情ではなく、勝ち気な笑みだった。



「……はっ、いいじゃん。新入りのクセに言ってくれるじゃないか」

QB「小巻は新入りってほどでもないよ」

「“小巻”? それ言った『お仲間』の名前、小巻っての? ははっ、それウケるんだけど?」


 キュゥべえは、何がツボに入ったのかまったく理解できないという様子で見上げている。


「変わんねえよ。あたしに比べりゃあいつの戦いぶりなんかド素人だ」

QB「まあ、キミと比べたら大半の魔法少女はそうだろうね」


 そこは見滝原でも風見野でもないどこかの街。


「喧嘩売れないだって? あたしはマミに勝ってこっちに来たんだよ。わざわざ言うなら売ってやろうじゃねえの」

「そしたら見滝原の縄張りもこっちのモン……――!」


 彼女は機嫌よさそうに話していたが、そこで不自然に言葉を切る。


QB「この近くに魔女がいるようだね」

「言われなくたってそのくらいわかる。あたしを誰だと思ってんの?」



 そこで狩りを行うのはルールに反する。しかし、先程の伝言の内容もあっていつもに増して攻撃的な考えになっていた。

 ……それに、彼女からしたらもう一つ、感づいていたことがあった。


QB「佐倉杏子、だろう?」

杏子「……別に名前を言えって意味じゃないよ。アンタと話しててもイマイチ盛り上がんないわ。つまんないやつ」



――――――

――――――



小巻「……これもおかしいわね」

キリカ「えー、じゃあ不正解?」


 授業の合間の休憩時間、前に約束したとおり勉強を見てやっていた。


小巻「不正解中の不正解よ」

キリカ「不正解なのはわかったから! そこまで言わなくてもいいじゃん!」

小巻「これもこれも、アンタやっぱり解き方覚えてないでしょ?」

キリカ「だってむずかしいし」

小巻「公式ってのがあるでしょ? 毎回いちから考えようとするから異次元いくのね。ある意味すごいわよ」

キリカ「褒めてる?」

小巻「褒めてない」


 案の定考えられないくらいボロボロだったけど、見ているとその原因ってのはなんとなく読めてきた。

 最近じゃ未知との遭遇みたいでちょっと面白く思えてきてる。


小巻「まずは公式や文法覚えなさいよ。解き方もわかってないのに解けるわけないじゃない。数学も英語も原因は同じよ」

小巻「単語や漢字は出来てきてるのに」

キリカ「公式って、覚えた後計算しなくちゃいけないじゃん。要求されるステップいっこ増えてる。そのまま答えにできるやつとは違うよ」


 出来ない人からしたらそういうものなのかしら。

 そうしていると、キリカはぽつりとこんなことを言い出した。他の人からも言われることはある話だ。


キリカ「にしても、小巻って何の授業でも活躍してて本当にすごいよね」

小巻「努力しないで出来てるってわけじゃないわよ」

キリカ「そっか、そうだね。塾とか習い事とかやってるんだもんね」

キリカ「でもこっちのがレベルは下でしょ。ただでさえ忙しいのに、まだ頑張る必要ってあるの?」

小巻「それに白女を辞めてから成績が落ちたとも品がなくなったとも言われたくないから、今も勉強に手は抜きたくないの」

小巻「ま…… のことなら、それはそれ、これはこれよ。自分で決めたのに他のことを犠牲にするようじゃいけないわ」


 『魔法少女』、その言葉をボカして言う。キリカも人に聞かれそうなところではおおっぴらに言うことは少ない。

 ゲームか何かの話ってことにしたらごまかせるにはごまかせそうだけど、やっぱり素では口にしたくない。



キリカ「……キミはそういう人だよね」

キリカ「ホントすごいと思う。何も知らない時はただ優等生なんだなとしか思ってなかったけど、でも今は小巻を見てると……」


 最初はクラスメイトから向けられるのと同じような、純粋な情景に見えた。

 『でも』、何を言いかけたんだろう?


小巻「何よ?」

キリカ「いや! 別に。 ……あ、活躍してないのなんて技術のパソコンの授業くらい?」

小巻「パソコンなんて使えなくたって生きていけるのよ」

キリカ「それを言ったら数学だって出来なくても生きられるし!」

小巻「数学は五教科でしょ?」

キリカ「まあそうなんだけど」



 ――――それからチャイムが鳴って、それぞれ席に戻っていった。

 今日は習い事の日だ。キリカにもああ言ったんだから手は抜かない。

 魔法少女のこと優先するにしても、本当にいざっていう時にしないと怪しまれるし。



小巻『今日は放課後パトロール行くの?』


 思念を伝える。すると、テレパシーで返ってくる。


キリカ『面倒だけど、マミが行くなら。今はそうも言ってられないし……』

小巻『そうね』



 面倒だ面倒だと言ってる割には、こいつも頑張ってるほうだと思う。

 なんだかんだで、優木を倒すって具体的な目的があるからか。



小巻(……連絡もらったらあたしも駆けつけられるようには整えておこう)




―19日目終了―


小巻 魔力[92/100]  状態:正常
GS:5個
・[55/100]
・[100/100]
・鳥かご[100/100]
・お菓子[100/100]
・ハコ[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]

-------------------------------
今回更新はここまで
次回は11日(土)18時くらいからの予定

――――――
20日目



 優木のことを聞いてから、あたしもマミがやってるように地域のニュースというものを気にするようになった。

 この日も風見野での被害は増えていて、メインはあっちに戻ったというのは確かなんだと思う。


小巻(風見野のヤツが少しは協力してくれてれば…… いや、そういうのは考えても仕方ないか)


 まずは見滝原の被害を減らすことを考えよう。

 元々魔女が沸いている場所には不審な話が流れやすいから、パトロールする場所の目星をつけるにはもってこいだ。


 それに、ニュースになるのは暗いことばかりではない。こうして見てれば街の事情に詳しくなれるようだった。


小糸「地域の情報なんて熱心に見て、出馬でもするつもりなの?」

小巻「考えてないわよ。少なくとも今のところは」

小糸「えー、似合いそうだけどなぁ。小巻議員」


 議員、と聞いて嫌でもアイツのことが浮かんだ。親がそういうのやってる生徒は白女にはいくらかいる。親のしたことは関係ない。

 けど、アイツは何事も無ければそっちの道を目指すつもりだったのだろうか。

 あんなことがあった今ではアイツがあの父親と同じものを目指すとも思えなかった。


小巻「……優木や魔女への対策のためよ。って、どっちも魔女だったわね」

小巻「今日もちょっと出かけてくるわね。キュゥべえが来ても契約は」

小糸「しないで、でしょ! 耳にタコができるほど聞いた!」



 妹にこっちのことを知られた日からいつもしている忠告を言いつけて、家を出る。



小巻「――で、妹は契約はする気ないみたいなんだけど、たまに中途半端な関心を向けてくるから困りものなのよ」

キリカ「中途半端って?」

小巻「この前は衣装見たいとかバカなこと言うし! 絶対どっかのんきに考えてるわ」

キリカ「変身するだけなら減るものでもないんじゃない?」

小巻「減る! 確実にあたしの中の何かが減るわよ! アンタは家族の前で変身とかできんの!?」

キリカ「……いや、やっぱムリ」


 今日のパトロールをはじめて、街を歩きながら愚痴をこぼす。

 優木が今この街にいる可能性は低いものの、いつ遭遇してもいいようにできるだけ一人で行動しないってのはまだ継続中だ。

 会ったら今度こそ確実にぶっ倒してやりたいし。


 マミは今日は用事があるらしいって聞いた。美国の家に行って、一緒にケーキ作りをするんだとか。

 いきなり会わせちゃったけど、趣味の合う者同士、二人は順調に仲を深められているようだ。



 下1レスコンマ判定 1/3
0~20 使い魔
21~40 魔女



小巻「でしょう!? 大体なんでこんなこっ恥ずかしい衣装と名称がついてるのかしら」

キリカ「あー……たしかに。私も魔法少女になったって言われた時、新手の詐欺かと思ったもんね」

キリカ「そんな子供だまし信じるわけないじゃんって。まあ、その話してるのが理解不能なしゃべる毛玉生物だったわけだけど……」

小巻「そりゃ最悪ね……」


 そんなことを心構えもなしに告げられた時の心情たるや、そのショックは計り知れないだろう。

 そりゃキュゥべえのことが嫌いにもなったりするわけだ。今更ながら心底同情した。



 朝に見たニュースの情報も頭に入れて、怪しそうなとこは片っ端から回る。



 下1レスコンマ判定 2/3
0~20 使い魔
21~40 魔女



 火のないところに煙は立たないっていうけど、やっぱりその認識は間違ってなかったようで。

 日の光を通さないトンネルの中、事故の情報があった付近で魔女の気配を感じ取った。


 ……警戒しなきゃいけないのは行方不明や事件だけではないらしい。結界の近くでバイクと人が倒れていた。


キリカ「これは……」

小巻「まだ治せるわよ。あたしがやるからちょっと先に行っててくれる?」

キリカ「わかった!」

小巻「何かあったらすぐ知らせて」



―銀の魔女結界



 怪我人を回復させてから結界の中に入り込む。

 途中の使い魔はほとんど倒してくれていたからすぐに追いつくことができた。

 合流して進んでいく。残すは魔女のいる最深部のみだ。


キリカ「ここの使い魔、動きは大したことないね。魔女も似たような感じ?」

小巻「見た目はそっくりね。でも、使い魔の中に今までと違うのも混じってるわよ」



小巻 魔力[75/100]  状態:正常
GS:5個
・[55/100]
・[100/100]
・鳥かご[100/100]
・お菓子[100/100]
・ハコ[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


仲間:
キリカ 状態:正常

敵:魔女Gisela <-攻撃対象A
  使い魔Dora×10 <-攻撃対象B
  使い魔Dora(変形)×3 <-攻撃対象C

1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
3ガード(魔力-3~5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
4バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
5自由安価

 下2レス



キリカ「じゃ、まずはあいつから?」

小巻「そうね」


 周りの錆達磨とは違って、バイク型のは無駄なものを振り落としたように俊敏だ。

 でも、二人でかかればこんなの。



 下1レスコンマ判定 戦況
0~(劣勢) < 99(優勢)

+一桁0クリティカル(優勢時は自分)
+ゾロクリティカル(自分)
+補正 自[格闘Lv3]*3
+共闘 [格闘Lv2]*2



 錆に覆われていない使い魔は俊敏ではあったが、浅く刃が当たっただけでも簡単に倒せるほど脆かった。

 加えて、キリカのほうは素早さでも遅れは取ってない。回り込んで蹴り倒すくらいの余裕があるほどだった。


 蹴っただけでは使い魔は消えないが、それならトドメはあたしが刺せばいいだけの話だ。

 三体いたバイク型はとっくに蹴散らされて動かなくなっているのだから、後始末は簡単だった。


 最初に目標にしてた相手を倒しきったところで、他の使い魔が迫ってくる。


キリカ「こんな奴らくらいならスルーできちゃうけど?」


 キリカは意に介さず使い魔を撒いてすり抜けると、余裕の表情で飛び上がり、錆の魔女へと爪を振るった。

 ……まるで必殺の一撃みたいにカッコつけたわりに、刃は入っていかなかった。


キリカ「あれっ!?」


 不安定に空中に浮いたままのキリカに魔女の錆がまともに降り掛かった。……元から黒いのに真っ黒だ。


小巻「ちょっと! 大丈夫でしょうね!? 安易に飛び上がったりするんじゃないわよ!」

キリカ「あ、あんま痛くないけど……なんか重い……」



 さっきまでの威勢は一体どこに。



小巻 魔力[75/100]  状態:正常
GS:5個
・[55/100]
・[100/100]
・鳥かご[100/100]
・お菓子[100/100]
・ハコ[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


仲間:
キリカ 状態:鈍足(いっかいやすみ)

敵:魔女Gisela <-攻撃対象A
  使い魔Dora×10 <-攻撃対象B

1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
3ガード(魔力-3~5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
4バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
5自由安価

 下2レス



 魔女の周りにバリアを展開し、閉じ込める。こうすれば錆を振りまいたところで意味がない。


小巻「適材適所ってやつでしょ。アンタは引っ込んでなさいよ」


 斧を力いっぱい振りかぶる。

 すると、魔女はバリアごと砕けて崩れ落ちていった。



 結界が消えて戻ってくると、使いかけのグリーフシードでソウルジェムを浄化する。

 ついでに、魔女を倒したらキリカが押しつぶされていた錆もすっかりと消えていた。



キリカ「身体が軽くなった! もう肩凝りそうだったよ!」

小巻「倒せたわね。アンタ、魔力はどれだけ使った?」

キリカ「そんなには使ってないかな? 小巻のほうが治療とかしてたでしょ」

小巻「そうね。じゃあ、濁ってる分は使って。残りはもらっとくわ」



小巻 魔力[100/100]  状態:正常
GS:6個
・[20/100]
・[100/100]
・鳥かご[100/100]
・お菓子[100/100]
・ハコ[100/100]
・銀[86/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]



キリカ「それにしても、キミってほんと馬鹿力だよね」

小巻「そっちこそ、力だけじゃうまくいかないときにはまあ、助かってるわよ」

キリカ「それに怪我まで治してたし」

小巻「それってみんなできるんじゃないの?」


 今まであたし以外の魔法少女がどうとかは考えたことがなかった。敵対しなければいいって感じだった。

 みんなできそうなことでも得意不得意とかあったりするんだろうか。

 キリカがそういう使い方を考えなかっただけかもしれないけど。


 もうここには用はない。

 浄化が終わってソウルジェムも戻すと、次の魔女のいる場所を探して歩いていった。



 下1レスコンマ判定 3/3
0~20 使い魔
21~40 魔女

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今回更新はここまで
次回は12日(日)18時くらいからの予定

おっと。そろそろアニレコの時間だな。




 ……日も暮れてきたところで、そろそろお開きにする。目星つけてたとこには行けた。



小巻「だいたい回れたかしらね」

キリカ「帰ろっか。あー、その前にお腹へったなぁ」


 キリカといるとあたしもつられて何か食べたくなってくる。

 しかしそれはそれで問題もあった。なんかこう、腹回りが。……ちゃんと動いたんだから大丈夫だとは思うけど。



小巻(ま、今日はあっちでもケーキ食べてるんだろうし)




――――――




マミ「こうすると……――――ほら、綺麗に膨らんだでしょ?」

織莉子「本当ね。この前の失敗作とは大違いだわ」

マミ「焼き上がったばかりだとまだ熱いから、デコレーションは粗熱を取ってからね」

マミ「キッチンコーナーには専用の台も売ってるわよ。早く完成させたい時には使っても便利だわ」

織莉子「…………」

マミ「美国さん?」


 今日のこの家に来てから、マミには織莉子が度々ボーっとしているように見えていた。

 心がここにないような感じだった。それでいてどこか焦燥しているような、張り詰めた雰囲気。


 ケーキは見事に焼き上がったのに。


織莉子「……少し待つんだったわね。リビングに戻りましょうか」


 やっぱり、心労からくるものだろうか。

 学校でも家でも心無い嫌がらせを受けて、魔女にもとらわれたのだという。

 マミはそう思うと少しの同情と、なんとかしてあげたい気持ちに駆られた。


マミ「美国さん、困ったことがあったら言ってね? できることなら力になるわよ」

織莉子「……ええ」




―20日目終了―


小巻 魔力[100/100]  状態:正常
GS:6個
・[20/100] ・[100/100]
・鳥かご[100/100] ・お菓子[100/100]
・ハコ[100/100] ・銀[86/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]

――――――
21日目



小巻「……美国が悩んでる?」

マミ『ええ、なんだか昨日はボーっとしてることが多くて。この間はそうでもなかったと思うのだけど』


 マミからのメールにはたしかにそう書いてあった。

 ほどなくして電話がきて、今に至る。


マミ『まあでも、あんな状況じゃ辛いわよね。私も一人だから少しは気持ちがわかるの』


 そういえば、マミはそうだった。だからこそより心配しているのが伝わった。

 でもあたしに言われたって。


小糸「お姉ちゃーん! ご飯できたって!」

マミ『浅古さんも、家族は大切にね』


 そんなの言われなくたって。

 ……そう思ったけど、この前も気づかないうちにあんなに心配させてたんだ。



*休日午後*
1もう一度マミと話す
2美国の家に行く
3今日は家にいよう
4自由安価

 下2レス




 昼食を終えて部屋に戻って、もう一度マミに連絡して美国の番号を聞いた。

 あたしには励ましてやることなんかできないけど。


小巻「……なんで出ないのよ」


 1コール、2コール、繰り返す電子音に苛立ちがつのる。

 いくつだかわからないくらいになって、かけるのをやめた。


 家の電話なら出るのかしら? もう使うことのなくなった昔の連絡網を漁る。


小巻「家にいないの?」


 結局美国は出なかった。それから、もう一度マミのほうにかけた。


マミ『美国さんとは連絡とれた?』

小巻「出なかったわ」

マミ『そう…… 気づいてないのかしら?』

小巻「暇になったからちょっと付き合ってよ。まあそっちも暇なら、だけど」

マミ『パトロール?』

小巻「いや、今日は長々歩き回る気はないわ。ちょっと人目につかないとこ知らない?」





 マミに案内されたのは土手の通りからは死角になる場所だった。



マミ「懐かしいわね。ここでよく一人で新しい必殺技を考えたのよ」

小巻「そ、そう…… 必殺技はつくんないけどさ」


 そこまで熱心なのはすごいけど、マミの感性はこういうとこはやっぱ理解できない。

 もしあたしにも提案してこようものなら全力で拒否させてもらおうと思う。


小巻「あたしも素振りくらいならやってみようかなって」

マミ「浅古さんはもう魔女を倒すには十分な腕力があるのに?」

小巻「まあ、そのくらいですぐどうにかなるとは思ってないけど。アドバイスとかしてくれるなら参考にはするわ」


 こんなとこで変身なんかしたくないし、振るうのはソウルジェムから直接出した武器だ。

 いつもより重く感じるが、このくらいのほうが鍛えられる気がする。


 マミはあたしの横でどこか懐かしむような目で見ていた。


マミ「私、前に弟子がいたことがあるのよ。その時にもここで二人で訓練してたわ」

小巻「……それって、もしかしてこの前の?」


 風見野の魔法少女と組んでたって聞いたときは『なんでそんなヤツとなんか』としか思わなかった。

 殊勝にも誰かに弟子入りとかしてたのか。その時の関係性は本当に悪くなかったらしい。


マミ「浅古さんはそれとは違うけど、その時のことを少し思い出したの」


 あたしは弟子入りまではしない。マミの実力は認めるけど、仲は対等だ。

 ただ、『仲間』として。


小巻「……まあ、たまには身体動かしに来るかもしれないから、その時は付き合ってよ」




 美国から連絡があったのは、その夜になってからだった。



小巻「昼に連絡入れてこんな時間まで気づかないって何事よ!?」

小巻「携帯にも家にも連絡したのよ! どんな生活してたらそうなるわけ!?」


 応答を押して通話がつながった瞬間、電話越しに噛み付く。


織莉子『……ちょ、ちょっと今日は買い物に出かけたの』

小巻「どこまで買い物行ってんのよ」

織莉子『一人だと色々とやらなきゃいけないことが多くて大変なのよ』


 一人。マミも言ってたことだ。

 そう言われるとあたしにはそれ以上責め立てられない。


小巻「それよりアンタさ、マミが心配してたわよ。ボーっとしてばっかだったって!」

小巻「気を使わせてるんじゃないわよ」

織莉子『そうね。……これではいけないのはわかってるわ』


 聞いてるこっちが気が重くなりそうな返事だ。

 ……励ますなんてできないが、別にあたしは美国をさらに追い込みたいわけじゃない。


小巻「~~……だから、周りのヤツも周りのヤツだけど、アンタも自分から状況を変える努力をしてみれば」

小巻「こっちももう『私は大丈夫』だの『気にしてない』だの聞き飽きたから」

織莉子『ええ』

小巻「……えっ?」


 今まで曖昧な返事しかしてこなかった美国にしてはやけにあっさりと、自然にそう返ってきた。


小巻「何か考えてんの?」

織莉子『考えてはいるわ。ずっと。何もしていないわけではないの』




―21日目終了―


小巻 魔力[100/100]  状態:正常
GS:6個
・[20/100] ・[100/100]
・鳥かご[100/100] ・お菓子[100/100]
・ハコ[100/100] ・銀[86/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]

-----------------------
今回更新はここまで
次回は13日(月)19時くらいからの予定

――――――
22日目



 『考えてはいるわ。ずっと。何もしていないわけではないの』



 あたしにはそれが本当のことだとは思えなかった。

 とはいえ、そこから発せられる雰囲気は、どうせただの強がりだとは言い切れなかった。


小巻(やっぱり今日は白女に寄って、転校の書類でも持ってこさせようかしら?)


 時間は戻せないし、過ぎた運命を変えることはできない。何をしたって根本的には解決はしないのはわかってる。

 それでもどうにかして乗り越えるしかないんだ。アイツはまだ生きてるんだから。

 ……それなのにこれまであたしから見えていた美国には、そういう前向きさが見えなくて心底苛立っていた。



 ――――昼休みになると、もう何度目かの対策会議だ。

 優木に動きはない。といってももちろん、被害者が増えてないって意味じゃない。

 あっちの魔法少女は優木の行いを許容するみたいだし、風見野で落ち着いたということだろうか。



小巻「アイツ…… あたしたちから逃げてんじゃないわよ。優木も風見野の魔法少女もどっちも臆病者ね」

マミ「あれからあっちから連絡はないのよね?」

QB「とくに伝言は聞いてないね」

マミ「そう……」


 マミは少し落ち込んで見えた。

 一悶着あった相手に協力を頼むなんて、それなりに勇気のいることだっただろうに。


 あっちはあっちでホント今なにしてんの。



キリカ「今日はどうする?」

小巻「このままじゃいつまで経っても膠着状態よ! 風見野に乗り込んでやらない?」


 風見野の町には腐った魔法少女しかいない。このままあっちに任せといたら優木の被害を許してるのと同然だ。

 たとえ自分たちの町でなくても放っておくことなんてできない。

 そもそもあたしは、縄張りなんてものに囚われすぎるのもどうかと思ってたとこだ。


マミ「ごめんなさい、私は今日は予定があって。行くなら私も一緒に行くわ」

マミ「優木さんに会うかもしれないし…… 元仲間のことだもの。けじめをつけるなら自分の手でつけたいの」

小巻「わかったわ。それなら、次にみんなの都合の合う日に決行してやりましょ」


 マミもキリカも力強く頷いた。

 優木をなんとかするって目的はみんな同じなんだ。



小巻(マミの予定……って、また美国のことなのかしら。だったら一人にしておけないのはわかるけど)



*放課後*
1パトロール
2久しぶりに白女に行ってみる
3自由安価

 下2レス




 次に都合の合う日っていうと、明日はあたしが予定あるし、早くても明後日だ。

 人の命がかかってるんだからのんびりとはしてられないし、いざとなったら塾は休んだっていい。

 ただ、一日で会えるかどうかもわからない。こっちの動きを察したら風見野の魔法少女は何か行動は起こしそうだけど。


小巻「ところで風見野の魔法少女って、名前は?」

マミ「佐倉杏子というわ」

小巻「強いの?」

マミ「私が見てたのは昔のことだから、今のことは正確にはわからないわね」

小巻「そう、まあ関係ないけど!」


 昔からやってるってことはベテランってことだから、強いには強いんだろう。

 時間もない中、昨日みたいに素振りした程度じゃ簡単には経験は埋められないだろうけど、それでも戦えないわけじゃない。

 それに、あたし一人で戦うわけじゃないから。


小巻「あたしも用事片付けてきちゃおうかな。……ちょっと遠出することになるけど」

キリカ「一人で大丈夫?」

小巻「子供のおつかいじゃないんだから心配しないでよ。そんなに言うなら途中までついてきてもらってもいいけど」



――――
――――




 放課後になるとキリカと一緒に学校を出た。

 駅についたら電車移動だ。行き先は三年の途中まで通い続けた校舎。何も考えなくてもまだ身体が覚えていた。


小巻(人を通して聞いてはいたけど……実際に足を運んでみるのが早いわよね)


 目的の駅について歩いていくと、その建物が見えた。

 下校の時間からは少し経ってるから、校門付近にいる生徒は多くない。部活動の音も聞こえてくる。


 一見して活気と華やかさに溢れたその場所を眺めていると、見覚えのある教師に声をかけられた。


*「……部外者がどうされたんです? 忘れ物ですか? もう貴女の私物は残っていないと思いますよ」


 高圧的な雰囲気。見下したように冷たい目。

 在学中はここまでではなかった。事件を境に評価が一変した美国も似たような衝撃を受けたのだろう。

 自分たちとは関係ない、自分たちよりも劣ったものに向ける態度。


小巻「ええ。私物は残してないわね。でも、忘れられない『心残り』ならあるのよ」

*「まさか、一度自ら離れておきながら、復学したいとでもおっしゃるつもりですか? 戻ってきたところで居場所なんてもうありませんよ」

小巻「そんなわけないじゃない。何を思い上がっているの? ……あたしの心残りは、美国のことよ」



小巻「あれから三週間は経つのに何も変わってないみたいね。アンタも教師なら、アイツのこと変な目で見る輩を止めなさいよ」

小巻「もし最悪……そのせいであいつが自殺でもしたらどうするわけ」

*「それはいたましい例えですが、こちらのせいにされても。わが校では責任は負いかねますので」

小巻「あー、そうね……アンタたちってそういう奴らよね」

*「それを言いにここへ?」

小巻「そうよ。不本意だけどね、アイツと関わることはあるのよ」


 くだらない事とでも言いたげだ。それから、教師は呆れたように話し始めた。


*「随分と仲がよろしいようですし、どうしてもと言うのなら彼女のことも他校へ連れて行かれたらいいのでは?」

小巻「そう言うなら在学証明書と教科書給与証明書、だっけ? あの書類ちょうだいよ」

*「それは美国さん本人か保護者の方に来ていただかないことにはどうにも」

*「そうしてもらえるのならこちらとしても嬉しいのですけどね。まだ未練があるようで」


 こいつらが考えるのは厄介事をかわしたいってことだけだ。

 それは問題を起こして部外者になったあたしのことも、問題を抱えた美国のことも同じ。


 そんな感情がありありと伝わってきて、目の前の教師に、そして周りの生徒に向かって叫んだ。


小巻「アンタたち、間違ってるわよ!」

小巻「美国自身が何をしたわけでもないのに寄ってたかって一人を除け者にして!」

小巻「つい最近にもきっと落ち込むようなことがあったのよ……! アンタたちは相手の気持ちも考えられないの!?」


 そうしていると、すれ違う周りの生徒がざわめき出す。


「なにあれ? 他校の生徒……? 怖い」

「あれって浅古さん? また美国さんのことでつっかかりにきたの? 美国さんのこと好きすぎない?」


 ひそひそ声に向かって、あたしは怒鳴る。


小巻「言いたいことあるなら直接言え!」

*「もっ、もういいからお帰りいただけます!? 警備員を呼びますよ……!」



 ……教師に追い出されるようにして、今日のところは帰っていった。

 久しぶりに来たこの学校で、最悪な思い出が一つ増えた。


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今回更新はここまで
次回は14日(火)19時くらいからの予定




 ――――まだ心の落ち着かないその帰り道の途中で、携帯が鳴った。



小巻「……美国?」



――――――
――――――



 休日。見滝原から東に位置する隣町、風見野の地に“二人”の魔法少女の姿があった。



「――――いやあ、好きに動けるっていいですねえ。魔女もたくさん手に入ります」

「佐倉杏子はわざわざ私を追いたがる性格じゃないみたいですし、だったらそんな面倒そうな人と争いたくもありません。そのくらいは我慢ですっ」

「織莉子さんもしばらくは風見野にいる予定なんでしょう?」


織莉子「……ええ」

「まあ、それはいいんですけど」


 優木沙々はその幼さの残る顔立ちに醜悪な悪意で歪んだ笑みを浮かべて、機嫌良さそうにしていた。


沙々「この調子で、浅古小巻もそろそろ殺っちゃいましょうよ?」

沙々「縄張りは一つ手に入りました。あっちにも面倒な人はいますし、ソイツのことはまあ置いといてもいいです」

沙々「でも一度手を付けた獲物を取り逃がしたままなのは癪です。あの人、猪みたいにこっちまで突っ込んできそうな雰囲気ですし」



織莉子「考えてはいるわ」



――――――

――――――




織莉子『突然で悪いのだけど、今からうちに来てくれないかしら?』



 白女との道のりを往復して、もう夕焼けも落ちる時間だ。優雅にお茶するって雰囲気でもない。

 昼に聞いたマミの予定は美国のことではなかったのか。それともマミは帰ったのだろうか。


 少なくとも、今までのことからしたら、コイツがこんなふうにあたしを呼ぶなんて只事ではなかった。


小巻「……待ってなさい」



 最寄り駅で降りたのち、進路を変えた。



――――――
――――――



マミ「…………」


 時同じくして、マミの心中も穏やかじゃなかった。

 思いも寄らなかった真実を“三つ”、知ってしまったからだ。


マミ(美国さんは魔法少女だった……まさかこんな近くにまだ新人が増えていたなんて)

マミ(美国さんとならきっと仲間になれるわ。すぐにはみんなと一緒に行動できなくても。でも――――まさか、“あんなもの”を見てしまうなんて)


マミ(魔法少女は魔女になる……私達の命はもう人と同じじゃない)

マミ(そう思うと、もう仲間が増えたなんて喜べるわけがない)

――――――



 それは、まだカーテンの隙間から漏れる光が眩しく、日が落ちる前のことだった。



織莉子「……マミさん。実は、話しておきたいことがあるの」


 家を訪れたマミは、いつものようにお茶を用意した席で織莉子と向かい合って話していた。

 しかしそこには雑談を楽しむような空気はなく、マミはいつもとは違う雰囲気を感じ取った。


マミ「どうしたの? 急に改まって」

織莉子「私、実は契約してるのよ。キュゥべえのことも見えるの。でも小巻さんを心配させたくなかったからずっと言えなくて」

織莉子「言い出すきっかけもなくて、今まで契約してないフリをしてたの」

マミ「え……? そうだったのね。けど、それはちゃんと話したほうがいいと思うわ。心配はするだろうしもしかしたら怒るかもしれないけど、浅古さんなら……」

マミ「なんなら私から伝えておきましょうか? 仲間が増えるのなら大歓迎よ! みんなでパトロールにも行ったりしてるのよ。特に今は一人じゃ危ないんだし」

織莉子「いいえ。お願い、小巻さんにはまだ言わないで。いつか私から言うわ。その決心ができるまでは、待っていてほしいの」

マミ「わかったわ。美国さんがそう言うなら」


――――――
――――――



小巻「――――な…… によ、これ……!?」



 目的の場所にたどり着く。

 そこは確かに美国の家だ。でも何度確認してもやっぱりそこから魔女の気配がした。

 『家に魔女結界が張られてる』ってことだ。


 こんなに近くにあったら美国だって囚われててもおかしくない。

 そう思うと、弾かれたように身体が動いた。急いで結界の中に乗り込んでいく。


小巻(何よこれ、ありえるの!? こんなに不幸なことってある!? まさかアイツのウジウジっぷりが魔女を引き寄せたとでもいうわけ!?)

小巻(美国は無事なんでしょうね!?)



 しかし、そこで聞こえたのは思いがけない声だった。

 ――――考えていたことは、半分は当たっていた。



沙々「くふふっ、やっと来てくれたんですねぇ。お待ちしてましたよ」

小巻「なんでお前がここにいるのよ! 優木!」

沙々「なんでだと思います?」


 優木の隣には美国の姿もあった。なぜかその手には包丁を持っている。その切っ先は自分に向いていた。


沙々「ご友人のためにのこのこつられに来てくれるなんて、お優しいですね」

小巻「まさかあたしのこと探ってたの!? またこんなこと!!」

沙々「下手なこと考えるなよ? それに、あの時と同じとは思わないほうがいい。今回は準備する時間がありましたから」

沙々「言っておきますが、私の魔法って魔女を操るだけじゃないんですよ? 答えは『洗脳』です。人間だって、操れちゃうんですよ」



沙々「あの時は予想外でしたけどね。もうあんなことは起こるはずないんです。それどころか、グサッ!!!!」

小巻「っ……」

沙々「――――って、なっちゃうかもしれませんね!」


 優木にとっても、あの時一般人に反撃されてあたしを逃したことはかなりの屈辱のようだ。

 苦虫を噛み潰したかのように語っていたが、その表情は笑みへと歪んでいった。


 あたしを呼び出したのもこいつがやらせたのか。


小巻「美国、聞こえてないの!?」

小巻「洗脳なんかにやられてんじゃないわよ。そんなもの手を放しちゃいなさい!」


 呼びかけるが、声が届いていないかのように反応はなかった。


沙々「無駄なことを」


 優木が合図をすると、魔女がこっちに襲いかかってくる。

 斧の柄を握り込みながら、あたしは躊躇っていた。……おとなしくコイツに殺されろと?

 でもこのまま無抵抗でいたって、美国もあたしも死ぬだけだ。


沙々「別に魔女と戦ってくれてもいいですよ? 平常心で戦えるなら、ですけど」

沙々「今はたくさん『手持ち』があるんで! 抵抗虚しく殺されちゃうって姿を見るのは楽しそうですしね!」




小巻 魔力[100/100]  状態:動揺
GS:6個
・[20/100] ・[100/100]
・鳥かご[100/100] ・お菓子[100/100]
・ハコ[100/100] ・銀[86/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]

敵:魔女Aleiler <-攻撃対象A
  使い魔Maid×5 <-攻撃対象B

  優木沙々(攻撃不可)
 

1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
3ガード(魔力-3~5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
4バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
5自由安価

 下2レス



 攻撃を盾で受ける。

 防御に徹しながら、あたしは考えていた。


小巻(落ち着け! 美国が人質っていっても最後まで生かしておかなきゃ意味がない)

小巻(前はすぐ武装解除を求めたけど、今はあたしをいたぶろうとしてる。慢心してるんだ)

小巻(だったら、戦ってるうちに隙が出来るのを待つしかない!)


 美国より先にあたしが死ぬのは論外。まだ死ぬわけにはいかない。


沙々「あらら……? 気に食わない目ですね。なんですかそれ」

沙々「でもほら、使い魔が増えてきましたよ? いつまで耐えてるんでしょうか?」


 そろそろ防御し続けるのも限界だ。使い魔は時間と共に無限に湧く。数が増えれば押し切られる。

 魔女を倒してもすぐ次がくるんだろうけど。



小巻 魔力[95/100]  状態:正常
GS:6個
・[20/100] ・[100/100]
・鳥かご[100/100] ・お菓子[100/100]
・ハコ[100/100] ・銀[86/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]

敵:魔女Aleiler <-攻撃対象A
  使い魔Maid×7 <-攻撃対象B

  優木沙々(攻撃不可)
 

1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
3ガード(魔力-3~5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
4バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
5自由安価

 下2レス



 斧を横に構えた。そのまま力を込める。


小巻「っらぁあああ――っ!」


 遠心力に任せるようにして、周りの使い魔ごと薙ぎ払う。

 まだ勢いは衰えない。そのまま魔女に投げ込むようにして、結界の壁に叩きつけてやった。

 磔になった魔女はその一撃で倒せたようだ。


 ……強引に攻勢に出た時、使い魔から攻撃を受けていた。でもまだかすり傷。


沙々「わぁ、すごい力技ですね。でもまだ序の口ですよ」


 消えたと思った矢先にまた結界があたりを包む。


 次に沸いた魔女は、杖を持ちシルクハットを被ったマジシャンのような巨体だった。

 その周りに浮かぶナイフにトランプ、飛び道具まであるのは厄介だが、まだ使い魔がいないだけ楽か。



小巻 魔力[90/100]  状態:負傷(軽傷)
GS:6個
・[20/100] ・[100/100]
・鳥かご[100/100] ・お菓子[100/100]
・ハコ[100/100] ・銀[86/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]

敵:魔女Paladin-Lite

  優木沙々(攻撃不可)
 

1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
3ガード(魔力-3~5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
4バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める
5自分の負傷を回復(肩・かすり傷 魔力-7) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
6自由安価

 下2レス



 魔女に向かって走り出す。


 グリーフシードに戻った魔女は、優木が手を加えなければただの物。新しく出来た結界には取り込まれてない。

 でも手を加えられればまた襲ってくるんだから、こいつの手札にはキリがない。

 結局元凶をなんとかしないと――――……!




 下1レスコンマ判定 戦況
0~(劣勢) < 99(優勢)

+一桁0クリティカル(優勢時は自分)
+ゾロクリティカル(自分)
+補正 自[格闘Lv3]*3



 魔女に向けて振り抜いた斧は、一撃でその巨体を切り裂いた。



沙々「……たくさん用意してあるとはいえ、使えない部下には腹が立ちますね」

小巻「片っ端からたたっ斬ってやるわよ!」



 優木は淡々と言ってのけ、たいして堪えた素振りは見せなかった。

 また次の結界が覆う。

 気づけば目の前には、大きな刀が浮いているように見えた。あれが魔女だろうか。



小巻 魔力[90/100]  状態:負傷(軽傷)
GS:6個
・[20/100] ・[100/100]
・鳥かご[100/100] ・お菓子[100/100]
・ハコ[100/100] ・銀[86/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]

敵:魔女Toil

  優木沙々(攻撃不可)
 

1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
3ガード(魔力-3~5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
4バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める
5自分の負傷を回復(肩・かすり傷 魔力-7) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
6自由安価

 下2レス




 魔女は直線的にこっちに突っ込んでくるようだ。

 その刀身が届く前にバリアに閉じ込める。


 刃先の衝突した部分がヒビが入った。けど、使い魔に邪魔されることがなければ。


 回り込んでから斧を振り下ろした。


小巻「はあああッ!」


 手応えは硬く、その刀身が砕けていく感触がジンと手を痺れるように伝わってきた。

 息が切れる。嫌な汗も滲んでくる。本来だったらトドメ、文字通り“最後”になるはずの一撃だ。

 魔女にはトドメとなっているけど……――――。


 ……さっきから全力で斧を振りっぱなしだ。


 景色が白黒に変わる。次の結界が覆っていた。


沙々「もうお疲れですよね?」

小巻「うるさいわよ……!」



 ――――優木には一撃も与えられない。アイツはずっと余裕そうにこっちを見てる。

 人質を簡単には殺さないのはわかってる。でも、簡単に感づかれる状況で攻撃するわけにもいかない。


 考えているうちに、黒い影のようなものが迫ってきていた。


小巻「!」

沙々「よそ見してる場合ですか?」



 影を咄嗟に盾で防いで、切り落とす。



小巻 魔力[77/100]  状態:疲労・負傷(軽傷)
GS:6個
・[20/100] ・[100/100]
・鳥かご[100/100] ・お菓子[100/100]
・ハコ[100/100] ・銀[86/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]

敵:魔女Elsamaria

  優木沙々(攻撃不可)
 

1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
3ガード(魔力-3~5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
4バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める
5自分の負傷を回復(肩・かすり傷、疲労 魔力-15) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
6自由安価

 下2レス

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今回更新はここまで
次回は15日(水)19時くらいからの予定



 回復しなきゃやってられない。

 迫ってくる敵を最低限に対処しつつ、魔女の攻撃を盾で受けながら治療に集中する。


 まずは肉体の疲れと傷を治さないと。


小巻「いい加減正気に戻れ、美国!」

小巻「こっちは必死で戦ってんのよ! こんなヤツにいいようにされるなんて悔しくないの!?」


 近寄ってきてる使い魔を一体切り捨てると、再び走り出した。

 背を向け続ける魔女と、その間に立ちふさがるように首を生やした使い魔のほうめがけて。



 下1レスコンマ判定 戦況
0~(劣勢) < 99(優勢)

+一桁0クリティカル(優勢時は自分)
+ゾロクリティカル(自分)
+補正 自[格闘Lv3]*3

優勢:56



 使い魔一体はさほど硬くはない。

 蛇のようにうねる動きと、次から次へと沸いて群れることが問題だった。


小巻「アンタ見てるといっつもそうよ……!」


 使い魔の湧くスピードが速い。魔女の妨害もある。

 魔女に刃が届く距離まで追いつく前には阻まれてしまう。


小巻「あたしはこのまま誰かにいいようにされて死ぬなんて絶対にイヤ」



 下1レスコンマ判定 戦況
0~(劣勢) < 99(優勢)

+一桁0クリティカル(優勢時は自分)
+ゾロクリティカル(自分)
+補正 自[格闘Lv3]*3



 魔女は移動しない。黒い地面に根を生やしたように座り込んだままだ。

 進むことができればいつかは届く。




*優勢:100(どちらを選んでも撃破できます)*
1短期決戦を仕掛ける(新しい技を考案)
2このまま粘り勝つ

 下2レス



 持っているのと同じ斧をもう一つ増やす。

 気を抜けば自分が振り回される重量だ。いつもの全力以上に無茶はするだろうけど、とはいえ次も耐えて回復することはできる。

 幸い、グリーフシードはまだある。


 魔力を滾らせ、使い魔を切り裂いていく。足は止めない。

 魔女の背中から繰り出される攻撃を1つ斧を投げて破壊し、続けて斧を両手に持ち直して振り下ろした。



小巻「アンタもっ、死にたくなければ戦え――……!」



 ――――結界が消えた。

 現実であるそこにはあたりにグリーフシードが散らばっているのが見えて、そこにまた一つ落ちる音がした。

 こんなに倒してきたんだ――一瞬そんな感傷が沸いたけど、浸るほどの暇はくれなかった。


 いつのまにか、美国はあたしの後ろにいた。

 そして、近づいてくる。手の包丁を振り上げて。


小巻「っ……!」


 咄嗟にその腕を掴むと、包丁が落ちた。

 さっきまでの戦いとは違って、なんの力もない美国の手はそっと掴んだだけで止められた。むしろ無駄に傷つけてないかのほうが心配になる。


 もしかして優木のやつ、一般人に反撃された屈辱を根に持ってるわけ。そんで本命は魔女じゃなくて美国にあたしを殺させようと。

 まあ、あたしが魔女に負けるならそれでもよかったんだろうけど。



 でも、これこそ“慢心から生まれた隙”だ。また魔女を差し向けられていれば、戦いはまだ長引いていた。


小巻「残念だったわね。魔女にばっかり戦わせてるアンタと一緒にしないでくれる?」

沙々「……」


 すかさず美国をバリアで覆った。

 もう物騒なモノはなくなったのだから自殺もさせられない。素手じゃ暴れようにも何もできない。


小巻「アンタの作戦は失敗よ。もう人質もいなくなったのよ。これで安心してアンタをやれる!」


 優木に向き直る。今のあたしは鬼の形相をしていることだろう。

 あたしの友達や知り合いに手を出しただけじゃなく、あれだけのことをしでかしてきた奴だ。両断されたって文句は言えないはずだ。

 次の魔女結界が包んだが、どんな魔女だろうとどうでもいい。あたしの狙いは優木だけ――――!



小巻「ッ…………――――!?」



 瞬間、痛みが走り、生温かいものがこみ上げる。胸から『ナニカ』が飛び出てくるのが見えた。

 思考が追いつかない。こんなに早く使い魔だって沸かないはず。



 崩れ落ちていく身体をなんとか後ろを向けると、ぼやけかかった視界でこちらに向けて手をかざしている美国の姿が見えた。



――――
――――


――――――

――――――



沙々「お疲れ様です」



 結界内が静まり返ると、優木沙々は手を叩いた。

 血を流し続ける“死体”に近寄っていく。


沙々「……包丁は注意を引くためのフェイク。私も武器持たせただけの一般人は近づけさせたりしませんって」

沙々「好意を利用しておびき出し、洗脳された“フリ”で行動を制限して疲弊させる。最後に人質助け出して安心したところに魔法でズドン」

沙々「さすがですね。私一人じゃここまで思いつきませんよ!」

織莉子「油断させるためとはいえ、貴女一人を悪者にしちゃったでしょう。嫌ではなかったの?」

沙々「あー、へいきへいき。悪者でもなんでも気にしませんって。おかげでいいもの見せてもらいましたし」

沙々「死んだ相手が自分をどう思ってたかなんて、一番どうでもいいことです」

織莉子「そう」


 織莉子は淡々と、軽く返した。


沙々「それより、あなたのほうこそ少しは躊躇ったりしなかったんですか? 織莉子さんの友人だったんでしょう?」

織莉子「……友人ではないわ。生かしておくデメリットが多すぎる。彼女から隠れるのにもそろそろ困っていたところだった」

沙々「最高です! 本当、織莉子さんって私より性格悪い!」


 冷たく感情の見えない顔をした織莉子とは対照的に、沙々は心底楽しそうに笑っていた。



 ……織莉子にはわかっていた。もしも『躊躇った』場合、沙々は本当に洗脳魔法をかけるつもりだったことも。

 提案した時点でもう引き返す選択肢なんて無いことは決まっていた。


沙々「これで邪魔者が一人減りました。それにあの面倒な巴マミまで引き込む気だなんて」

沙々「あの『偽の記憶』でどう引き込むのかはわかりませんが…… 魔法少女が魔女になるなんて、また悪趣味な作り話を思いつきますね?」

織莉子「もしも作り話じゃなかったとしたらどうする?」

沙々「……え?」


 沙々は思わず目を丸くする。織莉子はまだ真剣な表情をしていた。

 ……それから、織莉子はその表情を目の笑わない微笑みに変えた。


織莉子「冗談よ?」

沙々「で、ですよね? 織莉子さんはそんな顔で冗談を言うから冗談に聞こえないんですよ!」

織莉子「この戦いでも、魔法の効果を持続させるために貴女に傷をつけさせるわけにはいかなかった」

織莉子「これからもよろしく頼むわね」

沙々「はい! 私も織莉子さんのことは頼りにしてますからね!」


 笑みを交わす。一見すれば仲の良い二人に見えただろう。しかし、その笑顔の裏側に本当の絆はあるのだろうか。


 織莉子はゆったりとした動作で沙々の隣に――死体の前に立つ。

 そして、少し前までは力強く自分に呼びかけていたその姿を見下ろした。……目をそらさずに見ようと決めていた。


沙々「これどうします? 死体はいりませんよね?」

織莉子「ええ。処理は任せるわ」




織莉子「……これが私の『戦い』よ。貴女の守りたかったものも、きっと救ってあげるから」



――――――
――――――



★新技習得

両斧斬撃 :近接武器戦闘・両斧(魔力-5/1ターン)単純に手数を二倍にする。相当なパワーが必要になるため、長くは使えない。



―22日目終了―



小巻 魔力[死の絶望の淵]  状態:仮死
GS:0個

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]

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今回更新はここまで
次回は18日(土)18時くらいからの予定

――――――



 ――――人間は死んだらどうなるのか。みんな一度くらいは考えたことがあると思う。


 善人の魂は天国に上って幸せに暮らしながら現世を見守り、悪人は地獄に落ちて裁かれ苦しむのだという人もいる。

 霊魂になって漂うという人もいる。いつかどこかの誰かとして生まれ変わるのだという人もいる。

 そんなものはただの都合の良い妄想で、死んだら“無”……『魂』なんてどこにも残らず消えてなくなるという人もいる。


 『無』というのはある意味で優しい。死んだあとには悲しむことも苦しむこともないのだから。

 それならあたしは、無に向かっているのだろう。しかし、それはそんな生易しいものではなかった。


 人間性がガリガリと剥がれ落ちていくような、生きて存在していたはずの『自分自身』を形作るものがなくなっていく感覚。

 悪夢ほどはっきりとしていない、しかし魘されているような、その感覚はまさしく地獄よりも地獄というにふさわしかった。




 どうしてこんな目に遭う。何に向けてかもわからない憎悪すら向けたくなるほど。



 ……『どうして』。

 その問いとともに瞼の奥に浮かんだのは、死ぬ直前に見た『誰か』の姿だった。



――――――

――――――
23日目




マミ「……ねぇキュゥべえ、どうして黙ってたの?」

QB「なんの話だい?」

マミ「ソウルジェムのことと魔女のこと。……どちらも私達の“魂”のことよ」


 いつもどおりふらりと姿を表したソレに疑問をぶつけてやれば、またいつもの悪びれない様子で答えた。


QB「キミたちが知らないほうがいいことだからだよ」

マミ「は……?」

QB「真実を知ったキミは、事実そうして態度を変えた。キミも知りたくなかったんだろう?」

QB「それなら、やっぱり聞かれない限りは話さないのが正解だということだよね」

マミ「勝手なこと言わないで。私はずっとあなたを信じてたのに……!」


 昨日からこうして詰め寄ってやりたい気持ちだったが、やってみてもそれで何かが出来るわけじゃなかった。

 ……私には何も出来ない。身体のことも、魔女のことも。

 ひしひしと感じられる無力さに涙が伝った。



QB「マミ、ここは学校だ。あまり声を荒げたりしたら不自然に思われるんじゃないのかい」

QB「……それと、杏子から伝言を預かっているよ。ボクが伝えにきたのはそのことだ」


 今聞くと思わなかった名前が聞こえて、ハッとする。


マミ「どうして今更?」

QB「それは本人に聞いてみるといい。これからこっちに来るようだからね」

マミ「まさか縄張り争いでもする気なの?」

QB「君たちに協力してもいいって言ってたよ」


 まさかこれも罠。……そう浮かんだが、どっちにしても来るというのだから対応しないわけにいかない。


 涙を拭う。

 今日は朝から足取りが重かった。

 ここまで来られたのは、積み上げてきた優等生としての習慣と、まだ『何も知らない』仲間がいるからに過ぎなかった。


 私は友達を一人失った。誰よりも深く信頼してた友達を。

 本人はそう思っていないかもしれない。でも私にとっては裏切られたも同然だった。


マミ「今日もお昼に話があるんだけど……」


 教室を訪ねてみる。探していた姿がそこには一人見当たらなかった。


キリカ「小巻なら今日きてないよ?」


――――
――――



 帰り際にテレパシーを受けて示された場所に向かうと、そこには久しぶりに見る顔があった。

 それと、初めて見る小さな子もその傍に寄り添っていた。


マミ「……佐倉さん、今日は一体どういうこと?」

杏子「気が変わったっつってんだよ。協力してやってもいいってな」

キリカ「キミが『風見野の魔法少女』?」

杏子「そうだよ。そっちこそ、『小巻』はどうしたんだよ」


 どうしてその名前を知ってるのかと一瞬身構える。

 多分キュゥべえが教えたのだろう。


マミ「……浅古さんはおやすみよ」


 このこともずっと引っかかっていた。休みの連絡は来ていないらしい。

 どうにも嫌な予感がする。同じことは呉さんも感じてきているようだった。

 優木さんのこと、それから、私が見た光景が浮かぶ。


杏子「死んだか?」

マミ「滅多なことを言わないで。……協力してくれるっていうのが本気なら感謝はするわ。悪いけど、お話は手短にお願いするわね」

杏子「なんだよ。せっかく来てやったのに邪魔者扱いかよ」


 佐倉さんが機嫌悪そうにポケットの中から出したお菓子を貪る。

 すると、小さな子が佐倉さんを守るように私達の前に出た。


「ケンカしないでっ。キョーコは悪い魔法少女じゃないもん!」



 思わず毒気が抜かれる。佐倉さんもそれは同じだったようで、『本題』を切り出した。


杏子「あー…… こいつはゆま。今日来たのはこいつのことで聞きたいことがあるからだ。協力ってのはその代わりにしてやってもいいかなってこと!」

マミ「この子のことで……?」

杏子「『織莉子』って名前を知ってるか?」

マミ「それがどう関係があるの?」

杏子「ゆまは昨日契約したんだよ。織莉子に言われてな。ソイツ、絶対なにか企んでやがる!」


 心当たりはもちろんあった。それに、あまり聞かない名前。


マミ「本当にそんなことを……?」

杏子「は!? それって、心当たりあるってことでいいんだな?」

マミ「え、ええ。心当たりだけなら。でも美国さんは――」

杏子「ソイツに会わせろ」

マミ「ちょっと、いきなり変なことする気じゃないでしょうね?」

杏子「そんなの返答次第だろ! 明らかに怪しいことしてんだぞ。肩持つほうが意味わかんねえ」

杏子「知り合いかしらないけどマミもさ、いいように口車に乗せられて騙されてんじゃないの?」

マミ「え……?」


 美国さんがそんなことをした理由はわからない。

 魔法少女だったってことも昨日まで知らなかった――いや、その理由は知ってる。話してくれた。

 でも、私の知らなかった美国さんの顔が見えた気がして、私は戸惑っていた。


――――――

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今回更新はここまで
次回は19日(日)19時くらいからの予定

――――――




キリカ(“美国”って、小巻と一緒にいた人だよね?)


 歩きながら考える。いつものようなパトロールをしてるわけではない。

 風見野の魔法少女――杏子たちとの話の途中から、どこか置いていかれたような気分だった。

 マミはその人のことを知ってるらしい。


 それから、小巻のことを除けば気になることはもうひとつだ。


キリカ(朝教室にきた時のマミ、目が赤くて泣いてたみたいだった。なにがあったんだろ?)


 小巻のことは今探してる。まずはどうにかして連絡がとれないかを試した。今のところ連絡はなし。

 マミは話に出てきた魔法少女『美国織莉子』にも連絡をとろうとしてたようだった。でもそっちからの連絡もなし。

 ……杏子はああ言ってたけど、そもそも味方なのかな?


キリカ「小巻の家は先生に聞けたしそこは行くとして、なんもわかんなかったら手分けして探す?」

マミ「……」

キリカ「……おーい?」


 マミは今日はこうやってたまにぼーっとしてる。


マミ「あ、あぁ、そうね。でも、一人になったら危険もあるわよ」

キリカ「それもそうだけど」

マミ「ねぇ、呉さん」



 マミの声のトーンはいやに真剣だった。


キリカ「ん?」

マミ「辛い事を知らずに死んでしまったら、それ以上は辛い思いをせずにすむのかしら」 


 その言葉に、さすがになんて返したらいいかもわからず。

 呆気にとられているうちにマミが慌てたように言った。


マミ「……なんでもないわ! ごめんなさいね、嫌なことばかり考えてしまうの」


 なんかよくないことがあったのはわかる。そのことでなんか隠してるっていうのも。


 小巻の家に行くと妹さんが出てきてくれたけど、やっぱり小巻はいなくて、昨日から帰ってないって言ってた。

 それからしばらくマミと一緒に探し回って、それでも見つけられずに今日は別れた。



 薄々思ってる。もう見つからないんじゃないかと。もし見つかったとしても――――……



「...!」



 もう『無事』ではないんじゃないかと。




「......――――!」


――――――
――――――

まどポのさやかBADにあった身体がゾンビ化してたら流石に嫌だな
そういやほむら全然出てこないな





 ……『誰か?』 違う。

 このまま全部忘れてなにも無くなるとか冗談じゃない。


 そんなの――!



小巻「『美国』…………!」



 あたしはまだここにいる。

 浅古小巻だ。消えてなくなったりしない。たとえ死んだってあたしはあたし。そんな簡単なこと見失ってたまるか。


 アイツ、なんで魔法なんか。キュゥべえ見えてないって嘘だったの?


 その名を呼んだ先には、あたしの手を掴む人がいた。


キリカ「私だよ! 今、美国って言ったの!? わっ、手冷た……!?」

キリカ「生きてるんだよね!? 救急車呼ぶからね!?」


 キリカはひどく焦った様子で呼びかけていた。

 ――――――“生きてる”?


 気づけばそのまま意識はブラックアウトして、また別の場所で目を覚ました。



小巻「ここは……!?」


 白い天井。意識ははっきりとしていて傷もない。

 怪我を負ったことも優木との戦いも夢だったかのように、すっきりとした目覚めだった。


 ……そんな都合の良いことを考えて、思い直した。

 救急車呼ぶって言ってたから、ここは病院なんだろう。あたしたちなら傷を治す方法も考えられる。

 そうして現実に思考を戻した頃、泣きつく妹の姿が見えた。


小糸「お姉ちゃん! 生きててよかった! 死んじゃうかと思ったんだから!」

小巻「そ……そんな簡単に死なないわよ」

小糸「そんなこと……ないよ」


 弱くつぶやくような声が聞こえた気がして、首を傾げる。

 それから他にも周りに人がいることに気づいた。


キリカ「覚えてる? 路地裏のせまっこいトコから小巻の声が聞こえた気がして、見てみたら本当に小巻がいたんだから驚いたんだよ!」

小巻「路地裏?」

マミ「記憶にないなら、後からそこに運ばれたのかしらね。とにかく助かってよかったわよね」

キリカ「あれから目は覚まさないし、すっごい血まみれで身体は冷たくて、もうダメかと思ったんだから! もうなんともないの?」

マミ「……」


 マミはどこか目をそらすような素振りをした。よほど酷い怪我だったのだろうか。

 誰が治してくれたんだろう。


小糸「それとね、お姉ちゃん、実は私……」

小巻「え?」



 小糸が何かを言いたさそうに手を胸の位置まで挙げる。

 ――――……その指には、あたしたちにあるのと同じ指輪がはまっていた。



――――――

――――――



 そこは誰もいない突きあたりの廊下。

 佇むマミの傍にはキュゥべえがいた。



マミ「……ねえ、魔法少女は身体が傷ついても死ぬことはないんでしょう? 小糸さんが契約する必要はあったの?」

QB「そのことを小巻は知らない」

QB「あのまま運ばれてたら『死亡してる』と判断されただろうし、いずれは心のほうが耐えられなくなって魔女になる可能性もあったんじゃないかな」

QB「マミが浄化しておいて助かったね。もうかなり濁っていたみたいだったから」

マミ「……」

QB「納得できないかい? 君たちが望んだ通りに事は進んだじゃないか」

マミ「ええ。だって、誰もそのことを知って契約してないから」



 キュゥべえはそう言うマミのことを、まったく理解できなさそうに見上げていた。



―23日目終了―



小巻 魔力[100/100]  状態:正常
GS:0個

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]

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今回更新はここまで
次回は20日(月)20時くらいからの予定

――――――
24日目



 あのあとは駆けつけてきた両親に泣かれたり、味の薄いご飯を食べて、検査したり。

 あたしのことは、行方不明で意識を失っていたものの、これといった外傷はなく検査でも異常はなかった――っていう扱いだ。



 ――――昼には退院して、今に至る。

 契約しちゃったばっかりの小糸も含めて四人で話してた。



小巻「それじゃあやっぱり、美国は契約してたのね?」

マミ「ええ。本当は本人から話すって言ってたのだけど、まさかこんなことになるなんて……」


 風見野の魔法少女が協力するって言ってきたこと、小さな女の子の契約を美国がそそのかしたってのも聞いたけど、

 マミがこのことを知ってたのが一番の衝撃だった。


小巻「でもこれではっきりしたじゃない! 美国のとこには優木がいた」

小巻「何企んでんのかは知らないけど、それも全部アイツに操られてたんだわ!」

マミ「そうよね。じゃあやっぱり早く優木さんを見つけないと……」


「あれ? 昨日より一人増えてる。くたばってなかったのか」


 その時、この場にもう一つ声が響く。

 風見野の魔法少女も呼ぶとは言ってたけど。まさか。



小巻「佐倉杏子ってコイツ?」

杏子「そうだよ」

小巻「アンタ、この前ヘンなこと言ってきた強盗じゃない!」

マミ「佐倉さん……悪い噂は聞いてたけど、どうしてそうやって人に迷惑かけるようなことするの?」

杏子「うるせーよ! もうあたしと何の関係もないくせに、今更説教すんな!」

小巻「それに、一人じゃなくて少なくとも二人でしょ? 小糸が契約したのは夜なんだから」


 そう言ってやると、佐倉は不遜に腕を組んだまま小糸をジーッと見た。

 小糸は縮こまるようにしてる。


小糸「……は、はじめまして」

杏子「地味過ぎて目に入ってなかったわ。……契約した? なんでだよ」

小糸「お姉ちゃんの怪我を治すために。本当に死ぬかもしれないとこだったんです。冗談でもあんなこと言わないで」


 縮こまりながらもはっきりそう言うと、佐倉は少したじろいで、それから不機嫌そうな表情をした。


杏子「……揃いも揃って他人のために契約しやがって」

ゆま「キョーコ! いじわるなこと言っちゃダメだよ!」

ゆま「それに、ゆまはキョーコを助けたこと後悔してないよ?」


 小さな女の子っていうのはこの子のことだろう。



小巻「人のためにナントカとか、そういえば前も聞いたわ。いちいち人の契約した理由まで探ってケチつけるなんて女々しいやつ!」

杏子「ああ?」

小巻「言っとっけど、あたしは他人のために契約したわけじゃないからね!」

小巻「あたしのやりたいことを、あたしの力でやろうとしただけ! アンタに文句言われる筋合いないから!」

小巻「ていうか、みんなそんなもんじゃないの。誰かを大事だと思うのも、助けたいって思うのも、結局は自分の気持ちなんだから」


 いつだか、キュゥべえにあたしの考え方は変わってるって言われたっけ。

 あれ正直いまだに納得できないけど。……それとも、他の人は違うっての?


杏子「……そうかよ。ずっとそう思ってられるといいな」

ゆま「ゆまはこれからもずっと後悔しないよ!」

杏子「これから先のことなんてわかんないだろ?」


 佐倉はぶっきらぼうに言う。一体何がそんなに気に食わないんだろう。



 それから、さっき話した優木のことを佐倉たちにも言ってやると、改めてみんなで『打倒優木』を目標に決めた。

 あたしたちにとってはこれまでと変わらない。でも、これで心から全員が一致団結できた。

 風見野でも堂々と探せるようになったというのは大きい。人数も増えたし、こっちが有利にはなったはずだ。



小巻「そうと決まったら優木を追うわよ!」

キリカ「これだけいれば手分けもできるね」

ゆま「ゆまはキョーコと一緒がいいな」

杏子「わかったわかった」

マミ「私は美国さんのところをまた訪ねてみるわ。優木さんがまた接触してくるかもしれないし、安全は確保したいもの」



1あたしもそうする
2風見野に探しにいく

 下2レス

ゆまに自己紹介してから1

ひとまず今日は美国のとこにマミとキリカ、小糸も一緒に行きましょう。
洗脳を解くためにあのすまし顔にグーパン叩きこんでも良いわよね?
操られていたとはいえ胸に風穴開けられて死にかけたんだから、こっちも1回くらいやりかえしても文句を言われる筋合いはないわよね?

風見野のほうは佐倉とゆまちゃんの2人の地元組みに任せるわ。
ゆまちゃん、佐倉が『また』やられたら助けてあげてね?


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今回更新はここまで
次回は23日(木)18時くらいからの予定です



小巻「あたしもそうする。アイツ、美国につきまとってるみたいだしね。知り合いのあたしたちがついててやるのが一番でしょ」

小巻「で、もしまた襲ってくんなら顔面にパンチ入れて目を覚まさせてやる!」

小巻「こっちは胸に風穴空けられて、小糸まであたしのために契約することになったんだから!」

マミ「そ…… そうね。まぁ出来るだけ穏便にいきましょう? 洗脳魔法の仕組みもわからないんだもの」

小巻「ま、当然優先すべきは優木をぶっ飛ばすことよ。アイツさえやっつければ全部解決するんだしね」

杏子「……そうだな。優木を見つけたらなんでゆまを契約させたのかも聞いといてくれ。くだらない理由だったらその場でシメとけ」



 その言葉にみんなが頷いて、それぞれ分かれていく。

 土地に慣れてる佐倉とゆまには風見野を、キリカと小糸には見滝原と風見野両方で怪しいとこを調べて探ってもらうようにしてる。



 そして、あたしとマミは美国の家へと向かった。もちろん事前に連絡なんかはしてない。



小巻「美国! いたら出てきなさい!」


 いつか以上に乱暴にインターホンを押しながら叫ぶと、ほどなくして扉が開く。



マミ「……いきなりでごめんなさいね。今お一人?」

小巻「てか単刀直入に言うわ! 優木はここにいない? あたしたちはアンタを守りにきてやったの。優木を懲らしめるついでにね」

織莉子「守る……?」

小巻「自覚もないわけ? そんなんだからあんなヤツに付け込まれるのよ。アンタどこまでわかってんの?」

小巻「話したいからあがっていい? ていうかあがるわよ。今は緊急事態なの」


 美国は今のところ襲ってくる様子はない。

 洗脳魔法といっても、術者が傍にいない状態でどこまで制御がきくものなのか。


 突然豹変する可能性もないわけじゃないから、一応警戒はしておく。

 でも契約してるってわかってればもうやられてあげるわけない。こっちにはマミだっているんだ。


織莉子「……ええ。入って」




 こんな時でものんきにお茶を淹れてるのを見ると、緊急事態って言葉が伝わってんのかわからなくなる。

 でも、その姿を眺めている分にはいつもの美国と変わらなくて、少しほっとした。


小巻「アンタさ、契約してるんでしょ?」


 紅茶も入って腰を落ち着けると、話の続きを再開した。


 今は指輪があることも隠していない。当たり前のように着いているそれに目がいった。

 あたしの前ではわざわざ取ったり見られないようにしてたんだろうか。


小巻「なんで隠してたのよ。わざわざ小細工までして」

織莉子「……小巻さん、すごく反対してたじゃない。魔法少女になること」

小巻「なっちゃってるものはしょうがないでしょ! そんなこと責めたりしないわよ!」

小巻「いたずらバレそうになって隠してる子供か!? アンタ意外と幼稚なとこあるわよね! あたしはアンタの親かっての!」


 本当になんで隠そうとなんてしたんだ。もっと早く気づけてればよかった。

 そしたら一緒に動けたし、一緒に戦えたかもしれない。


 美国は何か言いたそうにひくりと眉を動かした。……けど、一瞬見えた怒気は次には消え去って戻ってた。いつもの澄まし顔に。


小巻「一人でいるからああいうことになるのよ」

マミ「優木沙々について、知っていることがあったら教えてくれないかしら? 覚えていれば、出会った時のこととか」

小巻「あたしと優木が戦ってる時のこととかね」


 美国はしばらく考えるように沈黙を続ける。

 それから静かに口を開いた。


織莉子「……覚えていないわ」

小巻「何も?」

織莉子「優木沙々さんについて小巻さんから聞かせてもらったのは覚えているのだけど、それ以上は何も」

織莉子「でも最近、ボーっとしていた時があった気がするの」


 じゃあ、その時が操られてた時なんだろう。

 操られてる間やその前後についても、丸ごと記憶を消されてるなら聞いても意味がない。



1なんとか思い出せない?
2心を強く持て、と言う
3この街の魔法少女について話す
4自由安価

 下2レス



小巻「一風見野のほうに行ってたことも知らないのよね?」

織莉子「ええ…… 風見野に?」

小巻「優木と一緒に行ってたらしいのよ。聞いた話ではね。なんとか思い出せない?」

織莉子「そう言われても…………」


 再び考え込む美国。


 自覚がないのは良いことなんだろうか。知り合いを殺させて罪悪感煽るとか、もし出来るなら優木がいかにも好きそうだし。

 ともかく、やってたことを責めるなら優木本人だ。罪はアイツに償ってもらう。


 もしくは。


マミ『浅古さん、どう思う?』

小巻『……どうって』

マミ『今の状態は素かしらね? それとも、今も操られていてこの話も演技だった……ということも考えられなくはないけど』


 マミからテレパシーが飛んでくる。……紅茶を淹れるのんきな姿は素に見えたけど。

 洗脳魔法について詳しくわからないから、どのくらいのことが出来るのか疑ったらキリがなかった。

 ぶん殴って解決するならそれでもいいけど、あたしにぶん殴られた魔女や使い魔が正気に戻らないんだから、結局優木をなんとかしなきゃ解けなさそうだ。


マミ『さっきの話が本当なら、行動を操るだけじゃなくて記憶も操作したりできるみたいね。今のところはそう考えておきましょう』


 すると、ずっと沈黙してた美国がやっと口を開いた。


織莉子「……やっぱり、わからないわ」

小巻「ここまで収穫なしかー。あとは優木が来るかどうか待つしかしかないわね。優木はいつから接触していたのかしら?」

マミ「確実なのは一昨日よね。それ以前は……」

小巻「そうだわ、その前からぼーっとしてた日があったんじゃなかったっけ? そのことは覚えてんの?」



織莉子「あぁ…… マミさんを心配させてしまった時のこと?」

マミ「そうそう、それから美国さんが魔法少女だってことを聞いて…… あの時はこうなるとは思ってなかったわね」

織莉子「そうね。小巻さんにも私から話そうと思っていたのに、こんな形で知られてしまうなんて思ってなかったわ」


 これは操られてのことではない、だろう。

 せっかく美国のことは他の魔法少女に知られてなかったのに、マミに明かされちゃったら悪いこと企むにはメリットがない。はず。


織莉子「紅茶のおかわり淹れてきましょうか? まだ居るんでしょう?」

マミ「あら、ありがとう。気を使わせてしまって。頼むわね」

小巻「もう、ホント気が抜けるわね! まあ美味しいからいいけどさ」



 ……こっちは気を張ってんのに。疑ってんのがバカバカしく思えてきた。まさかこれもアイツの作戦だったりしない?


 美国が席を外してるうちに携帯を確認する。

 すると、ちょうど画面に電話の着信が現れた。どうやら有事の最中らしく、ほぼ一方的に伝えたいことを喋っていった。


マミ「浅古さん、今のは?」

小巻「マミ、やったわよ! 小糸たちが優木を見つけて、途中で佐倉たちとも合流して追ってるって!」

マミ「本当に良い報せね。随分と逃げるのが得意なようだけど、こうなったらもう逃げ続けられないでしょう」


 優木は結界ごと逃げてるらしい。大まかな現在地はわかった。

 今までみすみす逃走を許してきたけど、二つの縄張りを敵に回したのは大きい。

 あとはまた他の街に移られる前に懲らしめてやらないと。


織莉子「私達はどうするの?」



1ここで待機
2家を出る

 下2レス



 もし優木と会ったら美国も戦う気なんだろうか。

 洗脳の影響が残ってるのかもよくわからないから警戒してたってのに。


小巻「アンタも戦えるの?」

織莉子「私も魔法少女よ。こんな時に何もしないのは……」

小巻「足手まといになったりしない? それが心配なのよ!」

マミ「でも、私達が行くなら置いていくわけにはいかないわよね。私達は美国さんを守りに来たんだから」


 マミがあたしのほうを見る。どっちに決めてもいいってことだろう。

 向こうも仲間が揃ってるけど、今度は絶対に逃したくない。


小巻「あいにく、こんな時に紅茶飲んでゆっくりしてる場合じゃないって考えはあたしも同じ!」

マミ「ええ、じゃあ行きましょう」



 あたしたちも追うことに決める。美国の家を後にした。


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今回更新はここまで
次回は25日(土)18時くらいからの予定

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単純な答えになりますが、沙々が身体の真実を知らないからですね
事件になることはどうでもいいと思ってるので適当に目につかなさそうなところに捨てました
別編でもキリカを倒したと思ったまま放置でしたし…あんなかんじです

――――――
――――――



 その頃、優木沙々は冷や汗を浮かべていた。



沙々(…………――どうしてこうなった)



 自身の操る魔女の結界の中で。



沙々(織莉子が味方についてから状況はよくなった! 何が目的かは知らないけど、アイツの力は役に立ったし望んだことは全部うまくいった!)

沙々(あのブルジョアみてーな屋敷も隠れ家としては気に入ってた。……用済みになったら適当に奪っちまおうかなって思ってたくらいには)


 ただし、その時はこないだろうとも思っていた。

 魔法少女の味方なんて考えたこともなかったけど、織莉子はそのくらい、沙々にとっては都合が良かった。

 この先立ちはだかるものがなくなろうとも、傍に置いといて損はない存在――くらいには信頼してた。洗脳魔法があるから、というのも理由にはあるのだが。


沙々(そうだ。風見野にはもう『敵』はいなかったはずだったんだ)


 嫌われることはどうでもいい。

 『憎まれっ子世にはばかる』なんて言葉もあるくらいだ。誰に嫌われようと憎まれようとやりたいようにやったもん勝ちなんだ。

 どうせ手出しできないんだから――。


沙々(なのに、なぜ……)



 結界の最奥にある扉が強引に破られる音が響く。



杏子「観念しろっ、テメー! 逃げ続けられると思うなよ!」

ゆま「おいつめたよ!」


 自分と同類だと思っていた風見野の魔法少女。そして、手出し出来ないはずの。


キリカ「ついに会えたね?」

小糸「この人が優木沙々……!」



沙々(なぜ、こうなった――――!!)



――――――

――――――



マミ「……!?」


 示された場所へ向かう途中、マミがどこかハッとしたように足を止める。


小巻「何っ? どうかしたの?」

織莉子「……マミさん、具合でも?」

マミ「い、いえ…… 私は何も…………」


 そんなマミを二人で覗きこむ。

 すると、マミはその視線を振り切るように再び強く否定してみせた。


マミ「な、なんでもないのよ! そんなことより、ほら、今は急がないと……!」



 戸惑ったけれど、みんなはもう戦ってるかもしれない。

 急いだほうがいいのはそのとおりだ。



 ――――……あたしたちが着いた頃には、すでに優木は追い詰められた後だった。


 結界は消え、ヌンチャクのように分かれた槍の柄でぐるぐる巻きに捕らえられ、みんなから囲まれるようにして武器を突きつけられている。

 ここまでされては反撃の機会もないだろう。しかし、優木は予想外とでもいったような顔をしていた。


沙々「……な、なんのつもりですかね? これは。これから拷問でもするつもりなんですか?」

杏子「望むならそうしてやってもいいけど?」

沙々「そそんなことはひとことも! ……冗談ですよう冗談! 謝れば許してくれるなら謝りますって! ね? ホント悪かったですからぁ~もう魔女育てたりしません~」



 なんか調子のいいことをほざいてた。

 謝れば許す気があってみんながこうしているとでも思ったらしい。


小巻「今更そんなことよく言うわね! 許されると思ってるの!? 大勢の命をうばっておいて!」

小巻「それにね、あたしだってアンタに二度も大迷惑かけられて死にかけたんだから!」

小巻「ああそうね、あたしからも一発は殴んないと気がすまないわ! このままみんなに倒されたからめでたしじゃあたしの気がおさまらないわよ!」

沙々「きゃああぁっ」


 拘束されたままの優木にずかずかと近寄ると、とりあえず二発ぶん殴っといた。

 気の抜けるような媚びた悲鳴があがったが、まったく心は痛まなかった。


杏子「あたしは魔女のことはどうでもいいんだよ。どんだけ犠牲が出ようが知らないし、責めるつもりもない。小巻のこともあたしには関係ない」

沙々「じゃあどうして……?」

杏子「なんでゆまを契約させようとした。“織莉子”を使って」


 佐倉が詰め寄る。しかし優木はそれに言葉を返す前に、あたしの後ろにいる存在を見た。……美国のほうを。


沙々「あ、あ……!? 織莉子さん! 助けてください! こいつらを殺せええええええええええ!!!」

杏子「!?」


 全員が身構えた。やっぱり連れてくるのは間違いだったのかもしれない。

 美国のほうにも警戒が移る。しかし、美国が動くことはなかった。


織莉子「……残念、もう魔法は解けているみたいね」


 みんなの隣で、美国も優木に向けて手をかざした。



沙々「テッ……――メェェェェェ! よくも! よくも!!」

沙々「お前のせいなんだろ! 織莉子おおおぉぉ! お前がしくじったから……!!」


 優木は美国に向けて呪詛を吐き出す。


織莉子「何を言っているの……?」

小巻「相手にしちゃダメよ。駒を上手く操れなかった責任を押し付けようとしてんでしょ」

沙々「違う! 私は最初から織莉子に洗脳なんてしてない!」

小巻「この前と言ってることが違うわよ」

沙々「それも織莉子の作戦だったんだ! そうすれば浅古小巻を簡単に殺せるって!」

小巻「……」

沙々「契約……、誰か契約したんだな? 知らないヤツが増えてる。願いで生き返らせたんだろ? あの時は確実に心臓を破って殺してた」

沙々「結局作戦は失敗だった……織莉子は約立たずだ」


 言ってることが支離滅裂で呆れ返った。こいつ、どうしても全部美国のせいにでもしたいってこと?

 優木が卑劣なヤツだということはみんなよく知ってる。耳を貸す人はいなかった。


 それに、小糸はキュゥべえからあたしが『大怪我』を負ったことを聞いて契約したと言っていた。

 ……やっぱり支離滅裂だ。路地裏でキリカが発見した時のことも覚えてる。死んでる人間が一瞬でも目を覚ますはずがないんだから。


杏子「もうどっちでもいいから答えろ! なんでゆまを契約させた!?」

沙々「知るか! 知ってたとしてもお前にゃ教えねえよ!」

杏子「そうかよ。……じゃあ死ね」



 佐倉は問い詰めても答えを得られないと判断したのか、優木に深々と槍を突き刺した。

 ――――……こうして思っていたよりあっさりと、すっきりとしない後味を残しつつ、見滝原と風見野を騒がせていた事件は幕を閉じたのだった。



 向けていた武器を下ろし、優木に目を向ける人、そらす人。

 まだ周りを囲んだままそれぞれの反応を返していた。


 あたしは覚悟してた。多分、みんなもそうだと思う。もはや優木は魔法少女以外には裁けない存在だったから。

 でも、契約したばっかりの小糸とかゆまとかにまで、いきなりこんな光景を見せたくはなかったとも思う。


マミ「……この後どうするの?」

小巻「このままにしといてあげましょうよ。死んだ後くらい、誰かに気づいてもらえたっていいんじゃないの」

キリカ「優木にやられた人は行方不明だったのに。恵まれてるね」

小巻「魔女にだって食べるものくらい選ぶ権利あるでしょ。コイツと同じことはしたくもない」

杏子「あたしはなんでもいい」


 佐倉は機嫌が悪そうだった。優木から聞きたいことを聞けなかったからだろう。

 それから、美国をほうを見た。


小糸「美国さんを疑ってるの……? さっきの話を聞いたから?」

杏子「いや。でもあたしは信じてもいないからな」

織莉子「……それは仕方ありませんわ。初対面ですもの」

ゆま「キョーコ……」


 佐倉はまだ美国のことを睨めつけている。

 対して、美国は……優木のことを睨んでいるかのように見えた。 睨む? いつも何言われてもふわふわと澄ましてる美国が?


小巻「はい、やめやめ! もう帰りましょ! こんなとこにずっといたら気分悪くなるわ!」

マミ「……ええ」

織莉子「……」


――――――
――――――



 ――――みんなが日常へと帰っていった、かのように見えた後のことだった。

 人目にもつかず、誰もいなくなったその場所に再び一人の影が訪れていた。



織莉子「わかっていたの。貴女も小さい時から私とお父様の周りにいた人たちとよく似てるって」


 濁った宝石がかかとで踏み潰される。

 小さな破片が床に散らばった。


織莉子「上辺だけの好意に、手のひらを返したような悪意」

織莉子「だからこそ私も『私』でいられた。上辺でも悪くはない付き合いだったわよ。でもね」


 破片の上にもう一度強く踏み降ろした。


織莉子「…………貴女のほうが役立たずよ、優木沙々」

織莉子「願いで生き返らせたと言ってたけれど……違う。魂を残さなければ『万が一』の事態は起きなかったのに」


 ジリ、と音を立てて破片が更に小さくなっていく。


織莉子「本気で私を駒にした気でいたの? 私が【“操らなければ”指示を出さなければ】何もできなかった駒のくせに」


 結局のところ、『洗脳の魔法』すらもただの道具でしかない。

 使い手が真に操る側とは限らない。



 織莉子が優木との『別れ』を済ませた頃、もう一つの影がここに向かっていた。



マミ(あの時『見た』と思っていたもの…… あれは違う。あんなことはなかった。でも、だったらどうして……)

マミ(あの後キュゥべえと話した記憶は嘘じゃない。あのことは本当だっていうの)


マミ(偽の記憶を植え付ける魔法。あれは優木さんの魔法だわ。でも、優木さんはソウルジェムのことを知らないようだった)



マミ「美国……さん」

織莉子「あら、ごきげんよう」


 その場に現れたマミを、織莉子は物腰柔らかく迎え入れた。

 しかし、そんな上品な挨拶も優雅とは思えないほどにその背景は生々しい。足元に散らばった破片も相まって、マミは何かを確信する。


マミ「やっぱり、美国さんは知っていたのね」

織莉子「少し後始末をしようと思って。……『万が一』のことがあっては困るものね」

マミ「じゃあ、優木さんの言ってたことは…………」

織莉子「本当よ」

マミ「……そうだったのね」


 マミは衝撃を受けたものの、そう静かに答えていた。

 心の中で処理できないことが多すぎて、怒ることにも悲しむことにももう疲れてしまっていた。


マミ「じゃあ、美国さんは私に何を伝えたかったの?」

マミ「優木さんに『ソウルジェムが魂で、そこから魔女が生まれるのをこの目で見た』という偽の記憶を植え付けさせる……なんて遠回しな方法を取ってまで」

織莉子「そこまでわかっているのね。それなら話が早いわ」

マミ「……やっぱり何かあるのね?」

織莉子「私の目的について、聞いてほしいの。ソウルジェムの真実はそれを理解するために必要だった」

織莉子「当然、グリーフシードなんかじゃないわよ。真実を知った貴女にはその重要性もわかるでしょうけど、それは手段であって目的ではない」

織莉子「マミさん、私の力になるって言ってくれたわよね」



 織莉子が精神的に追い詰められていた時のこと。

 織莉子がマミを『協力者にしたい』と思い始めたのはその時からだった。



織莉子「今度こそ……―――― 貴女とはきっと、今以上にいい関係になれると思うの」




―24日目終了―



小巻 魔力[100/100]  状態:正常
GS:0個

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]

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今回更新はここまで
織莉子さんはまあ、ストレスが溜まってるんですよ…八つ当たり出来る相手もいないし繕わなきゃいけない場面が多くって

次回は26日(日)18時くらいからの予定

――――――
25日目



「浅古さん、退院おめでとう!」

「小巻! 色々大変だったって聞いたよ! でもなんともなくてよかったー」


 教室に入るとクラスメイトから次々に声をかけられた。

 行方不明とか入院とか、そこそこ話題にもなってたようだ。


 歓迎も落ちついてHRがはじまるのを待っていると、昨日のことを思い出す。


 ずっとみんなで追っていて、あたしにとっても因縁の相手だった優木をついに倒せたこと。

 でも、それよりも――あの時解散する間際に見た美国の表情がどこか胸に引っかかっていた。



 昼休みになると、久しぶりに丸々自由な時間になる。

 最近はマミたちと集まったり、放課後も優木への対策として固まってパトロールするようになっていた。

 風見野の魔法少女――佐倉たちと団結出来てたのも優木のことがあったからだ。解決した今、これからどうするのか。



小巻(そういえば、暁美にも昨日のことは一応メールとしいたほうがいいのかしら……)


 携帯を取り出して少し悩んだ。返信は一度も返ってきたことはないし、あの件のことでは関わりもしなかった。

 興味がないってのは言ってたし、わざわざ手間を掛けてやる必要なんてあるんだろうかと思ってしまう。


小巻(いいわ、一度は話してたんだから解決したってことくらいは送ってやる。でも向こうがあんな態度ならこっちも一言だけで済ませるわよ!)



 結局、『優木のことは解決した』とそれだけの文章を送った。これに対してもどうせ何も返ってこないんだろう。



 ヤケクソ気味にメールを送ってから、これからのことを考える。

 もう固まってパトロールする必要はない。とはいってもやっぱり小糸のことは気になった。

 あたしが契約して、特に学校が離れてからは放課後に一緒に何かをすることってほとんどなくなってた。


 パトロールなんかでも、誘ってあげたらよろこぶだろうか。


 ……でも同時に、ふいに『変身したところが見たい!』なんて言ってた姿も浮かんできた。

 昨日はみんないたから仕方なかったけど、パトロールするにも魔法少女の衣装で一緒に戦うと思うとちょっと気が重くなる。


小巻(本当、なんであんな格好しなくちゃいけないのかしらね。あれさえなければ迷うことなんてないのに!)

小巻(みんなは今日はどうするのかしら?)



1マミに声をかけにいく
2キリカに声をかけにいく
3小糸をパトロールに誘う
4美国に予定を聞いてみる
5キュゥべえに佐倉たちのことを聞く
6自由安価

 下2レス



 ここ最近ずっと一緒に行動してた仲間だ。

 気になって、マミのところに声をかけにいってみる。


 今日のことを聞いてみると、マミは少し曖昧な口調で答えた。


マミ「私は今日は……」

小巻「何? 用事?」

マミ「そうね。少し」

小巻「わかった。もう変なヤツもいないんだし、都合が合う時でいいわ」


 マミの態度はどこかよそよそしく感じる。何か違和感があるような。


小巻「それってさ、なんか嫌な用事なわけ?」

マミ「どうして?」

小巻「なんとなくよ! しいていうなら、元気がなさそうに見えたから」

マミ「そういうわけじゃないわよ。心配かけたならごめんなさいね」


 昨日まではどうだっただろう?

 その様子は『大丈夫』と言い続ける美国とも被る気がした。




 教室に戻ってから、キリカにも声をかけてみる。



キリカ「私はとくに予定ないよ。パトロール……いく?」


 こっちはこっちで曖昧な答え方だった。


小巻「なによ、言っておいて乗り気じゃないわけ?」

キリカ「いや、なんかついに優木も倒したし気が抜けたっていうの?」

小巻「そんなこと言ってると魔女にやられるかもしれないわよ。まだまだ魔女は沸いて出るんだから燃え尽きてらんないわよ」

キリカ「それはそうだけどさあ……」


 キリカのは単にやる気の問題のようだった。

 そんな漠然とした目的じゃ納得しきれないっていうのか。


小巻「じゃあ、小糸のこと一緒に見てよ。今日は小糸も誘うから。昨日は一緒にいたでしょ?」

小巻「……あたしも家族としてはこれでも心配なの。あたしのために契約させることになって。今までは小糸に心配させてたけど、その気持ちも少しわかったっていうか」

キリカ「なりたてだし家族だもんね」

小巻「後輩もいるなら少しはやる気出たりしない?」

キリカ「まあ、少しかな。私も前よりは魔女と戦うの嫌じゃないしさ」


 ……悩んだけど、小糸も誘うことにした。

 渋る理由が衣装のせいってのもよく考えたらバカバカしい。なんか負けた気がする。



――――
――――

------------------------
ここまで
次回更新は27日(月)20時くらいからの予定

-------------
今日は時間がとれなかった…
次回は29日(水)20時くらいからの予定



 放課後、キリカと学校を出て街を歩き始めた。

 小糸が白女からこっちに来るまでにはもう少し時間がかかる。その間にも少し回れそうだ。


 パトロールの途中に、こんな話を聞いた。


キリカ「マミ、この前からなんかおかしいんだよね。たまに考え込んで上の空になってるっていうか」

小巻「この前から?」

キリカ「ちょうど小巻がいなくなったあたりだったかなぁ。朝うちの教室きた時、泣いてたんじゃないかって目してたし」


 この話は今日の違和感とも関係があるはず。

 あたしが倒れてた間に何かあったのか。ただ、それが『何か』はキリカにも想像がつかないようだった。


小巻「個人的なこと?」

キリカ「私にはわかんないよ」

小巻「聞き出すしかないわね。余計なお世話かもしれないけど、泣くほどって相当よ」


 さっそく明日やることの一つが決まった。


キリカ「……小巻は頼もしいね」

小巻「そう?」

キリカ「普通人と向き合おうとするのは勇気がいるから」

小巻「なによ、人を普通じゃないみたいに」

キリカ「えーっ。そういう意味で言ったんじゃないけど…… いや、うん、そうかもしれない」

小巻「は?」

キリカ「小巻見てると、やっぱ私とは違うなって思うとこあるから。私はそんなに強くなれないし」



 下1レスコンマ判定 1/3
0~20 使い魔
21~40 魔女



小巻(強い、ね……)


 そう言われるのがあたしからすればよくわかんない。

 あたしはあたしのやりたいようにやってきた。ただそれだけだった。


小巻「魔女がいるわよ」

キリカ「魔力は足りてる? 優木に襲われてあんなことになって……」

小巻「そういえば……」


 指輪を具現する。今まで特に気にかけてなかった。

 てのひらの上の宝石は曇りひとつなく、綺麗なままだった。――あれ? でも戦ってたはずなのに。

 ポケットに入れてたグリーフシードはくすねられたみたいだけど。


小巻「戦う分はある、わね」

キリカ「綺麗だね」


 誰かが浄化してくれた?


小巻「よくわかんないけど、汚いよりはマシね。行きましょう」


―落書きの魔女結界



小巻「この結界は……」



 小さくてすばしっこくて、ちょこまかと動く使い魔。

 コイツは見覚えがあった。どちらかというと嫌なほうの意味でだ。


 その奥には、子供の落書きみたいな使い魔を生み出している魔女本体がいた。


小巻「もーっ、こいつらうっとうしいのよ!」

キリカ「でもその盾のおかげで助かってるよ」

小巻「とっとと魔女をシメて終わりにしたいわね」


 道中は飛んできた攻撃を弾いたりとか、サポート役になりがちだった。

 でも魔女との戦いなら、あたしの重い攻撃だって活かせるはず。



小巻 魔力[97/100]  状態:正常
GS:0個

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


仲間:
キリカ 状態:正常

敵:魔女Albertine <-攻撃対象A
  使い魔Anja×7 <-攻撃対象B
 

1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2両斧斬撃 :近接武器戦闘・両斧(魔力-5/1ターン)単純に手数を二倍にする。相当なパワーが必要になるため、長くは使えない。
3投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
4ガード(魔力-3~5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
5バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
6自由安価

 下2レス

使い魔をキリカにまかせて魔女に5+1

魔女に1



 というわけで、あたしは最初から魔女狙いだ。


小巻「アンタさえ倒せば、終わりよっ!」


 力強く斧を握り振りかぶる。――すると、魔女は楽しそうに笑いながら走り出しどこかへ隠れてしまった。

 使い魔だけじゃなくて魔女もこうなのか。


小巻「もー!!」

キリカ「ありゃ……まー落ち着いて。牛になるよ?」



*魔女はどこだ。
1片っ端から隠れられそうなものを壊す
2出てくるまで使い魔の一掃に加わる
3キリカにも魔女を狙うのに協力してもらう

 下2レス



 どこかの地面から使い魔が増える。

 隠れながらも魔女が描いていたようで、その姿が見つかると魔女は『バレちゃった』とばかりにまた走り出した。


小巻「そこか!」


 咄嗟に斧を構えて追うが、すぐに隠れてしまう。残るのは地面の亀裂だけ。

 向かってくる使い魔はキリカが切り捨てた。


小巻「アンタもちょっと協力してよ。出てくるタイミングはあるんだから……」

キリカ「……なるほど、そうだね」


 速度を遅くする魔法。鬼ごっこには役立つんじゃないか。

 それは正解だった。


 キリカが集中して魔法をかけ、その隙を狙ってあたしが攻撃する。


小巻「――勝ってやったわね! 魔女にもかくれんぼにも」

キリカ「魔法使ったから正々堂々かはわかんないけどね」

小巻「そんなことはいいのよ! 相手は魔女なんだから」


 力を合わせれば相性の悪そうな魔女も思ったより簡単に倒すことができた。



小巻 魔力[97/100]  状態:正常
GS:1個
・落書き[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]



 そろそろ待ち合わせの時間も近い。あたしたちは駅へと向かって歩いていた。


キリカ「駅前ついたらちょっとエネルギー補給していい?」

小巻「別にいいけど、アンタのそれは本当に補給なの? エネルギーすでに溢れてない?」

キリカ「なんでそういうこと言うんだ! もうシェアしてあげないぞ!」

小巻「はいはい、悪かったわよ。……まあ一戦したんだしあたしも少しくらい良いわよね」


 そんなこんなで、駅前で買い食い。

 前だったらこんなふうに適当な場所で食べるってなかっただけど……行儀悪いかしら。


小糸「お姉ちゃん!」


 待っていると、小糸があたしを見つけて駆け寄ってきた。


小糸「何か食べてる」

キリカ「小糸もエネルギー補給する?」

小巻「小糸は動く前でしょ。大丈夫?」

小糸「これから動くから!」



 ――腹ごしらえが終わると、いよいよ三人で歩き始めた。



 下1レスコンマ判定 2/3
0~20 使い魔
21~40 魔女

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今回更新はここまで
次回は2日(土)20時くらいからの予定



―委員長の魔女結界



小巻「うわああっ、なにこの結界! もうヤダ! もう本当ヤダ!」

キリカ「同感!」

小糸「こんな結界もあるんだ……!」


 小さい路地の隅から気づけば青空の中へ放り出される。

 結界に足を踏み入れた途端、眼前には不安定な糸の足場とそこを器用に渡り歩く使い魔たちが広がっていた。


キリカ「むやみに斧振り回して足場切っちゃわないでよ? 落ちたらどうなるかわかんないんだから!」

小巻「それはこっちのセリフよ」


 こんな結界ではあたしも重く重心の崩れやすい斧は安易に持てない。

 いつもと同じ戦い方はできない。魔女の姿を遠くに捉えつつ、どう責めるか思案する。


小巻「魔女はアレ……か」

小糸「その前に使い魔きてるっ!」



小巻 魔力[97/100]  状態:正常
GS:1個
・落書き[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


仲間:
キリカ 状態:正常
小糸 状態:正常

敵:魔女Patricia
  使い魔Mathieu ×5
  使い魔teacher ×3



1逆に足場切れば使い魔も倒せる?
2攻撃は他に任せてサポートに集中
3一か八か遠距離から武器を投げる
4指示を出す(自由安価)

 下2レス



小巻「小糸、戦える?」

小糸「迫ってくる使い魔だけなら……!」

小巻「わかった、あたしもサポートはするから無理はすんな!」


 戦いづらいが、協力すれば防戦だけならなんとかなる。

 とはいえ追い詰められたままの状況は勘弁だ。


小巻「……どうにかこっから攻撃を届かせられないかしら」

キリカ「え? どうやって?」

小巻「そりゃもちろん、投げるのよ。外したらどっか変なとこが切れるかもしれないけど……そん時はそん時よっ!」

キリカ「ええええっ」



 武器を手にして足元を踏ん張ろうとすると、さらに足場がたわんだ。

 地面にいる時と違ってうまく力が入らず、狙いがつけづらい。


小巻「ええい、ままよッ!」



 下1レスコンマ1桁
0or1 成功



 投げた斧は魔女の近くに張られた足場までを使い魔ごとぶち破りながら飛んでいった。

 それと同時に、こっちも足元にぐらつきが伝わる。しかし魔女は蜘蛛のような腕を器用に動かし、まだ足場の上を渡っていた。


小糸「うわわっ」

小巻「くっ、ダメか!」

キリカ「もーどーすんのー!」


 今ので魔女に近づくための足場をいくつか失った。

 まともに伝っていくのがますます難しくなった……かも。


キリカ「普段勉強教えてもらってるんだけどなぁ。クラスの優等生とは思えない脳筋っぷりだよ」

小巻「じゃあ他に考えがあるわけ?」

キリカ「ないけど……」

小巻「下がどうなってるかなんて知らないけど、あたしのバリアがあるんだから、最悪落ちて地面に激突したって怪我はさせないわよ」

小巻「その時には魔女も引きずり落としてやるし」

小糸「ちょっ、本当にこの下に落ちるの? 魔女と一緒に?」

小巻「最終手段よ! この下がどうなってるかはわからないんだから!」



1逆に足場切れば使い魔も倒せる?
2攻撃は他に任せてサポートに集中
3届くまで投げてやる!
4指示を出す(自由安価)

※このスレにおける小糸の設定はあとで安価で決めますが、
使える魔法が回復なのでこの戦況に大きく優位に立てる力は持ち合わせてません

 下2レス

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今週は忙しいので更新はお休みさせてください。
日曜は夜なら顔出せるかも。



 ……ただでさえ武器が扱いづらいのにここからってのは無謀だ。

 ひとまずは限られた足場を渡ってなんとか近づいていくしかない。最終手段とは言ったけど、できるだけ心臓に悪いことはしたくないし。


 しかし、青空の結界に残っているのはあたしたちを囲むかのように張り巡らされた足場ばかり。

 考えてるうちにも、糸の上をスケートを滑るようにして自由に走る使い魔たちが迫ってきていた。


小糸「わあああっ、また来てるよ」

キリカ「ちょっと伏せて!」


 キリカが袖から魔力の刃を出して軽く腕を振るうと、手元を離れて飛んでいき、使い魔のいる糸を切り落とした。

 あたしの武器は手斧のような投げやすい形状のものとは違う。そういう使い方ならキリカのほうが向いてるんだろう。


小糸「あ、こうやって敵の足場も落としていけば……!」

小巻「あたしたちが使える足場も限られるけど、魔女や使い魔の移動手段も限られるわね」


 周りを囲む糸を落とし、手分けして使い魔を倒しながら進んでいく。

 そうして少しずつ近づくと魔女は新しく足場の糸を吐いた。けど、それもその傍から落としてやった。

 魔女へとつながる糸はもう一本のみとなった。


キリカ「今だよ!」

小糸「はい!」


 小糸が魔女に向かって飛びつく。

 ……この戦いではあたしもサポートしてたけど、結局二人がよく頑張ってた。



 「わあああああああああっ!!」


 感心したのも束の間。絶叫マシンにでも乗った時みたいな声が響く。

 魔女が消えれば今度はなにもない場所へと投げ出されたわけだ。底の見えない場所に落ちるよりはマシか。

 すかさずバリアで包み込んだ。


小巻「言ったでしょ? 落ちても激突はさせないって」

小糸「倒したあとも気が抜けないんだね……」

キリカ「お疲れさま。ちょっと休む?」

小巻「それアンタが休みたいだけでしょ?」

キリカ「まあね。あんな変な結界いたら疲れるって」

小糸「私も疲れたなぁ」

小巻「あたしは休むよりとっとと終わらせたいけど……ちょっとだけね」


 近くの公園で少しだけ休んでからパトロールを再開した。


小巻(てかまた食べてるし……)


 キリカの鞄にはいつでもお菓子が入ってるらしい。



小巻 魔力[84/100]  状態:正常
GS:1個
・落書き[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]



 下1レスコンマ判定 3/3
0~20 使い魔
21~40 魔女



小巻「――――とりゃっ!」


 魔力を感じて立ち寄った駐車場の片隅、回転するマネキンのようなものを薙ぎ払う。

 ちらつくように中途半端に侵食する結界は使い魔のものだ。


小糸「これでおしまい?」

キリカ「もういないみたいだよ」

小巻「じゃあこれくらいにしときますか」



 逃げることも立ち向かうこともしなかったそれを三人で壊し尽くすと、元来た表通りに戻っていった。

 パトロールを終えてからも帰りはまだ少し一緒だ。

 帰り道を歩く途中、小糸がキリカに問いかける。



小糸「ところで、お姉ちゃんって優等生なんですか? さっき、空中の結界の時に言ってた……!」


 まるで信じられないみたいな顔だった。


キリカ「それはもう、転入初日から小巻は優等生で通ってるよ。何の教科やらせても完璧にこなすし」

小糸「ええぇー」

小巻「何よその反応は」

小糸「だってお姉ちゃんって見ての通り脳筋でしょ? そんなキャラじゃないし、今まで一度もそんな話聞いたことない……」

小巻「失礼な。まあでも、小糸が聞いたことないのは当然でしょうね。白女じゃたいして優れてたわけでもなかったから」

小巻「優等生といえば……白女だと美国がまさにそのイメージだったわ。何やらせても完璧にこなして、誰からも一目置かれて。ムカつくわよね!」

小糸「だからなんでそうなるのっ!?」


 別に僻んでるわけじゃない。ただ、何かが気に入らない。

 どんな時にもあの涼しい顔を崩さず、優等生で、絵に書いたような完璧であり続ける。そんな姿が。



 けど同時に、昨日見た美国の表情も脳裏に浮かんだ。怒ってた、ような気がした。何にかはわからない。


小巻「……今は周りの評価は変わってしまったけれど、それで美国のなにかが下がるわけじゃないわ」

小巻「今でもあいつには敵わないのよ。別にあたしは競う気もないけど」

小糸「競ったところでお姉ちゃんじゃ勝てないでしょ……」

小巻「一言余計よっ」

小糸「あいたっ」


 げんこつを落とすと、小糸はマンガじみた大げさなリアクションをとる。

 キリカは不思議そうな顔をしていた。


キリカ「……そうなんだ」

小巻「ようするに『優等生』なんて相対評価なのよ! アンタは幼稚園児の中に混じって一番になって嬉しいの!?」

キリカ「え、それ私たち幼稚園児扱い?」

小巻「あーもう、なんでこんなとこでまで美国の話してんだ! この話はおしまいよ!」

キリカ「話し始めたのはそっちじゃん。ふーん、あの人ってそんなにすごいんだね」


 そんな雑談を交わしながら三人で歩いていたが、キリカは急に何かが足を止めた。


キリカ「……あれ、転校初日? 初日って私、小巻となんか話したっけ?」

小巻「何、どうしたわけ?」

キリカ「いや、なんでもない」

小巻「……?」


 何を気にしたというんだろう。

 ――――そうしているうちに岐路が見えて、キリカとは別れる。小糸と二人の帰り道になった。


 そう思ったのだが、すぐにもう一人、いや、『もう一匹』の声がした。


QB「今日は仲間と一緒だったけど、小糸もよく戦えていたね」

小巻「キュゥべえ、着いてきてたの?」

QB「戦いを見させてもらっていたよ。僕のアドバイスなんていらなかったみたいだけど」

小糸「そうだったかな」

---------------------------
ここまで
次回は17日(日)20時くらいからの予定、多分安価からはじまります



小巻「ラクショーだったとは言わないけど、できるだけ自分たちのことは自分たちでなんとかするわよ」

小巻「……けどまあ、自分の力について小糸も気づいてないことがあるなら聞かせてあげてほしいわね」

QB「小糸の願いから考えれば、癒やしの魔法の効果は人一倍に発揮できるはずだよ。ゆまとも同系統だね」

小巻「ゆま……か。なるほどね」


 佐倉と一緒にいた女の子。

 たしか、『キョーコを助けた』とか言ってたっけ。



・小糸の魔法少女としての武器/ギミックみたいなものとか

 下4レス中多数決



QB「とはいっても、小糸ならではの戦い方は武器の応用でいくらでも編み出せるだろう。思いついたことは色々試してみるといいよ」

小糸「うん……頑張ってみる!」

小巻「あれバイオリンでしょ? なんか使いづらそうだなって思ってたけど。憧れでもあったの?」

小糸「ま、まあ、少しね?」


 小糸はちょっと照れくさそうに言った。

 習い事は小さい頃から色々やってたけど、音楽にそんな思い入れがあったなんて知らなかった。


小巻「そっかそっか。いいんじゃない? 悪くないと思うわよ。将来は音楽家でも目指す?」

小糸「さすがにそこまで考えてないよ。もーいいでしょ? その話は」


 契約してなかった時は他人事のように言ってたけど、今はあたしの気持ちも少しはわかっただろうか。

 あの恥ずかしい衣装も武器も内面から出たものって言うんだから、自分を見透かされるような恥ずかしさがある。


小巻「とにかく、契約しちゃったものはしょうがないものね。これからはあたしもついてられるときは一緒に戦うわよ」


 不安はあるけど、やることは今までと変わらない。小糸のこともあたしが守る。……前は助けられたけど、今度こそ。

 こうして同じ目線でものが見えるようになったのは悪くない気分だった。


 その後も会話を交わしながら小糸との帰り道を歩いていった。



―25日目終了―


小巻 魔力[84/100]  状態:正常
GS:1個
・落書き[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]

――――――
――――――
美国邸



マミ「――――なるほどね。でも、暁美さんは学校でも厳重に見守ってるわ」

マミ「強力な魔法を持っているんでしょう? 不用意に近付こうものなら警戒されるし、それこそ殺されかねない勢いよ」

織莉子「標的に近づけないなら、守護者の魔法のことだけでも探れないかしら」

マミ「……」



――――


――――――
――――――
26日目



 登校して教室に向かおうとする途中、階段の途中で立ち尽くしているマミの姿が見えた。


小巻「おはよう、マミ。どうしたの? 遅刻するわよ」

マミ「……え、ええ。そうね」


 マミの態度はやっぱりおかしい。キリカにも同じことを思われてたんだから、相当に重症だ。

 今日はマミと話し合おうと思っていたしいい機会だ。


小巻「ねえ、最近なんかあったんでしょ? その前にさ、何に悩んでるのか聞かせてよ」

マミ「別になんでもないわよ。話し込んでたら遅刻してしまうわ。行きましょう」

小巻「時間がかかるなら後でもいいから。なんでもないって態度じゃないでしょ」

マミ「……本当になにもないわよ」

小巻「もう、くどい! いいから話しなさいよ! 話したら楽になるって言うでしょ!」


 逃げ腰なマミにイラッときて、人前だが大声を出した。すれ違う生徒の視線がこっちを向く。


マミ「ちょ、ちょっと、浅古さん」

小巻「キリカも気づいてあたしに話してたのよ。ぜんっぜん何もなかったようには見えてないから!」

マミ「……ごめんなさい。私にだって言いたくないことくらいあるの」


 それでもマミはあたしを拒んで逃げていった。

 ――――逃げるようにして、階段を早足で駆けていった。



小巻(なんなのよまったく……)


 マミは意地でも話したくないようだった。

 ああなったのはあたしが怪我で倒れてた時かららしいけど、その間に何があったっていうの?

 ハッキリしないことがあるともやもやする。こうなればこっちも意地を張ってやろうか。


小巻(とはいっても、それなりに込み入った話になるなら朝はあんまり時間がないわね)


 放課後じゃまた逃げられるかもしれないから、昼になったらまた声をかけに行ってみよう。

 教室に行けばいつものようにクラスメイトが出迎えて、授業を受けて、午前が過ぎていく。



 それから、決めてた通り休み時間になると早速マミのクラスに直行した。



マミ「……浅古さん」


 マミはあたしを見るとぎょっとしたような顔をする。会いたくなかったみたいな態度。


小巻「マミ、ちょっと来てよ。いつもの場所で話しましょう」

マミ「朝のことなら本当に気にしないでいいから。それとも……他のこと?」


 適当に嘘でもつけば乗ってくれるのかもしれない。

 でも、小細工なんて性に合わない。変にごまかすようなことはしたくない。


小巻「ええ、朝のことよ」

マミ「……話したくないって言ったでしょう。どうしてわかってくれないの?」



 マミとの間には今までになかったようなギクシャクとした空気が漂っている。



1あたしたち友達よね?
2仲間として心配なのよ
3自由安価

 下2レス



小巻「仲間として心配なのよ。同じ街のね。マミだって立場とか大事にしてるんでしょ」

マミ「そう…… 縄張りのことね」

小巻「プライベートな悩みだとしても、そんな状態でもし何かあったらこっちだって関係大アリよ! だからほっとけないし、話を聞いてやろうって言ってるの!」

小巻「ねえ、あたしの言ってることなんか間違ってる? 間違ってるっていうなら教えてくれない?」


 相変わらずマミの態度には苛立ってる。けど、朝とは違って少しだけ冷静な口調で詰め寄った。

 今度こそ逃げるなんて許さないっていうように。

 こんな風に思うのはマミが嫌いだからってわけじゃない。そんなことくらいは、マミだってわかってくれてると思ってた。


マミ「浅古さんは間違ってはいないわよ」

マミ「だから嫌になるの。そうやって正しさを盾にして押し付けられると」

マミ「私が間違ってるって言いたいの? あなたは何も知らないくせに……!」


 でもマミから返ってきた言葉は、予想もしてなかったことだった。


小巻「は……? だ、だから何をよ!」

マミ「浅古さんは正しいけど、みんながそんなに強いわけじゃない」


 マミは少しの間、どこか言いづらそうに視線をそらして落とした。

 まるでここじゃない、今じゃないどこかを見つめたように。


マミ「……戦いのことならあなたに心配してもらうようなことじゃないわよ。たとえ万全じゃないとしても、あなたより慣れてるもの。悪いけど今はほっといて」

小巻「そ…… そう! どうしても話したくないってんなら、こっちも考えがあるから!」

小巻「今のアンタ、美国みたいね。マミまでそんなんじゃ、アイツもどう思うのかしら。会わせるんじゃなかったかもね」

マミ「……あなたは随分美国さんのこと信頼してるのね」

小巻「はあ? そんなんじゃないから!」


 結局喧嘩腰に吐き捨てて、自分の教室へと戻っていった。

 周りはざわめいてた。何か揉めてたってのは気にされてるみたい。



*「なんかあったの? 巴さんとなんか言い合ってたって聞いたよ?」

小巻「……少しね。わかんないわよ。あたしだって何があったか知らないもの」

*「??」


 様子を見てた生徒が駆け寄ってくる。こっちはこっちで、あたしも心配されてるってことなんだろう。

 ……けど、どうしてだろう。こうして詰め寄られる側になるといい気はしなかった。マミに言われたことは理解できないし受け止めきれてもいない。

 わかることといったら、あたしはこのくらいのことしか言えないし。


キリカ「いったいどうしたのさ? 過去最高の不機嫌記録更新してるよ?」

小巻「マミに何かあったのかって聞いてきた」

キリカ「聞けたの?」

小巻「いーえ。何が何でも言いたくないってさ」


 マミのことは、キリカもあたしも知らないところで何か起きたんだろう。

 マミには家族はいない。あとあたしの当たれる範囲でいくと、ダメ元ではあるけど一人が頭に浮かんで立ち上がった。なにより今はじっとしてたくない気分だった。


小巻「二年のほうにも聞きに行ってくる」

キリカ「え、それってあの暁美とかいう?」


 久しぶりに直接会いに行く。

 教室の外から目が合うと、暁美は変わらずの剣幕で鋭い視線を向けてきた。


ほむら「用件があるならメールでと言ったでしょう」

小巻「……アンタはマミに何があったかって、知らないのよね?」

ほむら「巴マミのこと? 私の知ったことじゃないわ。関わってもいない」

小巻「あっそう!」


 こいつと話すのはやっぱりイライラしてくる。相手も同じ気持ちみたいだし、今のところ長いこと話してても良いことはなさそうだ。

 ……そうしているうちにチャイムが鳴って、もう一度自分の教室へと戻っていった。

-----------------
ここまで
次回は24日(日)18時くらいからの予定




 午後の授業もこなせば学校での一日も終わり。放課後だ。

 マミとは拗れたままだし、こっちまで暗い気持ちになる。


小巻(元はと言えばマミの相談に乗ろうとしてたのに、どうしてあたしまでこんなこと考えてるのよ……)

小巻(いや。今日はまだプライベートのこともやらなきゃいけないことがあるんだから!)


 鞄の中身を整理して、嫌な気持ちを振り切るように立ち上がった。

 このあとは習い事だ。それに明日からは休日。

 せっかく優木のことも気にしなくてよくなったんだし、この土日は小糸とパトロールもかねて外出しに行こう。


 これからの予定に思考を巡らせる。

 美国のことも頭に浮かんだ。アイツもいつから契約してたのかは知らないけど、抱えてる問題はそのままだし、状態はいいとは言えない。

 アイツは一体、何のために願ったんだ。契約すれば何でも叶うってのにあんな状況で。


小巻(……アイツにも、声をかけてみようかしら)


 美国には後で連絡を入れよう。学校を出て、校舎から離れて目的地に歩いていく。


 ――でも、マミのことは本当にこのままにしといてもいいの?

 このままじゃ、仲間としても友達としても離れていってしまうかもしれない。



―26日目終了―


小巻 魔力[84/100]  状態:正常
GS:1個
・落書き[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]

――――――
27日目



小糸「あっ、この映画もう公開してたんだ。今度見にいこうよ!」

小巻「そうね。今度はパトロールじゃなくてまた遊びに行ってもいいかもね」


 昼過ぎになって家を出て、まずは二人だけの道中。小糸は街に大きく貼られたポスターを見て言った。

 魔女が出てないときはただの散歩と変わらない。とくにずっと一緒にいた家族だからだろうか。

 今は魔法少女としての義務感よりも妹と出かけてるって感覚のが大きかった。


小糸「今日は美国さんも一緒なんでしょ? ついに仲直りしたの?」

小巻「仲直りもなにもアイツとは一度もケンカなんかしてないわよ。ケンカ売ったって勝ってもくれない腰抜けなんだから」

小糸「それって腰抜けじゃなくて、『大人』って言うんじゃない?」

小巻「何が『大人』よ! 痩せ我慢のことでしょ? そんな言葉だいっきらいだわ!」


 そう言って、昨日のマミとのことを思い出す。……マミとのことは、あれこそケンカだ。

 待ち合わせの場所につくと、美国はひと足早くそこに来て待っていた。


織莉子「ごきげんよう」

小巻「……ごきげんよー。なんだ、もう来てたの」

織莉子「ええ」


 白女にいる時にも飽きるほど聞いたお上品な挨拶を真似してみる。

 美国は気に留めた様子もなくいつもの調子だ。


小巻「さっそく行きましょ! グズグズしてたら置いてくからね」

小糸「もう、誘っておいてその態度はないでしょー? 美国さん、今日はよろしくおねがいしますねっ。私も契約したてなので心強いですっ!」



 下1レスコンマ判定 1/2
0~20 使い魔
21~40 魔女



小巻「小糸はそりゃ契約したてだけど、そもそもアンタはどのくらいなのよ? 頼りにできるほど強いわけ?」


 美国を誘ったのは、パトロールが目的っていうよりも色々と話しておきたいことがあるからだった。

 どんな戦い方をするのかも、どれだけ強いのかも、魔法少女としてことはあたしはほとんど知らない。


織莉子「私もあまり長くはないわよ。小巻さんから聞くよりも少し前だったから……」

小巻「ふーん、あたしの忠告はちょっとだけ遅かったのか」

織莉子「ま、まあ、そう言うこともできるかしら……?」

小巻「ってことは、あの事件があった後なのね」


 そう言うと、美国は言いづらそうに黙ってしまった。それを見た小糸が慌て出す。

 心が不安定な方が付け入られやすいのは、魔女や使い魔だけじゃなくきっと契約を迫られる時も一緒。そのほうが願いがあるってことだから。

 でもそれを知ると、ますます美国が何を叶えたのか疑問だった。


小糸「もう、お姉ちゃんったらデリカシーなさすぎるよ……! なんか本当ごめんなさい!」

織莉子「いいの。でも、せっかくのご忠告なのだけど、私は契約して後悔はしてないわ。貴女たちも、そうなのでしょう?」

小巻「……まあ、あたしはそうね」

小糸「あ、はい。私も……」



 歩き始めて、どんどんと街の中心からは離れていく。

 休日で賑わう人混みから遠ざかり、周囲の空気が静かになるのを感じた。



 下1レスコンマ判定 2/2
0~20 使い魔
21~40 魔女



小巻「魔力の反応、ないわね……」

小糸「この前はわりとすぐに見つけられたけど、なかなか会えない時もあるんだね」


 魔女にも使い魔にも会えないまま足を進める。

 小糸の言うとおり、狙った場所に魔女がいるかは運頼みだ。もう結構歩いた気がしていた。


「あっ、おねえちゃんたち!」


 人気がないと思っていた景色の中、あたしたちに声がかけられる。聞き覚えのある女の子の声だ。


小巻「アンタはたしか、ゆま。 ……と、佐倉」

ゆま「こんにちは!」

小糸「こんにちは」


 ゆまは可愛げがあるが、ゆまの隣にはもれなく嫌なものまでついてる。

 絶対小さい子の教育にはよくないヤツだけど、少しは絆されて改心してたりするのだろうか?


小巻「そういえばこのあたりはもう街外れね。一旦引き返すかー。言っとくけど、別に縄張り越えようとか思ったわけじゃないから」

杏子「……あっそ。それならいいけど」

ゆま「ねえ、ゆまたちはもう見滝原にはいかないの?」

杏子「行く必要がないだろ。優木ももうぶっ倒したんだし……あっちにはムカつくもんしかない」



ゆま「コマキやマミとけんかしてるから? だったら仲直りしよーよ! みんな仲いいほうがいいよ!」

ゆま「ね! おねえちゃんたちも……――――」

杏子「……そんなの簡単に言うな! 何も知らないくせに」

ゆま「ご、ごめんなさいっ」


 ゆまはこっちにも話をふろうとしたが、あたしが何か言う暇もないうちに佐倉が言葉を遮った。


 自分の発言で怒らせてしまったと思ったからか、ゆまは素直に謝っていた。

 幼いながらに人一倍敏感に怒気に反応してて、そんなところを見ると代わりに口を挟んでやりたくもなる。そもそも何に怒ってんの?

 ……でも、そんな時浮かんだのも昨日言われたことだった。あたしはともかく、マミも今は仲直りとか考えられるような余裕はないだろう。


杏子「あたしだってもうゆまを置いてまで誰彼構わずにケンカ売りにいったりはしないさ。でも今更仲良くなんてのはできっこないんだよ」

杏子「だからこれでいいんだ。魔法少女には縄張りってもんがあんの」

杏子「結局優木からは何も聞けなかったのは心残りだけどさ。アンタはあれから何か思い出してない?」


 佐倉の目が美国のほうに向けられる。すると、今まで口数の少なかった美国が口を開いた。


織莉子「いえ、何も」

杏子「そうか。期待はしてなかったよ」

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今回更新はここまで
次回は25日(月)20時くらいからの予定



杏子「ゆま、もう行くぞ」


 佐倉が去っていって、ゆまもそれについていく。

 初対面よりは少しだけ落ち着いたのはゆまの影響なんだろうけど、変わったというにはまだまだだ。


小糸「巴さんとなにかあったのかな……?」

小巻「あたしも何があったのかは詳しく知らないけど、マミと佐倉って昔組んでたらしいのよ」

小糸「そうなの? あの人が? そういえばそれっぽいことは言ってたけど」

小巻「多分、アイツも昔はあんな感じじゃなかったんでしょ」

小糸「私、あの人のこと苦手だって思ってた。口は悪いし、願いのこともバカにされたし」

小糸「でも元はそうじゃなかったなら、どうにかできればいいのにね」

小巻「……」

小糸「お姉ちゃん?」


 たしかに、なにを意地張ってんのかは知らないけど、さっさとどうにかしてくりゃいいって思う。

 でも今はあたしもマミと拗れてる。人のこと言えたもんじゃない。


小巻「どうにかするにしても今はどうでしょうね」

小糸「どういうこと?」

小巻「佐倉のほうがあんな態度だってのもあるけど、マミだって今は」


小糸「お姉ちゃん……巴さんとケンカでもしたの?」


 そういえばあの時美国のことも引き合いに出したっけ。

 うじうじ悩んでるヤツ同士が一緒にいたらろくでもないほうに悪化するに決まってる。


織莉子「……マミさんに何か?」

小巻「アンタは知らないでいいのよ! 人のこと心配する暇があるなら自分のことをなんとかしなさいよね!」

織莉子「……」

小巻「アンタは最近どうなのよ? まだ前と変わらずなの?」

織莉子「周りの状況は変わってないけれど、前に比べたらそう辛いわけでもないわよ。『味方』も増えたもの」

小巻「それってマミのこと?」

織莉子「えぇ、そうね」


 結局美国の支えはマミしかいないんだ。そう思うと、マミに対してもじれったさが募った。


小巻「味方増やすのもいいけど、まずは元凶をどうにかしたほうがいいんじゃないの」

小巻「ていうか気になってたんだけど……どうして契約の力でどうしてそうしなかったのよ」


 美国にとって、核心を突く問いではあったようだ。表情が変わったのが見て取れた。


織莉子「……どうしてそう言えるの」

小巻「そんなの考えなくてもわかるわ。だってアンタはまだ悩んでるし、理不尽なヤツも周りにわんさかいるんだから。何にも変わってないじゃない」

織莉子「そんなことはないわ。私は――そうね、この力を手に入れたことで『生きる意味』を手に入れられたもの」

織莉子「この力で人を救えるんだものね。その使命を持てたのは、私にとっては大きな違いよ。きっと私を見て喜んでいるはずよ……お父様だって」

小巻「なんか大層なこと言ってるけど、本当にそんなことで満足できてるって? そう思ってんの?」

織莉子「私の話はもういいでしょう?」

小糸「お、お姉ちゃんっ、だからデリカシーないって! 行こう!」



 逃げるように話を切り上げようとしている。……まるで昨日みたいに。



1全然そう思えない
2本当は後悔してるんじゃないの?
3自由安価

 下2レス



小巻「アンタを見てたら全然そうは思えないわ。ごまかしてるだけじゃないの?」

織莉子「……」

小巻「……何よ。言い返したいなら言い返せばいいじゃない」


 周囲の空気も、聞こえていたはずの木々のざわめきも、シンと静まり返っていた。

 美国の口から言葉が返ってくる気配はない。ただいつもと違って、表情の消えた碧の瞳はいくらも冷たい色に映った。


小巻「そう思わないとやってられないだけでしょ」

小巻「何がお父様よ。ソイツは美国を裏切るようなことしたのよ。アンタと親は別でしょ? もう居もしないソイツのためにいい子ぶって何になるってわけ」


 さすがにあたしも、今回ばかりは珍しく美国が怒ってるのはわかる。

 それでもあたしの口は止まることはなかった。


 ……美国はずっと怒ってた。

 あんなふうに澄ました顔で、なんともないかのようにふわふわと躱しておきながらも、中身のほうではずっと恨みが蓄積されてたんだろう。

 そう考えたらふと、この前から抱いていた違和感にも納得がいった。


小糸「お姉ちゃん! いい加減にしなよ! 人には触れられたくないものってのがあるんだよ!」

小糸「悪気がなくても、正しいと思っていても、土足で踏み込んだら相手を傷つけちゃうこともあるの!」

小糸「巴さんともそうやってケンカしちゃったんじゃないの?」

小巻「え……?」


 見かねたように小糸が慌てた口調で割り込んだ。

 心当たりがズキリと鼓動を揺らした。さすがにまずいことを言ったと思った。


 それでも美国はこう言った。


織莉子「…………いいの。いいから」


小巻「……い、今のはさすがに悪かったわよ」

織莉子「そんなことより、パトロールを続けるんじゃないの?」


 怒ったのなんかわかってる。だからあたしも悪いと思って謝ったし、簡単には許されなくても仕方ないとも思う。

 なのにここまでしても言い返すこともしなかった。

 今までは苛立ってたけど、今は無理やり鎮めたみたいな態度がひどく不気味に感じられた。


小糸「で、でも……」

小巻「アンタは本当にそれでいいの?」

織莉子「貴女は私に何と言って欲しかったの? それで貴女が満たされるならそうしてあげてもいいけれど、無駄な時間になると思うわよ」

小巻「……ふーん、言うじゃない。それって結局、許す気がないってことでしょ?」

織莉子「……」


 なんてねちっこいヤツだ。あたしには真似できそうにない。あたしならたとえ許す気でも一発ぶん殴らせろって言ってるとこ。

 それからも美国から言葉はなく、いよいよパトロールを再開して歩き出す。


 そんな時、後ろから魔力が沸き起こった。


小糸「えっ……、お姉ちゃん!?」


 小糸の呼びかけが聞こえてから“その攻撃”に気づく。

 これは、前の時と同じだ。ただ、今は小糸がそばにいるから助かった。


小糸「ちょっ、そんな!? どうして……こんなところで仲間割れなんか」

織莉子「私の邪魔をするな!」

小糸「ひっ……?」

小巻「なによ……やっぱ怒ってるんじゃない。でも、背後から殴るのはやることが卑怯よ。やり返すならさっきにしておきなさいよね!」

織莉子「もう何を言われたところで許す気は無いと、解ってもらえてたんじゃなかったの?」


 美国から感じるのは純粋な『怒り』。それが剥き出しになって見えると、その圧はさっきとは比べ物にならないくらいだった。

 ……でも、少しだけ安心した。美国もあたしと遠い存在ではなかったんだって。



 立ち上がると同時に、瞬時に変身する。

 飛んできた水晶のような珠を斧の刃で受け止めた。


小巻「やっとまともに喧嘩買う気になったんなら受けて立ってやろうじゃない……!」

小糸「お、お姉ちゃんもやめてよ!? 危ないって!」

小巻「大丈夫よ小糸、こんなチンケな玉なんか全部弾いてやるんだから。あたしだってアンタのこと見てるとイライラしてたのよ!」

織莉子「ええ……私もよ。貴女のおせっかい、そろそろ鬱陶しいと思っていたところだった」




小巻 魔力[84/100]  状態:正常
GS:1個
・落書き[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


仲間:
小糸 状態:怯み(行動は回復のみ)

敵:美国織莉子


1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2両斧斬撃 :近接武器戦闘・両斧(魔力-5/1ターン)単純に手数を二倍にする。相当なパワーが必要になるため、長くは使えない。
3投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
4ガード(魔力-3~5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
5バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】

 下2レス



 斧を構え、水晶を砕きながら突っ切っていく。


小巻「はぁっ!」


 振り下ろした斧を美国はひらりと躱していった。

 外したとわかっていても勢いが止められない。死角から来た攻撃をなんとか盾で防ぐが、全ては捌けなかった。

 当たった分には大した威力はなかったのが救いか。


小巻「全然痛くないし! やっぱりこんな玉チンケよ……!」


 相手を捉え直し、再び斧を振るいに向かう。



 下1レスコンマ判定 戦況
0~(劣勢) < 99(優勢)

+一桁0クリティカル(相手魔法効果:優勢時のクリティカル無効)
+補正 自[格闘Lv3]*3
+補正 相手[魔力コントロールLv1]*-3

77


 いつもまっすぐに敵を裂く刃は、服についた装飾一つ傷つけずに空を斬り続ける。

 今度こそ近づいたと思ったらまた離れていってしまう。バリアでの拘束もこいつには意味がない。

 決して相手に押し負けてるわけじゃないはずなのに、こっちは近づくこともできなくて負けてる気分。


 段々腹が立ってきた。


小巻「~~っ、ホント逃げてばっか! 戦い方までこうだとは思わなかったけど、お似合いよね!」

織莉子「貴女の言う事はいつも的外れよ。私が何から逃げてると言ってるの?」


 避けきれない数の水晶が襲う。

 一発一発は大したことないと思っていた水晶の打撃も当たれば体勢が崩れる。

 どこまで狙ってたのか、その拍子に重心が安定を失って武器が手から離れた。


小巻「くっ……!」

小糸「きゃあ!」


 しかし、ヘタ打ったと思った瞬間に代わりに上がったのは駆け寄ろうとした小糸の悲鳴だった。

 頭から一筋血を流してぐったりと力が抜けている。それを見たら背筋が凍った。


小巻「なにやってるのよ! 小糸は関係ないでしょ!」

織莉子「無関係だと言うのなら手助けなどせずに見捨てればいいだけよ。といっても、どちらももう許す気はないわ」

小巻「アンタ……っ! マジで痛い目見させるわよ! 大体さっきもアンタはやりすぎなのよ! 小糸の回復魔法がなかったらどうなってたと思ってんの!」

織莉子「さあ。考えてみたらいいんじゃないかしら?」


 美国は黒の溜まった胸元の宝石をグリーフシードで浄化する。

 ゾッとするような怒りとも笑みともつかない表情を浮かべていた。

あれ?状況不利?



小巻「何を、言ってるのよ……?」

織莉子「貴女、これをただの喧嘩だとでもまだ思っているの?」

織莉子「私は最初から貴女たちを殺す気だったのよ。私は“今回も”ちゃんと心臓を貫いた」

織莉子「……何故まだ生きていられるのか不思議ではない?」


 何を言ってるのか理解できない。

 心臓を? 言われてとっさに自分の胸のあたりを掴む。今はなんともないけど、さっき痛んだ箇所を思い出す。


 たしか、そういえば優木もそんなことを言っていた。 


小巻「……今回もですって?」


 気になることはまだあるけど、一番に耳に引っかかって無視できないのはそこだった。


織莉子「ええ。貴女が生きてたと知った時には驚いたけど、この期に及んで私を信じてたのは別の意味で驚いたわよ」

織莉子「どこまで愚かなのだろう、とね」

小巻「アンタ……優木なんかとつながってたの?」

織莉子「あんなクズとは一緒にしないで欲しいわね。あれは駒。私は利用しただけ。でも少々、出来損ないだったわ」


 優木は自分さえ良ければって考えで、散々好き放題してたようなヤツだ。

 美国はそんな嫌なヤツとは違うって思ってたのに。


まだ目的を果たしてないのに自分からばらしたか
あすみが見たらバカじゃねーの、こいつって酷評するな



小巻「なんであんなヤツなんかと! アンタはそんな……っ!」

織莉子「だから、勝手に決めつけないで。貴女の考えは的外れだと言ったはずよ」

織莉子「頼んでもいないのに見当違いな心配を押し付けて、勝手なことをして、それが受け入れられなければ『ムカつく』ですって?」

織莉子「いい加減に迷惑だわ。私の邪魔をする貴女たちは“要らない”。生きていれば確実に邪魔するであろう貴女の妹も含めてね」


 美国が手をかざす。

 怒りと冷たさに満ちた目の前の姿は、あたしの知っている美国織莉子ではなかった。


 ……知った気になってた。ある程度わかってるつもりだった。でも違った。――どうしてこんなことになった?


 あたしのやってたことはまるで意味がなかった。


織莉子「……私は周りで陰口を叩く人たちなんてどうでも良かったのよ。私とはもう立場が違うのだから」

織莉子「私のためというのなら死になさい。私の正義のために。この世界の為に!」

小巻「っ……!」


 飛んできた水晶をとっさに盾で防ぐ。美国は本気で殺しにかかっている。

 ひとまず小糸のことは守らないといけない。小糸をバリアで包んで、走り出すと斧の柄を掴んだ。


 頭の中がぐるぐるしてる。


 ……斧を両手で構えた。



 下1レスコンマ判定 戦況
0~(劣勢) < 99(優勢)

+一桁0クリティカル(相手魔法効果:優勢時のクリティカル無効)
+補正 自[格闘Lv3]*3
+補正 相手[魔力コントロールLv1]*-3
+補正 心理状態-20

58



 あたしの一撃は重い。刃が入ればほとんどの魔女は引き裂ける。

 きっと、だからこそ――。


 半端な覚悟では攻撃を当てることすら出来ないんだ。迷ったらむしろそこが隙になる。

 かたや、相手は殺す気で来てる。


 直感的に悟った。この戦い、このまま続けていても勝てない。実力が足りないんじゃなくて、心の問題だ。……それに加えて。


織莉子「一度死んだとき、貴女が持っていたグリーフシードも私が回収したわ。今の私は惜しむことなく魔法を使える」

織莉子「諦めなさい。魔力も少ない貴女じゃ私には勝てないわよ」



小巻(それでも小糸だけは守らなくちゃ。……小糸は本当になにも悪くないんだから!)



 そう思うと、ピンときた。あたしの願い。自分の魔法で何が出来るかは自分がわかっている。


 『守る』ことに特化したあたしの魔法なら、守りに徹していれば逃げることくらいはできそうだ。

 らしくないのはわかってる。さっきは逃げてばっかだってバカにしたけど。


 ここは街外れといっても外。走り続ければ人通りのある道には出られる。



 もう一度小糸を掴んで、走り出した。



織莉子「待ちなさい! まさか逃げる気じゃないでしょうね! おとなしく私に殺されていろッ!」



 声に聞こえないフリして走り続ける。もうこうなったらプライドなんて気にしてる場合じゃない。仮面を取っ払った美国がこんなのだなんて知りたくもなかった。

 いつも恥ずかしいって思ってた衣装のことも気にせずに駆け抜けて、道の真ん中でへたりこんだ。


 ……今は逃げた。でも、あたしはいつになったら向き合えるだろうか。



―27日目終了―



小巻 魔力[44/100]  状態:傷心
GS:1個
・落書き[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]

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今回更新はここまで
>>596 ???「余裕こいてベラベラ話した挙げ句逃げられるとか、ホント三流悪役だよねー」

ブチ切れて台無しにしなかったらもう主人公関われないまま計画完遂になりそうなとこでしたけどね。
まあ今まで溜め込んだ分、一発大きく爆発したということで…。
あとは原作で描かれなかった小巻の葛藤とかを描きたいってのもあります

次回は30日(土)18時くらいからの予定

――――――


小糸「お姉ちゃん! ごはんできたってさ! 呼ばれてるよ」

小糸「今日は私も一緒に作ったの。自信作なんだからね!」

小巻「本当に? また塩と砂糖間違えてたりしない?」

小糸「そんな初歩的な間違えそうそう何度もしないよっ! ……たぶん。ちゃんと味見もしたもん」

小巻「冗談よ。今いくから」


 怪我は負ったけど、魔法のおかげで私達はこうして変わりない日々を遅れている。

 ……でもやっぱ、お姉ちゃんはいつもより元気がないように見えた。


小糸(……あれから美国さんのことも話さないし、珍しく凹んでる)

小糸(これを機に少しは丸くなってくれるならいいけど、調子狂うなぁ)


 でも、あの美国さんに命を狙われてたって、私も今でも信じられない。


――――――
――――――

29日目



 放っときゃいい、関わらないほうがいいってのはさんざん言われた。

 好きかって言われたらむしろ逆。気に食わなくて仕方がなかった。

 ……でも、なんだかんだで信じてたんだ。


 『いい加減に迷惑だわ。私の邪魔をする貴女たちは“要らない”』

 『おとなしく私に殺されていろッ!」』


 あたしのやってきたことだって、あたしはそれが正しいって信じてきたから――――。


 でもその結果がこれじゃあ、今までのあたしの行動はなんだったの。

 これじゃバカみたいだ。


 ――――チャイムが鳴る。家も学校も何か起きたとこ以外は普段と変わらないし、いつもどおりはやってくる。

 忘れたふりをしてそこに浸かっていれば楽なんだろう。嫌なことを隠そうとするマミや美国みたいに。



 いつのまにか時刻は昼になっていた。あたしは一人教室を抜け出して廊下に出ていた。



小巻「……ねえ、あんたならわかるんでしょ」

小巻「“心臓を貫かれたのにも関わらず死ななかった意味”……って、なんなのよ」


QB「ソウルジェムの身体の関係だね」



 無感情な声が響く。


QB「魔法少女の契約って、どういうものだと思う?」

小巻「は……? それはだから、魔法を使えるように?」

QB「そう。“君たちの身体の中から魂を特殊な力として活動できる形に取り出してあげているんだよ”。それが魔力と呼ばれるものだ」

QB「普段戦う時も、今こうして息をしたり喋ったりして動いているのだって、魂が身体に命令を出して動かしてる」

QB「君たちの場合は魂は身体から切り離されているんだから、もちろん身体が致命傷を負っても魔力を使えば生きられるよね」


 わけわかんないと思ったけど、結局最後まで聞いても意味がわからなかった。


小巻「何がもちろんよ……! わけわかんないわよ! そんなの一度もアンタから聞いてない!」

QB「難しい話はしてないはずだよ。僕からしたら君の反応のほうがわからないよ」

小巻「なにを言ってんだって、言ってるのよっ!」


 キュゥべえを力任せにつかもうとして、やめる。

 こんなことしたってなんにもならない。


QB「……いたた、君は力が強いんだから。頭が引き裂けるかと思った」

小巻「聞いておくけど、アンタはちゃんと死んだら死ぬの?」

QB「それも君たちにとっての身体のことかい? もちろん僕は死ぬよ。代わりはあるけど、あまり無意味に傷つけられたくはないんだ」

小巻「代わりですって……」

QB「聞きたいことがそれだけなら僕はもう行かせてもらうよ」


 キュゥべえは猫のような仕草で身軽に高所へと飛び乗った。


小巻「待ちなさい! 本当にそれだけ……?」

QB「……そう言われてもわからないな。まあ聞かれたことには答えるつもりだよ。またわからないことがあったら呼ぶといいさ」



 なんなのよ、これは。

 とりあえずわかるのは、キュゥべえまであたしの知らないことを黙ってたってこと。



「ねえ、ちょっといい?」



 ……屋上まで行くと、鞄片手に声をかけられた。



キリカ「昼、一緒に食べようと思ってさ」

小巻「別にいいけど」



 どうしてこんなとこまで。そう思ったけど、ついてきたわけではないらしい。あたしがここに来たのも思いつきだ。

 キュゥべえとの会話も……聞こえてたならこんなテンションじゃないだろう。


キリカ「小巻もどっかいっちゃったし、私もたまには違うとこで食べてみようかなあって思ってたら行き先にキミがいてびっくりだよ」

キリカ「たまには屋上でってのもいいよね! なんか開放感があってさ」


 そう言ってキリカがフェンスのほうに近づいていく。


キリカ「人は少ないし、景色も見下ろせるし、高いとこにいると特別な存在になった気になる。気がする!」

小巻「はあ…… そうかしら?」


 ……のうてんきだ。正直あまり理解できないけど。


 すぐに見飽きたのかそれから適当に腰を下ろして、鞄の中から弁当を取り出す。

 出てくるのは弁当だけじゃない。お菓子まで並べている。

 あたしも同じように腰を下ろした。


キリカ「たしか前も行き先に迷ったらここにきてたと思う。一人でなにかを考えたいとか」



小巻「それって、思い出せたの?」

キリカ「全部じゃないけど、どんなこと考えてたかくらいは。契約したときも屋上にいたっていうのは聞いてたし」


 ああ、そういえばキリカを最初に見かけたのは屋上だった。

 もうそれもずいぶんと前のことに思えた。あの頃のキリカは何かに悩んでいたんだ。


 あたしもなんとなくここにきたけど、無意識でもそういう思いがあったのかもしれない。


小巻「アンタはさ、あたしは普通じゃない、自分とは違うって言ったわよね」

小巻「もし、自分がよかれと思ってやってきたことが逆効果だったらどうする?」

小巻「全然受け入れてもらえなくて、本当は迷惑だって思われてて、相手は裏で予想もしなかったようなことやってて」


 ……屋上は考えるのにいい場所だなんていうからあたしもこんなことを話し始めたんだろう。

 キリカがお菓子を漁る手を止めた。


キリカ「どうするかって言われたら、落ち込むかなあ。もう無理って思ったら離れちゃうかも」

キリカ「……でも、もしその人とまだ仲良くしたいって思うならとりあえず謝ってみるかな」

小巻「自分は間違ったことはしてないのに?」

キリカ「そうだとしても、正論って弱ってる時には耳に痛かったりするし。そういうときは何かあるんだろうから、正しいだけじゃ簡単に受け入れられないこともあると思う」

小巻「そもそも迷惑ならそうと言えばいいでしょ。どうしてそんなことまで隠すのよ」

キリカ「……なんていうのかな、誰かとぶつかるのって疲れるでしょ。傷つけないようにとか考えたらなかなか言えないんじゃないかな」

キリカ「だから、まずは傷つけちゃったのはゴメンって。……相手の気持ちをわかってあげたら、いつかは受け入れてくれることもあるんじゃないかな?」

小巻「そういうものかしら……」

キリカ「か、考えてみただけだから私だって実際にちゃんと謝れるかはわかんないけどさ。うん、まあそうだと思う」


 マミにも小糸にも、似たようなことは言われてた。でもあのときは聞こうともしてなかった。

 ……相手の気持ち、か。 今までのあたしが理解しようとしてなかった? ただ押し付けようとしていた?



キリカ「もちろん相手だって悪いよ。もし謝ってもダメでひどいことしてくるようなら怒っていいと思うし」

小巻「そ、それは当然よ!」


 美国はあたしだけじゃなく小糸まで殺す気だ。一度は……殺されたも同然。

 それに優木とつるんで悪事を働いてたんだ。あれはもう許していい範疇じゃない。


 でも、おかげで少しは気持ちの整理ができた。まずはマミとのことをなんとかしないと。


キリカ「でもやっぱ、そういうことがあって落ち込んでる時でもふさぎこまないでられるのが小巻の強いところだよ」

小巻「……なんでそうなるのよ。こんな話、ただのものの例えじゃない」

キリカ「いや…… 妙に具体的だし、そんなことホントになかったら絶対言ってないじゃん」

小巻「……もう、あたしってそんなにごまかすのが下手?」


 やっぱり慣れないことはするものじゃない。


 キリカはもうひとつお菓子を取り出すと、封をあけて中身をひとつつまむ。

 それを指でもてあそびながら、話し始めた。


キリカ「ちょっと、私の話もしてもいい?」

小巻「……聞くわよ」

キリカ「契約する前のことなんだけど、私が小巻に最初に抱いた印象はただの優等生ってだけだったんだ。正直たいして気に留めてもいなかったと思う」

キリカ「でも、それからほんの小さなきっかけがあって見方が変わって…… 私は小巻を恨むようになった」

小巻「え」


 思わず声を上げた。なにそれ。逆恨みにもほどがある。

 小さなきっかけって。


キリカ「私もそのきっかけまではよく覚えてないんだけど」


キリカ「嫉妬してたんだ。小巻は強くて堂々としてて、なんでも言えて、おまけに勉強や運動まで出来るクラスの人気者」

キリカ「どうでもいいって思ってたくせに、目を向けてみたら私には眩しすぎて、こういう人には絶対に私の気持ちなんてわかんないんだろうなあって。考える資格もないのに比べてはさらに落ち込んで」

キリカ「そんな醜い自分が嫌になって契約した……んだと思う」

小巻「……なによそれ。私のせいでそんなくっだらない理由で契約したってこと?」

小巻「あたしは覚えてるわよ。転入してからあの日までのアンタとたいして接点もないんだから。たかが小銭拾ったくらいで……」

キリカ「たぶんそれだけじゃなくて、小さなきっかけからそんなこと考えるようになった私にも元から問題はあったんだろうけど」


 卑屈さとか、そもそもの自己評価の低さとか、たしかに端々から伝わってくるものはある。

 あたしがきっかけになったひと押しがなかったとしても、遅かれ早かれ…… だったのかもしれない。


キリカ「契約してからは小巻に対しての印象も『ただの優等生』に戻ってたんだ。ヘンな意味じゃなくて単純にすごいなぁって感じ」

キリカ「でも、仲間とか友達として接するうちにまた同じようなことを思いはじめて、そうしてるうちに思い出したんだ」

小巻「嫉妬…… ってやつ? 今も?」

キリカ「……そうだね。羨ましいと思う。私は契約してからイライラして周りに当たっちゃったし、今でもなかなか前向きになんてなれないからさ」

キリカ「結局、本当はそこまで変わってなかったんだよ。喜んでいいのかわかんないけど、ちょっと安心した気分っていうのかな?」

小巻「あのね、みんなあたしのこと強い強いって言うし確かにそうなのかもしれないけど、とりあえずあたしはちょっと今傷ついたわよ! そんな風に思われてたなんて」


 なんでどいつもこいつも思ってることを隠すのか。面倒くさいったらありゃしない。

 溜め込むからどんどん膨らんでそのうち大変なことになるんだ。


キリカ「ご、ゴメンって。ほらいっこあげるから! 今ならお弁当のおかずもひとつつけちゃう!」

小巻「じゃあ許してあげるから、好きなの選ばせなさいよ?」


 お話をそこそこに、弁当を広げて食べ始める。昼休みもあまりゆったりしてると時間がなくなってしまう。


キリカ「今は少し前向きになれたよ。キミが言ったとおり、残りの記憶もなんかきっかけがあればそのうち思い出せそうだよね」

小巻「……それならよかったわね」



 あたしだって落ち込んでるわけにもいかない、か。




 ――――屋上から戻ると、マミにテレパシーを送った。放課後になったら話そうって。

 案の定返事はかえってこなかった。会っても無視して逃げようとするかもしれない。

 それでも、テレパシーだったら一方的にでも送ることは出来る。


 今度こそちゃんとマミとも話す。まずは謝るだけでも、聞いてさえいてくれれば。

 ……この前は意地を張ったけど、あたしはマミとの関係はこれで終わりにしたくないから。


 ガラス張りの壁越し、教室の外に鞄を持ったマミの姿が見えた。

 もうチャイムも鳴ってしばらく経つ教室は静かだ。こっちに来るわけではない。

 それどころか教室の前を横切って遠ざかっていく。帰る気だ。早退までして逃げる気だろう。


 もともとろくに聞いてなかった授業をすっぽかしてあたしも追った。


 あたしはやっぱり優等生なんかじゃない。美国じゃないんだから、そんな称号は似合わないみたい。


小巻「待ちなさいよ!」

小巻「あたしは違うけど、アンタは優等生なんでしょ」

マミ「……」



小巻「テレパシーじゃ言った気がしないからもう一度言うわ。この前は悪かったわよ。あたし、マミの気持ちを考えてなかった」

マミ「どうしてあなたが謝るのよ」

小巻「あたしだって素直じゃなかったからよ。自分は間違ってないからって、考えを押し付けることしかしてなかった」

小巻「今思えば、それだって正しいとはいえないわよね。それで傷つけてるんだから」

マミ「……もういいわ。私だって今までは似たようなことしてきたもの」

マミ「自分が間違ってないからって、それを盾にして人に押し付けてきた」

マミ「それなのに、いざ自分が困ったらこれだものね。気づいたのはこの前、浅古さんと話した時よ。……私も佐倉さんに言われたのと同じ言葉を言ってたの」


 佐倉との間にあったこと。この前もその片鱗には触れた。

 ……あたしは詳しくは知らないけど。


マミ「気づいたら私は一人になっていた。同じ考えを持って友達になれたのは浅古さんだけだったのに」

小巻「……それならどうしてまだ逃げようとするのよ」


 マミはまだこっちに顔を合わせようとはしない。このまま一人で去ろうとするつもりだ。


小巻「ねえ、もう問い詰めないけどさ。マミが知ってることって、身体とソウルジェムのことなの?」

-----------------------
今回更新はここまで
次回は3日(水)20時くらいからの予定


マミ「なんで、どこでそれを知って……――」


 やっとあたしのほうを向いた。マミこそこんなのどこで知ったんだろう。


小巻「このまえ美国と揉めちゃってね。その時に知ることになったのよ」

マミ「そう…… 美国さんと」

小巻「アイツもこのこと知ってたみたいだった。アイツはあたしと小糸を殺そうとしたの。まだ、狙ってると思う」

マミ「……!」



 マミの顔はまだ思いつめた顔のまま。でも、予想もしなかったものに驚くって反応ではなかった。

 ――――……今日はこのまま学校を早退して、久しぶりにマミの家に行くことになった。


 ……そこであたしは、さらに知らなかった話を聞くことになった。



小巻「……まさか、キュゥべえはそんなことまで隠してたの」

マミ「……ええ」

小巻「確かにあたしもまだ何かあるんじゃないかとは思ってたけど……!」

小巻「それって、つまり、ソウルジェムが濁りきればあたしたちは魔女になるってことでしょう?」


 マミは静かに頷く。

 あたしは激情を隠せない。そんなこと簡単に受け入れられない。マミはもう受け入れちゃったってこと?


 そこからは、今まで貯めてたものを吐き出すように淡々とした話が続けられた。



マミ「魔法少女は危険を産む。美国さんは最悪の事態を防ぐために行動しているの」

マミ「これから先の未来に世界を滅ぼす魔女となる少女がいるんですって。美国さんの魔法は未来を視ることができるのよ」

マミ「その少女と、その子を護る存在を消すことが美国さんの計画……キュゥべえに気づかせないために、『目を引く』事件も利用したわ」

小巻「……優木のこと?」

マミ「ええ。それが優木さんと組んだ理由ですって。魔法を使うのにグリーフシードが不足しがちだというのもあったようだけどね」


 確かに美国は『計画』だとか『世界のため』とか言っていた。

 あのときは余裕もなくて気にしてなかったけど。


 ……ひととおり吐き出すと、マミは力なく沈黙してしまった。


小巻「マミはそれに協力してんの?」

マミ「ええ。だって、世界の危機ですもの」

小巻「そのために人を殺すの? 魔女になるって人だけじゃなく、なんの関係もない人たちまで大勢巻き込んだのよ」

小巻「アンタは街の平和を守るために魔法少女やってたんじゃなかったの?」

マミ「そんなのまやかしよ」

マミ「私は何も知らなかった。でも、魔法少女が魔女になるなら。……それに、街よりも世界の平和のほうが大きいじゃない」

小巻「だから仕方なかったって言いたいわけ……?」



1目を覚ましなさいよ
2そんなこと考えて苦しんでるの?
3自由安価

 下2レス



 ソウルジェムのことにも驚いたけど、マミから聞いた話は予想の斜め上をいっていた。

 美国もマミもそんなことで悩んでたんだ。


 もう自分の考えを押し付けることはやめる。

 それでも、あたしはこれからも自分が正しいと思ったことは大事にしたい。自分をごまかして納得させたくはない。


小巻「目を覚ましなさいよ! 本当に本心からそう思ってるの? あたしは仕方ないって言葉が一番キライなの」

マミ「正しいとは思わないわ。最低よ。でも優木さんのことはもう過ぎたことよ」

小巻「それだけじゃない。魔女になる少女のことだって。ソイツもあたしたちもまだ人間なのよ」

小巻「話してくれたことはありがとう。でもあたしは協力する気はないわ。人殺しなんて賛同できない」

マミ「……それなら、世界が滅んでもいいというの?」


 マミの目は暗く、しかし覚悟を決めた目をしていた。


マミ「綺麗事でどうにかなることじゃない。もう時間もあまりないの」

小巻「でも……あたしはやりたくない」

マミ「……わかったわ。それがあなたの考えね。それならもう何も言わないわ。私が話したのは、ただ、吐き出したかっただけだから」


 マミの考えが変わることはなかった。

 最悪美国みたいに敵対するのかもしれない。ショックだけど、今はこれしか道はないのだろう。



 予知が使えるとはいえ、美国が予想してなかったことはいくらでもある。


 何もしなくても世界が滅ぶって決まったわけじゃないが、その素質があることは確定事項だ。

 逆に早まることだってありえるんだから、殺すよりも確実な方法を考えなきゃきっと納得はさせられない。


マミ「……今日はありがとう。少しだけ、話せたおかげで吹っ切れたわ」

小巻「それはお互い様よ」

マミ「私、佐倉さんにも今までのこと謝ってくる。今ならできる気がするの」


 そう言うマミの顔は、まだ影があるものの少しだけ晴れやかな表情をしていた。

 でも、それが良い意味なのかがわからない。今のうちに未練をなくして、どこかへ行こうとしているようにも見えて。


小巻「……ねえ、私は美国と戦うわ。もしあたしが勝って、マミがまだ悩んでるならあたしにも協力してよ」

マミ「え?」

小巻「一人じゃ頭がパンクしそうだし、一緒に考えてほしいのよ。殺さなくて世界も救える他の方法、ってやつを」

マミ「そんな方法……」

小巻「やっぱり綺麗事、だと思う? でもそれって、美国から聞いてその覚悟を決めたからでしょ?」

小巻「もしマミが一人で考えたとしたら、他のことも考えたんじゃない?」

マミ「……」


 マミは答えなかった。ただ、思いもしなかったことを聞いたような顔をしていた。

 殺せば確実に世界は救える。それはそうなのかもしれない。



 でも、その考えを突き進んで暴走した結果があの美国だとしたら。成功してもやっぱり悪い方向にしかいかないような気がして。



 ――――帰宅すると、自分のソウルジェムを確認する。

 ……あんなこと聞いて、あたしだって動揺してる。それに美国とのことも覚悟を固めなきゃいけない。



 すでに魔力の残りは少なくなっていた。さほど気にしていなかったが、この宝石が濁り切れば今度こそ本当に死ぬ。魔女になる……。

 そう思うとゾッとした感覚が沸き起こった。


 グリーフシードを手に取り、浄化して指に戻した。



―29日目終了―



小巻 魔力[100/100]  状態:動揺
GS:1個
・落書き[40/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]

――――――
30日目



小巻「行ってくるわね」


 朝、小糸に見送られながら家を出る。


 一人の時に狙われたら困るから、小糸には昨日から学校を休ませてた。

 でも、こんな状態を長く続けるわけにはいかない。……向こうはまだ相変わらずいつもどおりの生活を送ってるんだろうか。



 登校してみると、いつもより少し廊下が騒がしいことに気づいた。

 その中心に目を向けてみる。すると、そこにはずっと考えてた姿があった。


 周りの生徒からは浮いた赤い制服。まるで転入したての頃のあたしみたいに。



美国「おはよう、小巻さん」


 美国はあたしに気づくとなんでもなさそうに挨拶をしてきた。


小巻「アンタ、なんでここに!」

美国「もう向こうへ行く必要が無くなったから、貴女のお勧めどおりにしてみたのだけど」



 次会う時はまたこの前みたいな殺し合いになるもんだと思ってたから、こんなところで普通に話しかけられるなんて思ってなかった。

 あたしが勧めた時はあんなに渋ってたのに。


 ……『必要がなくなった』? それってどういう意味なのか。

---------------------------------------------------
どうでもいいけどなぜかここだけ名字表記になっとる…



小巻「アンタ……まさかとは思うけど、この前のこと忘れたとか言わないわよね」

織莉子「ええ、覚えてるわよ」


 怒気をにじませる。

 何も知らなかったときからすればあたしの思い通りになったはずだけど、こんなんじゃ納得がいかない。


織莉子「……でも今ここで戦うわけにはいかないでしょう? 教室へお行きになったら?」


 美国はあたしの怒りを手慣れたようにふわりと躱す。しかしもう怒りの気配すら隠さなくなっていた。


 何考えてるんだかわからないけど、どうやら心の準備をする暇すらくれなかったらしい。

 コイツとは今度こそ、殺してでも正面から向き合って決着つけてやるって決めてた。


 ……それをこんなわけのわからない鉢合わせ方して、普段どおりに教室に行けって?



1逃げる気なの?
2放課後は待ってなさい
3アンタの考えてたことはもう知ってるのよ
4自由安価

 下2レス



小巻「仕方ないから今はそうするわよ」


 納得はいかないが、ここで戦うわけにはいかないのは事実だ。

 コイツのことは見なかったことにして教室に向かおうとする。そこで、すれ違いざまに美国が言った。


織莉子「……それと、マミに余計なことを吹き込んで惑わせないで。マミは私の友達よ」


 いったんは視界から消すことに決めた美国を一瞬見やると、鋭い眼光がこちらを睨んでいた。

 どっちのセリフだ。

 ムッとしたものの、今はそれも無視することにした。決着をつけるなら後。


 教室の自分の席につくと、そこでも美国は話題になっていた。


*「ねえ今朝さ、前の小巻と同じ制服着てる人いたよ。同じ学校から来たんだよね? 見た?」

*「小巻と知り合い?」

小巻「ええ。……会いたくなかったわ」

*「え? 仲悪いの?」

小巻「悪いけど、この話はここまでにしてくれる?」


 そう言うと、質問攻めにしてた子たちも何かを感じ取ったのかあっさり引いてった。


 ……いつのまにかあたしにも踏み込まれたくない領域ができてることに気づく。

 争いに関わらせたくないからってのもあるけど、知らない人にあたしたちの問題について触れられたくない。



 考え事の世界に没頭していく。


 なんで美国は今更。内心煮えたぎってるくせに余裕ぶった態度してるし。

 ……昨日言ってた人たちを狙って?


 マミの話を聞いてから“少女”と“守る存在”とやらのことは考えたなかったわけじゃない。

 あたしたち以外の魔法少女っていったら一人しか浮かばない。


 教室を見回すとキリカの姿は見えた。ちょうど今来たとこみたいだった。それとマミは?


キリカ「おはよー」

小巻「おはよう。マミってもう来てるかしら?」

キリカ「え? わかんないけど、見に行く?」

小巻「ええ」


 もう一度席を立ち上がる。

 事情を知らないキリカは少し不思議そうな顔をしてるものの付き合ってくれた。


 二人でマミの教室の前まで行くが、そこに姿はなかった。

 ……何かまずい予感がする。どうして美国が今になって渋ってた行動を起こしたのか。

 それってつまり、渋る要因がなくなったってことだ。


 暁美にも連絡しないと。



キリカ「どうかしたの?」


 マミが来てないことを確かめて、暁美にメールを送ったところでキリカが聞いてきた。

 キリカにも少しは事情を話したほうがいいかもしれない。でも、どこまで。



1美国がおそらくこの学校の生徒を狙ってる、ということだけ
2ソウルジェムの真実から全部話す
3自由安価

 下2レス

あ、途中送信・・・

キリカ、今は混乱すると思うけど私も昨日から同じよ。
だからよく聞いて。とにかく生きる事を考えましょう、一緒にね。
魔女になっててしぬのも交通事故で死ぬのも一緒よ、人間どうせいつかは死ぬんだから。
ならせいぜい足掻いていきましょう!あんたもまだ沢山甘いもの食べたいでしょ?

安価↓



 ……ソウルジェムの真実から今の状況を全部話した。

 かなり時間が経ったようだ。話し終えたところでチャイムが鳴る。


小巻「……いきなりこんなこと言われても困るわよね。混乱するわよね」

小巻「でもそれはあたしも同じよ。今は生きることを考えればいいの。やりたいことだってまだあるんだし……キリカも甘い物食べるとかさ」

キリカ「う、うん…… でもなんかまだ突然すぎてちょっと」

小巻「戻りましょうか……」


 二人で教室に戻った。

 いつものようにホームルームで担任の話を聞く。小糸も今は家にいるだろうし、後で連絡をしておこうか――。


 ホームルームの途中で、先生の声を遮るようにスピーカーから緊急の放送が流れた。


 『全校集会』を開くそうだ。至急体育館に集まって欲しいらしい。



小巻(嘘、これってまさか…………)



 遅かった。今まで何にどうやって阻まれてて、どう解決したのかは知らないけど、こうして行動に起こしたってことはもう準備は整っていたんだ。


 みんなと一緒に場所を移動すると、学校には警察の人まで来ていた。

 そしてついに校内で生徒の死体が発見されたと校長の口から聞かされることになる。


 体育館を見回してみれば、ひときわ目立つ違う色の制服――美国が何食わぬ顔をして生徒の中に混じっていた。


-------------------------------
今回更新はここまで  …はい、多分もう終盤ですがルート分岐しました。
今回QBにもばれてなく協力者は万全なうえ戦力も高いので、騒ぎ起こしたり捨て身のようなことをせずともこっそり暗殺できちゃうんですね

次回は6日(土)19時くらいからの予定

――――――



 リボンで括られた手の先に掴む銃は弾切れ。その身体にはいくつも糸とリボンがつなげられていた。

 暁美ほむらは、それでもその瞳に湛える鋭さだけは衰えなかった。


 しかしそれを聞いた瞬間、その光もついに失われる。


マミ「私の仲間が鹿目まどかを殺したそうよ」

ほむら「……嘘。どうせ嘘よ!」

マミ「私の役目は足止めだけ。あいにくと、すぐにバレる嘘をつく必要もないの」

マミ「あなたはキュゥべえからも鹿目さんを守っていた。でも貴女を放っておくことは世界を滅ぼすことにつながる」

マミ「そうしたら、私のせいだもの。やっぱり私にはそんなことはできないわ」

ほむら「さっきから何を言っているの。私はそんなことをしたいわけじゃない! 私はただ……」

マミ「したくなくても、そうなっているの。鹿目さんの素質は世界を滅ぼすのだから」

マミ「いったいどうしてこうなったの? 貴女はこれからどうするつもりなの?」

ほむら「――――……」




マミ「これからも同じことをまだ続けるのだとしたら、それを許しておくことはできない」




――――――



 全校生徒がざわめく中、この日はすぐに下校となった。

 捜査のために一般生徒は校内も立入禁止だ。今のところは死因について、詳しいことは何ひとつ話されることはなかった。

 発見されたのは監視カメラもない廊下の隅。証拠らしい証拠も残っていないのかもしれない。


 でも、あたしにはもうわかっていた。


小巻「……あんたがやったんでしょ?」


 美国の背中に言葉を投げかける。

 すると足を止めて振り返った。


織莉子「ええ、そうよ」


 そして、あっさりと認めた。


織莉子「これで世界は救われたの。今ここにいる人たちみんなが助かったわ。それでも貴女は私のことを責めたいの?」

小巻「アンタのやったことが正しいとは思わないけど、そのことはもういいわよ。結局まだアンタと違う方法ってのも思いつけてなかったしね」

小巻「でも責めたいことならたくさんあるわ! あたしももうアンタから逃げるなんてしない!」

織莉子「そう」

小巻「来なさい! 今度こそ決着をつけてやる……!」



 “少女”のことは世界まで関わるような壮大な話だ。

 でもここからのことは、あたしとコイツだけの問題だ。誰も巻き込まなくていい。



 ――――場所を移す。人気のあるところを離れて、二人きり。


小巻「もう遠慮なんてしなくていいのよ。今日は本気でくるアンタをぶっ倒してやるんだから。じゃないと面白くないしね」

小巻「アンタの本性なんてもう知ってるんだから」

織莉子「いいでしょう。この間の続きをしてあげる……!」



 今度こそ汚い不意打ちもなし。どちらも戦闘態勢に入った。



小巻 魔力[100/100]  状態:動揺
GS:1個
・落書き[40/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


敵:美国織莉子


1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2両斧斬撃 :近接武器戦闘・両斧(魔力-5/1ターン)単純に手数を二倍にする。相当なパワーが必要になるため、長くは使えない。
3投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
4ガード(魔力-3~5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
5バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】

 下2レス



織莉子「後悔してももう遅い!」

小巻「そっちこそ!」


 叫び声。それと同時に迸る魔力、攻撃。


小巻「っ……!」


 この前よりも魔力の込められた水晶は半端なガードでは破られかねない。

 前方から広範囲に打ち付けられる攻撃に、大きな盾を構えた。


 出し惜しみなしの全力だ。確かに魔力をふんだんに使えるってのはでかい。


小巻「そうやって、最初から怒ってればよかったのよ」

小巻「ずっと澄ましてたけどアンタも内心はずっと怒ってたんでしょ?」

小巻「当然よね? ムカつくようなこと散々言われてるんだもの。それでムカつかないわけないものね」

織莉子「何が言いたいの?」


 力強く斧を振り上げる。


小巻「アンタだってあたしと同じで大人なんかじゃなかったってことよ!」

織莉子「一緒にしないで! 誰が貴女なんかと!」

小巻「そうね、じゃあまともな怒り方も知らないで育った厄介な子供ね!」



 下1レスコンマ判定 戦況
0~(劣勢) < 99(優勢)

+一桁0クリティカル(相手魔法効果:優勢時のクリティカル無効)
+補正 自[格闘Lv3]*3
+補正 相手[魔力コントロールLv1]*-3
+補正 心理状態-5

55


 刃が力強く地面を削った。

 今度こそ、刃はちゃんとその姿を捉えていた。でも躱される。


 たとえこっちの準備が万全だったとしても、相手には魔法がある。攻撃が予測されてるんだから。


小巻(長引かせちゃいけない!)


 力を緩めずに斧を振るって水晶を砕き、食らいつくように近付こうとする。

 しかし一定の距離を保ったまま攻防が続き、届くことはなかった。


 呼吸が乱れはじめている。盾を構えて守りの体勢を取り、いったん息を整える。


織莉子「無茶な動きをするじゃない。重いもの振り回して。諦めてしまえば楽になれるわよ?」


 まだ余裕綽々の様子だ。武器や魔法の違いもせいもあるが、あたしとは対照的に最小限の動きしかしてない。

 もっとも、軟弱そうなコイツに心配されることなんてないけど。


小巻「アンタはこれからどうする気? 人を殺して、世界を救って。で、その救世主様は今はこんなところで怒りを撒き散らしてる」

小巻「全然満足そうに見えない。それとも、あたしと小糸を殺せば満足するのかしら?」

織莉子「そうよ。私の目標は達成できた。あとは貴女達を殺せれば満足だわ」


 どこまで本当なんだか。あたしの心配はたしかに見当違いだった。

 でも、理由は違っても、あの日上の空になるほど悩んでたことは変えようもない事実だった。



小巻 魔力[90/100]  状態:動揺
GS:1個
・落書き[40/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


敵:美国織莉子


1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2両斧斬撃 :近接武器戦闘・両斧(魔力-5/1ターン)単純に手数を二倍にする。相当なパワーが必要になるため、長くは使えない。
3投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
4ガード(魔力-3~5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
5バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】

 下2レス

守りの姿勢(50固定)


 隙を作らないように攻撃を耐える。

 動いたらそのぶん隙ができる。あたしはまだ守りの体勢をとけないでいた。


 でもこれじゃ、相手の隙もできない。

 このままの状態が続けば魔力の差でこっちが押し負ける。

 向こうの動き方がどうでも、あたしとコイツじゃ戦い方が違う。あたしが読み合いで勝てることなんてないのだから。



小巻 魔力[85/100]  状態:動揺
GS:1個
・落書き[40/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


敵:美国織莉子


1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2両斧斬撃 :近接武器戦闘・両斧(魔力-5/1ターン)単純に手数を二倍にする。相当なパワーが必要になるため、長くは使えない。
3投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
4ガード(魔力-3~5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
5バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】

 下2レス

あまり良い案が思いつかなかったので安価
--------------------------------------


1盾を構えたまま突撃
2他になんか戦術(自由安価)
3普通にコンマ判定する

 下2レス



 準備万端かって言われたら完璧じゃない。でももう覚悟は決めた。こんなところで二の足踏んでるわけにはいかない。


 いちかばちか、盾を構えたまま突撃してみた。

 ……ダメだ。斧を振るうよりもリーチがないんじゃ届かない。

 ただでさえ手の内は丸見えなんだから、小手先の工夫じゃ通用しないんだろう。



 結局のところ、あたしはあたしの戦い方を活かすしかないわけだ。



 盾もあるけどちょっとくらいの怪我は気合で耐える。

 あたしはもう、この身体に命がないことを知ってる。美国のほうは既にその覚悟をしているはずだ。



 下1レスコンマ判定 戦況
0~(劣勢) < 99(優勢)

・そろそろ拮抗以下だとまずいかも…

+一桁0クリティカル(相手魔法効果:優勢時のクリティカル無効)
+補正 自[格闘Lv3]*3
+補正 相手[魔力コントロールLv1]*-3
+補正 心理状態-5

-------------------------------------------------------
あ、相手クリット…今回は運が悪かったということでまた次に戦闘やり直しですね(白目)
次回は7日(日)19時くらいからの予定

21(劣勢:相手クリティカル)


 力を込めて勢いをつけて、叩き込みに行く。

 相手のペースに飲まれてちゃいけない。どうせここで踏ん張らなければ疲弊する一方だ。


 向こうも本気なら、こっちも全力をぶつけよう。大事なものを守るために。


小巻「……さぞ迷惑だったんでしょうね。あたしのやってきたことはアンタからすれば邪魔なことばかりだった」

織莉子「やっと理解したの?」

小巻「これがアンタのやりたかったことなのよね? そのためにずっと悩んで、殺して……!」


 避けられては、すかさず踏み込む。飛んでくる水晶は見極めて防ぐ。

 魔力と魔力がぶつかり合って火花を散らす。


 でも、コイツがこうまでして守りたいものって、ただの意地? プライド? ――そう思うと、悔しさがこみ上げた。


 その悔しさは、自分に対してもだった。

 美国のこと気にしておきながら、あたしも意地を張っていた。


小巻「アンタの気持ちなんかあたしが知るはずもなかったけど!」

織莉子「どうせわからないわよ。貴女には」


 冷たく、諦めたような口調で突き放される。

 少し前までのあたしじゃ聞いたところで理解しようとすることもできなかったかもしれない。


 それでも。



 決着は近づいている。



 知ってたって避け続けられるわけじゃないし、逃げ続けられる場所も無限にあるわけじゃない。

 迫り続け、少しずつ後退していった先のその背には壁が近づいている。


 もう迷わない。最後まで全力で斧を振り抜いた。



小巻「ッ……――――!!」



 ――――あたしの刃が届くことはなかった。奇妙に力が抜ける感覚がして、倒れ込んだ。

 まだ言ってやりたいことがあったのに。



*どこからコンティニューする?*

>>637(戦闘開始)
>>653(戦況:拮抗)
>>656(戦況:拮抗、最後の安価)

 下2レス

------------------------
 やり直し >>656
------------------------
守りの姿勢(50固定)


 隙を作らないように攻撃を耐える。

 動いたらそのぶん隙ができる。あたしはまだ守りの体勢をとけないでいた。


 でもこれじゃ、相手の隙もできない。

 このままの状態が続けば魔力の差でこっちが押し負ける。

 向こうの動き方がどうでも、あたしとコイツじゃ戦い方が違う。あたしが読み合いで勝てることなんてないのだから。



小巻 魔力[85/100]  状態:動揺
GS:1個
・落書き[40/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


敵:美国織莉子


1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2両斧斬撃 :近接武器戦闘・両斧(魔力-5/1ターン)単純に手数を二倍にする。相当なパワーが必要になるため、長くは使えない。
3投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
4ガード(魔力-3~5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
5バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】

 下2レス



 準備万端かって言われたら完璧じゃない。でももう覚悟は決めた。こんなところで二の足踏んでるわけにはいかない。


 いちかばちか、盾を構えたまま突撃してみた。

 ……ダメだ。斧を振るうよりもリーチがないんじゃ届かない。

 ただでさえ手の内は丸見えなんだから、小手先の工夫じゃ通用しないんだろう。



 結局のところ、あたしはあたしの戦い方を活かすしかないわけだ。



 盾もあるけどちょっとくらいの怪我は気合で耐える。

 あたしはもう、この身体に命がないことを知ってる。美国のほうは既にその覚悟をしているはずだ。



 下1レスコンマ判定 戦況
0~(劣勢) < 99(優勢)

・そろそろ拮抗以下だとまずいかも…

+一桁0クリティカル(相手魔法効果:優勢時のクリティカル無効)
+補正 自[格闘Lv3]*3
+補正 相手[魔力コントロールLv1]*-3
+補正 心理状態-5

68


 力を込めて勢いをつけて、叩き込みに行く。

 相手のペースに飲まれてちゃいけない。どうせここで踏ん張らなければ疲弊する一方だ。


 向こうも本気なら、こっちも全力をぶつけよう。大事なものを守るために。


小巻「……さぞ迷惑だったんでしょうね。あたしのやってきたことはアンタからすれば邪魔なことばかりだった」

織莉子「やっと理解したの?」

小巻「これがアンタのやりたかったことなのよね? そのためにずっと悩んで、殺して……!」


 避けられては、すかさず踏み込む。飛んでくる水晶は見極めて防ぐ。

 魔力と魔力がぶつかり合って火花を散らす。


 でも、コイツがこうまでして守りたいものって、ただの意地? プライド? ――そう思うと、悔しさがこみ上げた。


 その悔しさは、自分に対してもだった。

 美国のこと気にしておきながら、あたしも意地を張っていた。


小巻「アンタの気持ちなんかあたしが知るはずもなかったけど!」

織莉子「どうせわからないわよ。貴女には」


 冷たく、諦めたような口調で突き放される。

 少し前までのあたしじゃ聞いたところで理解しようとすることもできなかったかもしれない。


 それでも。



小巻 魔力[80/100]  状態:動揺
GS:1個
・落書き[40/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


敵:美国織莉子


1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2両斧斬撃 :近接武器戦闘・両斧(魔力-5/1ターン)単純に手数を二倍にする。相当なパワーが必要になるため、長くは使えない。
3投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
4ガード(魔力-3~5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
5バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】

 下2レス






 下1レスコンマ判定 戦況
勝敗結果決定:75

+一桁0クリティカル(相手魔法効果:優勢時のクリティカル無効)
+補正 自[格闘Lv3]*3
+補正 相手[魔力コントロールLv1]*-3
+補正 心理状態-5

73(拮抗継続→粘り負け)



 ……。


 もう迷わない。あたしは最後まで全力で振り抜いていた。でも攻める隙が見つからなかった。

 きっと相手だってそうだった。……結構やれてたと思ってたのに、魔力がなくなってくると身体までうまく動かなくなってくる。


 これ以上は続けられない。


小巻「……残念だわ。こんなことになるなんてね」

織莉子「もう負けを認めるの?」

小巻「もう魔力ないし」

織莉子「そのようね」

小巻「あたしは魔女にはならないから。まあでも、言いたいことは言えたわ。どのみちどっちかは死ぬんだものね。その前に」

織莉子「……」



 せっかく勝てたというのに、あたしの言葉を聞いた織莉子はとても不満足そうな顔をしていた。



*どこからコンティニューする?*

>>637(戦闘開始)
>>653(戦況:拮抗)
>>656(戦況:拮抗2)
>>677(戦況:決め手不足)

 下2レス

------------------------------
 やり直し>>677
------------------------------
68


 力を込めて勢いをつけて、叩き込みに行く。

 相手のペースに飲まれてちゃいけない。どうせここで踏ん張らなければ疲弊する一方だ。


 向こうも本気なら、こっちも全力をぶつけよう。大事なものを守るために。


小巻「……さぞ迷惑だったんでしょうね。あたしのやってきたことはアンタからすれば邪魔なことばかりだった」

織莉子「やっと理解したの?」

小巻「これがアンタのやりたかったことなのよね? そのためにずっと悩んで、殺して……!」


 避けられては、すかさず踏み込む。飛んでくる水晶は見極めて防ぐ。

 魔力と魔力がぶつかり合って火花を散らす。


 でも、コイツがこうまでして守りたいものって、ただの意地? プライド? ――そう思うと、悔しさがこみ上げた。


 その悔しさは、自分に対してもだった。

 美国のこと気にしておきながら、あたしも意地を張っていた。


小巻「アンタの気持ちなんかあたしが知るはずもなかったけど!」

織莉子「どうせわからないわよ。貴女には」


 冷たく、諦めたような口調で突き放される。

 少し前までのあたしじゃ聞いたところで理解しようとすることもできなかったかもしれない。


 それでも。



小巻 魔力[80/100]  状態:動揺
GS:1個
・落書き[40/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


敵:美国織莉子


1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2両斧斬撃 :近接武器戦闘・両斧(魔力-5/1ターン)単純に手数を二倍にする。相当なパワーが必要になるため、長くは使えない。
3投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
4ガード(魔力-3~5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
5バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】

 下2レス

勝利の秘訣はコンマとかいう見も蓋もない答えになりますね
短期決戦なので戦い始めのほうで良いコンマ出すのと、手数二倍は補正良くなりますが、戦力は大差ないので結局は運です
もう敗北パターン書ききってネタもないのでコンマ結果はダメでも通しますが、多少描写に関わるので一応判定やります
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 下1レスコンマ判定 戦況
勝敗結果決定:75

+一桁0クリティカル(相手魔法効果:優勢時のクリティカル無効)
+補正 自[格闘Lv3]*3*2
+補正 相手[魔力コントロールLv1]*-3
+補正 心理状態-5

87


 決着は近づいている。



 知ってたって避け続けられるわけじゃないし、逃げ続けられる場所も無限にあるわけじゃない。

 迫り続け、少しずつ後退していった先のその背には壁が近づいている。


 もう迷わない。最後まで全力で斧を振り抜いた。


小巻「……今になって思うのよ」

小巻「マミじゃなくてあたしがアンタと友達になってやるって言ってれば、こうはならなかったんじゃないかって」


 ――――血が滴り落ちていく。両手に持った斧の先から。『斬りつけたもの』から。

 今まで魔女を両断してきた斧が、はじめて違うものを裂いた。

 それでもあたしたちはまだ死なない。だからまだ握りしめて、もう一度振るう。


 あたしがつけたかった決着ってのは、殺すことだけじゃない。ごまかしてばっかだったコイツと今度こそちゃんと話すため。

 最後に言っておきたかった、あたしの後悔の言葉とともに。


織莉子「そんなの……」

小巻「変わらないかしら? 案外友達になれたかもしれないわよ」

小巻「どうせアンタのことだから、誰かにこんなに全力で怒りをぶつけたのだって、あたしがはじめてなんでしょ?」


小巻「織莉子」


 今度こそ、胸についた宝石を砕いてやった。

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今回更新はここまで
ストーリー的には勝利確定なんですが、主人公補正すら砕くのがコンマということで…

次回は9日(火)20時くらいからの予定




 死闘の末、すべてが終わった。あれだけ必死に戦っていたけど最後はあっけなく思えた。

 織莉子との決着はついた。そして、“少女”はすでに死んでいる。


小巻「……覚悟はしてたつもりだったけど、まだ動揺してるわね」


 疲労感が押し寄せてきて帰宅しようとする。

 小糸にも無事勝ってきたって、顔みせてあげないと。


 今日だけでも色々あったけど、やり残したことはもうないだろうか?



1マミに連絡を取る
2キリカに連絡を取る
3キュゥべえと話す
4まっすぐ帰ろう
5自由安価

 下2レス



 結局マミとは会ってない。今、何してるのかな。

 携帯に手を伸ばす。こっちからの報告も兼ねて。


マミ『……浅古さん。どうしたの?』


 マミは電話には出た。まずは声を聞けて安心した。


小巻「織莉子を倒してきたわ」

マミ『……』

小巻「マミのほうこそ今どうしてるのよ。朝は学校にいなかったじゃない」

マミ『今? 今は何もしてないわよ。学校、今日はお休みになったそうね』

小巻「へえ……後で知ったのね、それ」


 言い方からしてそうだ。マミはあのとき学校には来ていなかった。

 “少女”の死が公にわかって学校内の閉鎖が決まった時にも。


 暁美からの反応も何もない。

 “守る存在”――暁美を押さえて対処したのはマミだろう。


小巻「これからどうすんの?」

マミ『これからも別に何もしないわよ。せっかくの休みだけど、今は何をする気分でもないの』

小巻「消えてなくなろうとか考えてんじゃないわよね?」




 待ってみてもマミからの返事はなかった。……代わりに沈黙が答えていた。



小巻「言っておくけどね、アンタが死んだところで何も解決しないわよ。それにあたしはまだ友達だと思ってるから」

マミ「……そんなことを言わないで。もう疲れちゃったわ。希望を持って生きていけるわけがないの」

小巻「あたしも疲れたわ。小糸は守れたけど色々ありすぎたし、誰か死ぬとか殺すとかもうたくさんよ」

小巻「あたしをさらに疲れさせる気?」


 本心からの言葉だった。でもこれもあたしのエゴなのかもしれない。

 キリカにも中途半端に事情を話しちゃったままだから連絡をしたけれど、そっちも元気がなさそうな声してた。



 今は疲れたって、時間が経てば少しずつでも回復する。きっと。それまで生きていれば。



小糸「お姉ちゃんおかえり!」


 家に帰ると小糸が迎えてくれた。明日からはパトロールも再開しないといけない。

 今日はもうゆっくり休もう。



―30日目終了―



小巻 魔力[100/100]  状態:動揺
GS:1個
・落書き[10/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]

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今回更新はここまで
次回は12日(金)20時くらいからの予定

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あすみとかだったら間違いなく回収してますが、
小巻には自分の殺した死体漁るのは心理的ハードルが高いかな…

――――――
31日目



 もう小糸も学校に行けない理由はなくなって、昨日までとは逆に見送る朝が戻ってきた。

 それでも日常は完全に戻ったわけじゃない。

 受け入れるしかないあたしたちの真実。覆ることのない出来事。身近に起きた死と事件の匂いのせいか、学校内の空気も心なしか重い。



 マミは今日も学校には来なかった。



小巻「あれって……」


 学校を出てから少し歩いたところで、見覚えのある姿があった。

 佐倉。ついこの間街外れのほうで見たばっかりだけど、あれからこんなに早くこっちで会うとは思わなかった。


小巻「何しにきたのよ。この前はあんなこと言ってたくせに」


 そう言いつつも、心当たりはあった。

 もうこっちに来ないと決めてた佐倉が考えを曲げる理由があるとしたら一つだけだ。


杏子「キュゥべえのやつが妙な伝言よこしてきやがったんだよ。……いや、正確にはマミだけど」


 苛立ったような困惑したような、納得いかない様相をしている。

 そんな佐倉を小さな姿が見上げている。


ゆま「マミは『なかなおりしたい』ってゆってたんだよね?」

杏子「それが意味わかんないんだよ! 今になっていきなり。アンタなんか知らない?」

小巻「……」


 少し、言い淀んだ。



 言いづらい話だ。長くもなる。それに知った後の仲間のあんな反応を見たら。

 そもそも考えてみれば、今あたしの口から話す必要なんてない。……あたしだってマミのこと気になってたんだから。


 もしかしたら、その『仲直り』がマミを立ち直らせてくれるかもしれない。


小巻「本人と話してみればいいじゃない。そのためにここまできたんでしょ」

杏子「そりゃそうだけど」

小巻「じゃあウジウジしてないで会いに行けば?」

ゆま「キョーコ、がんばって!」

杏子「そもそも『仲直り』とは一言も――」


 佐倉が言いかけた時、小さな影がふわりとその場に表れた。


QB「やあ。今日はこっちに来てるんだね。杏子、ゆま」


 無機質な声がいつもの調子で響く。

 こいつに隠されてたことを知ってからは、なんでもない挨拶さえ癇に障るようになった。


小巻「……アンタはなんなの」

QB「少し聞きたいことがあるんだ。織莉子を殺したのは君ではないよね?」


 その言葉に動揺を突かれる。昨日の今日だ。思い出したくない感覚まで蘇る。


小巻「だったらどうするの」

QB「キミはなにかと彼女を気にかけてたから、なにか喧嘩でもあったのか不思議に思うね」


 でも同時に、最後まで事情はバレずに済んだのだと思った。



QB「それで、その返答は小巻がそうしたと捉えてもいいのかな」

小巻「……そうよ。アイツとはもう本当に最悪な、すっごい拗らせた喧嘩をしたのよ」

QB「そうなんだね。それは……」


 まだ何かあるのか。そう思っていると、キュゥべえは少しだけ核心に迫るような事件についても言及する。


QB「昨日君の学校で、『まどか』が死んだことと関係はあるのかい?」

小巻「誰、それ」

QB「知らないならいいんだ」


 知らない名前。その反応に嘘はない。けど、誰の名前かはわかる。

 でも、どのみちもうそのことについてあたしは何もできないんだから。


小巻「ねえ、織莉子は――……死んだのよね。もう、目を覚ますなんてないくらい確実に」

QB「それは確認かい? それとも後悔ってやつかな」

QB「君が殺したのなら、確実に死んでいることもわかるはずだよ。それこそ誰かが奇跡でも祈らない限りね」


 気づいたら尋ねてた。

 そりゃ生きてても困るけど、なんとなくふとした瞬間にその実感がなくなって。


小巻「アンタに言われなくたって、アイツのことで後悔ならずっとしてるのよ!」




 ――――キュゥべえは聞きたいことは聞けたとばかりに去っていった。



杏子「おい、殺したって、あたしの知らない間に何が起きてるんだよ!?」

ゆま「そうだよ。どうして……っ」


 蚊帳の外だった二人があたしに迫る。

 そういえばこの二人も織莉子とは因縁があったんだ。


小巻「……そのこともマミとちゃんと話すなら話してあげるわよ。ここで話すわけにはいかないから」


 どこまで話したほうがいいのかはわからない。全部話すことになるかもしれない。

 何も知らないままで終わっても納得なんてできないだろうから。

 あたしには具体的に織莉子が何やってきたのかまでは知らないけど、目的がわかれば推測することはできる。マミならもう少し知ってるかもしれない。


 三人でマミの家に向かう。


 しかし、そこで知ったのは――――。


 いつのまにか、マミが自ら死を選んでいたことだった。

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今回更新はここまで
次回は13日(土)18時くらいからの予定



 ――生きていれば。生きてさえいれば、いつかは解決できるはずだと思ってたのに。

 マミはそこまで耐えられなかった。あたしが思うよりも早くに、マミは自分の未来に決断を下してしまった。



 呼んでも返事はなかったが、代わりに扉の鍵もかかってなかった。

 マミはテーブルに頭を乗せてうたた寝でもするように目を閉じていた。

 死んだとわかったのは、傍らに手紙があることと、それと、ソウルジェムの割れた欠片が散らばっていたこと。


杏子「……おい、なんだよこれ! なんなんだよ!!」


 佐倉が手紙を拾い上げて怒鳴る。

 そこにはあたしたちへの謝罪と、魔女になることへの恐怖が綴られていた。だから、その前に――と。


 あたしたちの心と命はソウルジェムという形になって目に見える。

 この宿命が、あたしたちが平穏を取り戻すことすらどこまでも阻んでくる。怒りが沸いた。キュゥべえはこの結末もすでに知っていたのだろうか。



 結局、あたしの口から全てを話した。



 佐倉とゆま、キリカ。真実を知った人はみんな、いつかはこうなってしまうんだろうか。

 そう思うと、言い知れぬ恐怖が纏わりついて離れない。


 まるでマミが幽霊になってここにいるかのように。あたしにとって死は身近な存在になってしまった。


 みんな、強くないから。あたしが思ってるよりも簡単に傷ついて、間違って、耐えられなくなってしまうから。


 あたしはみんなとは違う? あたしだけは強いっていうの? 本当に?




小巻「……ただいま」


 マミの家を出る頃にはもうすっかり時間が経っていた。

 結局、今日決めてた予定も中止だ。やらなくちゃいけないのはわかるけど今日もそんな気分じゃない。


小糸「どうかしたの?」

小巻「何が?」

小糸「なんか元気なさそうにしてるな、って」


 小糸にも感づかれてたらしい。隠し事がうまいほうじゃないのはわかってたけど。


小糸「大丈夫! パトロールは私一人でもできるし!」

小巻「小糸……」



 みんなが穏やかに過ごせる日が戻るのはまだ遠そうだった。それに、一人はすでに失ってしまった。



小巻「心配しすぎよ。その時はあたしもついてくわよ」


 それでも、せめてこれ以上失いたくなかった。



 ――――その夜、世界に小さな異変が起きた。

 覆るはずのないものを何かが無理やり変えたかのような、そんな異変。違和。


 それは小さいけれど、世界を変えるほどの『奇跡』。

 どこかの場所で、獣と少女が向かい合っていた。



QB「君の願いは確かに叶ったよ」

「よかった……っ! ホントよかったよ……!」


 泣き崩れた少女の頬を伝う水滴を、“もう一人の少女”が指でやさしく拭った。



 『それこそ誰かが奇跡でも祈らない限りね』――言い換えれば、奇跡があれば人は蘇る。


 皮肉にも彼女を殺した人にはそれを願い叶えられる人は居なくて、彼女に殺された少女には居た。

 それだけの話だった。



―END①―

続きこないなぁ・・・

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一区切りついたのでちょっと間空けてましたが、休日には次回やると思います
次は「30日目」からやりなおして別ルートになりますね

ちなみに、このルートはここで終わりなのでその後の結果は割愛してますが、
すでにまどかの死が公に知られすぎてるので、蘇生というよりは死んだことをなかったことにしたみたいな願いを想定してたりします
願いにリソースを取られてほむらのように攻撃手段もなくなってるかもしれません
とはいえ、シリーズ見てもわかるように、完全に死者を復活させるのはどれほど強い力をもってしても難しい…とだけ
まあ蘇生と一口に言っても色々手段もありますし、QBに知られた時点であの手この手を考えないわけがないんですよね

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30日目からやりなおし
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――――
――――


小巻「アンタ……まさかとは思うけど、この前のこと忘れたとか言わないわよね」

織莉子「ええ、覚えてるわよ」


 怒気をにじませる。

 何も知らなかったときからすればあたしの思い通りになったはずだけど、こんなんじゃ納得がいかない。


織莉子「……でも今ここで戦うわけにはいかないでしょう? 教室へお行きになったら?」


 美国はあたしの怒りを手慣れたようにふわりと躱す。しかしもう怒りの気配すら隠さなくなっていた。


 何考えてるんだかわからないけど、どうやら心の準備をする暇すらくれなかったらしい。

 コイツとは今度こそ、殺してでも正面から向き合って決着つけてやるって決めてた。


 ……それをこんなわけのわからない鉢合わせ方して、普段どおりに教室に行けって?



1逃げる気なの?
2放課後は待ってなさい
3アンタの考えてたことはもう知ってるのよ
4自由安価

 下2レス

行動指定するのはいいんですが、一応会話中なのでセリフとして使えるものがないと無視したことになります。
あと小巻自身が認識してないことは目的を考えるのに時間がかかります。これも会話の後の行動になるので…。
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小巻(意味わかんない)


 キッと睨む。美国もそんなことじゃ怯まない。何考えてるのか。

 いつもだったら嫌味の一つくらい返してるとこだけど、あたしが何も言わないのを見ると美国は立ち去ろうとする。


織莉子「無視するつもりならそれでも構わないわよ。いつまでもそこにいなさい」


 去り際、すれ違いざまに鋭い視線を感じた。


織莉子「それと、マミに余計なことを吹き込んで惑わせないで。マミは私の友達よ」


 怯むどころか睨み返してきていた。本当、思ったより図太いっていうかひねくれてるっていうか。

 ……どっちのセリフだ。


小巻「アンタはどこへ行くのよ」

織莉子「貴女に関係があるの?」

小巻「……そうね。転入初日にやることならあたしももう知ってるわよ」


 モヤモヤとした気持ちのまま美国の姿を見送る。

 何してるんだろう。朝から調子を狂わされる。



 なんで美国は今更。内心煮えたぎってるくせに余裕ぶった態度してるし。

 ……昨日言ってた人たちを狙って?


 マミの話を聞いてから“少女”と“守る存在”とやらのことは考えたなかったわけじゃない。

 あたしたち以外の魔法少女っていったら一人しか浮かばない。



 急いで暁美の教室に向かった。



小巻(いない!)


 そこには暁美の姿はなかった。

 たしか、前にここに来た時、暁美はクラスメイトとだけは楽しそうにしていた。

 あの時一緒にいたのはどんなヤツだったかを思い出そうとしながら、教室の中を見ていると、空色の髪の女子生徒がこっちに来た。


 ……見覚えがある気がする。


「何か用ですか?」

小巻「このクラスの暁美ほむらって知ってるわよね。アンタ、そいつと仲いい?」

「まあ、あたしはよく一緒にいますけど」


 コイツが暁美の守りたかった人?


小巻「他には? 仲いい人っていないの?」

「……失礼かもしれませんけど、なんでそんなことを?」


 少し怪訝に思われてるのが伝わってくる。どうしよう。

 コイツだけでもなんとかしようか?



1この女性生徒をつれて屋上に行く
2暁美と仲の良い人が危ないかもしれない、と話す
3自由安価
4一つ前の選択肢に戻る

 下2レス

【一つ前の選択肢に戻る】
一度エンドは見てるので、快適性重視でいきたいと思ってます
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――――
――――



織莉子「……でも今ここで戦うわけにはいかないでしょう? 教室へお行きになったら?」


 美国はあたしの怒りを手慣れたようにふわりと躱す。しかしもう怒りの気配すら隠さなくなっていた。


 何考えてるんだかわからないけど、どうやら心の準備をする暇すらくれなかったらしい。

 コイツとは今度こそ、殺してでも正面から向き合って決着つけてやるって決めてた。


 ……それをこんなわけのわからない鉢合わせ方して、普段どおりに教室に行けって?


小巻「逃げる気なの?」

織莉子「どうしても私の前に立ちふさがりたいの?」

小巻「……」


 相手の思惑がわからないから、睨みだけを向ける。それで怯むようなヤツでもないことはもうわかってる。

 すると、美国はイラついたようにため息を吐き捨てる。まだ静かではあるが美国の語調が怒気を孕んでいくのを感じた。


織莉子「そうやって、いつも貴女は私の邪魔をする……」


 美国が漏らした言葉の意味を考える。ろくでもないことを実行しようとしてたのはわかった。

 尚更ここでコイツを逃しちゃいけない。今、あたしの前に居る間に押さえなきゃ手遅れになる。


小巻「何か企んでるんでしょ? いえ、目的はもうわかるわ。“世界を滅ぼす存在”ってやつがこの学校にいるの?」

小巻「そこに行く気なら、行かせるわけにはいかない」

織莉子「貴女は何故全てをわかっておきながら“魔女”の味方をするの。それに、マミに余計なことを吹き込んで惑わせないで。マミは私の友達よ」

小巻「どっちのセリフよ!」


 カッときて、人目も憚らず怒鳴った。

 何が正しいかじゃない。美国のやったことのせいでマミは苦しんでる。やりたくもないことをやらなきゃいけないって思いつめて、そのせいで他の選択肢すら考えられなくなってる。

 魔女のことも世界滅亡のことも何も知らなければあんなふうに苦しむことはなかったのに。


 誰かは全部を知って考えなくちゃいけない。でも美国だけがそれを背負うべきとも思わないから、余計にこうなったのが悔しくなった。



小巻「場所を変えましょう。嫌だと言ってもついてきてもらうわ」

小巻「どのみちアンタとは戦わなきゃいけないって決まってたもの。アンタと決着をつけられて“殺人”も防げるなら一石二鳥だわ」

織莉子「でも本当にいいの? 今私を逃さないと後悔することになるでしょうね」

小巻「……いまさら命乞いでもする気?」

織莉子「まさか」


 美国はあたしの言葉を一笑に付す。

 それから、関係なさそうな調子で話し始めた。


織莉子「ところで、魔女の素体がこの学校にいるって推測は正解よ。当然近くに居るほうが狙いやすいわ。でも私がこの学校への転校を渋っていた理由は、守護者の事だけじゃないの」

織莉子「この学校にはすでに魔法少女がいる。守護者を排除できる目処が立つまでは、ギリギリまでインキュベーターの注目を集めるのは避けたかったから」

小巻「……そんなことあの時は考えもしなかったわ」

織莉子「そして、守護者は今いないわ。マミに足止めをしてもらっているの。この意味がわかる?」

織莉子「守護者は私からだけじゃなく契約からも守ってくれる存在だった。そのガードが外れている今、放っていればじきに契約してしまう」

織莉子「だからその前に今すぐ、私が除かなければならないの」

小巻「自分たちでやっといて、随分勝手な理由じゃない」

織莉子「ええ、そうだとしてもね。変わらないわ。戦ってあげる時間など無いの。わかったら、大人しく私に道を開けなさい」




1じゃあその前にとっとと決着をつけるしかないわね!
2契約されたら何かまずいわけ?
3自由安価

 下2レス

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今回更新はここまで
次回は29日(月)20時くらいからの予定



 ここまで言われて引き下がれるか!


小巻「じゃあその前にとっとと決着をつければいい話よ!」

織莉子「貴女、正気なの? それとも世界を滅ぼしたいの?」

小巻「アンタとは考え方が違うってだけ」

織莉子「ここまで言ってもわかってくれないなんて。やはり私達は何処まで行こうとも相容れない定めのようね」

小巻「……そうよ。アンタがそうする限り、相容れないわ」

織莉子「それなら、先に排除するしか無いわ。この世界の為に」


 ようやく場所を移す。最低限人目のつかない場所に。

 時間がないってのはあたしだってわかってる。



 長引かせずに倒す。――――いや、『殺す』。

 光が散る。ほぼ同時に衣装を身に纏った。そして、両手でしっかりと斧を構えて踏み込んだ。


小巻「覚悟しなさいッ!」


 前方からは珠が飛んでくる。今更互いに遠慮なんて必要ない。全力がぶつかり合った。



織莉子「私の邪魔をして貴女には何が出来るというの? どうせ何も出来ないのなら、安い正義を振りかざすな!」

小巻「『安い正義』?」


 この前からコイツが言ってることは一つだ。世界のため。正義のため。


小巻「それってアンタのことでしょ? 世界のためとか言って正当化してるけど、アンタのやってることは小悪党そのものよ」

織莉子「何とでも言えばいい。悪逆の道に居る事なんて理解ってる。それで世を救えるのなら安いものでしょう?」

小巻「それも例の父親に誇りたいからやってるの?」


 『父親』――その言葉を出した瞬間に、美国は更に怒りの形相を鋭くした。


小巻「この前も言ったけどね、ソイツはもう居ないのよ! 死んだヤツのこと勝手に決めつけて、生きてる人殺していい理由になんてなるか!」

織莉子「お前がお父様のことを口に出すなぁッ!!!」

小巻「っ!」


 ひときわに殺意と威力の籠もった珠が飛んでくる。そこからさらに、レーザーが四方八方に弾けて展開された。

 盾で受けるにもキツい猛攻だ。一歩引き下がらせられ、防御の間に合わなかった手足にレーザーに焼き切られた傷がつく。


 そうでなくともさっきから、相手は魔力を出し惜しみなしに使ってる。


小巻「やっぱずっと、内心じゃ怒ってたんじゃない。本当は人助けなんてしたくないんでしょ?」

小巻「そうやって、最初から怒ってればよかったのよ」

織莉子「何が言いたい!」


 なんとか体勢を直して、力強く斧を振り上げる。


小巻「ムカつくこと散々言われてたんだから、怒るのは当然よ。そこで発散してりゃよかったの!」

小巻「アンタだってあたしと同じで大人なんかじゃなかったってことよ!」

織莉子「一緒にしないで! 誰が貴女なんかと!」

小巻「そうね、じゃあまともな怒り方も知らないで育った厄介な子供ね! それで無関係な人殺すのまで正当化するんだから、本当に厄介よ!」



 美国は弾かれたように叫んだ。

 目的の根幹だ。美国からすれば過剰に反応してでも認めるわけにはいかないんだろう。認めたらここまでやってきた全てが崩れてしまう。


織莉子「黙りなさいッ! ……黙れッ! 撤回しろ!」

小巻「怒り慣れてないからかしらね? そういうの図星突かれた反応って言うのよ」


 美国は今まで抱いてきた怒りすら正当化して消してきたんだ。あたしの心配はたしかに見当違いだった。

 でも、あの日上の空になるほど悩んでたことは変えようもない事実だった。


 その根本的な理由は他にあって、完璧に理解することはあたしにはできない。どうしてこうなったかも、コイツのこと全部は知らないから。


小巻「……さぞ迷惑だったんでしょうね。あたしのやってきたことはアンタからすれば邪魔なことばかりだったでしょうね」

織莉子「わかったのなら退いて。こうしている時間なんて無いの」

小巻「これがアンタのやりたかったことなのよね? そのためにずっと悩んで、殺して……!」


 避けられては、すかさず踏み込む。飛んでくる水晶は見極めて防ぐ。

 魔力と魔力がぶつかり合って火花を散らす。


 でも、コイツがこうまでして守りたいものって、ただの意地? プライド? そう思うと、悔しさがこみ上げた。


 その悔しさは、自分に対してもだった。

 美国のこと気にしておきながら、あたしも意地を張っていた。


 理由を理解できていたのなら、『何か』は変わったかもしれない。


小巻「アンタの気持ちなんかあたしが知るはずもなかったけど!」

織莉子「どうせわからないわよ。貴女には。私達は相容れないのだから」


 冷たく、諦めたような口調で突き放される。

 少し前までのあたしじゃ聞いたところで理解しようとすることもできなかったかもしれない。


 それでも。



 感情のせいか、水晶の威力は変わらないものの次第に狙いは単調なものになっている。

 あたしのほうもそろそろ万全の動きじゃない。



 決着は近づいている。



 知ってたって避け続けられるわけじゃないし、逃げ続けられる場所も無限にあるわけじゃない。

 迫り続け、少しずつ後退していった先のその背には壁が近づいている。


 もう迷わない。最後まで全力で斧を振り抜いた。


小巻「『アンタがそうする限り』って、言ったでしょ?」

織莉子「は……」

小巻「……今になって思うのよ」

小巻「マミじゃなくてあたしがアンタと友達になってやるって言ってれば、こうはならなかったんじゃないかって」


 ――――血が滴り落ちていく。両手に持った斧の先から。『斬りつけたもの』から。

 今まで魔女を両断してきた斧が、はじめて違うものを裂いた。

 それでもあたしたちはまだ死なない。だからまだ握りしめて、もう一度振るう。


 あたしがつけたかった決着ってのは、殺すことだけじゃない。ごまかしてばっかだったコイツと今度こそちゃんと話すため。

 最後に言っておきたかった、あたしの後悔の言葉とともに。


織莉子「そんなの……」

小巻「変わらないかしら? 案外友達になれたかもしれないわよ」

小巻「どうせアンタのことだから、誰かにこんなに全力で怒りをぶつけたのだって、あたしがはじめてなんでしょ?」


小巻「織莉子」


 今度こそ、胸についた宝石を砕いてやった。



小巻「はぁ……っ」


 思わず気が抜けてその場にへたりこんだ。今まで気にならなかった疲労や痛みが一気に押し寄せてくる。

 戻ったときに心配されるだろうから治療だけはしておこう。


 ここは学校からそう離れてもない場所だ。今は人気がないけど、覗こうと思えばすぐに覗ける。


小巻「違う、まだ気を抜いてる場合じゃない……!」


 傷を直し終えると、もう一度気合を入れて立ち上がる。

 一人この場所を抜けていく。

 織莉子に最後に別れを告げて、もう見ないようにした。ここならきっと、誰かは見つけてくれるはず。



1暁美のクラスに行こう
2マミが暁美を足止めしてるって言ってたな
3自由安価

 下2レス

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今回更新はここまで
次回は1日(水)20時くらいからの予定



 携帯を取り出してキリカにコールする。

 あたしがここから学校に戻るまでには少し時間がかかる。事情を話してる暇はないけど、見てもらうだけでも。


キリカ『どこにいるの! もうホームルーム始まるよ? 今日休み?』

小巻「今はそれどころじゃないのよ! それより、すぐに今から言う教室を見てきてくれない!?」

キリカ『えー、なんでそんな……』

小巻「あたしも向かってるし、事情は後で話すから! 悪いんだけど今は何も聞かずに頼まれて!」


 ここまで言うと、キリカも腑に落ちない様子ではあったものの了承してくれた。


 これまで暁美に会いにいったときはあたしとマミだけだった。キリカはまだ暁美とも会ったことがないかもしれないし、教室も知らないはず。

 学年と組を伝えて、ひとまず電話を切る。


 ……気にしなきゃいけないのはそっちだけじゃない。マミが暁美を足止めしてるって言ってた。次はマミだ。


小巻(お願い、出て……!)


 学校に来る前に足止めしてるんだから暁美の通学路にいるんだろうけど、見当もつけられなきゃそんなの闇雲に探すなんてできない。

――――――
――――――



 リボンで括られた手の先に掴む銃は弾切れ。その身体にはいくつも糸とリボンがつなげられていた。

 マミが空中に浮かばせられたそれを無感情に眺める。


マミ「……」

ほむら「……」


 戦いの終わったこの場からは戦いの音も消え、沈黙が流れていた。

 それでも、暁美ほむらのその瞳に湛える鋭さだけは衰えることはなかった。


マミ(私には……やっぱりこうするしかない)

マミ(これが私にできることだから。協力すると言ったもの。美国さんが行動を起こすというのなら、今更断るのは世界を滅ぼすことにつながる)


マミ(そうしたら、私のせいだもの)


 のしかかる重さを感じながら、与えられた役割をこなす。責任感の強い性格もそれを手伝っていた。

 しかし捕らえられたままのほむらは、それ以上がないことを訝しみはじめる。


ほむら「……一体いつまでこうしているの」


 ほむらも元々口数が少ないほうではあるが、不自然な沈黙に痺れを切らしようやく口を開いた。

 しかし、マミのほうがまだ頑なに口を閉ざしていた。


 織莉子からの連絡を待つ。そして、携帯をとった。



マミ「……!」



――――――



小巻「マミ、今暁美のとこにいるんでしょ!? アンタが何をしてるかわかってるから!」

マミ『浅古さん……!? どうしてあなたが』

小巻「織莉子を倒したの」


 電話越しに短く息をのんだのが伝わってきた。


小巻「殺したのよ。あたしが」


 あたしのやったことについて、自分にも誰にもごまかすことはしない。

 アイツは魔女とは違う。


小巻「だからアンタも今すぐ学校にきなさい! 暁美も解放してやって」

マミ『そんなこと、今更……! きっとただで許してはくれないわ』

小巻「今更も何も、アンタとアイツの考えてた計画はもう潰えたのよ。あたしは殺しはしない」

小巻「そしたらこれから守ってくれる暁美がいないと困るのはあたしたちでしょ? そうする以外の選択肢があるっていうの?」

マミ『そうじゃなくて、私のことよ』


 電話の向こうから戦いの音は聞こえない。

 もう戦いは終わっているんだろう。


 何を迷ってるんだと思ったらそんなこと。そりゃ暁美が許すかどうかは知らないけど。


小巻「暁美がどうするかは知らないわ。でも、アンタはまだ戻れるわよ。きっと」

小巻「今は疲れてるだろうけど、生きてる限りはいつかは回復するんだから」


 マミをなんとか元気づけるために言葉を選ぶ。

 言おうかどうか迷ったけど、これも言うことにした。マミの中じゃその存在も大きいみたいだから。


小巻「名前を出すのは癪だけど、佐倉が誇れるマミ先輩でいるべきなのよ。アンタは」


 マミからの返事はまだなかったけど、こっちはこっちでやることがある。

 校舎には入った。織莉子のやり方を否定したんだから、アイツとは違うやり方で、今は暁美の代わりにあたしが守りきってみせる。


小巻「こっちも時間ないんだからこれで切るわよ? 言いたいことは全部言ったからね!」

マミ『……ええ。わかったわ』


 やっと返事が聞けたことに安心して通話を切った。

 教室が見えてくる。


小巻(今はキリカが来てくれてるはず……! 間に合ってるわよね?)



 踏み込む前に、まずは外から目で探す。しかしそこには、探していた姿はなかった。



――――――

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今回更新はここまで
次回は3日(金)20時くらいからの予定

――――――



 ほとんどの人が教室内に揃っている。

 もうホームルームもはじまるという時になってから、キリカは教室を抜け出していた。



 ――正直、何やってんだって気はする。何がしたいのかもわからない。



 他の人の頼みだったら聞いてない。けど、小巻から頼みなんて珍しいことだった。

 自分で出来ることは自分でなんとかする。いつもそういう人だから。


キリカ(ていうか、見てきてとしか言われてないけど)


 見たらどうにかなるのか。行ったら何かがわかるのかもしれない。

 言われたとおりのクラスを見てみると、知らない人しかいないと思ってた教室には、たしかに知ってる姿があった。


 知ってる姿と知らない姿。


キリカ「……キュゥべえ?」


 そこにはキュゥべえがいて、その視線の先には誰かがいた。



QB「やあ、キリカじゃないか。どうしてキミがここに?」

キリカ「……さあ。なんとなくかな?」


 そう答えたのは直感だった。素直に言ったらまずい気がした。

 少なくともコイツのこと信用はしてない。


「この人は?」

QB「魔法少女だよ」


 キュゥべえが誰かを見てると思ったのは偶然じゃなかった。

 やっぱりなにか話してたんだ。


キリカ「また新しい人なんて増えてたの? それとも候補?」

QB「二人はこれから魔法少女になってくれるかもしれないんだ。前向きに考えてくれているみたいだよ」

キリカ「あぁ、そーですか……」


 呆れたような声を出す。実際呆れてた。

 席についてって先生の声が響き渡る。そろそろ出なくちゃまずいかもしれない。


 わざわざ来させたとこにキュゥべえがいたんだから、契約されるのは快く思ってないんだろう。

 それはわかる。私からできるのは忠告くらいだ。


キリカ「ねぇ、きみたち本当に後悔しない? 何も知らずに契約して」

QB「何も知らないわけじゃないよ。僕からも話してるし」

キリカ「どうせ詳しいことなんてろくに話さないでしょ! 契約した人がそのあとどうなるか、とか……!」



 一瞬だけど、空気が凍りついた気がした。


 自分のことを考えれば不満はいくらでもでてくる。

 私は契約した時のことは覚えてない。でも、聞いてたらさすがにやめてると思った。


「……キリカさんは後悔してるんですか?」

キリカ「うん。今は全部じゃないけど、後悔してることはあるよ。……まあ、契約するならよく考えてよ」

「でも早くしないと…………」


 一人の子は何かに焦っているようだった。

 せめてもっと話す時間があればよかった。教室で契約はしないだろうけど、キュゥべえならずっとここにいても怪しく思われないし。


 すると、もう一人の子が叫び始めた。


「あああぁっ! いたいいたいいたい、お腹がいたーい! まどか、保健室につれてって!」


 視線を送られた子は少しの間ぽかんとしてたけど、すぐに意図を汲み取って言った。


「先生、さやかちゃんが具合悪いみたいなので保健室につれていきます」


――――
――――


さやか「ここなら契約も会話の続きもできるって思ってさ。どうなるかって話は現役の人に聞くのが一番でしょ?」

まどか「巻き込んじゃってごめんなさい……」

キリカ「べつに私ならいいよ。サボりっていうのは、まぁいまさらだし」


 最近はなかったんだけど。


QB「キリカの場合はレアなケースだよ。君たちの場合には当てはまることはないんじゃないかな」

さやか「レアってことは、たまにはあるってこと?」

QB「願い事の結果だよ。キリカの場合は『違う自分になりたい』って願ったんだ」

キリカ「なんであんたが先に言うわけ? ほんっとにデリカシーがないな!」

QB「どうせこれから話そうとしてたなら誰が話してもいいじゃないか」


 そう言われたら同じなのかもしれないけど、気持ちとしては何か違う。

 やっぱこいつはそういうとこを察しない。


まどか「それでどうなったかっていうのも気になるけど、わたしのことから聞いてもらってもいいですか」

キリカ「……どーぞ? ムカつくことになったのはわかったと思うけど、個人的な話にはなるからね」

まどか「わたしの友達が今日学校に来てないんです」

まどか「最初はお休みかなって思ってたけど……キュゥべえからその子が魔法少女だって教えてもらって、よくないことがあったのかもって……」

キリカ「まどかはその子を助けたいの?」

まどか「わたしがそう願えば助けられるから」

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今回更新はここまで
次回は4日(土)18時くらいからの予定



キリカ「……ふーん」


 上の空な相槌を返すさまは、真剣に悩むまどかにとっては失礼に映ったかもしれない。

 でもなんかしっくりこない。


キリカ「たぶん聞いたことあるんだよね、その子のこと」

まどか「ほむらちゃんのこと知ってるんですか?」

キリカ「会ったことないけど。……なんか、私達には『助けなんていらない』とでも言いそうなイメージ?」


 聞いた条件で浮かぶ人は一人しかいない。

 べつに、だから気にしなくていいとか、助けなくていいとか言いたいわけじゃなくて。

 大した意味もない素直な感想として。


 言ってから、こんなこと言ってる場合じゃないと思う。


キリカ「どうしようか考えようか! もうちょっと何があったのか手がかりとかわかれば、何かできるかも――――」


 慌てて言葉を考え直す。


 すると、扉が開け放たれた。



――――――

――――――


小巻「ホームルームまでには間に合わなかったわね」


 後ろ手で扉を閉める。

 一瞬焦ったけど、この時間なら教室にいなくて当然だった。


キリカ「ここのことまだ伝えてなかったと思うけど……」

小巻「うちのクラスに戻ってもいなかったし、今更意味もなくサボったりはしないと思ってね。どこにいるかはしらみつぶしよ」


 でも、わからないのはキリカと一緒に知らないのが『二人』いることだった。



小巻「で? 今どんな状況よ?」



――――
――――


 ……――――互いの簡単な自己紹介と状況の確認が終わる。

 そうしてる間に、しばらくして暁美とマミもこの場に揃った。


 暁美は一番にこの光景を見て驚愕していた。

 契約はまだしていなかった。でも、暁美は知ってしまうこと自体防ごうとしてた。だからあんなにあたしたちのことまで遠ざけてまで。



小巻「契約すれば世界を滅ぼすほどの素質を持つ存在がいるんですって」


 みんなの視線が向いた。

 あたしから切り出す。さっきまでは暁美の無事を喜んで一見落着って雰囲気が流れてただけに、突然こんな話をされるなんて予想できてた人は限られていた。


小巻「だからあたしの知り合いはその人を殺そうとして、マミは暁美に邪魔されないように足止めしてた」

小巻「……そうよね? マミ」

マミ「……ええ。そうよ」


 マミはここに来たときから、居心地悪そうにうつむいている。


小巻「こっちでも戦ってたのよ。その知り合いのやろうとしてること知っちゃったし、どうしても許せないことがあって」

小巻「アンタたちも危ないとこだったんだからね!? そのせいでよりによって自分のために契約されるなんて、暁美だって嬉しくないだろうし!」

ほむら「……その通りね」

さやか「は? マジ!?」

まどか「ま、まだちょっと話が大きすぎてついていけてないけど……」

小巻「ねえ、キュゥべえ。もうアンタはわかってるんじゃないの? ここにもう一人いると思ってなかったけど、どっちかが契約したらヤバいって」


 知らんぷりしてるキュゥべえに話をふってみる。

 あたしたちのことなんて、どうせどうでもいいとでも思ってるんだろう。でもわからないことがあった。


 そう思ってたのは、マミも同じようだった。


QB「たしかに大きい素質は感じるよ。ほむらのことは杞憂だったけど、まどかなら他にもどんな願い事でも叶えられるだろうね」

マミ「よくまだそんなことが言えるわね。世界が滅んだらあなただって生きてはいられないのよ」

QB「でも、それは誤解を招く言い方だと思うよ」

マミ「……どういう意味?」

QB「君たちにとっては今いる場所が『世界』の全てかもしれないけど、宇宙は広いってことさ。広い視野で見れば世界滅亡と言えるような問題にはならないだろう」

小巻「そんなの屁理屈じゃない! じゃあなに? 自分は地球外にでも逃げるから大丈夫だって言いたいの!?」


 キュゥべえの落ち着きようを見れば、そんな冗談みたいなことも本当なんじゃないかと思えてしまった。

 だって、じゃなきゃ自分の寿命まで縮めるようなことを進んでやるか。


小巻「でもまあ、ここまで言われればまどかは契約なんかしないでしょ」


 まどかは何も言わないで頷いた。

 ……二人の様子は混乱から怯えに変わってた。そりゃ、多少は信用しようとしてた相手からいきなりこんなことを言われれば。

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今回更新はここまで
次回は5日(日)18時くらいからの予定



 やっぱり話してよかったと思う。

 あたしたちもまどかもみんな無事。でも、マミはまだ不安そうな顔をしていた。


マミ「……本当にこれで大丈夫なの? 世界は救えたの?」


 今はまどかを信じるしかない。でも、『信頼』という言葉に世界の命運すら託せと言うのはひどく不安定な響きに思えた。

 織莉子のやろうとしてたこと以上に確実な状況にはまだなっていない。

 やっぱり、これからもそんな時はこないのかもしれない。生きてる限り絶対はないんだから。


小巻(違う。まだだ)


 でも、考えてみればどうだろう?

 この世界には奇跡だって魔法だってあるんだから、死んだからって絶対にもならない。


 一度死んだと思われたあたしだってこうして生き返ったように。


 これからもずっと、守り続けなくちゃならない。


 今までそうしてきた暁美みたいに。


マミ「一つ聞くわ。暁美さん、あなたは鹿目さんの友達なのよね」

ほむら「ええ、もちろんそうよ」

マミ「あなたは鹿目さんの素質にも気づいていたんでしょう?」

ほむら「……」

マミ「キュゥべえからも私たちからも徹底的に遠ざけて、鹿目さんを護っていた理由は本当にそれだけ?」

マミ「……一体どうしてこうなったの」

ほむら「私は…… それだけよ!」



 問い詰められた暁美は言葉を強める。

 それから、観念したように静かに話し始めた。


ほむら「……もう隠し通せないでしょうね。私はまどかを助けるために魔法少女になったのよ」

まどか「え?」

ほむら「私、未来からきたの」

ほむら「今となってはもう誰も覚えていないけれど、まどかは魔法少女で、私を助けてくれたのよ。それから友達になったの」

ほむら「でも、死んでしまった。『ワルプルギスの夜』にやられて」

マミ「ワルプルギスの夜……!?」


 暁美が語ったのは思いもよらなかったような話だった。みんな驚いてる。けど、マミだけは別の“特定のもの”に反応していた。

 ――“ワルプルギスの夜”。


 キュゥべえは見定めるような赤い目を光らせて、ただそこにいる。


ほむら「こんなことになるとは思ってなかった」

ほむら「はじめは魔女に負けて、でも次からは…… 私は今度こそまどかを守りたいの。人のまま、魔法少女にもせずに」

ほむら「巴マミ、私は貴女のことを許したわけじゃない。ただあの時はそうするしかなかっただけ」

ほむら「お願いだから私の邪魔をしないで!」


 これまで見たこともない必死な様子。……マミは何とも答えなかった。

 その代わりに、キュゥべえだけが平坦な声で納得したようにつぶやいていた。


QB「なるほどね。そういうことだったのか」


 『そういうこと』って。

 暁美がどこからきたかとか、最初は気になってたけどもう今となってはどうでもよくなってた。

 危害を加えないってことはわかったし。突き放したような態度は気に食わなかったけど、こんな理由があったら尚更簡単には言えない。


小巻「とりあえず、まどかは契約したらダメってことはわかったと思うけど、さやかのほうは願い事とか考えてたの?」

さやか「あたしは……」

ほむら「やめておきなさい」

さやか「まだなにも言ってないんだけど……」

ほむら「もし貴女に何かあればまどかが悲しむ。それに、私は貴女の未来も知っている」


 未来からきたっていう暁美の忠告。

 さやかもその意味は理解したらしく、自嘲気味に笑った。


さやか「……あはは、んー。ろくなことにならない感じかー……」

まどか「そういえば、どうなったんですか?」

さやか「え?」

まどか「キリカさんのこと。よかったらですけど、後でもいいのであの話の続きが気になったので」

キリカ「あぁー、うん。もう相談も終わったしね。個人的になら」


 もうこの場で話したいことは話せたかな。


小巻「……じゃあ、いつまでもここに集まってても怪しまれそうだし」


 ……本当は言ってないことがあった。暁美も知ってるだろうにそこには触れなかった。

 魔女の事。本当は契約しただけじゃ世界は滅ばない。



1言わないほうが契約する気がなくなる
2後であの子だちだけには言おう
3ここで打ち明ける
4自由安価

 下2レス


小巻「とりあえず、アンタもこれからは協力してくれるってことでいいのよね? 暁美」

ほむら「物事によるわ。私は常にまどかのことを優先させてもらう」

小巻「……まあ、アンタはそれでもいいわ。そこが崩れたらみんなが困るんだし、任せるわ。ただ任せきりにはしない」

小巻「アンタだけの問題じゃないんだからね。あたしだって、最初からわかってたらもっと別の可能性があったかもしれないのに」


 あたしの後悔。暁美を責めるべきか、織莉子を責めるべきか。

 いや、考えたってどうにもならない。


 暁美はそれきり黙っていたが、解散の雰囲気になってから小さく言った。


ほむら「……放課後、少しいいかしら」

小巻「いいけど、何?」

ほむら「『ワルプルギスの夜』という魔女のことについて」


 さっきの暁美の話にも出てきた魔女。

 たぶんこれが暁美にとっての最大にあたしたちを『頼ろう』とした結果だったんろう。


マミ「この街に来るのね……?」

ほむら「ええ」

小巻「ちょっと待ってみんな! それってみんなを集めたほうがいいでしょ?」


 呼びかけると、聞こえずに戻ろうとしてた人たちも振り向いた。


小巻「……それに、あたしもまどかたちにホントは言うべきこと、足りてなかったから」



小巻「暁美が放課後にあたしたちに話があるんだって。アンタたちも来られる?」

まどか「は、はい、予定空けておきます。……さやかちゃんも、大丈夫だよね?」

さやか「うん。あたしも平気」

小巻「あたしのほうでも知ってる魔法少女は誘っておくからさ。ていうか、身内にいるし」

小巻「あとキュゥべえ、一応佐倉たちも呼んどいてくれない?」


 小糸には後で連絡するとして、佐倉はこの前あんなこと言ってたのを聞いたばっかりだ。

 呼んだところで来てくれるかはわからない。


 暁美はまた小声で言った。


ほむら「……二人にはあまり魔法少女に関わってほしくはないのだけど。それに何を話す気?」

小巻「魔女のこと。中途半端にしか知らなかったら、キュゥべえにそこを突かれるかもしれないでしょ」

ほむら「そのこと、あなたたちも全員は知らないんじゃないの?」

小巻「……そうね。だから言い渋ったの。でもいつかはちゃんと知らなきゃいけないことだと思うわよ。自分のことなんだから」


 知らないほうがよかった、と思うか、知ってよかったと思うかはわからない。

 マミは今でも『知らないほうがよかった』と思っているんだろう。


 それから、あたしもキリカたちと一緒に教室に向かった。

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今回更新はここまで
8日(水)20時くらいからの予定



 授業中の教室を脇目に廊下を歩いていく。

 もう一段落ついたんだから、あたしたちも早く戻らないと。


小巻「ありがとうね」

キリカ「え?」

小巻「朝は焦ってたし、あれだけしか言わなかったのによく頼み聞いてくれたじゃない。じゃなかったら今頃……」

キリカ「逆に、焦ってたからだよ。珍しいし変な理由じゃないんだろうなって思った」

小巻「あたしって信頼されてるのね。よし、気分良くなったし昼は何かおごってあげようか?」

キリカ「えっホント? そういえばキミってお金持ちだったんだっけ。……あ、関係ないよ! いやホントに!」


 ……一瞬だけ現金さが見えた気がしたけど、スルーしておこう。

 購買で一番高いのくらいなら全然大丈夫だけど。


小巻「信頼、まどかたちともいつかはお互いにできるようになるといいわね。まだ出会ったばかりだけど」

キリカ「そうだね。まだお互い信じられてないよね。問題が大きすぎるってのもあるけど……」

小巻「キリカは少しは仲良くなれたの? あたしたちよりも早く会って相談乗ってたんだし、そのときは世界がどうとかも知らずに話してたでしょ」

キリカ「そうだけど、まだこれからじゃないかな?」

小巻「まあそうか。ちょっと見方変わるのかなって思ってさ。……暁美は本当に友達を助けたいだけなんでしょうね、きっと」



 あたしたちの前じゃあんなだったけど、前に見た友達といる時の顔も嘘ではないはずだから。



――――――

――――――
昼休み



 後でって言ってた話。

 一度しか人に話したことのないすべての顛末を聞かせて、その反応を待つ。

 この場にはまどかだけ。興味を持ったのもまどかだけだった。



キリカ「……でも、なんで今更こんなことに興味持ったの? もう関係ない話でしょ」

まどか「キリカさんの願い、わたしの考えてたことと同じだと思って」

キリカ「同じ?」

まどか「あのときはほむらちゃんを助けることが最優先だったけど、『その先』で叶えたかったことが」

まどか「魔法少女になったら……街のために戦える。ほむらちゃんや他の人を助けることができる。それって今のわたしにはできないし、すごく誇らしいことじゃないですか」

まどか「そしたら、どんくさくて平凡でぱっとしない自分も、自信が持てるように変われるんじゃないかと思って」

キリカ「……そんな風に私は思えないよ」

まどか「結局わたしにはできないけど、キリカさんはもっと誇らしく思ってください。わたしから見たらすごい人なんだから!」


 そのあまりにも純粋な視線に、思わずたじろぐ。


キリカ「きっと今のままでもできないってことはないよ。魔女と戦えなくてもできることはあるさ」

キリカ「探して自分を好きになろうよ。あんなヤツに頼る必要ないって!」


 過去の自分ができなかった――しなかったことを託してみる。

 今の私からは自分でも驚くくらい前向きな言葉が出てきた。


まどか「そうですね。むずかしいけど、がんばってみます!」



――――――


――――
――――

――――――
放課後



 まずは校内で集まれる人たちだけで合流すると暁美が先導していった。


 向かった先は暁美の家だ。ずいぶんと小さな家だと思ったけど、入ってみればそうでもなかった。

 異常に物がないせいでそう思えるのかもしれないが、内装はよくわからない。



 小糸は駅まで来たら連絡をくれるらしい。複雑な道でもないから案内はできるだろう。遅れて来る人たちを待ちつつ、本題について触れる。



小巻「……で? そのナントカとかいう魔女?」

ほむら「『ワルプルギスの夜』」

小巻「覚えにくいからもう『ワルい奴』でいい? 間違ってないでしょ」

キリカ「間違ってはいないだろーけど…… ダジャレじゃん」

さやか「まあセンスはあると思いますよ? で、なんだっけ?」

マミ「『ワルプルギスの夜』……」



 元から知ってた二人が訂正した。

 これからあたしも嫌でも忘れられない名前になるのかもしれないけど。



待ち時間
1マミはなんで知ってるの?
2さやかは余裕そうね?
3自由安価

 下2レス

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今回更新はここまで
師走が師走しててちょっと間が空くのですが、次回は14日(火)の予定です



小巻「マミはなんで知ってるの?」

マミ「古くから魔法少女の間に言い伝えられているらしいのよ。長くやってる人ならみんな聞いたことくらいはあると思うわ」

マミ「結界に隠れることすらなく突然表れては街ごと滅ぼし、一般人には災害と認識されるような超弩級の魔女だって」


 少なくともあたしは聞いたことなかった。

 魔女が結界に隠れ潜むのを卑怯だと罵ってやったこともあった。もちろん言葉なんてわかってなかっただろうけど。

 けど、閉じこもってるからあたしたちも思う存分暴れられるし、魔女の被害も抑えられてる。それがなければ…… あたしたちも人前で戦わなきゃいけなくなる?


小巻「マジ? そんなのが?」

ほむら「……ええ。そうよ」

マミ「そう。やっぱり、その伝説のままなのね」


 暁美のほうに視線を投げれば、あっさりと肯定される。

 知っていたマミですら、簡単には信じられないというように驚いたような反応をしていた。


小巻「マジかぁ……」

さやか「へぇー! そんなのがいるんだ。っていっても、あたしたちはまだ普通の魔女も見たことないんだけど」

まどか「そうだね……」

キリカ「どうしたの、小巻。キミにしては珍しく弱気な反応じゃん。そりゃあ楽に勝てはしないんだろうけどさ」

小巻「いや、それもそうだけど! ……結界を持たないってことは人前で戦うことになるのよね? 当日はどうすればいいわけ? もうくる日もわかってんでしょ」

ほむら「それはこれから話すわ。もう少し待ってからね」


 そういえば今は小糸たちを待ってるんだった。

 佐倉は来るかどうかわかんないけど。


 ちょうど、携帯の着信が鳴った。


小巻「小糸から。ちょっと案内に出てくるわね」


 駅まで迎えに席を立った。





小糸「みんなよろしく」

ほむら「……ええ」

まどか「よろしくね、小糸ちゃん」

さやか「よろしくー、どこの学校だっけ?」

小糸「白羽女学院ってところ」

さやか「あ、たぶん私立だよね? 頭いいんだ!」

キリカ「頭もそうだけど、多分おカネもちしか通えないとこだよ。小巻も前はそこにいたって」


 小糸もみんなと軽く自己紹介を済ませる。

 これで一応は揃った。来るかわからない人はこれ以上待ってても時間のムダか。


さやか「前は?」

小巻「それは今はいいでしょ? 隠しはしないけど、だからって本題とは何も関係ないんだし」

小巻「暁美、すごいつまらなそうにしてるけどそろそろ主導権返してやってもいいわよ。あたしも気になってるもの」

ほむら「ええ」


 話が逸れて膨らみすぎないうちに切り出した。

 暁美はあたしや小糸に注意が向いてる間中、とにかく退屈そうにしていた。



ほむら「ワルプルギスの夜が来るのは五日後。この日は朝から警報が出て、街の人は避難所に集まるわ」

ほむら「ワルプルギスの夜が姿を現す前からその周囲には暴風が吹き荒れているから、よほど無謀な人でない限り近寄ろうとは思えないでしょうね」

小巻「……なんだ、そういうわけね」

ほむら「ただ、敵は大きいし、移動する速度もシャレにならないから広範囲を駆け回ることになるのは覚悟しておいたほうがいいわ」


 結界を持たなくてもそこまで“人前”で戦うってわけではないらしい。

 みんな避難していて、守りながら戦うってこともしなくていいなら考えたよりはマシで安心した。


キリカ「大きくて速い魔女かー。みんなで囲めばなんとかなるかな」

マミ「私の拘束は効くかしら?」

ほむら「拘束もあまり持たないでしょう。ワルプルギスの夜の攻撃は凄まじく、そして気まぐれ」

ほむら「大空に浮かびながら炎や風を起こし、私達を煙に巻く。時間が経つにつれて街並みも見る影もないほどに破壊されていくわ」


 人はいなくても街は壊れる。さすがにそこまでは守りようもない。

 さっきまで直接関係はないからかそこそこ余裕そうにしてたさやかたちも、さすがにそろそろ緊迫した面持ちで聞いていた。


ほむら「……これは本当は誰にも相談するつもりはなかったのだけど」

小巻「話を聞く限りなんだかすごそうなんだけど、頑張ればアンタ一人で勝てるくらいの相手と考えてもいいわけ?」

ほむら「わからない。あなた達も生きていれば一緒に戦うことになるだろうとは思っていた」

小巻「生きてればって、アンタね」


 大げさだって考えて、本当に今ここにいる生きてること自体あたりまえじゃないことに気づいた。

 今日だって命を懸けて戦った。命のやりとりをして、なんとか自分と大切なものを守りきった。


 これまでだって、これからだって。まだまだ全然安心なんてできなかった。



まどか「みんな、大丈夫なんだよね? ワルプルギスの夜と戦って……」


 まどかが心配そうにおずおずとあたしたちに問いかけてきた。

 すると、ほむらは安心させるようにまどかに向かい合う。


ほむら「大丈夫」


、そして、手を握って言った。


ほむら「私がまどかを守るわ。……他の人の事も」


 まどかがゆっくりと頷く。

 これだけで心から安心できたのかはわからないけど、少なくとも暁美は本気で言ってるように見えた。


キリカ「他はともかく、私も守られるだけじゃないから! 心配なら、そのぶんまどかの分まで戦ってきてあげるよ」

小巻「ええ、あたしもよ」

マミ「私も、出来る限りのことはするわ」


 続いて、他のみんなも励ましの言葉をかけていった。

 でもそのきっかけを作ったのがキリカなのはちょっと意外だった。


小巻「にしても、キリカがそこまで言うなんて。暁美が仲いいのはわかるけど、そっちも結構打ち解けてそうね?」

キリカ「えっそうかな?」

小巻「なんかあったわけ?」

まどか「え、えっと……」

キリカ「……さあ、どうだろうね」

まどか「はい、秘密ですっ」


 キリカがすっとぼけると、まどかも合わせたようにそう言った。

 あのあと本当に何かあったのか。それとも失われた記憶に関わることで、実は最初から顔見知りかなにかだったのか。

 これまでそんな話は聞いてないけど。



ほむら「……他に質問がないなら、私からの話は終わりにするわ」


 暁美が少し居心地悪そうにしながら言った。

 ……仲いい人と他の人が話し始めると入っていけなくなるタイプ。


 この雰囲気で切り出すのは少し勇気がいるけど、話をするなら今だ。


小巻「じゃあ、あたしからは、朝話せなかったことをこれから話すから」

キリカ「え?」


 キリカや小糸は予想もつかないようだった。

 今更あたしがみんなに話したいことなんて。


マミ「待って!」


 あたしが何を言おうとしてるか気づいたのか、マミが制止に入る。


マミ「言う必要があるの? ……知らないほうが幸せよ。せめてワルプルギスの夜を倒すまでは」

小巻「まだ契約してないまどかたちには全部知ってもらってたほうがいいと思う。それにそんなこと聞いたら何か隠されてることなんてもうバレバレでしょ!」

マミ「……」


 とはいえ、そう言われると迷った。

 ワルプルギスの夜がくるまであと5日。それを間近に控えた今、無用に悩み事を増やす必要はないのかもしれない。


 そんな時、小糸が言う。


小糸「甘く見ないでよ」



小糸「私は最初、お姉ちゃんがなにしてるか何も知らなかった。魔法少女なんてやってることも、魔女や魔法少女と戦ってることも」

小糸「結局教えてもらったけど、お姉ちゃんずっと隠そうとしてたよね?」


 何もなければずっと隠してたままだっただろう。

 そしたらどうなってたかはわからない。契約しなかったかもしれない。でも、そしたらあたしは。


小糸「もし何も知らないまま何かあったりしたらすごい後悔してた! たとえ良くないことでももう隠されたくないよ!」

小糸「とにかく私には教えて。お姉ちゃんと巴さんがもう知ってて何かを抱えてるなら私も背負うから」

小巻「……小糸、アンタにそうまで言われるとはね」


 ちょっとだけじんときた。

 さすが、我が妹ながらこう見えて気が強いというか。生意気なこと言うものだと思った。


キリカ「なんかわかんないけど、みんなが知ってるなら仲間はずれにはされたくないかな?」

小巻「言っとくけど、そんな軽い気持ちだったら後悔するかもしれないわね」

キリカ「えー……?」


 キリカはいつもどおりへらへらとしてる。そんな様子を見ると不安になった。

 けど、結局遠くないうちには話すつもりだ。今にするかワルプルギスの後にするか――。


小巻「アンタがそんな調子だから迷ってるのよ! せっかく悩んでることが解決してちょっと前向きになれたんでしょ。そんなときにさ」


 とはいえまあ、仲間はずれにされるのもそれはそれで確かに悩みになるのかもしれない。

 なにかあった時、一人だけ話が通じなくて困るかもしれないし。


さやか「そ、そんな深刻な隠し事がまだあるんですか? キュゥべえが話してなかったことで?」

まどか「ほむらちゃんは知ってるの?」

ほむら「ええ、私はもう知っているわ。けど、一部の魔法少女しか知らないことよ」

小巻「……ええ、そうね。困ったことに、あたしやマミが知ったのもついこの前だったんだもの」

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今回更新はここまで。…あけましておめでとうございます。
なんか図ってたわけじゃないけど書きながら年越ししてしまった。



 ――――ソウルジェムのことはあたしの口から話した。


さやか「そんなことが……」


 まどかたちは一歩間違えたら自分の身に訪れていたかもしれない変化に、純粋な驚きの反応を。

 すでに知っていたマミと暁美は視線を落としてどこか重苦しい表情をしているように見えた。


 暁美も朝にした説明を補足する。


ほむら「つまり、まどかが契約したら世界を滅ぼすっていうのは、魔女になった時のことだと思うの」

ほむら「魔法少女は魔女になる。私が見たあなたたちも……。そんな運命を背負うことなんて望まないはずよ」

さやか「あ、あたしも? 魔女になった!?」

ほむら「ええ、そうね」


 暁美は涼しく言ってのけたが、それを聞いたさやかは露骨に顔を青ざめさせた。

 うげーって感じだ。


まどか「……ほむらちゃんたちも、みんないつかはそうなるの?」

ほむら「……」


 暁美は返事をためらった。

 たった今知った二人までさっきに増してその重さを実感したのか、重苦しい表情をした。

 たしかに真実なら曲げようがないし、暁美の話し方じゃ変えられない運命だって言い方に聞こえたけど、本当はそうじゃない。


 思わず立ち上がる。


小巻「絶対なんかじゃないわ! 話聞いてた? 魔女になるのは『魔力がなくなるか絶望しきった時』なのよ」

小巻「その魔力を回復するのも“成れの果て”を倒さなくちゃならないなんてサイッアクに悪趣味だけど、だからって死にたくもないし野放しにしとくわけにもいかないでしょ?」

小巻「あたしは魔女になんてなってやるもんか! やることだって変わらない! 決めつけんな! 自分の運命くらい自分で切り開くっての!」



 それを聞いたみんなは少しの間唖然としてて、張り切って言い切ったのが一人だけカッコつけたみたいで少し後悔しはじめた。

 正直、自分に言い聞かせるためって意味もあったから。

 でも、少しずつ口を開く人もあらわれた。


小糸「……うん、そうだよ! もう同じような人は増えてほしくないけど、私達は今までと変わらないから」

キリカ「そ、そうだよね。正直、聞かないほうがよかったかもとは思ったけどさ」

キリカ「聞かなかったらそうならないってわけじゃないし、契約したこと後悔してるのは今更」

キリカ「……きっと、マミがずっと上の空だった原因や自分のことすら一人だけ知らなかったら、それはそれできっと後悔してるよ」


 他のあたしに賛同した人も、同じように自分に言い聞かせてたのもあるんだろう。でも、みんなで覚悟したら勇気が沸いてきた。

 マミも考え込んだように沈黙してるけど、さっきよりはその表情から重苦しさは消えていた。


マミ「…………」


 あたしたちは今生きてる。それが当たり前の結果じゃなくとも、それだけは事実なんだから。

 どんなに難しくてもこれからも生きてくってだけだ。


 まどかも少し安心したようだった。




小巻「とりあえず、あと5日をどう過ごすかってのは考えといたほうがいいわよね」

ほむら「出来るだけグリーフシードは蓄えておきましょう。そのために争われても困るけど、あればあるだけ嬉しいわ」

ほむら「戦闘中に魔力が尽きてしまえば……さっき話した通り、なのだし」


 とにかく今はグリーフシードが少ない。その現状を重く受け止めた。

 自分すら生きる余裕がないようじゃ、みんなを守るなんて言ったところで説得力がない。


小巻「そうね。まずあたしたちは、これから魔女を探しにいくわ」

小糸「うん!」


 小糸に視線を送ると、元気よく頷いてくれた。


キリカ「私はどうしようかなぁ。そんなに少ないってわけじゃないけど」

ほむら「余裕があるなら自己鍛錬でもしていたら?」

キリカ「えぇ……」


 時刻は夕方。これから夜がやってくる時間帯だ。

 帰る前に活動する暇は作れる。


 この時間になっても結局、佐倉は来なかった。


小巻「じゃあもう行くけど。マミはこれからどうする?」

マミ「私は…… 今日は休ませてもらうわ」

マミ「まさかそんな大きな敵が待ってるなんて思わなくて、少し疲れたの。もちろんワルプルギスの夜は倒さなくちゃいけないし協力はするから」

ほむら「……そう。私としては邪魔さえしなければ構わないから」


 暁美は冷たく言い放った。朝のことだけじゃなく、暁美だけが知る過去にもまだ何かあったのだろうか。

 昔からこの街で活動してるマミとはこれまでにも関わったことくらいあるかもしれない。


小巻「休むのだって立派な準備よ! 無理してこんなところで死んだら元も子もないわ」

小巻「今は疲れてたって生きてさえいればいつかは回復するんだから、まずは生きることを目標にしましょう」

小巻「まどかたちもね。今日はいきなり変なこといっぱい聞かされて混乱したと思うけど、もう帰ったらゆっくり休みなさい。そんで精一杯、今までもこれからもいつも通りの生活を送んなさい!」

まどか「は……はい」

さやか「わかりました。じゃ帰ろ? まどか」



 小糸と二人で暁美の家を後にする。他の人たちも各々の行く場所へと帰っていったようだ。




 家の中に残ったのはその主である一人と、もうひとつ。

 ――――物陰からはいつもの赤い目が覗いていた。


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毎度ちまっちまの投稿になってるのは本当反省してる!
次回12日(水)20時くらいの予定で少しまとまってやります

…ちょっと休んでた間に書き方の感覚飛んでるわ、結局書かないと戻らないんだよね



小糸「ついに私も夜道を出歩く側になるのかぁ……」

小巻「今日は放課後にも予定が出来て忙しかったし。そんなに遅くならないようにはするつもりだけど」


 並んで街を歩き出す。

 グリーフシードは手に入れなきゃとは思ってたけど、こんな切羽詰まって備える必要があるとはあたしだって予想してなかった。


小糸「……学校のことだけどさ、明日からは行っていいんだよね? 美国さんとはもう」


 小糸はそこで言葉を区切る。朝のことは小糸にもメールでざっくりとだけ伝えていた。

 もう会うことはない。小糸にはもう隠したりごまかしたりするのはやめようと思った。


小巻「ええ。アイツはもういないわ。あたしたちもまどかももう命を狙われることはなくなった」

小巻「だからこそ、織莉子のやろうとしてたことは必要なかったって鼻で笑って証明してやるのよ。あたしが殺したんだもの」


 守るためでも、自分のしたことからは目はそらせない。実感してなきゃいけない。

 後ろめたいほど間違ったことをしてないんだから尚更だ。

 小糸は何も言わなかったが、しばらくしてこれだけ言った。


小糸「そのためにもこれから来る魔女には絶対勝たなくちゃいけないね」


 本当にいろんなことがありすぎて、イヤなことも知って、正直今も動揺してないといえば嘘になるけど新しい目標ができた。

 またみんなで力を合わせて倒さなくちゃいけない目標が。それがなければ今頃燃え尽きて感傷に浸ってたかもしれない。


小巻「そうね」


 でもそんなのは後でいい。もう一踏ん張りしようと決めて、力強く頷いた。


――――――
――――――




 『休む』と言ったとおり、マミはこの日はもうどこにも寄らないことに決めて早々に帰路についていた。

 そして、自宅のあるマンションも見えたところで、その足を止める。


マミ「……!」


 いつもの帰路の片隅に、二つの姿を見つけてしまった。

 一見したらたむろする不良のように態度悪そうに片手をポケットに入れて気まぐれにその中身を食い漁る杏子と、その傍に寄り添うゆまの姿。


杏子「よう。……久しぶりだな」


 二人だけで会うのはどのくらいぶりだろう。単なる挨拶だがどこかぎこちない空気を感じていた。

 杏子はまだ目線を合わせようともしていない。


マミ「どうしてここに……。こっちに来るなら、集まりのほうに顔を出せばよかったのに。呼ばれてたのは知ってたでしょう?」

杏子「それより前に、なんか変なコト言ったろ。キュゥべえづてに」

杏子「ホントはもうこねーって決めてたんだよ。アンタたちが何してようがどうでもいいし」


 杏子は『なのに』というように続ける。


杏子「……あれはなんなんだよ。あんなこと。今更」


 ゆまが前に出て、その小さい身体で精一杯に呼びかけた。


ゆま「キョーコずっと迷ってたんだよ! きになるなら会いにいこうよってゆまがゆったの!」

ゆま「ここにきてからもどうしようかってうろうろしててね、ちょうどマミがきたところなの」

ゆま「だって、マミはキョーコと『なかなおり』したいんでしょ?」

マミ「あれは……」


 あれはそういうつもりじゃなかった。

 むしろ、その先のことなんて考えてない。言うだけ言って、最後の『別れ』を告げるつもりの言葉だった。



 しかし、マミは言いよどむ。ゆまの純粋な目を見てそんなことは言えない。

 実際にこうして会ってしまったから。『別れ』をするならせめてワルプルギスの夜までは先延ばしだ。それまでは死ねない。


 考えていなかった展開にマミは動けなくなった。ようやく杏子はマミを見据えて睨んだ。


杏子「なんで今になっていきなり! あたしに謝るって!」

杏子「アンタは今も正義だなんだってヒーロー気取ってんだろ? 使い魔見逃すのも許さないし、こうして“ズル”するのも許さないんだろ?」


 杏子は空になったスナック菓子の袋を傾けて呷ると、地面に捨てて足で踏みつけた。

 見せつけるためだ。盗んだものを貪って、その残骸すら身勝手に捨てていくさまを。


杏子「変わったってのか? あたしのが正しかったって認めんの?」

マミ「変わらないわよ。……変わりたくなんてないの。でもね、あなたの気持ちはわかったから」

杏子「気持ちがわかるとかハンパな同情が一番ムカつ……――」


 杏子は怒りにまかせて吐き出そうとした言葉を一旦止めた。

 マミの纏う空気が思っていたよりもあまりに重かったからだった。


杏子「……」


 その分はすぐに気まずい沈黙へと変わった。


マミ「確かに私は今までわかってあげてると思っていながら何もわかっていなかったの。それでずっと傷つけてしまった」

マミ「私はただ何も知らずに威張ってただけ。あなたを正しいとは言えないけれど、私も正しいとはいえなかった」

杏子「……別にあたしはそんなこと言ってほしいわけじゃないけど」

マミ「そうね。これも私が言いたいから言ってるだけよ」

杏子「もうわかったよそれは。それより何があったわけ? まさか本当に……」


 杏子の攻撃的な雰囲気もすっかりとしぼんでしまった。

 マミは床に落ちたゴミを拾い上げて、マンションの中へと歩いていく。


 これ以上なんて考える気はなかった。謝って、それで終わりにするつもりだったのに。


杏子「おい!」

ゆま「マミ! なかなおりできたんだよね? なんでまだ悲しそうなの?」

マミ「……ついてきて。あなたが知りたがっていることについて、知っていることは話すから」



――――――
――――――




小糸「すっかり遅くなっちゃったね。魔女を探すのって本当に大変……」

小巻「そうなのよ。でも戦い自体はそんなに長引かなかったわね。結界も変なトコだったし疲れたし、早く帰ってシャワーを浴びたいとこ」

小糸「そのとーりー……」


 パトロールが終わると、もうすぐに帰路につこうとする。

 しかしそこで、気にかかった場所があって一旦思いとどまった。


小巻「……やっぱりちょっと先に帰っててくれる? 最後にひとつ寄りたい場所があるの」

小糸「え?」

小巻「野暮用! お風呂はすぐ入れるように沸かして待っててよ! そんなに時間かかんないから」

小糸「なにそれ!? やっぱり妹使いが荒いんだから!」



 帰路に着く前に寄り道して、一人で足を進めていった。学校へ向かう道の近く。



 立ち寄った先、立入禁止のテープが貼られていた。その奥、朝に『あたしたち』が居た場所にはブルーシートが見える。

 ――……あぁ、見つけてもらえたんだ。心にひやりとしたものが通った感覚がしながらも、安堵した気持ちも覚える。

 汚職議員の娘の不審死なんてまたどんな風に報道されるかわかったもんじゃないけど。

 それでも、最後まで、醜くなって孤独に放置されることはなかった。……それだけを思った。


小巻(今度こそ本当に帰りましょう。……お風呂が冷めちゃうわ。温め直しはできるけど)



 今日確保できたグリーフシードは、まずはあたしと小糸と一つずつ。

 決して余裕があるとはいえない。でも手に入っただけマシだ。


 戦いに向けて残りの日々をどう過ごそうか……。



―30日目終了―


小巻 魔力[100/100]  状態:正常
GS:2個
・落書き[10/100]
・[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]

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今回更新はここまで
次回は17日(月)20時くらいからの予定

――――――
31日目



 朝、家族を見送ってあたしも家を出る。


 織莉子のことはニュースになっていた。校内でもみんなの目を引く話題になっているようだった。

 多くの媒体で見知った場所の名前が、景色が掲載され、さらには同じ学校に転入して関わっていたかもしれないんだから。


 そんな話が耳に入ると落ち着かない心地だった。

 それでも、あたしの周りにいる人たちは以前と変わらない。他愛のない話をして、授業を受ける。


小巻(そういえば、昨日は塾サボっちゃったわね……ま、いいか。そんな場合でもなかったし)


 学校生活の中にいれば何事もない日常に戻ったかのようだった。これが突然壊されるなんて嘘なんじゃないかって思えてくる。

 ――もちろん放課後になればそんな気じゃいられない。

 実感がわかなくとも、残り少ない日にちは迫っている。



 ワルプルギスの夜との戦いまで、あと4日。



*今日の予定
1小糸とパトロール
2まどかたちの様子を気にかけにいく
3マミち一緒に行動
4キリカと一緒に行動
5ほむらと一緒に行動
6一人で行動

 下2レス

マミっち!
1以外の行動は相手が主体になります
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 学校が終わって、外に繰り出す。

 今日は教室を出るときから隣にはキリカがいる。このまま帰るわけにはいかないけど、何をするとも言っていない。

 ……とりあえず、このままならパトロールって流れになるかしら。


小巻「昨日は結局、自主鍛錬したの?」

キリカ「いや。……鍛錬のやり方とかしらないし。今になってからちょっとやそっと鍛えたところでどうにもならないでしょ」

キリカ「そう思ったらパトロールしてたほうがマシだなって」

小巻「それはそうね。焼け石に水?」


 あたしもマミの隣で素振りしたことはあったけど、その程度で実感できるほどは変わらない。

 継続したら力になるとしても、あたしたちにはそれだけの日数は残されていない。

 余裕がある時だとしてもそれより魔女を倒しにいったほうがいいんじゃないかって思う。


キリカ「……はっきり言いすぎじゃない?」

小巻「そもそも大したことするには変身しなきゃだし、あの格好を外でするのも絶対にお断りよ!」

キリカ「たしかにね」


 キリカは軽く笑ってこの話題を流そうとした。


 でも、あのときのことを思い出して少し考えてみる。

 あたしたちが適当に素振りとかしたところで大した訓練にはならないかもしれないけど、教われる人がいたらどうだろう。

 今のマミは頼るにはまだ負担になりすぎるか。



 下1レスコンマ判定 1/3
0~20 使い魔
21~40 魔女

ほいさ!



小巻「……鍛錬のやり方ってさ、それがわかったらやってみてもいいかもとは思う?」


 キリカにとっては唐突な質問に感じたかもしれない。

 答えが返ってくるまでに少し時間が空いた。


キリカ「うーん、誰かに弟子入りするかってこと?」


 誰かの下につくって考えたら面倒臭くも思えてきた。マミが話してた、昔のマミと佐倉の関係みたいな。

 あたしはこれまで完全に我流だったし、それで困ったこともなかったから習おうと思ったこともなかった。


キリカ「それだったらどうだろ。まあ、やってみてもいいかもね」

小巻「そう?」

キリカ「前はそう言われてもどうでもよかったけどさ、強くなるってのは悪い気がしないし」


 意外な答えが返ってきた。

 なんだかんだ、あれからキリカは変わっている。それはもちろん願い事のせいじゃない。

 むしろ多分、ちゃんと願い【悩み】と向き合って先に進んだから。



 下1レスコンマ判定 2/3
0~20 使い魔
21~40 魔女



 せっかくキリカはこう言ってるんだし、今すぐじゃないにしても機会があれば話してみよう。

 その時はあたしも一緒にやってやってもいいかな。……置いてかれるのは勘弁だから。



 途中で話しながらも魔力には気を配っていた。暗くなるまで街を一通り回る。




 下1レスコンマ判定 3/3
0~20 使い魔
21~40 魔女




 ――――パトロールを終えた。粘ってはみたものの、今日は二人分のグリーフシードは手に入らなかった。



小巻「まあ、こういう日もあるわ」

キリカ「そうだね……」


 いや、むしろ、今回怪我も苦戦もしなかったことを喜ぶべきだ。

 戦って毎回無事で済むとも限ったわけじゃない。



―31日目終了―


小巻 魔力[100/100]  状態:正常
GS:3個
・落書き[10/100]
・[100/100]
・[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]

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今回更新はここまで
基本ここからワル夜までは大体二人で組むので、2つないと確定でもらえないのきつすぎってことで自動で粘って1個は見つけてきます
ただし判定引けないと1つが誰に渡るかは人と好感度によります…
今一番に手持ちが少ないのは小巻と小糸なのでキリカはくれたってことですね…

次回は19日(水)20時くらいからの予定

――――――
32日目



 ワルプルギスの夜との戦いまで、あと3日。



*今日の予定
1小糸とパトロール
2まどかたちの様子を気にかけにいく
3マミと一緒に行動
4ほむらと一緒に行動
5一人で行動

 下2レス

3のマミっちと。
メンタル的に回復してるかどうかわからないけど。



 チャイムが鳴る。

 放課後になってから廊下に出ると、マミの姿が目にとまった。マミはまだ教室の中だ。


マミ「浅古……さん」


 そこに近づいていくとマミがあたしのほうに気づいた。鞄を整理していた手が止まる。


小巻「おつかれ。調子はどう?」


 よくある挨拶だけど、今は心配の意味も含んでいた。

 そんなに簡単に調子なんて良くなるわけないってことはわかってるつもりだ。あたしだって動揺した。本気で悩む経験だってした。

 もう弱さがわからないあたしじゃない。所詮言わなきゃわからないから、その気持ちは素直に伝えたほうがいいことも知った。


小巻「……心配だったのよ。一緒に戦う仲間ってのもあるけど、友達がヘコんだままじゃあたしも気が気じゃないの。少しは休めた?」

マミ「え、ええ。少し」


 気になって聞いてはみたものの、ここでは詳しいことを話すのには向かない。

 こんなとこで気軽に聞けるほど軽くはない。



 そのまま横でマミの支度が終わるのを待つと、自然と一緒に廊下に出て、校舎を出ていった。

 それから、その行き先はなんとなくだろうか。前にも一緒に来たことのある土手の片隅に腰掛けた。



マミ「私、迷っていたの」


 水の流れる音以外には、通りから聞こえる音も少ない。静かで、どことなく寂しさを感じさせるこの場所でマミは口を開く。


小巻「……、何を?」

マミ「全部」


 あたしは今でも、隠された細かな感情の機微や遠回しな表現を汲み取るのは苦手だ。

 そう思って聞いてみれば、返ってきたのはそんな身も蓋もないような一言だった。



 マミは語り始める。


マミ「なにをするか、どう生きるのか、生きてていいのか、全部よ」

マミ「ワルプルギスの夜を倒すのは決まってる。でもそれが終わったら、その先は。……私は全然わからなかった。もう“何もない”ように思えた」

マミ「どうせ魔女になるのなら死ねばいいのかもとも思った。今もふと気づいたら迷ってしまうことがあるわ」

小巻「そんなこと言わないでよ! この前言ったでしょ? 生きてればいつかきっとなんとかなるって――」

マミ「聞いて。……あなたの言葉は嬉しい。勇気づけられた。でも、いくらそう言われても、私は心からそうは思えなかったの」


 そう言われて一旦心を落ち着ける。

 心から思えなければ、希望を持った言葉ですら押し付けでしかなくなるのだろうか。


マミ「私はもう話すつもりなんてなかったけど、みんなで集まって話した日、本当は佐倉さんはこっちには来てたのよ」

マミ「あの子は今の浅古さんほども素直じゃないからそんなにはっきりとは言ってなかったけど、きっと心配されてたの」


 ……あの日、来てたんだ。暁美の家にいたときから今日まで、一切連絡よこしてないし気づかなかった。


マミ「全部打ち明けて…… そうしたら、『今まで強がってばかりでわかろうとしなくてごめんなさい』って伝えた私に対して、『自分も強がってた』って」

マミ「正義とか、悪とか、魔法少女とか、これからはそういうのに縛られないで本当にやりたいようにやろうって。……“だから”、お互いを許して一緒に生きようって」

小巻「……ホントにそんなこと言ったの、アイツが?」

マミ「もちろんすぐにそう言ったわけじゃないし照れ隠しはあったけど、重要なところはこのとおりよ」


 正直驚いてた。

 どう頑張っても、マミの心に響かせられるのはあたしじゃなかったってわけだ。


マミ「先のことは相変わらずわからないけど、私もそっちのほうがいいって……やっとそう思えたの」

小巻「わかるわけないでしょ。未来のことなんて。……織莉子だってこんな未来はわかってなかったわよ」

マミ「……そうね」


 まあでも、あたしの言ったことは間違ってなかったんだろう。

 死んでたらそんな話もできなかったんだから。


小巻「ところで、佐倉の昔の話もっと聞かせてよ。マミしか知らない面白い話あるんでしょ?」

マミ「ええ」


 こうしてやっと、重苦しかった空気が明るいものへと変わった。

 久しぶりにマミと会話を楽しむことができていると、その最中に、いつからかとても気まずそうな顔をした人影が覗いていることに気づいた。


 話題の中心人物だ。



ゆま「かくれんぼー?」


 続いてゆまも顔を出す。


杏子「んなわけあるか! ああもうほらっ、見つかっただろ!」


 二人揃って前に出た。


マミ「別にゆまちゃんのせいではないわよ」

杏子「なんであたしの話なんてしてるんだよ」

小巻「それより、全部打ち明けたってことはワルい夜のことも知ってるの?」

杏子「あー? ……ワルプルギスの夜がこれから来るってことはマミから聞いた」

小巻「アンタたちも戦うの?」

杏子「戦ってやってもいいけど別にアンタのためじゃないからな。ただマミにああ言った後で自分だけしっぽ巻くとかダサすぎるじゃん」


 何を言ったかはマミから聞いた。

 こうして内心を知っていれば、思わず引くほど素直じゃなさそうだった。……場合によっては損をしそうな性格だ。


小巻「……ああそう。それで今日は何しにきたわけ?」

杏子「なんとなく寄っただけだけど?」

マミ「せっかくだから、今日は久しぶりに訓練でもしていく? 浅古さんもどうかしら?」

小巻「いいけど、余裕があったらこれからは他にも見てあげたらどうかしら。キリカがやってもいいって言ってたわよ」


 しかしあたしがやるのにどこか抵抗があるのは、あの問題があるからだ。


小巻「……ところで、ここで変身するの?」

杏子「しないとろくなことできないだろ。舐めプできると思ってんの?」

マミ「制服が汚れてしまったら困るわ」

小巻「……ソウヨネ」



 二人はあたしが何を気にしてるかピンときてないようだった。……腹を括った。



 二人に見てもらって過ごした。いつのまにかここは寂しい場所じゃなくなってた。

 きっと、二人がよく訓練してた頃も賑やかな場所だったんだろう。それを今日垣間見られた。



―32日目終了―


小巻 魔力[100/100]  状態:正常
GS:2個
・[100/100]
・[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]

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今回更新はここまで
訓練が解禁されたことで、小巻だけ見ると大した恩恵はありませんが全体的に実力が向上していきます

次回は22日(土)19時くらいからの予定

日本保守右派系の大嘘

「太平洋戦争は白人に対するアジア解放の戦いだった」
↓大嘘です
https://news.yahoo.co.jp/byline/furuyatsunehira/20200815-00193356
すべての侵略戦争にあった「大義名分」
「アメリカの経済制裁が気にくわないから」という理由だけでは対米開戦としての大義は弱いので、
日本は対米開戦にあたり「アジア解放(大東亜戦争)」をスローガンに掲げたのである。
当時アメリカの自治国であったフィリピン(フィリピン・コモンウェルス=フィリピン独立準備政府)は
アメリカ議会からすでに1945年の独立(フィリピン・コモンウェルス成立から十年後)を約束されており、
日本軍の侵攻による「アジア解放」というスローガンは全く無意味として映った。
よって南方作戦で日本軍に占領されたフィリピンでは、そもそも日本の戦争大義が受け入れられず、
またアメリカの庇護下のもと自由と民主主義、そして部分的には日本より高い国民所得を謳歌していたフィリピン人は、
日本の占領統治に懐疑的で、すぐさまゲリラ的抵抗や抗日活動が起こった。

日本は、アメリカとの戦争の際「アジア解放」を掲げていたが、それよりさらに前の段階で、
同じアジア人に対し攻撃を加えていたのであった。よって多くのアジア地域では日本の戦争大義「アジア解放」は、美辞麗句で空疎なものと映った。
「アジア解放」を謳いながら、片方で同じアジア人である中国を侵略するのは完全な矛盾である。

「日本のおかげでアジア諸国は戦後独立した」
大嘘です。大日本帝国と関わりない中東やアフリカも独立してます。

「人種的差別撤廃提案で日本は唯一差別と戦った。白人は人種差別を支持した」
大嘘です。フランスやイタリアも日本に賛成してます。
https://w.wiki/4i4Q
日本国民自らが中国人を差別していることを思い起こすべきと主張し、吉野作造も日本が中国人移民を認めるだろうかという問いかけを行った。
事実、賛成しているのはどちらかと言うと移民を送り出す側の国であり、反対しているのが移民を受け入れる側の国である(イギリスも本国としては賛成だったが、オーストラリアの意向をくんで反対に回っている)。

「アメリカはドイツは人間として扱い、日本人を人種差別で化け物扱いした」
大嘘です。ドイツはアメリカに騙し討ちをしてませんから当然です。
開戦前に真珠湾奇襲で多くのアメリカ人を無差別攻撃した日本のイメージが最悪だっただけです。
https://w.wiki/4i4Z
原爆投下前に日本の風船爆弾でアメリカの民間人妊婦が殺害されています。ドイツより日本を恨むのは当然です。
「1945年5月5日、オレゴン州ブライで木に引っかかっていた風船爆弾の不発弾に触れたピクニック中の民間人6人(妊娠中の女性教師1人と生徒5人)が爆死した」
そもそも日本側も、アメリカとイギリスだけを鬼のように扱っていました。日本と開戦した連合国国家は他にもあります。(棚上げ)

日本の戦争犯罪は戦場経験者でもある水木しげるさんが証言して漫画にしてます。
詳しくは「水木しげる 姑娘」「水木しげる 慰安婦」で検索してください。
他には「スマラン慰安所事件」「バンカ島事件」で検索。

――――――
33日目



 ワルプルギスの夜との戦いまで、あと2日。



*今日の予定
1小糸とパトロール
2まどかたちの様子を気にかけにいく
3ほむらと一緒に行動
4一人で行動

 下2レス



 学校が終わると、二年のフロアのほうに行った。

 向かう先はもちろんあの朝と放課後に話した人たちがいる教室だ。


まどか「おつかれさまです」

さやか「お疲れさま…… っす」


 ずっと同じ学校にはいるものの、あれ以降顔を合わせたのはこれがはじめて。

 まどかとさやかは二人と知らないクラスメイトを交えて話していて、その途中であたしに気づいて挨拶だけしてくれた。

 暁美は少しだけ離れたところにいる。しばらく二人のほうに目を向けていたものの、一足先に帰るようだった。


ほむら「……何の用」

小巻「べつに? 様子見?」


 暁美についていくと、廊下に出てからやっと口を開いた。


小巻「前みたいにべったりついて回ることはしないんだ」


 暁美の行動でそれが少し意外だった。

 マミから“守護者”のことを聞かされたときはそれが暁美だとは知らなかったけど、狙う隙がないくらいだったからここまで持ったんだ。


ほむら「まどかはもうキュゥべえのことも契約のことも知ってしまった。それがどんな結果を生むかということも」

ほむら「そして、まさか命を狙う魔法少女が現れるなんて思ってなかったけど、それももう死んでいる。……今のままの状況なら、契約することはないでしょう」

小巻「まあ、そうね」

ほむら「今はやることがあるの」



 暁美は校舎を出た後も言葉少なに歩き続ける。ついて来いとも来るなとも言われなかった。

 横顔を見れば、その表情はどこまでも冷たく硬く、少し思いつめたような顔に見えた。


 クールぶったこいつの、いつもの顔。協力するようになっても、やっぱりいけ好かないのは変わらなかった。



1この前話した以上に何か作戦でもあるの?
2ワルプルギスの夜を倒した後はどうする?
3自由安価

 下2レス

1+逆にまどかに魔女化させない願いで叶えさせるのはどうかと提案。(かずみ編の願いみたいな)
あとそうやって自分はなんでもない、独りでもやり通すみたいな態度が織莉子みたいで危ういからほっとけないと話す。

ねぇ、まどかの素質が魔女化したら世界を滅ぼすくらい強いのなら、それを逆手に取れないのかしら?
願いを叶えた時点でそのエネルギーとやらを魔女化させずにキュウベェに吸い込ませるとか、キュウベェの浄化の能力を魔女化させずに無尽蔵にまでにするとか。

あとあんたのその態度、まるで織莉子みたいよ。
そうやって周りを自分から遠ざけて、自分は大丈夫ですなんて態度見ていてイライラするし何より危なっかしいのよ。
あんたが何を恐れてるのか知らないけど少しはこちらを頼りなさい。



小巻「それってグリーフシード集め?」

ほむら「それもやってはいるわ」

小巻「じゃあこの前話した以上に何か作戦でもあるの?」

ほむら「……作戦というほどでもない。これは私の準備だから」


 暁美はどこかへと向かって歩いていく。

 足を止めた先の建物がどこなのかを見てみると、何がしたいのかわからなくてに困惑した。


小巻「これって……」


 基地、なんだろう。そう書かれている。軍隊が使ってるところだ。


小巻「こんなとこにつれてきてどうすんのよ?」

ほむら「あなたがついてきただけでしょう」

小巻「……まさかねぇ!?」

ほむら「私がここに用事があるの。あなたはどうせ一緒には来られないのだから好きにしていたら?」

小巻「マジで言ってんの!? マジでここから武器を!?」

ほむら「……仕方がないでしょう。私はこうでもしないと戦えないんだから」

小巻「……」


 言わんとしてることを察する。

 そんなの知らなかった。これから一緒に戦うってのに。

 なんとなく強力な魔法少女なんだろうとは思ってたけど、そんなデメリットを抱えてたなんて。


小巻「ああそう。こいつらの代わりに戦ってあげるんだから少しくらいは見逃してくれるでしょ。言われたとおりあたしはもう行くわね?」

ほむら「ええ、さようなら」

小巻「……待って」


 放課後こいつの教室を出る時からそうだ。

 露骨なまでに居ても居なくてもいいって思いが透けて見えてムカつく。



小巻「アンタのその仏頂面って、ワルプルギスの夜を倒した後はなくなるの?」

ほむら「……どういう意味」

小巻「そのままの意味以外ある!? あたしは初めて会ったときからアンタのその顔が嫌いだわ!」


 暁美はまだ『どうでもいい』というように特段の反応を示さない。

 これだけでも十分癪に障るしイライラするけど。


小巻「中身を知れば、周りを遠ざけて自分は大丈夫ですなんて強情張ってて。余計にムカついたわ。……あたしの知り合いと同じ。表面の態度だけ見れば全然違うけどね」

ほむら「あなたの知り合いのことなんて私には関係ない」

小巻「そりゃそうね。でもそいつって、美国織莉子、まどかを殺そうとしてたヤツよ」


 『まどか』が絡まないことについてはまるで心を動かそうとしないようだ。

 その名前を出して、やっと暁美はわずかに嫌悪したように表情を変えた。


小巻「あたしも似たような失敗は二度とゴメンだから。何を恐れてるのか知らないけど…… 少しは誰かを頼ったらどうなの」


 なんでこいつにここまで言ってやらなきゃいけないんだ、って気もする。

 一度目の失敗の代わりじゃないけど、嫌いなコイツにしてやれる最大限のアドバイスだった。

 もちろん、素直に聞いてくれるもんじゃないのはわかってる。


ほむら「私が何を恐れてるかって、ワルプルギスの夜以外にあるの?」

ほむら「まどかはこのままの状況なら契約することはないでしょう。でも、負ければすべて台無しになる。あなたたちの戦力を加味しても」

小巻「……あたしたちじゃ頼りがいがないって?」


 思わず何か言い返してやろうと思ったけど、ふと気づく。

 暁美にしては珍しいくらいの弱音だった。特にまどかの前ではこんな弱音は吐けない。


ほむら「私はこれからもずっとまどかを守らなくちゃいけない。でも本当はそんな、一緒にいる資格なんてなかったのよ」

小巻「何よ、どうしたのよ急に……」

ほむら「まどかが世界を滅ぼせるほど素質が高くなったのは私が時間を繰り返したせいなんですって」


 あたしからすればいつもの顔、だと思ったけど――――。

 こんなことを聞くとしたらキュゥべえ、アイツだ。いつのまに。

ああ、キュウベェがバラした後なのか。
ほむらも織莉子も目的のためには手段を選ばず、視野が狭くなって狭量で周りを省みないって似たもの同士だよね・・・



ほむら「だからきっと、私はこれからもこのままよ。このまままどかの素質がなくなるまで守ることだけを考えて、そして死ぬの」

小巻「それが償いだとでも?」

ほむら「それでも私はこの世界でも友達になってしまったから、私はきっと十分に喜んでしまうけれど……」

ほむら「まずはワルプルギスの夜。コイツを倒せなくちゃ意味がない」


 また“次”を求めてしまったら、まどかは今以上になる。

 もう後がないというように焦っているんだろう。暁美の覚悟を改めて感じた。


小巻「……じゃあ、さ。まどかにも頼ってみるのはどう? 友達なのに守られるだけは望まないわよ、きっと」


 藤色の視線が射抜く。暁美はまっすぐに睨んでいた。


ほむら「気安く口出ししないで。私が決めた事よ」

ほむら「まどかは頼ったら最大限に応えようとしてしまう、優しい子だから。尚更あの子にだけは頼るわけにはいかない」



 暁美はそう言い残した後、忽然と姿を消した。

 ……周りを見てみたがどこにもいない。唐突に一人取り残されたようだった。


 暁美は用事を果たしに行ったんだろう。


 強制的に会話を切られたようで不本意だが、あたしもこの場から離れることにした。



―33日目終了―


小巻 魔力[100/100]  状態:正常
GS:2個
・[100/100]
・[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]

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今回更新はここまで
次回は24日(月)20時くらいからの予定

乙です。

ほむらもまどかも変なところで強情なのがなぁ・・・
なぎさ編やあすみ編みたいに良い方向で支えないとすぐ暴走するのがなんとも。

――――――
34日目


 差し込む朝日の中、ベッドから起き上がる。今日は休日だ。

 このところは出来るだけ用事は入れないようにしてきたものの、一日使える日って貴重だ。

 いつもみたいに慌てて身支度する必要はないけど有意義に使わなくちゃ。


 ワルプルギスの夜との戦いはもう前日まで迫っている。


*今日の予定

※以下から2つまで行動を選ぶことが出来ます。1つの行動をめいっぱいやることもできます。

1小糸とパトロール
2マミと連絡をとる
3キリカと連絡をとる
4ほむらと連絡をとる
5キュゥべえを呼ぶ

 下2レス



 マミに連絡して今日のことを聞いてみる。


 佐倉とは和解したみたいだし、あれからあの土手にいることもあったらしい。

 基本的に入り浸って何かやってるのは二人だろうけど、昨日はキリカも混ざって見てもらってきたらしい。

 ……まあ、『何か』といえばほとんどは鍛錬だろう。余裕があるならやって損はないとは思うし。


小巻(送るだけ送ったし、まずはご飯ね)


 いったん朝食をとりにリビングに行って、あとで携帯を見てみると着信がきてた。

 今日も例の場所にいるって。


小巻「小糸! 今日……あれ、さ」

小糸「え? お姉ちゃんなに?」

小巻「……アレよ!」


 小糸も誘ってみようかと思ったけど言葉が出てこない。


小糸「なにそれ! わかるわけないよ!?」

小巻「その、魔法少女の…… 訓練」

小糸「あぁ、わかったけど、訓練? 二人でするの?」

小巻「マミが見てくれるんですって。小糸が行くならあたしも行こうかなって」


 そう言うと小糸が笑った。呆れたような笑いだった。


小糸「もう、ついてってあげるよ。にしても、普段うるさいほどハキハキなのに魔法少女のことだけいきなり曖昧になるんだもんなぁ」

小巻「誰が普段うるさいって?」


 二人で土手に向かうことにした。

>>853 【訂正】入り浸ってるの二人じゃなくて三人、ネ。二人にスポット当たりがちだけど省いたらだめなの。
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マミ「いらっしゃい、こっちよ」

小巻「ああ、もうやってるのね」

小糸「こんにちは!」

マミ「ええ。こんにちは」

ゆま「こんにちは! 今すっごかったんだよ! マミのリボンはキレイで強いの」


 マミと佐倉は今日も通りからはすぐ見えないとこにいたみたいだ。

 近づいたところでこっちに気づいて呼びかけてくれた。


小巻「少しは顔色が良くなったんじゃない?」

マミ「ええ…… おかげさまで。心配かけたわね」

杏子「ここでこうやってると昔みたいだよな。あの頃はゆまもアンタらもいなかったし、絶対同じにはなれないけど」

マミ「佐倉さんが私に勝てないのも昔と同じ?」

杏子「遠くないうちに負かしてやるよ! せっかく『続き』が出来るんだから。でももう今日は教える側に回ろうかな。そのほうが楽だしな」


 キリカも面倒見てもらったって言ってた。

 あたしやキリカにとっては、武器が多少近い分1対1でやりあうにはマミよりもやりやすいとこあるし。


 ちなみにキリカも誘ってみたけど、今日はいいって返ってきた。まあそれぞれやりたいことがあるんだろう。


 ……コイツのこと、最初はヤな奴ってとこしか知らなくて、

 ほかの内面はマミからの話でしか聞いてなかったけどこうして接するとちょっと印象は変わった。


小巻「じゃあお願いするわよ」


 戦いの先輩として認めてやらなくもない。



――――


 小糸は契約したてだ。まだ数えるほどしか戦ってないし、それもほとんどはあたしか誰かが一緒だった。

 だからか、こうして一度出来る人にちゃんと見てもらうと……――こう、未発達で散らかってたものが一気に整うような。


 小糸はある程度までコツが掴めたようだ。

 マミもこうしているときは、少しは前みたいにいきいきした表情をしてる気がした。



*半日経過
1一日中訓練
2小糸とパトロール
3キリカと連絡をとる
4ほむらと連絡をとる
5キュゥべえを呼ぶ

 下2レス

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今回更新はここまで
次回は26日(水)20時くらいからの予定



 今日も残すところ半日を過ぎた。もう昼の時間だ。


 携帯をいじって、暁美に連絡をとって近況を聞いてみる。

 暁美は今日もパトロール、まどかとさやかは駅前のほうに遊びに行ってるらしい。


小巻(駅前か……)


 二人とはこの前向こうのクラスに行ったときに挨拶だけはしたけど、ちゃんと関わったのはみんなで集まった時くらいだった。

 ちょうど昼食もまだだし、少し寄ってみようか。まどかたちとは会えなくても普通に店とか見て回ろう。


小巻「それじゃ、あたしたちはもう行くわね。今日はお疲れ」

マミ「ええ、もうお昼だものね。私もそろそろ一旦帰ろうかと思っていたところよ」

杏子「そうだな。溜め込んでたお菓子もなくなっちまったし。あたしたちもテキトーに……」

ゆま「ごはん!」


 マミたちもここからはもう離れるらしい。

 みんなと別れて向かった。


 ……すると、ついたはいいが今は休日の昼過ぎ。街はちょうど混み合っていた。


小巻「どこも混んでるし、こうも人が多いとあんまり落ち着いて食事できる店がなさそうね」

小糸「そうだね。デパートのほう見てく? あ、鹿目さんたちもこのあたりにいるんだよね」


 そんな話をしている途中で、見覚えのある色の頭を見た気がしてウィンドウの奥を覗いた。

 安っぽそうなチェーン店のハンバーガー屋。そこにいたのは確かにあの二人だった。

 このあたりの店の中でもかなり混んでいて、入った覚えはほぼないようなとこ。


小巻「いたわよ」

小糸「えっ! あ、ホントだ。……入る?」

小巻「……まあ、ものは試しよ」


 意を決して入店する。近づいてくとまどかたちもあたしたちのほうに気づいた。



さやか「まどか、あれ小巻さんと小糸じゃん? こんなとこで会うなんて」

まどか「ほ、本当だ。おつかれさまですっ」

小巻「お疲れ。あたしたちも同席いい? 他に空いてないし」

さやか「どうぞどうぞ!」


 一応他の席も見てきたけど本当に見事に埋まっていた。

 それに、せっかく見つけたんだからちょっと腰を落ち着けて話してみたい気分になった。


小巻「こういうとこよく来るの?」

さやか「よく来ます。なんたって安いから!」

まどか「財布に優しいのうれしいよね」


 こういうとこは本当庶民って感じ。


小巻「あれから何も起きてない? キュゥべえが来たとか」

まどか「わたしのほうは来てないです。さやかちゃんは?」

さやか「あたしのほうも特には」

小糸「よかった」

小巻「そうね、よかったわ」


 腰を落ち着けて、と思っても、やっぱり深い話をするよりまずは契約のことが浮かんで気にかかってしまう。

 それも大事だ。でも疑われてるとか思ったらそれ以上に踏み込んだことなんて話したくなくなるだろうし。

 早くも話に一区切りがついてしまった。


小巻「二人はこの後もこのあたりにいるの?」

さやか「いや、あたしはもう行こうかなって思ってます」

小巻「行くって?」

さやか「……病院に。お見舞いです、友達の」

まどか「わたしはもう少しいるんですけどね。帰りにお使い頼まれてるからそれを終わらせないと」


 二人とも食べ終わったらそれぞれの用事を済ませるらしい。

 戦うための準備はしないといけないけど…… 今更ながら、二人がどんな人間なのかまったく知らないってことに気づいた。


1まどかと一緒に行動する
2さやかと一緒に行動する

 下2レス



小巻「それ、途中まで一緒についていってもいい?」

さやか「……べつにいいですけど、どうして?」

小巻「あんたたちのことなんも知らないって思ったから、普段どんなこと考えててどんなことしてるか。少し話してみようと思ったのよ」


 それに、 明日になる前に少しあたしからも話しておきたいこともあるし。

 当日になってからじゃ話してるヒマなんてきっとなくなる。


小糸「じゃあわたしは鹿目さんのほうについていこうかな」

まどか「わたしは本当にただ言われたとおり買い物するだけなんだけどね…… えへへ、一緒に見に行く?」



 店を出ると小糸たちとは別れて歩き出していく。小糸とまどかはスーパーのほうへ向かったようだ。

 あたしたちが向かうのはさっき言ってたとおり、病院だ。あたしも少し前に入院してたことを思い出す。

 といっても、あたしの場合は一晩で帰れたし、そもそも実際には怪我なんてなくなってたんだから大したことはなかった。



小巻「その友達って、入院して長いの?」

さやか「長い、ですね。退院にはまだかかると思います」

小巻「そう。……大変ね」


 怪我なのか病気なのかはわからないけど、所詮は関わったこともない人のことだから、あたしには他人事の返事しかできない。

 でも、そう答えたさやかの声はさっきよりも少し暗いトーンに聞こえた。


 そういえば、さやかは契約してもろくな結果にならないとは言われてたし、それを聞いて本人も諦めてたようだった。

 でも現時点でさやかに願いになりそうなことがあるのかははっきりとは言わなかった。


小巻「ねえ、あたしが言うのもなんだけどお見舞い品とか持っていかなくていいの? まだなら行く前にそこらで見てったら?」

さやか「あー…… そうですね。でも喜んでくれるかな」


 さやかはあまり乗り気ではなさそうだった。


*お見舞い品といえば?
1果物
2お菓子
3花
4アクセサリーやぬいぐるみなど
5CD・DVD

 下2レス

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(本日20時くらいからやるよ)



小巻「こういうのはね、そんなすごいものじゃなくても嬉しいのよ」

小巻「恥ずかしいなら今日のはあたしからってことにしておきなさい。出してやるから」

さやか「……。べつに恥ずかしいってわけじゃ」


 さやかが小声で何か言ったような気がしたが、あたしはちょうど手土産に良さそうな果物を売っている店が目に入って見にいっていた。

 果物なら無難な感じがするし。


小巻「念の為聞いておくけど、嫌いなものはないわよね?」


 適当に選んだものを手にとって、さやかのほうを振り返る。


さやか「あっ、はい。ないです。ていうかいいんですかこれ。出してやるって」

小巻「言い出したのはあたしでしょ。強制させたいわけじゃないし。そういうことだから決まりね、ちゃんと渡すのよ」

さやか「はい。ありがとうございます……」


 さやかは少し戸惑った様子で受け取った。

 お見舞い品を手にして病院へと進んでいく。


さやか「小巻さんってしっかりした人なのかなとは思ってたんですけど、めっちゃマイペースな人なんですね?」

小巻「マイペース? 人に合わせるのが面倒なだけよ。所詮他人なんだから、言って聞かせるよりやれることは自分でやったほうが早いでしょ?」

さやか「そういうのをマイペースって言うんじゃ?」


 だからこそ、自分じゃどうにもならないことが嫌いだ。

 このままじゃダメになるとわかっているのに、何もしない人。ダメな道に進む人。結局自分には何もできなかったこと。

 所詮他人だから。……自分の言ったことだが、その響きに不快感を覚えた。


小巻「お見舞い行くくらいだから、相手とは仲良いのよね」

さやか「まあ、そうですね」

小巻「なーによさっきから! さやか、この話になってから曖昧よ。アンタが行きたいから行くんじゃないの?」



 煮えきらない態度も嫌い。

 問い詰めると、さやかは真剣な表情で話し始めた。


さやか「……それはもちろんそうです。行きたいから行ってるんです。それがあたしのやれることだと思うから」


 こうして話してると、昼話してた時までのような明るいだけの印象はもうなくなってた。

 誰だって表面だけじゃ一番大事なとこなんてわからない。裏表とか取り繕ったりするの嫌いだって思ってたけど、あたしにも少しはそういうところもあるんだろう。


小巻「アンタ、叶えたいことがあるんでしょ。もしかしてそのことと関係あんの?」

小巻「隠そうとしないでいいわよ。むしろこんな時じゃないと言い出せないでしょ。疑いの目で見られてる時になんて本音言えるわけないものね」

さやか「……関係はあります。キュゥべえに会った時は、もしかして、やっとチャンスが来たのかもって思ったんです」

さやか「あたしのやれることってなんなんですかね? 契約してもうまくいかないって言うし」


 さやかは思いとどまっている。

 とはいえ、その問いかけに対してあたしはなんて答えてやればいいんだろうか。


小巻「あたしのほうも本音を言うと、やりたいことやればいいって思う。お見舞いでも、契約して戦うことでもね。その覚悟があるんだったら」


 あたしだって、やりたいことをやった結果だ。

 魔法少女なんて恥ずかしいしキツいし、そのうえ一歩間違えれば悲惨な末路まで用意されてるんだからやめられるならとっくにやめてる。

 でもやっぱり願った結果を後悔したことはないから。


小巻「でも、真実を知った今は別だわ。これ以上魔女は増やしちゃいけない」

小巻「……もちろん、あたしは魔女になる気はないけどね。契約したからといって絶対になるわけじゃないし、あたしのことズルいって思うかもしんないけど」

小巻「元はキュゥべえが悪いとはいえ、魔女が生まれるのがあたしたちの問題なら少しでも契約する人を少なくしてくしかないわけでしょ?」


 やりたいことをやって破滅するのは自業自得でも、魔女になって周りを巻き込むのはそれじゃ収まらない。

 やりたいことやっていいのは自分が責任を取れる時だけだ。


さやか「そうですね……」


 さやかも理解しているようだった。

 結局、契約のことも奇跡のことも元々無かったんだと思うしかない。



 病院に着くと、受付に行く前にさやかに話した。


小巻「明日のことを言うわね。わかってると思うけど、危ないことはなしよ。避難指示にはちゃんと従って、安全に過ごしていてちょうだい」

さやか「はい」

小巻「あたしたちは外で戦ってるから。もし…… 万が一そっちまで被害が及びそうになった時にはテレパシーでも使って絶対に伝える」

小巻「その時は頼むわね? 魔女のこと知ってる人しか出来ないことがあるはずだから」


 今日話して、さやかのことを少し知ることが出来た。

 あたしも真剣にさやかに託す。


小巻「ま、もちろんそんなことないようにはするけど!」

さやか「はい。こんなことしか言えないけど、頑張ってください!」



 面会の受付を済ませ、廊下に行く姿を見送って、さやかと別れた。

 ――小糸のほうはまどかと何か話せたかな。



―34日目終了―


小巻 魔力[100/100]  状態:正常
GS:2個
・[90/100]
・[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]

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今回更新はここまで
次回は2日(水)20時くらいからの予定

――――――
35日目



 朝、黒い雲が渦巻く空の下。あたしたちは家を出た。


小巻「……行きましょ!」

小糸「うん」


 例の魔女との戦いまであとどのくらいだろう。暁美から聞いた話じゃ大体の時間しかわからなかった。

 すでに何かが起こりそうな予兆は感じる。その元凶が姿を現すまで、もう数時間とない。

 親には今日は朝から用事があるって伝えといた。避難指示が出始めたらちゃんと逃げてくれるはずだ。


小糸「きっと、大丈夫だよね……」


 少ない準備期間。こんな過ごし方でよかったのかって、今になって不安は押し寄せてくる。

 手持ちのグリーフシードは二つ。それも、一つは少し濁った状態だ。

 使える魔力は少ない。もっとパトロールを優先させておくべきだったのかもしれない。



 ……いや、後悔しても仕方ない。今持っている力で挑むしかないんだから。



小巻「出たらわかるのよね? 魔力は感じるんだけど……」

ほむら「ええ。相手は大型の魔女。嫌でもわかるわ」

小糸「じゃあ待つしかないんだね」


 向かった先は暁美から聞いた場所だ。

 といってもかなりあやふやな指定だったけど、周辺に着いたら仲間の姿はちらほらと見えた。

 全員で合流したのはそれから少ししてからだった。


キリカ「ところでこの使い魔みたいのは? 倒さなくていいの?」

杏子「こいつら襲ってこないだろ。ムダな労力使える余裕なんてあるかって」

マミ「使い魔はいくらでも沸いてくる存在よ。それは『ワルプルギスの夜』が相手でも変わらないのだし……」

マミ「手下もこれだけではないかもしれない。温存できるうちはなるべく温存しておいたほうが良いわよね」


 魔力の気配が濃くなるのを感じる。それに比例して、風も強くなる。

 さらにはあたしたちの周りをただ通り過ぎていく使い魔まで現れはじめていた。



キリカ「うーん、そういうならわかった」


 この状況で、落ち着かない気持ちはあたしもわかる。

 絶対“いる”気配を感じるのに何もできない。待つしかない時間。


 合流してから、暁美は杏子のことを見ていた。


杏子「……戦力多いほうがいいんだろ? 飛び入りだけど、話はマミから聞いてるし」

ゆま「キョーコはつよいんだよ! ゆまもがんばるね!」

ほむら「ええ、わかってる。それはありがたいけど」


 何があったのか、とまでは暁美は深堀りしない。単にそこまで興味がないんだろうけど。


ほむら「あなたが来てくれると思ってなかったから」


 この反応からして、暁美は杏子のことも知っている、正しくは――過去のループで関わったことがあったんじゃないかと思った。

 そういえば、前に優木の事件のことを話した時、暁美は無関心を貫いていたが唯一犯人の『名前』だけは気にしていた。

 もし自分の知っている名前だったらと思ったのかも。


 異変があったのは、そんな、少し関係のない話をしているときだった。


「!」


 全員が息を呑む。

 本当に突如として、黒い雲の覆う空に禍々しい気配を持った“巨体”が浮かび上がった。


小巻「思ったよりも……でかいわね」

キリカ「わぁ、やっと出た。うう、デカいくらいでビビんないし! 早くやろう!」

マミ「相手の出方にも気を配って。十分に気をつけて近づくのよ」


 銃すらここからじゃ届かない距離だ。みんな魔女のほうを目指していく。まずは近づかなくちゃ話にならない。


ほむら「私が最初に仕掛けるわ」



 そう聞こえたと思うと、上空に居る魔女の周りに“細い粒”のようなものが囲んで浮かび上がる。

 それがなんなのか考える前に爆発が包んだ。


小巻(……なるほど、この前基地から持ってきたやつってあれか)


 暁美はすでに離れたところにいる。

 一瞬にしてあの物量の攻撃だ。『魔法』を使ったんだろう。しかし、魔女には効いている素振りもない。


小巻「風も本格的に強くなってうざったいわね」


 向かい風自体も鬱陶しいが、風に乗って砂や障害物まで飛来してくる。


小巻「もう、一人だけそんなとこに行って! あたしだってすぐに追いついてやるから待ってなさい!」



小巻 魔力[100/100]  状態:正常
GS:2個
・[90/100]
・[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


仲間:
小糸 状態:正常
マミ 状態:正常
キリカ 状態:正常
ほむら 状態:正常
杏子 状態:正常
ゆま 状態:正常

敵:ワルプルギスの夜


1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2両斧斬撃 :近接武器戦闘・両斧(魔力-5/1ターン)単純に手数を二倍にする。相当なパワーが必要になるため、長くは使えない。
3投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
4ガード(魔力-3~5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
5バリアバインド(魔力-40) :敵をバリアに閉じ込める。…頑張れば足止めできなくもない?
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】

 下2レス



 次々と、追いついた仲間から攻撃を仕掛けていく。

 その間にも魔女は衝撃を受けるままにあたしたちから離れ、またふわふわとどこかへ漂いだす。

 さっきからまるで、あたしたちの攻撃なんか気にするほどでもないみたいに。……あたしたちのこと、見えてるのかしら?

 これは、追いつくだけでも大変そう。


小巻「強いくせに厄介に逃げ回ってんじゃないわよッ!」


 あたしもビルの屋上の端からヤツの姿を捉えて足を止めた。

 これ以上距離を引き離されないうちに全力で斧を振りかぶって、投げつける。


 また追いかけなきゃ。


 魔女は今も街のあちこちに火を吹いて燃やしている。

 かと思えば、凄まじい突風で倒壊させたビルを根こそぎ持ち上げ、さらに瓦礫を増やしている。


 出来る限り守るつもりだった。でも、これだけの攻撃から街並みまで守り切ることはさすがにできない。

 被害を抑えるにはさっさと倒すしかないんだ。あたしは改めて覚悟を決めた。


小巻「こっちを見ろ! アンタの相手はあたしたちだ!!」


 無関係なものばかり破壊して。悔しさのままに叫ぶ。

 すると――――きっと、その言葉が通じたわけじゃない。



 こっちに向かって思わず顔を覆いたくなる風が吹きつけて、そして。

 いまさっき地面からもがれたばかりのビルだったもの、コンクリートの塊が迫ってきていた。

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今回更新はここまで
次回は5日(土)18時くらいからの予定



 あたしたちにぶつからないうちに、すかさず強力なバリアを張る。それから周りを見やった。

 杏子やゆまなど、もう先に行った仲間もいる。でもまだあたしと同じくここにいる仲間はいた。


小巻(これだけじゃ防げない! 逃げなきゃ潰れる!)


 あたしが勢いを最大限に殺し、さらに……これはキリカの魔法だ。周囲を遅くする魔法。おかげで余裕ができた。

 あたしたちの魔法を行使して全員なんとか逃げ切ることができた。

 しかし、『守りきることを諦めた部分』――さっきまでいた『足場』の惨状を見ればゾッとする。塊が衝突したビル本体は、屋上から大きく抉れ半ばから醜く折れ曲がっていた。

 もしも防げなければ、逃げられなければ、あの中にいた。


 ふと、一人みんなと離れた場所にいる暁美と目が合った。


小巻「……」


 それからすぐ、あたしたちが無事だとわかったからか、再び目を逸らして魔女を追いに走り去ってしまった。

 助けてくれるつもりはあったんだろうか? 離れている上考えが読めなくてどうにも連携が取りづらい。


小糸「みんな、怪我はない!?」

キリカ「へーきへーき、私は先にちがうとこ移ってたし。あのビルはあの有様だけど……」

小糸「あのビルからは逃げることはできたけど、みんな無傷じゃないでしょ。この暴風に混じって飛んできたもののせいで少なからず怪我してる。一旦体勢を建て直さないと」

小巻「そうね。この戦い……長引けば長引くほど不利になるわ」


 随分と遠くにいってしまった魔女を睨みつける。長く戦えばきっと、防御や回復のほうが重要になるんだろう。

 ワルプルギスの攻撃は生半可なものじゃないのはわかったし、なにより環境まで味方しすぎてる。

 できるだけ早くに決着に持ち込みたい。けど、そのための魔力がなくなったらそれこそ終わる。


 ここは回復の得意な小糸に甘えることにした。体勢を整えてから再び戦うことにした。



小巻 魔力[80/100]  状態:正常
GS:2個
・[90/100]
・[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


仲間:
小糸 状態:正常
マミ 状態:正常
キリカ 状態:正常
ほむら 状態:正常
杏子 状態:正常
ゆま 状態:正常

敵:ワルプルギスの夜


1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2両斧斬撃 :近接武器戦闘・両斧(魔力-5/1ターン)単純に手数を二倍にする。相当なパワーが必要になるため、長くは使えない。
3投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
4ガード(魔力-3~5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
5バリアバインド(魔力-40) :敵をバリアに閉じ込める。…頑張れば足止めできなくもない?
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
6仲間にテレパシー【安価内容】

 下2レス



杏子(引き剥がされないように追ってはいるけど、それが精一杯だ。ぜんっぜん攻撃を浴びせてやれてねぇ)


 ――――小巻よりも先を行っていた仲間たちはまだ地道に攻撃を続けていた。

 とはいえちょっとやそっとでは動きを止めさせることすらできない。一度足を止めて技を繰り出せばむしろこちらの隙を生む。

 足を止めずに攻撃できるマミの銃撃も効果が出ているとは思いづらかった。


 走り続けているだけでも体力は消耗してしまう。


マミ「闇雲に攻撃を続けていても持たないわ。私もそれほど余裕があるわけじゃない…… 大きい攻撃を確実に当てていきましょう」

マミ「相手は宙にいる。浮いているということはどこにも支えがないということよ。その衝撃は間違いなく受けているのだから」


 マミは上空に大砲を作ると、魔女の脚部にあたる部位――上を向いた歯車目掛けて魔力を放つ。

 ワルプルギスを空から地面へと墜とす攻撃だ。この判断は、その巨体の叩きつけられる先にあった街並みがすでに魔女によって荒れ果てさせられていたからできた判断でもあった。


マミ「攻撃の隙を生むことくらいは出来たはずよ」


 そう言って、杏子に目配せをした。


杏子「そうだな。じゃあいくぞっ!」

ゆま「うん!」


 杏子は多節に分けて伸ばしていた槍の柄をもとに戻すと、飛び上がって勢いをつけ、狙った一点目掛けて魔力をほとばしらせた刃を打ち込んだ。

 続いて、別の角度からはゆまも追撃をし掛ける。


 ゆまの武器はハンマー――打撃でありながら、離れた場所にもその威力を及ばせることができる。

 だが、その威力を十分に活かすなら相手に直接打ち込むのが一番だ。


ほむら「……」


 その後に響いた爆発のような音。魔女を追っている時も他とペースを合わせることはなかったが、暁美ほむらは神出鬼没にどこからか現れて目にも止まらぬ攻撃をしていた。

 戦ったことのあるマミにはその絡繰はわかっていた。時間を止めて爆弾か兵器でも撃ち込んだのだろう。



 全員が全員、非の打ち所のないほどの必殺技を放ったはずだった。

 しかし、魔女はただのひとかけすら傷ついてはいない。動きは止められても、ダメージを負うほどの有効打にはなっていなかったのだ。

 であれば、このままやられ続けているわけもなかった。


マミ「せめてもうちょっとくらい……足止めできていればいいのだけど」


 そもそも、まだ全員が追いつけていない。


小巻「そうね」



 あたしも、やっと追いつけた。マミたちが足止めしてくれてたからだ。

 このチャンスを逃すわけにはいかない。



小巻「あたしがやる! 何をするつもりか知らないけどまだ大人しくしててもらうわ!」


 ワルプルギスの周囲にバリアを張る。さすがにこの質量を覆い尽くすのは、今までのどの魔女とも比べ物にならない。

 それよりも恐ろしいのは、奴が大きいだけじゃなくどの魔女よりも絶大な威力を持った災害を生み出すところだ。


 魔女の口から吹き付けられた炎は誰にも届かず遮られた。にも関わらず魔女は笑ってる。

 次の瞬間には多方面に放射された闇色のエネルギーがバリアに罅を作っていて、そこから無数に生み出された使い魔たちの攻撃で自然と砕け散らされようとしていた。


 でも、そんなのはいい。こっちから攻撃するにはどうせ壊さなくちゃいけないんだから。


小巻「悪いけど誰か使い魔相手してっ! あたしはコイツに一発入れてやらないと気が済まないから!」


 バリアが破られると同時に、斧を両手で構えて突進する。

 使い魔はマミが対処してくれているようだ。それと暁美も。飛び出して出てきたそばから見事に迎撃してくれている。

 これだけ戦力が集まっていれば、本当にやれそうだ。


 一発、重い一撃を叩き込んだ後にもう一度斧を振るおうとして、また不気味な笑い声を聞いた。何か仕掛けてくるつもりなのか。


キリカ「今ここで逃しちゃいけない! なんとかしてみんなで隙を作るんだ!」

マミ「ええ!」

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今回更新はここまで。
次回は6日(日)18時くらいからの予定



 そう言ったキリカを筆頭に、あたし以外にも足止めや防御に使える手段は持っている人はいくらかいた。

 上空を無軌道に移動するワルプルギスを追っていた時には発揮できなかったキリカの魔法も、すでに追いついて地面に磔にした今なら使える。


 そして、感じたのは風圧。あの捥ぎ取られたビルが迫ってきた時に似た、それよりも“直接的”に肌に感じる暴力的なまでの気流の動き。

 それがワルプルギスの夜から湧き起ころうとしている。


小巻(コイツ、あたしたちを吹き飛ばして無理にでも距離を取る気……!)


 一点だけを狙ってくる炎とは違う。わかっている『だけ』じゃ対処はできない。


小巻(いや、さっきまでの態度見てればそれは思い上がりか。コイツもやりたいようにしてるだけ)


 しかしその動作に災害級の威力が伴う。

 強力な浮力を纏って再び宙へ浮かび上がろうとする魔女を、今度は細かく編み込むように張られたリボンが障壁となって押さえ込んだ。


 こっちも極めて強引な方法で、魔女から生み出される浮力を無に留めた。

 それならやることはひとつ。今のうちにまた地面に押しつける。今度こそ迷いなく全力で斧を振るった。


 ……あたしじゃ今回はこうはできなかった。攻撃の後、一旦グリーフシードを取り出して魔力を補充する。

 この規模のバリアとなると、一人じゃ連続して張るには消耗が激しすぎるから。


杏子「そうだ、お前はまだ寝てろっ!」


 みんなの猛攻はまだ続いた。文字通り袋叩きってやつだ。ただし、魔女のほうもこれで起き上がることを諦めたってわけじゃなかった。


 鎖状に連ねて作られた赤い障壁が風を防ぐ。

 杏子が生み出したものだった。


ゆま「えいっ!」


 それからゆまが武器を振りかぶって叩きつける。

 上から下へ、再び地面まで押し付ける衝撃波が響く。


 この一方的な状態を実現できたのは、絶対に逃さないというみんなの執念の結果といってもよかった。

 しかし――いくらみんなの力を集めたとしても、どうしようもできない『切れ目』はきてしまう。



 風や炎からの防御、沸いてくる使い魔の対処、そして攻撃。こんだけ全力で動くんだから、合間に肉体の疲労も治さなきゃやってられない。

 一人じゃ出来ないけど、みんなで力を出し合って出来た。

 そして、その全てに必要なのは魔力。



 ――――その底が見え始めたときに、自然と執念も崩れ始めた。



マミ「!」

キリカ「わぁっ」

小巻「っ……!」


 ワルプルギスの夜を逃した。あれだけ続けていた猛攻でも、相手はまだ傷一つついてない。あたしたちの魔力がなくなるほうが早かった。


 瞬間、滲むのは後悔。結局グリーフシードが必要だった。

 いや、そんなこと今は考えてる場合じゃない。身体が浮く感覚に、咄嗟に自分を包むだけのバリアを張る。


小巻(痛……くはないけど、かなり離された)


 後ろは瓦礫。バリアのおかげで叩きつけられた衝撃はない。

 見上げると、ワルプルギスは再び宙にいた。


 最初は不気味に笑いながら、あたしたちの攻撃なんてじゃれてるくらいあしらってたワルプルギスの夜も、

 これだけ長いこと意に反して押さえつけられれば当然――怒っていたんだろう。あたしにはそう見えた。


小巻「小糸…… みんなはっ!」


 周囲を見回す。あの時、バリアを張れたのは自分一人だった。

 他を守ることはできなかった。そんな思いを感じ取ったのか、返ってきたのは誰かの悪態だった。


杏子「別にアンタに守ってもらわなくても、自分でなんとかするっての」


 生意気な声だ。目を向ければ、やっぱり杏子がいた。



小巻「まあ、そうね。みんなあたしが思ってたより強かった。杏子もゆまもキリカも、魔法であそこまでできるって知らなかったし」

杏子「つーか、アンタ……」

小巻「何よ?」

杏子「別に? 名前のほうがあたしもしっくりくるし、いいんじゃない?」


 最初は絶対気に入らないタイプの人だって思ってたけど、

 コイツのことよく知ってみたら、いつまでも線引きして他人行儀に呼ぶのもバカバカしくなってた。

 そんな理由をひっくるめて、“なんとなく”呼び方を変えたってとこだった。


小巻「これでも、認めた相手しか名前で呼ばないのよ」

小糸「お姉ちゃんよく言えた! 言わなかったら私から解説しようと思ってたもん」


 後ろのほうから小糸の声が聞こえてきた。

 ひとまず小糸も無事らしい。そう思うと安堵した。


小巻「何様よ、アンタは」


 そんなやりとりを見て、杏子は一瞬、穏やかな笑みを浮かべる。

 しかし、のんきにしている場合でもなかった。敵はまだ宙にいる。それにまだみんな見つかってない。


杏子「それより、おい! あれ」

小糸「え?」

小巻「暁美……?」


 ……まるで瓦礫の一部。埋もれてたから気づかなかった。

 思えば、こいつの魔法って正確にはなんだったんだろう? こいつこそ誰に守られなくとも自分でなんとかしそうなもんなのに。


小巻「……冗談じゃないわよ。笑い話にもならないのよ」

小糸「今出すよ! それに怪我を……!」


 小糸が駆け寄ろうとする。すると暁美は、すでに死んでるみたいな青白い顔色でそれを止める。


ほむら「私のことはほっといて」

小巻「この期に及んで! そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!」

ほむら「見て。そんな暇ない」


 それは焦ったような声色だった。再び上を見上げる。いや、周囲の様子からしても異変があった。

 暁美が見たものは――今まで見てきたものとは比べ物にならない速度でワルプルギスの夜が駆け抜けていくところだった。

 一帯に吹く風が強さを増し、離れているにも関わらず、思わず身構えるほどの余波に吹き付けられた。


 ただの余波でこの威力。ワルプルギスが通った後の地上は一瞬で破壊しつくされ、数え切れない数の使い魔が生まれていった。


小巻「嘘でしょ? まだあんな力を!」

杏子「いや、そうじゃねえ」


 今までが手加減しすぎてた。怒らせて、遊ぶことをやめた。『少しだけ』本気を出した。

 そういうことだって、言いたいんだろう。


ほむら「私はもう魔法が使えない。あなたたちだってそんなに残りはないんでしょう?」

小巻「魔法が、使えない?」


 単純に魔力が足りないのか、それ以外に意味があるのか。



 長く語っている時間はない。


小糸「ど、どうするの!?」

杏子「あたしもマミから聞いてる。今にも死にそーなツラしてるけど…… 簡単には死なないんだろ。ほっとくしかない」

小巻「とりあえず、こいつらを片付けないことには安心もできないものね」


 迫ってくる使い魔の群れに向けて武器を構える。

 杏子だってここにいない人のことは気にしてるだろう。いつも一緒にいるゆまがいないんだから。


 けれど今仲間を探してる場合でもない。使い魔を倒すと同時に、上空の魔女の動きまで気にかけないといけない。

 あんな攻撃がもし直撃したら、ソウルジェムのことがあるから死なないまでも、一瞬で戦える状態じゃなくなる。


 いつのまにかあたしたちは、ワルプルギスの夜を追う側でなく、追われる側になっていた。



小巻 魔力[80/100]  状態:正常
GS:1個
・[0/100]
・[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


仲間:
小糸 状態:正常
マミ 状態:-
キリカ 状態:-
ほむら 状態:行動不能
杏子 状態:正常
ゆま 状態:-

敵:ワルプルギスの夜
  ワルプルギスの夜の使い魔 <- 攻撃対象


1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2両斧斬撃 :近接武器戦闘・両斧(魔力-5/1ターン)単純に手数を二倍にする。相当なパワーが必要になるため、長くは使えない。
3投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
4ガード(魔力-3~5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
5バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める。
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】

 下2レス

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今回更新はここまで
次回は9日(水)20時くらいからの予定



 1対多の戦いはあたしのスタイルではどうしてもやりづらい。

 結局のところ、あたしの場合小細工のいらない攻撃が一番強くて他は補助だ。

 そのスタイルは魔女を相手してたさっきまでだったら合ってた。


 これがいつもの魔女との戦いだったら無視して魔女のほうを倒す選択肢もとれた。けど、ワルプルギスが相手じゃそうもいかない。


小巻(どれだけいるの……! こいつら……!)


 使い魔は影が人のような形をしているかのような姿だが、その攻撃手段も多かった。

 素早く飛び込んで打撃をかましてくる個体、遠くから攻撃を飛ばしてくる個体。それが何より厄介だ。

 こっちの遠くへの攻撃手段といえば投げることくらいだけど、そんな隙がないのはわかりきってる。思い切って踏み込みにいけば、守りきれず傷がつくこともあった。


小糸「お姉ちゃん!」


 そんなときは、妹だけは守り切ると決めて。


小糸「……もうっ、無茶するんだから!」

小巻「ありがと、楽になった。でも、ちょっとくらい無茶でもしなきゃ倒せないわよこんなの」


 使い魔を引き裂いた後に、優しい感触が身体を包んだ。

 小糸の魔法だ。思えばこの魔法にはもう何度も救ってもらってる。無茶できたのは小糸がいるからってのもあった。



 多方向から押し寄せてくる使い魔に小糸と二人でなんとか対抗する。

 その一方で、杏子のほうは複数の使い魔に囲まれようと怯まない。



 守り、薙ぎ払い、行動を封じ、貫く。それらを一つの武器で、あたしたちが二人でやっていることを一人でこなした。

 その戦いぶりを見ればやっぱりベテランなのだと、普段偉そうにしてるのも少しは納得できる気になった。

 でもまるで、あたしたちに守られることも拒むかのようにも映った。




 都市の跡地で影が踊る。

 建物は瓦礫となり、塵となり、吹き飛ばされてやがて『無』になっていく。その上では魔女が踊っている。

 あたしたちの街はすっかり魔女たちの舞踏会場にされていた。



小巻(全然減らない……倒すペースと増えるペースがさすがに合ってない)


 それでも戦わなきゃ増える一方だ。だが、いつまで経ってもこいつらに阻まれて魔女にたどり着ける気がしなかった。


小巻(ただでさえ追いつくだけでも一苦労だったのに)


 背の高い建物がなくなったせいで、私達のいる地面とワルプルギスは更に大きく離されている。

 このままじゃジリ貧になる。


 ――――きっとたどり着いたところで勝てない。魔女に本気であれだけ攻撃してもこの余裕を見せているんだ。


 弱音が心の中で漏れそうになった。きっと、疲れてるせいだ。


小巻「こいつらもさ、元は人間だったってわけ?」

小糸「……わかんない。誰かが魔女になったところは見たわけじゃない。でも、無関係じゃ、ない気がする」


 このやけに個性のある使い魔といい、魔女から見て取れる感情といい。


杏子「そんなこと言ってる場合じゃないだろ。たとえそうだったとして同情なんてできるか」

小巻「そりゃ、そんなの決まってるわよ」


 同情するってわけじゃない。

 人が変化した魔女ですらあんだけ話が通じないんだ。


 その時、背後から絞り出すような声が聞こえて、現実に引き戻された。


ほむら「もういい。私のことは置いていっていいから」

ほむら「私じゃなくて避難所を……まどかたちを守ってあげて」

ほむら「あっちにはまどかたちがいるの。これ以上進ませてしまったら、私の知り合いだけじゃない――――大勢の命が失われることになる」

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今回の更新はここまで
次回は12日(土)20時くらいからの予定


小巻「なっ、何言って……」


 そう言われてやっと魔女の進行方向にあるもののことに考えた至った。このままじゃどうなるのかということも。

 正直、迫ってくる使い魔だけでも精一杯だった。


小巻「あっち? みんなはあっちにいるのよね!?」


 あっちに避難した市民たちがいる。まどかとさやかがいる。ということは、あたしの家族や友達もいるだろう。

 みんな身を守る手段すら持たなければ、そのほとんどは魔女のことすら知らない。あたしたち【魔法少女】が守るべきもの。


 それだけはなんとしてでも守らなければいけない、と思って居ても立ってもいられなくなる。


小糸「お姉ちゃん!?」


 走り出したあたしに小糸は驚きの声を上げた。杏子は無言でついてきてる。


小巻「行くわよ!」

小糸「えっ、でもっ」

小巻「あたしたちは『魔法少女』だから!」


 初めて今、その名をはっきりと口にできた。

 自分に無理を強いても。たとえ、仲間に無理を強いることになっても。



 使い魔の群れの中を無理矢理に突き進んでいく。出来るだけ早く。傷ついてももう気にしなかった。今だけは。



 そうしてその先にあったのは、絶望感溢れる光景だった。

 魔女の姿はまだこの地上からは遠い。それでもこの身に感じる威圧感はこれまでの何倍もあった。



杏子「ゆま……」


 瓦礫に倒れているゆまの元に杏子がふらりと身を寄せる。


キリカ「ごめん、そうするしかなかったんだよ」

キリカ「私達が傷つくたびに必死に治してくれて、誰よりも魔力を使ってるのに無茶をするから」


 杏子が慌てて手持ちのグリーフシードをゆまのソウルジェムにあてがう。あたしたちのほうはまだ余裕があった。

 三人はあたしたちよりも先に追いついていた。

 遠目で見ても食らったらひとたまりもない攻撃に見えた。それを間近で受けて、やりあって。


 そう考えたらこの状況になるのも納得がいった。


マミ「正直、私はみんなに『逃げて』って言いたい。でも……」


 この場にいる中でゆまだけが意識がなかったが、身体の損傷だけでみれば二人はそれ以上だった。二人だって相当な無茶をしていた。

 たしかに、本来ソウルジェムが壊れない限り死ぬことはないし戦い続けられる。でも、それを知ってるせいで、本当に動けなくなるまで足を止められなかったんだから。


小巻「わかってるわよ。みんなを守る。あたしはそのために来たの。……暁美からも託されてきたし、ね」

マミ「暁美さんは……」


 マミも察しはついたみたいだった。置いてきたこと。

 今アイツがどうしてるかはわからない。気にかけてる余裕もない。そんなことはやるべきことが終わってからでいい。




 もうここまでくれば、勝ち目のない戦いだってわかってた。


 三人で歯が立たなかった相手に、もう三人を加えたからって勝ち目が見えるわけでもない。

 それなのに戦いを止めないのは馬鹿みたいだって思われるのかもしれない。


 でもきっと、ここがあたしたちの『運命』なのだと思った。もしそれで、守りたいものが破滅を辿ってしまう運命を少しでも変えられたのなら。


 ――――……なんて、大げさすぎるかしら。


小巻「こっちに気づいたわね魔女! アンタを許すわけにはいかないから!」


 ワルプルギスの夜はあたしたちのことを敵として見てる。視界に入る限りは潰す気だろう。


 武器を手に駆け回り、憎き姿にただ必死で食らいつこうとする。

 回復は最低限に。ここに残っている街並みがなくなったら終わりだ。小細工するほどの余裕だってない。


 焦る気持ちはあった。落ち着いていられるわけがない。

 たとえ自分が助かっても他のみんなが死んでしまったらそのほうが嫌だって、思ってしまったから。



 勝てないと思ってた相手。響かないと思ってた攻撃。



 それでもある時、空は晴れていった。

 分厚い雲に覆われた景色も見慣れてしまっていたが、明けない夜なんてないのだと、そう言わんばかりに。



小巻「ワルプルギスが……!」

小糸「う、うん! 今のは効いてた! それに崩れてった!」

杏子「倒せた、のか……? 倒せたんだ! やった、あたしたちやっと倒したんだよ!」


 ここまで諦めなかったから倒せた。あたしたちの希望が勝った。

 でも今のは、『誰の』攻撃で。


 そんなことを考えたら、そう単純な話ではなかったことを悟った。あたしたちの背後に立っていたのは――――。



まどか「……ごめんね。約束は破っちゃった」



 守らなければいけない一人だったはずの、まどかだった。



――――――



 身体が軋んでいる。瓦礫の重さがのしかかる。

 避難所の方角へと向かった仲間の背を眺め、それから周囲に視線を移した。


 依然として使い魔は多い。こちらに目が向くのも時間の問題だ。身動きも取れず、負傷して一人残った私は恰好の標的にされるだろう。


ほむら(……みんなのことは信じたい。でも、私が死んだらもう過去にも戻れなくなる)


 まどかのことをみんなに任せる思いで行かせた。それなのに矛盾する思いだ。

 自分がどれだけもつかということを考えて、いつでも廻せるようにそっと盾に手をかけた。しかし、頭に浮かんだ。


 キュゥべえ――インキュベーターに言い当てられたことだ。

 繰り返したからまどかの素質は増えた。

 魔女になれば世界を滅ぼすほどに力を増し、キュゥべえからもまどかの存在を脅威に思う魔法少女からも狙われやすくなった。


 だから自分がこれからのまどかの人生も守りきり、責任を果たさなくてはいけないと決意していた。


ほむら(これ以上繰り返したらまどかはどうなってしまうの……?)


 この状況はどうだ。自分のことすら手一杯。

 まどかを守るどころじゃなく、ワルプルギスの夜の使い魔に殺されそうになっている。

 そんな自分がどうしようもなく情けなくて、心底憎らしいと思った。


 憎しみ。諦め。後悔。…………無力。

 感情がぐるぐると己の中を駆け巡り手が動かない。使い魔は目の前に迫っているのに。


 そんなとき、使い魔が消えて空の光が差し込んだ。沸き起こったのは期待と、『また』やってしまったのではないかという不安だった。



――――――

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今回更新はここまで
ワルプルは相性いい仲間+αが何かないと倒すのはきついですね…
次回13日(日)18時くらいからの予定



杏子「お、おい……アンタは契約しちゃダメだろ!? いくらあたしたちが手こずってたにしたって――」

小糸「待って。話を聞いてあげて」

小巻「……小糸?」


 あれだけまどかが契約すればどうなるかって聞かされて、みんな焦ってる中で小糸は落ち着いてた。

 まるで予測してたみたいに。


 まどかが小さくうなずいて話はじめる。


まどか「わたしね、自分にも出来ることがあるんじゃないかって考えてみたんだ。魔法少女のことを聞いて、わたし自身のことも聞いて」

まどか「魔法少女は魔女になる。でも、それは絶対じゃないでしょ?」

まどか「みんながまだこうして生きて、普通の人と変わらずに笑ったり怒ったりして……そして、わたしたちのために戦ってくれてたみたいに」


 口を挟みたくなる気持ちを今だけは抑えて耳を傾けた。

 魔法少女が魔女になるのは『絶対』じゃない。暁美の家に集まって話した時、そう言ったのは確かにあたしだった。


まどか「やっぱりみんなを見捨てられないの。わたしが助かっても、そのせいでみんなが死ぬのは絶対にいや」

まどか「本当は、わたしの知ってる人だけじゃなくて、キュゥべえと契約した魔法少女全員。今いる魔法少女も、過去に契約した人も、これから契約する人も」

まどか「全員を助けてあげたい。希望を願った魔法少女が裏切られることが運命なんて、そんなことあっちゃいけないことでしょ?」


 まどかは真剣な表情であたしたちに問いかける。

 あたしもそう思っていた。


まどか「……でも、わたしにはそこまでの素質はないんだって。昨日のうちにキュゥべえと話したの」

まどか「決まりきったことを変えたいと願うことは傲慢なことだって、キュゥべえが言ってた」

まどか「だから、本当にごめん。こんなことしかできなくて」



 その時、地面を踏みしめて誰かが走ってくる音が聞こえた。

 暁美だ。ずっと全力で走ってきていたからか息を切らしていたが、まどかの姿を見ると大きく息を呑んで、呼吸するのも忘れたかのように崩れ落ちた。


まどか「わたしの願いは、『魔女になっても誰も傷つけないこと』『“わたし”のままでみんなと話せること』」

まどか「みんなが教えてくれたからこうやって願えたんだよ」


 見てみれば、あの攻撃で限界だったのだろうか。胸元の宝石はすでに黒に染まりきっていた。

 表面には罅が刻み込まれ、次第にその数は増えていく。それでもまどかは穏やかに話し続ける。


まどか「約束をしてくれる? ほむらちゃん。“次”に行って……もう一度、ううん。ほむらちゃんが本当に納得できる結末になるまではやりなおして」

まどか「とても残酷な頼み事だと思う。重たすぎる枷で縛ることになると思う」

ほむら「何を言って…… 今の自分はどうでもいいっていうの?」

まどか「わたしの思いは次につなぐ。わたしが願ったことは、いつかのわたしがきっと叶える。……繰り返したら、わたしの素質は増えるんだよね?」


 暁美は図星を突かれたという顔をした。それもキュゥべえと話す中で確認をしたんだろう。


まどか「人間が願うことが傲慢なら、神様にでもなんでもなる。いつか……そのときは…………」


 罅から中のものが溢れ出して、砕け散った。

 溢れ出したものが黒い形を描いていく。世界を滅ぼせる力を持った魔女。

 ワルプルギスよりも更に凶悪な巨体なのに、不思議とあの時感じた威圧感のようなものは感じなかった。


 ――――『ほむらちゃんのこともみんなのことも助けてあげるから。だから絶望しないで。これから先わたしがどうなっても、ほむらちゃんのせいじゃない』


 傍には意識のない身体が転がっていた。


ほむら「うあぁぁぁぁぁぁぁあああ!」


 絶叫するような泣き声が響き渡る。


小巻「何をするか、知ってたの?」

小糸「……うん。昨日一緒に話した時に。最終手段だってことだったけど」


 まどかがこうなったことについて、何かを言う気にはなれなかった。

 あたしだってワルプルギスと戦ってる時、自分よりも他の人が助かるならいいって思ってた。


 同じことを考えていたから。

これ小巻がまどかと腹割って話してたら安価次第で避けられたんじゃね?
安価あったかどうかはわからんけど




 ワルプルギスの夜を倒してから数日が経った。



 あまりに街が破壊されすぎてどこにも戻れない人が多い。道がないし、家もない。

 幸いあたしは親戚の家のほうに行くことが決まったけど、今はまだ避難所にいた。


 ほむらは“まどか”のところに入り浸っているらしい。

 他の人には邪魔できない雰囲気があって、あたしたちはあまり寄ることはなかった。久しぶりに顔を出すと、やっぱりほむらがいた。


ほむら「…………決心がつかなかったの」

ほむら「魔女にはなったけど“まどか”はまだ生きてる。意思を通わせられる。今まで誰にも話せなかったようなことすら話せる」

ほむら「そんな相手が出来たのは契約してからはじめてよ。しかも、その相手がよりによってまどかになるなんて」


 ほむらの顔色は元にも増して白く、隈が目立ち、まるで幽鬼のようだった。

 でもどこか憑き物が落ちたみたいに、さっぱりしたようにも見えていた。


ほむら「でもいつまでもこうしてちゃいけないわよね。まどかだってあんな姿になりたかったわけじゃない。もっと幸せな未来がある……」


 そう言うと、ほむらは少しの間考え込んだ。


小巻「まどかの言ってた、神様になってみんなを救うのが幸せな未来?」

ほむら「いいえ、私はそうは思わない。……思いたくない。私はそんな未来にさせないためにこれからも挑み続けることにする」


 ほむらはほむらで決心を固めたらしい。まどかの意思とは相反することになるけれど。

 ……あたしのほうは、やっぱりどちらとも言えずにいた。

 まどかのことを思うなら契約もせず人のまま幸せになったほうがいいんだろう。ほむらの気持ちもわかる。


 でもあたしは……――――。



――――――
――――――

――――――



 これは、いつ、どこのことかわからない。

 自分が何をしていて、何をしてきてここにいるのか。時系列が曖昧だった。



 ただ、たくさん同じような日々を過ごして、とても長い“時間”が経った後のような気がした。


 あたしは見知ったマンションの一室――――マミの家にいた。

 テーブルの上にはケーキがあって、紅茶がある。小糸やマミ、キリカ、杏子、ゆま、さやか、まどかもいて、みんなでお茶会をしていた。



小巻「ま、いいんじゃないの」


 紅茶を一口飲んで、カップを置いた。


キリカ「え? 意外。小巻のことだから、またいつもの調子で『馬鹿じゃない!?』って言うかと思ってた」

小巻「魔女のことはどうにかしなきゃいけないと思ってた。その責任をすべてまどかに取らせるのは違うけど、まどかが『やる』って決めたことならとやかく言うつもりはないわ」

小糸「私はわかってたよ。だから話を聞いた時も黙って受け入れることにしたんだ」

キリカ「それもそうか。小巻自身そういう人だもんね。全然似てるとこないと思ってたけど、『出来ること』を探してあんなことになったくらいだし」

マミ「でもきっと、想像よりもずっと重いものを背負うことになるわよ。救ってもらう立場で言えたことじゃないけど……それは大丈夫?」

まどか「はい。覚悟はしてます」


 まどかはきっぱりと答える。前に見た時の自信がなさそうな姿とは違った。




杏子「ずっと前から決めてたんだもんな」

さやか「まどかってこう見えて芯あるからねぇー。……あたしなんかよりも」

小巻「でもさ、あたしはアンタにやりたいことやればいいって言ったことあるじゃない。その時は結局魔女のことがあるから否定せざるを得なかったんだけど」

小巻「これまでは全部を自分で背負うことはできなかったから最後の最後まで後悔した。これからは変わるんじゃない?」

さやか「そうですね! すごいぞ、まどか」


 まどかが笑う。


ゆま「こっちのケーキも食べていい?」

杏子「好きに食べな。全部うまいぞ」

マミ「もう、佐倉さんったら。まあでも、随分やりたいことも言えるようになったわよね。いいことだわ。好きに食べていいのよ」


 みんな笑っていた。

 でも一人、まどかの近くにいたはずなのに姿がない人がいる。


 部屋の外を見てみると、その人は離れた場所で俯いてた。



小巻「……アンタの希望通りにはならなかったのね」

ほむら「私が力不足だったのよ。何回繰り返しても『私が』本当に納得のいく結末にはならなかった」

小巻「あー、まあそうなんでしょうけど」


 何と言ったものか、少し悩む。

 慰めるっていうのもなんか違う。


小巻「まどかの意思も少しくらい認めてやれば?」


 結果、反発されるかもしれないけど思ったことが口から出た。やっぱりあたしには言葉を繕うことはできない。

 というかもう、何を思ったって認めるしか道はないんだ。願いは叶っちゃったんだから。


 それでもなぜか、ほむらが諦めているようには見えなかった。



 この場所ももう夢のように消えていく。

 消えた後にどうなるのかわからないけど、予測はついた。


 みんないたはずの場所に戻るだけだ。

 まどか一人をここに残して。


 ここにいたことも忘れてしまう。戻った場所はすべてが同じではない。



 少し名残惜しく思いながら、あたしたちはこの場所を後にした。




―END②―

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小巻の考え方的にまどかの願いには肯定的なのと、ほぼ勝つことができない状況なのでこんな感じになってますかね
他の話でやってるみたいにやり過ごすのもなまじ前半戦で善戦してて怒らせてるからできず
他に分岐があるとすれば、魔女化をみんなに話さない展開だとまどかは契約しなかったっていうのはあります
その結果どうなるかは詳細決めてませんが…

ちなみに>>841みたいに願いを変えようとしても、まどかの性格上かずみのようにはならないですね
まどかは自分が神様になってでも助けたいものは全て助ける
かずみは自分は神様じゃないから大事な人でも死んだ命は蘇らせない っ