オール安価でまどか☆マギカ 22 (58)
このスレは、安価で決めた主人公・時系列・前提設定で進める長編多めの安価SSです。
各編で話につながりはありませんので、途中参加は大歓迎です。
全体的にシリアス傾向が強いけど実は作者は安価スレらしいカオス展開も大好きです。
【現行】あすみ編
・・・呪いの願いにより復讐を遂げたあすみが見滝原の事情を引っ掻き回していく話。
【完結した話】
さやか編 :[練習]>>8~>>154
・・・マミの死後、さやかが魔法少女になって張り切ったり悩んだりする話
・・・試験作。かなりあっさりしてます。
中沢編 :[練習]>>164~[2]>>150
・・・まだ試運転。中沢が安価の導きにより魔法少女たちと関わっていく話。
QB編 :[2]>>198~[4]>>502
・・・感情の芽生えたQBの話。
ユウリ編様 :[5]>>954~[6]>>792(BadEnd)
・・・契約したばかりのユウリが目的を達成するためにマミの後輩になる話。
恭介編 :[6]>>815~[7]>>240(BadEnd+)
・・・恭介の病院での日々と、退院してからの話。
Charlotte編 :[7]>>264~>>285
・・・チーズを求めるCharlotteの小話。
キリカ編 :[7]>>309~>>704,[8]>>475~[9]>>151
・・・本編時間軸で織莉子が既にいない世界のキリカの話。話はほぼまどマギ本編寄り。
アマネ編 :[7]>>807~>>963,[8]>>5~>>130(GiveUp)
・・・抗争に破れて見滝原に来た最弱主人公の野望の話。 ※オリ主※
メガほむ編 :[9]>>181~[12]>>666
・・・非情になれないほむらの4ループ目、織莉子たちとの戦い。
・After『夜明け後の一週間』[12]>>93~
なぎさ編 :[12]>>717~[14]>>616
・・・謎の神様によって魔女化から助けられたなぎさが見滝原で奮闘する話。
・After『あすみ参入』:[13]>>953~
杏子編 :[15]>>197~[17]>>918
・・・マミの“先輩”な杏子のifストーリー。
・・・マミと仲直りしたり、色んな人と仲良くなったりする比較的ほのぼのなストーリー。
・After『マミさんじゅうごさい』:[17]>>436
キリカ編2 :[14]>>719~[15]>>182,[17]>>927~[21]>>426
・・・未契約キリカが黒猫と謎の少女に出会い、不思議な運命を知る話。
・・・前半はミステリー風シリアス、後半はほのぼの系。“トゥルーエンド”みたいなものを目指しました。
・『統合後』 [18]>>846~
【未完結の話】
Homulilly編 :[4]>>535~>>686
・・・生まれたばかりの魔女Homulillyが時空を旅する話。
かずみ編 :[4]>>982~[5]>>879
・・・ユウリのドジで見滝原に運ばれたかずみが織莉子とともに救世をめざす話。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1516811060
【注意】
*安価の内容について
★無効安価は自己判断で安価下。明らかに無効になりそうな内容は、その下に別の安価をしてくれるとスムーズに運びます。
★自由安価は基本的に主人公から起こす内容のみ。主人公以外の視点に移っている時はその場にいる人の言動まで可。
★『相談したい事がある』『話したいことがある』のみの安価は不採用とします。必ず話す内容まで書いてください。
*安価の取り方について
★基本的に連続で安価を取っても構いません。連投は1レスとして考えます。
★多数決は連続・連投無しです。
★多数決で同数に意見が割れた場合は指定内の最後のレス内容を採用。
★主レスは安価先を指定する数字に含まない。
★「下2レス」と書いた時にはその1時間以内に2レス目がこなければ「下1レス」に変更します。
*このスレの話について
★まどマギのほかに、おりマギ本編・かずマギ・漫画版まどマギ・TDS・PSP・劇場版のネタを含みます。
それ以外からのネタは出さないか考慮しませんが、知ってるとより楽しめるネタはあるかもしれません。
・前スレ
『まどかマギカで安価練習』 :まどかマギカで安価練習 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1369643424/)
『オール安価でまどか☆マギカ 2』:オール安価でまどか☆マギカ 2 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1370979872/)
『オール安価でまどか☆マギカ 3』:オール安価でまどか☆マギカ 3 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1371835671/)
『オール安価でまどか☆マギカ 4』:オール安価でまどか☆マギカ 4 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1372909496/)
『オール安価でまどか☆マギカ 5』:オール安価でまどか☆マギカ 5 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1373645366/)
『オール安価でまどか☆マギカ 6』:オール安価でまどか☆マギカ 6 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1377690974/)
『オール安価でまどか☆マギカ 7』:オール安価でまどか☆マギカ 7 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1385884667/)
『オール安価でまどか☆マギカ 8』:オール安価でまどか☆マギカ 8 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1397729077/)
『オール安価でまどか☆マギカ 9』:オール安価でまどか☆マギカ 9 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1409071003/)
『オール安価でまどか☆マギカ 10』:オール安価でまどか☆マギカ 10 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1417014605/)
『オール安価でまどか☆マギカ 11』:オール安価でまどか☆マギカ 11 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1424792933/)
『オール安価でまどか☆マギカ 12』:オール安価でまどか☆マギカ 12 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1430323957/)
『オール安価でまどか☆マギカ 13』:オール安価でまどか☆マギカ 13 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1439045180/)
『オール安価でまどか☆マギカ 14』:オール安価でまどか☆マギカ 14 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1448012780/)
『オール安価でまどか☆マギカ 15』:オール安価でまどか☆マギカ 15 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1461427177/)
『オール安価でまどか☆マギカ 16』:オール安価でまどか☆マギカ 16 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1475061935/)
『オール安価でまどか☆マギカ 17』:オール安価でまどか☆マギカ 17 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1483717207/)
『オール安価でまどか☆マギカ 18』:オール安価でまどか☆マギカ 18 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1491232637/)
『オール安価でまどか☆マギカ 19』:オール安価でまどか☆マギカ 19 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1497797899/)
『オール安価でまどか☆マギカ 20』:オール安価でまどか☆マギカ 20 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1504964306/)
『オール安価でまどか☆マギカ 21』:オール安価でまどか☆マギカ 21 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1511090204/)
☆随時募集
*安価で魔女を作ろうぜ*
主に風見野や見滝原外などで登場するオリジナル魔女を募集中です。
登場の機会があれば色んな物語に出させます。
被りは一部再安価か統合。
・名前:【安価内容】の魔女(思い浮かんだものがあれば魔女名も)
・攻撃方法/見た目/特徴/性質/弱点/使い魔 など
じんは原稿しろ?出番10
@jin_0105_ku
hrak専用壁打ち妄想呟きアカウント。20↑。勝デク左右固定。ファ切、上切上。たまに細々と小説書いたり。ツイートの大半が勝デクの妄想ネタ呟きな為注意。【お題箱→
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前スレ埋まってしまいましたので↓有効5個まであすみ編展開安価を募集します
また、埋まり状況によっては次回はじめにスレ立てます。この後1000まで埋めるとしたらむしろお疲れ様やな。
テンプレ割り込まれましたが仕様的に3レスまで表示なのでまあ問題はないでしょう、多分。
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20時過ぎくらいには始める予定ですが、スレについてはどうしましょう?
展開安価も残り2枠ありますし、22スレを新しく立てて、
こっちは展開安価募集+ずっと後回しになってた短編投下用の避難所扱いにする(役目が終わったらhtml化依頼)ということもできますが…
つ 新スレですよ
『オール安価でまどか☆マギカ 22』
オール安価でまどか☆マギカ 22 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1516880466/)
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もう日付も変わってるのであれですが、同一IDもありますし、できるだけ多くから取りたいのでもう少しだけ募集します。(次回開始くらいまで・あと2,3個程度)
前回までと同様に、入れられそうなものから入れます。入れられなかったらごめんなさいです。
あと時期は未定ですが遅くならないうちに埋め用で考えてたQB編の小話もこっちに投下する予定です
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本22スレの裏でひっそりとQB編小話を安価部分まで投下します。
まぎらわしいので基本ここはsage進行です。
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QB編番外『感情を持った獣の自分探し』
――やあ、こんにちは。こうして会うのはお久しぶりかもしれない。
だって、この見滝原に“キュゥべえ”と名乗る者はもう僕だけになったのだから。もう『君』に勧誘をしに来る者はいない。
…………この街で他に僕を見かけたとしたらそれは別物だ。
目を凝らせば本当は町中を赤い目を光らせて監視しているよ。今日も今日とて、この街の魔法少女たちの仲がいつ悪化するか見守っているらしい。
でも、今のところは手出しはしないらしいから安心していいよ。
それで、なんでこんな話をするかというと……“君が一度僕が話したことのある候補者”だったからだ。
しかし、あの時君は契約を決断せずに問題を乗り越えた。――それで僕は機を逃したと判断して、一旦諦めることにしたんだ。
――それで、今日の本題はというとね?
「……」
QB「……僕と、契約――じゃなかった。僕と友達になってほしいんだ!」
「……話が説明くさいのは相変わらずなんだね」
QB「あ、そう思われるのか……率直な意見は嬉しいよ。
なんたって、むやみに姿を人に見せるわけにもいかないからさ。どうしても話し相手が限られてしまうんだ」
QB「それで、早速なんだけど少し相談にも乗ってほしいんだよ。内容はズバリ君が指摘してくれたような事にも関係しているんだけど」
QB「僕は特別な存在になりたいんだ!」
……何故か残念な目で見られてしまった。どうしてだろう?
「インキュベーターのなかで一人だけ感情を持ってるんでしょ? 既に特別なんじゃない」
QB「それはそうかもしれない。けど、もっと個性っていうか、そういうのが大切だと思うんだ」
QB「だって僕ら、見た目も声もみんな同じなんだよ。加えて僕も最近まで“自分”というものを意識したことがなかった」
QB「だからこうしてオシャレに気を使い始めたりもしてるんだけどさ、やっぱり反応は多いほうがいいんだよ」
QB「今僕は友達作りのために、そしてその答えを見つけるために、こうして知り合いに話しかけて回っているんだ」
「なんかミーハーになりかけてるね……。今私たちと同じくらいには素質あるんじゃない?」
QB「つまり、“思春期”ってことかい? ……一応もう契約してるんだけどなぁ」
自分の小さいソウルジェムを見やる。僕は指輪にはできないから、右の耳の輪っかに着けていた。
色も相まって米粒みたいだ。いや、よく言ってパール、真珠……
「ところでその輪っか、ごはん粒ついてない?」
QB「これがボクのソウルジェムだよ!ごはん粒とか言わないでくれ!」
「あ、怒った」
QB「あと、夕飯までには帰るよ。マミが待ってるからね」
「真面目」
安価【個性を出すためにQBが取った行動とは?】
下3レスまで
「趣味を持ってみるのはどう? なんか好きなこととかないの?」
QB「それも考えて探してるんだけどね……どれから手を付けようか悩んでいるけど、探した中では落語かな」
「渋いとこくるね」
QB「君は落語には興味がないかい?」
「えー……私はよくわからないかなぁ」
QB「そうか、それは残念だ」
マミも似たような反応だった。なかなかリアルの知り合いに仲間が見つからないのは難点だった。
今まで特に気にしたことはなかったけど、僕の知り合いはみんな年頃の女子に限られている。好みが合わないのは仕方がないんだろうか。
その前に、結局僕は何なのか? ……この星の男子でも女子でもない。僕はインキュベーターだ。少し特別な、インキュベーターだ。
QB「あと、twitterのIDを渡しとくよ。地球の文化を理解するのにSNSをやり始めたんだ」
QB「それじゃ、フォローよろしく頼むよ!実はフォロワーが全然増えなくて困ってたとこでね。インスタ映えするスポットとかもあったら教えてくれ!」
「ちょっと待って。あなたみたいなのが映ってたら違う意味で騒然となるよ」
QB「大丈夫さ、映ってるのは主にマミだからね」
QB「じゃあまたね!今日はネットで買ったガンプラも届く日なんだ!この間パソコンのチャットで知り合った蛙軍曹という人物に強く勧められてね」
「うわー、ガッツリ趣味楽しんでいるじゃない」
「私の助言なんか聞くまでもなく、あなたはもう十分人間みたいなものだよ」
QB「…………」
帰り道、目に留まった景色をカメラに収めていく。
まだ少し雪が残っている小川のほとり。少し寂しそうな風景が詫びと情緒を感じさせた。
QB「よし、アップして……と」
わくわくしながら反応を待つ。
しかしみんなとは感性がズレてるのか、自分の好みで撮った写真はあまり話題にはならない。
その代わりに、そういうのを好んで毎回反応をくれる人も中には居た。
……僕が撮るのはその辺の風景か人物だけだった。
僕もこの星の人間と同じ姿だったら、もっといろんなことを楽しめただろうか?
『特別になりたい』欲求とは裏腹に、同時に僕は『自分と同じ』仲間も求めていた。
本当は、インキュベーターがみんな僕と同じように感情を持ってくれていたら一番いいのに。
人間を貶めて利用するのを当然とする、現状とのギャップが腹立たしい。
QB「……まあ、今更帰りたいとは思わないけどね。動画だけじゃなくて、マミを誘って落語も見に行ってみたいし」
QB「僕の今帰る場所は一つだけだ」
母性には、探してみれば同じ患者たちが集まる場所もあるにはある。
いつかそういう人たちが忌み嫌われないような星になればいいのに、と切に願った。
―END―
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キリカ編2番外 バレンタイン小話 『マミのチョコレート事情』
――――中学三年ももう二月に入り、卒業がすぐ先にまで迫っている。
残りわずかだ。この時期になると、受験も乗り切り進路も決まってみんな浮かれまくっていた。
私ももちろんそうだった。
……少し前までは進路先どうするかとかが結構ぎりぎりまで決まらず、あまりやってない受験勉強と面接練習とかで大変だったけど。
無事何とか乗り切ることは出来た。
HRが終わると、派手なラッピングを詰めた紙袋を持った女の子たちが右往左往し始めて、私の机の周りにも小さな集まりができる。
*「はい、チョコレート!」
キリカ「ありがとー! はい、私からも!」
本日2月14日……バレンタインは卒業前の最後のイベントだった。
といっても私たち女子中学生の世界では、『友達とチョコを贈り合う友情の日』っていう認識が一般的だった。
今年もそうだった。
ただ去年までと違うのは、この日を『面倒臭い馴れ合いの習慣』と遠くから眺めるだけだったのが
自分も女の子同士で騒いでる人たちの中に加わるようになったってことだった。
*「ありがとう! あとちょっとで卒業だね。せっかく友達になったのに会えなくなっちゃうのさみしいよー」
キリカ「そうだね。もっと早くからいろいろ話しておけばよかったかな……」
それは卒業が近づいて一番の後悔だ。
交換を終えて少し話すと、隣のクラスの子にも渡してくると言って廊下に出て行った。
自分用に買わなくてもそれ以上のチョコレートをもらえるなんてすばらしい。
……私もまどかたちには朝渡したけど、マミに渡してこないと。
廊下に出てマミのクラスに向かう途中で思わず足を止めた。
――衝撃の瞬間を見てしまったからだった。
キリカ「――――え」
廊下の隅で、社会の高木先生(おっさん)にマミが笑みを向けてチョコレートを渡しているのを。
キリカ(どういうこと!? まさか……)
――マミ『先生……実はずっと前から好きでした!』
キリカ(いやまさかね。マミなら内申アップとか……)
キリカ(――――……進路も決まったこの時期に内申アップなんて必要あるか?)
……ならばケース2。
――マミ『日頃の感謝の気持ちです』
――おっさん『ありがとう。君みたいな優秀な生徒とこれっきりの関係になるなんて惜しいよ』
――おっさん『真剣にお付き合いをはじめないか?』
キリカ(チョコレート渡してるってことはまんざらじゃないってことだよね……)
キリカ(いや、もしくは?)
……ケース3。
――マミ『先生、毎年恒例の山吹色のお菓子です(賄賂)』
――おっさん『……もう進路も決まったっていうのに、今年もくれるのか?』
――マミ『はい、だって……』
キリカ(そのうちに本気になってしまったんだ!)
そんな妄想に浸ってると、横から声をかけられて飛び跳ねた。
マミ「――呉さん、こんなところに突っ立ってどうしたの?」
キリカ「!?」
マミ「はいこれ、バレンタインのチョコレートよ」
キリカ「あ、ありがとう……。私からも渡すよ」
――真相はあの場で聞けるわけもなく、
今日のお昼の後、マミを除いてみんなで集まることになった。
さやか「……それで、今日の議題はなんですか?」
まどか「も、もしかして、今日のイベントの流れで誰かに告白とかしちゃったりするんですか?」
仁美「そんな、だって今日は女の子同士でチョコを味わう日ですよ? 男の子に贈るなんて邪道です」
まどか「さやかちゃんは上条君にあげてたよね」
さやか「え、それはまあね」
……しかし相変わらずひねくれてるなぁ。
キリカ「まあ告白するのは私じゃないよ。ていうか、その……」
仁美「……それでは、誰かのサポートをしたいということでしょうか?」
キリカ「えっ、サポート……していいのかなぁ?」
さやか「どういう意味ですか!?」
一斉に覗き込まれて言葉に詰まる。
素直に言うしかない。……けど、私のせいで無駄に大ごと化してる気もする。
キリカ「マミが朝先生にチョコレートあげてたから、そのことについて話そうかなーって」
まどか「!」
さやか「なんと」
仁美「それは……禁断の! 愛の形ですのよーー!」
うわあやっぱり。
さやか「ほん……本気なんですか!?」
まどか「何先生?何先生?」
キリカ「―――――」
まどか「えーっ!」
さやか「三年でしょ? あの社会の? おっさんじゃん!」
仁美「これはまずいですわよ……いけませんわ……私の想像の比じゃありませんわ。私も想像力が足りなかったみたいですわね」
さやか「仁美はこれ以上想像力鍛えなくていいから……」
こしょこしょと内緒話をして盛り上がってると、予鈴が鳴る。
それを聞いてみんなで急いで屋上から降りていく。
――……推測と妄想が膨らむばかりで、やっぱり答えは出ないままであった。
それから放課後。訓練ということでまたいつもの場所に集まっていた。
マミ「佐倉さん、今日は早いわね」
杏子「だって今日訓練に来た奴にはみんながチョコくれるっていうからさ!遅れるわけいかないだろ!」
杏子「白女組はまだ来てないのか? 食いっぱぐれてもしらないぞ」
マミ「ちゃんと人数分用意してるわよ……」
キリカ「でもやっぱり杏子は用意してないんだ。せめてホワイトデーには返してよ。三倍返し。常識だからね」
杏子「さ、三倍返しだと!? ……くう、バレンタインにはそんなルールがあったのか。ちょっと乗り遅れただけでこの仕打ちとは」
さやか「働かざる者食うべからずね。あと杏子、二人の分まで食べないでよ」
杏子「わかってるって」
一人だけ、しかも杏子を省くと絶対うるさいから仕方なくだ。
杏子が変なルールを信じたままだけど、面白いからこのままにしておこう。
……マミのチョコレートはさすがに本格的だ。しかし、目の前のそれと朝の光景を思い出して何かが引っかかった。
先生に渡したのだけみんな用のとは包みが違った。……怪しい。
マミ「……呉さん」
キリカ「えっ?」
マミ「そんなに見つめても、二個目はあげられないわよ?」
杏子「な、なんだ!やらないぞ!」
キリカ「えええ!誤解だよ!」
マミ「さて、それじゃあそろそろ訓練を始めましょうか?」
仁美「巴さんももう大分格闘術上達されてますよね!」
訓練を始める雰囲気になる。
……しかしその前に、まどかが口を開く。
まどか「それで……あれからどうなったんですか?」
マミ「どうって?」
まどか「マミさんがチョコレートを渡した男の人が居るって」
仁美「!」
みんなが焦り始める。それ、そんなストレートで聞いちゃう!?
マミ「あら、どうして知ってるの?」
キリカ「や、ヤバいって!下手に探ったら!」
杏子「なんだ、本命居たのか?」
仁美「教師と生徒……そういうのもいいですわよね。私も今度探してみようかしら……」
マミ「……教師って、もしかして高木先生かしら?」
マミはあっさりと言う。そしておかしそうに笑った。
マミ「やだ、本命なわけないじゃない!大体あの人、もう結婚してるのよ?」
仁美「まあ!既婚者でしたの!更に禁断感が増しますわね……」
キリカ「でも相手はどう思ってるか、わからないわけでしょ? あのマミの手作りだよ!?」
マミ「あのっていうのがわからないけど……なんとも思ってないわよ。テスト前とかに教えてもらってお世話になってたから、そのお礼」
マミ「別に一人だけじゃなくて、お世話になった人にはみんな渡してるのよ?」
キリカ「じゃあ!じゃああれだけみんなと包み紙違ったのは?」
仁美「そうなんですの? それは怪しいですわね……」
マミ「途中で包みを切らしちゃったから。中は同じよ。みんなの分は統一したかったの」
マミ「……広めたのは呉さんね。朝廊下で見てたんだ。でも、ひどい。私どんなキャラだと思われてるのよ」
キリカ「う~…………ごめんよって」
さやか「まあ冷静に考えたら、男子にチョコ渡したからなんだって話ですよね」
さやか「あたしだって恭介とか仲いい男子には毎年渡してたし。大抵は日頃の感謝が大きいんじゃないかなぁ?」
仁美「……呉さんも想像力が豊かなんですね」
……今度は私の方に哀れみの視線が集まる。ていうか仁美にだけは言われたくない。
そりゃ噂の元凶になったのは私だけど……。
キリカ「……私は慣れてないんだよ。この行事の楽しみ方に」
杏子「え、それじゃあさっきの三倍返しとかいうのも常識じゃないのか?」
キリカ「それは常識ってことでいいよ!」
まどか「それは……まあそうだね」
杏子「おいなんだよそれ!」
…………2月15日。翌日になると、昨日と同じHR後の時間にはもうすっかりいつも通りに戻り、イベントの雰囲気は消えていた。
来年こそ色々残念なことにならないために、情報収集をしておくことにする。
キリカ「……ねえ、昨日はみんな、誰か男の子にチョコ渡したの?」
*「えー、私は義理ぐらいしかあげてないかなぁ」
*「あたし、お父さんにあげたよ!」
キリカ「あぁ、私もお父さんには余った分で作った小さいのあげといた」
キリカ「けど、義理って贈るか悩まない?……私はそんなに仲良い男子もいないけど、私なんかが贈ったら迷惑じゃないかなって」
そう言うとみんなが詰め寄ってきて、すごい勢いで否定された。
*「呉さんのチョコレートだったら喜ぶ人はいっぱいいると思うよ?」
*「ていうかむしろ惚れられるレベルだよ! あたしは感動した! もう毎年作ってよ!ズッ友だからね!」
キリカ「えー……?」
*「大丈夫だよ、その頃には本命だって出来てると思うし!そしたらあたしが相談乗るから!」
キリカ「そんなの今から決めつけられたってわかんないよ。相変わらず恋に恋してるんだから」
*「じゃああたしも本命できたら相談乗ってよ!」
*「さっちんはいつまでも恋に恋してそうだけどね」
*「なにそれー!来年こそ絶対彼氏作るから!」
みんなが軽口を言い合って笑っている。ここに集まることがなくなっても、この雰囲気は続くんだろうか。
中学生活の終わりが見えると、少しだけ寂しく感じながらも、今後のことに期待も膨らんでいた。
―END―
新避難所
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