【安価とコンマ】剣と魔法の世界で生き延びる その16 (231)

このスレは安価やコンマで、剣と魔法な世界を生き延びていくスレでした
無事に本編や多くのおまけを終えられたのはご参加くださった皆さんのおかげです。本当にありがとうございます
亀更新、深くは考えていない行き当たりのため、途中で色々変わってしまうかもしれませんがご容赦を

1スレ目:【安価とコンマ】剣と魔法の世界で生き延びる - SSまとめ速報
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8スレ目:【安価とコンマ】剣と魔法の世界で生き延びる その8 - SSまとめ速報
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9スレ目:【安価とコンマ】剣と魔法の世界で生き延びる その9 - SSまとめ速報
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12スレ目:【安価とコンマ】剣と魔法の世界で生き延びる その12 - SSまとめ速報
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13スレ目:【安価とコンマ】剣と魔法の世界で生き延びる その13 - SSまとめ速報
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14スレ目:【安価とコンマ】剣と魔法の世界で生き延びる その14 - SSまとめ速報
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15スレ目:【安価とコンマ】剣と魔法の世界で生き延びる その15 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1593093764/)

~簡単な当スレの解説~

※ストーリーそのものは1~10スレ目で完結済です
※キャラクター詳細や歩んだ道のり等は、過去スレをご参照ください
※このスレを使い切る前に、完結予定です
※これまでのおまけは以下の通り

EX1【戦いを終えて~~深紅の令嬢との約束~~】
EX2【戦いを終えて~~帝国皇女姉妹の冒険~~】
EX3【戦いを終えて~~聖国新米衛生兵の奮闘~~】
小イベ『綺麗綺麗しましょ』
EX4【戦いを終えて~~帝国皇女と王国騎士の触れ合い~~】
EX5【戦いを終えて~~帝国恋愛模様~~】
EX6【戦いを終えて~~帝国第二皇子の初体験~~】
小イベ『歌うことは心の豊かさ?』
EX7【戦いを終えて~~帝国恋愛模様・今と過去~~】
EX8【戦いを終えて~~帝国メイド長と可愛いコ達~~】
EX9【戦いを終えて~~帝国兄妹の旅行~~】
EX10【戦いを終えて~~聖国・愛の祭り~~】
EX11【戦いを終えて~~かつての帝国皇女姉妹~~】
EX12【戦いを終えて~~三国教育事情~~】
EX13【戦いを終えて~~帝国第三皇子と大切な人達~~】
EX14【戦いを終えて~~帝国第一皇女に迫る闇と王国騎士~~】
EX15-1【戦いを終えて~~王国の深淵・五竜の研究理由~~】
EX15-2【戦いを終えて~~聖国の光・極光降臨~~】
小イベ【平穏を願う白帝竜の奇跡】
小イベ【次期皇帝と二人の妃の奮闘】
EX16【戦いを終えて~~君に永遠の誓いを~~】

・このスレは参加して下さる皆さんのおかげで成り立っています
・行動選択、多数決以外でのゾロ目は基本的になんらかのボーナスがつくと思います(状況的に奇数より偶数ゾロの方がいい結果が多いです)
・判定は通常判定と特殊判定がありますが、基本的に差はありません。特殊判定はゾロ目チケットが使えないだけです
・ゾロ目の中でも00はハイパークリティカル。確実にプラス傾向のイベントになります
・頻繁に安価とコンマ判定が飛びます
・質問には答えられる範囲で答えます
・特殊判定は判定内容により、高コンマがよかったり低コンマがよかったりと変化します
・コンマ結果は全て運です。誰かを責めたりせずに楽しみましょう。自分を責めるのもやめましょう。ある意味ここが一番大事です
・おまけのイベント等は、その都度安価募集。多数決とコンマを用いて採用します
・処理している情報量が増えた&想定外なこと乱舞の為、数値を間違えることが多々あります。お許しください
・抜けている判定などがあれば、ご指摘をお願いします

~戦争と交友の果てに結ばれた者達簡易紹介~


【アベル】
×エリス
幼少期からお互い気になっていた二人。主従はついに夫婦となった
次々に繰り出すゾロ目の強烈な後押しもあり、最初に結婚式&子作りを獲得
娘アリスを出産予定だが、産まれる前からギルバートに目をつけられている

×アーシャ
頼れる学友は妙な趣味を拗らせたけど大切な人
両親と姉と決別した彼女は、これからも自分の思うままに生きていく
いずれ娘ソフィアを出産予定。教育は真面目にします

×ロウル
エリスと同じく幼少期からの付き合い。今はまだ子供を求めていないが……?
彼女と巫女服の破壊力はアベルとアドルラン、城塞メンバーの理性を飛ばすほど
いずれ娘フェリを出産予定。その愛らしい耳と尻尾は子にも継がれる

×シア
聖国の聖女は黒皇子と交わり、堕ちてしまったのかもしれない
何故だか一線を越える時からエロスの加護を得ているかの如きコンマが荒ぶる
いずれ娘オリヴィアを出産予定。きっと温厚な子になるだろう

×パトラ
王国が誇る将も、彼との夜だけは自分に正直になる
料理以外は安定しており、アベルの数少ない晩酌が共にできる大人の女性ポジに
いずれ娘アトラを出産予定。誠実な子に育てるのがパトラの目標

×ティア
聖国の新米衛生兵。しかし夜はアベルをあと一歩まで追いつめる猛者
両親は健在だが父親は今日も搾り取られている。遺伝故か両親の理解も早かった
いずれ娘アリアンナを出産予定。果たしてどの部分が遺伝するのか

【アドルラン】
×ヒバリ
アベルとエリス以上に、幼少期からの長い付き合いの二人。漸く結ばれた
挫けない精神力の賜物だが、まさかネコミミが有効打とは彼女も思うまい
いずれ息子セッカを出産予定。両親から挫けない心を継ぐのは間違いない

×ルーシェ
お掃除には煩いけど他は控えめな優秀メイド。荒ぶった末に愛を告白
ヒバリの寛容さやウエディングブーケの獲得などにも助けられ、出産も同時期に
いずれ息子プラチナムを出産予定。両親の髪色が混ざったそれは、彼も気に入る筈

【カイン】
×エメリナ
燻っていたカインを見捨てなかった、優しいちみっ子
カインとの初夜を過ごして以来、たまには受け身になることもでてきた
いずれ息子ジェイドを出産予定。どんな子供に育つのだろう?

【ローズ(ローゼン)】
×アイナ
幼少期に助けられた運命の日。努力し追い求めついに辿りついた
彼女の愛の執念なのか、見事本当の姿のローゼンと結ばれる(確率約5%)
いずれ娘ローナを出産予定。落ち着いた彼女はきっといいお母さん

×スミレ
後ろだけじゃなくて、正式な結婚まで手に入れた男装っ娘
アイナとはお互いを補えあえる仲だけど、流石に二穴は遠慮したい
いずれ娘リリィを出産予定。大好きなあの人と同じ、花の名を…


【マックス】
×キアラ
数々の難関を乗り越えて、ついに結婚にまで至った誰もが衝撃を受ける二人
勢い余って婚前性交どころか妊娠までしちゃったけど、当人達は幸せ
息子アルを出産予定だが、大変なのはこれからだ


※各キャラの至るまでの過程や他キャラの様子などは過去スレで

前スレ>>1000、了解致しました
……時間が取りにくい環境になってしまった為大変そうですが、
このスレだけでなく次まで期待されるというのは、本当に嬉しいです
以前も少し漏らしましたが、もし次に書くとなると王道な姫とそれに憧れる男が結ばれる話をやってみたいかなと
(アベルが皇族+ハーレムな結果になったので逆な感じで)

まあまずはこの物語をしっかりと最後まで書ききってからの話ですね
マックス父がギルバートとの対話を行いイベントは終了
最後にロウルとのやりとり→内容募集→本番→3年後のエピローグで締めになる予定です
本日もありがとうございました!

こんばんはー
それではできればロウルパート導入前まで進めたらと思います

追加特殊判定結果(前スレより)

意識を保ち続けた為、援護者(ギルバート)との語らい

1マックス父の酒レベル(酔いやすさ)
38(少しだけ強め。マックスが酒を飲めないのは少し残念)

2マックス母の酒レベル(酔いやすさ)
54(大体平均的。飲めないことはないけど、マックスもいるから酒は避けがち)

――


ギルバート「……流石に、動揺は大きいか」

アベル「当然ですよ。驚かない者の方が希少かと」

ギルバート「ならば、致し方あるまい」

ギルバート「最低限の報告は済んだのだ。仔細は後日、改めるとしよう」スッ…



マックス父(と、とりあえず助かったか……?)



ギルバート「――お前達は先に戻るがいい。我は今しばらく、この者達と話がある」




一同「「!?」」



マックス「え、ちょ、えぇっ!?」

キアラ「お父様!?」

アベル「父上、マックスのご両親は……」

ギルバート「……取って喰いはせぬ。我が名にかけて誓おう」

ギルバート「本当に少し、話をするだけだ」

アベル「……わかり、ました」

アベル「マックス、キアラ。ここは従おう」

マックス「で、でも……!?」

キアラ「……お父様は、嘘はつかないから大丈夫だと思います」

ギルバート「うむ」



ギルバート「――そう身構えずとも、問題ない」ゴゴゴゴ…!



マックス両親「「」」ガタガタ



マックス(二人とも、本当にごめんよぉ……!)



……

――

――

……


ギルバート「……」

マックス父「……」ドキドキ…

マックス母「……」ドキドキ…


ギルバート「……」ゴソゴソ…


マックス両親「「!?」」ビクゥ!


スッ…



酒瓶「……」ドン!




マックス母「……え?」

ギルバート「何故構える。ただの酒だ」

ギルバート「……少しは飲めぬのか?」

マックス母「そ、それならこの人が! 生憎と私は弱いのですが!」アセアセ!

マックス父「おい母さん!?」ガーン!

マックス母「そ、それじゃあ私、何か軽食を用意しますからね……!」ソソクサ!

マックス父「」

ギルバート「ふむ、一方のみか。まあ、よいだろう」

ギルバート「先の話の続きのようなものだ……」キュポン!

ギルバート「少しだけ、我に付き合って貰おうか」トクトク…

マックス父(か、覚悟を決めるしかないか……!)

マックス父「わ、わかりました」スッ…



……

マックス父「……」コク…

ギルバート「……」コク…


コトン…


ギルバート「……此度の話を聞き、どう思った?」

マックス父「そ、それは……」

マックス父「……」

ギルバート「咎めぬ。正直に話して貰おう」

マックス父「……恐れ多い、と」

ギルバート「ほう?」

マックス父「マックスは、新米騎士です。そしてお相手は帝国の第一皇女」

マックス父「そればかりか、まさかもう妊娠までさせてしまったともなれば……」

マックス父「今この場で、極刑に処されるのも当然と言えるでしょう……」ブル…

ギルバート「……そうか」コク…

ギルバート「我が許すと言っても尚、不安か?」

マックス父「……はい」

ギルバート「キアラ程度では、やはり物足りぬか?」

マックス父「そ、そんなことはありません! あれ程の子は、王国令嬢でも見たことがありません!」

マックス父「私が不安なのは……息子の、マックスの方です」

ギルバート「……」コク…

マックス父「あいつは我が子ながら、実に真っ直ぐに育ってくれたと思います」

マックス父「ですが、それが行き過ぎたのかと思うと……」



ギルバート「……我が子が、信じられぬか?」




マックス父「――ッ!?」



ギルバート「……一つ、下らない昔話をしよう」

マックス父「え?」

ギルバート「とある男には子が沢山出来た」

ギルバート「しかしその男にとって子供は、何の関心もわかない者であった」

ギルバート「どれもこれも満足のいかぬ、失敗作だと父親らしいことは何もしなかった」

マックス父「……」

ギルバート「だが……男の知らぬところで、子供達は皆が成長を続けていた」

ギルバート「強き意志を持ち、牙を砥ぎ……そして一つの目的を果たして尚止まることはしていない」

マックス父「それは……」

ギルバート「そしてそれは、あのマックスも同じことよ」

マックス父「!!」

ギルバート「最初にあやつと出会った時は、確かに新米騎士そのものだったのだろう」

ギルバート「国王の命でアベルの部隊付きとなったが、そこには自分よりも強者が犇いている」

ギルバート「それでもあやつは鍛錬を続け……我にも臆さぬまでの強者となっていた」

マックス父「そ、それほどまでに……」

ギルバート「少し前になるが……キアラが我が元を離れた帝国将に襲われた際もそうだ」

ギルバート「奴は一人でキアラを庇いつつも、帝国将の一部隊全員を相手取り勝利したという」

ギルバート「単騎で、強者を謳う帝国の一団を倒したのだ。まさしく強者の証明であろう?」クク…

マックス父「キアラさ――」

ギルバート「……」ジッ…

マックス父「……キアラちゃんが襲われたということも驚きですが、それをあいつが……?」

ギルバート「うむ。我も驚いたが、当人やアベル達から聞いた確かな事実だ」コク…

ギルバート「聖国でも動いていたらしいが、とにかくマックスのキアラを守る意思は確かだろう」

マックス父「マックス……」

ギルバート「マックス自身も自覚はあるようだが、まだ粗い未完の器……」

ギルバート「しかし強者の素質があることは、このギルバートが保証しよう」

ギルバート「帝国が変われど、我は変わらぬ。実力主義を違えるつもりもない」

ギルバート「マックスは、強き者だ。故に、皇女を手にする資格も十分あるだろう」

ギルバート「国王も体裁を気にするだろうが……何、その時は我も口添えをしようではないか」

ギルバート「――自分の息子を、誇るがよい」

マックス父「あ、ありがとうございます……っ!」バッ!

マックス父「そう、ですよね。私達があいつを信じてやれないで、何が親でしょう」

マックス父「……」

マックス父「し、しかしやはり妊娠の件は……」ダラダラ

ギルバート「ああ、その件か。それも評価できる点であるな」

マックス父「えぇっ!?」ガーン!

ギルバート「気に入った娘を絶対に己のものにしたいという、強き意志を感じる」

マックス父「いやいやいや!? それは不味いでしょう!?」

ギルバート「我も通った道だ」

マックス父「通ったのですか!?」

ギルバート「誰もが通るのではないか? そちらも覚えはないのか?」

マックス父「う、その……確かに、妻のことは、ですね……///」

ギルバート「そうであろう。故に、何も怯える必要はない……」コク…

ギルバート「それはそれとして、どうした? 酒が進んでいないようだが」

マックス父「す、すみません。その、流石に委縮してしまいまして……」コク…

ギルバート「だから、何も怯える必要は無いと」

マックス父「……」ダラダラ

マックス父「申し訳ありません。ギルバート様の圧が……」ダラダラ…

ギルバート「…………」


ギルバート「……キアラにも、我にも畏まる必要はない」

ギルバート「我は本来ならば敗れて死んでいた身。勝者たるキアラ達の言葉で生かされているにすぎない」

マックス父「……それは」

ギルバート「だが、最初こそ生き恥を晒すだけかと思ったが……」

ギルバート「敗れたのち……我の視野が、少し開けた気がするのだ」

ギルバート「もう少し、この世界の行く末を眺めていたい」

ギルバート「我が子らが、どのような未来を紡いでいくのかをな……」フッ…


マックス父(皇帝ギルバート……噂通り、恐ろしい方だ。だが……)


マックス父「……とても、素晴らしいことだと思います」

マックス父「私も、これからの未来は気になりますし、期待もしています」

ギルバート「そうか……」コク…

マックス父「……お注ぎしましょう」トクトク…

ギルバート「我ばかりが飲んでおるぞ。次の肴が必要か?」



マックス母「……あら? 思ったより飲み進めていらっしゃる?」ヒョコ



マックス父「か、母さん!?」

ギルバート「む……良い匂いだな?」クン

マックス母「その、お口に合われるかはわかりませんが……」コト…

マックス父「何を言う母さん。母さんの料理ならギルバート『殿』もきっとご満足なさるさ!」

マックス母「!?」

マックス父「……まあ、キャル……キアラちゃんには、負けちゃってるかもだけど」

ギルバート「……」ピクリ

マックス母「あなたっ! まったくもう。確かにあれと比べられると厳しいけれど……」

ギルバート「……キアラは、ここで料理を作ったのか?」

マックス母「え、ええ。あの時は私達も何も知らず……」

ギルバート「……」

ギルバート「……その時の話を、聞かせて欲しい」

マックス母「え?」

ギルバート「我は、強者だ。敗れこそすれ、まだアベル達個々に負けるつもりはない」

ギルバート「だが……『親』としては、赤子同然」

ギルバート「先程は息子を誇れなどと口にしたが、我自身はそれができぬ……」

ギルバート「我は、娘を……キアラの力さえも知ったのは最近のこと」

ギルバート「部屋に籠り本を読み漁る以外のあやつの姿を……知らぬ」

ギルバート「今更、父親のような真似はできぬが……」

ギルバート「あやつが、自分の意思で飛び出した先でどう振る舞っていたのか」

ギルバート「少しばかり、気になるのだ」


マックス父「……」チラ…

マックス母「……」チラ…


マックス父「ええ、勿論ですとも!」グッ!

マックス母「とはいえ、一夜のことなのであまり多くは――」


ギルバート「……泊まったというのか?」

マックス母「あ」

ギルバート「むぅ、あのキアラがか……」

ギルバート「やはり、色々と驚かされそうだ」

ギルバート「だがまずは料理の話から聞かせて貰おう」

ギルバート「マックスが、あやつのどの部分に惹かれたのかも気になるところだ……」クク…

マックス父「おそらく、全部だと思いますよ!?」

マックス父「本当に私の目から見ても完璧な美少女といいましょうか……」

マックス父「知的な眼鏡に三つ編みで……あ、これは変装時の姿です」

マックス父「その時の佇まいも本当に――」

ギルバート「ほう――」



……



――

――


……少し前

【帝国・アベルの城塞】


ガチャ…

ロウル「エリスさん、調子はどうですか?」

エリス「ええ、大丈夫ですよ?」

エリス「むしろ身体を動かしていないと、鈍ってしまいそうで心配です」

エリス「アベル様をお守りすることは勿論ですが、メイドの技能も……!」スク!

ロウル「こらこら、駄目ですってば! 座って座って!」サッ!

エリス「本当に大丈夫なのに……」スッ…

ロウル「大丈夫ですって。エリスさんが積み重ねた努力は、少し休んだ程度で衰えはしません」

ロウル「それに、これからは守る対象が増えるんですよ?」

ロウル「ここでもしちょっと無茶をして、お腹の子に影響が出たら嫌でしょう?」

エリス「うー……」

ロウル「しかしまあ、子供が産まれて育つって本当に大変なことなんですねぇ……」

ロウル「キャベツかコウノトリの方が、ずっと楽ですよ全く」

エリス「ふふ、なんだか色々懐かしいですね」

ロウル「まだそんなに時は経っていない筈なんですけどね。本当に、色々ありましたね……」

エリス「ええ……」

ロウル「ま、私もその色々で進化しておりますので! お仕事はどーんと任せてくださいよ!」

ロウル「今のエリスさんのお仕事は、その子の為に動くことですよ?」

エリス「わかりました。でも、ただじっとしているだけなのも……」ウズウズ

ロウル「……」ジー…

エリス「わ、わかっていますって!」アセアセ!


エリス「……私だって、この子は大切にしたいですから」

エリス「お母さんになるって、きっと大変なことだけど……」

エリス「私のお母さんみたいに、この子も可愛がれたらいいなぁ」ナデ…

エリス「産まれてきたら、お母さんの歌を私も歌おうかな。~~♪」

ロウル「うーん、やっぱりエリスさんの歌はお見事です」

ロウル「私の耳にも優しく響きますし、きっと赤ちゃんも喜んでいますよ!」ピョコピョコ!

エリス「そ、そんな大げさな/// 歌も、シアさんの方がお上手ですし」

エリス「でも、気にいってくれるといいな。~~♪」

ロウル「一子相伝の歌、いいですねぇ」

ロウル「……」

エリス「ロウルさん?」

ロウル「はっ!? 思わず聞き入っちゃいました!?」

ロウル「それでは、私はまたお仕事に戻りますね」

ロウル「何かあれば、すぐに呼んで下さいね!」

エリス「あ、あの、ロウルさん?」

ロウル「はい? 早速入り用でしょうか?」

エリス「いえ、その……」

エリス「ロウルさんも、無茶はしないでくださいね?」

エリス「私も無茶をしない範囲で、お助けしますから。ね?」

ロウル「ふふ、ご安心を! エリスさんみたいなことはしませんって! では!」ガチャ!


パタン…


エリス「……」

エリス(ロウルさん、さっき一瞬だけど寂しそうな顔でした……)

エリス(……それは、きっと……)

エリス(ロウルさん……)


……


ロウル「ふぅ。エリスさんには念押ししましたし、次に無茶をしそうなのはアーシャさんですかね?」

ロウル「流石に全員分の仕事は大変ですけど、ここぞ副官の腕の見せ所ですよー!」


……

――

――

……

【帝国・アベルの城塞】


マックス「ああ、父さんと母さん大丈夫かなぁ」ハラハラ

マックス「なんか俺のことを認めてくれてたし、ぶった切られはしないと思うけど……」ハラハラ

アベル「父上の様子からして、それはないだろう」

アベル「本当に何か話したいことがあったんじゃないか?」

マックス「あの人が俺の両親に気に掛けることって……強いかどうかってことかな?」

マックス「いやいや、父さんと母さんそこまで強くないよ!?」

マックス「やっぱり弱者はいらん! とか!?」ブルブル!

マックス「もしそうじゃなくても、あの漏れ出っぱなしの覇気に耐えきれる気がしない!?」ブルブル!

キアラ「……大丈夫。マックスさんのお父さんもお母さんも、私の魔力に驚いていた」

キアラ「でも、私を怖がることもなくて……お父様とも、なんとか話そうとしていましたよね?」

キアラ「マックスさんと同じ。ここ一番で奮い立てる人達です」

キアラ「それに、とっても気さくで優しい。きっとお父様とも打ち解けてくれますよ」

マックス「確かに、おおらかな人達ではあるんだけど……大丈夫かなぁ……」

アベル「俺から見ても、良いご両親に見えたぞ?」

アベル「俺ももう少し話したかったが、まあそれは日を改めよう」

アベル「それよりもマックス、お前はまず自分のことを心配した方がいいぞ?」

マックス「え?」

アベル「仔細は後日。これは、早いところお前達の結婚式の段取りを決めるということだ」

マックス&キアラ「「~~~っ///」」

アベル「クラウス王の言う通り、可能な限り騒ぎが起きにくい努力はすべきだろう」

アベル「そういうわけだ。第一段階の報告が済んだならば、次だ」

アベル「俺はこれからこのままマークス神父に再度協力を頼もうと思う」

アベル「何か要望があれば、遠慮なく言ってくれ」

アベル「二人で、ゆっくりと考えるといい」

アベル「では、またな」スタスタ

キアラ「……///」

マックス「……///」

キアラ「これから、か……///」

マックス「確かに、大変だな……///」

マックス「でも、何度だって誓うよ。俺は絶対、キアラちゃんを幸せにしてみせるから!」

キアラ「ふふ、私も……頑張るからね?」

マックス「///」

キアラ「///」





ロウル「あ、お二人とももう戻られてたんですか?」





マックス&キアラ「「!?」」ドキィ!



ロウル「わ、そんな驚かないでくださいよ」アセアセ

キアラ「ご、ごめんなさいロウルさん」ドキドキ

マックス「ちょ、ちょっとね……」ドキドキ

ロウル「うん、まあ……わかりますよ。ギルバートさん、遭っちゃいましたよね?」

マックス「……うん」

ロウル「私もびっくりしましたよ。突然でしたからねぇ……」

ロウル「でも、あの人があれだけ興味を持つっていうことは……多分、かなりの好感触ですよ?」

ロウル「だからマックスさんも自信持って頑張ってくださいよー?」

マックス「も、もちろん!」

ロウル「あ……で、お戻りのところ悪いんですけど、ちょっと手伝っていただけます?」パン!

ロウル「私も驚いちゃって、ちょっと仕事が押しちゃっているんですよ」

ロウル「ちょっと! ほんのちょっとだけですから!」

ロウル「まだ様子を見れていない部屋を、ちょろっと私の代わりに見るだけですから!」

マックス「そんな顔しなくても、そのくらい全然大丈夫だぜロウルちゃん?」

キアラ「ええ。むしろ私達ももっとロウルさんのお手伝い……」

ロウル「あー駄目駄目! お二人もエリスさんと同じく今は大事な時期ですから!」アセアセ

ロウル「このほんの少しのお手伝い頼むのも心苦しいくらいですよ……」

ロウル「えっとですね……」


特殊判定
↓1~2コンマ二桁

…………チョットオマチクダサイ(白目吐血)
いやぁ、ほんとに、もう(白目)

↓1~2コンマ二桁

1ロウルが様子を見れていない部屋

コンマ03

01~20ティア


2ちゃんと大人しくしてる?

コンマ66

6 6


偶数ゾロ目: フ ル ス ロ ッ ト ル


※なんでこのシスターは頻繁に荒ぶるのか?


――



ロウル「ティアさんの様子だけ、まだ見れていないんですよ」

ロウル「あれから時間も経ちましたし、体調は戻っているとは思うんですけど……」

ロウル「何しろあのティアさんですからねぇ……」

ロウル「体力は私達よりもずっと低いですし、無茶は禁物です」

ロウル「ですので、何か危ないことをしていれば止めておいてください」

キアラ「わかりました」

マックス「ってもそれこそあのティアちゃんだ。大人しくお祈りしているんじゃ?」

ロウル「まあ多分そうなんですけどね?」

ロウル「……そう思ってつい後回しにしてしまったのが申し訳ないです」ダラダラ

マックス「あー、なるほど。それじゃ、行ってくるよ」

キアラ「ロウルさんは?」

ロウル「あ、私はまたちょっと別件がありまして……それじゃあ、お願いします!」タタタ!

マックス「ロウルちゃん、本当に忙しそうだよなぁ……」

キアラ「うん。何かお手伝い……あ、それがティアさんの確認なのか」

マックス「もっと手伝いところだけど、まずは目の前のことからだな」

マックス「えっと、ティアちゃんの部屋は……」


……

――

――



【城塞・ティアの私室】


キアラ「ここですね」

マックス「おーい、ティアちゃーん?」コンコン



キアラ「あれ? いないのかな……」

マックス「散歩に出てる、とか?」

キアラ「……もしかしたら、動けなくなっているとか?」

マックス「え゛っ!? いや、でも確かにあのティアちゃんなら……」

キアラ「無理して重い荷物を持とうとしてふらふらしていたティアさんなら……」

マックス&キアラ「「 あ り え る ( ま す )」」


キアラ「ティアさん、大丈夫ですかっ!」バーン!






ティア「ん、んん……っ///」クチュクチュ…

ティア「はぁぁ……♪ まだわからないけど、わかります……♪」

ティア「私のナカに、アベル様と私の赤ちゃんもう入っているの……♪」ニュチ…

ティア「名前、どうしようかなぁ……」

ティア「四天様の名前は……恐れ多いし、アベル様達には嫌な思い出だろうし……」クチュ…

ティア「ほかの、天使さまっ……や、優しい加護の……んうっ♪」ビクン!

ティア「あ、アリアンナ、とか……♪」トロォ…

ティア「あ、あっ、いい、かも……しれません……♪」ビクン!





ティア「――名前も、お尻もおぉぉぉぉ……♪」ビクンビクン!




マックス&キアラ「「」」



ティア「これで、赤ちゃんがいても、アベル様……と……?」チラ




マックス&キアラ「「」」




ティア「」

イヤアアアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーーッ!///






……





ロウル「……お二人とも、妙な仕事を押し付けて本当に申し訳ありません」ドゲザ

キアラ「い、いえ……///」

マックス「ロウルちゃんが気にすることはないよ……///」

ロウル「ティアさんには、あとで私がきつーっく言っておきますので……」

キアラ「あの、ティアさんも悪気は……///」

ロウル「ええ、でしょうね。個人の自由ですから、あまり強くは言えないんですけど」




ロウル「無茶をするしない以前に、施錠はしておきましょうと///」

マックス&キアラ「「……///」」ウンウン






ティア「ああああああ///」ゴロゴロゴロゴロ!

ティア「神よ、神よ! 淫らでふしだらで堕肉な私に罰をぉぉぉぉぉぉ!///」ゴロゴロゴロゴロ!



ロウル「まったく、もう……///」

ロウル「……」



……

――

――


【城塞・ロウルの私室】



ロウル「はぁ……」

ロウル「あー、なんだかどっと疲れた気がします……」

ロウル「まさかティアさんが、そんな……」

ロウル「……」

ロウル「エリスさん……は多分大丈夫だと思うけど……」

ロウル「アーシャさんにシアさん、それにパトラさんも……」

ロウル「もしかしたら、私に隠れて似たようなことを?」

ロウル「いやいや、それはないですよねぇ……」

ロウル「……」

ロウル「……アベルさんに、愛して、貰えて……」

ロウル「ティアさんだって、たまたま今日がそういう気分とかで……」

ロウル「……」

ロウル「アベルさんとの、赤ちゃん……」

ロウル「エリスさんは、嬉しそうで」

ロウル「ティアさんも、待ちきれなくて……」

ロウル「…………」

ロウル「何を考えているんですか、私は……」

ロウル「私は、私は……」


特殊判定
↓1~2コンマ二桁

ロウルの欲望と危惧


1我慢の副官。本当のところは?

96+25(ティアゾロ目)

=100 (ほ、本当は私だって……っ!)>50

※意地で頑張っていますが、もう決壊寸前だったようです

2アベルとの子を避ける理由

偶数:私は人とは違うから……
奇数:私は大丈夫だけど、子供に遺伝したら子供は耐えられるの……?

コンマ35

奇数:私は大丈夫だけど、子供に遺伝したら子供は耐えられるの……?

※子供の将来を心配し、一歩下がっていたようです

――

判定結果を公開した辺りで今日はここまで
ロウルが最後となったのは、彼女の真面目な性格と生い立ち故です
(なお以前の判定により、耳と尻尾の遺伝は確定です)
判定の結果かなり切羽詰っている状態ですが、もう我慢の限界といったところ
この後アベルが戻りロウルパートになりますが
ロウルパートの流れでご希望があれば↓よりいくつか募集したいと思います
本日もありがとうございました!

こんにちはー
ロウルパートの流れは把握し、現在書き溜め中ですが
うっかり取りそびれていた判定部分を投下しておきます
夜にまた来れればロウルパート直前まで進めたいと思います

ロウル「……私は……」ジワ…

ロウル「……」フルフル…

ロウル「駄目です、もっとしっかりしないと……」

ロウル「今、アベルさんの部隊で十全に動けるのは私だけです」

ロウル「皆さんが幸せな気分に浸っているところを狙う輩も、出てくるかもしれない」

ロウル「アベルさん達だけじゃない。今や帝国全体が明るくなっているんです」

ロウル「絶対、絶対に嫌な奴は現れます。私はそれを見過ごすわけにはいかない」

ロウル「昔よりもずっと強くなりました。奇襲されても対応できる自信もある……」

ロウル「……そうです。どんな状況でも、私は動いてみせます……」




ロウル「――もし、私にも赤ちゃんがいたとしても……」ポツリ…




ロウル「……っ!」

ロウル「ああ、もうっ! 私らしくもない!」

ロウル「私はアベルさんの副官で! その匂いを堪能できれば満足なんですっ!」

ロウル「今までず~っと、そうして生きてきたじゃないですか!」フンス!

ロウル「それに、もし赤ちゃんにまで私の耳と尻尾が出てきたらどうするんですロウル……」

ロウル「私と同じ幼少期なんて、過ごさせるわけにはいきません。だから……」

ロウル「だから、私は……」

ロウル「……」ハァ…


……

――

――

後日……




帝国兵1「アベル皇子、こちらカイン皇子より確認して頂きたいという書類になります」

アベル「ああ、わざわざすまない」

帝国兵2「アベル様! アドルラン様が内密にご相談したいことがあるとのことです!」

アベル「なに、アドルラン兄様が?」

帝国兵3「聖国より届け物が――」

アベル「う、おぉ……」タジ…

アベル(時間に余裕がある時もあれば、こうして重なることもあるか……)

アベル(さて、ここは……)


ロウル「カイン様の書類と聖国の荷物は私が運んでおきますから、王城に向かう用意を!」

ロウル「アドルラン様の内密な相談って、もしかすると大事かもしれませんからね」

アベル「あ、ああ。しかし……」

ロウル「ほら、早く早く! 別に荷物運ぶ程度大した労力じゃありませんから!」グイグイ!

アベル「わかったわかった! それじゃあロウル、すまないが頼む」

ロウル「ふふん、お任せあれ! 他のお仕事もばっちりこなしてみせますよ!」パタパタ!





ロウル「ふぅ」

ティア「あ、あの、ロウルさん?」ヒョコ

ティア「私も、お手伝いを……///」

ロウル「ティアさんはお部屋でゆっくり休んでいていいですよ?」

ロウル「――今度は、ちゃんと施錠したうえで」

ティア「はいぃぃぃぃぃぃ!?///」



……

――

――


【王城・アドルランの私室】



アベル「アドルラン兄様、ただいま到着致しました」

アドルラン「おお、アベル! すまないな、朝早くから」

ヒバリ「ごめんねアベル様。多分そっちも忙しかったよね?」

ルーシェ「紅茶、どうぞ」コト

アベル「ああ、ありがとうルーシェ」

ヒバリ「実はアドルランったら、珍しく悩んじゃってね……」

ルーシェ「私とヒバリさんじゃ、力に、なれませんでした……」ガクリ…

アベル「そ、それほどまでに重大な悩みを?」ゴクリ…

アドルラン「うむ……」

アベル「それならば、俺だけでなく他のきょうだいも呼ぶべきでしょう」

アベル「兄様の一番近しい二人が降参では、俺も力になれるかどうか……」

アドルラン「いや、カイン達にも相談は難しい」

アドルラン「他でもないアベル、お前だからこそ相談できる内容なんだ」

アドルラン「アベルなら、きっと理解してもらえると信じている」

アベル「……ありがとうございます」

アベル「その、悩みとは?」

アドルラン「私も、色々と考えはしたんだがな」

アドルラン「実はだな……」

アベル「……」ドキドキ…



特殊判定
↓1~2コンマ二桁

こんばんはー
……もう驚きませんよ、ええ(白目)
アドルランは本当にこういう時のコンマが特に突き抜けている気がします
それでは短いですが、判定結果とロウル直前まで

コスプレ大好き次期皇帝の内密にしたい悩み

1羞恥心と対策(コンマ値そのまま羞恥心)

50>

偶数:王国の獣耳達の受け入れ開始
奇数:帝国内でのつけみみ販促
ゾロ目:両方+国民にぶっちゃけ

コンマ11

11

ゾロ目:両方+国民にぶっちゃけ

※しかも11のため羞恥心も殆どなく国民に大々的な性癖オープン(白目)


2アベルの抑制

18‐20(巫女ロウル反応)

= 0 ( 獣 耳 っ て い い で す よ ね ! )

※弟も超乗り気です(白目)

※帝国は獣人政策を万全なものとするでしょう。+少々描写追加決定

――


アドルラン「アベルも知っての通り、私はあまり隠し事が得意ではない」

アドルラン「そもそも好きではないというべきか、とにかく思ったことは……口に出やすいんだ」

アベル「え、ええ。存じています」

アドルラン「だが、これでも本当に口にしては不味いということは、抑えられるつもりでもある」

アベル「それも存じています。父上達にも俺の野心はばれていなかったようですしね」

アドルラン「なのだが……」

アベル「?」

アドルラン「この私が、隠しておきたいと思いつつ……しかしもう抑えられそうもないものが出てきた」

アベル「なっ!?」

アドルラン「……故に、アベル。まずはお前にだけ見せようと思う」

アドルラン「……これだっ!」バッ!





黒猫ヒバリ「ニャ、ニャー……///」プルプル…

白猫ルーシェ「ニャーン……///」クシクシ





アドルラン「どうだアベルッ!?///」フンスフンス!

アベル「――いいですね!」グッ!

アドルラン「やはりわかってくれるか、我が弟よっ!」ガシィ!



ヒバリ「嬉しさ半分、恥ずかしさ半分だよ……///」カアァァ…

ルーシェ「はい……///」カアァァ…



……

――

――


……


アドルラン「いやぁ、よかったよかった! やはりアベルに相談して正解だった!」

アベル「以前の反応から思っていましたけど、アドルラン兄様はやはり……」

アドルラン「うむ! 彼女達の普段見せない姿にとても興奮する!」

ヒバリ「ほんっと、まさかアドルランの隙がこんなところなのは予想できなかったよ///」

ルーシェ「はい/// つけ耳、感謝です///」

アドルラン「うん? 別につけ耳が無くとも問題はないぞ?」

アドルラン「湯上りに髪を結いあげている二人を見るだけでも、その、だな……」

ヒバリ&ルーシェ「「///」」プシュー…

アベル「……悩みは解決されたようなので、そろそろ俺は失礼した方が?」

アドルラン「ああ、すまないな! 少し話が逸れてしまったか」

アドルラン「私の性癖と彼女達の愛らしさを見て貰いたいのは、あくまで前段階だ」

アドルラン「言っただろう? まずはアベルに見せると」



アドルラン「――つまりは、これを行く行くは国民全員に見せようと思うんだ」



アベル「」

アドルラン「隠し通そうと思ったが、やはり私には難しい問題のようだ」

アドルラン「私とて、この性癖が一般的なものではないという自覚はある」

アドルラン「だがしかし、どんな些細なことであれ……」

アドルラン「民達に隠し事をし続ける者が、果たして皇帝に相応しいのか?」

アドルラン「父上もやり方は過激ではあったが、嘘偽りなく実力主義を貫いていた」

アドルラン「故に私も民達に正直でありたいと思ったのだが……」

アドルラン「二人からは早まるなと止められてな。こうしてアベルにも相談しようと思った次第だ」

ヒバリ「ルーシェは可愛いからいいけど、私もう結構いい大人だってわかってるアドルラン……?///」

ルーシェ「ヒ、ヒバリさんは、綺麗だけど、私こそ、変な風に……///」

アドルラン「心配いらないぞ! 私もアベルも認めているんだからな!」

ヒバリ&ルーシェ「「あううぅぅ///」」

アドルラン「とにかく、そういうわけだアベル」

アドルラン「お前も認めてくれて、私も自信がついたよ!」



アドルラン「私は近いうちに、私の性癖と彼女達の愛らしさを国民全てに公開するっ!」

アドルラン「そして民にもこのつけ耳の文化を知ってもらい!」

アドルラン「――獣耳だからと差別されるのではなく、むしろ羨ましがられるような帝国を目指すぞ!」


ヒバリ「ちょっとアドルラン、そこまで大事とは聞いてなかったんだけど!?///」

アベル「っ!」

ヒバリ「アベル様、アベル様からも何か言って貰える!? 沢山の国民にこの格好見られるの――」


アベル「――全力で協力させて頂きます!」グッ!


ヒバリ「あ、これもう抗えないやつかな!?」ガーン!

ルーシェ「あぅ……///」

アドルラン「よろしく頼むぞアベル!」

アドルラン「近いうちに、まずは私が民に公表しよう」




アドルラン「そうすれば、お前とロウル君も動きやすくなるだろう?」




アベル「成程……流石、兄様ですね」

アドルラン「いいや、流石なのはお前の方さアベル」

アドルラン「お前はずっと昔から、迫害される弱き者達に手を差し伸べてきた」

アドルラン「私も、それのありがたさは骨身に沁みてわかっているつもりさ」

ヒバリ「アドルラン……」

アドルラン「帝国はまだ、実力主義が完全に消えたわけでもない」

アドルラン「ルーシェをまだ、珍しい商品として見る連中もいる」

アドルラン「少し人と違う眼や耳など、些細なもの……そうだろう?」

ルーシェ「アドルラン様……」

アベル「……その通りです」

アドルラン「私一人では、まだ至らないかもしれない。だがお前の協力もあれば……」

アドルラン「その為にも、しっかりとなアベル?」

アドルラン「……などと、女性の気持ちに疎い私が言っても説得力がないか! ははははは!」

アベル「いえ、そのようなことは」

アドルラン「よし! それでは二人にも色々と準備を手伝って貰おう! 次は、尻尾の用意か!?」

ヒバリ&ルーシェ「「!?///」」ボッ!


アベル(ありがとうございます、アドルラン兄様……)

アベル(ロウル……)


……

――


――


【城塞・アベルの私室】



ロウル「えーっと、これはこっちに置いてと」トサ

ロウル「カイン様の書類はここと」ドン!

ロウル「んー……なるほど、これはアベルさんの考えが必要なわけですね」パラパラ…

ロウル「こっちの書類は私でも手伝えそうですけど……これはアベルさんを待つべきですねぇ」

ロウル「さて、とりあえず今はここまでです。次の仕事は……ん?」クン…





アベルコート「……」クテ…




ロウル「あっ!? アベルさんったらコート脱ぎっぱなしじゃないですか!?」

ロウル「もぉ~……どうしてあの人はたまに抜けているんですか……」

ロウル「一枚だけお洗濯し直すって面倒ですし、乾き方にも差が出るのにぃ」ブツブツ…

ロウル「やれやれ、やっぱり私がしっかりしていないと駄目ですねぇ」ヒョイ


フワァ…


ロウル「ん゛っ……///」ビクン!

ロウル「あっ……」

ロウル「アベルさんの、匂い……」クン…

ロウル(だ、め……です、これ……離さない、と……!)クラ…


ロウル「すうううぅぅぅぅぅ……はあ、はあぁぁぁぁぁぁぁ……///」ゾクゾク!

ロウル「んぁ……アベル、さん……///」


ギュウウゥゥゥゥ…!



ロウル「っ……い、いけません。こんな風にしたら、型が崩れちゃいます」

ロウル「ちゃ、ちゃんと……」フルフル…



ロウル「――崩れていないか、私が着て、確かめないと……」ハァ…ハァ…


ファサ…


ロウル「あっ/// ふぁぁ……///」

ロウル(やっぱり、大きいですねぇ……)フルフル…

ロウル(私も、背は高い方の筈なのに、それでも……)

ロウル(アベルさん、昔から大きかった……)

ロウル(背中、おぶさって。凄く、安心して……)

ロウル(……でも、今は……)



ギュゥ…



ロウル「こんな、風に……!」ギュッ!

ロウル「後ろから、強く、私を……っ」



ロウル「抱きしめて、欲しいだなんて、そんなこと……」ポロ…


ロウル「言えるわけ、ないじゃないですか……!」ポロポロ…





ロウル(私だって、みんなと、同じように……///)



……

――

導入直前までいった辺りで今日はここまで
またしばらくお時間を頂きたいと思いますが……
アドルラン11(00に次ぐオープン具合)にアベルが補正込でも0、
加えて過去の判定でフィーアもロウルに対する警戒0+サクと仲良しでもあるため、
ロウルの危惧は完全に杞憂となることでしょう(白目)

本日もありがとうございました!

こんばんはー
ほんともうどうしようもなく間が空いていますが、ロウルパートを投下していきたいと思います……

――


「んっ……!」


主のコートに袖を通す。
本来の従者であれば、そのような真似はしないだろう。
だが、彼女はこれが初めてではない。


「アベル、さん……」


まだ、性知識も何もなかった頃から。
子供の頃から、自分の隣にいてくれた人の匂いが好きだった。
助けられたというのに、あの頃は人が信じられなくて酷いことを口にした。
それでも彼は見捨てずにいてくれて。


「私は……っ」


いつの頃からか、傍にいるのが当たり前になっていた。
傍にいられなくても、その匂いが帰ってくると安心できた。
それでも、子供だった頃はやはり待っている時は不安で。
こうして、彼の所有物の匂いを嗅ぐことで落ち着いていた。


「すううぅぅぅ……はああぁぁぁぁぁぁ……」


袖を前に差し出し、顔を埋める。
着ているだけでも感じられた匂いは、より濃密なものとなった。
昔は安心できた、幸せな気分になれた、素敵な匂い。
しかし成長し抱かれて色を知ってしまった今は、もうそれだけでは済まない。
人よりも優れた嗅覚や聴力をもつロウルにとっては、もはや媚毒に近いと言える。


「く、んぅ……アベルさん、いい匂いです……」


深く深く息を吸い込んで、身体の奥底にまでその匂いを取り込んでいく。
ロウル自身、これが普通の行為ではないのだと感づいてはいる。
それでも、わかっていても止められない。
誰もやらないからこそ、自分はこれを独り占めできる。




(――だから、私はこれで満足するべきなのに)




頬を染め嬉しそうに匂いを堪能する少女の顔に、一瞬だけ暗い影が落ちる。
わかっている。わかっている。
それでももう……


「あはは、本当に私ったら、どうしちゃったんでしょうねぇ……」


自嘲しても無意味だ。
どれだけ耐えようとしても、何故か今日は上手くいかない。
もう耐えられない、我慢できない。
このコートも、脱ぎたくない。




部屋に響く呼吸音が、嫌に耳につく。
荒く、熱を含んだ音。
今ならわかる。発情した、雌のものだ。
そしてそれの出処は考えるまでも無く自分自身。
主人の服を着て想いを寄せて、匂いを嗅ぐだけでこの有様とは。
ロウルの顔はより一層上気し、朱に染まっていく。


(本当に、獣みたいです……)


恥ずかしい、はしたない、止まれ。
頭の片隅でそんな言葉が飛び交う。
そう思いつつも、身体は言うことを聞いてはくれない。
吸いこんだ匂いはどこまでも甘い誘惑を続けてくる。
誇りや理性など、とうに媚毒に溶かされていた。


「んっ、く……っ、アベルさぁん……!」


一度両腕を広げてから、腕を交差させて自分自身を掻き抱く。
寂しい自分への慰めも、まるで愛する人からの抱擁のように錯覚できる。


「アベルさん、アベルさん……!」


所詮は錯覚。それもわかっている。
だがやはり身体は思った通りに動いてはくれない。
細身の自分の身体に、かなりの力を込めて腕を回している。


「はぁっ……! はぁっ……!」


どうしてこんなにも昂ぶってしまうのか、理解できない。
これが心の奥底で自分が望んでいることなのか。
後ろから強く抱きしめられて、そのまま……


「だ、め……落ち着か、ないと……んむっ!?」


誰に声を聞かれるかわかったものではない。
慌てて袖口を噛み声を押し殺そうとするが、それは悪手だった。
匂いだけで既に半ば正気を失っているというのに、追加の刺激に抗えるわけがない。
すなわち、味覚。
噛みしめた袖からは、匂いとはまた異なる『味』が襲ってきたのだ。


「あ、あぁぁぁ……!」


ロウルの全身が震える。
口を離そうなどという考えは、まったく思いつきもしなかった。
無論、美味しいわけがない。
ただの丈夫な布だ。長く使われた古い布だ。
甘い蜜が仕込んであるわけでもない。土と埃、そして持ち主の体液が染みついているだけだ。
ああ、それだというのにどうして頭が痺れてしまうのか。
以前に親友が語ったお互いの身体を舐め合うという行為も、こんな感覚なのだろうか。
溶けていた理性はさらにどろりと崩れ果て、思考ができなくなっていく。




舌先に、じわりと独特な味が広がる。
大好きな人の、味。
まるで口内に彼の指でも入れられたかのような錯覚。


「あっ……あぅ、うぁぁ……」


ようやく袖から口が離されるが、でろりと大きな唾液の橋ができあがる。
コートを汚してしまったことなど、気にも留めない。
だらしない顔で涎を垂らす姿さえも、今はどうでもいい。


(アベルさん……)


彼は今の自分の姿を見れば、何と言うのだろう。
口の中に指を入れ、生意気を言うこの舌を引っ張り出されるのだろうか。
聖女達の言う、お仕置きをされてしまうのだろうか。
でも、自分は彼女達のようにはなれそうもない。


(私は……)


ふらりと一歩前に踏み出す。
自分は一体何を求めているのだろう。
ロウルの自問に答える者は当然誰もいない。


「あ、ああぁぁぁ……」


彼女も、本当はもう気がついている。
コートを羽織り、その匂いに包まれたとしても。
袖を噛みしめ、味を感じることができたとしても。
それは彼そのものではない。
虚空に突き出された舌は、ぽたぽたと床に染みを増やしていく。


(欲しい、欲しいよぉ……)


どれだけ欲しても、服や匂いは舌を差し出してくることはない。
自分で舌を動かしても寂しいだけだ。
どれだけ求めても、服や匂いは自分を撫でてくれることはない。
自分で撫でるのでは意味がないし気持ちよくもない。
あの人が撫でてくれないと駄目なのだ。


「アベルさん、アベルさん……」


うわ言のようにアベルの名を呟きながら、ロウルはまた一歩踏み出す。
一度欲に火が着いてしまえば、止まることはできない。
満足していた筈のコートだけでは、もう足りない。
まさかアベル本人にこんな姿で迫るわけにもいかない。
そうなれば必然的に求めるのは、より酔ってしまえる彼の匂いだ。

もっと。
もっともっと。
最初から、わかっていた場所に吸い寄せられる。
想い人の寝台に、魅せられる。





軽やかに、そこへ飛び込む。
もう遠慮などはない。この寂しさを埋めてしまいたい。
高級なものではないが、自分の体重くらいは受け止めてくれる。
ぎしりと軋む音ともに、ロウルの身体がうつ伏せのまま沈み込む。


「――ッ!」


そのまま思いきり息を吸い込めば、それと同時に身体は大きく跳ねた。
意外と綺麗好きな彼は、自分の身の回りはきっちりとしている。
とはいえ自分の鼻にかかれば、残り香を十分に堪能可能。
この部屋そのものが丸ごと吹き飛びでもしない限り、自分は彼を感じることができる。


「ん、んひうぅぅ……!」


コートを着たまま転がれば、全身に彼の匂いを塗しているようだ。
なんという幸せだろう。こんな真似はこれまでもしてこなかった。
布団をめくりあげ、そのまま潜りこめば更に匂いは濃密なものになる。
あたたかい。
ただ一つの意味では無く、優しく包まれている安心感がある。


「ひっ、ふぅ……!」


あとは、顔だけだ。
ここも潜り込ませれば、全身でこの匂いを堪能することができる。
だが、それよりも先に視界にあるものが映った。

枕だ。

以前自分が作ったような、愛らしいものではない。
質素でありきたりで、どこにでもあるような……
しかし紛れも無く彼が使っている物でもある。


「っ!!」


抱き抱え、思いきり顔を埋めることには些かの迷いも無かった。
そしてそのまま――



「ふ、ぐ……ふぐぅぅぅぅぅぅ……!」



少女は声を押し殺して、泣き始める。
埋めた枕の匂いを嗅ぎながら、自身の涙と唾液を染み込ませていく。
駄目だと、わかりきっている。
止めなければと、内心で自分を何度も叱責する。
それでも涙も嗚咽も止まることは無い。

主人の寝具は、確かに夢心地のような匂い。
とても幸せな気持ちになれる、素晴らしい場所だった。


――その幸せは、一人のものではない。





わかっていたことだ。
黒づくめで悪ぶり、凍えるような氷魔法を扱っても、彼の本質は変わらない。
見ず知らずのこんな獣人の子供を、危険を冒してまで助けてくれるようなお人好し。
皇族だからと偉ぶることもなく、対等に接してくれる。
優しい彼に、惹かれて焦がれた。
それはみんなも同じこと。
そして優しい皇子様は、それを全て受け入れて、愛した。


「アベル、さん……ひぐ……ぅっ……!」


鼻がいいというのも時には考えものだ。
『愛する人』の匂いを嗅げるのはいいが、『愛された人』の匂いまで拾ってしまう。
別に腹を立てることはない。全員がこの関係には合意しているのだから。
それでも……


「こうやって、してもらったんですかねぇ……」


震える手で、ロウルは自分の慎ましい胸を弄る。
ほんの少し前までは、こんなものには無頓着もいいところだった。
大きさを気にしたこともなければ、下着の必要性だって感じなかった。


「んっ……! きっと、アベルさんのこと、好き放題に揉み放題したに決まっています……!」


それが今はこの有様。
僅かに指が沈むささやかな膨らみを自ら慰めながら、この大きさを妬む。
いつからこうなってしまったのか、ロウル自身もわからない。
貴族の男が向ける視線は全て嫌だった。
胸を、尻を、全身を、舐めまわすようないやらしい気配。
そして酷くなると股間の一物を取り出してくる。
性知識が無くとも、嫌悪感を覚えたものだ。
そしてそこを射抜けば、大抵の相手は心折れることも知ったが。


「……アベルさんの、挟んだりとか……したのかな……」


ただ、愛する人の物であれば話は変わる。
愛の営みに、胸で挟んで刺激するものがあるということも知った。
……知ったところで、自分には縁のない話ではあるが。
聖女達の立派なものであれば、さぞ彼も満足することだろう。
きっと愛し愛され、幸せだったに違いない。


「っは、どうして私、こんな小さいんだろ、う……っ!」


思わず温泉では取り乱し、女性陣の胸を凝視したばかりか揉んでしまった。
同性の自分でもあのまま揉み続けたいと思ってしまう程のもの。男が放っておくわけがない。
男に放っておかれる方がよかった筈なのに、今の考えはまるで違う。
どうしてこう自分の胸は貧相なのか。
弓を射る邪魔にならず誇らしかったはずのそれが、今は妬ましくて仕方がない。


「ん゛っ……うっ……!」


その妬みを乗せて、少し力を込めて先端を擦る。
痛みの後に、痺れるような感覚……
このまま続ければ、やがて達することはできるだろう。




「あ……」


もぞりと動けば、擦られた太ももからにちりと小さな水音が聞こえた。
匂いを嗅いでしまった時から、ロウルも濡れている感覚はあった。
そしてこうして慰めれば、いよいよ愛液も溢れ出す。


「ふっ……ふぅ、ぅ……っ!」


もう一方の手を、ズボンの中へと潜らせる。
太ももまで伝っているのだから、当然湿っている程度では済まない。
匂いと夢想、僅かばかりの自慰でここまで濡れるとは……
まだどこか冷静な頭の片隅で、ロウルは自嘲する。
自分が欲求不満になっていることなど、わかっているのだから。


「やぁ……あっ、あっ……!」


下着越しに割れ目をなぞる。
それだけで、自慢の耳は淫熱を帯びた音を拾い上げてしまう。
愛する人の匂いを嗅ぎながら、この指が彼のものならばと思う。
愛された人の匂いを嗅ぎながら、彼女達がどのように愛されたのかを考える。
先日の一件を鑑みれば、ティアは殊更に堪能したのかもしれない。


(ティアさん、アベルさんとの、赤ちゃん……)


彼女を少し咎めたが、自分にその資格は無いだろう。
気がつけば、彼女と同じことをしている。
それも自室ではない。皇族の上官の部屋、その寝具の中だ。
問題の度合いが違いすぎる。


「ふ……ぅ、ぅぅ……! アベルさん……っ!」


気がつけば、もう何もかもがぐずぐずに濡れていた。
枕は涎と涙で。布団にシーツは進行形で愛液が付着していく。
そしてその出処もまた同じこと。
下着をずらして指を入れれば、たちまちに呑みこまれる。
然程酷使したわけでもないというのに、根本まで。
どれだけ取り繕い、言い訳を考えても、身体が彼を求めてやまない。
どうしようもない程に、手遅れだ。


「アベルさん、アベルさんんんッ……ッ!!」


枕を押しつけた程度では、もう抑えきれないほどの声量でアベルの名を呼ぶ。
我慢ができない。
感情がごちゃ混ぜになる。
狂おしい切なさを誤魔化すように、自慰の手も早まっていく。


(足りない、足りない……っ! 私の指じゃあ……!)


硬く主張する乳首を擦り上げ、秘肉をかき分け愛液を掬いだす。
快楽を得ようと男の指技を真似てみても、真似しきれない。
身体はこれ以上ない程に疼いているのに、何かが足りない。
そのもどかしさと切なさが混ざり合い、ますます指は速まるばかり。




「あっ、はぁん……んぁっ、く……んうっ……!」


ぐちゅぐちゅと淫猥な音は次第に大きくなっていく。
優れた耳を持つ故に、ロウルは自身の股から響く音も鋭敏に感じることができる。
なんてはしたない音なのだろうと当然に顔は朱に染まるが、指は止まらない。
顔に押しつけた枕の匂いも手伝い、本来であれば絶頂していてもいい頃合いなのだが……


(赤ちゃん出来る程、アベルさんに……っ)


子供の事を考えると、踏み出せない。
しかしここ数日の親友達の夜の疲労からの寝込みに聖女の痴態……
それが、蓋をし続けている本当の願いを刺激しているのもまた事実。
一体どれほどの快楽と悦びなのかと考えてしまえば、あまりにも今の刺激は弱すぎる。


「んん……っ! んううぅぅぅ……っ!」


とっとと一度達してしまえば落ち着くかと思えば、それが出来ない。
落ち着きさえすれば仕事に戻れるだろうが、この状態では無理に決まっている。
頭のなかで『どうして』という言葉が渦巻いて止まらない。
もっと強い刺激を加えようにも、知識があまりにも浅すぎた。


「あぅ……アベルさぁん……アベルさんが――欲しいよおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


尻を突きだすような格好で、ロウルは心からの叫びと共に枕ごと寝台に沈んだ。
涙が止まらない。愛液も止まらない。
垂れ流しの躾のなっていない犬のようだと自虐しながら、彼女はその両手も投げ出した。
このまま続けたところで、徒に傷口を広げるだけな気がしたのだ。


(私……なにしてるんでしょうね……)












「――――――ロウル?」










「――――!?」


突然名を呼ばれたロウルの全身が跳ねる。
その低い声を聞き間違えることは絶対にないが、今ばかりは間違いであってほしかった。
突っ伏したまま、錆びついたかのような動きで後ろへと視線を向ける。


「あ……あぁ……」


そこには、この部屋の主であるアベルが立っていた。




一気に全身の熱が引いていくのがわかった。
はだけていた服を慌てて直すが、身体を隠すのが彼のコートという墓穴。
まさか、この自分が鍵をかけ忘れたというのか。
だが思い返せばこの部屋には本来書類を置きに来ただけだ。
すぐ去るつもりの部屋だったからこそ、施錠を怠った。
そしてコートの匂いで発情し、駄目だと思いつつ寝台に飛び込み自慰をした。
挙句それを汚し、自分の声で主の帰還にも気がつかない有様。
愚の骨頂と言うほかない。本当にティアのことをとやかく言えやしない。


「ア、アベルさん、違うんですこれは……っ」


自責を繰り返すロウルの口から出せたのは、弁明の言葉だった。
そして口にしてから、内心でまた自分を責める。
一体、何が違うというのか。
言い逃れなんてできるわけもない。
こんなに汚して、股を濡らして。
きっと彼にもこの痴態をしっかりと見られているに違いない。
先程とは違った理由で、涙が零れ落ちそうになる。
上を向きたいが顔を合わせることもできず、結局俯いてしまう。


「ロウル」

「っ……!」


再び名前を呼ばれ、へたらせてしまった耳もぴくりと動く。
声色は変わっていないが、アベルの感情は読み取れない。
彼は仮面を被ることに慣れているし、本当に怒ることは稀だ。
誰かが傷つけられたならともかく、自分が傷つくことは厭わず怒らない。
この粗相でも、怒らないかもしれないが……
そう思考を巡らせている間に、一歩足を踏み出す音が聞こえた。


「あっ……」


いつもよりも、速い。
とすとすと急ぎ足でこちらに近づいてきている。
二の句を告げる前に、アベルはもうロウルの目前にまで迫っていた。
やはり、怒っているのか。
再び身体を震わせたその間に、ぎしりと寝台が軋む音が響く。


「……それは、俺のコートか?」

「っ、はい……」

「どうして俺のコートを着て、俺の寝床に潜り込んだんだ?」

「……っ」


普段は明朗快活な少女も、言葉に詰まった。
正直に打ち明けても、誤魔化しても、どちらにせよ良い結果は得られない。
淡々とした低い声。起伏がない。
怒っているのか。眼を鋭くさせ、睨んでいるのか。
そんな仕草にそそられるという人も若干名いると理解はしている。
だがロウルは、それを本気で自分に向けられたら耐えきれない自信があった。
初めて心を許した想い人から見捨てられたら、どうにかなってしまいそうだ。


「ロウル」


再三の呼びかけにも、顔を上げることはできなかった。
それをすぐに察したらしいアベルは、俯く少女の顎に手をかけた。




「……すまなかったな」

「え――んむっ!?」


びくりと顔をあげたロウルが目にしたのは、困ったような顔をしたアベルだった。
怒っていなかったという安堵感と共に、唇に降った柔らかな感触に思わず目を見開く。
伏し目がちな彼の表情を間近で見ることは非常に稀で。
見開いた瞬間に溢れた涙も、優しく拭われた。
情報の処理が追いつかない。
少し動き、口唇が吸い上げられたことがわかった時。
ロウルの頭は、これの処理を最優先事項に定める。


「……んっ……ちゅ……ぅ!」


荒々しさはどこにもない。初めての時と同じ、優しい口付け。
それだけで全身の熱が戻ってきた。
色々と言いたいことはあるのに、今はこれを享受したい思いが溢れて止まらない。
そして、この続きを求めてしまう。


「ひゃ、むぅ……ん……」


あれだけ抑えていたのに、人の気も知らないで……
そんな言葉は飲み下した。軽口を叩く暇があれば、差し出された舌に応えたい。

熱い口内で、すぐさま舌は絡み合う。
ロウルは既に溢れていた唾液を受け渡し、アベルもそれに応じつつ自身の唾液をロウルに渡す。
舌の動きは彼の方が上手なのだろう。ロウルからの供給が一時止まった隙を逃すことはなかった。


「ん、むぅぅ!?」


ロウルの舌は組み伏せられるかのごとく動きを封じられ、アベルは奥へと進む。
己の唾液をロウルの内側に擦り付け、染み込ませるように蠢く。
かと思えば器用に動き、喉に直接唾液を送り込んでくる真似もする。
あまりに突然のことで、ロウルも飲み下していくしか術はない。
こくこくと喉を鳴らすが、その時の表情が蕩けていることを彼女が知ることはないだろう。
頭の奥底から痺れるような、甘くないのに甘いと錯覚してしまうような愛する人の唾液。
擦り込まれ、流し込まれたそれでこんな表情ができるならば、それはまさしく媚薬と言えた。


「んぁぁ……♪」


たっぷりと時間をかけて行われた口づけが終わりを迎えた時、ロウルの口からは蕩けた声が漏れた。
そして互いが繋がっていたという情愛の証のような唾液の橋が。
ねっとりとしたそれはしばらくすると切れてしまい、寝台の染みの一つとなった。


「アベル、さん……」

「ロウル……」


呼吸を整えながら、お互いの名前を呼ぶ。
軽く耳と共に頭を撫でられれば、ロウルの身体はぶるりと震えた。
今度は恐ろしさからではなく、心地よさから。
このまま、甘えてしまえたら、どれだけ楽なのだろう。


「その……」


アベルの唾液も飲み、全身が火照っているのがわかる。
身体が悦んでいる。それでもこのまま甘えるわけにはいかない。
ロウルは今度こそ、大切なことを伝えようとする。



「……少し、私の話を聞いて頂けますか?」

「手短にな」


アベルの事だから了承し動きを止めるかと思えば、まさかの返答。
ぐいと抱き寄せられ、ロウルは顔の熱が高まるのを自覚する。
本当にこのまま身を任せてしまいたい。
そうすればきっと、幸せな気分になれる。そんなことは想像に容易い。
それでもこれだけは、話しておかないといけないと思えた。


「アベルさんは、あの腐竜……前国王コーネリアスを覚えていますか?」

「勿論。忘れるわけがないだろう?」

「――では、あの竜が……私の姿を見て言い放った言葉は?」

「……っ」


優しく撫でるように動いていたアベルの手が、ぴくりと反応して止まる。
予想外の強敵との遭遇、全容のわからぬ相手との戦いではあったが……

――わしが、造らせた……実験生物の、余りか……?

ロウルもアベルも、生にしがみ付く哀れな王の言葉を記憶していた。


「……アーシャさんみたいに、両親が嫌いだと言う人はいます」

「パトラさんのように、誇る人もいます。でも私には……そもそもの両親の記憶がないんです」

「物心ついた頃には、一人で生き抜いていました。……自分がどこで生まれたかも、わかりません」

「……それで、あいつの言葉を真と受け止め、気にしていたのか?」


ロウルはすぐに返事を返さない。
だが否定をしないということは、肯定しているとも受け取れる。


「……いえ。私は本当に実験生物だったとしても、気にしませんよ」

「どうあれこの姿で、アベルさん達を助けることができた。私には、誇れる武器です」

「でも、私はよくても……もし、子供にもこの耳と尻尾が引き継がれたら?」

「子供には、実績がありません。周りから受け入れられる保証もないんです」

「皆さんの子供達と私の子供が並んだ時、一人だけ違う姿の自分に子供自身が違和感を持つかもしれない」

「それを考えると……だから、私は……」


そこまでを口にし、ロウルは小さく下唇を噛む。
軽口こそ叩けど、根は真面目な彼女らしい悩みであるとアベルは内心で思う。
彼女の行動からして、愛されたいという願望はあったのだろう。
しかし人と違う姿、それも己の正体が王国の負の産物なのかもしれないという可能性。
それらを踏まえて、子供の身を案じた。
それほど性知識に精通しているわけではないが、周りの友人達を見れば子供は愛の結晶だと察せられるか。
連日次から次へと女性陣に手を出し無遠慮に欲望を吐きだし、足腰に軽くない疲労を蓄積させたともなれば……
ロウルの中では抱かれる=孕むまで休まることはないと判断されても不思議ではない。


「だから、俺に抱かれたくなかったのか?」

「あ、いえ、その……アベルさんは、欲しかったけど……」


顔を赤らめ、もじもじとする姿は実に可愛らしい。
しかしアベルは僅かに口の端を吊り上げた後、どうしようもなく愛欲が渦巻くのを自覚した。




「馬鹿だな、ロウルは」

「なっ!? 馬鹿とはなんですか!?」


笑いながらそう告げれば、赤い顔のまま反論がやってくる。
ほんの少し前にした甘い口付けの情緒など、もうどこにも残っていない。


「そんなことで悩むなんて、ロウルらしくもない」

「どういう意味ですかっ!」


「――俺が、みんなが、その程度でお前やお前の子を邪険に扱うわけがないだろう?」

「むしろ、そんな輩がいれば……俺は絶対にそいつを許さん」


「あっ……」

「……お前の悩みに気付いてやれなかった俺も、大概に馬鹿だがな。許してくれ、ロウル」


向かいあって告げられた確かな言葉。
そして慈しむように抱き寄せられ、撫でられる。
たったそれだけのことでも、ロウルの中の何かはゆっくりと解けだした。
呼吸の仕方を忘れてしまったのか、身体の奥から何かがこみ上げてくる。
目はジワリと熱くなり、視界が少し霞む。
縋るように泣かなかったのは、どうしてなのかわからない。


「あまり、深く考える必要はない。お前はロウルという女の子で、俺の大切な存在の一人なんだ」

「耳や尻尾がなんだ。俺達の周りだけでも、身長や髪色、瞳の色や声だって人それぞれだろう?」

「も、もう……! そっ、そんな些細なものとっ……比べないで、くださいよ……!」

「私の耳と尻尾は、他の人にはない……っ、アベルさんを、助けられる武器なんですからねぇ……っ」

「ああ、その通りだ。だからむしろ、子供に引き継がれたならば喜ばしいことじゃないか」

「そして俺は援護に関係なく――この可愛い耳と尻尾が大好きだからな。何も心配することはない」

「ひやあ!?」


頭を撫でていた手は器用に動いたかと思えば、くにりと耳を優しく扱く。
もう一方の手も動いたかと思えば、こちらは尻尾を梳き始めている。
言葉に偽りがないと証明するような、穏やかな手つき。
敏感な場所故に悲鳴をあげてしまうも、後は心地良さに任せるようにロウルは身体から力を抜く。
尻尾ごと優しく抱き止められれば、これまでの不安が嘘のように吹き飛んだ。


「これでも、まだ不安かロウル?」

「いえ、いえ……!」


どうして不安を抱いていたのか、ロウルは自分でもわからなくなっていた。
小さく首を横に振りながら、大好きな人の匂いを思い切り吸い込む。
大好きな匂い。優しい匂い。
胸元に顔を埋めて泣かないのは、素直になれない自分の性格のせいなのか。
或いは枕を相手に、既に結構な涙を零したからなのか。
それはわからないが、今はただこの幸せな時を噛みしめたかった。



「ところで、ロウル?」


そんな幸せから引き戻すように、アベルの声が立ち上がった耳に嫌に刺さった。


「な、なんでしょうか?」

「お前の不安、悩みはわかった。それは俺達が現実のものにしないと誓おう」

「だが……俺のコートを着てここに潜り込むこととは、結びつかないと思うんだがなぁ」

「え」


まさかそこを蒸し返されるとは思っていなかったロウルは、間の抜けた声を出してしまう。
先程の反応からして、おそらくアベルはその理由も悟っている筈だ。
そうでないにしても、水ではない液体でここまで寝具を汚せば、気がつかない方が難しい。
つまり、彼は全てをわかった上で問いかけてきていることになる。


「あ、ぅ……」


紫光に見据えられ、ロウルは再び熱を取り戻した顔を背ける。
今日は熱くなったり冷めたり忙しいななどと、逃避に近い思考を巡らせながら。
何も彼の匂いを嗅いで快楽を得ていたことなど、今に始まったことではない。
今日はいつもよりも深めに嵌まってしまったが、延長線ではあるだろう。
なのにこの恥ずかしさはなんなのだろう。


「ロウル」

「あ……んっ!? くあああぁぁぁぁぁっ!?」


そう考えている最中に、不意に下半身を強い刺激が襲ってきた。
あまりに突然の不意討ちに、声を抑えることすらもできなかった。
声色はそのままに、彼が濡れそぼった下着越しに触れて来たのだと……
そう理解するよりも速く、アベルはそこを弄る。


「ぐしょぐしょじゃないかロウル。これでは俺が弄る必要もないか?」

「あっ……! ひゅ、っぁ……はぁっ、んぅぅ……!?」


口ではそう言いながら、手が休むことはなかった。
濡れているとわかっていながら、あえて下着が脱がされることも無く。
ただただ下着越しに緩やかに触れるだけ。当然刺激は少ない。
それでもロウルは予期せぬ快楽の前に、嬌声を垂れ流す。


「あっ、ん……アベル、さ……っ!」


もっと、とは告げられない。
身体が疼いて疼いて仕方がない。それなのに、絶妙な加減をされていた。
下着越しでもわかる程に、淫らな豆がぷくりと主張しているのがわかる。
それでもアベルはそこに触れることなく、焦らすような愛撫を続けているのだ。


「そんなぁ……っ、どう、してぇ……!?」


求め、焦がれ、期待を込めた視線をぶつけても、焦らしは続けられた。




「はぁ……はぁぁ……!」


もっと。もっと欲しい。
これまで我慢していた反動なのだろうか。
己を慰め、口づけを貰い、不安を拭われ、焦らす様な愛撫を受けて……
本能でわかってしまう。自分の身体はこれまでで一番、狂おしい程に彼を求めている。
もう抑え込む必要もない。貪欲に求めてしまいたい。
なのに肝心のこの青年は、加減をして虐めてくる。


「あ、あう、あうぅ……!」


また、涙や涎が零れてしまったかもしれない。
そう考えながら、ロウルはその意識の外で腰を突きだしてしまっていた。
欲しい欲しいと哭く身体が、勝手に動く。
もどかしくて助けて欲しいと、もっと激しく触れてくれと、薄布の張りついた股を突きだしてしまう。


「こんなになるまで、俺の服を着ながら自分で弄っていたのか?」

「んいぃっ!?」


あまりにも直球な言葉に、熱が引いてしまった気がする。
しかし言葉と同時に秘裂を強めに押されれば、また身体の疼きは帰ってきた。
蕩けた意識の中で、ロウルはこの問いに対する返答は無意味と結論付ける。
正直に言うのはやはり恥ずかしく、正直に答えたところでアベルは止まらないからだ。


「……子供の事が心配だった。子供が出来る前から案ずることのできるお前は、優しい子だ」

「だが、こうして自分で弄ったり……俺が軽く触れるだけで、こんなに濡れている……」


眼前に、にちゃりと糸を引く愛液に塗れた指が晒される。
全部自分の身体から溢れたものかと思うと、恥ずかしくてどうにかなりそうだ。
だがそれ以上に、ロウルの頭の中では警鐘が鳴り響いていた。
アベルの言動全てが、この後自分の身に降りかかる何かを暗示しているかのような……
焦らされ、辱められてはいる。それでも同時に幸せでもある。
そんな状況で、何を警戒する必要があるというのか。

普段は発揮できる獣の鋭覚も、今ばかりは鈍ってしまっていた。


「――別に、子を産むことが愛することの全てではない」

「――そこまで思い詰めていたことを察せなかった俺も問題ではあるが、言ってくれてもよかっただろう?」

「――まさか、俺がいるのに自分のコートに負けるとは……夢にも思わなかったぞ」


アベルの感情の吐露を受けて、ようやくロウルはぞわりとその全身を震わせる。
ああ、この感情の名を自分は知っている。
でもまさか、この青年が。

ぎしっと寝台が大きく軋む音が聞こえた。
いつの間にか完全に無防備な仰向け状態。
対するアベルは仄暗い炎を静かに燃やしながら、ロウルに覆い被さるような格好になっていた。


「アベルさ……」

「我ながら、自分の服を妬ましく思うのもどうかという自覚はあるが……」


ロウルの思考も、高鳴った心音も、それに射抜かれてはそれどころではなくなる。
それは、人ですらない物に対する嫉妬の炎。




「俺の服は、こんなことができたか?」

「はひゃぅっ!?」


アベルの中指が、下着諸共に蠢く秘境に突き立てられる。
待ち焦がれていた強い刺激にロウルの全身はびくりと跳ねた。
しかしまだだ。まだ足りない。
それはお互いにわかりきっていることだ。
このまま、達するまで執拗にどろどろに掻き乱されるのだろうか……


「俺の服では、お前の可愛いここを触れないだろう?」

「ん゛うぅっ!?」


だから、再度指が離れることなど予想外で。
『そこ』が可愛がられるなど、考えてもいなかった。


「ああ、可愛いぞロウル」

「んにぃ……!? やぁ……しっぽ、ごしごししないれぇ……!?」

「そうだな。こっちも忘れてはいけない」

「にぃぃ―――っ!?」


ロウルの全身が跳ね上がり、噴き出た潮はアベルの身体と寝台を汚していく。
我慢され焦らされ、ようやく触れて欲しい場所に触れて貰えたかと思えば……
誇りであり悩みの種ともなってしまった尻尾を扱かれ、耳を食まれていた。
それだけで、身体中に痺れが奔った。
普通の人間にはわからない、得ようもない甘い痺れが。


「お前がまだ不安なら、俺が支えてやる……」

「この耳も尻尾も、あってよかったと心の底から思えるほどに、な……?」

「ひぃん!? ひゃめ、みみ、舐め……しゃべ、あっ……はぁぁ……!」


耳元で囁かれるだけで頭がふらつく。
軽く歯を立てられながらぬとりと舐めあげられれば、快感がこみ上げてくる。
唇だけで耳を捏ねられれば、甘い声が漏れてしまう。


「ひゃめぇ……アベルひゃんのきちくぅ……」

「それは心外だ。俺はかなり優しくしているつもりなんだが……」


再びの耳元での囁き。
それだけで身体は飽きずに反応する。
勿論、ロウルもわかっている。
アベルが悪意を持ってこのような真似をしているわけではないことぐらい。
本当に、心からの情愛を感じる。
だからこそ、身体は悦んでしまう。
だからこそ、今まで作っていた『壁』のようなものが崩されていくような感覚にもみまわれていた。


(このままじゃ、わたし……)


耳と尻尾への愛撫が止むことは無い。
一噛み一撫での度に、身体は震えてとろりと蜜を零す。



「――それとも、もっと激しくした方がいいのか?」

「はにゃぁ!?」


一際低く、耳元で囁かれながら舌が挿入された。
人一倍敏感なそこを直接刺激されたロウルの身体は大きく跳ね上がる。
その後も休まることは無い。
舌はいやらしく動き、まるで耳は性器なのだと言わんばかりに愛撫してくる。
時に歯と唇も合わさり、本当に食べられてしまっているかのような錯覚を引き起こす。
そうされればされるほどに耳はより鋭敏になっていく。
そして淫らな音と感触をこれでもかと拾ってしまう。

――このままでは、何かがおかしくなってしまう。

ロウルは制止をかけたいが、もたらされる快楽の波に呑まれてうまく言葉が紡げない。


「あ、あぅ、あぁ……!」

「気持ちいいか、ロウル?」


少しの間だけ耳から顔を離したアベルは、呂律の回らなくなっているロウルをみやる。
蕩けきった顔に、だらしなく出された舌が艶っぽい。
普段の凛とした彼女からは想像もできないような、雌の顔だ。


「あむぁ……?」

「後でまた、こっちも可愛がってやろう」


赤い舌が指で挟まれながら、優しく撫でられた。
今は耳を可愛がることを優先すると言った意味合いであろうが、
自慰に耽っていたロウルは、アベルにこうお仕置きされるのではないかとも考えていた。
まさかそれが現実となり、しかし実際には優しく撫でられた。
じわりと広がる彼の指先の味は、やはり幸せな味がする。
思わず、頬も綻んだ。


(……あれ? アベルさんの指は私のあそこを虐めて――)


気がついた時には遅かった。
今のは左手だ。小休止に入ったかと思えば、愛液でべとついた右手の方は別の個所にいる。
また下着越しに豆を虐められるのか。
そうであれば、彼女もまだ耐えられたのだろう。


「さて……」

「ちょ、アベルさん、なに、おっ―――!?」


ロウルよりも素早く、アベルは次の行動に移っていた。
再びひくつく秘裂を解すとみせかけて、そこを素通り――正確には、腕を通したのだ。
鍛えられた青年の腕が、身構えるよりも前に無遠慮に己の股座を滑り抜ける……
その羞恥と驚愕の感情は並のものではない。
咄嗟に捕まえようと脚に力を込めれば、しかしこれは逆効果。
既に濡れきったそこでは捕えきることもできず、逆に逞しいそれが股間に強く押し当てられることになった。
抗議の声もあげられない程に、腕がもたらした快楽はロウルから言葉を奪う。


そして、それでは終わらない。
ロウルの股を通ったアベルは、本当の目標であるロウルの尻尾の付け根を掴んでいた。


「――挿入せずとも、コートになんぞ無くとも、俺はお前をこうしてイかせられる」

「―――ッ!?」


耳がじくじくと熱を持って、音を拾うだけでひくついてしまう。
そこにこう言われてしまえば、僅か数秒後の自分の未来は想像に容易かった。


「あ……」


すぐには襲ってこなかった。
でもわかっている。それはまた焦らされているだけ。
こちらの反応を楽しみ、適切な状況で責めてくるのだとロウルはわかっていた。
だからこの隙に、耳も尻尾も最大限衝撃に耐えられるように意識を張っておく。
そうすることぐらいしか、彼に抗う術は思いつかなかった。




「そうだ、こっちの可愛らしい場所が疎かになっていたな」

「っァ―――――ッ!?」



だから。
わざとらしくアベルが口にした直後。
指の腹で尖りきっていた乳首を弄られた瞬間、ロウルは一層の快楽に頭が真っ白になった。
それと同時に、各所への警戒も緩んでしまう。

狙っていた頃合いは、今。
両の手を、舌を、唇を、歯を、全て動かす。
子作りをせずとも愛することは出来るのだと伝えるように、一斉に。

耳を食み、吸い、嬲る。
乳首を潰し、転がし、擦り上げる。
尻尾を梳きつつ、根元を捏ねくり回す。
尻尾を弄る動きにあわせ腕も動かし、肉豆も押し潰す。


「ひっ、あ、ふあぁぁあああああぁぁッ!? あぅ、あ、はあぁ、あはぅ、んぁぁ~~~~~―――ッ!?」


少女の許容量を超えた、膨大な快感は一気に頂点まで押し上げる。
自慰では、絶対に到達できない程の快楽。
他の男を相手にする気はないが、たとえどれだけそれに特化した腐敗貴族でも、この快感は与えられまい。
何も考えられない、取り繕えない程の、何が起きているのかも理解が追いつかない快楽。
それでもその裏側に、確かな愛情を感じられるのは何故なのか。
自分の耳を、尻尾を、身体を……
ロウルという一個をここまで愛してくれるのは、彼以外にありえないと断言ができた。



「イッ……アベルさ―――ッ!」



涙を零しながら、飛びそうになる意識を繋ぎ止めてロウルは手を伸ばす。
掴んだのは、彼の身体。
放さない。離れたくない。溺れたい……
抱き縋りながら、ロウルはいつまでも激しく悶え狂った。


――幾重もの絶頂を味わいながら、自分が本当に欲しいものに想いを馳せて。



――

……


「あっ、あぅ、はひぃ……ひぁ……! 奥に、奥にきてますぅ……!」


今の時刻のことなど、二人は忘れ果てていた。
灯りを消すことも忘れ、そこには二人の獣がいた。
アベルが軽快な音と共に一突きすれば、その度にロウルの口からは嬌声が漏れた。


「まだだ。まだ、足りないだろうロウル?」

「っあぁ!? だめっ、それだめですってばあああぁぁぁあああああぅあぁ!?」


アベルはロウルを突きながら、揺れ動く彼女の尻尾を握りしめ、扱きあげる。
繋がる二人の今の格好は後背位……獣の交尾のような格好であった。
本来のロウルであれば、あまり好ましいとは言えない体位。
だが彼女は、性器を用いずに幾つもの絶頂を経験し……
彼女自身が危惧していた通り、心の中の何かが崩れ去っていた。


「どうだ……っ、俺だって、こうやって獣みたいな本性を持っているんだ……!」

「はいっ、はいっ……! わた、しも……アベルさんからこんなに、あ、ああぁぁ……ッ♪」


口ではどう取り繕っても、心の奥底には自分に混じる獣の部分が気になっていた。
不安で、匂いを嗅いで逃げていた。
だがそれも、愛しい人が蕩ける程に愛してくれた。
常人には味わうことの出来ない、多重絶頂。
敵の警戒で役立つ以外にも、こんな利便性があるとは思わなかった。
耳も尻尾も、本当の意味で全身を愛して貰える自分は、誰よりも恵まれているのではないか……
そんな気分になれるほどの、文字通りの幸せの絶頂。


「もっと、もっとぐりぐりしてくださいよぉ……♪」


自分が『獣』でもいいのだと。
自分で自分を受け入れることができた彼女は、自らこの獣の体位を望んだ。
勿論、恥ずかしいという気持ちも相当に強く残っている。
それでも、それに見合うものが得られるのであれば、やらない手もない。

普段の軽口のように、挑発気味に尻と尻尾を揺らせばアベルはそれに応えてくれる。
背後からの衝撃は、以前のものよりより深く彼と繋がれているような気がする。
それだけでも十分だが、その衝撃にくわえて追撃もやってくるのだ。


「その前に、こっちからだな……っ!」

「ん゛ぁっ!? ま、まひゃわたひのしっぽぉぉっ!? ひゃひぃぃッ!?」


穴を蹂躙されるだけでなく、尻を揉みくちゃにされ、大切な尻尾を握りしめられる。
あまりの刺激の強さに思わず抗議の声をあげてしまうが、本当は嬉しくて仕方がない。
アベルもそれを察しているからこそ、尻尾を掴みつつ丁寧に扱っている。


「ひゅ……、ふぅ……っ! みみぃ、みみもぉ……っ!」

「当たり前だっ!」

「んひ、ひゅいぃぃぃぃ――――ッ♪」


そして、背後から押し潰すかのように覆い被さりながら、耳までも。
傍から見れば、凌辱されているようにも見えることだろう。
だが当の少女は、堪らなく幸せであった。


自分で勝手にコートを拝借して抱かれた気分になるのとは、訳が違う。
この獣染みた体位も、聖女もしていたというのならそう忌み嫌うものでもない筈だ。
何よりも、これこそが自分の望んでいたことなのだと、ロウルは確信していた。

確かに身体のあちこちで絶頂を迎える度に跳ねあがり、潮に愛液を撒き散らし、
きっと明日には自分も動けなくなっている程に身体への負担は大きいだろう。
そしてそれはアベルも同じこと。真面目な彼は、どこの愛撫にも一切の手間を惜しまない。
通常の行為よりも、体力も気力も使ってしまう筈だ。
申し訳ない気持ちもあるが、だからこそ彼から本当に愛されているのだという実感が持てる。
獣の身体でも問題ない、獣の身体だからこそできることもあるのだと安心できる。
自分の抱いていた不安が、ちっぽけなものであったのだと教えてくれる。


「っ、ロウル、そろそろ……ッ!」


そして、ようやく待ち望んでいた瞬間が訪れる。
自分が幾度も達しているというのに、ずるい人だという言葉は呑みこんで。
代わりに彼の言葉よりも早く、自分の本当の願いを口にするのだ。


「な、なかに……っ! なかに、アベルさんのください……っ」



「――私も、アベルさんの赤ちゃん、欲しいの……っ♪」



蓋をし続けてきた本心を、ようやく解き放つ。
ほんの少し前までは怖かったそれも、今やこの人のおかげで何も怖くない。
もし子供にこの耳と尻尾が継がれたとして、きっと自分と同じように愛してくれるのだから。
勿論、自分も思いきり愛そう。


「ロウルッ! く、おぉ……っ!!!」

「きて、きて、きてくださいぃぃ―――――――ッ、~~~~~~~~~~ッ♪」


ごぷりと、体内に吐き出された精を感じ取れる。
全身だけじゃない。内側からも、愛されているのがわかると、ロウルは何度目かもわからぬ絶頂と共に噛みしめる。
冷静な副官の部分は頭の片隅で明日の仕事をどうするんだと考えていた。
しかし、抑圧した反動の幸福はそれをあっさりと呑みこんでしまう。


「アベルさ……も、っとぉ……♪」

「ああ、ロウル……!」


寂しい思いをさせたな……
口には出さずとも、それを埋め合わせるかのように再び腰が打ちつけられる。
精液が溢れてしまうなら、また新たに刻みこんでしまえばいい。

愛に満ちた獣の交わいは、まだまだ続く。



(赤ちゃんの名前、どうしようかなぁ……♪)



獣人の少女は、顔を埋めた枕を再び涙で濡らしていた。

今度は、溢れた幸せの涙で……


……


――

――――
―――
――



……



ロウル「んひぃ……♪」スヤァ…

アベル「……」ナデナデ

アベル「本当に、愛らしい耳と尻尾だと思うぞ?」クニ…

ロウル「んぅ///」ビクン!

アベル「……」ナデ…

アベル「まさかロウルが、あそこまで悩んでいたとはな……」

アベル「エリス達から報告は受けていたが……気付いてやれなかった俺の落ち度だ」

アベル「やはり、アドルラン兄様との密談はいい機会だったかもしれん」

アベル「……」

アベル「俺も……」

アベル「……」

アベル「……まずは、みんなの説得も必要かな」


ガシ…


ロウル「……あべる、ひゃん……///」

アベル「だが、今はもう少し……」ナデ…


……

――

ということでロウルパートでした
最終盤だというのに更新ガッタガタで本当に申し訳ないです……
ようやく少しは時間が戻ってきましたので、亀速度でも更新頻度を戻せたらなと思います
次はエリスの出産の前に、アドルランゾロ目で生まれた追加イベントからになります

本日もありがとうございました!

おつおつ
これでアベルの娘は全員仕込めたわけか……そして皇帝の性癖暴露という異常事態に帝国民の反応はどうなるのか

こんばんはー
昨日うっかり追加イベントのコンマ↓1を拾い忘れていましたが、
予定通り私のレスの↓1のコンマを拾いつつ追加小イベントをゆったり進めて行きたいと思います

嘘だろおい(白目)

――

……

【帝国・ノワールの私室】



ネスト「――報告は以上になります」

ノワール「ありがとう。王国のお手伝いも大変でしょうに、ごめんなさいね?」

ネスト「いえいえなんのなんの。このくらいは朝飯前ですよ」

ネスト「王国の方もだいぶ部隊の再編成が進んでいますからね。ご心配には及びません」

ネスト「それにノワール様からの頼みとあれば、俺達には断れませんよ」

ノワール「本当は、私自身が動いてもいいんだけれど……」


ノワール「……流石に、我が子の性事情を探るのはちょっと///」カアァ…


ネスト「殿下なら、気にしないと思いますよー?」

ノワール「あの子は妙なところで繊細だったりしますから……」

ノワール「あなた達も本当に、こんな調査を引き受けてくれて感謝しかありません」

ノワール「せめてローズに頼もうかと思ったのだけど……」

ネスト「あー……あれは俺もびっくりでしたよ」

ネスト「流石に部屋の中に踏み込む勇気はなかったんで、音声だけですけど……」

ネスト「その、なんて言うんです? 女の子二人の喘ぎに混じって『男』の声が、ね」

ノワール「あの子にも、長いこと随分と苦労をかけましたからね……幸せを掴めたなら、何よりです」

ネスト「しかし、改めて情報を整理すると凄いものですねぇ」

ネスト「殿下は手が早いとは思っていましたけど、あの様子だとエリスちゃん以外も妊娠しているんじゃ?」

ノワール「険悪な気配は見られなかったのですよね?」

ネスト「ええ。殿下は勿論、エリスちゃん達はいつも通りの様子でした」

ノワール「私も後押しをしてしまったけど、アベルも大変な道を選んだものです……」


ネスト「でも、殿下なら大丈夫ですって」

ネスト「変な意味でなく、燻っていた俺達にまで優しくして居場所をくれた方ですよ?」

ネスト「あんな可愛いお嫁さん達なら、絶対に大事にしますって!」

ノワール「そうなることを、願っています」

ネスト「あ、あとカイン様も意外とですね」

ネスト「なんかこの前は部屋の中からとんでもない音が聞こえてきましたけど……」

ノワール「それはカインの為にも忘れてあげて?」

ネスト「承知しました。とにかく、普段は別人のようによく笑うようになったんですよ」

ノワール「ふふ、あれが本来のあの子の姿ですよ?」

ネスト「やっぱりちょっと、自信家の面も見え隠れしてますけど」

ノワール「それも昔からですよ」クスクス

ネスト「それにアドルラン様とキアラ様も……気がつけば、あちこちでおめでたいことばかりですよ」

ノワール「ええ、私も驚いています……」

ネスト「フィーア様だけは、調査してもそういった話は一切無かったですけどね」

ノワール「あの子はまだそれで良いのです。むしろ、あったら色々大変でしょう?」

ネスト「確かに……ですが、今の状況も大変ではありますよね?」

ノワール「あら、どうして?」

ネスト「皇子達がご結婚なさったのは、親しい女性達であると同時に帝国の最上位の戦力でもあります」

ネスト「身重になれば流石の彼女達も戦えませんし……」

ノワール「大丈夫ですよ」

ネスト「?」

ノワール「あなた達の報告を聞く限り、近いうちに沢山の孫が産まれるのです」




ノワール「――それを守る為なら、おばあちゃんももっと強くなってみんなを守りますよ?」ヒュオオオォォ…

ノワール「――多少理由は違うでしょうけど、きっとギルバートも動いてくれるでしょうしね」



ネスト「」カタカタ

ノワール「あ、ごめんなさいね?」スッ…

ネスト「い、いえ。俺達も勿論、不審者が近寄らないように警戒致しますので!」ビシ!

ノワール「ふふ、頼もしいですね」

ネスト(はりあって多分あのフローレン様も動くんだろうし、俺達の出番ないだろうなー……)

ネスト(まあ、ようやく帝国が掴んだ未来だ。そんな輩もまず出てこないだろうけど)

ノワール「アドルランの政策では軍縮を進めているようですけれど……」

ノワール「やはり最低限の守り、外敵への迅速な対応ができる構えは残しておきたいですね」

ネスト「そこはアドルラン様も抜かりないようですね」

ネスト「王城の警護を減らしてはいますけど、それを各地に均等に送ったり……」

ネスト「あ、そういえばまだ小耳に挟んだ程度の話なんですけど」

ノワール「?」

ネスト「なんでもアドルラン様が、新たな政策を用意したとかなんとか――」



……


――


――

【帝国・アベルの城塞】


ロウル「あ……あぅ……」プルプル…

アベル「……すまんロウル」

ロウル「い、いえ。こうなる覚悟は、決めていましたから」プルプル

アベル「いや、俺も少し耳と尻尾を虐めすぎた。本当に大丈夫か?」

ロウル「少しへたっている感覚はありますけど、大丈夫ですってば!」

ロウル「……むしろ、足腰に力が入りません」プルプル…

アベル「本当にすまない。自分の服に嫉妬したのも不味かったな……」

ロウル「……」


ロウル「……だっこ///」


アベル「!?」

ロウル「だっこ、してください///」スッ…

ロウル「歩くの、大変ですし、道具に頼ったらアベルさん嫉妬しちゃいますし……///」

アベル「いや、それはだな……」アセアセ

ロウル「……」ジー…

アベル「うっ……」

アベル「……」ハァ…

アベル「流石に、背の高いロウルを子供のようには抱けないぞ」

アベル「これでいいか?」ヒョイ

ロウル「わひゃ!? は、はい///」

ロウル(じょ、冗談だったのに本当に抱き抱えてくれるなんて……///)

ロウル(あ、駄目だこれ。昨日の今日で我慢が……アベルさんの本体の匂いがぁ……!)

ロウル「……///」クンカクンカパタパタ!

アベル「ふっ……」ナデナデ



アーシャ「アベル―? そろそろ朝ごはんが――」



アベル&ロウル「「あ」」



アーシャ「あ」



……


――

――

……


ロウル「うおあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!///」ビクンビクン!



アーシャ「よかった、ロウルちゃんもようやく素直になれたみたいで」ニコニコ

エリス「このところロウルさん悩まれていて心配だったのですけど、よかったです!」ニコニコ

シア「うんうん、アベルさんって甘えたくなる時もありますよね~」ポヤポヤ

パトラ「私が至らぬせいでロウルさんにも余計な心労をかけてしまいましたが……」

パトラ「流石、アベルさんですね。ロウルさんを労わりつつしっかりと愛されたようで……///」カアァ…

ティア「わ、私ももう一度……あ、でもアリアンナが……///」モジモジ…


ロウル「消して! さっきの光景を記憶から消してください皆さん!///」


アーシャ「どうしますエリスちゃん?」ニコニコ

エリス「世の中には不可能なことも存在します」ニコニコ

ロウル「うわあああぁぁぁぁぁぁぁ///」ビクンビクン!

シア「恥ずかしい時は転がると少し気が紛れますよ~?」

ロウル「今尻尾が敏感で擦れると怖いんで却下ですっ!///」

パトラ「な、なるほど。やはり尻尾が弱点なのですね」フムフム

ティア「ということは、アベル様からああやって尻尾をこしゅこしゅと……///」

ロウル「やめてえええぇぇぇぇ! 思い出しちゃいますからあぁぁぁぁ!///」

ロウル「と言うか皆さん、何もう普通に出歩いているんですかっ!」

ロウル「特にエリスさんは安静に!」ビシ!

エリス「はい、勿論色々と控えていますよ?」

エリス「でも全く動かないというのも、身体にも赤ちゃんにもよくありませんからね」

アーシャ「別に重傷を負ったわけでもないですからね。体力は十分に戻りましたよ」

パトラ「今度はロウルさんが休まれる番です。そして今度こそ、私は私の職務を遂行します!」

ロウル「うわあああぁぁぁぁん! 昨日と今日で、私の索敵耳が機能してませんんんんんんっ!」

ロウル「大元は多分ティアさんのせいですよこれぇぇ……!」

ティア「えぇっ!?」ガーン!


……


ロウル「つーん!」プイ!

アーシャ「もう、機嫌を直してロウルちゃん?」

ティア「よくわからないけど、とにかくごめんなさい!?」ペコ!

ロウル「……いえ、いいんですよ」

ロウル「ただ、どんな時も施錠、大事。これは間違いないです……」

ティア「は、はい!」

ロウル(……でも、鍵をかけていたらアベルさん入ってこれない?)

ロウル(そう考えると鍵をかけてなくてよかったのかも……?)

アベル「……」

アベル「ロウル、もし俺の部屋に鍵をかけていたとして中からお前の――」

ロウル「あー! あー、あー! アベルさん、乙女の秘密をばらしたら後が怖いですからねっ!」クワッ!

アベル「す、すまない」タジ…

エリス「ふふ、もうすっかりいつも通りのロウルさんですね」

シア「元気が一番ですよ~」

パトラ「ええ。私自身も、そして皆さんも元気で、幸せで……」

エリス「はい。本当に幸せです……///」

エリス「きっとこれから、もっともっと幸せになれる。そんな気がするんです」

アベル「ああ、約束しよう」グッ…

アベル(俺の大切な者達。絶対に……)

アベル「……ところでロウル」

ロウル「な、なんです?」ピク!

アベル「昨日も言ったが――」

ロウル「あー駄目駄目!? 昨日の話は全部無しですってばぁ!?」ワタワタ


一同((気になる……))


アベル「いや……」

アベル「……」

アベル「その耳も尻尾も、俺もみんなも大好きだと言っただろう?」

ロウル「あ、は、はい」

エリス「はい! 昔からロウルさんの耳と尻尾は可愛いなって思いますよ?」

シア「うんうん。それに、この前の装束ともすごく合っている気がしましたよ~」

パトラ「そうですね。まるでロウルさんの為にあつらえたかのような……」

ティア「わ、私は可愛いさだけじゃなくて、ロウルさんに似合った凛々しさも感じます……!」

アーシャ「フィーアちゃんも気に入っていますし、私達の周りでは嫌いな人はいないと思いますよ?」

アベル「……だそうだぞロウル?」

ロウル「あぅ……///」

アベル「そして、忘れているかもしれないが……おそらく、俺達以上の存在もいる」

ロウル「え? ……あ!」

アベル「そう、アドルラン兄様だ」

アーシャ「凄く、意外ではあるんですよね」

ロウル「確かにあれは、私も慌てたもんですよ……」



アベル「そんなアドルラン兄様が、近々それを含む諸々を民に公表するらしい」



一同「「!?」」ガタン!

アベル「ちなみにヒバリとルーシェも既に巻き込まれている」

パトラ「ま、待ってください。民に公表というのは……」

アーシャ「あの二人が巻き込まれているという言い方からして……」タラリ…

アベル「おそらく、相当赤裸々なことになるのは間違いない」

アベル「だが兄様も、色々と考えての行動だ。そこは汲んで欲しい」

一同「……」

アベル「そこで俺も改めて考えたんだが……」


聖域なき帝国性癖、アベルの感化具合(>>88


コンマ22

2 2


偶数ゾロ目:兄に倣い正直に+???


――


アベル「――俺もアドルラン兄様を見習おうと思うんだ」



一同「「!!??」」ガシャーン!


アベル「うおっ!?」ビク!

アーシャ「ま、待って待ってアベル!? はやまらないで!?」ユサユサ!

シア「駄目ですよ~!? もう私、街を歩けなくなっちゃいますよぅ~!?」ユサユサ!

エリス「ア、アベル様が望まれるのならば……でも……///」モジモジ…

パトラ「み、皆さんどうしたんです? 確かに恥ずかしいですけれど、食器を落とさずとも……」オロオロ

ティア「は、恥ずかしいという域じゃありませんよ!? 神から裁きの雷を何万と浴びせられます!?」ガタガタ!

ロウル「アベルさん、アドルラン様はかなり特殊な方ですからね!? わかってます!?」ガシ!

アベル「ま、待てみんな、一回落ち着こう、な?」

アベル「別に皆の性癖を帝国民全員に公表しようって話ではない……」

一同「「ほっ……」」

アベル(色々な意味で言うわけがないだろう……)

アベル「俺が倣いたいのは、兄様の清廉さだよ」

ティア「清廉さ……」

アベル「ああ。兄様は、人の上に立つ者として、どんな些細な隠し事でもしてはならないと考えている」

アベル「それはとても素晴らしい考え方だと、俺は思う」

アベル「開かれた帝国……そんな未来が見えるんだ」

アベル「だから俺も……」


――

※偶数ゾロ目の為、範囲拡大

1:嫁全員をアドルランの演説の後に公開

2:自分の嫁公開+もう流れでキアラとマックスも公開

3:その他自由安価


↓1~3コンマ多数決

妹を巻き込んだあたりで今日はここまで
アベルもなんだかんだでこの奇跡のような状態を自慢したいのかもしれません
そして先に↓1コンマ二桁も判定しておきます

本日もありがとうございました!

おつおつ
頑張れ帝国民

こんばんはー
判定結果までも進めていませんが、ちょっとだけ更新です
フィーアはある意味キアラ以上のガードなのでなんとも……

2:自分の嫁公開+もう流れでキアラとマックスも公開

――


アベル「――お前達との関係を、今のうちから明かしておこうと思うんだ」


一同「「!?」」ガタッ!


アベル「いずれは全員と正式な式を挙げるつもりだが、式後に報告するよりはいいと思わないか?」

アベル「そもそも俺の都合で民を集めるわけにもいくまい」

アベル「兄様の発表に合わせて……皇子達からの通達という形にすれば問題ないだろう」

アーシャ「ま、待ってアベル。問題はあると思いますよ?」

アーシャ「まずあなたは、エリスちゃんとの関係は報告済なのですよ?」

アベル「ああ」

アーシャ「そしてそれから、まだ然程時間は経っていません」

アーシャ「ここで私達との関係まで明かしたら……」

ロウル「事情を知らない人からすれば、速攻でエリスさんを裏切った外道ですよ?」

パトラ「えぇ。その、私達も原因の一端である以上強くは言えないのですが……」

パトラ「まともな女性が見れば、女の敵と認識されても不思議ではないですよ」

シア「聖国なら、そこに愛があればいいという手で逃げれないこともないんですけど~……」

ティア「せ、聖国でもこの人数はどうなんでしょう?」

エリス「私はまだ増えても大丈夫ですよ?」

アーシャ「うーん……エリスちゃんの懐が広すぎるのも考えものかも」

ロウル「でもそのお蔭で、私達の今もあるんですよねぇ……」

パトラ「あまり貴族としては相応しくありませんが、関係性を隠すという手は?」

アベル「無いな。それではお前達や子供達も堂々と帝都を歩けないだろう?」

アベル「さらに言えば、妾として扱うのも論外だ」

ロウル「心遣いはありがたいですけど、なんだか恥ずかしいですね……///」


アベル「帝国も、まだ完全に安定しているとは言い難い」

アベル「皇帝となるアドルラン兄様は元より民からの支持も大きいが……」

アベル「それの補佐をする俺の信頼も、勝ち得なければならない」

アベル「兄様の言葉通り、民に疑心を持たせない為に自ら進んで晒すことに意味がある筈だ」

アーシャ「エリスちゃんとの結婚報告の様子を見る限り、あなたも信頼は十分ですよ?」

ロウル「むしろその信頼下げることになりそうで怖いですよ……」

ティア「で、でも、後からばれるのも確かにいけないような?」

シア「帝国の皆さん、後でも先でも驚くのは間違いないですね~」

ロウル「ん~、でもそう言えばアベルさんの手が早いってのはもう広まっていますからねぇ」

ロウル「何しろ年齢で言えばキアラ様より年下のエリスさんとすぐに赤ちゃんを作っているんですよ?」

アベル「それはだな……///」

エリス「アベル様は悪くないんです。私がすぐに欲しいなって……///」

パトラ「いえ、お二人とも悪くないですよ?」

パトラ「その……たまたま、結婚初夜と重なっただけで手順はしっかりしていますし///」




パトラ「むしろ、マックスの方が……」



アベル「!」ハッ!

アベル「そうか、いっそのことキアラとマックスも呼んで報告をしてもらおう!」

パトラ「!?」

ロウル「な、なるほど! 木を隠すなら森の中というやつですね!?」

アベル「ああ。これは妙手かもしれん」

アベル「確かにマックスの行為も反感を抱かれるかもしれないが……」

アベル「聖国でも例の無い俺が前にでることで、それも緩和されるだろう」

シア「な、なんという挺身でしょう~!?」

エリス「マックスさんとキアラ様をお守りする意味合いもあるとなると……」

アーシャ「私達も、覚悟を決めた方がよさそうですね」

ティア「き、緊張するけど、頑張ります!」グッ!

パトラ「」



パトラ(ごめんなさいマックス、思わぬ飛び火を……)ダラダラ…



……

――

――


【城塞・皇女の私室】


マックス「――っくしゅ!?」

キアラ「だ、大丈夫マックスさん?」

マックス「だ、大丈夫だよ。変だな、別に寒くないのに?」

サク「人間は脆いっきゅからね。些細なことが命取りになるから気をつけるっきゅ」

マックス「俺、昔から身体は丈夫なんだぜ?」

マックス「ああ、でも確かに万が一風邪でキアラちゃんに移したりってのは不味いか」ブル…

マックス「どんなことからもキアラちゃんを守るって、誓ったしな!」

キアラ「ふふ、ありがとうマックスさん。私も今まで以上に体調には気をつけているから大丈夫」

フィーア「ローズさんの教え、レディーは自己管理も完璧に! です!」ピョーン!

マックス「はは、フィーアちゃんも風邪とは無縁そうだよなぁ」

フィーア「はい! でもくしゃみは、風邪だけが原因でもないですから、本当に油断は駄目ですよ?」

マックス「え?」

フィーア「人に噂をされるときとかにも、出てしまうそうです!」

サク「それは迷信というやつなんじゃないっきゅか?」

サク「……でも、私も似たようなものは経験あるっきゅ。嫌な予感がする時に身震いが……」

マックス「ああ、それはわかるな」

キアラ「噂や予感、かぁ……」

キアラ「アベル兄様達、今は大事な話をしているらしいけど……」

フィーア「もしかして、マックスさんのお話なのかもしれません!」

マックス「はは、まさかぁ」



マックス(まさか、なぁ……?)



……


――

――




……そして後日……



アドルラン「アベル! 早速だが例の作戦を決行しようと思う!」ドバーン!

アドルラン「昨日お前に相談された件も、いいと思うぞ! 共に民に打ち明けよう!」

アベル「今からですか!?」ガーン!

ヒロインズ「「まだ心の準備が!?」」ガーン!


ヒバリ「ごめんねみんな。アドルランって一度決めたら行動が早いから……」ハァ…

ルーシェ「ドキドキします……///」



~~その頃~~


【王城・執務室】


カイン「さて……これで急ぎの書類は片付いたか。こっちはどけておこう」ザザ…

エメリナ「カイン様? 急に執務室の整理をされてどうされたんですか?」

カイン「……兄さんが妙なことを企んで、アベルまでそれに乗ったのを知っているだろう?」

エメリナ「は、はい。詳細は知りませんが、アドルラン様からそれらしいお話は……」

カイン「本来なら止めるのが一番なんだけどねぇ……」ハァ…

カイン「兄さんは昔から突き進むと止まりやしない。アベルも加われば尚のことだ」

カイン「僕ら兄弟で新たに大がかりな法は制定していない。でも兄さんは民を集めている」

カイン「おそらくは、僕に話せない……でも兄さんとしては絶対に広めたいような何かだ」

エメリナ「つ、つまり?」

カイン「……僕だったら、馬鹿馬鹿しいって一蹴するような案件を、大真面目にやる気だよ兄さん……」ハァー…

カイン「兄さんは人望凄いけど、時々ずれているからねぇ……」ヤレヤレ

カイン「事と次第じゃ、抗議の投書が次々にやってくる可能性も0じゃない」

カイン「今のうちからそれを処理する為の準備ってわけさ……」

エメリナ「お、お手伝いいたします!」ビシ!

カイン「何事もなければ一番なんだけどねぇ……」


……


――

――


【帝都・コロセウム】



ザワザワ…


帝都民1「い、一体何が始まるんだ?」

帝都民2「わからん。だがアドルラン様からの重要な報せだぞ?」

帝都民3「きっと重要なことに違いない……」ゴクリ…


貧民1「俺達でも、こんなところに来れるようになったんだなあ……」シミジミ…

貧民2「今日は決闘とかじゃなくて、皇子様からの大切なお話ってことらしいけど……」

貧民3「アベル様もいらっしゃるらしい。しっかり聞いておこうぜ」


帝国兵1「全員、警戒を怠るな! アドルラン様達を狙う輩が現れんとも限らん!」

帝国兵2「カイン様の結界あるし、アドルラン様達強いし、俺達の存在意義怪しいけどなー」ハハハ

帝国兵3「警戒はちゃんとするつもりだけど、アドルラン様の報告内容気になるな……」ソワソワ


ザワザワ…



……



アベル「……」

ヒロインズ「「……」」



全員((想定をさらに上回る規模だ……!?))ガーン!


アドルラン「おお! 急な召集だというのにそれでもこれだけ多くの民が!」ホクホク

アドルラン「私もしっかりと民の期待に応えねばなるまい!」

ヒバリ「せめて王城前の集会とかにしてよ……///」

ルーシェ「コロセウム、円形……あちこちから見られます……///」


アドルラン「よし!」グッ!

アベル「……アドルラン兄様」

アドルラン「む、どうしたアベル?」

アベル「この規模、コロセウムの構造上……俺達の声を広めるには、その……」




アドルラン「安心しろ! アルフとリーナ君から拡声魔法の宝珠を借りてきているからなっ!」バーン!




アベル「で、ですよね……」

アベル「……」

アベル「…………」






アベル(拡声という名の大音響で彼女達のことを明かすのは、流石に羞恥心出てくるな///)

アベル(だが……)チラ…








マックス「」ガタガタガタガタガタガタガタ…

キアラ「マックスさん、しっかり……!?」ブルブル…




アベル(巻き込んだ罪悪感が……)

アベル(だが、お前達ならきっと大丈夫だ)

アベル(俺は人の心配の前に、まずは自分がやり遂げられるように頑張らねばな)フゥ…



……


――

中途半端な位置ですが、今日はここまで
そして昨日の判定結果まで行けていませんが再び判定を↓1から拾っていこうと思います

先に言ってしまうとエピローグの子供たちのちょっとした判定などです
判定無しで書き溜めてもよかったのですが、皆さんの安価とコンマに支えられたスレなので
そしてこれがこのスレ最後の判定ともなります
数がやはり多いため(間違えてなければ18)、明日以降の私のレスのコンマも使用させていただきます
本日もありがとうございました!


↓1より、最後の特殊判定コンマ二桁

乙乙どうなるか

子供の数がアドルラン2・カイン1・アベル6・キアラ1・ローズ2の計12人だからあと6個か
三年後で考えられそうかつ判定してないのだと
・各国の王族の後継ぎ問題
・アドルラン兄様の治世の評価
・サクの使用人技能成長判定(ローズさんポジションに無事就けてるか否か)
・フィーアの中身成長判定(成長してレディらしく落ち着いたのかそれとも変わらずか)
辺りが浮かぶかなぁ

こんばんはー
遅くなったため本日の更新は難しそうです。明日の夜は更新できるかと
そして混乱させてしまったかもしれませんが、判定内容は主に
『3年後の未婚上層部の状況』+『各子供達の性格や技能の寄り方』+αになっています
外見は女の子は母親似、男の子は父親似です(主に髪色ですが)
そして見事に数え間違いしていたので判定数19ですね。もう埋まっていそうですけど
この後コンマを回収していきたいと思いますが、ざっと見3番以外は平和になってくれそうでよかったです

それではまた明日、よろしくお願いします

こんばんはー
3と14以外が平和な中、自分もまさかなコンマ出していてびっくりです
遅くなりましたが、アドルラン達の暴露から再開です

――

……

アドルラン「……」スゥー…


アドルラン「本日は私の急な発案にも関わらずお集まり頂き、誠に感謝する!」キィーン!


ヒバリ「アドルランアドルラン、もうちょっと声量落として大丈夫だって……!」クイクイ!


アドルラン「これは失礼! まだ色々と不慣れな身故に、ご容赦願いたい!」

アドルラン「これほど多くの帝国の民……」グルリ…

アドルラン「そしてどうやら王国と聖国からの来客もおられるようだ」

アドルラン「緊張はするが、お集まり頂いたからには私もそれに応えたい」


ザワザワ…


アドルラン「……」スゥ…

アドルラン「……この場所で、我が父ギルバートが敗れ……」

アドルラン「皇帝の座を降りると宣言したことは、まだ記憶に新しいことと思われる」

アドルラン「……あれから、皇帝の椅子は空席のままだ」


ザワザワ…


アドルラン「私には、父ほどの強さは無い」

アドルラン「弟達のように、魔法が使えるわけでもない」

アドルラン「妹達のように、生まれ持った才能があるわけでもない」

アドルラン「私は……かつての帝国において、最たる弱者と言われてきた存在だ」

アドルラン「蔑まれ、虐げられ……苦しんできた者は、私以外にも大勢いる」


貧民達「……」


アドルラン「私は……そんな帝国を変えたいと、願っていた」



アドルラン「私が今も生きて、この想いを口に出来ているのは……」

アドルラン「弱者と切り捨てられ、淘汰されるだけの存在だった私に手を差し伸べてくれた人……」


ガシ!


アドルラン「我が妻、ヒバリのおかげに他ならない!」ガシ!

ヒバリ「ちょ、アドルラン!?///」カアァァ!


ワアアァァァァ!


アドルラン「ヒバリは才ある大貴族。片や私は出来損ないの名ばかりの皇子……」

アドルラン「それでも彼女は、私を見捨てなかった。私も、彼女に応えたくより一層の努力をした」

アドルラン「未だ不完全、されどあの頃よりは成長できて、今の私が在る」

アドルラン「この世は一人の強さだけが全てではない。友と支え合うことの大切さを学んだ」

アドルラン「そして……」


ガシ!


アドルラン「我がもう一人の妻、ルーシェも私の考えを変えてくれた!」

ルーシェ「ふえぇ……!?///」カアァァ!


ワアアァァァァ!


アドルラン「……貴族のヒバリとは違い、彼女の出自を知らない者は多いことだろう」

アドルラン「それ故に、未だ私と彼女の関係を認めていない者がいることも、知っている」


反対派「……!」ピク!


アドルラン「……あえて、この場で聞こう。彼女の何がいけないというのか?」

アドルラン「髪の色か? 聖国であれば、そこまで珍しいものではないと友人から聞いたぞ」

アドルラン「あるいは……」チラ…

ルーシェ「……」コクリ

ルーシェ「……」ファサ…


ザワザワ…


アドルラン「左右で色の異なる瞳か? 私にはとても美しいものにしか見えないな」

アドルラン「髪や瞳の色など、この場に集まっている者だけでも相当な差異があるだろう」

アドルラン「彼女の淹れてくれる紅茶を知っているだろうか?」

アドルラン「暇を見つけては私の部屋だけでなく、帝都の清掃活動をする彼女の姿を見た者は?」

アドルラン「見た目がなんだというのか。そんなものを気にしていれば、本当の彼女には触れられない」

アドルラン「そしてそれは、私達だけに限った話ではない」

アドルラン「帝国、王国、聖国……戦争の歴史もあり、文化も色々と違う三国だ」

アドルラン「受け入れ難いという者がいるのも、わかる」

アドルラン「だがしかし、今の私には両国に親友とも呼べる存在が出来ている」

アドルラン「共に同じ問題で悩み、共に鍛錬に励んでいる」


ザワザワ…


アドルラン「……まだ若輩者だが、それでも私のこれまでの人生で学んだ大切なこと」

アドルラン「それは、強弱の差があるから、見た目が違うから、国や文化が違うから……」

アドルラン「そんな些細なことで、壁を作ってはいけないということだ」

アドルラン「……民達よ!」


ザワ!


アドルラン「少しづつでも構わない! どうか、今までに築いてきた壁を壊して欲しい!」

アドルラン「壁の無い国――それが今の私が望む、変えたいと願う帝国の姿だ!」



アドルラン「――私は未熟者だっ!」

アドルラン「――だが、愛する者と! 家族と共に! 諸君らと共にっ!」

アドルラン「必ずや、この国をより良きものにすると!」



アドルラン「ここに、誓おうッ!!!」グッ!



ワアアアアァァァァァァァァァァ!


ヒバリ「……///」

ルーシェ「……///」


アドルラン「――そして!」


ザワ!


アドルラン「もう一つ……この望みを果たすにあたって、どうしても伝えなければならないことがある」


ザワザワ…


アドルラン「先程も言った通り、外見の問題は些細なことだ」

アドルラン「しかし私は……気がついてしまったのだ」


ヒバリ(つ、ついに来たか……! ルーシェ、覚悟はできてる!?)ゴソゴソ…

ルーシェ(アドルラン様の、為! 羞恥心、投げ捨て、ます!)スッ!



スチャ!




黒猫ヒバリwith尻尾「ニャー♪///」

白猫ルーシェwith尻尾「にゃんにゃん♪///」




アドルラン「――むしろ違う方が、興奮してしまうこともあるのだとっ!!!///」グッ!



ガタガタ!

ザワザワザワ!

ガシャーン!

ドタンバタン!


アドルラン「どうか! 落ち着いて! 聞いて頂きたいっ!!!」キィィン!


アベル(いや、流石に無理かと……)

アドルラン「混乱させてしまったことは、謝罪させて貰おう」

アドルラン「しかし、これから私は皇帝となり……歴代の皇帝の誰も為さなかったことをやろうとしている」

アドルラン「それが茨の道だということはわかっているが、皆の協力があれば決して不可能だとは思わない」

アドルラン「民からの信頼を得るにはどうするべきか」

アドルラン「形はどうあれ、父の様な絶対的な存在ではない私にできること……それは、隠し事をしないことだ」

アドルラン「全てを包み隠さず打ち明けることで、私は諸君らの信頼を勝ち得たい……」

アドルラン「故にこうして、私の性癖も隠さずに明かすことにした次第だ」


ザワザワザワ!


アドルラン「勿論、これが一般的なものではないという自覚はあるが……」チラ…





アドルラン「――正直、この二人に反応してしまった者は心の中で挙手をして欲しい」





反応者1(俺だけじゃ、なかったんだ……!///)

反応者2(アドルラン様がまさか!? ああ、叶うならば語りたい!)


アドルラン(先程の様子を見る限り、思った以上に同じ嗜好の持ち主がいそうだ。これはいい傾向だな)



アドルラン「そして、これを打ち明けた理由はもう一つある」

アドルラン「私はいずれこのつけ耳をもっと帝国に広めるつもりだが……」

ヒバリ(うまい! 大事な話の合間にさらりと言い切った!)

アドルラン「世の中には、つけ耳ではない……本当にこういった耳や尻尾を持つ者達もいる」

アドルラン「帝国全土を変えるには、まだ時間がかかるかもしれないが……」




アドルラン「――私の嗜好は見ての通りだ! 少し違う耳や尻尾など気にしない!」

アドルラン「いや、むしろ来てくれと言ってしまおう!」



隠れ獣人「!?///」



アドルラン「我が名を持って、帝国は正式に獣人の受け入れを表明する!」

アドルラン「もう怯え隠れる必要もない!」

アドルラン「今後も迫害されたり、その身を狙われそうな時はすぐに相談をして欲しい!」

アドルラン「私自ら、駆けつけよう!」

アドルラン「壁の無い帝国実現の為に、君達もどうか力を貸してくれ!」



ワアアアアァァァァ!


帝都民1「す、凄いな。流石アドルラン様と言ったところか……」

帝都民2「確かにあの黒猫と白猫はこう、何か揺さぶられたけど……実際にいるものなのかね?」


パサ…


猫耳娘「わーい! アドルラン様ばんざーい!」

帝都民達「「すぐ横にいたぁ!?」

ザワザワザワ!


アドルラン「至らぬところは出てくるだろう」

アドルラン「だからこそ、あらゆる者の協力が必要不可欠だ」

アドルラン「どうか、力を貸して頂きたい」ペコリ


パチパチパチ!


アドルラン「詳細な政策などについては、またいずれ報告させて貰おう」

アドルラン「今日は私の決意表明だけだが、どうしても伝えたかったのだ」


アドルラン「それから、私だけでなく弟と妹からも大切な話がある」


ザワザワザワ!


アドルラン「もし時間が許すか……或いは少しでもアベルとキアラに興味があれば、聞いて欲しい」


アベル(いよいよ回ってきたか……)

アベル(未だ混乱と熱気が冷めやらぬ中で、俺の行いは火薬同然に思えるが……)チラ…

ヒロインズ「「……」」コクリ…

アベル(俺も、正直でありたい。後の彼女達の為にも)

マックス「あ、あの……!」

アベル「まずは、俺が行く。俺の方が、人道的に踏み外しているからな」

アベル「だからマックス、それにキアラ。心を落ち着かせるんだ」

アベル「何も気負うことはない。お前達はただ、お互いを愛し合っただけだ」

マックス「……///」

キアラ「……///」

アベル「兄様の様に、帝国の行く末を宣言するわけじゃない。俺の様に、投石されかねんことを言うでもない」

アベル「俺達にしたように、たった一言を堂々と口にするだけでいい」

アベル「……できるな?」

マックス「は、はい!」

アベル「よし。それでは……俺も覚悟を決めるとしようか!」ザッ!

――

……

アベル「……」


ザワザワ…


アベル「……私のような者の為に民達の時間を頂戴してしまい、申し訳ない」

アベル「我が兄、アドルランの決意表明の前には霞んでしまうが……」

アベル「帝国を変えたいと願っていたのは、私も同じこと」

アベル「私の行いで、兄の願いを急かしてしまった面もあるだろう」

アベル「だからこそ、私もここに誓おう」


アベル「――兄アドルランを支え、この帝国のより良き未来の為にこの身を捧げると!」


ワアァァァァァァ!


アドルラン「うむ! 今も世話になっているが、今後ともよろしく頼むぞアベル!」

アベル「ええ、勿論です」

アベル「……」

アベル「しかし、私……いや、俺は第三皇子」

アベル「かつての皇帝の妾、敗者の子として棄てられた存在だ」

アベル「それを受け入れ支え評価してくれた民達には、感謝の念しかない」

アベル「……それと同時に、まだ受け入れられない者がいることも、わかっているつもりだ」


ザワザワ…


アベル「だから、俺も信頼を勝ち得る為に……兄に倣い、正直に打ち明けたいと思う」



帝国兵1「な、なんだ? アベル様もネコミミが好きなのか!?」

帝国兵2「あのアドルラン様の衝撃を知った以上、俺はどんな趣味でも驚かないぞ……」

アベル「……」スッ…

エリス「……」ペコリ


ザワザワ…


アベル「彼女はエリス。先日正式に式を挙げた……俺の愛する妻だ」

エリス「ふ、不束者ですが! 私もアベル様を支え、帝国の為に力を尽くします!///」



帝国兵1「……エリスちゃんもネコミミ似合いそうな気がする」

帝国兵2「何馬鹿言っているんだお前は。そもそもアベル様とご結婚なされたなら、エリス様と――」



アベル「そして……」クイ!


アーシャ「……///」

ロウル「……///」

シア「……///」

パトラ「……///」

ティア「……///」


ザワザワ…!



アベル「――ゆくゆくは、この五人も俺の妻にするつもりでいる」



ガタガタガッタン!!

ザワザワザワザワ!

バサバサバサ!

グシャア!


アベル「む……覚悟はしていたが、やはり騒動が起きるか」


アドルラン(それは私でもわかっていたことだぞ、アベル!)


ザワザワザワ!


アベル「……混乱はわかる。罵声も甘んじて受け入れよう」

アベル「一夫多妻は、既に兄アドルランが実現しているとはいえ……」

アベル「第三皇子の俺が、兄を差し置いて6人もの妻を娶るということは、差し出がましいことだろう」

アベル「だが……」

アベル「俺には、誰か一人だけを選ぶことは、どうしても出来なかった」

アベル「兄を支えたのがヒバリとルーシェの二人であるならば、俺にとってはこの6人がそうだ」

アベル「彼女達がいなければ……俺は自分の願いを、この帝国を変える夢を果たすことなく、とっくに死んでいる」

アベル「それだけは断言できる」


ザワザワ…


アベル「エリス」

エリス「はい!」

アベル「彼女はかつて幼い身ながら、一人で何でもできると思いあがっていた俺の命と心を救ってくれた」

アベル「それから時が経った今も、ひたすらに俺を支え救ってくれる大切な人だ」

アベル「アーシャ」

アーシャ「ここに」スッ…

アベル「彼女は俺の学友で……唯一俺の話に耳を傾け、協力してくれた」

アベル「彼女の協力に策が無ければ、俺はここまで来ることは出来なかっただろう」

アベル「ロウル」

ロウル「はい……」フードカブリ

アベル「……ロウル、ローブとフードを」

ロウル「うぅ、もうどうとでもなれぇー!」バサァ!


ロウル「……///」ミコフクー!


ザワザワ!


アベル「見ての通り、彼女も耳付きだが……彼女の助けが無ければやはり命を落としていただろう」

アベル「あと、兄に合わせるわけではなく、俺も彼女の耳と尻尾が大好きだ」


カワイイー!


アベル「同調、感謝する」

ロウル「~~っ!///」プシュー…

アベル「シア」

シア「はい~」ポヤポヤ

アベル「彼女は元は聖国の者だ。戦場で刃を交えたこともあるが……俺の話を戯言と流さず聞いてくれた」

アベル「そして……俺が戦場で瀕死の傷を負った時。幾度も彼女の癒しの力に救われてきた」

アベル「パトラ」

パトラ「はっ!」

アベル「彼女は今も王国に使える誇り高き将だ。彼女の力添えがなければ、王国との同盟も結べなかっただろう」

アベル「彼女の忠誠心、死地にも臆さず挑む勇ましさに救われたのは、俺だけではない筈だ」

アベル「ティア」

ティア「は、はい……!」

アベル「彼女も聖国の者だが聖国を憂い、俺を信じてくれた。彼女の協力が無ければ聖王は止められなかった」

アベル「彼女に関しては……兵士の多くは、助けられた経験があるのではないだろうか?」


ザワザワ…


帝国兵1「ティ、ティアちゃんが……俺達の、天使があぁぁぁぁぁぁぁ!?」

帝国兵2「おっ……おうぉぉぉ……!」ダバダバ…

帝国兵3「ま、前向きに考えろお前達! 帝国にいればいつでもティアちゃんに会えるぞ……!」


アベル「……俺は、彼女達や多くの者に支えられて、ようやく今この場に立っている」

アベル「誰か一人でも欠けていれば、俺はここにいない」

アベル「戦いの最中での彼女との交遊は……俺の背負っているものの大きさを自覚させた」

アベル「成し遂げなければならない。……彼女達を、守りたいと。そう誓わせた」



アベル「――俺はこの選択に、後悔していない」

アベル「――彼女達を愛し続けることも、ここに誓おう!」



ワアアアアァァァァァ!



アベル「女の敵だ、けしからんと思う者は、この後に俺を殴りに来てくれて構わない」

アベル「揺るがずに、全てを受け入れよう」グッ!

エリス「だ、駄目ですよアベル様!?」ワタワタ!

エリス「アベル様を傷つけようとする方は誰であれ、私達全員でお相手させていただきますからねっ!」フンフン!

アベル「こらエリス!?」


ザワザワ…

……


アベル「……殴られる覚悟はしていたのだがな」ムキズ

アベル「これは、あなた達からの信頼の証なのだと受け取らせてもらう」

アベル「その信頼に恥じぬように。ただ女性にだらしないだけの皇子であると歴史に名を刻まぬように」

アベル「今後も、より一層帝国の未来の為に尽力させて頂きたい」ペコリ


パチパチパチパチ!


アベル「そして、もし街中で俺や彼女の姿を見かけたときは……」

アベル「遠慮なく声をかけて欲しい。壁を作らず、多くの者にも彼女達の魅力を知って貰いたい」

アベル「……不埒な行為は、流石に見逃せないが」ボソリ


帝都民1「6人も嫁さんいたら、きっと毎日幸せなんだろうな~///」デヘヘ…

帝都民2「でも、奥さんにそれから子供全員分ってなったら……地獄じゃないか?」

帝都民3「まず夜が持たないぜ……軽く言ってる風で、アベル様は死を背負う覚悟なんだ……」ゴクリ…


アベルサマー! サラニオシアワセニー!


アベル「……ああ、ありがとう」

アベル(俺だけでなく、みんながそうなれるように、な……)



……



アベル「……ふぅ」スタスタ

アドルラン「お疲れ様だな、アベル」

アベル「いえ、俺は何も。衆目に晒された彼女達の方が、余程疲れたでしょう」

エリス「いえいえ!」ブンブン!

アーシャ「大丈夫ですよアベル。あ、エリスちゃんは早くこっちの椅子で休んでね?」

ロウル「私はちょーっと恥ずかしかったですよ。誰ですか、可愛いなんて大声で叫んでたの///」

ティア「わ、私も兵士さん達からの声、聞こえました……///」

シア「思ったよりも受け入れて貰えたみたいで、嬉しいですね~」ポヤポヤ

パトラ「アベルさんは、私達のことを評価してくださいましたけど……」

パトラ「帝国、王国、聖国……三国を駆けて奮戦したアベルさんのことを、民達が信じているんですよ」

アベル「そうだと、嬉しいがな。それでもさっき言った俺の言葉に偽りはない」

アベル「その信頼を裏切らないように。これからが本番と言えるだろう」

アベル「お前達との関係も、な……///」

ヒロインズ「「……///」」

ヒバリ「わぁー……見てるこっちも熱くなっちゃうよ///」

ルーシェ「これで、最後に……」

アベル「ああ、俺の山場は越えた。後は……」

……



――次期皇帝アドルランの性癖暴露

――それに伴い宣言された、壁無き帝国の実現と獣人の受け入れ

――間髪入れずに告げられる、第三皇子アベルの一夫六妻宣言

――三国の美しい女性、そして獣人をも含むその混成具合は既に帝国の未来を示しているようであった

――突拍子も無い、しかし確かに明るい話題に会場は沸き立つ

――混乱が収まらぬ者も、これ以上は何が来ても驚くまいと謎の自信を得ていた









マックス「王国騎士マックス、この度帝国第一皇女キアラ様と……け、結婚させて頂くこととなりましたぁ!」

キアラ「正式な式はまだですが、それも近いうちにすぐに……/// 今日はご報告だけですが……///」







――初々しく、しかし兄達のそれと比べたら実に簡潔に告げられたその言葉

――ロウルの見立てでは、木を隠すなら森の中……皇子の報告を先に済ませることで衝撃を和らげる

――そういう計画であり、兄達も問題は無いと判断していた

――性癖暴露と多重妻と比べれば、婚前妊娠を伏せた結婚報告など可愛いもの

――そう聞かされたマックスも、その言葉に支えられこうして公衆の面前で宣言ができた



――だが、読みが外れることもある




帝国兵団「「うおおおおぉぉぉぉぉぉ! アベル様は殴れねえがこの餓鬼は一発殴らせろおおぉぉぉぉぉ!」」

マックス「うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁ!?」



――帝国兵団の一部が立ち上がり、会場は更なる混沌の渦に巻き込まれたのだ





――

――


……



マックス「はぁーっ、はぁーっ……!」


帝国兵の山「「」」


――そして混沌は、程なくして収まることとなった

――帝国兵団の沈黙

――何もできずに傍観するしかなかった多くの帝国民は、唖然とする


マックス「キアラちゃんは、俺が守るっ!!!」


――最初は青年騎士は予想外の事態に慌てるばかり

――しかし、兵士の一人が口にした言葉を聞いた瞬間に、その顔つきは変わった

――『そんな奴に奪われるくらいなら、今この場で……!』

――兵士が何をしようとしていたか。それを察せない程青年も馬鹿ではない

――武器を持たぬ素手で、元より接近戦を得意とする兵士達を相手取るに僅かな躊躇いも無く

――皇女を後ろ手に庇いながら、彼は獅子のごとく奮迅し……

――そして今、最後の一人をも打ち倒してみせたのだ



――息を荒げ、それでもはっきりと告げた言葉

――彼はそれを見事に実行し、多くの帝国民に見せつけた



パチパチパチ…



アドルラン「……見事だ、マックス君」


マックス「え?」


――静かな拍手の音と共に、会場は再び音を取り戻す

ザワザワ…


アドルラン「すまないな。彼らが飛びだすことを私は知っていた」

アドルラン「彼らの方から、相談を受けていたからな」

マックス「えええぇっ!?」

アベル「俺はアドルラン兄様が動かないから、何かあるとは思っていた」

アーシャ「ええ、キアラ様も落ち着いていたし、知っていたのかしら?」

マックス「!?」ガーン!

キアラ「ご、ごめんなさいマックスさん!」ペコリ

キアラ「マックスさんなら大丈夫って、信じていたから……///」

マックス「ど、どういうことなんだ一体?」


帝国兵1「……俺達は、昔のキアラ様を知っている古参の兵士だよ」ムクリ

帝国兵2「キアラ様には、いつか幸せになって貰いたいって……願ってたよ」ムクリ

帝国兵3「でも俺達は、無力で……何もできなくて」ムクリ

帝国兵4「結局出来たのは、ノワール様に助けを求めることぐらいだった」ムクリ

帝国兵5「キアラ様が、突然こんな若造と結婚するってんだ。心配して当たり前だろう……!」ムクリ

帝国兵6「だけど……強いな、お前! 本当に、キアラ様を守ろうって気迫を拳に感じたぜ!」ムクリ


キアラ「皆さん……」

帝国兵1「腑抜けだったら本当にのしちまおうって、俺達本気だったからな?」

帝国兵2「でもお前は、言葉通りにキアラ様を守って見せた」

帝国兵3「実力も、言葉に嘘がないことも、これだけの人間が見ている」

マックス「あ……」


帝国兵達「「……キアラ様を、頼む!」」バッ!


マックス「……はいっ!」バッ!



ワアアアァァァァァァ!

帝国兵「さあ、キアラ様。最後の仕上げです」

キアラ「は、はい! 今、回復を……」

帝国兵「いえいえ俺達は大丈夫です! 鍛えていますし覚悟はしていたので!?」ブンブン!

帝国兵「……こいつは、その想いを示してみせたんです。ですから、キアラ様からも」

キアラ「あっ」

帝国兵「それで俺達もみんな、安心できます」

キアラ「……」コクリ…


キアラ「……」スッ…


――公の場にあまり姿を現さない、大人しい第一皇女

――そんな彼女が、堂々としてこの観衆の中で口を開く


――

特殊判定結果(>>108

皇族の衝撃報告に対する帝国民の理解(人数増加で判定激化)

アドルラン基準値25+アベル25+キアラ+25=75

80>75

※基準値を上回った為、帝国民は受け入れてくれたようです!

――


――衝撃は大きかった。それでも多くの帝国民は心のどこかで安堵していた

――あまりにも型破り、しかし宣言通りに真っ直ぐな皇子が皇帝となる

――かつて疎まれていた存在は、一足先に各国の架け橋となっていた


キアラ「その、何からご報告すべきなのでしょう……///」モジ…

キアラ「申し訳、ありません。あまりこのような場になれていなくて」

キアラ「マックスさんは、見ての通りとても勇敢な方で、私も何度も助けられて……///」


――そして何より、普通の少女のように顔を赤らめながらも嬉しそうに騎士を称賛する皇女の姿を見て

――帝国も、変わるのだと

――誰もがその姿に、想いを馳せることとなった



……

――

と今日はここまで
この後はこの日の後日談+少しだけイベントがありますが、その後エピローグの投下となります
先にコンマ判定を取っているため、エピローグは書き溜めてからのまとめて投下になるかと(大仰ではなく、簡素なものですが)
あともう少し、お付き合いをお願いします

本日もありがとうございました!

こんばんはー
それではエピローグ前まで投下していきたいと思います

――



帝国のさらなる変革……

第一皇子達が発した衝撃の内容は、瞬く間に帝国中に広まることとなった。

それに対する反応は実に様々。



帝国兵隊長「アドルラン様が、あれだけ堂々しておられるのだ!」

帝国兵隊長「我々もアドルラン様の兵として恥じぬよう、より精進するのだ!」

帝国兵達「「はっ!」」

帝国兵隊長「この中に、隠し事がある者がいれば言え! 今が好機やもしれんぞ!」



……



???「あのー……」ビクビク…

門番「ん、どうした? ここは王城だが……」


パサ…


兎耳娘「皇子様が、私達でも受け入れてくれるというお話を聞いたのですが……」ビクビク

門番「っ!……少し待っていろ。今、担当の者を連れてくる」

兎耳娘「は、はい!」パァ!


門番「……」スタスタ

門番(……やはり、アドルラン様は間違えておいでだ!)




門番(猫より兎の方がいいじゃないか……っ!)




……




帝都民1「しかし凄いなアベル様……6人も侍らせるとかそうそうできねーよ」

帝都民2「しかも全員すげえ美人だもんなぁ……」

帝都民3「俺、桃色の髪の子とは話したことあんだけどさ、とっても優しい雰囲気なんだよ」

帝都民1「いいなぁ。俺んとこの鬼嫁とは大違い――」


帝都民妻「誰のことを話しているのかしらねぇ?」


帝都民1「げっ!? ま、待て! これは冗談――」


ギャアアアアァァァァ!


帝都民2「……本当に凄いよな。普通、一人と結婚するだけでもあんなになりかねないってのに」ブルブル…

帝都民3「俺もアベル様の女運にあやかりたいなぁ……」


商人「……アベル様にちなんだ商品……恋愛運の向上……これは新商品が作れるか……!?」コソコソ…




……



貧民1「アベル様とあの方達全員が、まさかご結婚なさるとは……」

貧民2「俺は会場で見ましたけど、間違いなく全員ここにも足を運んでくれている人でした」

少年「エリス姉ちゃんもパトラ姉ちゃんも、みんなアベル様のお嫁さんになっちまうのか?」

少女「お嫁さんが一人じゃないって、どんな感じなんだろう」

貧民1「うーん、お前達にはまだちょっとはやいかな?」

貧民2「まあ、アベル様だからこそって面もありますよね。幸せそうではありましたけど」


貧民3「……よし決めた! 俺も将来立派になったら嫁さん7人は貰うぜ!」グッ!


少年「立派になる程お嫁さんが増えるのか!? だったら俺は8人だ!」

少女「じゃ、じゃあ私は旦那様を9人!」ワタワタ!

貧民2「立派になれば誰でも好きに結婚できるわけじゃないぞ!?」アセアセ



……

帝国兵1「はぁ~……キアラ様が結婚……」

帝国兵2「そう落ち込むなよ。見ただろキアラ様のあの嬉しそうな顔」

帝国兵1「まあ、な……だから文句はないんだよ。でもなぁ……」

帝国兵3「はは、お前結構キアラ様のこと気にしてたしな」

帝国兵1「俺ももっと強くなって、近衛騎士とかになってりゃ可能性あったのかなぁ……」

帝国兵2「今更だけどな。それにあの王国騎士、ギルバート様も一目置いてるって噂だぜ?」

帝国兵3「あのアベル様の隊で鍛えられたんだろ? そりゃ納得だわ……」

帝国兵2「まあもし俺達が強くてキアラ様のお付きになってても、メイド長もいるし無理だろうな」

帝国兵1「そういや、あのメイド長もよく結婚許したもんだと思うよ」

帝国兵3「キアラ様の意思を汲んだんだろうな。しかしいつの間にか皇族の方で残るはフィーア様だけかー」

帝国兵1「フィーア様は流石にまだ早いだろ? 見た目通りまだ子供だし……」

帝国兵2「っても、お貴族様はどうするかねぇ。キアラ様の突然の結婚であいつら焦りそうだけど」

帝国兵1「……変な貴族と嫌々結婚するよりは、キアラ様もずっと幸せだよな。ああ、でもなぁ……!」

帝国兵3「いつまで言ってるんだお前は! おら、そろそろ仕事に戻るぞ!」



……



貴族1「ああ、一体どうすればいいんじゃ! 儂の計画が丸つぶれじゃあ!」

貴族2「第一皇女に深い付き合いの者はいないのではなかったのか!? 使えん部下共め!」

貴族3「下賤な騎士を選ぶなど、考えてもおらんわ!」

貴族1「皇族の趣味嗜好がまるでわからぬ……第一皇子を見る限り、貴族にも可能性はあるのだ」

貴族2「第二皇子は小間使い、そしてあの色欲の第三皇子も貴族の者を選んでおったが……」

貴族3「ふむ……第一が貴族と小間使い。第二が小間使い。第三が貴族と小間使いとその他」

貴族1「そして第一皇女が愚民と……この流れで行くと、第二皇女は貴族を選ぶのではないか?」

貴族2「あのなりはそそられぬ、余りものではあるが……皇族には違いないか」

貴族3「第三皇子もあれだけ女を囲っておれば、一人や二人平気で増やすやもしれぬな……」

貴族1「仕方がない。計画を変更し、この二人を重点的に……」




ガサ…



ローズ「サクちゃん、次の執事訓練はアレを黙らせることヨ」

サク「任せるっきゅ」




……

――


【王城・カインの私室】


カイン「……」

エメリナ「……」

カイン「……もっと投書か直訴が来るものだと身構えていたんだけど」

エメリナ「……来ませんね?」

カイン「嘘だろ、伝聞だが兄さん達の話を聞いたけどさぁ……」

カイン「普通、頭がどうかしたと思うんじゃないのか? 僕がおかしいのか?」アタマオサエ

エメリナ「そ、そんなことないですよ!」アセアセ

カイン「兄さんが馬鹿正直なのは今に始まったことじゃないけど、ほんと驚きだよ」

カイン「僕の立場に置き換えれば、エメリナに貝殻3枚貼り付けて公衆の面前に立たせてこれが僕の趣味だ!」

カイン「……って言ったようなもんだよ?」

エメリナ「カ、カイン様が望まれるのでしたら……///」モゾモゾ…

カイン「違う違うっ! 貝殻は別に趣味じゃないし、誰かに見せる気もない!」ブンブン!

カイン「エメリナは、いつも通りそのメイド服で頑張っている姿が一番だよ」

エメリナ「うう、身長が伸びないこの身体が恨めしいです。ずっとダボダボなんですぅ……」

カイン「……それがいいんだよ。転ばないようにでも一生懸命僕の後ろをついてきてくれるし……」ボソ…

エメリナ「カイン様?」キョトン

カイン「なんでもないよ。これからも君は君のままでいてくれ」

エメリナ「はい! で、でも……」モジ…

カイン「ん?」

エメリナ「……お、奥さんになってからも、このメイド服のままが……?///」

カイン「……エメリナが着たいなら、着ればいい。脱ぎたいなら、そうだな」

カイン「あまり人に肌を見せて欲しくないし、足下まですっぽり覆える大きめな服がいいなぁ」

エメリナ「やっぱりダボダボなんです!?」ガーン!

カイン「ははは! まあ僕は君の意思を尊重するよ」


エメリナ「……そう言えば、ルーシェさんとエリスさんはどうなんでしょう?」

カイン「うーん……二人とも流石に脱ぐと思うよ」

カイン「皇帝の妻がメイド服ってのも妙だし、エリスも最近は私服を着ることも出てきたっていうし」

エメリナ「あの、それは多分妊娠したから……」

カイン「ああ、なるほど。しかしアベルの奴も随分と思い切ったものだよねぇ」

エメリナ「え?」

カイン「だって、正式に結婚して妊娠しているメイドに並べて5人との結婚の発表だよ?」

カイン「僕にはとても真似できないよ。愛する人も、君だけでいい……」クイ

エメリナ「カイン様……///」

カイン「兄さんはともかく、アベルは何かしら言われると思ったのになぁ」

カイン「ちゃっかりとマックスの奴もキアラとの結婚を公に認めさせているし……」

カイン「なんでこんなうまく行ってるんだろうね。あれか、これが人望ってやつなのかなぁ……」

エメリナ「それは……」

カイン「……僕には無いなら無いで、今から作ればいい。どれだけ時間がかかってもね」

カイン「さ、予定変更だ。この感じなら、今回の件の投書とかは気にする必要はない」

カイン「いつも通り、地道に働いて……僕も真っ直ぐに生きて、民達から信頼を勝ち取るしかない」

カイン「エメリナ、手伝ってくれるかい?」

エメリナ「は、はい! 勿論です!」

カイン「ありがとう。ああ、そうだ。一段落したら買い物に出よう」

エメリナ「お買いものですか?」

カイン「ああ。――さっき言った君の服を、見に行こうじゃないか」



……

――

――


かつて強者が全てを支配した国、帝国

絶対的な皇帝を退けたのは、その子供達であった

しかし、皇帝は今も生きている

腑抜けた姿を見せれば、返り咲かんと目を光らせている

それでも、子供達は動く

かつての皇帝に、見せつけるように

新しい風を取り入れ、手を伸ばし、帝国を変えていく

その全てが良いものかは、誰にもわからない

それでも、子供達は動く

あの日抱いた想いを、現実のものとするために

困難は多いが、止まることは無い

より良い帝国のために、立ち止まることはできない

皇帝も、子供達も、知っている

かつて世界の覇者であった帝国が衰退した、その理由を

国は、一人の王の力だけでは動かせない

次代を考えていかねばならないということを、知っている

同じ過ちを、苦しみを、繰り返さないように

皇帝の子供達は、今日も動く

今を生きる人の為に

手に入れた幸せの為に

そして、時代の為に……


――

――――
―――
――



……


【帝国・アベルの城塞】


アーシャ「ふぅ、これでこっちは片付きましたね」ドサ!

アベル「すまない、みんな。今日は随分と処理するものが多い……」カリカリ…

ロウル「少し日にちをずらしてくれれば、助かったんですけどねぇ……!」タタタ

パトラ「陛下からの書状と、聖国からの書状も同時でしたからね……」トサ

シア「聖国もマークスさんが正式に聖王補佐になられてから、大忙しですからね~」パタパタ

ティア「でも、帝国だけじゃなくて、王国も聖国も良い方向に向かっていると実感できます……!」ヨロ…

ネスト「おっと危ない。それは俺が王城の方へ運んでおくよ」

アーシャ「だけど久々ですね。こうしてみんな総動員で処理に動く仕事は……」

アベル「アドルラン兄様とカイン兄様も似たような状況だろうな……」カリカリ…

ロウル「アドルラン様のは若干自爆もありますけどねぇ。あの日以来、王国からの移民が増えたんですから」

ロウル「思っていた以上に同族が多かったことにびっくりですよ。よいしょっと!」

パトラ「ん、これはその獣人に対する政策の書類ですね。アベルさんの署名が必要なものです」サッ



エリス「あの……私もお手伝いを……」フラ…



ティア「だ、駄目ですよ! 安静にしていないと……!」アセアセ

シア「もうすぐ産まれそうなんですから、無茶は駄目です~!?」ワタワタ

エリス「で、でも、皆さんが大変な時に、私だけ……」ズキ…

エリス「ッ―――!? あっ……ぐぅ……!?」ガクッ…

一同「「!?」」ガタッ!

エリス「あっ……ぅ……お、お腹が……っ!」ズキズキ…

シア「っ! いけない、これは……! 誰か、すぐに部屋の用意を!」

シア「それと、清潔な柔らかいタオルに、お湯もですよ~! ティアさんもお手伝いお願いします~!」

ティア「わ、わかりました!」

パトラ「すぐに用意します!」バッ!

ネスト「あなたももう妊婦なんだから大人しくする! おいお前達、急ぐぞ!」バッ!

斥候部隊「「はっ!」」シュバッ!


エリス「だ、大丈夫、です……から、皆さんの邪魔は……っ!」ダラダラ…

ロウル「何言ってるんですか! そんな辛そうな顔をして!」

パトラ「エリスさん、意識をしっかり持って!」

アーシャ「私達じゃ、何もできないのが歯がゆいけれど……」

アベル「ど、どうすれば……!?」オロオロ

アーシャ「アベル、あなたはエリスちゃんの傍に。ずっとですよ!」

ロウル「ちゃんと手、握ってあげるんですよアベルさん!」

アベル「あ、ああ!」

エリス「ふぅ……ぐっ……!」

パトラ「でもまずは、準備を整えてからですね……!」

シア「そこはお任せあれですよ~!」

ティア「エリスさん、沈痛魔法をかけますからもうしばらくの辛抱ですよ……!」


タタタ!


斥候部隊「「用意、できましたぁ……!」」ゼェゼェ


シア「よし、急ぎますよ~!」スタタタタ!




アーシャ「大丈夫かしらエリスちゃん……」ハラハラ…

ロウル「シアさん達もついていますから、大丈夫ですよ!」

ロウル「それにしても、いきなり来るものなんですね。流石に焦りました……」ドキドキ…

パトラ「……私達も、近いうちにこれを経験するんですね」ゴクリ…

三人「「……///」」

アーシャ「後で、もう専用の部屋を用意しておきましょう」

パトラ「必要な物も全て揃えて、部屋に置いておきましょう」

ロウル「それがいいですね……毎回この慌て方をしたら、身が持ちません」ハァ…

ネスト「……深く詮索しないけど、殿下ももうちょっと考えて子供を……」ポツリ…

三人「「……っ///」」プシュー…

ネスト(あ、これ彼女達も我慢できなかったってやつかな?)ダラダラ…

ネスト(やれやれ、本当に罪なお方だよ殿下は。エリスちゃん、大丈夫かなぁ……)ハラハラ…


……

――

……



エリス「ふっ……くぅぅ……っ!?」ズキィ!

エリス「か、ふ……! んうぅぅぅ……!」ズキズキ…

ティア「アベル様、エリスさんの手を……!」

アベル「エリス、頑張れ……!」ギュゥ…!

エリス「アベル、さま……っ、ぐぅぅ……ぁっ……!」ビクン!

シア「エリスさん、辛いと思いますけど息を整えて。もうすぐですよ~!」

エリス「は、い……っ! ふぅー……っ、ふぅぅっ……!」グッ…

エリス「アベルさまっ……もっと……離さない、でぇ……!」ググ…!

アベル「ああ、ああ! 俺はここにいるぞ! ずっと、お前の隣にいる!」ギュゥ!

アベル「だから、エリス……!」ギュゥゥ!

エリス「ふぅぅ、んんんっ……くうぅぅ……っ!」グググ…!

シア「あっ! 見えました! 見えましたよ~!」

ティア「もう一息です、頑張ってください……!」

アベル「エリス……!!!」

エリス「ふ、く、んぅ……ん゛ぅぅ………っ!!! ん゛ん゛ん゛んんんんぅ……っ!!!」グググ!






エリス「ん゛っ、ぁ……ぁ、ぁ……!!! あ、ああううああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」ギュッ!









……オギャア……!






エリス「あ……っ」ポロ…

アベル「あ……っ」ポロ…

シア「ふうぅぅ……よく、頑張りましたね~」


赤ん坊「おぎゃあ……!」


ティア「元気な、女の子です……!」

エリス「あ、ああ……!」ポロポロ…

アベル「よく頑張ったな……!」ポロポロ…

アベル「そして、ありがとう……っ!」ポロポロ…

エリス「私の……赤ちゃん……」ソッ…

赤ん坊「おぎゃ……おぎゃあ……!」


……


――

――

……



シア「それじゃあ、しばらくごゆっくりですよ~」

アベル「すまない。二人ともありがとう」

ティア「いえ! それよりはやく皆さんにもお知らせしないと……!」


パタン…



アベル「……改めてエリス、よく頑張ってくれたな」ナデ…

エリス「いえ、突然にあんな痛みに襲われるとは思っていませんでした……」

エリス「アベル様や皆さんにもご迷惑をお掛けしてしまい、本当に申し訳ありません」

アベル「そんなことはない。本当にありがとうエリス……」チラ…


赤ん坊「……」スヤァ…


アベル「ふふ、泣き疲れてしまったのかな?」

エリス「この子が、私とアベルさんの赤ちゃん……」

エリス「まだ、実感がありませんけど……私、お母さんになったんですね」

アベル「俺は、父親か……」

エリス「家族が、増えたんですね……」シミジミ…

アベル「ああ……女の子だったな。俺達の、可愛い子供……」ソッ…

赤ん坊「……」スヤァ…

アベル「……エリスの魔導書でこの姿を記録したいところだが、まだ難しいか」

エリス「そう、ですね。一瞬とはいえ強烈な発光がありますし……」

エリス「この子に負担がかかるようなことは、したくありません」

アベル「ああ、俺も同じだ」


二人「「……凄く、記録したいけれど」」


アベル「……ははっ!」

エリス「ふふ……!」

アベル「今のこの子の様子は、俺達の目に焼き付けておこう」

エリス「ええ、そうしましょう」


エリス「……ねぇ、アベルさん?」

アベル「なんだ?」

エリス「この子の、名前なんですけれど……」

アベル「ああ、そうだ。我が子に、はやく名前をつけてやらないとな」

エリス「実は、私……いつかアベル様との子供が出来たらつけたいなって名前があったんです」

アベル「そうだったのか? 実は俺も考えてはいたんだが……」

エリス「まあ、それでしたらアベルさんの案を!」

アベル「待て待て、聞く前から折角のエリスの案を却下するなどありえん」

アベル「俺の案はその……だな、なんというか……な、なんだこの気恥ずかしさは///」カアァ!

エリス「じ、実は私も、その……///」カアァ!

アベル「……では、もう同時に言ってしまおう」

エリス「は、はい!

アベル「この子の」

エリス「名前は……」



アベル&エリス「「――アリス」」



アベル「!?」

エリス「!?」

アベル「……ま、まさか同じ名前を考えていたとはな///」

エリス「びっくりしちゃいました/// でも、これで……」

アベル「ああ、決まりだな」

アベル「――産まれてきてくれて、ありがとうアリス」


アリス「……」スヤスヤ…


アベル「……俺は、子供には絶対に俺と同じ道を歩ませない」

エリス「私も。アリス、あなたには寂しい思いをさせないからね?」

アベル「お前達が将来、誇れるような……そんな国にしてみせる」

アベル「絶対にな……!」

エリス「私も、微力ながらお手伝いさせて頂きます」

エリス「だって私は、アベルさんの剣であり……つ、妻であり……///」

エリス「――アリスの、お母さんですもの!」

アベル「ああ、これからもよろしく頼むよエリス」ナデ…

エリス「はい! あなた……///」



――みんなで、幸せな未来を――




――

EX16

戦いを終えて~~君に永遠の誓いを~~

おしまい

――

――――
―――
――




……それから、時は流れ……




――【エピローグ】――





――
―――
――――

エピローグ手前まで行った辺りで、今日はここまで

次の投下で、最後の投下となります
私自身、キャラクターに愛着が沸いてしまっていますが、比較的あっさりとしたエンドを予定しています
(その後を色々想像できる余地を残したいので)

本日もありがとうございました!

こんばんはー
それではコンマ結果に合わせて書きなおしたら存外長くなりましたが、エピローグを投下していきたいと思います

――――


【王国・来賓室】


国王クラウス「お忙しい中、お呼びたてしてしまい申し訳ない」

聖王エカチェリーナ「いえ、私共も本日を心待ちにしておりました」

聖王アルフォンス「我々聖国がこうした関係を築けているのは、全てクラウス王のおかげでございます」

マークス司教「王国に、神の御加護があらんことを」バッ

皇帝アドルラン「ああ。聖王殿の仰る通り。我が帝国も感謝の意を」サッ

国王クラウス「こちらこそ、両国にはお世話になってばかりだ」ペコリ

国王クラウス「さて、それでは……」




クラウス「堅苦しい挨拶は抜きにして、みんなもっと楽にしてくれると私も助かるかな」ハハハ!

アルフ「そう言って頂けると助かるよ……」フゥ…

リーナ「聖国では、もう中々気を抜けないんですの! ただのリーナになれる時間は本当に助かりますわ」フー!

マークス「それでは私も失礼して、服を脱がせていただこう!」バリーン!

アドルラン「ははははは! すごいなマークス、また身体が鍛え抜いたのか?」

マークス「ええ、神が授けてくださったこの身体に限界はありませんからな」

マークス「それに聖王様を支える身となった今は、より強靭な肉体が必要というものっ!」ムキムキィ!

アルフ「私も鍛えてはいるんだが、公務もあってなかなかな」

リーナ「結局はこうして兄妹で聖王の仕事を分担していますけど、やっぱり大変ですの……」

クラウス「はは、アルフが一時王国に逃避してきた時は何事かと思ったよ」

アドルラン「ああ、そんなこともあったな。あれは結局何が理由だったんだ?」

リーナ「ほら、キアラも手伝ってくれた三国共通模試があったでしょう? あれの為ですの」

アルフ「今も変わらず民達から『智将』として羨望の眼差しを浴びる私が……」

アルフ「まさか公務を放って深夜まで勉強をしている姿は、見せられないだろう?」

リーナ「だからといって私に押し付けて、公務に見せかけて王国の一室を借りて勉強もどうかと思いますの……」

マークス「アルフ様、正直に民に打ち明けるのも手だと思いますぞ!」グッ!

アドルラン「うむ! 隠し事はよくないぞ! まあ、アルフがどうしても嫌だと言うなら無理強いはしないがな」

クラウス「そういえば、その試験の結果は――」

アルフ「黙秘」

リーナ「キアラの問題は純粋に難しかったですの……」ガクリ…

クラウス「王国でも、学問書の売り上げが一気に上がったよ……」

アドルラン「やはり三国で学び舎を強化していくという政策は、間違っていなかったな!」

クラウス「我が国としては、もう少し学校を増やしつつ授業内容の更なる綿密化をしたいが……」

クラウス「それはまた後日。せっかくこうして『休暇』で集まったのだから、もっと砕けた話をしてしまおう」

アドルラン「はは、クラウスもだいぶ変わったものだな」

クラウス「それは多分、君達のおかげだろう。私を支えつつも気さくに接し、共に鍛錬をしてくれるのだから」

クラウス「流石に民達の前では国王でなければならないが、友の前では気を抜かせてくれよ」

リーナ「うんうん、わかりますの。聖国はまだ聖王の影響力も大きくて……」

リーナ「昔みたいに迂闊な真似ができなくて、つい気を張っちゃうんですの」

マークス「しかし、砕けた話となると何からにしましょうか?」

アルフ「リーナがいなければ、鍛錬場で男仲良く汗を流すのだが……」

リーナ「やめてくださいな兄上……」

リーナ「というよりも、皆さんあえて口にしてませんの? それとも連絡が拗れてますの?」

一同「「?」」

リーナ「……私、今日はアドルランの子供達に会えると聞いて楽しみにしていたんですのよ?」

アドルラン「おお、そうだった! 今はとなりの控室で待っているよ」

アドルラン「いや、我が子ながらに本当に可愛くてだな……///」

アドルラン「……」

アルフ「ん? どうしたアドルラン?」

アドルラン「いや、ふと思ったんだが」



アドルラン「――君達は、結婚する気はないのだろうか?」



一同「「」」

アドルラン「いやな、私も昔は然程意識したことはなかったのだが……」

アドルラン「いざ結婚し子供ができると、愛する妻との生活もますます楽しくなり……」

アドルラン「公務の疲れも苦でなくなるからな! 是非ともこの気持ちを知って貰いたいのだ!」

クラウス「結婚、か……」

――

最終特殊判定結果
生き延びた世界の未来で(>>122より)
※一部を除き基準値50。85以上で……?

『未婚者の状況』

1クラウス:71(元より誠実で人望のある国王様。気に掛ける娘は多い)


――


クラウス「私の元にも、確かにそういった話は増えてはいるんだ」

アドルラン「おお!」

クラウス「あと、こう言うと自惚れていると思われるかもしれないが」


コンコン…


狐耳メイド「失礼致します。お茶のご用意を」

クラウス「ああ、ありがとう」ニコリ

狐耳メイド「///」


パタン…


クラウス「……おそらくだが、彼女達からも好意を向けられているような気がする」

リーナ「いや、あれは私でもわかりますの……間違いありませんわね」

アドルラン「なかなか可愛らしい子だったが、あの格好は……」

クラウス「王国に対する帝国の影響力は大きいぞ?」

クラウス「以前アドルランが発表した政策のおかげもあり、私も彼女達の人権を唱えやすかったんだが……」

クラウス「どうにも、メイドという職に就くと高位の人と結ばれるという説まで広まったようでな……」

クラウス「現在、王国のメイド志願者数は上昇を続けているよ」

リーナ「アベルとカインもですからね。あながち間違った説ではないのかもしれませんわ」

クラウス「ありがたい話ではあるんだが……私はアドルラン達と比べるとまだまだだ」

クラウス「今はしっかりと王国の基礎を叩き直し、結婚はもう少し落ち着いてからかな」

アドルラン「なるほど。では、聖国はどうだろう?」

リーナ「……」



――

2エカチェリーナ:29(少しは考えるが、前途多難。最近とある理由で凹み気味)

3アルフォンス:09(そんなことより鍛錬と勉学だ! ……後継ぎ大丈夫?)

4マークス:35(顔が良く親身に相談に乗ってくれる彼に焦がれる者は多いが……)

――


リーナ「私も、いい加減にいい歳ですの」

リーナ「ですから、公務の傍らで淑女としての嗜みを再勉強してはいるのですが……」

リーナ「なんと言いますか、その……出会いが、ありませんの」ガクリ…

リーナ「慕われてはいると思うんですの。それはありがたいのですが……」

クラウス「ふむ……聖王という高みにいるため、愛というより崇拝に近いのかな?」

リーナ「そうですの。聖王問題がこんなところにまで……」グヌヌ…

マークス「私も恐れ多くも、多くの民から頼りにされているのだという自負はあります」

マークス「ですがだからこそ、誰かを選ぶということは少々難しいかもしれませんな」

マークス「むしろ私はやはり、誰かの幸せを見ている方が性に合っているかもしれません」

マークス「ああ、思い返してもアベル君達の式は全部素晴らしかったなぁ……!」

リーナ「ええ、本当に羨ましい限りですの。でもあれは、なかなか特殊な事例だと思いますの」

アドルラン「アベルもやはり大変そうではあるが、あいつが幸せなのは間違いないぞ!」ハハハ!

マークス「うむ! きっと彼は神にも愛されているだろうからな!」

マークス「ですから、きっとリーナ様とアルフ様にもいつか素敵なお相手が……」

アルフ「いや、私はいい」

一同「「!?」」

アルフ「私はまだ聖王としては遥かに未熟だ。肉体も頭脳も」

アルフ「女性にうつつを抜かす暇があれば、ひたすら鍛錬と勉学に励まねば」

アドルラン「アルフ、気持ちはわかるが……家族と支え合うことも大事だぞ?」

リーナ「そ、そうですの。守りたいものの為に強くなれるということも……」

アルフ「……わかっている。わかってはいるんだ」

アルフ「ただ……」





アルフ「――何故か世の女性に身体が反応しないというのもある」





一同「「」」

リーナ「兄上ぇぇぇぇ!? それは私も初耳ですのおおぉぉぉぉぉ!?」ガーン!


アルフ「待て、待て。みんな落ち着いて欲しい」

アルフ「何も私は、女性の全てを否定しているわけではない」

アルフ「リーナは可愛い妹だし、絶対にいい婿を見つけられるだろう」

アルフ「アドルランの奥方も、二人とも違った美しさを持っていると言える」

アドルラン「ありがとう。あとで二人にもそう言って貰えるかな?」

アルフ「そ、それはなんだか気恥ずかしいな/// 私が不貞を働くようにも取られかねんぞ」

アルフ「とにかく、だ。私は女性に興味が無いわけではない。ここだけは信じて欲しい」

リーナ「いや、兄上、さっき……」ダラダラ…

アルフ「そう。世の女性には反応しない。だが、興味はある……」

アルフ「そもそも反応しなくなってしまったのも、ある日彼女と出会ってしまったからなのかもしれん……」

アドルラン「おおっ!?」ガタ!

クラウス「こ、これはまさか……それほどまでに一人の女性に惹かれていたと!?」ガタ!

マークス「なんということだ、アルフ様はそれほどまでに!?」

アルフ「ああ……」







アルフ「――夢の中で、美しい翼を持った白い女性に出会ってな/// もうその姿が頭から離れないんだ……///」ポワーン…






アドルラン「アルフ、戻ってこぉぉぉぉいっ!?」ユサユサ!

マークス「アルフ様、お気を確かにっ!」グワングワン!

リーナ「兄上……」ホロリ…

アルフ「あと、胸も大きかった……///」ポワーン…

リーナ「兄上ェッ!」クワッ!

クラウス(少し、聖国の未来が不安だ……)




女神『ああ、どうしましょう!? アルフォンスに私の声が届いたかと思えば……』アワアワ

女神『まさかこんなことになるなんて……なんとかアルフォンスを元の道に戻さないと、聖国が……』オロオロ…

女神『カミラ、あなた実は人の子だったとか、そういったことはありませんか!?』

カミラ『!?』ムリムリ!

女神『うぅ、私が発展していく聖国の様子をはしゃいで眺めたりしなければ、こんなことには……』ガクーン…

カミラ『……』ポン…



リーナ「……」ヒク…

リーナ(妙ですわね。巨乳の気配が……気のせいですの?)ヒクヒク…



……


――


……


クラウス「……では、アルフの今後は後日改めてしっかりと煮詰める方向でいこう」

リーナ「異議なしですの……」

マークス「大丈夫、きっと神も見守ってくださっていることでしょう!」

アルフ「そ、そこまで深刻に考えずとも……」

リーナ「深刻ですのぉっ!」クワッ!

アドルラン「はは、だがアルフの言う通りかもしれないな」

アドルラン「私のように、遅れて気がつく可能性もあるからな」

リーナ「それはまあ、そうですけれど……」

アルフ「アドルランの言う通りだ。私のことは心配しなくても大丈夫だ」

アルフ「それよりもだな……私よりも心配な者もいるではないか」

リーナ「え?」

アルフ「印象深い二人ではあった。あまりいい意味ではないのだがな」

リーナ「??」

アルフ「……以前の愛の祭りで、エリスをつけ回していた黒騎士バーンズ」

アドルラン「」

アルフ「……私が堪らず抜刀してしまう程、性に正直過ぎる深紅の令嬢スカーレット」

クラウス「」

アルフ「あの二人は、今頃どうしているのか。年齢で言えば私達よりも危機感を持つべきではないのか?」

アルフ「いかんせん、あの行動は目に余ったからな。私以上にまともな恋愛ができるのかどうか……」

クラウス「……」

アドルラン「……」


――

5『親衛隊長と深紅の令嬢、今は?』

01~33:良き好敵手。お互いの主君の為に切磋琢磨
34~66:遅れて来た仄かな……?
67~99:忘れられない恥辱。引き換えせぬ被虐の沼へ……?

コンマ43

34~66:遅れて来た仄かな……?

――


クラウス「その、実はだな……」スタスタ…

アルフ「?」

クラウス「この窓から、中庭を見てみるといい」


……


スカーレット「ふぅ、今日の手合せはこのくらいにしましょう」ヒュパン

バーンズ「……そうだな」チャキン

スカーレット「最近、また腕を上げられましたわね。ワタクシももっと精進しなくては」

バーンズ「……まだまだ、我が剣も道半ばだ」

スカーレット「それにしても、よかったのですか? 主君から頂いた折角の休暇だったのでしょう?」

バーンズ「……最近は、暇を出されることが多い。陛下はその……最近……」

スカーレット「ああ、お孫さんにご執心なのですね?」ポン

バーンズ「ぐ……その通りだ。私如きが陛下の時間を奪うわけにもいかぬ」

バーンズ「しかし、私は生まれてこの方……鍛錬以外の時間の潰し方を知らぬのだ」

スカーレット「あらまぁ……では、何故ワタクシの元へ?」

バーンズ「……貴女との鍛錬は、得る物が多い。以前敗れた雪辱を果たしたいという想いもあるがな」

スカーレット「そうですか……それはワタクシも同意見ですわね」フフ…

スカーレット「……実は、ワタクシも最近は陛下から暇を出されることが多いのです」

バーンズ「む……?」

スカーレット「これからもお互い、暇な時間が増えるかもしれない……」

スカーレット「その度に鍛錬ばかりでは、流石にマンネリしてしまうかもしれませんわ」

バーンズ「それは……」

スカーレット「ですので、今日は少し趣向を変えて息抜きをしに行きません?」

スカーレット「あなたの主君もですけれど……たまには、武器を置いて穏やかな時間を過ごすのも悪くありませんわ」

バーンズ「そう、なのだろうか……?」

スカーレット「ええ、そうですわ。どうなさる?」

バーンズ「……迷惑でなければ」


……

アルフ「こ、これは……」


クラウス「少し前からかな。二人はよく共にいることが増えているようだ」

アドルラン「彼も父に変わらぬ敬意を払ってくれているようだが、もう親衛隊長ではないからな」

アドルラン「父も口にはしないが、バーンズにはバーンズの道を歩んで欲しそうだったよ」

リーナ「徹底した実力主義者でしたけど、長年傍に仕えていた騎士に思うところはあったのでしょうね」

クラウス「その気持ちは私もわかる。スカーレット将軍には今も支えられているが……」

クラウス「そろそろ彼女も落ち着いてもいい頃だと思ってね。極力時間が合うように予定を入れているんだ」

リーナ「それはまた……」

マークス「お二人とも、以前よりも纏う気配が柔らかくなっていますな。これはもしかすると……?」

リーナ「兄上より、よほどまともですの……」

アルフ「」

アルフ「も、もう私のことはいいだろう!?」

アルフ「それよりアドルラン、そろそろお前の子供達を私は見たいな!」

アドルラン「そ、そうか?」

リーナ「そうですわね。今間違いなく幸せを掴んでいるのはあなた達でしょうし」

リーナ「こう見えて私、子供は大好きですの!」

マークス「やはり子供はどこの国であれ、次の世代を担う宝ですからな!」

クラウス「特にアドルランの場合は、次期皇帝になる可能性もあるからな」

アドルラン「ははは! 流石に何も為さぬまま皇帝の座を譲るわけにはいかないぞ!」

アドルラン「それでは、少し待っていてくれ。すぐに連れてくるよ」


……

――

……

ヒバリ「皆さま、お久しぶりです」ペコリ

ルーシェ「お久しぶりです……」ペコリ

リーナ「お久しぶりですの。お二人ともますますお綺麗になられて……」

アルフ「うむ、佇まいも美しく……リーナもこうなれればいいのだがな」

ヒバリ「……///」

ルーシェ「……///」

クラウス「あまり緊張をしなくても大丈夫だ。以前のように力を抜いてくれて大丈夫だよ」

ヒバリ「あ、申し訳ありません。やっぱりどうしても緊張しちゃって……///」

ルーシェ「皇妃として、失敗はできないかと思うと……」ブル…

アドルラン「はははは! まあ二人の気持ちはよくわかるが……」

アルフ「私達の場合は、以前から交友があったのが大きいのだろうな」

マークス「ええ。私も立場を忘れ、ついつい友と接する態度になってしまうよ」

クラウス「私はそれで構わないよ。存分に気楽にくつろいでくれ」

ヒバリ「い、いや流石にそこまでは……///」

ルーシェ「子供達の教育、良くないです……///」

リーナ「あ、そうですの! はやくお二人の子を見てみたいんですの!」ワクワク!

ヒバリ「そこまで期待されても困っちゃいますよ!?」

アドルラン「私達にとっては可愛い子ではあるんだがな」

ルーシェ「その、まだ小さくて、ご無礼をしてしまうかも……」

クラウス「はは、だから気にしないと言っているだろうに」

マークス「子供は元気が一番! さあ、どんとぶつかってきたまえ!」バッ!

ヒバリ「どんとぶつかるかもわからないけど……それじゃあ」


ヒバリ「――セッカ! セッカ―! こっちに来て、皆さんにご挨拶してー!」

ルーシェ「――プラチナム、あなたも、です……!」キテキテ



トテトテ…!


――

『未来の皇帝二人、両親どっち寄り?』←01(母)50(父)99→

6セッカ:54(両親二人の良い面を見事に継承。努力家ですが暴走はしません)

7プラチナム:21(母に似てセッカよりは控えめ。父とは違いお片付け大好き)

――


セッカ「――はじめまして! ていこくの、セッカともうします!」ビシ!

プラチナム「……プラチナム、です」ペコリ


リーナ「あらまぁ……これは、びっくりですの。なんてしっかりした子……」

リーナ「あ、私は聖国のリーナですの。よろしくお願いしますの」スッ…

セッカ「よろしくおねがいします!」ギュ!

プラチナム「よろしく、お願いします」ギュ

リーナ「ふぐぅ!? わ、私の中の何かが擽られますのぉ……!?」プルプル…!

マークス「それはおそらく母性本能かと。私はマークスだ。よろしく頼むよ二人とも!」ムッキィ!

アルフ「私はアルフだ。しかし流石に真面目な二人の子だな。これは帝国は安泰か?」

クラウス「私はクラウス。みんなと同じく、君達のお父様の友達だよ」

セッカ「みなさま、よろしくおねがいします!」ペコリ

プラチナム「よろしくおねがいします」ペコリ

リーナ「本当にしっかりしていますの……」ナデ…

リーナ「見た目はアドルラン似のようですが、性格はヒバリとルーシェに似た感じですわね?」

アドルラン「ああ、本当に二人には感謝しているよ」

アドルラン「二人とも私に似ないで、思った事をすぐに行動に移したりしないいい子だぞ!」ハハハハ!

セッカ「いえ、ちちうえのこともそんけーしています! たんれん、もっとします!」

ヒバリ「……って言うのを、私が時間かけて抑制したんだよねぇ」

プラチナム「……おかたづけしないちちうえは、めっ」

ルーシェ「……」ムフー!

アドルラン「……どうだ、立派な子供達だろう?」メソラシ

アルフ「まあ、お前の唯一とも言える悪癖が引き継がれなかったのは喜ぶべきことだな……」


クラウス「だがプラチナム、おかたづけ以外のお父さんはどうかな?」

プラチナム「……すき」

アドルラン「ん……///」コホン!

マークス「いいですなぁ、いいですなぁ……!」ホッコリ

アルフ「仲睦まじいようでなによりだ。将来が楽しみな子達だよ」

リーナ「プラチナムの髪色はお二人譲りかしら? 私に似た綺麗な白金色ですの」サラ…

ルーシェ「密やかな、自慢、です。名前に、ぴったり……」

プラチナム「……」コクコク

ヒバリ「いいよねぇ……ごめんセッカ、お母さんの髪色ももっと綺麗に伝わっていれば!」クゥ!

セッカ「いえ、ぼくもこのかみすきです!」

アルフ「ヒバリの黒色が混じったのか、セッカの金髪はアドルランよりも深みが増した感じだな」

アルフ「顔つきも凛々しいし、小さいアドルランを見ているようだ」

アドルラン「たぶん、昔の私はセッカよりもずっと頼りなかったぞ?」

アドルラン「今でこれだけ立派な子なのだ。将来きっとすぐに私を超える男になる筈だ!」ハハハハ!

セッカ「はい! いつかちちうえよりりっぱなおーさまになってみせます!」キラキラ!

プラチナム「……ぼくも、あにうえたすけます」ギュ…

ヒバリ「ふふ、二人とも頼もしいけど……今はまだ無茶しちゃ駄目だよ?」ナデナデ

ルーシェ「お母さん達を、もっと頼ってね?」ナデナデ

セッカ「えへへ///」ホクホク

プラチナム「……///」ホクホク

マークス「むぅ、撮影の魔導書を持ってこなかったのが悔やまれますな……」

クラウス「ああ。見ているこちらも幸せな気分になる。これは帝国の活気が増しているという話も頷けるよ」ウンウン

リーナ「うぅ、羨ましいと思うのに結婚とは程遠い我が身ですの……」ガクリ…

リーナ「せめて、せめてこの胸がもっと成長――き、きぇっ、きぇっ……ぇっ!」ビクンビクン!

セッカ「!?」ビクゥ!

ヒバリ「ちょっ、リーナさん大丈夫なのこれ!? どういう表情なのこれ!?」ドキドキ

ルーシェ「……子供、見ちゃ駄目な顔です」メカクシ

アルフ「ああ、すまないな……いつもの癖だ。この数年でなんとか少しは改善したのだがな」

マークス「今は更に可愛い子供達の前で必死に抑えている状態ですな」

クラウス「いつもの……しかし、今は条件に当てはまりそうな女性の姿はないが?」キョロキョロ

ヒバリ「私の大きさにはなんとか慣れてくれた筈だし……なんで?」

アルフ「……原因はフィーアだ」ハァ…

一同「「あー……」」ナットク

アルフ「最近、夜な夜な枕を濡らしているよ。彼女は元気にしているかな?」

クラウス「アドルラン一家が明るいことはわかったが、帝国全体の様子も確かに気になるな」ソワソワ

アドルラン「そうだな、実は……」


……

――

――――
―――
――



【帝国・帝都】



ザワザワ…!


帝都民1「うわぁー……今日は一段と混んでいるなぁ」

帝都民2「何か特売でもしているんかね?」



オイオスナ!


オレモミタイ!


帝都民1「誰か来ているのかな?」

帝都民2「セッカ様とプラチナム様じゃないか? この辺りは陛下のお気に入りの散歩道と聞いたけど……」



オイダレカマドウショ!

モッテネエ!



帝都民1「……それにしても熱気がすごくない?」

帝都民2「そうだな。陛下なら一喝して人混みを割りそうだ」」

帝都民1「そうなるとアベル様かカイン様かな?」

帝都民2「カイン様は王城内でのお仕事が多いし、アベル様は……」

帝都民1「ああ、確かにお忙しいあの人の道をあんな風に塞いだらご迷惑だもんなぁ」

帝都民2「そうなると、この人だかりってもしかして……」

帝都民1&2「「……」」

帝都民1&2「「……俺達も見に行こうっ!」」ダダダダダダ!



――

8『レディーを目指し、身体は大人になった第二皇女は……?』

01~33:お淑やかさも身に着け、まさに憧れていたレディー!
34~66:お勉強はしました。でも染みついた癖はなかなか。変わらぬ君が好き
67~99:元々アウトドア派。今まで以上にあちこち駆け回るお転婆に!

コンマ65
34~66:お勉強はしました。でも染みついた癖はなかなか。変わらぬ君が好き

――


帝都群衆「「フィーア様、ありがとうございます! ありがとうございます!」」


フィーア「え、えっと、ただお買いものに来ただけなんですけれど?」オロオロ


帝都群衆「「来て頂けただけで、本当に嬉しいのです! 思わず我らもフィーア様のように跳ねてしまいそうです!」」ビョンビョン!

フィーア「も、もう! 私も大人になったのです! もうこんな風にピョンピョンしたりなんて……」ピョンピョン!


バルンバルン!


帝都群衆「「~~~~いえぁ!」」グッ!

フィーア「って、あぁぁ……///」カアァァ!

フィーア「ついまた昔の癖で跳ねてしまいました……まだキアラ姉様には程遠いです……」ショボン…

帝都群衆「「いえ、フィーア様はそのままが一番です! そのまま我らの太陽でいてください!」」

フィーア「むぅ……でも、民の皆さんの為にも、私はもっと立派な淑女としてですね……」

群衆1「いえ、フィーア様の明るさは、他の方々にはないものです」

群衆2「フィーア様が元気な笑顔を見せてくれるだけで、こっちも元気を貰えるんですよ!」

フィーア「皆さん……///」

群衆3「っと、申し訳ありません。お買いものの途中なのでしたね」スッ…

帝都群衆「「失礼致しました! お気をつけて!」」ビシ!




帝都民1「……あれはもう、兵器だと思うよ。女の子の成長期ってほんとすごい」ボタボタ…

帝都民2「ああ。でも同時に、守らなきゃいけないこの国の宝でもあると思うよ」ボタボタ…

帝都民1「フィーア様、可愛くて優しくて小っちゃくて、それでいてあのおっぱいだからな……」

帝都民2「いつ悪い奴に目をつけられるか、正直俺は不安で仕方がないよ……」ハァ…

帝都民1「俺達の間だと、尊過ぎて絶対不可侵が暗黙の了解になってるけど、心配だよねぇ」

帝都民2「一応、お付きの白髪執事が害虫は追っ払ってるらしいけどさぁ……」

帝都民1「その執事と恋仲だったりした日にゃ、どれだけの帝都民が泣き崩れるだろう……」

帝都民2「陛下筆頭に皇族の方がみんなかつての従者と結ばれているから、余計にその可能性あるのがまた……」ハァ…

帝都民1&2「「あ~……フィーア様がずっと俺達のフィーア様でい続けますように!」」オイノリ



……

――

――

【帝都・街道】


フィーア「ふぅ、キアラ姉様への道のりは遠いですね」テクテク

フィーア「皆さんからの期待もありますし、はやく私も一人前にならないと!」グッ!


ザリ…


フィーア「……」ピク


ゾロゾロ…


帝国貴族「これはこれはフィーア様、ご機嫌麗しゅう」

貴族私兵団「「……」」ズラッ!

フィーア「……なんの御用ですか?」

帝国貴族「いえいえ! フィーア様のお時間はとらせませんよ!」

帝国貴族「ただ――少し、我が家に来て頂きたいだけでございます」ジュルリ…

帝国貴族「お前達! 護衛がいない今が好機だ! すぐに――」



シュン…



――『刻印の刃』発動――

★『刻印の刃』★
戦闘開始直後、敵に確定で2劣勢を与えかつ回復不能の状態異常と軽傷状態にする(奇襲とは異なる)
このスキルで相手を倒した時、敵の負傷判定を1増加させて逃走判定に移ることができる
またこのスキルを持つ限り、補正差が50以上であったとしても25までに軽減し戦闘を行う
さらに戦闘時、ネームレス敵兵の存在を全て無視して敵将のみへの攻撃が可能となる



帝国貴族「か……ぺ……?」ドシャァ…


貴族私兵団「「!!??」」


フィーア「……安心してください。峰打ちですから」ユラリ…

フィーア「私、あなた達みたいな人とのお付き合いは、絶対にいたしませんからね!」チャキ…


貴族私兵1「こっ、この――っ!」ブオン!

フィーア「……」ハァ…


ドゴォ!


貴族私兵1「ぐぺっ!?」グシャア!

フィーア「えっ?」


アイナ「フィーア様への狼藉は、私が許しませんよ!」ザッ!

フィーア「アイナさん!?」

貴族私兵2「げ……帝国メイド長だと!? なんでここに――ぐぼぉ!?」ザシュ!

貴族私兵団「「!?」」バッ!

スミレ「……ボクもいますよ。覚悟はできているんでしょうね?」ジャキン!

フィーア「スミレさんまで!?」

貴族私兵3「嘘だろ執事長まで……今日は護衛はいないって話じゃなかったのかよ!?」オロオロ

貴族私兵4「ひ、怯むな! この人数なら――」


ズドォォォォン!


ローズ「やあねぇ本当に……久々だワ。こんな馬鹿な連中を見たの。――喰い殺してあげましょうか?」ゴキゴキ!

サク「名案だ。私は普段は肉は食べないんだが……焼き加減はローで頂くとしよう」ゴキゴキ!


貴族私兵団「「」」



ギャアアアァァァァァァァァ!



……



メイド隊「「メイド長、この連中は我々がしっかりと連行しておきます!」」バッ!

アイナ「うん。ごめんね急に呼びつけちゃって?」

メイド「いえ。メイド長達は、引き続き休暇をお楽しみください。それでは!」シュバ!


フィーア「どうしてみんなここに……今日は、お休みの日でしたよね?」

ローズ「ええ、そうネ。でも嫌な気配を感じちゃったから」

スミレ「元々ボク達は今日はこの先の湖に行く予定だったんですよ」

サク「フィーア、やっぱりまだ私が傍にいた方が安全じゃないっきゅか?」ハラハラ

フィーア「ありがとうございます。でも、あのくらいの相手なら私一人でも対処はできますよ?」

フィーア「……その、む……胸が急に大きくなって変装がしにくくなっちゃいましたからね///」

フィーア「エリス義姉様とノワール義母様に無理を言って、鍛錬は欠かしていませんから!」エヘン!

ローズ「……もう、あなたって子は」ヤレヤレ…

フィーア「本当は、アベル兄様と一緒に戦っている時にこのくらい強くなれていればよかったのですけど……」

ローズ「やめてちょうだい」ペチ

アイナ「あはは、確かにフィーア様のお力ならあの程度難なく切り抜けられたと思いますけど……」

アイナ「やっぱりフィーア様の危機は見過ごせませんし、私もたまにはお仕事をしてるところを見せなきゃいけませんし……///」

フィーア「え? あ!」


ローナ「ふぃーあさま!」キラキラ!

リリィ「ふぃーあさま!」キラキラ!

フィーア「ローナちゃんにリリィちゃん! また大きくなりましたねー!」ナデナデ

ローナ「えへ~///」ホクホク

リリィ「ぼくおおきくなれたー?」

フィーア「ええ。私にもちょっと分けて欲しいです……」ボソ…

フィーア「……今の光景、見せて大丈夫だったんですか?」ダラダラ

ローズ「アタシも不安だったんだけどネ。もうすっかり両親の影響を受けちゃってて……」

スミレ「ボクが一番まずかったですね……。リリィもローナも甘えん坊で、よく後ろをついてくるんです」

スミレ「鍛錬場にまでついてきてからは、ボクとアイナさんの格闘術にまで興味を持ってしまったようで……」

フィーア「リリィちゃん、自分のことをボクって言ってますし、そこもスミレさん似ですね!」

スミレ「お恥ずかしい……/// 直さなければと思ったのですが、この服共々ボクには馴染み過ぎていたようで///」

アイナ「スミレちゃん、ますます執事服が似合うようになったもんね~」

スミレ「今はサクさんもいますから、ボクもメイドになっていいのかもしれませんけど……」チラ…

リリィ「おかーさん、きょうもかっこよかったー!」キラキラ!

スミレ「このリリィの笑顔を見ていると、脱ぐに脱げなくて……!」ガク…

サク「私もまだ修行の身っきゅから、執事長の座はまだまだスミレのものっきゅねー」

スミレ「そもそもなんで執事長なんて座が増えていたのか、これがわかりません……」

アイナ「あ、ごめん。一緒にいたかったし、ローズさんが引退するって不安だったからつい分担して貰おうかなって///」

スミレ「アイナさん発案だったんですか!?」ガーン!

ローズ「いや、一部執事から不満があったのも事実なのヨ?」

ローズ「メイド試験も、ちゃんと名前に執事もいれてくれって意見も多いしネ」

サク「でも、一応執事の私とスミレが女って知ったら新米執事はどんな顔をするんきゅかね?」

サク「この前、メイドの子から告白された時は流石に驚いたっきゅよ」

フィーア「確かにその姿のサクちゃん、羨ましいくらい背が高くてカッコいいですものね!」

ローズ「……待って、それ初耳ヨ? それでどうしたの?」

サク「え? ちゃんと丁重にお断りしたっきゅよ?」

サク「――私にはフィーアがいるから、お受けできないって」

一同「「」」

サク「きゅ?」

ローズ「……何か、一部で誤解が広まりそうネ」ダラダラ

ローズ「いや、アタシ達が既にちょっと性別がややこしくなっているんだけど……」

フィーア「……そういえば、ふと思ったんですけど」

フィーア「――ローナちゃんとリリィちゃんにとって、ローズさんはどちらなんでしょう??」

アイナ「あ、あー、ローズさんかローゼンさんかということですね?」ポン

アイナ「実はですね……」

――

『お父さんなの?お母さんなの? 愛娘はローズとローゼンどっちがいいの?』←01(ローズ)50(ローゼン)99→

9ローナ:06(圧倒的ローズ。お母さんの私服の影響でもう服もゴスロリ趣味になっちゃった)

10リリィ:17(硬く真面目なローゼンよりも、家族みんなが笑顔なローズの方が大好きです)

――


アイナ「見ての通り、私の影響もあってかローナはローズさんの方が大好きなんですよ?」

ローナ「ろーずさんすきぃー///」ゴスロリー!

アイナ「我が子ながら、この服の可愛さに今から目覚めてくれて、本当に嬉しいです……!」ギュッ!

ローナ「おかあさんもすきぃー///」

ローナ「かわいくて、かっこいいのー!」キラキラ

アイナ「もう、もう……!///」クネクネ…

ローズ「天使に勝るとも劣らない天使っぷりよネ……!///」

サク「格好だけみると、親子三代で妙な服を着ている様にも見えるっきゅ……」

スミレ「確かにその服可愛いんですけど、それはアイナさん達だから似合うんですよ」

スミレ「やっぱり執事服の方が動きやすいですし、公的な場でも違和感がありませんからボクはこっちですね」

リリィ「しつじー!」キャッキャッ!

フィーア「なるほど……ローナちゃんがローズさん派で、リリィちゃんがローゼンさん派なんですね?」

スミレ「いや、それが……」チラ


ローズ「さぁーて、悪い人はみんな懲らしめたし、お出かけの続きをしましょうネ!」ニコニコ

ローナ「おでかけー!」ワーイ!

リリィ「おかあさんとおかあさんとおでかけー!」ワーイ!


スミレ「ローズさんの姿の方が甘えやすいみたいで……ボクに女らしさが足りないせいでしょうか?」ウーン…

スミレ「ローナ同様にリリィもローズさんの方が喜んでくれるので、最近はずっとローズさんなんですよ」

アイナ「ローゼンさんなのは、夜だけなの……///」ゴニョゴニョ…

フィーア「な、なるほど……///」

サク「よし、ちょっと時間取っちゃったし、湖までは私に乗って行くといいっきゅ!」ボウン!

白帝サク「キュルル、キュルー?(フィーアも来るっきゅよね?」バサァ!

フィーア「え? で、でも折角ローズさん達で家族水入らずなのに……」ワタワタ

ローズ「何を言ってるのヨ! 確かにアタシにはかけがえのない天使がさらに増えたけど……」

ローズ「あなたとキアラちゃんも、ずっとアタシの天使で大切な家族なんだからネ? 遠慮しないの!」ガシ!

フィーア「ローズさん……」ジーン…

アイナ「お城にはカイン様も優秀な後輩もいるから、大丈夫!」

スミレ「今日のお弁当、結構自信作なんですよ。フィーア様の感想も聞きたいですね」

サク「きゅっきゅ、きゅー!」バサァ!バサァ!

ローナ&リリィ「「さくちゃんはやいはやーい!」」キャッキャッ!

フィーア「はやーい!」キャッキャッ!

ローズ「天使達が天使過ぎてアタシ死んじゃうかもっ!!!」ブバァッ!

アイナ&スミレ「「ローズさん落ち着いて!?」」ワタワタ!


……

――

――

……

【帝国王城・執務室】


カイン「メイドから伝令?」

エメリナ「はい。どうやら無謀にもフィーア様を狙った一団を捕えたそうです」

カイン「はは、これは久々に大馬鹿が釣れたんだね」

カイン「変わっていく帝国を受け入れず、自分の世界に閉じ籠もるからそんなことになるんだよ」

カイン「前にフィーアの護衛隊が暴れ回った件ぐらい把握しておけばいいのに」ククク…

エメリナ「フィーア様、この数年でご立派になられましたものね。色々と……」

エメリナ「それに引きかえ、私ときたら……」ペタン…

カイン「何を言うんだエメリナ。君は日増しに立派になっているじゃないか」

カイン「最初は皇妃の作法、あれだけ酷かったのにな……!」プクク…!

エメリナ「カ、カイン様の奥さんとして恥ずかしい姿は見せられないじゃないですか!?」

エメリナ「その、昔は夜のお勉強を重点的にしちゃいましたけど、他のことだって頑張れるんですから……///」

カイン「ああ、わかっているよ」


コンコン


アーシャ「カイン義兄様、失礼致します」

カイン「……アーシャ、いつも言うがからかうのはやめてくれ。普通でいいんだよ普通で!///」

アーシャ「ふふ、これは失礼カイン様。どうにも照れるあなたが可笑しくて」クスクス

エメリナ「前から思っていたのですがカイン様、何故義兄と呼ばれると恥ずかしがるのですか?」

カイン「だって、こうして歳をとると益々昔の言動が、僕の恥が、鮮明かつ強烈に思い返されるんだよ///」

アーシャ「アベルは今も自信家なお兄さんを尊敬しているようですよ?」

カイン「あー、あー、聞こえないな。ったく、なんで僕はあの程度でアベル達を見下して知的な兄ぶっていたんだよ……」ハァ…

エメリナ「カイン様は、今も昔も凄く知的な方です!」グッ!

アーシャ「ええ、そうですよ? 今や帝国の結界の要ではありませんか」

アーシャ「それに転移魔法や魔道具の作成まで。高度な知識がなければできないことばかりですよ」

カイン「まあ、確かにそれは多少の自信はあるけどさぁ……」

カイン「それは多分、母さんの魔法の才の影響が大きい。皇族全員で見れば、僕が一番下だよ」

カイン「原因もわかっている。長年道化だった僕と努力を続けていたきょうだい。差がつくのは当たり前だよ」

エメリナ「……でも、カイン様は変わられたのです! 毎日頑張っているカイン様なら、きっといつか一番になれます!」

カイン「ああ。見ていてくれよエメリナ。この僕の勇姿をね!」バッ!

アーシャ「ふふ、やっぱりそちらの方がお似合いですよ?」クスクス


カイン「それは、いい意味でだよな? 道化がお似合いってわけじゃないよな?」

アーシャ「もう、いい意味に決まっているじゃないですか」

エメリナ「カイン様、もっと自信を持ってくださいよー……」

カイン「いや、ことアーシャを相手にするとなぁ……」

アーシャ「あら? それはどういう意味ですか?」

カイン「……この前の、キアラ監修の試験を忘れたとは言わせないぞ」

エメリナ「あれ、凄く難しかったですねぇ……それでもカイン様、かなりいい点数でしたよね?」

カイン「数年前の悪夢を繰り返す気はないよ。我ながら結構頑張ったつもりだったんだけど……」

カイン「なーんで君は平然とまた満点を取れるかなぁ……?」

アーシャ「ふふ、アベルが褒めてくれるところですもの。何歳になっても手は抜けないでしょう?」ニコニコ

カイン「そのアベルも凹んでたじゃないか。そろそろ君に勝ちたいって……」

エメリナ「アベル様も十分凄かったですよね? あの旧帝国歴史問題、敵陣営を味方損害無しで壊滅させた戦法の解答なんて無理だもの……」

カイン「約一名が正解してるけどね。あの問題をキアラが作ったっていうのはもっと驚きだけど」

アーシャ「キアラちゃんは最近、特に守りの戦術の研究に拘っていますからね。軍縮した帝国でも従来以上に機能する守り……」

アーシャ「平和な世だからこそいざという時の守りは強固かつ迅速に。あの問題は、旧時代のものでも再利用ができると報せる意味もあるの」

カイン「なるほどねぇ……今度はそっちの勉強もちゃんとしておくかな」

エメリナ「はい! あとで書庫で探しておきますね!」

アーシャ「ふふ、本当に勤勉家になられましたね。私ももっと頑張らなくちゃ!」

カイン「くそ、アベルじゃないけど、いつか君の成績に土をつけてやりたい……!」グヌヌ…

カイン「――これじゃあ、いつまでもジェイドに父の威厳を見せられないじゃないか……」ボソリ…

アーシャ「あらあら、努力を欠かさない一番の理由はやっぱりそこなのかしら?」クスクス

カイン「……悪いか! せめて、せめて息子の前では頼れる父さんでいたいんだよぉ!」

カイン「そっちはいいよなぁ! 馬鹿みたいに子供作ったかと思えばアベルの奴、娘全員から慕われてるもんなぁ!」

アーシャ「……だからこそ、私もこう見えて毎日色々悩んでいるんですよ?」ハァ…

エメリナ「え? アーシャさんが!?」ビックリ

アーシャ「ええ。確かにソフィアに限らず、みんなお父さんのことは大好き。それは問題ないんです」

アーシャ「――だからこそいつ、娘がお母さんに振り向いてくれなくなるのかと思うと怖くて怖くて!」ガタガタ!

アーシャ「私って昔からこれって突出したものはないし、正直に言うと勉強を続けているのも娘の為でもあるんですっ!」

カイン「わかる! わかるぞその気持ちっ!」ガタ!

エメリナ「もう……お二人とも、心配し過ぎですよ?」

エメリナ「ソフィアちゃんはもちろん、ジェイドだってそんな――」


コンコン


エメリナ「あ、噂をすれば丁度ジェイド達のお勉強会も終わったみたいですよ?」

カイン「!!」ビクン!

――

『自信家なカインの息子ジェイド。どれくらい似てしまったのか……』

11ジェイド:21(父の真似はするが、自分の力はわかっている。これにはお父さんも一安心)


『秀才だけど隠れた嗜好を持つアーシャの娘ソフィア。妙なお勉強は……』

12ソフィア:24(妙なことは学ばない。堅実に知識を蓄えていく将来有望株)

――


ジェイド「ちちうえちちうえ! やっぱりソフィアはすごいです!」キラキラ!

ソフィア「おかあさま、ジェイドすごいの! わたしのよめないまどうしょを、すぐによめるのです!」キラキラ!


カイン「んんっ……! ジェイド、もう少しだけ待っていなさい。父は国の大切な書類を書いているところだからね」カキカキ

アーシャ「ソフィアももう少し待っていてね。お母さんもそのお手伝いをしているから」カキカキ


ジェイド&ソフィア「「はーい!」」

エメリナ(あの一瞬で二人同時に書類の前の椅子に座るなんて、早業すぎます……)

エメリナ(う~ん……あんなこと言っていた直後だから、ちょっと落ち着きたいのかな?)

エメリナ「ジェイドもソフィアちゃんもお勉強頑張って偉いね」ナデナデ

エメリナ「ご褒美に甘いバナナをあげようね?」サッ!

ジェイド「ははうえ、ありがとうございます!」モキュ!

ソフィア「ありがとうございます!」モキュ!


カイン「……」チラ

アーシャ「……」チラ


カイン(くっそ、相変わらず君のソフィアは賢いようだな! 見たかジェイドのあの輝く瞳! 僕に向けて欲しいのに!)ヒソヒソ…

アーシャ(それを言うならジェイド君の方でしょう? 魔導書はずるいですよ! ソフィアの感心全部持ってかれています!)ヒソヒソ…

カイン(だいたいなんだいソフィアは? 君の知性とアベルの瞳が遺伝したせいなのか、まるで小さな義母さんじゃないか!)ヒソヒソ…

カイン(もうその段階で半ば勝っているよね! きっと将来は僕よりも優しくて賢い子になるんだろうよ……!)ヒソヒソ…

アーシャ(ジェイド君だって、あの歳であの見た目はずるいです!? カイン様譲りの綺麗な金髪にエメリナさん譲りの優しい眼差し!)ヒソヒソ…

アーシャ(我が家は女の子ばかりですし、ただでさえ同年代の男の子の免疫ないのに! 来年には私よりもジェイド君に懐くかも……!)ヒソヒソ…


エメリナ(やっぱりカイン様達の小声でお喋りしつつも手は休めない技術はすごいなぁ……)


ジェイド「ちちうえたち、しんけんだね」ジー…

ソフィア「うん……」ジー…

エメリナ「……ねえ、二人とも?」

エメリナ「将来、そうだな……大きくなったら、どうなりたい?」


カイン「!?」ガタ!

アーシャ「!?」ガタ!


ジェイド「――ふふ、ぼくをだれだとおもっているんだい?」

ジェイド「――にいさんなんかいなくても、このぼくがいればていこくはまわる!」


カイン「」ドサドサドサ!

アーシャ「おっと!?」キャッチ!


ジェイド「……ってちちうえみたいにかっこよくいってみたいけど、ぼくはまだまだなんだ」

カイン(……え?)

ジェイド「ソフィアはいろいろしっているし、きょうだいもみんなすごいから」

ジェイド「だからずっとがんばる。おおきくなってもみんなとがんばりつづけて、ちちうえとははうえをたすける!」キラキラ!

ソフィア「わたしもだよ? しらないことはたくさんあるから、いつもおかあさまにきいちゃうの」

ソフィア「おかあさますごいの。おとうさまもいつもすごいすごいってほめてて、わたしおおきくなったらおかあさまみたいになる!」キラキラ!

ソフィア「……でもおかあさまはまどうしょはよんでくれないから、よんでくれるジェイドはすごいのです!」

ジェイド「そ、そうかな……///」テレテレ

エメリナ「そうなんだ。二人とも頑張り屋さんだから、きっと大丈夫だよ?」ナデナデ

ジェイド&ソフィア「「……///」」ホクホク

エメリナ「……だそうですよ、お二人とも?」ニコニコ


カイン(うおおおぉぉぉぉぉ……! なんだこれは、夢なのか!?)ヒソヒソ…

カイン(我が子とは思えない! 僕の愚かな道化成分を、エメリナの純真さが洗い流してくれたとしか思えないっ!)ヒソヒソ…

カイン(でもジェイド、多分お前の前ではあんな恥ずかしいことは言ってない筈なんだけどなぁー……!)ガクリ…

アーシャ(……実は帝都でも、近年のカイン様は優しくなったけど何か物足りない。あの頃こんなこと言ってたのにって話題に……)ヒソヒソ…

カイン(………………それって、今後もずぅっと言われ続ける可能性あるよね?)ヒソヒソ…

アーシャ(ええ。でもよかったじゃないですか。今は帝都の人からもジェイド君からも慕われている何よりの証拠ですよ?)ヒソヒソ…

カイン(前向きに考えるしかないかぁ……。君もよかったじゃないか、愛しのアベルからもソフィアからも評価されていて)ニヤリ

アーシャ(……ええ、嬉しかったです。でも、だからこそより気を引き締めないと!)ヒソヒソ…

アーシャ(あんな真っ直ぐに育ってくれたソフィアに、私と同じ道は歩ませるわけには……///)

カイン(君が何を危惧しているか知らないけど、ジェイドが僕の二の舞になる方が遥かに地獄だよ。僕も気を引き締めよう……!)



エメリナ(頑張り屋なお二人の姿を、この子達が見ていないわけがないのに)ニコニコ

エメリナ(私ももっともっと頑張る。家族みんなで頑張って、もっと幸せになろうね……!)グッ!


――

……

【帝国王城・中庭】


フローレン「……なんであなたがここにいるのかしらぁ?」

ノワール「孫の一人の付き添いですよ。こんなおばあちゃんでも頼ってくれるなんて、嬉しいわ」ニコニコ

フローレン「私だってそうよぉ! 全く、どうしてこうあなたと行く先々で遭遇するのかしらぁ……」ハァ…

フローレン「まぁ? この私とあなたの圧倒的な差を目の当たりにしたら……」

フローレン「あなたのとこの孫も、全員あたしに縋るようになっちゃうかもしれないけどねぇー?」アーハッハッハッ!

ノワール「まあ怖い。そうならないよう、私も頑張りますよ」ニコニコ

フローレン「……」

ノワール「フローレン?」

フローレン「……なんというか、あなたも随分と変わったわよねぇノワールゥ?」

ノワール「そうでしょうか?」

フローレン「そうよぉ! 昔のあなたは口数少なかったし、大人になってからも鉄面皮で面白くない子で……」

フローレン「そんなあなたが、ここ最近はずっと笑顔って……ちょっと怖いくらいよぉ?」

ノワール「……子供達、そして孫達と暮らせる平和な時間。それが、ようやく手に入ったからかもしれませんね」

ノワール「でも変わったといえばフローレン、あなたもじゃないですか?」

フローレン「……そうねぇ。認めたくないけれど、あなたの言う通りかもねぇ……」

フローレン「昔だったら、とっくに飽きてそうなことを今も続けている。子供達は玩具にしたけど……孫には、そういう気持ちがないしぃ……」

ノワール「あなたなりの、贖罪なのでしょうか? カインとキアラの相談にも乗っているのでしょう?」

フローレン「知らないわよぉ。多少変われど、私は私。死ぬまで私が興味を持ったか否かで世界は決まるのよぉ?」

ノワール「だとすれば、孫の成長に凄い興味があるのでは? カイン達にもね?」クスクス

フローレン「あーもう、相も変わらず嫌らしいわねノワールゥ! ええ、そうよぉ? 文句あるぅ!?」クワッ!

ノワール「いいえ?」ニコニコ

フローレン「……嬉しい誤算だけど、私の孫はみーんな優秀よぉ?」

フローレン「セッカは病弱じゃないアドルランみたいだし、プラチナムは落ち着きがあって冷静」

フローレン「ジェイドはもう魔導書が読めるのよぉ? 同時代のアドルランやカインよりも立派だわぁ」

ノワール「あの子達は私にとっても大切な孫ですし、それは知っていますよ?」

フローレン「血の繋がりあるんだから、わ・た・し・の孫よぉ!」

フローレン「で、そっちはどうなのよノワールゥ? この布陣を破れるかしらぁ!?」

ノワール「やれやれ、大切な孫まで争いの火種にしないでください……」

ノワール「ですが、そうですね……あなたの言う優秀の基準で言うと――」

――

『真っ直ぐな真の貴族の子に育ってほしいと願うパトラ。娘アトラの欲は……』

13アトラ:16(も、もうちょっと我儘言ってもいいんだよ? 歳不相応な愚直な真面目さ)

――


パトラ「――ノワール様! お待たせしてしまい申し訳ありません!」ハァハァ!

パトラ「道に迷われているご老人がいたので、つい案内を……」

ノワール「気にしないで。私もついさっき着いたところですから」

ノワール「困っている人は助ける。アトラに模範を見せることができてよかったではないですか」ニコニコ


アトラ「そぼうえ、こんにちは!」ペコリ

アトラ「フローレンさま、こんにちは!」ペコリ


ノワール「ええ、こんにちはアトラ」ニコニコ

フローレン「……こんにちは」

パトラ「フローレン様もいらしたのですね。もしかして……」

フローレン「残念だけど私は私の用事がちゃんとあるわぁ。あなたの孫の面倒を見るのはノワールだけよぉ?」

ノワール「あらあら。折角だから、私が至らないところを補って貰おうかとも思ったのですが……」

フローレン「……偶々居あわせた天才を頼る気持ちはわかるわよぉ? でも……」

アトラ「……」ピシィ!

フローレン「……アトラ、あなたちょーっと真面目すぎない? そんなぴっちりして疲れるでしょぉ?」

アトラ「いえ! アリスねえさまとおなじくちちうえとははうえのなをいただいたからには、さらなるしょうじんを!」ピシィ!

フローレン「かたいかたいかたいわぁ!? セッカ達すらもうすこし緩いわよぉ!? なにがあったのよこの子!?」

パトラ「わ、私ももう少し我儘を言う子に育ってもよかったと思いはするんですよ?」アセアセ

パトラ「ただ正しい貴族はどうあるべきかなどといったことを赤ん坊の頃から説き続けた結果といいますか……」アセアセ

フローレン「私が言うのも変だけど、力抜くべきところは抜いた方がいいわよぉ……?」

フローレン「……ほら、アトラ。もう少し子供らしく笑ってみなさいな?」っアメ

アトラ「もうしわけありません。じかんがいいんしょくはきしどうにはんします!」ピシィ!

フローレン「パトラァ!? おやつくらい許してあげなさいよぉ!? あと騎士道は絶対関係ないし、真面目に何かが混同されてなぁい!?」

パトラ「その、まだアトラも小さいですし」アセアセ

フローレン「そこだけ子供扱いしなぁい!」

ノワール「……どうです? 優秀な子だと思いませんかフローレン?」

フローレン「優秀が過ぎるというか、英才教育も行き過ぎると毒になるって学べたわぁ……」ハアァ…

フローレン「そういえば、パトラの両親もかなり突き抜けた貴族らしいし、そういう血なのかしらねぇ……」

パトラ「誇りは持っていますが、返す言葉はございません……」

フローレン「まったく……」スッ…

フローレン「アトラ、よぉく覚えておきなさぁい?」

アトラ「?」

フローレン「人からの厚意は、時に素直に受け取ることも大事。ましてやこの天才からなんて滅多にない幸運よぉ?」

パトラ「そうですね。アトラ、ここはフローレン様のご厚意に感謝して頂きましょう」

アトラ「……はい!」

アトラ「フローレンさま、ありがとうございます!」ニパ!

フローレン「……っ!?///」

フローレン「そ、そう。それでいいのよぉ?」サッ

アトラ「あまぁい……♪」コロコロ…

パトラ「ありがとうございます、フローレン様」ペコリ

フローレン「別にいいわよぉ飴玉の一つくらい。それより、ノワールの方の用事をさっさと済ませなさいな」

ノワール「おっとそうでしたね。今日はどのお勉強にしようかしら……」

フローレン「なによぉ、本当に教育熱心ねぇ……飴玉一個で報われる労力じゃないわよ多分?」

ノワール「ああ、大丈夫ですよフローレン。そうお堅い勉強ではありませんから」

パトラ「一般的な勉強は、私以外にもアーシャさん達が手伝ってくれるんです。最近はカインさんにも」

フローレン「ふふ、カインもどんどん成長しているから、当然よねぇ? でもそれじゃあノワールは何を?」


ノワール「――昔アベルにも教えた、食べられる草のお勉強です」

パトラ「――万が一家が没落した時も、アトラには折れず逞しく育って欲しいんです……!」グッ…!


フローレン「もう逞しいと思うんだけどぉ!? もしかしなくてもこの庭の草を食べるつもりだったのぉ!?」ガーン!

フローレン(……セッカ達も、もう少し甘やかしてあげた方がいいかもしれないわぁ……)



タタタタタタ!



パトラ「あら?」

フローレン「はっ!? 色々振り回されて私の本来の目的を見失うところだったわぁ!?」

ノワール「なるほど、フローレンは――」

――

『お母さんも初恋の人も最愛の人もみんな巨乳。そんなマックスの息子アルへの遺伝具合は……』

14アル:92(がっつり遺伝というか父親越え。大きなおっぱいに吸い寄せられちゃう!)

――


タタタタ!


アル「おばあちゃーん!」モニュン!

ノワール「おっと。今日も元気ですねアル」ナデナデ

アル「えへへー///」スリスリ


タタタ!


マックス「はぁ、はぁ! すみませんノワール様ぁぁぁ!?」ズザー!

キアラ「こら、アル。いけませんよ、いきなり走り出すこともですが人様に飛び込むこともですね……」

フローレン「相変わらずねぇ、あなた達もアルも……」ヒキヒキ…

マックス「ひへああぁぁぁ!? お義母様も申し訳ありませんでしたぁぁぁぁ!?」ガバ!

フローレン「おばあちゃんは、私だって教えたでしょうアルゥゥゥゥゥ!?」

アル「もう一人のおばあちゃんおっぱい小さい」

フローレン「」ゴボァ!


パトラ「………………」ゴゴゴゴゴゴ!

マックス「ぎゃああああぁぁぁぁぁ!? 痛い痛い、ゆっくり脇腹を抓り上げないでくださいパトラ義姉様ぁぁぁ!?」

パトラ「マックス、あなたねぇ……」ミチミチ…

キアラ「パトラさん、マックスさんは悪くないんです。私がちゃんとアルを叱れないから……」


アル「あっ! パトラお姉ちゃんもいる! わーい!」ピョーン!

パトラ「なっ!?///」モニュン!

アル「……! おばあちゃんより、もっとおおきい///」スリスリ…

アル「おばあちゃんより上で、お母さんやシアお姉ちゃんより下かなぁ……///」スリスリ…


マックス「」

キアラ「」


ゴイン!


アル「いたぁっ!?」バッ!

アトラ「またですかアル! ははうえやおばさまたちをこまらせてはいけません!」ピシィ!

アル「な、なんだよぅ! ぼくの方がおにーさんなんだぞぉ……!?」プルプル

アトラ「きりつあるきぞくにねんれーはかんけいありません!」

アトラ「あとでアリスねえさまにもいいます! そこにせいざ!」

アル「」ガタガタ…

フローレン「……アトラが堅い理由の一端を担っていそうで頭痛いわぁ……」

マックス「本当に申し訳ありません……」フカブカ…


……


フローレン「今日は予定よりも厳しくお勉強するわよぉ!? まず胸は脂肪の塊! 萎むのぉ!」クワッ!

ノワール「いけませんよフローレン。小さい子には、もっと丁寧に優しく教えないと」

アル「やっぱりこっちのおばあちゃんのほうがいいー///」モニュン!

フローレン「この子に関しては厳しさが正解よぉ! この前なんて大人しいプラチナムからすら怒られてたのよこの子!?」


……


パトラ「……子育ては大変。それは私もわかっているつもりです」

パトラ「ですが、今の内にしっかり教えないと駄目なこともありますからね?」

マックス「俺もキアラちゃんも、注意しているんですけど……」

キアラ「アルはマックスさんに似て、随分と活発な子に育ってしまって……」

マックス「一応はアルも、大人しい時はちゃんとしているんですよ」

パトラ「ええ、それは知っています。アルは他の子よりもお兄さんだし、本人もそれを理解している」

キアラ「皇族の一人として、そして兄として……お勉強も嫌がらずに真面目にしているんです」

マックス「アリスちゃんの真似して、鍛錬も始めたり……ほんと、妙なところは真面目なんだよなぁ」

パトラ「……それは、二人の子供だという証とも言えるわ」

マックス「え?」

パトラ「キアラさんの真面目さや優秀さは今更説明不要でしょう。そしてマックス、あなたも根っこではそうだったでしょう?」

パトラ「……まあ、あなたの唯一の欠点でもあった欲望に正直過ぎる面が色濃いのが悲しいですけど」ヤレヤレ

マックス「父さんに見せた瞬間、我が孫に間違いないって叫ばれましたからね……嫌な遺伝ですよほんと」トオイメ

キアラ「お母様もこうして偶にアルの面倒を見てくれるんだけど……」チラ…


フローレン「父親のせいにしちゃ駄目よぉ!? 遺伝は嘘! でなければなんでキアラだけじゃなくてフィーアまでぇええああえぁぁぁ!」グルグル…

ノワール「フローレン、脱線していますよ……?」

アル「フィーアっぱい!」キラキラ!


マックス「正直、我が子ながらに俺以上にやばいってのはわかりますよ……」

マックス「今はまだかろうじて身内の胸にしか飛びこまないですけど、悪化して街中の人にまで飛びこんだら……」ブル…

キアラ「お部屋に籠ってお勉強しても、私の胸に飛び込んできちゃって、あまり効果が無かったし……///」

パトラ「……マックスの血が濃いなら、きっと最後には真面目な子になってくれる筈よ」

パトラ「あ、そうだ。今度、アベルさんも交えて子育て悩みを言いあうとかどうかしら? 何か共感できたり参考になることがあるかも」

マックス「いいですねそれ! というか、本当にアベル義兄さまは兄様って崇め慕いたいですよ……」

マックス「色々な人に迷惑かけて、協力して貰って、それでいて子供一人育てるのってこんな大変なんですよ?」

マックス「それをあの人、奥さん達も子供達もしっかり面倒みながら公務もこなしてるって、同じ人間とは思えませんよ」

パトラ「ふふ、アベルさんは私達の自慢の旦那様ですもの♪」

キアラ「でも本当にアベル義兄様、いつも大変なのにアルのこと相談しても大丈夫でしょうか?」

パトラ「アベルさんなら大丈夫ですよ。あ、でも今日は難しいですね。この時間だと――」


フローレン「――から、あなたにもこの世で最も優れた男の血も流れているのよぉ?」

フローレン「あの人の血を引いてるからには、動じず待ち構える姿勢は大切なの。わかるかしらぁ?」

アル「おじいちゃんの、ち……」

アトラ「わたしにも、ながれている?」

ノワール「ええ、そうですよ。勿論、お父さんとお母さんの方が色濃いとは思いますけど……」

フローレン「しかもこの天才の血も流れている最強の遺伝子……」

フローレン「……」

フローレン「……あなたのお母さん、キアラも……かなり遅咲きだったけど、それを証明してみせたわぁ」

フローレン「だから、アル。あなただってその気になればセッカにプラチナム、それにジェイドにだって負けない――」





アル「お母さん、このまえお父さんに負けてたよ? ベッドの上でもうだめーって」

アル「お父さんのほうがつよいなら、お父さんのまねをしなきゃ!」エヘン!





フローレン「………………」バチバチバチィ!

ノワール「………………」ヒュオオォォォォォ!

アトラ「!?」ビクゥ!



マックス「」

パトラ「…………」チラ…

キアラ「あぅ、あぅぅ……っ!?///ち、違うんです!? あ、あれは……///」カアァァァァ!

マックス「いや、俺が悪いんだ……! 俺が、俺が我慢できなくてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」ドゲザ

パトラ「…………仲がいいことは良いのですけどね」アタマオサエ

パトラ「とりあえずマックス、この後は久々に私と一緒に汗を流しましょうね?」ポン

マックス「お願いします……」ガクリ…



……


――

――

【帝都・商店街】


ザワザワ…


アベル「っと……流石に混んでいるな」

アベル「今日はあまり遠出ができず、この辺りが限度だが構わないか?」

シア「勿論ですよ~」ポヤポヤ

ロウル「アベルさんとのおでかけは、どこでも楽しいですからねぇ」パタパタ!

シア「今日はこのあとおやつを買って~」ワクワク

ロウル「子供達の新しい服を作る為にも、布も補充したですねぇ」ワクワク

アベル「ああ、わかった」



ザワザワ…



帝都民1「アベル様だ……今日は、あのお二人とご一緒なのか」

帝都民2「あの人、毎日あちこち動いてないか?」

帝都民3「公務に警邏に家族との時間ってわけているって話だが……お休みになられているのか?」

帝都民1「前は一夫多妻羨ましいって思ったけど、アベル様見ていると無理だって思うよ」

帝都民2「ああ……俺だったら仕事か家庭のどっちかがすぐに崩壊する自信あるよ」

帝都民3「でも、やっぱ羨ましいよなぁ……///」


シア「ふんふん~~♪」

ロウル「ふふ~ん♪」


ザワザワ…


帝都民3「奥様方はみんな超絶美人で、それにあの幸せそうな雰囲気!」

帝都民2「見た目も性格もみんな違うし、本当によりどりみどりだよなぁ」

帝都民1「しかもあのキアラ様とフィーア様が妹だからな。隙が無いぜ……」

帝都民3「ああ。だけどそれ以上に……」チラ

――

『魔法で補助していたけど、元はのんびり鈍足な運動音痴シア。娘オリヴィエは大丈夫なのか……』

15オリヴィエ:69(のんびり屋だけれど、動く時はお母さんよりも少し活発に動けます)

『なかなか素直になれなかったロウル。娘フェリは素直に育ってくれるといいけど……』

16フェリ:90(素直を通り越してもの凄い甘えん坊。娘達の中でも一番べったりな子に)

――


オリヴィエ「おとうさ~ん、まって~」テテテテ!

アベル「ははは、落ち着けオリヴィエ。置いてなんかいかないから安心しろ」ヨシヨシ

シア「迷子は怖いですし、お父さんと手を繋ぐといいと思いますよ~?」

オリヴィエ「は~い」ギュッ…

フェリ「あっ! ずるい~、わたしもパパとおててつなぐの~!」パタパタ!

アベル「わかってるわかってる。ほらフェリ、離すんじゃないぞ?」スッ…

フェリ「ん、パパのてだいすき~……///」パタパタ

ロウル「おうおう、両手に華ですねぇアベルさん。可愛いお嫁さん達に可愛い娘達……」

ロウル「男としてこれ以上の幸せはないんじゃないですか~?」ウリウリ

アベル「あぁ。まさか俺が、こんな時間を過ごせるとは思ってもみなかったよ」

ロウル「む、むぅ……/// そう素直に返されると、こっちまで恥ずかしくなるじゃないですか!///」

シア「ロウルさんもフェリちゃんみたいに、もっと甘えればいいのに~」ポヤポヤ



帝都民3「いいよなぁ……子供って///」ホッコリ

帝都民2「俺も娘からあんな風に甘えてほしいよ……」

帝都民1「本当にアベル様になついているんだな。尻尾があんなに揺れているよ。毛並みいいなぁ」


ロウル「!」ピクン!


ロウル「そうでしょう!?」ズザザザ!

帝都民達「「うおっ!?」」ビク!

ロウル「そう、フェリは凄いんですよ! 見てくださいよまだこの小ささでこの毛の艶と輝き、そして柔らかさ!」

ロウル「この数年で私以外の獣人とも結構会いましたけど、フェリのは圧倒的! ここまでの毛並みは見たことがありません!」

ロウル「それに私に似て感覚も鋭いですから、もう将来の副官の座も決まったようなものですし!」

ロウル「しかもお父さんから腕っぷしのよさと氷の魔力まで継いでいるんですから、もうお母さん超えは確定ですね!」

ロウル「将来は周りの目を気にしなくてもいいくらい立派な子になって欲しいって、願いを込めて名付けましたけど……」

ロウル「あ、キアラ様の本に載っていた想像上の狼なんですけどね? 凄く強い氷の狼の名前から取ったんですよ!」

ロウル「それがどうですか!? 将来を待つ前からこんな凄くて可愛いだなんて、我が子ながら恐ろしい子ですよまったくぅ♪」クネクネ!

帝都民達「「」」

アベル「……ロウル、気持ちはわかるが落ち着け」

シア「皆さんロウルさんの勢いに押されてかたまっちゃっていますよ~?」

ロウル「だってぇ……実際にフェリはすごくてこんなに可愛いんですよ?」ナデクリナデクリ

フェリ「えへへ、ママのてもだいすき~///」パタパタ!

ロウル「ああっ、もう/// 悩んでいた私本当に馬鹿みたいです! 産まれてきてくれてありがとうフェリッ!」ムギュー!

シア「ロウルさん、本当に嬉しそうです~」

シア「でも、私も気持ちはわかりますよ~? オリヴィエも私の願い通り、のんびり優しい子になってくれましたもの~」ホクホク

アベル「そうだな。俺の娘達はみんな妻に似たのかみんなにそっくりないい子ばかりだ」

オリヴィエ「いいこ~?」

シア「ええ、とってもですよ~♪」ナデナデ

アベル「……フェリだけは、ロウルに似ず随分と甘えん坊だがな」

ロウル「それだけフェリが凄いってことですよぉ♪」パタパタ!

アベル(やれやれ……気がついているか、ロウル?)

シア(その嬉しそうな姿はそっくりそのままフェリちゃんですよ~?)

ロウル「まあでも、私の拗れた部分を継がなかったのは本当によかったですよ」

ロウル「その点オリヴィエちゃんはシアさんの血が濃いですよねぇ」

アベル「というより、娘全員俺の部分はあまり出ていない気もするんだが……」

シア「そんなことないですよ~? いい子ばかりなのはアベルさんの血と教育のおかげですよ~」

シア「それにこの綺麗な紫の瞳もアベルさん譲りで大好きです~♪」

オリヴィエ「ん~?」トローン…

ロウル「あはは。まあ鋭さは無く、シアさんよりもとろんとしてますけどねぇ」

シア「……でも、おやつを出すと~?」サッ!

オリヴィエ「!!」シュバッ!

ロウル「あっ! 一瞬だけ眼光がアベルさんそっくりになりましたよ!?」

フェリ「オリヴィエ、おやつとるのいつもわたしよりはやいの!」

ロウル「なっ……フェリの反応速度以上だなんて、甘い物に対する執念もアベルさん譲りですか!?」

アベル「待て待て、何故俺由来のものになる! 甘味への欲の強さはシアの方だろう!?」

シア「その言い方にはちょっと疑問がありますよ~!?」


パキン!


オリヴィエ「はい。フェリにもはんぶんこ~♪」

フェリ「わーい! オリヴィエありがとうー!」パタパタ!

ロウル「……子供達の方が、私達よりもある意味大人かもしれませんね///」

アベル「だな……///」

シア「本当に優しい子に育ってくれて、嬉しいです~……///」

フェリ「……!」ピョコン!

フェリ「パパたちも、おやつたべる?」

ロウル「ん゛うぅぅぅぅ!///」パタパタパタ!

シア「フェリちゃんの優しさにロウルさんが痙攣しています~!?」ガーン!

アベル「だからロウル落ち着け! 嬉しいのはわかるんだが……」



帝都民達「「」」



アベル「……このままでは俺達の威厳が地の底だ///」

ロウル「」

シア「」


……

――

――

……


ロウル「うぅ、恥ずかしいです……///」

アベル「だから落ち着けと言ったんだ」

アベル「まあ、俺達の威厳なんてとっくに無くなっているだろうし、今更ではあるか」

ロウル「ど、どういう意味ですかそれぇ!?」

アベル「ロウルはついさっき、フェリの可愛さを興奮しながら語っていたじゃないか」

アベル「内容が事実であれ、あの勢いで詰めよれば親馬鹿と呼ばれても仕方がないだろう?」

シア「わ、私は~!?」ワタワタ

アベル「……王国協賛、帝国甘味大会」ボソリ

シア「!?」ビクン

シア「な、なんのお話でしょうか~?」アセアセ

アベル「……オリヴィエ、お母さんがこっそりもってきたお菓子は美味しかったか?」

オリヴィエ「おいしかった~♪」

ロウル「シアさん、またこっそり大会出てたんですね……」

アベル「以前とは立場も変わっている。俺のところにも報せが来るのは当然だろう?」

シア「あ、穴があったら入りたいです~……」プルプル…

アベル「……それも含めて、あまり気にするな」

ロウル&シア「「え?」」

アベル「下手に威厳を振りまくよりも、ありのままの姿を見せた方が……きっと子供達にも慕ってもらえるだろうしな」

アベル「さ、少し表通りを外れるが買い物の続きにいこう」

ロウル「そ、そうですね!」

シア「この道なら、みんなで手を繋いで横になっても大丈夫でしょうか~?」

アベル「そうだな。ここならそれもできるか。よし、フェリ、オリヴィエ」サッ

フェリ「こんどはこっちのおててにぎるー!」ギュッ…

オリヴィエ「わたしはこっち~」ギュッ…

シア「それじゃあ、私は空いた手を~」ギュ

ロウル「あはは、流石にこれは帝都じゃ難しいですねー///」ギュ

シア「お買いものはどこから行きます~? あ、折角だから皆さんにもお土産買っておかないと~」ポン

ロウル「そうですねぇ。特に今日はアリスちゃんとエリスさんくたくたでしょうし……」

アベル「ああ、念の為にティアも同行を買って出てくれたんだが……」

シア「だ、大丈夫でしょうか~……?」


……

――

――

【帝都・鍛錬場】



帝国兵1「おらぁっ!」ブオン!

帝国兵2「うおっと!?」ギィン!

帝国兵1「へへっ、勝負ありだな」チャキン!

帝国兵2「ってー……また強くなったんじゃないかお前?」

帝国兵1「まぁな。むしろお前こそ、今の一撃は防いできそうなもんだが……」

帝国兵2「その前の無理に防いでから、ちょっと腕痛めてんだよ」

帝国兵2「なさけねえが……いいこともあるな///」ニヤニヤ…


ティア「だ、大丈夫ですか?」パタパタ!


帝国兵2「おぉ、ティアちゃん悪いな! ちょっとこっちの腕が……///」デレデレ

ティア「ここですね。ちょっと待っててくださいね」パアァ!

帝国兵2「あぁー……ティアちゃんの癒しの力が染み渡るわぁ……///」デレデレ

帝国兵1「お前なぁ……」ハァ…

ティア「はい、これで大丈夫ですよ。無茶はしないでくださいね……?」

帝国兵2「おう!///」デレデレ

帝国兵1「なぁに気の抜けた顔してんだ。アベル様にどやされても知らねえからな?」

ティア「だ、大丈夫ですよ。アベル様はとてもお優しい方ですもの」

帝国兵1「……確かに、本来ならアベル様の妃であるティアちゃんにも相応の敬意を払うべきところだ」

帝国兵2「それを昔どおりに接することも許してくれたのは、俺らからすると本当ありがたいんだよな~」

帝国兵2「アベル様と結婚して、ティアちゃんが一気に遠い存在になった感じしたしさぁ……」

ティア「いえ、私は何も変わっていません。アベル様に救われた、ただの衛生兵の一人ですよ?」

帝国兵達((ますます美人になってるし、回復速度も上がってるのになぁ……))

ティア「相変わらず体力も無くて……鍛錬に私まで混ざって、お邪魔ではないでしょうか?」

帝国兵2「全然全然! ティアちゃんと一緒に走り込みできるなら、俺は帝都何週でもできるね!」

帝国兵1「アベル様やアドルラン様流の鍛錬やったら、ぶったおれかねないもんなぁ……」

ティア「小さなことからこつこつと。はやく、皆さんに並べるだけの体力がつくといいなぁ……」

帝国兵2「まあ、俺らでよければいつでも鍛錬に付き合うから、遠慮なく声をかけてくれよな!」

帝国兵1「それは俺らが言う言葉ではないだろうに。さっきみたいに回復の世話にもなりっぱなしなんだから」

帝国兵2「そ、それはそうなんだけどな。ところでティアちゃん?」

ティア「なんでしょう?」

帝国兵2「今日は、アリアンナちゃんは?」

ティア「アリアンナは――」


――

『時々想いが暴走しちゃうティア。彼女のそれは母譲りだったが、娘アリアンナは……』

17アリアンナ:18(ティアの本来の心優しさのみ継承。でもお母さん以上に人見知りかも?)

――


アリアンナ「……あ」ピクン!


ティア「……あそこの木陰ですね」

帝国兵1「あー、まだ心を許して貰えないか」

帝国兵2「いや、この前会った時より木一本分前に来てくれてるぞ!」グッ!

帝国兵1「なぁ、やっぱり俺らがティアちゃんになれなれしいのが原因なんじゃないか?」

帝国兵1「アベル様が認めてくれているとはいえ、傍からみたら俺ら命知らずの不敬者だし……」

帝国兵1「さらにアリアンナちゃんから見たら、お母さんが知らない男と話しているって不味い現場のような……」ダラダラ

ティア「い、いえアリアンナが人一倍人見知りというか、照れ屋さんなだけです……」

ティア「おうちでは、みんなとも仲良く遊んでいるんだけどなぁ……」

帝国兵2「そりゃあ家にはアベル様に美人な嫁さんと可愛い姉妹が沢山いるわけだろう?」

帝国兵1「いかつい俺らとじゃ、天と地程の差があるよなぁ……」


アリアンナ「うぅ……」ジリ…


帝国兵2「でも、ちょっとづつこっちに近寄ってきているような……?」

帝国兵1「俺達に慣れようって気持ちは持ってくれているんだよなぁ……ティアちゃんに似て、いい子だよ本当」ウンウン

ティア「私も、人前はあまり得意ではないから、そこが似てしまったのかもしれません」

ティア「でも流石にあそこまで臆病だと、今後に支障が出てしまうかもしれませんよね……」

ティア「ちゃんと優しい人達なんだって、教えてあげないと」スク…

帝国兵達「「……へへ///」

ティア「アリアンナ? この人達は大丈夫。だから、こっちへいらっしゃい?」ニコリ


アリアンナ「おかあさま……」オズオズ…

アリアンナ「…………」

アリアンナ「……」トコトコ…


帝国兵1「……やばい、可愛い/// ちっちゃいティアちゃんみたいだ///」

帝国兵2「……アリアンナちゃん大きくなったら、俺と結婚してくれないかなぁ///」


ゴス!


帝国兵2「いってぇ!?」バッ!

ネスト「はいはーい、馬鹿な発言は控えておこうなー?」ヒラヒラ

帝国兵2「てめ、ネスト! 何するんだよ! アリアンナちゃんが怖がったらどうすんだ!?」

ネスト「おっとそれは確かに。でもな?」

ネスト「――今の発言、アベル様に聞かれてたら命の保証できないから気をつけろ? あの人、娘全員溺愛してるからな……」ヒソヒソ…

帝国兵2「お、おぅ……」ゴクリ…

ティア「ネストさん、お疲れ様です」

ネスト「お疲れ様でーす。いやぁ、六妃の一人がこんなむさ苦しいところにいるってのも凄い話だよほんと」

ティア「み、皆さんもあちこちに出払っていると思いますよ?///」

ネスト「はは、確かに。アベル様もみんなも、従来の皇族の柵とかは気にしてないってのは大きいよね」



アリアンナ「……こ、こんにち、は?」プルプル

帝国兵1「おぉ……っ///」フルフル

帝国兵1「こんにちはアリアンナちゃん。俺はね……」


帝国兵2「あぁー! てめ、俺がちょっと目を離した隙になに抜け駆けしてんだ!?」



ネスト「で、今日はどうしたのさ。アリアンナちゃんも連れて鍛錬は流石に無茶だと思うけど」

ティア「その、私はいざという時の備えです。大丈夫だと思うけど、エリスさんとアリスちゃんが怪我をした時のために……」

ネスト「……」

ティア「さ、流石にこの奥には踏み込めないので、待っている間にここで兵士の皆さんに混じったり回復したり……」

ネスト「はぁ……無茶はしていないようでよかったよ」

ティア「ネストさんはどうしてこちらに?」

ネスト「……アベル様からの指令。同行を申し出てくれたけど、やっぱりティアちゃんのこと心配なんだってさ」

ティア「アベル様……///」ジーン…

ネスト「いや、俺もその気持ちすごいわかるわー……だってあのティアちゃんがだよ?」

ネスト「帝国兵の集まる鍛錬所にいるってだけでも不安だけど、あの人の傍に自ら近寄りそうなことをするって……」

ネスト「本当、大丈夫? 俺以外の面子も来てるし、今からでも代わろうか?」

ティア「ありがとう、ネストさん。でも、大丈夫です……」

ティア「まだ直接相対したり、鍛錬の様子を眺めることはできないけど……いつかは必ず」

ネスト「……君も強くなったねぇ」

ティア「アベル様のお傍に、ずっといたいですから……///」

ネスト「おお熱い熱い。それじゃ、俺達もここで待機しておくかー。あ、アリアンナちゃんとも遊んでいいかな?」

ティア「は、はい! きっとあの子も喜ぶと思います!」

ネスト「よしきた! ――お前達!」


斥候部隊「「子守りは任せろ!」」シュバッ!


アリアンナ「ひぃっ!?」ガクブル!

帝国兵1「あ、馬鹿かお前達!?」

帝国兵2「そんな塊で一斉に来たらアリアンナちゃん怖がるに決まってんだろ!?」


斥候部隊「「」」

ネスト「……俺達が、任務を、しくじっただと……!?」

ティア「うーん、アリアンナの人見知り、アベル様にもご相談した方がいいかなぁ……?」


……

――

――


【帝都・鍛錬場奥地】



キィィィン!


ガキン!


ドゴォ!



ギルバート「ぬうっ!」バッ!

エリス「くっ!」バッ!


ギルバート「やりおる。また腕を上げたようだなエリスよ」チャキン

エリス「いえ、まだギルバート様の足下にも及びません……」チャキン

ギルバート「ふっ、我は更に高みを目指す。そうそう抜かれるわけにはいかぬ」

ギルバート「しかし誇れエリスよ。お前は間違いなく、帝国が誇る最強の剣よ……」

エリス「お褒めの言葉、ありがとうございます。ですが私も、より高みを目指さなければならないのです」

エリス「私はアベルさんの剣であり、妻であり……」


アリス「……」ジー…


エリス「この子の、母親なのですから!」

ギルバート「ふははは! メイドに拘りがあったお前がどう変わるのか少し気になってはいたが……」

ギルバート「なるほど、子を得ることで母の強さを手に入れるか。フローレンが持ちえなかった強さでもあるな……」

エリス(……実はアベルさんの前では今もメイド服を着たりすることは黙っておきましょう)

ギルバート「あの日、お前達に敗れ……キアラの願いで、今日まで我は生き延びてきたが……」

ギルバート「……今であれば、言える。この時を過ごせているということに、感謝するぞ」

エリス「ふふ、それは是非キアラ様やフィーア様にお伝えください」ニコリ

ギルバート「……そうだな。キアラも魔法の才だけでなく教育の才まで開花させた」

ギルバート「息子のアルは未だ未熟ではあるが……光るものはある。いずれあやつとも鍛錬をしてみたいものよ」

ギルバート「それにフィーア……やはり我の見込んだ通り。つくづく、我が子や孫達は我を楽しませてくれるわ……!」ククク!

エリス「……」

ギルバート「……だが、それ以上に我を昂ぶらせるは――」

――

『ギルバートも興奮する才の持ち主アリス。アベルとエリスの血を継ぐ彼女の戦闘スタイルは……』

18アリス:50(どちらにも偏らない完璧な『二刀流』。幼い身ながらに、戦況に合わせて戦い方を変えられます)

――

ヒュォッ!


エリス「っ!?」バッ!


アリス「……っ!」サッ!


ギルバート「ふふふ、良い反応だぞアリスよ……!」

アリス「おじい様、ありがとうございます」ペコリ

エリス「ギルバート様っ! いくら小石でも、あなたの腕力で投げつければ怪我ではすまないのですよ!?」ハラハラ

ギルバート「案ずるな。我も加減は心得ておるわ」

ギルバート「それよりもエリス。お前は気がついたか?」

エリス「え?」

ギルバート「我がアリスに石を投げた時、お前は剣を抜きそれを切り捨てようとした」

ギルバート「確かに、お前の反応速度であれば出来るであろう。だがアリスは、回避を選択した」

ギルバート「先程まで、間近で我とお前の模擬戦を熱心にみていたこやつが、だ」

ギルバート「子供であれば、親の真似事をすることも多い。だがアリスはそれをしなかったのだ」

ギルバート「己の今の力量を理解し、冷静に対処する……これはどちらかといえば、アベルの血か?」ククク…

ギルバート「良い、良いぞ……! まさかその歳で既にこの域とは、今後も成長が楽しみよ……!」

エリス「アリスを害するつもりなら、私もこの身を賭してお相手しますからねっ!?」プンプン!

エリス「アリス、大丈夫だった?」ドキドキ

アリス「だいじょうぶです、お母さま。お父さまは言いました。にげることははじではないと」

アリス「今はかてずとも、いつの日か。お母さまのように石もきれるようになってみせます」

アリス「わたしはお父さまとお母さまのむすめで、みんなのお姉さんなのですから!」

アリス「たんれんはうらぎらない、ですよねお母さま? いつかお母さまやお父さまをたすけられるくらい強くなります!」フンス!

エリス「あああぁぁ……! 嬉しいのに、今になって自分の発言を後悔しそうです///」

エリス「私はあなたに、もっと平和で穏やかな時間を過ごして欲しかったのに……」

アリス「お父さまとお母さまといっしょにいるときはすごくおだやかですよ?」キョトン

エリス「んうぅ……/// そうではなく……」

ギルバート「ふはははは! 血は争えぬか。野心を抱き我を下そうとしたアベルに、それに忠誠を誓い鍛錬を怠らなかったお前の子だ」

ギルバート「アリスは必ずや、我を満足させるに足る立派な強者になろうぞ!」クワッ!

エリス「うぅー……」ガクリ…

ギルバート「それに、エリスよ。お前自身もわかってはいるのだろう? わかっているからこそ、お前は今も強くなろうとしている」

ギルバート「そして、鍛錬の様子をアリスに見せている。現実から目を背けさせていない……」

エリス「……」

――

19『おまけ・現在の帝国の『海』の攻略具合』

50>30(漁はできるが、まだ未知の大陸を求めての大航海は難しい)

――


ギルバート「……この世は、広い」

ギルバート「我はお前達に敗れたが……その後、海でも敗北を喫した。完敗と言っても相違ないだろう」

アリス「おじいさまが、まけた……?」

ギルバート「お前の母は、海すらも己が戦場として戦えそうだがな。問題はそこではない」

ギルバート「海は強く、そして王国領よりもさらに広大だ。我が海を完全に克服したとして……攻略は未だ難しかろう」

エリス「王国や聖国の協力もあり、今は造船業も発展してはいますけど……」

ギルバート「あの程度の船、嵐がくればすぐに崩れる。白帝の翼で飛ぼうとも、餌が無ければ奴の体力が先に無くなる」

ギルバート「海の先に何があるのか。何もないのか。それは誰にもわからぬ。だからこそ、この先何が起こるかもわからぬ」

アリス「……?」

ギルバート「よいか、アリス。これだけは覚えておくがいい」

ギルバート「――たとえこの世が実力主義でないとしても、自らを高めることだけは努々忘れるな」

ギルバート「もしかすると、海の先には我がまるで歯が立たぬ強者がいるかもしれぬ」

ギルバート「そうでなくとも、意思無き海の荒波は、どれだけ懇願しても慈悲の心を見せることはない」

エリス「……そうですね。それは、他の災害や魔物達にも言えることです」

エリス「確かに、私達は強くなりました。それでも、完璧ではないんです」

エリス「……大切なものを守りたい。そう思うことは、みんなできます」

ギルバート「だが、それを実現できるかは個々の力よ。野心を持ったにせよ、やはり力を伴わなければ実現はできぬ」

ギルバート「お前の父や母達は、それを怠らなかった。故に我を打ち倒し、こうしてお前や姉妹たちは今存在するのだ」

ギルバート「お前が平穏な時を望むにしても……家族を守りたければ、強くあれ」

ギルバート「日々自らを高め……そしていつの日か、我に挑むがよい」ニィ…

アリス「はいっ!」

ギルバート「くく、実に楽しみなことよ。では明日からは毎日我と――」

エリス「……」

エリス「確かに、何かを守るためにも成し遂げるためにも、力は必要。それは私もわかります」


エリス「――でも、その力は学力も含まれていますよね?」


ギルバート「!?」ピクン!

エリス「なんだか今のギルバート様を見ていると、これからどんどんとアリスを鍛錬漬けにしそうな雰囲気でしたけど……」ジト…

ギルバート「う、うむ。お前のその強さも日々の鍛練――」

エリス「私はアベルさんの為に、他のことも頑張っていました! お掃除にお料理は勿論ですが、お勉強もです」

エリス「まさか、はやくアリスと戦いたいからと本当に鍛錬ばかりなさるおつもりですか?」ジトー…

エリス「アリスはまだ小さいんです。この頃は、お勉強もとっても大切な筈ですよ!」

アリス「はい。ソフィアやアトラも、おべんきょうがんばっています」

エリス「ですよね? お聞きになった通りですのでギルバート様、鍛錬はまだ月に数回程度で大丈夫です」ニコリ

ギルバート「ぬ、ぬぅぅ……」ガクリ…


……

――

――


【帝国・アベルの城塞】



アベル「ふぅ、今戻ったぞー」


アーシャ「あら、お帰りなさいアベル。もうすぐ夕飯の用意もできますよ」

パトラ「きょ、今日は私も少しだけ作ってみましたので、後ほど感想を頂けると……///」ドキドキ…

アベル「ああ、楽しみにしているよ。そっちはどうだった?」

アーシャ「ふふ、それはね……?」チラ

ソフィア「おとうさま、おとうさま! わたしもまどうしょがよんでみたいです!」ピョンピョン!

アトラ「ちちうえ! きょうはフローレンさまからあまいあめをいただけました! あ、あとアルがまた……!」

アベル「その様子だとジェイドに触発されたか? わかった考えておくよ」ナデナデ

アベル「そしてアルはまあマックスの子だし仕方がないとして……フローレンが?」ビックリ

パトラ「その、少しアトラが堅すぎるとご指摘を受けまして……///」

アベル「……なるほど、頑張ったご褒美みたいなものか。確かにアトラは物欲もないしなぁ……」

シア「はいは~い♪ それなら大丈夫~! 今日は甘いものを材料以外にも沢山買って来ましたよ~」ドサ!

オリヴィエ「みんなでわけっこしましょ~♪」

アトラ「……」ゴクリ…

フェリ「もー、アトラったらもっとよろこびなよー? パパやママにオリヴィエもえらんだんだよー?」

アトラ「う、うん……///」

ロウル「ふふ、アトラちゃんも今しっかり喉を鳴らしていましたし、やっぱり実は我慢してたんですかねぇ?」

ロウル「駄目ですよー我慢のし過ぎは。もっと自分に正直に生きないと!」パタパタ!

アーシャ「あら、いい尻尾の揺れ具合。ロウルちゃんも今日のおでかけで素直になれたのかしら?」クスクス

シア「ふふ、実はですね~?」ニコニコ

ロウル「そ、そう! 実は帝都でもフェリの可愛さが圧倒的に帝都の人の注目の的で! アドルラン様の政策にも感謝ですよぉ!」アセアセ

アベル「ああ、そうだな」クスクス

ソフィア「わたしたちも、フェリはだいすきです!」

フェリ「……///」パタパタ!

アーシャ「ふふ、楽しい一日を過ごせたならなによりだわ」

パトラ「ところで、エリスさんとティアさんは?」

シア「ん? まだ戻られていないんですか? ちょっと心配ですけど~……」


ヒヒーン!


ロウル「今の鳴き声は、ファフニールですかね。となると……」


バタン!


エリス「お、遅くなってしまいもうしわけありません……!」ハァハァ…

ティア「ごめんなさい、これでもファフニールに頑張って貰ったんですけれど……!」ハァハァ

アベル「はは、落ち着け二人とも」

アーシャ「夕飯には間に合っていますから、ゆっくり……あら?」


アリアンナ「んにゅ……」スゥ…


ティア「ネストさんや兵士の方がアリアンナと遊んでくれたんです」

ティア「久々に家族以外と遊んで楽しめたのか、いつのまにかぐっすりです」ナデナデ

アベル「そうだったのか。アリアンナが俺達以外にも心を開いてくれるのはいい傾向だな」ナデナデ

シア「気持ち良さそうですね~。もうちょっと寝かせてあげましょう~」ポンポン

パトラ「では、アリスちゃんは……」


アリス「わたしは、だいじょうぶです! まだ、がんばれます……!」ウツラウツラ…


ロウル「あらら、やっぱり相当お疲れじゃないですか……」

エリス「お勉強もしなければと、ギルバート様との鍛錬を切り上げようとしたのですが……」

エリス「その、何かと理由をつけて鍛錬の時間を引き伸ばされて今に至ります……」ガクリ

アベル「父上にももう少し俺達から強く言った方がいいのだろうか……子供にさせる鍛錬量じゃないぞ?」ダラダラ

エリス「ティアさんとファフニールがいなかったら、もっと帰りが遅くなっていたかもしれません……」

オリヴィエ「アリスだいじょうぶ~? これたべる~?」スッ…

アリス「あ、ありがとうオリヴィエ。でも……」



カンカン!



アーシャ「それは食後に食べましょう? お夕飯が入らなくなってしまうわよ?」

アベル「そうだな。それじゃあみんな、ちゃんと綺麗にしてからご飯を食べような?」


娘達「「はーい!」」



……

――

――――
―――
――



【城塞・アベルの私室】


アベル「……」カリカリ…

アベル「……」カリカリ…

アベル「ふぅ……」パサ…


コンコン…


アベル「ん、あいているぞ?」


ガチャ…


エリス「もう、やっぱりまだ起きていらしたんですねあなた?」

アベル「す、すまない。だがエリス、今日は父上の相手で疲れただろう?」

エリス「最近は少し慣れてしまいました……今日アリスに投石したのには、かなり驚きましたけど」

アベル「またそんな無茶を……だからか」チラ…

アリス「くぅ……くぅ……」

エリス「あら、やっぱりここにいたんですね」ナデナデ

アベル「ああ。俺の仕事の様子を勉強すると意気込んでいたが、やはり疲労や緊張は相当だったんだろう」ナデナデ

アベル「明日はエリスとアリスでどこか息抜きにでかけるとしようか?」

エリス「ふふ、嬉しいですけれどお仕事の溜めすぎもよくありませんよ? 眠気覚ましに紅茶はいかがですか?」カチャ…

アベル「いただこう。なに、仕事の方は急ぎのものは済ませてあるんだよ」コク…

アベル「これは、俺が個人的に書いている本の続きだ」スッ…

エリス「あっ、ふふ……子供達の成長記録でしたか。これは時間がかかってしまうのも仕方がありませんね」

アベル「ああ。みんなから聞いた出来事はその日の内に書いておきたいしな」カリカリ

エリス「……そういえば、以前から気になっていたのですが」


祝福の羽ペン「……」キラキラ…


アベル「ああ、これか。不思議とこの羽には惹かれるものがあってな。アリスが産まれてからペンにしたんだよ」カリカリ

アベル「なんだかこれで子供達の記録をつけていると、子供達の未来が穏やかなものになりそうな気もするんだ」カリカリ

エリス「確かに優しい光で落ち着きますね……」ホゥ…

アベル「だが、あの子達を本当に幸せにするには俺達が頑張るほかはない。その為にもエリス……」スッ…

エリス「ええ、勿論です。いつまでもどこまでも、私はあなたのお傍に……」ギュッ…

アベル「……ありがとう。俺のこの幸せが、みんなの幸せが、どこまでも続くといいな」カリ…





アベル「――この世界に生きる全ての者に、祝福を……」パタン…





※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

    剣と魔法の世界で生き延びる   ~Fin~

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

これにて、アベル達の物語は完結となります。
深く考えず初めてこのようなスレを立てて、しかも年単位で続けてここまで来れたのも、
更新不安定でもこのスレに参加してくださった皆様のおかげです

プロットは幾つも木端微塵になりましたが、荒ぶるコンマは悶えつつ私も非常に楽しかったです
前スレ1000のこともあり、別大陸の話も考えてはいますが、出来ても正直更新速度は不安定になるかと思いますが……
見切り発車で新しいスレを建てているかもしれませんが、コンマを大量に取って悶えていれば多分それが私です

最後に改めて、本当にありがとうございました!

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