【安価とコンマ】剣と魔法の世界で生き延びる その12 (1000)
このスレは安価やコンマで、剣と魔法な世界を生き延びていくスレでした
無事に本編を終え、おまけイベントまで行えるのもご参加くださった皆さんのおかげです。本当にありがとうございます
亀更新、深くは考えていない行き当たりのため、途中で色々変わってしまうかもしれませんがご容赦を
1スレ目:【安価とコンマ】剣と魔法の世界で生き延びる - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1540304018/)
2スレ目:【安価とコンマ】剣と魔法の世界で生き延びる その2 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1542121865/)
3スレ目:【安価とコンマ】剣と魔法の世界で生き延びる その3 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1543929376/)
4スレ目:【安価とコンマ】剣と魔法の世界で生き延びる その4 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1545921848/)
5スレ目:【安価とコンマ】剣と魔法の世界で生き延びる その5 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1548681923/)
6スレ目:【安価とコンマ】剣と魔法の世界で生き延びる その6 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1551797151/)
7スレ目:【安価とコンマ】剣と魔法の世界で生き延びる その7 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1554041371/)
8スレ目:【安価とコンマ】剣と魔法の世界で生き延びる その8 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1556032998/)
9スレ目:【安価とコンマ】剣と魔法の世界で生き延びる その9 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1559569280/)
10スレ目:【安価とコンマ】剣と魔法の世界で生き延びる その10 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1562509135/)
11スレ目:【安価とコンマ】剣と魔法の世界で生き延びる その11 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1567088566/)
~簡単な当スレの解説~
※ストーリーそのものは1~10スレ目で完結済です
※キャラクター詳細や歩んだ道のり等は、過去スレをご参照ください
※1000ボーナスや残ったゾロ目チケットを消費してのおまけのイベントがメインのスレとなります
※チケット残数は現在5枚
※これまでのおまけは以下の通り
EX1【戦いを終えて~~深紅の令嬢との約束~~】
EX2【戦いを終えて~~帝国皇女姉妹の冒険~~】
EX3【戦いを終えて~~聖国新米衛生兵の奮闘~~】
小イベ『綺麗綺麗しましょ』
EX4【戦いを終えて~~帝国皇女と王国騎士の触れ合い~~】
EX5【戦いを終えて~~帝国恋愛模様~~】
・このスレは参加して下さる皆さんのおかげで成り立っています
・行動選択、多数決以外でのゾロ目は基本的になんらかのボーナスがつくと思います(状況的に奇数より偶数ゾロの方がいい結果が多いです)
・判定は通常判定と特殊判定がありますが、基本的に差はありません。特殊判定はゾロ目チケットが使えないだけです
・ゾロ目の中でも00はハイパークリティカル。確実にプラス傾向のイベントになります
・頻繁に安価とコンマ判定が飛びます
・質問には答えられる範囲で答えます
・特殊判定は判定内容により、高コンマがよかったり低コンマがよかったりと変化します
・コンマ結果は全て運です。誰かを責めたりせずに楽しみましょう。自分を責めるのもやめましょう。ある意味ここが一番大事です
・現在ゾロ目チケット枚数は5枚。範囲外のゾロ目三連打やイベント等で補充されるかも……?
・おまけのイベント等は、その都度安価募集。多数決とコンマを用いて採用します
・処理している情報量が増えた&想定外なこと乱舞の為、数値を間違えることが多々あります。お許しください
・抜けている判定などがあれば、ご指摘をお願いします
前スレ>>1000りょうか……もぎゃー!(爆散)
Rは多少覚悟していたけど、あの二人の初体験かー……これまた難題ですが、頑張ります
それでは前スレからの続きをゆるゆると
アルフ「アドルランと同類の私も、もし少しでも気にかけている女性がいれば……」
ヒバリ(アドルランの方がかっこいいけどねー)
アルフ「このドレス姿で現れたら、こう……ぐっとくるやもしれん。いや、ぐっとくるだろう」
ヒバリ「確かに、花嫁衣装で迫るなんて真似はしたことなかったけど……」
ヒバリ「――ありかもしれないわね!」
リーナ「兄上は知将と謳われた聖国が誇る将……」
リーナ「そんな兄上の策ならば、上手くいくかもしれませんわね……」
ロウル(私の中では、リーナさんもアルフさんも突撃眼鏡の印象が強いんですがねぇ……)
アーシャ「確かに、アドルラン様を振り向かせるには強硬手段――」
ティア「ふ、二人がかりで――」モガモガ…
シア「ティアさーん? 落ち着きましょう~?」アセアセ
アーシャ「――花嫁姿で、直球で求婚するしかないのかもしれません!!!」
ルーシェ「!!!」
アルフ「うむ。マークス神父、ドレスの貸し出しなどは?」
マークス「普段であれば流石に国外に持ち出す真似はしませんが……」
マークス「彼女達ならば信用できますし、なによりそれが恋路の役に立つのであれば神もお許しくださるでしょう!」
マークス「ルーシェ君! 頑張りたまえ!」ガシ!
ルーシェ「は、はい!?」
エリス「あの、その……わ、私もよろしいでしょうか……?///」
ヒバリ「あ、その……突然だけど、私もいいかな……?///」
マークス「勿論だとも!」
アーシャ(これは……)
ロウル(あのアドルラン様も、もしかするともしかするんですかね……?)
アーシャ(エリスちゃんとアベルは……考えるまでもないですね)
ロウル(アベルさんも、きっと真っ赤になるでしょうねぇ……)
――
※基準値90を超えたため、最後に追加イベント発生
――
――
……その頃、帝国では
アイナ「ふんふ、ふんふ~ん……♪」
スミレ「アイナさん、もう少し落ち着いて……」
アイナ「ねえねえスミレちゃんはどんなドレスを着てみたい?」
スミレ「ボ、ボクは……」
エメリナ「……?」
……
カイン「ふぅ……今日の分はこれで片付いたかな」
カイン「僕は表立って動けないし、こういったことぐらいしか兄さんには勝てないけど……」
コンコン…
カイン「空いてるよ。エメリナだろう?」
ガチャ…
エメリナ「カイン様、頼まれた道具を一式買って来ましたけど……」
カイン「ああ、ありがとう。そこの机の上に置いておいてくれるかな」
エメリナ「あの、カイン様?」
カイン「ん、何かあったのかい?」
エメリナ「その……メイドの間で、結婚が流行っているのでしょうか?」
カイン「……なんだって?」
エメリナ「その、なんだかアイナさんもスミレさんも……」
エメリナ「あと遠くで、ルーシェさんがびったんびったん跳ねながら結婚したいって叫んでいたような……」
エメリナ「多分、結婚式……ウエディングドレスのことだと思うんですけど……」
カイン「……ルーシェの方は見間違えじゃないのか?」
カイン「しかし、そうか結婚か……」
カイン(そういやアベルの奴は、結構前からあのエリスとも……)
特殊判定
↓1~2コンマ二桁
ルーシェだけが突き抜けていたことが確定しました(白目)
1:カインの結婚式への憧れ
31+10(アベルとエリスの関係)+25(モテなかった青春)>50
2:エメリナの結婚式への憧れ
46+10(メイド仲間の反応)>50
※基準値を超えたため……?
――
カイン「……///」
エメリナ「……///」
カイン(以前の僕なら、女を選び放題な兄さんを僻んでいただろうけど……)
カイン(今の僕は違う。現実を知り、何よりエメリナが傍にいてくれている……)
カイン(式にはそこまで強い思い入れはなかったつもりだが、ウエディングドレスか)
カイン(……エメリナが、ドレスの裾を踏んづけて転ばないように僕が支えなきゃな)フフ…
エメリナ(結婚式……///)
エメリナ(わ、私はメイドだし、この服も気に入っているけど……)
エメリナ(でももし、私にも許されて、ドレスを着てカイン様と並べたら……///)
エメリナ(カイン様は普段からスーツの着こなしがばっちりですし、きっと結婚式でもカッコいいだろうな~……///)
カイン「……///」
エメリナ「……///」
カイン「……っといけない」
エメリナ「ひゃ!?」
カイン「なかなか面白そうではあるけど、実はエメリナに追加で買ってきて欲しい物があったんだよ」
エメリナ「お、お任せください!」ビシ!
カイン「悪いね。――で扱っている魔法薬なんだけどさ」
エメリナ「ちょっと距離がありますが……大丈夫です! さっそく行ってまいります!」テテテテ!
カイン「気をつけるんだよー?」
バタン
カイン「……」
カイン「エメリナと、結婚か……」
カイン「だが、その前には大きな問題が残っている……」
カイン「これを解決するには――」
特殊判定
↓1~2コンマ二桁
カインのエメリナ対策
1:精力剤がぶ飲み
10<15
※基準値を下回ってしまったため、もう効果が無いようです……
2:アベルに相談
91(もう色々ばれてるし、とりつくろう必要もないよね)>40
※基準値を超えた為、相談しに行きます
――
カイン「……」キョロキョロ…
カチャ…
ヨルツヨクナールの山「……」
カイン「なんだか怪しい店で在庫滞留してたから買い占めたはいいが……」キュポ…
ゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴク……!
カイン「うっぷ……」チラ…
カインの剣「……」シーン…
カイン「そう簡単にはいかない、か。これも一定の大きさまで鍛える効能しかないってことかな……」
カイン「こうなってくると、僕に頼れそうなのはアベルか義母さんだけど……」
カイン「さ、流石に義母さんにこんな相談をするのはな……///」
カイン「母さんは頼りたくないし、父さんは生まれつきすごいの持ってて参考にならないし……」
カイン「はぁ……結局アベル一択か」
カイン「まぁあいつも、城塞にあれだけ女の子囲んでるし、前にも相談したし……」
カイン「何かしら有益な情報はくれるだろう……善は急げだ!」バサ!
カイン(待っていてくれ、エメリナ……!)
――
判定を取ったあたりで今日はここまで。
驚異の結婚式への判定値の全体的な低めっぷり乱打で、なんとか大事なところは切り抜けたと思いましたが……
まさか精力剤判定で失敗するとは……カインは技術で頑張りましょう
前スレ1000は大変そうですが、流れ的には一番繋げやすいかな?
それと前スレで挙がっていた歌唱判定を↓のコンマから拾っていこうかと思います
量が多いので、私のレスのコンマもそのまま拾いますがご容赦ください
本日もありがとうございました!
乙でした
こんばんはー
とりあえず前スレ>>1000に関しましては、
ただ単に私がR展開を書くのにやたら時間がかかる&カインとエメリナのレベル差
から悶えたわけであって、嫌だとか止めてくれというわけではありません
結構思ったことはそのまま口にしてしまう性質なので、本気で嫌な時は拒否ってずらします
それにあくまでボーナス(おまけ)ですので、>>1000を取られた方を責めることはやめてください
同様に再三言っている気がしますが、コンマ結果を責めるのはたとえ自分自身であってもやめてください
私が判定内容や対象者をマスクしたり、低コンマが良結果の時と高コンマが良結果の物を混ぜているのも、
全てはこの争いを回避したいが為です
基準値や対象不明ならコンマ操作云々が言いにくいだろうと思ったのです
その割にはやたらと強烈な狙撃を頻繁に浴びてきたわけですが、それさえも楽しんでこそだと私は考えます
私の対応反応の悪さ等も影響しているでしょうし、判定乱打なおまけをやり過ぎた弊害というご指摘もその通りでしょう
本編は終わっている以上、スレを畳むというのも確かに正しいとは思います
しかし少なからずおまけ安価に参加して下さる方が残っている現状でそれをするのは、
そういった方々を裏切る行為とも思えるため、ご指摘を理解した上でこのスレは最後まで続けさせて頂きたいと思います
気がつけばもう1年書いていますし、ここまできて投げ出したくないという思いもありますが
そして最後に、コンマ連取の件なのですが……
確かに多数決等以外の場面での連取は認めていますが、まさかここまでの連取が来るとは正直想定していませんでした
色々な人がコンマにどきどきして書き込むのも醍醐味の一つと思っていますので、本音を言ってしまうとこの連取は無しです
……ですが、私もそのことを注意書きに書いていない&極論誰にも完全なコンマ操作など不可能=結果に悪影響はない為、
今回は連取部分も含めて判定コンマを拾わさせて頂きます。色々と申し訳ありません
後、急いでコンマを取る必要もありませんでした。順番的にカインの話が先になるので、確実に判定拾いきれます
長々と書いてしまいましたが、どうかご容赦ください
こんな私のスレでもまだ構わないと言う心の広い方は、どうか今しばらくお付き合いお願い致します
それでは本日分を少しだけ再開します
――
……
【帝国・アベルの城塞】
バーン!
カイン「アベル、いるか!?」ズカズカ!
アベル「カイン兄様……どうされたんですか、そんなに急いで……」
カイン「割と急ぎの案件なんだよ。そして今話せるのはお前しかいないんだ」
アベル「っ! まさか、王国や聖国に続き帝国にもやはり大問題の種が!?」
カイン「ああ……大問題さ……」
カイン「精力剤を飲んでも、もう大きくならないっ!!!」グッ!
カイン「でも、エメリナの技術は衰えないっ!!!」バッ!
カイン「このままじゃ、僕は彼女を愛しながらも童貞のまま死んでしまうんだっ!!!」ダッ!
カイン「――頼むアベルこの通りだ! 何か知恵を貸してくれっ!!!」ズザー!
アベル「」
アベル「」
アベル「」
アベル(前よりも悪化している……だと……!?)
――
――
アベル「……ハーブティーです」コト…
カイン「……悪かった。僕としたことが、ちょっと取り乱したね」
アベル「ちょっとどころの騒ぎじゃありませんでしたよ……」
アベル「ロウル達が出かけていてよかったですね。見られていたら、どうなっていたか……」
カイン「ん? 彼女達はいないのか?」
アベル「ええ。女性陣揃ってどこかに出かけたみたいで」
カイン「ふぅん……珍しいな」
アベル「彼女達も、そういう時もあるでしょう。あまり俺が干渉しすぎるのもよくないかと」
カイン「そういうものか……まあ留守ならちょうどよかったな」
アベル「えっと……先程の件を深く話す為にですか?」
カイン「そうに決まっているじゃないか。どこからエメリナに漏れるかわかったもんじゃないし……」
カイン「とにかくだ。エメリナには内密に、僕の夜の腕前をどうにか上げたいんだよ!」
カイン「これ以上吸引されて情けない姿は晒したくないんだよ!」バン!
アベル「……兄様、実の兄の性事情を細やかに聞かされる弟の気持ち、考えたことがありますか?」
カイン「弟にこんな相談する程に追い込まれている、この兄の気持ちを考えたことあるかなぁ!?」クワッ!
アベル「大体、なんで俺なんですか……」
カイン「ふん、あのエリスを手籠めにして、部隊をほとんど女で埋め尽くすお前のことだ」
カイン「もう何人か、ついつい手を出してしまったんじゃないか?」
アベル「……」
特殊判定
↓1コンマ二桁
アベルの暴露
69>50
※基準値を超えた為に、正直に暴露
――
アベル「その……何人かといいますか……」
アベル「――全員に手を出しました」
カイン「」
カイン「」
カイン「って待て待て待て!? 全員ってお前、まさかあのティアにも手を出したのか!?」
アベル「……はい」
カイン「た、確かにえらくお前に懐いているというか、シア以上に奴隷の素質は感じたけどさぁ!?」
アベル「あぁ、兄様も感じ取ったのですね……」トオイメ
カイン「何があったアベル!?」
アベル「ティアの名誉の為に伏せます。……勿論、軽い気持ちで抱いてなどいませんからね?」
カイン「くっ……! 兄さんにアベルに、僕の兄弟はモテるのになんで僕だけ……!」ダン!
アベル「兄様、エメリナ以外の伴侶を求むのですか?」
カイン「いらないよ! ただ、なんか男として敗けた気がして嫌なんだよっ!」
カイン「あぁくそっ! だが言質は取ったからなアベル!?」
アベル「え?」
カイン「城塞の女全員に手を出す程に見境ないお前は、確実に僕や兄さんよりも経験豊富だ!」
カイン「教えて……いや、奪い取ってみせるぞ! お前のそのふざけた夜の強さを……!」
アベル「えぇー……」
……
――
――
カイン「さぁ、来い!」バッ!
アベル「いや、そう言われましても……」
アベル「まず兄様、どこをどのように改善したいというのですか?」
カイン「まぁ……まずはこれの大きさをどうにかしたいな」スッ…
アベル「止まってください兄様。流石にこの場でズボンを脱がれたら黒氷葬叩き込みます」
カイン「誰が脱ぐか! 察しろ!」
アベル「それは勿論わかりますが……もう薬は効果が無いんでしたよね?」
カイン「あぁ……」
アベル「そうなると考えられる手は……二つ、ですかね」
カイン「一つは?」
アベル「一般的な薬で効果がないのであれば、その薬の成分を解析」
アベル「そしてその情報から、より強力な薬を調合で生み出すのがいいかと」
カイン「お、お前にしては相当にとんでもないことを言ってくるね……」
アベル「とんでもないことを相談されていますからね……」
アベル「勿論、危険は伴います。はっきり言うと、確実に成功するとは言えません」
カイン「だろうねぇ……もう一つは?」
アベル「きっぱり大きくすることを諦める、ですね」
カイン「それじゃあ意味が――」
アベル「いいえ。大きさだけが全てではないと思いますよ? 色々と」
アベル「俺の持論としては、やはり想いこそが大切だと思うわけで……」
カイン「エメリナのは、もはやそれだけじゃカバーしきれないんだよ……」
アベル「ですから、相手を想って――しっかりとこの手で愛してあげるのですよ」ワキワキ
カイン「!?」
アベル「要するに、こちらの技術の上昇を狙うということです」
アベル「はっきり言って、拒否したいところですが……」
アベル「兄様がここまでしてくるわけですから、本当に切羽詰まっているのでしょう」
アベル「……俺が普段していることでよければ、お教えしますよ」ワキャワキャ!
カイン(な、なんだアベルのあの指の動きは……すでに何かいやらしさを感じるぞ……?)
カイン「うぅむ……」
――
※カインの特訓! どうする?
1:力こそパワー! 秘薬調合で一気に下半身強化を狙う
※ハイリスクハイリターン。当たれば相当でかい
2:技術の積み重ねこそ! アベル流テクニックを習う
※上昇値は低めになりますが、ノーリスク
↓1~3多数決
※割れましたが、2の安全策
――
カイン「……薬は止めておくよ」
カイン「前に危ないやつ飲んで、一回縮んだことがあるからね……」ブルブル…
アベル(でも市販のもの飲み続けたんですね……)
カイン「ここは大人しく、お前の言う技術とやらを習おうじゃないか」ニヤニヤ
アベル「どうして兄様が偉そうにするんですか……」
アベル「はぁ……仕方がありません。約束ですから教えはしますけども」
アベル「――普段の兄様のやり方は教えて貰いますよ?」
アベル「――あと、エメリナの大まかな体型も」
アベル「――さっき俺も暴露したんですから、兄様も少しは俺に話してもらいたいですね」
カイン「」
カイン「」
カイン「」
カイン「――この腐れ外道っ!?」クワッ!
アベル「ちょ、落ち着いてくださいよ!?」ガシ!
アベル「流石になんの参考情報も無しは俺も無理ですよ!?」
カイン「うぐぐぐぐ……どうして僕とエメリナがこんな辱めを……っ!」
アベル(兄にこんな教育をする弟も、相当な辱めを受けていると思いますがね……)
――
――
……
アベル「……なるほど」
カイン「……///」
アベル「今の話を聞く限りでは、やはり兄様は技術が不足していますね」
カイン「ぐはぁ!?」グサ!
アベル「エメリナも相当に華奢ということですし、当然初めてでしょう」
アベル(体型的にはロウルを小さくして、それでいて体力はティア並ということになるな……)
アベル(そうなると……)
アベル「当たり前ですが、がっついては駄目ですよ?」
アベル「そうですね……こうやって、優しく抱き抱えてあげて……」スッ…
アベル「ちゃんとベッドの上に……」
アベル「後は、向かい合ってキスを……」
カイン「ま、待てアベル。正しいキスの仕方は……」オロオロ
アベル「……実演しませんよ。そこはお互いに、いい場所を探り当ててくださいとしか言えません」
アベル「その後は……慣れていない兄様の場合、ゆっくりと服を脱がせてあげるのも大事でしょうか」
カイン「エメリナは普段からよくだぼだぼのメイド服なんだけど、暗がりで上手くできるのか……?」ドキドキ…
アベル「サイズは違いますけど、一応は帝国メイドの正装でしたよね?」
アベル「ならばエリスのものとも同じでしょうし、そうなるとここでこうしてああして、これでするりと」シュババババ!
カイン「手慣れてるなぁちくしょうっ!」
アベル「さあ兄様、さっそく練習しましょう」
カイン「くぅ……!」
特殊判定
↓1コンマ一桁
技術鍛錬1
コンマ91
1×1/2=1
カイン夜レベル
50→51
――
カイン「こ、これでいいのかアベル……!?」ワタワタ
アベル「ああ、駄目ですよ。エメリナは小さいわけですし、もう少し丁寧にゆっくりと……」
カイン「目の前にエメリナがいないのに、キスの練習のしようもないだろう!?」
アベル「何を言っているんですか兄様」
アベル「――ほら、ここに鏡があるのでこれで確認をしてみましょう」
カイン「は、恥ずかしすぎるだろう!?///」
アベル「そうですか……それなら、チェリーの茎を使って……」レロレロ…
アベル「こういった具合にいくつか結び目を作り上げる訓練とかは?」ベッ
カイン「今、お前の口の中で何が起きたんだよ!?」
カイン「ああ、無理だ無理だ! かといってお前を実験台にするのはもっと無理だ!」
カイン「どこかに、実験台になってくれる程よい女はいないのか!?」
アベル「誰に聞かれても殴られそうですのでやめてください。流石に人を実験台にするのは不味いですし……」
アベル「ああ、そうだ。今から練習用に人形かぬいぐるみでも買いに行きますか?」
カイン「やめろぉ!? そんな光景を見られるだけでも恥ずかしいのに、用途がばれたら僕は死ねるぞっ!?」
……
カイン「ぜぇ……はぁ……」
アベル(こ、これは思ったよりも強敵だぞ……!?)
――
>>カイン「どこかに、実験台になってくれる程よい女はいないのか!?」
深紅の令嬢『ガタッ』
クラウス「ステイ」
――
アベル「……兄様、一度次の段階に移りましょう」
カイン「つ、次……?」ゼェゼェ…
アベル「とりあえず優しく扱えて、服もするりと脱がせられたと仮定しますよ?」
アベル「その後はいよいよエメリナの身体に触れていくわけですが……」
カイン「お前には触らせないからなっ!?」
アベル「わ、わかっていますよ。とにかく、兄様が触れるわけですが……」
アベル「……どこから、どうやって触れます?」
カイン「え゛……その……大事なところから、か……?」
アベル「まあ、状況によってはそれも手ではありますけど……」
アベル「初めての彼女の場合、まずは全身に触れるべきかと俺は思います」
カイン「い、いきなり全身だと!? なんていやらしいんだ……!」
アベル「人それぞれ、弱い部位……感じやすい部位は違いますからね」
アベル「決まりきった場所ばかり責めるというのは得策ではないでしょう」
アベル「……相手の子の秘密を自分で探り当て、開花させる悦びもありますからね」フッ…
カイン「……」ブル…
アベル「まあ大抵の場合は胸が弱い子は多いですし、そこから責めるのが基本ではあるでしょうか」
カイン「む、胸からだな? よし……」
カイン「……エメリナの胸は小さいが、大丈夫なのか?」
アベル「小さいなら小さいで弄りがいがありますよ? 先端ばかりを執拗に虐めてあげることもできますし……」
カイン「……///」ゴクリ…
特殊判定
↓1コンマ一桁
アベル(ノワールママの英才教育)とお兄ちゃん(フローレン多分特に何もしてなさそう)でこの差なわけだが、そういえばフローレンの夜レベルって計ったっけ?
判定を取ったあたりで今日はここまで
今更ながらに、カインにこうして技術を伝授できる人がいてよかったなと思います
判定は全三回なので、もう一つ残っていますがそれはまた後日
特訓完了→エメリナ一部判定→追加発生イベントでこのおまけは終了となり、そして前スレ1000の流れになるかと思います
本日もありがとうございました!
>>115
ギルバート:100
アベル:99
ノワール:98
フローレン:69
夜レベルはこんな具合です。コンマの産物ですが、アベルの高い値が綺麗に両親譲りな感じになっています
なおエメリナやアイナにティア(夜100)がよく怪物扱いされていますが、スカーレット将軍は130(限界突破)あります
こんばんはー
確かにアベルとカインのやりとりは誤解を生むかもしれませんが、当人たちは真面目です
今日も少しだけ再開です
技術鍛錬2
コンマ07
7×1/2=4
カイン夜レベル
51→55
――
カイン「こうか? こうなのか!?」
アベル「そうですそうです。でも、あまりに必死の形相はちょっと……」
カイン「必死になるよ!?」
カイン「そして冷静になると、あ、僕今何をしているんだろうなってなるからな!?」
アベル「その言葉、そっくりそのままお返ししますよ……」
アベル「さっきよりも調子は良さそうですね」
カイン「ふふ、僕を誰だと思っているんだい……?」ドヤァ…
アベル「では次はこの茎を口の中で三回結んでみてください」
カイン「…………もっ!? 勢い余って飲みこんだぞおい!?」
アベル「大丈夫、身体に害はありませんよ」
カイン「わかってはいるが、喉奥の違和感が……」
アベル「壊れ物を扱うように、ゆっくり……」ススス…
カイン「く……じれったさを感じるが、このくらいか……?」
アベル「そうですね。あとは相手に合わせて――」
アベル(……流石はカイン兄様。理解が早いな)
アベル(あと俺に教えられることと言えば……)
――
――
――
アベル「よし……それでは兄様、最終段階に移行しましょう」
カイン「いよいよか……」
アベル「はい。前戯でお互いに熱が入ってきたらいよいよ挿入ですが……」
カイン「……///」
アベル「個人差はあれども、大抵は初めては痛い筈です。無茶はやめておきましょう」
カイン「わかっているよ」
アベル「それにエメリナは小柄ですし、破瓜の痛みだけでなく単純な異物感で苦しむ可能性もあります」
アベル「エメリナ自身が一息にと望んだならばともかく、最初はゆっくりと挿れるべきでしょうね」
カイン「ここでも、ゆっくりか……」
アベル「……相手方から激しく責めたてられた場合は、こちらも相応の速度に切り替える必要がありますけどね」
アベル「これはあくまで俺の持論ですが、できれば相手を先に達させたいですし」
カイン「それはすごくわかる……」
アベル「挿入してそのまま腰を振ってもいいですが、空いた手で相手を愛撫してあげるのもいいですね」
アベル「――より一層、相手の可愛い姿が見られると思いますよ?」
カイン「……///」ゴキュ…
アベル「さて、それではこれが最後です……!」
特殊判定
↓1コンマ一桁
技術鍛錬3
コンマ43
3×1/2=2
カイン夜レベル
55→57
※大きさを技術カバー! 並よりも上になりました
――
カイン「くそ、なんて屈辱的な格好だっ!ヘコヘコ…
アベル「兄様、腰の動きがまだ遅いですよ」
カイン「ふん! ふん! ふん……!」ハァハァ…
アベル「あと、乱暴に突いても痛いだけですので、上手く角度も変えて……」
カイン「くっそ、速く動かせだの角度を変えろだの難題を……!」
アベル「兄様だけが気持ちよくなるのは厳禁ですよ?」
カイン「だからわかってるって!」
カイン「くそ……性行為なんて、男が主導で楽々なもんだとばかり思ってたけど……」ハァハァ…
カイン「こ、こっちも相当に体力使うんだな……」ゼェゼェ…
アベル「それは身体を激しく動かしますし、腰には特に負担が来ますからね」
アベル「とりあえず兄様、エメリナの件は抜きにして日頃からもう少し運動した方がいいのでは?」
カイン「簡単に言うねぇ……!」
……
カイン「ひゅー……ひゅー……」
カイン「こ、心なしか体力もついて、技術も向上した気がするぞ……」
アベル「ええ。流石はカイン兄様です」
アベル「確実に、以前よりも夜の技量は増していることでしょう」
カイン「ふ……僕にかかれば、この程度造作もないね」
カイン「ま、お前にも礼は言っておくよ」
カイン「……これで、エメリナと……!」
アベル「ええ。ご武運を祈ります」
アベル「……くれぐれも、油断しないでくださいね?」
カイン「はっ! お前に言われなくとも、わかっているよ!」
カイン(エメリナ、今度こそ君と……!)
――
――
【帝国・魔法屋】
店主「毎度ありー」
エメリナ「ありがとうございました……!」ペコリ
エメリナ「ふぅ……結構遠くまでのお買いものだったなぁ……」
エメリナ「でも、前と違ってこんな遠くでも一人でお買いものできるようになれたということは……」
エメリナ「私も、メイドとして成長できているってことなのかな?」
エメリナ「……」
エメリナ「ローズさんにアイナさんとスミレさん……」
エメリナ「ルーシェさんとエリスさん……」
エメリナ「私よりもずっと凄いメイドの人は、沢山いるけれど……」
エメリナ「――それでも、カイン様は私を傍に置いてくださる……///」
エメリナ「夜のご奉仕、最近できてないけど……」シュン…
エメリナ「……」
エメリナ「メイドの、結婚……かぁ……」
エメリナ「本来なら、ご主人様にそんな感情を持つのは、ご法度なんだよね……」
エメリナ「でも、それでも、もしカイン様と……///」
エメリナ「……///」
特殊判定
↓1コンマ二桁
エメリナの純愛願望度
69(……初めては、しっかり思い出に残したいな)>50
――
エメリナ「もし、カイン様と本当に結婚できるなら……」
エメリナ「ご奉仕は勿論するけれど……」
エメリナ「――カ、カイン様から、優しく抱きしめて貰って、向かい合って……///」
エメリナ「……なんて、駄目だよね。皇子様とメイドの関係で不味いのに、それ以上を望むだなんて……」
エメリナ「……」ドキドキ…
エメリナ「で、でもやっぱり、ちょっと憧れちゃうかな……」
エメリナ「皇子様から、優しくして貰うの……///」
エメリナ「っていけないいけない!」フルフル!
エメリナ「はやく、これをカイン様のところまでお届けしないと!」テテテテテ!
――
※基準値を上回ったため、カインとの一線越え時の暴走率低下
――
――
……その日の夜……
【帝国・アベルの城塞】
アベル「ふぅ……」
アベル「なんだか今日は、兄様のせいでかなり疲れたな……」
アベル「しかしあの兄様が、真剣に誰かを愛しているんだ。弟としては、応援しないわけにもいかないか……」
アベル「ん~……!」ノビー
アベル「さて、疲れた姿を下手に晒すわけにもいかん。切り替えていこう」
アベル「それにしてもエリス、慌てて帰ってきたかと思えば夜中に部屋に来てくれって……」
アベル「……また、生クリームのお誘いなのだろうか」
アベル「それならば紅茶を用意すべきだが……」
アベル「いやしかし違ったとしたら、まるで俺がそれを望んでやまなかった末に勝手に勘違いした男になるな……」
アベル「……しっかり確認してから用意しよう」
……
コンコン
アベル「エリス、俺だ。入っていいか?」
エリス「ア、アベル様……!」
エリス「ど、どうぞ……」
ガチャ…
アベル「エリス、一体なんの――」
ドレスエリス「……///」
アベル「」
エリス「その……/// いかがでしょうか……?」オズオズ…
特殊判定
↓1~2コンマ二桁
ホントウニドウナッテルノコノコ……?(空中四散)
えぇー……? 片方ならまだしも両方偶数ゾロってエリス何度目これぇ!?
少々お待ちください……
よく見りゃエリスの方まーた22だよ……(白目)
花嫁衣装、興奮する?
1:アベル
コンマ44
44
偶数ゾロ目: も う 辛 抱 堪 ら ん ! ! !
※このスレ終了時、式後のRパート追加確定
2:エリス
コンマ22
22
偶数ゾロ目:アベル様の横で、本当にこのドレスを着たいです――誰よりも、先に……
※チケット消費無しで、エリスの結婚式イベント追加確定
※ゾロ目ダブルパンチによりエンディング変更です
――
アベル「――ッ!!!」ガバッ!
エリス「ア、アベル様……!?///」
アベル「……」ギュゥゥ…
エリス「あ……///」
アベル「すまない……お前の気持ちも、察せずに……!」
エリス「あ、あの、その……!?」
アベル「そうだったな……エリス。指輪を贈りながら、随分と待たせてしまった……」
エリス「ち、違うんです。本当に、ちょっと着てみたいなって思っただけで……」
アベル「時間が空けば……いや、すぐにでも作ってみせる」
アベル「――すぐにでも、式を挙げよう」
エリス「――っ!!!」
エリス「……い、いえ。まだアベル様はお忙しくて……」ワタワタ
アベル「……こんな姿を見てしまって、俺が自分を抑えられるとでも?」スル…
エリス「え、あ――///」チュゥ…
アベル「……」ジュ…ヌチュ…
エリス「ん、んふぅぅ///」クチュ…チュ…
エリス「あふ……/// だ、駄目ですよアベル様ぁ……///」
エリス「これ、お借りしているドレスで、汚したりは……///」
アベル「……そうか」
・アベル×ティア一線超え
・マックス×キアラの秘密のお付き合いスタート
・アドルラン兄様そろそろ進展しそう
・アイナ、ローズさんへのアタック決意(スミレも後押し)
・お兄ちゃん着実に夜レベル上昇
・アベル&エリス『結婚します』←NEW!!
ここ最近のコンマさんのカップル推しがヤバすぎる
エリス「でも……嬉しいです。私に似合うかなって、不安だったんですけれど……」
アベル「エリスは何を着ても似合うさ。それで、式はいつにする?」グイ!
エリス「……ほ、本当によろしいのですか……?」ウルウル…
アベル「あぁ……俺の気持ちは、あの日からまるで変わっていないよ」
エリス「っ……ありがとう、ございます……!」ポロポロ…
エリス「そんな、そんなことを言われてしまったら、私は……!」
エリス「……」ゴシ…
エリス「……アベル様?」
アベル「なんだ、エリス?」
エリス「私は、未だいたらぬことの多いメイドです」
エリス「アベル様の一夫多妻は当然と思っていますし、私などよりも優れた方は沢山いらっしゃいます」
エリス「……それでも、今この場で、私の我儘を聞いて頂いてもよろしいでしょうか?」
アベル「ああ、勿論だよ……」
エリス「ありがとう、ございます……」
エリス「……」
エリス「……」スゥ…
エリス「改めて、お慕いしておりますアベル様」
エリス「皆さんが同じ気持ちでも、やはりこれだけは――誰にも負けないと自負します」
エリス「こんな私でよろしければ――どうか、これからも共に歩む誓いの儀を……」
エリス「誰よりも早く、あなた様の隣を、歩かせてください///」
アベル「ふっ……」
アベル「――勿論だ。エリス」ギュゥ…!
エリス「嬉しい、アベル様……!」ギュゥ…!
……
――
えー、まだ少しだけイベント残っているんですけど、申し訳ないですが今日はここまで
……ここで再びダブル偶数ゾロバスターぶち込んでくるって、本当にエリスどうなっているんですかねぇ……?
カインの改心や指輪といい今回と言い、機会が滅多にないときに限ってしっかり偶数ゾロを取ってるんですよこの子
流石に再度こんな奇跡を見せられたら、締めの内容も変わります(白目)
他のヒロインとちゃんと平等にしろと思われる方もいらっしゃると思いますが、こればかりはご容赦ください
エリスのゾロ目リスト作ったらすごいことになってそう
ちなみに歌唱力の方でもよりによってな約三名が大変なことになっていて、私が落ち着ける時は当分ないようです
本日もありがとうございました!
おつおつ。
ゾロ目に関しては『だってエリスだもん』で納得出来てしまうのがこのスレの怖いところであり醍醐味でもある。
こんばんはー
改めてエリスの過去のコンマ戦績見ても驚異的としか言えませんね……
まあ他のメンバーもプロットを平然と粉砕してきてるんですけどね(白目)
昨日取れなかった判定部分だけ少し再開です
――
イチャイチャ…
イチャイチャ…
ロウル「……///」プシュー…
アーシャ「ど、どうなんですかロウルちゃん! 部屋の中の様子は!?」コソコソ
ロウル「いや、わかりきっていましたが、アベルさんの興奮具合すごいですねぇ……///」
アーシャ「……どうやら、無事に作戦は成功したようですね」
シア「エリスさん、とってもドレスがお似合いでしたし、当然ですよ~」
パトラ「ええ。真面目なアベルさんのことですし、これできっと本当にエリスさんと式を挙げることでしょう」
ティア「いつでも式ができるよう、準備しないと……!」
ロウル「エリスさん、本当におめでとうございます……」スッ…
ロウル「さて、これ以上聞き耳を立てるのは野暮ってものですし、次に行きましょう」
アーシャ「そうですね……」
ルーシェ「……///」ドキドキ
ヒバリ「……///」ドキドキ
ロウル「次は、あなた達の番ですからね」
ヒバリ「き、緊張するわ……!」ブルブル…
ルーシェ「は、はい……」ブルブル…
アーシャ「ふふ、大丈夫ですよ。アベルとエリスちゃんが上手くいったんですから」
ルーシェ「……アベル様と、アドルラン様、別物、です……」フルフル…
ヒバリ「ほんっとにアドルランってこっちの気持ちに気がつかないからね。筋金いりよ?」
ヒバリ「――だから、こうなった以上……私達も挑んで見せる!」グッ!
ルーシェ「はい……!」グッ!
――
――
【帝国・王城】
アドルラン「ふぅ……」
アドルラン「今日も一日が終わってしまったか。明日はどこから手をつけるべきか悩むが……」
アドルラン「ヒバリとルーシェの話というのも、きっとその打ち合わせだろう」
アドルラン「頼りになる友がいると本当に助かるな……」
コンコン
アドルラン「ヒバリ、ルーシェ。私だが……」
ヒバリ「は、入っていいよアドルラン……!」
ルーシェ「です……!」
ガチャ…
アドルラン「明日の活動内容の話――」
ドレスヒバリ「……///」
ドレスルーシェ「……///」
アドルラン「」
ヒバリ「ど、どう? アドルラン……?///」
ルーシェ「……///」モジモジ…
特殊判定
↓1~3コンマ二桁
ボヘェァ!?(吐血)
嘘だろ……?昨日の今日でどうなっているんですかね……!?
荒ぶルーシェまだ続いてるのか……少々お待ちください
特殊判定結果
三人、それぞれの想い
1:ヒバリ
98(もう……何年我慢してきたと思っているの? そろそろ、限界なのよ?)>40
2:ルーシェ
コンマ33
33
ゾロ目: もう、我慢、しないです……自分を、 解 き 放 つ ……///
3:アドルランの全ての受け入れ(進展により基準値に10軽減補正)
86>40
86(私は、二人が大切だ。だからこそ……)>85
※第二基準も超えたため……?
※三人全員が基準値を超えたため……?
――
アドルラン「なっ……///」
ルーシェ「……!!」
ヒバリ「アドルランが……赤くなった……良かったかな? このドレス?」
アドルラン「あ、う、そ……そう、だな……///」フイ…
ヒバリ「きゃー///! きゃー///!」バタバタ!
ルーシェ「……ヒバリさん、ここで、止まっちゃうと、いつもと、同じです……」
ヒバリ「はっ……そうだった!」キリッ!
アドルラン「ど、どうしたんだ一体? 二人揃って、こんな格好……」
ヒバリ「……ねえ、アドルラン?」
ヒバリ「私さ……アドルランが子供の頃から、ずっと一緒にいるでしょう?」
ヒバリ「昔のあなたは、ひょろっとしてて、頼りなくて、身体も弱くて……」
アドルラン「う、うむ……情けないが、それは事実だ。だが……」
ヒバリ「うん、知ってる。それでもあなたは、あの頃も今も変わらない努力家で……」
ヒバリ「――好きにならないわけ、ないじゃない?」
アドルラン「……!」
ヒバリ「何年も何年も、ずっとあなたを想って、それとなくアピール続けてきたのに、もうっ……!」
ヒバリ「あんまり鈍いから、こうしてルーシェと一緒に強行手段に出たのよ全く!」
ヒバリ「もう我慢の限界! これ以上は待てないし、これでもわからなかったらいくらアドルランでも本当に怒るわよ!?」
アドルラン「わ、私は……いや、ヒバリだけでなくルーシェもだと……?」
ルーシェ「そう、です……」
ルーシェ「私も、アドルラン様が――大好きです」
ルーシェ「……大きくて、優しくて、私を救ってくれて……」
ルーシェ「この瞳を見ても、褒めてくれて……」ファサ…
ルーシェ「多分、私は、アドルラン様に出会えていなかったら……」
ルーシェ「自分で、魔力の殻の中に、閉じ籠もっていました……」
ルーシェ「……お掃除してくれないのは、減点、ですけど」プク…
ルーシェ「それでも、私の大好きで、とても大切な人……」スッ…
アドルラン「ル、ルーシェ……?」
ルーシェ「……メイドが主人にこんな感情を持っては、いけない……」
ルーシェ「でも、エリスさんは、自分を偽らなかった。だから私も――解き放つ……///」
チュ……
アドルラン「……!?///」
ヒバリ「おぅ!?///」
ルーシェ「ふわぁ……///」
アドルラン「ル、ルーシェ……っ!?」
ルーシェ「はむっ……ん、んちゅ……///!」チュ、チュゥ…!
ルーシェ「あぁ、駄目……もう、止められ、ない……!」チュチュゥゥゥ…!
アドルラン「~~~っ///!?」ジュルジュル…
ヒバリ「ちょちょちょルーシェ!? 流石に早すぎないかな!?///」ガシ!
ルーシェ「はっ……!? ご、ごめんなさい……」シュン…
ヒバリ「い、いやいいんだよ? ただいきなり飛びつくのは……」
アドルラン「……///」ドキドキ…
ヒバリ「あ、効果あったみたいだね……まぁ、当然か///」
ルーシェ「……///」
――
……
アドルラン「……落ち着いたかな?」
ルーシェ「ご、ごめんなさい……///」
ヒバリ「見なさいアドルラン! あなたが鈍感なせいで、あのルーシェすらこんなになってしまったのよ?」
アドルラン「す、すまない……」
ヒバリ「……ちなみに、正直私も今すぐに同じことをしたいと思っているわ」ウズウズ…
ヒバリ「ルーシェよりお姉さんだからっていうだけで我慢してるけど……」ウズウズ…
ヒバリ「さっきも言った通り、私も限界なのよアドルラン?」ウズウズ…
アドルラン「……」
アドルラン「…………」
アドルラン「……君達は」
ヒバリ&ルーシェ「「!!」」
アドルラン「君達は、今のようなことを、私にしたいと。そう、願っているのか……?」
ルーシェ「……いえ、もっとその先まで、です///」
ヒバリ「攻めるね、ルーシェ……でも、うん。私もそうだよアドルラン」
ヒバリ「というより、こんな格好してるんだからわかるでしょう? 私達は――アドルランと結婚したいの」
ヒバリ「別に、皇妃の座が欲しいんじゃない。アドルランが何の地位も持たない人でも、きっと私達はあなたに焦がれた筈」
ルーシェ「はい。アドルラン様だからこそ、です……」
アドルラン「そう、か……///」
アドルラン「……」フゥ…
アドルラン「私にとって二人は……かけがえのない大切な友で、守るべき存在だ」
ヒバリ&ルーシェ「「……っ」」ズキ…
アドルラン「だから――その関係を壊したくないからこそ、私は壁を作っていたのかもしれないな……」
ヒバリ「え……?」
すみません、予想以上に長くなったので今日はここまでで……
明日には終われるはず……
昨日の今日でまさか全判定クリアにルーシェゾロは想定外です
一撃でアドルラン防壁粉砕されたのも大きいですね……
本日もありがとうございました!
こんばんはー
すさまじく遅くなりましたが、おまけ5終了まで投下します
アドルラン「二人が大切だからこそ、ずっと共に在りたいと願っていたからこそ……」
アドルラン「自然と、君達にそういった感情を抱かないようにと、知らずと律していたのかもしれない」
ヒバリ「本当に……? アドルランにそういった感情がないんじゃないかって疑ったことすらあるんだからね?」
ルーシェ「……エリスさんに求婚、してます」
アドルラン「ぐっ……た、確かに彼女も魅力的な女性だったからな///」
アドルラン「しかし彼女にはアベルがいる。想う者がいるならば、想い人と結ばれるのが幸せというものだろう?」
ヒバリ「ふ~ん? それじゃあ私とルーシェはアドルランを想っているわけだけど……」
ヒバリ「――幸せになってもいいのかしら?」
アドルラン「く……くく……!」
ルーシェ「?」
アドルラン「……情けないな、私は……」
アドルラン「焦がれた女性には、私自らが先に告白をしようと心に決めていたのに……」
アドルラン「まさかこのような形で……知らず知らず君達を追いこんでしまった挙句、そちらから想いを伝えられるとはな……」
アドルラン「……」
アドルラン「……ヒバリ、ルーシェ」
ヒバリ「何?」
アドルラン「私は、未だ未熟だ。皇帝として民を率いるにはあらゆる力が足りていない」
アドルラン「こうしてここまでされなければ、君達の想いに気がつくこともなかった程に、鈍い男だ」
ルーシェ「知って、います……」
アドルラン「……そして今まで自覚していなかったのだが」
アドルラン「ネコミミ、水着、そしてこのドレス……」
アドルラン「どうにも私は、普段と異なる衣装で迫られるとぐらつく性癖の持ち主だったようだ……///」
ヒバリ「……///」
ルーシェ「……///」
アドルラン「それにいつもルーシェに怒られてばかりだが、片づけもできない」
アドルラン「ついつい執務中でも鍛錬場に足を運んでしまう時もある」
ヒバリ「いや、何度も言ってるけどそれは改善しなさいよ?」
ルーシェ「地道な努力、大切です……」
アドルラン「う、うむ……」
アドルラン「……こうして、二人とはなんども同じやり取りをしてきたな」
アドルラン「そういった態度で接してくれる二人は、これまでもこれからも感謝の念しかない」
アドルラン「――私も、二人といる時間は大好きだ。いつまでも、この時間を続けたい……」
アドルラン「だが、本当にいいのか……?」
ヒバリ「もう、だから言っているでしょう? アドルラン以外にこんな真似はしないわよ」
アドルラン「私のこの性格、今後の帝国のことを考えれば、間違いなく険しい道になるんだぞ?」
ルーシェ「覚悟の上、です。だからこそ、アドルラン様を支えて、一緒に……!」
ヒバリ「私以上にアドルランの面倒を見てきた女なんていないでしょう?」
ヒバリ「たとえ結婚しても……私達はきっと変わらないと思うわ」
ヒバリ「あなたが無茶なことをして、私をルーシェが文句を言いながらそれを助ける……」
ヒバリ「――今までと変わらない、でも今まで以上に。あなたを支えると誓うわ」スッ…
ルーシェ「私も、誓います!」スッ…
アドルラン「……私はさらに、優柔不断でもある。どちらかを選ぶ真似はできないぞ?」
ヒバリ「それもわかってる。最初からこっちも、そのつもりよ?」
アドルラン「そうか……」
アドルラン「……」フゥ…
アドルラン「……」スゥ…
アドルラン「……ヒバリ、ルーシェ」
アドルラン「我が友にして――愛しき者達よ」
ヒバリ&ルーシェ「「!!!」」
アドルラン「……な、なんだか照れるな///」
ヒバリ「も、もう! しっかり決めてよアドルラン!///」
ルーシェ「でも、アドルラン様らしい、です///」
アドルラン「こほん……その、だな。気の利いた事も言えなくて申し訳ないが……」
アドルラン「――どうか私と共に、これからも歩んでほしい!」
アドルラン「共に生き、共に支え、共に在ってほしい……!」バッ!
ヒバリ「ふふ、もっと威厳満々に我が妻になれとかでもよかったのに」クスクス
ヒバリ「やっぱりアドルランには私達がいないと駄目みたいねぇ」
ヒバリ「――ありがとう。この手、もう離さないからね……?」ギュ…
ルーシェ「~~~っ! アドルランさまぁぁぁぁぁ……!」ポロポロ…
アドルラン「あぁ……!」
――これからも、一緒に……!――
――
――
……
アドルラン「……///」ギュゥ
ヒバリ「……///」ギュゥ
ルーシェ「……///」ギュゥ
アベル「あ、あれは……?」
エリス「ヒバリさんとルーシェさん、上手くいったんですね……!」
アベル「……なるほど、エリスと同じ手を取ったわけか」
アベル「アドルラン兄様にはすぐにお伝えすべきかと思ったが……日を改めるとしよう」
アベル「既に俺とエリスの関係は知っているし、多少遅れても問題は無いだろう」
アベル「では予定を変えて――今日は、俺の部屋で寝てくれるかエリス?」
エリス「は、はい……///」
アドルラン「む……アベルにエリス君……?」
ヒバリ「わあ、エリスったら真っ赤になっちゃって……」
ルーシェ「こ、こっちも恥ずかしい、です……///」
アドルラン「……ふ、二人にもああいう風に接するべきかな?」
ヒバリ「いいのよアドルラン、無理はしなくて」
ルーシェ「いきなりアベル様、高難易度、です……」
ヒバリ「私はアドルランが手を取ってくれただけで十分嬉しいからさ」
ヒバリ「私達は、私達のペースでいきましょう。ね?」
ルーシェ「こうして、三人で手を繋いで並んで歩くのも、幸せです……///」
ヒバリ「今度は待たせた分、女の子の扱いの勉強だね」
アドルラン「……う、ううむ。鍛錬ばかりも、やはりよくなかったな……」
アドルラン(だがいずれ、君達にも誇ってもらえるような存在に、私はなってみせるからな……)
……
カイン「ふぅん……」スゥ…
カイン「……アベルはともかく、まさかあの兄さんまでとはねぇ……」
カイン「ま、おめでとう兄さん。兄さんを上手く誘導できるのもあの二人だろうし、いい選択だと思うよ」
カイン「……」
カイン「…………」
カイン「……あの鍛錬馬鹿の兄さんでもできたんだ」
カイン「――この僕に、できないわけがないじゃないか」
カイン「……」
カイン「……だ、だけど念には念をいれないとな」
カイン「今日は、大人しく休もう……」
カイン「だけど、今日学んだことを復習して、そして……!」
カイン「僕も、エメリナと……っ!!!」グッ!
――EXイベント5――
【戦いを終えて~~帝国恋愛模様~~】 おしまい
というわけで、おまけイベント5は以上になります
前半抑えての後半のコンマの荒ぶり具合で全体的に相当な影響が出ましたね
次はこの流れで前スレ1000のカインとエメリナなのですが……
ちょっと明日明後日と急な仕事が入り、またRパートのためお時間を頂いてしまうわけでもありまして
下手すると一週間強更新が止まってしまうかもしれません
アナウンスできそうであればアナウンスしますが、どうかご容赦ください
カインエメリナの後は歌唱小イベント→おまけ6選択になるかと思います
それではまた後日、よろしくお願いします
こんばんはー
とりあえず、生存報告だけ……
なんとか来週頭までには投下できればなと思いますが、
肝心ないつものものを取り忘れていたので自由安価だけ投げておきます
一線越えに際して、
カインorエメリナがかける言葉やする行為を↓1~3くらいでお願いします
※カインはアベル程の技量がない+初体験のため、可能な行為は狭まっていますがご了承ください
こんばんはー
急な出張が重なった挙句のインフルエンザのコンボで生存報告すらできず、ほんっとうに申し訳ないです……
おかげで未だに仕上がりきっていませんが、この連休中には投下できればと思います
間が相当空いてしまったため、せめて本番前の導入部分を先に投下しておきます
――おまけEXイベント6――
【戦いを終えて~~帝国第二皇子の初体験~~】
――
【帝国・王城】
カイン「……ふぅ」
カイン「貧民街の物流もだけど、帝都の制度変更も面倒だなぁ……」
カイン「無茶苦茶だけど、実力主義で帝国を纏め上げてた父さんの影響力を感じざるをえないよまったく」
カイン「……」
カイン「……強者と弱者、か」
カイン「強者は弱者の生殺与奪を握り、強者には強者に相応しい待遇……」
カイン「……僕も、ちょっと前までは強くて高貴な女こそが僕に相応しいと思っていたのに」
カイン「――いつの間にか、彼女以外の誰かを抱こうという気すら起こらないなんてねぇ」
カイン「小さくて、小心者で、庶民で、まるで逆なのに」
カイン「でも、道化だった僕に……ずっと尽くしてきてくれた」
カイン「そして、今も……」
カイン「……」
カイン「あまり、時間の余裕は無いかな……」
カイン「アベルは仕方がないにしても、あの兄さんにまで遅れをとるのは流石にねぇ……」
カイン「吸い尽くされる不安はあるが、それでもやっぱり僕は……」
カイン「ふん、女の子一人相手にここまで悩むなんて、僕らしくもない」
カイン「アベルとの特訓で、僕も少しはマシになった筈なんだ!」バッ!
カイン「そう、今日こそは! 今日こそは……!」
……
――
――
……
エメリナ「え!? カイン様、もう今日の分のお仕事終わらせちゃったんですか……!?」
カイン「ふふん、何しろこの僕だからねぇ。兄さんが手こずる案件も、ざっとこんなもんさ」
エメリナ「さ、流石カイン様……!」
カイン「ま、そういうわけだからさ。少し、時間に余裕も出来た」
カイン「君さえよければ、久々にどこかに出かけるかい?」
エメリナ「よ、よろしいのですか……!?」
カイン「あぁ。最近は忙しくて、なかなか息抜きできていなかったしね」
エメリナ「す、すぐに支度を……!」テテテテ!
カイン「……」ホッコリ
カイン(今更だけど、やっぱり視えるっていうのは悪くないなぁ……)
カイン(エメリナの姿をちゃんと見られるっていうのは、盲目の状態じゃ味わえない喜びだ)
カイン(フィーアの奴も、普段なら見つけられるようになったしな)
カイン「……さて。彼女のあの慌てようじゃ、もう少し時間がかかるだろうし……」
カイン「――僕も、今の内から覚悟を決めないとな」
……
――
――
【帝国・帝都】
ワイワイガヤガヤ…
エメリナ「今日も帝都は賑やかですね……!」キョロキョロ
カイン「ああ。しかしよかったのかい? 折角の時間をただの買い物でいいだなんて……」
エメリナ「カイン様と平和に一緒にいられる時間なら、どこでも私は嬉しいです……///」
カイン「そ、そうかい……///」
カイン(まったく、こいつは……)
ザワザワ…
カイン(しかし……折角いい気分なのに本当に賑やか――いや、騒がしい?)
ガシャアン!
カイン「!!」
エメリナ「!!」ビク!
カイン「……はぁ。エメリナ、僕から離れるなよ?」
エメリナ「は、はい!」
カイン「ったく、今日はどこの馬鹿だ……!?」ダダダ!
帝都民「あわわ……」オロオロ
帝都強者「てめえ! なんで俺様にそれを売らねえんだ!?」
商人「当たり前だろう!? これはあの王国から仕入れたばかりの貴重な品なんだ!」
商人「それをなんだねあんた! 金貨一枚で売れるわけがないだろう!」
帝都強者「ああんっ!? 本当ならてめぇをぶちのめして、この店のもん全部頂いてもいいんだぜ!?」
帝都強者「それを、わざわざ金貨を払ってまで買ってやるって言ってるんだ! 大人しく――」
カイン「――大人しくするのはお前の方だよ」
帝都強者「なんだと……!?」
商人「カ、カイン様……!?」
ザワザワ…
カイン「おかしいねぇ……確かに、未だ帝国の法が完璧じゃないってことは認めざるを得ない状況だけどさ」
カイン「今お前がやっているような行為は、厳罰に処するように法改正した筈なんだけどねぇ?」
帝都強者「う、うるせぇ! 何が新しい法だ! 帝国の法は唯一つ、実力主義だけだ!」
カイン「やれやれ……お前如き、この場でバラバラにしてやってもいいんだよ?」
カイン「だけどまぁ、僕自身が定めた法を破るのも店の周りを汚い血で汚すのもまずいからねぇ……」スッ…
帝都強者「はっ! びびってんのか、この皇族の面汚しが――」
カイン「――馬鹿か。殺しはしないけど普通に鎮圧するんだよ」ヒュオン!
帝都強者「は、はや――!?」
ズガァ!
帝都強者「」ガク…
カイン「やれやれまったく、無駄な労力を使わせてくれる……」
帝都民「おぉー!? さ、流石カイン様……!?」パチパチ!
商人「ありがとうございます、カイン様……! カイン様が来て下さらなければどうなっていたか!」
カイン「……いや、僕がいなくてもなんとかなりはしたんじゃないか?」
カイン「あっちと、そっち……それに君自身。こいつを取り押さえられるよう身構えていただろう?」
カイン「魔力の感じからして、あっちは聖国兵。そっちはマントでわかりにくいが王国兵」
カイン「そして君は、多分元は帝国兵だろう?」
商人「そ、その通りです。もう強さを誇示して戦場に出る必要が無いのなら、子供の頃から憧れていた万屋を開こうと」
商人「確かに、奴が本当に強行手段に出れば私も自衛したかもしれませんが……」
王国兵「なんだ、そうだったのか……どの道、私の出る幕は無かったということだな」スッ…
聖国兵「神が私に与えた試練かと思いましたけれど、違ったのですね……」スッ…
商人「あんた達も、助けようとしてくれてたのか……しかも、王国と聖国だって?」
王国兵「うむ。先日来たばかりだがね。帝国流の鍛錬は厳しいが得る物が多いと聞き、留学に来たのだ」
聖国兵「私も、です。誰かに頼り切るのではなく、自分自身で何かを為したい……そう思いまして」
カイン「ふぅん、そっちも変わりつつあるってことかな。それじゃ、僕は用があるからこれで失礼するよ」スタスタ
エメリナ「あ、待ってくださいカイン様ぁ!?」テテテテ!
王国兵「……あれが、本当に悪名高かったカイン皇子なのか?」
聖国兵「しかし、颯爽とこの人を助けた姿はとてもそんな悪人には見えませんでしたわ」
商人「……色々変わったけど、一番変わったのはカイン様なのかもなぁ」
商人「ところでどうだいお二人さん! こうして会ったのも何かの縁ってことで買ってかないかい? 安くするよ!」
――
――
【帝国・花畑の丘】
カイン「……はぁ。我ながら似合わないことをしたなぁ……おかげで買い物って流れでもなくなったし」
エメリナ「い、いえ! カイン様、ご立派でしたよ!?」アセアセ
カイン「まさか、王国と聖国の兵まで近くにいて元帝国兵を助けようとしてたなんて……」
カイン「もっと早くに気がついていれば、あんな目立つ真似しなかったのになぁ……」
エメリナ「でも、でも……」
カイン「……」フゥー…
カイン「……僕がやってきたことは帝国は勿論、他国にも知れ渡っている」
カイン「そう簡単に、僕が受け入れられるってことはない。あんな真似すれば、むしろ怪しまれる可能性すらある」
エメリナ「カイン様……」
カイン「でもね、エメリナ? 僕も――まるで変わるつもりがないわけじゃないんだよ?」
エメリナ「え……?」
カイン「……見てごらん、眼下に広がるこの帝国の街を」
カイン「さっきもわかったと思うけど、少しづつこの国は変わり始めている……」
カイン「国だけじゃない。アベルも、兄さんも……変わりながら、前に進んでいる」
カイン「……僕は、愚かだった。強さも、人望も、二人には及ばない」
カイン「でも……やっぱり僕は、やられっぱなしってのが嫌いでね。こればかりは変わらない性分らしい」
カイン「……僕もアベルにあてられたかな。僕は僕なりに、自分のペースとやり方で前に進もうって」
カイン「最近は、素直にそう思うんだ」
エメリナ「カイン様……!」パアァァ!
カイン「……」
カイン「僕がそんなことを考えるように……変わろうと思えるようになれたのは……」
カイン「――間違いなくエメリナ、君のおかげだよ」ギュ…
エメリナ「ふぇ!?///」
カイン「君だけは、どんな時でも僕を信じて、慕って、ずっと傍で支えてくれた……」
カイン「今まで……これからもか。苦労させてしまったね、エメリナ……」
エメリナ「わ、私はただ、カイン様を……///」
カイン「……」
カイン「なぁ、エメリナ?」
エメリナ「は、はい?」
カイン「色々頼りない、駄目な皇子かもしれないけどさ」
カイン「――主人として、そして君を愛する男として……これからも、ずっと君を守らせてくれないか?」
エメリナ「~~~~!?///」
カイン「……わ、笑いたければ笑っていいからな?///」
エメリナ「そ、そんなこと!?」ブンブン!
カイン「……もし、受け入れてくれるなら」
カイン「――今晩、僕の部屋に来てくれるかな」
エメリナ「……!!!」
――
導入部分は以上になります。肝心の本番は近いうちに投下できれば
改めて重ね重ね申し訳ないです……
皆さんも体調管理にはお気を付けください
それではまた後日
こんばんはー
すみません、連休中と言いながら非常に遅くなった挙句明日が早いため、
申し訳ないですが投下は明日で……
明日以降は再び時間も取れそうなので、22時過ぎ頃には投下できるかと思います
(例によって内容に過度な期待は厳禁ですが)
そして追加のおまけ判定もとっておきます
特殊判定
↓1コンマ二桁
こんばんはー
コンマ見てびっくりでした。ほんとみんな要所で凄いコンマとるなぁ……
それでは大変お待たせしてしまいましたが、カイン&エメリナパートを投下します
――
「カ、カイン様……」
「……」
薄暗い寝室。
帝国の第二皇子は愛しい従者を抱き寄せると、そのまま寝台へその身を沈ませる。
枕元の僅かな灯りが二人の紅く染まった顔を照らすが、それは灯りの熱のせいだけではないだろう。
「エメリナ……いいんだね?」
「は、はい……!」
「……君に満足して貰える保証も無いし、上手い言葉も思いつかないけど、これだけは言える」
「――僕は、君を愛している。僕の全身全霊でもって、それを証明してみせるよ」
「カイン様……んっ!」
両者共に、顔に熱が集まっていくのを自覚する。
日々性知識を蓄えていったエメリナも、いざこうして本番……
いや、この主人から進んで求めてくるという状況には免疫がなかった。
いくら知識を深めたとはいえ、実践はお互いにこれが初めて。
唇と唇とが近づくうちに、目は無意識のうちに閉じられる。
「は……む……ちゅ……」
「ちゅ……エメ、リナ……っ」
軽く触れ合うだけの唇。
続いて、啄むようなものへ。
たどたどしいが、二人の熱は顔に留まらず全身へと巡る。
紛れの無い、愛しい人との口付け。経験が無くとも、本能がその情欲を昂ぶらせる。
初々しく、しかし貪欲に。もう少し、もう少し先へ。
啄みあっていた唇はやがて押し付けるようなものへと変わり、内側の粘膜とも触れ合う。
「ん、んんっ……ちゅ、ぢゅ……っ……」
未だ目を閉じる中、徐々に深さを増していく口づけはその音を強めていく。
カインはとうに知ることだが、視界を塞げば他の部分はより鋭敏となる。
淫らさを含み始めた音は、耳から脳へと流れ込み、理性を溶かす。
「あっ……」
口づけをしたまま、カインはその身をさらに深く押し当てる。
皇子の中では最も細いとはいえ、帝国の鍛えられた青年であることには違いなく。
対するエメリナは非常に小柄であり、体躯の差は歴然である。
肩と頭に腕を回されれば、彼女はすっぽりと納まるように抱きすくめられていた。
「ふぁ……ん、んんっ……ちゅ、っはぁぁ……ぷぁっ……んぁぁ……」
甘美な刺激。いつこれをやめればいいのか。
その機がわからず、結局お互いの息が切れるまで唇を吸い合い、舌を絡め合う。
蠢く舌が掻き回しているのは口内だというのに、まるで頭の中そのものを掻き回されているような。
そんな錯覚さえ覚えてしまう口づけも、ようやく終わりを迎える。
粘ついた銀の糸がゆっくりとちぎれていく様を眺めながら、より頬を紅潮させて二人はお互いを見つめ合う。
――
「エメリナ……ぬ、脱がすよ?」
「あっ……」
少女を抱きしめていた腕が動き、脱がしにかかる。
だぼついているとはいえメイド服の作りは普通のものとは少し異なる。
本来であれば手間取ったであろうその行為も、予習を済ませた皇子であれば問題ない。
「ご、ごめんなさい……こんな、貧相な身体で……」
従者の証が取り払われれば、まるで子供のような身体が露わになる。
胸部はほんの僅か、申し訳程度の細やかな膨らみがあるのみ。
主への奉仕の仕方を語り合ったり、料理を教えてくれる先輩のメイドとは比較にならない。
「……っ」
しかし、詫びながら覗きこんだ主の顔は……
既に赤かった顔はさらに朱が増し、食い入るように細やかな膨らみを見つめていた。
そして、喉を鳴らす音がいやに大きく響く。
「い、いや……すごく、綺麗だと思うよ」
そしてその音を誤魔化すかのように、カインはその身体を褒める。
異性の裸を見ることはこれが初めてな彼にとって、それは嘘偽りの無い言葉だった。
「カイン様……うれ、しいです……どうか、あなた様の望むままに……!」
「あ、ああ」
エメリナの瞳が潤む。
子供のような自分の身体を、最愛の人が受け入れてくれた。
称賛の言葉だけではない。
荒さを増した吐息が。
再び鳴らされた喉が。
そして身体に触れている、彼の熱いシンボルが。
全てが、それを裏付けてくれる。
それが何よりも嬉しくて。
恥ずかしさと申し訳なさはまだ残るものの、少女は微笑みながらその身体からゆっくり力を抜く。
この身の全てを、主に捧げるために。
――
「んっ……! ふっ……ぁ……!」
躊躇いがちに伸ばされた手が、そっと緩やかな丘を撫でる。
たとえ豊かではなくとも、そこが性感帯であることに変わりは無い。
自身で慰める時とは違う、男の手による愛撫。
くすぐったさに混じる快感に、エメリナは吐息を漏らしながら悶える。
「……エメリナ」
自分の手で、彼女が反応を示してくれる。
不安材料であった自分の技術の問題もどうやらクリアできたらしい。
それならばと、カインは徐々に息を荒げて、己の欲望に従い始める。
小ぶりな丘の頂で、ぷくりと硬く尖った先端。
控えめながらに確かに主張しているそれは、彼女そのものに見えて愛おしい。
「カイン様っ……あっ、くっ、ふぅぅっ……!?」
撫でられ、揉まれ、摘まれて。
声を押し殺そうとしても、まだまだ弄られて執拗に捏ね回される。
ぴりぴりと痺れるような刺激に、やがて声は抑えられなくなる。
「エメリナ……あぁ、可愛いよエメリナ……!」
「きゃっ!? カイン様、そんなっ……んぅ!」
触るだけでは満足しきれなくなったのか、指の次には唇が迫る。
次の瞬間には、硬くなった乳首は無遠慮に吸い付かれていた。
「んっ、んくぅ!? ふぅぅ……!」
より強い刺激に漏れそうになる嬌声を、指を噛んで堪えるエメリナ。
そんな姿を見て、ますますカインは昂ぶり激しさを増していく。
夢中になり異性の胸に吸い付くなど赤子のよう……
かつてのカインならば避けたであろう行為も、今は躊躇いも無くできてしまう。
……そうせずにはいられないほどに、目の前の少女が愛しかった。
(エメリナ、もっと――君の可愛い姿を、僕に見せてくれ……)
必至に指を噛んで耐えようとするその姿がいじらしくて。
小さいながらに自分を惹きつけてやまないこの胸をもっと弄りたくて。
あのまま、目が見えないまま偽りの強者として腑抜けていれば、この光景は拝めなかったことだろう。
これまで見られなかった分。これからはより深く彼女の全てを見よう。
まるで埋め合わせをするかのように、凝視しながらの愛撫はさらに続いていく。
――
唇が触れては、離れる。
舌が這っては、離れる。
主の愛撫に、従者は抵抗することはない。
粘ついた音と、体内に滲みこんでしまうのではないかと思う程に塗りたくられた唾液。
耳も目も、その淫猥な情景をしっかりと受け取ってしまう。
(カイン様が、こんなにも私を……)
起伏の無い、女らしさの少ない未熟な身体。
劣等感すら抱いていたこの身体を、一心不乱に求められているという現実は、エメリナに大きな幸福感をもたらした。
抱いてはいけないと思っていた、主人への恋慕の情。
主と従者の関係として、奉仕はともかくとして……
こうして、愛し慈しまれることは望外の悦びだ。
(嬉しい……)
自分だけは、彼の味方でいようと思った。
たとえ気まぐれだったにしろ、あのままでは自分はどこかに売られていたのは揺るがぬ事実。
そして取り柄の無い自分は、きっとすぐに捨てられていたのだろう。
自分を救ってくれた、皇子様。
周りには表立った動きこそないが敵は多くて、当人もそれをわかった上で気にもしていなかった。
それでも……時折見せる陰が、どうしても気になって。
メイドに志願して、それから沢山の迷惑をかけて。
それでも――傍にいることを許されて。
そして今……こんなにも愛して貰えている。
「んっ……!カイン様……ありがとうございます」
「え?」
「こんな私を、愛してくださって……」
「……それを言うなら、僕の方さ」
「ありがとうエメリナ。こんな僕を、受け入れてくれて……」
照れ臭そうに笑うその顔は、かつてとはまるで別人で。
それでも、自分が大好きな人には変わりなくて……
――
「カイン様っ!」
「うおっ!?」
気がつけば、エメリナは全身でカインに抱きついていた。
予想外の行動に驚いてしまうが、カインも反射的にエメリナを抱きしめ返す。
「――って!?」
ここで止まるかと思えば、その勢いは止まらず。
不意を突いた形とはいえ、帝国の皇子が小柄な少女に一時とはいえ押し倒されるような構図となった。
「エ、エメリナ……?」
「私は、いつまでも、ずっと……カイン様のお傍に……」
「――そして、ずっとご奉仕致します!」
感極まった様子のエメリナに対して、カインは一瞬だけ昂ぶる熱とは違うものを己の身に感じた。
寒気。
本来感じる筈の無いそれだが、彼には心当たりがあり過ぎた。
「ま、待てエメリナ! 今日は僕が――」
「いいえ。カイン様が私を愛して下さるように……私だって、カイン様を愛したいです……!」
「っ……」
いつもよりもはっきりとした口調で告げられたその言葉に、カインは次の言葉を口に出せなかった。
彼女のあの卓越した技術も、全ては自分を想った故のもの。
こうして今、そしてこれからも肌を重ね合うというのに。
その努力の成果を全て無碍に扱うのは果たして正しいことなのか?
互いを愛し合う。それは男女の性交においてどこもおかしな点はないのではないか?
――
「えーい!」
「っ!?」
そうこう考えているうちに、カインの腹部にはエメリナが跨っていた。
心からの感謝の言葉は、どうやら彼女にも火をつけたらしい。
(こ、これは……)
跨られた腹部に感じる温かな感触。
柔肉だけではない。とろりとした、液状のものも感じる。
――ああ、僕でも彼女を感じさせることはできたのか。
小さな達成感も、これからを考えるとすぐに吹き飛んでしまう。
「し、失礼します……」
愛液が潤滑油となっているのか、エメリナは滑るように位置をずらしていく。
ぷにゅりとカインの膨張した性器が、エメリナの小ぶりな尻肉で挟み込まれるような形となった。
このまま騎乗位に移るのだろうか。
柔らかな感触に身を震わせながらそう考えている矢先、エメリナはさらに動く。
「ん……♪ まだ、です。まだ、ちゃんとご奉仕できてないから……」
可愛らしい、そう断言できる笑みを浮かべながら。
しかし同時に、口の端からたらりと唾液を零す姿が酷く淫らに見えて。
「エメ、リナ……」
もう静止をかけることすら忘れ、喉を鳴らして下腹部に熱をさらに集めることしかできない。
「あぁ、カイン様のおちんぽ、前よりもずっと熱くて硬いです……♪」
「本当に、私でこんなに興奮してくださっているんですね……」
唾液をまぶされ、ぬるぬるになったカインの肉棒が掴みとられる。
がちがちに硬くなったそれは、確かに以前のそれよりも遥かに立派になっていた。
まさかここに来て、薬に頼ったなどとは言えないが……
全てはエメリナの為であったことには違いないため、カインは荒い息を吐きながらも首を縦に振る。
実際に、ここまで深く彼女と身体を触れ合わせることは初めてで。
今までにない程に興奮しているのも、事実なのだから。
――
「……でも、ごめんなさい。私も、アイナさんみたいに胸が大きければパイズリができたのですが……」
「ふふ、僕を普通の男どもと一緒にしないでくれよ?」
「……僕は、控えめで高貴さのある小さい胸の方が好みだね」
「カイン様ぁ……」
最後の方は首を横にふいと向けてしまったが、その言葉は確かにエメリナの耳にも届く。
果たして本心か、励ましの言葉か。
それはわからないが、それでもエメリナを奮起させるには十分な言葉だ。
「今日は、いつも以上に、精一杯ご奉仕させていただきますっ!」
「ん、くああああぁぁぁぁっ!?」
そして、小さな胸での奉仕が始められる。
先端と乳首を擦り付けあったり、先の唾液で滑りがよくなっている胸全体でぬるりと扱いて見せたり。
小さいながらに、彼女はその身の使い方をしっかりと理解していた。
(嘘、だろ……!? なん、で、こんなにっ……!?)
ともすれば、一瞬で情けない声をあげてしまいそうになるのをカインは必死に食いしばる。
口で吸引されるだけじゃない。彼女は本当に、自分の為にあらゆる奉仕を学んだのだということが嫌でもわかった。
そのひた向きさは嬉しいが、あまりの心地よさに若干の恐ろしささえ感じてしまう。
それでも、様々な意味で自分は以前とは違うのだと頭の中で言い聞かせ、達することは耐える。
「あはっ♪ カイン様、まだ硬くなって、こんなに震えて……♪」
あの手この手で、奉仕は休まず続けられる。
胸の次は唇で。
頬張り全力で吸い込めばどうなるかは、流石にエメリナも学習した。
丸ごと咥えるのではなく、まずは側面から。
竿を優しく食むようになぞりつつ、要所で吸い付きながら頂を目指していく。
その間に、空いた手は張りつめた玉袋を優しく揉み解す。
「くっ……はぁ……っ!?」
「ん、んちゅ♪ んん~、ちゅぷぅ……カイン様、気持ちいいですかぁ~?」
「っ……! あぁ、いい、よ、エメリナッ……!」
かつて、これほどまでに何かに耐えるということをしただろうか。
暗黒街での生活はともかく、王城に戻ってからはおそらくないだろう。
声を噛み殺すので精一杯。
エメリナの唾液でわかりにくいが、自分でも先走った汁が溢れ出ているであろうことは自覚している。
限界は、もうすぐそこだ。
――
「ん、あん♪ んんっ♪」
再び体勢が変わり、エメリナの幼さの残る割れ目に挟みこまれ、彼女が腰を前後に動かし始めた頃。
本当にもう暴発してしまいそうになるその寸前で、今度はカインが動く。
この構えでは、次にどのような形に移行するかは彼でもわかった。
そしてそれだけは、避けたかったからだ。
「っぁ……エメリナ、ありがとう」
「――さぁ、ここからはまた僕の番だよ?」
「え……ひゃあ!?」
先程不意を突かれたように、同じことをやり返す。
本来の体格差であれば、カインが押し負けることはないのだ。
再び最初と同じ、カインが上の格好となる。
(ごめんよ、エメリナ)
普段であれば、このまま気持ちよく果ててもよかったのかもしれない。
しかし、自分の精力の限界を彼はよく理解していた。
このままエメリナの口や身体に射精すれば、彼女の中には……
エメリナを満足させてやることは、できないのだと。
想いを伝え、受け入れられた、大切な夜。
それを不完全なもので終えたくないと思うのは、きっと自分だけではないだろうと思って。
「……エメリナ、そろそろ、いいかな?」
「……っ!」
はち切れんばかりになったそれは、二人とも初めて見る程であった。
ただ愛しい人を全力で愛したい。
二人の共通した想いのおかげか、両者の準備は整っていた。
「はい……カイン様の、望まれるままに……♪」
顔を紅潮させながらも、エメリナもいよいよなのだとゆっくりと足を動かす。
ゆっくりとした動きなのは、やはり彼女も緊張しているからなのだろうか。
しかし開ききれば、手を太ももに添えてよりその場所がはっきりとわかるようにして雄を誘う。
晒された蜜壺は、すでに決壊したかのごとく蜜を滴らせていた。
――
「カイン様……もう、私……こんなに濡れちゃいました……♪」
「カイン様にご奉仕しなきゃいけないのに、その最中にも、気持ちよくなってしまいました……♪」
「こんな淫らな私でも、カイン様は――」
「くどいよ、エメリナ。僕は……君だから……」
言葉の途中で、今日一番の大きさでごくりと喉が鳴らされる。
無理もない話だろう。カインもいよいよなのだと覚悟は決めている。
しかし初めて見る異性の性器が、ああも淫らに自分を誘ってくるものなのかと困惑せずにはいられない。
書物で得た知識は、いざこうして実物を前にするとまるであてにならない。
「――君じゃなきゃ、駄目なんだよ」
ずい、とカインの身体がエメリナに近づく。
余裕があれば、あの淫らな壺に顔を埋めて蜜を啜りたい衝動にも駆られた。
しかし限界が近いことはわかっており、自分もエメリナもこれが初めてなのだ。
少し物足りない、もう少しと欲張りたくもなってしまうが……
今は、これでいい。
近くて遠かった二人にとって、まずはこれが大切な第一歩なのだから。
今はただ純粋に、この想いを伝えられればそれでいい。
「カイン様……」
髪をかきあげられ、互いの目と目でしっかりと見つめ合う。
見ることはもう叶わないのだろうと思っていたその宝石は、二人の頬を同時に赤くさせる。
「……お願いします。カイン様のおちんぽ――私に、ください」
「カイン様の全てを、私に、感じさせてください……!」
「あぁ……!」
体格差、それに伴う破瓜の恐怖。
全くないといえば嘘になるが、この想いの前には些細なこと。
愛しい人の力強い言葉を受け、股の間からはさらに蜜が垂れ落ちた自覚はある。
その脚はさらにひらかれ、その時を待つ。
――
「行くよ、エメリナ……」
優しくかけられた声に、首が縦に振っての了承。
最後の確認を済ませ、少し躊躇いがちに腕が伸ばされる。
緊張からなのか、僅かに汗ばんだ掌が太ももの内側に置かれ。
力が籠れば、華奢な少女の股はさらに押し広げられた。
「あっ……」
唾液や先走った汁、愛液とでぬめりにぬめったそれは、ぴたりとエメリナの割れ目に当てられる。
ほんの少し。あとほんの少し押されるだけで……
「エメリナ、痛かったら、言うんだよ?」
「は、はい……!」
向かいあい、見つめあい。
どちらからともなく、二人は身体を近づけあった。
もっと傍で。もっと近くで。
その存在を確かめたい。その存在を――刻み込みたいと思って。
「……っ!」
「んっ……くっ……!? っあああぁぁぁぁっ!?」
そして一呼吸置いて、二人は完全に重なりあった。
悦びの感情は強いが、それでも惜しむべきはこの体格差だろうか。
エメリナは下半身に奔った鋭い衝撃に、声を我慢しきれなかった。
痛い、だけではない。悦びもあるが息苦しい、なんともいえない圧迫感。
「エメ、リナ……大丈夫、か……?」
「は、はいっ……♪ カイン様が、私の中に……!」
しかしそれも、愛する人の言葉を聞けば薄れていく。
あの誰からも恐れられた帝国の第二皇子が、自分にこんなにも優しげな声をかけてくれる。
紆余曲折の末に辿りついたこの幸せな現実に、エメリナは歓喜の涙を零す。
「っ、ごめんやっぱり痛かったかい!?」
「い、いえ。これは、嬉しくて……」
そんな涙も指先で拭ってくれる優しさも、何もかもが嬉しくて。
この人はこんなに優しい人なのだと、みんなに知ってほしい。
だけど、自分だけが知っている秘密にもしたいと、愛する感情を抱きながら。
エメリナはその両腕を回し、再び全身で愛情を表現する。
――
「ん、はぁ……♪」
「ん、んんっ……!」
優しいのは言葉だけではない。
抜き挿しもゆったりと、慈しむように穏やかなもの。
にゅちっ、じゅぷっといやらしい水音こそ鳴り響くが、それも間隔に空きがある。
「はぁぁ……♪ カイン様、もう、激しくなさっても、大丈夫、ですよぉ……♪」
「折角だが、遠慮するよ。もっと、エメリナの膣内を堪能したいからね」
「――ああ、勿論、こっちの可愛い胸もだよ?」
「あ、ひゃふぅ♪」
片方の腕を伸ばし、摘むように先端を虐めてやる。
腰の動きもゆっくりとしたもので、じわりじわりと身体に馴染ませるように。
そして指で慰める時とは物が違う淫らな水音は、耳にも馴染んでくる。
カインのものも決して大きいとはいえないが、それを納めるエメリナは小さいのだ。
結果としてゆっくりと、しかし奥底が確実に突かれていく。
その一突きの度に、エメリナの身体は震えて甘い響きをもらす。
「あっ、んっ……くぅん♪ カイ、ン様ぁ……!?」
「まだだ。まだだよ……もっとじっくりじっくりと、ね……!」
焦らすように、動く速度が変わることは無い。
着実に昇り詰めていくエメリナも、徐々に余裕が無くなっていく。
奉仕しなければ、先にイかせなければと思っていても、彼女も今日が初めてなのだ。
その初めての、それもゆったりと優しい注挿でじわりと責められるなど想像もしていなかった。
「あ、あぁっ! だ、めぇ……! このままじゃ、ふあぁ……! わ、私が先にぃぃ……♪」
「いいんだよエメリナ、それで……!」
最後まで、ゆっくりと。
間もなく限界を迎える少女は知る由も無いが、別に主は深く考えてこのような焦らしを行っているわけではない。
ただただ習った基本に忠実に。大切な人を優しく扱いたい。
そして……この速度であれば、瀬戸際ではあるが自分も耐えられるのだと。
繋がってからの僅かな時間で、彼はそれを理解したのだ。
自分が先に果てて終わるのは御免被る。
何としてでも彼女を先に導いてやりたい。
砕けに砕けた皇子のプライドの中で、僅かに残されていた男としての意地が、彼を突き動かす。
――
落ち着いた絡み合いは、どれだけ続けられただろうか。
しかし、それもついに終わりを迎える。
ひっそりと呼吸を整え、休みを挟んでいた男と。
焦らす様に、しかし何度も何度も子宮を小突かれてきた少女。
どちらが先に限界を迎えるかは、明らかだろう。
「あっ……♪ だめぇっ♪ カインさまが、まだなのに……」
「もう、きちゃ―――♪」
「エメリナッ……!」
ゆっくり、ゆっくりと。
しかしその声を聞いた瞬間、カインは歯を食いしばって腰を深く突きだした。
最後くらいは、激しく。
「~~~~~ッ!??」
これまで耐えてきた所に、慣れてきたところに、大きな一撃。
それは経験の無い少女へのトドメの一撃には十分過ぎた。
「あ、あ、あ、あっ……♪ いっ……ぁ……♪ イっちゃいますううううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……♪」
「あああああ゛あ゛あ゛っ!? し、搾り取られっ……!?」
渾身の一突きは、少女から淫らな悲鳴を引きずり出すと同時に迸る精も吐き出した。
刺し違えるかのようになったが、僅かに少女が達した方が早い。
絶頂の余韻に浸り、胎内に熱いものが注がれていく感覚を受け止めながら。
きゅうきゅうと締め付けられ、このまま意識も刈り取られそうな幸福感を味わいながら。
「エメ、リナ……」
「カイン、さ、まぁ……♪」
二人はどちらからともなく腕を伸ばし、抱き合いながらその身を沈めるのであった。
――
――
特殊判定結果
カインvsエメリナ、夜の勝負の最終結果は?
カイン:夜57<エメリナ:夜100
カインに補正-43
01~07:カイン勝利
08~00:エメリナ勝利
コンマ01
01~07:カイン勝利!!!
――――
―――
――
―
……
エメリナ「カイン、さまぁ……」ムニャムニャ…
カイン「……」
カイン「…………」
カイン「………………」
カイン「や、やった……!」グッ!
カイン(エメリナを、満足させてやれた……っ!)
エメリナ「むにゅぅ……」
カイン「ふふ、なんて間抜けで幸せそうな顔だ」ツンツン…
カイン「……今、鏡は見れないな」
カイン「僕も多分……似たような顔だろうしね……///」
カイン「……」
カイン「一応、アベルには感謝してやるかな……」ポリポリ…
カイン「でもそれ以上に、やっぱり僕も体力はつけないと不味いかなぁ……」
カイン「か、身体の節々が……」ギシギシ…
エメリナ「カインさま――次は、私が……吸いつく……」スヤァ…
カイン(……今日から鍛えよう)
――
※カインは独自に夜の戦い方を把握できたようです
――
――EXイベント6――
【戦いを終えて~~帝国第二皇子の初体験~~】 おしまい
はい、というわけでおまけイベント6は以上になります
以前の判定でエメリナ控えめ、カインの技術は並なので意識するのが結構大変だったり……
いつものことですが、皆さんのご期待に応えるのは難しいものです
次は相当空いてしまった為お忘れの方も多いとは思いますが、おまけ6のちょっとしたアフター後に歌唱力の発表となります
ただ、そのあとの予定が決まっていないため、先にチケットを消費してのおまけイベントを再度募集しようかと思います
↓1~5あたり自由安価で
本日もありがとうございました!
こんばんはー
コンマと票数的に、次のイベントはギルバート達の過去編でしょうかね?
ざっくりしたものしか考えていなかったので、肉付けを色々考えたいと思います
遅くなってしまいましたが、ほんの少しだけ再開です
――
……
エメリナ「むにゅ……」
カイン「……」ジー…
カイン「目が見えるって、本当に素晴らしいことだったんだなぁ……」プニプニ
エメリナ「んぅ……」
カイン「……」ホッコリ
カイン「このまま眺めていたいけど、今日は今日で仕事はあるし……」
エメリナ「……カインさまぁ……」スヤァ…
カイン「……エメリナも初めてで疲れただろうしね。今日はまだ寝てていいよ」ポン
カイン「――今の僕なら、いつも以上に早く仕事を片付けられそうだしね!」バサ!
カイン「……」チラ…
おまけ判定
↓1コンマ一桁
奇跡の勝利で掴んだもの
コンマ74
カイン:夜57+4=61
――
カイン「……うん、なんだか男としても成長できた気がするし……」
カイン「今日からの僕は、また一味違うぞっ!!!」
カイン「……」
カイン「……って、朝からすっごくいい気分なのに」
カイン「なんだろう、風が騒がしい……」
カイン「この感じ、またちょっとした厄介ごとが起きるか……?」
カイン「やれやれ、何処の誰だか何だかわからないけど、エメリナとの余韻を邪魔するとは無粋だねぇ」
カイン「ま、このかつてなく満ち足りている僕なら、どんな問題でもすぐに解決するだろうけどね!」
カイン「はーっはっはっ!」
エメリナ「んにゅ……」ゴシゴシ…
エメリナ「はわっ!?///」
エメリナ「お、おお、おはようございますカイン様ぁっ!?///」
エメリナ「す、すぐに支度を整えますので……」ワタワタ…
エメリナ「あわ、あわ……きゃー!?」ステーン!
カイン「ああ、ごめんよエメリナ!? 落ち着いて、今日は僕がやるからさぁ!?」オロオロ…
――
――小イベント『歌うことは心の豊かさ?』――
――その頃……――
【聖国・教会】
リーナ「ふんふ、ふんふ~ん……」
アルフ「張り切っているな、リーナ」
リーナ「当然です。何しろ大切なお友達の結婚式が、ここで挙げられるのですよ?」
リーナ「すぐではないとのことでしたが、今から入念に不備がないか確認しておきませんと……!」
マークス「リーナ様のお手を煩わせないよう、私達も常に清掃には気を配って入るのですが……」
リーナ「ええ、確かにマークス神父の仰る通りですわね」
リーナ「かなり細かいところまで確認したというのに、非常に綺麗で気持ちがいいですわ!」
リーナ「皆さん、いい仕事でしてよ!」グッ!
聖国兵達「「ありがとうございますっ!」」ビシ!
アルフ「教会の用意は万全、ドレスの用意もある。これで、式が早まっても大丈夫そうだな」
リーナ「そうですわ、ね……?」
アルフ「どうしたリーナ?」
リーナ「……」
リーナ「式の時の祝福の歌は……大丈夫ですの……!?」
アルフ「!?」
マークス「!?」
リーナ「勿論、肝心の新郎新婦に拒否されたならば引き下がりますけども……」
リーナ「我が聖国での結婚式、聖歌隊や参列者の方による祝福の歌は伝統ですの」
リーナ「神を讃えるというよりも、新郎新婦への祝福の意味合いが強いこの歌……」
リーナ「最近は戦争でろくに歌っていませんでしたけど……だ、大丈夫でしょうか?」ドキドキ
リーナ「……よし。折角教会ですし、今ここで歌ってしまいましょう。兄上、マークス神父! 援護を頼みますの!」スゥー…!
アルフ&マークス「「!!?」」
――
――
それぞれの歌唱技能
50で並。70以上で聞き惚れるレベル
00(最強)>偶数ゾロ>奇数ゾロ(壊滅)
(>>24より)
1リーナ:56(聖国王女ですもの。でも久々で鈍っちゃったかも)
2アルフ:29(……気づいてしまったようだな。私が意外と脳筋であると……)
3マークス:20(元気なのはよろしい。でも、もう少し周りに合わせましょう)
――
リーナ「♪~、♪~~」
アルフ「あ、あぁ~、ぁぁ……?」
マークス「まああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
リーナ「――練習して正解でしたわねぇお二人ともぉっ!!??」クワッ!
アルフ「お、落ち着こう。一旦落ち着こうリーナ?」ガタガタ
マークス「そ、そうですな。神はきっとこれを克服する時間を与えてくださいます……」ガタガタ
リーナ「あ、危うく大切な結婚式が大惨事になるところでしたの……」プルプル…
アルフ「私としたことが……戦や異教徒にかまけて、ここまで悪化しているとは……」ガクリ
リーナ「……かく言う私もですわ。以前と比べたら、全然駄目ですの。あとマークス神父はまず音量を下げてくださる?」
マークス「はい……」ショボン
リーナ「しかし困りましたわね……聖国の王族である私達がこんな有様だなんて、由々しき事態ですの」
リーナ「式への影響もですが、聖国全体への影響も出かねませんわ……」
アルフ「流石に聖国内で誰かに教えを乞うのは避けたいところだな……」
リーナ「……それなら、他国に頼るまでですわ! ついでに参列してくれそうな方の歌唱技能もチェックですの!」
アルフ「なるほど、その手があったか!」
リーナ「善は急げですわ! マークス神父、留守をお願いしますの!」ダダダダ!
マークス「かしこまりました。どうか、お気をつけて!」
――
――
……
【帝国・???】
アルフ「……リーナ」
リーナ「なんですの?」
アルフ「確かに私は、お前一人では不安だからついていくとは言ったぞ?」
アルフ「言いはしたが……」チラ…
ギルバート「……」ゴゴゴゴゴゴゴゴ!
バーンズ「……」ズズズズズズズ…
フローレン「あらぁ? 随分と珍しい人がやってきたわよあなたぁ?」クテー…
アルフ「……何故にここから攻めた?」ダラダラ
リーナ「式には関係の深い方ですし、帝国最強ならば歌も最強なのでは?」
リーナ「そう思った次第ですわ」ムフー!
アルフ(……私もリーナも、知性を鍛え直した方がいい気がしてきたぞ?)
ギルバート「……聖王家の者が、こんなところまで何用だ?」
リーナ「あ、朝早くからおしかけてしまったことは謝りますの……」ペコリ
リーナ「ただ、私達は今少々事情がありまして……歌が上手い人を探していますの」
ギルバート「……歌?」
アルフ「……はい。そして、今はまだ深くは話せませんが……」
アルフ「ギルバート殿、あなたにも完全には無関係、という話でもありません」
ギルバート「……ふむ」
ギルバート「死合に来たわけではないのか」
リーナ&アルフ「「違います」」
ギルバート「歌などという娯楽……もう幾十年も忘れていたな」
リーナ「……聖国も、王国も、帝国も。これから変わっていきますわ」
リーナ「歌で少しだけ、心に余裕を持ってみるのもいいと思いますわよ」
ギルバート「……よかろう」
ギルバート「――このギルバート、挑まれた戦いからは逃げも隠れもせぬっ!!!」ゴゴゴゴゴゴ!
アルフ(挑んではないのだが……)
――
――
元・帝国上層歌唱技能
4ギルバート:02( ギルバート は 覇者の雄叫び をあげた !!! 弱者はこれだけで封殺できちゃう)
5バーンズ:58(なんと兜越しでもちゃんと聞こえる。やっぱり兜取れよは禁句)
6フローレン:65(いい歌声。でも歌っている途中からやる気を無くすので減点)
――
……
ギルバート「 ズエアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァッッッ!!!! 」ビリビリビリビリ!
小鳥「」ボト…
虫「」バタ…
小動物「」ビクンビクン…
リーナ(身の危険を感じて防壁を張ってなかったら即死でした……)ブルブル…
アルフ(なんという怪物だ……)ブルブル…
バーンズ「おぉ、流石は陛下……! なんと勇ましい……私には、この程度の声しか出せない~♪」
リーナ「いや、そっちが正解ですのよ!? というよりもあなた、よくその状態で歌えますわね!?」ビックリ
バーンズ「……兜越しでの会話が明瞭に聞き取れるよう、訓練はしてきたのでな」
アルフ(兜を取るという発想はないのか……)
フローレン「ふぅん、意外とやるわねぇバーンズ」
フローレン「でもこれが、本当の歌声なのよぉ? ら~らら~♪」
リーナ「おお……私達よりもずっと上手ですの……!?」
フローレン「当然よぉ。私を誰だと思っているのかしらぁ?」ドヤァァ…
フローレン「何しろ私は――」
ギルバート「 シェエアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァッッッ!!!! 」ビリビリビリビリ!
フローレン「ちょっとあなたぁ!? せっかくの私の美声が潰されちゃうからやめてぇ!?」
リーナ(さ、先行きが不安ですの……)
――
イベントの途中ですが、今日はここまで
今回の歌唱力判定は、全体的にみんな低め+ギルバート以外に致命傷を負った人はいます(白目)
まあ他の技能は生活上必要ですが、歌は使わないですからある意味納得の結果かも?
本日もありがとうございました!
こんばんはー
ギルバート達との交流というか生存は、以前のキアラの判定をクリアしているのが大きいですね
(あと、戦闘から外れた瞬間に一桁コンマや99フルパワースイカクラッシュとかある意味コンマ運が強いギルバートのおかげ)
本日もちょっとだけ再開です
――
……
リーナ「……堪らず逃げてしまいましたわ」ハァ…
アルフ「魔女フローレンの歌も悪くはなかったのだが……」
リーナ「あの人は駄目ですわ。なんだか、歌っている最中に欠伸をしそうな気がしますの……」
アルフ「ううむ……」
リーナ「とりあえず、次に行きましょう。次はそうですわね……」
……
【王国・街道】
アルフ「……リーナ、まさかとは思うのだが」スタスタ
リーナ「なんですの兄上?」スタスタ
アルフ「……国王と深紅の令嬢に頼むつもりなのか?」ドキドキ
リーナ「……王国で私達が頼れそうな人はそこしかいませんの……」
アルフ「むしろ人選的に、追加の国際問題が生まれかねない気がするのだが……」ダラダラ…
ネスト「おや? リーナさんにアルフさんじゃないですか。えらく珍しい光景ですねー」
リーナ「!!」
ネスト「……って、もしかして国家間の機密――」
リーナ「ネスト、歌ってくださいな!」ビシ!
ネスト「唐突に無茶振りかましたよこの王女様!?」ガーン!
アルフ「……すまないが、頼む」ペコリ
ネスト「えぇー……な、なんなんです一体……?」スゥー…
――
7ネスト:60(特に気にしたことはないけど人並み以上には歌える。なのに怒られる)
――
ネスト「ららら~♪ ……って、こんな男の歌なんざ下手に決まってるでしょ恥ずかしい……」
般若「」クワッ!
ネスト「うおおおおぉぉぉぉぉぉ!?」ビックゥ!
リーナ「またですの!? またですのあなたはぁ!?」ユッサユッサ!
ネスト「おうおうっ!? な、何がぁ!?」ガクンガクン!
リーナ「あなた、前の料理の時もなんだかんだ言って私よりも美味しく作っていましたのおぉぉぉぉ!」ユサユサ!
リーナ「い、今の歌も私よりも上手でぇぇぇぇ!」ユサユサ!
リーナ「いくらお友達でも、謙遜するふりして自慢は酷いですのぉぉぉぉぉぉ!」ユサリ!
ネスト「おっふ……い、いや、俺は別にそんなつもりは……」ヨロ…
アルフ「落ち着くんだリーナ。流石に彼も混乱している」
ネスト「いや、この王女様が時たまぶっ飛ぶのはもうわかってはいるんですが……」
ネスト「今日はアルフさんも一緒で王国になんて、本当に何事なんです?」
アルフ「……詳細は言えないが、歌の上手い人物を探しているのだ」
ネスト「ははーん……」
ネスト「……え? 国王様達に歌わせるつもりで来たんですか!?」
リーナ「その通りですの!」
ネスト「ま、まぁ大きな問題じゃないならいいんですけど……」
ネスト「それじゃ折角ですんで案内しますよ。俺も丁度手伝いを終えて戻るところでしたし」
アルフ「すまないな……」
――
――
【王国・王城】
ネスト「国王陛下、ご依頼のあった地区の貴族の情勢調査、完了致しました」
クラウス「すまない、助かったよ」
クラウス「アベル皇子の斥候部隊をこうも長期間頼ってしまうのは、本当に情けないとは思うのだが……」
スカーレット「真っ先に貴族連中に買収か排除されたのが斥候部隊だったのが痛手でしたわ」
スカーレット「後進の育成にもまだまだ時間がかかりそうで……」フゥ…
ネスト「あはは、別に大丈夫ですよ。俺も殿下を援助してくださっている王国には大きな恩がありますし」
ネスト「あ、あと珍しい二人が来客に来てます。それでは御免!」シュ!
アルフ(説明が面倒で逃げたな……当たり前だが)
リーナ「突然の訪問、お許しください」ペコリ
クラウス「む……聖王家のお二人が揃って王城にいらっしゃるとは……」
スカーレット「……何かまた、よからぬことですの?」
アルフ「い、いえ。今回は然程重要な案件ではないのですが……」チラ
リーナ「不躾ですが、私達は今現在、歌の上手い人を方々に探している最中ですの」
リーナ「それでもしよろしければ、お二人にも……」
クラウス「う、歌……?」
スカーレット「これはまた、予想外ですわね」
アルフ「本当に申し訳ありません。私と妹の歌唱力がもっとあれば、このような事態にはならなかったのですが……」
リーナ「ちょっと兄上!? 私は一応そこそこには歌えていましたでしょう!?」
クラウス「事情はわからないが……」スッ…
スカーレット「歌う程度ならば、お安いご用ですわ」スッ…
――
――
8クラウス:61(王国民へ呼びかけるために、声には結構気を使っていたようです)
9スカーレット:09(1/2の確率で喋らせたら不味い人が、歌なら平気なわけがないのです)
――
クラウス「あー、あぁ~♪ ……ど、どうだろうか?」ドキドキ
リーナ「お、お上手ですの……」ガクリ
クラウス「よかった……歌など、あまり歌う機会が無かったもので」
クラウス「民に声を届ける為に、声の出し方や喉の維持には結構気を使っていたのだが、その成果だろうか?」
アルフ「なるほど……」
リーナ「むぅ、これは私達も見習うべきですわね」
クラウス「お役に立てたなら幸い……といいたいが、肝心なのは歌そのものだったね」
クラウス「そうなるとやはりもっと上手な者を探した方が――」
スカーレット「××れて♪ 嬉しいか♪」
王国兵達「「イエス!」」バッ!
スカーレット「それならアナタは×よ!」
スカーレット「ワタクシに♪ 言わせれば♪ 全員××××××!」
リーナ「!?///」
アルフ「!?///」
クラウス「スカーレット将軍および今合いの手を入れた者、全員自室待機っ!!!!」ビシッ!
スカーレット&王国兵「「そ、そんな陛下っ!?」」ガーン!
――
――
リーナ「な、なんだか危なそうな歌でしたわね……///」
アルフ「あ、ああ……」
リーナ「でも、合いの手はやはりいい手段かもしれませんわね!」
アルフ「流石に祝福の歌にあのような合いの手は無いがな……」
アルフ「とにかく、あれではとても参考にならないぞ」
アルフ「というよりも、いたずらに国王の心労を増やしてしまっただけのような気もする……」
リーナ「……後日、改めてお詫びの品を持って来ましょう」
リーナ「聖国も帝国も王国も、上層部はこれで全滅ですわね……」
リーナ「他に私達が頼れそうな人は……」
アルフ「……もう、わかっているだろうリーナ?」
……
【帝国・王城】
アドルラン「何?」
カイン「僕たちに?」
アベル「歌を歌え……だと……!?」
リーナ「お願いですの! このとーりですのっ!」パン!
アルフ(あぁ、とうとう式のメインの片方にまで頼る始末か……)
アドルラン「むう、よくわからないが……そちらも大変なようだなアルフ」
アルフ「すまないなアドルラン……お前達が現状、一番忙しいであろうに……」
カイン「……今朝感じた風はこれか」ボソリ…
アベル「?」
カイン「ま、どうということはないね。歌なんて歌った記憶はほとんどないけど……」
カイン「今の僕は、きっとなんだってできるからねぇ……!!!」バッ!
アドルラン「私もあまり経験はないが、声を出すのは好きだぞ! やってみようじゃないか!」
アベル「お、俺も歌うのか……」
リーナ「当然ですの! さあ……さん、はい!」
――
10アドルラン:40(ちょっと豪快すぎるかな? もう少し抑えてみましょう)
11カイン:42(歌っていると徐々に熱が入っちゃうタイプ。落ち着きましょう)
12アベル:89(なんで普段歌わないの? その気になれば多くの人を魅了できる筈)
――
アドルラン「ららららー! らーらーらあああぁぁぁぁぁぁ!」
アルフ「……わかってはいたが、やはりアドルランは私やマークス神父と同じタイプだな」
リーナ「ああもう! もう少し抑えるんですの!」バッ!
アドルラン「むう、なかなか難しいものだな」
カイン「そーれなーらばー、僕の歌声はぁぁぁぁああああああ♪」
カイン「ふっ、どうだいこの歌声! 天にまで響く――」
リーナ「お兄さんと一緒ですわね」
アルフ「驚いた。カイン皇子も我々と同じ脳筋の類だったのか?」
カイン「ぐほぉっ!?」グサァ!
アドルラン「おお、私とカインは似ているようだな。兄として嬉しいぞ!」ハハハハ!
カイン「僕は嬉しくないよ!? くそ、けどアベルよりはマシ――」
アベル「~~~~♪ ~~~♪ ……も、もういいだろうリーナ、アルフ!?///」
リーナ「」
アルフ「」
アドルラン「」
カイン「」サラサラ…
リーナ「……」パチパチ…
アルフ「……」パチパチ…
アベル「め、珍しい顔をしながら拍手をするな!?///」
リーナ「いや、だって……アベルあなた……」
アルフ「私達が聞いた中では、圧倒的に上手いぞ……?」
アベル「そ、そんなわけないだろう。あまりからかわないでくれ……///」
アドルラン「いや、私も今の歌はすごく上手かったと思うぞ?」
アドルラン「疎いものでいい言葉が出てこないのだが……」ムムム…
リーナ「……声の強弱、切り替えが上手いのだと思いますわ」
リーナ「それに改めて聞くと、アベルの声は元々が耳に入りやすいですわね」
カイン「な、なんでだアベル……」ガクーン…
アベル「そ、そう言われても……」
アベル「確かに、黒騎士やかつての王城内で冷酷非道を演じる時は、意図的に声の雰囲気も変えるようにしていましたが」
アルフ「なるほど……野心を隠すために鍛えられた、隠された才であったわけか」
アベル「や、やめてくれ。俺はそもそもこんな歌を人前で披露するなど、がらでは無いし……///」
アベル「し、失礼する……!///」ピュー!
リーナ「あ、待って欲しいんですのぉ!?」
アルフ「……惜しいが、やめておけリーナ」
アドルラン「はははは、アベルがあそこまで赤くなるのも珍しいな」
カイン「くそ、いつか僕だって……」
アルフ「しかし参ったな。アベル皇子に頼むのは酷と言うか本末転倒だ」
リーナ「他に歌が得意そうな方は……」
カイン「とりあえず、アベルクラスなら問題ないのか?」
リーナ「そうですわね。十二分な合格点ですの」
カイン「それなら、二人ほど心当たりはあるよ」
――
ローズ「あら、アドルラン様にカイン様?」
ノワール「二人とも、アベルに何かあったのか知りませんか?」
ローズ「さっき顔を真っ赤にして全力疾走してたのヨ?」
カイン「くっ……くく……」プルプル
ノワール「?」
アドルラン「ああ、すみません義母上。ちょっとアベルはそっとしておいてあげてください」
ローズ「何かあったのネ……」
ローズ「それより、後ろの二人はもしかしなくても……」
リーナ「お邪魔していますの。カイン、このお二人が心当たりのあるという?」
カイン「ああ。メイド長ローズに、母さんすら一瞬で叩きのめす黒妃ノワール……」
カイン「その実力や多才さは、帝国においても間違いなく最高峰さ」
ノワール「こらカイン、あまり持ち上げすぎないで?」
ローズ「全力は尽くすけど、アタシはアタシにできることしかできないわヨ?」
アドルラン「その全力で、あらゆる分野に精通なされているような気もしますが……」
アルフ「なるほど、この気配……やってくれそうな感じがするな」
ノワール「?」
ローズ「聖王家直々のご依頼……といったところかしらネ?」
リーナ「その通りですの! お二人とも、この場で歌ってくださいな!」
ローズ&ノワール「「……え?」」
――
――
13ローズ:09(ついに発覚メイド長の弱点。歌に力を込めるとどうしてもレディーから遠ざかっちゃう!)
14ノワール:01( や め て き か な い で く だ さ い ! ! ! )
――
ローズ(雄)「る゛あ゛あ゛あ゛ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ローズ「――ああもうっ!/// レディーの秘密を暴かないでちょうだい!///」クネクネ
リーナ「」
アルフ「」
アドルラン「」
カイン「」
カイン「――はっ!? ま、まだだ! 義母さんなら――」
ノワール「――」
――しばらくお待ちください――
ノワール「うあああぁぁぁ……誰か私を殺してくださいいぃぃぃ///」シクシク…
リーナ「」マッシロ
アルフ「」マッシロ
アドルラン「」マッシロ
カイン「」マッシロ
――
まさかの頼れる大人組が揃って沈んだあたりで今日はここまで
はい、致命傷を負ったのはまずこの二人です。どちらかは頼れるだろうと思ったら驚きの結果でした
そしてまさかの範囲内最高値を出したのはアベル。どうなってるの(白目)
ちなみにあともう一人、致命傷を出した人はいますがそれはまた後日
本日もありがとうございました!
こんばんはー
昨日は空いてしまい、申し訳ありません
今日も遅くなりましたが、少しだけ再開です
――
……
カイン「い、や……驚いた、としか言えないね……」
アドルラン「う、うむ。まさかお二人が……」
ローズ「だ、誰にだって苦手なことはあるものなのヨ?///」アセアセ
ノワール「酷いものを聞かせてごめんなさい……///」
ノワール「……恥ずかしい話だけれど、この歳になっても歌を歌うなんて経験はなかったの」
ノワール「過去の私にとって、音や声は抑えるもの。体力の消耗を抑える意味でも、口はあまり開かない……」
ノワール「そうして生き延びて……囚われて。もう少しどこかで、機会があればよかったのだけれど」
カイン「っ……ごめん、義母さん」
ノワール「ああぁぁぁ!? でも、アベルにちゃんと、子守唄とかを歌っていてあげればこんなことには!?」ガーン!
カイン「か、義母さん……」
ローズ「フフ、ノワール様も本当に明るくなられたのヨ?」
ローズ「これもアベル様やアナタ達のおかげネ!」
アドルラン「うむ。誰であれ、笑っているのが一番! 義母上、あまり気を落とさないでください」
ノワール「あ、ありがとう。でも、折角頼ってくれたのにこれでは……」
リーナ「お気になさらずですの! 元々、私達が突然無理難題を投げかけているのですから」アセアセ
アルフ「ええ。それに歌が苦手なのは、こちらも同じことです」
ローズ「アタシももう少しは特訓した方がいいかしらネ……」
ノワール「私達に代わって、頼れそうな歌の上手い人……誰かいなかったかしら?」
ローズ「帝国では、あまり歌は重視されていないから……あ」
リーナ「心当たりがあるんですの!?」
ローズ「……あのコ達なら、もしかして?」
――
――
……
キアラ「え? 歌……ですか?」
フィーア「ど、どうして私とキアラ姉様なのでしょうか!?」ドキドキ
カイン「ローズさん直々のご指名だからだよ」
アドルラン「そして残念ながら、私達を含めてなかなか歌の上手い者には出会えていなくてな」
アルフ(一人、例外はいたが……今は黙っておこう)
リーナ「お願いですの!」パン!
キアラ「う~ん、そこまで頼まれてしまうと恐縮してしまうというか……」
フィーア「お友達のお願いは聞いてあげたいのですが……」
妹ズ「「は、恥ずかしいです……///」」
アドルラン「はははは! 大丈夫、一度歌い始めてしまえばこっちのものさ」
カイン「正直な所、今の僕はどんな歌が来ても耐えきれる自信があるから安心しなよ?」
キアラ「何があったんですか!?」
フィーア「ほ、本当に少しだけですよ?///」
リーナ「どんとこいですの!」
キアラ「うぅ、フィーアちゃん、一緒にお願いできる?」
フィーア「勿論です! むしろ姉様、お願いします!」
キアラ「よ、よし……」スーハー…
フィーア「いきます……!」スーハー…
――
――
15キアラ:67(まさに天使の歌声。練習すれば、きっともっと良くなる筈)
16フィーア:64(姉様と一緒に歌っていたおかげか。こちらも天使です)
――
キアラ「~~~~♪」
フィーア「~~~~♪」
キアラ「~~♪ ~♪」
フィーア「~~♪ ~♪」
キアラ「……///」ペコリ
フィーア「ど、どうでしょうか?///」ドキドキ
リーナ「――天使ですの」
妹ズ「「えっ!?」」
アルフ「驚いた……二人とも、上手いだけではないな」
カイン「キアラとフィーアの歌が、ズレ無く綺麗に重なっているんだ。大したものだね……」
アドルラン「ああ、見事だったぞ二人とも!」パチパチ!
妹ズ「「あ、ありがとうございます……///」」
アルフ「他者に合わせて歌える技量は、非常に大きいな」
リーナ「ええ。魔女と違いこの二人なら性格的にもなんら問題はありません」
リーナ「――二人に、特別講師をお願いしますの!」バッ!
キアラ「む、無理です無理です!?」ブンブン!
フィーア「もっと大勢の方の前で、私なんかが細やかな指導なんて!?」ワタワタ!
リーナ「あ、あら?」
キアラ「私達より上手い人は、きっといる筈ですので!」アセアセ
フィーア「そうですそうです!」コクコク
アルフ「……無理強いはやめておこうリーナ」
アルフ「フィーア皇女はともかく、キアラ皇女が人前は苦手なのは間違いないだろう」
フィーア「わ、私も恥ずかしいという感情はあるんですよ?///」
リーナ「むぅ、無念ですの……」
――
――
リーナ「さて、困りましたわね……」ムムム…
アドルラン「すまないな。あの子達も、あまり人前で何かを教えるという経験はないのだ」
アルフ「いや、わかっている。無理を言っているのはこちらだからな」
カイン「……僕もちょっと他の連中の技量は気になるんだけどさ」
カイン「僕は……というか兄さんもだけど。そろそろ仕事に戻らないとまずそうなんだよねぇ」」
アドルラン「何、もうそんな時間か!?」
リーナ「か、重ね重ね申し訳ないですの……」
カイン「普段ならまだ大丈夫なんだけどね」
アドルラン「今日はルーシェはメイドの研修、ヒバリは休暇をとっていてな……」
カイン「エメリナも同じくさ。無理をしなくていいと言ったのに……」
アドルラン「彼女達の分も、我々が頑張らねばな!」
アドルラン「そういうわけで申し訳ないが、協力できるのはここまでになりそうだ」
アルフ「すまないな。この埋め合わせはいずれ必ず」
アドルラン「はははは! そう気にするな。私ももう少し歌を頑張るべきだと知れたしな!」
アルフ「……誰かに教えを乞う前に、やはり私もまず独学から始めるべきかもしれないな」
リーナ「独学の結果があれではないんですの……?」ジトー…
アルフ「うぐ……」
カイン「……んー、義母さんとローズさんが苦手だったのが本当に意外だったけど」
カイン「――エメリナも他の子も、帝国のメイドは父さんが認める程に優秀な人材が多い」
カイン「もしかするともしかするかもしれないね。まぁ、頑張るといいよ」ヒラヒラ
リーナ「あ、ありがとうですの! 行きますわよ兄上!」ダッ!
アルフ(研修の邪魔にならなければいいのだが……)
――
――
【帝国・メイド&執事研修室】
アイナ「はいっ!」バッ!
アイナ「……と、まあ皆にはこのくらいは出来るようになって貰いたいかな?」
スミレ「メイド長ローズさんが求めている最低基準が、このくらいです」
ザワザワ…
新人メイド「う、嘘でしょ……?」ガタガタ…
新人執事「メイド長が研修担当から外れる日だからって、期待してたのに……」ブルブル…
スミレ「……あまり慌てなくても大丈夫ですよ。ボク達もまだまだ半人前ですので」
アイナ「そ、そうそう! これから一緒に頑張ろうよ、ね?」
新人メイド「こ、これで半人前……」ゴクリ…
新人執事「お、俺実は、仕える主様の護衛の方が得意で~……」オソルオソル…
アイナ「あ、そうなんだ?」
スミレ「……ご安心を。今日はそういう人も多いと思い、助っ人を呼んであります」
新人メイド「え?」
ルーシェ「よ、よろしく、です……」ペコリ
カイン「あわわわ、私やっぱり場違いなような……」ビクビク
エリス「わ、私もです。でも、全力で参ります!」ゴォ!
アイナ「第一皇子アドルラン様のメイド、ルーシェちゃん」
アイナ「そして第二皇子カイン様のメイド、エメリナちゃん」
アイナ「最後に第三皇子アベル様のメイド、エリスちゃん」
スミレ「皇帝陛下が退位された今……三皇子の直属メイドである彼女達は、メイドの目指す目標地点であるとも言えます」
スミレ「それでは次はこの三人を加えて、清掃の指導ですけど……」
アイナ「……私達全員、清掃には結構うるさいから気をつけてね?」
スミレ「清掃はボク達にとっても基本中の基本」
ルーシェ「いえ、人としての基本だと思います」フンス!
新人メイド「」
新人執事「」
ヒィィィィィィィ!
リーナ「……恐ろしい光景ですの」
アルフ「ああ……」
――
――
……
エリス「お待たせしました!」
リーナ「いえ、こちらこそ大事な時に申し訳ないんですの……」フカブカ
アルフ「我々が思っていた以上に、過酷な研修なようだな……」
アイナ「まさか、ローズさんからこんな大役を任されるとは思ってなくて……」
スミレ「正直、ボク達も震えが止まりません……」
エメリナ「皆さんは大丈夫ですけど、私なんて料理がまだまだで……」
アイナ「そこはほら、こっちもこれだけいるし、みんなで助け合えば大丈夫だよ」
ルーシェ「それにしても、珍しい、です……」
エリス「いくらマークスさんがいるからとはいえ、聖国を開けてきて大丈夫なんですか?」
アルフ「……まぁ、本来であればあまり好ましくはないのだがな」
アルフ「一応、聖国の結界は修復したからな。外部からの敵は遮断できるようになっている」
リーナ「万一があれば、王国に正式に譲って頂いた転移の護符もありますの」サッ
エメリナ「そこまでして……」
アイナ「ローズさん、今日は別の仕事があるからここにはいないけど……」
スミレ「ボク達でよければ、ご用件は伺います」
ルーシェ「もしかして……また、妙な司教が……?」
アルフ「その節には世話になった。ヘリング司教なら今は更生指導を受けているし、他の司教も今のところは問題ない」
リーナ「今日はそのような大事ではありませんが、しかしある意味で非常に重要な案件ですの」
メイドズ「「……」」ゴクリ
リーナ「皆さん……歌ってください、お願いしますのっ!」パン!
メイドズ「「……???」」
アルフ「その反応はごもっともだが、宜しく頼む」
アルフ「こちらも、かなり後が無い状態なのだ……」ペコリ
アイナ「よ、よくわからないけど平和そうだし大丈夫かな? よ、よーし!」
――
――
17アイナ:59(ローズさんに恥じないようこっそり練習はしてた。でも実はそのローズさんより上手いことは知らない)
18スミレ:46(流石に歌はメイドや執事の仕事にないもの。今後に期待)
19ルーシェ:37(声はいいけれど、その性格からどうしても途切れ途切れになっちゃう……)
20エメリナ:34(ルーシェと同じく。カイン以外には基本的に引っ込み思案だし仕方がない)
21エリス:78(戦闘スタイルとは裏腹に、とても優しく落ち着いた美声。今は亡きお母さんに感謝)
――
アイナ「~~~♪ あ、駄目だこれやっぱり結構恥ずかしい……///」
スミレ「らら~♪ ……い、いやアイナさん、ちゃんと歌えているじゃないですか。流石です」
ルーシェ「ら……らら……ら…………。………///」プシュー…
エメリナ「あ、あぁー……♪ ご、ご奉仕に歌の項目は無くて……///」アセアセ
リーナ「うーん、皆さん兄上よりもしっかりと歌えてはいるのですが……」
アルフ「だが、彼女達の様子では皇女と同じく指導役は引き受けてはくれまい」
リーナ「どうしたもの……あら?」
エリス「る~♪ ら~ら~♪ らららる~♪」
アイナ「エ、エリスちゃん上手い!?」ビックリ
スミレ「凄く、落ち着きます……なんだか、眠気も……?」ウト…
ルーシェ「すごい、です」パチパチ
エメリナ「メ、メイドとしての壁が分厚すぎます……!」
エリス「そ、そんなことは……///」
リーナ「いえいえ、そんなことあるんですのよ!?」
アルフ「ああ……少なくとも、初めてではないだろう。今日聞いた数々の歌の中でも、上位だぞ?」
エリス「あ、ありがとうございます///」
エリス「……この歌、実はお母さんが昔よく歌ってくれた歌なんです」
エリス(……)
――
~~~~
【帝国・暗黒街】
エリス母「ただいま、エリス」
エリス父「悪いな、一人で留守番なんてさせてしまって。寂しくなかったか?」
幼エリス「だいじょうぶ! おかあさんが教えてくれたお歌のれんしゅうしてたから!」
エリス母「あら、嬉しい。この歌かしら? る~♪ ら~ら~♪ 」
幼エリス「らららる~♪」
エリス父「おお、上手いぞエリス。母さんと同じ、落ち着くいい歌声だ……」
エリス母「ええ、このまま練習すれば、すぐに私より上手くなるわ」
幼エリス「えへへ……/// おとうさんとおかあさんにほめられちゃった///」テレテレ
幼エリス「あ、ちゃんとまほうのおべんきょうも、してたからね?」アセアセ
幼エリス「あとにがてだけど、おとうさんの剣のふりかたも!」アセアセ
エリス両親「「……」」ギュ…
幼エリス「ふぇ?」キョトン
エリス父「……すまない。小さなお前に、そんなことばかり教えちまう俺達を許してくれ……」
エリス父「ほとぼりが冷めたら必ず……俺はもう一度、這い上がって将に戻ってみせる」
エリス父「そうすればお前にも母さんにも、もっといい暮らしをさせてやれる……!」グッ!
エリス母「ごめんねエリス……お母さんのせいで、こんな辛い思いをさせてしまって……」
幼エリス「ううん、へいきだよ! だって、おとうさんとおかあさんがいるもの!」ニコニコ
エリス父「くぅ、我が娘ながら立派に育ちやがって……!」ゴシゴシ…
エリス父「へへ、今日は母さんと一緒にご馳走を手に入れてきたからな。もっと立派に育てよ!」ナデナデ
幼エリス「わーい!」
……
幼エリス「むにゃむにゃ……」
エリス母「る~♪ ら~ら~♪ らららる~……お休みなさい、エリス」ポン、ポン…
エリス母(この子は、絶対に守り抜いてみせる。たとえ神に裁かれ、この身が朽ち果てることになっても……)
――
……
幼アベル「っく……」フラ…
幼エリス「だ、だめだよ! まだケガが……」アセアセ
幼アベル「この程度、まだ大丈夫だ……お前達は、休め……」
幼エリス「……っ、……る~♪ ら~ら~♪」
幼アベル「!? な、んだ……急に、眠く……」
幼エリス「……私このお歌聞くと、すごくおちつくの」
幼エリス「いまは、ゆっくりと、~~~♪」
幼アベル「……」スヤァ…
幼エリス「……」フゥ…
幼エリス「……わ、私ががんばらないと!」キッ!
幼ロウル「……あなたも、疲れているでしょう?」スッ…
幼エリス「ロ、ロウルさん……?」
幼ロウル「ふぁ……私は今の歌を聞いても眠らない程度には、まだまだ元気です」
幼ロウル「あなたも休んで。見張りは、私がやります」
幼ロウル(……この二人なら、信じられるから……)
……
幼エリス「ふぅ……ふぅ……!」フラフラ…
幼ロウル「ま、まさか熊が乱入してくるなんて……でも、これは大物です……」フラフラ…
幼エリス「はやく切って、食べられるように……」フラフラ…
幼アベル「……る~♪ ら~ら~♪ らららる~♪」
幼エリス「この、歌……?」スヤァ…
幼ロウル「すごく、落ち着き、ます……」スヤァ…
幼アベル「はぁ……頻繁に聞いていたら覚えてしまったな……」
幼アベル「今日はお前達が休め。全く無茶をして……」ナデナデ…
幼アベル「さて、熊か……確か母上の教えだと裁き方はこう……」ザシュザシュ!
……
~~~~
エリス「……色々と、思い出深い歌なんです」
リーナ「そうでしたの……」
エリス「あ、そして私よりもアベル様の方がお上手なんですよ!」パアァ!
エリス「お母さんとは違うけど、凄く優しくて、落ち着けて、ずっと聞いていたくて……///」
アイナ「へぇ~……アベル様も多才なんだねー」
スミレ「少し、聞いてみたいかもしれません」
ルーシェ「……でも、アベル様……断り、そう?」
エメリナ「あ、なんとなくそんな感じはするかも……?」
アルフ「……アベル皇子にはここに来る前に既に当たったが、お察しの通りだ」
スミレ「そうですか……少し、残念です」
エリス「うーん……確かに最近は、私もアベル様もあまり歌っていなかったですからね……」
エリス「アベル様がいらっしゃるのに、私が歌を披露するというのも妙な話ですし……」
エリス「ごめんなさい、ちょっと他に歌が得意な人が思いつかないです……」
リーナ「い、いえいえ大丈夫ですのよ!?」ワタワタ
リーナ(うぅ、エリスに頼もうと思ったら流れ的に無理になりましたの……)ガクリ…
アルフ(いや、そもそもここまで来てアベル皇子かエリスのみ……)
聖国兄妹((祝福の歌を受けるべき二人から歌を教わるのはちょっと……))
アイナ「でも、いい歌だったね本当に!」
スミレ「はい。ボクももう少し、上手くなってみたいですね」
アイナ「ローズさんに、メイド技能の中に歌も入れてもらおうかな~……」
ルーシェ「……は、恥ずかしい///」
エメリナ「それはちょっと……///」
リーナ(他の方々もこの様子では厳しいですし……)
アルフ(もはや残されたのは……)
リーナ(――アベルの城塞だけですの!)
――
残る対象者がアベル隊+ヒバリになったあたりで今日はここまで
元々の歌指導の基準値が70でしたが、実はここまでそのコンマ値が出ているのは除外対象のアベルとエリスのみです(白目)
この後のメンバーで最後の公表ですが、その中に一人だけ良コンマを出したキャラが幸いにも現れてくれた為、指導はそのキャラ主導ということになります
最後に、先にとある判定で使うコンマを取っておこうと思います
特殊判定
↓1~3コンマ二桁
本日もありがとうございました!
こんばんはぼへぇ(吐血)
来るなりハイパークリティカルはちょっと想定外ですよ……
いや、ほんとにどうなっているの(白目)
と、とりあえず歌唱力全員公開後、おまけ7の最初を始められたらと思います
――
……
【帝国・アベルの城塞】
リーナ「とうとうここが最後の砦ですわね……」
アルフ「我々もだが、やはり戦時中は誰も歌を気にする余裕が無かったのではないか?」
リーナ「それも否定できませんわ。ここが駄目なら、大人しく自分達で練習するしかないんですの……」
アルフ「復興のことも考えれば、あまりそちらにばかり時間を割くこともできないが……」
リーナ「ああ、できれば誰か上手い人がいて欲しいんですの!」コンコン…
ガチャ
パトラ「はい、どなたで……あら?」
リーナ「こ、こんにちはですの」ペコリ
アルフ「突然すまないが、アベル皇子の部隊の者は揃っているだろうか?」
パトラ「え、ええ。アベルさんとエリスさんは王城の方に向かわれていますが……」
リーナ「それは存じておりますわ」
リーナ「既に元帝国上層部、王国上層部、アベル達皇族全員にお付きのメイドにも全て当たって来ましたの……」
アルフ「つまり我々が頼れる人材は、もうここにしかいないことになるのだ」
パトラ「へ、陛下にまで……一体、どのような難問をお抱えなのですか……!?」ミガマエ
アルフ「ああ、そう身構えなくても……いや、人によっては構えるのか?」
リーナ「端的に言ってしまうと……歌を歌って欲しいんですのっ!」
パトラ「……はい?」
リーナ「お願いですの! もう後がないんですの!」パン!
リーナ「このままだと私、教会で兄上とマークス神父の大音量に晒され続けて耳がくたびれちゃいますの……!」
パトラ「えぇー……?」
アルフ「……理由を説明した方が早いか」
アルフ「聖国では、結婚式の際に祝福の歌を歌うのだが……我々の技量では、それに問題があるのだ」
リーナ「だから兄上、私を巻き込まないでくださる!?」
パトラ「結婚式……なるほど、そういうことでしたか」
パトラ「そうなると確かに、私達にとっても避けられないようですね……」
パトラ「と、とはいえこの場で一人歌うのも……ちょ、ちょっとお待ちください」
……
マックス「えっとパトラ将軍? なんで俺は呼ばれたんでしょうか?」
パトラ「歌うのよマックス。これは避けては通れない道……」グッ…
リーナ「そうですの! 男女の差はありませんわよ!」
アルフ「安心しろ。私も実はかなり悲惨だ」
マックス「よ、よくわからないですけど、また国際的に重要な問題なんですね!?」
パトラ「ええ……万が一私が酷くてもマックス、あなたが王国を背負うのよ……」ブルブル…
マックス「責任重大っ!? あ、もしかして俺、道連れ役なんですか!?」ガーン!
パトラ「歌なんて、長いこと歌っていないもの! 酷い歌を聞かせられるのは、あなたくらいよ!」
パトラ「さあマックス、辛くても王国騎士は不退! 歌いましょうっ!」バッ!
マックス「ちょ、ちょっと待って――」
――
22パトラ:39(貴族とはいえ、ちょっと人前で歌うのは恥ずかしいのです)
23マックス:33(奇数ゾロ)( 誰 か 止 め ろ ! 王国の歩く騒音兵器。あれ? 君確か料理の時も……)
――
パトラ「ら、らら~……♪///」
王国将パトラが、顔をほんのりと染め上げながら歌い始める。
自信は無い様子だが、そこまで酷くは無い。慣れれば人並みには歌えるようになるだろう……
聖国兄妹がそう評価しようとした、その時の事である。
ボ エ゛エ゛エ゛エ゛エ゛エ゛エ゛エ゛エ゛ェ゛ェ゛ェ゛ェ゛ェ゛ェ゛ェ゛ェ゛ェ゛ ! ! ! !
悲鳴を上げる間もなく、身構えるにも身構えられない。
いや、仮に身構えることができたとして、それになんの意味があるというのか。
どれだけ重厚な鎧に身を包み、巨大な盾を構えたとして、音の刃など防げるわけがない。
リーナ「ぐっふ!?」パリーン!
アルフ「ぐあぁ!?」パリーン!
皇帝ギルバートの歌には間に合った結界も、今度は間に合わない。
間に合ったとして、破壊されていただろう。
マックス「◆゛◆゛○゛▽゛×゛×゛◆゛★゛※゛~゛♪゛」
パトラ「」ブクブク…
今この時、破壊音波という一点において、新米騎士マックスはあの皇帝ギルバートをも上回ったのだと。
愛用の眼鏡を揃って粉砕された聖国兄妹は、そう恐怖しながら前のめりに倒れ込む。
何事にも真っ直ぐ燃える情熱で挑んでいく青年がこの惨状に気がつくのは、もう少し先。
城塞内の調度品にまで被害が及び、何事かと他の隊員が緊急事態と駆けだして来てからのことであった。
……
――
――
マックス「すみませんでしたああぁぁぁぁぁぁぁぁ!」ドゲザ
パトラ「い、いえ、いいのよマックス……私が無理矢理巻き込んだから……」フラフラ…
リーナ「予備の眼鏡を持っていて正解でしたの……」スチャ
アルフ「まったくだ。こんな壊れ方をするとは予想だにしていなかったがな……」スチャ
リーナ「とりあえずマックス。あなたは本番でも控えめな声でお願いしますの……」
マックス「はい……」ショボン…
パトラ「ゆっくり、ゆっくり練習しましょうね……」フラフラ…
ティア「だ、大丈夫ですかパトラさん?」パアァ…
シア「さっきの凄い音を至近距離で被弾したせいですね~……」パアァ…
パトラ「た、助かりました。もう大丈夫ですよ……」
マックス「本当に申し訳ありません……」フカブカ
ヒバリ「アーシャにちょっと相談に来るなりこんな目に遭うとは思わなかったなー……」
ヒバリ「でも、本当にどうしたの? 急にあんな凄い声で歌うだなんて?」
アーシャ「ふむ……突然の歌に、聖国のトップのお二人が直接ここを訪ねて来られた……」
ロウル「このご兄妹、思い立ったらすぐに動いちゃう人達ですし、そうなると……」
アーシャ「――ずばり、結婚式の祝歌のためですね?」
リーナ「ご明察ですの!」バッ!
ロウル「……そしてその様子だと、マックスさん以外も結構凄い方がいらっしゃったと」
リーナ「ご明察ですの……」ガク…
ヒバリ「へぇ、聖国式は歌うんだ。そうなると私も一応、やっておいたほうがいいかなぁ」
リーナ「あら? もしかしてあなたもですの?」
ヒバリ「まだまだ忙しいから、すぐにってわけにはいかないけどね……///」
リーナ「これは思わぬところでおめでたい話を聞けましたの」
リーナ「それでは気を取り直して、あなた達にも歌って頂きますわよ!」
リーナ「……ティアさんとシアさんは、大丈夫ですわよね!? 信じていますわよ!?」
ティア「ひいぃぃ!? が、頑張ります!?」
アルフ「……リーナ、聖国の者でも苦手な者はいるのだ。そう妙な圧をかけるんじゃない」
シア「全力で頑張りますよ~」ポヤポヤ
一同「「……」」スゥー…
――
24ティア:52(聖国のシスターですもの。得意ではないけどちゃんと歌えます)
25シア:87(心地よく耳に入ってくる穏やかな歌声は聞くだけで落ちつける。教会でも一番の歌い手だったようです)★
26ヒバリ:21(……う、歌なんてアドルランの仕事に関係なかったし……)
27アーシャ:19(き、貴族生活からは長いこと身を引いていましたし……)
28ロウル:34(アベルさんとエリスさんがいて、私は歌う機会が無かったですし……)
――
ヒバリ「ああ、あぁ~……♪ ……あ、これあれだ。すっごく不味いね!?」ダラダラ…
アーシャ「ら~……♪ ……そ、そうですね。楽器ならまだちゃんと扱えますが、自分の歌がこんなに酷いとは……」
リーナ「あら……貴族のお二人でも苦手とは、これまた意外な結果ですの」
パトラ「貴族だって、苦手なことはあるし、恥ずかしいことだってあるんです!///」
ヒバリ「そうそう!///」
ロウル「るらら~……♪ ん~、やっぱり私はアベルさんやエリスさんみたいに綺麗に歌えませんねぇ」
マックス「いやロウルちゃん、俺より全然上手いじゃないか……って、アベル皇子とエリスちゃん歌上手いの?」
ロウル「ええ。エリスさんはともかくアベルさんは恥ずかしがって滅多に歌ってくれませんけどね」
ロウル「……正直、匂いもですけど声も大好きです///」
マックス(アベル皇子……その才能、少し俺にもわけてください……)
ティア「らら~♪ ら~、ら~♪」
ヒバリ「おおっ!? いかにも神聖そうな歌!?」
アルフ「……流石だなティア。教会を離れても、身体が覚えていたようだな」
ティア「あ、ありがとうございます。とはいえ、私程度は教会のシスターならほぼ歌える筈ですし……」
ティア「多分、私よりも――」
シア「ふ~ん♪ ふふふふ~ん♪ ふ~ん♪ ふふふふ~ん♪ ふ~ん♪ ふふふふ~ん♪」
シア「ふ~~~ん♪ ふ~~ん……ふふんふ~、ふんふ~ふふ~♪」
一同「「」」
シア「ふ~ん、ふふんふふ~♪ ふ~ん、ふふんふふ~♪」
一同「「……」」パチパチ
シア「――あらら~? つい集中しちゃいましたけど、いかがでしたか~?」
ティア「す、すごいですシアさん! 私なんかよりもずっと綺麗で、優しくて!」
ロウル「ええ。アベルさんに匹敵するくらい、とっても綺麗な歌でした!」
ヒバリ「なるほどねぇ……結婚式でこういう歌が流れると、確かに特別な日って感じが増しそうね」
マックス「心が浄化された気がする……」トオイメ
パトラ「こらマックス。何もこの域までは目指さなくていいから、今から練習しましょう?」
アーシャ「ええ。幸いこうして、いい先生も見つかったようですしね?」
アルフ「ああ。これは文句なく我々が探し求めていた人材だ!」
リーナ「シアさん、あなたは聖国の誇りですわ! ……私も改めて練習を重ねなければなりませんわね」
シア「わ~い、皆さんに褒めていただけました~♪」ポヤポヤ
シア「実は私も歌は好きな方でして~、たまに歌っていたのがよかったみたいですね~♪」
ロウル「シアさんの声も普段から落ち着いていますし、耳に優しく入ってくるんですよねぇ……」
リーナ「祝福の歌にはまさに適任ですわね。流石にこれまでまわった方々全員への指導は難しいでしょうけど……」
アルフ「少なくともこの城塞内、皇子達への指導ならできそうだな」
シア「あ、あら~? もしかしなくても、また結構大変な役回りだったりしますか~?」アセアセ
リーナ「無理強いはしませんが、できれば私達も含めてご指導は頂きたいところですの」
マックス「お、俺もお願いします!」バッ!
シア「う、う~ん……私も完璧というわけではないのだけれど~……」
シア「……わかりました! 私でよければ、お手伝いしますよ~!」
マックス「よっしゃあ!」グッ!
パトラ「……でもまずは、アベルさん達が戻られる前に割れた道具の片づけが先ね」
マックス「……はい」
アルフ「迷惑をかけた。せめて片づけくらいは私達も手伝おう」
――
※シアが各員の歌の面倒を見てくれることになりました。これで式場の惨劇も無くなることでしょう
――
――
――おまけEXイベント7――
【戦いを終えて~~帝国恋愛模様・今と過去~~】
――
――
【帝国・アベルの城塞】
アベル「ふぅ……」
アベル(先日は随分と恥ずかしい目にあったが、どうやらあれはリーナ達が俺達の為を思ってのことだったらしい)
アベル(……流石に、その時まで俺が歌わないのも不味いだろうな)
アベル(……)
アベル(しかし、歌もだがもう一つ大事な問題がある)
アベル(いざエリスと結婚するとき、来てくれるかどうかは非常に怪しいが……)
アベル(母上だけでなく、父上にも報告はすべきなんだよな……)
アベル(何を言われるかは想像もつかないが、こればかりは避けられないだろう)
アベル(最近の父上は以前よりも少しだけ丸くなられた気もする。報告するなら今のうちかもしれないしな……)
アベル「……」チラ
アベル「今の所、今日は大きな予定は無しか」
アベル「ならば――行くとするか!」バッ!
……
アベル「……と、出てきたのはいいのですが」スタスタ
アベル「――何故に兄様達まで?」
カイン「こ、こっちが聞きたいよ! なんでよりによって今日を選ぶんだよ二人とも!?」
アドルラン「いや、皇族として欠かせぬ報告ではあるしな」
アドルラン「何よりヒバリとルーシェが今日も揃ってどこかに出かけてしまって……」
カイン「……書類仕事はまた散らかるって自分で危険を察したのか」ハァ…
アベル「ま、まあ丁度いいのではないでしょうか?」
アドルラン「ははは、確かにな! まさか私たち兄弟が揃って近い時期に結婚することになろうとはなぁ」
カイン「兄さんが結婚に前向きになったのは本当に驚いたよ。何があったんだい?」
アドルラン「わ、私にだって色々あるさ///」
アベル「俺はむしろ、カイン兄様の方が驚きですけどね。あの後、上手くいったようですね?」
カイン「ああ。まあ僕にかかれば、造作もないということだね!」ドヤァ!
アドルラン「あのカインがなぁ……」
アドルラン「アベルの件はかなり前に聞いていたし、ようやくかとは思ったがな」
カイン「ああ、思えばこいつが一番早くにメイドに手を出していたなぁ」
アベル「……///」
アドルラン「まあエリス君も魅力的な女性だからな。アベルの気持ちはよくわかるぞ!」
カイン「一番しっくりきているのは兄さんだと思うよ。ヒバリとルーシェにはあれだけ世話になっているんだし……」
カイン「結婚したら、きっともっと尻に敷かれるんじゃないのかい?」クスクス
アドルラン「む、むぅ……///」
アベル「それを言ったらカイン兄様もでしょう? 俺たちが思っている以上にエメリナを溺愛してそうですし」
カイン「う、うるさいっ!///」
アドルラン「はははは! なんにせよめでたいじゃないか!」
アドルラン「……私は、嬉しいよ」
アドルラン「最高の友であり、愛すべき人とこれからを過ごせることもだが……」
アドルラン「何より、こうして兄弟でこんなにも素晴らしい内容の会話で盛り上がれるのだからな」
アドルラン「ほんの少し前までは……考えたこともなかったよ」
カイン「……そうだね」
アベル「……ええ」
アドルラン「きっと、父上も……喜んでくれる筈さ」
カイン「……」ドキドキ
アベル「……」ドキドキ
……
――
――
【帝国・ギルバートハウス】
アベル「……」
カイン「……」
アドルラン「……」
皇子ズ((いつの間にか家が建っている……)
ギルバート「ぬおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!」ゴガァァァン!
カイン(そして父さんが、雄叫びと共に畑っぽいものを耕している……)ブルブル…
ギルバート「……む?」グルリ
ギルバート「お前達か……珍しいな。揃って、我に何の用だ?」
アドルラン「突然失礼致します父上。実は、我ら兄弟揃って大切な報告がございます」
ギルバート「……ほう? 申してみよ」
アベル「……」ゴクリ
カイン「……」ゴクリ
アドルラン「……」ゴクリ
カイン(おい、アベル。お前からいけ!)ヒソヒソ
アベル(お、俺からですか!?)ヒソヒソ
アベル「……」ザッ…
アベル「父上、実は――」
――
――
ギルバートの息子達の相次ぐ結婚報告に対する反応
1アベルとエリス
00( ハ イ パー ク リ テ ィ カ ル ! ! ! )
※ ? ? ?
2カインとエメリナ
24+15(カインの成長認め)
=39(口出しはしない。しないが……もう少し強者の方がよかった)
3アドルランとヒバリ&ルーシェ
60+15(アドルランの成長認め)
=75(ふむ……悪くないな。新たな帝国の在り方、見せて貰おう)
――
アベル「その……この度、エリスと結婚することを決めまして……///」
ギルバート「…………なんだと?」ピクリ
カイン「……!」ビク!
アドルラン「……!」ビク!
ギルバート「……」
ギルバート「…………」
ギルバート「………………」
ギルバート「……………………」
アベル「ち、父上……?」オソルオソル
ギルバート「 ふ は は は は は は は は は は は は は ! ! ! ! ! ! 」ズドドドドドドド!
皇子ズ「「!?」」ビックゥ!
ギルバート「――良いぞっ! 我が血を引くお前が、我が認める強者たるあの娘を選ぶか……!」ズドドドドドドド!
ギルバート「申し分無し! これは確実に、これまで見たことも無い強者が産まれるぞ……!」ズドドドドドドド!
ギルバート「年甲斐も無く、走り回ってしまうが止む無し! これは、我もまだまだ生き永らえる欲に駆られるというもの!」
ギルバート「――してアベル、その強き子供はいつ産まれるのだっ!?」ガシィ!
アベル「ま、まだです父上ぇ!?」ブルブル
カイン&アドルラン((ど……どうしようこの反応は予想外だ……!?))
――
先日の判定公表したあたりで今日はここまで
うん、ドレスの時もだけどアベルとエリスのコンマがはっきり言って異常なのでハイパーでもある程度はまたかぁ(白目)
で慣れてきちゃったのがありますね!本当にどうなっているのやら……
あとコンマ運極端なマックスも(白目)
流石にハイパーは想定外で恩恵を深く考えていなかったのですが、
ギルバート上機嫌ということでこの後の過去編に絡む一部の判定基準値を緩和させようかと考えています
本日もありがとうございました!
こんばんはー
遅くなってしまいましたが、ほんの少しだけ再開です
とはいえ、いつも以上に短く多数決募集までですが……
――
……
ギルバート「粗茶だが、飲んでいくがいい」ゴト
アベル「い、いただきます」
ギルバート「しかし、まさかお前達がな……」
カイン「……」ドキドキ
アドルラン「……」ドキドキ
ギルバート「アベルの選んだエリスは、よくぞ選んだと言っておこう」
ギルバート「ククク……より強き血を引く孫との戦い、我もその時まで鍛え続けねばな……」
アベル(勘弁してください父上……)
ギルバート「孫が産まれていない、聖国式の結婚をするというのは少しいただけないが……」
ギルバート「まあよい。とにかくアベルよ、はやく我が前に孫の姿を見せるがいい」イソイソ
アベル「ぜ、善処します。ところで父上、式の方には……」
ギルバート「……我はもう皇帝ではない、ただの人間だ。お前達が望むのであれば、参列しよう」
アベル「あ、ありがとうございます!」
アベル(いずれはシア達とも式は挙げるつもりだが……今は伏せておこう)
ギルバート「そしてアドルラン……まさか、いきなり二人を娶るとは我も驚いたぞ?」
アドルラン「……私程度が欲深いと思われるでしょう」
アドルラン「しかし私には、彼女達に優劣をつけてどちらかを選ぶことなど、できなかったのです……」
ギルバート「別によい。皇族や王族ならば、珍しい話でもない」
ギルバート「今の帝国に縛るものはないのだ。正妻と妾と差をつけるでも、等しく扱うでも、それもお前達の自由よ」
ギルバート「それに、紛れもない弱者であったお前を捨てることなく導いた娘に……」
ギルバート「天使を捕え、試験でも常に優秀な成績を残すあのメイドであれば悪くは無い」
アドルラン「ありがとうございます……!」
ギルバート「カインは……まずはお前自身を褒めるべきなのだろうな」
カイン「え?」
ギルバート「暗黒街を生き延びたことはともかく、その後のお前の態度は実に無価値……」
ギルバート「アベルのように牙を砥ぐでも、アドルランのように鍛錬に励むでもない……」
ギルバート「我にとって、お前はいてもいなくても変わらぬ、つまらぬ存在であった」
カイン「ぐっ……」
ギルバート「だが――今のお前は、こやつらと同じく……我が血を引く、誇れる息子よ」
カイン「と、父さん……!」ジーン…
ギルバート「……それだけに、選んだ相手が少し惜しいがな」
ギルバート「我に口を出す権利は無いが、欲を言えばもう少し強者であって欲しかったところだ」
カイン「エ、エメリナも十分強くはあります。エリスとルーシェが変なのです!」
ギルバート「フハハハ! まあ、確かにメイドではある。今後さらに鍛えて強くなることを期待するとしよう」
アベル「……お言葉ですが父上、メイドは本来戦闘職では……」
ギルバート「バーンズからの報告はもう受けている。バーンズを含めた親衛隊全員、メイドに敗れたそうだな?」
ギルバート「なんとも情けない話だとは思うが、逆に言えば帝国が誇る最大の兵団がメイドなのではないか?」
アドルラン「ううむ……間違っているとも言い切れない……」
カイン「な、何も戦闘力が全てではないって父さんも少しはわかってくれたんじゃないのか?」
ギルバート「む……」
カイン「確かにエリスもルーシェも、そしてヒバリも優秀だ」
カイン「だけどエメリナは、ある一点では彼女達を大きく凌駕しているっ!!!」
ギルバート「何……?」ピク
カイン「――夜の方が、本当にすんごいんですっ!!!」クワッ!
アドルラン「カイン……」ハァ…
アベル(俺に相談するくらいだから、本当に凄まじいのだろうが……)
ギルバート「……一芸に秀でているのは評価に値するな」
ギルバート「だが、ノワール程の技量でなければ我も驚かぬぞ?」
カイン「多分、義母さん以上だよ!」
アベル「……」
アベル「……父上、ふと気になったのですが」
アベル「父上は何故、俺の母を……ノワールを妾としたのですか?」
ギルバート「む?」
カイン「いや、むしろ妥当じゃないか? 義母さんは優しくて強いわけだし」
カイン「むしろこうして色々分かってくると、なんで母さんの方が正妻なのかも気になるね」
ギルバート「むむ?」
アドルラン「確かにそれも気になるが……」
アドルラン「私は、父上がどのようにして実力主義の帝国の皇帝となったかも気になるな」
アドルラン「これから先、帝国をよりよくするための何かが埋もれているかもしれない」
アベル「なるほど、それは確かに」
ギルバート「ふむ……」
ギルバート「……言われてみれば、お前達に詳しく話したこともなかったか」
ギルバート「いいだろう。我は今、非常に機嫌が良い……」
ギルバート「何かをしていなければ、また走り回ってしまうであろうしな」
ギルバート「――かつての我や帝国について、話せる範囲でよければ話そう」
ギルバート「ではまず、何から聞きたい?」
――
1:かつての帝国(ギルバート時代以前、最初期の帝国)
2:ギルバート幼少期(皇帝を目指した日。堕落した帝国の中で)
3:ギルバート青年期・前(軍学校時代。フローレンとの出会い)
4:ギルバート青年期・後(皇帝初期時代。ノワールとの出会い)
5:その他自由安価
↓1~5多数決
1:かつての帝国
――
アドルラン「……では、かつての帝国の話からお聞きしてもよいでしょうか?」
ギルバート「……帝国の歴史は、教養として知っているのではないか?」
アドルラン「ええ。ですが、こうして兄弟と父上が揃ったのです」
アドルラン「折角ですから、父上の口から直接この帝国について学びたいと思いまして」
カイン「……正直に言っちゃうと、僕は昔の帝国はあまり知らないんだよね」
カイン「父さんの帝国で生き延びていくのに、必死でさ……」
アベル「俺も、知るのはせいぜい軍学校の授業程度のものですね」
アベル「それさえも、現帝国の実力主義に対する講義が多かったですし」
ギルバート「ふむ……いいだろう」
ギルバート「……息子達に、歴史を教える……か」
ギルバート「まさかこの我が、こんな真似をするようになるとはな……」
ギルバート「――しかし、語る以上、しかと焼き付けるのだぞ?」
皇子ズ「「はい!」」
……
ギルバート「……そもそも、帝国は現在勢力を持つ国の中では最も歴史が浅い国だ」
アドルラン「確か王国が最も古く、次いで聖国なのでしたよね?」
ギルバート「うむ」
ギルバート「聖国も、大元は王国だ。王国内の一部で広まっていた宗教……」
ギルバート「神を崇めはじめた集団が王国を追い出されたのが始まりと聞くな」
アベル「追い出された……?」
ギルバート「帝国に保管されている歴史書では、既に王国は大国であると同時に貧富の差はあった」
ギルバート「貧しい者共は迫害され、神と言う存在に縋ることで生き延びてきたのだろう」
ギルバート「その集団の家族、知り合いが巻き込まれ……徐々にその勢力を拡大して、独立した国となったようだ」
カイン「当時の王国は、そんな真似をした連中を見逃したっていうのか?」
ギルバート「神に縋らねば何もできぬ者と思ったのだろうな」
ギルバート「それでなくとも聖国は平等と平和を謳い、王国への不可侵を誓っていた」
アベル「好きにさせて問題ない、というわけか……」
ギルバート「このような動きをするものは、当時では珍しくは無かった」
ギルバート「様々な小国家が生まれては消えることを繰り返す中……」
ギルバート「とある男が、立ち上がったのだ」
アドルラン「それが……」
ギルバート「そう、我が敬愛するこの帝国の創設者……後の初代皇帝だ」
アベル「……以前から気にはなっていましたが、確かこの初代皇帝は……」
ギルバート「名を持たぬ。生まれた時から、名も与えられずに捨てられた子であるとの説が有力だが……」
ギルバート「大切なのは名の有無ではなく、彼の行動だ」
ギルバート「初代皇帝はやはり王国の在り方に満足がいかず、王国を飛び出した」
ギルバート「その頃には聖国の規模も大きくなっていたが、彼は聖国に亡命することもしなかった」
ギルバート「我と同じく、神に頼る軟弱者にはなりたくなかったようでな……」
ギルバート「そもそも我の思想が、かつての皇帝が築いた強き帝国を取り戻すことであった以上、当然と言えば当然だが」
カイン「王国と聖国、両方を否定して帝国を創る……か」
カイン「無謀の極みとも言えるけど、現にこうして帝国はあるんだよね」
ギルバート「その通り……」
ギルバート「初代皇帝は、その身一つで国を創ろうとした。誰に頼るでもなく、ただ一人で」
ギルバート「誰もが彼を馬鹿にした。すぐに諦めるか、骸を晒すだろうとな」
ギルバート「しかし、僅かではあるが、彼は未開の地を徐々に切り拓いた」
ギルバート「鬱蒼と茂る森は徐々に徐々に刈り取られ、平地となり……」
ギルバート「とても手をつけたくない硬い岩山には、大きな穴が開けられ……」
ギルバート「歪ではあったが、その木材と石材を組み合わせた家が出来上がったという……」
アベル(もしかすると、この家もそれの模倣なのだろうか……?)
ギルバート「多くの小国家が消えていく中で、ゆっくりとだが着実にこの帝国の前身は発展を遂げた」
ギルバート「やがて自らの力で道を切り拓く彼の許にも、それを慕う者が集まり始めた」
ギルバート「いくら開拓しようとも、元が過酷な環境……王国の様に、豊かにはならぬ」
ギルバート「それでも初代皇帝とそれを慕う者達は、休むことなく動き続けた」
ギルバート「今の暗黒街の温さなど、当時とは比較にもなるまい」
カイン「……確かに、暗黒街も一応家や物資も少なからずありはしたわけだからね」
アベル「劣悪ではありますが、確かに俺達は生き延びることができましたからね……」
ギルバート「さらに言えば、かつての時代は今よりも魔物の勢力が強かった」
ギルバート「我々が主食とするような動物は勿論、人間そのものも魔物の餌になるなどよくある話だ」
アドルラン「なるほど……数々の小国家が消えた理由には、そういった外敵や食糧難の事情もあるわけか」
ギルバート「うむ。だが、初代皇帝は魔物にも屈することは無かった」
ギルバート「むしろ向こうから食事がやってきたと、喜び勇んで素手で解体しに行ったという」
ギルバート「どうだ、実に勇ましいであろう? こうした、魔物を素手で葬る強さに憧れる者も、増え始めたのだ」
アベル「過酷な環境を生き抜く、強者……」
ギルバート「その強さは古今無双であったといい、初代皇帝の衣服は常に誰かしらの血で染まっていたという……」
ギルバート「果たして我はその域まで達せているのかどうかわからぬが……我が死ぬまで、彼に対する敬意は消えぬ」
ギルバート「やがて初代皇帝達は開拓をある程度まで進めると、ここに帝国の建国を宣言した」
ギルバート「この時の彼の格好は一際赤かったといい、故に建国記念日には彼に倣い赤い服を着るのだ」
アベル(……俺にとって建国記念日は、酒絶対排除決意日になっているのがなんとも言えない)
……
過去語り途中ですが、今日はここまで
かつての帝国の成り立ちはギルバート以外の本編キャラには深くかかわってこないため、もう少しで終わりとなります
そのあとは皆さんの反応を見る限り、年代に沿って過去編(回想)を進めて行くのがいいのかな?
それでは最後に、先にこの後使う(かもしれない)判定を三つだけ
特殊判定
↓1~3コンマ二桁
本日もありがとうございました!
乙です
乙
こんばんはー
流石におまけですので、余程のことがない限り私もダメージは負わなもげぇ(吐血)
……やっぱり皆さん、こっちの判定表実はわかってるじゃないかなと思ってしまいます(白目)
偶数ゾロですので??の公開ありですね(しばらく先になりますが)
他のコンマも、かなり「らしい」結果になっていて驚きです
それではほんの少しだけ再開です
……
ギルバート「――やがて帝国は小国家を名乗れるまでの規模に達した」
ギルバート「己の身体を鍛え、その力で道を切り拓き、更なる発展を遂げ……」
ギルバート「同時に、この頃から人間の外敵も現れ始める」
カイン「……未開の地が開拓され、領土と呼べる域に達した」
カイン「そしてそこを治めているのは、まともな武具も揃っていない野蛮人……」
アベル「装備に恵まれた王国軍か、或いは魔法を使える聖国軍か……」
アドルラン「或いは、取り込み拡大を狙う他の小国家か?」
ギルバート「……答えは、全てだ」
皇子ズ「「!!」」
ギルバート「どの国も、様々な理由から領地は欲しい」
ギルバート「加えて確かに、帝国の装備は実に貧弱であったことも事実」
ギルバート「それにいくら開拓したところで食糧の安定生産には向かぬ地だ」
アドルラン「仮に粘られても、持久戦で食糧が底をつくと思われたのだな」
ギルバート「その通り。そしてそれは間違ってはいない判断だ。今の帝国も、そう攻められれば辛いだろう」
ギルバート「故に、初代皇帝は自らが先頭に立ち討って出た」
ギルバート「帝国領を奪おうとやってきた腑抜けどもを返り討ちにし、その足で敵の本陣まで攻め入った」
アベル「……王国と聖国は崩せずとも、小国家はそのまま蹂躙して逆に領土を奪い帝国の支配を広げる」
アベル「略奪国家と呼ばれるわけですね……」
ギルバート「先に仕掛けてきたのは、あちら側だというのにな」
カイン「ま……初代皇帝の気性から察するに、10で殴ったら100で返したりもしたんだろうけどね」
アドルラン「いずれにせよ、彼らは戦った。そして、そのおかげで今の帝国があるのだな……」
ギルバート「その通りだ」
――
――
……
ギルバート「――さて……かつての帝国の成り立ちは大体このようなものだ」
ギルバート「以後、幾度となく帝国は戦い続けて……そして今に至る」
アドルラン「ふむ……」
カイン「わかってはいたけど、戦いの歴史だねぇ……」
ギルバート「興味があるならば、この歴史書を読むがいい」ズドン!
ギルバート「当時の様子や、初代皇帝の偉業なども載っているぞ?」ズイ!
アベル「……思ったよりも、戦術は残っていないのですね」ペラペラ…
ギルバート「己を鍛えて敵を叩き潰す。これ以上なくわかりやすい戦術ではないか?」
カイン「無茶苦茶だけど、父さんが実践しちゃってるからなぁ……」
アベル「これは、かつての地図……」ペラ…
アドルラン「む……? 随分と、広いな?」
カイン「これが帝国領だとすれば、相当なものだな……」
ギルバート「……」
ギルバート「そう、かつての帝国は強く勇ましく……まさに帝国と呼ぶに相応しい覇者であった」
ギルバート「だが……」
ギルバート「如何に初代皇帝が偉大とはいえ、彼も人の子だ」
ギルバート「どれだけ己を鍛え続け、生涯負けを知らぬ者であっても……」
ギルバート「時の流れ、寿命には勝てぬ」
ギルバート「彼の子が、彼を慕っていた兵が、皇帝の道を継ごうと奮戦するが……」
ギルバート「やはり、時の流れには逆らえぬ。身体を蝕む毒の様に……」
ギルバート「やがて帝国は、徐々に弱体化してゆく」
アベル「……」
2:ギルバート幼少期(皇帝を目指した日。堕落した帝国の中で)
――
ギルバート「我がこの世に生まれる頃には……帝国はかつての見る影もない程に衰退していた」
ギルバート「当時の皇帝が、暗愚の極みとも言うべき存在であった影響も大きいのだろう」
アドルラン「父上の前の、皇帝……」
アベル「教本でも、ほとんど触れられていませんが……」
カイン「よっぽど酷くて、父さんが書物からも存在を抹消しようとした、ってところかな?」
ギルバート「その通りだ、カイン」
ギルバート「奴に存在意義があったのだとすれば……」
ギルバート「――我に、皇帝になる決意をさせたということだけであろう」
皇子ズ「「!!」」
アドルラン「父上が皇帝を目指された理由、ですか」
カイン「王国や聖国に倣うなら、代々の血筋……だけど、帝国なら……」
ギルバート「――初代皇帝は、その身と力で帝国を創り上げたのだ」
ギルバート「自らを常に練磨する……その肝要な部分さえ忘れ果てた皇族は、最早皇族にあらず」
ギルバート「血筋など関係ない。最も強き者こそが、帝国には相応しい……」
ギルバート「子供心に、変わり果て堕落した帝国を目の当たりにした我は、あの日誓ったのだ……」
~~~~
――――
―――
――
―
――数十年前……――
【帝国・王城】
皇帝「何? また王国軍が迫っているだと!?」
帝国兵「はっ! 件の一帯の領地を寄越さねば、この帝都に攻め入ると……」
皇帝「ぬぅぅ……」
帝国兵「陛下、いかがいたしましょう?」
皇帝「……」
皇帝「王国の兵の装備は強力だ。それに加えて、魔物まで手懐けておる……」
皇帝「我が帝国軍が敗ける道理はないが、少なからず損害は出てしまうであろうな」
皇帝「それに戦の用意も何かと手間だ。適当に、王国にまた金を贈っておけ」
皇帝「結局国王も、すぐに金にならぬ領土よりも現物の金を欲しておるのだからな」
帝国兵「かしこまりました!」バッ!
皇帝「いちいち戦をするなど、愚者のすることよ……」
皇帝「皇とは、悠々と快適に安全に暮らしてこそ」
皇帝「常に落ち着き、優雅な様を見せることで……民共は、皇帝の偉大さと帝国の盤石さを知ることができる」
皇帝「む? しかし王国に金を贈るとなると……また補充せねばならぬか」
皇帝「おい! 下民共の税をさらに引き上げることも忘れるな!」
帝国兵「はっ!」
……
――
――
【帝国・貧民街】
帝国兵「おら、下民共! 徴収の時間だ!」
貧民「ひいぃ! お、お納めくださいっ!」バッ
ギルバート(……なんで、この帝国はここまでつまらない世界なんだ?)
ギルバート(本に書いてあった。帝国を創った人は、自分の力で頑張ってきたんだ)
ギルバート(俺達もその誇り高い帝国の血を継いでいるんじゃないのか……?)
ギルバート(なんなんだ、あの細い兵士は……? とても、精強な帝国兵には見えない……)イライラ…
ギルバート(そして、そんな奴にも無抵抗で少ない物資を渡すこいつらも……)イライラ…
ギルバート(全てが違う……こんなもの、帝国じゃない……)イライラ…
ギルバート(初代皇帝の掲げた、帝国の理念は……人間は強くあるべきということじゃないのか……?)イライラ…
ギルバート(今の帝国は――国も、民も、間違っている……!!!)グッ…
帝国兵「んんー……足りねえなぁ?」ゴソゴソ…
貧民「お、お許しを……!?」
ギルバート「……おい、お前」
帝国兵「あん、なんだ餓鬼?」
三連特殊判定結果
1:幼少期…立ち上がったばかりのギルバートのレベル(ラスボス補正でコンマ×2。ゾロ目も同様)
コンマ96
96×2= 1 9 2
※ こ ん な 子 供 が い る か
※ 幼少期から初代皇帝に憧れたギルバート少年、バッキバキに鍛え抜いています
――
ギルバート「――何故、お前のような『弱者』が……支配者を気取るんだ?」ゴゴゴゴゴゴゴ…
帝国兵「」←レベル5
貧民「」←レベル1
帝国兵「わ、わかった……今日の徴収、特別に見逃してやるから……」ビクビク…
ギルバート「……」ピク…
ギルバート「……奪われたなら、この身を持って奪い返せ」
帝国兵「へ?」
ギルバート「奪ったならば、奪われる覚悟も決めろ……かつての帝国の考えの一つだ」
ギルバート「お前は、奪った。お前は、帝国の兵士だ。ならば――覚悟はあるんだろう?」ググ…
ドゴオオオォォォォ!
帝国兵「ぐぴゃっ!?」グシャア!
ギルバート「……脆すぎる」
貧民「」ジョバァー…
……
判定結果の一つ目を公開したあたりで今日はここまで
……うん、1/2でレベル3ケタいくからゾロ目ボーナスも外しておいたら96とかほぼ最高数値出すというね(白目)
ここで低いコンマだったら徐々に鍛えて才能を開花させていく予定でしたが、もう怪物です
そして自動的に、青年期にこれ以上に育ったギルバートにボコられるフローレンさんの運命も決定しました(白目)
本日もありがとうございました!
こんばんはー
すみません、少々仕事の方で厄介な案件を抱えまして忙殺されていました
生存報告すらできず、申し訳ありません……
明日の22時過ぎより、一部判定ありで再開できればと思っています
こんばんはー
それでは少しづつ再開していきます
……
ギルバート「……」シャクシャク…
シーン…
ギルバート「……ふん」ゴクン
ギルバート(兵士も、奪われていた貧民も、俺に何もかも差し出して逃げて行った……)
ギルバート(あの様子じゃ、兵士は子供に負けて逃げ帰ったなど恥だと誰にも言わないだろう)
ギルバート(仮に報告したところで、あの愚帝が動くわけがない)
ギルバート(なんて弱く、腑抜けて、脆くて、くだらぬ、無価値な人間達だろう)
ギルバート(かつての皇帝が成し遂げた偉業を、国も民も忘れたっていうのか?)
ギルバート(何もないところから国を造り上げ、どんな相手にも決して屈さなかったというかつての皇帝……)
ギルバート(それを慕い、精強だったという民と兵士達……)
ギルバート(――決めたぞ。誰もやらないのならば、思い出さないというのならば)
ギルバート(――まずは自分が動く。この身で道を切り拓き、必ずかつての帝国を取り戻してみせる……!)グッ!
ギルバート「よし。そうと決まれば、さらに鍛えて、それから……」
……
――――
―――
――
―
ギルバート「こうして、我は決めたのだ」
ギルバート「この手で、帝国の威光を取り戻そうとな……」
アベル「」
カイン「」
アドルラン「」
ギルバート「む? どうしたお前達?」
アベル「いや、帝国の兵士を粉砕したと簡単には言いますが……」
アドルラン「かつての帝国も腐敗していたことも驚きですが、それ以上の衝撃です……」
カイン「今の父さん見ると、納得できる部分もあるけどさぁ……」
カイン「その頃の父さんって、いくつぐらいだったのさ?」
ギルバート「そうだな、大体暗黒街に捨てた時のお前達と同じか少し若い頃か?」
ギルバート「お前達が暗黒街を生き延び、這い上がってきたことは確かに評価するが……」
ギルバート「我に言わせれば、あの時のお前達は些か鍛え方が足りぬようにも思えたがな」ムス…
アドルラン「お言葉ですが、父上のそれは流石に常軌を逸しているかと……」
ギルバート「……しかし、あの日まだまだ弱者であったアベル達が牙を砥ぎ、力を合わせ我を破ったのは紛れもない事実だ」
ギルバート「這い上がり、目標を討つ。かつての我と同じことを、お前達も成し遂げたのだな……」
アドルラン「父上……」
ギルバート「クク……お前達も、自分の子供に討たれぬよう気を付けることだな」
ギルバート「……いや、やはりアベルの子は過酷な環境に置いて牙を砥がせるのも悪くないか?」
アベル「父上、やめてください!?」ガタ!
ギルバート「ふっ、冗談だ。……我も、お前達のやり方で帝国がどうなっていくのかが気になるのだからな」
アドルラン「……未熟な身ではありますが、必ずやご期待には応えましょう」
カイン「やれやれ……そうは言っても父さん、鍛錬は続けろって言うんだろ?」
ギルバート「無論だ。帝国の在り方を抜きにしても、強き肉体を保つことはもはや人の義務ではないのか?」
アドルラン「それは確かに、そうなのですが」
アベル「まぁ、帝国もですが他国も情勢が完全に安定しているとは言えませんからね」
アベル「有事の際に備えて鍛錬を欠かさず、少なくとも現状を維持することは大切でしょう」
カイン「これでもだいぶ強くなれたつもりなんだけどなぁ……」
ギルバート「ふ……確かに、かつてとは別人だな」
ギルバート「だが帝国の者であれば、より高みを目指せ。己との戦いに、終わりなど無いのだからな」
アドルラン「父上はその信念の元、決起の日からも欠かさず鍛錬を重ねたのですね」
ギルバート「うむ……」
ギルバート「確かにかつての我は、同世代の子供の中では群を抜いていたのかもしれない」
ギルバート「しかしそれは、子供の狭き世界故ではないか?」
ギルバート「皇帝は腐っても皇帝で、実は高い実力を持っているのではないか?」
ギルバート「我はそう考え、すぐには行動に移さず鍛錬を重ねた」
ギルバート「事実、かつての我も今の我からすれば遥かに劣るからな」
カイン「基準が色々ずれてるんだよなぁ父さん……」
カイン「しかし、こうして聞くとますますアベルに似てるもんだね」
ギルバート「……血は争えぬということか。しかし、アベルと我にも違うところはあるぞ?」
カイン「?」
ギルバート「……周りがあまりにも弱すぎて、全く経験を積めなかったのだ」
皇子ズ「「「でしょうね……」」」
――
3:ギルバート青年期・前(軍学校時代。フローレンとの出会い)
――
ギルバート「……と、言うわけだ。我の幼い頃は……」
ギルバート「周りがあまりにも腑抜けた連中が多かったせいで、実に得る物が少ない時間であった」
カイン「だからそれ、父さんの強さが当時からしておかしいんだって……」
アベル「俺が捨てられた頃の暗黒街にも言えることですが、基本は皆生き延びたいわけですからね……」
アドルラン「強者に挑みたくなる気持ちも失せる程に、圧倒的な差だったのだろうな……」
ギルバート「ぬ、ぬぅ……」
アベル「しかし、その言い方から察するに……幼少期を抜けた後は、得る物があったと言うことですか?」
ギルバート「うむ。カインはともかく、アドルランとアベルであればわかるのではないか?」
カイン「くぅ、もうわかっているけど、やっぱり兄弟の中で僕だけ出遅れてた現実が突き刺さる」
アドルラン「はははは! なぁに、お前は優秀だからすぐに私に追いつくだろうさ」
アドルラン「もっとも、そのまま易々と追い抜かれては堪らんから私も練磨を重ねるがな!」
アベル「俺も、兄様達を支えられるように尽力しますよ」
カイン「ほどほどでいいからなー? ……僕が差を埋めるのも大変なことになりそうだし」
カイン「この二人ならわかって、僕にはわからない……それってつまり、軍学校での生活が充実してたかどうかってことだろ?」
ギルバート「その通りだ」
ギルバート「競う相手も見つからず、知識も持たず停滞期に陥ってしまったこともあった我だが……」
ギルバート「当時の軍学校に入って……しばらくした頃だったか」
ギルバート「あやつ、フローレンと出会ったのは……」
皇子ズ「「!!」」
……
――
――――
―――
――
―
【旧帝国・軍学校】
ギルバート「……ふぅ」
ギルバート(士官を排出するための学校であればと、期待してみたが……)
ギルバート(学問はともかく、武術……模擬戦は期待外れと言わざるを得ないな)
ギルバート(教師ですら、我の前に立つことすらできぬとは……)
ギルバート(生徒もほとんどが有象無象、貴族の戯れでしかない)
ギルバート(……もう、この身で皇帝を討ち取ることができるのではないだろうか?)
ギルバート「……」
ギルバート(いや、慢心は最大の敵だ。我が肉体、未だ未熟)
ギルバート(とてもかつての皇帝に並べる程、強くは無い)
ギルバート(今はまだ耐え、さらに相応しき力を身に着ける時……!)ゴゴゴゴゴゴゴ!
生徒1「おいおい、ギルバートの奴からまたやべぇ気配をを感じるんだが……」
生徒2「勘弁してくれよ、次の時間って団体模擬戦じゃなかったか?」
生徒3「あいつがこの学校に来て1年ちょっと、誰もあいつと模擬戦場に並び立てた奴もいない……」
生徒4「あいつ本当に人間なのか……?」
ギルバート「……」フゥー…
生徒1「あ、でもあいつなら……もしかして?」
生徒2「あいつ?」
生徒3「あー、あの子か。入って来たばっかりなのに無双してる天才少女!」
ギルバート「……」ピク
生徒4「まだ同学年内だけらしいけど、確かその子も模擬戦で負け知らずなんだっけ」
生徒1「そうそう。女ギルバートとでも言うべきかな。名前は確か――」
……
――
――
……
フローレン「……ここでこうして、この公式を当てはめる。これでお終いよぉ」
女生徒1「あ、ありがとうフローレンちゃん! 助かったわ!」
フローレン「別にいいわよぉ、このくらい……」
フローレン「……」
フローレン(生まれてからずっと、なんでも上手く行った……)
フローレン(神童だなんて持て囃されて、帝国で一番のこの学校にも難なく入れた)
フローレン(ここの勉強や戦いなら少しは愉しめるかと思ったのに……)ハァ…
フローレン(この程度だなんて、本当につまらない……何か、何か愉しいことはないのぉ?)
女生徒1「よかったぁ……これでなんとか次の試験は突破できそう!」キャッキャッ!
女生徒2「でもホント凄いよねフローレンちゃん。ここ、授業でまだ一回しかやってないのに……」
女生徒3「まさに天才って言葉が相応しいよね。もう嫉妬の感情すら湧かないもん……」
フローレン(……なんでこんな簡単なことも理解できないのかしら、このお馬鹿さん達は?)
フローレン(……でも、愉しそうねぇ)
フローレン「……羨ましい」ボソリ
女生徒1「?」
教師「あー、静かに! 休憩時間は終わりだぞ!」パンパン!
教師「次は諸君らにとっては初めての事になるが、上級生を交えた団体鍛錬の時間だ。気を引き締めるように!」
フローレン(……団体模擬戦、ねぇ)
フローレン(少しは、愉しめるといいんだけれど……)
――
――
【模擬戦会場】
フローレン「そぉれ……」ブオン!
ズガア!
上級生徒「ぐわああぁぁぁ!?」ゴロゴロ…
フローレン「はぁ……あなたも、つまらないわねぇ……」
上級生徒「くっ……この貴族の僕に、よくもこんな恥を――」
フローレン「……」ズガン!
上級生徒「ひいいぃぃぃぃぃ!?」ジョバアァァ…
フローレン「……私、つまらないものは嫌いなのよぉ」
フローレン「いらない玩具は――壊して捨てるわよねぇ?」グオッ!
上級生徒「た、たひゅけてええぇぇぇぇぇ!」ダダダダ!
フローレン「はぁ……」
男子生徒「おいおい、なんだあいつ……女の身であんな軽々斧を振り回すなんて……」ヒソヒソ…
女子生徒「……胸は平らだし、男が女装してるんじゃないの?」ヒソヒソ…
フローレン(……全員、叩き割ってもいいんだけれど)
フローレン(それはそれで、次の玩具候補がいなくなってしまうかしらねぇ……)
フローレン「はぁ……本当に退屈――」
ズゴゴゴゴゴゴゴゴ!
フローレン「!?」バッ!
ギルバート「ぬうううぅぅぅぅぅぅぅん!」ズガァン!
教師達「「ぬわあああぁぁぁぁぁ!?」」ズザアー!
フローレン(せ、先生たちをまとめて一薙ぎで……!?)
フローレン(あの人……)
ギルバート「……終いか」チャキ…
生徒1「そりゃそうだろ……」ガタガタ…
生徒2「お前と戦いたがる奴なんて、この学校にいるわけないし……」ガタガタ…
生徒3「先生たちすらこれだもんなぁ……」ガタガタ…
フローレン「――待って。そこのあなた」
ギルバート「ん?」クル
フローレン「……あなたも、退屈しているのかしら?」
ギルバート「……そうだな」
フローレン「それなら――私と一戦、お相手願えるかしらぁ?」チャキ!
ザワザワ!
男子生徒「う、嘘だろ……あの怪力女、あのギルバートに自ら進んで挑んだだと!?」
女子生徒「へ、変態よ! 変態!」
ギルバート「……ほう?」
フローレン「私も、退屈で仕方がないの」
フローレン「もっと、もっと刺激のある……」
フローレン「あなたは、愉しませてくれる存在かしらぁ?」
ギルバート「ふ……」
三連特殊判定結果(>>377)
2:青年期・前…ギルバートのフローレンへの好感度
コンマ75
75(ついに挑戦者が現れたか! なかなか見どころのある女ではないか!)>50
※基準値を超えたため、良好関係からスタート
――
ギルバート「はははははははは!」
生徒たち「「」」ビクゥ!
ギルバート「……笑ったのは、久方ぶりだな」
ギルバート「女、名は?」
フローレン「フローレンよぉ。あなたはぁ?」
ギルバート「そうか、お前が……我が名はギルバート」
ギルバート「フローレン、お前こそ……愉しませてくれるのか?」ニィ…
フローレン「ふふふふふ……!」
フローレン「私にそんな言葉吐いたの、あなたが初めてよぉ?」
フローレン「……」
フローレン「すごいわぁ……他の男とはわけが違う……!」ゾクゾク!
フローレン「こんな感覚、はじめてよぉ……!」チャキン!
ギルバート「……得物は斧か。珍しいな」チャキン!
フローレン「あなたは剣と盾……模範的ねぇ」
フローレン「――見せて貰うわよぉ? あなたの強さ!」バッ!
ギルバート「さあ、愉しませるがいい!」バッ!
――
※ギルバートのレベルが異常なため、最低保証戦闘
コンマ20以上で優勢
コンマ19以下で劣勢
↓1コンマ二桁
コンマ98
――ギルバート優勢!
ギルバート「ぬっ!」バッ!
ガギィィィィン!
フローレン「っ! 驚いたわぁ、私の斧をこうも簡単に止めて見せるなんてっ!」ギチギチ…
フローレン「いい、いいわぁあなた……!」ブオン!
ギルバート「なるほど、確かに他の腑抜けどもとは違うみたいだな……!」サッ!
ギルバート「だが……!」タッ!
フローレン(後退しつつ剣を構え直した……?)
フローレン(間合いをとって、様子を見るつもりかしらぁ?)
フローレン(悪いけれど、私はどちらかと言えば遠距離攻撃の方が得意なのよぉ?)バチ…
ギルバート「―――ずえあああああああぁぁぁぁぁぁっ!」ゴオォォ!
フローレン「なっ!? くうぅぅぅぅぅぅぅぅ!?」ギャリィィン!
フローレン(嘘、でしょぉ……!? あの距離を、一瞬で詰めるどころか……)
フローレン(な、なんて力なのぉ!?)ビリビリ…
ギルバート「く、くく……!」
ギルバート「まさか、これを受け止められるとはな!」
ギルバート「――滾ってきたぞ、フローレンッ!」
コンマ20以上で優勢
コンマ19以下で劣勢
↓1コンマ二桁
コンマ10
――ギルバート劣勢!
ギルバート「ならば、今一度……!」ググ…!
フローレン(速い……もう、さっきと同じ構えに!?)
フローレン(流石に今のを連続で受けたら……)
フローレン(痺れの残ったこの腕と)ビリビリ…
訓練斧「」ミシミシ…
フローレン(こっちが先に砕かれるわぁ……)ゾクゾク…
フローレン(ふふふ……!)
フローレン「あはははははは! いいわぁ、ギルバート!」キュオオオ!
フローレン「――愉しい♪」
ギルバート「ぬ!?」
フローレン「――あなたなら、本気で挑んでも、きっと……!」バチバチィ!
ズドオオォォォォン!
ギルバート「がっ……!?」プシュゥ…
生徒達「「ら、落雷魔法!?」」
教師「馬鹿な、帝国で魔法の才を持つものは僅かだというのに……」
教師「その中でも最たる希少魔法を扱うだと……!?」ワナワナ…
生徒「いや先生、模擬戦であれ大丈夫なんですかっ!? ギルバートから煙が――」
ギルバート「――素晴らしい!」ダン!
フローレン(やっぱり……!)
ギルバート「初めて――戦いというものを、今、愉しめているぞっ!」グオン!
コンマ20以上で優勢
コンマ19以下で劣勢
↓1コンマ二桁
…………あふん!?(爆散)
コンマ00
ハ イ パ ー ク リ テ ィ カ ル ! ! !
※大興奮のギルバート、大ハッスル!
※フローレンオーバーキル堕ち!
――
ギルバート「はははははははははは!」ブオンブオンブオン!
フローレン「ちょっ!? あれを受けて弱るどころか――ますます強く!?」ガキンガキン!
ギルバート「これだ! 俺が求め続けたものは……!」グオン!
ギルバート「俺を恐れず挑んでくる者! 俺に傷をつけられる者!」
ギルバート「俺と……競い合える強者……!」グッ!
ギルバート「もっとだ! もっと来いフローレンッ!」ドゴォ!
フローレン「くぅぅぅ!?」ズザザザザ!
フローレン「あはぁ……♪」
フローレン「本当に、愉しい……♪」
フローレン「痛い、怖い……初めての感覚……♪」
フローレン「いいわぁ……」
ズゴゴゴゴゴゴゴゴ!
フローレン「――上級火炎魔法、上級水魔法、上級土魔法、上級風魔法!」
フローレン(多分、これだけやってもこの人は突破してくる!)ゾクゾク!
フローレン(あぁ、勝ってみたいなんて思ったのも初めてよギルバートォ!)
フローレン(やったことはないけれど、このかつてない昂揚感……っ!)
フローレン(――今の私なら、きっと何でもできるわぁ!)バチバチ!
――『金雷の戦斧』発動――
フローレン「あははははははははは! ねぇ、ギルバート?」
フローレン「思いつきの一撃だけど――これも、超えてみせてぇ!?」ギュオン!
ギルバート「ぬおおおぉぉぉぉぉぉ!?」ガガガガガガ!
ギルバート(こ、これが魔法……!)
ギルバート(多角的、広範囲に様々な襲撃……!)
ギルバート(これが、これが――本当の戦い!)
ギルバート(初代皇帝が切り抜け続けてきたもの……!)
フローレン「あははははははははは!」グオン!
ギルバート(このままでは、この魔法を防ぎきったところであの雷斧の直撃を受けるか……!)
ギルバート(あの表情、フローレンは本気で我の頭を割りに来ているな……)タラ…
ギルバート(このかつてない昂揚感のまま死ぬのは、些かもったいない……!)グッ!
ギルバート(もっとだ……もっと強く、速く剣を振るわねば……)
ギルバート(全ての魔法を斬り伏せ、かつフローレンそのものをも打ち倒せるような……)
ギルバート(そんな一撃を……!)ググググ!
フローレン「ギルバートォォォォォォォ!」バチバチバチ!
ギルバート「――――っ! みえたっ!!!」
――『七星剣』発動――
フローレン「なっ――」ゾクリ!
ズガガガガガガガガガガガガガ!
フローレン「きゃあああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」グシャズザァー!
ギルバート「い、今の剣は……?」ハァハァ…
生徒一同「「」」
教師一同「「」」
フローレン「ま、敗けた……? この、私が……?」ボロボロ…
フローレン「……」
フローレン(なのに……愉しい。これが、愉しいということ……!)
フローレン(……ギルバート、あなたと一緒なら退屈しないで済みそうよぉ♪)
――勝利!!!
――
まさかの00が出たあたりで今日はここまで
フルパワーオーバーキルですが、これで仲は深まるようです(白目)
判定結果次第では初戦はギルバートが負けるパターンもあった中でこれは、
キャラ設定を後押しするかのような本当に凄いコンマです……
次は仲を深めたギルバートとフローレンのちょっとしたやりとりと判定の後、後期のノワール絡みの予定です
本日もありがとうございました!
こんばんはー
時間が不安定で本当に申し訳ないです
ほんの少しだけ再開です
――
教師達「「」」
生徒達「「」」
フローレン「あいたたた……」パンパン…
ギルバート「む、今の一撃を受けてまだ立ち上がれるか」
フローレン「全身痛いわよぉ……?」ボロボロ
フローレン「ただ、武器のおかげねぇ……」スッ…
ギルバート「ん?」
訓練剣「」バラバラ
フローレン「訓練用の剣じゃ、私の魔法を捌いてあれだけの威力の技は耐えきれないに決まってるでしょぉ?」
フローレン「まったく、恐ろしく……面白そうな人ねぇあなた?」
ギルバート「……何かを掴んだかと思ったが、我が剣は未だ未完ということか」
フローレン「完成形は絶対に受けたくないわねぇ……」ブルブル…
ギルバート「ククク、完成した暁には、お前を実験台にするのも悪くないかもしれないな」
フローレン「……先に脳天に雷落とさせていただくわぁ」
ギルバート「既に落とされたがな。あれが、魔法か?」
ギルバート「まさか武術だけでなく、魔法まで絡めてくるとは思わなかったぞ」
フローレン「ふふん、私は天才だものぉ。武器も魔法も、なんでもできちゃうのよぉ?」
フローレン「でもギルバート、あなたはそんな私をこうして這いつくばらせた……」
フローレン「――あなたは、人生が退屈ではないのかしらぁ?」
ギルバート「……そうだな。今の帝国もこの軍学校も、つまらぬものだとは思う」
ギルバート「――だが、お前のような者がいると知れた今は、少し……愉しいと思えるな」
フローレン「……! あらぁ、私と同じじゃなぁい!」
フローレン「それじゃあ、どうせみんな固まっているし、授業なんて捨てて二人で色々愉しいこと探しに行きましょうよぉ?」ギュ!
ギルバート「……いいだろう」
……
――
――
――あくる日――
……
調理教師「――というわけで、調理実習を……」
フローレン「ふぅん、確かにこの学校、色々と手広く教えてはいるのねぇ」
ギルバート「貴族とやらは、そういったものの教養もあると聞くが?」
フローレン「ええ。私も何年か前に嗜みとやらでやらされたんだけどぉ……」
フローレン「一回で教育担当の先生から合格を貰って、以後その勉強時間も無くなったわぁ」
フローレン「私の才が恐ろしいけど……だからこそ、私にとって料理なんて、面白くも愉しくもない苦痛な時間だわぁ……」
ギルバート「……では何故ここに来た?」
フローレン「だぁってぇ、あなたがまさかこんな授業を選択するだなんて夢にも思わなかったんだものぉ」
フローレン「てっきりまた実戦系を選ぶと思っていたのに、まさかの調理実習って……やっぱりあなた面白いわぁ♪」
ギルバート「……お前との鍛錬以外、まともな戦闘経験はもはやこの学校では積めん」
ギルバート「ならば次に必要な技能くらいは、覚えておくべきだと思ったまでのこと」
フローレン「?」
ギルバート「……帝国は、この土地柄だ。食糧は他国に比べれば質も量も劣る」
ギルバート「領地を奪い、豊かになるためには戦が必要となるが、戦中も食糧の必要性は高い」
ギルバート「何も美味である必要はないが……最低限、食べて肉体の礎になる程度のものは作るべきではないか?」
フローレン「なるほどねぇ……」
……
――
――
……
ギルバート丼「……」テーン
ギルバート「……」パク…
ギルバート「……」モグモグ
ギルバート(かつてと比べれば、遥かに良質な食事だな)
ギルバート(我ながら、思ったよりも作れるものだ)
ギルバート(時間をかけず、かつ全ての食材を一つの丼に入れる……これは完成形ではなかろうか?)
ギルバート(求める基準は満たした。他に何かめぼしい技能は……)
フローレン「ギールバートォ?」ピョン!
ギルバート「どうした、フローレン。……やらぬぞ?」ササ!
フローレン「い、意外と食い意地張ってるのねあなた」
フローレン「安心しなさぁい。そんなあなたの為に、何年振りかに久々に私も頑張っちゃったのよぉ?」
フローレン「ささ、この天才の料理をどうぞご堪能あれぇ?」
パカ
紅翠灰色のナニカ「」ゴゴゴゴゴゴゴゴ…
ギルバート「うぐああああぁぁぁぁぁぁぁ!?」ゴフ!
フローレン「きゃ♪ もうギルバートったら、そんなに感動しなくてもいいのよぉ?」クネクネ
ギルバート(な、なんだこれは……?)ダラダラ…
ギルバート(これは……強敵の気配! 挑まざるをえない……!)グッ!
ギルバート「……」パク
ギルバート「……ぐぶぅ!?」レッセイレッセイレッセイ!
フローレン「どぉ? どぉぉ?」ニコニコ!
ギルバート「ふ……フローレン、やはり得がたき逸材よ……!」プルプル…
フローレン「当然よぉ!」アハハハハ!
ギルバート(凄まじいな……これは逆に、食べ続ければ身体を内側からも鍛えられそうだ……!)
……
――
――
……
試験官「――それでは試験の返却を……」
ギルバート「……」スッ…
フローレン「これまた意外ねぇ……」
フローレン「まさかあなたが真面目に試験を受けるだなんて……」
ギルバート「……お前は俺をなんだと思っているんだ?」
フローレン「そうねぇ……面白い人、かしらねぇ?」クスクス
ギルバート「……」
フローレン「ふふふ……!」
特殊判定
↓1~2コンマ二桁
1:ギルバートの試験結果
24( 赤 点 で す よ )<50
※基準値を下回ったため、追試決定!
2:天才フローレンの手助け
47<50
※基準値を下回った為、手伝ってくれず
※学生時代のギルバートは勉学面でかなり苦労したようです
――
ギルバート「……俺は、面白くはないのだが」ペラ
フローレン「あらぁ? ……あららら」
ギルバート「……授業を抜け続けたのが、やはり響いたようだな」
ギルバート「次からはもう少し、参加する回数を増やそうと思う……」
フローレン「えぇー……つまんないわよぉ授業なんてぇ?」
ギルバート「フローレン、お前も――」
満点用紙「……」ピラ
ギルバート「……」
フローレン「……」ムフー!
ギルバート「……」
フローレン「……」ドヤァ…
ギルバート「……」
フローレン「……」
ギルバート「…………少し、素振りをしてくる」
フローレン「ちょっと変じゃなぁい!?」ガーン!
フローレン(教えてあげてもいいけどぉ……人に教えるのって、面白くないのよねぇ……)
フローレン(それに……あの人が、必死に教本にかぶりつく姿とか……すっごく面白うそう♪)
フローレン(ああ、やっぱり最高よぉギルバート……)
……
――
――
……
ギルバート「……」モクモク…
フローレン「頑張っているわねぇギルバート?」
ギルバート「……何の用だ」
フローレン「天才の私が言ってもあまり説得力はないけどぉ……」
フローレン「勉強なんて、やり続けてもまともに頭に入ってこないものよぉ?」
フローレン「特にあなたは、これまで身体を鍛えることを優先していたみたいだしねぇ?」
ギルバート「……帝国の民なら、強くあらねばならない」
フローレン「……」ペラペラ…
フローレン「帝国の歴史書、それに戦術書だけ読みこまれた跡があるわねぇ?」
フローレン「この学校の誰よりも強いあなたが、つまらない勉強に取り組んでいるのは、ここら辺が関係しているのかしらぁ?」
ギルバート「……」
ギルバート「……帝国を創り上げたかつての皇帝は、偉大な存在だ」
ギルバート「歴史書には、確かにそれが記されている」
ギルバート「圧倒的な力で、自らの力で道を切り拓いた皇帝は、敵の小細工に屈することもなかったという……」
ギルバート「かつての偉業を学び、敵が弄するであろう策を知り、そしてそれを身体一つで潰せるように次の鍛錬に繋げる……」
ギルバート「勉学も、無駄ではない……」
フローレン(内容が偏り過ぎと言うか、文学系と数学系が壊滅してるわよぉ……?)
ギルバート「……俺は、誓ったのだ」
フローレン「え?」
ギルバート「――必ずこの手で、かつての皇帝の時代を取り戻す。強き帝国を蘇らせるのだと……!」グッ!
フローレン「!!!」
フローレン「……やっぱり、あなたは面白い人ねぇ」
フローレン「かつての時代を取り戻すだなんて、今の時代を無くすということよぉ?」
ギルバート「……その通りだ」
フローレン「ふ……ふふふ、ふふふふふ! あははははははははは!」
ギルバート「……何がおかしい?」
フローレン「だ、だってぇ……」
フローレン「こうも淡々と、それでいて堂々と皇帝への叛逆を口にするだなんて……普通じゃないわよぉ?」
フローレン「――ねぇ、よければ私もそれ、混ぜてくれないかしらぁ♪」
……
――
フローレンとの出会い辺りが終わったあたりで今日はここまで
次はノワールとの出会いとその後。少しだけ長くなるかも?
しかしまずは安定した時間を取り戻したい……
本日もありがとうございました!
こんばんはー
本当に更新が安定しませんが、いい加減先に進まねば……
判定前の(以前の三連判定最後の結果)まで投下しておきます
――――
―――
――
―
ギルバート「……フローレンとの出会いは、このような具合であった」
カイン「へぇ、あの母さんがねぇ……父さんが勉強できなかったのもちょっと意外だよ」クスクス
アドルラン「少し様相は違うが、秀才な友人となるとアベルとアーシャ君に似ているかもしれないな」
アベル「俺とアーシャは、模擬戦で殺し合うような真似はしてませんけどね……」ハハハ…
ギルバート「ふ……お前に流れる我が血が、好敵手を引き寄せたのやもしれぬな」
カイン「しかしあれだね、母さんの料理が毒物なのは知ってたけど……」
カイン「この時に父さんがちゃんと注意しないから、今もああなんじゃないのかい?」
アドルラン「はははは! そこはアーシャ君とは違うところだな」
アベル「彼女は元々料理以外も優秀ですし、努力も怠りませんからね」
ギルバート「……フローレンに欠けているもの、ではあるな」ハァ…
ギルバート「元々あやつは、当時の帝国における大貴族の娘にして、生まれながらに多才であった」
ギルバート「それ故に人生に退屈していたらしいが……」
ギルバート「我と同じく敗れ堕ちて、少しは努力をすることを覚えるといいのだがな」
アドルラン「しかし、お話を聞く限りでは当時は父上と競い合っていたのでは?」
ギルバート「うむ。最初の模擬戦こそ我が勝ったが、以後は我が危ない時もあったものだ」
ギルバート「わかってはいると思うが、あやつの武の才は紛れもない本物……」
ギルバート「だからこそ我はあやつを妻としたのだが……」
カイン「あ、なんとなくわかった。皇妃っていう終点に辿りついたのもあるだろうけど……」
カイン「皇帝になった父さんが強くなり過ぎて、二番手でもいいと思うようになったんだね?」
ギルバート「……うむ。実際問題として、あやつはやる気を見せずとも敵を薙ぎ倒し続けたからな」
ギルバート「我は強き帝国を目指したが、実際はそうそう上手くいくものではなかった」
ギルバート「国は、どれだけの強者であれ一人では維持できぬ」
ギルバート「圧倒的な力で、兵と民を率いる器もまた必要……」
ギルバート「……そして政を考える頭もだな」
アドルラン「……」
ギルバート「我はフローレンと共に、力を蓄え続け……」
ギルバート「この数年後に、皇帝をこの手で始末した」
カイン「さっきの話を聞いている限りだと、皇帝との死闘ーってわけでもなさそうだねぇ」
ギルバート「……その通りだ。入念に鍛え上げ、正門から王城に殴り込みに向かったのだが……」
ギルバート「兵どもはフローレンの魔法で文字通りに消し飛び、皇帝の間には実に容易く辿りついた」
ギルバート「そして肝心の皇帝だが、いや本当につまらぬ男でな……」
ギルバート「語ることが無い程、実に呆気なく我が手で四散しおったわ」
カイン「はははは……」
ギルバート「そこから、突如皇位を奪った若造を許すまいと多くの強者が挑んでくるのを期待していたのだが……」
ギルバート「何故か、誰も現れなかった……」ガクリ…
ギルバート「我が望んだ強き帝国の始まりは、このように実に面白みのないものなのだ」
アドルラン「父上、先程カインも言っていましたが……」
カイン「父さんと、それに母さんもおかしいんだって!」
ギルバート「ぬ、ぬぅ……」
カイン「……で? あっさり皇帝になってから父さんはどうしたのさ?」
ギルバート「語るまでも無いが、我が掲げるは実力主義」
ギルバート「その身に宿す強さこそが至上……強き帝国の再興が我が望みだ」
ギルバート「だからこそ、真っ先に兵達の鍛錬強化を行ったのだが……」
ギルバート「……先に言った通り、政も王には欠かせぬものだ」
ギルバート「帝国には実力主義の絶対原則を広めたがいいが、そこから至らなかったのは我の反省すべき点であろう」
アドルラン「と言うと?」
ギルバート「……我式の鍛錬を課した兵が皆死に絶えた」
カイン「だろうね……何度も言うけど、父さん自分基準で考えるから色々面倒なんだよ……」
ギルバート「ぬぅぅ……」
ギルバート「やはり、初代皇帝は偉大な方であったと再認識せざるをえないな」
ギルバート「とにかく、我は皇帝となったはいいが……」
ギルバート「そこからは、兵の育成に難儀したりと我なりの苦悩もあったのだ……」
ギルバート「我とフローレンが、当時の帝国であまりにも突出した強者であり過ぎたのも問題があった」
ギルバート「確かに、我を慕う者は現れ始めた。実力主義を理解し、己を高める者も現れてきた……」
ギルバート「しかし……我らと競い合えるような強者が、誰もいなくなってしまった」
ギルバート「搾取され、貧民まで堕ちた弱者も……次第にそれを受け入れるか諦め始めた」
アベル「……」
ギルバート「帝国は、確かに強くなりはした」
ギルバート「これまで幅をきかせていた王国軍も、当時は数は少なかったが聖国軍も、蹴散らした」
ギルバート「奪われたかつての帝国の領土を、少しは取り戻せた。しかし全てには程遠い」
ギルバート「領地を奪えても、そこを食糧の生産に適した場所に変えるのにも時間がかかる」
ギルバート「むしろ戦よりも、そちらに多くの時間を費やしてしまったかもしれぬな」
アドルラン「……王に必要な、政をこなせる技量、ですか」
ギルバート「ふふ、よく覚えておくがよいアドルランよ……」
ギルバート「確かに、あの時から我が直接王国と聖国に乗り込んでいれば……勝負はついたやもしれぬ」
ギルバート「だがそれでは、我一人の力に過ぎぬ。強き肉体と意思を持ち、我が思想を継ぐにたる強者が存在しなければ……」
ギルバート「かつての帝国のように、やがては衰退してしまう。皇帝は強くあらねばならぬが、それ以上に強くあるべきなのは、帝国そのものなのだ」
ギルバート「……そして皇帝となり、しばらくした頃。我とフローレンは同じ結論に達した」
ギルバート「――今の帝国で最も強い我らの子であれば、次代を任せられるのではないか?」
ギルバート「……そうしてまず生まれたのが、お前だアドルラン」
アドルラン「……えぇ。あの頃の父上と母上の姿も、よく記憶しております」
――
4:ギルバート青年期・後(皇帝初期時代。ノワールとの出会い)
――
ギルバート「我もフローレンも、当初は我が子の誕生に期待したものだ」
ギルバート「だが……幼い頃のアドルランは虚弱貧弱、とても我らの子とは思えなかった」
アドルラン「お恥ずかしい限りです……」
ギルバート「……」
ギルバート「しかし、こやつは当時から諦めるということだけはしなかった」
ギルバート「我らが望む域には到底及ばぬものの……停滞するということは無かった」
ギルバート「そこだけは、評価できたと言えるであろう」
アドルラン「……ヒバリが、背を押し続けてくれたからですよ」
アドルラン「彼女がいなければ、私もきっと途中で折れていたことでしょう」
ギルバート「ふ……随分と遅咲きであったようだが、今後とも励むがよい」
アドルラン「ええ、勿論ですとも!」グッ!
ギルバート「……が、当時の我らはお前がここまで立派に成長するとは思ってもいない」
ギルバート「兵の育成は遅れ、頼みの我が子も弱者……我もフローレンも、少しばかり気落ちし停滞していたと言っていいだろう」
ギルバート「ちょうどそんな時であったか――ノワールと出会ったのは」
アベル「!!」
アドルラン「そういえば確かに、私が義母上に初めてお会いしたのは相当に幼い頃だった筈」
カイン「僕も……というか、僕が生まれるよりも前から王城にいた筈だよね?」
アドルラン「……少し、興味がありますね」ワクワク
カイン「同感だね。実力は確かだった母さんがいる中で、父さんが思わず手を出すくらいなんだ」
カイン「多分その頃から母さん負けてたんだろうし、気になるね」ワクワク
アベル「……俺も、気になりますね」
アベル「俺が物心ついた頃には、母上は既に妾の立場……そして数年の後に、幽閉されていました」
アベル「最近は母上とお話する機会もできましたが、母上は俺達の話を聞きたがるばかりで……」
アベル「俺は、当時の母上をほとんど知らない……」ドキドキ
ギルバート「ふむ……」
三連特殊判定結果(>>378)
3:青年期・後…気の迷い? 妾ノワールとの関係の語り具合
コンマ22
22
偶数ゾロ:ついつい熱が入っていろいろぶっちゃけちゃう!
――
ギルバート「あやつ、ノワールは……」
ギルバート「――実に、いい女であった///」ポッ…
皇子ズ「「「!!??」」」
ギルバート「強く、美しく……」
ギルバート「当時の我にとっては、その存在の衝撃はあまりにも大きかった」
ギルバート「くく、そしてその子のアベルが、強者を率いて我を打ち倒したのだ」
ギルバート「あの出会いがなければ、このようなことにはなっていなかったのだろうな……」ポー…
カイン「わ、わかっちゃいたけど、なんだかんだで父さんもやっぱり義母さんを評価はしているんだね」
ギルバート「当然だ。我が思想を真っ向から否定し、強者ながらに当時のあやつは上も目指さず……」ブツブツ…
アベル「やはり、判断基準はそこなのですね……」
ギルバート「力を持ちながら、ノワールの思想は我とはあまりにもかけ離れ過ぎていた」
ギルバート「我個人の感情もあるが、それを皇妃としては帝国の在り方がぐらついてしまう」
アドルラン「……仰ることは、わからないでもありませんが」
カイン「はぁ……正直さ、強さと性格は義母さんの方がずっといいのにね。もし今も――」
ギルバート「何を言っているカイン? ノワールがフローレンに勝っていたのはそれだけではないぞ」
ギルバート「ノワールは――夜伽でもあやつを遥かに凌駕していたからな……」
皇子ズ「「「」」」
……
――
と短いですが今日はここまで
本来であればギルバートの性格上多くは語らない予定でしたが、偶数ゾロのため少し饒舌になります
またノワールとの出会いに直接の関係はありませんが、この時代で一つ大事な判定を忘れていたので
追加で↓1コンマ二桁特殊判定
なんとか毎日ちびちび更新に戻れればいいなぁ……
こんばんはー
本当に連日遅くて申し訳ないですが、再び少しだけ再開です
――
アベル「あー……その、父上?」
ギルバート「なんだ?」
アベル「できれば、夜伽の件は置いて母上のことをお聞きしたいのですが……」
ギルバート「何故だ? あやつがそちらの才もあったからこそ、お前は産まれたのだぞ?」
アベル「」
カイン「あ、あの義母さんが……?」ゴクリ…
アドルラン「……」ゴクリ…
ギルバート「恥じることはない。むしろ、誇るべきだろう」
ギルバート「我とフローレンにとって、性交はより強き子を生み出すための儀式のようなものであった」
ギルバート「だからこそ、お前達が生まれた後もフローレンを抱き続け……」
ギルバート「キアラとフィーアも誕生したのだ」
ギルバート「お前達が成長しなければ、今頃はまた弟か妹が増えていたやもしれぬな」
カイン「」
アドルラン「」
ギルバート「……しかし、ノワールの時ばかりは……」
ギルバート「戯れ……いや、魔が差したと言うべきか……」
ギルバート「我としたことが、欲望を抑えきれなかったのだ」
アベル「父上、もう覚悟は決めましたが……」
アベル「できれば、出会った頃から順を追ってお話を……」
ギルバート「む、そうだな」
ギルバート「……そう。あれはアドルランが不甲斐なく、そろそろ次の子を作ろうと……」
ギルバート「帝国の発展が緩やかになり、他国と小競り合いを続ける停滞期の頃だったか……」
――――
―――
――
―
~~~~~
【帝国・王城】
幼アドルラン「うぅ……げほ、ごほ……」グッタリ…
ギルバート「……」
フローレン「はぁ……駄目ねぇこの子は」
フローレン「私とあなたの子だから、きっと比類なき強さの子になると期待したのにねぇ」
ギルバート「まさか、ここまでの弱者とはな……」
幼アドルラン「っ……」ググ…
ギルバート「……今しばらく、様子は見てやろう」
フローレン「あなたも結構根気強いわよねぇ。私はもう、次の子を作った方がいいと思うわよぉ?」
フローレン「ねぇ……どうかしらぁ?」クネクネ…
ギルバート「……考えておこう」
フローレン「ふふ、愉しみねぇ♪」
ギルバート「……」
ギルバート「アドルランよ。よく覚えておくがいい」
ギルバート「いずれお前には、弟か妹が出来る」
フローレン「その子があなたよりも優秀だったら……」
ギルバート「――我は、お前を捨てる。生き延びたければ、強者となるのだ」
幼アドルラン「は、はい……!」
フローレン「まぁ、判断できるまでまた4~5年はかかると思うから……」
フローレン「それまでは安心かもねぇ……?」クスクス
……
――
――
【帝国・貧民街】
フローレン「ふわぁ……珍しいわねぇ、あなたが自分からこんなところを視察したいだなんて……」
ギルバート「……帝都の兵は未だ精強と呼ぶには程遠い」
ギルバート「確かに、かつての帝国兵よりは強くはなったであろうが、我に言わせれば誤差の範囲だ」
ギルバート「アドルランも兵もまだ期待できぬなら……」
ギルバート「或いは、這い上がろうと牙を砥ぐ弱者がいないかと思ってな」
ギルバート「クク……我を殺し、這い上がろうとする猛者がいればいいがな」ゴゴゴゴゴ…
フローレン「その圧を抑えた方がいいわよぉ……?」
フローレン「あなたに勝てる男なんて、この世のどこにもいないと思うけどねぇ」
ギルバート「……」
フローレン「はぁ、でも本当になんというか……陰気な場所ねぇ」
フローレン「見事に落ちぶれた敗者、弱者の掃き溜めって感じじゃない」キョロキョロ
ギルバート「……確かにな」キョロキョロ
貧民達「「」」ガタガタブルブル…
ギルバート「……しかし、予感がするのだ」
ギルバート「この場所は、強者を生み出すというな……!」
ワーワー!
ドゴォ! ガシャァン!
ギルバート「む?」
フローレン「あっちの方、なんか騒がしいわねぇ?」
ギルバート「……」ダッダッ!
フローレン「あ、ちょっとあなたぁ!?」タタタ!
――
――
ズガァ!
覆面少年「う……く……!」ググ…
屍の山「」
略奪者1「ちぃ、しぶてぇ餓鬼だな……!」
略奪者2「折角生き延びれたんだから、大人しくどっかに逃げときゃよかったのによぉ……」
覆面少年「だ、黙れ……!」
覆面少年「貴様ら、一体何をしたんだ……!」
略奪者3「あぁ、ここら一帯を支配してたこいつらには俺らも苦労しててなぁ?」
略奪者3「まともにやりあっても勝ち目が薄いが、住むにはなかなかいい場所だ。欲しくなって当然さ」
略奪者1「だから――井戸水にちょいと毒を入れてやったのさ」
略奪者2「へへ、流石兄貴は賢いぜ。知恵あるものこそが真の強者ってわけだ!」
覆面少年「な、何が強者だ……! そんな手を使って……!」
略奪者3「勝てば強者なんだよぉ! それに、一応こうして解毒薬はちゃんと用意してたんだぜ?」スッ…
略奪者3「ちょっと弱らせて、死にたくなければ俺達にこの場所を譲れと言うつもりだったのに……」
略奪者3「まさか、あっという間に血ィ吐いて死んじまうなんてなぁ? とんだ弱者だぜこいつらはよぉ!」
覆面少年「こ、この……!」
略奪者3「あばよ餓鬼。奪われる者として生まれたことを恨むんだなぁ!」グォ!
覆面少年「……! このまま、ただ死んでたまるかっ!」チャキ!
バキィィィィ!
略奪者3「……へ?」
覆面少年「!?」
ギルバート「…………」ゴゴゴゴゴゴゴ…
一同「「ギ、ギルバート陛下!?」」
略奪者1「あ、あぁ……」ジョバー…
略奪者2「い、息が……」ブクブク…
略奪者3「へ、陛下……」ガタガタ
ギルバート「……」ゴゴゴゴゴゴゴ…
略奪者3「い、いかがでございましょう? わたくしめの立ち回りは……」ガタガタ…
略奪者3「安全に、確実に多くの弱者を葬って――」
ギルバート「帝国の面汚しめ―― 消 え る が い い 」ブオン!
グジャアアアァァァァ!
ギルバート「ふん……下劣な手段で強者を気取る者など、我が帝国には不要よ」
ギルバート「……ん?」
覆面少年「っ……!」ガタガタ…
ギルバート「ほう……面白いぞ小僧……!」
ギルバート「我に、そんな小さき刃を向けて抗おうとするか!」
覆面少年「……!」ブルブル…
ギルバート「我との力の差を理解しながら……その瞳は諦めるということをしていない」
ギルバート「ククク……! これは、思わぬ収穫だ……!」
ギルバート「面白い……この場で消すには惜しき人材よ」スッ…
覆面少年「え……?」
フローレン「はぁはぁ、やっと追いついたわぁ……って、何があったのぉ?」
ギルバート「遅いぞフローレン。なに、思わぬ人材が見つかっただけのことよ」
フローレン「人材って……この子供が?」
ギルバート「屑共にも、我にすらも退くことをしなかった。今は弱者だが……いずれは強くなることだろう」
ギルバート「……小僧。貴様は今ここで、本来ならば死んでいた」
ギルバート「だが、その揺るがぬ瞳……戦う意志は評価に値する」
ギルバート「……その意志を持ち続け、強くなり、這い上がってみせよ!」
覆面少年「……!」
フローレン「へぇ、久々に面白い子が見つかったのねぇ。でも、その格好じゃ次に会ってもわからないわよぉ?」
フローレン「せめてその顔を覆ってる布を取って、できれば名乗りも欲しいんだけどぉ?」
覆面少年「……」シュルシュル…
――
特殊判定結果
バーンズ少年の素顔
01~33:醜い子として捨てられた哀れな少年
34~66:女のようだとからかわれる美少年
67~99:傷だらけの生まれながらの戦士
00:素顔は秘密。その方がカッコいいから
コンマ68
67~99:傷だらけの生まれながらの戦士
――
バーンズ「……バーンズと申します」キズダラケ
フローレン「あら……」
ギルバート「ほう……その年で、随分と死地を切り抜けてきたようだな」
ギルバート「ますます、気に入ったぞ」ニヤリ
バーンズ「……強くなければ、生き延びられませんから」
バーンズ「……先程は、失礼致しました。陛下がいらっしゃらなければ、俺は殺されていたというのに」
バーンズ「挙句、弱者の俺を殺さずに見逃していただくなど……」
ギルバート「フフ、お前の戦う意志の強さ……傷は負ったかもしれぬが、あの程度の輩など倒せたであろう」
バーンズ「え?」
ギルバート「強き肉体は勿論だが、意志の力も大切よ。必ず成し遂げたい、譲れぬ信念……それは強さの糧となる」
ギルバート「我を前に怯まず刃を向けたお前は、必ずや強者となるだろう」
バーンズ「俺が……」
フローレン「そうねぇ、確かにアドルランよりも遥かに気迫があるわぁ」
フローレン「……ねぇあなたぁ? 折角面白そうな子見つけたのに、ここに数年放置するのも勿体ないとは思わない?」
フローレン「どうせなら、もう手元に置いちゃいましょうよぉ」
ギルバート「なるほど、それも面白いやもしれんな」
バーンズ「!?」
ギルバート「バーンズよ――我が下で牙を砥げ。いついかなる時でも、我に刃を向けてもよいぞ?」ニヤリ
フローレン「いや、それは駄目でしょう!?」
バーンズ(な、なんて人だ……揺るがぬ自信と、確かな強さ……)
バーンズ(汚い手も闇討ちも裏切りも、この人は全てを捻じ伏せられると確信させる……)
バーンズ(これが、真の強者……皇帝ギルバート陛下……!)ゴクリ…
バーンズ「……!」バッ!
フローレン「あら、綺麗な敬礼。いきなり兵士登用しても通用しそうねぇ?」
……
――
――
……
ザワザワ…
貧民1「お、おい見たか……?」
貧民2「あ、ああ。確かにあれはギルバート様とフローレン様だったが……」
貧民3「子供を一人連れて行ったみたいだけど、どういうことだ?」
貧民1「決まってるだろ! 実力主義、強者こそが全てと言う陛下だぞ!?」
貧民1「あの子供はきっと、陛下に強者として認められたんだ!」
貧民1「こんなところから、一気に王城生活、極楽浄土だよ!」
ザワザワ!
貧民2「ほ、本当に強ければ、俺達みたいに学のない奴でも……?」
貧民3「こ、子供ですら認められるなら、俺らにもチャンスはあるんだよな……!?
貧民1「ああ! 次に陛下がいらっしゃるのがいつかはわからないが……」
貧民1「とにかく、鍛えるぞ! そうすればいつか、俺達も……!」
貧民達「「「うおおおぉぉぉぉぉぉぉ!」」」
黒衣少女「……」
病人「ゲホゴホ……」
黒衣少女「……」
黒衣少女「……待っているだけじゃ、駄目」
黒衣少女「生き延びるには……」タタタタタ!
……
――
――
……とある日……
【帝国・王城】
ズガ! ズガァ!
フローレン「……なーんか騒がしいわねぇ?」
ギルバート「ふむ……」
ダダダ!
帝国兵「へ、陛下!」ボロボロ…
ギルバート「……何事だ」
帝国兵「し、侵入者です! たった一人の筈なのですが、既に守備隊は壊滅し――」
シュッ…!
帝国兵「おふぅ!?」ゴス!
パタリ…
ギルバート「!!」
フローレン「投剣……!?」
シュン!
フローレン「……そこぉ!」バチバチ!
ズドオォォォン!
黒衣少女「……!」スッ…
フローレン「!! 私の一撃を、かわしたですって……!?」
フローレン「こんな、みすぼらしい小娘が……!?」ワナワナ…
ギルバート「ほう……!」
黒衣少女「……」チャキ…
黒衣少女「……陛下」
フローレン「!!」
ギルバート「!!」
黒衣少女「……私は強者でしょうか?」
ギルバート「ククク……! その身なり、貧民街でも最下層の者か……」
ギルバート「面白い、こうも続けて思わぬ逸材が見つかるか……!」
ギルバート「見事なものよ。力持つ者はそれ相応の物を得る。何が望みだ娘……?」
黒衣少女「……食べ物と、薬」
ギルバート「いいだろう……だが……」グッ…
黒衣少女「っ!!」チャキ!
ギルバート「――もっと、我にその力を見せてみるがいいっ!」ダン!
黒衣少女「!!!」バッ!
ズガァン!
ギルバート「このくらいはかわせるか!」
黒衣少女「……!」スゥ…
ギルバート「む……!?」
ギルバート(気配が……柱の影に潜みおったか!)
バシュ!
ギルバート「ぬっ!?」ガキィン!
ギルバート(弓矢に切り替えてくるか! ならば次は……)
シュン!
ギルバート「ぐ……!?」ドス!
フローレン「あなたぁ!?」ガタ!
ギルバート(投剣も混ぜ込んできたか、こやつ……!)
黒衣少女「……!」スッ…
ギルバート「――面白い、面白いぞ! 我に傷をつけたのはフローレン以来だっ!!!」ダン!
黒衣少女「!?」
――『七星剣』発動――
ズガガガガガガガ!
黒衣少女「……っ!?」ズシャアアァ!
ギルバート「――だが、まだ我が命までには届かぬな」ジャキン!
ギルバート「しかし、大したものだ。望み通りの食事と薬はすぐに用意し――」
パサ…
黒髪美少女「うぅ……」ボロボロ
ギルバート「///」キュン!
フローレン「……あなたぁ?」
――
バーンズとノワールに出会ったあたりで今日はここまで
キャラシートから逆算すると、ノワールがアベルを産んだのはキアラと同じ頃の年齢……
随分手が早いなぁと思っていましたが、ゾロ目爆撃も相まってアベルはエリス(16)を孕ませるの確定だったり
泳ぎのコンマとかもそうですが、やはりアベルはギルバートの子ということなのかもしれません
本日もありがとうございました!
普段「強者は弱者に対して絶対である」と信念曲げずにいるパパンが
ここから暫く「強者は弱者に対して絶対であるって初代皇帝が言ってた」って
心の中で言い訳しまくる展開が鮮明に浮かぶ件
こんばんはー
ほんの少しだけ再開しておきます
妹ズですが、話の内容が内容のため、過去話が終わったタイミングでギルバートハウスに訪れる予定になっています
――
……
ギルバート「――バーンズやノワールとの出会いは、このような具合だったな」
ギルバート「その後バーンズは我に刃を再び向けることこそ無かったが、我が傍で腕を磨き……」
ギルバート「ノワールはその戦い方から、新設された隠密部隊にフローレンが推薦した」
カイン「へぇ、あの黒騎士がねぇ……」
アドルラン「義母上も、当時からそれほどまでの強さを……」
ギルバート「あやつは、生まれ持っての才を持っていた」
ギルバート「それにあの容姿で暗黒街の出身だ。狙われることも多く、嫌でも技術を磨くことになったのだろうな」
アベル「しかし母上は何故、一人で王城に乗り込むなんて無茶を……」
ギルバート「……あやつが物心つく頃には、もう両親は死んでいたという」
ギルバート「そんなノワールを育てたのは、暗黒街の中でもとりわけ地位の無い最下層の連中だったそうだ」
ギルバート「紛れもない弱者達だが、寄せ集まり細々と生き続けていたらしい」
アベル「……」
ギルバート「微々たるものでも、子供には多くの食料を分け与え、老いた大人は日に日に弱っていく」
ギルバート「……そして武器を持てる年齢になった頃から、ノワールは一人で狩りに出るようになった」
ギルバート「幼いながらに己の才を自覚し、自分を育ててくれた者達へ恩を返したいと思っていたらしい」
アドルラン「義母上らしいな……」
ギルバート「しかしいくら食料を調達できたとしても、あの環境だ。老いた者が病にかかるのも当然のこと」
ギルバート「その頃に我がバーンズを拾ったということを、噂で聞きつけたらしい」
ギルバート「帝国は実力主義。我に直接力を示せば、認められるかもしれないとな……」
カイン「それですぐに動けるのも凄いけど、あっさり父さんに辿りつくのも凄いなぁ……」
ギルバート「クク、実に優秀な娘だったぞ」
ギルバート「あやつを認め、望み通りに薬と食糧を届けた後も……我は、逐一あやつの様子を眺めたものだ……」
……
――
――
……
【深夜・帝国領】
王国暗部1「な、なんだこいつは……!? 作戦は中止だ、逃げるぞ!」
王国暗部2「て、転移の護符を――」
バシュ!
王国暗部2「なっ……」パラパラ…
ノワール「……」チャキ…
王国暗部達「「う、うわあああぁぁぁぁぁ!?」」
ドシュ! ドシュ!
ノワール「……」
ヒュ!
ノワール「……」ガキン!
王国暗部3「何ぃ!?」
王国暗部3(馬鹿な、完全に死角からの攻撃だった筈なのに……!?)
ノワール「……」ヒュン!
ザシュ!
王国暗部3「」ゴト…
ノワール「……」
ノワール「……」クル、スタスタ…
帝国隠密達((お、俺達何もできてねぇ……))
……
――
――
――
【帝国・王城】
ノワール「……」スタスタ…
フローレン「……すごいわねぇ、もう片付けたの?」スッ…
ノワール「……フローレン様」
フローレン「……ちょっとはびっくりしなさいよぉ?」
フローレン「皇妃様が柱の影からいきなり出てきたら驚くでしょぉ?」
ノワール「……気配が、漏れていましたので」
フローレン「あ、あらそぉ? やっぱり、私程になるとどうしても高貴さが滲み出ちゃうのかしらぁ……」
ノワール「……」
フローレン「……」
ノワール「……」
フローレン「あ、ああごめんなさいねぇ。仕事終わりのところ悪いんだけど、あの人が用があるみたいよぉ?」
ノワール「……陛下が?」
ノワール「……ありがとうございます」スタスタ…
フローレン「……」
フローレン「ほんっと、最低限しか喋らないわねぇ」
フローレン「最下層の人間に社交性を求めるのは間違っているかもしれないけど……」
フローレン「それなのにあの人ったら、あの子をすっかり気に入っちゃってぇ……!」
フローレン「まぁ確かに、私程じゃないけど天才ではありそうだけど……」チラ…
ノワール「……」タップタップ…
フローレン「……」ペッタペッタ…
フローレン(あんな邪魔な脂肪、戦いには不要だと思うのよねぇ……!)ギリギリ…
……
――
――
【帝国・皇帝の私室】
ギルバート「……来たか、ノワール」
ノワール「……はい」
ギルバート「敵はどうであった?」
ノワール「……問題なく」
ギルバート「ふむ……もはや王国との装備の差など、お前にとっては意味の無いものか」
ギルバート「その実力であれば、たとえ正面からであっても騎士団を蹴散らせるであろう」
ノワール「……」
ギルバート「……案ずるな。前線には送らぬ。連中のことが気にかかるのであろう?」
ノワール「……」コクリ
ギルバート「お前は我に力を示し、それに見合うだけの物資を送った」
ギルバート「今では病も治り、体力もかつて以上についたそうだぞ?」
ノワール「……」ホッ…
ギルバート「――ならば、もう支援の必要もないな?」
ノワール「……っ!?」ビク!
ギルバート「……何をそんなに驚いている?」
ギルバート「お前のおかげで、連中は周りの貧民に比べて遥かに豊かになったのだ」
ギルバート「だがそれは、あやつらの力で手に入れたものではない」
ギルバート「病による衰弱という理由も無くなったのだ。これ以上は、やつらが自分で掴み取るべきであろう?」
ノワール「……そ、そんなことは……!」
ギルバート「否。今はまだよいであろうが……」
ギルバート「この先、お前がさらに強さを磨き我に報酬を求め、それを貧民どもに送ったとしよう」
ギルバート「……確実に連中は、いつか堕落する。お前からの支援を期待し、何もしなくなる」
ギルバート「そうなれば、後は想像に容易かろう。労せずに恵まれる者を、他の貧民はどう思うであろうな?」
ギルバート「確実に徒党を組み、堕落した連中を皆殺しにしてその全てを奪うであろう」
ノワール「……っ」
ギルバート「それでもなお、どうしてもまだ送り続けたいとお前が願うのであれば、致し方が無いがな」
ノワール「……」
ギルバート「だが、それを望むには、さらに我に力を示す必要があるぞ?」
ギルバート「より腕を磨き、更なる強者となるのだ……」
ノワール「……」
ギルバート「この世は実力主義……」
ギルバート「我を含め、常に上を目指せねばいつかは誰かに蹴落とされるぞ?」
ギルバート「強者は多くの物を得る。一部の弱者はこの理を知り、這い上がろうとするだろう」
ギルバート「そしてより多くを得る為に、さらに強くなろうとする」
ギルバート「お前は強者……だが、まだ我には至らぬ。より多くを得たければ、より強くなれ……」
ギルバート「我をも超える程に、な……」スル…
ノワール「……っ!?」ビックゥ!
ギルバート「む……頬を撫ぜただけで、随分な反応だな」
ギルバート「あの冷静沈着に戦い抜くお前が、まさかこんなことで反応を――」
ノワール「……///」カアァ…
ギルバート「……」
ギルバート「…………」
ギルバート「……強者は、より多くを得る」ボソリ…
ノワール「?」
ギルバート「……強くならねば、何もかも奪われてしまうぞ?」グッ…
ギルバート「――このようにな」ガシッ!
ノワール「……!?」ジタバタ!
ギルバート「……わかるか? 我が手一つで、お前の両手は拘束されてしまう」
ギルバート「如何にお前とて、こうなってしまえば上手くは戦えまい」グイ…
ノワール「……」シュ!
ギルバート「そして、両腕を塞がれた場合の次の反撃手段も、限られてくる」パシ!
ノワール「!!」
ギルバート「大抵の場合、こうして脚が飛んでくるわけだが……」
ギルバート「わかっていれば、こうして捕えることは容易く……」ググググ…
ノワール「……!?///」
ギルバート「……両脚共に拡げきり、より動きにくくしてしまうことも可能だ」ガシ!
ノワール「……!///」ググググ!
ギルバート「……お前の身のこなしは驚異的だが、単純な力では我には劣る」
ギルバート「現状の強さに胡坐をかいていては、こうして敗れることもあるのだ……」
ギルバート「慢心せずに、己を高めてこそ帝国の強者であり――」
ノワール「っ……!」シュル!
ギルバート「っ!!」
ギルバート(我の拘束から、腕を逃がせるとは……! やはりこやつは強いな……!)
ノワール「……!」
ギルバート「……見事だ。だが、武器も持たぬ非力なお前でこの状況は――」
ムニュ!
ギルバート「」
ギルバートソード「」ムクムク!
ノワール「……///」コシュコシュ…
ギルバート「ぬ、ぬおおぉぉぉ!?///」ビクビク!
ノワール「……///」コシュコシュコシュコシュ!
ギルバート「おおおぉぉぉぉぉぉ!?///」ビグンビグン!
ノワール「……///!」ギュゥ!
ギルバート「ぐっ、おふぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?///」ドピュルルルルルルル!
ノワール「……っ!」バッ!
ダダダダ…バタン!
ギルバート「おふぅ……///」ビュク…ビュク…
ギルバート(わ、我が……負けたというのか……?)
……
――
ほとんど進んでいませんが、今日はここまで
この後もうしばらくギルバートとノワールの話は続きます
なお偶数ゾロ目のせいで息子たちもこの状況を聞かされています
本日もありがとうございました!
おそらくこの部分かな(3スレ目より)
>ノワール「……時代は、変わるのですね」ハラハラ…
ノワール「アベル、アーシャちゃん達を大切にするのですよ?」
ノワール「そしてできるなら、あなたの手で彼女達を守ってあげるの」
ノワール「いつ悪い男に騙されてしまうか……」
ノワール「何も知らないことをいいことに、男性器を手淫させたりとか……」
正直ドンピシャでパパンアウトじゃないかなこれ
こんばんはー
ちょっと仕事の関係で今週の更新はいつも以上に怪しいです……
が、ちびちびと少しだけ再開します
――
……
ギルバート「――こうして、我は床の上で初の敗北を喫したのだ」
アベル「」
カイン「」
アドルラン「」
ギルバート「……どうしたお前達?」
アベル「色々と、聞きたくありませんでしたよ……!」
ギルバート「順を追って話すように言ったのはそちらではなかったか?」
アベル「それはそうなのですが……」ゲンナリ…
カイン「……」ポン
アベル「うぅ……」ガクリ…
カイン「いや、色々予想外だったけど……何故だか凄く納得もできたよ」
カイン(――僕がエメリナに負け続けたのは、父さんの血だったんだね!)グッ!
ギルバート「まさか、あの場であのような行動に出るとは我も予想外であった」
ギルバート「暗黒街を単独で動き回る見た目麗しい娘だ……」
ギルバート「飢えた男どももノワールを度々狙い、その影響もあったのだろう」
ギルバート「後から聞いたのだが、幼い頃より意味はわからずとも、そこが男の急所であることを把握していたらしい」
ギルバート「全く、改めて思い返しても恐ろしき女よ……」
アベル「俺は父上が恐ろしいですよ……」
アドルラン「父上、当時の義母上はおそらく今のキアラに近い歳でしょう?」
アドルラン「流石にそのような手で強引に迫るのは……」ジトリ…
ギルバート「……確かに、我としたことがあやつの容姿に心惹かれたことは認めよう」
ギルバート「だが、最初から無理矢理に抱こうというつもりはなかったぞ?」
カイン「いや、言い逃れできないくらい無理矢理迫ってたよね!?」
ギルバート「それはあくまで、ノワールといえどこういった状況になれば敗れ、奪われるのだということをわからせるためだ」
ギルバート「そうしてその危険性を理解したノワールは、更なる強者になると踏んだのだが……」
カイン「……父さんがまさかの返り討ちと」
ギルバート「うむ……あの日の出来事は今も忘れられぬ」
ギルバート「ノワールに搾取された我は、しばらく絶頂の余韻で動くこともままならなかった」
ギルバート「あやつの腕前なら、その隙に我の首を刎ねることもできたであろう」
ギルバート「つまりは、我は敗けたのだ……」
ギルバート「――だからこそ!」クワッ!
ギルバート「我はあの日以来……下半身の鍛錬も念入りに行うように心がけたっ!!!」
皇子ズ「「「」」」
……
――
――
……ギルバート敗北後……
ギルバート「……ノワールよ」
ノワール「……!」ビク!
ギルバート「……先日は、すまなかった」バッ!
ノワール「……!」
ノワール「……いえ。私も、陛下に無礼を――」
ギルバート「我は実力主義を謳いながら……お前に敗れた」
ギルバート「――夜においてもお前が百戦錬磨なことを認めよう」
ギルバート「――だが、我も常に上を目指す……」
ギルバート「――すぐに、お前に相応しい力を身につけてみせよう」
ギルバート「――その時、今一度我と勝負せよ!!!」カッ!
ノワール「……!?///」ボッ!
ギルバート「愉しみにしているがいい……!」スタスタ…
ノワール「……」
ノワール「…………」
ノワール(……ど、どうしよう)
ノワール(夜も百戦錬磨って……私、まだ一度も……///)
ノワール(しかも勝負って、まさか……また同じことを!?///)
ノワール(……この前の陛下は、多分まだ本気で私を捕えてどうこうしようとはしていなかった……)
ノワール(あの圧倒的な力で、今度は本気で迫られたら……逃げられないっ!)
ノワール(……やだ。やだよ……初めては大切な人に捧げなさいって……)
ノワール(……これまでの対処法じゃ駄目。もっと、本格的に勉強をしないと……!)グッ!
……
――
――
……
ギルバート「ぬおおぉぉぉぉ!」ギギギギギ…
股間に釣り下がる重石「……」ズッシリ…
ギルバート「まずは、耐久性を上げる必要がぁぁぁ……!」ギギギギギギ!
フローレン「あ、あなたぁ? 何をしているのかしらぁ……?」ヒキッ…
ギルバート「――来るべき時に備えて、だっ……!!!」ギギギギギ…!
フローレン「まぁっ♪」キュン!
フローレン(この人ったら、もう次の子が作りたくて仕方がないのねぇ……♪)
……
ノワール「……」キョロキョロ
隠密兵「ん、どうしたノワール?」
ノワール「……書庫、探しています」
隠密兵「書庫? ああ、確かにわかりにくいかもな。あっちの廊下のつきあたりを右」
隠密兵「そんでそこから数えて4つ目のドアを開けた先の階段の下だ」
隠密兵「しかし珍しいな。暇さえあれば得物を砥いでいるお前が……何を探しているんだ?」
ノワール「……来るべき時に備えて」
ノワール「……あまり、口外できない手段を」
隠密兵「そ、そうか……熱心だな」
隠密兵(……毒の製法か何かか? こいつの手にかかりゃ、毒が効く前に仕留めちまいそうだがなぁ)
ノワール「……では」ペコリ
……
ノワール「……」ペラ…
ノワール「……」ペラ…
ノワール「……///」ペラ…
ノワール(……本当は、大切な人にする行為だけど、身を守る為だもの)
ノワール(……私もいつか、お母さんになるのかな……)
……
――
――
――数日後……
フローレン「ノワールゥ? またあの人が呼んでたわよぉ?」
ノワール(……き、来た!? こんなに早く!?)ビク!
フローレン「すっかりお気にいりねぇ……」
ノワール「……」ブルブル…
フローレン「まあ、あの人と私には負けるけど、あなたも相当強いからねぇ……」
フローレン(あの人に認めて貰えるだなんて、とても名誉なことなのに……)
ノワール「……」ゴクリ
フローレン(なーんでこの子はあまり嬉しそうじゃないのかしらねぇ?)
……
ギルバート「……来たか、ノワール」
ノワール「……」
ギルバート「以前の我と、同じと思うな……?」スッ…
ギルバートソード「……」バッキバキ!
ノワール「きゃっ!?///」
ギルバート「……ほう。そのような声も出せるのだな……」ムクムク…
ノワール(あ、あんなに……///)ドキドキ…
ギルバート「――今日は勝たせてもらうぞ!」バッ!
ノワール「!!」バッ!
特殊判定
↓1コンマ二桁
ギルバートVSノワール リベンジマッチ
ギルバートの手淫敗北
25>21
※基準値を下回った為、ギルバート耐久!
※まさかの驚異的な成長により、今後の展開が変化します
――
ギルバート「まずは前回と同じく、身動きを封じさせてもらおうか」グイ!
ノワール「っ!」シュ!
ムニッ!
ノワール「っぁ……///」
ノワール(あ、熱くて硬い……この前と違って、直接、だし……///)
ギルバート「ぬ、ぬぅ……///」
ギルバート(短剣に弓を扱うこやつの手も、鍛錬で傷んでいる筈……)
ギルバート(だというのに、なんなのだこの滑らかな心地よさは……///)
ノワール「……!///」コシュコシュ!
ギルバート「ふっ……ぐっ……///」
ギルバート(だが……っ!)
ギルバートソード「……!」ガチガチィ!
ノワール「えっ……!?」ビク!
ノワール(もっと、大きく……!? こ、こうなったら……)
ギルバート「言ったであろう、お前に相応しい力を身につけると!」グッ!
ギルバート「見たか、常に鍛錬を重ねることにより、より強くなることが――」
チュ
ギルバート「!?」ビクン!
ノワール「んっ……」チュピチュピ…
ノワール(うぅ、変な味が……でも、この反応なら……!)ギュ…
ギルバート「な、何をする気――」
ギュポポポポポポポポ!
ギルバート「はふぉああぁぁ!?///」ドピュピュピュピュ!
ノワール「ん、んぐぅぅぅぅ……!?」
ギルバート「ま、まさか……次なる刃を、隠し持つとは……///」パタン…
ノワール「……///」
ノワール(あ、危なかった……まさか、もう手で触ることに耐性を持たれるだなんて……)
ノワール(……やめて欲しいけど、本当に目的の為なら努力を欠かさない人なんですね)
……
――
第二戦が終わったあたりで今日はここまで
結構判定きつめにしたんですが突破された為、割と平穏な展開なるかも?
(なおそれも全部アベル達は聞かされていますが)
ちなみに偶数ゾロでギルバート大勝利、奇数ゾロでノワール大勝利でした
本日もありがとうございました!
こんばんはー
日曜日にすら間に合わず申し訳ないです……
と、とりあえず日曜日と言い張って少しだけ投下しておきます
あと上で言われていますエリスの父親は帝国内での地位はそこまで高くなく、もうほぼ忘れ去られています
元々が聖国で戦死した扱いなのをエリス母に救われ駆け落ち、暗黒街で隠れ住んでいたところを聖国の追っ手に見つかり
そのまま死亡ですので(暗黒街での死傷沙汰は日常茶飯事で帝国上層の管理外)
エリスも問われれば正直に話はしますが、逆に言えば問われなければ自ら話すこともないです
――
……後日……
ヒュオン!
王国暗部1「」ドサ…
王国暗部2「」ドサ…
ノワール「……」チャキン…
ノワール(王国暗部の夜襲、どうしてこんなに……?)ゴソ…
ノワール(……前とは装備が違う?)
ノワール(王国は、有力貴族も正規軍に匹敵する兵力を持つ……だったかしら?)
ノワール(国王だけでなく、貴族まで帝国を狙っているの……?)タタタ…
ノワール(聖国は結界があるから、こちらの方が狙いやすいのかもしれないけど……)
ノワール(……? 王城の、あんな場所に灯りが……?)
ノワール「……」
ノワール(行ってみよう……)タタタ…
ノワール(城内じゃ、ない……)タタタ…
ノワール(この先は……)
……
――
――
【王城・展望台】
ノワール「……!」
ギルバート「む……ノワールか?」
ノワール「陛下……?」サッ…
ギルバート「……そう身構えるな。今日は挑まぬ」
ノワール「……」ホッ…
ギルバート「……愚か者共の始末の帰りか?」
ノワール「……はい。ですが、ここに灯りが見えたため……」
ギルバート「……そうか」
ギルバート「……時にノワールよ、お前は飲めるか?」
ノワール「……はい?」
ギルバート「酒のことだ。先日奪い返した王国貴族の領地から回収したのだが……なかなかの代物でな」キュポ…
ギルバート「だが、こやつはどうにも酒に弱くてな。まともに会話が成立せぬのだ」
フローレン「すぴー……」
ギルバート「折角の酒だ。語らう者がいた方が、愉しかろう?」ズイ
ノワール「……私などが、よろしいのですか?」
ギルバート「酒を嗜むには十分な強さであろう? 遠慮をするな」
ノワール「……では」スッ…
ノワール「……」コク…
ノワール「あ……美味しい……」ニコリ
ギルバート「……どうやら、平気そうだな」
ギルバート「しばし、我に付き合え……」
……
――
――
……
ギルバート「……」コクリ…
ノワール「……」コクコク…
ギルバート「……気に入ったようだな?」
ノワール「!?///」
ノワール「そ、そんなことは……///」アセ…
ギルバート「別に恥じることはなかろう。少しばかり、意外ではあったがな」
ギルバート「我もこれは気に入ったぞ。奪い返した土地は葡萄園に変えられていたが、悪くはないやもしれん」コクリ…
ギルバート「少なくとも、王国の手法で育てられた葡萄の方が帝国産よりも優れているのは疑いようもない」
ノワール「確かに、いい香りです……」コクリ…
ギルバート「うむ。フローレンめ、何故これを愉しめぬ……」
ノワール「……」コクリ…
ギルバート「……次を開けるか?」
ノワール「あっ、いえ!?///」
ギルバート「くくっ……残念だな、もう開けてしまった」キュポ…
ギルバート「こうなれば、飲まざるをえまい?」
ノワール「……///」
ギルバート「しかし……」トクトク…
ノワール「?」
ギルバート「いくら美味とはいえ、よく我の前で飲むことができるな」
ギルバート「酒の出回らぬ貧民街では無いのかもしれんが……」
ギルバート「酒で酔わした女を手籠めにするなど、王国等では常套手段だというのに」コクリ…
ノワール「……」コトン…
ノワール「……私は、まだこうして陛下とお話をするようになって日が浅いです」
ノワール「……ですが、私でもわかったことはあります」
ノワール「――あなたは、何に対しても練磨し、正面から挑む人なのだと。搦め手はお嫌いなのでしょう?」
ノワール「さっきも、今日は挑まないと。ですから、安心できます……」
ギルバート「くく、そうか……」
ギルバート「――少し、饒舌になったな。酒の力か、それともこちらが本来のお前なのか?」
ノワール「……!?///」
ギルバート「少なくとも、あの日乗り込んできた時よりもずっと、な……」
ノワール「……」
ノワール(気がつかなかった……)
ギルバート「確かに、お前の言う通りだ。酔い潰したお前を抱いたところで、我の敗北が消えることは無い」
ギルバート「約束も違えぬ。今日はこのまま、今しばらく我につきあってくれればそれでいい……」
ギルバート「――日を改め、さらに修練を積んでいずれは負かすがな?」ククク…
ノワール「……で、できればご遠慮したいのですが……///」
ギルバート「我より弱い者に拒否権は無い。嫌であれば、実力で我を打ちのめすがいい」
ギルバート「……それに心配はなかろう。現時点では、我はお前を押し倒すことはできても、そこから勝てぬのだから……」
ノワール「……///」
ノワール「……陛下、少しよろしいでしょうか?」
ギルバート「……なんだ?」
ノワール「陛下は何故、そこまで力を……実力主義を謳うのですか?」
ギルバート「……偉大なる初代皇帝の築き上げた、かつての帝国を取り戻すためだ」
ギルバート「金があるだけで無能が上に立つ王国も……」
ギルバート「平和と平等を謳い、神に縋り思考を放棄する聖国も……我の望むものではない」
ギルバート「実力を持つ者が相応しいものを得る。そのために這い上がろうとする者も現れる……」
ギルバート「この世は、力が全てなのだ。力が無ければ、何も得ることも守ることもできぬ」
ノワール「……陛下は、何を得たのですか?」
ギルバート「……未だ我が強さは不完全。故に、得たものも不完全な帝国よ」
ギルバート「だが、地位……豪奢な暮らしにこうした美味な酒……」
ギルバート「己を鍛えてこなければ、これらは得られなかっただろう」
ギルバート「ノワール、今のお前もそれは実感できているのではないか?」
ノワール「それは……」
ギルバート「……もっとも、我はあまり興味はないのだがな」
ノワール「え?」
ギルバート「あくまでそれらは、強さに付随する副産物に過ぎぬ」
ギルバート「それらを求めて練磨する者を否定はせぬが、我は……」
ギルバート「強く逞しく、皇帝だけでなく民までもが強く、己が手で道を拓いていく……」
ギルバート「我が真に望むものは、未だ遥か遠く……」
ノワール「……それでは、陛下は強者でありながら相応しい物を得られていないのでは……?」
ギルバート「っ……それこそ、我がまだまだ初代皇帝に及ばぬからよ」
ギルバート「さらに強くなり、帝国の栄光を取り戻し……」
ギルバート「最期の時まで練磨を重ね、育った子らがより帝国を強く導いていく……」
ギルバート「いつかは、初代皇帝すら為しえなかった次代の発展も……」
ノワール「……」
ギルバート「……まぁ、今の帝国も我も不完全」
ギルバート「我の鍛錬の相手が務まる者も、次を託せる子もおらぬがな……」
ギルバート「だがきっと、いつの日か………………」フッ……
ギルバート「ふっ……我としたことが、喋り過ぎたか……」コクリ…
ギルバート「これも酒のせいか、あるいは……」
ギルバート「誰かが傍で耳を傾けていたからなのか……」
ギルバート「……思えば、誰かとこうして酒を愉しむということ自体が初めてだったか?」
ギルバート「ふふ……悪くない……」コクリ…
ノワール「……ありがとうございます」コクリ…
ノワール(ギルバート……強くて、真っ直ぐな人)
ノワール(そして同時に――孤独な人……)
ノワール(立ち止まらないで強くあろうとし続けたせいなの……?)
ノワール(力の頂点に立っても、本当に欲しかったものが手に入らないって……気がついている筈なのに……)
ノワール(だって、さっきの一瞬だけ見せた寂しそうな顔は……)
ノワール(……)
……
――
短いですがここまで
なんとか月曜夜も更新できればなと思います
この後は少しだけアベル誕生の様子を交えつつ締めに入っていきます
そして再びチケット消化の次のおまけに移行する感じになるかと思います
更新不安定になっていますが、お付き合い頂ける方はよろしくお願いいたします
こんばんはー
アベル誕生まで持って行けてませんが、少しだけ再開です
マックスは要所要所のコンマをきっちり決めていく(特に聖国決戦前の覚醒)のですが、
フレーバーのおまけ判定運は酷く、奇数ゾロを二回ぶち抜いたり酒その他も悲惨だったりとかなりムラッ気のある青年ですね……
――
……
……深夜・帝国王城内……
パン、パン…!
フローレン「んぅぅぅぅぅぅ……!」グチョグチョ…
ギルバート「……」パンパン!
フローレン「あはぁ……♪ すごいわあなたぁ……♪」ジュプ!
フローレン「こ、こんなはげしっ……初めてよぉ……♪」
フローレン「も、もう……っ♪」ビクン!
ギルバート「……出すぞ、フローレンッ!」グポォ!
フローレン「~~~~~~~っ!?」ビクンビクン!
カインの素「」ドピュッ!
フローレン「あっ♪ 来てる、来てるわぁ……♪」ゾクゾク!
フローレン「私の身体があなたに屈服して、孕もうとしてるのがわかるぅぅぅぅぅぅ♪」ビクンビクン!
ヌチュ…
フローレン「あふぁ……♪」パタリ…
ギルバート「……」ビキビキ…
フローレン「まぁ、これだけ出してまだこんなに……♪」
フローレン「でも、こんなに激しくされちゃったら私も限界よぉ……?」
フローレン「また明日、ヤりましょぉ……」スヤァ…
ギルバート「……」
ギルバート「むぅ……」
ギルバート(我が半身を鍛えた結果、こうしてフローレンは楽に組み伏せられるようになった)
ギルバート(この歳で大きさも増したのか、より奥深くを突いている感触もある)
ギルバート(それにこれだけ出せば、きっと新たな子供も宿ることだろう……)
ギルバート(我は強くなり、全てが順調の筈だ)
ギルバート(だというのに……)
ギルバート「……」フゥ…
ギルバート(この言いようのない、燻った感情はなんなのだ……)
ギルバート(……敗れたノワールに勝たねば意味が無いということか?)
ギルバート(――我は、あやつをどうしたいのだろう?)
ギルバート(ノワール……最下層の者ながらに強く美しい女……)
ギルバート(……我と酒を愉しんでいた時に見せた、普段とは少し違う様……)
ギルバート(卓越した技能を持ちながら、時折見せる年相応の反応……)
ギルバート(……まさか、この我が惹かれているとでもいうのか?)
ギルバート(……しかしあやつは強者ではあるが、より強くなろうという気概を感じられぬ……)
ギルバート(総合的に見れば、フローレンの方が強者……)
ギルバート(我が肉体の力と、フローレンの魔力が合わされば、必ずや強き子が産まれる筈なのだ)
ギルバート(抱くに値する強者は、フローレンの筈なのだ)
ギルバート(それだというのに……)
ギルバートソード「……」バッキバキ!
ギルバート(……こんな状態では、余計に思考も纏まらぬか)
ギルバート(致し方があるまい。今日はとりあえず、このまま射精を耐える鍛錬に移行し……)グッ!
ギルバート(ノワールのことは、また後日考えるとしよう……)
……
――
――
……
【王城・鍛錬場】
ブオン! ブオン!
ギルバート「998……999……1000っ!」ブオン!
ギルバート「……」チャキン
ギルバート「……少し、休憩するか」ドサ!
ノワール「……皇帝陛下が、誰もいない鍛錬場で一人素振りの鍛錬ですか?」スッ…
ギルバート「ノワール……何故ここに?」
ノワール「……私も、少し鍛錬を。それと差し出がましいですが、陛下にこれを」
サンドイッチ「……」キラキラ…
ギルバート「……ほう」
ノワール「……陛下は、もう十分お強いのです」
ノワール「全く動かないというのも鈍ってしまうでしょう。でも……」
ノワール「時には、立ち止まったり……休むことも、大切だと思います……」
ギルバート「……だからこうして、休んでいるではないか?」
ノワール「……そう、ですね……」
ギルバート「……折角の食事だ。頂こう」パクッ
ノワール「大した代物ではありませんが……」
ギルバート「……ほう」モグモグ…
ギルバート「……ほう、ほう」ヒョイ、モグモグ…
ギルバート「…………美味いな」
ノワール「あ、ありがとうございます」
ギルバート「む……もう空か」スカッ…
ギルバート「……馳走になったな。これでより鍛錬に励めるというものよ」スクッ
ノワール「そ、そんな! もう少し、ゆっくりと……」
ギルバート「……美味な食事は、身体に力が漲ることがわかったのだ。この機を逃すことはせぬ」
ノワール「だからと言って、また一人寂しく素振りなど……」
ギルバート「……一人ではない。見るがいい」スッ…
ノワール「え?」チラ
バーンズ「……」メモメモ…
ギルバート「あやつはまだ我には程遠いが、早くもああして我が剣を盗もうと必死になっているのだ。無駄ではない」
ノワール「……」
ギルバート「ああ、折角来たのだ。……少し、付き合うがいいノワール」
ノワール「…………かしこまり、ました」チャキ…
ギルバート「ふふ、やはり打ち合った方が熱も入るというものよ……!」グッ!
バーンズ(陛下観察日記その54。やはり陛下の普段の食生活は何故か貧民街と同等かそれ以下と推察される)カキカキ
バーンズ(察するにフローレン様の腕前が酷いのであろう。天性の戦の才も、料理にまでは及ばないらしい)カキカキ
バーンズ(私に次いで拾ったという黒衣の女性が用意した軽食は、表情の変化は少ないが大変お気に召した様子)カキカキ
バーンズ(万が一毒が盛られていたらと危惧したが、杞憂だったようだ。そもそも陛下なら、毒もねじ伏せることだろう)カキカキ
バーンズ(使われている食材もシンプルに見えた。葉野菜に香ばしく焼いた鶏肉、そしてあの匂いはマスタードだろうか?)カキカキ
バーンズ(距離があってなお、食欲をそそる匂い。陛下がすぐに平らげてしまったのにも頷ける)カキカキ
バーンズ(未熟なこの身では戦いのお役には立てないが、もしかしたらこちらで役立てるかもしれないため、これも記録しておく)カキカキ
ギルバート「見るがいいノワール! バーンズの速度が上がったぞ」ブオン!
ノワール「……」サッ!
ギルバート「やはり、強者とのやりとりは良い刺激となるようだな!」
ギルバート「我も、昂ぶって来るぞ……!」ゴゴゴゴ!
ノワール(あの子、覆面で表情がわからないけど……)
ノワール(……私達より、私が持って来たバスケットに注視しているような?)
ギルバート「ぬぅん!」バッ!
ノワール「……!」ヒラリ
ノワール(本当に、強い人……でも……)
ノワール(どうすれば、この人を……)
キィン!
ノワール「!!」
ギルバート「勝負ありだな」チャキン!
ノワール「……参りました」
ノワール(この人を、一人強くなり続ける道から……)
……
――
――
……
ギルバート「……鍛錬に行ってくる」
フローレン「今日もなのぉ?」
ギルバート「慢心し、鍛錬を怠る者に訪れるのは破滅よ……」
フローレン「そうは言うけどぉ……」
フローレン「……なんというか、最近あなた少し楽しそうじゃなぁい?」
ギルバート「……我が?」
フローレン「そうよぉ。ちょっと前まで、素振りの鍛錬はどことなく無機質にやってたのに」
ギルバート「……」
ギルバート「……少しだけ、楽しみが増えたのだろうな」
フローレン「ま、まさかまた新しい剣技を?」
フローレン「さすがあなただわぁ……」ブルブル…
ギルバート「……行ってくる」スタスタ
……
ギルバート「……」
ギルバート「…………」
ギルバート「我は……」
特殊判定
↓1コンマ二桁
なん……だと……!?(白目吐血)
特殊判定結果
アベルが仕込まれる夜。どちらからもちかけた?
偶数:ギルバート
奇数:ノワール
コンマ00
0 0
ハ イ パ ー ク リ テ ィ カ ル ! ! !
00:二人同時に。お互いがお互いに溺れてしまう
判定をとったあたりで今日はここまで
えー……うん、ギルバート過去編だけでまさか二度もクリティカル攻撃を受けるとは思いませんでした
これはアベル一発着床ですねー……
1パーセントってこんなごんごん飛んでくるものだったかなぁ……
本日もありがとうございました!
アドルラン兄様:朴念仁(どうにか解消)
お兄ちゃん:嫁が強すぎる(鍛練の甲斐あり辛くも勝利)
アベル:ハーレムだけどみんな純愛(主に聖国組から目を背けながら)
キアラ:ガードが異常に固い
フィーア:夜這いして逆襲されたけど夢オチで済んだ
確かに王族側は割りとセーフか
時期的に忙しいのもあつが
パパンとノワールさんの
ハイパークリティカルアベル建造書いてるのかこれは
楽しみにしてます
こんばんはー
また凄まじく間が空いてしまい、申し訳ない限りです……
予期せぬ残業が増えている現状で、相変わらず更新が不安定になりそうですが少しだけ再開です
>>566
申し訳ないのですが、クリティカルとはいえ二人のやりとりは簡略式です……
――
ギルバート「……」
ギルバート「認めねば、ならぬか……」
ギルバート「帝国の象徴たる強き皇妃、そして強者を生むに適すはフローレンだが……」
ギルバート「……それでも、あやつを……」
ギルバート「ノワールを……」
ギルバート「……」
ギルバート「……」フルフル…
ギルバート「何故、振りきれぬ?」
ギルバート「奴は強者ではあるが、あの性格……」
ギルバート「己の為でなく、他者の為に強くあろうとする女……」
ギルバート「強く美しく、価値ある者でありながら、同時につまらぬ者でもあると言うに……」
ギルバート「――どうして、我が心をこうも乱す?」
ギルバート「我が未だ未熟だからなのか」
ギルバート「…………」
ギルバート「…………」ブオン!
ギルバート「剣を払えど、迷いは払えぬ……」
ギルバート「……この感情が」
ギルバート「この感情が、一時の気の迷いに過ぎないのだと、早く証明せねば」
ギルバート「我は、望む皇帝にはなれぬ……」
……
――
――
……
フローレン「……ノワールゥ?」
ノワール「……なんでしょうか?」
フローレン「……大したものねぇ、あなた」
ノワール「?」
フローレン「……」ハァ…
フローレン「――あの人……ギルバートからあなたへの勅令よ」
フローレン「――今晩、夜伽の相手をせよ……ですってぇ」
ノワール「!?///」
フローレン「……あの人が、こんな勅令出したのなんて初めて」
フローレン「私以外の女を進んで抱くなんてことも、当然初めてよぉ?」
フローレン「……つまり、それだけあなたはあの人から特別視されているということ」
ノワール「……」ゴクリ…
フローレン「……悔しいわぁ。私がいながら、あの人はどうあれこうしてあなたを呼んだ」
ノワール「……フローレン様……」
フローレン「……様付けはもういいわよぉ。普通に、呼び捨てなさいな」
フローレン「私はなんでもできてしまう天才貴族。でも、今やこの帝国でその肩書はお飾りも同然」
フローレン「――皇帝ギルバートに選ばれる。これこそが、帝国の最上の誉れ」
フローレン「今この時から、あなたは私に並んだのよぉ?」
ノワール「……っ」
フローレン「ふふ、悔しいけれど……愉しくもあるわぁ……!」
フローレン「まさか、ここに来てこの私にライバルなんて存在が現れるだなんてねぇ!」
ノワール「フ、フローレン様、それは――」
フローレン「様付け禁止、対等にもっと砕けなさい。私もそうするからねぇ」ニヤリ
ノワール「…………フローレン、私に拒否権は?」
フローレン「あら、あなたも冗談言えたのねぇ? これ以上ない栄誉なのよぉ?」
ノワール「しかしあなたが……」
フローレン「んふ……言ったでしょぉ? 悔しいけど愉しいって」
フローレン「――存分に抱かれてきなさい。あの人にどちらが相応しいか、競争しましょうよぉ!」パン!
フローレン「んふふふふ……! ギルバート以外で誰かと何かを競うなんて、初めてねぇ……!」
ノワール「…………」
……
――
――
【帝国・皇帝の寝室】
ノワール「……」ネグリジェスガタ
ノワール(私は、どうして、ここにいるんだろう?)
ノワール(逃げようと思えば、逃げられた筈)
ノワール(逃げ出した……弱者にあの人は興味を示さない筈だもの)
ノワール(……)
ノワール(……私が逃げたら、貧民街のみんなが危ないから?)
ノワール(……いいえ、これも同じこと。私がいなくなったからといって、報復をするようなことをあの人はしない)
ノワール(……)
ノワール(……おかしなものね。どうして、そう断言できてしまうのかしら?)
ノワール(……あの人を、信じているから……?)
ノワール(…………だから、わからない)
ノワール(勅令を出してまで、どうして私みたいな小娘なんかを?)
ノワール(……あの人と、私とでは、理想とする帝国の姿が違う)
ノワール(あの人を休ませてあげたい。だけど、それは私には…………)
ガチャ…
ノワール「っ!」ビク!
ギルバート「……既に用意ができていたか、ノワールよ」
ノワール「陛下……」
ノワール「……」
ギルバート「……」
ギルバート「……先に言っておこう」
ギルバート「――この場から逃げることは許さぬ」
ノワール「……!」ゾク…
ギルバート「……だが、今日一夜限りであると約束しよう」
ギルバート「我は今の帝国において最たる強者……」バサ…
ギルバート「最も強き者は、最も多くを得る。強者とはいえ、更なる強者から見れば弱者に過ぎぬ……」ズイ…
ノワール「……陛下からすれば弱者の私は、この身を自由にされても何も言えない」
ノワール「嫌ならば、強くなれ……でしょうか?」
ギルバート「…………」
ギルバート「……一夜限りだ。犬に噛まれたとでも思い、諦めるがよい」
ノワール「仮に強くとも、拒否権は無いと? ……陛下とは思えない程に、強引ですね」
ギルバート「……っ」
ギルバート「……何故、我よりも先にこの部屋で待っていた?」
ノワール「え?」
ギルバート「お前は、生娘であろう。暗黒街では、抱かれたくも無い男を退ける為に手技も磨いてきた」
ギルバート「強さも申し分ない。お前が本気で逃げ出し、身を潜めたならば我でも見つけ出し捕えるのは困難であろう」
ギルバート「或いは、いつもの装備で暗器を仕込み、我の不意を突くこともできた筈だ」
ギルバート「だと言うのに、今のお前の姿は……」
ノワール「……ええ。何も、仕込んでいませんよ」
ギルバート「……何故だ。何故逃げなかった? 我には勝てぬと、最初から怯えて腑抜けたか?」
ノワール「……いえ」
ギルバート「……ならば、この状況になっても逃げられると思っていたのか?」
ギルバート「また我を吸い尽くせると思っているのならば甘いと言わせて貰おう」スッ…
ギルバートソード「……」バキバキギンギン!
ノワール「なっ……///」
ギルバート「あれから、我はこちらの鍛錬も怠っておらぬ」
ギルバート「そして今日……かつてない程に、昂ぶっている。万が一にも、お前の勝ち目はない」ギンギン!
ノワール「……」ゴクリ…
トサ…!
ノワール「あ……」
ギルバート「……軽く押しただけだ」
ギルバート「……お前ならば、まだこの場から逃げ出すことはできるのではないか?」
ノワール「……おかしな人ですね。私に、逃げて欲しいのですか?」
ギルバート「……逃さぬ。逃さぬが、答えよノワール」
ギルバート「どうして……逃げぬどころか、抵抗する素振りすら見せぬ?」
ギルバート「我は絶対で勝てぬと、強者の牙が折れてしまったというのか……?」
ノワール「……」
ノワール「……私にも、わかりません」
ギルバート「む?」
ノワール「でも、これだけは確か。陛下、あなたは強いけれど絶対ではない」
ギルバート「……そうであろうな。我が力も未だ途上。更なる鍛錬を積み――」
ノワール「い、いえそういう意味ではなく……あ……?」
ギルバート「どうした?」
ノワール(……そうか、だから私……)
ノワール「……ふふ」
ギルバート「何がおかしい?」
ノワール「……ごめんなさい。どうして、逃げないでこの場にいるのか。少しだけ、わかったから」
ノワール「――ひたすらに強さを求め続ける陛下が……」
ノワール「――勅令を出してまで。鍛錬の時間を削ってまで、私との時間を望んでくれたから」
ノワール「……私も、嬉しかったのかもしれません///」
ギルバート「……っ!?」
ノワール(そう、たとえどれだけ刹那的な時間であろうとも……私を選んでくれた)
ノワール(強者たろうとする妄執から、確かに離れてくれた……)
ノワール「私でも、少しはあなたを……」
ギルバート「……口を閉じよ。先に言った通り、これは一夜限りのもの……」
ギルバート「――我の、気の迷いに過ぎぬことよっ!」グイ!
ノワール「きゃ!?」
ギルバート「……」ジュル、ジュ…!
ノワール「んっ、んぅぅ!?///」ジュ…チュ…
ノワール(あぁ、なんて激しい口付けなの……///)
ノワール(気を抜けば、何も考えられなくなってしまいそう……///)
ノワール(でも……)
ギルバート「ぬっ!? ん、ふ、ぅ……!?」ジュプジュプ…
ギルバート(こやつ、これほど積極的に舌を絡めつつ、唾液を寄越してくるとは……!?)
ノワール「ん、じゅ……! んちゅ……!」ジュプゥ!
ノワール(……気の迷いでも、構わない。こうして激しく私を求めてくれるなら……)
ノワール(それはきっと、あなたが戦いを忘れられているということだから……)
ノワール「ん、ふぅ……む……!」ピチャピチャ…
ギルバート「ん、む……!」ジュルル…
ノワール「んぁ……///」チュポ…
ノワール(そ、それに……強引だけど、とっても……///)
ノワール「はふ……気の迷いにしては、随分と情熱的ですね……///」トロリ…
ギルバート「ふ、ふん。我程になれば、この程度は児戯よ……」
ギルバート(……ノワールのこのような表情、初めて見るな)
ギルバート「……」ムクムク…
ギルバート(……惑わされるな。これは気の迷いに過ぎぬのだ)
ギルバート(しかし……)
ノワール「……陛下? きゃあ!?///」シュルリ…
ギルバート「――その顔、もっと崩してみたくはあるな」
ノワール「!?///」バッ!
ギルバート「くくく……その細腕では、隠し切れていないではないか」
ギルバート「なかなかどうして、そこは豊かに育ったようだな?」
ノワール「~~~っ///」カアァ…
ギルバート「……隠しても無駄なことよ」ガシ!
ノワール「あ……!」ググ…!
ギルバート「腕力の勝負で、我に敵う筈もなかろう。さぁ、よく見せるがいい!」バッ!
ノワール「あぅぅ……///」タプン!
ノワール(や、やっぱり恥ずかしい……///)
ギルバート「……」ゴクリ…
ノワール「……///」
ギルバート「……」ソォー…
ムニュゥ!
ノワール「んぅっ!///」ビクッ!
ギルバート「ほ、ほう……これは……」ムニュ、モニュ!
ノワール「あっ、ふあぁ……!?///」ビクビク!
ノワール(や、だ……! どうして、こんな声がでちゃうの……!?)
ギルバート(な、なんだこの感触は……フローレンとはまた異なった……)モニュ!
ギルバート(我が手から零れ落ちそうになりながら、しっかりとした弾力が……)ムギュ!
ノワール「ん……///」プルプル…
ギルバート(だが、この感触以上に……)チラ…
ギルバート「……口を押さえることは許さぬ」パシ!
ノワール「あっ……くぅぅ……!?///」ブル…
ギルバート「……」ゾクゾク…
ギルバート(普段は絶対に見聞きできぬこやつの艶姿を、欲してしまう……!)ムクムク!
ギルバート「……我を前に、いかな小細工も無意味と知れ」
ギルバート「お前はただ、我に身を委ねればよいのだ……」チュゥ…
ノワール「やぁ、吸っちゃ……!?///」ゾクリ!
ノワール(だ、駄目……気持ち、いい……!?///)
ノワール(このままじゃ……こっちからも、動かないと……///)
――
追加おまけ特殊判定
↓1コンマ二桁
はははそう簡単にこの私が――え?(爆発四散)
いや待って、え?久々だけど00の次に22ってえちょまじで?(白目)
混乱が収まらないので、とりあえず判定結果だけ先に……
特殊判定結果
ギルバートvsノワール、夜の勝負の最終結果は?(前判定00のため溺れあうのは確定)
ギルバート:夜100>ノワール:夜98
ギルバートに補正+2
01~52:ギルバート勝利
53~00:ノワール勝利
偶数ゾロ:ギルバート朝まで圧勝
奇数ゾロ:ノワール朝まで圧勝
コンマ22
2 2
偶数ゾロ:ギルバート朝まで圧勝
※フルパワーを超えたフルパワー中のフルパワーギルバートの前に、ノワールさんは為す術無く堕とされてしまったようです(白目)
――
えー、とアベル作成中ですが今日はここまでで
……ギルバートの皇妃と妾に対する孕ませてやる意思ちょっと強すぎませんかねェ!?(00→00→22)
色々思うところはある二人ですが、朝までやってアベルは仕込まれたようです
本日もありがとうございました!
こんばんはー
おまけ終了間際ながらに微妙にそこまで到達できていませんが、
少しだけ再開です
――
ノワール「ん、んん……っ///」スッ…
ノワール(私も、この人の弱点を攻めれば……!)
ガシ!
ノワール「!?」
ギルバート「……そうはいかぬ。我に身を委ねろと言った筈だが?」
ギルバート「今宵は我が独壇場よ。強者たる我が、弱者であるお前を一方的に貪る……」
ギルバート「それだけだ……!」カリッ!
ノワール「んっ!? くぅぅ///」ビグン!
ギルバート「くくく、普段は冷静なお前が……」
ギルバート「この程度で、女の顔になるか……!」クニュクニュ…
ノワール「ぁ……やぁ……///」プルプル…
ノワール(この程度って……こんな……!)
ノワール(――こんな、こんな気持ちいいこと、知らない……///)
ノワール「っ……はぁ……///」
ギルバート「……」スルスル…
ノワール「へ、陛下ともあろう方が……随分、弱弱しい手つきですね……?」プルプル…
ノワール「今夜限りならば、帝国の皇帝らしく、もっと力づくで……!」
ギルバート「……」
ギルバート「我は、お前を壊したいわけではない。我はお前を――……」
ギルバート「……この程度の力でも、十分屈服させられると判断した。それだけのことよ……」チュ…
ノワール「ん、ふぁ……///」トロン…
ノワール(やめて……)
ノワール(私に、こんなに優しくしないで……!)
ノワール(私は、あなたの隣にはいられない……それはわかっているのに!)
ギルバート「ふふ、だいぶ顔も蕩けてきおったな……」
ノワール(どうして、いつものように容赦なく、相手をねじ伏せないのですか……!)
ノワール(無骨で大きくて屈強な身体……この状態なら、もっと私を酷く扱えるでしょう……!?)
ギルバート「……こちらも可愛がった方がよいか?」クチュ…
ノワール「ひやぁ!?///」
ノワール(……どうして、こんなにも……手つきが、優しいの……///)
ギルバート「くくく……」クチュ…ニチュ…
ノワール「んっ! んぁぁ……!///」モジモジ…
ギルバート(……濡れてきたか)
ギルバート(ノワール相手に我が手技が通用するかは怪しかったが……なんとかなったか)
ギルバート(……こやつも戦場では死をもたらす者だが、やはり年相応の娘なのだな)
ギルバート(しかし胸以外はフローレン以上に細いこの身体……)
ギルバート(加減を誤れば、本当に壊してしまいそうだ……)ニュチ…!
ノワール「ん、んんっ……!」ポロ…
ギルバート「っ!?」ビク!
ギルバート「……どうした? 泣いたところで、我は止まらぬぞ?」
ノワール「な、泣いてなど……!」
ノワール(……今、一瞬だけ動きが止まったじゃないですか……)
ノワール(どうして、もっと激しくしないんですか……)
ノワール(このままじゃ、私は……///)
ギルバート「……」ヌチャ…
ギルバート「流石に生娘は、これだけ蜜を垂らしていても、まだ痛みを覚えるということか?」
ノワール「そ、そんなはしたな――」
ギルバート「見るがいい、ノワール」ヌチャア…
ギルバート「我が手で糸をひくこれは、全てお前から溢れてきたのだぞ?」ニチャニチャ…
ノワール「や、そんな……見せないでぇ……///」フルフル…
ギルバート「これでもまだ足りぬなら――仕方がない。再びこちらを嬲ってからにしようか」ムギュゥ!
ノワール「んああああぁぁぁぁ///」
ノワール(ああ、恥ずかしい……///)
ノワール(なのに、もう声も抑えられない……///)
ノワール(この人に触れられた場所が、全部熱くて、疼いて……///)
ギルバート「ノワール……」チュウゥ…
……
――
――
ノワール「はっ……はぁぁ……///」トロトロ…
ギルバート「……そろそろよかろう」グッ…
ノワール「あ……///」
ズプゥ……!
ノワール「~~~~~っ!!!///」
ギルバート「くぉ……!? こ、これは……ぬぅ!」ズン!
ギルバート「なんという締め付け……まだ、我に抗えるというか……!」ジュプ!ジュプ!
ノワール「ひっ、んぁ……っ! や、うごか……ああぁぁぁ!?///」パンパン!
ノワール(ああ、いきなりこれほど激しく……///)
ノワール(痛かった筈なのに、こうして私の身体が内と外から蹂躙されているのに……///)
ノワール(激しさの中に感じる、この優しい心地よさが……この人に、征服されていくこの感覚が///)
ノワール「っぁ……――気持ち、いいよぉ……♪」トロン…
ギルバート「っ……///」ギュ…
ギルバート「……ならば、もっとくれてやる!」パァン!
ノワール「んあああああぁぁぁぁぁ!?///」プシャァ!
ギルバート「もっと、もっとだノワール……!」パンパン!
ギルバート「もっと、我の中で乱れ狂うがいい……!」グイ!
ノワール「ひあっ!?」ゴロ…
ギルバート「はぁ……はぁ……!」ヌポ…
ノワール「あ……///」
ギルバート「……安心するがいい。すぐにまた、くれてやるわ!」ヌチュ…
ノワール「や、そんな……後ろから――」
バチュン!
ノワール「ひぐぅっ!?」ビクン!
ギルバート「ノワール……ッ!」ギチュ!ギチュ!
ノワール「……っ! んっ……、んぁ……♪」ニュチュニュチュ!
ノワール(さっきよりも、さらに奥深くにぃ……///)
ノワール(私の一番弱いところを……///)
ノワール(私の一番疼いてしまっている場所を……///)
ノワール(大切な、子宮が……///)
ノワール(まるで、破城鎚を打ちこまれているような……///)
ギルバート「ぬぅん!」ジュブン!
ノワール「~~~~~っ♪///」ゾクゾク…!
ノワール(こんなの……抗えるわけがない……///)
ノワール(本当に、私はこの人に貪り食われてしまう……///)
ノワール(そして私の身体は、もうそれを受け入れてしまっている……///)
ノワール(――この人に完全に、堕とされちゃううぅぅぅぅぅぅ♪)
ギルバート「く……! そろそろ、受け止めるがいい! く、おおおおおお!」ドプゥ!
ノワール「あああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!?」ドプドプ…!
ノワール(熱い……/// もう、私は……///)トサ…
ギルバート「……まだだ。我がこの程度で、満足するものか……!」ギンギン!
ノワール「あ……///」
……
――
――
……
ヌチュ…ジュプ…
ノワール「あ、ああぁぁ……///」ギュウゥ…
ギルバート「ふ……わざわざ足を絡みつけずとも、離しはせぬ……!」ドプ!
ノワール「んんんん~~~っ!!!///」ビグンビグン!
ヌポ…
ノワール「はぁ~……はぁ~……」グッタリ…
ギルバート「ふぅ……流石に、やりおるな……」
ギルバート「……」チラ…
ノワール「あ……陽が……」
ギルバート「……そろそろ、終いか」スク…
ノワール「……待ってください」ギュ…
ギルバート「む……?」
ノワール「まだ、夜は明けきっていません……」ムクリ…
ノワール「……一夜限り、なのでしょう?」
ノワール「……最後まで、お願いします……」ポロ…
ノワール「それが、強者の責務だと思いますよ……?」ポロポロ…
ギルバート「……ふっ。そうだな」
ギルバート「――しかしそのようなこと、お前に言われずともわかっておる」
ギルバート「――ノワールよ、これで終わったなどと安心しているのではなかろうな?」
ノワール「……え?」キョトン
ギルバート「……まだ我は満足しておらぬ。お前を貪り尽くしきれておらぬ……」バキバキ!
ノワール「……!?///」
ギルバート「今立ったのは……次の手法に移る為よ」スタスタ…
果実酒「……」ダン!
ギルバート「……以前、お前と共に飲んだ酒は美味であったな?」
ノワール「は、はい……」
ギルバート「――ならばちょうど良い。お前を器代わりにすれば、同時に味わうことができるであろう?」ニヤリ
ノワール「……!?///」
ギルバート「……まずは鎖骨まわりからいくか」トクトク…
ノワール「え、その、あの……!?///」
ギルバート「動くでない……」ジュルルル…!
ノワール「ひっ!? く、ふぅぅぅぅぅぅぅ!?」ビクビク!
ギルバート「……美味い。ならば次は……」ズイ…
……
――
――――
―――
――
―
……
ギルバート「――こうして我らは、気がつけば互いの身体に溺れてしまっていた」
アベル「」
カイン「」
アドルラン「」
ギルバート「ちなみに、アベル。お前はこの時に出来た子供だ」
アベル「」
ギルバート「我が生涯で最も盛ったといっても過言ではない日だったからな……当然と言えば当然か」
アベル「」
ギルバート「……だが結局、ノワールは己の思想を曲げることはなかった」
ギルバート「我はあやつの肉体を屈服させることはできたが、その心までには至らなかったのだ……」
ギルバート「同じく我も、肉体こそノワールに溺れたが信念を忘れることはなかった……」
ギルバート「……あやつは、素晴らしくもありつまらなくもあった」
ギルバート「……認めねばなるまい。当時の我はあやつを手放すことに、未練があった……」
ギルバート「皇妃に相応しきはフローレン。故に、妾として傍に置こうとした」
ギルバート「……だが、ノワールもわかっていたらしい。自らは決して皇妃には向かないと」
ギルバート「だからこそ、あの日あやつはフローレンとの決闘でも自ら敗けたのだ」
ギルバート「……それが、フローレンは気に入らなかったようだがな」
アベル「……」
カイン「……」
アドルラン「……」
ギルバート「くく、しかし……」
特殊判定
↓1コンマ二桁
判定をとったあたりで今日はここまで
最後の締めを行ったあと、このおまけ7は終了となります
明日はそれで次のおまけ内容の安価を取るだけになるかな……?
本日もありがとうございました!
こんばんはー
それでは最後の判定一回を含みおまけ7最後までやっていきます
特殊判定結果
お母さんストップ
85>32
※基準値を下回ったため、ようやくギルバートに口止め
――
ギルバート「そのままただ堕ちなかったのが、あやつの強者たるところよ……」
カイン「え?」
ギルバート「先に背後に回られれば、我も抗う術は無かった……」
ギルバート「背中に柔らかな感触二つ、そちらに意識を持っていかれるころには既に竿は扱かれ――」
ヒュオ!
ドス!
ギルバート「ぬおおおおぉぉぉぉぉぉ!?」ザックリ…
皇子ズ「「「!?」」」
ノワール「……ギルバート、それ以上話したら流石に怒りますからね……///」プルプル…
アベル「は、母上!?」
ギルバート「ふ、我が見切りきれぬか……また腕を上げたようだなノワールよ」
ギルバート「くく、珍しい顔だ。お前に今一度刃を抜かせる為に、続きを話すのも――」
ノワール「……それなら私も、冷気を纏いつつあなたを搾った時の話をしますよ?」ヒュオオォォ…
ギルバート「……………お前も、随分と変わったものだ」
ノワール「あなたは、少ししか変わっていないようですね……」ハァ…
ギルバート「やましいことは何もしていない。こやつらから、過去を語るように言われただけだ」
ノワール「何もあの夜の話まですることはないでしょう……!///」
ノワール「……」コホン…
ノワール「……あなた達?」
皇子ズ「「「は、はい!?」」」
ノワール「――最後の方のことは、忘れてくださいね?」ニコリ…
皇子ズ「「「はいっ!!!」」」バッ!
……
――
――
ギルバート「……してノワール、何故ここへ来た?」
ノワール「元々はキアラとフィーアが用があったんですよ」
ノワール「その……私達は歌唱力が致命的ですし、あの子達が一緒に練習をしよう、と」
ノワール「でも嫌な予感がして一足先に来てみれば、正解だったみたいですね……」
アベル「た、助かりました……」
アドルラン「うむ、流石に二人に今の内容は聞かせられないからな」
カイン「まったくだ。僕らにすら平気で話すんだから、キアラとフィーアにも躊躇わないだろう父さん?」
ギルバート「わ、我はただ……」
ノワール「ギルバート」
ギルバート「ぬ、ぬぅ……」
ノワール「切り替えてください。これから歌の練習ですよ?」
アベル「……そういうことなら、俺達もそろそろお暇しましょう」
アドルラン「そうだな。父上、お話ありがとうございました」
カイン「わかったのは、父さん達が普通じゃなかったことぐらいだけどねぇ……」
ギルバート「……聞きたいことが増えれば、また来るがいい」
アベル「ええ」
アベル「……今度は、下の話抜きでお願いしたいところですが」
ノワール「その時は私も傍にいた方がいいかもしれませんね……」
……
――
――
……
フィーア「はぁ、はぁ、速いですお義母様!?」ゼェゼェ
キアラ「ど、どうしていきなり……」ゼェゼェ
ノワール「ご、ごめんなさい。ちょっと、急に走りたい気分になっちゃって」
フィーア「すぐそこでアベル兄様達とお会いしたのですけれど……」
フィーア「もしかして、兄様達もお歌の練習をする予定だったのですか!?」
ノワール「いいえ、アベル達は別の用時があったみたいだから大丈夫ですよ?」
キアラ「お父様に、別の用時……?」
ギルバート「……何、皇子としての報告をしに来ただけよ」
ギルバート「……なかなか、愉しめたがな」ククク…
フィーア「楽しい話題……帝国も、良い方に向かっているという報告ですねっ!」ピョーン!
ギルバート「そうだな。最初は生き恥を晒し続けるだけかと思ったが……」
ギルバート「……もうしばらくは、生きてみたい気になる話もあった」ワクワク
ノワール(な、何があったのかしら? 私の過去とは違うようだけれど……)
キアラ(いい報告、か……)
キアラ(……)
特殊判定
↓1コンマ二桁
キアラの秘密
75>73
※基準値を下回ったため、まだ秘密
――
キアラ(……)
キアラ(ま、まだマックスさんとはお付き合いを始めたばかりだし……///)モジモジ…
キアラ(私が男の人とお付き合いを始めたなんて言っても、お父様は動じないだろうし……)
キアラ(け、結婚の報告とかじゃないし、まだまだ秘密の方がいいよね……?)
フィーア「キアラ姉様?」
キアラ「あ、ごめんねフィーアちゃん。ちょっと酸欠でぼーっとしてたかも」
ノワール「ご、ごめんなさいね?」ワタワタ
ギルバート「……キアラよ、身体を鍛えることも皇女の務めだぞ」
キアラ「は、はい!?」
ノワール「……それなら、今の私達は歌唱力を鍛えるのが務めですね」
ギルバート「む……」
ノワール「ごめんなさい二人とも。指導の方、お願いできるかしら?」
キアラ「ちょ、ちょっと恥ずかしいけれど……」
フィーア「頑張ります!」フンス!
ノワール「……フローレンが嗅ぎつけてくる前に、少しは上達しないと」ボソリ…
ギルバート「くく、あやつはそういった勘が鋭いからな。すぐに乱入してくるやもしれんな」
フィーア「お義母様とお母様が仲良く歌えれば一番なんだけど……」ウーン…
キアラ「む、難しいかなぁ……?」
ノワール「ふふ、そうかもしれませんね」
ノワール「でも……」
ノワール(起きてしまった過去は変わらない)
ノワール(それが今に与える影響も大きいもの……)
ノワール(それでも、今は、この時は……)
ノワール「――愉しそうですね」
――
EXイベント7
【戦いを終えて~~帝国恋愛模様・今と過去~~】 おしまい
――
――
というわけでおまけイベント7は以上になります
ゾロ目乱舞で想定外なことが多かったですね……
さて、残りチケットは4枚ですがこれを消費しての次のおまけを
↓1~5あたりの自由安価募集しようと思います
やってもうたorz
ローズさん達の過去と現在のエピソードが見たいですわ
特に後者はスミレと白帝竜が意思疏通とか共鳴とかできるのか
前から気になって仕方ない
メイド三人かなぁ
アイナとスミレの告白(+3P?)もだけど、アイナやスミレの過去篇(ローズさんに助けられたときのアイナとか)見たい
思っていたよりも埋まるのが早い……
>>617及び>>619がゾロ目のため、次のおまけはローズ隊の過去+今のイベントといったところでしょうか?
アイナとスミレはローズに助けられて今があるわけですが、過去描写はギルバートよりも少なくなるかもです
その分は現在のイベントに回しつつ、間接的に白帝さんの出番も出てくるでしょう
手先器用判定も面白そうではありますが、展開が現時点では思いつかないので考えておきますね
本日もありがとうございました!
見返すとパパン過去編だけで最初のハッスルにフローレンとノワールへの確墜攻撃って三回もクリティカル出してるとかやば過ぎる
そしてふと気になったが、パパンにスカーレットさんぶつけたらどうなるんだろ?
こんばんはー
遅くなりましたが、おまけ8の導入部分だけ投下していきます
>>624
ありえないことですが、ギルバートがおそらく高確率で負けます
スカーレット将軍は固有スキルで夜の方に補正をかける(+30)ので、男性は最大勝率が20パーセント下回ります
ちなみにアベルはスカーレット将軍からの信頼が極端に高いか低いかで逆レされる危険もあったりしました(小声)
――
――おまけEXイベント8――
【戦いを終えて~~帝国メイド長と可愛いコ達~~】
――
――
【帝国・王城】
ローズ「あ゛あ゛あ゛ぁぁぁ……」クテー…
ローズ「……いけないいけない。思わずレディーらしくない声が漏れちゃったワ」キリッ!
ローズ「覚悟はしていたつもりだったけど、やっぱり色々と問題は多いわネ……」
コンコン
ローズ「開いてるわヨ?」
ガチャ
アイナ「お疲れ様ですローズさん。例の件の書類、纏め終わりましたよ……!」ドサ!
スミレ「……同じく、あちらの件の揉め事、鎮圧完了しました」スッ
ローズ「ありがとう二人とも。あなた達もすっかり立派になったわネェ……」シミジミ…
ローズ「随分とメイドや執事志望のコが増えたのはいいけれど……」
ローズ「なかなか、育成は大変ネ……」
ローズ「アタシもまだまだ完璧には程遠いし、自分磨きをしたいのに!」
スミレ「……微力ですが、お手伝いいたします」
アイナ「わ、私も……!」
ローズ「本当にありがとうネ。あなた達も働き詰めだし、一区切りついたら息抜きなさい?」
アイナ「い、いえ! それならローズさんが先ですよ!?」ワタワタ
ローズ「そうはいかないワ。何しろメイド長ですもの……」
スミレ「……」
スミレ「一人前のレディーは、体調管理にも気を配るものでしたよね?」
ローズ「う……」
スミレ「いかにローズさんとはいえ、ここ連日の激務は――お肌に深刻なダメージが」
ローズ「イヤアアアアァァァァァ!?」
アイナ「あ、鏡をどうぞ!」サッ!
ローズ「――見たくなかった現実っ!」ゴフ!
スミレ「……顔はメイクでわかりにくいですけど、爪とかは結構わかりやすいですね」
ローズ「アタシとしたことが……」ガクリ…
アイナ「まだまだ綺麗だけど、確かにいつものローズさんと比べるとはりつやが……」
アイナ「……うん! ローズさん、お休みを取るべきですよ!」
スミレ「その時は、アイナさんと一緒にですね」
アイナ「え?」
スミレ「アイナさんもお疲れでしょう? 折角ですから、ローズさんと一緒に……」
アイナ「だ、だめだめ! それならスミレちゃんも一緒じゃなきゃ!」
スミレ「ボ、ボクは大丈夫ですよ。少なくとも、アイナさんよりは丈夫だと自負しています」
ローズ「それならアタシはもっと丈夫ヨ?」
スミレ「う……」
ローズ「……スミレちゃんこそ、休みなさい。あなたも爪で戦うからアタシ以上にボロボロに――」サッ
スミレネイル「……」キラキラ!
ローズ「まぶしいっ!?」ガーン!
アイナ「わぁ、相変わらずスミレちゃんの爪綺麗だね……」
スミレ「ええ。ローズさんの仰る通り、爪や手はボクの基本武器ですからお手入れはちゃんとしています」
スミレ「……爪は竜の因子の影響なのか、定期的に新品になっているのが大きいんですけど」
ローズ「……」ガクリ…
スミレ「そういうわけですから、お休みをとるならば是非二人で――」
クイクイ…
スミレ「?」
アイナ(ありがとうスミレちゃん……)コソコソ…
アイナ(でも、駄目なの。スミレちゃんもローズさんも、二人いてこそだから……)コソコソ…
スミレ(しかし……)コソコソ…
アイナ(……三人で、お買いものとか行きたいなー)コソコソ…
スミレ(アイナさん……)
スミレ「……」
スミレ「……あと、実はボク爪のお手入れの道具にも拘っているんです」
ローズ「!!」
スミレ「よろしければ、今度の休みにローズさんにもご紹介しましょう。アイナさんもどうです?」
アイナ「うん、行く行く! 身だしなみは、レディーの基本だものね……!」チラ…
ローズ「そ、そうネ……模範であるアタシがだらしないとあっては、示しがつかないワ……!」
ローズ「……でもやっぱり、メイド長の業務が不安ネ」ウーン…
アイナ「それなら……」
……
――
――
【帝国・メイド試験会場】
メイド「さー、やってまいりましたメイド試験! ここ最近開催頻度がすごいですね!」
執事「大物発掘、陛下の退位、新人の増加……色々あったからな。仕方がないだろう」
メイド「おかげで私達の首の皮も繋がった! でも油断はできない!」
執事「帝国は変わりつつある……が、変わらないものもある」
メイド「それはメイドの在り方! ご主人様には常にあらゆる面で応えるべし!」
ワーワー!
新人メイド「わかってますってー! はやく試験をー!」
新人執事「俺、この試験に合格して家族を悦ばせるんだー!」
ワーワー!
執事「……威勢がいいなひよっ子共」
メイド「うんうん、フレッシュなオーラがいっぱいでてますね!」
メイド「……それだけに、今大会が特殊になったことに涙を禁じえません……」ウゥ…
新人たち「「?」」
執事「……今回は色々な理由があり、現メイド長ローズによる新試験の試験的なものを実施する」
メイド「うーん……説明難しいから、とりあえずもう始めちゃおう! 多分何人か開幕で挫折するから!」バッ!
プシュー!
新人たち「「!?」」
エメリナ「ど、どうも初めまして……!」ペコペコ!
エメリナ「第二皇子カイン様のメイド、エメリナと申します……!」
エメリナ「今回は、恐れ多くもローズさんの代わりに、夜技能判定の審査員を務めさせていただきます……!」
ルーシェ「……第一皇子アドルラン様の、メイド。ルーシェ、です……」ペコリ
ルーシェ「同じく、ローズさんの代わり、生活技能判定の、審査員、です」
ルーシェ「……ちゃんとお片付けできない人には厳しい採点をしてもいいとのことですので、お覚悟を」
ヒバリ「もう、なんで私またメイド服でなんて……///」
ヒバリ「あ、ごめんなさい。その……ルーシェの先輩のヒバリよ。どうぞよろしく」ペコ
ヒバリ「私が担当するのは新しい分野の書類処理能力。これも意外と大変だけど大事なお仕事だから頑張ってね?」
エリス「だ、第三皇子アベル様に仕えるメイドのエリスです……!」ペコ!
エリス「若輩ものですが、この度ローズさんに代わり最重要科目の戦闘技能判定の審査を担当させて頂きます!」
エリス「代役とはいえ――いついかなる時も、全力で参りますっ!」ゴッ!
新人たち「「」」
メイド「あーっと、新人たちが絶望のどん底に落とされたぁ!」
執事「だろうな……。あの黒髪メイド以外の試験はどう足掻いても地獄そのものに決まっている」
メイド「各自が各分野に突出して凄まじいからね……」
メイド「でもメイド長、急に予定を変えるだなんて何かあったのかな?」
執事「皇女様絡みかもなぁ……」
……
――
――
スミレ「……皆さんが引き受けてくださって何よりです」
スミレ「さて、折角作ったこの時間。有効に使いましょうねアイナさん」
アイナ「う、うん……!」
ローズ「アイナちゃーん? スミレちゃーん? そろそろ出れるわヨー?」
アイナ「は、はいただいま!」
アイナ(ローズさんと、おでかけ……)
アイナ(……)グッ!
特殊判定(先取り含む)
↓1~5コンマ二桁
あ
いつもより多め?
ん
あ
なん……でやねんっ!(白目吐血)
また高速のプロット破壊が確定したあたりで今日はここまでで……
何回も言った気がするけど皆さんやっぱり判定表見透かしつつコンマを自在に操れるのでは?(混乱)
白帝竜が絡む後半の判定はまた後日に取ります
ところで質問なんですけれど、白帝さんって固有名つけた方がいいですかね?(フィーアか誰かが名づける体で)
おっと、混乱していた忘れていましたが、本日もありがとうございました!
白帝さんの名前かー
強くて立派な見た目だけど
小動物っぽいところがあって愛嬌があるとなると
フィーア「ドラ〇もんが良いと思います!普段はドラちゃんで!」
キアラ「まずいですよ!」
こんばんはー
また間がかなり空いてしまい申し訳ない限りです……
せめてまたクリスマスには更新できるよう仕事を片付けておきたい今日この頃
白帝さんの名前は有りのようなので、イベント発生時に安価コンマ判定をとろうと思います
少しだけですが、ローズ隊のお話進めておきます
5連特殊判定結果(>>633より)
1:帝都の治安
59>40
※基準値を超えたため、平和なおでかけ
――
【帝国・帝都】
ガヤガヤ…
アイナ「今日も賑やかですね……」キョロキョロ
ローズ「えぇ。心なしか、以前よりも明るい雰囲気に感じるわネ」
スミレ「以前はちょっといざこざがあったようですけどね」
スミレ「その時は、偶々居あわせたカイン様が騒動を治めてくれたようです」
ローズ「フフ、カイン様にもだいぶいい変化が出てきたわネ」
ローズ「天使達の不安が一つ取り除かれたのは、大きな進展ヨ」ホクホク
アイナ「お二人とも、兄妹仲良くしたいって常々思われていましたもんね」
ローズ「そうヨ。兄妹で争い合うなんてもっての他なんだから!」
スミレ「もっとも、もし皇族のご兄妹が争われたら……」
アイナ「キアラ様とフィーア様が勝っちゃいますよね、多分……」
ローズ「……それは言わないお約束ヨ」
ローズ「あの子達だって稀有な才能に恵まれただけで、本当は争いごとは嫌いなんだから」
アイナ「争い事が好きな女の子って、そもそもいないんじゃ……?」ウーン?
ローズ「あら、アタシは強者と拳を交えるのは結構好きヨ?」
アイナ「」
ローズ「はしたないかもしれないけれど、これが天使を守る力にも繋がると思うと、ネ」ゴキゴキ…
ザワザワ…
帝都民1「お、おいメイド長だぞ……!?」
帝都民2「やばいやばい、なんか拳鳴らしてるぞぉ!?」ガクブル…
スミレ「……ローズさん、今日は休暇のお買いものですので」スッ…
スミレ「普段以上に、レディー面を出しておいた方がよろしいかと……」コソコソ…
ローズ「そ、そうネ……」スッ…
アイナ「……」
アイナ(争うとか、喧嘩は嫌だけど……)
アイナ(――私は、逞しくてカッコいい男の時のローズさんも好きなんですよ?)
……
――
――
……
ローズ「ふぅ……思ったより買っちゃったわネ」
アイナ「そ、そうですね。ちょっとお財布の紐が……」アセアセ
スミレ「いえ、前にボクが見た時よりも安くなっていましたし……」
ローズ「質も良くなっているように見えるワ。王国との交流のおかげかしらネ?」
アイナ「なんだかんだで、ちゃんと帝国と王国も馴染めているのでしょうか?」
ローズ「まだまだこれから、と言ったところネ。急速に溝は埋まらないものヨ?」
スミレ「そうですね。確かに質は良くなりましたが、王国本土と比較するとまだまだです」
スミレ「お店も、手さぐりしている状態なのではないでしょうか?」
アイナ「なるほど……」
ローズ「それでも、良くなったのは確か。これでよりレディーとして身だしなみを整えられるワ!」
ローズ「あなた達も普段から身だしなみに気を使ってくれてるし、本当に嬉しい!」
アイナ「えへへ///」テレテレ
スミレ「ローズさんのおかげですよ///」
ローズ「ふふ、そう言って貰えるとありがたいわネ」
ローズ「待っていなさいアタシの爪にお肌……」
ローズ「すぐに、元以上の美しさにしてあげるワ……!」ゴゴゴ…!
アイナ「ローズさん、元のお肌が綺麗だから大丈夫ですよ!」
スミレ「……」
スミレ「そういえば……」
ローズ&アイナ「「?」」
スミレ「ふと気になったのですが、ローズさんのお肌の手入れ……」
スミレ「いえ、レディーとしての嗜みを身に着け始めたのはいつ頃からなのでしょう?」ハテ?
アイナ「ローズさんがまだ、完璧なレディーじゃなかった頃ってことかな?」
スミレ「そうですね。少し、気になります」
ローズ「あら、乙女の秘密を探りたいお年頃かしら?」
ローズ「そうねェ……」
ローズ「……」
――
――
特殊判定結果
2:ローズの過去の境遇
29(恵まれてはいたが、理解はされず)<50
※基準値を下回った為、過酷な境遇回避
――
ローズ「……そういえば、しっかりとアタシの昔話なんてしたことなかったかしら?」
スミレ「そう、ですね。ボク達からすればローズさんは初めから頼りになる存在でしたし……」
アイナ(私はスミレちゃんよりも前からローズさんを知ってるけど……)
アイナ(だいたい10年くらい前だったかな? あの時から、すごくかっこよくて……///)
アイナ「わ、私も気になります///」
ローズ「ん~……別に大したものでもないわヨ?」
ローズ「一応これでもアタシの家はそれなりに裕福でネ……所謂お貴族様かしらネ?」
ローズ「帝国は実力主義とはいえ、お金の力も強いのもまた事実だけど……」
ローズ「それ以上に、帝国貴族はあることに力を入れていたの」
アイナ&スミレ「「?」」
ローズ「作法と教養、そして美貌。アタシに限らず、貴族は自分の娘達を立派なレディーにしようとしていたのヨ」
ローズ「――皇子様に、あわよくば皇帝陛下に取り入ろうとしてネ?」
アイナ「えっ!?」
スミレ「……なんとも、無謀に聞こえてしまいますね」
ローズ「勿論その通りヨ? 実力至上主義の陛下がそこら辺の貴族の娘に靡くことはありえなかったというか……」
ローズ「まずあのフローレンに見つかった瞬間に、もれなく炭にされるんだもの」
ローズ「だから、貴族達は第一皇子のアドルラン様に目をつけたわけ」
ローズ「もっとも、あの人も媚びてくる女が嫌いだったから、まるで意味はなかったみたいだけどネ……」
ローズ「それでも、鍛えずにさらに裕福な暮らしを追い求める貴族もまだまだ残っていたワ」
ローズ「そういった貴族は、地位は低くとも皇子には違いないとアベル様を狙っていたみたい」
ローズ「まだ子供のアベル様を性的に襲って、手籠めにしようとする悪女もいたそうヨ?」
アイナ「エリスちゃんが聞いたら怒りそうだなぁ……」ブルブル…
ローズ「まあ今のアベル様を見ればわかるけど、結局それも失敗しているワ」
ローズ「貴族の打算的なレディーのお勉強じゃあ、当然の結果ネ」
アイナ「そ、そうですよ! 邪な目的を持っていては、本当の自分磨きなんてできません……!」
ローズ「偉い! 流石アイナちゃん、その通りヨ!」ビシ!
アイナ「えへへへ///」テレテレ
スミレ「……」
スミレ(……カイン様に触れない。これが、今ボクが取るべき最善の行動ですね)
アイナ「……あれ? でもそれだと、作法の勉強をしていたのは女の子だけ?」
アイナ「男の子の貴族はどうしていたんですか?」
ローズ「……女の子よりもっと単純。帝国男子、強くあれ! ヨ」
ローズ「帝国は装備の質も良くなかったのが大きいけど……」
ローズ「王城の正規の騎士団や皇族以外は重鎧や大剣なんて高価なものは手を出せなかった」
ローズ「だから比較的安価な剣やナイフ、もっと行き着くと買い替える必要のない己の拳を武器とする人が多い……」
ローズ「……そしてそんな人たちよりも優位に立ちたいというか、誇示したかった貴族の御坊ちゃまの武器は豪奢なもの」
ローズ「装飾の施された細剣……見た目も綺麗だし、大ぶりな剣やナイフの攻撃も経験を積めばいなせる武器ネ」
ローズ「……」フゥ…
ローズ「とはいえ、所詮は貴族のおままごと。アーシャちゃんみたいな細剣使いの方が極めて稀な存在ヨ」
ローズ「男の子も女の子も、中途半端なお勉強……それが帝国貴族の大部分を占めていたワ」
スミレ「……王国もですが、まともな貴族というものはどこの国でも少ないようですね」
ローズ「そうネ。そしてアタシの家も、漏れなくその駄目な方の家だった……」
ローズ「……一応、昔のアタシは男の子だったから。ひたすらに武術の稽古をさせられたワ」
ローズ「逆に女の子はほとんど作法のお勉強。やることが多岐に渡るから、武芸なんて最後の最後にできるかどうか……」
ローズ「男に生まれても、女に生まれても。結局は不自由な暮らしを強いられるのヨ」
アイナ「……」
スミレ「……」
ローズ「昔のアタシは弱くてネ。別の貴族の娘さんが剣を振らずに紅茶の淹れ方の勉強しているのを見て……」
ローズ「心底思ったものヨ。女の子に生まれたかったってネ……」
アイナ「ローズさん……」
ローズ「だけど、すぐにその考えは改められることになったワ」
アイナ「え?」
――
短いですが今日はここまで
ローズはキャラシートに本名があるので、最初期は普通に男の子だったと認識しています
このままローズ→アイナ→スミレの過去を交えつつ進み、現在でのローズ隊と白帝の小イベント→コンマ偶数ゾロイベントの流れになるかと思います
本日もありがとうございました!
こんばんはー
立て続けにこんなに空いてしまうって本当にもう……
とりあえず、ローズ過去部分だけ投下していきます
――
ローズ「……ある時のこと。その密やかに憧れていた貴族の娘さんはある事件に巻き込まれた」
アイナ「!!」
ローズ「今のアタシからみても、小さいながらに立派なレディーと言える、本当に気品溢れる子だったんだけどネ」
ローズ「……武芸まで、手はまわっていなかったのヨ」
ローズ「帝国は実力主義。最終的には、武力が持ち出されるワ」
ローズ「もし、あの子もせめて身を守る術を知っていれば……」
アイナ「……」
ローズ「ただ闇雲に剣を振るうだけの男の子には品格が足りない……」
ローズ「でも所作が洗練されても戦えない女の子は餌食にされてしまう……」
ローズ「――強く、美しく。両方兼ね備えた人こそが、一番なんだって気がついたのヨ」
スミレ「それで、今のローズさんに……」
ローズ「ええ。まあアタシは元々からして、女の子のドレスとかに憧れていた節はあったんだけれどネ……」
ローズ「正直に両親に話したら、見事に勘当されたワ」
アイナ「そ、そんな!」
ローズ「まあ覚悟は決めていたけれどネ。あの家にいたところで、アタシは一生強くも美しくもなれなかったと断言できる」
ローズ「そして一人放り出されたアタシは……まず剣を捨てて、拳を鍛えたワ」
スミレ「拳を、ですか?」
ローズ「そうヨ? 強く男らしくなるには、自分の肉体が基本だもの」
アイナ「あれ? でも男の子だけじゃ駄目だから女の子の勉強もするんですよね?」
ローズ「うーん……自分で言うのも変だけれど、アタシのこれは自分でも変わっている自覚はあったしネ」
ローズ「両親の反応もそうだけれど、一般的にはアタシがレディーの作法を学ぶなんて変な目で見られたワ」
ローズ「――だからまずは男を、力を磨くの。実力主義なんだから、強ければ多少変わっていようが認めざるを得ないでしょう?」
アイナ「な、なるほど」
ローズ「しばらく生き延びるために喧嘩に明け暮れた後は、王城の使用人試験に向かったワ」
スミレ「兵士志願ではなかったんですね?」
ローズ「あなた達ならわかると思うけど、兵士よりもメイドや執事の方が覚えなきゃいけないこと沢山あるでしょう?」
ローズ「一人前のレディーを目指すにおいて、これ以上の適職はないわヨ?」
ローズ「まさかちゃんとした知識も教養も無い人が、誰かのお世話なんてできないでしょう?」
アイナ「確かに言われてみると……」
ローズ「まあ、それでも当時からして最優先は武力だったんだけれどネ……」ハァ…
ローズ「合格した後は、王城内の平執事から始めたワ」
スミレ「メ、メイドじゃなかったんですか!?」
ローズ「……本当はそっちのほうがよかったんだけれどネ」
ローズ「自分でも未熟とわかっている状態で、まだ早いと思ったのヨ」
ローズ「でも同時に活力にもなったワ。いつか、あの可愛いメイド服を着てやるんだって……!」
ローズ「ゆくゆくは、アタシの趣味も取り入れたさらに可愛いメイド服にしてやるんだってネ!」グッ!
アイナ「私が今、このメイド服を着られているのもローズさんのおかげなんですよね……」ヒラヒラ
ローズ「アイナちゃんが私の趣味をわかってくれる子で本当に嬉しかったわぁ……」
アイナ(確かにこのデザイン好きだけど、本当は少しでもローズさんに近づきたいからなんだけどね……///)
スミレ「……メイド服じゃないローズさん、ですか」
スミレ「きっとボクよりもずっと上手く執事服も着こなされたんでしょうね……」
アイナ(うん! カッコいいよ執事ローズさん///)グッ!
ローズ「当時のアタシはまだまだだったわヨ? 与えられる仕事も雑務ばかり……」
ローズ「でもそんな雑務の中で、一つの出会いがあったの」
アイナ&スミレ「「出会い?」」
ローズ「ええ。メイド長という今のアタシを生み出す原因になったとも言えるわネ」
ローズ「……もう、十数年前かしら?」
ローズ「そうあの日……」
――――
―――
――
―
~~~~
……
【帝国・王城】
フローレン「それじゃあ、よろしくねぇ?」
上級メイド達「「はっ!」」ビシ!
ローゼン「……」
下級メイド達「「……」」ブルブル…
フローレン「あら、あなた達は余っちゃった子かしらぁ?」
フローレン「まだ新米みたいだけどぉ……あ、そうだわぁ!」ポン!
フローレン「優しい私が、特別にお仕事をあげるわよぉ?」
フローレン「どれだけ家具を割ろうが、お茶をぶちまけようが怒らないから安心なさいな?」
下級メイド「ど、どのような……?」ブルブル
フローレン「――妾のノワールのお世話よ」
下級メイド達「「!?」」
フローレン「ああ、ついでに庭園の草むしりもお願いしとこうかしら?」
フローレン「それじゃあ私は用事があるし失礼するわぁ。頑張ってねぇ?」ヒラヒラ
……
下級メイド1「ど、どうしよう……」ガタガタ…
下級メイド2「妾って言っても、一度は陛下が選ばれるような方……」ガタガタ…
下級メイド3「もし、また何か失敗をすればきっと……!」ガタガタ…
ローゼン「……」
ローゼン「まずは、俺……が行きます。仮に罰を受けたとして、一番丈夫なのは俺ですから」
下級メイド1「た、確かに戦闘技能ではローゼン君が一番だったけれど……本当にいいの?」
ローゼン「ええ。草むしりとかを先輩に押し付けることになってしまいますが……」
下級メイド2「ううん全然全然!」ブンブン!
下級メイド3「私達毟るの大好きぃ!」
ローゼン「では……」
……
――
――
……
ローゼン「……」ツカツカ…
ローゼン(フローレン妃は、どうにも好きになれないけど……)
ローゼン(所作は、紛れもない淑女のもの。皇妃ともなれば、当然に求められるもの……)
ローゼン(今の身分じゃとても近づけないけど、妾とはいえ同じく妃のノワール様のお世話……)
ローゼン(至らないだろうけれど、レディーとしての知識を得られるまたとない機会……!)
ローゼン「……」スゥ…
コンコン
「はい。開いていますよ?」
ガチャ…
ローゼン「……失礼致します。本日のお世話を担当させて頂きます、ローゼンとっ――」
ノワール「あら、わざわざありがとう。ちょうどさっき焼き菓子を作ったのだけれど、いかがです?」
ローゼン「」
ノワール「できれば私以外の誰かに味の感想を聞きたかったのだけれど……」
ローゼン「」
ローゼン(な、なんだこの人は……!?)
ローゼン(ドレスじゃない、とても皇妃が着るとは思えない質素な黒衣なのに……見事な着こなし、そして滲み出る気品!)
ローゼン(それでいて、隙が無い……! 間違いなく、戦闘経験を積んだ強者の気配……!)
ローゼン「……!」ハッ!
ローゼン「し、失礼致しました。しかし私如きに……」
ノワール「ふふ、もっと楽になさって? そっちの方が私も嬉しいわ」
ローゼン「で、では恐れ多いですが……いただきます」サク!
ローゼン「っ、お……美味しい!?」
ノワール「ふふ、よかった。あ、紅茶も用意した方がいいかしら?」
ローゼン「ま、待ってください! 私がすぐに用意致しますのでっ!?」バッ!
――
――
ローズ「いやぁ、あの日は色々と驚いたわねぇ……」シミジミ…
アイナ「ノワール様の、お世話係……」ゴクリ…
スミレ「本来であれば、とても雑務とは思えないですね……」
ローズ「そもそもあの人に、お世話役なんて不要だったと思うけどネ」
ローズ「フローレンとしては、あえて経験の浅いメイドや執事を宛がうことで……」
ローズ「慈悲深い皇妃様は、妾にもちゃんとお世話役を送っているという体を取りたかったのかしらネ?」
ローズ「まあ多分、あの言い振りからするとミスをしてノワール様に紅茶をぶっかけて欲しかったのかもしれないケド」
ローズ「仮にアタシがぶちまけたとしても、多分ノワール様なら回避するか凍らせるかしたと思うワ」
スミレ「当時から、既にお強い方だったんですね……」
ローズ「……ええ。あの時感じたのは、確かな強さと気品。アタシが求めるものを、あの人はもう持っていたの」
アイナ「確かにノワール様、レディーですよね。色々なことに精通なさっていますし……」
スミレ「……改めて思うと、ボクらはローズさんを目標としていますが、ノワール様も十分に目標にすべき方ですね」
アイナ「うんうん……。でもそっかぁ……」
ローズ「?」
アイナ「当時のローズさんにとって、ノワール様が目指すべき目標だったんですよね?」
ローズ「そうネ。気品に加えて、隠し刃のようなあの強者の圧は憧れたワ」
アイナ「……か、髪とかも、やっぱりノワール様みたいな艶やかな黒髪に憧れますかっ!?」
ローズ「ん? ん~……確かにあの髪はとても綺麗とは思うけど、アタシは明るい色の方が好きかもネ?」
アイナ(よし!)グッ!
スミレ(アイナさん、露骨過ぎますよ……)
ローズ「……でも、アタシにとってノワール様は憧れではあったけど、本当の出会いはまだまだなのヨ?」
アイナ&スミレ「「え?」」
ローズ「ノワール様は、アタシなんかにも気さくに接してくれたワ」
ローズ「正直、聞いていた噂は冷徹冷酷って話ばかりだったから面食らったけど……」
――――
―――
――
―
……
ノワール「あら、嬉しい。今日もあなたなのね」
ローゼン「……申し訳ありません」
ノワール「どうして謝るのですか?」
ローゼン「……私は執事です。だというのに、紅茶の淹れ方から何まで、ノワール様のお手を……」
ノワール「ふふふ……別に構わないのに」ニコニコ
ローゼン「……」
ノワール「……意外かしら?」
ローゼン「え!?」ドキ!
ノワール「闇夜に溶け込み、多くの敵兵を葬ってきた私が、こんなことをしているだなんて?」
ローゼン「……いえ、そのような」フルフル…
ローゼン「その……正直に言ってしまうと私は、貴女様に憧れの感情さえ抱いています」
ノワール「あら……」
ローゼン「強く、美しく……男も女も関係なく、私の目指す姿といいますか……その」
ノワール「……ありがとう。自分でも、まさかこんな風になるとは思っていなかったのですけれどね」
ローゼン「?」
ノワール「……私は、あの人の隣にはいられない。けれど、あの人から子供を授かった……」
ノワール「こんな私に、子供が出来た。私と違ってしっかりと育ってほしい、そう思うと……」
ノワール「――母親として、あの子に色々教えてあげたい。だからこそ、まずは自分が色々と磨かないといけない」
ノワール「あの子のことを思えば、どんな勉強も全然苦になりませんもの」フフフ
ローゼン「……とても、大切になされているのですね」
ノワール「ええ、とても大切です。アベルも、そして……あの子達も」
ローゼン「……達?」
ノワール「たとえ私と血は繋がっていなくても、あの人の子供。アベルの大切な兄妹ですもの……」
ノワール「あ、そういえばまだあなたにちゃんと挨拶をさせていなかったかしら?」
ノワール「ちょっとだけ待っていてくださいね。もうすぐアベルも鍛錬を終えてくる筈だから……」
ガチャ…
幼アベル「母上、午前の鍛錬を終えて参りました」スッ
幼アベル「この後は座学で……ん?」
ローゼン(この子が……)
幼アベル「母上、こちらの方は?」
ノワール「ローゼンさんよ。私のお世話をしてくれている優しい人ですよ?」
ローゼン「いえ、私など……」
幼アベル「ローゼンさん……」
幼アベル「初めまして、第三皇子のアベルでございます」ペコリ
ローゼン「か、顔をお上げください!? 私のような見習い執事にそのような……!」
ノワール「ふふ、でも前回の紅茶の淹れ方……かなり手際がよかったですよね?」
ノワール「きっとすぐに、優秀な執事になれますよ。 アベルも教わってみたらどうかしら?」
ローゼン「!?」
幼アベル「……そうですね。俺は、様々なことを学んで強くならなければなりませんからね」
ローゼン(荷が重すぎる!?)
アベル「ただ、今は――」クイクイ
ローゼン「ん?」
幼キアラ「にーたま、ごほんよんで……?」
幼アベル「ああ、待っていろキアラ。あまり時間は無いが、好きな本を読んでやるからな」
ローゼン「――天使がいるワ!?」ヴッ!
幼アベル「!?」ビク!
幼キアラ「!?」ビク!
ノワール(……わ?)
ローゼン「!!!」ハッ!
ローゼン「し、失礼致しました!」フキフキ!
ローゼン(あ、危ない危ない。こんなところで取り乱すなんて、全然駄目……)
ローゼン(ああ、でも……)チラ
幼キアラ「」ビクビク…
幼アベル「よしよし、大丈夫だぞキアラ……」ナデナデ
ローゼン「ん゛んっ!」ビクン!
ノワール(……丁寧な紅茶の淹れ方といい、もしかしてこの子……)ジー…
ドタドタ!
帝国兵「し、失礼致します! キアラ様はこちらにおりますでしょうか!?」ザザ!
ノワール「……ええ。ここに。どうされました?」
帝国兵「その、実は……」
幼フィーア「ぴええええぇぇぇぇぇぇぇ!」ジタバタ!
帝国兵「あたた!? フィーア様が、また泣き止まなくてですね……!」
帝国兵「確か、キアラ様には特に懐かれているようでしたので、どうにかしていただければと……」
キアラ「……」
キアラ「……」トコトコ…
アベル「キアラにはまだ重いだろう? 俺がフィーアを持つから、その間にあやしてくれ」スッ
帝国兵「か、かしこまりました」スッ…
アベル「よ……と。ん?」
キアラ「あ……?」
幼フィーア「あぅ、だぁ~♪」ニコニコ
帝国兵「驚いたな。やっぱりキアラ様達の傍にいた方がフィーア様も……」
帝国兵「……」
帝国兵「その……申し訳ありません。後でフローレン様がいらっしゃるかもしれませんが……」
ノワール「……ええ。彼女が戻るまで、私達でフィーアの面倒はちゃんと見ておきます」
帝国兵「ありがとうございます……!」ペコリ
タタタ…
幼フィーア「きゃっきゃっ♪」
幼キアラ「よし、よし……」ユサユサ
幼アベル「ふふ、こうしてるとキアラももうお姉さんだな?」
ノワール「ええ、本当に……あら?」
ローゼン「」ボタボタ…
一同「「」」
――
――
ローズ「……その日、私は二人の天使に出会えたのヨ」
ローズ「ノワール様にも、アタシの趣味が色々ばれちゃったけど……」
ローズ「あの人はそれでも、アタシを受け入れてくれた」
ローズ「だから、あの部屋でだけは……あの子達の前でだけは、あの頃からアタシは自分自身を曝け出せたワ」
ローズ「……流石に外では表に出せなかったけどネ?」
アイナ「そんなことが……」
スミレ「本当にキアラ様とフィーア様が幼い頃から、お二人を守ってきたのですね……」
ローズ「……フィーアちゃんのあの笑顔は、絶対に守ってみせると自分に誓ったワ」
ローズ「それにキアラちゃんの、お兄ちゃんの袖を引っ張りながらの精一杯のアピール……!」
ローズ「アタシったらいつの間に天使を二人も産んでいたのかって、変な気分になっちゃった程ヨ!」クネクネ
ローズ「まあ、そこからネ。王城で働きつつ、ノワール様のところで自分を解放しつつ知識を学び……」
ローズ「アベル様も、どこか危なっかしい気もしたけどアタシには気を許してくれたみたいだし」
ローズ「アベル様の後ろについてきた天使達とも会えて、楽しい時間だったわぁ……」
アイナ「でも……」
ローズ「……ええ。それから数年もしないうちに、アベル様とカイン様は暗黒街に捨てられたワ」
ローズ「思えばあの時のアタシも天使に浮かれて、周りが見えていなかった……」
ローズ「あれだけ子供達を前ににこやかに笑うノワール様が、どうして時々表情を曇らせるのか……」
ローズ「どうして、アベル様はノワール様の教育を必死に頭に叩き込んでいたのか……」
ローズ「きっと、その時が近いことがわかっていたのネ……」
ローズ「それからノワール様もどこかへ連れられて……天使達は拠り所を失ってしまった」
ローズ「……だから、残されたアタシが二人を守らないと。より強い決心を固めて、さらなる修行にはげんだの」
ローズ「もう王城内でアタシの本性を剥きだしにしても、誰も何も言えなくなるくらい……」
ローズ「天使達が、アベル様にまた会いたいと願ってもそれを強行できるくらいに、ネ……」
ローズ「あとは二人も知る通り、いつも天使達を気に掛けるメイド長ローズヨ?」
スミレ「ローズさんがキアラ様達に強い想いをもってお世話する理由、少しわかった気がします」
アイナ「うん!」
アイナ(……やっぱり、ローズさんは憶えてないよね)
アイナ(今のお話だと、まだ修行中の頃だったのかな?)
アイナ(それでも、私にとってはあの日……///)
――――
―――
――
―
と、ローズの過去語りが終わって次にアイナというあたりで今日はここまで
せめてクリスマス用にまた小ネタを用意で来たらとか考えている場合ではありませんね
本当に一年って早いというか、年明けたら少しは時間取り戻せるかなぁ……
本日もありがとうございました!
フローレンの方が似合いそうな気もする
ノワール「フローレン。左で撃ちなさい」
フローレン「なんなのなんなの氷影の暗殺者があなた」
ノワール「左で撃ちなさい」
フローレン「……やってやろうじゃないのよぉぉぉ!!」
こうか
生存報告です……本当に申し訳ありません
ようやく職場のデスマーチが終わった為、少しづつですが明日から更新を再開できればと思います
年始イベントとか挟めればよかったのですが、イベント途中の為少々難しいかもです
こんばんはー
ぎ、ぎりぎりまだ今日の筈……
だいぶ間が空いてしまいましたが、再開します
――
特殊判定結果(>>635)
3:アイナの過去の境遇(キャラシートより平民以上は確定)
53(平民街で、苦労しながら細々と)>50
※基準値を上回った為、少し過酷な境遇
――
……10年前……
アイナ母「アイナ、本当に大丈夫かい……?」コホコホ…
幼アイナ「う、うん……! わ、私だってもう立派な大人だもん……!」
幼アイナ「お母さんのお薬くらい、一人でも買いに行けるよ……!」
アイナ母「ごめんねぇ……こんな時に、風邪をこじらせるだなんて……」コホコホ…
アイナ母「私が行ければいいんだけど、眩暈が酷くて……」
幼アイナ「だ、駄目だよじっとしてなきゃ!」ワタワタ
――
私の家は……所謂、平民の家だった。
帝国と言う国の中では、どちらかと言えば恵まれている方ではあったと思う。
隅っこの方とはいえ、帝都で暮らせていたのだから。
雨の降り込まない石造りのお家。
贅沢はできないけれど、毎日何かを食べることができた。
硬くて軋むけど、安心して眠れるベッド。
過酷な貧民街に比べたら、なんて恵まれた環境だろう。
帝都で暮らす。これは貧民街の住民なら誰もが憧れることだ。
そして同時に、ステータスでもある。
帝都で暮らせるイコール、程度の差はあるけど立派な実力者。
貧民や、上がり立ての平民に対して強く出ても許される身分。
彼らを搾取して、取り込んで、奪って……
その身を肥やして、やがて帝都内でもその地位をあげることはできる筈だ。
――
アイナ母「ごほごほ……! アイナ、わかっているね……?」
アイナ母「絶対に、絶対に無茶は駄目だよ?」
幼アイナ「うん、大丈夫……!」
幼アイナ「お父さんの代わりに、私がお母さんを助けるんだから……!」
アイナ母「アイナ……」
――
でも、私はそんなことはできなかった。
帝国人らしくないのかもしれないけれど、私は誰かから何かを奪ってまで幸せになろうとかは思えなかった。
……仮に思えても、私は返り討ちにあって逆に毟られていただろうけど。
私は――私の家は、帝都の平民ながらに……貧民街にも劣る程の弱い家だったから。
あの頃の私は、ただの取り柄の無い子供で。
お母さんは、働き過ぎで体調をよく崩していた。
そんな私達が帝都で暮らせていたのも、全部お父さんのおかげ。
腕っぷしに自信があったお父さんは、末端だけど帝国騎士団の一員を務めていた。
実力主義、とりわけ武力がものを言う帝国において……
皇帝陛下の御膝元、帝国の兵になれるということは帝国の人間の中では最も選ばれた存在と言ってもよかったと思う。
貧民も、平民も、お金のある貴族さえもが、帝国の兵士を夢見た。
兵士であれば、たっぷりとお給金が出る。
兵士であれば、貧民は勿論平民からも徴収できる。
兵士であれば、弱者として扱われることもない。
兵士であれば……
――奪われることはもうない。そこまでは、言い切れなかった。
少し考えれば、わかることだ。
兵士は、強者。
強者は、多くを得る。
強者は――お金を持ち歩いている。
どんな手を使ってでも、奪い取りたいに決まっている。
いくら強者だなんていっても、皇帝陛下に比べれば誰もが弱者だ。
そして誰もが夢見て、安定した暮らしが確約される帝国兵士になってしまえば。
大抵の人は、その『ゴール』に安心しきってしまう。
確かに恵まれた身体に装備、油断してもそこら辺の人に負けることはないんだろう。
――まさか、兵士の自分がただの人に負けるとは思っていなかったんだと思う。
大人になった今ならわかる。どんなに強い人も、囲まれたら危ない。
多人数を相手にしても大丈夫なのは、本当に血の滲むような鍛錬を積んだ人か……
或いは、本当に生まれ持った才を持つ人だけだ。
帝国は実力主義。
たとえ兵士でも、敗ければそこまで。
平民でも貧民でも誰でも、倒した人が全てを奪い去れる。
『鍛錬を欠かしてはならない。現状に満足してはならない!』
遅咲きだったという第一皇子様が、当時から口にしていた言葉らしい。
全くもってその通り。兵士は『ゴール』なんかじゃない。
むしろ『牙持つ弱者』は、そんな兵士にこそ狙いをつけているんだろう。
――お父さんは、夜道で囲まれて、何もできないままに全てを奪われた。
お金も。
剣も。
鎧も。
服も。
命も。
私達との、時間も。
二度と取り返すことなんてできない。
私とお母さんは、当然だけど泣いた。
だけど泣いたところで、何も事態が好転しないことぐらいは子供でもわかった。
だから、悲しくて悲しくて仕方がないのに。
しばらくしたら、冷静に二人ともこれからのことを考えていた。
泣いても、お父さんはもう帰ってこないんだから。
泣いても、お腹は膨らまないんだから。
泣いても、お父さんの貯金はもう増えないんだから。
泣いても、この国では敗けたお父さんが全て悪い事実は変わらないんだから。
お母さんはすぐに、涙を拭った。
私にこれまでの暮らしを続けさせる為に、お母さんは奮い立ってくれた。
お母さんは戦えなかったけど、立派な人だった。
心が、強かった。
たとえお父さんを失っても、こんなにいいお母さんが傍にいてくれる。
私はそれだけでも、ずっと恵まれていた。改めて、そう思える。
――
アイナ母「ああ、心配だよ……」
アイナ母「お前は優しい子だから、武器も握ったことがないし……」
幼アイナ「だ、大丈夫! フライパンなら、握ってるよ!」グッ!
アイナ母「ああやめておくれ。そんなもので下手に武装しようものなら、逆に狙われるわよ!」
アイナ母「いいかい? 帝都で生き延びるには、堂々とすることだよ?」
アイナ母「たとえ何もなくとも、堂々としていれば、それだけで人は立派に見えるんだからね?」
幼アイナ「う、うん……」
アイナ母「それでも何かに巻き込まれそうになったら、知り合いの兵士の人を探すんだよ?」
幼アイナ「わかった!」
――
お母さんは私と違って、とてもしゃんとした人だった。
お父さんが死んじゃってからも、全然それを気にした素振りも見せないように振る舞った。
悲しいと正直に口には出していたけど、それでも前を向いてお店を開いた。
盛況……とは言えなかったけど、毎日を生きていくには十分だった。
お父さんと仲がよかったという兵士の人達が、よく顔を出してくれたのも大きいと思うけど。
……私は子供ながらにその時、この国の厳しさを改めて耳にしてしまった。
お父さんと仲良しだった兵士の人がある時、お母さんを訪ねてきた。
いつものお買いものかと思えば、私はどこかに行っているように言われて。
純粋に気になってしまった私は部屋に戻るふりをして、ついつい陰から聞き耳を立てていた。
――お父さんの仇が、もう死んだ。そういった内容だった。
お父さんを殺したのは、貧しい平民数人だったらしい。
彼らはお父さんを殺してその全てを奪った。
そんな彼らは、実はこの直後にお父さんの後を追っていたらしい。
戦利品を確認――誰もがお金を数える中、一人だけ真っ先に剣と鎧を確保した人がいたらしい。
そのままその装備で、さっきまで協力していた仲間全員を殺したそうだ。
こうすれば確かに一人あたりの取り分は増えるどころか、総取りになる。
そして協力者が黙れば、自分一人で帝国の兵士を倒したと偽ることもできる。
一人で兵士を倒す、これは立派な強者の証明。
力を示したとされ、そのまま空いた席に兵士をして登用される。
最下層から一気に登りつめる。きっとその人も、幸せだったことだろう。
でも。
何もできないまま殺されちゃったお父さんは、確かに帝国の兵士としては恥ずかしかったのかもしれないけれど。
それでも、私にとっては優しい頼れるお父さんで。
そして――誇らしいことに、お父さんは隊の中では円滑な交友を築き上げていたらしい。
なり上がったお父さんの代わりの兵士を、数日の内にすぐにお父さんの仲間の一人が問い詰めたらしい。
返答は帝国ではお決まりのもの。敗けた奴が悪い。
実力主義。誰もこれには逆らえない。
その人も、笑いながらそう言ったらしい。
――そうだな。じゃあ今度は、俺と決闘しようじゃないか。
お父さんの仲間は、そう言い返したそうだ。
帝国の兵士といえど、結局は帝国民の一人に過ぎない。
だからこそ死んだら自己責任なのは変わらない。
だけど兵士間には、この決闘の仕組みがあった。
皇帝陛下があまりにも強すぎ、ほとんどの兵士が現状に満足してしまった状態では、風化寸前だった制度。
一対一の、王城で行われる正式な戦い。
多くの他の兵が観客として集まるその場から、逃げ出すことなんてできない。
結局、束にならなければお父さんを殺せなかった人に、正面の決闘なんてできるわけも無く。
その人は決闘の場で、真っ先に喉を潰されて降参を口にすることもできないまま殺されたらしい。
私は、その報せを喜べなかった。
兵士の入れ替わりが珍しくも無い帝国だけれど、こうして即座に仇討がされるのは非常に稀なケースであると……
後になってから知った今からすれば、お父さんの仇を討とうとしてくれた人がいる、お父さんの人望こそ喜べるけれども。
子供だった私にとっては、お父さんが帰ってくるわけでもなく。
この国の現実をただ突き付けられたみたいで、複雑だった。
帝国は無慈悲な国だ。
だけど、戦えなくても生きていくことはできる。
戦えても、生きることができないこともある。
お母さんとお父さんは、それを私に教えてくれた。
お父さんはもういないけれど、お母さんはまだいる。
だから残されたお母さんと一緒に、頑張って生きて行こうって。
ずっとそう思っていた。
――
幼アイナ「すぐに、お薬買ってくるからね!」タタタ!
――
本当は、一人で外に出るなんて怖かった。
でも、あの時お母さんを助けられるのは自分だけだって思っていた。
お母さんがいつも以上の高熱で倒れて、私もきっと焦っていたんだろう。
大人しく、私にできる看病を部屋の中で続けていればよかったのかもしれない。
少し待てば、きっといつもの兵士の人がお店に来ていた筈なんだから。
事情を話せば、私のお買い物に同行くらいはしてくれたと思う。
でも、今こうして生きているからこそ言えることだけど。
私はあの日、勇気を振り絞って一人で買い物に出たことを褒めてあげたい。
あの一歩があったからこそ。
私は、運命の出会いを果たせたんだから。
――
……
幼アイナ「あ、ありがとうございました!」
商人「嬢ちゃん、気をつけて帰りなよぉ!」
幼アイナ「や、やった……!」
幼アイナ「私でも、一人でこんな遠くのお店でもお買いものできた……!」
幼アイナ「お母さん、褒めてくれるかなぁ……?」
幼アイナ「……ううん、今ははやくお薬をお母さんに飲ませてあげないと……!」タタタ!
幼アイナ「はやく、はやく……!」タタタ!
ドン!
幼アイナ「きゃ!」ドシャ!
大男「あん? なんだこのガキ?」
幼アイナ「ご、ごめんなさい!? 私、急いでて……!?」ビクビク
大男「おーおー、おめえがぶつかったせいで、こりゃ腕が折れてるぜぇ?」ズイ!
幼アイナ「ひ、そんな……!?」ガタガタ…
大男「こりゃあ、治療費払って貰わねえとなぁ?」
大男「ついでに、その身体もなぁ……?」ハァハァ
幼アイナ「や……やあぁ……!?」
ガシ!
幼アイナ「!?」
大男「あん!?」
ローゼン「……」ギリギリ…
大男「な、なんだテメェ!? 離しやがれ!」ググ…
ローゼン「……」ハァ…
ローゼン「子供相手に脅迫に欲情だなんて……」
ローゼン「少し、俺とお話でもしようか?」
幼アイナ(お城の、執事の人……?)
幼アイナ(か――かっこいい///)ポー…
アイナ過去イベント途中ですが、今日はここまで
本当に月日が経つのは早いものですね……
明日は来れるか怪しいというか、皆さまもお忙しい筈ですので、少々早いですがご挨拶を
本編を無事に完結まで持って行けて、こうしておまけを書いていられるのもひとえに参加してくださる皆様のおかげです
改めまして、今年一年このスレにご参加くださり、本当にありがとうございます
だいぶゆったりになってしまいましたが、お付き合い頂ける方は来年度もどうかよろしくお願いいたします
それでは皆様、よいお年を!
明けましておめでとうございます
本年度も亀更新かと思いますが、よろしくお願いいたします
お酒は過去回想が終われば少し挟んでみようかと思います
こんばんはー
改めて今年もよろしくお願い致します
ゆったり再開しますが、新年早々にやる内容じゃないなぁ……
イベントにくぎりがついたら、また軽いものをいれたいと思います
――
……
大男「」ピクピク
ローゼン「やれやれ……」パンパン
ローゼン「図体と態度は大きい癖に、この程度か?」
幼アイナ(す、凄い……)
幼アイナ(あんなに大きくて強そうな人を、一瞬で倒しちゃった!)
幼アイナ(かっこよくて、強くて……)
ローゼン「……君、大丈夫だったか?」スッ…
幼アイナ(それに、優しくて……///)ポー…
ローゼン「やっぱり、ショックが大きかったか……?」ポン
幼アイナ「ひゃい!?」ビクン!
幼アイナ「あ、その……助けてくれて、ありがとうございます!」ペコリ
ローゼン「ん、無事そうで何より。気をつけるんだよ?」
幼アイナ「は、はい!」
ローゼン「……」
ローゼン「……天使達を少し待たせるけど、この子をこのままにも……」ブツブツ…
幼アイナ「天使?」
ローゼン「あ、ああ、なんでもないヨ。さ、こいつが起きないうちにお家に送ってあげよう」ヒョイ
幼アイナ「ひゃ!? えっ!?///」カカエラレ
ローゼン「お家はどっちかな?」
幼アイナ「あ、あっちの方です///」スッ
ローゼン「しっかり掴まって。一気に走るからネ!」ダダダダダ!
幼アイナ「きゃあああぁぁぁぁぁぁ!?」ガシ!
……
【アイナの自宅】
ローゼン「よし、到着」ザッ!
幼アイナ「はわぁ……///」ストン
アイナ母「アイナ!?」
幼アイナ「ふぇ? ……お、お母さん!?」ワタワタ
アイナ母「だ、大丈夫かい? なんだか顔が偉く赤いけど……」
幼アイナ「う、うん。危ないことがあったけど、この人が助けてくれたの!」
アイナ母「まぁ……! 申し訳ありません、うちの娘がご迷惑をっ!」バッ!
ローゼン「いえ、自分は偶々居あわせて、見過ごせなかっただけです」
アイナ母「大したものはありませんが、是非お礼を……!」
ローゼン「お気持ちだけで結構です。それでは、仕事の途中ですので、失礼致します」ペコリ
幼アイナ「あ」
ダダダダ!
幼アイナ「行っちゃった……」ガクリ
幼アイナ「お名前、聞きそびれちゃったなぁ……」
アイナ母「そうだね。でもそれ以上に!」
幼アイナ「!」ビク!
アイナ母「あれだけ言ったのに、この子ったら……!」
幼アイナ「ご、ごめんなさいぃぃ!」
幼アイナ「でも、ほら! お薬、ちゃんと買えたよ!」ニコリ
アイナ母「本当にもう、この子は……!」ダキ!
……
数日後……
アイナ母「ふう、アイナの薬で完全復活!」グッ!
アイナ母「いい加減に店も再開させないとねぇ」
幼アイナ「お母さん、私もお手伝いするよ……!」ヨタヨタ
アイナ母「こらこら、休んでなさい。お母さんは大丈夫だから」
アイナ母「……アイナ、急にどうしたんだい?」
幼アイナ「え?」
アイナ母「前から手伝いはしてくれてたけど、ここ最近は全部やろうとするじゃないの?」
アイナ母「嬉しいけど、無茶は駄目よ?」
幼アイナ「お、お母さんが言っても説得力ないよっ!」プンプン!
アイナ母「はは、確かにね」
幼アイナ「……私ね、やりたいことができたの」
幼アイナ「――私もいつか、あの執事の人みたいな立派なメイドになるの!」グッ!
幼アイナ「お城のメイドならお給金もいいし、お母さんにも楽をさせてあげられるよ!」
幼アイナ(……それに、あの人にもう一度会えるかもしれないし///)
アイナ母「メ、メイドってアイナ……簡単に言うけれど、大変なんだよ?」
アイナ母「料理に掃除洗濯、それに夜戦……げふん、夜遅くまで起きてなきゃいけないお仕事もあるかもしれない」
アイナ母「何より、採用の基準を大きく占めるのは戦闘技能よ? あなた、あんまり戦うのは好きじゃないでしょう?」
幼アイナ「も、もう決めたんだもん……! 頑張って、いつかメイドになってみせるもん……!」
アイナ母「やれやれ……アイナはたまに私には予想もつかない行動力をみせるからねぇ……」フゥ…
アイナ母「……まぁ、確かにアイナは掃除や料理好きだし、向いている職ではあるのかね?」
アイナ母「……わかった。今すぐは無理だろうけど、いつかなれるように、頑張るんだよ!」
幼アイナ「うん! 約束!」グッ!
……
――――
―――
――
―
アイナ(……あの日から、私は地道に修行を続けた)
アイナ(何年もかかっちゃったけど、試験に合格できた喜びは今も覚えている)
アイナ(お母さんも一緒になって飛び跳ねてくれて……)
アイナ(焦がれていたローズさんの見た目はだいぶ変わっていたけど、中身は変わっていなくて)
アイナ(あの日がなければ、今の私はいなかった……)
アイナ(ローズさん、私は……///)
ローズ「アイナちゃん?」
アイナ「ひゃわぁ!? すみません!?」ビクン!
ローズ「なんだかぼーっとしてたみたいだけど、大丈夫?」
アイナ「だ、だい、大丈夫です!」ブンブン!
アイナ「ちょっとローズさんの昔のお話を聞いていたら、私も昔を思い出しちゃって……」
ローズ「ああ、アイナちゃんも昔は大変だったのよネ?」
ローズ「お父さんを早くに亡くされて、お母さんの為に頑張ってメイド試験を通って……本当にいい子ネ」
アイナ「えへへ……/// 今のメイド修行も大変ですけど、頑張ります!」グッ!
ローズ「その意気ヨ!」グッ!
スミレ「……」
スミレ(アイナさんの正体に、ローズさんは気がついていない)
スミレ(……無理もないとは思う。アイナさんの話では、合格当日からローズさんの格好を真似たというし)
スミレ(それでも、今のアイナさんをローズさんが可愛がっているのは間違いない)
スミレ(頑張りましょう、アイナさん……!)グッ!
スミレ(……そう。大切なのは、過去じゃなくて今だ)
スミレ(どんなものであれ過去を乗り越えて進んで、ボク達は今を生きている……)
――――
―――
――
―
――
特殊判定結果(>>636)
4:スミレの過去の境遇(キャラシートより最低過酷は確定)
59(王国の貧民。クラウスに期待を寄せていたが……)>55
※基準値を上回った為、追加の過酷な境遇。追加判定有
――
……数年前・王国領……
スミレ「……」グウゥゥ…
スミレ「お腹、空いたな……」
スミレ「ちょっと早いけど、お米齧っておこうかな」ガジガジ
――
私の家は……貧しかった。
帝国の貧民と比べれば、血生臭い目にあったりしない分は幾分恵まれてはいたと思うけど。
それでも、裕福とは言えなかった。
国王と貴族は際限なく自分の富を優先し、民に重い税を課していた。
せめてもの救いだったのは、貴族の中にも優しい人が少数だけど存在していたことだ。
――
貴族「……」スタスタ…
スミレ「あ……」
貴族「む、なんだこのパンは! 全部にカビが生えているではないか!?」ガサガサ
貴族「こんなゴミなど食えるか!」ポイ!
スミレ「っと!」キャッチ!
貴族「ほほ、私が捨てたゴミに飛びつくとは卑しいのう」
貴族「……もっと我が家から沢山ゴミを持ちだせたらよかったものを」
スミレ「……!」ペコペコ!
貴族「礼など不要だ。私はただゴミを捨てただけ。それだけしかできておらぬよ……」スタスタ
パン「……」ホカホカ
スミレ「全部、焼き立てだ……」ゴクリ…
スミレ「これだけあれば、お父さんやみんなも……!」
――
でもその数は圧倒的に少なくて。
表立って貧民に施しをすれば自分達が囲まれて潰されてしまう。
彼らは悩み耐えつつ、遠回しに私達を助けてくれた。
王国は腐っている。でも、全部が腐っているわけではない。
それがわかるだけでも、貧しい人たちは希望を持てた。
そんな希望を持ちながら生きてきた私達に、ある日新しい希望の光が差し込んだ。
――国王陛下が亡くなった――
王国を揺るがす衝撃的な報せは、辺境領まで届くほどだった。
どうして亡くなったのか、詳細まではわからなかったけど。
これまでがこれまでだ。様々な憶測も飛び交う。
食べ過ぎ肥え過ぎ、贅の果ての自滅だの。
実は昔から病を患っていただの。
王国内のクーデターだの。
はたまた帝国か聖国の陰謀だの。
今となっても詳しいことは知らないし、別に知る気もない。
大切なのは、悪政国王が死んだという確かな事実。
そしてやっぱり詳細は知らないが、当時の王城内の混乱は想像以上だったらしい。
国王に子息はいなかった。まだ国王は死ぬ気はなかったのか、あるいは秘密裏に子息が消されていたのか。
悪辣な貴族の中には国王の地位を狙う者すらいたというし、何があっても不思議ではないだろう。
帝国は実力主義によって、強い者が皇帝になるというが、王国と聖国はこれには当てはまらない。
代々の王家の血筋の者が、その王の血を絶やさぬように後を継いでいく。
この王国の根幹、脈々と続いてきた仕組みがある以上混乱もするだろう。
強欲な貴族連中でさえもが、二分したのは当然かもしれない。
新たな国王に立候補する欲の深い貴族と、王国の伝統こそが最優先とする古参の貴族の争い。
結局後者に軍配が上がって、彼らはなんとか遥か遠縁の血筋の男性を見つけ出したらしい。
新たな王の名はクラウス。まだまだ若い、頼りない新王と風当たりは相当に強かった。
――
クラウス「なんということだ……話には聞いていたが、ここまで酷い有様とは」
クラウス「至急、この近辺の村にも物資の配達を急ぐのだ!」
貴族兵「へ、陛下。流石にこんな末端にまで配っていては国庫予算の問題が……」
クラウス「我々の得ている分を切り崩せばまだまだいけるだろう!? 急げ!」バッ!
貧民「ク、クラウス様がこのようなところまで……!?」
スミレ「あれが、新しい国王様……?」
――
それでも。
私達にとっては、とても眩しい希望の人だった。
後になって聞いた話だけれど、クラウス様は元々王国の現状を嘆いていた方だそうだ。
もっと知識を深め、王国を内側から変えていきたいと願っていたそうだけれど……
まさか、いきなり国王の座につくとは夢にも思っていなかったらしい。
自他共に認める、経験不足の王様。
それでも常に真っ直ぐで、本当に王国を考えてくれている人だということは察することができた。
当然、敵も多かったみたいだけれど、それも覚悟の上。
今までの貴族や高官がいい顔をしないとわかった上で、国民優先の政策を組み立ててくれた。
欲深い貴族たちは、刺客を放ったことすらあるという。
それを一人残らず叩き伏せたのは、深紅の令嬢と呼ばれる大貴族の将軍。
その圧倒的な地位と戦闘力の援護もあり、新王……
クラウス様はゆっくりとだけど、着実に王国をいい方向に持って行ってくれた。
貧しい人のほとんどが、クラウス様に期待した。
耐え忍んだ甲斐があったと、喜んだ。
――私も、そのうちの一人だ。
でも……あの日。
――
追加特殊判定
↓1コンマ二桁
――
特殊判定結果(>>636)
スミレの過去・???
58>55
※基準値を上回った為……?
――
スミレ判定をとったあたりで今日はここまで
明日か明後日にはスミレの過去を終え、少し軽めの判定をとれればと思います
本日もありがとうございました!
失礼しました。安価部分は誤りです……
こんばんはー
亀ですが更新再開です。なんとか判定部分まで進めればいいなぁ……
……
スミレ「ただいま戻りました」
スミレ父「おぉ、おかえりスミレ」
スミレ母「ご苦労様。何か収穫はあったかしら?」
スミレ「はい。今日もパンを頂くことができました」
スミレ「クラウス様のおかげで、ゆっくりとだけど配給網が出来上がっているようですよ」
スミレ父「クラウス様か……」
スミレ父「私は直接お会いしたことがないのだが、やはり素晴らしい方なのか?」
スミレ「そうですね……」
スミレ「私も遠巻きにそのお姿を見ただけですが、兵に指示を出されている姿は頼もしさを感じました」
スミレ「きっと、王国はこれから良い国になるのではないか。そう思えます」ホクホク
スミレ母「そう……よかったわ」
スミレ「ええ、本当に」
スミレ母「……ふふ、そして今日はさらにいいことがあるのよ?」ニコニコ
スミレ「え?」
スミレ父「配給とは違うが、良い貴族の方が直々にこの家を訪ねてくださってな」
スミレ父「見ろ、これを!」バッ!
金貨袋「……」ズッシリ
紅茶葉「……」ドッサリ
スミレ「こ、これは……!?」
スミレ父「本当に、ありがたい限りだよ……!」ポロポロ…
スミレ母「これだけあれば、もっといいところに家を建てて、まともな食生活を送ってもまだお釣りが出るわ」
スミレ母「もう、この貧困生活からおさらばできるのよ……!」ポロポロ…
スミレ父「さあさ、前祝いだ! 頂いたこの茶葉で、さっそく紅茶を飲んでみようじゃないか!」
スミレ「な、なんだかドキドキします……」ドキドキ
……
――
生まれて初めて飲んだ紅茶。
貴族の嗜好品と呼ばれる理由もわかる程のいい香り。
すぐに飲むのは勿体なくて、ゆっくりと飲んだのを覚えている。
両親はそんなボクを見て、おかわりもあるからもっと飲んでいいんだと、笑っていた。
その時の嬉しそうな顔も、今でもはっきりと覚えている。
大量の金貨に嗜好品。底辺の暮らしから中流階級までは這い上がれるとなれば、当然の反応だったと思う。
紅茶の香を嗅ぎながら、両親の笑みを見つめながら。
ボクもつられて笑い、幸せな表情をしていたと思う。
もっとこの時間を楽しみたい。
そう思っていても、温かな紅茶のせいか急激な睡魔に襲われて……
――
……
スミレ「ん……んん……?」ムニャ…
「やっと起きたかい?」
スミレ「ん……お父、さん……?」
悪貴族「――いいや。今日から私が君のご主人様だよ?」ニタリ
スミレ「なっ!?」ゾクリ…
――
目が覚めた時には、偽りの幸せは崩れ去っていた。
なんのことはない。当時の王国では珍しい話でもなかった。
――ボクは、両親に売られた。それだけのことだ
――
悪貴族「ふひ……君にはだいぶ前から目をつけていてねぇ」
悪貴族「清廉さを持ちながら、なかなかこちらは男を惑わす立派なもので……」モニュ!
スミレ「んっ!?///」
悪貴族「それにこの綺麗な髪の毛……」サラサラ…
スミレ「……!」ゾクゾク…
悪貴族「うん、いい触り心地だ。だが、それだけじゃない……」プツ!
悪貴族「おい!」
悪従者「はっ! 早速検査致します!」バッ!
スミレ「な、何を……」
悪貴族「なぁに、ちょっと魔力の適正検査をするだけだよ」
悪貴族「実験が済んだら、君は私が末永く可愛がってあげよう」
悪貴族「だからその綺麗な身体を切り刻む真似はしない。安心したまえ」
スミレ「じ、実験……!?」ジャラ…!
悪貴族「まったくあやつらは物の価値をわかっていなくて困る」
悪貴族「折角の素体、検査くらい髪の毛で間に合わせればよいものを……」ブツブツ…
スミレ(……っ、駄目だ動けない……!)ジャラジャラ…!
悪従者「――結果出ました! 性質は『雷』! つまりは金ですよっ!!!」ウオオォォ!
悪貴族「おほぉ!? これはこれは、想像以上の成果だ!」
悪貴族「やはり高貴な者は生まれ持った運も違うということだなぁ……」ウンウン
スミレ(この人達、一体何をするつもりなの……!?)
悪貴族「いやはや、改めてありがとうスミレ」
悪貴族「涼しげな色合いだったから、蒼帝に適性があるかと思えば……」
悪貴族「まさか、まさか真竜に適性があるとは!」バッ!
悪貴族「くくく、これで私の地位もますます安泰というものよ……!」
悪従者「おめでとうございます!」
スミレ「蒼帝? 真竜……?」
悪貴族「む……そうか。下民には知る術もないか」
悪貴族「王国には、かつての実験で産み出された人には御しきれぬ怪物……竜がおるのだよ」
スミレ「!?」
悪貴族「その力は、圧倒的。騎士団の一つや二つは一薙ぎにするという」
悪貴族「詳しい資料は残されていなかったが、その数は5体」
悪貴族「灼熱を操る赤帝。大地の如き硬さを誇る黒帝」
悪貴族「氷嵐を操る蒼帝に、風を操る天の支配者たる白帝」
悪貴族「そんな帝竜達すら従える、雷鳴の覇者たる金真竜……!」
悪貴族「君は、その最強の存在に対する適正があったのだ!」
悪貴族「そして君のご主人様である私は、まさに最強の支配者になれたということだよ!」
悪貴族「ははははははは! まったく、笑いが止まらないよ! あははははははは!」
スミレ「……!」
――
饒舌に竜について語る貴族の姿は、恐ろしいものがあった。
話を聞いていればどうやら、前王死亡の混乱に乗じて仲間の貴族と共に封印の宝玉を持ち去ったらしい。
実験の為には日数が必要。
竜は好戦的な前王すら使用を躊躇う程であり、一部貴族の間でも封印は厳重にするようという意見が多かったそうだ。
それを、この貴族達は破った。より強い力を得る為に。
感づかれたら不味いという自覚はあったのでしょう。
だからこそ、新王クラウス様が手を回しきれていない今の内に実験を……
人間の身体に、竜の因子を埋め込み生体兵器を造るということをしたかったのだろう。
それも、いなくなっても気がつかれない貧しい民を攫うか買うかしてまで。
帰る場所を失えば、必然的に戻る場所は貴族の下……
その庇護が無ければ、生きていくことはできない。
故に、いずれ誰もが従順な奴隷となる。
竜の力を持ちながら、竜とは違い遥かに楽に隷従させることができると。
本当に、楽しげに、誇らしげに、語って聞かせてきた。
――
スミレ「…………」
悪貴族「あぁ~……やっぱりショック受けちゃうよねぇ」
悪貴族「でも安心するといい。さっきも言った通り、君は私が責任を持って可愛がってあげるからねぇ……」ニタリ
悪従者「……主様、その娘の身体は確かに楽しみではありますが、まずは実験が先です」
悪従者「いくら愚王とはいえ、長期間宝玉がないことに感づかれては……」
悪貴族「わ、わかっておるわ!」
スミレ「…………」
スミレ(……無理矢理攫われなかっただけ、私はマシなのかもしれない)
スミレ(襲って確実に捕まえられる自信が無かったとか……?)
スミレ(……戦争の道具になんて絶対になりたくない!)
スミレ(なんとか逃げ出さないと、クラウス様が……!)
――
ただ、貴族に誤算があるとすれば。
ボクは両親に捨てられたというのに、恐ろしい計画を聞かされたと言うのに。
頭の片隅で、逃げる算段をたてていたということだろう。
蒼帝の方がやはり適性があったんじゃないかと思える程に。
ボクはどこか氷の様に冷静でいられた。
今ではこの性格には、感謝しかない。
――
……
金宝玉「……」バチバチィ!
悪従者「うぅ、封じられてなおこの危ない気配よ……」
悪貴族「しかし宝玉からゆっくりと竜の力を抜き出して、それを投与していくなどまどろっこしいのう」チュウウゥゥ…
悪貴族「直接本体から力を組み込めぬものなのか?」キュポ…
悪従者「む、無理ですって! こんなものを解き放ったら、最も弱い赤帝ですら王国全土を焦土にしてしまいます」
悪従者「非効率的ですが、我々ができる実験は今はこれが精一杯ですよ」
悪貴族「ぬぅ、致し方が無いか。元より操れぬ竜を操りやすい人間に組み込む実験ではあるしな……」トコトコ
悪貴族「それに仮に片鱗の力しか得られぬとしても、最強の金真竜ならばそれでも十分というものか」
悪貴族「さぁーて……それでは、いよいよだ。まずはこのぐらいの量を投与してみようか!」ブスゥ!
スミレ「っ……!」ギリッ…!
悪貴族「おお、ごめんよ。痛かったかい? 流石に注射痕ぐらいは我慢してくれないかな」ギュウゥゥ…!
スミレ「っぁ……!? ああぁぁぁぁぁっ……!?」
スミレ(腕が、灼ける……! 自分の中が、書き換えられていくような……!?)グラッ…
スミレ「っあ゛あ゛あ゛ぁぁぁ……!」ジャラジャラ!
悪貴族「おっと、少し量が多かったかな?」
悪従者「急激な発汗、やはり素体には負荷がかかるようですね」
悪貴族「壊すことだけはならんぞ。私の大切な最強の愛玩奴隷なのだからな?」
悪従者「承知しております。この様子では、少し休憩をいれた方がよさそうですね」
スミレ「……」ハァハァ…
スミレ(あぁ、自分でももうわかってしまう)
スミレ(力を注がれるまでに逃げれなかった時点で、こうなることはわかっていたのに)
スミレ(私はもう――人じゃない。竜を埋め込まれた、戦争兵器)
スミレ(でも、まだ意識ははっきりしている。熱いけど、腕も自分の意思で動かせる……)グ…
スミレ(私は兵器だけれど、まだ私ではある)ググ…
スミレ(――今が、好機!)グググ!
悪貴族「この後は両脚にも――」
バギィィィィィン!
悪貴族「なっ!?」
スミレ「ふうぅぅぅぅぅ……!」ギラリ!
悪従者「ば、馬鹿な!? もう両腕を真竜のものに!?」
スミレ「ああああああぁぁぁぁぁぁ!」ブオン!
悪貴族「ひいいぃぃぃぃぃ!?」
ゴバアアアァァァァ!
スミレ「……!」ダダダ!
悪貴族「か、壁を容易く壊す程の……」ガタガタ…
悪貴族「はっ!? お、追うのだ! 早く!?」
……
――
その後の事は、よく覚えていない。
ひたすらに逃げて逃げて、走って走って。
乗ったこともなかったのに、馬に飛び乗った。
行く宛なんてない。もう王国に居場所はないんだから。
何処へ向かっているかもわからない。
馬の気まぐれで、ただ走るだけ。
でもそれでよかった。
ボクはもう戦争の道具に成り果てて、人では無くなってしまったのだから。
最後の人としての意思が望んだのは、貴族達に利用されることだけは嫌だと言うこと。
ボクが逃げ切れれば、連中も次回以降は警戒しておいそれと実験ができなくなるかもしれない。
クラウス様なら、いつかきっと王国を良くしてくれる筈だから。
だから、戦争兵器にだけはなりたくない。
もうなってしまったけれど、最後の一線だけは越えたくない。
何処に向かっているかもわからない。
それでも、どこか遥か遠くに逃げ出せたなら。
その場で、この命を断とう。
そうすれば、兵器はひとまず人知れずに一つ消え去るのだから。
――
……
スミレ(どれだけ移動したんだろうな……)
馬「……」モシャモシャ…
スミレ「……」ジー…
スミレ「……」スッ…ブチ!
スミレ「……」モシャモシャ…
スミレ(……あれ? なんで馬と一緒に草を食べているんだろう?)
スミレ(死ぬ気なら、もう空腹も気にしなくていいのに……?)
――
……本当は気がついていた。
兵器は嫌だ。
……まだ死ぬのも嫌だって。
だから、その後もひたすら馬を走らせた。
そして、あの日……
――
……
【帝国領・辺境】
ローズ「あったあった! この素材なら、あの子達にもいい贈り物が作れるわネ!」ガサガサ!
ローズ「折角だし、もう少し採っていこうかしら?」ガサガサ…
ローズ「ん……?」
スミレ「うっ……」
ローズ「お、女の子!? ちょっとあなた、大丈夫!?」バッ!
スミレ「ぁ……ぅ……?」
ローズ「酷い衰弱具合ネ……あら?」
スミレ「……!」
ローズ「金色の、鱗?」
ローズ「……今はそんなことはどうでもいいワ。とにかく、急いで戻らないと!」ビュオン!
スミレ「……!?」
……
ローズ「ほら、食べられる? ありあわせで申し訳ないけど……」
スミレ「あ……」
ローズ「やっぱり無理よねェ。ほら、お口あけて!」ズイ!
スミレ「え、あ……!?」
ローズ「ほら、あーんして。あーん!」ズズイ!
スミレ「あ、あー……?」
スミレ「……」モグ…
スミレ「っ!!!」
スミレ「……おい……しい……」ポロポロ…
ローズ「ふふ、よかった。まだまだあるから遠慮しないでネ?」
――
……
スミレ「……ごちそう、様でした」ペコリ
ローズ「ふふ、いい食べっぷりだったワ」ニコニコ
スミレ「あの……」
ローズ「……」
ローズ「ここは帝国の王城。アタシの部屋の中だから安心して大丈夫ヨ?」
スミレ「!?」
ローズ「アタシはメイド長のローズ。あなたは?」
スミレ「わ、私は……」
スミレ「……」グッ…
ローズ「……」
ローズ「……やっぱり何か、相当訳ありのようネ。それならそれでいいワ」
スミレ「え?」
ローズ「あなたが話してもいいと思えるその時になったら聞くから。それまではゆっくりしていきなさい?」
スミレ「……こ、この腕が、恐ろしくは、ないのですか?」ギラリ…
ローズ「確かにちょっと変わっているわネ。アタシも初めてみるワ」
ローズ「でも人とちょっと違うことぐらい、些細なことヨ? アタシも普通の人とはちょっと違うしネ」
スミレ「ちょ、ちょっと……?」
ローズ「そうよォ? アタシはただ天使達を完璧なレディーにしたいと願うどこにでもいるおと……乙女ヨ!」バーン!
スミレ「……」ポカーン…
ローズ「ささ、お腹が満たされたなら次はお風呂ネ! せっかく可愛い顔してるんだから、綺麗にしないと!」グイグイ!
スミレ「え、え、ええぇ!?」
……
――――
―――
――
―
スミレ(ローズさん、あなたがいてくれたからボクは……///)
アイナ「……スミレちゃーん?」ツンツン
スミレ「ひゃ!? ア、アイナさん!?」ドキドキ
アイナ「もう、スミレちゃんまで私みたいになってどうしたの?」
スミレ「い、いえ。なんでもありません」コホン
スミレ「アイナさんが昔を思い出したように、ボクも少し昔を思い出しただけですよ」
アイナ「あ……」
ローズ「……」
スミレ「あ、いえ、そんな顔をなさらないでください!?」ワタワタ!
スミレ「ボクは、今の生活こそが大切で手放したくないものですから」
スミレ「過去よりも今。ローズさんとアイナさんとのひと時の方が、ずっと価値あるものなんです」
アイナ「スミレちゃん……」
ローズ「……ごめんなさいネ。私が昔話なんてしちゃったから」
アイナ「ロ、ローズさんのせいじゃないですよ!?」
スミレ「そうですよ。元々、ボク達が気になったからですし」
スミレ「ボクもアイナさんも、昔を思い出したのは……」
アイナ「……ローズさんには、昔も今も助けられてばっかりだなーって……///」
ローズ「もう、この子達ったら……」
ローズ「……」
ローズ「折角三人揃ってお外に来てるんだし、そろそろお昼にしない?」
ローズ「美味しいお店、連れて行ってあげるワ!」
アイナ「え、いいんですか!?」
アイナ(本当はローズさんの手料理の方がいいけど///)
スミレ「す、すみませんローズさん……」
ローズ「いいのヨ。パァーっと食べて飲んじゃいましょう!」
――
特殊判定
↓1~2コンマ二桁
まただよ(白目)
ローズ隊・酔いやすさ判定
1アイナ:97(カインクラスにベロンベロンに酔います。そして当然脱いじゃいます。帝国泥酔者多すぎ)
2スミレ:56(ちょっと酔いやすいかも。でも、酔わないよう冷静に節度を守ります)
――
判定を取った辺りで今日はここまで。
新年系は無理そうですが、お酒描写を挟んだ後、想定外の4番目の判定結果(偶数ゾロ)
イベント描写。そののちに従来の業務として白帝との交流に入ろうかと思います
本日もありがとうございました!
スミレやキアラ達もメンタル判定でゾロったからこそよかったものの、ティアメンタルだったら鬱展開結構あったんかな
こんばんはー
牛歩ですが、以前の5連判定最後部分まで再開です
>>730
序盤のシアだけで3回程マイナスイベント圧し折られてると言いますか、本当はもっと血生臭い展開もあるにはあったのですが……
本当に要所のコンマが強すぎました
――
【帝国・料亭】
アイナ「……も、もの凄く高そうなお店だよ!?」
スミレ「……」ガチガチ
ローズ「そう硬くならなくていいわヨ?」
ローズ「このお店は最近、王国から食材を仕入れているそうでネ」
ローズ「アタシもまだあまり王国食材には馴染みもないし、食べて味を盗もうってわけヨ」
スミレ「な、なるほど」
アイナ「でも、ローズさんほどの腕で、外のお店で満足できるものなんですか?」
ローズ「アタシだってまだまだヨ? エリスちゃんや天使達も凄い腕前だし……」
ローズ「後、頻繁に作っていると自分の味の癖に飽きて来ちゃうのヨ」
アイナ「あ、それはわかるかも?」
スミレ「とはいえ、ローズさんに通われるお店側もプレッシャーが凄そうですが……」
料理長「ま、またメイド長がいらっしゃったぞ……!?」
料理長「しかも今度は直属のメイドを引き連れて!」
料理長「みんな! ここが踏ん張りどころだ! いつも以上に全力を尽くしてくれ!」
従業員達「「了解です!!」」ビシ!
……
――
……
ローズ「うんうん……」モグモグ
ローズ「いい貝を使っているわネ。素晴らしい歯触りだワ!」
スミレ「……この独特の風味は、この貝の肝を使っているのでしょうか?」モグモグ
アイナ「後は焦がしバターかな? シンプルだけど、食材が引き立っているね……」モグモグ
ローズ「ふふ、あなた達も随分と料理の知識が深まって嬉しいワ」
アイナ「ローズさんのお傍にいるためにも、頑張っていますから!」
スミレ「ええ。周りからも贔屓とみられぬ様、色々と知識は深めなければ」
ローズ「ふふふ……! 本当に、立派になって!」
料理長「お次の料理をお持ちしました」スッ
ローズ「あらありがとう。この匂いは……」クンクン
料理長「王国産最高級の牛肉。それを塩と胡椒のみで味付ました」
ローズ「焼き加減も見事……相当の自信作のようネ」
料理長「ありがとうございます。そしてこちらは、この肉に合う果実酒になります」スッ…
ローズ「あら? ここまで注文した記憶はないけれど?」
料理長「ローズ様にはお世話になっております故。私からの、せめてもの品でございます」
ローズ「あらそう? それじゃあ折角だし、頂いちゃおうかしら?」
料理長「ええ、是非。そして今後ともよろしくお願いいたします」ペコリ
ローズ「思わぬ代物が手に入ったわネ」ホクホク
ローズ「彼の言う通り、これは合いそうなお酒ネ。保存状態もいいし……」チラ
アイナ「……」ドキドキ
スミレ「……」ドキドキ
ローズ(熱視線を感じるワ……)
ローズ(……天使達が大丈夫なんだし、この子達も少しくらい大丈夫よネ?)
ローズ「……慌てないの。ちゃんと飲ませてあげるから」トクトク…
アイナ「あ、ありがとうございます!」
スミレ「……実は、高いお酒と安いお酒の違いというものを知りたかったんです」
グイッ
スミレ「んっ……!?///」
スミレ「こ、これは……なんだか身体がふわふわしますね」
スミレ「美味しいですけど、それにつられて飲み続けたらすぐに酔い潰れちゃいそうですね」
ローズ「スミレちゃんは、あまりお酒に強くはなさそうネ?」
スミレ「そうですね。でも成程、この芳醇な香りが高級さの証――」
アイナ「ひゃっほーーーーーーーい!!!」スッポーン!
ローズ「」
スミレ「」
アイナ「これおいひいでふれ~♪ からだもぽっかぽかであつ~い♪」ゼンラ!
ローズ「またしくじったワッ!!!」ダン!
スミレ「あわわ……アイナさん、まだ一口目ですよ!?」
ローズ「とりあえず個室だったのが不幸中の幸いネ。はやく服を着せて介抱してあげないと」
スミレ「お酒って怖い……」
アイナ「あ~、ローズさんだ~♪」
アイナ「ローズさんちゅきちゅき~♪」チュパチュパ!
ローズ「こ、こら! レディーがはしたないわヨ!?」
スミレ(……でも、今のアイナさんの方が積極的だ!?)
スミレ(普段からこれくらいすれば、ローズさんも……)
スミレ(……)
ローズ「ちょ、止まってアイナちゃん!?」ワタワタ
アイナ「えへへへ~♪」スリチュパスリチュパ
スミレ(……でも、今は止めよう!)ダッ!
……
――
――
……しばらくして……
アイナ「うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁ!///」ゴロゴロゴロ!
ローズ「こらアイナちゃん、レディーが道端で転がらないの!」
スミレ「いえ、ボクがアイナさんだったらきっと同じことをしていますよ……」
スミレ「しかし流石はローズさん。まさかの事態にも、冷静に対処なさるなんて!」
ローズ「……前に、もっと凄い惨状を見てしまったからネ」トオイメ
スミレ「何があったんですか……」
アイナ「あああああああぁぁぁぁぁ!/// もう、もうお嫁にいけないいぃぃぃぃぃぃぃ!///」ゴロゴロ!
ローズ「大丈夫だから、そろそろ起き上がりなさい?」
ローズ「――いざとなったら、アタシが貰ってあげるから」
スミレ「!!!」
アイナ「えっ!?」ガバァ!
ローズ「!?」
アイナ「本当ですかっ!?」ガッ!
スミレ「今、確かに言いましたよね!?」ガッ!
ローズ「スミレちゃんまで!?」
スミレ「――アイナさん! 今こそです!」
スミレ「ほら、もっとしっかりちゃんと立って!」ヨイショ!
アイナ「あ、ありがとうスミレちゃん。……うん、大丈夫」グ…
アイナ「今のローズさんの言葉で、酔いも消し飛んだよ……!」
ローズ「そ、そう? それなら良かった――」
アイナ「……」スー…ハー…
アイナ「……ねえ、ローズさん。もう一度聞かせて?」
ローズ「え?」
アイナ「……」
アイナ「本当に、こんな私でも、……ローズさんのお嫁さんに、してくれますか……?」ポロポロ…
ローズ「アイナちゃん……?」
アイナ「……たとえ、私を起き上がらせる為の言葉だったとしても……」
アイナ「それでも、私にはたまらなく嬉しい言葉なんです……っ!」
アイナ「わ、私は……!」
アイナ「――私はローズさんが大好きなのっ! 10年前助けてくれたあの時から、ずっとずっと……!」ポロポロ…
ローズ「!!」
アイナ「ローズさんは私のことを覚えていなかったけど、私は一日も忘れたことはなかった……!」
アイナ「執事からメイドになってても、声や動きはローズさんだった! 見間違えるわけがない……!」
アイナ「だから、だから私は、あなたの傍にいられるようにって……!」
ローズ「アイナちゃん、あなたもしかして……」
アイナ「男だからとか、女だからとか、そんなの関係ない! ローズさんだから、私は……!」
ローズ「でも、アタシは……」
アイナ「ローズさんとスミレちゃんが、そういう関係なのも知ってる! それでも、私は、私は……っ!」ポロポロ…
ローズ「アイナちゃん……」
スミレ「……」スッ…
ローズ「スミレちゃん?」
スミレ「ローズさん、ご無礼を承知で申し上げます」
スミレ「……ボクも、ローズさんが大切です。この上なく大好きです」
スミレ「ですが、同じくらいアイナさんも大好きです」
スミレ「ボクを温かく受け入れてくれた二人が……本当に」
アイナ「スミレちゃん……!」ポロポロ…
スミレ「ですから、ローズさん。ボクのことは考えずに、アイナさんの気持ちに応えてあげてください」
スミレ「こんなに感情を爆発させたアイナさん、見たことがないでしょう?」
ローズ「スミレちゃん……」
アイナ「ごめん、ごめんねスミレちゃん……!」ポロポロ…
アイナ「な、なんでかな? 一回喋ったら、なんだか抑えられなくなっちゃって……!」
スミレ「いえ、むしろよかったですよ」ポンポン
スミレ「正面きってここまで言えば、アイナさんの気持ちもローズさんに伝わった筈ですから」
ローズ「……」
ローズ「…………」
ローズ「……少し、時間を頂戴」
アイナ「!!」ジワ…
スミレ「!!」
ローズ「少しだけ……ここで、待っていて」ザッ…
アイナ「え……?」ポロポロ…
スミレ「ローズさん……?」
……
――
特殊判定結果(>>637)
5:ローズのアイナとスミレに対する答え
コンマ66
6 6
偶数ゾロ:???として受け止める
――
アイナ「うぅ……」
スミレ「大丈夫。きっとアイナさんの想いは伝わりますよ」
アイナ「わ、私どうしてあんな……///」
スミレ「まだお酒が残っていたのかもしれませんね」
スミレ「お店の中でアイナさんが裸になった時は驚きましたけど……」
スミレ「こうしてアイナさんの一歩を踏み出す一因になってくれたなら、お酒も悪くないかもしれませんね」
アイナ「……禁酒するもん」
スミレ「あはは、確かに外では控えた方がいいかもですね」
???「……」ザッ…
スミレ「だ、誰ですっ!?」バッ!
ローゼン「……この格好にこの顔はいつ以来だろう」スッピンシツジ
アイナ「ローズさん!?」
スミレ「えっ!!?」
アイナ「あの時の、ローズさんだ……///」
スミレ「……///」
ローゼン「……」
ローゼン「……可愛いレディーを泣かせるなんて、酷い真似をしてしまったんだ」
ローゼン「挙句理由が、長い間その想いに気がつかなかったからだなんて……」
ローゼン「――真摯な想いには、こちらも相応の態度で応えるべきだろう」
ローゼン「……だから『メイド長ローズ』という『乙女』としてではなく」
ローゼン「――『一人の男』として。『ローゼン』として、『俺』の返事をしよう!」
アイナ「!?///」
スミレ「!?///」
ローゼン「……ようやく、思い出したよ」
ローゼン「アイナちゃん、君はあの時に俺が助けた……」
アイナ「っ! うん、うん!」コクコク!
アイナ「ローズさんが助けてくれたから、現れてくれたから……!」
アイナ「私は、目標を見つけられた。頑張って、ここまでこれたの……!」
ローゼン「……悪かったな」ナデナデ
ローゼン「……アイナちゃん、知っての通り、普段の俺はああだ」
ローゼン「今ですら、気を抜けば元に戻りかねない人間だ」
ローゼン「それに、だな……」チラ…
スミレ「……///」
ローゼン「……情けなくも、雄として欲情してしまい、スミレちゃんの後ろに嵌まってしまう程の変態でもある///」
ローゼン「そして、君のその想いを受けて尚、どちらかを選ぶこともできないほどに、未熟だ」
ローゼン「乙女としても、男としても、駄目なところが多い。そんな俺でも、いいのか?」
アイナ「は、はい……! 何度でも言います。私は……ローズさんも、ローゼンさんも……」
アイナ「『あなた』だから、好きなんです……!///」ギュゥ!
ローゼン「……ありがとう、アイナちゃん」ギュゥ!」
スミレ「……おめでとうございます、アイナさん」パチパチ
アイナ「ス、スミレちゃん……」
ローゼン「……」グイッ!
スミレ「きゃ!?///」
ローゼン「……言っただろう? 選べないって」
ローゼン「頼りないかもしれないけど――二人とも、これからもずっと一緒だ!」ダキ!
アイナ「!!」ポロポロ…
スミレ「!!」ポロポロ…
アイナ&スミレ「「はい……どうか末永く……♪」」
――
アイナとスミレの双方が女の子として受け入れられた辺りで今日はここまで
……指輪やらドレスやら、本当になんで狙い澄ましたかのように最重要とも言える場所を綺麗にゾロれるのか?
ちなみに本来のローズのガード値はコンマ75(スミレへの罪悪感から高め)でした
ここからスミレの説得やらで増減して最終判定をとか考えていたら一発というね(白目)
本日もありがとうございました!
こんばんはー
今日も少しだけ再開
おまけの判定と、後半部分の導入まで入れればと思います
――
……
アイナ「……///」
スミレ「……///」
ローゼン「さて……名残惜しいけど、一度離れよう」スッ…
アイナ「あ……」
ローゼン「あまり、こうしている場所は誰かに見られたくはないからね」
ローゼン「素性を知らない者からすれば、メイド長のメイドに手を出す不届きものだ」
スミレ「……確かに、驚きました」
スミレ「その……夜に、逞しいことは知っているつもりでしたが///」
スミレ「まさかお化粧を落として髪型を変えるだけで、見た目もこんなに……///」
アイナ「私は、どっちのローズさんも大好きです///」
ローゼン「ありがとう。ただ、やっぱり……普段はあっちの方が馴染むんだ」
ローゼン「この姿は公務外、君達との時間の時だけ見せる。それでもいいかな?」
アイナ「は、はい!///」
スミレ「ボク達だけが、ローズさんの秘密を知っている……///」
アイナ「なんだか、ますますドキドキしちゃうね……///」
ローゼン「それじゃあ……」スッ…
ガサゴソ…
ローズ「悪いけれど、元に戻らせてもらうわヨ?」パッ!
アイナ「わ、はやい!?」
ローズ「元々フィーアちゃんに変装を教えたのはアタシなのヨ?」
ローズ「まあ、今ではすっかり越されちゃったけどネ」
ローズ「……さてと。アイナちゃんとスミレちゃんの気持ちは嬉しかったけど……」
ローズ「まだしばらくは、秘密の関係ヨ?」
ローズ「女の子なら、結婚式とかも憧れるとは思うけど、もう少し我慢して頂戴……」
スミレ「それは、理解しています」
スミレ「帝国も未だ不安定な情勢ですし、皇子様達を差し置いてメイドが結婚というのも不味いですからね」
アイナ「そうでなくてもローズさん忙しいし、仕方がないよね」
アイナ「私は、ローズさんとこれからも一緒っていうだけで……///」クネクネ
ローズ「本当にごめんなさいネ……」
ローズ「色々落ち着いたら、しっかりとした式を行うワ」
ローズ「――勿論、ローゼンとしてネ?」
アイナ「……///」プシュー…
スミレ「……///」プシュー…
アイナ「あ、でも大丈夫かな……!?」
ローズ「?」
ローズ「あぁ、二人と同時に結婚すること? それは大丈夫ヨ」
ローズ「元々一夫多妻は認められているし、アドルラン様なら上手いことそこも調整してくれそうだしネ」
アイナ「ち、違うんです! それも大事だけど、もう一つ!」
アイナ「私――まだ生やせていないんですっ!!!」
ローズ「」
スミレ「」
ローズ「」
ローズ「……お、落ち着いてアイナちゃん?」アセアセ
ローズ「大丈夫。ちゃんと誓うワ。あなた達はアタシが男としてしっかり愛してあげる」
ローズ「だから――」
アイナ「でもローズさん、最初にスミレちゃんのお尻から責めたんですよね?」
アイナ「そしてスミレちゃんは、今も処女なんだよね?」
スミレ「は、はい///」カアァァ…
アイナ「それを見てから、ローズさんは本当は男の子のお尻の穴を一番求めているって……」
アイナ「苦労しましたけれど、裏道からそういった本も仕入れて、沢山お勉強したんですっ!」
ローズ「ち、違うのヨ!?」アセアセ
ローズ「た、確かにアタシは男女問わずかわいい子が好きだけど……」
ローズ「あの日は、男装したスミレちゃんが本当にもう、たまらなく可愛くて、我慢ができなくてネ……」
スミレ「///」
ローズ「……後ろならまだお互い引き返せる、そんな言い訳を考えてしまっただけなのヨ」
ローズ「雄の部分を制御しきれなかった、アタシの責任だワ……」ガクリ…
スミレ「いえ、ボクもまさかお尻であんなに気持ちよくなれるとは思っていなかったので……///」
スミレ「ボクの方から求めはじめてしまったことこそが、そもそもの原因ですよ///」
アイナ「……」ゴクリ…
アイナ「つまりローズさんは、男の子の身体じゃなくても大丈夫?」
ローズ「え、ええ。本当に、酷い誤解をさせてしまったわネ……」
ローズ「スミレちゃんも、改めて悪かったワ」
ローズ「……アタシも、決めたワ。今度はしっかり向き合って……前の方を可愛がってあげるからネ」
スミレ「///」
アイナ「……」
おまけ特殊判定
↓1~2コンマ二桁
凄まじく高めの保証を更に越えてくるメイド長の恐ろしさよ……
1:アイナの生やしたい願望
75>34
※基準値を下回った為、沈静化
※普通の女の子として愛されるでしょう
2:失念していたローズの夜レベル(最低保証有)
最低保証85<93(乙女の繊細なテクと男の逞しさ。スミレも納得の陥落)
――
アイナ「そ、それじゃあ……」
アイナ「私、このままでも、ローズさんに……愛して貰えるんですか?///」
ローズ「もちろんよ、アイナちゃん!」ギュウ!
アイナ「ふわあぁぁ///」
ローズ「まったく、あなた可愛いんだから、変なことはもう考えちゃ駄目ヨ?」
アイナ「はい///」
アイナ「あ、でもローズさんがスミレちゃんの前を塞いだら、今度はスミレちゃんのお尻が寂しくなっちゃう!?」ガーン!
アイナ「やっぱり、スミレちゃんのお尻の為にも生やした方がいいのかなっ!?」
ローズ「」
スミレ「や、やめてくださいアイナさん!///」
アイナ「で、でも前に読んだ本に書いてあったよ!? 二穴責めって凄いって!」
アイナ「ローズさんもだけど、スミレちゃんのことも大好きだし、必要なら言っていいよ!?」
スミレ「だ、だから大丈夫ですってば///」
アイナ「本当に? ローズさんの為だけじゃなくてスミレちゃんの為にも生やせるから覚えておいてね!?」
ローズ「アイナちゃんっ!!!」
アイナ「ひぅ!?」ビクーン!
ローズ「レディーが外で生やすとか二穴とかそんなに叫んじゃ駄目でしょう!?」
ローズ「ああ、もう! やっぱりまだレディーには遠そうネ!」
ローズ「まだまだこれからもずっと、二人とも傍で可愛がってあげるから覚悟なさいっ!」
アイナ&スミレ「「はいっ!!」」
ローズ「ふふ……!」
アーシャ「あ、よかった見つかって……!」
ローズ隊「「「!?」」」ビックゥ!
アーシャ「あ、あら?」
ローズ「ア、アーシャちゃん奇遇ネ……」ドキドキ
アイナ「な、何か御用でしょうか……!?」ドキドキ
スミレ(い、色々と聞かれていないことを願います……)ドキドキ
アーシャ「突然ごめんなさい。メイド試験をお休みになられるくらいですから、貴重な休暇とわかってはいたのですけど……」
アーシャ「実は、ちょっとフィーアちゃんに関係する急ぎの案件が発生しまして……」
ローズ「な、なんですってぇっ!!?」
ローズ「……」チラ…
アイナ「ふふ、大丈夫ですよローズさん。私はローズさんの言葉で大満足です♪」
スミレ「ええ。それにフィーア様はボク達の主。従者の本業を疎かにするなど、あってはならないことです」
ローズ「……また今度、改めて三人でおでかけしましょうネ」
ローズ「それじゃあ、急いで天使の所にいくわヨ!」バッ!
アイナ&スミレ「「はい!」」バッ!
アーシャ「ありがとうございます」ペコリ
アーシャ「では、ご案内いたしますね」
……
――
――
【帝国・辺境の森林】
ロウル「ふ、ふふ……!」
ロウル「ついに、ついに見つけましたよアベルさーん!」グッ!
ロウル「近すぎて見落としていましたが、城塞に割と近いながらにこの充実具合!」
ロウル「巨体でも姿を隠すには十分な森! 岸壁に空いた穴!」
ロウル「それでいて少し動けば、こうして風が気持ちいい草原!」
ロウル「こーやって寝っ転がっても……」ファサァ…
ロウル「きーもちいー♪」コロンコロン
ロウル「……って、私が楽しんじゃ駄目じゃないですか」スク
ロウル「しかし、本当に我ながらいい場所を見つけたものですよ」ウンウン
ロウル「……平和にはなりましたし、城塞の方ももう少し緑を増やすのもいいかもしれませんね」
ロウル「この私が太鼓判を押すこの場所ならきっと……!」
ロウル「きっとフィーア様も白帝竜も満足してくれるに違いありません!」ムフー!
ロウル「フィーア様まだかなまだかなー♪」ソワソワ
白帝竜「キュルルーン!」バサァ!
フィーア「あ、いたいたロウル姉様ー!」ブンブン!
ロウル「いきなり白帝竜と頭上からの登場ですか!?」ガーン!
ロウル「お、驚かさないでくださいよ」ドキドキ
ロウル「確かにいい場所を見つけたとはお伝えしましたけど、確認もしないで白帝竜同伴だなんて……」
フィーア「だ、だって~……」
フィーア「私もこの子も、待ちきれなかったんですもの!」ピョンピョン!
白帝竜「キュルン!」コクコク
フィーア「それに、ロウル姉様が探し出してくれた場所ならば間違いありませんから!」
ロウル「そ、それほどでも……」テレテレ
ロウル「でも、どうですかこの場所!」
ロウル「この場所なら、フィーア様は勿論のこと私達でも様子を見に来ることができます」
ロウル「万が一密猟者がいたとしても……」チラ
白帝竜「キュ?」
ロウル「流石に竜を捕えようなんて思う命知らずもいないでしょうからね……」
ロウル(正直、私達も正面からぶつかると普通に敗けそうですし)ダラダラ
ロウル(多分、アベルさんとエリスさん。それに元皇帝陛下とノワール様くらいですよ、正面からいけるの)
ロウル「それにほら、ここすっごく風が気持ちいいんですよ」ソヨソヨ…
ロウル「どうです? なかなかいい場所を見つけたでしょう?」ムフー!
白帝竜「キュルルーン♪」バッサバッサ!
フィーア「よかった、この子も気に入ってくれたみたいです!」ピョンピョン!
フィーア「勿論私も大満足です! ロウル姉様、ありがとうございます!」
ロウル「いえいえ。私も頑張って探した甲斐があったというものですよ」
ロウル「とはいえ、流石に私の一存でも決めきれないのも事実」
ロウル「特に白帝竜はよくとも、フィーア様がここに来ることを反対されては駄目ですからね」
ロウル「事前にアーシャさんにお願いして、ローズさん達にもここを訪ねて貰う手筈にはなっているんですけれど……」
フィーア「ローズさんなら、許してくれると思うけどなぁ……」
フィーア「でも、ちょうどよかったです!」ピョン!
ロウル「?」
フィーア「実は、もう一つ。ロウル姉様やローズさんにもお願いしたいことがあったんです」
ロウル「はて? 私に出来る範囲のことであればいいんですけれど」
フィーア「実はですね!」
フィーア「こうして、この子の暮らしていけるいい場所が見つかったのに……」
フィーア「お友達を、いつまでも白帝竜って種族名呼びし続けることに違和感があって」
フィーア「――せっかくだから、この子に名前をつけてあげたいなって!」ニコニコ
白帝竜「キュ、キュルー!?」
ロウル「なるほど、アベル様のファフニールのような感じですね」
ロウル「確かに愛着や親しみやすさは増えるかもしれませんけど……」
ロウル(どういった名前をつけましょうかねぇ……?)
……
――
白帝竜の新居がみつかったあたりで今日はここまで
この後ローズ隊と白帝の交流を経て今回のおまけは終了となりますが、
以前お話した通り、白帝さんの名前を折角なので募集します
お暇なときに案を考えていただければ、後日多数決かコンマで決定をしようと思います
本日もありがとうございました!
確か王国の竜って金・白・蒼・黒・赤の五種類だったと思うんだけど、中国に古くから伝わる『麒麟』も対応する色があるんだよね
金(黄色)が『麒麟』、青が『聳孤(しょうこ)』、赤が『炎駒(えんく)』、黒が『?端(ろくたん)』もしくは『角端(かくたん)』、で白が『索冥(さくめい)』
ここから取って『サク』とか『メイ』とかどうかな?
気になって少し調べてみたけど、王国の帝竜とパパンのスキルの元ネタが四神なのかな
色が当てはまるし中央の黄龍(金)は皇帝の権威の象徴みたいだし開幕攻撃でも使ってきてたし
すみません、またしてもインフルエンザでダウンしておりました……
型違いをこんな頻度で貰うもんなんですかね?
ある程度は回復したので、近いうちに更新を再開したいと思いますが、
人がいるかわかりませんが、とりあえず先に名前だけ多数決とっておきたいと思います
>>770
概ねその通りです(本来の色や司と違うけど)。王国の五竜も帝国に合わせて同じ、聖国はそのまま四大天使
宗教観ごっちゃとかは今更です
1:パイロン
2:ホワイト(さん)
3:シロ(ちゃん)
4:キュー(ちゃん)
5:サク
6:メイ
↓1~3多数決
こんばんはー
とりあえず白帝さんの名前決定あたりまで再開します
……
ロウル「……」ムムム…
フィーア「……」ムムム…
白帝竜「……」ドキドキ
フィーア「!!」ピコーン!
フィーア「閃きました!」
ロウル「おおぅ、思ったより早いですね。どんな名前ですか?」
フィーア「――ドラちゃんです!」ムフー!
白帝竜「ギュ!?」ガーン!
フィーア「あ、あれ?」
ロウル「んー……この反応だといまいちなんですかねぇ?」
フィーア「わかりやすくていい名前だと思ったのですが……」ガックリ
ロウル「確かにわかりやすいですけど、帝竜全体通して使えちゃう名前でもありますからね」
フィーア「な、なるほどです!」
ロウル「名前を聞いて、一発であーあの人かとわかるといいと思うんですよ」
ロウル「そしてこの白帝竜の特徴を考慮すれば、答えは一つです!」グッ!
ロウル「――キューキュー鳴くからキューちゃん! これでどうですっ!?」ドヤ!
白帝竜「キュル……」ショボン…
ロウル「あれ、駄目ですか!?」
フィーア「難しいですね……」
ロウル「むむむ、これはローズさん達にも色々案を出して貰う必要がありそうですね」
……
――
……
ローズ「待たせたわネ愛しの天使!」バッ!
白帝竜「キュル?」
アーシャ「あら、こんにちは。元気そうですね」フフ
アイナ「な、なんでアーシャさんそんな平然と……」ブルブル
スミレ「……まさかこうして、本物の白帝と対峙するとは思いもしませんでしたよ」
ローズ「本当に人生、どこでどう変わるかわからないものよネ」
ローズ「この竜も、一歩間違えばアベル様達のお腹の中だったかもしれないし」
白帝竜「キューンキューン……」プルプル…
フィーア「ローズさん、怖がらせちゃ駄目ですっ!」
ローズ「あらごめんなさい。本当に、いろいろびっくりネ」
アイナ「スミレちゃん、白帝竜って大体どのくらい強いんだっけ?」
スミレ「帝竜の中では最強の存在。ローズさんですら太刀打ちできない相手の筈ですよ?」
ローズ「まったく、燃えちゃうようなことを言わないの!」ゾクゾク!
白帝竜「キュルル……!」ドヤ!←レベル510
ロウル「まず、こんな巨大な生き物と一対一の勝負を考える時点で間違っていると思いますよ?」
アーシャ「そうね。一人一人は及ばずとも、みんなで力を合わせて初めていい勝負ができるでしょう」
アイナ「うわぁ……流石。皇帝陛下を相手取った強者の余裕を感じる……」
ロウル「いや、流石にあのとんでもない人と比べればこの竜もだいぶ可愛いですって」
白帝竜「キュン!?」ガーン!
フィーア「ああっ!? もう、あんまりこの子をいじめないでください!」プンプン!
スミレ「ふふ、皆様にかかればもう、竜は戦争兵器なんかじゃないと言い切れそうですね」
スミレ(本当にまさか、こんなことになるなんて。夢にも思わなかったなぁ……)
ローズ「さて、この子が思ったよりも大丈夫そうなのもわかったし、そろそろ本題に移りましょう?」
ローズ「見たところ、ロウルちゃんがこの子の住処を見つけてあげて、そのお披露目ということでいいのかしら?」
ロウル「ええ。ですが、今はそれに加えてもう一つ」
フィーア「この子の、名前を考えてあげたいんです!」ピョン!
アイナ「名前……ですか?」
アーシャ「確かに、白帝竜では味気ない気もしますものね」
スミレ「フィーア様の案はどのようなものなのでしょう?」
フィーア「残念ながら、却下されてしまいました……」
ロウル「私も同じくです。何かいい案はありませんかね?」
ローズ「なるほどそういうことネ……」
ローズ「……二人とも準備はいい!? 天使のサポートもアタシ達の大事な仕事ヨ!」
アイナ&スミレ「「は、はい!」」
アーシャ「ふふ、私も少し考えてみようかしら?」
白帝竜「……」ドキドキ
ロウル「……今更ですけどこの竜、結構わかりやすいですよね。今は結構緊張してそうですし」
フィーア「とっても感情豊かです!」ピョンピョン!
ロウル(……他の帝竜を食べてしまったことへの罪悪感が)
ロウル(――食べませんけど、この竜も美味しかったりしたんでしょうか?)チラリ
ロウル(なんとなくガラから濃厚な旨味が出そうな、そんな気配を感じます)
白帝竜「!?」ゾク!
ローズ「――よし!」
ロウル「お、一番手はローズさんですかね?」
ローズ「ずばりこの子の名前は――パイロン! どうかしらっ!?」
白帝竜「キュー……」
ローズ「あら……駄目みたいネ」
フィーア「かっこいいですけど、ちょっと固い感じがします?」
ロウル「そうですねぇ。ローズさんにしては、男の子よりというか……」
ローズ「そ、そんなことないわヨ? アタシずっと乙女ヨ?」アセアセ
ローズ(……久々に戻った影響残っているのかしら?)
ローズ「なかなか、難しいわネ……」
アーシャ「では、次は私が」スッ…
アーシャ「……アベルと言えばイメージカラーは黒。同じように白帝竜と言えばイメージカラーは白です」
アーシャ「――ここはシンプルに、ホワイトはどうでしょうか?」
白帝竜「キュッキュー……」フルフル…
アーシャ「駄目ですか……」
アイナ「今更だけど、しっかり私達の言葉理解してるんだね……」
アイナ「でもアーシャさんの名前はいい線いってると思うんだ……!」グッ!
アイナ「シンプルに、それでいて可愛く! そうなるとここは――シロちゃんとかどうかな!?」
白帝竜「キューン」バツジルシ!
アイナ「思った以上に明確に拒否された!?」ガーン!
ロウル「私のキューちゃんも拒否されましたし、やむを得ないかと思いますよ?」
アーシャ「本当に賢い子ですね……」
ローズ「まいったわネ。流石のアタシも、名づけの鍛錬はしてこなかったワ……!」
スミレ「……」
スミレ「……ふむ」
ローズ「あらスミレちゃん、妙案が浮かんだかしら?」
アイナ「気になる気になる……!」
スミレ「いえ、ボクもまだ考えている途中なのですが……」
スミレ「白帝竜の反応を先程から観察している限り、白帝竜は落ち着きこそすれその誇りは残っているようです」
アイナ「誇り?」
スミレ「ええ。金真竜の護衛、最強の帝竜としての誇り、自負」
スミレ「そしてその賢さ……ひたすら暴れ者という赤帝よりも、高い知能を持っているでしょう」
白帝竜「キュキュー」コクコク
アーシャ「頷いているわ……」
スミレ「勿論腕力その他もずば抜けてはいるでしょうけど、白帝竜はその知性にも誇りがありそうです」
スミレ「……ですから、あまりに可愛らしい名前では受け付けないのかと」
フィーア「な、なるほどです!?」
スミレ「あとは細く洗練された外見ですからね。もしかすると、女の子かもしれません」
スミレ「そうなると雄々しい名前にも抵抗があるかも?」
スミレ「これらを踏まえると、知的で優雅さのある名前なら気に入ってもらえるのではないかな、と」
ローズ「す、すごいわスミレちゃん!?」
アイナ「流石スミレちゃん、すごい洞察力だよ!?」
フィーア「わ、私も頑張ります!?」
スミレ(……)
スミレ(ボクも少なからず、この力を誇りに思っているからでしょうか?)
スミレ(たとえ戦争兵器ではなくなっても、なんとなく白帝竜の気持ちもわかる気がするんですよ……)
白帝竜「キュルル……」
アーシャ「知的な名前、それでいてこの子に似合いそうな……」ウーン…
ロウル「……駄目です。一度思い浮かんだらキューちゃんが頭から離れません!?」
ロウル「大体なんで白帝だけキューキュー鳴くんですか!?」
白帝竜「キュルー! キューン!」
スミレ「……多分、その辺りも他の帝竜との格の違いなのでは?」
アーシャ「黒帝竜はかなり大柄かつ鳴き声も動きも大きかったですし、本当にそうなのかもしれませんね」
アーシャ「一番強いけど、一番控えめ……みたいな?」
ローズ「知的で優雅で控えめ……難しいワ!」
アイナ「も、もう案がでませーん!」
フィーア「でもでも、仲良くなるにはやっぱり名前って大切だと思います!?」ワタワタ!
アイナ「スミレちゃん、もう一声お願いっ!」
スミレ「ええっ!? ボクが言ったのはあくまで推察なんですけど……」
スミレ「そうですね……」
スミレ「……」モクモク
スミレ「……あ」ピーン!
フィーア「来ましたか!?」ピョーン!
スミレ「……ええ。一応は」
スミレ「……以前、キアラ様からお借りした本にこんな記述がありました」
スミレ「五竜と同じように、様々な色を体現する空想上の生き物……」
スミレ「その中に、五竜と色が重なる縁起のいい生き物もいたんです」
フィーア「縁起のいい生き物?」
スミレ「はい。吉報の前触れともされていたようですね」
スミレ「そんな生き物の白い個体は――サクメイと呼称されるようで」
スミレ「もう王国貴族のいいなりになる必要もありませんし、こうして新しい住み場所も見つかったんです」
スミレ「――絶望の顕現ではなく、吉を運ぶ存在となれるような願いも込めて」
スミレ「親しみやすく、品よく、サクという名前ではいかがでしょうか?」
白帝竜「!!」
白帝竜「キュルルーン♪」バッサバッサ!
ロウル「おおぅ!? 明らかな好感触ですよこれは!」
スミレ「気に入って、貰えたのでしょうか?」
ローズ「ふふ、これをみれば一目瞭然じゃない!」
アイナ「スミレちゃん、ありがとう!」
アーシャ「優しいとてもいい願いだと思います。この子も喜んで当然ですね」フフ
フィーア「はい! 私も気に入りました!」
フィーア「――これからも、よろしくお願いします! ――サクちゃん♪」
サク「キュッキュルー♪」バサァ!
……
――
白帝改めサクちゃんになったあたりで今日はここまで
もう少しだけ続いた後、おまけ8は終了となります
というわけで、激烈亀になっていますが次のおまけ9の題材を早いですが先に安価募集しておこうかと思います
人いるか怪しいけど↓1~5あたりで
本日もありがとうございました!
こんばんはー
予想以上に埋まるのが早かった&範囲を明確化してなくて申し訳ないです
基本的にこういった安価の時は票数>コンマ(00>偶ゾロ>奇ゾロ>その他)になっているのですが……
今回は私が範囲を曖昧にしてしまい(一日かからず↓5以降まで埋まると思わず)、範囲外の人や
変更したいという方も含めると(本来駄目ですが、こちらの不手際でもあるので今回のみ)
『冬の旅行』が票数最多となるため、今回はこちらを拾わせて頂きます
また票割れも激しいようなので、残りチケットは僅かですが、次回以降はある程度私からおおまかな案を提示します
(当然自由安価も継続しますが)
そして申し訳ありませんが、キアラの人知れずニチアサチック世直しはちょっと難しそうです
私の技量もですが、帝国内だとキアラが忍べない問題が……(帝国内で天使を生み出せて動かせるのはキアラとルーシェのみ+皇女)
色々と、どうかご容赦ください……
そして『冬の旅行』も少々考えるべきところがあるので、こちらの具体的内容も改めて多数決安価を取りたいと思います
1:なんらかの流れで旅行券ゲット。アベル隊+カイン隊+アドルラン隊+妹ズでどこかの旅館に
2:アベル自腹で部隊のみんなと休暇旅行。アベル隊のみだが、個別に絡みやすいかも
3:スカーレット将軍の招待。王国や聖国メンバーも巻き込んでどたばた
4:同行者や展開含めてコンマ判定で切り拓いていく。(何が起きるかわからない)
5:その他自由安価
今度は確定して
↓1~5多数決コンマ
こんばんはー
それでは遅くなりましたが、おまけ8終了までとおまけ9導入まで投下していきます
――
サク「キュルーン♪」バッサー!
フィーア「名前も決まって、新しいお家も気に入ってもらえて、本当によかったです!」ピョンピョン!
ロウル「ほんと頑張った甲斐がありましたよ。ここ以上はなかなか厳しいですからねぇ」
スミレ「ええ、ボク達から見ても快適な場所だと思います」
アイナ「うんうん。自然のまま、あまり人の手はいれたくないね」
ローズ「帝国の環境を考えると、こういった場所が手つかずで残っているのもなかなか珍しいのよネ」
ローズ「この子の為にも、ここは大切にしていきましょ」
サク「キュキュー♪」モシャモシャ
フィーア「あ、さっそく美味しそうに草を食べてます!」
ローズ「そういえば、草食だったそうネ?」
スミレ「いえ、おそらくは雑食かと。金真竜を宿してから、ボクも少し肉食に偏った気がしますし」
アーシャ「確かに牙の様子からして、お肉も食べれそうだけれど……」
アイナ「あ、もしかして健康に気を使ってるのかも?」
サク「ギュ!?」モシャ…
フィーア「あ、あれ? 急にどうしたんでしょうか?」
ローズ「喉に詰まらせたってわけでもないわネ?」
アーシャ「ん、この反応は……」
ロウル「あー、もしかしてスミレさんが原因かもですね」
スミレ「ボ、ボクですか!?」
アイナ「あ、そっか。スミレちゃんが宿している金真竜って元々はこの子の上の存在だから!?」ポン!
サク「キュー!?」
ローズ「どうやら間違いないわネ……」
スミレ「そんな。ボクが宿しているのはこのくらいの片鱗程度」ジャキン!
スミレ「別に怯える必要もないと思いますよ?」
サク「」
フィーア「か、固まっちゃいました!?」
アイナ「本当に反応がわかりやすいなぁ……」
――賢い白帝竜サクの現在の思考――
・私、強くて頭いい。帝竜で一番偉い。白帝>他帝竜
・でも金真竜、私よりも偉い。金>白>他
・スミレはそんな金真竜の力を持っている。今のが全力かも判断不能
つまり可能性としてスミレ≧金>白>他
・会話のやりとりからして、スミレとアイナは同格。そんな二人はローズに忠実
そうなると必然、ローズ>アイナ=スミレ≧金>白>他
・そんなローズもフィーアに忠実。
そもそも前に助けに来てくれた時に気配を察せなかった実力者なのは間違いない
フィーア>ローズ>アイナ=スミレ≧金>白>他
・そしてフィーアが慕うアーシャとロウルは、蒼帝の捕食者でもある実力者
アーシャ=ロウル>フィーア>ローズ>アイナ=スミレ≧金>白>他
・現時点で、多分他の帝竜は全員死んでいる
アーシャ=ロウル>フィーア>ローズ>アイナ=スミレ≧金>白
結論……自分は最下層
サク「キューン……」ペター…
スミレ「ど、どうしたんですか急に!?」
ロウル「なんだかひれ伏している様にも見えますよ……」
アイナ「やっぱりスミレちゃんの力を恐れているんだ!?」ワタワタ
スミレ「だからボクは金真竜本体程の力は無いと!?」ワタワタ
ローズ「うーん……染みついてしまった習慣って、なかなか抜けないのよネ」
スミレ「だからといってこれは……フィーア様、フィーア様からもどうかお願いします」
フィーア「えっと、えっと、どうすればいいんでしょう!?」
アーシャ「サクちゃんもフィーアちゃんには特に心を開いてくれているから、思ったことを伝えれば大丈夫だと思いますよ?」
フィーア「わ、わかりました!」グッ!
フィーア「……サクちゃん。私達は上下関係とかじゃなくて、あなたとお友達になりたいと思っています」
サク「……キュ?」チラ
スミレ「……ボクもですよ?」
フィーア「だから、そんな恰好はしなくて大丈夫です! もっと自由に、楽にしてください!」
サク「キュル……」
サク「キュ!!」コクン!
サク「キュルルーン!」バッ!
フィーア「やっぱり、元気が一番です!」
……
――
――
……
スミレ「ふぅ……なんとかボクの誤解も解けたようで何よりです」
スミレ「まさか金真竜の力が、片鱗でも帝竜に影響を与えるなんて思いもしませんでした」
アイナ「でもよかった。フィーア様のおかげでもあるけど、最後の方はスミレちゃんにも懐いてくれたみたいだし!」
ローズ「結構感情豊かな子だったし、ちゃんと触れ合えばみんな仲良くなれそうネ」
ローズ「でもまさか、あの子がお兄ちゃんだけじゃなくて、異種族とまで仲良くなれる世界になるとは……」
ローズ「人生何が起きるかわからない。流石のアタシも、こんな未来は考えもしなかったワ」
スミレ「……そうですね。ボクも、今のこの状況は奇跡的だと思います」
アイナ「うん、私もそう思う。あの頃の私に未来はこうなるんだよって教えても、絶対に信じないだろうなぁ……」
ローズ「……みんなが頑張ったから、今のこの時があるのヨ?」
ローズ「そして、これからの為にも……もっともっと頑張って、もっともっといい未来にしていかないとネ?」
アイナ「ローズさんと一緒なら、なんでもできます!」フンス!
スミレ「ボクもです!」バッ!
ローズ「……アタシもよ。可愛い天使達に、あなた達がいる。それだけで、アタシの活力は無尽蔵に湧いてくるワ!」ダキッ!
アイナ「///」
スミレ「///」
ローズ「皇子様達より先に挙げるのは不味いから、もうしばらくは待ってもらうけど……」
ローズ「アタシと結婚するからには、とびっきりのお世話を約束するワ♪」
アイナ「ま、待ってください! 私だって、ローズさんをちゃんとお世話したいです!?///」
スミレ「その……全てお任せしてしまうというのも、ボク達としては避けたい事態でして……///」
ローズ「ふふ、今よりももっと立派になったあなた達にお世話をされる……か」
ローズ「それも良いけれど、それなら尚のことお互い頑張らないとネ!」
ローズ「さ、戻ったら早速サクちゃんの住処が変なことにならないような準備に取り掛かるわヨ!」
ローズ「アタシ達はメイド。本業も忘れちゃ駄目ヨ?」
アイナ&スミレ「「はい、ローズさん!!」」ビシ!
ローズ(――明るい未来をありがとう、愛しい子達……)
――
EXイベント8
【戦いを終えて~~帝国メイド長と可愛いコ達~~】 おしまい
――
――
――おまけEXイベント9――
【戦いを終えて~~帝国兄妹の旅行~~】
――
――
【帝国・王城】
ルーシェ「……」ペラペラ…
ヒバリ「お帰りルーシェ。あ、ルーシェもそれ集めてるの?」
ルーシェ「いえ、お買いもの、してたら、勝手に集まって……」
ヒバリ「思ったより大変なのよねー、狙って集めるって」
ヒバリ「一定額以上のお買いもののサービスで一枚って楽に聞こえるけど……」
ルーシェ「福引一回、10枚……景品に釣られて余計なお買いもの、痛い出費になります」
ヒバリ「日用品ならいいんだけどね。あの通りの店は普段の買い物するっていう店とはちょっと違うし」
ヒバリ「でも面白い試みではあるよね。実際この券のおかげで普段は寄らないお客も入っているんでしょ?」
ルーシェ「王国が一枚噛んでいる、らしいです……」
ヒバリ「なるほど、だから特別賞が王国領の旅行券なわけだ。他も結構豪華なの多かったし納得かも」
ルーシェ「でも、末賞はすごく微妙……です」
ヒバリ「あはは……そうしないと、お店も儲けがでないからね」
ヒバリ「というよりもルーシェ、しっかり把握しているってやっぱり集めてるんじゃないの?」
ルーシェ「……///」
ルーシェ「……よ、四等のお掃除セット……当たればいいなって///」
ヒバリ「もう、別に集めてることなんて恥ずかしいことじゃないんだから正直に言えばいいのに」
ヒバリ「帝都の人にとっても、商店のこんなイベントは初めてだからね。意外な人が集めているかもよ?」
ルーシェ「そ、そうなんでしょうか?」
フィーア「……」ヒョコ
……
――
【帝国・アベルの城塞】
アベル「福引券?」
フィーア「はい! ヒバリさん達は集められているようです!」
エリス「あ、私も何枚かもっていますよ」ピラ
パトラ「私も。とはいえ、狙って10枚は少々難しそうですが」ピラ
アベル「王国が絡んでいると聞いたが、王国ではよくあったことなのか?」
パトラ「そうですね……」
パトラ「多少の差異はありますが、一定額の買い物をするとおまけで券を配る」
パトラ「そしてそれを一定枚数集めて、福引と引き換えるというものはちらほらとありました」
パトラ「その福引の景品にはかなり差があった覚えがありますけどね」
エリス「確か、帝都で今やっている福引の特賞は旅行券でしたよね?」
パトラ「はい。とはいえ確かあの王国領は相当な北方領だったかと思うのですが……」
アベル「北方領……気候的には帝国同様、かなり過酷なのではなかったか?」
パトラ「はい。帝国程では無いと思いますが、山岳地帯に加えて降雪も相当だったかと」
パトラ「まあ貴族達は、その雪すらも娯楽扱いしていたようですが」
アベル「なるほど、娯楽文化に抜きんでた王国らしい。雪の娯楽か……」
フィーア「……」ソワソワ…
アベル「……」チラ
エリス「……」コクン
パトラ「……」コクン
……
――
――
【帝国・帝都】
カイン「え? 福引券だって?」
エメリナ「あ、私何枚か持っています……!」サッ!
アドルラン「私も少しだけだが持っているよ」サッ!
アベル「ふむ、意外と浸透したイベントのようですね」
エメリナ「商店で買い物をよくする人は、集まりやすいかも……?」
カイン「ふぅん、これを集めてくじ引きねぇ……」ペラ…
カイン「まったくこんなわかやすい罠はないだろうに」
エメリナ「え?」
カイン「これを10枚集めるってだけでも、それなりの出費だ」
カイン「そこから狙った景品を当てるなんて、一般人には無理に決まっているだろう?」
カイン「いい景品をぶら下げておきながら、本当に当たりが入っているかどうかも疑わしいしね」
カイン「で、アベル? わざわざ僕らにこんなことを聞きに来るってお前まさか……」
アベル「……実は、フィーアが特賞の旅行に興味を持っているようで」
アベル「その……当たるかは別として、少しはイベントを楽しませてやりたいというか……」
カイン「はぁ……」ヤレヤレ
カイン「僕らの分を掻き集めてフィーアに渡したところで、すぐに底をつくに決まっているだろう?」
カイン「……エメリナ、丁度部屋の模様替えをしたかったし、この後の買い物ついてきてくれるかな?」
エメリナ「か、かしこまりました!」
アドルラン「はははは! カインも素直じゃないなあ!」
カイン「べ、別にこれは僕がたまたま買い物をしたかっただけで、別に……」
アベル「俺もちょうど部屋の模様替えをしたいところでした」
アドルラン「私もだ。よし、折角だからこのまま兄弟揃って買い物にいくとするか!」
カイン「だ、だから僕は!? というか二人とも、福引なんてそもそも……」
ワーワー!
ローズ「……次のミッション、決定ネ」コソコソ
アイナ「はい!」
スミレ「……」チラ
ギルバート「…………」
バーンズ「……御意」
スミレ(大変なことになりそうだ……)ブルブル…
……
――
――数日後――
福引券「……」ズドーン!
キアラ「ど、どうしたのフィーアちゃんそれ……」
フィーア「そ、それが起きたら枕元に……」オロオロ
ローズ「買い物だけして、券はいらないって人も多いらしいからネ!」
ローズ「きっとそういう人からの贈り物ヨ! うん!」
ローズ(でもアタシ達が用意した量の倍近くあるような……?)
アベル(フィーアに渡す予定だったこれ、どうしたものか……)コソコソ
アドルラン(ううむ、こうなっては仕方がない。折角集めたのだから、我々で使わせて貰おうか?)
カイン(それがいいね。あれだけあっても、フィーアが当てられるとは限らないし)
アドルラン(作戦変更、兄妹で揃って福引会場に向かう作戦決行だ!)
アベル(了解です!)
カイン「ん、なんだフィーアも集めていたのか?」サッ!
フィーア「カイン兄様? あ、もしかして!?」
アドルラン「ああ、私もカインもアベルも、みんな集めていたんだ」
キアラ「ちょ、ちょっと意外です……」
フィーア「キアラ姉様も集めていましたし、これで兄妹全員がが集めていたことになるのでしょうか?」
アベル「そうなるな。どうだフィーア、折角だから、みんなで引きに行かないか?」
アドルラン「みんなで回せば、その分当たる可能性も増えるかもしれないしな!」
カイン「ま、僕の運を見せつけてあげるのも悪くないかもね」
ローズ(あなた達……ありがとう!)グッ!
皇子ズ「「……」」グッ!
フィーア「?」
キアラ(兄様達、きっとフィーアちゃんの為に集めてくれてたんだね。そういう私もなんだけど……)
フィーア「で、では早速行きましょう!」ワクワクドキドキ!
……
――
【帝都・福引会場】
ワーワー…
ガラガラ…
ポト…
商人「あー残念、ハズレだねー」
客「くそぉ……」
商人「はい、次の方ー」
ガラガラ…
カイン「……驚いたね。想像以上の賑わいじゃないか」
アベル「景品の有無にかかわらず、帝国ではこういった催し物が珍しいですからね」
アドルラン「今後は国をあげて、こういった文化を取り入れるのも悪くないかもしれないな」
キアラ「そうですね。でも……」
客1「こ、皇族の方が勢揃いしているぞ!?」
客2「一体何が始まるんです!?」
フィーア「や、やっぱり変装してきた方がよかったかもしれません!?」
アベル「俺もそれは思った」
アドルラン「ははははは! なに、私達でもこういったことをするのだと、民に広める意味もあるのだ」
アドルラン「ここは正面から、正々堂々福引をするのが一番さ!」
カイン「福引に正々堂々も無いと思うけど……」
カイン「あと兄さんはとりあえず、その回すやつを全力で回すんじゃないよ?」
アベル「見たところ、程々の力でないと玉も出てこないようですからね」
キアラ「当たりは金色ですか……」
フィーア「……」ドキドキ…
商人「で、ではお次の方……」ドキドキ…
特殊判定(おまけあり)
↓1~4コンマ二桁
福引結果・三皇子の新年運勢と旅行先(すかした場合フィーア引き当て)
1:カイン
15(そうそう当たるわけがない)<90
2:アドルラン
94(出ちゃった特賞。無欲の勝利)>90
3:アベル
06(こういった時の運はない第三皇子)<90
4旅行先グレード(イベント量)
01~33:旅館のみ
34~66:旅館+娯楽施設有
67~99:旅館+娯楽+露天温泉有
コンマ82
67~99:旅館+娯楽+露天温泉有
――
判定をとった辺りで今日はここまで
……しっかりイベント量最大コンマを持っていかれた程度で吐血はしないです、はい
とはいえ、ちょっと描写増やす程度なのであまり期待はしないでください
本日もありがとうございました!
こんばんはー
遅くなりましたが少しだけ再開
最後にちょっとだけおまけ判定ありです
――
カイン「それならまずは、この僕がやるべきだろうねぇ」ザッ!
カイン「僕の運の強さを、見るがいいさ!」グオッ!
ガラガラ…
ポト…
商人「……白玉ですので、ハズレですね」
カイン「ふ、ふふん……」ヒク…
カイン「この程度で退く僕じゃないよ。券はまだあるからねぇ!」バッ!
ガラガラ…ポト…
ガラガラ…ポト…
ガラガラ…ポト…
ガラガラ…ポト…
商人「……全部白玉ですね」
カイン「」
客1「おいおい、皇族相手にこれ大丈夫なのか……?」ヒソヒソ
客2「い、いや逆にこの福引は凄い公正だってことだろ? 俺らもチャンスあるぞ!」ヒソヒソ
アベル「真っ白になっていますね……」
アドルラン「はははは、まあこういう時もあるさ!」
アベル(しかし、ハズレの玉が出れば出る程に後続の当たりは出やすくなる筈)
アベル(そうなると、次は俺が出るべきか)
アベル「では、次は俺が」スッ…
フィーア「アベル兄様、頑張ってください!」
キアラ「連続白玉だから、アベル兄様にはそろそろ違う色が来るかも……?」
アベル「いざ……!」ガッ!
ガラガラ…ポト…
ガラガラ…ポト…
ガラガラ…ポト…
ガラガラ…ポト…
ガラガラ…ポト…
商人「お、おかしいな……また全部白玉です……」ビクビク
アベル「そ、そうか……」ガクリ
アベル(せめて末賞くらいは欲しかったな。これでは無駄遣いとアーシャに咎められかねん……)
客1「ほ、本当に当たり入っているのかあれ?」
客2「見ろよ、アベル様はともかくカイン様まだ真っ白だぜ……?」
キアラ「な、なかなか厳しいんだね福引って……」
フィーア「予想以上の強敵です!?」
アドルラン「こればかりは運だからなぁ。この流れだと次は私かな?」
キアラ「流石にそろそろ白以外が出てもいいとは思うのですが……」
フィーア「緑玉の。焼き菓子詰め合わせもちょっと欲しいです!」ピョン!
アドルラン「はははは、そう都合よく出ればカインもアベルも苦労しなかっただろうな」
アドルラン「出れば良しだが、まああまり期待はしないでくれ」ザッ…
アドルラン「――第一皇子アドルラン、参るっ!」ギュオン!
商人「ああっ!? 勢い強すぎぃ!?」
ガラララララ!
シュポーン!
金の玉「……」コロコロ…
アドルラン「おや?」
商人「」
商人「で……出ましたぁ!? 特賞! 特賞ですっ!!!」ガランガラン!
客達「「うおおおおぉぉぉぉぉ!?」」
アドルラン「なんと、まさか一発目で出るとは」ビックリ
フィーア「す、凄いですアドルラン兄様!」ピョンピョン!
キアラ「あまりにあっさりと出ちゃって、ちょっとびっくりです……!?」
アドルラン「はははは! 今日は運がよかったようだな!」
アベル「流石、アドルラン兄様。絶対に当たりを引こうという欲が無かったからこそなのかもしれませんね」
アドルラン「いやいや、私も少しは何か当たればいいなと期待はしていたぞ?」
アドルラン「ルーシェは四等を狙っていたようだしな」
商人「いやはや、流石はアドルラン様……こちら、特賞の旅行券となります」
アドルラン「ありがとう。おや、こんなに貰えるものなのか?」
商人「何しろ目玉の特賞ですので。王国側としても、一気に多くの客を呼びたい思惑があるのでしょうな」
アドルラン「なるほど。これならばフィーア達とも一緒に楽しめそうだな!」
フィーア「え、いいんですか!? わーいわーい!」ピョンピョン!
アドルラン「ほらカイン! いつまでも落ち込んでないで、お前も一緒に楽しむぞ!」バシバシ!
カイン「」
商人「おや……アドルラン様、まだ福引券をお持ちのようですね」
商人「既に特賞を引き当てられましたが、まだ続けますか?」
アドルラン「ふむ……まさか私が当たるとは思ってもいなかったからな」
アドルラン「まさかとは思うが、このまま私が他の当たりを引いてしまっては他の者の楽しみを奪ってしまうだろう」
アドルラン「折角だが、この券は引き取っていただこう」
商人「さ、左様でございますか。いえ、アドルラン様らしいというか……」スッ…
ワーワー!
フィーア「……キアラ姉様、私達もこの券をお返ししましょう!」
キアラ「うん、そうだね」スッ…
フィーア「元々、いつの間にか増えていた券ですし……」アセアセ
フィーア「ここは、姉様と集めた本来の枚数だけ回させて頂きます!」バッ!
商人「おっと、失礼致しました。キアラ様とフィーア様も券をお持ちなのですね」
商人「それでは、どうぞ!」
ガラガラ…ポト…
ガラガラ…ポト…
ガラガラ…ポト…
ガラガラ…ポト…
ガラガラ…ポト…
緑玉×5「……」テーン
商人「……出方が随分と偏るなぁ?」ウーン?
商人「えっと緑玉は焼き菓子の詰め合わせですので……」
焼き菓子の山「……」ドッサリ
フィーア「や、やった! これは違った意味で大当たりですよ兄様!」ホクホク
フィーア「これだけあれば、兄様やローズさん達にもお裾分けできます!」ピョンピョン!
アドルラン「よかったな二人とも! まさかこんなに景品を貰えるとは!」
アベル「俺とカイン兄様の運が極端に酷かっただけのようですね……」
キアラ「こうして緑玉が続くと、兄様達が全ての白玉を出し切ったんじゃないかなって……」
カイン「ぐはぁ!?」
キアラ「兄様!?」
アドルラン「はははは! それはそれでなかなかな確率だぞ。凄いじゃないかカイン!」
アベル「兄様、追い討ちはやめてあげてください」
アドルラン「よし、さっそく今後の計画を皆で練るぞ!」
フィーア「わーい!」ピョーン!
……
――
――
……
【帝国・王城会議室】
アドルラン「さて、まさか本当に手に入るとは思っていなかったこの旅行券」ペラ
アドルラン「なんと人数制限はないようでな。折角だから、兄妹水入らずの旅行にしたいと思うんだがどうだろう?」
アドルラン「ああ、折角の機会だ。普段お世話になっている人を誘うのもいいかもしれないな!」
アベル「なるほど、素晴らしい案だとは思いますが……」
アベル「多分、俺は相当な人数を誘ってしまいますよ?」
カイン「ふん、お前が節操ない奴だってのはもうわかりきっていることだ」
カイン「僕は別に、兄さんからの施しなんて――」
アドルラン「カインとも一緒に旅行に行きたいなぁ!」ガシ!
アドルラン「お前にも兄らしいことはしてやれていなかったからな。今更かもしれないが、存分にこの兄を頼ってくれ!」
カイン「ばっ、なんで兄さんはそんな気軽に……」
アベル「……でもカイン兄様、もしかしなくてもフィーア以上にこの旅行気にかけていましたよね?」
カイン「なっ!?」
アベル「そうでなきゃ、全部ハズレを引いてあんな顔にはなりませんよ……」
カイン「う、煩いな! そりゃ、僕だって普段見慣れない景色とかには憧れはあるよ悪いか!?」バン!
キアラ「いえ、とても素敵だと思いますよ兄様?」
フィーア「はい! 私も、帝国とは違う雪景色に興味があります!」
カイン「ほ、ほらな!? 別に僕だけじゃないんだぞ!?」
アドルラン「ははははは! よし、カインも乗り気になってくれたところでどんどんいこう。エメリナ君はもちろん呼ぶんだよなカイン?」
カイン「…………うん」
アドルラン「私も、ヒバリとルーシェを呼ぼうかな。彼女達にも息抜きをしてもらいたい」
フィーア「ローズさん達も……」
キアラ「……と言いたいところだけど、ちょっと難しいかもしれませんね」
アドルラン「む、何故だ?」
カイン「いや、気付きなよ兄さん……」
カイン「まず、券を当てた兄さんは確定。それにヒバリとルーシェが同伴」
カイン「元々楽しみにしていたキアラとフィーアも当然向かう」
カイン「そして僕も行けるならエメリナと一緒に行きたい」
カイン「ここでアベルだけ仲間外れは流石に可哀相だし、アベルのことだから部隊全員声をかけるだろう」
カイン「……一応僕ら、今の帝国トップなんだよね。そして身近な人は直属の護衛でもある」
カイン「これにローズさんや直属メイド隊まで呼んだら、流石の帝国の戦力もガタガタだよ」
アドルラン「む……」
カイン「父さんや母さんがいるから、完全に帝国が陥落することはないだろうけど……」
カイン「あの父さんのことだ。隙を見せるだけでも怒り心頭に達しかねない」
フィーア「うーん、王国にもサクちゃんを利用しようとする悪い貴族の人がいましたからね」
キアラ「聖国のヘリング司教もです。帝国にも、王城の隙を窺う人が0であるとは言い切れませんね……」
アドルラン「……はやく、帝国ももっと安定した状勢にしなければな」
一同「「……」」コクリ
アドルラン「――しかしこの旅行券、使用期限はあるからなぁ」ソワソワ
カイン「やっぱり兄さんも楽しみにしてるじゃないか!」バーン!
アドルラン「ん? 私は一度も楽しみにしていないとは言っていないぞ?」
アベル「ちなみに俺も楽しみにしていたりします」ソワソワ
カイン「くそ、僕だけ馬鹿をみた感じじゃないか!」
カイン「まあいいや……確かに、兄妹揃っての旅行なんて滅多にない機会ではある」
カイン「ローズさん達には申し訳ないが、今回は留守番をしてもらうしかないだろうな……」
……
――
――
【帝国・王城】
ローズ「んまっ!? 本当にあの特賞を当てちゃったの!?」
ローズ「そういうことなら留守は任せておいて。アタシ達がしっかり守りを固めるワ!」
フィーア「ご、ごめんなさい。本当はローズさん達も……」
ローズ「いいのよアタシ達は。まずは折角のお兄ちゃん達との時間を大切になさいな?」
スミレ「はい。サクのお世話も、お任せください」
アイナ「あ、お土産はちょっと欲しいかもです……///」
キアラ「か、必ず!」
……
フィーア「な、なんだかローズさん達、あまり旅行に行けないの残念そうじゃありませんでしたね?」
キアラ「ローズさん達も忙しいし、元々時間がとれなかったのかな?」
フィーア「でも、今度はローズさん達とも旅行に行ってみたいです!」
フィーア「よーし、今度の福引は、私が一番を当てちゃいますよ~!」
キアラ「フィーアちゃん、また特別賞が旅行券とは限らないよ?」
フィーア「確かにです!?」ガーン!
キアラ「……でもいつか、私達で一から計画するのもいいかもね?」
フィーア「はい!」
……
ローズ「うぅ、アタシ達にまで声をかけてくれる二人はまさに天使ヨ……」ウウウ…
ローズ「でも、二人や皇子様達が落ち着いて羽休めできる環境を整えるのも、アタシ達メイドの務めヨ!」
アイナ&スミレ「「はい!」」バッ!
ローズ「……」
ローズ「でも折角だから、お仕事が一段落したらまた三人だけの時間も作りましょうネ?」
アイナ&スミレ「「は、はい///」」
????「……」コソ…
おまけ特殊判定
↓1コンマ二桁
判定をとったあたりで今日はここまで
次からいよいよ旅行先に向かえればと思いますが、私自身がもう旅行なんで何年も行ってないので旅行感が出せるかが不安なところ
そしてそれとは別のとあるフレーバー判定を↓1コンマから先に回収しておきます
(例によって量が多いので、私のコンマも拾っていきますので無理にコンマをとらなくても大丈夫です)
本日もありがとうございました!
乙です
こんばんはー
それではまた少しだけ再開です
このレスから私のコンマも拾っていきますが、既に結構大変なコンマ結果に……
おまけ特殊判定
お母さんの自制心
01~50:我が子との旅行……い、行きたい!
51~00:あの子達が何も気にせず遊べるように私が頑張らないと
コンマ46
01~50:我が子との旅行……い、行きたい!
※葛藤の末、自制心敗北!
――
ノワール「……」スッ…
ノワール(盗み聞きするつもりはなかったのだけれど……)
ノワール(王国の旅行券、あの福引で誰かが当てたのね)
ノワール(……)
ノワール(わ、私が引きたかったですね……)
ノワール(そうすれば、自然な形であの子達と一緒に旅行なんて……)
ノワール(そんな、夢みたいなこともできたかもしれないのに……)
ノワール(……)
ノワール「……」ソワソワ…
ノワール(で、でも……あの子達なら、お願いすれば私も一緒に……)
ノワール(……いやいや!)ブンブン!
ノワール(何を考えているのですか、私は)
ノワール(あの子達が引き当てた旅行券なのですよ? 自分達で自由にしたいに決まっています)
ノワール(ここで私がすべきは、あの子達が気兼ねなく旅行を楽しめるように……)
ノワール(……でも、さっき彼女達を誘っていましたよね?)
ノワール(ああ、でも、あの子達にとってローズはまさに家族同然だし……)
ノワール(でもでも、私だって……)グルグル…
ノワール「あぁ……」
ザッ…
ノワール「!!」
ヒュオン!
ローズ「っとぉ!? アタシですよノワール様!?」バッ!
ノワール「あ、あらごめんなさい!? 私としたことが……」
アイナ「み、見えなかった……」ブルブル…
スミレ「流石ノワール様……」ブルブル…
ローズ「突然声をかけてしまってごめんなさいネ。なんだか、酷く悩まれているようだったから……」
ノワール「いけませんね……もしあなた達ではなくフローレンだったら、手痛い一撃を受けているところでした」
ローズ「それほどまでに悩まれるなんて……やっぱりアベル様絡み?」
ノワール「そう、ですね。その、なんと言えばよいのでしょう……」
ノワール「……」
ノワール「…………」
ノワール「………………」
ローズ「……」
ローズ「あー、でもやっぱり心配だワ! 天使達だけで旅行に行かせて大丈夫かしらっ!?」
ノワール「?」
アイナ「そ、そうですね! でもどうしましょう、私達の予定が埋まってしまっています!」
スミレ「これは困りました。アドルラン様がいるとはいえ、やはりもっと大人の引率者がいた方が安全なのでは?」
ローズ「まったくその通りネ! ああっ! 誰かアタシの代わりに天使達を見守ってくれる頼れる大人が現れないかしらっ!?」チラ…
ノワール「……ごめんなさい三人とも! ちょっと急用が入ったから、しばらく帝国を離れますねっ!」シュバッ!
アイナ「……最近、ノワール様もわかりやすくなってきたよね?」
スミレ「研ぎ澄まされた刃のような方ですけど、同時に優しいお母さんですね……」
ローズ「ええ、そうヨ? さ、ノワール様の分までアタシ達は頑張るとしまショ!」
……
――
――
【帝国・アベルの城塞】
ノワール「――というわけで、お邪魔かもしれないけれど引率役として同行させて貰っていいかしら?」
アベル「え、ええ。勿論です」
アベル「むしろ申し訳ありません、母上にお声掛けせずに……」
ノワール「良いのですよ。あなた達ももう立派な大人、親同伴の旅行なんて嫌がっても止む無しですからね」
アドルラン「いえ、そのようなことは。とにかく、ご一緒できるのは嬉しい限りです!」
フィーア「はい! お義母様との思い出、どんどん増やしていきたいです!」ピョンピョン!
キアラ「うん。それにもし何かあった時、凄く頼もしいし……」
カイン「それは言えてるね。でも義母さんまで帝国を空けるとなると、本当にメイド隊の負担が凄そうだな」
カイン「それに父さんからも浮かれていると怒られないかどうか……」
アドルラン「ああ、それは私も危惧していた。だがヒバリがいい案を出してくれてな。これならば堂々と旅行を楽しめる」
アベル「そ、そんな一手が!?」
ヒバリ「ふふん、まあアドルラン達家族の時間にお邪魔させて貰っちゃうわけだからね」
ヒバリ「そのままアドルランの優しさに甘えっぱなしなのも悪いし、実際問題として帝国の防衛力と元皇帝陛下の問題があったし」
ヒバリ「――ずばり、今回の旅行は表向きは『帝国発展の為の調査』にしようと思うんだ」
カイン「……まあ、そういった理由なら父さんとかからの文句は少なそうだけど」
ヒバリ「この旅行先ってさ、北方領……早い話が厳しい雪山で環境的には帝国に近いんだよね」
ヒバリ「それなのに、王国はこれを旅行先としている……」
ヒバリ「その理由を探って、上手くそれをこっち側にも取り込めれば……!」
ノワール「なるほど、帝国にも観光客を招けるようになれば、収益上昇……」
アドルラン「それだけではなく、新たな帝国の姿を他国にも見せることができるかもしれませんからね」
カイン「へぇ、思ったより考えているんだね。確かに内側を変えるのも大事だが、他国への姿勢も課題だったし」
アベル「王国や聖国は上手く上層部と関係を作れたが、点在する小国や地方民にとっては父の脅威が根深いですからね」
ヒバリ「そういうこと。本当に上手くいけば帝国の利益は計り知れない」
ヒバリ「だから本気だという姿勢を見せる為にも、皇族全員と直属兵全員で向かう!」
ヒバリ「どう? これならアドルラン達がまるっと帝国を留守にしても言い訳がたつでしょう?」
キアラ「なるほど、公務と休暇を上手く兼ね備えているんですね」
フィーア「で、でもそうなると、ちょっと緊張しちゃいそうです……」
ヒバリ「いや、王国側には逆に調査なんかしない100%の休暇って体を伝えれば大丈夫」
フィーア「え?」
ヒバリ「せっかくの旅行で気を張り詰めるなんて嫌じゃないですか?」
ヒバリ「だから『ただの客を装って王国の宿泊施設の秘密を暴く』という感じでいけばいいんですよ」
ヒバリ「存分に遊んだって、その遊ぶ客の行為こそが仕事に繋がるわけですからね」ニヤリ
フィーア「つ、つまり!?」
アドルラン「――存分に遊んでも怒られないぞフィーア!」ババーン!
フィーア「わーい♪」ピョーン!
ヒバリ「あ……ノワール様、このことはくれぐれも内密に……」コソコソ
ノワール「ふふ、わかっていますよ」ニコリ
ノワール「ですがまだ、肝心なことが決まっていませんよ?」
一同「「え?」」
ノワール「――遠方への旅行ですからね! 何を用意すべきかとか、ちゃんと下調べをしないと!」ワクワク
ノワール「戦いと同じですよ? ちゃんと戦況を把握すればですね……」ワクワク
カイン「もちろん、この僕にぬかりはないよ! もうバッグの用意だってほら!」ドヤァ!
アドルラン「おお、準備がいいなカイン! なんだ、やっぱり一番楽しみにしてたんじゃないのか?」ニヤニヤ
カイン「こ、これくらいは当然の備えだろう!? ねえ義母さん!?」
ノワール「ええ♪ それじゃあカインのこれを参考にして、私も色々準備をしないと……」イソイソ…
アベル「……楽しい旅行になりそうだな」
キアラ「うん。兄様達と旅行だなんて、本当に夢みたい……!」
フィーア「私達も、早速準備開始です!」
……
――
――
……
アドルラン「えっと、これを入れてあれも入れて……」ゴチャゴチャ
ヒバリ「アドルラン……流石に予備の鎧は邪魔だと思うよ?」
ルーシェ「雪山……軽装過ぎても、重装過ぎても、危ないです」
アドルラン「むむ、やはり後でカインに基本の用意を頼むべきか?」
ヒバリ「でもアドルラン、本当によかったの?」
ヒバリ「さっき言った作戦でも、調査だけなら皇族だけでも十分足りる。私達まで、その……」
アドルラン「はははは! 何を言っているんだ!」
アドルラン「弟に妹は当然大切だ。しかし、君達も大切だからな! 当然だろう?」
アドルラン「誰にも文句は言わせないさ。二人がいつも私を支えてくれていることを知る者なら、言いっこないがな」
ヒバリ「も、もうアドルランったら!///」
ルーシェ「……///」
――
カイン「ふふふふ……」ワクワク
カイン「あれもいれたこれもいれた。エメリナ、他に抜けているものはないかい?」
エメリナ「え、えっと……」ペラリ…
エメリナ「だ、大丈夫です! チェックリスト、完璧です!」ビシ!
カイン「よぉーし……」
カイン「滅多にない機会だからね。万全の構えでいかないと……」
エメリナ「……カイン様、私などもお招きいただき、本当にありがとうございます!」
カイン「何を言っているんだ、当然だろう?」
カイン「普段は勿論、旅行の時だって離したりなんかしないからな?」
エメリナ「カ、カイン様ぁ……!///」ガバッ!
カイン「あ、ちょ、待て待てエメリナ!? 準備、せめて準備を完璧にしてからあああぁぁぁぁぁぁぁ!?」
ギュポポポ!
――
――
アベル「……俺はこんなものかな」ギュッ!
アーシャ「アベル、防寒着はもう少しあった方がいいと思いますよ?」トサ
ロウル「あとは非常食ですかね? 急激な天候変化が無いとは限りませんし」ゴソゴソ…
エリス「凶暴な野生動物がいるかもしれません! 馴染みの武器も当然持っていきましょう!」ガチャガチャ!
シア「りょ、旅行なんですよね~? 山籠もりの修業じゃないんですよね~?」ワタワタ
パトラ「ここは辺境とはいえ、真っ当に管理されている王国領。何かがあってもすぐ対応できるとは思いますが……」
ティア「で、でもアベル様、本当によろしいのですか?」
アベル「ん、何がだ?」
ティア「皆さんだけでなく、新参者の私まで……」
アベル「やれやれ、さっきマックスにも同じことを言われたぞ?」
アベル「――俺がみんなと旅行に行きたいんだ」
アベル「……あ、ティアが嫌なら勿論無理強いはしないぞ?」
ティア「いえいえそんな!? 実は楽しみ過ぎて、荷物がこんなことになっています///!?」パンパン!
ロウル「あっはっはっは! 最初から素直になればいいんですよ。何を隠そう私もなんかすごいですし!」ミッチミチ!
アーシャ「ふふ、みんな浮かれてしまうのも無理はないわ。こんなに大勢で旅行だなんて、まさに平和の象徴ですしね」ピッチリ
エリス「はい! 色々と楽しみで、私もはしゃいでしまいそうです///」ピチピチ!
シア「あ、おやつやお茶も一杯持って行った方がいいですかね~?」ムギュムギュ!
パトラ「……皆さん、楽しみな気持ちはよくわかりますけど荷物多くないですか?」ズドーン!
アベル「……パトラ、それは?」
パトラ「非常用の、実家と同じ天幕です!」フンス!
アベル(……俺ももう少し装備を整えた方がいいのか?)
――
――
フィーア「あれと、これと……」キュッ!
キアラ「着替えはこれくらいかな?」パタパタ
フィーア「ふふふふ……!」ニコニコ
キアラ「嬉しそうだねフィーアちゃん?」ニコニコ
フィーア「キアラ姉様だって!」
キアラ「だ、だってぇ……///」
フィーア「どんな場所なのか、今から気になって眠れません!」
キアラ「王国の北方領。ヒバリさんのお話通り、帝国に環境は近いみたいだけど……」
キアラ「なんでも、隠れた名湯……天然のお風呂もあるっている話だよ?」
フィーア「た、楽しみです……!」
……
マックス「……」ソロリソロリ…
マックス「……」ソロリ…
マックス「……」ピタ
マックス「……」
マックス「うおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」ゴロロロロロロロロ!
マックス(二人っきりじゃないけど、キアラちゃんと旅行うおおおぉぉぉぉぉぉ!!!)
マックス(しかも温泉有りの場所ってむぉうこれはあああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!)
マックス(くそ、どうせ縁が無いと思ってそういった本は買ってなかったのが痛手に!)
マックス(王国領の、温泉有りの宿泊施設……そうなりゃ当然、一部は……)
マックス( 混 浴 っ ! )
マックス「うほあああああぁぁぁぁぁ!? だ、駄目だぁ!? キアラちゃんをこんな穢れた目で見るわけにはああぁぁ!」ゴロゴロ!
パトラ「さ、騒がしいと思ったら何をしているのマックス……?」
パトラ「旅行に浮かれてしまう気持ちはわかるけど、そういう時こそ気を引き締めないと駄目よ?」
パトラ「みんな初めての旅行でどうしても浮いてしまう! だからこそ私達はしっかりしてアベルさん達をお守り――」
マックス(そ、そうだ。混浴だとパトラ将軍まで……!?)
マックス「うおおおぉぉぉぉ! 俺は、俺は浮気なんてぇぇぇ!?」ガンガン!
パトラ「ちょっと、本当に大丈夫マックス!?」
……
――
――そして、旅行当日――
【王国領・雪路】
アベル「おぉ、かなり足が沈むな」ズボッ
アドルラン「帝国に降る雪よりも、さらにすごいなぁ」ズボッ
カイン「でも変に凍ってないから、転ぶ心配は少ないかもね」
フィーア「ふかふかしていて、なんだか楽しいです!」
キアラ「フィーアちゃん、気をつけてね?」
ノワール「もっと険しい雪道を想像していたけれど、流石王国ですね」ススス
エリス「やっぱり、観光用にしっかりしているということなのでしょうか?」
ロウル「帝国の雪はすぐに赤黒く汚れてましたし、こう真っ白な雪はすごく新鮮ですねぇ」
アーシャ「ええ本当に。これだけでも来た価値があるかもしれませんね」
ヒバリ「ルーシェ、転んじゃ駄目よ? あなた白いから埋もれちゃうと大変そう……」
ルーシェ「だ、大丈夫です!///」
エメリナ「む、むしろ私の方が不安です~……!?」
シア「待って~、おいていかないでください~……!」トテトテ
ティア「シアさん、急ぐと余計転んじゃいますよ……!?」モタモタ
マックス「速っ!? なんで帝国の皆さんあんな速いんですか!?」
マックス「キアラちゃんのエスコートどころじゃないってこれ……!?」
パトラ「くっ、流石ですね。このぐらいの雪道は慣れ親しんだものということなのね……!」
パトラ(せめて、あの道具があれば。宿泊先に置いてあればいいのだけれど……)
アベル「ん? 見えてきたな。あれが宿泊施設か?」
特殊判定
↓1コンマ二桁
判定をとったあたりで今日はここまで
今コンマを拾ってきましたが判定しているのはコンマ99までですので、残念ながら00は今回は不発ですね
最後に99も凄まじいですが、私のコンマ含めてこれまた結構大変なことに……
本日もありがとうございました!
こんばんはー
ほんの少しだけですが再開します
特殊判定結果
他の宿泊客
08(ほぼいない。貸切同然に楽しもう!)<15
※基準値を下回った為、多少の事なら揉み消せます
――
……
【王国領・雪山旅館】
責任者「あー、今日はお客が少ないと思うかもしれないが……」
責任者「この後、団体さんがいらっしゃるからな。各員、気を引き締めるように!」
従業員達「「はいっ!」」
責任者「なんでも帝国からの団体さんらしいからな」
責任者「味付けの好み等、普段の常識が通用しない可能性もある」
責任者「我々が最高の環境を提供できれば、帝国の人にも王国の良さが伝わるかもしれない」
責任者「それは即ち、陛下をお助けすることにも繋がる。これを努々忘れてはならんぞ?」
パタパタ!
従業員「だ、団体様がいらっしゃいましたぁ!」
責任者「む、来たか。しかしそう慌てるな。いつも通り冷静な接客を――」
従業員「そ、それが……」
……
フロント「ようこそ、おいでくださいました」フカブカ
フロント「こちらに御記帳頂いた後、お部屋の方へ――」
アドルラン「ううむ、既に風格があるなぁ……」サラサラ…
フロント(……え? アドルランって確か帝国第一皇子では?)
フロント(お、落ち着け私。まさか第一皇子がいらっしゃるのに何の通達もないなんて……)
フロント(そうだ、きっと同名の他人なんだ。うん)
カイン「ん? 記名者が少ないということは、今日は僕ら以外の客はほぼいないのか?」サラサラ…
アベル「秘境の宿のようですからね。人が少ない方が羽も伸ばしやすいですよ」サラサラ…
フロント(…………カインにアベル?)ダラダラ…
キアラ「外は寒いですけど、中は適温で快適なんですね。灯りもすごく綺麗……」サラサラ…
フィーア「こういうのを、趣があると言うんですよね?」サラサラ…
フロント(キアラに、フィーア……ま、まさか……)チラ…
ルーシェ「ん……?」メイドフクー
エメリナ「み、見られているような?」メイドフクー
エリス「やはり雪道でこの格好は少し異質なのかもしれません……」メイドフクー
ロウル「ふふん、この私の特製防寒メイド服ですからね。機能はしっかりしているのでご安心ください」
フロント(――メイド従えて、これ完全に皇族様御一行だーっ!?)ガタガタ!
パトラ「うん! やたら貴族の金色じゃない、節度ある豪華さの信頼できる場所のようね。これこそが本来の王国の美しさです!」ドヤ!
フロント(緑髪の巨乳貴族っ、パトラ将軍!?)
フロント(待て待て待て、落ち着け私……)ドキドキ…
フロント(えーと、帝国の皇族様御一行がいらっしゃって?)
フロント(パトラ将軍も同行している。つまり……)
フロント(――か、完全に当旅館を査定しに来ているぅぅぅぅぅぅぅ!?)ガタガタ!
キアラ「な、なんだか受付の人が時々震えているような?」
フィーア「やっぱりまだ寒いのかも?」
……
――
――
【旅館・従業員控室】
フロント「もう間違いありませんって! 完全に覆面調査ですって!)
従業員1「お、落ち着け。ならば皇族全員が本名だなんて……」
従業員2「いや、そこからもう勝負は始まっていたのかもしれない」
従業員2「あえて正体を隠さず、誇示せず。我々の反応を確認しているのかもしれない……」
従業員3「パトラ将軍も同行しているとなると、少なくとも陛下のお耳には確実に……」
従業員4「同盟を組んだ帝国のトップを、きっちりとおもてなしできているかどうか……」ゴクリ
従業員5「ここはいつも以上に気合を入れ……いや、普段と違い過ぎると報告されればそれこそおしまいだ!」
従業員6「……冷静になろう。今回は確か、試験的に景品とした券を使っての旅行だろう?」
従業員6「いくら皇族とはいえ、休みたい時もあるだろう。偶々景品を手に入れ、普通に休みに来たのかもしれない」
従業員1「なるほど。そうなると本当にお忍び休暇の可能性も?」
従業員1「下手に皇族扱いをし過ぎてしまうと、かえって息を詰まらせてしまうかもしれないのか?」
従業員2「誰か、もう一度様子を見てきてくれないか?」
従業員5「よ、よし! 俺が行こう。お忍び旅行なら、少しは気を抜いている筈」
従業員5「もし査定なら、きっと目を光らせている筈だ。その違いを嗅ぎ分けることができれば……!」タタタ!
……
従業員5「……」コソコソ…
アーシャ「なるほど、木材をこうやって整えて……参考になりますね」サワサワ…
ヒバリ「ふむふむ、へー……こうやってお花を……」シゲシゲ…
ロウル「ほんのりお香を使っているようですね。建物全体がいい香りですよ」クンカクンカ
ルーシェ「……」ツー…
ルーシェ「……窓枠、埃、無し」ホクホク
従業員5「」
……
従業員5「やばいやばい受付や部屋どころか、この建物全体が調査されかねないレベルだよ!?」ガタガタ
従業員一同「「ひええええええぇぇぇぇぇぇ!?」」ガタガタ!
責任者「……総員、首が飛ばないよう状況に合わせて最善の行動を取れ! 以上!」ブルブル…
従業員一同「「丸投げしないでくださいっ!?」」
……
――
――
ゾロゾロ…
アベル「……」キョロキョロ
カイン「なんだアベル、落ち着きが無いぞ?」キョロキョロ
アベル「すみません。ですがやはり、俺には珍しい光景で……」
アドルラン「うむ、よくわかるぞ。カインだって、さっきから視線があちこちに向いているしな!」ソワソワ
カイン「ぼ、僕はいいんだよ。みんなより色々な景色に飢えているんだから。そういう兄さんもそわそわしてるだろう?」
アドルラン「ああ、しているとも!」グッ!
従業員(……完全に皇族のご兄弟だ……)
従業員「お待たせいたしました。こちらがお部屋の方になっておりまして……」
特殊判定
↓1~2コンマ二桁
特殊判定結果
部屋どうなってるの?
1:男女は?
54<85
※基準値を下回った為、当然別々です
2:部屋割りは?
コンマ67
67~99:3分け
※女性陣は二つ分け
――
従業員「当旅館でも最上のお部屋をご用意させていただきました」
従業員「こちらが男性様のお部屋」
従業員「そしてあちらとその隣が女性のお客様のお部屋となっております」
従業員「鍵は特注の複製不可能な金属製ですので、紛失にはお気をつけください」チャラ
従業員「また最新鋭の魔法結界も施されておりますので、安心してごゆるりとお過ごしいただけるかと……」
アドルラン「至れり尽くせりだな。ありがとう」
ヒバリ「アドルランと部屋一緒じゃないのかー……」
ルーシェ「……ヒバリさん、当然です」
フィーア「兄様達とはお部屋が違うのですか……」
アベル「そんな顔をするなフィーア。部屋は近いんだから、荷物を置いたら後で来ても大丈夫だぞ?」
フィーア「わーい! 流石アベル兄様です!」
ノワール「……ね、寝る時は流石に部屋に戻らないと駄目ですよね?」ソワソワ
アベル「そ、それはそうでしょう……」
エメリナ「……」ショボン…
マックス(……もしかしなくても、俺……三皇子の部屋に放り込まれるんですかっ!?)ガタガタ…
……
――
忘れてた部屋分けを済ませたあたりで今日はここまで
この後先日のフレーバー判定内容公開しつつ進めて行くのですが……
とりあえず、温泉卓球の判定ではないんですよね
ただ温泉ではそういうのが定番なのかと思うと、そちらのイベントや判定も取った方がいいのでしょうか?
ちょっとご意見伺いたいところです
本日もありがとうございました!
こんばんはー
否定されている方はいないようなので、では折角なので後ほど温泉卓球のコンマも拾っていこうかと思います(おまけのおまけですが……)
それでは今日も少しだけ再開します
――
【旅館・男部屋】
アドルラン「これはまた、随分と立派な部屋だなぁ」
カイン「ふぅん、悪くないじゃないか」
アベル「やはり独特な雰囲気がありますね。不思議と落ちつけます」
アドルラン「元々は王国が吸収したとある小国の文化を参考にしているそうだな」
カイン「ああ、王国と帝国に挟まれてて両方から削られた国だっけ?」
カイン「こうやって独自の文化があっても、強国に攻め落とされるのかと思うと何とも言えないね」
アベル「ですが、こうして現代でも文化は引き継がれているわけですからね」
アベル「確か帝国でも一部地域では残っている筈ですし、その小国も血筋は絶えてはいないのでは?」
アドルラン「うむ、意外と私達の身近にも溶け込んでいるかもしれないな」
アドルラン「改めて、こういった文化を帝国に取り込むのは、やはりいい手だと思うな!」
カイン「机の上の容器……なんか見慣れない菓子が入っているけど、食べていいのかな?」カパ
アベル「恐らく大丈夫でしょう。……なるほど、容器もまた面白いですね」
アドルラン「いやぁ、来たばかりだというのに色々な発見があるな!」マンゾク!
マックス「あのー……俺、本当にこの部屋で寝泊まりして大丈夫なんでしょうか?」ブルブル…
アドルラン「ん? 勿論だとも!」
カイン「流石に君だけ廊下に放り出すなんて真似は外道過ぎるだろう?」
アベル「遠慮するなマックス。お前にも色々と世話になっているからな」
アドルラン「折角の機会だ。アベルだけでなく今日は私とも語ろうじゃないかマックス君!」ハハハハ!
カイン「ほどほどにしときなよ兄さん?」
マックス「うう、ありがとうございます……!」
マックス「でもどうしてこういった部屋割りになったんです?」
カイン「アベルが節操なく女に手を出して全員連れてくるから男女比が偏ってるんだよ」
アベル「俺のせいですか!?」
アドルラン「いやいや、私達も連れてきているしキアラ達もいるからな。どの道我々男は一部屋だったと思うぞ?」
マックス「女の子は二部屋でしたけど、どう分けるのかなぁ……」
……
――
――
【女部屋・手前】
ノワール「……さて、部屋は二つ」
ノワール「私は外でも眠れるけれど、あなた達はどう部屋をわけるつもりですか?」
キアラ「だ、駄目ですよ!? ちゃんと一緒のお部屋に!?」ワタワタ
フィーア「そうだ、お義母様は私とキアラ姉様のお部屋と一緒にしましょう!」
ノワール「まぁ、ありがとう……!」
ロウル「保護者的な意味でも、それが一番でしょうね」
アーシャ「我々は12人。これを二部屋で分けると6人ずつが無難でしょうか?」
エリス「片方のお部屋にノワール様とキアラ様にフィーア様。こちらは残り三人ですね」
パトラ「……さて、どうしましょう。皇妃様に皇女様と同室。普通に考えるとかなりの重責ですよこれ?」
シア「せっかくの親子の時間をお邪魔しちゃうのも、悪い気がします~……」
フィーア「いえ、折角の機会ですから私はどなたでも大歓迎ですよ!」
キアラ「うん、私もこんなこと初めてだから、色々経験したいかな?」
ヒバリ「そう言って頂けるのはありがたいですけど、やはり萎縮はしてしまいますね……」
ルーシェ「……ローズさんの代わり、メイド3人とか?」
エリス「あ、それなら――」
ノワール「……」
ノワール「ごめんなさい、エメリナちゃんとティアちゃんだけはお隣の部屋でいいかしら?」
エメリナ「ええっ!? 大丈夫ですけど、どうしてですか……!?」ガーン!
ティア「や、やっぱり私ったら、知らない間にやはりなにか粗相を……!?」オロオロ
ノワール「いえ、そういうわけではないのですが……」
ノワール「……なんと言えばよいのでしょう?」
ノワール「……教育的な意味で、女の勘です」
ルーシェ「…………なるほど、理解、しました」ポン
エメリナ「えぇっ!?」ガーン!
ノワール「あまり部屋の前で立ち話も邪魔になってしまいますし……」
ノワール「ここは公平に、くじで決めてしまいましょう」スッ…
アーシャ(どこからくじを……?)
ロウル「まあどっちの部屋になっても、私は外の散策をしたいですからあまり部屋にはいないと思いますが……」
ヒバリ「どっちかの部屋が凄まじいってこともないだろうし、ぱぱーっとやっちゃおうか。それっ!」スポッ!
特殊判定
↓1コンマ二桁、↓2コンマ一桁(数値重複の場合は二桁目以降あり)
超デンジャーだった……(白目)
女性陣部屋割り
1:アーシャ
2:パトラ
3:シア
4:エリス
5:ロウル
6:ルーシェ
7:ヒバリ
8~0:コンマ二桁目
奇数ゾロ:エメリナ+ティア
1コンマ43
3:シア
4:エリス
2コンマ29
9→8~0:コンマ二桁目
=2
2:パトラ
部屋割り結果
1部屋
ノワール・キアラ・フィーア・シア・エリス・パトラ
2部屋
エメリナ・ティア・アーシャ・ロウル・ルーシェ・ヒバリ
――
……
シア「ん~? 色がついてますね~?」
エリス「私のくじもです」
パトラ「私もです。そうなると、この三人がノワール様達のお部屋ということでしょうか?」
ノワール「ええ。よろしくねみんな?」
キアラ「よろしくお願いします!」ペコリ
フィーア「よろしくお願いします!」ピョン!
ヒバリ「それじゃ残ったメンバーがこっちの部屋かな? よろしくね!」
アーシャ「こっちも賑やかなことになりそうですね?」
エメリナ「えっと、えっと、こういうお泊りの時って、何をお話しすれば!?」
ロウル「なんでもいいと思いますよー? あ、折角部屋が違いますしアベルさんとか皇子様の愚痴とか?」ニヤリ
ティア「そ、そんな! アベル様にそんなことを思ったことは……!?」
ルーシェ「…………羨ましい、です」
ロウル「約一名、確実にお掃除絡みで苦労してそうな方が」
ヒバリ「あー……そういえばアドルラン、私とルーシェいない状態で部屋汚さないといいけどなぁ……」
……
――
――
……
パトラ「さて、皆さんお部屋も決まって荷物もまとめたと思いますけど……」
パトラ「この後、予定はどうなっています?」
ノワール「そうですね、具体的には特に何も。この子達との旅行というだけで楽しいですからね」
キアラ「私とフィーアちゃんは、ちょっと外に出てみたいかなって……」
フィーア「はい! 柔らかい雪、もっと楽しみたいです!」
エリス「私はまず、外敵がいないか見回りをしようと思っていたのですが……」
シア「エリスさん、流石に大丈夫だと思いますよ~?」
シア「私はこのお部屋気に入りましたし、少しのんびりしたいかな~って~」
パトラ「そうですか。ではノワール様達にはちょうどいいかもしれませんね」
ノワール「?」
パトラ「そもそも、どうしてこんな北方領が観光地とされているのか」
パトラ「私も少し調べましたが……やはり理由は、王国貴族の存在」
パトラ「つまりは、貴族の娯楽によるところが大きいんです」
パトラ「そしてその娯楽……まぁ、私も実際にやったことはないのですが……」
パトラ「雪山を滑って遊ぶ娯楽――スキーをやってみませんか?」
パトラ「確認したところ、やはりここはそういった施設も併設されているみたいですから!」ワクワク
キアラ「あ、本で読んだことあります!」
フィーア「なんだか楽しそうです! どのような娯楽なのですか?」
パトラ「至って単純ですよ。専用の板を2枚足に装着して、両手に専用の杖を持って雪道を滑るんです」
ノワール「氷では無く雪の上を、ですか。面白そうですね」
ノワール「アベル達にも声をかけてみましょうか……?」ソワソワ
エリス「で、でしたら私も向かいます!?」バッ!
シア「ひ、一人は寂しいですよ~。私もやってみます~」ノソ…
パトラ「よし、それじゃあ早速他の皆さんにも伝えて来ます!」
……
――
――
【雪山・スキー施設】
アベル「言われるがままに来てみたが……」
カイン「なんだか動きにくいぞこの板……」
アドルラン「はははは! 誰だって初めての装備はそんなものさ!」
アドルラン「しかし自然の脅威たる雪山をまさか娯楽にしてしまうとは……」
アドルラン「王国の娯楽への探求心は、我々も見習うべきかもしれないな!」
パトラ「見習ってはダメなところも多いのが情けない限りです」
パトラ「しかし流石皆さんですね。初めてのスキー装備で一番乗りとは……」
カイン「エメリナ……というか女の子はどうしてか毎回外出の支度に時間をかけるからねぇ」
パトラ「すみません。元々私が思いつきで提案したのにまさか全員が快諾してくださるとは……」
アベル「みんなこんな雪景色は初めてだからな。それを滑るともなれば、やはり一度は経験したいものだろう」
アドルラン「マックス君だけまだ来ていないが……」
カイン「ああ、あいつは忘れ物したとか言ってたし、ちょっと遅れてくるんじゃないかな?」
カイン「今の内に、僕らは先にやってみよう。先手を打つっていうのは大きいよ?」ワクワク
アベル「兄様……滑りたいなら滑りたいと正直になられたらどうです?」
アドルラン「ははははは! カインももっと素直になってくれていいんだぞ?」
アドルラン「カインが滑らないなら、まずは私が行こうじゃないか」
アドルラン「どんな物事も、挑戦あるのみっ!」バッ!
カイン「あ、待ちなよ兄さん!? 誰も滑らないとは言ってないだろ!?」バッ!
アベル「ふふ、それじゃあ俺も兄様達に続くとしましょう!」バッ!
雪山娯楽・スキー技能
50で並。70以上で相当な熟練者
00(最強)>偶数ゾロ>奇数ゾロ(壊滅)
>>831より
1アドルラン:62(鍛えられた体幹は伊達じゃない。なかなか上手です)
2カイン:20(想定外の時は混乱しやすい第二皇子。急加速になれていません)
3アベル:30(黒騎士、白雪に苦戦。コツを掴むにはまだまだ練習しましょう)
――
ゴオオォォォォ!
アドルラン「おおおおおおぉぉぉぉ!?」
アドルラン「これは――気持ちがいいなっ!?」キラキラ!
アドルラン「なかなか難しいが、この疾走感は癖になりそうだ……!」
アドルラン「――っと。なるほど、麓付近では減速する必要があるわけだ」
アドルラン「いやぁ、シンプルだが楽しい! しかも登りなおすのもいい鍛錬になりそうじゃないか!」ホクホク
アドルラン「おや? そういえばカインとアベルは……」
カイン「うわあああああああぁぁぁぁぁぁ!?」ズゴオオォォォォォォ!
カイン「速い!? 目に冷気が染みるぅ!? とま、止まれないぃぃぃぃぃ!?」
カイン「た、助けてくれええぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」アタフタ
アドルラン「カイン! 周りは雪だ! 無理だと思ったら横に倒れこめ!」
カイン「わ、わかったぁ!? くっ、おおおおおおおっ!?」ボッフン!
カイン「わっぷ……」ウモレ
カイン「な、なんて加速だよ……」ブルブル…
アドルラン「はははは! 久々にお前の慌てた顔を見た気がするな」
カイン「なんで兄さんは平気なんだよ!? くそ、アベルの奴はどうだ……?」
アベル「うおああああああぁぁぁぁぁぁ!? せ、制御がっ……!?」
アベル「っ……く!」ボッフン!
カイン「はははは! なんだ、僕と同じじゃないか。よかったぁ……」
アドルラン「だがアベルは私が声をかけずとも緊急停止できていたな」
カイン「くそぅ!?」
ズボッ!
アベル「ぷぅ……」ブルブル…
アベル「こ、これはなかなか難しいですね……」
アベル「海の時も思いましたけど、王国の娯楽は難易度が高くありませんか?」
アドルラン「だが、気持ちよかっただろう? 私は気に入ったぞ!」
カイン「風を切るっていっても、あそこまで速いのは想定外だよ……」
カイン「あとこの板が妙に重い!」
アベル「兄様、運動不足では?」
アドルラン「普段から軽装だからなぁ」
カイン「兄さん達が普段から鎧着込んで変なんだよ!」
カイン「というか今更だけど、多分この板も自分に合ったものを見つける必要あるよね?」
アドルラン「そうだな。長さや重さも違うようだし、次は違うものを試すのも悪くない」
アドルラン「まあ、まずは元の場所に戻らねばならんがな!」ハハハハハ!
カイン「くぅぅ……これまた体力を使いそうな……」
アベル「ですが、この板をつけていると足が沈まなくなるんですね。その分少しは楽に……ん?」
シャアアァァ……
アドルラン「誰かが滑ってきたな。あれは……」
4キアラ:61(何事もまずはちゃんと調べてから。止まり方もちゃんと学習済みです)
5フィーア:68(慣れない板だけど、元々身のこなしは抜群。きっとすぐ上達するはず)
――
キアラ「わっ、わっ、速度落とさないと……!?」ザザザ…
フィーア「なるほど、そう動くと速度を落とせるんですね!」
フィーア「風が気持ちいいですけど、そろそろ私もゆっくりにしないと危ないかな?」ザザザ…
シュザ!
キアラ「ふぅ……な、なんとか滑れたのかな?」ホッ…
フィーア「はい! とっても気持ちいいです!」ホクホク
アドルラン「すごいじゃないか二人とも!」パチパチ!
アドルラン「見事な滑り、これは私も負けていられないな!」
キアラ「い、いえそんな///」
フィーア「兄様達はどうでしたか?」
アベル「はは、情けないことに俺は慣れるのに時間がかかりそうだな」
アベル「しかしフィーアは元々動き回るのが得意だからある程度予測はついたが、キアラもすごいな?」
キアラ「じ、実はいきなり滑るのは怖くて。備え付けの教本を読んでから滑ったんです」
アベル「流石キアラだな……というか、俺達が迂闊過ぎたのか。ねえカイン兄様?」
カイン「ぼ、僕を誰だと思っているんだい? スキーだって、すぐに上達してみせるさ……!」プルプル…
アベル「……前に進むのもふるえていませんか?」
カイン「武者震いってやつだよ!」プルプル…
判定結果公開途中ですが、今日はここまで
最近はアベルのコンマ運もお休みが多い中、本当に妹ズはお互いのコンマが近いこと多い不思議
さてではまたおまけのおまけでフレーバー判定↓1からコンマを拾っていこうかと思います(スキー技能とはキャラ位置ずらします)
相変わらずですが、私のレスのコンマも拾う方式です
本日もありがとうございました!
こんばんはんひぃん!?(空中噴血四散)
えぇー……?(白目)
こんなん完全に想定外というか、もう何度も言ってるけどやっぱこっちの判定表ばれてんじゃないかというか
クリティカル2発もやばいけど2番と3番の77もこれはちょっといやもうどうしよう?
と、とりあえずほんの少しだけ本編再開しつつ考えて行こうと思います……
――
カイン「よい、しょと……」
アドルラン「山の登り降り、実にいい鍛錬だな!」
カイン「くそ、何かこう……麓と開始地点を結ぶ何かを作っておけよな!?」ハァハァ…
アベル「……」
アベル(転移魔法陣があるにはあったが、しばらくは黙っておくか)
アベル(皇族の中だと、俺とカイン兄様だけが上手く滑れていないからな……)
アベル(楽をせず、まずはこの板を装備している状況に慣れなくては)
フィーア「スキーって気持ちいいですね! これでお天気もよかったらもっと気持ちよかったと思います!」
キアラ「うーん……むしろ程々の天気の方がいいと思うよ?」
フィーア「え?」
カイン「……陽の光を雪が反射するんだよ。少ないとはいえ、露出している肌を焼かれるぞ?」
フィーア「そ、そうだったのですか……」
アドルラン「日焼け以上に吹雪の方が厄介だがな。幸い今はどちらでもない」
アドルラン「今の内に、もう少し滑ろうじゃないか!」ザッザッ!
アベル「そうですね」
シュゴオオォォォォ…!
カイン「――っと、また上から誰かが?」
6エリス:08(ノンストップ爆進。立ち塞がる者に衝突するまで止まれないかも。要練習者その1)
7アーシャ:01(どうしてこうなった!? 登る時もゆっくり下降しちゃって誰か助けて!要練習者その2)
8ロウル:08(尻尾でバランスをとるにも限界が。なんの因果か、再び三人仲良く大惨事!要練習者その3)
――
エリス「アベル様、お逃げくださいいいいぃぃぃぃぃぃ!?」ズゴオオオオオオォォォ!
アーシャ「でも余裕があれば助けて欲しいですうぅぅぅぅぅぅ!?」ズゴオオオオオオォォォ!
ロウル「耳と尻尾がちぎれそうですーっ!? あああああぁぁぁぁぁ!?」ズゴオオオオオオォォォ!
アベル「みんなぁ!? お、落ち着け! 横に倒れて――」
アアアアァァァァァァ……!
アベル「うわあああああぁぁぁぁぁぁ!?」ザッシザッシ!
カイン「お、落ち着けアベル!」ガシ!
カイン「僕と大差ないお前が滑って追ったところで、下手をすれば彼女達とぶつかるだけだぞ!」
アベル「くぅ!?」
アドルラン「カインの言う通りだ。確かに少し心配だが、きっとアベルの声は届いていたよ」
アドルラン「それに彼女達は優秀だし、雪が衝撃も緩めてくれる。大丈夫さ!」
アベル「そ、そうですね……ちょっと、あまりの光景に錯乱してしまいました」
キアラ「確かに、ちょっと意外でしたね……」ビックリ
フィーア「アーシャ姉様達が、まさか全員スキーが苦手とは思いませんでした……」
フィーア「でも、姉様達ならきっとすぐに楽しさを見出してくれますよね!」
アドルラン「ああ!」
アベル「三人とも、無事だといいんだが……」ハラハラ
……
――
――
……
エリス「わっぷぅ!?」ベシャ!
アーシャ「ひゃあ!?」ズボッ!
ロウル「むきゅっ!?」ボフン!
エリス「うぅ、なんという失態でしょう……」ムクリ
アーシャ「まさかあれ程の速度に達するなんて、完全に想定外でしたね……」ムクリ
ロウル「アベルさんをからかうとか言ってる場合じゃないですよこれ……」プルプル…
ロウル「今日は他のお客さんもほとんどいないのが不幸中の幸いでしたけど、本当にたまたまです」
ロウル「さっきアベルさん達にもぶつかりかけましたし、このままじゃ誰かに怪我をさせちゃいますよ!」
エリス「それだけは絶対に避けなければ……」
アーシャ「しっかりとコツを掴めれば、楽しめそうな競技だともわかりますし、色々な意味で練習が必要そうですね」
エリス「はい! 何事も、継続した努力が大切です!」
ロウル「以前、マークスさんから教わったことなんですけれど、やっぱり私達も初めてのこと……慣れていないことは苦手です」
ロウル「今回の場合だと、普段とは違う装備で雪道を滑るということですね」
ロウル「まずはゆっくりと、この装備に慣れて行って、ちょっとずつ練習を積み重ねましょう!」グッ!
エリス「はい! 頑張ります!」
エリス「確かに滑ると止まれないという恐怖がありましたけど……」トントン…
エリス「平面になった今なら、少しはこの板と杖も動かせます」
エリス「戻りつつ、この装備品の使い方を身体に馴染ませることができれば……!」ザッ!
ロウル「ゆっくりでも、着実に一歩を……!」ザッ!
アーシャ「ええ!」ザッ!
ズズズ…
アーシャ「あ、あら……!?」ズリズリ…
エリス「アーシャさん!?」
ロウル「ちょ、ゆっくりとまた後ろに滑り出していませんか!?」
アーシャ「え? え!? ど、どうすれば……!?」オロオロ
アーシャ「あ、あ、あ……あああああぁぁぁぁぁぁぁぁ…………!?」ズリー…!
エリス&ロウル「「アーシャさあぁぁぁぁぁぁん!?」」
……
――
――
アベル「……今、三人の悲鳴が聞こえたような?」オロオロ
フィーア「だ、大丈夫ですよきっと!」アセアセ
シャアアァァ!
アドルラン「む?」
――
9ノワール:51(氷はともかく雪で滑るのは慣れていない。それでも人並には滑れちゃう)
10ヒバリ:85(初めてなのにこの上手さ。雪道も自在に動けるお姉さんに色々助けて貰おう!)
――
ノワール「あら、アベル。アーシャちゃん達をみかけませんでしたか?」ザッ!
ヒバリ「エリスとロウルもいたんだけどさ、止める間も無く凄い勢いで……」シュザ!
アベル「あー……多分、麓まで一気に滑り落ちたかと思われます」
ノワール「まぁ大変。私も氷雪系統には少し覚えがあるつもりでしたけど、これがなかなか難しくて……」
ノワール「ヒバリちゃん、申し訳ないけれど三人の救援をお願いしてもいいかしら?」
ヒバリ「ええ。私でよければ喜んで!」トン!
ヒバリ「急いで助けてくるからさ、アドルラン達は上で待ってて。今度は一緒に滑ろう!」ザッ!
アドルラン「ああ、こちらこそよろしく頼むよ。しかしヒバリ、その様子だともしかして?」
ノワール「ええ、とっても上手ですよ? 滑りながら私もアドバイスをもらったくらいですもの」
アドルラン「驚いたな。まさか君にそんな才能があっただなんて」
ヒバリ「あはは、たまたまだよ。でも、私はこれ気に入ったかなー」
ヒバリ「最近書類関係ばっかで、こうして外で身体動かすってことあんまりしてなかったし……」
ヒバリ「久々に思う存分動いて、私の身体も喜んでいるのかもね?」
ヒバリ「さて、それじゃあちょっといってくるね!」シャッ!
キアラ「わ、ヒバリさん速い!?」
フィーア「でも、すごく安定しています!?」
アドルラン「ああ、美しいフォームだな……私も負けてられん!」グッ!
カイン「おかしい、僕だって速度は負けていない筈なのに……」
アベル「後でコツを教わった方がいいかもしれませんね」
シャアア…
――
11ルーシェ:41(持ち前のスペックで頑張るけど、斜面を滑るのはちょっと怖いので減速安全運転)
12エメリナ:15(ご主人様同様、急激な加速にパニック状態。でも似た技量で一緒に練習しやすいかも)
――
ルーシェ「ゆ、ゆっくりです……ゆっくりゆっくり……」ブルブル…
エメリナ「はわぁ!? こ、これで本当にゆっくりになれるんですかぁ……!?」ブルブル…
ルーシェ「だ、大丈夫。この板を、こうして動かせば、ゆっくり、です……!」ズザザ!
エメリナ「ひぃ、ひぃ……! ルーシェさん、傍にいてくださいねぇ……!?」ブルブル…
アドルラン「だ、大丈夫か二人とも?」
ルーシェ「あ、アドルラン様……!」
エメリナ「カイン様ぁ!」パアァ!
カイン「うん……なんとなく、君はこれが苦手そうな気がしてたよ」ウンウン
エメリナ「ごめんなさい、カイン様……」
カイン「いや、別にいいよ。僕も似たようなものだったし……///」
アドルラン「ルーシェも、あまり得意といった様子ではないな?」
ルーシェ「は、はい……」
ルーシェ「ヒバリさんみたいに、格好良く滑ろうと、思っても、怖くて……」ブルブル…
アドルラン「はははは! 無理をするな。誰だって怖いものはあるからな。落ち着いてゆっくり練習しよう」ナデナデ
ルーシェ「は、はい///」
カイン「……僕らも、練習しような」
エメリナ「はい……!///」
ノワール「ごめんなさいアベル……私もこれは経験が無くて、あなたに教えることは……」ガクーン…
アベル「い、いえ。お気になさらないでください」アセアセ
アベル「俺もなんとか、もう少し滑れるようになって……彼女達と練習ができるよう頑張りたいと思います」グッ!
フィーア「みんなで、頑張りましょうね!」グッ!
キアラ「アベル兄様、その為にもまずはストックの握り方をこうしてみてはどうでしょう?」ギュ!
アベル「こ、こうか?」
キアラ「後は板の構え方を……」
――
13マックス:49(愛しの皇女様にかっこいいところを見せたかったけど、そう上手くはいかないものです)
14パトラ:76(事前知識に加えて身体能力の高さ。貴族は貴族の娯楽もちゃんとこなせます!)
――
マックス「ああっ!? アベル皇子がキアラちゃんから手解きを!?」ズザザ!
アベル「マックス!?」
マックス「……ってことは、アベル皇子よりもキアラちゃんの方が滑れるってことですね?」
アベル「ああ、恥ずかしいが完敗だ。キアラもフィーアもなかなか上手いんだ」
マックス(くぅぅ……! キアラちゃんにかっこいいところ見せたかったなぁ……)
シュザァ!
パトラ「マックス、急に速度を上げ直したら駄目でしょう?」ザッ!
マックス「ご、ごめんなさい!?」
アベル「おお……流石だなパトラ。スキーを提案したその腕前は本物ということか」
パトラ「そ、それほどでも。ありがとうございます///」テレテレ
パトラ「まあ私も王国貴族ですので。やったことはありませんが少しばかりの知識はありましたからね」
マックス「いや、パトラ将軍本当に初めてなのに上手なんですよ!」
マックス「俺も将軍の指導のおかげで、なんとかある程度は滑れるようになれたんですから」
アベル「そうだったのか。それじゃあマックスの指導はキアラじゃなくてパトラに任せた方がいいか?」
マックス「え゛!?」
パトラ「ええ、お任せを!」
キアラ(うん、パトラさんの方が私より上手だし、それがマックスさんの為だよね……?)
フィーア「それじゃあ私とキアラ姉様は、アベル兄様と一緒に練習します!」キャッキャッ!
ゴゴゴゴゴゴゴゴ…!
アベル「んんっ!?」
――
15ティア:04(エメリナ以上に臆病なせいか、一度加速したらもうどうしようもない。要練習者その4)
16シア: 9 9 (奇数ゾロ)
( 雪 山 の 大 惨 事 ! 冗談のような転がり、埋まってからの動きも緩慢で練習以前に要救助!)
――
――それは、雪玉だった
ゴロゴロと転がるそれは、そうとしか呼べなかった。
凄まじい勢いで転がりつつ巨大化するそれ。
フィーアの頭の中には、昔読んだ絵本の雪だるまの姿が鮮明に思い起こされていた。
だがこれは絵本の中ではなく現実。
魔力を込めたならいざしらず、魔力も無い雪玉が自ら動くことはありえない。
それはつまり……
シア「た~~す~~け~~て~~く~~だ~~さ~~い~~!?」ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ!
アベル「シアアァァァァ!?」
ノワール「どういうことなの……」
転がっている哀れな雪玉の正体がわかったところで、あまりの事態に誰もがその動きを止めてしまう。
ティア「いやああああああぁぁぁぁぁぁぁ!?」コロンコロンコロン!
アベル「ティアァァァァァ!?」
――そして追撃。
先程よりは幾分小型だが、大玉の後を追う小玉。
恐らくは転がり始めた彼女を懸命に助けようとして、動きがゆったりしている彼女も後を追う形で転がってしまったのだろう。
ふと視線を上げれば、雪道にポツンと寂しく彼女達の板や杖が散らばっている。
倒れ込んだ勢いで外れたのだろうか。その時の勢いで投げ出されて雪玉になったのだろうか。
いや、今はそんなことを気にしている場合ではない。
パトラ「た、大変!? 後を追います!」シャッ!
アベル「すまない、頼んだパトラ!」
自分が向かえないことを悔やみつつ、同時にアベルは少しばかり安堵していた。
幸いなことに、かなりの技量を持ったパトラがこの現場を目撃してくれた。
そして麓の方には別の救助者の為にヒバリが既に向かっている。
これならば、最悪の事態は回避できるのだから。
……
――
イベント途中ですが、今日はここまで
まさかのヒロインズ壊滅再び。なんとお酒同様パトラ以外の全員が壊滅状態という奇跡でした
そして追加の判定のゾロ目乱舞……
まさか本当に再度三連ゾロが出るとは思っていませんでしたが、以前公言してしまった以上ゾロ目チケットも配布です(白目)
(2→3)
ちょっと改めて卓球の方のコンマを拾いなおして展開を色々模索しておきますので、明日の更新はお休みになるかもです
そうそうでないだろうとコンマ15以下と奇数ゾロはポロリありにするかーなどと馬鹿なことを考えた結果がこの有様です(白目)
本日もありがとうございました!
こんばんはー
最近遅くなってばかりですが、今日も少しだけ更新です
――
【雪山・麓】
アーシャ「あ、あああぁぁぁ……」ズザー…
ロウル「おうぅ……アーシャさんを助けるつもりが、まさか私達まで……」ズザー…
エリス「の、登れません……!?」ズザー…
アーシャ「どうしましょう、このままでは今日はここで野宿になってしまいます……!」
ロウル「うう、持ってきた非常食のほとんどは宿の中です。ここは現地調達するしかないですかね?」
エリス「刃物は全て没収されてしまいましたけど、この尖った杖なら野生動物も仕留められると思います!」シャキン!
シャアアァァァ!
ヒバリ「あ、いたいた! 三人とも大丈夫?」ズザ!
ロウル「ヒバリさん!? 助かりましたぁ!」
アーシャ「ど、どうしてそんなに綺麗に滑れるのですか……」ガクーン…
エリス「それに、斜面なのに綺麗に止まっています!?」
ヒバリ「あぁー……なるほど、止まり方がわかんなかったんだね」
アーシャ「はい。どれだけこの杖を刺しても止まることなく……」
ヒバリ「そりゃあ先端これだけのストック2本じゃ、勢いは殺しきれないよ」
ヒバリ「止まりたい時は、こうやってスキー板の向きをこんな感じにしてごらん?」ザッ!
エリス「こうでしょうか?」ザッ!
ロウル「おおっ!? 止まった、止まりましたよ!」
ヒバリ「そうそうその調子だよ。滑ってみたかった気持ちはわかるけど、止まり方だけはちゃんと覚えておこうね?」
アーシャ「面目ありません……」
ヒバリ「あと滑る時は姿勢も大事だからね。落ち着いて構えれば変な所に突っ込む前に止まれるよ」
ヒバリ「大丈夫だって! 三人とも私よりも鍛えているんだし、すぐに身体が覚えてくれるって!」
ヒバリ「さ! 戻ってもう一回滑る練習しよ?」
ロウル「うーん、そうしたいのはやまやまなんですけど……」
エリス「止まり方を教わっても、やはりこの装備は身動きが取りにくく……」
アーシャ「これは戻るだけでもやはり結構な時間が……」
ヒバリ「……ならさ、一回板外しちゃえばいいと思うよ?」カチャ!
三人「「「あ」」」
ヒバリ「ほら、こうやって立てれば普通に持ち運べるでしょ?」
アーシャ「そ、そうでした。スキー中だからと言って、常につけている必要があるわけでもないのですね……」
ヒバリ「あはは! アーシャにしては珍しく頭が動いてなかったかな?」
アーシャ「///」
ヒバリ「これなら三人とも大丈夫でしょ?」
エリス「はい! 早速戻ったら練習です!」
ロウル「焦らず着実にものにしていきたいですね。……ん?」ピョコピョコ
アアアァァァァ…
ロウル「この音、いや声は……?」
シア玉「」ゴロゴロゴロ!
ティア玉「」ゴロゴロゴロ!
ヒバリ「何あれ!?」ガーン!
シャアアァァァァ!
パトラ「あ、皆さん!? その雪玉を止めるのを手伝っていただけませんか!?」
パトラ「中身はシアさんとティアさんですっ!」
アーシャ「なんですって!?」
ロウル「しかし、止めると言ってもどうやって……!?」
エリス「これだけ雪があるんです! それならば……上級土魔法!」ゴゴゴゴゴゴ!
雪壁「……」モリモリモリ!
ヒバリ「よし! これなら!」
ボフン!
……
――
――
……
ロウル「よいしょ、っと!」ズポ!
シア「きゅ~……」ピヨピヨ…
アーシャ「だ、大丈夫かしら?」ズポ!
ティア「め、目がぁ……」ピヨピヨ…
エリス「雪の壁で受け止められましたし、怪我が無さそうなのは幸いでしたね」
パトラ「ありがとうございます。なんとか回り込んで止められればよかったのですが……」
ヒバリ「いやいや、あの速度で転がる雪玉の前に飛び出したら雪玉に取り込まれちゃうって」
ヒバリ「でもパトラもかなり滑れるみたいだし、アベル様の部隊が全滅ってわけでもないんだね」
パトラ「いえ、それほどでも」テレテレ
ロウル「むむむ、そう言われるとより一層頑張らないとと思えますね」
エリス「はい! アベル様の隊の一員として不甲斐ない姿ばかりは見せられません!」
アーシャ「幸い、今日は他のお客さんもいないことだし……何度転げまわることになっても、練習はできそうですね」
シア「あうぅ~……皆さんが燃えています~……」
シア「でも寒いです~……」ブルブル…
ヒバリ「あらら、やっぱりだいぶ身体も冷えちゃったか」
ヒバリ「まあ上で温かい飲み物飲んで休んだ方がいいかもしれないけど、何にせよまずは登らないとね」
パトラ「ティアさん、立てるかしら?」
ティア「は、はい。なんとか……」フラフラ…
ティア「でも、私ももっと上手く……ううん、ちゃんと滑れるようになりたいです」
ティア「折角、こうして皆さんと平和に遊べているのですから。もっと、しっかり噛みしめたいなって……」
パトラ「さっきの光景は、ちょっと平和とは遠かった気がするけれど……」
パトラ「そういうことならば、不肖このパトラ! 少なくとも雪玉にはならないよう手解き致しましょう!」ドン!
ヒバリ「お、いいね。それなら私も一肌脱いじゃおうか!」
シア「お、お手やらかにお願いしますよ~?」
ティア「が、頑張りましょうシアさん……!」グッ!
シア「そうですね~。あまりに酷すぎると、アベルさんのイメージが――」ズルッ!
シア「――え?」コロン…
シア「ええええぇぇぇぇぇ~……!?」コロンコロン!
ヒバリ「え!? スキー板も無いのにどうして転がっちゃうの!?」
パトラ「しかもここ傾斜緩やかなのに!?」
ロウル「シアさん、魔法で補助しないと歩くのかなりゆっくりですからねぇ……」
エリス「普段の速度だと、雪に足をとられてしまうのも無理はないかと……」
アーシャ「と、とにかく助け……きゃっ!?」ズボ!
ヒバリ「ああ、アーシャも気をつけて! 雪玉量産しちゃうから!?」ワタワタ
ティア(相変わらず、私は皆さんにご迷惑をかけてばかりだけど……)
ティア(神よ、この幸せな時間に感謝致します)ニコリ
……
――
――
……
アドルラン「よーし、大丈夫だ。頑張れルーシェ!」
ルーシェ「は、はいぃ……!」プルプル…
カイン「よ、よし! 立った! 立ったぞエメリナ!」プルプル…
エメリナ「あ、後はゆっくりゆっくり……!」プルプル…
アベル「こ、これで身体を前に倒せばいいのか?」
キアラ「はい。これでゆっくりと滑れる筈ですよ」
フィーア「危ないと思ったら、早め早めに止まった方が安全だと思います!」
マックス「……」
ノワール「あら、あなたは滑らないの? アベル達よりも上手く滑れていたように見えましたけれど……」
マックス「あ、いえ!? 今はちょっと休憩中といいますか……」チラ…
ノワール「……」
ノワール「キアラ、フィーア。私も少しはアベルに教えてあげたいわ」
アベル「は、母上!?///」
ノワール「ちょっとの間だけ、アベルを借りてもいいですか?」
フィーア「あ、ごめんなさいお義母様!? 勿論です!」
ノワール「ありがとう。それじゃあ、代わりにマックス君に指導をお願いできる?」
キアラ「は、はい!」
マックス「!?」
マックス(あ、ありがとうございますノワール様ぁ!?)
ノワール(あの視線、あの子達のどちらかが気になるのかしら?)
ノワール(……まさかとは思いますけど、アベルを狙っているわけではありませんよね?)
アベル「母上?」
ノワール「なんでもありませんよアベル。さあ、もう少し練習を続けてみましょう?」
従業員「……」コソ…
従業員(な、なんとか皆さんにはお楽しみ頂けているようだな……)ホッ…
従業員(しかしなんでまたこんな突然?)
従業員(アベル皇子にフィーア皇女、王国を救ってくださった方々だけでなく、まさかごきょうだいまでとは)
従業員(陛下ならば、我々にも相応のもてなしをするよう準備の時間をくださる筈だが……)
従業員(……いや、我々は我々にできる今の最大限を尽くすまで! 悩んでいる場合ではない!)バッ!
――
……その頃・王国王城……
クラウス「むう、まさかアベル皇子達が揃って王国領に旅行に来ていたとは……」
ネスト「申し訳ありません陛下。ですが、先に陛下にお伝えすれば陛下のことです」
ネスト「我が帝国の皇子達をもてなそうと、奮戦なされたのでは?」
クラウス「そうだろうな。王国を天使から救って貰っただけでなく……」
クラウス「白帝竜のこと、そして戦後も君達に面倒事を任せてしまっていること……」
クラウス「アベル皇子達に対しての恩は、計り知れないからね」
ネスト「あはははは! 俺達は別に大丈夫ですよ。戦争時に比べれば格段に安全な任務ばかりですし」
ネスト「それにこうして俺達みたいな者を信頼して使ってくださるというのは、やっぱりありがたいですよ」
ネスト「アベル皇子達も、陛下にはお世話になったとよく仰っていましたからね」
ネスト「あまり陛下も気に病み過ぎることはありませんよ」
クラウス「そういって貰えるのは嬉しいが……」
クラウス「ああ、しかし……その宿の者達はちゃんと動けているのか不安だ」
クラウス「それにネスト、君達も本来ならばその旅行に同行していたのではないか?」
クラウス「私の仕事でその機会を奪ってしまったのだとすれば、なんと申し訳ないことを……」
ネスト「あー、大丈夫ですよ? ギルバート様すら倒された皆さんには護衛は不要でしょうし」
ネスト「それに、なんて言うんですかね? 同行したらえらいことに巻き込まれそうな……」
ネスト「危険な臭いを感じちゃったんですよねー。まあ仕事が落ち着いたら、旅行も悪くないかもしれませんけど」
クラウス「そ、そうか……」
バン!
スカーレット「陛下! アベル皇子達が温泉宿に向かったという情報は本当なのですか!?」
スカーレット「ああっ! きっとアベル皇子達の部隊には屈強な男がいっぱいいて……」
スカーレット「混浴の温泉で、ワタクシのこのボディで骨抜きにしようと――」
クラウス「スカーレット将軍! 自室待機っ!」
スカーレット「そんな陛下、まだ行動していませんのにっ!?」
ネスト(……殿下の部隊、俺達除くとほとんど女の子ばっかなんですけどねー)
……
――
――
【雪山・宿】
アドルラン「いやー、滑った滑った!」ホクホク
アドルラン「これは明日も向かいたいところだな!」
ヒバリ「アドルランも結構滑れてたね。流石だね!」
ルーシェ「うぅ、私もヒバリさんやアドルラン様のように……」
カイン「くそ、なんで兄さんはあんな元気なんだ……」
エメリナ「ちょっと、休みたいです……」
アベル「確かに、慣れないことをしたせいか思った以上の疲労が溜まっていますね」
アベル「あとは、シアを温めてやりたいというのもありますけど……」
シア「さ、さむい~……」ガタガタ…
パトラ「シアさん、あれから何度も埋まりましたからね……」
従業員(よし、あっちのみんなは上手くやってくれたみたいだな……)
従業員(しかしどうやら皆さん、疲労なされている様子)
従業員(ならばここは……!)
従業員「皆様、おかえりなさいませ」
従業員「スキーはお楽しみいただけましたでしょうか?」
アドルラン「ああ!」
従業員「雪と戯れるというのも、良いものでしょう?」
従業員「しかしお身体を冷やしてしまっているかもしれません」
従業員「どうでしょう、お夕食まではまだ時間がありますので……」
従業員「当宿が誇ります、天然温泉で温まれては?」
マックス「お、温泉!?」
一同「「!?」」ビク!
従業員「え、ええ」
マックス「あの、その温泉って……」
特殊判定
↓1コンマ二桁
温泉事情・ここって混浴なの?
50>15
※基準値を下回った為、残念ながら男女別!
――
従業員「ご安心ください。当温泉の効能は抜群です!」
従業員「疲労回復や各症状の改善は勿論、美肌効果まで!」
従業員「さらに非常に広いため、男女のお客様それぞれに温泉を……」
マックス「あ……やっぱり男女別ですよねー……」
アドルラン「はははは! それが公共施設というものだろう?」
パトラ「……マックス?」ゴゴゴゴ…
カイン「くくく、こいつは面白いや」
カイン「――エメリナの裸をみたらバラバラに切り刻んで野犬の餌にしてやるからな?」
マックス「ひいっ!?」ズザ!
ポン…
マックス「あ、アベル皇子――」
アベル「――凍らせた人間は果たして温泉で解けるのにどれだけかかるだろうな?」キィィン!
マックス「」ガタガタ
ヒバリ「いやー、ここまで直球だとむしろ清々しいね」
ヒバリ「……アドルランもこれくらいでよかったのに」
ティア(アベル様とは、別々かぁ……)
エメリナ(カイン様とは一緒に入れないんですね……)
マックス(何故かあっちからも残念そうな気配を感じる……)
マックス(で、でも逆にこれでよかったのかもな!)
マックス(やっぱり、キアラちゃん以外のを見るのはその、あれだし……)
マックス(お、俺も自制しきれる自信ないからな……///)
……
――
温泉事情が決まったあたりで今日はここまで
そしてここで、男女別となりましたので、
女湯と男湯でのトーク内容を↓1~3辺りで募集したいと思います(拾えそうなものを選びますが、混ぜれそうなら混ぜます)
そして温泉後の卓球ですが、ダブル77に少々困っていましたが、ポロリは決行しようかと思います
勿論男も対象です
00二人も折角だから対決させた方がいいかな?
本日もありがとうございました!
牝奴隷願望持ちで『堕ちた聖女』なんて名前のスキル持ってるシスターがドエロじゃないわけないじゃないですかやったー
まぁ原因は半ば羞恥プレイ(ヒロインへの性教育)押し付けちゃったアベルなんですけどね
こんばんはー
色々な案をありがとうございます
日付変わるギリギリですが今日も少しだけ再開。男湯からになります
――
【大浴場・入口】
従業員「こちらになります」
従業員「左側が女性、右側が男性となっておりまして……」
従業員「湯上りの際は、こちらにお着替えいただけますと快適でございますよ」サッ!
アベル「む……? また変わった作りの服だな?」
ヒバリ「あ、これ知ってるよ。うちにも少しだけあったからね。浴衣だっけ?」
ヒバリ「まずこうやって羽織って」ファサ
ヒバリ「前を合わせて、この帯を巻いていって後ろで結んで止めれば出来上がりだよ」キュ!
ヒバリ「動きやすいし風通しもいいから、お風呂上りには丁度いいと思うよ?」ヒラヒラ
従業員「おお、お上手ですお客様!」
アドルラン「……」ジー…
ルーシェ「……」ムス…
ロウル「へえ、こういった服もあるんですねぇ。私は尻尾の問題がありそうですけど……」
従業員「ご安心ください! 当宿ではそういったお客様にお応えするため、穴あきのご用意もあります!」バッ!
ロウル「ありがたいですけど、用意よすぎませんか!?」
パトラ(……ロウルさんみたいな尻尾の持ち主を従わせている貴族はいたけど、そういった連中御用達だったのかしら?)
シア「可愛い服も用意してくださっていますし~、そろそろ入りませんか~?」ブルブル…
ノワール「そうですね。あまり入り口に固まり過ぎると邪魔になってしまいますよ?」
カイン「時間はどう分けるんだい? この人数だと――」
フィーア「折角ですから、このまま全員で入りましょう!」ピョン!
一同「「!?」」
……
――
――
【大浴場・男湯】
アベル「おぉ、これは凄いな……」
アドルラン「これが温泉、それも露天と呼ばれるものか!」
カイン「へぇ、悪くないじゃないか」
マックス「俺の場違い感が凄い……」ガタガタ
アドルラン「はははは! だからそう緊張しなくてもいいというのに!」バシバシ!
アドルラン「裸の付き合い、今日は親睦を深めようじゃないかっ!」
マックス「……アドルラン皇子って、ちょくちょくマークス神父に似ますよね」
アドルラン「うん? 彼も私の大切な鍛錬仲間だからな! やはり鍛えた身体は国境を越えるということかな!」ハハハ!
カイン「聖国のアルフもだけど、何? 身体って鍛えると頭が緩くなるもんなの?」
アベル「いや、そういったことはないとは思いますが。それにしても……」
カイン「ん?」
アベルボディ「……」ガッシリ!
アドルランボディ「……」ムッキィ!
マックスボディ「……」キュッ!
カインボディ「……」ヒョロン…
アベル「……いざこうして見ると、カイン兄様の身体ちょっと弛んでいませんか?」
カイン「なっ!?」
アドルラン「はははは! まだまだ鍛え方が足りないぞカイン!」
アドルラン「それに比べて、マックス君は若いのに大したものだな。引き締まったいい身体だ」
マックス「ありがとうございます。これでも、王国騎士として鍛錬はしてきましたからね」
マックス「……あと、アベル皇子の隊に入ってからは地獄のような鍛錬と実戦を積みましたから」トオイメ
アベル「パトラ達にもだいぶ扱かれていたからな……」
アベル「まあ、旅行中だけは鍛錬も忘れていいだろう。今までの疲れを存分に癒してくれ」
アドルラン「では早速――」
マックス「あ、ちょっと待って!?」
アドルラン「?」
マックス「その、皇族の方に言うのも不味いかもしれないんですが……」
マックス「一応、このタオルって湯船につけちゃ不味いんですよ」サッ
マックス「王国流のマナーといいますか、その……」
アドルラン「なるほど、そうなのか。身体を洗うのは構わないんだよね?」
マックス「ええ、それは勿論」
アドルラン「ならば安心だ。湯船の中でもただ堂々としていればいいということだな!」ブラーン!
マックス「羞恥心は持ちこんでもいいと思いますよ!?」
アドルラン「はははは! 何、ここには女性もいないからね。私も少しは開放的になりたい時もあるさ」ブラブラ
アベル「……確かに、周りに女性が多いと何かと気を使いますからね」
アベル「言われてみると、こうして男ばかりで集まったのは随分と久しく思います」
アドルラン「そうだなぁ……」シミジミ
アドルラン「時間はかかってしまったが、こうしてまた兄弟揃って……それに新たな友を加えて湯につかれる日が来るとは」
アドルラン「本当に、素晴らしい日だな! なあカイン!」
カイン「……」ギリギリギリ…
アドルラン「ど、どうしたカイン!?」
アベル「……ああ。アドルラン兄様が隠さずに堂々とし過ぎたせいかと思います」
マックス「あぁー……うん、アドルラン皇子の相当立派ですもんね……」
カイン「くそぁ!」ギリギリ…
アドルラン「アベル、お前もタオルをはやく取ったらどうだ?」
アベル「……そうですね」ファサ…
アベルの黒剣「……」ブラーン
マックス「うおぅ!?」ズザ!
マックス(ひえぇ……アベル皇子のってあんな大きいのかよ!?)
マックス(そりゃあ色々な人を虜にできるわけだよ……)ゴクリ…
カイン「……っ!」ガクーン!
カイン「!!」ハッ!
カイン「マックス、言い出した君もはやくタオルを取るべきなんじゃないかな?」ニヤリ
マックス「あ、そうでした」ファサ…
マックスソード「……」ドーン!
カイン「くそおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!」ビターン!
アドルラン「こらカイン、タオルを地面に叩きつけるな!」
カインジュニア「……」プラプラ
マックス(あ、あぁー……な、なんか申し訳ない!?)
アベル(……兄様の、前よりも遥かに大きくなっているような? どれだけの無茶をしたんですか……)
……
――
――
アドルラン「うむ、やはり身体を洗うのは気持ちがいいものだな!」ゴシゴシ!
カイン「温泉を前にして、すぐに入れないってのもなんかあれだけどねぇ……」ゴシゴシ
アベル「身体を清潔に保てるというのは、それだけでもある程度の地位が無ければできないことでしたが……」ゴシゴシ
アベル「今日は温泉、いわば最上級の贅沢ですね」ゴシゴシ
マックス「やっぱり、帝国はそういった方面も大変だったんですか?」ゴシゴシ
カイン「そりゃあね。暗黒街は言わずもがな、貧民街も大変なもんだよ」
カイン「何しろ人数が多いもんで、全員が川に飛び込めばそこは使い物にならなくなる」
カイン「湯浴みも水浴びも夢のまた夢。汲んだ水に布を浸して、こうして今みたいに身体を拭けたら十分さ」ゴシゴシ
アドルラン「王城の方でも、節水は基本だったからな。湯が次々に湧く温泉というものは、やはりすごいものだ」
マックス「王国でも、どこにでも温泉があるってわけでもないですからね」
マックス「素人目でも、ここが特に立派な場所だってのはわかりますよ。本当にお招きいただきありがたい限りです」
アベル「マックスにも色々と世話になっているんだ。これくらいはな」
カイン「くく、しかしさっきのは笑えたなぁ」
マックス「え?」
カイン「温泉って聞くなり、いきなり混浴かどうかを気にするって……」ククク…
カイン「――まさに、童貞丸出しじゃあないか! ん? 童貞なんだろうマックス!?」
マックス「な、なななっ!?///」
アドルラン「こらカイン!」
アベル(……以前、俺が煽り過ぎたせいだろうか。カイン兄様が妙に生き生きとしているように見える……)
カイン「何、恥じることはないよマックス……」クク…
カイン「たとえこの場で、君一人が童貞だとしても……」
カイン「なんっの問題もないからねぇ?」
アベル(……色々暴露してやりたい気分だ)
マックス「そ、そりゃ確かに……俺はまだ童貞ですけど///」
マックス「というか、やっぱり皇族ともなると皆さんやっぱり……?」
アドルラン「そうだな。第一皇子という身分もあってか、かなり前だがそういった手解きを受けたことはあるよ」
アベル「……俺もまあ、色々あったからな」
カイン「ま、僕ほどになれば相手も選ぶことができる。好きでも無いどこの誰ともしらぬ女を抱くなんて、したくないからねぇ」
マックス「むむむ……俺だって、いつか……」
カイン「ま、誰でもいいから童貞を捨てたいっていうなら、娼館に行けばいいんじゃないか?」
カイン「帝国でもそれなりにあったんだ。王国ともなれば、それこそさらに多かったんじゃないか?」
マックス「それは、そうですが……」ゴニョゴニョ…
アドルラン「うむ、言わずともわかるぞ! マックス君も真っ直ぐな人間だからな。きっとしっかりとお付き合いをした子と結ばれたいのだろう!」
カイン「そうかなぁ? そんな真っ直ぐというか愚直な奴なら、混浴にあんな反応は示さないと思うよ?」
アベル「……」
アベル「……なあマックス?」
マックス「な、なんでしょう?」
アベル「お前のさっきのあの様子から察するに、混浴を望んでいたのは疑う余地も無い」
アベル「しかし童貞、相手はしっかりと選びたいという思考の持ち主でもあるようだ」
アベル「――まさかとは思うが、今日来ている彼女達の中の誰かを狙っているわけではないだろうな?」
マックス「――!?」ドッキーン!
カイン「……へぇ?」ゴゴゴ…
アドルラン「……そうなると、少し話は変わって来るぞ?」ズズズ…
アベル「――吐け、マックス」ドドド!
マックス「ひいいぃ!?」
特殊判定
↓1コンマ二桁
判定を取ったあたりで今日はここまで
……お察しの方もいらっしゃるようですが、奇数ゾロは特殊でカミングアウトでした
なお、既に裏では女性陣も入浴済みですので、ターン交代後の判定次第でこの会話は全部聞かれます
本日もありがとうございました!
こんばんはー
今日も亀の歩みでちょっとだけ再開です
最後の方にちょっと大事かもしれない判定ありです
特殊判定結果
76>25
※基準値を超えたため、マックスごまかし!
――
マックス(キアラちゃんのことは、まだ秘密だし……)ゴクリ…
マックス(ここはなんとか、ごまかすしかない!)
マックス「だ、だって仕方がないじゃないですか!?」クワッ!
皇子ズ「「!?」」
マックス「カイン皇子の仰る通り、俺は童貞ですよ!」
マックス「だからこそ、だからこそ大きなおっぱいに魅了されてしまうのは当然だとは思いませんか!?」
マックス「それに何故だか皇子達の周りには決まって美少女から大人のお姉さんまで集まりますしね!?」
マックス「勿論、俺だって弁えてはいますよ? それこそカイン皇子のエメリナちゃんに手をだそうだなんて滅相も無い!」ブンブン!
マックス「俺は皆さんにすっごい恩を感じていますし、感謝の念しかありません」
マックス「そして仲良くなれるなら、どんどん仲良くなりたいと思っています」
マックス「――こんな俺を受け入れて、信じてくれているんだ。その期待を裏切る真似はしたくないんです」
マックス「でもね、考えてみてくださいよ?」
マックス「服越しでもわかるあのおっぱいが、薄布一枚で覆われるだけになったかもしれないんですよ!?」
マックス「童貞が混浴温泉の欲望に抗えるわけないじゃないですか!?」
マックス「皆さんだって、おっぱい好きでしょう!?」ハァハァ…
アベル「……俺は、愛したいと思った女性ならば胸の大きさは気にしないぞ?」
アベル(まぁ……丁度弄り易くて、もしかしたら自分の手で育てられるかもしれないサイズの胸は好きかもしれないが)
カイン「はっ……胸なんて所詮は脂肪の塊だろう? むしろ小さい方が慎み深くて高貴な感じがしないかい?」
アドルラン「ううむ、言わんとすることはわかるが……」
アドルラン「私としては、大きさはともかく普段は露出を控えてくれると嬉しいかな。やはりどうしても心が乱れてしまうからな!」ハハハ!
マックス「まさかの巨乳派がいないだと!?」ガーン!
マックス「皇子達、本当に人間ですか!? 普段彼女達と何をしたらそんな境地になれるんですか! 教えてくださいよ!?」
アベル「な、何をって……」
カイン「特に意識してやったことはないと思うけど?」
アドルラン「恥ずかしながら、私もまだまだ女性の扱いには疎くてね。何かをできているとは思えないが……」
マックス(よし、このまま話の流れを変える!)
マックス「いやいや、でも皆さんは童貞でもないし、お付き合いもしているんでしょう?」
マックス「ここは一つ、この哀れな童貞を助けると思って……!」パン!
マックス「本人にとっては何気ないことでも、もしかしたら秘策が隠れているかもしれませんし……」
マックス「――ちょっと、皇子達の普段の過ごし方教えてくれませんか?」
カイン「普段、ねぇ……」
アドルラン「普段、普段か。……鍛錬をして、領内を周って、書類に目を通して……」
マックス「いやいや、そういうお仕事じゃなくて。女の子達と普段どうしているのかなーと」
アドルラン「ヒバリ達と? そうだな……」
アドルラン「……」
アドルラン「…………」
アドルラン「ううむ、困った。改めて思い起こすと二人とは常に一緒にいたが……」
アドルラン「常に一緒にいすぎて、私の世話を焼いてくれている姿ばかりが思い起こされる……」ダラダラ…
マックス「普段から鍛錬と仕事漬けなんですか!?」
アベル「アドルラン兄様らしいといえばらしいですが……」
カイン「兄さん、流石の僕でも引くよ? どこか好みの場所に連れて行ってあげるとかはなかったのかい?」
アベル「ヒバリもルーシェも、兄様を優先させちゃいますからね」
カイン「僕が言えた義理じゃないけど、甘えっぱなしは不味いと思うんだ。貰った分は、ちゃんと返さないと」
マックス「おぉ、まさかのカイン皇子の口からそんな言葉が……」
カイン「どういう意味だよ!?」
アドルラン「……そうだな。彼女達にもそれとなく聞いてみて、まずは仕事を忘れた外出でもしてみよう」
アベル「それがいいですよ」
マックス(アドルラン皇子、キアラちゃんとは違った意味でガード硬いなぁ……)
マックス「まあとにかく、アドルラン皇子は職務を疎かにしない硬派な人だというのはわかりました」
マックス「それじゃあ次、カイン皇子お願いします!」
カイン「やれやれ、なんでこの僕が童貞の為に……」
カイン「ま、いいだろう。ありがたく僕の施しを受けなよマックス?」
アベル(童貞の上に立てることが本当に嬉しいんだな……)
カイン「さっきも言った通り、巨乳である必要性はどこにもない」
マックス「うぐぐ、本当に信じられない……」
マックス「それじゃあ、カイン皇子はまず女性のどういったところに惹かれたりするんです?」
カイン「そうだな……」
カイン「……」
カイン「……あまり深く考えたことは無かったけど、うん。これだというものはあったよ」
マックス「そ、それは!?」
カイン「……一緒にいて、落ち着ける人、かな///」
マックス「落ち着ける?」
カイン「ああ。今でこそ治ったけど、目が見えない時はやっぱりどうしても気を張り詰めていたんだ」
カイン「いつ弱者として、今度こそ父さんから用済み扱いされるのか。怯えながら、虚勢を張り続けた」
アドルラン「カイン……」
カイン「……そんな時でも、彼女と一緒にいる時は不思議と落ち着けたんだよ」
カイン「それは今も変わらない。でも僕はそれに気がつくのが遅すぎた」
カイン「だから……今はゆっくりと、彼女がくれた時間を僕も返したいと思っているんだ」
カイン「なかなか時間を作るのは大変だけど、偶に二人だけで落ち着ける場所にでかけたりしてね……」
マックス「おぉ……」
マックス「……なんかカイン皇子のイメージが違う」
カイン「悪かったなぁ!? 僕もそうは思うけど、仕方がないだろう!?」
カイン「これだから童貞は! どうせヤることしか考えていないんだろうこの童貞め!」
マックス「そ、そんなことないですよ!?」
カイン「そーかいそーかい、それなら折角だしお前にもいいことを教えてやるよ!」
カイン「――胸よりも口の方が凄い武器だ」
マックス「!!??」ガガーン!
アベル(事情を知っているだけに、本気で言っているのがわかる……)
マックス(だ、駄目だ……本当に、童貞の俺にはまだわからない世界なのか……!?)ブルブル…
マックス「さ、最後がよくわかりませんでしたけど、つまりは……」
カイン「好きな子ができたら、一緒に落ち着いた時間を過ごすだけでも十分幸せだってことだよ」
カイン「兄さんは一緒にいすぎたせいか、そこら辺の感覚がなんか鈍くなっているけど」
アドルラン「うむむ……私もまだまだ精進せねばな」
マックス「でも、なんだかわかった気もします!」
カイン「ふふん、そうだろう?」
マックス(俺も、キアラちゃんとは一緒にいられるだけで楽しいしなぁ……)
マックス「それじゃあ最後! 多分一番女性慣れしているアベル皇子お願いします!」
アベル「どういう意味だ!?」
カイン「間違っちゃいないだろう? 城塞の仲間全員に手を出すとか正気か?」
アドルラン「初めて聞いた時は驚いたが、今となっては私も人のことは言えないからな」
アドルラン「アベル、しっかりと責任をとりつつ明るい未来を築くんだぞ?」
アベル「ええ。それは勿論です」
マックス「くぅ、男の力の差を見せつけられた気もしますけど……」
マックス「実際問題、アベル皇子って女の子と普段どうやって過ごしているんです?」
アベル「マックスも城塞にいるからわかるだろう? 俺も言う程アドルラン兄様と変わらないのが現状だよ」
アベル「以前、シアからも女の子の扱いが下手だと指摘をされたこともあるしな……」
カイン「それでいてやることはやっているんだから恐ろしい奴だよ……」
マックス「でも、アベル皇子って本当に皆から慕われていますよね?」
マックス「その辺の男だったら滅多刺しにされていてもおかしくない状況だと思うんですけど……」
アベル「それは俺も思った」
アベル「結局俺は、エリスやみんなの優しさに甘え続けているのかもしれない……」
アベル「――だが、それでも俺は手放したくないと思ったものは絶対手放さない。そういう強欲な人間なんですよ」
アドルラン「……大切な者を守りたい、一緒にいたいという気持ちは私もよくわかる」
アドルラン「あまり思い悩むなアベル。ただの強欲な人間に、彼女達はついていきはしないよ」
アベル「兄様……」
カイン「ま、だろうね。こいつは昔から色々と拾う癖があったからね。その延長線なんじゃないか?」
カイン「ああ、兄さんもそうだったか……」
アドルラン「はははは! やはり兄弟、血は争えないか?」
マックス「実際アベル皇子、帝国内は勿論のこと俺達王国の兵や聖国の兵も拾っているわけですからね……」
マックス「なんというか、アベル皇子は……助けていただいてなんですけれど、おひとよしですよねぇ」
アベル「なっ!?///」
アドルラン「そうだな。アベルは昔から困っている人は見過ごせない優しい心の持ち主だったからな」
カイン「甘い、とも言えるんだけどねぇ……」
マックス「そういうところにみんなも惹かれているんですかね?」
アベル「やめろこそばゆい……」
アベル「別に俺はそこまで大した人間ではないし、彼女達に報いれているかどうかも怪しい」
アベル「……一応、なんとか時間を見繕って全員と交流できるようには努力してはいるが」
一同「「……」」
アベル「な、なんですかその目は……」
アドルラン「うむ、私もアベルを見習おう!」グッ!
カイン「やれやれ、こいつは本当に……」
マックス「多股を苦にしないなんて、流石ですアベル皇子!?」
アベル「やめろマックス!?」
マックス「なるほどなるほど。女の子と付き合ったらとにかく触れ合いの時間は欠かしてはならないと……」
アベル「く……///」
カイン「……なあマックス?」
マックス「な、何か?」
カイン「ふと思ったんだけどさ、童貞で僕らにアドバイスを貰いたいって言うなら……」
カイン「――普通、どうやったら女の子と付き合えるかとか聞くよね?」
カイン「僕らが普段どうしているかは『女の子と付き合った後』の話だ」
カイン「――もう、誰か付きあっているんじゃないのかい?」
マックス「」ピタ…
マックス「や、やだなー! そんなわけないじゃないですかー!」ドキドキドキドキ
マックス「ただちょっと、先に行っている皇子達の行動から何かヒントを得られないかなーって!」アハハ!
マックス「ああ、外で話していたらすっかり身体が冷えた!」
マックス「はやく温泉に入ってあったまりましょー!」シュバ!
カイン「あ、おい!?」
アドルラン「言われてみれば、その通りだ。折角の温泉、楽しまねばな!」
アベル(マックスの挙動が妙だが……助かりもしたか)
アベル(あのまま兄様達の前で根掘り葉掘り聞かれたら堪ったもんじゃないからな……)
マックス(あ、あぶなーっ!? まさかまた俺に戻ってくるなんて!?)
マックス(温泉だ! 温泉に今は逃げるしかない!)
マックス(そしてなんとかこの場を凌ぐんだ……!)
……
――
――
……少し前、女湯にて……
ドウテイガー
オッパイー!
ロウル「……///」
ロウル(旅先で何を話しているんですかマックスさーん!?)
ロウル(アベルさんもアベルさんですよ!? 止めましょうよ!?)
ロウル(カイン様とアドルラン様まで巻き込んでもぉー!?)
ロウル(うぅ、なんだかんだでアベルさん達もこの旅行ではしゃいで浮かれているんですかねぇ……)
ロウル(私の耳が人一倍優れた聴覚を持っていること、お忘れですか……?)ピョコピョコ
ロウル(ああもう、こういう時はこっちも何か別のことを話して気を紛らわせましょう)
ロウル(温泉に入ったら、何かいい話題はないもんですかね?)
ロウル(……)
ロウル(……私には聞こえちゃいましたけど、あちらの会話って……)ドキドキ
特殊判定
↓1~2コンマ二桁
特殊判定結果
1男湯の会話、防音大丈夫?
70>50
※基準値を上回ったため、普通にしていればロウル以外には漏れません
2ロウルのもやもや
93(リーナさん! 今の私ならあなたの気持ちがよくわかりますよぉ!!!)>85
※基準値を上回った為、ロウルの嫉妬爆発
※女湯で一騒動追加
――
アーシャ「あれ? ロウルちゃん顔が赤いけれど大丈夫?」タプ…
ロウル「え? あ、ああ大丈夫ですよ!?」
パトラ「随分と丁寧に身体を洗っていたみたいだけれど……」タプーン!
ロウル「そりゃあ私のこの尻尾の美しさを維持するためには、毎日のお手入れは欠かせませんからねぇ」
ロウル「というのは建て前で、万一にも温泉の中に私の毛を撒き散らすわけにもいきませんので、念入りに」コシュコシュ…
ロウル(……お二人が無反応となると、どうやら私以外には聞こえていなかったみたいですね)ホッ…
ロウル(でも……)チラ…
パトラ「そこまでしなくても大丈夫だとは思いますけど、マナーを強く意識する姿勢は流石ですね」
パトラ「温泉というものにもいくつかマナーはありますけど、あと大切なのは――湯船にタオルをつけ込まないことです」
パトラ「ですからその、恥ずかしくはあるのですが……///」ハラリ…
ボイーン!
パトラ「み、皆さんもタオルを取って頂けると……///」
シア「恥ずかしいです~///」ボイーン!
ノワール「ごめんなさいね、こんなおばさんの身体を……///」ボイン!
アーシャ「そんな。むしろお綺麗といいますか……」プリン!
キアラ「こ、混浴じゃなくてよかったかも……///」ドタプン!
ティア「ど、同性の方でも恥ずかしいです///」タプンタプン!
ロウル「」
ロウル(リーナさん、今の私ならあなたの気持ちがよーくわかりますよぉ……)ペタン…
ロウル(……アベルさん達もはしゃいじゃっているんです)
ロウル(――こっちだって、少しは羽目を外しても許されますよね?)
……
――
ロウルのもやもやが炸裂したあたりで今日はここまで
かなり高めに設定したはずなんですが、やはりこれだけ巨乳が多いと耐えきれないんでしょうか?
お触りタイムから再度男湯の判定に移行するかと思います
今更ですけど、女性陣のほとんどが普乳(41以上)以上の持ち主なんですよねぇ……
本日もありがとうございました!
こんばんはー
フローレンを考えると、むしろキアラの方が突然変異なんですけどね
今日も少しづつ再開です
――
……
フィーア「わぁ~! これが温泉なのですね!」ツルペター!
エメリナ「ゆ、湯気が凄いです……」ペターン
ロウル(……うん、数少ない味方です!)グッ!
エリス「これは、お湯が少し白濁しているのでしょうか?」ポヨン
ロウル(エリスさんは……ぎりぎりこちら側でしょうかねぇ?)
ロウル(やっぱり、あれくらいは欲しいものですよ)
ルーシェ「凄く、広い、です……」ポヨン
ヒバリ「美肌効果か~……どれだけ綺麗になれるんだろうね?」ポイーン
アーシャ「流石に触れただけでスベスベになるとは思えませんけどね」ポイーン
ロウル(くぅ……! 十分綺麗だと思いますけどねぇ……!)
ロウル(本当に、身体全体のバランスが一番いいといいますか……)
ノワール「澄んだ空気に、この落ち着いた雰囲気……いいですね」ボイーン!
パトラ「はい。現状はまだ高級で大衆向けではないそうですけど……」
パトラ「いつかは、民の誰もがここを楽しめるようになるといいですね!」ボイーン!
シア「は、はやく入りましょうよ~、恥ずかしいです~///」ボイーン!
ロウル(うううぅぅ……!)ググ…
ロウル(落ち着け、落ち着くんです私……!)
ロウル(ここで暴れちゃ、リーナさんと全く同じになってしまいます……!)
ロウル「……」チラ
キアラ「パ、パトラさん? 後は普通に入って大丈夫なんですよね……///?」ムニュウ!
ティア「……か、肩まで浸かってもマナー違反じゃありませんよね///?」ムニュゥゥゥ!
ロウル「――ごふっ」
ヒバリ「ちょ、大丈夫ロウル!?」ワタワタ
アーシャ「今、口から嫌な音が聞こえましたよ!?」ワタワタ
ロウル「だ、大丈夫です。ちょっと湯気に咽ただけですよ……」ヨロ…
ロウル(な、なんなんですかあの大きさは……?)
ロウル(必死に腕で隠しても、零れているじゃないですか!?)ガーン!
ロウル(何を食べたら、あんなことになるんですか?)
ロウル(しかも何があれって、お二人とも私よりも年下という……)
ロウル「……」ペタペタ…
ロウル(はぁ……どうしてでしょう?)
ロウル(昔は胸の大きさなんて、なんとも思わなかったのに……)
ロウル(弓を射るうえでは、私の身体はまさにうってつけなのに……)
ロウル(…………アベルさんのせいですからね)
ロウル(さっきのお隣の会話から察するに、やっぱり男の人は大きい方がいいみたいですし)
ロウル(アベルさんだって、遠慮している可能性がありますし……)
ロウル「……」フルフル
ロウル(なーんて悩んでも、どうせ私の胸はすぐには大きくなりませんからね)
ロウル(今はこの温泉を楽しむことに集中しましょう!)
……
――
チャポン…
ロウル「あああぁぁぁ……♪」
ロウル(な、なんですかこれ……)
ロウル(身体の内側までじんわりとする心地よさ……!)
ロウル(これが、温泉! いいものですねぇ……♪)チャプチャプ
フィーア「気持ちいいです~♪」ハフー
エメリナ「お風呂と、違う気がしますねぇ……♪」ハフー
ルーシェ「はい……私、気に入りました……♪」ハフー
エリス「アベル様達も、くつろがれているのでしょうか……♪」ハフー…
アーシャ「ええ、きっと……あら?」
シア「……///」ググ…
パトラ「……///」ググ…
キアラ「……///」グググ…
ティア「……///」ググググ…!
アーシャ「どうしたの? これだけ気持ちいいのだから、もっとリラックスしましょう?」
シア「そ、それが~……///」
四人「「なんだか浮いてきちゃって……///」」タプタプ!
ロウル「」ブチ!
ロウル「うわあああああぁぁぁぁぁぁぁ! これ以上、これ以上その大きなブツを見せつけないでくださいよおおぉぉぉぉ!」クワッ!
四人「「!?」」ビクゥ!
アーシャ(最近、ロウルちゃんとリーナさんが似てきた気がするわ。本当に……)
――
――
……その頃男湯……
ウワアアアアアアア!
カイン「な、なんだ!?」
アベル「これはロウルの叫びか? 一体何が……」
ミナサン! ナニヲシタラソンナニムネガ! ウクホドニ! ナルノデスカ!?
……! ……!
アベル「な、何を叫んでいるんだロウルのやつ……///」
アドルラン「ははは、先程我々も似たようなことを話していたがな」
アドルラン「やはり温泉という互いを曝け出す場。普段は言えないことも口に出てしまうのかもしれないな」
カイン「いや、さっきのマックスでもここまで叫んではいなかったと思うよ?」
カイン「というか、浮くって……え?///」
アベル(……ロウルの叫びが俺達に聞こえるということは、ロウルならばこれよりも低い音量の声も拾える筈)
アベル(まさかさっきのやりとりは聞かれていないだろうな……)ダラダラ…
マックス「……」スススス…
アベル「ん? どこに行くんだマックス――」
仕切り壁|マックス耳「……」ピト…
アドルラン「……マックス君、それは流石に不味いと思うぞ?」ガシ!
マックス「……でも、気になりませんか?」
アドルラン「いや、特には――」
マックス「も、勿論胸の大きさじゃありませんよ? さっきアドルラン皇子も言ったじゃないですか」
マックス「普段は言えないことも口にしてしまうかもって!」
マックス「ロウルちゃんがあれだけ叫んで、ようやくこっちが聞きとれるくらいにここの防音はしっかりしている」
マックス「つまり、みんなこっちには聞こえないと思って……」
マックス「――みんなも集まっている空気で、普段は皇子達に遠慮して話さないことも口にしてくれるかもしれませんよ……?」
三皇子「「……!」」ピク!
マックス「それでもし、彼女達の悩みやしてほしいことがわかれば……?」
三皇子「「……」」ゴクリ…
マックス「勿論、中の様子は絶対に見ません! ただちょっとだけ、聞いてみるだけですって!」
マックス「ね? どうでしょう?」
特殊判定
↓1~3コンマ二桁
よりによってそこで偶数ゾロはやめてぇ!?(吐血)
すみません、気がつけばこのスレも残り少なかったんで次スレの用意をしてきます
次スレになります
【安価とコンマ】剣と魔法の世界で生き延びる その13 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1580309195/)
残り少ないので、ここは埋めてしまって大丈夫です
1000ボーナスはいつもの通り、無茶振りは避けていただけると嬉しいです
>>1000なら幼キアラと幼フィーアの過去編
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