【安価とコンマ】剣と魔法の世界で生き延びる その13 (1000)

このスレは安価やコンマで、剣と魔法な世界を生き延びていくスレでした
無事に本編を終え、おまけイベントまで行えるのもご参加くださった皆さんのおかげです。本当にありがとうございます
亀更新、深くは考えていない行き当たりのため、途中で色々変わってしまうかもしれませんがご容赦を

1スレ目:【安価とコンマ】剣と魔法の世界で生き延びる - SSまとめ速報
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12スレ目:【安価とコンマ】剣と魔法の世界で生き延びる その12 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1571062469/)

~簡単な当スレの解説~

※ストーリーそのものは1~10スレ目で完結済です
※キャラクター詳細や歩んだ道のり等は、過去スレをご参照ください
※1000ボーナスや残ったゾロ目チケットを消費してのおまけのイベントがメインのスレとなります
※チケット残数は現在3枚
※これまでのおまけは以下の通り

EX1【戦いを終えて~~深紅の令嬢との約束~~】
EX2【戦いを終えて~~帝国皇女姉妹の冒険~~】
EX3【戦いを終えて~~聖国新米衛生兵の奮闘~~】
小イベ『綺麗綺麗しましょ』
EX4【戦いを終えて~~帝国皇女と王国騎士の触れ合い~~】
EX5【戦いを終えて~~帝国恋愛模様~~】
EX6【戦いを終えて~~帝国第二皇子の初体験~~】
小イベ『歌うことは心の豊かさ?』
EX7【戦いを終えて~~帝国恋愛模様・今と過去~~】
EX8【戦いを終えて~~帝国メイド長と可愛いコ達~~】
EX9【戦いを終えて~~帝国兄妹の旅行~~】


・このスレは参加して下さる皆さんのおかげで成り立っています
・行動選択、多数決以外でのゾロ目は基本的になんらかのボーナスがつくと思います(状況的に奇数より偶数ゾロの方がいい結果が多いです)
・判定は通常判定と特殊判定がありますが、基本的に差はありません。特殊判定はゾロ目チケットが使えないだけです
・ゾロ目の中でも00はハイパークリティカル。確実にプラス傾向のイベントになります
・頻繁に安価とコンマ判定が飛びます
・質問には答えられる範囲で答えます
・特殊判定は判定内容により、高コンマがよかったり低コンマがよかったりと変化します
・コンマ結果は全て運です。誰かを責めたりせずに楽しみましょう。自分を責めるのもやめましょう。ある意味ここが一番大事です
・ゾロ目チケットは範囲外のゾロ目三連打やイベント等で補充されるかも……?
・おまけのイベント等は、その都度安価募集。多数決とコンマを用いて採用します
・処理している情報量が増えた&想定外なこと乱舞の為、数値を間違えることが多々あります。お許しください
・抜けている判定などがあれば、ご指摘をお願いします

前スレ1000、了解致しました
結構難易度高そうですが、温泉旅行が終わり次第、そちらのおまけに入っていこうと思います
とりあえず、前スレの判定部分までいっておきます

前スレ特殊判定結果

三皇子の自制心


1アドルラン

05(盗み聞きはよくないな! 正々堂々、後日ちゃんと聞くぞ!)<50

※基準値を下回り、かつ超低値! 第一皇子はひたすらにストイックなようです

2カイン

49(き、聞きたい……! でも、童貞と同じことをするのは逆戻りしたみたいで嫌だ……!)<50

※奇跡的な踏ん張りか。基準値を下回った為、聞き耳はたてない第二皇子。でもギリギリ

3アベル

44

 4 4

偶数ゾロ目:余すことなく全て聞き、かつ後日それを実行できるように計画しちゃいます


――


アドルラン「……いや! やはり駄目だ!」

アドルラン「確かに、気になる。それは認めよう」

アドルラン「しかし隠れて聞かずとも、しっかりと日を改めて聞いてみればよいのではなかろうか?」ウンウン!

マックス(本当にアドルラン皇子って凄いな……)

マックス(真面目で実直で、クラウス様に通ずるものがあるよ……)

カイン「ははは、兄さんらしいね」

カイン「ま、ここは兄さんに同意見だ。皇族の僕らが、そんなこそこそと隠れて盗み聞きだなんてねぇ……」ヤレヤレ…


カイン(くそっ! 兄さんが乗り気なら、僕もそれとなく後に続けたのにっ!)


マックス(……カイン皇子、すっごい微妙な表情になってるぞ?)

マックス(うんうん、なんだかんだ言ってやっぱりカイン皇子も男ってことだな!)

マックス(多分、アドルラン皇子の手前我慢したんだろうけど……)

マックス(この調子だと、真面目なアベル皇子も――)







壁アベル「……」ピッタアアァァ!





マックス「」





アドルラン「な、何をしているんだアベル……!?」

カイン「おま、聞くにしてももう少し何かこう、後ろめたい構えになるもんじゃないのか!?」

アベル「……」ピタアアアァァ!

アベル「……兄様達の意見も、よくわかります」

アベル「確かに今、俺がしているこの行為は……」

アベル「皇族として……いや人間として狂っていると言われても不思議ではありません」

マックス(ちょっとアベル皇子、それだと真っ先に動いた俺の立場が……)

アベル「ですが……」

アベル「あの子達は、本当にいい子達なんです」

アベル「俺を信じてついてきてくれて、戦いが終わってからもこうして一緒にいてくれて……」

アベル「本当に、俺には勿体ないくらいで……」

カイン「惚気るな! ならばどうして……」

アベル「……なんというか、いい子過ぎるんですよ」

アドルラン「どういう意味だ?」

アベル「みんな抑え気味と言いますか……あまり、自分の欲望を口にしないんです」

アベル「仮にしても些細なもので、俺に遠慮しているというべきでしょうか?」

アベル「も、もし本当に彼女達の本当の望みが聞けるかもしれないというのなら……」




壁アベル「――俺はそれが聞きたいっ!」ビタァン!

壁マックス「――聞いちゃいましょうアベル皇子っ!」ビタァン!



カイン「やっぱりあいつは馬鹿なままだったかな?」

アドルラン「ううむ、しかしアベルの気持ちもわかるぞ?」

カイン「……あそこまで必死なのもどうかと思うけどねぇ」


……


――

はい、壁のひっつき虫が二人になったあたりで今日はここまで
アドルランはひたすらに恋愛系コンマを回避し、カインは毎回ギリギリのところだったりと面白いものですが、
まさか最後にアベルが偶数ゾロ引くのは完全に想定外です(白目)
この後は再度女湯、主に巨乳組のやりとりとなります

本日もありがとうございました!

こんばんはー
それでは再び女湯から再開です

――


ロウル「なんですか!? なんでそんなにぷかぷかと浮くんですか!?」

シア「そ、そう言われても~///」

パトラ「浮いてしまうものは浮いてしまうんです///」

キアラ「は、恥ずかしいです///」

ティア「あ、あまりこのだらしない身体を見ないでください……///」

ロウル「いや、見ちゃいますよ!?」

ロウル「見てくださいよ!?」ザパァ!

ロウル「この平坦な身体をねぇ!?」バーン!

ノワール「こ、こらロウルちゃん?  女の子ばかりだからって少し大胆過ぎますよ?」

ロウル「……ノワールさんも大きいのわかってますからね?」ボソリ

ノワール「あ、あら……」サッ…

ノワール(年頃の女の子、それにアベルの現状を鑑みると納得もできますけど……)チラ…

フィーア「ロ、ロウル姉様! レディーは恥じらいも大切だとローズさんから教わりました!?」ワタワタ

キアラ「その、仁王立ちは流石に……///」

ノワール(この子達に悪影響が出ない範囲だといいのだけれど……)

ロウル「そ、そうですね/// 私もちょっと勢いで……///」チャポン…

ロウル「でも実際問題、どういうことなんです?」

ロウル「皆さんも、気になりますよね!?」バッ!


フィーア「た、確かにちょっと/// 私もはやくキアラ姉様みたいになりたいです!」

キアラ「フィーアちゃん!? こ、これは別に真似しなくてもいいんだよ……!?///」

エメリナ「……」

エメリナ「た、確かに!」

エメリナ「確かにロウルさんの言う通りです!」グッ!

エメリナ「今日はいませんけど、アイナさんとスミレさんもご立派で、羨ましい限りです!」

ロウル「おお! やはりエメリナさんはわかってくれますねぇ!」

エメリナ「男の人は、大抵おおきなおっぱいが好きだといいます!」

エメリナ「カイン様も、もしかしたらやっぱり大きい方が好きかもしれないじゃないですか……!」

エメリナ「それなのに……」ザパ…

エメリナ「ご覧の通り、私の胸は身長同様に貧相なものでして……」ペター








エメリナ「――こんな大きさじゃ、パイズリご奉仕――






ノワール「……」ヒュゴン!



エメリナ「へけっ!?」ドボン!

一同「「!?」」ビクゥ!

ノワール「エメリナちゃん? のぼせちゃったみたいですね?」

ノワール「……その氷塊で少し頭を冷やすといいですよ?」

エメリナ「は、はいぃ……!?」ブルブル…



パトラ「……ノワール様、温泉の温度が下がらない範囲でお願いしますよ?」

ノワール「ご、ごめんなさいね?」

パトラ「ですが、頭を冷やす行為というのは温泉では間違っていないんです」

パトラ「湯船に浸けてはいけないタオルをこうして頭の上に……」ペト

パトラ「こうすることで頭部の冷却、のぼせすぎを防ぐことができるわけですね」

ヒバリ「へぇ、なるほどねー」

パトラ「もっともこの雪露天風呂では、お湯の温度のタオルの方がいいかもしれませんけどね」

アーシャ「ふむふむ、温泉もまだまだ学ぶべきことが色々とありそうですね」

パトラ「私も聞きかじった程度の知識ですけどね」

パトラ「最低限のマナーを押さえれば、あとはこうしてのんびり温泉を楽しめば……」フゥー…







ロウル「――逃しませんよパトラさん!?」クワッ!






パトラ「あら!?」

ヒバリ「ああ、折角パトラが温泉方面の話に戻そうと頑張ってくれたのに!?」

アーシャ「のんびりしたパトラさんの胸がまた浮いちゃって、ロウルちゃんが再燃したの!?」


エメリナ(大人の人はやっぱり対応が冷静だなぁ……)

エメリナ(でも、やっぱり大きい胸は憧れちゃうよ……///)



パトラ「なかなか手強いですねロウルさん……!」

キアラ「で、でも、胸が大きくてもあまりいいことはないんですよ?」

キアラ「その……好奇の目で見られたり、着たいお洋服が着られなかったり……///」

シア「そうですよ~? 重くて肩にも負担が来ちゃいます~」

ティア「と、とにかく恥ずかしいです……///」

ティア(あ、でもアベル様に虐めて貰える……?)

ロウル「ぐぬぬ……ヒバリさんとアーシャさんもあちら側……」

ロウル「……そこ! ちょっと離れた位置に避難しようとしていたお二人はどうなんですか!?」


エリス「!?」ビク!

ルーシェ「!?」ビク!


ロウル「お二人はあちらと比べれば控えめですが、私よりも大きいです……」ユラリ

ロウル「大きな胸に、憧れはないんですか!?」

エリス「その……少し///」

ロウル「ほらぁ!」

エリス「で、ですが見られると恥ずかしいという、キアラ様達のお気持ちもよくわかりますので……///」

ルーシェ「……あまりじろじろ見るの、よくない、です……」

ロウル「う、うぐ……正論過ぎて何も言えないです……」

ロウル「……」





ロウル「――じゃあ凝視しないので触らせてくださいっ!」




エリス「どうしてそうなったんですか!?」

ルーシェ「胸……男の人も、女の人も、狂わせる……?」


ロウル「いえ、真面目な話ですよ?」

ロウル「やっぱりどう考えても、納得ができないんですよ」

ロウル「私とあなた達のこの差はなんなのか……今後の為にも色々と知っておきたいなぁと」

ロウル「食べ物……という線は無いと思うんですよね」

ロウル「長いこと同じものを食べている私とエリスさんとアーシャさん。この三人ですら綺麗にわかれていますし」

ロウル「どこかに、どこかに私でも大きくなれるヒントがあるかもしれないじゃないですか……!」

ロウル「……と、いうわけですので……」ギラリ!



巨乳四人「「!?」」



ロウル「――触ります!」バッ!



特殊判定
↓1コンマ二桁

ロウルのターゲッティング

01~20:パトラ
21~40:シア
41~60:ティア
61~80:キアラ
81~00:ノワールガード
ゾロ目:範囲内発情


コンマ35

21~40:シア

――



ティア「……///」ササッ!

キアラ「さ、流石にそれは……///」ムニュ!

パトラ「許容できませんよ!?///」モニュ!


ロウル「ええ! パトラさんは後が怖いですし、キアラ様には恐れ多いですし!」

ロウル「ティアさんは割と本気で気にしていそうですし、触りませんよ!」スルー!




シア「………ん~???」





シア「……!?」ハッ!

シア「わ、私は~!?」

ロウル「――シアさんは優しいですし、動きが鈍いので触れると判断しました!」バッ!

シア「い、いやああぁぁぁ~~!?」モタモタ

ロウル「遅いっ! 私の勝ちです!」シュバ!



モニュン…



ロウル「おっほぉ……///」

シア「あうん……!?」



一同「「……」」ドキドキ



ロウル「こ、これは……」ゴクリ…

ロウル「な、なんですかこの揉み心地は……!?」ワナワナ…

ロウル「見ているだけでもどうにかなりそうだったというのに……!」

ロウル「いざ触ると……」モニュモニュ

シア「あっ……あふぅ……!?」

ロウル「吸い付くような、この心地よさ……」

ロウル「私のとはまるで違う……!」タポタポ…

シア「んぁ、そんなに、弄らないでください~……///」

ロウル「な、なんだかいけない扉を開いてしまいそうですよこれは……///」モニュモニュ!

シア「んっ……!」ビク!

シア「も、もぉ~! 私だって~怒る時は怒りますよ~!?」ググ!

ロウル「おや、立っちゃうんですかシアさん? 皆さんからも丸見えになってしまいますよ?」

シア「ふふ~ん……!」

シア「そこは、閃きで解決しましたよ~!」




シア「――中級光魔法~!」ピカアァァ!




ロウル「まぶしっ!? これは……!?」バッ!

ティア「聖国でも使い手の限られる、光魔法……!?」




シア「どうですか~? この光魔法を使えば、たとえ服が無くても恥ずかしいところを隠せますよ~?」ピカアァァ!



ロウル「まさか光魔法にそんな使い方が!?」

シア「これで私は立ち上がっても平気ですけど、ロウルさんは立てませんよ~」

シア「つまりこれでもう、ロウルさんは私にいたずらができないというわけで……くしゅん!?」

アーシャ(まあ、冷気に晒される分寒いですよね……)

ロウル「――まあ聖王様の光よりはずっと優しいですし、対象が大きいんで見なくても触れますけどね?」ムニュウ!

シア「あうん!?」ビクン!

ロウル「……」モミュモミュ…

ロウル「いいなぁシアさん……」ハァ…

ロウル「私ですら、こうして触っていたいと思えてしまうほどのもの……」

ロウル「きっと、世の男性やアベルさんはもっと触っていたいに違いありません」ムニュムニュ

ロウル「せめて、私にもシアさんの半分くらいあれば……!」

シア「あぅ、あうぅぅ///」

シア「……」



特殊判定
↓1コンマ二桁

おああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?(臓物射出)


自重してくださいよシスター!?


ちょちょっとお待ちください……

特殊判定


ロウルに堪能されたシアさん。お怒りは?

コンマ11

 1 1


奇数ゾロ:怒り以上に燃え盛る色欲。切なくて我慢できない……


――


シア「んっ……/// あん……///」

ロウル「ちょ、ちょっとシアさん? 変な声出さないでくださいよ///」

ロウル「私まで恥ずかしくなって来ちゃうじゃないですか///」

アーシャ「ロ、ロウルちゃん? そろそろやめた方が……///」アセアセ


ノワール「見ちゃ駄目ですし、聞いても駄目ですよ?」ササッ!ムギュ!

キアラ「は、はい……///」ムギュウ!

フィーア「ふわぁ、お義母様のお胸の中気持ちいいです……」ムギュゥ!


ヒバリ「こらこらロウル、そろそろ温泉に戻って来なさいって///」

ルーシェ「……クールダウン、です///」

エメリナ「やっぱり、大きな胸は気持ちいい。つまりはご奉仕にはやっぱり……」ブツブツ

エリス「……」モニュ…


パトラ「ね、狙われなくて助かったかもしれません……///」

ティア「シアさん、ごめんなさい……///」







シア「――駄目なのぉ……アベルさんの手じゃなきゃ……物足りないんですぅ……♪」モジモジ…




一同「「」」




……


――

――


……一方男湯……



マックス「――ぶほあああぁぁぁぁぁぁ!?」バッシャーン!



アドルラン「マックス君!?」

カイン「な、何を聞いたらそんな壁から弾き飛ばされたような吹き飛び方をするんだい!?」ドキドキ

カイン(……や、やっぱり僕も聞き耳をたてるべきだったかな……)

マックス「」ゴポポ…

マックス(キアラちゃん達の大きな胸の妄想もいろいろ捗ったけど……)

マックス(シアさん、聖職者があの声はちょっと不味くないですか……!?)ドキドキ

マックス(そしてアベル皇子のテクニックも気になって仕方がない……!)

マックス(でも、それ以上に……)


マックスソード「……」バッキバキ!


マックス(俺の股間も非常に不味い状態です……)ゴポゴポ…



アベル「……///」クラ…

アベル(いや……彼女達の秘めた望みが聞ければと思ってマックスにつきあったわけだが……)

アベル(まさかシア、よりによってこんな……///)

アベル「……」

アベル(あちらの状況次第では、この後の母上が怖い……)ブルブル…


……


――

えー……まさかの事態になったあたりで今日はここまで
温泉そのものはノワールさんもいるため切り抜けられますが、シアさん奇数ゾロ発情のせいでこの後いくつか判定が増えました(白目)
なんなんでしょうねシアさん、もしかしたらエリス以上にピンポイントゾロ目率高いんじゃ……?

本日もありがとうございました!

帝国のシスター(妹)ズ
聖国のシスター(生殖ゲフンゲフン聖職者)ズ
王国出身者にシスター(姉)とかがいないのが惜しいな

こんばんはー
申し訳ありませんが、本日の更新はお休みさせていただきます……
流石にシア対象→奇数ゾロのコンボは想定外が過ぎました
ちょっとこの後を色々考えたいので、先に多いですが判定だけはとっておきたいと思います

特殊判定
↓1~7コンマ二桁(いつもより判定難易度は高めです。あと某位置でゾロ目は本当にご勘弁)

こんばんはぼんっ!?(爆発四散)
えー……(白目)判定一番厳しくしてなおこれかー……
ま、まあ4番目を回避できただけよしとしよう……と思ったら4番もある意味凄い値で二度びっくり

新たな問題(私にとって)が発生しましたが、本日もゆっくり再開していきます

――

……


シア「……///」ブクブクブク…

ロウル「シアさーん……ほんっとうにごめんなさいっ!」

ロウル「心の底から謝りますから、お湯の中から出てきてくださーい!」

パトラ「……そ、それもマナーとしては正しくありませんからね///」

ヒバリ「多分聞こえてないよ……ほ、ほら! 恥ずかしいだろうけどシア///」グイ!

ルーシェ「溺れちゃい、ます……///」グイ!

シア「ああぁぁぁぁぁぁ……/// 神よ、私はああぁぁぁぁぁ///」マッカ

ティア「だ、大丈夫ですシアさん……! 私もシアさんの気持ち、よくわかりますので///」

エリス「はい/// 私もアベル様以外の人には触れられたくないです……///」

エメリナ「わ、私もカイン様としか……///」モジモジ

アーシャ「三人とも、フォローになっていませんよ///」

アーシャ「いや、シアさんもだけれど、今はそれ以上に……」チラリ…






キアラ「……///」プシュー…

フィーア「……///」プシュー…

ノワール「……」アタマオサエ





アーシャ(これは非常に不味い状況ですね……)

アーシャ(どれだけ考えても、さっきのシアさんの発言を誤魔化す策が思いつかない……)

アーシャ(仮にこの場をどうにかできたとして、帰ったあと場合によってはローズさんにも……)ブルブル



フィーア「……///」

フィーア「え、えっと……///」

フィーア「エリス姉様がアベル兄様のお嫁さんで……///」

フィーア「で、でもシアさんも……?///」

アーシャ(当然、そこに行きつきますよね……)

アーシャ(どうしたものか……)ムムム…



ノワール「……」フルフル



ノワール「無理ですよアーシャちゃん」

アーシャ「!!」

ノワール「こうなってしまった以上、もうこの子達にも正直にアベルとの関係を教えた方がいいでしょう」

ノワール「いずれ近いうちに、明かさねばならなかったのですから」

ノワール「…………まさか、この気持ちのいい温泉で明かすことになるとは、夢にも思いませんでしたが」ジトリ

シア「ご、ごめんなさい~///!」バシャン!

ロウル「いえ、悪いのは私ですからっ!///」バシャン!

フィーア「??」

ノワール「……」フゥ…

ノワール「いいですかフィーア? 落ち着いて、よく聞くのですよ?」

フィーア「は、はい!?」


……


――

――


……


フィーア「え、えっと……、ちょっと待ってください???」

フィーア「まず、エリス姉様がアベル兄様のお嫁さんであることは事実で???」

エリス「///」

フィーア「でもでも、アーシャ姉様とロウル姉様もお嫁さんで???」

アーシャ「///」

ロウル「///」

フィーア「さらにシアさんとパトラさんにティアさんもお嫁さん???」

シア「///」

パトラ「///」

ティア「///」

ノワール「……アベルも、相応の覚悟はしているとは思いますけど」

ノワール「まさかあの子が、こんな道を選ぶとは母も驚きですよ」

キアラ「でも、アベル兄様らしいとも思えます」

キアラ「アベル兄様は誰にも優しくて、頼りになって……」

キアラ「兄様や皆さんが選ばれた道なら、私はそれを応援したいと思います」

ノワール「……そうですね。あの子が愛されているとはいうのは、嬉しいものですし」

ノワール「ただ……」チラ…

キアラ「……」チラ…

フィーア「……」ウーン?

キアラ「……フィーアちゃん」

キアラ「これは、一夫多妻。皇族や王族なら、珍しい話でもないんだよ?」ワタワタ

キアラ「お父様だってそうだったし、だからアベル兄様もいるわけで……」ワタワタ







フィーア「――!?」ハッ!?





キアラ「あ、だからってアベル兄様は私達とは結婚できないからね……!?」アセアセ


フィーア「皆さんがアベル兄様のお嫁さんになられるということは……」







フィーア「――皆さんが、私の義姉様になられるということですかっ!?」






ノワール「え、ええ。そうなりますね」

フィーア「義姉様ということは、家族なんですよね?」

フィーア「――家族なら、もっともっと一緒にいて、もっともっと一緒に遊べるのですね!?」

一同「「!!」」

キアラ「そ、そっか。アベル兄様のことばかり考えていたけど……」

キアラ「そうだね。みんな私のお義姉さんにもなるんですね」

フィーア「一気に大家族です!」

キアラ「ふふ、賑やかになりそうだねフィーアちゃん?」

フィーア「はい!」



キアラ(……そうだった)

キアラ(フィーアちゃんも私も、アベル兄様が大好き)

キアラ(フィーアちゃんは兄様と結婚するんだって、よく言っていたけど……)

キアラ(それは――大好きな家族とずっと一緒にいたいから)

キアラ(私も、フィーアちゃんも……ずっと、家族に憧れていたから……)

キアラ(少しだけ、不安だったけど)クスリ

キアラ(これからは、明るい家族になりそうだよ?)ニコリ


シア「ああああぁぁぁぁ、なんて純粋な瞳……! 神よ、穢れた私をお許しください~!!!」

フィーア「ど、どうされたんですかシアさ……シア義姉様!?」

シア「んうううぅぅぅぅ///」

キアラ「フィ、フィーアちゃん、そうなる予定だけど、まだみたいだから今は普通に呼んだ方がよさそうだよ?」

フィーア「わかりました!」


ノワール(少し危ないかとも思いましたけど……)

ノワール(フィーア、あなたも成長したのですね……)フフ

ノワール(――そしてこれは、好機でもあります)クイ

ルーシェ「……!」ピク

ノワール(この流れで、あなた達も伝えておいたいいと思いますよ?)コソコソ

ルーシェ「……!?///」ボッ!

ヒバリ「ど、どうしたのルーシェ!? のぼせちゃった? 冷やしタオル持ってこようか!?」

ノワール「……」ニコリ

ヒバリ「…………え!?」

ヒバリ(ノワール様のあの視線、そしてルーシェのこの反応って、まさか……!?)

ヒバリ(……でも、まだ先とはいえフィーア様とキアラ様にはちゃんと報告しておかなきゃ不味いってのはあるよね)

ヒバリ(幸い、私とルーシェはシアみたいに変なことはしてないし……)

ヒバリ(――よし!)クイ!

ルーシェ「え、ヒバリさん、本気……!?」ワタワタ!


ヒバリ「――フィーア様、驚くのはまだ早いよ!」バシャ!

ルーシェ「あわわ……///」バシャ!


フィーア「え?」


ヒバリ「なんと!」

ヒバリ「この度、えっと、その……///」プシュー…

ヒバリ「……///」シュゥー…

ヒバリ「ご、ごめんルーシェお願い。なんかいざ言おうとするとにやけちゃって……///」ニヤニヤプルプル…

ルーシェ「ヒバリさんひどいっ!?///」ガーン!

フィーア「……」ワクワク!

ルーシェ「あ……う……///」

ルーシェ「……///」コホン


ルーシェ「……わ、私とヒバリさんは、アドルラン様とその……け、結婚の約束、しました……///」プシュー!


ルーシェ「だ、だから……///」

ルーシェ「私と、ヒバリさんも、これからフィーア様とキアラ様の、家族です……///」


キアラ&フィーア「「ええええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」」



フィーア「え、え!? ヒバリさんとルーシェさんも!?」

フィーア「アベル兄様だけじゃなくて、アドルラン兄様もご結婚!?」グルグル

キアラ「お、落ち着こうフィーアちゃん。一緒に深呼吸……」スー…

エメリナ(……カイン様。カイン様の教え、わかった気がします……!)グッ!

エメリナ(風魔法を操る者、常に空気の流れを読むべし……!)

エメリナ(この場の空気、流れ、それは未熟なこの私でもわかります……!)





エメリナ(――カイン様が昔、苦悩して漏らしていたお悩みっ!)

エメリナ(――どうして僕だけモテないんだって、頭を抱え込まれていたあの日々……っ!)

エメリナ(今、私が為すべきこと!)

エメリナ(それは、カイン様だけ取り残されているという印象が芽生える前にっ!)

エメリナ(疾風迅雷、その隙を与える間もなく攻め込むことですよねっ!?)

エメリナ(不肖エメリナ、カイン様の為にっ!!!)





エメリナ「――カイン様もっ! 行き遅れてなんていませんっ!!!」グッ!

エメリナ「カイン様は、わた、わた、私と……///」プシュー!





キアラ&フィーア「「ええええぇぇぇぇぇっ!!??」」




ノワール(……すごいことになっていますね)

ノワール(でも……)

ノワール(――こういったものも、いいものですね……♪)


……


――

――


……


フィーア「や、やっと落ち着けましたけど……」フゥ…

フィーア「ちょっと待ってください?」

フィーア「えーと……」

フィーア「アベル兄様のお嫁さんがエリス姉様達6人で……」

フィーア「アドルラン兄様のお嫁さんがヒバリさんとルーシェさんの2人」

フィーア「そしてカイン兄様のお嫁さんがエメリナさん、と」

エメリナ「に、人数では負けていますけど……!」アセアセ

エメリナ「私が、三人分くらいは吸い――」

ノワール「……エメリナちゃん」

エメリナ「はい!?」ビクゥ!

フィーア「――い、今温泉に入っているお義母様以外の人全員が、私の姉様ですかっ!?」ビックリ

キアラ「そ、そうなるね。私もかなりびっくり……」

キアラ(確かエリスさんとティアさんは16歳……)

キアラ(本の中でしか見たことなかったけど、年下のお姉さんってちょっとドキドキするかも……)ドキドキ

フィーア「す、凄いです!? まさかの大家族お風呂ですよ!?」

ヒバリ「いや~……」

ヒバリ「アドルランとの結婚で浮かれて、あまり深く考えたことなかったけどさ」

ヒバリ「……結構すごいことじゃない? この状況」

ヒバリ「見知った仲のみんなが、多分時間差はあるけど最終的にみんな家族になるってなかなかないよ」ウンウン

ルーシェ「……家系図も、複雑そう?」

フィーア「普通の旅行かと思えば、まさかの家族旅行でした!?」

アーシャ「でも、本当にすごいかも……」

アーシャ「アベルと私達もそうですけど、まさか三兄弟がこうして近い時期に婚姻を取り決めるなんて」

ヒバリ「まあ、アドルランはまだまだ忙しいからね」

ルーシェ「……帝国が落ち着いたら、改めて正式に、です///」

エメリナ「カイン様も、アドルラン様と同じです。でも、もう一緒におでかけには連れて行ってくれて……///」

フィーア「わぁ、聞きたいです聞きたいですカイン兄様のお話!」

フィーア「勿論、他の皆様達のお話も!」

ヒバリ「うーん、私達は結婚は決まったとはいえ、まだ特に変化はないですよ?」

ルーシェ「アドルラン様も、私達も、マイペース、です……」

ヒバリ「……片付けのお話ならいっぱいあるけどね」

ルーシェ「この前は王国からの重要書類が散らばっていました……!」プンプン!

フィーア「あはは! アドルラン兄様は相変わらずなのですね」

キアラ「そう思うと、カイン兄様の方はかなり驚きかも……」

エメリナ「えへへ/// だから昔から伝えて来ました! カイン様は、優しい一面もお持ちなんだって!」

フィーア「はい! 知っていましたよ! ちょっと、一時的に怖くなっていましたけど……」

フィーア「今のカイン兄様は、なんだか穏やかになられて大好きです!」

フィーア「これも、エメリナさんがお嫁さんになったおかげなのでしょうか?」

エメリナ「そ、そんなことは///」

フィーア「……やっぱりちょっとだけ、憧れちゃいます」

フィーア「でもアベル兄様のような男性を見つけるのはなかなか大変そうですし……」

フィーア「これだけ家族が増えるなら、私はもう少しゆっくりでもいいのかもしれませんね!」



フィーア「――あ、キアラ姉様も実は家族が増えたりというお話はないのですか?」クル




キアラ「――――きゅ!?」



フィーア「姉様!?」

キアラ「な、ないない、ないよそんなお話? だって、私はフィーアちゃんと違ってお城もあまり離れなかったし?」アセアセ

フィーア「そっかー。もしかしたらって思ったのですが……」

キアラ「あは、あははははは……」ドキドキ

ノワール「……」

ノワール(……まさか?)

シア「……」プクプク…

シア(あぁ、私の不用意な発言で一時はどうなることかと思いました~……///)

シア(皆さんにも、あんなはしたない私の姿を見られてしまって~……)チラ…



エリス「……」

アーシャ「……」

ロウル「……」

パトラ「……」

ティア「……」


シア(心なしか、まだ皆さんの顔が赤いです~……)

シア(うぅ~、でもでも、皆さんはどうなんでしょう……?)

シア(だ、だって/// あんなことをされれば、誰だってアベルさんの手の方がいいって、思い出しますよね……?///)


キアラ「……///」


シア(な、なんだかキアラさんも赤いような……?)

シア(いえ、あんな無垢な姉妹の前で醜態を晒した私が全ていけないんですよね~……)

シア(あああぁぁぁ……///)プクプク…


ヒロインズ「「……」」ドキドキ

キアラ「……」ドキドキ



7連特殊判定結果

シアの発言で発情広まらなかった? 大丈夫?
ヒロインズと隠れ交際中のキアラの忍耐力



1ロウル
26(な、なんだかドキドキします///後でアベルさんの服を嗅がないと///)>5

2アーシャ
76(旅行中ですし、我慢ですよ我慢。私は『待て』もちゃんとできますよ)>5

3エリス
04(ど、どうしましょう……/// 身体が、熱く……///)<5

4キアラ
95(やっぱり、そういったことは仲を深めて、正式に結婚してからですよね?)>5

5ティア
86(み、皆さんもいる中で、私だけがアベル様の時間を奪うわけにもいかないですし……)>5

6パトラ
75(……雑念は払わねば。王国騎士としてもっと精進が必要ですね)>5

7シア(発情により補正-10)
72(は、恥ずかしい/// 今日はこのままお布団に包まって閉じ籠もりたいです~///)-10>5

※ほとんどが基準値を上回った為、我慢して落ち着きます

※約一名、悶々しています。夜に小イベント追加(白目)

――

判定結果公表したあたりで今日はここまで。
うん、自分で自分の首が締まったね(白目)
まああくまで小イベント追加程度なんで、ほんとにおまけですが
とりあえず懸念していたキアラは相変わらずの超鉄壁コンマという
マックスの道のりは遠そうです

問題はこの後温泉を上がった後の卓球ポロリも残っているんですよね!(白目)
なんかおまけ旅行はやたらコンマがあらぶっている気がします

本日もありがとうございました!

こんばんはー
色々とコンマが荒ぶる今回の旅行、今日より問題の卓球の方に入れればと思います

――


ロウル「……///」

ロウル(うぅ、結局胸の問題が有耶無耶になってしまいましたけど……)

ロウル(な、なんだか顔の熱さが取れませんね/// 温泉だからでしょうか……///)

アーシャ(……よし。落ち着けてきました。流石に二人とノワール様の前でこれ以上は、ね……)

エリス(アベル様に、胸を……/// 駄目、思い出したら……///)ゾクゾク…

キアラ(……マックスさんも、やっぱり触りたいって思ったりするのかな?)

キアラ(でも、駄目です。アベル兄様達は特別ですし、やっぱりレディーはちゃんと手順を踏まないとですよね)

ティア(……覚えました。皇女様の前では、いつも以上に大人しくしておかないといけないって……)

パトラ(この胸も、アベルさんには気に入って頂けているのかしら?)

パトラ(……駄目よパトラ。もっとちゃんと自分を律さないと!)

シア(あああぁぁぁ……/// やっぱり全員から、はしたない女と思われてしまいましたよね~……///)

シア(この後お部屋は皇女様と一緒ですし~……)

シア(これ以上やらかす前に、早くお布団に包まりますよ~……///)



エメリナ「――ですので、カイン様はとっても優しいんです!」

エメリナ「仕方ないという風に見せて、フィーア様とサクちゃんの為の結界も頑張って制作中なんですよ!」

フィーア「や、やっぱり無理を言っちゃったかなって心配だったのですが」アセアセ

ルーシェ「ん……カイン様、結界魔法の上手さ、多分帝国一、です」

ヒバリ「そうだね。アドルランもすっごく褒めてたよ?」

ヒバリ「あいつは尋問官なんかじゃんくて、そっちの才能を活かした方がいいってさ」

フィーア「はい! 私もそう思います!」

ノワール(……そういえば、私にとってもこの子達は家族になるのですね)

ノワール(賑やかで平和な、家族との時間)

ノワール(私が、ずっと欲していた……)


……


――

――


……男湯……


アベル「……///」

マックス「……///」



カイン「くそ、あいつら顔を青ざめたり赤くしたり、一体何を聞いているんだ……」ソワソワ

アドルラン「あまり盗み聞きは褒められたものではないぞ?」

アベル「……今はカイン兄様の話題ですよ。結界作成技術で称賛されています」

カイン「ほ、本当かい!?」

カイン「ふ、ふふ、まあ当然だけどね?///」ニヤニヤ

アドルラン「ああ、カインの結界は本当に凄いと思うぞ!」

アドルラン「今後も是非、帝国の為に頑張ってもらいたいな!」

カイン「仕方がないねぇ。兄さんだけじゃ大変そうだし、この僕に任せておきなよ!」ニヤニヤ




アベル(マックス……その前の騒動に関しては黙秘を頼む。多分彼女達もそうだろう)ヒソヒソ

マックス(了解です……)

アベル(しかしまさか、流れで俺達兄弟の結婚が全て妹達に報告されるとはな……)

マックス(俺もびっくりですけど、本当に凄いじゃないですか。まさに家族旅行……)

マックス(あれ?)






マックス(――キアラちゃんと結婚できたら……アベル皇子達がもしかしなくてもお義兄さん!?)





アベル(ど、どうしたマックス?)

マックス(あ、いえ…………そうなると、俺だけやっぱり場違いかなぁって)アハハ…

アベル(だから気にするなと。俺は、俺の城塞内で暮らしているのはみんな家族だと思っているぞ?)

マックス(あれ? 思わぬ形で外堀埋まったかなこれ? やったああぁぁぁぁぁ!?)




アベル(流石にキアラとフィーアにはまだいい相手はいない様子だったが……)

アベル(あの二人と結婚する相手も、なかなか大変そうだ)

マックス(え?)

アベル(フィーアはどうにもまだ兄離れができていないし……)

アベル(キアラは本当に真面目な子だからな。俺とは違って、色々と手順は守るだろう)

アベル(父上がどう反応するかはわからないが、相手が決まればしっかり報告はするだろうしな。あ、ローズさんもだな)








マックス「」ゴボァ!







アベル「マ、マックス!? 大丈夫か!? 急に顔色が……」

マックス「だだだだだだだだだ大丈夫でででですすよ?」ブルブル

アドルラン「む、身体が震えているではないか!」

カイン「馬鹿だねぇ、壁に耳当てるのに集中し過ぎて温泉なのに身体冷やしちゃったんじゃないの?」

カイン「僕の話題なら、わざわざ盗み聞かなくても僕が語ってやるよ」ドヤ

アドルラン「うむ。温泉は壁ではなく湯船が大切だぞ!」ハハハハ!

アベル「そうですね。もう一度しっかり浸かりましょう」ザプン

マックス「で、ですね……」ザプン

マックス(や、やべええええぇぇぇぇぇぇ―――!?)

マックス(俺、強くならないと……キアラちゃんと結婚できない!?)

マックス(そ、そうか……キアラちゃんが俺との関係を秘密にしたがっていたのは、そういう理由だったのか!?)

マックス(……キアラちゃんの期待に応えないと! おっぱいに興奮してる場合じゃねえ!)グッ!

マックスソード「……」シューン…

マックス(よし、なんとか鎮まった。濁り湯で本当に助かったぜ……)

マックス(……多分、自制じゃなくて後の恐怖心から縮こまったんだろうけど、結果的には良しだ……)ブルブル

アドルラン「しかしカインが話題にされるとは、嬉しい限りだな」

アドルラン「よし、折角だ。私も一つ昔のカインの話をしようではないか。あれはそうだな、15年くらい昔だったかな?」

カイン「ばっ!? やめろ兄さん!? その話をするなら僕だって兄さんのあのことを話すぞ!?」

アベル(……俺もさっきの内容は忘れよう。彼女達の望みは、兄様の言う通りしっかり本人から聞くべきだ)

アベル(今は大人しく、この平和な時間をしっかりと楽しんで――)フフ

カイン「何笑っているんだよアベル!? お前のこともばらしてもいいんだぞ! いいかマックス、実はアベルの奴は昔――」

アベル「うおおおぉぉぉぉ!?」バシャ!


……


――

――

……


アベル「……随分と長湯をしてしまった気がするな」

カイン「お前が抵抗するからだろう? ま、ゆっくりできたのは確かだ」

アドルラン「素晴らしい湯だったな! 食後にもう一度入るのもいいかもしれん!」

マックス「いいですねー。今度は変なことをしないで、一からちゃんと浸かろうと思います」

アベル「それにしても、この浴衣という服……」パタパタ

アベル「確かに動きやすいですし、通気性もいいのですが」パタパタ

アベル「……何故に下着をつけたら駄目なのでしょうね?」スースー

カイン「まあ、楽といえば楽だけどねぇ……」スースー

アドルラン「流石にこの状態で、全力の走り込みをしたら、出てしまいそうだな」スースー

マックス「うーん、俺も深い知識があるわけじゃないんですけど……」

マックス「元々この服は、他国から王国が取り入れた文化の一つであり」

マックス「腐った貴族連中さえもが、文化と伝統は守るべきだと主張し続けて、今もそれが続いているみたいですよ?」

カイン「ふぅん? 妙なもんだね。他国から文化を取り入れておきながら、思考は超保守的なものじゃないか」

アドルラン「クラウス王の時代になる前は、王国全体が保守的でもあったからな。やはり根付いたものはそう簡単にはいかないのではないか?」

マックス「なんだったかなぁ……」

マックス「元々貴族の連中って、着飾ることが多いんですよ。服もデザイン性優先で」

マックス「それで確か、下着を着けると美しさが損なわれるとかなんとか……だったかな?」

アベル「……」

アベル(今はともかく、当時の王国の貴族は大部分が腐敗していた筈)

アベル(そんな連中が一丸となり、下着を着用しないこの服を守ろうとした……)

アベル(ううむ、どうにも邪推してしまいそうだな……)

カイン「王国貴族に同意するのは癪だけど、確かに見た目も悪くないね」


ガヤガヤ…


カイン「ん?」

アーシャ「あら、アベル達は今あがったところですか?」ホカホカ

ヒバリ「私達も結構みんなで長く入っていたつもりだけど、アドルラン達も気に行っちゃったかな?」ユイアゲ

ルーシェ「温泉……いいもの、です……」ホクホク

エメリナ「カイン様、浴衣姿もお似合いです!」

キアラ「こ、これ、意外と着るのが難しくて///」タプン



おまけ特殊判定
↓1~4コンマ二桁

おおおぉぉぉぉい!?(白目)
お、おまけ判定でまだたすか……ぐへぇ(吐血)

人生初。湯上り浴衣姿の女の子って興奮する? 基準値85


1カイン:07(うん、いいんじゃないかエメリナ?)
2マックス96:(ふおおおおおぉぉぉぉ! 抑えろマァァァァックス!!!)
3アドルラン:00(ハイパークリティカル)

( ……いい……/// )


4アベル:79(に、似合っているぞアーシャ……///)


※約二名、大興奮!

※もうここまでくると第一皇子の性癖は『普段とは違う格好の彼女』ということなのでしょう(白目)

――



カイン「うん、なかなか似合っているじゃないかエメリナ」

カイン「普段のダボダボメイド服より、そっちの方が動きやすいんじゃないかな?」ニヤニヤ

エメリナ「ひ、酷いですカイン様!? た、確かに動きやすいけど……」

エメリナ「私は、メイド服の方が大切です!」プンプン!

カイン「あはは、ごめんごめん」

マックス「カ、カイン皇子なんでそんな反応薄いんですかっ!?」

マックス「エメリナちゃんもですけど、見てくださいよこのキアラちゃん!?」

マックス「髪も結い上げてていつもと違って、なんというかその、もう……///!」

キアラ「あ、ありがとうマックスさん/// でも、ちょっと恥ずかしい……///」

マックス(あ、やばいこれ。浴衣で反応示したら、一貫の終わりだ!? た、耐えろマックス!?)グググ!





アドルラン「……///」ポー…

ヒバリ「ア、アドルラーン?」




マックス「!?」

マックス「!!」ハッ!



マックス「ほ、ほらほらカイン皇子。ヒバリさんもだいぶ印象違いますよ?」

マックス「綺麗な黒髪が結い上げられて、いつもと違うというか……」

カイン「服や髪型が変われば誰でもイメージは変わるものだろう?」

マックス「いやいや、これはそういうものとはまた違いますって!」

マックス「――ねえアドルラン皇子! 髪を結いあげるのって、なんかいいですよね!?」バッ!






アドルラン「あ、ああ……」




アドルラン「…………いい、な///」




ヒバリ「なっ……///」

ヒバリ「やだもー、アドルランったら!///」バシバシ

アドルラン「……///」


マックス(……ちょっと今日の夜はアドルラン皇子と語り合える気がしてきたぞ?)

カイン「……嘘だろ、あの鍛錬馬鹿の兄さんが!?」

アーシャ「ふふ、ちょっと意外ですけれど、実際にヒバリさん綺麗ですもの」

アーシャ「ところでアベル? 私もヒバリさんみたいに結い上げてみたのだけど……」サラリ…

アーシャ「……ど、どうかしら///?」

アベル「……に、似合っているぞアーシャ///」カアァ…

アーシャ「ふふ、ありがとう……/// 後でみんなの浴衣姿も見てあげてね?」

アベル「ああ……///」

カイン「お前もかアベル……」

カイン「……僕はやっぱり、いつもの格好のエメリナが一番だと思うんだけどなぁ」

エメリナ「……///」


アドルラン「……///」

ヒバリ(こ、これは思わぬ収穫だけど、なんか恥ずかしい///)

ヒバリ「ほ、ほらアドルラン! いつまでもぼーっとしない!」

ヒバリ「……そ、それよりさ、さっきあっちで面白いもの見つけたんだ!」

ヒバリ「アベル様達も一緒にどうかな?」

アベル「?」


――


【温泉卓球場】


アドルラン「これは一体……?」


従業員「ご説明いたしましょう!」ズザザ!

従業員「当温泉は常に最高の時間をご提供できるよう尽力しておりますが……」

従業員「お客様のお声の中に、外は寒いから中で運動したいというものがありました」

従業員「そこで我々としても色々と考えましたところ……」

従業員「流石に室内ではとれる場所の広さに限りがございますし、専門の道具をあれこれ置いては維持も大変」

従業員「結果として選ばれたのが、この貴族の娯楽の一つ『温泉卓球』でございます!」

従業員「これならば用意もしやすく、勝負も開始させやすい。さらには白熱した勝負ができるといいことづくめ!」

従業員「さらに我々の密やかな自慢としましては、浮いた予算をこちらの卓球の道具の方に回させて頂いたこと!」

従業員「特殊素材を張りつけた板に、よく弾む球! 正式な試合のものと遜色はありません!」

従業員「こちら解説書になりますので、是非とも皆様も……!」スッ!

アドルラン「申し訳ない。ふむ、ふむ……」ペラペラ

アベル「この台の上で互いに球を打ち合い、上手く跳ね返せなかった方が失点……」

カイン「先に11点先取した方の勝ち、と。随分とシンプルだね?」

アドルラン「……いや、これはなかなか難しいかもしれないぞ?」

カイン「え?」

アドルラン「台は然程大きいわけでもない。そして打つ板も大きいわけではなく、球も小型だ」コロコロ

アドルラン「気を抜けば、台に当てられない、返し損じはかなりの確率でおきそうだ」

アドルラン「……楽しそうではないか!」ワクワク!

ヒバリ「ふふ、アドルランならそう言うと思ったよ」

ヒバリ「私達も折角だからみんなでやってみようってなってたところだからさ。アドルラン達もどうかな?」

アドルラン「勿論だとも!」


……


――

雪山娯楽・温泉卓球技能

50で並。70以上で大会出れちゃうレベル
00(最強)>偶数ゾロ>奇数ゾロ(壊滅)

※コンマ15以下、奇数ゾロで……?
前スレ>>894より

1ヒバリ:53(スキー程素早く会得はできなかったけど、それでも卒なく動けます)

――


ヒバリ「もしかしたらスキーみたいに上手くいくかな~って思ったんだけどさ」

ヒバリ「あはは、まあ世の中そんなに甘くないよね」

ヒバリ「でもある程度は動けるようになったし、ここはお姉さんとしてみんなの審判をしてあげようかな!」ムフー!


ルーシェ(ヒバリさん、帝国大家族……アドルラン様に次いで、年長者……)

ルーシェ(頼れるお姉さんに、なりたいのかな……?)

ルーシェ(……私には、ずっと前から頼れるお姉さんです。意気込まなくても、安心してヒバリさん……)


ヒバリ「それじゃあ改めてだけどルール確認しておく?」

ヒバリ「1ゲーム11点先取でそのゲームを獲得できるよ」

ヒバリ「ティアとか運動苦手な子もいるし、早めに決着がつく方がいいかな」

ヒバリ「3ゲームで、先に2ゲーム取った方の勝ちにしよう!」

ヒバリ「あと、この解説書によると……」ペラペラ

ヒバリ「接戦があった時……10点同士になった場合は先に2点連取した方がゲームを獲得できるみたい」

ヒバリ「何かあれば適宜私から何か言うかもだけど、まあこういうのはとにかくやってみるのが一番!」

ヒバリ「みんな個人練習は少しはできたし、いよいよ始めちゃおっか! 第一試合は――」




フィーア「キアラ姉様! 一緒にやりましょう!」グイ!

キアラ「ええっ!? な、なんで一番最初なの!?」オロオロ

フィーア「う、上手くできる自信が無くて/// 後半が盛りさがっちゃうといけないかなって///」

キアラ「そ、そうだね。私も自信ないし……///」



ヒバリ「お、これは意外。それじゃあ、第一試合、フィーア様とキアラ様、始めようか!」





――

2フィーア: 7 7(奇数ゾロ)

(慣れない着物に、いつもとは勝手の違う得物。困惑しているうちに大惨事! 下手すりゃ憲兵案件!)

3キアラ: 7 7 (奇数ゾロ)

(姉妹仲はとても良好。だからって困惑具合まで同じになることはないのに。暴力的な果実も飛び出しちゃう!)


※奇数ゾロ目により、ポロリどころか全脱げ!

――



――それはあまりにも突然やってきた――

誰か止めろ。そんなことを言う者は誰もいなかった
いや、まさかこのような事態になると誰が予想できたというのか?



フィーア「はわ、はわあぁぁぁ!?」スコーン!

キアラ「む、難しいよ!?」スカッ!


初めての競技。
失敗は誰にでもある。上手くラリーどころかそもそものサーブすら決まらない。
それだけなら初心者の微笑ましい光景だ。
事実、皇女姉妹は上手くいかずとも楽しげな様子。

フィーアは運動神経はいいが、背が低い。どうしても球への有効範囲が狭くなってしまう。
キアラはフィーアに比べると運動は苦手だ。本から知識を得ても、今回ばかりは上手くコツを掴めない。
二人とも、慣れない服と得物に困惑しながらも、それでも必死に頑張り続けた。
頑張り、過ぎてしまったのだ。


ハラリ…


フィーア「……ふぇ?」

キアラ「……!?///」


二人の身体に、浴衣は合っていなかった。
片や子供体型。肩からするりとはだけてしまう
片や顔に似合わぬ不釣り合いな胸部。はちきれんばかりのそれは、薄布一枚で抑えきれるわけがない。
つまり……


パサ…



フィーア「―――///!?」ゼンラ!

キアラ「―――///!?」ゼンラ!



――二人の生まれたままの姿が、晒される。
穢れを知らない、無毛の肢体が。
暴力的ですらある、禁断の果実が。



マックス「」



王国騎士は刹那の間に、感情が葛藤する。
見てはいけない。彼女の期待に応えねば。
しかし浴衣姿に興奮してしまったのが不味かったか。
それでなくとも、誰もが予想しなかった状況。誰もが数瞬とはいえしっかりと見てしまった。
結果、男の本能には抗えず。皇女のその痴態、夢の詰まるたわわな果実を先端の桜色まで含め、眼と言わず脳の底まで焼き付けた直後。
上官からの渾身の一撃を受け、床に倒れ伏すこととなった。


……

――

最初の奇数ゾロの被害者を公開したあたりで、今日はここまで
……いや、いつも安定した数値出してるのも凄かったけど、今度は姉妹揃って同じ数値のしかも奇数ゾロってどういうことなの!?
夢以外で皇女二人を脱がすのはまずいかと思いもしましたが、まあ贔屓はよくないということでしっかり奇数ゾロ餌食の結果となりました

なお、この後にまだ問題があるのが今回の卓球です(白目)
温泉の発情にアドルランの性癖がコンマでほぼほぼ固められたり、ほんと今回のコンマどういうことなの……

本日もありがとうございました!

コンマ神「えーと、長兄は世継ぎの為に性癖確定させて、次男はギュポられるから平和にして、三男は夜にイベント起こさせて」
コンマ神「湯上がり天使とかヒャア我慢できねぇ奇数ゾロ二連打だぁ!」

多分このスレコンマ神が荒ぶらなかった時の方が珍しいんじゃないか?

こんばんはー
今日も今日とて少しだけ更新
問題の判定結果その3とその4の最初まで行けたら

――

……


キアラ「あううぅぅぅ……///」クルマリ

フィーア「うあああぁぁぁ……///」クルマリ


ヒバリ「ご、ごめんね。ちゃんと着方を教えておけば……」

ヒバリ「襟元は前後とも余裕もたせておいた方がいいんだよ」セッセッ

フィーア「うぅ、兄様達とはいえ、レディーは人前で肌を晒しすぎちゃいけないのに……///」

キアラ「……み、見ちゃい、ましたよね……?///」

パトラ「大丈夫です。一番目を血走らせたこの子は即座に落としましたので」

マックス「」チーン

アドルラン「う、うむ……服はちゃんと着こなさないと駄目ということだな」

カイン「まさか男女共に下着着用を認めないとは恐れ入ったよ……///」

カイン(ぼ、僕はなんでこんな顔を熱くしているんだ!? 妹だぞ!?)

アベル(やはりこの服、かつての王国貴族の欲が詰まった服なのではないか?)

ノワール「……これで帯をこうして締めて」キュ!

ノワール「これで、少し動いた程度では着崩れない筈ですよ?」ポンポン

フィーア「あ、ありがとうございますお義母様///」

キアラ「や、やっぱり慣れない服で慣れないことは危ないね……///」

キアラ「私達はちょっと、皆さんの動き方を見て学んでからまた練習しようと思います///」チョコン

ヒバリ「それがいいね。誰か参考になりそうな――」


ロウル「んー、そうなると体型的には私とティアさんになるんでしょうかね?」チマッ!

ティア「えっ……!?」ボイーン!


ヒバリ「あら、これまた意外な組み合わせ。でも確かに、身長以外は似てるかもね……」

ロウル「ふっふーん。さっきちょっと練習したんですけど、私結構上手くできそうな気がするんですよね」フリフリ

ティア「そ、そんな私なんて……!?」ワタワタ

ロウル(……キアラ様達の気を紛らわす為にも、お願いしますティアさん)ヒソヒソ

ティア(うぅ、確かに困っている人に救いの手を伸ばすのは神の教え……)

ティア(わ、わかりました!)グッ!


――

――


4ロウル: 0 0 (ハイパークリティカル)

(目覚めし銀狼の本能。抜群の動体視力で球の動きを見切り、自在に敵陣に打ち返す圧倒的技量!)

5ティア:14(激しい運動は大の苦手。それにこれだけ重たいものぶら下げてたらねぇ……)


※コンマ15以下のため……?


――



ティア「わ、と、と……!?」コツン!

ロウル「ほっ!」カッ!

ティア「ま、また来た……!? え、えーいっ!」コン

ロウル「おっとぉ!」バッ! カッ!

ティア「わわ……!?」コッ…

ロウル「よいしょっ!」カッ!

ティア(……あれ? 私、思ったよりもちゃんと出来てる……?)

ティア(やっぱりマークス神父の仰ったように、何事も怯えずに挑んだ方がいいのでしょうか?)コッ…



ルーシェ「……凄い」

カイン「ああ。あの鈍くさそうなティアがねぇ……」

アドルラン「いや、彼女も頑張っているが、それはロウル君が返球を彼女の前にだけしているからだろう」

アベル「ロウルは元々、狙い撃つことに長けていますからね」

アベル「あえてティアの打ち返しやすい場所を狙うことで、ティアと打ち合いを続けているみたいです」

アーシャ「相手とちゃんと打ち合える。それは自信にも繋がりますからね。ティアちゃん、随分と控えめだから……」

キアラ「そっか、凄く上手い人と練習するとそういうフォローもして貰えるんですね」

フィーア「す、凄いですロウル姉様!」キラキラ!






ロウル「ほいっと!」カッ!

ティア「やっ! って、あぁっ!?」ガッ!

ロウル「っ!」

ロウル(こーれは、ちょっと無理をしないとティアさんの前には返せませんねぇ……)


ロウル「――せいっ!」カコーン!


ティア「え!? 返ってくるの!?」

ティア「あ、あ、あ、えーい!?」ブン!

スカッ…

ティア「あ……」カラブリー


球「……」コーン…


スポッ!



ティア「ひゃあっ!?///」

ロウル「えええぇぇぇぇっ!?」ガーン!


ヒバリ「うわぁ///綺麗に谷間に埋まったね///」

カイン「んっ、ん゛ん……!」メソラシ

アドルラン「ヒ、ヒバリ、この場合の得点はどうなるのかな?」メソラシ

ヒバリ「え、えっと、返すのに失敗してるからロウルの得点なんじゃないかな……///」


ティア「ご、ごめんなさいロウルさん! 私のだらしない胸のせいでこんな中断を……///」

ロウル「あ、いえ、大丈夫ですよ/// ってちょっとティアさん!?」ギョッ!?

ティア「す、すぐに出しますから……!」モゾモゾ

アベル「待つんだティア! そんなにしたら……」


ティア「え? ひゃわああああぁぁぁぁ///!?」ポト…ブルン!


マックス「うおおおおおおおあああああああぁぁぁぁぁぁぁ///!?」

パトラ「せいっ!」グリン!

マックス「」ドサ…

ティア「ア、アベル様以外みないでください~っ!?」ムネカクシ

アベル「お、落ち着けティア/// 俺も見てないぞ……///」メソラシ


……


――

――


ティア「あうあうぁぁぁ……///」プルプル…

フィーア「ティ、ティアさん! 元気を出してください! 私達と違って全部じゃないから大丈夫です!」アセアセ

キアラ「フィーアちゃん、フォローしきれてないよ……?」

ティア「こ、この駄肉はやっぱり恨めしいです……」モニュン

アベル「……そんなことを言うなティア。球が飛び込むことなんて、多分滅多にないことだ」

アベル「それにそれまではちゃんと出来ていたじゃないか?」

ティア「アベル様……///」

ティア「ですが、折角ロウルさんが私なんかと試合をしてくださったのに、あんな形で終わらせてしまったのは事実です……」シュン…




ティア「――や、やっぱり私とこの駄肉に少しはお仕置きが必要なのではないかと///」ハァハァ



アベル「そんなことは言うな。本当に……」アタマオサエ

キアラ「で、では私もアベル兄様にお仕置きされてしまうのですか……!?」ドキドキ

ティア「あ、いえ、キアラ様とフィーア様はそういうわけではなくてですね!?」ワタワタ

アベル「はぁ……安心しろ。この先、誰に何があろうとそんなことはしないよ」

アベル「……俺も悲惨なことになる可能性があるしな」

ロウル「私も気にしてないですから、心配しなくても大丈夫ですよティアさん」

ティア「あ、ありがとうございますロウルさん」

ティア「でも、私でもわかります。ロウルさんが私の為に打っていてくれたこと」

ティア「やはり、打ち足りないのではありませんか?」

ロウル「いえいえ、ティアさんとの試合もいい経験でしたよ? やっぱり個人よりも対人の方がいいのは実戦と同じです」

ロウル「でも確かに、時間があればもう一試合くらいはいいかもしれませんねぇ。私は結構気に入りましたよこの競技!」パタパタ!

ティア「ロウルさん、本当に凄い動きでしたものね……。この浴衣、慣れないと大変だと思ったのですが……」

ロウル「……」

ロウル「……下着を着けない軽装備なんて、いつもの私とあまり変わりませんからね……」ボソリ…


一同「「!?」」


ヒバリ「う、うん! ちょっとハプニングはあったけど、さっきの試合はみんなにもいい経験になったんじゃないかな?」

ヒバリ「私達は初心者なわけだし、変なことは狙わずにお互いで打ち合えるようになればそれで十分だと思うんだ」

ヒバリ「どっちかに上手い人がいれば、手伝ったり指導してもらうのもありだよね」

ヒバリ「それじゃあ、次の試合は――」




パトラ「――私が出ましょう」ザッ!

パトラ「お相手は……シアさん、お願いできますか?」

シア「えええええぇぇぇぇ~っ!? ど、どうして私なんですか~!?」




ヒバリ「おっとおっとぉ、意外な組み合わせ三度? でも理由は確かに気になるかも」

パトラ「第一試合も第二試合も、その……」

パトラ「こほん、身体的に、身軽な人対そうでない人の組み合わせでしたから」

パトラ「私とシアさんは、同じくらいですし……」チラ…

パトラ「――もしまた万が一があっても、あの子の記憶を飛ばすのが一回で済みますからね」ジトー…


マックス「ふ、不可抗力ですってパトラ将軍っ!?」ブルブル…

カイン「ちょっと同情はするけど、お前はあまりにも直視しすぎなんだよ……///」

アドルラン「突然の出来事にも、素早く対応できるようにしないとな……///」


ヒバリ「なるほどね……///」

ヒバリ(むぅ、カイン様だけじゃなくてアドルランまで赤くなっちゃって……)

ヒバリ(確かにキアラ様のもティアのもすごかったけどさぁ……)

ヒバリ(確かに残った危険性高いのはこの二人だし、悪くない組み合わせかもね)


ヒバリ「よし! それじゃあ第三試合! パトラ対シアを始めるよ!」


シア「お、お手柔らかに~?」

パトラ「…………」



――

――


6パトラ: 4 4 (偶数ゾロ)

(王国将はどんな勝負にも常に全力を尽くす。実戦で鍛えた身体を武器に、穿つ槍のようなスマッシュを叩き込む!)

7シア: 5 5 (奇数ゾロ)

(今日は厄日なのか。おっとりした彼女が高速で飛び交う白球をどうにかできるわけがなかった……)


※まさかの偶数ゾロ(最上位)VS奇数ゾロ(壊滅)の試合

※全試合において最も悲惨な蹂躙劇となりました……


――



スカーン!


シア「ふええええぇぇぇ!?」


ギュオン!


シア「あれれ……!?」


ダァン!


シア「はわ~~~~っ!?」グルグル…



ヒバリ「……11‐0……」

アドルラン「す、凄いぞ! パトラ君も相当な腕前だ!」ドキドキ

カイン「だけどはっきりいって、僕すら引くレベルでこれは……」

ロウル「お、大人げないですよパトラさぁん!?」

エメリナ「カイン様がエリスさんに粛清された日を思い出しますぅ……」ブルブル…


パトラ「よしっ! 次もとりますよ!」グッ!

シア「パ、パトラさん酷いです~!?」ナミダメ

シア「私も~、ティアさんと同じくこういった運動は苦手なんですよ~?」

パトラ「確かに、ロウルさんの打ち方は見事でした」

パトラ「ですが、王国騎士はどんな時でも正々堂々全力で勝負に臨みます」

パトラ「シアさん、先程の温泉の雑念……共に払いましょうっ!」スカーン!

シア「ひええええぇぇぇぇぇ!?」スカッ!

パトラ「……あと、やっぱり勝負事は勝ちたいなって思うんです!」スコーン!

シア「そっちが本音なんじゃないですか~!?」フラフラ…




ティア「ロ、ロウルさんがお相手してくださって、本当によかったです……」プルプル

ロウル「あはは……パトラさん、勝負事は結構負けず嫌いですからねぇ」

ロウル(でも、すっごく嫌な予感が……)


パトラ「しっ!」ズギャン!

パトラ「ていっ!」ズガァ!


シア「ああ、ああああぁぁぁ~~~~???」グールグール…


パトラ「シアさん、私が打った後に追っても間に合いませんよ!」

パトラ「私が打つ前、手の動きでどちらに飛ばすか考えてみてください!」

シア「えっと、えっと~?」グルグル…

シア「ひ、左~?」トテトテ…

スコーン!

シア「み、右~?」トテトテ…

スコーン!


ルーシェ「……魔法が、使えないと、シアさん凄く、不利です」ブルブル

アーシャ「シアさん、風魔法の補助に頼り切りでしたからね……」


パトラ「もっと、もっと速く! 余計なことを考えられないくらいにっ!」

パトラ「本能で、球を捉えてください!」

シア(……右っ!)バッ!

パトラ「ていっ!」ミギウチ!

シア「!!」パアアァァ!

シア「こ、これで打ち返せますよ~!」

シア(で、でもちょっと距離が……ジャンプすれば届くかな?)

シア「え~い!」バッ!

ファサ…


シア「……え?」ゼンラダイブ!



男性陣「「……っ!///」」メソラシ!



シア「い、いやあああぁぁぁぁぁぁぁぁ///!?」

シア「あぅぅっ!?」ベチ!



パトラ「」



……

第三試合まで公開したあたりで今日はここまで
……旅行に出てからのシアさんの奇数ゾロ目率の高さが異常です、はい

まあ実際の温泉卓球でここまで悲惨な事態にはならないといいますか、流石に本来は下着をつけますしね
洋物だと浮き出て嫌だという人も湯文字とかありますし……

本日もありがとうございました!

こんばんはー
ああ、そういえばもうバレンタインが近いんですね……
イベントとしては確かにやりやすい部類ではありますが、とりあえずまずはちょびちょび再開です

――

……


シア「うわぁぁぁぁん……///」シクシク…

キアラ「だ、大丈夫ですシアさん! 一瞬だったと思いますよ!?」オロオロ

フィーア「キアラ姉様、私達もですけど全部脱げちゃった時点でもう駄目だと思います///!」


パトラ「な、何がどうなったらああなるんですか……」オロオロ

ロウル「多分、ジャンプしようと屈んだ時点でまず胸が零れ落ちたんでしょうねぇ」

アーシャ「そして屈んだときに、浴衣の端を踏んでしまったのかもしれません……」

アベル「それで跳べば、ああなるわけか……///」

シア「うわああぁぁぁぁん! どうして、どうして私ばっかり恥ずかしい目にぃぃぃぃ……///」シクシク…

ロウル「今回はキアラ様達も大変なことになっちゃいましたけどね……」

アベル「安心しろシア。お前が運動が苦手なのはよくわかったからな?」ヨシヨシ

パトラ「私もつい熱が入り過ぎました……申し訳ありません!」ペコリ

シア「……パトラさんも……」ボソ…

パトラ「ぬ、脱ぎませんからね!?///」





アドルラン「……考えたのだが、我々は女性陣の試合の時は目を瞑った方がいいのではなかろうか?///」ヒソヒソ

カイン「いや、僕ら除いたら残ってる子も女の子ばかりなんだけど?///」ヒソヒソ

マックス「で、でも落ち着きましょう。もう零れ落ちそうな程におっぱい大きい子はいないじゃないですか///」ヒソヒソ

マックス「もう大丈夫ですって! 次は、俺が出ますよ!」バッ!

カイン「おおっ?」

マックス「こういった気分の時は、別のことに打ち込んで気を紛らわすのも大事ですからね!」

マックス(もしこれ以上あんな光景見せられ続けたら、もう卓球どころじゃないからな……)

マックス(股間隠しながら打つなんてすりゃ、絶対に怪しまれるってかばれるし……)


マックス(そして勿論、俺の試合中にも相手の子がまた脱げちゃうと不味いし……///)

マックス(ノワール様とアーシャさんも大きめだからなぁ)

マックス(残るはエリスちゃんとルーシェちゃんにエメリナちゃん……)

マックス(……フィーアちゃんの前例がある。おっぱいが無さすぎても脱げてしまう可能性はあるしな)

マックス(そうなると、残ったおっぱいの中間であろう――)



マックス「――エリスちゃん、よければ俺と一勝負してくれないか?」





エリス「――かしこまりました」ゴゴゴゴゴゴ…




マックス「!?」ビックゥ!

ヒバリ「おおぅ……なんか、エリスの気迫が凄いね……」

エリス(……皆さん、ちょっと恥ずかしい目にはあってしまっていますけど)

エリス(私みたいに……アベル様に触れられたいなんて、浅ましい感情は持っていない様子です)

エリス(私だけ、私だけが、この大切な旅行でもアベル様との秘め事を期待してしまった……!)

エリス(これでは、アベル様のお傍に仕える者として失格です! この感情、叩き伏せなければ!)

エリス(剣が振れない。でも今は、代わりにこれがある!)っラケット



エリス「マックスさん、全力で参ります!」ゴッ!

マックス「よ、よっしゃこぉぉい!?」ザッ!



ヒバリ「さっきまでの空気を払えるかな? それじゃ第四試合、マックス対エリス始めるよー!」


――


8マックス:32(ついつい力んでしまうのは若さ故か。これまでの驚異的な脱衣劇場の影響も大きいかも?)

9エリス: 0 0 (ハイパークリティカル)

(進撃する戦闘メイド、ここでも手は抜かない。実戦同様の鋭い一撃を次々に敵陣に打ち込んでいく!)


――



エリス「ふっ!」パーン!

マックス「はえええええぇぇぇぇぇ!?」スカッ…


エリス「てぇい!」コォン!

マックス「な、なんだよこの軌道っ!?」スカッ…


マックス「くそ、一か八かだ! 速攻で大きな一撃を……!」

マックス「仕掛けるっ!」スパーン!

エリス「――せやああぁぁぁぁ!」カウンター!

マックス「嘘だろおいぃぃぃぃぃっ!?」スカッ…




ヒバリ「0-11二連続で、エリスの勝ちだね……」

マックス「エリスちゃん怖い……」ブルブル…

パトラ「私より大人げないですよエリスさん!? いえ、それ以前に本当に初心者ですかっ!?」

ロウル「あの気迫、実戦さながらでしたからね……」

ロウル(……私でも、時々追いきれない打球があった)

ロウル(ちょっと、戦ってみたいですねぇ)ウズウズ

エリス「ふぅ……ごめんなさいマックスさん。ちょっと、私も振り切りたいものがありまして……」

マックス「い、いやこっちこそありがとう。あれだけやられたら、こっちもせめて一点は返したいって凄い集中して燃えたぜ!」

マックス(エリスちゃんのポロリとか、全然考える余裕無かったもんなぁ……)

マックス(やっぱりこういうのは、雑念を持っちゃ駄目だ。次は勝てるように、卓球の方に集中するぞ!)

マックス(さっきまでのおっぱいがなんだ! キアラちゃんのおっぱいだって……)

マックス(……///)モンモン…

マックス「俺の馬鹿ぁ///!」ゴン!

エリス「マックスさん!?」



アドルラン「うむむ、ロウル君にパトラ君、そしてやはりエリス君も素晴らしい動きだ……」

カイン「マックスに同情するよ……」

カイン「しかし本当に凄まじかったな。あいつらまでさっきまで真っ赤だったのにあんなにはしゃいで……」チラ

フィーア「凄いなぁ、私もあんな風にできたら……!」キラキラ!

キアラ「まずは、基本から覚えないといけないけどね」

ティア「エリスさんはひたすら激しい打球でしたけど、ロウルさんなら合わせてくれると思いますよ?」

シア「うぅぅ、やっぱり日頃からもう少し動いた方がいいんでしょうかね~?」

ヒバリ「マックスには悪いけど、いい流れになったね。この調子でいこうか!」


ヒバリ「さて、続いては……ちょっとこれは私が決めさせて貰うね」

ヒバリ「ずばり、私と同じく綺麗な黒髪コンビ!」

ヒバリ「……じゃなくて、あの騒動の中でもしっかり飛び交う球を観察していた真面目な二人!」

ヒバリ「アーシャとノワール様、お願いします!」バッ!



ノワール「あら、呼ばれてしまいましたね……」スッ…

アーシャ「もう少し、戦術を考えたかったところなのだけど……」スッ…



マックス「な、なんだかエリスちゃんとは違った気迫を感じるぞ!?」

ルーシェ「……静かに、燃えている?」

カイン「流石義母さんと言うべきかな。空気が張りつめた気がするよ」ゴクリ…

アドルラン「アーシャ君も、アベルを支えてきた冷静な戦術家。どうなるかわからないな……」ゴクリ…



ノワール「……よろしくね。アーシャちゃん」ペコリ

アーシャ「こちらこそ、よろしくお願いします」ペコリ





アーシャ(あぁぁぁぁぁぁ/// 帯を締め直したり色々したけど、大丈夫かしら……///!?)ドキドキ

ノワール(さ、流石にあの子達の前で胸を曝け出したり、下手をして全裸になるなんてところは絶対に見せられない……///)ドキドキ

アーシャ(もっと、絶対に大丈夫と断言できるようになってから打ちたかったけど……///)

ノワール(もう、そうも言っていられない。着崩れないように、静かに速やかに勝ちにいくしかないのです……///!)





アーシャ&ノワール「「――勝たせて貰います!!!」」ゴッ!




ヒバリ「な、なんか意外な二人が意外な程に燃えてるけど、とにかく始めよう!」






――


10アーシャ:65(スキーは失敗したけどこっちなら。秀才はルールと仕組みの理解も早いのです)

11ノワール:68(手先が器用で狙い撃ちもできるお母さん。始めたばかりだけど色々技を習得中)


※ようやく発生、高水準の拮抗勝負!


――



アーシャ「……はっ!」コッ!

ノワール「……っ!」カッ!

ノワール(……誘われた! これは……!)

アーシャ「そこっ!」カァン!

ヒバリ「1-0!」


……


アーシャ「ふっ!」カコ!

ノワール「……」カコ!

アーシャ「せっ!」カッ!

ノワール「――ふっ!」コン!

アーシャ「えっ……!?」

ポト…

アーシャ「ネット上ぎりぎりを狙って、私の陣地に転がすだなんて……!?」

ノワール「ふふ、やってみるものですね?」ニコリ

ヒバリ「5-6!」


……


アーシャ「たぁ!」カコン!

ノワール「っと!」ガッ!

アーシャ「はぁっ!」コッ!

ノワール「……!」タァン!


カコ…カッ…コッ…



キアラ「す、凄い! お義母様もアーシャさんもほぼ互角……」

フィーア「こ、こんなに長く打ち合うものなのですか……!?」

アドルラン「見たところ、技術面や破壊力では前の試合程では無い筈だが……」

カイン「これまでは実力差がありすぎたんだろうね。本当に実力が近いから、こういった試合になるわけか……」

アベル「これは、どうなるかまるで予想がつかないな……」



おまけ特殊判定
↓1コンマ二桁

拮抗勝負、勝者はどっち?(技量差3)

アーシャ勝利:01~47(-3)

ノワール勝利:48~00


コンマ72

ノワール勝利:48~00

……


ヒバリ「は、初めて第三ゲームまでもつれこんだ!?」

アドルラン「ど、どうなるんだこの試合は……!?」ドキドキ

カイン「取られたら取り返すを繰り返しているけど、この流れは……」ドキドキ

アベル「僅かに、母上が優勢か……?」ドキドキ

マックス「……」ゴクリ

マックス(な、なんて接戦なんだ……!)

マックス(そう、俺は、俺達はおっぱいを見るためにここにいるんじゃない!)


カッ…コッ!


アーシャ「くっ……!」カッ!

ノワール「まさか、今のを返しますか……っ!」グッ…





ノワール「――でも流石に、返球が甘いですよ!」カァン!




アーシャ「しまっ……!」バッ!



カッ…コロコロ…



アーシャ「……参りました」フゥ…

アーシャ「流石はノワール様ですね……」

ノワール「いえ、今はたまたま私の運が良かっただけですよ」

ノワール「次はどうなるかわかりません」

ノワール「……ありがとうアーシャちゃん。年甲斐も無く、思わず熱中してしまいましたよ?」

アーシャ「いえ、こちらこそ。大変有意義な時間でした」



パチパチ!


フィーア「凄い凄い! 二人とも凄いです!」ピョンピョン!

キアラ「うん。本当にいい試合だったと思います」

アーシャ「な、なんだか照れちゃいますね///」

ノワール「私としては課題もわかっていますし、是非またお相手をお願いできるかしら?」

アーシャ「ええ、私でよければ喜んで!」

ヒバリ「いやぁ、本当にいい試合だったわ……」



ヒバリ「さぁさ、いい流れだよ。次は誰がやるかな?」

ヒバリ「そろそろアドルラン達も出てきてくれていいんだよー?」チラリ



皇子ズ((前半の騒動で動くに動けなかったとは言えない……))



バッ! バッ!



ヒバリ「おっと挙手……ってあら?」



ルーシェ「……///」

エメリナ「……///」



ヒバリ「珍しい、控えめな二人が挙手だなんて」

ルーシェ「は、恥ずかしい、ですけど……///」

エメリナ「カイン様達を差し置いて、試合の最後を飾るなんて恐れ多くて……///」

エメリナ「それに、今のアーシャさんとノワール様の試合を見ていたら……なんだか楽しそうかなって?」

ルーシェ「は、はい……///」

ヒバリ「おお、やっぱり白熱した試合は周りに与える影響も大きいね!」

ヒバリ「それじゃあルーシェ対エメリナ、いってみよう!」





アベル「…………もしかしなくても、俺達が最後なのですか?」ドキドキ

アドルラン「むむ、機会を窺っていらこんなことになろうとは……」

カイン「というか今更だけどさ、僕ら残ってるの三人だけどどうするんだろう?」


――

――


12ルーシェ:08(魔法無しで高速飛来物を相手にするのはちょっと怖い。大ぶりで動いていたら……)

13エメリナ:54(外見に似合わず、思った以上の機動力。カインのためなら何でもできる頑張り屋さん)


――


エメリナ「ふっ! たぁ! それっ!」コン! カッ! コッ!



カイン「いいぞエメリナ! そこだ頑張れっ!」グッ!


ルーシェ「ひいっ!? エメリナさん、思ったより、速いっ……!?」ビクビク!



エメリナ「カイン様の為ならば、私はなんでも頑張れますよ!」コォン!

アドルラン「ルーシェ! 落ち着くんだ! 落ち着いて深呼吸しよう!」

アベル「兄様、試合中にそれは完全な隙ですよ!?」


ロウル「いや、本当失礼ですけど、エメリナさんが思っていた以上に動く動く……」

ティア「うぅっ、エメリナさんは私と似たタイプだと思っていたのに……」ガクリ

エリス「エメリナさん、本当に努力家ですからね」

エリス「私も同じメイドとして、負けていられません!」

パトラ「エメリナさんもですけど、思った以上にルーシェさんの動きが鈍いような?」

ヒバリ「……あの子、本来はあっちが素なんだよ?」

ヒバリ「普段なら魔法で身を守れるからもう少し強気にでられるけど、流石に今は使えないしね」


ルーシェ「あっ、あっ、あっ……!?」ワタワタ!

ルーシェ(か、返さなきゃ……! 出来るだけ速く、力強く!)ブゥン!

マックス「あー、不味いな。ルーシェちゃん俺と同じ状態になっちゃってる……」

マックス「エリスちゃんとやってわかったけど、力を込めて振り抜いた後ってその後ががら空きに――」


ルーシェ「くぅ……!」ハラリ…


マックス「――え?」


ルーシェ「――あっ!?///」


ポヨン!


マックス「――こ、小ぶりも悪くな――///」


アドルラン「ぬうううぅぅぅぅぅぅぅん!!!///」ドゴオオォォォ!


マックス「すびばぜんでじたっ!?」ビターン!


……

――

ルーシェが珍しく被弾し、残るは皇子ズのみですが、今日はここまで
エリスとシアのゾロ目率本当に凄まじくて、おまけでよかったと本当に思います

先ほどバレンタインネタにも触れましたが、やはり小イベでやった方がいいですかね?
(料理判定を過去に取っているため、一部は多少補正値を加えることになると思います)
ちょっとご意見伺いたいと思います

本日もありがとうございました!

こんばんはー
希望されている方もいるようなので、バレンタイン少し頑張ってみます
まずは温泉を区切りつけてからになりますが……ま、間に合うといいな?

あとスカーレット将軍は確か判定取ってないですね
そして学力……これとったら今までのフレーバー判定の中で一番各キャラにダメージきそうですね
取るにしても、高難度テストに対する正答率とか、そういった風にすればダメージも減るかな?

少しだけ再開します

――

……


ルーシェ「……///」プルプル…

ヒバリ「ご、ごめんルーシェ。私がちゃんと着つけてあげてれば……」

エメリナ「いえ、私がもっとゆっくり打っていれば……」オロオロ

ルーシェ「い、いえ。ヒバリさんやエメリナさんの、せいじゃないです……///」

ルーシェ「だ、大丈夫。シアさんに、脱がされた時に比べたら……///」

シア「あの件は本当にごめんなさい~!?」



アベル「……それとなく、クラウス王に浴衣にも下着の着用を提言したい///」

カイン「ちょっと刺激が強すぎるというか、他の客がいなくてほんとよかったというか……///」

アドルラン「マックス君、さっきの光景は忘れたかな?」

マックス「はい、綺麗さっぱり」フラフラ…

マックス(身の安全の為にも、やっぱりキアラちゃん一人に絞らないとまずいな……)

アドルラン「……よし!」パァン!

アドルラン「気を取り直そう! こういう時は!」グッ!

エリス「ひたすら打ちこみあるのみです!」グッ!

アドルラン「その通りだ!」

アドルラン「さぁ、アベルでもカインでも、どちらでもいいぞ! いざ勝負だ!」

カイン「え、やだよ……兄さん絶対に剛速球打ちそうだし……」タジ…

アベル「……では俺が。俺も少し、雑念は払いたかったところですからね」

アドルラン「よし! いくぞアベル!」



――

――

14アドルラン:85(第一皇子、今回の旅行で色々趣味が増えるかも。かなりのめり込んで練習した模様)

15アベル:67(一人での立ち回りは得意。技術も身につければ中々の選手になれるかも?)

――



アドルラン「ぬぅん!」ゴッ!

アベル「くっ!?」カッ!



ヒバリ「アドルラーン、頑張れ―」

ルーシェ「ヒバリさん、審判、片方応援、しないです……」

アーシャ「流石アドルラン様。一蹴りでの瞬発力が……」

ノワール「アベルが上手く返しにくい位置に打っても、アドルランはそれに追いつける」

ノワール「お互いが初心者である以上、身体能力の差はかなり大きいでしょう」



アベル「っ! 流石に、やられっぱなしというわけにもいかないでしょう!」パーン!

アドルラン「ぬおおっ!?」スカッ!


ロウル「おおっ、アベルさんも反撃にでましたね!」

マックス「うーん、やっぱり二人とも鍛えられてんなぁ。俺も頑張らないと……」



アドルラン「やるなアベル! だが、ここは決めさせてもらうぞ!」ダッ!

アベル「っ!」カッ!

アベル(俺が打ち返す前に距離を! これは……!)

アドルラン「――そこだっ!」ズガッ!


スコーン!


アベル「っ……! 流石です、アドルラン兄様」フゥ…

アドルラン「いい勝負だったぞアベル! またやろう!」ガシ!


パチパチ!


マックス(……アーシャさん達と同じく、普通にいい試合だったなぁ)

マックス(な、なんでみんなあんなに脱げちゃったんだろう……///)


……

――

ヒバリ「いやぁ、アドルランの動きかなりよかったよね?」

ルーシェ「は、はい。でも、アベル様もすごかった……」

ロウル「アベルさんも、一人で立ち回るのは得意でしたからね」

ノワール「もっと経験を積めば、きっとすぐに上達してくれると思いますよ?」

アベル「軽い娯楽のつもりでしたが、つい熱が入ってしまいますね……」

アドルラン「ああ! 私ももっと上手くなりたいな!」

ティア「わ、私は練習する時は、しっかりした服でしたいです……///」

アーシャ「そうですね。せめて、下着はやはり……///」

キアラ「うん……///」


ワイワイガヤガヤ…


カイン「やれやれ、二人ともよくやるよ……」

クイッ

カイン「ん?」

エメリナ「……」ジー…

カイン「どうしたんだエメリナ?」

エメリナ「……」ジー!

カイン「!?」

エメリナ「……カイン様っ!」キラキラ!

カイン(こ、この目は……!)

エメリナ「アドルラン様とアベル様もいい試合をなされたのです……!」

エメリナ「ここは、カイン様の凄さも披露するべきではないでしょうか……!?」ワクワク!

カイン「い、いや僕はああいうのは……それに、もう相手がいないだろう?」

カイン「アベル達も連戦は疲れるし、女の子はまた服を脱がれちゃたまったもんじゃない」

トントン

カイン「ん?」クル


ヒバリ「ふっふっふ……それなら私とやらないカイン様?」

ヒバリ「私もやっぱり誰かと打ちたいし、上手い人も多かったから審判ももう別の子に任せられるしね?」

カイン「いや、その……」

ヒバリ「私じゃ物足りないかもしれないけどさ、とりあえずシアみたいなすんごいことにはならない自信はあるよ!」オビシメ

ヒバリ「エメリナの期待に応えてあげないと! さあさ、準備準備!」

カイン「あ、ちょ、おい!?」

エメリナ「……」ワクワク!

カイン「……ああ、もう! わかったよ!」タタタ!


――

――


16カイン:02(目で相手を追うということにまだ慣れていない。うん、きっとそれだけの筈なんだ……)


※コンマ15以下の為……


――



ヒバリ「ほっ!」スコン!

カイン「うおおおぉぉぉ!?」スカッ!



ヒバリ「それ!」コーン!

カイン「ひいぃぃぃぃ!?」ブゥン!


パトラ「8-0、ヒバリさん圧倒的に優勢の展開が続きますね」


ティア「カ、カインさんになんだか親しみを感じます……!」キラキラ!

ルーシェ「はい……!」コクコク!

シア「わかります、わかりますよ~!」

シア「魔法を使っちゃ駄目とわかると、余計に焦っちゃいますよね~」ニコニコ

フィーア「よし、まずはカイン兄様と練習するのがいいかもしれません!」グッ!

キアラ「い、いいのかな……?」アセアセ


カイン「うわあああぁぁぁぁ! やめろ、僕をそんな優しい目で見つめるんじゃあないっ!///」

ヒバリ「カイン様、よそ見厳禁だよー?」ガッ!

カイン「君は君で酷いぞっ!?」スカッ!


アドルラン「カイン! 腕の力に頼るな! 脚だ! 脚を使ってこう、床を蹴るんだ!」

アベル「カイン兄様とアドルラン兄様とでは、瞬発力の差があり過ぎますよ……」

ノワール「魔法は便利だけれど、頼り過ぎると鈍ってしまいますからね」

ノワール「その点、エリスちゃんは以前の私の忠告をしっかりと聞いてくれたようでなによりです」ニコリ

エリス「はい! 魔法が使えない状況に追い込まれても大丈夫なように、日頃から鍛錬は欠かしません!」

アーシャ「カイン様も、まるっきり鈍っているわけではないとは思うんだけど……」

マックス「いや、俺もカイン皇子の気持ちわかりますよ。やってると色々焦っちゃいますって!」

ロウル「元々あの人、結構慌てん坊ですからねぇ……」

エメリナ「カ、カイン様……」ハラハラ…



カイン「うおぅ!?」スカッ!

カイン「なんでっ!?」スカッ!

カイン「打てないっ!? 僕も少しは、練習したのにっ!?」スカッ!


ヒバリ「んー……」

ヒバリ「なんとなーくだけど、わかった気がするかも」


カイン「なんだって!?」

ヒバリ「ロウルとティアがやってたけどさ、まずこの競技の肝ってお互いに打ち合いを続けることが前提だと思うんだよね?」コーン

カイン「よ、よし……この球なら……あれ?」ガッ! コロコロ…

ヒバリ「不格好でも、相手の陣地に返さなきゃ話にならない。相手を倒す前に、自分が生き伸びるにはまず返せるようにならないと」

ヒバリ「……カイン様、相手を華やかに倒す攻撃の練習ばかりしてたんじゃない?」ジー…

カイン「うぐっ!?」ギク!


カイン(く、くそう! そりゃあ、エメリナも見てるんだ! 綺麗に一発決めてやりたいじゃないか!)

カイン(だがチャンスはある。ヒバリも、僕にぬるい球を打ってきてくれている!)

カイン(一発……もうたった一発でいい! 一矢報いればそれでいい……!)


ヒバリ「よっと。あ、しまった上に跳ねすぎた!?」ポーン



カイン(――今だっ!)



カイン「ジャンプ!」バッ!

ヒバリ「!?」ギョッ!?




カイン「もらったああああぁぁぁぁぁ!」グワ!




プラーン…



カイン「――え?」プラプラ…



一同「」


エメリナ「み、みんな見ないでえええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」





――

……


カイン「……誰か僕を殺せ……///」プルプル

エメリナ「だ、大丈夫ですカイン様っ……!」

エメリナ「すぐに、私が隠しましたからっ!」

ヒバリ「あー、その……///」

ヒバリ「私、がっつり正面からみちゃったんだけど……///」プシュー…

カイン「うおああぁぁぁぁぁ……///」プルプル…

ヒバリ「うん、恥ずかしいのわかるよ? でも私もちょっとフォロー欲しいかな?///」

ティア「だ、大丈夫ですヒバリさん……!」




ティア「アベル様のものに比べたら、随分と可愛――」



ノワール「……」シュン!

ティア「!?」モガモガ…



カイン「ぐはぁ!?」ガクーン!

エメリナ「カイン様あああぁぁぁぁぁぁぁ!?」



パトラ「さ、最後がこれで終わりというのはなんとも……///」

ロウル「そ、そうですね。カイン様が悶えている姿はある意味貴重ですが、私はそういった趣味はありませんし……」

ロウル「……あ」ピコーン!

ロウル「それなら、最後にもう一勝負だけしませんか?」

パトラ「え?」

ロウル「パトラさんも楽しそうですけど、ここは……」




ロウル「――エリスさん、お願いできますか?」スチャ!

エリス「!!」

エリス「――お受けします、ロウルさん!」スチャ!


アベル(な、なんだかあっちとこっちで大変なことに……!?)


――

温泉卓球判定公開が終わったあたりで今日はここまで
うん、全体の1/3以上が脱げるってどういうことなんでしょうね?
この後は折角00が出たので二人のEX勝負→夜の部屋での団欒→追加小イベントの予定です

そして最後に先にいくつかコンマを拾っておきます
本日もありがとうございました!

↓1~3コンマ二桁

はい

こんばんはーっておいアベル……(白目)
ほんと今回のおまけのコンマどうなってるんだ……
ほんの少しだけですが、判定結果1っこめまで進めて行きます

あと、前の質問を見逃していましたが、白帝竜サクは私の中では雌でした(細く美しい女帝的なイメージ)

――



ザッ…



ロウル「さて……」チラ…


カイン「……」


ロウル「やっちゃったカイン様も立ち上がったあたりで、そろそろ始めましょうか!」

カイン「大きなお世話だよ!」

アドルラン「何を言うカイン。二人は、お前の話題から逸らす意味も兼ねて試合をしてくれるんだぞ?」

パトラ「ええ。それにあの二人の実力は、この場の中では群を抜いています」

アドルラン「これは、楽しみだな……!」ワクワク


エリス「……」スッ…


マックス「うっ、エリスちゃんの気迫がさらに凄いことに……」

ティア「ロウルさんも、目つきがさっきよりも鋭いですよ……?」

アベル「……二人とも、あの目は本気だな」



ロウル「まあ、湯上りの娯楽と言ってしまえば、そこまでではありますけど……」ポーン

ロウル「……我ながら、これは得意分野であると自負できますからねぇ」パシ!

ロウル「そして、相変わらずエリスさんも対人ものには滅法お強い様子で……」

ロウル「――実戦では敵いませんが、これでは勝ってみたいものですね!」

ロウル「エリスさん、手加減は不要です! お互い、全力で!」

エリス「はいっ!」バッ!



ヒバリ「おお、この緊張感! はじめっ!」


……


――

――



試合開始の声に、二人の少女は身構える。
色々とはみ出たり脱げ落ちたりした浴衣も、膨らみが控えめな二人はきっちりと着れている。
これならば、脱げて中断などといったこともないだろう。
先の戦いで、二人の実力もわかっている。
故に妙なことに期待する者は誰もおらず、純粋に勝負の行く末を見守ろうとしていた。


ロウル「ほっ!」


そんな時、ロウルの短い掛け声が響き渡る。

彼女は手にした球を、真上に強く放り投げたのだ。

誰もが、これまでとは違うその動きに困惑する。
ロウルの狙いが、わからない。


ロウル(エリスさん相手じゃ、生半可な球は返される。それならば……!)


ぐっと、その全身に力が込められたのだと気がついた時にはもう遅い。
落下してきた球が台にどんどんと近づくその時。


ロウル「――はっ!」


しゃがみこむと同時にまるで隠し持っていた短剣を振るうかの如く。
翻った鋭い一撃が正確に球を打ちぬいた。


エリス「なっ……!?」


想定外の一打。
初手は読み合いかと、軽く返球するつもりであったエリスは反応が遅れた。
持ち前の力で空振りこそ避けるが、打ち返した球は望んでいた仕上がりではない。
浮きあがってしまったぬるい球。

――この銀狼が、それを逃すわけもなく。


ロウル「もらったっ!」


普段はあまりみせない、渾身の一打。
強烈なスマッシュは、今度はエリスに反応も許さずに勢いよく突き刺さった。


ヒバリ「っ!? 1-0!」


審判のヒバリの声も僅かに上ずった。
この場にいる誰もが、今の一瞬に目を奪われた。


ロウル「……よし。まずは私の先制ですね」

エリス「……お見事です。ですが、次こそは!」


マックス「……っ」


誰もが、黙ってしまう。
遊びだ。遊びの筈なのに、二人の間に漂うのは騎士と騎士の決闘のような空気。
少女達の思わぬ真剣勝負は、始まったばかりであった。


……


――

――


ヒバリ「……」

先程とは変わり、頑張れなどと和やかな応援はできなくなっていた。
観客と化した主人や仲間達は、ただただその勝負に釘づけとなっていた。



ヒバリ「9-5っ!」


響く打球音と、短いヒバリの声。
試合はロウルが優勢なまま進んでいった。


エリス「く……!」

ロウル「せいっ!」


前へ前へ。果敢に攻め込むエリスに対して、彼女の性格を熟知しているロウルは台から距離をとって構える。
威力速度共に高い球も、打ち返すまでの猶予が増えればそれだけ返せる可能性も高まるからだ。
動き回る分体力は消耗するが、この程度の運動は彼女にとってはなんの苦にもならない。


エリス「うっ……!?」


真っ向打ち合いでは押し負ける可能性も高い以上、ロウルが選んだのはエリスが打ち損じやすい状況を生み出すことだった。
下への回転を加えられた球は、打ち返しても思った方向には飛ばずにネットへと飛び込んでしまう。


ヒバリ「10-5!」


最初のセットは勢いのままにロウルがもぎとる結果となった。
元より細かい作業が得意な彼女にとって、打ち方に微妙な変化をつけるのも得意ということなのか。


ロウル「ふぅ……」


軽く額を拭う仕草を見せるが、目に見えた疲労も無ければ一向に着崩れる気配も無い。
その佇まいは、娯楽だというのにまさに歴戦の勇士を彷彿とさせ、皆の注目を集める。


エリス(……ロウルさんの戦術は、わかりました。ならば、私は……)


しかし、第三皇子の懐刀がこのまま黙っているわけもないということも、誰もが知っていた。


ヒバリ「そ、それじゃあ第二セットいくよ……?」


始まる次の戦い。


ロウル「……え?」


開幕の一打目で、今度はエリスが独特な構えを見せる。
両腕を交差させるように構えたかと思えば、右腕は顔を横切り後ろの方へ。
その腕の下を通った左手に持った球を軽く投げ上げたかと思った、次の瞬間。

エリス「――ふっ!」

斬り伏せるかのように、素早く腕が振り抜かれた。
1セット目の不意打ちに近いものをそのままやり返される形となったロウルは、この高速球をなんとか返すがそこまで。
続くエリスの強打の前に、為すすべなく先制点を奪われた。


ロウル「ははっ……流石エリスさん。でも、まだまだこれからですよ……!」

エリス「ええ。ここから、逆転してみせます……!」


……


――

――

……


アベル「……」ハラハラ…


試合はフルセットにもつれ込む。
1セット目はロウル。第2セットは宣言通りにエリスが奪い取った。
機動力と高い防御力を持ち味とするロウルに対して、エリスはやはり攻め込む姿勢を崩さない。
ただ闇雲に攻めるのではなく、戦いの最中にロウルの苦手とする場所も見つけ出したのだ。



ロウル(くぅぅ、ほんとエリスさんの一撃は鋭いですねぇ……)

ロウル(絶妙に私が『返し方に迷う』場所を狙ってきている……)

エリス(掴めて来ました。狙い目は、構えたロウルさんと打つ板の中間……!)

ロウル(私の振り遅れが増えて、逆にエリスさんは鋭さが増している)

ロウル(この流れでは、もうエリスさんのミスを誘うやり方では、こちらが絡めとられかねませんね)


ロウル「……まだまだぁ!」バッ!

エリス「負けません……!」バッ!


ここにきて、ロウルは戦術を変えて攻めの姿勢に入る。
お互い、長引けは自分がミスをして相手の得点になってしまうことを悟った以上もう手はない。


――短期決戦、速攻制圧!


ロウル「はっ!」

エリス「てぇい!」


返されたら、返せない。
時にそんな危険をおかしながら、二人の鋭い打球はお互いの陣地に次々に突き刺さっていく。
白熱を通り越した熱狂の中で、観客は圧倒されるばかり。


――死闘――


まさにその言葉が相応しい。
そして、その果てに……





ヒバリ「っ……! 18-17……っ!」



ロウル「ふぅ、ふぅ……!」

エリス「はぁ、はぁ……!」



両者一歩も譲らず、取ったら取り返すが幾度も繰り返された。
流石の二人も呼吸が乱れ始めている。
決着の時が近いと、誰もがより一層緊張感を強めた。




ロウル(こ、これはもう、次で決めないとまずいですねぇ……!)

エリス(追いついても、離される……一撃を決めて、さらに強力な追撃をしかけないと……!)




より、強力な一撃を。
消耗している今、精密なカウンターの難易度は上がっている。
ならば、捻じ伏せる一撃を。


エリス「せいっ!」


比較的緩やかに返ってきたロウルの球に対して、エリスはその腕をしならせて強力な回転を加えた球を打ち返す。


ロウル「――読んでいましたよ、エリスさん!」


だが負けじとロウルも、身体を反らせつつその球を射程圏内におさめる。
直後、再びの渾身のスマッシュ。

ロウル(よし……っ!)

今日一番の一撃。そう手応えを感じるロウル。
素早く伸びた球は、エリスの横を通り過ぎ――



エリス「まだっ、ですっ……!」


その瞬間、エリスは後ろに大きく跳躍した。
カインのように粗相をやらかすこともなく、かつそれ以上に跳んだ。
そして、今まさに自分の横を過ぎ去ろうという球を、視界に捉えた。
辛い体勢、それでもやるしかない。


エリス「しっ――!!!」


間髪入れず、しなる一撃が球を打ちすえて飛んでいく。
張りついていた台から飛びのいて、かなり距離が開いてしまった状態での遠距離返球。
そしてその球は――


――

三連特殊判定結果
その1

00達人の拮抗勝負、勝者はどっち?(完全互角)

ロウル勝利:01~50

エリス勝利:51~00

コンマ38

ロウル勝利:01~50


――


勢いよく、台へ刺さり跳ねる。

誰かの息を呑む音が聞こえた気がする。

ロウルは、慌てて体勢を整えようとする。


……しかし



完全な一撃ではなかったせいか。

跳ねた球の角度は低く。

ネットを越えるか、越えないか。

そんなギリギリの場所にぶつかると……

もう疲れたよと言わんばかりに、ゆっくりところころと転がった後に動かなくなった。



エリス「……駄目、でしたか……」ガクリ…

ロウル「……勝った?」ハァハァ…

ロウル「勝ったんですか私!? あのエリスさんに!?」




ロウル「や、やったあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」ピョーン!



ロウル「アベルさんアベルさん、褒めて褒めて///」ブンブンパタパタ!


アベル「ああ、わかったから落ち着けロウル!?」


……


――

判定その1を公開したあたりで今日はここまで
なんとなくこの二人は遊びでも全力投球しそうなイメージでした
さて残る判定ですが、二つ目はともかく三つ目これこちらの被害的にはほぼ偶数ゾロなんですよねぇ(白目)
ちょっと明日は更新できるかわかりませんが、よろしくお願いします

ところでバレンタイン、やるならスカーレット将軍とリーナも判定に含んだ方がいいのかな?

本日もありがとうございました!

こんばんはー
スカーレット&リーナは問題なさそうですが、フローレンは判定値次第でまた凄いことになりそう……
少しだけ追加判定ありますが、ちょっとだけ再開です

――


ロウル「ふふーん///」ホクホク

アベル「やれやれ……」ナデナデ

エリス「……無念です」ガクリ

アベル「そう落ち込むな。エリスも十分凄かったぞ?」ナデナデ

エリス「あ……///」ホクホク

ロウル「そうですね。もう一度やったら、私も負けるかもです」

パトラ「本当に接戦でしたからね……」

アーシャ「うーん、二人がここまで上手だと、私ももっと頑張った方がいいかしら?」

アドルラン「いや、実にいい勝負をみさせて貰ったよ! 私ももっと練習せねばな!」

アドルラン「道具がこの台と球と板だけでいいのも、非常に魅力的だ」

アドルラン「これなら帝国でも用意することができるぞ!」

ヒバリ「まあ、この板に張ってある素材は王国産じゃなきゃ難しそうだけどね」

ルーシェ「わ、私も、もう少しは、上手くなりたい、です……」

フィーア「私もです! 練習あるのみですよ!」

キアラ「ロウルさんみたいな、天性の反応速度も大事そうだけどね」

シア「わ、私はまず浴衣が脱げずに済む着方からですね~……」

ティア「同じくです……」

マックス「しかしまさか、俺がボコボコにされたエリスちゃんも負けちまうなんてなぁ……」

マックス「やっぱ世界は広いと言うか、俺も本当に色々頑張らないとなぁ」

ノワール「ふふ、向上心を持つことは大切ですよ?」

ノワール「カインも、次は頑張りましょうね?」ニコリ

カイン「わ、わかったよ……」

エメリナ「カイン様なら、大丈夫です!」ムフー!

カイン(うん、なんだかエメリナに負けていることも増えてきたし……)

カイン(やっぱり、彼女と釣り合うくらいには頑張るべきかな……)


ロウル「しかし思った以上に動いたせいか、なんだかお腹が――」


従業員「――皆様! お夕食の用意が整いました!」シュバ!

アベル(……本当に用意のいい宿だ)



――

――

三連特殊判定結果
その2

夕食ってどんな状況?

コンマ86

偶数:大部屋貸しきり
奇数:各部屋ごとに

86>75

※基準値を上回った為、酒有り

※集まっているメンバーの酒耐性から追加小イベ+アベルの第三判定に補正+5

――


【貸切部屋】

バアァァァァァン!


従業員「こちらのお部屋でございます」


一同「「!?」」


アベル(人数分のクッションらしきものに、卓と料理が用意されているだと!?)

アベル(てっきり、泊まる部屋ごとかと思っていたが……)

アーシャ「え、ちょっと……大丈夫なんですかアベル?」

アーシャ「凄く立派なお部屋に、並んでいるお食事もかなりのものですよ?」ヒソヒソ

アーシャ「も、もしかして追加の料金が……」ダラダラ

アベル「お、落ち着くんだ。ある程度は俺も持ってきているが……」ダラダラ


従業員「ノワール様たってのご希望でしたので、ご用意させていただきました!」

ノワール「ん、んんっ///」コホン

カイン「ちょ、大丈夫なの義母さん!?」

従業員「あ、追加料金などは発生いたしませんので、どうかご安心を!」

ルーシェ「……ちょっと、意外、です?」

ノワール「だ、だって……」


ノワール「――折角、これだけ集まっての旅行なのですよ? みんなで食べたいじゃないですか///」


アベル「母上……」

アドルラン「……うむ、その通りだ! 本来であれば私が手配すべきところを、申し訳ありません」ペコリ

アドルラン「よぉぉぉし! みんな、はやく座ろうか! 料理も冷めてしまうからな!」


一同「「はい!」」


……


――

ノワール「ふふふ……」ニコニコ

フィーア「美味しいですね、お義母様!」キラキラ!

キアラ「うん、丁寧に作られているのがよくわかるよ」モグモグ

マックス(な、なんで俺の隣がキアラちゃんに……!?)ドキドキ

マックス(嬉しいけど、緊張しすぎて何もわからねえ……!?)ドキドキ

カイン「へぇ……色々と食べたことの無い料理が多いけど、悪くないね」

カイン「これが王国流なのかい?」

パトラ「も、申し訳ありません。私、料理のことはちょっと……///」

アーシャ「パトラさん、諦めては駄目ですよ!?」アセアセ

ロウル「いやぁ、でも本当にノワール様の仰る通りですよ」

ロウル「なんだかこうやって大勢で食べた方が、気持ちがいいですね」

シア「そうですね~。美味しいお食事だと、皆さん笑顔になりますし~♪」

ルーシェ「ん……私も、今の時間は、好きです……///」

ティア「美味しさを他の人と共有できるというのも、いいと思います……!」パクリ

ヒバリ「え、今ティアが食べたやつって食べれたの? てっきり飾りかと……」

エメリナ「えっと、えっと、以前読んだ本によるとそれは、食べても食べなくてもどっちでも大丈夫だそうです!」

アドルラン「ほう? 異国の料理はやはり色々と興味深いな。それに、これは切り方も独特だな?」シゲシゲ

エリス「見た目、味、共に素晴らしいです。是非とも教わってアベル様にお作りしたところですけど……」モグモグ…

アベル「これは中々、難しいだろうな。技術面もそうだが、食材の仕入れの問題もありそうだ」サクサク



ガラ!



従業員「遅くなり、申し訳ありませんっ!」ズザー!


アベル(……今更だが、ここの従業員は必死な者が多くないか?)



従業員「わたくし共としたことが、こちらのご用意が遅れてしまうとは……!」カチャカチャ

アドルラン「ん? あれは?」

従業員「――こちら、当宿でも人気となっております、地元名産の麦酒となっております!」キュポン!

トクトク…

シュワアァ…


麦酒「……」キンキン!


従業員「雪山の美味しい水で作られ、さらに雪のおかげでよく冷えており大変なご好評を――」




シア「いやああああぁぁぁぁぁ!?///」←酔いやすさ100

カイン「や、やめてくれええぇぇぇ!?///」←酔いやすさ96

ロウル「ご、ごめんなさいごめんなさい!?///」←酔いやすさ94

マックス「あばばばばば……」ガタガタ←酔いやすさ92

ティア「あああぁぁぁぁぁ!///」←酔いやすさ92

エリス「ま、まだ未成年ですので……///」アセアセ←酔いやすさ91

アーシャ「い、今はお料理の方に集中できればいいなぁと///」アセアセ←酔いやすさ91



従業員「ひええええぇぇぇぇ!? も、もうしわけありませんでしたああぁぁぁぁぁぁ!?」ナミダメ

アベル「……」スッ…

アベル(いえ、あなたは何も悪くない……)ヒソヒソ

アベル(ただその、私達の中では結構禁酒している者が多くてですね?)ヒソヒソ

従業員(そ、そうだったのですか。そうとは知らず、大変失礼を……!)

従業員(……そうですよね、そもそも半数の方が未成年のようですし……)ダラダラ

アベル(本当に申し訳ない。可能であれば、料理に合う酒以外の飲み物を頂けるとありがたい)

従業員(すぐにお持ちします!)



ノワール「あ……」

ルーシェ「……」ジー…
 
ノワール「はっ!? な、なんでもありませんよ?」

ルーシェ「……ノワール様、お酒、好きです……?」ジー…

ノワール「うっ……」

エメリナ(……カイン様のためです。でも……)


……


――

――


【男部屋】


カイン「はぁ……さっきは焦ったよ全く……」ドキドキ

アドルラン「まったく、驚いたぞカイン。あんなに叫んで」

マックス「いや、カイン皇子の気持ちはよくわかりますよ……」

カイン「なんだ、マックスも酒が飲めないのか?」

マックス「ええ、両親からも止められるくらいですよ。カイン皇子は――」

カイン「大体さっきの卓球の時と同じ醜態を晒すと思ってくれればそれでいいよ……」トオイメ

アドルラン「はははは! そういえば、そんなこともあったなぁ!」

アドルラン「まあ私も飲めないことはないのだが、あまり強くはないからな」

アドルラン「飲めない者に無理矢理飲ませるつもりはないから安心してくれ」

カイン「僕も、少しはどうにかしたいと思っているんだけどね。エメリナと一緒に飲めないし……」

マックス(わかる、わかりますよカイン皇子……! どうしてキアラちゃんはお酒に強めなんだっ!)

アベル「……無理に酒である必要もないのでは?」

カイン「いや、エメリナは前から酒には興味もっててさ……」

カイン「……そういえばアベル、お前は僕や兄さんとは違って酒に強かったよな?」

アベル「ええ、一応は強い部類だと思います。ただ……」

アドルラン「なるほど、アベルの場合はカインとは逆。彼女達の方が酔いやすいというわけか」

アベル「そうです。それも本当に極端に弱くて。パトラだけですよ、大丈夫なの」

マックス「流石パトラ将軍だなぁ。どうやったら強くなれるんだろう?」

カイン「少しづつ飲み慣れろとは聞いたけど、その少しで記憶が飛ぶんだよ……」



アドルラン「ふうむ、ならばその少量をさらに薄めてみるのはどうだろうか?」

アベル「とりあえず練習をするにしても、近くに誰かいて貰った方がいいと思いますよ?」

カイン「それしかないかなぁ……」ハァ…

カイン「というか、なんで僕らは旅行先でこんな酒談義をしなきゃならないんだよ!?」

アドルラン「はは、カインが叫んだからだろう?」

カイン「あぁもう、酒から離れようよ!? なんで食事外でまで酒に狙われなきゃならないんだ!」

マックス「あ、じゃあ俺いい話題ありますよ?」

カイン「よし、頼んだぞマックス!」

マックス「――女の子が髪型変えるのって、なんだかドキドキしません?///」


カイン「なんでそんな話題になった!? 僕たちは子供かっ!?」





アドルラン「……してしまうな///」ドキドキ

アベル「……わからないでもない///」ドキドキ



カイン「またか! 兄弟揃って、なんて体たらくだよ……」

アドルラン「まあ落ち着くんだカイン。冷製になって考えてみてくれ」

アドルラン「ヒバリもルーシェも、綺麗な髪の持ち主だ」

アドルラン「そんな彼女達が浴衣を着て、髪を結いあげて、普段は見ることのない首元までがだな……///」

アドルラン「い、今まで友として接してきた彼女達だが、こうして改めて色々な姿を見ているとだな、こう……///」

カイン(兄さんは今までの反動も大きそうだけど……)チラリ

アベル「わかります兄様。アーシャも、学友でしたからね。兄様とヒバリの関係に近いものがあるでしょう」

アベル「いや彼女だけではない。ロウルもエリスもみんな普段と違って、こう……///」

アドルラン「わかる、わかるぞアベル!」ウンウン!

マックス「俺もです!」ウンウン!


マックス(キアラちゃんも、可愛かったもんなぁ……///)

マックス(前の眼鏡も似合っていたし……)

マックス(ひょっとしなくても、キアラちゃんはどんな髪型や服でも可愛いんじゃないだろうか?)ニヤニヤ


カイン「兄さんとアベルの話を聞くだけでよくそこまでにやつけるなマックス?」ハァ…

マックス「うぇ、にやけてましたか俺!?」

カイン「すっごい間抜け面だったよ?」

アドルラン「いやいや、マックス君の気持ちもよくわかるぞ?」

アベル「手出しはさせませんが、普段と異なる彼女達にまた違った魅力があるのは間違いないですからね」

マックス「え、ええその通りですよカイン皇子!」

カイン「ほんっと馬鹿ばっかだなぁ……」

マックス「んー……じゃあ、カイン皇子はエメリナちゃんがどんな格好でもいいっていうんですか?」

カイン「エメリナがエメリナであることは変わらないだろう?」フフン

マックス「くっ、思ったより手強いぞこの人……!」

アドルラン「いや、どこかに突破口があるはずだ!」

カイン「ちょ、なんでいつの間にか僕は狙われているのかなぁ!?」

アベル「……」

アベル「そういえばカイン兄様?」

カイン「な、なんだ?」



アベル「――エメリナのメイド服の寸法があっていない件は?」


カイン「」


特殊判定
↓1コンマ二桁

特殊判定

エメリナのダボダボメイド服って……

01~33:エメリナの趣味
34~66:普通にサイズが無い
67~99:カインの趣味

コンマ71

67~99:カインの趣味


――


カイン「な、何を言っているんだアベル?」アセアセ

カイン「あれは単純に、サイズが合わなくて――」

アベル「妙ですね?」

アベル「エリスも小柄な部類ですが、きっちりとしたメイド服を着ていますよ?」

アベル「そして彼女から聞きましたが、ローズさんに頼めばオーダーメイドもあるそうです」

アベル「エメリナの性格上、カイン兄様の為ならばローズさんに頼んでしっかりとしたメイド服を着るのでは?」

カイン「……」ダラダラ

アドルラン「ああ、そういえば私も以前ルーシェから聞いたな」









アドルラン「――メイド達の間でも、エメリナ君のメイド服はカインの趣味だと噂されていたと」





カイン「なっ、なんでばれ……はっ!?」



アベル「……」ニヤニヤ

アドルラン「……」ニヤニヤ

マックス「……」ニヤニヤ



カイン「う、うわああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!///」ゴロゴロゴロゴロ!




……


――


【女子部屋】



ヒバリ「いやー、助かったよ」

ヒバリ「私もお酒、ほとんど飲めなくてさー///」

ロウル「ヒバリさんは私達ほど酷くないじゃないですか……」

アーシャ「あれはもう、思い出したくありません///」

ティア「お酒駄目、絶対! です!///」

ルーシェ「……」ションボリ

エメリナ「……」ヒソヒソ

ルーシェ「……」グッ!

エメリナ「……」グッ!

ヒバリ「ん、どうしたの二人とも?」

ルーシェ「な、なんでもないですヒバリさん」アセアセ

ヒバリ「あ、あぁーそうか……」

ヒバリ「ごめんルーシェ。そういえばルーシェはお酒大好きだったね」

ティア「えぇっ!?」

ルーシェ「///」

ヒバリ「ちょっと前に色々あってね。それ以来はまっちゃったみたいでさ」

ルーシェ「い、いえ、大丈夫、です」

ルーシェ「あの場で、また前みたいなことに、なったら……」ブルブル…

エメリナ「……雪山に追い出されちゃいますね」ブルブル…

ヒバリ「ま、まあまたの機会に、ね?」

ヒバリ「お詫びに……はならないだろうけど、従業員の人から他に面白そうなもの貰ってきたからさ!」ドサリ!

ルーシェ「これは……?」

『王国百景』

『秘境 まだ見ぬ王国の素晴らしき名所』


ヒバリ「これはここ以外の王国の旅行指南書みたい」

ヒバリ「ここもいい場所だったし、今度は一からみんなで計画して旅行に行ってみるのもいいと思わない?」

ロウル「いいですねぇ。アドルラン様達もきっと賛成してくれますよ」パラパラ

ロウル「お、こっちの森林浴なんてのもなかなか……」

アーシャ「こちらの本は……ん?」


『恋愛必勝テクニック』

『深紅の令嬢直伝! 男を虜にするためには!』


ヒバリ「そ、そっちは恋愛系かな……///」

ヒバリ「ほら、私達ってその……まだ、そういうのは新米じゃない?///」

ロウル「そ、そうですね……///」

アーシャ「新米と言うか、知識が不足しているといいますか……///」

ティア「……は、恥ずかしい///」

ルーシェ「はい、です……///」

エメリナ「カイン様のためならば、どんなことでも……///」

ヒバリ「ね、ね? でもさ、やっぱり私達ばかりが受け身っていうのもいけないっていうか……」

ヒバリ「せめて、相手が何を望んでいるかぐらいは察せるようになりたいかなって……///」

ロウル「そ、そうですね。心の準備というのもありますし」

アーシャ「知識はどんな時でも役立ちます。これは、アベルの為なのです……!///」ドキドキ

ヒバリ「よ、よーし読んじゃうよ!?///」

ヒバリ「ま、まずはこの初級ってやつからいこうかな?」ドキドキ

ヒバリ「……」ペラ…


『――彼氏の家でまずは初めてのAを――』


ヒバリ「ん? なにこれ?」






エメリナ「え? Aといえばアナルセックスのことですよね?」




ヒバリ&ロウル&アーシャ「「???」」

ルーシェ「エメリナさん、違い、ます……!///」カアァァァ!

エメリナ「え?」

ティア「…………//////」ドキドキドキドキ…


……


――

女子部屋途中ですが、今日はここまで

そして少し早いですが、↓1コンマ二桁からバレンタインの判定を拾っていきたいと思います
例によって例の如く量が多いので、私のレスコンマも拾いますがあしからず
今回は少し判定法を変えていますが、過去の料理自慢達にはプラス補正もあるけど失敗する可能性もあるとだけはお伝えしておきます

本日もありがとうございました!

乙!
キスの前にアナルってど変態じゃねぇか(白目)

こんばんはーってまただよ(白目)
よりによって基準値の開幕でゾロって……
集計はしていませんが、あまりゾロは出ないといいなぁ

遅い上に短いですがちょっと更新

――



エメリナ「」プシュゥ…


ルーシェ「ん、んんっ……///」コホン

ルーシェ「さ、さっきのエメリナさんの言葉は、忘れる、べきです///」

ルーシェ「この本にあるAは、キスのこと、です……///」

ヒバリ「へぇ~、流石ルーシェ物知りだね!」

アーシャ「でも、キスとなると……」

ロウル「い、一応もう、済ませちゃっていますね……///」

ロウル(あ、いけない……また身体が……///)

ティア「アベル様ぁ……///」トロン…

ヒバリ「うわぁ/// やっぱりそっちはもうだいぶ進んでいるんだね……///」

ルーシェ「ちょっと、羨ましい、です……///」

ヒバリ「そうだねぇ。でも、アドルランだからやっぱりゆっくり行きたいって気持ちもあるんだよね」

ロウル「あー、なんかわかりますよそれ」

アーシャ「そうですね。誠実なアドルラン様が獣のようなことをするとは想像できませんし」

ヒバリ「え、その言い方だとアベル様って獣なの!?」

アーシャ「い、いえ。私の方が獣といいますか……///」ポッ…

ヒバリ「どういうこと!?」ガーン!

ロウル「いやいや、獣という面では誰も私には勝てないでしょう?」

ルーシェ「た、多分、意味が違い、ます……///」

ヒバリ「あ、そういえば前にアドルランが私のネコミミに反応しめしてたんだよね///」

ヒバリ「そういう関係になったんだし、来るべき時に備えて新たな耳を用意しておくべきかな?」

ティア「アドルラン様が、そんなご趣味を? 凄く意外です……!」

ロウル「ご入り用なら、私が作りましょうか? 私としては狼耳おススメですよ?」ピョコピョコ!


エメリナ「お尻に入れるようの尻尾の作成も――」ガバッ!


ルーシェ「お、お尻から、離れて……!///」ゴン!

エメリナ「きゅぅ!?」パタ


……


――

――


【皇女部屋】


シア「――ですので、お酒はいけない飲みものですよ~?」

エリス「はい! とっても危ない飲み物です!」

フィーア「で、でも美味しかったですよ?」オロオロ

キアラ(シアさん達、やっぱり前の事件を引きずっていますね……)

パトラ「……まあ、酔いやすさも人それぞれです」

パトラ「お酒を好きな人がいるのも事実ですし、強要はいけませんよ?」

パトラ「大切なのは節度です。嗜む程度、悪酔いをしないように心がければ大丈夫です」

シア「私のは、悪酔いじゃ済まない次元ですよ~……?」

パトラ「知っていますよ!/// このお二人なら大丈夫でしょうけどね」

エリス「そうですね。ローズさんに加えて、ノワール様もいらっしゃいますし!」

ノワール「え、ええ。任せてください」

ノワール「それにしても、本当に今日は楽しい日でした……」

ノワール「経験したことのない遊びに、心地よい温泉……」

ノワール「みんなではしゃぎながら食べるお夕飯。そしてこうして部屋で談笑する……」

ノワール「……かつては、諦めていたものなのに」

ノワール「こうして味わってしまうとやはり、もう一度と欲が出てしまいます……」

フィーア「お義母様、ならば今度はまた違うところに旅行ですよ!」ピョーン!




フィーア「兄様達のご都合もありますから、すぐには難しいですけど……」

フィーア「こうやってまた、家族で揃って旅行をしましょう!」

キアラ「……今度は、ローズさん達も誘えるといいかも?」

ノワール「ふふ、そうですね」ニコリ

ノワール「……」

ノワール「あの人も、今なら誘えば来てくれるのかしら?」

パトラ「あの人とはまさか、元皇帝陛下のことですか?」

ノワール「ええ。あの人も皇帝という重荷から解放され、あなた達との戦いの果てに少し変化が見られますからね」

ノワール「少し、気になったのです。あの人も多分、さっきの卓球とか好きそうですしね?」フフフ

シア「あの人がやると、本当の戦闘になりそうで怖いです~……」ブルブル

フィーア「だ、大丈夫です! こちらにはエリス姉様にロウル姉様、それにパトラさんもいらっしゃいますもの!」アセアセ

エリス「……開幕の一撃を防げなかった場合、重傷を負う未来が見えます……」ブルブル

パトラ「念入りにルールを教え込まないと、対戦相手に直接球を打ちこみかねませんからね……」

キアラ「い、いくらお父様でも……う、うーん、断言できないかもです」ブルブル

ノワール「……そうだ。お土産にさっきの麦酒がいいかもしれません」

ノワール「あの人も、お酒はかなり強いですし」

キアラ「そうだ、お土産もちゃんと考えておかないと!」

フィーア「ローズさん達、何が喜ぶかなぁ?」

パトラ「時間はまだありますし、案を出し合いますか?」

フィーア「そうしましょう! えっと、私はですね……」



……


――

――



――それぞれが和やかな時間を過ごす――

――楽しい時間はあっという間に過ぎ去ってしまうもの――

――遊び疲れた者もいるのだろう。名残惜しいと思いつつも、眠りに落ちてしまう――

――そんな時刻……――




スッ…



ノワール「……」キョロキョロ…



スッ…



ルーシェ「……」キョロキョロ…

エメリナ「……」キョロキョロ…




ノワール「……」クイ!







アベル「――母上? それに……ルーシェとエメリナ?」



三人「「!?」」


アベル「ど、どうしたんですかこんな時間に?」




ノワール「……私としたことが。旅行でやはりどうも気が抜けているかもしれませんね」

ノワール「決して、やましいことではありませんよアベル?」アセアセ

アベル「え、ええ。母上に限ってそれは無いと断言できますが……」

アベル「後ろの二人といいますか、組み合わせが珍しいな、と」

ノワール「……正直に言ってしまいましょう」

ルーシェ「は、はい……///」

エメリナ「実は……」






ノワール「――麦酒が諦めきれないのです……!!!」




アベル「……はい?」

ノワール「従業員の方に無理を言って、既に用意はあるのです」

ノワール「それに聞けば、この二人は相当お酒にも強いといいますし……」

ノワール「ひ、久々に誰かと夜にお酒を飲んで語らいたいな、とか……///」

ノワール「二人はカインとアドルランに近しいし、色々聞けるかな、とか……///」

エメリナ「ノワール様、アベル様もお酒には相当お強いですよ?」

ノワール「まあ! それじゃあ4人で飲みましょう? そうです、そうしましょう!」

アベル「いや、俺は物音が気になっただけ――」

ヒュオン!

ルーシェ「……捕獲完了。連帯、です……」

アベル(巻き込まれたぁ!?)グルグル

アベル(……だが)

アベル「はぁ……いいですよ。俺も、少しは麦酒に興味はありましたから」

ノワール「!!」パアァ!

ルーシェ「……よし、行きましょう……!」ズリズリ!

アベル「待て待て解いてくれ……!?」ズルズル…


……


――

――


……



アベル「うぅ……」フラフラ…


アベル「な、なんとか逃げ出せたか……」

アベル「信じられん、俺もそれなりに強いとは自負していたつもりだが……」

アベル「母上とルーシェのアレは、とても人間とは思えん……」

アベル「エメリナは大丈夫か……?」

アベル「ん? ここは……」


【大浴場深夜も開放中 ※この時間帯は一方の点検の為、混浴となります※】


アベル「ほう、こんな時間にまで……本当に大した宿だ」

アベル「なるほどな。この書き方だと早朝はまた浴場を入れ替えてもう一方を手入れ……」

アベル「朝方にはまた両方の開放が始まる手筈か」

アベル「……マックス、この時間だったら願いが叶っただろうにな」フッ…

アベル「とはいえこの時間だ。誰もいないだろうし……」

アベル「……少し、酒の臭いを落とさせてもらうとしよう」



パサ





エリス「えっ……アベル様!?///」バッ!

アベル「ぬおおおぁぁぁぁぁぁぁ!?///」ズザザザザ!


三連判定最後の公開直前ですが、今日はここまで

バレンタインの判定は先に言ってしまいますと、男性陣の味の好み(甘いor苦い)と女性陣達の出来栄えの判定が混ざっています
男性陣のコンマ二桁目が低ければ、女性陣達が失敗しても大丈夫という仕様です

本日もありがとうございました!

こんばんはー
自分で偶数ゾロとってるとか完全な自爆ですね(白目)
ちょっと小イベントですが、自由安価を取りたいので先にそこまでだけ投下しておきます

――


……


チャポン…



アベル「……///」

エリス「……///」


エリス(ど、どうしてこんなことに……)

アベル(どうしてこうなった……)


アベル「……///」チャプ…

エリス「……!」ピク!


エリス(うぅ、さっきの温泉での雑念を払おうと思い……)

エリス(全身全霊を込めて打った卓球はロウルさんには通じず……)

エリス(いい加減に切り替えようともう一回温泉に来てみれば……)

エリス(な、なんでアベル様まで……///)

エリス(お、落ち着かないと。ここでまたアベル様との夜を思い出しちゃったら……)プルプル

エリス(だ、大丈夫。アベル様の裸はもう見てきてものです)

エリス(それにお湯も濁って、全部はわからないですし……)チラ…


アベル「……」ムキッ


エリス(あああぁぁぁぁ……/// な、なんで肩から上だけでぇ!?)ドキドキ


エリス「……///」

アベル「……」




アベル(迂闊だった……)

アベル(おそらくエリスのことだ。日課の鍛錬をきっとどこかでこっそりとやっていたのだろう)

アベル(そしてその汗を流すには、この温泉はまさに最適だ)

アベル(深夜だからと、他に客が少ないからと、読みが甘かった俺のせいだが……)チラ…


エリス「……///」


アベル(……いざ、こうして改めてエリスの肌を見ても……)

アベル(本当に、綺麗なものだな……)

アベル(やはり湯に浸からぬよう上げられた髪は綺麗で……)

アベル(頭に乗った手拭すらが可愛く見えてしまう……)

アベル(……)

アベル(いかん、落ち着くんだ)

アベル(今日は滅多にない旅行……)

アベル(それに加えてエリスは先程のロウルとの激闘で消耗もしているだろう)

アベル(彼女はただ、純粋に温泉を楽しんでいるんだ)

アベル(俺が邪な感情などを持っては……)

アベル(……)



特殊判定結果
その3(>>160

アベルの興奮具合(前判定により酒補正+5)

98+5

= 1 0 0 (103)( 我 慢 で き ん! )>95

※基準値を超えたため、旅行中ですが我慢しきれず!

――




アベル「――」




アベル(……無理だ)ス…

アベル(今更だが、やはり正式に式を挙げてからと思っていても……)スス…

アベル(エリスのこんな姿を見てしまっては……)ススス…




ピト…




エリス「ひゃうっ!?」ビク!

アベル「……エリス」ピト…





アベル(――我慢できるわけがない!)ムラムラ

アベル(さ、流石に公共の場で本番は不味いだろうが……)

アベル(ちょ、ちょっとだけ! ちょっとだけだ……!)


エリス「ア、アベル様?///」ドキドキ


――

※我慢できなかったアベルの、温泉でのエリスへの行動(公共温泉内なので本番はアウト)
 逆にエリスからアベルへの行動でもオーケーです

自由安価↓1~3コンマ二桁(混ぜれそうなら混ぜます)

温泉でおっぱじめるとかシチュエーションはもろAVだが純愛なんだよなあ
しつこいほど互いを舐めあって、なんなら身体中にキスマークとか付けちゃう

こんばんはー
……バレンタイン判定、改めて確認したら自分で出した44でかなりの致命傷を負っていました
どうしたものかと色々悩んでいますが、とりあえずまずは温泉小イベから……
と思ったらコンマから>>224さん採用で上の洗いっこも少し混ぜるかと思ったら想定以上に長くなりそうなことになってしまったため、
とりあえず途中まで投下しておきます

――



アベル「……すまない。近寄り過ぎたな」ハァ…

エリス「い、いえ! アベル様でしたら私は……///」

アベル(……な、何をしているんだ俺は)

アベル(いくらなんでも、湯船の中でエリスを襲おうとするだなんて……)

アベル(落ち着け、冷静になるんだ……!)

アベル(この温泉の温度が、さっきの麦酒が、俺を惑わす熱になっているのかもしれん)

アベル(一度、頭を冷やそう……)

アベル「……」チャプ…

アベル「……ちょっと、身体を洗ってくる」

エリス「あっ……」

エリス「っ……」

エリス「お待ちください、アベル様!」チャプ!

アベル「ど、どうしたエリス?」

エリス「こ、ここは温泉です」

エリス「普通の湯浴み場とは違いますけれど、やることは同じわけでして、その……」







エリス「――アベル様のお背中を流させてくださいっ!」





……


――

――



主従は、湯から出ると同時に頭に乗せていたタオルで身体を隠す。
既にそういう関係とはなっているが、どうにもまだ気恥ずかしさは抜けないらしい。
まさか、互いが互いを意識しているとは双方共に思っていない。
身体に張り付いた薄布に頬を赤くするも、それは湯あがりのせいだと気がつかない。


「アベル様、こちらにお座りください」


質のいい木製の腰掛に導かれるまま、アベルは腰を下ろす。
普段であれば見上げることとなる主人を見下ろす形となったエリスは、自分の雑念が首を擡げたのを感じ取る。
少し迂闊だったか。
目の前に広がる男の背中が、それだけで何かの刺激を与えてくる。


(駄目駄目……! 今はメイドとして、アベル様のお世話をしないと……!)


軽く首を振り、改めて決意を固める。
まさか前の入浴時から、僅かな邪念を抱いているなど悟られてはならない。
意識を自分の指先にのみ集中させ、手拭で石鹸を泡立たせる。


「失礼いたします……」


空いた手で、大きな背中にゆっくりと湯を流す。
その次に、泡立った手拭を被せていく。


「その、力加減は大丈夫でしょうか?」

「ああ、大丈夫だ。もう少し強くてもいいくらいだぞ?」


こしゅこしゅと、アベルの背を懸命に洗うエリス。
敵対者への攻撃には全力を尽くす彼女ではあるが、主人の背中ともなればそうはいかない。
万が一にも力加減を間違えてはいけないと、込められた力は普段の彼女からは想像もつかない程に可愛らしいものだ。
それを文字通りに肌で感じながら、アベルは小さく笑う。
やはり……彼女が愛おしくて堪らない。



「ん、しょ……」


背に感じる力が、僅かばかりに強くなる。
本当に真面目で、自分には勿体ないくらいにできた、いい子だ。


(そう思いながら、俺はエリスを手放したくないとも思っている……)

(ふふ、本当に我ながら、強欲な男だな)


自分で洗うよりも、幾分刺激は弱い。
だというのに、自分で洗っている時とは比較にならない心地よさ。
その理由を考えてみても、やはり思いつくのは背を洗う指が原因だとしか思えなかった。
薄布越しに感じる、愛する少女の細い指。自分の指とは、ものが違う。



「んっ……ん……!」

「…………」


いや、もう一つあった。
懸命に背を洗う少女の、僅かに乱れた息遣い。
些細なものとはいえ、これもまた耳をくすぐり心地よさをもたらしてくれる。


「アベル様……」


そんな時、アベルは背の感触に違和感を覚える。
遮るものが、無くなったと言うべきだろうか?
そしてその理由はすぐにわかった。


「アベル様のお背中……広くて、とても逞しくて……」

「……傷痕も、多くて」


古傷をなぞる様に泡がつけられるが、それは手拭ではない。
ほっそりとしたその感触は、紛れも無くエリスの指であるとわかった。

「この傷、覚えています。昔、アベル様が私を庇って……」

「っ……エリス、別に気にするな。あの頃は俺もお前もロウルも、みんなで助けあっただろう?」

一際優しく、古傷が撫でられる。
慈しむような、そんな手つきで。


(アベル様……)


いけない。そうは思いつつも、エリスはいつのまにか手拭を傍らに置いていた。
その代わりに、泡に塗れた己の手で主人の背中をなぞる。
触れたその場所から、じわりと自分にも熱が入ってくるのを感じる。


(大好きです……)


「エ、エリス……?」


指先だけでは足りない。
今度は無意識のうちに、頬を寄せていた。
少し首を傾ければ、とくとくと生命の脈動も感じることができる。
愛してやまない主人が、男が。今も昔も、こうして自分の傍にいてくれている。
その幸せを、エリスは改めて噛みしめる。


「……エリス。何をしているか知らんが、泡は大丈夫か?」

「はっ!? も、申し訳ありません!?」


その時間も、アベルの声で終わりを迎える。
現実に引き戻されれば、主の背中を流している最中にそれを疎かにしてしまうという大失態。
慌てて残る部分にも泡を行き届かせ、再度湯をかけてこれを洗い流す。


「……」


詫びつつも、やはり名残惜しさはあるのか。
湯で泡を流しつつ、手のひらで撫で洗うようにすすいで仕上げたことに少女は気がつかない。


「……ふぅ、気持ちよかったぞエリス?」

「い、いえ! 少し時間をかけてしまい、申し訳ありません」


湯から上がり、少しは身体も頭も冷えた。
少しだけとはいえ、愛する人の身体にも触れられた。
次は、前の方を。この一言を言うだけの勇気は、まだなかった。
これで今は満足しようと、手桶を片そうとしたエリスであったが……




「――それなら、今度は交代だ。俺が背を流してやろう」

「……え?」



手から滑り落ちた桶は、小さく音を鳴らして転がった。



――

――


「……」


普段のエリスであれば、断っていただろう。
メイドである自分から主人にであればともかく、その逆はそうもいかない。
ましてや相も変わらず雑念を払いきれていないこの現状で。
直ではないとはいえ、身体に触れられてしまったら、どうなるか。

しかしそう考えているうちに、いつの間にかアベルは手拭を手に背に回り込んでいたのだ。
流石にここまでされてしまっては、断ると断るで申し訳がない。
僅かばかり、今度はあちら側から触れてくれるのだと。そういった邪念が無かったとも言い切れないが。


「流すぞ?」

「は、はい!?」


先程と同じように、軽く湯がかけられる。
それだけでも、どうしてこんなに鼓動が早まるのかエリスにはわからない。
後ろから手拭を擦り泡立たせる音が聞こえてくることも、やはり鼓動を速める。
やはり断っておけば。そうは思っても、もう手遅れだ。


「んぅ!?」

「す、すまない。痛かったか?」

「い、いえ。大丈夫ですアベル様……」


肩の付け根あたりに軽く手拭越しに触れられただけで、妙な声が出てしまったのだから。


「そうだな。俺とは違い、繊細な肌だ。注意して洗うよ」

「あっ……アベル、様ぁ……はっ……」


アベルの手つきは実に優しいものだった。
壊れ物を扱うかのごとく、優しくエリスの背は洗われていく。
それでも、エリスは声が抑えられなかった。



(アベル様の手……気持ちいい……っ)



何もやましいことなど無い筈なのに。
それでも、洗われた部分がじわじわと熱を帯びてきているように感じられた。

「んっ……ふぅ……!」


どこか艶めいているようにも聞こえる声は、やはり抑えられることがない。
薄い布越しに感じる、アベルの大きな手のひらの感触。
無骨で、傷が多くて。それでも、この世の誰よりも好きな手だ。


「あっ……」

「……まだ泡が残っていて勿体ないな。腕の方も洗っておくか?」

「んぅっ!?」


背中からそれが離れてしまった時には僅かばかりの切なげな声が。
直後それが腕に移動すれば、やはりエリスの口からは熱の籠った声が漏れる。
肌を擦る手拭も、時折発せられるアベルの声も、ごく小さいものだ。
この静かな深夜の浴場にて、一番大きく響いているのはエリスの漏らす声だ。
当人もそれを理解し、頬を染め上げる。


(だ、め……だめなのに……)


性知識やそれに対する耐性はだいぶマシになったとはいえ、元々が致命的な有様だったエリス。
そんな彼女すら、今の自分の身体の変化――女としての反応には気がついていた。
振り払おう振り払おうとしていた雑念は、身体の汚れとは異なり洗われてもそぎ落とされることもなく。
どころか種火は確かな小さな炎となって、自分の中で燃えていると自覚できてしまう。
駄目だとわかってる。わかってはいるのに、身体が疼いている。


「……よし、これでおしまいだな」


主の言葉と共にかけられた湯が、ひどく冷たいものに思えてしまう程には。




だから。






「――――前の方も、洗うか?」






その言葉を聞いた瞬間、エリスは大きく喉を鳴らしてしまった。



――

ノーマル洗いっこが終わったあたりで今日はここまで
……おかしい。おまけのおまけだから短くあっさりで済ませる予定だったのに?
R版ですから、もっと高頻度でテンポよくエッチな展開でどんどん行くべきだというのはわかってはいるのですが、
ここにスレ建てしておきながらどうにも自分はそういった高速展開が特に苦手なようです……本当に申し訳ない

なおバレンタインの方は先に言っておきますと、男性陣がゾロ目でもチョコを自分に塗りたくることはないとだけ。
流石にそんな事態になったら再判定許可を求めていますので……

本日もありがとうござました!

こんばんはー
それではおまけのおまけの終わりまで再開します
最後にちょっと判定ありです

――



「……」

「……」


何故、断れなかったのだろう。
エリスは自問自答を繰り返すが、もう手遅れであった。

前を洗うと言っても、面と面で向かい合うわけではなく。
背を向けたまま、アベルの腕だけが前へと伸ばされる。

「あっ……」

背後から抱きすくめるように、腰に腕が巻かれる。
それだけでエリスの口から声が漏れてしまうが、この程度は序の口だ。
泡に塗れた手拭が、ゆっくりと動かされる。


「んっ、く……ぁ……!?」


背中とは、明らかに動き方が違う。
撫で擦るのではなく、手拭を言い訳に柔肉を揉みしだくかのような手つき。
明らかに、洗うことが目的ではない。


「ア、アベル様、手つきが……」

「……嫌だったか?」

「そ、それは……あうぅ!?」


自分を見透かされているような問いに、顔が赤く染まる。
その間にも手は蠢いて、滑らかな腹部を撫でさすっていた。
緩やかな刺激。だがそれも、徐々に徐々に上へと移動する。

程なくして、アベルの手は慎ましい山に辿りついた。




「ひゃっ、アベル様、それ以上は……!」

「……エリスが、俺を惑わすのがいけないんだぞ?」


すっぽりと覆い被さった手は、ゆっくりと優しく動く。
泡のおかげか、実に滑りが良い。


「ごめん、なさい……」

「でも、本当に駄目です、これ以上はぁ……!」

「あぁ……」


手を動かしながら、アベルは小さく声を出す。
お互いに、わかってはいるのだ。
ここが公共の温泉であり。
自分達がそうであったように、予期せぬ来客がここに来る可能性も決して0ではない。
ここで致すのは、色々な意味で不味いのだ。

本当ならば、このまま可愛らしい胸を弄り倒したい。倒されたい。
ぷっくりと主張を始めた乳首を指先で転がしてやりたい。転がされたい。
胸だけじゃない。お湯に紛れてわからないが、既に蜜を垂らしている股の間に……

既に欲望に負けてしまっている二人ではあるが、どうにか最後だけは堪えようと必死になる。
そして燻る情欲の炎をどうにか鎮めようと、別手段での解決方法を模索する。


「エリス……」

「アベル様……」


名残惜しげに胸から離れた手で、エリスの顔を寄せてやる。
そうするだけで、愛する少女は舌を差し出してきた。


「んっ、んうぅ! ふぅ……!」


濃密な口づけ、いつの間にか向かい合う格好となり、より深くを求めれば身体は密着していく。
普段であれば、このままお互いが抱きしめ合ったことだろう。
しかし今ばかりは、いつもと状況が違う。


「ア、アベル様っ、なんだかこれ、身体が泡で滑っていつもよりっ、んあぁっ!?」

「こ、これは、確かにっ……!」


エリスは無意識の内にその身体を擦り付けていた。
泡の助力もあり、その肢体はアベルの身体を滑らかに移動していく。
そしてその際に得られる快楽は、想像以上のものであった。

「あっ……これ、アベル様と、擦れてぇ……!」


甘い声を出しながら、エリスはこの不思議な感覚に抗えないでいた。
まるで自分の身体を使って主の身体を洗っているような、そんな錯覚さえ覚えてしまう。
これは身体を洗っているだけなのだと、免罪符のようなものが出来てしまう。
その上、自身にももたらされるこの快楽。

これは、まずい。

このままでは歯止めが効かなくなってしまう。


「エリス、一度離れよう……!」


それは同じく身体を擦り付けていたアベルも感じ取っていた。
このまま推移すれば、朝までやってしまうかもしれないと。
予想だにしなかった快楽の原因、諸悪の根源はこの泡であることは明らかだ。
後ろ髪を引かれつつ、手桶に汲んだ湯を二人の身体の正面へとかける。


「あっ……」


寂しげに漏れるエリスの声。
だが無情にも、二人の身体の泡は綺麗に流されてしまった。


「……」

「……すまない。まだ泡が残っているな」

「え? あっ……!?」


そんな可愛らしい反応を示したからか。
それとも、最初からたがが外れていたアベルが悪いのか。
ここで終わりとする筈だった行為は、緩やかに延長していく。


――

――


じゅる、じゅると淫猥な音が響く。
先程の口付けと似たような、しかし似て非なるもの。


「泡が残っていては不味いからな。念入りに落とさないと……」

「んあっ……アベル様も、まだ泡が……すぐに落としますね……」


やはり、お互いにわかってはいる。
もはやどちらにも、泡など残っていない。
それでも、離れてしまうのが名残惜しかった。

それをあらわすかの如く、二人は幼稚な言い訳を盾に互いの身体を舐め合う。
舌先で、丁寧に丁寧に。
いつまでも、いつまでも。
いい加減にやめなければ。わかっているのに、やめられない。

秘部には触れることなく。逆に言えば、それ以外のところは徹底的に舐め尽くしたかもしれない。


「……っふぅ」

「あぁッ……」


ちゅぽんと、舐めるだけじゃおさまらなくなっていたアベルの唇がエリスから離れる。
強く強く吸い付いたのか、肩には赤い刻印のようなものが残っていた。


「……足りないな」

「んっ!?」


続けて、首元にも。
わざとらしく音をたてて、同様の刻印を刻む。
まるで、自分だけの証だと言わんばかりに。


「はあぁ……っ、アベル様ばかりから、頂くわけにはまいりません……!」


お返しだと言わんばかりに、エリスもアベルの肩へと唇を寄せる。


「んっ、はむ……ちゅる……」


しかし、想いは本物であってもまだ技術は未熟なのか。
アベルの肩に刻まれた刻印は薄紅色だ。
それを見ながら、アベルは小さく笑う。


「証をつけたければが、こうするんだぞ?」

「あっ、ああぁぁぁ……!?」


愛する者を前に、アベルは止まらない。
その後も腕に、背に、腹に、脚に。
至る所に、愛の刻印は刻まれ続けるのであった……



――

――

……


アベル「……///」

エリス「……///」

アベル&エリス「「……その」」

アベル「……///」

エリス「……///」

アベル「す、すまなかった!」

エリス「も、申し訳ありませんでしたっ!」

アベル「……」

エリス「……」

アベル「……もう一度身体を流して、湯に浸かるか」

エリス「はいっ!」


特殊判定
↓1~3コンマ二桁

もげぇっ!?
もうエリスのゾロ目率、特に22を叩きだす割合どうなってんの!?(吐血)
少々お待ちください……

1アベルに好き放題されちゃったエリス、満足できた?
>50

コンマ22

 2 2


偶数ゾロ目:???


2キスマーク、ばれる?ばれない?

50>49

※基準値を下回ったため、上手く隠しました



3お風呂場プレイ、気に入った?


50>46

※興奮はしたようですが、流石に背徳感が強かったようです


――


アベル「……」チャプ…

エリス「……」チャプ…

アベル「……その、なんだ」

アベル「悪かった。本当に反省しているよ」

アベル「全ては俺に忍耐力が無いからだ。温泉のせいだとわかっているのに……」

アベル「上気したお前を見て、抑えられなかったんだ……」

エリス「……」

アベル「そのうえ、調子に乗ってお前のあちこちにそんな……///」

エリス「いえ……」サスリ…

エリス「こんなに赤い証、アベル様がくださって……」

エリス「シアさんの言葉を借りるなら、所有者の証でしょうか?」

エリス「指輪とはまた違った嬉しさを感じます……///」

アベル「そ、そうか」

エリス「お風呂で、というのは少し恥ずかしかったですけれど……///」

アベル「そうだな。流石に時と場所は弁えねば……」

アベル「本当に、すまない……!」

エリス「で、ですから気にしていませんよ?」

エリス「――むしろ、謝らなければいけないのは私の方です……」

アベル「エリス?」

エリス「……」

エリス「アベル様を慕う方は、沢山いらっしゃいます」

エリス「キアラ様にフィーア様」

エリス「直属ではありませんが、ヒバリさんにルーシェさん。エメリナさんも、アベル様を評価してくださっています」

エリス「ローズさんも、アイナさんも、スミレさんも……」

エリス「そして……それ以上の感情を抱いている方々」

エリス「アーシャさんも。ロウルさんも。シアさんも。パトラさんも。ティアさんも……」

エリス「みんなみんな、アベル様が大好きで」

エリス「アベル様にも、私にも、かけがえのない大切な人達……」

エリス「私は、アベル様やみんなと一緒に生きていけたら、それだけで幸せ……」



エリス「――そう、思っていたのに」

エリス「――最近の私は、どんどんどんどん欲深くなっているのです」



エリス「メイドである自分が、主人であるアベル様に焦がれてしまう。その時点で、本来は駄目だったのに」

エリス「アベル様や皆さんが優しくて、私はそれに甘えてしまって……」

エリス「白くて綺麗なドレスに少し憧れたら、それを着ることも許して頂いて……」

エリス「……それでもまだ、私は満足できていなかったようです」

エリス「……アベル様との夜を思い出しただけで、皆さんがいる前だというのに身体が切なくなって!」

エリス「今も、駄目だとわかっていながら、心の底ではもっともっとと欲しがっていて……!」

エリス「……私も、かつてとは違います。ちゃんと、お勉強したんです……」

エリス「わ、私は……」







エリス「ア、アベル様の……あ、赤ちゃんが欲しいんです……っ!///」





アベル「」




追加特殊判定
↓1コンマ二桁

アベルの理性

50>30


※基準値を下回った為、最終イベントの結婚式後に……?


――

追加の判定をとったあたりで今日はここまで
……とても初期夜レベルが2だったとは思えんです(白目)
この後はまた少し判定とりつつ今回の旅行は終了
バレンタインネタの後、妹ズの過去イベをできればと思います

……バレンタインの一部の人、本当にどうしよう

本日もありがとうございました!

こんばんはー
それでは今日も少しだけ再開です

アベルの理性

50>30


※基準値を下回った為、最終イベントの結婚式後に……?


――


アベル「……」ギュゥ…

エリス「あ、アベル様?///」

アベル「……今は、まだ、難しい」

エリス「ええ、わかっています。アベル様は――」

アベル「――だが」

エリス「え?」

アベル「落ち着いて、無事に式を挙げられたなら……」

アベル「エリスを、メイドではなく妻として迎え入れることのできる日が来たなら……」






アベル「――その日は、眠ることなどできないと思った方がいいぞ?」ボソリ…





エリス「……っ///」ゾクゾク!

アベル「だから、もう少しだけ我慢してくれ」ナデナデ

エリス「は、はいぃ……///」

アベル「……」ナデナデ

アベル(子供、か……)

アベル(俺は、誇れる父親になれるだろうか……?)

アベル(……)

アベル(まずは母が複数いる問題を丁寧に教えるのが大事だろうな……)ダラダラ…



……


――

――


アベル「ふぅ、いい湯だったな」ホカホカ…

エリス「は、はい///」モジモジ

エリス(アベル様の刻印、誰かに見られないでしょうか……///)


カタ…


アベル「っ!」バッ!

アベル(まだ、誰かが起きている……?)ソー…






ノワール「凄いわルーシェちゃん。ギルバート以外でこんなに飲める人は初めてですよ?」ゴクゴクゴク…

ルーシェ「わ、私もお酒こんなに飲めたの、初めて、です///」ゴッキュゴッキュゴッキュ…

エメリナ「あうぅ~? おかひぃです、私、お酒には強いつもりだったのに~……?///」コクコク…

エメリナ(カイン様、申し訳ありませんが今日のご奉仕は無理そうですー……)

ノワール「ふぅ……」コト…

ノワール「昔の名残なのかしら。夜に誰かと飲むお酒はまた格別に思えます……」

ノワール「それに、あの子達のお話も聞けるともなれば、お酒も進むというものです」

エメリナ「ひっく……でも、ノワール様? ノワール様はアベル様のお母様で……」

ノワール「ええ。でも、あの子達もあの人の子。つまりは私の子ですもの」

ノワール「アベルは語ってくれるけど、アドルランとカインは恥ずかしがってあまり話してくれなくて……」

ノワール「だからこうして、あなた達から色々聞けるのは凄く嬉しいの」ニコニコ

ノワール「お酒のおかげか、いつもより饒舌になってくれるしね?」

ルーシェ「お酒、いい交友の飲み物、です……///」

エメリナ「あ、ということは逆にノワール様から昔のカイン様やアドルラン様のお話も?」

ルーシェ「!!」ガタ!

ノワール「ええ、私の知る限りでよければ。カインはああ見えて実は昔は――」




アベル「……気づかれる前に部屋に戻ろう」スッ…

エリス「三人とも凄い飲みっぷりです……」スッ…

アベル(しかし、母上も本当に明るくなられた)

アベル(今度、またゆっくりと飲むのならば、それもいいかもな……)


……


――

――



……翌日……


アドルラン「うーん、気持ちがいい朝だ! こんな時は身体を動かしたくなるな!」

アドルラン「マックス君、卓球で軽く汗を流さないか?」

マックス「ははは、俺は上手くないですけど、それでもよければ!」

アドルラン「強い弱いは関係ない。鍛錬もそうだが、色々な人とやるのはいい経験になるぞ!」

マックス「そういうことでしたら、いきますよ!」

カイン「やれやれ、一気に意気投合した感じだねぇ……」

アベル「いいじゃないですか。アドルラン兄様は元々がきさくな方ですし」

カイン「それはそうなんだけどね。ところでアベル、お前昨日はよくも逃げてくれたな?」

アベル「え?」

カイン「あの二人、あの後も服装やら髪型やら色々語り出すし、なかなか眠れなかったからな……」

アベル「おや、それならカイン兄様も加われたでしょう。何しろエメリナに――」

カイン「やめろっ! いいかアベル? 冷静になって考えてみろ?」

カイン「エメリナが、ぶかぶかなメイド服を着るだろう? 当然動きにくいが、彼女は服に見合ったメイドになろうと努力しているんだ」

カイン「……必死に必死に、懸命に動いて僕の後をついてくるんだ。なんか、こう……ぐっとこないか!?」

アベル「……言いたいことはわかります」

カイン「だろう!?」

アベル(やっぱり兄様もあの二人の会話に混じれたんじゃないか?)


……


――

――



ティア「あ、エメリナさんにルーシェさん。昨夜はどちらに?」

ルーシェ「ノワール様と、夜の飲み会、です」

エメリナ「な、なんでルーシェさん平気なの……?」クラクラ…

ロウル「あー、それじゃあ私達は参加できませんねぇ……」

ヒバリ「でもよかった。ルーシェがお酒楽しめたみたいでさ」

アーシャ「私達も、ヒバリさんと結構盛り上がってしまいましたしね///」

ヒバリ「結局決着はつかなかったけどねー」

ロウル「アベルさんならきっと狼耳を選んでくれるとは思うのですが……」ムフー!

ロウル「アドルラン様の好みとなると、やはり判断材料が少ないですからね」

エメリナ「や、やっぱり尻尾の方が大事だと思います……!」

ティア「や、やっぱりお尻に……///」

ルーシェ「~~っ!/// あ、朝から話す内容じゃ、ありません……!///」

アーシャ「ご、ごめんなさい」アセアセ

ヒバリ「そっちはどんな話題だったの?」

エメリナ「カイン様と、アドルラン様の昔話を聞けました……!///」

ヒバリ「え、何それいいなぁ~……って言いたいけど、残念! 私はアドルランを誰よりも知る女を自負してるの!」ドヤァ!

ヒバリ「……カイン様の方はちょっと気になるけど」

ティア「わ、私はアベル様も他の方々も、全員気になります……!」

ロウル「ティアさんはまだ帝国に来て日が浅いですからね。今度の話題は皇子様達にしましょうか?」

アーシャ「あ、いいですね。それじゃあまた集まって――」


……


――

――



ノワール「ごめんなさいパトラちゃん……」ペコリ

ノワール「私がお酒の誘惑に負けて部屋を空けている間、あの子達の面倒を見てくれたそうで……」

パトラ「いえいえ、お気になさらないでください」

パトラ「その、騎士としてはあるまじき感情かもしれませんが……」

パトラ「……キアラちゃんとフィーアちゃんと一緒にいると、なんだか妹ができたみたいで楽しかったです///」

キアラ「わ、私達もです。パトラさん、ローズさんとは違った感じの大人の女性という感じで……」

フィーア「はい! それにパトラさんもいずれは義姉様になられる方ですし!」

パトラ「そ、それは……///」テレテレ

シア「ううぅぅ~……淑女なパトラさんが羨ましいです~……」

フィーア「あ、勿論シアさんも大好きですよ? 柔らかくて、一緒にいるだけでほんわかします!」

キアラ「シアさんはローズさんともパトラさんとも違うけど、包み込むような優しさを感じます」

シア「うぅ、ありがとうございます~!」

シア「でもそんな純真な目で見つめられると自分の罪深さが浮き彫りにぃぃぃぃぃ!」ゴロゴロゴロ!

ノワール「ふふふ……そういえばエリスちゃん?」

エリス「は、はい!?」ドキ!

ノワール「あなたも途中からいなくなったそうですけど……」

エリス「……」


特殊判定
↓1コンマ二桁

まさかの浴場欲情。ノワールお母さんの苦言

15>10

※基準値を下回った為……?


――


エリス「……」ドキドキ





ノワール(――温泉で、というのはあまり関心しませんよ?)ボソリ

エリス(っ!?///)

ノワール(ふふ、アベルと一緒に温泉から出てきたのを私が見逃すとでも?)

エリス(……)ブルブル

ノワール(ああ、大丈夫ですよ? 私も何か小言を言おうかとも思いましたけど……)

ノワール(この子達から離れて行ったということは評価できますし)

ノワール(そして何より……)











ノワール(――わ、私ももうおばあちゃんで孫を見れるのかと思うと、許せてしまいそうですから///)





エリス「」

ノワール「……それで、いつなのですか?」ワクワク

エリス「だ、駄目ですまだです声に出てますノワール様あぁぁぁぁぁぁ!?///」

ノワール「あ、あら?」


パトラ「エリスさんのあの反応……」

フィーア「姉様が次のお義母様のお酒のお供に選ばれたのでしょうか?」

キアラ「ええっ!? でもエリスさんは……」

シア「エリスさんが慌てちゃうのも納得です~」





――

※お母さんは倫理観より孫を優先したようです

――

……

――

……



フィーア「……楽しい時間はあっという間です」ショボン

フィーア「でも、次があります!」グッ!

ノワール「ええ。もう一度ここに来るのもいいですし……」

キアラ「他のところに旅行してみるのも、楽しそうです」

ノワール「みんなと一緒の旅行……本当に素晴らしいものですね」

ノワール「ねえ、アベル?」

アベル「そうですね。また機会があれば、是非」

ノワール「ふふふ……!」



カイン「おい、何をのんびりしているんだアベル?」

アドルラン「折角のお土産だ。時間をかけて選びたい気持ちはわかるぞ?」

カイン「兄さんが朝っぱらからあんなに遊ぶからいけないんだよ!?」

アドルラン「はははは、すまないな。ところでカイン、この卓球台はまさにお土産に相応しいと思うのだが……」ズシリ

カイン「馬鹿なのか兄さん!? ちょ、義母さんからも何か言ってやってよ!?」



アベル「おっと、急かされていますね」

ノワール「ふふ、せっかちなのは相変わらずですねカイン」

キアラ「ローズさん達へのお土産、何にしようかな……?」

フィーア「サクちゃんのお土産も悩みますね……」ウーン…

アベル「ふっ……」

アベル(転移の魔法陣を使えば、すぐに帝国には戻れはするが……)

アベル(まさかカイン兄様の口から、それじゃあつまらないだろうなんて言葉を聞けるとは)

アベル(……家族との旅行。母上の言う通り、いいものだ)



アベル(これから増える大切な家族と一緒に、いつかまた……)




――


EXイベント9

【戦いを終えて~~帝国兄妹の旅行~~】おしまい


――

――


EXイベント10

【戦いを終えて~~聖国・愛の祭り~~】


――

【聖国・宮殿】



リーナ「……ついに、やってきましたわ!」

リーナ「今こそ、神の名のもとに愛の祭りを復活させるときですのっ!」バーン!

アルフ「随分と気合が入っているなリーナ?」

アルフ「確かに我が国の愛の祭りといえば、かつては盛況だったが……」

リーナ「ええ! わかっていますの。戦争のせいで、そんな余裕も無くなってしまったということぐらいは」

リーナ「ですから、今こそ復活させるんですの!」



リーナ「――神の食物であるカカオを、誰もが楽しむことができ!」グッ!

リーナ「――親しき友人や恋人に贈ることで、その友情や愛を深め合う、素晴らしき祭り!」ググッ!

リーナ「――神はきっと望まれていますわ! 聖国内だけでなく、今こそ王国と帝国にもこの祭りを伝えるべきだとっ!!!」バーン!



アルフ「……リーナ。盛り上がっているところをすまないが……」

アルフ「確かに、愛の祭りはかつての聖国の伝統だ。民達も喜ぶことだろう」

アルフ「しかし、これを王国と帝国に広めるのは難しいだろう」

リーナ「どうしてですの?」

アルフ「……カカオだ。神の食物たるカカオはまさに高級品。聖国では神の祝福もあり生産できてはいるが、他国はそうもいくまい」

アルフ「神の教えでは、花を贈ることでも良いはずだ。広めるのはこちらの方に――」





リーナ「……もう兄上の領地から大量にカカオを持って来た後ですのよ?」ガラガラ…

リーナ「あと王国では貴族の嗜好品としてですけど、流通はしていたようですの」







アルフ「」




……


――

おまけ9が終わり、バレンタイン導入部に入ったあたりで今日はここまで
少し悩みましたが、バレンタイン=チョコ=カカオから聖国の祭り設定となっています
判定人数が多いせいで、確実に明日だけでは終わりそうにありませんが……

本日もありがとうございました!

こんばんはー
それではゆったりですが、バレンタインイベント始めて行きます

――


……


リーナ「さて! 早速王国と帝国にもこの愛の祭りを伝えに行きますわよ兄上!」

アルフ「……まあ、物資の輸送と思えば悪くは無いか」

アルフ「カカオに含まれる豊富な栄養素はまさに神の如く。上流階級でも貰えれば嬉しい筈だ」

リーナ「もうっ、大事なのはそこではありませんわ」

リーナ「親睦を深める、これが第一ですのよ?」

リーナ「色々と用意もしましたし、抜かりはありませんわ!」バーン!

アルフ「しかし、愛の祭りを伝えるとは言っても、どう伝えるつもりなのだリーナ?」

リーナ「確かに、異国の文化を広めるのは普通では難しいでしょう」

リーナ「――ですから、まずは国の上層部を愛の祭りの虜にしますの!」パン!

リーナ「将を射るにはまず馬からですの!」

アルフ(普通に考えれば、その将が国の上層部なのではないか……?)

アルフ(いやそもそも、以前の聖歌の時もだが、我々は簡単に国の上層部に難題を投げかけているような……)

リーナ「ほら兄上、ぼーっとしていないで早速行きますわよ?」

アルフ「ま、待てリーナ。どこから向かうつもりなんだ!?」

リーナ「んー、そうですわね……」

リーナ「……」

リーナ「やっぱり、最初は……」



……


――

【帝国・アベルの城塞】


アベル「……で、俺のところに来たと?」

リーナ「そうですの!」エヘン!

アルフ「毎度騒がせてすまないなアベル皇子……」

アベル「い、いや大丈夫だ。それにしても、愛の祭りか……」

アベル「聖国らしい催しだが、具体的には何をするんだ?」

リーナ「愛の祭りとは言っても、難しいことはないですわ」

リーナ「ただ日頃の感謝や想いを相手に伝えて、細やかな贈り物をするんですの」

アルフ「聖国では、神の食べ物であるカカオ。それを元に作られるチョコレートが一般的だが、花の場合もある」

アベル「チョコレート……これはまた、随分と高価な贈り物だな?」

リーナ「やはり帝国では入手が難しいんですの?」

アベル「ああ。無いことはないが、根が張る上に……原材料の信憑性がな」

リーナ「ふっふっふっ……」

リーナ「安心なさいなアベル。今日は、あなた達にこの愛の祭りを教える為に、持って来ましたわよ!」バッ!

アルフ「聖国原産、聖樹印の最高峰のカカオだ」ガラガラ

アベル「」

リーナ「あ、ちゃんと既に精製済のチョコレートの塊もありますわよ?」アセアセ

リーナ「これを一度溶かして、好みの形に変えれば誰でも手作りチョコレートが作れますわよ!」グッ!

アベル「そ、そうか。それを聞いて少しは安心したが……」

アベル「既にチョコレートではあるのだろう? そのまま贈るのは駄目なのか?」

リーナ「駄目ではありませんけど、折角なら手作りの方が想いが伝わると思いません?」

アベル「なるほどな」

リーナ「……ところでアベル? あなたはどのようなチョコがお好きですの?」

アベル「……」

バレンタイン・チョコ判定
>>192より

※男性陣※

※コンマ一桁…好みの味の傾向
偶数:大人なビター
奇数:甘ーい♪

※苦味弱←2・4・6・8・0→苦味強
※甘味弱←1・3・5・7・9→甘味強

※コンマ二桁…見た目の拘り
0~5:気にしないよ
6~9:やっぱり見た目も大事

基準値判定
1アベル:55

コンマ55

ゾロ目:見た目は気にしない、チョコスキー。隠しているがこっちの味が大好きで仕方がない

※奇数ゾロのため、アベルはめっちゃ甘党だったようです

――


アベル「さ、さっきも言っただろう?」

アベル「帝国ではチョコなど、高級品だ」

アベル「それに、俺をよく見てみろ?」

アベル「かつては冷酷な黒騎士を演じていた俺が、そんなものを食べてみろ」

アベル「イメージというものが崩れてしまうだろう?」

アベル「もし、仮に食べるとしても……苦味の効いたものだろうな」

リーナ「なるほどですの……」

アルフ「アベル皇子らしいな」

アベル「当然だろう?」












アベル(あああああぁぁぁぁぁ! なんで俺はこんなところで兄様みたいな見栄を張ったあぁぁぁぁぁ!?)

アベル(チョコだと……!? 聖国では、そんな高頻度で食べられるものなのか……!?)

アベル(ああ、くそ! 甘くとろける姿を想像しただけで、唾液が止まらん!)

アベル(だ、だが本当に、俺にだってイメージというものがある……)

アベル(まさか俺が甘いものが、ことチョコレートが好きだなんて、周りの者にばれてみろ……)

アベル(威厳も何もあったものではないぞ……)

アベル(しかし、祭りの名目ならもしかしたら……?)


アベル「……」ソワソワ

リーナ「?」

アベル「ん、ん……しかし、だ」

アベル「誰かに贈り物をして気持ちを伝える祭りというのも、悪くないな」

リーナ「! そうでしょうそうでしょう!?」

アベル「俺もおおそれたことはできないが、それでもよければ協力させてくれ」

アルフ「寛大な対応、感謝する」ペコリ

リーナ「よし! まずは要のアベルを説得できましたの! これで帝国はぐっと楽になりましたわ!」

アベル「どういう意味だ?」

リーナ「アベルが愛の祭りに乗り気なら、必然的にご兄妹や部隊の皆さんも乗ってくれるでしょう?」

リーナ「そしてあなた達は揃って強い。旧帝国思想の人にも、影響を与えられるかもしれませんの」

アベル「なるほど、そういうことか」

アルフ「この流れでアドルランも誘いたいところではあるが……」

リーナ「今日の目的は、帝国と王国ですの。ですから当然……」

アベル「ま、まさか……」

リーナ「そのまさかですわ!」





リーナ「――王国にも愛の祭りを広めに行きますわよ!」




……


――

――


【王国・王城】



リーナ「お邪魔しますの!」シュイン!

アルフ「転移が完了している時点で、断りも無く失礼しているのだがな……」

アベル「これでも良くなった方だ。以前はクラウス王の私室に直行していたからな……」

リーナ「アベル達のことですから、大丈夫だとは思うのですけど」

リーナ「下手をしなくても、国王暗殺未遂が何度起きても不思議じゃありませんの」

アベル「以前フィーアとアーシャも、本当にそれを警戒していたからなぁ……」

リーナ「ですが、今日は愛の祭りを届けに来ましたの!」

リーナ「王国との関係を修繕するためにも、私達が積極的に行動しないと……!」

アルフ「王の間は確かこちらだった筈だが……」




特殊判定
↓1コンマ二桁

うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!?(白目射出)
なんでここで出たぁ!?

恒例・スカーレット将軍の状態は?


コンマ55

 5 5


奇数ゾロ:大ハッスルの真っ最中!

――


ガチャ…



アルフ「突然の来訪、失礼。聖王代理アルフォンス――」





スカーレット「ほらっ! もっと腰を動かしなさいな!?」パンパン!

王国新兵1「」ガクンガクン

スカーレット「あなたも、ほら、また硬くなってきましたわよ……?」シコシコ

王国新兵2「うああああぁぁぁぁ///」ドピュドピュ!

スカーレット「ふふ、あなたもね……?」クニクニ…

王国新兵3「ふおおぉぉぉぉぉぉ///」ドピュルルル!

スカーレット「あぁ~っ……/// 久々の新鮮な精液ですわぁ……」トローン…




アルフ「」




スカーレット「……あら?」

アルフ「」

アルフの股間「……」

スカーレット「……」ジュルリ…

アルフ「――はっ!?」ゾクリ!



スカーレット「美味しそうですわあぁぁぁぁ♪」シュバッ!



追加特殊判定
↓1コンマ二桁

アルフォンスの貞操危機

74>50

※基準値を上回った為、ギリギリセーフ!

――


アルフ「ぬおおおおおぉぉぉぉぉ!?」バッ!

スカーレット「あらっ?」スカッ…

アルフ「――唸れ聖雷の銀剣よっ!!!」バッ!



ピシャーン!



……



スカーレット「し、失礼致しましたわ。ワタクシとしたことが……」プスプス…

アルフ「はぁっ……はぁっ……」ブルブル…

リーナ「……兄上が王国内で躊躇いなく抜刀された衝撃も霞むほどの衝撃でしたの……///」

アベル「クラウス王は不在なのか……」

スカーレット「え、ええ。席を外していますわ。ですので今の内に精液を補充しておこうかと……///」ツヤツヤ



王国新兵達「「」」ヒカラビ



アベル(可哀相に……)

アベル(……)

アベル(俺もティア相手の時は、ああならないように気をつけねば……)ブルブル…


……


スカーレット「お待たせしました」ドレスチャクヨウ

スカーレット「それでは改めて、ようこそ王国へ」ペコリ

アベル(何事もなかったように……)

スカーレット「それにしても、再び聖国と帝国のトップがいらっしゃるなんて……」

スカーレット「今度は何事なのかしら?」

アルフ(……思わず雷を落としてしまったというのに、平然としている……)

アルフ(以前よりもより強くなったというのか? 私も将として負けるわけには……)ムムム…

リーナ「もうっ! 兄上もアベルも妙な顔で黙らないでくださいな!」

リーナ「コホン! 今日は、王国に聖国の愛の祭りを伝えにきたんですの!」バッ!

スカーレット「あら、愛欲の祭りならまさに今さっき――」

リーナ「よ、欲はいりませんのっ!!! いいですか、愛の祭りとはですね……!」



……リーナ説明中……



スカーレット「まぁ、そんな祭りが?」

アルフ「……一応、赤い薔薇などを贈ることもある」

スカーレット「それも素敵ですわね。でもワタクシとしては……」

スカーレット「やはり、チョコレートの方がいいと思いますわ」

スカーレット「ええ、そうです。まさに今あの子達のお世話になったのですから……」

スカーレット「彼らにチョコレートを振舞うべきですわね!」パン!



王国新兵達「「ス、スカーレット将軍のチョコだってっ!?」」ヨロヨロ…



アベル(な、なんだこの悪寒は……)

アベル(凄まじく嫌な予感、というよりも……)


アベル(――愛液がチョコに投入される未来が見えるっ!!!)ガタガタ…


……

――

――

2スカーレット将軍のチョコ(料理技能を取っていないため、例外的に料理技能として判定)

コンマ44

偶数ゾロ目:100(ワタクシはレディーですのよ? これくらいは当然の嗜みですわよ)

※ゾロ目かつ偶数のため、真面目に凄く美味しいチョコレート!

※お楽しみの最中を目撃してしまいましたが、オンオフはしっかりしている模様

――


……



スカーレット「完成ですわ!」ジャン!

リーナ「早いですの!?」

スカーレット「ワタクシの魔法に我が国の魔道具があれば、時間短縮も可能ですのよ?」

リーナ「むぅ、やはり王国の技術は凄いですの」

アルフ「いや、それよりも……」



深紅のチョコ「……」キラキラ!



リーナ「上手過ぎですのっ!?」ガーン!?

アベル「ま、待て。見た目だけという可能性も……」アセアセ

スカーレット「まぁ、流石にそれは随分な物言いですわよアベル皇子?」

スカーレット「……あなたにも大変お世話になりました。ですので、おひとつお裾分けを」ポイ

アベル「んぐっ!?」








アベル「――う、うまいっ!?」ガガーン!






スカーレット「ふふ、ワタクシはレディーですのよ?」

スカーレット「これくらいは淑女たるもの当然の嗜みですわ!」ホホホ!

リーナ「」

リーナ「」

リーナ「ムネガオオキクテワタシヨリリョウリモウマイ……」ゴゴゴゴゴ…

アルフ「お、抑えろリーナ!?」ガシ!


王国新兵1「しょ、将軍! 俺達にもどうかお恵みをっ!」ハッハッ!

王国新兵2「お願いしますぅ!」

王国新兵3「一口だけ、一口だけ!」

スカーレット「ふふ、焦らずともちゃんと作っていますわ。安心なさい?」

王国新兵達「「「愛の祭り最高だぜ!」」」グッ!




アベル「……一応、広めることはできたな」モグモグ

アルフ「私も先程の侘びということで貰ったが……美味いな」モグモグ

リーナ「……」シクシク

リーナ「目的は達しましたの……一度城塞に戻りますわよ……」

アルフ「あ、ああ……」

アベル(リーナも行動拠点が俺の城塞になっていないか……?)





王国新兵達「「うまうま」」パクパク



スカーレット「ふふ……」

スカーレット「愛の祭り、チョコレートの贈り物……」

スカーレット「聖国には、素晴らしい文化がありましたのね……」





スカーレット「……」

スカーレット「確かチョコレートには媚薬効果もあったような?」

スカーレット「はっ!? つまりやはりそういう祭りなのですねっ!?」ジュルリ!



……


――

アベルがヒロイン達からチョコ貰えていませんが、今日はここまで
まさか遭遇判定で奇数ゾロが来るのは想定外でした(アルフが犠牲になった場合、次はアベルが狙われていました)
アベル甘党化は正直キャライメージ的に逆になったかなーと思っていましたが、そういえば生クリームの件がありましたね
そう考えると、逆にイメージ通りなのか?

本日もありがとうございました!

こんばんはー
それではゆったりチョコレート再開です

――


【アベルの城塞】


リーナ「うぅ……」

アルフ「あまり落ち込むなリーナ。神はあの深紅の令嬢に常識を与えなかった代わりに料理の腕を授けたのだろう」

アベル「どちらかと言えば、ショックを受けたのはアルフの方ではないか?」

アルフ「ああ、この私が寒気を感じたよ……」ブルブル

アルフ「本能的に剣を抜いてしまったが、国交は大丈夫だろうか?」

アベル「俺が同じ目に遭っていたら、俺も有無を言わさず剣を抜いていた自信がある。あまり気にしない方がいいぞ?」

アベル「まああの人も酷い時は酷いが、真面目な時は真面目だからな……」

アルフ「職務に励み過ぎた反動なのか……?」

リーナ「もう、もうあの赤い痴女の話は止めましょうっ!」

リーナ「今はそんなことより、愛の祭りでしてよアベル!」

アベル「あ、ああ……」





マックス「あ、愛の祭りだって……!?///」ドキドキ…



アベル「マ、マックスそこにいたのか。安心しろ、変な意味ではないぞ?」

カイン「まったく、どこに行っていたんだアベル。僕に書類を持ってこさせておいて留守にするなよな?」

アドルラン「ははは! まあその書類をカインは重いからと私に持たせたのだがな!」

アベル「も、申し訳ありません兄様……」

アドルラン「おや、アルフにリーナ君もいるじゃないか。久しいな、今日は遊びに来てくれたのかな?」

アルフ「そうだ。と言いたいところだが、若干違うのだ」

リーナ「突然ですが、あなた達にも愛の祭り知ってもらい、帝国全体に愛を巡らすのに一役買っていただきますの!」

カイン「な、なんだって……?」


……

――

――

……


アドルラン「ほう、聖国にはそんな祭りが……」

カイン「帝国は初代皇帝に絡んだ催しごとしかなかったから、ちょっと新鮮ではあるねぇ」

マックス「愛の祭り……」ドキドキ…

アベル「俺は先に聞かされて、王国に向かっていた次第です」

マックス「え、大丈夫でしたか!?」

マックス「スカーレット将軍が愛の祭りなんて言葉を聞いたら、きっとそれはもう――」

アルフ「はははははははは…………その言葉を早く聞きたかったよ」トオイメ

マックス「あ、手遅れでしたか……」

アルフ「ギリギリで踏み止まったよ。と、とにかくそれは置いておいて……」

リーナ「お二人にもこの祭りを広めて頂きますの!」

リーナ「帝国の三皇子が愛の祭りを積極的に行えば、きっと民も興味を示す筈ですし!」

リーナ「聖国側としても、物資の援助は怠らないつもりですの!」

カイン「ふぅん……」

カイン「ま、純正のチョコレートを聖国から仕入れるルートを作れると思えば、悪くは無いかもね」

アドルラン「民も楽しめる祭りならば、取り入れないわけにはいかないな!」

アドルラン「是非とも参加させて貰おう!」

リーナ「感謝ですわ。あ、それとアベルにはもう聞いたのですが……」

リーナ「あなた達は、どのようなチョコレートがお好みですの?」

マックス「チョコ、チョコかぁ……」


(男性陣判定基準は>>275参照)

3マックス:29(甘いもの?それなら砂糖水をどんどん啜るぜ! カブトムシレベルで甘いものに吸引されます)

4カイン:15(食べられたらそれでいいさ。脳の為に糖分の補給は定期的にしてます)

5アドルラン:40(苦味の美味さがわかる大人の舌。焦げカスだってなんのその)

――


マックス「――チョコは大好きっすね! 砂糖水よりも高級感ありますし!」キラキラ!

カイン「僕はとりあえず腹が膨れればなんでもいいけど……」

カイン「……まぁ、甘いものは好きかな。僕のこの頭脳を活性化させてくれるからね」

アドルラン「むう、そういうものなのか?」

アドルラン「私はどちらかと言うと、苦味が際立っているものの方が美味しく感じるのだがな」

アルフ「ほう、流石だなアドルラン」

アベル(そうか、砂糖水なら唯の水を飲んでいる振りをして糖分をとれるか)

アベル(俺も見栄を張らずにマックスみたいに公言しておけばな……)

リーナ「ふむふむ……」

リーナ「わかってはいましたが、やはり人の味覚はそれぞれですの」

リーナ「全ての人に受け入れられる、そんな平等なチョコレートは作ることはできませんが……」



リーナ――あなた達に、日頃の感謝を込めたチョコを実は作ってきていますの!」バーン!




男性陣「「!?」」



リーナ「さぁ、括目なさい!」ゴソゴソ!



――

――

※女性陣※

コンマ二桁…出来栄え
1:やらかしたぁ!?(料理技能から-25)
2~4:形が崩れたかも(料理技能から-15)
5:出来た!(料理技能直接)
6~8:上手に出来た!(料理技能に+15)
9:完璧な仕上がり!(料理技能に+25)

※コンマ一桁…チョコの味(意中の相手と一致すれば、補正+10)
偶数:大人なビター
奇数:甘ーい♪

偶数ゾロ目:私を食べて♪(???)
奇数ゾロ目:こだわりすぎぃ!(???)

6リーナ:82(料理技能42)+出来栄え補正+15
=57(どうですの? これならちゃんと作れますの! ほんのりビターなお手本チョコ)


――


平たいチョコ「……」ペターン




リーナ「どうです!?」ドヤァ!

カイン「……なんか薄くない?」

リーナ「お、お黙りなさいな!?///」

アベル「確かに俺の知るチョコレートと比べると随分と薄いですが、折角のリーナの好意だ。ありがたく頂きましょう」

リーナ「んんっ! これは、ちゃんと意味がありますの。舌先に乗せて御覧なさい?」

アベル「では……」パク

カイン「……ん?」

アドルラン「なるほど、口の中ですぐにまんべんなく溶けて香りで満たされる仕組みか……」トロリ…

マックス「ほんのり苦いけど……美味しいな」

リーナ「ふふふ、まあこれでも聖国の王女ですからね」

リーナ「流石にチョコレートくらいはある程度のものは作れますの!」エヘン!

アルフ「ふふ……前はもっと上手く作れたと、少し凹んでいたのだがな?」

リーナ「あ、兄上!?///」

リーナ「ら、来年はきっともっと勘が戻っていますの!」

リーナ「ですから……楽しみに待っているんですのよ!?」ビシ!

アベル「ああ、楽しみにさせて貰うよ」

ドタドタ!



アベル「ん?」



クラウス「ア、アベル皇子は!?」ハァハァ!

ネスト「あ、殿下! お久しぶりです!」ハァハァ!


アベル「ネ、ネスト!? それにクラウス王まで!?」

アドルラン「ま、まさかまた王国に緊急事態が!?」

マックス「ま。任せてくださいよクラウス様! 今の俺なら、きっと水天や炎天でも……!」






クラウス「――スカーレット将軍が、帝国と聖国の双方に非常に不躾な真似をしたと聞いて飛んできたのだが……」ゼェゼェ…

ネスト「いやぁ、任務から戻ってくるなりあの人が久々に荒ぶってて肝が冷えましたよー……」ゼェゼェ…



マックス「あー……」

アベル「い、いや……」

アルフ「お気になさらず……」



カイン(一体王国で何があったんだ……)


クラウス「ほ、本当に大丈夫だろうか?」オロオロ

クラウス「何度も言うが、彼女は普段は本当にまともなのだが……」

アベル「大丈夫です、わかっておりますので……」

アルフ「元々は、我々の方から急に城に押し掛けたのです。本当に大丈夫ですので……」

クラウス「そ、そうか。それならば良いのだが……」

ネスト「もしかして、王城に何か届け物でもしたんですか?」

ネスト「城内がえらーく甘い匂いに満たされていましたけど」

アルフ「届け物……そうだな、ある意味ではそうとも言える」

リーナ「端的に言ってしまうと、聖国の愛の祭りを届けに伺ったのです」

クラウス「愛の祭り?」



……リーナ説明中……



クラウス「なるほど、それはいい祭りかもしれないな」

リーナ「よし、手応えありですの!」グッ!

クラウス「貴族の嗜好品とされるチョコレート、これをもっと民にも広められればとは思っていたが……」

クラウス「今ならば、聖国から正規に仕入れるということも可能。これを機に王国にも取り入れてみよう」

クラウス「誰かに感謝の想いを伝える……今の王国に必要なのは、身分差に囚われないそういったものであろうしな」

アルフ「ご入り用の時は、お任せを。優先して陛下に行き渡るよう手配致します」

クラウス「すまないな。しかし、チョコレートか。最近は私も食べている暇が無かったが……」


――

7クラウス:60(少しは見た目も気にするが、大切なのは味さ。カカオの苦味は気が引き締まって好き)

8ネスト:07(何かを食べられるだけで幸せですよ。疲労回復には甘いものが一番!)

――


クラウス「実はこう見えて、私もチョコレートは好きなんだ」

クラウス「あの身が引き締まるような苦味は、一度食べたら忘れられないよ」

アドルラン「おおっ、同志が!」パアァ!

クラウス「なんと、アドルラン皇子も苦いチョコレートがお好みか?」

クラウス「いやいや嬉しいな、なかなか同意を得られなくてね……」

アドルラン「わかります、わかりますよ……!」グッ…!



ネスト「うへぇー……まさか陛下もアドルラン様もビター派ですかー……」

ネスト「俺はチョコレートなんて高級なもんは基本口にしませんけど、やっぱり苦いより甘い方がいいと思うんですよねぇ」

マックス「うんうん、チョコレートは甘くてこそチョコレートってもんですよね?」

ネスト「お、なんだい? マックス君もチョコレートは甘い派かい?」

マックス「そりゃあ勿論! チョコに限らず、甘いものは最高ですよ。砂糖水も大好きです!」

ネスト「あーわかるわかる! いいよね砂糖水! 身体に直に糖分巡ってる感じがするし!」


アベル「見事に味覚が割れているな……」

アルフ「しかし、チョコレートは甘くも苦くもなる。どちらにも平等に変化できるのはやはり神の御業か……」

リーナ「流石に違うと思いますわよ? それよりも……」ポン

ネスト「……え?」

リーナ「砂糖水直接なんて味気ないですの。ちゃんとしたチョコレート、一度は食べてみるといいですわよ?」

ネスト「え、これ……チョコレート?」

リーナ「愛の祭りは、親しい友人にも贈り物をしますの。遠慮なくどうぞ、ですわ!」

ネスト「……う、美味いです……///」モグモグ

リーナ「まぁ、甘さ控えめですからあなたには物足りないかもしれませんけど、そこは我慢して欲しいですわ」

ネスト「い、いえ。俺にまでこんな……ありがとうございます」ペコリ

クラウス「ふふ、愛の祭りか。いいものだな……」

ネスト「ええ、本当に。これは王国でも帝国でも広めたい文化ですね」



ネスト「――ちょっとさっそく第四斥候部隊総出で広めて来ますっ!」シュバッ!


アベル「あ、おいネスト!?」


……

――

――


そして……


迅速な斥候部隊の活動により、まずは王城内に聖国の愛の祭りの話は瞬く間に広まっていくのであった。



……



【帝国王城内・厨房】



キアラ「……よし」

フィーア「アベル兄様に、日頃の感謝の気持ちを伝えられる素晴らしき愛の祭り……」

フィーア「なんだか興奮してきました!」ムフー!

キアラ「すみませんアルフさん、わがままを言って材料ばかりか教本まで……」

アルフ「何、構わぬさ。聖国の良き文化をこうして広められることは、きっと神もお喜びになられる筈だ」

アルフ「それに、きょうだいへの感謝の気持ちを伝えるとあってはな。私も応援せざるをえないだろう?」

キアラ「あ、ありがとうございます!」ペコリ

フィーア「アルフさんアルフさん、その……よければ味のご指導なども頂けると……」チラ…

アルフ「二人は既に十分すぎる程の腕前なのだろう? 私などが口出しする場面も無いと思うが?」

フィーア「その、帝国ではチョコレートは希少でして。私達も作った経験が無いのです」

キアラ「ですから、そこはまさしく本場のアルフさんから御意見をいただければと……」

アルフ「そうか、そういうことなら構わないが……」





アルフ「――私はなかなか厳しいぞ?」ニヤリ




妹ズ「「頑張ります!!!」」バッ!




――

――

9キアラ:77(料理技能100)

コンマ77

 7 7

奇数ゾロ目:こだわりすぎぃ!(???)


10フィーア:24(料理技能100)+出来栄え補正-15
=85(ちょ、ちょっと失敗しちゃったけど大丈夫! 背伸びしたほろ苦ビターチョコに可愛らしいトッピング)

11アルフ:78(チョコレートは神への供物にもなる以上、見た目も大切だ。そしてカカオの風味も忘れることなかれ)

――



フィーア「えっと、湯銭はこれで合ってるのかな……?」ワタワタ

フィーア「アベル兄様に食べて頂くのです、失敗するわけには……」ワタワタ

アルフ「落ち着くんだフィーア。君の手順に誤りはない」

アルフ「ただ、あまり焦り過ぎると……」



フィーア「あ、あぁー……ちょ、ちょっと端っこが……」


ナッツチョコレート「……」ポロ…


アルフ「いや、この程度は全然問題ないだろう」

アルフ「その齢でこれ程とは、流石だな……」

フィーア「えへへ/// ありがとうございます。アベル兄様、喜んでくださるかなぁ」ワクワク

アルフ「ああ、これほど想いの詰まったチョコレートなのだ」

アルフ「それにカカオの風味も残り、砕いたナッツのアクセントもある……アベル皇子が喜ばない筈がないだろう?」

フィーア「わーい!」ピョーン!

アルフ「ふふ……」

アルフ(昔、リーナともこうして作ったな……)

アルフ(来年は私もリーナと共に作るとしよう)

アルフ「さて、キアラの方は……」


キアラ「……」ウーン…


綺麗なチョコレート「……」キラキラ!


フィーア「さ、流石キアラ姉様です!?」

アルフ「こ、これは驚いた。店で売られていても不思議ではない出来栄え――」

キアラ「……違う」ボソリ

フィーア「え?」

キアラ「何かが、違うんです。私が求めているものじゃないといいますか……」

キアラ「何かこう、手作り感が足りない様な……あ、そうか!」ポン!



キアラ「――ちゃんと豆の段階から作ってないからですね!?」



アルフ「」

フィーア「」

妹ズの判定結果まで出したあたりで今日はここまで
偶数の方でなくてよかった反面、違った意味でキアラはハッスルします

本日もありがとうございました!

奇数ゾロで至高の一品てことは
偶数ゾロならば究極の一品か
あるいはやっぱり「私と一緒に食べて」なのかしら

って偶数ゾロ私を食べてって明記されてるし
どう想像してもエリス、シア、ティアの誰かとしか思えない件


ざっと調べた感じだけど豆の段階から作るとなると数年単位でかかるみたいだし、完成するころにはマックスと結婚というか子供がいてもおかしくなさそう

>>315
一応スカーレットさんが魔術で色々やってるし
場合によってはスカーレットさんに伝授して貰って
色々こだわりを見せるんじゃないかな

何度も作っては「これじゃない」と試行錯誤を繰り返しつつ
サクさん「すいません私の図体でも流石にこれ以上は食べられません勘弁して下さい」

そもそもサクはチョコ食べても大丈夫なのだろうか

……とか考えてて不味いことに気付いた
ロウル犬だからチョコ食べたらアカンやん

こんばんはー
少しだけ再開していきます

>>318

ロウル「私は犬じゃなくて、ちょっと狼の耳と尻尾があるだけの女の子ですよ! チョコだって食べれます!」

――



フィーア「ね、姉様? 流石にカカオ豆の段階から作るのはちょっと……」

アルフ「作るというより、まず帝国でカカオの栽培が出来る環境を整え、そこから数年はかかるぞ?」

キアラ「うっ、でもまだ、手はあります」

キアラ「以前にシアさんも実践したそうですが、土魔法の応用で植物を急成長させることは可能なようですから……」

キアラ「そこから同様にカカオも成長させれば!」

アルフ「た、確かに荒業で不可能とは言い切れないが、やはり止めた方がいいだろう」

アルフ「確かに魔法で成長を早める、王国であれば妙な道具を使うなど手はあるが……」

アルフ「天然の物にはどうしても劣ってしまう。永き年月を生き延びてきた証は、そうそう誤魔化すことはできぬ」

キアラ「やっぱり、そうなのですか……」ショボン…

アルフ「……」

アルフ「だが、より濃密な手作りに拘りたいというのであれば、手を貸せないわけでもない」

フィーア「え?」

アルフ「先程、豆の段階からと言っていたが……」ゴソゴソ…

アルフ「正確に言うならば『実』の段階からだろう」カラカラ

フィーア「そ、それは?」

アルフ「これが、カカオの実だ。この中に詰まっているものが、この『豆』になる」コロコロ

アルフ「まあこれは、リーナが念の為に用意していた既に発酵、乾燥も済ませてある物だが」

アルフ「既に、チョコレートのような香りがするだろう?」

キアラ「は、はい」

アルフ「手作りを望むのならば……ここからチョコレートを作るという手段がある、ということだ」

フィーア「や、やった! これなら姉様も手作りチョコを……」

キアラ「……」ゴクリ…

フィーア「姉様?」

アルフ「……聡いな。樹からの栽培は当たり前として、この中間地点から始めるチョコレート作りさえもが苦行と察したか」

フィーア「え、え?」

キアラ「……フィーアちゃん、普通のお豆は食べたことあるよね?」

フィーア「はい、ありますけど……」

キアラ「あれをよく思い出して? 食べているのは柔らかい胚乳の部分……」

キアラ「そしてこのお豆はまだ、固いでしょ?」コツコツ

フィーア「あ、外皮を剥く作業があります!?」ガーン!

キアラ「うん、それに剥いても、小さい胚芽も取らなきゃいけない筈」

アルフ「ご名答。そしてこの外皮はそう簡単に取れるものでもない。じっくりと焙煎する必要がある」

キアラ「そして、外皮を剥けば当然食べられる部分の重さは減っちゃうから……」

フィーア「……チョコレートとして食べられる量を確保するには、相当な量が必要そうです!?」ガガーン!

アルフ「その通り。第一関門として、大量の豆の焙煎及びそこから不要な物を除去する作業があるわけだ」

アルフ「勿論、そこから先も苦行は続くぞ?」

フィーア「ど、どうしましょう姉様?」オロオロ

キアラ「……」

キアラ「……いえ、折角こうしてアルフさんとリーナさんが材料を用意して下さり、手順も教えてくださったのです」

キアラ「――帝国第一皇女キアラ、参ります!」ゴッ!

キアラ「……なかなか表に出せないのならば、せめてこういった物には本当の想いを込めたいですからね」

フィーア「姉様……」

アルフ「ふっ、本当に、大した皇女だ」

アルフ「いいだろう。その心意気しかと受け止めた」

アルフ「これがカカオ豆と手順書だ。困難に挑むものに、神は必ずや祝福を授けてくださるだろう」

キアラ「はい、頑張ります!」グッ!


……


――

――

……


アルフ「……皇女達に想われるアベル皇子は幸せ者だな」

アルフ「しかし、彼女の熱意に押されて一式を渡してしまったが、やはり伝えるべきであったか?」

アルフ「ただ作るだけならば苦行の果てに可能だが、美味に仕上げるとなるとその時間は……」

アルフ「いや、彼女ならばあるいは魔法を応用するか……?」ムムム…

アルフ「……想いを伝えるチョコレートの為に使う魔法か。なんとも平和な魔法ではないか」

アルフ「昨今の戦争用の魔法を研究するより、そういった研究を我らも進めるべきかもしれないな……」

アルフ「……んっ!?」








バーンズ「……」ジー…







アルフ「……そうだな。まずは皇女を狙う不審者を通報する魔法でも作るか」

バーンズ「……! ま、待つのだ聖国の将よ!?」アセアセ

バーンズ「私は断じて、不審者などではない」キリッ

アルフ「その図体に全身黒鎧に兜姿で部屋外から皇女の様子を伺うなど、不審者以外の何者でもないと思うが?」

バーンズ「こ、これは陛下……ギルバート様からの密命だ。他言は無用」

アルフ「密命……?」

――

12バーンズ:53(…………どちらかと言えば、甘いものが好き。絶対に誰にも言えないが)

――



アルフ「……皇女達がチョコレート作りで無茶をしない為の護衛?」

バーンズ「そうだ。元より陛下は、フィーア様のことを気にかけておられたのだが……」

バーンズ「最近では、その才を見抜けていなかったと、キアラ様の動向も気にかけるようになられたのだ」

バーンズ「陛下としてはやはりお二人には戦の才を磨いて欲しいそうだが……」

バーンズ「自分を打ち破ったアベル皇子達についた彼女達の今後も気になるらしく……」

アルフ(皇帝にも、人の血は流れているということか……)

アルフ(いや、これもアベル皇子達が勝ち得たものなのかもしれぬな)

アルフ「それで、代わりに様子を伺っていたと?」

バーンズ「……あくまで、私は影の護衛に過ぎぬ」

アルフ「……」

アルフ「バーンズ、だったか。一つ、確認したいことがある」

バーンズ「……なんだ?」






アルフ「――大天使と化した聖王シュタイナーの右腕を遠距離から一撃粉砕するあの二人に護衛は必要なのか?」





バーンズ「…………」

アルフ「……実は、私もな。かつて皇女二人の護衛役を買って出たことがある」

バーンズ「っ!?」

アルフ「……直後に自分の存在意義に激しく疑問を持たされた」トオイメ

バーンズ「…………我が剣も、未だ道は遠い」ガクリ…

アルフ「……お互い、将位にあぐらをかかず鍛錬が必要なようだな」フゥ…

アルフ「……出来合いでよければ、一粒どうだ?」スッ…

バーンズ「…………いただこう」パク

アルフ(今、兜越しにどこから食べた!?)


……

――

――


……


アルフ「――そういうわけで、特にキアラ皇女の方の熱意は凄まじい」

アルフ「迂闊に彼女のチョコレート作成を妨害すれば、炎槍で貫かれかねんぞ?」

バーンズ「し、しかし陛下の命は……」

アルフ「今言った通りだ。熱心に励んでおられた。そして姉妹揃って高い技術を持っている」

アルフ「報告としてはこれで十分ではないか?」

バーンズ「むう……」

アルフ「しかし、もう元親衛隊帳や皇帝の耳にも愛の祭りのことは伝わっているのか」

アルフ「思っていたよりも早く、祭りの存在だけは帝国に広まりそうだな……」

バーンズ「……」

アルフ「……そういえば、貴殿には愛の祭りで想いを伝えたい相手などはいないのか?」

バーンズ「っ!?」

アルフ「せっかく耳にしたのならば、実践してみるのも悪くないと思うのだがな」

バーンズ「……貴様はどうなのだ」

アルフ「私は今回はチョコレートに疎い者の援護が主目的だからな。それどころではない」

アルフ「それよりも質問を質問で返すな。どうなのだ?」

バーンズ「……」

バーンズ「……い、いるには、いるのだが……///」

アルフ「」

アルフ(冗談のつもりだったが、まさか……!?)

アルフ(こ、この黒騎士が焦がれる相手だと? 少し気になってしまうではないか……!)

アルフ「……良いことではないか」

アルフ「今日の私は愛の祭りの伝道師だ。もしかしたら手助けができるやもしれぬ。案内を頼めるか?」

バーンズ「し、しかし……」

バーンズ「……」

バーンズ「……」スッ…


……


――



――


【帝国・???】


バーンズ「……」ズシンズシン…

アルフ「……」

アルフ(無言で歩き始めたが、迷いのない動き……)

アルフ(おそらくは案内をしているのだとは思うが)

アルフ(こ、この方角はまさか……)ダラダラ…





バーンズ「……ここだ」




【アベルの城塞】




アルフ(……神よ、この者の想いが叶うことは絶無と思ってよろしいのでしょうか?)



バーンズ「……」ジー…



アルフ(そしてまた躊躇いも無く部屋外から熱視線を……)

アルフ(やはり変質者の類ではないのか?)


フワァ…


アルフ(そして部屋の中から漂ってくるこの香りは間違いなく……)


バーンズ「……」ジー…


――

――

13エリス:33(料理技能110)

コンマ33

 3 3

奇数ゾロ目:こだわりすぎぃ!(???)


14アーシャ:57(料理技能90)+出来栄え補正無+アベル好み補正+10
= 1 0 0 (いつも通りにできました。見た目こそダークですけど、中身は甘ーいホワイトチョコレートですよ♪)

15ロウル:86(料理技能80)+出来栄え補正+15
=95(たまには素直に感謝の気持ちを込めて。そして大人になって貰いたいと、悪戯心の苦味も忘れない特製チョコですよ!)


――


アーシャ「ふんふふふんふ~ん♪ なんだか、楽しいですね」

ロウル「ええ。普段のお料理よりも、お菓子作りの方がこちらの気分も盛り上がって来ますね!」

ロウル「やっぱり、この甘~い香りのおかげなんでしょうかねぇ?」

アーシャ「ふふ、出来ました。アベル、喜んでくれるかしら?」


見た目ダークなチョコ「……」ピカアアァァァ!


ロウル「おおう、まるでアベルさんのような真っ黒いチョコですねぇ」

ロウル「でも……」プスス…

ロウル「それ、ちょっと割ったら中身は真っ白なんでしょう?」プルプル

アーシャ「あら、ロウルちゃんにはばれちゃったかしら?」

アーシャ「だって、普通に白いまま渡したらアベルもイメージとか気にしそうだと思わない?」

ロウル「ええ、ええ。わかりますよアーシャさん」

ロウル「アベルさん、多分本当は甘いもの好きだって周りにばれてないと思っていますからね」クスクス

ロウル「他の人はともかく、長いこと一緒にいた私達の目は誤魔化せないっていうのに……」プークスクス…

アーシャ「こらロウルちゃん、笑い過ぎよ? 確かに、見た目の印象とはちょっと違うとは思うけれど」

ロウル「いやいや、でもアーシャさん考えましたねぇ。改めてこのチョコ、本当にいい出来ですもん」

ロウル「見た目悪ぶって真っ黒で、中身は甘々真っ白ってまさしくアベルさんそのものですからねぇ」

ロウル「……さて、アーシャさんがアベルさんを甘やかすなら私はやはりこれですかね?」


見た目ホワイトなチョコ「……」デデーン!


アーシャ「あら、綺麗。でも、今の口ぶりからして……」

ロウル「ええ、アーシャさんと被ってしまいましたけど、私のも同じ仕掛けですよ。中身はまるで逆ですけどね」クスクス

アーシャ「もう、悪戯は程々にしなければいけませんよ?」

ロウル「ええ、わかっています。たまには私だって素直に作りますよ?」

ロウル「しっかり丁寧に想いを込めて作らせていただきました」

ロウル「――大人の苦味にも慣れてくれという想いも入っちゃいましたけどねぇ?」ニヤニヤ

アーシャ(ふふ、そうは言っても中身もそれほど苦くはないのでしょう?)

アーシャ(まったく、ロウルちゃんも優しいんだから……)


ロウル「うーん、でもやっぱりアベルさんなら中身はミルクの方がよかったですかねぇ?」

ロウル「流石に不味いと吐き出されたら私でも傷つきますし」

アーシャ「ふふ、大丈夫。アベルも甘いのが好きなだけで、苦いものが食べられないわけでもありませんからね」

ロウル「まあアベルさんの舌は結構残念というか、大抵のものを受け入れられますけどね」

アーシャ「きっとロウルちゃんの想いも伝わるわ。自信を持って!」

ロウル「そうだと嬉しいですけどね。それにしても……」チラ…




リーナ「」




ロウル「何故か私達がチョコレートを作り始めてから真っ白に固まってしまったリーナさんも気がかりではありますけど……」

アーシャ「ええ、それ以上に……」




エリス「……」


ハート型チョコ「……」キラキラ…


エリス「うぅ、違う、違うんです……!」パク! モグモグ…


純白チョコ「……」ホワイトー


エリス「これも、違う……!」モグモグモグ!


エリス「やはり、アベル様にこの想いをお伝えするには、もっと本格的に作らなければなりません……!」グッ!


カカオ豆「……」ドキドキ


エリス「……以前読んだ教本では、チョコレートの原料はこのリーナさんが持ってきてくださったカカオ豆」

エリス「その中身を炒って不純物を取り除いたものを――徹底的に摩砕したものだった筈です」

エリス「アベル様の為ならば、全力を尽くさねばっ!」ゴッ!



アーシャ「エリスちゃんの熱意が凄すぎて……」

ロウル「あれには流石に勝てそうにないですねぇ……」


――


バーンズ「……」ガクリ…

アルフ「……」ポン…


……

――

相変わらずゾロ率凄いエリスだけど偶数まではとれなかったか
しかしふと思ったがスイートだのホワイトだのミルクだのビターだのチョコの甘さ順ってどうなってるの実際

アベル隊初期ヒロインズまで公開したあたりで今日はここまで
うん、エリスは相変わらずのゾロ目率(白目)
ただ今回は偶数ゾロは躱してくれたため、この後はキアラと共にこだわりの逸品を作ります

偶数ゾロに対して奇数ゾロが弱いと思う方もいらっしゃるかと思いますが、
カカオを豆から作るガチ手作りチョコはまさに地獄の労力で本来ならば常人に作れる代物ではないです(白目)
これはこれで、強い想いを伝える手段と思っていただければ

本日もありがとうございました!

>>332
厳密に言うとチョコレートの種類は三つで、甘さ順の表現ではないです(近年有名メーカーが第四を生み出したりしていますが)

ホワイト……カカオ成分は搾ったカカオバターのみ。それに加えて粉乳等なので白くて苦味も無い甘い仕上がり
ミルク……カカオマス+全粉乳等のミルク成分の混成。そのため苦味も色の濃さも控えめ
スイート……カカオマスが主原料でミルク成分を含まない。苦味も色味も最も濃いものです

このスイートが、より苦いものになったりすると
セミスイート、ビター、ブラック、ダーク等色々な呼ばれ方をすると思って大丈夫です
スイートは苦味が控えめなタイプもあるので、今回はビターの表現を使っています

カカオ70%は然程苦いと思わなかったけど80%になった途端に苦酸っぱい感じだったことあるし、10%でそんな変わるもんなのかと思ったがやっぱ豆の違いが大きいんかな

こんばんはー
亀更新で本当に申し訳ないですが、ちょっとだけ再開です

>>338
カカオ○○%という表記はカカオバターの含有率も込みでのものですので、
極端な話、カカオバター70%のホワイトチョコもカカオ70%チョコとして表記できます
似た%でも味が違うのは、カカオマスとカカオバターの割合が違うのが原因です

――

……


バーンズ「……」トボトボ…

アルフ(まさか、この男が彼女に焦がれていたとは。私の目を持ってしても見抜けなかったぞ……)

アルフ(流石の神も、不可能は存在する。別の女性を探すことだな)

アルフ(しかし、チョコを作っているのは彼女達だけか? シア達の姿が見えないが……)


――


エリス「流石に、道具も必要そうです。ちょっと、王城の厨房を借りて来ますっ!」バッ!

ロウル「おおぅ、流石エリスさん。思い立ったら突き進みますねぇ」

アーシャ「……そう言えば、シアさん達も王城の方で作っているって聞いたけど?」

ロウル「ここにリーナさんがいる時点で察してあげてください」

アーシャ「あ、あぁー……」

ロウル(まあ、前はアーシャさんの胸にも激怒していたことを考えると……)

ロウル(リーナさんも少しは大人になれたんですかね?)

リーナ「」

アーシャ「……それなのに、どうして固まっているのかしら?」

ロウル「んー、多分アーシャさんのチョコが凄い出来栄えだからじゃないですか?」

ロウル「元々リーナさん、チョコの指導役でこちらに来られたみたいですし」

ロウル「確か、王城の方にはキアラ様達にはアルフさんがついて、そして――」


……


――

――


【帝国王城・第一厨房】


マークス「――こうして、しばらく冷暗所で冷やし固めれば出来上がりだ!」

マークス「待ちきれないという子は、結界の中で冷やすと効率がいいぞ!」


ヒバリ「なるほどなるほど……」フムフム

ルーシェ「か、簡単そうで、難しい、です……」カタカタ…

エメリナ「最初から難しいですよぉ……!?」

アイナ「えへ、えへ……ローズさんに、ハート形のチョコを……♪」トローン

スミレ「……アイナさん、まずは基本を作れないと応用は難しいと思いますよ?」


マークス「その通り。拘り始めると止まらなくなるのがチョコレートというものだよ」

マークス「完璧なチョコレートを探す道は、まさしく神への道とも言えるが……」

マークス「それでも、挑まねば始まらない!」グッ!

マークス「さぁ、恐れずに挑戦だ!」


一同「「はい!!」」


アイナ(ローズさんを驚かせるために、本場の人を呼んだ甲斐があった!)

アイナ(今の説明で手順は理解できた……! これで、美味しいチョコを作って……えへへ///)

ヒバリ(アドルランの為に……!)ゴゴゴ…!

エメリナ(カイン様に、美味しいチョコレートで糖分補給をしていただかないと!)ワタワタ


ルーシェ「み、みんな燃えています……」ブルブル

スミレ「……アイナさんの顔が緩みっぱなしなのが気になります」


――

16マークス:18(神の食べ物を口にできる、これだけで幸せさ! 苦味と酸味の良さを知る通)

17ヒバリ:94(料理技能41)+出来栄え補正+25+アドルラン好み補正+10
=76(積もり積もった愛のなせる技! 頑張って作り上げた汗と涙の結晶ビターチョコ)

18ルーシェ:34(料理技能80)+出来栄え補正-15+アドルラン好み補正+10
=75(緊張しすぎたかも……それでも、感謝の想いはたっぷり詰まったビターチョコ)

※ヒバリ、執念のルーシェ越え!

――

ヒバリ「全力でええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!」ガガガガガガガ!

ルーシェ「た、ただ溶かすだけじゃ駄目で、温度を細かく変えて……」ワタワタ

ヒバリ「こ、これでどうだああぁぁぁ!」ターン!


立派なビターチョコ「……」ジャジャーン!


ルーシェ「ヒ、ヒバリさん凄い……!?」

ヒバリ「へへ、いつもルーシェに頼っちゃうけど、こればかりはね……」ハァハァ…

ヒバリ「我ながら頑張ったけど、もっと頑張らなきゃ!」

ヒバリ「努力しない女は、アドルランに相応しくないからね///」

ルーシェ「うぅ、私も、もっと、頑張らないと……」ショボン

ヒバリ「んー、横から見てたけど、珍しくルーシェ意外と湯煎で焦ってたよね?」

ルーシェ「お湯がもし、入っちゃったら、どうしようかと不安で不安で……」


立派なビターチョコ「……」デデーン!


ヒバリ「……それでいて全力以上を出した私のチョコと遜色ないのが若干悔しい」ガクリ

ヒバリ「ま、でも今日に限ればルーシェに追いつけたって思っていいかもね!」ホクホク!

マークス「うむ、見事な頑張りだったよ!」

ルーシェ「私、も、今度は、もっと上手く、作ります!」

マークス「その意気だ! 何事も鍛錬の継続が大切だからね」

ヒバリ「ご指導色々ありがとうございます。おかげで、なんとかアドルランに食べて貰えそうなものが作れました!」

ルーシェ「苦味、これくらいで、よかったです?」

マークス「私はもう少し苦いものが好きだが、多くの人に受け入れられるのはそのくらいだと思うよ」

ヒバリ「あ、マークス神父も苦いもの好き?」

ルーシェ「アドルラン様も、苦味がお好き、です……」

マークス「ほう、そうなのか。時間があれば、語り合いたいものだね」

マークス「アルフ様も苦味に理解を示されるお方だ。折角だしお呼びした方がいいかな?」

ヒバリ(……身体を鍛えている人はみんな苦いの好きになるのかな?)

ルーシェ(三人とも、同い年で、鍛えてて、苦いもの好き……凄い偶然、です……)





モ゛モ゛モ゛モ゛モ゛……



キャー!?



ヒバリ「うっ、この臭いはっ!?」バッ!

ルーシェ「に、苦い、です……!?」バッ!

マークス「これは、まさか……」



――

19エメリナ:12(料理技能20)+出来栄え補正-25
= 0 ( 暗 黒 物 質 降 臨 ! 愛も全ての壁を乗り越えられるわけでもない)

20アイナ:28(料理技能70)+出来栄え補正-15
=55(ちょっと雑念が入っちゃった……それでもちゃんと形にはした、大人向けチョコレート)

21スミレ:76(料理技能70)+出来栄え補正+15
=91(きっちりと仕上げてこそローズさん直属メイド。見た目も味も高水準の本格チョコ)

――



焦げ続けるチョコ「……」ブスブス…



エメリナ「うわあああぁぁぁぁぁん……!」シクシク

アイナ「エ、エメリナちゃん落ち着いて!? あぁ、湯煎のやり方間違えちゃったのか……!」


茹ったチョコ「……」ホカホカ…


スミレ「アイナさんっ! アイナさんのも温度が高すぎてちょっと危ないですよ!?」

アイナ「うわああああぁぁぁぁ!? 夢想している間に温度がぁ!?」ワタワタ

スミレ(お、落ち着くんだ。……まず焦らずボクのは一回ボウルを外しておいて、と)ストン

スミレ「か、可能な限り手助けはしますけど、これは……」



暗黒物質「……」ズモモモ…



スミレ「まるで黒帝竜の鱗のようだ……」

マークス「むぅ、どうやら失敗してしまったようだね」

エメリナ「うわあぁぁぁぁん……カイン様、ごめんなさい~……!」


マークス「……」スタスタ

暗黒物質「……」

マークス「ちょっと失礼するよ」パク

一同「「!?」」

マークス「うーむっ、苦いっ! 昔私が作ったものと甲乙つけがたいな」

茹ったチョコ「……」

マークス「ん、こちらはまだ大丈夫そうだね。形を整えれば全然平気だと思うよ」

アイナ「は、はいすぐに!?」ワタワタ

マークス「よし、それではエメリナ君は今度はもう少し甘いチョコを作ってみようか」

エメリナ「え……?」

マークス「誰だって失敗はするものさ。ましてや初めて挑むことはね」

マークス「いや、懐かしい味だった。私もかつて同じ失敗をして、神から御怒りを受けるのではないかと震えたものだ」ハハハ!

マークス「しかし神はお怒りにならず、私に次の機会を与えてくださった」

マークス「それからも失敗は続いたが……今ではこうして、君達に教える程度にまでは上達できたんだ」

マークス「さあ、まだ材料はある。大切な人がいるなら、挫けずに挑戦あるのみだ!」

エメリナ「は、はいっ……!」

ヒバリ「ふふ、私達も手順の再確認も兼ねて手伝うからね」

ルーシェ「お手伝い、です」

アイナ「わ、私も自分の分はなんとかなったから手伝うよ!」

スミレ「勿論ボクも。大切な人に贈り物をしたい、その気持ちはみんな同じです」

エメリナ「み、皆さん……!」ジーン…


売り物のようなチョコ「……」シャラーン!


アイナ「で、なんでスミレちゃんだけそんな上手くいってるの!?」ガーン!

マークス「うむ、実に見事な出来栄え! これは私も教えを乞いたいな!」

エメリナ「お願いしますっ!」ズザー!

スミレ「えええええぇぇぇぇぇぇ!?」ワタワタ


……


――

――

【帝国王城・第二厨房】



パトラ「な、なんだか隣りが賑やかな気がしますね……?」

シア「ん~、でも何かあっても、あちらにはマークス神父がいらっしゃいますし~」

シア「きっと大丈夫ですよ~」ポヤポヤ

ティア「そ、それにしてもよろしかったのですかパトラさん……?」

ティア「確かに、私もシアさんも聖国出身者で、チョコレートも知ってはいますけど……」

ティア「元々は神の食べ物。恐れ多くて、私はあまり作成経験がないのです……」

シア「私もですね~。どちらかと言うと、焼き菓子の方が得意です~」

シア「美味しいものをアベルさんに差し上げたいなら、もっと適任者がいると思いますよ~?」

パトラ「……いえ。私はその、なんと言いましょうか……」

パトラ「りょ、料理が、苦手でして……///」

パトラ「アーシャさんに以前ご指導いただきましたけど、ものに出来なくて……」ガクリ…

パトラ「でも、誰かに教わりたいという欲も残っていまして……///」

パトラ「その、大変心苦しいのですが……シアさんとティアさんなら、駄目な私でも笑って許してくれるかな~って……」

パトラ「す、すみません! 騎士にあるまじき思考ですよね!?」ガバッ!

シア「い、いえいえ~!? 大丈夫ですよ~!?」ワタワタ

ティア「わ、私なんかでよろしければ、いくらでも!?」ワタワタ

パトラ「あ、ありがとうございます……っ!」

シア「よ~し、そういうことなら頑張りますよ~!」

シア「アベルさんとパトラさんのためにも、美味しいチョコレートを作りましょう~!」

ティア「幸い、追い出されこそしましたけどリーナ様から材料はたっぷりお預かりしています……!」

パトラ(日頃の想いを伝える、この祭り……! ここで諦めるわけにはいかない!)

パトラ「今日こそは、克服してみせます! いざ、勝負ですチョコ―レートッ!!!」ガッ!


――

22シア:47(料理技能59)+出来栄え補正-15+アベル好み補正+10
=54(お菓子作りは得意だった筈だけど、ちょっと失敗。でも人柄のような甘くてまろやかなミルクチョコ)

23パトラ:44(料理技能23)+???

コンマ44

 4 4

偶数ゾロ目:私を食べて♪(???)

     D A N G E R ! ! !


24ティア:40(料理技能71)+出来栄え補正-15
=56(色々考えていたら、少し失敗しちゃいました。聖国流でカカオの苦味もがつんと来る大人仕様)

――



――聖国の敬虔なるシスター達はただただ驚いた


――慣れない手作りチョコレート

――大切な人に渡すのに、ちょっと失敗してしまったかも?

――そんな不安が吹き飛ぶ程の……





パトラ「きゃああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」




――ボゴァっと、チョコレートがあり得ない音をたてて破裂した


――そして、至近距離からそれを浴びてしまった王国騎士の姿を見てしまった、その時。




ティア「……そ、その手がありました……!?」

シア「え?」


パトラ「ううぅぅ……!?」ベトベト…


一人は何かを呟き、もう一人は疑問符を浮かべ。
そしてチョコに塗れてしまった当人は、それどころではなかった。



……


――

問題の判定結果を公開したあたりで、今日はここまで
……うん、どうしよう一番真面目な人に凄いのが当たっちゃった(白目)

この後の予定なのですが、残っている大人組判定結果→各人へのチョコ→こだわりすごい約二名→パトラパート
となっています。人物が人物なので、おそらく後日アベルかパトラの行動安価を出すかと思います……

本日もありがとうございました!

こんばんはー
間が空いてしまいましたが、今日も少しだけ再開です

――


……


パトラ「うぅ、何故こんなことに……」フキフキ…

シア「だ、大丈夫ですかパトラさん~?」

ティア「……」

パトラ「やはり、火力が強すぎたのでしょうか?」

シア「チョコレートを溶かすのに、あれほどの火力は必要ないですよ~……」

ティア「……」

パトラ「……ところでティアさん?」

ティア「は、はい!?」

パトラ「先程、この手があったと呟かれてませんでしたか?」

シア「あ、私も聞きました~。どういう意味ですか~?」

ティア「……チョコレートは、帝国では高級品なんですよね?」

パトラ「うっ……すみません、貴重品を粗末に扱ってしまって」

ティア「い、いえ。ですから、逆にそれが妙手と言いますか……///」ゴニョゴニョ…

シア&パトラ「「?」」




ティア「――チョコを身体につけてアベル様に迫れば、もったいないと舐めて頂けるのではないかと思いました///」





シア&パトラ「「」」



パトラ「」

パトラ「」

パトラ「――はっ!? あまりの内容に意識が!?」

パトラ「な、何を言っているんですかティアさん!?」

シア「ティアさん、それは恥ずかしいですよ~……///」

ティア「で、でも想像してみてくださいっ!」

ティア「まず、アベル様はもったいないと舐めてくれて……」

ティア「チョコを零す位置を変えればその場所は自由自在で……///」

シア「……」ゴクリ…

ティア「舐め終わったら、物を粗末にする私は悪い子だと叱られて……///」

ティア「アベル様に――お仕置きをされてしまうかもしれません///」ポッ…

シア「……ぞ、ぞくぞくしてきました~……」ゾクゾク!



ダン!



シア&ティア「「ひゅいっ!?」」ビックゥ!



パトラ「――何を言っているのですか、あなた達は!?」

ティア「だ、だって……パトラさんもきっと……」ワタワタ

パトラ「っ…………私も、まるで欲を持っていないとは言いません」

パトラ「ですが、これは感謝を伝える祭りなのでしょう?」

パトラ「自分の欲ばかりを考えて、肝心のアベルさんへの感謝を忘れては意味が無いとは思いませんか?」

ティア「うっ……その通りです……」シューン…

シア「ごめんなさい~……」シューン…

ティア「よく考えたら、私達は特に神からお叱りを受けてしまいそうです……」ブルブル…



パトラ「……ま、まあ私はその肝心のチョコが作れもしていないのですが」ガクリ

パトラ「これではどの道アベルさんへの想いが……」

シア「ん~……この炸裂具合を見るに、もう一回同じことが起こらないとも言い切れませんね~……」

ティア「あ、それならお花を贈るのはどうでしょう?」

パトラ「花、ですか?」

シア「このお祭りは、チョコに限らずお花を贈る人もいるんですよ~」

パトラ「……不甲斐ないですが、私はそちらに切り替えた方がよさそうですね」

シア「私、いいお花屋さん知ってますよ~。さっそく行きましょう~!」

パトラ「しかし、それではシアさんとティアさんのチョコレートが……」

ティア「だ、大丈夫です。ちょっと気を取られて失敗してしまったかもしれませんけど……」

シア「アベルさんへの想いはちゃんと込めましたよ~」

シア「アベルさんが喜んでくれそうな甘くて甘くてとろとろなミルクチョコです~♪」

ティア「聖国が誇る苦味のしっかり効いた、アベル様にぴったりな特濃ビターチョコです!」


シア「――え?」

ティア「――え?」


シア「だ、駄目ですよティアさん~!? チョコは甘くてこそチョコですよ~!?」

ティア「な、何を言っているんですかシアさん!? カカオの芳醇な香りこそが神の奇跡! シアさんは堕ちてしまわれたのですか!?」

シア「チョ、チョコを身体に塗ってアベルさんに迫ろうなんて考えの方が堕ちていますよ~!?」


ワーワー!


パトラ「……」ペロ…

パトラ(甘い……)

パトラ(……)

パトラ(アベルさんが、舐めてくれる……? そして、そのまま……)ゾク…

パトラ「っ……いけませんいけません!///」ブンブン!

パトラ「貴族たる者、甘い物にも言葉にも惑わされてはなりません!」

パトラ「……」

パトラ「さあ、花屋への案内をお願いします!」

ティア「は、はいっ!?」


……


――

――


【帝国・鍛錬場】



ギルバート「ぬぅん!」ブオン!



ローズ「……こんな時でも鍛錬とは、流石だワ」

ギルバート「……ローズか」

ギルバート「こんな時、とはどういう意味だ?」

ローズ「もう耳には入っていらっしゃるでしょう?」

ローズ「聖国の伝統だったという、愛の祭り……」

ローズ「あの子達ったらすっかり張り切っちゃって。アタシも王城から半ば追い出されたのヨ?」

ギルバート「……我には、関係のないことよ」

ローズ「バーンズを使いに出しておいてよく言えるわネ? 天使達の事が気にならないとは言わせませんヨ?」

ギルバート「……」

ギルバート「……我は、フィーアはやがては我が喉元に刃を突き付けられる強者になると思っていた」

ギルバート「そして実際に、あやつは我の想像以上に成長していた」

ギルバート「だが……それはキアラやアベル達にも言えることであった。無価値と思っていた子が、あれほどの力を持っていたのだ」

ローズ「……」

ギルバート「……我は今も実力主義を違える気はない。しかし……」

ギルバート「……我らが目は、子供達の力を見抜けなかった。曇りきっていたのだ」

ギルバート「あの戦いに敗れ、しかし我はこうして生かされ……その後も、海の恐ろしさなども知らされた」

ギルバート「…………少しばかり、世界を広く見てみようと。そう思っただけにすぎぬ」フイッ

ローズ「フフ……ならば尚の事、この愛の祭りに参加されてはいかがです?」

ギルバート「……世迷いごとを。この祭りとやらは、我には最も縁遠いものであろう?」

ローズ「そうでもないと思うワ。ほぉら……」

ギルバート「?」



タタタタ!



フローレン「あなたぁ、ちょっと聞いてくれるかしらぁ!?」

ギルバート「フローレン? 何を慌てておる」

フローレン「慌てるわよぉ!? 聖国が何のつもりか知らないけど、祭りの文化を伝えてきたのは知ってるわよねぇ?」

ギルバート「……うむ」

フローレン「チョコレートの原料が神の食べ物だなんだとか、そんなのは全然興味ないけどぉ……」

フローレン「なぁんで、広める為に持ち込まれた材料のほとんどがアベル達のところに固まっているのよぉ!?」

ギルバート「アドルランはいずれ皇帝となるだろう。その弟であるカインとアベルも同地位と考えられれば当然ではないか?」

フローレン「チョコレートといったら高貴な食べ物、高貴と言ったら私でしょぉ!?」プンプン!

フローレン「乗り込んでやったら、なんでか真白くなっていたエカチェリーナ王女から、結構譲られたから今回は許してあげるけどぉ……」

フローレン「贅沢なものねぇ聖国も。庶民も王族も揃ってチョコレートを作ったり贈ったりだなんて……」

ギルバート「……」



ノワール「……そうやって文句を言いつつ、嬉々としてチョコレートを作ると言い出したのは、どこの誰ですか?」スッ…



フローレン「ノ、ノワールッ!? べ、別に私はこんな聖国のお祭りに興味なんてなかったんだけどぉ?」

フローレン「あ・な・た・がっ! ギルバートにチョコを作るなんて先に言ってるのみたら、無視できるわけないでしょぉ!?」

ギルバート「!?」

ノワール「そういうお祭りなのでしょう? どこもおかしくはないと思いますよ?」



フローレン「おかしいわよっ!? あ、あなたやっぱりまだこの人の隣を狙っているのね!?」

フローレン「他はともかく、ここだけは絶対に死守させてもらうから覚悟なさぁい!?」バチバチ!

ノワール「ふぅ……ギルバートのことはあなたもよく知っているでしょう?」

ノワール「私ではこの人の横には立てないし、この人もそれを許さない。でしょう?」

フローレン「そ、それはそうだけど……」

ノワール「……それでも、私は私個人として。この人には色々と感謝をしているの」

ノワール「普段は伝えられない、伝えることも許されないから。今日だけ、ね……」スッ…

ノワール「……ギルバート、拙いものだけど受け取って貰えるかしら?」

ギルバート「……っ」

ローズ「フフフ、だから言ったでしょう? これでギルバート様も立派な愛の祭りの参加者ネ!」

ギルバート「ぬ、ぬぅ……」





フローレン「ま・ち・な・さああぁぁぁぁぁぁぁいっ!」ダァン!





ノワール「……そうでしたね。ごめんなさいフローレン」スッ…

ノワール「正妻のあなたを差し置いて先に渡すだなんて、なっていませんでした」

フローレン「そ、そうよぉ。今日はものわかりがいいみたいねぇノーワルゥ?」

フローレン「と、いうわけであなたぁ?」

フローレン「私のチョコレートを先に食べてちょうだぁいっ!!!」バッ!


ギルバート「…………」ゴクリ…




――

――


25:09フローレン(料理技能04)+出来栄え補正-25+ギルバート好み補正+10
= 0  ( 暗黒物質再来! まともな料理も作れない人が、いきなりお菓子作りなんて無謀の極み!)

26:95ノワール(料理技能85)+出来栄え補正+25+ギルバート好み補正+10
= 1 2 0 (ただただ丁寧に作りました。 飾らず甘さも程よいチョコレートは、きっと王国でも高値で売れます)

27:21ギルバート(昔から見た目は気にしない主義。だが年中酷使している身体は密やかに糖を求めている)

28:21ローズ(一人前のレディーは好き嫌いなんてしない。でも、やっぱり女の子ですもの、どっちかなら甘い方がいい)


――

カパ…



アビスチョコ「……」ズゴゴゴゴゴゴ!



ローズ「ごぶぉ!?」

ギルバート「ぬぐぅっ!」


フローレン「ふふ、凄いでしょぉ? さ、遠慮せずに食べてあなたぁ?」アーン♪

ギルバート「……」タラリ…

ギルバート「…………」





ギルバート「――我は退かぬっ!!!」バクゥ!




ギルバート「――――ッ!!!」




ギルバート残耐久:27



ギルバート残耐久:20




……



――

――



ギルバート「わ、我は倒れぬ……」ハァハァ…

ローズ「……男だワッ!」ウルウル…

フローレン「ああっ♪ いくら美味しいからってそんなに感動で身体を震わせてくれるなんて……!」

ギルバート「……」

アビスチョコ「……」

ギルバート「……」ムンズ!

ギルバート「……聖国の祭りならば、それに法ってみるとしよう」

ギルバート「奴らの精神は――平等に分け合うだったか?」ズボッ!

フローレン「――!?」ビクン!?

フローレン「」ブクブク…

ローズ「……起きたらきっと記憶は飛んでいるわネ」

ギルバート「何故、こやつの料理の腕は上達しないのだ?」

ローズ(……分かっていながらそれを食べるというのも、なかなかできない真似だと思うわヨ?)



ノワール「……ギルバート」スッ…

ギルバート「むっ……」

ギルバート「……」

ギルバート「……頂こう」パク!

ギルバート「――っ!!!」

ノワール「ど、どうかしら……?///」ドキドキ…

ギルバート「……一粒だけなのか?」

ノワール「! いえ、まだあるわ。お気に召したなら、どうぞ?」ニコリ

ギルバート「……」パクパク…

ギルバート「……」



ギルバート「……悪くない」ボソリ…



ローズ(ふふ、それはノワール様のチョコの味?)

ローズ(それとも、このお祭りそのもの?)

ローズ(……アタシも今度は、あの子達に作る側になろうかしら?)


……


――

大人組の判定結果を公開したあたりで今日はここまで
フローレンは本当にコンマの呪いでもかかっているのかってくらいノワールに負けること多いなぁ……
多分、泳ぎと歌以外ではズタボロに負けています(白目)

この後は拘り組とパトラさんの予定です
おそらく明日か明後日に、パトラ自由安価を出すと思いますので、ご参加いただける方はよろしくお願いします
(パトラは花を購入しますが、結局チョコ絡みの方に手を出すのは確定しちゃってます
 ので、その程度やアベルの反応等の安価になります)

こんばんはー
すみません、今日の更新はお休みです……
そして少し早いですが、パトラ安価を募集しようと思います
(なお、必ずしも全裸にチョココーティングとかである必要もありません)

自由安価
↓1~4コンマ二桁(アベルからもOK。混ぜれそうなら混ぜます)

下手に自分の腕ではうまく作り直すのは厳しいとはんだんし
マークス神父辺りに協力してもらいフォンデュ状のものを用意
パンなどを用意しておいて召し上がれと渡そうとして
邪念が混じり敢えて自分に幾らか垂らしてしまう
汚さないようにという思いに更なる邪念が混じり
アベルに汚れをとってほしいと思わず言ってしまったが最後
エリスとの生クリームプレイを思い出したアベルの理性が
地平線の彼方に吹き飛びそのままprprからガッツリ本番へ

こんばんはー
他に案も出ていないので、安価が埋まり切っていませんが
>>378さんベースで話を考えようと思います
そして少しだけ再開です

――



……


【帝国・街道】



パトラ「……」

パトラ(シアさんとティアさんのおかげで、確かに綺麗な花束は手に入りました)

パトラ(でも……)

パトラ(二人に限らず、多くの人がチョコレートを作り、大切な人に贈ろうとしている)

パトラ(そんな中で、私だけが花というのは……敵前逃亡なのではっ!?)

パトラ(確かに私は、料理が苦手です。でもだからと言って、逃げたままでいいわけがない!)グッ!

パトラ(……こうして、アベルさんに最低限の想いは伝えられる花が手元にあるのです)

パトラ(また失敗するとしても……それでも、まだ時間は残されている)

パトラ(今一度、挑むべき……! 今度は、火力を落とせばきっと……!)

パトラ(王城の厨房をお借りしてこっそりと……)






――チョコを身体につけてアベル様に迫れば、もったいないと舐めて頂けるのではないかと思いました///――





パトラ「!?///」ボッ!

パトラ「な、何を私は……!?」

パトラ「いけません、いけませんよ……! 貴族はそんなはしたないことしません!」ブンブン!

パトラ「きっと、私が上手く作れなかったのもこの邪念のせいだわ……」

パトラ「今度こそ、清い心でせめて食べられるチョコレートを作ってみせるっ!」ググ!



……


――

――

【帝国・特別厨房】


パトラ「……」コソコソ…

パトラ(もしかしたらシアさん達も戻ってきているかもしれませんからね……)

パトラ(さっきとは違う場所を借りないと……)

パトラ(……あら?)




キアラ「あれ? エリスさん?」

エリス「キアラ様? 何故こちらに……」

キアラ「……」E:カカオ豆

エリス「……」E:カカオ豆

キアラ「どうやら、目的は同じようですね」

エリス「そのようですね。アベル様の為に、妥協は許されませんから!」ムフー!

キアラ「ふふ、エリスさんは本当にアベル兄様を想われていますね。私まで嬉しくなってしまいます」

エリス「アベル様がいてこそ、ですから。キアラ様もアベル様……いえローズさんのためでしょうか? 妥協を許さないその姿は流石です」

キアラ「……ええ、私も大切な人にはしっかり想いを伝えたいですから」ニコリ

キアラ「とはいえ、アルフさんよりこの道が困難であることはよく聞かされています」

キアラ「エリスさん、よろしければお手伝いをお願いしても?」

エリス「ええ、私でよければ喜んで。絶対に、美味しいチョコレートを作りましょうっ!」グッ!



パトラ(え? お二人とも、豆の入った袋を担がれていますけど……)コソコソ…

パトラ(な、何が始まるんです……!?)


……

――

――


【ステップその1・焙煎】


キアラ「さて、ではまずはこの豆を……」ザザー!

エリス「焙煎していくんですよね?」ザザー!



カカオ豆「……」コンモリ…



キアラ「……」

エリス「……」

二人「「た、大変ですねこれは……」」

エリス「で、ですが挫けませんよ! 炒り切ってみせます!」


……


キアラ「……」ジリジリ…

エリス「……」ジリジリ…

キアラ「これは、いけないですね……」ジリジリ…

エリス「はい、この所要時間だとこの後が……」ジリジリ…




フローレン「――相変わらず、鈍間ねぇキアラ?」



キアラ「え、お母様!?」ビク!

エリス「!?」


パトラ(えぇっ!?)サッ…


フローレン「よくわからないけど、手の込んだチョコレートを作ろうとしているんでしょぉ?」

キアラ「は、はい……」

フローレン「ふぅん……」

フローレン「――面白いじゃない」

フローレン「こんな大元から作れば、ノワールのチョコにだって勝てるはずよねぇ……!」ゴゴゴゴ!

フローレン「いいわ、手を貸してあげる。どうすればいいか教えなさいキアラ?」

キアラ「えっと、その……」

エリス「……キアラ様、よろしいのですか?」

フローレン「……」

フローレン「はやくなさぁい? あなたも……料理の才能はあったって聞いたわよぉ?」

フローレン「――本当にそうか、お母さんが見極めてあげるわぁ」

キアラ「は、はい!」グッ!

キアラ「でもまだ、豆に火を通している段階でして……」ジリジリ…

フローレン「はぁ、そんなやり方じゃ時間がかかって当然でしょぉ? こんなものはねぇ……!」ゴゴゴゴ!

キアラ&エリス「「!?」」


――『黒岩の城塞』発動――

――『緋炎の大海』発動――


黒岩竈「……」メラメラ…

フローレン「大きな竈でまとめてざーっと焼いちゃえばいいのよぉ!」

キアラ「な、なるほど……!?」

エリス「魔法の組み合わせでこんな……お見事です」

フローレン「ふふーん、私を誰だと思っているのぉ?」

キアラ「……で、でも今ので備え付けの台が幾つか吹き飛んじゃいましたよ?」

フローレン「……いいのよぉ! どうせもう私のお家じゃないんだしぃ!?」


フローレン「とにかく、あとはこれを焼き尽くせばいいのよねぇ?」

キアラ「あ、お母様、違います違います!?」ワタワタ

フローレン「何よぉ?」

キアラ「この工程は焙煎、香ばしく焙るのです」

エリス「焼き尽くしたら、食べられなくなってしまいますよ?」

フローレン「ふ、ふん。このぐらいは知っていた様ねぇ。あなたをちょっと試しただけよぉ……?」

フローレン「……さ、この私が準備をしてあげたんだから、次はあなたが頑張ってみせなさぁい?」

キアラ「は、はい!」

エリス「キアラ様、お手伝い致します!」


黒岩竈「……」


キアラ「このまま豆を入れると炭になっちゃうから……」

エリス「キアラ様、この鉄板などが手頃かと。ここに豆を並べましょう」ザザー…

キアラ「それじゃあこれを竈にいれて……火力は抑えて、中級火炎魔法!」ボッ!

エリス「いい火の具合です! この感じならば、30分くらいでしょうか?」

フローレン(え、そんなに時間かけるのぉ……!?)


……30分後……


焙煎豆「……」フワァ…

キアラ「うん、いい仕上がりですね!」

フローレン「あら、本当。もうなんかいい香りがするわぁ……」

エリス「それでは、次に移りましょう!」


【ステップ2・外殻と胚芽の除去】



キアラ「いい香りで俄然やる気がでてきますね!」ワクワク!

フローレン「で、次はどうするのかしらぁ?」

キアラ「えっと……」




キアラ「――焙煎した豆、その全ての殻と胚芽を除去します」



フローレン「……え?」

焙煎豆「……」コンモリ

エリス「焙煎が思ったよりも早く終わりましたし、ここも一気に駆け抜けましょう!」

エリス「――お料理にも魔法は使える。それならっ!」コォォォ!

――黒煌状態移行!――


エリス「斬り崩しますっ!」バキィ!


豆外殻「」カンツウハカイ!

エリス「うん、剥きやすいですね。次は……」

胚芽「……」


――追撃優勢!――


エリス「――これも手早く排除です!」

胚芽「」ブチィ!


コロコロ…


綺麗なカカオ豆「……」キラキラ


キアラ「す、すごいエリスさん!? なんて速さ……!」

フローレン「」

フローレン(な、なによこの子ぉ……)

フローレン(アベルの犬かと思えば、とんでもない怪物じゃない……)


バキバキスパーン!

バキバキスパーン!


……


――

――




【ステップ3・摩砕】


綺麗なカカオ山「……」コンモリ…

エリス「ふぅ、流石に数が多かったですね……」

キアラ「ご、ごめんなさい。ほとんどエリスさん任せになっちゃった……」

フローレン「いいんじゃなぁい? あなたや私がやってたら、きっともっと時間かかってたわよぉ?」

フローレン「それで、次はぁ?」

キアラ「えっと、次はいよいよチョコレートに近づいていきますね」

キアラ「この剥いた豆を細かく砕いて、カカオマスと呼ばれる状態にするんです」

エリス「これはまた、骨が折れそうです……」

キアラ「……エリスさんは、お休みになってください」

キアラ「今度は、私がっ!」バッ!

フローレン「!!」


――『溢れ出る魔力の奔流』発動――



綺麗なカカオ山「……」メキメキ…


キアラ「魔力を、もっと一か所に集中させて……!」ググ!


バキバキバキバキバキ!


粉々になったカカオ山「」


キアラ「やった、成功です!」

エリス「さ、流石キアラ様!?」

フローレン「……」

フローレン「ふぅん……」

キアラ「!!」

フローレン「……悪くないわぁ。まぁ、この私の魔力を継いでいるなら、これくらいできて及第点だけどねぇ?」

キアラ「は、はい! もっと、頑張ります……!」

フローレン(あの愚図で鈍間なキアラがねぇ……)

フローレン(……あの人が言っていた、私達の目が曇っていたっていうのは……)

フローレン(認めたくないけれど、その通りなのかしらねぇ……)


カカオ「……」コナゴナ

キアラ「流石に、これ以上は魔力圧じゃ無理だね」

エリス「いえ、だいぶ時間短縮ができたと思います!」

エリス「あとは、このボウルに入れてひたすら磨り潰しましょう!」サッ!

フローレン「ま、まだ続くのぉ……?」


ガリガリガリガリ!


キアラ「こ、これ結構大変な運動かも……」ガリガリ!

フローレン「へ、部屋に閉じ籠もりすぎなのよぉ! 私みたいに社交的になればこの程度ぉ……!」ガリガリ!

エリス「……」ガリガリ…

エリス「――これも魔力循環で身体能力を上げた方が早そうですね」ガリガリガリガリガリガリガリガリ!

キアラ「ちょ、ちょっとずるいかもしれないけど……」ゴォ!

フローレン「今更よねぇ!?」ゴォ!



ガリガリガリガリガリガリガリガリ!

ガリガリガリガリガリガリガリガリ!

ガリガリガリガリガリガリガリガリ!

ガリガリガリガリ……

ガリガリガリ……

ガリガリ……

ガリ…ガリ…



エリス「くぅ……それでもまだ大変です……」ガリ…ガリ…

エリス「でも、アベル様の為です!」



パトラ「」

パトラ(私の知っているチョコレート作りと違う……)


……


――

短いですが今日はここまで
こだわり組の存在がパトラ的にはチョコレートの再作成が困難→フォンデュ作戦に切り替えるいい刺激になりそうです
本日もありがとうございました!

おまけ特殊判定
↓1コンマ二桁

こんばんはー
ちょくちょく結果公開前に判定内容がばれる現状(白目)
少しだけ再開です

なお、チョコを作るときにミキサーやフードプロセッサー使うのはやめましょう
大量の油分を含んでいるせいであっという間に機械の方が先に死にますし、代償の割に全然細かくならなくて泣くことになります

――

特殊判定結果

パトラの直感

50>39

※基準値を下回った為、マックスとの関係に気がつかず

――


パトラ(だ、駄目だ……)

パトラ(あの二人の元々の技能に加えて、この異様とすら言える熱意……)

パトラ(どう足掻いたところで、奇跡が起きたところで、私では敵わないっ!)ガク…

パトラ(でも、それでも未練を断ち切れないのは、どうしてなの……?)

パトラ(とりあえず、もう綺麗に作ろうだとか、美味しく作ろうとかではどうしようもないのは確か)

パトラ(見た目や味で駄目なら、工夫を凝らすしかない。どうしたものかしら……)

パトラ(……それにしても)

パトラ(エリスさんは普段のアベルさんへの敬愛を考えれば、むしろ当然とも思える熱意だけれど)

パトラ(まさか、キアラ皇女までこれほどとは……)

パトラ(――本当に、心優しくて兄想いの良い皇女様ですね)

パトラ(最近マックスがよく護衛を引き受けていると聞いたけれど……)

パトラ(護衛を任される誉れ、誇りなさいマックス!)

パトラ(私も、きっといつかはこんなチョコレートを作れる誇りある王国騎士になるから……!)



ガリゴリガリゴリ……



パトラ(……い、いつの日か!)

パトラ(忍耐力には自信があるし、この作業だけなら私でもできそうだけど……)



エリス「ふぅ、だいぶそれらしくなってきましたけど……」ネットリ

エリス「リーナさんから頂いたこの由緒ある教本によると……」パラパラ…

キアラ「……あ」




キアラ&エリス「「な――72時間続ける……っ!?」」ズガーン!?




フローレン「」

パトラ「」

パトラ(……うん。これはあれです。戦略的撤退です)

パトラ(――工夫あるチョコレート、こちらの作戦に早急に切り替えねば!)シュバッ!


……

フローレン「じ、冗談でしょぉ!?」

フローレン「三日三晩、延々とこの作業を繰り返すって聖国の人間は暇人揃いか馬鹿の集まりよぉ!?」

キアラ「で、ですが舌触り滑らかなチョコには欠かせない工程と記載されていますよ?」

フローレン「後ろにだんだん神の声が聞こえてくるようになるとか危ないことも記載されてるけどねぇ!?」

フローレン「まったく、あなたは本を万能って思い過ぎなのよぉ……」ハァ…

フローレン「本なんてものはね、それを書いてるのも人間だし、それも古い時代の存在なのよぉ?」

フローレン「見なさいな、私の圧倒的な魔力で磨り潰したこれを。もうこの粘り気はチョコレートそのものよぉ!」ネバーン…!

フローレン「ふふ、ここまでくれば後は形を決めて固めるだけ……!」クフフ…!

フローレン「待ってなさぁいノワール! 本気を出した私にかかればあなたのものなんて一捻りよぉ!」

フローレン「あーはっはっはっはっ!」ピュー!

キアラ「あ、お母様っ!?」オロオロ

キアラ「ど、どうしよう……」










キアラ「――潰し足りないだけじゃなくて、まだお砂糖もまったく入れてないよ……」







キアラ「だ、大丈夫かなぁ……」

エリス「……私の推測ですが、ギルバート様は甘いものより苦いものの方がお好みなのではないでしょうか?」

キアラ「いくらお父様でも、あの状態のものを食べるのはどうなんだろう?」

キアラ「それにその、お母様の料理は何を間違えたらそうなるのかわからないくらいに……」ブルブル…

エリス「……私は前に、お砂糖と他の粉の区別もついていませんでしたからね。少し、わかる気がします……」

キアラ「お母様も、エリスさんみたいにすごく上手くなればなぁ」

キアラ「……」

キアラ(……そういえば、お母様と一緒に何かを作ったの、初めてかも)

キアラ(こ、今度また、勇気を出して誘ってみようかな……?)

キアラ「……でも、今はお母様のことばかりを気にしているわけにもいきません」

エリス「そうですね。このままでは、私達のチョコレートも半端な状態のものになってしまいます……」


キアラ「確かにお母様の言う通り、だいぶ粘り気が出て来ましたけど」ネバネバ

エリス「ん~……でも、まだまだ細かい粒々が沢山残っていますね」ジー…

キアラ「これじゃあ、口の中で滑らかにとはいきませんね……」

エリス「この微細な欠片すら残さず潰す為に要する時間が、先程提示されたものなのでしょうか?」

キアラ「妥協はできない、だけど時間もかけられない……どうしましょうか?」

エリス「おそらく、魔力強化による作業で本来よりは効率的に磨り潰せてはいる筈です」

エリス「こうしてみても、潰すと言うよりは練っている感覚に近いですからね」ネチョネチョ

エリス「このまま、押し通るしかありません……!」ゴリ……ゴリ……

キアラ「いくら強化しても、大元は私達の腕ですからとても長時間は無理ですよ」

キアラ「せめて、もっと人手が沢山あれば――あ、そうだ!」ポン!

エリス「?」

キアラ「ほ、他の方には内緒にしてくださいね?」キィィィィン!



援護天使1「チョコツクル」バッ!

援護天使2「チョコツクル」バッ!

援護天使3「チョコツクル」バッ!

援護天使4「タイショウヲヒタスラマゼル」バッ!




エリス「」

キアラ「ご、ごめんなさい、お願いします!」


天使達「「マゼル!!!」」ガガガガガガガガガガ!


エリス「ま、まさか一瞬で天使を複数体生み出すなんて……」

キアラ「球体に手をつけただけで、ボウルの中身を混ぜる命令式しか与えてないから、とても天使とは呼べないけど……」

キアラ「な、内緒ですよ? こっそりこんなずるいことしちゃっただなんて///」

エリス「い、いえ。時間が無いのは間違いないですし、助かったのも間違いありませんからね」

エリス(まさか、あの天使作成魔法がこんな形で……キアラ様の魔力、本当に底が知れません)

エリス「でも、ふふ……!」

キアラ「エリスさん?」

エリス「すみません。天使をこんなに平和な目的で扱えるキアラ様は、本当に優しい方だなって」

キアラ「そ、そんなことは/// それより、次の工程に移りましょう!」


【ステップ4・混合】



天使達「「マゼマゼ!!!」」ガガガガガガガガガガガ!


エリス「うん、怒涛の勢いで混ぜられて、もう目視では微細片もわかりませんね」

キアラ「次は、ここに他の材料を混ぜ込むんですよね」

エリス「はい。お砂糖に……」



エリス「このカカオバターですね」ドン!



キアラ「今回はリーナさんが用意してくださったものだけれど……」

エリス「次回は、このバターの搾り出しから頑張ってみたいですね!」

キアラ「はい! あれ、エリスさん思ったよりお砂糖の量が少ないですね?」

エリス「え、ええ。アベル様は甘いものがお好きなのですが……」

エリス「ちょっと、私にも考えがありまして。お砂糖と油分は控えめにしようかと」

キアラ「そうなのですか。わ、私はどうしようかな……」

キアラ「……」

キアラ「……でも、普段から鍛錬を続ける男の人って、きっと身体を酷使していますよね?」

キアラ「カイン兄様も疲れた時は甘いものと仰っていましたし、お砂糖多めでも大丈夫でしょうか?」

エリス「大丈夫だと思いますよ。アベル様も本来はそちらの方がお好きですからね」

エリス「私のはただ、少し試してみたいことがるというだけですので」

キアラ「そ、そっか。それじゃあ私の方はエリスさんが使わずに余ったお砂糖とカカオバターを借りようかな」

エリス「はい、どうぞ。ではこれらを入れて混ぜ合わせて……」ササー…

キアラ「また、これを混ぜる作業が始まるわけですね……」


天使達「「マゼマゼ!!!」」バッ!


キアラ「うぅ、私の魔力ながらものすごく申し訳ない気分で一杯です……」

エリス「私も、今度は自力で作れるよう、72時間耐久鍛錬をしてみようと思いますっ!」

キアラ「流石に無茶だよエリスさん!?」ワタワタ


【ステップ5・微粒化からの精錬】



天使達「「マゼマゼ……!!!」」ドドドドドドドド!


キアラ「ま、魔力が消耗が凄い……」

エリス「先程の72時間の記載は、おそらくこれを含めてのことだと思われます……っ!」グニグニ…

エリス「材料を混ぜてから、練りにくくなっていますもの……!」

エリス「それでもひたすらに練り続けるしかありませんけど……!」ネリネリネリネリネリ!



……



天使達「「マゼキッタ……」」シュゥゥゥゥ…


キアラ「ごめんなさい、お疲れ様でした……」ペコリ

エリス「はぁはぁ……だいぶ、見た目も液体のようになってきましたね」

キアラ「はい。でも、まだまだみたいですね……」パラパラ…

キアラ「このままボウルをぬるめのお湯で湯煎しながら……」チャポン

キアラ「やっぱりひたすらに練り続けるしかないようですね」ネリネリ…

キアラ「うぅ、今更ながらにチョコレート作りの大変さがよくわかります……」ネリネリ…

エリス「お湯の温度の維持も大変ですね。初級火炎魔法、弱……!」ポッ!

エリス「でも、大変な分……きっと完成したら、達成感もひとしおですよ!」ネリネリ…

エリス「あとは、アベル様のお口にあえば良いのですが……」ネリネリ…

キアラ「ふふ、大丈夫ですよ絶対」ネリネリ…


フワァ…


キアラ「だって、もういい香りがこんなにするんですもの///」

エリス「た、確かに我ながら美味しそうな香りだとは思いますけども///」

キアラ「……」

エリス「……」

キアラ「……あ、味見は料理の基本ですよね?///」

エリス「す、少しだけ///」


……

ほとんど進んでいませんが今日はここまで
キアラのマックス秘匿コンマ防御率の凄まじさよ……

そして再度おまけ特殊判定コンマもとっておきます
本日もありがとうございました!

↓1コンマ二桁

こんばんはー
ようやくこだわり組終了までは進んでいきたいと思います

【ステップ6・調温】



エリス「うん、いいお味です!」

キアラ「ざらつきもないし、これなら……!」グッ!

キアラ「いよいよ詰めの作業、調温ですね」パラパラ

キアラ「チョコレートの温度を微調整しながら、含有油分の安定化を行うみたいですね」

エリス「少し熱めの湯煎で、一度溶かしきって……」ドロドロ…

エリス「お水を張った別のボウルにゆっくりと重ねて……」ソッ…

キアラ「空気やお水が混じらないように、慎重に慎重に混ぜて……」マゼリマゼリ…

キアラ「……」マゼリマゼリ…

エリス「……」マゼリマゼリ…

キアラ「……」マゼリマゼリ…

エリス「……」マゼリマゼリ…

キアラ「……」ジー…

エリス「……」ジー…

キアラ「温度、下がってきたのでしょうか?」

エリス「混ぜた時の感触からして、下がってはいるようですけど……」

キアラ「もっと熟練すれば、見ただけでわかるのかな?」

エリス「……冷やしすぎもよくありません。そろそろ頃合いでしょう」カポッ…

キアラ「大体最初の温度の半分くらいまで下がればいいみたいです。そして次が……」

エリス「……温めの湯煎で少しだけチョコレートの温度を上げる、ですか」

キアラ「た、大変です。初級火炎魔法、初級水魔法……」パシャ…

キアラ「これくらいの温度が丁度いいかな?」チャポ…

キアラ「おっと、中に入らないように気をつけないと……」フキフキ

エリス「これで最後の調温を行えば、いよいよです……!」ワクワク!


【ステップ7・ 型に充填して、室温冷却】



エリス「……」ゴクリ…

キアラ「……」ゴクリ…


チョコ型「……」カラッポ

とろけるチョコ「……」トロトロ…

チョコ型「……」ナミナミ!



エリス「……」ソッ…

キアラ「……」ソッ…






キアラ&エリス「「やったああぁぁぁぁぁ~~~~っ!」」パァン!





エリス「ようやく、ようやく完成しました……!」ウルウル!

キアラ「長かったですね……!」ジワァ…

エリス「ああ、はやく固まらないかな?」ソワソワワクワク!

キアラ「だ、駄目ですよエリスさん。もう少しの辛抱ですよ」ソワソワワクワク

エリス「氷魔法で一気に冷やし固めたいところですが……」パラパラ…

エリス「常温でじっくり固めた方が良いと記載もありますし、我慢ですね……」ムムム…

キアラ「まだかなー、まだかなー?」

エリス「アベル様、もうすぐです。もうすぐですよ!」


……


――

【ステップ8・完成!】




……


キアラ「……! エリスさん!」

エリス「か、固まりましたか!?」

キアラ「はい、見てください!」



慈愛のミルクチョコ「……」ピカピカァ!

忠愛のビターチョコ「……」ツヤツヤァ!



キアラ「んん~~っ……!」フルフル…!

エリス「んん~~っ……!」フルフル…!」





キアラ&エリス「「完成、ですっ!!!」」ワーイワーイ!



ペラ…





エリス「……え?」

キアラ「本に、まだ続きが……?」ゾクリ…







【ステップ9・熟成】


※固まったチョコレートも、内部はまだ不完全です。適温の倉庫でおよそ一月熟成させましょう※






キアラ「」

エリス「」

キアラ「」マッシロ

エリス「」マッシロ


キアラ「……え?」ゴシゴシ…

キアラ「……え? え?」オロオロ…

エリス「そん、な……」ガクリ…

エリス「ここまで、ここまで頑張ったのに……!」


慈愛のミルクチョコ「……」ピカピカァ!

忠愛のビターチョコ「……」ツヤツヤァ!


キアラ「熟成……お酒と、同じということなのですか……?」

キアラ「でも、いくらなんでもこれは……!」

エリス「本当に美味しいものをアベル様にお渡しするには、熟成を待つしかありません……」

エリス「でもこんな長時間、さっきまでの比じゃありません!」ジワァ…

キアラ「しかもこればかりは、どんな魔法を使っても効果が無い……」

キアラ「都合よく時を進めたり戻したりする魔法なんてないし、あってもいけないです……」ショボン



慈愛のミルクチョコ「……」ピカピカァ!

忠愛のビターチョコ「……」ツヤツヤァ!


キアラ「どう、しましょう……」

エリス「くぅ……」



……


――

――


【帝国・???】



マークス「何? 工夫を凝らしたチョコを作りたい?」

パトラ「はい……」

パトラ「私では普通のチョコレートを作るのは非常に困難ですし、作れたところでエリスさん達には到底敵いません」

パトラ「それでもアベルさんにはやはり、しっかりとしたものをお渡しして、喜んでいただきたいのです」

パトラ「矛盾した無理難題を押し付けているという自覚はありますが、どうかお知恵を拝借できないでしょうか?」

マークス「ふーむ、私は別に大丈夫なのだが……」

マークス「リーナ様やアルフ様の方がこちらの知識は深いと思うぞ?」

パトラ「……リーナさんは胸の問題がありますし、アルフさんはなんだか拘りが強すぎそうで」

パトラ「それになんと言えばいいのか、マークス神父は頼りやすいというか……」

マークス「はっはっはっ! それは実に光栄だな」

マークス「いいだろう。私でよければ、喜んで力になろうではないかっ!」ムキィ!

パトラ「あ、ありがとうござます!」ペコリ!

マークス「しかし、普通のチョコを作るのでは駄目なのだね?」

パトラ「は、はい。初回は何故か爆発するという大変なことになりまして」

マークス「な、なんと……」

マークス「実は私も、ローズ殿の代わりにメイドのみんなにチョコ作りを教えていたのだが」

マークス「そこでやはり、エメリナ君も一度失敗してしまってね」

マークス「……」



――

特殊判定結果

失敗しちゃったエメリナの救済
メイド仲間に助けられて作った二つ目のチョコ、どうなった?(失敗補正-20)

コンマ75 奇数:甘ーい♪

75-20=55(周りのフォローに加えて、持ち前の必死さでしっかり完成させました!)>50

※基準値を超えたため、カインにもしっかり正面から渡せます!

――


マークス「だが、彼女は諦めるということをしなかった」

マークス「スミレ君達の手助けもあり、立派なチョコレートを完成させたよ」

パトラ「そうだったのですか……」

マークス「神は努力をする者を見放すことはないよ」

マークス「パトラ君も、とても努力家ではないか」

マークス「すぐに上達するよ。このマークスが保証しよう!」グッ!

パトラ「あ、ありがとうございます///」

パトラ「もちろん、貴族の名にかけて努力は怠らないつもりです」

パトラ「なのですが……」

パトラ「なにしろ、今ばかりは時間が足りないのです……」ガクリ…

マークス「ふむ、それもそうか」

マークス「うーむ……」

マークス「今からでも間に合う、失敗のしない、工夫あるチョコレート……」ムムム…

マークス「……」ムムムム…

パトラ「……」ドキドキ…

マークス「……!」ピコーン!

マークス「――神よ、感謝致します!」バッ!

マークス「喜びたまえパトラ君! ちょうどいいものがあったぞ!」

パトラ「ほ、本当ですか!?」ガバ!

マークス「ああ」



マークス「――チョコフォンデュ。これしかないだろう!」グッ!




パトラ「チョコフォンデュ……」

パトラ「ど、どのようなチョコなのですか?」ドキドキ

マークス「何、難しいことはないよ」

マークス「まずは、チョコレートを用意する。これは私が持っているから心配いらないよ」

パトラ「申し訳ありません……」

マークス「そしてこのチョコレートに少量の牛乳を入れて、湯煎しながらゆっくりとかき混ぜる」

パトラ「ふむふむ……」

マークス「ここで焦らないように。ゆっくりと滑らかに馴染むまで混ぜること」

マークス「ああ、そうだ。ここにブランデーも少量加えれば、大人な雰囲気も醸し出せるかもしれないね」

パトラ「そ、それはいいですね!」

パトラ「私、アベルさんよりちょっとだけお姉さんですしっ!」フンス!

パトラ「それで、次はどうするのですか?」

マークス「いいや、これで終わりさ。簡単だろう?」

パトラ「……え?」

パトラ「え、終わりって!? ちょっと溶かして材料加えて混ぜただけですよね!?」

マークス「そう。それ故に失敗はまず起こりえない」

マークス「それでいて、おそらく他の子達のチョコレートとは別角度から切りこめるよ」

パトラ「??」

パトラ「な、何が何やら……?」グルグル

マークス「ははは、説明が足りなかったね」

マークス「このチョコフォンデュとは、デザートの一種」

マークス「程よく熱したチョコレートに、果物やパンをつけて楽しむ料理なのだよ」

パトラ「!!」

マークス「つけるチョコレートの用意ができれば、後はもっと簡単だ」

マークス「用意した果物やパンを、一口大に切るだけでいい」

マークス「それらを串にさして、チョコレートを纏わせて頬張る、というわけさ」

パトラ「な、なるほど。確かにそれなら私でも大丈夫そうです!」

マークス「そうだろう?」

マークス「それにその性質から、温かいチョコレートを食べるというのはアベル君も珍しい経験の筈」

マークス「加えて、果物を用いることで普通のチョコとは違う食感と風味、清涼感を得られるし……」

マークス「パンをつければ、空腹も満たせるというわけだよ」

マークス「いかがかな?」グッ!

パトラ「す、素晴らしいです……!」

パトラ「ありがとうございますマークス神父! これで私も、愛の祭りに乗り遅れずに済みそうです……!」

マークス「何、私はちょっと知っていた知識を話しただけさ」

マークス「パトラ君、頑張るんだよ」

パトラ「はい!」

パトラ「……あ、最後にもう一つだけよろしいでしょうか?」

マークス「なんだろうか?」

パトラ「そのチョコフォンデュに使うパンや果物、何か指定はあるのですか?」

マークス「いいや、特に定まってはいないよ」

マークス「極端なことを言ってしまえば、チョコをつけて食べてみたいものならばなんでも大丈夫だ」

マークス「だから、パトラ君の好みのものを入れてしまえばいいんだよ」

マークス「何か、好きな果物とかはあるかな?」

パトラ「好きな果物、ですか……」フム…

パトラ「……」

パトラ「あっ」












パトラ「私――バナナが好きなんですよ」







マークス「おお、相性のいいものだね。むしろいい選択肢と言えるぞ!」

パトラ「よかった! それではマークス神父、私は早急に用意に取り掛かりますのでこれで!」バッ!

マークス「頑張りたまえ!」


……


――

パトラの方針が固まったあたりで今日はここまで
明日はなんとか導入部までは頑張りたいところ
本日もありがとうございました!

こんばんはー
予定より遅くなりましたが、とりあえず導入部分まで再開します

――


……


【帝国・アベルの城塞】



パトラ「うぅ、色々と揃えていたらすっかり遅くなってしまいました……」ソロリソロリ…

パトラ「……」チラ…




フィーア「アベル兄様、いつもの感謝の気持ちを込めて作りました!」

フィーア「どうか、受け取ってください!」サッ!

アベル「ありがとうフィーア。嬉しいよ」ナデナデ

フィーア「アルフさんにお墨付きを頂きましたので、味も大丈夫だと思います!」ホクホク

アーシャ「ふふ、ではアベル? 私とロウルちゃんからも感謝のチョコレートです」スッ

ロウル「ありがたーく食べてくださいねぇアベルさん?」ニヤニヤ

アベル「おぉ、これは……」

フィーア「さ、流石アーシャ姉様にロウル姉様。すっごく綺麗な黒と白のチョコレートです!?」

アベル「……」ゴクリ…

アベル「見たところ、ロウルのチョコが一番甘そうだな?」

ロウル「それはそうですよー。なんといっても白いですからねぇ?」ニヤニヤ

アーシャ「ふふ……」

ロウル「ささ、これだけのチョコがあるんですから、是非とも少しは食べて頂きたいところです」

ロウル「自信はありますけど、やっぱり肝心のアベルさんの感想が気になりますからね」

フィーア「……」ドキドキ…


アベル「そ、そうか。では……まずはフィーアのものから頂こう」パク

アベル「んっ……美味いが、これは意外だな。てっきりフィーアは甘いチョコが好きかと思っていたが」モグモグ

フィーア「お、大人のレディーは苦さも知るとありましたし」アセアセ

アベル「ふふ、無理はしなくてよかったんだぞフィーア?」

アベル「大人でも苦いのが苦手で、甘いものが好きな女性がいるからな」

フィーア「そ、そうなのですか? でも、アベル兄様にご満足いただけたなら嬉しいです!」ニコニコ

ロウル「ではでは、次は私のものを」ズイ

アベル「そう急かすな。どれ……」パク

アベル「ん、甘……っぉ!?」ムグ!

ロウル「っく、あはははは! 驚きましたかアベルさん?」

フィーア「え? え? どういうこですか?」

アベル「い、悪戯好きなロウルらしい。見た目と味が真逆とは……」モグモグ

ロウル「いやいや、作っている途中で、大人なアベルさんならこっちの方がいいかなぁって」ニヤニヤ

ロウル「でも、味はいいと思いませんか?」

アベル「そ、そうだな。驚きはしたが、確かにこれも美味い」モグモグ

アーシャ「それじゃあ、次は私ですね」トッ…

アベル「こ、これはまた苦味の強そうな……」

フィーア「大人な感じがしますっ!」

アーシャ「ふふふ……」

アベル「……」ドキドキ

アベル「……」パク

アベル「――!?」






アベル「――あ、甘ぁい……?」ホクホク





アーシャ「でしょう? ロウルちゃんとは逆の仕掛けでしたー」ニコニコ

ロウル「まさか被るとは思いませんでしたよ。次回は、もう少し面白くした方がいいですかねぇ?」

フィーア「なるほど、チョコ作りも色々な技があるのですね! 私も次回はもっと頑張ります!」

アベル「……」モムモム…

アベル「いや、ありがとうみんな。まさかこんなに美味しいチョコレートを貰えるとは思っていなかったよ」



バン!



シア「ま、待ってください~」トテトテ

ティア「ア、アベル様! 私達のチョコも召し上がっていただけたら嬉しいです……!」

ロウル「おや、お二人とも今までどちらへ?」

アーシャ「チョコレートは結構前に完成させていたようですけど……」

シア「その、ちょっとお花を買いに~……」

ティア「チョコだけでは、アベル様に想いを伝えきれないかもしれませんし……」

フィーア「お花と一緒、そういう手もありました!?」

シア「その、アーシャさん達のものと比べると見劣りしてしまうかもしれませんけど~……」

ティア「お、想いは込めました! どうか……」スッ…

アベル「いや、俺なんかの為に作ってくれただけでも嬉しいよ。頂こう」パク


アベル「ほう、やはりシアのチョコレートはかなり甘めだな」トローン

アベル「以前、甘いものが好きと言っていたから予想はついたが……」

シア「えへへ~/// 女の子は甘いもの好きが多いんですよ~?」

フィーア(ほ、ほんとだ。シアさんも甘いもの好きなら、大人のレディーになってからも甘いものを……)

アベル「そしてティアのチョコレートは……」モグ





アベル「――にっ!?」ビクン!




ロウル「!?」

アベル「っ……おぉ、こっちは逆に凄い衝撃だな」

アベル「迸る鮮烈な苦味に酸味、これはカカオ本来の味なのか?」

ティア「は、はい。神のカカオの風味を存分に出した聖国流のものです」

アベル(ロウルの仕掛けと違い、こちらは本当にカカオの苦味が強いな……)

アベル(しかしこれが本場の味だとしたら、俺の舌がやはり残念なのか? いやシアもいるし……)

アベル「……」モグ…

アベル(だが、これは……)

アベル「なるほど、いい風味だ。流石ティア、大した信仰心だ」

ティア「い、いえそんな///」テレテレ

シア「アベルさん~!? その言い方だと私の信仰心が無いと受け取られかねませんよ~!?」

アベル「そ、そんなつもりはないぞ!?」アセアセ

ロウル(うわー、香りだけで私の悪戯チョコよりずっと苦いってわかるのに)

アーシャ(まったく、アベルったら無理しちゃって……)

ロウル(でも、ちゃんと食べてはくれるんですよね。そのまま大人舌になることも、期待しちゃいますよ?)

フィーア「本場はやはり、苦味が強い……あれ? シアさんとティアさん、どちらを見本にすれば!?」ガーン!


ワイワイガヤガヤ…


パトラ「……」スッ…



……


――

――

【城塞・アベル私室】


アベル「……ふぅ」

アベル「こんなにチョコレートを食べられたのは初めてだな」

アベル「やはり、甘いものは素晴らしいが……」

アベル「意外と、苦いものも食べられた……いや、美味しかったな」

アベル「これも、彼女達がわざわざ作ってくれたからだろうか……?」

アベル「いずれ、何かお礼をしたいところだな」

アベル「しかし、キアラとエリスが厨房からいなくなってしばらく経つというのはどういうことだ……?」

アベル「それにシアとティアの話では、パトラも一緒に花を買ったと言っていたが……」



コンコン




アベル「ん?」



パトラ「――遅くに申し訳ありませんアベルさん。パトラです」




アベル「おお、入ってくれ」ガチャ

パトラ「失礼致します」ドキドキ

アベル「どうしたんだパトラ? 何か――」

パトラ「……アベルさん」

パトラ「少しだけ、お時間を頂戴してもよろしいでしょうか?」



……


――

――

……


花の生けられた花瓶「……」

熱せられたチョコ鍋「……」

盛り皿「……」タップリ



アベル「なるほど、こういう食べ方もあるのか」

パトラ「ええ。マークス神父に教えて頂きました」

パトラ「日頃のアベルさんへの感謝、どうお伝えしようかと色々悩んだのですが……」

パトラ「これならば、皆さんとも被らないかと思いまして」

アベル「ああ、驚いたよ。それにこれは……」


フワァ…


アベル「微かだが、酒も入っている……?」

パトラ「はい、微量ですが。いい香りでしょう?」

アベル「そうだな。長らく調理酒も撤去していたが……」

パトラ「ふふ、今は私とアベルさんしかいませんからね」

パトラ「私も強くはないですけど、この城塞で風味付けのお酒でも酔わないのは私達だけ」

パトラ「折角だから、ちょっと大人風にしてみました///」

パトラ「こうやって、串で果物とかを刺して」プス…

パトラ「こうやってチョコに浸して頂く……」

アベル「パンもあるんだな。これはどれから食べようかという楽しみもあるな」ワクワク

パトラ「やはり迷いますよね。では、まずは私のおすすめから」



バナナ「……」




パトラ「よいしょ」プス…

パトラ「……」







パトラ(き、緊張しすぎたぁぁぁぁぁぁ!? バナナを切り忘れているじゃないですかわたしぃぃぃぃ!?)

パトラ(今更そんなことは言えませんし、もう刺してしまったし……)

パトラ(ええい、王国騎士は退かない! このまま前進あるのみですっ!)



トポ…



アベル「お、おいパトラ? 他の果物は切られているのに、バナナは丸ごといくのか?」

パトラ「え、ええ……」スッ…



チョコバナナ「……」トローリ…




パトラ「……」ゴクリ…

パトラ(や、やだ……///)

パトラ(黒く、そそり立った様がまるでアベルさんの……///)

パトラ(――って私は一体なにを考えているの!?///)ドキドキ



ポタポタ…



アベル「パ、パトラ! 垂れているぞ!?」



パトラ「え? あ……!?」バッ!

パトラ(やだ、こんな続けて失態を晒すだなんて……)

パトラ(それに、よりによってこんなところに零してしまうだなんて……///)

パトラ(胸にまで……///)



パトラ「……」チラ…

パトラ「……」ゴクリ…



アベル「だ、大丈夫かパトラ?」

アベル「はやく拭いた方がいい。白い服は汚れが目立ってしまうぞ?」

パトラ「そ、そうですね……」



パトラ(……わ、私は……何を考えているの……?///)

パトラ(こ、これじゃあまるで……///)






パトラ「アベルさん、では汚れないように……」






パトラ「――て、丁寧に、拭いていただけますか?///」カアァァ…




アベル「」




……


――

少し順番を変えて、パトラパートを先に持ってきたあたりで今日はここまで
次の更新まで、少々お時間頂きますが、例によってあまり期待はなさらないでください

最後に再び先におまけ判定を取っておきます
本日もありがとうございました!

特殊判定
↓1コンマ二桁

こんばんはー
元々遅いのに加えて巷の騒動も加わって本当にとんでもなく間が空いてしまいました……
本当に申し訳ないです

もうとっくにバレンタインも過ぎ去っているどころかホワイト近づいている有様ですが、パトラパート投下していきます

――


我ながら、なんという体たらくだろうか。
パトラは己の軽率な言動を恥じる。
騎士として、貴族として、人として。
清く正しくあるべき自分が、今何を口走ったか。
顔が、全身が、急速に熱を持っていくのがわかる。


「あ、あの……」


やっぱり今のは聞かなかったことに……


「……わかった。丁寧にだな?」

「あっ……!?」


しかし口を開くよりも僅かに早く、アベルが動く。
静かに淡々と。
彼らしいと言えば彼らしい。しかしパトラからすれば、少しばかり面白くない。
自分はこれほど恥ずかしい思いをしているというのに、この冷静さ。
場数といったものが違うのだろう。それもわかりこそすれ、受け入れきることもできない。


(も、もう少し照れるとかしてくれても、いいじゃないですか……)


そんな細やかな不服を知ってか知らずか、アベルは零れたチョコレートを一瞥する。
まだ熱を持つ、とろりとしたそれ。
少量であるし、布巾で拭い取ることなど簡単だろう。


「――これで、とれるかな?」


「んっ……!?」


不意の刺激に、パトラの口から短い悲鳴が漏れる。
妄想したように舐めとられるでもなく、冷静な対応で布で拭いとられるでもなく。
まさか人差し指の腹で、ゆっくりとなぞるように拭われるとは予想外だった。
そして、ほんの数瞬触れられただけで悦んでしまった、自分自身も。


(私、こんな……)


いつから自分はこれほど、煩悩に蝕まれやすくなったのだろう。
思わず気の迷いで発してしまった言葉も、これで終わりだ。
この後は鍛錬場で、槍を振るって己を戒めなければ……



「ん、少し甘味が足りないか……? だが、美味い」

「っ!?」


決意を固めようとした時に、そんな仕草をされては。
抗議の言葉は飲みこみ、代わりにパトラはアベルから目を離せなくなっていた。

舌先を少しだけ見せ、ゆっくりと自分の指先についたチョコレートを舐めとる。
それだけの行為だというのに、目が離せない。
自分の胸元に垂れたチョコレートが、あの指に拭われ、そしてあの舌で舐めとられた。
もし、間の一工程が無ければ。



――自分の胸元に、あの舌が這わされていたのではないか?



振り払おう振り払おうと、何度努力しても振り切れない邪念、妄想。
清廉な貴族であろうとどれだけ誓っても、どうしてこうも惹かれてしまうのか。


(……わかっている。わかっているのに)


結局自分は掲げる信念以前に、貴族である前に一人の女でしかないのだと。
哀しいまでにその現実を突き付けられる。
どれだけ取り繕っても、自分の浅ましい欲はもうとっくに燃え盛っている。
舐めて欲しい。触れて欲しい。そしてそのまま……


「これならば、果物につけて食べても美味いだろうな」

「あっ……」


そしてそんな状態で、しかし望む彼の身体は離れていく。
そもそもは感謝の想いを込めて用意した料理。それを優先するのは至極当然のことだ。
それはわかっている。それでもパトラは落胆の色を隠すこともできない。
小さく漏れた切なげな声には耳を貸さず、アベルは本来の食事を始めだした。
これではもう、妄想したようなことは始まらないだろう。


「ん、美味いな……」


チョコレートにくぐらせた果実が頬張られる。
パトラからすれば、望んでいた言葉だ。しかし今はもっと別の言葉を望んでいる。
ああ、なんと浅ましい。自嘲せずにはいられない。





「――パトラもどうだ?」




「えっ――!?」


軽い自己嫌悪に陥っていたパトラは反応が遅れる。
告げられた言葉の意味を理解するよりも早く、目の前にはアベルの顔が。


「んっ、ふむっ……!?」


そしてそのまま、唇が奪われる。
不意を突かれ、為すがままに口内を蹂躙されながら、ようやく遅れて言葉の意味を理解した。


「んぢゅ……んく……ぁ……」


蠢く舌に紛れて、広がる甘味に苦味、そして酸味。
口移しで、彼が咀嚼途中のものが送り込まれているのだ。
まるで親鳥が雛に餌をやるように、じっくりと。


(おい、しい……)


ぐちゅぐちゅと、果物と唾液は休むことなく送られてくる。
こんな行為、貴族としてははしたないだろう。
雛鳥のように扱われているのも、本来であれば恥ずかしくて仕方がない筈だ。
それでもパトラの口内と頭を占める感想は、ただその一言のみ。


「んぁ……っ」

「……美味かっただろう?」


お互いが喉を鳴らした後、その距離はゆっくりと離れていく。
小さく笑って見せるアベルに対して、パトラは名残惜しそうに舌先を見せていた。

――ああ、もう見透かされているんだ

明らかなその反応の差。
ただ一言、そうですねと言えばこの皇子の悪戯もここで終わるのだろう。

けれど、それはない。互いがそれを確信している。
その証拠に、皇子は二つ目の果実を串に刺して見せびらかすようにしている。
騎士の本音を、彼女の口から直接聞きだす為に。




「――もっと……」




消え入るかのように呟かれた短い言葉。
しかしそれは、確かに続きを望む女の言葉でもあった。


……



――

――


「んちゅ……ぢゅ、ん……は、ふぁ……」



どれだけ同じ行為を繰り返したのだろう。
餌やりともとられるその行為に、二人は只々没頭し続けた。
口内の隅々までを舐めまわし、ぐちゃぐちゃのものを喉奥に少しづつ流し続けた。

普通の口付けとはまた違う、どこか倒錯的な行為。
気がつけば途中からチョコレートにつけることも忘れ、お互いを貪り合うことしかしていなかった。
普段の自分からは、口づけなどそう気安く強請れない行為だ。
しかしこうして食べさせあうためだという免罪符があると、こうも易いものなのか。
これならば……その思考を持ってしまった時点で、パトラは己がかつてよりも堕落していることを自覚する。


「ん、もっとぉ……」


それでも、もう止まれない。
きっと今の自分の顔は蕩けきった酷い有様なのだろう。
それでももう、止まれない。


「……おや、残念だなパトラ。果物は今のでもう底をついてしまったようだぞ?」


空いた皿が指先でコツコツと叩かれる。
あの量が無くなる程に没頭していたのかと、やはり気恥ずかしさは襲ってくる。
それでもパトラは、静かにその身を震わせる。
残念だと言っておきながら、彼の言葉にはそれを感じないから。
まだまだ続けてくれると、その瞳が物語っているから。


「……ああ、だがチョコレートだけは残っているな」

「っ……」


今、喉を鳴らしてしまったことに気がつかれていないだろうか?
今の言葉で、次に何をされるか悟ってしまった自分に幻滅されないだろうか?
いや、普段の騎士の自分なら悟れずに困惑したことだろう。
ただ、今日ばかりは。口の端をゆっくり吊り上げた皇子の言葉の意味がわかってしまう。
純白の聖職者から提供された、新鮮な情報を仕入れたばかりなのだから。


「これはもったいない。是非とも最後まで、果実につけて食べたいところなんだがな……」


誘う、その言葉。
頭がくらくらと熱っぽくなっているのは、きっとチョコレートに混ぜた洋酒のせいに違いない。
自分も酒に強いわけでもないのだ。酔ってしまっても、仕方がない。


「あの、アベルさん……?」

「ん?」



「――く、果物ならばここに、まだありますよ……?」



そう、きっと自分は酔っている。酒だか甘さだか、もうわからないけれど。
かつて部下に、まるで舐瓜のようだと言われたことを今になって思い出すとは。
そして普段であれば絶対に口にしない様な、知性や品性とはかけ離れたことを口走るとは。

パトラは顔を真っ赤にしつつも、しかし胸元をはだけてみせるその動きを止めることはできなかった。



……


――

――



「あっ、アベルさん、そこはっ……!」

「ふふ、愛らしい果物じゃないか」


するすると服も下着もあっけなく脱がされる。
もう引き返せないし、引き返す気もない。
胸元にはしる緩やかな刺激に悶えながら、パトラはその覚悟を決めていた。


「どれ……」

「はぁっ……ぁっ、ふぁ……!」


指で絡め取られたチョコレートが、柔らかな胸へと塗りたくられていく。
量が足りないためその全てを覆うことはできないが、それでも視覚から襲ってくる刺激は大きい。
自分の身体が、飾られていく。
そして、即座に食べられていく。
指先でやんわりと撫ぜられたかと思えば、今度は生暖かい舌が丹念に舐ってくる。
以前交わった時も随分と胸を責められた記憶があるが、今回はそれ以上か。


「やぁ……そんな、乳首ばかりっ……!?」

「甘くて、弾力があって、美味いぞパトラ?」

「ひぅぅっ!?」


特に先端部分へは執拗なまでに塗りこまれ、噛まれ、吸われ。
先程口移しで交換した果実のように、じっくりと弄られている。
経験の少ないパトラは既にそれだけで幾度も軽く達しているのだが、アベルの手は休まることは無い。
今度はチョコレートを掬い取ったかと思えば、頬や首筋に垂らしていく。


「アベル、さっ……くすぐった……!?」


抗議の声が受け入れられることはない。
それはパトラとて重々承知しているが、か細い抵抗を口にせずにはいられなかった。


(や、だ……どうして、こんなに……っ!)


そうしないと、自分が自分でなくなってしまうような。
普通ではない行為をされ……いや、内心どこかでこうなることを望んでいる自分がいた。
そして今、いたるところを舐められ、吸われ、その度に身体を震わせて。


(――私、悦んでいるの……!?)


何か、大切な道を踏み外してしまいそうな気配を、パトラは本能で察していた。




忠誠を誓った男から求められる。
それは確かに女としては嬉しいことであり、身体も反応してしまうものなのだろう。
だがしかし、今の自分のこの姿はどうか?


「んぁ、はぶっ……!」

「……しっかり味わえ、パトラ」


幾度目になるかわからない、チョコレートに塗れた二本の指。
しかしそれはお預けをするかのように、今度は身体のどこにも塗られることはなかった。
代わりに口元へと近づき、僅かに指の先が折り曲げられる。

これを、舐めてくれという意味であると。
言葉で言われるよりも先に、理解できてしまった。
そして浅ましくもしゃぶりつき、くぐもった声を漏らしながら必死にそれに舌を這わせている。

貴族として、騎士として。誇りある者からすれば本当に情けない姿だとは思う。
それでも、パトラは止まれないでいた。


「んぐ、おいひい、です、アベルさん……」


自然と、そんな言葉が口から漏れてしまう。
自分も相手も、お互いがお互いを舐め合う。


「んぢゅる……ちゅっ……じゅぅ……」


そして、吸い上げて。
まるで子供の戯れのような、しかし背徳的な行為。


(もし、子供が産まれて……母乳をあげる時も、こうなってしまったらどうしよう……)


僅かに残っていた冷静な部分ですら、考えていたのは少しずれた考えであった。


「そんなに吸い付かれては、俺も吸いかえしてやらないとな」

「あううううぅぅぅぅ!?」


再び乳首を甘噛みされながら吸われ、パトラの身体は大きく跳ねる。
赤ん坊はここまでの行為をしないのだから、彼女の不安は杞憂に過ぎない。
子供のような、しかし大人の時間。
仄暗さを持つ行為は、互いを昂ぶらせあう。



「はぁっ……アベルさん、そんなに私の胸ばかり……赤ちゃんみたいですよ?」

「おや、パトラは俺を甘えさせてくれるのではなかったかな?」

「そ、それはそうですけど……」

「パトラこそ、随分と俺の指を美味そうにしゃぶるな?」


くつくつと笑われ、指先で光る唾液が舐めとられた。
そのアベルの顔は実に嗜虐的であり、パトラの顔はさらに熱を持つ。
やはり、まだ夜の場においてこの皇子に勝つのは難しいのだと見せつけられた気がする。


「そ、それは、チョコレートのせいで……」

「ならば、俺もチョコレートのせいだな。俺はこう見えて、甘いものには目が無いんだ」

「……本当ですか?」

「ああ」

「それなら……こ、こちらに塗れば、胸から離れるのですか?」


それがわかっていながら、パトラは負けず嫌いな性格でもあった。
どうしても、常に優位なこの青年の笑みを崩してみたい。
年上らしく、本当に頼って甘えて貰いたい。そんな思いもあったかもしれない。
本当に今日の自分はどうしたのだろうか。
相も変わらず冷静な部分はそう考えるが、身体と口は思い通りには動かない。


「ほら、美味しいチョコレートが零れちゃいますよ……?」

「っ……!」


顔を真っ赤にさせながら、今度はパトラ自らチョコを掬い上げる。
そしてそれを自分の太ももや秘裂のあたりに垂らしていく。
清廉、真面目な騎士の予想外の行動には、さしものアベルも息を呑んだ。


「……それはもったいないな。是非頂こう」


引き締まった太ももにてらりと光るチョコレートは、実に魅惑的に映る。
舌先をのぞかせながら、アベルはゆっくりと顔を近づけていく。


「んんっ……! ふぅっ……!」

「ん……柔らかい胸もいいが、滑らかなこちらも捨てがたいな」

「んぁぁっ……っや、やっぱりアベルさん、赤ちゃんみたいですよ……っ?」


舐めまわされる太もも。
わざとらしく音を立てながら舐めあげられ、その度に上擦った嬌声が響く。
取り繕おうにも、やはりパトラは快楽への耐性が少なすぎた。
元はといえば、つい最近まで全くもって性への知識がなかったのだ。
年上であろうと、根本的問題であるその点がまだ劣っている以上、どうしても優位は長くは続かない。


「ふふ、まだ俺を赤ん坊呼ばわりするか? それならば望み通り、ここも吸いついた方がいいか?」

「あっ――!?」


不意に、両の手で脚が割り広げられる。
露わになるは、熱で再びとろけ出したチョコレートに塗れた秘裂。
アベルは躊躇いも無く、赤ん坊のように無遠慮にしゃぶりついた。


「イっ……ああぁぁぁぁっ!? だ、だめぇ、そんなっ……あはぁっ!?」


パトラ自身が垂らしたチョコレートは、しっかりと舐めとられていく。
しかしその合間合間に、肉豆を吸われて溢れ出る蜜も一緒に舐めとられていく。


「おや、チョコレートの味が変わって来たぞ? なんとも甘じょっぱくて、これはこれで悪くないな?」

「~~~~~~っ!!!」


見せつけるように、アベルの口が開かれる。
その舌先からつぅっと零れ落ちるのは、チョコレートのナニかが混ざった液体。
自分の痴態を見せつけられ、パトラは両手で顔を覆い悶える。
何をしても、より恥ずかしい目に遭っているのは自分ではないか。
負けっぱなしは情けないし、悔しい。
しかしそれ以上に悔しいのは、自分の身体の反応だ。


(駄目……どうして私、こんなに……っ!)

(お腹の奥が、熱いの……?)


見せつけられなくても、自分の身体がおかしいという自覚はあった。
食べ物を使った普通ではない行為で、どうしてこれほどまでに疼いてしまうのか。
深紅の令嬢とは違う筈なのに、欲しくて欲しくてどうしようもない。



――チョコレートには媚薬効果があるそうですわよ?――



何故、今頃になってその令嬢の言葉を思い出してしまうのか。



ああ、本当にチョコレートのせいなのか。
甘さは抑えた筈なのに、しかし言われてみれば自分の身体のあちこちから漂っているではないか。
芳醇なチョコレートのえも言われぬ香り。
これのせいで、今の自分は少しおかしくなっているのだ。


「はぁぁ……アベルさん、もう……っ!」


だから。だからこれは仕方がないこと。
貴族として、騎士として正しくない振る舞い。
でもチョコレートのせいなのだから、今だけはどうか許して。




「――アベルさんが、欲しいのっ……♪!」


「――赤ちゃんアベルさんじゃなくて、アベルさんの赤ちゃんの素が、欲しいんです……っ♪」


「お、おいパトラ……!?」


理論武装を済ませたパトラは、チョコレートに負けない甘ったるい声でアベルへと抱き縋る。
そしてそのまま、静止も聞かずに既に勃起していたアベルの肉棒を割れ目へとあてがった。
唾液とチョコレートと愛液とでぐじゅぐじゅになったそこは、ぬぷりとそれを容易に飲みこんでみせる。



「んきゅっ、いっ、ふああああぁぁぁぁぁぁ……っ♪」

「くっ、……っ!」


パトラの膣内は既に熱く蕩けていた。
自分や他者を律することの多い彼女が、自分を求めひくつきながら絡み付いてくる。


「ひ、あっ、あんっ♪ おくっ、きてますっ! あっ、はふぁっ♪」


一突きするたびに漏らす声も、随分と甘さを増したものだ。
普段の彼女とかけ離れた姿は、アベルにも大きな興奮をもたらす。


(これもチョコレートのせいか。いや……)


アベルもチョコレートが媚薬効果を持つと、まことしやかに噂されたことは知っている。
とはいえ、確証もない。仮に事実としても、この程度の量で本当に効果があるものなのだろうか。
或いは――思い込み。
そうだと思い、パトラが乱れているのだとしたら。
きっとこれが、彼女が奥底で望んでいたこと……なのかもしれない。



「なら、応えねばな……っ!」

「んひいぃぃぃぃぃっ……♪」


腰をしっかり掴んで、奥底まで叩きつける。
より大きな嬌声。真面目な女騎士の痴態。


「パトラっ、そろそろ一回、出すぞ……っ!」

「ふぁ、ふぁい♪ 来て下さいアベルさん……っ!」


きっと、自分も少なからずチョコレートでおかしくなっている。
いや、以前の生クリームの時からだろうか。


(今は……)


割り込んできそうな思い出を振り払うかのように、アベルは再度腰を強く打ちつける。
今はこの甘い空間と、騎士の責から解き放たれている女性を愛そう。


「パトラ……っ!」

「はひっ、あ、やぁ……んああああぁぁぁぁ~~~~ッッッ!?」


決意を固め、アベルはパトラの奥底に精を吐き出す。
どぷどぷと注がれる度に彼女の身体は小さく震える。


「はひっ……はぁっ……♪」

「――まだだ、パトラ」

「あぇ? ひゅっ……!?」


そしてそのまま、再び腰が動かされる。
あの堅物が、精一杯を振り絞り誘惑してきたのだ。
きっと今まで、我慢してきたに違いない。


「ア、アベルしゃんまっへ、まだぁ……!?」

「ああ、まだだ。もう少しな……!」


あまりの快楽に呂律も回っていない様子。
しかしその表情はやはり甘く蕩けており、拒絶する素振りもない。
自分もまだまだ満足していない。
深く抱き寄せ、僅かに残っていたチョコレートを舐めとりながら。
アベルはしばらくの間、媚毒に惑わされた騎士を可愛がり続けるのであった。


……



――


――


……


パトラ「うわあああああぁぁぁぁ!///」パタパタ!

パトラ「わ、私、なんてことをぉおおぉぉぉぉぉぉ!?///」パタパタ!

パトラ「違うんです、チョコレートの香りを嗅いだせいで……っ!」

アベル「あ、ああ。俺も済まなかった……///」

アベル「チョコレートを零したパトラを見たら、なんだか抑えが効かなくなってだな……///」

アベル「俺もどうやら、チョコレートの媚薬効果にやられていたようだ……」

パトラ「で、ですよね……!?」

パトラ「わ、私が変なこと口走っちゃったり、アベルさんを子供扱いしたのも、全部チョコレートのせいなんですよね!?」

アベル「あ、ああ。そうだろうな……」

パトラ「で……では……」

パトラ「きょ、今日のことはお互い見なかったということで……?」チラリ

アベル「いや、それは無理だろう。あんなパトラはなかなか見られないからな」

パトラ「うわああああぁぁぁぁ! アベルさんがいじわるですよっ!?///」パタパタ

パトラ「こ、こんなうまく立ち上がれなくなるまで私を好きにしておいて……!?」

アベル「それは本当に済まなかったと思っている……」フカブカ

パトラ「……す、すごくよかったですけどね?」ボソリ…

アベル「ん?」

パトラ「な、なんでもありません!」プイ!





コンコン




アベル&パトラ「「!?」」ビクゥ!




エリス「アベル様、いらっしゃいますか?」



パトラ(エ、エリスさんっ!!?)

パトラ(大変、こんな状態を見られたら、なんと弁解すればいいか!?)ワタワタ

パトラ(ああ、そして腰が抜けて動けないこの苦境……っ!)プルプル…


アベル(ま、まさかこの時間になってエリスが来るとは……)ダラダラ…

アベル(エリスは許してくれているが、流石に別の誰かと致した直後の現場を見せるというのは……)ダラダラ…

アベル(かといってまさか追い返すなんてありえないし……)ダラダラ…



エリス「アベル様……? 気配はするのですが……」

エリス「――っ!? まさか、賊が!?」


エリス「アベル様っ! 今、お助け致しますっ!!!」ドバーン!






パトラ「あ」ハンラ

アベル「あ」ハンラ





エリス「え?」

エリス「……」


アベル「……」ドキドキ

パトラ「……」ドキドキ

エリス「……」

エリス「この匂い……」チラ…

パトラ「!」

エリス「もしかしてパトラさん、その……///」

エリス「アベル様と、チョコレートを使って……?///」

パトラ「は、はい!? ごめんなさい出来心だったんです!?///」

エリス「あ、別に怒っているわけじゃないですよ!?」ワタワタ

エリス「ただ、私はまだ生クリームしか試していなくて///」

エリス「ちょ、ちょっとだけ感想を聞きたいかなって……///」

パトラ「……」


――


特殊判定結果

パトラ、チョコレート気に入った?(純愛願望+性格により激化)


85≧85(チョ、チョコレートのせいなんです/// 逆に言うとチョコレートさえあれば……)

※基準値と同値のため、まさかのお気に入り

※チョコレートを言い訳に、少しだけ素直になってくれるかもしれません


――


パトラ「……」

パトラ「……す……」

エリス「え?」

パトラ「――すごく、よかったです……///」

エリス「わぁ、やっぱり///」

エリス「ど、どうしたんですか? やっぱり、塗り合ったのですか?」ワクワク

パトラ「あっ……!? そうだ、塗り合う……!」

パトラ「失念していました……アベルさんにも塗って、舐めれば私も……」グッ…

エリス「と、ということはパトラさんはアベル様にひたすら食べられてしまったのですね///」

エリス(迂闊でした……私も、こうしていれば……?)

エリス(……いえ。普段からアベル様からは沢山のものを頂いているのです)

エリス(私の選択も、きっと間違ってなかった筈。でも……)

エリス「やっぱり、気になります……!」

パトラ「ああ、これ以上はやめてください!? 思い出したらまた恥ずかしくぅぅぅぅ!?///」

エリス「……アベル様?///」チラ…

アベル「あ、ああ。い、いつか、な……」



パトラパート終了となります。
かなり高めの基準値だったのにまさかの同値。
気がつけばみんな何かしらに染まってしまっていますね……

この後は残りの面々のチョコ渡しの様子の後、ようやく前スレ1000の幼少姉妹のお話となります
しかし幼少姉妹の過去話だと、取るべき判定コンマが地味に大事になるかも?
なんとか更新速度も戻せればと思います

こんばんはー
早々にまた間が空いてしまいましたが、愛の祭り終わりまで進めたらと思います

――


……


パトラ「ん、んん……///」コホン

パトラ「と、とりあえず、お二人共申し訳ありません」フカブカ

パトラ「チョコレートの効果に惑わされてしまいましたが、元はと言えば私の調理技術の不足が原因です」

パトラ「次回こそは、まともなチョコレートを……っ!」グッ!

パトラ「……」

パトラ「そういえばエリスさん、あれだけ拘っておられたチョコレートはどうされたのですか?」

エリス「うっ……」

アベル「なんだ、やはり作ってくれてはいたのか?」

パトラ「ええ。偶々目にしただけですが、それはもうものすごい熱意でしたよ?」

エリス「み、見られてたんですね///」

エリス「ただ、パトラさん?」

パトラ「はい?」

エリス「何事も、時には妥協も必要ということを私は学べました」トオイメ

パトラ「何があったんですか!?」

エリス「とりあえず、来年度は愛の祭りの一か月前から準備をする必要があります」

アベル&パトラ「「!?」」

エリス「……申し訳ありません、アベル様」

エリス「本来であれば、完成したチョコレートをお渡ししたかったのですが……」

アベル「い、いや。エリスが頑張って作ろうとしてくれただけで俺は十分嬉しいよ」

アベル「誰にだって失敗はある。あまり落ち込むことはないぞ?」

パトラ「しかし、意外です。あれだけ頑張って作っていたのに失敗なさるなんて……」






エリス「――純粋なチョコレートは今日に間に合いませんでしたので、代わりにこちらを!」



アベル「!?」

パトラ「こ、これは……」



ガトーショコラ「……」キラキラ!



アベル「ケーキ、か?」

エリス「はい。チョコレートは冷やし固めてから、そのままの状態で長時間の熟成が必要とのことでして」

エリス「それでもやはり、出来るだけ早く召し上がって頂きたくもあり……」

エリス「キアラ様と相談した結果、再度溶かしてケーキに混ぜたんです」

エリス「これなら、熟成期間で改善される舌触りも他の食材が補ってくれますからね」

パトラ「す、すごくいい香りです……」

エリス「キアラ様は明日アベル様にお渡ししようかと仰っていましたけど、私は我慢ができなくて……///」

エリス「その、パトラさんのチョコを召し上がった後で恐縮なのですが……///」

アベル「いや、頂こう。ありがとうエリス」ナデナデ

パトラ「本当に申し訳ないです/// うぅ、私もこんなケーキを焼いてみたい……」

エリス「大丈夫ですよ。私もちょっと前まではアベル様がひきつっちゃうお料理しかできなかったんですから」

エリス「せっかくですから、パトラさんもいかがです?」

パトラ「え、いいんですか!?」

エリス「はい。パトラさんにも色々お世話になっていますからね」

パトラ「そ、それでは遠慮なく……」ゴクリ

エリス「でも、やっぱり一口目はアベル様がいいかな?///」

アベル「う、うむ///」




エリス「はいアベル様! 生クリームをつけて、どうぞお召し上がりください///」アーン!





……


――

――


……


ローズ「やだもう、嬉しすぎて涙が零れちゃうワ!」ポロポロ

ローズ「天使達やみんながアタシの為にこんなにチョコレートを作ってくれるなんて!」

ローズ「しかもみんな美味しいワ! 本当に、自慢の子達ヨ!」モグモグ


フィーア「えへへ///」

アイナ「本当は私ももう少し頑張りたかったんだけど……」

アイナ「そ、そこはスミレちゃんが補ってくれたかな?」アセアセ

スミレ「いえ、ボク程度……と言いたいところなのですが」

スミレ「僭越ながら、少しばかりボクも皆さんのチョコ作りに指導をさせていただきました」

ローズ「うんうん、アナタのもよくできてるわぁ。見た目も味もかなりのものネ」

ローズ「ところで……」チラ…

キアラ「……///」

フィーア「じ、実はキアラ姉様はちょっと頑張り過ぎちゃったみたいで」ワタワタ

キアラ「ごめんなさいローズさん。もう一日だけ待って貰えると嬉しいです///」

ローズ「……まさかとは思うけど、キアラちゃんあなた一からチョコレート作ろうとしたの!?」

キアラ「は、はい/// エリスさんと相談して、ケーキにしちゃうことにしたんですけど……」

ローズ「なるほどネ。これは明日の楽しみも増えたワ!」ワクワク

ローズ「いいお祭りネ。やっぱり今度は、アタシも乙女として参加することにするワ!」


アイナ「うぅ、私ももっと乙女としての腕を磨かないとスミレちゃんに置いて行かれちゃう……」

スミレ「だ、大丈夫ですよアイナさん。置いてなんかいかないですから」アセアセ

スミレ「それにボクもまだまだ未熟。一から作ろうだなんてキアラ様の精神を見習わないと!」グッ!

アイナ「そ、そうだね。フィーア様も失敗しちゃってあの凄さみたいだし……」

アイナ「私達はローズさんの直属メイド! 最低限、お二人とローズさんに並ぶ力量を身に付けないと!」グッ!

ローズ「フフ、燃えているわネ。次回も期待しちゃうわヨ? あ、それとアタシはもう少し甘いほうが好みかもネ?」

一同「「わかりました!」」


ローズ(あぁ、本当に幸せネ……)


……

――

――

……


アドルラン「こ、これを私に?」

ヒバリ「うん、頑張って作ったんだ」

ルーシェ「……///」モジモジ

ヒバリ「ど、どうかな? 私としては、ルーシェのものに勝るとも劣らない会心の出来栄えなんだけど///」

ルーシェ「ヒバリさん、アドルラン様の為にって……とっても、頑張っていました。わ、私もですよ……?」

アドルラン「あ、ありがとう二人とも///」


カイン「おーおー、あの兄さんが真っ赤になるとはねぇ?」ニヤニヤ


アドルラン「カ、カイン!?」

カイン「いやいや、最近の兄さんは見ていると面白いなぁ」

カイン「あんだけ馬鹿真面目で、縁談をむっかつくくらいに蹴ってきた兄さんがねぇ……」ニヤニヤ

カイン「二人からチョコを貰っただけで、そんなに照れるだなんて」ニヤニヤ

アドルラン「ぬ、ぬぅ……///」

ヒバリ「しょ、正直私達もアドルランがこんな反応してくれると嬉しくてね///」ニマニマ

ルーシェ「愛のお祭り、いいです///」ホクホク

カイン「見せつけるねぇ……」

カイン(……帝国ももう少し落ち着いたら後継者の心配なさそうだな?)

アドルラン「そ、そういうカインはどうなんだ?」

カイン「ん?」

アドルラン「お前とて、こうしてしっかり自分の好みに合わせて作ってくれたチョコレートを貰えば……」

アドルラン「きっと、私と同じ状態にはなると思うぞ?///」

カイン「はは、僕はそこまでにはならないよ?」ニヤニヤ

カイン「ま、兄さんには今までの反動もあるんだろうさ。どうぞこれからも二人と仲良くするといい」

カイン「その点、僕は兄さんよりは女性への免疫あるからねぇ」ニヤニヤ


ヒバリ「……」ニヤリ

ルーシェ「……」ニヤリ


エメリナ「……カ、カイン様?」ヒョコ


カイン「エッ、エメリナ!? 聞いていたのか!?」アセアセ

エメリナ「……」

カイン「う、嘘だからな? 今のはちょっと見栄を張ったというか……」アセアセ

カイン「僕にはエメリナ以外の子はよりつかなかったし、僕もエメリナ以外に興味はないというか……」アセアセ





エメリナ「――カイン様、受け取ってくださいっ!!!」バッ!





歪なハート型チョコ「……」テーン




カイン「!?」

エメリナ「そ、その……皆さんのものと比べると、味も形も酷いですけど、それでも……!」

ルーシェ「そんなこと、ないです」

ヒバリ「うんうん。エメリナ、誰よりも頑張ってたじゃない」

カイン「……」

ヒバリ「私やメイドのみんなでちょっと手伝いはしたけど、基本はこの子が一人で頑張ったのよ?」

ルーシェ「悲劇、乗り越えました……!」グッ!

ヒバリ「だからエメリナの気持ちを……え?」



カイン「……///」プシュー…

一同「「!?」」

カイン「あ、ありがとうエメリナ。その……///」

カイン「だ、誰からかこんな贈り物をもらったことなんて、初めてで……///」

カイン「上手く、言葉に、できない、んだけど……///」プシュー…

エメリナ「カイン様ぁ!」ダキ!



ヒバリ「あらあら。予想以上に効果てきめんじゃない」ニヤニヤ

ルーシェ「頑張った甲斐、ありました」ホクホク

アドルラン「よかったなぁ、カイン……」ホクホク

アドルラン「この愛の祭り、是非とも帝国でも恒例行事としたいものだな!」


……


――

――


……



マックス「……」

マックス「………」

マックス「…………」


グルグル……


マックス「……」

マックス「………」

マックス「…………」


グルグル……


マックス「……」

マックス「……」



特殊判定
↓1コンマ二桁


マックスの落胆

50>31

※基準値を下回ったため、深刻なダメージは受けず

※これにより……?

――


マックス「……」

ピタ…

マックス「はぁ……」

マックス「まったく、何を期待してるんだ俺は」

マックス「いくらこっそりお付き合いしているとはいえ……」

マックス「俺はまだまだ未熟な騎士で、キアラちゃんは皇女様だぞ?」

マックス「まさか聖国のお祭りに合わせて、俺に甘いチョコレートをくれるだなんて」

マックス「そんな都合のいい奇跡、起きるわけないよなぁ……」

マックス「俺ももっとパトラ将軍みたいに、邪念を振り払える立派な騎士にならないと」

マックス「そして、キアラちゃんも守れるような男になるんだっ!」グッ!




コンコン




マックス「おわぁ!?」ビク!

マックス「だ、誰だ!?」


キアラ「よ、夜遅くにごめんなさい。キアラです」


マックス「キ、キアラちゃん!?」ドキドキ

マックス「ま、待ってて。すぐにあけるから!」ガチャ


キアラ「ごめんなさいマックスさん、おしかけちゃって……」

マックス「い、いや全然大丈夫だよ!?」ドキドキ

キアラ「そ、その……///」

キアラ「遅くなっちゃったけど……あ、愛の祭りらしいから、これを……///」



ガトーショコラ「……」キラキラ!



マックス「!?」

キアラ「その、本当はチョコレートそのものを用意したかったんだけど……」

キアラ「ちょっと予定外のことがあって……」

キアラ「エリスさんと相談して、チョコレートを混ぜたケーキにしてみたの」

キアラ「ま、まだ誰にも食べさせてないから、味の保証ができないけれど……///」

マックス「だ、誰にも!?」

マックス「え、アベル皇子やローズさんにも!?」ドキドキ

キアラ「う、うん///」




キアラ「――普段、マックスさんにはあまり表だって想いを伝えられていないから」

キアラ「――きょ、今日くらいは、一番に伝えたいかなって///」



マックス「」フワー…

キアラ「マックスさん!?」

マックス「――はっ!? 嬉しさのあまり意識が飛んだ!?」

キアラ「そんなに!?」

マックス「いや、それくらい嬉しいってこれ! た、食べていいのほんとに?」ドキドキ

キアラ「う、うん///」

マックス「……」ドキドキ


追加特殊判定
↓1コンマ二桁

マックスとキアラの羞恥心

15>02

※基準値を下回ったため実行!

――



マックス「……」ドキドキ

マックス「だ、駄目だ。緊張してフォークが持てそうにない」プルプル…

マックス「……」




マックス「――った、食べさせてくれたり、しないよね?///」

キアラ「!?///」ボッ!



マックス「ご、ごめん! 今の無し! 落ち着いたらちゃんと自分で――」



キアラ「……///」スッ…

マックス「え?」

キアラ「ほ、本で読んだことは、あります……///」

キアラ「こういう時は、こうするのが作法なのですよね?///」





キアラ「マックスさん……あ、あ~んしてください?///」




マックス「」





マックス(俺は今日、死んでもいい)ダバー!

キアラ「マックスさん!? 泣いちゃう程に不味かった!?」オロオロ

マックス「う゛ま゛い゛よ゛おぉぉぉぉぉぉ……!」ダバダバ!



……


――

――

……


アルフ「……よかったのかリーナ?」

リーナ「何がですの?」

アルフ「皆の報告を聞く前に帰ってしまって」

アルフ「やはり、祭りを伝えたのは我らだ。その……」

アルフ「上手くいったか、少し気になるではないか?」ソワソワ

リーナ「大丈夫ですの。何しろみんな私のよく知るお友達ですのよ?」

リーナ「きっと神も、それぞれに優しい祝福を授けてくださっていますの!」

アルフ「……」

アルフ(約一名、バーンズという犠牲者はいたがな……)

マークス「うむ、リーナ様の仰る通りだ!」

マークス「彼女達も頑張っていたし、きっとその気持ちは伝わる筈!」

マークス「今回の祭りを機に、帝国にも広まるといいですな!」

アルフ「アドルランが好意的に受け止めてくれれば、可能性はありそうだな」

リーナ「ふふ、まだまだ道は遠いかもしれませんけど……」

リーナ「今後も帝国や王国ともこういった交流は続けましょう」



リーナ「そして、三国が本当の意味で平等、愛にあふれる幸せな未来を築いてみせますの!」

リーナ「兄上、みていてくださいな!」グッ!



――


おまけEX10 【戦いを終えて~~聖国・愛の祭り~~】 おしまい


――

というわけでおまけ10終了となります
マックスは毎回結構判定を厳しめにしてある筈なんですけど、よくクリアしてきますねぇ……
なおその代償なのか運が悪い時は極端な結果ばかり出していますけど

明日からはようやく姉妹幼少期編となりますが……
正直、着地点にまだ悩んでいるというのが本音ではあります
あまり重いものにし過ぎるのもあれですし、小話セットも手の一つと考えているのですが、
よろしければ幼少期姉妹で見てみたいシーンなどがあれば、挙げていただけるとありがたいです。
そしてそれとは別に先に特殊判定を少し
本日もありがとうございました!

特殊判定
↓1~3コンマ二桁

こんばんはー
色々な案をありがとうございます
それでは短いですが、過去開始までの導入部分だけ投下します

――


EXイベント11

【戦いを終えて~~かつての帝国皇女姉妹~~】


――

【帝国・アベルの城塞】



フィーア「よいしょ、よいしょ……」

キアラ「ふぅ……」トサ!

アベル「よし、こっちはこれでいいか?」ゴト!

マックス「うおぉ、思ったより重い……!?」ヨロ…

パトラ「まったく、無茶しないのマックス」ヒョイ

ロウル「一気に片づけたい気持ちはわかりますけど、こういう時は運べるものは小まめに運ぶべきですよ?」

アーシャ「最近、旅行やお祭りで少し気を抜き過ぎたかしら……? まさかこんなに色々書類が溜まっているなんて」

アベル「兄様達いわく、不要なものも多いらしいが、まるで目を通さないのも不味いからな……」ドサリ!

ティア「ん、んん……!」プルプル…

シア「この箱も重いです~……」プルプル…

エリス「ああ、お二人とも無茶は駄目ですよ!?」ワタワタ

アベル「一応、これで最後だが……」ドスン!

マックス「ふひぃー……な、なんなんですかこの荷物?」

マックス「確か現状の帝国は、アドルラン皇子を皇帝代理としている筈ですよね?」

マックス「帝国の施政に関わる書類は王城に送られると記憶していますが……」

アベル「俺も一応、兄様の補佐の立場だからな。皇子全員の署名が必要なものもある場合は、こちらにも送られてくる」

アベル「それに黒騎士として動いていた名残なのか、俺宛への依頼書などもあるからな」

ロウル「流石に全部はアベルさんも処理しきれないんで、署名書類以外は私達もお手伝いするんですけど……」

エリス「なんだか、前よりもさらに量が増えていますよね?」

アーシャ「……こちらは全部、重要な案件の書類みたいです。ではこっちは……?」パカ!


アーシャ「……え?」ヒキッ…

パトラ「ど、どうしたんですかアーシャさん!?」

シア「な、何が入っていたんですか~?」トテトテ

ティア「ちょっと、気になります……」

マックス「って、なんだこの数の便箋やら装丁書やらは……この感じ、貴族からなのか?」

ロウル「あー……一応、一応見てやりますかねぇ」ヒキッ…

エリス「……」ビリ…




『帝国名門貴族たる我が家にて、アベル皇子を讃える――』




アーシャ「よし、燃しちゃっていいわ」

エリス「初級火炎魔法」ボッ!

パラパラ…

マックス「うえぇ!? い、いいんですかそれぇ!?」

ロウル「いーんですよ。あ、こっちもですね。もう普通に破いて捨てましょう」ビリビリ!

パトラ「……なるほど、アベルさんに取り入ろうとする貴族の下心丸出しの手紙の山ですか」ハァ…

アーシャ「最近、多いんですよね……」ビリビリ

ロウル「王国貴族もですけど、帝国貴族も大概なのが実情ですからねぇ……」

アーシャ「耳が痛いわ……あ、これも棄てましょう」グシャア!

シア「え、縁談のご案内書まで~!?」ワタワタ

ティア「ア、アベルさん、やはり貴族の方とご結婚なさっちゃうんですか……!?」

アベル「するわけがないだろう、あんな連中と……」

アーシャ「……帝国将の娘までいますね。なんとしてでも地位にしがみつきたいのでしょう」

ロウル「まったく、帝国が変わった途端に急に態度を改めて、本当に嫌な連中ですね」

エリス「アドルラン様とカイン様も、苦労なさっているかもしれませんね……」ビリッ!


フィーア「むぅ、アベル兄様は変な人には渡したりしませんからね!」プンプン!

キアラ「と、とりあえずそういった書類は全部捨てちゃう方向でいいのかな?」

キアラ「それじゃあこっちの箱も……」カパ

キアラ「……え?」

フィーア「キアラ姉様? どうされ……っ」


キアラ「……」

フィーア「……」


マックス「ど、どうしたんだ二人とも?」

マックス「アベル皇子にスカーレット将軍が求婚とかそんなとんでもな――」


パサ…


パトラ「マ、マックスまで!? 一体何を……?」ヒョイ

パトラ「こ、これは……」







マックス「――キアラちゃんとフィーアちゃんにまで縁談来てる……」






一同「「!?」」



アベル「……」

エリス「……」

アーシャ「……」

ロウル「……貸してください」

パトラ「は、はい」スッ…

ロウル「……おーおー、これはすごい。とある帝国将さんからの縁談話ですよ」

アーシャ「息子も以前よりキアラ皇女を気にかけており……よくもまあこんな出鱈目を」

エリス「……こちらも、似たような内容ですね」

アベル「これは帝都のあの貴族から、フィーアに対してか。……全部処分でいいな?」

フィーア「はい!」

キアラ「……」コクリ

マックス「……」ブルブル…


メラメラ…


アベル「……すごいな、本当に余計なものばかりだったようだ」

ロウル「一気にさっぱりしましたね!」

マックス「……」

マックス「……あの、よかったんですか?」

アベル「ん、何がだ?」

マックス「その、アベル皇子はもうエリスちゃん達がいるからわかりますけど……」

マックス「キ、キアラちゃんとかは、やっぱりちゃんとした家系と……」

アベル「……確かに、国を考えれば政略上の結婚というものもあるだろう」

アベル「だが、可愛い妹達がそんなものの道具にされるなど我慢ならん。二人の結婚は二人が決めた相手とすべきだと俺は思う」

フィーア「私は、アベル兄様のような方でなければ全員お断りです!」ピョン!

ロウル「まあ、アベルさんの意見は多少家族目線も入ってしまってますけど……」

エリス「私達の目からしても、さっきの貴族達にはお二人をお任せすることなどできません」

アーシャ「彼ら、昔のことを忘れたのかしらね……? 厚かましい限りだわ」

マックス「昔のこと……?」

アベル「……」

アベル「そういえば、あまり昔の帝国を語ったことはなかったな」

アベル「シアにパトラ、それにティアには俺が妾の子として暗黒街に捨てられたことくらいは話したとは思うが」

ティア「は、はい。すごく、驚きました……」

シア「私もです~……」

パトラ「……その言い方だとアベルさん、お二人も?」

アベル「……」

――

三連特殊判定結果

1:当時のアベルの王城内での評価(妾の子-20補正有)

19-20

= 0 (-1)

 王城内は勿論、本来なら帝国にいることもまかり通らん!

※皇帝からは無関心、その他上層部や兵からは邪魔者扱い。城塞だけが唯一の場所だったようです

2:当時のキアラの王城内での評価(フローレンによる-10補正有)

37-10

=27(ろくに武器も握らない、本ばかり読む子が第一皇女って大丈夫か……?)

※アベル程ではありませんが、相当肩身が狭い境遇です

3:当時の王城内でのフィーアの評価(暗殺才能未開花のため補正無)

42(……まあ、まだ小さいしこれから期待すべきか?)

※兄や姉に比べると周りの対応も幾分優しめですが、それでも冷たい人の方が多いです

※全員基準値50を下回った為、かなりハードな幼少期だったようです

――


アベル「ああ、俺は言わずもがなというか」

アベル「当時、カイン兄様は一人で暗黒街を生き延びたことで少し評価されたのに対して……」

アベル「俺は兄様よりも時間がかかったうえ、エリスとロウルに支えられてようやくだったからな」

アベル「父がこの城塞で暮らすことを認めてくれなければ、俺も帝国そのものを追われていただろうな」

シア「そんな……」

アベル「だが、それ以上に問題だったのは……」

アベル「当時のキアラとフィーアに対しての風当たりも、相当に強かったということだ」

マックス「え!? ど、どうして……!?」

アベル「今からもう10年以上前の話だ……」

アベル「アドルラン兄様も病弱な身体こそ克服されていたが、まだ身体は完成しきっていない頃だ」

アベル「カイン兄様は両目の光を失い、実力主義に怯えた結果が歪んで強者の地位にしがみつく様になってしまった」

アベル「俺は論外。続く皇女二人は戦う力も意思も持たない……」

アベル「時が経つにつれ、皇帝ギルバートの子供達はどんどんと帝国を継ぐには不安のある者ばかりになった」

アベル「今以上に幼く、戦いを好まなかった二人は実力主義に傾倒した帝国上層からすれば、面白くない存在でもあったんだよ」

パトラ「なんて、身勝手な……!」フルフル…

ティア「酷すぎます……」

キアラ「だ、大丈夫ですよ!?」ワタワタ

キアラ「確かに、大変ではありましたけど……」

キアラ「アベル兄様と比べれば全然ですし、本ばかり読んでいたのも事実ですし……」

フィーア「私もです! 昔には嫌な思い出もありますけど……」

フィーア「それも含めて成長して、今の私がここにあるんですから!」エヘン!

キアラ「少し遅れてしまいましたけど、今こそ私達も帝国皇女として頑張ろうと思っています」

アベル「……本当に、立派な妹達だ」ナデナデ

フィーア「えへへへ///」

キアラ「……///」

パトラ「本当に、ご立派です……」

パトラ「しかし、なんといいますか……」

キアラ「?」

パトラ「それだけの境遇で、どうしてお二人はここまで純真に育たれたのでしょう?」

シア「あ、それは私も気になります~。私の方が神様に怒られちゃうって、よく思うくらい純粋ですもの~……」

ティア「は、はい。あの恐ろしい皇帝のお子さんとは思えないです……」

マックス「よくない扱いされてて、それでもキアラちゃん達はこんなに優しくていい子なんだもんなぁ……」

マックス「確かにどうしてかってのは、気になる……」

キアラ「べ、別に面白い話ではないですよ……?///」

フィーア「んー……アベル兄様が希望だったのは間違いないですけれど」




フィーア「――やっぱり、あの頃はローズさんがいてくれたからこそ、ですね!」




……

――

導入部分まで進んだ辺りで今日はここまで
フィーアくらいは+補正いれておこうかと思いましたけど、まだこの時点ではギルバートに見いだされていないので無補正に
……したら綺麗に全員50下回りましたね(白目)
まあ既に未来がこうなっている+ローズがいるので、過去の悲惨さは相応に抑制されると思います

そして再び先に特殊判定も取っておきます
本日もありがとうございました!

特殊判定
↓1~2コンマ二桁

こんばんはー
遅くなってばかりですが、ちょっと安価部分まで進んでいきます

――


……皇女姉妹幼少期……




ローゼン(……これが、ノワール様が危惧されていたことか)

ローゼン(天使にかまけている間に、まさかアベル様とカイン様が……)

ローゼン(いや、それだけじゃない。ノワール様も、もう何日もこの部屋にお戻りになられない)

ローゼン(おそらくは……)

ローゼン「……」チラ…


フィーア「きょうも、にーたまとはあそべないの?」

キアラ「アベル兄さまも、おいそがしいんだよ」

キアラ「だ、だいじょうぶ。わたしがかわりに遊んであげるからね?」ナデナデ

フィーア「わーい!」


ローゼン(……暗黒街は広いうえ、ここからは距離がある。とても一人じゃ探せない……)

ローゼン(それにこの子たちを置いていくことは絶対にできない……!)

ローゼン(拠り所だったお兄ちゃんとお義母さんを失ったこの子たちに、これ以上辛い思いはさせられない……!)

ローゼン(俺が――アタシが、この二人を守ってみせる……っ!!!)グッ!


ローゼン「……」スッ…





ローズ「はーいっ、二人ともアタシを見て見てっ!」ジャジャーン!





キアラ「!?」

フィーア「?」



ローズ「ノワール様とアベル様は、今ちょーっと忙しいのヨ」

ローズ「だから、お二人が戻られるまではアタシがあなた達のお姉さん、お母さんになってあげるっ!」

キアラ「え、え?」オロオロ

ローズ「大丈夫。絶対に辛い思いはさせないからネ……! 楽しい、そしていつか立派なレディーになれる生活を約束するワ!」

キアラ「ロ、ローゼンさん?」

ローズ「ローゼンは仮の姿……アタシは乙女、ローズなのヨ!」


二連特殊判定結果

ローズの姉妹保護方法

1:陰から? 表から?

01~50:陰からサポート
51~00:表から堂々と

コンマ54
51~00:表から堂々と


2:メイド長、すぐになれたの?

73>70

※基準値を超えたため、メイド長早期就任!

――


ローズ「帝国は実力主義……」ブツブツ…

ローズ「幼いこの子達に、でもフローレンは関心が薄い……お世話役は必須……」ブツブツ…

ローズ「ノワール様の推薦が無いのであれば、自らの手で勝ち取るまでヨ!」

ローズ「この子達にも、アタシにも、余計な口出しを許さないほどに……!」

ローズ「今まで抑えてきたけど、アタシも覚悟を決めたワ。これはその決意でもある……」

ローズ「待っていて。すぐに、誰も何も言えないくらいの地位に……」

ローズ「メイド長に、なってくるからネ!」シュバ!


キアラ「え、えぇ……?」コンラン

キアラ「わたしたちを心配してくれてるのかな……?」

フィーア「すごいすごい! はやーい!」キャッキャッ!

キアラ「……」



アベル『キアラ、フィーア。もし、俺や兄様が突然いなくなったとしても』

アベル『一人でも、生き延びられるように頑張るんだぞ……?』

ノワール『……アベル……』

キアラ『に、兄さま、いなくなっちゃうの?』ウルウル

フィーア『ふぇ、ふぇぇ……』ジワ…

アベル『だ、大丈夫だ! たとえばだ、たとえば!』アセアセ



キアラ「……」ジワ…

キアラ「……!」フルフル!

キアラ「フィーアちゃんは、まもってあげるからね。絶対に……!」ギュッ…!

フィーア「ね、ねーたま?」



……


――

――


【帝国・メイド試験会場】




ローズ「これでどうっ!?」ダァン!

審査員1「う、美味い!? なんだこの料理は!?」


審査員2「や、やめろ! わかったから、俺で実演する必要はないからな!?」キュ!

ローズ「そこまでお尻をガードしなくても……」



メイド「え……あれ、ローゼン君……?」

執事「いや、髪色は同じだが流石に違うだろ? あいつ真面目で割と口数少なかったし……」

メイド「そ、そうだけど……」

執事「それに今大事なのはそこじゃない。あの技術は、あらゆる面でメイド長を凌駕しているぞ……!?」



メイド長「く……そんな、名家の私が、こんな性別も怪しい若造に負けるなんて……!」

ローズ「性別や年齢なんて些細な問題ヨ? メイドや執事は――仕えるべき主への想いこそが大事」

ローズ「そして今のアタシは、その想いが溢れまくっているワ……!」ゴゴゴゴ!

ローズ「さぁ、メイド長? 料理も夜のレベルも、アタシが上回ったワ。残すは……」

メイド長「……この帝国において、最も重要なのは力っ!」ヒュパン!

メイド長「他がどれだけ優れていようと、弱者では――」




――『熱情の律動』発動――




ローズ「滾れぇ! アタシの肉体イイィィィィィィィィ!」ズドドドドドドドド!



メイド長「いやらばああぁぁぁぁぁぁぁっ!?」ドグシャァ!!!





メイド達「「」」

執事達「「」」




……



――

――


【皇女姉妹の部屋】



キアラ「――おしまい。ど、どうだった?」パタン

フィーア「いいおはなしだった!」キラキラ!

フィーア「ねーたま、つぎはつぎは?」ワクワク

キアラ「えっとね……」




ローズ「戻ったわよ、天使達っ!!!」ゴスロリー!




キアラ「に、にぎやかになってる!?」ガーン!

フィーア「わぁ、きれー!」パチパチ!

ローズ「ん゛っ……! あ、ありがとうネ」

ローズ「ふふ、無事にメイド長になれたわヨ!」グッ!

キアラ「ほ、本当に!?」

ローズ「ええ。まぁまだ、新米だからネ……」

ローズ「外はまだ前の格好じゃなきゃうろつけないけれど、それもすぐに覆してみせるワ」

ローズ「少なくとも王城内でのあなた達のお世話は、アタシやアタシが認めた子にしかさせない」

ローズ「それに、地位の向上って便利なものネ。欲しいものも色々手に入りやすくなったワ!」スッ

裁縫道具「……」

キアラ「これは……」

ローズ「ふふ、アタシこう見えても、何かを作るのが好きで結構得意なのヨ?」

ローズ「可愛い女の子ですもの。お洒落もレディーの嗜み……」

ローズ「さぁ、これから忙しくなるわヨー!!!」



ローズ(これから先何があっても、この天使達は守り抜いて見せるワ……!)グッ!



……



――

―――
――





キアラ「――といった具合に、ローズさんは当時から私達の為に尽力してくださったんです」

フィーア「当時は私もローズさんと姉様の思いも知らず、ただ楽しんでいるだけでお恥ずかしいです///」

マックス「へぇ、やっぱりあの人凄かったんだなぁ……」

パトラ「かなり変わったお方ですけど、お二人への忠義……いえこの場合は少し違うでしょうか?」

シア「……愛、の方が相応しいかもしれませんね~。本当にお母さんみたいです~」ニコニコ

ティア「神よ、やはり帝国にも以前から慈愛の精神はありました……!」

アベル「本当に、ローズさんや二人には色々と迷惑をかけたものだ……」

ロウル「時期的に、アベルさんはまだ私達と暗黒街をさまよっている頃ですかねぇ?」

アベル「だろうな。俺がもっと、しっかりしていれば……」

キアラ「……確かに、アベル兄様が突然いなくなったことは辛かったです」

キアラ「もし、あの時からずっと兄様も一緒にいたらと、考えなかったわけでもありません」

フィーア「でも、それだと……」

フィーア「エリス姉様にロウル姉様、アーシャ姉様とは会えなかったと思います!」

フィーア「それに今はこうして兄様達と色々できて幸せです!」ピョン!

アベル「そうか……確かにな」

ロウル「非常に不味い発言ではありますけど、アベルさんが捨てられなければ、私とエリスさんは死んでたでしょうね……」

エリス「ええ……」

マックス「……わ、わかったつもりでいたけど、やっぱ帝国って怖いなぁ……」

マックス「で、でもアベル皇子達はこうして元気どころか滅茶苦茶強いし、キアラちゃん達にはローズさんがいたわけだし……」

マックス「この後は、少しは楽に過ごせたのかな?」

フィーア「うーん……」

マックス「あ、あれ?」

アーシャ「……事はそう単純でもないのが、当時の帝国の厄介さです」

キアラ「確かにローズさんの存在は大きかったのですが……」

キアラ「それでも、色々と大変なことはありましたね」

フィーア「たとえば……」


――

※次の姉妹の過去のイベントを選んでください


1:フィーアの王城脱走作戦(判定おおめ)

2:キアラの忍耐(コサージュ話含む)

3:キアラとフィーアのレディー特訓

4:少し成長した二人とアベルの野心

5:その他自由安価

↓1~3多数決

2のキアラ奮闘に決まったあたりで今日はここまで
これまでの判定や各キャラシートを併せると、キアラはかなり苦労多いんですよねぇ……
まあ未来の判定で鋼メンタルったりヴァ―ミリオンぶっぱとかとんでもない成長しているんですけど

本日もありがとうございました!

こんばんはー
それではゆるゆるとキアラ忍耐から再開していきます

2:キアラの忍耐

――


フィーア「キアラ姉様は、昔から大変だったんです!」

キアラ「フィ、フィーアちゃん、私の話なんて……」

マックス「……」

マックス(キアラちゃんの小さい頃……)

マックス(気になるに決まってるじゃないか……っ!)

マックス「た、大変てどれくらい?」

フィーア「えっと、とにかく私よりもです!」

フィーア「キアラ姉様はとっても優しくて、綺麗で、色々な本を知っていて……」

フィーア「私には自慢の姉様なのです!」

キアラ「///」

マックス「うんうん」

フィーア「でも……」

フィーア「お父様も、お母様も、お城の人達も……」

フィーア「気にかけるのは、いつも私ばかりで……」

パトラ「どうしてそんな……」

アベル「キアラは小さい頃から優しく、戦いを嫌っていた」

アベル「実力主義の帝国皇女としては、明らかに異質だったんだ」

シア「聖国だったら、むしろ崇められていたと思います~……」

ロウル「……今更ですけど、リーナさんは聖国王女にしては随分行動派でしたものね」

フィーア「私もよく動き回っていたので、皇女らしくはないかもですけど……」

フィーア「とにかくキアラ姉様は、ちゃんと皇女としてのお勉強をしっかりこなしていました」

フィーア「それなのに……」


……

――

―――
――



【帝国・皇女の部屋】


ローズ「よし、今日の座学の時間はここまで!」

ローズ「のみこみが早くて素晴らしいワ! 予定よりかなり早く終わったわヨ?」

キアラ「ありがとうございますローズさん」

キアラ「……では、のこりの時間はこのまえの本のつづきを」

ローズ「キアラちゃんは本当に本が好きなのネ」

ローズ「今度また、面白そうな本があったら仕入れとくワ!」

キアラ「だ、だいじょうぶです! それより、フィーアちゃんに!」ワタワタ

フィーア「わたし、ねーたまとごほんよむのすきー!」

ローズ「安心なさいな天使達! ちゃんと、二人の望むものを仕入れてくるからネ!」

ローズ「あ、そうだ!」パン!

ローズ「折角だから、お買いものに行きましょう!」

ローズ「やっぱり本は、読む子が選んだ方がいいし!」

ローズ「あ、どうしてもその本の続きが気になるならまた今度でいいけど……」

キアラ「そ、そんなことないです!」パタン

キアラ「あ、あたらしい本……ほんとうにいいんですか?」

ローズ「もちろんヨ! フィーアちゃんも一緒ヨー?」

フィーア「わーい!」キャッキャッ

ローズ「さ、はぐれないように手を繋いでいきましょうネ?」

キアラ&フィーア「「はーい!」」


ギュ…


ローズ(……両手を愛らしい天使に握られて、アタシほんとこのまま天に昇るんじゃないかしら?)ブバッ!



……



――

――


【帝国・王城内】


ローズ「……」コツコツ

フィーア「……」キョロキョロ

キアラ「……」ドキドキ

キアラ(おでかけ、いつぶりかな……?)





帝国兵1「ん、あれって……」

帝国兵2「新しいメイド長ってのと……フィーア様と、キアラ様か?」

帝国兵3「ははーん、なるほどなぁ。流石は皇帝陛下だ」

帝国兵1「どういう意味だ?」

帝国兵3「新しいメイド長は前メイド長を完膚無きまでにぶちのめしたって話だ」

帝国兵2「ああ、聞いた聞いた。凄すぎて次回からさらに戦闘技能の採点を重視するってんだろ?」

帝国兵3「甘ったれじゃなくて、武闘派メイドを教育係にすることで……」




帝国兵3「――あの出来損ないの皇女様を鍛え直そうって魂胆なんだろ?」




キアラ「っ……!」



帝国兵1「お、おい……!?」

帝国兵3「全く皇帝陛下もお辛いだろうに……」

帝国兵3「自分の子が、どれもこれも失敗作……いや、第一皇子様は少し芽吹いてきたんだったか?」

帝国兵2「アドルラン様は最近になって成長したと聞くが、確かに残りはな……」

帝国兵3「第二皇子はひょろっとしてるし、第三皇子に至っては妾の子」

帝国兵3「それだけじゃくて、第一皇女は戦いどころか外出もしない」

帝国兵3「それに第二皇女も巻き込み続けてるとなりゃ、もう見て見ぬふりもできねえわなぁ」


キアラ「……」


帝国兵2「フローレン様からの評価も低いとなりゃ、魔法の才も無いんだろうしな……」

帝国兵3「皇子が駄目で、皇女ならって期待してみれば一番酷い出来とはねぇ……」ヤレヤレ

帝国兵1「ま、まだ小さいだろう? だから陛下も新しいメイドを……」

帝国兵3「まー確かにまだ餓鬼だけどよ、あと4、5年もすりゃ絶対に兄貴の後追うぜありゃ」

帝国兵2「……ギルバート様も、我が子には慈悲の心があるのかもな」

帝国兵2「どうあれ10年強は、弱者でも許しているわけだからな。そうなると確かに……」

帝国兵1「……」スタスタ…

帝国兵3「あ、おいどこ行くんだ?」

帝国兵1「いつまで無駄口叩いてんだ。とっとと鍛錬場で、相手叩いた方が効率的だろ」

帝国兵1「俺らだって、いつ暗黒街……いや、死んでもおかしくないと思うぞ」

帝国兵2「……なんだあいつ、急に真面目ぶって」

帝国兵3「俺たちゃ天下の帝国兵だぜ? 王国だろうが聖国だろうが――がっ!?」ムンズ!








ローズ「はぁい?」ゴゴゴゴゴゴゴ!







帝国兵3「ひぎぃ!?」メキメキ…

帝国兵2「メイド長!?」

ローズ「ちょうどよかったわぁ。今、アタシの雄の部分がもう滾ってしかたないのヨ」

ローズ「――皇女様より、強者の兵士と鍛錬した方が、燃えるわよネェ……?」ズゴゴゴゴゴ!




帝国兵2&3「「」」ジョバー…



……


――

――


【帝国・帝都】


ローズ「やれやれ、ちょっと無駄な時間を使ったけど、気にせずお買いものヨ!」

キアラ「……あの、ローズさん……」

ローズ「いいのよキアラちゃん。あんな連中なんて気にしなくて!」

フィーア「なんだか、やなひとたちだった!」プンプン!

ローズ「ああいう大人になっちゃ駄目ヨ?」

ローズ「あなた達は、立派なレディーを目指すの!」

フィーア「はーい!」

キアラ「……」

ローズ「それじゃ、さっそくキアラちゃんの読みたい本を探しましょ?」

ローズ「お金の心配は大丈夫ヨ。なんといってもメイド長だからネ」

フィーア「わたしもごほんよみたい!」キラキラ!

ローズ「もっちろん、フィーアちゃんの本も選んであげるからネ!」

ローズ「それじゃあ、どの本屋に行こうかしら……」

キアラ「……」


特殊判定
↓1コンマ二桁

キアラの忍耐・好きな本

25>19

※基準値を下回ったため、好きな本は我慢

――


【帝国・とある本屋】


フィーア「わぁぁ……!」キラキラ!

ローズ「まずは大きい店からよネ!」

キアラ「……」

キアラ(皇女として……)

キアラ「……」スッ…

ローズ「お、さっそく欲しい本が見つかったのかしら?」ワクワク

ローズ「やっぱり綺麗な絵本? それともあの子ならもう文字が多いものでも……」



キアラ「……」キョロキョロ

キアラ(……わたしでも、読めるもの……)

キアラ(ううん、読めるようにならなくちゃ……)

キアラ(あ、たぶんこれ……そういう本だよね?)



キアラ「ローズさん……」

ローズ「あら、決まった? 指をさしてくれれば取ってあげるからネ?」

キアラ「あれと……あの本にします」スッ




『戦後手当・入門編』

『生き延びる戦術』




ローズ「!?」

フィーア「?」

キアラ「や、やっぱりだめですか……?」

ローズ「い、いや買えないわけじゃないけど……」

ローズ「キアラちゃん? もっと、可愛い本でもいいのヨ?」

キアラ「いえ、あの本がいいです」

ローズ「……」

キアラ「さっきの兵士さん達は、ただしいです」

キアラ「わたし、もうすぐ誕生日……10歳なんて、すぐです」

キアラ「たのしい本だけじゃなくて、いまから皇女として……」

ローズ「……っ!」

フィーア「ねーたま……?」


……


――

――




――あくる日――


【帝国・謁見の間】


ギルバート「……鍛錬をしてくる」

フローレン「いってらっしゃいあなたぁ」フリフリ

フローレン「……」

フローレン「あの人ったら本当に真面目よねぇ……」

フローレン「この世にギルバートを超える男なんていないっていうのに」

フローレン「でもまぁ、あの子達の出来が悪ければ、あの人と私が帝国を守るしかないのよねぇ……」

フローレン「この私とギルバートの子……なんで、ちゃんと強い子が産まれないのかしらぁ?」チラ




アドルラン「はぁっ……はぁっ……!」ズザ…

ヒバリ「や、やったよアドルラン! 新記録だよ!」

アドルラン「まだだ、まだ私は……!」



フローレン「ふぅん、アドルランは今日も鍛錬場使ってるのねぇ……」

フローレン「一時は酷い有様だったけど、少しはマシになってきてるかしら?」

フローレン「あとはカインも気になるところだけどぉ……今頃どうなってるかしらねぇ?」

フローレン「……」

フローレン「ただ、やっぱりねぇ……」ハァ…

フローレン「今の問題と言えば……」


特殊判定
↓1~2コンマ二桁

おぼぁぁぁ……!(吐血)
せめて1番の方だったら……!

フローレンのこの時点でのキアラに対する評価


1フローレンのキアラの魔力感知

75>59

※基準値を下回った為、やっぱり感知できていなかったようです

※ローズが先手を打つことが確定しました


2キアラの胸

コンマ22

 2 2 


偶数ゾロ目:魔女大嫉妬。なんかもう胸の成長凄すぎなぁい!?


※キアラはガチロリ時から既に膨らみがあったようです

※お母さんの逆鱗に最初に触れたのはどうやらここのようです(白目)


――

フローレン「フィーアはまだ小さすぎてわからないけどぉ……」


フローレン「……やっぱり、キアラよねぇ……!」ギリギリ…!

フローレン「愚図で鈍間、この私の子でありながら、未だ魔法の才能も開花しない……っ!」

フローレン「かといって、ギルバートのような逞しさがあるわけでもないっ!」

フローレン「そして、そして何よりもぉ……!」ギリギリ!







フローレン「なぁんで、なぁんであの子の胸はもう膨らみ始めているのかしらねぇぇぇぇぇぁぁぁぁあああ!!!」ガシャーン!







フローレン「私に似て欲しいところは似なくてぇ? それでいて私が嫌うものは身につけるぅぅぅぅ!?」

フローレン「すっごいわぁ!? あの子ったら、あの歳でもぉうお母さんに喧嘩売ってきてるのねぇ!?」

フローレン「胸にまわす栄養があるなら、それを全部頭にまわしなさいっ!!!」ガシャーン!

フローレン「ああああああぁぁぁぁぁぁ! なんでノワールといいキアラといいいぃぃぃぃぃぃ!!!」




親衛隊「皇妃様がご乱心だぁぁぁぁ!? 誰か応援をっ!?」



……


――

フローレンからの当時の評価が確定した辺りで今日はここまで
……現時点でキアラは抑圧+母からも逆恨み混じった冷遇とガチで忍耐コースに突っ込んでいますね(白目)
この後もコンマがあらぶらないことを祈ります

本日もありがとうございました!

こんばんはー
もっと早く再開したい今日この頃……
次の安価部分まで再開していきます

――


【帝国・皇女の部屋】



キアラ「……」モクモク…


ローズ(あれから、買った本を……)

ローズ(戦に関わってくる本を勉強し始めてしまった……)


キアラ「……」モクモク…

フィーア「ねーたま……」


ローズ(こんな光景、アタシは望んでいない)

ローズ(きっとノワール様やアベル様がいても、そう思った筈ヨ)

ローズ「……キアラちゃん?」

ローズ「お勉強は確かに大切だけれど、息抜きも大切ヨ?」

ローズ「それにその本の内容は、あなたにはまだ早すぎるワ」

キアラ「……」

キアラ「わたし……」

キアラ「わたし、兄さまたちにあまえていたんです」

キアラ「皇女というものが、ちゃんとわかっていなかった」

キアラ「ちゃんとお勉強したら、お母さまもほめてくれるかもしれません……」

ローズ「それは……」

キアラ「この本にも、まりょく? でてきをたおしたり自分をなおしたりとあります」

キアラ「よくわからないけど……たぶん、これは……」


ミシィ…


ローズ「っ……!?」


キアラ「さいきん、よく物をこわしちゃうことがあったんです」

キアラ「お母さまにおこられたくないから、がんばっておさえてきたけど……」

キアラ「きっと、これが……いつか、つかいこなせたら……」フルフル…



ローズ「……抑えて、キアラちゃん」ポン

ローズ「フィーアちゃんも怖がっているしネ?」

フィーア「……」プルプル

キアラ「あっ……!? ご、ごめんねフィーアちゃん!?」ダキ!



ローズ(今のは、ただの魔力じゃなかった……)

ローズ(まだこの子は自分の才能を理解していない。漏れ出た魔力だけで、この部屋が覆われたような感覚……)ゴクリ…

ローズ(この子の言う通り、修練を積んで練り上げれば将来とんでもない力を発揮する)

ローズ(そして――帝国の戦争道具として、利用されてしまうワ)ブルブル…

ローズ(この子の動きや反応が遅かったのは、漏れた魔力を無理矢理身体に戻していたからなのネ)

ローズ(魔力もろくに知らない子が本能的にそんなことをし続ければ、負担は大きくて当然ヨ……)

ローズ(……この子の負担を無くし、かつこの力の露呈を防ぐには……)



キアラ「よしよし……」ナデナデ

フィーア「こ、こわかった……」

ローズ「ほら、だから言ったでしょう? まだ早いって」

ローズ「魔力については今度、改めて教えてあげるワ」

ローズ「それよりも、お勉強がしたいなら今はこっちのお勉強しましょ!」ドン!

裁縫道具「……」

キアラ「これ、たたかいとは……」

ローズ「それが関係あるのよぉ?」

ローズ「お兄さんやお父さんの鎧に、マントがついているでしょう? 軽装の軍服もそうネ」

ローズ「布製でも、素材を変えたり魔力を込めることでとっても強い防具……つまりは身を守る大切なものになるのヨ?」

キアラ「!!」

ローズ「わかったかしら? フィーアちゃんはまだ危ないからできないけれど……」

フィーア「えー?」ガッカリ

ローズ「キアラちゃんなら、そろそろ覚えてもいい頃ヨ。さ、まずは簡単なものから慣れていきましょう?」

キアラ「は、はい!」


ローズ(アタシも、もっと技術を磨かないと。そして……)


……

――

――


……数日後……



キアラ(ローズさんから、今日はずっとこのへやにいてっていわれたけど……)

キアラ(フィーアちゃんもいつのまにかいなくなっているし、一人ぼっちはさびしいよ……)

キアラ(でも、一人で外にでるのも……)ブルブル…

キアラ(だめ、アベル兄さまも言ってた、一人でも……!)ブルブル…



ガチャ…



キアラ「!!」










ローズ「――お誕生日おめでとう、キアラちゃん!」ピョーン!

フィーア「おめでとー!」ピョーン!





キアラ「え?」パチクリ




ローズ「え?」

フィーア「え?」




……


――

――




キアラ「そ、そっか。今日がわたしのうまれた日なんだ……」

ローズ「……フィーアちゃんの反応からして、まさかと思ってはいたけど」

ローズ「まさか本当に、お誕生日を祝われたこともないなんてっ……」ウッ…

ローズ「皇帝陛下はともかくとして、あのフローレンはいつの日かぶん殴ってやりたいわネ……」プルプル

キアラ「たんじょうび……」

ローズ「そう、誕生日ヨ! 生まれてきてくれてありがとうって、祝うのヨ!」

フィーア「ねーたま、ありがとう!」キラキラ!

キアラ「あ……///」

ローズ「しかし意外ネ。ノワール様ならてっきり……」

キアラ「……」

キアラ「わたしがうまれて、ありがとうなんて言われたこと、なかった……」

キアラ「この日が、とくべつだってこともしらなかったから、おしえていませんでした……」

ローズ「……そう」

ローズ「――それなら、今年から覚えておくのヨ!」

ローズ「これからはアタシとフィーアちゃんが……」

ローズ「そしてゆくゆくは、お兄ちゃん達も交えてあなたの誕生日をうんと祝ってあげるから!」

フィーア「いわうー!」ピョンピョン!

キアラ「ローズさん、フィーアちゃん……」ウル…

ローズ「ささ、ケーキも作ってきたのヨ! 食べて食べて!」ドドーン!

キアラ「わぁ……///」

フィーア「わーい!」


……


――


……


キアラ「ごちそうさまでした……///」フキフキ

フィーア「おなかいっぱーい」ポンポン

ローズ「いいわねェ……やっぱり天使達が笑顔で食べてくれるだけで、頑張った甲斐があったワ!」

ローズ「……そして、誕生日はただ祝って美味しいものを食べるだけじゃないのヨ?」

キアラ「え?」

ローズ「――プレゼントも贈るのヨ? アタシのお手製で不格好かもしれないけど許してネ?」




薔薇のコサージュ「……」キラキラ!




キアラ「きれい……」

キアラ「こ、これをわたしに?」

ローズ「ええ。似合うと思うワ!」

ローズ「……」

ローズ「……そして、これは2個あるの」

キアラ「2個?」



ローズ「――片方は、キアラちゃん。あなたの魔力を制御して抑え込む仕掛けがあるワ」

ローズ「――もう片方は、本当にただのお洒落の為のコサージュ。あなたの魔力はあなたの意思のままヨ」



キアラ「……!」

ローズ「本当は誕生日にこんな話はしたくなかったんだけどネ……」

ローズ「それでも、今日はきっとこれからのあなたの分岐点になると思うワ。だからよく聞いて頂戴」

キアラ「は、はい……」

ローズ「あなたが選ぶコサージュは、そのままあなたの未来に繋がると言ってもいいワ」

ローズ「魔力を封じれば……きっとこの後も、あなたの才能はばれない」

ローズ「それはつまり――お母さんや帝国から今と同じような、いえそれ以上の辛い境遇が待っているかもしれないということ」

ローズ「魔力を操る術を勉強し、今から力をつけていけば……きっと、お母さんやお父さんはあなたを見直すワ」

ローズ「そうすれば、帝国全体からも厚遇される。その代わり――前線に立って、多くの敵を殺すことになるでしょうネ」

ローズ「アタシにも、選んで欲しい方はあるワ。でも、これはあなたの人生。あなたにしか、決める権利はないのヨ」

キアラ「……」

キアラ「……力をふうじるか、ふうじないか……」

キアラ「……」

キアラ「では、ローズさん」

ローズ「!!」









封印コサージュ「……」スッ…






キアラ「こちらをいただいて、よろしいですか?」

ローズ「キアラちゃん……」

キアラ「よいしょ……」ゴソゴソ…

キアラ「!」ピクン!

キアラ「あ、すごい……!? からだがかるくなったかも!?」

キアラ「……に、にあってるかな?///」

フィーア「わぁ、ねーたまきれいきれい!」パチパチ!

ローズ「……辛い道になるわヨ。アタシがいても、守り切れないかもしれない」

キアラ「……」フルフル

キアラ「だいじょうぶです。わたしもあの力はあまり好きじゃなかったし、フィーアちゃんもこわがっちゃうし……」

キアラ「それに、もし今よりもつらい目にあっても」



キアラ「――わたしには、ふたりがいるもの!」



ローズ「ん゛んっ、キアラちゃんっ!」ダキ!

キアラ「あはは、くるしいよローズさん///」

フィーア「わたしもねーたまぎゅーってするー!」ダキ!

キアラ「フィーアちゃんまで……!?///」






キアラ(――本当に、ありがとう……)ウル…



……


――

―――
――





キアラ「――ということがありまして、私は別にそこまで……」

マックス「……」グシュグシュ…

キアラ「マックスさん!?」ビク!

パトラ「まったく、ほら顔を拭きなさいマックス……」フキフキ

マックス「すびばせんパトラ将軍……」

マックス「ほんっと、ローズさんいてくれてよかったよぉ……」

キアラ「ええ、本当に」

キアラ「あれからもう何年も経ちましたけど、このコサージュは今でも大切な私の宝物です」ナデナデ

フィーア「ちなみに、普通のコサージュの方はこの後に私がいただいちゃいました///」

アベル「そのコサージュにそんな思いでがあったとはな……」

ロウル「それもですけど、私は最初の方の暴言を吐いてた兵士を蜂の巣にしてやりたかったですねぇ」

エリス「私もです……!」ゴゴゴゴ!

アーシャ「まあ、ローズさんならきついお仕置きをしてそうですけどね?」

ティア「で、でも力を封じて、帝国にずっといたって……」ブルブル…

シア「やっぱり大変だった筈ですよ~?」

キアラ「自分で選んだ道ですから」

キアラ「……アベル兄様の計画に協力するようになってからは、ちょっと鍛えておくべきだったと思いましたけどね?」

アベル「う、色々とすまないな……」

キアラ「いえ。こうして思い出話にできるのですから」ニコリ

キアラ「それに、フィーアちゃんの方が大変でしたからね……」

フィーア「え!? そ、そんなことないですよ姉様!?」ワタワタ

フィーア「姉様だって、魔力とは違った問題で大変だったんですからね!?」


――

※次の姉妹の過去のイベントを選んでください


1:フィーアの王城脱走作戦(判定多め)

2:キアラとフィーアのレディー特訓

3:少し成長した二人とアベルの野心(キアラの忍耐の判定結果により、忍耐一部判定移動+追加)

4:その他自由安価

↓1~3多数決

人もいらっしゃらないようなので、今日はここまで
↓1より引き続き募集中です

本日もありがとうございました!

こんばんはー
凄まじく短いですが、3の少し成長した二人から再開していきます

3:少し成長した二人とアベルの野心

――


フィーア「そう、アベル兄様がご無事とわかった後……」

フィーア「数年経った後も、姉様は大変だったんです!」

キアラ「そ、それを言ったらキアラちゃんの方こそだよ?」

キアラ「アベル兄様に協力するんだーって、聞かなかったじゃない?」

フィーア「だ、だって今でこそですけど、当時のアベル兄様も大変でしたし……」

シア「そういえば、お二人は私達のような存在が現れる前からアベルさんに協力していたんですよね~?」

キアラ「はい。とはいっても、ローズさんが物資を流したりフィーアちゃんが情報を流したり……」

キアラ「私は、ほとんどお役にたてていなかったのですが……」ガクリ

アベル「そんなことはない。お前達が俺に賛同してくれたというだけで、嬉しかったぞ?」

アベル「……流石に、ここまで深く巻き込むとは夢にも思っていなかったがな」

ロウル「まず、お二人ともとんでもない才能を隠し持っていたというのがねぇ……」

ティア「アルフ様も、末恐ろしいと口にされていましたね……」

マックス「でも、それって割と最近に開花したんだよな?」

マックス「元々キアラちゃんは攻撃魔法使えなかったって話だし」

キアラ「そうです。だから昔は、本当にアベル兄様への協力も微々たるものでしたよ?」

フィーア「そうですね、ある時は……」


……

――

―――
――



【帝国・皇女の部屋】


キアラ「……」ペラペラ…

キアラ「うーん……」

キアラ(戦術書って、難しいなぁ……)

キアラ(どこにも誰も傷つかずに済む戦術が載っていない……)

キアラ(少数を切り捨ててより大きな打撃を、なんて。こんなのは絶対に嫌だし……)ペラ…

キアラ(やっぱり、万が一怪我をしても大丈夫な回復魔法を?)

キアラ(でもこっちは違った意味でもっと難しいし、どうしたらいいんだろう……)


パタン…


キアラ「こっちの応急手当、使える薬草とかはだいぶ頭に入ったけど」

キアラ「こうやって手当しても、やっぱり魔法には負けちゃうしなぁ……」クルクル

キアラ(回復魔法も過ぎると危険って書いてあった気もするけど、すぐに怪我が治せるなら……)

キアラ「……」ソワソワ…

キアラ「ああ、心配だなフィーアちゃん……」ソワソワ

キアラ「大丈夫だとは思うけど、まだ小さいし……」ソワソワ


コンコン


キアラ「!」


特殊判定
↓1~2コンマ二桁

キアラの忍耐・成長後

1部屋でのお留守番とごまかし

50>32

※基準値を下回ったため、フィーアの行動にペナルティ無し

2一部帝国兵からの扱い(育つわがままボディ補正+15)

79+15

=94(優しくておっぱいある美少女だよ? かなり理解者も現れたようです)>25


※お留守番キアラに対する虐めはなかったようです


――


帝国兵「キアラ様、失礼致します」

キアラ「巡回、お疲れ様です」ペコリ

帝国兵「……」キョロキョロ

帝国兵「失礼ですが、フィーア様は?」

キアラ「え? あ、ごめんなさい……」

キアラ「私ったら、また本を読むのに集中しすぎちゃったみたいで」

キアラ「フィーアちゃんは遊びたい盛りだから、またお城の中を動き回っているかもしれません」

帝国兵「あー、またか……こほん、お勉強中のところを、申し訳ありません」

キアラ「いえ、こちらこそお役に立てず申し訳ありません」

帝国兵「それでは、失礼致します」ペコリ


バタン…



キアラ「……ふぅ」

キアラ「あんまり嘘ってつきたくないけど……」

キアラ「フィーアちゃんが変装して帝都やアベル兄様の城塞に向かったなんて、言えないもんね」

キアラ「透明魔法とかあれば、私も行けるのに……」

キアラ「……」

キアラ「私は、私にできることをやらないと」

キアラ「やっぱり、最低限の戦術は……」ムムム…


……


――


――


【帝国王城・廊下】


帝国兵2「おーい、フィーア様みつかったか?」

帝国兵1「駄目だった。キアラ様も知らないようだった」

帝国兵2「また城内捜索かねぇ……フィーア様ちっこいから、物陰はいられただけできついっての」

帝国兵2「しかし陛下はなんで、フィーア様の動向をよく気になさるんだろうなぁ?」

帝国兵1「わからん。わからんが……」



帝国兵1「……少しはキアラ様の方も気遣っていいと思うんだよなぁ」

帝国兵2「だよなぁ……」



帝国兵1「確かにキアラ様には戦の才能は無いが、さっきもずっと戦術書に齧りついているようだったぞ?」

帝国兵2「強者になろうって気持ちはあるんだし、もう少し評価されてもいいよな」ウンウン

帝国兵1「俺らみたいなただの兵士にも威張らず優しいし、この前なんて俺の小さい怪我まで手当してくれたんだぜ?」

帝国兵2「なんつーか、あの方の娘とは思えないよなぁ……」

帝国兵1「……あくまで噂だが、キアラ様が冷遇されている理由の一つに胸もあるらしいぞ?」ヒソヒソ

帝国兵2「あぁー……そこも確かに、あの方の娘とは思えないもんなぁ///」ヒソヒソ

帝国兵1「正直手当してくれている最中も視線がそっちいったよ///」

帝国兵2「まだ小さいのにあれは反則だよな。将来絶対有望だって!///」

二人「……」

帝国兵1「……キアラ様も将来、報われるといいよなぁ」

帝国兵2「俺達みたいな兵士じゃ何にもできねえけど、願うのくらいは自由だよな」

帝国兵1「さて、あまりしゃべってばかりもいられないか。フィーア様を探さないと」

帝国兵2「だなー……」



ローズ「……」



……


――

――



【帝国・帝都】


フィーア「……」キョロキョロ…



帝都強者「おいおい、この俺にぶつかっておいてそのまま立ち去ろうってか?」グイ!

帝都弱者「ひぃ!? そんなつもりは!?」ガタガタ



フィーア(……最近になって、ようやくわかったことがあります)

フィーア(キアラ姉様もローズさんも、私を守ってくれていたということ)

フィーア(私達が住むこの帝国は、なんでも力ばかりのあまり気持ちいい国ではないということ)

フィーア(そして……)



帝国弱者「や、やめてくれええぇぇぇぇぇ!」



フィーア(私は皇女だけど、目の前の困っている人を助けられない。まるで戦えない――弱者だということ)

フィーア(姉様も小さいけれど、私はもっと小さくて身体の成長も遅いらしい)

フィーア(それなのにどうしてか、お父様もお母様も私だけは可愛がってくれる)

フィーア(でも、キアラ姉様には逆に凄く厳しい)

フィーア(嫌だ。このままの帝国なんて、絶対に嫌です)

フィーア(でも、私は戦えないから……)

フィーア(うんと小さい頃から、あの優しい手の感触はずっと覚えている、大好きなアベル兄様)

フィーア(アベル兄様なら、きっと。そのお手伝いくらいは、頑張らないと……!)

フィーア「……」タタタ!

フィーア(大人のレディーには憧れるけど、こういう時だけは、自分の身体が小さくてよかったと思います)

フィーア(戦えないから、何かあったら隠れるしかないし……)

フィーア「次は……」


特殊判定
↓1~2コンマ二桁

フィーア判定を取ったあたりで今日はここまで
キアラは兵士コンマで高めをとれて幸いでしたね。コンマ10以下で相当悲惨なことになってました
なお姉妹過去編ではありますが、後ほど一部にアベルも絡むコンマが出てきます

本日もありがとうございました!

こんばんはー
一日空いてしまい、今日も短いですが少しだけ再開です

フィーアの散策・帝都

1当時のフィーアの警戒力

72>50

※基準値を上回った為、奇襲等回避

2不審者との遭遇

25>23

※基準値を下回った為、遭遇

※警戒遭遇により追加判定

――


フィーア(やっぱり、嫌な感じしかしないです)キョロキョロ

フィーア(どうしてお父様は、実力主義なんか……)

フィーア(それにお母様だって……)



不審者「フヒ……」



フィーア「っ!」

不審者「お嬢ちゃん、一人かい……?」ジリ…

不審者「ここは危ないよ、おじちゃんが安全なところに連れて行ってあげるよ」ジリ…

フィーア(変装の効果で、私が皇女であることはばれていないようです……)

フィーア(でもこの感じ、ただの追いはぎとは違う……?)

フィーア「……」

フィーア「だいじょうぶです。一人で帰れます」ジリ…

フィーア(ローズさんの教えでは、マントやコートは色々武器を隠せるといいます)

フィーア(それに死角を作ったり視界を塞いだり……)

フィーア(て、手練れなのでしょうか……)ブル…

不審者「え、遠慮はいらないよぉ……」ハァハァ

不審者「さぁ……!」


追加特殊判定
↓1~2コンマ二桁

1救援

01~33:エリス
34~66:ロウル
67~99:アベル

コンマ40
34~66:ロウル

2不審者の夜レベル(サイズ)

90>14(色々悲惨)

――



不審者「フヒヒ!」バッ!



フィーア「!?」



全裸不審者「さぁ、おじちゃんと気持ちいいことしようね!」プラーン…



???「……」バシュ!



ドス!



全裸不審者「ぎやあああああああぁぁぁぁぁぁ!?」ブシャアァァァ!


フィーア「!?」

ロウル「ったく、何変なもの見せてるんですか」チャキ

ロウル「こんな小さい子を路地裏で襲うなんて、帝国の強者が聞いて呆れますよ」

ロウル「大丈夫ですか? 待っててください。あんな奴すぐに……」

フィーア「ロ、ロウル姉様!?」

ロウル「えっ、その呼び方まさか……」

フィーア「はい、フィ――」

ロウル「ああ駄目駄目!? っと、とにかく今は一度いつもの場所に退きましょう!」

フィーア「は、はい! でもあの人……」

ロウル「殺してはいませんが、今の叫び声で兵士も来ることでしょう。ずらかるが勝ちです」

ロウル「ああ、ああいう輩に襲われた時はあの辺りを狙うと倒しやすいですよ?」

フィーア「お、覚えておきます!」


全裸不審者「……!」ゴロゴロ!


ロウル(さて、あいつの呻き声以外の音は……)ピョコピョコ

ロウル(――兵士はあっちから来るようですね。それなら……)

ロウル「少し遠回りですが、こっちから行きますよ!」バッ!

フィーア「はい!」


……


――

――


……


【帝都・街道】


ロウル「やれやれ、帝都も相変わらずのようで……」フードカブリ

ロウル「でもフィーア様をお助け出来たなら、来た意味はありましたかねぇ」

ロウル「気をつけてくださいよ? 正体を隠せても、誰でも襲う輩はいるんですから」

フィーア「ご、ごめんなさい……」

フィーア「……」

フィーア「……私も、力があれば……」ボソリ

ロウル「……そんなこと、考えちゃいけませんよ」ナデナデ

ロウル「フィーア様はまだ小さいですし、争うことを嫌う優しい子だってことも知っています」

ロウル「アベルさんも、あなたやキアラ様には平穏無事でいて貰いたいんですよ?」

フィーア「で、でも」アセアセ

ロウル「んー……まあ、アベルさんのお役に立ちたいって気持ちはわかるつもりです」

ロウル「私だって、さっきの不審者はどうにかなりましたけど、全然弱いままですし……」

ロウル「そもそも私も世間一般では子供の部類ですからね」

ロウル「もし、フィーア様が私と近い年頃になってもまだ強くなりたいと思っていたら、その頃からちょっとずつ鍛えるといいですよ」

フィーア「まだ、早いのですか?」

ロウル「ええ。武器は危ないですし、それに物によっては重いし疲れますし管理も大変です」ウンウン

ロウル「護身用でも、もう少し大きくなってから。危ないことも控えること。いいですね?」

フィーア「は、はい! わかりました!」

ロウル「よくできました!」

ロウル「……」

ロウル(エリスさんはもっと小さい頃からナイフを扱っていたなんて、言えませんよねぇ……)





フィーア「そういえばロウル姉様はどうしてこちらに?」

ロウル「ああ、アベルさんもそろそろいいお年になりましたからね」

ロウル「……一応、第三皇子の肩書は残っているそうで」

ロウル「皇子直轄の部隊を保有することを認められているんです」

フィーア「……」

ロウル「そしてお察しの通り、ほとんど志願者はいませんでしたよ」

フィーア「ほ、ほとんど? ということは、兄様にも少しは――」

ロウル「いーえ、その一部の輩は皇子をいびって悦を得ようとする連中のようでした」

ロウル「勿論、私が頑張って倒して不採用にしてやりましたよ」フンス!

ロウル「こんな女の子に敗けたとあっては、彼らも恥ずかしくて仕方がないでしょうねぇ」ニヤニヤ

フィーア「す、すごいですロウル姉様!」ピョン!

ロウル「ま、まあ相手も私を子供と侮って油断していたからこそですけどね」

ロウル「でも、晴れて私も正式にアベルさんの部隊の副官ですよ!」

ロウル「お飾りかもしれませんけど、それでも副官権限で妙な兵士が来れないようにしてやります!」

フィーア「アベル兄様の部隊の副官、ますます凄いです!?」

ロウル「他に誰もいないんですけどねー。アベルさんも、やっぱり考えていることが考えていることなんで」

ロウル「よっぽど信頼できる人じゃなきゃ、傍に置きたくないようです」パタパタ!

フィーア「ロウル姉様、嬉しそうです!」

ロウル「そ、そんなことないですよ///」

ロウル「ただ、やっぱりどうしても欲しい人材はあるそうでして」

フィーア「欲しい人材?」

ロウル「斥候、密偵……要するに、城塞外の情報を調べられる人です」

ロウル「アベルさんはあまり表だって動けませんし、動いてもむかつく兵士に目をつけられちゃいますからね」

フィーア「むぅ……」

ロウル「それにアベルさんも軍学校に入られて、これから城塞内での時間も減ってしまいます」

ロウル「しばらくは力と知恵を蓄えるとのことでしたけど、それなら尚更今の内から優秀な人材を確保しておきたいですね」

ロウル「私もこの耳と尻尾ですから多少は隠密行動も得意ですけど、自分の力量はわかっているつもりです」

フィーア「わ、私が……」ソワソワ

ロウル「だーめですって。いえ、実際フィーア様には助けられていますけどね?」

ロウル「それでも、やっぱりさっきみたいなことが無いとも言い切れないんです」

フィーア「うぅ、大人のレディーになれれば……」ガクリ…

ロウル「正式に、斥候部隊とか用意できるのが一番なんですけどねぇ……」

ロウル「アベルさんが学校で優秀な人を見つけてきてくれたりとかもあればいいなぁ」

フィーア「アベル兄様なら、必ずできますよ!」フンス!





???(アベル様は、斥候部隊を欲しがっている!? それなら……)





ロウル「ん?」ピクン

フィーア「どうしました姉様?」

ロウル「いえ、そこの茂みに誰かいたような……?」

ロウル「気のせい、でしょうか。……行きましょう!」

フィーア「はい!」

ロウル「後は、あっちを抜けるだけですね。あんまりあそこは通りたくないんですけど」

フィーア「?」


――


【帝都・貴族街】


ロウル「あーやだやだ……迂回してなきゃこっち通りませんよ……」

フィーア「貴族の人が多く住んでいる場所ですね……」

ロウル「実力主義の帝国でも、随分例外的な人達ではありますよね」

ロウル「お金の力……あぁ、確かに力ではありますか。とにかくお金にものを言わせる、嫌な人達ですよ」

ロウル「中にはしっかり強かったりまともな貴族もいるそうですが、どうにもいいイメージはありません」

ロウル「……貴族よりもさらに上の皇女様がいい人だって知ってるせいもあるんですかね?」

フィーア「えへへ///」

ロウル「!!」ピク!

ロウル「隠れて!」バッ!

フィーア「!?」バッ!



貴族達「「――」」ガヤガヤ



ロウル(あぁ、タイミングの悪い)

ロウル(まーた自分達の自慢話か、あるいは儲け話でも話しているんでしょうかねぇ?)

ロウル(私やフィーア様も目をつけられたら不味いですし、ここはしばらく隠れましょう)

フィーア「……」コクコク

ロウル(しかし……)



ピョコピョコ!



ロウル(聞きたくない話でも拾ってしまう私の耳の良さですよ!)ピクピク!

ロウル(ま、どうせ聞くならアベルさんの役に立つ情報でもあるといいんですがねぇ……)


特殊判定
↓1~2コンマ二桁

皇女判定を取ったあたりで今日はここまで
明日はもうちょい進めるといいなぁ……

本日もありがとうございました!

不審者がサイズで偶数ゾロとか出してたらどうなってたんだろうな……w

こんばんはー
それでは亀ですが今日もゆっくり再開です

>>574
一応最初の判定でキアラもフィーアも当時は辛いこと多めの判定になっていますので
ゾロ目だと救援者も巻き込まれた逃走劇でフィーアの苦い過去+男性不信判定入ってました

皇女を狙う帝国貴族

1キアラの狙われ具合(わがままボディ補正+15)

73+15=88(地位もいいが女としても悪くないな……)>70

※基準値を超えたため……


2フィーアの狙われ具合

70>63(見た目はいいが、流石に子供過ぎる)

※基準値を下回った為、この時点では回避

――


貴族1「ぬぬ、ではそちらも子供を皇子達に……?」

貴族2「ああ。皇子に皇女は多いが不出来が多い。次期皇帝はアドルラン皇子に違いないだろう」

貴族2「今の内から縁談を進めていけば、我が家も皇族の関係者……より素晴らしい暮らしができるというものよ!」

貴族2「我が娘も、こう言ってはなんだがとてもできた娘。まぁ、この為に育ててきたのだから当然ではあるのだがな」

貴族3「確かにそちらの娘は、悔しいが美しい。だが私の娘の器量も悪くは無い筈。アドルラン様なら或いは……」

貴族1「お主らまで第一皇子狙いでは、我が子は厳しいかもしれんなぁ……」

貴族2「ははは! 何、我が娘が選ばれるのは当然だが、付き合いの長い君らを無碍にはしないよ」

貴族2「後の皇妃の権限で、君達も重役に取り立てると約束しよう」

貴族1「おお、それはありがたい!」

貴族2「しかし、皇族と関係を持ちたいのであれば何もアドルラン皇子に拘る必要もないのではないか?」

貴族2「我が娘には及ばぬが、そちらの娘も悪くは無い。カイン皇子やアベル皇子でも一応は皇族だぞ?」

貴族1「……確かに、あのいけ好かない黒髪貴族は娘の一人を第三皇子に近づけるとかは言っていたがな」

貴族1「いくら皇子とはいえ、妾の子だぞ? 実質無価値と同じ、候補にも挙がらぬわ」

貴族3「カイン様も論外だ。実質アドルラン様以外は皇子もいないも同然……」

貴族2「……それもそうか。実はアドルラン皇子にも、幼少期からとある貴族の娘が付きまとっているという噂があってな……」

貴族1「幼少期って、誰もが絶望していた頃ではないのか? 随分と先を見据えたのか、ただの酔狂か……?」

貴族3「何にせよ、我らが狙うべきはアドルラン様一人。競争率の激化も止む無しではあるな」



――


ロウル「……」ピキピキ…

フィーア「ね、姉様……!?」オロオロ


――

貴族4「……おや、皆さんが集まられるとは。何を話されていたのです?」

貴族1「ああ、いや。我らが娘をどの皇子に嫁がせるかを話していたのだがな……」

貴族2「まあ、私の娘が勝ち取るであろう!」フン!

貴族3「可能性はあると信じたい……」

貴族4「いやはや、羨ましい。僕の家は息子のみですからね」





貴族4「――狙える皇族といえば、キアラ皇女くらいのものですよ」




貴族1「そういえばそうか。しかし、フィーア皇女は?」

貴族4「流石にまだ幼すぎますし、戦う力も無いとか。それに王城では跳ねまわって落ち着きがないと聞きます」

貴族4「僕や息子にも選ぶ権利はあるでしょう? 出来損ないで皇位継承権も無い子供など無価値ですよ」

貴族2「ふーむ? しかし君の言うように彼女はまだ幼すぎる。アドルラン皇子のような可能性もあるのではないかね?」

貴族3「それに継承権を考えればキアラ様も似たような者。それに未だこもりがちだ」

貴族3「フィーア様の方がまだ希望があるのではないか?」

貴族4「ふふ、確かに皇位を考えればどちらも似たようなものです」

貴族4「ですが、キアラ皇女は……その見た目と発育の良さだけは非常に素晴らしいとは思いませんか?」

貴族1「そ、それは確かに。皇妃様譲りの美貌だとは思うが……」

貴族4「実の所、僕も息子も皇位には興味がないんです」

貴族4「今で十分の地位です。金さえあれば、屈強な戦士を……力も買えます」

貴族4「勿論、女だっていくらでも買える。ですがそれは同時に……」

貴族4「僕の金の力に負けた弱者。生きる為に股を開く浅ましい生き物でしかない。それでは満足できない」

貴族4「考えてみてくださいよ。皇女という地位に守られた、何も知らない純白を好みの色に塗り潰す……」

貴族達「「……」」ゴクリ…

貴族4「僕も息子も、そういったものが特に好きでしてね……」ククク


――


ロウル「……」ピキピキ!

フィーア「……」オロオロ

ロウル「……深い意味はわかりませんが、アベルさん達がみんな馬鹿にされたことだけはわかります」

フィーア「え?」

ロウル「行きましょう。手、握ってください。走りますよ!」ギュ!」

フィーア「はい!?」ギュ!


タタタ!


……

――



【帝国・アベルの城塞】


ロウル「アベルさんアベルさん! 私、無事に副官になれましたよ!」バーン!

フィーア「アベル兄様、お久しぶりです! フィーアです!」ピョーン!



特殊判定
↓1コンマ二桁

アベルの帰還

95>75

※基準値を上回ってしまった為、アベル未帰宅
※フィーアはこの頃、城を抜け出してもいつでもアベルに会えていたわけではないようです

――

シーン…

ロウル「ありゃ……? 学校の方が長引いているんでしょうかね?」

フィーア「あ……」ショボン…

フィーア「に、兄様も忙しいですものね!」

ロウル「ああ、もう! せっかくフィーア様が抜け出してきてくれたというのにアベルさんったら!」

フィーア「だ、大丈夫ですよ!?」アセアセ

フィーア「城内のお話はロウル姉様に話しても問題ないですし、お城だってまた今度抜け出せば!」

ロウル「アベルさんもできれば控えて欲しいっていってましたからねぇ……」

ロウル「あまりの高頻度抜け出していると流石に怪しまれますし、キアラ様も大変だと思いますよ?」

フィーア「うっ、キアラ姉様を出されると……」

ロウル「ごめんなさい。今度、私の方からもアベルさんにちゃんと城塞にいる時間を増やすよう言っておきますからね」

フィーア「だ、だから大丈夫ですよ!?」ワタワタ

フィーア「確かに今日アベル兄様とお会いできなかったのは寂しいですけれど……」



フィーア「――めげたりしません! 私は兄様や姉様の妹なんですから!」エヘン!



フィーア「それに……」

ロウル「それに?」

フィーア「アベル兄様なら、いつかきっと……こういうお忍びをしなくても、いつでも会えるような……」

フィーア「そんな素晴らしい帝国にしてくださると、確信してますから!」ピョン!

ロウル「……ええ、私もお手伝いしますから。いつか、きっと!」グッ!

フィーア「はい!」


タタタタ!


エリス「も、もうしわけありません! お迎えが……あれ? ロウルさんにフィーア様?」

ロウル「あ、エリスさんは残られていましたか。アベルさんはどうも遅れているみたいですよ」

フィーア「エリス姉様、こんにちは!」ペコリ

エリス「こ、こんにちは! もうしわけありません、こんなに慌ただしくて――」

ゴポポポ…

ロウル「……エリスさん? この嫌な音に臭い、まさかまたこっそりお料理の練習を?」

エリス「はわぁ!? 慌ててて火を消していませんでしたっ!?」

ロウル「ま、まずいですって! はやく消火ですよ消火!?」ワタワタ!

フィーア「お、お手伝いしますっ!?」ワタワタ!

フィーア(大好きなアベル兄様……)

フィーア(会えなかったのは寂しいけれど、大丈夫なのも本当です)

フィーア(だって、血は繋がっていないけど、キアラ姉様以外にこんなに賑やかで優しい姉様達もいるんですもの!)


……

――

――


……その頃……


【帝国・軍学校】


アベル「……」

アベル(……予定より随分と長引いたな)

アベル(ロウルとエリスは大丈夫だろうか?)

アベル(大きくなったとはいえ、まだまだ子供だからな)

アベル(危ないことをしていなければいいんだが……)



???「……」


特殊判定
↓1~2コンマ二桁

アベルの忍耐

1軍学校時代初期のアーシャ友好度

71(恥ずべきは私の家。私はこの人の助けになりたい……)>70

※基準値を超えた為、初期の頃から交流あり


2軍学校内でのアベルの扱い(妾第三皇子補正-15)

17-15<50

= 2 (弱者の妾の子、それだけに飽き足らず身の程知らずの馬鹿だぜあいつ!)

※基準値を下回り、かつ相当な低値の為扱いは散々

※教師や貴族どころか平民生徒にまで馬鹿にされ、厄介ごとも色々押し付けられていたようです

――


アーシャ「……アベル、お疲れ様です」

アベル「アーシャ……君まで付き合うことはなかったというのに」

アベル「君は名家の生まれにして、なんでもこなす秀才だというではないか」

アベル「俺になど構う必要はないだろう?」

アーシャ「いいえ。わざわざ不必要な書物を持ち出し、それをあなたにだけ片させるなんて……」

アーシャ「卑屈な、ただの嫌がらせ。見て見ぬふりはできませんよ」

アベル「……君は、変わっているな?」

アーシャ「そうかしら?」

アベル「……俺は妾の子だ。幼少期は兄様達と違って専属の教師などいなかった」

アベル「そしてこの年齢になっても、アドルラン兄様と同じ学校には通えていない」

アベル「第三皇子など、名ばかり。周囲の反応も、間違ってはいない」

アーシャ「……いいえ」

アーシャ「帝国は実力主義。たとえあなたが、皇帝陛下やみんなから蔑まれ続けてきたとしても……」

アーシャ「ん……自分で言うのも恥ずかしいですけど、名家の私が通う学校にこうして通えているのです」

アーシャ「――お金だとか地位だとか、そんなものではない。あなた自身が身に着けた力と知恵……」

アーシャ「それが本物だからこそ、彼らもここへの入学を認めざるを得なかったのだと思いますよ?」クスクス

アベル「そ、そうなんだろうか……?」


アベル「……しかし、そうだとして」

アベル「君が俺をこうして気に掛ける理由にはならないだろう?」

アベル「仮に成績がまともだとして、君はまだ及んでいない筈だ」

アベル「俺に知識や経験が足りていないのは、俺が一番わかっているつもりだからな」

アベル「そんな第三皇子と交友があるなどと知れれば、君の名に傷がつくのではないか?」

アベル「今日だけじゃない。君は、俺と会ったその日から……」

アーシャ「……」

アーシャ「……あなたこそ、私を買いかぶり過ぎですよ?」

アーシャ「私は、そんな大した存在ではないの」

アベル「アーシャ?」

アーシャ「大体、こうしてあなたを呼び捨てで呼んでいるのも本来……たとえば、アドルラン様とかに対してなら不敬でしょう?」

アーシャ「私のきまぐれで、内心ではあなたを見下してほくそ笑んでいるかもしれない。他の貴族と同じかもしれない……」

アーシャ「そう考えたことはないのですか?」クスリ

アベル「……君は違うと、俺はそう思う」

アーシャ「……本当に、買いかぶり過ぎですよ」

アーシャ「……」スッ…

アーシャ「――こうして、私が剣を隠し持っていても?」シャキン!

アーシャ「――それでも、それでもあなたは!」

アベル「……!」


コンマ50以上で優勢
コンマ49以下で劣勢

↓1コンマ二桁

コンマ08


――アーシャ劣勢!


アーシャ「ふっ!」

アベル「……」スッ…

アーシャ「っ!?」

アーシャ(う、動きが見えなっ!?)

アベル「……」グオッ!

アーシャ「!!」ゾクッ!



アーシャ(そう、これ……)


アーシャ(あの日確かに見た、落ち着いたこの人の瞳の中に宿る――冷たい鋭ささえ感じる、確固たる意志!)ゾクゾク!




キィン!


細剣「……」カラカラ…


アーシャ「っ……」

アベル「っと!? すまないアーシャ、大丈夫か!?」オロオロ

アベル「あまりに急だったから、俺もつい……」

アーシャ「ふふ、謝るのは私の方ですよ。皇子様を相手に、こんな無礼を働いてしまったんですから」

アベル「……今の君の剣には、殺意が籠っていなかった」

アベル「もしかして、俺を……試したのか?」

アーシャ「ふふ、そうかもしれませんね……」

アーシャ「今の鋭い目、反応。アベル、あなたはやっぱり……」

アーシャ「――あの日の言葉通り、本当にこの帝国を変える道を選ぶつもりなのですか?」


初期アーシャとの判定が済んだあたりで今日はここまで
アベルが城塞帰宅していなかった為、少しだけアベルサイドの補完となります
(なおこの部分は現代では語られておらず、アベルとアーシャのみ知っています)
友好度も高めを乗り越えた為、この後アーシャもフィーアと顔合わせが行われます

本日もありがとうございました!

こんばんはー
それではゆるりと再開していきます

なお、信じられないかもしれませんが、このスレの当初の難易度や構想はハードモードで
ヒロイン死亡や凌辱、鬱や不幸も含んでいたんですよ?
まあゾロ目や要所を打ち抜くコンマでそんなプロット分子分解されましたけどね(白目)

アベル「……あれは忘れろ。妾の子の、愚かな妄言だ」

アベル「誰もがそれを理解している。だからこそ俺に深く関わろうとする者もいない」

アベル「聡い君なら、わかりそうなものだが?」

アーシャ「……いいえ」

アーシャ「今のあなたの動きは、明らかに普段とは異なっていました」

アーシャ「その瞳の奥に隠されたあなたの信念……偽りのないもの」

アーシャ「傍から聞けば確かに妄言かもしれないれど、あなたはそれを成し遂げようという意志がある……」ズイ

アベル「……」

アーシャ「あんなことを言えば、妄言吐き……皇帝陛下への不敬もですね」

アーシャ「目をつけられることは、孤立することはわかっていた筈です」

アーシャ「それでもあなたは、国を変えることを口にした」

アーシャ「……この場で孤独になっても構わない覚悟。もう支えてくれる人がいるのではないですか?」

アベル「……っ」

アーシャ「ほんの少しだけ、賛同者が現れないかという淡い期待も持っていそうですけどね?」クスリ

アベル「……大したものだよ、君は。全部見抜かれているとはな」

アーシャ「ふふ、正解できて嬉しいわ」

アーシャ「でも私程度に見破られては、この先が大変ですよ?」

アベル「うぐ……」

アーシャ「武力は鍛えてきたようですけど、まだまだ駆け引きや演技は苦手かしら?」

アベル「それを言われるとつらいな……」

アーシャ「……ねぇ、アベル?」

アーシャ「もし、よければ――」



……



――

――


【帝国・城塞への道】



アベル「……」スタスタ

アーシャ「……」スタスタ

アベル「……君は本当に変わっているな」

アーシャ「褒め言葉かしら?」

アベル「こんなところを誰かに見られたら、まずいだろう?」

アーシャ「ご心配なく。大丈夫ですよ」

アーシャ「……黙っていましたけど、私があなたの信念に気がつかないで、普通に暮らしていたとしても」

アーシャ「きっと、こうなってはいたと思いますから……」

アベル「?」

アーシャ「……これは、私の意思。私は、あなたの力になりたい」

アーシャ「微力かもしれませんけど。だからアベルは、気にしない方がいいですよ?」

アベル「……いや、ありがとう」

アーシャ「ふふ……」

アーシャ(アベル、あなたはこんな私を信じてくれた)

アーシャ(だから私も、あなたを信じてついていきますからね……?)


アベル「……ここだ」

アーシャ「本当に随分と帝都から離れていますね……」

アーシャ(逆に言えば、近づく物好きもいない隔離された場所。野心を隠すには、丁度いいかも?)

アベル「ロウルから小言は貰いそうだな……」ガチャ…



モワァーン…




アベル「ごふっ!?」

アーシャ「アベル!?」ビクゥ!



アーシャ「ま、まさか野心がばれて毒を撒かれたの……!?」バッ!

アーシャ「アベル、気を確かに! これで鼻と口を覆って!」

アベル「だ、大丈夫だ……不意をつかれたが、この臭いは……」ヨロ…

アーシャ「アベル駄目、まだ中に毒の塊があるかも――」



エリス「ふえええぇぇぇぇぇぇ! し、知らない人にまでいきなり毒扱いされましたああぁぁぁぁぁ!」ピエーン!



アーシャ「え……小さい女の子!?」

アベル「おー、よしよし泣くなエリス」ナデナデ

アベル「帰りが遅くなってすまなかった。また、料理に失敗してしまったんだな……」ヨシヨシ

黒炭鍋「」シュゥゥゥゥゥ…

エリス「ごめんなさいぃぃぃぃ……!」シクシク…

アーシャ(い、色々と頭が混乱してきたわ……)


ロウル「あっ! アベルさんったらエリスさん泣かせちゃ駄目でしょう!? ってあれ? 誰ですその人?」キョトン

アーシャ「あっ……その……!?」

アーシャ(背は高めだけど、また女の子……いえそれ以上に、耳と尻尾……!?)

アベル「ああ、彼女は――」



フィーア「アベル兄様――――ッ!!!」ピョーン!

アベル「うおおぉぉ!? フィーア!?」ガシ!

フィーア「えへへへ/// 遅くまで待った甲斐がありました!」スリスリ!


アーシャ「」

アーシャ(フィーアって……皇帝陛下からの寵愛も噂される第二皇女じゃないですか!? そしてやっぱり小さい女の子!)

アーシャ(……アベルの趣味なの?)


フィーア「あれ?」

アーシャ「!!」


特殊判定
↓1~2コンマ二桁

特殊判定結果

1アーシャの城塞への適応

70(驚いたけど、楽しめそうですね)>50

※基準値を超えた為、柔軟な対応

2フィーアのアーシャへの懐き具合

79(お、大人のレディーな気配がします!? 憧れちゃうなぁ……)>30

※基準値を超えた為、警戒心も無く打ち解けます

――



アーシャ「そ、その私は……」

フィーア「アベル兄様、この大人のレディーな感じがする方は誰なのですか!?」キラキラ

アーシャ「レ、レディー? いえ、私はそんな……」

ロウル「ア、アベルさんが大人の女性を連れてくるなんて……」ガタガタ

エリス「……アベル様?」プルプル

アベル「あー……」

アベル「彼女はアーシャ。俺の数少ない大切な学友だ」

アベル「――俺の野心を、彼女にも話した。いや、見透かされたと言った方が正しいか」

アーシャ「い、いえそんなことは……ん、んん」コホン

アーシャ「初めまして。アベルと一緒に学んでいるアーシャと申します」スッ…

アーシャ「以後、お見知りおきを」ペコリ

フィーア「わぁぁ……!」キラキラ!

ロウル「おぉう……」

エリス「……!」

アーシャ「あ、あの……?」

フィーア「すごいです、ローズさんの言っていた淑女の佇まいです!」

フィーア「あ、申し遅れました! 私は帝国第二皇女のフィーアです!」ペコリ

ロウル「これは失礼を。アベルさんの副官、ロウルです」ペコリ

エリス「ア、アベル様の……メ、メイドのエリスです!」ペコリ

アーシャ「」

アーシャ(アベル……こんな小さい子にメイド服、それにロウルちゃんもあの歳で副官って……)

アーシャ(……いえ、帝国を変えるという無謀さの前に、まずは私の常識を変えてきている……?)

アーシャ(深い、深いですねアベル……!)

――

……


アーシャ「……ほ、本当にこの子達がアベルの協力者なのですか?」

アベル「ああ。もう何年もここで一緒に暮らしている、大切な家族さ」

エリス「アベル様達は、私がお守りします!」フン!

ロウル「いえいえ、ここは副官ほやほやの私めが……」ニヤリ

アーシャ「えっと、それでフィーア様も……」

フィーア「はい! 戦えないので、お城の中のことを時々兄様にお伝えするだけですけど……」

フィーア「キアラ姉様も、アベル兄様に賛同してくださっています!」

アーシャ「……」

アベル「……言いたいことはわかるぞアーシャ」

アベル「確かにフィーアとキアラは俺も心配ではあるんだが……」

アベル「エリスとロウルは、なかなか強いぞ?」ニヤリ

ロウル「ふふーん! と、自慢したいところではありますが……」

ロウル「まだまだ力不足。アベルさんの計画を実行に移すにはまだまだ年月はかかりそうですけど」

エリス「今はまだ、鍛錬です……! 剣も、お料理も!」

フィーア「私も! ローズさんにもっと色々教えて貰います!」

アーシャ(……みんな、なんて純粋な瞳。アベルへの想いが、私にまで伝わってくる……)

アーシャ「……これから、数年間はまだ耐える時。そういうことですねアベル?」

アベル「ああ。この子達もだが、何より俺自身が一番未熟だからな」

アベル「母上から頂いた手帳も、流石にこの子達への教育方法とかまでは書かれていない」

アベル「色々教えるにしても、教える俺が知識を積まなければ……」

アーシャ「ふふ、そういうことですか。それなら……」


アーシャ「――私もこれから、ここで色々手伝っちゃってもいいかしら?」ニコリ


フィーア「え、いいんですか!? わーい、また姉様が増えました!」ピョーン!

アーシャ「ね、姉様……?」

アベル「……俺達家族の状況は大体察しがつくだろう? フィーアは優しい子だからな……」

アベル「――普通の、温かい家族というものに憧れがあったんだ」

ロウル「……私達と初めてお会いした時のこと、よく覚えていますよ」

エリス「……私でも、家族が大切なものなのはわかります」

アーシャ「そう……少し恐れ多いけど、悪い気はしないかも?」フフ

フィーア「これから、よろしくお願いしますアーシャ姉様!」

アーシャ「ええ、よろしく」ニコリ

アベル「……だがフィーア、流石にそろそろ戻らないとまずいのではないか?」

フィーア「あ、そうでした!?」

ロウル「元はと言えばアベルさんのせいですからねぇ?」

アベル「うっ……」

フィーア「で、ではアベル兄様、皆さん、今日はここで失礼させて頂きます!」

フィーア「次はいつ会えるかわからないけど……その時は、またよろしくお願いします!」

フィーア「あ、アーシャ姉様には素敵なレディーの作法とかを教わってみたいです!」

アーシャ「ふふ、しっかり用意しておきますね?」

フィーア「それでは!」シュバッ!

アーシャ「……つい普通に見送ってしまったけど、護衛とかは?」ダラダラ

アベル「フィーアは変装が得意でな。ちょっとやそっとではばれないんだ」

ロウル「それにあまり狙われることも無く……ってそうだったアベルさん!」

ロウル「今日、フィーア様に近づく不審者いたんですよ!」

アベル「なんだと!?」ガタ!

ロウル「ま、この私が射抜いてやったので大丈夫でしたけどね」ムフー!

アベル「そ、そうだったのか。すまないロウル、助かった……お前も、怪我とかはしなかったか?」ナデナデ

ロウル「ふふん、大丈夫に決まってるじゃないですか。で、でももうちょっと褒めてくれていいですよ?///」パタパタ!

エリス「……」

エリス「……アーシャさん?」

アーシャ「はい、何かしらエリスちゃん?」

エリス「お、お料理とかも……教えていただけますか?」

アーシャ「ええ、大丈夫よ。お料理はこう見えて結構得意なの!」

アベル「そ、そうなのか? それはかなり助かるな」



アーシャ(……あのアベルが、ここに来てから一気に表情が柔らかくなった)

アーシャ(きっとこの場所が……唯一心を許せる場所にして、守りたい場所なのね)

アーシャ(エリスちゃんとロウルちゃんも、いい子みたいだし)

アーシャ(私も、ちゃんとここの一員になれるといいな……)


……


――

――


【帝国・皇女の部屋】



キアラ「……」ドキドキドキドキ

キアラ(フィーアちゃん、大丈夫かな……)

キアラ(さ、流石にこれは下手をすると私も不味いような……)

キアラ「……」

キアラ(い、いや、万が一の時はそっちの方に話を持っていこう……)

キアラ(フィーアちゃんは悪くなくて、私だけが悪いってことにすれば……)



コンコン!



キアラ「……!」



特殊判定
↓1~2コンマ二桁

おっふ!?(白目)

キアラの判定を取ったあたりで、今日はここまで
判定結果などはまた後日に

本日もありがとうございました!

こんばんはー
ほんの少しだけ再開です

学力判定は取るにしても、このイベントが終わってからですね
あとやっぱりカインとか賢い設定の人は最低保証をつけた方がいいかな?

キアラの忍耐・心と身体


1本当は吐きたい弱音
85>

コンマ77

 7 7

ゾロ目:アベル兄様の境遇と比べれば、全然平気です

※この頃からもう鋼メンタルだったようです(白目)

2育つ胸の恥ずかしさと自覚

60(ちょ、ちょっと恥ずかしい……///)>50

※基準値を超えたため、自分の胸が見られていることも理解しているようです

――



帝国兵「失礼しますキアラ様。フィーア様ですが……」

キアラ「こんな時間まで、お疲れ様です」ペコリ

キアラ「フィーアちゃんは少し前に帰ってきたんですけど……」チラ


フィーア?「……」


キアラ「遊び疲れたのか、もう寝ちゃってて」

キアラ「寝つきのいい子だから、起こすのには少し時間がかかってしまうかもしれませんが……」

帝国兵「い、いえ大丈夫です」アセアセ

帝国兵「陛下から命ぜられたのは、フィーア様の動向の確認だけですので」

帝国兵「すでにお休みになられているなら、問題はありません」

キアラ「……」

キアラ「お父様がフィーアちゃんを可愛がっているのは知っていますけど、どうしてそこまで……」

帝国兵「それは……」

帝国兵「やはり――アベル皇子との接触が原因でしょう」

キアラ「!!」

帝国兵「キアラ様もご存じかと思いますが、帝国の皇子においてアベル皇子だけは異端なのです」

帝国兵「皇妃フローレン様の血が流れていない、妾の子……」

帝国兵「皇妃の座をかけた戦いに敗れた敗者の子は、帝国には相応しくない」

帝国兵「本来であれば始末されていてもおかしくありませんが、陛下の恩情により生かされている状況です」

キアラ「……」


帝国兵「軍の上層部は帝国の力を誇示する為にも、皇族とはいえ弱者は捨てるべきという意見が多いのです」

帝国兵「そんなアベル皇子に対してフィーア様が懐いてしまうのは、色々と面倒なのですよ」

帝国兵「陛下もアベル皇子に対していつも決まって、放っておけの一言で済まされていますが……」

帝国兵「やはり内心は、他の者と同じくフィーア様との接触を煙たがっているのだと思います」

キアラ「そう、ですか……」


キアラ「――戦えない、弱者の皇族ならば私もなのに」


帝国兵「そ、それは……」

帝国兵「キアラ様は、このような時間まで勉学に励まれていますし!」アセアセ

キアラ「……わかっています。私がこの部屋で過ごせているのも、フィーアちゃんのお願いがあったからなのでしょう?」

キアラ「どれだけ勉強しても、お母様みたいな雷の魔法どころか他の魔法も使えない」

キアラ「アドルラン兄様みたいに、重い装備を着たまま動き回ったりもできない」

キアラ「……カイン兄様みたいに、……っ、他国の人から、情報を聞き出すこともできない」

キアラ「私は第一皇女なのに、何もできない……」

帝国兵「キアラ様、そのようなことは――」


キアラ「――でも、あのアドルラン兄様も遅咲きだったのです」グッ!


キアラ「時間はかかってしまうかもしれないけれど、いつか。いつの日か……」

キアラ「お父様やお母様にも認められる、そんな第一皇女になって見せます!」ムネハリ!

帝国兵「おおっ!? そ、そうですよキアラ様! その意気です!」

帝国兵「……」チラリ

キアラ「?」ポイーン

帝国兵「///」


帝国兵「そ、それでは私はこれで! お時間を頂戴してしまい、申し訳ありませんでした!」バッ!

キアラ「いえ、こちらこそ。お休みなさい」フリフリ

帝国兵「お休みなさいませ!」ペコリ


パタン…


キアラ「……」

キアラ「い、今、また胸を見られていたような……///」

キアラ「やっぱり、変なのかな……背は伸びないのに、こんなところばっかり」ポイン

キアラ「下着もまたきつくなっちゃうし、フィーアちゃんみたいに自由に着る服選べないしなぁ」


フィーア?「……」


キアラ「ふぅ、フィーアちゃんとローズさんが変装道具組み合わせて作った、このフィーアちゃん人形……」

キアラ「私がなんとか兵士の人に至近距離まで近づかせないように頑張れば、今度も誤魔化せそうだね」ポンポン

キアラ「頑張らないと、色々と……!」グッ!

キアラ「だって、アベル兄様は私よりもずっと辛い思いをしてきたのに、しっかり前を見て頑張っているんだもの」

キアラ「お母様が違う……たったそれだけのことで……」

キアラ「私やフィーアちゃんにとっては、優しくて温かい兄様なのに……」

キアラ「……アベル兄様。私は不出来かもしれないけれど、それでも絶対に諦めませんからね……!」


……


――

――


帝国兵「ああ、よかった……」ホッ…

帝国兵「てっきりキアラ様を泣かせちまったかと思ったが……」

帝国兵「キアラ様、あんななりなのに随分と強いもんだなぁ……」

帝国兵「フローレン様からよくねちねち叱られているって聞くけど、大した子だよ」

帝国兵「それに……やっぱ育ってるよなぁ……///」

帝国兵「……俺ももっと強くなって将になったりすれば、ワンチャンあったりするのかな?」

帝国兵「……なんて馬鹿言ってないで、次の確認場所へ急がねえと……」タタタ…




フィーア「……」コソコソ…



シュバ!


フィーア(……キアラ姉様が、どうしてかお父様とお母様から嫌われているのは知っています)

フィーア(そして私も、可愛がられてはいますけど、周りから期待されていないことも知っています)

フィーア(キアラ姉様は、ローズさんは、それでいいと……帝国に染まらないでと言ってくれました)

フィーア(代わりに私が……そう言って姉様は、面白い本以外にも難しい本を読むようになってしまった……)

フィーア(キアラ姉様、いつも私を守って大切にしてくれる大好きな姉様)

フィーア(今はまだ……でもいつか、私も姉様を守れるくらいの、立派な皇女になってみせますからね……!)タタタ!




カチャ…



キアラ「!」


フィーア「ただいま戻りましたっ!」ピョーン!


キアラ「フィーアちゃん、よかったぁ……」ホッ…

キアラ「もう、遅いからかなり心配してたんだよ?」

キアラ「こんなこともあろうかと、フィーアちゃん人形をベッドの中に入れておいてよかったよ」

フィーア「ご、ごめんなさい。ちょっとアベル兄様の城塞で、お料理のお片付けを手伝ってて……」

フィーア「でもそのおかげで、帰りが遅れていたアベル兄様にも少しだけお会いできました!」ホクホク

キアラ「ふふ、よかったねフィーアちゃん」

フィーア「はい!」

フィーア「それにですね、なんとアベル兄様に新しい協力者の方も見つかったのです!」

キアラ「ほ、本当!?」

フィーア「アーシャという、綺麗な黒髪のレディーな人です!」

キアラ「綺麗な黒髪……」

キアラ(……ノワール義母様、あの日以来お会いしていないけど……)

キアラ(無事、だよね……?)

フィーア「姉様?」

キアラ「あ、ごめんね?」

フィーア「アーシャ姉様の協力があっても、まだまだ時間はかかるそうですけど……」

キアラ「うん、そう簡単に行くことじゃないからね。私達もまだまだ子供だし」

キアラ「でも、いつか。きっといつか……」



姉妹「「私達も、アベル兄様の力に……!」」



……


――

―――
――



フィーア「――というようなこともありました!」

ロウル「ありましたねぇ。今思い返すとあの貴族達、本当に最悪極まりないですよまったく」

アーシャ「うう、懐かしいと同時に耳が痛い……」

パトラ「王国に限らず、どの国の貴族も腐るものなのかしら?」

ティア「せ、聖国なら大丈夫……?」

シア「ん~……聖国はまた違った問題ですし、やっぱりどの国も昔から問題は多いんですね~」

アベル「ロウルが耳にした貴族達以外にも、キアラとフィーアによからぬ感情を持っていた奴は多いだろう」

アベル「やはりさっきのあれは処分して正解だったな」

パトラ「そうですね。アドルラン皇子は当時からやはり縁談が多いご様子でしたけど……」

アーシャ「アドルラン様も、当時から地位目的の貴族の娘に辟易なされていたのでしょう」

ロウル「そこにあんな無遠慮に切りこんでくる、真っ直ぐな人が現れたら突然求婚もするわけですよ」

エリス「……ん/// ヒ、ヒバリさんも幼い頃よりアドルラン様を支えていますし、いまではルーシェさんもですし!」アセアセ

シア「カインさんも、エメリナさんというやすらぎを手に入れられたようですしね~」ニコニコ

ティア「皇女様も当時は、本当に幼かったでしょうに色々な苦労があったのですね……」

ティア「そんな苦労なされて来た方々が、今長き苦難の果てにようやく幸せを掴む……」

ティア「やはり、神は見ておられるのですね……!」

アベル「……言われてみれば、俺達兄弟はここのところめでたい話が多いな」

アベル「この調子でいくならば、苦労してきたキアラとフィーアもそろそろ報われるんじゃないか?」

シア「お二人にも、いいお相手が見つかるということですか~?」

キアラ「!?」

フィーア「!?」

マックス「!?」

アベル「そうだなぁ……」


特殊判定
↓1~2コンマ二桁

苦労を乗り越えた現代にて

1アベルのお兄ちゃんブロック

86>85

※基準値を超えたため、アベルは妹達の相手にも思うところはあるようです

2いいお相手、フィーアにも来たり?

85>39

※基準値を下回った為、やはり現時点では存在せず

――


フィーア「んー、私には残念ながら……」

フィーア「まだ早いと言いますか、アベル兄様のような方とまず出会わなければ何も始まりません!」

アベル「ははは、俺みたいな男はなかなかいないと思うぞ?」

ロウル「黒髪って点ではここにマックスさんがいますけどねぇ」

マックス「ぶっ!?」

パトラ「見た目の話ではないでしょう? マックスではアベルさんにはまだまだ及びませんよ、色々と」

マックス「はは、ですよねー……」ショボン…

キアラ「で、でもマックスさんには、マックスさんのいいところがあると思いますよ!?」アセアセ

キアラ「いつでも真っ直ぐで、真剣なところとか!」

マックス「キ、キアラちゃぁん……」ジーン…

ロウル「流石キアラ様、お優しい……ま、マックスさんのその真っ直ぐさは確かに好感持てますけどねぇ」

ロウル「でもキアラ様、程々にしておかないとその真っ直ぐさでマックスさんがキアラ様の優しさで惚れてしまうかもしれませんよ?」アハハ


キアラ「」

マックス「」


アベル「そうだな。確かにキアラもフィーアも優しい子だ。帝国も変わりつつある今、今後惹かれる男も現れるかもしれないが……」






アベル「――その時は俺も出陣するかもしれないな」ジャキン!





マックス「」

マックス「」

マックス「」


アベル「まぁ、最後は二人が決めること。あまり兄の俺がでしゃばり過ぎるのも……ど、どうしたマックス?」

マックス「ナンデモナイデスヨ?」




マックス「アー、モウスコシフタリノムカシノハナシキニナルナー」

アベル「だ、大丈夫かマックス? なんか声がおかしくなってないか?」アセアセ

ロウル「アベルさん、瞬間的に冷気漏れてたからそのせいじゃないですか?」

キアラ「な、なにか面白い話とかあったかな!?」アセアセ

フィーア「うーんと、うーんと……」



※次の姉妹の過去のイベントを選んでください

※どちらか一方。もう片方は簡略的になります

1:フィーアの王城脱走作戦(判定多め)

2:キアラとフィーアのレディー特訓

3:その他自由安価

↓1~3多数決

次の内容が決まったあたりで今日はここまで
マックスは運がいいのか悪いのか……

そして先に判定を二つほど取っておきます
本日もありがとうございました!

特殊判定
↓1~2コンマ二桁

こんばんはー
今日もほんの少し再開です

実はキアラとフィーア、あれだけ色々判定を取っているのに揃ってほとんど良結果ばかりなんですよね
唯一駄目だったのは温泉卓球(しかも姉妹揃って同奇数ゾロ)のみ
年齢を考えると、全キャラクターの中でも一番才に恵まれているのかもしれません

フィーアの王城脱走、どうだったの?

1幼少期のフィーアの歩行レベル

50>16(無音どころか騒々しい。流石に生まれつき無音だったわけではない様子)

※基準値を下回った為、第二判定が失敗回数に

2王城脱走成果

50>40(40回ほど見つかって連れ戻された苦い経験があるようです)

※基準値を下回った為、きついお咎めは無し

――


フィーア「あ、私がもっと小さい時に沢山捕まったお話とかはどうでしょう!?」

ティア「つ、捕まった!? も、もしかして王国や聖国にですか……!?」ビクゥ!

フィーア「ち、違いますよ! お城の兵士の人にです!」

シア「どういうことですか~?」

キアラ「あの頃は……そう、丁度カイン兄様がお城に戻ってきた頃だったかな?」

キアラ「フィーアちゃん、カイン兄様だけでも戻ってきてくれたことが嬉しかったみたいで」

キアラ「お部屋から飛び出して、カイン兄様に会いに行ったんです」

エリス「……私の記憶が確かなら、その頃のカイン様は一番嫌な時期ですよね?」

キアラ「はい。あの日からカイン兄様はどこかおかしくなってしまって、誰かをいたぶる趣味を持つように」

フィーア「とっても辛かったです……」

フィーア「でも、今はカイン兄様も元に戻られて本当によかったです!」ニコニコ

キアラ「でもやっぱり、当時は子供だったフィーアちゃんにはだいぶショックが大きくて」

キアラ「しばらく笑顔も消えちゃって、私も辛かったなぁ……」

フィーア「でも、そんな時でした!」

フィーア「アベル兄様も、戻ってきたとの報せを聞いたのは!」

キアラ「当然、フィーアちゃんはカイン兄様の時以上に凄い勢いで飛び出したんだけど……」

ロウル「およ? 確か私とエリスさんがフィーア様と初めてお会いしたのはもう少し後ですよね?」

キアラ「ええ。フィーアちゃんはあの日、アベル兄様に会う前に……捕まったんです」

キアラ「兄様に、会っては駄目だと……酷く言い聞かされて」

アベル「……」


フィーア「でも、私どうしてもまたアベル兄様にお会いしたくて……」

フィーア「日を改めては、何度も何度も王城を抜け出そうとしたんです」

マックス「はは、フィーアちゃんの変装と移動術があればあっさり抜け出しそうだな」

フィーア「そ、それが……///」

フィーア「その頃の私は本当に幼くて、ただがむしゃらに正面から出よう出ようってしてまして///」

フィーア「結局、何度も何度も捕まっちゃったんです」

キアラ「その度に私やローズさんを含めて怒られちゃったよね……」

フィーア「うぅ、思い返しても本当に申し訳ないです……」

フィーア「もっと言ってしまうと、その頃の私は隠し事もできなくて……」

フィーア「泣きながら、アベル兄様に会いに行くのの一点張りだったみたいで……///」

キアラ「しばらく監視も酷かったよね……」

パトラ「そんなことが……」

シア「んん~?」

シア「でも、さっきのお話しを聞く限りだと、フィーアちゃんは帝都やこの城塞まで抜け出せていますよね~?」

フィーア「えへへ///」

フィーア「それは勿論、この時の反省を踏まえてたっくさんお勉強しましたからね!」

キアラ「ローズさんもフィーアちゃんの為に色々考えてくれたんです」

キアラ「私達が、立派なレディーになれるように」

キアラ「そして――アベル兄様に会いに行けるように」

フィーア「色々ありましたねぇ……」シミジミ

キアラ「そう、まさに特訓と呼べましたね」

キアラ「あれは確か、散々に捕まっちゃったフィーアちゃんを見かねたローズさんが……」


……



――

―――
――



【帝国・皇女の部屋】


ローズ「……フィーアちゃん、落ち着いてよく聞くのヨ?」

フィーア「?」

ローズ「……しばらく、アベル様の為にお城を抜け出そうとするのはやめなさい」

フィーア「っ!!!」ジワァ…

キアラ「な、泣かないでフィーアちゃん」ヨシヨシ

ローズ「安心して。何も、アベル様を諦めろだなんて言わないワ」

ローズ「でもネ。レディーには、時に耐えることも必要なのヨ」

フィーア「たえる……?」

ローズ「そう。このままじゃ、何百回やっても捕まっちゃうワ」

ローズ「……アタシだって、すぐにでもアベル様に会わせてあげたいわヨ」

ローズ「でもきっと、今はアベル様もお疲れヨ」

ローズ「暗黒街を必死に生き抜いてきたんだもの……」

ローズ「だから、ちょっとアベル様にもお休みをあげるの。わかる?」

フィーア「にーさまに、おやすみ?」

ローズ「そう。そしてあなた達にはその時間を使って……」




ローズ「レディーのお勉強をしてもらうワ!」バーン!



キアラ&フィーア「「レ、レディー!?」」



……


――

――


ローズ「いい? レディーのお勉強は実に多岐に渡るの」

キアラ「……」ドキドキ

フィーア「……」ドキドキ

ローズ「そしてそのうちのいくつかは、あなた達の将来に役立つと同時に……」

ローズ「――アベル様に会う為の武器にもなりえるワ」

キアラ「!!」

フィーア「!!」ガタ!

ローズ「ふふ、やる気は十分みたいネ」

ローズ「それじゃあ、まずはこれから行ってみようかしら……!」バッ!

キアラ「!!」


特殊判定
↓1~2コンマ二桁

レディー特訓その1・佇まい

1フィーア

50>18(まだ子供だもの……じっとしているのは苦手です)

2キアラ

64(元々大人しい子。ゆったりした動きは苦にならない)>50

※キアラ開幕合格!

――

……


ローズ「こうして、こう……」サッ、サッ!

フィーア「えっと、こうして、こう!?」ブン、ブン!

ローズ「んんっ、惜しいわネ。もう少しゆっくり、落ち着いて?」

ローズ「ほら、お姉ちゃんを見てみて?」


キアラ「ほ、本当にこれでレディーに……?」スッ、スッ…


ローズ「うん、思った通りキアラちゃんは筋がいいわネ!」

フィーア「ねーさま、すごい……」

フィーア「こうして、ええい!?」シュバ!

ローズ「頑張っている姿は可愛いけど、動き過ぎはレディーじゃないのっ!」ブッ!

フィーア「うぅ、むずかしい……」

ローズ「……」

ローズ(やっぱり、二人とも天使ではあるけどかなり個人差があるわネ)

ローズ(それにフィーアちゃんはまだまだ遊びたい年頃……)

ローズ(まだ身体の動きをしっかりさせるには早いのかしら?)

ローズ「はぁい、それじゃあ一回やめてぇ」パンパン!

キアラ「え、もう?」

ローズ「いきなりみっちりは叩き込まないわヨ?」

ローズ「こういうのはね、日々の積み重ねが大事なの」

ローズ「だからフィーアちゃんは気を落とさずに、キアラちゃんも油断しないで」

ローズ「次は……これっ!」バッ!

フィーア「!!」


特殊判定
↓1~2コンマ二桁

思ったよりも早い!?(白目)

レディーの特訓その2・優雅な歩法(フィーア、佇まい失敗による奮起で補正+5、固有判定有)

1キアラ

50>24(落ち着いてはいる。でもどっちかと言うと落ち着き過ぎて遅い)


2フィーア

93+5

=98(一体何があった!? どたばた走りから一変して見事な足さばき)>50

98>95

※フィーア合格!

※また固有判定で基準値を超えたため、追加イベント

――


ローズ「レディーたるもの、手の動きだけじゃ駄目」

ローズ「こうやってしなやかに、優雅にあるくことも大切ヨ?」シナリシナリ…

キアラ「わ、と……こ、こうかな……?」モタモタ…

ローズ「んんっ! 落ち着いて音を立てないのはレディーとして高評価ヨ!」

ローズ「後はもう少し素早く右足と左足をこうして……」

キアラ「す、すばやくゆっくり……!?」グルグル…


ローズ(ううん、次は手と足を混ぜて全身の動きを見ようと思ったけど……)

ローズ(やっぱりキアラちゃんは足は遅めみたいネ)

ローズ(フィーアちゃんも結構走り回る子だし、全身の動きを見るのはもっと後でいいかしらネ?)



フィーア(おちついて、ゆっくりと……)スッ…

フィーア(でもすばやくうごかす……)スススス…

フィーア(あと、ねーさまみたいにおとをたてないように……?)フッ…



フィーア「――」スー…



ローズ「はぁい、それじゃあこれもここまで……あら? フィーアちゃんは?」キョロキョロ



フィーア「こっちです!」ピョン!

ローズ「っ!?」

キアラ「あれ、いつの間に!?」ビックリ!

ローズ(キ、キアラちゃんに気を取られ過ぎてたかしら……?)

ローズ(アタシが天使の動きを見失うなんて……)

ローズ「……」

ローズ(なんでかしら、妙な胸騒ぎが……)


……


――

思ったより早く特定イベの基準値を越えてしまったあたりで今日はここまで
次は割り込む形ですが、特殊イベから再開です

本日もありがとうございました!

キアラも高かったらどうなったの?

こんばんはー
申し訳ありませんが、今日の更新はお休みです……
そして先にまたコンマ判定を

>>651
フィーアの暗殺才能は歩法を含む複合的なものなので、
キアラが歩法高コンマでも現代での淑女レベルが更に高まるだけです

↓特殊判定1~2コンマ二桁

こんばんはー
日付変わる寸前ですが、今日も少し再開です(白目)

もー、ほんとにゾロ目はもー(白目)

――


フィーア「~~~♪ これは、うまくできそうです!」スッ、スッ…

キアラ「うぅ、むずかしい……」モタモタ…

ローズ(……優雅、いやそれ以上に……)


コンコン


ローズ「!」



ガチャ


親衛隊「失礼致します。陛下がお二人をお呼びでございます」

親衛隊「……ローズ、あなたも」





ローズ「そう、わかったワ。すぐに向かうから大丈夫ヨ」

親衛隊「では……」バタン…

ローズ(流石に、呼び出しは受けるわよネ……)

キアラ「ローズさん……」

フィーア「?」

ローズ「大丈夫。大丈夫ヨ」

ローズ「アタシがついているから、何も心配はいらないワ」

ローズ(この子達まで、即暗黒街送りということはないと思いたいけど……)



……


――

――


【帝国・皇帝の間】



ギルバート「…………」


ローズ「……」

キアラ「……」ブルブル

フィーア「……」ギュ…


ギルバート「……我が言いたいことは、わかるな?」

ローズ「はっ……」

ローズ「フィーア様の、度重なる脱走の件でございますね……」

ギルバート「うむ……」

ギルバート「子供故の行動と思っていたが、些か回数が気になってな」

フィーア「……!」

フローレン「ああ、大丈夫よぉフィーア?」

フローレン「お父さんもお母さんも、別に怒っているわけじゃないのよぉ?」

フローレン「むしろ元気一杯って褒めてあげたいくらいよぉ?」ナデナデ

フローレン「――部屋に籠って本ばかり読む鈍間より何倍も素晴らしいわぁ」

キアラ「……っ」

フローレン「しかもぉ、本ばっかり読んでおきながら魔法も使えないなんてねぇ……」

フローレン「ほんっとぉにカインとは大違いねぇ?」ニヤニヤ

カイン「ふふ、これが才能の違いですよ母上」ニヤニヤ

フローレン「ええ、そうねぇ」ナデナデ

ギルバート「フローレン、キアラなど捨て置け。今はフィーアの話だ」

フローレン「はぁい、あなたぁ」スッ…

ローズ「……私も、此度の事態は重く受け止めています」

ギルバート「ほう……?」


ローズ「お二人はこの帝国の皇女……」

ローズ「皇位継承の優先度は低いとはいえ、フローレン様の実子」

ローズ「偉大な母君の名に恥じぬ、立派な淑女に育ってこその皇女です」

フローレン「ふふ、そうねぇ。そのとおりだわぁ!」パン!

ローズ「段階的に、ではありますが。お二人ともかつてよりも成長なされた以上……」

ローズ「そろそろ、本格的に皇女に相応しい教育をすべきだと考えております」

ローズ「実は先程より試験的にですが既に取り組んではおるのですが……」

ギルバート「……」チラリ

親衛隊「はっ! 確かに、室内で励んでおられる様子でした!」ビシ!

ギルバート「……そうか」

ギルバート「ならば、よい。そのまま続けるのだローズよ」

ローズ「はっ!」

ギルバート「……話はそれだけだ。戻ってよいぞ」

ローズ「失礼致します……」スッ…

キアラ「し、しつれいいたします……」スッ…

フィーア「しつれいします!」スー…




ギルバート「……っ」ピク




フローレン「あなたぁ?」

カイン「父上?」



ギルバート「……お前達は、どう思う?」

フローレン「いいと思うわよぉ? あの子、あの若さで相当優秀なメイドだって話じゃなぁい?」

カイン「ふん、どれだけ優秀な教育係だとしても、あいつが僕の才能を超えられるわけはないけどねぇ」

フローレン「ええ、そうねぇ! フィーアはともかく、キアラには絶対無理よぉ?」ナデナデ

ギルバート「……」


ギルバート(今のは、我の錯覚か? ……否)

ギルバート(あやつらがここを訪れる前から、音の数が釣り合わぬ)

ギルバート(怯えて震えていたキアラ。無駄なく動いていたローズ。大小の音は確かにあった)

ギルバート(だが――フィーアはどういうことだ?)

ギルバート(兵の報告では、騒がしく城を跳び回っては脱走しようとしていたと聞いたが、あれは真逆……)

ギルバート(ローズの本格的な教育を開始するという発言が偽りでないとすれば、それが切っ掛けか?)


ギルバート「くく……!」

フローレン「ど、どうしたのあなたぁ?」


ギルバート(――面白いっ! 長かった、長かったがついに我にも刃を向けられるやもしれぬ子が現れたか!?)

ギルバート(確かに遥か未熟、武器も持てぬ貧相な幼児。それまでに十数年はかかるやもしれぬが……)

ギルバート(ローズの教育で、眠っていた我が血、戦の才が目覚めたのは疑う余地無し……!)

ギルバート(いつか、必ずや強者となることだろう……!)


フローレン「どうしたのかしら……?」

カイン「……?」


ギルバート(我が、あれほど気配を察せなかったのはいつ以来だろうか?)

ギルバート(……)

ギルバート(……ノワール以来、か)

ギルバート(フィーアも、いずれはあのような強者になるのであろう)

ギルバート(――いや、あやつすら越えるやもしれぬ)


フローレン「……思っていた以上に、あの子達の教育失敗に悩んでいるのかしらぁ?」

フローレン「……こういう時のこの人は、そっとしておくに限るわぁ。行きましょうカイン?」

カイン「はい、母上!」


ギルバート(フィーアはまだ幼く、戦がどういうものかすらわかっておらぬ)

ギルバート(身体も小さく非力、成長も遅い。キアラ以上に救いようがないことになるかと思えば、そうでもない……)

ギルバート(幼いが故に、弱者であるが故に、誰も警戒はできぬ……!)

ギルバート(あの平坦かつ小柄な体躯で、人懐っこく胸元に飛び込んでくる幼児)

ギルバート(――もし、その手に刃を握っていれば?)

ギルバート「――っ!」ゾクリ!

ギルバート(我も、防げぬやもしれん……)

ギルバート(屈強な身体こそ、剛腕こそが武器と思っていたが、まさかあんな身体でも強者になりうる可能性が……)

ギルバート(ノワール曰く、育った胸は暗器を忍ばせることができるが、やはり動く際に邪魔になるというし……)

ギルバート(フィーアのあの才、あの身体。時代の帝国を担うに相応しき強者はまさかあやつが……)

ギルバート(くく、キアラが余計なものを全て引き受けたと解釈できぬでもないか。いずれにせよ、これは……)





ギルバート「――その時が愉しみだ」ニヤリ




……


――

――


【帝国・皇女の部屋】



ローズ「っ……ふぅ。なんとかなったわネ」

キアラ「……」

ローズ「……気にしちゃ駄目ヨ」

キアラ「いえ、大丈夫です」フルフル

フィーア「ねーさま?」

キアラ「フィーアちゃんが怒られたり、酷いことされなかったもの」ナデナデ

フィーア「んっ///」ホクホク

ローズ「……そうネ。でも、これからが大切ヨ」

フィーア「?」

ローズ「皇帝陛下の手前であんなことを言ってしまった以上、アタシはあなた達にこれからも色々教えていくワ」

ローズ「勿論、戦闘以外のことをネ?」

ローズ「……そして、当然あなた達はこの部屋でのお勉強の時間が増える。教えるアタシも同じくヨ」

ローズ「――アベル様に、これまで以上に会いに行くことが難しくなるかもしれない」

キアラ「!!」

フィーア「!!」

ローズ「……でも、一つだけ。もしかしたらって作戦もあるの」

ローズ「……どうなるか、アタシにもわからない。失敗するかもしれない」






ローズ「そして、試せるのは――今日が最初で最後かもしれないワ」

ローズ「フィーアちゃん、覚悟はある?」





フィーア「!?」

キアラ「ロ、ローズさん!? フィーアちゃんに何を……!?」オロオロ

ローズ「……さっきの歩き方。アタシは一瞬あなたの気配を見失ったワ」

フィーア「こ、これ?」スー…

ローズ「そう、それヨ。その歩き方なら――王城を今度こそ抜け出せるかもしれない」

フィーア「!!」

ローズ「今日なら、アタシが明日からお勉強を厳しくするから最後の我儘を聞いてあげたという嘘も通じる筈」

ローズ「でも、キアラちゃんは素早くは動けないしアタシもここからは動けない」





ローズ「――アタシも、本当はこんな危ない真似はさせたくないワ」

ローズ「――でも、アベル様に会えるかもしれない。あなたのその願いを叶えてあげたい気持ちもあるの」

ローズ「――フィーアちゃん、どうするか決めるのは、あなたヨ?」




キアラ「フィーアちゃん……」

フィーア「わ、わたしは……」



……


――

――


【帝国・街道】



タタタタタ…


フィーア「……」ドキドキ



――

ローズ「……この黒衣を被っていきなさい。ノワール様が残されたものヨ」

ローズ「アベル様がいるのは、ここ。誰も近寄らない寂れた城塞……」

ローズ「万が一見つかりそうになったら、兵士の方に見つかりなさい。その方が、まだ安全だから」

――



タタタタタ…

フィーア「……」ドキドキ



――


キアラ「うん、フィーアちゃんの気持ち、私もわかるよ」

キアラ「アベル兄様に、会いたいもんね……」

キアラ「……貧しい格好の子供なら、逆に狙われないかもしれない。とにかく、気をつけて……!」


――


タタタタタ…

フィーア「……」ドキドキ



タタタタタ…

フィーア「……」




フィーア(にーさま、もうすぐ……!)



……



――

――


【帝国・アベルの城塞】


ガサガサ…



フィーア「はぁ……はぁ……」ヨロ…



フィーア「つ、ついたぁ……!」



フィーア「ここに……」ゴクリ…




玄関扉「……」


フィーア「……」ドキドキ


フィーア「……」スゥー…



ガチャ…


フィーア「え!?」スカッ

???1「っ!?」ギョ!



???1「何者です!?」チャキッ!


フィーア「!?」ビックゥ!


???2「アベルさんを狙う刺客ですか!?」バッ!


フィーア「わ、わ……!?」アタフタ



???2「って、あれ……?」



ロウル「――エリスさんより小さい女の子?」パサ…

エリス「あ、本当だ……?」スッ…

エリス「ご、ごめんなさいいきなり!?」ワタワタ

ロウル「迷子ですかね? いやそれにしてもこんな場所へ……?」ウーン…


フィーア「……」


特殊判定結果

フィーアの城塞に住まう兄以外への懐き具合

1エリス
コンマ77×2(ゾロ目ボーナス)

= 1 5 4 

( わ た し と ち か い と し な の に つ よ そ う で す ! ! ! )

※フィーアは何かを感じ取ってしまったようです(白目)

※これにより……

2ロウル(前回救援対象だった為、懐き補正+10)
コンマ90+10

= 1 0 0

( か わ い い お み み と し っ ぽ ! なのに、かっこよくもあります!?)

※フィーアは未知の種族でも可愛ければオールオッケーのようです(白目)

※めっちゃ懐いて城塞に到着です(白目)

――


フィーア「わあぁぁ……!」キラキラ!


エリス「!?」

ロウル「ど、どうしたんでしょうこの子?」



エリスwith短剣「……」シャキン


フィーア( つ よ そ う ! )


ロウルwith狼耳尻尾「……」フリフリ



フィーア( か わ い い ! )



フィーア「……///」キラキラ


ロウル「あっ、もしかして私のこれが気になるんですかね?」ピョコピョコ

フィーア「わぁっ♪」

ロウル「ん、なんなんでしょうこの感覚……」ムズムズ

ロウル「こんな純粋な目で見られたのは、初めてでなんか恥ずかしいです///」

エリス「とても綺麗な目……アベル様に、近しいような……?」

フィーア「っ! アベルにーさま、知っているんですかっ!?」



エリス&ロウル「「に、にーさまっ!!??」」ズザッ!



フィーア「?」



……


――

判定結果までいったあたりで今日はここまで
……最初は懐いてなかったけどだんだん、とか考えていたらこれだよ!?(白目)
まぁ、純粋なフィーアらしいといえばらしいのかな?

この後はアベルとの再開後、残ったレディー特訓を再び再開する流れになります

本日もありがとうございました!

こんばんはー
今日も今日とて少しだけ更新です
次の判定までいければと思います

――


……


バタバタ!



アベル「――フィーアっ!?」




フィーア「あ……」



フィーア「アベルにーさまぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」ピョーン!

アベル「おっと!」ダキ!

アベル「フィーア……大きくなったな」ナデナデ

フィーア「にーさま、にーさまだ……!」スリスリ!

アベル「久しぶりだな……元気そうで何よりだ」

フィーア「はい……!」スリスリ!

アベル「キアラも、元気か?」

フィーア「ねーさまも、げんきです!」

アベル「そうか……」

アベル「まったく、無茶をして……」ギュゥ…

フィーア「ん……///」

アベル「待っていろ。すぐに何か飲み物を……」


エリス「用意します!」バッ!

ロウル「あ、待って待って私が淹れますよ!?」


アベル「待て、俺が淹れるから落ち着け! 少しの間だけ、フィーアを頼む」


エリス「は、はい!?」

ロウル「わかりました!?」


フィーア「?」



……

――

――



ロウル「まさか、アベルさんにこんな妹さんが……」

ロウル「それも王城から脱出してこんな場所までって……」

エリス「驚きました……」

フィーア「……ふたりは、アベルにーさまといっしょにすんでいるのですか?」

ロウル「ええ、まぁ……」

ロウル「正しくは、アベルさんに匿って……守ってもらっている状態ですが」

エリス「いつか、もっともっと鍛錬を積んで、私達もしっかりアベル様をお守りするのです!」

フィーア「にーさまを、まもる……」




フィーア「――わたしも、にーさまのちからになりたいです!」ピョン!




ロウル「……」

ロウル(さっきの様子、そしてアベルさんの性格からして、この子を可愛がっているのは明らかです)

ロウル(こんな純粋な子まで、私達みたいな経験をさせるのは流石に……)

フィーア「こっちのおねーさん、さっきぶきをかまえてました! わたしも!」ピョンピョン!

エリス「……」

ロウル(エリスさん、あの年頃からもうナイフと魔法使ってましたけどねぇ……)

ロウル(この子はさらに小さいですし、何より経験が違いますし。なんとか話を逸らしてみますか)



エリス「――持ってみますか?」スッ…



ロウル「ちょ!?」




ロウル「ま、まずいですってエリスさん!?」ワタワタ

フィーア「わーい!」

ロウル「ああ、あぶな――」


フィーア「!?」ズシ…


カシャン…


フィーア「あ、あれ?」

エリス「思ったより、重いでしょう?」

エリス「それでも、軽い方なんです。軽いから、相手も倒しきれないかもしれない」

エリス「補うには、両手で持たないと」チャキン!

フィーア「!?」

エリス「……アベル様、危ないことするから。私が、守ってあげるんです!」

エリス「だから、安心してください。アベル様の大切な家族に、危ないことなんてさせません!」フンス!

ロウル「ああ、そういうことですか……」

ロウル「どうです? この人が代わりにアベルさんを守ってくれるから、危ないことはしなくても大丈夫」

ロウル「あ、もちろん私もアベルさんをお守りしますからね?」

フィーア「……」










フィーア「 か―― か っ こ い い ! ! ! 」キラキラ!






エリス「あ、あれ?」アセアセ

ロウル「おや?」


フィーア「すごいすごい!」ピョンピョン!

フィーア「おもいのに、にほんもってる!」

フィーア「ちゃ、ちゃんとつかえるの?」

エリス「え、ええ。アベル様から教わったのである程度は……」ヒュンヒュン!

フィーア「わぁ~!」キラキラ!

ロウル「エリスさん、逆効果です!」ビシ!

エリス「はっ!?」

フィーア「すごーい……!」キラキラ

フィーア「わたしよりちょっとおおきいくらいなのに、こんなに!」キラキラ!

ロウル(あぁ、純粋な眼差しが眩しい! でも、どうするんですかこれ!?)ヒソヒソ

エリス(えっと、えっと……)

ロウル(仕方がありません、ここは私が……)

ロウル「ん……まあ、見ての通りこの人は凄いんです。何しろお姉さんですからね」

ロウル「刃物は危ないですし、フィーア様がもっと大人になったらもう一度考えてみればいいんじゃないですか?」

ロウル(流石に、お城の人も止めてくれますよね? こんな純粋な子に……)

エリス「そ、そうですね。私も最初は握ることで精一杯でした」



エリス「――でも日々の努力を積み重ねれば、いつかきっと報われます!」グッ!



フィーア「!!」

ロウル「だから報われちゃ駄目なんですって!」ビシ!

エリス「はう!?」



フィーア「ひびの、どりょく……」

フィーア「まいにち、がんばるってことですね!」

エリス「はい!」

ロウル「んー……まぁ確かに、それは大事なことですね」

ロウル「アベルさんも私達も、今も昔もそれが基本ですし」

フィーア「アベルにーさまと、おみみのおねーさんたちも?」

ロウル「おっと、そういえばまだちゃんと名乗っていませんでしたね。これは失礼」

ロウル「私はロウル。こちらはエリスさん。よろしくお願いしますフィーア様」

エリス「よろしくお願いします」ペコリ

フィーア「よろしくおねがいします!」ペコリ

ロウル「しかしおみみのおねーさんって……これ、変だと思ったりしないんですか?」ピョコピョコ

フィーア「かわいいです!」キラキラ!

エリス「わ、私も可愛いなって……///」

ロウル「……もう、おだてても何も出せませんよぉ?///」パタパタ

フィーア「しっぽもかわいいです!」キラキラ!

フィーア「……」

フィーア「アベルにーさまといっしょにすんでいるということは、かぞくなのですか?」

エリス「!?///」

ロウル「!?///」

フィーア「アベルにーさまのかぞくということは……」






フィーア「エリスねーさまとロウルねーさま?」キラキラ!




エリス「んっ!?///」

ロウル「くっ!?///」


エリス(な、なんでしょう……この感覚?)

ロウル(……姉様、家族、ですか……)


ロウル「あはは、皇女様に恐れ多くはありますけど……」チラ…

フィーア「……」ワクワク

ロウル(あの目は、私と同じ……家族を欲している目……)

ロウル(アベルさんとお兄さんの関係は知っていましたけど、妹さんまで……?)

ロウル「……」

ロウル「そうですねぇ、アベルさんを支える私は確かにフィーア様からするとお姉さんかもですね!」フンス!

ロウル「フィーア様が望まれるのであれば、どんな呼び方もどんとこいです!」

フィーア「わーい、ロウルねーさまー!」テテテ!

ロウル「あはははは、可愛い妹ができましたねぇ」ナデナデ

ロウル「ほら、エリスさんも」

エリス「わ、私がお姉さんって、それは……」ワタワタ

フィーア「……」ジー…

エリス「……」

エリス「……お、おねーさんですよー?」ナデナデ

フィーア「わーいわーい、エリスねーさまー!」テテテ!

エリス「……///」ナデナデ

ロウル「……アベルさんの気持ちがちょっとわかった気がします」

ロウル「私ももっと頑張って、アベルさんとこの子を守れるようにならないと!」

フィーア「あ、ロウルねーさまはどうやってアベルにーさまをおまもりしているのですか?」

ロウル「私ですか? 私はこの弓で、そもそも怪しい奴をアベルさんに近づけさせません!」チャキ

フィーア「?」

ロウル「あ、こういうのを見るのは初めてですかね? 見ていてください、こうして構えて撃つと……」バシュ


林檎「」ドス!


フィーア「すごーい!」キラキラ

ロウル「ふふん、これがおねーさんの実力です!」エヘン!

ロウル「今はまだ無理ですけど、いつかは走りながらスパーンと撃って決めたいですね!」

フィーア「はしりながらスパーン!」キャッキャッ!


……


――

……




アベル「すまない、ちょっと待たせたな。 おや……」


キャッキャッ!


アベル「ふ……」





アベル「ありがとう二人とも。フィーア、お待たせ」ナデナデ

フィーア「あ、アベルにーさま!」パアァ!

フィーア「すごいです、エリスねーさまとロウルねーさますごいんです!」キラキラ!

アベル「ねーさま……ふふ、そうか。仲良くなってくれて俺も嬉しいよ」

アベル「何が凄かったんだ?」

フィーア「ナイフとゆみ――」

エリス「ロ、ロウルさんの耳としっぽがお気に召したそうで!」アセアセ

ロウル「そ、そうそう! 手入れはちゃんとしてますから、悪い気はしないですね!」ドキドキ

フィーア「はい、かわいくてもふもふです!」キラキラ

アベル「はは、それはよかったな。ほら、二人の分も淹れてきたから飲んでくれ」

ロウル「おや、すみませんねぇ」コクコク

フィーア「お、おいしい!」コクコク

エリス「わ、わたしもいつか……」コクコク

フィーア「からだがぽかぽかしてきました!」

アベル「ははは……」

アベル「……」ギュ…

フィーア「にーさま……?」




アベル「……このまま、またお前と笑い合っていたい」

アベル「フィーア、お前はどうだ……?」

フィーア「は、はい! にーさまと、ねーさまといっしょがいいです!」

アベル「ありがとう……でもな」スッ…

フィーア「あ……」

アベル「今は、まだ……駄目なんだ」

アベル「俺は弱い。一人で生き延びられるつもりで、全然駄目だった」

アベル「エリスとロウルがいなければ、俺は今頃ここにはいない。こうしてお前と再会もできなかっただろう」

アベル「……」

アベル「フィーア、約束する。今すぐには無理だが……」

アベル「いつかきっと、俺とお前にキアラ……家族で、また共に暮らせるように」

アベル「弱いからといって、蔑まれないように……平穏な時を過ごせるように」








アベル「俺は――この国を変えてみせる」








アベル「……その時まで、待っていてくれるか?」

アベル「それまで、俺やエリスにロウルと会っていることは、他の人には秘密だ」

フィーア「……」ジワ…

フィーア「まてば、またにーさまと……?」

アベル「ああ……」ナデナデ

フィーア「んっ……!」

フィーア「まってる……!」ギュウゥゥ!

アベル「……いい子だ」ナデナデ

アベル「ありがとう、フィーア」ナデナデ

アベル「この約束がある限り、俺は立ち止まらない」

アベル「だから、今日はもう……帰るんだ」

フィーア「……」コクン

アベル「……」ナデナデ



ロウル「……」

エリス「……」




……


――

――



フィーア「……」タタタ…





アベル「……」

ロウル「……よかったんですか、アベルさん?」

アベル「よくないに決まっているだろう。しかし、今の俺はあまりに無力だ……」

アベル「フィーアをここに住まわせることも、帰るまでしっかり守ってやることもできん……」

アベル「しばらく会わないうちに、足の速い子になっていたようだが……」

エリス「まさか、身を隠しながら一人でここまで……?」

アベル(……フィーアの全身を包んでいたのは母上のかつての仕事着)

アベル(フィーアの身体と、闇夜が手伝えば王城まで戻れはするかもしれないが……)

アベル(フィーア一人で、この城塞の場所まではわからない筈)

アベル(おそらくキアラと、ローズさんも……)

アベル(俺を慕ってくれるフィーア、そしてそれを後押ししてくれた二人。それに……)

ロウル「アベルさん?」

エリス「やはり、私がフィーア様のお傍にいた方が……?」

アベル「いや……」

アベル「王城には、少し変わっているが俺達の数少ない味方がいる。フィーア達は大丈夫だ」

アベル「今は、俺だ。俺がもっと強くならなければ、約束は実現できないし……」



アベル「――フィーアと同じく、大切な家族のお前達も守ってやれないからな」



エリス「……っ///」

ロウル「……!///」



ロウル「も、もう! 何を言ってるんですかアベルさんっ!///」

ロウル「私とエリスさんがアベルさんを守ってあげてるんですよー?」

エリス「た、頼りないかもしれませんが、いつか必ず!」

アベル「ふふ、そうだったな……一緒に、これからも頑張っていこう」




アベル「今の帝国を……変えるためにも!!!」グッ!



……


――

――


【帝国・皇女の部屋】



フィーア「……」シュタ!



ローズ「……!」ダキ!

フィーア「わわっ!?」

キアラ「よかった、フィーアちゃん……!」ダキ!

ローズ「ああもうっ! かつてないくらいにドキドキしたワ!!!」ギュー!

フィーア「く、くるしいです……!?」ペシペシ

ローズ「あ、ごめんなさいネ?」パッ

キアラ「フィーアちゃん、どうだった……?」

フィーア「えっと……」



……



ローズ「……そうだったの」

キアラ「よかった、アベル兄様、一人ぼっちじゃなかったんだ……」ホッ…

ローズ(……本当に、この子とアベル様が無事でよかったワ)

ローズ(でも、フィーアちゃんの話を聞く限り、アベル様はもしかして……)

ローズ(アタシでも、何かできることがあれば……)

ローズ(メイド長の仕事も考えると、、城塞まではアタシもそう簡単に動けない)

ローズ(そうなると……)ムムム…

ローズ(……覚悟を決めるのよローズ。これは、もしかしたらこの子達の幸せの未来に繋がるかもしれないんだから!)

ローズ「……今日はもう遅いから、明日だけど」

ローズ「キアラちゃんとフィーアちゃんには、次はこの特訓をしてもらうワ!」

キアラ「え?」


特殊判定
↓1~2コンマ二桁

またゾロ目でしかもちゃんと偶数って(白目)
判定を取ったあたりで今日はここまで
この後は姉妹それぞれの判定結果公表後、現代に戻ってのやりとり後におまけ終了となります

そしてその後は次のおまけになりますが
以前挙がっていた学力判定等のイベントも、申し訳ないですがご希望であればチケット消費のイベントとさせていただきたいと思います(土下座)
自分の速度と1000ボーナスのことも考えると、小イベントとあわせてきりがない(+もしかしたら途中の判定でチケット補充)ので……
また後日、次のおまけ自由安価を取りたいと思います

本日もありがとうございました!

こんばんはー
それではおまけ終了まで投下していきます

特殊判定結果

これからの安全を考えて

1フィーアの当時の変装技能

50>36(移動はともかく、早着替えはまだまだ。これから頑張ろう)

※フィーアの変装技能は努力の賜物だったようです

2キアラの当時の裁縫技能

コンマ88
 
 8 8

偶数ゾロ目:子供とは思えない手捌き。集中力を欠かず素早く様々なものを縫い上げます

※当時、フィーアの変装のサポートをしていたのはキアラだったようです

※勿論現代も衰えぬ技術

――


変装道具「……」モチャア…

キアラ「これは?」

ローズ「アタシの使っているお化粧や特別なお洋服ヨ」

ローズ「今回はなんとかなったけど、折を見てアタシもアベル様にお会いするワ」

ローズ「とはいえ、アタシも完全な自由ではないからアベル様から王城側に寄ってもらう……」

ローズ「つまり、王城と城塞の真ん中に秘密の合流場所を用意して、そこで物を渡すわけヨ」

キアラ「なるほど。それと、これはどういった……?」

ローズ「いくらフィーアちゃんが気づかれずに走れると言っても、それは身軽だからこそでしょう?」

ローズ「アベル様に何かを渡そうと、ちょっとした荷物を持つだけでもうそれもできない」

ローズ「だから、そういう時でも大丈夫なように、変装をするのヨ!」

ローズ「正体が皇女様ってばれなければ、万が一の時もなんとかなるワ」

ローズ「本当はずっとアタシがついていたいんだけど、他の仕事がネ……」

ローズ「本当は危なくて嫌なんだけど、これから先もアベル様にお会いするなら、それはあなた達が自力で頑張るしかないの」

フィーア「……っ」

ローズ「勿論、アタシも全力で協力するわヨ? これもその一環」

ローズ「アタシ、お化粧や可愛い服を探すの結構得意なのヨ!」

ローズ「明日を楽しみに待っていてネ!」

キアラ「……」ヒョイ…

キアラ「……」ゴソゴソ…


……


――

翌日……



ローズ「――と、言うわけで今日は約束通り、フィーアちゃんの変装の特訓ヨ!」

フィーア「はいっ!」

ローズ「お着替えにお化粧、これもレディーの立派な嗜みだから問題はないワ」

ローズ「アタシが沢山服を仕入れているのは……キアラちゃんのお勉強という名目で行くわネ」

ローズ「キアラちゃんなら落ち着いた作業が好きだし、前にも言ったけどお裁縫もレディーの嗜みだからネ!」

キアラ「わ、わかりました!」

ローズ「それじゃフィーアちゃん、早速だけどお着替えの時間ヨ! 素早くネ!」

フィーア「はい!」グッ!



……



フィーア「うわあぁぁぁぁん!?」ゴチャゴチャ…

ローズ「あら……思っていた以上に大変なことになったワ……」

ローズ「こんなにあちこち色々絡まったり脱げにくくなるなんて」ホドキホドキ

ローズ「やっぱり、無理だったのかしら……?」

キアラ「うーん……」



キアラ「――昨日も思ったんですけど、やっぱりこれはフィーアちゃんには大きいんですよ」



キアラ「フィーアちゃんだと……」ゴソゴソ…

布「……」

キアラ「これくらいで……」チョキチョキ…

キアラ「急いで脱いだり着たりしたいならこうして……」チクチク…

フィーア「……」ジー…

ローズ「……」ジー…

キアラ「ぱっと見てフィーアちゃんってわからないように、色も抑えて……」シャッ

キアラ「あ、こっちは使えるかな? 裾を直してあげて……」ヌイヌイ…


フィーア変装服「……」ジャジャーン!


キアラ「こ、これならどうかな?」


フィーア「ねーさますごいです!?」キラキラ!

ローズ「ア、アタシも欲しいワ!」ガーン!


フィーア「わぁ、ぴったり!」スポン!

キアラ「よかった。後は顔のお化粧や、髪型を変えれば変装になるのかな?」

ローズ「こ、これは想像以上だワ……」

ローズ「これで服の問題は解決ネ!」

ローズ「でも、もし外でも早着替えが必要になった時に備えて、フィーアちゃんはもう少し慣れること」

フィーア「はーい……」

ローズ「それにキアラちゃんも、助かるけどこればかりさせていると負担が大きいわネ……」

ローズ「アタシもそれっぽい服は探して仕入れておくから、無理はしないでネ?」

キアラ「はい。でも、フィーアちゃんのお洋服作るの楽しいかも……?」

ローズ「……そうね。読書以外に何か行動をしろって言われた時にも使えるし、やっぱり偶にお願いしようかしら?」

ローズ(本当に、大した天使達だワ……)

ローズ(正体を隠したこの子なら、きっとまたアベル様にも会える……)

ローズ(でも……)

フィーア「ローズさん?」

キアラ「どうか、なされましたか?」

ローズ(膨大な魔力を宿すキアラちゃんに、使い方を誤れば暗殺兵器にもなりかねないフィーアちゃん……)

ローズ(二人のこの力は、絶対に気がつかれないようにしないと……)

ローズ(フィーアちゃんはまだ、武器さえ持たなければ大丈夫の筈だし……正念場ネ!)

ローズ「……なんでもないワ! さ、次にアベル様のところに行けそうな日はアタシが探しておくから、次の特訓ヨ!」

ローズ「素敵なレディーの特訓、何がいいかしらネ?」

キアラ「……お料理、とか?」

フィーア「おりょうり、してみたいです!」

ローズ「うんうん、美味しいお料理もレディーには欠かせないわネ!」

ローズ「でもまだだーめ。火を使ったり、こわーい刃物もあるから、もう少し大人になってからネ」

ローズ「それじゃあ、次は……」


……


――

―――
――



キアラ「――ということもありましたね」

ロウル「え、キアラ様お裁縫得意だったんですか!?」

キアラ「え、ええ。お勉強の時間が増えてからは、あまりできなくなっちゃったけど……」

キアラ「昔のフィーアちゃんの変装服は、私が作っていたんですよ」

フィーア「えへへ、姉様が作ってくれたお洋服は全部大切にとってあります!」

キアラ「でもまさか、あの時はフィーアちゃんがここまで変装の達人になるなんて思ってなかったなぁ」

フィーア「アベル兄様にお会いするため、そう思って頑張りましたから!」

フィーア「昔は苦労しましたけど、今なら……」クルクル

変装フィーア「ぱっと!」パッ!

一同「「!?」」

キアラ「うん、本当にあの頃を知っているから凄いとしか言えないよフィーアちゃん……」

フィーア「えへへ、常日頃の努力が大切! ですよねエリス姉様!」

エリス「はい、その通りです!」

アベル「やれやれ、まさかあの日俺がいない間にそんなことがあったなんてな……」

ロウル「エリスさんの影響力、恐るべしです……」

アーシャ「ロウルちゃん? 今のお話を聞く限りだと多分あなたもですよ?」

ロウル「え?」

フィーア「はい! 走りながらスパーン! ロウル姉様の、移動しながら標的を見定める力も参考にさせて頂きました!」

フィーア「兄様達にはお見せしていませんでしたけど、普通の兵士さん相手なら縫いかわして大将さんを一気に狙えます!」エヘン!

アベル「おいロウルゥ!?」

ロウル「ひええええぇぇぇぇぇ!? 私もいけない片棒担いでいたんですかぁ!?」

アーシャ「ま、まあまあ落ち着いて。キアラちゃんもフィーアちゃんも、これはこうして語ってくれる思い出なんです」

アーシャ「そして、そんな経験があったからこそ……私達に協力してくれて、そして今のこの時間があるのではないですか?」

アベル「そ、それは確かにそうなんだが……」


アベル「しかしやはり、色々と苦労をかけた挙句、結局最後まで巻き込んでしまったというのはな……」

フィーア「アベル兄様!」ズイ!

アベル「な、なんだ?」

キアラ「確かに、大変だったことも多いです……」

フィーア「でもキアラ姉様も、私も。自分の意思でアベル兄様の助けになりたいと思ったのです!」

キアラ「ええ。だから、アベル兄様がお気になさることではないんですよ?」

フィーア「むしろ、色々ご迷惑をおかけしてばっかりで……」

フィーア「兄様以外にも、シアさんやパトラさん達にもお世話になって……やはり、帝国第二皇女としてまだまだ未熟です!」

シア「そ、そんなことないですよ~!?」アセアセ

パトラ「ええ、その通り! 四天と初めて争ったあの日も、フィーアさんがいなければ私もどうなっていたか……」

キアラ「そうだよ、フィーアちゃんはずっと頑張ってた。むしろ私の方が……」

ティア「い、いえ!? キアラ様は聖国でもヘリング司教の野望を阻止したんですよね!?」

マックス「そうそう! 俺、今あの光景思い返しても心臓止まりそうだもん! あんな勇気ある真似普通できないって!」

キアラ「そ、そうでしょうか?」

アベル「やれやれ……本当に、俺には勿体ないよくできた妹達だ……」ナデナデ

キアラ「///」

フィーア「///」

アベル「……本当に、苦労をかけたな。そして、ありがとう」

アベル「こんな兄でよければ、どうかこれからも力を貸してくれるとありがたい」

キアラ「は、はい!」

フィーア「勿論です!」

キアラ「あ……もうこんな時間? 結構話し込んじゃったね……お片付け、最後までやらないと」グッ

フィーア「お片付けも、どんなことでも、これからもアベル兄様の為に協力は惜しみません!」エヘン!

アベル「はは、頼もしいな。よし、はやく済ませてこの後はみんなで遊ぶとしようか」

一同「「おー!」」




エリス「ん?……こっちの箱の中、まだキアラ様とフィーア様宛の縁談です!?」


アベル「消し炭にしてしまえ」

エリス「わかりました!」シュボッ!

マックス(俺も、頑張らないとああなるのかなぁ……)ブルブル


――

EXイベント11


【戦いを終えて~~かつての帝国皇女姉妹~~】 おしまい


――

というわけで、皇女姉妹の昔話でした。
結構ハードだった幼少期も、判定で持ち前の精神力と技能でたくましく生き延びた感じになりましたね……

さて、先日お伝えした通り次のおまけ内容を自由安価募集しておきたいと思います
以前の学力判定を希望される方がいらっしゃれば、改めてお願い致します
(なお、判定行う場合でもカインなどに補正をつけるかは未定です)
埋まるのに時間もかかると思うので、少し早いですが今日はここで失礼させていただきます

本日もありがとうございました!

それでは次のおまけ自由安価
↓1~5あたりコンマ二桁

こんばんはー
多数決の表記が抜けていましたが、どうやら学力テスト希望の方が多いようなので
学力おまけを始めたいと思います
いきなりコンマを拾って……といきたいですが、まずは方針を決める多数決あたりまで投下していきます

――


EXイベント12


【戦いを終えて~~三国教育事情~~】


――

――




【王国・会議室】



クラウス「お忙しい中、ご足労頂き申し訳ない」

アドルラン「いえ、問題はありません」

アドルラン「私には優秀な弟妹に、頼れる人達がいますからね」

アルフ「うむ、私も同じくだな」

アルフ「クラウス王こそ、未だかなりお忙しい身であろう?」

アルフ「以前取り決めた日程だったとはいえ、我々は日を改めても……」

クラウス「なに、そちらに優秀な人材がいるように、こちらも優秀な人材はいるからね」

クラウス「それにこの議題は、我が国にとって非常に重要な……」

クラウス「いや違うな。これからの三国に関わる最重要案件と言っても過言ではないだろう」

アドルラン「……」コクリ

アルフ「……」コクリ

クラウス「そう簡単に纏まるとは思えないが、それでもこうして顔を合わせることができたのだ」

クラウス「一歩一歩でも、この難題をじっくりと煮詰めていきたいと思う」

アルフ「我々聖国は、一切の協力を惜しまない」

アドルラン「帝国も、尽力することを誓おう!」





三人「「「これまでの教育の在り方を、今一度協力して見直そう!!!」」」





……



――

――

……


クラウス「では、改めて各国の状況から報告しよう」

クラウス「まずは我が王国だが……」

クラウス「不甲斐ないことに、やはり貧富の差が教育にも大きな影響を及ぼしている」

クラウス「学ぶべき舎こそあるが、貴族が優先されていたのが実情」

クラウス「平民が入ることができても、心無い貴族から迫害があったとの報告も受けている」

クラウス「そういった輩もだいぶ排することができたとはいえ、まだまだこれは根深い問題と言えるだろう」

クラウス「私としては、誰もが分け隔てなく学べる環境を作り上げることが急務だと考える」

アドルラン「帝国も、王国に近しい状況と言えます」

アドルラン「そもそもの学舎の数が少ない問題もありますが……」

アドルラン「何しろ最近までは実力主義だった弊害が大きいのです」

クラウス「と言うと?」

アドルラン「金という力を持っていた貴族は確かに入学こそしていましたが、修業過程にて排されます」

アドルラン「つまるところ、ほぼ全てが軍学校。戦闘技能や戦術の勉強に重きを置いていたのです」

アルフ「なるほど。下手な貴族よりも叩き上げの平民の方が、かえってそこでは上にのぼれたか」

アドルラン「その通り。ですが私としては帝国も軍縮を行い、戦闘以外の勉学に力を入れたいのです」

クラウス「そういえば、アドルラン皇子は……」

アドルラン「ええ、私は軍学校に通いつつ足りない部分は城内で別の者に個別の授業を受けて知識を深めました」

アドルラン「今も至らぬことが多いですが、当時は本当に何もなかったもので」

アルフ「その実直さ、神も称賛してくださることだろう。しかし、個別の指導……それも道の一つか?」

クラウス「しかし、誰かを雇うということはやはり金銭の問題が出てくる」

アドルラン「それは避けられませんね。基本を学ぶ学舎、それでも足りないと思った者はより深い個別指導などは?」

アルフ「知識に貪欲な者は、更なる勉学に独自に励むということか」

アルフ「我々聖国にはなかった発想だな……」


アルフ「我々聖国の教育体系は、表向きだけを見れば王国と帝国よりは良好と言えるだろう」

アルフ「元々聖国の理念は平等主義。教育も平等に行うべきという考えが根付いていたからな」

アルフ「教会では食事や寝床の提供の他に、勉学を教えている場所もある」

アルフ「そして国柄でもあるが、魔法精通者が圧倒的に多い故、文字の読み書きもほぼ必ず習うのだ」

クラウス「なるほど、まずは魔法文字が読めなければ魔道書が使えないからか」

アドルラン「そして魔道書を完璧に理解できなければ、書を持たない状態で詠唱もできない……」

アルフ「その通り。この点からして、国民全体の教育という面では我が国は充実していると自負できる」

アルフ「だが……」

アルフ「知っての通り、我が国は神に……聖王に頼り過ぎていた節がある」

アルフ「その結果、知識の偏り……さらには、他国に対しての誤った認識までも広めてしまった……」

アルフ「さらに平等であるが故、先程のアドルランのような更なる知識を得るということをする者も少ない」

アルフ「聖国の今後を考えると、私にはこれが正すべき急務になるな」

クラウス「ふむ……」

アドルラン「やはり、どの国もそれぞれ問題を抱えているわけか……」

アルフ「ここから、どう正していくか。そこが肝要だな」

クラウス「そうだな。しかし、聖国の平等な教育はやはり王国としても取り入れたい」

アドルラン「帝国も同じく。国が主体となって開かれた教育の場所を提供するというのは、前提としてもいい筈だ」

アルフ「そうだな。いずれの国にしても、まずは国が……我々が率先して動かねばならないのは間違いない」

クラウス「では、国営の学び舎を基礎として、次の話に移ろうか」

クラウス「先にも言ったが、これはそう簡単に片付く問題ではない」

クラウス「幾つもの試みの果てに、ようやく形になるだろう」

クラウス「一口に学び舎と言っても、その内容にも問題がある」

クラウス「……特に歴史問題は非常に頭が痛い」

アルフ「……間違いなく、最難関だな」

アドルラン「……子供達以前に、帝国の場合大人も考えを改める必要が出てくるな」

クラウス「と、とりあえずこれは置いておこう。歴史に関しては個別の見当が必要だ」

アルフ「う、うむ。やはり、これからを考えると……」

アドルラン「三国の交流が増える以上、共通の認識ということは大切になるだろうからな」

アルフ「流石に、帝国や王国の子供の教育の第一声に神を讃えよとは言えぬからな……」

アドルラン「力こそ全て、よりは建設的だと思うぞ?」

クラウス「ははは……今は処理したが、王国には金こそ全てという教本もあってな?」

三人「「……」」

三人(教育改革、やはり難題そうだ……)

アドルラン「だ、だが私は立ち止まらないぞ!」バッ!

クラウス「その通り。私はこの王国を正すのだ!」

アルフ「ああ。問題は多いが、一つ一つ処理して行けばいつかは……」

アルフ「とりあえず、まずは歴史問題は置いておくとして、文字の読み書きを最優先」

アルフ「そして三国共通の勉学の内容を集めて教えるのはどうだろうか?」

アルフ「恵まれていなかった子供達にも、三国共通の部分が広まれば、教育の改善と交流の第一歩になるとは思わないか?」

アドルラン「なるほど、それは妙案だ」

クラウス「三国共通……」

クラウス「……!」ピコーン!





クラウス「――統一試験などはどうだろうか?」




二人「「?」」



クラウス「根深い歴史問題は抜きにして、三国共通の知識……」

クラウス「そういった問題を集め、まずは我々がその問題を解答する」

クラウス「その結果から、子供達に教える内容も模索していくのだ」

アルフ「なるほど、我らは少なくとも一般的な民よりは教育に恵まれている」

アルフ「まさに試験、試してみる価値はありそうだ」

アドルラン「……」ウーン…

クラウス「ん、問題があれば遠慮なく言って欲しい」

クラウス「私も思いつきで発言しただけだからね」

アドルラン「いえ、三国の教育の基準を模索するというのは、いい発想だと思います」

アドルラン「ただ、私はあえて……」




アドルラン「――我々だけでなく、参加希望があれば民も含んだ、そんな試験の方がいいのではないか、と」




クラウス「た、民を含む!? まさしく、国を挙げての大事だが……」

アルフ「民も含むというのは、確かに平等ではある」

アルフ「しかしやはり、どうしても我らとの教育の差は出てきてしまう」

クラウス「試験である以上、正答誤答で点数はつけざるを得ない」

クラウス「そうなると、やはり貴族との格差を改めて突き付けてしまうような結果になるのでは?」

アルフ「それにより奮起する者も現れるやもしれんが、落胆する者も当然いる筈だ」

アドルラン「仰ることはごもっともです。ですが……」

アドルラン「私の経験論になりますが……この世に、知識というものは無数に存在します」

アドルラン「軍学校で学ぶことなど一握り。個別に指導を受けても、それでも遥かに足りない」

クラウス「?」

アドルラン「あれも、これも……戦闘技術だけに限ってしまっても、剣術・槍術・斧術・弓術・魔法……実に多岐に渡ります」

アドルラン「この世界には、こんな知識もあるのか。それを知る機会としても、非常に試験範囲を広くするのです」

アドルラン「平民ならでは知っている知識というものもあるでしょうし、貴族は逆に言えば教育内容が固定され過ぎている」

アルフ「なるほど、確かにそれならば格差は減るかもしれないし、どんなものなのか話題性から人が集まる可能性もあるな」

クラウス「……私達が悲惨な結果になる可能性も高まるが、逆にそれは民を刺激する機会にもなるか?」

アドルラン「とはいえ、範囲を広げすぎると誰もが等しく大惨事になるかもしれない。これはあくまで私の考えです」

アルフ「さて、どうしたものかな……」



――


※三国のお試し学力テスト、どうする?


1:一般的教育内容テスト(皇族・一部キャラに最低保証有)

2:幅広い雑学含むテスト(皇族だろうが補正一切なし)

3:その他自由安価



↓1~3多数決コンマ

1:一般的教育内容テスト


――


アルフ「……」

アルフ「アドルランの広範囲試験も面白そうではあるが、これは記念すべき一歩だからな」

アルフ「まずは堅実に、普通の試験をした方がいいだろう」

アルフ「アドルランも理解している様子だったが、最悪全員の点数が一桁ではどうしようもないからな……」

アドルラン「う、うむ……」

クラウス「しかし、面白そうなのは間違いない。そちらもいずれ行ってみようじゃないか」

アルフ「アドルラン、今回は保留。それで問題ないだろうか?」

アドルラン「ああ、大丈夫だ」

クラウス「しかし、だ。一般的教育内容といっても、この中でも範囲は結構広いな」

アルフ「極端な話をしてしまえば、1+1も自国の長の名を答えるのも一般的教育内容だ」

アルフ「そして何より、私達も試験を受けるとなると……」






アルフ「――誰に試験を作らせるか、というのも重要な問題になってくる」






クラウス「そ、それは確かに」

アドルラン「私達が作っては、忘れようと思ってもどうしても答えを覚えてしまうな」

アドルラン「そんな不公平な状態はよくない。折角の機会なのだから、アベル達とも競い合いたい」

アルフ「我々三人が作るわけにはいかない。かといって見知らぬ誰かに任せられる仕事でもない」

クラウス「そもそも情報を集め、一般的な試験を作成するとなると教養が必要になってくる」

アドルラン「後は、それぞれの国を贔屓しない公正さも必要か……」

アルフ「むむ……これは、困った」

クラウス「誰か適任者はいないものか……」

アドルラン「ふぅむ……」



――

※一般試験作成、誰に頼む?(対象者によって最低保証値変動)

1:王国代表(スカーレットベース)

2:聖国代表(エカチェリーナベース)

3:帝国代表(フローレンベース)

4:その他自由安価(ヒロイン指定等も可)


↓1~3多数決コンマ

3のフローレンに決まった辺りで今日はここまで
まあいくら最低保証があるからと言っても、皇族部分が保証値で他で00とかでたら当然負けます
皇族の面目は保てるのか?

ということで試験方針と保証値も決まったことですので、
これより↓から順次コンマを拾っていきます
相も変わらず量が多いので、私の書きこんだものもコンマを拾っていきますので、無理に埋める必要もありません

本日もありがとうございました!

おつおつ
フローレンさんのことだから嫌らしい問題多そうやね
それでも多分スカーレットさんよりは安全(断言)

こんばん――う わ あ あ あ ぁ ぁ ぁ ぁ ! ? (七孔噴血)

いや、いくらなんでもこんな偏りコンマは想定してないというかマジでうわああああ!?
申し訳ありませんが、今日の更新はお休みさせていただきます
流石にこれはちょっと展開を考えないと……

先にほんの少し公開ですが、なにより不味いのは

――

フローレンテスト結果
50で十分。70以上で優秀
00(完璧)>偶数ゾロ>奇数ゾロ(壊滅)

※一部キャラは最低保証及び追加得点有

※奇数ゾロは保証補正貫通の問答無用0点←ココ

こんばんはー
はい、判定は取り終えましたが……
これは本当に色々凄い結果になりましたね(両方の意味で)

それではゆるりと少しだけ再開です

3:帝国代表・フローレンベース

(試験難易度・高 一部最低保証25+個別補正)

――


アルフ「リーナ……は駄目だな。あの子では問題を易しくし過ぎてしまいそうだ」

クラウス「スカーレット将軍ならば……」

クラウス「……」

クラウス「駄目だ。依頼日時を間違えれば、いかがわしい試験になってしまう!」ガクリ…

アドルラン「むむ……」




アドルラン「引き受けてくれる確証はないのだが――我が母、フローレンはどうだろうか?」





クラウス「何?」

アルフ「あの魔女に? 帝国に有利な問題ばかり作るのではないか?」

アドルラン「いや、逆にそれはないだろう。母上はかつてよりその魔法の才と知識は本物だったと聞く」

アドルラン「そしてあの父上と共に在るのだ。小細工をする気も起きない筈だ」

クラウス「なるほど、確かにある意味最強の監視役ではあるな……」

アルフ「妙な真似をすればどうなるか、魔女が一番理解しているということか」

アルフ「小細工が出来ず、他国にも知れ渡る魔道の才の持ち主……」

アルフ「盲点だったが、そうなると適任者やもしれんな」

クラウス「ああ。私は異存はないよ」

クラウス「しかし問題なのはやはり、このような試みを引き受けてくれるかどうかという点だな」

アドルラン「とりあえずまずは私の方から声をかけてみよう」

アドルラン「駄目だった時は、仕方がない。王国か聖国のどちらかにお任せすることになってしまう」

アルフ「了解した。そちらに決まった場合、リーナも参加させてもらっていいかな?」

クラウス「私も、スカーレット将軍と共に参加させて貰いたいところだな」

アドルラン「勿論! それでは、また後日。近いうちに報告致します」


……


――

――


……


【帝国・ギルバートハウス】



フローレン「三国の学力試験、それを作ってほしいですってぇ?」

アドルラン「はい。我々も試験を受けたいと思い……」

アドルラン「思いつく中で、母上が最も適任だと思いました故」

フローレン「ふぅん……」

ギルバート「……試験、か」

ギルバート「アドルランよ。帝国だけでなく、何故他国も巻き込む?」

アドルラン「これからの帝国は、他国との交流も必要だからです」

アドルラン「より良き帝国のため。それには、より充実した教育が必要なのです」

アドルラン「字の読み書きだけでなく様々な知識を得ることも、上流階級の特権にしてはいけない」

アドルラン「私は、そう考えます」

ギルバート「ふっ……」

ギルバート「お前が良いと思った道ならば、迷わず進むがよい」

ギルバート「我には、思いつきもしなかった道だからな……」

アドルラン「はっ!」

フローレン「……」

ギルバート「……して、フローレンよ。引き受けるか否か答えよ」

フローレン「はぁ……」

フローレン「面倒くさいけど……あなたが認めてるし、少しは暇潰しになるかもしれないしぃ」

フローレン「――いいわよぉアドルラン。引き受けてあげるわぁ」

アドルラン「!! ありがとうございます!」バッ!

フローレン「……要するに、どこの国の人間が受けても問題のない、学校レベルの試験を作ればいいのよねぇ?」

フローレン「ま、私にかかればその程度造作もないわぁ……!」

フローレン「楽しみにしてなさぁい?」ニヤリ

ギルバート「……」



――


……


フローレン「さて、と……引き受けちゃった以上は、作るけど……」

フローレン「どうしようかしらねぇ……?」ウーン…

フローレン「こんな教本わざわざ読み直したの、何十年ぶりかしらぁ?」ペラペラ

フローレン「……」ペラペラ

フローレン「……ほんっと勉強って退屈よねぇ」

フローレン「なぁんで、みんな何度も読んで必死になるのかしらぁ?」

フローレン「――まぁ、大体お馬鹿さん達がどこで躓いているかの想像はつくけどねぇ」

フローレン「……」

フローレン「……」

フローレン「いいことを思いついたわぁ……!」パン!

フローレン「学校の試験なんて退屈でしかなかったけど、今の私は作る側……!」

フローレン「――お馬鹿さん達を悶えさせる、私の問題で悶え苦しむ姿が愉しめる立場じゃなぁい!」

フローレン「やだ、ちょっとそう思うといいじゃなぁい……」








フローレン「――試験が終わったら受験者全員集めて、一人一人得点を発表してやるのもいいわぁ……♪」キラキラ!






フローレン「――大衆の前で赤っ恥かかせてあげるわよノワールゥ!? あーはっはっはっ!」



フローレン「そうと決まれば……!」ギラリ!

フローレン「この私が、天才的な試験を生み出してあげようじゃないのぉ!」バサァ!


……


――

――



カリカリ…


フローレン「うん、ぜぇったいお馬鹿さんはこの問題で止まるわねぇ」ニヤニヤ

フローレン「簡単な問題を続けて解かせた後に、これをぶつければ……」

フローレン「調子よく解けてたんだから、絶対にこれもあと少しで解けると思いこむ……!」プフー!

フローレン「そうして無駄に時間を使いなさぁい。この問題で後の問題用の時間を削ぎ落してやるわぁ……♪」

フローレン「おまけでこれの配点は0.5点とかにしてやるのも面白そうねぇ……!」



フローレン「……あえて、択一式の問題も入れようかしらぁ?」

フローレン「――答えを全部1番にしてやるけどねぇ」ニヤニヤ

フローレン「ふふふ、まさか10問連続1番とは思わないでしょぉ……?」

フローレン「本当にこれであっているのか。一度自分を疑い始めたらあっているところも、これからの問題も自信を失うわよねぇ」ニヤリ

フローレン「あ、でも丁度真ん中だけ違う番号っていうのもいいかもぉ?」カリカリ…



フローレン「数式系は難易度を高めにしておこうかしらぁ?」

フローレン「単純だけど計算回数を増やして、じわりじわりと集中力を欠かせてやれば……」

フローレン「最後のこの辺りで、絶対に計算を間違ってくれるわぁ……♪」ニヤニヤ



フローレン「穴埋め問題……あったわねぇそんなの。でも普通じゃつまらないし……」

フローレン「……こっち、いやこっちかしらぁ……?」

フローレン「……!」ピコーン!

フローレン「うん、ここがいいわぁ♪ 頭の固いお馬鹿さんはここでぐるぐる悩んで沼に嵌まりなさぁい♪」


フローレン「やぁねぇ……案外愉しいじゃない、これ」カリカリ

フローレン「私には簡単すぎるけど、お馬鹿さん達にはこれでも結構厳しいと思うわよぉ?」

フローレン「ふふ、どれだけの人数が悶えるか見物だわぁ……♪」


……


フローレン「……」カリ…

フローレン「流石は私ねぇ……もう立派な試験が出来上がっちゃったわぁ……!」




フローレンテスト「……」ゴゴゴゴゴゴ!




フローレン「いくつか仕掛けは用意したけどぉ……」

フローレン「よっぽどのお馬鹿さんじゃない限り、ちゃんとある程度は点数も取れるようにしたしぃ……」

フローレン「ちゃあんと平等になるように歴史や文化の問題は入れてない……」

フローレン「ああ、私ったらなんて優しいのかしらねぇ……?」

フローレン「……」

フローレン「……愉しかったし、またやってもいいかもねぇ」

フローレン「……うん、この私を愉しませてくれたお礼に、この記述問題はやっぱり無しにしましょ」ガリガリ

フローレン「代わりに……誰もが絶対に正解できるサービス問題入れてあげるわぁ」カリカリ…







問70


『この世で最も強い男の名を記述しなさい』





フローレン「これで完璧ねぇ!」



……



――

――


そして……



【帝国・王城内】



フローレン「ああっ! 久々のお城だわぁ……!」

ギルバート「秘密裏に試験を行える場所が、王城しかなかったというだけの話だ」

ギルバート「試験が終われば、我らはあるべきところに戻るぞ?」

フローレン「はぁい……」

バーンズ「……しかし陛下、何故我々が先行して試験を受けるのです?」

ギルバート「……こやつが、試験に妙な小細工をしていないかを確認するためだ」

フローレン「してないわよぉ!?」ガーン!

アドルラン「お許しください母上。実際に試験として適正かどうかは、皆に受けさせる前に確認が必要なのです」

ネスト「あ、なんか不備があったら俺は遠慮なく王国と聖国に飛ぶんでお願いしますねー?」

フローレン「よ、よってたかってこんなチェックをされるだなんて心外極まりないわぁ……!」

フローレン「いいわよぉ……?」

フローレン「そんなに気になるなら、このフローレンのテスト、受けてみなさぁい!?」ダァン!

フローレン「制限時間は90分! はじめぇ!」



バサァ!



――試験開始!!!





―――


ただいま採点中……ただいま採点中……



フローレン「……」シャッ…

フローレン「……」シュッ…

フローレン「……」シャッ…

フローレン「……」シャッ…

フローレン「……」シャッ…

フローレン「……」シャッ…

フローレン「……」シャッ…

フローレン「……」シャッ…

フローレン「……」カタ…

フローレン「……」

フローレン「…………」

フローレン「………………」ダラダラ

フローレン「……も、持っていきたくないわぁ、この答案……っ!」ブルブル…

フローレン「あ、あんなに愉しみにしてたのに、どうしてこんな……」

フローレン「で、でも……せっかく作った試験、他の子でも試したいし……」

フローレン「……」

フローレン「ああ、もうっ!」バッ!


……



フローレン「はぁいっ! お待たせぇっ!」ダァン!

フローレン「さっきの試験を、もう返却していくわねぇっ!?」グオン!


先行受験者達((な、何故荒ぶっているんだ……))



フローレン「はぁい、いくわよぉ!?」ピラ!


フローレンテスト結果
50で十分。70以上で優秀

※一部キャラは最低保証及び追加得点有

※奇数ゾロは保証補正貫通の問答無用0点

>>723より)

1アドルラン:25<45+10(大器晩成)
=55点(なんとか半分は越えたけど、まだまだ頑張れ未来の皇帝)


――


フローレン「はぁい、アドルラン55点」

アドルラン「ぬ、ぬぅぅ……!?」ダラダラ

フローレン「……もうちょっと頑張りなさぁい?」

フローレン「一応、私の中では普通の人間なら50点越えればいいとは思っていたけどぉ……」

フローレン「あなた、これから帝国を引っ張っていくんでしょぉ?」

アドルラン「も、申し訳ありません。気を引き締め、精進致します……」ガクリ…

フローレン「……」

フローレン「……いいのよぉ?」

アドルラン「え?」

フローレン「言ったでしょう? 50点越えてればとりあえずは及第点……」

フローレン「あなたが遅咲きなのは今に始まったことじゃないしぃ?」

フローレン「あの頃みたいに、またがむしゃらに頑張ってみなさい?」

アドルラン「は、はい!」

フローレン「……」フゥ…



残り三人(50点……平均的な壁だな)




フローレン「……きえいっ!」クワッ!


一同「「!?」」ビクゥ!



――


2バーンズ:06
=6点( お い 親 衛 隊 長 ! ? 武術へのストイックさが仇になったか)

3ギルバート:55(奇数ゾロ目)

= 0 点 ( 力 さ え あ れ ば 知 識 な ど い ら ん ! ……いいえ、限度があります)


4ネスト:04
=4点( お い 斥 候 隊 長 ! ? 直感で生き抜いてきたのか?)


――




フローレン「バーンズ、6点ッ!!!」ビタァン!




バーンズ「なっ!?」ガーン!




フローレン「そしてあなたぁっ!? これ……これどういうことなのよおおぉぉぉぉぉぉ!?」バッ!!!




0点答案「……」ババーン!




ギルバート「……!?」アセアセ

フローレン「あなたが昔からよく赤点取ってたのは知ってるわよぉ!?」

フローレン「でもこれ、子供も受けるっていうから、あの頃より難易度落としているのよぉ!?」

フローレン「しかもあなたがこの問70答えられないってどういうことなのっ!?」

ギルバート「わ、我は既にアベル達に敗れ……」アセアセ

フローレン「一対一であなたに敵う男なんているわけないでしょぉ!?」

ネスト「ま、まぁまぁ落ちつ――」



フローレン「ネストォ! あなたも似たような4点よぉ!!!」バシィン!

ネスト「」





フローレン「――今頃になって帝国の大問題発見ってどういうことよおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!?」




――

開幕から悲惨な点数が乱舞したあたりで今日はここまで
……ギルバート、おまけに入ってから奇数ゾロ目の被弾率高過ぎませんかね?
これ以上にやばいのは、次の奇数ゾロの人なんですけどね……(白目)

本日もありがとうございました!

こんばんはー
それではゆっくりですが試験結果を公開していきます

――

……


ギルバート「……」セイザ

バーンズ「……」セイザ

ネスト「……」セイザ

ネスト(殿下、これ真面目にやばい難敵ですよ……)

ネスト(どうかご武運を……!)



フローレン「ああ、頭が痛いわぁ……」

アドルラン「まさか、こんな結果になるとは……」

フローレン「こんなの誰にもわかるわけないでしょぉ!?」

フローレン「それは、確かに意地悪な問題も作ったけどぉ……」アセアセ

フローレン「アドルランが半分以上は取れてるわけだし、私だけのせいってわけでもないわよねぇ?」

アドルラン「は、はい。やはり、途中の難題に時間を費やし過ぎてしまったものかと……」

フローレン「はぁ……」

フローレン「よく考えなさいよぉ。問題は全部で70問。そして満点は100よぉ?」

フローレン「どれだけ配点が高くとも、簡単な問題2~3問と同じ価値しかないわぁ」

フローレン「時には切り捨てるって決断、大事なのにねぇ……」

アドルラン「……肝に銘じます」

フローレン「とりあえず、あの人達のことは後で考えるとして……」

フローレン「残りは、もうまとめて一つの部屋でやっちゃうわねぇ」

フローレン(あの人すらこんな有様だったんだもの……)

フローレン(ノワールが失敗する可能性も高いからねぇ……!)

フローレン「もう覚悟は決めた……というより、もう怖いものなんてないわよぉ!」

フローレン「さぁアドルラン、いよいよ試験本番、哀れな受験者達を集めなさぁい!」

アドルラン「はっ!」


……

――

――

【帝国・大会場】


ザワザワ…


カイン「まさか、兄さんがこんなことを企画していただなんてね」

カイン「僕にも声をかけてくれてよかったのに」

エメリナ「カ、カイン様はまた別のお仕事がありましたし……」

カイン「ふふん、まあ僕の実力を見せつけるいい機会かな?」

アベル「カイン兄様、油断はできません。何しろあのフローレン作の試験」

アベル「一体、どのような罠があるか……」

エリス「た、たとえどんな罠があろうと、切り崩してみせます!」ブルブル

ヒバリ「震えてるけど大丈夫エリス……?」

ルーシェ「アドルラン様の話、だと、かなり難しいみたい、です……」

アドルラン「ああ。試験前のお前達の助けになっても不味いから、具体的なことは言えないが……」

アドルラン「一筋縄ではいかない、とだけは言っておこう」

キアラ「……」ドキドキ

フィーア「き、緊張します……!?」ドキドキ

ローズ「ううん、アドルラン様が苦戦する程の試験……天使達には早すぎないかしら?」

カイン「ふふ、問題ないよ。兄さんやアベルにキアラ達が失敗しても、この僕がいるからね」

カイン「肉体労働はともかく、こういった頭脳戦なら僕の十八番。帝国に負けは無いさ」



ザッ!



スカーレット「あら、それは聞き捨てなりませんわね?」バッ!

クラウス「私も、戦闘よりはまだ勉学の方が得意だ。今日は、頑張らせて貰おう」

アベル「まさか本当に、クラウス王にスカーレット将軍まで……」

アベル「試験を受けに帝国まで御足労頂いたのは申し訳ないのですが、王国の方は……」

スカーレット「大丈夫。他の将とワタクシの優秀な部下がいますもの」

スカーレット「今回の試験は、陛下も常日頃より頭を悩ませてきた王国の教育事情に一石を投じるもの……」

スカーレット「王国の将として、貴族として、受けざるを得ませんわ!」

クラウス「そういうことだ。今日は同じ受験者として、皆どうかよろしく頼む」ペコリ

スミレ「ク、クラウス様。そこまでかしこまる必要はないかと……」アセアセ

アイナ「皇族や王族の方に混じって、私達みたいなメイドも一緒にって結構すごいよね?」

ロウル「帝国だけならばともかく、今回は事情が全然違いますからね。流石に緊張します」

パトラ「ええ……ですが、この抜き打ち試験。今から対策の取りようもありませんからね」

アーシャ「ここは落ち着いて肩の力を抜いて、普段通りにするのが一番だと思いますよ?」

マックス「……」ガタガタブルブル

マックス(うおああぁぁ……聖国の教会より緊張するんだけどおぉぉぉ!?)

マックス(なんだよこれ、試験ってこんな緊張するものかぁ!?)

マークス「はっはっはっ! 震えているぞマックス君! 大丈夫、君ならばできる!」ムキィ!

マークス「不安ならば、私が隣りの席で見守ろうではないか!」グッ!

ティア「あ、あの、マークス神父? それは下手をすると不正行為になってしまうかと……」アセアセ

シア「大丈夫ですよ~。そんなずるいことをしなくても、簡単な試験だと聞きましたよ~?」

ノワール「……油断は、できませんよ?」

ノワール(わざわざ私まで招く以上……きっと一部に難問があるはず)

ノワール「……」

ノワール(ど、どうしよう……昔から暗技ばかりで、ちゃんとした勉強そんなにしてないし……)ブルブル…






アルフ「ふふ、皆が緊張しているな……」

アルフ「なるほど、聖国では味わえぬ空気ではある」

アルフ「だが私とて智将と呼ばれた身。魔女の試験を打ち倒してみせよう」

リーナ「ええ! 私と兄上がいる以上、聖国にこそ負けはありえませんわ!」

リーナ「そ、それに……」

リーナ「やっぱり、沢山のお友達と同じ話題を共有するのって……いいものですの///」

アルフ「……そうだな」


ザワザワ…




フローレン「――集まったようねぇ?」



一同「「!!!」」



フローレン「それじゃあ、下らない前置きなんていらないわぁ……!」

フローレン「……」

フローレン「――私のせいじゃないって、証明してちょうだぁい!」シュバ!


フローレン「問題は全部で70問よぉ!? 制限時間は90分!」

フローレン「終わったら、私がすぐに採点してあげるから大人しくしてなさぁい!?」



フローレン「――始めぇ!」






――試験開始!!!





―――


ただいま採点中……ただいま採点中……


……



フローレン「……」シャッ…

フローレン「……」シュッ…

フローレン「……」シャッ…



フローレン「……」シャッ…

フローレン「……」シャッ…

フローレン「……」シャッ…


フローレン「……」シュッ…

フローレン「……」シュッ…

フローレン「……」シュッ…

フローレン「あら、この答案……誰のかしらぁ?」ペラ…

フローレン「……!!」

フローレン「……そう」



……


フローレン(流石に、それなりの量があった)

フローレン(とりあえず、私の中で色々な感情が渦巻いたのは確かだけどぉ……)

フローレン(これは、うん……避けられない道ってやつねぇ……)ハァ…



……

――運命の結果発表!――



ザワザワ…



フローレン「はぁい、お待たせ」ドサ!

一同「「!!」」

フローレン「……採点、終わったわぁ」ユラリ…

フローレン「今から」

フローレン「今から、この私がこの場で、名前と点数を暴露していってあげるぅ……」ゴゴゴゴゴ…

アドルラン(は、母上のあの気配……)

アドルラン(まさか、私達の時以上の参事が……!?)ドキドキ





フローレン「――容赦はしないわぁ! まずはこの二人からまとめて発表ぉ!」バッサァ!




一同「「こ、これは!?」」





――

――


5クラウス:16<25+10(勤勉な国王)
=35点(まだまだ未熟な若き王だもの。これからに期待……いやもう一声!?)

6スカーレット:25<35+10(最上級貴族)
=45点(試験中に性欲が高まったか? 王国が誇る貴族も今回は完敗)


――



フローレン「はぁい、王国のお二人さんの答案でぇす!」ダン!

フローレン「国王様は35点っ! 将軍様は45点っ!」


フローレン「――王国が誇る国王様と大貴族様はぁ、半分の点数もとれませんでしたぁ!」ダァン!



クラウス「なっ……」ガクゼン

スカーレット「そ、そんな! このようなことが……!?」ワナワナ…



ザワザワ


マックス「そ、そんな……嘘だろ!?」

パトラ「陛下とあのスカーレット将軍が敗れるだなんて……信じられない」


ザワザワ

ザワザワ


リーナ「こ、これは予想外ですの……」

アルフ「……王国の最上位陣がこのような結末を迎えるとは、私にも見抜けなかった」

アルフ(……アドルラン、一応聞いておきたいのだが。そちらの点数は?)コソコソ

アドルラン(恥ずかしながら、私は55点。スカーレット将軍達とさほど大きな差があるわけではない)コソコソ

アルフ(いや、たとえ1点であっても、帝国は王国を学力で打ち負かしたということになるぞ)

リーナ(これは、我ら聖国も油断できませんの……!)



フローレン「……答案を見る限りぃ? 国王様は真っ直ぐに正直過ぎてきれーいにこっちの仕掛けた問題にかかってくれたみたいねぇ」

フローレン「将軍様は……これ、私も経験あるけど途中で飽きてなぁい?」

スカーレット「当然ですわ! 進めど進めど、どこにも夜の体位――」

クラウス「スカーレット将軍っ! 帰国後に私と猛勉強っ!!!」ビシ!

スカーレット「は、はい陛下ぁっ!?」

フローレン「うん……本当にそれをおすすめするわぁ……次、頑張ってねぇ」

フローレン「……で、これはまだいいのよぉ。今回の一番の問題児……」

フローレン「私の胃が持たないから、もう発表しちゃうわぁ!」バッ!


フローレン「――この二人よぉっ!」バァン!


――



7アルフ:33(奇数ゾロ目)

= 0 点 ( お い 聖 王 代 理 ィ ! ? 智将とはなんだったのか?)

8リーナ:09<25+10(生まれ持っての秀才)
=35点(どんな知識も、使わなければ錆びつく。 隣の席に巨乳が座ったのかもしれない)



――




0点答案「……」ズギャアアアアン!

35点答案「……」ズドーン!






一同「「え゛っ!?」」






アルフ「ば……ばかなああああぁぁぁぁぁああああぁぁぁぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?」ゴパァ!



マックス「アルフさんの喉が割けたぁ!?」ビクゥ!

シア「ひえええええぇぇぇ~!? 回復、回復ですよ~!?」パアァ!



リーナ「あ……ありえませんのおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!? 神、神よぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」グルグル




ロウル「うっそでしょうお二人ともぉ……」

ロウル「あ、あれだけ賢い雰囲気出してたじゃないですか!?」

ロウル「いや、リーナさんはまだぎりぎりわかりますよ? クラウス様達すらああなったわけですからね!?」

アドルラン「あ、ああ……ど、どうしたんだアルフ、君らしくもない……」

カイン「……その眼鏡は飾りなのかい聖国兄妹?」

アルフ「」サラサラ…

リーナ「」サラサラ…

ティア「ああっ!? お二人が聖王様のように真っ白に!?」ワタワタ




フローレン「はぁい、ちゅうもぉく……」パンパン!



一同「「!?」」ビク!



フローレン「そこのお馬鹿眼鏡二人……特に自称智将には言ってやらないと気が済まないことあるんだけどぉ……」

リーナ「」

アルフ「」

フローレン「その前に、この私から重要なお知らせがあるわぁ……」

フローレン「本当に……ほんっとぉに嫌なんだけどぉ……」

フローレン「私でもわかるわぁ……これは、目を背けちゃいけない現実……」ユラリ…



フローレン「はい、これみなさぁい!」バァァン!




王国国王クラウス:35点

帝国元皇帝ギルバート:0点

聖国聖王弟アルフォンス:0点

聖国聖王妹エカチェリーナ:35点






フローレン「……」スウウゥゥ…





フローレン「 こ ん の お 馬 鹿 さ ん 達 ぃ ! ! ! 」ビリビリ!




フローレン「馬鹿なのぉ!? ねえあなた達本当に馬鹿なのぉ!? わかってるぅ!?」





フローレン「――これもう帝国どころか、世界全体の未曾有の大問題って、自覚あるうぅぅぅぅぅ!?」





フローレン「上がこんなんじゃ、そりゃ下の教育も大変になるわけよねぇ!?」ビターン!

一同「「」」ガタガタ

フローレン「はぁはぁ……」


フローレン(これ、本格的に私が動かないとまずいんじゃないかしらぁ……)ブルブル…



――

※世界の惨状に、流石の享楽の魔女も危機感を覚えました

――

大惨事の公開が済んだあたりで、今日はここまで
……なんでほのぼのおまけの予定が、補正値持ちの最上位陣二人を綺麗に奇数ゾロでぶち抜かれるのか?
頼みのクラウスとリーナも最低保証で、いつのまにか世界の深刻な問題が浮き彫りになってしまいました
なお、この問題はこの後より大変なことになります(白目)

本日もありがとうございました!

こんばんはー
それではまた少しづつですが再開です

――

……


フローレン「……少し落ち着いたわぁ」フゥ…

フローレン「まったく、あの人といいこのお馬鹿さん達といい……」

フローレン「帝国は力があれば良かったからともかく、あなた達の国は違ったんでしょぉ!?」

フローレン「予想以上に酷くて、この私すら国民に結果をばら撒くのを止めようって思うレベルよぉ?」

リーナ「な、なんて恐ろしい……」ブルブル

リーナ「だ、だいたい戦争が悪いんですの! 最近はそれであまり……」アセアセ

フローレン「しばらく膠着状態だった筈だけどねぇ……」

フローレン「まぁ、その言い分も少しはわかるわよぉ?」

フローレン「凡才は、時間が空くとすぐに忘れちゃうものねぇ?」

リーナ「くぅ、酷い点数で言い返せませんの……」

フローレン「ふふん、わかっててこっちも仕掛けたけど、やっぱりムキになりやすいお馬鹿さん多いのよねぇ」

フローレン「なかなか解けなくて焦れば、それは後々にも響くのよぉ?」

フローレン「そして後の問題も、そういった焦ったお馬鹿さんが引っかかりやすいようにしたけど……」

フローレン「ほんっと……面白いくらいに引っかかってくれてびっくりよぉ……」トオイメ

フローレン「やっぱり私天才ねぇ……自分の才能が怖いわぁ……」トオイメ

リーナ(自慢をしているのに、目が死んでいますの……)

ロウル「ま、まあ確かにリーナさんは、一度こうと決めたら突っ走る性格ですもんね」

アドルラン「アルフも、一途な性格だからなぁ」

シア「やっぱり、ご兄妹なんですね~」

フローレン「……」



フローレン「……違うわよぉ?」

一同「「え?」」

フローレン「こっちの妹さんとそっちの駄眼鏡を一緒にするのは、同じお馬鹿さんでも酷ってものよぉ?」

リーナ「だ、駄眼鏡って……私と兄上に、そこまでの差がありますの?」

リーナ「正直、私も今かなり辱められている状況ですの……」

クラウス「安心して欲しい。私達もだ」

スカーレット「やはり、70点は越えたかったですわ……」

アドルラン「ええ。しかし言われてみるとやはり……」

ティア「アルフォンス様が、まったくの無得点だなんて……信じられません」

アーシャ「択一式の問題もありましたし、むしろ0は狙っても中々……?」

アルフ「」

リーナ「兄上はまだ帰って来ませんの……」

フローレン「……0点の理由は、すごく単純よぉ」

フローレン「ほら、この恥ずかしい答案をよぉく見てみなさぁい?」ピラ








氏名『アルフォート』







一同「「」」

アルフ「」





フローレン「――試験で自分の名前を書き間違える、とんっでもないお馬鹿さんなのよぉぉぉぉぉ!」ビターン!

フローレン「他がどれだけあってようが、始まる前からこんなのありえないのよぉ!」

フローレン「消去法であなたの答案ってわかったのよぉ!? 何か言いたいことあるかしらぁ!?」クワッ!

アルフ「わ、私はしばらくその偽名が馴染み過ぎて……」カタカタ

フローレン「妹はちゃんと書いてるんだから、その言い訳は通用しないわよぉ!」

フローレン「神様とやらを気にする前に、その残念な頭を気にしなさぁい!」

アルフ「」

アルフ「」

アルフ「」サラサラ…

リーナ「兄上……流石にこれは擁護できませんの……」シクシク

アベル「偽名を名乗らせて悪かったな……」ポン…

アルフ「」



……


――

――


アルフ「」

フローレン「はぁ……」

フローレン「とりあえず、まだ言いたいことある人残ってるからそろそろ次ねぇ……」

リーナ(おそらく、兄上以上の人はもういないとは思いますの……)


ザワザワ


カイン「やれやれ……こんな衝撃の後じゃ、何を聞かされてもみんな霞んじゃうんじゃないか?」

アドルラン「そういうなカイン。誰にでも間違えることはあるのだからな?」

カイン「問題で間違えるならともかく、名前を間違えるって……」

アベル「やはり俺が間接的な原因なのではないだろうか……」


ザワザワ


フローレン「さて、次は……」ピラ

フローレン「……」

フローレン「はい、これも二人まとめて晒すわぁ」

フローレン「よぉく見なさいなぁ!」バッ!



一同「「!?」」





――


9カイン:08<25+10(インテリお兄ちゃん)
=35点(どうした第二皇子。平和になってから頭の切れも鈍ってしまったのか!?)

10エメリナ:13
=13点(主従揃って撃沈。夜のお勉強を重点的にし過ぎたかも……?)


――




カイン「がぁっ!?」ビシャア!

エメリナ「ひぇっ!?」ガーン!


フローレン「――カインンンンンンンンッッッ!」グオングオン!

フローレン「ぬぁぁぁんでぇああなたまでっ、やらかしてくれてるのよおおおぉぉぉぉぉぉ!?」ビターン!

フローレン「お母さん普通に悲しいわよこれえええぇぇぇぇぇぇぇ!?」

フローレン「あなた昔からそうよねぇ!? ちゃんと最後の詰めをしっかりしないからこうなるのぉ!」ダンダン!

アドルラン「ああ、またカインの悪い癖が出たのか勿体ない……」

フローレン「あとエメリナァ!? あなたはふっつーに間違いが多いのぉ!」

エメリナ「も、申し訳ありませんんんっ!?」ビックゥ!

フローレン「妙に難易度高めの問題は解けているあたり、背伸びした勉強してたんじゃないかしらぁ?」

フローレン「いいかしらぁ? 難しい問題解ければ頭いいって考えるその思考こそが、お馬鹿さんの証明だからねぇ!?」

フローレン「身の丈にあった勉強から始めなさいっ! わかったぁ!?」

エメリナ「は、はいっ!?」ビシ!

カイン「」ビクンビクン

フローレン「カインも、成長したと思ったらこれって……」

フローレン「もう本当に、あなたは落ち着いて問題解いてちょうだいよぉ……」ハァー…

カイン「」ビクンビクン

パトラ「あの、先程からカイン皇子痙攣しているのですが……」

アベル「だ、大丈夫だとは思うが……」

アドルラン「う、うむ。カインのことだ。いつかはこのショックを乗り越えて、きっと猛勉強して帰ってくるさ」

フローレン「本当に切にそう願うわぁ……」

エメリナ「が、頑張りましょうカイン様……?」

カイン「」ビクンビクン

エメリナ「カイン様ぁ!?」

リーナ「気持ちがすっごくよくわかりますの……」




――


クラウス:35点
リーナ:35点
カイン:35点



フローレン「わぁすごい! 三国の上の人達が綺麗に同じ点数になっちゃったわぁ!」ビターン!

クラウス「……リーナ王女、申し訳ないが少し答案を見せていただけないだろうか?」コソコソ

リーナ「わかりましたの……」サッ

クラウス「私のはこれだ。……む、ほぼ正答箇所は同じなのか……」

カイン「」ビクンビクン

リーナ「……失礼しますの」サッ

リーナ「……カインもですわ。道理で点数が重なるわけですの」

クラウス「これが魔女フローレンの試験……」ゴクリ…

クラウス「我々は、見事なまでに彼女の試験に踊らされているということか……」

リーナ「悔しいですけど、その通りですの……」

フローレン「あーはっはっは! 見事に嵌ってくれて嬉しいわぁ!」

フローレン「……ごめんなさぁい、そう笑い飛ばしたいのに、笑えないのよぉ……」

フローレン「変ねぇ、愉しい時間のはずなのに凄く頭が痛いのよぉ……」トオイメ


クラウス&リーナ「「本当に申し訳ありませんでした!」」


フローレン「もういいわぁ……あの人と駄眼鏡はもっと凄いんですものぉ……」

フローレン「……」

フローレン「それじゃあ、気を取り直して次……」ピラ…

フローレン「……あなた達、ショックで死ぬんじゃないわよぉ?」



一同「「えっ!?」」



フローレン「次はこの二人っ!」バッ!




――

11ローズ:17<25+10(帝国メイド長)
=35点( お い メ イ ド 長 ! ? 見事にフローレンの罠にかかってしまったようです)

12フィーア:25<79+5(ローズ教育)
=84点(14歳にしてこの高得点。親代わりとお姉ちゃんの教育の賜物です)


――


フローレン「はい、また出たわね35点、ローズ!」バシン!


ローズ「いやあああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?」


アイナ「た、大変ローズさんの雄の部分が出ちゃってるよ!?」

スミレ「いや……これは無理もないですよ!?」


ザワザワ


アベル「馬鹿な、あのローズさんが!?」

エリス「何かの謀なのでは……!?」

ルーシェ「……」ガタガタ

エメリナ「や、やっぱり今回の試験が凄く難しいんじゃ……?」





フローレン「――そしてフィーア、84点」


フィーア「え?」

一同「「え?」」


フローレン「よく頑張ったわぁ……」

フローレン「正直、あなたの年齢を考えればもっと低いと思ってたんだけどぉ……」

フローレン「――この結果を見て、何か言うことはあるかしらねぇお馬鹿さん達ィ!?」グリン




クラウス「……私は玉座から降りた方がいいのではなかろうか」ガクーン

スカーレット「……明日だけ、兵士を搾り取るのを我慢しますわ……」ガクーン

リーナ「お友達が……お友達が遠のいていきますのぉ……」ガクーン

アルフ「」サラサラ…

カイン「」サラサラ…




ローズ「――もう、思い残すことはないワ」ガクリ

アイナ「わぁ、駄目駄目ローズさん!?」ワタワタ

スミレ「死んじゃ駄目です!?」ワタワタ

フィーア「わ、私が……カイン兄様達よりも……?」

フローレン「ええ、そうよぉ? これで年齢を理由に点数に言い訳もできないわねぇ」

フローレン「……」

フローレン「…………」

フローレン「………………そして」

――


13キアラ:25<97+5(ローズ教育)

= 1 0 0 点 (本を読み続けた日々は無駄では無かった。聡明なる第一皇女ここに降臨!)


――




フローレン「……キアラ」

キアラ「は、はい!?」ビクン!







フローレン「あなたは――100点。満点よぉ」

キアラ「え!?」




一同「「!?」」



ローズ「」ファー…

アイナ「ローズさぁん!?」

スミレ「も、戻ってきてください!?」ユサユサ



フローレン「……」

キアラ「わ、私が……本当に?」

フローレン「……ええ」

フローレン「あの人や他国の長にも容赦なく採点してる私よぉ? 間違いはないわぁ」

フローレン「とはいえ……」

フローレン「これは、0点や35点とかは酷いけど……それでも、容易には点を取れない仕掛けをいくつも用意してあるの」

フローレン「それをあなた、どうやって……」

キアラ「……」




キアラ「……だって、この問題。すごく懐かしかったから……」

フローレン「え……?」

キアラ「お母様は、もう覚えていないかもしれないけど……」

キアラ「昔、ローズさんがお母様に抗議したことがあったんですよ?」

キアラ「たまには、母親のあなたもこの子達の面倒を見るべきヨ!って」

キアラ「そうしたらお母様、あの日は私のお勉強を見てくれて……」

キアラ「そして最後に、こうやって試験を作ってくれた」

キアラ「……あの時は、本当に全然できなくて」

キアラ「お母様に、こんな問題も解けないなんて、本当に駄目な子ねって、怒られちゃって……」

フローレン「……!」

キアラ「だから、お母様に怒られた後だけど……ちゃんと、お勉強し直したんです」

キアラ「もしまたいつか……」

キアラ「お母様が気まぐれでもいいから、また私のお勉強を見てくれた時に……」

キアラ「がっかりしてほしくなかったから……」

フローレン「……そう」

フローレン「私は、言われても思い出せないっていうのにねぇ……」

キアラ「……」

フローレン「……嫌がらせを真に受けて、本当に馬鹿な子ねぇ」

フローレン「……」

フローレン「……でも」

フローレン「この結果は……認めざるをえないわねぇ……」フゥ…








フローレン「――よく頑張ったわね、キアラ」



フローレン「――それでこそ……私の娘よぉ……」フイッ…



キアラ「お、お母……様……」ポロッ…



フローレン「……っ」


フローレン「はい! 次々ぃ! 次のお馬鹿さんの発表に移るわよぉ!」



妹ズの公開まで済んだあたりで今日はここまで

14歳と17歳の皇女に惨敗する各国上位陣とメイド長の図です(白目)

本当に妹組はコンマに恵まれていますね……
なお、実は今回は数々の予想外の結果により、判定総数が27ではなくEXの判定も拾っています(大体アルフのせい)
それも相まって、若干名にはまだ苦難が待っています(白目)

本日もありがとうございました!

こんばんはー
間が空いてしまいましたが、EX判定前まで進んでいきたいと思います

――

14アイナ:49
=49点(惜しい、あともう一点欲しかった。でもローズさんに勝っちゃった!?)

15スミレ:37
=37点(元々貧しい王国民。学校へは通えず勉強も……あれ? クラウス様!?)

――


フローレン「はい、アイナ49点にスミレ37てぇん!」バッ!


アイナ「ひやああああぁぁぁぁぁ!? せ、せめてあと一点欲しかったよぉぉぉ!?」ガクブル

スミレ「くっ! 空欄が多かった以上、覚悟はしていたつもりだけどこれは酷い……」ガクッ…

フローレン「そうねぇ……」フゥ…

フローレン「一応あなた達、キアラとフィーアのお付きなんでしょぉ?」

フローレン「もし何か質問された時とか、答えられるのぉ?」

フローレン「キアラにもフィーアにも、点数相当負けてるわねぇ?」

アイナ「うぅ、返す言葉もございません……」ショボン…

スミレ「……ボクは自分が情けないです。やはり、今は武芸よりも勉学の方が……」




アイナ&スミレ「「……あれ?」」




ローズ「」サラサラ…

クラウス「」サラサラ…



フィーア「ああっ!? ローズさんとクラウス様まで真っ白に!?」ワタワタ

キアラ「も、戻ってきてください!?」ワタワタ



カイン「ぐはぁっ!」ビチャ!

リーナ「神よぉっ!」ガクーン!


アドルラン「いかん、こっちにもダメージが入ったぞ!?」

アベル「キアラとフィーアは凄まじかったが、落ち込んでいるメイド二人を更に下回ったわけだからな……」

フローレン「そうなのよぉ。キアラ達の後だから霞んじゃってるかもしれないけどぉ……」

フローレン「この子達、見事に引っかかってくれたローズや国王様よりも正解はしてるのよねぇ」


アイナ「ご、ごめんなさいローズさん!?」オロオロ

スミレ「ああ、ボクは一体どちらの意味で謝れば!?」オロオロ


フローレン「まぁ、キアラとフィーアはあの点数だしぃ? あなた達は身の丈にあった勉強頑張りなさぁい?」

フローレン「さてさてぇ、次の結果はぁ……」ペラ…

――

16ヒバリ:25<71+10(帝国名門)
=81点(蘇ったアドルランとのかつての勉強の日々。しっかり点数を取る名門貴族は伊達ではない)

17ルーシェ:04
=4点( 頑 張 れ な か っ た ! ? 難問につまずいて混乱したのが不味かった)

――


フローレン「ん、これはなかなかいい点数ねぇ。ヒバリ81点よぉ」サッ

ヒバリ「ありがとうございます。ん、あー……やっぱりここら辺落としてたかぁ……」

ヒバリ「昔アドルランによく勉強教えてたけど、忘れちゃった箇所も多いわね」

フローレン「ふぅん、それでもアドルランよりはだいぶ上よぉ?」

アドルラン「め、面目ないヒバリ……」

ヒバリ「いいっていいって。アドルランだってずっと色々忙しかったんだしさ」

ヒバリ「私も思っていたより正解できてなかったし、これを機にまたアドルランと一緒に勉強するのも悪くないかな///」

アドルラン「そ、そうか。それはありがたい///」

フローレン「ま、あなたには程々に賢い子から教えて貰った方が理解は早いかもねぇ?」

フローレン「……で。ヒバリはよかったんだけど問題はこっちよぉ?」ピラ


4点答案「……」ドドーン!


ルーシェ「はうっ!?」ダラダラ…


ヒバリ「ああー……ルーシェ、やっぱり……」

アドルラン「だ、大丈夫かルーシェ!?」ワタワタ

フローレン「もう本人も隣に座っていたあなたも悟っているだろうけどぉ……」

フローレン「この子は最初の引っかけ問題に、面白いくらいに嵌まってくれたみたいねぇ?」

ルーシェ「だ、だって、最初の方なのに、いきなり解けなくて、頭が、ぐるぐるして……」

ヒバリ「うん、試験中に無言で凄く焦ってるルーシェが目に入ったから、わかってはいたよ」ポン

アドルラン「ルーシェは真面目できっちりした子だからな。問題もきっちり順に解きたかったんだろう」ナデナデ

ヒバリ「ルーシェなら大丈夫。一緒に頑張ろうよ、ね?」

ルーシェ「ヒバリさん……アドルラン様……!」ジーン…!


フローレン「……ま、この子は特に嵌っちゃったみたいだしねぇ……」

フローレン「後ろの問題が正解していたかどうかわからないし、可能性はあるのかしらねぇ?」



フローレン「――でも、あなたも今回は低点数なのは間違いない」

フローレン「――だから、駄眼鏡さん筆頭にこの後は結構な地獄を見ちゃうかもねぇ?」


ルーシェ「!?」ガタガタ

ローズ「お、落ち着くのよルーシェちゃん!」バッ!

リーナ「あの言い方だと、多分私達も含まれていますの!」バッ!

クラウス「辛い現実だが……我々は、一人ではないぞ!」バッ!

カイン「ふっ……この僕も、力を貸してあげてもいいんだよ?」バッ!

エメリナ「は、はい! 私もお手伝いします!」バッ!

アルフ「……」ガタガタ

リーナ「兄上はいい加減に帰ってきてほしいんですのっ!?」

アイナ「うぅ、私も多分地獄を見ちゃう側だよね……」ガクリ

スミレ「いえ、アイナさんは惜しかったじゃないですか。ボクの方が覚悟を決めるべきです」


フローレン「……まぁ、先に地獄を味わったのは私の方なんだけどねぇ……」ボソリ…

ルーシェ「?」

フローレン「……」

フローレン「……」ハァ…

フローレン「さーて、ここまで結構なお馬鹿さんが見つかったけどぉ……」

フローレン「もう気がついているわよねぇ……?」チラ…

アベル「……」

ノワール「……」

フローレン「ここまでは、各国の上層部やその側近達……」

フローレン「恵まれた教育環境にいたと言える、そんな人達の結果発表だったわけねぇ」

フローレン「そしてここからは……王城から追い出されたアベル達のばぁん……」

アベル「……なんとなく、察してはいたがやはりか」

フローレン「寂れた城塞なんかに籠って、ろくに勉強もしてなかったであろう……」

フローレン「お馬鹿さんと思われる人たちの発表よおおおぉおおぉぉぉぉぉぉ!」



フローレン「――括目して、現実というものを受け止めなさぁい!」ダァン!



一同「「!?」」


――

18アベル:25<94+5(野心の為の修練)
=99点( 詰 め が 甘 か っ た ! でもほぼ全問正解のとても優秀な成績です)

19エリス:90
=90点(取った本人も驚く高得点。努力家な彼女はお勉強もちゃんとしていたようです)

――


フローレン「……っ、アベル99点!!! エリス90点よぉ!!!」ビッターン!!!


アベル「ぐっ……!?」

エリス「え? わ、私がですか!?」

カイン「ごぼぁ!?」ショック!

エメリナ「カイン様ぁ!?」

フィーア「す、すごい!? アベル兄様もエリス姉様もすごいです!?」ピョンピョン!

フローレン「どーーーーーいうことよこれぇ!?」

フローレン「まぁ? アベルはこの点数で察せるとは思うけどぉ?」

フローレン「キアラと違ってぇ? ここの計算式を間違えているからぁ?」

フローレン「――最後が甘い、お馬鹿さんってぇことに違いはないかもしれないけどねぇ……?」ニヤリ…

アベル「あっ!? く、そ……確か、前も似たような間違いをした記憶があるぞ……不覚!」ガク…

アドルラン「いやいや、素晴らしいぞアベル!」パチパチ!

ヒバリ「う、うん。キアラ様も凄いけど、あの数々の嫌な問題を一つしか落とさないって凄いよ?」

ルーシェ「エリスさん、も、凄いです……!?」キラキラ

アベル「そ、そうだ。エリスはすごく頑張ったな!」ナデナデ

エリス「///」ホクホク

フローレン「……確かにアベルは一時期とはいえ王城にいたから、百歩譲ってまだわかるけどぉ……」

フローレン「この頭悪そーなメイドが90点って衝撃的だわぁ……」

エリス「た、確かに私は学はありませんけれど……アベル様の顔に泥を塗らない為なら、死力を尽くしますっ!」フンス!

フローレン「まったく、悪夢でしかないわぁ……ねぇ、カイン? それに35点台の人達ぃ?」

カイン「」ゴパァ!

低点数達「「」」ゴパァ!

フローレン「そんな顔しても、まだまだ発表あるわよぉ……? 次は……」



――

20マークス:39
=39点(流石の筋肉も試験には通用しない。知識も聖国のものに偏り過ぎたかな?)

21マックス:72
=72点(年齢と試験難易度を考えれば十分な点数。こちらでも王国期待の星になれるか?)

22パトラ:25<86+5(没落したけど貴族です)
=91点(清廉な貴族にして誇りある王国将。家が没落しようとも、文武両道を貫きます!)

――



フローレン「なんか名前がややこしかったけどぉ、新米騎士とその保護者みたいな人達よぉ」ピラ

マックス「お、俺のことか!?」

フローレン「えーと、マークスは39てぇん。もう点数はこの際置いておくわぁ」

マークス「むむむ……! 神よ、やはり私はまだ鍛え方が足りないということなのですね……!」ムキィ!

フローレン「……とりあえずあなた、試験中は服を着なさいな?」

マークス「試験中に不正を働けぬよう、あえて上半身を曝け出し潔白を証明しようとしたのだが……」

フローレン「そんな真似しなくても、私なら見抜けるわよぉ! あと解答に力込めすぎて用紙も撓んでるからやめてぇ!」

マックス「そ、そんな……マークス神父ですらこの点数じゃ、俺は……」ブルブル…


フローレン「……マックス、72点よぉ?」


マックス「――え!?」


クラウス「おぉ……!?」ガタ!

スカーレット「!?」ジュワ…

マークス「おお、やったではないかマックス君! やはり、神は君の努力を見ておられたのだよ!」

フローレン「そうねぇ……確かに、顔つきからして期待してなかったけど、なかなかの点数と言っていいわぁ」

フローレン「国王様に将軍様があんな中で、まさかの新米騎士がねぇ……エリスもだけど、本当にこれも驚きだわぁ」

フローレン「国王を超える新兵、なかなか愉しい、貴重な場面が見られたのは収獲ねぇ」

マックス「お、俺が……クラウス様やスカーレット将軍を……?」

フローレン「もしかしたら、次の王国を担う頭脳に――」

マックス「///」





フローレン「――なるのはこっちの将軍様かもねぇ。パトラ91点よぉ」サッ

パトラ「はい?」

マックス「あ、やっぱ俺じゃないよねー!? でも流石パトラ将軍!?」パチパチ


フローレン「えーと……うん、悔しいけど見事ねぇ……」

フローレン「間違えているのも、私が特に念入りに相手を潰す目的で仕込んだ問題だしぃ……」

フローレン「純粋な興味で聞くんだけどぉ、本当に王国の教育事情ってどうなっているのぉ?」

フローレン「お馬鹿さんの方が上に立てる国なのかしらぁ?」

パトラ「い、いえそんなことはありません!」ブンブン!

パトラ「確かに貴族として、あらゆる修練は欠かさないようにしていますが、私程度……」

クラウス「いや、誇れパトラ! そしてマックス!」

クラウス「君達は、紛れも無く王国の希望だ……!」グッ!

パトラ「へ、陛下……勿体なきお言葉です///」

マックス「へへ、俺……今度はもっと頑張りますからね!」




クラウス「――私は玉座を降りた方がいいかもしれない」トオイメ

スカーレット「――ワタクシも町娘になった方がいいかもしれない」トオイメ



マックス「だ、駄目ですってぇ!?」ユサユサ!

パトラ「まだ王国にはあなた達が必要ですっ!?」ユサユサ!



キアラ「マックスさん……」

アベル「やるなマックス。前に勉強は苦手と言っていたんだがな」

ロウル「パトラさんも流石ですねぇ……」

アベル「これで、残るは……」

フローレン「残り少なくなってきたこの答案……」ピラピラ

フローレン「次はぁ……」

フローレン「……」

フローレン「この二人っ!」パァン!

一同「「!!」」

――

23アーシャ:44(偶数ゾロ目)

= 1 0 0 点 (流石の貫録。アベルの目標にして城塞メンバーの教育係の実力は、本物でした)

24ロウル:76
=76点(罠問題への直感は抜群。解ける問題から解いていき手堅く点数ゲット)


――



フローレン「……っ」


満点答案「……」キラキラ!


フローレン「……アーシャ、キアラと同じく100点よぉ……」ガクリ…


アベル「……おめでとうアーシャ」パチパチ

アベル「また、君に一問差で敗れるとはなぁ……」

エリス「流石はアーシャさんです!」パチパチ

パトラ「ええ、やはりまだまだ私は及ばないようですね……」

ヒバリ「む、むぅ……すごいや、あの面倒な問題もしっかり正解してるよ。これは完敗ね……」

キアラ「凄い、お母様の意地悪な問題、初めての筈なのに……」

フィーア「やっぱりアーシャ姉様は凄いです!」ピョンピョン!

アーシャ「いくつか怪しいところもあったけれど、正解できていたのね。みんなどうもありがとう」ニコリ

フローレン「……」ハァ…

フローレン「これは、こっちとしてもすっごく悔しいわぁ……」フルフル…

フローレン「キアラの言う通り、あなたには私の問題傾向を掴む機会すらなかった筈よぉ」

フローレン「それなのに、記述問題含めて文句の言いようがないって、あなた一体……」

アーシャ「ふふ……アベルが、こんな私でも褒めてくれたところですもの」

アーシャ「彼が失望しないように、やっぱり学力は常に鍛えておかないとじゃないですか?」

フローレン「くっ……私程ではないけれど、あなたも天才の類なのねぇ……」

アーシャ「……少し前なら、赤ちゃんの生まれ方とか聞かれたら危なかったんですけどね」ボソリ…

フローレン「?」


フローレン「まぁ、いいわ……次だけど――ロウルは76点よぉ」

ロウル「おぉ? 結構捨てた問題多かったんですけどねぇ。思っていたよりは取れましたかね?」

フローレン「こっちはこっちで悔しいわぁ……!」フルフル…

フローレン「狙い澄ましたかのように、こっちが用意した仕掛けだけを綺麗に回避して……!」

ロウル「いやはや、これも日頃アーシャさんが私達のお勉強を見ていてくれたおかげですかね?」

ロウル「本当にありがたい限りですよ!」パタパタ

エリス「ええ、本当に!」

アーシャ「ふふ、私は少ししか教えていませんよ? この結果は、二人が頑張った結果。二人の力よ?」

フローレン「まったく、こんな隠し玉がいるなんて聞いてないわよぉ……」ブツブツ

フローレン「それに勉強教わっていたなら、こっちの問題とか解ける気になって挑んでくれてもいいのにぃ」

ロウル「いやいや、その問題露骨になんかいやーな気配しましたもん」

ロウル「下手に飛び込んで絡め取られて時間を使うなんてごめんですよ」

フローレン「……だそうよぉ、あなた達ぃ?」



ローズ達「「」」チーン…



ロウル「あ、いえ違うんです!? 嫌な気配がしたのはその……」アセアセ

ロウル「そ、そう! 私のこの自慢の嗅覚と聴覚のおかげで!」アセアセ

リーナ「だ、大丈夫ですのロウル……」ヨロ…

クラウス「魔女の罠に嵌った、我々が悪いのだ……」ヨロ…

フローレン「嵌ってくれる人は本当に綺麗に嵌ってくれたのにぃ……」

フローレン「はぁ……次いくわぁ……」ピラ…


――

25シア:89
=89点(これでも聖国教会のシスター。誰かに物事を教える為に知識は豊富なのです)

26ティア:18
=18点( お い シ ス タ ー ! ? 敬虔な信徒だけど謎のシスター格差発生)

――



フローレン「……」

フローレン「……」

フローレン「えーっと、シアはあなたであってるわよねぇ?」

シア「あ、やっと私の番ですか~?」ポヤポヤ

シア「程々の点数は取れたんじゃないかな~って思うんですけど~」ポヤポヤ

フローレン「……」

フローレン「……シア、89点よぉ……」スッ…

一同「「!?」」

シア「わ~い! 結構いい点数じゃないでしょうか~?」ニコニコ

シア「――でも皆さんの反応が酷いっ!?」ガーン!

フローレン「いや、多分それが普通よぉ……?」

フローレン「あなた、どう見ても頭良さそうには見えないというかぁ、雰囲気がもうお馬鹿さんだものぉ」

シア「あれ~!? な、なんだか点数の割に評価が辛辣ですよぉ~!?」

シア「ま、前にカインさんにも頭が悪そうとか言われましたけどぉ……そ、そう見えちゃいますか~?」オソルオソル…

アドルラン「カイン、お前と言う奴は……」ヤレヤレ…

カイン「」

アベル「安心しろシア。そんな風には見ていないよ」

シア「よかったです~♪」

シア「これでも、聖国のシスターとしてお仕事はちゃんとしていたんですからね~?」

フローレン「……ですってよぉ? そこの愕然としている王家のお二人ぃ?」チラリ

アルフ「」ファー…

リーナ「シアさん、後を託しますの……」ガクリ…

シア「だ、駄目ですよ~!? か、回復~!?」

ロウル「確かにシアさんからは、とても大切なことを教わりましたもんね///」

アーシャ「ええ/// 私の知らない知識をお持ちでしたからね……///」

シア「あ、あれはお二人がおかしかったんですよ~!?///」アタフタ

フローレン(アーシャが知らないって、何を知っていたかしらこの緩い子……?)

フローレン「……まあ、聖国全員がお馬鹿さんではなくてよかったわねぇ?」ニヤニヤ

ティア「……」ドキドキ

フローレン「――でもざあぁぁんねぇん! そっちのシスターは18てぇぇぇぇぇん!」バッ!




ティア「きゃあああぁぁぁぁぁぁ!?///」



シア「あらら~?」

フローレン「どうやらシスターなら賢い、というわけでもなさそうねぇ?」ニヤニヤ

フローレン「――頭に行くべき栄養が、全部そのぶら下げている脂肪に行ってるのかしらねぇ?」ビキビキ

ティア「ひいぃ!?」

ティア「ご、ごめんなさいごめんなさい!?」ペコペコ!

ティア「アベル様、ごめんなさい!」ペコペコ!

アベル「いや、別に謝ることはないぞ?」

ティア「で、でも、城塞の中で……アベル様の隊の中で、私だけこんな……」ウルウル…

ティア「こ、これは私に、神に代わって罰をお与え――」モガモガ

アベル「リーナ、マークス神父? 後でティアを慰めてやってくれるか?」クチフサギ

リーナ「了解ですの。むしろティアさんより、私と兄上の方がずっと神に裁かれかねませんし……」

マークス「うむ! 私もだが、今回の点数はむしろ好機だぞ!」

マークス「この苦境を糧に励む次の試験では、きっとより成長した自分を強く実感できることだろう!」

リーナ「そ、そうですの! 次こそは聖国の力をお見せしますの!」フンス!

リーナ「……そ、それまではシアさん? お願いしますの……」フカブカ

シア「は、はいぃ!?」


フローレン「……さて、もうお馬鹿さん達でも気づいているんじゃなぁい?」




フローレン「――どの国も、上流よりも圧倒的に下々の人達の点数が高いってことにねぇぇぇ!?」




各国上層「「本当に申し訳ありませんでした!!!」」バッ!




ロウル「いやぁ……ほんと驚きの結果だらけといいますか……」

アーシャ「各国のダメージが思ったよりも深刻ですね……」

エリス「……あれ? でも、まだ?」チラ…






ノワール「……」







フローレン「……そして、絶対最後にしてやろうって決めていたあなた……」

一同「「……」」ゴクリ…

フローレン「その澄ました顔……ここまで保っていられるなんて、大したものねぇノワールゥ?」

ノワール「……」

フローレン「わかったぁ? 王城だとか、権力とか地位とか、今回の試験ではなぁんの役にも立っちゃいないの」

フローレン「むしろ枷なんじゃないかと思う程よぉ……」

ノワール「……」

フローレン「……」

フローレン「くっ、少しは動じなさいよぉ!」ダンダン!

フローレン「ああもうっ! これが最後よぉ! ノワールの解答はこちらぁ!」ブォン!


――

27ノワール:80
=80点(内心ビクビクだったけど、それでも高水準の点数。アベルへの教育の経験が生きました)

――





80点答案「……」テテーン!



一同「「!!」」




フローレン「ノワール……80点……」ガクッ…




ノワール「……」ホッ…

ノワール「!!」ハッ!

ノワール「……」


フローレン「はぁ……本当に動じないわねあなたぁ……」ムクリ


ルーシェ(い、今、ノワール様……)



一同((すごく安心した顔してた……))



ノワール「……ありがとうございます」スッ…

フローレン「ま、まぁ? 微妙な点数よねぇ?」

フローレン「息子達には負けてるし? かつ罵り尽くすには難しい点数だし?」

フローレン「そ、そう。無難過ぎてつまらない点数ねぇノワールゥ?」

ノワール「……そうですね。私は、あなたほど頭はよくありませんから」

フローレン「そ、そうよねぇそうよねぇ! 当たり前よねぇ!」

フローレン「あなたが、この私に頭の良さで勝とうだなんて、無理な話よねぇ!」

フローレン「あーはっはっはっはっ!」

フローレン「ほんっとー気分が……」

フローレン「……」



【成績まとめ】


1位・キアラ:100点
1位・アーシャ:100点
3位・アベル:99点
4位・パトラ:91点
5位・エリス:90点
6位・シア:89点
7位・フィーア:84点
8位・ヒバリ:81点
9位・ノワール:80点
10位・ロウル:76点
11位・マックス:72点

――優秀点 70の壁

12位・アドルラン:55点

――基準点 50の壁

13位・アイナ:49点
14位・スカーレット:45点
15位・マークス:39点
16位・スミレ:37点
17位・クラウス:35点
17位・リーナ:35点
17位・カイン:35点
17位・ローズ:35点
21位・ティア:18点
22位・エメリナ:13点
23位・バーンズ:6点
24位・ネスト:4点
24位・ルーシェ:4点
26位・ギルバート:0点
26位・アルフ:0点



フローレン「――良くなるわけないでしょぉがこのお馬鹿さん達ィ!?」クワッ!

一同「「!?」」ビックゥ!

フローレン「何よこの成績表!? ヒバリ以外全員アベル派閥じゃないのよぉ!?」

フローレン「でも正直もうそれもどうでもよくなるくらいにぃ……!」




フローレン「――頑張りなさいよ各国の上の人ぉ!!!」ビリビリ!


戦績をまとめたあたりで今日はここまで
……アベル城塞強すぎませんかねぇ?(白目)
アーシャがよっぽど奮戦したにしても、凄まじい数値の嵐です
アベルがアーシャにまた1点差で負ける(軍学校時代の試験)というコンマも地味にすごい

次回は、主に上層部組がやらかしたことによるEX判定の公開となります
本日もありがとうございました!

こんばんはー
それではEX判定その1の公開まで進んでいきたいと思います

――


……


フローレン「本当に頭が痛いわぁ……」

フローレン「上流階級の教育は意味ないって突き付けるかのような結果よぉ?」

フローレン「あの人やバーンズも大概だったけどぉ……」

アベル(父とネストの点数が想像を絶する値だったが……)

アベル(確かに、思っていた以上に皆が間違えているな?)

アベル(特に……)チラ…



カイン「ぼ、僕が皇族の中で最下位……?」プルプル

カイン「戦闘も駄目、頭も駄目じゃ僕の存在意義は……」プルプル

アドルラン「そう卑屈になるなカイン」ポン

アドルラン「お前が賢い弟だということは、私が良く知っているよ」

アドルラン「少々、抜けているところもあるがな?」

カイン「くっ……」

アドルラン「ははは、それよりも見ろ私の点数を!」


――優秀点 70の壁

12位・アドルラン:55点

――基準点 50の壁


アドルラン「……一番扱いに困るだろう?」ガクリ

カイン「い、いやいいじゃないか兄さんは。基準点は越えているんだから」

リーナ「いえ、お二人とも悩みが贅沢すぎですの!」

リーナ「見てくださいな、兄上を!」



アルフ「」チーン…


リーナ「名前を間違えるとか、そもそも皆様と同じ土台に立ててもいないんですの……」

リーナ「かく言う私も、普通に点数がカインと同じですし……」ガクリ

クラウス「私もだ。なんというか、これでもなんらかの力に救われたような気さえする」

リーナ「……ある意味で、三国が仲良しな点数ですの」

カイン「こんな繋がりは嫌だなぁ!?」


アベル(兄様達の心の傷は意外と大きそうだ)


ロウル「アーシャさーん、折角なんで間違えた箇所の答え教えてくれます?」

ロウル「また似たような罠を繰り出されないとも限りませんからねぇ」

アーシャ「ええ、私でよければ。あ、ここは難しく考えないで……」

ヒバリ「あー、なるほど。こうすればよかったのね」

パトラ「仕組みがわかっても、嫌な問題ですね……」

スカーレット「美しい、これぞ貴族の解き方ですわね……」

アーシャ「そして、こっちの問題は――」



ローズ「今のアタシに、メイド長の名を語る資格はないワ……」

ローズ「まさか、こんな簡単にあのフローレンの罠に引っかかってしまうなんてっ!」

アイナ「し、仕方がないよローズさん!」アセアセ

スミレ「不甲斐ないですが、ボクを含めて……」

エメリナ「いつものメイドの皆さんが揃って……こう……」スッ…

ルーシェ「恥ずかしい、です……///」

エメリナ「でも……」チラ

エリス「?」

アイナ「メイド隊が壊滅している中で、エリスちゃんだけ抜きんでてるんだよね……」

ローズ「……次期メイド長は、あなたかもねエリスちゃん」

エリス「い、いえそんな!?」ブンブン!

エリス(……あれ?)

エリス(そういえば、もし本当にアベル様と結婚できたとして……私はその時もメイドを続けられるのでしょうか?)

スミレ「エリスさん、従者のよしみで解法を教えて頂けると……」

エリス「ええっ!? アーシャさん達の方がいいと思いますけど……」

ルーシェ「ここ、どうしても解けなかった、です……」ウルウル

エリス「こ、ここはですね、まずこの長い問題文を整理してから――」



マークス「やったなマックス君!」ガシ!

マックス「まだ実感がわかないんですけど、やっぱり結構いい点数なんですか?」

マークス「うむ! 私達も次は負けないぞ!」

ティア「つ、次もあるんですかぁ……!?」ブルブル

シア「ん~、これから仲良く平和に暮らしていくとなると~、やっぱり色々な知識は必要だと思いますよ~?」

シア「今回は、フローレンさんが意図的に文化や歴史の問題を外してくれていたみたいですからね~」

ティア「そうだったんですか……!?」

マックス「まじかよ……そ、それじゃあ次はもっと……?」ブルブル

キアラ「だ、大丈夫だよマックスさん。今回の試験で、これだけ点数が取れているんですから」

キアラ「きっと、日々のお勉強も欠かしていなかったんですよね?」

マックス「あ、ああ。その……色々と、成長したいからな。少しは成果が出たってことなのかな」

フィーア「日々の努力は、絶対に裏切りません!」ピョン!

マークス「その通りだ! 日々の鍛錬は、着実に積み上がるぞ?」

マックス「でもやっぱり、独学だとなぁ……」

マックス「……」

マックス「キアラちゃん、よければなんだけど……」チラ…

キアラ「あ……その、私もまだまだですし、一緒にお勉強したりします?」

マックス「するっ!」

フィーア「あ、姉様! 私もしたいです!」

ティア「その、私も……///」

マークス「むむ、ならば私も参加せねば!」

シア「仲良くお勉強会、いいかもしれませんね~。私もちょっと頑張っちゃいますよ~!」

マックス「あ、あれ……?」

マックス(ま、まあ二人きりじゃないけど、楽しそうだしこれはこれでいいか?)

キアラ「ふふっ……!」

ノワール「……」

アベル「母上?」

ノワール「本当に、信じられないような光景ですね……」

ノワール「三国の王族も交えて、こんな談笑もできるだなんて」

アベル「ええ……」

ノワール「そして、何より……」フフッ…

ノワール「あのフローレンが、少しはキアラを認めてくれたのは、嬉しいですね」

アベル「キアラは満点ですからね。流石のフローレンも、認めざるを得ないでしょう」

ノワール「フィーアも頑張っていたし、本当にあの子達は昔から……」

アベル「兄としては、1点を逃したのがかなり悔しいですよ。アーシャに続き妹にも完敗したわけですし」

ノワール「アーシャちゃんもすごかったですね。あのフローレンの罠を全て潰したのですから」

アベル「彼女は軍学校時代から、ずっと俺の友であると同時に目標でもありましたからね」

アベル「最初のうちはともかく、しばらくすれば俺はいつも彼女に試験結果で負けていましたが」

アベル「いつか、彼女を超える知識を身に着けたいと努力した結果が、この99点だとすれば……」

アベル「俺はまだまだ努力が足りないということなのでしょう」

ノワール「いいえ、よく頑張りましたねアベル。母の点数を超えているのですから、大丈夫です」

アベル「……今更ですが、母上も幽閉生活が長かったのに点数がかなりいいですよね?」

ノワール「これもあなたに色々と教えたおかげかしら? 記憶力はまだまだ衰えていないみたいで」

ノワール「あ、そういえばアベル?」

アベル「はい?」

ノワール「あなた、アーシャちゃんに夜の知識なら勝てていたのではありませんか?」

アベル「勝てていましたけど、それで勝っても嬉しくはなかったですよ!?」



フローレン「……」

フローレン(柄にもなくかなり叫んだわねぇ)

フローレン(ほんっと、お馬鹿さん発見で愉しめるかと思えば……)

フローレン(いくらなんでも、愉しむ度を超えすぎた結果にびっくりよぉ)

フローレン(まあ……キアラやアーシャがいる分、帝国が他の国に勝ったと言えなくもないけど……)

フローレン(答案を見る限りじゃ、あのシアにパトラもなかなかやりはするみたいだしぃ……)

フローレン(この試験で終わりってしちゃうのは、つまらないというか……)



フローレン(――不味いわよねぇ……)


フローレン(私は天才だったから、一回勉強すればすぐに定着したけどぉ……)

フローレン(お馬鹿さん達は、定期的に頭に入れなきゃ覚えそうにないものねぇ)

フローレン(様子を見る限り、次に向けて頑張ろうとか言っている子もいるしぃ?)

フローレン(結構いい暇潰しにもなるし、また作ってあげてもいいけど……)

フローレン(いますぐ、は駄目ねぇ。また忘れて気を抜いているような時にやるのが一番よぉ)

フローレン(でもそれじゃあ、このままなんだか平和に終わっちゃいそうだし、それもつまらないわぁ)

フローレン(……あの人とカインは特に大変な状態だし、なんとか刺激できそうなことないかしらぁ?)

フローレン(二人とも負けず嫌いだしぃ、でもあの人はともかくカインはアベル達に大敗してしょげてるし……)

フローレン(圧倒的な点数差を突き付けるんじゃなくて、もっと別の方向から……)


フローレン「……」

フローレン「……!」ピコーン!


フローレン「――いいことを思いついたわぁ……!」ニヤリ…




フローレン「はぁい、静かにしなさぁい!」パァン!


一同「「!?」」



フローレン「みんな自分の点数には色々思うところがあると思うけど……というか思いなさぁい?」

フローレン「共通しているのは多分、0点だとか信じられない点数って本当にあるんだぁってことだと思うのよぉ」

アルフ「」ゴフ!

リーナ「兄上! もう覚悟を決めてくださいまし!」

フローレン「何回でも言うけど、今回は本来高い点数を取るべき人に限ってやらかしているわぁ……」

フローレン「――そこでぇ!」

フローレン「そんなお馬鹿さん達に、もっと頑張ってもらうために!」

フローレン「この私が! たった今、素晴らしい作戦を思いついたわぁ!」

クラウス「わ、我々のためにそのような……」

クラウス「しかし、何故あなたがそこまでして王国と聖国を……」

フローレン「……」





フローレン「お馬鹿さんが支配する国を攻めあぐねていた帝国って見られるのが嫌なのよぉ!」ビターン!

フローレン「まああの人もお馬鹿さんな結果出しちゃったけどねぇ!」ビターン!

フローレン「ここに聖王様がいたら、是非とも試験を受けて貰いたかったわねぇ!」ビターン!

フローレン「そこの眼鏡達から考えれば、18点前後かもしれないけどぉ!?」ビターン!






一同((採点で相当疲れたのかな……))

フローレン「はぁはぁ……ふぅ」

フローレン「とにかく、作戦実行。このまま移動するわよぉ」

ノワール「……移動?」

フローレン「そうよぉ。フィーア、案内は任せたわぁ」

フィーア「え!? わ、私ですか!?」

フィーア「案内と言われましても、一体どこへ……」オロオロ

フローレン「決まっているでしょう?」



……

――


【帝国・白帝の住処】




サク「……キュ、キュル?」

フローレン「へぇ? これが白帝竜ねぇ……」

フローレン「やっぱり大きいだけで、羽の生えた蜥蜴ってところかしらぁ?」

サク「キュル!? キュッキュー!」バッサバッサ!

フローレン「んぷぅ!? な、なによこの蜥蜴ぇ!? 私とやるつもりなのぉ!?」バチバチ!

フローレン「いいわ、相手になってあげ――」





サク「キュッキュルー……」←レベル510


フローレン「……」←レベル440



フローレン(……フィーア、どうやってこいつを拾ってきたのかしらぁ……)ゾクリ…



一同((一体この人は何をしにここに来たんだろう……?))



フローレン「……はぁ、そんな馬鹿なことをしに来たわけじゃないわぁ」プシュゥ…

サク「キュル?」

フローレン「フィーア、あなた言ってたわよねぇ?」

フローレン「――白帝竜は賢いってぇ」

フィーア「は、はい!」



フィーア「サクちゃんは、私達の言葉を完璧に理解しています!」

アーシャ「ええ。私達と言葉はかわせませんが、私達の言いたいことはほぼ伝わる筈です」

フローレン「そう。それなら問題ないわねぇ……」









フローレン「――特別しけぇぇぇぇぇん!」バッ!






一同「「!?」」ビク!

フローレン「今からぁ、この白帝竜にさっきと同じ試験を解いて貰うわぁ……」

一同「「!?!?」」

サク「……キュ?」

カイン「ま、待ってくれ母さん!? いくらなんでも無茶だろう!?」

カイン「というより、何の意味があるんだい!?」

フローレン「自称賢い帝竜さんと、自称智将の駄眼鏡さんの対決が見たくなったのぉ」

アルフ「ごふ……! ど、どこまで私を抉り続けるのだ、この魔女は……!」プルプル…

リーナ「もう比較対象が人ですらなくなりましたの……」

フローレン「言葉が理解できているなら、問題は音読すれば伝わるでしょぉ?」

フローレン「もっともぉ? 文字を書く技能があるかも怪しいから、記述とかは絶対に解けないでしょうけどねぇ」

ノワール「……そうでしょうね。一体、何が狙いなのですフローレン?」

フローレン「……カイン達に危機感を持ってもらう為よぉ?」

カイン「!?」

フローレン「いーいぃ? 今のあなた達は、蜥蜴と比較されるくらいに私から馬鹿にされているのよぉ?」

フローレン「嫌ならば、本当にもっと頑張りなさぁい!?」

カイン「く、屈辱だ! まさかこの僕がここまでこけにされるなんて……!」プルプル

サク「キュルーン! キュルルル!」バッサァ!

フィーア「あ、サクちゃんも怒っています!?」

ロウル「そりゃあ、言い方を変えれば扱いは、お馬鹿な蜥蜴呼ばわりですからね……」

サク「キュルルル!」フンス!

フローレン「やる気は十分みたいねぇ……フィーア、音読は任せたわぁ」

フィーア「は、はい!」バッ!

スミレ「ま、まさかこんな形で白帝竜と争う日がくるだなんて……!?」

カイン「争いなものか!? 人でない動物に人の試験を解かせて僕らと比較しようとしてるんだよ!?」

アルフ「いくら私が失態を犯そうと、流石にこれは……」

フローレン「――始めっ!」

サク「キュルーン!」バッ!



――Ex試験開始!!!

……



フィーア「第45問! この空欄に当てはまる言葉は……お母様、サクちゃんこれ見えているのでしょうか!?」バッ!


サク「キュ……キュル?」ガリゴリ…


アーシャ「お、驚いたわ……まさか、地面を抉って文字を書こうとしているの……?」


サク「キュゥ……」ガリ…


アベル「……様子からして、耳にした言葉とかつてみた人間の文字を頭の中で照らし合わせているのか?」

クラウス「むぅ……やはり、相当な知能の持ち主のようだな。争わずに済んだのは本当に幸いだった……」

スカーレット「……歪んで生み出される前に止めていられたら、それが一番幸いだったのですけど」ガクリ



ガリガリ…



フィーア「――えーと、第70問!」




サク「……キュルル?」



フローレン「はぁい、終了~」

フローレン「結構頑張っていたみたいだけど、どうかしらねぇ?」

サク「キュ!」

フローレン「まさか地面を削って文字を書くとは思わなかったけどぉ……」

フローレン「蜥蜴の解答はこっちでしっかり記録しておいたわぁ」

フローレン「ふふ、何点取れているか、今から私がしっかり見てあげるわぁ!」バッ!



――


28サク:38<50(上限値)
=38点(まあ、竜と人っていう大きな差があるからね。……あれ? 35点より上取れちゃったの!?)


――





フローレン「」

フローレン「」ポト…

フローレン「」サラサラ…




カイン「か、母さんまで真っ白になった!? 一体何があったんだ!?」

アベル「採点を終えた途端に固まったが、まさかまた0点が?」ヒョイ



38点の採点表「……」ジャーン




アベル「」ポト…

アベル「」サラサラ…


フィーア「アベル兄様!?」

カイン「待て待てアベル!? 何を見た!?」

アベル「……」

アベル「……」スッ…






一同「「」」サラサラ…



サク「キュル……!?」





16位・サク:38点
17位(降格)・スミレ:37点


スミレ「さ、流石にこれは堪えますね……」プルプル…




……

EX判定その1を公表したあたりで、今日はここまで
うん、きっと択一問題を全部正解したりして頑張ったのでしょう(白目)
カイン達には追撃となってしまいましたが、もう少しだけ続きます

本日もありがとうございました!

こんばんはー
また遅くなりましたが、とりあえず判定その2まで進めたいと思います

……


フローレン「……蜥蜴と言ったことは謝るわぁ……」ヘナ…

サク「キュルル♪」ドヤッ!

フローレン「だってあなたを蜥蜴呼ばわりすると……」

【蜥蜴以下の面々】

17位・スミレ:37点
18位・クラウス:35点
18位・リーナ:35点
18位・カイン:35点
18位・ローズ:35点
22位・ティア:18点
23位・エメリナ:13点
24位・バーンズ:6点
25位・ネスト:4点
25位・ルーシェ:4点
28位・ギルバート:0点
28位・アルフ:0点


フローレン「こうなっちゃうのよっ!!!」

フローレン「大惨事もいいところよこれぇ!?」

フローレン「あの人を悪くは言いたくないのだけれど……」

フローレン「三国揃って負けてるのよぉ!?」

フローレン「何かの間違いで魔物が活性化して、国を謀略で乗っ取られるとかあったらどうするのぉ!?」

キアラ「お、お母様? 流石にそれは本の中だけのことで……」

フローレン「この帝竜がもうその本の中にしかいない筈の存在でしょぉ!?」

フローレン「もっとこう……人型で、でも実は化けていたとかいう輩の存在ももはや否定できないわぁ……」ブルブル…

スミレ「……ボクはそれに近しいのでは?」シャキン!

フローレン「うっ……あなたがお馬鹿さん側でよかったわぁ……」

スミレ「うぅ、本当にお勉強頑張ります……」

フローレン「わかってはいるんだけどねぇ。もし、を考えると笑えない話よぉ?」

フローレン「そんな人外そうはいるわけ――」


ロウル「……」ピョコピョコ


フローレン「……あなた、違うわよねぇ?」

ロウル「ふっ……! 気がつかれたなら仕方がありませんね!」バッ!

フローレン「!?」

ロウル「そう、銀狼ロウルは仮の姿! 私の正体は人間を支配しようと目論む魔狼族の長で……」

一同「「」」

ロウル「ちょっ、冗談ですって!? 真っ赤なウソですからね!?///」アセアセ

ロウル「前にキアラ様から借りた本をちょっと真似ただけですよ///」

フローレン「心臓に悪いわぁ……」


フローレン「なまじあなたもいい点数取ってるから性質悪いわぁ……」

ロウル「あなたには言われたくないですけどねぇ……」

ロウル「しかしまあ、あれですね。見た目が人と違っても、意志疎通やこういった共通の知識を持つこともできる」

ロウル「そういういい事例になったのではないですか?」

サク「キュルーン!」

フィーア「サクちゃんも嬉しそうです!」

アベル「思えば、俺達と初めて出会った時も人間のような行動を取っていたからな」

シア「う~ん……あれはどちらかと言うと~?」

アーシャ「……ペット。犬のような雰囲気でしたよね?」

サク「きゅ!?」ガーン!

フローレン「はぁ……確かにこの結果を見る限り、本当に下手なお馬鹿さんよりも上の知能があるのは違いないわぁ……」







フローレン「――あなた達、本当に危機感持ちなさぁい。今すぐに!!!」ダン!





要勉強組「「はい……」」シューン…




フローレン「はぁ……予定がだいぶ狂ったわぁ……」アタマオサエ

フローレン「はい、これで私の試験はしゅーりょーでぇす……」

フローレン「とりあえず、お馬鹿さん達には同じ問題もう一回渡してあげるから……」

フローレン「点数が良かった子に、解き方を習ってからもう一回やってごらんなさぁい?」

フローレン「二度目なんだから、今度は最低でも70は取らなきゃ駄目よぉ?」

要勉強組「「」」ガタガタ

フローレン「あー……疲れた……」

フローレン(でもまだ、やること残っているのよねぇ……)


……


――

――


【帝国・ギルバートハウス】



フローレン「……」ゴゴゴゴゴ…

ギルバート「……」

バーンズ「……」ドキドキ

ネスト(なんで俺は、ここに連れてこられたんだろうか?)ドキドキ

ネスト(部下達の報告だと、殿下達はみんな優秀な成績だったっていうからなぁ……)

ネスト(多分、それに関係しているとは思うが……)

フローレン「あなた、それに6点と4点のお馬鹿さん二人?」

バーンズ「な、なんでございましょうか……?」

フローレン「70……いや、とりあえずまずは39点でいいわぁ……」

フローレン「――最低限、それだけ取れるように頑張りなさぁい!?」ゴゴゴゴ!

バーンズ「し、しかし問題は実に難解で……」アセアセ

ギルバート「……今からの勉学など――」


フローレン「絶対に解けないだろうと思った子がぁ! 38点取ったのよぉぉぉ!」ビターン!

フローレン「カインは35点んんんんんっ! 負けちゃったのおおぉぉぉぉ!」ビターン!

フローレン「アベルは99点だしぃ! その部下もなんか皆いい点数なのぉ!」ビタビターン!

フローレン「キアラとフィーアがいなかったら、今頃私の大切な何かが粉々になっているところよぉ!?」クワッ!



ギルバート「ほう、あやつらが……そうか」

フローレン「そうよぉ……引き籠ってるだけかと思えば、頑張ってはいたみたいねぇ……」ハァ…

ギルバート「ふっ……やはり我らの目が曇っていたということか……」

フローレン「……ええ。認めたくないけどねぇ……」

ギルバート「……それを認識できただけでも、収穫のある試験であったな」




ギルバート「うむ、良い気分だ。鍛錬場で清々しく素振りでもしてくるか……」ヨイショ…

バーンズ「陛下、お供致します」ヨイショ



フローレン「――逃がさないわよぉ!?」



――『黒岩の城塞』発動――



ゴゴゴゴゴ!


玄関「」グシャァ!

ギルバート「!?」

バーンズ「!?」

フローレン「いい!? 私も最初は暇潰しのお遊びのつもりだったけど、思った以上に深刻なのよぉ!?」

フローレン「いくら皇位を退いたとはいえ、あなたはこの世で一番の男なの!」

フローレン「それが、人外以下の点数どころか0点だなんて広まって、これからもそのままじゃ……」

フローレン「あなたの名前、歴史上に歴代最悪のお馬鹿皇帝って載るかもしれないのよぉ!?」

ギルバート「む、むぅ……」タジ…

フローレン「バーンズもよぉ!? この人が良くなっても、あなたがお馬鹿さんのままじゃ、皇帝は見る目がないって話になるわぁ!」

バーンズ「うっ……」タジ…

フローレン「いい? これはあなた達の為を思って言っていることでもあるのよぉ?」

フローレン「久々だわぁ、こんなに何かに熱中できそうなの……!」ゴゴゴゴ!

フローレン「みっちり叩きこんで、39点以上取れるようにしてあげるわぁ!」

ギルバート&バーンズ「「……」」ゴクリ…


ネスト「……」コソコソ


フローレン「はぁい、そこも逃げなぁい!」ピシャーン!

ネスト「あっぶなぁ!? な、何するんですか!? 俺、関係ないですよね!?」

フローレン「あなたも普通に筆頭お馬鹿よぉ!? 間違え方も凄かったしねぇ!?」

フローレン「アベルの部下に教えるなんて真似したくないけどぉ、流石にここまでのお馬鹿さんは放置できないわぁ」

フローレン「ありがたぁく、私の特別授業を受けることねぇ……?」ゴゴゴゴ…

ネスト「」

ネスト(殿下……クラウス陛下……)

ネスト(俺はしばらく、任務が出来ないかもしれません……)


……


――

――


【聖国・とある教会】



子供1「あ、マークス様が帰ってきた!」

子供2「わーい!」テテテ!

マークス「はっはっはっ! 私がいない間も、元気にしていたようだね」ナデナデ

子供3「うん! みんなで運動してたんだ!」

子供4「ねぇねぇマークス様、今度はどんな鍛え方をするの?」

マークス「そうだね……」

マークス「では、今日はいつもと少し違うところを鍛えようか」

子供達「「?」」

マークス「今日はここ……頭を鍛えるんだ」トントン

子供1「あ、頭を……!?」

子供2「壁にひたすら頭突きを繰り返すの……?」ブルブル

マークス「ははは、外を鍛えるんじゃあないよ。中身を鍛えるんだ」

子供3「中身……?」

マークス「そう、中身だ。ここを鍛えておかないと、後々大変なことになってしまうぞ?」

マークス「しかも何を隠そう、この私もまだまだ全然未熟なのだ!」

子供4「マークス様でも……!?」

マークス「ああ。帝国や王国の友との交流で、改めてそれを実感できたよ」

マークス「初心にかえる。そして、基礎を見直し、努力する。肉体と同じく、頭の中身もこれは大事だ」

マークス「わかったかな?」

子供達「「はーい!」」

マークス「よし! それではさっそくやってみようか!」






リーナ「……」

アルフ「……」




……


――

――


【聖国・シュタイナーの墓】



リーナ「兄上……」

リーナ「今日は、帝国と王国……三国を交えての、こんな学力試験というものをしてきましたの」スッ…

アルフ「試験作成者は、あの魔女フローレン……」

アルフ「あの頃の私には、想像もつかない出来事です」

リーナ「結果に喜んで、落ち込んで……楽しい時間でした」

リーナ「いずれきっと、私達だけじゃない……各国の民を加えて行う日も出てくるかもしれませんわね」

アルフ「……神でさえ為しえないと思われた、三国の本当の意味での平等……」

アルフ「まだ問題は多いですが……希望を感じさせたのは間違いありません」

リーナ「マークス神父も熱意に火がついたのか、子供達に基礎のお勉強をさせていましたの」

リーナ「自分への戒めもあるとのことでしたが、とても楽しそうでしたわ」

アルフ「アドルランも、王国のクラウス王も、非常に協力的です」

アルフ「無論、私も……彼らと共に、聖国をより正しく導けるよう尽力するつもりです」

リーナ「兄上……」スッ…

アルフ「兄さん……」スッ…

リーナ「どうか、天より見守ってください……」






シュタイナー(……まだ神に、天に昇ることを許されていないんですよねぇ)フヨフヨ…

シュタイナー(しかし、そうですか……)

シュタイナー(三国共通の試験、考え付きもしなかった……)

シュタイナー(アルフォンスとエカチェリーナだからこそ、この新たな道は開かれたのですね)

シュタイナー(……)

シュタイナー(それにしても、あの魔女が手を貸すというのも驚きしかありませんね)

シュタイナー(どれどれ、折角エカチェリーナが持ってきてくれたのです。どんな問題か見せてもらいましょう)



――

29シュタイナー:44(偶数ゾロ目)

= 1 0 0 点 (異教徒が絡まなければ元は絶対的な聖王様。信徒の為にもあらゆる知識を身に着けていたようです)

――



シュタイナー(ふむ……)

シュタイナー(思っていたよりも易しく、しかし気を緩めると誤答に誘導される箇所がいくつか……)

シュタイナー(なるほどなるほど、これは確かに聖国には無いものだ)

シュタイナー(歴史や文化の問題が無いのはおそらく意図的なものでしょうし……)

シュタイナー(信じられませんが、あの魔女が他国にも配慮した上質な問題を作り上げたということですか)

シュタイナー(……この問70だけは頂けませんがね。魔女が作ったのならば皇帝ギルバートを正答としているのでしょうが)

シュタイナー(それを踏まえると、こちらの問題と合わせれば誰もがある程度の点数は取れるようにもなっている……?)

シュタイナー(三国の……平等な試験、ですか。神よ、私は……)









リーナ「……あぁ、もし兄上が生きておられたら、ここの解き方を聞きたかったですの」っ35点答案

アルフ「……兄さんが生きていたら、私のこの結果をどう思われただろうな……」っ0点答案






シュタイナー「」







シュタイナー(――アルフォオオォォォォォォォォォォォォンスッッッッ!!??)チノナミダ




リーヴコア「」ガタガタガタ!

リーナ「ひゃ!? 兄上の形見が揺れていますの!?」

アルフ「じ、地震か!?」



シュタイナー(神よ……! おぉ、神よぉ……!)ポロポロ…



……


――

Ex判定その2の公表が済んだあたりで今日はここまで
聖国組は上下の差が激し過ぎますね……

これで試験結果は全て終了となりますが、追加で↓1コンマ二桁判定を

本日もありがとうございました!

こんばんはー
判定コンマ見て、コンマの神様って本当にいるんじゃないかと思いました
狙っても取れる数値じゃないですもん(白目)
とりあえずゆるりと次の判定まで進めればと思います

――



リーヴコア「」メリコミ



アルフ「……では、兄さん。また来ます」スッ…

リーナ「今度は、きっともっといい報告を持って来ますわ」スッ…


シュタイナー(あぁ……)

シュタイナー(アルフォンスもエカチェリーナも、もっと聡い子だったのに……)ハラハラ…


リーナ「しかし、こういった問題を解くだなんて本当にいつぶりでしょう?」

アルフ「私もここ最近はずっと、聖国兵の防衛配置に政策の考案にばかり時間を割いていたからな」

リーナ「私も、ですの。帝国と王国の兵を近づけまいと、来る日も来る日も馬で駆けてばかり……」



シュタイナー(……)

シュタイナー(私のせい、ですか……)

シュタイナー(ふふ、大切な家族を気にかけているつもりが……二人を束縛し知識を鈍らせてしまうとは)


リーナ「――でも兄上? 兄上が0点なのは名前を書き間違えたからですわよね?」

アルフ「あ、あぁ……」


シュタイナー(!!)


リーナ「……やっぱり、兄妹で揃ってこの点数は聖国の民に示しがつきませんの///」

リーナ「アーシャから解答は貰っていますから、兄上の名前をかけていた場合の点数を見てみましょう?」

アルフ「な、なるほど。0点の結果があまりにも衝撃的過ぎて私としたことが、本来の採点をしていなかった」

リーナ「兄上は聖国が誇る智将ですもの。実質点数ということにすれば、傷も幾分癒えますの!」

アルフ「よし、早速やってみよう」ガサゴソ



シュタイナー(よ、よかった……)

シュタイナー(そうです。いくら多忙の身とはいえ、あのアルフォンスが0点などありえませんよね)

シュタイナー(少し難しい問題もありましたが、私でも解くことはできたのです)

シュタイナー(時々突き進みがちなアルフォンスでも、90点以上はかたいでしょう)


――

救済判定

聖将アルフォンス、名前を間違えていなかった時の点数(一度やらかした為、補正はく奪)

コンマ38

=……


――



アルフ「……」カリカリ…


リーナ「……」ドキドキ…



シュタイナー(……)ドキドキ










アルフ「――38点……だと……!?」ガクッ…



リーナ「」


シュタイナー()



シュタイナー(アルフォォォォォォォォォォォォンスッッッ!!?)



リーヴコア「」シュポーン!


リーナ&アルフ「!?」ビクゥ!


……


――

――




リーヴコア「」メリコミ



リーナ「……兄上が聞いていたら、きっと絶叫していますの……」

アルフ「兄さんには色々教わったというのに……」

アルフ「こんな結果を知られては、さぞ嘆かれるだろうな……」

リーナ「本当にどうしましたの兄上……?」

アルフ「情けない話だが……」

アルフ「私の知識も、知らぬ間に戦にばかり偏っていたのかもしれないな」

アルフ「如何にして民に犠牲を出さないか」

アルフ「如何にして……異教徒を確実に葬れるか」

リーナ「……」

アルフ「……これも、神の御意志なのやもしれん」

アルフ「――もっと他に励むものを見つけよ、というな」

リーナ「……どちらかと言えば、神の御怒りかもしれませんの」

アルフ「む?」

リーナ「だって……」







リーナ「――兄上の点数、あの白帝竜と全く同じですのよ?」




16位・サク:38点
(実質16位)・アルフ:38点




アルフ「ぐっふ!?」ズザ…



白帝竜サクと同じ……

それが意味することは何なのか?

元々この点数は、正規のものではない。

少し見栄を張り、自分がしでかした痛恨の過ちが無かった場合の、もしもの点数だ。

油断はしていなかった。魔女の試験だからと全力で挑んだ筈だ。

それが、38点。

白帝竜と同点。



聖国が誇る智将 = キューキュー鳴く不思議な生き物




アルフ「ぐはぁ!?」ビチャ!

リーナ「兄上!?」



思った以上に深刻な傷を心に負った気がする。

せめて、せめてこの同点の相手が他の誰かであったならばこうはなるまい。
点数的にはほぼマークス神父とスミレとは大差が無い。
あの二人ならば、この本当の点数を曝け出したところで問題は無いだろう。

やはり問題は、あの竜と同じという点。
もっと言ってしまえば、あの竜が38点取れているのが異常だ。

――何しろ、完全には人間の使う文字までは理解していないのだから。

人間の会話を聞き、そこから対象の名前や言葉の意味を察する……大した知能と言える。
さて、この知能に現在、厄介なことになりかねない人物が加わっている。
帝国第二皇女フィーアだ。
彼女の人懐っこさ、天真爛漫さは自分もこの目でみてよく理解した。
耳つきだろうが、竜だろうが、分け隔てなく仲良くなろうとするその心。
真の意味で誰にも平等、聖国の思想の理想形とも言える彼女であるが、彼女にはもう一点特徴がある。
――姉と異なり、すごく行動的なことだ。思い立ったら動く。
白帝竜とも仲良くし、また件の竜が真似事の筈の試験で予想外の点数を取ってしまった今。

――あの竜に文字を教えようと考える可能性も0ではないのではなかろうか?

知能はある白帝だ。体躯が邪魔で高速精密動作までは無理だろうが、文字を覚えてしまう可能性はある。
もし文字を覚えてしまったらどうなるか?
決まっている。記述問題等も解答可能となり、点数をより上げる可能性が生じるのだ。

それは、つまり。近い未来……





聖国が誇る智将 < キューキュー鳴く不思議な生き物




アルフ「ウボァァァッ!?」ゴボォッ!

リーナ「兄上ぇ!?」ワタワタ


アルフ「す、すまないリーナ……」ガクブル…

アルフ「想像しただけで、致命傷を負ったかもしれん……」ガクブル…

リーナ「一体何を考えましたの……」

アルフ「だ、駄目だ、このままでは……!」

アルフ「悔しいが魔女の言葉通り、事態は深刻極まりない」

アルフ「――私の生命に関わる!!!」

リーナ「流石に大げさですの!?」ガーン!

アルフ「想像でこれだ。現実になったらありえないとは言えないのだ……」

アルフ「わ、私とて……民達に智将と称えられた誇りはある……!」グッ!

アルフ「アドルラン達との再会議は当然として……」

アルフ「リーナ、早速戻って試験の見直しだ!」ダッ!

リーナ「ええっ!?」

リーナ「いえ、私も見直すつもりではありましたけど……」タタタ

アルフ「急がねばならん……まずは1点でもいい」

アルフ「今一度基礎から鍛え直し、安定した点数を取れるようにならねば!」

リーナ「ええ、確かに……」

リーナ「試験全体を見ると、シアさん以外は聖国が遅れをとっているのも事実ですの」

リーナ「ですが私も聖国の王女! 屈したりはしないんですの!」

アルフ「神よ、どうか我ら兄妹をお守りください……!」





シュタイナー(……)

シュタイナー(……頑張るのですよ、二人とも)


……


――

――


【帝国・王城】




アドルラン「よいしょ……」ドサ!

アドルラン「キアラ、他にこの王城に教本は無いのか?」

キアラ「うーん……」

キアラ「改めてお城の本を確認しているんですけど……」ペラペラ…

キアラ「今更ながらに、戦術書とか武器の図鑑や砥ぎ方とか……」

キアラ「その、戦いに関係する本が圧倒的に多くて」アセアセ

アドルラン「昔は気にしたことも無かったが、やはり蔵書に偏りがあるのだな……」

キアラ「ローズさんが仕入れてくれた本は、私とフィーアちゃんの部屋にありますけれど……」

アドルラン「後でそれも借りていいだろうか?」

アドルラン「後は再度、ローズさんに仕入れを頼みたいところだが……」

キアラ「ちょ、ちょっと難しいかな?」

キアラ「流石のローズさんも、お母様の問題に引っかかったことが結構ショックだったみたいで……」

アドルラン「かなり意外ではあったなぁ」

アドルラン「だがキアラ、お前はそんな問題を全て解いて見せたんだ」

アドルラン「もっと誇っていいのだぞ?」

キアラ「そ、そんな、恥ずかしいです……///」

アドルラン「成果を出しても驕らない……我が妹は自慢の妹だな!」ハハハ!

キアラ「///」

アドルラン「……そんな自慢の妹に、申し訳ないが頼みたいことがある」

キアラ「?」



???「……」



特殊判定
↓1~2コンマ二桁

まーた開幕ゾロ目(白目)
判定を取ったあたりで今日はここまで
もう少し続いた後、おまけ12の終了となります
次のイベントの自由安価は、次回更新後に取りたいと思います

本日もありがとうございました!

こんばんはー
お、遅くなると通り越していますが、おまけの終了まで投下しようと思います

特殊判定結果

今後の帝国教育制度に関して

1:キアラの協力

コンマ11

 1 1

奇数ゾロ目:試練を乗り越えた第一皇女、快諾。今後の帝国発展に尽力してくれます

2:フローレンの協力

81>70

※基準値を超えたため、協力

――



アドルラン「私は……」

アドルラン「いや、アルフやクラウス王も。皆が、各国の教育の新しいあり方を模索しているんだ」

アドルラン「だがまあ……現時点で、我々の成績は不甲斐ないものであった」

アドルラン「無論、私も彼らもこれからこれまで以上に勉学に励むことだろう」

アドルラン「戦争に割いていた時間を、そちらにまわせばいいんだからな」

アドルラン「だが、それには時間もかかる。それにやはり、色々な人材がいた方がより案も煮詰まるだろう?」

アドルラン「どうだろうキアラ、良ければ、私達に力を貸してくれないか?」

キアラ「わ、私がですか!?」

アドルラン「ああ。キアラが優秀なのは疑う余地もないし、試験以外でも様々な本を読んで得た知識がある」

アドルラン「それにフィーアにも勉強を教えていたんだろう?」

アドルラン「それはきっと、他の小さい子に勉強を教えるにはどうすればいいかの手がかりにもなると思うんだ」

アドルラン「もちろん、これは私の我儘だ」

アドルラン「少なからずキアラも忙しくなり、これまでよりも自由な時間が減ってしまうかもしれない」

アドルラン「断ってくれても、構わない」

キアラ「わ、私は……」

キアラ(……きっと、アーシャさんとか私よりも適任の人はいるかもしれない)

キアラ(私なんかが、国の決めごとに口を出しちゃいけない)

キアラ(――ちょっと前までの私なら、きっと理由をつけて断っていたのでしょう)

キアラ(でも、今は……)

キアラ(私も、帝国も、昔とは違う。私も、第一皇女として……兄様達の、帝国の力になりたい!)

キアラ(あまり自覚は無いけれど、それでも……)

キアラ(――あのお母様が初めて褒めてくれた、私の武器が少しでも役に立つなら!)

キアラ「……」スゥ…

キアラ「ええ、兄様」

キアラ「私などでよろしければ、いくらでも」ニコリ

キアラ「至らぬ点も多いかもしれませんが、どうかよろしくお願いします!」ペコリ

アドルラン「おぉ、引き受けてくれるか!」パアァ!

アドルラン「ありがとう! こちらこそ、よろしく頼むぞ!」

キアラ「はい!」グッ!






フローレン「やれやれねぇ……」ザッ…





アドルラン「は、母上!?」

キアラ「お母様!?」

フローレン「あなた達だけで、帝国の教育をどうにかできると思ってるのぉ?」

アドルラン「……私が未だ未熟ということは痛感しています。しかしキアラは……」

フローレン「ええ、そうねぇ。本当に驚いたけど、この子は満点だった……」

フローレン「――でも、それは今回の試験だけってことも考えられるでしょぉ?」

キアラ「……それは」

フローレン「だからぁ……」





フローレン「――この私が傍で特別に、この子が本当に頭の良い子か見てあげるわぁ」




キアラ「え?」

フローレン「もし、変なことをしでかしたらすぐに私が指摘してやるわよぉ?」

フローレン「勿論、アドルラン? あなたも例外じゃないからねぇ?」

フローレン「それが嫌なら、もっと頑張って……本物だって私に見せてみなさぁい?」

キアラ「……! はい、お母様!」

フローレン「ふぅん。あなたにしては、立派な返事ねぇ」

フローレン「……愉しみにしてるわぁ」ボソリ…


アドルラン「は、母上。それはつまり、母上も協力してくださると……?」

フローレン「……そうねぇ。そういう考え方をする人もいるかもねぇ?」

フローレン「まあ? この私が手を貸す以上、帝国の教育レベルは跳ね上がるでしょうねぇ」

キアラ「お母様と、一緒に……」ドキドキ…

フローレン「ふふん、気を抜けばあなたのやることなんて、ぜぇんぶ私がちょちょいと片してしまうわよキアラァ?」

アドルラン「心強い限りですが、本当によろしいのですか?」

フローレン「別に構わないわぁ。思ったより愉しい暇潰しになりそうだしぃ?」

フローレン「……」

フローレン「って、いうつもりだったんだけどねぇ」

アドルラン「?」

フローレン「流石に、あの試験結果は頭を抱えるわよぉ……」ガクリ

フローレン「誰がどーう見ても、帝国も王国も聖国も、アベルのちっぽけな城塞に負けてるのよぉ?」

フローレン「三国が、一城塞に負けてるのよぉ?」

フローレン「ノワールのことを抜きにして、アーシャが私程ではないにしても優秀だとして……」

フローレン「それだけじゃ説明がつかないくらい、現状は世界規模の大変さなのよぉ?」

フローレン「お馬鹿さんだらけの世界だなんてつまらないを通り越して苦痛だしねぇ……」

フローレン「面倒くさいとか、言ってられないわぁ。なんとか、この状況を変えないとねぇ」

アドルラン「母上……」

キアラ「お母様……」

フローレン「……飽きたら、抜けるからねぇ?」

フローレン「精々それまでに、私抜きでも頑張れるだけの力を身につけることねぇ」

アドルラン&キアラ「「はい!」」


フローレン「……ところでぇ」

フローレン「あなた達には、この私の叡智の手助けがあるわけだけどぉ?」

フローレン「あなた達からは、何か貰えたりするかしらぁ?」

アドルラン「そ、それは……」アセアセ

キアラ「ど、どうすれば……?」アセアセ

フローレン「ふふん……」

フローレン「――叡智には叡智で、返して貰おうかしらぁ?」

フローレン「……」

フローレン「……」

フローレン「まあ、つまり、あれよぉ……」











フローレン「――ギルバート達に勉強を教えるのを手伝ってちょうだぁい!!!」ガバ!





キアラ「えぇっ!?」ガーン!

アドルラン「ち、父上達はそれほどまでに……!?」

フローレン「そうよぉ! あの人一人だけならまだどうにかなったかもしれないけどぉ……」

フローレン「お馬鹿三人をまとめて見ようと思ったのが失敗だったわぁ……」ガクリ

フローレン「これにルーシェやエメリナ、それにあの駄眼鏡とかも来るとなるともぉ、流石の私も手が回らないわよぉ!」

フローレン「さっきまで部屋に閉じ込めて勉強させてたんだけど、あの人は壁を壊して逃げ出すわバーンズは転移魔法で飛ぶわ……」

フローレン「そっちに気を取られている隙にネストも脱走するわで、本当にもぉ……!」プルプル…

アドルラン「お、お疲れ様です……」

キアラ「お父様達、そんなに嫌だったんだ……」

フローレン「はぁ……」

フローレン「あの人の為にも、本当に教育ってものを、ちゃんと考えないといけないのかもねぇ……」



……


――

――


【帝国・アベルの城塞】



アベル「何、キアラが!?」

キアラ「は、はい。不束者ですが……///」

キアラ「アドルラン兄様達と共に帝国の教育についての協議をする、補佐官と言いましょうか?」

キアラ「具体的なことはまだですが、私が担当させて頂くことになりました」

フィーア「すごいです、キアラ姉様!」ピョンピョン!

マックス(あぁ、キアラちゃんがさらに遠のきそう……)

マックス(俺も、現状に満足しないでもっと上を目指さないとな……!)グッ!

ロウル「いやはや、キアラ様は納得できますがまさか、あの皇妃様まで協力を申し出るだなんて驚きですよ」

ロウル「一体どんな風の吹き回しなんです?」


シュタ!


ネスト「多分、俺らが逃げ出したからかもですねぇ……」ゲッソリ…

アベル「ネ、ネスト!? どうしたそのやつれた顔は!?」

ネスト「いやー、ははは……殿下の部下ながらに件の試験では醜態晒しちゃいまして、本当に申し訳ない限りですが……」

ネスト「あの人の教育はやばいですって、圧が凄いしちょっとの気の緩みも許さない超実践派って言うんですかね?」

ネスト「魔法で力づくで黙らせてきましたし、あの親衛隊長がこっそり神剣で魔法を封じてくれなきゃ今も監禁されてましたね、うん」

ネスト「いやまあ、大元はやらかした俺達が悪いんでしょうけどねぇ……」

ネスト「できれば、優しく教えて貰った方が俺って伸びる子な気もしまして……」チラ…

アーシャ「あらあら、久々に顔を見せてくれたと思ったらこんなお願いをされるなんて」クスクス

ネスト「あー、やっぱり駄目かな?」

アーシャ「いいえ、構いませんよ。もう、可愛い生徒もいますしね?」

ティア「だ、大丈夫ですネストさん! 一緒に頑張りましょう……!」グッ!

ネスト「あー、ティアちゃんもやっちゃったくちかー……」

ロウル「まあ、アーシャさんに頼めば確実ですよ」

エリス「元々お勉強が苦手だった私達に色々教えてくれたのは、アーシャさんですからね」

フィーア「私も、色々なことを教わりました!」


パトラ「知識や財を独占するのではなく、分け隔てなく皆に……貴族の望ましいあり方ですね!」

シア「みんなで揃ってお勉強する環境が整えば、きっともっと楽しくなりますよ~!」

キアラ「わ、私がその一端を担うかもしれないというのは、やはり緊張するのですが……」

アーシャ「ふふ、そうは言っても今のキアラちゃん、とってもいい顔をしているわよ?」

キアラ「え? そうですか?」

アベル「ああ、そうだな。自信に溢れた、いい顔だ」

キアラ「な、なんだか恥ずかしい///」

キアラ「でも、そうですね。第一皇女として、私も少しは兄様達みたいな堂々とした態度をとってみないと……」

キアラ「兄様やローズさんに頼り切るわけにも、いきませんからね」

パトラ「……カイン皇子は参考にしない方がいいかもしれませんね」

シア「そ、そんなこと言っちゃ駄目ですよ~? きっとカインさんも調子が悪かったんですよ~」

アベル「いや、兄様は調子がいいと逆にミスをすることがあったからな。かく言う俺も、なんであんなところで計算を間違えるか……」

エリス「で、でもアベル様は凄いです! アーシャさんとキアラ様に次ぐ点数ですよ?」

アベル「いや、何年か前に同じ間違いでアーシャに負けているんだ……」

アーシャ「懐かしいですね。またあの時のように、アベルにも勉強を教えるのも悪くないかもしれません」

キアラ「あ、あの、アーシャさん?」

キアラ「よろしければ、参考までにその様子を見学させてもらえると……」

フィーア「あ、私も見てみたいです!」

アーシャ「ええ、いいですよ」

アベル「ま、待てアーシャ!? 妹達の前でそれは気恥ずかしいというか……///」

アーシャ「ふふ、聞こえませんよ?」クスクス

アーシャ「――折角です。帝国の教育の新たな門出を祝い、今から他の人も読んでお勉強会を開きましょう?」

アーシャ「――今度は、私が作った試験を解いて貰おうかしら?」クスクス


一同「「!?」」


アベル「……ま、負けられないな」ブルブル

キアラ「が、頑張らないと……!」グッ…!


アベル(色々な問題が明るみになったが……)

アベル(得る物も大きい試験だった。それはきっと、キアラ達も同じだろう)

アベル(戦争の果て、生き延びた先の世界……)

アベル(それはきっと、より良い未来になると、確信できる)

アベル(帝国……いや、世界の未来は俺が思っていた以上に――明るくなりそうだ)


――

EXイベント12

【戦いを終えて~~三国教育事情~~】おしまい

――

ということで、おまけ12終了となります
王国と聖国が大変そうですが、帝国(というか城塞)に優秀な人材が多いので、きっと教育事情もよくなっていくことでしょう

それでは、次のおまけ内容を自由安価で募集したいと思います
スレの残りが微妙ですが、おまけ13→このスレの1000ボーナスの順番になるかと思います
↓1~5あたり多数決コンマ判定で

本日もありがとうございました!

おつおつ
ホワイトデーとかどうかな?

こんばんはー
うーん、これはまた予想外ですが、この世界花粉症概念は無いですね(ティッシュも)
ただ最高コンマの人がホワイトデーでも良いとおっしゃっているのと、
元々↓5あたりは目安だったので6番目の人も多数決に加えるとヒロインデートと花粉症にも1票?

ちょっと判断に困ってしまいましたので、申し訳ありませんが再度決選投票の形を取らせていただきます……

EXイベント13

1:ホワイトデー(男性陣の奮戦。少し自由安価出るかも)
2:アベルとヒロインズの個別デート(人数はコンマ判定にしようかと。デート内容は自由安価多分出ます。なおエリスはエンディングの関係上判定厳しめかも)
3:花粉症パニック(決まった場合、最初の被害者をコンマ判定。以後、もしかしたら技能判定同様になるかも)

↓1~3多数決コンマ

思ったより埋まるのが早くてこれも↓5まで取るべきだったかな……
とりあえず、
2:アベルとヒロインズの個別デート
となりました。
なお、大元の希望の方が夜イベント少ない組優先でとのことでしたので、アーシャ・ロウルの二名は確定
残りのシア・パトラ・ティアにエリスはコンマ判定にさせていただきます
それでは判定表を作成してきますのでs、少々お待ちください

それでは、まずデート追加人数のコンマ判定を行いたいと思います

デート、アーシャとロウルに加えて……?

↓1コンマ二桁

おぉい!?(白目)

デート、アーシャとロウルに加えて……?

01~50:シア・パトラ・ティアから1人
51~70:シア・パトラ・ティアから2人
71~85:3人とも
86~99:3人+エリス

コンマ90

86~99:3人+エリス

アーシャ+ロウル+3人+エリス=全員

※アベルはどうやら全員と一対一のデートをすることになったようです(白目)
※普通ならぶっ刺されそうですが、ヒロイン達との仲が良好過ぎるため無問題です(白目)

結構厳しめの表使ったのにこれかー……
少しおまけ終了まで時間かかりそうですが、頑張ります
それでは導入部分を考えてきます

――


EXイベント13


【戦いを終えて~~帝国第三皇子と大切な人達~~】



――

――



【帝国・アベルの私室】


アベル「むむむ……」


アーシャ試験「……」ズゴゴゴゴ!


アベル「だ、駄目だ。どうしてもあと一歩届かない……」

アベル「やはり、もっと色々知識を蓄えるべきか」

アベル「いや、俺は計算を間違えることが多いか?」

アベル「そうなると、普段からもっと計算をするように心がけねば……」ブツブツ…

アベル「ああ、しかしそちらばかりに時間を割くわけにもいかん」

アベル「鍛錬を怠って鈍れば、何が起こるかわからん」

アベル「父上から再戦を申し込まれる……ことは無いと思いたいが……」

アベル「やはり、聖国と王国にヘリング司教や腐敗貴族がいた件を考えるとな」

アベル「父上も少し丸くなったように見えるし、あのフローレンまでもが学力面だけは協力を示してきた」

アベル「……実力主義の帝国は嫌いだが、絶対的な存在による統治があったのもまた事実」

アベル「正式な皇帝が不在の今、その座を狙う輩も……」ブツブツ…

アベル「ああ、そうだ。アドルラン兄様とカイン兄様の書類の処理も手伝わねば……」グルグル

アベル「最近、少し腑抜けすぎたか」

アベル「思ったよりも、時間が足りないな……」






フィーア「……」スッ…



――

――



【城塞・会議室】



フィーア「――といったご様子でした!」

アーシャ「あらあら、私の試験に熱心に取り組んでくれるのは嬉しいけれど……」

アーシャ「あまり気にし過ぎるのも考え物ね。アベルはもう十分な成績なのだから」

ロウル「まったくですよ。アーシャさんの試験、嫌らしさはなかったですけど直球で難しかったですし……」

ロウル「お勉強が大切と言うか、普段から定期的に使わないとリーナさんみたいになっちゃうってのもわかりますけどねぇ」

エリス「それに加えて鍛錬も変わらず行おうとするなんて、流石アベル様です!」

エリス「……でも、今は少しは減らしてもいいと思うんです」シュン…

パトラ「そうですね、私もエリスさんもかつてと比べたら、鍛錬の時間は減っています」

マックス「あ、あれで減らしているんですか……?」

パトラ「ええ、時間を減らした代わりにより本気でぶつかっているだけよ?」

エリス「私もパトラさんも、最近はその分の時間をお料理のお勉強とかに使っているんです」

シア「いいですね~。やっぱり戦って痛いことばかりなんてよくないです~」

シア「お料理、それも甘くて美味しいお菓子の練習とか、平和で素晴らしいと思いますよ~?」

ティア「で、でもアベル様、それだけじゃなくて、カインさん達のお仕事まで……」

ティア「アベル様じゃなきゃできないお仕事もあるって、わかるんですけど……」


フィーア「――そうなのです! このままでは、アベル兄様の自由な時間が無くなってしまいます!」グッ!

フィーア「そしてそれは、姉様達との時間が作れないということにも繋がってしまいます!!!」バン!


一同「「!?///」」


マックス(……今更だけど、6人と関係を持って友好関係崩れてないって、やっぱアベル皇子すごいよなぁ……)


フィーア「お義母様、どう思われますかっ!?」





ノワール「…………」




一同「「……」」ゴクリ…

ノワール「……あの子は、アベルは、背負い込みやすい子でもあります」

ノワール「元々は、かつての私が原因……」

ノワール「私があの子に、どんな状況でも一人で生き抜いていくことを、教え込んでしまったからなのかもしれません」

ノワール「まさかあの子が、こんなにも慕われて、みんなと一緒にあのギルバートすら退けるだなんて、私も思いもよりませんでしたから」

一同「「……」」

ノワール「あの人が皇位を退いた今、その子であるアドルラン達と協力して帝国をより良い国にしていく、これは皇族としての責務」

ノワール「勉学や鍛錬に励むことも、同じく重要です。あの子は、立派に頑張っています」

ノワール「ですが……一点、まるでなっていない点があります」


ノワール「フィーアの言葉通り――あなた達との時間を作れていないではないですか!」


ノワール「あれほど、人数はともかく責任を持ちなさいと言ったのに……」ハァ…

ロウル「で、でもノワールさん? アベルさんはお忙しい中でも、十分私達に構ってくれていると思いますよ?」

ノワール「構うだけでは駄目ですよロウルちゃん? もう以前の温泉でフィーアにも明かしてしまいましたけど……」

ノワール「あなた達全員にアベルが手を出している以上、アベルにはあなた達を大切に扱う責務も生まれています」

アーシャ「そ、それは……」

ノワール「……みんな? アベルには黙っておくけど、本当はどうしたいの?」

ティア「わ、私はアベル様に叱――

ノワール「ティアちゃん。それはアベル本人にお願い」ピシャリ

ノワール「ロウルちゃん、あなた……尻尾が揺れているけど何かあるでしょう?」

ロウル「うぅ、それは……」

ロウル「あ、ありますよ! 私だって、ちょっとぐらいは!」




ロウル「――ア、アベルさんと……また、二人っきりでお散歩したいな、とか///」



導入途中ですが、今日はここまで
さて、容赦ないコンマで結局全員となりましたが……
流石に全員分のデート内容を私一人で考えるのは不可能です(白目)
かなり皆様の安価に頼る部分が出てきてしまうと思いますが、どうかご容赦を
本日もありがとうございました!

それでは、先に誰とのデートから始めていくか先に安価取っておきます

※デートは基本、アベルとヒロインの一対一とさせていただきます
※デート時はコンマ判定により、イベントを起こせたらと考えています

デート一人目、誰から?

↓1~3多数決コンマ

こんばんはー
それではゆるりと再開……と思いましたが、これは確かに考えていなかった抜けですね……
はい、アーシャとティアの両親には挨拶をしていませんし、ティアの両親は考えてもいなかったですね(土下座)
こういう話題がある=デート時の行動として取りたいという人もいるということですので、決めてないと影響が出る可能性ありますね

というわけで、先に二人絡みの判定を先に取っておきます
……問題なのがアーシャの姉なんですけどね。まさかこの終盤で新たにキャラ募集もできませんし、どうしたものか
とりあえず
特殊判定
↓1~4コンマ二桁

おおぅ、軽い気持ちでとったら結構大変なことに……(白目吐血)

殊判定結果

1アーシャの実家(貴族)との仲

67>50

※基準値を超えた為、勘当はされていない様子

2アーシャの実家への帰還

02(無。軍学校時代にアベルの城塞に住み込んでから帰ってません)<50

※アーシャは実家に帰っていませんが、たまに手紙とかのやりとりはあったようです

3アーシャ、姉との仲は?

>50

コンマ33

奇数ゾロ目:目があったらバトル


※最悪な姉妹仲だったようです(白目)

※遭遇すれば確実に一悶着です(白目)

4ティアの両親の生死
コンマ12

偶数:生存
奇数:死亡

※聖国内で健在なようです

えー、まさかの事態になりましたが、とりあえず予定していたアーシャの自由安価部分まで進んでいこうと思います

ノワール「……」

ロウル「ちょ、ちょっと! 何か言ってくださいよ!?///」

ノワール「ご、ごめんなさい。すごく、平和なもので安心してしまいました」

ノワール「でもやっぱり、考えていることはあったでしょう?」

ノワール「それはきっと他のみんなも同じはず……」

一同「「……///」」

ロウル「でも、我儘は言えませんよ。アベルさんがお忙しいのは間違いなくて……」

ノワール「ふむ……」

ノワール(みんな、いい子ですね……)

ノワール(だからこそ、偶には本当の気持ちを晒して欲しいのだけれど)




フィーア「!!」ピコーン!




フィーア「閃きました!」

ノワール「え?」

フィーア「アベル兄様の時間が足りないなら、作ってしまうのです!」ピョン!

フィーア「流石にずっとは難しいですけど、姉様達とのゆっくりした時間を作るくらいなら……!」

ノワール「フィーア、簡単に言いますけど、どうやって?」

フィーア「――私達がアベル兄様の分もお仕事をこなすのです!」エヘン!

一同「「……」」

ノワール「……フィーア、無茶はいけません」

一同「……」」ウンウン




ノワール「私も動きましょう。いえ、この子達以外、動かせる人を皆動かした方が……?」




一同「「え!?」」


……


――

――


……


【帝国・ギルバートハウス】


ギルバート「アベルを休ませたい……?」

フィーア「はい!」

ギルバート「……あやつに直接言えばよかろう?」

ノワール「アベルは、あなたと比べればまだまだひ弱ですから。鍛錬はどうしても続けてしまうのですよ」

ギルバート「良きことだ。現状の強さに胡坐をかけば、すぐに身を滅ぼす」

ノワール「はぁ……流石のあなたも、鍛錬の合間に少しの休息は必要だったでしょう?」

ノワール「それに今のアベルは勉学の方にも力を入れ始めて……」

ノワール「……あなたなら、その大変さがよくわかるのでは?」

ギルバート「ぬ、ぬぅ…………」

フィーア(お父様が0点だったことに、未だに驚きです……)

ノワール「強くなる為には、効率的な鍛錬が相応しい。そのための休息が必要なのです」

フィーア「はい! その通りです!」

ギルバート「それはそうだが……」

ギルバート「しかし、何故我に? 我に何を望むというのだ?」

フィーア「実はですね、お父様とアドルラン兄様に折り入って……」


……


――

――



【帝国・王城書庫】



キアラ「え、アベル兄様が?」

フィーア「はい! とってもお勉強を頑張っておられるのです!」ピョンピョン!




柱|フローレン「……」




フィーア「やっぱり、この前のお母様の試験で1点取れなかったことがショックだったようで……」

キアラ「そんなに……」




柱|フローレン「……」ニヤニヤ




フィーア「だから、今度はこの王城の本を片っ端から集めてずーっとお勉強する予定だそうです!」

キアラ「そ、そうなんだ」




柱|フローレン(ふふ、いいこと聞いたわぁ……!)

柱|フローレン(そう簡単に、私の試験で満点を許してなるものですかぁ……!)

柱|フローレン(新規試験作成の名目で、アベルより先にあらゆる参考書を先に陣取ってあげるわぁ!)シュバッ!






フィーア「……よし!」グッ!

キアラ「よ、よかったのかな? お母様を騙す感じになっちゃったけど……」

フィーア「大丈夫です! カイン兄様も、お母様には嘘を言っていいと言っていましたし!」

フィーア「後は……」



……


――

――


【帝国・メイド長私室】



ローズ「城塞の雑務を……?」

ノワール「ごめんなさいローズ。ちょっとわけがあって……」

ローズ「フフ、大丈夫ですヨ。アタシにも、おおよその見当はつくワ!」

ローズ「アベル様とあの子達の時間を作りたいのよネ? お任せあれ!」

ノワール「まぁ、流石はローズですね。あなたには助けられてばかり……」

ローズ「いえ、これくらいは」

ローズ「……アタシもちょっと、今は仕事に没頭して嫌なことを忘れたかったしネ……」

ノワール(思ったよりも35点が堪えたのですね……)

ローズ「アイナちゃん、スミレちゃん。わかったわネ?」

アイナ「はい! ローズさんとアベル様の為に、全力を尽くします!」ビッ!

スミレ「……ボク達の業務は王城が中心。場所が変わっても同じ仕事をこなせるか確認するという体でよろしいですか?」

ローズ「よし、それで行きましょう!」

ローズ「メイドの研修の一環、他所のお宅でも綺麗にできるか作戦ヨ!」

アイナ「道具一式、揃えて来ます!」バッ!

スミレ「真実味を持たせる為、ボク達以外のメイドや執事も必要ですね。何人かに声をかけてきます」バッ!

ローズ「ええ、任せたわヨ?」

ローズ「……まったくもう、また立派になっちゃって……」

ノワール「……埋め合わせは、いずれ」

ローズ「いーのヨ! アベル様のところの子達も、ちゃんと幸せになってもらいたいからネ」


……


――

――


【帝国・王城執務室】



アドルラン「アベル達を? それはいい考えだ!」

カイン「やれやれ、相変わらず妙なことを考えるね……」

フィーア「ご、ごめんなさい。兄様達もお忙しいことはわかっているのですが……」

アドルラン「ははは、何問題は無いよ。アベルにも頼ってしまっていたところがあるが……」

ルーシェ「至急の案件、全部、片付いています……!」グッ!

ヒバリ「確かにアベル様にも見て貰いたい書類はあるけど……」パラパラ…

ヒバリ「これは、別に急ぎじゃないからね。むしろ、アドルランが先によーく吟味しておいた方が後が楽そうだし」

カイン「仮に何か予期せぬ案件が来たとして、この僕がいるんだ。どうとでもなるさ」

エメリナ「カ、カイン様……」アセアセ

カイン「……本当にどうしようも無くなったら、呼ぶかもしれないけど」フイッ

フィーア「アドルラン兄様とカイン兄様には、お父様とお母様と一緒にあることをして頂きたいのですが……」

アドルラン「ほう? 思ったよりも大がかりな作戦ということかな?」ワクワク

カイン「なんで少し嬉しそうなんだよ兄さん……」

カイン「まぁ……アベルには色々と世話になったしね。小芝居程度なら、つきあってあげるよ」

ヒバリ「それじゃあ、私達はアドルランとカイン様の分の仕事を出来る限り処理しておけばいいかな?」

ルーシェ「が、頑張ります……!」

エメリナ「カイン様、ご武運を……!」

カイン「はは、大げさな。どうせやるなら、徹底的にやってやろうじゃないか!」


……


――

――


【帝国・アベルの城塞】


ノワール「――ということで、根回しは済ませて来ました」

キアラ「私とフィーアちゃんも、頑張らせて頂きます!」

フィーア「はい! これで作戦は完璧です!」

フィーア「アベル兄様と姉様達は、しばらくゆっくりとした日々を送れるはずです!」フンス!




一同((な、なんだか大事になっているような……?))



ノワール「とりあえず、一部手荒なこともありますけれど……」

ノワール「少なくともアベルは数日間、これまで通りの動きが取れなくなるのは確かです」

ノワール「やるべき道……今回に関してでは、逃げ道ですね。これを全て塞がれたら、アベルは困惑することでしょう」

ノワール「――そこをあなた達が、さり気なく誘うのです」

一同「「……」」ゴクリ…

ノワール「あまり時間を作ってあげられないのが残念ではありますけれど……」

ノワール「それぞれたった一日でも、望む時間を過ごせることを願います」

ノワール「もしかしたら、アベルも考えを改めるかもしれませんからね」クスリ

ノワール「ただ、当日になって揉めるのも大変です。今の内に誰から――」



ロウル「一番手は勿論エリスさんが相応しいと思うのですが」

エリス「そ、そんなことないですよ!? 私は、もう十分な程アベル様から……///」

パトラ「駄目ですよエリスさん? せっかく皆さんからのご厚意で時間を用意して頂いたようですし……」

アーシャ「最後には、全員分の時間もありそうです。それならばエリスちゃんも入らないと!」

ティア「全員で、順番……そうなるとやっぱり?」

シア「はい~、困った時は平等なくじ引きですよ~!」

ロウル「お、用意がいいですねシアさん!」

シア「先端が赤いのが当たりくじ。これを引いた人が最初の人にしましょう~」


一同「せーの……!」シュッ!




アーシャ「あら……私ですか?」アタリ!

ロウル「おお、流石アーシャさん。試験の時から快調ですねぇ」ハズレ

アーシャ「ど、どうしよう。まさか当たるとは思っていなくて……///」

アーシャ(アベルと、二人で……?)

アーシャ「……」ドキドキ


……

デート最初の一人目がアーシャに決まったあたりで今日はここまで

↓1~3コンマ二桁(混ぜれそうなら混ぜる)から
デート内容(アーシャの願望、アベルの行動どちらでも可能)とする予定でしたが……

お手すきの方がいらっしゃれば、これに加えてアーシャの姉の名前と簡単な特徴も考えて頂けるとありがたいです(土下座)
なお、こちらが勝手に考えたことですが、アーシャ姉はアベルでは無く、アドルランの方に送られている設定でした(ヒバリとルーシェがいるため、近寄る隙もなかったのですが)
そして今回の判定でアーシャとめっちゃ仲悪くなりました(吐血)
姉の決定は後日再度判定取ろうと思います

本日もありがとうございました!

おつ

デート内容:グラスパフェを食べ合いっこ。偶然アベルの頬にクリームがついてしまい取ろうとすると、アーシャが制止してキスで取る

アーシャ姉
名前:シャナ
特徴:アーシャと同じく成績優秀ながら毎度あと一歩及ばない事ばかりなのが原因で卑屈で外道な手段を辞さない性格に変貌していった。過去にアーシャの友達を虐めており数名自殺や引きこもりに追い込んでいる

おつおつ
デート内容は安価下でお任せしとこう
自分は姉案だけ

アシュリー
アーシャの姉。アーシャ同様に恵まれた環境もあり、文武両道の才女
しかしそれに驕っている節があり、またより上の立場の相手には媚びる、良くも悪くも貴族。アドルランからもその点から評価が低い
アベルのことは当時から地位のない妾の子と馬鹿にしていたため、アーシャは姉を嫌っている



では姉案を1つ

名前 セラ

基本的に丁寧口調だが感情的な所が多い
真面目な努力家であり
勉学の他、剣や魔法についても高いレベルで修めている
両親に言われアドルラン近付こうとしたが
他にもアドルランを狙う人は多く、なかなか近付けなかったり
話かけてもにべもなく断られたり
うまくいかない苛立ちから
アーシャに強く当たっていた過去がある

デート内容
王国が可能なら、王国を散策しつつアーシャが好みそうな書店で本を購入。

姉候補
アリア
幼少期よりアーシャ以上の成績、武術を誇った天才。そのため両親も彼女を本命アドルランに送り込み、劣るアーシャをアベルに近づけた。
しかし外見やスタイルはアーシャの方が上だった為、アーシャに対しては嫉妬も混じったいびりを行なっていた。姉妹のパワーバランスが今もこのままかは不明。
ちなみに男の趣味は筋肉基準なのでアドルランはドストライク。アベルは下に見ており、カインに至っては論外とこき下ろした過去も。

一応姉候補を
サーシャ
アーシャの一つ年上の姉。姉妹らしく顔はアーシャと瓜二つだがこちらはロングヘアー。
傲慢不遜で嫉妬深く軍学校時代からアベルのことを見下しており、そんなアベルに理解を示す妹のことも恥晒しと侮蔑していた。
戦技や軍略などの才は完全にアーシャに劣っており、姉としてのプライドを保つことが出来ないこともアーシャを嫌っている一因である。ちなみに貴族としての作法や胸の大きさ、夜レベル初期値など一応彼女にもアーシャに勝る点はあるにはある。
アドルランには縁談が送られていたがアドルランがエリスに負けた辺りの騒動(※1スレ目)の際にまとめて蹴られた。
そのためヒバリやルーシェは当然だが、もしも蹴られたきっかけがエリスだと知ればエリスにも逆恨みする可能性がある。

こんばんはー
アーシャお姉ちゃんの候補が多くてびっくり
皆様本当にいつもありがとうございます
マックスとティアの例があるので、出番は今回限りなのが申し訳ないですが(土下座)

さて、まずはデート内容ですが

王国に向かう→お店を巡ってパフェを食べ合ったり本を買ったり→思い出してアーシャ家に

の流れで大丈夫かな?

説明が抜けていて申し訳なかったのですが、クリア後のおまけの為、デート先は帝国・王国・聖国どこにでも向かえます
今後の参考までに


続いて、お姉ちゃんを決めていきたいと思います

1:>>948(シャナ)
2:>>950(アシュリー)
3:>>952(セラ)
4:>>954(アリア)
5:>>956(サーシャ)

かな?
あくまでサブキャラなので、時間指定無しでこのまま多数決決定にしてしまいます

↓1~5多数決・同票の場合はコンマ最大値判定(ゾロ目優先・00>偶数>奇数)

投票の結果、アーシャの姉はシャナとなりました
……うん、これは奇数ゾロ目も納得の最悪の仲になるわけですね(白目)
しかもデート最終段階でこれに遭遇する可能性ありっていうね!

お姉ちゃんが決まった為、追加で特殊判定
↓1~2コンマ二桁

ぎゃあああぁぁぁぁ!?(吐血)
しょ、少々お待ちください……

特殊判定結果

1:アーシャの姉シャナに対する恩情(仲悪い為、上限値50に-10補正)

50>04‐10

= 0 ( 心 底 嫌 い 。 処せるなら処すレベル)

※温厚なアーシャすら本気で怒るレベルの嫌いっぷりです(白目)

2:アーシャ家の両親が重視しているのはどっち?

00~49:アーシャ
50~99:シャナ

コンマ63

50~99:シャナ

※アーシャ家的にはシャナの方に期待していたようです(白目)

※どう足掻いてもアーシャ家で悶着あります(白目)


えー、本編できてないんですが、申し訳ないですが今日はここまで……
こーれは偉いことになったなぁというか、アベル頑張って(白目)
今後のコンマ判定値次第では……
ちょっとデートコース含めて色々考えたいと思います

本日もありがとうございました!

こんばんはー
色々考えてみたけど、結局はコンマ次第なので気にせず進んじゃおう!
少しだけですが、再開します

――



アーシャ「……///」ドキドキ

アーシャ「困り、ましたね。いざアベルと二人きりと言われても……」

アーシャ「アベルと、必ずこれをしたいというものが、特に思い浮かびません///」

ロウル「え、アーシャさん前に天気がいい時に首輪――」

アーシャ「忘れてロウルちゃん!///」


アーシャ(……アベルのあの瞳で見下ろされながら、獣のように扱われる)

アーシャ(それも、悪くは無いのだけれど……)チラ…


エリス「?」


アーシャ(アベルに普通に愛されているエリスちゃんの姿を見ていると……)

アーシャ(……たまには普通も。それもいいなと思ってしまう私がいる)

アーシャ(大変だったけれど、とても楽しくかった軍学校時代みたいに……)

アーシャ(本当に、なんでもないけれど。それでも……)




アーシャ「――どこでもいい。ただ、アベルと一緒に歩いて、ちょっとしたお買い物をするだけでも私は///」




ロウル「おぉ、アーシャさんは欲が無いですねぇ……」

エリス「ロウルさんもお散歩でしたし、欲は無いのではないでしょうか?」

ロウル「だ、だってお散歩楽しいですもん/// エリスさんはどうなんです?」

エリス「わ、私は……ア、アベル様にぎゅーってして貰いたいです……///」

パトラ「な、なるほど。言われてみればゆったりとした休日、無理に外出する必要も無いわけですか」

シア「ひたすらお部屋の中でゴロゴロしちゃうというのも、贅沢な時間の使い方ですね~」

ティア「アベル様との時間……///」

フィーア「お買い物なら、王国がいいかもしれません!」ピョン!

キアラ「うん、王国ならアーシャさんが気に入る本とかもあるかも……?」

ノワール「どうするかは、あなた達次第。後はアベルが上手く機転を利かせてくれればいいのですけど……」

アーシャ「アベル……」


……


――

――


……翌日


【帝国・アベルの城塞】



アベル「ん……」ムクリ

アベル「今日もいい朝だ。まずは軽く鍛錬をして身を引き締めるとしよう」

アベル「その後は、今日はアーシャの試験にも対応できるように知識の幅を……」

アベル「いや、アドルラン兄様の手伝いが先か?」

アベル「……」

アベル「まずは鍛錬をして、それからだな」

アベル「この時間なら、鍛錬場もエリスくらいしか――






ドゴオオオオオオオォォォォォォォ!






アベル「なっ、なんだっ!?」ビク!

アベル「尋常ではない音だったぞ!?」

アベル「まさか、危惧していた帝国に潜んでいた脅威か……!?」ダダダ!

アベル「くっ……!」



……


――


――



【城塞・鍛錬場跡地】


ヒュオオォォ…


アベル「」

エリス「」



フィーア「あぁー! うっかりしていましたー!」

キアラ「ついうっかり、フィーアちゃんと連携奥義を思いっきり使ってしまいましたー!」

フィーア「そして、その音に驚いてうっかりサクちゃんも来てしまいました―!」

サク「キュルルルーン!」グシャア…

キアラ「ボロボロになったところにサクちゃんの風圧が加わって、うっかり鍛錬場が見るも無残な瓦礫の山にー!」


アベル「」

エリス(……こ、ここまで大々的にやるなんて、聞いてないです!?)ガーン!



キアラ(ね、ねえフィーアちゃん? やっぱりやりすぎちゃったかな……?)コソコソ…

フィーア(いえ、これぐらいしないと、エリス姉様も鍛錬ばかりしてしまいますから!)コソコソ

サク「キュルン?」ツンツン

アベル「――はっ!?」

アベル「そ、そうだ! 怪我は無いかお前達!?」

キアラ「は、はい。私達は無傷です」

フィーア「でも、ついうっかりが重なってしまって……」

アベル「い、いやいいんだ。お前達が無事なら……!」

アベル「とりあえず、このままでは危ないな。動かせる瓦礫だけでもどかして……」

サク「キュルル、キュー」モチアゲ

フィーア「サクちゃんが手伝ってくれるそうなので、大丈夫です!」

キアラ「私達の不注意が原因なのです。ここはどうか私達にお任せください兄様」チラ

エリス(こ、これは次の場所に誘導をしろということですね……?)

エリス「し、仕方がありません! 王城の鍛錬場を使わせて貰いましょうアベル様!」グイ!

アベル「え、あ……そうだなってそんなに慌てなくても大丈夫だぞエリス!?」



フィーア「まずは作戦第一段階成功です!」

キアラ「私、こんな大胆なことしたの初めてだよ。王城の方は大丈夫かな……?」


……


――


――


【帝国・王城鍛錬場】



ギルバート「ぬおおおおおぉぉぉぉぉぉ!」ブオン!

帝国兵の山「「うぎゃああああぁぁぁぁ!?」」ズシャアアァァ!

バーンズ「おおおぉぉぉぉ!?」ズザザザ…

アドルラン「さ、流石は父上。さらに腕が上がっておられる……!」ググッ…



アベル「」

エリス(城塞の惨状が、可愛く見えます……)ブルブル…



アドルラン「ん? おお、アベルにエリス君じゃないか。おはよう!」

エリス「おはようございます、アドルラン様」ペコリ

アベル「おはようございます兄様……これは一体?」

アドルラン「ああ。見ての通り、父上がより力と忍耐力を鍛え上げる為に新たな鍛錬方法を編み出したんだ」

バーンズ「……鍛錬は一日だけでは身につかぬ。故に陛下は、七日間耐久鍛錬をなさっているのだ」

アドルラン「まさにその通り、七日間ずっと次から次へと組手鍛錬をしていくんだ。流石に水分の補給は許されているがな」

アベル「」

帝国兵「な、なんでギルバート様が突然こんなこと言い始めたかわからないけど……」ヨロ…

帝国兵「いくらなんでも、アドルラン様達込みで7日間も戦えば、流石に途中でへばると思うんだ……」


ギルバート「――貴様らの力はその程度か!?」クワッ!

ギルバート「先にも言ったが、7日間の間に我に膝をつかせたなら、全員に豪華な肉をくれてやる!」

ギルバート「我は約束を違えぬ! さぁ、かかってくるがよい!」チラ…



アベル「!?」ビク!

エリス「!?」ビク!

ギルバート「さぁっ! さぁっ!!!」チラチラ!

帝国兵達「「うおおおおぉぉぉぉ! とにかく俺達は数で攻めろおおおぉぉぉぉぉ!!!」」ドドドド!

アドルラン「見ての通り、弱った父上にいつか膝をつかせるくらいならできるかもと、参加者が絶えないんだ」

アドルラン「それ以外の目的ではしばらく、この鍛錬場は使えないだろうなぁ……」


ウボアー! ヒギャー! 


アベル「そ、そのようですね……お、俺は用事を思い出したので、ここで失礼します……」アセアセ

エリス「失礼致します……」アセアセ



アドルラン「よし……たまには、みんなとの時間を大切にするんだぞアベル?」

バーンズ「……アドルラン様、よろしかったのですか?」

アドルラン「なぁに、私も合法的に書類仕事を無視して、思う存分父上と鍛錬できるのだ! いい作戦だと思うぞ!」チャキ!


……


――

――



エリス「うぅ、あの様子ではあちらの鍛錬場も使えませんね……」

アベル「だな……」

エリス「惜しいですけれど、できない以上仕方がありません」

エリス「私は城塞に戻ってお料理の練習でもしようと思うのですが、アベル様はどうなさいますか?」

アベル「そうだな……」

アベル「アドルラン兄様が父上の異様な鍛錬につきあっているとなると、書類案件は全てヒバリとルーシェが代わっているのだろう」

アベル「俺も手伝ってもいいんだが、あの二人の間に下手に俺が入るのも邪魔になってしまうかもしれん……」

アベル「そうなると……そうだな、折角王城まで来たんだ」

アベル「書庫で本でも借りて、勉強に励むとするよ」

エリス「試験であれだけの点数を取られてなお、上を目指すなんて……流石はアベル様です!」

アベル「はは、なかなか上手くいかないがな」

アベル「やはり、アーシャにはどうしても勝ってみたいという、俺の小さな野心もあるんだよ」

エリス「……」

アベル「それじゃあ、行ってくる。夕方までには戻ると思うから安心してくれ」

エリス「お気をつけて!」



エリス「……」

エリス「わ、私もお部屋でお勉強しよう……!」タタタ!



……


――

――




【帝国・王城書庫前】




アベル「」





フローレン「あーはっはっはっ! 遅かったわねぇアベルゥ?」ニヤニヤ

フローレン「残念だけどぉ、ここの本と勉強スペースはもうぜぇんぶ私達が借りちゃったわぁ!」




カイン「ふふ、悪いなアベル。この机、二人掛けなんだ」コンモリ…

エメリナ「ふぇぇ……カイン様の為と思えど、覚える内容が難しすぎます~!」コンモリ…

ルーシェ「エメリナさん、頑張り、ましょう……! お互いの、ご主人様の、ためです……!」コンモリ…




アベル(4人の声が聞こえるのに、全員本の壁のせいで見えないだと……)




フローレン「ほぉらカイン、慌てないでよく読みなさぁい? その本は意外と隅っこの方が覚えるべきこと書いてあるのよぉ?」

カイン「わ、わかっているよそれくらい!」

エメリナ「あ、こここの前の試験であったところです……」

ルーシェ「し、しっかり書き写しておきます……!」カリカリ…

フローレン「ふふん、感謝なさぁい? あなた達もここでみっちり何日も勉強すれば、流石にお馬鹿さんからは脱却できるわよねぇ?」

カイン「当たり前だ! 僕の力を見せてやる……!」

エメリナ「カイン様、一緒に頑張りましょう……!」

ルーシェ「……ん!」コクリ

フローレン「あらぁ? もしかしてまだそこにアベルはいるのかしらぁ?」

フローレン「聞いての通り、ここは脱・お馬鹿さんを考えている子の場所よぉ?」

フローレン「迂闊にも計算を間違えて満点を逃すなんていう、絶妙なお馬鹿さんの来る場所じゃないわぁ」

アベル(た、確かに俺のいられる空気ではない……)

アベル「……ま、また来ます」スタスタ

フローレン「しばらくこのままだけどねぇ?」


カイン(やれやれ、母さんをちょっと利用してやろうと思ったらこんなことになるなんて)

カイン(……まあいいか。雑務に追われず、僕の鈍ってしまったこの頭脳の輝きを取り戻させるには丁度いい時間さ……!)


……


――

――



アベル「……これは困った」

アベル「城塞に戻るにしても、あそこの本だけでは足りないだろう」

アベル「鍛錬場もうっかり崩れ去ってしまったし……」

アベル「……」

アベル「よし。色々と予定が狂ってしまったが、鍛錬場の復旧でもしておくか」

アベル「キアラとフィーアに危ない真似はさせられないしな」

アベル「それにエリスも、鍛錬ができないと落ち着かないだろうしなぁ……」

アベル「よし、そうと決まればもう一度状況を確認して、必要な建材を改めて買いだしに行くとするかな……」






メイド「……アベル皇子の姿を確認!」コソコソ

執事「予想通り、城塞に帰還なさるおつもりだ。手筈通りにいくぞ」コソコソ

メイド「ええ!」

執事「……」

執事「……しかしあいつら、いきなりとんでもない仕事与えられたんじゃないか?」

メイド「まあ、メイド長も傍についているし、いい経験にはなるんじゃないかな?」

メイド「私はそれよりも、アベル皇子の城塞の鍛錬場をどうやって一瞬で破壊したかが気になるなぁ……」

執事「……そこは俺達の管轄外だ。早いとこ、信号弾をあげておけ」

メイド「了解!」シュボッ!



……


――

――


【帝国・アベルの城塞】



アベル「」

ローズ「あら、ごめんなさいねアベル様! 急に押しかけちゃって!」

アイナ「実は今、メイドと執事もより技術を向上させるために、色々なことに取り組んでいる強化月間なんです!」

スミレ「今回、こちらの新人達の査定する為に、たまたまアベル様の城塞が選ばれたんです」

ローズ「しかもうっかり天使達がお仕事を増やしてくれているっていうんだから驚きネ!」

ローズ「おかげでこの子達にも、たっぷりと経験を積ませてあげれそうっ!」

新人メイド「」ガタガタ

新人執事「」ガタガタ

アイナ「いやぁ……初仕事が建物の修繕だなんて驚きだよね……?」

スミレ「……安心してください。ボク達も手伝いますし、城塞のお掃除などの一般業務もあります」

新人メイド「よ、よかった。草むしりとかなら――」

ローズ「あなた勇気あるわネ! ここの草むらにはロウルちゃんの仕掛けた罠がいくつもあるから気をつけてネ!」

新人メイド「」ガクブル

新人執事「」ガクブル

アイナ「み、みんな緊張しないで? 誰でも最初は失敗しちゃうものだから……!」アセアセ

スミレ「はい。幸いこの査定は期間はありません。焦らず着実にこなしていきましょう」

ローズ「みんな、頑張るのヨ?」

ローズ「あ、全部終わったらアベル皇子達に採点してもらうのもいいかもネ!」

ローズ「この子達新人だから、何日もかかっちゃうかもしれないけれど、よろしくネ!」

アベル「わ、わかりました」



ローズ「……よし。これでアベル様の行動は城塞内まで絞れた筈ヨ」

アイナ「お、お部屋に籠りそうになったらどうするんです?」

スミレ「……その時は、ボクがアベル様の部屋に穴を開けます。金真竜の力がうっかり荒ぶったということで」シャキン!

ローズ「ふふ、そこまでしなくとも、後はあの子達が……」


……


――

――



【アベルの城塞・内部】



アベル「……」

アベル「……」

アベル「……」

アベル「……まいった」

アベル「今の俺にやれそうなことが、無くなってしまったぞ?」

アベル「俺もメイド達を手伝……駄目だ、それではローズさんの査定の意味が無くなってしまう」

アベル「かといってこのまままた部屋に戻るのも……」ムムム…






アーシャ「あら? アベル?」

アベル「おお、おはようアーシャ。どうしたんだ?」

アーシャ「それはこちらの台詞ですよ。こんなところで首を捻るだなんて珍しいじゃない?」

アベル「ああ、いや……少し、色々と予定が潰れてしまってな」

アベル「はっきり言うと、時間が余ってしまったんだ」

アーシャ「まぁ……」

アーシャ「……」ドキドキ

アーシャ「ね、ねぇアベル?」

アベル「ん?」

アーシャ「も、もし時間が空いているのなら……///」






アーシャ「――私と、ちょっと王国に出かけませんか?」




……


――

ようやく下準備が整ったあたりで今日はここまで
スレ残量が微妙ですが、次スレは明日立てようと思います

本日もありがとうございました!

こんばんはー
それではゆるりと再開しつつ次スレに移りたいと思います

――


……

【王国・街道】


アーシャ「ごめんなさいアベル、いきなり……」

アベル「い、いや。俺は別にいいんだが……」

アベル「珍しいな? 君の方からこんな提案をしてくるだなんて」

アーシャ「だ、だって」

アーシャ「わ、私だって、たまにはあなたとゆっくりしたいんですよ……///?」

アベル「……///」

アベル「そ、そうか……///」

アベル「……」


ギュ…


アーシャ「ふぇっ///!?」

アベル「……こうして手を握った方が、お互いゆっくり歩けるだろう?」

アベル「それに、はぐれずに済む」ギュ…

アーシャ「も、もう! 私もそこまで子供ではありませんよ?」

アーシャ「……」

アーシャ「でも……そうですね。今日は、このまま……///」ギュ…

アベル「あぁ……」

アベル「ところでアーシャ、どこか行きたいところはないのか?」

アーシャ「いえ、特には無いですよ。ただ、久々にあなたと一緒にゆっくりしたかっただけですからね」

アーシャ「こうして手を繋いで、のんびりぼんやり散策を続けるだけでも、楽しめると思いますよ?」

アベル「さ、流石に何もしないというのはどうなんだ?」

アベル「……」





アベル(……もしかしなくとも、これはアーシャとのデートなのでは?)




アベル(う、迂闊だった。何故気がつかなかった俺……)

アベル(……)チラ…


アーシャ「?」シフクー


アベル(しっかりアーシャが着替えている時点で、何故気がつかない……)

アベル(アーシャらしい、深青色の落ち着いたワンピース……)

アベル(普段の所作もだが、アーシャは見た目からして品を感じさせてくれる)

アベル(それに対して俺は普段の黒服という有様……)ガクリ…

アベル(こんなことだから、シアからも女心がわかっていないと苦言されるんだろうなぁ……)

アベル(……い、いや。まだだ、ここから巻き返しを図らねば……!)


アベル「……王国は、前に見回ったこともあるんだ。いくつか良さそうな場所は知っているぞ」

アーシャ「ああ、そういえばフィーアちゃん達と来ていたんですよね?」

アーシャ「私も前にフィーアちゃんと王国には来たのだけれど……」

アーシャ「あの時は、王国の情勢を確かめることが大事だったから、観光はできていないんです」

アーシャ「……ふふ、それじゃあアベル? 期待してしまってもいいのかしら?」ニコリ

アベル「あ、ああ。任せてくれ」

アベル(も、もう後には退けん……)ダラダラ…

アベル(くそ、こんなことなら普段からもっと、こういった予習もしておくべきだったか……?)

アベル(いや、今はとにかくアーシャが好みそうな場所を考えるんだ!)


……


――

――


【王国・王都】


ガヤガヤ…


アーシャ「まぁ、前以上の活気ですね」

アベル「流石はクラウス王。復興の手際が素晴らしいな」

アベル「帝国も、これくらいの賑わいになりたいものだ」

アーシャ「今も、帝都はある意味賑わってはいると思いますよ?」

アベル「父上が何故かとんでもない企画を持ち出したせいじゃないか……?」

アーシャ「確かに、お店の賑わいという意味ではまだまだ及ばないかも」

アベル「やはり王国は物資が豊富だからな。それに、多くの国を取り込んだからか文化の幅も広い」

アベル「ここばかりは、帝国が追いつくのもなかなか難しい問題なのかもしれないな」

アーシャ「でも今は、こうして帝国と王国も行ったり来たりができます」

アーシャ「少し前までは、考えられなかったことですよ?」

アベル「そう、だな……」

アーシャ「……これもアベルが、みんなが、頑張ってくれたおかげです」

アーシャ「あなたを信じて一緒に歩いてきて、本当によかったと思っているわ」フフ

アベル「や、やめろ恥ずかしい……///」

アベル「それよりもアーシャ、折角ここまで来たんだ」

アベル「まずは……」


……


――

――




【王国・書店】



アーシャ「まぁ……!」

アベル「以前も立ち寄ったんだが、ここの品揃えは相当なものだ」

アベル「君は分野を問わず色々な本を読んでいたからな」

アベル「ここでなら、帝国では手に入らないような本も手に入るかもしれない」

アベル「代金は俺が払うから、気に入ったものがあれば遠慮なく言ってくれ」

アーシャ「そ、そんな。自分の本くらいは自分で払いますよ?」

アベル「なに、普段から君には世話になりっぱなしなんだ。これくらいはさせてくれ」

アベル「ほら、あっちには新書をまとめている場所があるぞ?」

アーシャ「もう……」

アーシャ「……私が選んだ本が凄いものでも、後悔しないでくださいよ?」ソワソワ

アベル「あぁ、大丈夫だ」


アベル(……念の為に金は普段から持ち歩くようにしておいたよかったな)


アーシャ「……」キョロキョロ



特殊判定
↓1~2コンマ二桁



 ア ー シ ャ さ あ あ あ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ん ! ? (空中四散)


いや、本当開幕ゾロ目何度目というかちょっとぱにっく状態ですが次スレ用意してきます

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