エリス「遊びに来ました!」翔太郎「はぁ?」 (116)

仮面ライダーW×あそびにいくヨ!

4年前にエターナルメモリのマキシマムドライブを食らったスレを、地球の本棚から引っ張りだしてきました。

・『エリス「遊びに来ました!」翔太郎「はぁ?」』のリメイクスレです
・ストーリーは『あそびにいくヨ』基準
・Wは最終回直後から
・原作視聴推奨
・キャラが違うかもしれないけど御愛嬌
・投下は超スローペース
・トリ違いますが、一応本人です
・このスレがエタったのも、乾巧って奴の仕業なんだ
・あそびにいくヨ!の2期が放送されないのは、全部紘汰さんのせいだ

こんな感じで進めていきます。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1410091654

仮面ライダーW(ダブル)! 今回の依頼は!

翔太郎「お前……もしかして、本当に宇宙人なのか……!?」

エリス「はい! 私は宇宙人です。調べ物ついでに、地球に遊びに来ました!」

フィリップ「まさに『未知との遭遇』だ……! ゾクゾクするねぇ!」

えんだぁ《あのような者、我々のファーストコンタクトの相手には認められません》

翔太郎「見てなエリス。これが『仮面ライダー』だ」

翔太郎・フィリップ「『変身!』」

エリス「か、カッコイイ!!」キラキラ

―――

風都 鳴海探偵事務所

チュン チュンチュン――

翔太郎「んっ……んん……」

ムクリ

翔太郎「ふあぁぁぁ……もう朝か……」ゴシゴシ

翔太郎(ガイアメモリ密売組織『EXE』が引き起こしていた今回の事件は、リーダーである『エナジー』が倒されたことで幕を閉じた)

翔太郎(一年ぶりにこの街に帰ってきたフィリップと俺が変身した二人で一人の仮面ライダー、『W(ダブル)』によって)

翔太郎(そして事件後、俺達はフィリップが戻ってきたお祝いパーティを開いた)

翔太郎(知り合い全員呼んで、盛大にな)

翔太郎(だが、どうやら調子に乗って飲み過ぎちまったらしい。その証拠に、昨夜のパーティの事がほとんど思い出せねぇ)

翔太郎(酒は飲んでも飲まれるな、だな。俺としたことが情けねぇ)

翔太郎(ん、毛布? ……そうか、誰かが介抱してくれたんだな)

翔太郎(どうやら、アイツらにはとんだ迷惑を掛けちまったらしい。後で礼を……)

ガサッ

翔太郎「ん?」

ゴッチャアァァァ…

翔太郎「な……っんじゃこりゃああああああああぁぁぁぁぁ!!?」

翔太郎「辺り一面ゴミ・ゴミ・ゴミだらけじゃねえか!!」

翔太郎「あいつらぁぁ……! 騒ぐだけ騒いで、片付けもしないで帰りやがったな……!?」

ガサガサガサ!

翔太郎「げぇ!? ご、ゴミの雪だうぎゃあああああああああ!!」

ガラガラガラ…

チーン

翔太郎「ぶはぁっ!! ……あぁもぉ!!」

翔太郎「ったく、朝から気が滅入るぜ……気分転換にコーヒーでも飲むか……」

モゾモゾ

翔太郎「ん?」

モゾ モゾモゾ

翔太郎(なんだ? 足下で毛布が動いて……俺以外にも誰か寝てたのか?)

翔太郎(大方、ウォッチャマンかサンタちゃんってとこだろ。あいつらも相当飲んでたような気がするし)

翔太郎(ったく、叩き起こして片づけ手伝わせてやる)

翔太郎「おい、起きろ」

?「………」

翔太郎「おい、パーティはとっくに終わったぞ」

バサッ





――この時、俺は気が付くべきだったんだ。

毛布から、ミックのものとは違う、オレンジ色の毛並みの尻尾が出ていたことに。

まぁ、気が付いたところで、俺にはどうすることも出来ないところまで事は進んでいたんだが。



思えば、この時窓から差し込んでいた眩しいくらいの朝日は……

『アイツら』の事を、街が歓迎してくれていたのかもしれない――



翔太郎「 」


ボンッ! キュ! ボボォ――ン!!

エリス「うにゅ……」


翔太郎「 」






翔太郎「どうあああああああああああああああああああ!!?」ガタタッ!

ゴチィィィィン!

翔太郎「~~~~~~~ッッ!!」

【OP:W-B-X ~W-Boiled Extreme~】

―――





第EX-1話

Eの襲来/地球に落ちてきた猫





―――

翔太郎「イッテテテ……こりゃコブになったか……?」サスリ

翔太郎(それよりなんなんだ、このナイスバディな美人さんは)

翔太郎(なんだって、俺と同じソファーの上に……)

翔太郎(しかも……なんっで俺のシャツ一枚しか着てないんだよぉ……!)ワァーオ

エリス「んにゅ……」ゴロン

どたぷ~ん!

翔太郎「おっおお……」

翔太郎(すっげぇスタイル……)ゴクリ

翔太郎(ってちがああぁぁぁぁぁう!!)

翔太郎(この状況、よくよく考えれば途轍もなくヤバいんじゃないか?)

翔太郎(キーワードは、『何も覚えていない俺』、『同床』、『裸ワイシャツの巨乳美女』……)

翔太郎(………)

翔太郎(うわああああああああ!! あああああああああああああ!!)ガシガシガシガシ

――5分後…

翔太郎(ま、まぁまて、落ち着け俺。こ、こういう時こそハードボイルドにだな……)

エリス「ん、んんー……」

翔太郎「うおっ!」

エリス「んー? ……あ、おはよーございますぅー」ゴシゴシ

翔太郎「えっ、あっ、ども。おはようございます……って、そうじゃなくて」

エリス「?」

翔太郎「えーと……お嬢さん? 貴女みたいな美人が、どうしてこんなところに……」

ズキッ

翔太郎「痛ッ!」

エリス「あれ? 頭、どうかしたんですか?」

翔太郎「あ、あぁいえ、お気になさらず。ちょっとぶつけただけなんで。はは……」

翔太郎(『貴女に驚きすぎてひっくり返りました』なんて言えるワケねぇ)

エリス「それ、大変じゃないですか! あ、ちょっと失礼しますね?」ピピッ

翔太郎(? カメラ……いや、携帯か? あんな物俺に向けて何を……)

ピリリッ

エリス「ありゃ、脳内出血の恐れがありますね。では、念のために」

翔太郎「へ?」

ピカッ!

翔太郎「うおっ!? 眩し!」

ピピピピー

エリス「はい、治療終了です」

翔太郎「治療?」

サスリ

翔太郎「! 痛みがひいた……!?」

エリス「どこか違和感のあるところとか無いですか?」

エリス「体構造はほとんど同じなので、特に問題ないとは思うんですが……」

翔太郎「いや、特には……」

エリス「そうですか! なら、良かったです♪」

翔太郎「そ、そっすか? は、はは、はははは」

翔太郎(一体何がどうなってんだ? 傷が一瞬で……)

翔太郎(! まさかこの女、ドーパント……?)

翔太郎(……いや、それにしては様子が変だな)

翔太郎(しばらく様子を見てみるか……)

エリス「さてと、それじゃあ私は着替えを探しに……」スッ

たゆんっ

翔太郎「うわっ!? うわわわわわ!!」

エリス「? どうしたんですか?」

翔太郎「いや、前! 前ーーー!!」

エリス「まえ……? 前にはアナタしか居ませんが……?」

翔太郎「ボタン! ボタン! 前のボ・タ・ン!!」

エリス「え? ああ、そういえばこの服って、これをこの穴に入れなきゃいけないんでしたっけ?」

翔太郎(そこから!?)

エリス「すみません、ちょっと待ってくださいね。んー……」

翔太郎「は、はぁ……」

翔太郎(し、心臓に悪いぜ……ホント、一体何なんだよこの女は)

翔太郎(勝手に事務所で寝てるわ、いつの間にか怪我は治すわ、おまけにこんな格好だわ……)

翔太郎(それに、なんなんだありゃ。猫の耳に尻尾……コスプレか?)

翔太郎(……『コスプレ』?)

翔太郎(いや、待てよ? 確か昨日、同じフレーズを口にしたような……)

翔太郎(あれは、確か……)



………

……

昨夜

ウォッチャマン「いえーい翔ちゃーん! ちゃんと飲んでるー?」ベロンベロン

翔太郎「あ? ああ。なんたって、今日は最高の日だからな」トローン

ウォッチャマン「いやぁ、フィリップ君は帰ってきたし、亜樹子ちゃんはもうすぐ結婚だし」

ウォッチャマン「これで翔ちゃんも安心して身を固められるってもんだよねぇ?」

翔太郎「ブフォッ! な、何言ってんだよ!」

ウォッチャマン「だってさー、翔ちゃんももう結構イイ歳でしょ? いい加減浮いたお話の一つくらいさぁ」

サンタちゃん「なになになに!? 翔ちゃんにも遂に人生のメリークリスマス到来!?」

翔太郎「あー、ったく面倒くさいのが……おい、いいかよく聞け?」



翔太郎「俺の恋人はな、いつだって傷ついた俺を優しく慰めてくれる、この街の風だけなのさ……」フッ


ウォッチャマン・サンタちゃん「「まーたそんなこと言っちゃって(笑)」」

翔太郎「うぉい!!」

ウォッチャマン「最近可愛い女の子と手を繋いでラブズッキューンなんてしてないんじゃないのー?」

翔太郎「大きなお世話だ!」グイッ

サンタちゃん「あららヤケ酒?」

ウォッチャマン「そんな翔ちゃんに……じゃーん! あの子なんてどうよ?」

翔太郎「あ?」

チラッ

エリス「ハフッハフッ! これ、美味しいですねー!」パクパク

亜樹子「あったりまえよ! 本場大阪のたこ焼きなんだから!」

照井「うまい! うまいぞ所長!」

フィリップ「亜樹ちゃん、また腕を上げたみたいだね。『人間の成長』。これは興味深いテーマだ」

エリザベス「ほーらー、難しい話は抜きにして、フィリップ君ももっとどーぞ!」

亜樹子「さ、みんなどんどん食べてねー!」

エリス・クイーン・エリザベス「はぁーい!」

翔太郎(? 見ない顔がいるな……あの顔立ち、外国人か?)

ウォッチャマン「あの娘、可愛いでしょー? ブログにアップする美女を探してたら見つけてねー」

ウォッチャマン「お腹すかして倒れそうになってたから連れて来てあげたんだよ」

ウォッチャマン「ほらほら! ムッチムチのピッチピチのボインボインだよぉー!」

翔太郎「ふーん」

ウォッチャマン「あれ? おっぱい大好き翔ちゃんのくせに興味なしって感じ?」

サンタちゃん「遂に翔ちゃんも脚の魅力に気がついちゃった?」

ウォッチャマン「ええ!? おっぱいーずの誓いを忘れちゃったっていうのぉ!? このこのぉ!」

翔太郎「うるせぇこの酔っぱらい共!! だいたいなんだおっぱいーずって!?」

エリス「あっ、ウォッチャマンさんにサンタちゃんさーん! たこ焼き美味しいですよ!」トテテ

サンタちゃん「あ、エリスちゃーんさっきぶりぃー! 相変わらず可愛い!」

エリス「あはは、ありがとうございます! サンタちゃんさん!」

翔太郎(さ、サンタちゃんさん?)

サンタちゃん「そんなエリスちゃんにぃー?」

ガサゴソ

サンタちゃん「はい! メェルィークリィスマァス!」

エリス「わぁ! こんな貴重なもの……ありがとうございます! 大切にしますね!」

翔太郎(カエルのおもちゃが貴重って……随分変わった人だな……)

ウォッチャマン「あ! エリスちゃんエリスちゃんエリスちゃん! まだ紹介してなかったけど、こちらここの探偵の……」

翔太郎「左翔太郎だ」

エリス「翔太郎さん、ですね。はじめまして、私、エリスと言います」

翔太郎「エリスさん、か。良い名前だな」

翔太郎(やっぱり外国人か。にしても妙な恰好だな。コスプレか?)

翔太郎「なんか悪いな、うちの酔っ払い達が迷惑かけちまって」

エリス「いえいえそんなことないですよー。この飲み物もおいしいですし……」

エリス「あとこれ! この丸い、たこ焼きでしたっけ? これもおいしいですし」

エリス「あとお好み焼き! お肉は久しぶりだったので嬉しかったです!」

翔太郎「はは、たこ焼きやお好み焼きくらいで大げさな」

エリス「あ、良かったら、皆さんも向こうで一緒に食べませんか?」

翔太郎「いや、俺はここで……」

ウォッチャマン「食べる食べる! ね、翔ちゃん!」グイ

翔太郎「お、おい、引っ張るな……よ……?」グラァ

エリス「翔太郎さん!?」

翔太郎(あ、やべ……飲みすぎ、た……)ガクッ

ポニュン

翔太郎(……ぽにゅん……?)


……

………

翔太郎(……そうだそうだ、俺はそのまま気を失っちまったんだった!)

翔太郎(けどまあ、記憶が正しければ『間違い』は無かったみたいだが……一応、確認してみるか)

翔太郎(にしても、この状況、亜樹子に見つかったらなんて言われるか分かんねぇな)ゾクッ

エリス「んしょっと。はい、出来ました。でー、なんのお話でしたっけ?」

翔太郎「あーっとー、エリスさん、でしたっけ?」

エリス「あ、でもエリスで良いですよ。あまり堅苦しいのは苦手なので」

翔太郎「それじゃあ、エリス。昨日、俺は倒れた後どうなったのか覚えてないか?」

エリス「翔太郎さんですか? 倒れた後はずっとぐっすり眠っていましたよ」

エリス「放っておくワケにも行かないので、ご飯のお礼も兼ねて私が介抱してたんです」

翔太郎(じゃあ、あの毛布を掛けてくれたのは彼女ってことか)

翔太郎「そうだったのか。なんだか、お客のアンタに悪いことしちまったな」

エリス「いえそんな! 美味しいご飯を食べさせて頂いたんですから、それくらい当然です!」

エリス「それで、私も途中で眠くなってしまったので、亜樹子さんにどこかで寝ていいか聞いたら」

エリス「『好きな場所で寝ていい』と言われて、この服を渡されまして」

翔太郎「なるほどなぁ、ってか亜樹子ぉぉ!! 同床もこの格好も全部お前の差し金かこの野郎!!」

ガチャ

フィリップ「ふあぁぁ……。 どうしたんだい翔太郎? 朝から実に君らしい間抜けな声を出して……」ゴシゴシ

翔太郎「げ、フィ、フィリップ……!」

フィリップ「ん……? ああ、君は確か、昨日のパーティに御呼ばれされていた」

エリス「おはようございます!」

フィリップ「ああ、おはよう。……ねぇ翔太郎」

翔太郎「な、なんだ?」

フィリップ「相棒の趣味をとやかく言うつもりはないけど」ジィー

エリス「?」

フィリップ「流石にこれはちょっと、ねぇ……」

翔太郎「ちっげぇよ! だいたい何考えてるか分かるけど違えよ!!」

フィリップ「はは、冗談だよ。ぼくも彼女が亜樹ちゃんから君のシャツを手渡されるところは見ていたからね」

翔太郎「お前なぁ……」

フィリップ「亜樹ちゃんも楽しんでたみたいだし、多分確信犯じゃないかな?」

翔太郎「お前らなぁ……!」ビキビキ

フィリップ「それより、お客様をそんな格好で待たせるのも悪いだろう」

エリス「あれ? この格好って、こっちでは普通じゃないんですか?」

フィリップ「ぼくの知る限りでは『普通』より『異常』の分類に入るかな。そういう趣向を好む人達も居るらしいけど」

エリス「そ、そうだったんですか……私てっきりこっちでは普通なのかと……」カァ

翔太郎(風都を風俗街か何かと勘違いしてたのかこの人は?)

翔太郎「……とにかく、その格好は頂けねぇ。ちょっと待ってな」

ファサ…

翔太郎「うちのチンチクリンのパーカーで悪いが、アンタの着替えを取って来るまでこれでも羽織っててくれ」

エリス「わぁ、ありがとうございます」

翔太郎(まぁ、ちょっと変わってるがレディはレディだ。丁重に扱わないとな)フッ

フィリップ(あの顔は自分の世界酔ってる顔だね。相変わらずのハーフボイルドのようだ)

エリス(可愛い服だなぁ。それにこの細かい刺繍、分析長に見せたら喜びそう)

ジジジ…

エリス(あれ、胸がキツイ……)

―――

翔太郎「おーい、あったか?」コトッ

フィリップ「おかしいな。昨日亜樹ちゃんがあのスーツを受け取ったところまでは確かなんだが……」

エリス「どこにも見当たりませんね……」

翔太郎「まったく、先にこのゴミ山を片付けた方が良いかも知れないな」

コポコポコポ…

エリス「! 良い香り……!」

翔太郎「おっ、俺のコーヒーの薫りが分かるとは、アンタなかなか分かってるな」

翔太郎「ま、だいたいの問題はコーヒー一杯飲んでる内に解決しちまうもんだ。ほら、座った座った」

コトッ

翔太郎「服探しは、こいつを飲んでからでも遅くは無いだろ」

フィリップ「君の煎れたコーヒーを飲むのも一年ぶりか。なんだか感慨深いね」

翔太郎「俺もだぜ。またお前とこうやってコーヒーが飲めるとはな」

エリス「凄い色ですね……これがコーヒー……」

翔太郎「俺の特製ブレンドだ。味は保証するぜ?」

フィリップ「うーむ、この味。相変わらずコーヒーの腕も半熟のようだね、翔太郎」

翔太郎「はんっ、これが俺流なんだよ」

フィリップ「ふふ、そうだったね」

フィリップ「それに、人間の成長という観念において、成長しないことは時として他者に安堵をもたらすらしい」

フィリップ「このコーヒーも、ぼくにとっては安堵の対象みたいだ」

翔太郎「はは、ったく、微妙フォローになってねぇんだよ。お前はよ」

エリス「ふーふー、ゴクッ……」

エリス「! 不思議……苦いのに、美味しい……!」

翔太郎「おっ! どうだフィリップ。やっぱり分かる人には分かるみたいだぜ、俺のコーヒーの良さが」

フィリップ「はは、どうやらそのようだね」

フィリップ(彼女がコーヒーを飲むのは初めてなんだろう? 他と比べようがなかっただけ……とは、言わないでおくとしよう)

フィリップ「おや、そろそろニュースの時間だね。ラジオつけるよ?」

翔太郎「おう、頼む」

カチッ ザー…

アナウンサー《WIND WAVE、朝のニュースをお伝えします》

翔太郎「ふぅ……やっぱり男の朝は、一杯のブラックコーヒーに限るぜ」

アナウンサー《……次のニュースです。本日早朝、風都沖で謎の物体が引き揚げられました》

フィリップ「謎の物体……?」ピク

アナウンサー《引き揚げられたそれはSFの世界に存在する宇宙船そのものであり……》

エリス「宇宙船……?」ピク

翔太郎「おいおい、いつから朝のニュースでオカルト特集をやるようになったんだ?」

アナウンサー《……現在も輸送の準備が進められています。現場からの中継です》

アナウンサー2《こちら現場です。現在引き揚げられた宇宙船と思わしき物体が研究機関に運ばれようとしています》

翔太郎「まるでSF映画みたいな話だな……」

フィリップ「謎の宇宙船か……戻ってきて早々こんな珍事に巡り合えるなんて、どうやらぼくはツイてるらしい」

エリス「……あの」

翔太郎「ん?」ズズー

エリス「多分、これで言われてる宇宙船って……私のだと思います」

翔太郎「ぶっ!!?」

フィリップ「なんだって! それは本当かい!?」ズイッ

翔太郎「お、おいおい。嘘はいけねぇぜ、お嬢さん」フキフキ

エリス「いや、間違いないと思います。私が乗ってきた船、今言われている場所の座標と一致しますし」

フィリップ「それが本当なら、君は……!」

ピピーピピー

翔太郎「! 今度は何だ!?」

フィリップ「その……首元の鈴のような物が鳴っているようだが……」

エリス「あ、すみません、ちょっと待っててくださいね」

ピッ

エリス「どうしたの?ルーロス?」

シュワワァ

フィリップ「! 鈴から立体映像が……!」

翔太郎「な、なんだ、こりゃあ……!?」

ルーロス《エマージェンシーです。船、見つかりましたです》

翔太郎・フィリップ「喋った!!」

エリス「カムフラージュしてたはずなんだけど……みつかっちゃったのはしょうがないか」

ルーロス《わっちもシカタナイと思うです》

エリス「それじゃあ、ご挨拶プログラム24番を起動で」

ルーロス《了解です》

パッ

翔太郎「き、消えた……」

フィリップ「今のは……人工知能、かい……?」

エリス「はい。ちょっと舌足らずなのが問題なんですけどね」

フィリップ「す、すごい! 人工知能があんなに流暢に喋れるなんて、今の地球じゃ考えられないことだ!」

フィリップ「しかも舌足らず!? 自然言語解析から会話ルーチンに至るまで完璧だったのに、そんな人間的な要素まで……!」

翔太郎「そんなことより! ……本当なのか? 宇宙船がお前のだってのは」

エリス「はい。太陽系内を行き来する位しかできませんけど、勝手に持っていかれるのは困りますから」

フィリップ「太陽系を行き来だって……!? オーバーテクノロジーもいいところだ!」キラキラ

翔太郎「お、おい……それじゃあお前、本当に……」

アナウンサー2《あ、ああ! み、見てください!!》

翔太郎「!」

アナウンサー2《う、宇宙船が! 宇宙船が浮き上がりました!!》

キャー ワー

翔太郎「て、テメェ! 一体何しやがった!?」

エリス「え? 何って、船をちょっとだけ動かすのと、あとは……」

アナウンサー2《い、今! 宇宙船から立体映像と思わしきものが映し出されました!》

アナウンサー2《こ、これは……お、女の子……?》
 
宇宙船ボイス《ワレワレニ セントウノイシハ アリマセン》

アナウンサー2《は?》

翔太郎「は?」

宇宙船ボイス《デモ ツカマルノハ コマリマス。キエマス。ドウカ サガサナイデ クダサイ》

《ヒュン!》

アナウンサー2《……う、宇宙船が、消えてしまいました……》

翔太郎「 」ポカーン

エリス「ちょっとした挨拶を♪」

フィリップ「どうやら、これは疑う余地はなさそうだ」

翔太郎「お前……もしかして、本当に宇宙人なのか……!?」

エリス「はい! 私は宇宙人です。調べ物ついでに、地球に遊びに来ました!」

とりあえずここまで。

再開します。

―――

翔太郎「とりあえず、奴のスーツを見つけて着替えさせてる間、時間は稼げたが……どうするよ、フィリ」

フィリップ「キーワードは『エリス』、『猫耳』、『宇宙人』……」

翔太郎「お、おい? フィリップ?」

フィリップ「……ダメだ、いくら検索しても、彼女の素性が全く出てこない!」

フィリップ「つまり彼女は、この地球の記憶には存在しない、全くのイレギュラー!」

フィリップ「まさに『未知との遭遇』だ……! ゾクゾクするねぇ!」

翔太郎「おい!」

フィリップ「ん? なんだい翔太郎?」

翔太郎「『なんだい翔太郎?』じゃねぇ! 相手は宇宙人だぞ宇宙人!」

フィリップ「だからなんだい? ぼくの知的好奇心を止められないのは君もよく知っているだろう?」

翔太郎「お前はまたそれかよ! もしかしたら、この街を泣かすような存在かもしれねぇだろうが!」

翔太郎「もしもそうだったら、たとえ刺し違えてでも俺達が……!」

おお、復活したのか 懐かしい
今度こそ完結期待してる

フィリップ「その可能性は低いと思うけど? 彼女も戦闘の意思はないって言っていたじゃないか」

翔太郎「そんなのわかんねぇだろ。麗しい皮を裂いて中から極悪な生物が出てくる可能性だって!」

フィリップ「映画の見過ぎだよ翔太郎。それより今は、この素晴らしい出会いを楽しもうじゃないか!」

翔太郎「『素晴らしい出会い』だ?」

フィリップ「そうさ! これは記念すべき地球人類と異星人のファーストコンタクトだよ!?」

フィリップ「地球の本棚には書かれていない文化、技術、思想、歴史……あぁ! 考えただけわくわくしてきたよ!」

翔太郎「お前はこの一年でそういうところも変わらないんだな……」

翔太郎「とにかく、気を抜くんじゃねぇぞ。油断したらこっちが食われちまうからな……」

フィリップ「とり越し苦労だと思うけどね。まぁ、ぼくはぼくの方で、でいつも通りやらせてもらうさ」

フィリップ「それから、さっき君は『俺達』と言ったけど、さり気なくぼくを巻き込むのはやめたまえ」

翔太郎「……俺達は二人で一人の仮面ライダーじゃないのかよ、相棒……」

エリス「仮面ライダー? なんですかそれ?」

ヒョコ

翔太郎「どわああああああああああ!? きゅ、急に出てくんな面長エイリアン!!」

フィリップ(刺し違えてでも、ね……。ぼくにはどう見ても怖がっているようにしか見えないが)

エリス「面長……? 私の顔、そんなに長いですか?」ペタペタ

フィリップ「ああ、気にしないでくれ。彼はあまりの衝撃にちょっと気が動転しているんだ」

フィリップ「それより、エリスちゃん、で良かったよね?」

エリス「はい!」

フィリップ「改めまして、ぼくの名前はフィリップ。君達の来訪を心から歓迎するよ」アクシュ

エリス「ありがとうございます、フィリップさん!」ギュ

フィリップ「それから、知っているだろうけど、そっちの彼は翔太郎。ハーフボイルド探偵さ」

エリス「ハーフ……?」

翔太郎「ハードだ! ハードボイルド!」

フィリップ「早速だけど、いろいろ質問しても大丈夫かな?」

エリス「はい! もうどんどん聞いてください!」

フィリップ「ありがとう。それじゃあ、今しがた着替えてきたそのスーツだけど……」

翔太郎「地球に来た目的はなんだ!? まさか、侵略じゃねぇだろうな!?」

フィリップ「うわっ、ちょっと翔太郎。今はぼくが答えてもらっているんだけど……」

翔太郎「いいから答えろ! 返答によっちゃあ……!」スッ

エリス「いやだなぁ、そんなことしませんよ。今回は調査ついでに友好を結びに来たんです」

翔太郎「ゆ、友好?」

エリス「はい。それに侵略なんてしようものなら『銀河知性連盟』に種族ごと末梢されてしまいますから」

翔太郎「そんな事言って、実は地球を」

フィリップ「『銀河知性連盟』!?」ズイッ!

翔太郎「うおあっ!」

フィリップ「全く聞いたことの無いキーワードだ……! なんだいそれは!?」

エリス「銀河知性連盟とは、精神生命体までに進化したオルソニア人によって指揮された特殊な組織です」

フィリップ「『オルソニア人』! またも知らないキーワードだ! 実に興味深い!!」

フィリップ「その種族も気になるが、まずは銀河知性連盟の事をもっと詳しく聞かせてくれないか!?

フィリップ「この組織は、一体どんな目的で組織されたんだい!?」

フィリップ「出来れば詳しい創設理由、組織形態、それから……」ペラペラペラ

エリス「ああ、それはですね……」ペラペラペラ

翔太郎「………」

翔太郎(は……話についていけねぇ……)ポツーン

翔太郎(……ゴミ掃除と朝飯の準備でもするか……)

翔太郎(しかし、こんな一大事に亜樹子のやつどこに……)

ピラ

翔太郎(ん? 俺の机に……メモ?)




『二人へ。竜くんと式場巡りに行ってきます 亜樹子(ハート)』



翔太郎「亜樹子おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」


―――

フィリップ「なるほど、君達キャーティア人とぼく達地球人には、言語体系の他にも多数の共通点が存在するのか」

エリス「はい。それにしても不思議ですね。進化する元が違うだけでこんなに文明に差が開くなんて」

フィリップ「それはぼくも同感だ。しかし、ぼく達から見れば君達のように進んだ文明の方が良いように思えるが?」

エリス「そんなことはないですよ。実際、私達はもう進化に対して『行き詰まり感』が否めないので」

フィリップ「『進化』! なるほど、そういった見方もあるのか。いや、君の話は実に興味深いよ!」

エリス「えへへ、そうですか?」

フィリップ「ああ! 一つの事象に対しても、様々な観点からの考察がしっかりされている」

フィリップ「お陰で、君達キャーティアの思い描く『この地球(ほし)』を容易に理解することが出来たよ」

エリス「こちらこそ! フィリップさんも私の質問に対してちゃんと受け答えしてくれましたよね?」

エリス「そのお陰で、現地の人にインタビューしようと思ってた事の半分は解決しちゃいました!」

フィリップ「君達のお役に立てたなら、実に光栄だね」

翔太郎「難しい話は済んだか?」

フィリップ「やあ翔太郎! やはり彼女は素晴らしいよ! 聞く話全てが未知に満ち溢れている!」

フィリップ「それに彼女、こう見えて頭の回転も速い。もしかしたら君以上のキレ者かもしれないよ?」

翔太郎「そうかそうか、そいつは良かったな」

エリス「私も、フィリップさんにいろいろと……」

グウゥ

エリス「あ……」カァァ

翔太郎「……ぷっ」

翔太郎「どうやら、宇宙人でも腹は減るんだな」

エリス「えと……あ、あはは……」

翔太郎「さっ、飯にするぞ。フィリップ、質問攻めの続きはまた後でな」

フィリップ「クス、こればかりは仕方が無いね」

エリス「あ、あの!」

翔太郎「ん?」

エリス「さっきの、真っ黒で苦いけど、香りのいい飲み物、また頂けませんか?」

翔太郎「コーヒーの事か?」

エリス「はい、それです!」

エリス「あんなに苦いのに、それだけじゃなくて……なんていうか、『深み』みたいなものがあって……」

エリス「あの不思議な感覚を、もう一度味わってみたいんです!」

翔太郎「……まぁ、俺はトーストにはコーヒーと決めてるんでな。いいぜ、煎れてやるよ」

エリス「やったぁ! ありがとうございます!」

フィリップ「あれ?警戒するんじゃなかったっけ?」

翔太郎「コーヒーが好きな奴にな、悪い奴はいねぇんだよ」

フィリップ「まったく、調子がいいのも相変わらずだね」

―――

朝食

エリス「わああぁぁぁ……!」キラキラ

翔太郎「ま、何の変哲もない朝飯だが……」

フィリップ「トーストにハムエッグ、簡単なサラダにコーヒーか」

エリス「そんなことないです! 私にとってはどれもごちそうですよ!」

翔太郎「昨日といい。これくらいで、大げさな奴だな」

フィリップ「彼女は航行中ずっと栄養食しか食べていなかったらしい。この反応は無理もないよ」

翔太郎「宇宙食みたいなもんか?」

フィリップ「ああ。それを毎日」

翔太郎「……確かに、そりゃ参りそうだ」

エリス「いただきます!」

翔太郎「ああ、食ってくれ」

パクン

エリス「!!! うま~~~~~い!!」

エリス「このお肉から出てるしょっぱさと、卵の白いところの淡白な味わいが絶妙で……」

エリス「とおぉぉぉぉぉぉぉぉぉってもおいしいです!!」

翔太郎「お、おう」

フィリップ「君のハムエッグをここまで評価してくれるのは、後にも先にも彼女一人だけだろうね」

エリス「この黄身のところなんて、カリカリのトーストと一緒に食べたら……」

パクッ

エリス「あはぁぁぁん! もう最高ぅ!!」クネクネ

翔太郎「分かったから静かに食え!」

フィリップ(キャーティア族とは皆彼女のようにオーバーリアクションなのだろうか)モシャモシャ

エリス「す、すみません、あまりの美味しさに遂興奮してしまいまして……」テレテレ

翔太郎「……それで? お前は友好を結びに来た、だったか?」

エリス「えっと、正確には事前調査ですね。まずはこの星がどんな星か詳しく知る必要がありますから」

フィリップ「なるほど。そうなると、滞在するための拠点と情報媒体が必要になってくるね」

エリス「情報媒体の方はインターネットってありますよね? あれでだいたいカバーできると思います」

フィリップ「だいたい?」

エリス「残りは紙媒体と照合する必要があるので」

翔太郎「なかなか徹底してるんだな」

エリス「これでも、この事前調査を任されている身ですから!」

フィリップ「紙媒体の称号なら、風都図書館が打ってつけだね。あそこの蔵書数ならなら文句なしだろう」

エリス「分かりました!」

翔太郎「人間図書館ならここにいるがな……」ボソッ

エリス「え?」

翔太郎「いや、なんでもない」

フィリップ「となると、残りは拠点か」

翔太郎「乗ってきた宇宙船じゃだめなのか?」

エリス「基本的に移動用の宇宙船なので、実際に生活するとなるとちょっと……」

フィリップ「なるほど、それは困ったね」チラ

翔太郎「……なんだその目は」

フィリップ「翔太郎、ここに困っている美少女がいる。ハードボイルドを自負する君ならどうするかな?」

翔太郎「たく、そう来ると思ったぜ……」

エリス「え?」

翔太郎「行くところが無いんだろ? 少しの間だけでよければ、ここに置いてやっても構わないぜ」

エリス「ええ! ほ、本当にいいんですか!?」

翔太郎「ただし、その調査とやらが終わるまでだからな」

エリス「はい! ありがとうございます、お二人とも!」

フィリップ「流石翔太郎。それでこそハードボイルドだよ」

翔太郎「お前は興味の塊を手放したくないだけだろ」

フィリップ「なんの話かな?」

翔太郎「……まぁいい。で、その調査とやらは今日から始めるのか?」

エリス「いえ、今日は下準備があるので、調査はお休みです」

フィリップ「なら、その下準備が終わってからで構わない。もう少しぼくの話し相手になってくれないかい?」

フィリップ「もちろん、君が望む情報もその都度提供しよう」

エリス「それはこちらとしても願ったり叶ったりです! 是非お願いします!」

翔太郎「さて、そうと決まれば新しい毛布を出さねぇとだな……それから生活用品と着るものと……」

フィリップ「へぇ、なんだかんだで面倒見がいいねぇ」

翔太郎「そのセリフはお前が言うな」デコピン

フィリップ「イテッ」

翔太郎「……まぁ、さっきも言ったろ?」

翔太郎「コーヒーが、特にブラックが好きな奴に、悪い奴はいねぇ」

翔太郎「それに……」

フィリップ「それに?」

翔太郎「こいつは、この街の風に吹かれてやって来たんだ」

翔太郎「ならそいつは、宇宙人だろうがなんだろうが、もう街の一員だ」

フィリップ「なるほど、実に君らしい理論だよ」

エリス「あ、あのぅ……」

翔太郎「んあ?」

エリス「本当に申し訳ないんですが……や、やっぱり苦みがその、キツくて……」ウルウル

翔太郎「……ほれ、砂糖入れろ」ポチャン

フィリップ「ブラックが好きな奴は、なんだっけ?」クスクス

翔太郎「うるせえ!!」

―――

某スペースオペラオンラインゲーム
隠しチャットルーム

ポーン

System『えんだぁさんがログインしました』

えんだぁ《こんにちは、えんだぁです》

《こんにちは、えんだぁさん。テレビは見ましたか?》

えんだぁ《見ました。非常に残念です》

《私もです》

えんだぁ《あのようなチンチクリン、我々のファーストコンタクトの相手には認められません》

《同意》《同意》《同意》《同意》《同意》《同意》《同意》《同意》《同意》《同意》
《同意》《同意》《同意》《同意》《同意》《同意》《同意》《同意》《同意》《同意》
《同意》《同意》《同意》《同意》《同意》《同意》《同意》《同意》《同意》《同意》

えんだぁ《そこで、人を集めたいのですが》

《!》《!》《∑(゚Д゚)》

《もしやえんだぁさん、見たのですか》

えんだぁ《いえ、私は見ていません。しかし、このブログの写真を見てください》

えんだぁ《huuto://*******************》

《!》《これは……》

えんだぁ《間違いありません。奴は風都にいます》

えんだぁ《そこで、風都の同士を集めてもらえないでしょうか?》

《それなら私のグループのメンバーに掛け合ってみます》

えんだぁ《では、私はその人たちとコンタクトを》

《えんだぁさんはどうされるつもりで?》

えんだぁ《私も同行して、自ら手をくだします》

《了解です。くれぐれも一般人に被害が及ばないように》

えんだぁ《心得ています》

《えんだぁさん頑張って》

《応援しています》

えんだぁ《ありがとうございます。では、全ては美しい接触の為に》

《美しい接触の為に》《美しい接触の為に》《美しい接触の為に》《美しい接触の為に》

《美しい接触の為に》《美しい接触の為に》《美しい接触の為に》《美しい接触の為に》

《美しい接触の為に》《美しい接触の為に》《美しい接触の為に》《美しい接触の為に》

―――

昼の手前

風都署 超常犯罪捜査課

初老の男性「これはどうも。日本入国管理局の者です」

照井「超常犯罪捜査課。課長の照井だ」

照井「それで? 事件でもないのに非番の俺をわざわざ呼び戻した訳を説明してもらおうか」イライラ

初老の男性「実は、今回あなた方……と言うより、あなたのお力をお借りしたい一件がありまして」

照井「入国管理局が、たかが一所轄の刑事に依頼とはな」

初老の男性「まぁ、そう仰らず」

初老の男性「……あなたを『仮面ライダー』と見込んでの依頼なのです」

照井「! ……話を聞かせて貰おうか」

初老の男性「今朝のニュースはご覧になりましたか?」

照井「宇宙人が襲来したとかいうあれか」

初老の男性「どう思われます?」

照井「正直、半信半疑といったところだった」

照井「が……入国管理局が動いているということは、眉つばでもないようだな」

初老の男性「ええ」

照井「そして、『仮面ライダー』である俺を訪ねてきた、ということは」

初老の男性「お察しの通り」

初老の男性「危険不法入国者(ペルソナ・ノングラーダ)はこの風都にいます」

照井「この街に宇宙人が……」

照井「俺にその宇宙人を捕獲しろと言うのか?」

初老の男性「捕獲でも構いませんが、出来れば排除をお願いしたい」

照井「排除……? その宇宙人には戦闘の意思がないと言っていたのをニュースの映像で見たが?」

初老の男性「相手の意思は関係ありません。これが上官の、ひいてはこの国の意思なのです」

照井「解せんな」

初老の男性「この国の安全の為です。そこは理解していただきたい」

初老の男性「貴方も、知り合いに振りかかる危険は最小限にしたいでしょう?」

照井「……ッ」

照井(所長……)

照井「……分かった、協力しよう」

初老の男性「そう言って頂けると思っていましたよ」

照井「だが、あくまで俺は捕獲に徹させてもらう」

初老の男性「ほう」

照井「ここにはここの流儀がある。たとえ宇宙人が相手だとしてもな」

初老の男性「ええ、構いません。こちらも出来る限りの協力はするつもりです」

初老の男性「それから、もしもの時のバックアップも、ね」

照井「……好きにしろ」

初老の男性「ええ。ところで、機嫌が悪いようですが?」

照井「……」ギロリ

初老の男性「ひっ」

照井「俺に質問をするな……!」

初老の男性「し、失礼」

―――

一方その頃

鳴海探偵事務所

翔太郎「少し出かけてくるぜ。留守番……」

フィリップ「たこ焼きの起源は不明だが、古くは1960年代中頃に、関東地方で屋台での販売が見られる」

エリス「ふむふむ……」

翔太郎「……聞いちゃいねぇか」

バタン

翔太郎「あいつが帰ってきたと思ったら、また新しい事件か……」

翔太郎「まぁ、俺達にはそれくらいがお似合いか?」

翔太郎「探偵は辛いぜ、全く……」フッ

ブォン ブロロロロロロロ…

―――

裏路地

ウォッチャマン「翔ちゃん、ビンゴだよ!」

ウォッチャマン「各国政府機関が、エリスちゃんを捕獲しようと動き出してるみたいだね!」

ウォッチャマン「……なーんて、街にスーツで決めた如何にもな人が増えたってだけの情報なんだけどねー」

ウォッチャマン「一度やってみたかったんだよねぇ、こういうシチュエーション!」

翔太郎「いや、多分そいつらは本物だ」

ウォッチャマン「え」

翔太郎「相手は宇宙人、何もアクションを起こさないって方が変な話だ」

ウォッチャマン「マジで!? で、でもでも、それならそうでどうするの翔ちゃん?」

翔太郎「そうだな……そいつらが街の住人を泣かす火の粉なら、俺はそれを振り払うだけだ」

ウォッチャマン「おお、さっすが翔ちゃん! でもねぇ、今回は流石に相手が悪いんじゃない?」

翔太郎「それでもだよ。あいつは……エリスは俺が守ってやる」

ウォッチャマン「! ほほーぅ、翔ちゃんも隅に置けないねぇー」

翔太郎「そ、そんなんじゃねぇよ。……ただ」

ウォッチャマン「ただ?」

翔太郎「あいつが宇宙人だって知ったとき、俺はあいつを色眼鏡で見ちまった」

翔太郎「勝手に『凶悪なエイリアン』だと思っちまったんだ」

翔太郎「少し話してみたが、すぐに分かったよ。あいつはこの街を泣かせるような奴じゃねぇ」

翔太郎「馬鹿だよな。あいつはなんにもしちゃいないのに、俺は『宇宙人』ってだけで敵だと見なしちまったのさ」

翔太郎「きっと、今エリスを狙ってる奴らも、さっきの俺と同じなんだろう」

翔太郎「……だからこそ、そんな奴らからエリスを守ってやるのが、俺の使命ってもんだろ?」

翔太郎「何より、アイツは大事な『依頼人』だ」

ウォッチャマン「うぅーん、さっすが翔ちゃん。今日もいーい感じにハーフボイルドだねぇ!」

ウォッチャマン「分かった! じゃあまた情報が入ったら連絡するよ!」

翔太郎「頼りにしてるぜ、情報屋」

翔太郎「あと、ハーフじゃなくてハードだからな?」

―――

夕暮れ時

鳴海探偵事務所

翔太郎「帰ったぞー」ガチャ

翔太郎「おっ? なんか旨そうな匂いが……ってなんじゃこりゃあああああ!!」

ドン! ドン! ドドーン!

亜樹子「あ、翔太郎君おかえりー」

翔太郎「亜樹子! てめ、いつの間に帰って……ていうかおまっ、なんだこの炭水化物の山は!?」

亜樹子「あ、あーこれ? 実はエリスちゃんがまた食べたいって言ってくれてね?」

亜樹子「それで、ちょーっと、いや、ホントにちょーっとだけ気合い入れて作ってたら、いつの間にか……」

翔太郎「こんなに作っちまったってわけか」

亜樹子「い、いやー、ホントは竜くんも来るはずだったんだけどねー」

亜樹子「……納得してくれた?」パチクリ

翔太郎「するか!! 照井が居ても明らかに消費できねぇ量じゃねえか!!」

エリス「あ、翔太郎さんおかえりなさーい!」

フィリップ「おかえり、翔太郎」

翔太郎「フィリップ! お前がいながらなんでこんな……」

フィリップ「たこ焼き、いか焼き、お好み焼きの全てを彼女に教えるためには、やはり食べるのが一番だと思ってね」

フィリップ「それで、粉物の話で盛り上がっているところに亜樹ちゃんが帰ってきてくれたから」

フィリップ「つい」

翔太郎「ああそうだな、お前はそういう奴だったな」

翔太郎「……ちょっとはブレーキ掛けることを覚えろ! この暴走特急!!」

エリス「とってもおいしいですよ! 翔太郎さんも食べましょう!」

翔太郎「お前は幸せそうだなぁ!?」

―――

翔太郎「も、もう駄目だ……食えねえ……」ウプ

エリス「ふにゃー、美味しかったですね、翔太郎さん」ゴロゴロ

翔太郎「……お前、本当に幸せそうだな」

エリス「それはそうですよー!」

エリス「こんなに綺麗で食べ物も美味しくてゴロゴロできる星、他にありませんから!」ゴロゴロ

翔太郎「ふーん……そういえば、地球に来る前にもどこかの星に行ったのか?」

エリス「はい、二つほど。でも、どちらも友好を結べるような人たちじゃなくて」

翔太郎「?」

エリス「地球に来る前に行った星の人達なんか、私達を捕食対象としか見てなかったですし……」

翔太郎「……苦労してるんだな」

エリス「でも、宇宙を旅するのはやっぱり楽しいですよ!」

エリス「こうやっていろんな人にあって、いろんなことを見たり聞いたり出来ますから!」

翔太郎「宇宙ね……ま、俺には縁遠い話だな……うぷっ……」

エリス「あ、そうだ、翔太郎さん。裏の土、少しお借りしました」

翔太郎「土?」

エリス「はい、土です」

エリス「フィリップさんには了解をもらったんですけど、一応翔太郎さんにもと思いまして」

翔太郎「別に構わねぇが、そんなもん何に使うんだ?」

エリス「明日の調査にどうしても必要になるんです」

翔太郎「……変なもんじゃねえだろうな?」

エリス「いえ、きっと翔太郎さんのお役にも立つと思います」

翔太郎「?」

翔太郎「まぁいい、俺はそろそろ寝るぜ。明日も大変な一日になりそうだしな」ムクリ

翔太郎「うぷっ……それに、今日はもう動けそうにねぇ……」

エリス「あ、あの、翔太郎さん。その前に一ついいですか?」

翔太郎「ん……? どうした、改まって?」

エリス「えと、その、今回の調査、正式に翔太郎さんにも協力を依頼したいんですが……」

翔太郎「依頼か……まぁ、職業柄調査するのは得意だからな。その依頼、受けてもいいぜ」

翔太郎「乗りかかった船って奴だ」

エリス「はい、ありがとうございます。……えと、それで、それでですね?」モジモジ

翔太郎(……歯切れが悪いな?)

エリス「私達、正式な交流が始まるまでは、こちらの通貨なんかをもってはいけない決まりなんです……」

エリス「だから……えと、それ以外のもので、お食事や泊めていただいた報酬をしようと……」モジモジ

翔太郎「報酬?」

翔太郎(宇宙人の報酬か。差し詰めフィリップが喜びそうなトンデモ機械とかか?)

翔太郎(それが一番ありがちだよな。それか……)

エリス「なので、私の身体を……」

翔太郎(そうそう、エリスの身体とか……)

翔太郎(……は?)

エリス「幸い生殖システムなんかも共通しているので、行為自体は問題なく……」モジモジ

翔太郎「ちょ、ちょっと待て!? 誰から聞いたんだそんな話!」

エリス「亜樹子さんが『そういう時は体(労働)ではらうのが地球の常識よ』って……」ポッ



翔太郎「ぅぁあ亜ああぁぁぁ樹いぃぃ子おおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」



今回はここまで。

再開します。

―――

翌朝

翔太郎「……まったく、昨日は散々だったぜ」

亜樹子「そう言いつつ出かける準備してるんだから、ホント翔太郎君ってお人よしよねー」

翔太郎「もとはと言えば、お前が誤解を招くようなこと吹き込んだのが原因だろうが」

亜樹子「あれ? そだっけ?」

翔太郎「……もういい。にしても、あいつ遅いな」

翔太郎「おーい、エリス! そろそろ行くぞ?」

エリス『あ、はーい。ちょっと待ってくださいね。もうすぐ全部出てきますから!』

亜樹子「……『出てくる』?」

翔太郎「お、おい! お前何してんだ!?」ダッ

―――

探偵事務所裏

翔太郎「な、なななななんじゃこりゃああああああああああああ!!?」

ワラワラワラ

亜樹子「ぬ、ぬいぐるみがいっぱい地面から生えて来て……わ、私聞いてない!」

フィリップ「亜樹ちゃんはともかく翔太郎、君は昨日から少しリアクションが大き過ないかい?」

翔太郎「お前が順応しすぎなんだよ!」

エリス「あ、ちょうど良かった。今全員出てきたところなんですよ」

アシストロイド【はろー】←文字が書いてある看板を見せている

亜樹子「あ、かわいい」

エリス「アシストロイド。その名の通り、データ収集の手伝いをしてくれるロボットです」

フィリップ「このカプセルを埋めると、約二十四時間程度で土の成分からボディを構築する仕組みらしい」

エリス「図書館のデータは全て紙媒体と聞いたので、大人数で収集すればすぐに終わるかと思って」

翔太郎「それで昨日、土がどうとか言ってたのか」

亜樹子「へぇー、こんなお米みたいなカプセルからこんなに可愛い子達が出来るなんて」

アシストロイド【てれてれ】

亜樹子「やっぱりかわいい!!」

エリス「便利ですよー。翔太郎さん達の命令も聞くようにしておきますね」

フィリップ「しかし、土の成分をどのように取り込んだら、これがここまで肥大化するんだ?」

フィリップ「いや、肥大化ではなく、これをコアとして土の成分で肉体を形成しているのか?」

フィリップ「どちらにしても実に興味深いメカニズムだ!」

フィリップ「エリスちゃん! 一体だけでいい! ぼくに分解させてくれないか!?」

亜樹子「かわいそうだからやめなさい!」スパーン!

アシストロイド【ガタガタブルブル】

フィリップ「分解はダメか、仕方がない」ヒリヒリ

フィリップ「なら、友好関係を結んだ場合、こういった技術は教えてもらえるんだろうか?」

エリス「そりゃもちもんですよー。国交を結ぶとなったら、見返りとか払わないと大変ですからー」

フィリップ「なるほど! ますます調査協力の必要が出てきたね!」キラキラ

亜樹子「でもいいの?」

エリス「? 何がですか?」

亜樹子「だってそういう技術ってさ、映画とかだと……」

犬『お前にはまだ早い!』

亜樹子「とかいって、教えてくれないものじゃない?」

エリス「あはは、まだ早かったらそもそも接触なんてしてませんよ」

亜樹子「あ、それもそうか」ポン

翔太郎「そんなことより、こいつら本当に連れていくのか?」

エリス「あ、移動手段なら大丈夫ですよ」

エリス「この子達、簡易転送システムも内蔵しているので、バイクに乗せる必要はありません!」

翔太郎「いや、それもそうなんだが……」チラッ

アシストロイド【よろしうおねいがしま】

翔太郎「………」ジィ…

アシストロイド【?】

翔太郎(……ハードボイルドとは無縁の見た目だな)ハァ

エリス「?」

―――

探偵事務所前

翔太郎「じゃあ、行ってくるぜ」

フィリップ「ぼくも一緒に行きたいところだが、流石に三人は乗れないからね」

エリス「なんだかすみません、フィリップさん」

フィリップ「なに、構わないさ」

フィリップ「代わりと言っては何だが、帰って来たらまた君達の事について教えてくれないかい?」

エリス「ええ、お安いご用です!」フンス

亜樹子「気をつけて運転してよね! エリスちゃんは大事な大事な依頼人様なんだから!」

翔太郎「わーってるよ。じゃな」

エリス「行ってきまーす!」

ブオォォォォン…

亜樹子「行っちゃったねー……。あれ?」

フィリップ「? どうかしたのかい?」

亜樹子「あれ、あれあれ、あれあれあれ~? これってもしかして……」

フィリップ「もしかして?」

亜樹子「……デートじゃない!?」キュピーン

フィリップ「『デート』」

フィリップ「広義には、若い男女が二人きりでどこかへ遊びに行く事」

フィリップ「まぁ、確かに類似点はあるけど……」

亜樹子「でしょでしょ!?」

亜樹子「そっかー、翔太郎君も遂にねー」シミジミ

フィリップ(しかし、あれは二人きりと言えるのかな?)

―――

風都 公道

翔太郎「ヘクショイッ!!」

エリス「大丈夫ですかー?」

翔太郎「ズズッ、あ、ああ。それより、ちゃんと捕まってろよ」

エリス「はい!」ギュ

むにゅっ

翔太郎「や、やっぱり離れろ!」

エリス「さ、流石に無茶ですよー!」

ブォン! ブォンブォン!

―――

えんだぁ「……ターゲット発見。風都図書館方向に向いました」

『了解。引き続き尾行し、チャンスが巡って来たら指示を頼む』

えんだぁ「了解しました。全ては美しい接触の為に」

『美しい接触の為に』ピッ

―――

風都署 超常犯罪捜査課

真倉「刃野さん、見ましたか? 昨日のニュース!」

刃野「お? おお、宇宙人が来たとかいうアレだろ?」

真倉「なんか興奮しませんでした!? 俺達歴史の目撃者っすよ!」

真倉「ふあぁぁ、ヤベッ! 鳥肌立ってきたああぁぁぁ!!」

真倉「それに映像の宇宙人はなんだか可愛かったし、ネコミミだし……」

真倉「あぁー……お近付きになりたいなー……はは、ははは……」ポワーン

刃野「まったく、叫ぶか惚けるかどっちかにしろぉ」ポカ

真倉「アイタッ!? なにするんすか急に!」

刃野「たく本当にお前は気楽な奴だな。昔から言うだろう、え? 綺麗な薔薇にはトゲがあるんだよ」

真倉「経験談っすか?」

刃野「そうそう、俺も昔綺麗なちゃんねーに引っかかって……って何言わせんだ!」ポカッ

真倉「アイタッ!!」

ガチャ

照井「朝っぱらから、ずいぶんと楽しそうじゃないか」

真倉「か、課長! おはようございます!」

刃野「いえね課長、こいつが美人宇宙人とお近付きになりたいなんて言い出すもんですから」

真倉「ちょ、刃野さん!」

照井「真倉刑事。いくら相手が見目麗しいからと言ってうかつに近づくと、後で痛い目を見るのはこちらの方だぞ」

真倉「は、はい……すんません……」

刃野「そうそう、俺はそれが言いたかったんですよ。いやー、流石課長」

照井「まったく……」

ティリリティリリ!

照井「ん……」

ピッ

照井「照井だ」

初老の男性《私です》

照井「……アンタが直々に掛けてくるとはな」

初老の男性《これも仕事でしてね。そんなことより、ターゲットが動き出しました》

照井「! そうか」

初老の男性《状況をお教えしますので、一旦我々と合流してください》

照井「了解した。合流場所は……分かった」ピッ

刃野「何か事件ですか?」

照井「いや、ちょっとした野暮用だ。すぐに戻る」

真倉「あ、はい。お気をつけて!」

―――

昼過ぎ

風都図書館近隣公園

翔太郎「案外早く終わったな、調べ物」

エリス「データを照合するだけでしたから。でも、今日中に終われて良かったです」

翔太郎「お疲れさん。ほらよ」スッ

エリス「これは?」

翔太郎「缶コーヒーだ」

エリス「コーヒー!」パァ

翔太郎「飲み方は……あそこのベンチで休みながら教えてやるよ」

プシュ

エリス「なるほど、こうやって開けるんですね。すごいなー」キラキラ

翔太郎「そんなに感動する程のもんでもないぜ?」

エリス「そうですか? こういう未知のものに触れるのって、すごく楽しいじゃないですかぁ」

翔太郎「そうか?」

エリス「はい。実際、フィリップさんもすごく楽しそうに私の話を聞いてくれましたし!」

翔太郎「あいつは元からああなんだよ。同じにすんじゃねー」ゴクッ

エリス「へー、よくご存知なんですね」

エリス「こんなに仲が良いってことは、お二人は昔からのお友達なんですか?」

翔太郎「友達……とは、違うな。確かに近いが」

エリス「あれ? じゃあ、なんなんですか?」

翔太郎「『相棒』だよ」

エリス「相棒?」

翔太郎「ああ」

翔太郎「二人でようやく一人前だが、二人ならどんな事でも乗り超えられる」

翔太郎「家族でも友達でもないが、誰よりも信用できて、誰よりも深い絆で結ばれてる」

翔太郎「それが、『相棒』って奴なのさ」フッ

エリス「相棒……! なんか、カッコイイですね!」

エリス「私も……」

ププー!!

エリス「わっ!?」

翔太郎「うおっ!? な、なんだあの黒バン!」

翔太郎「あんな、クラクション鳴らしながらスピード出して……ここは公園のど真ん中だぜ!?」

エリス「あれ? なんだか、こっちに向かってきてませんか?」

翔太郎「なんだって!」

キキィ! ガララッ!

ゾロゾロゾロ

翔太郎「な、なんだなんだ!?」バッ

「う、うう動くな!」カチャ

翔太郎「! 銃……!?」

ザッ

リーダー「わ、わわ、我々は秘密結社、びゅ、『ビューティフル・コンタクト』だ!」

エリス「ビューティフル・コンタクト?」

翔太郎「……自分から名乗る秘密結社なんて聞いたことねえぞ」

リーダー「う、ううるさい! そ、そこの宇宙人!」

エリス「は、はい。私ですか?」

リーダー「そうだお前だお前!」

リーダー「わ、我々は、人類の発展のため、お前たちとの接触を拒絶する!」

翔太郎「はぁ?」

エリス「はぁ」

リーダー「わかったら、さ、さっさとこの惑星から出ていけ!」

翔太郎(まったく、また変な奴らが出て来たもんだ……)

翔太郎「おい、お前ら。黙って聞いてりゃ勝手なことばっかり言って……」

エリス「あのー、ちょっといいですか?」ズイッ

翔太郎「うぇ!? お、おいエリス!」

リーダー「な、なんだぁ!?」

エリス「まず、貴方達はどこの政府の代表なのでしょうか?」

リーダー「は、はぁっ!?」

翔太郎「あ、わ、悪い、ちょっと待って」

リーダー「あ、ああ……」

グィ

翔太郎「お、おいエリス! お前何考えてんだ!」

エリス「何って、報告書に必要ですから、この人達の身元を聞いてるんですよ」

翔太郎「身元って……秘密結社が自分から言うわけないだろ!」

エリス「…………………」

翔太郎「…………………」

リーダー「…………………」




エリス「ああ! まったく気づきませんでした!」



ズコー

翔太郎「アホかっ!」

エリス「では、身元は仕方がないとして、理由をお聞かせ願えませんか?」

翔太郎「だーかーらー! 秘密結社なんだからそれも秘密……」

リーダー「理由は簡単だ!」

翔太郎「答えるのかよ!?」

リーダー「お、おお前たちの! その格好だ! 格好!!」

エリス「格好?」

リーダー「そうだ! なんだそのコスプレ衣装は!!」

リーダー「お前ら宇宙人だろ!? 何故もっと宇宙人らしい恰好をしてこない!?」

リーダー「もっとこう想像を絶するような……『ああ、これこそ宇宙人だ』という様な恰好をだな……!」ウダウダウダウダ

翔太郎「……もうダメだな、この秘密結社」

アシストロイド【どうかんでし】

エリス「なるほど、理由はだいたい分かりました」

リーダー「おお、そうか! 分かってくれたか! なら、さっさと元いた星へ……」

エリス「とりあえず、調査報告書に貴方達のご意見をまとめさせていただきますね」

リーダー「えっ。いや、そうじゃなくて……」

エリス「ご協力ありがとうございました!」ペコリ

リーダー「あ、ああ、これはご丁寧に……」

リーダー「……ってちがぁぁぁう!」

リーダー「こ、このおぉぉぉ、ば、馬鹿にしくさってえぇぇぇ……!!」

翔太郎「あぁ、なんだ……もう大人しく帰ったほうがいいんじゃないか……?」

リーダー「うるさあぁぁぁぁい! こ、こうなったら、無理にでも帰らせてやる!」スッ

翔太郎「! ガイアメモリ!?」

「リ、リーダー! ここでは一般人に被害が……!」

リーダー「か、構わん! ここまで来て引き下がれるかっ!」カチッ

『マグマ!』

ズオォォォォ!

マグマ・ドーパント「嫌でも帰ってもらうからなぁぁ!!」チュドン!

エリス「きゃあっ!」

翔太郎「危ねえ!!」

サッ

チュドーン!

キャ キャー! カ カイブツダー! ニゲロー!

翔太郎「ちっ、こいつも『EXE』からメモリを買ってたクチか!」

エリス「す、すごーい! この星の方はあの道具を使うと変身できるんですね!」

翔太郎「喜んでる場合か! エリス、ちょっと下がってな!」

エリス「え、でも翔太郎さんは……」

翔太郎「俺は奴を止める!」

エリス「そ、そんな! 危険ですよ翔太郎さん!」

エリス「今解析したらあの人、今の翔太郎さんが触れたら一瞬で溶けちゃうくらいの熱が出て……!」

翔太郎「『今の俺』はな」

エリス「え?」

翔太郎「まぁ、心配すんな。そういえば、前に『仮面ライダー』が何かって聞いてたよな」スッ

カチャ

エリス「え? は、はい。けど、なんで今……」

―――

鳴海探偵事務所 地下ガレージ

シュイン…

フィリップ「おや?」

フィリップ「……なるほど、エリスちゃんを狙う秘密結社か」カチッ

『サイクロン!』

フィリップ「実に興味深い。ゾクゾクするねぇ」

―――

翔太郎「見てな、エリス。これが『仮面ライダー』だ」カチッ

『ジョーカー!』

翔太郎・フィリップ「『変身!』」

『サイクロン/ジョーカー!』

ヒュオオオォォォォォ!!

エリス「きゃあっ!」

マグマ「な、なんだこの風は!?」

ビュオォォォ…

エリス「一体何が……」

エリス「って、え、ええっ!?」

マグマ「! お、お前は……!」




W「……」

W《……》

ヒュオォォォ…

パタパタ…

W「《さぁ》」

シュッ

W「《お前の罪を数えろ!》」


今回はここまでです。

>>36
ありがとうございます
今度こそ完結させる所存です

すみません、この一週間忙しさで死んでました……
ゆっくり残りを投下していきます。

エリス「翔太郎さんが……へ、変身した……!?」

エリス「……あのパワードスーツ……」

エリス「か、カッコイイ!!」キラキラ

マグマ「か、仮面ライダー!? くそっ! 我々の邪魔をするなら、お前も道連れだぁぁ!!」ダッ

W「ドーパントになったとたん威勢が良くなったな、おっさん!」ダッ

W《しかし、マグマ・ドーパントとは。また随分と懐かしい相手だね》

W「昔を懐かしんでる暇はねえぞ! はっ!」ゲシッ!

マグマ「くっ、このっ!」チュドン!

W《おっと。生憎、そのメモリとはもう戦闘経験があってね》

W「手の内は見え見えなんだよ! ハァッ!」ドン!

マグマ「ぐおぁ! そ、そんなぁ……」

W「情けない声出してるとこ悪いが、どんどん行くぜ?」カチッ

『ルナ! ルナ/ジョーカー!』

W「そぉら!」ビュン!ビュン!

マグマ「イテッ! イテテテテテ!!」バシバシッ!

エリス「今度は色が変わって、腕が伸びて……地球の人って、あんなことまで出来るんだ……!」

W《なにか、後ろで大きな勘違いをされているようだが……》

W「後でちゃんと説明する。とりあえず今はほっとけ!」

W《了解だ》

マグマ「お、お前達! 早く何とかしろー!!」

「リ、リーダーを助けろ!」

「し、しかし、この銃はどうやって使うんだ?」

「ほ、ほら、ここの安全装置を外して……」

「よし! ……あれ? なんで弾が出ないんだ!?」

えんだぁ「ああもう! みんな落ち着いて!!」

「けど、えんだぁさぁん!」

W「どうやら、頼りのお仲間も宛にならないみたいだな」

W《銃さえまともに使えないとは、なんともお粗末な秘密結社だね》

マグマ「ぐ、ぐぬぬぅ……!」

W《翔太郎、ここは一気に決めよう》

W《マグマ相手に時間を掛けては、この公園が焼け野原にされてしまう》

W「合点だ!」カチッ

『サイクロン! サイクロン/ジョーカー!』

W「熱い相手だ、クールに決めるぜ」

ギィン!

『ジョーカー! マキシマムドライブ!』

マグマ「こ、このおおぉぉぉぉおお!!」ドンドンドン!

ドカン! ドカーン!

エリス「きゃあああぁぁぁ!!」

W「エリス! うおっ!?」サッ

W《まずい! 見境なしにマグマの火球を!》

W「野郎、熱くなりすぎて周りが見えなくなってやがる……!」

『ジェット!』

アクセル「ハァッ!!」ビシュンビシュン!

マグマ「うわ!? イデェェ!!」

W「!」

W《この射撃は……!》

アクセル「今だ、メモリブレイクを!」

W《やはり、照井竜!》

W「ありがとよ、照井!」

『ジョーカー! マキシマムドライブ!』

W「《ハァァァァァ……!》」ビュオオォォォ!!

マグマ「ひ、ひいぃぃぃ!」




W「《ジョーカーエクストリーム! ハァッ!!》」

パカッ



エリス「真っ二つに割れて突っ込んだ!?」

ズドン! ズドン!!

マグマ「う、うわあああああああああああああああ!!」

ズドオオォォォン!!

パキィン

リーダー「う、ううぅ……」

「り、リーダー!!」

えんだぁ「そんな……ガイアメモリが……」

W「へっ、決まったな」

W『メモリブレイク成功、だね』

エリス「しょ、翔太郎さーーーん!」

W「おう。無事か、エリス」

エリス「は、はい! それより今の! 今の凄かったですね!!」

エリス「こう、ビュオーって上がって! パカーっと割れて! ズドーンって突っ込んで!!」

W「わ、わかったから落ち着け」

W《それにしても、助かったよ照井竜。君のお陰で被害が最小限に抑えられた》

W「そうだな。サンキュー、照井」

エリス「わぁ! こっちの赤いスーツもカッコイイですね! 翔太郎さんのお友達ですか?」

W「あ? ああ……友達っつうか、腐れ縁っつうか……」

アクセル「……」ツカツカツカ

W《? ……照井竜?》

アクセル「……お前が例の宇宙人だな」

エリス「え? あ、はい。『例の』が何かはわかりませんが、宇宙人です」

アクセル「よし……」

ガチャン

エリス「……はれ?」

W「! 手錠!?」

アクセル「悪いが、一緒に来てもらうぞ」

エリス「え……ええ!?」

W「お、おい! 何やってんだ照井!」

アクセル「うるさいっ!」ブン!

W「ッ!!」カチッ

『メタル! サイクロン/メタル!!』

ガギィィン!

W「て、照井! いきなり何しやがる!?」グググ

アクセル「邪魔をするな、左! 俺は……この宇宙人を捕獲しなければならない!」グググ

エリス「わ、私を……?」

W『何故君がそんなことを?』

アクセル「俺に質問をするなぁ!」ガキン!

W「うおぉ!?」

ズサー!

エリス「翔太郎さん!」

えんだぁ「い、今のうちよ!」

「は、はい!」

「お前達! 隊長を連れて逃げるぞ!」ピューン

「りょ、了解ー!」ピューン

ガキン! ガキィン!

W「や、やめろ! 照井!」

アクセル「この国の安全の為だ! 左、大人しくそいつをこちらへ引き渡せ!」

W《その言い方……大方、国家機関から依頼でもあったのかな?』

W「国家機関……たく、どいつもこいつも自分の言い分ばっかり押しつけやがって……!」

アクセル「なに?」

W「こいつが一体何をしたって言うんだ!」

アクセル「彼女の意思は関係ない。それが俺の仕事だ」

アクセル「何より……未知の異星人など、どの道野放しにしておけるか!」

W「街の住人を泣かせることが、お前の仕事だってのか!?」

アクセル「黙れっ! それにそいつは、街の住人でもなんでも……」

グッ

アクセル「むっ!?」

ワラワラ

アシストロイド【やめてくだし】

アシストロイド【おねがいしまし】

アクセル「な、何だこいつらは!? ええい、邪魔だ! 放せ!」

W「このっ!」タッタッタッ

アクセル「ハッ……!」

W「馬鹿野郎!!」バキィッ

アクセル「ぐっ!」

ヨロッ

W「おい照井! 他人の都合を押しつけられる悲劇は、お前が一番よく分かってる筈じゃねぇか!」

アクセル「ッ! ……しかし、俺は危険因子を……!」

W「それとも、お前は忘れちまったのかよ。思い込みだけで、関係のない人を殺しちまいそうになった事を!」

アクセル「…っ……」

W「何の真似だか知らねえが、少し頭冷やして、お前のやってることが正しいのかよく考えてみろ」

W「きっと、お前もコイツを色眼鏡で見てる。そいつを外して、真実をちゃんと自分の目で確かめてみるんだな」

W《翔太郎にしては、正論だね》

W「お前は一言多いんだよ」

ガション

ヒュオォォォ…

エリス「あ、元の姿に……」

翔太郎「エリス、帰るぜ」

エリス「あっ、はい!」トテテ

アクセル「……」

シュウゥン…

照井「左……俺は……」

エリス「あの、ところでこれ、外して頂きたいんですが……」ジャラ…

翔太郎「あっ……ったく。おい照井、手錠の鍵……」

プシュウウウゥゥゥゥ!

翔太郎「なっ!? お、お前! 今度は何しやがった!?」

照井「し、知らん! こんな話、俺は聞いて……ハッ!」

………
……

初老の男性「それから、もしもの時のバックアップも、ね」

……
………

照井「まさか、アイツが……ぐっ……!」クラッ

翔太郎「照井! うっ……!?」クラッ

翔太郎(こ、こいつは……催眠ガス!?)

エリス「翔太郎さん! 翔太郎、さ……」クラッ

翔太郎「エリ……ス………」

翔太郎(だ、ダメだ……意識、が……)

翔太郎「……――」ガクッ

―――

風都 某所

「CIA、対象の確保に成功したようです」

初老の男性「そうか……まぁ、各国の政府機関を利用させてもらったのだから、成功して当然か……」

「対象と一緒にいた者は放置したそうですが」

初老の男性「ふん、仮面ライダーといえたかが民間人だ。大した障害にはならんよ、君」

「は、はぁ……」

初老の男性「さぁ、後は『使者』を消すだけだ……クク……」



――ギィン! キュイーン!

仮面ライダー、W!

フィリップ「これは立派な誘拐事件さ。ぼく達が動かない道理はないよ」

翔太郎「手伝ってもらうぜ。秘密結社、ビューティフル・コンタクトの皆さん?」

エリス「あの、私、これからどうなっちゃうんですか?」

初老の男性「簡単に言えば、死んでもらうことになる」

チャイカ「遊びに来たよ!」



『Eの襲来/宇宙人に気を付けろ』



これで決まりだ!

ようやくリメイク版1話投下終了です。
4年前と違って時間なさすぎて、もう……

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