【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 第37位【アラフォーマーズ】 (1000)

・京太郎主人公

・安価スレ

・某掲示板ネタ

・原作本編の10年後前後。京太郎はプロになってる(いた)

・基本ギャグ仕立て時々しんみりシリアス

・でも腹パンとか川落ちとか関係ない

・異名は「オカルトスレイヤー」。堅実な技術を持つオールラウンダー。闘牌時は非常に獰猛

・同じ大学(T大)なのは、江崎仁美・辻垣内智葉・弘世菫・小瀬川白望(2年上級生)
 鹿倉胡桃(浪人)・臼沢塞(浪人)・荒川憩(1年上級生)、原村和・新子憧(同級生)

・オカルトスレイヤーの愛称は、出演ドラマから
 超能力ヒーロー学園ものドラマ。超能力者に対抗する、唯一の魔法使い(物理)

・男友達は残念・不遇(古市孝之、花村陽介、シン・アスカ)

・ムエタイの達人。パルクール(フリーラン)を習得。ハンドボールやってたから多少はね?

・カピバラとは死別。死因は細菌性の消化器潰瘍。ピロリ菌。ゴキブリ殺す

・高校時代の最終成績は男子インターハイ個人戦2位

・チームメイトは、小走やえ・弘世菫・南浦数絵・清水谷竜華である(あった)




    須賀 京太郎 日[ ● ]本

   24歳 ♂ 184cm 76Kg
  『M.A.R.S.ランキング』 1位
    M.O.手術〝技術昇華型″
    ━オカルトスレイヤー━


※有志の方のありがたいまとめwiki

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※ネタ拾って気軽に編集してくれると嬉しい所存


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※前スレ
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(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1391513849/)

【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 第31位【アラフォーマーズ】 【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 第31位【アラフォーマーズ】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1394111086/)
【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 第32位【アラフォーマーズ】 【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 第32位【アラフォーマーズ】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1396274421/)
【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 第33位【アラフォーマーズ】 【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 第33位【アラフォーマーズ】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1399901443/)
【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 第34位【アラフォーマーズ】 【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 第34位【アラフォーマーズ】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1401981633/)
【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 第35位【アラフォーマーズ】 【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 第35位【アラフォーマーズ】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1409065243/)
【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 第36位【アラフォーマーズ】
【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 第36位【アラフォーマーズ】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1416742376/)

・安価を出して、安価先の内容を基に、
 そういう「そういう事があった」「そういうトピックのスレッドが立ってる」としてそれに絡めた話を書きます
 例えば安価先が【小鍛治健夜結婚】なら


引用元:【リアルババ抜き】 小鍛治健夜、結婚 【ターンエンド】

1 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
ソースはブログ。すこやんが男の手料理を食べたとかなんとか

2 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
すこやんみたいな干物が手料理をごちそうになる……これは結婚ですなぁ

3 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
やっとすこやんにも春が来たんだね……遅すぎるとしても

4 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
釣りかと思ったらマジだった

5 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
【悲報】ついに人柱がささげられる

6 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
勇者ありがとう。お似合いだよ……どんな人かはしらんけど

7 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
おめでとうすこやん!これで俺も安心できる

8 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
なんだこれは……たまげたなぁ

9 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
しつぼうしました。うえのさんのふぁんになります

10 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
ん、でもこれさ……この背景……スッガが出てる料理番組じゃないか……?

11 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
糸冬 了

12 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
やっぱりそんな都合がいい話がすこやんにあるはずがなかった


・と言う感じで、これならその番組ですこやんで絡んだシーンとか

・開始時の人間関係はフラットです。安価で人間関係が決まります

・安価についても、明示された部分以外にはキュゥべえ理論展開されたり

安価でお題を3つくらい募集
お題については以下

①いつもの掲示板形式
②掲示板によらない京太郎のオフの日の話
③高校・大学時代の話とか、作中で触れられたけどキンクリされた話(桃子のバスケ、やえタッグ)とか


一応のルールとか

【見出し系】
・基本、恋愛&マイナス結果確定系はNG
 状況なら確定系は可。
 例えば、『須賀プロ、○○プロと路上で口論』。
 但し、『須賀プロ、○○プロと路上で口論。その後、暴行』はNG
 同様に『○○プロ、須賀プロと共演。須賀プロを激怒させる』

・状況確定系でも恋愛関係確定はNG
 『恋人の○○と~』は駄目。
 『恋人と噂される○○と~』はギリOK
 あんまり恋人と噂が多いとなんか悪いこと起こるかもね

・順位確定系もアウト
 『須賀京太郎、M.A.R.S.ランキング2位に』みたいのは駄目

・暴行&下衆&鬱&エログロネタはNG
 AVデビューとかいじめ、強姦被害とか自殺とか薬物中毒とか元風俗嬢など。
 不良に絡まれたとかならまあよし

【ファンスレッド系】
・「○○プロ応援スレ」など
・一般人についてはNG

【質問、目撃スレ】
・「スッガと話したけど質問ある?」のような
・恋愛関係確定系はNG(彼女・元彼女など)


これ+同一IDの連続取得については再安価とします
なお、ズレて取得になった場合もこれにカウント
多重投稿の際は最も低いコンマを適用し、その投稿の数だけ範囲や安価先を下にズラします

好感度

★13+4★
大星淡:やたら絡んでくるアホの子ライバル。麻雀人生をやってもいいよ。甘いものやるから笑えよ。いや、お前なら判ってくれるかなって……

★13★
ハギヨシ:師匠にして友人にして悪友にして戦友。この人抜きじゃ生きていけない。大丈夫です! ハギヨシさんのためなら……俺……!
宮永照:強大な目標。勝負事では頼りになる人。なんか放っとけない。次こそは、勝つ……! なんですか、照おねーちゃんって……?

★12
辻垣内智葉:姐さん、一生ついてきます! 姐さんがいたからあの大学に……! あんまり苛めないで下さい
弘世菫:菫さんは最高です! 菫さんのおかげで戦えるんです! 菫さんを目標に大学決めました! 弘世先輩は最高です!

★11
宮永咲:気のおけない幼馴染み。絶対の目標にして憧憬を覚えさせた存在。タッグ戦、負けねーからな!

★9
松実玄:おっきくてやわらかい。軽く残念な人。中々、結婚したいんだけどな……
松実宥:なんでも共演。寒がり大変そう。正直おもちあるし結婚したい。玄さんにはお義兄ちゃん呼びでもいいかな
赤土晴絵:師匠! 師匠がいなかったら俺は……。負けませんよ、師匠
天江衣:ころたんいえーい。駄目です、そっちの道は! その……ハギヨシさんのことを労ってあげて下さい
新子憧:高校大学と、本当に世話になった女友達。いい女。何年後かで、フリーなら結婚したい。ファン1号

★7
小走やえ:頼りになる小走先輩だけど、やっぱ相棒としてやえさんのフォローもしないと……。だいぶ打ち解けたよなぁ
高鴨穏乃:元恋人。ありがとう……穏乃、本当にありがとう……。お前以外と付き合ってたら、多分俺はこうはなれなかったよ。ファン2号。かわいい
国広一:一さんといると落ち着くんだよなぁ……僕っ娘いいよな。あ、終わったら遊園地行きませんか?
姉帯豊音:大きな小動物可愛い。大天使豊音。酔うとやばいよこの人。今回ばかりは、負けない

★6
鶴田姫子:立てばセクハラ、座ればビッチ。歩く姿は猥褻物。付き合ったら痴女じゃなく……ならないよな、うん
鷺森灼:天の道を往き、総てを灼きつくす女。色々かわいい。今度は――俺が護るッ!
竹井久:部長がくれたあの言葉――俺は覚えてます。……悪癖も貰っちゃったけど。絶対このコンビはマズイ……

★5
三尋木咏:流石の火力っすね……三尋木プロは。ごめんなさい、俺もやりすぎました。いや、俺は全然オッケーですけど
エイスリン・ウィッシュアート:ニンジャは実在しない。いいね? もしかして俺、宮守の全員と知り合ったんですか?
小瀬川白望:思えば昔は色々あったよなぁ。あの、先輩……背中にのしかかられるのはちょっと……

★4
東横桃子:消えても追える。俺たち、バスケなら世界狙えたんじゃねーの? お前の場所判るからって、全力で急所狙ってくるなよ……
江口セーラ:ギャップにやられるかも知れない
清水谷竜華:おもちもちもち。頼りになるチームメイト。その眼はヤバイ。結婚したい。ナチュラル辛辣
荒川憩:先輩のおかげで、俺、かなり体もいいとこまで行きました! 先輩笑顔可愛い、癒される! 実際ナース服エロい
原村和:初恋……だったんだ。まあ、いい思い出って奴だよなぁ。フラグはない……? アッハイ

好感度その2

★3
池田華菜:KMG(華菜ちゃんマジゴッド)。正直男前過ぎて今すぐ告白したい。あ、あれから全部1位……ハハハ
龍門渕透華:すっげえスポンサー。結構めんどくさ可愛いし、いい人。あのー……智紀さんからの提示連絡とレポートって一体……
沢村智紀:巨乳メイドマネージャー。でもなんか寒気がする……。その、なんの……レポート……?
花田煌:聖人。デートの約束ですよね? ……あ、照さんとのコンビっすか
南浦数絵:一緒に戦う仲間。大丈夫だって、前に言ったよな? その辛辣キャラは……。お祖父さんに言い付けるのは……
片岡優希:いい女になったな。大丈夫か? M.A.R.S.ランカー相手はキツいぞ?
渋谷尭深:大学時代紹介されたし、おもちあるしおしとやかでタイプ……なのになんだか寒気する
鹿倉胡桃:かわいい真面目な先輩。先輩、充電って……アッハイ
臼沢塞:頼りになるお姉さん先輩。臼沢先輩、今度はどこへ遊びに行きます?

★2
亦野誠子:お互い大変っすよねー……今度、海釣り行きましょうよ!
対木もこ:小動物可愛い
夢乃マホ:可愛い可愛い後輩。何かあったら、今度こそは俺が止める
江崎仁美:先輩の適当さに、結構俺って癒されてたんですよ? 政界、おめでとうございます!
愛宕洋榎:当意即妙。いや、流石にお笑いはやりませんから……
瑞原はやり:なんか目がマジな話怖い。光がないんだもん
小鍛治健夜:アハハ……ハハ……
野依理沙:怒って……ませんよね……?
戒能良子:JOS(実際・おもち・凄い)。解説でのフォローありがとうございます……。うちの部長が……
上重漫:JOS(実際・おもち・凄い)。その節はどうもお世話に……
佐々野いちご:うおっ、本物のちゃちゃのんだ!? ドラマの際は大変お世話になりました

★1
愛宕絹恵
染谷まこ
加治木ゆみ
新免那岐
福路美穂子
白水哩
薄墨初美
石戸霞
滝見春
狩宿巴
井上純
園城寺怜
船久保浩子


/     ,     /   /   / /             |   |  :.   .   :.
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  イ        '   /|    /|  l   |   |     |   |  l|   |    |
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 ' 〃         |   |  | |   ト,  :     /| /| /|    '  ∧|
/ / .'   ,:  ' Ⅵ |_'. |  | |   | l   |     ' }/ }/ :  /  .イ `\     ┌ 、_____________
{/ /   / /  / {  |  Ⅵ≧!、,|   | 、 |   _/ム斗七    /:. / }'       ノ                       ヽ
 '   ,イ / | { 从 | イ  {::しメ∧   l  Ⅵ   イ {::し刈 `ヽ'  ' }/       <  ――祈れよ、せめて人間らしくな   |
'  / /イ Ⅵ :.  Ⅵ    Vzり \  、 }  /  Vzり   }/  /         ヘ________________ノ
/        | 从   |            \ ∨/        ,  /
       _∨∧ :.             ` \           ,:_ノ> 、_
 ,  <.:.:.:.:.:.:.:.:{/{{`∧         、              /  }}.:.:.:.:.:.:.:> 、
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                                           |     須 賀  京 太 郎  | ● |      |
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                                           |   M・O手術  “ 技術昇華+不運 ”   .. |
                                           |     ━ オカルトスレイヤー ━       |
                                           \_________________/



☆スキル
>『爽やかな笑顔』
>女性キャラと(ゲーム的には初登場)遭遇時の判定について
>内容や判定に正の補正が加わります

>『プロ並のシュートセンス』
>スポーツや運動関連の判定について
>内容や判定への正の補正が加わります

>『愚行権』
>彼は本当の意味での凡人だ
>運があろうが実力があろうが、とにかく分かりやすい華はない
>因縁めいた偶然なんて存在しない
>物語の補正なんてのは、ない
>だからこそ、普通と違う誰かには、もの珍しく映ったり……
>【……思考が常識離れしている相手の好感度に影響】

>『反響定位』
>舌打ち音の反響により、無視界でも通常通りの活動が可能
>音感関連の判定や『反響定位』が活用可能な判定について
>内容や判定への正の補正が加わります

>『マッハ!!!!!』
>大学時代限度ギリギリまで打ち込んだ古式ムエタイの成果
>立っている人間の肩を足場に走れる、肘でヘルメットを割れる等々……
>タイってスゲー。仏像や象さんに手を出すのはやめよう
>格闘やアクション判定について
>内容や判定に正の補正が加わります

>『舌使いが上手い』
>種を残して食べたサクランボを舌で結べる程度には舌の使い方が上手く、繊細で精密
>味覚を用いた判定や舌を使用する判定について
>内容や判定への正の補正が加わります

2位 「闇を裂く雷神」 宮永 照
ベーススタイル:『技術昇華+運+オカルト』

攻撃力:30+?/60 防御力:30+?/60 速度:30+?/60
技術:45/60 幸運:30+?/60 気力:60/60

・『レーダー:照魔鏡(0)』
・『闇を裂く雷神(0)』
・『レイン・ハード(10)』
・『闇を裂く雷神(20)』


3位 「赤き腕を持つ帝王」 荒川 憩
ベーススタイル:『技術昇華+オカルト』

攻撃力:50/60 防御力:60/60 速度:35/60 
技術:45/60 幸運:50/60 気力:60/60
※(35+45)/2+50=90 コンマ10以上にて聴牌
※50×(50+45/2)=3650 これをコンマ一桁倍

・『赤き腕を持つ帝王(0)』
・『赤き腕を持つ帝王(5)』
・『赤き腕を持つ帝王(10)』


5位「爆ぜる報仇の女王」 宮永咲
ベーススタイル:『技術昇華+運+オカルト』

攻撃力:55/60 防御力:40/60 速度:40/60
技術:40/60 幸運:50/60 気力:60/60
※(40+40)/2+50=90 コンマ10以上でテンパイ
※55×(50+40/2)=3850 これをコンマ一桁倍

・『爆ぜる報仇の女王(0)』
・『爆ぜる報仇の女王(5)』
・『怒れる大天使の鉄槌(10)』
・『???』


7位「退くことなき双剣の騎士」 小走 やえ
ベーススタイル:『技術昇華+運+不運』

攻撃力:45/60 防御力:45/60 速度:40/60
技術:55/60 幸運:35/60 気力:60/60
※(40+55)/2+35=83 コンマ17以上で聴牌
※45×(35+55/2)=2835 これをコンマ一桁倍

・『退くことなき双剣の騎士(0)』
・『退くことなき双剣の騎士(10)』


8位「神眼の拳闘家」 清水谷 竜華
ベーススタイル:『技術昇華+運』

攻撃力:60/60 防御力:45/60 速度:35/60
技術:55/60 幸運:40/60 気力:60/60
※(35+55)/2+40=85 コンマ15以上にて聴牌
※60×(40+55/2)=4050 これをコンマ一桁倍

・『神眼の拳闘家(0)』
・『神眼の拳闘家(10)』
・『神眼の拳闘家(15)』


9位 「悪魔の天敵」 辻垣内 智葉
ベーススタイル:『技術昇華+運』

攻撃力:40/60 防御力:40/60 速度:60/60
技術:50/60 幸運:40/60 気力:60/60
※(60+50)/2+40=95 コンマ5以上にて聴牌
※40×(40+50/2)=2600 これをコンマ一桁倍

・『悪魔の天敵(15)』
・『神速(0)』

10位「夢を盗む天使」 エイスリン・ウィッシュアート
ベーススタイル:『技術昇華+オカルト』

攻撃力:30/50 防御力:35/50 速度:35/50
技術:40/50 幸運:40/50 気力:60/60
※(35+40)/2+45=78 コンマ22以上にて聴牌
※30×(45+40/2)=1950 これをコンマ一桁倍

・『夢を盗む天使(0)』
・『夢を盗む天使(10)』


12位「天上の荒武者」 弘世 菫
ベーススタイル:『技術昇華+運』

攻撃力:30/50 防御力:40/50 速度:40/50
技術:50/50 幸運:40/50 気力:60/60
※(40+50)/2+40=85 コンマ15以上にて聴牌
※30×(40+50/2)=1950 これをコンマ一桁倍

・『天上の荒武者(0)』
・『シャープシュート Mk.Ⅱ改 トランジスタ・スライダーICBM(5)』


15位「視えざる空の支配者」 南浦 数絵
スタイル:『技術昇華+オカルト』

攻撃力:40/50 防御力:40/50 速度:30/50
技術:50/50 幸運:40/50 気力:60/60
※(30+50)/2+40=80 コンマ20以上にて聴牌
※40×(40+50/2)=2600 これをコンマ一桁倍

・『視えざる空の支配者(0)』
・『視えざる空の支配者(10)』


44位「蒼い血の死神」 大星淡
ベーススタイル:『技術昇華+運+オカルト』

攻撃力:45/60 防御力:30/60 速度:40/60
技術:40/60 幸運:45/60 気力:60/60
※(40+40)/2+45=85 コンマ15以上にて聴牌
※45×(40+40/2)=2700 これをコンマ一桁倍

・『蒼い血の死神(0)』
・『蒼い血の死神(5)』
・『蒼い血の死神(10)』
・『???』

Majan Atomosphere and Realm Suitability Ranking (麻雀の場と状況に於ける対応力ランキング)

第1位:“人類の到達点”
第2位:“闇を裂く雷神”宮永照
第3位:“紅き腕を持つ帝王”荒川憩
第3位(同率):“武神”
第5位:“爆ぜる報仇の女王”宮永咲
第6位:“国産戦闘鬼”天江衣
第7位:“退くこと無き双剣の騎士”小走やえ
第8位:“神眼の拳闘家”清水谷竜華
第9位:“悪魔の天敵”辻垣内智葉
第10位:“夢を盗む天使”エイスリン・ウィッシュアート
第11位:“”
第12位:“天上の荒武者”弘世菫
第13位:“”
第14位:“”
第15位:“視えざる空の支配者”南浦数絵
第44位:“蒼い血の死神”大星淡



M.A.R.S.ランキング
【名詞】 Majan Atomosphere and Realm Suitability Ranking (麻雀の場と状況に於ける対応力ランキング)の略。
     プロたちが高校生当時行っていた、喰いタンアリ後付アリ赤牌アリの運の要素が高い麻雀ルールで行うランキング。
     運の要素が高く、つまり様々な多様な場面に置いての勝率や安定性を基準としたランキングである。
     それ以外にもその功績などにより、ランキングは変化する。
     打ちなれたルールで行うため、これは若年の麻雀プロに導入され、また、このルールのプロ試合が別枠で行われる。

M.O.
【名詞】 Method Originalityの略。麻雀プロ個人個人が持つツキや打ち筋の偏り、好みなどが織りなすスタイルの事。

 

・下段蹴り(空手)
・中段蹴り(空手)
・横蹴り
・胴体へのテッ(ムエタイ)
・ティー・ソーク・トロン(ムエタイ)
・アームブリーカー(プロレス)
・飛び込み前転
・ゴッ・コー・ティーカウ(ムエタイ)
・笑いによる疼痛閾値の上昇
・プリショットルーティーン(のようなもの)
・ウィルホッカッ(訳:倒れる増上天。古式ムエタイ)
・ハヌマンタワイウェン(訳:指輪を捧げるハヌマン。古式ムエタイ)
・瞬間睡眠
・マーディットカローク(訳:ヤシの実を蹴る馬。古式ムエタイ)
・反響定位
・マイクロスリープ(瞬間催眠)
・デシーボ効果(というか思い込みによる死)
・ゾーン
・ミスディレクション
・直感

いや、色々やったけど全部人間に出来ることだからね。一応

当初の予定だとあそこから
勝利→拳銃抜いた譲司とその仲間相手に聖ジョージの剣で無双というバトルシーンが入ったんだけど……ねぇ


んじゃあエピローグ始めるでー

いや、あそこでこう、実に少年漫画のようなヒーローにしたのにさ……
お前本当に人間かよってするのは……ねぇ……うん

書こうか。ついでに




       【雫】




 ――――その時、自分には確かに翼があると感じたのに。


 ――――それももう、失くしてしまっていた。


 ――――君とも。君との思い出とも。君と一緒に居たときの記憶も。


 ――――何もかも失って、自分は今もここにいる。


 ――――悲しみが消えない。


 ――――痛みが消えない。



「照さん、今回の目的地は……」

「奈良」

「……またですか」


 肩に掛かるほどのセミロングを擦らせて、宮永照が振り返る。

 赤髪が一房靡くその様は、物憂げな表情と相俟って実に絵になる一枚であるが――残念ながらこの宮永照、お菓子の事しか考えていなかった。

 そんな視線の先で苦笑するは花田煌。

 紫色の、僅かに内側へとカーブを描くセミロング――こちらも肩まで――が揺れる。肩を落としていた。

 闘牌とあってはこの髪を結んで止める。頭の中心より下で為される鋭角的ツインテールとなるのだが、それが故か彼女は不名誉な渾名を蒙る。

 オオスバラクワガタ。とてもじゃないが女性に付けていい名前ではない。

 尚、花田煌のM.A.R.S.ランキングは100位。ファンから与えられた二つ名は“滅びを知らぬ巡礼者”である。

 巡礼と言っても、別にだから奈良は関係ない。奈良京都の神社仏閣を巡るからではない。


「えー、いいじゃないですかー。私初めてですしー!」


 と、波打つ金髪を漂わせながら応じるのは大星淡。

 金髪碧眼。腰ほどまでの長髪は、緩くウェーブを描く。誰かはこれを指して、タコみたいだと言った。

 この三人、番組の収録であった。

 レギュラーメンバー――番組名は「月曜嫌でしょうもういいでしょう」。

 長野発ローカルだったのに、いつのまにか全国放送になりあまつさえ長野出身じゃない大星淡が混じっている当たり不思議だ。

 尚番組の都合で二回ぐらい淡は諏訪湖に落ちた。


「……あ、前に行った事あったかも」

「……どっちなんですか」

「それよりおかしおいしい」

「……」


 ボケナス先輩後輩コンビを前に、花田煌は頭を抱えた。



 せめてもう一人、常識人のツッコミ役が居てくれたらと思わなくもない。

 というか本当は居た。居たのである。居たはずなのに。居たのに。

 ……せめてこの番組には残って欲しかったなぁ、と煌は肩を落とす。


「煌」

「あ、はい! なんでしょうか、照さん!」

「きのこが入ってた。抱き合わせはいらない」


 「あんなの負け専用の駄菓子だよねー」、と大星淡がそれに続く。

 本当にこのボケナス先輩後輩コンビをどうにかして欲しい。もう三回ぐらい諏訪湖に沈めてくれてもいい。

 何故自分がこうも、ツッコミに終始しなきゃいけないのか。番組自体にツッコミ満点なのに、メンバーもツッコミ待ちとかどうにかしてる。


「煌ー、ねー、ひーまー」

「はぁ……?」

「これは所謂、手持ちぶたさんだね!」

「……すばらぁ」


 もう勘弁して。本当に頼むから。

 流石のメンタル鋼、メンタルプラナリア、メンタル再生生物と言われる花田煌でも心が削られる。

 偶に試合で弘世菫と出会うと、「この胃薬利くぞ?」とか渡される。

 弘世菫は宮永照の同級生であり、大星淡の先輩である。ついでに部長だった。

 実際彼女は有能だ。有能過ぎる。宮永照や大星淡の好みのお菓子を教えてくれたり、二人が気に入りそうな店を紹介してくれる。超優しい。

 ファンクラブがあったら間違いなく入る。それぐらい、感謝していた。

 ただ本人は、「なあ、アラサーで魔法少女って大丈夫なのか……?」とか「私も……子供の頃は、お嫁さんになりたかったんだよ」とか負のオーラを撒き散らしてる。

 胃薬が必要なのは、菫の方かも知れない。


「……はっ」

「どうしましたか、大星さん」

「なんか奈良で素敵な出会いがありそうな気がする!」

「……、……すばらぁ」



 ――そして、辿り着いた奈良県は吉野郡。

 美人姉妹がいる(片方は麻雀プロだが)温泉旅館である。

 なんかこう、イケナイサービスとか期待してしまうところであるが、生憎とそういうのはやっていない。

 話によると、偶に女将にそんな風に強引に迫る人間がいるらしいのだが……どうにもニンジャによって撃退されているそうだ。

 ニンジャナンデ!? これだからネットは信用ならない。これはちゃちゃのんのケジメ案件では?

 というか、しばらく煌たちが行っていない間にどうなっているのだろうか。奈良って殺伐都市ではないはずなのが。


「いらっしゃいませ、おもち……いえ、お待ちしてました!」


 宿に入れば向かえてくれる、黒髪美人の大和撫子。

 松実玄。完璧な日本的な高嫁力である。一部を除いて。

 一瞬の内に、どことなく体中を舐め回されるように眺められて、同時に「おもち力たったの5だね」と吐き捨てられた気がする。

 残念ながら、このメンバーに彼女のお眼鏡に叶うおもち持ちは居なかった。

 一応はと言えば、大星淡が中々に実っているが……それでも玄からしたら「おもち力たったの5」らしい。自分基準か。

 とりあえず、そんなおもち狂いの女将は置いておこう。というか自分の胸でも揉んでたらいいんじゃないだろうか。

 煌は実際やさぐれかけていた。世も末法である。


「……あれ?」


 と、煌は見かけぬ人影を見た。それとなく、カメラの視界を遮る。

 藍色の髪のセミロング。眼帯をした少女が、和服の装いで盆を運んでいたのである。

 確か以前に見た覚えはないし、何よりもあんなに若い子が働くのだろうか。バイトにしてはハードすぎる気がする。

 それとも、ブッ壊れた雀卓の修理費用でも稼ぎに来たのだろうか――なんて首を捻れば、玄が耳打ちをした。


「知り合いの人の紹介でね……うちで、住み込みをしてるの」


 はあそんなもんかと、煌は頷いた。

 どんな人間にも事情はある。ちょっと気になっただけなので、深く追求する気はなかった。




 そして、ひとまず収録の方は中断となった。

 今回の収録内容はたしか――えっとたしか、桜の花びらでモザイク画を作るとかそんな狂気の沙汰。

 その手の狂気担当者はもう芸能界を去って長いというのに、そのノリで番組を作るのはどうかしてる。(照だけに)


「さて、皆さん……ここはすばらっな温泉で、旅の疲れを癒すというのはどうでしょう!」


 女性三人、一室に泊まる――というのは何ともちょっと心躍る。

 具体的に言うと修学旅行的な。

 だけど悲しきかな、高校生と違って「誰それが気になるトーク」はない。というかアラサーになってそれは絵面的に悲しい。

 下ネタになれば間違いなく生々しい話となるし、年を取るのも考え物だ。

 となれば枕投げかと言えば、そんな事したら多分三日後ぐらいがヤバイ。筋肉痛で。

 年を取ると筋肉痛も遅れてやってくるのである。あとアラサー三人が枕投げとか絵的によろしくない。

 ごめん心躍るとか嘘だった。悲しみしかない。


「あ、ごめんなさい。私予定があるんですよー」

「すばらっ!? ま、まさか先ほどの素敵な出会いとかナンパとかそういうのでしょうか?」

「いや、今パシリの人がこっちに来てるらしいんでー、あいさつに行こうかなーって」


 「これお土産!」と、胸を張りながら答える淡。ちょっと揺れた。いや結構揺れた。くそう。くそう。これが格差か。くそう。

 パシリの人とは、小走やえ――M.A.R.S.ランキング7位の麻雀プロである。

 出身が奈良県。それ故に、里帰りでもしているのであろうか。

 なんだか飲み会か何かで意気投合して、それからちょくちょくと連絡を取っているそうな。


「あ」

「なんでしょうか?」

「私もう奈良何回も来てた!」

「アッハイ」



 もうこのアホの子どうにかして……と言いたくなった。

 が、耐えた。

 弘世菫からこう言われていたのである「淡が駄目になるのはある程度気を許した相手にだ」……と。

 ちなみにそうなると、先輩をパシリに使ったりタメ口を使ったりし出すらしい。

 それは気を許されない方がいいのではないか。煌は訝しんだ。その胸は平坦だった。

 なお、珍しい反応というのは――菫曰く「やたらとライバル視する」か「やたらと尊敬して懐く」のどちらからしい。

 どちらも同ベクトルにあるというのは、それって基本的に大星淡は傍若無人という意味ではないか。

 つまり、気を許した相手というよりは見知った相手に接する素ではないのか。レアさの欠片もない。


 ……閑話休題。


「では、照さんはどうでしょう?」

「私は……」


 暫しの沈黙。この沈黙が微妙に重い気もするが、そこは慣れたもの。

 最近にもなると煌も、この沈黙の内の種類を見分けられるようになっていた。

 そう、たとえば――「おかしが口に合わなかった」「おかしが欲しい」「おかしが足りない」「おかしの食べ比べをしている」とか。

 お菓子しかなかった。お菓子評論家か。

 だが――今回はそのどれでもない。そして、僅かばかりその顔に影が差した……気がする。


「いえ、申し訳ないです! 照さん!」

「……煌?」

「私から言い出して、実にすばらくない話ですが……私も予定を思い出しました。なので、自由行動という事で」

「……」


 取り繕うように身振り手振りで応じる煌に、照はゆっくりと頷いた。

 どこか、申し訳なさそうにしている風でもあったし、感謝している風でもあった。煌の思い違いでなければ。

 兎に角――これで自由行動という運びである。


「じゃあ、夜には戻ってくるという事で」

「テルー、もの拾って食べちゃ駄目だよ? あと迷子になっちゃわないでね?」

「……淡こそ、変な車とか変なお店に近付かないようにして」

という事でここまで

文体から分かるようにほのぼのですよーぅ

ちょっとアンケートというか聞きたい事というか
いつになるか判らん次回作とかの為にね。参考にするから
あ、スルーしてくれてもいいっす


1.このスレに来た理由
①スレタイに惹かれて
②ライダースレから
③麻雀(倒錯純愛)解説スレから
④咲SS探してて(どういう系の?)
⑤京太郎SS探してて(どういう系の?)
⑥どっかで紹介された(そのスレがバトルものとかギャグとか出来たら)

2.期待してたもの(腹パンを除く。複数可)
A:ほのぼのシュールを期待した
B:しんみりシリアスを期待した
C:ラブコメ・ギャグを期待した
D:人間の熱い戦いや王道展開を期待した
E:イチャコラを期待した

3.原作は?
X:咲だけ知ってる
Y:テラフォーマーズだけ知ってる
Z:両方知ってる
×:どっちも知らない
○:途中で原作買いました

4.バトルどうだった?
Ф:俺には夢がない……けどな、夢を守る事はできる! (人間讃歌だった)
Х:戦う必要は……ないんじゃないかなぁ? (ギャグだけでいい)
Δ:正直もっと強くていい。能力はよ (無双期待)
Ψ:コイツ……人間じゃない……! (強化しすぎだろ)
Ω:化物を倒すのはいつだって人間だ……! (無能力者だからよかった)
Ο:古式ムエタイって凄いと思った。しつぼうしましたなかちゃんのふぁんをやめます

5.一番可愛かったキャラと一番ヒロインだと思ったキャラともっと出番増やして欲しかったキャラ

参考になりました。協力ありがとう
最終話は一応どっちの原作が知らなくても分かる風に書いたけど、それ以上にジョジョと喰種と嘘喰いがな


一応テラフォしか分からん人に言っとくと

○本人が望まない賭け麻雀はあります        (宮永家)
○想いっきり蹴り飛ばす描写があります        (絹・エトペン)
○他人に向けて銃を発砲する描写があります    (ダヴァン)
○帯刀している人が居ます                (新免那岐)
○空中アクロバットがあります               (江口セーラ)
○宮永照が電気を纏います
○人間離れした特技が出ます               (ハギヨシさんの素敵滅法)
○戦いの結果限界で倒れる人が居ます         (怜)
○腹に打撃を受けます                    (シャープシュート受けた泉)
○人が死にます                        (まこのおじいちゃん)
○レイプ目になります                     (クロチャー他)
○武器を人に突き立てる描写があります         (とーか)
○刃物で斬りかかる描写があります             (智葉)
○絶望に顔を歪める描写があります            (多数)
○攻撃を受けて死屍累々と倒れ伏す描写があります  (照戦イメージ)
○「殺す」発言があります                   (明華)

×古式ムエタイは出ません
×喫茶店のマスターは出ません
×女の子の腹に蹴りを入れるヤクザは出ません
×赤木しげるは出ません
×オカルトを生身でスレイする人はいません
×京太郎に出番はありません

なるべく咲原作からの逸脱は避けたけど、違うからな

あと、一応水に沈められるのも原作に(衣戦に)あるから
気をつけてるけどね、しゃーないね

遅くなったけど始めます




 さて、と一幕。

 さては一杯の茶が美味いというのは饅頭怖いだ。

 一度だけ彼女もお菓子怖いと言ってみたが相手にされなかった。そういう教養が通じないのは実に悲しい事だ。

 これは落語であるけれど、やはり文学に触れるというのは大事なのではないか。

 武士の教養に古典や和歌が入っていたのは言うに及ばず。

 英語圏でも、ラテン語や古典文学の知識というのはその人の生まれ育ちを判別するのに重要になっているとか。


「……」


 ……で。

 要するに長々と考えているそれは現実逃避であった。

 宮永照、彼女は道を見失っていた。

 いや、違う。間違えているのは道の方だ。自分を見失っているのは道の方だ。お菓子おいしいです。

 そう胸を張ってみるが、答えは返らない。宿にも帰れない。なお実際その胸は平坦だった。


(大丈夫。ちゃんとサバイバルガイドも読んだ)


 こういう時は落ち着いて、太陽の方向に時計を向けてみればいいのだ。

 その短針と十二時の方向から方位を算定できる。やはり本を読むのは大事である。お菓子おいしいです。

 実に落ち着いた気持ちのまま、太陽へと短針を向けようとして――


(日が沈んでる)


 宮永照は、目をしばたたかせた。これは予想外だ。なんという事なのであろうか。

 だがまだ慌てるべき時間ではない。ただ一つの方法しか分からないのでは文学少女の名折れである。

 人間がこれまで蓄えた知識はそんなちっぽけでは無い筈だ。ならばそれを趣味にしている自分もそうである。お菓子おいしいです。

 そう、こういう時は落ち着いて年輪を探せばいい。その年輪の密度で北と南が――


(切り株どこだろう)


 そもそもそうも都合よくある筈がなかった。

 何たる不条理か。照は驚愕した。役に絶たないサバイバル知識である。誰が書いたんだあんなもの。

 額を冷や汗が伝う。絶体絶命だ。何よりも不味いのはお菓子がなくなった。このままでは餓死するのではないだろうか。



(……淡は大丈夫かな)


 彼女の頭を過るのは、あの後輩の事である。

 宮永照は断じて――――そう、断じて見失ったのは彼女ではなく道の方だが、一般的に言えば迷っているとも言えなくもない。

 ただ、まあ、拾い喰いをしてはいない。流石にそこまで人間の尊厳を捨てていない。

 道端に未開封のお菓子が落ちていたときはちょっと心惹かれたが、無論それを拾って食べるような人間様ではない。

 流石に馬鹿にしないで欲しい。

 暴“山”の方の駄菓子を冷たい目で無視した宮永照であった。山の方じゃなかったらどうなっていたかは想像の余地を出ないが。

 ……で、だ。

 淡が彼女に向けてきた注意が、こうして実現しているのである。

 ならば淡に対して照が向けた忠告も実際のものとして現れているのではないだろうか。

 例えば変な車に攫われたり。変なお店に引き込まれたり。


(……必ず、必ず助ける)


 拳をギュッと握りしめる。麻雀のその時のイメージのように電撃が走った気がした。

 やはり、こういうのには憧れる。単騎で皆を助けるために突撃するとか。実に小説みたいだ。かっこいい。

 実はヒーローものとか好きだった。

 残念ながら子供の頃、主役のヒーロー役は貰えなかったが……だからこそなのだろうか。ちょっとやってみたい。年甲斐もなく。


「……」


 という冗談はさておき。いや流石にそんな人が追いそれと攫われて堪るか。

 なんとなく今スモークで中が覗けないハイエースがすれ違ったが偶然である。偶然に決まってる。(照だけに)

 というか、ハイエースの製作者に失礼である。そんな蛮族御用達の奴隷商人のピックアップカーみたいに言われると。

 とりあえず鉄球を取り出して、道を眺める。

 ハイエースさんはそのまま走り去っていった。どうやら仕事帰りらしい。


 ……。

 ……うら若き女性が困っているのだからせめて声ぐらいかけてくれてもよかったんじゃないのか。酷い。迷ってるのに。



 それどころかなんだか、見てはならないものを見てしまったようにアクセルベタ踏みしてた。

 幽霊か何かと見間違えたというのか。

 というかそんな場所に人を置き去りにするというのか。


「……」


 ……酷い。

 結局どっちが道なのか判らない。このまま進んでいいのかも判らない。退いていいのかも。

 というか、道が曲がりくねっているのが悪い。その所為で戻れないのだ。

 そりゃあ、照としても自分が大体どちらから来たのかなんて把握している。無論である。そこまで愚かではない。

 だから、別の道を通る事になっても大体の行く方向は判る。判るのだ。判らぬ道理があるものか。

 ただ、判るからこそ困る。

 大体こちらへ行けばいいかと、一本別の道に入ったとする。理論上は、その移動分を加味して考えれば戻れる。

 だけれども、そういう時に限って道が悪い。

 変に曲がりくねっていたり、変に反っていたり、或いは横の道に入れなかったり、途中で止まっていたり。

 つまり何もかも道が悪い。


「……」


 そう、謝罪と賠償を要求したい気持ちでいっぱいになったが……道に話しかけるなんてどうかしている。流石に彼女もそこまで酔狂ではない。

 なんて、くだらない事を考えなければ二進も三進も行かない。どうにもブルドッグは関係ない。というかこのネタ分かるのだろうか。アラサーである。

 ひもじいし、やはりまだ完全に夏とは行かないので寒い。山だし。

 春は花冷えというぐらい寒いと松実宥がストーブを前に言っていた気がする。

 日は長くなり始めたけど、もう落ちている。それが訳もなく不安を煽るのだ。


「……京ちゃん」

「はい?」

「え」

「え」


 呟いたところで返事があったとき、流石の照も目を見開いてしまった。



「強くなったね、京ちゃん」

「……それ出会いがしらに鉄球叩き込んで言いますか?」


 思わず繰り出した鉄球を見事に躱されて、漸く宮永照は落ち着いた。

 これは須賀京太郎である。

 身体能力というか、センスは前より磨かれているらしい。不意打ちに反応するとは。前髪と鼻っ柱を掠めたけど。

 何があったのか。何となく命の遣り取りを経たような凄味がある。本当に何があったんだ。


「……」

「……で、まあ、照さんは道に迷ってた――と」

「私じゃない。道が悪いんだ」

「アッハイ」


 まるで本当に――何もなかったように。

 何もなかったように昔みたいに、須賀京太郎は柔和な笑みを浮かべていた。……若干苦笑交じりだ。

 そのまま彼は、照の隣を歩く。本当に何も変わらずに、昔みたいに。

 これが……夢だと思えるほどに。


「泊まってるのは……」

「松実さんのところ」

「……理由は」

「嫌でしょう」

「……ですよねー」


 あの番組また同じ事やっているのかと、京太郎が溜め息を漏らす。

 そんな風にする仕草も変わらない。

 別れたあの日と変わらない。



 しばしの、静寂が訪れた。

 須賀京太郎は前を見ながら。宮永照は俯き加減で。

 ただてくてくと、道をなぞる。

 時々思い出したようにどちらかが口を開いて、二三言応じる。それからまた口を閉ざす。

 その繰り返しで、どちらも深く踏み込まぬまま――歩く。

 それ以外が不必要であるように。解っていても踏み込まぬように。

 ふと、京太郎が立ち止まった。

 その顔を見上げる――先には星が輝く。須賀京太郎の金髪の向こうに星空。意匠のように、背負っている風にすら見える。


「俺、照さんに言いたい事があったんです」

「……何?」


 その瞳が見えない。余りにも星が眩しすぎて、彼の顔が霞んでいる。

 だからこそ、現実感を失ってしまっていた。

 この出会いが確かなものだという確信が得られない。彼女自身は未だに道に迷っていて、本当は寝ているのじゃないかとすら。

 そのまま、二の句を待った。

 喉が小さく震えて、唾液を嚥下する。それすらも照らしくない行動と言えたが、この雰囲気に彼女も見失ってしまっていた。


「ありがとうございます。俺……照さんのおかげで、人を助ける事が出来ました」

「……そう」

「照さんが今まで壁になってくれてたから……だから俺は強くなれた。多分、そうです」


 胸の前で静かに左手を握りしめる京太郎の姿を、照は呆然と眺めていた。

 向けられた手の甲が、そこだけ切り取られたように白い。臙脂色のカットソーが闇と同調しているだけに猶更。

 そこにいるのは須賀京太郎だが、須賀京太郎ではなかった。

 照の知らぬ思い出を背負った、別の誰かだ。だからこそ、こうも遠い。距離感が曖昧になる。

 きっとそれは、夜の所為だけじゃない。


「私は私がやる事をやっただけだから、京ちゃんが強くなったのは京ちゃんがやった事だよ」


 そう返す、照。



 それで会話は終わった。

 それ以上、お互いにまた踏み込もうとせずに歩き出すのだ。

 聞きたい事は多かったのかも知れない。伝えたい事は多かったのかもしれない。

 だけどまた、歩き出す。ただ夜の道を進む。それ以上の事には、足を進める気にもならない。

 だが――進もうとしたその時に、足元の小石に躓いてしまった。

 思わず悲鳴を上げかけた照に向けられたのは、


「――照ねーちゃん!?」


 咄嗟に差し出された手と、須賀京太郎の焦り顔だった。

 それに――重なる。夏の日が重なる。

 夜だというのに辺りは眩しくなって、何もかもが熱の蜃気楼に巻き込まれたように。

 青年の表情に、少年の面影が過った。


「……今」


 衝動に突き動かされるように、言葉が脳を介さずに口から零れ落ちた。

 その雫に頬を打たれたように顔を反らしながら、京太郎は答える。

 苦々しげに。申し訳なさそうに。恥ずかしそうに。立つ瀬がないように。


「……ああ」

「……」

「思い出したんだ、照ねーちゃんの事」



 倒れそうになって思わず閉じた瞼のその先には――。

 宮永照が知っている。宮永照が知っていた。そして宮永照の知る日常にはもうなかった――。

 須賀京太郎が、其処に居た。


「……そっか」


 もしも――と考えた事がある。

 もしも須賀京太郎が照の事を思い出してくれたらどうなるだろう、と。

 照の事を忘れてしまっていても、須賀京太郎の心根は変わらない。優しい少年は、優しい青年になった。

 だから彼は――あの日も手を伸ばした。

 高々一つのちっぽけな事を由縁に誰かの涙を許していいなんて、そんな事は理由にはならないと手を差し伸べて戦った。

 物語の主人公のように、そうせざるを得ない理由なんて彼は持たない。運命なんてないし、天運や祝福もない。

 そうだとしても――誰かが悲しみに顔を伏せているのを、止めない理由になんてならないと。

 彼は、己の持つ異形に心悩ませる少女と戦った。戦って勝った。彼女たちの最後の希望になった。

 照もその場に立ち会った。須賀京太郎がプロになって二年目の、長野での麻雀教室の事だ。


 それだけで十分だった。

 たとえ京太郎が彼女の事を忘れてしまったとしても、彼には変わりはなかった。

 ただ温和で、ただ温情で――ただ強情。そんな人間だった。

 誰しもが持っているような慈しみと、誰しもが持っているような正義感と、誰しもが持っているような祈りを持った――普通の人間だった。

 それだけで十分だったのに。

 差し伸べてくれた手は普通だったのかも知れない。彼からしたら当たり前の事だったのかも知れない。

 それだけで――でもそれだけで救われた気持ちだった。

 ――――彼は、宮永照を人間にしてくれた。

 その事が嘘じゃないと思えるだけでよかった。そんな心根が変わっていないというだけでよかった。

 よかった、のに。



「プロを辞めてから……闘ったんだ。オカルト喰いって雀士と」


 その名はたしか、照の耳にも届いていた。

 裏の方が騒がしいと――去年も暮れの事だった。

 ところがそんな噂もぱったりと途切れた。奪われたオカルトのその後の話も聞かないという事は、事態が収束したのと同義。

 一度だけ、それとなく辻垣内智葉に問いかけてみた。

 その時には「もう終わった。何事もなくな」と言われて、ただそうかと思った。そんなものかと。

 しかし、それも――。


「そんときに……まあ色々あって、思い出したんだ。照ねーちゃんの事」


 それから、と彼は続ける。


「俺が……忘れちまってたって事」


 瞳が落ちる。目線が下がって、それは照の足元あたりに。

 どう伝えたらよいものか、京太郎は悩んでいた。逡巡しながら、言葉を探していた。

 照の胸の中で、ある痛みが蘇った。

 それは今までの生活の内に押し流されて、切り取られて忘れてしまっていた感情だった。

 或いは、彼女自身が切り取ってしまったのか。切り取って追いやってしまったものなのか。
 

「俺、照ねーちゃんの事――」


 でもだからこそ、須賀京太郎が口を開いたそんなときに。

 宮永照は、即座に彼の言葉を区切って応じた。


「いいよ、京ちゃん。京ちゃんはその分、誰かの事を守ってあげたんだから」


 だから笑う。

 ただ自然に笑う。

 謝ろうとするあの日の須賀京太郎に笑う。


「……照ねーちゃん」

「強くなったんだね、京ちゃん」


 だって彼女は、宮永照は、自分は、「照ねーちゃん」だから。


「それだけで……うん、良かった」



 それは確かに彼の優しさだった。

 だけど別に、約束が全てではない。その約束が大事なのではなく、その約束をしようとした気持ちが大事なのだ。

 それを忘れてしまったとしても――。

 やはりその約束をした時と同じような温かい気持ちを以って誰かに手を差し伸べられたのなら。

 誰かの涙を拭おうと思ってくれる心を忘れないでいてくれたのなら――それだけで十分だった。


「京ちゃん、結婚したの?」

「へ……え?」

「今付けてないけど、付けてるってのは分かるから」


 バツが悪そうに須賀京太郎が視線を逸らした。

 その左手の薬指の中ほど、僅かに証が見てとれた。今外してしまっていたとしても、如実に。

 この様子ではきっと、喧嘩か何かでもしたのだろう。それとも仕事中か何かは外していて、そのまま外しっぱなしなのかも知れないが。

 どちらにしても、彼は彼で上手くやっているようである。


「……そうだね。じゃあ、照ねーちゃんからは一つ」


 言いたい事は沢山あった。

 伝えたい思いは色々あった。

 もしも彼が思い出してくれたらどうしようかと――照は考えても居た。

 今もやはり、悩んでいる。何を彼に告げればいいのか、彼女としても考え続けていた。

 だけど――ああ。

 ああ――――こんなときに言うとしたら、きっとこれが正しいのだろう。


「京ちゃん。――――幸せになってね」





 ある、夏の日だ。

 少年が歩く。彼よりも少し身長の高い少女が歩く。

 二人とも、口を閉ざしたまま。

 少年の躰には、いくらかの擦り傷が目立つ。それでも彼は痛みを噛み殺して、気丈に前を向いていた。

 一方の少女は、俯き加減。傍と見たら窺えない顔色で、それでも内心には苦渋が見える。

 ふと、少年が口を開いた。


 ――――大丈夫だよ、ねーちゃん。


 ――――あんな風に、高々ゲームの事でねーちゃんを虐める奴なんかに俺は負けないから。


 ――――こんなの、全然痛くないから。俺は平気だから。


 ――――またアイツらがねーちゃんを虐めに来たら、俺がねーちゃんを守ってやるから。


 ――――俺、絶対に負けないから。何回やっても、こんなの全然平気だからさ。


 ――――だからねーちゃん、泣かないで。



 少女はただ、うんとだけ頷いた。

 笑いかける少年の顔は、太陽みたいに眩しかった。



                                                         ――了

照が報われないと言ったな?スマンありゃ嘘だった

後味悪いしね。ハッピーエンドだからね
で、対になるアコチャー編は明日あたり投下できるんじゃねーっすかね。明後日からまた仕事地獄だ


なおアワイ=サンは小走先輩の家でくつろいでいた模様

おやすみー


咲:文学少女幼馴染ヒロイン。気安い関係であるし、負けたくもないし、彼女を悪くしようとする奴はぶっ潰す
照:忘れてしまった幼馴染姉系ヒロイン。ぽんこつおねーちゃん。ある意味恩人でもあり、壮絶なフラグの持ち主
淡:ツンアホヒロイン。最初なんとも思ってなかったのにライバル視してくる。エンカウント率高いラブコメ

穏乃:天真爛漫系元恋人ヒロイン。彼女に一時救われてたりなんやり
灼:無口系おばあちゃんっ子ヒロイン元カノ。彼女に一時救われてたりなんやり
憧:むっつり系いい女元ツンデレヒロイン。大学時代相当ラブコメしてますわこれ
玄:おだやかおしとやか系大和撫子おもち狂いヒロイン。熱中症だったところ助けられてる
やえ:頼りになる先輩系若干人見知りヒロイン。京太郎がプロになれたのも彼女の一言があって。相棒
一:さっぱり系親友僕っ子マジシャンヒロイン。なおであった当初はツンデレで、後地味に昔一緒にヤクザから女の子助けてたりする
浩子:辛辣ツンドラ系データ啜りヒロイン。京太郎が助けたりなんだり
白望:ダルがり系要介護先輩ヒロイン。組み伏せられた時は産む覚悟までしてたとか

優希:忘れがちやけど一応告白してたねんで
巴:忘れがちやけど一日だけ彼女になったりしたねんで
絹:忘れがちやけどPK対決したねんで


罪深い男よ……

そのままアコチャー行きますよう




【BURNING LOVE : ヒィィィィィイート・エンドォォォォォォォォォォォォ!!!】




「信じらんない!」


 キッと瞳を強めるその先には、須賀京太郎。

 若干申し訳なさそうにしているが、口元にどこか不満が浮かぶ。


「なんで言ってくれなかったのよ! 晩御飯作ったのに!」

「いや……」

「それで外食してきたって何よ! こっちも疲れてて、それでもご飯作ってたのに!」

「それは……」


 京太郎が言葉を詰まらせた。

 そんな様子を眺めて、それ見た事かと憧は腰に両拳を当てる。

 だけれども――京太郎も負けてはいない。


「でもな……今日は俺が担当の日で、ついでに言うなら夕飯は作り置きしてあるって書いといたろ」

「う……」

「というか俺、何回か言おうとしたよな? 阿知賀で。話聞こうともしなかったのは憧もそうだろ」

「それは……そうだけど」

「だろ?」


 うぐ、と憧は黙り込んだ。

 確かに勝手に夕飯を作ったのは憧の早とちりだったかも知れない。

 しかし――だ。しかし。

 今日の昼のときに、ふと「なんかまた憧のカレーが食べたいな」と言ったのは果たして誰だろうか。

 そしてカレーの話で盛り上がったのは、一体誰だというのだ。

 それより何より、遅くなるなら一報を入れるべきだと思う。新婚の妻を家で待たせるとはどういう了見だ。お互い職場が同じだというのに。


 しかも、帰ったのは京太郎の方が早かった。

 彼はその後部活――麻雀部に顔を出したが、憧は顔も出せなかった。本日に限っては。

 話を聞かないというのも要するに、それだけ仕事が多かったから。新任の京太郎と違ってもう五年目ともなる憧の方が、やらなきゃならない量は多い。

 それでも給料は折半。家事も半分キッチリ分担。男だからどう、女だからどうと言う不公平はなくやっていこうとしてるのに。


「っていうかあんたねー、そもそもちゃんと充電しなさいよ! あと外付けバッテリー!」

「充電足んないってのは昼言ったし、その時バッテリーも忘れたって言っただろ!」

「あたしも言った! 『生徒から充電機借りたら?』って」

「俺も言ったよな。『流石にそれは無理だろ』って」


 売り言葉に買い言葉。二人の間の空気が、ますますヒートアップしていく。

 新婚。かれこれ優に三か月ほど。

 しかし三が付く日は何かの区切りと言おうか――ここに来て、結婚後初めての大喧嘩が繰り広げられていた。


「なら、誰かから電話借りて連絡しなさいよ! 送ってって、ついでに相談に乗ってたならできるでしょ!」

「そりゃ……でも、相談中に電話貸してとか言えるか?」

「終わってから時間あるんじゃないの? そんときにでも言ってくれたら、あたしもまだやりようはあったのに」

「直ぐに帰ろうと思って、車にさっさと乗ったんだよ。それで送ってった」

「で。送ってった相手の家で電話を借りるって選択肢は?」

「はいはい、思いつきませんでした。俺が悪かったです」

「あんたねえ……!」


 どちらが決定的に悪いかというものがない。少なくともお互いそう思っている。

 小さな食い違いや失念の積み重ね、或いは効果を為さなかった思いやりが積もり積もって発露した分、互いに譲ろうとはしない。

 だから、態度にそれが現れる。そしてお互いにそんな様子に、怒りを煽られていた。



「どーせ、ちょっと可愛い女子高生から『先生、相談があるんですぅー』なんて言われて調子に乗ってて舞い上がってたんでしょ?」

「はぁ!? お前、生徒の事を良くそんな風に言えるよな! それとこれとは関係ないだろ!」

「なーに、図星? そんなに怒鳴ったって、あんたが正しい理由にはなんないんだから!」

「おま……!」


 京太郎が言葉を濁らせたのは、確かにそう思っていた事を突かれたから。

 だけれども彼にとっては『生徒から信頼されて相談事をされる教師』への嬉しさがあり、勝っていたのもそちらの方。

 憧からの紹介という形で女子高である阿知賀の教員として付いている以上、彼女の為にも早く一人前の教師として認められたい。

 また、言うまでもなく愛しているのは憧であるし、だから猶更、彼女の口からそんな風に俗に塗れた邪推を向けられる事が我慢ならない。


「……ああ、そうかよ!」


 頭を冷やしてくると、京太郎はキッチンを出た。臙脂色のカットソーと白いパンツのまま、上着も持たずにスニーカーをつっかけて家を出る。

 一方の憧も、勝手にしろと顔を背けたまま。お鍋の前で腕を組む。

 やがて、足音が離れていく。そんな中でも憧は、目をきつく結んでいた。怒り心頭。未だに冷めやらない。

 その前には、鍋に入った大量のカレー。


「……せっかく作ったのに」


 新しい生活に、京太郎が戸惑っていると思った。フリーターと違って、やはり急激に業務量や責任は増える。

 憧にも、覚えはあった。新任教師の辛さは分かっていた。

 だからこそ――だからこそせめて、ちょっとでも京太郎が食べたいと思っていたものを作って元気づけてあげたかったのに。

 その結果がこれだ。

 本当に――本当に、少しでも連絡してくれたなら。どこかでちゃんと一報をくれたのなら、こんな事にはならなかったというのに。

 京太郎の調子の良さと、慣れた人間に対する気安さが恨めしい。同じだけ自分の、勝手な思いやりというのも憎らしい。

 それらが完全に、裏目に出ていた。




 ◇ ◆ ◇




「……よ、ただいま」


 返ってきた京太郎は、凄惨な有様だった。

 頬には擦過痕。肩口の辺りからは出血をして、その身も憔悴し切っている。

 エプロンをつけたままの憧は――それでも思わず飛び出して、その体を抱きしめた。


「……おかえり、京太郎」

「……ああ」

「心配、したんだから……」


 声に涙が滲んだ。

 麻雀を打つという話であったが、まさしく彼は戦場に居たのだ。命がけで戦っていた。

 その手に携えた袋から覗いた柄――完全に物語の騎士が振り回すような、身の丈ほどの大剣のそれ。

 憧も知っている、以前京太郎が出演したドラマで使用していた武器――小道具。

 麻雀に何故そんなものを持っていくのかは不明であったが、どうやらこの分では一度包装を解いており、使用したのであろう。

 何があったのか聞きたい。でも、聞けなかった。

 ただ彼は――憧の元に還ってきてくれた。

 迫り来る困難を押しのけて、押し寄せる邪悪を切り払って、憧の待つ家まで戻ってきてくれた。

 それだけでも、もう胸は一杯だった。そんな気持ちが溢れ出て、目を伝って頬に流れる。


「……憧」

「なに、京太郎」

「ちゃんと、見えてる。……見えてるからな」


 そう言って、京太郎から強く抱き返す腕。

 本音を言うなら、そんな戦いになんて行って欲しくはなかった。ひょっとしたら失明するかも知れないなんて、憧も重々承知だった。

 見知らぬ誰かの為に、身を危険に晒して欲しくはない。当然だ。

 だけれどもきっと、須賀京太郎は考えなしにはそうしない。しっかりと考えた上で、それでも京太郎しかできる人間が居なかったから戦いに行った。

 憧が京太郎の光を危ぶんだように、きっとそれ以上に当人が失明を恐れているのだから。

 だけれどもそれでも彼が戦いを選択するというのは、つまりはそういう事だ。



 だったら――それを支えてやるしかないじゃないか。

 悲しむ事は、行きずりの人間にだって出来る。止める事も同じく、どこの誰でも出来る。

 でもそうやって覚悟をした男を送り出す事は――――きっと、憧にしか出来ない事。

 だから、精々強がって背中を叩く。不安なのは京太郎も一緒で、後ろ髪を引かれるのは彼だって同じ。

 だけれどもそうやって余計な事に悩んでいたらきっと、それが京太郎の明暗を分けてしまうから――だから。

 だから他でもない憧が、京太郎を送り出してやる。


 戦って欲しくないから止めるんじゃない。心配しているから引き留めるんじゃない。

 絶対に無事でいて欲しいから、だからこそ猶更、憧はその最後の希望と勇気になってやるのだ。

 好きだから諌めるのじゃない。好きだから縋り付くのではない。

 愛しているから――だからこそ、笑ってそんな男を送り出してやるのである。


「うん……。ありがとう、京太郎。帰ってきてくれて、ありがとう」

「まー、約束したしな。最後の希望が、希望を裏切ってどうするんだよ」


 笑う恭太郎の胸に手を添えた。

 熱い躰。つい先ほどまで、命の遣り取りをしていたと、何よりも雄弁に語る鼓動。

 多分それは京太郎にとっては予想外で、でもどこかで覚悟していた戦闘。恐らくは襲い来る火の粉を、自慢の肉体で切り開いたのであろう。

 本当に、無茶をする奴だ。

 誰よりも平和が好きそうで、穏やかな男なのに……だからこそ強情で。


「それにほら、可愛い嫁さんを未亡人にする訳にはいかないよなーって」

「……ばか」

>>111(訂正)
×
 笑う恭太郎の胸に手を添えた。


 笑う京太郎の胸に手を添えた。


いきなり浮気するとかアドルフさんもびっくりだよ



 それから――全部が終わって、聞いた。

 彼がどういう戦いをしていたのか。どういう風にして、その輪の中に飛び込んでいったのか。その戦いの中で何があったのか。

 肌蹴た肩を並べてシーツに横たわる京太郎の腕が、憧の髪を撫でた。慈しむように、穏やかに。

 先ほどまで愛を熱く耳元で囁いていた口が、徐に開く。


「それでも流石に拳銃向けられた時は……これヤバイって思ったけど」

「はあ!? 銃!?」

「全部終わってから、そいつがゴネてさ」


 京太郎は振り返る。

 勝負を決めて、天目譲司の野望を打ち砕いたその後――譲司とそれに組する者たちは実力行使に踏み切った。

 あとは単純。泉や恭子、伊吹は立会人に任せて、京太郎はその暴力を叩き潰しに掛かった。

 元より古式ムエタイのそれは、戦場への運用を主眼としている。故に破壊する箇所は首や頭部、相手の膝など鎧の外にある部分。

 打撃についても、前蹴りや肘打ち。膝蹴りなど“己が武器を持っていても咄嗟に使える部分”を使用するのはそれが故。

 聖ジョージの剣を片手に立ち回る。

 撮影で覚えた殺陣と、アクロバット、それから古式ムエタイをベースに組み合わせた戦闘術。

 人間にある意と間合い、その出だしを剣で殺し――――小道具と言っても迫力がある。切っ先を意識のその先に置かれたら人は止まる――――制圧。

 あとは余程迫力があったのか、殺陣の内に習った“正しい峰打ち”を行う事で、精神的ショックと思い込みで“斬られた”と気絶させた。

 やはり、色々な事をやっておくものだと京太郎は思った。何が命を拾うことに繋がるか判らない。


「だから肩、こんな風に……痕になっちゃうかもね、これ」

「まぁ、それを言ったら背中の爪痕の方が――」

「ううううううう、うるさいわよ!!!! うっさい! うるさいこの馬鹿! うるさい!」

「それを言ったら憧の声の方が――」

「うううううううううううううううううるさい馬鹿喋るんじゃないわよこのドスケベ変態鬼畜男ド変態!」

「でもそれで悦んでたのは憧の――」

「黙りなさいっつーの! っていうかあたし黙れって言ったわよね!? ああそう物理的に口封じされたいのそうなんだそうなのねへーそうなんだへぇえええええ!」

「え、ちょっと憧さん……? あの、怖い……顔怖いぞ、なあ……」

「あー、こんなところにお酒があるー。飲んじゃおーっと♪」

「ちょ、おま……それは…………ちょ、お、あ、おい、うお………………アッ――――――――――――――!?」


 翌日、「穢された」と京太郎はさめざめと泣いていた。

 お互い様だと、憧は思った。

中断というかまた夜に

ほい、ではラストです
これで本編完全エンドやでー




 ◇ ◆ ◇




「……はぁ」


 一人静かに腰掛けるうちに、段々と頭が冷えてきた。

 同時に浮かぶのは、彼がこんな時間にどこに行っているかだ。

 コンビニで時間を潰すというには長すぎる。パチンコなどの賭け事を行う男ではないので除外。

 雀荘は――あれからコーチとして打つ事はあっても、それ以上麻雀を打とうとはしていない。

 やはり、多少なりとも目に負担がかかるのか。それとも、プロの第一線に立っていた身がアマチュアに交じって稼ぐのは不公平と思っているのか。


 となると一体、彼はどこに行くのだろう。

 奈良県吉野は、憧の実家だ。彼の生まれ育ったのは長野で、仕事をしていたのは東京。どちらもあまりにも隔てられている。

 だから、実家を頼るというのはあり得ない。そもそも男が実家に帰るというのは余り聞かない。

 それにもう、頼ろうにも京太郎に両親はいない。


 では……。

 彼の知りあいというのは、阿知賀女子の――つまりは憧の同級生やチームメイトである。

 憧の親友の高鴨穏乃は京太郎の元恋人。高校時代の一時――一年に満たない期間交際をして、それから破局した。

 それは幼い高校生での遠距離恋愛故のひずみであって、お互いの関係が冷めきったり、嫌い合ってという事ではない。

 憧の先輩である松実玄は京太郎とも友人関係。プロの時、たびたび番組での取材の機会もあったとか。

 黒髪の美人で、おしとやかな大和撫子。男ならば放ってはおかないし、あれは京太郎のタイプであろうと思う。

 おそらく――憧の見立てでは、玄も満更ではない。憧とこうして結婚していなければ、今頃は玄と結ばれていたのではと思うほど。

 それから、鷺森灼。

 ここに関しては女の勘でしかないが――距離が近い。

 大学のときに、憧と京太郎は殆ど一緒に居た。だけれども、二年生の一時彼が失踪した事を知っている。

 それは後輩を止める事が出来ず、必死に食い下がった為に家を開けがちだった両親に変わって彼の傍に居てくれたペットの異変の発見が遅れ、死に立ち会えず――。

 止めとして、憔悴した京太郎の世話を焼いていた憧に対して当り散らしてしまってから起きた事。

 結局夏休みいっぱいをどこぞで過ごして戻ってきた京太郎は、以前のように笑うようになり、以前よりもタフで強くなっていたが――。

 ひょっとしてそれに、灼が関係しているのではないかと思っていた。

 他には、松実館で住み込みで働く(形としては手伝いであるが)あの少女――石見伊吹。

 オカルト喰いと呼ばれた、オカルトスレイヤーの最後の敵。須賀京太郎が手を差し伸べた少女。

 彼女の家に母はなく、父親と二人暮らし。おまけに父親が重ねた借金のカタにヤクザの元で、賭場の勢力拡大の駒として扱われていた。

 それを京太郎が助けた。盲目となるリスクを背負い、銃撃を受けつつも救い出したのだ。

 その父親の元に居ては――結局は元の木阿弥となる。そんな判断から憧と京太郎は関連施設へと届け出て、彼女と保護者の親権を解除した。

 言うのならその父親は強度のアルコール依存症でもあり、京太郎は元とはいえ麻雀プロ。おまけに憧が教師なので、駄目押しとなった。

 それから――友人である弁護士の原村和に相談して、どうにか彼女を引き取れないかと考えた。婚姻を結んでいれば、その資格はある。

 しかし少女からの申し出で断られ、結局後見人という形に落ち着いた。

 その彼女は、京太郎に慕情とも好意とも憧憬とも尊敬とも付かぬ感情を抱いている。物語の騎士のように苦境から助け出してくれたのなら、無理もないだろう。



「……あたしってば、最低」


 憧の心を深く曇らせたのは、この場で“それ”を考えてしまったから。

 友人を疑い、先輩を疑い、夫を疑う――どうしようもないドス黒い想像。

 皆、そんな事をするような人間ではないと思っているし、憧も信じている。だからこそ――ホンの少しだとしても頭を過った可能性が、吹き出るほどに恨めしい。

 何よりも恥ずかしい。

 一瞬でも、最悪の想像をしてしまうような自分の弱さが情けなく、消え入ってしまいたいほどの羞恥と恥辱を生んだ。


 キッチンの中を静かに見回した。

 やったのは口喧嘩だけ。お互いに決して、手を出そうとはしない。

 憧も癇癪に任せて物を叩きつけたりもしなければ、京太郎も怒りそのままに手を上げはしない。二人ともその程度の分別はあった。

 だけれども、あるからこそ何故こうなるのか――という思いでもある。

 本当はちょっと、京太郎を励ましたかっただけなのに。ほんの少しでも喜んでくれたら、料理を食べるその顔に幸せな気持ちになれたのに。

 なのに、どうしてやってしまったのだろうか。

 間違った事は――言ってないと思う。京太郎にだって、非はあった。だけれどもそれは、ホンの軽い気持ちであったのだろうとも。

 些か目くじらを立てすぎたのではないか。それに、後半はただ苛立ちをぶつける口実を探していたのではないか。

 学生時代はこんな風にしょっちゅう言い合いになった。お互いに余計に意地を張って――余計に噛み付いて。

 いつまでそれを繰り返すのだろうか。もう卒業しても良い筈だ。でも……。


「……よし。とりあえず、カレー食べよう」


 思えば、帰宅してから何も口にしていなかったのである。腹が減れば、それは苛立ちに向かうのも必然。

 どうするにも、と頭を振る。

 すっかり冷めきってしまった鍋に火を通して、皿に盛りつける。一応、もう一皿も出した。

 それから、冷蔵庫にしまってあった京太郎が作り置いたおかずも並べる。

 そのラップの上にある文字に――『ちゃんと食べる事。あと洗い物は俺がやるからそのままでオッケー』――顔を綻ばせる。

 そんなときに、玄関が開いた。鍵が回される音――聞きなれた足音。


「……」

「……」


 何となくの気まずさで、挨拶をする事が出来なかった。

 互いに視線を合わせれず、憧は逃げるように鍋に向き合う。



「……カレー、食べる?」

「……ああ」


 盛りつけた皿の、具材が溶け合ったカレー。

 そのまま二人で黙々と食べた。だけど、やけに辛い。空腹だからだろうか。

 見れば、京太郎の方も舌を突きだしている。どうにも調味料を入れ過ぎたのか――何ともおかしな話だ。

 そうして食べているうちになんだか悩んでいたのが馬鹿らしくなって、自然と笑い合っていた。


「憧、悪かった。言われてみたら、確かに言うとおりだったよな」

「ううん、あたしもちょっと言い方酷かったし……。お互い、次から気を付けようって感じで」

「だな」


 そうして穏やかに話しているうちに――本当にカッとなって暴れたりしないでよかったと、二人揃って胸を撫で下ろした。

 それから、『ちゃんと連絡手段を確保する事』という形で話は終わった。

 諍いの大元を引き起こしたのは、実に些細な擦れ違いからである。理由さえ判ってしまえば、あとは気を付けるだけだ。早々繰り返さない。

 京太郎が片付けを請け負ったそのまま、憧は風呂場に向かった。

 長くなったが――実に互いに不本意な形で長い一日となったが、あとはもう休むだけだった。


「そう言えば京太郎、どこ行ってたの?」


 風呂上り、リビングの白いソファーに腰掛けて。バスタオルを頭に被せたまま。

 なんとなくニュースを付けながら、同じく風呂を上がってストレッチを行う京太郎に肩越しに問いかけてみる。


「んー、その辺走ってた。身体動かせば割と気分ってどうにかなるしなー」

「……この体力馬鹿」

「嫁さんの為に鍛えてますから」

「……ただのあんたの趣味でしょーが」


 軽口で応じる京太郎に、口を尖らせて返す。

 昔はこんな風になりたいと思ってもなるとは思っていなかったが――やっぱりお互い、根本のところで変わっていない。

 尤も、流石に憧とて昔と違って即座に拳で応じなくはなった。そういう意味では互いに成長したのであろう。



 一つ分を開けて、京太郎がソファーに腰を下ろした。僅かに揺さぶられたそのままに、京太郎の顔を見上げる。

 穏やかな目であるが……どことなく、様子が違う風にも思える。

 そう憧が考えた瞬間、応じるように口を開く京太郎。変なときにタイミングを外さないのは、昔から。


「あとはまあ……珍しい人に会ったか」

「珍しい人?」

「……宮永照。玄さんとこに泊まってるんだって。道に迷ってたんだぜ、あの人」

「あー、方向オンチかー」


 何とも思わぬ――或いは憧を信頼しているからこそ、実に平然と呟いた京太郎のその言葉。

 実際のところ、ああそうかと憧も受け流した。久しぶりに共演者にあって昔の想い出の一つや二つを語ったのかもしれない。

 京太郎の瞳に満ちるそれは、望郷の気持ちや――或いはノスタルジーにも似ていた。

 疑問は解消された。まあ、それはいい。そして別にだからどうという話ではない。

 話ではないのだが……やはりどこかで、負けず嫌いな憧が顔を覗かせた。


「あたし、さ」

「ん?」

「玄とか宥姉みたいにスタイル良い訳でもないし……しずみたいに、京太郎の前からって訳じゃないし……テレビ出てる人たちみたいに可愛い訳じゃないけど……」


 腰かけたソファーの上。一つ分挟んだ隣に座る京太郎。

 胸が苦しくて何となくその顔は見れなくて、ただテレビ画面を眺めながら次を繋ぐ。

 言い出してしまったら――さっきまでは小ざっぱりとした気持ちであったのに、己の内で何かが高ぶっていくような感覚を憧は得た。


「目を離さないで……って言ったのに……なにしてるのよ、馬鹿」

「……悪い」

「馬鹿」

「ごめん」

「ばか」

「悪かった」

「……ばか」


 ソファーの間に置かれた手が、重なる。お互いの指の間に噛み合って、熱を持つ。

 汗も掻いていないのに湿り気を帯びた熱を感じる掌に合わせて、ソファーの空白が縮まっていく。

 そこで――何かを思い立ったように、京太郎がぽつりと口を開いた。


「憧、俺さ……。――今、幸せだよ」

「……あたしもよ、京太郎」


                                                                ――了

という訳でめでたしめでたし、オカルトスレイヤーの戦いも終わりです
蟹モフさんのように幸せに暮らすでしょう


ここまで本当に一年半近くのお付き合い感謝で、バトル望んでない人には「なんでコイツ戦ってんだ?」だしイチャコラ期待してる人には「テメーさっさとくっつけや」だし
途中から部署変わってからの仕事の忙しさで、お題は完全消化ならずのスレのテンプレのはずの掲示板ギャグは放置
そっち期待してた人には申し訳ない週刊少年ジャンプもびっくりの熱血王道バトル路線を走る事になりました。誠に申し訳ない
それでも楽しんで頂けたなら何よりです

これだけは絶対に言いたいけど……
まさか京憧スレより先に京憧エンド書くことになるとか思わなかった。世の中判んなすぎるだろいくらなんでも


では、また夜に。すぐじゃないし完全に予定でしかないけど、一応次に何書くかとかね

夜(深夜)ですね……日付が変わりますよう

お待たせー

とりあえずあれやね。出せなかったデータとかね、出しますかね

出せなかったデータ? ああ、どんだけ女の子を悲しませてきたかっていうあれか

3位 「赤き腕を持つ帝王」 荒川 憩
ベーススタイル:『技術昇華+運+オカルト』

攻撃力:50/60 防御力:60/60 速度:35/60 
技術:45/60 幸運:50/60 気力:60/60
※(35+45)/2+50=90 コンマ10以上にて聴牌
※50×(50+45/2)=3650 これをコンマ一桁倍

・『赤き腕を持つ帝王(0)』
 放銃後に己の運が上昇するという能力を発展させたスタイル。
 己が受けたロン和了をストックし、任意のタイミングでその打点と同じ(近い内でそれ以下の)和了を行う。

・『赤き腕を持つ帝王(5)』
 本来のスタイル。攻撃を受けてなお怯まぬ装甲の怪物。
 誰か一人のツモ和了による失点をストックし、以後の和了の際、本来の打点にその打点を上乗せする(中で最も近いそれ以下の点数の和了とする)。
 ストック数に限りはないが、ストックする度に気力を消費し、
 また、この“特性(のうりょく)”を他と組み合わせて使用することは不可能。

・『赤き腕を持つ帝王(10)』
 自切。
 誰か一人のツモ・ロン和了の放銃対象を自分に決定する。
 この際、相手は和了するか否かの選択ができるが、
 和了を選択しない場合、再度聴牌判定を行う。


10位「夢を盗む天使」 エイスリン・ウィッシュアート
ベーススタイル:『技術昇華+オカルト』

攻撃力:30/50 防御力:35/50 速度:35/50
技術:40/50 幸運:40/50 気力:60/60
※(35+40)/2+40=78 コンマ22以上にて聴牌
※30×(45+40/2)=1950 これをコンマ一桁倍

・『夢を盗む天使(0)』
 卓上に理想の牌譜を描き出す程度の能力。
 そんな理想――夢に囚われた他者は、最後で裏切られる。
 研究を重ねて、他者の打ち筋や思考を分析した上で卓上に牌譜を描く技能は、容易に異常を悟らせない。
 コンマ値が自身を下回る他家一人の聴牌・和了を取り消し、全体の和了判定から再開する。
 また、技術がエイスリン未満のキャラクターは無条件で和了ができない。

・『夢を盗む天使(10)』
 理想の牌譜とは、言うなれば最高最速の形。
 その形を脱することは即ち、最高打点の放棄を意味する。
 自身の判定値を下回る他者は和了不可能とし、自身の聴牌と引き換えに、和了した他者一人の出目を半減して打点判定を振り直す。




15位「視えざる空の支配者」 南浦 数絵
スタイル:『技術昇華+オカルト』

攻撃力:40/50 防御力:40/50 速度:30/50
技術:50/50 幸運:40/50 気力:60/60
※(30+50)/2+40=80 コンマ20以上にて聴牌
※40×(40+50/2)=2600 これをコンマ一桁倍

・『視えざる空の支配者(0)』
 南場の南家、南での和了によって――――天を裂く悪魔の黒燕は陣風に乗る。
 南場の南家での和了以後、南浦数絵の速度を80としてそれ以降の聴牌・和了判定を行う。
・『視えざる空の支配者(10)』
 片岡優希や上重漫が行ったオカルトや運の制御。
 ――――破壊力を速度に、速度を破壊力に置換するという概念。
 南場においては局毎に、攻撃力と速度において、それぞれ任意の値振り分ける事が可能。



44位「蒼い血の死神」 大星淡
ベーススタイル:『技術昇華+オカルト』
攻撃力:45/60 防御力:30/60 速度:40/60
技術:40/60 幸運:45/60 気力:60/60
※(40+40)/2+45=85 コンマ15以上にて聴牌
※45×(40+40/2)=2700 これをコンマ一桁倍

・『蒼い血の死神(0)』
 他家に忍び寄る死神の触腕。縛り付ける緩慢な死。
 他家は、コンマを44以上出さなければ聴牌不可能。自身の防御+30。
 和了判定にて、自身の聴牌判定値に+30した値で割合を算出する。

・『蒼い血の死神(5)』
 動きを止めるのは総てはこの為。獲物の五体を封じて行われる捕食。
 自身の聴牌確定。打点を跳満で固定する。ツモ和了不可能。
 和了判定時の自身のコンマ値は44とする。(これに30を加える)


 彼女が行ったのは――――自分自身の能力を、下方修正するというただそれだけの調節。
 ダブリーをしているのにツモ和了する、ダブリーをしているのにカンよりも先に和了する、ダブリーをしているのにカン裏が乗らない。
 そんなフェイクとフェイント、能力の重心変化が彼女の生物としての戦術の幅を広げた。
 しかし、重心を変化させてもその本質は同じである――――。

・『蒼い血の死神 (10)』
 能力の本質を変化させず、その発動の重心を変化させた結果の“特性”。
 五向聴とはつまり、最低でも五巡は聴牌できず、和了までには六巡を有するということ。六向聴なら七巡。
 彼女は、任意のタイミングでそれらの結果を引き起こす。
 他家全員の聴牌判定値との差分が44以上になった時点で、大星淡の和了を確定させる。

・『蒼い血の死神 ver.2(10)』
 須賀京太郎のスタイル、高鴨穏乃との対戦経験・特訓、宮永咲・宮永照の能力をモデルにして、
 大星淡独自の理論から産み出された――――『技術昇華+オカルト』。
 打点の分散。不運の累積。瞬間的ではなく浸透する勁。
 和了時、自身の打点をその打点以下の任意の点数に変化可能。
 そして、別の局の任意の時点で、本来の打点との差分の点数の和了をその相手から行う。

という感じですね、データ
益々どう殺すんだの憩ちゃん・雑魚殺しのエイちゃん・まあ燕やし飛び立つまでは……の○んぽさん・発勁使いの淡です

8位さんは「心拍数や発汗などから相手のブラフや進みを見切る眼(アニメ)」「必ず叩き込まれる打撃」みたいな
6位さんはそもそも原作でどうなってんだよなんでね


改めてこいつら人間じゃねーよでした

このコンマの奴で一回闘って見たかったんだけどね、仕方ないね
というか人類の到達点が「ゲームのルール自体変更するからテキスト無意味」かましちゃったから仕方ないね
やってみたかったなぁ……


1としてもっと書きたかったの

・アコチャーと京太郎と残念大学友人三人衆のラブコメ
 ……ネタだけはクッソあった。「Na Na Na サマーガール」のイメージで

・咲ちゃん。京咲
 もっと京咲フィールを高めたかった。最終回京咲と言いながら京照になってた。なおアコチャーエンド

・一ちゃんと仲良くなるまでとかなった後とか
 最初のつんけんしてた時期とか。二人で遊びに行ったりとか

・あらたそキッチン 最盛編
 結局お前らどこでくっ付いたんだよって判らねーがもう終わった話だし……

・久
 何だかんだ一番キャラ崩壊しづらくて書きやすいから。ダラダラ喋る感じの

・フナQ
 ツンドラって可愛くないですかね


1として結構きつかったもの

・淡
 放っておくとライダースレに引きずられてヒロイン度が上がる。くっつけよもう

・穏乃
 なんでお前こんないい子と別れてんだよってなるのとあと付き合ってから(遠距離)が地味に想像付かない

・玄
 油断すると結婚する

結局途中でブン投げてしまった闘牌は


・照&煌 VS 智葉&菫
 最終的には照&煌の勝利
 勝ち筋としては、「煌が残り0点になる→誰も煌から点数を奪えないからツモ・ロン不可能→本人は気にせず高打点を作れるんですよね」ってなの

・京太郎&やえ VS 哩&姫子
 最終的には本編にも会ったように京太郎&やえの勝利
 勝ち筋としては、「京太郎が哩に高打点和了を仕向ける→リザベも高打点という事はそれに至る手が限定される→やえさんが手を合わせる→頭ハネ」
 「え、確かにリザベで和了したよね? でも頭ハネしないなんて言ってないよね。ほら、和了できてるじゃないか?」
 というキュゥ○えもビックリな理論で『オカルトを使わせた上で』叩き潰すという戦法。そら恨まれる

・全国プロアマタッグ(宮永咲&竹井久VS魔物小学生編)
 書いたけど、咲ちゃんが「相手の攻撃を受けつつその上からブン殴る」「槓子操るって打撃が爆発する」って感じでやり
 更には久が「そっちに構ってていいのかなー?」「あら、私見てて大丈夫?」って具合に心理戦でボコボコにした

・全国プロアマタッグ(エイスリン・ウィッシュアート&小瀬川白望VS松実宥&松実玄編)
 クロチャーがレイプ目になる

・全国プロアマタッグ(清水谷竜華&園城寺怜VS姉帯豊音&臼沢塞)
 りゅーかが、怜の身体状態を“神眼”で把握して、怜が読んだ未来を怜の反応から基に読むって二人とも未来視モード
 怜・怜ちゃんはオカルトなので塞さんに封じられても、“神眼”は技術なので無理って話

・全国プロアマタッグ(大星淡&亦野誠子VS荒川憩&新子憧)
 憧がとにかく小さくても和了重ねる→憩が本来のスタイルでの打点貯めを行うってのと
 淡が「9600点だと取り返せないんだよねー? 須賀がやってたもんねー」と、自分の打点をわざと下げたダブリー発勁を叩き込む
 あと亦野さんは「3副露すれば5巡目以内に和了」→「兎に角3副露したら、5向聴・6向聴喰らっててもその後鬼ヅモじゃん」で和了
 あと新旧ツンデレ対決。なお本編の軍配

・【闘牌】・雷帝、戦闘態勢。 (VS 小鍛治健夜)
 照ドルフさんが投石で木端微塵になる
 小鍛治健夜の特性は“神明が如く冴えわたる閃き”と“神憑り的な運”で、言うなれば「完全版オカルトスレイヤー」

・【闘牌】・血涙流しながらランカー上位陣に勝利する京太郎
 なおその後数日目が見えなくなるもよう
 VS 宮永咲・大星淡・小鍛治健夜。蜂王タイトル戦で、京太郎のリベンジ戦。第1位になる&プロ引退



「きーれーいのどーりょくー 俺なら全部ー 気付いてやーるー」って京太郎が力説する後ろで溜め息付くアコチャーとかね
あとこいつら絶対海いったら「Gカップだ!」「何だと古市!?」「砂じゃねーか!」「何やってんだよ……」ってやってそう
とにかく、残念衆は本当にクッッッッソ書きやすかった。

こんないい娘の穏乃を幸せにしろはあく

考えていたエンディング案は4つ


・一つ目:「オカルトスレイヤー最後の戦い」
 要するに本編。
 灰崎くん能力を、奪われない唯一の男であるかつてのプロ第1位が倒して……って奴
 当初の案では京太郎の両親は死なないし、泉と恭子でないし、クロチャーが犠牲者になってたりした
 いい加減にしろよ松実、という事でこれ松実と結婚待ったなしじゃんと言う事でアコチャー大勝利により変更
 本当は「ふざけんな、咲のところに行かせるかよ」「ねえ君何してんの?(# ^ω^)ビキビキ」という京咲だったが
 それよりは普通に優しいヒーローの方が王道でかっこいいよな、という理由で没

 なお、水責め&古式ムエタイ無双は予定にはなかった
 あの日見た時代劇で水責めシーンをやってたのと、誰かが「これセガール系洋画じゃん」と言ったから「ハードボイルドには捕虜になるのも必要」ってなった

・二つ目:「プロになったはいいけれど……」
 結局引退した京太郎が、過去の自分と似たような感じの男の子が「○○ねーちゃんが麻雀で強くて……でも皆に怖がられてて……」というのを
 「だったら教えてやるよ。人間はオカルトなんかに負けねーよ」ってコーチする描写が入るだけの話
 超短い

・三つ目:「しぶとい爺」
 「おじいちゃんさー、いい加減にそこ引退したらー?」という感じで、皆死んでるのに一人プロに残ってる京太郎が
 蜂王タイトル戦を「いいや、このタイトルは渡せねーな」という具合で守ってるという話
 多分全員死んだ後に咲ちゃんと再婚した

・四つ目:「アラフォーマーズ」
 ジュンイチローと対決したナチス第三帝国が作り出した遺産のA.E.ウィルスは、一定レベル以下の雀力の持ち主の免疫を破壊する奴だった
 その遺産を停止すべく、「雀力を戦闘能力として変換するMO臓器を移植した改造人間」が火星に向かって戦闘する話
 プロをやめた後にそっちの要因として呼ばれた京太郎が手術、これまでのお話は火星で死にかけてた京太郎の走馬灯って感じ
 正直、誰得だった

大学生編はあらたそとのあれが無ければ

・「ヤバイ、肝試しに行ったらなんか出てきた」「かわいい幽霊!?」「やべえ憧助けて」「オレ見えないんだけど」
・「ナンパしようぜ!」「するか!」「よし、そこの人……って、憧!?」「いや違うんだステラこれは――ちょ、る、ルナ……いや違うんだ!」
・「クリスマスか……」「こりゃ男だけでパーティだな」「って事で予定あるんだよ……あ、憧? どうした?」「いやだから四人で過ごすから……ステラぁ」
・「古市さん呼びはやめろよ」「お前不良かよ!?」「ごめんお前ら怖い」「金髪ってだけでそっち側だけどな」
・「なんか幻想郷に迷い込んだぜ!」「マジかよ古市!?」「おい俺だけ一般人」「ちょっと待てよ、オレはそっち側じゃないだろ京太郎」
・「ここはやっぱりドライブだろ」「だな」「どうする、バイクにする?」「ちょ、ちがうんだステラぁ!」
・「俺さぁ……おっさんに付きまとわれてるんだ……」「そうかロリコン」「ガンバレロリコン」「……相談になら乗るからな?」
・「夏と言えば」「夏祭りでナンパ」「そこの人……って、憧!?」「悪い、オレ妹と行くから」
・「ギャルゲーやるか」「……虚しいな」「なんかこれ憧に似てるな」「……新子さんが不憫になってきた」

ってハートフルな馬鹿集団だった

あと地味にまずったなと思ったのが、野崎くんアニメ化するまえにみこりん出しとけばよかった事だけど
間違いなくみこりんは「銀髪で不良から慕われてる奴」「金髪ムエタイ使い」「生身でスチール缶握りつぶす奴」で涙目になって助けを求める

明日からお仕事だけど、もうかつてないぐらい仕事辞めたい気持ちでいっぱい
まだ大学生のみんなは、公務員になるなら絶対に自分のスキルが高い事を職場で出さないことな
無駄に忙しい部署に回されて、楽な部署と給料ほとんど一緒で、最低賃金以下の時給で働く事になるから。おかしいから
あともう数回住民票移したので、まかり間違っても全国を股にかける職業は止めよう。社会の畜生の1との約束だ!


アラフォーマーズに関しては、現時点だと



「あたしが……こんなところで、死んでなんて……やる、わけ……ないでしょ……」


 病室の外で聞いた、妻の声。

 既に口を開くのも、想像を絶するほどに困難だというのに――。

 彼女は、彼女の親友に向けて気丈にも笑った。息も絶え絶えで、今にも消えてしまいそうなのに。


「もう、京太郎から……家、族を……奪わせなんて……し、ないん、だから……」


 その一言が――すべてを決定した。

 二度と取るまいと思った剣。握るまいと誓った拳。捨てたはずの武器を手に、須賀京太郎は火星に居る。

 ただ、奪わせない。彼女から――笑顔を奪わせない。

 それが故に、こうして……宮永照の敵として眼前に立つ。


「京ちゃん……どうして……?」

「……綺麗事を言うつもりも無ければ、悪怯れるつもりも無いです」


 京太郎に接触を図ったのは、日本以外の国だった。

 さまざまな国と資本が入り混じるこの計画で、もとより土台各国の足並みが揃う筈もない。

 折よくヒットラーの遺産を停止させてワクチンを作ったところで、それが妻の元に届くとも限らない。

 だからこそ――飲んだ。

 全世界の人々を犠牲にしてでも、かつての友人や恩師を裏切ってでも手に入れる。

 アラフォーマーズを倒し、なんとしてもウィルス源を手に入れて、ワクチンを最初に作り――――あの幻想のような日常へと還る。


「俺がただ――――俺の家族を、護るためだ……!」


こうなるからな

で、次に書くものだけどいくつか


①咲「しっぺい京太郎?」
 元々はオリジナルでやる予定だったが、幼馴染ものなので咲でも出来ると思った。普通にオリジナルでやるかも
 ある日、通学での帰り道――京太郎と咲は五体の異形の猿に襲われる。
 あわやと逃げ出した京太郎の家の倉で二人は、一振りの日本刀と巡り合う。
 絶体絶命の危機。
 詠唱と共に犬の死骸――頭部が刀身に噛み付いたその刃を引き抜いた京太郎は、その身に「霊犬・早太郎」を宿し、数々の異形との戦いに身を投じていく。


②久「色んな世界を?」京太郎「なんか見れるようになっちゃって……」
 短編集。
 昔書いてたしんみり系のノリ。




 人類の生活基盤は、1999年を境に崩壊した――。
 小さなものは人ほどから、大きなものは鮫や鯨ほどまで。
 次々に増える“奴ら”を、当初はその技術と共に撃破していた人類もやがて「重巡級」「戦艦級」との闘いの果てに防衛線の後退を余儀なくされた。
 レーダーではノイズとして弾かれてしまうその小ささに、不釣り合いなほどの戦艦級の装甲、自己増殖による超常的な回復――どれも現代兵器での撃破は困難。
 更には独特の素粒子が故に、衛星からの観測も不可能となってしまった。

 人類は、ひとつの結論に行き着く。
 手に入れた奴らの死骸から得た情報は、「奴らが人間と遺伝子的に近似である事」と「金属分子に含まれる素粒子を媒介にコミュニケーションを行っている事」。
 生物がその幼体の育成過程に於いて各個に持つ、自己増殖を停止させる因子を搭載した「特殊弾頭」。
 人工授精により作り出した未分化の胚から作り出した「砲塔」。
 素粒子を媒介にした「ブレイン・マシン・インターフェイス」。
 奴らの記憶インターフェイスを基に作り上げた「艦船の記憶を持つ戦闘人格」。
 フラクタル理論に基づく高度の撥水性と浮力を有する奴らの船体をその脚に、増殖機能を流用した装甲を身に纏う。
 当人自身の卵子を基に作り上げるそれらを身体に適合させられるのは、免疫寛容を持つ女性のみ。

 人は彼女たちを――「艦娘」と呼んだ。


③提督「第八九特別任務隊戦闘記」
 他国によるスパイ行為、艦娘の鹵獲、密輸を行う民間船――未だに人間は争う事を辞めない。
 放置した民間船の燃料と船体は“奴ら”に喰われる。焼き払わねばならない。
 他国によるハニートラップや、こんな状況でも――こんな状況だからこそ、他国による諜報活動は激化する。
 自力航行不能な艦娘は、しかし放置しては深海棲艦或いは他国からの鹵獲を免れない。
 未だに麻薬のルートというのは壊滅には至らず、大陸からの違法な武器の流入も避けられない。
 試作した兵器は、誰かが試さなければならない。
 我々の戦力に余力はなく、万全の土壌で行う事は困難。

 ならば――“落伍者”がそれを行うしかあるまい。穢れ仕事を請け負う他あるまい。
 戦闘による心的外傷ストレス、戦闘の後遺症で身体機能が軍の適性基準を下回ったもの、重大な命令違反――そんな外れものを集めて。
 “ただ戦闘に勝利する為”に、“ただ国益を守る為”に作られた部隊があった。


④提督「第八六試験兵器運用隊戦記」
 自己の免疫による拒絶反応を薬で抑え込んで戦う、「失敗作」の話。

ってな感じで、②以外はシリアス・バトル・イチャコラ・ラブコメ・ほのぼのですね

どれにしても人間讃歌だけど、確実に今まで書いてたのよりは話が暗くなる
あと艦これはおっさん増える。おっさん地獄。おっさんが政治的なあれこれする。ほぼおっさんしかいない。ハイパー男祭り。あとジジイ
サイバーパンク+ガンスリンガーガールみたいな世界。だいぶアルペジオ寄り
相変わらず原作の雰囲気行方不明。原作のかわいさが逃避行。原作の優しさが入水自殺


まあ、そんな感じなんでどっかでまたお目にかかる事があるんじゃないですかね
どれにしても安価スレになるかもです。ハーメルンあたりあり得るけど

①咲「しっぺい京太郎?」


「ん……?」

 五頭の猿――それが少女の目線の先に居た。彼我の距離は百メートル半ほどか。

 だがそれにしても、夜道に猿が現れただけで……こうまでも身を固くするものか? ここが都会なら未だしも……。

 だけれども彼が懐いたそんな疑問には、直ぐ様答えが返された。

 掌を打ち合わせ、上へ下へと跳ね飛び回る影。

 人に比して多少に間延びしたその腕で、地面を叩いたかと思えば万歳をしてみたり――なるほどここだけ見れば確かに紛れもなく猿の行動。故に彼もその影を猿と称した。

 だが、違う。違ったのだ。

 余りにもそれは縮尺が可笑しい。パースが狂っている。デッサンが間違えられている。

 隣接する家屋に見比べて――そう、どう見ても――伸ばした指の先が二階の窓に至らんとしているではないか。

 過剰であった。過剰過ぎたと言っていい。何が、ではなく――何もかもが過剰過ぎるのだ。


「三千遍く外道野原よ」

「疾風太郎は未だに識らず」

「疾風太郎は未だに居らず」

「疾風太郎は未だに哭かず」

「――終ぞに吼えぬぞ疾風太郎」


 数人の、喜色ばんだ囃し声が聞こえた。音韻を踏まえた文節が、小気味良く放たれる。

 言葉に併せて鳴り上げられる音。拍を取っているらしい。

 二人を置き去りに奏でられる祭り囃し。そう、正しく祭りの輪の中に加わるも宜しく……酷く現実感が欠如して、頭と身体の時間が異なるその感覚――。

 少年は、茫然と見入っていた。

 いつの間にか呼吸が細くなり、そして並んで“決して視線を背けてはならぬ”と――願望由来の無意識の鎚に釘付けにされて。


 だが果たして、そんなのは迷信であったと否定された。

 調子の狂った街灯が具合を取り戻すのと、猿が少年らを見咎めるのはまるで同時。

 宵闇を押し退ける掠れた白灯。五匹の大猿、その事に間違いはないのだが――――


「おいちいおいちいおいちいおんなああぁぁぁぁぁぁあああぁあああぁ、おんなのにおいぃぃぃぃぃい」

「いひぃ、ひひひ、仔だ仔だ仔だ仔だ仔だ仔だ仔だ仔を産ませよう! 産ませるぞう!」

「んっん、んー! んっん、んーんんんんんん! んー、んっんっんっん! んっんっんんんんんんー!」

「皮は要らぬよ皮は要らぬぅ! うきゃきゃきゃきゃあきゃきゃ! あまいぞ中身はあぁぁあまいぞぉぉぉぉお!」

「ばかやろう、胎が要る胎が要る! 胎だけ在ればいいんだよう! 胎だけ残しておくんだよう!」


 見たものの心を壊すその光景。

 盲人ですら眦を見開き、唖人ですら声を上げるであろう狂気の景色。人語で喚き散らす五頭の大猩々。

 人に比べて短いが気だるげに折れた下肢、一方で長い腕が前方にだらりと垂れた毛むくじゃらの肉体。

 しかしそれだけでは言い表せぬ、醜悪にして冒涜的なその姿。

 米噛みの辺りから生じた一対の腕。手首から先が不自然に生え、一匹の目玉を覆い隠す――代わりに膨らんだ鼻が、ひくひくと蠢いた。

 頤から真上に伸びた五指。激しく力が込められて、流血と共に側頭部へと埋められた猿――興奮を隠さず。

 顎先から伸びた指先が細かく絡み、肉の蕾じみたものを形成して――口許を覆うそこから、呻きと共に涎をしとどに溢して狂喜する一頭。

 神が造形を間違えたかと疑われるべき、間延びした手足。作り上げた粘土細工の四肢を悪戯に引き伸ばしたかの如き、生物としての均等が歪に陵辱された大猿。

 異様なまでの赤ら顔と、対する様な白銀の体毛。それ以外に然したる点は無いにしても、他よりも大きなその躰。

 共通してどの猿の両手でも――歪に追加された部位のそれでも――小指がその、半ばから先が失われている。

 幼児が如き甲高い声、老人が如き籠り澱んだ声、うねり籠った青年の喘ぎ、若い女の嬌声に、中年男の野太い怒声――余りにも醜悪な饗宴。



 逃走の果てに倒れ伏したその身、土に塗れて少年は声を聴いた。

 醜悪な猿どもの祭囃子。方々に咆哮を上げて歓喜を表すその中心に囲われたのは、宮永咲。


「三千遍く外道野原よ」

「疾風太郎は未だに識らず」

「疾風太郎は未だに居らず」

「疾風太郎は未だに哭かず」

「――終ぞに吼えぬぞ疾風太郎」


 独特の祝詞を奔らせて、入れ代わり立ち代わり、幾重にも体毛の生垣を形成する猿たちの影。


「あ……」


 僅かに力の籠った指先が土を穿った。電撃が走るのと同じく、無意識に中指が曲がっていた。

 これしかない。或いは、これこそが正しいと――。

 半ばの本能めいた直感が京太郎の全身を駆け巡り、薄れ行く意識の中で冷えた鋼がごとき確信を抱かせたのである。

 左手を送り、指腹にぶつかった鞘元をしかと握り締め、


「三千遍く外道の波羅よ――」


 そして、口ずさんだ。


「疾風太郎は未だ識らずも――」


 声は震える。


「疾風太郎は未だ居らずも――」


 舌は回らぬ。


「疾風太郎は未だ哭かずも――」


 それでも一種の信望を胸に、少年は吠え上げた。


「――終ぞに吼えるは疾風太郎」


 独唱からまるで間を置かず――ばこむ、と京太郎の躰が跳ねた。同時に穿たれたるは一つの孔。心臓を貫く大きな空白。

 知らず、衝撃で京太郎は躰を反転させていた。俯せに地面に肘を付いたその背が丸まり、瘧が如く激しく震える。

 その度に噴き出した鮮血が、夜半の地面を更に黒く染め上げる。

 開いた口から突き出された舌。ただ、喘いだ。しかし幾ら喉を鳴らそうが肺は膨らまず、只々喘息宛らに息を切るだけ。



「京ちゃん、しっかりして……京ちゃん……!」


 咄嗟に大猿の手を振り払った宮永咲が、幾度か躓きかけながらも京太郎へと駆け寄った。

 咲は頬を流れる滂沱に構わず、幼馴染みの少年の躰に縋りついた。

 血に塗れるも構わず懸命に傷口を塞ごうとしても――悲しきかな、その小さな手では到底及ばず、何よりも数が足りない。


「やだ、血が……血が止まらないよ……」


 都合二十一にも及ぶ穿孔。

 下腹、中腹、末肋骨下、胸部、肩部に――左右対称に、そして躰の前後に等しく弧を描く歪んだ円錐形の空隙。終いには胸の央を貫く大穴。

 皮膚を穿ち、肉を殺ぎ、骨を削り……内臓まで至った孔の壁面は鏡が如く整頓され、壁に残った管――血管からは液体が迸る。

 少女のちっぽけな両の手の平で塞き止めるは叶わず、空しく大地を穢していく。

 彼の体内で、その皮膚の下で蠢いた透明の芋虫。

 肉という肉を這い回り、骨という骨を舐め回す。不自然に膨張し収縮する皮膚。異物が彼の体内で暴れ回っていた。

 そして何よりも――。


(息、してな――)

 
 そんな様を尻目に、半ば呆気にとられ硬直していた大猿は――


「し、ししししっぺい太郎だッしっぺい太郎だッしっぺい太郎が出やがったああああぁぁぁあぁあぁぁぁ――――――!」


 漸く脳の指令が追い付いたとばかりの、唾液混じりの絶叫と血走らせた双眸。

 並んだ家屋と比べても、優に二階まで届くで在ろうその鼻先――巨躯を震わせ、二人目掛けて疾走を開始。

 思わず咄嗟に宮永咲は、両手を広げて飛び出していた。

 固く結んだ目と、咄嗟に逸らされた顔。それでも決して譲らぬと、最早鼓動の音も消えかける少年の躰の前に我が身を張る。

 爆発めいて近寄る破砕音と、地響き。思わず挫けそうになるその膝と腰を叱咤して、懸命にその小さな体を盾とした。



「――」


 惨、と。

 猿猴の身体が二つに割れた。正に逆袈裟。

 左の脇腹から右の肩口にかけて両断された上半身は、勢い余って二人を飛び越し、顎先から土を踏んだ。

 一方未だ理解の追い付かぬ下半身は、腸を溢しつつも宙を漕いで、幾度かののち動きを止める。

 大の大人が見てもしめやかな失禁を免れぬ浮世離れした惨殺劇を前に、しかし宮永咲は落ち着いていた。

 肩に回された左腕。いつの間にか少女は誰かの胸元に収まり、その右頬は胸板に押し潰された。

 やがてそろそろと、矢鱈と毛深い胸板を押し返し、見上げてみれば――


「――疾風太郎は此処に在り」

 彼女の良く知る須賀京太郎が太刀を右手に、虚空を睨んでそこに居た。


 肋骨の辺りに、一対の目玉が在った。金色に燃える獣の半眼。平たく躰に備えられながらも、しかし自在に周囲を睨む。

 躰に附けられた二十一の風穴には、深紅の宝石が凝固する。心臓の真上にある其れは、宛ら獣の額に射たれた第三の眼。

 それら宝石が繋がる――上体に被さるは一枚綴の胴板。頂点が緩やかな弧を描く逆三角形。

 躰の前後から挟み込む形で防具を成す胴板から伸びた、朱色の直垂は下腹を隠す。

 尖角を為す肩当て。そこから手の甲まで、体の外部に当たる部分を毛皮が覆う。

 下半身は変わらず学生服のままであるが、膨張する下肢に抵抗を止めた布地からは、やはり白色の体毛が覗く。

 例えるなら――。

 顔だけが肥大化した獣が、覆い被さり少年を呑み込まんとして雑ざり合った――そんな山犬の意匠。

 胴に位置する半月型の目玉。

 それがぎょろりと、猿猴を睨め上げた。


《――好くも遣ってくれたなァ》


 鍔元を握るは右手一本、左肩へと刀身を担ぐ。

 残る左は、右手に噛んだ。左の甲が右手を抑え、柄を押し引く。両の手首が合わされて、背後目掛けて引き絞られた。

 背中に隠れる鋼の白刃。肩口からそれだけが飛び出した風の柄。

 柄を操る右の拳。正面を睨む左の掌――――それは、構えと呼ぶには余りにも異様過ぎた。

 次いで、繰り出された右の足。脚だけは普遍的な右主体。だが改めて踏み出されれば尚の事、剣ごと後方に巻き込まれて見える。

 正面から臨めるのは、殆ど少年の右半身のみ。奇っ怪なその態勢は、肩を突き出して体当たりを仕掛けようとしている風にも見えた。

 ――そう。心得無き者が使う刀など、多少鋭い鈍器にしか過ぎない。

 ならば一層、鈍器として十全に用いれば好い。

 其れは引き斬ると云うより、叩き付け挽き千切る事を目的とした物であった。

という実に少年漫画王道風中二病妖怪剣戟アクションです。あんまり刀使った戦い書いてなかったから多少はね
人間讃歌。ほのぼのします。古式ムエタイはでません

咲でやる条件はあるがやる必要はあんまない感じの

②久「色んな世界を?」京太郎「なんか見れるようになっちゃって……」


京太郎「実は……」

久「ああ、皆まで言わなくていいわよ」

京太郎「え」

久「つい炬燵で先輩と一緒にいたら、ムラムラしてしまった……と」

京太郎「……」

久「みかんを剥くその指に、いやらしい想像をしてしまった……と」

京太郎「……」

久「やだ、ケダモノ」

京太郎「……」

久「ビーストだけに。うーん、ウィザードよかったわねー」

京太郎「……結局話が通じてないのは原作再現ですか?」

久「ロッカー行く?」

京太郎「誰もそんな話はしてないっす」

久「というか須賀君、まだ全然喋ってないわね。ボンボンで連載してた黒猫の漫画じゃないんだからページ稼ぎもどうかと思うわ」


 鼻歌交じりにみかんを一欠片口に運ぶ竹井久を見やりながら、須賀京太郎は嘆息した。

 これで部長――いや、元部長である。おまけに麻雀の師匠。

 そのツテで、他にも“オカルトがなくても習得可能な技術の持ち主”を紹介してもらった以上頭は上がらないが……。

 それにしてもこの人どうにかならんもんかな、と思う。

 おまけに「ハンドボールやってたんならバネと空中センスはあるわね! 古式ムエタイしましょう!」と言い出したときは何かと思った。

 一体須賀京太郎を何にしたいのだろうか。不明である。


京太郎「実は俺……この間……その、新子さんっているじゃないですか」

久「居るわね、和の友達。あの遊んでそうな。私中堅戦で戦った」

京太郎「……それ当人に言ったらきっと泣きますよ?」

久「女の子の泣き顔ってそそると思わない?」

京太郎「胸が痛いです」

久「え、胸が見たい?」

京太郎「……最低でも阿知賀なら松実さんを用意して欲しいです」

久「やだ、ケダモノ……サイテー」

京太郎「話振ったの部長ですよね!?」

久「元部長ですー」

ほのぼの…?
>>1にとっての『ほのぼの』って何なんだろう…?(白目)



 本当にこの人の後輩やめていいかな、と京太郎は頭を抱えた。

 そりゃあ体育会系出身である。その手のいじりや冗談は多かった。

 だけれども――こう、女がするそういう話ってなんか生々しくないか? 正直、こう、反応に困る。

 確かに美人である。どっちかというとスタイルがどうこうというよりもなんか妙に色気がある美人である。

 でも……こう、どこか子供っぽい。やたらと悪戯好きだ。

 小悪魔的と言ったら聞こえがいいが、もう悪魔だった。鬼だった。ちひろは関係ない。

 みくにゃんはさいこうですしつぼうしましたみくにゃんのふぁんをやめます。


久「で、その遊んでそうな新子さんがどうしたの?」

京太郎「……」

久「あのゆるふわビッチ系清純むっつり少女が」

京太郎「……」

久「……」

京太郎「……」

久「……ごめんなさい」

京太郎「俺より新子さんに謝って下さいよ」


 遣り過ぎたと思ったのか、申し訳なさそうに肩を落とす久。

 普段からして悪い人ではないし、常に誰かを揶揄したり誹謗したりする人ではないのだが……。

 こう、勢いでやる。多分本当はそんな事全然思ってなくてもやる。普通にやる。酷い話だ。


京太郎「……で、その新子さんなんですけど」

久「はいはい」

京太郎「こう……その新子さんと新婚になったというか――結婚したというか、そんな……」

久「あー、もしもし? 新子さん? うん、私私。竹井久」

京太郎「何やってるんですか!?」

久「いや、謝れって須賀君が言ったから」

京太郎「このタイミングでやる必要ないですよね、それ!」


 電話口の向こうからは困惑の声。

 マジで電話掛けやがった。信じらんねー。


憧『あ、あのー? もしもしー?』

京太郎「動かないでください!」

久「や、やだ……駄目よ須賀君……!」

京太郎「駄目じゃないです! 流石にもう我慢の限界です!」

憧『……へ』

久「せめて、優しくして……」

京太郎「手を退けてください! 邪魔です!」

久「乱暴にしちゃだめ……!」

京太郎「そうさせたのは誰ですか! 部長が悪いんですよ、部長が!」

憧『ふきゅぅぅぅぅぅぅぅうううううう!?』

久「……ぁ」

京太郎「初めから素直になって下さい! というか抵抗とかしないで!」

憧『ぁぁぁぁああああ、あうあうあうあうあうあうあうあうあうあう!?』



 携帯電話をスライドさせて、通話を打ち切る。

 ……何か大切なものを失った気がする。本当に大切な何かを。


久「……で、なんか別の世界が見れるようになったと」

京太郎「こんな事、部長にしか相談できなくて……」

久「なるほど、久々の久姉の相談教室ね。久だけに」

京太郎「麻雀教室しかされた覚えないです」

久「あら、結構相談に乗ったのに……。で、夢じゃないの?」

京太郎「夢だったらよかったんですけど……」

久「ふーん」

京太郎「手、繋ぎますか? 今なら見えますよ、多分」

久「じゃ、試しちゃいましょうか。嘘だったら須賀君は新子さんに懸想をしあまつさえ先輩を組み伏せるケダモノって風に扱うけど」

京太郎「嘘じゃないんで大丈夫です」

的なね、やっぱ部長って書きやすいわロッカー的な
部長とおしゃべり→前みたいにしんみり系の短編的なスレ。古式ムエタイは出ません

文句なしのほのぼのギャグ

俺、しっぺい太郎の話は「疫病によって対立していた山岳民が全滅した話」の暗喩だと思ってたけど違うのか

久とロッカーに入るのはよ!!

>>194
「しっぺい太郎」でググると幸せに
分からんワードが出てきたらとりあえずググる習慣をつけるのをオススメ

で、艦これ系



「入ります!」


 そのまま腰を曲げた敬礼を行い、矢継ぎ早に候補生とまで、更には名乗り目的を続けようとしたそのときであった。

 軽く手で制されると、笑いかけられて椅子を進められる青年。


「はっ、失礼します!」


 反射的に腰掛け、しかる後に逡巡した。一体、何が原因なのか。呼び出された理由が判らない。

 心当たりがあるとしたら、――――いや、思い当たらない。

 まさか授業中に「如何に教官に見つからずに睡眠をとるか」を数度実行したからではあるまいし、となると他には実家に戻ると嘯きながらも友人宅に宿泊した事か。

 或いは休日に出会ったばかりの女性と酒でもかっ食らった事か。

 成績が余程悪い、というのは聞かない。

 眠っていながらも半ばに起き記憶出来るよう努めているし、そもそも早々に眠りはしない。精々今まで二三度だ。

 となれば、実家に何か不幸があったのか――等と済ました顔で考えを巡らせる少年に、笑いかける影があった。


「精悍そうな顔付きじゃないか」

「ありがとうございます」


 答えてから気付いた。中隊長の他に見知らぬ人影がいる。

 ぎょろりと鋭い眼光に、禿げ上がった頭と顎髭。眼鏡を掛けた細面の――有り体に言うなら蟷螂のごとき人物であった。

 その背広の蟷螂男が目を細めて、青年を眺めている。油断のならない値踏みする目付きに、自然と背筋が伸びる。

 やがて怪訝そうな青年の様子から察したらしく、中隊長が腰を上げ紹介しようとし――蟷螂男の手のひらに、止まる。


「君は、成績優秀らしいね」

「はっ、ありがとうございます!」

「ああ、そういうのはいい。堅苦しいのは抜きにしようじゃないか」


 言って、顎を鳴らす背広の蟷螂。とうの青年はと言えば、余計に当惑するばかりだ。

 中隊長の部屋で堅苦しくならない筈はないし、況してや相手が誰なのかも判らぬ内に親しげに為れるものか。

 せめて、名乗ってからにしてくれ。

 そんな内心を噛み殺したまま努めて神妙な顔立ちでいる青年の様子を見やる――肉の底まで観察するかのごとき、尖った眼差し。

 益々、心の内で疑問を重ねる青年へ、蟷螂男が切り出した。


「君は何の特技を希望しているのかな?」

「は、水雷――」

「戦闘職種希望か……理由はやはり、深海棲艦かね」

「はい。我が国に仇為す深海棲艦を駆逐する為であります」


 これは本音であり、半ば建前であった。



「ほう、駆逐……か」


 薄気味の悪い告白な笑みを浮かべたその男は、在ろう事か中隊長に離席を命じた。

 そしてその言葉に一も二も無く従う中隊長を見る内に、言い知れない困惑を通り越した不安が青年の内に訪れた。

 いよいよ以て尋常ではない。中隊長に通らず、たかが一幹部候補生にのみ聞かせる話など――察して余りある異常さである。


「さて、これで話易いだろう。どうにも武官は頭が固かったりするからな」

「はあ」


 その武官の、更に既にその道に組み込まれて幾年の人間が目の前にいるのだが……。

 小さく口の端が吊り上がりそうになるのを、青年はなんとか堪えた。


「なら、単刀直入に言わせて貰います。深海棲艦絡みの特技や技術の開発につき――自分をそっち絡みの職種に誘いに来た、という処ですか?」

「ほう、何故そんな風に?」

「……見たところ貴方は文官だ。そして中隊長を避けて俺だけに話す事と言ったら、精々が職種絡みかと」

「なるほど」

「ヒントも貰いましたので」


 気付け、と知らされているようなものであった。

 しかしそれにしても我ながら突飛な発想ではあるが、他に思い付かず、ましてや否定もされないので正解なのだろう。


「先ほど、深海棲艦を駆逐したいと言っていたが――何か理由があるのかね?」

「は、我が国は四方を海に囲まれておりの――」


 逡巡。青年は言葉を詰まらせて、俄かに口を閉じた。

 相手の求めている答えは、こんな面接の為のお題目ではない。彼自身が、個人の観点として敵に相対するに至る道理である。

 そうでなければ、きっとこれからの話は打ち切られる。青年には、そう思えてならなかった。

 故に一拍。口火を切った。


「……高校の同級に、実家が工場の者が居ました。深海棲艦出現を機にした資源問題で……」

「実家が倒産、一家離散というところかね?」

「似たようなものです。……どうにも些細な話でありましょうが、どうにも自分はあの時のあいつが気になって仕方ない」


 この国に仇為す化け物を駆逐するとか、人類が平和に暮らす海を取り戻すなどに興味はない。

 いや、勿論として、理屈としては知っているし体感としても分かっている。景気は常に後退して、未来は既に暗雲に覆われている。

 だけれども、それは日常。それが即ち深海棲艦という敵と糸で繋がっている訳ではない。

 彼にとって最も身近で、最も実感の湧く答えというのが――あの、半ばで高校を去った同級生であった。

 無論その為だけに前線へと赴けるほど情熱的な男ではないし、崇高と言うには近すぎて酔う事すらできない細やかすぎる事。

 そんな淡く麗しく青臭い感情だけでここまで来れるほど、日常の柵は容易くない。
 
 だとしても――深海棲艦の事を考えるとき、僅かばかりに胸の内で思い返されてならない。





「なるほど。……ところで」

「なんですか?」

「君は本気で、深海棲艦を駆逐できるなどと思っているのかな?」


 釣られて――、その男の眼を彼は見た。

 喜色の滲んだ瞳。好奇心を隠そうとしない目線。稚戯を心待ちにした、何かを思い描く子供にも似ている。

 故に青年は、至って素直に答えた。


「駆逐は不可能かと。奴らの生態が分かってはいないのですから」


 しかし――被害を抑える事は可能である。

 現在のように逼迫した問題ではなく、或いはこれが自然災害や猛獣の一種程度として抑えられるのならば、あり得ない話ではない。

 奴らはレーダーに映すには小さく、その出力時点でノイズとして外されてしまう。同じく、何らかの粒子によって衛星からの観測も不可能。

 だが、目視照準や――つまり目視できるならレーザー照準は可能である。それならば、後は兵器が進歩すれば倒すのはいずれ容易となる。

 未だに完全にその生態は明かされてはいないが、おおよその扱いは害獣と同じだ。

 規模が大きすぎるが故に、こうして防衛関連にその処理が回されている。


「そう、我々としても調査を進めている。ただ、奴らが我々の――っと、これは秘密だったな」


 この男、技術開発の連中か――。

 ならばこそ、その独特の雰囲気も理解できた。得てして学者上がりは、人の話を途中で打ち切ったり、或いは置いてきぼりに盛り上がる。

 高校の頃にそんな人間もいたなと――、青年も内心長嘆息。


「なら、私が言う職種に行きなさい。今からなら……ああ、丁度五年か六年もしたら防衛庁は国防省に変わるだろうね。その時に新しく兵科が出来るはずだ」

「……は?」


 さりげなく――あまりに自然に重大な事を聞いた。

 省への移行という話は、そうも簡単に口にされるべきものだっただろうか。そして、そうも容易く行われるものだっただろうか。

 国が政治を主導する――と言う事は、五年後の未来まで決定しているという事なのか。この国が。

 そもそも、今の首相が五年も続くのだろうか。支持率からいうなら、下火が続いていた。



「ああ、上は関係ないよ。変わろうとも、結局草案を作るのは下だ。根回しは終わってる」


 男が余りにもあっけらかんと呟いた事に、それが却って青年の身を固くした。

 そもそもからして異様であったが――個命や般命を超越したところから、持ち込まれた話。一回の技術屋には過ぎた話で、言うまでもなく青年の身に余る。

 うすら寒くなった。どれほどの計画の、その端子として巻き込まれるというのだろうか。


「五年もすれば、一尉――今後は大尉と呼ばれる事になるが――に昇進するだろう。精々問題を起こさないでいてくれたら、その後はその兵科の特例で三佐になる」


 それだけ期待をされている計画なのだと、蟷螂顔の男は頬を吊り上げた。

 暗い愉悦が滲むその顔に、青年としても辟易とした気分となった。だが、丁度いい。

 この国はもう、打ち止まりに近い。どこの国にしてもそうだ。

 生産系統はその原材料制限。経済界は水路が確保された大陸寄りとなり、日米間の軋轢は増すが現実として政治母体がそうである以上、政府もそちらに寄る。

 挙句に、深海棲艦に強襲された国からの移民だ。

 決して彼らが悪いという訳ではないが――それでも国民の反感は高まり、一部の職業はそちらに取られている。

 漠然とした焦燥感を伴った閉塞感が覆う大地。それが今のこの国の姿であった。


「……分かりました。他に俺がする事は?」

「そうだね。指揮や教育の手順を確立させて、十分に磨いておいて欲しい。これからの時代、“人類(われわれ)”に求められるのはそれだよ」


 やけに引っかかる物言いだと感じつつも、青年は黙殺した。

 何を思っているのか、この目の前の男は口が軽い。男としては何でもない事なのだろうが、こちらには余りにも厄介なネタさえ触れ込みかねない。

 未だに男の話に乗るかは、不十分。彼自身が、そちら側の眼鏡から落ちるという事もあり得る。

 そうなったときに、余分を抱えるのは御免だった。


「では……そうだね、いつか静かな海の為に」

「……」


 やけに揚々とした男の笑いが、瞼に張り付いた。

 これからこの国がどうなるのか。自分の身に何が起こるのか――彼としてもまるで想像が付かぬ、大きな輪に投げ込まれてしまった。

 厄介な事になったと、彼としても素直に思う。自分の他に何名がこの計画に巻き込まれるというのか。

 しかし――だとしても。


(風穴を開けられるのか……こんな、空に)


 どこかで彼の心もまた――高揚を隠しきれなかった。


 ――そして。


(結局今も、余計に変わってない……か)


 幾年後か。形を変えただけで、その閉塞感は晴れなかった。

 言うなれば職場に華が増えて、彼の肩書と階級が変わったほどか。

 結局、名を「軍」と変えても実態は変わらない。あれは精々、国民のガス抜きだろうというのが大方の意見。

 誰かの都合で好き勝手に命じられて使われるのは、結局どうなったって同じ事だ。

 救いがあるのかは――未だに判らない。ただ、忙しい毎日はやってきていた。

って言う風なほのぼのイチャコラ人間讃歌です。古式ムエタイは出ません


まあ何にしても作風は多分このスレでやったように熱血王道人間讃歌・シュールギャグがある女の子一杯ほのぼのです
何かしらどっかでお目に掛かれたらよろしくお願いします

とりあえずこのスレの今後についてはお仕事次第で
それじゃあお休みー。どれが見たいか一応聞いときたいです

ほのぼのってのは、「瓦礫の街に咲いた一輪の花で見れば心が温まるもの」って偉い人が言ってました
バトルするならほのぼのは必要だからね

乙です
ほのぼの…?
>>1の『ほのぼの』と自分たちの「ほのぼの」は別次元の存在なのだろうか…(白目)

>>174
これみて公務員志望のワイ震える
なお能力はほとんど無能やし地方公務員を目指してる模様

>>204
自分は公務員ではなく、しがないSEやけど行政絡みの仕事もしたこともあるが、PCが使えるのがバレるとヤバいと思う
PCが一般的になってきたとはいえ、使えない人は全然だし、使えたとしても「ファッ!!」ってなるような使い方の人もいるし、まともに使えるとその分仕事が回ってくる可能性が高い
その分、出世出来る可能性も高くなるかも知れぬが…

>>1おつ
艦これわかんないから今度やるアニメ見るわ

>>196
しっぺい太郎の猿神退治の伝承が、実際は「山に潜む山賊(もしくは隠里)とふもとに住む村の対立と、山に疫病を患った人を送り込んで全滅させた結果」の話だったんじゃないかなって言ってるんだけど。
それとも「本当は怖いしっぺい太郎」みたいな話がどこかにあるのか

しっぺい太郎は妖怪とか改造人間とか邪神とかと戦います。前に手慰みに書いてて誤爆したのを加工しました
ヒッサはヒッサです

艦これは、こう……原作の要素から「ここどーなってんのよ」って一切明かされない世界観勝手に考えた結果にそうなっただけやから
オカルトスレイヤーからしてそうだけど、原作の空気とかとは別物だからね


原作:
海軍の“鎮守府”にいる提督(性別年齢不明。少佐以上)と艦娘
艦娘が技術なのかオカルトなのか不明。転生か処理か不明だけど艦の記憶と装備の女の子。女の子だけ
敵は深海棲艦。詳細不明。人型を確認。人類の言語を解する個体も
海上線封鎖されてるって触れ込みなのにスマホはあるわアニメやってる余裕があるわって事で経済と技術は今並みにはある?
レベル(錬度)が進むと強くなるし、強化改造可能
「駆逐の皮を被ったなにか」「軽巡の皮を被ったなにか」のようなクラスに見合わない戦闘能力も

解釈:
「海上封鎖の代替ソースは深海棲艦を元に技術革新」
「女子限定は免疫寛容。艦の記憶は深海棲艦も使ってる金属に内在する特殊な素粒子から」
「深海棲艦の強襲を受けた国からの大量の移民」
「経済界は航路の安全が確保された中国寄りに」
「支持母体が経済界な与党は左寄り政策を」
「艦娘の開発を期に官僚がチャンスだと草案を練り、政府は国民のガス抜きに『海軍設立』」
「既得権益左翼と国粋主義右翼の対立」
「日中は現在と同じだが夜間の治安は悪化。スラムも」
「戦闘用に艤装を施す以上、その素体の強さや艦との適合率が戦闘能力に大きく関わる」

設定は設定だけど、例によって(オカスレ作中のプロシステム程度に)そこが主眼じゃないので割りとどうでもいいです
単にリアリティの為にだからね
結局は人間讃歌と可愛い女の子との交流という実にラノベ的なエンターテイメントな話に落ち着くので気にしないで下さい

結局パニキはいつものパニキです
話とキャラによって着地点は変わるけどテーマは「可愛くてイケメンな女の子とほのぼの交流しつつ熱血王道」なんで



「奴等の肉体はこの素粒子次第で構造を変化させる」

「そしてこれは、奴等発見以前の船舶の金属にも含まれている事が判った」

「つまり――元となる船舶によって艤装の強度も変化する」

「そして戦闘用に艤装を作成する以上、素体の強さがそれに大きく関わるなら――」

「――最強は奴だ」



「――さあ、素敵なパーティーしましょ?」


 “ソロモンの悪夢”夕立、降臨!!!



「――戦闘だけが私の誇りなの……!」


 “満ちるを知らぬ飢狼”足柄、臨戦体勢!!!


「――大丈夫、私が助けるわ」


 “慈悲深き雷神”雷、充電完了


嘘だけどこんなノリですんで安心してな

いつだって夢と希望と愛に溢れたほのぼのハートフルでいちゃこらの王道な人間讃歌を提供するので安心して下さい

こっちも参考にするって感じですのでまあ趣味で

とりあえず1はまあ当初の予定通りオリジナルとして行かせて貰うとしますね
で、ちょっと説明まずったな……そういえば解説スレ知んない人も多いのか

2は部長と雑談→次はどんな世界かしら→大体判った→部長と雑談
って感じで地の文ばりばりっす

コンマとかで境遇決めてヒロイン安価でとってしんみり短編みたいなので、掲示板ネタみたいのはな…
ギャグ苦手なんすよ





②久「色んな世界を?」京太郎「見れるようになっちゃって」

※スレがどうなるか


京太郎「実は……」

久「ああ、皆まで言わなくていいわよ」

京太郎「え」

久「つい炬燵で先輩と一緒にいたら、ムラムラしてしまった……と」

京太郎「……」

久「みかんを剥くその指に、いやらしい想像をしてしまった……と」

京太郎「……」

久「やだ、ケダモノ」

京太郎「……」

久「ビーストだけに。うーん、ウィザードよかったわねー」

京太郎「……結局話が通じてないのは原作再現ですか?」

久「ロッカー行く?」

京太郎「誰もそんな話はしてないっす」

久「というか須賀君、まだ全然喋ってないわね。ボンボンで連載してた黒猫の漫画じゃないんだからページ稼ぎもどうかと思うわ」


 鼻歌交じりにみかんを一欠片口に運ぶ竹井久を見やりながら、須賀京太郎は嘆息した。

 これで部長――いや、元部長である。おまけに麻雀の師匠。

 そのツテで、他にも“オカルトがなくても習得可能な技術の持ち主”を紹介してもらった以上頭は上がらないが……。

 それにしてもこの人どうにかならんもんかな、と思う。

 おまけに「ハンドボールやってたんならバネと空中センスはあるわね! 古式ムエタイしましょう!」と言い出したときは何かと思った。

 一体須賀京太郎を何にしたいのだろうか。不明である。


京太郎「実は俺……この間……その、新子さんっているじゃないですか」

久「居るわね、和の友達。あの遊んでそうな。私中堅戦で戦った」

京太郎「……それ当人に言ったらきっと泣きますよ?」

久「女の子の泣き顔ってそそると思わない?」

京太郎「胸が痛いです」

久「え、胸が見たい?」

京太郎「……最低でも阿知賀なら松実さんを用意して欲しいです」

久「やだ、ケダモノ……サイテー」

京太郎「話振ったの部長ですよね!?」

久「元部長ですー」



 本当にこの人の後輩やめていいかな、と京太郎は頭を抱えた。

 そりゃあ体育会系出身である。その手のいじりや冗談は多かった。

 だけれども――こう、女がするそういう話ってなんか生々しくないか? 正直、こう、反応に困る。

 確かに美人である。どっちかというとスタイルがどうこうというよりもなんか妙に色気がある美人である。

 でも……こう、どこか子供っぽい。やたらと悪戯好きだ。

 小悪魔的と言ったら聞こえがいいが、もう悪魔だった。鬼だった。ちひろは関係ない。

 みくにゃんはさいこうですしつぼうしましたみくにゃんのふぁんをやめます。


久「で、その遊んでそうな新子さんがどうしたの?」

京太郎「……」

久「あのゆるふわビッチ系清純むっつり少女が」

京太郎「……」

久「……」

京太郎「……」

久「……ごめんなさい」

京太郎「俺より新子さんに謝って下さいよ」


 遣り過ぎたと思ったのか、申し訳なさそうに肩を落とす久。

 普段からして悪い人ではないし、常に誰かを揶揄したり誹謗したりする人ではないのだが……。

 こう、勢いでやる。多分本当はそんな事全然思ってなくてもやる。普通にやる。酷い話だ。


京太郎「……で、その新子さんなんですけど」

久「はいはい」

京太郎「こう……その新子さんと新婚になったというか――結婚したというか、そんな……」

久「あー、もしもし? 新子さん? うん、私私。竹井久」

京太郎「何やってるんですか!?」

久「いや、謝れって須賀君が言ったから」

京太郎「このタイミングでやる必要ないですよね、それ!」


 電話口の向こうからは困惑の声。

 マジで電話掛けやがった。信じらんねー。



憧『あ、あのー? もしもしー?』

京太郎「動かないでください!」

久「や、やだ……駄目よ須賀君……!」

京太郎「駄目じゃないです! 流石にもう我慢の限界です!」

憧『……へ』

久「せめて、優しくして……」

京太郎「手を退けてください! 邪魔です!」

久「乱暴にしちゃだめ……!」

京太郎「そうさせたのは誰ですか! 部長が悪いんですよ、部長が!」

憧『ふきゅぅぅぅぅぅぅぅうううううう!?』

久「……ぁ」

京太郎「初めから素直になって下さい! というか抵抗とかしないで!」

憧『ぁぁぁぁああああ、あうあうあうあうあうあうあうあうあうあう!?』



 携帯電話をスライドさせて、通話を打ち切る。

 ……何か大切なものを失った気がする。本当に大切な何かを。


久「……で、なんか別の世界が見れるようになったと」

京太郎「こんな事、部長にしか相談できなくて……」

久「なるほど、久々の久姉の相談教室ね。久だけに」

京太郎「麻雀教室しかされた覚えないです」

久「あら、結構相談に乗ったのに……。で、夢じゃないの?」

京太郎「夢だったらよかったんですけど……」

久「ふーん」

京太郎「手、繋ぎますか? 今なら見えますよ、多分」

久「じゃ、試しちゃいましょうか。嘘だったら須賀君は新子さんに懸想をしあまつさえ先輩を組み伏せるケダモノって風に扱うけど」

京太郎「嘘じゃないんで大丈夫です」


久「ここは……」


↓3 キャラ安価

(コンマ1の位にて京太郎の境遇判定。1ほど悪い、9ほど良い。0は特殊)
(ヒロイン10の位。同じ)



235 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.15 ID:ANGELAKO



※実際に安価出します



「あ、ごめん……あたし用事があったんだ」

「どれぐらいかかるんだ?」

「分からないけど……結構かかると思う。ホントごめん」

「……そっか、それじゃあ明日なー」

「うん、また明日」


 全国大会も終わって。

 和と決勝で、麻雀を通しての再会を果たし――尤も決勝で直接戦ったのは鷺森灼だが――その後色々とあった。

 一番の変化と言えば、新子憧に恋人ができた事だろうか。

 須賀京太郎――元は長野の、原村和が所属していた清澄高校の麻雀部員だった。

 元はというのは、彼も実家の方で色々とあって、長野から奈良へと引っ越してきた為である。

 阿知賀は女学院であるが故に、麻雀部の仲間同士で恋愛しているという訳ではないが、

 前述の通り、清澄高校との交流から互いに面識があってこちらに引っ越してきた彼と顔を合わせる機会は多く、

 急遽転校と言うので人寂しかったのか、放課後彼は何かと阿知賀麻雀部に顔を出していて、その流れだ。

 半分くらいは阿知賀メンバーと言っても過言ではないかもしれない。


 転校した高校に友人が居ないのかと疑わしくなるが、まあ、彼なら心配はするまい。孤立するというのはちょっと想像しがたい。

 本来女子高である阿知賀に、放課後とはいえ男子が入るのは色々問題があると思うのだが、

 そのあたりなんというかなあなあにされている。つくづく緩い学校だと思う。魅力とも言えるが。

 初めの内は肉まんを胸に居れて女装兼おやつにしていたり、実に様々な涙ぐましい努力がされていたが、

 最早今そんな必要はなく、何だかんだと彼も麻雀部関係者として顔パスで入れるようになっていた。

 ひょっとしたら麻雀部がインターハイで好成績を出したのと関連があったりするのだろうか。分からないが。



 さて――と。

 彼との出会いはそんな感じなのだが、何故付き合う事になったのか。それは我ながらよくわからない。

 少なくとも第一印象は苦手だった。

 ノリが良いと言えば聞こえはいいが、言い換えるなら調子に乗りやすく。

 献身的と言ったらプラスだが、裏返せば男としての甲斐性がない。ただ、男男している人間は猶更苦手である。

 それに麻雀も弱いのだ。最初は、ただ女子高に入りたいだけなのではないかと疑っていたくらいだ。

 一応の顔見知りであり、和の麻雀部の仲間と聞いていた為に、邪険にこそはしなかったが――まあ、そっけなかっただろう。我ながら。


 というのも、何と言うか……麻雀に打ち込む割合が多すぎて、そっちの方を置き去りにしていた為だ。

 一応髪を伸ばしてみたり、整えてみたりと気を遣ってはいたが……結局のところいざ目の当たりにすると若干挙動不審になってしまうのは否めなかった。

 それが故、あのときはそんな反応をしてしまったと言い訳させて欲しい。


 では、話を戻そうか。

 いかにして新子憧と須賀京太郎が恋愛関係になったのか。

 まず、一目惚れではない。それは確定的に明らかだ。

 では、何かきっかけがあって――かと言えばそうでもない。

 劇的な事件があってゴールインという、ドラマのような展開はなかった。残念ながら。憧れるが。


 何と言うか、ちょっとした気さくな態度だったり。

 或いは、荷物を持つ時に意外に力があるんだな、と思った事だったり。

 作った料理がおいしかったり。

 何かの打ち上げでカラオケに行ったときに、思った以上に声がいいなと感じた事だったり。

 雑用の手際であったり。

 そういうものの積み重ねで、悪しからず思い始めたというのがきっと――敢えて言うのなら始まりだったのだろう。

 最初はいつもの日常に紛れ込んだ異物として毛を逆立てていたが、

 慣れていくにつれて、彼自身の魅力に気付いていったというところか。

 告白はこちらからしたが。そこまで苛烈で燃え上がるほどの恋愛感情を持っている訳ではない。

 なんて友達に言っても「素直じゃないんだから」と笑われる。

 告白する前から色々と相談をしていた彼女にとっては、既に自分は彼にベタ惚れ――だそうだ。



 ついでに、もう少し彼への態度に表してみては。ともアドバイスを受けた。

 ただ、なんというか――そう言われても難しいのだ。

 まず、自分自身彼にそこまで惚れているという自覚がないので表すも何もない。

 次に、どこまで甘えて――というと恥ずかしいが――そんな態度を表していいのか分からない。

 どこまでやったら遣り過ぎ、というのが分からないのだ。

 重い女は嫌われるというし。あんまりぶりっ子が過ぎても嫌だと思われそうだし。甘え過ぎも疎まれそうだ。

 そのあたり碌に経験がないのだから、限度が分からない。どうしても少し多めに概算しなければならないのだ。

 まだ心の準備ができていないというのもある。それに恥ずかしい。

 そんな訳で、彼氏彼女というよりは仲のいい友人――のような関係なのだろうか。今のところは。


 実に我ながら情けないものである。

 穏乃あたりにはからかわれるし、宥にもやんわりとしながら明らかな好奇心を向けた瞳を送られる。

 その時々に取り繕って虚勢を張っているのは、非常に滑稽だ。

 もう少しこう……少女漫画や映画のように甘い感じに行きたいのであるが、

 そう言って見て「夢見がちなんだな」と冷めた目を向けられる事を想像すると、気持ちがどうしても萎えてしまう。考え過ぎだろうか。

 まあ、人には人のペースがあるのだから仕方ない。そう思おう。


「……思ったより、早く終わったわね」


 それから、用事も済んで。日が沈み始めた夕方。

 夏も終わってしまえばあとは短くなるばかり。秋分も過ぎれば尚更だ。

 そう言えばどうやら地球滅亡の年らしいが、そんな事本当に起こるのだろうか。疑わしすぎる。

 昔はその手の予言に怯えてたのだと聞くが、なんというか時代を感じさせる。

 一度授業でその話が上がった事があるが、誰も信じていないと言うと「夢のない時代になったなぁ」と教壇から哀愁漂う吐息が漏れてきた。

 そう言われても、信じられないものは信じられないのだから仕方がない。

 誰だって、急にある日を境にすべてが崩れる――なんて事は想像できないのだ。

 きっと自分が生きている間に終末なんて訪れないで、終わるにしてもそれは緩やかな衰退だと思っている。

 というか、いい年した連中がそんな根も葉もない戯言に踊らされていた、という昔の方が信じられない。


 閑話休題。

 すっかりと夕暮れ。平たく伸びた雲が、これまた平たく伸びている山にかかる。

 薄ぼやけた濃紺。どちらかというなら青紫色の空。

 早く終わったと言っても、既に日暮れだ。インターハイも国民麻雀大会も終わった今となっては、こんな遅くまで残る理由なんてない。

 きっと部活にはもう誰もいないだろう。

 いないだろうというのに、ふと足がそちらを向かっていた。

 誰かいるなら一緒に帰りたかったのかもしれないし。それでも皆が自分を待ってくれていると期待していたのかもしれない。

 或いはちょっとしたセンチメンタリズムで、誰もいない部室に一人たたずんでみたかったのかもしれない。

 どれかは分からないが――新子憧は、部室を目指して歩き出していた。

 二度目があるというのなら。やり直しができるというのなら。

 ここで自分を引きとめていただろう。確実に。


※色々あってアコチャーが相談してた玄と浮気してました

※アコチャー現場目撃しました

※昔書いたので省略



京太郎「……」

久「……」


 どうやら後輩の言葉は真実だったらしい。

 少なくとも、黄色い救急車を呼ばずに済んだ。それはいい。

 ストレスでいけない薬に手を出したとか、今更になって遅まきに中二病に目覚めたとかではなかった。それは良かった。

 ……うん。

 逆に言うとそれしか良いことなかった。


京太郎「……憧、いい奴なんですよ」

久「あ、うん」

京太郎「高校時代から恋愛相談に乗ってくれたり」

久「私は今まさに人生相談に乗ってるけど」

京太郎「大学のときも、付き合い良くて……」

久「須賀くん、あなた高校生」

京太郎「社会人になってからも……連絡とってくれて……」

久「須賀くん、あなた高校生」

京太郎「俺の父さんと母さん死んだ後も支えてくれて……家族になってくれて……仕事探すのにも協力してくれて」

久「須賀くん、あなた高校生」

京太郎「時々喧嘩したりしても、仲良くやってて……俺、結婚して幸せだったって」

久「須賀くん、あなた15歳。結婚できないわ」

京太郎「なのに……、なのに俺は……! 憧を…………こんな風に裏切るなんて……!」

久「あーうん、最低ね」

京太郎「……俺は」

久「……」

京太郎「……俺は」

久「……」

京太郎「……っ、飛べよぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおお――――!!!」

久「ちょ、ここ何階だと思ってるの!? 早まらないで!」



京太郎「……あ、そうですね」

久「……須賀くん?」

京太郎「両手両足折ってからじゃなきゃ、この高さじゃ死ねないっすね」

久「それ人!? 人なの!?」

京太郎「人間はオカルトには負けないんです」

久「やだこれお薬の方がまだマシじゃない。……頭痛くなってきたわ」

京太郎「……憧」

久「あーうん、まあほら、浮気は最低だけど……」

京太郎「……飛ぼう」

久「最低だけど! 最低は最低だとしても、平行世界だから!」

京太郎「……」

久「ほら、平行世界だから! 別の世界線だから! あなただけどこのあなたじゃないの、いい?」

京太郎「……」

久「……」

京太郎「……はい」


 一先ず久は、胸を撫で下ろした。

 話を聞いたときは対したことはないかと思ったが、かなり重病らしい。

 なら見るなという話だが、この分ではどうにも夜ごとに夢としても見ているのだろう。中々深刻だ。

 ……。

 まあ、可愛い後輩であるし……かなりこれは放置してよろしいものでもない。

 流石に死なれると気分が悪い。


京太郎「……あ、平行世界といえば」

久「何かしら、須賀くん」

京太郎「部長と結婚して浮気した世界もありました」

久「よし死になさい」


 流石に気分が悪い。死ね。


京太郎「へ、ちょ……うわ!? 部長、ここ何階だと……!? ちょ、部長!」

久「あ、そうね」

京太郎「部長?」

久「両手両足折ってからじゃなきゃ、この高さじゃ死ねないわね」

京太郎「それただの計画性高い犯行です! 犯行っすよ!」

久「そうね、反抗できないように両手両足折らないと」

京太郎「何も変わってない!?」


 なお、余談であるが新子憧はこれを相談していいものか黙っているものか悩んだ挙げ句、相当に悶々としたらしい。

 こうしてこの世界に、また一つHOAが誕生した。


こんなんですね、②

あ、新婚の世界線と浮気の世界線は別物な
とりあえずこんな感じです、②
ただあんま暗い話とか鬱っぽいのとか腹パンとかは書かない。基本が穏乃と別れたときとかのあんな空気。しんみり

咲ちゃん
3ほのぼの・しんみり
3死亡。京咲純愛
1意識不明。京咲純愛
1倒錯純愛
2目標


1結婚
1しんみり
1幸せにおなり
1顔パン


1解説
1浮気(される)
1スワッピング
1チョコノーセンキュー
2師匠

白望
1ほのぼの
1結婚
1排卵


1結婚エンド
1しんみり
1浮気(される)
1ヤンデレズ
1(オカスレ物理)ヒロイン
1ふきゅっ子


1チョコダンク
1エンド
1アホの子


1しんみり
1漫才コンビ

姉帯さん
2しんみり
1ごはん

智葉
1しんみり
1師匠

やえさん
1しんみり
1エンド
1相棒

穏乃
1結婚
1ヤンデレズに狙われる
1元カノ


1ほのぼの
1浮気(する)
1アホの松実


1倒錯純愛
1あったかぁーい


1しんみり
2……
1チョコノーセンキュー
2師匠

キャップ
2師匠
1スワッピング
1チョコノーセンキュー

言うほど死んでないから

余った部分で何か書こうかと思ったが新年最初の一週間で100時間超えそうなので絶望視して下さい
一応スレ残しておいてなんか書けたら書きたいけどやっぱ確実に余裕的に無理だなと思ったらhtml化依頼を出させて頂く感じになります

次は②か③のネタでお目にかかれたらと思います、はい

企業じゃねーから…
転職するというか年内に退職はするよ、うん。辞めさせて貰えたら

ちゃお
今週はなんとか80時間で収まりました。土日は休みです

それにしても何書くかって話だけど、一応終わったんだしなんかifするのもねえ……

じゃあ一応な。一応やで

①あらたそ云々
②残念カルテットfeaturing.ふきゅ(アコチャー)
③結婚式での騒動とかそこらへん(やえさん出たり咲ちゃん出たり色々出たり)
④麻雀後じょうじボコるとことか
⑤咲ちゃんに救いはないんですか!?
⑥淡は!? 淡は!?

えらべえ

①六票

③六票

⑤四票
⑥三票

やね、りょーかい
このスレで咲ちゃん殺した事ないし咲キャラ殺した事ないんだけどな

とりあえずまだ社会人じゃない読者=サンは1みたいにならないでな



①パソコンスキルが必須でない職場なら、パソコン使えるアピールや海外に行った事があるなど余計な事は言わない

②一々飲みに誘われる職場かつ色々かっつかつで正直飲みに行く余裕も何もない仕事なら、
 酒を飲むときはノリよく飲むのではなく制止を振り切ってバカスカ飲み「コイツ酒癖ヤバイ。普段と違ってアカン」と思わせる

③身体を動かすストレス解消法を持つ。ストレッチだけで十分

④一日一回若しくは三日に一回かせ)て一週間に一回でも一人でただ漠然と考える時間を持つ。日記を書いてもいい
 とにかく「過去の事にする」か「自分の考えを整理する」。PTSDの治療などにも過去の事にするってのは使われる

⑤腹筋を使う笑いをする。疼痛閾値だけじゃなくストレスを緩和するので

⑥泣く。やっぱりストレス解消になる

⑦仕事にかかる時間はサバを読む。相手が困った顔をしたら下げる……がやはり多少サバを読む

⑧ストレス解消をルーチンワークにしない。違ったものをいくつか使う(特に食事などの場合は特に)
 特定食品ばっか食べると、身体が「それ=ストレス」と見なして食べようとすると吐きそうになる。ガチで

⑨緊張したら唾を出す意識を。緊張状態では粘った唾液若しくは乾くので、意図的に唾液量を増やして動作から副交感神経を刺激する
 そのときなるべく「緊張してるな」と意識。他に、喋り方を意図的に遅くするなど動作からの神経支配を

⑩「最近寒いですね」→「寒いと鍋食べたくなりませんか?」→「いい店知ってます」or「いい店知りません?」とか日常会話から自然に踏み込む感じを
 誘いたいなら(かつ知ってるなら)「知ってます」、上司先輩に連れてって欲しいなら「知りませんか?」で
 どっちでもないなら「知りませんか?」からの「○○好きなんですよ」とか「詳しいんですね」とか「いいお店知りたいんですよ」とか相手の自尊心擽る方向で

あと牛肉食うと何故かA10神経が刺激されて快楽物質が出るので使ってみてな


まあこれらをする時間がないような仕事の感じだと1みたいになるから気をつけてね

あ、それ行こうか>社会人スレ
まーまだ10年とか働いてないけどなー

やる夫スレチックになってこれ言うほど咲か?だけど候補に入れときます

まあそこら辺は面倒なので「意図的に脳内おくすりを出す方法」とか「社会人の出会いってどーなのさ」とか「効率的なストレス解消」とかの話にしたいけどな
脳内おくすりはちょっとまだお試し中で理論にゃ遠いけど
まあいつもの話半分のよもや話でさあ


時間あるか判らないけど書くのはアコチャー結婚式で行きます
気長に待っててな

オカルトスレイヤーじみた戦闘力とか言われるとめげるわ
なんでや人間やろ


照もね……
だって描写と矛盾するしね……

こんなんやろ真相


尭深「宮永先輩、結婚式の招待じょ……」

照「……」 ゴゴゴゴゴゴ

照(28)「……」

照(28)「……何?」
  ↑

尭深「……なんでもないです」

尭深(須賀元プロのなんだけど……まあいいか)

尭深(しかしこれで京セラが敗れたと考えるのは素人。妻もいるノンケが真の愛に目覚めると考えてこそ至高)



誠子「淡、結婚式の招待が……」

淡「……」ピク

淡「……結婚式ィ?」

誠子「あ、ああ……結婚式……」

淡「まーたの先輩ー」

淡「私、結婚式って言葉嫌いなんですよー」

誠子「そ、そうか……じゃあ欠席にしとくな」

誠子(須賀くんなんだけど……まあいいか)

淡(結婚式って言われるとあの馬鹿愚か勝ち逃げ男とのこと思い出すから……)

淡(早くアイツの記録全部殺さなきゃ……!)


京太郎「やっぱプロって忙しいのな」

憧「弘世先輩は仲人頼まれてくれたけど……そうなの?」

京太郎「弘世先輩は義理堅くて頼りになる人だからな、そりゃ」

憧「あー、流石弘世先輩って感じ」

憧(あたし大学のとき何回か絶妙のタイミングで告白インターセプトされたけど)

仲人というか媒酌人というか

ちょっとだけ始めるでー




【壊れるほど愛しても1/3しか伝わらないのは身体を1/3に壊しているのではないだろうか】


 

 白いテーブルクロス。円形のテーブルが鎮座するホール。

 飾り付けられた室内とは対照的に、その円卓の上は痛いほどの純白。室内も閑散としている。

 だがどこか祭りの前のような高揚感に満ちたその場は、橙色の電灯に盛り上げられる。

 そんな中――、高らかに掲げられたマイク。

 威勢のいい、喜色に満ちた声が蠢きが混ざって結果作り上げられた静寂の幕を割いた。



久「全新郎入場!!」


 明るい茶髪の女性、アナウンサー竹井久の号令。

 さあ注目しろと、促すように手のひらがドアに差し向けられた。




久「オカルト殺しは生きていた!! 更なる研鑚を積み人間凶器が甦った!!!」

久「武神!! 須賀京太郎だァ――――!!!」


久「総合麻雀格闘技はすでに我々が完成している!!」

久「麻雀プロ須賀京太郎だァ――――!!!」


久「組み付きしだい蹴りまくってやる!!」

久「全日本麻雀協会代表、須賀京太郎だァッ!!!」


久「素手の殴り合いなら我々(じんるい)の歴史がものを言う!!」

久「古式ムエタイ、須賀京太郎!!!」


久「真の人間を知らしめたい!! 人類最強、須賀京太郎だァ!!!」


久「麻雀は六段制覇だがケンカなら無限段オレのものだ!!」

久「人類の到達点、須賀京太郎だ!!!」


久「ダブリー対策は完璧だ!! 全日本麻雀、須賀京太郎!!!!」


久「全格闘技のベスト・ディフェンスは私の中にある!!」

久「麻雀の神様が来たッ、須賀京太郎!!!!」


久「最後の希望なら絶対に敗けん!!」

久「麻雀プロのケンカ見せたる。地上最強須賀京太郎だ!!!」


久「バーリ・トゥード(なんでもあり)ならこいつが怖い!!」

久「長野のオカルトスレイヤー、須賀京太郎だ!!!」


久「奈良県阿知賀から炎の男が上陸だ!! 古式ムエタイ、須賀京太郎!!!」



久「ルールのヤバイ麻雀ケンカがしたいからM.A.R.S.ランカーになったのだ!!」

久「プロのケンカを見せてやる!! 須賀京太郎!!!」


久「めい土の土産にタイトルとはよく言ったもの!!」

久「古式ムエタイの奥義が今、実戦でバクハツする!! 阿知賀女学院、須賀京太郎先生だ―――!!!」


久「M.A.R.S.ランキングチャンプこそが地上最強の代名詞だ!!」

久「まさかこの男がきてくれるとはッッ、須賀京太郎!!!」


久「結婚したいからここまできたッ、プロ後のキャリア一切不明!!!!」

久「長野のアンチ異能(オカルト)ファイター、須賀京太郎だ!!!」


久「オレたちは立ち技最強ではない、全人類で最強なのだ!!」

久「御存知古式ムエタイ、須賀京太郎!!!!」


久「古式ムエタイの本場は今や日本にある!! オレを驚かせる奴はいないのか!!」

久「須賀京太郎だ!!!」


久「デカァァァァァいッ、説明不要!! 1m98!!! げふんげふんkg!!!」

久「姉帯豊音だ!!!」


久「スタントは実戦で使えてナンボのモン!!! 超実戦スタント!!」

久「本家日本から須賀京太郎の登場だ!!!」


久「新子憧はオレのもの、邪魔するやつは思いきり殴り思いきり蹴るだけ!!」

久「プロアマタッグ統一王者、須賀京太郎」


久「自分を試しに奈良へきたッ!!」

久「タッグ全日本チャンプ、須賀京太郎!!!!」


久「オカルト殺しに更なる磨きをかけ、“超常打倒者”須賀京太郎が帰ってきたァ!!!!」



久「今の自分に死角はないッッ!! エクストリーム・マーシャルアーツ須賀京太郎!!!」


久「人類百万年の剣技が今ベールを脱ぐ!! 長野から、須賀京太郎だ!!!」


久「憧の前でならオレはいつでも全盛期だ!!」

久「燃える愛情、須賀京太郎。本名で登場だ!!!」


久「教師の仕事はどーしたッ。闘士の炎、未だ消えずッ!!」

久「希望も絶望も思いのまま!! 須賀京太郎だ!!!」


久「特に理由はないッ。麻雀プロが強いのは当たりまえ!!」

久「協会にはないしょだ!!! 最強の男! 須賀京太郎がきてくれた―――!!!」


久「鬼哭街で磨いた実戦カラテ!!」

久「麻雀界のデンジャラス・ニンジャ、須賀京太郎だ!!!」


久「麻雀だったらこの人を外せない!! 超A級麻雀士、須賀京太郎だ!!!」


久「超一流ランカーの超一流の麻雀だ!! 生で拝んでオドロキやがれッ」

久「ノースタントノーワイヤーノーCGの鋼鉄人!! 須賀京太郎!!!」


久「無能力はこの男が完成させた!!」

久「最後の切り札!! 須賀京太郎だ!!!」


久「若き王者が帰ってきたッ」

久「どこへ行っていたンだッ、チャンピオンッッ」

久「私達は君を待っていたッッッ須賀京太郎の登場だ――――――――ッ」


久「加えて負傷者発生に備え超豪華なリザーバーを4名御用意致しました!」

久「現役自衛隊員、シン・アスカ!!」

久「残念王子、花村陽介!!」

久「伝説の不良! 古市貴之!」

久「……ッッ、どーやらもう一名は到着が遅れている様ですが、到着次第ッ皆様にご紹介致しますッッ」




久「……ふう」

憧「――」

京太郎「いや、何やりとげた顔してるんですか」

久「あのね須賀くん、その場で改変をするってのは大変なのよ?」

憧「――」

京太郎「いきなり変な呼び方された俺の方が大変ですけど」


 主に古式ムエタイばっかり。あと戦闘能力とか。

 現在の職業、一切関係なかった。というか現在の職業とかまだフリーターだった。

 一応阿知賀の教師に内定していたりするが、やっぱり古式ムエタイは関係ない。ノースタントノーワイヤーも関係ない。

 そもそも麻雀プロでも関係なかった。誰だ、古式ムエタイとかやり始めたのは。


久「そうね」

京太郎「……なんで俺この人に司会お願いしたんだろう」

憧「――」

京太郎「……憧?」

憧「なんでプロレス風入場なのよ!?」

憧「なんで姉帯プロが入ってるのよ!?」

憧「って言うか普通新婦が入場で新郎は待機でしょーが!」

久「うん、いいツッコミ」

京太郎「なんでそんなに冷静なんですか?」

憧「あとリザーバーとか要らないです!」

久「あら?」

憧「だ、だってあたし……その、京太郎一筋だし……」

京太郎「憧……!」

憧「京太郎……!」

憧「でも司会にこんな人呼んだから後で覚えときなさいよ」

京太郎「……悪い。恩がある先輩だったから……ここまであんな人だとは思わなかったけど」

久「……」

久「心臓停止しないかしら。具体的には1億円ぐらい借金背負ってメカいライダーに変身して」

京太郎「やめて下さい。……まあそうなったら、俺が連れ戻しますけど」

憧「京太郎残して死ぬわけないから安心しなさい、って」

京太郎「憧……!」

憧「京太郎……!」

久「……」

久「……人の幸せってドブの味ね」

京太郎「食べたことあるんですか……?」

ここまで

うえのさんはすばらしいせんぱいです

ああ、書いてないけどあれや


全部アイツの記録を殺したら、きっとそうしたら――

①そうしたらきっとアイツの事を忘れられる
②そうしたら自分がやったって気付いてこっちをちゃんと意識してくれる
③勝ち逃げなんて許さない。勝った部分を殺したから勝ち逃げ成り立たせない

やで。ヤンデレって怖いな
なお蜂王タイトルは咲ちゃんがキープしている模様

ほいちょっと聞きたい

正直、話は終わったと思うので過去編とか別サイドとかその後とか書いてもifを書く気は一切これっぽっちもないんだけど
別サイド書くとしたら誰がいいってのと、本当に決して有り得ないけどif書くとしたら誰がいいですかね?

今日か明日、アコチャー結婚式編やります
あと1は紫のメダル入ったけど元気です

家族生存してたら普通に長野に引っ込んで舞台からフェードアウトして終わりですわ


んじゃあ別サイドは色々書きますね。色々
結婚式ネタはそのあとにしよう

長野に引っ込んだら……


外見と物腰の柔らかさから、生徒から親しみを以てどこか軽んじられる教師須賀京太郎。
緩やかな麻雀部の顧問を頼まれた彼は、過去を忘れ平穏に暮らしていた。
だが、その麻雀部も崩壊の危機に瀕する。
部外の雀荘で麻雀を行った生徒の悉くが二度と牌と向かい合う事もできなくなるという非情に――優しき男の怒りが、今爆発する!

普通のラノベだ


「負けたんだ。靴を舐めろ。フィーヒヒヒ、それと肉体的な意味で代金を支払って貰う」

「アイエエ……」

 舌舐めずりをする黒服の厳めしい手が少女たちの制服に伸びる。
 オカルトリアリティ・ショックとゴキブリめいた男たちの顔に少女は身を震わせるしかない。
 何たる悪逆か! はたして彼女たちはこのまま運命を受け入れるしかないのか!
 だが運命は彼女たちを見捨てなかった。

「……なるほど」

 事務所の入り口。扉を塞いでいた黒服は無惨に倒れ付していた。彼らの口からは血が一筋、床に流れ落ちている。
 チャカで武装した黒服を、一体誰が!? 信じられない!
 呟いた影は、白いスーツを脱ぎ捨てた。宙を舞うシャツとスーツ。丈夫さと性的を売り文句にするナガノ製の生地が無惨に引き裂かれているではないか!

「イヤーッ!」

 そのまま男は壁を蹴って跳び、天井を足場に走ると、バック転の姿勢で部屋の真ん中へと踊り込んだ。
 電子麻雀チャブの上、踏み散らかされた麻雀牌が弾丸のごとき勢いで黒服の頭を撃ち抜くと、さらにその破片が散弾よろしく黒服の全身を打ち据える。
 壁を削り取って床を転がった麻雀牌の音が、静かな部屋に響いた。

 これで少女たちを取り囲む障害はなくなった。だけれども、誰も動けない。何故か?
 彼らは死を覚悟していた。
 人類最強、実際スゴイヤバイ! 後戻りできない前後! 男から漂う捕食者めいたアトモスフィアがそうさせたのだ。
 
「ドーモ、はじめましてテラー=サン。オカルトスレイヤーです」

 誰よりも速く麻雀チャブから両手を使わずに身を翻した男は音も立てずに着地すると、直立不動の姿勢をとってそうアイサツした。
 「魔」「殺」と彫金されたメンポが月に輝いた。多数の傷に包まれた上半身。なんたるカラテに満ちた肉体! ただ者ではない!

「ドーモ、オカルトスレイヤー=サン。……一体私に何の用で?」 

「オヌシは生徒……、……、……いや、罪もなき人びとを苦しめた。オカルト殺すべし」

 その言葉とともに、オカルトスレイヤーの両肘と両膝にカラテがみなぎった。
 テラーは身を固くして口をつぐんだ。
 これは古式ムエタイ。古式ムエタイを前に口を開いてはならない。古事記にもそう書かれている。
 だがしかし、生徒の一人が口を開いた。近頃の若者は古事記を読まない。なんという不勉強か!

「……ニンジャ?」

 はたしてこの突入者は何者か! 一人の生徒は驚愕を消化できなかったのだ。


「スッガじゃん」「スッガだよね」「どう見てもスッガ」

「やった裸だ。夏には間に合う、修正しなきゃ」

「え、いや、あの、天井を……」

「だってスッガだし」「スッガだから」「スッガだもん」

「スッガは執事と実際ネンゴロ」

「え、天井を走って……」



こうなる
大丈夫、ほのぼのスレはセガール系にはならない。いいね?

よっしゃ、淡サイドいくでー

判ってると思うけどこのスレは人間讃歌だからハッピーエンドです
気体に堪えられなかったらすまんな





          【Action Zero】






「おめでとうございます、大星プロ! 念願のタイトルを手に入れましたね!」


 銃口のように向けられたレンズから迸る閃光。

 その中において大星淡は、酷く落ち着いた顔をしていた。

 そこには勝利の余韻もなければ、念願の会心もない。ただ一つ、重荷から解放されたという表情だけがある。


「……はい、ありがとうございます」


 彼女はこれで、全てを奪った。

 須賀京太郎が出演していた番組も。須賀京太郎が持っていた段位も。須賀京太郎が冠したタイトルも――やっと。

 しかしそうしても、淡の心に達成感の一つも生まれなかった。

 漸く手に入れた、麻雀の称号だというのに。


(ああ――)


 本当は初めから分かっていた。

 須賀京太郎が、中途半端に麻雀を辞める筈がないと。

 そんな簡単に投げ出して、終わるような男ではないと。

 最初から分かっていた。

 あの男が麻雀を諦めるというのならそれは本当に限界も限界で、そこまで全てを費やして麻雀を打っていたのだと。

 それほどまでに、本気で淡と接していたのだと。

 そして最初に淡に勝った事には彼は納得していなくて、納得できていなくて、あれは全部須賀京太郎の力ではないのだと。

 だからこそ再度のタイトル戦で、本当の本当の限界まで須賀京太郎は戦ったのだと。

 少なくとも淡に対しても、真剣に向き合ったのだと。

 決して軽い気持ちで勝ち逃げなんて言った訳じゃなくて、あれはせめて暗くならないように笑って別れたのだと。

 そう送り出してくれという須賀京太郎の、大星淡に向けたメッセージなのだと。

 彼なりの、その後麻雀界に残る大星淡へのエールだったのだと。


(やっと――)


 だけれども――どうなる?

 この自分の無念はどうなる?



 告げる事が出来なかったこの記憶の半券はどこへ行けばいい?

 自分には麻雀しかないのも。それが誇らしいのも。勝つ事が楽しいのも。麻雀が好きだというのも。それがこれまでの全てであったというのも。

 そんな人生の線路と、己を裏切って走り出した列車はどこへ向かえばいいのだ?


(もう、これで死んだんだ――須賀京太郎は)


 単純に、腹が立つ。

 あれほど顔を合わせていたのに、そこまで抱えていた事を判ってやれなかった事が。

 だけれどもそれを打ち明けられもしないぐらいに、信頼されていなかった事が。

 自分の力が、あの男の命を削る事に繋がっていた事が。

 何よりも――そして何よりも――。


 麻雀以上に、あの男に対して自分が感じ入ってしまっていた事が。


 腹立たしいのだ。腹立たしくてしょうがないのだ。

 一瞬たりとも後悔をしたのが。己の麻雀の強さが彼を追い詰める一因になったのだと。

 一瞬たりとも動揺したのが。彼はこんな自分を置いて一人でどこかに去ってしまうのだと。

 一瞬たりとも逡巡したのが。麻雀で共に戦う事よりも須賀京太郎と共に居たいと思っていたのだと。

 そんな風に――己の存在価値を己自身で否定してしまった事が、許せない。

 それほどまでに己を揺るがした存在が――許せなかった。


 筋違いでも奪うしかなかった。場違いでも殺すしかなかった。

 そうでないと、大星淡は大星淡で居られなかった。居られなくなってしまったのだ。

 だから――己の中の須賀京太郎を殺すしかない。

 麻雀を手放せない。手放せられない。手放す気などない。

 なら、どちらか一つしかなかった。



 そうしてやっと、一つを捨てる事が出来た。自分の中で納得を付けられて、消化することができた。

 これで漸く、嘘を吐かないで生きる事が出来る。自分の心に正直に、決着をつける事が出来る。

 せめてそれでも一つだけ星に願うとすれば――


「……ええ、やっとこれで超えられました。私の一番のライバルを」


 ――この言葉の本当の意味が、ちゃんと届けばいい。


 もしどこかで彼がこれを知ってくれたなら――きっとそれでいい。

 須賀京太郎が全力を振り絞ったのは、それだけ淡が強かったから。それだけ彼も本気だったから。

 消えてしまう流れ星みたいだとしても、きっと淡はその輝きに一役買ったし、彼も淡の輝きの助けになった。

 そこにはきっと無念や後悔は必要ないのだ。

 お互い納得ずくの戦いで、その他の余計な事はいらないのだ。

 誰が何と言ったって――これだけはきっと変えられない、たった一つの希望なのだ。

 大星淡の活躍を見て彼は誇ればいい。須賀京太郎という困難を超えて、大星淡はもっと羽ばたけばいい。


(――ばいばい、きょーたろー)


 これでやっと、大星淡も前に進める。

 きっといつか、胸を張って――最高のライバルが居たのだと。

 最強の人間が居たのだと、笑う事が出来る。

 己の中の強さと孤高というオカルトを殺して――また一歩、先に進む事が出来るのだ。


 大星淡の顔は、晴れやかだった。

                                                            ――了

以上。人間讃歌です

本当は探しに行って奈良で対局しようとしたら道中色々あり、辿り着いたら妊婦アコチャ-と対面して諏訪湖に沈んだりとか考えたけどな
このスレほのぼの熱血王道だもんな

咲→どっちかが死ぬ
照→ないよ、そんなの
淡→勝ち逃げって言ったときに止まらずに食ってかかるか変身する度に周囲の人の記憶から消える
憧→ちょっとずつ相談に乗ることを一年以上続け教師として色々次の職の為に世話を焼いた上で代休を貰って一日早く奈良から東京に来てそのときたまたま店長が京太郎に暇を出す

松実→すぐ電話かける。終わり


うん

次は咲ちゃんやねー

京咲純愛でやるから待っててな





   【たしかなこと】



 

(ああ……負けちゃった、か)


 控え室に続く廊下。

 マスコミを割けるように抜け出た宮永咲は、関係者以外立ち入り禁止のそのリノリウムの床に、一人靴音を立てる。

 やがてそれも止んだ。

 彼女が振り返るのはある日の事――あれは確か、須賀京太郎が麻雀プロになったその冬の事だ。

 そのときもこんな風に、誰もいない廊下で出逢った。



(あ、京ちゃん)


 姉が目的を見失い道に迷うとしたら、宮永咲は道のりそのものを見失い道に迷う。

 流石に通い慣れた道ならそんな事もないが、あまり利用しない場所ではときどき(注:彼女の主観では。実際は殆ど)そうなる。

 通ったようなとか、曲がったようなとか、何となくの記憶に従う。そうすると間違っていて、迷う。

 迷い始めれば尚更慌て始めて注意が散漫になり、更に輪をかけて酷くなる。


 そんな中――一人佇む須賀京太郎に出逢ったのはなんたる僥倖か。

 やった流石私の京ちゃんいや私のは言い過ぎだったしこれは私の幼馴染みという意味であって別に深い意味なんてないんだからね――。

 なんて考えながら、彼に向けて歩き出した。

 だが、様子がおかしい。

 視界に収まっている筈なのに、彼は一切のアクションを取る事なく――ただ立ち尽くしているのである。

 これが、本当に須賀京太郎なのか。実は彼そっくりの怪物や幻影だったりしないか。

 文学少女特有のそんな突飛な発想と共に、宮永咲は足を早めた。


 思えば須賀京太郎とは久しい。

 大学進学と麻雀プロというのもそうだし、同じプロの土台になってからもそうだ。

 試合が近くなって彼と顔を合わせる事もあるにはあるが、会話をしている余裕はなかった。彼はいつも急いでいる。

 麻雀そのものよりも、ヴィジュアル期待の扱いを受けていると――そんな風に聞いていた。スケジュールもハードだと。

 当然ながら、京太郎は本業――麻雀に――手を抜かない。彼のスタイルからすれば、膨大な牌譜集めとその分析も行っている筈だ。

 ならば必然、その予定はタイトになる。




 果たして、咲がそのまま歩を進めれば、


「ん、咲か?」

「京ちゃん……」


 彼はそう、顔を上げた。

 どうやら目を閉じていて気が付かなかったらしい。こんな場所でだなんて、考え事でも
していたのだろうか。

 そう思って訊いてみれば、


「フフン、聞きたい?」


 やけに得意げな京太郎。咲に向けるいつもの表情。

 それだけ見れば――まあ、安心だった。


「勿体振る事?」

「まー、大した事じゃないけどな。つーか寝てた」

「……黄色い救急車呼ばなきゃ」

「それ都市伝説だろ!」


 大声を上げる幼馴染みに、呆れた目線の宮永咲。

 須賀京太郎が馬鹿みたいな事を言うのは――特に咲の前で――ある意味日常である。

 それこそ数え切れないそんなやり取りの上に、今日までがある。


「いや、マイクロスリープって言ってな。これ、普通にあるんだよ。人間ってすげーな」

「へー、どうやってやるの? 便利そうだね」


 話だけなら聞いた事があるし、ネットの特集記事でも存在は知っている。

 ちょっと目を閉じて寝たら寝不足や疲れが回復それは――本を読んで宵っ張りになってしまう身からしたら、非常に魅力的だ。

 簡単に覚えられるなら、ちょっと使ってみたい。



「まず……そうだな。疲れるだろ? こう、何て言うか……すげー疲れる。眠る、じゃなくて電源オフみたいに」

「うん」

「で、なんだけど……だけど何かあったらすぐ起きるんだよな。物音とか、音にならない気配とか。朝もばっちり」


 おかげで一度不法侵入者に気付けた、と彼は笑った。

 その侵入者には同情しかない。

 誰もいないと思ったら、暗闇の中、妙に音に密度がある舌打ちと共に古式ムエタイ使いが襲ってくるのである。恐怖しかない。

 というかそれは電源オフというより、スリープモードのようだなと咲は思った。

 ……いや、寝るとスリープをかけた訳ではない。本当に。


「暫くそんなのが続いて……というかもうずっと夢も見ないのが当たり前になる」

「……」

「で、そこで準備オッケーって奴だ」


 それから、須賀先生の人間教室と手を叩く。

 麻雀教室をやっているから、なのだろうが……人間教室ってなんだ一体。

 この幼馴染み、段々不味い方向に行っている気がする。


「LESSON2『重力に悟られるな』……『姿勢を支配しろ』」

「……なにそれ」

「そのまんまの意味だって。変な姿勢でやると、倒れて頭打ったりするからな」


 慣れたら立ったままでも歩きながらでもできるけど――と笑う京太郎。

 慣れる必要はない(正論)。咲は素直にそう思った。

 人間というか、半ば渡り鳥や海豚じみている。脳の半分だけ眠らせられるかも知れない。大丈夫か、須賀京太郎。

 というかLESSON1は?


「椅子に座って……床で体育座りでもいいぞ? 首の後ろは自然に伸ばす感じ。電車で寝るときと一緒だな」

「へー」

「で、目を閉じる。閉じたら、寝るときと同じ呼吸にする」

「へー」

「LESSON3『人体は無限の力。信じろ』」

「へー」

「別にオカルトとか超能力とか、選ばれた人しかできないもんじゃない。誰でもある身体機能なんだよ、これ」

「へー」

「正直、普通に寝るのとちょっと違う。俺の例だけど……寝てるんだけど、周りは見えてるんだよ」


 音とかで脳みそが勝手に映像を作っているのかも知れない――と京太郎は笑った。

 寝てるときは周りが見えているそうだが、今は全く見えていないぞ須賀京太郎。

 この幼馴染みは、大体そうだった。ある意味慣れたが、宮永咲に対してはしばしばこうなる。

 ……なんて以前言ったら、「それ読んだ本の話してるときの咲の間違いだろ。俺には判る」と返された。不本意だ。

 自分はそんな風に、須賀京太郎レベルにぽんこつではないし周りが見えなくなるわけでもない。何たる悪逆な評価か。酷い。



「で、まあ……普通に目を閉じてるのと一個だけ違うとこがあってな」

「違うところ?」

「一個だけっつーか、その、周りを映像で理解しやすいのと……あとは現実と食い違いが起きる」

「どういうところ?」

「例えばいる訳ない人がいたり、周りの会話に不自然なのが増えるとか自分の思考の論理がおかしかったり……『明日は六角形だから昼飯は蜂蜜だな』とか」

「京ちゃん……おくすりは駄目だよ?」

「やってねーよ!?」


 肩を大げさに動かし、息を荒げる京太郎。

 まだおくすりの方が判る。というか、おくすりを手に入れる方が手頃な筈だ。普通の人でも。

 こんな良く判らない技術を手に入れる方が、ある意味どうかしている。

 いやそりゃ、人間に備わってる機能なんだから使えるには使えるだろうが……普段から使えないって事は、日常には不必要な機能である。

 それが使えるというのは、つまりは……。


「で、そうなったら『ああ今寝れてるな』って思う。あとは、許される時間までとか寝ながらも把握してる周りの状況に合わせて、起きるだけだな」

「へー」

「慣れると数秒でこうなって、数秒で起きられるようになる。それで完全回復だ」

「へー」

「立ちながらやるのはお勧めしないっつったけど、熟睡前には姿勢を崩して起きられるから時間がないときは便利だな」

「へー」

「あと、歩くぐらいの単純動作だったら寝ながらもできるぞ? ただ、回復力も微妙になるから要注意だな」

「へー」

「立ちながらやるんだったら、小学校とかでやった休めの姿勢だな。足は肩幅より狭めで……」

「へー」


 足は肩幅より狭め。両足をしっかりと骨盤に乗せて、膝は軽く曲げたまま“嵌める”。軽くジャンプするとイメージ作りやすい。

 手は後ろに。前に出る頭蓋骨との重さのバランス役。手のひらはしっかりと握る……というよりは指を引っ掛ける。

 で、頭は前。首の後ろを自然に伸ばし、顎先が首に当たるぐらいに。


 ――などと、若干得意げに京太郎は解説を続けた。


「最後。LESSON4『注意を払え』」

「……うん、で、いつまでジョジョ引っ張るの?」

「できるようになると結構簡単にやり始めるようになるから、日常的に車を運転する人は要注意な。やる前にコーヒー飲むとか、習慣でスイッチを作っといた方がいい」

「……」

「オペラント条件付けって奴。パブロフの犬みたいな」

「……」

「カフェインが効き始めるのは15分後からだから、大体丁度いいと思うぜ」

「私は大体、超どうでもいいと思ってるよ」

「危険が伴う事だから、本当にこれを覚えるのかどうかは良く考えてな!」

「自分の今の状態を良く考えようよ、京ちゃん」


 居もしないテレビの前の人に語り掛ける口調。間違いなく解説番組の影響。

 そんな職業柄に蝕まれる――職業病に苛まれてしまった幼馴染みを見て、宮永咲は決意した。

 ある意味で傲慢かつ、独善的な決意だが……彼女に持てる方法はそれしかなかった。

 今もこれは相当宜しくない。宜しくないが、まだ、きっとここから先がある――。

 彼がもしその領域に踏み込んでしまったのならば、やらざるを得ない。やるしかない。

 これまでの――彼にかけてしまった迷惑の分も。ここまで共にいた長さの分も。


 宮永咲が、それをやるしかない。



 その為になら――いくら恨まれても構わない。いくら疎まれても構わない。

 鬼に逢えば鬼を斬り、仏に逢えば仏を斬ろう。

 それほどまでに彼女は――


(もしそうなったら……私が、なんとかしなきゃ)


 多忙の果てに磨耗し始めていた幼馴染みを取り戻すと、固く決意した。

 宮永咲では、彼の仕事を減らせない。

 誰が言ったってそれは仕事として複数を介している以上、咲や京太郎の手を離れたとのろで生まれる事態。

 宮永咲では、彼の努力を実らせられない。

 それは咲や京太郎が決める事ではない、全ては時の運。

 宮永咲では、彼の信念を挫けない。

 それは咲の決める事ではない。咲がいくら叩き付けても、きっと余計に京太郎は力を込めて立ち上がる。


 なら――。

 もしもこれ以上、彼が進んでしまうなら――。

 そして、追い詰められるなら――。


(私がやる……やるべきだったんだ。こうなる前に)


 ――如何なる手段を用いても、彼の目を醒まさせる必要がある。




 そして、果たして――。

 蜂王タイトル戦。京太郎にとってはプロ二年目の春。

 江口セーラ、大星淡、そして須賀京太郎と宮永咲。

 結局あれから、碌に顔を合わせている暇はなかった。忙しさに、連絡や食事もままならない。

 どうなっているのか。

 ノースタントノーワイヤーなどという、おおよそ麻雀プロや本業の俳優にもやらせないようなアクションをこなし――。

 バラエティー番組や解説番組、映画やドラマに出演し――。

 そちらで時間を奪われ、本業である麻雀での成績にも影響が如実に現れていたあの幼馴染みはどうなっているのか。

 チームメイト――相棒である筈の小走やえは、コンビだと言うのに打ち合わせをしないとも聞いた。

 それは考えあってだろうと、咲にそれを話した人間は言っていたが――果たしてそんな環境に置かれ続けた幼馴染みは。


(ああ……)


 判った。判ってしまった。

 顔を合わせたら、彼が何を考えてこの戦いに望んでいるのか――彼の後ろにあるものが見えてしまった。

 高校から始めて、その師匠を求めて難関の大学に進み、スカウトではなく公募で麻雀プロとなった――。

 それほど強い信念と覚悟と熱意を持った幼馴染みは、こうなってしまっていた。


(京ちゃん……)


 ――彼はこの戦い、破れれば引退するつもりである。



 果たして始まった対局。

 相手を五向聴以下に叩き込む大星淡の絡み付く触腕に対抗できるのは、尋常ならざる膂力を持つ宮永咲のみ。

 それでも、及ばない。及び切れない。

 槓子による――王牌による加速や爆発的な打撃を持っても、常に相手を縛り付け致死級の攻撃を用いる大星淡に、僅かに届かない。

 或いはそれは、咲も集中仕切れぬが故か。


(……っ)


 そうして迎えた南三局で、唐突にそこで須賀京太郎の意図を理解した。

 彼は探っていた。卓の全員の能力から、大星淡を妥当する可能性を探っていたのだ。

 だから――咲はその策に乗ろうと、考えた。

 京太郎が三倍満以上なら彼の逆転勝利だが、そうでないなら大星淡は転落し、宮永咲が一位に返り咲く。

 下位がトップを殺そうと言うなら――、その内に己の利になる可能性があるなら――。

 それに協力するのは“麻雀プロの宮永咲”としても自然だ。



 ここにきて、不意に思い返される事があった。

 そう、思えば――。


 宮永咲は、麻雀を嫌っていた。麻雀を疎んでいた。麻雀から遠ざかっていた。

 そのままだったら姉と和解する事もなく、友人の輪を広げる事もなく、自分はきっとあのままだった。

 続けたのも戦ったのも宮永咲の意思であるが、切っ掛けをくれたのは――前に進む一歩になったのは、強引で自分勝手かも知れないが須賀京太郎の助けだ。

 人と深く判り合い、戦いを通して本音で話し合う事のなんと素晴らしい事か。

 仲間との絆を深め、強敵と凌ぎを削り、人々の期待を背中に闘う事のなんと素晴らしい事か。


(ありがとう……京ちゃん)


 自分をそんな場所に連れ出してくれた幼馴染の事を考えると、胸が熱くなる。

 子供の頃に出会ってはいたが、その事は対して記憶にはなく――どちらかと言えば中学からの同級生という意識が強い。

 御互い、幼馴染と言う事は忘れていた。

 彼との再会は、中学生のクラス行事の時だ。


 大縄跳び。


 元来運動を不得意としていた宮永咲は、どうしても上手く縄を跳ぶことができなかった。

 何かにして足を引っかけたり、飛ぶタイミングが合わなかったり、途中で疲れてしまったり……兎に角、明らかにクラスのお荷物となっていた。

 皆は励ましてくれるが、幾ばくもすればその根底に呆れが浮かぶようになり、ともすれば嘲笑や批難も伴われた。

 それも無理もない、と思う。思おうが辛かった。

 女子生徒が「皆で残って練習をしよう」と言い出したときは――有難さよりも、申し訳なさや迷惑さが目立った。


 善意からであろうが、それは咲にとっては余計に残酷な事。

 明らかに向けられる目線に不満が増えた。
 “どうしてこんな簡単な事も出来ない奴の為に、自分たちがペナルティを負わなければならないのだ”――という目。

 本当に本当に、消えてしまいたかった。当日欠席するから、自分抜きでやって欲しいと言いたかった。

 ……正直にそんな気持ちだったが、きっと言ったらより強い怒りを向けられるだろう。

 それが正しいのだけれども、宮永咲にとってそれは世界が滅ぶに等しいに近い。

 逃げ場のない檻に囚われていると感じた。暗い澱が纏わりついて、真綿で首を絞められるような閉塞した絶望感を抱くほどに。


 何とも言えない息も詰まる空気から逃れる事も立ち向かう事もできずに居た、そんなとき。


「じゃ、だったら俺が特訓に付き合えばいいよな? ほら、ハンドボール部だろ」


 ハンドボール部と大縄跳びにどんな関係があるのかも判らない主張。どうやら、だから跳躍には自信があるという意味だったらしい。

 そうして彼は一人宮永咲の御守りをすると宣言する事でクラスの不満を抑え、宮永咲のコーチとなった。

 正直なところ、迷惑だし……やはり申し訳なく情けない。助けてくれた以上に、厄介な事になったなとも感じた。

 良く知らない男子と、放課後二人っきりで練習だなんて――変な勘繰りをされてもおかしくないし、事実彼をそんな風に茶化すクラスメイトが居た事で、咲は偉く辱められた気分だった。


 でも――。

 それだけで――一体どれだけ救われただろうか。きっと彼は知らない。


 たったそれだけ。

 本当に本当にちっぽけな、運動が苦手な中学生の悩み。思い返したらどうしてそうも真剣に悩んで挫けそうになっていたかも馬鹿らしい些細な一幕。

 だけどそれだけで――彼は、宮永咲にとっての希望であった。


(ごめんね、京ちゃん)


 しかしその事も今は、彼女を責める棘の一つである。

 調子が良くて、活発で、お構いなしで、強引で、でもやさしくて――そんな彼の笑顔は、もう自分に向けられる事はないだろう。

 これから自分がする決断と、そして自分が出来なかった決断の所為で。

 須賀京太郎はもう、笑ってくれないかもしれない。

 それが彼の努力と信念を踏みにじる、何よりも残酷で傲慢である行為とは知っていた。


 だが――


「――カン」


 開き直るつもりはない。

 綺麗事を言うつもりもなければ、悪怯れるつもりもない。

 ただ――今度は自分が助ける。自分に勇気をくれた、この幼馴染みを。


 彼が何故そこまでも麻雀にしがみつくのかは知らない。どんな信念や覚悟を持っているのかも知らない。

 捨てるのは彼の勝手だけど。

 それでもせめて、一度落ち着いて――目を覚ましてからまた考えて欲しい。見詰め直した上で決めて欲しい。

 その為の切っ掛けを。

 彼の持っていた、囚われた常識を壊し、変わらないしがらみを破壊するに足るだけの非日常を。

 そんな切っ掛けになる一撃を、放つ――。



 恐らくは気付くだろう。

 宮永咲が彼を見て知ったのと同様に、須賀京太郎も彼女を見て知る筈だ。

 そして、考えて欲しい。

 いつもと違う――多忙さに押し流されて一般化してしまった思考の堂々巡りとは異なる、まるで異常なその状況に考えて欲しい。

 そうして、須賀京太郎が思考を取り戻して――それでも麻雀を諦めるというなら、そのときは宮永咲が引導を渡す。

 自分の手で、麻雀プロとしての須賀京太郎を殺す。


 それまでに、そんな結論に至るまでに――彼に機会を与えたかった。

 彼が二位で、彼女が一位でもそれは為される。

 そして、タイトルでそんな成績を残した須賀京太郎の扱いは――きっと多少なりとも変わる筈だ。

 ここまで、逆転の試行を積み重ねたのは須賀京太郎の作戦。

 それを許したのは彼の経験であり、経験を経験足らせる努力であり、努力を努力とする為の信念だ。

 咲はその一端を掠め取り、自分の都合を押し付けるにしか過ぎない。

 それだって大方は、宮永咲を一位にする為のもので、須賀京太郎は二位で止まるものでしかない。


 だからもし仮に、須賀京太郎がそれでも一位に輝くとしたら――


「――ッ、ロン!」


 ――それは彼が掴み得た勝利でしかないだろう。


 でも、その勝利にケチを付けた。その勝利に泥を塗った。その勝利に余計を乗せた。

 恨まれるだろう。否、恨まれて然るべきだ。

 そうでなければ――意味はない。


 ――それでこそ、意味がある。

という訳でここまで
このスレほのぼのスレだから人死なねえから!!

あ、マイクロスリープのやり方はガチです

>>477
× 誰が言ったってそれは仕事として複数を介している以上、咲や京太郎の手を離れたとのろで生まれる事態。

○ 誰が言ったってそれは仕事として複数を介している以上、咲や京太郎の手を離れたところで生まれる事態。


書いたキャラ全員メインヒロインにするつもりでやってるから多少はね?
なおハーレムエンドなぞない

>>479(訂正)
×
 彼は探っていた。卓の全員の能力から、大星淡を妥当する可能性を探っていたのだ。


 彼は探っていた。卓の全員の能力から、大星淡を打倒する可能性を探っていたのだ。


訂正重点な。こ淡ケ

京太郎:咲たちを化け物とか言うのは許さねえ。だったら人間が倒して、魔物なんて区別はねえって証明してやる。
    オカルトを理由に誰かが不幸になるなんて許さない。泣いてる涙を止めるのは誰でも当然そうするだろ

咲:どんな信念か知らないけど、このまま京ちゃんが削られていくのなら冷静にさせる。例え恨まれてでもそうする

照:おねーちゃんだからもう京ちゃんに弱さは見せない。京ちゃんが自分を超えてくれたらそのときは嘘を吐かないで生きよう

淡:麻雀が全てだったのに、麻雀よりも気になる奴が麻雀から離れようとしてる。自分もあいつも嘘にしないためにも、勝って殺さなきゃ

憧:いつの間にか惚れてた。そのままずっと。一緒にいた

玄:だってイケメンで趣味が一緒で色々助けられて格好いいし……他に親しい男の人いないし


うーんこの
なお難易度は

なお攻略達成までの時間

咲:15年
照:15年
憧:10年
淡:3年
玄:3分


まあ松実はライダースレの555で大正義メインヒロイン予定だから……(他にメインヒロインがいないとは言ってない)
プロット時点で全力で松実を涙目にするようになってるから……

うちにifはないよ(断言)


   テルーが治してくれたと知る→憧と遊びに行った阿知賀で松実に会う→松実とケッコン
       ↑                           ↑
   アコチャーが選択肢をミスらない      引退しない→松実と交流を深める
       ↑               ↑       ↑
マホ暴走→止められない→プロを志す一端→身体的にプロ引退→長野で教師
  ↓                   ↓
止められる→穏乃のとこに→(前書いたif)→阿知賀で教師   

今日は更新しますね

やっぱ幼馴染ツンデレラブコメものはいいですね

よっしゃ始めるでー



 そして、それが彼に露見して――彼も認識したのだと明確になって――。

 無論、そこで一悶着あったが……それでもその後、彼は宮永咲との縁を絶たなかった。

 更にはその後、日本代表として世界に旅立つ宮永咲へと、あまり他人との交流が得意でもない宮永咲へと、エールを送ってくれた。

 他にも番組をとしての共演や、プライベートでの交流も途絶えなかったのだ。


 そして迎えた、タイトル戦。

 須賀京太郎がプロ三年目の、蜂王交流戦である。

 完全版オカルトスレイヤー――異能の僅かな綻びを、普段なら破綻とは言えないただの不完全さを豪運で攻撃する――小鍛治健夜との戦い。

 異能である以上、対抗し得ない。

 無能である以上、対峙し得ない。

 小鍛治健夜を倒すためには異能では不可能で、そもそも異能を持たぬ身では勝負の土台にも上がれない。

 神明が如く冴えわたる閃きと、神憑り的な豪運を打破できるのはしかし――やはり、オカルトスレイヤーしかいなかった。

 弱いからこそ、平凡であるからこそ、非凡と戦うために技術を磨き上げ思考を極めた。

 そして故に己が異能を持たずとも、他人の異能を武器として使用できる。

 そんな人間しか、あの場で小鍛治健夜の首を獲れる者はいなかったのである。

 結果として須賀京太郎は、その戦いが元となり負った瑕が為に引退を余儀なくされたのであるが……。


「悪いな、咲。……俺はここまでみたいだな」

「そっ、か」


 他人からしたら、何を馬鹿なという事かも知れない。

 たかがゲームにそこまで懸ける必要はない。高校生ならいざ知らず、負けても次があるのだろうと。

 ああ、大方の麻雀プロだってきっとそう言うだろう。選手生命と一つのタイトル、どちらを優先するのだと。


 でも――きっと。

 M.A.R.S.ランキングには、何よりも屈服する事を拒んだ人間が闘争に来ているのだ。

 初めから、負けたからしょうがない――次はもっと上手くやろうなんて気持ちで居られる人間が、上位ランカーになれる筈がない。



 他に才能らしい才能もない。探せばあるのかも知れないが――支えは己の持つその力だけ。

 そんな人間が――そんな信念が、屈服してどうなるのだ。

 それほどまでに真剣な戦いであり、彼とて、そんな思いを背負う人間と対峙していたのだ。

 命を懸ける――或いはそれよりも重かったかも知れない。

 譲れない戦いだった。退けない戦いだった。

 そんな戦いの果てに……須賀京太郎の病室で。二人きり、時間を作って。


「ま、最後に全力のお前に勝てたんだから――――、オッケーだろ」

「うん」

「誘っといてアレだけど、そーゆーワケで須賀京太郎の冒険はここまでって事で」

「うん」


 努めて軽い口調のまま、彼は続けた。


「なんか悪いな。……本当、軽い気持ちで連れてったらこんな風になるなんて」

「別にいいよ……京ちゃんのそういうの、昔からだから。今に始まった事じゃないよ」

「言いますねえ……人の事誘っといて本屋で置いてきぼりにして挙げ句迷子になる宮永咲さん?」


 俄かに口角を吊り上げた京太郎に、しかし咲は半眼で応じる。

 そっちがその気なら、そう返すしかないだろう。

 大体この幼馴染は、いつも自分をからかうように笑いかけてくるのである。


「習字」

「……」

「閉架書庫の整理」

「……」

「文化祭の買い出し」

「……」

「部の予算監察」


 挙げればきりがないぞというのを瞳に乗せれば、京太郎は視線を外した。


「あー、うん、なんの話だったかな? ハハハ……」

「……いっつもそうだよね、京ちゃんってば」

「面目無い……」



 頭を掻いて乾いた笑いを浮かべる幼馴染を前に、宮永咲は嘆息した。

 こうしていつも通りの雰囲気になった。それだけで良かった。互いに付き合いが長いというのが、プラスに働いたのだろう。

 張り詰めた緊張が消えたからこそ、だからこそ切り出せる事がある。

 須賀京太郎がこの先麻雀に戻る事はないと――なんとなく咲は思っていた。そうなるだろうと。

 自惚れでもなんでもなく、彼が必死に踏ん張っていた目標の一つが達成されてしまったのだ。

 長い目で見れば職を離れる理由はないだろうがしかし――同時に、何が何でもと踏みとどまる必要性が至近に存在しないという意味。

 ならばきっと、彼のこの態度は――。

 せめて――。


「それにね、京ちゃん」

「ん?」

「もうこれはね、私の闘いだから」

「……」

「私が京ちゃんにあんな事しちゃったから……仕方ないけど。京ちゃんが闘うのも、私が闘うのも……それはもう自分の為なんだよ」

「……そう、か。まー、そうだよな」


 せめて明るく送り出そうと、送り出してくれと言うメッセージなのだ。

 何だかんだと、須賀京太郎は不器用である。

 物事を重くしないように努めて明るくする性質であるし――というか根がお調子者であるので――深刻な顔は作りたがらない。

 だから。

 なるべく何でも無いように、そんな彼の想いをくみ取ってやるだけだ。

 以前から変わらないそんな彼の性質を、彼の境遇が変わってしまっても――同じようにやってやるだけだ。


「じゃ、頑張れ……第五位」

「うん、ありがと……第一位」


 だって宮永咲は、須賀京太郎の幼馴染なのだから。




 ◇ ◆ ◇





 それからは――もう、宮永咲の戦いだった。

 須賀京太郎がかつて唯一所持したタイトルに拘ったのは、別にそれを京太郎が持って居たからという訳ではない。

 いや、それもあるかも知れない。

 すっかりとその座は、単なるタイトル以上に咲の中で意味を持つものであるのだから。

 だけれども闘うのは違う。あくまでも――己の為に。

 誰かに背負わせない。誰かを理由にしない。誰かの原因にならない。

 その為にただ、宮永咲は全力で麻雀に向かい続け――――そして、敗れた。

 あの、相手の動きを無数に封じる触腕――“絶対安全圏”、命を奪う致死級の猛毒――“ダブルリーチ”、虚実織り交ぜ存在の重心を欺く“ブラフ”。

 44位という、順位に見合わぬ大星淡の真の実力を前に敗れた。


 紙一重だった。


(ああ……)


 そして――敗れて、判った。

 このタイトルは、手放したくなかった。

 自分が、他でもない自分が持っていたかった。

 ああ――。

 そうだ――。


(これが悔しい……って事なんだ……)


 ここに来て漸く宮永咲は、“悔恨”という感情を得た。

 それは長らく彼女の内から切り離されていた感情だった。

 日常生活に於いてはさておき――こと麻雀に於いては――。


 ――彼女が、忘れ去ってしまっていた感情だった。



(そっか……これが)


 負ければ御年玉を没収され、勝てば非難を浴びせられる家族麻雀。

 それ故に宮永咲は、その図抜けた才能を全て他人の様子を窺い、点数を調整する為だけに使っていた。

 他人の顔色を、気配を探って、場の状況と牌の構成を感じ取り――自分の位置を調整していた。

 ただ、それも消えた。

 須賀京太郎に半ば無理矢理という形で連れられた麻雀部で、原村和との対局を――麻雀部の仲間との交流を通して楽しみを見出だした。

 その後、彼女は喜怒哀楽を持って麻雀を打つ事となったが――――一つだけ足りなかった。

 それが、悔しさ。

 圧倒的な強さに怯える事はあった。敗北に戸惑う事はあった。未知の存在や己が道半ばで果てる事への恐怖はあった。

 だけれども、“悔しさ”だけがなかった。


 それはきっと――。

 それはきっと、いつしか彼女も忘れていた感情だった。

 勝つ事を諦める度に、心の中に自尊心の破片が積もって、積もり重なって切り取られていった感情だった。

 余りにも幼い内から平常と化してしまった理不尽を受け入れる内に、自然と麻痺してしまっていた感情だった。

 麻雀の楽しさに目覚めても、やはりそんな気持ちは既に瞼を落としきってしまっていた。


 大星淡に敗れる事で……。

 己が本心、須賀京太郎が持っていたタイトルを手放したくなかったと自覚する事で……。

 漸く彼女は人間に慣れた。

 誰しも人間なら持てるはずの心を、手に入れた。


(これが……悔しい、って事なんだ)



 多分本当はもっと早く気が付く事であった。

 きっと多分――、本当は――。

 須賀京太郎から結婚式への招待が届いたときに、きっとそう思った筈なんだろう。

 ああ――そうだったんだろう。


(……はぁ)


 まあ、気付いただけでよかったとしよう。改めて。

 気付いたんだったら、そこから治せるのだから。

 改めて、前に進めるのだから。

 となれば――。


(とりあえず、おめでとう……って言ってなかったな。京ちゃんに)


 ふむ、と顎に手を当てて。

 携帯電話に耳を当てる――流石に使えるようにはなったのである――問題ない。

 問題ない。ないったらない


『はい、もしもし……須賀京太郎です』

「京ちゃん?」

『うおっ、マジか!?』

「え、そんなに驚く事……?」

『咲が電話使ってる……!?』

「驚くとこ、そこなの!?」


 問題ないのだ。ないったらないのだ。失礼な男だ。

 問題ないのである。問題ないのです。問題ないのですから。

 問題ないってば。問題ないの。

 ……そう、電話は。


「ちゃんと私も電話ぐらい使いこなせるんだからね?」

『まーどうせ、電話だけはなんだろ?』

「……」

『なんか言ってくださいよ宮永咲さん』



 細かいなぁ。

 細かいなぁ……本当に。


『んで、どうしたんだ……こんないきなり』

「えっと」


 逡巡。

 その内に、合点がいったと京太郎の声が明るくなった。


『なるほど……タイトル戦で負けたから慰めて欲しい、と』

「違うよ!? 慰めて欲しいとか思ってないから!」

『え、やっぱ負けたのかよ……』

「え」

『え』


 なんてことだ。

 なんてことだ。

 誘導尋問とはズルい男である。くそう。ズルい奴だ。

 流石心理戦のスペシャリストを気取るだけはある。くそう。

 まさか、鎌をかけていたとは……まんまと引っかかってしまうとは……。


『いや、大星からドヤ顔メールがあったからな』

「え」

『冗談だと思って無視したけど……』


 「悪い事したな」と、京太郎が顎を捻る音が聞こえた。

 すこしざまあみろである。

 いやいや、そんな酷い事は考えたりはしないし、負けたのもまあ仕方ないとも思っていなくもないけど。

 確かに悔しいけどそこまで不幸を呪うぐらい落ちぶれて居ないのである。

 不幸を望みはしないのである。精々、明日髪のセットが決まらなければいいぐらいなのである。


『じゃあ後で結婚指輪ドヤ顔で返信しとくか』

「うん、それが良いと思うよ。すごくいいよ、京ちゃん」

『お、おう……』


 ごめん嘘。



『んで、どうしたんだよ』

「いや……なんていうか、まだ結婚おめでとうって言ってなかったな……って」

『あー、そうだったよな』


 呟きつつ、電話口から顔を話して誰かに呼びかける京太郎。

 やはり改めて、随分と遠いところに言ってしまったんだと――この電波が届くよりも向こうに行ってしまったんだと。

 そんな思いが、実感を持って到来する。


『ま、ありがとうな』

「いえいえ、出られずにお申し訳なく」

『はは、何だそれ』

「京ちゃんの真似」

『俺そんな変な言葉遣いしてるっけ?』


 いや、結構するんだな。これが。

 まあ、ときどきというか――なんというかであるか。

 そう、しばしばやっている……やっていたのである。


『ま、プロって忙しいから仕方ないよなー。照さんも大星も来なかったし』

「あー、うん」

『俺も結構大学の同級生から誘われてもいけなかったしな。仕方ないよなー』

「うん、ごめんね」

『俺はいいけど、結婚式とか意外と出会いが多いって聞くしなー。プロはその……あれだろ……?』

「……アラフォーマーズ」

『……チャンス、自分で作っとかないとな』



 そのうち人工授精とか単為生殖するのではないかと言われる女子麻雀プロ。

 芸能人やキャスターと出会える筈なのに、実際不思議である。

 高額を稼げるから男としても立つ瀬がないから……かも知れない。だと思う。そうなんだろう。


『で、用事ってそれだけ?』

「あー、うん」

『遠慮するなって、久しぶりなんだし』

「いや……悪いから。だってこれからご飯なんでしょ?」

『……聞こえてた?』

「『バーニングラブラブカレーライス』」

『……』

「『バーニングラブラブカレーライス』」

『……ごめんやめて』


 やだ恥ずかしくて死ぬ、と頭を抱えるような気配。

 是非とも大星淡に聞かせたい。対局中に聞かせたい。多分きっと山を崩す。

 うーん、想像したらちょっと気持ちが楽になった。


「まあ、それだけだから……うん、丁度良かったんだ」

『丁度いい?』

「区切り……かな。色々と」

『んー?』


 何事かと、首を傾げているだろう須賀京太郎。

 まあ、こればっかりは彼に言う必要がない。知られる必要もないし、知ってもらう必要もない。

 そう、ただ……区切りになっている。それだけでいい。


「うん、じゃあ」

『あー、じゃあ。今度遊びに来いよ?』

「そうだね。ついでに誰か紹介してくれたらもっといいけど」

『女子高ですから……』


 「流石に難しい」と、京太郎は呟く。



 まだまだ気分はすぐに変わらないし。

 どうしてもっと早く気付かなかったとも思うし。

 ひょっとしてこれってのも未練がましいような事であるかも知れないし。

 気付いたから、だからどうしたという事かも知れない。

 だけれども――。

 だけれどもきっと、この“悔しい”という感情は――。

 今まで切り取られて忘れてしまっていたこの気持ちは――。

 きっと、麻雀プロの宮永咲としても――ただの宮永咲としても――。


(……うん)


 この先に進んでいく為には、きっと必要な事なのだろう。

 それだけで――――今はいい。

 そんな気持ちだけで、また前に進んでいける。これからも戦っていける。

 それを得られただけで、いいのだ。

 どこかで間違ってしまった人生を正す事が出来て、歩み進められるだけで――――いい。


「じゃ、頑張れ……咲」

「うん、ありがと……京ちゃん」


                                                         ――了

なお


淡(……どーしよ)

淡(……)

淡(須賀にタイトルどーこー送っちゃった)

淡(……)

淡(……) ソワソワ

淡(まーうん、別に須賀にどーこーしてもらいたい訳でもないし)

淡(そうそう、須賀の事はもうあれって感じだからだいじょーぶだって)

淡(という訳で、うん……よし)

淡(……)

淡(……) ソワソワ

淡(……)

淡(……) ソワソワ

淡(……遅いなぁ)

淡(……)

淡(……) ソワソワ

淡(……)

淡(……あ、メール着た)

淡(えっと……)


 『 件名: 指輪の魔法使い

   内容: 結婚指輪だ! うらやましいだろ!(ドヤッ  』


淡「テルー」

照「もぐもぐ、何……?」 オカシオイシイ

淡「次の諏訪湖ロケいつだっけ?」

という訳で咲ちゃん終了
これで咲・照・淡とキチンとエンドを迎えましたね。よかったよかった。ハッピーエンドです

なんとなくヒロインっぽく扱われてた人間纏めますね

咲:文学少女幼馴染ヒロイン。気安い関係であるし、負けたくもないし、彼女を悪くしようとする奴はぶっ潰す
照:忘れてしまった幼馴染姉系ヒロイン。ぽんこつおねーちゃん。ある意味恩人でもあり、壮絶なフラグの持ち主
淡:ツンアホヒロイン。最初なんとも思ってなかったのにライバル視してくる。エンカウント率高いラブコメ

穏乃:天真爛漫系元恋人ヒロイン。彼女に一時救われてたりなんやり
灼:無口系おばあちゃんっ子ヒロイン元カノ。彼女に一時救われてたりなんやり
憧:むっつり系いい女元ツンデレヒロイン。大学時代相当ラブコメしてますわこれ
玄:おだやかおしとやか系大和撫子おもち狂いヒロイン。熱中症だったところ助けられてる
やえ:頼りになる先輩系若干人見知りヒロイン。京太郎がプロになれたのも彼女の一言があって。相棒
一:さっぱり系親友僕っ子マジシャンヒロイン。なおであった当初はツンデレで、後地味に昔一緒にヤクザから女の子助けてたりする
浩子:辛辣ツンドラ系データ啜りヒロイン。京太郎が助けたりなんだり
白望:ダルがり系要介護先輩ヒロイン。組み伏せられた時は産む覚悟までしてたとか

優希:忘れがちやけど一応告白してたねんで
巴:忘れがちやけど一日だけ彼女になったりしたねんで
絹:忘れがちやけどPK対決したねんで


書く必要が敢えてあるって言ったらあとこれやえさんぐらいか……
そろそろしんみりとかシリアスとかじゃなくて熱血王道とかほのぼの書きたいですね

安価出してくれた方がある程度形が決まってやりやすいってのはありますけどね
二次創作長いので、ある到達点とか描写とかあるのをどう解釈していくかってのがあるので

やえさんか一ちゃんか書いてこのスレも終わりってとこっすかね
あとゴメン。ちょっと戦闘描写やります。ヤクザを叩きのめすところをね


で、次には多分艦これに行きます
ほのぼのした人間讃歌です。アルペジオでテラフォです

イベント中に大型ブン回す錯乱行動と401一発ツモで大爆笑しました
それにしても曙可愛いので曙カーナビ実装されませんかね。実装されてないのがおかしいと思いませんかあなた?

今夜あるんじゃないでしょうかね

あ、やるときはちょっとギャグで行きます。アコチャーです
エンディング迎えてから誰がヒロインか判らなくなる現象が続いててな。アコチャーをな

2000から始めます

おまたせ

始めるでー





    【地獄先生す~が~/或いは殺せんせー】





京太郎「……よし」


 窓ガラスを鏡に、服装をチェック。

 鼻毛なし、耳毛なし、頬っぺたに産毛なし。剃り残しなし。

 ワイシャツオッケー、ネクタイオッケー。スーツに皺なし。

 糸くずなし。埃なし。


憧「なに鏡見てニヤついてるのよ」

京太郎「いや、ニヤついてないよな!?」


 ベシンと、閻魔帳で叩かれる。互いの身長差の為、半ば後頭部に激突。

 呆れ顔の新子憧である。


京太郎「折角の初顔合わせだから……こう、舐められないようにって奴?」

憧「……どーだか」

憧「女子高生の前だから格好つけようとでもしてるんじゃないの?」

京太郎「……辛辣すぎませんかね?」

憧「べーつーにー?」


 そう言いつつも、若干の笑いを隠しきれない憧である。

 まあこう、やっと……というかやっとなのだろうかは兎も角として、男である。男なのである。

 恋愛マスターだのなんだの言われつつもそれまで男が居た事がない憧としては、正直生徒からの追及をどう躱したらいいか悩みものであった。

 それがこう……夫。夫なのである。

 もう、やっとドヤ顔が出来る。生徒に変な後ろめたさとか負い目とか感じずに済む。

 どうだ、これが私のだ――と胸を張るような気分と言うか。女は怖い。


憧「さー、入った入ったー」

京太郎「お、押すなよ」



 阿知賀麻雀部部室。そこには既に五人の生徒が屯していた。

 自動卓を囲んでいたその顔が一斉に入口を向き、誰から言い始める訳でもなく立ち上がり頭を下げる。


生徒A「どーもー、詠ですー。詠は名前ですけど、そのまま呼んじゃってー」

生徒B「どうも! 備井です! よろしくお願いします!」

生徒C「香椎です……あの、よろしくお願いします」

生徒D「出井です。あ、名字で。……下の名前で呼びたいなら夫になって下さい」

生徒E「伊呂波です。よろしくお願いしますね!」


 憧が背後から、中等部からの持ち上がりと補足をした。

 なるほどな、と頷きつつ五人を見回す――言っておくが決して品定めではない。決して。断じて違う。違うのである。

 生徒に色目を向ける教師というのは、京太郎の内の職業倫理からして絶対にノゥ!なものでもあるし……。

 第一そんな事をしたら新子憧にぶっ殺される。多分、殺したあとに「ブッ殺したなら使っていい」とか言われる。

 決して憧より大きいのが二人か……などとは思っていない。思っていないのだ。

 火星に神はいないが、神に誓ってもいい。


京太郎「あー、っと」

京太郎「俺は……これから新子先生と一緒に顧問――つーかコーチを務めさせて貰う事になる――」

生徒A「須賀プロでしょ?」

生徒B「いやいや、須賀元プロ」

生徒C「えっと……確か、一位……?」

生徒D「……人類の到達点」

生徒E「お会いできて光栄です!」


京太郎「……」

京太郎「……」

京太郎「……」


京太郎「……憧」

憧「……何よ。鼻の下でも伸ばし――」

京太郎「――俺の事、知ってる」

憧「……は?」

京太郎「俺の事を……須賀プロって判るって! これ、すごいぞ! すごいだろ!?」

憧「あ、ああ……そ、そうね……」

京太郎「俺……教師になってよかった……!」

憧「……あ、うん」



 例えばお前が雨の日に子猫を助けたとしよう。

 だが死ね。

 ――そんな事を言われたくらいの衝撃であった。少なくとも京太郎にとっては。

 一度はM.A.R.S.ランキングトップに輝いたとは言っても……そう、それまでも全国の雀士の内の頂上の、その中でも一握りの上位ランカー。

 だというのに、あまりにも影が薄かったのである。

 須賀プロ応援中という飯屋でサインでもしようかと思ったら、気付かれないばかりか不審者の如き眼を向けられ――。

 たとえば合コンで“職業:麻雀プロ”と言っても、もぐりかなんかの如く見做され――。

 挙句、引退したと言っても一度は頂点に立ったのに、実業団の現役麻雀プロに「目の前の須賀京太郎≠オカルトスレイヤー」と思われており――。

 そんな京太郎である。

 もうこれは、多大なる感激であった。それだけでもこの生徒たちを守り抜いて行こうと思うくらいには。


生徒A「へへ、こいつが憧ちゃん先生を女の顔にした男ですぜ……」

生徒B「ちょ、や、やめようよ」

生徒C「……執事(ボソッ」

生徒D「一体どんな手練手管を用いたんですかねぇ……(ゲス顔)」

生徒E「???」


 ごめん嘘。

 なんだコイツら。


憧「あのねえ、あんたら……」

生徒A「いやー、恋愛マスターの憧ちゃんとケッコンする人とか気になっちゃうって」

生徒B「た、確か大学の同級生だったとか……」

生徒C「前に話に出てて……」

生徒D「憧ちゃん先生がメスの顔になってた」

生徒E「え、えっと……結婚されてるんですよね?」


 突っ込みどころが余りにも多いが――多すぎるが――。

 とりあえず……。


京太郎「……恋愛マスター?」

憧「……」


 うっさい黙れと、目で言われた。



 そのまま、ネクタイを掴まれて部屋の隅まで。

 おっとっとと引きずられる京太郎はつんのめりガチに。憧はやたら早足で。

 そこから始まる耳打ち。


憧(れ、恋愛マスターってのは生徒たちが勝手に言い出した事だから! いい!)

京太郎(ん、あ、ああ……)

憧(そりゃー、そのね?)

憧(あたしも片思いとかに色々思うところあった訳だからちょっと生徒の相談とか乗ってあげたり)

憧(あとはまあこう色々聞いた話とか調べた話で覚えてる事とかをそれとなーく教えてあげたり)

憧(あとはまあなんていうのかこうそのあのこれやったら見向きされないとか気付かれないとかそういう失敗とか)

憧(周りに気を付けなかったら絶好のタイミングでインターセプトされたりインターセプトされたりインターセプトされたり)


 注:主に弘世菫。


憧(他にもこう相手が信じらんないぐらい鈍感で鈍感で鈍感で鈍感でまるで完全に無視されたり)

憧(その癖なんでもなさげにこっちのツボ押さえてくれるしなんだかんだ頼りになるっていうか頼りにしてるっていうか)

憧(無駄に細かいとことかさりげなく気にしたりする癖になんだか妙にデリカシーとかそういうの欠けてるっていうか)

憧(もう正直いい加減諦めて他の方行った方がいいんじゃないかなと思いつつもやっぱ誰かに取られたら癪だし)

憧(って言うかやっぱりここまで思ってきたんだからなんていうか諦めるのとかちょっと考えたくないっていうか)

憧(もうそういうの気にせずにド直球で行って大願成就してそのまま幸せな家庭を築きに行った方がいいんじゃないかっていうか)

憧(いやでもそれでフラれたりしたらあたしのこの何年間ものアプローチとか色々とかなんなのよ一体って感じって言うか)

憧(まあ最終的にはあたし大勝利! 希望の未来へレディーゴーっていうかバーニングラブヒートエンドっていうか――)

京太郎(憧、憧、話逸れてるから)


生徒A「今の見ました?」

生徒B「あ、憧先生が引っ張っていった……凄い強気で」

生徒C「意外と恐妻家?」

生徒D「なんということだ……憧ちゃん先生が仕込む側だったなんて……」

生徒E「え? え?」



生徒A「会話を予想しよう」

生徒B「ええ!? いや、いきなりそんな事言われても……」

生徒C「えーっと…………『あ、あたしそんなに男遊びしてないから!』」

生徒A「お、似てる」

生徒C「『あ、あくまでもあたしが好きなのは……その……』」

生徒A「あー」

生徒A「須賀プロのこと、なんて呼んでるんだろ?」

生徒B「あなた?」

生徒C「ダーリン」

生徒D「京ちゃん」

生徒E「きょ、京太郎さん……とか?」


憧「……あんたたち、聞こえてるからね?」

生徒A「あ、やば」

生徒B「ひえっ」

生徒C「た、他愛もない冗談ですよ……?」

生徒D「これは般若の顔ですわ」

生徒E「……はやりん?」

生徒A「なんでよアラフィフ関係ないでしょ」

生徒B「アラフィフって呼び方良くないって……」

生徒C「そこらへん同じ業界だった須賀プロにも聞きたいところ」

生徒D「ひょっとしたら地雷あるかも」

生徒E「ええぇ……」


 これは――なんというか。

 改めて京太郎は思った。女子高というか――女子って凄い、と。

 三人寄れば姦しい。五人集まったら……女姦女である。読み方は知らない。なんだか組体操してるみたいではある。


京太郎(うーん、まあ、歓迎はされてるんだよ……な?)



 すっかりと京太郎が置いてきぼりにされる中――そうだこれは覚えがある。

 須賀君金髪で不良みたいでーすとか。須賀君こわいでーす。

 先生俺二人組作れないーじゃあ先生と一緒にやろっか――みたいな。そんなの。

 尚、本当に何故金髪=不良呼ばわりかは分からないが、よくあるブロンドジョークだの、不良漫画で金髪を主体にしているからである。

 血液型占いみたいに、髪色占いみたいなの。たとえばピンクは淫乱とか。

 ……いや、京太郎に関しては喧嘩をしていたから、そう思われたのだ。小学生の時である。

 別に喧嘩っ早いとかそういうのではなく……そう、違う。

 ちょっと女の子をからかう奴らにたまりかねて手を出したら(正確にはサッカーボール)、それ以後、絡まれるようになったのだ。

 無論相手は上級生。となれば必然京太郎も必死こいて戦い、同じだけ傷が増える。

 そんな様子をたまたま同級生に目撃され、須賀=喧嘩野郎になってしまった。それだけである。


 ……で。


生徒A「えー、そんな訳で須賀先生の歓迎会をしたいと思いまーす♪」

生徒B「いやどんなワケ!? 私たち憧先生に鬼のような宿題出されただけだよ!?」

生徒A「D、ここカットでー」

生徒D「出井だからD――つまりはディレクター」

生徒B「いや須賀先生置き去りになってるって!?」


 指をチョキチョキやる少女――確か、詠。

 なるほど割とノリがよいタイプなのかな、と京太郎は頷いた。


生徒A「というワケで歓迎会なんで……」

京太郎「“なんで”……?」

生徒A「脱いでください」

憧「え゛」

京太郎「それはおかしい」



 どんな繋がりなんだろうか。

 へっへっへ、鎮守府に着任おめでとう。早速歓迎会をするから脱ごうか。なーにこれはスキンシップだよ。――とかそう言う奴か。

 事案待ったなし。ケンペイ=サンも大忙しである。


憧「な、な、な、な、なにゃ、なにゃ、ななな」

憧「あ、あんたら何言ってるのよ!?」

生徒A「いや、衣服を脱して裸体を晒して下さいと――」

憧「誰も言い換えてもっと詳しく言えなんて言ってないわよ!!!」


 ふしゃー、と牙を剥く憧。

 一方の京太郎は、正しく完全に置いてきぼりになっていた。

 というか置いてけ堀に来た気分だ。「置いてけ」「置いてけ」「服置いてけ」とかそんな感じ。妖怪首置いてけもビックリ。

 とんだ痴女である。痴女もヤバイが、痴漢なら猶更ヤバイ。色んな意味で洒落にならない。


生徒D「まあとりあえず、アイスティーでも飲んで落ち着いてください」

憧「飲んでる場合か!」

生徒E「え、ええ、えっと」

生徒C「憧ちゃん先生のこのテンション実際スゴイ」

生徒B「こ、これ不味いって……」

生徒A「大丈夫だ、問題ないわ」


 いや、問題しかない。

 京太郎は言葉を飲み込み、改めて入口を見た。ここは確か阿知賀麻雀部の筈だ。美術部ではない。裸体とは関係ない。

 いや、或いは漫画研究会なら研究の為に裸体を晒す必要があるかもしれないが――。

 やっぱりここは麻雀部だった。何度見ても。

 別に阿知賀ストリップ同好会でも、阿知賀セクシャルポルノ研究会でもない。


生徒A「これには理由があるんですよ」

憧「……へー、どんな理由?」


生徒A「憧ちゃん先生をたらしこんだ裸が見たい」

生徒B「い、いや……従えば部員が増えるって」

生徒C「漫研の人達に売れるので」

生徒D「憧ちゃん先生を雌にした裸が見たい」

生徒E「え、えっと……えっと……」


 おいこら。



憧「あんたらねえ……!」

憧「やっていい冗談と、やっちゃいけない冗談も分からない……と」

生徒A「え、毎晩ヤってる?」

生徒C「冗談みたいに凄い?」

生徒D「何もわからなくなる?」


 おいこら。


憧「ふきゅっ」


 おいこら。


生徒A「まあ、というのは冗談として――」

生徒A「ほら、ここって麻雀部じゃないですか」

憧「……そーだけど?」

生徒A「ということは、こう……色々と運んだりなんだりも多い訳ですよ」

生徒C「たとえば麻雀卓とか」

生徒D「たとえばパソコンとか」

京太郎「……うっ頭が」

生徒E「だ、大丈夫ですか……?」


 ブロックワード:清澄麻雀部。


生徒A「という訳で、一体どれぐらい力があるのか……筋肉があるのか剥いて確かめよう、と」

憧「なるほどなるほど……なるほどねーって」

生徒A「判っていただけました?」

憧「いや、その理屈はおかしい」

生徒A「あれ?」



憧「まー、はしゃぎたいのも分かるけど……」

憧「そりゃまあ、引退したとは言ってもプロで……ランキング1位がコーチ」

憧「はしゃぐのも多めに見てもいいかなーって感じだけど」

生徒A「な、なら……」

憧「――だが断る」

憧「夫の裸を嬉々として他人に見せる妻が居るか、っての!」

憧「はい、くだらない事言ってないで麻雀部の活動!」


 なんという頼りになる風格か。実際ジョジョめいたアトモスフィアである。

 流石の教師だ。

 てっきり、子供から舐められてる――やっぱり学生って実際コワイ。モンスター・ペアレントに骨までしゃぶられるんだ――。

 なんて思っていた京太郎も、実際安心した。

 やはり、この道何年ものキャリアというのは凄まじいものだ。我が妻ながらお手本にしようと――


生徒A「夫」

憧「ふきゅ」

生徒B「妻」

憧「ひきゅ」

生徒C「なるほどこれは憧ちゃんベタ惚れですわ」

憧「ふゅぇ」

生徒D「お前の事が好きなんだよ!(迫真)」

憧「ぅぅぅうぇ」

生徒E「な、仲睦まじくてラブラブなんですね!」

憧「……っきゅ」


 やっぱりやめた。我が妻君ながら駄目だった。



生徒A「兎に角裸見せてくださいよ!」

憧「あ、あああんたらねぇ……!」

生徒B「オカルトスレイヤーって言われたらどうしても気になって」

憧「ゆ、ゆゆゆ許すわけないでしょうが……!」

生徒C「女子高生活には潤いが必要なんですよ!」

憧「う……」

生徒D「先っぽだけ、先っぽだけだから!」

憧「……」

生徒E「わ、私は別に……」

憧「えーっと」


 全員の遣り取りを眺めながら、京太郎は天井を仰いだ。

 なるほど――なるほど。

 どうやらこの麻雀部に居るのは問題児ばかりらしい。時流か。時流なのか。

 もう少しこう……慎みを持っていてもいいんじゃないだろうか。女子高へのイメージが破壊された。

 楚々とした百合園。男子禁制のお嬢様の園で、あいさつはきっと「ごきげんよう」なんだ――とか。

 そういうのは一切ない。何かもっと恐ろしいものの片鱗を味わった。


生徒A「まあ、というのは冗談として――」

憧「……」

生徒A「助さん、格さん、やってしまいなさい!」

生徒C「がってん!」

生徒D「お任せあれ!」

京太郎「ちょ、ちょ……おい……!」


 そして――




┌───────────────┐
│   この場の誰もが考えた――   .│
└───────────────┘       ___/ ̄ ̄\_

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                            } ∧     /イ   /
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                          ,/7ヘ ` -´ -=ニニ=-,,_

                        ,./. 个、`ミ, ^´-ー二    ニ.=-

                      ,-ニヽ彳i .li/         _/   `I
                     γΛ  \:i /         /       ∧
                    il  i   ニ 小     __-‐ ヘミ:{i        ∧
                    il´ .i li.    :i ゝ  -‐     ∨ λ     ∧
                    r''  l:      i´ ヾ     , -‐ λγλ     /
          .             {ノ、_-ヘ:  li λ.  ヾ      ァニ、 ヘ   .∧
                   /´ ヾソ∧=イ_ `_ゝ   ニー--‐λ'乂=イ`-ニ彳´

                  /´   ,iヘ.:∧ `i´ 丶       ニ': i`ヘ.  /λ
                  /    .:i.  l `、_:i    `ー=-=三´ソゞi  i  {l  :i
          .         λ   /:.、/   ヾiミ_   `il´  .゙i  }li ;i  ∧ 从
                 ,/ .:.=ニ二/´     i∨ヾ  :i}.    i  .|:´二ニニ|
          .        / 二二二/>、__   ,マ(二ノ二ニニニニ.|ニニニニ人
                |二ニニニ//ニニ\彡イニ「ニニニニニニ/∨ニニニ\(
                `ー=ニニ=--=ニ二ニニニニニニニニ/二ニ∨二二ニニ∧

                         `丶、ニニニニ__彡'"ニニニ:∧二二ニニ∧
          .          .       /ニニ\ニニニニニニニニ/=∧二ニニニ∧
                        V二二二 \ニニニニー==彡:/│V二二ニニ∧ . ..┌──────────────────────┐
                        /二二ニニニ\二二二\ニ/゙ニ| ∨二ニニ:∧   │   組み伏せられたら最後――“産む事になる”と   │
                                                     └──────────────────────┘





 ――二つ、思い違いがあったとするならば。


 一つ。

 生徒たちは当初、本気で須賀京太郎を脱がすつもりが無かったという事。

 あくまでも、ケッコンに至った新子憧を茶化しつつも祝福し――適度なところでお祝いを渡そうと思っていた。


 二つ目。

 そして何よりも、彼女たちが思った以上に――。

 馬鹿みたいな古式ムエタイと、身長百八十オーバーという恵体に結びついた筋肉は。

 本気で力を込めた際には、スーツの張力限界を突破してしまうという事であった。

 というか、結婚してからたびたび鍛えだしている須賀京太郎サイドにも問題があった。

 二人で偶にハリウッドアクションでも見た後とか、何か危ない事件のニュースを見た後とか。

 やっぱりこれは嫁さんくらい守れないとな、なんて調子に乗ってまた鍛え始める彼にも問題があるのだ。

 あと、嫁さんの飯が美味くてついつい食べ過ぎてしまい、そのカロリーの消費に尽力している事とかである。


生徒A「……」

生徒B「……」

生徒C「……」

生徒D「……」

生徒E「……」

京太郎「……」

憧「……」


憧「……何か言う事は?」

生徒A「麻雀には物理が必要なのだと思いました」

生徒B「ごめんなさい」

生徒C「これが第一位――人類の到達点」

生徒D「執事」

生徒E「ぇ、えっと……あわわわわ……」

京太郎「寒い」

憧「……よし、じゃあ反省の時間ね♪」


 ――この後目茶目茶何切るやった。

 なお、自宅に戻ってから新子憧が眼を潤ませながら京太郎に飛びついたのは別の話である。

上埜方で漫画どうこうという話があったので、ならAAにしたらいいんじゃないかと思った事
AAを弄ってたら何故か上裸を作っていた事
結婚した後のアコチャーをふきゅらせる為にはこうするしかなかった事

反省はしているが、後悔は砂漠の砂粒ほどもしていない

おやすみー

ハンドボールと古式ムエタイに育まれた嘘のような恵体(麻雀プロ)



                       ___/ ̄ ̄\_
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                / ,          |/} ∧ }`ー`
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                '  、       | /`/ } '
                   } ∧     /イ   /
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           il  i   ニ 小     __-‐ ヘミ:{i         ∧
          il´ .i li.    :i ゝ  -‐     ∨ λ      ∧
           r''  l:      i´ ヾ     , -‐ λγλ     ./
.             {ノ、_-ヘ:  li λ.  ヾ      ァニ、 ヘ    ∧
          /´  ヾソ∧=イ_ `_ゝ   ニー--‐λ乂=-イ`-ニ彳 k
        /´    ,iヘ.:∧ `i´ 丶       ニ:::个.:´丶/λ .i
         /     .:i.  l `、_:i    `ー=-=三´ソゞi   .{i  :i i
        ,/    /:.、/   ヾiミ._    `il´  ゙:.  l: :   ∧  从'
      λ .:.=ニ.   /´    i∨ヾ   :i}.  .:  i. _  ∧_/ i
.        / `´ `:-=/>、__    ,マi l}   .i}  .i   `i⌒)   人
       |-ー、  ゙//ニニ\彡イ  i「  i}   il . .___ ∨ー=彳 .\
      `ー=ニニ=--=ニ二/ニゞ__il_____i}  i{_/ニニ.∨   ゝ  i
                `丶、ニニニ 二ニニ__彡'"ニニニ∧      ∧
.          .       /ニニ二二ニニニニニニニニ/∧     ∧


そら(いくらプールであわあわに絡んどっても)そう(逃げ出すに決まっとる)よ 


最終戦のときのオカルト喰いちゃんの脳内画像


                       ___/ ̄ ̄\_
                   ,  ´        <⌒
                  ,:'            `ヽ、
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                                \ } ̄´
                  '              ,  \
                / ,          |/} ∧ }`ー`
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                   } ∧     /イ   /
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            γΛ  \:i /         /       ∧
           il  i   ニ 小     __-‐ ヘミ:{i         ∧
          il´ .i li.    :i ゝ  -‐     ∨ λ      ∧
           r''  l:      i´ ヾ     , -‐ λγλ     ./         ┌───────────────────┐
.             {ノ、_-ヘ:  li λ.  ヾ      ァニ、 ヘ    ∧       .   │  世界よ――――これが、麻雀プロだ!  .│
          /´  ヾソ∧=イ_ `_ゝ   ニー--‐λ乂=-イ`-ニ彳            └───────────────────┘
        /´    ,iヘ.:∧ `i´ 丶       ニ:::个.:´丶/ λ
         /     .:i.  l `、_:i    `ー=-=三´ソゞi   .{i  :}i
        ,/    /:.、/   ヾiミ._    `il´  ゙:.  l: :   ∧  从
      λ .:.=ニ.   /´    i∨ヾ   :i}.  .:  `i. _  ∧_/ i
.        / `´ `:-=/>、__    ,マi l}   .i}  .i   い     人
       |-ー、  ゙//ニニ\彡イ  i「  i}   il . .__`i⌒)ー=彳 \
      `ー=ニニ=--=ニ二/ニゞ__il_____i}  i{_/ニニ{ .i}   ゝ  i
                `丶、/:i` `ニ 二ニニ__彡'" ニ .γ´   壬   i
.          .     .  /ニ:] `-=了=-----ー[iニニ/∧   :i:   i
.                 /ニ:]    i       [iニニ/ ∧  .i:  . λ
              Vニ:].     i        [i二ニ/│ V  .:.  λ
               |ニ:]      .i        [iニ/゙ニ|  ∨.   ∧
.                .゙ミ__      i        [i∨ 二l     V.  ∧
.               /ニi]ー-===- 入        [iニニ=/     .ヘ   :〉
              /ニi]    / /^ヽ二`ニ=-=彡ニニl′ 「|:.、 . ヘ_彡′
.             /ニi]      /  l       [i二|  |」.::\ /  ‘,
            /ニi]      /  ..|       [i二| .  \:::::::|`|   .:i  .      //
              /ニi]      /   .i       [i二|     \」│    :|-=.ヾ _ /:../
          /ニi]       /    l       [i二|      `ト' :|│| | iヘ{[{[`}、.:.:/
            /ニi]       ,:′    l       [i二|       `弋,ノノ//ヘ ` /ヘ´:.
        /        /       i       [i二|        `¨´`'i {[{[{`.(◎)/ `
          /        /       |       [i二|            `=-=´`-=´`


尚ダヴァンさんや菫さんなども同様のものを目撃するとする


                       ___/ ̄ ̄\_               |         ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
                   ,  ´        <⌒              .|       /_,..-         ヽ  `  、
                  ,:'            `ヽ、           . |       / /´     /    ∨   \
                 ,                \_     .    |     ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
                                \ } ̄´      .     |   /   ,    , / /|  |  :.  | | |    ∨
                  '              ,  \         .   |_/   / /  |_|__'_|  |   _}_|_|_| |  | :
                / ,          |/} ∧ }`ー`          |   ̄ ̄´/ イ '  { ´| |/__{  |: , ´/}/_}∧ |  | |
                 {∧          「ノ|/}/イ             八     / / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |
                '  、       | /`/ } '             ´⌒∨   / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
                   } ∧     /イ   /             i    ∨  ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
                   |' ,} \__/イ__ /             l  言  |       | ∧          ∧,イ
                   ,个 、  , =-〈               l.  っ  l       Ⅵム   r- --,   イ /
                ,/7ヘ ` -´ -=ニニ=-,,_           |  た  |        ,ヽl\  `ー '´ //イ∨
               ,./. 个、`ミ, ^´-ー二   ニ.=-         i  ろ  i       ;iヘ、/}   ー  ,,彳 ムr--=、
             ,-ニヽ彳i .li/        _/    `I       `l ? ∧      ;i  i{│    ,= -=∨'´   ∨
            γΛ  \:i /         /      ∧       l  ∧       ;i:  /l ヘ  :´    i}     ∨
           il  i   ニ 小     __-‐ ヘミ:{i       ∧       ∨       ;i:i  ,/i}/´⌒`ヾi    ;ヽ:    ム
          il´ .i li.    :i ゝ  -‐     ∨ λ     ∧       |   .      ;i , '壬: .    :}iー ´`ゞ´'ー=´∧
           r''  l:      i´ ヾ     , -‐ λγλ    ./        \
.             {ノ、_-ヘ:  li λ.  ヾ      ァニ、 ヘ    ∧         \
          /´  ヾソ∧=イ_ `_ゝ   ニー--‐λ乂=-イ`-ニ彳            \
        /´    ,iヘ.:∧ `i´ 丶       ニ:::个.:´丶/ λ             \
         /     .:i.  l `、_:i    `ー=-=三´ソゞi   .{i  :}i              \
        ,/    /:.、/   ヾiミ._    `il´  ゙:.  l: :   ∧  从               _______________
      λ .:.=ニ.   /´     i∨ヾ   :i}.  .:  `i. _  ∧_/ i              ノ                      ヽ
.        / `´ `:-=/>、__ .    ,マi l}   .i}  .i   い     人             > ――俺が君の、最後の希望だ   |
       |-ー、  ゙//ニニ\彡イ  i「  i}   il . .__`i⌒)ー=彳 \            ヘ_______________ノ
      `ー=ニニ=--=ニ二/ニゞ__il_____i}  i{_/ニニ{ .i}   ゝ  i
                `丶、/:i` `ニ 二ニニ__彡'" ニ .γ´   壬   i
.          .     .  /ニ:] `-=了=-----ー[iニニ/∧   :i:   i
.                 /ニ:]    i       [iニニ/ ∧  .i:  . λ
              Vニ:].     i        [i二ニ/│ V  .:.  λ
               |ニ:]      .i        [iニ/゙ニ|  ∨.   ∧
.                .゙ミ__      i        [i∨ 二l     V.  ∧
.               /ニi]ー-===- 入        [iニニ=/     .ヘ   :〉             / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
              /ニi]    / /^ヽ二`ニ=-=彡ニニl′ 「|:.、 . ヘ_彡′              |                    __      |
.             /ニi]      /  l       [i二|  |」.:.:\ /  ‘,            |     須 賀  京 太 郎  | ● |      |
            /ニi]      /  ..|       [i二| .  \:::::::|`|   .:i  .      //   .|                     ̄ ̄      |
      オ カ ル ト ス レ イ ヤ ー  .i       [i二|     \」│    :|-=.ヾ _ /:../   |    25歳 ♂  184cm 76kg         .|
  “人 類 史 上 最 強 の 男”       [i二|      `ト' :|│| | iヘ{[{[`}、.:.:/     !                           .|
            /ニi]        戦 闘 開 始  ! ! ! |       `弋,ノノ//ヘ ` /ヘ´:.     |     『マーズ・ランキング』元1位      .|
       第        /        i      [i二|        `¨´`'i {[{[{`.(◎)/ `   . |   M・O手術  “ 技術昇華+不運 ”   .. |
     鬥 (130) END l>アラフォーマーズ     [i二|            `=-=´`-=´`    .  |     ━ オカルトスレイヤー ━       |
 ━━━━話━━━━━━━━━━━                              \_________________/


今夜も出来たら進めたいっすね

ところでやえさんと一ちゃんのどっちがいいっすかね

どっちもトントンな人気ですねこりゃ
のどっち? 1が書く以上フラグが立つ事は永遠にあり得ないよ


時系列でまとめ直しましたので、読み直す時には参考にでもしてください
http://www54.atwiki.jp/ocltslyrkyo/pages/188.html

あと各話タイトル元ネタ楽曲

僕たちの歌:https://www.youtube.com/watch?v=353yvM6YF2c
Life is SHOWTIME:https://www.youtube.com/watch?v=r8-sxUr8Yus
積乱雲グラフィティ:https://www.youtube.com/watch?v=mpgvlJF9Qzg
ワールドイズマイン:https://www.youtube.com/watch?v=rnEkuu9nizk
君の知らない物語:https://www.youtube.com/watch?v=gUL3htMsByE
ミュージックアワー:https://www.youtube.com/watch?v=YRqSeCBt5SM
マシンガントーク:https://www.youtube.com/watch?v=fIdobpZnh-U
愛に気付いてください: 「ロマンス」 https://www.youtube.com/watch?v=zAkSkwyCT7A
フタリノ夜: 「ヒトリノ夜」 https://www.youtube.com/watch?v=lm54Y0P-D_E
AMAZING BREAK:https://www.youtube.com/watch?v=Uvy1_GHGdA4
雫:https://www.youtube.com/watch?v=ILT62ELPuqc
Action Zero:https://www.youtube.com/watch?v=85bdlAeK5YU
たしかなこと:https://www.youtube.com/watch?v=8o2AA3nnSLw

・やえさん    16
・国広くん    14
・のどっち     2


ところで僅か数分目を離した間にパソコンが勝手に再起動をかけやがり
エディタで作ってたAAとオカルトスレイヤーとジョジョ艦これが消えたときの1の心理状態を答えなさい

そういう訳でちょっと更新できなくてスマンな

ところでU-511は少女娼婦って感じだけど、呂500はハイエースって感じですね

違うんだよ

まずU-511が少女娼婦、いいね?
そこからいい人に引き取られて、年相応に笑顔を取り戻したのが呂500
だからこそそっからハイエースなんだよ。敢えてのハイエースなんだ。それでこそ意味がある。そう思いませんかあなた?


あ、とりあえず両方書くから待っててなー

のどっちフラグについては

・30までフリーだったらアコチャーか咲と結婚するかという口約束
・和とは40まで両方フリーなら結婚するんじゃねーのって程度
・ 松 実

これであとは判る筈だ

真面目に言うと

穏乃→お互い高校生→松実の耳に入る→間違いなくアコチャーの耳に行く→普通に京太郎にも伝わる→終わり

灼→松実の耳に入る→間違いなくアコチャーの耳に入る→普通に京太郎にも伝わる→終わり

淡→そのまま諏訪湖に入る→終わり

ってなるからありえないんじゃないっすかね


E-5前にして各資源が3000切った1の気持ちを答えなさい

俺はE-5ラストダンス開始時30kあった燃料が気づいたら30になってたからネ(白目)

天城手に入るといいね(ニッコリ

まあ提督レベル80にも届かない弱小が自然回復上限から始めたからよくもったって話ですがね
長門も持ってないしね……大型も10回回してねえし


よっしゃ、今日は始めるでー

キタ━(゚∀゚)━!

良い子の皆、ついつい「E-4低速? なら武蔵と大和入れたろwww」とかやってはならない! 1提督との約束だ!
両方大破すると一撃で25吹っ飛ぶぞ!

大体こいつらの所為で資源なくなった

不幸ねーさま不幸が薄れそうで改二にしてないんだよな
不幸ねーさまは不幸そうだから求婚したくなるんだ。そう思いませんかあなた?



   【SURPRISE - DRIVE】




「……あの東一局の第一打。それからの上家の打2索への目線」


 金髪の青年が、長髪を括った女性に語りかける。

 腕組みを崩さないその女性は無表情。しかしその内心に浮かぶ色は果たして。

 それを無言の催促と感じて、男は呟く。


「初めから三役を決め打つのなら――ああも迷わない。あれは“副露して三色同順”も見込んだから。一役縛りだから」


 和了した女性の最終形は、 


手牌: 一一二二三三萬 ①②⑥⑥筒 123索   ツモ:③筒


 であり、それと捨て牌から類推された最初の手の並びは、


手牌: 一二三三萬 ①②⑥⑥筒 135索 東中 ツモ:1索


 直後は打:1索。

 早々に重なった1索を見切ったのは、123索の副露による三色確定をする為。

 4索引きで11345索という並びは美味くないから。

 そうなると、⑥筒と1索シャンポンか、或いはどちらかを刻子にさせたとしてもどの道ただのリーチのみ手。

 美味くない。

 それよりは東や中へのくっ付きからの副露やイーペーコー期待を残した方が一役としては美味い。

 だから――。


 そして――何よりはやはり目線。青年の持つ女性の中のデータと照らし合わせての不自然。

 “手の内に必要な牌を見た”という時間ではない。その場合は、あまり時間をかけない。

 どうしようもなく、不随意で僅かに“無関係な牌”と“欲しい牌”には視線の滞空時間の差が出てしまう。

 訓練でどこまでも減らせるが、それは生物である以上は絶対。たとえ、コンマ〇〇〇一秒だろうが。

 しかし女性は、それを極限まで抑えた。本当の本当の極限まで。

 そんな動きとは違う。更に僅かな遅れに、青年は“副露への逡巡”を見た。 



 そしてそれが一役縛りであるからこそ、見える物があった。

 それこそがか細い逆転の道筋。


「一役で撃ち続ける……そうすれば出来る限りは、永遠に貴女たちに追いつけないけど――」


 ――しかしここは尋常ならざるM.A.R.S.ランキング。

 例えば八局の内、二局。或いは一局でも。

 和了が出来なかったのなら――和了のチャンスを相手に渡して、自分はみすみす眺める事しかできないのなら。

 それだけで、討ち取られる可能性もあり得る。

 それこそがM.A.R.S.ランキングであり、それこそが上位ランカー――第7位である。


「そんな万が一を避けたかった。避けるためには、どこかで大きな一撃が欲しくなる」


 しかし、と青年は続ける。


「三役で十分。ただ勝ち続けられるのなら十分だけど……」


 それを許さぬ為に、青年は他家を利用した。

 最大限にアシストし和了させる。或いは最大限に副露し、女性の手番を飛ばす。

 そうして焦らしに焦らした上で、女性を狙い打った――。

 結果として追い詰められた彼女は、二度目の親番にて高打点の和了を行う。他家を殺しきれるような。

 そして彼女の能力――リザベーション。

 相方が、女性が和了がったした局と同じ局にてその二倍の打点で絶対に和了するという、極まった異能。

 そこにきて、彼女たちの勝利は確定した筈だった。


「貴女は不安に思った。13位でこれなら、7位はどうなるのだろうと」


 不安――故の勝利の確定。あまりにも強大な虐殺の能力。

 そう、青年は引き出した。

 彼の持つ技能すべてを用いて心理戦を仕掛け、土台に乗せた。

 相手にとっては、確定となる勝利の道筋に――


「高校生の頃から、プロでも破れないリザベ―ションって言われてましたよね? だけど……この世に“絶対”なんてものはない」


 しかし真実、青年たちにとってこその勝利の道筋に――。


 手が高くなれば即ち、手牌の形は限られる。

 三暗刻、対々和、小三元――様々な制約があるからこそ、打点は伸びる。

 そう、打点と言うのが高くなれば高くなるだけ形が狭まる――。

 そこで生きるのが、青年の相棒である小走やえ――M.A.R.S.ランキング第7位の“特性”。

 自分が聴牌したのちに、他家の和了牌を掴んでしまうという不運を昇華させた――“己の不要牌として相手にとっての有効牌を掴んでしまう”能力。

 そんな不運を経験で固めた結果の、“他家の手牌の断絶”・“他家の手牌の類推”・“対子の構築”。


 リザベーションについての回答。

 “確実に和了が決定されてしまうのならば”――。

 ――“その和了が確定したのちに、奪い取ればいい”。


 女性の相棒は和了を決めた。確かに和了を決めた。

 そして然る後に、それを“頭ハネ”という形で喰い殺った。

 青年が女性を高打点を作らざるを得ない状況まで追い込んだ故に――それ故に手牌の幅を狭める事に繋がり。

 そして、残る彼の相棒がその“特性” を以って、待ちを合わせた攻撃で討ち取った。

 高校生の頃からプロをして“破れない”と言わしめた異能が、プロとなった――まさに絶対無敵の力を、人類の持つ思考で殺したのだ。


「どっから……どっからこん絵図ば書いとった?」

「初めからですよ。予選通過の得点順に席順が決まるって分かったときから――こうしようと思ってました」

「……」

「『勝利というのは戦う前に全て既に決定されている』」

「孫子か……確かに警戒ばしとったばってん、ルールについてそげんとこまでは考えとらんかった」


 やれやれ、と女性は肩を落とした。

 彼女は自らを信頼していた。過信はしなかった。

 彼女は自らの相棒を信頼していた。過信はしなかった。

 しかしここまで勝利に貪欲に、ルールまでもを道筋としては固めなかった。

 これは弱者故の――思考を働かせなければ勝ち目のない人間に許された、思考/試行という名の武器。

 悔しさもあるが、ある意味一層清々しい。


「今回は、“俺たち”の勝ちですね」


 こんな思いもよらない弱点があるという事はつまり、自分たちにはまだ成長の余地が残されているのだから。



 こうして青年と小走やえは、日本一のタッグの座に輝いた。

 それは青年が麻雀を引退する、おおよそ一年前の出来事だ。



 そして――。


「すみません、やえさん……俺、ここまでみたいです」


 控室で、いつも通りの柔和な笑みを浮かべながら。申し訳なさそうに。

 未だに本調子に戻らない赤銅色の両目を、保護用の眼鏡で覆って。

 青年は、居たって軽い口調で頭を下げた。


「……そう」


 対する彼女も――小走やえも、口数が減る。

 気安い相手には多弁になるが、同年代ではどちらかと言えば弄られ側、それなりに見知らぬ他人と離すにはテンパるやえだ。

 それでも年下の相棒相手なら、当然言葉は増える。

 だというのに、言葉は殆ど出なかった。


 彼女には二つ――負い目があった。

 一つ目。

 まだプロに入って間もない須賀京太郎と、全くコミュニケーションを交わさなかった事。寧ろ躱してしまった事。

 これは何も、やえがコミュニケーション能力に乏しいからではない。(いや事実ではあるが)

 須賀京太郎が、そのままでは遠からぬ将来にタレント枠とされてしまう事。

 その前に彼に、彼なりの“武器”を与えたかったのだ。

 敵の心理を読み、目線を読み、山を読み闘うのなら――――同じ敵に戦わんと協力する相棒を読めなくてどうするか。

 そのために交流を絶った。

 絶ったその上で、彼女の相棒で居られるかを試した。そうでないとその先、生きていけないから。

 だけれどもそれが、プロになりたての須賀京太郎の多大なる負担になってしまった事は同時に、理解していた。



 二つ目。

 昨年度のプロアマタッグで、須賀京太郎と小走やえはタッグを組まなかった。

 理由は実に単純だった。これも同じだ。

 須賀京太郎はM.A.R.S.ランキング13位だ。立派な、列記とした上位ランカーだ。

 技術だけなら、人間が訓練で習得できる全てを修めた――イカサマも含めて(彼は決して使わないが)――到達点。

 だけれども、遠い。

 常人よりやや悪いかという運では及ばない。それでは舞台に立てないのだ。

 逆転の手はずを整えても、牌はまるで答えずに勝負の土台に上れなかったり――。

 或いは、避けようがない不運の貰い事故を受けたり、様々。


 しかしだからこそ……だからこそ、そんな不運も理論に組み込んだ、須賀京太郎が見たかった。

 そうすればもっと上に行けるから。

 技術が三割と言われる麻雀で、堅実にその技術を拾い集めて上位ランカーとなったのなら。

 それ以上が加われば余計に強くなるのは道理。

 彼は今まで、基本的に彼より強い人間としか組んで戦う事がなかった。

 それだって、主体性を持って――引きずられたり単にオヒキ等都合よく使われるのではなく戦ったが、それでは足りない。

 彼自身が主体となり、闘う。彼自身が仲間を率いる。

 そんな場面が必要だと思った。


 何故なら――


「……須賀、あんたには言えてなかったけど」


 口腔が渇く。

 首元を焦燥が覆い、舌が回らぬ。粘度のある唾が、喉を鳴らす。

 こんな状態の、もう戦えないと宣言した彼への追い討ちとなる言葉を――小走やえは逡巡した。

 しかしそれでも、言った。

 それは、相棒としての礼儀だと思ったから。


「私、移籍する事になってんのよ。荒川憩のとこの団体に」

ここまで

それにしても曙かわいい。曙ちゃんカーナビ実装するべきだと思いませんかあなた?
イイ……「なんでそこで左に曲がってるのよ、右って言ってるじゃない! 信じらんない、このクソ提督!」とかアーイイ

ファッ!?

すまぬ……すまぬ……

ぜ、全部書き終わったらスレ立てて全部やって終わらせるんで許してくだち……

ハーメルンで艦これ書いてる。すまんな。ほのぼので

あ、ちょっとリアリティを得る出来事があったのでラストはやえさん(アコチャー)と一ちゃん(アコチャー)と憧(アコチャー)になります

艦隊これくしょん 第八九特別掃討隊任務報告書
ttp://novel.syosetu.org/45164/

いつも通りのほのぼの熱血王道ほのぼのサイバーパンクほのぼのハードボイルドほのぼの
史実での命令・指示・戦時国際法無視+問題行動組

残酷な描写は念の為入れただけで、まあ、やりませんから大丈夫ですよーぅ
ほのぼので血は流れませんよーぅ
というか今まで人が殺されるものとか書いたことないからね

明日辺りやえさん(アコチャー)書けたらいいっすね

ちゃんと腰を据えて書いたって意味だから……あれ雑談の延長上だから……


基本的に今までほのぼのギャルゲーしか書いたことないから艦これもほのぼのギャルゲーです
ちょっと失業者が多かったり移民がいたりスラムが形勢されてたり未成年が人体改造して戦場に行くとか戦時法無視してるけど平和なギャルゲーです
たとえ貿易関係で中露主体の経済界の指示団体に引っ張られて与党が左寄りになったり軍需産業がバックの議員と立場を良くしたい防衛省が良からぬ事を企んだり不況で国民が右傾化したり
深海棲艦は知能があるから交渉すべきだと平和団体が言い出したり非人道だと艦娘遺族が訴訟起こしたり過激な動物愛護団体が調子こいたり
大陸からの麻薬ルート確保に佐世保の方で小金稼ぐ人がいたり技術欲しさにハニトラ仕掛けるスパイがいたり航行不能な艦娘を鹵獲しようとする国があったり戦闘ストレスからホストに入れ込む艦娘がいたり
陸上続きの資源欲しさに大国バックでのアフリカ内戦が激化したり第三国が深海棲艦培養してテロを行おうとしてると槍玉に上げられたりするけど平和なギャルゲーです

SF的な意味で深海棲艦出てきたら社会はどう変わるのかだけ組み込んだだけのごく普通の治安維持組織に焦点を当てただけのほのぼのライトノベルです
人間の方が怖いです

実際人殺されないし今まで入水させた覚えもないし舞台がダークでもほのぼのしか書かねえからいつも通りほのぼのなんだよなぁ…

瓦礫の街に咲いた一輪の花を見れば心が温かくなるからほのぼのってそういうもんだってばっちゃが言ってた

久しぶりです、始めます

それにしても艦これのアニメの最新話は面白かったですね

遠征に出てて帰ってきたら鎮守府が壊滅していて司令官が行方不明になっているのに呆然とした曙が、
「どこにいるのよ、出てきなさいよ……クソ提督ッ」って涙ながらに鎮守府内を走り回り、未だ誘爆の危険性もある弾薬庫に押し入ったり
素手で指の皮が剥がれるのにも構わず瓦礫を掘り起こし続け、皆が何とか復興してよかったよかったって言う時にも独り提督を探し続け、
いい加減に次の作戦の事とか考えようって周りに言われたら「うっさい!!!」って叫びあげてそのまま瓦礫掘りを続行し、
止めようとする周りの艦娘に噛み付いて暴れ立てて営倉送りになってしって、壁に背を預けながら体育座りで「なにしてるのよ……クソ提督」って
目茶目茶涙声で呟いたのちに営倉越しに提督が見つかった事を知らされて泣き出してしまった後に改めて提督と顔を合わせて
「ふん、生きてたのね……いなくなって清々したと思ったのに」って腕組みで顔を背けながら泣きはらした目で言うシーンはニヤニヤなしに観れなかったですね
曙はかわいいし全話登場してる、いいね?




では>>702より



 小走やえの移籍話は、静かに進行していた。

 当然団体との兼ね合いもある。おいそれと放流される筈はないだろうというのも、交渉に時間がかかるというのも。

 それでも、彼女自身がその移籍に賛成か反対かで言われたら、賛成であった。

 続くチームのメンバーには、第3位“赤き腕を持つ帝王”荒川憩と第10位“夢を盗む天使”エイスリン・ウィッシュアート。

 チームとして見るならば、恐ろしく好条件である。

 上位ランカーの保有数という観点から見るならば、現在のやえのチームは――8位・12位・13位・15位と強力な布陣。


 であるが――だとしてもそれでも、10位以上とそれ以外には、やはり大きな壁があった。

 チームとしての総合力は現在の方が上。だが、突破力としては新たなチームが上。

 傍から見るならそんな移籍というのは、元居たチームに後ろ足で砂をかける行為に等しく、また、旦那を捨ててより資金がある男と再婚するに同じ。

 必然、そういう方面の揶揄なども起きるとは分かっている。

 その事について――綺麗事を言うつもりもなければ、悪怯れるつもりも無かった。

 ただ、競技者としてより頂点に近付く。悩んだ末にやえが出した結論はそこ。


「……」


 そしてもう一つ、やえは望んでいた。

 このままならチームではなく彼女に与えられ続けるだろう“コンビ日本一”という称号を捨ててでも――。

 自分の相棒であった、須賀京太郎と全力で戦いたいと。

 無論、一度決定されてしまったら大きく変動する事がなく“運を制圧する力”などと嘯かれるM.A.R.S.ランキングである。

 ランカーの順位が殆ど絶対的な差となる。中位下位ならいざ知らず、上位になるほどそれは顕著。

 だから13位の須賀京太郎と7位のやえでは結果が見えている勝負。

 だけれども――。

 これは恥ずかしくて、余りに夢物語過ぎて、馬鹿馬鹿しく滑稽で、口に出したら変な言霊が宿って成就しない願いなどと考えていたが。

 やえは須賀京太郎は、ともすれば1位にも届き得る男だと見込んでいた。

× やえは須賀京太郎は、ともすれば1位にも届き得る男だと見込んでいた。
○ やえは須賀京太郎が、ともすれば1位にも届き得る男だと見込んでいた。


 運は平凡。というよりややマイナス。

 必然打点も防御も神憑りが如き必然を持たない。オカルトのような、絶対的な運の制圧など出来ない。

 だけれども――だからこそ、弱いからこそ恐怖し思考する人間は止まらない。

 絶対的な力を持たないからこそ、何にでも至る可能性を持っている。

 そして、意思とは確率の制御だ。

 四択問題。単純に考えれば、それが正答するのは四分の一。だとしても人間は己の知識と経験と推察と選択からそれを百パーセントに出来る。

 オカルトもこれに似ているもの。

 違うのは、選択する――選択すらも不要な意思だけで結果を固定する事。

 だが、須賀京太郎ならば。

 正しく人間の持つ力を使用して、それを発揮したのならば……きっと異能などを持たぬ身であっても、それと切り結び打ち勝つ事が出来る。

 結果が固定されてしまっているランキングの中、唯一それに縛られる事なく全てに勝てる可能性を持てるのではないかと。

 対戦者の誰もと、本当の意味での麻雀を打てる男になるのではないかと思っていた。


「……やえさん」


 だが、小走やえは失念していた。

 異能を持たず、異能と戦う事にどれだけの代償を支払っているのかというのを――考えていなかった。

 それは、人間でサラブレッドを作るような途方もない努力に似ていた。

 己の持つ潜在能力すべてを使い切って研鑚に研鑚を重ねた上で、更にそれに加えて臨んだ場や状況に応じてこそ、漸く勝負の場に立てているというのを忘れていた。

 その結果が、今回の一時的な失明だった。

 そして次に続ければ、彼は完全に失明する。

 あわよくば、今度は敵となり須賀京太郎を鍛えて――いつの日か彼が実ったのなら、静かに部屋の中で拳を握りしめればいい。

 そんなものは、単なるやえの幻想でしかなかった。


「そのー……一つ、いいですか?」


「……何?」

「えーっと、移籍するってのは結構驚きです。正直、このまま麻雀を一緒に打てるのかって思ってたんで」

「……」

「ただ、まあ……なんとなくやえさんってその……言いにくいんですけど……」

「……なによ」


 一拍置いて。


「少しコミュ障ですよね、いや、言い方悪いけど……不器用っていうのか?」

「――」

「実は昔、こう……知り合いの友人からの話なんですけど、なんか嘗ての対戦相手エールを送ろうとするのに部屋の中でブツブツ言ってたとか」

「――」

「で、散々練習したのはいいけど結局喚き散らしただけとか」

「――」

「それ相手を怯えさせて不審がられてるだけなんじゃねーのっていうか」

「――」

「その癖、後輩には凄いドヤ顔で先輩っぽく威厳満々に振舞うとか」

「――」

「実は同級生や先輩からは散々弄られ役だったとか」

「――」

「髪型何で片側だけ巻いてるんですか、とか」

「――」

「あと“打ちしゅじ”とか噛んで流行語大賞とってるとか」

「――」

「噛むくらいなら格好つけなきゃいいのにとか」

「――」

「正直微笑ましい感じで年上に見えないというか……うーん」


 飛んできたのは言葉のラッシュだった。


 これには流石のやえも面食らった。

 今まで須賀京太郎が、尻尾を振る大型犬のようだったので……これほどまでに悪しき様に言われるなどと思わなかったのである。

 『一撃で足りないのなら千発のゴッコーティーカウ! 内臓破裂! ワザマエ!』みたいな。

 『パンがないなら腹パンすればいいじゃない』というか。

 『夢ってのを持つと、時々すっごく切なくなるけど……時々すっごく熱くなるらしいぜ。でも俺ニートだから平穏に暮らすわ』と言えばいいのか。

 『あ、ありのまま今起こった事を話すぜ……俺は階段を上っていた』めいているというか。

 豆が鳩鉄砲……ではなく鳩が豆鉄砲喰らったようなものだ。

 直後に、ぷつーんと小走やえの大事な何かが切れた。ルー大柴めいた戒能良子プロの言葉を借りるなら、勘忍チャキンのチャックがブロークンした。

 思わず須賀京太郎に掴みかからんと、両拳に力を込めた。


「あんたねえ……!」

「い、いや、すみません……えっと」

「“えっと”ォ!?」

「こ、これはアレで……」

「“アレ”ェ!?」

「お、思わず」

「“思わず”ゥ!?」

「と、咄嗟に」

「“咄嗟に”ィ!?」

「だ、だから……」

「“だから”ァ!?」


 病室は一点、北野武の牙城と化した。

 アウトにレイジしている人たちめいたドスの利いたナースコールである。多分ナースはビビッて来ない。

 怒り心頭のやえの目の前に、須賀京太郎が両手を出した。


「と、とりあえずですね……」

「とりあえずなんだってのよ!」

「だから、その…………あのー、何となくやえさんどっか行くんじゃないかなーと思ってました」

「は?」



 そもそも、と京太郎が告げる。


「入団して間もない俺の事をやえさん目茶目茶放置してたじゃないですか」

「うっ」

「何か嫌われるような事をしたっけとか考えてて……それでも口利いてくれないし」

「うっ」

「打ち合わせしないし」

「うっ」

「反省会にも付き合ってくれないし」

「うっ」

「態度も鉄壁というか絶壁だし」

「うっ…………、……ってオイコラちょっと待ちなさい」

「取り付く島もないっていうのか解らないけど」

「態度 “も”って何よ。態度“も”って」

「正直俺が見込みないからいびってやめさせようとしてるのかなこの人……っていうか」

「何で絶壁って言い直した。ちょっと」

「でも、立ち聞きしたら俺がプロになる決定打はやえさんからのラブコールって言うし」

「ちょっと、須賀京太郎」

「それでも……俺が麻雀プロとしてこの先やっていく為のスタイルとか道筋の事まで考えてたりして」

「スタイルがなんだってのよ、スタイルが!」

「……今の関係ないですよ」

「あ、そっか……ってやっぱあんたわざと言ってたんじゃない!」


 まあ置いといて、と京太郎は笑う。

 ごく自然な笑みだった。


「だから――コンビ大会でコンビを組もうとしなかったときに……なにかひょっとしたらな、とは思ってたんですよ。俺」



 そんな訳で――、と頭を掻く須賀京太郎。

 これまでの半生、己が血を傾けてきた道を奪われた者とは思えない飄々とした態度。

 家族を失い、貯金を使い尽くして、職をなくした人間には見えない柔和な表情。


「やえさん不器用だから……そんな風に遠回しな感じで、何か考えてるんじゃないかなって具合に」

「あんた、なんで……」

「いや、だって俺――――これでも小走やえの相棒じゃないですか」


 そこから先、やえの耳を言葉が上滑りする。

 だから、相棒として小走やえの門出を祝わせて下さい――とか。

 俺、やえさんの打ち方好きだからちゃんと麻雀続けて下さい――とか。

 もう少しちゃんと言わないと伝わらないかもですよ――とか。

 竹井アナには気をつけて下さいね。あの人弄れる人間ガンガン弄るんで――とか。

 これから先、麻雀の舞台に残る相棒に向けて、京太郎は好き勝手言った。

 やえもただそれに、頷いていただけ……だと思う。彼女としても良く覚えていない。


 ちゃんと記憶にあるのは、


「やえさん」

「何?」

「俺、小走やえの相棒で――あなたと一緒にこれまで打てて、幸せでした」


 そんな言葉だ。

 それが本当の本当に彼の本心からなのかはやえにも分からない。

 お得意の格好つけで、お為ごかしで、失った事に対する精一杯の強がりだったのかもしれない。

 だけれども、小走やえは――誇らしかった。

 そして――。



 ◇ ◆ ◇




「うーん……相変わらず、なんていうか」


 実際人生の大半を暮らしてきたけれども、暫く離れてしまえば如何に不便だったか気付くと言おうか。

 吉野、坂が多すぎる。あと緑も多い。

 でも千代田区とかも坂が多い。あと緑も多い。比率はだいぶ違うけど。
 
 アスファルトが広がるロータリー。ロータリーというか、車道と歩道の区別も碌に付かない駅前。

 果たして駅前と呼んでいいものか。左を見ればいくらかの土産物屋が古式ゆかしい形式の平屋で立ち並び、右を見れば石垣が。

 視線の少し向こうには、上まで続くロープウェイ。

 そして――。


「あ、やえさん!」


 結婚式のスピーチ以来の金髪の男。

 訳が分からん元麻雀プロ・元ほぼタレント・現教師。おまけに中学からのハンドボールで培ったバネと空中センスを生かした冗談めいた古式ムエタイ使い。

 手を振る須賀京太郎が其処に居た。――左手には指輪が輝く。


「元気にしてた?」

「勿論です! 毎日楽しくやってます!」

「……みたいね」


 視線のその先には、同じく左手の薬指に指輪を嵌めた女性――新子憧。

 いや、そこらへん名字とか変わっているのかもしれないけど。

 でもどちらになったのだろう。須賀憧と新子京太郎なら、後者の方が語呂がいい気がする。京太郎という名前の名字に対する親和率物凄いし。

 などと考えるやえに駆け寄り、荷物を持とうとする。丁重に断った。

 というかそんな、パシリみたいな行動をするのはどうだろうか。仮にも夫がそんな下っ端みたいな扱いされるのは、妻としては嬉しくないんじゃないだろうか。

 その辺り、どうにもやっぱりコイツデリカシー大丈夫なのか、と笑う京太郎を眺めるやえ。


「……うーん」

「どうしたんですか、やえさん」

「いや、なんか笑い方が変わったなって」

「……え、それ口説き文句ですか?」

「口説き文句って……別に私は構わないけど……」

「え、モテキ?」

「……うん、そんな冗談はいいとして。須賀、隣いるかんな」

「へ?」


 ごきりと、両手を組み合わせる新子憧。右手で左手を包み込んで、顔には包容力溢れる菩薩めいた聖母の笑み。

 笑いというのは威嚇行為とかなんとか、そんな俗説を思い返してやえは肩を竦めた。



「きょーぅたろーぉうー?」

「あ、憧さん……? これはですね……?」

「アンタこの間、女子生徒勘違いさせた件からまだ懲りてないのかなー?」

「あ、あれは誤解で……」

「五回? 何が五回?」

「え、いやなんかそれ漢字が違うだろ……?」

「いやー、五回よねー。うんうん、五回だった。五回五回」

「は……?」

「五回って……それってクロが泣きそうになってるところに颯爽と駆けつけた回数だっけー?」

「へっ」

「なんだっけー、一度目はゴキブリ退治で二度目が性質の悪いお客で三度目が地上げに来たヤクザと代打ちで四度目がー?」

「――」

「あー、そうそう。しつこくクロに言い寄ってたセクハラ親父で、五回目は鹿に角ひっかけられて服を脱がされそうになってたときだっけ」

「――」

「いやー、悪い気しなかったでしょ? だってクロってばスタイルいいからねー?」

「あ、あこ、あこさん? あの、あの、お前どっからそれを……?」

「その度にクロが行き遅れるから、正直どうにかしてくれないかなって宥姉からねー」


 なんてこったと頭を押さえる須賀京太郎と、言葉を紡ぐたびに青筋が増えていく新子憧。

 すっかりと置いてきぼりにされながらも、やえはやれやれと溜め息を漏らした。

 やっぱりあの時の須賀京太郎はどこかで無理をしていたか、それとも自分が無理をしていると気付いていなかったか。

 まあ、兎に角――その辺りは解消して、今は自然に笑えるようになっているらしい。それはよかった。

 その辺りも元相棒として、何が起きたのかたっぷりと聞かせて貰いたいところではあるが――


「俺が愛してるのは憧だけで、玄さんに対してはこれっぽっちもそんな目は向けてねーよ!」

「うん、京太郎。それあたしの目に目を向けてから言ってみよっか?」


 とりあえずこの、目の前の痴話喧嘩をどうにかしなければならないだろう。

 なんかどこかの旅館で、激しく石槌だ頭を殴られた蛙めいた奇声を上げる若女将が居たような気がするがそれは無視。ちょっといい気味。

 本当にまだ世話を焼かせる相棒だと、小走やえは嘆息した。


                                                             ――了

Q:松実はどうしましたか?
A:今日も松実です


はい、やえさんエピローグ。なんだかこれその内松実がやらかさない感じでもないけど松実が悪い
次はまあ、一ちゃん書いて(スレが余ってたらアコチャー書いて)終ります

今夜、あります

始めます




 【夜鷹の夢】



「ええ~~~~~~~」


 面倒な事になったと、国広一は眉を寄せた。

 サムライめいたポニーテールが揺れる。目の下のシールの星が歪んだ。頬が引くついたのだ。

 眼前には、手のひらを合わせて頭を下げる金髪――須賀京太郎。


「そこを何とか、お願いしますよ!」

「いやさぁ……」

「マジシャンじゃないですか! 舞台ですよ、舞台!」

「いや、ボク一言も舞台に登りたいとか言ってないよね?」

「人生全部が舞台だって言ってましたよね!」

「言ったっけ……言ったかなぁ……?」


 何しろ、彼と彼女は十数年の付き合いである。

 ひょっとしたらどこかでポツリと、そんな格好を付けた言葉を漏らしたかも知れない。師弟関係であるなら猶更。

 どうだっけな、と首を捻る一は――彼女も目の前の須賀京太郎と負けず劣らず、格好を付ける事を好んでいたのだ。

 なお、私服と言う意味での格好はつけてない。

 いや、着けるというのは正しいと言えば正しい。着ると表現するより、余程。履くという意味でも。


「お願いしますよ、こんな事頼めるの一さんしかいないんですよ!」

「いや、ハギヨシさんいるよね?」

「……」

「え、どうしたの?」

「だってハギヨシさん……最高だから……」


 この潜在的ホモ。

 思わず一はそう吐き捨てたくなった。


 なお、要約すると――。

 「ハギヨシさんは最高級! タツジン! ワザマエ!」「なんたることか! シツジのカラテは最早余興の枠に留まらない!」とか。

 要するに、凄まじすぎて披露宴の空気を破壊してしまうから、らしい。


「ふーん」

「……え、どうしました?」

「べーつーにー」


 ……それって暗に、「国広一のマジックは余興レベルで丁度いい」と言ってやしないだろうか。

 口を尖らせる彼女を前に、須賀京太郎は気付かない。

 何か悪い事を言ったかな、と視線を漂わせる彼は、ある意味で流石のデリカシーであろう。なさすぎる。

 まあ、彼女もそれは慣れっこだ。長い付き合いなのだから。


「でも、絶対盛り上がると思うんですよ! 一さんのマジックなら!」

「……君が抜いだ方がよっぽど盛り上がるんじゃないの?」

「新婚で、妻以外に肌を晒すって問題ですよね!?」

「今まで散々脱いで、人に裸見せてるけどね」

「……人をアダルトな関係の俳優みたいに言わないでくれますか?」


 どこかで、ふきゅっと声が鳴った。気のせいだろう。別に一は一回ふきゅっられただけでは死なない。真必殺:音速火炎ふきゅっとか関係ない。

 話を戻そう。

 須賀京太郎当人は断じて、三十分で五万やいいっすね~などの、ハードな肉体労働はしていないという。

 ただ、全国のお茶の間に殆ど極めて全裸に等しい姿を晒していたのは事実だ。剣で大事な部分を隠してはいたが。

 なお、一の聞くところに寄れば前張りしたらしい。

 しかしそんな全裸近くを晒すよりも、準備と処理が大変だったとの事。なんのこっちゃ。


「で、なんでボクが? 他に余興頼める人いないの?」

「……居ると思います?」

「あっ」

「……その、可哀想な人を見る目やめて貰えませんか?」

「じゃあ、情けない人を見る目すればいいの?」

「えー」

×
「……君が抜いだ方がよっぽど盛り上がるんじゃないの?」


「……君が脱いだ方がよっぽど盛り上がるんじゃないの?」


こ淡ケ。照不幸

ちょい入渠。30分ほど待ってな

お待たせ。平和でほのぼのした話は心が癒されますね



 やけに辛辣だなと頬を掻く京太郎と、呆れ顔の一。

 それでも本心彼女から蔑まれてはいないと考えているのは、少なくとも男女の垣根を超えた友人――との認識なのだろう。

 思えば、色々とあったなと一は思う。

 最初の出会い方は最悪だ。

 いきなり人の服装に難癖をつけてきたり、無神経にずかずかと人の職場に乗り込んで来たり。

 それから――マジックを教える事になって。

 何だかんだと気安くなって、一緒に遊びに行ったり、バカな事に付き合ったり。

 そう言えば、三下からオカルト使いの少女を助けたりなんかもした。(なお、後にゴネた三下を鎮圧したのは萩原である)


「あー、話は変わるんですけど」

「何? 惚気なら聞かないけどね」

「惚気って……俺、そこまでなんかしてます?」

「……その、『この世で自分一番幸せです』みたいなオーラとか」

「え、出てました?」

「……考えてはいるんだね」


 爆発しろ、と一は手で払う。

 夫婦喧嘩は犬も食わないというが、喧嘩してないなら猶更食えたものではない。

 というか、未婚の年上女性を前にして結婚するんです幸せなんですオーラは、喧嘩を売っているとしか思えない。


「で、なに?」

「この間……その、ちょっと裏の方の人と一悶着あって……」

「へー。で?」


 見たところ生きてるけど、と一は続ける。

 というか、おいそれと須賀京太郎が死ぬイメージが湧かない。

 拳銃どころか、人間大のゴキブリが襲ってこようが宝具を使われようが神話生物が襲い掛かろうが「人間ナメんな」の一言で蹴散らしそうな男だ。

 古式ムエタイは実際凄い。


「一さんからマジック習っててよかったよなぁ……って」

「……マジックは物理じゃないんだけど」


 なんなんだ。文字通り魔法(マジック)でも使ったというのか。ショータイムだったのか。

 『裏の人間と一悶着ありました』。『でもマジックがあったから大丈夫だったです!』とか。

 そこまで便利なものじゃないはずだ、手品ってのは。


「いやー、その、ブラフって言うかなんていうか……」

「あー」


 心理戦の役には立っているらしい。

 或いは、ミスディレクション。意図的に目線を動かしたフリで相手を釣ったり。そんなの。

 いい事だな、とは思う。

 とは言ってもくれぐれもマジックをやっているから、荒事が出来るという訳ではない。

 そこまで万能ではないのだ。カラテじゃあるまいし。


「兎に角、一さん……今までありがとうございました! 本当に、俺……」

「あー、うん」

「……一さん?」

「いや、別に? ……なんでもないよ、うん」


 その言い方は感謝であるけど。

 感謝ではあるのだけれども、同時に――別の意味も含んでいるな、と一は感じる。

 その時、


「まー、いいよ。余興やってあげても」

「本当ですか!?」

「うん、マジシャンらしく……とびっきりの、ね」


 閃いた考えに、僅かに攣り上げられた頬に。それを齎した一の心理に。

 須賀京太郎は気付く事なく、大層頭を下げて礼を言った。

 本当に。

 本当に――。

 幸せで、お気楽な男だな……と一は思った。


「まあ、楽しみにしててよ。凄いサプライズしてあげるから」



 ◇ ◆ ◇



久「という訳で、国広一さん……お願いします」


 司会の竹井久アナウンサーに促されて、深紫のドレス姿の国広一がマイクの元へ。

 ドレスの彼方此方にはタイトに巻き付いた革のベルト。

 鎖骨を曝け出してはいるが、その、一部分が実際平坦なのがどことなく物悲しい。

 ちなみに新郎――須賀京太郎の友人はと言えば、京太郎が他に呼んだ友人が主立っては女性陣ばかりだったので泣き叫んでいた。

 なお、グラハムは片岡優希に蹴り出された。無残だ。


憧「どういう人?」


 小声で問いかける純白のドレスの新子憧。

 耳打ちに応じるように、京太郎は笑顔で答える。どこか誇らしげ。


京太郎「俺の師匠、って奴だな」

憧「へー」

京太郎「なんども助けられててなー」

憧「えーっと……拘束術? 脱衣術?」

京太郎「なぁお前俺の事なんだと思ってるのねえ」


 どちらも使った事がないぞ、と京太郎は顔を渋くした。

 決して、断じて、まかり間違っても誰かを拘束した事ないし、それに進んで脱いだことはない。一度もない。多分ない。きっとない。

 夫に対してなんたる言い草だ。

 ……というか、仮にそのどちらかを覚えていたとしても。覚えていたとしても、新子憧の眼前でやった事はない筈である。


京太郎「なあ、というか俺ってそれお前の前でやった事あったか?」

憧「ふきゅっ」

京太郎「え」

憧「て、テレビ……ほら! ドラマの撮影で! あったでしょ、ドラマで!」

京太郎「あった……か?」

憧「あったあった! あたしは覚えてるから!」


 鼻息を荒くして、一応小声で答える新子憧。

 そこまで必死になる事か――などと考えつつも、まあいいかと京太郎。

 それだけ熱心に自分のドラマを見ていてくれたというのは、なんとも気恥ずかしくもあり、嬉しくもある。

 流石はファン一号だ。


京太郎「……というかよく覚えてるよなー、そんなの」

憧「っきゅ」

京太郎「え?」

憧「な、なんでもない!」

京太郎「え?」


 ……ファン一号、だけだからなのだろう。きっとそうだ。深くは考えない事にしよう。京太郎は目をしばたたかせた。


一「はーい、そこのお二人さん。見つめ合ってないでこっちも見てよねー」


 呆れ顔の国広一。生まれた皆の含み笑い。

 いつの間にか、ドレスの色が純白に変わっている――あたかも彼女こそが花嫁と言わんばかりに。

 見ていない間に何があったのか。首を捻る京太郎と、若干眉を寄せる新子憧。

 そんな二人を前に、国広一は泰然と言葉を紡ぐ。掌を翻して、大仰に。


一「それで、さっきも言ったように……この、須賀京太郎君はボクの大切な友人です」

京太郎「俺ェ?」

一「格好つけで、お調子者で、色々と迂闊で……でもなかなかに熱くて一直線、誠実で真面目」

一「知っての通り、実に多彩でその癖努力家」

一「きっと彼なら、この先夫婦にどんな問題があっても、二人で乗り切って行ってくれると信じます」


 さて、と言葉を区切る一。

 さっぱりとしていながら――どことなく妖艶で、意味深な瞳。

 そして、では――と続けた。


一「そんな彼の前途を祝して、僕の方からも贈り物をしたいと思います」


 何か、と視線を向ける須賀京太郎と新子憧に。そんな二人に満面の笑みを向けて。

 徐に歩き出した国広一。それこそ舞台や芝居の一幕のようで、誰もが見入ってしまう自然な立ち振る舞い。

 であるが故に。

 当の須賀京太郎も、その頬に国広一の手の感触を受けて――


京太郎「え」


 初めて、これは不味いのではないか、と気が付いた。

 いつからだ。

 どこからだ。

 というか、なんでだ。

 何があった。

 疑問は種々浮かぶが――体は魅入られたように硬直した。新子憧も同じ。式場を、奇妙な沈黙が包む。

 あるものは一の行動に対応ができず、あるものはこれから起こるであろう事を想像して硬直し、あるものは来たるべき修羅場の気配に息を飲む。


一「とっておきのおまじないを、ね」


 そして、京太郎めがけて一の唇が突き出され――


京太郎「ちょ、一さん!? 何を!? 俺には憧が!? っていうかこんなの――」



 ――国広一の口から、煙が噴き出した。


京太郎「え」

憧「え」


 悪戯っぽいウィンク。

 徐に京太郎が頬に手を伸ばせば――指を弾き鳴らして、手鏡を片手に笑う国広一。

 逆様の彼の顔には、


京太郎「『この分なら浮気はしないでしょう』……?」


 ハートと、やけに達筆な文字。

 困惑気味の京太郎を残して――一は客席へと身を翻し、お辞儀を一つ。


一「このように、彼は一直線の男なんで」

一「きっと二人は……温かい家庭を築いてくれるはずです」

一「ボクの親友と、ボクの親友の伴侶に暖かい拍手を!」


 客席からのマジックへの称賛を受けながら。

 驚かせてごめんね、と片目を瞑り頬を掻く一を前に……。


京太郎「……や、やられた」

憧「……あんたどんな頼み方したのよ」


 これは確かにとびっきりのサプライズだったと、須賀京太郎は肝が冷える想いであった。

 危うく式場が修羅場である。特に言われもないのに。

 それまで一が盛り上げてなかったら、新郎の元恋人がちょっかいを掛けたと疑われてもおかしくないぐらいだ。

 勿論、それまでのパフォーマンスも織り込み済みで行った事は言うまでもないだろう。実際、客席の反応を見ればよく判る。

 だが、


萩原(……やれやれです)


 一人の執事だけは、心底胸を撫で下ろしていた。


                                                          ――了

ここまで
(あんまりしんみりした感じに書けなくて)すまんな

最後にアコチャーをやったら、このスレも終わりますんで。宜しゅう

今週末、お待ちください

そして幸せが訪れる。やっぱりほのぼのが一番ですね。ほのぼの書きたくてしょうがない

(イベントが始まってしまって)すまん

最近のシノハユ見るに古式ムエタイを除けばオカルトスレイヤー最後の戦いがあってもおかしくないくらいにマッポーめいたサツバツの様相ですね
つまり原作に忠実なんですよ、このスレ


なるたけ数日中にハッピーエンドになるんでお待ちください

あ、思い付いたんで今夜あります

22:30あたりから始めます

麻婆豆腐おいしいですね

お待たせしました

え? まだE-1に取りかかったばっかりですよ?




      【それでも彼を信じてる】



 さて、新子憧は須賀京太郎と無事結ばれたのである。

 物語というのは基本的に「むかしむかし」で始まり、それから「めでたしめでたし」で閉じられる。

 なのでそんな物語風にいうのであれば――。


 むかしむかし、奈良県吉野郡にとてもかわいい女の子が居ました。

 それから、金髪でお調子者でヘタレで残念ででもやるときはやる奴で意外としっかりとしたものを考えてて気も回るんだけど、

 でも同年代とか気安い人間に対しては本当に無礼な奴で無作法な奴で残念な感じの、

 顔立ちはまあ悪くないかな別にそこまで酷くもないし清潔感に溢れてるし体つきもまあスポーツやってただけあって爽やかだし、

 そういう面でまあ頼りになるというか一緒に外に遊びに行ったりちょっと危ない時は助けてくれたりするところは評価してもいいかもだけど、

 それにしたってデリカシーないしええかっこしいだし一度熱中したら他のこととかあんまりちゃんと見てくれないし、

 優しいっていうのはそれは美点かもだけどだからって誰にでも優しいってのはどうかだし、なに勘違い巻き起こしてるのよちょっとムカつく、

 まあそんな風に変にこなれてないって意味では悪い奴ではないんだけどそれでもこうやっぱりちょっとはリードして欲しいっていうか、

 でも余裕ぶられたら余裕ぶられたでなんか生意気な感じがして腹が立つ――――(中略)――――須賀京太郎という男が居ました。

 十年経ちました。結婚しました。

 めでたしめでたし。


 ――きっとそんな感じだろう。

 しかし悲しきかな。物語と違って、結ばれてそこでお終いというよりはそこからが始まりなのだ。

 だからまあ、そのまま終わっていたら起こらなかった事とか起きてくる。

 白雪姫とかシンデレラは、その後の嫁姑問題や介護問題をどうしたのであろうか。まあそんな話。


 なので、まあ……


「ごめん京太郎、ちょっとあたし今日の夜作れないから……」

「お、分かった。じゃあ適当になんか食べとく」


 そこはさ。

 そこは、食べておくだけなの?

 いや、それでも「夕飯作って」とか言い出す奴とかさ、そういうのに比べたらいいけど。

 いいけどさ。

 いいけど。

 ……でもさ。

 昔、テレビで料理番組とかやって、色んな人に手料理を振る舞ってたのに。

 他人には振る舞ってたのに。

 なんで家庭に入ったら、そういう事やってくれないのか――なんて。

 他人にはやってたのに……なんて、思わなくもない。ちょっと悔しい。


「憧、憧ー」

「……なに?」

「さっぱりとあっさりどっちがいい?」

「……ブッ飛ばすわよ」

「なんでだよ!?」


 どっちも同じ意味じゃないか。

 というか、作ってくれるなら勿体ぶらずにさっさと言ってほしい。マイナス五点。

 ……作ってくれるし、ちゃんと希望を聞いてくれた。プラス五点。



「あ、京太郎……袖のところ解れてるわよ?」

「お、本当だ」

「だから――」

「――“我が袖を見よ”」

「へ?」

「“光弾・八身・九条・天経・疾宝・大輪・灰色の砲塔”」

「……」

「“弓引く彼方”」

「……」

「“皎皎として消ゆ”」

「……」

「――――執事道の九十一 『裁縫素敵滅法』」

「……、……ブッ飛ばされたいの?」

「もう殴ってるよな!?」


 真面目な事を言ったのにアホな事で返した。マイナス十五点。

 折角だったのに奥さんらしく解れを直させてくれなかった。マイナス五十点。



「京ちゃん先生ー、奢って奢ってー」

「薄給だから無理だって」

「えー、ほらー、現役女子高生とご飯だよ。ご飯?」

「はぁ?」

「しかも中高一貫のお嬢様学校、若さ溢れる女の子たちですよ」

「……」

「スタイルもねー、そこの子なんてもう九十の大台に……」

「……う」


 ……迷うな。マイナス二千五百点。

 ……。

 いや、マイナス五十三万点。


「俺には愛する奥さんがいるから無理です」


 ……プラス百万点。一千万点。


「聞いた?」

「『愛する憧ちゃん先生と夜の予定があるから駄目です』だって!」

「言ってねーよ!?」

「『憧ちゃん先生可愛過ぎて他の女とか目に入らないから無理』とか、はー、熱いですねー」

「だから言ってないよな!?」

「夏だねー」

「発情期だねー」

「……こいつら」


 マイナス五十万点。そこは肯定するところじゃないのか。肯定しろ。

 でも……まぁ……。

 うん、予定を作ってくれるならプラス二億点で許す。



「憧ー、洗剤どこか判る?」

「あれ、そこにない?」

「あー、悪い。切れてる」

「じゃあ、洗面台の下は? この間、安いからまとめて買ったよね?」

「そっちも。……つーかそっちも切れてる」

「じゃあ、買いに行かなきゃ」


 無駄に運動するから洗濯物が頻繁。洗剤が良く切れる。マイナス二十点。


「あのさ、じゃあ一緒に買い物に……」

「いや、丁度いいから走りがてら買ってくる。何か他に要るものあったか?」

「……。……醤油」

「よし、じゃあ買ってくるな!」

「……」


 ……マイナス千点。ばか。ばか京太郎。


「よっ、と……ただいまー」

「……おかえり」

「あ、憧。このアイス好きだったよな? ついでに買ってきた」


 ……プラス千二十五点。


「安かったから結構一杯買ってきたんだ」


 余計な台詞。マイナス五点。

 爽やかな笑顔。プラス一点。


「……ごめん、ご飯無理そう。遊びに行く、って話だったのに」

「気にするなよ、最近忙しかったから仕方ないって」

「……ごめん」


 二人でお出かけの予定だったのに風邪を引いた。自分自身にマイナス二百点。


「それにしても……」

「……なに?」

「憧でも風邪、引くんだな」


 なにそれ。

 ムカつく。マイナス二千点。

 熱で辛いからマイナス二千万点。


「なんつーか、いっつもしっかりしてたから思えば意外だよな」

「……」

「でもなんか懐かしいな、大学のときみたいで」

「……そう?」


 ちょっと嬉しそう。プラス五万点。

 病人がいるのに生き生きしてる。なんか張り切ってる。マイナス三十五万点。


「まぁ、今日はゆっくりしてろよ。憧、最近頑張りすぎてたもんな」

「……ごめん」

「まぁ、俺が居るから大船に乗った気分で寝てなさい。うんうん」


 ……プラス五十万点。


「……でも風邪引くって、走る以外でどうやって治すんだ?」


 ぼそっとなんか言いやがった。

 かなり不安。マイナス百万点。

 病気で不安なのにそれを煽った。更にマイナス二百万点。


 ……それから、目が覚める。

 頭を起こして時計を見れば、昼過ぎぐらい。

 隣にはタオルに入った――ではなく洗面器に入ったタオルと、スポーツドリンク。あと着替え。

 置かれた土鍋はお盆の上に鎮座したまま。


(……京太郎?)


 しかし、当の彼はおらず……。

 熱との不安も相俟って、のろのろと布団を剥がして起き上がる。

 まだ熱があるのかふら付いた。壁に手を当てて、支えにする。汗で湿ったパジャマが気持ち悪い。

 息に、熱と湿り気が籠っている気がする。


(どこ行ったのよ、京太郎)


 ぐわぐわと歪んだ視界の中、寝室を見回した。

 洗濯ヒモのようなものが掛けられており、その中ほどにはいくつも湿ったタオルが垂れさがり蒸気を発する。

 これが熱いのだろうか。

 避けながら進むのに、難儀する。


(……トイレ、かな?)


 窓の外では、他人事みたいに自動車の音が近付いて遠ざかっている。

 空は青い。絶好の天気、という奴なのだろう。

 だから、なんとなく不安になる。色々なものから、置き去りにされているみたいで。


「はい、それで――えーっと」


 扉の外。誰かとの話し声。

 どことなく、声のトーンが明るい。それでちょっと緊張感が解けている。

 誰だろうか。知人だろう。多分。

 誰と、話しているんだろうか。


『それで、熱冷ましとかは使わない方がいいよ?』

「そうなんですか?」

『インフルエンザなら、対処が変わるから……普通の風邪のときと逆になるんだ』

「へー」


 声の主は、松実玄――松実館の美人若女将。古式ゆかしい黒髪長髪。守ってあげたくなる系。独身。なにがとは言わないがG。

 結局、風邪への対処の仕方が分からないから救援を依頼した……という訳か。

 ……。

 学生のときに、看病をしたはずなのに。

 多分それから何年も経って、自分一人じゃ風邪なんて引かないから、忘れてるんだろう。

 仕事柄――。

 きっと泊まりに来た客が熱を出す事もあるから、そういう事に詳しそうな松実玄に助けを求めたんだろう。


「ありがとうございました、玄さん」

『い、いいよ! 私もほら、いつも京太郎くんに助けられてばっかりだから……』

「気にしないでくださいよ。この間の地上げ屋だかなんだかは、その後大丈夫ですか?」

『う、うん。ちゃんと引っ込んでくれたみたい』

「……すげーな立会人」


 ……。



『それで、良かったらなんだけどね?』

「なんですか?」

『いっつもお世話になってるから……ご飯、作りに行っちゃ駄目かな?』

「へ」

『あ、そのね? 京太郎くんも憧ちゃんと一緒ならお仕事忙しいかなーって』

「ああ……そうなんですよね。なる前だと、教師がこうも忙しいとか思わなかったです」

『えへへ、うん。だから……憧ちゃんの看病を一人でやってたら京太郎くんも疲れちゃわないかなって』

「あー」

『だから、料理ならこの松実玄におまかせあれ! って』


 ……きっと本当に、他意はないんだろう。

 松実玄は――本当に憧と京太郎の事を心配しているし、人の夫にちょっかいをかけるなんて人間じゃない。

 というかそんな事を考えるのは、元阿知賀麻雀部にはいないだろう。

 それぐらい皆純粋で、皆純真だ。

 そんなのは判っている。

 ただの善意だから――それ以外に意味なんてないから――。

 だから京太郎も、ただ憧が早く治るためにはと松実玄に連絡を取り、玄もまた京太郎と憧を気遣ってそう申し出た。

 それは判っている。そんな事は判っている。

 判っているけど――でも。

 でも……。


「確かに、玄さんとか病人向けの料理つくるの得意そうですよね」

『おねーちゃんがあんなだから、夏場でもあったかいもの欲しがるんだ』

「あー。……あー」

『だから、どう? 今ならお仕事もそんなに多くないから大丈夫だよ?』


 しばしの、沈黙。


「うーん、それ本当にありがたいですね」


 だけど――。


「でも、すみません。お気持ちだけで十分っす」

『そう?』

「いやー、正直社会人になってから風邪とか引いてないんでどうしたらいいかなってところはありますけど」

『ハハ……』

「でも憧、あれでちょっと人見知りするっていうか……普段なら大丈夫なんでしょうけど」

『ああ、風邪を引いてるから……』

「そうなんですよね。多分、そういう弱ってるときに人に近付かれるのあんまり好きじゃないかなって」

『うん、憧ちゃんそういうところあるかも』

「望さん相手になら凄く甘えるんでしょうけどねー。……ちょっと嫉妬するぐらい」

『……そこ、嫉妬しちゃうんだ。憧ちゃんのお姉さんに』

「いやまあ……やっぱりその、一番に頼って貰わないと……なんていうか……その……」

『……』

「……」

『……』

「……やばい、恥ずかしい。オフレコでお願いします」


 本当に気恥ずかしそうに、頭を掻く音。

 普段、余裕ぶっている風な京太郎にしては意外なほど、ぽつりと漏らされた言葉だった。


「そんな訳で……ちょっと色々アドバイス貰っちゃうかもしれませんけど……」

『うん、まかせて! 憧ちゃんに甘えられるように頑張ってね!』

「はい。……ある意味一位を取るよりキツイかも」

『そこまで!?』

「それじゃあ、ありがとうございます」

『うん、またね?』


 本当に。

 本当に……几帳面で気が利くと思ったらどこかズレてるし(マイナス一万点)。

 無駄に調子がいいし、はしゃぎたがるし、お節介だし(マイナス二万点)。

 安請け合いするし、その所為で結構追い詰められても相手の前だといい格好したがるし(マイナス三万点)。 

 何かあったらすぐ人を助けようと走り出すし、周りの事をちゃんと考えてはいるんだけど自分が傷付く事には無頓着だし(マイナス五万点)。

 その癖変に強情なところがあって、あんまり他人に言いたがらないし、時々擦れ違って喧嘩も多くなってしまうけど(マイナス十万点)。

 でも――――。


「あ、起きた? 具合はどうだ、憧」

「……京太郎」

「ん、どうした?」

「……手、握ってて。あと、頭に置いて……よしよし、ってして」

「――」

「お願い」

「あ、ああ! よし、任せてくれよ!」

「……ばーか」


 ――――好き。プラス一京点。



                                                             ――了

という訳でこれで本当にラストです。ラストの筈です
結婚はしてないからその辺のリアリティは許してほしい。仕方ないんだ

多分結婚してからもツンデレしてる感じです。松実? 知らん


これまで一年九か月ほどお付き合い本当に感謝です


あとゾロ目コワイ。実際コンマ神コワイ


元々は「ライダー詰まってるしギャグやるか」とか「掲示板受けよかったな」ぐらいで
あんまりガチの闘牌とかなしでほのぼのとギャグしようと思ってましたが……オカルトスレイヤーが取られたので……
オカルトスレイヤー自体は「穏乃が人間のままでも大星殺せないか? 諏訪湖に沈めよ」って具合に生まれました
あとはウィザード。晴人の所為よ

掲示板ネタも進むにつれてなくなって、書きたい闘牌やってる事が増えたのは本当に申し訳なく思います

あと、まさかのテラフォとシンクロして「金髪残念イケメン」「人類限界」「ジョジョからみ」ってなった時点で
「オチとしては因縁を解決して第1位になって終了。多分大星か咲エンド」ぐらいの気持ちでは居たんですが
忙しさからかその辺の闘牌をプロットごと投げ捨てる事になって、それも本当に申し訳ないです


ジョジョよろしく「精神の限界バトル」「人間の素晴らしさ」ばっかが書きたくなり、
あとは咲関係で「オカルト=生来の証明不可能なズル」みたいなのを良く目にする度に想ってた

「いやいや、あいつらそれは生まれ持った躰の一部みたいなもんだろ」

「それが原因で不幸を背負ったりもしてるんだぞ」

「人間極めて文句いうならともかく、そうじゃないのに言うのってダサくないか?」

「本当に人間じゃ勝てないのか? 人間の思考や技術ってその程度なのか?」

「敵対するよりも、人間のまま『人間捨てたもんじゃねーぞ安心しろ』って手を伸ばす方が格好よくないか?」

みたいな感じのものを好き勝手突っ込ませて貰わせていただいて、予想以上に書きたい事が書けて良かったです
ただまぁ、掲示板ネタとかギャグ期待の人には悪かったなと思います


これまで長らくお付き合い本当にありがとうございました

次、咲で書くとしたらシノハユか新道寺か白糸台かの単発ギャグか
……まぁ、仕事が落ち着いたあらライダー(555)で。その時はお願いします

書いてる艦これは熱血王道ですが、何の因果か嫁艦三度も殺す話を書かされてるのでコンマ神絶許



……あ、一応今書いてる奴です

ムエタイも麻雀も出ないけど


【艦これSS】提督「今日も今日とて海賊稼業」【安価】
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(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1429876331/)

【艦これSS】提督「今日も今日とて海賊稼業」02【安価】
【艦これSS】提督「今日も今日とて海賊稼業」02【安価】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1430670609/)

次に行ったんだ。すまない
オカルトスレイヤーと一緒で熱血王道少年漫画ギャルゲーです

一応聞きます


1:京太郎「リアルボンバーマン?」
   BTOOMみたいな。ムエタイは出ない。死んだり入水事案あったり。安価

2:京太郎「エクストリームハンドボール麻雀」
  ギャグ。麻雀が弱いなら物理的に敵を倒せばいいじゃない

3:咲「オカルトスレイヤー?」
  ガチ麻雀

4:菫「魔法少女になった」
  バトロワ系魔法少女。人が死んだり人が死んだり

5:憧「オカルトスレイヤー(物理)?」
  説明不要
  

例によって知恵と勇気とムエタイで道を切り開く話になりそうですね

ガチ麻雀か物理でオカルト解決かのどっちかで行きます。咲ちゃんは死にます



実況「圧倒的強さ!かつて見たこともないパワー!!」

実況「まさに圧殺!!」


GHI「「「」」」 シュウウウゥ……

京太郎「」 ニヤ


実況「強い!本当に強い!!」

実況「地獄から舞い戻った須賀京太郎、ここに復活!!」

実況「ヘルカイザー京、この強さは本物だーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」



                    /\-――‐- 、
              , --=7   丶      `ヽ
         /,             ヽ  ヽ
        ∠/       /      、 、  丶  i
        /       i     ! l.  l i.  i |
       /  ,/  ! !  l||   ! |、 ll !  |  ヽ、
      /_ -7 , | l ト、| |ヽ!  N , 斗 r  ,'_  ト--`
     ̄  //!  !. N===ミ|,/ ィ===ミ! N,ハ !|
        _ / ,i丶 {弋zソ;;;l/;;;; Vzソ ノl/ ' ノ リ___
        ヽ// l i `i::´:::::::::::::::::::::::::::`:::::_/,、/──ェ /
        ´ ヽ {ハ!ヽ{    ′     /!}/ ′  //
.            ≫丶  ー===‐'  ./ |' /  //|
     _ 、、-==彳   \    /-‐´|/ /.∠_\        _,.-//~|
    //\ `` 、、      i ー ':::::::::::::::/ //    ````ヽ、..,.‐"_,.//
   //  卜ヽ、_`≫ /::┥:::::::::::::::::´/∠--・==¬     //~     `.
  / |   、``===/__:::::::::::::´ ̄_-∠      //    //
  || |    ||    /:::::::::`::/::::::::::::::|      //     | |       `.
  | | |     ||   /:::::::::::::::f:::::::::::::::::|      //      | |         |
  | | |    ||    |::::::::::::::::{::::::::::::::::|     //       | |         |
 | | |      ||   |::::::::::::::::|::::::::::::::/    //       //         │

健夜「一応聞いておくけど、これの用途は………」

京太郎「麻雀中に発生するダメージを増幅します」

京太郎「肉体が受けるダメージ自体は、1.5倍程度ですが………」

京太郎「実際に感じる痛みとしては、本来の数十倍といったところでしょうか」

健夜「そう………」

理沙(何で持ち出してるのかは聞かないでおこう。うまく喋れないし)

靖子「さ、続けてくれ」

京太郎「はい」

終わりのセラフは漫画なら持ってる

うしとらよかったです。動いていてよかった。嬉しい


さて、埋めを兼ねて嘘予告


 ――彼はもう、表舞台を去った。


 一瞬の輝きと共に消えて行った、人類の到達点。

 異能を持たぬから、特性を持たぬからこそ気高く『飢え』た。

 手に入れられるあらゆる技術を使用し、思いつくすべての策を実行し、振り絞れるだけすべての力を活用した。

 ……そう。

 ただ一度、一時だけ為り得た『一位』。

 それ故に記憶から薄れて、その存在は失われていく。

 彼と関わった人間以外からは少しずつ……彼の存在は忘れさられていく。

 ――オカルトスレイヤーは死んだ。

 だが……



引用元:【成り替わる】 都市伝説総合スレpart.114514 【人間大ゴキブリ!?】

555 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
『オカルト狩り』って知ってる?



 ――残るものが、あるとしたら?


「淡」

「……照、どしたの?」

「暫く、普通の雀荘には近付かない方がいい」

「なんで?」

「……」


 彼は最初、ある一つの目標を持っていた。

 それは己自身の力が及ばぬと知ったからかの諦観か、それとも純粋なる祈りだったのか。

 ある目標を以って、プロになっていた。

 ――――否。

 正確に言うのなら、あるときから彼は己の目標がそうだと思い込みたがっていた。


「……『オカルト狩り』がいる」

「!? そ、それって――」

「……京ちゃんじゃない」


 そんな彼の。

 彼のかつての目標が遺した、武器。


「――京ちゃんは、あんな事をしない」


 彼自身は……強者足りうる運も、魔物足りうる異能も持ち合わせていなかった。

 そして――それでも彼は、魔物を魔物のまま留め置きたくはなかった。


「泉、オカルト狩りって」

「自分じゃないですよ」

「……」

「せめてなんかツッコミ入れて下さいよ!?」


 君たちは少し麻雀に向いている才能があるだけの、人間なのだと。

 謂れのない差別や、情けのない区別を受けなくて良いのだと。

 魔物なんてものは存在しない。同じ人間なのだと。

 そう――証明したかった。

 だが、それと渡り合えるほどの異能も、特性も、豪運もないなら――


「……オカルトスレイヤーの、負の遺産か」

「え」

「本人に、そんな気はなかったんやろうけどなァ……」


 ――ただ一つの武器を。

 人間を人間足らしめる、専用の武器を用意すればいいと考えた。


 そう。

 それは、専用武器だが――彼の持つ力を底上げする為の武器。

 人間が持つ力を、底上げする。


「……萩原さん、聞いた?」

「オカルト狩り、ですか?」

「……」


 彼はその武器を用いて。

 いつか、自分とは異なり豪運を持つ人間が――。

 いつか、自分とは異なり才能のある人間が――。

 いつか、自分とは異なり特性を持つ人間が――。


「知らせる必要があるのかないのかはともかくとして、さ」

「……」

「……ボクは、許せないかな」


 魔物を倒してくれればと――。

 対等に並んで、手を取ってくれれば――と。


「京太郎くんの戦法を、あんな風に利用するなんて」


 ――彼は、『技術』と『理論』を残した。


「……弘世」

「……止めるなよ。私は機嫌が悪いんだ」


 そう。

 豪運を持たずとも、異能を持たずとも、特性を持たずとも――。

 魔物や異能者と立ち回れる為の『専用武器』。


「止めるに決まってるだろう」

「……」

「もし万が一――私たちが負けたら?」

「そんな事……!」

「言いきれるか? ……常人程度の運の持ち主が、13位になったんだ」

「……」

「それ以上に強力な素質の持ち主が、完璧に使いこなしたら?」


 そんな『専用武器』を――。

 果たして、彼以上の才能を持ち。

 彼の持たぬ悪意と共に振り回すものが、いるとすれば?


「……まぁ」

「ああ」

「向こうから来るなら、話は別――だけどな」


 非公式に行われるオカルト狩り。

 プロ――M.A.R.S.ランキングに連なる者も狩られて、晒し者にされていく。

 『技術』に理論はあれど、『技術』に理想はない。

 使い手の理念を離れて振るわれる『専用武器』。

 そこに、元となった男の思想は遺されていない。

 ただ、手を伸ばし――手を取りたかったはずのものたちを殺すだけの武器。


「……ふざけた事、してくれるわね」


 彼は表舞台を去った。

 彼は平穏を手に入れたし、平凡ながらも幸福な人生を歩み出した。

 ――しかし。

 彼がかつて残した武器は、遺した道具は消えてはなくならない。

 今日もどこかで、その男の想いとは裏腹に――涙を生むだろう。

 ならば、


「ここは私が何とかする。相棒だった、この私が!」


 そんな存在を――呪いを、殺すしかない。


「――見せてやろうじゃないか! 王者の打ち筋を!」

という訳で以上
13位の専用武器をゴキちゃんが使ってるのを見たら多少はね

咲ちゃんは死にます。淡は沈みます

あと1スレやれなくもないけどいつまでも引っ張るのもあれだし、別にSS書いてたり縄術とかドイツ甲冑剣術とか忙しいのでちょっと……

酉で検索して貰えば、別のも見付かるんでこのまま落として下さい

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