神崎蘭子「白馬に乗ったお姫様」 (74)



 「ふわぁあ……」


すごい。すごい。
すっごいです!


 「おーい、蘭子ちゃーん。置いていかないでくれよー」

 「あ……ご、ごめんなさいっ」

 「蘭子。そのブーツで走ると危ない、です」

気付いたら、プロデューサーとアーニャちゃんを置いてっちゃってました。

 「はは、まぁ気持ちは分かるけどねぇ。こんな所来たらはしゃいじゃうよなぁ」

 「此れは逸り等ではない! 我が身が高揚に耐えかねただけよ!」
 (は、はしゃいでないです! ちょっとウキウキしてるだけで)

 「蘭子。それ、一緒です」

プロデューサーが手で顔を扇ぎながら笑います。
……はしゃいでないもん。

 「アーニャちゃんはどうだい? やっぱりワクワクしてるかな」

 「ダー。私もドキドキ、してます」

 「いやーやっぱりアーニャちゃんは落ち着いてるなぁ。お姉さんだなぁ。なー蘭子ちゃん?」

 「むー-!!」

 「はっはっは」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1430319387


プロデューサーはいっつも私の事を子供扱いします。
私だってもう高校生なのに。もうっ。

 「さて、挨拶に遅れちゃマズいからね。行こうか」

 「うむ」
 (はーい)

 「後でゆっくり、見られますから」

アーニャちゃんの言う通り、後でじっくり見させてもらおうっと。
でもやっぱり、ちらちらと目を向けちゃいます。

 「……すごいなー」

満開の桜の樹の下を。


お馬さんと騎手さん達が、かっぽかっぽとお散歩していました。


黒衣の騎士こと神崎蘭子ちゃんと、白雪の姫君ことアナスタシアちゃんのSSです


前作とか

高垣楓「一線を越えて」 ( 高垣楓「一線を越えて」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1428818898/) )
こっちはあんま関係無い

岡崎泰葉「あなたの為の雛祭り」 ( 岡崎泰葉「あなたの為の雛祭り」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1425633517/) )
こっちのちょっと後


蘭子は猫を飼っています
アニャ蘭ください

グリフォンだっけ、蘭子ちゃんが拾ってきたの?

 ― = ― ≡ ― = ―


 「騎士の輩!?」
 (お馬さん!?)

 「ローシュドゥ……馬、ですか」


蘭子が勢い良く椅子から立ち上がると、膝の上でお昼寝をしていたグリフォンが転がり落ちました。
眠そうに顔を拭うと私の膝へ飛び乗って来て、すぐに目を閉じます。

 「乗れるの!?」

 「その話をしようって事だよ。さぁ、座ろうか」

 「うむ!」
 (うんっ!)

椅子に座り直した蘭子の膝に、グリフォンをそっと乗せました。
蘭子が背を撫でると、グリフォンが満足げに喉を鳴らします。

 「さて雛祭りも終わって、来月から新年度が始まる訳だけど」

 「新たなる舞台の幕開けよ」
 (私も高校生です!)

 「蘭子ちゃんももう女子高生かー…………そうかぁ……」

 「怯えが仮面を透けて視えるぞ」
 (プロデューサー、何でちょっと不安そうなの?)

 「これが資料なんだけど」

蘭子の言葉を流して、プロデューサーから資料を手渡されます。
十数ページの紙束の表紙。
その一番上には強調された一文が書かれていました。

>>4
Yes、よくご存じで

一応貼っておきますね
アナスタシア「可憐なる魔獣」 ( アナスタシア「可憐なる魔獣」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1416053247/) )


 「……『迎えに行こう、』」

 「『王子様を。』……ですか?」

 「ああ。テレビ番組とかも含めた結構な大型企画なんだけど、ずばりテーマは」

プロデューサーが、指を立ててニヤリと笑います。


 「『次世代のシンデレラ』だからね……ああ、今回はニュージェネは関係無いよ」


シンデレラ。
蘭子がなって、私がまだなれていない目標。


 「今回の企画では馬に焦点を当ててるんだ。浜川さんは知ってるかな」

 「乗馬が上手……でした、ね?」

 「彼女を中心に何人かがイギリスまでロケに行く予定でね」

 「騎士共の聖地か」
 (乗馬の本場ですよね)

 「で、こっちの撮影は歴代シンデレラガールの誰かがやろうって話だったんだ」

 「それで、蘭子を?」

 「渋谷さんは多忙なんで辞退。十時さんの担当と俺が手を挙げたんだけど」

ちらりと私を見て、すぐに視線を戻して。
プロデューサーがぺらぺらと資料を捲ります。

 「何とか勝ち取って来たよ」

 「下僕よ、褒めて使わすぞ」
 (すごいです!)

 「絶対逃したくない企画だったからね。いやぁ彼も手強かった」


 「それで、何をするんでしょう」

 「このページに載ってるけど、日馬協と合同の企画なんだ」

 「にちばきょー?」

 「ロシア語、じゃないですね」

 「日本馬術協会。公式大会とかも開いてる組織だよ」

プロデューサーがタブレットでウェブサイトを表示します。
トップページには、コースを駆ける馬の写真が載っていました。

 「本当はね」

 「む?」

 「馬術の盛んな北海道でロケしたかったんだけど、予算の都合で都内になったんだ。ごめんなアーニャちゃん」

 「アー、その気持ちだけでとても嬉しい、です。バリショエスパシーバ、プロデューサー」

 「今度の里帰りには親御さんに手綱捌きを見せてあげてな」

両親の前で馬に乗る私を想像します。
駆けて、回って、跳ねて。
……ワクワク、してきました。

 「日本組の内容は三つ。一つは馬術の公式競技出場、およびそれを取材した番組撮影」

 「匣中の戯れを?」
 (テレビ番組?)

 「うん。土曜昼の番組で五週、特集の枠を取ってもらったんだ」

 「すごいです、プロデューサー」

 「まぁスポンサーが……っと、つまらない話はやめとこうか。もう一つはポスターなんだ」


 「写し身か」
 (ポスター撮影ですか)

 「馬と一緒の写真でね。乗馬の普及目的で駅とかに貼るらしい」

 「定められし儀式か?」
 (ポーズの指定とかあるんですかっ?)

 「ポーズ? いや特には。現場の指示で…………あー」

蘭子の輝く瞳を見て、プロデューサーが察したように頬を掻きます。
しばらく腕を組んで悩むと、ふっと息を吐きました。

 「……うん、いいよ。スタッフさんには言っとくから、『汝が魂の赴くまま』にやってみてくれ」

 「やったぁ!」

グリフォンを抱えたまま、蘭子が笑顔でぴょこぴょこジャンプします。
胸に抱えられたまま、だいぶ迷惑そうな顔をしていました。

 「最後の一つは、何ですか?」

 「あぁ、それは」

そう訊ねると、プロデューサーは私をじっと見つめました。
その視線に首を傾げると、ふっと笑みを零して。

 「アーニャちゃんが今回参加する理由もだけど……まだ秘密にしておこうか」

 「禁呪の理は解き明かされん」
 (えー! 秘密、教えてくれないの?)

 「秘密、ヒミツ。まずは撮影からね」


 「まぁ良い。何れ刻も来たらん」
 (むー、気になるねー)

 「ニャ」

やっぱりグリフォンを抱えたまま、蘭子がソファの上をころころと転がります。
そしてふと気付いたように起き上がりました。

 「アーニャちゃん、お馬さんに乗った事あるの?」

 「ニェート。お祭りで見た事はありますが、乗った事はまだ無いです」

 「ふむ……魔獣よ、どうだ?」
 (グリフォンは?)

 「ナー」

 「無いって」

 「じゃあ、一緒に練習、しましょう」

 「なぁ、二人とも」

 「何ですか?」

 「…………猫って、馬に乗れるのか?」


グリフォンがあくびをして、私の膝でまた眠り始めました。

 ― = ― ≡ ― = ―

 「初めまして、CGプロから参りました。暫くの間、宜しくお願い致します」

 「はい、こちらこそよろしくお願いね。可愛らしいお嬢さん方と……こちらはお坊ちゃんかしら」

プロデューサーが名刺を差し出したのは、優しそうなお婆ちゃんでした!
ニコニコの笑顔でしゃがみ込んで、グリフォンの顎を撫でています。

 「この方がお世話になる先生だよ。さ、二人とも自己紹介を」

 「ククク……我が名は神崎蘭」

 「……蘭子ちゃん。最初だけは?」

 「……はっ! あの、えっと……神崎蘭子、です……よ、よろしくおねがいします」

 「ミーニャ ザヴ……アナスタシア、です。こっちはグリフォン、です」

 「まぁまぁ皆さん可愛らしい事。でも、ウチの仔達も負けませんからね」

お婆ちゃんが立ち上がって歩き出しました。
乗馬用の服が似合っていて、背筋がぴんと伸びていて……か、カッコイイ!

 「びっくりしたでしょう、こんなおばあちゃんで」

 「古強者の背に見る物もあろう」
 (そんな事無いです!)

 「古強者……? よく分からないけど、褒められちゃったわ」

 「すみません、神崎はこういう喋り方でして……」

 「アナスタシアさんも、生まれは海外?」

 「ダー。アーニャでだいじょぶ、です。ロシアで生まれました」

 「両手に華で羨ましいですねぇ、色男さん」

 「よしてください。私は只のPですよ」


 「ぴぃ……?」

 「あー、界隈の用語と言いますか」

首を傾げるお婆ちゃんに、プロデューサーが笑って頬を掻きます。
業界用語っていうやつだよね!

 「プロデューサーの事です。ディレクターをDと呼んだりもしますね」

 「なるほど」

お婆ちゃんが手を打って、それから思い付いたように言いました。

 「なら私はJですね」

 「はっ?」

 「ジョッキー。騎手を……日本だと競馬の乗り手を指す事が多いですが、そう略すんですよ」

 「アー、Jさん、ですね」

 「あら、これで私もぎょうかいじんかしら?」

Jさんがふふっと笑います。
略称かー、カッコイイなー。
私はアイドルだから……I? うーん、カッコイイ、かなぁ……?

 「さ、着きましたよ」

 「……わぁっ」

 「まずは着替えて……ふふっ、これは聞こえていなさそうねぇ」


馬。ウマ。うま。


黒いお馬さんや茶色のお馬さんが、草を食べたり寝転んだりしてます!
すごい! こんなにたくさんのお馬さん、初めて見ちゃった! すごい!


 「蘭子。着替え、行きましょう」

 「うん」

 「……蘭子?」

 「うん……もうちょっと……」

 「Pさん。先に確認だけ、しといちゃいましょうか」

 「……すみません。お手数、お掛けします」


……あれ。着替えたら、実際に乗れるんだよね?


そう気が付いて慌てて着替えに向かったのは、しばらく経ってからでした。

 ― = ― ≡ ― = ―

 「纏いしは聖なる衣ぞ!」
 (プロデューサー! 似合ってる!?)

 「うん、バッチリだ。でも」

 「む?」

 「申し訳無いが、アーニャちゃんがハマり過ぎててなぁ……」

 「……た、確かに」

 「そうですか?」

キュロットにブラウス、乗馬ブーツとヘルメット帽。手袋をして、鞭を持ちます。
やっぱり、普段着れない服を着れるのは嬉しいですね。

 「まぁまぁ。ひょっとして貴族の出かしら?」

 「ニェート。パパとママはとっても普通の人です」

 「では、撮りまーす」

 「あ、ごめんなさいね。ちょっとお待ちを」

カメラマンさんが写真を撮ろうとして、Jさんが声を掛けました。
どうしたんでしょう。Jさんも写りたいんでしょうか。
そう考えているとJさんが蘭子の目の前までやって来て、ヘルメットを脱がしました。

 「素敵な髪型ですね」

 「髪は魔力の源なれば」
 (ありがとうございます!)

 「もっと素敵な髪型があるんだけど、試してみません?」

 「……! うんっ!」

いつもの蘭子の髪型を解いて、Jさんが丁寧に髪を纏め直します。
二人とも銀髪で、同じ乗馬服を着て。
まるで、お婆ちゃんとお孫さんみたいでした。


 「はい、出来ました」

 「これは……」

蘭子が手鏡の中の自分を見つめます。
結われた髪をおっかなびっくり触って、後ろに居たJさんを見上げました。

 「ポニーテール?」

 「そう、馬とお揃いですよ。乗るのはポニーではありませんけどね」

 「おお!」

帽子を被り直して、飛び出た尻尾を蘭子が嬉しそうに触ります。
目の前でぴょこぴょこ揺れるのに我慢出来なかったんでしょうか。
グリフォンが蘭子の新しい尻尾をぱしぱしとはたいています。

 「魔獣よ! 反逆の牙を向けるか!」
 (ぐ、グリフォン! やめてー!)

 「しっぽ仲間が増えて嬉しそうですねぇ」

 「私の髪ももうちょっと、ダルガ……長ければ良かったです」

 「伸ばしてみるのも良いかもしれないね……で、そろそろいいかな?」

 「ああ、邪魔してごめんなさいね。さぁ二人とも、撮ってもらいましょう」

 「ダー」

 「ククク……刻は満ちた!」
 (準備おっけーですっ!)


そして写真を撮ってもらっていると、後ろから聞き覚えの音が聞こえてきました。
蘭子と一緒になって振り向くと。


 「きれい……」


Jさんが、真っ白な馬に乗ってやって来ました。


 「どう? ウチの仔も負けていないでしょう」

 「観賞用の馬……ではないんですよね」

プロデューサーが驚きながら訊ねます。

 「ええ。きちんと障害飛越の訓練を受けていますよ」

 「ショーガイ……?」

 「まだ聞いてなかったかしら。お二人にやってもらうのは障害飛越。要はハードル走ですね」

 「馬に乗って、棒を飛び越す……ですか?」

 「そうそう。呼吸を合わせるのが大事よ」

Jさんが白馬の横顔を撫でます。
気持ち良さそうに、その手へ顔を擦り付けていました。

 「名前は白雪。5歳と半年の女の仔です」

 「白雪……なれば、灰被りも?」
 (白雪姫が居るなら、シンデレラもいるの!?)

 「灰被り…………は残念ながら居ませんねぇ」

 「そっかぁ……」

 「Jさん、説明をお願いします」

Jさんが白馬の背から降りました。
軽やかな身のこなしで、ぜんぜん年齢を感じさせません。

 「一月後に障害飛越の公式大会に、お二人には団体のメンバーとして参加してもらいます」

 「荘厳なる式典か。我が身で足るのか?」
 (公式大会!? だ、だいじょぶかなぁ……)


 「それほど堅い競技会ではないので心配ありませんよ」

 「ナチナユシー……初心者でも大丈夫でしょうか」

 「ちゃんと練習すれば、一月後に130cmは跳べるように教えますからね」

 「しばらくはライブとかの仕事も入れてないから、学校帰りに練習出来るよ」

130cm……蘭子の背よりちょっと低いぐらいです。
私も蘭子も馬に乗った経験は一度もありません。
跳べるように、なれるでしょうか。

 「あ、あのっ!」

 「はい、どうしました?」

 「……乗ってみても、いい?」

 「ああ、そうですねぇ。まずは話すよりも実際に乗ってみましょうか」

 「やった!」

Jさんに見守られて、蘭子が馬へ駆け寄ります。
支えられながら、白雪に恐る恐る触れました。

 「ここは鐙って言ってね」

 「ふむ」

蘭子が馬具に脚を掛けて、背中へと上がって、そのまま向こう側へ滑り落ちました。


べしゃっ。


 「あうっ」


蘭子が地面に俯せになったまま、誰も、グリフォンさえも口を開きませんでした。
起き上がった蘭子が、不思議そうな顔で白雪を見上げます。

 「……む?」

 「Pさん」

 「はい」

 「蘭子ちゃん、運動神経の方は」

 「……ダンスは、どちらかと言えば不得手な分野ですね」

 「一月あります。全力を尽くしましょう」

 「ひゃあっ! か、顔は舐めないでー!」

蘭子が白雪に顔を舐められて、小さく悲鳴を上げていました。

 ― = ― ≡ ― = ―

 「ふへー……」

つ、疲れました。
何とか落ちずに白雪へ乗る事が出来るようになったけど……。
アーニャちゃんはもう、ゆっくりだけど走る練習を始めてます。
私も早く追い付かないと!

 「ふにゃー……」

でも今はちょっと休憩中。
柵に身体ごともたれ掛かって、地面に出来たアリさんの行列を観察中です。
細長い列を眺めていると、視界の端に黒い棒が突き立てられました。
太い棒は四本あって、よく見ると棒ではなくて。


――ぶるる。


 「……?」

顔を上げて、足りなくて。
見上げても、まだ足りなくて。
もっと見上げると、ようやく頭が見えました。

 「ニャッ」

 「お……おお…………!?」

とってもとっても大きな、黒い馬。
その頭の上から、グリフォンが顔を出しました。


…………グリフォン、乗ってるの!?

らんらん…


 「フハハ! 流石は我が血族」
 (グリフォン、すごーい!)

 「ミー?」

おっきくて、強そうで……すっごくカッコイイお馬さん!
グリフォンが乗れるなら、私も乗せてくれるかな?

 「ブーケ。蘭子ちゃんの髪を噛んではいけませんよ」

 「無垢なる花束?」
 (ブーケ?)

Jさんがそばにやって来て、私の頭に手を置きました。
……お、美味しくないよ。藁の方が美味しいよ!

 「体躯にそぐわぬ可憐な名よ」
 (かわいい名前ですね)

 「そう? アレキサンダーの愛馬から取ったのですけど。ブーケファラスと言う馬でして」

むしろカッコいい名前でした!

 「先達よ」
 (Jさん)

 「何かしら?」

 「あの、えっと…………私、ブーケと大会に出てみたい、です……」

 「うーん……確かにこのコとなら160cmだって跳べるでしょうけれど――」

 ― = ― ≡ ― = ―

 「あの二人、どこまで休憩に行ったんだろうなぁ」

 「だいじょぶ、です。この仔の背中からなら、遠くまで良く見えます」

なかなか戻って来ない蘭子たちを探しに、練習を兼ねて白雪へ乗って散歩します。
いつもより身長が高くなったみたいで、バランスを意識しないと転んでしまいそうです。

 「あっ」

 「お、居たかい……って何だあのデッカい馬は。ばんえい用の馬かな」

 「でも、蘭子が乗ろうとしてますね」

二人の所へ歩いて行きます。

その間に蘭子が大きな馬によじ上って。
危なっかしく跨がって。
こちらに笑顔で手を振って。
後ろ脚を跳ね上げた馬に振り落とされました。


ぼてん。


 「――じゃじゃ馬なんですよ、このコ」


Jさんの困ったような顔に。
地面で仰向けになったまま、蘭子が涙目で頷きました。

 ― = ― ≡ ― = ―

 「…………」

 「つん」

 「ひぅっ!」

 「…………」

 「…………」

 「えい」

 「ひやぁっ!」

 「……♪」

 「楓。蘭子をいじめちゃ、めっ、です」

 「ごめんなさい。可愛くて、つい」

 「ダー。それは分かります」

 「姫君共! 戯れも足るを知れ!」
 (二人ともっ!)

今までで一番の、もうよく分かんないくらいすごい筋肉痛です。
昨日は何ともなかったのに、今日一日練習したら動けなくなっちゃいました。
事務所のソファの上でアザラシみたいに寝転んでいる私を、楓さんが容赦なくつっついてきます。
とっても楽しそうです。

……むー!

 「蒼の灰被りよ……亡国の危機に救いの剣を……」
 (り、凛ちゃーん……たすけてー……)

 「普段出歩かないからだよ。たまにはレッスン以外でも運動してみたら良いんじゃない?」

 「そんなぁ……」

みんなクールです。冷たいです!



 「――はっ? いえ、あの、どういう事でしょうか」


受話器を持ったまま、突然プロデューサーが驚いたような声を上げました。

 「いや、Jさんは分かるんですが。団体競技と言ったって、私は一般――」

話に夢中になっているプロデューサーに、楓さんが後ろからそっと近付きます。
電話機の本体を静かにこちらへ寄せると、スピーカーボタンを押しました。

 『――の人数が4名なので、Pさんを登録しておきましたよ。では確かにお伝えしましたので』

 「あ、ちょ」


ぶつん。


そこで通話が途切れて、プロデューサーが口を開けたまま固まってます。
えーと、つまり。


 「冥府の暗きも、共に歩まば恐るるに足らず!」
 (プロデューサー! いっしょにがんばろっ!)

 「……やられた」



次の日から一匹、事務所にアザラシ仲間が増えました。

 ― = ― ≡ ― = ―


がらん、がらん。


 「わぷっ」

ブーケの蹄が、またバーを引っ掛けてしまいました。
着地につんのめった蘭子の小さな鼻が、ブーケのたてがみにぶつかります。

 「休憩にしましょうか、蘭子ちゃん」

 「是非も無し……」
 (うん……)

ちょっとだけ元気の無い声を返して、蘭子がブーケから降ります。
もう落ちたりする事はありませんが、バーを飛び越えるのには苦戦していました。
蘭子がとても頑張っているのは、いつだって見ています。
でも、なかなか上手く行かないと、どうしても弱気になってしまって。

 「むむぅ」

 「蘭子……」

 「蘭子ちゃん。アーニャちゃんも」

声を掛けようとすると、Jさんが私の肩に手を置きました。
そして、お茶目なウィンクを一つ。

 「ちょっと、お話しましょうか」

 ― = ― ≡ ― = ―

 「おお……」

 「色んな馬が、居ますね?」

 「ええ、情報交換の為のような場所です。会議室に馬を連れ込むのは難しいですからね」

広場には、十何頭ものお馬さんと、同じくらいの騎手さん達が居ました!
白い馬や、茶色の馬。同い年くらいの女の子に、白髪混じりのおじさんも。

 「お二人はアイドルで、シンデレラ……と言うのを目指しているのですよね?」

 「如何にも」
 (はい!)

 「ダー。蘭子は、凄いです」

 「知ってるかしら。馬にもね、裸足のシンデレラ、って呼ばれてたコが居たんですよ」

……!
お馬さんなのに、シンデレラ!?

 「競走馬でしてね。蹄鉄を落としたまま走ったの」

 「……フフッ。ガラスじゃなくて鉄の靴、ですね?」

 「闘争の果ては?」
 (結果はどうなったんですか?)

 「はて、どうだったかしら……少なくとも、魔法が解けてポニーになったとは聞いていませんね」

Jさんの話に、アーニャちゃんと二人して大笑いします。
おっちょこちょいのシンデレラさんだなぁ。


 「それはもう、色々な馬が居るんですよ。私は馬には詳しいと思っていますが」

Jさんが、私達に優しく笑いかけます。

 「アイドルには疎くて。Pさんの方がよっぽど詳しいでしょう」

 「偶像の世界は万華鏡の如し」
 (アイドルにも、色んな人が居ます!)

 「乗馬も、たぶんアイドルも、他の何かであっても。とても大切な事があると、私は信じています」

 「ヴァーシュナ……大切、ですか?」

 「ええ。知ろうとする事、ですよ。素人考えかもしれませんが」

なんだろ、どこかで聞いたような……?

 「ウマが合わない、という言葉はご存じかしら」

 「アー……仲が良くない、ですか?」

 「ええ。私はこの言葉があまり好きではないんです」

 「何故にか」
 (どうして?)

 「だって、こんなに色んな馬が居るんですもの。みんなと仲良くなった方が、とっても素敵じゃありません?」

確かにそうかも。
ウチの事務所でもまだお話した事の無い人が居るけど、きっとみんな面白い人ばかりです!

 「そういう意味で、騎手は二種類の人にわかれます」

 「二種類?」

 「『乗せてもらう』人と、『乗りこなしてやる』人ですね」

 「乗りこなして……」

 「お二人はとっても優しい娘ですから、前者ですね。私は後者ですが」

 「む、真か?」
 (そうかなぁ?)


いつもニコニコして、丁寧に教えてくれて。
Jさんもとっても優しい人だと思います!
あ。怒るとすっごく怖い、とか……?

 「後者が乱暴者だと言う気もありませんが、私も昔はまぁ、色々あったのですよ」

 「昔の話……気になります」

 「ふふ、話すと長くなりますし、またの機会にしましょうか……ああ」

Jさんが照れたように笑います。
やっぱりとっても優しい表情です!

 「歳を取ると、話が長くなっていけませんね。要は何が言いたいかと言いますと」

 「ふむ」

 「白雪とは逆に、ブーケは『乗りこなしてやる』人を好むんですよ」

 「……ふむ?」

えっと、つまり。
色んなお馬さんが居て。乗る方には二種類の人間が居て。
と、言う事は。

 「自信を持て、ってこと……?」

 「その通り。蘭子ちゃんはとってもチャーミングなんですから」

Jさんが私の頭を撫でます。
何でみんな私の頭を撫でたがるんだろう?


 「シンデレラを乗せられるなんて光栄だろうと。そう思って、ウマを合わせてみてはどうでしょう」

 ― = ― ≡ ― = ―


 「――いいでしょう」

 「や、やったぁ!」


大会本番3日前。
私も蘭子もプロデューサーも、何とかコースを完走出来るようになりました。

 「良く頑張りましたね。本当にたったの一ヶ月で130cmを跳べるまでになるとは驚きました」

 「……これだけみっちり練習すればどうでも上達しますよ。プロデューサーは馬に乗らないってのに」

仕事が溜まってしまって。

プロデューサーが乾いた笑いを零します。
大丈夫です。ちひろは優しいから、きっと気遣ってくれます。

 「蘭子ちゃんも、よくブーケについて来られましたね」

 「フフフ……今では我が忠実なる僕よ」
 (とっても仲良くなりましたから!)

 「あら、そうなのブーケ?」

 「ブルル……」

 「ふわ、わぁっ! ゆ、揺らさないでぇ!」

テレビカメラに向けてポーズを決めた蘭子が、身体を揺らすブーケにしがみつきます。
多分、この部分はカットされません。可愛いですから。


 「ふうっ…………と、時に先達よ。そなたへの心配は無用か?」
 (と、ところで! Jさんの方は練習、大丈夫なんですか?)

 「アー。確かに、です」

一番最初、白雪に乗って1mくらいの柵を飛び越えて見せてくれたくらいです。
それからは馬に乗ってはいても、バーを飛び越える練習は見ていませんでした。

 「皆さんの足を引っ張らないくらいには練習していますので、心配はご無用ですよ」

 「その熟練の手腕、とくと見せてもらおうぞ!」
 (楽しみー! お手本にさせてもらいますね!)

 「俺も楽しみです。乗るのは白雪ですか?」

 「いえ、私はブーケに。その方が白雪の負担も減るでしょうから」

 「Jさん、ブーケに乗れる、ですか?」

 「ええ。もういい加減なこの歳でも続けられるのは、乗馬の良い所ですね」

日本では、女の人に歳を訊くのはダメ、と聞いています。
でも蘭子がこっそり聞いた所、あなたの5倍はいかないくらいですね、と答えたそうです。
元気いっぱいなブーケに乗って、大丈夫でしょうか?

 「それでは大会に備えてゆっくり休みましょうか」

 「あ、カメラさん待って……まだポーズが……ブーケ、止まってー!」

のんびり歩いて行くブーケの背中で、蘭子が慌てています。

 「……大会、大丈夫かなぁ」

 「だいじょぶ、です。蘭子は本番に強いですから」

 「ブーケ、お願いだからー!」


ゆっくりと遠ざかって行く蘭子とブーケの背中を、カメラさんがじっと写していました。

 ― = ― ≡ ― = ―

すごいです。
もう一生分のお馬さんを見たかなと思ってたけど、そんな事ありませんでした。
これだけ人やお馬さんが集まると、何だか大会と言うよりもお祭りみたいです!

 「さぁ、皆さん準備は大丈夫ですか?」

中障害飛越競技B。
出場するのは15チームで、私達のチームは12番目。
乗馬クラブや高校馬術部のみんなの競技を見ている内に、あっという間に私達の出番になっちゃいました。

 「アトリーシナ……だいじょぶ、です」

 「もうやるしかないでしょう。俺の所、ちゃんとカットされるんでしょうね……?」

 「宴の始まりよ!」
 (バッチリです!)

ブーケの横顔を撫でます。
これだけ沢山の人や仲間に囲まれても、ブーケはとっても落ち着いていました。


 『――続いて12番。団体名、チームシンデレラの皆さんです』


会場にアナウンスが響くと、ぎゅっと身体に力が入ります。
大丈夫。練習なら、動けなくなるぐらいいっぱいしたもん!

 「それでは白雪とアーニャちゃん、お願いしますね」

 「アーニャちゃんならリラックスすれば大丈夫だからなー」

 「頑張ってね、アーニャちゃんっ!」

 「ダー。いっぱい、がんばってきます」

アーニャちゃんがにっこり微笑んで、スタートの位置へ向かっていきます。
白雪が背を撫でられて、ぶるると鼻を鳴らしていました。


 『一人目はアナスタシアさんです』

またアナウンスが流れます。
アーニャちゃんを知ってる人から歓声が上がって、シャッターを切る音も聞こえてきました。
うーん。やっぱりアーニャちゃん、カッコいいなぁ……いいなぁ。

 「始め」

旗が挙がると、アーニャちゃんと白雪が滑らかに走り出します。
真剣な表情で……カッコいい…………白雪に跨がるアーニャちゃんは、本当に貴族の令嬢みたいでした。

 「ヤッ」

最初の障害を綺麗に飛び越えました。
プロデューサーもJさんも私も、ただ見とれて拍手を送ります。

 『現在競技中のアナスタシアさんは北海道の出身。乗馬競技は初めての――』

走っている間、アナウンスで紹介をしてくれるみたいです。
私もカッコよく紹介してもらえるかなぁ?

 「ドー」

 『記録は127秒、減点はゼロです』

そしてアーニャちゃんが無事走り終えました。
ベストタイムではなかったけど、バーに一度も引っ掛かってません!

 「お疲れアーニャちゃん。良く跳べてたよ!」

 「ええ。初めての大会とは思えませんでしたよ」

 「アーニャちゃん、すっごくカッコよかった!」

 「スパシーバ! 白雪のおかげ、ですね」

アーニャちゃんがとびっきりの笑顔を見せて、白雪の頬を優しく撫でます。
白雪も何となく嬉しそうに見えます!

 「次は、プロデューサーです」

 「うーん。アーニャちゃん達の顔に泥を塗らないように気を付けるよ」

プロデューサーが苦笑して、白雪に跨がりました。

 ― = ― ≡ ― = ―

 『記録、119秒。減点は6です』

 「あちゃあ……すみません、やっちまいました」

 「いえいえ。思い切りが良くて、見ていて楽しかったですよ」

プロデューサーが、照れたように笑いながら白雪を降ります。
白雪もお疲れ様、ですね。

 「ではJさん、お願いします」

 「はい。大会に出るのも久しぶりですねぇ」

 「先達よ! 我に導きの光を!」
 (Jさん、お手本をお願いしますね!)

 「まぁ。馬から落っこちないように気を付けないといけませんね」

Jさんがいつものようににこにこと笑いながら、ブーケとスタートの位置へ向かいます。


 『続きまして3人目は――』


アナウンスでJさんが呼ばれると、会場がざわつき始めました。
カメラを鞄から取り出したり、慌てて休憩中の仲間を呼びに行ったりする人も居ます。
何でしょう。何か手違いでもあった、でしょうか?

 「僕よ、これは一体何事か」
 (プロデューサー、何か起きたの?)

 「ん? いや、これから起きるんだよ」

 「アー、Jさん、有名な選手でしたか?」

 「あぁ、そっか。まだ話してなかったっけ」

プロデューサーが頬を掻いて、何か言いかけて口を閉じます。
Jさんの方へ向き直ると、私達もそちらを見るよう手で示しました。

 「まぁ、見てれば分かるよ」


ぴんと背筋を伸ばして、Jさんが一礼します。
旗が挙がると、ゆっくりとブーケが走り始めました。

 「……む?」

 「どうかしましたか、蘭子」

 「この凪のような静けさは……」
 (なんだか、足音が静かだね)

 「そう、ですね」


ととっ、ととっ。


蘭子の跨がるブーケの足音とは随分違っていました。
不思議がっている内に、最初の障害へ差し掛かります。


ドォンッ!!


 「ひゃわっ!」

地響きのような足音に、蘭子が思わず身を縮めます。
私もプロデューサーも、身体がびくりと震えてしまいました。


ズドッ!


 「――ヨッ!」


Jさんが笑顔で手綱を握りながら、着地の音を響かせます。
跨がっているブーケの迫力とは、まるで正反対の雰囲気でした。



ガコン、ゴッ!


何ヶ所目かの障害にブーケの蹄が引っ掛かってしまいました。
バーがぶつかった所からぐにゃりと曲がって、こちらへ向かって勢い良く転がって来ます。


――あら、ごめん遊ばせ。


帽子に軽く手を添えたJさんが、そう口を動かしたように見えました。

 「蘭子、」

話しかけようと蘭子の方を振り向くと、食い入るようにJさんを見つめていました。
柵をぐっと握りしめて、口を開いて、輝く瞳でブーケの姿を目に焼き付けようとしています。
私も目を戻して、Jさんとブーケに拍手を送りました。

 「ふぅ」

ブーケが最後の障害を跳び終えて、Jさんが再び一礼します。
柵の周りを囲うように集まっていた人たちから、一際大きな拍手が起こりました。

 『記録は62秒。減点は4です』

 「ごめんなさいね、ちょっと格好悪い所をお見せしてしまいました」

 「……!! …………っ!」

 「声になってないぞ、蘭子ちゃん」

握った手を一生懸命に振って、蘭子がJさんとブーケへ駆け寄ります。

 「お手本になれたかしら」

 「うんっ! すごい、すごい!」

 「それは良かったわ。では、お願いしますね」

 「えっ。何が?」


 「次はあなたの出番ですよ、リーダーさん」

 「…………?」

蘭子が不思議そうな顔で私達を見つめます。
帽子からぴょこりと飛び出たポニーテールも、同意するように揺れていました。

 「何の?」

 「競技だよ。蘭子ちゃん」

 「誰が?」

 「蘭子です」

 「これから?」

 「ええ、そうですよ」

ぽっかりと口を開けて、蘭子がしばらく固まります。
そして辺りを見渡すと。
ついさっきまでのJさんの走りに、周りに集まった皆さんが盛り上がっていました。

 「む、ムリムリ無理ですっ! こんなたくさんの盛り上がってる人達の前でっ!」

 「何を言ってるんだい二代目シンデレラガールさんや」

 「ダー。蘭子ならこの十倍居たってへいき、です」

 「あ、あれはいっぱいいっぱい練習したからで……!」

 「あら。練習ならあんなに一生懸命していたじゃありませんか、蘭子ちゃん」

 「む、むむむむ……!」

蘭子が涙目になって、握った手をぶんぶんと振ります。


 「わ、我が」

 『チームシンデレラ、最後は神崎蘭子さんです』

 「ぴっ!」

蘭子が言おうとした言葉がアナウンスにかき消されます。
周りに集まったみんなが、蘭子に注目していました。

 「わたっ、わたしは……」

 「蘭子」

グリフォンを抱き上げて、蘭子の鼻先へ差し出しました。
蘭子の頬をたしたしと叩いて、丸い目で蘭子をじっと見つめます。

 「ミィ」

 「…………」

 「グリフォンの言う通りです、蘭子」

 「……良かろう。その言葉、信じよう」
 (うん……やって、みるよ)

まだまだぎこちない動きで、蘭子が何とか落ちずにブーケへ跨りました。
固い表情のまま、スタート位置へと歩いて行きます。

 「蘭子……緊張、してますね」

 「そうですねぇ。普通そういった緊張は馬へ伝わって宜しくないものですが」

 「?」

 「真剣な乗り手には、ウマが合わせる事もあるんですよ」

Jさんの笑顔に、私は何度も頷きました。


 「ところでアーニャちゃん、一つだけいいかな」

 「ダー。何ですか、プロデューサー?」

 「……グリフォン、さっき何て言ったんだい?」

 「『自分だって乗れるんだから、蘭子に出来ない筈がない。ここで応援している』、と」

 「…………」

 「ニャ?」

抱き上げたままのグリフォンを、プロデューサーが無言で撫でます。
真ん丸の瞳が、不思議そうにその手を見上げていました。

 ― = ― ≡ ― = ―


 『最後の走者は神崎蘭子さん。彼女はシンデレラガールズプロダクションに――』


アナウンスさんが私の事を紹介してくれています。
たぶん。

 「…………」

でも、内容が全然頭に入って来ません。
馬の耳に念仏っていう言葉があったけど、これからは使わないようにしましょう。

 『――ので、神崎さんのタイム次第では入賞――』

Jさんもブーケも、すっごくカッコよかった。
見てる人達もさっきの走りに夢中になって、まだ熱が冷めてないみたい。


……私も、あんな風に

 「始め」


聞こえてきた合図に身体が震えました。
一拍遅れてブーケを走らせます。
すぐに、最初の障害が近付いてきました。


タンッ。


 「や、やった……!」

何とか飛び越えられました!


そう思っていたら、次の障害はすぐ目の前まで迫っていて。


 「っ!」

体勢が整えられずに、手綱を引いて引き返しました。
私のせいで、不従順……もう一度やると、失権になっちゃいます。

 「ブルッ……」


――どうした。


ブーケがそう訊ねるように振り返って。


――ウマを合わせてみてはどうでしょう。


Jさんの言葉が頭に浮かびました。


 「行こうっ」


ブーケの呼吸に合わせて、二つ目の障害を飛び越えました。



がしゃり。


十個目の障害でバーを落としてしまいました。
これで減点二つ目。
残ったのは、一番高い130cmの障害一つだけ。

 「……っ」

あんな風に跳べる実力なんて無いのは、どうしたって分かってます。
でも、私を……ううん。
ブーケを見ている人達はきっと、また夢中になれるような何かが見たくて。
私も、期待しているみんなに、ブーケのカッコいい姿を少しでも見せてあげたくて。


私だって、アイドルだもん。


会場のみんなに、少しでも楽しんでほしいから。


だから。


 「ブーケ」


お願い!


 「――あなたに、合わせるからっ!」


まっすぐに障害へ向かっていたブーケの脚が。
ゆっくりと勢いを失って、バーのすぐ手前でぴたりと止まりました。



 「……ブーケ?」


不従順。


ブーケが障害の手前でくるりと振り返って、ゆっくりと真逆へ歩いて行きます。
……そっか。
私があんまりヘタだから、ブーケに愛想も尽かされちゃうよね。
でも、私はいいけど、ブーケのカッコいい所、もっとみんなに見せてあげたかったな。


ぴたり。


 「え?」

他の人達が見守る柵の手前で、ブーケがまた立ち止まって。
もう一度、バーに向かって振り返りました。

 「ブーケ?」

私の質問に、ブーケが力強い鼻息で答えます。

 「ひゃ、わっ!」

そして、勢い良く走り出しました。
練習でも出した事の無いスピードに振り落とされないよう、必死で手綱に掴まります。

 「ブー、ケ」


気付けば、障害はもう目の前で。




ずどんっ。



とんでもない音が、お尻の下から響いて来て。



 「翼を授かりし、天馬?」
 (……とんでる?)



視界いっぱいに、気持ちの良い青空が広がりました。



翼でも付いたみたいに、身体がふわりと軽くなって。
周りの景色が、とてもゆっくり動いているように見えて。



――まるで、魔法に掛かったみたいでした。



130cmより、ずっと。
160cmだって、らくらく跳べるくらい。
ううん。


空にだって、このまま飛べてしまいそうなくらい。


視線を横にずらすと、こちらを見上げる人達の顔が見えました。
その中に、みんなの姿も混ざっていて。


まぁるく口を開けて、驚いたようにこっちを見つめるアーニャちゃん。
隣で首を傾げながら見ている白雪。
アーニャちゃんと同じ青い目で、眩しそうに眺めるグリフォン。
何だか慌てたように駆け出しているプロデューサー。
そしてJさんは、ちょっと困ったような、どこか呆れたみたいな。


けれどいつもの優しい顔で、くすくすと笑っていました。


視界の端に、私の両手が映っているのに気付きました。
でもその手には、不思議と何も握られてなくて。


 「む?」


あれ、手綱はどこにいったんだろう?
辺りを探してみると、ブーケの背中が、そこに乗った鞍が、真下にあるのが見えました。


あ、なるほど。



 「痛いの、やだなぁ……」



地面へ落っこちる寸前に、プロデューサーの大声が聞こえた気がしました。

 ― = ― ≡ ― = ―

 「うぅ。みんな、ごめんなさいー……」

 「ごめん、ごめんなぁ蘭子ちゃん。俺がもっとしっかり準備すればこんな……!」

 「ニェート。プロデューサーが悪いわけじゃない、です」

幸い、と言うべきでしょうか。
高く舞い上げられてから落ちたのに、左肘のねんざだけで済みました。
包帯を巻かれる蘭子も、包帯を巻くプロデューサーも、未だにちょっと涙目です。

 「はい、湿布を持って来ましたよ。大丈夫ですか蘭子ちゃん」

 「うん、だいじょうぶ。Jさん、ごめんなさい……」

 「何を言ってるんですか。あなたもブーケも立派なものでしたよ? 特に最後のはね」

落馬は失権、失格になるルールです。
Jさんの記録は個人2位でしたが、チームは15チーム中13位でした。
みんな一生懸命に頑張った結果です。とっても嬉しい、です。

 「蘭子ちゃんの歳であれだけ跳んだのは、私も初めて見ました」

 「でも、落ちちゃったし……」

 「そうですね。初めに教えた通り、落ちる前は手綱を握っておかないと危ないですが」

気付いて、Jさんが振り向きます。
そばに寄って来たブーケが心配するように、蘭子へ顔を近付けました。
蘭子が嬉しそうに手を伸ばします。


 「おお、天馬よ!」
 (ブーケ!)

 「ブルッ……」

ブーケが顔を背けて、どこかへすたすたと歩き去って行きました。
手を伸ばして固まったまま、蘭子がまた涙目になっていきます。


 「ぶ、ぶーけぇ……」

 「……ごめんなさい、忘れていました。あのコ、湿布の匂いが苦手で」


Jさんが、申し訳無さそうに笑いました。

 ― = ― ≡ ― = ―

 「わ、我が痴態を衆目に晒すと宣うのかっ!」
 (落ちるとこはカットしてくださいっ!)

 「いや問い合わせたんだけどね、今後の安全意識向上の為にも流してほしいと……」

 「ぐ、ぐぬぬっ……!」

み、みっともないところをみんなに観られちゃうのはイヤだけど……。
みんなに乗馬も怖がらないで始めてほしいし……むむむ。

 「まぁ表彰式も終わったし、今日は帰ってゆっくり」

 「あ、あのっ!」

背中から声を掛けられて、プロデューサーが振り向きます。
乗馬服を着た、ちょっと年上の女の子二人組でした。

 「サインしてもらえませんかっ」

色紙を差し出されます。

 「む……我が紋章を欲するか」
 (えっと、私の?)

 「あ、はい! その、それと……」

 「アー、私も、ですか?」

 「いいですか?」

 「ほい。二人とも、ペン」

二人のお名前を聞いて、二枚の色紙にサインします。
ふふふ……サインの練習ならバッチリです!
アーニャちゃんのロシア語のサインもカッコいいなぁ。今度教えてもらおうかなー。


 「ズェベルシーニェ。書けました」

 「えっと……スパシーバ!」

 「それで、ですね……あのっ……」

色紙を受け取った二人が、また色紙を差し出してきます。
あれ、お名前の漢字、間違っちゃったかな?

そう思ったけど、よく見ると色紙が差し出されているのは私じゃありませんでした。
けれど、アーニャちゃんでもなくて。


 「……あら、私?」

 「は、はいっ!」


二人が、真剣な顔でJさんに色紙を差し出していました。


 「まぁまぁ。私はアイドルではありませんけれど」

 「よく知ってますっ」

 「アーニャちゃん達の隣に書いてしまっていいんですか?」

 「はい!」

私達のサインを受け取ると、二人はとっても素敵な笑顔で戻って行きました。
……えっと。

 「Jさん、やっぱりアイドルでしたか?」

 「お二人のように可愛ければやってみたかったですねぇ」


 「そうだそうだ、さっき言いそびれたんだったな」

プロデューサーがペンをしまいながら呟きます。

 「Jさん、乗馬の世界大会メダリストだから」

 「成程…………えっ」


……世界大会の、メダリスト?


 「よしてくださいな。半世紀も前にマグレで銀を貰っただけですよ」

 「いやいや。日本の女性で世界のメダルを獲ったのは後にも先にもJさん唯一人じゃありませんか」

 「あ、あのっ!」

 「どうしましたか、蘭子ちゃん?」

 「えっと……世界大会でメダルを貰うのって、すごくすごいんじゃ……」

 「うん、凄いよ。俺も後でサイン貰おうと思ってたぐらい」

思わず口が開いちゃいました。
あ……だから会場のみんな、慌ててたんだ。
突然発覚してしまった新事実に、アーニャちゃんと顔を見合わせます。

 「アー。どうしてそんな凄い人が、私達に?」

 「ああ、Jさんはメダル獲った頃ね……」

 「いやだわ、お恥ずかしい」

Jさんが、困ったように口へ手を当てます。


 「『白馬に乗ったシンデレラ』、と呼ばれていたんだ」

 「灰被り……」
 (シンデレラ……)

 「蘭子ちゃんには、謝らなければいけませんね」

Jさんが乗馬帽を脱ぎました。
夕陽に照らされて、銀の髪がきらきらと輝いています。

 「実は彼女もここに居たんですよ、半世紀も前ではありますが」

 「彼女?」

 「私にメダルを咥えて来てくれた馬。サンドリヨンです」

 「サンド……?」

 「フランス語で、シンデレラ、ですね」

 「博識だねアーニャちゃん」

半世紀前の、Jさんの愛馬。
銀の輝くメダルを提げた、白馬……。

 「さて、私はそろそろお暇しましょう。久々に動いたら腰に来てしまいまして」

帽子を被り直して、Jさんが白雪に跨がります。
白雪の顔は、何だか誇らしげに見えました。

 「先達よ、深き感謝を捧ぐ」
 (ありがとうございましたっ!)

 「バリショエスパシーバ!」

 「お世話になりました。お礼はまた改めて後日」

 「またいつでも来てくださいね。馬はいつでも歓迎しますよ」


Jさん達が夕暮れの桜並木の下を帰って行きます。
白雪のしっぽが誇るように揺れていて。

Jさんの短いポニーテールも、揃って揺れていました。

 「プラッフラードナ……格好良い、ですね」

 「うん……」

 「ああ。でも、俺は二人だって負けてないと思ってるよ」

 「私達も?」

 「最初に言っただろう?」

プロデューサーが、私の腕にグリフォンを預けます。
まだまだ子供のグリフォンは、疲れたのかぐっすりと眠っていました。



 「『次世代のシンデレラ』だ、ってね」

 ― = ― ≡ ― = ―

 「どうだい、アーニャちゃん」

 「ネイボルシィ……夢みたい、です」

 「それは何よりだ」



――カボチャの馬車。



御伽話の魔法が、目の前に停まっていました。


 「どうしても一度やってみたかったんだよ。ガラスの靴だけじゃちと物足りないと思ってね」

 「マギヤ……魔法で創ったんですか?」

 「残念ながら魔法は使えなくてなぁ。大事なのはここさ」

 「?」

 「伝わらなかったか……」

プロデューサーが自分の腕をぽんぽんと叩きました。
……手作り、でしょうか?

 「本当は東京駅とかでやりたかったけども、あの辺は流石に止められないからなぁ」

 「ここも、人でいっぱいです」

 「スポンサーのおか……まぁいいや。魔法にタネは無いもんだ」

事務所の最寄り駅。
その駅前通りを借りて、イベントが開かれていました。

 「チケットフォーユー、ですか」

 「洒落た名前だろう? 舞踏会へご招待ってね」

 「シンデレラは、いるでしょうか」

 「どうだろうなぁ。シンデレラは一人だけじゃないから」


カボチャの馬車に、乗ってみませんか。


そう銘打って、イベントへ参加する女の子を募集しました。
詳しい数は聞いてませんが、かなりの倍率だったらしいです。


 「絞りに絞って20人だからなー。本当なら全員来てもらいたい所だけど」

 「四人乗り、ですね」

 「相乗りってのもどうかと思ったけど、まぁ大人の事情で」

馬車の扉を開いて中を見回します。
カボチャ色の内装に、ところどころガラスの飾りが付けられていました。

 「アーニャちゃん」

プロデューサーが、真剣な声で言いました。



 「乗ってみる?」


 「――ニェート。私は、乗れません」

 「…………」

 「でも、いつか。乗れるように、なります」

 「…………そうか」

プロデューサーが笑って頭を掻きます。
私はまだ、カボチャの馬車には乗れません。
いつか、蘭子に追い着けたら。
その時は、二人で一緒に乗ってみたい、ですね。

 「アーニャちゃんに今回のイベントへ参加してもらったのはね」

 「はい」

 「俺のワガママなんだ」

 「……ワガママ、ですか?」

 「ああ。ワガママ」

プロデューサーの手が、そっとカボチャの馬車を撫でます。
その目は、どこか遠くを見つめているみたいでした。

 「アーニャちゃんに、シンデレラが見る景色を間近で見てほしかったんだ」

 「……それだけ、ですか?」

 「王子様役が必要だったってのもある。『迎えに行こう、王子様を。』ってね」

改めて、私の着ている服を見直しました。
白いズボン、黒いブーツとジャケット、金のサーベル。
今日の私は、シンデレラじゃなくて王子様でした。


 「ただまぁ、本当に理由はさっき言ったのが大きいよ。何せ――」

そう言って、プロデューサーが私と向かい合います。
浮かべているのは、今までで一番かもしれない笑顔でした。



 「――どうせシンデレラになってやるんだ。ちょっとぐらい予習した方がいいだろう?」


 「……フフ。プロデューサーは、ずるいですね?」

 「大人はなー、ずるいのさ」

カボチャの馬車のすぐ隣で。
王子と、悪知恵の働く側近みたいに。
二人でくすくすと笑い合いました。

 「シンデレラには内緒だぞ?」

 「ダー。蘭子はとってもすごい子ですから。そのまま頑張ってほしいです」

 「ああ。蘭子は、凄いよ」


――かぁん、ごぉん……。


鐘の音が響いて、イベントの開幕までもうそろそろだと知らせてくれました。

 ― = ― ≡ ― = ―


 「プリヴェート! みなさん!」

 『キャアアアアアアッ!!』


王子様姿のアーニャちゃんが微笑むと、興奮した何人かの女性ファンが倒れました。
いつものように待機していた看護係の人たちが、手慣れた様子で倒れた人を運んで行きます。
相変わらず凄い人気です。

 「本日は、私自らがみなさんを舞踏会へご招待致します。さぁ、どうぞ」

 『は、はいっ!』

緊張しているのか、顔を赤くした四人の女の子たちが馬車へと乗り込みます。
ブーケに乗ったアーニャちゃんがまた微笑むと、二人ほど追加で倒れました。
凄い人気です。

 「…………」

 「……流麗なる御者を望むか?」
 (あっちに乗りたかった?)

 「流麗……えっ!? いや、そんな事無い、ですっ!」

 「何時でも申すが良い」
 (そう? 気にせず言ってね)

 「わ、わたしは蘭子ちゃんとの方が……」

荷が重いでしょう、とJさんの言う通り、馬車はブーケに引っ張ってもらう事になりました。
競走馬なのに凄いです。
ブーケもアーニャちゃんに乗られて大人しくしています。

……私の時にもそれぐらい大人しくしてほしいなぁ。


 「あのっ」

 「む」

 「綺麗なお馬さんですね」

 「うん! えへへ……」

代わりに私は白雪に乗っています。とっても良い仔です。
わたしのすぐ前に黒い髪の綺麗な女の子も乗せて、二人乗りしちゃってます。
白雪も意外と力持ちです!


 『――さぁ、出発の時刻となりました! 仮初ではありますが、舞踏会までの道をお楽しみください!』


ごぉん、ごぉん。


 「――さぁ、行こっ! 王子様!」


十二時、ちょうど。


 「――ダー。行きましょう、シンデレラ!」


お昼休みの駅前通りに、鐘の音が響きました。



ぱか、ぱかっ。


通り沿いに集まった人達に、大きく手を振ります。
アーニャちゃんも手を振ると、また女の人が一人倒れました。

 「ほらっ。手、振ってみよ?」

 「え? えっ、と……」

 「こうやって!」

 「…………わぁっ」

腕の中の女の子が手を振ると、通り沿いのみんなも手を振り返してくれます。
ちらりと顔を覗き込むと、

 「……フフフ…………!」

女の子の瞳は、きらきらと綺麗に輝いていました。

 「蘭子ちゃんっ!」

 「どうした?」
 (ん?)

 「アイドルって、すごいね! お馬さんにも乗れちゃうんだ!」

 「今宵の我は単なる偶像には収まらぬ」
 (今日の私はただのアイドルじゃないよ!)

 「え?」

 「だって――」



プロデューサーから預かったお姫様ティアラを、女の子の頭にそっと載せました。



 「――私も、あなたも、シンデレラだもん!」


久しぶりに袖を通したドレスも。
しばらくぶりに履いたガラスの靴も。
やっぱり、見ているだけで嬉しくなっちゃいます!


 「蘭子ちゃん」


女の子が、真剣な顔になりました。
その表情はちょっと不安そうで、でも気持ちが込められていて。



 「アイドルって、楽しいですか? 私も、シンデレラになれますか?」


 「舞い踊る偶像とは、常に業と背中合わせよ」
 (苦しいことや、大変な事もあるよ)

 「……っ」

 「でも。でもねっ!」

俯いた女の子を、ぎゅっと抱き寄せました。
そうやって、目の前に広がるこの光景を見てもらいます。



ガラスの靴。
優しい白馬。
輝くティアラ。
カッコいい王子様。
カボチャの馬車――



 「それ以上に、楽しい事がいっぱいなの!」


アイドルって、楽しい!


 「ライブをしたり、合宿に行ったり。お馬さんにだって乗れちゃったり!」


女の子の目は、近くで見るととても澄んでいました。



 「それに、誰だってシンデレラになれるんだよ」



 「誰、でも?」


 「うん! だって、私達には」


大きく手を振りました。



 「時々頼りなくて、結構いじわるで、でも、ガラスの靴を履かせてくれる――」



あの人は。
いつだって。
いつものように。
笑って手を振り返してくれて――!




 「素敵な魔法使いさんがついてるんだから!」


おしまい。
蘭子ちゃんは良い子魔王可愛いし、アーニャちゃんは天然天使可愛い


映画シンデレラ観ました
魔法使いがガラスの靴を創った後、ちょっとだけオマケの魔法を掛ける辺りで泣きました


これにてCoシリーズ『ガラスの靴のシンデレラ』は完結です
誰もがシンデレラ。


という訳で以下に過去作を全部載っけときます
また見かけた時に読んでくれたら嬉しい


過去作


■『ガラスの靴のシンデレラ』

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■その他

藤原肇「大事なのは、焦らない事です」 ( 藤原肇「大事なのは、焦らない事です」 - SSまとめ速報
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速水奏「雨に躍れば」 ( 速水奏「雨に躍れば」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1427535253/) )

高垣楓「一線を越えて」 ( 高垣楓「一線を越えて」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1428818898/) )

おっつおっつ
全て読んでいた俺に隙は無かった

>>68
書いといて言うのもアレだけどあなた凄いわ
ありがとう

おつおつ
オレも全部読んでる。文章と雰囲気が好きだ

だいぶ忘れてるけどみんな読んでる全部好き

当然全て読んでいた。
完結が本当に寂しいわ
登場キャラと雰囲気でわかる作者だった

完結かぁ……お疲れ様
またあなたが書くCoの面々を読みたいわ

全部読んでくれた人多過ぎ泣いた
CG周子の絵柄次第だけど、たぶん次は 塩見周子「ガラスの仮面」 で建てるので良ければ読んでね

Coだと文香と美優さんが書き差し、後は藍子と桃華ちゃまが最初だけ書いてます
モバマスは素晴らしいキャラが多くて困りますね

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