鬼娘「気楽気のまま行く旅路」 (94)

鬼娘「お父!魚!魚釣れたぞ」

蛙「なぁ娘よ」

鬼娘「なんだお父?」

蛙「お前、俺にかけられた蛙になっちまう呪いを解く旅に出たんだよな?」

鬼娘「そうだが何か?」

蛙「気楽気のままってどういうこった!?」

鬼娘「なーに、焦っても何も解決しないからな。せめて楽しくいこうじゃないか!」




これは、鬼の娘と蛙(父)が色んな人に会いながら、ぶらぶら旅をするだけのお話である

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蛙「お前なぁ、親がこんな姿になってるのにそりゃああんまりじゃ……」

鬼娘「お!掛かった掛かった!二匹目だな」

蛙「おーい、聞いているかー?」

鬼娘「うるさいなぁ、邪魔されたら今晩の飯がなくなっちまうよ」

蛙「いや、俺食えないんだけど。精精虫を貪るくらいしか出来ないんだけど」

鬼娘「そりゃ残念。魚は私がありがたく頂戴するよ」

鬼娘「お父はそこらへんのバッタでもイナゴでも食ってな」

蛙「親に対してこの扱い」

蛙「んにゃ!晩飯の話なんてどうでもいい!」

蛙「いいか?よく聞け。俺がこんな姿にされたのは一族の派閥の争いのせいでな?」

蛙「現頭首の俺がこんな姿のままだったら一族が分家の連中に乗っ取られちまうんだよ」

蛙「だから一刻も早く元の姿に戻ってだな……」

鬼娘「家のことなら兄貴が居れば大丈夫だし、そもそもその呪いも兄貴に向かって掛けられたものじゃねーか」

鬼娘「術者が掛ける相手を間違えたって騒いでたって話は有名だぞ」

蛙「うにゅう……」

鬼娘「その術者はどこか国外に逃亡しちまったし、代表が兄貴に代わってからは色々丸く収まってるし」

鬼娘「お父、いらないんじゃね?」

蛙「うがーーーー!!そんなこと無い!俺はまだあの家に必要な人材なんだ!!」

鬼娘「人の頭の上で叫ばないでくれよ騒がしい……お、3匹目」

蛙「ハッ!そうかわかったぞ……俺の息子が俺にこんな呪いが掛かるのを仕向けたんだな!畜生!今まで大切に育ててきてやった恩を忘れやがって!」

鬼娘「兄貴疑ったら流石に親として屑だぞ」

鬼娘「大体兄貴が関与してないってのはお父もよく知ってるだろう。一番慌ててたの兄貴だぞ」

蛙「うるせぇ!言ってみただけだよ!」

鬼娘「うるさいのはそっちだっての」

蛙「だがな、だからって旅行気分で旅するのはどうかと思うぞ。お父さん悲しい!」

鬼娘「話逸らしやがって……まぁ、前はお父とこうしてゆっくり話なんてする機会は無かったからな」

鬼娘「私にとっては貴重な時間だよ。厳格な印象しかなかったお父のこと、色々知れるしさ」

鬼娘「だからゆっくり、気楽気のまま行く旅路!」

蛙「へっ、可愛いこと言うじゃねぇか」

鬼娘「本当は家に居ても作法だとか勉強だとか嫁ぎの話だとかで喧しいから出たかっただけだけどな」

蛙「俺は体よく利用されてるのか、そして本心言うの早ぇよ」

鬼娘「4匹目っと……そろそろ行くか」

蛙「ん?ここで食わねぇのか?」

鬼娘「雨が降りそうな気がしてな。屋根のあるところで食いたい」

蛙「雨ぇ?空は晴れてるじゃねーか」

鬼娘「山の天気は変わりやすいんだ。まぁ見てなって」

――――――
―――



ザーザー


鬼娘「ほら的中」

蛙「しかも土砂降りと来た」

鬼娘「蛙の癖に天候の変わり目もわからないとか、お父は存在意義が無いな」

蛙「お前が結構酷いやつだというのは知っているが、なかなかどうして親にそんな残酷なことが言えるのだろうか」

鬼娘「しかし、都合よく洞窟があって助かったな、今日はここで一日を過ごそう」

蛙「ならもっと奥に進むぞ。ここじゃ風で雨が運ばれてずぶ濡れになっちまう」

鬼娘「蛙なら平気だろう」

鬼娘「むー……」

蛙「どうした娘よ」

鬼娘「この洞窟、何か居そうな気がするなぁ」

蛙「何かしらの根城ってワケか?厄介な動物か強い魔物なんかに遭遇したら大変だな」

鬼娘「私だって鬼だ。熊程度なら戦えない事はないけど」

蛙「流石に大事な娘を傷物にはしたくねぇな……よし、待ってろ。ここは俺が先に行って見て来てやる」

鬼娘「おお、父親らしいことしてくれるのか珍しい」

蛙「珍しいって何だよ……んじゃ行ってくるわ」ピョコピョコ

鬼娘「……流れ的に何かと遭遇して情けない声上げるんだろうなぁ」


ギニャー!?


鬼娘「ほらな」

鬼娘「じゃなくて、お父ー!大丈夫かー?」


ヤメロー!クワレルー!


鬼娘「蛙を好んで食う生き物か、会いたくねぇなぁ」スタスタ

蛙「うおー!娘よー!」

鬼娘「お父、なーにやって……うおあ!?」

竜「……」

蛙「竜だよ!本物の竜だ!腰が抜けて動けねぇんだ!早く俺捨てて逃げるんだあ!!」

鬼娘「ほー、伝説上の生き物かと思ってたけど実在したんだなぁ……デカイ翼と手足があるから翼竜ってやつか」

蛙「何やってんだ!?逃げろよ!?俺みたいな目に会わされるぞ!」

鬼娘「竜から凄く離れた場所で何もがいているんだ?」

竜「騒々しいのう……」ノソッ

蛙「」

鬼娘「お、喋った」

竜「人型意外の生物が人語を解せぬと思っておるのか?それは間違いじゃ」

鬼娘「確かに間違いだな、そこの蛙も喋るからな」

蛙「」

鬼娘「ん?おーいお父?……気絶してる」

竜「変わった親父さんじゃな」

鬼娘「ああ、奇妙な親父だとは思う」

竜「して、お主らはワシに何のようじゃ?」

竜「竜の伝説を信じてワシを討ち取りに来たか?それともワシを神と崇めに来たか?」

鬼娘「んにゃ、今日一晩だけ泊まりたくて来た。雨宿りが必要だからな」

竜「そうか、外は凄い雨じゃから仕方が無いのう」

鬼娘「仕方が無いな」

竜「……ここ、天井に大穴開いているからワシの居る空洞の中央辺りが大惨事じゃが」

鬼娘「隅っこの方が無事だからそっちを借りるぞ」

竜「好きに使うがよい」

蛙「」

鬼娘「さて、火をつけて飯にするかな」

竜「生憎、食い物はこの場には無いぞ?」

鬼娘「魚を4匹ほど持ち込んだ、ここで焼く」

竜「美味しそうじゃのう……」ジー

鬼娘「……」

竜「……」ジー

鬼娘「……食うか?」

竜「うむ!」

竜「ハムハム」

鬼娘「旨いか?」

竜「普通じゃ」

鬼娘「だろうな、焼いただけだし」

竜「親父さんの分はいいのか?まだ寝ているようじゃが」

鬼娘「どうせ食えん。適当に虫でも見繕うさ」

竜「ハエがよく集るからそれでも食わせてやれ」

鬼娘「そうだな」

蛙「ハッ!?ここはどこだ!?俺は誰だ!?」

鬼娘「お決まりの文句はいいよ。食事の準備は出来ているぞ。ハエしかないけど」

蛙「畜生なんでこんなものしか食えないんだ俺は……」レロン

鬼娘「その姿も様になって来たな」

竜「しかしこんなちっこい蛙が喋るというのは中々気持ちが悪いのう」

蛙「竜!?お前俺を連れて脱出したんじゃなかったのか!?」

鬼娘「今日はここに泊めてもらうよ、こいつ悪い奴じゃなさそうだし」

蛙「俺を襲おうとしたんだぞ!安心できるか!」

竜「お主がワシを見て勝手に卒倒しただけじゃろ……」

鬼娘「さてお父、腹も膨れたしそろそろ寝るぞ。起きてても竜に迷惑なだけだ」

竜「構わんよ、人と語らうのは嫌いではない」

蛙「こんな化け物に宿を借りるなどなんと情けないことか……っ!」

竜「お主はやかましい、嫌なら出て行け」

蛙「こんな雨の中俺に外で寝ろってか!?酷い奴だなお前!」

鬼娘「すまん、ちょっと黙らせる」グニャ

蛙「おうふ」

竜「……父親を思いっきり踏んづけたがよかったのか?」

鬼娘「こんな成りでも耐久力は鬼のままだからな、気絶するけど」

蛙「」

竜「ところで鬼の娘よ、見たところ旅をしているようじゃが。目的はその蛙の呪いを解くためか?」

鬼娘「名目上はそうだな。本当は色々と忙しい家に居たくなかっただけだ」

竜「ほう?」

鬼娘「だから、なるべく目的からは遠回りしてお父との旅を楽しむことにしているよ」

鬼娘「お父には悪いけど、今が楽しいからな」

竜「自分の欲求に正直な娘じゃ」

鬼娘「家に居たら束縛されて窮屈だからな」

鬼娘「あ、一応聞いておこう」

鬼娘「こういう呪いを解く方法、何か知らないか?」

竜「知らんな。解呪はさっぱりじゃ」

鬼娘「解呪以外だったら出来るみたいな言い方だな?」

竜「治癒魔法は得意じゃぞ?」

鬼娘「お父に治癒魔法掛けたら案外治るんじゃねーの?」

竜「治るのはさっきお主に踏まれて出来た傷くらいじゃがな」

鬼娘「さて、私はもう寝るよ」

竜「うむ、ゆっくり休むがいい」

鬼娘「何から何まで悪いな」ゴロン

竜「おやすみ、鬼の娘よ」

鬼娘「クカー……」

竜「早いな……」

――――――
―――



鬼娘「朝だ!」

蛙「快晴だ!」

竜「おはよう……おい娘、服がずれて下が丸見えじゃぞ」

鬼娘「おあ!?見るな!いくら私でも恥じらいくらいあるぞ!」バッ

竜「気にならん、ワシは雌じゃ」

鬼娘「なんだ、なら大丈夫だな」

蛙「大丈夫じゃねーよ、ってか下着着けてないのかよ」

鬼娘「なんだお父?娘の身体見て興奮しているのか?気持ち悪いからやめろ」

蛙「自分のガキで興奮なんざするか!」

竜「なーに、ワシも下着は着けない派じゃ。気にするな」

蛙「おい化け物、お前はそういうのを装着する必要性が無いだろ」

鬼娘「じゃあ私達はそろそろ出発するな。泊めてくれてありがとう!」

竜「ああ、構わんよ。どうせいつも暇しておる、機会があればまた立ち寄るといい」

蛙「もうこねーよ!」ペッ

鬼娘「中々話の出来る竜だったな」スタスタ

蛙「所詮はでっかいトカゲじゃねーか。元の姿だったら負けなかった」キリッ

鬼娘「お父、小物臭しかしないぞ……ん?」

蛙「どうした?」

鬼娘「誰か来る」

蛙「こんな化け物の棲む洞窟にか?」

騎士「誰だ?」スタスタ

鬼娘「人間の男か、人間の癖になかなか背高いな」

騎士「オーガか……種族の割りに小さいな。ここは竜が住んでいる、何か用があったのか?」

蛙「ヘッ!竜なんざ俺が退治しちまったぜ!お前こそ何者だ!」

鬼娘「昨日は大雨で動けなかったからな、泊めてもらってたんだ」

騎士「あー、なるほどな。アイツは害は無いし話し相手が欲しがってたから丁度よかったな」

蛙「何が害が無いだ!襲われたんだぞ俺は!」

鬼娘「やたらと喋ると思ったら話がしたかったのか」

騎士「寂しがりやだからな」

蛙「見た目と性格が一致してないんだな」

鬼娘「んじゃあ私達は失礼するよ!」

騎士「おう、気をつけてな」

蛙「なぁ、何でさっきから俺を無視するの?」

鬼娘「うるさいなぁ、人が喋ってるんだから黙ってろよ」

蛙「ひでぇ」

騎士(突っ込むのは野暮だな、うん)

――――――
―――



鬼娘「呪いに関しては収穫無しだったな」

蛙「え?何かあそこで探してたのか?」

鬼娘「長寿の竜にその手の話を聞かないなんて事はありえないだろう」

鬼娘「これでも一応呪いを解く方法は探してるんだからな。一応」

蛙「そりゃありがたいこった。二回一応とか言っちゃう辺り完全に旅のついでだけど」

鬼娘「さて、結構歩いたが。次はどこへ向かおうか」

蛙「無計画ってのは考え物だな」

鬼娘「計画を立てなかったのはお父のせいだろう」

鬼娘「家に居場所が無くなったからって突然飛び出して」

蛙「うるせぇ!一刻も早く元の姿に戻りたかったらすぐに行動したんだよ!居場所が無いなんてことは断じてない!」

鬼娘「はいはい」

鬼娘「しかしなぁ、呪いが解けそうな奴を探すとしてもそうそう見つからないだろうなぁ」

蛙「大体俺に呪いを掛けた術者が国外逃亡したって言うのが気に入らん。男なら正々堂々戦わないか!」

鬼娘「ああ、お父は知らないのか。呪いを掛けたのは娘っ子だぞ」

蛙「何!?」

鬼娘「しかも私とそう歳も変わらない子だ。呪術師見習いだそうだ」

蛙「俺は熟練者でもない見習いの子供にこんな姿にされたのか……」

鬼娘「結果的に兄貴が助かってるんだから良しとしておこう」

蛙「良しじゃないが」

鬼娘「ま、慌てても仕方が無いな。ゆっくり気ままに行こう」

蛙「慌ててくれよー。この身体じゃ不便だし俺にも威厳というものが……」

鬼娘「釣り餌付けて……ほいっと!」

蛙「おーい、度々無視しないでくれないか?」

鬼娘「飯を食ってから好きなだけ聞いてやるよ」

蛙「うにゅう……」

鬼娘「今日は引きが悪いな」

蛙「昨日が偶然ポンポン釣れてただけだろう。どれ、釣竿見せてみろ」

鬼娘「適当な枝に糸と針付けただけのものだけどな、ほい」

蛙「ありゃ、不味そうな虫だな。こんなもんじゃ魚も食いつかないぞ」

鬼娘「同じものを使っているんだが、お父良し悪しがわかるのか?」

蛙「そりゃそうさ、慣れているからな」

鬼娘「蛙だからか」

蛙「ここをこうして……」

鬼娘「蛙の姿なのに器用に針に虫を通すなぁ」

蛙「なに、娘にこれくらいのことはしてやりたいのさ」

鬼娘「こんなことよりもっと父親らしいことをしてくれよ」

蛙「こんなことって……例えばどんなことだよ?」

鬼娘「権力目当てで私に擦り寄ってくる連中殴り飛ばすとか」

蛙「立場上そんなことできねぇよ……」

鬼娘「ふん、結局私も家の道具扱いか」

蛙「んな事はねぇ。ちゃんといい相手は用意してやるって」

鬼娘「そういうことじゃねぇっての……まったく」

蛙「家柄が大きいと何事も思い通りにはいかないもんなんだ。ほれ、準備できたぞ」

鬼娘「家柄ねぇ……ん、ありがと」

蛙「自由に生きて欲しいとは思うが回りがそんなこと納得しねぇ、お前の兄貴だって束縛されて生きてきたんだ」

蛙「耐えてくれ……悪いな、こんな家でよ」

鬼娘「立場があるのはわかってる。それに私はお父もお母も兄貴も大好きだ。謝らないでくれよ」

蛙「ヘヘッ、そう言われると子っ恥ずかしいな」

鬼娘「社交辞令だよ」

蛙「おい」

鬼娘「餌を付け替えてくれたのはいいけど釣れないな」

蛙「そういう時もあるさ」

鬼娘「もうちょっと上流の方でに行ってみるか」

蛙「おい、足場が悪いから気をつけろよ。ただでさえ雨降ったばかりなんだからよ」

鬼娘「わかってるよ、お父も私の頭から落ちるなよ……あっ」ズルッ

蛙「って行ってるそばから!!」


バシャーン!!

鬼娘「いつつ……」

鬼娘「うえぇ……ビチャビチャだ、着替えなんて持ってないのに」

鬼娘「お父は大丈夫か……?お父?」

蛙「」

鬼娘「あ、尻の下敷きに」

蛙「」

……

蛙「死ぬわー!!いくらお前が軽いといっても水中で押しつぶされたら死ぬわ!!」

鬼娘「悪い悪い、転ぶとは思ってなかったからな。これからは気をつけるよ」

蛙「まったく……で、お前そんな格好でどうするんだ?風邪ひくぞ?」

鬼娘「代えの服くらい持ってくるんだったなぁ」

蛙「長旅前提なのに手ぶらってすげぇなお前」

鬼娘「金は兄貴からかなり持たされてるし、定期的に送ってくれるからいいと思ったんだけどな」

蛙「え、俺そんなこと聞いてなかったんだけど」

鬼娘「言わなかったからな」

蛙「今までほとんど自給自足だったし、野宿だったし……」

鬼娘「私がそういうのが好きなだけだ。それに服はちょこちょこ洗ってるし身体も拭いてる」

蛙「そういうところはマメなんだな」

鬼娘「女の子だからな」

蛙「っつーか金があるんだったらもっと楽な旅が出来るじゃねぇか」

鬼娘「楽して旅したって楽しくないだろう」

鬼娘「自分の歩みで気楽気のままだ」

蛙「滅茶苦茶な奴だなぁ」

鬼娘「とりあえず、この服はどうしようか。こんな明るい時間にここで裸になるのも嫌だしなぁ」

蛙「お前もともと面積が無い服じゃねぇか」

鬼娘「着てるのと着てないのとじゃ話は別だ」

蛙「町へ行って適当に服を買ってこればいいだろう」

鬼娘「あんまり人の多いところは行きたくないんだよなぁ。大きな町だと崩れた言葉使いされるし分からないんだよ」

鬼娘「お父はこっちの言葉は分かるか?」

蛙「お前と同程度しか喋れん」

鬼娘「だよなぁ」

鬼娘「同郷の奴がいればいいんだけど……」

蛙「そんな奴そう都合よくはいないだろ」

鬼娘「んー……ん?何かあっちに人がいる気がする」

蛙「また"気がする"か」

鬼娘「行ってみよう」

商人「あー、道に迷ったー」

商人「碌に整備されてない道ばかりでやってられるかってんだコンチクショウ」



鬼娘「おお、見ろお父!東洋の獣人だ」

蛙「しかも見た目が旅商人っぽいな、服を売ってくれるかもしれん」

鬼娘「こりゃ都合がいい」

鬼娘「おーい、そこの犬耳の人ー」

商人「狼です!ん?鬼……と、頭に蛙」

蛙「よし、こっちの言葉は通じるな」

商人「あらま、魔物でもないのに喋る蛙ですか。珍しいですね」

鬼娘「これは私のお父だ、今はこんな姿だがこれでも立派な鬼だ」

商人「見世物にしたら中々いい儲けになりそうですね」

蛙「おいやめろ」

商人「それで、私に何か御用ですか?」

鬼娘「見たところ商人だよな?悪いけど服売ってくれないか?あればでいいけど」

商人「あ、お客さんですか。服ですと……取り扱っているのは着物ばかりになりますね」ズラッ

鬼娘「それでいい、とりあえず着替えたい?」

商人「あー、ビショビショですね。動きやすいものの方がいいですか?」

鬼娘「ああ、お前が着ているような丈の短いものがいい」

商人「はいはいこちらですね、ちょいと値は張りますが」

鬼娘「よし、それ貰おう」

蛙「おい、即決していいのか?値段を確認してないとふんだくられるかも知れないぞ?」

鬼娘「こんな異国で出会った同じ国の奴が騙してくるわけ無いだろ」

蛙「純粋だなぁもう。ちょっと待ってろ」

鬼娘「?」

蛙「嬢ちゃんその着物だが……」

商人「最高の職人に最高級の素材で作っていただいた特別なものです!」

商人「着易さを追求して一人で着られる!おまけに水洗いもOK!」

商人「肌触りのよさから始まり、滑らかな模様をあしらい見えるか見えないかの際どいラインを維持した究極の一品!」

商人「本来ならフルプライスでこのお値段なのですが……」カタカタ

商人「今回は特別に同郷の方ということで5%オフ!さあお買い得!!」チンッ!

蛙「こっちが聞こうと思ってたのに何か語りだしちゃったよ」

商人「商品の説明はしておかないと、後でグダグダ文句言われたら困りますからね」

鬼娘「うん、良さそうだな。貰うよ」

商人「まいどありー!」

蛙「ちょいと無駄遣いじゃねーか?相場よりも高い気がするんだが」

鬼娘「異国で売るんだから需要があるんだろう。私は気に入ったものに出し惜しみするつもりは無い」

鬼娘「これと同じものは無いか?あと2、3着持っておきたい」

商人「ありますよもちろん!」

蛙「特別なのになんでそんなにあるんだよ!?」

商人「特別とは言ったが量産されていないとは言ってない」

蛙「胡散臭いな」

鬼娘「よし、代金はこれだ」

商人「どうもー、潤う潤う♪」

蛙「ったく、女ってのは余計なことに金使うんだな」

鬼娘「着るものは大事だ、男も女もあるか」

鬼娘「よし、早速着替えるからお父はどっか行ってろ」

蛙「やだよ、別にお前も気にはしないだろう?」

商人「女の子のお色直しに気を使うのは男の方ですよ!さぁあっち行った!」ポイッ

蛙「おい投げるなコラ!?あーれー……」

商人「楽しいお父さんですね」

鬼娘「ああ、やかましいが一緒に居て退屈はしないな」ヌギヌギ

商人「って、うわ。下着無しですか」

鬼娘「開放感があっていいぞ。ん、胸が苦しいな」

商人「あなたちっこい癖に胸は大きいですね」

鬼娘「男共の視線が辛いけどな。よし、これなら大丈夫だな」

商人「もう、そんな着崩し方して……見えちゃいますよ?」

鬼娘「大丈夫だ、見えないようにはする」

鬼娘「あ、一応聞いておこう」

鬼娘「私の父親はあのとおり蛙の姿になっているのだが、呪いのせいでああなってしまったんだ」

商人「呪いですか」

鬼娘「呪いを解く為に旅をしているんだ、一応。解き方知らないか?」

商人「ずいぶん投げ遣りに聞いてきますね……まぁ、私にそんな力はございませんが」

鬼娘「だよなぁ。どうでもいいけど」

商人「どうでもいい!?」

蛙「おーい、もういいかー?」

鬼娘「おう、待たせたな。今そっち行くよ」

商人「ご購入ありがとうございます!お客さんにおまけでこれを配っているんで、どうぞ!」サッ

鬼娘「おお、リンゴ飴か」

商人「ウチの実家特製のものです!お父さんの分と2本、一緒に食べてください!それでは失礼」

鬼娘「ありがとなー」

鬼娘「お父、おまけでリンゴ飴貰ったぞ」

蛙「ほー、よかったじゃねぇか」

鬼娘「はい、お父の分」

蛙「俺は食えねぇよ、お前が2本とも貰いな」

鬼娘「いいのか?あの商人もお父に渡せって言ったものだぞ?」

蛙「飴なんざ俺にはにあわねぇよ。飯も抜いてるんだし食え食え」

鬼娘「……うん、ありがと!」

――――――
―――



鬼娘「ここ数日で結構移動したなぁ、国境越えたぞ」

蛙「呪いの手がかりも無し。ただの観光者だなこりゃ」

鬼娘「いいじゃないか、私は楽しい」

蛙「お前なぁ」

鬼娘「お父は楽しくないのか?」

蛙「まぁ……楽しいけどよ」

鬼娘「だろ?」

鬼娘「旅をするなら家族みんなで回りたいもんだが」

蛙「それが出来る状況じゃねぇしな」

蛙「家にいる時は面子守る事ばっかりで、お前達のこと全然構ってやれなかったからなぁ……今は色々新鮮だ」

鬼娘「そういう家柄だから仕方が無い、だろ?」

蛙「自由なお前にゃ言われたくないな」

鬼娘「ヘヘッ、お父のことが分かってきたよ」

蛙「さーて、お次はどこへ行こうかね?」

鬼娘「たまには町へ行ってみるか?」

蛙「言葉が通じないかもしれないから嫌なんじゃなかったか?」

鬼娘「これでも日々欠かさず勉強はしているんだぞ?異国の言葉が話せないのは今の時代恥ずかしいからな」

蛙「いつの間に国際派になってるんだよ」

……

鬼娘「ふーん、やっぱり国が違うと町並みも違うもんだな」

蛙「俺達の国は木造が多いが、ここはレンガや鉄骨の家なんかが主だな」

鬼娘「文化の発達に違いが出てるんだな、こっちの方が未来に生きてるように見える」

蛙「反面、俺達は風情があるけどな」

鬼娘「そうだな、やっぱり見慣れた風景の方が好きだ」

蛙「それで、町へ来て何するつもりだったんだ?情報収集か?」

鬼娘「情報収集……?」

鬼娘「…………ああ、呪いのか!」

蛙「お前、完全に当初の目的を忘れていただろ」

鬼娘「そんなこと無いさ、うん」

蛙「本当かぁ?」

鬼娘「それより見て回ろう。旅に出て碌に買い物なんてしなかったからな」

蛙「前みたいに使いすぎるなよ?仕送りしてくれてはいるが財源は有限じゃねーんだから」

鬼娘「大丈夫だ、お父が思っているより私は倹約家だ」

蛙「まぁ金があるのに野生の生活をするくらいだからな」

鬼娘「なにから見ようかな?」ワクワク

鬼娘「ほほう、今はこんな髪飾りが流行なのか」

鬼娘「こっちの服は……ダメだ、洋服は私には似合わないな」

鬼娘「なるほど、こういうのも有りか……」



蛙「うーむ、家柄に縛られなきゃ普通の年頃の女の子なんだな、アイツも」

少女「町なかに人語を解す珍しい蛙がいるのですね」ヒョコ

蛙「うわビックリした!?」

蛙「何だよ一体……」

少女「いえ、変わった人がいると思って」

蛙「悪かったな変わってて」

少女「……ふむ」

蛙「ん?なんだ?」

少女「あなた、何かの呪いに掛かっていたりします?」

蛙「おお!分かるのか!?」

少女「はい、これでも魔法使いですから」

蛙「そいつはありがてぇ!出来るなら解いてくれないか?金なら払うからよ!」

少女「いいですよ、別に」

蛙「いよっしゃ!!」

鬼娘「どうしたお父?そんなに喜んで?」ドサドサ

蛙「無駄遣いすんなって言ったのにずいぶん買い込んだな……じゃなくてだな!」

鬼娘「そっちの人は?」

少女「こんにちは、通りすがりの魔法使いです」

鬼娘「おお、こんにちは!」

少女「そこの蛙さんとはどういった関係ですか?」

鬼娘「ああ、こっちは私のお父だ!呪いを掛けられてこんな姿だが、本当は鬼だぞ!」

少女「オニ……オーガですか、ここら辺じゃ珍しいですね」

鬼娘「遠い国から来てるからな」

少女「お父さんの呪いを解くために?」

鬼娘「ああ、表面上は」

蛙「だからそれやめろって」

鬼娘「のんびり旅をするついでに探してるんだ、呪いを解く方法」

鬼娘「家族でゆっくり旅をすること自体、前は出来なかったからな。充実してるよ」

少女「お父さんの呪いが解けたら旅は終わりですか」

蛙「だろうなぁ、最終目的だし」

鬼娘「……やだなぁ、もっとお父と一緒に見て回りたいのに」

少女「……ふむ」

蛙「それより嬢ちゃん早く早く!」

鬼娘「なんだ?こいつが何かしてくれるのか?」

蛙「俺の呪いを解いてくれるんだってよ!これでこの姿とはおさらばだぜ!」

少女「あ、申し訳ありません。私、解呪方法忘れちゃいました」

蛙「へ?」

鬼娘「ありゃりゃ、忘れちゃったものは仕方ないな」

少女「仕方ないですね」

蛙「おーい、嘘だろー……」

少女「それほど強い類の呪いではないので、放っておいても大丈夫でしょう」

少女「家族団らん、旅路をもうちょっと楽しんでいってください」

鬼娘「おう!」

蛙「おう、じゃねーよ……」

蛙「」ズーン



鬼娘「落ち込んじゃった」

少女「後で慰めてあげてください。それより」

少女「人を探しています、仮面を被ったいかにも危ない風貌をした男の人を見かけませんでしたか?」

鬼娘「仮面?そんな奴いたらすぐ分かるけどな」

少女「隠れるたり逃げたりするのが得意ですから、捕まえにくいんですよ」

「……」ヒョコ

鬼娘「あ、あそこの路地裏から変なのが顔覗かせてるぞ?」

少女「……」チラッ

仮面男「あ、しまった!」

少女「見つけました、ご協力感謝します。待てサボり魔王」ダダダ



鬼娘「……なんなんだ?」

蛙「」ズーン

――――――
―――



鬼娘「お父、そう落ち込むな」

蛙「せっかく元に戻れると思ったのに……ぬか喜びさせて……」

鬼娘「そういう時もあるさ。さぁ、寝泊りできる場所を探そう」

蛙「周りに何も無いからここで野宿したら危ないな」

鬼娘「ああ、ここら辺の魔物は強いからな」

蛙「町で宿取ってもよかったんじゃないか?」

鬼娘「気楽気のままに行きたいんだ、人の目があるところは嫌だ」

蛙「我侭だねぇ」

鬼娘「ん、あっちに何かある気がする」

蛙「お前のその"気がする"ってのは何なんだ?」

鬼娘「勘だ」

蛙「都合のいい勘だことで」

鬼娘「おお、教会だな」

蛙「亜人が多い国なのに純粋な教会ってのは珍しいな」

鬼娘「明かりが点いてない……誰もいなさそうだな」

蛙「今夜はあそこに泊まるか?」

鬼娘「そうだな、そうしよう」

蛙「人がいたらどうするんだ?」

鬼娘「そのときはごめんなさいだ」

蛙「いつも通りってワケか」

……


ガチャ


鬼娘「お邪魔しまーす……」

蛙「鍵は開いてるし誰もいない……廃教会か」

鬼娘「その割には綺麗だな」

蛙「管理はされてるのかねぇ」

鬼娘「他の生き物の気配はしないし、とりあえずは安全だな」

蛙「一応見張っておこうか?それなら安心して眠れるだろう」

鬼娘「いいよ、お父も疲れてるだろう?」

蛙「娘に気を使われるほど老いちゃいねーよ」

蛙「辺りを少し見回ってくるから、先に休んでな」ピョコピョコ

鬼娘「あー……行っちゃった。いいのに」

鬼娘「……」

鬼娘「こういう場所って、なんか神聖な感じがするな」

鬼娘「私は無宗教だからそういう事はよく分からないけど」

「東洋人か、また珍しい客だな」

鬼娘「ん?誰だ?」

女神「……?」

鬼娘「むお!?いつの間に椅子に座ってた!?」

女神「……お前、まさか私が見えるのか?」

鬼娘「見えるが、何か?」

女神「ほう、普通の者には見えないはずだが」

鬼娘「勘が強いからな。普段見えないものもたまに見えたりするぞ」

鬼娘「ところでお前、誰だ?」

女神「そうだな、ここに祭られている……女神、とでも言っておこう」

鬼娘「へぇ、女神様か。通りで綺麗なワケだ。ちっちゃいけど」

女神「ちっちゃい言うな!お前の方が小さいだろ!」

鬼娘「思ってたより小さかったって言っただけだ」

女神「ここには何か用があって来たのか?」

鬼娘「んにゃ、宿無しだったから一晩泊めてもらおうと思ってた」

女神「……荒らすわけじゃないならいいか」

鬼娘「ああ、人様に迷惑は掛けるなって親から教えられているからな」

女神「ここには一人で来ているのか?」

鬼娘「いや、父親と一緒だ。今は見回りに言っている」

鬼娘「あ、そうだ。女神様なら出来るかな?」

女神「どうした?」

鬼娘「呪いでお父が蛙の姿にされて……」

女神「無理だ」

鬼娘「まだ全容を話していないぞ」

女神「解呪なら私は出来ないぞ。出来るのは炎出したり闇ぶつけたり槍投げたり」

鬼娘「女神なのに?」

女神「女神なのにだ」

鬼娘「神様ってのも万能じゃないんだな」

女神「住んでいる場所が違うだけで基本的なことはそこらへんの連中と変わらないからな」

女神「態度ばかりデカイのしかいない。困った種族だ」

鬼娘「苦労してるんだな」

女神「それなりにな……神という種族のせいで会いたい人にも会えやしない」

鬼娘「?」

女神「誰しも、お前みたいに私の姿が見えるってワケじゃないってことだ。触れることも声を聞くことも」

女神「そのせいで私は私の家族に会えない」

鬼娘「……辛いな、それは」

鬼娘「私も、お父やお母、兄貴に会えなくなったら辛いし悲しい」

鬼娘「傍にいるのに、自分は理解しているのに、誰にも届かない……もどかしいな」

女神「……」

女神「家族と身内は大事にしろよ。失った時に初めて後悔するのは愚かなことだ」

鬼娘「そーだなー。肝に銘じておく」

女神「フフ、素直でよろしい」


ガチャ


蛙「周りにも何もいなかったな、ここらは安全確定だ!」

鬼娘「あ、お父おかえり!ほら女神様、これが私の……あれ?」

蛙「どうした?」

鬼娘「んー?おかしいな、ここに居たはずなんだけどなぁ」

蛙「何の話だ?」

鬼娘「不思議な体験もあるもんだなぁ」

――――――
―――



蛙「もう旅に出て数ヶ月。完全に旅行気分で楽しいな」

鬼娘「お父ももう元に戻るのは諦めたか」

蛙「諦めてねぇよ!?何言ってるんだお前!?」

鬼娘「冗談だよ。でも楽しいのは何よりだ」

蛙「むぅ……しかし手がかり一切無しとは悲しいことだ」

鬼娘「おっと……兄貴が式神を通して連絡してきた」ガサガサ

蛙「便利なもんだなぁ」

鬼娘「もしもし?兄貴、どうした?」

鬼兄『おう、元気してるか?』

鬼娘「私もお父も元気だぞ」

鬼兄『突然だが、俺結婚することになったんだ』

鬼娘「おお!結婚か、おめでとう!相手はどんな人だ?」

蛙「なに!?結婚!?誰と誰がだ!?」

鬼兄『あー……それがだな』

鬼娘「ん?」

鬼兄『親父に呪いを掛けたあの子だ……名家の子だった』ボソッ

鬼娘「こりゃまた犯罪臭がする歳の差だな。というか国外逃亡してたんじゃなかったのか?」

鬼兄『それな、情報伝達の間違いでな、別の奴だった』

鬼娘「そりゃ酷い」

鬼兄『あの子はちゃんと親父に謝ろうとしてたんだが……入れ違いになっちまってな』

鬼兄『そもそも呪い自体俺を狙ったものですらなく、練習してたときの失敗だそうだ』

鬼娘「変な要因が重なったんだな……」

鬼兄『で、何とかこっちで解呪出来る人材は用意したからさ』

鬼兄『結婚式挙げる時にこっち戻って来てもらって解呪しようと思ってな』

鬼娘「うーむ……」

鬼兄『どうした?』

鬼娘「なぁ、結婚式には出るけどさ。その話は伏せておかないか?」

鬼兄『その話……解呪のか?』

鬼娘「うん」

鬼娘「お父もこの旅を楽しんでるし、兄貴が頭首を継ぐならお役御免だろう」

鬼兄『酷いこと言うなぁ』

蛙「おーい!何の話してるんだー?」

鬼娘「私としては、お父にはこのままゆっくり過ごして欲しいんだ。元に戻ったらもうこんな機会なくなっちまうからな」

鬼兄『んー……まぁあんまり強い呪いじゃないってのは分かってるからそれでもいい……のか?』

鬼娘「うん、それでいいさ」

鬼娘「それでさ、今度は家族みんなでどこか旅しよう」

鬼娘「私はそっちの方が楽しいし嬉しい」

鬼兄『お前は本当に自分の欲求に素直だな』

鬼娘「よく言われるよ……それじゃ、おめでとうさん。近いうちに戻るよ」ガサガサ


蛙「おい!何勝手に切ってるんだ!?俺にも何か話させろよ!」

鬼娘「やだよ、長引くから」

蛙「ったく……なんの話だったんだ?」

鬼娘「兄貴、結婚するんだって」

蛙「何!?超重要事項じゃねーか!!」

鬼娘「まぁ、帰ってみれば話は出来るさ」

蛙「帰るまで話はさせないつもりかい」

鬼娘「こまけぇこたぁいいんだよ!」

蛙「うにゅう……」

鬼娘「じゃ、帰る前にもういっちょ色々な場所回るか!」

蛙「急いで帰りたいんだけどー」

鬼娘「なに、進路を決めるのは私だ」

鬼娘「気楽気のまま行く旅路、これで帰ろうじゃないか」

蛙「帰るのにどんな旅路になるのやら……まったく」

鬼娘「ヘヘッ!それは歩いていけば分かることさ!」


結局、蛙(父)が元の姿に戻るのは当分先の事
結婚式の時にまた一悶着あったのは言うまでも無いだろう
事が終われば一人と一匹はまた旅に出るだろう
今度は家族を引き連れて……


鬼娘「ゆっくり歩くさ、どこまでも!」



鬼娘「気楽気のまま行く旅路」  おわり

終わった
ザ・ヒロインズ
鬼娘、いいよね


お付き合いしていただいた方がいましたら、どうもありがとうございました

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