吟遊詩人「僕は愛の伝道師~」 (70)

吟遊詩人「僕は愛の伝道師、通りすがりの吟遊詩人~」ポロロン

吟遊詩人「ただ女の子にモテたくてこんなことをしているけれど、まったく浮いた話は無し~」ポロロン

吟遊詩人「どこかに僕を愛してくれる女の子はいないだろうか~」ポロロロン

吟遊詩人「……虚しいな、コレ」

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吟遊詩人「さ~て、そんな独り言はともかく。ここはどこだろうか?」

吟遊詩人「見渡す限り、青々とした素晴らしき草原。ああ、地平線まで見えてしまうよ」

吟遊詩人「道を間違えたつもりはなかったんだけどなぁ~」

吟遊詩人「おや?あそこに見えるは小さな小屋かな?」

吟遊詩人「こんな場所で迷子なんて恥ずかしいけれど、とにかく道を尋ねに行こう~」ポロロン

吟遊詩人「お邪魔するよ~」ポロロン

黒髪少女「いらっしゃいませー」

吟遊詩人「おお!美しき美女!コレは天が僕に与えた試練!彼女に愛を説けとおっしゃるのですね!」

黒髪少女「当店内での不純行為は禁止とさせていただきます。守れないのでしたらどうぞお帰りください」

吟遊詩人「ああ、何という事を!愛を語ることが不純と言うのなら、僕の行いは一体何なのだろうか」ポロロン

黒髪少女「……一応席にはお通ししますが、度が過ぎるようでしたら相応の対応をさせていただきます」

吟遊詩人「僕は構わないよ~、君が望むのなら!」ポロロン

吟遊詩人「いやぁ、しかしこんな場所にカフェがあるなんて素敵だなぁ」

吟遊詩人「果てなく続く草原に、海のように広がる広大な空、何より風が気持ちいい~」ポロロン

黒髪少女「こちらがメニューです。ではごゆっくり……」サッ

吟遊詩人「あぁ、出来れば君を頂きたいよ~」

黒髪少女「はい?」ニコッ

吟遊詩人「君を……」

黒髪少女「はい?」ニコッ

吟遊詩人「……コーヒーを貰おうかな?」

黒髪少女「畏まりました、では少々お待ちくださいませ」ニコッ

吟遊詩人「……怖いよぅ」ポロン

吟遊詩人「しかし……」



眼帯少女「……」ズズッ

金髪少女「はい、あ~んしてください♪」

赤髪男「あ~ん♪」パクッ

青髪爺「……む、この新聞はいつのだ?」パサッ



吟遊詩人「変なメンツだなぁ~」ポロロン

吟遊詩人「金髪の子は彼氏がいるみたいだし……そこの眼帯の御嬢さん~」ポロロン

眼帯少女「……私?」

吟遊詩人「そう、君さ~。どうだい?僕と一緒にお茶しないかい?」

眼帯少女「……貴方みたいな優男は好みじゃない」

吟遊詩人「おっと、コレは手厳しい」ポロロン

吟遊詩人「君のその美しい瞳に惹かれてしまったんだけどねぇ~、僕では不満だったかい?」

眼帯少女「……私の目、綺麗?」

吟遊詩人「お?そりゃあもう!まるで宝石をそのまま目に埋め込んだかのような輝きだよ!僕はメロメロさ~!」ポロロン

眼帯少女「……そう、嬉しい」

吟遊詩人(珍しくヒット!!)

黒髪少女「コーヒー、お持ちいたしました」コト

吟遊詩人「ああ、すまないね。こっちの席に持ってきてもらえるかい?」

黒髪少女「おや?ナンパに成功したのですか?」

吟遊詩人「ナンパなんて言い方酷いなぁ、僕はただ愛を語っただけなのさ!」

眼帯少女「……そういう事」

黒髪少女(……ふむ)

黒髪少女「まぁ、先ほども言いましたが、度が過ぎなければある程度の事は目を瞑りますので。どうぞご勝手に」

吟遊詩人「話が通じて助かるよ~」ポロロン

金髪少女「はい、あ~ん♪」チュー

赤髪男「あ~ん♪」チュー

青髪爺「……今にも絡み合いが始まりそうだが、アレはいいのか?」

黒髪少女「流石に止めます」


吟遊詩人「その茶色い髪も素敵だ……跳ねた癖毛も君の魅力を引き立てる」

眼帯少女「……ショートヘアー、似合ってる?」

吟遊詩人「勿論さ、君の為にあるような髪型じゃないか~」

眼帯少女「……」ポッ

黒髪少女「はい、そこまでにしましょうねあなた達は」ザシュ

金髪少女「キャアアアー!!何するんだコイツ!!」

赤髪男「」ドクドクドク

青髪爺「このくらいなら死にはしないだろう」



吟遊詩人「外野が煩いけど、君の為ならば僕はどんなことだって出来るハズさ~」ポロロン

眼帯少女「……それなら、見て欲しいモノがある」

吟遊詩人「見て欲しいモノ?何だい?言ってごらん」

眼帯少女「……本当の私。私の全て」

吟遊詩人「キタコレーー!!!」

吟遊詩人「邪なことはしていない、だって彼女が僕にすべてを曝け出して見せてくれるんだから!」

眼帯少女「……それじゃあ、よーく見ていて」

吟遊詩人「OKオッケー!瞬きはしないよ!!」

眼帯少女「……」ペラッ

単眼少女「……私、サイクロプス」

吟遊詩人「……」

単眼少女「……」

吟遊詩人「oh……」

単眼少女「……グスン」

吟遊詩人「……さて、コーヒー美味しかったし、僕はそろそろ失礼するよ」キリッ

黒髪少女「はいストップ、何ウチの子泣かせて黙って帰ろうとしているんですか?」

単眼少女「……うう……」グスン

吟遊詩人「いやぁ、魔族だなんて思ってなかったのさ」ポロロン

金髪少女「最低です」

青髪爺「同じ人間として恥ずかしいな」ズズッ

吟遊詩人「いや、そんな傷つけるつもりじゃあ……」

黒髪少女「問答無用です」ゴゴゴゴゴ

吟遊詩人「って角!?羽!?君も魔族だったのかい!?」

黒髪少女「割と見た目が人に近いもので、擬態も簡単なんですよ?」ゴゴゴゴゴ

吟遊詩人「ちょっと待って!暴力反対!」

黒髪少女「貴方が行った態度の暴力の方がよっぽど悪質ですので、ここはこの拳で沈めて差し上げます」ニッコリ

吟遊詩人「いやぁあ!ごめんなさいごめんなさい!謝ります許してください!」

眼帯少女「……」ニヤリッ

吟遊詩人「笑った!?今笑ったよね!?僕を嵌めたのかい!?」

黒髪少女「問答無用!女の子の気持ちを弄んだ罰です!!」ボギャ

吟遊詩人「」

――――――
―――

吟遊詩人「ハッ!?ここは……」

吟遊詩人「森の中……僕は一体何をしていたんだ」

吟遊詩人「むぅ、思い出せない……まぁいいか」ポロロン

吟遊詩人「さて、今日も今日とて可愛い女の子に愛を説きに行こうかなぁ~」ポロロロン

吟遊詩人「さて、森を抜けたその先には……」

ブーン

ブゥーン

吟遊詩人「一般道路だ、ファンタジーもクソも無いね!」ポロロン



「うう~、ここは何処なのじゃあ~……」



吟遊詩人「おお!あそこに見えるのはとても可愛らしい美少女!」

吟遊詩人「やぁやぁそこな道行く美少女!君のその淡く白い髪に心奪われて僕はこの旅路を忘れてしまったくらいだよ~」ポロロン

竜少女「ん?なんじゃお主?」

吟遊詩人「ああ、君に見つめられると体の感覚がマヒしそうだ!」

竜少女「ワシはそんな視線送ってはおらぬぞ?気でも違ったか?」

吟遊詩人「ああ!僕は君という存在で気が狂ってしまったようだよ!」ポロロン

竜少女「何この人怖い」

吟遊詩人「どうだい?僕と一緒に旅を語らないかい?君とならいい毎日を過ごせそうだよ~」

竜少女「え、遠慮しておく。お主のような者と語らいをすると耳が腐ってしまいそうじゃ……」

吟遊詩人「ああ、何か欲しい物でもあるのかい?僕が買ってあげるよ~何でも言ってごらん?」

竜少女「嫌じゃあああ!!コイツ犯罪者じゃあああ!!」ダダダダッ

吟遊詩人「ああ待って!僕は見た目は気にしないさ!君が小さくたって愛があれば乗り切れるはずだから!!」ダダダッ

竜少女「ロリコンだぁぁぁぁぁ!!」ダダダダッ

ドンッ

「おっと悪いな」

吟遊詩人「あいたッ!?ちょっとどいてくれよ!僕は今少女に愛を語りに……」

竜人「ほう?愛が……なんだって?」

吟遊詩人「」

竜少女「助けてくれぇ……襲われそうになったのじゃあ……」

吟遊詩人「えっと……貴方は?」

竜人「コイツの保護者だ」

竜少女「ワシは立派な竜じゃぞ!」エッヘン

吟遊詩人「あー……人じゃないんですか……」

竜人「で?愛がなんだって?」

吟遊詩人「さて……僕は新たなる愛をまだ見ぬ誰かの為に歌い続けるよ」ササッ

吟遊詩人「と、いう訳でさよならー!!」ピュー

竜人「逃がすか!!」バシュンッ

吟遊詩人「ぎゃあああ!!口からなんか出したーーー!!」


ドーン


竜少女「……ちとやり過ぎではないのか?」

竜人「まぁいいだろ、何やっても死なない気がするし」

竜少女「さて、次の街までヒッチハイクを続けるかのう」

騎士「それもそうだな」メキメキ


――――――
―――

小休止
吟遊詩人がいろんな人から爆殺されるだけのSSです

再開

吟遊詩人「あーあー、酷い目に合ったよ」デロリン

吟遊詩人「あの後病院送りにされて2週間か……うん、体調は万全!」

吟遊詩人「よし!新しい境地へ向かうためにかわいい子を探しに行くよ~」ポロロン

吟遊詩人「お!あそこに見えるのはなんか小奇麗な店……かな?」

吟遊詩人「お腹も減ったし言ってみよう~!」ピュー

吟遊詩人「お邪魔するよ~」ポロロン

店主「ゲッ、客来た……いらっしゃーい」

店員「ゲッってなんですか……いらっしゃいませ、何名様ですか?」

吟遊詩人「おお!さっそく麗しい美女発見だ~」ポロロン

店員「え!?なんですか!?」

店主「美女だってよ?よかったな」

吟遊詩人「君と巡り合えるなんて僕はなんて運がいいんだ~」

店員「えっと……どうしましょう?」

店主「一応客だ、合わせておけ」

吟遊詩人「ああ、素晴らしきバラ色の人生!君の為ならどんなことだってやってのけよう!」

店員「あー……それじゃあとりあえず何かご注文を」

吟遊詩人「メニューを失礼するよ~」ポロロン

吟遊詩人「……」



吟遊詩人「ここ、パスタ専門店?」

店主「一応端っこの方にもやし炒めと卵焼き書いてあるだろ」

店員「メニュー表書き直した方がいいと思います」

吟遊詩人「それじゃあカラスミパスタなんてのを貰おうかな?」

店主「あいよ、じゃあちょっと待ってな」

店員「それじゃあ私はサービスのコーヒーをご用意いたしますね?」

吟遊詩人「僕はコーヒーよりも君との時間を大切にしたいんだ~」ポロロン

店員(鬱陶しいなぁ)

吟遊詩人「君を一目見たときから僕は心奪われて~」ポロロロン

店員「コーヒーはよろしいのですか?」

吟遊詩人「ああ、君を見ている方が有意義なんだよ~」

店員「はぁ……」

店主「お~い、出来たぞー?」

店員「早ッ!?今回は一体何作ったんですか!?」

店主「作り置きだよ、言わせんな恥ずかしい」

吟遊詩人「客の前でそういう事を言うのもどうかと思うよ」

店員「では、ごゆっくりどうぞ」

吟遊詩人「君と二人でこのパスタを食べていたいよ~」

吟遊詩人「このパスタの麺のように僕らは長い縁で繋がっているのだから~」ポロロン

店員「正直キモいです」

店主「おい声に出てるぞ」

店員「どうぞお一人でお食べください、そちらはあなたの為だけに用意した食事ですので」

吟遊詩人「いやぁ、君が僕の為だけに用意してくれたとあっては残すわけにはいかないね!」

吟遊詩人「いただきま~す!」ポロロン

店主「食う前にハープを片付けろよ……」

店員「どうぞ、お一人で食べて苦しんでください」ニッコリ

吟遊詩人「……」モグモグモグ





吟遊詩人「ゴァ」

吟遊詩人「ナニコレ……」

店員「今回はどんなパスタを出したんですか?」

店主「あ、やっべ。カラスミ期限切れてたかも」

吟遊詩人「クルシイ、タスケテ」

店員「もう!勇者さんってばウッカリなんですから!」イチャイチャ

店主「いやぁ、こういうのは客に出す以上直さなきゃいけないんだけどなぁ」イチャイチャ




吟遊詩人「シニサラセ……オゴ」

――――――
―――

吟遊詩人「いやぁ、あの後病院に運ばれて原因不明の重体で数日入院だよ~」ポロロン

吟遊詩人「あんなの食べて無事でいられるのは人間じゃないね!」

吟遊詩人「さて、次は道なき道を突き進もうと思うよ~」

吟遊詩人「何と出会うか分からないけど、女の子との出会いがありそうだよ~」ポロロン

商人「だーかーら!!なんであなた達はそう変なものを口にしようとするんですか!?」

剣士「知らん、お前がこのキノコを見つけなければそんなことはしなかった」モグモグ

子ウサギ「ウキュウウキュウ!!」モグモグ

吟遊詩人「おお!獣人の娘と麗しき美女発見だ~。おいおい君たち、言い争いをやめるんだ~」ポロロン

商人「うわっ!?なんか変なのが出てきた」

剣士「敵か?」チャキッ

吟遊詩人「おっと待ってよ~。僕は愛の伝道師!君たち可愛い女の子の味方だよ~」ポロロン

商人「変態確定ですね……」

吟遊詩人「酷いなぁ」

吟遊詩人「本当は人外は範囲外なんだけど君は見た目がとても愛らしいから僕の目に留まったんだよ~」ポロロン

商人「いや、なんか不名誉なんですけど」

吟遊詩人「そこの青髪の君はとても美しい!どうだい、君たち。僕と夜を語り明かさないかい?」

剣士「なぁ、コイツ斬ってもいいか?」

吟遊詩人「おっと、君も雌なのかい?ごめんね~人間の姿をしてなくちゃ僕はダメなんだよ~」

子ウサギ「ギュウー……」

商人「是非斬ってください、死なない程度に」

剣士「よし」チャキン

吟遊詩人「おっと、待ってくれよ。僕は君たちを満足させてあげられるような武術は持ち合わせてはいないんだ~」ポロロン

吟遊詩人「だから、歌に乗せてこの感情を表すよ~。タイトル『優しい声は竜の唄』~♪」

商人「有名なおとぎ話じゃねーか!?あなたみたいな人に聞かされても嬉しくもなんともないよ!?」

吟遊詩人「そんな事言わずに聞いておくれよ~」ポロロン

剣士「なぁ、こいつ……」ヒソヒソ

商人「ん?なんですか?……ふむふむ」

剣士「やれるか?」

商人「多分出来ますけど、あなたズル賢くなりましたねぇ」

剣士「お前の影響だ」

子ウサギ「ウッキュウ?」

吟遊詩人「どうしたんだい?僕の美声に聞き惚れているのかな~」ポロロン

商人「はい!私たちが間違っていました!」

剣士「お前こそ本当の愛の伝道師だ……正直驚いたぞ」

子ウサギ「ウキュウ!」キメッ

吟遊詩人「おお!分かってくれた少女たちよ~」

商人「それで……そんなあなたに相談なんですけど~」

吟遊詩人「何でも言ってごらん!僕は君たちの為ならなんだって力を貸してあげるよ~」ポロロロン

吟遊詩人(よし!かかった!)

商人(よし、かかった!)

商人「実は、私たちは旅商人をしているんですけど……」

吟遊詩人「おお、君の和風ルックなその姿はそれを意味していたんだね~」

商人「ヨヨヨ……最近軌道に乗らず、物も売れずに在庫を抱え」

商人「破産の危機に陥っているのです!!」ナミダナミダ

剣士「私たちの力ではどうしようもない……ああ、あとは飢え死にするだけだ……」ナミダナミダ

子ウサギ「キュー……」ナミダ

吟遊詩人「可哀そうに……僕は君たちに協力してあげたい!君たちの努力の糧になってあげたい!」

商人「と、いう訳で。この万能電子辞書15個セットを……このお値段で!」カタカタチンッ!

吟遊詩人「うわ……ちょっと協力してあげられそうにないよ~」

剣士「私たちの明日が……かかっているんだがな……残念だ」

商人「そうですねぇ……体を売らなきゃいけない日が来るなんて思ってもみなかったですよ……」

子ウサギ「ウキュウ……」

剣士「どうせ体を差し出すなら惚れ込んだ男が良かったな」

商人「ああ、これを全部勝ってくれる人が私たちの運命の人かも知れなかったのに……ッ!!」

子ウサギ「ウーキュー」キメポーズ

吟遊詩人「ちょっと近くの銀行でお金引き出してくる」ダダダッ



商人「」無言のガッツポーズ

剣士「」無言のVサイン

子ウサギ「ウキュウ!」ブイッ

――――――
―――

吟遊詩人「後日、詐欺だと気が付いた僕は警察に相談するも」

吟遊詩人「契約書やら何やらがキッチリ残っていたため立証できず、正式な取引の上で成り立ったものだとはっきりと言われた」

吟遊詩人「僕の純粋無垢なこの感情を弄んだ彼女たちを僕は決して許すことは無いだろう」

吟遊詩人「次はそんなことに引っかからないように、可愛い女の子を探すぞ!!」

小休止
酔っぱらっているときに書くのが一番だね!

再開

吟遊詩人「そうこう言っているうちにちょいと良さげなお屋敷がみえるよ~」ポロロン

吟遊詩人「麗しき乙女が似合いそうな屋敷だ~」

少女「……」

吟遊詩人「君の真っ赤な瞳が僕を映すよ~」ポロロロン

少女「誰?」

吟遊詩人「僕は愛の伝道師~、通りすがりの語り部さ~」

少女「……パパー、変態さんが来たー」タッタッタ

吟遊詩人「おいちょっと待て!?変態扱い!?」

怪人男「ちょっと!外に出ちゃダメって言ってるでしょ!」

少女「うるせぇクソ魔王、いつまでも娘を束縛してんじゃねーぞ」

怪人男「そんな言葉どこで覚えてくるんですかもう……」

吟遊詩人「おっと、こんなところに悪の幹部っぽい見た目の怪人が~」ポロロン

怪人男「突然失礼な人ですねぇ、こんなんでも魔王ですよ。あなたは何者ですか?」

少女「変態さん」

吟遊詩人「愛を語る紳士と言ってほしいな、お嬢ちゃん~?」ポロロン

怪人男「こういう人がいるから外は出歩いちゃダメなんです」

少女「一理ある」

吟遊詩人「無いよ!?」

吟遊詩人「父親ばこんなのでも娘さんはとてもかわいいね~、どうだい?僕のお嫁さんになる約束でもしないかい?」

少女「うわ、こいつロリペド野郎だ」

吟遊詩人「可愛い顔してえげつないこと言うねさっきから!?」

怪人男「ちょっとやめてください!まだ年頃の女の子なんですよ!?あなたみたいな変な人を見て影響を受けちゃったらどうする気ですか!?」

吟遊詩人「見た目がそんなあなたがそれを言うか!?」

少女「おい、顔真っ青で変に角とか牙とか生やしてるおめーの方がよっぽど悪影響だクソ魔王」

吟遊詩人「敢えて言わなかったこと全部言っちゃったよこの子!?」

怪人男「親に向かってなんですかその態度は!」プンプン

少女「プンプンしてりゃあ可愛げあるとか思ってないだろうなパパ」

吟遊詩人「あのぅ、僕を置き去りに二人で話さないで……」

怪人男「こうなったらオシオキです!おしりペンペンしてあげます!」

吟遊詩人「おお!可愛いプルンとした桃のような生尻を拝めるんだね~」ポロロン

少女「古い教育だ、変態パパはこの手で滅する」グォォォ

怪人男「え!ちょっ!ダメですよ!こんな場所で大きな空間魔法を使ったら……」

少女「何か知らんがくらえ!」ギュオオオオン

怪人男「ぎゃああああ!吸い込まれるううううう!!」ビュウウウン

吟遊詩人「僕何もしてないのに巻き込まれるうううううう!!」ビュウウウン




少女「ふぅ、悪は滅んだ」キリッ

――――――
―――

吟遊詩人「……ハッ!ここは!」

怪人男「ここは次元を超えた先です……明確な場所は分かりません」

吟遊詩人「うわ!?びっくりした!?」

怪人男「うう……苦節十数年、娘が生まれてからというもの娘の方が圧倒的に力が強くて親としての面目が……ウルウル」

吟遊詩人「単純に力関係じゃなくてあなたの態度にも問題あると思うんですけどねぇ~」ポロロン

吟遊詩人「で、ここがどこなのかが分からないって?」

怪人男「はい、過去なのか未来なのか。はたまたまったく別の世界なのか」

怪人男「娘の力は強大で時たまこんな現象まで引き起こしてしまうんですよ~」

怪人男「元の座標で待ってればそのうち元に戻そうとする世界の引力に引っ張り上げられるんですけどねぇ。ここから動かないように……」

吟遊詩人「あ、僕の女の子センサーに何か引っかかった!あっちだ!」ピュー


怪人男「……人の話聞けよ」

吟遊詩人「そこの御嬢さん~僕と一緒にお茶しないかな~。君のその淡く白い髪に心奪われて~……って、アレ?」

巫女「はい?なんでしょう?」

吟遊詩人「……君、数日前に会わなかった?」

巫女「う~ん……ここ数日は竜神さまのところにいたからなぁ」

巫女「ごめんなさい、人違いじゃないですか?」

吟遊詩人「いやいやそんなことは無いよ~、きっと運命なんだよ僕らが出会う事は~」ポロロン

吟遊詩人「ほら、傍にあんな竜みたいな化け物もいないし僕らで愛を語ろうよ~」

巫女「……竜が化け物?」プチン

吟遊詩人「どうしたんだいそんな怖い顔s」

巫女「そこに座れ」

吟遊詩人「おいおい、可愛い顔がだいn」

巫女「座れ」

吟遊詩人「……はい」


吟遊詩人(その後、僕は数時間に渡り、竜の生い立ちや竜の素晴らしさを説かれた)

吟遊詩人(その手のマニアって怖いよね、地雷踏むとこんなことになっちゃうんだもん)

巫女「分かりましたか?竜は偉大な生き物なのです!」エッヘン

吟遊詩人(にしても、この子可愛いよなぁ)

巫女「ところで、愛を語ると言っていましたが。あなたはどんなことを私に語るつもりだったんですか?」

吟遊詩人「待ってました!君の口から僕の声が聴きたいってその言葉を!!」

巫女「そんなこと言ってませんけど……」

吟遊詩人「では朝まで語ろうその言葉を~」ポロロン

巫女「あ、いえ、今昼なんですけど……」

怪人男「ちょっともう何やってるんですか!」ガサ

吟遊詩人「ちょっと!離して!僕は彼女と人との営みについて詳しく……」

怪人男「あ、お久しぶりです~」

巫女「え?どなたですか?」

怪人男「いやねぇ?この人ちょっと頭のおかしい人なんですよHAHAHA」

怪人男「と、いう訳で病院に連れて行きますね~。ホラ早くしないと帰れなくなっちゃいますよ」ズルズル

吟遊詩人「嫌だぁ!僕は彼女と夜を共に過ごすんだあああ!」ギュウウン

怪人男「それではごきげんよう」ギュウウウン



巫女「消えちゃった……あの人たち私の事知ってたみたいだけど誰だったんだろう?」

――――――
―――

吟遊詩人「気が付いたら森の中に捨てられていた」

吟遊詩人「あの怪人さんも何処にもいないし、全部夢だったのだろうか」

吟遊詩人「何はともあれまだ生きている!生きている限りは絶望はしないぞ!」ポロロン

吟遊詩人「おっとあっちから小柄な女の子がやってくる!急いでいかなければ~」ダダダ

鎧少女「こんな森の中に転移反応があったのか?」

仮面男「ああ、聞いた話によれば……今回の依頼はそれを調べるだけだが」

鎧少女「もっと体を動かす依頼を受ければよかったな、最近運動不足だ」

吟遊詩人「いやぁ、運動不足でもその鎧の上からでも分かる華奢な体つきはまるで君という存在すべてを言い表す形となっているんだよ~」ポロロン

鎧少女「……おい、なんか出たぞ」

仮面男「……ッ!」

鎧少女「それに今の言い回しはなんだ?言語がおかしいぞ?」

吟遊詩人「詩人のそれは型には嵌らない独特の言い回しがあるのさ~」ポロロン

鎧少女「で、なんだ?私を口説いているのか?」

吟遊詩人「口説くなんて恐れ多い!君のよう天使……あいや、女神にも勝るその美しさの前ではどんな男性も口を閉ざしてしまうよ~この僕以外はね!!」ポロロロン

鎧少女「確信をついてるんだかそうでないんだか……どうする?絞めるか?」

仮面男「いや、その必要はないよ」

吟遊詩人「おっと、そこの仮面被った凄いビジュアルの君は彼女のお兄さんかな?」

仮面男「……君、昔どこかで私と会ったことは無いかな?」

吟遊詩人「君のような見た目の人だったら僕は絶対忘れないと思うなぁ~」ポロロン

仮面男「20年ちょっと前くらい……かつて勇者のお供として旅をして……」

吟遊詩人「んぐ!?」

仮面男「志半ばどころか旅に出た直後に挫折して、そのままトンずらこいて……」

吟遊詩人「んごご!?」

仮面男「そんな情けない男がいたなぁ……君、あの時の戦士だろ?」

吟遊詩人「なっななななな何を言っているのかな君はぁあっははははは!?」

鎧少女「知り合いか?」

仮面男「昔のね」

吟遊詩人「ぼっぼぼ僕は生まれてから死ぬまで吟遊詩人を貫いた男だよ!そんな戦士の話しらないね!!」ドドドン

仮面男「40超えたいい年したオッサンが何をやっているんだか……」ハァ

吟遊詩人「君は一体誰なんだよ!?変な言いがかりはよしてくれよ!?」

仮面男「当事者だよ……この顔に見覚えはないかい?」カメンハズシ

吟遊詩人「勇者……さん」ピシッ

仮面男「覚えていてくれてありがとう、それじゃあ昔のよしみだ。妻を口説いたことは水に流そう」

吟遊詩人「妻って……え!?子供じゃん!そうじゃないかとは思ってたけどアンタ何ホントに手ぇ出しちゃってるの!?」

鎧少女「私はこれでも大人だバカが!子ども扱いすんな!!」カチャッ

吟遊詩人「お尻に槍!!」ズブリ♂

仮面男「……行こうか」

鎧少女「そ、そうだな……気分が悪い……」

吟遊詩人「」

仮面男「……まぁ、かつての知り合いが生きていた事を、心から嬉しく思うよ」

鎧少女「お前はそういうところは律儀だなぁ」

――――――
―――

吟遊詩人「目が覚めたらまた森の中だった」

吟遊詩人「お尻が痛い、それと同時に」

吟遊詩人「僕の心が痛い」

吟遊詩人「同期がお嫁さん貰ってよろしくやってんのに、僕はこのザマである」

吟遊詩人「……誰か僕を愛してくれよぉぉぉぉぉぉ!!!」ポロロロロン

美少女「あのう……」ヒョコ

吟遊詩人「美少女キタコレ!!これで最後だ!これでダメなら僕はもう首を括る!」

美少女「ヒッ」ビクッ

吟遊詩人「ああ怖がらないで?僕は愛を語る者、決して怪しい者ではないよ?」

美少女「は、はい……」

吟遊詩人「ところでどうしたんだい、こんな森の奥で。一人でいるには危険だよ~」ポロロン

美少女「いえ、何かおぞましい叫び声が聞こえたのでここに来たんですけど……」

吟遊詩人「ああ!恐ろしい魔物が近くにいるんだね~!僕が君を守ってあげるよ!」

吟遊詩人「言えは近くなのかい?僕が送るよ、決して送り狼なんかじゃないけどねぇ~」ポロロン

美少女「あ、いえ、そんな……悪いですよ」

吟遊詩人「悪くない悪くない!是非送らせてくださいこの通りです」ヘコー

美少女「分かりました……ではお願いします」ニコッ

吟遊詩人「おお神よ……貴方のご厚意に感謝いたします!このチャンスを決してのがしたりはいたしません!」

美少女「ではこっちです、着いてきてください」

吟遊詩人「はいは~い♪」ポロロン

美少女「この家です」

吟遊詩人「こりゃまた質素な……ご両親はいないのかな~?」ポロロン

美少女「別居しているので一人で細々と暮らしています……お礼がしたいのでどうぞ中へ」ガチャ

吟遊詩人「親が別居中で一人暮らしで尚且つお礼がしたい!!アレしかないだろもう!!」

吟遊詩人「お邪魔しま~す」ポロロン

美少女「準備が必要ですのでそこに掛けて待っていてください」

吟遊詩人「わかったよ~君の為に歌を作って待っているよ~」ポロロン

美少女「では……フフフ」

吟遊詩人「胸が高鳴り期待が膨らむ~」ポロロロロン

吟遊詩人「……」ポロロン

吟遊詩人「……」ポロロロン

吟遊詩人「……」デデンデンデデン!!

吟遊詩人「……彼女、遅いなぁ。ちょっと部屋を覗いちゃおうかな?いや、別にヤラシイ意味じゃなくてね?」

吟遊詩人「それじゃあ失礼しま~す」ギィ……


シュッシュッ

美少女「お婆ちゃん、まだ?」

老婆「ヒッヒッヒ、もうちょっとだよ。この包丁であの男の肉を細切れにするまで待っておいで」シュッシュッ

美少女「お肉、久しぶりだもんね」

老婆「男は筋が多いから、本当は若い娘が良かったんだけどねぇ……ま、いいさ。腹には行っちまえば同じさ」




吟遊詩人「」

吟遊詩人(ヤバイヤバイヤバイヤヴァイヤヴァイヤヴァイ)

美少女「でもやっぱりこの姿だと引っかけやすくなるんだね」

老婆「男は下心見え見えさね。ちょいと隙を見せればホイホイ着いてくる」

美少女「あー、お夕飯楽しみ。……ちょっと味見しちゃおうかな?」

老婆「ほどほどにねぇ。生より調理した方が美味しいんだから」

美少女「わかってるって」

吟遊詩人「」ガタッ

美少女「あ!、見られてる!」

老婆「おやおや、知られちまったねぇ」

吟遊詩人「き……」

吟遊詩人「きいいいいぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!!!」ダダダダダダダダ

美少女「逃げたよお婆ちゃん!!」

老婆「追うんだよ!!」



吟遊詩人(僕は逃げた、一心不乱に逃げた)

吟遊詩人(走って走って流れる汗もそのままに逃げた)

――――――
―――

吟遊詩人「いやね?もう命を諦めかけたんだけどねぇ」

吟遊詩人「その後に偶然別件で来ていた冒険者2人組に、その人食いは瞬殺されちゃったって話なんだよ~はっはっは」ポロロン

吟遊詩人「世間は広いねぇ……あんな恐ろしい魔物を倒しちゃうのがいるんだもの」ポロロン

黒髪少女「……それで、なんでまたここに来たんですか?」

吟遊詩人「出禁喰らった訳じゃないじゃない~?だから偶然また辿り着いたこのお店に寄ったって訳さ☆」

黒髪少女「……」

黒髪少女「申し訳ありませんがあなたに出す物はありません、出て行ってください」

吟遊詩人「ダメだよ?そんな眉間に皺よせちゃあ。美麗な君の肌が弱ってしまうよ~」ポロロン

吟遊詩人「あ、そういえばずっとこのハープ鳴らしてるけど、この擬音は決して在らぬモノを出している音じゃないからね?」ポロン

黒髪少女「……」

吟遊詩人「出してるわけじゃ」ポロン

黒髪少女「出 て 行 け」


ザシュッ

――――――
―――


吟遊詩人「なんだかんだであの店に立ち寄ってから僕の旅は面白い方向へ向かっていったねぇ」ポロロン

吟遊詩人「可愛い女の子も沢山見てきたけど……いやぁ、レベル高い子ばっかりだったなぁ」

吟遊詩人「まだまだ語り足りないけど、僕は愛を伝える者として決してめげないのよ~」ポロロン

吟遊詩人「いざ行け吟遊詩人!僕の愛はこれからさー!!」ポロロン ガギン

吟遊詩人「……」

吟遊詩人「ハープ壊れた……」




吟遊詩人「僕は愛の伝道師~」

終わり

過去SS読まなきゃ分からない内容の数々
そう、この誰も見ないであろうSSこそ私の真骨頂 楽しかったし
もし見てた人がいたらお付き合いいただき、まことに申し訳ありませんでした

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