異能武具商人は生死を賭けたゲーム主催するようです (17)


初めまして、今、貴方の夢の中にお邪魔しています。
私は………武器を売る、商人、とでも言いましょうか。


えぇ、私は、今貴方に武器をお売りしようと考えております。
いえ、決して強要では御座いません。


勿論お金も要りません、送料無料となっております。
ただ、一つだけ条件が御座いまして。


……えぇ、私が主催する"ゲーム"の参加が条件です。
"ゲーム"とはジャンルにして言えばサバイバルゲーム、それも現実世界に置いての生死を賭けた闘争で御座います。


スポンサーは武具を提供してくださる、六社の方々。勿論私を含めて七社の提供者によって成り立っております。
このゲームは、武具を使用できる可能性を持つお方のみに声をかけております。


貴方様がゲームに参加なさる、と言うのであれば、ルールの説明と武具をお渡ししたいのですが……



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1444315540


参加する?これはこれは、有難う御座います。
それでは早速、書類と契約書を。


片方は住所や年齢、特技や趣味をお書きください。もう片方は生死に関して責任を取らないと言うアレです。
………はい、有難う御座います。それでは"ゲーム"のルール説明をさせていただきます。


"参加者は百二十名となっております"

"勝敗の有無は参加者が武具を破壊された場合か、辞退を宣言する事です"

"武具は複数持つ事が可能です。ただし同じ貴社の武具は装備不可となります"

"参加者の武具を強奪することが可能です、その場合は利用の再契約が必要となります"

"同じ貴社の武具が揃った場合、どちらか片方を棄てるか、武具の片方を使用する武具に【強化】させてください"

"参加者が最後の一人になった場合、その参加者を優勝者として決定します"

"優勝者には、六の貴社のうち、理想の武具を作成しプレゼントすることを約束します"


以上がゲームのルールとなっております。


さて、ではそろそろ武具をお渡しいたしましょう。

予め武具の数が決定されていますので、丁度貴方が百人目です。

さあ、お受け取りください、それが貴方の武具で御座います。




【名称】Dr.トイフェル
【形状】ガスマスク
【属性】毒
【製作】オーボマックス製
【能力】
LV1、『固形毒を作り出す能力』
【詳細】
仮面の口元には穴が開いており、其処から毒を発射します。
また、装着型ではなく浮翌遊型である為に装着する必要はありません。


以上で説明を終わらせていただきます。

夢から目覚めれば、貴方の手元にその武具を持っていることでしょう。

それでは、貴方が優勝者である事を願って。

"夢からお覚め下さいませ"

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―――――

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―――

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―。


商人「………いやあ、これで全員揃いましたなぁ、皆様、いえ、提供者の社長殿」

オーボマック社の社長「えぇ、面白くなりそうで」

リライト社の社長「このゲームを参考に、もっと素晴らしい兵器を作りますよ」

ダービスイ社の社長「しかしそうはいいますが、リライト製のは少し見劣りがあるのでは?」

ロクメイル社の社長「なぁに、誰もが最強の武器など作れるはずも無い、形、性能、使いやすさ、全てが満点な兵器など無いのだよ」

アノーウン社の社長「それはロクメイル社の教訓ですかね?」

クイーク社の社長「言ってろババア」

商人「ははは、元気が良い事で」



商人「しかし、まあ良く引き受けてくれましたね、大量殺人が起こりそうなゲームの関係者となるなんて」

リライト社の社長「ですから、兵器改良の際の実演実験ですよ」

ダービスイ社の社長「そうそう、何だかんだ言っても、私達は"利益"よりも"成果"が欲しいのですよ」

アノーウン社の社長「金など有り余る、けれど兵器を使う場所も権利も無い」

クイーク社の社長「お前が一定範囲の使用を国から許可されていなければ、態々こんな話に乗るかってんだ」

ロクメイル社の社長「そう、私それでお聞きしたかったのだけど、一体何をすれば国の政府を買収できたんですか?」

商人「なに、簡単ですよ、核兵器も武具も、私の伝でそろえました、世界各国の核兵器は、全て私が用意したといっても過言ではありません」

オーボマックス社の社長「いや三十七%が私の武器を使用する国があるのだが」

商人「……まあ、何はともあれ、私は唯、人間の狂気が何処まで鋭利で人を殺せるか、ただそれだけに興味があるだけです」

商人「だって、わくわくしませんか?誰もが憧れた異能力バトルが、実現して見れるんですから!!」

眠いんで今日はここまでで。
適当に武具の募集とかしております

【名称】Dr.メフィストフェレス
【形状】スプレー缶
【属性】闇
【製作】オーボマックス製
【能力】
LV1、『闇を作り出す能力』
【詳細】
スイッチを押すとノズルから闇を煙のように噴射します。
持ち主は闇に視界を遮られることはありません。

【名称】ウィツィロポチトリ
【形状】弓
【属性】光
【製作】リライト製
【能力】
LV1、『光を撃ち出す能力』
【詳細】
弦を引いて離すと光の矢を撃ちだします
初速は光速ですが、距離に反比例して速度は落ちていきます。

【名称】ウォーター・リーパー
【形状】軍靴
【属性】水
【製作】ダービスイ製
【能力】
LV1、『水をはじき飛ばす能力』
【詳細】
軍靴に触れた水を指定方向へはじき飛ばします。人間など水を多く含むものもはじき飛ばせます。
応用すれば水面や濡れた地面の上を高速移動できます。

【名称】ムビエル・ムビエル・ムビエル
【形状】シャベル
【属性】土
【製作】ロクメイル製
【能力】
LV1、『壁を作り出す能力』
【詳細】
シャベルでなぞった箇所から石壁がせり出します。
また、せり出した石壁は発生箇所と同化しています。

【名称】ベテルギウス
【形状】火炎放射器
【属性】火
【製作】アノーウン製
【能力】
LV1、『炎を操る能力』
【詳細】
火炎放射器から発生させた炎を操ります。
ただし、燃え移った炎は操れません。

【名称】フォルティッシモ
【形状】笛
【属性】音
【製作】クイーク製
【能力】
LV1、『音を増幅させる能力』
【詳細】
笛で発生させた音を増幅させます。
また、持ち主は音による被害を受けません。




私は死に場所を求めていた。

何て事は無い、私は人生を終えたのだ。

長き夜を見続け、長き朝日を待ち遠しくもあった。

私は五十年という年月を生き過ぎたのだ。

かつての若き姿の面影は無い。

白に染まった髪と、皺だらけの顔。

闘争など最早過ぎ去りし思い出しかない。

故に、私の死場は戦場だと思っていた。

姿形、たとえ老兵と蔑まれ様と

私は戦争の為に足を動かし、戦争の為に命を投げ出したかった。



「―――ハ、ハハハ」



心が躍った。

この老いた男に、闘争の権利を、殺人の権利を与えてくれた。

これは一体どう言う事だろうか?死に場所を求め、戦いの果ての死を望み、しかしそれが叶わぬ願いだと理解していた。

けれど、今掌に、今目の前に、狂気と叫喚か渦巻く闘争の世界が広がっているではないか?

誰が用意してくれた?誰が最高の死に場所を送ってくれた?

感謝してもしきれない。花を添えるだけではなく墓を作ってくれたその感動に、言葉にして表せない。




ただ一つ。不満を言うのであれば扱うべき得物の制限と選択の権利の剥奪。

そして選ばれたのがガスマスクの形状をした異物能力。

その効力は"毒"【固形毒を生成する能力】と聞かされる。

成る程それは分かりづらい、固形、と言うなれば固まっているのか、それとも泥のような形状が溶けやすい性質か。

どちらにせよ使ってみなければならない。

これからの戦いに、自らの得物の能力すら分からないとは笑い話にもならない。





「【Dr.トイフェル】」




浮遊するガスマスクから噴出したのは固形物。

四角形状をした紫色の、毒々しい物質の生成。

"成る程。この様に成っているのか……触れた感じ、鉄と変わらないが、耐久は如何程か?"

傍にあった石で毒物質を叩きつける。

全力で叩きつけた結果、双方に傷跡は付かなかった。

"とすれば、硬度は少なくとも石以上ある、と言う事で良いのかな?"

毒物質を握り、どうすれば形状が変化するのかを思考する。

石以上の硬度であれば、嘗て使っていた我が得物である"刀"への形状変化を望むが。

その必要は無かったらしい。

"念じただけで形状が変貌した?姿形、大きさを含めても物量を越えている"

つまりはガスマスクから発せられる毒物質に触れ、さらに念じる事でその毒の形状変化が可能と予測する。










家を出て、外に出る。

ゲームの範囲はこの街一体と言っていた。

故に外に出れば何れは戦うべき相手に出会える。

"しかしそれでも、闘争をするならば勝利がしたいものだ"

"で、あれば、百二十人の中で闘争を行い、私が最後の一人になるのは確率が低すぎる"

"となれば、確率を上げるには自らを支持する者を増やす他成るまい"

となれば、まず探すのは人の多い場所。

そして狙うは、多勢に無勢の状況である。

絶体絶命の時、突如として現れる救世主。

死を覚悟していた瞬間の救い程信仰されやすい、昔戦場の先住民にやった手口である。

ベタであるが効果は絶大。

となれば、向かうべき場所は決定した。





【名称】ロストナンバー
【形状】右手から肩にかけた範囲を覆う機械義手のような形状の手袋
【属性】電気
【製作】アノーウン製
【能力】
LV1、『機械のハッキング・操る能力』
【詳細】
装着者自身を中心として広範囲の機械をハッキング・操れる
ただしゲームバランスのために「ゲーム」に使われる武具には効かないよう調整されている(直接触れれば触れている間だけ操れる)

かつて世界大戦で導入される予定だった個人使用の兵器を資料から再現強化した武具
当時は導入どころか「机上の空論以下」とされ、試作機の検討もされる前に開発破棄されたもの
名前すら付いてなく製作ナンバーも付かずに棄てられた、それ故に「ロストナンバー」

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