カンムス観察バラエティモニタリング (74)

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艦これ×天華百剣 編

川д川 ウホウホ!!鎮守府に颯爽と登場した貞子ゴリラ、トランスフォームウホ!!
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【艦これ】艦天って略すとカロリー低い食材みたい 第一章【天華百剣】
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【艦これ】艦天って略すとカロリー低い食材みたい 第二章【天華百剣】
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『艦天って略すとカロリー低い食材みたい』 幕間
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【艦これ】艦天って略すとカロリー低い食材みたい 第三章【天華百剣】

【艦これ】艦天って略すとカロリー低い食材みたい 第四章【天華百剣】
【艦これ】艦天って略すとカロリー低い食材みたい 第四章【天華百剣】 - SSまとめ速報
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【艦これ】『Last one week & Epilogue』【天華百剣】
【艦これ】『Last one week & Epilogue』【天華百剣】 - SSまとめ速報
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SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1676189252

朝潮型駆逐艦『霰』。叢雲、天龍、朧と並ぶ我が鎮守府の最古参にて、遠征部隊長の座に着く幹部の一人
単純な戦闘力こそ控えめ(当鎮守府比)だが、彼女が率いる部隊の遠征成功率は驚異の九割を誇る縁の下の力持ちだ
それ故に留守も多く、彼女の我儘を叶えさせる機会も乏しい。だからこそ、俺は霰ちゃんに対して心に決めたことが一つある



霰「モニタリングしたい……です……」

( T)「いいよ!!!!!!!!!!」



彼女の要望は、例えどんな無理難題であろうと応えてやろうと可愛いなぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!霰ちゃんは!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!おっちゃんがなんでも買うたろうやないかーーーーーーーーーーーーい!!!!!!!!!!!!






カンムス観察バラエティモニタリング




.

( T)「何の?????????」

霰「何の……?」


モニタリングとは、監視、観察を意味する英単語だ。主に一定期間の観察記録を取る時などに使われる
つまり、モニタリングを行うには観察する『対象』が必要であり、それを提示してもらわない限り手の打ちようが無い
俺の困惑を知ってか知らずか、霰ちゃんは首を傾げて不思議そうに目を向けてくる。うーん優勝!!可愛いの世界王者!!


(;T)「ッスゥーーーーーーーーーーーーー…………」

霰「霰、この前テレビで観た……歌手の人とか……変装するの……」

( T)「あっ、ああー……そっちかぁ」


なるほど、合点がいった。2012年から放送している番組、『ニンゲン観察バラエティモニタリング』をやってみたいってことらしい
一般人に向けて芸能人、有名歌手を起用してサプライズを行う、ややヤラセ臭いものの人を傷つけないドッキリ企画が人気を博している
遊びでやるにはちょいと大掛かりな気もするが、他でもない霰ちゃんの頼み。ここはひと肌脱ぐしかあるまい


( T)「なんか案はあるのかな?」

霰「松潤……」

( T)「松潤は荷が重ぇ」


どうする家康って感じの無茶振りだった

( T)「松潤手配するってなると時間が掛かって、かつ司令官が刑務所にぶち込まれるけどそれでも良い?」

霰「良くない……やめる……」


オッケェ~~~~~~~~~~~~!!!!!!!フゥーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!ジャニーズ誘拐でブタ箱にぶち込まれずに済んだァーーーーーーーーーーーーーッス!!!!!!!!!!!!


( T)「よしじゃあ……どんな実験するか一緒に考えよっか」

霰「んちゃ」

( T)「飴ちゃん食べな?」

霰「うん」


北の大地が産んだ最強飴ちゃん飴屋六兵衛本舗のりんご飴を与え、霰ちゃんを執務椅子に座らせる。この飴ちゃんマジ美味いんすよ
手始めにモニタリングが行った数々の企画を調べる為に、PCで検索を掛けたうわベッキーの変装企画懐かしいなオイ


霰<ボリッ……ボリッ……

( T)「……」


ちっちゃなお口にエグい咀嚼力


霰「ベッキー……なんで居なくなったの……?」

( T)「なんでやろなー」


私以外私じゃない奴と色々あったからやとは言えなかった

( T)「もしも老人がスーパーアスリートだったらとか……60秒間だけ有名人に会えたらとか……やっぱ著名人の起用物が多いなー」

霰「心霊企画は……?」

( T)「みんな慣れてるだろ……」


そう、ここは魑魅魍魎の巣食う地獄の血みどろマッスル鎮守府。オバケ騒ぎは日常茶飯事なのである


( T)「公衆の面前でカラオケして高得点出したら賞金か……こういうご褒美アリなのもいいなぁ」

霰「ね……」


なんだかワクワクして来ちゃった所で、ノックの音が響く。「どうぞ」も待たずに入室して来たふてぇ女は皆さんご存知


青葉「おやおや、小さくて可愛い司令官ですね」


記者キャラ気取りの戦闘キチガイだった


( T)「へへっ、よせやい」

青葉「オデは洞穴に帰ってください」


むちゃくちゃにしてやる


青葉「調べ物ですか?霰さん」

霰「モニタリングを、します……」

青葉「何の?」

( T)「テレビのヤツだよ」

青葉「あー、あのヤラセ番組ですね」


めちゃくちゃ言うじゃんこいつ

霰「ヤラセじゃないもん……!!」

( T)「取り消せよ……今の言葉……!!」

青葉「はいはいすいませんねぇ。でも、司令官が自殺したーだの急に辞めることになったーだの、結構怖いドッキリ仕掛けて反応を見るんですか?最悪殺されますよ司令官?」

( T)「そういうショッキングなやつはしねーよ」

青葉「そこまで命知らずじゃないですよねぇ。でも、他所の鎮守府だとちょくちょく耳にする悪ふざけみたいですよ?」

( T)「胸糞悪ぃことをよくもまぁ……」


今でも艦娘を犬猫か何かと勘違いしてるカスは一定数いるらしい。犬猫にもそんな真似するなカス


青葉「青葉にも一枚噛ませて貰ってもいいですか?こういう企画、割と楽しそうですし」

霰「いいよ……」

( T)「お前あんま無茶言うなよ……」

青葉「『もしも司令官が何されても動かなかったら』とかも?」

( T)「榛名で詰む」


具体的にどう詰むのかは霰ちゃんの前なので言えなかった

( T)「後は叢雲に話通して……」

霰「え……ターゲットになってもらいたい……です」

(;T)「そうしよっか!!!!!!!!!!」

青葉「声が上ずってますよ」


下手したらボロクソに怒られるけど、霰ちゃんが死ねと言うなら俺は死ぬ。コエッ……コェェヨ……震えるなこの足め!!


青葉「まぁまぁ、先に何やるか決めましょうよ」

( T)「言っとくが企画は霰ちゃん主体だからな!!俺らはその案にいい感じの意見を出すだけだからな!!」

霰「任せて……」


得意げにサムズアップを見せる霰ちゃん。頼り甲斐があってしかも可愛い。敵連合で言う所のトガちゃんの可能性がある
かくして、霰ちゃん主催カンムス観察バラエティモニタリング企画会議が始まったのであった

~会議の様子ダイジェスト~ ヤッチマイナー!!!!!!!!!!


霰「芸能人を使うのは出来ないから……変わったサービス系とかがいいかも……」

青葉「執務室で急に豚骨ラーメン作るとかですか?」

( T)「俺それYouTubeで見た事あるかもしれない」


喧々諤々!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


霰「那珂ちゃんにお願いして……どっちが本物の歌声か見抜いてもらう……」

青葉「宮本浩次歌って貰いましょうよ」

( T)「でも絵的に映えな……宮本浩次???????」


阿鼻叫喚!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


霰「司令官に……ゴリラになってもらう……」

青葉「元からゴリラじゃないですか」

( T)「さぁ!!良い子のみんな!!元気だったかな!!ビーストウォーズが始まるぞ!!では、行ってみよう!!」 ※WAR WAR 争いはSTOP IT


超生命体!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 


発案がまともなのばっかで特に滞りなくトントン拍子でモニタリング内容は決まっていった

青葉「後は、カメラ仕込んでモニタールームの設置ですね。ここは青葉に任せといてください」

霰「ワクワク……」


アーニャなんか目じゃないくらい可愛い


( T)「俺も仕入れとぉ……家具職人妖精さんに話通して……霰ちゃんは熊野に動物の毛皮を用意してもらうようにお願いして貰えるかな?」

霰「いいともー……」

( T)「飴ちゃん食べな?」

霰<ボリッ……ボリリン……

青葉「歯ぁ強いですねぇ霰さん」


決行までの一週間。執務室の内装変更や野生動物の素材手配担当に協力を要請し、水面下での準備が進められた

~決行当日~ ワォ!!!!!!!!!!!!


( T)「……」

叢雲「……」


【もしも、執務室がラーメン屋になっていたら、副司令艦は怒る?怒らない?殺す?殺さない?本当に殺さない?大丈夫?ねぇ、瞳を逸らさないで】


( T)「ごぉ新規一名様ご来店えーーーーーーーーーす!!!!!!!!!!!いらっしゃっせぇーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」

( T)「イラッシャッセェー!!!!!!!!!!!!」(裏声)

叢雲「……」


忘れられがちだが、執務室は模様替えが自動で行える仕様となっている
艦隊戦とは一ミリも関係ない『家具職人妖精さん』にお願いして、床ギトギトメニュー茶ばみの古き良きラーメン屋セットを用意してもらった
後は適当に端末ポチポチやって家具の配置換えを行えば、マッスル鎮守府一日限りのラーメン屋が完成だ


叢雲「……」

( T)「ラッシャッセーーーーーーーーーーーーーーイェイ!!!!!!!!!!!!!」


『怯んだら殺られる』。俺はそう確信した


《怖ぁ……》


インカムから鎮守府最強の弱音


《ンフフ……》


霰ちゃんが笑ってくれるなら俺は右脚切断して食うよ

叢雲「……」


初めて出会った時以上の無表情のまま、叢雲は無言でカウンターテーブルに座った
あれ?怒ってない?いやこれ試されてる可能性がある。ここでふざけたラーメン出したらすぐさまぶっ殺そうという『スゴ味』があるッ!!
だかこちとらマッスル鎮守府司令官兼お台所番長にしてSUSURU TVとおうち麺 TV.のチャンネル登録者。その辺のクソザコナメクジと一緒にしてもらっちゃ困る


( T)「はいラーメン一丁ーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」


鯛を基本とした魚介系スープ。かえしは塩ベースであっさりと仕上げる
麺は薄めの平打。茹で時間を長めにとって舌触りと喉越しを重点に置く
鯛あらと薄切りの刺身でトッピング。仕上げに柚子皮を散らしてなんか……塩漬けの花……みたいなのをチョンと置けば


( T)「執務室ラーメン大海原 ~これがワイのワイルドワンターンメンワンタン抜きや~ お待ちーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」

めちゃんこ意識高い高い系鯛ラーメンの完成だ


叢雲「チッ」

( T)「ヒィ」


《なんで名前に変なアレンジ入れるんですか!!!!!!》

《霰は好き……》


その一言で悔い無く死ねる

時たま地雷原でタップダンスしたい乙女心が出てしまった所で、いよいよ審判の時だ


叢雲「……」

( T)「こちらが、執務室ラーメン大海原さんの~これがワイのワイルドワンターンメンワンタン抜きや~でぇす!!うっひょ~~~~~~~~~~~!!!!!!着席時」

叢雲「黙れ」

( T) スン…………


叢雲の機嫌一つで俺を潰すことだって出来るんだぞってことで、召し上がっておりまーーーーーーーーーす!!!!!!まずはスープから


叢雲「!!」


これでもかってくらい手間を掛けまくったスープを一口飲んだ瞬間、眉間の皺が解れましたぁーーーーーーー!!!!!!チョメメーーーーーーーーーイ!!!!!!チョメメーーーーーーーーーイってなんだ??????


《開業したらどうです?》


原価高過ぎて無理


叢雲「……」


その後は終始無言でラーメンを啜り続け、物の数分であっという間に完食でぇす!!それでは、ゴッソレイ!!


叢雲「……で」

(;T)そ「ヒィ」

叢雲「言い残すことはあるかしら?」


美味しかったんじゃないの??????俺が土下座する様子をサブチャンネルに投稿する気か??????
差し引きしてもマイナス点ってコト!?膝が笑い始めたところで、モニタリング終了の緊急ボタンを押した

青葉「はい終了です!!」

霰「お疲れ様……」


厨房の一角に隠すように設置したモニタールームから助太刀がバンと現れる。早く助けて


叢雲「ハァ……霰の差金ね……」

霰「ほよよ……」


かわいっ……説明するまでもなく事情を察した叢雲は、呆れたように溜息を吐く


叢雲「アンタ」

( T)「土下座するからシバくのは俺と青葉だけにして」

青葉「司令官?」

叢雲「あのねぇ……前々から言ってるけど、甘やかしすぎよ。霰が死ねって言ったら死ぬの?」

( T)「え?うん」


何を当たり前のこと訊いてんだこいつ


霰「死なないで……」

( T)「五億年生きるわ」

叢雲「アンタも!!わがまま言うのは結構だけれど、常識の範囲内にしときなさい!!」

霰「常識の範囲内だもん……」


ふくれっ面の霰ちゃんも可愛かったのですかさずスマホを取り出したが、すぐさま叢雲に叩き落とされた


叢雲「なら!!今度から何か大規模な催しする時は!!私に一言通すこと!!良いわね!?」

( T)「はい……反省してるんじゃもん……」

叢雲「あ!?」


土下座した

青葉「まぁまぁ叢雲さん。美味しいラーメン食べられたんだから役得じゃないですか」

叢雲「アンタはこの二人を止めるか私に報告すべき立場でしょうが!!」


青葉も土下座した


叢雲「ハァ……もう……他に何やるつもりなの?」


鬼を懐柔するにはやっぱ土下座なんだよなぁ!!!!!!!!!!!!


霰「企画書だよ……」

叢雲「うわ……」


霰ちゃんがどこからか取り出した分厚い企画書を手にした叢雲はあからさまにドンの引きだった


叢雲「しっかり……練ったみたいね」

霰「手を抜かない……」

叢雲「……これとこれ、あとこれはやめて頂戴」

霰「やるもん……!!」

叢雲「アンタねぇ……小栗旬なんてここに呼べるわけないでしょう?」


呼べる筈なかった


青葉「待って青葉それ初耳なんですけど」

( T)「俺は霰ちゃんが攫えと言うなら」

叢雲「やめろ」


俺はギトギトの床に額を擦り付けた

叢雲「残りは掃除が大変なものと怪我しそうなもの。言っとくけど、これは私の最大限の譲歩よ。それが嫌ならモニタリングとやらは即刻中止。わかった?」

霰「わかった……」

( T)「やったぜ明日はホームランだ」


土下座の姿勢のまま溢れ出ん喜びをカサカサ動いて表現したら


叢雲「気色悪っ!!」

(;T)そ「ゾクガミッ!!!!!!!???????」※真実……!?暴走族神が……!?


おもっくそ脇腹を蹴り上げられた。艤装を装着していなくとも艦娘のフィジカルはアスリートの数倍。俺じゃなきゃ死んでる


:(;T):「ワァ……ァ……」

霰「大丈夫……?」


蹲る俺の背中を霰ちゃんが摩ってくれたが心が満たされただけで身体は正直だった ※苦痛


叢雲「いいこと!?ほ・ど・ほ・ど・に!!しときなさいよ!!」

青葉「りょーかいでーす」


ビシッと釘を刺されたところで、叢雲は踵を返してラーメン屋(執務室)を出て行こうとする
すると、暖簾(扉)に手を掛けた所で一旦立ち止まり


叢雲「ラーメンは、美味しかったわ。ご馳走様」


ツンデレかましてから出ていった

:(;T):「誰あいつ……本当に叢雲……?」

青葉「なんで素直に好意を受け取れないんですか……」

:(;T):「オメー今俺が何されたか見てなかったのかよ……」

青葉「その程度で済ませてくれるなんて温情じゃないですか」


こいつら人間の耐久力を高く見積りすぎてる可能性がある


霰「早く次やろ……」

:(;T):「霰ちゃんごめんちょっと待って……」

霰「仙豆いる……?」

:(;T):「左肩あたりに風穴空いてんなら貰おっかな……」

青葉「じゃあ超神水にします?」

:(;T):「え……怖……トドメ刺しに来てる……?」


5分くらい蹲ってたら治った

―――――
―――



( T)「はいご新規一名様ご来えいえーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!!!!!!!!!!!!シャイシャッシャッセーーーーーーーーーーーーーーーーイ!!!!!!!!!!」

ウォースパイト「What's happened!?」


【もしも、執務室がラーメン屋になっていたら、英国生まれはどうする?どうするっておめえ、ラーメン食うしかあるめえよ】


ウォースパイト「Office……?」

( T)「アーーーーーーーイシャッシャッシャイッセーーーーーーーーーーーーーイ!!!!!!!」

ウォースパイト「何なの!?」


《ンフッ……ンンッフ!!》

《霰さんが面白がるからって雑にやんのやめてください》


霰ちゃんが笑顔だとみんなニッコリするだろうが


ウォースパイト「uh……Japanese restaurant?しっかり作り込まれているけど……」

( T)「うん」スン

ウォースパイト「そう……あの、急に落ち着くの、不気味だから……」

( T)「どうぞ」


英国淑女をきったねえラーメン屋にお招きするのは恐縮ですって感じだが、異国文化って得てしてそういうもんだから文句言わず座れ


ウォースパイト「少し驚いたけど……フフ、なんだかワクワクするわね」


文句言わず座ったしマトモ過ぎて腰抜かすかと思った

ウォースパイト「あの、こういう場のMannerを知らないのだけれど、どうすれば良いのかしら?」

( T)「完食する」

ウォースパイト「それだけ?」

( T)「ヘイ!!!!!!!!!!!!ヤサイマシマシニンニクアブラカラメ一丁!!!!!!!!!!!!」ドンッ!!!!!!!!!!!!!!!!


ワシワシ麺!!!!!!!!!クソデカチャーシュー!!!!!!ギトギト背脂!!!!!!!!山盛りキャベツもやしニンニク!!!!!!!!!!!!化学調味料!!!!!!!!!!
日本が産んだバカの為のラーメン!!!!!!!!!二郎系じゃーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


ウォースパイト「????????」


《良い反応くれますねぇ~》

《人選の勝利……!!》


一瞬正気に戻りかけたが霰ちゃんが嬉しそうなので良いやもう後で切腹すれば解決ゾロリや


ウォースパイト「What's this……?」

( T)「ヤサイマシマシニンニクアブラカラメ」

ウォースパイト「????????」


ちょっとした山みたいになってるラーメンを前にするウォースパイトを見て、叢雲を二郎に連れて行った時の事を思い出した
途中でギブアップしてその後しばらく動けなかったんだよなぁ。しみじみしちゃう。だって司令官だもん

ウォースパイト「な……何も理解できなかったけど」


覚悟が決まったのか、ウォースパイトは箸立てから割り箸を取った


ウォースパイト「いいでしょう。これでもQueen Elizabeth Classの端くれ。この程度の試練、乗り越えてみせますとも!!」


気合いと共に割り箸をグッと割っ……


ウォースパイト「んんっ……」

( T)「……」


割っ……


ウォースパイト「んん~~~~~~~~……!!」

( T)「……」


ワァ……ァ……


ウォースパイト「……」

( T)「貸してみ??????????」


すんごいしょんぼりしながら渡してきた割り箸。もしかして溶接とかされてんのかなって思ったけどすげーパッカリ割れた
普通の箸にしとくかフォークを用意すべきだった。女の子やもん割り箸くらい割れなくてもしゃあないやんけ


( T)「はい」

ウォースパイト「Thanks……」


後で腹を物理的に割って詫びようと思った

ウォースパイト「あ……は……」

( T)「……」


拙い箸遣いでクソデカチャーシューを口に運ぼうとするが、一口が小さいんでカワウソの頭丸ごと煮食う時の杉元みたいになってる


《良いですねぇ西洋美女と下品なラーメンのギャップ映え!!再生数100万は堅いですよ!!》


こんなんアップしたら国際問題になr100万で済むワケねえだろ!!!!!!!!!!!!!!!!


ウォースパイト「んっ……んぐ……」

( T)「……」


叢雲とは別の緊張感があるの何だろう。下手すりゃまるゆちゃんより食が細いものお紅茶は飲むのに
まぁいきなりマシマシ二郎に挑戦して完食出来る女性なんてギャル曽根くらい……もっとおるか!!!!!!
俺としても、食事が苦しみになるのは居た堪れないので、こっそり細工を施しておいた


ウォースパイト「あら……?Admiral、これ……」

( T)「え??????????」


丼に皿を乗せて麺とスープを激減。出汁を上手いことゼラチンで固めて擬似背脂を乗せる
カエシもなんかこう無添加調味料で上手いことやって薄味にし、ニンニクの代用としてチンした刻み玉葱を乗せた
クソデカチャーシューも実は麩だったりする。これにはヴィーガンもニッコリだ。ゼラチンでアウトとか細けぇこと言うな
野菜は誤魔化しようがなかったんでそのままだ。頑張って食え

ウォースパイト「……」


何かを察したであろうウォースパイトは、また無言で食べ進める。聡い子で助かった
野菜を三分の一程度まで食べ進め、遂に麺に着手する。既に十分くらい経ってた。加賀ならもう五杯くらい食い終わってる


ウォースパイト「んむ……あむ……」


ウォースパイトに限らず、海外の方は麺を啜る食べ方に慣れていない
字面だとなんだか如何わしさがあるが目の前の光景は実際健全だ。センシティブなんて無かった


《エッチですねぇ》


黙れクソ重巡

そんなこんなで三十分かけて


ウォースパイト「ご、ご馳走様……」


ウォースパイトは見事にジェネリック二郎を完食した


( T)「完食おめでとう。いっぱい食べれる子になって司令官嬉しいよ。嬉シーサーって感じ。沖縄」

《何が沖縄ですか》

ウォースパイト「こ……今晩のDinner……遠慮させて……」


ほぼ野菜やったけどこのグロッキーさはリアリティがあって霰ちゃんも満足だろう。上手いこといって良かった良かった


( T)「そんじゃあこれは完食特典のチャイと……」チャーイ

ウォースパイト「チャイ?」

( T)「今から俺がナートゥを踊る」

ウォースパイト「ナートゥ?」

( T)「Do you know……Naatu?」※ナートゥをご存知か?


《音楽いる……?》

《いえもう別の企画始まっちゃうんでここで切りましょう。あのオタクのオッサン本当にフルで踊りかねませんから》


インド爆発寸前の所でモニタリング終了となった

ウェーイって感じでモニタースペースから出てきた二人に、ウォースパイトは目を丸くする


ウォースパイト「アオバ?アラレ?そんなとこで何をしてたの?」

青葉「いやぁ実はかくかくしかじかでして」

ウォースパイト「……Japanese Spell?」


かくかくしかじかが通じないタイプの艦娘だった


青葉「司令官、こういうのって英語でなんて言うんですかね?」

( T)「bla bla bla」※諸説あり

青葉「ブラブラ?下ネタですか?」

( T)「は?」

ウォースパイト「なるほど……JapanのTV showを再現したのね」

青葉「英語だと通じるんですか!?」

霰「世界共通語ってすごい……」

( T)「俺もビックリだよかくかくしかじかの利便性に」

ウォースパイト「にしても、随分……」


チャイを啜りながら、小汚い内装を見回すウォースパイト。見れば見るほど大衆食堂が似合わねえカッコだ。あれ!!!!!!?????もしかしてジェニーがご招待した社交パーティーにいたりした!!!!!!?????ナートゥも既にご存知なのでは??????????


ウォースパイト「張り切ったのね」

( T)「え????????」

ウォースパイト「え?」

( T)「え?あ、ごめんナートゥのこと考えてた」

青葉「思考がとっ散らかりすぎなんですよ叢雲さんの時そんなんじゃなかったでしょ」

ウォースパイト「ムラクモにも同じことを?」

霰「うん……」

ウォースパイト「あら、酷く怒られたんじゃない?」

霰「大丈夫……霰と叢雲、マブ……地元じゃ負け知らず……」

ウォースパイト「マブ……?」

( T)「Dostiって感じ」

ウォースパイト「Dosti?」

青葉「ウォースパイトさん何もわかんなくなるからそれぞれの世界観で話さないでくださいよ」

ウォースパイト「??????」


今度一緒にRRRを観に行こうと思った。RRRは何回観ても良い。もう十回は観た。杏寿郎、お前もインドにならないか?

―――――
―――



隼鷹「ビール!!!!!!」

( T)「ねえよ」


【もしも、執務室がラーメン屋になってたら酒飲みはどうする?酒?置いてねえよラーメン屋に来たらラーメンを食えバカタレこの】


隼鷹「じゃあいいや」


出て行った


( T)「……」


《……終わり?》

《終わりですね。はい》


( T)「そろそろ次の企画に移るかぁ……」


今のですっかり気を削がれてしまった。霰ちゃんも文句は言わないだろうし、普段の執務室に戻そうとした所


伊14「うおっ何これ」

( T)「はいご新規一名様ッシャッセシャッセオラッシャッセーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーイ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

伊14「怖い怖い怖い何!!!!!?????」


別の酔っ払いがご来店した

( T)「という事でね……」スン

伊14「何もわかんないんだけど!?執務室!?え!?イヨ間違えた!?」

( T)「見てわかんねえのかよラーメン屋じゃい」

伊14「なんで!!!!!?????」


ご尤もだった。来店して何も疑問に思わず開口一番が『ビール!!!!!!!』だった軽空母のネエちゃんと比べたらだいぶマトモな酒飲みだった
イヨちゃんの来店は予定には無かったが、せっかくいらっしゃったんで霰ちゃんの愉悦に付き合ってもらおう


( T)「まぁ座れよ」

伊14「ええー……いいの?勝手にこんなんしちゃって。叢雲に怒られるよ?」

( T)「もう怒られた」

伊14「じゃあもう……怖いものなしだね」

( T)「榛名が怖い」


《なんで……?》

《エッチだからじゃないですかね?》


霰ちゃんに余計なこと教えるなクソ重巡

伊14「えーと、ラーメン屋……で、いいんだよね?何か食べさせてくれるの?」

( T)「食わす食わす腹いっぺえ食わす」

伊14「じゃあー……お酒とか!!あったりする!?」

( T) 「ねえよ」

伊14「あ……そうなんですね……」


《あからさまぁ!!!!!!》

《お酒の魔力……》


魔力もクソもあるかあんなもん毒だ毒


伊14「メニューは無いの?」

( T)「ねえよ。ウチはラーメン一本で勝負してんだよ」

伊14「おお、それっぽい。そんじゃあ大将!!ラーメン一丁!!」

( T)「はいラーメン一丁歌ってんだ歌ってんだずっとずっとぉーーーーーーーーーーーーーーぅ!!!!!!!!!!!!」


《バブフン!!!!!!》

《え!?》


霰ちゃんが笑うとまた世界が平和になっちゃうな。今年度ノーベル平和賞は頂きや

( T)「お待ち!!」

伊14「お、早いねー!!そんじゃ、いっただっき……」


提供した一皿を前に、イヨはピタリと硬直した


伊14「……何これ?」

( T)「スフレ」

伊14「?????????」


《宇宙猫みたいになっちゃった……》

《そりゃあ頭もバグるでしょうね》


そう、フワフワのケーキだ。フワフワ具合はりくろーおじさんにも引けを取らない自信がある


伊14「ここ何屋さんだっけ?」

( T)「ラーメン」

伊14「これは?」

( T)「スフレ」

伊14「ラーメン一本で勝負してるんじゃなかったっけ?」

( T)「そうだが?」

伊14「これは?」

( T)「スフレ」

伊14「んんんんんあああああああ~~~~~~~~~~……悪夢見てる気分になってきた……」


《司令官、普段からナチュラル狂人なんでマジなのかふざけてるのかわかんなくなりますよね》


なんか聞き捨てならない事言われた


《うん……》


涙出てきた

( T)「スフレ」

伊14「遂に瑞鳳みたいになった……もぉ~……ラーメンの口になってたのにぃ~……」

( T)「いやお前知らないかもしれないけど瑞鳳は昔よりずっと喋れるようになったよ最近なんてたまごの後に『かけごはん』まで付けられるようになったんだぜ俺それ聞いてちょっと泣いちゃったもんね」

伊14「わかったわかったわーかーりーまーしーたー!!すーぐ親バカになるんだから!!」

( T)「着信音にしてたら顔面に膝入れられた」

伊14「それは誰でも嫌でしょ」


でも膝はねえだろ膝は


伊14「もっとさぁ、提督はナチュラル狂人の自覚持った方が良いって。フォーク無いの?」

( T)「無い」

伊14「ハシかぁ……」

( T)「ところでナチュラル狂人って」

伊14「いただきまーす」


偶然なのかそれとも俺の預かり知らぬ所で陰口として定着しているのか。もう自室に戻って枕を濡らしたい気分だった
それはそれとしてイヨはやや不満気にお出ししたスフレに箸を入れた。そこには物臭な光景があった。奇妙な友情があった


伊14「ん……ん!?!?!??!!???」


口にした瞬間、かっ開かれる瞼。ジブリみたいに逆立つ髪の毛。そして


伊14「はえ?????????」


この硬直である

伊14「これ…………何味?」

( T)「虹の実」

伊14「にじ………??????」

( T)「の実」

伊14「???????」


もう一口


伊14「????????」

( T)「口の中でもう味が4回も変化した??????」

伊14「わかんない…………」


グルメ細胞入ってない舌はこれだから

伊14「美味し……????ん?????不味くは無いけど……」

( T)「お紅茶もあるぞ」

伊14「あ、あんがと……」


舌のリセットを目論み、紅茶を含む


伊14「おん?????????」


そしてこの硬直である


伊14「…………」

( T)「虹の実のお紅茶だ」

伊14「にじの………??????」

( T)「実のお紅茶」


《チェリオがいずれ開発しそうですよね》


もう既に下位互換みたいな飲み物は出してるけどな


伊14「……」


イヨは酷く悪酔いしたかのように頭を抱えた後


伊14「お冷ある?」


虹の実から逃げた


( T)「あるよ」

伊14「出来れば未開封のペットボトルをそのまま出して欲しいんだけど」

( T)「ッスゥーーーーーーーーーーーーー…………」

伊14「ねぇ」


俺は目を逸らした

《読まれてる……》

《何度も同じ手を食いはしませんよねぇ》


( T)「じゃあこの……頂き物の大吟醸もいらねえな……」

伊14「なぁんだお酒あるじゃん!!んっふふー、それなら話は別だって!!」


アルコールを前にしたら飲んでなくても思考力が死ぬのだろうか
適当なグラスにそこそこの量を注いでやったモノを差し出すと、奪うように受け取った。そこまで???????


伊14「いいねえお昼から飲むお酒!!んっく……!!!!!???????」


かかったなアホが!!!!!!!!!!!!


伊14「ちくしょう虹のぉーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」

( T)「虹実大吟醸稲妻十字空裂刃!!!!!!!!」※レインボーフルーツポンシュサンダークロススプリットアタック


誰も米の大吟醸とは言ってないんだよなぁ


伊14「んっく、んっく……ぷはぁー!!もう一杯!!」

( T)「アルコール入ってたら何でもいいんかい」


マジでみりんとか飲みかねないと思った所でモニタリング終了である

青葉「お疲れ様でしたー」

霰「でした……」

伊14「やっぱりドッキリじゃん!!」

霰「違う……モニタリング……」

伊14「虹の!?」

( T)「虹のモニタリングってなんか気候調査みたいに聞こえるな」

青葉「どうでした?虹の実フルコースは?」

伊14「すごい……なんて言うか……舌がバカになる味……虹の実って一体何さ?」

( T)「25メートルのプールの水に虹の実の果汁をほんの一滴垂らすだけで、プール内の水すべてが濃厚で芳醇なジュースに変化るという程に果汁濃度の濃い実」

伊14「劇薬じゃん」

( T)「それな」


勿論、ここはグルメ界でも第8ビオトープでも無いので本物は残念ながら用意できなかった為
なんか頑張ってそれっぽい味になるように色々頑張ったのだ。叢雲に食わしたラーメンの五倍くらい時間が掛かったし頑張った。んもう、頑張り屋さんなんだから

伊14「じゃあ、この内装は?」

( T)「ラーメン屋じゃい」

伊14「ラーメン一つも出てこなかったけど!?」

( T)「え????????」

伊14「イヨなんか可笑しなこと言った!?」

青葉「まぁまぁ、ナチュラル狂人にまともな受け答えは無理ですって」


俺は卓上調味料の一つである酢の瓶を素早く手に取って青葉の顎を掴んだ


(#T)「オメー発だろナチュラル狂人って悪口……!!」ググググ……

青葉「違、やめ……お酢は冗談じゃ済まないですって!!!!!」ググググ……

霰「餃子にはお酢と黒胡椒が合うって……」

青葉「グルメうんちくより先に助けてくれません霰さん!?」

伊14「イヨもう戻るね。あ、このお酒貰ってくよー」


<アアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!


お灸も据えたところで、次のモニタリングに移ろう

―――――
―――



ゴリラ「……」


《完璧な変装……!!》

《普段と何が変わったんですか?》


ゴリラ「ゴリラは強いからな。変身もする」


《ゴリラ呼ばわりされてそこまでポジティブ解釈する人初めて見ましたよ》


【もしも、執務室にゴリラがいたら艦娘はどんな反応をする?え?トランスフォームですか?貴方、コンボイの変身見たことあります?腰が180度回転するんですよ?生きてられます?】



夕立「提tピギャアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!」



アカーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!!

ゴリラ「……」


とは言え、ゴリラは森の賢者とも呼ばれる最も優れた最強霊長類。臆病で泣き虫でキルレトップクラスの夕立ちゃんに襲いかかるようなクソ畜生ではない
例え夕立ちゃんが腰を抜かしてガタガタ震えていても平常心を保つ。そして手にはバナナだ


ゴリラ「……」

夕立「提督さんが毛深くなったっぽいいいいいいいいいい!!!!!!!!怖いいいいいいいいい!!!!!!」


《普段から毛のないゴリラって思われてるんじゃないですか?》


それって暗に俺が最強霊長類だって思われてるってコト!!!!!!??????見る目がありまくるな


夕立「うええええええ……」

ゴリラ「バナナうま……」

夕立「提督さん!?喋れるっぽい!?」

ゴリラ「あっヤベ」


《何やってんですか台無しですよ!!》

《でもバナナは美味しい……》


霰ちゃんはいつでも正しい事を言うなぁ

ゴリラ「喋れたら何だってんだよ……」

夕立「提督さん……?」

ゴリラ「ドンキーだって歌ってただろ!!!!!!!!!明日になったらバナナ食べようってよ!!!!!!!!」ドンドンドンドンドン!!!!!!!!!!!!

夕立「ビャアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!」


思わずドラミングが出た


《そんな古いアニメ誰も知らないですって!!》

《ドンキー、アニメ……本当だ……あるね……》


世代がバレる


ゴリラ「おっとすまない取り乱した。私の名はゴリラ。バナナが大好きだ」

夕立「提督さんじゃない!!!!!!??????不審者っぽい!!!!!!!!!!」


しまった逆効果だった。夕立ちゃんは普段から持たせてるボコの防犯ブザーに指をかける
それを住宅街で鳴らしたら二分以内に消防と警察が、10秒以内に俺が駆けつける代物だ。ウルトラやかましいぜ


ゴリラ「夕d ブザー「イエーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


躊躇なく鳴らした。防犯意識が高い

ゴリラ「ブザー「イエーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

夕立「ブザー「イエーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


《ブザー「イエーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

《ブザー「イエーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


ダメだサンシャイン池崎で何も聞こえん


青葉「ブザー「イエーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

霰「ブザー「イエーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

夕立「ブザー「イエーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


堪らず二人も飛び出したが夕立ちゃんはパニックで何もわかっていない。俺はバナナを食べた


青葉「ブザー「イエーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

ゴリラ「ブザー「イエーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


強めに殴られた

―――――
―――



( T)「えー……」

青葉「……」

霰「……」

( T)「騒ぎが大きくなってしまったんで、ゴリラモニタリングは打ち切りです。タカヤ」

青葉「よっしゃあああああああじゃ無いんですよ司令官」


流石に鎮守府中に響き渡ったサンシャイン池崎ボイスは冗談の範疇で済まず、艤装を装着した艦娘が大勢執務室に駆け付ける程に騒動が発展してしまった
夕立ちゃんには全力で土下座した後、お詫びとして今度ボコのクソデカぬいぐるみを贈る約束をして手打ちにしてもらった
そして叢雲にバチクソ怒られた。正座してしょんぼりするゴリラが見たいかい?それならウチにいたぜ


青葉「まぁ……運が悪かったですね」

霰「ランダムターゲットは危険……」

青葉「防犯ブザーだけで済んだのは不幸中の幸いでしたね。速攻で襲い掛かられてたら司令官死んでましたよ?」

( T)「笑い話にもならねえ……」


動物を悪戯に傷つけてはいけないって普段から教えておいて良かった


霰「切り替えていこう……」

青葉「霰さんも懲りませんねぇ……」

霰「叢雲に『あと一回だけ』って言われたから……」


アレもアレでまぁまぁ霰ちゃんに甘い


( T)「よし!!今ので鎮守府中にモニタリングやってることバレたけど、ドッキリ以外の企画なら問題ねえ!!最後しっかり気張っていくぞ!!」


三人でえいえいおーと気合いを入れ直し、最後のモニタリングの準備に取り掛かった

霰「……」


【レンタル霰ちゃん!!もしも霰ちゃんをレンタル出来たら?え?貸してくださいだって?なんでお前ら如きに霰ちゃんの貴重な時間を費やさなきゃダメなの?身の程を弁えろよ】


霰「しゃっせしゃっせしゃっしゃっせー……」


《可愛い~~~~~~~~~~!!!!!!》

《あの、隣で限界になるのやめてくれません?オッサンの萌えてる姿、かなりキツいんで》


お前は本当に可愛くねえよ


「レンタル……?」


霰「え……?」


「なぁ今……『レンタル』言うた……?なぁ……レ、『レンタル』って、『どこまで』……?」


インカムから聞こえてくる聞き覚えのない湿ったオッサンの声


《あの、霰さん。ひょっとして……?》

霰「うん……オバケ……」


はい出ました悪霊!!!!!!!変態はごく一部しかいないから霰ちゃんみたいなめちゃカワ女の子がレンタルされてもまぁイケるやろ思った矢先これ!!!!!!!殺す!!!!!!!!!!

《追い祓えますか?》

霰「よゆー……」


だが伊達に鎮守府を支えてきた古参艦娘じゃない。霰ちゃんはここへ来た当初から若干俺と感性が似ている節があった。つまり――――


霰「せいっ」


「プギュッ」


悪霊を素手で殴り殺すコツも、割と簡単に掴んでいる


霰「他愛無い……」

《お見事ですねぇ。こればかりは青葉にも出来ないんで》

《俺ならもっと苦しめてから殺せるけど?》

《悪霊より悪意が強いんですよ司令官は》

霰「次からそうする……」

《霰さんはそのままでいて下さい》

《いいじゃん別に幽霊なんていくら嬲っても罪に問われねえんだし》

《悪意の英才教育やめろ》

気を取り直して、『レンタルしてます』のプラカードを下げてシャッセシャッセと客引きを再開する
何人か霰ちゃんの前を通り過ぎたが、先程の騒動に加え、叢雲にバチクソ叱られた光景を目の当たりにしたからか、挨拶は交わせどレンタル依頼まではして来ない。ビビってんのかオェーイ!!!!!!!


霰「……」


霰ちゃんがなんかちょっと暇そうにしちゃってるだろが!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


《やだもうアタシ見てらんない!!!!!その辺にいる奴を脅してでも依頼させてくる!!!!!!」

《座って下さいモンペ司令官。アンタはじめてのおつかいでも余計な手助けするタイプでしょ》

《だって!!!!!!!車とか不審者とか危ないじゃん!!!!!!!!》

《子ども使ったヤラセ番組ですよアレ。そんな心配しなくてもちゃんとスタッフが安全確保してますって》

《例え大人がヤラセしてるとしても子どもたちにとっては大冒険やろがい!!!!!!!》


霰「司令官、うるさい……です」


喉を切り裂こうと思った

矢矧「あら」

霰「しゃーせー……」


《ほら司令官、矢矧さん釣れましたよ。喉仏摘んでないでシャンとして下さい》


良かったもう少しで酔拳のキショいヒゲのオッサンと同じ死に方する所だった


矢矧「『レンタル霰ちゃん』……これって、今流行りのパパ活ってやつかしら?」

霰「パパ活……?」


《違う違う違う!!!!!!》

《ほんとあの人スットコドッコイですね!!》


霰「多分、違う……」

矢矧「そう?で、レンタル霰ちゃんは何をしてくれるの?」

霰「何でも、します……」


《矢矧さんなら無茶は言わないですよね?》

《でもあいつ仮にも総理大臣の護衛任務中にお前に襲い掛かったスットコドッコイだぞ》

《あー……霰さんなら上手く捌くでしょう》


霰「タダだよ……」

矢矧「フフッ。それなら、一つお願いしようかしら」

霰「レンタル霰ちゃんいっちょー……」

矢矧「え?」


<はいレンタル霰ちゃん一丁ラッセラッセオーーーーーーーーーーーーーイ!!!!!!!!!!!!


矢矧「提督?見てるの?」


<見てないよ


矢矧「返事してるじゃない」


釘を刺すに越したことは無い

霰「何を、するの……?」

矢矧「ほら、もうすぐバレンタインじゃない?横須賀の姉妹に贈るチョコレートの試作に手を貸して欲しいのよ」

霰「……」

矢矧「お願い出来る?」

霰「助っ人……呼んでもいい?」

矢矧「助っ人?」

霰「しれいかーん……」


《えっちょっ》


( T)「お料理大好き!!!!!!!!!!!!」 クッキングパパーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!!

青葉「結局出て行くんですか!!!!!?????」

( T)「うん」

矢矧「あら、もうゴリラの変装はやめたの?」

( T)「叢雲に没収された……熊野が何か色々持ってた毛皮で作ってくれたやつなのに……」

霰「もっと色んな人の反応が見たかった……」

矢矧「相変わらず横須賀では考えられないほど愉快な場所ね」

青葉「向こうでこんなハメ外すとどうなるんです?」

矢矧「そりゃあ、軍法会議後に良くて謹慎、悪くて解体か場末の鎮守府に島送り……」


矢矧「あっ」


青葉「『もっと早くそうしとけば良かった』じゃないんですよ矢矧さん」

( T)「お前も相当愉快な方だぞ」

矢矧「フフン、でしょう?横須賀なんかに収まる器じゃ無かったのよね!!阿賀野姉達も早くこっちに来れば良いのに!!」

青葉「良い性格してますねぇ……」


何も悪いことしてないのに呼べませんわとは言えなかった
言ったら絶対向こうで姉妹巻き込んでエラい事やらかすからだ。実力はあるのにどうしてこう浅慮なんだこいつ

霰「あの……」

矢矧「おっと、ごめんなさい。本題が逸れちゃったわね。それじゃ、一緒に阿賀野姉達をここに招集する方法を考えてくれる?」

霰「チョコは……?」


霰ちゃんが困惑してる。レアだ。可愛い。俺はスマホを取り出したが、すぐさま青葉に叩き落とされた


青葉「良いですか矢矧さん。矢矧さんの場合、司令官と総理がアレで、場所がここだったから許されたのであってですね」


加齢臭と一緒くたにされた


青葉「横須賀で問題を起こせば姉妹共々解体処分も、下手したら謀反の疑いも掛けられてここに波及する可能性だってあり得るんですからね。憧れの鎮守府に着任出来てはしゃぐのは結構ですが、ちゃんと仲間の自覚は持っといて下さい」

( T)「他所の艦隊にこっそり紛れこんで好き勝手に戦闘楽しんでは各鎮守府をめちゃくちゃに混乱させてきた『亡霊』パイセンの言う事はやっぱちげえなぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

青葉「アンタが叱らないから代わりに言ってやってんじゃないですか!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


お前のやらかしも数えたらキリねえぞ


矢矧「あはは……仰る通りね。悪かったわ。改めて、手伝ってもらえるかしら?」

霰「頑張る……じゃあ、キッチンに行きます……せーのっ」


掛け声に合わせて、霰ちゃんと青葉と俺はその場でジャンプした


矢矧「……?」

青葉「移動しましょうか」

矢矧「ねぇ、今の何なの?」

( T)「霰ちゃんはチョコの溶かし方知ってる?」

霰「湯煎する……」

( T)「うーん、満点サロメ」

矢矧「ねぇってば」


編集点も知らねえのかこいつ

―――――
―――



う~、料理料理。(中略)。そんなわけで、鎮守府にある厨房にやって来たのだ


( T)「っよいっsy龍鳳「提督助けてください!!!!!!」先にジャンプさせて??????」


編集点用の着地モーションより先にお台所の番人が早々に泣きついてきた


青葉「どうしたんです龍鳳さん?このオッサン、見た目ほど頼りになりませんよ?」

( T)「え??????今そのディスりいる??????」

龍鳳「その……こんな事言うの、自分でも可笑しいって思うんですけど……」


龍鳳「今晩のお料理に使うお野菜が、みんな逃げてしまいましたぁ~!!」

( T)「うん……ん?逃げ……なんて???????」

霰「今晩のお料理に使うお野菜が逃げたんだって……」

( T)「ありがとう霰ちゃん。でもね、俺が知りたいのその文章の内訳」

矢矧「ッ、そこっ!!」


矢矧は調理台を素早く横切った丸い物体を咄嗟に拾い上げる。なんか禍々しいオーラを纏ったジャガイモだった


青葉「ええ……?何ですそのお芋さん……?」

矢矧「さぁ?でも確かに抵抗されてる手応えはあるわね」

( T)「貸してみ?」


矢矧から投げ渡された芋からは、案の定若干の霊力的なサムシングが感じられた
いつもの要領で握殺したら芋ごと粉砕してしまうので、やんわりと力を込めてみる。すると、ビクンビクンと痙攣した後、動かないジャガイモに戻った


青葉「どうです司令官?」

( T)「憑いてる」

青葉「ええー……」

( T)「野菜の踊り食いが出来るな」

青葉「出来なくて良いんですよそんなもん」

矢矧「やれやれ、チョコなんて作ってる場合じゃなさそうね。手分けして捕まえましょう」

龍鳳「ごめんなさいぃ~……」

青葉「いえいえ、龍鳳さんが悪いわけじゃないんですからお気になさらず」


確かにやや面倒な事件ではある。龍鳳の作るめちゃクソうんめえカレーが食えないのも一大事だ


霰「……」


やだ!!!!!!!!!!!!霰ちゃんがなんかちょっとガッカリしてる!!!!!!!!!!楽しみだったんだ!!!!!!チョコ作りが!!!!!!!!!!!!


( T)「……る」

青葉「はい?何です司令官?」


(#T)「チョコ作りしつつ野菜も捕まえたるーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」できらぁーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!


青葉「はぁ~?」

龍鳳「あのっ!!お忙しいのでしたらお野菜の方は私たちで対処しますから!!鳳翔さんとずほちゃんも探してくれてる最中ですので!!」

( T)「ターボやるもん!!!!!!!!!!!!」

霰「霰も……!」

青葉「探し終わってからでもいいじゃないですか……矢矧さんからも言ってやってくださいよ」

矢矧「それでこそよ提督!!!!!!!」

青葉「しまったこの人頭ヤバいんだった」

( T)「諦めなければやれること見せてやるんだ!!!!!!!!!!!!」

青葉「ダブルジェット憑依してます?」

( T)「ツインターボ!!!!!!!!!!!!よし見とけオラお前らオラ!!!!!!!!!!!!」


食糧棚からチョコ作りに必要な材料取り出しつつそこに隠れてた人参ジャガイモ玉ねぎをサクッと握殺して野菜用の籠にぶち込む
冷蔵庫に入れといたバレンタイン用のブロックチョコとバターを取り出し、隅っこの方に固まってた野菜共をまとめて引っ張り出す

( T)「チョコを溶かして固めるだけなんてつまらねえ真似はしねえ!!!!!!!今日はブラウニーを作ります!!!!!!焼き菓子だからちょっとだけ日持ちもするからな!!!!!!!おら逃げんじゃねえ玉ねぎクソお前ゴラァ!!!!!!!!!」

霰「ここにもあったよ……」

龍鳳「あっ、ありがとうございます!!すみませんすみません!!」

矢矧「ブラウニー?初心者にも簡単に……おっと、作れるのかしら!!」


矢矧は食器棚から転げ落ちたジャガイモを腕に伝わせ、肘で跳ね飛ばしてパスをする


( T)「できらぁーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!」


軽いスパイクで除霊と同時に籠へとダイレクトにぶち込んだ


( T)「龍鳳、オーブン予熱!!霰ちゃんはボウル二つとゴムベラを用意!!矢矧はお湯を沸かせ!!青葉!!」

青葉「はい」

( T)「Smash」 ※暴れろ

青葉「もしかして青葉の事、ブルース・バナー博士だと思ってます?」

( T)「いやハルクだと思ってる」

青葉「アンタが一番近いですよ」

( T)「いやお前が一番近い」

青葉「いやアンタが」

( T)「いやお前が」

矢矧「次は?」

そんなこんなで、前代未聞のマルチタスクお料理が幕を開けたのだった。よし、音楽でも流すか


( T)「アレクサ!!!!!!!!!ワイワイワールド流して!!!!!!!」

霰「流して……!」


アレクサ「ええで」






『ワイワイワールド』 歌:水森 亜土/こおろぎ'73





.

きったぞ きたぞ アラレちゃん


(#T)「チョコを溶かしつつ小麦粉を振るい胡桃を砕き野菜を捕まえる!!!!!!!フン!!!!!!!」

青葉「司令官それ玉ねgあああああああああああ目がああああああああああああああああ!!!!!!!!」

(;T)そ「あああああああああああああ目がああああああああああああああ!!!!!!!!!」


キィーン キンキン キンキンキィーン テケテケ テッテンテーン


矢矧「あら?このチョコ、中々溶けないわね」

龍鳳「それカレールーですよ?」

矢矧「つまりお湯を注いで溶かすのかしら?」

龍鳳「材料と工程を間違えてるかと……」


ピッピピピ プッペッポー ガッちゃんも


【喫煙所で正座して怒られてるゴリラと青葉の動画を見て咽せるほど爆笑するガッちゃん&ガッちゃん】


衣笠「あっはっはっはっゲホッゲホッはっはっは!!!!!」

ガングート「オッホエッホ!!ハッハハハハハ!!!!!ハッ、ハァーッ……」

衣笠「はぁーっ……」

ガングート「……ンフフフフフハハハハハハ!!!!!!」

衣笠「あははははははははは!!!!!」

夢のバクダン うち上げろ


( T)「よし、生地が出来たら鉄板にダァーしていくぞ!!!!!!」

青葉「司令官!!霰さんが野菜の群れに連れ去られました!!」

(;T)そ「え!!!!!?????」


<あーれー……


お日さまニッカニカ ブタさんホーホケキョ


(;T)「焦ったぁー!!!!ビックリしたなぁ!!!!!」

霰「意外と速かった……」

叢雲「ちょっと!!食べ物で何遊んでんのよ!!」

(;T)そ「誤解だ!!!!!!」


みんなあつまれ ペンギン村に


霰「良い匂いしてきた……」

矢矧「焼き上がりが楽しみね」

( T)「流れでカレーの下拵えも終わっちまったし、お茶も淹れた」

龍鳳「何から何まで助かりましたぁ……」

青葉「顔と性格さえアレじゃなければスパダリ適正バカ高いんですけどね司令官は」

( T)「言葉のナイフで傷つける必要あった?」

どんなことが 起こるかな


鳳翔「提督、ご報告です!!鎮守府中に散らばった野菜が合体してハルクバスターのような姿になって暴れています!!」

瑞鳳「エッグタルト」

( T)「え?いや作ってんのチョコブラウニー」

青葉「はよ解決して来てください」


それゆけ イッシッシッシ


超合体DX野菜バスター「わーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」

(#T)「オアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


おたのしみ

―――――
―――



霰「できた……!」


筆舌に尽くしがたい野菜との死闘を終え、厨房に戻ると、良いタイミングでオーブンがチンと焼き上がりのベルを鳴らした
鉄板に広がる焼き立てのチョコブラウニーの甘い香りが一気に花開き、表情が固めの霰ちゃんも思わず綻ぶ。発狂するくらい可愛い


青葉「あ、司令官。どうでした?」

( T)「昔、デカいロブsオマール海老出てきたろ」

青葉「ああ、青葉が中からグチャグチャにしてぶっ殺したヤツですね」

( T)「あれと同じくらい強かった」

青葉「割とヤバかったんですね……」

矢矧「オマール海老って……確か、生研が解析した結果、深海棲艦化が確認された異常甲殻類襲来事件よね?」



( T)「えっ」

青葉「え?」

龍鳳「え?」

鳳翔「え?」

瑞鳳「たまご」

霰「早く食べよう……」

( T)「そうやな。この、端っこのカリカリした所が一番うんめえんだ」

青葉「ちょっとちょっとちょっとちょっと!!!!!!!」



何だようるせえな霰ちゃんがはよ食いたがってんだからどうでも良いだろうがそんな古い話

青葉「聞いてないですよ!?」

矢矧「あら?事件の終焉がこの鎮守府だったからてっきり承知してたものかと。別に食べたワケじゃないんでしょう?」

鳳翔「……」

龍鳳「……美味しかったですね」

瑞鳳「オムレツライス」

矢矧「嘘でしょ……?」

( T)「オイ食わねーのか?お茶も淹れなおしたけど」

青葉「なんでアンタそんな平然としてられるんですか!!!!!?????」

( T)「だって結構経つけど何ともなってねーじゃねーか。健康診断だって一部酒の飲み過ぎとタバコの吸い過ぎと発情し過ぎくらいでみんな問題無かったろ。霰ちゃん熱いから気をつけな」

霰「平気……熱くても顔には出さない……」

( T)「そんな我慢せんでええんやで??????」

矢矧「なるほど……毒を食らわば皿まで、ってことね!!ますます気に入ったわ!!」

青葉「いやそんなんなってるなら食べませんでしたよ!!確かに異常なまでに攻撃的だなぁって思いましたけど!!」

鳳翔「ですけど青葉さん、横須賀がその事実を掴んで、食べた私たちに検査を施さないとは思えません。安全性は既に保証されているのではないでしょうか?」

青葉「ですけどぉ!!」

龍鳳「そもそも、何の疑いも無く食べちゃったのは私たちの落ち度ですからね……」

瑞鳳「たまご」

( T)「ほら瑞鳳だって『そんなの一々気にしてたらここじゃやってけない』って言ってるし」

青葉「あああああああ……なんで青葉が頭痛める立場にならないといけないんだろう……叢雲さんの役目でしょこんなの……」


今日は気圧が低いのかもしれないね、ハム太郎


( T)「今日何カレーにすんの?」

龍鳳「シーフードです」

( T)「やったぜ夕食はホームランだ。海老多めにしてね」

青葉「その話聞いてよく海老食べる気になりましたね!?」

( T)「美味しかったからいいじゃねーかもう。ブラウニー食えよ」


端っこのサクサクした部分をピーチクパーチクうるさい青葉の口にぶち込んだ


青葉「熱っっっっっっっっっっっっつ!!!!!!!!!」


余計うるさかった

矢矧「ほんと、美味しいわね。提督、あなた何でも作れるの?」

( T)「クッキングパパにレシピ載ってる範囲なら割と」

霰「最強の助っ人……」フンス

矢矧「フフ、全くその通りね。ありがとう霰。助かったわ」

霰「んちゃ……」


ただチョコブラウニー作るだけにしては色々あったが、終わりよければなんとやらだ。RRRと一緒
こうして、霰ちゃん主催モニタリング企画は幕を閉じたのであった

朝潮型駆逐艦『霰』。天龍、朧と並ぶ我が鎮守府の最古参にて、遠征部隊長の座に着く幹部の一人
単純な戦闘力こそ控えめ(当鎮守府比)だが、彼女が率いる部隊の遠征成功率は驚異の九割を誇る縁の下の力持ち
多忙を極め、ますます鎮守府を留守にする事が多くなった彼女に対して、今も昔も絶対に変わらない決め事が一つある


霰「ポツンと一軒家を見に行きたい……です」

( T)「いいよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


彼女の要望は、どんな不可能でも叶えてやろうと

( T)「でもここが既にポツンと鎮守府じゃね??????」

霰「そうかも……」



とりあえず今の所は、実現可能で楽しい思いしかしていない



終わり



























.







―――――
―――



叢雲「そう、バレちゃったのね」

( T)「悪ぃな。まさか横須賀では周知の情報だとは思ってなくて」

叢雲「良いわよ別に。はぐらかしたんでしょう?」

( T)「青葉は納得してなかったけどな」


モニタリングをした日の深夜。俺と叢雲だけで緊急の話し合いをした
議題は勿論、『異常甲殻類』についてだ。オマール海老襲撃事件から程なくして、生研の解析結果はロマを通じて俺たちに伝えられている
ただ、この件は余計な不安を煽ると判断した為、俺と叢雲、そして長門にしか共有していない


叢雲「矢矧さんも一応、首相警護を任せられる程の実力者だものね。それなりの情報を知らされていても、不思議じゃないわ」


夜食にしては少々重めのブラウニーを摘みつつ、生研の資料を改めて見返す


叢雲「軍事施設『のみ』を狙って襲撃する水生生物……絵面のインパクトが強烈過ぎて、単純な答えがボカされたって感じよね」

( T)「俺ら普通にご馳走にしか見えてなかったしな。正直、知らされてから暫くの間眠れなかったよ」

叢雲「私もよ。アンタと付き合うと常識ってのが麻痺するみたいね」

( T)「お?なんだ俺の所為か?」

叢雲「ナチュラル狂人だもの」


もう取り返しがつかないのかもしれない

深海棲艦の『死骸』を食べた生態系に問題は無いのか?この懸念を解消する為に、マウスを使った実験が過去に行われた
結果は、そもそも深海棲艦の肉は食用に適しておらず、マウスは一齧りもしないまま『餓死』という哀れな最期を遂げた
幾つの命を犠牲にしたのかは知らないが、この実験結果が今のところ覆ってないのを見るに、つまりはそういうことなのだろう

では『艦娘』は?非業の死を遂げた彼女達の遺体を、航行できない程に身体を喪った彼女達を、ヒトが摂取すれば、同じ力を手に入れられるのか
変態揃いの生研と言えど、国と人命を護る艦娘を、『ステーキ』にして食っちまおうなんて発想はしなかったようで
マウス実験も爪や髪、血液や皮膚の一部などを使って行われたそうだ
深海棲艦と違う点は、マウスはそれらを『食した』ということ。変わらぬ点は、体質、フィジカル、行動になんら変化を確認出来なかったこと
この結果に、生研のお偉いさんは皮肉と洒落を効かせてこう言った。『人魚などいない』と


これだけで済めば、ただの実験に終わっていた筈だった



痛ましい事件があった


生研に協力するとある鎮守府の提督が、『ある艦娘』の建造を上に報告せず、彼女を『実験材料』として、そして自らを『被験者』として、極秘に摂取実験を行ったのだ
最初はマウスと同じく髪や爪。続いて血や皮膚。成果の現れなさに焦燥したのか、摂取部位を段階的に増やしていった

『指』『腕』『脚』『乳房』『子宮』、『腎臓』『肺』『肝臓』『膵臓』のそれぞれ一部


彼は積極的に『摂取』した後、身体の変化を毎日のように観察、記録した
その後、冷静になったのかそれとも気が狂ったままだったのか。非道な実験の露見を恐れてあろうことか『擦り減った彼女』を沖合で処分するよう命じた


( T)「……」


文字通り『骨までしゃぶり尽くされた』彼女が、初めて運に恵まれたのは
彼女の処分を命じられた艦娘が、『引鉄』を引けず、救命ボートに乗せて生きたまま放置した事と
偶然にも霰率いる遠征部隊の航行ルートであり、そのメンバーに海上の漂流物に目敏い大井がいた事だろう
保護された後、入渠を経て、ベッドに横たわる彼女は、同じ年頃の女性の『半分にも満たなかった』


( T)「……」

叢雲「……ごめんなさい。嫌なこと思い出させたわ」

( T)「いや……」


これが、我が鎮守府の重巡長女、『古鷹』との出会いだった

( T)「要は」


沈んだ空気をお紅茶ごと飲み干して、本題へと戻る。うおオあもう口の中で味が四回も変化したぞ!!!!!!!!!!!!


( T)「問題は『摂取』ではなく『変化』にある」


過程や方法はさて置いて、オマール海老という現存種が『深海棲艦』への変化を、生研や大本営は末端の俺らに言われるまでもなく重大視している
連中の生物としての『種』が、どこにカテゴライズされるのか、どこに一番近いのかは、一つの『新種』を除いて未だ判明していない


叢雲「そうね……」


かつて、俺が『提督』というクソみたいな立場になる前、叢雲に対して一つ失言をした


『深海棲艦はキミらの祖先のようなものか?』と

彼女はこう答えた。『似た者同士である事は確か』と


連中の『祖先』でも何でも無いオマール海老が、不完全ながら深海棲艦化していたのだ
なら、最も近しい存在である『艦娘』は?軍艦の力を宿し、海を駆ける彼女たちが、オマール海老のように『変化』したならば?
それこそ、硬貨を指で弄ぶが如く、容易く『裏返る』のでは無いか?

俺らは、例え研究で否定されていたとしても、そいつを『食っちまった』立場だ。幾ら神経図太い奴が多いと言っても、気に病む奴は少なからずいる
今だって、あの場にいたお台所三姉妹や青葉、霰ちゃ……霰ちゃんは大丈夫か。彼女たちは眠れずにいるのかも知れない
かと言って、余計な慰めを掛ければ、返って信憑性が増してしまう。あの場は冷静に受け流すのが正解だったのだろう


叢雲「矢矧さんに非があるとは言わないけれど、水際で差し押さえてる情報が『向こう』でどれだけ広まってるかくらいは掴んでおいた方が良さそうね」

( T)「その件は長門に任すか……」


本人に問いたださないのは、まだ彼女の『真意』を計り兼ねている最中だからだ
目の前にいる副司令がかつてそうだったように、ウチには複数回に渡って『スパイ』を送られた。今じゃアホの代名詞である時雨も、その内の一人だ
見ての通り、送られてきたスパイはみんなウチに寝返って元気にやってる。二年もすれば、その手の艦娘が送られてこなくなったが、警戒に越したことはない
まぁ大丈夫でしょう。あいつなんか嘘とか吐けなさそうだし。浅慮だし


叢雲「恐ろしい話よね。私たちが沈めた深海棲艦も、ひょっとしたら艦娘だったのかもしれないんだし」

( T)「あるいは、これから対峙する深海棲艦も……」


テーブル上の資料の中に、一つだけオマール海老関連では無い『国外』からの情報がある
引っ張りだしたレジュメには、『ベルリン』で初めて確認された『新型』について記載されている
ウチに少しの間いたビス子とやり合って、互角以上の実力を見せつけた、クソデカい尻尾のクソ女


( T)「『かつては此方側に与していた』のかもしれねえな」


当然、この島国に陣取る俺は、このクソに会ったことはないし、見覚えもない
だが、奴の姿を見る度に、どうにも胸騒ぎがして止まないのだ


( T)「……」


奴らにオシャレの概念はあるのか?防寒の必要があるのか?









どうしてこいつは、『ネックウォーマー』なんて着けてるんだろうな?







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終わりですお疲れさまでした

フェスに戻ります

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