磯風「蒸発した……?」 (57)

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【艦これ】居酒屋たくちゃん~提督のクソ長い夜~
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ト レ ー ニ ン グ オ ア マ ッ ス ル
よく来たなナイスガイ!!さぁ、筋トレの時間だ!!!!!!腹筋のな!!!!!!


・提督の表記は『( T)』となっています。仮装とかじゃないです
・下ネタが見当たらないので僕はもう病気かもしれない
・提督はドウェイン・ジョンソン並みのマッスルです

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1477871266

『鎮守府秋刀魚祭り!!!!!!!!!』 デデドン!!!!!


深海棲艦による漁業経済の縮小!!!!日本の食卓事業の大打撃!!!!!
そこに一石を投じるため、海軍によって考案された大規模作戦!!!!!!!
艦娘が漁をして!!!!!無慈悲なまでに秋刀魚を獲りつくし!!!!!貪り食う!!!!!


そんな感じのなんかほらアレ……イベントだ!!!!!!


(#T)「秋刀魚が準絶滅危惧種に指定されるまで獲り尽すぞォォ!!!!!」


\根絶やしじゃーーーーーー!!!!!/ \骨も残すなーーーーー!!!!/ \末代までぶち殺せーーーーー!!!!/


(#T)「よォし!!!!!」

青葉「何もよくないですよウナギと同レベルまで追い込むつもりですか?」

叢雲「普段の大規模作戦のノリで扇動しないでよ」


ゼノウ一家並みに血の気が多く、目が血走ってる我が鎮守府のアホ共もここぞとばかりに張り切ってる!!!!
何人か私服のトチ狂った連中がいるが、まぁええやろ!!!!!!!時雨も金剛も元々トチ狂ってるしな!!!!!
曙は釣り竿置いていけ多分それ役に立たない


(#T)「行ケ!!!走レ!!!!」

(#T)「殺ゼエエエ!!!!!!」


\応オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!/ ドワァァァァァァアアアアア!!!!!


叢雲「単于かしら?」

青葉「臏(ビン)の連載終わるからって随分落ち込んでましたものねぇ」※11月16日に連載終了


言うなよ……泣くだろ……

【秋刀魚をアレしてアレする様子】



五十鈴「探索の雄たけび(サーチ・ソナー)」ウォーホー……


海<ウォーホー…ウォーホー…


ウータンダイバーズ№27「反射音確認!!9時の方角に魚群を探知!!遊泳速度よりサンマと確定!!」


五十鈴「よーし、今夜は丸焼き!!!」



【頑張って乱獲した】


( T)「こんな感じでした……マル、と」

( T)「よーし報告書完成!!これ大本営のクソ共に送りつけといて」

叢雲「書き直しなさい」

( T)「はい」

マジ頑張って作成した報告書(わざわざワンピース24巻引っ張り出したのに)の書き直しを終え、漁獲量を確認する
具体的な数字を書きだすのは凄く面倒くさいので割愛するが、めっちゃ多いとだけ言っておこう


( T)「叢雲ー、獲れた秋刀魚ってウチで食ってもいいんだよなー?」

叢雲「納入ノルマさえ達成すれば、余剰分は好きにしていいってお達しよ」

( T)「やったぜ、明日はホームランだ」

叢雲「あ、そうそう。さっき磯風と時雨が七輪引っ張り出してたわよ」


( T)「」


こいつ今、とんでもねえことサラッと言いやがった


叢雲「休憩がてら、様子見てきたら?」

(;T)「鎮守府が燃えるーーーーーーーーー!!!!!」ダッ!!

叢雲「行ってらっしゃい」


行ってらっしゃいじゃない。なんで止めなかったんだこいつ
お前らは俺の慌てようを見て『何そんな慌ててんのwwwwwwwwwクッソウケるんだけどwwwwwww』と笑っているだろうが、去年の出来事を聞いてほしい。そして笑った奴から順番に死ね

【去年の回想】イヨーーーーーーーー!!!!!PON!!!!!!!


磯風「思いの外、勢いよく燃えるな」

( T)「……」


七輪<ゴオォォォォオオオオオオオオ!!!!!!!!


磯風「これでは近寄れん……」

( T)「いやお前これ秋刀魚の脂と炭だけで出せる火力超えてんじゃねえか。ガソリンブチ撒いたキャンプファイヤーみたいになってんぞ」


保護者(俺)同伴の下、磯風に秋刀魚を焼かせていたんだが
予想外に予想外が重なる結果となった。まずはこの超火力である
もちろん、ガソリンなんて一滴たりとも撒いてはいない。磯風が普通に七輪で秋刀魚を焼いただけだ


( T)「……消火器、使おうか?」

磯風「待て、秋刀魚が勿体無いではないか」

( T)「いやもう手遅れだよ。『やだ~☆丸焦げにしちゃった~☆テヘペロォ』って笑って誤魔化せるレベルとうに過ぎてんぜ?」

磯風「むぅ……それなら仕方がないな。ちゃんと自分で始末を着けろよ?」

( T)「なーんで俺がやらかしたみてーになってんだよ……」


まぁ、磯風本人もこのような事態になるとは思ってなかっただろうし
責任は無いということにして消火器の泡を七輪にぶちまけたのだが……

七輪<ッパァーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!


(;T)そ「うおッ!?」


泡を突き破り射出される『火矢』。そう、燃え盛る秋刀魚が弾けて発射されたのだ
お前らは『そんなんあるわけないやんwwwwwww』と笑うだろうが、本当に起こった出来事なのだ


そして、向かった先が不味かった


金剛「クッソ重ぇデース……」ヨタヨタ


よたよたと歩く金剛。その両腕に抱える燃料缶に秋刀魚がぶっ刺さり


金剛「ごるぱ!!!!!!」ドッガアアアアアアアアアアアアアアアアアンイヤァン!!!!!!!


爆発、炎上したのだった


(;T)そ「金剛ーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!????」

磯風「金g……髪がアフロになっているぞ!?」


幸い、ギャグマンガ補正が働き金剛のあだ名が1週間ほどパラダイスキングになっただけで済んだが
これ以来、七輪の使用は危ないから禁止にしたのであった。不運が重なったってのもあるがな


【回想終わり】

―――――
―――



磯風「えっほ、えっほ」

時雨「よいしょ、よいしょ」


七輪と炭を運ぶ二人を発見する。やだ、二人とも秋らしい格好で素敵ね!!※季節限定グラ
だからと言ってしばき回すことには変わりないんだけど


(#T)「待てこの野郎ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」ドドド!!!!!!!!


時雨「しまった!!もう嗅ぎつけられたよ!!」

磯風「何?許可を貰ってたのじゃなかったのか?」


(#T)「疾きこと風の如くーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」ビョオオオオオオオ!!!!!


時雨「ギャーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

磯風「グワーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」


キン肉マン48の殺人技№3『風林火山』の風だけ二人同時に掛け、お仕置きする
残り?下手すりゃ命が危ない。風はほら、腕引っ掴んでグルグル回すだけだから……スープレックスさえしなければ……


(#T)「七輪は危ねえから禁止って言っただろうがーーーーーーーーーー!!!!!!」

時雨「お゙っ……お゙ええ……」

磯風「お゙ごっ……お゙あ゙あ゙……」


ちょっと回しすぎちゃった




( T)「で」



時雨「……」

磯風「……」



( T)「大体の予想は着いてるが、どっちが言い出しっぺだ?」

時雨「僕だよクソが」

磯風「正直で助かる」

( T)「反省の色一切見えないけどな。理由を聞こうか?」

時雨「飛んでいく秋刀魚で燃料爆発を起こす動画をyoutubeに上げて広告収入で稼ごうかと思ったんだよ死ね」

( T)「亀有の某巡査長並みにがめついなお前が死ね」


( T)「それで、このアホの口車に乗ってまんまと乗っかったそこのお嬢さんは何の目的で?」ギチギチギチギチ

時雨「あーーーーーーーーーーー!!!!!頭割れる頭割れる!!!!!!!」ジタバタドンドンパンパカパン!!!!

磯風「いや……その、再挑戦をな……」

( T)「再挑戦?」ギチギチギチギチ

時雨「長い長い長いってーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」ジタバタドンドンパンパカパン!!!!

磯風「何てことはない。私のプライドの問題だ」

磯風「この磯風に出来ない物事を残しておくことが、我慢できなかったのだ」

( T)「ふーん」ギチギチギチギチ

時雨「いつまでやってんのさーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」

( T)「でもそれを俺に直接伝えず勝手にこのアホの、物凄いアホの嘘にホイホイ釣られたのを見ると、やってはいけない事っつー自覚はあったわけだ」バッ ゴキゴキ


アイアンクローからアームロックにシフトした


時雨「がああーーーー!!!!お、折れるゥ~~~~~~!!!!!」バンバン!!

磯風「それ以上いけな……ま、まぁ……そうだ……実際事故も起こっているし……」

( T)「なら尚更ダメだって理解できるよな?このアホじゃねーんだし」ゴキゴキ

時雨「美少女にする所業じゃないよーーーーーーーーー!!!!!!」ババンババンバンバン!!

磯風「……悪かった。軽率な行動だったと反省している」


良い意味で素直な磯風は頭を下げる。時雨はうるさいのでこの辺で勘弁してやった


時雨「もう、友達の想いを汲んで行動した僕はもっと褒められるべきじゃないかな……?」

( T)「てめーが一番タチわりーんだよ……ハァー……」


しかし、俺の抑制が招いた行動であることも確かだ。なんでもかんでも禁止すると成長に関わる
エロサイトとかも性教育の範囲内でならフィルターを甘くしてもいいんじゃないかなって俺は思ってるし

( T)「消火器と、もしもの時の為の盾」

磯風「へっ?」

( T)「それと、半径五メートル以内に可燃物が無いかの確認、立ち入り規制。安全を完璧に確認した上での七輪の使用を許可する」

磯風「い……いいのか?」

( T)「魚くらい焼けねえと嫁の貰い手がいねえだろ。そりゃ俺も困る。いつまでも面倒見てられねえからな」

時雨「なら提督が貰えb」

( T)「お前ちょっと静かにしてて」

時雨「んむごご!!」


減らず口しか叩かない小娘の口を手で抑えた。いらん事しか言わんなこいつ


磯風「了解した!!すぐに準備をする!!」


磯風は目を輝かせながら、倉庫の方角へと走っていった
対して俺の不安はゆっくりと増すばかりだ。大丈夫だよな?今回は大丈夫だよな?


時雨「あぐっ」ガブリ

(;T)そ「いってえ!!!!」バッ!!


そして飼い犬もとい飼い時雨に手を噛まれる始末だ


時雨「不味い」ペッ

(;T)「唾を吐くな唾を……美味いって言われたら逃げてたわ」

時雨「僕が喰種じゃなくて良かったね」

(;T)「おめーに赫子まで使われたら手に負えねーよ」

【Eye catch…】


艦娘式秋刀魚漁について英国淑女であるウォースパイトさんに話を聞いてみた


ウォッさん「えっと、その……爆雷を使ったダイナマイト漁は日本では禁止されていないの……?」

ウォッさん「え?ええ……そうなの……日本の艦隊は命知らずね……」


ウォースパイトさんの反応を聞いて五十鈴さん、どう思われますか?


五十鈴「関係ない、私が法よ」


司令官は?


( T)「責任は全部大本営にあると思うんで、今から全員ブチ殺s」


ありがとうございました


(ライター:青葉型重巡洋艦一番艦 青葉)


【Eye catch…】

磯風「揃えたぞ!!」

( T)「あい、お疲れさん」


消火器に、一部の艦娘が使用している明石特製特殊バルジ『レオニダス』(鋼材で作られた円形の盾 This is Sparta)
鎮守府のグループラインに注意連絡を済ませ、秋刀魚とポン酢と大根おろしを用意した
燃料弾薬の保管庫や、建物、燃えそうな雑木林から十分に距離を置いて


( T)「始めっかー」

磯風「ああ!!」

時雨「カメラオッケーだよ。衝撃映像とかに取り上げられる奴を期待してるね」

( T)「仕舞え」


第二回 磯風の秋刀魚チャレンジが始まってしまった


『ステップ① 火を起こせるもんなら起こしてみろ』


( T)「そんじゃあまず火を起こすんだが……」


炭は備長炭だ。結構いいやつ
去年は成形木炭を使ったので、グレードは上がっているが……


( T)「よし、時雨」

時雨「ん?」

( T)「火を起こしてみろ」

時雨「えっ?僕?」

磯風「それくらいならこの磯風にだって出来るが」

時雨「そうだよ。撮影に専念させてよ」

( T)「経験だよ経験。それともウチで№3に入る実力の持ち主である時雨さんが、炭に火を着けることも出来ないのかな?」

時雨「は?」

( T)「あーあー!!言わなくていい!!女の子だもんな!!恐いのはわかるよ!!うんうん!!」

時雨「出来らぁ!!バカにしてこの野郎!!駆逐艦で一、二を争う大人気美少女艦娘を舐めるんじゃないよ!!」


バカは扱いやすくて助かる。着火剤とチャッカマンを手に勇んで七輪に向かう時雨(アホ)


( T)「ほれ、あと団扇」

時雨「ふん!!」バッ!!


翻訳版デッドプールを買った時に付いてきたオマケの団扇を乱暴に奪い取り、固形の着火剤を数個放り込む
俺は磯風を連れて七輪から少し距離を置いた。よし、風上だな


磯風「何を企んでいる?」

( T)「見てろって」


カメラを録画モードにして、時雨を撮る
着火剤に火が着いたようで、それを団扇で仰いでいた

時雨「こんなの、僕にとってはベイビー・サブミッションだよ……炭が真っ赤になったらそれをケツに突っ込んでやるからね!!」

( T)「さっきまでサブミッション極められてたのお前だけどなwwwwwwww」

時雨「うるさいよ!!」


パチパチと火花が弾ける音が聞こえてくる。もうそろそろか


( T)「磯風」

磯風「なんだ?」

( T)「備長炭に火を着ける時に注意しなければならない事、わかるか?

磯風「うん、と……燃えやすい、とか?」

( T)「逆だ、燃えにくいんだよ。ただ、その分燃える時間が長く、普通の木炭と比べて食べ物に臭いが付きにくいんだ」

磯風「では、注意とは?」

( T)「去年使った成形木炭とは違って、備長炭の内部にはガスや水蒸気が含まれている。それに余熱を加えず直接火を着けてしまうと……」


\ッッッパァーーーーーーーーーーーン!!!!/


時雨「ああああああああああああああ!!!????」


( T)「膨張し、爆跳が起こる」

磯風「今のがそうか?」

( T)「うん」


※絶対に真似しないでください

時雨「あああああああああ!!????」

( T)「おっと」


腰に飛びついて来た時雨を受け止める。ちょっと泣いてるのがウケる


時雨「何アレ何アレ何アレ!?」

( T)「いやー、予想通りの悪い手本を実演してくれてご苦労さん」

時雨「火、火花がッパーンって……パーンて!!」

( T)「反省が足りてないようだったからな。これで少しは懲りたろ」

時雨「~~~~~ッ!!」ゴスッゴスッ

( T)「ワハハwwwww痛い脛を蹴るな」

磯風「仕置きにしても少し悪質だぞ……」


\ッッッパァーーーーーーーーーーーン!!!!/


時雨「あああああああああああああーーーーーーーーーーーーー!!!!????」

( T)「落ち着け」

磯風「アレはいつになったら終わるのだ?」

( T)「完全に火が通ったら終わる。時雨、ケツを抓るな」

時雨「うううううう……」ギュウウウウウウ!!

( T)「ケツの肉が千切れる。やめろ、いやマジでやめて」

( T)「備長炭に火を着ける際のポイントは、弱火で加熱させることだ。ガスを抜いて爆跳を未然に防ぐ」

( T)「片手鍋のような形をした蓋つきの火起こし器を使えば、もっと安全に着けられるがな」

時雨「今ので提督の好感度が画面の向こう側でダダ下がりだよ……」

( T)「画面の向こうってなんだ」

磯風「しかし、詳しいな司令」

( T)「俺も一度、備長炭に直接火を着けてえらい目に遭ったからな」※実話

磯風「前回の挑戦で備長炭を使っていたら、もうあの段階で詰んでた気がしてならん」

( T)「調理も始まらずに終わるって大分凹むな」


『ステップ② 秋刀魚を焼いてみろよ、出来るもんならな』


( T)「炭も落ち着いてきたな」

時雨「僕はまだ気が気じゃないよ」

( T)「悪かったって」

磯風「では早速……」


クーラーボックスを開く。中には氷に覆われた大量の秋刀魚
水揚げされたばかりなので、鮮度は抜群だ。刺身でもイケる
これの大半が丸焦げにならないことを祈ろう。そして爆発炎上を引き起こさないことも……

「ああーっ、良いことしてるわねー!!」


( T)「んっ?」


風雲「私たちもまぜてもらっていい?」


声を掛けてきたのは、熊野に次いで全体的に茶色っぽい印象がある駆逐艦風雲だ
そしてもう一人、手に紙袋を抱えている……


霰「ウンコ……」


叢雲に続く古参、霰ちゃんだった。ウンコじゃないが


霰「間違えた……んちゃ」

( T)「何をどう間違えたらウンコと間違えるんだ?」

霰「司令官の……顔?」

( T)「司令官も人並に傷つくんだけど」

磯風「それは?」

霰「栗……拾った……」


我が鎮守府は僻地のクソド田舎にある為、自然豊かだ
なので、キノコや山菜を始めとした自然の実りが数多く収穫できるのだ。ベニテングタケ食わされた時は地獄を見たね
栗はその収穫の一種だ。ボッロボロ取れる。取り放題なのだ。栗取rやめておこう

風雲「茹でて食べようかなーって思ってたんだけど、焼いた方が美味しいって聞いたから」

霰「ちょうど良いタイミング……」

磯風「しかし、今から秋刀魚を……」

時雨「待って、七輪が炎上してからだと焼けないから、先に済ませた方がいいんじゃないかな」

( T)「お前たまにまともなことを言うな」

時雨「脳に筋肉しか詰まってない誰かさんとは違うからね」

( T)「あ?」

時雨「えっ何?別に提督の事を言ったわけじゃないんだけど?反応したってことは自覚があるんだよね?プークスクスwwwww」

( T)「てめぇ……」

風雲「え、えーと、私たちは別に後でも構わないのだけれど」

霰「風雲、甘い……磯風の料理に関する常識破壊力は異常……」

磯風「しれっと失礼なことを言うな。司令、言ってやれ」

( T)「全く以て霰の言うとおりだ」

磯風「ぐぬぬ」

時雨「と言うわけで、遠慮せずお先にどうぞ」

風雲「んー……なら、使わせて貰おっかな。栗嫌いな人、いる?」

時雨「提督」

風雲「そう、残念ねー」

( T)「いや食うよ俺の嫌いカテゴリを勝手に増やすな」

霰「ぽい……」ガランガラン

( T)「焼き方が雑ゥ!!網から零れ落ちてるんだけど!!」

霰「大丈夫……司令官以外はちゃんと皮剥いて食べる……」

( T)「あっれー?もしかして俺って野生動物か何かだと思われてるー?」

磯風「スイカの種は吐き出さずに食べるではないか」

( T)「いや吐き出すのめんどいし……やらない?」

時雨「やらないよ」

風雲「だからといって熊野さんみたいにナイフとフォークで穿り出したりもしないけど」

( T)「なんだよ……」


思わぬ横入りが入ったが、栗なら脂も出ないし炎上は無く安心だろう
でも、何か忘れている気がしてならない。なんだっけな……


( T)「……」

時雨「最近面白い漫画無い?」

風雲「ヤンマガで始まった極道めし」

時雨「渋いね……」

( T)「……あっ」


(;T)「伏せろォォォーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!」

咄嗟にレオニダス(盾)を取り構える
瞬間、十分に熱せられた栗が、『切り込み』を入れてない栗が


\ッッッパァーーーーーーーーーーーン!!!!/


弾け飛んだ


時雨「ああああああああああああああーーーーーーーッ!!!!????」

磯風「敵襲かッ!?」

風雲「きゃあっ!?」

霰「危なっ……」パシッ


霰すげえ、飛んできた栗払いのけやがった


(;T)「っぶね!!っぶねえええええええええ!!!!」


霰の方向に一つ飛んで行ったが、盾のお陰で被害は殆ど無かった
先ほどのトラウマが再来してる奴が一人いる程度で、まぁ大したことは無い。時雨だし


時雨「ぼっぼぼぼっぼぼぼぼぼぼぼ僕をどれだけ陥れたら気が済むんだこのクソ提督!!!」

(;T)「誤解だよそこまで執拗じゃねーよ」

磯風「今のは!?」

(;T)「さっきの備長炭と一緒だ……栗の中にある空気が膨張して破裂したんだ……クッソ、迂闊だった」

風雲「提督が守ってくれなかったら危なかったわね……どうして気が付いたの?」

( T)「いや……ヤクザ料理漫画繋がりで『紺田 照の合法レシピ』に栗を爆発させるエピソードがあってな……」


任侠系料理男子漫画『紺田 照の合法レシピ』はマガジンR他にて大好評連載中!!
コミックスも二巻まで発売されている!!女房を質に出してでも読んでくれ!!(ノルマ達成)


霰「うん……イケる……」モグモグ

( T)「ブレないね霰さん……あらホント美味しいわこれ。今年はいい出来ね」バリバリ

磯風「皮を剥け」

時雨「やっぱり野生動物じゃないか」

風雲「ねぇ、どうやったら弾けずに焼けるの?」

( T)「切り込みを入れればいい。剥きやすくなるしな」バリバリ

磯風「美味い」モグモグ

時雨「僕も……これ虫入ってる!!提督!!はい!!食べて!!ほら!!」グリグリ

(;T)「押し付けんn熱ァアーーーーーーーーーーーーッス!!!!おいやめろクソガキ!!」

『ステップその② 今度こそ秋刀魚を焼いてみろよ。ああ、ごめんごめん、君には難しすぎるかな?』


( T)「はいじゃあ、気を取り直して」


風雲と霰はまた後日、ちゃんと処理をして焼き栗をすると言って戻っていった
栗は茹でると糖分が抜けるらしいので一番おいしい調理法だとは思うが、また立ち会わないといけないのが若干めんどい


磯風「よし、焼くぞ!!」


クーラーボックスを開く。中には氷に覆われた大量の秋刀魚
水揚げされたばかりなので、鮮度は抜群だ。刺身でもイケる
これの大半が丸焦げにならないことを祈ろう。そして爆発炎上を引き起こさないことも……

そして上の三行はコピペだ

「そこまでだ!!」


磯風「何奴!!」


秋刀魚警察官①「秋刀魚警察だ!!」カンッ!!

秋刀魚警察官②「御用だ御用だ!!」カンッ!!

秋刀魚警察官③「秋刀魚チェックの時間だオラァ!!」カカァン!!


磯風「な、何奴!?」

時雨「友達?」

( T)「いや、知らん奴」


誰だよマジでビックリしたわ


秋刀魚警察官②「御用改めである!!その秋刀魚をよく見せぃ!!」ドドン!!

磯風「し、司令、どうする?」

( T)「ごめんちょっと秋刀魚警察ってことを証明できるものある?」

秋刀魚警察官①「ハッ!!司令殿!!こちらになります!!」

( T)「はいどうも……確認取ります」


証明書はどうやら本物らしい。不審者がこう簡単に侵入できる場所ではないから、恐らく公認の調査員だろう
スマホで司令室にいる叢雲に電話を掛ける。なんかまた怒られそうで怖い

( T)「もしもし叢雲?今さぁ、秋刀魚警察ってのが……あっ、やっぱり大本営からの?」

( T)「うん、うん……いや、いつも通り確認してな……怒鳴るなよ耳がうるさいだろうがごめんって」


時雨「秋刀魚警察って何なの?」

秋刀魚警察官③「秋刀魚の鮮度や状態を確かめ、本当に水揚げされた物かを確認する司法機関だ!!」

秋刀魚警察官①「昨年の秋刀魚祭りの際、漁場で購入したものを漁獲高に上乗せした提督が後を絶たなかったため発足した!!」

秋刀魚警察官②「幕府の指示に従っておれば問題ない!!」

磯風「一人だけ時代錯誤している御仁がいるようだが……」

秋刀魚警察官②「趣味でござる!!」

磯風「趣味」


( T)「はい、確認取れました。よろしくお願いします」

秋刀魚警察官①「ご協力、感謝致します!!」

秋刀魚警察官②「かたじけない!!」

( T)「いえいえ、こちらの不手際で出迎えが出来ず申し訳ない」

秋刀魚警察官③「お気になさらず!!では、始めるぞ!!」


あっ、凄い。まともな人間……っつーか男性と久しぶりに話した気がする
もっとこう気を置けない同僚が欲しい。女所帯に男一人が長いこと居るって結構キツいんだよ正直

磯風「彼らが不審者なら、どうするつもりだったのだ?」

( T)「撒き餌が大量に増えるだけだ」

時雨「それで釣られた秋刀魚なんて僕食べたくないよ」


( T)「……」


磯風「えっ?」

時雨「えっ?」


秋刀魚警察官①「確認、終わりましたァ!!確かに当鎮守府海域で水揚げされた秋刀魚であります!!」

( T)「ほい、ご苦労さん」

時雨「ねぇねぇさっきの意味深な沈黙は何?」

秋刀魚警察官③「それでは、我々はこれで!!」

( T)「ご足労さまでした」

磯風「なぁなぁ司令、まさか本当じゃないだろう?」

秋刀魚警察官②「次は寺田屋鎮守府に討ち入りじゃあ!!」

( T)「なんか血なまぐさそう」

<御用だ御用だ!!

<秋刀魚警察だ!!

<秋刀魚チェックの時間だオラァ!!


( T)「来年もよろしくお願いしまーす」


時間にして五分足らずで秋刀魚警察は帰っていった。見る目が良いのか適当なのか
恐らく前者だろう。仕事に対する熱心さと、目利きの自信に満ち溢れていた。あの情熱は見習いたいものだな


時雨「ねぇってば」

磯風「なぁ司令」

( T)「よーし!!お墨付き貰ったし焼くぞー!!」

磯風「食う気を失せさせたままにしないでくれ」

時雨「やりかねないから怖いんだよ」


ピーピーうるさい奴らだな全く


『ステップ② 秋刀魚の一つもロクに焼けないのか?もう死んだ方がいいんじゃないか?』


磯風「……」

時雨「……」

( T)「……よし、誰もいねえ。やれ!!」

磯風「応!!」


クーラーボックスを開く。中には氷に覆われた大量の秋刀魚
水揚げされたばかりなので、鮮度は抜群だ。刺身でもイケる。近海で取れたことも先ほどの調査員が確認済みだ
これの大半が丸焦げにならないことを祈ろう。そして爆発炎上を引き起こさないことも……

( T)「もうそろそろ天丼はいいだろ……何回も同じネタやると流石に飽きが来るからな」

時雨「ネタにも鮮度があるってことだね」

( T)「おっ、上手いこと言うな」

時雨「フフン」


少し時間が経ってしまったが、炭はまだ赤くパチパチと音を鳴らしている。さすが備長炭だ何ともないぜ


磯風「よ、良し……や、焼くぞー!!」ガクガクブルブル

( T)「気負い過ぎだー、肩の力抜けー」

( T)「あと上から落とそうとするな。座って、ゆっくりと置け」

磯風「あ、お、そうか……失念していた」

時雨「本当に大丈夫?」

( T)「去年は網に置くところまでは上手くいったから……」

時雨「調理段階の初期の初期じゃないか……」


磯風はめっちゃプルプルしながら、慎重に秋刀魚を網に近づけていく
ああ恐い。なんか、自転車に初めて乗る子供を見守る心境に近い。危険度は段違いだが
とりあえずいつでもカバーに入れるように盾(映画『300』モデル)を構えておく


磯風「エクス……」

(;T)「その気合いの入れ方はやめとけもうなんか全部吹っ飛ぶぞ!!」

磯風「ハァッ!!」


雄たけびとは反して、めっちゃそっと秋刀魚を網の上に置く
俺も時雨も思わずガッツポーズをとったその瞬間


\ジュッ/


磯風「!?」

( T)「!?」

時雨「!?」


短い燃焼音と共に、秋刀魚が網の上から『消失』した


磯風「……」

磯風「蒸発した……?」

(;T)「嘘だろオイ……」


さながら、熱した鉄板の上に水滴を落としたかのように


時雨「骨も残ってないね……」

(;T)「ええー……」

磯風「も……もう一尾焼いてみる」

磯風はクーラーボックスから新たな秋刀魚を取り出し、網の上に置く


\ジュッ/


磯風「……」

磯風「??????」パクパク

時雨「磯風磯風!!言葉が出てきてないよ!!」


常に威風堂々とした立ち振る舞いの磯風が、目を見開いて水揚げされた秋刀魚のように口をパクパクさせるほど狼狽えている
それほど、目の前で起こった現象が奇々怪々なるものなのだ。手品か何かかよ


磯風「どっどっどどどっ……」

(;T)「落ち着け!!とりあえずこっち来い!!」

磯風「どっどどどっどどど……」ガクガクガク

時雨「足腰に力が入ってないよ!!」

(;T)「はい、あんよが上手!!あんよが上手!!」

時雨「提督も落ち着いてよ!!」


めっちゃプルプルしながら俺らの所まで頑張って歩いた磯風は、その場にへたり込んだ


磯風「こ……この場合どうすればいいのだ司令……!!」

( T)「……」


( T)「わからん!!」ドドッド!!


わからんもんは仕方が無いのであった

時雨「七輪って秋刀魚が一瞬で焼失するほどの温度が出るの……?」

( T)「出るわけねーだろそんなもん市場に出回るわけねーじゃねーか」

磯風「え……遠赤外線がこう……」

( T)「だったら近くにいる俺達も蒸発もしくは丸焦げになってるっつーの」


時雨「……」

磯風「……」


( T)「えっ、なんで顔を見合わせてるの恐い」


時雨「触って!!早く触って確かめて!!」グイグイグイグイ

磯風「ここの最高責任者だろう!!確かめる義務がある!!」グイグイグイグイ

(;T)「押すなァァァァ!!!!俺はてめーらと違って普通の人間なんだよォォォ!!!!」

時雨「大丈夫!!十二分に人外のカテゴリーに入ってるから!!」グイグイグイグイ

磯風「高速修復剤はちゃんと用意してやる!!それと線香もあげてやる!!」グイグイグイグイ

(;T)「やだーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!死んじゃう奴じゃんーーーーーーーー!!!!!ムカデ人間4が出るまで俺は生きるんだーーーーーーーーー!!!!!!」

時雨「出ないよ!!往生際が悪いなぁもう!!」グイグイグイグイ

磯風「棺桶にブルーレイボックスも入れておいてやるから!!」グイグイグイグイ

(;T)「出るもん!!!!!!不知火だって『確実に出る』って言ってたもん!!!!!」









\不知火が言ってたもんーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!/







―――――
―――



( T)「……」

( T)「普通に焼けたんだけど」


磯風「そんなバカな……」

時雨「チッ」

( T)「おい今舌打ちしただろそこの白露型二番艦」


焼けた。いい感じに焼けた
パリッとした皮からあふれ出た脂が小さく泡を作り、フツフツと音を立てている
箸を入れると、脂を溢れさせながら身がほろりと解れ、中に閉じ込められていた香ばしい匂いと湯気が立った


( T)「うん!!美味い!!!!!」モグモグ!!


美味い!!!!!!凄い美味い!!!!!!!!白飯が食いたいな!!!!!!
味の描写はめんどくさいんで全カットだ!!!!!!!秋刀魚くらい食ったことあるだろ!!!!!文句言うな!!!!!!


磯風「何故だ……艦娘と人間とで焼き方に差があるとでも言うのか?」

時雨「君の手から物凄い燃える謎の液体とか出てないよね?」

磯風「そんなまさか……確かめてみろ!!ほら!!」

時雨「凄く生臭い」

磯風「それが原因か……」

時雨「いやそれはただ秋刀魚触ったからだよ」

( T)「ヒンナ!!ヒンナヒンナ!!」モグモグ!!

( T)「ごっそーさん」

時雨「一人だけ楽しんでずるいや」

( T)「食いたきゃ自分で焼け」

磯風「それが出来れば苦労はしない」

( T)「俺が悪かった。とりあえず時雨、一回焼いてみろ」

時雨「やだ!!!!!!!!」

( T)そ「否定が力強い!!」

時雨「ば、爆発するんでしょ!?エロ同人みたいに!!」

( T)「そんな薄い本あってたまるか」

磯風「頼む。この磯風に原因があるのか、それとも艦娘全員がこうなるのか確かめたい」

時雨「ええー……そりゃ、僕も今年から秋刀魚焼き勢の一人だけど……」

( T)「頑張れ頑張れ!!!!!!!!」

磯風「頑張れ頑張れ!!!!!!!!!!」

時雨「伊藤ライf」

( T)「山田太郎!!」

時雨「ドカベンの方!?わかったよやるよ!!」


この手に限る。勢いって大事だよ本当に

時雨「焼けた!!」

( T)「マジか」

磯風「嘘だろ」

時雨「何だ文句あるのかやるかこの野郎」


時雨、信じられないことにミッションコンプリート
焼けた秋刀魚を掲げてクルクル回ってる。転んじまえ


時雨「モグモグ」美味しい!!

( T)「興奮の余り擬音とセリフが逆になってんぞ」

磯風「馬鹿な……この磯風だけ……何故……」


\ジュッ!!/


磯風「蒸発するのだ……」


目に見えて滅茶苦茶落ち込む磯風。可哀想になってきた
ぶっちゃけ去年ほどの危険が無い分、進歩したと言いたい所だが……


(;T)「無意味に秋刀魚が無くなっていくのは……どうもな……」

時雨「ダイナミック火葬かな?」

磯風「そこまで言う事無いだろう……」グスッ

( T)「時雨」

時雨「今のは本当にすまないと思ってる」

( T)「うむむ……磯風本人に謎の能力が発動したのか、新手のスタンド使いの攻撃か……」

時雨「秋刀魚を一瞬で焼失させるスタンド能力」

( T)「いらねえ……なんだそのスタンド……サバイバーより弱いんじゃねえのか……」

磯風「クソっ、こうなればトライ&エラーだ!!焼けるまで焼くぞ!!」

( T)「待てオイ」ガッ

磯風「止めるな!!秋刀魚くらい焼けなければ天下の陽炎型の名が泣く!!」グググ

( T)「おう、焼いてもらおうじゃねえか」

磯風「だから止め……はっ?」

時雨「そうだね、焼いてもらおう」

磯風「お、おお?」

( T)「ただし、ちゃんと原因を解明した上で、だ」

磯風「原……因……」

( T)「何事にも理由があるんだよ。それを証明せず数だけこなして成功させても、また同じ失敗を繰り返すだけだ」

時雨「今良いこと言ったよ珍しく」

( T)「おうありがとう。珍しくは余計だ」

磯風「そう……だな。戦闘だって同じことだ。時には単縦陣以外の選択も必要だ」

磯風「すまない、少々冷静さに欠けていたようだ」


落ち着きを取り戻した磯風は、大きく深呼吸をした
適当な事を言って秋刀魚の無意味な消費を避けることが出来た。TRPGなら言いくるめにボーナス付くよこれ


時雨「で、勿論原因解明の目途は付いているんだよね?」

( T)「モロチンだ。お前、ここをどこだと思っている?魑魅魍魎が跋扈する『地獄の血みどろマッスル鎮守府』だぞ?」

( T)「だったら、今からここに呼ぶ艦娘は一人しか居ねえだろ」


ありえない事態には、ありえない原因だ。奴を呼ぶ以外無い


( T)「助けにきてくれメシアーーーーーーーーーーーーッ!!!!!」


妖怪探知及び退治のスペシャリスト。某正義超人を彷彿をさせる足技の持ち主…… ※『加賀「乳首相撲です」』参照




あきつ丸「呼ばれましたか提督殿ーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!」ラーメンマンーーーーーーーーーー!!!!!!!




モンゴルmあきつ丸だ!!!!!

( T)「よく来てくれた!!」

あきつ丸「提督殿がメシアと呼べば、どこへでも駆けつける所存であります!!」

磯風「メシア……?」

時雨「あんまりその辺のコアな部分に突っ込んじゃダメだよ。オタクってめんどくさいから」


メシア云々の話はキン肉マン(全五十六巻)を読んでくれ。七人の悪魔超人編とかで明らかになる


( T)「かくかく、しかじか!!」

あきつ丸「なるほど!!磯風殿が秋刀魚を焼こうとすると一瞬で焼失するのでありますね!!」

磯風「何故今ので伝わる!?」

時雨「ああー……理解力EX勢がここにもいるんだー……」


状況を一瞬で理解したあきつ丸は、工廠妖精の魔改造を施した『妖怪灯篭』を七輪へと向ける
妖気を感じ取るとなんかこう光ってお知らせしてくれるのだ
リブート版ゴーストバスターズの幽霊探索装置『PKEメーター』っぽい物だと認識してくれたらそれで合ってる


あきつ丸「……」

( T)「どうだ?」


正直、この当てが外れるともうどうすればいいのかわからん


あきつ丸「反応……ありであります!!」

( T)「っしゃあ!!ブチ殺すぞ!!」


磯風「何をやっているのか全く理解できんのだが……」

時雨「大丈夫、初見の人も何やってるのか全然わかってないよ」※『加賀「乳首相撲です」』参照

あきつ丸「妖怪よ!!姿を現すのであります!!」


磯風「妖怪……?」

時雨「ハロウィン近いし、季節感的には合ってるよね」


あきつ丸が呼びかけると、七輪の火がごうと燃え上がる
その火は急速に大きくなり、去年の規模を軽く超え始めた


( T)「下がれ」

時雨「何か一気に話が可笑しな方向に進みだしたね」

( T)「最初からだ」


\オオオオオオオ……/


炎は、怨念が込められた亡者の唸り声のような音を鳴らし始めた


あきつ丸「名乗るがいい!!」


\オオオオオオ……こんにちは、イフリートです/


( T)「意外と礼儀正しいなオイ」

イフリートと言えば、ファンタジーではお馴染みの火の魔人だ
セクハラ提督幽霊や妖怪乳首相撲と比べて余りにもまともな妖魔の態度に若干の感動を覚える ※過去作品参照


( T)「あー、ドーモ。イフリート=サン。マッスル提督です」


挨拶は大事だ。古事記にもそう書いてある


\我に何用だ……返答次第ではここら一帯を焦土にするぞ……/


話せば通じる系かと思ったらやべーよやっぱ魔人だよ
秋刀魚焼いてて鎮守府最大のピンチってなんだよもう。毎日がダイ・ハードじゃねーか


時雨「秋刀魚を焼き消すくらいしか能の無い雑k(#T)「オオアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!」


\今、なんと申した?/


(;T)「何でもありませーーーーーーーーーーーーーん!!!!!!すいませんねこの子ちょっとアホ極まってまして!!」ギチギチギチ

時雨「ああああああああああああああああああ!!!!!????」バンバンバンバン!!!


本当にこのイフリートに、七輪に憑りついていたイフリートにここら一帯を焦土と化せるほどの力があるのか定かでは無いが
だからと言って無駄に煽るのも危険が危ない。今ここにこのアホがいる事こそ最大のピンチなのかもしれない

磯風「こちらの要求はただ一つだ!!秋刀魚を普通に焼かせてほしい!!」


\えっ/


磯風「えっ」

( T)「えっ」ギチギチギチ

時雨「あーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!死ぬーーーーーーーーーーー!!!!!」バンバンバンバン!!!!

あきつ丸「えっ」


\えっ、あっ、ああー!!ごめんごめん!!はいはいそういうアレね!!/


何こいつ急にフランクになりやがった。逆に恐い、安心できない


\えー、火力設定……ああー、やっぱり陽炎型十二番艦の設定だけ火力最高になってたわ!!めんごめんご!!/


磯風「設定!?」

( T)「それぞれ個別で火力調整してんのかよお前」


\いやー、すまんすまん!!去年の爆破バグを直してよっしゃこれでイケるって油断してたわ!!ごめんな!!/


あきつ丸「提督殿」ヒッソォ

( T)「うん?何?」ヒソヒソ

あきつ丸「どのタイミングでブチ殺すのでありますか?」ヒソヤカ

( T)「いやもう解決しただろこれ……これで殺意剥きだしってこっちが頭可笑しい奴らじゃねーか」ヒソヌ

磯風「で、では、これでこの磯風も秋刀魚を焼けると言う事で宜しいか?」


\うんうん!!オッケー!!この七輪結構居心地ええから、長いこと大事に使こうてな!!/


あきつ丸「関西圏の方のようでありますな……」

( T)「気ぃ抜けるんだけど」


\ほんなら、ワシ戻るわ!!じゃあの!!/


炎は一瞬にして収まり、元の炭火の火力へと戻った
狐に抓まれた気分とはこの事か。まぁ、あんなのと戦わなくて良かったと安心するべきだろうな


時雨「酷い目に遭った……」ジンジン

( T)「誰彼構わず喧嘩を売るお前が悪い」

時雨「全く、誰に似たんだろうね」

( T)「ほんとになぁ」

あきつ丸「飼い主に似たのでありましょうなぁ」

磯風「司令!!」


ともあれ、原因を突き止め、問題は解決した


( T)「おう。そんじゃあ、存分に腕を振るってもらおうか」


かなり遠回りな道のりだったが、本人のやる気はこれっぽっちも失せてはいないようだ


磯風「ああ、期待しておくがいい!!去年の雪辱を果たしてやる!!」


意気揚々と秋刀魚を手に、七輪の前にしゃがみ込んだ
盾も、恐らくはもう必要無いだろう。それに、今日は少し冷える


( T)「よし、まともな挑戦は今回が初だ。返すタイミングは教えてやるから、集中しろよ」

磯風「任せろ!!」


火に当たりながら、のんびりと楽しむことにしよう

―――――
―――



叢雲「で、結局秋刀魚祭りになったってワケ?」

( T)「人が集まったから仕方ない」


匂いに連れられ寄ってきた鎮守府の連中
大勢集まったので、遂にはバーベキューコンロも引っ張り出して夕飯ついでの秋刀魚パーティーが始まってしまった


叢雲「全く、ちょっと様子見て帰って来てもらうつもりだったってのに……」


等と、文句を言っている割には既に三尾食ってるこの副司令官。全く説得力がない
この分だと余剰分は二日もあれば食いつくされてしまうだろう


時雨「そろそろ提督が『とほほ~、もう秋刀魚はコリゴリでごわす~』って言い出すタイミングだね」

( T)「いや何その語尾?西郷じゃねーんだから」


今回はそんな昭和のギャグマンガみたいなオチが無いことを願いたい


磯風「司令、次が焼けたぞ!!さぁ食え!!」

( T)「もう腹いっぱいだよ」


磯風は完全にコツを掴んだようで、次々と秋刀魚を焼きあげていた
えっ?何?浦風が何?そんな子ウチにはいませんけど?

叢雲「それにしても、イフリートが憑りついてる七輪なんて眉唾なんだけど?」

( T)「今までの事件振り返っても同じこと言えんの?」

叢雲「私がどうかしてたわ」

時雨「古参の苦労が垣間見えるね」

( T)「どうだ叢雲、お前も挑戦してみたらどうだ?」

叢雲「ハァー?イヤよ面倒くさい」

( T)「いつも偉そうな口叩いてる癖に出来ないんだぜあいつ……」ヒソヒソ

時雨「ハハッ、それじゃあ嫁入りなんて絶対に無理だね……」ヒソヒソ

叢雲「言ったなオイ吐いた唾飲むなよ」


随分物騒な口を叩き、叢雲は七輪へと向かう


叢雲「替わりなさい。あいつらのケツに捻じ込む秋刀魚を焼きあげるわ」

磯風「食べ物を粗末にするな」

叢雲「冗談よ。一割は」

( T)「残り九割はマジなのかよ」

磯風「そっと置くんだぞ?上からびたーんって落とすんじゃないぞ?」

叢雲「うっさいわかってるわよ!!」


微笑ましい光景を眺めながら、熱い茶を啜る。酒?ビール?呑めねえよ
ほんの数時間前までてんやわんやしてたのが嘘のようだ。ああ、平和ってこういう事を……


\ッッッパァーーーーーーーーーーーン!!!!/


( T)「えっ」

時雨「あああああああああああああーーーーーーーーーーーーーッ!!!!?????」※フラッシュバック


悪 夢 の 爆 跳 、 再 来 


<ギャアアアアアアアアアアーーーーーーーーーーーーーーーーーーッス!!!!!!!!


一 片 の 迷 い な く 金 剛 に 突 き 刺 さ る 燃 え た 秋 刀 魚


叢雲「……」

叢雲「じゃっ、そういうことで!!」ダッ


全 力 で そ の 場 か ら 逃 げ 出 す 叢 雲

磯風「……」

( T)「……」

時雨「……」


( T)「あきつ丸」

時雨「ビール一杯でベロベロになってそこで死んでる」

( T)「……」


あきつ丸「」


磯風「……仕舞おうか」

( T)「そうだな……バーベキューコンロもあるし……」


いくら物凄い能力を持っていたとしても、当の本人がポンコツだと意味がない
俺はまた新しい教訓を得て、この七輪を物置の奥の奥に仕舞って置くことに決めた









<もう秋刀魚はコリゴリデーーーーーーーーーース!!!!!







おわり

備長炭の取り扱いには細心の注意を払いましょう。お疲れさまでした

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