☆765プロライブシアター/事務所
恵美「ねえねえ、プロデューサー」
P「んー?」
恵美「その仕事ってまだ終わらないの? 夕方からずっと休んでないでしょ?」
P「そうだけど、一気に終わらせたくてな」
恵美「アタシも何か手伝おっか?」
P「いや、いいよ。気持ちは嬉しいけど、高校生には難しいから」
恵美「そうなんだ」
P「もうみんな帰っちゃったけど、恵美はまだ帰らなくていいのか?」
恵美「うん。何となくシアターにいたい気分なんだ~」
P「ふーん」
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恵美「ところで、夜の事務所ってちょっと寂しいんだね」
P「そうかな?」
恵美「普段はみんなと会える場所だから、誰もいないと余計にそう感じちゃうのかも」
P「ああ、なるほど」
恵美「プロデューサーは、寂しくないの?」
P「俺はもう慣れちゃってるからなあ」
恵美「そっか。プロデューサーは一人で事務所に残ることも多いもんね」
P「残業があるからなー」
恵美「あはは……お疲れさま。無理はしないでね」
P「うん、気をつけるよ」
恵美「お茶でも淹れよっか?」
P「いや、お構いなく」
恵美「やることがあったら何でも言ってね。雑用でもいいから」
P「そんなに気を使うことないのに」
恵美「だって、プロデューサーだけ仕事しててアタシは暇なのもなー……って思うし」
P「じゃあ、学校の宿題でもやればいいじゃん」
恵美「えー」
P「学生の本分だろ」
恵美「アタシは勉強よりも、誰かのためになることの方が好きなんだけどな~」
P「誰かのためか……。――そうだっ!」
恵美「うわっ、どしたの?」
P「だったら、部屋の掃除を頼めないかな?」
恵美「掃除って、窓拭きとか?」
P「そうじゃなくて、散らかってる物の整理をして欲しいんだ」
恵美「あー、ここって確かに物が多いよね」
P「本棚と収納スペースだけでいいから、綺麗にしてくれないかな?」
恵美「そのくらいなら任せてよっ。パパッと終わらせちゃうねっ」
P「そうか、助かるよ!」
恵美「ほとんどはシアターのみんなの私物?」
P「うん。だから俺が勝手に触るのも悪いかと思ってさ」
恵美「別に誰も気にしないと思うけどな~」
P「だとしても一応、な。お願いだ」
恵美「ん、オッケー」
P「ありがとう、恵美」
恵美「部屋が綺麗な方が、みんなも気持ち良く過ごせるもんね」
P「うん、みんな喜んでくれると思うよ」
恵美「だったら頑張らなきゃ!」
P「重いものがあったら声をかけてくれ。俺が運ぶから」
恵美「はーい」
P「じゃあ、まずは本棚の整理から頼む」
恵美「うん、本棚ね……って、小説が多すぎない!?」
P「ほとんどは百合子の私物だ」
恵美「へえー、さすが読書家だね~」
P「ダンボールにまとめて、百合子の家に送り返すつもりなんだよ」
恵美「そ、そうなんだ……」
P「そうしないと増え続けるからなー」
恵美「雑誌もたくさんあるけど、プロデューサーが買ったの?」
P「いや、見本で貰えるんだよ」
恵美「見本?」
P「うちのアイドルが出てるからさ」
恵美「あっ、本当だ! 風花のグラビア発見っ」
P「いい写りだろ」
恵美「きわどい水着だね~。半分くらい胸、見えちゃってない?」
P「ははは……本人はもっと清楚な水着がいいって拗ねてたよ」
恵美「でも、このセクシーさも風花の魅力だよね」
P「そうだな。だから、うまく両立するのが理想だと思ってる」
恵美「で、プロデューサーってこういう水着が好きなの?」
P「えっ!? いや、別に……」
恵美「アタシも風花みたいな水着、着てみようかな~」
P「恵美にはまだ早いよ」
恵美「グラビアがダメなら、プロデューサーに見せるだけでもいいけど」
P「目のやり場に困りそうだな」
恵美「にゃはは、少し動いただけで脱げちゃいそうだもんね~」
P「……」
恵美「ちょ、ちょっと! 急に黙んないでよ……」
P「あ、ああ! ごめん」
P(よからぬハプニングの場面を想像してしまった……)
恵美「このダンボールの中身は?」
P「あー、色々」
恵美「色々って適当すぎ――うわっ、本当に色々だ」
P「だろ?」
恵美「野球道具、ゲームソフト、将棋盤、ぬいぐるみ、ドラマの台本……」
P「ほぼアイドルたちの私物だな」
恵美「これ、どうすればいいの?」
P「仕事関係のものと私物を分別してもらえると助かる」
恵美「えーと……ドラマ台本とか、デモテープが仕事関係?」
P「そんな感じ。私物は後日、不要なものは持って帰ってもらうよ」
恵美「なるほどね~。あ、たこ焼き器まである」
P「たこ焼き器? 奈緒が持ってきたんだっけな」
恵美「これは必要だよねっ。たこ焼きパーティも開けるし!」
P「そうかなあ」
恵美「ゲームも必要! みんなで遊ぶと盛り上がるもんね~」
P「おいおい、必要なものばっかりじゃないか」
恵美「えー、いいじゃん別に」
P「シアターは遊び場じゃないんだからな」
恵美「大丈夫! オンとオフは分けて、仕事はちゃんとするから!」
P「まあ、そこは心配してないけどさ」
恵美「あっ、麻雀牌がある! アタシも麻雀、覚えようかな~♪」
P「ははは……」
数十分後
恵美「じゃ~んっ! どう、綺麗になったでしょ?」
P「おお! かなり片付いたな!」
恵美「よく使うものは棚に並べておいたねっ」
P「使わないものは?」
恵美「ダンボールに入れて収納スペースにしまったよ」
P「本当だ! すごく丁寧に整理されてる」
恵美「気に入ってもらえたなら良かった♪」
P「すごいなあ。恵美って、家事は大体できるんだっけ?」
恵美「にゃはは、実は美也に教えてもらったことも多いんだけどね~」
P「へえー」
恵美「プロデューサー、仕事の方はどう?」
P「ようやく一段落ついたところだよ」
恵美「えっと……じゃあ、もう帰っちゃう感じ?」
P「ああ、いや……帰らない」
恵美「そうなの!? それならアタシもまだ残ってていいかな~」
P「うん、そのつもりだよ」
恵美「えっ?」
P「今日はしばらく、恵美と一緒にいようと思ってたから」
恵美「ちょっ!? な、なにそれ……ドキドキするじゃん」
P「何となくだけどさ、今日の恵美はいつもと様子が違うなーと思ってたんだ」
恵美「……」
P「俺の思い過ごしかな?」
恵美「アタシ、どこか変だった?」
P「変ってほどじゃないけど、違和感はあったな」
恵美「そっかー……」
P「悩んでることでもあるのかな、と思ってさ。恵美と話したかったんだ」
恵美「もしかして、それでアタシに掃除なんて頼んだの?」
P「まあ、それもあるかな」
恵美「ふーん……あれっ、スマホ鳴ってるよ」
P「ああ、俺か」
恵美「出なよ。大事な用かもしれないじゃん」
P「いや、後回しでいいよ。ただのメールみたいだし」
恵美「アイドルの誰かが、相談したいことがあるのかも……」
P「だとしても、後でいい」
恵美「えっ……そんなひどいこと言わないでよ! みんなはプロデューサーを頼りにしてるんだよ!?」
P「でも、まだ恵美の話を聞いてないから」
恵美「……」
P「となり、座ってもいいか?」
恵美「……うん」
P「話の邪魔はされたくないし、スマホの電源は切っておくな」
恵美「そこまでしなくていいのに」
P「まあ、いいからいいから」
恵美「隠してたつもりでも、プロデューサーには分かっちゃうんだね」
P「もう長い付き合いだしな」
恵美「……うん」
P「何か、落ち込むことがあったのか?」
恵美「そう、なのかな……? 実は、自分でもよく分かんないんだ」
P「……」
恵美「アタシ、学校もアイドル活動も、それなりに上手くいってると思う」
P「うん」
恵美「だけど、漠然とした不安とか寂しさに襲われることがあるんだ。……おかしいよね」
P「別におかしなことじゃないと思うよ」
恵美「そうかな。友だちにも恵まれてるのに、寂しいなんて……」
P「そういう気持ちになる時ってあるもんだよ」
恵美「大人でも?」
P「まあ、それなりに」
恵美「そういう時ってどうしてるの?」
P「どうしてるのかなあ……みんなでお酒を飲みに行ったり、とか?」
恵美「えーっ、お酒で解決!?」
P「と言うより、誰かと一緒にいると安心するのかもしれない」
恵美「ああ、それなら分かるかも」
P「もしかすると、今もこのみさんと莉緒がどこかで飲んでるかもしれないぞ」
恵美「いいなあ、アタシも仲間に入ってみたい」
P「ははは、あと四年は待たなきゃな」
恵美「えっと……つまり、具体的に辛いことがあったとかじゃないからっ」
P「でも、精神的にキツいことは事実だろ?」
恵美「……そだね。何だろう、この胸がモヤモヤっとする感じ……」
P「大丈夫か?」
恵美「うん、心配しないで。実はね、夕方よりは良くなってるんだ」
P「おいおい、嘘じゃないだろうな」
恵美「本当だよ……プロデューサーと一緒にいたおかげで、ちょっと元気が出たんだと思う」
P「そんなことで?」
恵美「大事なことだよ。……すごく、大事なこと」
P「まあ、恵美がそう言うなら良かったよ」
恵美「不思議だなあ。プロデューサーと話すと、気持ちが癒されるみたい」
P「そうか。俺も恵美の素直な気持ちが聞けて、すごく嬉しいよ」
恵美「そう?」
P「恵美って周りを立てて、自分を抑えるところがあるからさ」
恵美「プロデューサーから見たアタシって、そんな感じに見えるの?」
P「うん。本当は誰かに甘えたい、寂しがり屋にも見えるなあ」
恵美「寂しがり屋……」
P「ごめん、ストレートに言いすぎたかな?」
恵美「ううん、気にしないで……。恥ずかしいけど、当たってる気もするから……」
P「気づいたらこんな時間だ。まだ帰らなくても平気か?」
恵美「えっと……早速だけど、素直な気持ちを言わせてもらうと……」
P「うん」
恵美「…………まだプロデューサーと一緒にいたいな。ダメ?」
P「……」
恵美「……きゅ、急に黙らないでよーっ!!」
P「ご、ごめんごめん! あまりにも恵美が可愛くて……」
恵美「あうう……」
P「じゃあ、夕食にしないか? まだ食べてないだろ?」
恵美「……う、うんっ! いいね、アタシお腹すいちゃった~」
☆給湯室
P「さて、何を食べようかな」
恵美「あっ、明太子がある!」
P「星梨花のお土産だよ。福岡へ行ったんだってさ」
恵美「へえー」
P「夕食はこれにしようか。えーと、ご飯は残ってたかな……」
恵美「ねえねえ、それより明太子のパスタにしない? アタシが作るからっ」
P「えっ、作れるのか?」
恵美「一応ね。けど、あんまり上手くないから期待しすぎないでね」
P「いやいや、ぜひ食べてみたい。お願いするよ」
恵美「オッケー。じゃあ、ちょっと待っててね」
十五分後
P「おお! めちゃくちゃ美味しそうじゃん!」
恵美「このくらい誰でもできるよ~」
P「さっそく食べてもいいか?」
恵美「もちろん。冷めないうちにどうぞっ」
P「いただきます!」
恵美「いただきま~すっ」
P「……うん、美味しい! すごく美味しいよ!」
恵美「えへへ、そう言ってくれると嬉しいな」
P「こんな料理が毎日食べられたら幸せだろうなあ」
恵美「も、もうっ……褒めすぎだって……」
P「ズバリ、美味しさの秘訣は?」
恵美「うーん……バターを多めに、とか」
P「なるほど」
恵美「あとは、たっぷり愛情を込めること……なんちゃって」
P「いや、それは大事なことだと思うよ」
恵美「そう?」
P「もし俺が一人でこのパスタを作って食べても、心までは満たされないと思うんだ」
恵美「……うん」
P「恵美が作ってくれて、二人で一緒に食べるからこそ、今は満たされてるなーって感じられるよ」
恵美「えへへ、アタシも幸せだよっ。食事って、幸せを共有することなのかもね……」
P「さて、ごちそうさま。片付けは俺が済ませるな」
恵美「えっ? いいよ、アタシがやるから」
P「恵美は料理を作ってくれたじゃん。片付けくらい任せてくれよ」
恵美「ん~、じゃあそうしよっかな」
P「すぐ戻るから待っててくれ」
恵美「プロデューサーがいないと退屈だな~」
P「ほんの数分だろ」
恵美「まあ、そうなんだけどね」
P「雑誌でも読んでいればいいよ。じゃ、後でな」
恵美「はーい」
恵美(あっ……! これ、読んでみよっと……)
数分後
P「ただいまー。あれっ、その本は……」
恵美「ああ、おかえり。プロデューサー」
P「それ、百合子の本だろ?」
恵美「うん。掃除した時にちょっと気になってたんだ」
P「俺も読んだよ。冒頭から面白いよな」
恵美「ん~……アタシにはちょっと難しいかも。小説って文字ばっかりなんだねー」
P「そりゃそうだろ」
恵美「でもね、いいなって思った主人公のセリフはあるよ」
P「へえ、どれだ?」
恵美「『それでも僕は、君の孤独に触れたい』だってさ」
P「ふーん」
恵美「優しいよね……プロデューサーみたい」
P「俺はこんな気取ったことは言えないよ」
恵美「アタシ、百合子の気持ちがちょっと分かったかもしれない」
P「どういうことだ?」
恵美「小説の登場人物が、プロデューサーと重なることがあるってよく言ってるから」
P「ああ……百合子から聞いたことがあるな」
恵美「――君の孤独に触れたい!」
P「言わないって」
恵美「うーん、残念」
P「女の子って、こんな格好つけたセリフが好きなのかな」
恵美「アタシは嫌いじゃないよ」
P「じゃあ、このセリフも好き?」
恵美「どれどれ?」
P「『世界中が君の敵になっても、僕は君の味方だ』……どうだ?」
恵美「ふーん」
P「あんまり気に入ってないみたいだな」
恵美「悪くはないけど、現実味がなさすぎない?」
P「俺はこの主人公の気持ち、分かるけどなあ」
恵美「そうなんだ」
P「世界中が恵美の敵になっても、俺は恵美の味方でいるよ!」
恵美「……うん、やっぱリアルじゃないかな」
P「そうかー、残念だ」
恵美「世界中を敵に回すって、アタシは一体何をしたの? って話だし」
P「確かに」
恵美「でも、一緒にいてくれるのは嬉しいよ。ありがと」
P「あー、何だか帰りたくないなあ」
恵美「どしたの? プロデューサーまで」
P「恵美とずっと喋っていたいって、急に思ったんだ」
恵美「にゃはは、まったりした時間っていいよね~」
P「まだ帰らなくても大丈夫?」
恵美「うん、遅くなるって言ってあるから」
P「そっか」
恵美「あっ、テレビつけようよ。まだ時間はあるからさ~」
P「ん、オッケー」
恵美「このバラエティ番組でいい?」
P「あー、何でもいいよ」
恵美「あっ、期待してないでしょ? この番組、中身はないけど面白いんだからね!」
P「中身はないんだ」
恵美「でも笑えるよ」
P「それはいいことだな」
恵美「リラックスして見るのにちょうどいいノリなんだよねー」
P「なるほど、じゃあ俺もリラックスして見るか」
恵美「アタシもそうしよっかな~」
P「ああ、思いっきりくつろいでいいぞ」
恵美「じゃあ、プロデューサーのとなりで、くっつて見るね♪」
P「お、おう……」
恵美「あははっ、この芸人さん面白いよね~」
P「な、なあ恵美……」
恵美「ん?」
P「さすがに密着しすぎじゃないかな」
恵美「……」
P「な、何か喋ってくれないと困るんだけど……」
恵美「……さっき、プロデューサーが言ったよね?」
P「えっ?」
恵美「アタシのこと、本当は誰かに甘えたい寂しがり屋に見えるって」
P「ああ、うん」
恵美「それね、当たってるから……。えっと…………甘えても、いい?」
P(恵美は恥ずかしそうに顔を赤らめている……。か、可愛い……)
恵美「ね、ちょっとだけ……」
P「ああ、いいよ」
恵美「プロデューサーにくっついてると、温かいね」
P「そう言われると照れるな」
恵美「あとね、何だか安心する……」
P「寂しいときは、いつでもこうしていいからな」
恵美「うん、ありがと…………きゃっ!」
P「あ、ごめん。髪を撫でられるのは嫌だったか?」
恵美「ううん、びっくりしただけだよ」
P「本当に? 嫌だったら言っていいんだからな」
恵美「嫌じゃないって! えっと……甘えるのに慣れてないから、びっくりして……」
P「あー……じゃあお互い様だな」
恵美「どういうこと?」
P「俺も女の子に甘えられるのって、慣れてないからさ」
恵美「えー、嘘っぽいなあ」
P「疑うような目で見ないでくれよ」
恵美「もっと撫でてくれたら信じてあげる……なんてね」
P「わ、分かったよ……」
恵美「ん……気持ちいい……。どうしよう、このままずっと甘えちゃいそう……」
P「ああ、気が済むまで甘えてくれ」
恵美「こんなところ、人に見られちゃったらまずいよね」
P「大丈夫だよ、誰もいないから」
恵美「だよね……やっぱ、アタシの気のせいかな」
P「ん?」
恵美「物音が聞こえた気がしたんだよね。誰かが来たのかと思った」
P「さすがにこの時間だし、誰も訪ねてこないよ」
恵美「だよねー」
P「シアターの関係者が来るなら、連絡を入れてくれるはずだしな」
恵美「何も連絡はないの?」
P「そうだな…………あっ」
恵美「どしたの?」
P「恵美の話を聞くときに、スマホの電源を切ってたんだった」
恵美「…………あっ」
P「電源を入れなきゃ…………うわっ! 何だこのメールの数!?」
恵美「ねえ、足音が聞こえるよ! 廊下の方!」
P「本当だ、こっちに近づいてくる」
恵美「怪しい人じゃないよね!? ちょっと怖いんだけど――」
――バンッ!!
莉緒「どうしてメールに返事してくれないよ、プロデューサーくん!!」
このみ「せっかく飲みに誘ってるのに~!」
恵美「うわっ! びっくりした!」
P「このみさんと、莉緒!? な、何してるんですか……?」
このみ「何してるって……それはこっちのセリフよ!」
莉緒「そうそう! どれだけメールを無視するつもりなの!?」
P「ご、ごめん……」
莉緒「それに、プロデューサーくんと恵美ちゃん、やけに距離が近くない?」
このみ「……二人で何してたの?」
P「な、何もしてないですよっ! なあ、恵美!?」
恵美「う、うんっ! 一緒にテレビ見てただけだよね!」
莉緒「ふーん……」
このみ「怪しい……」
P「このみさんたちは、お酒を飲んでいたんですか?」
このみ「そうよ。プロデューサーも合流しないかと思って誘ったんだけど……」
莉緒「反応がないからシアターまで来ちゃったってわけ」
P「誘いは嬉しいけど、恵美もいるから……」
このみ「確かに、未成年を飲み屋には連れて行けないわね」
莉緒「じゃあ、お酒はやめてカラオケにしない? それなら高校生でも問題ないでしょ?」
恵美「カラオケ? 行きたい行きたいっ!」
このみ「ナイスアイデアね、莉緒ちゃん」
P「まあ、それならいいかな……」
莉緒「よーし、決定ね!」
恵美「みんなで盛り上がっちゃお~」
このみ「プロデューサー、すぐに出発できる?」
P「いえ、ちょっとだけ待っててください。戸締りの確認だけ済ませてきますんで」
このみ「オッケー、お願いね」
☆レッスンルーム
P「この部屋も戸締り問題なし……っと。よーし、これで全部だな」
恵美「……プロデューサー」
P「うわっ、恵美!?」
恵美「えへへ、抜け出して来ちゃった」
P「びっくりした……。一体どうしたんだ?」
恵美「えっとね……もうちょっとだけ、二人で話したいと思って……」
P「ああ、急に賑やかになっちゃったもんな」
恵美「うん。賑やかなのも好きだけどね」
P「このみさんと莉緒はどうしてる?」
恵美「近所のカラオケ屋さんを調べてるよ。料理の美味しいお店がいいんだって」
P「ふーん」
恵美「見て、月が綺麗だよ」
P「本当だ」
恵美「プロデューサー、今日は本当に……ありがとう」
P「どうしたんだよ、改まって」
恵美「アタシね、もっと素直に自分の気持ちを言えるようになりたい、って思ったよ」
P「そうか」
恵美「だから……これからも時々は、プロデューサーに甘えてもいい?」
P「もちろんだよ。俺でよければいつでも頼ってくれ」
恵美「えへへ、嬉しいなあ」
P「また今日みたいに、まったり過ごす時間を作ろうな」
恵美「うん、絶対にね!」
P「さて、そろそろ戻ろう。二人が待ってる」
恵美「そうだね、急がなくちゃ」
P「カラオケも楽しみだなー。ワクワクする」
恵美「本当に、シアターにいると楽しいことばっかり! 寂しいことも忘れちゃうよ」
P「もう寂しくなくなったか?」
恵美「うん! 今はね、穏やかな気持ちでいっぱいなんだ……」
P「そうか、良かった」
恵美「これからも、こんな幸せな日が続いたらいいなあ」
P「きっと大丈夫だよ。ほら、行こう!」
恵美「うんっ!」
恵美(これからも、優しい時間が続きますように……)
おわり
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