【ミリマスSS】このみ「スーパーマリオワールド?」P「面白いんですよ」 (43)

☆765プロライブシアター/ PM 7:00

P「ふぅ……やっと事務仕事が一段落つきましたね」

このみ「お疲れさま、コーヒーでも飲む?」

P「いただきます」

このみ「ホットコーヒーのおいしい季節になったわね」

P「そうですね、そろそろ雪が降るかもしれませんよ」

このみ「時間が流れるのは早いものね」

P「大人になったら仕方ないんじゃないですか。どうしても仕事に追われる毎日になりますし……」

このみ「それよ! 仕事ばかりしてるから毎日があっという間に過ぎていくの!」

P「はあ……。じゃあ、俺はそろそろ残った仕事を――」

このみ「今日はゲームでもしてパーっと遊びましょう!」

P「ええ……」

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このみ「急ぎの仕事はないんでしょ?」

P「まあ、そうですけど」

このみ「だったら遊んだほうがいいわよ。たまには息抜きもしないと行き詰まっちゃうんだから」

P「うーん……それならちょっとだけ付き合いますよ」

このみ「じゃあ、そこのソフトの中から好きなものを選んでね!」

P「あっ、またスーファミなんですね」

このみ「もちろん!」

P「そうですねえ……『スーパーマリオワールド』なんてどうですか?」

このみ「あっ! それやってみたかったのよね。他のマリオシリーズはやったことあるんだけど……」

P「スーファミ初期の名作ですよ」

このみ「よーしっ、今日のゲームはマリオワールドに決定ね!」

P「じゃあスイッチ入れますよ」

このみ「オッケー」

P「まずは軽くストーリーの説明が入ります」


『今度の舞台はきょうりゅうランド。何やら怪しいこの島で、またもやピーチが姿を消した』


このみ「なるほど、ピーチ姫を探すのが目的なのね」

P「毎度おなじみのパターンですね」

このみ「ピーチ姫は一体どこへ行ったのかしら……道に迷ったとか?」


『――こいつはきっとクッパのしわざ!』


このみ「そうなの!? まだ連れて行かれたと決まったわけじゃないでしょ!?」

P「まあ、いいんですよ。本当にクッパのしわざですから」

このみ「さて、ゲームが始まったけど……」

P「マップ上の好きな場所へ進めますよ。ステージに入ってみてください」

このみ「今さらな質問だけど、これって一人で遊ぶゲーム?」

P「そうですよ」

このみ「ふーん……この時代のマリオは同時プレイじゃないんだ」

P「同時プレイができるようになったのはWiiからだった気がしますよ」

このみ「じゃあ、適当なところで交代するわね」

P「了解です」

このみ「まずは『ヨースター島コース1』を選ぶわ!」

このみ「えーと、Bボタンでジャンプ。Yボタンでダッシュ、と」

P「あっ、思ったより上手いんですね」

このみ「マリオ自体はやったことあるもの」

P「なるほど」

このみ「Aボタンは……何これ? マリオが回転してるけど」

P「スピンジャンプですよ」

このみ「普通のジャンプと何が違うの?」

P「上からブロックを壊したり、トゲのついた敵が踏めるようになったりするんです」

このみ「回転しただけでそんなに威力が上がるの!?」

P「そこにはツッコまないでください」

このみ「あっ、でもジャンプ力は下がっちゃうのね」

P「ええ、二つのジャンプを上手く使い分けて進みましょう」

このみ「はい、ゴールっ! 軽い軽い♪」

P「特にミスもなくクリアしちゃいましたね」

このみ「思ったより簡単だったわ」

P「まだワールド1ですから。この先の難易度は割と高いですよ」

このみ「あら、そうなの?」

P「ええ、それに新しいアイテムや仕掛けも出てきて面白いんです」

このみ「奥が深いのね」

P「次のステージも続けて遊びますか?」

このみ「ううん、ここでプロデューサーに交代するわ。私はちょっと席を外すわね」

P「構いませんけど、何か用事ですか?」

このみ「すぐに戻るから気にしないで~♪」

P(あっ、このパターンは……)

このみ「おまたせっ、お酒とおつまみを持ってきたわよ~」

P「そう来ると思いましたよ!」

このみ「晩酌にはちょうどいい時間だと思ってね」

P「まあ、それもそうですね」

このみ「飲みもの何にする? 冷蔵庫にあったものを適当に持ってきたんだけど……」

P「じゃあ、俺はビールで」

このみ「私は莉緒ちゃんオススメの酎ハイにするわ」

P「乾杯しましょうか」

このみ「そうね。ではでは、今日も一日お疲れさまでした――」

P、このみ「かんぱ~いっ!!」

P「あ、このビールおいしい……」

このみ「お酒を飲みながらだらだらゲームやるのって最高ね」

P「ダメな大人感がすごいですけど」

このみ「普段は頑張ってるから別にいいのよ」

P「そうかもしれませんね……あ、ミスった」

このみ「あーあ、パタパタに当たるなんて凡ミスね」

P「仕方ないじゃないですか、俺だってマリオワールドは久しぶりなんですよ」

このみ「次、私の番ね~」

P「はいはい、お酒のおかわり注ぎましょうか?」

このみ「いただくわ。ありがとう」

P「さて、ヨースター島の城ですよ」

このみ「えーと……城をクリアすればこのエリアはおしまいってこと?」

P「そうですね。7つのエリアがあって、それぞれの城にはボスがいるんです」

このみ「なるほど」

P「あっ、ボスの部屋にたどり着きましたね。相手はコクッパのイギーです」

このみ「どうやって倒せばいいの?」

P「簡単ですよ。相手を溶岩に突き落とせばいいんです」

このみ「容赦ないのね!?」

P「ひと思いにやっちゃってください」

このみ「よっ……と! 落としたわ!」

P「おおっ、上手いですね。これでこの島はクリアですよ」

このみ「次のエリアは『ドーナツへいや』ね」

P「このステージから新しいアイテムも出るんですよ……この羽根です」

このみ「取るとどうなるの?」

P「マントマリオに変身して空が飛べるようになるんですよ。こんな感じです!」

このみ「へぇー、便利そうね」

P「操作にコツがいるので練習してみてください。十字キーを上手く使うんです」

このみ「本当だ、結構難しいかも……」

P「上手くなればずっと飛んでいられますよ」

このみ「何それ、便利すぎない?」

P「そうですね。実際、マントで飛んでいるだけでクリアできるステージも多いんですよ」

このみ「……それはちょっと味気ないわね」

P「ええ、なるべく空は飛ばずに進みましょう」

このみ「ここは……お化け屋敷?」

P「はい、ちなみにヨッシーは連れていけません」

このみ「念のため確認しておくけど、怖いステージじゃないわよね?」

P「怖くはないですよ。謎解き要素があったりはしますけどね」

このみ「そう、じゃあ安心して入るわ」

P「このみさんって怖いのがダメでしたっけ?」

このみ「それほどでもないけど、マリオって時々怖いステージがあるから……」

P「そうですか?」

このみ「例えば、マリオ64の『テレサのホラーハウス』とか……」

P「ああ、急に動き出すピアノが置いてあるところですよね」

このみ「そう、それよ!」

P「赤コインを取ろうと思って近付くとピアノが大きな口を開けて――」

このみ「不協和音を鳴らしながら襲ってくるのよね」

P「さながらホラー映画ですよ」

このみ「子どもの頃の怖い記憶ってやけに残ってるのよねー」

P「その気持ちは分かります」

このみ「プロデューサーも似た体験があったりするの?」

P「俺はマリオUSAの『カメーン』が苦手でしたよ」

このみ「あー! あの鍵を取ったら追いかけてくる仮面ね!」

P「ええ、まあ子どもの頃の話ですけどね」

このみ「――夜道を歩くプロデューサー。その背後には、音もなく近づく不気味な仮面が……」

P「怖がらせないでくださいよ」

このみ「冗談よ。もう怪談の季節でもないし」

P「そうだ、ちょっと分岐ルートに入ってもいいですか?」

このみ「分岐ルート?」

P「ゴールが複数あるステージもあって、どこにゴールするかで進路が変わるんです」

このみ「なるほどー、面白いわね」

P「まず、緑スイッチは押しておきましょう。後々になって攻略の役に立つんです」

このみ「そんな場所に隠しステージがあったんだ」

P「全部のステージに行かなくても全クリできるんですけどね」

このみ「やり込み要素があるってことね」

P「今回はなるべくスタンダードな道を進みましょうか。次、バニラドームへ入りますよ」

このみ「はーい」

P「よっと……どんどん進めちゃいますね」

このみ「へぇー、上手いわね」

P「かなりやり込んだゲームですから、まだ勘が残ってるんですよ」

このみ「だけど、急ぎすぎるとミスするわよ……ほらっ、穴に落ちる――」

P「はいっ、ヨッシーを乗り捨て!」

このみ「ひどい!!」

P「落ちそうになった時には重要なテクニックですよ。このみさんも覚えておいてください」

このみ「ヨッシーかわいそう……ずっと穴に落ちたままなの?」

P「大丈夫ですよ。クッパを倒した後に、ちゃんとマリオが助けに行くでしょうから」

このみ「私はなるべく乗り捨てずにクリアするわ」

P「さてと……。このみさん、ちょっと一人でゲームを進めておいてもらえます?」

このみ「どこか行っちゃうの?」

P「ええ、何か食べ物を取ってこようかと思いまして」

このみ「そう言えば夕飯がまだだったわね」

P「簡単にカップ麺でも作ってきますよ。このみさんもどうですか?」

このみ「カップ麺って、まったく……もっと栄養のあるものを食べた方がいいわよ」

P「でも、お酒を飲むとラーメンが食べたくなりません?」

このみ「気持ちは分かるけど……。ううん、やっぱり今日は私が何か作るわ!」

P「いいんですか?」

このみ「冷蔵庫にあるもので適当に、だけどね」

P「それでも嬉しいですよ」

☆給湯室

このみ「そうねえ……この食材ならハンバーグがいいかしら」

P「ハンバーグですか、大好物ですよ!」

このみ「あっ、やっぱりそうなんだ」

P「やっぱりってどういうことですか?」

このみ「芸能プロデューサーにはハンバーグ好きが多いってウワサで聞いたの」

P「それは偏見だと思いますけど……」

このみ「さっそく作るからちょっと待っててね~。フフ~ン♪」

P「このみさん、楽しそうですね」

このみ「料理は楽しみながら作った方がいいのよ。……恋のハンバーグ~♪」

P(あっ、別事務所のアイドルの曲だ)

十五分後

このみ「もうすぐ完成よ。ソースも適当に作って……っと」

P「そこに食器並べておきますね」

このみ「うん、ありがと」

P「飲みのも何にします?」

このみ「ビールで! さっきプロデューサーが飲んでたやつがいいわ」

P「肉料理にはよく合いそうですもんね」

このみ「さ、料理もできたから注いで注いでっ!」

P「はいはい。それじゃ、改めて乾杯といきますか」

このみ「そうね~。今日も一日お疲れさまでした、乾杯っ」

P「乾杯っ、ハンバーグもいただきます!」

このみ「うん、ちょうどいい焼き上がりね」

P「おいしい! これすごくおいしいですよ!」

このみ「ふふっ、プロデューサーったら子どもみたいね」

P「うぐっ……す、すいません」

このみ「いいのよ~。喜んでもらえてよかったわ」

P「毎日でも食べたいくらいですよ」

このみ「そんなに好きならまた作ってあげるわね。その時は別の味付けで作るから」

P「他にもバリエーションがあるんですか?」

このみ「うん。今日はデミグラスソースだけど、和風にするのもオススメよ」

P「いいですね! 楽しみにしてます」

☆休憩室

このみ「夕食もすませたしゲームに戻るわよ!」

P「そうしましょうか。バニラドームを抜けた先はチーズブリッジですよ」

このみ「あれ? お城がすぐ近くに見えてるけど?」

P「ええ、4面は短いんです」

このみ「ふーん、そうなんだ」

P「実はバニラドームからのコース分岐で、別ルートもあるんですけどね」

このみ「ええっ? 全然気付かなかったんだけど……」

P「別ルートは暇な時にでも遊んでみたらいいんじゃないですか?」

このみ「そうね! マップの隅々まで冒険したいわ!」

P(どれだけやり込む気なんだろう……)

このみ「操作にも慣れたしサクサク進むわ~」

P「本当に飲み込みが早いですね。ただ、この先はそれだけじゃクリアできませんよ?」

このみ「えーと次は……迷いの森?」

P「ここでは隠しゴールであるカギ穴を見つけないと攻略できないんですよ」

このみ「謎を解いて森を抜けるってことね」

P「その通りです」

このみ「面白そうね! プロデューサー、絶対にネタバレしちゃ駄目よ!」

P「ご心配なく。俺もどうやってクリアするかもう忘れてます」

このみ「あら、そうなんだ」

P「子どもの頃に遊んだきりですからね。一緒にゴールを探しましょう」

このみ「よーし、張り切っていくわよ!」

十分後

P「あれっ? また同じコースに戻された……」

このみ「うーん……かなり道に迷ってるわね、私たち」

P「迷いの森というだけはありますね」

このみ「これもゲームの醍醐味なんだけどね……ビールもう一杯もらえる?」

P「どうぞ。枝豆もありますよ」

このみ「あ~、こうやってゲームしながらお酒を飲むのって至福の時間ね」

P「同感です」

このみ「もっと年を重ねても、こういう時間が過ごせたらいいなあ」

P「ははは、それは難しいんじゃないですか?」

このみ「やっぱりそう思う?」

P「ええ。誰かとゲームで遊ぶ機会って、大人になってからほとんどなくなりましたもん」

このみ「これからはもっと少なくなるのかしら」

P「ゲーム好きの人と結婚したら別かもしれませんけどね」

このみ「あっ! 結婚の話とかしちゃう~?」

P「妙に食いついてきますね」

このみ「だって、そろそろ結婚を考えてもいい年齢でしょ? 私も、プロデューサーも」

P「そうかもしれませんね。同級生にはもう結婚した友人もいますし」

このみ「へえ~、それは早いわね」

P「俺にはまだ、結婚している自分の姿はイメージできませんけどね」

このみ「そうなんだ。私は早めにいい人見つけたいけどな~」

P「まだ24歳ですし、急ぐことはないと思いますけど」

このみ「甘い! その考えは甘いわよ!」

P「そ、そうですか……?」

このみ「だって結婚する前に相手のことを知る時間も必要でしょ?」

P「まあ、数年は付き合ってから結婚するカップルが多いでしょうね」

このみ「そう考えると、今すぐ誰かと付き合っても結婚する時には結構いい年になるのよ」

P「いい年って……それでも若いですけどね」

このみ「どこかにいい相手がいたらな~」

P「だけど、このみさんが結婚したら、こうして一緒に過ごすこともなくなるのかなあ……」

このみ「そうねえ。プロデューサーと私が結婚するなら話は別だけど」

P「ああ、そうですよね~。…………えっ?」

このみ「……」

P「……」

このみ「な、なーんてね! ま、まあ今はアイドルだから結婚は先の話だけど!」

P「で、ですよねー! このみさん、ちょっと飲みすぎたんじゃないですか!?」

このみ「あはは……ごめんごめん」

P(びっくりした……。まったく、急に意識させるようなことを言うんだから……)

このみ「さあ、色々話しているうちに迷いの森を抜けたわ!」

P「かなり長かったですね……次はチョコレー島です」

このみ「今度は岩だらけの島を進むのね」

P「出てくる敵キャラも変わりますよ」

このみ「本当だ、この太った恐竜みたいなキャラは初めて見るわね」

P「それは『ライタ』ですね。踏むと一回り小さい『チビライタ』になります」

このみ「うわっ、動きが速くなったんだけど!?」

P「チビライタは俊敏ですし火も吐いてくるんですよ」

このみ「小さくなってからの方が強いのね」

P「ええ、太りすぎると火が吹けなくなる生物なんでしょう」

このみ「どういう生態してるのよ……」

P「ほら、人間も太りすぎると動きが鈍くなるじゃないですか」

このみ「そうね」

P「逆にこのみさんくらい小柄だと、火が吹けるようになるでしょう?」

このみ「そんなわけないでしょ! どうしてそうなるのよ!?」

P「だって、莉緒と一緒にヨガもやってますし……」

このみ「私はダルシムか!」

P「ははは、冗談ですって」

このみ「もうっ、プロデューサーもかなり酔ってるでしょ?」

P「そうですね……。久しぶりに楽しい夜なので、ハメが外れちゃってるかもしれません」

このみ「まあ、楽しんでるのはいいことだけどね~」

P「よーし、もっと盛り上がっていきましょう!」

このみ「お~っ♪」

P「気分が乗ってきたところで次に進みましょう」

このみ「えーと、『チョコレー島コース2』ね」

P「ここの仕掛けはなかなか斬新ですよ」

このみ「あら、どんな仕掛けかしら」

P「取ったコインの枚数や残り時間で、土管の先にあるコースが変化するんです」

このみ「なるほど、面白いわね……わわっ、キノコがたくさん!」

P「あー、そのルートはハズレですね」 

このみ「ハズレなんてあるの!?」

P「いくつかのルートに分岐するんですけど、その中のひとつが鍵クリアなんです」

このみ「ぐぬぬ……もう一回よ!」

P「次はもうちょっと早いタイムを目指しましょうね」

十分後

このみ「チョコレー島をクリアしたら次はどうするの?」

P「どうするって……そこに沈没船があるじゃないですか」

このみ「あっ、これがステージだったんだ」

P「気づきませんでしたか?」

このみ「うん、ただのボロい板にしか見えなかったわ」

P「ひどいなあ……俺にとっては好きなステージなのに」

このみ「そうなの?」

P「沈没船の中の冒険ですよ? ロマンがあるでしょう!」

このみ「なるほど、水中なのにお化け屋敷みたいな雰囲気なのね。独特だわ」

P「ちなみに『マリオ3』に出てきた飛行船の残骸という設定らしいです」

このみ「そんな関連性が!?」

P「ゲームで前作とのつながりがあると、ちょっと嬉しくなりますよね」

このみ「そして沈没船を突破した先は……魔王クッパの谷?」

P「いよいよ最終エリアですね。あの金色に光るギラギラした建物がクッパ城です」

このみ「趣味悪いわねー」

P「派手にすればいいってものじゃないですよね」

このみ「クッパ城ってもっと荘厳なイメージがあったんだけど」

P「シリーズによって違う建物なんでしょう」

このみ「ふーん」

P「それにしても、ついに残り数ステージで全クリですよ」

このみ「ゲームに没頭していたからあっと言う間に感じたわ」

P「ぶっ通しで遊んでましたからねー……って、もうこんな時間!?」

このみ「まあまあ、時間なんてどうでもいいじゃない」

P「どうでもよくないですよ。まだ片付けたい仕事があったのに……」

このみ「もうっ、また仕事の話?」

P「このみさん、今日はそろそろ解散にしませんか?」

このみ「ええっ!? クリア直前まできてそれはないでしょ!」

P「それは申し訳ないですけど、早く寝ないと明日の業務に影響が――」

このみ「ダメっ」

P「ちょっ、このみさん! なに抱きついてるんですか!!」

このみ「プロデューサーがどこかに行っちゃわないように、捕まえてるの」

P「ええ……」

このみ「あっ、私には気にせずゲームを進めてね」

P「そう言われても、この状態で気にしないなんて無理ですよ……」

このみ「私がこうしてなきゃ、プロデューサーは仕事しすぎちゃうでしょ?」

P「……将来の765プロのことを考えれば、休んでいる暇はないですから」

このみ「まったく、本当に真面目すぎるんだから」

P「普通のことですよ」

このみ「ううん、真面目すぎ」

P「むぅ……」

このみ「先のことばかり考えていると、大切なものを見落としちゃうわよ」

P「そんな風に言わなくてもじゃないですか。俺だってシアターのみんなのために――」

このみ「その様子だと、私たちがどれだけ心配してるかも気づいてないんでしょ?」

P「えっ?」

このみ「最近のプロデューサーは働きすぎだって、みんな言ってるわ」

P「シアターの子たちがですか?」

このみ「ええ、そうよ」

P「全く気がつかなかったんですけど……」

このみ「当然よ。プロデューサーの耳に入らないように気を使っていたみたいだし」

P「もしかして、俺の仕事の邪魔にならないように?」

このみ「そうでしょうね。私たちアイドルのために頑張ってくれているのは、みんな知っているもの」

P「……」

このみ「だから、ね? あんまり心配をかけちゃダメよ?」

P「……そうですね。みんなの前で疲れた顔なんて見せたくないですし」

このみ「それなら今夜は遊びましょう。ほら、分かったら次のステージを選んでっ!」

P「ええ、それは分かったんですけど……」

このみ「まだ何かあるの?」

P「そろそろ俺に抱きつくのやめてくれません!?」

このみ「あっ、ゴメンね。くっついたままだったわ」

P「いえいえ、謝ることないですけどね。さすがに恥ずかしいので……」

このみ「ふーん、じゃあもう少しこのままでいようかな~」

P「ええっ!? こ、このみさん!?」

このみ「おやすみなさーい」

P「ちょっ!? 自由すぎますって!!」

このみ「飲みすぎたのかしら。急に眠くなっちゃったわ……ふわぁ」

P「だったら俺から離れて横になってくださいよ」

このみ「五分で起きるから……むにゃ……」

P(このみさんの体温や身体の柔らかさが伝わってくる……五分も我慢できるかな……)

十分後

このみ「んー……おはよ、プロデューサー」

P「あっ、目が覚めました?」

このみ「そろそろ五分経ったでしょ?」

P「いや、それ以上寝てましたけど……もうラスボスのクッパ戦直前ですよ」

このみ「ええっ! もう!?」

P「はい……ですが、ここでこのみさんにバトンタッチさせてください」

このみ「何だかプロデューサー、疲れてる?」

P「ははは……精神力を使い果たしちゃいましたよ」

このみ「そんなに集中してゲームしてたの!?」

P(このみさんに抱きつかれて、理性を保つのに必死だったからなんだよなあ)

このみ「まあいいわ、ここから先は私に任せてっ」

P「お願いします。俺も横からアドバイスしますね」

このみ「さあ、クッパの登場ね。……って、飛んでる!?」

P「マリオワールドのクッパは飛行物体に乗って戦うんです」

このみ「んーっ、ジャンプしても届かないわ」

P「このみさんの手が電車のつり革に届かない時の動きに似てますね」

このみ「余計なこと言わなくていいから!」

P「ごめんなさい冗談です」

このみ「これ、どうやって倒せばいいの?」

P「少し待ってください。そろそろクッパが雑魚キャラの『メカクッパ』を投げてきます」

このみ「なるほどね。これを踏んでっ……投げ返す!」

P「うまいですよ、このみさん!」

このみ「なーんだ、楽勝じゃない」

P「気を抜かないでくださいよ。ダメージを与えていくと攻撃パターンが変化します」

このみ「鉄球を落としてくるのね。……よっと!」

P「避けたっ、さすがです!」

このみ「これで終わりかしら?」

P「次が最終段階です。怒り狂ってクッパが跳ね回りますよ」

このみ「うわーっ、動きが激しすぎ! こんなのメチャクチャよ!」

P「お、落ち着いてくださいっ。このみさん、俺の声を聞いて!」

このみ「ど、どうすればいいの!?」

P「距離を取りましょう! もっと右! 右へ避けてから……」

このみ「分かったわ! 距離を取ってから……投げ返すっ!!」

P、このみ「当たれ――っ!!」

――――ドドドドッ、ズゥゥゥゥン!

P「クッパが遠くへ飛び去っていった……!」

このみ「これってついに……」

P「全クリですよ、やりましたね!」

このみ「やったー!! いやー、長かったわね!」

P「ラスボス戦を一回で決めるなんて、さすがこのみさんです!」

このみ「ううん、プロデューサーのアドバイスのおかげよ。ありがとっ」

P「いえいえ……あっ、エンディングが始まりますよ」

このみ「ピーチ姫も無事に戻ってきたみたいだわ」

P「大団円ですね」

このみ「あーあ、だけどもう物語はおしまいなのね……」

P「まだ物足りないですか?」

このみ「ゲームは楽しいものだけど、終わっちゃう寂しさってあるでしょ?」

P「RPGの終盤でクリアしちゃうのがもったいなく感じる、みたいな……」

このみ「そうそう、そんな感じ!」

P「だったら、今夜はまだマリオワールドで遊びましょうか」

このみ「えっ?」

P「まだスターロードや秘密のコース、それにスペシャルコースも残ってますからね!」

このみ「そ、そんなに……!?」

P「クッパを倒したくらいじゃ、このゲームを遊び尽くしたとは言えませんよ!」

このみ「面白いじゃない! 望むところよっ」

P「それにしても、ゲームして夜ふかしするのってどうしてこんなに楽しいんだろう……」

このみ「オトナだけの特権よね」

P「ははは、子どもの頃だと親に怒られますからね」

このみ「……ねえ、プロデューサー」

P「何ですか?」

このみ「これから先も、二人でこんな風に過ごしたいわよね」

P「いいですね。一緒にゲームしたりお酒を飲んだりしたいです」

このみ「うん! それってきっと幸せよ」

P「あっ、もちろん信頼できる仕事のパートナーとしても一緒にいてくださいね?」

このみ「当然よ! 言うまでもないわ」

P「公私ともに、これからも楽しくやっていきましょう」

このみ「ふふっ、ずっと一緒だからね。プロデューサー♪」


おわり

以上で完結です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

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