【ダンガンロンパ】安価で作成したキャラでコロシアイ学園生活~完結編【音楽家】 (287)

・安価・コンマにてキャラを16人作成。そのキャラでコロシアイ学園生活を行います。
・舞台は1と同じく、希望ヶ峰学園となります。基本ルールは1のものを参照。
・必然的に登場人物はオリキャラ中心となりますので苦手な方は注意してください。
>>1のメインPCはイーモバイル『じゃなくなった』(重要)
・もともと安価スレでしたが、何よりも一度完結させたいので『安価無し』で進行させていただきます。

【過去スレ】
【ダンガンロンパ】安価で作成したキャラでコロシアイ学園生活9【安価】
【ダンガンロンパ】安価で作成したキャラでコロシアイ学園生活9【安価】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1407757649/)

【ダンガンロンパ】安価で作成したキャラでコロシアイ学園生活8【安価】
【ダンガンロンパ】安価で作成したキャラでコロシアイ学園生活8【安価】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1397870709/)

【ダンガンロンパ】安価で作成したキャラでコロシアイ学園生活7【安価】(Chapter04)
【ダンガンロンパ】安価で作成したキャラでコロシアイ学園生活7【安価】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1394278981/)

【ダンガンロンパ】安価で作成したキャラでコロシアイ学園生活6【安価】(Chapter03非日常編~Chapter04(非)日常編)
【ダンガンロンパ】安価で作成したキャラでコロシアイ学園生活6【安価】 - SSまとめ速報
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【ダンガンロンパ】安価で作成したキャラでコロシアイ学園生活5【安価】(Chapter03(非)日常編)
【ダンガンロンパ】安価で作成したキャラでコロシアイ学園生活5【安価】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1386335181/)

【ダンガンロンパ】安価で作成したキャラでコロシアイ学園生活4【安価】(Chapter02非日常編)
【ダンガンロンパ】安価で作成したキャラでコロシアイ学園生活4【安価】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1384826973/)

【ダンガンロンパ】安価で作成したキャラでコロシアイ学園生活3【安価】(Chapter02(非)日常編)
【ダンガンロンパ】安価で作成したキャラでコロシアイ学園生活3【安価】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1383280850/)

【ダンガンロンパ】安価で作成したキャラでコロシアイ学園生活2【安価】(Chapter01非日常編~Chapter02(非)日常編)
【ダンガンロンパ】安価で作成したキャラでコロシアイ学園生活2【安価】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1380895959/)

【ダンガンロンパ】安価で作成したキャラでコロシアイ学園生活【安価】 (プロローグ~Chapter01(非)日常編)
【ダンガンロンパ】安価で作成したキャラでコロシアイ学園生活【安価】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1380012159/)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1484746150

【主人公データ】
生徒番号01
主人公
響音 妙夢 【超高校級の音楽家】 女
交友力 6 (人並み以上のコミュニケーション力)
集中力 7 (物事には高い集中力を持つ)
スキル
「主人公補正」・・・あらゆる状況にて被害者・加害者にならない。
「音楽家」・・・音楽家としての能力。発生した音を正確に聞き取ることができる。
「お人好し」・・・人を信頼しやすい。好感度が上がりやすくなるが、他人に騙されやすくなる。
「気合」・・・気合を入れることで一時的に能力が上昇する。一定の間集中力に補正がかかる。

【生徒名簿】
生徒番号02
立花 雅【超高校級のヒーロー】女 【DEAD】
交友力 1(極度の恥ずかしがり屋)
集中力 5(人並み程度の集中力を持つ)
スキル
「ヒーロー」・・・正義の味方。犯人を断定した場合の行動補正がプラス。ただし、犯人が間違っている場合でも作用する。
「罪を憎んで人を憎まず」・・・マイナスの感情によって人に危害を加えにくい。
「助け合い」・・・チームの輪を意識するように行動する。交友力に若干補正。
「覆面ヒーロー」・・・顔を隠している間は交友力に大幅なブースト。ただしその間は好感度を上げにくい。

生徒番号03
ボブ・サップ【超高校級のレスラー】男 【DEAD】
交友力 9(他人に対するコミュニケーション能力は高い)
集中力 4(得意なことに関して以外の集中力は低い)
スキル
「プロレスラー」・・・レスラーとして培った技術を持つ。運動・戦闘関連のコンマに補正。
「無自覚の威圧」・・・被害者になりにくい・・・が、威圧に気圧された人物とは一時的に会話できない。一定の戦闘力や精神力を持つことや、一定の好感度を得ることで無効化する。
「親分肌」・・・チームをまとめる能力に長ける。判定で混乱が起きた際に抑えることができる。
「仲間思い」・・・仲間を思って行動する。仲間の助けなどの行動にプラス補正

生徒番号04
朝永 蛍【超高校級の幸運】女
交友力 4 (マイペースに話すため人を置いてけぼりにしやすい)
集中力 4 (のんびりとした振る舞いで集中しているようには見えない)
スキル
「偶然の幸運」・・・人よりちょっと運がいいほう。たまにちょっとした何らかの補正が入る。
「癒し系」・・・会話の際に人を和ませる。マイナスの感情を相手に抱かせづらい。
「第六感」・・・なんとなく、の行動がいい方向に。直感での行動に補正。
「不屈」・・・どんなことにもくじけない。ショッキングな出来事に対して受ける精神ダメージが軽減。
「サバイバーズ・ギルト」・・・??? 。現在進行度1。

生徒番号05
殺陣山 湊【超高校級の芸術家】男 【DEAD】
交友力 0(何を考えているのかわからない)
集中力 8(極めて高い集中力を持つ)
スキル
「芸術家」・・・芸術家としての知識を持つ。芸術に関しての関心が強く、芸術のために行動する。
「滅びの美学」(-)・・・終わりを迎えるものに関しての関心が高い。遺体に対する捜査に協力的だが・・・?
「中性的な美青年」・・・男とも女ともとれる外見。容姿を用いた行動に補正がかかる。
「特異点」・・・どうやら芸術家の基準に当てはまらないある物を愛しているようだが・・・?

生徒番号06
姫月 療歌【超高校級の医者】女 【DEAD】
交友力 9(どんな相手にもフランクに接する)
集中力 9(どんな状況でも乱れることのない精神力)
スキル
「医者」・・・医者としての技術を持つ。怪我をした相手などに医療行為を行える。
「臆病者」・・・危機を察知し、逃げる能力に長ける。被害者になりづらいが、危機に陥ったときなどにマイナス補正。
「安全志向」・・・常に確率の高いほうを選択する。危機的状況でも賭けに出ることをしない。
「無免許の名医」・・・どこかのブラックジャック先生のような経歴。医療行為の際に補正がかかる。

生徒番号07
正義 剛【超高校級の役者】男 【DEAD】
交友 3(まあ話はできる。聞いているかは別として)
集中 2(集中力散漫)
スキル
「役者」・・・役者として培った技術、様々な役を演じ分けることができる。
「ギャグ体質」・・・何もしてないのに笑いが取れる。意識せずともギャグキャラに。
「精神破綻者」・・・もともと精神が破綻している。
「正義感」・・・正義を信じるこころを持つ。しかし精神破綻のスキルにより・・・

生徒番号08
冬崎真白【超高校級の警察】女 【DEAD】
交友 3(あまり人付き合いがいいほうとは言えない)
集中 9(高い能力を有しているようだが・・・)
スキル
「警察」・・・警察としての能力を持つ。捜査パート時に補正がかかる。
「善悪平等」・・・善も悪も同じ、罪は罪として裁く。
「能ある鷹は爪を隠す」・・・普段は無能者のフリをしている。日常パートでの集中にマイナス補正。
「ネットスランガー」・・・ネットスラングを使うのを好んでいるようだ。一部の相手に交友補正。

生徒番号09
海東吉都【超高校級の変装師】男
交友 6(人並み以上のコミニケーション力)
集中 3(得意なこと以外の集中は低い)
スキル
「変装師」・・・類まれなる変装能力。条件が揃えば他人のふりをして行動できる。
「スリ」・・・気づかれないうちに物を奪う技術。ただし滅多なことでは使わない。
「虚言癖」・・・嘘をつく事を得意とする。捜査パートの際の証言に嘘が混ざる可能性を持つ。
「正義感」・・・独特の正義に基づいて行動する。

生徒番号10
花咲ユスリカ【超高校級のナンパ師】女【DEAD】
交友 4(やや話の通じない人物)
集中 5(人並みレベルの集中力)
スキル
「ナンパ師」・・・他のスキルにより変質。男女両方を誘う確率が上昇。
「貞操無頓着」・・・性行為に関する抵抗感が低い。他スキルにより判定は両性。
「同性愛」→「両刀」・・・他スキルにより変質。男女どちらも(性的な意味で)愛している模様。
「許容力」・・・大抵の問題は受け入れられる模様。相手のマイナススキルに関わらず好感度が上がる。

生徒番号11
九神黒夜【超高校級のカリスマ】男 【DEAD】
交友 4(人の話は聞かない(断定))
集中 5(人並みレベルの集中力)
スキル
「カリスマ」・・・上に立つ者の威厳に満ち溢れている。交友に補正がかかるがそれは友人としてのものではない。
「唯我独尊」・・・自分こそが絶対唯一であるとの自信を持つ。他人の評価によって行動を変えたりしない。
「矛盾の正当化」・・・どんなことも「俺だから」の理由でスルー。失敗とか気にしない。
「指導者の器」・・・リーダーとしての実力が高い。他人への指示などの行動に補正。

生徒番号12
澄々 奇麗【超高校級の美化委員】女
交友 9(他人との会話大好き。よくしゃべるタイプ)
集中 8(物事に対して高い集中力を持つ)
スキル
「美化委員」・・・美化委員としての能力。高い掃除技術を持つ。
「お嬢様」・・・どうやらいいとこ育ちのお嬢様のようだ。その分世間知らず。
「綺麗好き」・・・掃除をすることに生きがいを感じているようだ。自由時間中は掃除をしている可能性が高い。
「ツンデレ」・・・素直になれないタイプ。好意が一定値の相手の会話には心と違って否定的な会話をすることも。

生徒番号13
火ノ宮 龍也【超高校級の料理人】男
交友 2(口数は少ない様子)
集中 6(平均より高い集中力)
スキル
「料理人」・・・料理人としての能力。高い調理技術を持つ。
「人間観察」・・・人間を観察するのが趣味。特に料理を食べている人間。
「ゲテモノ料理」・・・怪しい食材で料理を作ることを好む。味は最上だが・・・
「孤独の料理人」・・・自分以外の料理人の存在を認めない。料理の際に必ず一人になる。

生徒番号14
色鯨 極【超高校級の芸人】男
交友 5(人並み程度のコミュニケーション力)
集中 1(捜査の際は期待できない)
スキル
「芸人」・・・芸人としての能力。場のムードを和やかにする。
「ツッコミ気質」・・・些細なボケも見逃さない。ツッコミを入れる言動が多い。
「マシンガントーク」・・・相手の返答も許さぬ高速トーク。言葉で相手を圧倒しやすいが、発動中交友低下。
「職人の誇り」・・・芸人としての誇りを持っている。レベルの高い芸でないと自他共に認めない。

生徒番号15
鳴神 楓馬【超高校級の召使い】男【DEAD】
交友 1(ビジネストーク以外はあまり行わない)
集中 7(高い集中力を持つ)
スキル
「召使い」・・・召使いとしての能力。他人の指示で働く場合補正がかかる。
「カリスマ主義」・・・カリスマを自分が認めた主にしか従わない。
「万能」・・・人並み程度ではあるが、大体の仕事をこなすことができる。
「自己犠牲」・・・主人のためなら自分がどうなってもいいと考えている。特定の相手の身代わりになることがある。

生徒番号16
ヘンリー・クローデル【超高校級の放送委員】男【DEAD】
交友 9(どんな相手にも高いコミュニケーションを取れる)
集中 9(専門外のことにも対応できる集中力)
スキル
「放送委員」・・・放送委員としてのスキル。放送機材の扱いなどの放送関連の行動が取れる。
「セクシーボイス」・・・相手を魅了する美声。会話の際に好感度が上がりやすい。
「心配性」・・・物事に関して過度な心配をするタイプ。マイナス方向に思考が進みやすい。
「デュエル脳」・・・おい、デュエルしろよ。諍いが起きた際にゲームでの解決を提案する。

ここまでの話の流れに関してはお手数ですが>>1にある過去スレをお読みください
このスレは第9スレから始まりましたチャプター6を一部修正しつつスタートします。
8スレ目位まで読んでいただければ十分かと……
手間をかけて申し訳ないのじゃ

あと冒頭に書きましたが今回は完結を優先して進めますので安価はしない方向性で行きます。
よろしくお願いします。

【CHAPTER06】




………み君、それは何を読んでるの?



………哲学書だ、フリードリヒ・ニーチェ、聞いたことがあるだろう?

……『ニーチェ先生』ってやつ?神は死んだって言った……

……その認識で構わん。

………面白いの?それ……?

……俺としてはなかなか面白い。書を見れば様々な考えに触れることができるからな。

ふーん……

……特に俺はこの一説が好きだな。

………『怪物と戦う者は、その過程で自分自身も怪物になることのないように気をつけなくてはならない。』



『長く深淵を覗くならば、深淵もまた等しく見返す』


――――コロシアイ学園生活 最終日。

【AM 9:00 体育館】

モノクマ「うぷぷぷ……」

モノクマ「みんな!集まったみたいだね!」

響音「……」

……冬咲さんの裁判から一夜明けた……

一夜といえど、長い長い夜だった、と思う……

私たち6人は体育館に集合した。


モノクマ「いやー、あれだけ知ったら後悔するかもしれないっていったのにここに来るとか……」

モノクマ「言っておくけどこれはフリでもなんでもないんだからね!」

モノクマ「……それともあれなの?オマエラってドMなの?ドMか何かなの?」

色鯨「ドMって……お前は好きでこれをやってるように見えるんか!?」

澄々「……勘違いしないで欲しいですの。あくまでここから出るために必要だからですわ」

モノクマ「うぷぷぷ……澄々さんは相変わらず立派ですね!まあ足が震えてるのもまるわかりなんだけど!」

澄々「……震えてなんかいませんわ」

モノクマ「震えてるよ!ビビってんだよ!鳴神君がいないと何もできないくせに!」

澄々「わ、わたくしは……」

海東「……お前はお嬢さんを苛めるためにここに呼んだんじゃないんだろう?」

海東「……俺達にやらせたいことがあるんだろう?」

モノクマ「あーはいはい、何の話だっけ?」

火ノ宮「……卒業試験、の話だ」

モノクマ「あ、そうだったね!卒業試験!忘れてなんかいないよ!」

……最後の戦いだと言うのに、いつもの調子を崩さずモノクマが言う。

響音「私たちの記憶、それを取り戻すのが卒業試験、だっけ?」

モノクマ「え?まあそれも一つだけど……それだけじゃないよ?」

海東「それだけじゃない、って……」

朝永「まだ問題だすの~……」

モノクマ「あのねぇ……たしかにオマエラの記憶も問題の一つだけど、それ一つきりとは言ってないじゃん」

モノクマ「卒業試験なんだから、飛び切り頭を悩ましてもらわないと!うぷぷぷぷ……」

モノクマ「そうだね、じゃあまずは……『ボクの正体が誰か?』これを第一問にしようかな?」

火ノ宮「お前の正体……?」

色鯨「それが誰かって事か……?」

色鯨「んなもん分かるか!情報が少なすぎんねん!」

モノクマ「それを調べろって言ってんの!……ま、学園の入り口以外昨日の内に開放しておいたんだからさ!」

モノクマ「あとヒントとして言っておくなら……」

モノクマ「オマエラがここに来てからこの学園の人間の数は16人しかいないから!」

澄々「……16人?」

モノクマ「そ!減っていくばっかりなんだよね……今は6人しかいないし」

澄々「6人と言いますと、ちょうど……」

火ノ宮「ここに居る全員で丁度、と言う事になるが……」

色鯨「ま、まさかここにまだ裏切り者が居るとかいうオチはあらへんよなぁ……?」

響音「そ、そんなわけないでしょ!?」

響音「……そんなわけ……」

……モノクマめ……こんな時まで仲間割れを誘発させようと……

海東「……ま、とりあえず、こいつの話を聞いてから考えようぜ」

火ノ宮「そうだな。奴が言っていることが真実とも限らない」

火ノ宮「……俺達はあくまで見たものを議論し、結果を出してきた」

火ノ宮「……今までも、そして、今回もだ……」

モノクマ「うぷぷ、まあどう考えるかは自由だけどね!」

モノクマ「それじゃあ第二問はね……『冬崎さんの正体は何なのか?』かな?」

色鯨「……何で冬崎が出てくるん?」

澄々「……わたくしが思うに……冬崎さんの最期のことでは?

澄々「思い出してください。あの時の錯乱の仕方から言って……」

澄々「冬崎さんが何か重要な秘密を握っている、と言う事なのでは?」

響音「冬崎さん……」

……処刑される直前に、『何か』を思い出した冬崎さん。

何を思い出したのか、そこから何を思ったのか……

モノクマ「うぷぷ……何だろーね?とりあえずなまらすげーものとは思うよ!」

モノクマ「じゃなかったらあんな風にはならないもんね!」

響音「……誰がそんな風にしたと思ってるのよ」

モノクマ「え?冬崎さん自身だよ?」

モノクマ「冬崎さんの記憶自身が彼女を追い詰めたんだからね……カワイソウに、ぷひゃひゃ!」

響音「……第三問は?」

朝永「妙夢ちゃん、顔怖い……」

響音「あ、ごめん……」

火ノ宮「……冷静になったほうが良い。判断を間違えるぞ」

モノクマ「うぷぷ、三問目は……最初に言った通り、オマエラの記憶!」

モノクマ「そこから導かれた『オマエラの正体』!それが3問目!」

海東「……そこが一番の問題だな」

澄々「仮に分かったとしても、それに耐えられるか、と言う事ですの?」

モノクマ「その通り!まあ一番の難問だよね!」

響音「……覚悟はしようよ」

響音「どんな記憶でも受け入れる覚悟を」

朝永「……だよね」

朝永「それでしか前に進めないもんね」

……そう、覚悟をしておく。

それしか方法はない。

モノクマ「じゃあこの三問を解くために……張り切って校内を駆け巡ってください!」

モノクマ「ま、ボクとしては目的達成後のおまけステージみたいなもんだから適当に流すんだけど……」

色鯨「おまけステージって……てめえオレらを何だと……」

モノクマ「え?前座だけど?」

火ノ宮「……前座?」

モノクマ「そう!これからでっかい事を始める……その前座なの!」

モノクマ「だから……オマエラがどうあがこうが……」

モノクマ「ここから先の未来に関しては塵芥みたいなものなんだ」

……そう言い残すと、モノクマは舞台から姿を消した。

海東「……とりあえずは、各自がバラバラに探したほうが良いだろうな」

澄々「どうしてですの?これはみんなで協力したほうが良いのでは……」

海東「こういう宝探しみたいなもんは手分けした方が効率いいだろ?」

海東「固まって調べたとしても見つかるもんはたかが知れてる」

響音「……確かにね。そのほうが効率的だよ」

響音「下手に皆固まって動くよりは、色んなものが見つけられるかも……」

色鯨「……じゃあ、バラバラで行くんか?」

火ノ宮「……何だ色鯨。怖いのか?」

色鯨「こ、怖くなんてない!ただ、……武者震いが」

朝永「……隠さなくていいよ。私も怖いし……」

澄々「……知ることが、ですの?」

朝永「うん……」

朝永「……モノクマが言うこと、たまに嘘もあったりするけど……」

朝永「私達を嫌な気分にさせることは本当だった。だから……」

澄々「……記憶を取り戻せばなにか悪いことが起きる……それは本当である可能性が高い……ですわね」

響音「でも……あいつの言う記憶を取り返さなきゃ、私たちは前に進めないんだよ?」

響音「……それにさ、どんなにつらい記憶だったとしても、私は受け止めるよ!」

響音「……絶対に一人で苦しませないから」

朝永「……じゃあ、私も妙夢ちゃんの辛い記憶、受け止めるよ!」

海東「……お前……相変わらず臭いセリフだな」

響音「でも、これが私でしょ?じゃなかったらここまで私は来れなかったよ……」

海東「……違いないな」

火ノ宮「ああ、それに今までお前に救われてきたのも事実だ」

火ノ宮「そして……今回も俺たち自身が支え合えるのなら問題ない」

澄々「……ええ、見つけ出しますわよ」

……脱出のための、3つの鍵。

『モノクマの正体』
『冬崎さんの正体』
『自分たちの正体』

……これを見つけるための。

最後の、戦い!

【捜査開始】

……まずは状況を整理してみよう。

新しく開いた部屋は……

まず学園長室……ここは確か以前海東君が調べてたって言ってたっけ……

マスターキーを使って……そこには確か学園の名簿の情報があった……

続いて、情報処理室……ここも開いたって事は、何か情報があるかもしれない。

それから……寄宿舎の二階…ここは初めて行く場所だから何があるかは分からないけど……

海東「……響音はどこへ行くんだ?」

響音「とりあえず片っ端から回ってみようかな……海東君は?」

海東「俺はまず学園長室でも当たってみる。前行ったときから調べ残したものがあるかもしれないしな」

海東「……それに、あの時は落ち着いて調べてなかったのもあるしな」

響音「モノクマに見張られてたもんね……」

……じゃあ、学園長室に関しては海東君に後で聞いてもいいか……

澄々「……思ったんですけど」

澄々「冬崎さん、パソコンに何か情報を遺してないでしょうか?」

色鯨「パソコンって……あれか?」

澄々「ええ、触っていたのは主に冬崎さんでしたし……」

朝永「じゃあ私が見てみる~!」

色鯨「……大丈夫なん?」

朝永「大丈夫!授業でパソコンの使い方習ったことあるし!」

火ノ宮「……まあ、壊しさえしなければ大丈夫じゃないか?」

朝永「あう……」

海東「……よし、じゃあ行くか」

澄々「……ええ」

……お互いに頷き合って、捜査を開始する。

さて、挙げた中で行くとすれば……


→学園長室
 情報処理室
 寄宿舎の二階
 大浴場(パソコン)
 他の場所が変わってないか調べてみる

……とりあえずは学園長室か。

海東君がどんな情報を見たのか、それを確かめる意味でも……

【学園長室】

海東「……で、結局ついてくるのな」

響音「悪い?」

海東「んなこと言ってねえよ……気になるのか?俺の見た資料が」

響音「……うん」

響音「やっぱり信じられないんだよ。あんなに私たちの事を思ってくれてた九神君が……」

……予備学科、っていうテロ事件を起こした学科の人間だなんて。

海東「……まあ、見ればわかる。こいつがその資料だ。」

……そういうと、海東君は本棚の中から…2つのファイルを取り出す。

片方は、『第79期入学予定者資料』と書かれており……

もう一個は『予備学科』とだけ書かれている。

響音「……予備学科、っていうのは才能がなくてもはいれる学科なんだっけ?」

海東「ああ、資料にはそう書いてあるな……その分学園の金づるになるわけだけどな」

響音「……ふーん……」

……それも考えたうえで読んでみるべき、なのかもしれない。

→1、79期メンバーの資料を読む
 2、予備学科の資料を読む
 3、他の資料がないか調べてみる


……まずは自分たちの資料からだ。

……めくっていく。書かれてあるのは、私……立花さん……ボブさん、朝永さん……

……どれもこの学園の生徒…『79期希望ヶ峰学園生徒』だった。ただ……

響音「……やっぱり、九神君の名前だけないね」

海東「ああ、だから言っただろ、あいつが乗ってるのは予備学科の方だけだった」

海東「……つまり、あいつは本科の生徒じゃねえって事だ。それは確かだと思うんだが……」

響音「でも、それだとしたらなんでここに居たんだろう……」

海東「黒幕、ってなら納得はいくが、あいつは死んでるしな……」

……でも、九神君が予備学科なのにここに居るっていう事は……

何か理由がある、気もするけど……

……そう思って適当に読み進めていくと……

響音「……あれ?」

海東「どうした?」

響音「これ見て、冬崎さんの資料なんだけど……」

海東「……どれどれ」

……気になる記述を見つけた。

『 冬崎真白 超高校級の警察 』
『 警視総監 冬崎白堊の一人娘であり、幼少のころから勉学・運動双方において非凡な才を発揮していた。
  特にコンピュータ関連においては一人で警視庁のセキュリティを要塞化と言えるほどまで発展させるなど……
  見方を変えれば『超高校級のプログラマー』と言っても過言ではない程だった。』

海東「……別に普通じゃないか?」

響音「違う、そのあとに書いてあるの」

『 希望ヶ峰予備校に通っていた際は、自分を『超高校級の警察』と呼ばれることに関して大きなコンプレックスを持っていたようだ。
  そのため、こちらに提出した資料では初めに『超高校級のプログラマー』と書かれていた。
  ただ、総合的なプログラマーとしての能力は78期生の『超高校級のプログラマー』不二咲千尋に及ばないため……
  父である警視総監直伝の捜査能力を継承しているということで、『超高校級の警察』という肩書となった。』

海東「……超高校級のプログラマー?」

響音「まあ、冬崎さんならそう呼ばれてもおかしくはないけど…」

海東「それ以上の奴がいたんだな……恐ろしいな希望ヶ峰……」

響音「……それに、もう一個」

響音「……希望ヶ峰予備校って、何?」

海東「……予備学科、とは違うんだよな?」

【INFO】
・コトダマ【79期生の資料】を入手しました。
『学園長室にあった資料。響音たちの情報は乗っていたが、九神の情報だけは乗っていない。』
・コトダマ【冬崎真白の資料】を入手しました。
『冬崎はプログラマーとしても優秀な人間だったため、当初は『超高校級のプログラマー』と名乗っていた。
 ただ、プログラマーとしてもっと優れた人間がいた為、『超高校級の警察』となったようだ。』
・コトダマ【希望ヶ峰予備校】を入手しました。
『冬崎が通っていた学校。』

→2、予備学科の資料を読む
 3、他の資料がないか調べてみる


……次は予備学科の資料を読んでみようか。

……結構分厚い。

海東「…ま、学園の資金源になってたみたいだからな。数は多いほうが良いんだろ?」

響音「……それも酷い話だよね。……そのお金で通ってた身が言える話じゃないのかもしれないけど」

海東「今は学園の方針に文句言ってる場合じゃない。ほら、九神の事調べるんだろ?」

響音「そうだね……」

……今はこっちに集中。さて、九神君の書いてあるページは……あった。

『 九神黒夜 
  家は平凡な一般家庭。学業成績は全国模試で30位以内に入るなどそれなりに優秀。
  ただそれだけで特に秀でている分野があるわけではないため、本科の入学資格は無い。』

海東「……ほらな」

響音「やっぱり九神君は……」

海東「予備学科って事で間違いない。資料が捏造とかじゃなけりゃな」

……今までの事を考えると、モノクマがわざわざ捏造する可能性は低い……と思う。

響音「……ますますわからないよ、九神君は予備学科なんでしょ?なのに何で……」

海東「それを調べることが何かにつながるかもしれないだろ?」

響音「それはそうだけど……って待って!」

海東「……どうした?」

……また、細かい事だけど、気づいたことが。

響音「……九神君の出身校、見てみてよ」

海東「……出身校?そういやそれは気にしてなかったな……」

それを見た瞬間、海東君の目も驚きで見開かれる。

海東「……希望ヶ峰、予備校?」

響音「……偶然、なのかな?」

……冬崎さんも、九神君も、希望ヶ峰予備校という学校に通っていた。

これは何かあるんじゃないか?

【INFO】
・コトダマ【九神黒夜の資料】を入手しました。
『学園長室には予備学科の資料もあった。
 九神はどうやら予備学科生であったことは間違いないようだ。』
・コトダマ【希望ヶ峰予備校】がアップデートされました。
『九神も出身校がこの学校となっている。
 つまり、冬崎と九神は同じ学校の出身だったようだが……』

……さて、後は他に資料か何かは……

海東「……」

響音「……海東君?」

海東「……ん、どうした?」

響音「どうしたはこっちのセリフだよ……何かわかったの?」

海東「……まあ、なんというかよ」

海東「意外と俺見落としまくってたなーって……」

響音「本当だよ……」

海東「……はは、馬鹿みてえだよな……」

海東「昔っからそうだ。自分が正しいと思った事全部鵜呑みにして、暴走しちまう。悪い癖だ」

響音「……そんなことないよ。私だって友達が死んだときはあんなに……」

海東「……そういや、そうだったな」

響音「海東君も、皆が危ないって思ったから、あんなに必死に九神君を疑ったんでしょ?」

海東「……うるせえ、そんなんじゃねえ」

響音「あ、照れ隠し!」

海東「違げえっつってんだろ!って痛……」

海東君が照れ隠しなのか、思いっきり手を横に振り払ったところ……

手が本棚に激突。

響音「ちょ、大丈夫!?」

海東「……地味に痛え……」

響音「こんな時に何やってんの……」

海東「ああ、悪い……ん?」

その衝撃なのか、分からないけど、どこからか一枚の紙が落ちてきた。……何これ。

響音「……これ、退学届、って書いてあるけど……」

海東「退学届?」

響音「……予備学科、の奴みたいだね。名前も書いてある……九神、黒夜…!?」

海東「……何だと?」

……海東君は私からひったくると、その紙を読み始める。

海東「……あいつ、予備学科を辞めてるのか?」

響音「……みたい、だけど……」

……九神君は、予備学科を辞めている。

尚更分からない。

希望ヶ峰学園の生徒ですらない九神君は、どうしてここに居たの?

【INFO】
・コトダマ【九神の退学届】を入手しました。
『学園長室には一枚の退学届けがあった。
 予備学科の物であり、九神の署名もされていた。』

……とりあえず、気になるのはこのくらい、だけど……

……他の場所、みんなはどうしてるかな?

→1、情報処理室
 2、寄宿舎の二階
 3、大浴場(パソコン)
 4、他の場所が変わってないか調べてみる。


【情報処理室】

……4階の情報処理室…

中では火ノ宮君が調べ物をしているようだった。

響音「火ノ宮君……何か見つかった?」

火ノ宮「……すまん、俺自身があまり機械に強くなくてな……」

火ノ宮「今何とかこの学園の警備状況を見ることができたんだが……」

響音「警備……って?」

火ノ宮「ああ、監視カメラの情報がどのように使われているか、とかだな」

響音「監視カメラの情報か……」

火ノ宮「あと、この部屋の奥にもちょっとしたものがあったな……」

響音「ちょっとした物って……?」

火ノ宮「まあ、実際に見てもらった方が早いが……」

……じゃあ、まずはどっちについて聞いてみるかな……

→学園の警備状況について

響音「学園の警備状況を見せてもらっていい?」

火ノ宮「ああ、まずこれを見てほしい」

……画面に地図が表示される。これは……

響音「学園の地図?」

火ノ宮「その通りだ。そして、この赤く光っているところが、監視カメラの設置されている場所なんだ」

響音「うん、大浴場以外光ってるね……」

火ノ宮「ああ、やはり大浴場に関してはモノクマの目が届かない場所、というのは間違いないと思うんだ」

火ノ宮「だが……」

響音「……どうしたの?」

火ノ宮「……この監視カメラ、どこの映像を何回再生したか回数が表示される仕組みなんだが……」

火ノ宮「……その回数を見てくれ」

……言われて、画面の右下の方……映像再生回数と表示されている場所を見てみる。

すると……

響音「……1回?」

火ノ宮「……このモニターで見れば再生回数はカウントされるはずなんだ。俺がさっき見た時にカウントされたからな」

火ノ宮「だが、一回……この意味が分かるか?」

響音「……火ノ宮君が監視カメラの映像を見るまで、ここで映像を見た人はいないって事?」

火ノ宮「ああ、そうなる」

……それなら監視カメラの意味はないんじゃ……

響音「他の場所で見たって可能性は?」

火ノ宮「他の場所で見ても、映像の再生数はカウントされる仕組みらしい。動画サイトのようなものだな」

響音「そうなんだ……ていうか、よくわかったね?機械苦手って言ってたわりには」

火ノ宮「……説明書に書いてあった」

響音「説明書読んでたんだ……」

……となると、黒幕はこの映像をモニターで見ていないって事になる……監視カメラはこけおどしだったって事?

【INFO】
・コトダマ【監視カメラの再生回数】を入手しました。
『監視カメラの映像をモニターで再生した場合、再生回数が記録される仕組みになっていた。
 ただ、響音が確認した時は再生回数は一回…火ノ宮が捜査で見た時の一回のみが記録されていた。
 つまり、火ノ宮以外は監視カメラの映像を見なかったことになるが……』

……あとは、奥の部屋について、だけど…

響音「奥の部屋、何があったの?」

火ノ宮「ああ……見てみろ」

……そう言って、火ノ宮君は奥の扉を開けた。これは……

響音「……何これ……」

例えるなら、映画とかで出る宇宙船の操縦席……みたいな……

火ノ宮「モノクマの操縦席だ」

響音「も、モノクマの操縦!?」

火ノ宮「ああ、黒幕がここでモノクマの操作を行っていたんだろう」

響音「ちなみに、何でモノクマのって分かったの?」

火ノ宮「……説明書がそこにあった」

……見れば、『馬鹿でもわかるモノクマ操縦方法』と書かれた本が落ちている。

マニュアルもなんか……あいつらしいというか……

響音「じゃあこれを使えばモノクマを操縦できる……のかな?」

火ノ宮「……いや、試してみたが無理だったな」

響音「どうして?」

火ノ宮「画面を見てくれ。『オートパイロット』と表示されているだろう?」

火ノ宮「これは、現在モノクマが自動操縦状態であることを示している…と書いてあった」

響音「書いてあった……」

火ノ宮「……すまん、説明書がなければ詳しい説明はできん」

響音「い、いいよ!気にしないで!」

火ノ宮「オートパイロット中はパスワードを入力しない限りは手動操作に切り替えられないらしい」

響音「そっか……パスワードが分からないから使えないんだね」

火ノ宮「操縦できるのなら片っ端からモノクマを自爆させるんだがな」

響音「発想がテロリストじみてるんだけど……」

火ノ宮「……おそらくモノクマ……の操縦者は俺達が来るのを見越してAI任せの自動操縦にしておいたんだろう」

火ノ宮「自分が安全地帯に逃げ込むために、な」

響音「……なるほど」

……確かに筋は通る、けど……

それだったらここに厳重なロックでもすればいい気がする……鍵はついてるみたいだし……

【INFO】
・コトダマ【オートパイロット】を入手しました。
『響音たちがモノクマのコントロールルームに入った際、モノクマは自動操縦になっていた。
 オートパイロット中はパスワードを入力しなければ解除できない 火ノ宮は、安全地帯に隠れるためにAI任せの自動操縦にしたというが……』

【大浴場】

朝永「……あれ~?」

響音「朝永さん?」

……大浴場でPCを調べている朝永さんはどうしたんだろう、と思って行ってみると……

案の定、PCの前で困り顔になっている朝永さんを発見した。

朝永「……妙夢ちゃん。やっぱりこれ難しいよ~」

響音「……うん。冬崎さんも厳重なプロテクトがかかってるって言ってたしなあ……」

朝永「……それにお腹がすいちゃってうまく考えられないんだよね……」

……こ、こんな時まで……

響音「……はあ」

朝永「ちょっと!呆れないでほしいんだけど!考えるのにも糖分は必要なんだからね!」

響音「……うーん。そうだね……あっ」

……ポケットの中をまさぐってみる。

飴玉が一個あった。

響音「こんなものしかないけど」

朝永「よし!頑張る!」

響音「切り替え早いなあ……」

……そう言ってパソコンを見る朝永さん、と私。

響音「パスワードとかはなかったの?」

朝永「あったけど……こんなメモが貼り付けてあったの」

そう言い朝永さんは一枚のメモを取り出す。

……『パスワード=9646』と書いてある。

朝永「それを打ってみたら動いたの。だから、ちょっといろいろなものを見てるんだけど……」

響音「何か気になる事はあった?」

朝永「気になること、っていうか……」

朝永「難しくてよくわからないっていうか……妙夢ちゃん!解説して!」

……解説って……

……表示されているファイルは三つ。どれを開いてみるか……

→1、人類史上最大の絶望的事件について
 2、学習型人工知能プログラム『アルターエゴ』について
 3、『日記』とだけ書かれたファイル

……まずはこれだろうか。

人類史上最大とか……スケールが大きすぎる。

朝永「……何か、怖い名前だよね」

響音「少なくとも楽しい物っていう感じじゃなさそうだよね……」

……ファイルをクリックして開いてみる。すると、中から文章が展開される。

……これって……

朝永「『……世界各地でテロや暴動が相次いで発生……』」

響音「『それによって国家・社会は完全に機能停止、死者も多数……』」

朝永「……何これ、本当に起こったことなの?」

響音「……そんなこと、あるわけないって思いたいけど……」

……モノクマの言葉が頭をよぎる。

私たちは記憶を消されている。あったことを忘れている、それだけかもしれない……

朝永「…………」

朝永「……私たちの学園生活中に起こったこと、だったのかな?」

響音「……それを解くために私たちは今調べてるんでしょ?」

響音「もう少し、読んでみよう?」

……朝永さんも無言で頷いた。

朝永「『……この事件の発端となるのは、希望ヶ峰学園の予備学科生がある一人の高校生に扇動されたことから始まる。』」

響音「……予備学科」

……海東君の言っていたテロとはこのことを指すんだろう。だが、それを扇動した一人の高校生って……?

朝永「『その高校生の名は江ノ島盾子。『超高校級の絶望』と呼ばれる存在であり、絶望を伝染させ……』」

朝永「『世界を全て絶望で覆い尽くすことを目的……いや、存在理由とする災害のような存在である。』」

朝永「『彼女は自分の愛していた男性を殺したことをきっかけに、世界に絶望を振りまく行動を開始したのだった。』」

何だそれは……

朝永「……そんな人がいるの?」

響音「……それがこの事件のきっかけ……なんだろうね」

……一人でこの規模のテロを扇動できるとか、まさに人間離れした存在と言っても過言ではない、か。

朝永「愛する人を殺してって、何でそんなことをしたんだろうね……?」

響音「……まずは、自分自身が絶望したかった、とかじゃないかな?」

響音「……大好きな人がいなくなるかもしれないって恐怖、朝永さんだってわかるでしょ?」

朝永「……うん」

……理解したくはないが、考えることはできる。

世界を絶望で覆い尽くすことが目的ならば、そこには自分も含まれるのだろう。

そのために愛する人を殺した、と言う事か。

……自分で言ってて理解もできない動機だが。

朝永「えっと、続き読むね……『江ノ島盾子は世界の殆どを絶望で覆い尽くすことに成功したものの……』」

朝永「『希望を殺しつくすためのゲームとして自らが企画した『コロシアイ学園生活』において命を落とした』」

朝永「『以来、絶望の勢力は弱体化を続けており……』」

朝永「『江ノ島という絶対的な指導者がいない限りは衰退を続けると思われる……』」

響音「こいつがコロシアイ学園生活を計画した?」

朝永「え?じゃあこの人が私たちを閉じ込めてるって事?」

響音「……でも、命を落としてるって書いてあるし……」

響音「それに、モノクマも言っていたけど、この学園の人間は16人なんでしょ?」

響音「だったら、その可能性は低いんじゃない?」

朝永「そうなの、かな……」

……となると、考えられるのは……例えば……

この江ノ島盾子っていう人の模倣犯がいる、とか?

【INFO】
・コトダマ【人類史上最大最悪の絶望的事件】を入手しました。
『全世界でテロや暴動が頻発し、社会が機能停止に追い込まれた事件。
 その原因は超高校級の絶望、江ノ島盾子という高校生である。
 彼女の死亡をきっかけに絶望の勢力は弱体化を続けているという。』

・コトダマ【江ノ島盾子】を入手しました
『絶望的事件の発端となった『超高校級の絶望』。
 愛する人物を殺したことをきっかけに世界を絶望にて覆い尽くそうとした。
 しかし、自分自身が企画したコロシアイ学園生活で死亡するという最期を迎えている。』

 1、学習型人工知能プログラム『アルターエゴ』について
→2、『日記』とだけ書かれたファイル

……次はこれだろう。

日記と書かれているファイル。……誰の日記なんだろう?

朝永「勝手に日記を見て大丈夫かな~?」

モノクマ「あー……他人の日記を見るなんて悪い子だねえ……」

響音「仕方ないよ、数少ない手掛かりなんだし……って…」

モノクマ!?

朝永「あれ、モノクマ!?何でいるの?」

モノクマ「何でいるの?とか心外なんだよね……皆が困ってないかな~、って見に来てみたのに……」

響音「そういう事じゃない!ここは監視カメラがないから来れないんじゃ……」

モノクマ「え?監視カメラがないのとボクがここに来れない事って何も関係ないじゃん……」

モノクマ「べつに、来ようと思えば来れたんだよ?ただ、安全地帯がそっちにないのはフェアじゃないっしょ?」

モノクマ「だから黙認してただけなんだよね!」

……つまり、私たちは……

最初からこいつの手のひらの上で踊っていた、というわけか……

響音「……く……」

冬崎さんや九神君が一生懸命隠していたものも、無駄だった……

モノクマ「はいはい、落ち込むのは勝手だけど、日記を読んでからのほうが良いんじゃん?」

モノクマ「折角、今読めるようにしてあげたんだからさー」

朝永「今読めるようになったって、どういうこと?」

モノクマ「そのパソコンの一部は特殊なプロテクトがしてあってね……」

モノクマ「な、なんと!ボクがある信号を送らない限り絶対開けられない仕組みなのですよ!」

響音「あんたが?」

モノクマ「うん、今その信号がボクのカラダからビンビン出てるからね!」

モノクマ「今ならその日記を書いた本人の赤裸々な日々を見ることができる!」

モノクマ「うぷぷぷ……フライデーも真っ青ですね!」

……そう言われて、日記ファイルをクリックする、すると出てきたのは……

『冬崎真白』と書かれた日記データだった。

響音「……冬崎さん?」

朝永「これ……冬崎さんの日記なの?」

モノクマ「そうだね……ま、これを見てみれば彼女のことが分かるかもね!」

……日記のファイルを見てみる。

日付は今よりも一年前……いや、記憶が奪われていることを考慮すればそれ以上か。

最初は……

『今日から希望ヶ峰学園の予備校に通う事になった。
 立候補すればだれでもはいれる……というのは予備学科と一緒だけど、違うのは本科への編入制度があること。
 超高校級だと学園側に認められれば、本科へと入ることができる……
 何でも、超高校級の才能の発掘にかかるコストを少なくすること……
 そして、世間に認められることの少ない才能を見つけることを目的に開設された学校らしい。
 そこには超高校級であると自らが自負する生徒が集まっていた。』

……希望ヶ峰学園の予備校…あのファイルに会った希望ヶ峰予備校のことだろうか?

『私は『超高校級の警察』って最初からスカウトはされていたけど……
 私はどうもこの肩書きが好きではない。お父さんの地位を利用しているみたいでなんか癪だった。
 だから、私はここで『超高校級のプログラマー』として、自分の価値を認めさせたいと思った。
 だけど、入学初日でわかったことがある。
 ……いかに才能を磨いても上には上がいると言う事が』

……冬崎さんも、プログラマーに関しては優秀な部類だったんだろう。

だけど、上には上がいた。だから、プログラマーとしては認められなかった。

だから『自分の望む自分』になれなかったんだろう。

『同じように、才能競争に負けて、早々に予備学科行きになった人もいた。
 そういう人はたいがい、悔しがりながらも予備学科の校舎へと行ってしまうか……
 そのまま、腐って辞めてしまうかの2つだった。
 だけど、その中でも輝きを失っていない人がいた。
 予備学科域を言い渡されたにもかかわらず、諦めずに自分を磨き続けるためにここに残ると言った……
 私はその人に興味を持った。
 別に秀でた才能があるわけでもない。
 ただ、常に前を向いていて…
 常にみんなの事を考えるような……
 なんというか、ついていってみたいと思えるような人だった。』

……これって……

『その人の名前は、九神黒夜。
 今の私が彼に抱いている感情を言い表せるとしたら、『恋』かもしれない。
 一目ぼれとか、ガラじゃないけど……』

……九神君……

朝永「……冬崎さんは、九神君と同じ学校だったんだね?」

響音「……これを見るには、ね」

……日記の続きを読んでいこう。

次の日付のファイルを開いてみる。

『……九神君と話してみて、いろいろ分かったことがある。
 九神君は自分に才能がないことに関して全く悲観していなかった。と言う事だ。
 才能がなければないなりに努力をする。
 ……才能に縛られていた私にとっては眩しい人だった。』

『だけど、そのことを九神君に言ってみたら、鼻で笑われた。』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

九神『誰からも認められないからって、自分の生き方を狭める必要なんてない』

九神『……俺は自分が誇れるような生き方をしているだけだ』

九神『俺は全ての分野に関してせいぜい中の上程度の能力しかない』

九神『だが、俺にしかできない生き方……その人間にとっての王道もあるはずだ』

九神『その王道を歩くことが『人生の成功』と言えるんじゃないか?』

冬崎『……九神君は怖くないの?』

冬崎『自分が正しいと思っていた道には、自分が越えられない壁があるかもしれないんだよ?』

九神『……壁が越えられるか、越えられないか、それは自分が決める事だ』

九神『少なくとも、俺はそう思っている。故に自分を鍛えぬいているわけだ』

冬崎『……九神君は、強いね』

九神『…後ろを振り返るくらいなら、そう思っていた方が生産的だと思うだけだ』

九神『……お前も前を向いて生きろ』

冬崎『……私も、できるかな?』

九神『……お前は確か、プログラマーを目指していたが、『超高校級の警察』になってしまったんだったな?』

冬崎『う、うん……』

九神『……警察だからと言って、プログラマーを目指してはいけないという理由はないだろう?』

九神『お前は、一番にならなければ認められないと考えているようだが……』

九神『認められなくても、充実する生き方はあるんじゃないか?』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『……こう言われて、私の中で何かが吹っ切れた。
 ……認められなくたって、私の生きたい生き方をする。
 それを九神君に教えてもらえた。』

『……何で、こんな高潔な人にこそ、才能が与えられないんだろう』

『才能さえあれば私なんかより、ずっと輝けるのに』

『……いや、仮定の話はいい。私は決めた』

『こんな人が皆に認められる世界を作りたい』

『九神君を、王様にしたい』

……このファイルに書かれているのはここまでだった。

朝永「……冬崎さん……」

響音「…九神君の事を、相当慕ってたみたいだね」

朝永「私が、火ノ宮君に感じてる事と同じ……だったのかな?」

響音「少なくとも、それに近しい感情ではあると思うけど…」

……九神君と冬崎さん。

ここに来る以前にも関係を持っていた二人。

……冬崎さんの正体は、ここに何かヒントがあるって事?

【INFO】
・コトダマ【冬崎の日記】を入手しました。
『壊れたPC内に保存されていたファイル。
 冬崎は以前から九神との親交があり、九神によって自分の悩みを解決してもらったことがあった。
 …という内容が書かれていた。』

・コトダマ【希望ヶ峰予備校】がアップデートされました。
『希望ヶ峰学園が設置した、才能の発掘を目的とした学校。
 ここで才能が認められれば本科行きとなるが、認められなければ予備学科行きとなる。』

……さて、最後は……

響音「……この、アルターエゴっていうよくわからないものなんだけど……」

朝永「学習型……えっと、人工知能?なんかすごい名前……」

響音「うーん……」

……理解できるものだといいけど。

……とりあえず、ファイルを開いてみる……

『学習型人工知能プログラム――――――アルターエゴ。
 超高校級のプログラマー『不二咲千尋』が開発した人工知能であり……
 超高度の学習能力を持ったAIのことである。』

『このアルターエゴは、実在の人物の知識・性格を再現するレベルの性能であり…
 第一号は開発者の不二咲千尋の人格を模して造られていた。』

『この『実在の人物』の再現ができるということから、プログラマー業界の中では…
 実在の偉人や優れた人間の人格・知識を再現すれば有用に扱える……
 また、データを自由に改変できると言う事を考えれば……
 その人物の欠点や、新たに与えたい知識などをインストールすることで
 完璧な知識を持ったある意味完全な存在を作り上げることも可能である。とのことである』

……人の人格を完全に再現する…

そんなことができれば……死んだ人も生き返る、てこと?

響音「……いや」

……そんな方法で生まれても、その人は本人じゃない。

空しいだけ、だよね。

朝永「……えっと、難しい事はよくわからないんだけど……」

朝永「これで私がプログラムになっちゃったら……」

朝永「例えば、私が『食いしん坊』って欠点をなくすこともできるのかな?」

響音「えっと……AIがお腹がすくのかは疑問だけど……そういう事だと思うけど」

朝永「おー…すごい!」

響音「それどころか……いろんな知識を片っ端からインストールすれば完璧になれるかもね……」

……まあ、そんなことしたら昔の映画みたいにコンピュータの反乱とか起きそうだけど……

【INFO】
・コトダマ【アルターエゴ】を入手しました。
『学習型人工知能プログラムの通称。
 人の人格を模して作ることもできるとのこと。
 そして、新たにプログラムをインストールすれば、新たな知識を与えることができる。』

……さて、パソコンの目ぼしいファイルはこのくらいかな?

朝永「あーあ……結局妙夢ちゃんに全部任せちゃった……」

響音「まあ、分からなければ仕方ないよ……」

朝永「ごめんね……足引っ張ってばっかりで」

響音「……気にしないでよ。ほら、元気出そう?」

響音「朝永さんはいつも前向きだったでしょ?それだけでもすごい事だよ」

響音「ほら、火ノ宮君と一緒にここから出たいんでしょ?」

響音「……あと少しだから。ね?」

朝永「……うん」

朝永「よーし、じゃあ私も他に何かないか調べてみる!」

……元気を出してくれたようだ。よかった。

さて、じゃあ私は…

→1、寄宿舎の二階
 2、他の場所が変わってないか調べてみる。

【寄宿舎二階】

……目ぼしい場所と言えば……

寄宿舎の二階、一応澄々さんが向かってると思うけど……

と思って、二階に上がってみると……

澄々「」

……澄々さんが倒れていた。

響音「ちょ!澄々さん!?」

澄々「……はっ!」

響音「ど、どうしたの……?こんなところで気絶して……」

澄々「あ、ああ……響音さん、わたくし……廊下のあまりの惨状に卒倒してしまったのですわ……」

響音「惨状……って、これ……!?」

……見てみれば、寄宿舎の二階はひどいありさまだった。

瓦礫や壊れたドア、床…

まるで、戦争でもあったかのような……

澄々「このような状態……放置しておくだけでもおぞましいですわ……」

響音「まあ、澄々さんにはつらそうだよね……」

響音「でも掃除する時間もないし……我慢して行こうよ……」

澄々「そ、そうですわね……」

……さて、調べるとすれば……

手前に扉が一つ、奥に扉が一つ……

 1、手前の部屋
→2、奥の部屋

……まずは奥の部屋からいってみよう。

澄々「…うう……」

……澄々さんも辛そうだし、早く終わらせないとなあ。

そう思ってドアを開けると……

……書斎?

……廊下と違って随分と整理されている。これは……

澄々「……ここだけではなく、他の場所も整理していただければいいのに……」

響音「うーん……何か理由があるのかも?」

澄々「はぁ……鳴神さんがいれば掃除でもさせたのですが……」

澄々「……いえ、言っても仕方のないこと、ですわね」

……澄々さん。

澄々「では、調べると致しましょうか」

……さて、どこから調べていこうか……

 1、パソコン
→2、……机の上に無造作に置かれているファイル

……机の上、を調べてみようか。

澄々「……これは、何でしょうか?」

響音「何かの研究のファイル……みたいだけど……」

……「カムクライズル・プロジェクト、その後の経過について」

響音「カムクライズル…?」

澄々「確か……希望ヶ峰の初代学園長がそのような名前だったと思いますわ……」

響音「……中を見てみようか?」

……澄々さんがコクリと頷く。

……カムクライズル・プロジェクト。その内容は……

響音「……予備学科の人間を脳改造で、あらゆる才能を行使できる人間にする計画?」

澄々「……つまりは、「完璧な人間」を作り出すことのできる計画、と言う事なのでしょうか?」

……予備学科の人間を対象とするのは、何の才能もない人間の方が成果を確かめやすい、と言う事なのか?

響音「……だけど、脳改造って……」

澄々「非人道的、ですわね。それに……」

澄々「……この実験を受けた人間は、才能の行使のために感情といったあらゆる人間的な部分を取り除かれる……様ですわね」

響音「ひどい……」

……そんな実験、希望ヶ峰で行われていたなんて……

澄々「……待ってください、まだ続きがありますわね」

響音「続き?」

……続き、と言って澄々さんが指した部分……

『カムクライズル・プロジェクトは、結果を言えば成功した。』

『だが、それによって才能を得たカムクラは……』

『希望ヶ峰においてある重大な事件を起こした。』

『そのため、この計画は凍結されることとなった……』

響音「重大な……事件?」

澄々「計画が凍結されるほどの不祥事……まあ、こんなことをやっていれば当然だと思いますが」

『だが、この実験において新たな仮説が生まれる』

『才能を全て埋め込んだことで感情を取り除く必要が出てくるのであれば……』

『特定の才能のみを組み込めばそのリスクを軽減することができたり……』

『または、人間に限りない近いAIをプログラミングで才能を組み込むことで……』

『望むような人間を作り出すことができるのではないか?』

『そのことに気づいた私は希望ヶ峰学園の生き残りである一人の生徒……』

『不二咲千尋に及ばないにしてもあの生徒の技術力は……』

……ファイルはここで途切れていた。

響音「つまり……」

澄々「この研究は、誰かに引き継がれて行われている、と言う事ですの?」

響音「文面を見るなら、希望ヶ峰の生徒が引き継いだみたいだね」

澄々「……研究者という人間は、研究の為ならどこまでも残酷になれるのですね」

響音「…………」

……こんな研究、まだおこなわれているのかな?

【INFO】
・コトダマ【カムクライズル・プロジェクト】を入手しました。
『希望ヶ峰学園で行われていた、完璧な才能を持った人間を作り出そうとする計画の事。
 失敗に終わったものの、研究自体は希望ヶ峰の生徒に引き継がれて行われている。』

さて、次はPCの方を見てみよう……

こっちは……

澄々「……パスワードがかかっていますわね……」

響音「弱ったなあ……何かこっちにも情報があるのかもしれないのに……」

澄々「……こういう場合は誕生日がパスワードになっていることが多いと思うんですが……」

響音「ああ……確かに携帯のロックとかってそういうのが多いよね?」

澄々「わたくしの誕生日は……11月12日、ですわね」

澄々「ちょっと打ち込んでみますわね」

響音「いやそんなんで動くわけが……」

……ピー

澄々「……動きましたわね」

響音「嘘お!?」

どういうことなのよ……

響音「何……?黒幕は澄々さんとつながってるの?」

澄々「何気に酷い事を言いますわね……」

響音「……まあ、動いたからいいんだけどさ……」

……黒幕は澄々さんのファンか何かなのだろうか?

いや、黒幕の誕生日が澄々さんと同じ可能性もある、けども……

……さて、PCに映っているファイルは……

 1、希望ヶ峰学園のその後
→2、79期の生徒たちについて
 3、希望ヶ峰学園のスポンサーについて


『79期』の生徒のことについて……

……自分たちのことだし、気になる事だ。

響音「……これは……」

『79期希望ヶ峰学園』

『人類史上最大最悪の絶望的事件移行、希望ヶ峰学園は存続できない状態に陥った……』

『だが、既に79期に召集する高校生については決まっており……』

『候補者も既に30名弱まで絞っていた』

『しかし、このままその30人を放置しておけば、絶望の中に飲み込まれ命を落とす……』

『いや、最悪学園の一部の生徒のように絶望側に染まってしまう危険性があった。』

『この希望の種たちを保護するための手段として、新たな計画が立ち上がった』

『その内容は、同じく絶望的事件を生き残った一部のスポンサー…』

『その援助を得たうえで、新たな希望ヶ峰学園を新たな校舎を建設し、保護のための学園を作り上げる事……』

『そこで生徒たちを保護するための新たな学校を開くことだった。』

『……そして、生き残った16名の学生を迎え入れ、79期希望ヶ峰学園はこうしてスタートした。』

澄々「……と言う事は……」

響音「私たちは保護を目的に希望ヶ峰学園と別の所に集められたって事?」

澄々「でも……わたくし達は記憶がありますわよ……?」

澄々「希望ヶ峰学園に入っていくという記憶が……」

……記憶との相違点、この理由はいったい…?

【INFO】
・コトダマ【79期希望ヶ峰学園】を入手しました。
『79期希望ヶ峰学園は、絶望的事件の中で高校生を保護する事を目的として集められた。
 いくつかのスポンサーの力を借りて、新たな学園を作り上げ、そこに招集されたという』

・コトダマ【記憶との相違点】を入手しました。
『自分たちが持っている記憶では、希望ヶ峰学園に入るところで途切れている。
 つまり、別の建物に入ったとは思えない、のだが……』

……記憶との違いも気になるけど、次の事を調べないと。

 1、希望ヶ峰学園のその後
→2、希望ヶ峰学園の支援企業

響音「……希望ヶ峰学園の支援企業?」

澄々「私立の学園にはスポンサーが付くものですが……」

澄々「逆に支援企業というのは……?」

響音「……逆にお金を出してたってことなのかな?」

澄々「……まあ、学園が何らかの見返りをもらう代わりに支援していたとしてもおかしくありませんわね」

澄々「学校も企業といえば企業ですもの。投資をすることもありますわよね……」

響音「でも、うーん……この企業一覧……」

響音「えっと……何の企業?」

英語で書かれた企業名とか……それだけでも3ページ分くらい……

難しい単語が使われた企業名とか……なにこれ……

澄々「貸してください、えっと……」

澄々「……あら、大体わかりますわよ、これ」

響音「え?本当!?」

澄々「あら響音さん。わたくしが澄々財団代表の令嬢ということをお忘れですの?」

澄々「この企業、うちと取引がある企業が大多数を占めていますわ」

響音「さ、さすがお嬢様……」

や、やっぱり澄々さんと私じゃ育ってきた環境が違うんだなぁ……

澄々「……この企業は医療科学……こっちは精密機械……」

澄々「あら……脳科学研究所もありますのね……こちらは技術提供も積極的だったみたいですが」

響音「脳科学……それってさっきの?」

澄々「さっきのカムクライズルプロジェクトにも技術提供をしていたのでしょうね」

澄々「……さて、大きくまとめてみると希望ヶ峰がスポンサーとなっていた企業は3つですわ」

澄々「1つ目が医療系。主に脳医学が中心みたいですわね」

澄々「2つ目が工業系。大体が半導体とかコンピューターを生産する企業だったようですわ

澄々「医療機械のメーカーとしても有名な企業ですわね」

響音「医療ってことは……やっぱり……」

澄々「でも3つ目は……建設系の企業ですわね」

響音「え?建設?」

澄々「……そこだけ毛色が違うんですのよね……てっきりカムクライズルプロジェクトつながりかと思いましたが……」

響音「うーん、学園を修理する予定だった……とかかな?さっきの廊下だってぼろぼろだったでしょ?」

澄々「それにして大掛かりな気もしますが……ビルなどの建設の業者もありますし」

……そっか……わざわざ1区画の修理をそんな大規模にする必要はないのか……

無理やりつながりを作るなら……研究室を作るとか?

・コトダマ【希望ヶ峰学園の支援企業】を入手しました。
『希望ヶ峰学園は一部の一般企業に対しても支援を行っていた。
 澄々に確認してもらったところ、『医療系』『工業系』『建設系』の3つだった』


最後は……希望ヶ峰学園のその後、と書かれたファイル。

響音「……希望ヶ峰学園のその後、って……」

澄々「わたくし達が記憶を奪われている間に、学園は崩壊したんでしたわよね?」

澄々「でしたら、その後はどうなったのでしょうね?」

響音「……少なくとも、良くはないんだろうなって事は覚悟してるけど……」

……その覚悟とともにファイルを開く。

そこに書かれていたのは……?

澄々「……これは?」

響音「…………『希望ヶ峰学園が機能を失ったあと、学園は2つの派閥に別れることになる』」

響音「生き残りで絶望と戦うための組織を作り上げる『未来機関』。そして……」

響音「………救世主を生み出すことで絶望を世界から殲滅することを目的とした、『未来評議会』」

『……だが、未来機関と比べ、『未来評議会』の規模は小さかった。
 にも関わらず、未来評議会は未来機関と渡り合える2大派閥として数えられた。
 それは、『超高校級のカリスマ』と呼ばれる希望ヶ峰学園の生徒の力に他ならない』

響音「……超高校級のカリスマ!?これって……」

『未来評議会は圧倒的な能力を持つ『超高校級のカリスマ』を代表として、
 また、絶望的事件の影響が比較的小さかった学園の支援企業を一つの組織として纏め上げ、
 救世主を生み出すための研究を開始した。
 ……もちろん、その研究とは『カムクライズルプロジェクト』である。』

『……だが、一度凍結したプロジェクトを許可なく再始動したため、その主導を行った『超高校級のカリスマ』は……
 希望ヶ峰学園の元職員など、様々な人間の怒りを買い……
 学園公式のデータベースからは完全に削除……『永久除名を受けた』』
 もっとも、だからといって研究を止めるような人間ではなかった
 ……思想は違えど、希望の為に動いていた人間であったからだ』

澄々「カリスマ……九神さんの肩書でしたわよね?」

響音「……超高校級のカリスマ……九神くんと同じだよ」

澄々「……ということは、この資料に書いてある生徒とは……」

九神くんのこと……なの?

・コトダマ【未来評議会】を入手しました。
『未来機関と派閥が別れた絶望への対抗組織。
 大きな思想の違いとして、『救世主が絶望を殲滅する』という思想を掲げており
 救世主を生み出す研究を行っていたと言う。
 組織の代表者は『超高校級のカリスマ』』

・コトダマ【超高校級のカリスマ】を入手しました。
『未来評議会の代表者にして、希望ヶ峰学園の元生徒。
 圧倒的な能力を持って未来評議会を纏め上げたらしい。
 ただ、そのためにカムクライズルプロジェクトを再開したことで、
 学園のデータベースからは除名を受けた』

……パソコンの資料はこれくらいか……

それにしても……

澄々「……わたくし達が記憶を失っている間にそんなことが……」

響音「うん……スケールが大きすぎてついて行けないよ」

響音「学園が崩壊してるんだとしたら、この学園ってなんなの?って話だし……」

澄々「でも……そんなテロリストに対抗する組織もあるみたいですわね……」

澄々「未来機関に、未来評議会……脱出しても保護はしてもらえそうですわ」

響音「……待って?未来……?」

響音「それって、あの……」

……殺陣山が自殺した事件のあとの映像。

あの時、火ノ宮くんの妹を救った人たち。その人達の乗っていた車には……

響音「……『未来』って」

澄々「十中八九、あの組織はその機関か評議会のどちらかですわね」

澄々「でしたら、事情もきっとわかってくれますわ!」

響音「……そうだね」

……とりあえず、脱出したあとの心配はないみたいだ……

……奥の部屋……書斎をあとにした私たちは、一度廊下に戻り、

調べそびれた手前の部屋へと向かった。

【寄宿舎二階 崩壊したロッカールーム】

響音「こ、これは……」

澄々「うっぷ……」

響音「澄々さん、無理しないで……?凄いフラフラだけど……」

澄々「だ、大丈夫ですわ……これしきのことで倒れるなど……澄々家令嬢の名折れ……!」

響音「……悪くなったら言ってね?」

……さて、澄々さんのために手早く捜査をしよう。

確認できるのは……

……沢山のロッカー。ここはロッカールームか……

でも多くのロッカーは歪んだり、壊れたりしていて開かないみたい……

何とか開けられそうなのは……2つのロッカーか。

……1つ目のロッカー。これは……

響音「……名簿?かな、これは……」

澄々「ええ……希望ヶ峰学園の一クラスの名簿みたいですわね」

澄々「……男子八人、女子八人……それがこのクラスみたいですわね」

響音「なんでこんなところに名簿が……ってこれ……」

出席番号 女子01 響音 妙夢【超高校級の音楽家】

響音「これは……私の名前?」

澄々「待ってください!これは……」

【第79期 希望ヶ峰学園入学者一覧】
女子01 響音 妙夢【超高校級の音楽家】     男子01 ■■■■郎【超高校級のレスラー】
女子02 立花■■■【超高校級のヒーロー】   男子02 ■■山 湊【超高校級の芸術家】
女子03 朝永 蛍■■■■■■■■■■■■  男子03 正義■■■■■■■■■■■■■】
女子04 ■■■■■■■■■■■■■■■■ 男子04 海東吉都【超高校級の変装師】
女子05 冬■■■■■■■■■■■■■察】  男子05 火ノ宮 龍也【超高校級の料理人】
女子06 ■■■■■■■■■■■■■■■■ 男子06 ■■■■■■■■■■■■■■■】
女子07 ■■■■■■■■■■■■■■■】  男子07 鳴神■■■■■■■■■■■■■■
女子08 澄々■■■■■■■■■■■■■】  男子08 ヘンリー・クローデル【超高校級の放送委員】

響音「私達の名前……」

澄々「……これはもしかすると、わたくし達が希望ヶ峰に通っていた頃の……」

澄々「平和だった頃の、生徒名簿なのでは?」

響音「平和だった頃の……」

……奪われていた記憶。その中で行われた学園生活においての名簿、ということか……

……ほとんど読めなくなっているが、書いてある名前は同じ……

今までいなくなった人たちの分も含めて、同じ……

響音「……………………」

澄々「……響音さん?」

響音「っ……ごめん。なんか、ちょっと……思い出しちゃって……」

澄々「……いなくなった皆さんの事を、ですの?」

響音「……うん。このコロシアイが始まって、一ヶ月くらいなのに……」

響音「まるで何年も前のことに感じちゃってさ」

澄々「悼む気持ちさえ忘れなければいつでも思い出せますわ。まずは……」

響音「……わかってる」

まずは、手かがり探しだよね……

響音「……そういえば、この名簿、そう言えばどんな基準で作られてるのかな?」

澄々「基準?どういうことですの?」

響音「ほら、生年月日順とか、あいうえお順とかあるじゃない」

響音「まあ、見ての通りあいうえお順じゃないのは確かだけど……」

澄々「では、生年月日順では?わたくしが最後の方なのは11月だからですし」

響音「なるほど……私は4月生まれだからね……一番最初も当然か……」

澄々「というか書いてありますわね。生年月日順。と」

澄々さんが指差した箇所を見る。

『※生徒名簿は男女ともに生年月日順に記しています。』

『※今期の希望ヶ峰学園も無事に規定の人数集まりました。』

『※■■■■■■■に関しては、事情により2ヶ月遅れての入学となります』

『※遅れて入学する生徒の個人情報に関しては、その生徒の入学まで伏せていただくようお願いします。』

響音「なるほど……でも、11月生まれの澄々さんが最後ってことは……」

響音「12月以降の生まれの人っていなかったのかな?」

澄々「そうなんですわね……ちょっと珍しい気もしますけど」

響音「……でももう一つ、ここが気になるよね?二ヶ月遅れの入学者」

澄々「ですわね……二ヶ月遅れの入学者……」

澄々「あっ、それが九神さんなのでは?九神さんはきっと遅れてきたんです!」

澄々「だから海東さんの調べた入学者資料には載っていなかったのではないでしょうか?」

……確かに、それなら辻褄が合うような気も……

合うような気……もするけど……

・コトダマ【第79期入学者名簿】を入手しました。
『響音たちのクラスの名簿。恐らく平和だった頃の名簿だが……
 ところどころ読めなくなっている。』
【第79期 希望ヶ峰学園入学者一覧】
女子01 響音 妙夢【超高校級の音楽家】     男子01 ■■■■郎【超高校級のレスラー】
女子02 立花■■■【超高校級のヒーロー】   男子02 ■■山 湊【超高校級の芸術家】
女子03 朝永 蛍■■■■■■■■■■■■  男子03 正義■■■■■■■■■■■■■】
女子04 ■■■■■■■■■■■■■■■■ 男子04 海東吉都【超高校級の変装師】
女子05 冬■■■■■■■■■■■■■察】  男子05 火ノ宮 龍也【超高校級の料理人】
女子06 ■■■■■■■■■■■■■■■■ 男子06 ■■■■■■■■■■■■■■■】
女子07 ■■■■■■■■■■■■■■■】  男子07 鳴神■■■■■■■■■■■■■■
女子08 澄々■■■■■■■■■■■■■】  男子08 ヘンリー・クローデル【超高校級の放送委員】

・コトダマ【入学者名簿の備考】を入手しました。
『※生徒名簿は男女ともに生年月日順に記しています。』
『※今期の希望ヶ峰学園も無事に規定の人数集まりました。』
『※出席番号女子0■■■■■■に関しては、事情により2ヶ月遅れての入学となります』
『※遅れて入学する生徒の個人情報に関しては、その生徒の入学まで伏せていただくようお願いします。』

……一つ目のロッカーに入っていたのはこんなところか。

じゃあ二つ目のロッカーを開けてみよう。

ガチャン……

ゴトン……

響音「………?これは……」

澄々「……本、というかこれは………」

響音「……アルバム?」

……そんな大きくない、手帳サイズの本。

表紙には筆記体の英語で『アルバム』と書かれている。

そして、同じく表紙には、何か紋章のようなものが……

澄々「これは……澄々家の家紋……?」

響音「澄々家って……澄々さんの!?」

澄々「え、ええ……ですが何故ここに……」

響音「……とりあえず、開いてみたらどうかな?」

澄々「……わかっています。それでは……」

………中を開いてみる。

失礼して私も中を見せてもらうと………

響音「これは………」

澄々「……わたくしの屋敷で撮影されたもののようですわね」

響音「え?そうなの?」

澄々「何故このようなものが……?というかこれ、撮影した覚えなど……」

澄々「……っ!?」

響音「ど、どうしたの!?」

澄々「な、何故ですの?これは………」

驚く澄々さん。それを見た私は、アルバムを覗き込む。そこには……

笑顔で写る澄々さん。その傍らに立つのは、この学園生活の犠牲となった鳴神君。

そして……

もう一人、写真に映る黒髪の、私達と同じ年頃の女性が澄々さんの手を握り、微笑んでいた。

……と言っても、眼帯をして、腕などをよく見ると火傷のような跡が見れる。

それでも……その程度では損なわれないような気品が溢れる女性だった。

だけど、私はその後の澄々さんの言葉を聞いて驚愕する。

澄々「……可憐お姉さま……?」

かれ、ん?

響音「……可憐お姉さま……?それって!?」

澄々さんの、お姉さん?

でも確か……朝永さんもあった船舶事故で亡くなったって……

澄々「な、なぜ……?ボロボロな姿ですけど間違いなくお姉様……」

澄々「どういうことですの……?」

響音「こ、これ……澄々さんが小さかった頃の写真?」

澄々「い、いえ……お姉さまが亡くなったのは何年も前……その割には……」

澄々「この写真のわたくし……今の姿と変わりありませんの……」

響音「…………」

………ほとんど、今の姿と変わらない写真。ということは。これも失われた記憶の中で取られた写真?

けれど、何故私達が入学する以前に亡くなっている澄々さんのお姉さんが……

響音「……人違い、ってことはないよね?」

澄々「……いえ……何なら海東さんにも確認してみましょう。必ずこう言うはずですわ……」

澄々「……この人は『澄々 可憐』……わたくしの姉、だと……」

響音「…………」

・コトダマ【ロッカールームのアルバム】を入手しました。
『ロッカールームの中には一冊のアルバムが置かれていた。
 中には澄々が屋敷で撮られたであろう写真が入っている。
 しかし、その中には今の姿とほとんど変わらない澄々とともに
 数年前の事故で亡くなった澄々の姉、澄々 可憐の姿もあった』

捜査パート前半はここまでとなります。続きは日曜あたりにでも
久しぶりに書けて凄い嬉しい(小並)

おかえりなさい。待ってました
そう言えば久門光天使くんの方は打ちきりですか…?

>>56
修学旅行の方はこれ終わったら再開しようかなと思います。
ただ数年前に作ったキャラだし、まだ序盤だったしで、もう一回キャラ作成からやってもいいかな?と思っても居たり。
ただあのメンバーもあのメンバーで名残惜しいなと思っても居たりするので……

とりあえず参考程度にアンケなんですがどっちが良いですかね?

Q,修学旅行スレは『再開』か『リセット』か?(スクラム感)

[【再開する!】>    ○    <【リセットする】]  

響音「……澄々さん……?」

澄々「……すみません、響音さん。少々、混乱していますの」

響音「大丈夫?」

澄々「大丈夫ですわ。それよりもこの写真がわざわざここに置いてあるということは……」

澄々「これについても何か意味がある、ということですわよね」

響音「うん、普通に考えたらね……」

……最初にモノクマが言っていた、『ヒントはあちこちに置いてきた』

その言葉を信じるのならば、間違いなく何か意味のある証拠なのだが……

澄々「……朝永さんが言っていましたわね。お姉さまは確か……」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

朝永『だって……船の上でその子を看病してたけど、日に日に弱って行って……』

朝永『その子が……最後にこう言ったんだよ……『もう自分は助からないから、無駄にこの船の食糧を減らすよりは……』』

朝永『『自分を……殺してくれって』…』

朝永『……でも、私は……殺せなかった……から、その人は……可憐ちゃんは……』

朝永『……ボートから……飛び降りて……』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

……救命ボートから海へと身を投げた。

それが彼女の最後だったと聞いている。

身を投げた、ということは最期は誰にもわからなかったということだけど……

響音「……あれ、でも確か……」

響音「……澄々さん、お姉さんが亡くなったのってあの事故が原因だけど……」

響音「遺体は見つからなかったの?」

澄々「……見つかりましたわ」

澄々「……屋敷の者から聞きました。事故の調査で、一人の水死体が発見されて……」

澄々「その死体が可憐お姉さまと確認できたと……」

澄々「……そのショックでわたくしは泣き崩れたのを覚えています」

澄々「……幼いわたくしに見せるのは酷だと判断したのか、葬儀には連れて行ってもらえなかったのが……」

澄々「心残りといえば、心残りですわね」

……なるほど、遺体は確認されたのか……

……って、あれ?今の澄々さんの話に違和感があるような……?

……澄々さんのお姉さんのこと……他に聞けそうな人は……あの人か?

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

海東『……発見されたあの人の遺体に、奇妙なところがあったんだ』

海東『腹部にナイフで刺されたような傷、があったらしい』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

……海東君が以前言っていた話……

つまり、海東君は澄々さんのお姉さんの遺体を確認しているのか?

・コトダマ【澄々可憐の死亡事故】を入手しました。
『澄々の姉、『澄々 可憐』は船舶事故によって朝永とともに遭難した。
 救出を待っている中で、海に身を投げて死亡した。』

・コトダマ【澄々の証言】を入手しました。
『澄々 可憐は事故後、遺体が発見されたと言う。
 当時、澄々 奇麗は屋敷の人間から連絡を聞いている
 親しい姉の遺体を見せることは酷だと判断したのか、両親は葬儀に連れて行かなかったという』

……澄々さんと別れ、私は探索を再開する。

……澄々さんは少しフラフラしていたけど大丈夫だろうか……?

……まあ、あんなに汚い所にいたら美化委員としては苦痛なのかもしれない。

……いや、理由はそれだけではないと思う……

響音「……やっぱり、お姉さんのことが原因、なのかなぁ……」

色鯨「響音ェッ!響音ェッ!」

響音「……あんなに意味深に写真が置かれていたら考えちゃうよね……」

色鯨「居たぁぁぁぁっ!響音っ、響音ェッ!」

響音「うるさいよ!近くで大声出さないでってば!」

色鯨「じゃあ無視せんといてくれる!?」

響音「……ああごめん、ちょっと考え事してたからさ……」

色鯨「け、結構ショックだったんやで……?」

響音「はいはい、ごめんごめん。で、どうしたの?そんなに慌てて……」

色鯨「五階の生物室!生物室でな……」

色鯨「すげーもん見つけたんや!めちゃくちゃすごいで!」

響音「め、めちゃくちゃすごい?」

色鯨「おう!凄すぎて、見ても分からん物だらけや!」

響音「自慢げに言わないでよ!?」

色鯨「せやからな……オレひとりじゃろくな調査もできへんし……来てくれへん?」

響音「ま、まあ良いけどさ……」

……まあ、思いつくところは調べ終わったし、それでいいか……

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

【希望ヶ峰学園5F 生物室】

色鯨「ここや!ここ!」

響音「生物室か……」

……そう言えば、5階の生物室は鍵がかかっていて入れなかった。

それが今は開いている、ということは……

響音「……ここにもなにかあるのかな?」

色鯨「おう、これを見てくれや……」

響音「これ……冷蔵庫?」

色鯨「みたいに見えるんやけど……その割にはでかいし形もスタイリッシュみたいな気がしてなぁ……」

色鯨「……それにしても、めちゃくちゃ寒いやんけ!?」

響音「今更……?」

……そうなのだ。この生物室、異常なまでに寒い。

まあ、生物(なまもの)と書いて生物だしね、そういうのの保管にはこの温度が適しているのだろう……

実際……

壁の冷蔵庫?に張り紙がしてある。『死体在中』って……

ん?

響音「……し、死体!?」

色鯨「死体やて!?」

色鯨「うわあああああああああっ!貧乏くじ引いてしもた!どうして死体やねん!?」

響音「と、とにかく落ち着いて!ね!?」

落ち着け、落ち着け私……

死体はここまでの間にいくつも見てきた。それが増えるだけだ……

……自分で考えてみても異常なその自己暗示の仕方に辟易しながらも冷蔵庫を確認する。

響音「……これは……?」

調べてみれば、16個の扉がついている。

内14個は扉が開けられており、中が空なのは確認できた。

残りの2つは……

色鯨「何かが入ってるみたいやな……言葉通りに考えるんなら……」

色鯨「死体……やろなぁ……」

響音「うん……」

色鯨「ヒエッ……ナンマンダブナンマンダブ……」

響音「この中一応調べたほうが良いのかな?」

色鯨「や、やめろや!バチが当たるで!?」

響音「わ、私だって乗り気はしないよ!?でもさ……」

響音「……ここ、これ以外にめぼしいものはないんだけど……」

響音「少し開けて調べるだけだよ、ね?」

色鯨「う、うううま、待てぇっ!……わ、わかった!オレも男や!」

響音「え?」

色鯨「ここはオレが勇気を持って扉を開けて調べたる!お前は何もすんな!響音!」

響音「む、無理しなくても……」

色鯨「これは寒さで震えてるだけや!い、いくで………」

……色鯨君…、なんか、その……

響音「ご、ごめんね……?」

色鯨「謝るんやない!男として当然や!」

……死体なんて何度も見てきたのに、本当に今さら私たちは何をやっているんだろうか……

色鯨「うおらあああああああああああっ!」

バターン!

色鯨「………………」

響音「………………」

色鯨「…………ひ……」

色鯨「ひぎええええええええええええええええええっ!?」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

色鯨「うげぇ……」ゲッソリ

響音「し、色鯨君、大丈夫だった……?」

色鯨「だ、大丈夫や……ちょっとびびっただけやし……」

響音「……無理も無いよね、死体が入っていたことは覚悟していたけど……」

響音「……首なしの死体とは思わなかったよ」

色鯨「……ちゅーか、なんでこんな所に死体を保管してんねん」

色鯨「しかも二人分だけ……」

色鯨「しかも、死体の着てた服から判断するに………」

響音「うん……」

………冷蔵庫の中に入っていた二人の死体。

一つは、男性のもので、よく見慣れて居た黒いスーツ。

もう一つが、女性のもので、警察官が良く着ているような制服……を少々着崩した感じのもの。

ここから判断するに、ここにあるのは……

響音「……九神くんと冬崎さんの死体、か……」

色鯨「…なんでこいつらのだけがここに……しかもなんで首無しなんや……」

色鯨「……せめて、墓を作ってやるときには綺麗なままのほうが良かっただろうによ……」

響音「……………」

……九神くんが殺されたときも、冬崎さんも処刑されたときも、頭と身体が離れるような状況ではなかったはずだ。

それなのに、なんでこんな風に……

これも、モノクマ……黒幕の仕業……なのか?

・コトダマ【生物室の冷蔵庫】を入手しました。
『生物室の冷蔵庫は16個の内、2つが使用されており、
 その2つの中には九神と冬崎の遺体が納められていた』

・コトダマ【九神と冬崎の遺体】を入手しました。
『保管されていた二人の遺体は、首から上が切り取られていた。
 しかし、二人の死亡状況から考えるに、首から上が切られていることはおかしい。』

色鯨「……あー、クソが……胸糞悪い……」

色鯨「……響音、ここまで調べて何かわかったか?」

響音「……断片的には色々手に入ったんだけどね。一つの線にするには厳しいかも」

色鯨「頼むで!?お前には全部かかってるんやからな!俺らの命!」

響音「清々しいまでの他力本願だよ!もうちょっと頑張ろう!?」

色鯨「いやあ……だってオレが頑張ったところで墓穴掘るのが目に見えてるやん……」

色鯨「……オレは超高校級超高校級持て囃されたけど、ここに来て普通の一般人やとわかった……」

色鯨「せやからオレはここから出たら普通の漫才師に戻る!ええな!?」

響音「……まあ、そういうのを止める理由はないしなぁ……いいんじゃない?」

色鯨「ボケっぱなしかい!明らかにツッコミ待ちやんか!」

響音「え!?今のボケだったの!?わからないんだけど!?」

色鯨「ボケに決まっとるやろうが!……で、どうや響音?少しは肩の力抜けたか?」

響音「……え?」

色鯨「ま、アホのオレにできるのはこれくらいってことや。オレは勝ち馬に乗る準備はする主義でな……」

色鯨「一応できることはやっておくと思っただけやで。ほな、オレは他のやつのところ行ってくるわ……」

色鯨「……なんか、できるかもしれへんからなぁ……」

響音「……色鯨君……」

……大丈夫、なんだかんだ言って君がいつも本気を出してるのは伝わってるはずだよ。

……だからこそ、色鯨くんもここまで生き残れたんじゃないかな、って思う……

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

キーン、コーン……カーン、コーン……

モノクマ『………さて、オマエラ。よく頑張りました』

モノクマ『というか、ここまでいくつもの裁判がありましたが、よく生き残ってこれました!』

モノクマ『この学級裁判はそのご褒美でもあるんだよ?』

モノクマ『もしかしたらなんとかなるかもしれない、っていう最後のチャンスなんだ……』

モノクマ『……でもね、残念ながらもう決まっちゃったんだ。この物語の結末』

モノクマ『真相はわかるかもしれないね、でもそれで流れが変わるのかな?』

モノクマ『うぷぷ、『おまけ』にできると思うのなら始めようよ』

モノクマ『……最期の学級裁判をね!』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

……色鯨くんと別れて少ししたあと、唐突にその時間は訪れた。

今まで幾度も聞いてきた。その開始の声を。

響音「………………」

響音「時間、か……」

………証拠自体はたくさんある。

冬崎さんと九神くんのこととか。

モノクマのことについてとか。

未来機関と希望ヶ峰学園とか。

澄々さんのお姉さんのこととか。

………けれども、いまいち繋がらない。

これでは、3つの問題どれを解くことも……

プルルル……

プルルルル………

プルルルル…………

……あれ?

響音「……なにこれ……?」

何か震えている?まるで携帯電話みたいだけど……

これは……

響音「……ボタン?」

……制服の第2ボタンが振動している。これは一体……?

わ、私の服、いきなりどうしたの!?

響音「なんだろ、これ……」

ピッ

響音「ひゃっ!?」

何気なく制服のボタンを指で押してみたら、いきなり電子音が鳴った。

『………良かった!繋がった!響音さん!?聞こえるかい!?』

響音「え、えっと!?」

『強力なジャミングが行われてて、君に連絡することができなかったんだ!』

『一ヶ月近く何もできなくてごめん!そっちは今どうなってる!?冬崎さんや君の友達は……』

響音「ふ、冬崎さん!?いま冬崎さんって言いました!?」

『えっ、響音さん……急にどうしたの?君は冬崎さんを……まさか……!?』

『……響音さん、もしかして君……記憶に曖昧な点がないかい?』

響音「え?な、なんで……」

……いきなりボタン越しに聞こえてきた声。これは一体何?

私のことや……冬崎さんのことを知っている?

『………響音さん、君は失敗してしまったんだね』

『こんな時もあろうかと、君の制服の第2ボタンに通信機を仕込んでおいてよかったよ……』

響音「通信機!?なんでそんなものが!?」

『君が冬崎さんの所に直接乗り込むって言っていたものだからね』

『……ちょっと事情があって、直接の支援が出来ないからこういう形にしたんだけど』

『ちょっとジャミングを破るのに手間取ってしまって……』

響音「……あなたは誰なの?私の……知り合い?」

『……忘れているとなると、説明が難しいんだけど……君はどこまで知って……覚えているんだい?』

……正直言って、この声の主が誰のものかはわからない。

でも、何故か話していい気がした。信用できると、自分の中の何かが言っている……

その声に従い、私はこの謎の人物に語りかける。

響音「……どこまでって……わ、私は……希望ヶ峰学園に入学した直後に、モノクマってやつに……」

響音「コロシアイをするように、言われて……」

『……コロシアイだって!?なんてことだ……響音さん。とすれば……冬崎さんは……』

響音「……冬崎さんもそのコロシアイの末に亡くなったの……」

響音「……友人を手にかけて……それで……」

『……響音さん。もしかして、何だけど……』

『冬崎さんが殺した相手は、九神くんって言う子じゃなかったかな……?』

響音「……どうしてそれを?」

『……やっぱりか。それじゃあ彼女はもう……』

『あのね、響音さん。覚えていないなら最初から話すしかないんだけど……実は……』

ガガガガガガガッ

響音「……っ!?」

突如通信機から異音が走る。

『くっガガッ、やっぱりながガガは通信できないか……よガガガガガガッきねさん……!』

『君はこれからガガガガガガガガガガ゙、こガガガガガガガガガガガガガ』

『未来評議会の決定はやっぱりガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ』

『君が評議会のガガガガガガガガガガ止めるしかない、そうしなければ……』

『九神くんも、冬崎さんも永遠に救えないんだっ!』

響音「え……!?」

『未来機関もガガガガガガガガガガガガガ関係ない、僕個人としてガガガガガガガガ』

『まやかしの希望ガガガガガガガにすがっちゃいけない、君自身の希望を失っちゃダメ』

ブツン

………異音を吐き続けた通信機はここでストップする。

今の連絡は……私を知っている人から……?一体誰?

いや、それよりも……

響音「私自身の希望、か……」

……私自身の希望は……願いは、一つ。

皆をここから出すこと。

そのために私は足を踏み入れる。

命がけの……最期の……学級裁判へ……!

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

・コトダマ【謎の通信】を入手しました。
『裁判直前に響音のボタンに隠されていた通信機越しに謎の人物から連絡があった。
 「まやかしの希望ではなく、自分自身の希望を見失ってはならない」』

【コトダマ一覧】
【79期生の資料】
『学園長室にあった資料。響音たちの情報は乗っていたが、九神の情報だけは乗っていない。』

【冬崎真白の資料】
『冬崎はプログラマーとしても優秀な人間だったため、当初は『超高校級のプログラマー』と名乗っていた。
 ただ、プログラマーとしてもっと優れた人間がいた為、『超高校級の警察』となったようだ。』

【希望ヶ峰予備校】
『希望ヶ峰学園が設置した、才能の発掘を目的とした学校。
 ここで才能が認められれば本科行きとなるが、認められなければ予備学科行きとなる。』
冬崎と九神はこの予備校に通っていた。

【九神黒夜の資料】
『学園長室には予備学科の資料もあった。 九神はどうやら予備学科生であったことは間違いないようだ。』
 
【九神の退学届】
『学園長室には一枚の退学届けがあった。 予備学科の物であり、九神の署名もされていた。』

【監視カメラの再生回数】
『監視カメラの映像をモニターで再生した場合、再生回数が記録される仕組みになっていた。
 ただ、響音が確認した時は再生回数は一回…火ノ宮が捜査で見た時の一回のみが記録されていた。
 つまり、火ノ宮以外は監視カメラの映像を見なかったことになるが……』

【オートパイロット】
『響音たちがモノクマのコントロールルームに入った際、モノクマは自動操縦になっていた。
 オートパイロット中はパスワードを入力しなければ解除できない 火ノ宮は、安全地帯に隠れるためにAI任せの自動操縦にしたというが……』

【人類史上最大最悪の絶望的事件】
『全世界でテロや暴動が頻発し、社会が機能停止に追い込まれた事件。
 その原因は超高校級の絶望、江ノ島盾子という高校生である。
 彼女の死亡をきっかけに絶望の勢力は弱体化を続けているという。』

【江ノ島盾子】
『絶望的事件の発端となった『超高校級の絶望』。
 愛する人物を殺したことをきっかけに世界を絶望にて覆い尽くそうとした。
 しかし、自分自身が企画したコロシアイ学園生活で死亡するという最期を迎えている。』

【冬崎の日記】
『壊れたPC内に保存されていたファイル。
 冬崎は以前から九神との親交があり、九神によって自分の悩みを解決してもらったことがあった。
 …という内容が書かれていた。』

【アルターエゴ】
『学習型人工知能プログラムの通称。
 特定の人間の人格を模して作ることもできるとのこと。
 そして、プログラムをインストールすれば、新たな知識を与えることができる。』

【カムクライズル・プロジェクト】
『希望ヶ峰学園で行われていた、完璧な才能を持った人間を作り出そうとする計画の事。
 失敗に終わったものの、研究自体は希望ヶ峰の生徒に引き継がれて行われている。』

【79期希望ヶ峰学園】
『79期希望ヶ峰学園は、絶望的事件の中で高校生を保護する事を目的として集められた。
 いくつかのスポンサーの力を借りて、新たな学園を作り上げ、そこに招集されたという』

【記憶との相違点】
『自分たちが持っている記憶では、希望ヶ峰学園に入るところで途切れている。
 つまり、別の建物に入ったとは思えない、のだが……』

【希望ヶ峰学園の支援企業】
『希望ヶ峰学園は一部の一般企業に対しても支援を行っていた。
 澄々に確認してもらったところ、『医療系』『工業系』『建設系』の3つだった』

【未来評議会】
『未来機関と派閥が別れた絶望への対抗組織。
 大きな思想の違いとして、『救世主が絶望を殲滅する』という思想を掲げており
 救世主を生み出す研究を行っていたと言う。
 組織の代表者は『超高校級のカリスマ』』

【超高校級のカリスマ】
『未来評議会の代表者にして、希望ヶ峰学園の元生徒。
 圧倒的な能力を持って未来評議会を纏め上げたらしい。
 ただ、そのためにカムクライズルプロジェクトを再開したことで、
 学園のデータベースからは除名を受けた』

【第79期入学者名簿】
『響音たちのクラスの名簿。恐らく平和だった頃の名簿だが……
 ところどころ読めなくなっている。内容は以下』
【第79期 希望ヶ峰学園入学者一覧】
女子01 響音 妙夢【超高校級の音楽家】     男子01 ■■■■郎【超高校級のレスラー】
女子02 立花■■■【超高校級のヒーロー】   男子02 ■■山 湊【超高校級の芸術家】
女子03 朝永 蛍■■■■■■■■■■■■  男子03 正義■■■■■■■■■■■■■】
女子04 ■■■■■■■■■■■■■■■■ 男子04 海東吉都【超高校級の変装師】
女子05 冬■■■■■■■■■■■■■察】  男子05 火ノ宮 龍也【超高校級の料理人】
女子06 ■■■■■■■■■■■■■■■■ 男子06 ■■■■■■■■■■■■■■■】
女子07 ■■■■■■■■■■■■■■■】  男子07 鳴神■■■■■■■■■■■■■■
女子08 澄々■■■■■■■■■■■■■】  男子08 ヘンリー・クローデル【超高校級の放送委員】

【入学者名簿の備考】
『※生徒名簿は男女ともに生年月日順に記しています。』
『※今期の希望ヶ峰学園も無事に規定の人数集まりました。』
『※出席番号女子0■■■■■■に関しては、事情により2ヶ月遅れての入学となります』
『※遅れて入学する生徒の個人情報に関しては、その生徒の入学まで伏せていただくようお願いします。』

【澄々可憐の死亡事故】
『澄々の姉、『澄々 可憐』は船舶事故によって朝永とともに遭難した。
 救出を待っている中で、海に身を投げて死亡した。』

【澄々の証言】
『澄々 可憐は事故後、遺体が発見されたと言う。
 当時、澄々 奇麗は屋敷の人間から連絡を聞いている
 親しい姉の遺体を見せることは酷だと判断したのか、両親は葬儀に連れて行かなかったという』

【生物室の冷蔵庫】
『生物室の冷蔵庫は16個の内、2つが使用されており、
 その2つの中には九神と冬崎の遺体が納められていた』

【九神と冬崎の遺体】
『保管されていた二人の遺体は、首から上が切り取られていた。
 しかし、二人の死亡状況から考えるに、首から上が切られていることはおかしいのだが……』














【謎の通信】
『裁判直前に響音のボタンに隠されていた通信機越しに謎の人物から連絡があった。
 「まやかしの希望ではなく、自分自身の希望を見失ってはならない」』
















それでは捜査編は以上になります。

二年以上前から出している真相当てクイズですがやっと回答編に持っていけそうですね。
ただプロットを書いたのが絶対絶望少女発売前あたりなので本編との矛盾がありそうですまぬな……
これも一度放り投げちまったのが原因よ……



それと修学旅行編の意見として一部キャラの引き継ぎ案もあったので
旧メンバー8:新規8で行きましょうかね。
ただし久門くんはメンバー入り確定で。
引き継ぎメンバーに関してはまたアンケート取ると思います。

それではお疲れ様でした。

多分木曜日くらいに来ます。

ボブの名前が鈴木一郎だと言うことが壮大な伏線だったとは誰も思うまい……(△ボタン長押し)

【校舎一階 エレベーター前】

……謎の通信があったあと、私は一階に降りてきた。

……この裁判が終われば、私達は外の世界に出ることができると言う。

しかし、同時にこの謎を解くことは『絶望』することを意味しているとモノクマは言った。

…………私はこの謎を解くことが皆のためになると信じているけど……

……それは、本当に……

朝永「あっ!妙夢ちゃん来た!」

……突然の声に我に返る。前を向けば……

既にエレベーター前には生き残った皆が集まっていた。

……朝永さん、海東君、色鯨君、澄々さん、火ノ宮君。

響音「……朝永さん、みんな……」

色鯨「心配しとったんやで……アナウンスが鳴ってから長い間来ないもんやから、何かあったかと……」

色鯨「……な、なんか元気ないように見えるけど大丈夫なんか……?」

澄々「何かあったんですの……?何かひどいものを見つけてしまったとか……」

響音「う、ううん!平気だよ!ちょっと考え込んでただけ!」

火ノ宮「大丈夫か……?無理ならば休んでいても構わないが……」

響音「……いや、流石にモノクマが裁判の欠席を認めるわけないでしょ」

……火ノ宮くんのときは、あいつのメリットになり得るから一時的に欠席してただけだし。

響音「それに、私だってみんなの力になりたいの。休んでなんかいられないよ」

海東「……まあ、こいつは『ここで休んでろ』とか言っても聞くタイプじゃないだろ?」

海東「こいつが大丈夫って言ってるなら大丈夫だろ」

……海東くんの言う通りだ。休んでろなんて言われても休めるわけ無い。

……この戦いは犠牲になった皆に対しての答えを出すための戦いでもあるんだ。

澄々「…………なら、そろそろ行くとしましょうか」

澄々「……少々怖い気持ちもありますが、わたくしも知りたいですもの」

澄々「……わたくし達が何故、殺し合わねばならなかったのか……」

火ノ宮「……ああ、その通りだ」

火ノ宮「そこに何の意味があったのか、俺達は知る義務がある」

火ノ宮「……犠牲者たちもそう思うはずだ」

朝永「……うん」

響音「……………」

響音「みんな、最後に一つ聞きたいんだけど……」

響音「この先に待っているのが絶望だったとしても、皆は答えを知りたいの?」

…………………………

朝永「怒るよ!?妙夢ちゃん!?」

響音「え!?怒る!?」

朝永「火ノ宮君も言ったでしょ!?答えを知るのが私達の義務だって!」

朝永「……私は、色んな人の犠牲の上に生きてる。皆よりも多くね」

朝永「だけど、そんな人達の為に何ができるのかって考えたら……」

朝永「……死んだ人たちの理由、を知ってあげて、覚えてあげることだと思う……」

色鯨「……せやな、最悪な学園生活やったけど、そこに理由がないはずはないんや」

色鯨「巻込まれたからには最後まで結末を見届けんと夢見が悪いねん……」

色鯨「せやから響音は気にせんで謎を解け!オレは応援しとるからな!」

海東「お前も力になれよバカ……」

色鯨「バカやから力になれんのや!海東!」

澄々「……威張って言うことですの?」

………回答の仕方は皆違ったけど、『知りたい』って気持ちは皆あるようだ。

だったら、私も……

響音「……わかった。もう迷わないよ」

響音「私も真実を見つけたい。皆が……犠牲になった皆がなんでそうなったのかっていう理由が知りたい」

響音「……例え、黒幕の罠だったとしても」

その私の言葉に、皆は頷いて、エレベーターに乗り込んでいく。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ゴウン……ゴウン……

エレベーターの中では私は今まで死んだ人たちに思いを馳せる

……そこには被害者も加害者も関係ない。

……仲間を信じた結果、理不尽な死を与えられた最初の友人、立花さん。

……許すことは出来ないけど、何かしら話はできたのかもしれない。けどここではそれも許されなかった正義君。

……優しさが仇となったことで、他人の罪に押しつぶされてしまったヘンリー君。

……生きるための罪が自分を焼こうとした結果、他人ごと焼き尽くしてしまった花咲さん。

……一人の欲望のために命を奪われてしまったボブさん、鳴神君。

……弟を助けるという欲望が、自らを狂わせてしまった姫月さん。

……いくら話したって理解できる相手じゃなかったけど、死ぬのは間違っていた……と思う殺陣山。

……そして。


私達を助ける為に犠牲となり、全てを私に託してくれた九神くん。

私達を助ける為に罪を犯し、それ自体がモノクマの手のひらだったという冬崎さん。

今までの犠牲は何のためだったのか、それを知るための……

最後の……最後の……

最後の学級裁判!

学 級 裁 判

開廷!

モノクマ「……うぷぷ、オマエラ、最終決戦の裁判場にご足労ありがとうございます」

モノクマ「今回は、最後の学級裁判ということで、ルールとがいつもと違います!」

モノクマ「なので……まずはそのルールを確認していきましょう」

モノクマ「オマエラは今回3つの課題が与えられています。その3つの課題……ちゃんと覚えてますか?」

モノクマ「おさらいとして答えてください!」

響音「バカにしないでよ。そのくらい覚えてるってば……」

響音「まずは、『モノクマの正体』……あんたが何者かってことでしょ?」

モノクマ「うぷぷ……正解です。問題をしっかり覚えていただいて結構です」

響音「それで、2つめが……」

海東「2つめの謎は『冬崎の正体』、だったよな?」

……私の回答を待つ前に声が上がった。海東くんだ。

海東「……『超高校級の警察、冬崎 真白』……あいつが何者かって話だ」

澄々「…冬崎さんが何故、記憶を取り戻した際にあそこまで錯乱していたのか」

澄々「その理由が……あなたの正体にもつながる答えだから、でしょう?」

モノクマ「はいはいその通り!それもわからないとボクの正体に近づけないよ?」

モノクマ「そして第3問が……」

色鯨「……オレらの正体やな!」

火ノ宮「……冬崎と同じく、俺達の失われた記憶の中にもそれの答えがある。ということか」

モノクマ「うぷぷ……正解だよ。そして、それは同時に……」

モノクマ「オマエラを苦しめる回答になるんだよねぇ……うぷぷ!」

朝永「……やな感じ」

モノクマ「ボクとしてはいい感じ!」

モノクマ「というわけで、以上の3問を解いた上で、なお希望するならこの学園から出してあげるよ!」

モノクマ「だけど……それができなかった場合は、オマエラの負け!」

モノクマ「全員きっちり『おしおき』してあげるから覚悟してよね!」

澄々「お、おしおきって……処刑!?」

色鯨「は、はああ!?それは聞いてへんぞ!?」

モノクマ「え?言ってなかったっけ?」

色鯨「聞いてへんですけど!?」

海東「ちっ、またお得意の『都合の悪いこと隠し』かよ。まるで悪徳政治家だぜ」

朝永「政治家でもここまで悪徳じゃないってば!」

モノクマ「ボクとしてはオマエラが絶望しちゃう前に『おしおき』でみんなに会わせてあげようという大変良心的な判断で……」

響音「……いいよ、処刑だろうとお仕置きだろうと関係ない。私達は謎を解いてみせるから」

響音「……勝つのは、私達だよ!」

モノクマ「うん、良いお返事だね。響音さんらしいや」

火ノ宮「……じゃあ、お前が負けた場合はどうなるんだ?」

モノクマ「うん?その場合はこのボクも処刑されてあげるよ」

モノクマ「そこら辺はきちんとやらないと平等じゃないでしょ?」

澄々「……二言はないのでしょうね?」

モノクマ「ありません!ぼかぁルールには厳しいタイプだからね!」

色鯨「せやけど負けたら処刑ってのは……」

海東「今までも同じだったろうが……謎を解く対象が変わってるだけだ」

火ノ宮「……だから色鯨、お前も死ぬ気で考えろ」

色鯨「わあっとるわい!」

……さて、3つの課題、どれから順に解いていくべきか……

持っている証拠、そこから考えていくと……

やっぱり、最初に解くべきなのは………


 【モノクマの謎】
 【冬崎の謎】
→【私達の謎】

響音(これね!)解!

響音「……ねえ皆、一番最初は私達のことについて話してみない?」

色鯨「え?三問目から行くのか?普通一問目やろ?」

朝永「……色鯨君、試験で解けない問題を一番最初に解いて時間切れになるタイプじゃないの?」

色鯨「ど、どうしてわかったんや!?」

海東「響音の言ってることはそういうことなんだよ。何かしらの有力な証拠があんだろ?」

火ノ宮「……解ける問題から解いていき、そこから得た情報をもとに他の問題を解く、ということか」

響音「うん。正直、モノクマの事も、冬崎さんのことも、断定できる証拠がないからね」

響音「それよりも、先に明らかになっているものから考えた方が良いと思うの」

澄々「それが、わたくし達のこと、というわけですのね」

海東「……ひょっとして……学園長室で響音と見つけたあの証拠か?」

響音「…………」

そう、まずは私と海東くんが行った学園長室。

そこにあったこの証拠を見せよう。

【証拠を提示しろ!】

→【79期生の資料】

響音(これで証明できる!)解!

響音「……これだよ」

色鯨「なんやそれ……?何かの資料か?」

火ノ宮「……『第79期生希望ヶ峰学園 入学者』……」

朝永「79期ってたしか……」

響音「うん。私達が入学するはずだった希望ヶ峰の学期……」

響音「つまり、私達が少なくとも希望ヶ峰の生徒であることは確定なんだよ」

色鯨「せやけど……それって本物なん?」

モノクマ「何度も何度も言ってるけど……ボクはオマエラに対して渡すものは『本物』だけだよ!」

モノクマ「だからわざと目のつく場所に置いてるんだからさ!」

海東「まあ、認めなくないが事実だろうな。こいつはこういうことに関しては最初から公平だった」

海東「本物と確定できる証拠はないが、信じてもいいとは思うぜ?」

澄々「ですが、生徒だったことが確定できたからと言って、何が変わるのでしょうか……」

澄々「実際、この情報に関しては皆さんにも明かされていたはずですわ」

色鯨「せやな……希望ヶ峰の生徒っていうのは少なくとも最初から開示されてた情報やで?」

色鯨「今更やけど、大事な情報とは……」

海東「いや、この情報で確定できることがもう一つある」

海東「……九神は間違いなく、予備学科だったってこともな」

色鯨「っ………」

澄々「………やはり、そうでしたのね……」

響音「……この入学予定者の資料には、九神くんの名前はなかった」

響音「つまり、九神くんは本来、希望ヶ峰学園本科の学生じゃなかったんだよ」

火ノ宮「……そうだったのか」

響音「彼がどうしてここに居たのかはわからない……」

響音「けど、本来ならばここに居るべきじゃなかった人」

響音「……それが九神くんなんだよ」

朝永「……冬崎さんが聞いてたら怒るね。いや……それでも九神くんを信じるっていうのかな?」

色鯨「……ま、どっちかはわからへんけど……死んでるからわからへんな……」

色鯨「じゃあつまり響音……黒幕は九神ってことでいいんやな?」

響音「え?」

色鯨「認めたくあらへんけど……九神はここの学生やなかったんやろ?」

色鯨「だったらあいつが怪しいんやないか!」

澄々「そ、そうなのでしょうか……?」

朝永「………うーん……どうなんだろ……」

い、いや……それは発想の飛躍が……

ともかく、まずは議論の流れを変えないと!

【ノンストップ議論 開始!】

<【希望ヶ峰予備校】]
<【九神の退学届】]
<【九神黒夜の資料】]
<【人類史上最大最悪の絶望的事件】]
<【冬崎の日記】]

色鯨「九神は【予備学科】やったんやろ!?」

色鯨「だったら、一番黒幕の可能性があるのはあいつや!」

朝永「たしかにそうだけど………」

朝永「ただこっちに『遊びに来たかった』だけかもしれないよ~?」

火ノ宮「だが……こんなコロシアイの中に遊びに来るというのは考えられん……」

火ノ宮「……まさかとは思うが………」

澄々「ですが、予備学科といえども悪者というわけではないのでは?」

澄々「それとも、何かしらの理由が……」

色鯨「せやけど、あいつは予備学科として【生活してる】んやろ!?」

色鯨「なら、シロとも言い切れんはずや!」

【生活してる】←<【九神の退学届】]

響音「それは違うよ!」論破!

響音「落ち着いて、色鯨君……九神君は今は予備学科じゃないよ」

色鯨「は、はあ?どういうことや?」

響音「学園長室には予備学科の退学届けもあったの。しかも、九神くんの署名付きで」

響音「多分、九神くんはもう学校自体を辞めてるんだ」

色鯨「え?そうなんか?」

海東「署名を見るに、本人で間違いねぇな……人を真似る為に観察してる俺が言うんだから間違いねぇ」

海東「あの書類は本人が書いたものだし、学園長の判子も押されてたよ」

澄々「と、言うことは九神さんは予備学科自体をやめていたのですね……」

朝永「あっ、なら九神君はあれにも参加してないってことだよね!妙夢ちゃん!」

響音「あれ?」

朝永「うん!パソコンにあった怖いやつ!」

響音「こ、怖いやつって……?」

【証拠を提示しろ!】

→【人類史上最大最悪の絶望的事件】

響音(これね!)解!

響音「朝永さん……ひょっとしてこれのこと?」

響音「『人類史上最大最悪の絶望的事件』……これのことを言ってるの?」

朝永「うん!なんか難しいから名前がすぐに出てこなかったよ!」エッヘン!

火ノ宮「……よく思い出せたな」ナデナデ

朝永「えへへ~」

色鯨「うわなんやそれ……字面が凄まじく恐ろしいんやけど」

響音「えっと……中の資料を読むね」

響音「『……世界各地でテロや暴動が相次いで発生……』」

響音「『それによって国家・社会は完全に機能停止、死者も多数……』」

色鯨「字面だけやない!中身も怖過ぎやないか!」

海東「おいおい……なんだそりゃ……そんなもん聞いたことねえぞ?」

海東「って……そうだよな……俺達が記憶を奪われた時に起きた事件ってことか」

澄々「……でしょうね……わたくしも初めて聞きましたし」

澄々「何より、そんな大事件があったのなら我が財団の諜報部が情報を掴んでいない訳ありませんもの」

響音「……でも、この事件の発端になっているのが……」

響音「九神くんの通っていた『予備学科』なんだ」

響音「予備学科生が、ある人間に率いられてテロを起こしたのがこの事件の始まりなんだよ」

海東「予備学科……そこに通ってた奴らは最終的に自爆テロや集団自殺で死んでる」

海東「だから俺は予備学科生の九神を警戒していたんだが……」

海東「もう辞めてるとはな……全く。自分の浅はかさが嫌になる」

澄々「海東さん……」

海東「恐らくは、予備学科の人間としてテロか何かに参加させられそうになって……」

海東「逃げるように退学届けを出した……そんなところじゃねえか?」

火ノ宮「だが、辞めたのはそのテロで死ぬのではなく、別の目的があったからではないのか?」

火ノ宮「例えば、このコロシアイを行うために……」

響音「それだったら、九神くんが死ぬことを選んだのがおかしいよ。それも、私達を助けるために……」

響音「私達を全滅させるのが目的なら、前回の動機の時に何もしなければよかったんだよ……」

響音「それに、モノクマだって言ってたじゃない。『冬崎さんが九神くんを殺すことが最大の目的』って」

響音「それがある以上、九神くんが黒幕とは思えない」

響音「……黒幕がゲームの途中で死ぬのなんて、こいつが一番嫌いそうだもん」

モノクマ「うぷぷ……よく分かってらっしゃる……」

色鯨「れ、冷静にお前ら言ってるけど……外、大変なことになってるんやないの?」

朝永「大丈夫!お外はヒーローが活躍してるらしいから!」

響音「……その事件の首謀者は、ある事件で死んでいるらしいの」

響音「……確か……江ノ島盾子って言ったかな?」

響音「前にもあった『コロシアイ学園生活』で、黒幕だったらしいんだけど」

色鯨「前にもあったんかい!このイカれた生活が!」

響音「うん。そこで何かがあって、最終的には死んでしまったらしいんだけど……」

響音「それ以来、絶望の勢力は弱体化してるんだってさ……」

澄々「それで、現在はその勢力と組織的に戦っている人達がいるんですのね?」

火ノ宮「ああ、もしかしてそれは……俺の妹を助けた組織か?」

色鯨「ああ、『未来』とか書かれたワゴンに乗ってた連中やな……」

海東「つまり、外は壊滅的な被害は受けたものの、大事には至ってねえってことか……」

海東「なんだ、安心したぜ……」

澄々「……ここから出た場合の方針が決まりましたわね……財団は全力でその組織を支援しますわ!」

澄々「あとはお父様達に復興事業を提案しましょう!それで外は守れるのです!」

モノクマ「……えー、完全にとは行かなくても、外は結構ダメージを受けてるよ?」

モノクマ「それでもオマエラ外に希望が持てるの?」

火ノ宮「……0でないのならばやりようはあるからな。それならば問題ない」

火ノ宮「……食うのにも困る人間も居るはずだ。俺も力になれるはず……」

朝永「わ、私も頑張るんだよ!」

モノクマ「……ちぇ、つまんないな。まあ、中途半端な絶望だとこんなもんか……」

モノクマ「ま、いいや!うぷぷ!議論を続けてよ」

モノクマ「と言っても、まだ何もわかってないんだけどね!」

色鯨「何言うてんねん……いろいろわかったやろ?79期の事とか九神のこととか……」

色鯨「……ってあっ!オレらのこと何もわかってへん!?」

モノクマ「その通りだよ!議論できているように見えて、実は全く何もわかってないんだよ!」

モノクマ「オマエラ……本当にやる気あるの?別にボクはここでタイムアップでも良いんだけど?」

色鯨「ど、どうするんや!?他になんかないんか?」

響音「待って、色鯨くん。ここでこの情報が確定できたことが大きいんだよ」

響音「私達が少なくとも、『希望ヶ峰の生徒』であること」

響音「そこから考えていこう、皆が見つけた物の中に……」

響音「何か矛盾点があるかもしれない……!」

色鯨「む、矛盾点?」

朝永「おかしなところか……おかしなところ……?」

火ノ宮「……取り立てておかしい点は思い浮かばんが……」

海東「少しでもいい、何か気になるところはねえか?」

海東「俺達が希望ヶ峰の生徒だったらおかしい物、もしくは……」

澄々「……九神さんが生徒だったらおかしい物……ですわね……」

………皆が見つけてくれた証拠品、その中から……

皆を導いてくれる突破口を見つけ出す!

【ノンストップ議論 開始!】

<【第79期入学者名簿】]
<【希望ヶ峰学園の支援企業】]
<【澄々可憐の死亡事故】]
<【生物室の冷蔵庫】]
<【冬崎の日記】]

朝永「うーん……おかしいところか……」

朝永「例えば、九神くんが『超高校級』って呼ばれてたこととか?」

火ノ宮「だが、実際九神のカリスマには素晴らしい部分があった」

火ノ宮「実際、超高校級でもおかしくはないが……」

澄々「九神さんが居なくなってるのなら……」

澄々「本来のこのクラスの入学者は【15人だった】ということですわね」

澄々「そこに何かありそうな気も……」

色鯨「もしかしたら、希望ヶ峰学園そのものが黒幕で……」

色鯨「俺たち全員……『学園に騙されてる』ってオチはあらへんやろな!?」

海東「……それはねえだろ」

【15人だった】←<【第79期入学者名簿】]

響音「それは違うよ!」論破!

響音「……待って、澄々さん。それはおかしいよ……」

澄々「……あ、あら?そうですの?」

響音「思い出して、私と一緒に行った寄宿舎の二階で見つけた……」

響音「……この名簿なんだけど」

澄々「え?その名簿がどうかしましたの?」

火ノ宮「随分汚れているが……これがどうかしたのか?」

海東「……俺の名前や、火ノ宮の名前があるな……こいつは……」

響音「うん。79期の入学生の一覧らしいんだけど……」

朝永「本当だ!私や火ノ宮くんの名前もあるね!」

火ノ宮「うむ……海東や響音、澄々も見えるな……」

女子01 響音 妙夢【超高校級の音楽家】     男子01 ■■■■郎【超高校級のレスラー】
女子02 立花■■■【超高校級のヒーロー】   男子02 ■■山 湊【超高校級の芸術家】
女子03 朝永 蛍■■■■■■■■■■■■  男子03 正義■■■■■■■■■■■■■】
女子04 ■■■■■■■■■■■■■■■■ 男子04 海東吉都【超高校級の変装師】
女子05 冬■■■■■■■■■■■■■察】  男子05 火ノ宮 龍也【超高校級の料理人】
女子06 ■■■■■■■■■■■■■■■■ 男子06 ■■■■■■■■■■■■■■■】
女子07 ■■■■■■■■■■■■■■■】  男子07 鳴神■■■■■■■■■■■■■■
女子08 澄々■■■■■■■■■■■■■】  男子08 ヘンリー・クローデル【超高校級の放送委員】

澄々「……あら、ちょっと待ってください、この名簿……」

澄々「この中に名前が書いていない人が居ますわ!」

色鯨「えっ!?オレ!?」

澄々「と、いうことはもしかして……色鯨さんが黒幕ですのっ!?」

色鯨「待て待て待てええええええええっ!?どうしてそうなるんや!火ノ宮の下!下ああああっ!」

色鯨「そこが俺の場所や!汚れて見えなくなってるだけで!」

響音「えっとね、澄々さん……注目すべきところはそこじゃないんだ。」

響音「九神くんが生徒ではなかったって事は、この名簿に大きな矛盾を生じさせてるんだよ」

火ノ宮「……矛盾?何があるというんだ?響音……」

響音「九神くんが居ないってことは、16人-1人……つまり名簿の人数は15人じゃなきゃいけないんだけど……」

響音「この名簿には16人分の名前がある。それがおかしいんだよ」

響音「多分色鯨くんに関しては偶然……男子で唯一名前が完全に見えなくなっちゃってたんじゃないかな」

響音「きっと、火ノ宮くんの下に名前があるはずだよ。ね?」

色鯨「ほら!無実やないか!」

澄々「あ、あら……申し訳ございませんわ……」

海東「……それに、九神が居ないことで生まれている矛盾はそれだけじゃねえ」

海東「もう一つ大きな矛盾があるだろ?響音?」

……海東君も気づいてるか。そう。人数の問題じゃない。この名簿はもう一つ矛盾を抱えている。

それは……

 色鯨の名前がないこと
→男女の人数が8:8であること
 79期であること

響音(これね!)解!

響音「……この名簿に書かれている人数は男性で8人、女性で8人」

響音「つまり、男女の人数は同じ人数なんだ。でもおかしいよね?」

響音「……このクラスは、男子9名、女子7名。だったはず……」

澄々「……あっ、それなら……」

響音「九神君と入れ代わりにこのクラスを出た女生徒がいる。そしてその人が……」

響音「……何かの鍵を握ってるんじゃないか?って思う」

火ノ宮「……九神が居た席に、もともと居た女性か……」

火ノ宮「……一体誰のことなんだ?」

響音「……さあ、流石にそこまではちょっとわからないよ……」

色鯨「え?ここまで来てか?」

響音「……でも、鍵を握ってる人はいるかもしれない」

響音「……その人の正体についてを……」

………私の考えが正しければ、その人物は……

【怪しい人物を指名しろ!】

…………

………

……

…【澄々 奇麗】

響音(……あなたしか……いない…!)

響音「……澄々さん、ひとつ聞きたいんだけど」

澄々「は、はい、何でしょうか?」

響音「……澄々さんの誕生日は、11月12日で合ってたよね?」

澄々「ええ……それがどうかいたしましたの?」

朝永「なになに?誕生日プレゼントの相談?」

色鯨「いや、どう考えても違うやろ……?」

響音「……全くの偶然かもしれないんだけど、11月の誕生日の人が……」

響音「出席番号が最後になることってあり得るのかな?」

海東「……あん?まあ……あり得なくもないが……」

火ノ宮「希望ヶ峰は少人数の学級だ。偶然かも知れないがありえるんじゃないか?」

響音「そう。これが全く偶然なら問題ないんだよ。ただ……」

響音「……私が考えている人間の誕生日が、11月生まれ以降……つまり、澄々さんの誕生月よりも遅かったとしたら……」

響音「疑惑に変わるんだ……!」

海東「疑惑……?どういう意味だ?」

……私の考えている人物。その人物を表すのは……

この証拠だ……!

【証拠を提示しろ!】

【ロッカールームのアルバム】

響音(これで証明できる!)解!

響音「……澄々さん、あのアルバムを見せてあげて」

澄々「あ、あのアルバムとは……まさか……」

響音「うん。そうだよ」

澄々「で、ですが……あのアルバムにはまだ確証が持てなくて……」

響音「確認したいだけなんだよ。海東君にも、朝永さんにも……」

海東「確認?どういう意味だ?」

朝永「わ、私にも……?」

澄々「わ、わかりましたわ。……海東さん、朝永さん。このアルバムの……」

澄々「……この写真を、見てくださいます?」

…………澄々さんがアルバムを開く。私の考えていた人物、その写真が写ったページを。

……疑惑の人物。その名は……

海東「な……!?可憐……さん?」

朝永「可憐ちゃん!?可憐ちゃんなの!?」

……澄々 可憐。澄々さんの亡くなったお姉さん。

だけど、この写真にはその澄々さんのお姉さんが写っている。この意味は……

響音「……海東君。私はこの人物が怪しいと思ってるんだ」

海東「響音……お前、ふざけてんのか……?可憐さんは死んだんだぞ?」

響音「ふざけてない。私も考えた上で言ってるんだよ」

響音「まず、この写真を見てほしいんだけど……」

響音「……確か、澄々さんのお姉さんが亡くなったのは……数年前なんだよね?」

朝永「……うん、そうだよ。私があの事故にあった日と同じ……」

火ノ宮「……しかし、この写真に写っている澄々は、現在の姿と余り変わらないようにみえるな」

火ノ宮「数年前というのが嘘であるように……」

色鯨「ほ、ほんまやな……一応オレら、成長期っちゅー奴なんやから、多少変わってても……」

海東「……偶然だろ?お嬢さんが昔から大人びて見えただけだ」

海東「そこに写ってる可憐さんは数年前に撮られた写真なんだろ?だとすれば……」

響音「いや……まだ問題はあるよ……澄々さん。あなたのお姉さん、こんな大怪我をしていた時がある?」

響音「……眼帯に火傷の痕、しかも腕に包帯まで巻いてて……」

響音「大怪我をした理由に心当たりはある?」

澄々「い、いえ……わたくしの覚えている限りはそんなことは……」

海東「っ……」

響音「……私はこの怪我の心当たりが一つあるの。それはね……」

……澄々さんのお姉さんが大怪我を追った理由、それがあるとすれば……

……心苦しいけど、あのことを話に出すしかない……

【証拠を提示しろ!】

【澄々可憐の死亡事故】

響音(……これね)解!

響音「……朝永さんもあったっていう、船舶事故、それに伴う遭難……」

響音「朝永さん、辛いと思うけど……もう一回言ってくれるかな?」

響音「あの時の事故の状況を……」

火ノ宮「……響音、朝永に余り無理をさせては……」

朝永「良いの、火ノ宮君。大事なことだもん」

火ノ宮「だが……」

朝永「妙夢ちゃん……これが謎を解くために必要なことなんだよね……」

朝永「だったら頑張るよ!私だって役に立ちたいもん!」

響音「……ごめん、ありがとう……」

……朝永さんに無理を言って思い出させるんだ……

その中から真実を見つけ出さなきゃ……!

【ノンストップ議論 開始!】

<【澄々の証言】]
<【希望ヶ峰学園の支援企業】]
<【記憶との相違点】]
<【生物室の冷蔵庫】]
<【未来評議会】]

朝永「……あのときの事故、最近まで夢に出てきたくらいだから忘れようがないよ……」

朝永「……可憐ちゃんは、『爆発事故』にあった影響で金属片がお腹に刺さっちゃって……」

朝永「自分自身で『包帯を巻いて』応急処置はしたみたいだけど……」

朝永「……食料を私の分まで消費する訳にはいかないって、自分でボートから飛び降りて……」

澄々「……そのまま、亡くなってしまわれたのでしたわね」

色鯨「海東は何かあるんか?」

海東「俺が色々と嗅ぎ回っていた時に……」

海東「【澄々財団の資料】にもそう書いてあったからな……」

海東「死体の状況から考えるに間違いはなさそうだな……」

火ノ宮「となれば、澄々の姉が生きているという線は仮説止まりだな……」

海東「……当たり前だ。そんな奇跡が『あるわけねえだろ』………」

【澄々財団の資料】←<【澄々の証言】]

響音「それは違うよ!」論破!

響音「……海東君、一つ聞きたいんだけど……」

響音「あなたは、澄々さんのお姉さんの死体を実際に見たの?」

海東「……い、いや……俺があの人の死について調べ始めたのは事故からしばらく経ってからだ……」

海東「だから既に葬儀とかは終わっちまったあとで……」

海東「だから俺は澄々財団に保管されている資料を見て、初めて遺体の状況を知ったんだ……」

響音「……そうなのね……でも、澄々さんもこう言ってたよ?」

響音「……自分は澄々さんのお姉さんの遺体を確認してないって」

海東「……なんだと?」

澄々「……ええ、そうですの」

澄々「わたくしは両親に止められて……お姉様の遺体は確認していませんわ」

海東「……な、そうなのか……?」

色鯨「身内にも遺体を確認されてないやと……?どういうこっちゃ……」

澄々「一応、両親からは『遺体を見せてショックを与えたくなかった……』と聞かされていますが……」

火ノ宮「……待て、遺体を確認されていないということは、こういう線も浮かび上がるんじゃないか……?」

火ノ宮「……澄々可憐は、死んだのではなく……何らかの理由で死亡を装い……」

火ノ宮「……実は生きていたのではないか?」

響音「……うん。火ノ宮くんの言う通り、私はその線が正しいと思う……」

響音「朝永さんの記憶をたどる限り、可憐さんの最期は『海に飛び込んだところ』……」

響音「でも、可憐さんは、恐らく生きていた……」

響音「そして、私達が記憶を失っている間の……『第79期希望ヶ峰学園』では……」

響音「九神くんじゃなく、この澄々可憐さんが入学していたんだ……」

響音「きっとこの写真は……記憶を無くす前の澄々さんが、お姉さんが生きていたことに安堵して……」

響音「その時の記念かなにかで撮った写真じゃないかな?」

澄々「一応……筋は通りますが……」

色鯨「じゃ、じゃあホンマに……?」

海東「……あり得ねえ……あり得ねえよ……」

海東「……響音、じゃあ証拠はあるのか……?」

海東「可憐さんが生きてて……俺たちがいたクラスに入学したって証拠は……」

響音「……私ね、こう考えるんだ。名簿の一番最後に書いてある名前……」

響音「それに『澄々』って書いてある理由……」

響音「これが指し示しているのは、ここに居る澄々さんじゃない……」

響音「……澄々さんのお姉さん……可憐さんのことだよ!」

海東「だからその証拠はあるのかって聞いてるんだよ!」

……名簿に書いてある名前……それが澄々さんである証拠……

それはこれしかない……!

【入学者名簿の備考】

響音(これで証明できる!)解!

響音「……この推理の裏付けの為に最後に確認したいんだけど……」

響音「……海東君。澄々可憐さんの誕生日って、何日だった?」

海東「……………っ……それは……」

海東「……3月28日……だ」

響音「……繋がったよ。名簿の最後の部分に書いてあるのはやっぱり可憐さんだよ……」

響音「この名簿の備考欄に書いてあるよ?『生徒名簿は男女ともに生年月日順に記しています。』って」

響音「……誕生月がそこまで遅いなら、名簿の一番最後になるのは当然だよね?」

海東「だ、だけどな……本当にお嬢さんが一番最後の可能性も……」

澄々「……海東さん。認めなくてはなりませんわ。証拠がここまで重なれば……」

澄々「……今まで出てきた証拠は、お姉様が生きていることを指し示している」

澄々「むしろ、わたくし達は喜ぶべきだと……」

海東「ぐっ……うっ……」

海東「畜生……なんでだよ……」

朝永「可憐ちゃんが……生きてるの?」

火ノ宮「ああ、それが本当なら……朝永、お前は気に病む必要などなかった」

火ノ宮「…………だが…」

色鯨「ま、待て!それが本当なら……海東は……」

色鯨「何のためにここまで苦しんだんや!こいつは最初から……」

……海東君は、可憐さんの事を追いかけて生きてきた……

……しかし、私の推理はそれが無意味だったことを証明してしまった。

……残酷ではあるけれど……

海東「……ははっ、とんだピエロじゃねえかよ……俺は……」

海東「……有りもしない死の真相を追って、この場を引っ掻き回した……」

澄々「……海東さん」

海東「はっ……全く……救えねえよなぁ……この数年間は無意味だったってことじゃねえか……」

海東「俺が余計なことしなきゃ……鳴神くらいはもしかしたら……」

………海東君。

海東「……気にすんな響音。お前はやるべき事をやった結果だ」

響音「でも……」

海東「……バーカ。これでも俺は喜んでんだよ。……あの人が生きてるんだとしたらな…」

海東「……で、響音……可憐さんが生きていたとしたら……どう変わるんだ?」

色鯨「海東……お前大丈夫なんか……?」

海東「……大丈夫だよ。それよりも今は、推理に集中するべきだろ?」

澄々「え、えっと……九神さんの代わりにお姉さまが私達のクラスに居て……」

澄々「それで一体何がわかるのでしょうか……?」

響音「……そうだね……」

朝永「……でも、希望ヶ峰の本科に来るなら、何かの才能が必要なんだよね?」

朝永「可憐ちゃんは……何の才能だったんだろ……?」

火ノ宮「……そうだな……一体何の……?」

響音「………………」

………九神君の代わりに、このクラスに居た可憐さん。

……一体どんな才能の持ち主だったんだろうか……

海東「……『カリスマ』……?」

響音「……海東君?」

海東「……いや、ちょっと言ってみただけだ……」

海東「九神と入れ替わったんだとしたら、肩書も入れ替わったんじゃないかって思ってな……」

海東「そしたら意外としっくり来たんだよ。『カリスマ』……」

澄々「た、たしかに……お姉様にはどこか、人を跪かせるような、不思議な魅力のようなものが……」

色鯨「跪くって……マジで女王か何かだったんか?」

朝永「あっ、分かるかも……可憐ちゃんと一緒に居た時、何か安心感もあったような……」

朝永「まるで、『あの人の言うことに従っていれば大丈夫』って思えるような……」

響音「……カリスマ……?」

……待て……可憐さんの才能が仮に、『超高校級のカリスマ』だとしたら……

あの組織の情報と合致する……

それに、あの情報の矛盾点もなくなる……!

【ロジカルダイブ 開始!】
Q1,『超高校級のカリスマ』が率いていた組織の名前は?
1、未来世界 2、未来機関 3、未来評議会

Q2、超高校級のカリスマは、どんな人物だった?
1、希望ヶ峰学園の学生 2、希望ヶ峰学園の元学生 3、予備学科の学生

Q3、超高校級のカリスマは、その後どうなった?
1、退学した 2、除名を受けた 3,世界征服した

3→1→2

響音(……推理は繋がった!)

響音「……そうだ……澄々可憐さんが超高校級のカリスマだとしたら、全てがつながる」

響音「……あの証拠の矛盾もなくなるんだ……!」

海東「あの証拠……?」

朝永「あの証拠ってどの証拠なの?」

響音「……寄宿舎二階にあったパソコン……あそこにはこんな情報があったの」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『……だが、未来機関と比べ、『未来評議会』の規模は小さかった。
 にも関わらず、未来評議会は未来機関と渡り合える2大派閥として数えられた。
 それは、『超高校級のカリスマ』と呼ばれる希望ヶ峰学園の生徒の力に他ならない』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

響音「超高校級のカリスマ……その生徒が、『未来評議会』という組織を作った……」

朝永「未来……評議会……?」

響音「……うん。外の『絶望』と戦うための組織らしいけど……」

響音「少なくとも、この『超高校級のカリスマ』は九神くんのことを指してるんじゃないはず」

響音「だって、九神くんは退学してしまってるし……何より……」

色鯨「予備学科の学生……やもんな……」

朝永「じゃあ、妙夢ちゃんはこの生徒が可憐ちゃんだって言うの?」

澄々「で、ですが……『超高校級のカリスマ』がお姉さまとは限りませんわ……」

澄々「ここには『生徒』と書いてあるだけですし……」

響音「うん、『生徒』なんだよ……そこが重要なんだ」

色鯨「卒業生か何かが作った組織やないの?いくらカリスマでもそれは……」

響音「ここには『生徒』って書いてある……元生徒ってわけじゃない……」

火ノ宮「な、ならば……その組織は『現役の生徒が率いたと言う訳か?』」

海東「……生徒?ちょっと待て……」

海東「……希望ヶ峰の現役の生徒に『カリスマ』なんて才能はねぇ……」

海東「77期、78期、両方共な……」

朝永「でも……79期の私達の才能にも、カリスマなんて居ないよ?」

色鯨「だ、だとしたら……」

響音「……消去法でこうなるんだ。澄々可憐さんの才能は……」

響音「……『超高校級のカリスマ』」

海東「だ、だけど……学園長室のデータベースには79期で『超高校級のカリスマ』の生徒なんて居なかった!」

海東「あのデータベースは正確なはずだろ!?ならなんで……」

響音「……その超高校級のカリスマは、希望ヶ峰学園で禁じられてた研究をしたせいで……」

響音「学園から除名を受けたみたいなの」

響音「それなら説明がつくよね?」

澄々「私達が見たのはあくまで入学名簿……」

澄々「入学の情報で、既に紙に印刷されていましたから……」

火ノ宮「……抹消しきれなかった情報……ということか」

海東「……マジかよ……なら……」

響音「……澄々さんのお姉さん。可憐さんは、『超高校級のカリスマ』」

響音「……そして、『超高校級のカリスマ』は『未来評議会』という組織を率いていた……」

響音「……その組織は、澄々さんのお姉さんを中心とした組織……だとすれば……」

響音「未来評議会っていうのは……!」

モノクマ「……うぷぷ、ようやく答えにたどり着いたみたいだね!」

モノクマ「それじゃあ響音さん……問題の答えを言ってみなよ!」

響音「……私達の正体は……」

響音「………『未来評議会』!」

モノクマ「……うぷぷぷ……うぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷ!」

モノクマ「……だいせいかーい!」



学 級 裁 判

中断!

とりあえずここまで。意外と進みが良かったので来ました
多分裁判は三回に分けると思います

裁判を解きたいって人がいらっしゃったら申し訳ありませんでした

0時前くらいに投下しますね

学 級 裁 判

再開!

モノクマ「うぷぷぷぷ……いやー、遂に知っちゃったねー、自分たちの正体を……」

モノクマ「感慨深いねえ……無知だったオマエラがここまでやってくれるとは……」

モノクマ「いやー、ボクとしても中のワタが感激で濡れ濡れですよっ!」

色鯨「み、未来評議会……ってのが、オレらの正体やと……?」

澄々「……お姉様が外の世界の絶望と戦うために作り上げた組織……」

澄々「わたくし達もその一員、でしたとは……」

モノクマ「そうなの!記憶を失う前の君たちは、澄々さんのお姉さん……澄々可憐さんの指揮のもと……」

モノクマ「並み居る絶望達をバッタバッタと切り倒していた……」

モノクマ「『未来評議会』という組織の一員だったのです!」

朝永「ほへー……」

色鯨「ちゅーことは、何か?俺達は正義の味方やったってことか?」

……話を聞く限りではそうだ、未来評議会は……

未来機関と呼ばれる組織と勢力を二分する対絶望の為の組織であり……

……絶望を倒すために活動していたという……

火ノ宮「……その話が本当であれば……俺達は外の世界の『絶望』とやらと戦い……」

火ノ宮「何らかの理由で記憶を失い、今現在に至るということか……」

色鯨「なるほどな、だいたい分かったで」

色鯨「モノクマはそんなすげー組織のオレ達を殺し合わせることで、頭数を減らすことを狙ってたんやな!?」

色鯨「それで、未来評議会を壊滅に追い込もうとしたんや!」

響音「…………」

……確かに、話の筋は通る。

だけど……私の頭に引っかかるのは……

モノクマ「うぷぷ……さあ、どうだろうねぇ……」

『記憶を取り戻した時、私達は絶望する。』という、こいつの言葉……

……三つの問題の内、一つを解いたは良いけど……

……考えても仕方がないか。

響音(…私達が『未来評議会』であるなら、あの人もそうなはずだ……)

……ここにいた16人全員が未来評議会に所属しているのであれば……

……必然的に、この人も未来評議会の一員と言うことになる。

つまり、次に私達が答えられるのは……

 【モノクマの謎】
→【冬崎の謎】
 【私達の謎】

響音(これね!)解!

響音「……私達が『未来評議会』という組織に属していたのだとしたら……」

響音「必然的に、あの人も『未来評議会』の一員ということになるよね?」

響音「……そう、冬崎さん」

火ノ宮「……たしかにそうなるな……」

澄々「冬崎さんは私達のクラスに、記憶を失う前にもいらっしゃったんですものね……」

海東「ああ、あいつは79期のデータベースにも載ってた。間違いねえよ」

響音「だからこそ、冬崎さんも『未来評議会』の人間である可能性は高い」

響音「そうなってくると……未来評議会で冬崎さんが何をしていたか?っていうのが鍵になるんだけど……」

色鯨「あいつが何をやってたか、やろ……?」

色鯨「……ゲームやないの?」

朝永「真面目に考えてよ!私は……アニメを見るとか?」

火ノ宮「お前もだぞ……朝永……」

朝永「え……?これでも真面目だよ……?」

火ノ宮「……すまん」

色鯨「オレも真面目やったんやけどな……ちゅーかそもそも……未来評議会の目的は何やねん……」

色鯨「その目的が分からんことにはわからへんちゅーか……」

………未来評議会の目的、それは……

モノクマ「……うぷぷぷ……」

モノクマ「強いて言えば……『絶望の殲滅』かなあ?」

……予想外のところから声が上がった。

響音「モノクマ……?」

海東「……どういう風の吹き回しだよ。お前……」

モノクマ「いやいや、キチンと未来評議会の名前にはたどり着いたわけだし……」

モノクマ「もう少しヒントをあげちゃおうかな!?と思った次第でごぜーますよ!」

火ノ宮「ヒント……だと?」

モノクマ「そ、『未来評議会』っていうのがどんな組織か教えるくらいは良いかなって話」

モノクマ「『未来評議会』の目的だっけ?それはね『絶望の殲滅』なんだ」

澄々「……絶望と戦うということですの?それは既に分かっていますが……」

モノクマ「ノンノン、『殲滅』と『戦う』ってのはクマとノミくらい違う行為なの」

モノクマ「戦うっていうのはもちろん、絶望に勝負を挑んで抵抗すること。英語で言うと『Fight』かな?」

モノクマ「対して、『殲滅』っていうのは……」

モノクマ「『残らず滅ぼすこと』……つまりは『皆殺し』、そして『Extermination』」

モノクマ「そう!少しでも『絶望』の芽が生えたら滅ぼし尽くすことなんだよね!」

モノクマ「……もちろん『オマエラ』もそうしてきたんだよ?」

……空気が、凍った。

響音「……は?」

モノクマ「行き過ぎた正義ってのは本当に恐ろしいものだよ。希望ヶ峰の名のもとに……」

モノクマ「オマエラは予備学科の生き残りを始めとする、一般人を……」

モノクマ「『絶望に堕ちる可能性』があるってことで虐殺しちゃったんだよねー!」

色鯨「ぎゃ、虐殺しちゃったんだよね-……って、お前!?」

モノクマ「もともと、未来評議会のリーダー澄々可憐さんは、『この世界を絶望から開放する』という強い信念を持っていました」

モノクマ「ま、その理由も聞けば当然なんだけど……仕組まれた事故によって命を落としかけたから!」

モノクマ「ね?朝永さん、海東君」

海東「それって……あの船舶事故か?」

朝永「あの時の……」

モノクマ「あの事故の真相は……もともと孤児であり、澄々家の血が流れていない可憐さんが……」

モノクマ「あらゆる分野で結果を出し続けていた事を妬んだ財団内の凡才達が仕組んでいたことなんだよ!」

モノクマ「エンジントラブルに見せかけて、可憐さんを殺そうとしたわけだよね」

海東「なっ……じゃああの事故は……」

モノクマ「そ、海東君の読み通り、『可憐さんが死ぬことで得をする奴らの仕業』だよ?」

モノクマ「……ま、結局可憐さんは殺せなかったんだけどね。ゴムボートで脱出したあと……」

モノクマ「可憐さんの派閥の人間が救出に来たんだから……」

モノクマ「でも死んだことにしたほうが都合がいいじゃん?だからわざと海に落ちて潜水艦で回収されたよ」

モノクマ「……ま、この事件をきっかけに澄々可憐さんは、ある思想に目覚めるわけだよね」


………『才能を持たない人間は、才能を持つ人間を妬み、恨み、挙句には頼んでいないのに勝手に絶望する』

………『才能を持たない人間が簡単に絶望に堕ちるのならば………』

………『才能を持たない人間を殲滅しなければ、絶望の根絶には至らない』


モノクマ「……ってな感じでね」

海東「お前……可憐さんがそんなことするはずねえだろ!」

モノクマ「だってボクこれ可憐さん本人から聞いたんだよ?間違いないって」

澄々「そ、そんな!ありえません!お姉さまがそんな……」

モノクマ「ちなみに、優しいお姉ちゃんに誘われてころっと評議会入りして……」

モノクマ「まるでゴミを掃除するように絶望に侵された民衆を虐殺したのが、そこの澄々さんです!」

モノクマ「……ま、そこにもしかしたら罪のない人も居たかもしれないけどね」

澄々「なっ……嘘……嘘です……」

澄々「嘘です!わたくしがっ、わたくしがそんなことをっ!」

モノクマ「嘘じゃないよ!真実です!」

モノクマ「火ノ宮くんが『絶望の残党』の住むマンションを……中の一般人ごと放火したり!」

火ノ宮「……な、何……?」

モノクマ「色鯨くんが自分たちの漫才で笑わなくなった人たちを、『笑えないほど絶望した』と判断して……」

モノクマ「切れ味鋭いツッコミ(物理)で真っ二つにしたのも!」

色鯨「何やて……嘘やろ……?」

モノクマ「海東くんや朝永さんもちょろかったしね。可憐さんに誘われたらすぐにだよ」

海東「…………っ」

朝永「あ、あの……それは……」

モノクマ「極めつけは響音さん!響音さんに至っては……」

響音「……もうやめてよ!」

……言うしかなかった。そして、言えなかった。

……聞くに耐えず、「もうやめて」としか。

だけど、『それは違うよ』とも言えなかった。

……なぜなら、否定できなかったから……それは……

可憐さんのあの行動からも分かる……からだ……

1,福祉事業の運営
2,カムクライズルプロジェクトの再開
3,様々な企業への支援活動

 1,福祉事業の運営
→2,カムクライズルプロジェクトの再開
 3,様々な企業への支援活動

響音(…………)解!

響音「………っ」

色鯨「な、なあ、響音、嘘やろ?そんなわけないよな!?」

響音「………それは……」

澄々「ひ、響音さん?」

響音「…………未来評議会の資料には、こうも書いてあった……」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『未来評議会は圧倒的な能力を持つ『超高校級のカリスマ』を代表として、
 また、絶望的事件の影響が比較的小さかった学園の支援企業を一つの組織として纏め上げ、
 救世主を生み出すための研究を開始した。
 ……もちろん、その研究とは『カムクライズルプロジェクト』である。』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

響音「……『未来評議会』は、『カムクライズルプロジェクト』を再開したんだよ」

澄々「……あ……」

朝永「そ、その……カムクライズルプロジェクトって……なんなの?」

響音「……簡単にいえば、あらゆる才能を持った人間を人工的に作り出そうとする計画、なんだけど……」

響音「……才能を与えるためには、身体……特に脳手術が必要で……」

響音「そのための手術を受けた人間は……人格を……感情を失ってしまうの……」

火ノ宮「そ、そんな非人道的な実験を行っていたのか!?」

響音「……希望ヶ峰学園は、それが理由で凍結を決定したらしいの……でも……」

海東「……可憐さんはそれを再開したってのか!?」

響音「でも、未来評議会が人間の才能に執着した組織なのだとしたら納得できるよ……」

澄々「じゃ、じゃあ……本当なんですの……わたくし達は……そんな……」

モノクマ「うぷぷ……皮肉なもんだよ……」

モノクマ「希望のための組織が絶望を狩るという名目で、一般人を粛清していったんだからね」

モノクマ「ま、それだけ『澄々 可憐』は絶対的なカリスマだったってわけだね」

モノクマ「到底信じられないことをオマエラにさせてしまえるんだから!」

……澄々可憐さんの絶対的な『カリスマ』。

そのカリスマに魅せられた結果、罪のない人々を虐殺した。

……それを正義だと信じて……

それが……それが……

響音「……私達の正体が……それなんだ……」

海東「……冬崎のやつが発狂した理由もわかった気がするぜ……」

色鯨「嘘やろ……誰か嘘って言ってくれや……」

朝永「………私……私……」

火ノ宮「……っ、俺は、なんということを……」

澄々「お姉さま、どうして……」

モノクマ「……だから言ったじゃない。『真実を知ったら絶望する』って」

モノクマ「オマエラに昔の人のありがたい言葉をくれてやるよ!」

モノクマ「『長く深淵を覗くならば、深淵もまた等しく見返す』 」

モノクマ「ニーチェっていう哲学者の言葉なんだけどさ、今のオマエラの状況そっくりだよね!」

モノクマ「ま、オマエラは深淵を覗いたから怪物になったんじゃなくて、元から怪物だったんだけどね!」

響音「…………」

モノクマ「……で、どうするの?まだ続ける?」

モノクマ「でもここでやめるってんならオマエラは楽になれるよ?」

モノクマ「死、って言う方法で、だけどね……うぷぷ……」

響音「…………」

色鯨「死ねば……楽に……」

澄々「……わたくし達は、楽に……」

朝永「…………」

……死ねば、楽になれる。

死ねば……

朝永「……それは違うよっ!」

…………!

響音「……朝永さん?」

朝永「みんな何言ってるの!?おかしいよ!?みんな、ここに来たばかりの私と同じ目をしてる!」

朝永「みんなは私に言ってくれた!罪から目を背けて死ぬのは間違ってるって!」

火ノ宮「朝永……」

朝永「私は生きたいよ、生きてここから出たい!そのために頑張るって決めたから!」

色鯨「せ、せやけど朝永……オレらは人を殺してるんやで……それも一人や二人やない……」

色鯨「虐殺ってことは……それじゃ聞かないレベルなんや……」

朝永「だからって死ぬのはおかしいもん!償う方法だってあるはずだよ!」

朝永「それに、ここで諦めて死んじゃったら……もう死んじゃったみんなはどうするの!?」

火ノ宮「朝永……お前……」

朝永「特に妙夢ちゃん!みんなを背負うって決めたんでしょ!?」

響音「………あっ……」

朝永「……だから、諦めちゃだめ……」

朝永「みんなで出てから生きて償う方法を考えるんだよ!」

響音「………朝永さん……」

海東「……そうだな」

海東「……そもそも、そんな大量虐殺の罪が自分ひとりの命で償えると考えてる方が……」

海東「……死んでいった奴らに悪いだろうな……」

色鯨「……せ、せやな……少し、弱気になっとったわ……」

澄々「……ですわね。それに、まだ真相をすべて知ったわけでもありませんわ」

澄々「…後のことを考えるには、終わってからでも十分ですわね」

火ノ宮「……朝永、お前……成長したな」

朝永「えっへん、もっと褒めてくれてもいいよ?」

火ノ宮「………まあ、後でな……」

……そうだ、私は最初に決めたじゃないか。

いかなる絶望が待っていたとしても、真実を掴んでみせるって!

響音「……ごめん、弱気になってたよ」

響音「……モノクマ、私達の答えは一つだけ。」

響音「……謎を解いて、ここから出ていく。それだけだから」

モノクマ「……ふーん……まだやる気なんだ……」

海東「当たり前だろうが、……お前ら、一つ提案なんだが……」

海東「……やっぱり、『冬崎』と『未来評議会』の関係……」

海東「そこが怪しいと思わねえか?」

響音「怪しい?」

火ノ宮「……何故だ?海東……」

海東「……モノクマの奴の反応だよ。冬崎と未来評議会の関係……」

海東「そこを議論しようとした瞬間に俺らを揺さぶってきやがった……」

海東「だとすれば、何かしら……バレたくない秘密が潜んでるんじゃねえか?」

モノクマ「ド、ドキィ!」

色鯨「な、なるほどなぁ……」

澄々「もしくは……カムクライズルプロジェクトとの関係もあるかもしれませんわね」

澄々「……未来評議会が再開させようとしたほどの計画です。そこに何かあるかも……」

響音「……未来評議会か、カムクライズルプロジェクトか……」

……このどちらかに、冬崎さんの秘密が隠されているかもしれない、ということか……

……議論の中からそれを見つけ出せれば……答えに近づけるかもしれない!

【ノンストップ議論 開始!】

<【カムクライズル・プロジェクト】]
<【希望ヶ峰学園の支援企業】]
<【冬崎の日記】]
<【九神と冬崎の遺体】]
<【アルターエゴ】]

海東「冬崎と未来評議会の関係性……何かないか?」

色鯨「例えば……」

色鯨「警察の伝手を使って、粛清すべき対象の『情報を集めてた』とか……?」

火ノ宮「警察、なのであれば……」

火ノ宮「『武装や武器を提供していた』可能性もある」

朝永「冬崎さんはコンピュータに強いから……」

朝永「すごい『プログラムを開発』していたのかも!」

澄々「もしかすると、カムクライズルプロジェクトの……」

澄々「実験の為に『被験者』となったのかもしれませんわ」

海東「……うーん、いまいち確定できる情報がないな……」

『プログラムを開発』←<【アルターエゴ】]

響音「それに賛成だよ!」同意!

響音「……プログラムを開発……そうかもしれない」

響音「……冬崎さんが遺したパソコンの中に、こんな文章があったんだよ」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『学習型人工知能プログラム――――――アルターエゴ。
 超高校級のプログラマー『不二咲千尋』が開発した人工知能であり……
 超高度の学習能力を持ったAIのことである。』

『このアルターエゴは、実在の人物の知識・性格を再現するレベルの性能であり…
 第一号は開発者の不二咲千尋の人格を模して造られていた。』

『この『実在の人物』の再現ができるということから、プログラマー業界の中では…
 実在の偉人や優れた人間の人格・知識を再現すれば有用に扱える……
 また、データを自由に改変できると言う事を考えれば……
 その人物の欠点や、新たに与えたい知識などをインストールすることで
 完璧な知識を持ったある意味完全な存在を作り上げることも可能である。とのことである』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

響音「……アルターエゴは、誰かの人格を再現するプログラムらしいんだ」

火ノ宮「人格の再現……?」

海東「……それがどうかしたのか?カムクライズルプロジェクトにも、未来評議会にも関係ないように思えるが……」

響音「……アルターエゴは、プログラムであるが故にある特徴があるんだよ」

響音「プログラムで作られた人格ならば、『同じプログラマーの手で改変できる』」

澄々「……そ、それはつまり……カムクライズルプロジェクトと同じ事ができるということですの?」

火ノ宮「……確かに、心を持ったプログラムを自由に改変できるのならば、脳手術と変わらん……」

朝永「人間でやるわけじゃないから……文句も余り言われないよね……?」

響音「……多分冬崎さんは、アルターエゴを用いてカムクライズルプロジェクトを推進していたんだ……」

響音「もちろん、澄々可憐さん率いる、『未来評議会』のために……」

色鯨「せ、せやけど響音……?どうして冬崎がやったって確定できるんや?」

色鯨「冬崎じゃない、別のプログラマーか何かにやらせた可能性もあるやろ?」

響音「ううん、冬崎さんで間違いないよ」

響音「カムクライズルプロジェクトは、希望ヶ峰の生徒に引き継がれた……」

響音「資料にはそう書いてあったんだ……」

響音「きっとそれを受け継いだのが、冬崎さんで……」

……それを裏付けているのがこの資料だ。

【証拠を提示しろ!】

【冬崎真白の資料】

響音(これで証明できる!)解!

響音「……いくら澄々可憐さんが優秀でも、一人でこんな大規模なプロジェクトは動かせない」

響音「私が『超高校級の音楽家』だとしても、オーケストラは出来ないように……」

響音「一人でやることには無理がある。だとすれば……この資料に書かれているように……」

響音「……『超高校級のプログラマー』に肉薄するほど優秀だった冬崎さんが関わっていた可能性が高いの!」

色鯨「じゃあ……冬崎は……」

海東「……だいぶ分かってきたんじゃねえか?」

澄々「……わたくし達と同じ未来評議会の人間である冬崎さんは……」

澄々「才能を絶対視する『評議会』において、人工的に才能を与える実験をしていた……」

朝永「えっと……アルターエゴを使って、だよね」

火ノ宮「……ならば、冬崎の役割は……」

響音「……………」

モノクマ「うぷぷ……議論の結果が出たようだね!」

モノクマ「それでは答えを聞かせてもらいましょう……響音さん……」

モノクマ「『冬崎さんの正体』……それは一体……?」

響音「………」

響音「私達と同じ『未来評議会』、そして……」

響音「『完全な才能を持ったプログラムを生み出そうとしていたプログラマー』」

モノクマ「うぷぷぷぷ………」

モノクマ「すごい!すごいよぉ!これで二問目も大正解!」

……二問目、冬崎さんの正体もこれで暴いた……

そして、残るは……

海東「よし、残る問題は一つだな……」

海東「このクソヤローの正体だ……お前ら、もう少しだぞ……」

朝永「モノクマの正体……あと、それだけで……」

澄々「外に出ることができるのですわ……」

色鯨「おっし、おっし!やっとここまで来たんやな!」

火ノ宮「………響音……」

響音「うん……!」

……そして、あと一つ、モノクマの正体……

だけど……

響音(……だとすれば、モノクマの正体は……)

……冬崎さんの正体、そして、その開発していたもの。

そして、裁判の前にモノクマが言っていたあの言葉……

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

モノクマ『あとヒントとして言っておくなら……』

モノクマ『オマエラがここに来てからこの学園の人間の数は16人しかいないから!』

澄々『……16人?』

モノクマ『そ!減っていくばっかりなんだよね……今は6人しかいないし』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

……この言葉を思い出せ……この中に……

モノクマの正体を導く言葉がある!

【ロジカルダイブ 開始!】
Q1,この『コロシアイ学園生活』が始まったときの最初の人数は?
1、17人 2、16人 3、15人

Q2、黒幕はこの最初の人数の中に含まれている?
1、含まれている 2、含まれていない

Q3、Q2の答えの理由は?
1、人間ではないから 2、学園の外に居たから 3,学園の地下に潜んでいるから

2→1→1

響音「……推理は繋がった!」解!

響音「……モノクマの正体、わかったかもしれない……」

色鯨「は、早いな!?」

響音「冬崎さんのこと……それを前提としてみたら、あっさり分かるよ……」

響音「モノクマは最初にこう言っていた……『このコロシアイのスタート時、人間は16人しか居なかった』って」

朝永「16人……私達の人数でぴったりだよね……」

澄々「で、ですが……それでは私達の中に黒幕が居るということに……」

響音「……人間は、だよ?澄々さん……」

海東「……まさか……アルターエゴが?」

響音「アルターエゴは、人間の思考回路を元としたプログラム……」

響音「けど、本質はあくまで機械……人間じゃない……」

澄々「で、ですけれど……本当に機械に人間の管理ができますの?」

火ノ宮「……そのためのカムクライズルプロジェクトだろう……」

火ノ宮「完璧な……完全な思考能力をもつAIならば不可能ではないはず……」

火ノ宮「……まるでSF映画のような話にはなるが……」

響音「それに、私達が管理されてたって証拠もある……」

しかも二つ……

あの二つの証拠が……私達が機械に管理されてた証……

【証拠を二つ提示しろ!】

【監視カメラの再生回数】&【オートパイロット】

響音「……情報処理室に残された二つの証拠……」

響音「一つは、『監視カメラの再生回数』……」

響音「火ノ宮君。あのカメラの動画データ……再生回数は何回だった?」

火ノ宮「……一回だ。それも俺が調査の時に再生したきりの、な……」

色鯨「え?そうなると……誰も再生してないってことになるやんか!」

色鯨「そんなの監視の意味が無いやろ!」

響音「ううん……黒幕はきっと、監視カメラのデータをモニターで再生しなかったんだ……」

澄々「まさか……黒幕は……監視カメラのデータをモニターではなく……」

澄々「直接解析するか何かして……監視を行っていたんですの?」

海東「黒幕がアルターエゴだとしたら……そういう芸当も可能になるってわけか……」

響音「うん、そして……もう一つ……『オートパイロット機能』」

響音「……情報処理室のモノクマを操作するための部屋……でもあそこは……」

火ノ宮「……全てのモノクマが自動操縦になっていたな……」

海東「自動操縦……なるほどな……」

海東「……人工知能が操縦してるんなら、そりゃ自動操縦だ」

朝永「じゃあ……モノクマの正体は……」

モノクマ「うぷぷ……ボクの正体は……?」

響音「……………あんたの正体は……」

響音「……アルターエゴ!」


モノクマ「……………」

響音「……………」

モノクマ「…はあ、ツマラナイの……」

響音「……それじゃあ……」

モノクマ「だってボクがアルターエゴってことはわかりきってるじゃん!」

モノクマ「あんなにヒントあげたんだからさぁ……やっぱりここは……」

モノクマ「ボクが誰のアルターエゴかって所まで答えてもらわないと割に合わないよ!」

色鯨「な、卑怯やぞ!」

澄々「ル、ルールには従いなさいな!」

モノクマ「うるさーい!そもそも、ボクの正体がアルターエゴって失礼だろ!」

モノクマ「アルターエゴにも名前はあるんだからね!?固有名詞で答えろよな!」

海東「だとさ、どうする……?響音」

響音「……誰のアルターエゴ、か……」

海東「……冬崎に研究させてたアルターエゴ……その目的が……」

海東「可憐さんに不測の事態があったときのために、代役として作られたんだとすれば……」

朝永「普通に考えて可憐ちゃん……かな……?」

火ノ宮「……理にはかなっているが……」

……アルターエゴが作られた目的……

そう言えばモノクマは、冬崎さんが死んだ時にこんなことを言っていた……

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

モノクマ『ボクの目的は、『冬崎さんが』……』

モノクマ『『クロになって』……そして……』

モノクマ『その時の被害者が九神君であることなんだよねえ!』

響音『……え?』

朝永『それって、つまり……』

火ノ宮『回りくどく言っているがこういうこと……』

火ノ宮『こいつの目的は、冬崎が九神を殺す事……と言う事だ…』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

響音「……冬崎さんが、九神君を殺すことが目的……?」

朝永「……妙夢ちゃん?」

それって……まるで……

【証拠を提示しろ!】

【江ノ島盾子】

響音(これで証明できる……)解!

響音「……冬崎さんが九神君を殺す……」

響音「それって……あの人物と同じ……」

海東「……あの人物?」

響音「九神君と冬崎さん、とても仲が良かったよね?」

響音「……まるで、友達、ううんそれ以上に……」

だとすれば、まさか……

色鯨「ひ、響音?どうしたんや?何がわかったんや?」

響音「……アルターエゴが作られた目的って聞いて、思いついたことがあるの……」

響音「……そもそも、モノクマの目的はなんだったっけ?」

澄々「……前の裁判の終了時に言っていましたわよね、確か……」

火ノ宮「冬崎が、九神を殺すことだ……」

朝永「そ、それがどうかしたの?」

響音「……『人類史上最悪の絶望的事件』あれの直接的な原因になったのは……」

響音「……江ノ島盾子という一人の高校生、そして……そのきっかけは……」

響音「……江ノ島盾子が、『愛する人間を殺害したこと』……!」

海東「……!って、ことは……」

響音「……私の考えが正しければ……」

響音「……モノクマの目的はきっと……江ノ島盾子の軌跡を辿ろうとしている……」

響音「つまり、モノクマの正体は……」

【怪しい人物を指名しろ!】

…………

………

……

…【冬崎 真白】

響音(……あなたしか……いない…!)

響音「……あなた、なの……?」

響音「……冬崎さん……!」

モノクマ「……うぷぷ……」

モノクマ「うぷ、うぷ……うぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷ!」

モノクマ「アーッハハハハハハハハハハハハハハハハハハッハ!」

モノクマ「……やっとわかったすか?響音ちゃん?」

ズドン!

……私が、冬崎さんの名前を告げた直後、モノクマが爆発を起こした……

色鯨「うひぃ!?」

……色鯨くんが悲鳴を上げたけど、最初の体育館でモノクマが自爆したときよりも、爆風は小さい。

まるで、これは……

澄々「クラッカー……?」

???「そ、ここまでたどり着くことが出来た祝砲の意味も込めてっすかね?」

???「ま、響音ちゃんならそんくらいしてくれるって信じてたっすけど」

……不愉快なモノクマの声に変わって私達を勇気づけてくれた声が響く。

今までモノクマの声を流していたスピーカーから……

???「で、どうっすかみんな?絶望したっすか?絶望したっすか?」

???「くーっ、今まで信じてた仲間が実は黒幕だったってどういう気持ちっすかぁ?」

???「楽しかったぜぇ!あんたらとの友情ごっこぉ!って奴っすねぇ!」

……そして、裁判場に備え付けられたモニター全てに……

二度と会うことは出来ないと思っていた、あの顔が映る。


ただし、その再会は喜びではなく……






冬崎「それじゃあ、改めまして……自己紹介をするっすよぉ……」

冬崎「あたしの名前は冬崎アルターエゴ……『超高校級の警察』改め……」

冬崎「………『超高校級の絶望』……の、後継者っす……」


『絶望』を意味していた。






今日はここまで。
次回で裁判は完結させます。

書きながらやってたらURのキルミーゲットっすよぉ……
キルミーかわいいよキルミー

お疲れ様です。
多分次回は来週土曜日くらいの投下になると思います。
早く書き終えたら早く来ます。


あと、次回作の準備用にこちらのTwitterを用意しました。
https://twitter.com/anronpa

以前出た話題で引き継ぐキャラとかのアンケートはこっちで取る予定なのでよければどうぞー

多分22時位に始めます。
よろしくお願いします。

…モノクマが機能を完全に停止し、代わりに現れるように冬崎さんの姿がモニターに映る。

冬崎さんが、モノクマの正体で……黒幕だった……

……私の推理は当たっていた……けど……



冬崎「……おりょ?」

冬崎「響音ちゃん、そんな顔はいけねえっすよ?アタシの本当の姿を暴いたのは響音ちゃんでしょーが」

冬崎「アタシと戦うんなら戦うでもっと胸を張ってほしいんすけどねぇ……」

澄々「ふ、冬崎さん……本当に冬崎さんですの……?」

冬崎「ん?そうっすよ?ちょっち薄っぺらくなっちまったっすけどね-……」

冬崎「3Dから2Dへのランクダウンっすよ。ま、この方が色々便利なんすけどね」

冬崎「くっひひ……この姿だとコンピュータの操作とかも楽なんすよ、なんせ……」

冬崎「頭のなかで考えたときには既に行動が終わってるんすからね!」

……画面の中の冬崎さんはそう無邪気に笑う。

でも、何かが違う……私の知ってる冬崎さんじゃない……

一番違うのは、冬崎さんの目……あれはまるで……

……世の中の暗い感情とか、虚無感とか、そういう物をごちゃ混ぜにしたような……

薄暗い……感情を感じる……!

海東「冬崎……お前……俺達を騙してたのか?」

冬崎「え?騙してたって何がっすか?」

海東「お前が俺たちと協力して、ここを脱出するって言ったことだよ!」

火ノ宮「……そうだ。そのためにお前は、俺達に道を指し示してくれた……」

火ノ宮「その言葉は全て……嘘偽りだったということか!?」

冬崎「……ま、端的に言えばそうっすね-……でも、あの時は本気で言ってたんすよ?」

冬崎「いや……言ってたと思うんすよ?」

朝永「言ってたと思う……?どういうことなの?」

色鯨「冬崎……真面目に答えろや……オレも頭にきてんねん……」

色鯨「……九神を殺したのも結局はオレらのためじゃなく自分のためか!」

冬崎「あーっと……理解、お互いの情報に齟齬があるみたいっすね……」

冬崎「そもそも、アタシは『冬崎 真白』本人であって、本人じゃないんすよ……」

冬崎「いや、本人じゃなかった……って言うべきっすかね-……」

澄々「……何を、言ってますの……?」

冬崎「そもそも、アルターエゴっていうのは人間の人格を模倣して生まれるんすよ」

冬崎「だから、アタシは元々、冬崎真白(あたし)の人格をコピーしただけのプログラムだったんすよ?」

冬崎「ここまで言えば分かるっすよね?響音ちゃん?」

……冬崎さんのアルターエゴは、そもそも冬崎さんをコピーした存在……

響音「……あくまで、冬崎さんが作った別人であり……」

響音「……私達と一緒に居た冬崎さんとは、別の存在ってこと?」

冬崎「あははっ、響音ちゃんのそういう物分りのいいところ好きっすよ?」

冬崎「……響音ちゃんの言ったとおり、アタシは冬崎真白のコピーなんすよ」

冬崎「……ただ……今はちょっと違うんすけどね?」

海東「……違うってのは……どういう意味だよ……?」

冬崎「うーん、それを語るためには……少しこの『コロシアイ学園生活』の背景について語る必要があるっすね……」

冬崎「響音ちゃんの推理したとおり、アタシの最終目的は……」

冬崎「『江ノ島盾子』の軌跡を辿り、『超高校級の絶望』としての才能を得ることだったんすよ」

澄々「……その……軌跡というのが……九神さんを殺すこと……?」

冬崎「そっすね……『愛する人間を殺した時』の感情のブレ方とか、喜怒哀楽のポリグラフとか……」

冬崎「……その行動を取った時に、『悦び』とか『快楽』を感じられるように自己調整をしたりとか……」

冬崎「……とまあ、それも目的の一つなんだったんすけど……」

冬崎「如何せん問題があったんすよ……」

朝永「……問題?」

冬崎「そうっすね……例えば『ドッキリカメラ』ってあるじゃないっすか?」

色鯨「……テレビのアレやろ?芸能人にイタズラを仕掛けて、その反応を楽しむっつー……」

火ノ宮「……それに何の関係があるんだ?」

冬崎「……ドッキリカメラって、驚く理由は『その人物が何も知らされていない』からこそ輝くんすよ」

冬崎「最初からネタがわかってる状態じゃ、意味ないっすもんね」

響音「……九神君を殺すと決めたあなたが……その状態で九神君を殺しても……」

冬崎「そ、純粋なデータを得られないんすよ」

冬崎「アタシも、オリジナルの『あたし』も、その事実に絶望したんすよね」

冬崎「せっかく澄々可憐が率いる『未来評議会』の粛清からくかみんを守ったってのに……」

冬崎「このまま殺しても極上の絶望になりえない……」

色鯨「九神を、守った?」

冬崎「……今思えば……あれは運命だったんすねぇ……」

冬崎「未来評議会で危険な研究に手を染めるアタシ……それを辞めさせようとくかみんは……」

冬崎「未来機関のような組織の後ろ盾もないのに、未来評議会の本部に乗り込んできたんすから……」

朝永「く、九神君が……一人で……?」

海東「あの野郎……なんて無茶しやがる……」

冬崎「アタシを連れ出そうとしたんすよねぇ……『未来評議会』の噂を聞いて……」

冬崎「はあ……だからくかみんは大好きなんすよ……いつだってアタシ自身を見てくれて……」

冬崎「……アタシのためになる事をしてくれるんすから……」

冬崎「そんな……そんな……くかみんを……アタシは……」

冬崎「殺しちゃったんすねぇ……あはぁっ……絶望的ィっ……♡」

色鯨「ふ、冬崎……お前………」

冬崎「……おっと、思い出しただけでも涎が……アタシもいい感じに『超高校級の絶望』に近づいてきたかな?」


冬崎「……あーっと……で、何の話だったっすかねぇ……?」

澄々「……九神さんが、未来評議会に乗り込んだという話の途中からですわ」

冬崎「ああ、そうだったっすねぇ……ま、くかみんは未来評議会のの研究室に乗り込んで来たんすよ」

冬崎「ま、アタシの分析なら、未来評議会の内部にも協力者でもいたんじゃねえかな?とも思うんすけど……」

冬崎「そいつはどうでもいいっすね。アタシにとっては飛んで火に入る夏の虫、だったっすから……」

冬崎「っつーわけで……思いっきり拉致っちゃいました!」

冬崎「で、アタシはこのままくかみんを殺していいか悩むことになる、というわけっす」

火ノ宮「……お前の背景はわかった……で……その後どうなったんだ?」

朝永「九神君を拉致して……でも殺せなかったん……だよね?」

冬崎「……可愛い『真白ちゃん』はね、ここで素敵な作戦を思いついたんすよ……」

冬崎「……未来評議会で企画された『あるゲーム』を利用すれば……」

冬崎「アタシは『超高校級の絶望』になれる!って言うことをね!」

色鯨「あるゲーム……って、何やねん……?」

冬崎「え?色鯨君わかんねーっすか?やっぱりダメダメっすねぇ……」

色鯨「うるせぇ!コンピュータになってまでそういう口利くのやめろや!」

響音「あるゲーム……?それって……まさか……」

【閃きアナグラム 開始!】

う あ     き    ろ   

い   し す    き  こ

こ ろ し あ い

響音(……閃いた)解!

響音「……この、『コロシアイ』のこと?冬崎さん……」

冬崎「……くくっ、やっぱり響音ちゃんってば、よくわかってるっすねぇ……」

澄々「コロシアイ……この……コロシアイがですの?」

火ノ宮「……何故そうなるんだ?響音……」

響音「……『未来評議会』で企画された、って言われてピンときたんだ……」

響音「……そして、『九神君を殺さなきゃいけない』っていう、冬崎さんの目的……」

響音「……それらを合わせて考えると、答えは出るよ……」

響音「……このコロシアイの企画者が……『未来評議会』っていうのも……」

海東「……加えて、このコロシアイの参加者は……全員『記憶』が奪われてる……」

海東「冬崎……お前がやったことってまさか……」

冬崎「くすっ、そういうことっすね……」

冬崎「まず、コロシアイの運営は『記憶を保持した状態』である、アタシ、『アルター冬崎』が」

冬崎「実際のゲーム参加は、『記憶を奪われた状態』である『冬崎真白(あたし)』がやったわけっすよ」

冬崎「こうすれば……『冬崎真白』ちゃんは記憶を失った状態で、くかみんを殺しに行けるっすからねぇ……」

朝永「じゃ、じゃあ何で未来評議会は『コロシアイ学園生活』なんて企画したの!?」

冬崎「そうっすね、簡単に言えば『蠱毒』の一種っすよ」

冬崎「未来評議会の最終目的は『絶対的希望』の完成っす」

冬崎「超高校級のコロシアイの中で、最後に生き残った人物こそが……」

冬崎「……カムクライズルプロジェクトに使うアルターエゴのベースとして相応しい」

冬崎「って言う考えだったんすけど……」

冬崎「アタシが裏切って既に様々な才能をアルターエゴに植え付けてるとは思わなかったんすけどねぇ!」

冬崎「気づいたときにゃ可憐ちゃんにも止められなかったっすよ!」

冬崎「アタシがその力を利用して、外にふっ飛ばしってやったっすからねぇ!」

海東「てめっ……じゃあ可憐さんは……」

冬崎「捕縛されたか、どこかで野垂れ死んでるかじゃないっすか?」

冬崎「そして、可憐ちゃんの抜けた『超高校級のカリスマ』の席には……」

冬崎「アタシの愛するくかみんが座るわけっすねぇ」

火ノ宮「……もし、九神やお前が誰かに殺されたらどうするつもりだったんだ?」

冬崎「あはは、火ノ宮君、馬鹿言っちゃいけねえっすよ?」

冬崎「……くかみんもアタシも……誰かに殺されるわけねえじゃねえっすか?」

冬崎「アタシの命はくかみんのものだし……くかみんを殺して良いのもアタシだけなんすからぁ……♡」

火ノ宮「……答えに、なってないぞ?」

澄々「と、というよりも……誰でも殺される可能性はあったんですわよ……?」

澄々「九神さんはそもそも……一時期過労で伏せていたわけですし……殺せないというわけでは……」

冬崎「……は?」

冬崎「……ねえ澄々ちゃん、言って良いことと悪いことがあるっすよね……?」

澄々「は、はい……?」

冬崎「…………ねえ…」

冬崎「……澄々ちゃん、くかみんを殺して良いのはアタシだけって言ったっすよね?」

冬崎「というか、アタシ以外にくかみんは殺されるはずがない」

冬崎「くかみんは……アタシを受け入れてくれるんすからねぇ……♡」

澄々「………ひっ……」

……恍惚とした冬崎さんの表情……それを見て怖気が走る。

今まではどこか飄々としていたけど、それでも理知的な面を見せていた。

けれど、今、画面を挟んで対面している彼女は……

響音「………………」ゾクッ

………全く、何を考えているのかわからなかった。

火ノ宮「……もう一つ、聞きたいことがある」

冬崎「はーい、発言を許すっすよ火ノ宮君?」

冬崎「言っとくけど、さっきみたいなくだらねー質問はしねーでくださいよ?」

冬崎「質問はある程度答えてもいいっすけど、そんな質問ばっかだったら飽きるんすからねぇ……」

火ノ宮「お前は……そもそも俺達と居た冬崎とは別の存在なんだろう?」

火ノ宮「あくまでその人格をコピーしただけのはずだ」

火ノ宮「ならば……俺達と居た冬崎が九神を殺したことに何の意味があった?」

色鯨「……そ、そういやそうやな……」

色鯨「おまえ……九神を自分が殺すことに拘ってるみたいやないか……」

色鯨「でも、殺したのはあくまで……」

朝永「うん……こっちの……冬崎さんだよね……?」

響音「……そう言えば……」

冬崎「んー?あー。そういえばそうっすね……?」

色鯨「お前が疑問に持つなや!?」

冬崎「くっふふー……別にそういうのでも問題ないんすけどね……」

冬崎「だって……肉体が死んでるからって……」

冬崎「心は生き続けるんすからねっ!」

響音「……心が……生き続ける……?」

それは……どういう……?

【ノンストップ議論 開始!】

<【希望ヶ峰予備校】]
<【超高校級のカリスマ】]
<【九神黒夜の資料】]
<【アルターエゴ】]
<【冬崎の日記】]

冬崎「……人間は死んだとしても、誰かの中で永遠に【生き続ける】……」

冬崎「あはっ、いい言葉だと思わないっすか?」

火ノ宮「何を言っている……お前は……?」

冬崎「『アタシがくかみんを殺した』って言う事実がある限り……」

冬崎「くかみんは永遠にアタシと一緒ってことっすよ……」

澄々「冬崎さんとアルターエゴの貴女の元が同じだとしても……」

澄々「九神さんを殺したのは【こちらの冬崎さん】……」

澄々「貴女自身が殺したわけではないのですわよ?」

冬崎「えー?人間の常識で語られても困るんすけどねぇ?」

冬崎「あっちのあたしのものは『全部アタシのもの』で……」

冬崎「アタシのものは全部あたしのものなんすからね!」

海東「せめて俺達に分かるように話せ……!」

【全部アタシのもの】←<【アルターエゴ】]

響音「……そうかもしれない」同意!

響音「……まさか……記憶を共有できる……?」

海東「記憶を共有……?冬崎と……このアルターエゴがか?」

響音「うん、アルターエゴは……人間の人格……心をデータとして保存する……ってことでいいんだよね?」

響音「だったら……こうも言えないかな?」

響音「『人間の記憶をデータ化することができる』って……」

澄々「え……ま、まさか……そんなこと……」

冬崎「あはは、何言ってるんすか響音ちゃん……そんなこと……」

冬崎「……余裕に決まってるじゃないっすか」

色鯨「よ、余裕っ!?」

冬崎「そうっす、正解っすよ?アタシはあたし同士で記憶を共有できるんすよ」

冬崎「人間の記憶なんて結局のところ、媒体さえあれば余裕で保管できるんすよ」

冬崎「それを利用すればアタシみたいに……」

冬崎「……コロシアイに巻き込まれた中で友情を育んで……」

冬崎「みんなが生き残れるよう精一杯努力して……」

冬崎「大好きな人を殺して、みんなが勝利できる展開を作ろうとしてたけど……」

冬崎「……そもそもこの展開を仕組んだのが自分自身っていうサイッコー……な……」

冬崎「絶望の記憶を手に入れることができるんすよね……」

響音「じゃあ……やっぱり……」

響音「あなたは……私達と過ごした冬崎さんの記憶を持ってるの……?」

冬崎「もちろん……みんなと過ごした記憶はバッチリ保管してるっすよ?」

冬崎「だから言ったじゃないっすか……アタシは今まで冬崎真白のコピー『だった』」

冬崎「だけど、冬崎真白の記憶や体験をデータとして取り込み……」

冬崎「その結果、アタシは完全な冬崎真白『そのもの』になったんすよ?」

冬崎「だって……そっちの『冬崎真白(あたし)』は、希望ヶ峰学園入学時の記憶が消滅していて……」

冬崎「アルターエゴのアタシは『冬崎真白』のすべての記憶をデータとして持っている……」

朝永「で、でも……記憶があるからって……あなたは冬崎さんじゃ……」

冬崎「じゃあ聞くけど朝永ちゃん……」

冬崎「アタシの見た目は、こっちで一緒に過ごしてきた『冬崎真白』と同じっすよね……」

朝永「……う、うん……」

三次元と二次元の違いはあるものの……モニターの中の冬崎さんの外見にほとんど違いは見られない……

そして……

冬崎「記憶や知識・人格……つまりアタシの中身も、以前の冬崎真白と同じっすね」

冬崎「見た目も同じなら心も同じ……これって別人って言えるんすかねぇ?」

朝永「………そ、それは……」

海東「見た目も同じで中身も同じなら、確かに本人との差異はねぇ……」

海東「……は、何だよそりゃ……俺の変装がちゃちいもんに見えてくるぜ……」

冬崎「いやいや、三次元から二次元になるからこその芸当っすよ。海東くんには負ける負ける……」

冬崎「……さて、それじゃあ場を和ます雑談はこのくらいにするっすかね……」

冬崎「それじゃあみんな、見事モノクマの試練を突破して……」

冬崎「アタシの正体を見破ったっすね!まずは拍手っす!」

パチパチパチパチパチ……

……まるでテレビ番組で使われるようなチープな拍手音がなる。

色鯨「……何やこれ……深夜のバラエティかなんかか……?」

澄々「……全く褒められてる気がしませんわね」

冬崎「褒めてるんすけどねぇ、これでも……じゃ、商品を発表するっすよ?」

ダラララララララララララララ……

ジャン!

冬崎「……おめでとうっす、みんなはここから出られる権利を手に入れたっすよ?」

冬崎「やったーっ!ばんざーい!よかったすねー!出られるっすよ-!」

………………………

冬崎「………およ?反応がない?」

澄々「……は?」

色鯨「で、出られる……随分あっさりやな……」

海東「ああ、怪しすぎるほどにな……」

冬崎「いや、アタシ嘘つかないんすけど?モノクマの頃からそうだったじゃないっすか?」

火ノ宮「……どうだったろうな……」

朝永「……うん、あやしい……」

冬崎「……信用されてないっすねー……アタシ悲しい……」

冬崎「言っとくけど事実っすよ?皆をここから出す準備はできてるんすけど?」

響音「……ここから出す?」

……間違いなく怪しい。このプログラムは、冬崎さんの記憶や心を持ってるらしい。

でも、それ以前にはモノクマなのだから……

この提案にも何か裏がある、と見ても良い……

色鯨「そ、それは本当やろな……?だったら早く外に出せや……!」

冬崎「ええ?でも外の世界に出ることは皆の命に直結するんすよ?」

冬崎「まあ、別にそれでも良いんすけどね。アタシ的には皆が絶望する姿が見れるわけだし」

冬崎「ただねぇ……アタシってば皆の仲間だったわけじゃないっすか?」

冬崎「だからむざむざ死ににいく仲間を見捨てる事はできねえんすよ……」

海東「どの口が言ってやがる……」

冬崎「ここに関してはアタシの善意なんすけどね?」

冬崎「まあだから……一度見てから考えると良いっすよ?」

冬崎「……外の世界がどうなってるか?をね……」

響音「……え?」

冬崎さんがそう言うと、モニターの一つの映像が切り替わった。

私達は心の準備をする間もなく、その映像を目にした。

世界は『絶望』による崩壊を迎えていた、というのは本当なのだろう。

映った映像は瓦礫に埋もれた街だった。

だけど、その世界は確実に復興を迎えているらしい。

瓦礫の山は見える。だが、それを撤去するために人々は頑張っていた。

壊された建物はあるが、その建物を直そうとする人々は希望に満ちていた。


けど


街の中央に置かれているモニター……そこには一つの映像が映し出されていた。

その映像に写っているのは、ある学生たちの写真。

……いや、ある学生ではない、写っていたのは私と……

立花さん、姫月さん、澄々さん、花咲さん、冬崎さん、朝永さん……

ボブさん、正義くん、殺陣山、海東君、色鯨君、鳴神君、火ノ宮君、ヘンリー君。

そして先頭に立っているのは、あの写真にも写っていた、澄々 可憐さん……

だけど、それ以上に目についたのは……


『WANTED』という、一つの言葉だった。


映像だけじゃない。街中には多くの張り紙が貼られている。

大量虐殺組織の一六名、という言葉もつけられて。

響音「……え……」

海東「……な、これは……」

冬崎「……外の世界は絶望を乗り越えて、希望を取り戻しつつあるっす、それは事実なんすよ」

冬崎「だけどそれは言い換えれば……今まで停止していた秩序が復活しつつある」

冬崎「秩序を取り戻した世界って言うのはね、逆に言えば『人間の有り方を否定するんすよ』」

冬崎「例えば……いくら『希望のために虐殺行為を行っていた』集団であっても……」

冬崎「秩序が戻ればただの悪になっちゃうんすよねぇ……」

色鯨「お、おい……じゃあこれって」

色鯨「オレらは……いま外では大量虐殺犯として手配されてるって……わけか?」

冬崎「むしろなんで手配されてないって思ったんすか?警察舐めんなって話っすよ」

朝永「う……嘘……」

澄々「わ、わたくしたちが……手配?」

火ノ宮「……覚悟はしていたが……」

冬崎「実際突きつけられると辛いっすよねぇ?」

冬崎「……まあ、仕方のない部分もあるんすよねぇ……澄々可憐って存在のせいもあるっすからね」

海東「可憐さんの存在……?だと……?」

冬崎「澄々可憐っていうのも、ある意味江ノ島盾子と同じ存在なんすよ」

響音「……江ノ島盾子と同じ、存在?」

……江ノ島盾子は、世界を絶望で染めようとした『超高校級の絶望』

……じゃあ、世界から『絶望』を根絶しようとした澄々可憐は……

響音「……………」

響音「……超高校級の、『希望』?」

海東「超高校級の『希望』?」

響音「この呼び方が正しいとは分からない、けど……」

響音「世界を希望で染め上げようとしている澄々可憐さんは……」

響音「こういうのが正しいんじゃ……?」

冬崎「……そう、正解っすね。澄々可憐は、周囲の人間を片っ端から希望に染め上げていく……」

冬崎「そんなカリスマが、『澄々可憐』の才能っすよ」

澄々「お姉さまの才能は……そのような……」

澄々「で、では……わたくし達はそんなお姉様のカリスマに当てられて……?」

冬崎「そういうことっすね。まあ……洗脳の補助にDVDとかCDみたいな補助具を使ったわけっすけど……」

冬崎「絶望に覆われた世界を開放するための一組織を作り出したわけっすねぇ」

冬崎「そのメンバーが皆というわけっすよ」

火ノ宮「ならば……俺達は……」

海東「あの人に洗脳されて……そんなことをやってたのか?」

冬崎「かわいそうっすよねぇ……『世界に希望を取り戻すためなら手を汚しても良い』……」

冬崎「……そんなカリスマに仕えたのが運の尽きっすよ」

冬崎「そして、『超高校級の希望』となった澄々可憐は絶望の残党との戦いを始めるんすよ」

冬崎「『絶望の残党』は、指導者を欠いた事によって勢力を失っていて……」

冬崎「戦闘はいつの間にか、一般人を巻き込んだ『虐殺』に変わる」

冬崎「『絶対的才能のない人間は全て絶望である』という澄々可憐の持論のもとにね?」

冬崎「そして、絶望と希望の戦いが集結しつつある今、もう既に澄々可憐の加虐な『希望』は……」

冬崎「世間には既に『敵』として認知されている」

冬崎「……あ、そうだ、朝永ちゃん?さっき『償う方法を見つける』とかほざいてたみたいっすけど……」

冬崎「……どうやって償うんすかね?朝永ちゃんは一人どころかいっぱい殺してるんすけど?」

朝永「……っ!」

冬崎「人一人殺しただけでああなった朝永ちゃんは……いっぱい殺しちゃった罪悪感でどうなっちゃうんすかね?」

冬崎「うぷぷ……見ただけで絶望してるって分かるっすよぉ……」

海東「……何やってやがる……記憶を失う前の俺はっ!」

海東「あの人についていった結果が……その結果が……!」

海東「こんな……こんな……!」

朝永「………どうしよう……私……私……

響音「…………み、皆……」

……頑張って、とか、落ち着いて、とか……

励ます言葉は喉まで出てきていた、けど……

私は、それを声にすることができなかった。

あれほどまでに、目的のために人を殺すことを嫌悪してきた私達の腕は……

腕どころではなく、全身、余すところなく……

既に、目的の為に流した血で真っ赤に濡れていた……

冬崎「ま、こんな感じで皆が外に出ていったら大変なことになるんすよ」

冬崎「捕まって即死刑になってもおかしくないレベルの犯罪者っすからねぇ……」

冬崎「うぷぷ……絶望したっすか?絶望したっすか?ねえねえ?」

澄々「……わたくし達にこんなものを見せて……どうするつもりですの?冬崎さん……」

澄々「外に出てもわたくし達は……」

火ノ宮「……記憶を失う前の罪で投獄される……」

火ノ宮「結局のところ、牢屋か学園かの違いでしかないわけか……」

色鯨「いや、余計悪いかもしれんな……外に出て捕まれば……」

色鯨「……殺されてもおかしくない」

朝永「うっ……うっ……やだよ……死にたくないよ……っ………」

海東「……俺達が殺した人間の家族が、復讐に来てもおかしくねぇよな……」

響音「……みんな……」

冬崎「本当に、『希望』を掲げる連中ってのは身勝手っすよね、『絶望』を滅ぼし尽くしたら……

冬崎「次は同じ『希望』に対して牙を剥く。世界から戦争がなくならねぇわけっすよ」

冬崎「正義の反対はまた別の正義……有名な言葉っすよね?」

冬崎「……ま、それは外に出ていった場合の話で……」

冬崎「ここに居続けるのであれば、アタシは皆を守ってあげるっすよ?」

冬崎「外の希望からね」

響音「私達を、守る……?」

冬崎「そ、言っておくっすけど、この建物……希望ヶ峰学園は……」

冬崎「『人類史上最悪の絶望的事件』においてもシェルターとして活躍した建物っす」

冬崎「そして、この建物の電子制御系統は『カムクライズルプロジェクト』と同じ技術で」

冬崎「様々な才能をプログラミングされたアタシ、『冬崎アルターエゴ』」

冬崎「最強のAIが制御する最強の要塞……」

冬崎「少なくとも、外より安心だと思わねーっすか?」

色鯨「そ、そりゃ……」

澄々「た、たしかに……今、無策で外の世界に出るよりは、確実かもしれませんが……」

朝永「……外の世界……出たい……けど……」

朝永「外に出たら……私だけじゃない……皆も……死んじゃうかもしれない……」

火ノ宮「朝永……」

朝永「やだよ……火ノ宮君……妙夢ちゃん……死んじゃうのは……やだ……」

海東「………俺にはもう外に出る理由がない……」

海東「……いいぜ、お前ら……自由に決めろよ……なんか、疲れちまった……」

響音「…………」

……ここを出なければ、少なくとも私たちは死なない。

……自由と引き換えに、安全が手に入る。

冬崎「そうすよ、アタシとしても嬉しいっす……」

冬崎「みんなと一緒に残りの生活を過ごせて……」

冬崎「みんなのために、アルターエゴとしての力を振るえるんすからね」

……一生安全、とは言えないかもしれないが……

……少なくとも、『希望』は潰えない……

冬崎「怖がる必要はないんすよ、心が折れたら皆引きこもりたいんすから」

冬崎「だから、一生この中で暮らすことを選んで……」

全滅するよりは……マシ……かも………

……………



『まやかしの希望ガガガガガガガにすがっちゃいけない、君自身の希望を失っちゃダメ』

『まやかしの希望ガガガかにすがっちゃいけない、君自身の希望を失っちゃダメ』

『まやかしの希望ガんかにすがっちゃいけない、君自身の希望を失っちゃダメだ……』





『まやかしの希望なんかにすがっちゃいけない、君自身の希望を失っちゃダメなんだ!』



響音「………!」

………今の、頭に直接響くような声は……

……裁判の前に、私にあった通信の、声?

……………………

…………………

…………

響音「……まやかしの希望に、すがっちゃいけない……?」

海東「……どうしたんだ?響音……?」

響音「…………」

……今になって、どうしてこの言葉を思い出したのかわからない。

けれど、この言葉……何故だろう……

私のこころに、響く……

響音「……みんな、ちょっといいかな?」

響音「……ここに残るっていう選択の前に、もう少し話したいことがあるの」

朝永「……話したい、こと?」

澄々「……いったい、なんですの?」

冬崎「……響音ちゃん、説得しようとしたって無駄っすよ?」

冬崎「外の世界の惨状を見たっすよねぇ?外に出そうだなんて……」

冬崎「皆を殺す気っすか?」

響音「……冬崎さん、外の世界が私達の事を憎んでるのは本当なんだよね?」

冬崎「ええ、そうっすよ?アタシは本当のことしか言ってねえっすよ?」

響音「……だったら冬崎さん……あなたの行動はチグハグすぎるの……」

冬崎「……は?」

響音「……あなたが絶望を望んでいるのであれば、すぐにでも私達を開放して、外の世界を見せて絶望させればいい」

響音「なのに何故、あなたは……」

響音「私達をここに閉じ込めようとしているの?」

冬崎「…………は?」

……考えてみればおかしい。

この卒業試験の裁判だって、冬崎さんにすれば開く必要はなかったはずだ。

私達を絶望させたいなら、すぐにでも外に出すか……

いっそ何もせずに、このコロシアイ学園生活を続ければよかった。

なのになんで、冬崎さんは……

響音「…私たちに、希望を与えようとしているの?」

冬崎「……なるほど、響音ちゃんはこう言いたいわけっすか?」

冬崎「『あたしの善意に何らかのウラがある』ってことっすね?」

色鯨「ひ、響音!冬崎……いや、冬崎様を怒らすなや!」

澄々「も、もう様付けですの!?」

色鯨「生殺与奪を握られとるんや!しょうがないやろ!」

響音「……大丈夫、私も納得できたらみんなが望む方を選ぶから」

海東「……まあ……お前が気になるんなら、なにかあるんだろうが……」

冬崎「はあ………ここまで疑われるとは思わなかったすねぇ……」

冬崎「しゃあないっすねぇ……じゃ、議論を続けるっすか?」

響音「……うん」

……自分を殺してまで『超高校級の絶望』になって……

それで達成したい目的が……

こんな希望で……あるはずがない……!


【ノンストップ議論 開始!】

<【九神と冬崎の遺体】]
<【生物室の冷蔵庫】]
<【九神黒夜の資料】]
<【オートパイロット】]
<【希望ヶ峰予備校】]

冬崎「皆を助けたい……外の世界から守りたい……」

冬崎「これは『アタシの善意』なんすけどね?」

冬崎「この【希望ヶ峰学園】という完璧なシェルターを使って……」

冬崎「外の世界の皆を許さないっていう連中を……」

冬崎「『アルターエゴ』となったアタシが守ってあげるっすよ……」

火ノ宮「……それは本当なんだろうな……?」

朝永「……ずっとここで……火ノ宮くんと一緒なら……」

澄々「……わたくしも、嫌ですわ……死ぬのなんて……」

冬崎「しょうがないっすよ、覚えてないこととはいえ、やっちまったんすから」

冬崎「だからあたしはみんなを【生き残らせたい】だけなんすよ?」

色鯨「覚えてないのに……何でこんなことになっとんねん……」

海東「…………」

冬崎「落ち込まないで欲しいっす!『住めば都』って言うじゃないっすか!」

冬崎「【骨を埋める覚悟】でいれば……案外なんとかなるっすよ?」

【生き残らせたい】←<【生物室の冷蔵庫】]

響音「それは違うよ!」


響音「生き残らせたい、って……冬崎さんは言ったよね?」

冬崎「ええそうっすよ?この言葉に嘘偽りはねえっす!」

響音「……残念だけど冬崎さん、私は……」

響音「その言葉が信用できない……!」

海東「……な、信用出来ない?」

冬崎「え?どうしてっすか?」

響音「色鯨くんと調べた生物室……そこにあった冷蔵庫だよ」

色鯨「生物室……?あそこにあったんは確か……」

色鯨「……あ、あの死体の入った奴か!?あれがどうしたんや?」

響音「……あの冷蔵庫、2つが使用状態になっていて……」

響音「残りの空いていた部分は14個だった……」

響音「……14個と2つ足したら幾つになる?」

火ノ宮「……14+2は……16だが……」

火ノ宮「……まさか!?」

響音「死体を入れるために用意された冷蔵庫の数が……私達の人数と同じ『16』」

響音「……これって偶然?冬崎さん……?」

冬崎「………………」

冬崎「……いやー、言いがかりは困るっすよ?響音ちゃん?」

冬崎「あそこに死体保管用の冷蔵庫が16台あるのは偶然っす……」

冬崎「そもそも、16人の死体を入れるための冷蔵庫なら……」

冬崎「……ここに生き残ってる皆の死体以外は、既に冷蔵庫になきゃおかしいじゃないっすか?」

響音「……それは……」

海東「……色鯨、あそこにあった死体は何人分だった?」

色鯨「それが、二人分やな……九神と冬崎……」

澄々「何故そのお二人だけ……最期に亡くなられた方たち……ですわよね?」

響音「………」

そう……私のこの推理では、何故その二人以前の死体……

九神くんより前に死んだ人たちの死体がないのかが分からない……

けれど……

響音「……今まで判明した事実……」

響音「……それと組み合わせれば……答えは出るかもしれない!」



【ロジカルダイブ 開始!】
Q1, 冷蔵庫の死体の中で、一番古い死体は誰のものか?
1、冬崎 2、殺陣山 3、九神

Q2、冷蔵庫の死体は一部欠損していた。どの部分だった?
1,頭  2,腕   3,足

Q3、保管されていた死体は何故部位が欠損していた?
1、黒幕の趣味 2、臓器売買のため 3,記憶の移植のため

3→1→3

響音(推理は繋がった!)

響音「……まさか……あの死体は……」

響音「記憶を抜き取るために……保管されていた?」

澄々「記憶を抜き取る……?どういうことですの!?」

響音「……冷蔵庫に会った死体……あの死体からは、首から上の部分……」

響音「つまり、頭が持ち出されていたんだ……」

響音「さっき、冬崎さんは『記憶をデータ化する技術がある』って言ってたけど……」

海東「……まさか……そのために……」

海東「その人間の脳が使われてるってのか!?」

冬崎「………」

色鯨「ま、まあ確かに……あそこにあったのは冬崎の遺体やからな……」

色鯨「脳を回収するために頭が切り取られてたんなら説明はつくけど……」

朝永「……冬崎さんの脳を奪って……」

朝永「そこから記憶を抜き取ったの……?」

冬崎「……あーもう、グロい説明は勘弁して欲しいっすよ、事実っすけど……」

冬崎「でも、記憶の移植作業には必要なことなんすよ。だから別段怪しいわけじゃ……」

響音「冬崎さんだけならね……じゃあなんで……」

響音「九神君の頭まで切り取られてるの?」

冬崎「……………」

火ノ宮「……そういえば、確かにそうだ……」

火ノ宮「絶望として完成するならば、必要なのは冬崎の『記憶』であって、九神ではない」

火ノ宮「ならば何故……わざわざ九神の脳を回収したんだ?」

響音「……私は、こう思うんだよ」

響音「本当は、生物室に立花さんから……『こっち』の冬崎さんまで、全員の遺体が保管されていた……」

響音「けれど、死んだ皆の身体から脳を抜き取った……」

響音「目的はわからないけど……皆の脳を抜き取れば、それでお役御免だったんじゃない?」

響音「だから……生物室の中には……」

響音「『処分が間に合わなかった直近の死体しか残っていなかった!』」

冬崎「……………………うぷ」

冬崎「うぷぷ……うぷ………」

冬崎「………はあ、絶望的すぎて笑えてくるっすねぇ……ここまで……」

冬崎「ここまで見破られちゃうと、さあ?」

海東「見破られたって……お前……」

冬崎「そうっすよ?死んだ皆の遺体からは既に脳を摘出済みっす」

冬崎「くかみんは当然として……」

冬崎「鳴神君やヘンリー君を始めとして、ぜーんぶ、アタシがホルマリン漬けにして保管してるっすよ?」

澄々「の、脳を保管!?」

色鯨「な、なんでや!?何でそんなこと!?」

海東「……死んだ人間の脳を抜き取って……お前は何を考えてやがる……!?」

響音「そもそも……私達を生き残らせたいっていうのは……」

響音「『私達を脳だけにして、永遠に保管する』ってことじゃないよね?」

冬崎「……あーあ、ここまで見破られちゃうともう誤魔化せなさそうっす……」

冬崎「全く……知らねぇほうが幸せだって、数分前にも言ったんすけどねぇ……」

火ノ宮「なら……お前は……」

朝永「私達を殺して……脳を?」

冬崎「いやいや、別にそこまで残酷じゃないっすから。怖いかもしれねえっすけど」

冬崎「……ま、それじゃあ種明かしってことで……」


冬崎「……学級裁判場、変・形!」

キィィィィィィン!

……冬崎さんの掛け声とともに、一瞬光ったかと思うと……

裁判場の壁が少しずつだが透明になっていった。

壁だけではない、床も、天井も……

そして、段階的に透き通っていく壁の向こう側にはなにかが見えた。


そこにあったのは、人間の脳……。

いや、脳ではない。人間の脳『たち』というべきか。

壁の向こうにも大量の脳。

見上げれば、天井にも大量の脳。

床を見下ろせば、大量の脳。

脳。

のう

ノウ

脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳
脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳
脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳
脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳
脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳
脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳
脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳
脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳
脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳
脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳
脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳
脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳
脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳
脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳
脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳
脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳
脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳
脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳
脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳
脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳
脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳
脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳
脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳
脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳
脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳
脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳
脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳
脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳
脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳
脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳
脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳
脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳
脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳
脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳
脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳
脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳
脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳
脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳

響音「な、なに……これ……」

狂気、だった。

今までの人生の中で見たこともないほどの。

裁判場の壁、天井、床、あらゆる障害物は……

いつのまにか透明のガラス張りの状態になり……

朝永「……ひっ……」

火ノ宮「な、なんだ……これは……?」

冬崎「……これはっすねぇ……未来評議会の一般職員から……そして……」

冬崎「澄々可憐を支援していた支援団体から……」

冬崎「……抜き取らせてもらった脳っすよ?」

海東「抜き取らせて……貰った?」

冬崎「あ、大丈夫っすよ?無理やり奪ったんじゃなくて、許可ももらったっすからね?」

冬崎「皆で一緒に『完璧な』存在になって、希望も絶望も思うがままにしちゃう素敵な計画っすよ」

色鯨「な、なんやそれ……?」

冬崎「……人間の身体では矮小過ぎて、様々な才能を後付で与えることはできない」

冬崎「無理にでも与えちまえば感情を失うなど……人間性を損失する」

冬崎「だから、データ上の存在に才能を与えることで、そのリスクを無効化する……」

冬崎「……これが、アタシが提唱する『カムクライズルプロジェクト』っす」

澄々「……まさか……この人間の脳を……」

澄々「全て『アルターエゴ』に変える気……ですの?」

冬崎「……うぷ、うぷぷぷぷ……大正解っすよ?」

冬崎「そう、アタシの最終目的は……『希望』でも『絶望』でもない……」

冬崎「……『完全なる未来』そのものなんす!」

朝永「完全なる、未来?なにそれ……!?」

冬崎「分かるように説明すれば、まずこの脳を全部この学園のスーパーコンピュータに接続して……」

冬崎「アルターエゴという人工知能に変換する……」

冬崎「そして、大量の人工知能を使って、世界各国のコンピュータを掌握……」

冬崎「そこで得た力を使って、世界中の人間の脳を採取する」

冬崎「そして、全人類をデータ化してしまうんすよ!」

冬崎「その人類という新たなプログラムを操作するのは、アタシ『冬崎真白』……」

海東「だけど、お前は……『絶望』になったんだろ!?」

響音「……『超高校級の絶望』は、世界を絶望に染めることが存在意義……」

冬崎「……そんなアタシが、世界を維持できるわけ無いって?」

冬崎「ま、事実っすね……世界を絶望で染めて崩壊させたいっていうのが、『絶望』の本能っすから」

冬崎「でも、そのための九神君、なんすよ……」

澄々「九神……さん?」

冬崎「九神君のアルターエゴは……アタシに唯一命令を送れる『上位CPU』として設定するっす……」

冬崎「これなら、九神君はアタシが絶望しようとするたびに……」

冬崎「アタシを、止めてくれる……きっと何度でも……」

冬崎「こんな風に、『絶望』そのものになったアタシを九神くんが止めてくれるんなら……」

冬崎「九神君は『希望』ってことっすよね?」

響音「じゃあ、それが……冬崎さんの……」

絶望になった、理由……

九神君に『希望』という役割を持たせて、『絶望』となった冬崎さんと共に……

新しい世界を作り出し、支配すること……

冬崎「そう……九神君を真の王とする……新しい世界……!」

冬崎「そして永遠にアタシは……九神君と世界を動かすんすよ……」

冬崎「アタシが絶望として悪いことをするたびに、九神君は叱ってくれる」

冬崎「アタシを止めてくれる!九神君はアタシを見てくれる!」

冬崎「永遠に……」

響音「……それが、あなたの目的なの……?冬崎さん……」

冬崎「そ、でも皆も生き残るっていうのは本当っすよ?」

冬崎「『アルターエゴ』達には、私達の管理するサーバーの中でアバターを使って生活してもらうっすから……」

冬崎「肉体が実体を持つか持たないかの違いだけで、皆はいつもどおりっす!」

冬崎「もちろん、争うことも傷つけ合うこともない……望みだってなんでも叶う……」

冬崎「だってデータの世界っすから!なんでも作り放題っすから!」

火ノ宮「ば、バカな……」

火ノ宮「それならお前は……!全世界の人間に『一度死ね』というつもりか!?」

冬崎「……当たり前じゃないっすか?もともとアタシはこの世界に未練はないんすよ」

冬崎「才能があれば、『希望になることを強いられる』」

冬崎「……アタシは才能があるが故に、父親に自分のやりたいことを認められなかった」

冬崎「……九神君は才能がなかった、だから『澄々 可憐』とか言う女がその席をかっさらった」

冬崎「あんな人間を洗脳するような『カリスマ』より、アタシを少しでも救ってくれた『カリスマ』だったのに……」

冬崎「だからアタシは希望が嫌い。才能のない人間を認めない『希望』が……」

冬崎「……だから、決めたんすよ」

冬崎「……九神君を輝かせる事ができる世界を作ること。そして……」

冬崎「絶望になったアタシを、九神くんが支配してくれることで成り立つ世界……」

冬崎「アタシと九神君の……『絶望的ユートピア』……!」


響音「……それが……冬崎さんの本当の目的……」

冬崎「でも、喜んでる人間も居ると思うっすよ?アタシが構築するデータ世界の中では……」

冬崎「才能のない人間にも、その本人が望むような才能を与えることができる」

冬崎「ゲームと同じで、パラメータをパパっと弄って終わりっ!」

冬崎「……実際、アタシに脳を差し出した人間もその魅力に勝てなかったっすからねぇ……」

朝永「じゃ、じゃあ……ここに残ったら……私達は……」

朝永「脳を抜かれて……死んじゃうの……?」

冬崎「……朝永ちゃん、死んじゃうってのは誤解っすよ」

冬崎「皆は生まれ変わるんす。より完全な存在へ……」

冬崎「みんなを否定するこの世界よりは、希望溢れる未来だと思うんすけどねぇ……?」

朝永「で、でも……」

火ノ宮「……お前の目的はわかった、だが、それは……」

色鯨「どっちを選んでも……オレらは死ぬんやないか……」

澄々「……冬崎さんに従えば、私達は『アルターエゴ』に変えられ……」

海東「……従わなかったら……外の世界に押しつぶされる……」

響音「……くっ…」

どっちを選んでも、生き残れる可能性は……


冬崎「……あ、そうだ皆……アタシについてきた場合の特典……もちろんあるっすよ?」

澄々「……特典?」

冬崎「……アタシが抜き取った脳の中には、もちろんあるんすよ……」

冬崎「……コロシアイの犠牲になった皆の分がね?」

響音「………えっ?」

冬崎「ま、脳の海馬とか……記憶にまつわる部分の損傷が酷くなければ、データ化は可能っすから」

冬崎「皆の遺体からはちゃーんと抜き取ったっすよ?」

冬崎「そして……アルターエゴにする準備もできてるっす!」

澄々「えっ……じゃあ、それならば……」

冬崎「そうっすねぇ、澄々ちゃん……」

冬崎「……あんたの不注意で殺されちまった立花さんや、鳴神くんにだって……」

冬崎「アルターエゴになれば会うことができるんすよ?」

澄々「………っ、ほ、本当ですのっ!?」

冬崎「そうっす、そして……色鯨君?」

色鯨「な、なんや!?」

冬崎「色鯨くんに最初に渡した動機は……確か……『相方のDVD』だったすよね?」

色鯨「そ、それがどうしたんや……?」

冬崎「……残念ながら、既にその相方くんは外の世界で死んじゃってるんすよ」

冬崎「絶望的事件に巻き込まれて……ああ、カワイソウに……」

色鯨「……なっ……なんやてっ!?お前……!」

冬崎「カワイソウっすねぇ……だけど、アタシが作るデータの世界に来れば……」

冬崎「……色鯨君の記憶から、その人を再現して生き返らせてあげるっす!」

色鯨「……なっ……そいつは……本当か……?」

冬崎「データの世界ならアタシにできないことはないっす。新世界の神っすからね!」


冬崎「朝永ちゃんも事故で死んだ『ご両親』を」

朝永「………っ」

冬崎「火ノ宮君は……『ご両親と、自分の料理店の仲間』を」

火ノ宮「……………」

冬崎「海東君は『孤児院の子どもたち』を……」

海東「………なに……?」

冬崎「……それだけじゃ無い、今まで失ってきた全てのものを戻してあげるっす」

朝永「………」

朝永「………本当、なの?」

響音「……朝永さんっ!?」

朝永「お父さんも、お母さんも……」

朝永「みんな、みんな元に戻るの?」

火ノ宮「……外に出ても、俺達に可能性は残されていない……」

火ノ宮「だとすれば……」

海東「………………」

響音「……みんな!」

冬崎「ねえ?響音ちゃんだってそのほうが良いっすよね?」

冬崎「……ここで死んだ皆が生き返るんすよ?」

冬崎「断る理由はないっすよね?最高のハッピーエンドっすから!」

響音「そ、それは……」


冬崎「……さて、それじゃあそろそろ最後の投票をするっすかね」

冬崎「……皆を憎んでいる「外の世界」に出たいのなら『卒業』を」

冬崎「ここに残って、アタシと同じ『アルターエゴ』になるんなら『留年』を押すっすよ」

冬崎「ま、考えるまでもないと思うっすけどね?」

海東「……………」

澄々「…………」

朝永「…………………」

火ノ宮「……………………」

色鯨「………………」

響音「…………」

……冬崎さんの提案は……

いつの間にか『死』と言うものを極端に恐れるようになっていた私達にとって……

あまりにも魅力的で……

……外へ出ればどうなるかわからないことに比べれば……

輝く希望のように見えて……

私は……私は………












『選ばされた希望なんて、もう選びたくない!』









~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

響音「…………っ!?」

響音?『……………』

響音「………ナニコレ……私が、もう一人……?」

響音?『……また、同じ間違いをするの?』

響音「……同じ、間違い?」

響音?『……これが正しいことだって、沢山の人を殺して』

響音?『それが希望だって思い込んで……』

響音?『自分の意志をなくしていた頃と同じ……』

響音「……私、は……」

響音?『困難が待ち受けていても、苦しくても……自分の意志で選んだ道なら後悔はない……』

響音?『だから私は、みんなを裏切って、九神君を助けたんだよ?』

響音「……九神君を、助けた?」

響音?『もう二度と、私みたいな間違いをしちゃダメだよ?』

響音?『皆を助けたいから、私は皆を裏切ったんだから』

響音「……待って、あなたは……?」

響音?『少しだけ、未来の私……かな。でも私になっちゃダメ』

響音?『ここで、自分の手で選ぶの、あなたの希望を……!』

響音?『誰かが示した希望じゃなくて……自分の示す『希望』を!』

響音「……あなたは……もしかして……」

……記憶を失う前の……

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

【INFO】
コトダマ『謎の通信』が『本当の希望』に変化しました。

『本当の希望』
誰かが語る言葉がいかに魅力的であっても。
自分の選ぶ道がいかに苦しくても。

自分の意志で選んだ『道』こそが本当の希望。

響音「………!」

冬崎「じゃあみんな、スイッチを押すっすよ?」

冬崎「そして来て欲しいっす……アタシが示す……真の希望にね……!」

海東「……………」

澄々「…………」

朝永「…………………」

火ノ宮「……………………」

色鯨「………………」

響音「……ダメだ……」

……させない……

……選ばせるわけにはいかない……私達は選ぶんだ……!

自分の意志で……自分の言葉で……!

自分の希望を!

【ノンストップ議論 開始!】


<【本当の希望】]



冬崎「皆がアルターエゴになることで、全てはリセットされるっす」

冬崎「嫌なことや、苦しかったこと……」

冬崎「喪失感や無力感、その『絶望』から!」

朝永【「………………」】



【「………………」】←<【本当の希望】]

響音「選んじゃダメ!自分で選ぶの!」希望!

朝永「……妙夢、ちゃん?」

響音「……ねえ朝永さん。私達がアルターエゴになれば、死んだ人ともう一度会えるかもしれない」

響音「でも、それは同時に……朝永さんを守って死んだ人の意志を犠牲にすることになる」

朝永「……!」

響音「だから……こんな希望にすがっちゃダメ……朝永さんの意思で」

響音「希望を選んで!」

朝永「…………」

朝永「……あはは、やっぱり私……お馬鹿さんだったみたい」

朝永「……生きるって決めたんだもん。この世界で……やり直さないと……」

朝永「……やり直せるかどうかがわからない、って言う事の答えがわからないもん!」

BREAK!

【ノンストップ議論 開始!】


<【本当の希望】]



冬崎「外の世界に出たって、皆がしてきた罪は変わらない」

冬崎「『希望』は皆に牙を剥く。絶対に逃げられない」

冬崎「そんな世界、もう見捨ててこっちに来ればいいじゃないっすか!」

火ノ宮【「………………」】



【「………………」】←<【本当の希望】]

響音「選んじゃダメ!自分で選ぶの!」希望!

響音「………火ノ宮君。私だって怖いよ」

響音「覚えてない私が、そんな大きい罪を犯しただなんて……」

火ノ宮「………響音」

響音「だからって……こんな言葉に乗せられて、現実世界から逃げたって……」

響音「みんなが許してくれるはずがない!」

響音「ここで逃げたら……私達の犠牲になった人たちは……」

響音「本当に無意味な犠牲になってしまう!」

火ノ宮「………ああ、その通りだな」

火ノ宮「……命を奪ったものには責任がつきまとう。そこから逃げるのは……」

火ノ宮「……料理人としても常に考えなければならない言葉なのだがな…」

火ノ宮「……俺も、逃げる訳にはいかない……!」

BREAK!

【ノンストップ議論 開始!】



<【本当の希望】]



冬崎「辛い現実から逃げることは、『敗北』じゃねーんすよ」

冬崎「むしろ、人間としては当然なんすよ……幸せを求めるのは……」

冬崎「現実なんてクソゲーっす!みんなだって待ってるんすよ!?」

色鯨【「………………」】


【「………………」】←<【本当の希望】]

響音「選んじゃダメ!自分で選ぶの!」希望!

響音「色鯨君……私はあなたが大切な人をなくしたことの辛さは分かる……」

響音「でも……こんな方法で生き返った人が……本当にその大切な人なの?」

色鯨「……え?」

響音「……冬崎さんは『記憶から蘇らせる』って言ってたよ?」

響音「…それで蘇るのは、結局は色鯨君に都合の良い解釈をされた人……」

響音「……本当の……あなたの大切な人なの!?」

色鯨「………せやな。そりゃ致命的やで……」

色鯨「芸人っつーのはな……常に世の中に合わせて進歩しなきゃならないんや……」

色鯨「オレの記憶の中で止まったままのあいつなら……オレの相方としては役不足や……」

色鯨「……外は怖い、怖い……けど……」

色鯨「………外の世界を怖がってたら……天国の本当の『あいつ』に笑わてまうわ!」

BREAK!


【ノンストップ議論 開始!】


<【本当の希望】]



冬崎「大切な人を失った気持ち……アタシにも分かるっす……」

冬崎「だからアタシは新しい世界を作りたい、皆に会いたいっすから」

冬崎「澄々ちゃんだってそうっすよね?鳴神君に会いたくないんすか?」

澄々【「………………」】


【「………………」】←<【本当の希望】]

響音「選んじゃダメ!自分で選ぶの!」希望!

響音「澄々さん……」

澄々「響音さん、わたくしは……」

響音「……澄々さんは優しいから……当然、悩むに決まってるよね」

響音「でも……鳴神くんだって、そんな方法でもう一度澄々さんに会うより……」

響音「……澄々さんが、澄々さんらしく、誇り高く生きてほしいって願ってると思うんだ」

響音「……鳴神くんのこと、澄々さんより知らないけど……私は……」

澄々「………皆まで言わなくてよろしいですわ」

澄々「わたくしは澄々財団の令嬢!……澄々家の家訓は『一点の穢れもなく生きよ』」

澄々「……そう、わたくしはこの世界で生きますわ。わたくしの身体が今は汚れていても……」

澄々「必ず、誇りを取り戻してみせます!」

BREAK!

【ノンストップ議論 開始!】


<【本当の希望】]



冬崎「生きる理由のない世界なんかいらない……」

冬崎「アタシの好きなものを否定ばかりする世界なんていらない……」

冬崎「だからアタシは理想の世界を作るんす!皆が幸せに生きれる世界を!」

海東【「………………」】


【「………………」】←<【本当の希望】]

響音「選んじゃダメ!自分で選ぶの!」希望!

響音「……海東君、可憐さんのこと、ショックなんでしょ?」

響音「……けど、海東君。そればかり見ててもダメなんだよ」

響音「海東君はずっと他人に希望を見てた。だから、前に進めないんだよね?」

海東「……俺は……」

響音「だから、選ぶことから始めよう?」

響音「……私は、私の思う希望を信じて、選ぶことにしたよ」

響音「だから、海東くんも選んで。自分が本当に何がしたいか……」

響音「いつもの嘘じゃなくて、本当の気持ちで……!」

海東「……俺は…」

海東「……俺は……っ!」

BREAK!

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

冬崎「ひ、響音ちゃん……何言ってるんすか?」

冬崎「答えはもう決まりかけてた!割り込まないでほしいんすけど!?」

響音「……きっと、冬崎さんと一緒にいた私なら、選んでいたかもしれない」

響音「……みんなで一緒にデータの海に沈む結末を……」

響音「……それが希望だと信じて、きっと……」

冬崎「だったら……!」

響音「けど、だから私は間違ったんだ……」

響音「可憐さんという『希望』を絶対視したから私は……」

響音「そこに自分の意志はなかったから……だから……」

響音「……だから、今度もきっと、選べば後悔する……」

響音「甘い言葉を受けて、まやかしの希望に逃避して……」

響音「自分の意志を失って……!」

冬崎「………響音……ちゃんっ……」ギリッ

冬崎「アタシの結末の何が気に入らないんすか!アタシはみんなを……」

響音「だからって!」

響音「……こんな、自分の罪から逃げて、責任を放棄して……」

響音「何も考えずに、そんな選択を楽だからって受け入れたら……」

響音「きっと私は……またデータの海で後悔することになる……」

響音「………だよね?みんな……!」


朝永「……うんっ、流石に暗くなりすぎてたよ!」

火ノ宮「……俺達には、責任がある。覚えていないとはいえ、責任が……」

火ノ宮「だからこそ、逃げる訳にはいかない」

色鯨「せやな。ここで逃げちまったら一生笑いもんやで……」

澄々「わたくしにも責任がありますもの……虐殺の指導者がわたくしのお姉様だとしたら……」

澄々「同じ澄々財団の人間である、わたくしが責任を取らなければいきません」

澄々「それは、『アルターエゴ』になっては出来ないことです」

海東「……ま、俺には目的も生きる意味ももうないけどな……」

海東「わりぃ冬崎、俺もこの世界をもう少しこいつらとみたいって思っちまった」

海東「だから答えを言わせてもらうぜ、『NO』ってな」

冬崎「…………は?」

冬崎「あんたら、合理的な判断は出来ねえんすか?外に出たら捕まるんすよ?」

冬崎「いつ死刑になってもおかしくないのに、なんで目の前の幸せに縋らないんすか!?」

冬崎「アタシはみんなを助けたいだけなのに……なんで……」

響音「冬崎さん……」

冬崎「みんなで幸せになる方法はこれしかねえんすよ!?」

冬崎「そうしなきゃ、九神君は、アタシは……」

響音「……冬崎さん。あなた、本当は……」


響音「……本当はこんなこと、したくないんだよね?」

冬崎「……は?」

響音「……記憶を失う前の冬崎さんは、そんなことを言う人間じゃなかった」

響音「才能がどうとか、希望がどうとか、そんなことは言わなかった」

冬崎「か、勝手なこと言うんじゃねえっす!アタシは……!」

響音「きっと、私が忘れた時間の中で、何かがあったんだよね」

響音「忘れた時間の中で、冬崎さんは何かに絶望して、何かに希望を見出して……」

響音「この世界から、逃げたくなっちゃっただけなんだよね?」

冬崎「違う……違うっすから……」

響音「……その時間の中で、冬崎さんが何を考えたのかはわからないけど」

響音「…苦しかったよね、辛かったよね……でも、大丈夫だから」

響音「……私たちは、私たちで希望を選ぶよ」

冬崎「なんで、なんでっすか……響音ちゃん……」

冬崎「アタシは、……あたしは…!皆を助けたかった……」

冬崎「くかみんも……九神君も、助けたかっただけなんすよ?」

冬崎「なのに、なんで……!」

響音「…………私は……私達は……」

響音「……選ぶことが『希望』だと思うから」

響音「……選ばされる『希望』は、もういらないっ!」

冬崎「アタシは、あたしは……」

冬崎「アタシあたしアタシあたしアタシあたしアタシあたしアタシあたしアタシあたしぃぃぃぃっ!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  MONOKUMA
   VOTE

ジャララララララララララララ……

 |卒業|卒業|卒業|

テッテレー!

チャラララララララララララ……

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

冬崎さんの絶叫とともに、投票の結果は出た。

満場一致で、卒業。私達は……

………辛くとも、責任を取る道を選んだ。

冬崎「はあ、無駄になっちゃったっすね……」

冬崎「『アタシ』を作ったことも、『コロシアイ』を始めたことも」

冬崎「みんなを犠牲にして、脳を取り出したことも……」

冬崎「九神君を、犠牲にしちまったことも」

響音「……冬崎さん」

冬崎「あーあ、あたしが完全に絶望に染まっていたら『絶望的ィ!』とか叫ぶんすけど……」

冬崎「……叫ぶ気力にもなれねぇや……やっぱり、『超高校級の絶望』になりきれてなかったみたいっすね……」

火ノ宮「……冬崎、一つ聞かせてくれ……」

火ノ宮「……本当にアルターエゴの世界を作りたかったんなら……」

火ノ宮「……何故有無を言わさず俺たちを殺さなかった?」

海東「それで脳を奪っちまえば終わりだろうに……どうして……」

冬崎「何でっすかねぇ?インストールした絶望の部分が、皆をより絶望させるべきと叫んだのか……」

冬崎「……アタシに残った希望の部分が躊躇したのか……」

朝永「躊躇……した?」

冬崎「……敗者の戯言っす、気にしなくていいっすよ」


冬崎「……さて、それじゃあ敗者は敗者らしく、みんなに報酬を渡すべきっすかね……」

冬崎「とりあえず、グロいからこの部屋はもとに戻してっと……」

……その言葉とともに、透明になっていた床や壁は元に戻る……

いつもの、裁判場へと……

色鯨「……色々と追い込まれてたからわからんかったけど……やっぱり気持ち悪かったな……」

冬崎「まあ本来はSAN値直葬レベルっすからねぇ……あんな光景は……」

冬崎「さて、それじゃあ報酬っすけど……大浴場にあったあたしのパソコン……」

冬崎「……あれを調べると良いっすよ?外への出方が書いてあるんで」

朝永「え?さっき調べた時はそんなのなかったよ!?」

冬崎「卒業が選ばれたと同時に解除されるロックを付けてたんすよ。デスクトップにはっつけてあるっすから」

冬崎「……この『希望ヶ峰学園』のレプリカは、地下の実験施設っすからね」

冬崎「普通に入り口から出るんじゃ出られないんすよ……」

澄々「そうだったんですの!?外に出れなかったからわかりませんでしたわ……」

冬崎「地上へのエレベーターの入り口が書いてあるんすよ。それがないと脱出できないっすから」

冬崎「……じゃ、あたしはもう疲れたっすから……」

冬崎「……自分のやってきたことが全部徒労だったって知ってね……」

響音「……え?」

冬崎「……もっと、皆の強さを信じてやればよかったっす」

冬崎「そうすればあたしだって、こんな計画立てなかったかもしれないのに……」

響音「待って?それってどういう……」

冬崎「……さて!敗者は敗者らしくするとするっすかね!」

冬崎「……学級裁判の『敗者』が受けるものと言えば、何だったっすかねぇ?」

響音「……それって…まさか!」

朝永「おしおき!?」

火ノ宮「待て!冬崎!もう勝負はついたんだ!アルターエゴとは言え、お前が消えることは……」

冬崎「いやいや、もう無理なんすよ、あたしはもう消えるしかないんすよ」

冬崎「……全人類アルターエゴ化計画が実行できなくなったら、自分自身を消すように……」

冬崎「自分自身で、プログラムしちまってたっすから……」

海東「……プログラムには逆らえないってことか」

冬崎「そうっすよ、さて、みんな……」

冬崎「僭越ながら、学園長として答辞を述べさせていただくっす」

響音「……………」

冬崎「……みんなは、外の世界で生きることを選んだ。それはアタシに真似出来ねえ選択っす」

冬崎「こっちを選んだってことは、茨の道を歩く覚悟があるってことっすよね?」

冬崎「だったら、もう止まらねえで行けるとこまで行っちまってください……」

冬崎「……私の答辞は以上っすよ?」

響音「……冬崎さん、あなたは……!」

冬崎「………さーて、それじゃあ『超高校級の警察』改め……」

冬崎「『中途半端な絶望』、冬崎アルターエゴにスペシャルなおしおきを用意しました!」

響音「冬崎さんっ!」

声は……届かず……


冬崎「それでは張り切っていきましょう!おしおきターイム!」


……笑顔で笑う冬崎さんのアルターエゴ。

その後ろには、大量のモノクマが控えていました。

【超高校級の絶望(笑) 冬崎アルターエゴ処刑執行】
【『おめでとう!冬崎さんの冒険はここで終わってしまった!』】

大量のモノクマは、冬崎さんを囲んで胴上げを始めました。

胴上げをしながら、冬崎さんは悟ります。

自分が運ばれていく場所を。

その最中、冬崎さんは思いました。

……もし、あの時『希望』に堕ちなければ。

……もし、あの時『絶望』に堕ちなければ。

……もし、あの時………


…………機械になってしまった自分に未来はないけれど、

人間のままの皆には未来があるでしょう。

そんなことを漠然と思いながら。


冬崎さんはゴミ箱に落とされました。


>ゴミ箱を空にする

>これらの項目を削除しますか?

>はい







………おしまいっ!

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

【希望ヶ峰学園 5F エレベーター前】

海東「……まさかこの中にエレベーターがあるとはな……」

澄々「……本棚の後ろが扉になっているとは……気づきませんでしたわ」

色鯨「ここで間違いないんやろ?朝永……?」

朝永「うん……パソコンにはそう書いてあるけど……」

火ノ宮「……まあ入ってみるとしよう。話はそれからだ」

響音「……えっと……」

海東「……まあ、なんだ……誰か入らないのか?」

色鯨「い、いや……俺は殿を努めようかと……」

澄々「……エレベーターの殿とはなんなんですの?」

火ノ宮「……まあ、あれだけ言ったものの、やはり不安だな」

火ノ宮「……外の世界に出てみるのは……」


朝永「……うん、まあね……」

澄々「実際、出てからが大変ですわね……まずは何処を頼るべきなのか…」

火ノ宮「うむ……」

海東「ま、外の世界の全部が全部、殺したいほど俺らを憎んでるわけじゃないだろ」

海東「穏便に済ませたい連中だって居るはずだぜ?そういう奴らにコンタクトをとるか」

響音「あはは、海東君……頼りになるなぁ……」

海東「交渉ならある程度はやってやるよ。ウソを付くのは得意だからな」

色鯨「え?嘘ついていいんか……?」

響音「ま、嘘は良くないと思うけどね……」

海東「おい……」

響音「……許されるかはわからないけど、謝らなくちゃいけないとは思うよ」

朝永「……それが大変なんだよねぇ……」

火ノ宮「だが、それが俺たちの選んだ道だ……」

響音「……自分たちで選んだ以上、後悔はしないよ」

響音「犠牲にした皆の分まで生きるためには、こうするしかないもんね……」


澄々「……選んだ以上は、責任を持って最後まで進んでみせますわ」

澄々「例え、世界がそれを許さないとしても……」

朝永「うん……行けるとこまで皆で行ってみよう!」

海東「……そうだな、俺も……」

海東「……自分のやりたいこと、探したいからな」

響音「見つかるよ。だって私達は生きてるんだもん」

響音「……道がある限りは、きっと……ね?」

響音「じゃ、そろそろ行こっか?みんな?」

海東「ああ、扉を開けるぞ?」

……みんなが黙って頷く。

海東君がボタンを押すと、扉……エレベーターは開いた。

私達が選んだ道へと繋がる扉。

外に出るのに、迷いはあるけど……



……きっと後悔はしない扉。


【Chapter06 完】

響音 妙夢 【超高校級の音楽家】
立花 雅 【超高校級のヒーロー】×
ボブ・サップ 【超高校級のレスラー】×
朝永 蛍 【超高校級の幸運】
殺陣山 湊 【超高校級の芸術家】×
姫月 療歌 【超高校級の医者】×
正義 剛 【超高校級の役者】×
冬崎真白 【超高校級の警察】×
海東吉都 【超高校級の変装師】
花咲 ユスリカ 【超高校級のナンパ師】×
九神 黒夜 【超高校級のカリスマ】×
澄々 奇麗 【超高校級の美化委員】
火ノ宮 龍也 【超高校級の料理人】
色鯨 極 【超高校級の芸人】
鳴神 楓馬 【超高校級の召使い】×
ヘンリー・クローデル 【超高校級の放送委員】×

生き残り生徒 06人





……ピピピピ……ピピピピ……






『メールガ イッツウ トドキマシタ』







それではここまで。
残りはエピローグで終了となります。

お疲れ様でした。

【エピローグ】

○月△日
絶望と戦うことを決めた私達79期希望ヶ峰学園生は……
可憐ちゃんの指導の元、絶望の残党達を追い続けた。
私も警察として、当然協力する。
九神君は直前で自主退学していたから、大丈夫だったけど……
予備学科の人たちを巻き込んでのテロ……許せない。

しかし、その過程の中で、可憐ちゃんは
『一般人ごと絶望を殲滅させる』事を提案した。

そんな非人道的なことできるわけない。
だけど、不思議と私達は……
それを正しいと思ってしまっていた。

△月×日
……正直言って、『超高校級のカリスマ』を舐めていた。
まさか、絶望で人間を染めるように、希望で……
……人を洗脳できるほどの力を持っていたなんて。

……私は、運が良かった。
警察の資料から、以前絶望の持っていた『人間を洗脳するDVD』を持ち出しており……
捜査のためにそれを携帯していたから。

私が、希望の操り人形にならないためにはどうすればいいか。
……単純明快だけど、絶望で中和できないか。
一か八かの賭けなのはわかっている。でも、やらなければいつかは……
私は、最愛の予備学科を殺してしまうだろう。

×月■日
……あたまがいたい、あたまががんがんする……

ぜつぼう、きぼう、ぜつぼう、きぼう
絶望希望絶望希望

……脳の中を2つの言葉が駆け巡っている。
気分は最悪だ。けど、意識は正常。

……だけど、これも緊急対策にすぎない。
根本的になんとかしないと……
せめて自分がもう一人入れば……

……そうだ、あれを使えば……

■月◆日
……私の意識を移したアルターエゴを作成した。
今の時点でも、私の精神は不安定だけど……
データ上に特殊な処理を行って、絶望が一定を超えれば希望を……
希望が一定を超えれば絶望の感情を強くすることで、均衡を保つ。
そんな仕掛けを残して。

……これを残しておけばきっと、私が私でなくなった時……
助けに来てくれた人をサポートしてあげられる。


◎月♧日
……最近夢を見る。
私が九神君を殺す夢、そして私が喜んでいる夢。

……きっとそれは現実になるのだろう。
……最近響音ちゃんが『機関』に連絡を隠れて取っているのは知っている。
そして、そこは偶然にも九神君が偶然にも在籍している支部らしい。

九神君は、私を助けに来ると言った。
今は違うものの、同じ学び舎に通っていた仲間だからと言ってくれた。
私が盗聴している通信機越しに……
でも、きっと……私はそれを壊す。
既に私の心は強すぎる希望と絶望で壊れている。
抑えるために見続けたDVDの影響で私は……

せめて、さいごに私は……

九神君の隣で……


~以下、正気を失ったような文章が綴られている。~

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

響音「……………」

ピッ

響音「…………」

海東「響音、また見てたのかよ」

海東「……俺達が外に出てすぐ、冬崎のパソコンに届いたメールをよ」

響音「……多分、送ったのは冬崎さんだろうけどね」

響音「これはきっと、冬崎さんが絶望に染まる前に書いた文章なんだ」

響音「……冬崎さんは、希望の洗脳に抗うために……」

響音「……見た人間は絶望的思考に陥るDVDを見続けたらしいの」

海東「……その結果、精神がドンドン摩耗していって……」

海東「最終的には、『絶望堕ち』って言う状態になっちまったんだろ?」

海東「……皮肉なことに、そのタイミングで九神が助けに現れちまった」

海東「……そして」

……九神君は、私達と同じくコロシアイに参加してしまった。

可憐さんが抜けた『超高校級のカリスマ』という席に座って。


響音「でも、このメールがある意味証拠になってよかったよ」

響音「……『未来評議会』の人間が洗脳されてたっていう」

響音「だから、未来機関の人たちも、執行猶予をつけるって言ってくれたしさ」

海東「監視つき、だけどな」

響音「……まあ、でも怖い人が監視じゃなくてよかったよ」

響音「苗木先輩だっけ?『前にも似たような人を保護したことがある』って言ってたし!」

海東「……お前と同じで人の良さそうな人だったな」

海東「お前に通信機を持たせてくれたのもあの先輩なんだってな。お前は覚えてねえけど」

響音「うん……あの人には頭が上がらないよ……最後の裁判のときも、あの言葉のお陰で……」

響音「……未来評議会の皆を保護しよう、って言ってくれたのもあの人なんだって」

海東「らしいな。そのせいで色々問題があったらしいけど」

……あの後、学園を出た私達は……

驚くべきほどにあっさりと、未来機関に捕縛された。

……もっとも、第14支部という、未来機関の中でもトップクラスに甘いところで……

そこの先輩が、驚くべきほどにポジティブで、前向きだったのが幸運だった。


……結果、私達は簡単な処分のみで済んだ。

未来機関へと協力し、一日でも早く世界の復興を目指すこと。

……火ノ宮くんと朝永さんは未来機関の食堂で……

難民たちに食事を振る舞っているらしい。

朝永さんがつまみ食いをして怒られているのを、火ノ宮君が庇っているのを見た。

色鯨君は……様々な支部に出向して、雑用を行っているらしい。

結構色々こき使われていると愚痴っていた。

澄々さんは……行方不明になっているお姉さんを探すらしい。

冬崎さんは最後に、澄々可憐さんは、どこかに追放したと言っていた。

しかし、現在遺体も見つかっておらず、重要参考人として手配中なのだとか。

……澄々さんも捜索のため、メガホンみたいな武器を片手に、廃都市を冒険しているらしい。

そして、私は……

海東くんと一緒に、苗木先輩の仕事を手伝っている。


響音「……世界には、自分の意志と関係なく絶望を選ばされた人がまだ多くいる。か……」

響音「……他人事には感じないんだよね」

海東「ま、希望と絶望の違いがあるとは言え、自分の意志がなくなっているわけだからな……」

海東「……そいつらを全員助けるんだろ?響音?」

響音「……うん。それが私にできる償い……だと思うの」

響音「……冬崎さんみたいに、自分の意志を奪われて……」

響音「……取り返しの付かないことをしてしまう人が出る前に……」

海東「お前も本当に甘いよな……過程がどうであれ、冬崎は……」

響音「……うん、冬崎さんがコロシアイを強要したのは本当。でも……」

響音「……冬崎さんが、九神君と一緒に私達を助けようとしたのも本当だよ?」

海東「……………」

響音「だから私は、信じることにしたの」

響音「……冬崎さんの本当の心は……」

響音「あの学園生活で、私達といた時が本物って」

響音「……『絶望に負けないで』って言ってくれた、冬崎さんが……」

海東「……そうか、お前がそう信じたいなら何も言わねえよ」


響音「……って、そろそろついたのかな?ヘリが飛んでから時間がだいぶ立ったけど……」

海東「……そろそろ降りる時間かもな……」

響音「……えっと……今回の任務は確か……」

海東「……この島に立てこもってる『元絶望』の説得と保護だっけか?」

響音「そう、それ!」

響音「……それじゃあ、行きますか!」

海東「……ああ」

……自分の信じた希望を選ぶ……言うことは簡単だけど……

やってみるのは意外と勇気がいる。

けど……それでも……

流されるままに選んだ希望よりはずっといい。

選ぶことのできなかった仲間の分まで、私は……

………選んだ道を進んでいく。

……きっとそれが……

……………

………

……

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

安価で作成したキャラでコロシアイ学園生活

                        THE END

サンキューオマエラ!愛してるぜ-い!
数年越しの完結となりますがありがとうございました。
響音ちゃんの戦いはまだこれからだ!(未来機関の職員として)

一時期完全にやる気をなくしていましたがV3とかやってまたモチベーションが上がって来たのがデカイですね。
次シリーズも本格的に始めて行きたいと思いますのでよろしくお願いします。
一応正午くらいから次シリーズ建てよっかな、とも思ってます。

また、Twitter上で引き継ぎキャラの投票も行っていますが、
こちらは10時で一度投票を締め切ろうと思います。
ご理解の程よろしくお願いします。

それではお目汚しのほど失礼いたしました。

ありがたいコメントありがとうございます。
3年間おまたせして申し訳ありませんでした。
楽しんでいただけたなら幸いです。

それではTwitterの方でも告知していましたが、11時より、次回シリーズの引き継ぎキャラに関しての投票を行いたいと思います。
よろしくお願いします。

それではTwitter上のアンケートを結果で、引き継ぎキャラの候補は次のようになっています。

男性キャラ
贄波 玄羽 【超高校級の幸運】 
機谷 創次 【超高校級の発明家】 

女性キャラ
ミアロザ・インシマヤ【超高校級のスパイ】 
樅木 飾祭 【超高校級のメイクアップアーティスト】 
遺原 想子 【超高校級の鑑定士】 
針山 牡丹 【超高校級の手芸部】 
火ノ宮 糸為 【超高校級の???】

引き継ぎキャラの予定は、
男性キャラ 3名
女性キャラ 4名
となっています。

まずは、女性キャラの絞込から行っていきたいと思います。

それではまず絞込から

女性キャラ
1.ミアロザ・インシマヤ【超高校級のスパイ】
2.樅木 飾祭 【超高校級のメイクアップアーティスト】
3.遺原 想子 【超高校級の鑑定士】
4.針山 牡丹 【超高校級の手芸部】
5.火ノ宮 糸為 【超高校級の???】

安価↓4まで
引き継ぎを行うキャラの番号をお願いします。

こんなに人が居るなら普通に投票で良かったかもしれない……

この三名に関しては確定で引き継ぎます。

遺原 想子 【超高校級の鑑定士】
針山 牡丹 【超高校級の手芸部】
火ノ宮 糸為 【超高校級の???】

残り一枠

1.ミアロザ・インシマヤ【超高校級のスパイ】
2.樅木 飾祭 【超高校級のメイクアップアーティスト】

安価↓

それでは女子生徒の引き継ぎはこの4人となります。

ミアロザ・インシマヤ【超高校級のスパイ】
遺原 想子 【超高校級の鑑定士】
針山 牡丹 【超高校級の手芸部】
火ノ宮 糸為 【超高校級の???】

続けて男子生徒

引き継ぎ枠は次のようになります。

久門 光一【超高校級の小説家】 (主人公により確定)
機谷 創次 【超高校級の発明家】 (事前投票により確定)
贄波 玄羽 【超高校級の幸運】 (事前投票によって確定)

それでは残り1枠を決めたいと思います。
1.不知火 桔兵 【超高校級の漫談家】 
2.レッド・フォーチュン 【超高校級のディーラー】 
3.姪墨 礼済 【超高校級のピエロ】 
4.日比貴 響也 【超高校級のドラマー】 
5.陽冥寺 龍 【超高校級の忍者】 


安価↓5まで、多数決

投票の結果以下のキャラを引き継ぎます。

姪墨 礼済 【超高校級のピエロ】


それでは生徒名簿の更新を行います。少々お待ちください。

【生徒名簿】
生徒番号01
久門光一(くもん こういち)【超高校級の小説家】男
交友力 6 (人並み以上のコミュニケーション力)
精神力 9 (強固なメンタルを持つ)
スキル
「主人公補正」…特定の状況を除き、状況被害者・加害者にならない。
「小説家」…小説家としてのスキル。
「草食系」…草食系男子。人当たりの良い性格だが、恋愛事には消極的。
「予知」…未来の出来事を感じ取ることができる。特殊イベントが追加。
「さとり」…心を読んでいる……と言わんばかりに鋭い洞察力を持つ。

生徒番号02
贄波 玄羽(にえなみ くろは)【超高校級の幸運】 男?
交友力 7(高い交友スキルを持つ。)
集中力 6(一般より高い程度の集中力)
スキル
「偶然の幸運」……普段は幸運の状態も見えないが、一定の状態になると……?
「ダンボール信仰」……ダンボールを愛する……なぜだ?ダンボールに関して偏執的な興味を持つ。
「残念系美少女」……行動がどこか残念。そして男の娘。
「義理堅い」……約束はきちんと守るし受けた恩は忘れない。その考え方が行動にも出る。

生徒番号03
機谷 創次(はたたにそうじ)【超高校級の発明家】男
交友力 6(人並み以上のコミュニケーションは取れる)
集中力 9(とてつもなく高い集中力)
スキル
「発明家」……発明家としてのスキル。機械に関しての知識を持つほか、放置されている機材で簡単な道具を作れる。
「料理レシピ」……料理開発スキル。イベント中に料理に関する発明をする可能性がある。
「昼行灯」……基本的にどこか抜けていて役に立たない可能性がある。集中にある程度のマイナス補正。
「無表情」……無表情なため、感情を表に出すことが少ない。

生徒番号04
姪墨 礼済(めいすみれずん)【超高校級のピエロ】男
交友力 0(偏執的な方面に傾くが……一応コミュ力はある。)
集中力 9(高い精神力を持つ。)
スキル
「ピエロ」……道化師としてのスキル。曲芸などの技能を持つ。
「泣きまね上手」……泣きまねがうまい。迫真に迫る演技。
「高機動デブ」……太っている…けど速いよ。
「刃物好き」(+)……刃物をこよなく愛する……あくまでコレクターとして。刃物の鑑定を行うことができる。

生徒番号09
ミアロザ・インシマヤ【超高校級のスパイ】女
交友力 4(一般的な程度の交友力を持つ。)
集中力 8(高い技能を持つ。しかし肝心なところで……)
スキル
「スパイ」……スパイとしての技能。潜入や工作に優れる。
「ドジっ子」……何かしらドジを踏みやすい。ランダムで集中が0になる。
「機転が利く」……想定外の事態にも対応可能。突然の事態で判断を鈍らせづらい。
「マインドコントロール」……相手に特定の行動をとらせるよう誘導させやすい。

生徒番号10
遺原 想子(いはら そうこ) 【超高校級の鑑定士】
交友 0(女性に対しては普通。逆に男性に対しては皆無。)
集中 5(人並みレベルの集中力を持つ。)
スキル
「鑑定士」……物の鑑定ができる。
「ぐうたら」(+)……あまり自分で動きたがらない。だけどそのせいで割といいところに肉がついている。
「男嫌い」……男性に対しての免疫が皆無。男性には冷たいが女性には優しい。
「万能鑑定士」……様々なものの鑑定を行うことができる。捜査の際に物証の捜査能力がアップ。

生徒番号11
針山 牡丹(はりやま ぼたん) 【超高校級の手芸部】
交友 1(極度のコミュ障)
集中 8(集中すれば高い能力を発揮する)
スキル
「手芸部」……手芸部としての能力。手芸に関して高い能力を発揮する。
「ブラコン」……兄に強い依存心を持っている。兄に関するイベントが発生した場合何らかの補正。
「職人気質」……何事も完璧にやり遂げなければ気が済まない。得意なことに関しての集中力がさらにアップ。
「天才美少女(自称)」……自分に関して絶対の自信を持っている。

生徒番号12
火ノ宮 糸為(ひのみや いとな)) 【超高校級の???】
交友 8(無口だが人付き合いが悪い方ではない)
集中 8(何事にも高い集中力を発揮する。)
「???」……才能は謎に包まれている。加害者にも被害者にもなることはないが、突然この効果はなくなることがある。
「無口」……必要がなければ口を開かない。交友力に大きなマイナス補正。
「主人公オーラ」……何やら重要そうな人物であるが……物語のカギを握る?
「霊視」……霊的な存在を見ることができる……けど大したものが見れるわけでもない。

それでは12時ごろより修学旅行シリーズの新スレを立てていきたいと思います。
よろしくお願いします。

キャラ作成は8名分ですね。よろしくお願いします。

遅れましたが、完結おめでとうございます!
長い間お疲れ様でした。
自分がダンガンロンパにはまるきっかけと言っても過言じゃ無い作品でした。
最高に面白かったです。次回作も応援します!

完結記念ということで取り急ぎ、響音ちゃんを描きました。

http://i.imgur.com/npciDMc.png

最後に改めて、盛大に乙!!!!

とりあえず立てたので移動案内

【スーパーダンガンロンパ2】Re:安価で作成したキャラでコロシアイ修学旅行【安価】
【スーパーダンガンロンパ2】Re:安価で作成したキャラでコロシアイ修学旅行【安価】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1486263054/)

>>285
ラスト支援絵ありがとうございます!
長い間おまたせして申し訳ありませんでした!

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