霧切「――続けましょう。この絶望の競売を。」 (915)

『モノクマ「ではこれからオークションを始めます」』の、
レス番号229からの続きになります。

駄文失礼致します。

大和田「――なぁ」

不二咲「うん?」

大和田「お前は入札したのかよ?」

不二咲「あ……その、えっと…」

大和田「まぁ、入札しててもあんなもん相手じゃ落札できねーやな」

不二咲「そ、そうだね、あはは…」

セレス「――残念ですわね」

山田「…!?」

セレス「都合のいい下僕を手に入れるチャンスでしたのに」

山田「…!!?」

舞園「――うぅ…苗木くん……」

霧切「舞園さん。気を確かにもって」

舞園「…霧切さん…」

霧切「いまはただ、この悪質なゲームを終わらせましょう」

舞園「……はいっ…!」

苗木「――さ、さぁモノクマ、はやく次のオークションを……モノクマ?」

モノクマ「………」

十神「おい、どうした進行役」

腐川「ね、寝ているんじゃないでしょうね…?」

江ノ島「………」

モノクマ「――のぶ太くんが泣いてる! 誰だ、のぶ太くんを泣かせたのはっ!!」

桑田「な、なんだぁ?」

朝日奈「モノクマが壊れた!」

モノクマ「のぶ太くんを泣かせるヤツはボクがぶっとばして……あれ?」

苗木「ど、どうしちゃったのさモノクマ…!」

モノクマ「あ、ごめんなさい。ボクってば寝ちゃってました、テヘっ」

葉隠「つい2、3分前まで喋ってたべ!?」

モノクマ「いやぁ、今日のオークションのために徹夜して準備してましたから」

石丸「準備…? この裁判所を準備していたのか?」

モノクマ「いいえ、皆さんの私物を調達していました」

大和田「ンなことしてねぇで寝とけってんだよ!」

モノクマ「まぁ…! 『超高校級の暴走族』である大和田くんがボクの心配をしてくれるなんて、先生嬉しくて涙チョチョ切れそうです!」

苗木「いちいちネタが古いよね…」

モノクマ「――それでは、気を取り直して第3回絶望オークションを始めたいと思います」

霧切「……」

モノクマ「ただ、主催者であるボクから皆さんに注意喚起がひとつ」

十神「今更なんだ」

モノクマ「『人生』とか、簡単に競売にかけたりしてはいけません! 命はとても尊いものです、粗末にするのはやめましょう!」

一同「(…お前が言うんだ…)」


江ノ島「……ごめんね…」

モノクマ「出品番号3番、>>11>>16!」

(葉隠、苗木を覗く。)

桑田

野球道具一式

桑田「は?」

石丸「む! 中央にせり上がって来たのは…!?」

朝日奈「…ボロボロのグローブとバット、ユニフォームにヘルメット…?」

舞園「これ…桑田くんのなんですか?」

モノクマ「もちろんっ!」

不二咲「で、でも桑田くんは野球道具なんて持ってなかったよね…?」

大神「うむ…」

モノクマ「そりゃあ、コレは皆さんをこの学園に連れて来る時に預かっていた物ですし」

腐川「えっ…」

十神「監禁、脅迫、殺人示唆ときて遂には窃盗か。とんだぬいぐるみだな貴様は」

モノクマ「うぷぷっ! もっと褒めてもっと褒めて!」

大和田「ちょっと待て、じゃあテメェは、俺達の荷物も持ってやがんのか!?」

霧切「そういうことでしょうね…」

モノクマ「いやー、流石は超高校級の野球選手、使い込まれた道具がクサいクサい」

朝日奈「うわっ」

舞園「………」

霧切「ショーケースに入っていて良かったわ…」

桑田「ちょちょ、ちょっと待てよ! 臭いわけねーだろ! 俺は練習なんざ全然してねーんだぞ!?」

十神「ほう? その割りにはユニフォームやスパイクの土汚れ、グローブの傷みが目立つようだが」

桑田「練習しなくてもプレーしてたら汚れくらいつくっつーの! でも試合後にゃ母ちゃんに洗濯出してっし、臭ったりなんかするはずが…!」

モノクマ「やー、実際ニオってるのはグローブなんだけどね」

苗木「グローブ?」

大神「……確かに、ユニフォームなどに比べ、かなり古い物のようだが…」

桑田「…そ、それは……人から貰ったやつだからしゃーねぇだろ…」

山田「なるほど…思い出の品な訳ですな?」

セレス「となると、かなりお値段が張りそうですわね」

石丸「人から人へ、想いが紡がれた逸品だ…僕の第二ボタンでは釣り合わなかっただろう」

葉隠「あんなん買っても使い道ねーべ…」

十神「全くだ。バットは凶器たりえるが、こうも全員の前で入手してしまっては犯行には使えんだろう。必ずどこかでアシがつく」

桑田「……まぁ、俺は野球道具なんてなくても、ミュージシャン目指してっから寧ろ清々するところだって!!」

舞園「…芸能界はそんなに甘くないわよ…」

桑田「ん? なんか言った?」

舞園「いいえ、なにもっ」

モノクマ「それでは、『超高校級の野球選手』である桑田怜恩くんの野球道具一式をかけて、第3回絶望オークション、開廷~!!」

朝日奈「…あれ? 言うの遅くない?」

セレス「タイミングを逃したのでしょう、ふふふっ」

モノクマ「うるさいなぁ! 続けざまにレッツ・ハンマープライス~!!」

石丸と江ノ島を除く落札者。
>>27
上記者のリアルマネー。
>>31

舞園

今履いている靴下

よかったやん

モノクマ「うぷぷぷ! 決定しましたー!」

葉隠「いったいどんなもんなんだべ…」

不二咲「モ、モノクマの判断だから価値が等価かどうかはわからないんだよね…」

十神「苗木の童貞が女の人生で買えてしまうような倫理観だからな」

桑田「…な、なんかドキドキするな…」

モノクマ「落札者は、『超高校級のアイドル』舞園さやかさんでーす!」

舞園「えっ!? わ、わたし!?」

山田「いいいいったい、どんな物で落札したのでしょうか!!?」

セレス「豚、おすわり」

桑田「舞園……ありがとな!」

舞園「ま、待ってください、お願い、もう一度入札させ…」

モノクマ「落札したリアルマネーは、“いま履いている靴下”でーす! うぷぷぷ…!!」

舞園「いやぁぁぁぁぁ!!」

苗木「……は?」

石丸「…靴下…だと…?」

十神「フン、大した思い出の品じゃないか」

霧切「舞園さやか、貴女…」

舞園「いやぁ! ごめんなさいごめんなさい、つい出来心で、ボーっとしてて…!」

朝日奈「だっ、大丈夫だよ舞園さん! モノクマが決めたんだもん、誰も文句なんて無い無いっ!」

大和田「そこのアイドルが桑田の物に対して靴下が妥当なんだと思った事にゃかわりねーけどな」

不二咲「お、大和田くん、めっ!」

セレス「超高校級のアイドルさんは、なかなか面白いお考えをお持ちの様ですわね…」

山田「アイドルの生靴下…ちょっとだけ羨ましいですぞ」

舞園「いっそ殺してえぇぇ……」

モノクマ「さて、それでは桑田怜恩くんと舞園さやかさんは前に出てきてください」

桑田「靴下…俺のグローブと…靴下…」

舞園「うぅ…」

石丸「お互いに意気消沈しているな」

大和田「無理もねぇ」

モノクマ「では舞園さん、そちらの野球道具一式をどうぞ」

舞園「は、はい…」

モノクマ「そうしたら、靴を脱いでそこの台に片足をのせてください」

舞園「…? はい」

モノクマ「では桑田くん、舞園さんの“いま履いている靴下”を脱がせて手に入れましょう」

一同「!!?」

桑田「い、いいのかよ!?」

舞園「よくありません!」

モノクマ「もう商品は受け取ったから、支払いがないとオシオキすることになるけど…」

葉隠「オシオキって言やぁなんでも通ると思ってんなあのクマ」

十神「事実だから質が悪い」

モノクマ「うぷぷぷ! さぁさぁ、はやくはやくぅ~!」

桑田「…やべぇ、このアングルやべぇ…」

舞園「…いやぁ、こんな恥ずかしいこと耐えられない…」

苗木「舞園さん…」

舞園「苗木……お願い、みないで……」

山田「ふぉおぉぉー! NTRにも似た超展開に拙者のGペンが唸りをあげそうです…!」

セレス「そんなお粗末な物を指してGペンとは、可哀想な子ですわね」

山田「…? 『超高校級の同人作家』としましては、懐には常に画材を忍ばせている所存ですが」

セレス「………」

山田「セレス殿?」

セレス「ほ、本当のペンの話しでしたのね……失礼しましたわ」

山田「はて? 本当ではないペンとはいったい…」

セレス「黙りなさい」

山田「はひ?」

セレス「もう黙って目の前の変態行為に釘付けになっとけやオタダルマぁぁ!!」

山田「くぎゅうぅぅぅぅぅぅぅぅ――!!」

腐川「なにやってんのあいつら…」

電池と意識が切れてました、済みません。

桑田「………」

 ゴクリと、気付かず溢れていた唾液を飲み込む怜恩。

 だがそれも仕方のない事。
 目の前に、『超高校級のアイドル』である舞園さやかの美脚が在るのだから。

 20cmもない台に、靴を脱いで片足だけのせており、怜恩はその前に跪いている。

 「脱がせ」と。モノクマはそう言った。
 言われたままに、スカートからのびる白い素足に指を沿わせ、靴下の“縁”に、指をかけた。

 くい、くい、くい。

 引っ張るようにして、少しずつ少しずつ、靴下を下ろしていく。
 靴下が肌を滑るたび、怜恩の指先が肌に触れるたび、舞園さやかは小さな吐息を漏らしてふるふると首を振る。涙を溜めた瞳が怜恩の顔を映すが、
 当人はいまだかつてない興奮にちょっと余所には見せられないような表情をしている。
 「男って…」と、舞園さやかは改めて男性種というモノに嫌悪感を抱く。

 片方が終わり、もう片方。

 男と言えば、苗木誠は。

 そう思い、足を替える時わずかに視線を向けた。

苗木「………」

 顔を赤くして、視界に映さないように、そっぽを向いている。
 先程さやかが言った「みないで」という言葉を、律儀に守ってくれているのだろう。

 ――彼は、大丈夫。
 ――彼は、味方でいてくれる。

 平和とは言え、この学園での生活になにか黒い感情を芽生えはじめさせていた舞園さやかの心が、そう思うだけで救われた気がした。

 両方の靴下を脱がされ終わり、素足のまま再び靴を履いて、自分の席へと戻る。

 ――桑田くんとはもう口きかない。

 そう、心に決めたアイドルだった。

モノクマ「ん~、エクセレントっ! 実にマニアックなプレイでしたねぇー。同年代の男の子のアレなところを見て、女性陣は絶望しちゃったんじゃないかなぁ? どうだい、霧切さん」

霧切「男の子だもの。仕方無いわ」

モノクマ「クールだねぇ。じゃあ腐川さんはどうだい?」

腐川「キっ、キモいわよ! なんなのこの羞恥プレイはっ! 女の子なら誰でもひくにきまってるじゃない…!!」

霧切「………」

モノクマ「うぷぷぷ! まぁそうだよね。じゃあ怜恩くん! はやく部屋に帰ってその靴下をペロペロしたいところ悪いんだけど、オークションが終わるまでは残っててね?」

桑田「だっ、誰が舐めるかこんなもん!!」

舞園「こんな…」

桑田「あっ、違う、そうじゃなくてだな…」

十神「――下らん痴話喧嘩は後にしろ。モノクマ、次だ」

モノクマ「では出品番号4番! >>84>>89!」

(葉隠、苗木、桑田を除く)

十神

脱ぎたてのパンツ

腐川「………」

不二咲「こ、これって…」

腐川「……?」

大神「拙いのではないか…?」

腐川「………」

葉隠「くわばらくわばら…」

腐川「――十神様のパンティー――!!?!?!!?」

 カパッ、ピピピ、ピッピッ、ピピピピピピピピピピピピピピピ…。

十神「おい止まれ」

腐川「十神様十神様十神様十神様十神様十神様十神様十神様」

モノクマ「うわっ! まだ開廷もしていないのに続々と入札がきてる!」

十神「モノクマ、進行の邪魔だ。コイツを止めろ」

モノクマ「そうだねぇ、ん~っと……はいっ、赤い毛糸」

十神「……これで縛れと?」

モノクマ「じゃなきゃもう落札しちゃうけど?」

ごめん、たしか腐川の呼称は
×十神様 ○白夜様 なんだが

腐川「□@×△&◎×□~~~~!!」

葉隠「やっと静かになったべ…」

朝日奈「腐川さん、ちょっと怖かったよ…」

十神「学生手帳も奪っておいた。これでヤツは入札出来ん」

モノクマ「あ! 学生手帳の譲渡は校則違反ですよ!」

十神「譲り受けたんじゃない、俺が勝手に拝借したんだ」

モノクマ「う~~ん……ならいっか」

大和田「いいのかよっ!」

モノクマ「それでは気を取り直して、『超高校級の御曹司』である十神白夜くんの“脱ぎたてパンツ”をかけた第4回絶望オークション、開廷~!!」

>>94なんかグチャグチャで済みません。
脳内で十神様と書いて自分ではびゃくやさまと読んでいました。

>>94
腐川の方は「十神様」で、
ジェノサイダーの方が「百夜様」じゃなかった?

一同「………」

十神「……ところでどうして俺の下着なんだ」

モノクマ「え? だってキミの私物で面白いものなんて何もないし、脱ぎたてのパンティーとか素晴らしく嫌らしくて最悪の気分でしょう?」

江ノ島「男の下着をパンティーって言わないでよ…」

葉隠「と、十神っちがスケスケのヒモパン穿いてるの想像しちまった…」

朝日奈「や、やめてよ!」

苗木「……どうしよう。今度こそ僕が買おうか?」

霧切「……いえ、残念だけど苗木くんはまだそのままよ」

江ノ島「―――」

舞園「でっ、でも十神くん…男性の下着なんて、誰も欲しがらないんじゃないでしょうか…?」

桑田「そうだよなぁ、しかも脱ぎたてっていうんだからな」

舞園「………」

桑田「あれ…?」

不二咲「あ、あの……」

桑田のおしおきは舞園直々の千本ノックでいいな

苗木「どうしたの、不二咲さん」

不二咲「ふ、腐川さんが可哀想じゃないかなって…」

大和田「あん?」

石丸「うおぉ!? 腐川くんが芋虫のように這いながら十神くんのもとへ!?」

腐川「…ひょ…ひょひゃひふぃん……」

十神「なんだ」

腐川「わ、わひゃひひ…」

十神「よくわからんな、そこで寝ていろ」

苗木「と、十神くん…!」

十神「………」

苗木「そこまで…その、十神くんの物を欲しがっている人が居るんだから、ここは素直に腐川さんに落札させてあげようよ」

十神「なにをバカな…」

セレス「勝利、したいのでしょう?」

山田「…!?」

十神「……挑発しているつもりか」

セレス「いいえ? ですが貴方はもうこのゲームにのった、となれば、このゲームの勝利条件である“全員が無事”を守らない筈がありませんわよね?」

朝日奈「そ、そうだよ! みんなで無事にこのオークションを終わらせるには、恥ずかしいのとかイヤなこととか我慢しないと!」

十神「………」

腐川「…ひゃひひゃひゃまぁ~…」

十神「……チッ!」

腐川「――プハッ! ……え…白夜…様?」

十神「何でもいい、早く落札しろ。さっさと次のオークションを始めなければいけないからな」

腐川「あ……」

苗木「よかったね、腐川さ」

腐川「嬉しすぎて腰が砕けちゃううぅぅぅぅぅぅぅ!!」


モノクマ「……えーっと、それではレッツ・ハンマープライスー」

(腐川冬子のリアルマネー>>114

処女

モノクマ「はぁ~い! 『超高校級の御曹司』である十神白夜くんの“脱ぎたてのパンツ”は、『超高校級の文学少女』である腐川冬子さんによって落札されましたぁー!! …うぷぷぷっ…!」

十神「おい、何故笑う」

モノクマ「だって…だってねぇ……うぷぷぷぷぷ!!」

十神「――おい! お前、いったい“何”で落札した! いったい“何”で落札した!?」

腐川「や、やだ白夜様ったら、こんな人が見てるところで大胆……」

十神「……!? お前、まさか…!!」

葉隠「うん? 十神っちも腐川っちもどーしたんだべ?」

山田「十神白夜殿は気付かれた御様子ですが……はて?」

霧切「…おそらくだけど、もしかしたら江ノ島盾子さんの『人生』レベルで“重い物”なんじゃないかしら」

江ノ島「お、重っ…!?」

モノクマ「うぷぷぷ! そーでーす! 腐川さんが用意したリアルマネーは、なんとなんと、『女の子の大事な物』なのでーすっ!」

一同「!!?」

苗木「え……女の子の大事な物…?」

霧切「――葉隠くん、苗木くんの耳を塞ぎなさい!」

葉隠「お、おう!」

苗木「うわぁ!? な、なにするの葉隠くん!」

葉隠「…苗木っちは……まだ知らなくてもいいことなんだべ……」

苗木「何言ってるかわからないよ!」

大神「むむ…苗木に続いて腐川もとは…」

朝日奈「え? 大事な物ってなに? ドーナツ?」

霧切「大神さん」

大神「承知」

朝日奈「ふぇ!? な、なにするのさくらちゃん!?」

大神「しばしの辛抱だ…」

腐川「えっとぉ、子供は何人がいいですかぁ? こ、個人的には最初は男の子で、次も男の子で次に女の子がいいかなって思って…」

十神「少し黙れこの発情鬼。……モノクマ」

モノクマ「はいはい?」

十神「手に入れた物は、別にすぐに消費する必要はあるまい」

モノクマ「その『物』に関する権利は、私モノクマの名において持ち主に全権が委ねられます。だからうん、別にすぐ使ったりする必要はないです」

腐川「えっ……えっ?」

十神「やはりそうか。では俺は安心してその権利を受け取ろう。そして墓場まで使うことが無いと誓う」

腐川「そ、そんなぁー……」

モノクマ「うぷぷっ! いいねいいね、そういう絶望もありですね! ……それでは十神白夜くん? 前に出てきてパンツを脱いでください」

十神「なんだとっ…!?」

モノクマ「はい! この幕の下がった輪っかの中で着替えてくださいね!」

大和田「お。なんか見たことあんなそれ」

山田「昔のバラエティー番組などであった、アイドルやタレントが早着替えをして、タイムアップになると着替え途中でも幕が下りてしまうヤツですな」

セレス「まぁ、低俗ですわね」

桑田「いまじゃ見掛けねぇよなぁ。当時アイドルだったら、舞園もやったりすることになったのかな?」

舞園「………」

桑田「……俺なんかしたっけ?」

不二咲「自覚がないなら仕方無いと思うよ…」

十神「この中で着替えろというのか。こんな衆目の中で」

モノクマ「だ~いじょ~ぶ! これは罰ゲームじゃないから、途中で幕が下りたりはしません。存分に脱いで露出して、フルモンティーな姿で後のオークションを過ごしてください」

石丸「脱ぐのは下着だけで十分ではないか…?」

モノクマ「はい入った入った!」

十神「くっ…」

モノクマ「スポットライトォ、オン!!」

 カカカッ!

苗木「うわっ! 幕の裏からのライトでシルエットが!」

舞園「きゃあっ!」

朝日奈「いゃんっ!」

葉隠「ひゃあ!」

山田「にゃあん!」

セレス「いま1人だけ気味の悪いのが混じってましたわ」

山田「気のせいでござる」

腐川「あわっ、あわわわわわわ……びゃ…白夜様の生着替え…!!」

十神「………」

大和田「お、出て来たな」

腐川「びゃ、白夜様…」

十神「――受け取れ」

苗木「ちゃんと渡すんだ…」

葉隠「いまのはアニマルプリントってヤツだったべ!」

女性陣「!?」

朝日奈「と、十神…?」

舞園「そ、そんな趣味が…?」

不二咲「ちっ、違うよ! いまのパンツはヒョウ柄のブーメランタイプだったよ! 葉隠くんが言い間違えただけで…」

葉隠「え? 動物柄のことをアニマルプリントって言うんだべ?」

十神「……貴様はもうだまれ…!!」

モノクマ「えー、では続きまして」

腐川「くんくんくんくん」

モノクマ「第5回絶望オークションを」

腐川「すーはーすーはー」

モノクマ「始めたいとおも」

腐川「はあぁぁぁぁぁん…!」

モノクマ「うるさいなぁ! こら十神くん! ペットの躾はちゃんとやらないとダメでしょう!」

十神「……腐川、ステイだ」

腐川「あっ…は、はい白夜様…」

セレス「従順な下僕がいるのは羨ましいですわね」

モノクマ「まったくもう! それでは出品番号5番! >>136>>140!」

大和田

枝毛

不二咲「…!」

大和田「あぁ? 枝毛だぁ?」

モノクマ「はい」

桑田「な、なんつーかやっつけっつーか…」

苗木「あんまりにも適当過ぎじゃないかな…」

モノクマ「いや、だってね? 大和田くんて全然物に執着しないから出品できそうな小物が無かったんです」

朝日奈「あー、わかるかも」

モノクマ「預かってる荷物の中に大和田くんのバイクもあったんだけど、さすがに校内をバイクで走り回られると困りますし」

大和田「俺の単車だと!? オイコラ、ちゃんと大事にしてるんだろうな!!」

モノクマ「してますしてます。バックミラーで寝癖がないか毎朝チェックするのが日課ですから」

苗木「うそくさ…」

モノクマ「てな訳で、昨日皆さんがお風呂に行っている間に部屋をすみずみまで粗探しした結果、なんとコロコロローラーにびっしりと大和田くんの毛が!!」

舞園「きゃあ!?」

霧切「な…なんて量の体毛なの…」

山田「ローラーのシール部分にぴっちり張り付いていて、なんだか小さなリーゼントのように見えなくもないですな」

モノクマ「この毛、なんとと8割くらいは枝毛の切れっぱし!」

朝日奈「うぇ!? ひどい!」

不二咲「も、もっと髪を労らないとダメだよ…」

大和田「知るかよ! 枝毛なんて気をつけりゃあ減るもんじゃねーだろ!!」

霧切「減るわよ」
セレス「減りますわね」
朝日奈「ジョーシキじゃん」
大神「我も枝毛には気を遣っている…」
舞園「私、いままで枝毛とか切れ毛ってなったことないんです」

葉隠「髪は一生の友達だべ、丁寧に扱ってやんねーと!」

大和田「テメェにゃ言われたくねぇよ!!」

苗木「……江ノ島さんは、やっぱり気を遣ってたりするのかな」

江ノ島「あたし? えっと……まぁ、ボチボチかな。手入れは怠ってないけど」

苗木「そ、そうなんだ…」

江ノ島「気になるんだったら、今日触ってみたらいいじゃん」

苗木「え……えっと…」

江ノ島「十神のヤツは“逃げ”たけど……あたしはそんな気ないから、そこんとこよろしく」

苗木「は、はい。こちらこそ」

江ノ島「……えへへっ」

モノクマ「………」

舞園「…? また三点倒立の恰好のまま止まってる…」

大神「手が届いていないから一点倒立だがな…」

モノクマ「――はいはいはいはい!! それじゃあ『超高校級の暴走族』である大和田紋土くんの枝毛をかけた絶望オークション、開廷ー!!」

一同「………」

朝日奈「……え? 誰か欲しいの?」

石丸「ぼ、僕は少し欲しいぞ!」

セレス「本来なら石丸君に押し付けるのが妥当だったのですが…そうもいきませんわね」

十神「今までの落札者と、ついでに出品者を整理しておくとするか」


【出品者】1:葉隠康比呂 2:苗木誠 3:桑田怜恩 4:十神白夜 5:大和田紋土

【落札者】1:石丸清多夏 2:江ノ島盾子 3:舞園さやか 4:腐川冬子


霧切「落札者は4人…いえ、苗木くんの保留を含めると残りは10人ということになるわ」

セレス「モノクマ自身がゴミと決めつけているような物ですもの。苗木が落札者のジョーカーなら、今回は出品者のジョーカーというところですわね」

大神「誰でも買い落とせる…ということか」

大和田「誰でもいいからさっさと買ってくれよ……別に要らなきゃ買ったあとで棄てりゃあいいんだからよ」

山田「ふむ…しかしながら…」

一同「………」

苗木「(みんな黙ってしまった……本気でいらないんだ。このままじゃ、押し付け合いで『動機』が生まれてもおかしくない! こうなったら僕が――)」

不二咲「はっ、はい!」

モノクマ「おやおや?」

苗木「――ふ、不二咲さん?」

不二咲「ぼ…僕が入札するよ! ……いい、よね…?」

石丸「不二咲くん!? どうしたのだ突然!」

朝日奈「毛だよ? あれしかも枝毛だよ!? ただのゴミだよ!?」

不二咲「でっ…でも僕は、欲しいと思ったから入札します……ご、ごめんね、わがまま言って…」

大和田「いや、助かる。ありがとよ不二咲。あと朝日奈テメェあとで覚えてろよ」

朝日奈「ホントのこと言っただけだもん」

モノクマ「それでは、『超高校級の暴走族』、大和田紋土くんの枝毛――レッツ・ハンマープライスゥ!!」

不二咲千尋のリアルマネー>>160

ポケットに入ってたゴミ

モノクマ「え…」

不二咲「………」

モノクマ「………」

苗木「……? モ、モノクマ?」

大和田「どうしたってんだよおい」

モノクマ「……不二咲千尋くん。もしかしてタイピングミスとかあったりした?」

不二咲「えっ…? そ、そんなはずはないけど…」

石丸「『超高校級のプログラマー』である不二咲くんが、機械操作を誤るなど有り得ないことだ!」

モノクマ「えぇ~…」

霧切「いったい、不二咲さんが何を提示したというの?」

モノクマ「……まぁいいや、それじゃあ2人とも、前に出てきてくーださいっ」

大和田「なんなんだよ…」

不二咲「えへへ…」

モノクマ「じゃあ大和田くん、枝毛の授与を」

大和田「応」

舞園「…え、枝毛の授与…」

山田「シュールな響きですな」

大和田「…気味悪かったらすぐに棄てろよ」

不二咲「わぁ…、ありがとう、大和田くんっ!」

モノクマ「では不二咲くん……ポケットに入っていたゴミを」

不二咲「うんっ」

セレス「…は?」

葉隠「ゴミぃ!?」

不二咲「えっと……はいっ、大和田くん」

大和田「お、おぉ……なんだこりゃ?」

不二咲「それはね、僕が『超高校級のプログラマー』として働いていた時に使ってた名刺だよ」

苗木「名刺?」

不二咲「この学園にいたら、ケータイ電話も住所も関係無いよね。名前だって、僕たちはみんな知ってるわけだから」

モノクマ「なるほどなるほど。確かに、利用価値のなくなった物はただのゴミですね」

不二咲「でも、名刺には他に一つだけ使い道があったのを思い出したんだ」

霧切「名刺の使い道というと……“約束”、かしら」

不二咲「うんっ」

苗木「き、霧切さん、“約束”って?」

霧切「名刺の裏は白紙でしょう? ビジネスなどではよくそこをメモとして使ったりするけれど、それには意味が有るの」

葉隠「は、初耳だべ」

十神「それは貴様が名刺という物に縁遠いせいだ」

霧切「“名刺の裏に書いた約束は、必ず守る”という決め事があるの。実際には、社交辞令より少し強めの意識表明…といった風に使われているけれど」

不二咲「…だからね、この名刺には、僕から大和田くんに向けての約束を書いておくね」

大和田「俺との…約束」

不二咲「……はい、じゃあこれ…受け取ってください」

大和田「ああ、ありがとよ。…どれどれ?」

不二咲「わわわっ、恥ずかしいからいま見ないで、部屋に帰ってから見てよ。ね?」

大和田「わーったわーった。あとでな、あとで」

不二咲「えへへ…ありがとう!」


山田「ふおぉぉ…!! 捗る~、捗る~、妄想が捗りますぞ~!!」

セレス「またこの生きたラードは……まったく」

モノクマ「はい! それでは流れるように第6回絶望オークションに臨みます!」

朝日奈「まだ続くの~?」

葉隠「いい加減疲れてきたべ…」

モノクマ「しーらんぺったんゴリラのケツ洗いっ! それでは出品番号6番、>>193>>198!」

(葉隠、苗木、桑田、十神、大和田を除く)

霧切

キスする権利

霧切「…!」

桑田「こ、これは…!」

舞園「ひどい…!」

苗木「モっ…モノクマ! なんで…こんな、女の子に非道いことばかりするんだ!」

モノクマ「えー? 女の子に直接的な被害が出る出品物はこれが初めてですが?」

苗木「そんな筈は…!」

霧切「確かに、江ノ島さんは自分から入札した結果、舞園さんは靴下と軽度、腐川さんも自ら入札したわけだから、そうなるわね」

モノクマ「うぷぷぷ! 気に入ってもらえたかなぁ、霧切響子くん」

霧切「どうかしらね。少なくとも今は、あなたを叩き潰したい感情に駆られているけど」

モノクマ「おぉ、こわいこわい。でもその表情がこの後どう変わるのか想像すると……イッツ・エクスタスィィ~!」

苗木「モ……モノクマぁぁぁ…!!」

大神「なんと悪趣味な…!」

十神「悪にしては器の小さいことだな」

不二咲「えへへ…」

大和田「…なぁ、なんでンなもん欲しがったんだ?」

不二咲「あ…えっとね、はい!」

大和田「…? ローラーの芯を頭にのせてどうしたよ」

不二咲「お、大和田くんの真似」

大和田「………」

不二咲「………」

大和田「……お、おお…」

不二咲「わっ、忘れて! いまの忘れて! ちょっとした遊びだから!」

山田「うむ、リア充爆ぜろ!」

セレス「あなたのお腹も爆ぜなさいな。夜空に咲き散る花火のように」

十神「…さて、出品されてしまった以上、誰かが競り落とすしかあるまい」

苗木「競り落とすって言っても……」

十神「たかがキス程度とは思うが、気にする奴は気にするだろう。だったら、やはり女子に頼むのが得策ではあるが」

葉隠「あー、でもよ? 落札者そーとー女子に寄ってっじゃんか。この後のこと考えると怖くね?」

十神「なんだ貴様、霧切とキスがしたいのか?」

葉隠「なっ…!?」

十神「とにかく、性交渉に繋がる行為はそのまま人間関係の破壊も行う。下手な議論はマイナスにしかならん」

モノクマ「うぷぷぷ! それでは、“霧切響子にキスできる権利”をかけて、第6回絶望オークション、開廷~!!」

ごめん早漏だわ

苗木

お前ら ん で争うなwww

お犬和田ってだれだ

>>293
お、大和田

ホモ大和田ボンド

済みません。ごめんなさい。

苗木「き、霧切さん!」

霧切「………」

苗木「霧切さんは、誰に落札してもらうのが最善だと思う?」

朝日奈「ちょ…!?」

十神「バカが…」

葉隠「そりゃ訊いちゃだめだべ、苗木っち」

苗木「えっ? で、でも霧切さん自身の問題だから…」

舞園「そんなこと、女の子から言い出せるわけないです!」

霧切「……いいわ」

石丸「霧切くん!?」

霧切「『キスをしたい相手』を選べばいいのでしょう? だったら簡単よ。苗木くん」

苗木「なっ、なに?」

霧切「苗木くん」

苗木「…霧切さん…?」

霧切「……苗木くん」

苗木「ど、どうしちゃったのさ霧切さん、はやく相手を選ばないと…!」

霧切「………」

江ノ島「うわぁー…」

山田「これはひどい」

セレス「コレに気が付かないというのも、ある意味超高校級の幸運なのでしょうか」

不二咲「苗木くん…気付いてないんだ」

大和田「何がだよ」

不二咲「えっと…、霧切さんがなんて言っているのか…」

大和田「あん?」

不二咲「大和田くんも気付いてないんだ……」

霧切「……もういいわ」

朝日奈「きっ、霧切さん!?」

霧切「キスの1回や2回、騒ぐような事ではないもの。いまは早く、このオークションを進めましょう」

朝日奈「そ…そんな…」

モノクマ「うぷぷぷ! いいのかなぁ、ちゃんと伝えなくて…?」

霧切「…構わないわ。始めてちょうだい」

セレス「………」

モノクマ「――それではぁ! レッツ・ハンマープライス~!!」

石丸、江ノ島、舞園、腐川、不二咲を除いた落札者。
>>401
上記者のリアルマネー。
>>404

済みません、390番台だと勘違いしていました。

(再指定)
石丸、江ノ島、舞園、腐川、不二咲を除いた落札者。
>>368
上記者のリアルマネー。
>>372

(落札者のみ再指定)
石丸、江ノ島、舞園、腐川、不二咲を除いた落札者。
>>378

苗木

グダグダグダグダと本当に申し訳有りません。

落札者:苗木誠

リアルマネー:>>380

でお願いします。
月曜日の早朝なので油断していました。

さくらちゃん

苗木のパーカー

モノクマ「……チッ」

腐川「し、舌打ちした…!」

十神「ヤツにとってつまらない展開になったか」

霧切「……モノクマ、私への“キスする権利”を落札したのは誰?」

モノクマ「えぇーっとぉ、それはぁ……」

一同「………」

モノクマ「――『超高校級の幸運』、苗木誠くんに決定ぃ~!!」

霧切「…!」

葉隠「おぉ…!」

山田「なんと…!」

セレス「あらあら、つまらないですわね」

朝日奈「やった! やった! 苗木ってばえらい!」

大神「なるべくしてなったか…」

舞園「…仕方ないですよね…仕方…」

江ノ島「……ふんっ」

石丸「ううむ…しかしやはり不純異性交遊は…」

大和田「堅いこと言うなって兄弟、誰かが死ぬよかマシだろ」

不二咲「そうだよ。それに…“不純”なんかじゃ、ないよ」

苗木「……えーっと…?」

モノクマ「あーあ、つまんないなぁ」

霧切「よく落札者を苗木くんに選んだわね。私へのイヤがらせなら、物の価値に関係なく他の人を選ぶことも可能だったでしょうに」

モノクマ「だって、“苗木くん以外誰も入札しなかった”んだもの。選ぼうにも選べませーん」

苗木「えっ…!?」

霧切「そう…」

苗木「みんな、どうして…?」

江ノ島「まっ、流石にねー」

舞園「他に、誰かが入札していい雰囲気ではなかったですから」

桑田「あの空気で入札してたらトンだKYだってのな」

舞園「………」

モノクマ「ホント、あの空気で誰も入札しないなんて、みんなトンだKYだよ!」

腐川「無茶言わないでよ…!」

霧切「――それで、苗木くんは“何”をリアルマネーにしたのかしら?」

苗木「あ…僕はね、このパーカーなんだ」

山田「ななな、なんと!? 苗木誠殿のアイデンティティーであるパーカーを!!?」

江ノ島「…!」

舞園「…!」

苗木「使い古しちゃって生地も傷んできちゃってるけど、僕の私物の中では多分価値が高いんじゃないかと思って…」

>>1
今から大学を密集建造して学生を1か所にわざわざ集めるメリットがない
教育・研究を充実させたいなら全国に点在する学校の質をそれぞれ高めればいい話
よって不可能。

モノクマ「あーもう、ほら2人とも早く前に出てきて」

苗木「えっ…!?」

霧切「パーカーを受け取らないといけないわ」

苗木「あ…そうか、そうだね」

モノクマ「――じゃあ苗木くん、その君の汗を吸い込んで匂いが染みついたパーカーをなるべくいやらしく脱いで霧切さんに渡してください」

苗木「なんでいやらしく脱がなきゃいけないの!?」

モノクマ「ボクの趣味です」

霧切「いやな趣味ね」

モノクマ「お手本を見せます。こうやってクネクネと…」

朝日奈「いやぁ! モノクマがヌルヌル踊ってる!」

申し訳有りません、ここから、只でさえ遅い投下が更に輪をかけて遅くなってしまいます。

無言で落ち朝まで保守していただいておいて大変身勝手極まりないのですが、もちスレッド落ちましたら、次からは速報に移らせていただきます。


これまでの保守と支援、本当に有り難う御座いました。

苗木「それじゃあ、霧切さん…これ」

霧切「ええ……ありがとう」

苗木「いや、そんなお礼を言われるようなことしてないよ。落札した権利だって、十神くんみたいに使わな…」


 照れたように笑う苗木誠の手を、霧切響子は引き寄せた。
 急な力に誠は、すぐ目の前に居た響子にむかって倒れるように態勢を崩す。

 響子の手が誠の頬に添えられ、瞬く間に――

苗木「んんっ…!?」

 ――唇が、奪われた。

霧切「………」

 驚きと、無理な姿勢。
 2つの要素が絡み合い、また2人の舌が絡み合い、誠は抵抗する術を失う。

苗木「…きっ…りぎ…さ…」

霧切「んっ……ふ…」

 誠の言葉も遮って、キスは続けられる。

 突然の事に、声を出せないでもいるのは他のメンバーも同様であった。

 舌と舌とが絡み合い。

 唾液と唾液が混じり合う。

 これまでの人生で経験したことのない感覚と興奮から、又は熱烈過ぎるキスによる酸欠から、苗木誠の意識は次第に薄れていく。

 ガクリと、膝が折れた誠の体を、パーカーを掛けた腕で霧切響子が抱き留める。

 誠がピクピクと夢見心地に居るのを腕の中に感じながら、
 霧切響子は唇に付いた唾液を手袋で拭い、周りの者たち全員を見据えて、告げる。


霧切「――続けましょう。この絶望の競売を。」

 とても、清々しく凛とした笑顔だった。

朝日奈「あわわ…」

不二咲「はわわ…」

桑田「うわわ…」


江ノ島「なっ――」

舞園「――なにしているんですか、霧切さん!!」

霧切「…なにって、キスよ」

舞園「そんなこと、言われなくてもわかってます!」

霧切「じゃあ、なに?」

舞園「…な、苗木くんは、落札した権利を行使するつもりはなかったはずです。どうして、霧切さんからキスするんですか!」

霧切「私からしたように見えたのは、気のせいよ」


山田「…修羅場ですな」

セレス「黙って鑑賞していましょう」

霧切「私はこのオークションを“終わらせる”と言った。つまり、このオークションで発生した諸々の『権利』も同様に、消費して然るべきということ」

舞園「なっ…な…!?」

江ノ島「でもさー、さっきのキスはちょ~っと濃厚過ぎない? 高校生がやるキスじゃないでしょあれ」

霧切「この権利は消費する物、1回だけの限定が有る。……ただのキスの代金がお気に入りのパーカーでは、苗木くんに悪いと思ったのよ」

石丸「しっ、しかしだなぁ! このような、全員の見ている前でキスをするなど、あまりに破廉恥ではないか!?」

セレス「ああ、そう言えば。…モノクマさん、先程のは不純異性交遊には入りませんの?」

モノクマ「えぇっとぉ、入れたいのはヤマヤマなんですが、今回は不問とします」

舞園「な、なんでですか!?」

霧切「例えば私がリアルマネーとして『キスの権利』を支払っていたのなら、公衆の前でのキスは不純異性交遊にカウントされたのでしょうけど。今回は“モノクマが提示してきた権利”だから」

モノクマ「まぁそういうわけで、第6回絶望オークション終了ー!」

霧切「…苗木くん…苗木くん、立てる?」

苗木「うぅ~ん……あれ、僕は……?」

霧切「ごめんなさい、すこしやりすぎたようね」

苗木「――ほわあぁぁぁぁぁあ!?」

江ノ島「だっ、大丈夫苗木!?」

葉隠「キ、キスのし過ぎで頭いかれちまったか!?」

舞園「苗木くん、苗木くん!」

苗木「あ…あ……ま、舞園さん……」

舞園「――霧切さん! 苗木くんが驚いてるじゃないですか!」

霧切「ごめんなさい、もうなにもしないから、怖がらなくていいわ」

苗木「あ…その、別に怖がったわけじゃないんだけど…」

大和田「照れてんだけだろ。まだまだガキだな苗木も」

不二咲「…お、大和田くんは経験あるの…?」

大和田「ったりめーだろ。惚れた女は星の数、愛した女は1人だけ、ってなぁ!」

腐川「絶対ウソだわアイツ…」

十神「下らん」

朝日奈「キスとか、マンガとかドラマの中でくらいしかみたことなかったよ…」

大神「……我もだ」

石丸「せ…接吻…」

桑田「汗臭い野球選手より、ミュージシャンになったほうがモテるよな、うん」

モノクマ「あー、なんか一気にやる気なくなっちゃったなぁ」

苗木「なら、これでおひらきにするって言うのは…」

モノクマ「そんな半端は許しません! ボクは中途半端だったり曖昧だったりするのが大キラいです!」

苗木「じ、自分がこの上なく白と黒の半端なカラーな癖に…」

モノクマ「そんなわけで出品番号7番、>>444>>449!」


(葉隠、苗木、桑田、十神、大和田、霧切を除く)

くつ

舞園「……ウソですよね?」

モノクマ「でもコレ、本当ですから~……ザンネン!!」

舞園「……いや…いやぁ…」

モノクマ「さっき桑田くんに靴下あげちゃってるから裸足になっちゃうけど、まぁ床や廊下はボクが責任をもってチリひとつないピカピカにしているので問題ありません!」

不二咲「そう言うことじゃないような…」

モノクマ「…あれ? もしかして舞園さん、水虫とかもってたりします? そしたら出品変更も考えなくもなくもないですが」

舞園「ありません!! 失礼なこと言わないで下さい!」

モノクマ「うぷぷぷ! じゃあ問題ないですね? それでは、第7回絶望オークション、開廷~!!」

山田「靴下に続いて靴を奪うとは…モノクマ殿は脚フェチな御様子」

セレス「靴下は彼女の自爆ですけどね」

舞園「……もうやだ……なんで私、こんな……」

葉隠「不憫だべ…」

大和田「別に靴くらいなんだってんだよ。倉庫に新しい靴とかあんだろ、なぁ?」

不二咲「そういうことじゃないよ……そういうことじゃ、ないんだよ……」

桑田「な、なあ?」

舞園「…!!」

山田「桑田怜恩殿が動いたっ…!?」

苗木「ど、どうしたの、桑田くん」

桑田「あのさ、今回のコレ、舞園の靴なんだけどさ、もしよかったら俺が――」

舞園「いいです! 大丈夫です! 問題ありません! ご心配には及びません!!」

一同「!!?」

苗木「ま、舞園さん? どうしちゃったの?」

舞園「――あ、苗木、くん……べつに、どうも、しませんよ…?」

朝日奈「目が笑ってないよぉ…」

霧切「もしかして桑田くんは、『俺が靴を落札して、靴下と一緒に返そうか』と提案しようとしたのかしら」

桑田「お、おう…女の子の靴下なんて、ずっと持ってるのもなんか心苦しくてよ」

セレス「それなら、このオークションが始まってからほぼずっと男性の水着を握り締めている方が1名いらっしゃいますが」

石丸「問題ない! もう乾いた!」

江ノ島「早っ!」

大和田「兄弟は燃えるように熱い男だからな!」

腐川「ど、どうしてアンタがほこらしそうなのよ…」

霧切「――そして、舞園さやかはその提案を拒否…いえ、遠慮したのね」

舞園「あ、あの靴下はもうちょうど捨てようと思っていたところだったので、べつに返してもらわなくても大丈夫ですよって意味だったんです。…桑田くん、声を荒げちゃってごめんなさい」

桑田「うぉ!? あ、まぁ、そんなこともあるって、気にすんなよ」

舞園「ありがとうございますっ」

苗木「……舞園さんがアイドルモードになっている……」

山田「――説明しよう! アイドルモードとは、超高校級のアイドル舞園さやかがその人気故の激務に追われ体調を崩した時、『笑顔で…がんばりますっ!』と言い過密なスケジュールを全てこなしてみせたという、舞園さやかの極限最終モードである!!」

セレス「なんですの、その説明口調は」

山田「吾が輩の同人作家としても妄想が爆発してしまいましてね。ハッハッハッハッ」

セレス「普通に気持ち悪いですわね…」

苗木「舞園さん、無理しないで。イヤなことはイヤでいいから、みんなで最善な案を考えよう?」

舞園「大丈夫ですっ。山田くんが言っていたのとは違いますけど、なんかふっきれちゃいましたから」

苗木「舞園さん……」

舞園「――さぁ、入札を始めましょう? どんな結果になっても、私はそれを受け入れます」

モノクマ「いいですねぇ…いいですねぇ!! その“世の中の理不尽に対して絶望している”感覚! すごくいいですよ!! ちょっとボク感動すら覚えてます。絶望ってイイネ!!」

苗木「最悪な感想だよ…」

モノクマ「レッツ・ハンマープライス!」

石丸、江ノ島、腐川、不二咲、苗木、舞園の本人以外の落札者。
>>486
上記者のリアルマネー。
>>492

葉隠

水晶玉

モノクマ「うぷぷぷ! また凄い物がありますねぇ……よぉし、キミに決めたっ!」

舞園「っ…!」

モノクマ「超高校級のアイドル、舞園さやかさんの『靴』を落札したのはー……『超高校級の占い師』、葉隠康比呂くんでーす!」

大和田「おお?」

朝日奈「意外」

セレス「他人の物を競り落としている余裕なんてあるのかしら?」

桑田「ちぇっ…」

山田「正直落札しても使い道がありませんからな」

苗木「――葉隠くんなら安心だね、舞園さん」

舞園「え、あ、はい。そうですね」

モノクマ「じゃあ2人とも、前に出てきて」

葉隠「ま、また!?」

モノクマ「じゃないと渡せないじゃない」

舞園「………」

葉隠「…やー、その、なんだべ。あんまり正面きって喋ることも少ないけど、なんつーか……舞園っちのこと、他人とは思えねぇっつーか……」

舞園「あ……はい、それは、私も思ってました。なんというか、一歩違えば私とあなたのどちらかが死んでいたような、そんな感覚が」

十神「……何を言ってるんだあいつらは」

腐川「さ、さぁ…?」

舞園「…ではこれ、お願いします」

葉隠「お、おお……靴もずっと持ってるんだべ?」

モノクマ「クンカクンカしてもいいですよ?」

葉隠「するかっ!」

舞園「ふふっ……それで、葉隠くんは何を?」

葉隠「あ、ああ……コレだべ」

苗木「えっ…!」

石丸「そ、それは! 葉隠くんが葉隠くんであるために必要な物ではないか!!」

朝日奈「どうしよう、葉隠の占いが1割も当たらなくなっちゃう!」

舞園「水晶玉……でもいいんですか? こんなに高価そうなものを…」

モノクマ「うぷぷ…」

葉隠「あー、実はそれ、ガラスで出来たレプリカなんだべ。それでも一応値が張るヤツだから、まぁ大事にしてくれっと嬉しいべ」

モノクマ「うぷぷぷ…」

舞園「はいっ! ありがとうございます!」

モノクマ「――はぁーい! 交換成立! これにて第7回絶望オークション終了~!! ドンドンパフパフプピープピー!」

不二咲「な、なに?」

桑田「やけにモノクマのテンションが高くねぇか?」

モノクマ「あー、葉隠くん葉隠くん」

葉隠「ん? なんだべ?」

モノクマ「葉隠くんの“ガラス玉”は、ランドリーのところに置きっぱなしになってますよ?」

葉隠「……うん?」

苗木「え…それって……」

モノクマ「つまりいま舞園さんに渡したのは、葉隠の大事な大事な“本物の水晶玉”なんですねぇ~! うぷぷ!! もーケッサク! うぷぷぷっ!!」

葉隠「そ、そんな……ウソだべ…」

十神「…モノクマのヤツ、知っていて黙っていたな」

大和田「だからあんなに喜んでやがったのかよ!」

舞園「あ、あの、そんなに大事な物ならお返ししま…」

モノクマ「ノー! もうこの場での売買は成立したのです! だから2人とも早くさよならバイバイしてください!」

舞園「そんな…!」

苗木「…舞園さん、いまはモノクマの言うとおりにしておこう。葉隠くんに返すなら、オークションが終わってからでもいいんだから…」

舞園「あ…そっか、そうですよね」

葉隠「…俺の…俺の水晶玉が…」

苗木「……葉隠くんには、悪いけど少しだけガマンしてもらおう」

舞園「はいっ」

葉隠「………」

苗木「…?」

葉隠「……超高校級のアイドルの靴って、いくらで売れるんかな…」

舞園「…!?」

舞園「…もう男の人なんて信用できません…」

苗木「ま、舞園さんがまた落ち込んでる…!」

不二咲「こんどはどうしちゃったの…?」

苗木「偶然と、誤解と……事故、だよ」

不二咲「…?」

十神「――まったく、ウジウジウジウジと面倒なヤツだ」

舞園「っ…!」

苗木「十神くん!」

十神「貴様は精々靴下を脱がされ脚を少し触られた程度だろう。……俺の足下にも及ばない」

腐川「すーはー…すーはー…」
苗木「………」
舞園「………」

十神「さっきまで穿いていた下着を目の前で嗅がれているんだぞ。この苦痛に比べれば貴様の苦悩なぞ蚊に刺されたようなものだろう…!」

苗木「十神くん…」

舞園「…ごめんなさい……私、間違ってました…」

十神「フン。さっさと次を始めるぞ」

    【中間結果】

1st:出品者「葉隠康比呂」/『スク水』
  落札者「石丸清多夏」/『第2ボタン』

2nd:出品者「苗木誠」/『童貞』
  落札者「江ノ島盾子」/『人生』

3rd:出品者「桑田怜恩」/『野球道具一式』
  落札者「舞園さやか」/『いま履いている靴下』

4th:出品者「十神白夜」/『穿いているパンツ』
  落札者「腐川冬子」/『処女』

5th:出品者「大和田紋土」/『枝毛』
  落札者「不二咲千尋」/『ポケットにあったゴミ』

6th:出品者「霧切響子」/『キスできる権利』
  落札者「苗木誠」/『パーカー』

7th:出品者「舞園さやか」/『履いている靴』
  落札者「葉隠康比呂」/『水晶玉』

モノクマ「もう半分に来ましたね、後半戦もガンバりましょー! …出品番号8番、>>554>>559!」

(現時点での未出品者に限る)

モノクマ

監視カメラの映像

苗木「こ、これは…!?」

石丸「『監視カメラの映像』だと!?」

朝日奈「どーいうこと? なんでモノクマが出品してるの…?」

霧切「……モノクマ、説明は有るのでしょうね」

モノクマ「もっちろーん。――はい皆さん、今回の出品者はこのボク、モノクマ学園長です!」

大和田「ンなこたわぁーてるよ!」

山田「せ、説明を! 詳細を希望致しますぞ!」

モノクマ「まぁまぁ。…これは、ボクからのボーナスチャンスだと思って下さい」

十神「ボーナスだと?」

モノクマ「絶望オークションが半分過ぎたころ、落札できていないヒトが1人でもいた場合は、有り得なかった出品ということです」

不二咲「…そっか、モノクマがひとつ多く出品してくれれば、そのぶん僕たちが落札出来る可能性が上がるもんね…」

セレス「しかもその品がとびきり御馳走ときていますわ」

苗木「……本当にそれだけ?」

モノクマ「いやー、ここまでの間に絶対だれか1人くらいは落札できずに、今頃オシオキの恐怖に泣き喚いているかと思ったのですが」

霧切「わからないわね。ボーナスチャンスと言ったけれど、それはこの後に8回分のオークションが残っていると言うこと?」

モノクマ「そうです。皆さんは見事に隠しイベントを発見されたので、オークションは全16回に更新されましたー!」

腐川「…い、いやな思いをする時間が延びただけじゃないの…?」
モノクマ「のび太?」


霧切「――では、何故私たちにプラスになるようなことをするのかしら。もう飽きたの?」

モノクマ「まぁ、今回の出品はちょっとだけ趣旨が違いますので」

苗木「『監視カメラの映像』……確かに、手に入れば何か有益なことがあるかも知れないけど…」

舞園「あ、でもこれって……」

苗木「舞園さん?」

舞園「これ……“みんなが落札したい”のに、“落札出来ない人がいる”ってこと…ですよね?」

モノクマ「うぷぷぷ! そのとぉ~り! 様子をみて入札を控えていたり、わざと価値の低そうな物ばかり出してその場を乗り切っていたヒトほど、この反則級の出品物を競り落とすことが出来るのでーす!」

石丸「なに!? まさか、そんな人がこの中に居るはずがないじゃないか!!」

セレス「まったくですわ」

山田「やれやれ濡れ衣ですなやれやれ」

大神「………」

苗木「ま…まさか、みんな…?」

モノクマ「そして、積極的に参加してサクサクとオークションを進行させていたヒトほど、この反則級の出品物に対してなにもできないと言うことです!」

モノクマ「それじゃあ、改めてルールを確認しておきましょう」

    【絶望オークション】
 1.学園長(モノクマ)の提示した出品物を、自分の私物をお金の代わり(リアルマネー)として“競り落とす”ことが出来ます。

 2.落札した物は落札者に所有権が渡り、好きに利用することが出来ます。

 3.落札物の転売は不許可。互いに合意の上での譲渡ならば可。

 4.落札につかわれた『リアルマネー』は出品物の前所有者の物となります。実はこちらも転売不可、譲渡可。

 5.「出品物の最低落札価格」、「入札されたリアルマネーの価値」は学園長(モノクマ)の一存で決定し、実際の価値通りではありません。

 6.出品物はそれに価値が見いだせれば“何でも”出品物になりえます。リアルマネーに於いても同じ。

 7.オークション開催は全部で15回(→16回へ変更済み)。内、なにかを落札出来るのは1人につき1つ。毎回入札の有無は自由。

 8.オークション会場(学級裁判所)に集まった生徒は、なにか1つでも落札しない限り会場から出られません。

 9.全オークション終了後、会場に残り続けている生徒は全員まとめてオシオキです。


モノクマ「わかりやすくまとめてみました。どう? オークションへのやる気が出てきたでしょう?」

桑田「…こうして見ると、親切なのか鬼畜なのかわかんねぇルールだな」

葉隠「んでも、命がかかってるんだから、それがなんであっても取りあえず落としとけば安心だべ?」

霧切「余程の物でもない限り…」

苗木「(……モノクマのことだ、この後にトンでもない物を用意しているかも知れない……僕はもう安全圏にいるけど、絶対に、誰1人も死なせるもんかっ…!!)」

セレス「――それで、今回の出品物についてですが」

モノクマ「ああそうそう。…それは見て通りの読んで字の如くです。落札された方のお部屋にモニターを用意するので、自由にカメラの映像を視聴することができるようになりますよ」

山田「フォオオオオオ――!!」

桑田「マジかよマジかよ!?」

腐川「うっ、ウソ、そんなステキな物なんで今更出すのよぉ…!!」

モノクマ「ただし! 指定できるカメラはひとつだけです。そのカメラがどこにどう配置されているのかを知らなかったら指定できません」

苗木「えっ…と、例えば“モノクマが普段居る場所のカメラ”っていう指定は出来ないってことだよね?」

モノクマ「当てずっぽうでもダメです。最低でも、自分が眼で見て確認したことがあるカメラでないと」

苗木「そっか…」

モノクマ「あ、でも皆さんのお部屋とかはカメラが有るのが確定しているので指定してもいいですよ」

朝日奈「いっ、いちばんダメなとこでしよそれ!」

大神「婦女子の部屋すら対象になるとは……なんたる外道…!」

モノクマ「うぷぷぷ! これは女性の皆さんは是が非でも落としておかないとね!」

不二咲「部屋の中なんて観られたら…こ、困っちゃうよぉ……」

モノクマ「そうだ苗木くん」

苗木「な、なにモノクマ…」

モノクマ「――ボクはいつでも皆さんの心のなかにいます。普段ボクの居る場所だなんて、哀しいことを言っちゃダメですよ――」

大和田「しゃらくせぇぞテメェ!」

モノクマ「うぷぷぷっ!」

十神「そうか……今回の出品はそれが目的なんだな」

山田「と言いますと?」

十神「プライバシーを覗かれるんだ、女共が真っ先に、最優先に落札しに来るだろう」

山田「まぁ、そう考えるのが普通ですな」

十神「いま、オークションで落札行為が可能な女はどれだけ居るとおもう」

桑田「んと、朝日奈に大神に霧切にセレス……こんだけ?」

十神「4人だな。その内の1人が今回落札して残りが3人になったと仮定する」

大和田「ンだよ、さっさと本題を言えよ」

十神「がなるな。…そんな状態で、出品物に『山田とのキスの権利』なんて物が出たらどうする気だ。或いは強制でもされたら手に負えんぞ」

葉隠「そっ、そりゃあ全力回避だべ!!」

苗木「…権利ならつかわなければいいだけだけど、強制されたら……」

霧切「…絶望は免れないわね」

山田「泣いてもいいですか?」

セレス「お鳴きなさい、豚のように」

モノクマ「うぷぷぷ…!」

舞園「(…みんなで話し合えば合うほど、モノクマにヒントを与えてる気がします…)」

十神「――男共はどうしても回避したく、女共に回そうとして入札を控える。逆に女共も男共に回そうとして控える。そうなると自ずと導き出されるのは――」

苗木「――『パス』」

十神「そうだ。余裕が生まれた分、気が緩む。しかし、その後さらに無理難題が出題されたらどうする?」

朝日奈「ど、どうするって…」

十神「そうなれば後は責任の押しつけ合いだ。さっき落札しておくべきだっただの、今回は誰が落札するのかだのと言ったな」

大神「…追い詰められた分、状況は切羽詰まって感じられるわけか」

霧切「実際には、オークション開催時と変わらない条件なはずなのに、ね」

葉隠「……あーもう! いろいろ難しすぎてわっけわかんねぇべ!!」

苗木「つまり十神くんは、この『モノクマの出品物』こそパスするべきだって、そう言いたいんだよね?」

十神「ああ。ここまでの男女比は自然に起きたものだ。そこを強制的に崩されるのは許容出来ん」

セレス「パスをすれば、皆さんが平等のまま。誰かが落札すれば、バランスは崩れ事態は思わぬ方へ歪みかねない……」

朝日奈「……ど、どうするの…? みんなで指切りげんまんでもする?」

腐川「そ、そんなので約束守れば苦労しないわよっ…まったく…!」

苗木「……いや、もう入札を始めよう」

一同「…!?」

舞園「ど、どうして苗木くん」

苗木「ダメなんだ。十神くんの話しを聞いて気付いたけど、モノクマはこの後の人間関係なんて期待してない。――いま、この場で疑心暗鬼に陥っている僕たちを観て笑っていたいだけだ!」

モノクマ「うぷぷぷ…!!」

苗木「僕はみんなを信じるよ。例え落札してもしなくても、僕たちは絶望したりなんかしない。そう、信じてるから」

舞園「苗木くん…!」
大和田「苗木…」
山田「苗木誠殿…」
石丸「苗木君…!!」
葉隠「苗木っち…」
大神「苗木…」
朝日奈「苗木ぃ…!」
不二咲「苗木くんっ…!」
江ノ島「苗、木…」
霧切「………」
十神「フン…」
セレス「………」
桑田「………」

モノクマ「えーっと? また開廷し忘れました。もうこのままレッツ・ハンマープライス!!」

コンマ奇数の場合入札無し。
偶数の場合は落札。未落札者に限る。
>>660

セレス

モノクマ「――はぁーい! 落札結果がでましたぁ!」

苗木「……!」

モノクマ「今回のぉ、落札結果はぁ……やすセレスティア・ルーデンベルクさんですぅ!!」

朝日奈「あ……」

不二咲「落札……」

セレス「あら? 私が落札出来ましたのね、嬉しいですわ」

石丸「――セレスティア君!! 何故だっ…何故みんなの気持ちを裏切るような真似を…!!」

苗木「ダメだよ石丸くん! …たとえ誰が落札しても、それを恨んだりしたらいけないんだ……それこそ、モノクマの思う壺だよっ…!」

石丸「くっ…!」

モノクマ「ふんふふ~ん。セレスティア・ルーデンベルクさん、空気を読んでくれてボクとっても嬉しいです」

セレス「お誉めに与り光栄ですわ」

モノクマ「じゃあ、落札したセレスさんには『指定した監視カメラ1機の映像』を差し上げます。あ、一応リアルマネーも貰っておきますね」

セレス「はい、それはもうどうぞご自由に」

セレスティア・ルーデンベルクの指定したカメラ。
>>669
セレスティア・ルーデンベルクのリアルマネー。
>>675

戦刃

ポケットに入ってた塵

セレス「はい、ではこれで」

モノクマ「ハイハイ、確かに頂戴しました『ポケットのなかの塵』」

山田「なんですとー!?」

桑田「やっ、安すぎだろ!?」

モノクマ「とは言ってもですねー。他に誰も入札しなかったわけですから、仕方ないですねー」

セレス「ふふふ、もし他に落札しようとしている人がいたら、確実に負けていましたわね。…まあ、『超高校級のギャンブラー』であるこの私が、“賭け引き”に負けることなど有り得ないことですが」

桑田「くそぉぉぉぉ…! 入札しとけばよかったあぁぁぁぁ!!」

山田「んぎぎぎ…!」

舞園「……山田くんに桑田くん………」

朝日奈「最っ低」

モノクマ「ふんふふふ~ん」

苗木「モノクマ…」

モノクマ「知ってました? ポケットの隅っこに溜まった毛クズは火を熾すときの着火材にちょうどいいそうです。ボクは金田一少年で知りました」

苗木「知らないよ…」

モノクマ「セレスティア・ルーデンベルクさん? カメラはどこのカメラがいいですか? ボクってば気分がいいので、申し出があれば男湯に新しく設置してもいい」

セレス「いりませんそんな場所。……そうですわね……では、『江ノ島盾子さんのお部屋』を指定させていただきます」

江ノ島「……えっ?」

モノクマ「えっ」

霧切「―――」

モノクマ「なんでまた?」

セレス「だって、今夜はそこでとてもステキなことが行われるではありませんか」

朝日奈「ステキ…」

葉隠「なこと…」

苗木「……あ」

舞園「ま、まさか…!?」

江ノ島「ちょっ…ふざけんなゴスロリぃ! なに平然と出歯亀しようとしてんの!?」

セレス「ですが、他に観たいところなんて有りませんし。自分で所在を知っているカメラの映像なんて、自分が足を運べばいいことですもの」

江ノ島「ぐぬぬ…モっ、モノクマぁ!」

モノクマ「はいはい、なんでしょう『超高校級のギャル』である“江ノ島盾子”さん?」

江ノ島「うぐ……な、苗木…の童貞喪失を生中継とか、そんな不純なことしないわよね?」

モノクマ「うぷぷ! なに言ってるんですか。ただ観るだけなら不純とは言い難いですねぇ……皆さん思春期真っ直中なわけですし」

葉隠「俺は思春期って歳じゃないけどな…ははは…」

舞園「……セレスさん!!」

セレス「はい…?」

舞園「きょ、今日は朝まで女子会でもしませんか!?」

苗木「舞園さん!?」

セレス「美味しいロイヤルミルクティーがあれば、考えてもよろしいですわよ?」

朝日奈「あっ! じゃあわたしが淹れていくよ!」

大神「朝日奈…!?」

朝日奈「さくらちゃんも一緒に、ね? ねっ?」

大神「…うぅむ…」

霧切「………」

セレス「――貴女は、来られないのですか?」

霧切「結構よ」

セレス「そうですか」

不二咲「…み、みんなどうしちゃったの……」

大和田「ケッ、覗きなんて男らしくねーまねよく堂々と出来たもんだぜ」

桑田「いや、女子だし」

不二咲「ぼ、ぼくは観に行かないからね…!?」

大和田「おうおう、そうしとけそうしとけ」

山田「正直観たくて仕方がないのですが」

葉隠「そっか…今日苗木っちは、大人の階段をのぼっちまうんだべな……」

石丸「不潔だ! みんなみんな不潔だぞ!」


苗木「……もう恥ずかしくて死んじゃいそうだよ……」

モノクマ「はい! では第8回絶望オークション終了ー! …なんだか色々言っていたみたいだけど、思惑通りにいったのかなぁ~? うぷぷぷ!」

十神「チッ…」

霧切「問題ないわ。続けましょう」

セレス「ええ、問題ありませんわ。続けましょう」

苗木「女の子ってこわい…」


モノクマ「それでは出品番号9番! >>713>>718です!」

(未出品者に限る。)

山田

同人誌リクエスト権

山田「ふぇっ!? きっ、聞いてないですぞ!」

モノクマ「今回のこれは『リクエストする権利』。ですので、落札された場合山田くんには無条件でマンガを描いてもらうことになります。イッツ・ワーキングプア、強制労働最高ォー!」

山田「わかってない! モノクマ殿は漫画を描く労力をなにもわかっていませんぞ!!」

モノクマ「画材は言うだけ用意します。アシスタントもこの超ハイスペックなボクが務めます。あと苗木くんも付けます」

山田「やりましょう」

苗木「なんで僕まで…!?」

モノクマ「『超高校級の同人作家』の描いたマンガが真っ先に読めるだよ? 嬉しくない?」

苗木「それとこれとは話しが違うよ!」

モノクマ「もう決定事項です。どうしてもイヤなら皆さんに落札させなければいいんです」

苗木「くっ……こんなに安全な出品物をパスするわけにはいかない……」

舞園「苗木くん……わ、わたし差し入れ持っていきますから!」

苗木「舞園さん…ありがとう」

モノクマ「それでは、第9回絶望オークション開廷!」

朝日奈「ねぇねぇ、しつもーん」

石丸「なんだね朝日奈君!」

朝日奈「“どーじんし”って、結局なんなの? フツーの漫画…とは、違うんだよね?」

大和田「ああ、俺もよく知らねぇわ」

大神「我もだ…」

桑田「アレだろ? 文化祭の時とかにマンガイラスト部とかが配ってるちゃっちい冊子だろ?」

山田「漫研をバカにしないでいただきたい!!」

桑田「おぅ!? …わ、わりぃ…」

不二咲「えっと、同人誌って言うのは、個人が同じ意見、趣味の合った人たちに向けて書いた個人製作の本、って考えでいいとおもうよ?」

大和田「ほーん」

苗木「ほぼ毎月、日本の色んな場所でその同人誌を売る会合…“即売会”が開かれてたりするよね」

山田「有名なものだとやはり毎年夏と冬の国際展示場ですな」

葉隠「なんか金になりそうなニオイがするべ」

モノクマ「ちなみに山田一二三くんは、中学生の時に学校の催しを利用して、同人誌を1万冊売り上げた実績があります」

舞園「1万冊…!?」

霧切「それが『超高校級の同人作家』という肩書きなのね」

山田「て、照れますなぁ…」

セレス「ということは絵は上手な筈ですのに、どうして文字はあんなに汚いのでしょう」

苗木「確かに…この間みんなでレクリエーションでゲームをしたとき、集めた罰ゲームのクジが読み辛かったかも…」

山田「ほっ、ほっといてくだされ! 擬音は書けるのです! 台詞は写植でいいのです!」

腐川「ふ、ふんっ……1万冊って言っても、どうせエロと厨二病がてんこ盛りの下品な本なんでしょっ……」

山田「いえ、中学校でえっちな本なんて売れませぬが」

十神「俺からすれば山田の同人誌とやらも腐川の小説も大して変わらん。団栗の背比べだ」

桑田「――で、誰が落札すんだ? 今回のは誰でもいいだろ」

霧切「そうね…。難しく考えず、シンプルに落札しましょう」

朝日奈「漫画…マンガかぁ…」

大神「うむ…」

不二咲「ちょっと羨ましいな…」

大和田「だからオマエ、あんなゴミなんて買わねえでおけばよかったのによ」

不二咲「あっ、べつに、大和田くんの枝毛に不満があるわけじゃないんだよ? …ほ、ほらほら、尻尾っ…!」

大和田「お、おぉ……」


モノクマ「今回はすんなり進んでますね。それではレッツ・ハンマープライスッ――!!」


モノクマは含めぬ未落札者に限る。
>>738
上記者のリアルマネー。
>>743

桑田

キッス

苗木「誰が落札するんだろう…」

山田「女の子からの依頼だとうれしくて頑張れますけどねぇ」

モノクマ「はい! 落札者が決定しましたー!」

十神「今回は誰だ」

モノクマ「はい、今回超高校級の同人作家である山田一二三くんに『同人誌をリクエストする権利』を落札されたのは……」

 パッ

一同「…!?」

モノクマ「桑田怜恩くんでーす!! ヒューヒュー! どんどんぱふぱふぽんぽこぴー!」

桑田「……うそ……だろ……」

苗木「…桑田くん…?」

山田「それでモノクマ殿、桑田怜恩殿が落札されたリアルマネーとは如何様な物で?」

モノクマ「『キッス』です」

一同「………」

山田「Sorry,I beg your pardon?」

モノクマ「だから『キッス』です」

大和田「桑田オマエ…そういう趣味だったのかよ!?」

舞園「やだっ…私誤解してました…。本当は桑田くんは、女の子に興味がない人だったんですね?」

葉隠「桑田っち……もう一緒に風呂は入れんだべ……」

桑田「ち、違う! 誤解なんだ! コレってばテキトーに打ち込んだら発信されちまっただけで、まさか落札になるなんて思いもよらなかったんだよ!!」

霧切「バカね…」

桑田「あぁん!?」

十神「モノクマの目的を忘れたのか? 俺達を絶望させようとしているんだぞ。生半可な物をお巫山戯半分で入札すれば、モノクマがそれを選ばない筈がなかろう」

桑田「そ…そう言えば……」


モノクマ「うぷぷぷ! よく理解されているようで嬉しいです!」

江ノ島「エグいわぁ…」

モノクマ「ではでは、同人誌は後日描き始めるとして、今日の内は代金を支払っておきましょー!」

山田「イヤです! 絶対に嫌です! ぼくの初Kissの相手が男だなんて絶対にイヤですぞぉぉぉぉぉ!!」

桑田「俺もだってんだよ!!」

モノクマ「んー、でも今回は『権利』じゃないので回避することは無理ですよ?」

山田「ヒイィィィィィ!!」

桑田「ウワァァァァァ!!」

舞園「……あれ? でもそうしたら腐川さんの件も…」

十神「黙っていろ舞園さやか」

舞園「……ごめんなさい」

モノクマ「イヤイヤとばかり言っていても埒があきませんねぇ。大神さんに大和田くん、2人を前まで連れてきてください」

大和田「あぁ? ンで俺たちがンなことしなくちゃなんねーんだ」

モノクマ「支払いを完了せずにオシオキ決定~! …なんてイヤでしょ?」

大神「むう…」

大和田「…チッ」

苗木「(……どうして、こんなことになってしまったんだろう……)」

山田「おっ、大神さくら殿ぉ! 後生ですから、後生ですからお情けをぉ!!」

大神「……済まぬ」

苗木「(出品物を聴いたときには、平和に終わると思っていたのに)」

大和田「っ…おら桑田、暴れんなって!」

桑田「アホか! こんなの暴れるに決まってんだろーが! いいからはなせっ、放せよ大和田ァ!!」

苗木「(……絶望が、オークション会場を支配する……)」

朝日奈「うわわわわ…」

霧切「みんな。せめてもの情けで、私たちだけでもキスの瞬間は観ないであげましょう」

不二咲「う、うん……男の子同士のキス…かぁ……」

セレス「まったく、自業自得だというのに五月蠅いですわね」

江ノ島「山田がなんも悪いことしてなくて可哀想すぎんだけど…」

山田「イヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだぁ!!」

桑田「アホアホアホアホアホアホアホアホアホアホォ!!」

 ――拘束された2人の顔が、唇が、近付いていく。

 30cm……15cm……10cm…5cm…そして。

 ちゅうぅぅ。

 超高校級の2人の唇が、触れ合った。
 大神さくら、大和田紋土の両名に依って、押しつけられるような、味気のないキス。

 唇が触れればキスなのだ。
 ならば当然、既に目的は果たしている。
 しかし、唇は離れない。

 さくらも紋土も、山田一二三と桑田怜恩に“気を遣ってキスの瞬間をみていない”所為で、2人のキスを確認出来ていないのだ。

 5秒、10秒と時間が過ぎやっとのことで2人は解放される。

 ――キレイでキタナい、もんじゃ焼きと化した昼食が床に広がった――。

モノクマ「はーい、清掃タイムに入りまーす。掃除が済むまでの間、壁際にイスを用意したのでテキトーにくつろいでいてくーださいっ」

苗木「あの…、御手洗い行ってもいいかな…」

モノクマ「えー? じゃあエレベーター使って上がって行っていいですよ。他に行きたい人がいたら誘っていってください」

苗木「ありがと」

モノクマ「ただし! まだオークションの最中ですから物の交換は許可しませんからね! あとトイレ以外の扉はロックを掛けておきますので、無用な出入りはしないよーに!」

舞園「わかりました」


山田「―――」
桑田「―――」

セレス「完全に気絶していますわね」

大神「我が目を逸らしていたためだ……済まぬ山田…」

朝日奈「さくらちゃんのせいじゃないよ! これは仕方のない事故なんだから!!」

大和田「あぁ……気分悪ぃぜまったく」

石丸「兄弟……辛い仕事を押し付けてしまい、済まなかった」

大和田「まっ、しゃーねぇわな……桑田は自業自得なんだからよ…」

モノクマ「――はい! では何はともあれ第9回絶望オークションは終了です!」

苗木「いままでで一番酷いオークションだったよ…」

モノクマ「更なる理不尽な絶望が皆さんを襲うので楽しみにしていてください」

十神「最早悪意を隠す気もないな」

腐川「はぁ…はぁ……神聖なBL(ボーイズラヴ)がBL(ブサメンラヴ)に侵蝕されるぅぅ…!」

モノクマ「では、休憩も入れたことですし張り切って第10回絶望オークションを始めましょう!」

セレス「山田君がまだ寝ておりますけれど」

モノクマ「起きないのは仕方が無いですね。16回のオークションが終わるまでに起きなかったら落札が出来ずオシオキになりますので気をつけてね」

苗木「…とりあえず、今回は休ませてあげよう」

霧切「わかったわ」

モノクマ「遂に2桁の出品番号10番! >>780>>785っ!」

(未出品者に限る)

朝日奈

乳搾り

朝日奈「え……」

朝日奈「あ、えっと、その……」

朝日奈「……ヤダよぉ……」

大神「――親友朝日奈を泣かせるならば、どのような相手でも容赦はしない!」

モノクマ「うぷぷぷ…!」

苗木「ま、まって大神さん、落ち着いて! モノクマに暴力はダメだよ!」

大神「うぅぬ止めてくれるな苗木誠! 朝日奈を陥れるような真似は許すわけにはいかん!」

霧切「――石丸くん、大和田く、大神さんを!」

石丸「うむ!」

大和田「ラァ! 落ち着けや大神ィ!!」

大神「ぐぬぬぬ…!」

朝日奈「――待ってっ!!」

モノクマ「うぷぷ……あれ?」

朝日奈「……大丈夫だよ、さくらちゃん……私、なら、大丈夫…だから……だから…ムチャしないで……」

朝日奈「……私ね、昔から運動が好きだったの」

苗木「…うん」

朝日奈「でも、成長していくに連れて、この胸とかお尻とか、へんなトコにばっかお肉がつくようになって…」

舞園「朝日奈さん…」

朝日奈「運動するには邪魔に感じるときもあるし、男子たちはヤな目で見てくるし、正直、こんなの全然嬉しくなかった」

霧切「んんっ…」

朝日奈「でも、それでも運動が好きだから、これが私自身だから、嫌いにならないで続けてきたの。……そしたらいつの間にか、『超高校級のスイマー』だなんて言われるようになっちゃってたけど……」

不二咲「朝日奈さん、スポーツはなんでも得意だもんね」

朝日奈「……私、なにか悪いことしたのかなぁ……」

石丸「いいや、悪くない。きみは悪くないぞ朝日奈君!」

大和田「こんなのモノクマの悪ふざけなんだからよ。…ンな自分を責めんなよ」

霧切「そうね……貴女はとても真っ直ぐで、それは貴女の美徳だもの。そうやって悲しんでいる姿を見て、モノクマは満足しているのよ」

モノクマ「ちっちちっちオッパーイ」

朝日奈「うわぁぁーん!! やだよー、エッチなことなんてしたくないよー!!」

十神「……どうするんだ? 直接行為を指定している以上、多分これも、強制的にやらせられるんだろう」

苗木「うん……ここは、大神さんに落札してもらうのが一番だと思うよ」

朝日奈「ぐす……さくらちゃんに…?」

苗木「男の子は問題外だし、そうなると女の子になるけど…親友の大神さんになら、ちょっとくらいはガマン出来るんじゃないかなと思って」

朝日奈「……うん…できる……」

霧切「じゃあ決まりね」

モノクマ「モゲッ! モゲッ…てあれ? もう話し終わりましたか?」

朝日奈「……モノクマなんか大っ……キライ!!」

モノクマ「わぉ! ボクはそんな朝日奈さんが大っ好きですから安心してください」

葉隠「わけわかんねーべ……」

モノクマ「――それではぁ! レッツ・ハンマープライス!」

モノクマは含めぬ未落札者に限る。
>>810
上記者のリアルマネー。
>>815

山田

パンツ

モノクマ「……さて、超高校級のスイマー、朝日奈葵さんを』乳搾り』できる幸せものの落札者が決まりましたよ」

朝日奈「あうぅ……さくらちゃん…!」

苗木「大丈夫だよ、朝日奈さん。今回は大神さん以外みんな学生手帳に触れてもいないんだから」

朝日奈「…そっか……そうだよね…?」

大神「入札も、いまの我に出せる最上の物だ……これでダメなはずが――」


モノクマ「落札者は、山田一二三くんに決定でーす!!」

一同「――!!?」

朝日奈「……ふぇ…?」

舞園「まさか!?」

十神「山田のヤツはまだそこでノビているはずだぞ!」

セレス「では、何方が山田君名義で落札を…?」

苗木「……あ、みて! 山田くんの上着のポケットから学生手帳が落ちそうになってる…!」

霧切「表面に傷…? ……もしかしたら、いまの入札は山田ではなくて――」

モノクマ「はいはい! 落札は済んだんだからリアルマネーの授与ですよ! 朝日奈さん、山田くんのパンツを剥ぎ取ってください!」

苗木「なっ、なんでパンツなの!?」

モノクマ「山田くんが出したリアルマネーが『パンツ』だからです」

朝日奈「そんなのいらない~!!」

モノクマ「いけませんねぇ、素直に代金は受け取らないとぉ」

霧切「――そもそも、本当に山田くんが払う必要があるのかしら」

モノクマ「…!?」

霧切「モノクマ。あなた、さっき朝日奈さんが心情を吐露している間、私たちが話しあっている間、ずっとグルグルグルグルと歌をうたいながらスキップしてたわね」

モノクマ「ずっと座ってばっかりなのも退屈なのです、まる」

霧切「そうやってみんなから“またモノクマが変なことをやっている”と思わせて敢えて無視をさせている隙に、山田くんのポケットから学生手帳を拝借して先んじて勝手に入札していたわね」

モノクマ「えー? なんのことだか、わっかりっませーん」

霧切「意外とみんながすんなり話しをつけたから、焦っていたのでしょう? だから学生手帳を持った左手に無用な力が入って、隠された爪が学生手帳の表面に傷を残したのよ」

モノクマ「………」

霧切「答えなさい。あなたが勝手に入札させたわね?」

モノクマ「……ふぅー、バレちゃしょうがないですね」

苗木「っ…モノクマ!」

舞園「なんてことを…!」

モノクマ「ボクはただ、親切で入札してあげただけですよ? 山田くんが落札出来ずにオシオキされたら可哀想でしょ?」

大和田「勝手なことばかりヌかしてんじゃねぇぞコラァ!!」

葉隠「やっていーことと悪いことがあんだべ!!」

大神「……壊す…!」

モノクマ「あーもうわかった、わかりましたよもう。パンツは受け取らなくて結構です。…でも、今回の落札は既に確定してしまったので山田くんが落札したことは変わりません!」

江ノ島「ちょっと! それはあんまりじゃないの!?」

十神「……いや、そう悪くもないかも知れんぞ」

腐川「白夜様…?」

十神「要は、落札したことを山田本人が知らなければいいだけのことだ。隠し通せばいい」

苗木「なるほど……でも、目が覚めたらきっと疑問に思うよ」

十神「必死で隠せ。出なければ大神、貴様が脅して無理やり譲渡してもらえ」

石丸「きょっ、脅迫だと!?」

十神「それしかあるまい。なるべく人間関係を壊したくないのならな。……そうなると出品物は消費されそうにないが、文句はないな、霧切」

霧切「…仕方無いわ」

十神「フン、それでいい」

舞園「(……多分十神くん、ここで霧切さんを丸めこんで自分の持っている権利をうやむやにするつもりなんですね……)」

モノクマ「ブー、つまんないのー」

苗木「朝日奈さん…大丈夫?」

朝日奈「う、うん! 元気なのが私のとりえだから。ドーナツがあればバッチリだよっ!」

苗木「そっか。それじゃあオークションが終わったら、みんなで一緒に食べようか」

朝日奈「うん!」

モノクマ「……というわけでぇ、第10回絶望オークションは終了しましたー。……はぁ、興醒めです」

不二咲「い、いまの場合はモノクマが余計なことをしたから変な感じになっちゃったんだと思うよ……大神さんだったら、朝日奈さんだってイヤがらなかったはずだもの…」

モノクマ「そうですねぇ、もう少し考えてから干渉してみます」

大和田「いやすんなよ」


モノクマ「では出品番号11番、>>849>>855です!」

(未出品者に限る)

戦刃

身に着けているもの全部

江ノ島「ちょっと待ちなさいよクソクマぁ!!」

モノクマ「クソクマじゃありません。モノクマです。学園長です」

苗木「『身に付けてるもの全部』って…」

腐川「こっ、この場で裸になれってこと…!?」

モノクマ「『超高校級のギャル』が、ファッションリーダーとしてバッチリ着こなしている洋服に装飾ぜーんぶを1セットにしての御提供です!」

桑田「頭おかしいんじゃねぇのか?」

石丸「桑田君! 目が覚めたのか!」

桑田「なんか、呼ばれるみたいに目が覚めた。もう大丈夫だ」

舞園「………」

不二咲「山田くんは……まだ寝てるんだね」

大和田「起きたら起きたで面倒だからそのままでいいだろ」

モノクマ「はいはい、第11回絶望オークション開廷~!」

一同「………」

苗木「あの、これ…『パス』とか出来ないのかな」

十神「モノクマとしてはそれが狙いなんだろうな」

霧切「……江ノ島盾子さん。貴女、落札されても平気?」

江ノ島「へっ、平気なわけないでしょ!? 身に付けてる物全部よ!? 裸よ裸っ、全裸にされて残りのオークションを過ごさなきゃならないのよ!?」

朝日奈「わ、私より辛いかも……」

不二咲「……えっと、あと落札出来るのは…」

石丸「霧切君、朝日奈君、大神君、十神君、それに兄弟だな」

大和田「なんでぇ、気にしてた時ほどバランス悪くねぇじゃねぇか」

苗木「でも、今回は落札する人が問題なんじゃなくて、落札されたらその時点でアウトってことなんだよね…」

石丸「そうだ、なら服を貸してあげればいいのではないか?」

舞園「いいアイディアとは思いますけど、相手が江ノ島さんだと…」

江ノ島「なによ?」

舞園「背が高いので、多分ほとんど気休めにしかならないんじゃないでしょうか…」

霧切「そうね…男子からズボンを借りる手もあるけど」

江ノ島「十神とかアウトじゃん。したノーパンだし」

十神「落札してやろうか」

江ノ島「なによぉ、冗談じゃない」

不二咲「…大和田くん…」

大和田「あん?」

不二咲「………」

大和田「……まさか、この『暴走族の特服』をオンナに貸せってのか!?」

少し時間を下さい。

申し訳ありまそん。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2013年09月26日 (木) 05:11:23   ID: gJIOK8x3

苗霧厨山セレ厨舞桑厨は大体セット

2 :  SS好きの774さん   2016年01月04日 (月) 14:40:03   ID: 0kmQcKEC

いいねー

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