【艦これ】曙「クソ提督と手を繋いだら放れなくなった」【ラノベSS】 (577)

萌えラノベっぽい何かを書きたくて。ツンデレ艦娘界のエリート曙で行きます。

↓直近作、>>2過去作紹介、本編>>3からで今回はハイブリット形式です。



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曙「なんでこうなったのよ」

提督「…」


曙「全く、冗談じゃないわ!」

提督「そんな事言ったって、しょうがないじゃない」

提督「それにあれは事故なんだし…」


曙「だからって、だからって…」

曙「なんで私がクソ提督と、一日中手を繋がなくちゃいけないのよ~!」



左の手のひらだけがさっきからずっと、汗ばんでいるのを感じて。

早鐘をつく様な胸のドキドキを悟られないようにしながら、私は喚いた。

全く、なんで僕が嫌われなくちゃいけないんだ…。

女の子の手を握っていることを意識して、緊張して強ばった右手の力を緩める。

曙さんの悲鳴を横で聞きながら、僕はこの騒動の発端を思い出すのだった。



夕張「提督、いつもの開発のご報告なのですが」


提督「うん、ありがとう…って、これは何?」


夕張「新兵装を作ろうとしたら失敗しちゃって」

えへへ、と可愛く笑うのは鎮守府の開発担当をしている夕張さんだ。

艦載機や砲の他にも役に立ちそうなアイデアがあればこうして実験してくれる。

画期的な兵装を開発してくれたこともあるんだけど…これは。



提督「なに、これ。おもちゃのステッキ?」

夕張「提督、持ってみて下さい」

提督「え、これでいいの?」



促されるまま、夕張さんが開発したというステッキ(?)を手に取る僕。

これにどんな効果があるっていうのだろうか。

夕張「いま、提督の手に磁力が溜まっています」

提督「磁力!?」

提督「凄いじゃないかこれ」


提督「じゃあよっぽど役に立つ効果が…」

夕張「この状態で誰かと手を繋ぐと、手と手がくっついて放れなくなります!」

提督「なんてもの開発してんのさ!」


慌ててステッキから手を放して机に置く。

何でこんな意味もない迷惑なものを作るんだろう?

ロマンがどうとか言われても、サッパリ意味が分からないよ。

夕張「元々は深海棲艦鹵獲用に作っていたんですが…」

夕張「よく考えたら深海棲艦と手を繋ぐってありえませんよね!」

提督「あのねえ…」


夕張「でもですね、失敗作とはいえ開発は開発」

夕張「出来れば効果を試したいんですけれど、どうでしょう?」

提督「駄目に決まってるでしょ!」


こんなものが誤作動でもしたら、鎮守府の任務に支障が出てしまう。

とにかく一度僕が没収して様子を見るとしよう。


思えば、これが油断だった。

彼女たちの帰投時間を把握していたくせに、何故机の上に出しっぱなしにしたんだろう?

漣「艦隊帰投ですよ、ご主人サマ!」

朧「第七躯、帰ってきました!」

提督「漣さんに朧さん、おかえり」


潮「あ、あのう…」

提督「潮さんも、おかえり」


提督「みんな無事かな?」


出撃から時間通り帰投してきた第七駆逐隊のみんなが戦果を報告しに来る。

漣さんと朧さんは元気良く、潮さんはみんなの姿に隠れながら。

そして、最後の一人は…。

曙「みんな無事かなんて、見れば分かるでしょ?」

潮「あ、曙ちゃん!」


提督「曙さんもおかえり」

曙「…フン」


提督である僕にかしこまった態度を取る艦娘の方が少ないこの鎮守府だけど。

ここまで辛辣な態度をとられることは、そうそうない。



潮さんが慌てて執り成そうとするのも相手にせず、彼女はそっぽを向いた。

人間でいえば同い年くらいの目の前の女の子を見て、僕はいつも思うんだ。

…何か嫌われるような事をしたっけ、って。

漣「そういえばご主人サマ、何してたんですか?」

朧「夕張も。もしかして大事な任務の話だった?」


まさかヘンな秘密道具の話でしたなんて言うのも格好がつかなくて。

僕は曖昧に笑って答えを濁した。それがいけなかった。



曙「?」

曙「何よこの、机の上の」


そう言って曙さんが例の、夕張さんの”失敗作”を手にとった。

提督「あっ、ダメだよ!」

曙「はぁ?アンタこんなもので遊んでたの?」


曙「ほんっとに、これだからクソ提督は…」

提督「いいから、それから手を放して!」


夕張「ちょ、提督!?」



慌てて曙さんの方へ駆け寄る。

だって、彼女の隣にいる潮さんと手が触れでもしたら大変だ。

曙「な、なんでアンタが寄ってくるのよ!?」

提督「いいからそのステッキを――」


曙「ち、近い、クソ提督近い!」

曙「あっちいけっ…って、えぇ!?」


提督「曙さん、危ないっ」


曙さんが体勢を崩しそうになったのを見て、思わず手を伸ばした。

伸ばして、彼女の腕を掴んでしまった。

提督「あっ」

夕張「あっ」


女の子と手と手が触れ合ったのに、今この瞬間だけは何の感慨もない。

曙さんと僕が手を繋いでしまった…その意味が分かる二人だけが声をあげる。



曙「ちょ、放しなさいよこのクソ提督!」

潮「曙ちゃん、提督にそんな事言っちゃ駄目…です」

提督「うん、放せてたら放してるんだけど…」


もう僕の手は曙さんの左手をガッチリと掴んでしまっていた。

潮「手を放したくないってことですかぁ!?」

漣「ラブコメキタコレ!」

曙「なっ…ななな、なな!?」


朧「面倒くさいことになった?」

提督「曙さん、落ち着いて話を聞いて欲しい」


曙「いいから手、放しなさいよぉ~~~~!」


まだ状況を分かっていない曙さんの悲鳴が、執務室にこだました。

今日は導入だけ、曙好きの方よろしくお願いします。

投稿していきます
パンツ脱いでるのは美少女提督だと信じることにします・・・します・・・

曙「…で、その機械のせいで私たちの手が放れないって?」

提督「そうなんだよ」


曙「何てことしてくれるのよ、このクソ提督!」

提督「僕のせいじゃないんだけどっ」


提督「夕張さん、解除する方法はないの?」

夕張「無いですっ」


今日一番元気よく、夕張さんが返事する。

朧「そこまでキッパリ言わなくても…」

曙「張本人とは思えない開き直りっぷりね」


漣「まあでも、ご主人サマは女の子と無料で手をつなげる訳ですし」

提督「言い方酷くない!?どういう意味!?」


漣さんの斜め上な考え方はいつもの事だけれど。

それにしても僕って普段どういう目で見られているんだろうか?

今度真面目な潮さんあたりに聞いてみようかなあ…。

曙「やっぱりやらしい目的じゃないの、放しなさいよっ」

提督「だから違うって…」

曙「な、なによ。私なんかが目的じゃ無かったってこと!?」



どうしてそういう考えになるのかなあ。

手をつなぎながら罵倒されるという得がたい体験をしながら、僕はため息をついた。

でもこれ、いつまで続くんだろう。まさか一生このままって訳でもないだろうし。

夕張「まあ一日たったら効果も切れると思うので、それまでガマンして下さい」

提督「ふーん。なんだ、一日か」

曙「なんだ、一日でとけるのね。まあそれなら…」



うんうん、たった一日なら思ったより…



提督・曙「って、ええええええええ!?」


今度は曙さんだけじゃなくって僕まで一緒になって。

夕張さんに向かって驚きの声をあげるのだった。

一日、手の自由が効かない。

それ自体はまあ、何とかなる。今は緊急の案件がないし、代筆が出来ればいいから。

”提督として”の僕なら何とかなるのだけれど…。


問題は、そう。”男子として”の僕にあるんだ。

一日中女の子と、手を繋いだままずっと一緒に過ごす…。



曙「変態、変態っ。変態クソ提督~!」



しかも、混乱して顔を真っ赤にして…考えうる限りの罵倒を繰り返す彼女と一緒に。

あんまりな非常事態に僕は、曙さんって意外とボキャブラリーが少ないんだなって。

そんな間の抜けたことを思ってしまった。

曙「ちょっとクソ提督、手!」

提督「え、何?」


曙「に、握る力が強いんだけどっ…」

提督「あ、ご、ごめん!」


曙「う、うん…」


ぎゃあぎゃあと騒ぐ七躯のみんな(主に漣さん)と夕張さんが執務室を去ったあと。

僕は曙さんと二人で椅子を並べて、これまた二人で執務机に向かっていた。

曙「ね、ねえ」

提督「ん、何かな、曙さん」


曙さんが手のひらに込める力を入れなおすたびに、微妙な力の変化が伝わってきて。

それがなんだか、とても恥ずかしいけれど…そんな事は顔に出さずに答えた。


曙「い、一日、アンタと手を繋がなくちゃいけないのは分かったわ」

提督「うん」

曙「だけど…」


言いづらそうに曙さんが口ごもる。

普段勝気なはずの彼女が、僕の目を見て話さないのはなんでだろう…?

曙「だけど、どうして私が秘書艦までやらなくちゃいけないの!?」

提督「だって、放れられないんだから…君にやってもらうのが一番効率的だよ」


今日は夕張さんが秘書艦の予定だったんだけれど、急遽交代。

そりゃあ一日一緒にいるんだから、こうした方がいいと思うんだけれど。



曙「何で私がアンタを助けないといけないのよ」

提督「あ、そこ違ってる。艦娘の被害状況の報告だから…」



思わず見つけた間違いを指摘する僕。

他の艦娘と執務を執る時みたいしてしまった…怒るかな?

曙「えっ、あ、そうね。こうした方が良さそう」

提督「うん、そうだね。そっちの方が伝わりやすい」


曙「ふん、私に任せとけば間違いないのよ」

曙「~♪」


あれれ?

さっきまでは文句を言ってたのにもう乗り気になってる。

というか、曙さんは秘書艦の仕事、今日が初めてのハズだけれど?

提督「曙さん、初めてなのに中々筋がいいじゃないか!」


曙「ハン…これくらいで筋が良いとか。何言ってんの?」

曙「むしろ他の秘書艦の手際が悪いんじゃない?」


憎まれ口も彼女が言うと不思議と悪意を感じない。

苦笑とともに僕は賞賛をもう一つ言い添える。



提督「まるで練習してきたみたいだよ!凄い!」



曙さんの手際の良さを褒めるこの一言。

これの、いったいなにが悪かっただろうか?

ぶ、っと変な息を吹き出したあと、曙さんが僕に喰ってかかる。

曙「ななな、何言ってるのよクソ提督!」

曙「私がアンタのために秘書艦の練習してたですって!?」


提督「僕のためにとかは言ってないけど…」


秘書艦に任命したことのない彼女がその練習をしてくるだなんて、本当に思っている訳がない。それに僕のためにだなんて、尚更だ。


曙「そ、そう。分かればいいのよ…」


怒っていたはずがそう言ったっきり急に黙っちゃうし、訳が分からない。

曙さんの発言の意図を探ろうとして彼女の方を覗き込むけれど…。

もう曙さんは再び書類と睨めっこしていて、僕の視線には気がつかなかった。

ふと、先ほどの疑問が蘇ってくる。

元々素直じゃなさそうな曙さんだけど、なんで僕はこうも敵視されるのだろうか、と。


出会い頭にキスしてしまっただとか、着替えを覗いてしまっただとか。

曙さんとの間にはそういう事件もなかったハズだから、本当に思い至らない。



椅子に姿勢良く座った曙さんの視線は真っ直ぐに机の上の書類に固定されていて。

そんな彼女の姿を、僕は真剣な目で凝視してしまっていた。

僕と比べて頭一つ背の低い彼女の顔が、すぐ近くにある。

切れ長の瞳は絶えず誰かを威嚇するように愛想のないかたちをしていて、逆にそれが可愛らしい。

色素が薄い髪の毛は執務室の大窓から入る陽光を受けて、綺麗な紫色に見えた。



その紫色がゴムひもでサイド・テールにまとめられていて、毛先が彼女の左肩―つまり僕が座っている側―へ垂れている。

思わず引っ張りたくなってしまう衝動をこらえるのに、僕は想像以上の労力を要した。

提督「(うわ、わわっ)」


だけども僕が一番動揺したのは、もっと違うところにあった。

瞳でも髪でもない。アイデアが浮かんだのか、短く笑って唇に当てていた鉛筆を動かしだした女の子らしい仕草にでもない。



提督「(曙さん、襟元!襟元!)」



彼女の背が低い分、僕が彼女を見るときは必然、上から覗き込むようなかたちになる。

曙さんの艤装は、丁度女学生のセーラーの様な装いだ。

だから…紺色のカラーからのぞく曙さんの白くて細い首筋が余計に目立ってしまって、僕の目が釘付けになる。

白い首筋にかかる彼女のおさげのせいで、隙間から中身は見えなかったけれど。

曙さんが頭を動かすたび、髪の毛の揺れて首筋の白がチラチラと見えてしまう。

ああ、これは良くない、良くないぞ、僕。さっさと目をそらさなきゃ…。



曙「何だか今日は暑いわね…」


提督「(ちょっと、何パタパタしてるの!?み、見え―)」



こちらが必死になって煩悩と戦っているのに何を考えているんだろうか。

曙さんはというと、僕の邪な視線にはまだ気がつかず、襟元を仰ぎだしたのだ!

一仰ぎ、二仰ぎとやるたびに…いけないと思いつつも僕の視線は彼女の胸元へ。

提督「(落ち着け僕。落ち着け。相手は人間なら歳下だぞ多分!)」



彼女に気がつかれる前に目を逸らさなきゃ…とは思っても中々理性が戻ってこなくて、僕は混乱した。

だって、襟元をパタパタとやるたびに、これまた白い鎖骨がチラチラと顔を出すのだ。正直カンベンして欲しい。



提督「(相手は歳下、相手は歳下…胸だってほら、そんなに…)」


提督「(あれ、よく見たら瑞鶴さんくらいはある…かも?)」


いやいや、お姉さんだし流石に瑞鶴さんの方が…。

そんな不埒極まる事を考えたからか、曙さんの手を握る僕の手がきゅっと強まった。

曙「きゃっ、ちょっと痛いじゃないクソてい…クソ提督?」


提督「あっ」




目と目が合う瞬間―感づかれる。



女の子は男の邪な気持ちを見破るアンテナがあるって聞いたことがある。

どうやらそれは今回も一発で発揮された、ということらしい。

曙「ななな、何見てんのよクソ提督っ」

曙「いいい、今私のこといやらしい目で見てたでしょ!?」

曙「それで、いったいどこ見てたのか言いなさいよ、クソ提督っ!」


提督「見てない!見てないよ、決して!」



ああ違う、しらばっくれる時は”何を?”って聞き返すんだった!



曙「嘘、だって目がやらしいじゃない!」


ほら、疑いが晴れなかった。

でも曙さんは追求が甘いなと僕は思う。

だって、どうやらどこを見ていたかは気づいてないらしいことが今の台詞で分かったから。

これならまだ誤魔化しようがあるぞ!

せめて首筋や胸元を見ていたことは隠さなきゃいけないと焦って…。

だから僕は、言わなくても良い事まで言ってしまった。


提督「あの、確かに見てたけどいやらしい意味でじゃないよ?」


嘘ですごめんなさい、いやらしい意味でした!




曙「じゃあなんで見てたのよ」

提督「その…髪、綺麗だなって思って」

曙「ば、バッカじゃないの、クソ提督、クソ提督、クソ提督っー!」


顔を真っ赤にさせた曙さんは、それっきりそっぽを向いて喋らなくなった。

提督「ご、ごめん」


曙「フン」



曙さんに敵視される理由が分からない、だって?

僕は数分前の自分に向かって心の中で話しかける。



多分それ、僕が原因だぞって。

提督「あ、曙さん?」


曙「うるさい、クソ提督!」



僕と決して視線を合わそうとしない曙さんと、再び会話が出来るようになったのは…。


それからゆうに15分は経った後でした…。

本日以上です、次回投下は曙視点から(たぶん)
いやもうホント曙は可愛くて仕方がない

>>48
ハイブリット形式+一人称が僕だからもう一つのスレの提督と同一人物なんじゃね?(適当)

提督さんは「瑞鶴さえ来れば他はいらない!」って言って空母レシピ回してたずい
でも瑞鶴が来てからも空母レシピ回して翔鶴ねえが来た時は小躍りしてた投下するずい

利き手が塞がったクソ提督のために、机に向かった私はペンを走らせる。

秘書艦なんて別にやりたくないけど、私がやらなきゃクソ提督が困るんだから仕方ないわ。

せいぜい私に感謝することねって言ったら、純粋な笑顔で「ありがとう」って返された。



提督「あ、そこ違ってる。艦娘の被害状況の報告だから…」



あ、そっか。私の書き方だとイマイチ状況が分かりにくいわね。

やっぱりこいつ、教え方だけはホントに上手いんだから、腹が立つ。

曙「えっ、あ、そうね。こうした方が良さそう」

提督「うん、そうだね。そっちの方が伝わりやすい」


曙「これはいつも出してるの?」

提督「書くのは毎日かな。1週間分まとめて報告だね」

曙「ふうん、大変なのね」


提督「ちゃんと鎮守府を見てれば、そんな事ないさ」

曙「…」


でもそのおかげで私は何時ぶりか分からないくらい、コイツと自然に話すことが出来た。

別にそんなの全然嬉しくないけどっ。まあでも、嫌なわけじゃないけどね。


これは…そう、いままでやったことのない秘書艦の仕事が出来て気分がいいだけ。

…ほんと、それだけよ。

曙「ふん、私に任せとけば間違いないのよ」

曙「~♪」


私の意外な手際の良さクソ提督が驚くのを見ているのが心地いい。


提督「曙さん、初めてなのに中々筋がいいじゃないか!」


でも、ちょっと褒められすぎて憎まれ口を叩いてしまった。

クソ提督が顔をしかめなかったことにちょっとだけホっとしたけど…。



次の瞬間、私の平静は破られることになる。

提督「まるで練習してきたみたいだよ!凄い!」

曙「…!?ゲホっ、ケホッ!」

提督「うわ、どうしたの、曙さん!?」



秘書艦組の赤城や加賀たちの話に聞き耳を立てたり。

図書室で自由開放されている鎮守府の資料を読んでみたり。



そうして密かな”予習”をしていた私の行動が見透かされたようで、びっくりした。

ま、まさか、ホントに見てた訳じゃないわよね!?

…べ、別にクソ提督の秘書艦になりたくて勉強していた訳じゃないからっ。

この鎮守府の艦娘として知ってて当然の事を知ろうとした、それだけよ、ほんとに。


だから、そう。的外れなクソ提督の意見は否定しておかないといけない。

だって…か、勘違いされたら困るんだからっ!



曙「ななな、何言ってるのよクソ提督!」

曙「私がアンタのために秘書艦の練習してたですって!?」

提督「僕のためにとかは言ってないけど…」

慌てて否定しようと思ったら、いつもみたいなそっけない返事をしてしまった。

そのせいでクソ提督も口ごもってしまって、さっきみたいな普通の会話がなくなる。



ああ、またやっちゃった。



そう思ったけれど、既に叩いてしまった憎まれ口は取り消せなくて。

だけど、どうやって謝ったらいいかも、どうやったらコイツが笑顔になるかも分からなくって。

だから私は、私の肩ごしから書類を眺めるクソ提督の方を振り返りもせずに。

秘書艦の仕事に集中するフリをして、ただただ気まずい時間が過ぎ去るのを待つ。



一言、謝っちゃえばそれで終わることなのに。

他の艦娘なら簡単に出来ちゃうことが私には出来なくって。



私ったらほんと、ばっかみたい。

胸の内で、自分に向けてそっと呟いた。

思ったより短い投下になっちゃいました、一先ずここまでです

黙々と書類にペンを走らせていると、ふとある事を思い出してしまった。

そういえば私、クソ提督とずっと手をつないでいるんだわ!!


一瞬だけドキっと胸が高鳴って、手をつなぐ左手に力がこもる。

だめ、これはとっても、だめ。



曙「何だか今日は暑いわね…」


身体が暑いのは、部屋が暑いせい。

そうに決まってるって誰かに言い訳して、パタパタと襟を仰ぐ。

あれ、でも、そういえば。

私が喋らないのは良いとしても、後ろで見ているハズのクソ提督まで黙ったままというのはどういうことなんだろう?



曙「きゃっ、ちょっと痛いじゃないクソてい…クソ提督?」



急に、今度は私の手がクソ提督の手にきゅっと掴まれて。

思わず声をあげて、にらめつけてやろうと振り返ったら。



目と目が合う瞬間―。

今までとは比べ物にならないほどのドキドキが、私を襲った。

私よりも少し、年上の雰囲気を持っているのに。

どこか幼くて、女の子と見間違える様な中性的な顔立ちに華奢な身体。

碧い海を映した様な綺麗な瞳に吸い込まれそうになって、私はしばし言葉を失う。



それ以上見つめていられるのが怖くなる。

よく分からないけれど、だってそれは。


…それはとっても、キケンなことだって思ったから。

曙「ななな、なんで私の事見てるのよ」

提督「いや、あの…」


いつもは屈託のない優しげな微笑みを浮かべている彼の頬は、何故か薄く紅潮していて。

それでもずっと視線は私に釘付けだったようで、今は気まずげに視線をそらしている。



曙「いいい、今私のこといやらしい目で見てたでしょ!?」

曙「変態クソ提督、変態変態―っ!」


だから、自分がコイツに何を言ったのか、正直覚えていないけれど。

提督「その…髪、綺麗だなって思って」

曙「ば、バッカじゃないの、クソ提督、クソ提督、クソ提督っー!」



その一言が私の胸を撃ち抜いて。



結局、胸のドキドキはさっきよりも一層激しくなった。

全てが収まるまで、たぶん15分くらいはずっと、何も話せなくなるくらいに。

ぼのたそ~
提督視点まで追いつきました、続きは書けしだい投下となります

提督「あ、ここはちょっと資料が欲しいな」

曙「はあ、何のよ?」


報告書の記入にかこつけて、何とか曙さんと話せる様になった頃。

時刻は午後2時となっていた。3時の演習が始まるまでには今の仕事を終えなければならない。



提督「あそこに以前からの出撃データがあるんだ」


そう言って僕は執務室の端にある本棚を指差す。

床から天井までズラリと棚が並んで、これまた中身がキッチリ揃っている本棚を。

曙「あんなに…まさか置いてあるだけじゃないでしょうね?」

曙「本当に頭に入ってるの?」

提督「うん、まあ一通りは」

曙「…」



覚えているのは大事なところだけだけどね。

あんなの全部頭に入っているのは天才だけだよ。

なんて言ったら怪訝な顔で見られた。何か変なこと言ったかな?


まあいいや、それで、その…。何と言ったらいいのか。

曙「?」

曙「何よ、取ってきたらいいじゃない…って、ああそっか」


手が繋がっている状態だから一緒に行動しなきゃいけない。

それもあるんだけど、僕の気が進まない理由は他にあって…ああでも、報告書を半端に書く訳にもいかないし。



本棚の前には椅子が一つ置いてある。

それは腰掛けて座るためなんかじゃなくって、その…。

曙「で、欲しい資料ってのはどれ?」

提督「う、うん。あれ」


本棚の上から二つ目の段を指差す。

そこは15歳という僕の年齢じゃあ届かないほど高いところにあって…。



曙「はぁ?あんな高いトコ、クソ提督届く…」



曙さんの視線がそこで、本棚の前の椅子に固定されて。

曙「…っぷ」

提督「な、何さ」

曙「べ、別に…ぷぷっ、さっさと取ったらいいじゃない?」


大人の男なら手を伸ばせば十分届くところにあるけれど。

あれが届かないのは、僕の年齢を考えれば普通な訳で。

その為に踏み台を用意して置いておくのも、これまた普通な訳で。



僕も全然、自分の背が低いことは気にしてないから。

いやほんと、身長なんてどーでもいい。提督業に関係ないもんね、うん。


…やめよう。

提督「自分だって届かないくせに」

曙「私は女だから良いの」


提督「へえ、女の子だったんだ、初めて知ったよ」

曙「あ、あんですって~!?」


少しだけ仕返ししてやることにした。

…いや、全然悔しくなんてないけどね!

革靴を脱いでいつもの通り椅子に立とうとすると、これが今日ばかりは上手くいかない。

利き手は曙さんと繋いだままな訳で、欲しい資料は椅子にのった状態の僕が背伸びしなければ届かない場所にある訳で。



曙「ねえ、まだなのクソ提督。手、痛いんだけどっ」

提督「だって、中々届かなくって」

提督「ちょっと曙さんも椅子に乗ってくれない?」



だから僕はそんな恐ろしいことを口にしてしまった。

僕の提案に、曙さんもさっさと用を済ませるべく賛同して靴を脱ぐ。

そうして勢いをつけて椅子の上へ。よし、これで資料も取りやすく…って、


提督「えっ?」

曙「あ」



一つの椅子に二人が立つ。

よくよく考えてみれば…そんな事をすれば、二人の距離はとてつもなく縮まるんだ。

眼下に二つの星がキラキラと輝いている。

それはよく見れば曙さんの潤んだ瞳だった。

曙さんは頬を桃色に染めて、僕を見つめながら呟いた。


曙「…は、はやく本、取ってよ」

提督「う、うん」


きっと僕も彼女と同じ顔をしているんだろうなと思いながら、恥ずかしさをごまかすためにもさっさと用を済ませることにする。


提督「あ、あれ…?」


いつもなら背伸びすれば簡単に届くそれも、手を繋いだ状態じゃあ中々届かない。

はやくこの恥ずかしい状況から脱出したい…焦った僕は動きやすい様にさらに半歩、曙さんとの距離を詰めた。

それがいけなかった。

曙「ちょ、近いクソ提督近いっ」

提督「しょうがないだろ、ちょっとガマンしてよ」


そうして背伸びするときに…上半身と上半身が触れ合うんだないかっていうくらい曙さんに近づいた。

まるで抱き合う直前の恋人みたいに。

ビクリと曙さんの身体が仰け反るのが分かる。


曙「は、放れなさいよ、バカっ」

提督「あ、いきなり後ろに動いたら…」


グラリと、椅子が傾く。

僕との接近を嫌がった曙さんが急に椅子から降りようとしたから、二人の体勢が崩れたんだ!

曙「きゃっ、うそ!?」

提督「曙さん危ない!」


当然、先に降りようとした曙さんが下敷きになってしまう…それを防ぐために。

空いていた左手を彼女の腰にまわして、僕の方へぐっと引き寄せる。

華奢な身体だから僕の力でも何とかそれが出来た。

そして、抱き寄せた曙さんと入れ替わるべく身をよじる―。



ドン、と、予想していた衝撃が僕の背中に走った。

提督「いってててて、曙さん大丈夫?」

曙「え、ええ。クソ提督も―」



目と目が合う―今度は、これ以上ないくらいの至近距離で。

抱き寄せた彼女の顔は、当然僕の真上にあるわけで。



潤んだままの瞳も、さっきよりもうっすらと上気した頬も。

呆然と開けられたままの桜色の唇も、全てが僕の目の前にあった。

提督「…」

曙「…」


固まったまま、執務室は沈黙に包まれる。

お互いの身体を密着させて見つめ合う僕たちは、まるで世界が止まってしまったかのように硬直した。



繋いだ手と、スカートから伸びる曙さんの脚が僅かに動いたのが分かる。



一言、どいてよと言えばそれで済むはずなのに。

何故だか僕は、その一言が言い出せずにいたんだ。

曙「あ、あのっ」



曙さんの吐息が僕の頬にかかる。それだけで心臓が一際大きく跳ねるのが分かった。

一度意識してしまうともう駄目だ。彼女の吐息、僕の軍服と艤装が擦れあう音と柔らかい身体の感触…。



このままではいけないのは分かってはいても、自分の意思ではどうにもならない。


曙「このまま、誰かが来たらこまるから…」


僕と抱き合ったままなのが嫌、という言い方ではない。

いっぱいいっぱいだった僕は曙さんの微妙な発言のニュアンスに気がつかなくて。



提督「うん、そうだね。誰かに見られたら困る…」


オウム返しに同じ事を呟いて、二人して立ち上がろうとしたその時。

ガチャリと執務室のドアが開いた。



夕張「提督、おはようございま―――」

夕張「―――した」


提督「ちょと待って、ちょっと待って夕張さーーーーーん!!!」



いつもの入室の挨拶をしながら最速で出て行く夕張さんを見て。

僕は悲鳴を上げながら、彼女を引き止めるべく立ち上がるのだった。

ぼのたそ~
一先ずここまでです。

夕張ほど性格が良いトラブルメーカーはいない
投下します

夕張「待てってなんですか、私に何を見せつけるつもりですか!?」

提督「何も見せつけないよ!?」

提督「違うんだ夕張さん、あれはそういう事じゃなくって」



顔を真っ赤にして立ち去ろうとする夕張さんを慌てて引き止めた後。

誤解して再び突っ走る夕張さんを、僕は何とか説得しようと試みる。



…というか前から思ってたけれどこの人、間が悪すぎじゃないだろーか?

提督「曙さんもほら、誤解を解くために一緒に」

曙「見られた見られた見られた」

曙「抱き合ってるとこ、見られた…」

提督「ピンポイントで誤解されそうなコト言うのやめてもらえるかな!?」



でもまあ、きちんと正直に話せば誤解は解けそうだ。

あの場面を見られたのが常識的な夕張さんで良かったよ、ホントに。

提督「ほんっと、見られたのが夕張さんだけで良かった」

夕張「あのう、あはは…」

夕張「そのですね、提督」


曙「そうね、夕張なら言いふらしたりしないだろうし」

曙「ま、まあ言いふらされたとしても、私はどうってことないけどっ!」



そこまでハッキリ存在を否定されると若干傷つくんですけど…。

ほんと、なんで僕は曙さんにこうも距離を空けられるのだろうか?

夕張→まだまとも
明石→クレイジー
青葉→アオバワレェ

だいたいSSだとこんな感じよね

提督「僕としては言いふらされたりすると困るなあ」

曙「な、何よ。私とじゃ嫌だっていうつもりなの!?」


提督「ち、違うよ。主にセクハラ的な意味で…」

曙「フンっ」


夕張「あのう、それがですね提督」



ん?

そういえばさっきから夕張さんが何か言いたそうにしているけど…?

提督「どうしたの、夕張さん」

夕張「さっきの現場を見たのがですね…」


提督「うん、見られたのが夕張さんだけでホントに…」

青葉「ども」


提督「…」

曙「」

夕張「じ、実は一緒に来てたりして~。あは、あはは…」


提督「ちなみに、どこから?」

青葉「もち、最初からです!」



ああ…。

夕張さんって、ホントに…。

続き書けたら来ますがたぶん今日はここまでですかね
何も考えずに書くの楽しい

>>102
夕張⇒早とちりのドジがたまに傷(可愛い)
明石⇒常識人に見えて趣味面で暴走有り(可愛い)
青葉⇒お前ちょっと黙ってろ(可愛い)

まだ少年だからね、至らないところがあるのは仕方ないね
今回の投稿はダラダラした会話だけです

一括りにされたスミレ色の髪の毛。

空を映したような透き通った水色の瞳は目の前の出来事を少しも見逃さないようにとめいっぱい見開かれている。

セーラーの可愛らしさと短パンの活動的なイメージのそれらを両立させる彼女の有り様を一言で言い表すとしたら…。



好奇心。



青葉「司令官司令官、どうしちゃったんですかぁ!?」

青葉「まさか曙さんとくっつくとはこの青葉、予想していませんでした!」

曙「く、くっつ!?」


ああもう。青葉さんが来ると絶対にこうなるんだ。

これだけは曙さんのためにも、絶対に否定してあげないといけない。

提督「ち、違うよ。そうじゃないから!」

提督「第一、僕が曙さんとどうこうなるなんて」

提督「そんな訳ないじゃないか」


曙「…」


そんな事言ったら曙さんに迷惑をかけてしまう。

ただでさえ僕と手を繋ぐことになって不機嫌になってるんだから…。

って、ちらりと視線を横にやると曙さんがますます不機嫌な顔をしているんですけど!?

曙「フン」

曙「やっぱり私なんかと手、繋ぎたくなかったんじゃない」


なんでそういう風にとらえるかなあ?

誤解されないためにも、ちゃんと否定してあげただけなのに…。



提督「とりあえず青葉さん、何があったか説明するとね」


このままではどんな事実(?)を報道されるか分からないので、僕は事の顛末を最初からっ説明することにした。

青葉「ほうほう、つまり手を繋がなくちゃいけなくなったのも」

青葉「曙ちゃんが司令官を押し倒していたのも、まったくの事故という訳ですね!」

曙「お、おおおおし、おし…」


曙さんここで壊れないで欲しい、話がややこしくなるから。


提督「そうなんだよ、信じてくれてたすかっ…」

曙「そそそ、そうよ。だからあれはまったくの事故…」


青葉「それでそれで、本当のところはどうなんですか!」


提督「」

曙「」

夕張「あはは~」

ほら、やっぱりこうなった!

青葉さんが絡んでややこしくならなかった事がないんだから!


青葉「司令官司令官、ホントのトコロと教えて下さいよ~」

青葉「青葉、ゼッタイに秘密にしますから!」


じゃあその手に持った鉛筆とメモ用紙は何なんですかね!?




青葉「ちなみにちなみに、青葉の予想はですね!」


聞いても無いのに自論を語りだす青葉さん。

あ、これはアレだね。100%当たらないやつだね。

青葉「ある日をさかいに司令官を意識しだした曙ちゃん。でも司令官は秘書艦の空母艦娘とイチャイチャしてばかり」


青葉「ホントはもっと仲良くしたい、でも気が付けばいつも自分は憎まれ口を叩いてばかり…」


青葉「でもでも、今日は違いまいます。司令官と手を繋いで放れられない、しかも瑞鶴たち秘書艦組がこぞって演習で出かけている!」


青葉「これはチャンス、と思った曙ちゃんは溢れ出る恋心を抑えきれず、とうとう司令官を押し倒してしまうのでした…」

提督「な、長い…」

青葉「どうです!?」


いや、どうと言われましても…。



提督「だから全く当たってないってばっ」


思ったとおり100%当たらないやつだったよ。

…なんて思っていたら夕張さんがまさかの一言。

夕張「う~ん、ちょっとは当たってるかも?」

提督「へ?」

曙「な、ちょ…ゆ、夕張あんたぶっ飛ばすわよ!?」


当たってるって言っても…どういうことだろう?


提督「ああ、瑞鶴さんたちが演習でいないっていうのは、そうだね」


ついでに言うと明日まで帰ってこない。

…助かったなんて思ってないぞ、僕は。

夕張「いや~、それもそうなんですけれど…そうじゃなく」

夕張「その発言の前の」


曙「わーーー!何言ってんのよ、そんな訳ないでしょ!」


提督「前?」

曙「クソ提督も考えんな!エッチ、変態!」


だからなんで僕が罵られるのさ!?

青葉「うー、違いますか。青葉、イイ線行ってたと思うんですけれども」

提督「いやもう全く違うから。曙さんが僕を…なんてありえないから」


だってただでさえこんなに嫌われてるっていうのに。


提督「曙さんも嫌な思いをさせてごめん。繋ぎたくもない手を繋がせてしまって」

曙「は、はぁ?そ、それを言うなら…お互い様でしょ」

曙「クソ提督も私なんかと手、繋ぎたくないんだから」

うーん?


なんでだろう、僕が曙さんを避けてると思い込まれているのは。

むしろ曙さんの方が僕を避けていると思うんだけどなあ?



まあいいや、これもいい機会だと思って少し攻めてみようかな。

せっかく同じ鎮守府にいるんだから、もっと仲良くしたいしね。

少年提督、ガン攻めのもよう
吾輩ちと疲れたぞ、しばらく寝る!ということで続きは明日にします

攻撃あるのみじゃ!

投下はじめます

提督「僕は曙さんと手を繋いで嫌、なんてことはないよ」


思ったことを正直に、そのまま言葉にしてみせる。

僕が曙さんを避ける要素が無いんだと示すために。


曙「にゃ、にゃにゃ!?」


青葉「ほほう?」

夕張「青葉今イイトコロだから黙って、シッ」

青葉「夕張の方が青葉よりミーハーじゃないですかぁ」


曙さんの変な鳴き声と見物人のヒソヒソ声を無視して、とりあえず話を続ける。

提督「その、狙った訳じゃあないけどさ」

提督「女の子と手を繋いでいるんだから、けっこうドキドキしてるんだ」

提督「それにその相手が曙さんなら、緊張しこそすれ嫌がる訳ないじゃないか」



だからその、もうちょっと仲良くしてくれると嬉しいな。

そんな事を言うと、曙さんは何も言わず黙って頷いてくれた。



…頷いたまんま顔を上げないで何も喋らないのは不安だったけれど。

少しは僕の気持ちが伝わったら嬉しいと思った。

青葉「おお~。やっぱり司令官、言う時は言いますねえ!」

夕張「そうかな、無意識に言う分タチが悪いんじゃない?」

青葉「ほほーう?」


夕張「な、何よ青葉ってば」

青葉「何で夕張が不機嫌になるのか、また今度キッチリ取材させてもらいます!」

夕張「もう、青葉のばかぁ!」



何故だろう、鎮守府屈指の人当たりの良さを誇るあの夕張さん。

その彼女の雲雀の様な可愛らしい声に、少しだけ棘が含まれているような?

提督「夕張さん、何で怒ってるの?」

提督「僕、何かした?」


夕張「別に知りません、っだ!」

提督「えぇ…」


いやほんと、なんでさ?

不機嫌が曙さんから夕張さんへ移ったら意味ないじゃないか…。

相変わらず下を向いて黙ったまんまの曙さんを横目に、僕はため息をついた。

⑥って完結してたっけ?

そういえばUFOの日には何も起きなかったなあ
眠さに勝てないので今日はここまで

>>133
青葉カメラが復活すればいつでも始められるていにしてありますが、今のところ優先度は低いです
自分は地の文混ぜた作品の方が性に合っていると思うので

次は夕張が腕を組んだまま離れなくなる装備を開発しそうだな。
もちろん提督に使うために。

>>134
優先度低いのですか
⑥面白かったから少し残念です。
気が向いたら是非書いてください、気長に待ってますw

このタイミングで七駆に水着グラです、水着グラ。何とか絡ませることが出来ればいいけれど・・・。
ということで投下します。他の作品みたいに無駄に長くなりそうです。

>>136
ナニをさせる気なんですかねえ・・・
>>137
ありがとうございます。
地の文無しのギャグ調短編は自分にとって一番難易度が高いのです

青葉「でもでも、本当は何かあったんじゃないですかぁ?」


しかしながら、これで諦めないのが青葉さんの青葉さんたるゆえんだろう。

今まで発掘して来た数々のスクープはこのたゆまぬ(しつこい)取材の賜物なのだから。


曙「何もなかったっていってるでしょ、このバカ青葉!」

青葉「えぇ~、そうですかぁ?」


青葉「何かあったほうが面白…青葉の新聞のネタにな…」

青葉「とにかく何かあったに違いありません。これは青葉の冷静な分析の結果です!」


分析じゃなくってただの願望がダダ漏れなだけじゃないか…。

でもこっちだって本当に無実なんだからどうしようもない。

それに青葉さんがスクープだってはしゃぐ話題は大抵、一時間と経たずに号外が出る。

これから先駆逐艦の訓練や演習を見に行く予定があるのに、騒がれちゃ面倒だ。


提督「ん…?」


騒がれちゃ面倒?

本当に騒がれちゃ面倒なんだったら、後々のことを考えると。

もしかして…僕は青葉さんに協力しちゃった方が良いのかな?


提督「夕張さん夕張さん」

夕張「はい、なんですか?」

提督「何で青葉さんと一緒にここへ来たの?」

元々秘書艦の予定があった夕張さんが様子を見に来ることはおかしくないけど…。

青葉さんまでもが一緒に来るのはどういうことだろう、今日は出撃もないはずだし。


夕張「あの~、それが」

夕張「鎮守府のあちこちで七駆の艦娘たちが…」


提督「曙さんと僕の事を触れ回ったと?」」

曙「あああ、あいつら…た、ただじゃおかないわっ!」


それで事件の匂いを青葉さんが嗅ぎつけたのか。

もう本日何度目かってくらい顔を赤くする曙さん。

…気持ちは分かるけど、ちょっと怒り過ぎじゃないだろうか?


怒り心頭な曙さんの隣で…でも、と僕は考える。

今日の提督業務を円滑に進めるためにはどうしたら良いかを、だ。



どうせ曙さんと手を繋いでいるっていうこの話題は鎮守府に知れ渡った様子だし、そうでないとしても隠しきれるモノじゃない。

執務室を出た途端、寄ってたかって囲まれるのも困ったものだ。


うーん、それなら。

下手に隠すよりも、大げさなくらい騒いでもらった方が良いのかな?

提督「ねえ、青葉さん」

青葉「はいはい、青葉はここです!」


提督「僕と曙さん、そんなに仲良さそうに見える?」

曙「ぴゃ!?」


曙さんが変な悲鳴を上げるのを無視して、僕は青葉さんに聞いてみた。

青葉「それはもう!お似合いのカップルです!」

夕張「それはちょっと言い過ぎじゃないですかー、っだ」


提督「でもさ」

曙「え、ちょ、ちょっと」


曙さんの手を引いて少しだけ距離を近づける。

曙さんは完全に照れてしまったようで、絶対に僕と目を合わせようとしない。

提督「僕も曙さんもまだ子供だし…カップルとは違うんじゃない?」

夕張「そうです、そうですよ提督!」


青葉「うーん、そうでしょうか。そう言われると…?」

提督「うん、良くて仲のいい兄妹、かな?」


曙「な、なな…?」


ちょっと違った表現だと思うけど、それは今関係ない。

要は青葉さんが面白いと思って食いつくかどうかなんだから。

僕がそう言った瞬間、青葉さんの目がキラリと輝いて。

ダダダダダ、っとすごい勢いで詰め寄ってきた。


青葉「それ、アリです!」


いやいや、アリってなんなのさ!?

もう取材でも何でもないじゃないか、これ。

自分で蒔いた種だけれども、こうも都合よく実ると何だか力が抜ける。

青葉「仲の良い兄妹…」


青葉「来ました、来ましたよー!」


青葉「ホントはもっとお兄ちゃんと仲良くしたい曙ちゃんだけれども」


青葉「いつも素直になれなくて憎まれ口ばかり」


青葉「曙ちゃんはお兄ちゃんの事、大好きなのに…」


物凄い勢いで、青葉さんが手に持ったメモ帳を書き足していく。

青葉「優しいお兄ちゃん提督はいつもナマイキな曙を守ってくれます」


青葉「今日だって、転びそうになった自分を庇ってくれて」



あれ、これさっきの事件の真相だよね、それが事実だって認識してるよね青葉さん。



青葉「そう、そんな優しいお兄ちゃんが大好きな曙ちゃんはこう言うのです」


青葉「『お兄ちゃん、助けてくれてありがとう』って」



来ました、エンターテインメントですなんて叫びながら。

一人だけ上機嫌になった青葉さんはもう誰にも止められない。

…というかもう、事実無根のお話を作っているのは認めているからねこれ。

この人は記者よりも作家の方が向いているんじゃないだろうか?


曙「な、なんでこんなことになってんのよ…」


そんな一言を漏らしたが最後。

青葉さんの標的は僕ではなくもう一人の主演へと移る。


青葉「さあ、曙ちゃん!」

曙「な、何よ」


もうだめだ、曙さんってば怯えて声が震えてる。

青葉「だから、司令官に『助けてくれてありがとう、お兄ちゃん』って」

曙「言えるわけないでしょ!?」

夕張「妹艦娘、妹艦娘ですよ、提督!」


おまけに何で夕張さんまでノリノリなの!?

妹ってそんなにスゴイものなの、お兄ちゃん分からないよ!

そんな僕と曙さんの動揺なんてなんのその。

珍しく意地悪そうに目を細めて、青葉さんの押しはまだまだ続く。



青葉「ほほーう、じゃあ曙ちゃんは」

夕張「身を呈して自分を守ってくれた提督に何も感じてないと?」



何でそこで夕張さんが加わっているんだろうか。

この二人が妙に仲が良い理由がわかった気がする僕だった。

曙「それは…その。艦娘を守るのはクソ提督の仕事だし…」

提督「まあ、そうだね。曙さんに怪我がなくて良かったよ」

曙「えっ、あっ…」


夕張「(うわあ…)」

青葉「(イイです。凄くイイです!)」


何故だか他の二人からヘンな視線を感じるのはどうしてだろう…。

お兄ちゃんと言われることそれ自体は大したことありません。
本当の目的は抵抗がありつつもそう呼ぶ時に浮かべる羞恥の表情なのです。

続きは明日か明後日くらい、もしくは明々後日です。

青葉「さあ、曙ちゃん!」

青葉「これだけしてもらって、何も感謝してないと!?」

曙「そ、そんな事は…ない…けど」


夕張「じゃあ言葉にしちゃおう。じゃないと伝わらないよ?」

夕張「提督も曙に嫌われてるって勘違いしちゃうかも」

曙「!」


いや実際、嫌われるまで行かなくても避けられてはいたんだけど…。

夕張さんの言葉に何か思うところがあったのか、曙さんが顔を上げる。

さっきまで僕と決して合わせようとしなかった目を必死に見開いて。

いつも反抗的に見えるつり目は今、恥ずかしいのか涙で潤んでいる。


曙「あ、あのね…クソ提督」

曙「助けてくれて、ありがとう…」

提督「う、うん」


素直なその言葉を、弄れた彼女が言ってくれることに。

僕は何とも言えない幸福感を味わっていた。

青葉「おぉ、良いネタになりそうです」

夕張「まだよ、まだお兄ちゃんって言ってない」


…何で青葉さんより夕張さんの方が張り切ってるんだろうね。


夕張「ほら、曙。提督のこと嫌いなの?ほら!」

曙「嫌いじゃない…けど」


そんな嬉しいことを言ってくれる曙さん。

あれ、嫌われてないのに僕、何で避けられて―?

曙「別に嫌いじゃないってだけで、特に意味はないけど」

曙「で、でも、助けてもらったんだからちゃんと言うわ」

曙「お、おに…」


そんなわけがないのに。

そうやって僕を必死に見上げてくる彼女を見ると。

何だか曙さんが、本当に僕の妹のような…そんな錯覚が生まれてくる。



曙「お、お兄ちゃ――って、なんで私がそんな事言わなくちゃいけないのよ!?」


…気のせいだったかもしれないけど。

ああ、うん。やっぱりこれただの錯覚だ、錯覚。

青葉「ああ、残念です」

曙「考えたら、感謝するのにクソ提督をお、おに…」

曙「あんな呼び方する必要ないじゃない!」

夕張「バレたか」

提督「今頃気づいたんだ…」


曙「うっさい、クソ提督!」

曙「やっぱりアンタなんか嫌い、嫌いよ大っきらい!」

提督「えぇ、そんなあ」

結局、嫌われてるんだか嫌われてないんだか分からないまま。

もう完全に拗ねてしまった曙さんのご機嫌をどう取ろうかに終始した。

そうしてお昼の執務の時間は過ぎていって、演習の視察の時間となってしまうのだった。



曙さんが妹っていうのは、やっぱりちょっと違うかな。

でもお兄ちゃんって言われるのは案外、いいかもしれない。

そんな馬鹿なことを思ったのは、勿論口に出す訳が無かった。

次は曙視点の演習視察を予定
つまり手を繋いだまま連れ回すわけです

ガチでやってた方が完結したのでこちらを。
こっちは何も考えてません、ダラダラやります。

提督「じゃあ、今日の事は適当に記事にしておいて良いよ」

曙「は?ちょっ、クソ提督何言って―」


青葉「了解です!きっと面白い記事にしてみせます!」

曙「ま、待ちなさいよ青葉っ」



記事にするな、なら分かるけれど、記事にしていいってのはどういうこと!?

勝手にそう言うと、青葉は夕張と一緒に部屋を出て行ってしまった。

これじゃあどんなメチャクチャな記事を書かれるか分かったモンじゃない!


た、例えばその…。

私がクソ提督の事をす、好きとか…手を繋げて喜んでるとか、そういうことよっ。

クソ提督が馬鹿なことを言ったせいで、私まで大迷惑。

ほんっと、信じられない。ありえないから。



曙「クソ提督!」

提督「曙さん、声が大きいよ」

曙「うるっさいわね、クソ提督クソ提督っ」



穏やかな表情で私を嗜めようとするのがまた、腹が立つ。

あんな馬鹿なことを青葉に言ったくせに!

曙「何で青葉に好きに書いて良いって言ったのよ!?」

提督「好きにとは言ってないよ。適当にって」

曙「同じことじゃない、このアンポンタン!」


クソ提督と手を繋いでいるだけでも恥ずかしいのに。

青葉の馬鹿にどんな浮ついた話を記事にされるか考えるだけでも死にたくなる。



まさか、まさか…抱き合ってたことまで記事にしないわよね?

私の心の中はもう、不安で不安で何も考えられないのに…。

クソ提督はと言うと、もう平気な顔で書類をいじっている。

曙「クソ提督が何考えているのか分からないわ…」

提督「まあ、もうじき分かるよ」


答えをすぐに言わないのはコイツの悪い癖よね。

それ以上何も言えずに私が突っ立っていると。



提督「さ、そろそろ行こうか」


突然書類の整理をやめて、そんな事を言い出した。

曙「へ?ど、どこに?」

提督「どこって、決まってるじゃないか」

提督「演習の視察だよ」



ああ、来なくてもいいのにクソ提督がいつもやるやつね。

クソ提督が見ている時だけ無駄に張り切る艦娘がいるから、迷惑なんだけどっ。



鎮守府の中の演習場なら今頃、水雷戦隊の演習がって。


…あれ?

曙「ちょ、ちょっと、それって私も!?」

提督「手が繋がってるんだから当然じゃないか」



何を当たり前のことを、という顔をしたクソ提督。

ちょっと待って、ちょっと待って…それこそありえない。



だって、だってそれは。

提督「さ、もう時間だ。早く行こう」

曙「な、ちょ…へ?」

曙「ええええええええええ!?」



この状態の私たちを。

鎮守府のみんなに見られるってことなんだから!

演習メンバーが思いつかないので今日はここまで
第六駆逐は出します。他はどうするか考えときます。

そろそろ運営は中原艦と小清水艦とゆかな艦を実装するべきだと思うの
投下します

提督「どうしたの、曙さん?」

曙「どうしたの、じゃないわよ!」


たぶん今頃は青葉の”号外”が鎮守府に行き渡ってるはずだから。

こと報道にかける青葉の情熱は馬鹿にできないのだ。青葉自身は馬鹿だけど。


曙「ああもう、みんなにどんな事言われるか…」

提督「それはもう、あんまり心配しなくていいと思うけど」

曙「はあ?また訳分からないこと言って…」

提督「あ、最初の演習の勝負がもうつくね」


頭の良いこいつだから、何も考えてないってことはないと思うけど。

自分のレベルを簡単に相手に要求するんだから、カンベンして欲しいわ、まったく。

そうやってブツクサ文句を言いながらも、私は演習場に視線をやる。


雷「雷に任せなさい!」

暁「ちょっと、私が最初に突撃するんだからー!」

電「け、けんかは駄目なのですー!」

響「…電、もう遅い」


第六駆逐隊のチビたちが、ガヤガヤとうるさく争っていた。

元気があるのは良いけれど…問題はチビたちが全員同じ班だということ。

つまり味方だということよね、まったく。これじゃあ…。

漣「おろろ~?六駆のお姉ちゃんは雷だったかな~?」

暁「なっ…レディに対する侮辱、許さないんだから!」


漣「ほいさ、隙アリ。頼んだよ!」

朧「みんな、よそ見しちゃ駄目だよ」

潮「ご、ごめんね?」


漣の軽口に反応してしまった暁を筆頭に、チビたちが次々と対戦相手である七駆の攻撃にやられていった。

ああもう、なによ、この無茶苦茶な演習は。

私の隣でクソ提督が苦笑しながら息をつくのが分かる。

そのため息はチビたちのやんちゃぶりになのか、漣のセコい勝ち方へになのか。


雷「あっ、司令官が来てるー!」

朧「曙もだね」

暁「ホントに手を繋いでるわ!」


しまった!

演習に気を取られていて、心の準備が出来てなかった。

どうしよう、どうしよう、どうしよう。私は焦ったままで。

結局、チビたちが駆け寄って来るまでに必要な言い訳を考えられずにいた。

雷「ねえねえ、どうしたの、しれーかん!」

響「本当に放れられないんだね」


あれ、でも。

チビたちは”手を繋いで放れない”って事態が珍しいらしくって。

私が恐れていたような冷やかしは全然されなかった。



…なんて思って油断していたわ。

ここに七駆の奴らがいることを忘れてた。

漣「ふふーん、それで二人はラブラブかにゃ~?」

朧「曙、おめでとう。お似合いだよ」

曙「なっ…ち、違うから。ありえないからそんなこと!」


提督「そこまで言われると傷つくなあ」

曙「クソ提督は黙ってて、喋るな!」


またさっきみたいに”恥ずかしいこと”を言われたら。

…もう私はこの鎮守府で生きていける自信がないから。

潮「さ、漣ちゃんも朧ちゃんも。あんまりからかっちゃ駄目です」


優等生の潮は二人を注意してみせるけど。

ちらちらと私とクソ提督が繋いだ手を意識してるのがまるわかりなのよ。



漣「潮は気になるもんねー?」

潮「あぅぅ、そんなんじゃありません…」


ほら、からかわれるに決まってるんだから黙ってればいいのに、クソ潮はまったく。

下手に私を助けようと思って余計なことするからそうなるのよ。

あれ、でも…気になるって何がかしら。

からかわれるのは面白くないけれど、こんな位ならいつも漣にやられてるし。

私が思ったほどには酷い噂はなかったみたいで、ちょっと安心した。


”号外”が出たことは間違いなさそうだけれども、そんなに無茶な内容じゃなかったのかもしれない。

なんだ、青葉も意外とまともなトコロあるじゃないなんて思いかけてところに。


暁「ね、ねえ曙。ホントなの?」

曙「は?何がよ」

電「あ、曙が司令官さんを押し倒しちゃったっていうお話が、なのです~!」


曙「」

提督「まあ、そうなるよね」

私はこの時ほど青葉の事を憎く思ったことはないかもしれない。

今度会ったらキッチリ締める事を、心の中で固く誓う。


…それにしても、本当に油断してたわ。

まさか暁や雷じゃなくて、電に追い詰められることになるなんて。



この娘、言う時は一番言う娘なのかもしれないわねだなんて。

動揺しているくせに私は、妙な事を気にかけてしまうのだった。

電ちゃんマジ天使
続きはまた今度


ああ、早く退院して曙に罵倒されたい…

ここの提督的には潮とは(ラキスケとか性格+おっぱい的な意味で)相性悪そうだけど好感度高めなのか

そういやガチの方は一旦終わっちゃったのよね……乙でした
大人軽巡(+一部駆逐)提督、少年空母(+一部駆逐)提督と来たし次はオッサン重巡提督か戦艦青年戦艦提督かな?

おつー
これ中身ぷらずまじゃね?ww

そう言う嬉しい事を言ってくださると頑張らざるを得ません!
というわけで少し書いてきます

>>193もうそれ治らない病気だから安心して退院しよう
>>194多分年下~同年代にはまだリバースカードの効果発動していないんじゃないでしょーか
>>195重巡をメインに据えてないのはたまたま、戦艦は金剛への愛の表現の仕方が見つからないから
>>196電ちゃんはこの殺伐とした世に現れたただ一人の天使

前回までの整理
・曙と手を繋ぐ少年提督、一日放れない
・こけた曙が提督を押し倒すところを青葉に見られる。提督に煽られた青葉が号外にて絶賛拡散中。
・そんな中曙を演習視察に駆り出すというプレイ

曙「にゃ、にゃにを言って…」


どうしよう、どうしよう、どうしよう!!

青葉に配慮なんて求めた私がバカだったのよ。

あの馬鹿がせっかく拾ったネタを公表せずに腐らせておくだなんて、そんな訳がなかったんだわ!



響「司令官を押し倒して、それで、それで…」

曙「そ、それで何よ」


よせば良いのに聞いてしまう。

でも、あれは事故で…。

雷「そのままちゅーしちゃったって!」

曙「ぶっ!?」


あの報道馬鹿、何物凄いウソまでぶち込んでくれたのよ!?


暁「そそそ、そんなのイケナイコトなんだから!レディのすることじゃないわ!」

電「曙はもう、オトナの女の人なのです!?」


だから何で電がトドメを差しに来るの!?

そ、そそそ、それに、オトナの女って。オトナの女っていったい何!?


第六駆逐たちと私の慌てようを見て楽しんでいる七駆のみんなが視界に入って、それが余計に私を慌てさせた。

早く、この誤解を早く解かなくっちゃと、そう思って。

ブンブンと勢いよく首を左右に振りながら、私はこう答えた。

曙「こここ、こんなの相手に私がそ、そんな事する訳ないじゃない!?」


こんな奴、大っきらいなんだから。

そう言いかけて手を繋いだ先のクソ提督を振り返ると、少し困ったような顔をした彼とバッチリと目線が合う。

それだけでもう、私は何も言えなくなってしまった。



提督「そこまで否定されると、ちょっとガッカリだなあ」


はにかむ様な笑顔を浮かべたクソ提督のその反応に、場がおお、っとさらに盛り上がる。

な、何言ってるのよ。それじゃあまるで私とキ、キスしたがってるみたいじゃ…。

潮「うぅ、曙ちゃん…」


見世物を楽しもうとしている他のみんなと違って、何故だか潮だけが泣きそうだ。

…何してんのよ、まったく。泣きたいのはこっちだっていうのに!


それにしても、この場をこれだけかき回した後で、クソ提督ったらどうやってみんなを落ち着かせるつもりだろう?

クソ提督はすぐには口を開かずに、みんなの期待が自分の身に集まった瞬間を見届けてから、ゆっくりと話しだした。

提督「この様子だと、みんなに号外を配ってくれたみたいだね、僕がお願いした通りに」

漣「へ!?あの新聞はご主人様が配るように言ったんですか?」


その通りだよ、とクソ提督が頷く。意外そうにしているみんなの前で。

それもそうだ、艦娘との”そんな事”を記事にしていいなんて、この真面目な彼が言うはずがないって、みんな思っただろうから。

…でも、事実はそれと逆なんだけど。



提督「曙さんと今日一日手が離れないのは事実なんだし、みんなに説明しておこうかと思ってね」


夕張が作った兵装が原因なんだとか、執務に差し障りはないから安心だったとか。

そういった当たり障りのない説明が続いて、みんながキョトンとする。

朧「あ、あの。提督。それで?」

提督「それで、って。これが全部だけど?」

曙「は!?」


びっくりして叫び声を上げそうになった途端に、クソ提督に脇腹を小突かれた。

黙っていろという事なのだろう。

まいったなあ、青葉さんはだなんて、ごく自然にため息をつきながら、提督。



提督「経緯をちゃんと説明してくれるなら、多少脚色しても良いよって言ったけど」


これじゃあ脚色ばっかりで、真実なんて”ひとつもない”じゃないか――。

本当に困ったように、スルリと…そんな言葉をみんなの耳に滑り込ませてしまった。

そうやって語られた青葉事件の”真相”に、観客たちは…。


雷「なあんだ、つまんない!」

雷「手を繋いでるだけで、何も無かったんじゃない」

響「曙がそんな事するはずないと思ってたけど」

漣「つ、釣られた~!?」

朧「もう、青葉はいっつも大げさなんだから」


全然疑うことのない様子で、さっきまでの熱気も収まっていた。

期待と違ってあまりにもショボイ結末が用意されていて、毒が抜けたのかもしれない。


潮だけがまだ涙目だったけれど、良かったと小さく謎のつぶやきをして、その話は終わった。

いや、クソ提督が終わらせてしまったんだ。

ちょろんとだけ進めました
書き次第更新していきます、早くお風呂シーンへ行きたい(無計画)

【艦これ】艦娘誰でしょう?【クイズ形式】
【艦これ】艦娘誰でしょう?【クイズ形式】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1436693444/)

更新してなかったのはこっちに浮気してたからです、よければどうぞ

掛け持ちと同時”進行”は違うんやでえ・・・
昨日のにちょっと付け足しを、物足りない感があったので

提督「それにしても、何さ、あの演習は?」


みんなの興奮が収まったと見ると、クソ提督は別の話題をするりと滑り込ませていく。

これで青葉の件が再び槍玉に挙げられることはないだろう。



雷「だって暁が―」

暁「それはこっちの台詞なんだから!」

提督「雷も暁も、もっと連携を大切にしないと駄目だよ」


そうすれば七駆にだって勝てるのになあ、とチビたちの興味を巧みに煽っていくさまは、何だか学校の先生みたいだ。

…艦娘なんだから学校なんて行ったことないけれど。


そうやってチビたちの演習講座をして、再び私とクソ提督は執務室へと切り上げていく。

帰る頃にはもう、冷やかしや探りは全くなかった。

提督「ほらね、大丈夫だったでしょう?」

曙「クソ提督、だからアンタは青葉に好きに書かせたのね」


クソ提督は得意げに頷いて、今度は私に”授業”をはじめる。

慌てて否定しても、勘繰られるだけなんだから、と前置いて。



提督「譲っていいところだけ全部認めて、後は知らばっくれちゃえばいいのさ」



あとは信じさせたい情報を伝えるタイミングだねと、そんなとんでもないことを事も無げに言うクソ提督を見て、私は今更ながらに思った。

ああ、このひとが私たちの鎮守府を支えている提督なんだなって、そんな当たり前の事を。

きっと私の知らないところで、今みたいな色々な駆け引きをしているんだろう。

それは艦娘相手のささやかなものだったり、本部の人間を相手にしたものだったりあうるのかもしれない。

15歳で鎮守府の艦娘たちを指揮する少年が、ただのお人好しな訳がないのだ。



提督「勿論、みんなにはナイショだよ?」

提督「暁や雷にバレちゃったら、また大変になるから」


そんな凄いことを平気でやってのけるくせに、悪戯が成功した子供みたいな笑みを浮かべて、秘密を共有する楽しさを味わっている。

そうだ…これは、私と、クソ提督だけの秘密なんだ。

そう意識するとまた、トクンと心臓が跳ねてしまう。だって、仕方ないじゃない。


不意打ちみたいにカッコ良いとこ見せて微笑むなんて、そんなの卑怯だ。

提督「行こっか、曙さん」

曙「…うん」


クソ提督が私の手を引いて、執務室を目指して歩き出す。

彼の悪戯っぽい笑みを間近で見るっていう役得を味わったくせに、私は何故だかとても小さな事を気にして後に付いていった。


…なんで暁や雷たちは呼び捨てで、私のことは“曙さん”なのよ、なんて。

そんな小さくて、けれどどうでも良くない事を気にしながら。


私たちは鎮守府の廊下に、ふたり分の足音を響いていく。

次は多分食堂のシーン

トイレシーンは自分の性癖とは違うのでござる
KENZENなシーンしかやったことないでござる

演習の後の執務も滞りなく終わって。

僕と曙さんは晩ご飯をすませるべく、食堂【間宮】を訪れていた。

いつもならこれで楽しい食事の時間、となるハズなんだけれど…今日だけはそうもいかないかも。



曙「…で、これどうすんのよ」

提督「あはは」


僕と曙さんの席にそれぞれ置かれたのは、【間宮】今日のイチオシメニュー、カレーライスだ。

みんな大好きカレー、当然僕も大好きだけれど…今日ばかりは困ってしまう。


だって…。

曙「これ、どうやって食べるのよ!」


お互いに片手が―曙さんは左手、僕は右手―が塞がれている以上、まさに曙さんが言うとおりで。

いったいどうやって食べたらいいのやら、だ。

でもまあ、これが箸を使わずに食べられる唯一のメニューなんだから、他に選びようがないんだけれど…。



提督「こう、片手だけで食べる…とか?」

曙「それじゃ犬食いじゃない、ありえないから」

提督「そんなに食べ方気にする?」


即座に当たり前じゃない、という返事が来て僕の意見は却下。

行儀は悪いけど、この緊急事態だし仕方ないか、と思ったんだけれども。

曙「アンタも私も白い服着てるんだから、そんな汚い真似できないじゃない」


ああ、確かに…軍服もセーラーも、カレーの汁で汚してしまったらとてもみっともないことになる。

どうやって食べよう、くらいしか気にしてなかった僕と違って、ちゃんと身だしなみにまで気が付く曙さんは…。




提督「やっぱり女の子だなあ」

曙「は、はぁ!?なな、何言ってるのよこのクソ提督!?」


思いっきりなじられた。

男の僕とは気にしているトコロが違うって言いたかっただけなんだけれども…。

提督「ひょっとして、何か気に触った?」

曙「ううう、うるさい。さっさと食べるわよ!」


だからその食べ方に迷っているんだけれど…曙さんは一体、何をそんなに怒っているんだろうか?

目の前のご馳走と不機嫌な曙さんの顔を眺めながら、僕が女の子の機嫌の取り方について悩んでいると…。



漣「おお、ご主人様たち発見!」


演習組がスケジュールを終えたのか、食堂の端から元気な声が聞こえてきた。

困ったねえどうやって食べようねえといったトコロで一旦切ります、最近忙しい

①間宮さんファインプレー、笑顔で騒動を見守る
②提督たちが既存のメニューを注文しちゃった
③はわわ><
④その他

各自のご想像でオナシャス

朧「ご飯の食べ方が分からない、ですって?」


興味深そうにこちらを見てくる艦娘の姿がいくらかあるけれど、それは思いっきり無視。

食堂【間宮】の一角、隅の方のテーブルに腰掛けた僕たちは、こそこそと相談を続けた。


潮「あのう、仕方ないから片手だけで食べたら良いんじゃ…」

曙「潮、アンタまでそんな事言うの?みっともない」


う~ん、でも背に腹は変えられないというか。

ぶっちゃけもうお腹が減ったので早く食べてしまいたい、という気持ちもある。

提督「やっぱり仕方ないよ。曙さんより女子力高そうな潮さんでもそう言―」

曙「アン!?」

提督「―綺麗に食べる方法をみんなで見つけよか、早急に!」


うん、曙さんと潮さんの女子力は互角くらいかな?公平に見て!!

いやむしろ曙さんが勝っているまであるねこれは、うん。

僕が心の中でゴマを擦ることに専念していると…このメンバーの中で一番騒がしいハズなのに黙っていた人が口を開いた。

漣「ピコーン!」

漣「漣、思いつきました、ご主人さま!」

提督「何かな、漣さん」


何故最初の効果音まで口で言ったんだろう?

それにしても、この娘からは青葉さんや夕張さんと同じ匂いを感じる気がするんだけど…。

って、あんまり疑うのも良くないか、大丈夫だよね?

漣「ご主人さまと曙が食べさせあいっこすれば問題解決です!」

曙「はぁ!?」

提督「あー、大丈夫じゃない方だったかあ」

朧「うちの姉がすみません」


でも、大丈夫じゃないのは漣さんだけだったようで。

他のみんなはまともな反応を返してくれるあたりまだ希望が見えそうだ。

潮「あああ、曙ちゃんと提督が、食べさせあいっこ…二人の共同作業!?」

潮「ままま、まさかもう、二人は恋人!?も、もしかしてケッコンも!?」


勝手に目をぐるぐるさせてヒートアップしてるもう一人を見て、そんな安堵は吹き飛んだけれど…うん、まあまだどうってことないや。



提督「潮さんも大丈夫じゃないパターンか。なるほどね」

曙「アンタも異常事態に慣れすぎでしょクソ提督っ」


着任初日から爆撃された事がある身からすればまだ大したことないと言えるから、こんなものまだ平和なうちだ。

それにまあ、こんな恥ずかしいイベント…曙さんが首を縦に振る訳もないって思ったのだ。

取り敢えずここまで、さっさと終わらせて行かなきゃ


微力ながら現在の艦これ作者スレを紹介させて頂きます
自分も自作品の批評、アドバイスを求めて使っているので興味がおありでしたらご参加ください

イラストコラム買っちゃいました。我が嫁電ちゃんが当然の可愛さを披露しています。
あとそろそろ霞にハマってしまいそうです、ちょっかい出しまくって舌打ちされたい。

曙「…」


あ、あれ。曙さん?なんで否定しないの?

漣さんへの、ありえないから、といういつもの彼女の返しが行くかと思ったのだけれど。

何故か、曙さんは黙ったまま…一瞬だけ、僕の手を握る力をぎゅっと強めた。



提督「でもそれは…ちょっと恥ずかしいかな?」

漣「じゃあご主人さまは曙に汚い食べ方をさせて平気なんですね?」

提督「うっ・・・いや、それは」

いやいや待て待て、漣さんの謎の勢いに押されちゃダメだ。

二人が手を繋いでいるせいで、僕は右手を、曙さんは左手を塞がれている。

そんな二人が食べさせあいっこだなんて、どう考えてもやりづらいハズ。



提督「なら両手が使える君たちに手伝ってもらった方が」

漣「いや私たちは正直関係ないですし。犬食いされても構いませんから」



何でそこだけ考え方ドライなの?加賀さんなの!?

潮「あぅぅ…ホントは良くないけど、すっごく良いと思います」

朧「それしか方法がないなら…仕方ない…かも?」


残りの二人も曙さんをチラリとみて、そんな事を言い始めた。

何で急に漣さんに味方仕出したのか、僕からしたらもう訳がわからない。



曙「でもあの、それは…」


強く否定するかと思った曙さんはというと、曖昧な答えばかりだし。

僕と食べさせあいっこなんて、絶対に嫌がると思ったんだけれど。

漣「あれれ~、曙たん、どうしたのかにゃあ?」


業を煮やした鎮守府のピンクの悪魔…じゃなくて、漣さんが曙さんへと擦り寄っていく。

こそっと、僕に聞こえないように曙さんへと耳打ちする漣さん。



漣「ご注文通りの展開にしてあげたのに、何かご不満?」

曙「ななな、な!?」


曙さんの戸惑う声だけが聞こえてきて、サマーガールかな、だなんてくだらないことを考える僕。

だって聞こえないんだもの、他にやることがない。僕や朧さん、潮さんをほったらかして二人のヒソヒソ話はしばらく続くようだ。

曙「わ、私はこんな事頼んだりなんてっ」

漣「ほほーう、じゃあさっきから曙はホントにお行儀を気にしてたワケか、ん?」

曙「そ、それは…」



漣「あのね、相手はあの鈍いニブーーイご主人さまだよ?究極の甲斐性なしだよ?」

漣「曙が犬食いは嫌だなんて言っても、僕が食べさせてあげるとか言うハズないじゃん」

漣「ホラホラ、ここは私が無理やり押し切ったって事にして、覚悟決めちゃいなさい?」

曙「で、でも…やっぱり恥ずかしいし」

漣「そじゃないと、私たち先に食べ終わったらアンタたち二人っきりにするよ?」

曙「わ、わかったわよ、もう!」

漣「ふふん、論破キタコレ!」


曙「漣、アンタ後で覚えてなさいよ」

漣「お礼は間宮さん特性パフェがいいであります!」

曙「誰がするか、このバカ、アホ!」

ちょい中断、おっふろ、おっふろ、お~ふ~ろ~(イン何とかさん全盛期の名言)

話が終わったのか、漣さんが自分の席へと戻る。スタコラサッサとか余計なことを言いながら。

その後は僕たちの不思議そうな視線を無視して、さっさと自分のご飯を食べ始めてしまった。



漣「はむはむ、カレーうまー!」

提督「漣さん、これはどういう…?」


曙「くくく、クソ提督っ!」

提督「へ?」

突然隣の曙さんから意を決したように声をかけられて振り向く僕。

すると目の前には、曙さんの右手に握られたスプーンがあって。

どういう訳だか、そのスプーンの上にはカレーライスがひとすくい、曙さんの、ではなく…僕の口へと向けられていて…。



曙「ほ、ほらっ。早く食べなさいよ」

提督「えええ!?」


顔を真っ赤にした曙さんがカレーを引っ提げて、正面から僕を見つめている。

手を繋いだ体制から無理に向き合っているためか、妙に距離が近い。

この恰好は、もしかして伝説の…いや、恥ずかしいから言葉にはしないけど。

朧「あれ、あーんって言わないの、曙?」


言っちゃった!まさかの朧さんからだよ、もう!


曙「い、言う訳ないでしょ、これは仕方なくなんだから…」

曙「く、クソ提督も勘違いしないでよね!」

提督「か、勘違いって…」


僕の煮え切らない態度に痺れを切らしたのか、曙さんがさらに迫る。

曙「だから、ホントはこんな事したくないんだけど、仕方なくっていうか…ああもう、さっさと食べなさいよ!」

提督「いやでも恥ずかしいし…って、曙さんこぼれる!」

曙「へ?」



それでもやっぱり恥ずかしくって腰が引けていた僕だけれども。

曙さんの差し出す手が震えすぎていて、すくったカレーがこぼれそうだという事に気がついたら踏ん切りがついた。

こんな事までして、白いセーラーにカレーの染みが出来てしまっては意味がない。ええい、男は度胸だ。

パクリ。


分かってはいたけれど、想像以上の恥ずかしさが僕を襲ってきた。

それは曙さんも同じようで、さっきよりも更に顔を真っ赤にして、もはや泣きそうな顔をしているのが分かる。



ああ、いつもこうだ。いつも僕には最後にこういう役が回ってくる。

でも、言わなくっちゃいけない。もうやってしまった事なんだから、潔く最後まで。

曙さん、死ぬときは一緒だよ、ともに堕ちて行こう…。

提督「曙さん」

曙「な、何よ」


今度は僕が、左手で器用にお皿からカレーを掬い取って掲げる。


提督「次、僕の番なんだけど」

曙「~~~!」


どうやら曙さんは、自分が“あ~ん”をするのに精いっぱいだった様子で。

自分がされる方の順番が回って来ることを今更ながら思い出して…特段辛くもないカレーを前に、声にならない悲鳴を上げていた。

それから…。

交互に“あ~ん”をしてカレーを完食した僕と曙さんは。

お互いに憔悴しきって、しばらく机に突っ伏して動けなかった。

本日以上です
後はお風呂、就寝シーンの予定

7駆だと朧が長姉なのか・・・漣だと思ってました、スミマセン
この4人で自分が旗艦にするなら漣だなと思うんでそこから勘違いしたんだなあ

叢雲とは違うツンデレ具合が良いです、曙。

曙「つ、疲れたわ…」

提督「僕もだよ」



二人で執務室へ戻ると、僕たちは残った仕事を片付けにかかった。

今日は最低限だけ仕上げて、早めに切り上げて休むとしたい。これを終わらせたら後は寝よう。

夕張さん曰く、朝には二人の手をくっつけている磁力も弱まる、ということだし…。

それならもう今日は早めに寝てしまって、仕事は明日から取り掛かればいいと思う。

さて、今日どうしてもしなきゃいけない事としたら…それは一日がかりの遠征に出ていた艦娘の帰還報告。

もうそろそろ帰ってくる時間だろう、確か旗艦は…


鈴谷「艦隊が帰投しましたぁ、お疲れぃ!」

熊野「もう、鈴谷…煩いですわ」


うん、この人だ。後ろに熊野さんを従えて、今回の遠征の旗艦である鈴谷さんが帰還報告のために執務室へとやってきた。

曙「お、おかえりなさい」

鈴谷「あれれ、曙じゃん。どしたの?」

熊野「秘書艦になられた、というお話は聞いておりませんが…」


ああ、そっか。二人共ずっと外に出ていたから、まだ僕と曙さんの騒動を知らないんだ。


鈴谷「ねえ、何で手繋いでんの?」



目ざとく僕たちの繋いだ手を見つける鈴谷さん。

第六駆逐の暁たちは誤魔化せたけれど…相手が鈴谷さんとなると、そうだなあ。いつもみたいにからかわれるんだろうなあ。

そうやっておもちゃにされる覚悟をしつつ、僕は今日一日の経緯を説明し始めた。


提督「実はこれ、夕張さんの開発品が暴走してね」

熊野「まあ、そんな事が」

提督「もう大変なんだよ、これが。ねえ、曙さん?」

曙「う、うん」



お互い異性と手を繋いでいるんだ。気を使うし、ハプニングもたくさん起こった。

決して青葉さんが喜ぶようなゴシップばかりな訳じゃない…んだけれど。


いつも僕をいじめてくる鈴谷さんならきっと、こんなネタ大好物なんだろう。

ほら、そんな事を思っているうちに、鈴谷さんが意地悪そうな笑いを浮かべて―

鈴谷「ふぅん、ウケるんだけど」


いなかった。

全然面白くなさそうに言う”ウケる”を、僕は初めて聞いた。

もっとからかわれるかと思っていたけれど、鈴谷さんはもう一度僕と曙さんの繋いだ手をチラリと見て、あまり興味がなさそうにそっぽを向いてしまった。



提督「鈴谷さん?」

鈴谷「ん~、なに?」


いつもはひっきりなしに話しかけてくるのに、鈴谷さんは今日ばかりは自分の指で髪の毛をくるくるといじって、どこか気の入らない様子でいて。

おかしいな、執務室に入ってきた時は鈴谷さん、いつも通りだったハズなんだけれど…?

提督「あ、あの。報告は?」

鈴谷「…熊野が持ってる」

熊野「もう、鈴谷ったら」


旗艦は誰だと思ってますの、なんてブツブツ言いながら、鈴谷さんの代わりに熊野さんが報告書を渡してくれる。

今日の遠征先は会敵するはずのない海域だし、特段変わった変化もないだろう。

報告書を流し見する限りそんな印象を受ける。何かあったら、流石に鈴谷さんの口から言うだろうしね。

提督「ありがとう、今日はご苦労さま」

鈴谷「じゃ、鈴谷たちもう行くね」

提督「えっ…ああ、うん」


鈴谷さんにしては珍しく―というか初めて―そっけなく言葉を交わして、重巡洋艦の二人は出て行ってしまった。

別れ際に手を振ってくれたのも熊野さんだけ。

うーん、これは。


提督「鈴谷さん、よっぽど疲れていたのかな?」


一日がかりの遠征の、それも旗艦。安全と言っていい海域だったとしても、精神的にはかなり疲れるだろう。

たまにはこういう日もあるのかもしれないな、と僕が勝手に自分を納得させていると。

曙「違うでしょ」

提督「え、分かるの?」


どうやら曙さんは、僕とは違う答えを導き出していた様で、それでもその答えを決して教えてはくれなかった。

あまり趣味が良いとは言えないので、鈴谷さんたちが出て行った後の扉を見つめて独り言つ彼女に聞き耳は立てなかったけれど。

もし、僕がそうしていたら…曙さんのこの一言をどういう風に受け止めたのだろうか?


曙「素直に慣れない奴は、バカよ」

隣にいる僕でも聞き取れない程の小声で何事かを呟いて、曙さんはフン、と鼻を鳴らした。

添え物にしちゃってゴメンよ熊野。
ホントは熊野も大好きです、後ろから抱きついて髪の毛クンカクンカしたい重巡ナンバーワン。
とういうわけで今日はここまで。

夏イベント楽しみです。
運営は今回イベで、海域最深部S勝利でのドロップにて釘宮艦を実装するという悪魔の所業を実演すべき。

あとロリ戦艦実装してもええんやで?

提督「ふう、これで今日の執務は終わりかな」

曙「やっと休めるのね…」


クソ提督が最後の書類に承認印をポンと押して。

今日の執務はこれで終了となった。

時間は午後9時30分、いつもより大分早めらしい仕事納めに、私はほう、と安堵のため息をついた。

まあクソ提督もこの緊急事態に、しかも秘書艦は慣れない私とあれば早めに切り上げたほうが良いと考えるのも当然かもしれない。


別に私はもう少し仕事をしても良いんだけれどね。

曙「ね、ねえ。もう少し仕事しても良いんじゃない?」


だっていつもはもっと遅くまで仕事しているって、私は知っているから。

私が一日秘書艦をするからって、それに合わせて鎮守府の仕事が待ってくれるわけじゃないし。

だってやっぱり、いつも秘書艦やってる他の艦娘と比べれば当然、私の仕事スピードは遅いわけで。私としては、そのしわ寄せが後日にまわるのが気になるわけで。


提督「ん~、今日は急ぎももう無いし、いいよ」

曙「わ、私のせいで仕事溜まっちゃった、なんて言われたらたまらないでしょ!」


違う、後で鎮守府のみんなやクソ提督に迷惑かけたくないから、そう言ったんだ。

例え仕事が溜まっいても、みんながそんな意地悪なこと言う訳ないって、ちゃんとわかってるのに。

…なのに私、また思ったことと違うことを言ってしまっている。

提督「みんなが?そんな事ないさ。急ぎが無いのも本当」


仕事が溜まっていない、とは言わなかった。こいつは嘘はつかないんだ、こんな時でも。

だから余計、やっぱりもうちょっと頑張ったほうが良いんじゃないかって気になってしまったという、丁度そんなタイミングで。


提督「ふわぁ、なんだか疲れちゃった」


クソ提督が、気の抜けた大あくびを一つ。


曙「アンタねえ…」


それに呆れて、私。

提督「実は、もうそろそろ眠くなってきてたんだ」


穏やかな笑みを浮かべたまま、いたずらっぽく続ける。


提督「だから、今日はこのドサクサに紛れて休んじゃおっかな、って」


他のみんなには秘密にしてね、って…まるで子供が秘密を共有するかのように、クソ提督は言った。

それが何だか…さり気なく、悪いのは曙さんじゃないんだよ、って言って貰えたみたいで。


曙「ほ、ほんっとクソ提督はクソ提督なんだから!」

曙「し、仕方ないから付き合ってあげるわ、サボりに!」

提督「うん、ありがとう」


その気遣いが嬉しかったから、上ずった声で、私なりのお礼を口にした。

…後から思い返したら、全然お礼になんてなってなかったけれども。

他作品と比べ更新が遅く少なくなっちゃった
手を繋いだままどう服を脱ぐか考え中、夕張えもんかなあ?

違うんだ曙、浮気していたワケじゃないんだ
ただちょっと叢雲のツンケンが欲しくて…

まさか二人で一緒のベッドに、ってワケにもいかない。

だから今日だけ執務室の床に二人分の布団をひいて、そこで寝る事にした。


曙「これでよしっと」

提督「さて、後は寝るだけだね」

曙「そ、そうね」


執務に、演習の監督に、食事。

一日でやるべきことは全て、ちゃんとこなした。

この流れで行けば、一緒の部屋で寝るという恥ずかしさも誤魔化せる気がした。

提督「今日やることはもう残ってないしね?」

曙「後は寝るだけだから大丈夫よ」


…それは後一つ、誤魔化していることがあるからだけど。

でも、まあいいわよね。だって、実際問題…それはどうしようもない訳で。

妙な沈黙が生まれて、お互いの気マズイ視線が重なる、そんな時…。



漣「さあ、行きますよ、ご主人様!」

朧「ちょっと、漣」

潮「ひゃぁぁ、いきなり入っちゃ駄目ですぅ」


バタン、と執務室の扉が空いて、三馬鹿が乱入してきた。

もう、何で呼んでもないのに来るのよ!?

提督「これは何事?」


水を向けられた漣は、一瞬だけこちらを見て。

髪の毛と同じいちご色の瞳をチロっと輝かせる。



漣「ですから、ご主人様と曙をお迎えに」

提督「迎えって、どこに?」


あ、なんか嫌な予感がする。だって、にししと笑っているのは漣だけで。

朧はこれでいいのかなんて首を傾げているし、潮に至っては赤を真っ赤にして俯いているんだもの。

これで安心出来るという方が嘘というものだ。

漣「もち、一緒にお風呂です!れっつらご~!」


漣の、いつにも増してクソダサイ言い回し。でもそんなものは気にもならなかった。

だってそれ以上の衝撃が、漣の発言には込められていたのだから。

私は潮に、クソ提督は朧にそれぞれ手を引かれながら、強制的に連れられていった。


横須賀鎮守府唯一のお風呂場である、大浴場へと。


漣は分かっているのかしら。いや、分かってて誘ったんだ。

私とクソ提督が、さっきからずっと気にしていたこと。

気にしていて、どちらもあえて気がつかないフリをしていたこと。

クソ提督の入浴時間が私たちと被るなんて、普段はありえないけれど。
私とクソ提督の手が繋がって放れない今夜だけは、そうもいかないってことに。

水着で入れば文句も言い様がないくらい健全やろという考えでいきます、今回以上

どうやってブラ外すかにもよるけど着るならチューブトップみたいなやつか首と背それぞれをヒモで結ぶタイプしか着れんな

ブラなんて着けて無いから大丈b(ry

着替え中、提督は目隠しプレイか!?
実にけしからん!曙ちょっとそこ変われ!

トイレシーンないのか

なにかこぼしちゃったりして、うっかり服が汚れたら脱がなきゃいけなくなるね

更新は早くとも土曜日の夕方以降
E2突破江風ちゃん可愛いぞ、種田りさなんかな?

>>305>>306 つけてないから良いんだよ
>>308 15歳の美少年設定主人公に対するふさわしい感想
>>310 おトイレとTSは性癖に無いのだ、すまぬ

むかし
由乃「令ちゃんのバカ!」
令「よ、由乃・・・(オロオロ)」←大体令ちゃんが悪い

いま
瑞鶴「加賀さんのバカ!」
加賀「ず、瑞鶴・・・(オロオロ)」←大体加賀さんが悪い

やってる事は昔も今も一緒
というわけで少しだけ投下

やって来てしまった、心の中で僕はそう呟いた。

大浴場へと繋がる脱衣場で、ただ呆然と立ち尽くすのは僕だけではなく。


曙「…」


さっきから一言も喋らず、顔を真っ赤にして下を向いている曙さんも同じなようで。

だってこの場所は当然、着替えをする場所で。

その先にはお風呂がある訳で、お風呂に入る為にはここで服を脱ぐ必要がある訳で。

提督「やっぱ駄目、良くないよこれは!」

漣「ほえ?何でですか、ご主人さま?」


提督「だってここは脱衣場だよ、お風呂だよ?」

提督「僕がお風呂に入るって事は、曙さんも一緒に入るんだし」


僕の言葉に曙さんが反応して、繋いだ手がきゅっと握られる。

お互いに空気を読んで言葉にしなかった分、一度意識するととんでもない事なのが嫌でも理解出来た。

漣「ああ、それはご心配なく」

提督「へ?」


曙「あ、あんた…何企んでいるのよ?」

朧「あの、私たちも一緒に入りますから」


潮「みんな一緒、です」

曙「!?」


あー、なるほど。
二人きりでお風呂に入るんじゃなくって、みんなで一緒に入るわけか。


うんうん、それじゃあ問題ない…って

提督「問題ありまくりじゃないか!?」

漣「ツッコミ遅いですねー、ご主人さま」


人として大事な部分が欠落しているんじゃないかってくらい破天荒な漣さんはともかく。

かなり常識的なはずの朧さんや潮さんが賛成するって、どういう事なんだろう?


漣「まあまあ。これなら曙もいくらか気分が楽っしょ?」

曙「ま、まあそうだけれど…」


ここでまさかの曙さん賛成票。

4人の女の子とお風呂に入る、というまさかの事態に混乱しながら、僕は言う。


提督「そんな…みんな、僕にハダカ見られて恥ずかしくないの!?」

「えっ」

言った瞬間、四人がこちらを向く。何を言ってるんだコイツは、という目で。

それで僕は、自分がとんでもない勘違いをしていたことに気づいた。


漣「あのー、ご主人さま?」

提督「な、何?」



弱者をいたぶるような意地悪な表情を浮かべて、漣さんが笑い出す。


朧「提督、私たちは水着で入ろうとしたんですが…」

曙「フツー、そう思うわよね…」


困り顔の朧さんと、軽蔑の眼差しの曙さん。

提督「だ、だよね。おかしいと思ったよ、ハハハ!」

漣「…で、誰のハダカが見たかったんですか?」


やっぱり、と漣さんが大げさな動きで注目するのは。


潮「ふぇぇ…な、なんですか。こっち、見ないでくださぃ…」

提督「い、いや。違うから!そんなつもりは断じてないから!」


いつも制服の下に隠れている”あれ”がどんなだろうだとか気になった訳ではないから。

ただちょっと…その、ホントに大きいのかな、なんて思ってみたりして。

曙「いつまで見てンのよ、このクソ提督っ」

提督「いた、いたた。曙さん耳引っ張らないで!?」

曙「アンタがいやらしいからよ、このバカ!」


曙さんに思いっきり耳たぶを引っ張られて。

ようやく僕は、水着でお風呂に入るという現実を受け入れたのだった。



漣「…で、誰のハダカが」

提督「もうカンベンしてよ、漣さん」


漣さんが僕にだけ聞こえるように、耳元でそっと囁いたのは。

本当に余計な追い打ちというものだった。

ホントにえっちぃのは潮じゃなくて漣の身体だと思います。
漣とか瑞鳳とか鈴谷が調子に乗ったところでラッキースケベを起こしてやりたい。

というわけで続きはまた。

長らく放置していました、>>1です
8/29 23:59にE7クリア、イベント海域制覇しましたので8/30日曜か8/31月曜には更新しようかと思います
吐きそうなのでもう寝ます

皆様のイベントは如何でしょうか(本編は次レスからです)

私ショートランド提督は昨日、無事E7を乙クリアしました。
23:20ごろprinzが敵ボスへ魚雷カットインを叩き込み装甲をぶち破った瞬間にPCの電源が落ち、泣きながら再トライ。
大和武蔵を投入しありったけの増強施設とダメコンを開放、離島√に逸れ潜水艦√に逸れ間宮&伊良湖でゴリ押し。
最後は第二艦隊最後尾の電ちゃんが魚雷カットインを放ち、23:59ギリギリクリアと相成りました。電ちゃん愛してる。

MVPはイベント全編通せばビスマルク、ポイントでいえば電ちゃんというのがうちの鎮守府でした。
明日から海風を迎えに行くと通達した瞬間、神通が嬉しそうに新人駆逐演習メニューを考え出しました。こわい。

作者スレではイベント体験をSS化する考えを披露している方もいますし、他の皆様の様子も私気になります!

カポーン、というお風呂特有の擬音は、いったい誰が考えたんだろうね。

そんな事を考えてしまうのは、間違いなく僕の心が平静を保てていないからだ。

だって。


漣「ほらほら、ご主人サマ、行きますよ?」

朧「漣、お風呂に入るのはちゃんと身体を洗ってから…って、わわ」

湯船に飛び込もうとする漣さんを引きとめようとして、間違って一緒にダイブしてしまう朧さんと。


潮「漣ちゃん、朧ちゃん大丈夫って、ひゃわわ~!?」


それを見て慌てて何もないところですっ転ぶ潮さん。お風呂のタイルに尻餅を付いている。

これが第七駆逐隊の日常だと考えると、何だか微笑ましいものがあったけれど。


そんな、元気いっぱいの彼女たちと一緒に、僕はお風呂に入ることになったんだから!

だ、だから、そう。た、多少緊張するのは許して欲しい。

もっとも、態度的には平静を装っているけれど。

お姉さん艦娘たちに見られたら鼻で笑われてしまうような威厳だって、保つのは重要な仕事なのだ。


…いやまあ、それにお互い水着だしね。ハダカな訳ないしね。

べ、ちょっとは期待したとか、そういう訳じゃないんだ…いや、ほんとに。



漣「いや~、でもテンション上がりますなあ!」

朧「そうだね。いつもと違うお風呂の入り方だと、新鮮だね」


潮「うぅ…私はちょっと、というか凄く恥ずかしいですぅ」

朧「でも、提督と一緒にお風呂に入るのは、何だか楽しいな」

うん、そう言ってくれると幾分僕の心が落ち着く。

けれども、まだ納得しきってないというか、開き直れていない子が一人、いる訳で。

だけれども僕と手を繋いでいる分、その子の姿が一番、僕の目に映る訳で。


提督「あ、あのさ、曙さんも」

曙「こっち見んな、このクソ提督っ」


提督「いや僕まだ喋ってないんだけど!?」

漣「おやおや、ぼのタンはま~だ照れてるのかにゃ?」


いつの間にか湯船にダイブしていた漣さんが上がってきて、要らないちょっかいを出してくる。

今は彼女のピンク色の髪の毛を縛るものはなくて…だから、いつもよりほんのちょっぴりだけ、大人っぽく見える。

…いや、やってる事はいつもの漣さんそのものなんだけどね。

でも、曙さんをからかう時のイタズラっぽい顔も、上気した頬のせいか、濡れた髪のせいか。

可愛さが2割増しくらいされてるみたいで、ちょっとだけ僕をドキリとさせた。


曙「て、照れてない!っていうか人を変な呼び名で呼ぶな!」

提督「ま、まあまあ。お互い水着なんだしさ、曙さんも」

曙「こっち見んなクソ提督!」

提督「だから僕まだ何も喋れて無いんですけど!?」


助け舟を出そうとしたのに…もう、いいかげん話を前に進めさせて欲しい。

いくら混浴といっても、お互い水着なんだから…そう恥ずかしがる事も無いハズ。

提督「しかし…」


漣「ん?」

朧「どうしたの、提督」

潮「ひゃわああ、あ、あんまり見ないでくださぃ」


もにゅ、もにゅ、ぽよん、か。

…やっぱりちょっとは恥ずかしがってもいいのかもしれないな、この娘たちは。

そして、一方で。


曙「な、何よ」


ぺたーん。


滅茶苦茶恥ずかしがっているけれど。

状況的には一番恥ずかしがらないでも良い様な娘もいる訳で。

…なんて、本人に知られたら殺されてしまうくらい失礼な事を思った。


いや、あんまり高い山だと登るのも疲れちゃうしね、うん!

久々に曙を虐められて嬉しい、叢雲だとこうはいかないもんね。
続きはまた後日。

もしくは順にもにゅ、ぽよん、ばいんだな

神通!浴衣!!浴衣神通!!!
ああ、生きてて良かった…これで神通ちゃんと一緒に夏祭りに行けるんだね・・・

りんご飴を一緒に食べたりかき氷を交換したり、慣れない下駄につまずいて急接近しちゃったりするんだね。
人ごみではぐれない様に、けれども手を握ることは出来なくて真っ赤な顔を俯いて隠しながら提督の浴衣の裾だけを摘む。
少し休憩を、と脇道に逸れた先に人気の無い神社があったりして、静まり返った境内で一大決心をした神通が・・・

っていうカンジの同人、誰かお願いします(真顔)

水着だから、大丈夫。
水着だから、健全。


そんな風に考えていた先ほどの僕をぶっ飛ばしてやりたい。


朧「ちょっと、漣。冷たいってば」

漣「え~、気持ちいいっしょ~?ほれほれ~」

朧「きゃっ…もう、おかえし!」

漣「回避」


冷水をかけあって遊んでいる漣さんと朧さん。

でも、漣さんが避けた先には…。

潮「ひゃわわ!?」

朧「わ、潮ごめん!」

潮「つ、冷たいですぅ」



大浴場ではしゃぐ水着の女の子たち。

これは…何というか、もしかして相当けしからん光景なんじゃなかろうか!?


海で見る水着よりも、お風呂場で見る水着の方が何故かイケナイ雰囲気を感じるような。

そんな気がするのは、気のせいだろうか(いや、気のせいではないのだ)



朧さんって、意外とスタイルいいんだな…。

曙「まったく。お風呂でくらい、大人しく出来ないのかしら」


はしゃぐ自分以外の第七駆逐隊を見て、僕の隣で呆れた声がする。

あいつら幼稚ね、なんて切り捨てている曙さんだけれども、それは口調だけだ。

きっと、僕と手を繋いでいるこの状況じゃなかったら、あの騒ぎに加わっていたに違いないんだから。



そんな曙さんらしい虚勢にくすりときて僕は、今まで意識的に見ないことにしていた隣を。

つまり、自分のすぐ横にいる彼女の水着姿に視線を向けた。向けて、しまった。

セーラー風の艤装は、洋上に降り注ぐ真夏の太陽から見事、彼女の肌を守りきったらしい。

彼女の、水着に覆われていない部分が女の子特有の柔らかさを表現していて、それが僕の視線を捉えて放さなかった。


撫で方のほっそりとした体型が、夢に思い描くような僕の理想に限りなく近くて。

ああ、やっぱり僕は華奢な女の子に惹かれるんだなあと、無意識にそう思った。



提督「危なかったなあ」


誰にも聞こえない大きさで、そう呟く。

風呂場で、水着姿で隣り合っているという、このヘンテコな状況でなかったら。

曙さんのか細い腕を思い切り引っ張って、抱きしめてしまっていたかもしれない。

曙さんの身体が軋んで悲鳴を上げてしまうほど、強く、強く、強く。



白磁のような肌を風呂場の熱でうっすらと上気させて、頬を赤らめた横顔。

痩せすぎているけれど、やはり女の子なんだという事を主張する薄い胸。

そして、スカートの奥に隠されていた、意外にもスラリと伸びた健康的な脚。



曙さんの全てが僕の心臓を絡め取って、それでもなお、ギリギリのところで理性が働いて。

だから、この突拍子もなく湧いてでた欲望は、どうにかして唾と一緒に飲み込むことが出来た。

曙「な、何よ」


僕の視線に気がついたのか、曙さんが話しかけてくる。

水着姿を僕に見せるのがまだ恥ずかしいのか、つり目の顔だけをこちらに向けて。

まさか、普段は見れない君の身体に見蕩れていました、なんて言えない。



だから。



提督「水着、とっても似合ってるなって思って」


嘘ではないけれども、本音ではない答えを返して。

もうのぼせてしまったのだろう、曙さんの頬がさらに赤みを増した。


そういう事に、しておこう。

>>341適当な擬音が思いつかなかったけれどこーいう感じですね

一番色気の無い娘を色気担当にするのが自分の美学かもしれないっぽい…様な気がします、美学です!
続きは後日

早く帰宅出来れば、明日更新。どうぞよろしゅう。

明日になったぞ
更新はよ

何か知らないけど>>355で思いついた

23:00

神通「今日の演習はこれで。ゆっくりお休みになって下さいね」

提督「(いつもより早く終わったぞ!)」

神通「では、また明日」

提督「(優しい神通ちゃんきゃわわ)」


00:00

神通「さあ提督。演習のお時間です」

提督「え」

神通「え」

バカばっかやってないで投下します

鎮守府の大浴場は、一般的な銭湯と同じ構造だと思ってくれていい。

ただの銭湯と違う唯一の点は、ここが鎮守府内の施設であるため、艦娘が使用することだろうか。



沢山の艦娘――つまりは年頃の女の子たちと、男である僕一人がここの使用者である。

……これだけで、普段僕がどれだけ肩身の狭い思いをしているか、分かって欲しい。

漣「はい、じゃあご主人様、そこに座って」

提督「え?」


浴場の洗い場の一角に腰掛けるようにと、漣さんが僕に言う。

まずは身体を洗えってことだと思うんだけれど、何でわざわざ僕に?



漣「一人だと身体、洗えないっしょ?」


ああ、確かにそうだ。片手だもんね。

これは思ったよりも大変そうだ、と僕が思っていると。

潮「私たちがその、お、お手伝いしますっ」

潮「あ、も、もちろん曙ちゃんの方も!」

曙「へえ、潮。何だか私がついでみたいな扱いだけれど?」



僕の隣りで曙さんが減らず口を叩いて、潮さんを困らせている。

まあでも、僕も曙さんも、片手じゃあ洗いにくいもんね、良かった良かったって。



提督「えええええええええええええええええ!?」

曙「うるっさいわね、クソ提督。いまは耳が近いんだから気をつけなさいよ!」


いやいや、今そんな事言ってる場合じゃないから!

むしろ何で曙さんは慌ててないの!?だっておかしいだろ、これ。


漣さんや潮さん、朧さんが僕の身体を洗ってくれる?

それはもう確実に何かの法律に引っかかること間違い無しなんじゃなかろうか。

こんなの絶対、イカガワシイお店でやってそうな事じゃないかっ。


漣「大丈夫ですよご主人さま。お金は取りませんからセーフです」

提督「勝手に僕の心読まないでくれる!?」

それにむしろ、この場合お金を取らない方がアウトなんじゃ?

上司と部下、セクハラ、不祥事……なんて言葉が、目に浮かんでは消えてゆく。



提督「やっぱりそんな事をしてもらう訳には……」

朧「これくらい大丈夫です!お任せ下さい!」  だから何でそんなイイ笑顔なの!?



朧さんだけはマトモな感性を持っていると信じていたのに……。

それとも何か、お風呂を上がった後に僕をセクハラで訴える計画でもあるんだろうか。

100%敗訴する未来しか見えないんですけど。僕が。

ぐるぐるとそんな心配をしつつも、目の前には水着姿の美少女たちがいるわけで。

しかも、僕と曙さんを洗い場に座らせようとするせいか、妙に距離が近い。


そのせいで僕の思考はまさに、イケナイピンク色に染められつつあった。

そして、そうやって惚けている間にも、状況はどんどん進んでいく。

漣「ささ、ご主人さま。お覚悟~!」

曙「ちょっと、私の方もしっかりやってよね」

提督「え、ちょっと、駄目だってばあ!?」



ちょっと待ってくれ。

僕、これから一体どうなっちゃうのさあああ!?

絵心がないのがつらい。各自公式絵を見つつ妄想を膨らませて下さい。
あと、今までと同じくイカガワシイ展開は無いのでご容赦下さい。

【艦これ】神通「祭囃子の中を、提督と」【浴衣神通】
【艦これ】神通「祭囃子の中を、提督と」【浴衣神通】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1441631082/)

あと、こっちも始めましたのでよろしくお願いします。
神通の浴衣姿が可愛すぎたのが悪い。

ほんの少しだけ投下

どうなっちゃうも何も。


漣「ご主人さま、かゆいところはないっすか~?」


まあ、普通に髪を洗ってもらっているだけなんだけれどね。

いやうん、こういうオチだって分かってたから。他の期待なんて全然してなかったし。


だから、残念な気持ちがこもらない様に。

至って冷静なフリをして、漣さんの問いかけに答えることにする。


提督「ん~、特にないです」

わしゃわしゃと、漣さんの繊細な指が僕の頭を撫でていく。か細い、女の子の手だ。

時に優しく、時に激しく、漣さんの指が僕の髪の毛をかき分けて。

その度に僕は、ほう、と息を漏らして押し寄せる快感に身を委ねることになる。



まるでプロの美容師さんにしてもらうみたいに気持ちがいい。

どれくらい気持ちが良いかというと。

このままして貰ってていいのかなって迷うくらいには。



……あれ、僕、ただ髪を洗って貰っているだけだよね?

何でこんな後ろめたい気持ちになるんだろう?

提督「ね、ねえ」

漣「ほら、喋らない、喋らない。口に泡が入るっしょ?」


突然耳元で漣さんの声がして、僕はますますドキリとした。

いま僕の目は、掻き立てられたシャンプーの泡で塞がれていて、視界の自由はない。



漣「私の指、良いっしょ?気持ちいい?」

提督「うん……って、何を言わせるのさ!?」


隙あらば提督にセクハラしよう、なんて艦娘は、駆逐艦ではこの娘くらいだなと考えて。

そう言えば、漣さん以外の三人はどうしているだろうと思い至ると、丁度声が聞こえてきた。

潮「曙ちゃんは、かゆいところないですか?」

曙「潮、もうちょっと強くやって」


潮「うん……こう、かな?」

曙「そんな感じ、そんな感じ」


どうやら僕の隣りでは曙&潮コンビが同じことをしているらしい。

とすると、残るあと一人は……?

朧「漣、ちょっと代わってくれない。私もやってみたい」

漣「しょうがいないにゃあ」



僕の頭を洗うのって、そんなに楽しそうだろうか?

それとも退屈だっただけか、朧さんも美容師ごっこに名乗りを上げたけど。



い、いや。朧さんにまでしてもらうわけには……。

何だかちょっと悪い気がしたので、もういい、と断ろうとした。

けれど。

提督「あ、あのさ」

朧「駄目?」

提督「オネガイシマス」


さっきの漣さんと同じように……。

お願いする様に耳元で囁かれたら、断るものも断れないじゃないか!



朧「じゃあ、いくね。提督」


背中から気配が伝わってきて、漣さんの代わりに朧さんが僕の後ろに立ったのが分かった。

本日以上。最近の運営の朧押しは嬉しいばかり。

書き始めた頃は朧だけキャラが固まっていませんでした。
浴衣グラとボイスを聞いて、やっと自分の中の朧というものがイメージ出来た気がします。

朧さんの、漣さんよりも少しだけ大きくて長い指が僕の頭をかき分けるのを感じて。

髪の洗い方一つとっても、個性って出るもんなんだなあと、そんな事を思う。


ガシ、ガシと、かゆいところを潰していくようなやや強い感じ。

朧さんは、自分でする時もこうして、引っ掻くようにするのだろうか。



朧「ふふ」

提督「どうしたの」


彼女から漏れ出た笑い声が何だかおかしくて、つい反応してしまう。

朧「提督とこんなに近くで話すの、初めてかも」

提督「あ~、確かにそうかもしれないね」



もちろんそれは任務以外で、という意味。

第七駆逐ではムードメーカーの漣さんに旗艦を、真面目な朧さんに補佐を任せる事が多い。


だから、僕の目がまず行くのはお騒がせな漣さんな訳だ。

ちなみにその次が跳ねっ返りの曙さん、そして怖がりな潮さんかな?

思い返すと今まで、朧さんだけを見る機会、というものが無かったのかもしれない。

いかんいかん、僕ってば、これは相当もったいない事をしていたのかもしれないぞ。



そう思ったから、しばらく、僕は朧さんと任務以外の事を話してみた。

わしわしと、朧さんが僕の髪を洗っている間に、文字通り、すごく近い距離で。


それはお互いが好きな本のことだったり、七駆の休日の過ごし方だったり……

そして、彼女が今度買おうとして悩んでいる浴衣の色だったりした。

提督「朧さんの浴衣姿かあ」

朧「はい。今度漣たちと4人で、見に行こうと――」


提督「どんなだろうなあ。すごく見てみたい」

朧「えっ」


頭の中で朧さんの可憐な浴衣姿を想像していると、思わず本心が転げでた。

それで、さっきまで勢いよく僕の髪を撫でていた朧さんの指が、ぴたりと止まる。

あれ、どうしたんだろう。

椅子に座って前を向いているうえに、僕の視界はシャンプーの泡で塞がれている。

だから僕は動きを止めた朧さんの表情を確かめることが出来ずに、心の中で首を傾げた。



僕の頭を洗い終わった、というよりも。

何だろう、思わず固まっちゃったみたいな、そんな雰囲気を背中から感じた。

提督「あ、もしかしてハードル上げすぎちゃったかな?」

提督「朧さんなら、どんな浴衣でも似合うと思うから気にしなくていいと思うよ」



だってここは美少女揃いの横須賀鎮守府。

衣装だけが美しい、なんていう馬子はいないのだ。

どうせ異性の目も僕だけなんだから、そんなに気負う必要もないだろうし。

朧「え、やっ……。あの、あの」

提督「あー、なんかホント、余計なこと言っちゃったね。気にしないで?」



どうやら朧さんを困らせちゃったみたいだと思って、もう一度挽回を図る。

最後はどうにか僕の期待をわかってくれたみたいで、

提督「買ったら見せてね。朧さんの浴衣姿」

朧「わ、私の、浴衣姿、ですか」


提督「うん。駄目かな?」

朧「はい……。わ、わかりました」



短く返事をしてくれた。

ちなみにその際、加減を間違えたのか、シャンプーの泡がごっそりと僕の耳にかかって。

漣「ふふーん、ついにオボロンもご主人様の毒牙にかかったか~」

朧「ち、違うからっ。全然、そんなのじゃないから!」


漣「”そんなの”って、何ジャラホイ?」

朧「漣うるさいっ」



だから、かろうじて僕に聞こえたのは、くぐもった誰かの声と。

そして、珍しく声を張り上げた、悲鳴の様な朧さんの声だった。

曙「こんの、クソ提督はぁぁぁ!」

提督「痛い痛い。曙さん手、強く握りすぎ!」

曙「ふんっ」



さらにさらに次の瞬間。

全然関係ないハズの曙さんから、何故か攻撃されてしまったのであった。

少年提督の特攻戦法が活躍しすぎて書いてる自分でもビビっている件
次回は潮ちゃんをちょこっとやって、お風呂編終わらせたい

追記:もう一方の神通ちゃんスレは完全に筆が止まってしまったので頑張ります
何かアドバイスでもいただけた場合は(取り入れられるかは分かりませんが)参考にさせて頂きます
ちょっと重くしすぎて、長編にする気なかったのに短くまとめられる気がしないんですよねー、ラストは決めてあるんだけど。

次のネタやりたいんだ、次のネタ。
このスレも200レス程度で終わらせる予定だったのです(根拠は無し)

ではいきます

ザブン、と風呂桶に汲まれたお湯が真っ逆さまに落ちてきて。

先程までの至福の時間はシャンプーの泡とともに流されてしまった。



提督「ふぅ、落ち着いたよ。漣さん、朧さん、ありがとう」

潮「あ、あのぅ……」

提督「?」


そういえば、お風呂に入ってから潮さんとは会話をしていない。

ずっと、曙さんの方を世話していたからだ。普段から二人は仲が良いしね、当然か。

でも、もう髪の方は洗ってもらったし……。

潮さんに手伝って貰わなきゃいけない事は、もう無い気がする。


提督「どうしたの、潮さん。曙さんの方は終わった?」



だから、僕はすっかり油断していた。とてもとても、油断していた。

何かの世間話だろうかと、何気なく水を向けた僕のその一言に。


潮「こ、今度は私が、お、背中……お流ししますね」

提督「へ?」


いきなりものすごい破壊力を持った答えをぶちまけて来たのだ。

ボディソープを染みこませたスポンジが、僕の背中を走る。

いつも自分の丁度良い力加減でやるそれも、なんだか今日は落ち着かない。


髪よりも、背中を洗ってもらう方が妙に緊張するのは何故なんだろう?

その理由は、背中の方が肌を晒しているからなのか、それとも。



提督「あ、あの、潮さん」

潮「ひゃあああ!?」

提督「ええ!?」

担当してくれている艦娘が、大方の予想通り、ことのほかおどおどしているからか。

そう。要するに、僕にビビりまくって、背中を洗う手に全く力が入っていないのだ。



提督「力、もう少し強くしてくれるとありがたいな」

潮「ふぇ……こう、ですか?」



だから何でそう泣きそうなの??

はたから見ると僕が無理矢理させているみたいで困るんだけど……。

漣「嫌がる潮をオトナのケンリョクで」

提督「冗談じゃなくなるからそれ以上やめようね」



死ぬから。おもに僕が、正規空母の容赦ない爆撃で。

彼女に新型の爆撃機を配備するんじゃなかったと、今更ながらに後悔する。

せめて加賀さんにしておけば……あ、これも駄目だ、多分こっちも死んじゃう。

曙「ちょっと!潮に変なことさせないでよっ」

提督「させてないからっ」


曙「……信用出来ないわ」

朧「曙。私が見張ってるから大丈夫」



だから何でこう僕ばっかり責められますかね!?

曙さんは少し、冗談を間に受ける傾向があるなあ…まあ、仕方ないか。

一番仲の良い潮さんの事となると余計、必死になるんだろう。


……朧さんが警戒しているのは説明がつかなくて泣きそうだけど。

朧さんとはさっき仲良く話たのに、どうしてこうなったのさ?

曙「潮も潮よ、嫌ならやらなくていいんだから!」

提督「嫌がってる前提で話進めるのやめてくれないかな!?」



そりゃあ僕も、女の子にモテる方だ、とは言わないけどさあ。

ハッキリ事実を突きつけられると、地味に傷つくんですけど……。

でも、そうなのだ。曙さんの発言で思い至った。

潮さんの様子を見るに、大方、漣さんや朧さんが僕の髪を洗ってくれたから。

だから、自分も上官に何かしなければいけないか、と気にしてしまったんだろう。



これは、良くない。

上官だからといって、何でも要求して良いわけじゃあないんだから。



少しでも艦娘たちがそんな空気を感じてしまっていたとしたら。

それは僕の失態だ、すぐに修正しないと。なるべく優しい声色を心がけて……

提督「潮さん。僕は気にしないから、無理しないで――」

潮「い、嫌じゃないですっ!」

提督「へ?」



潮さんを説得しようとしたら、いきなり出鼻をくじかれた。

震えながら、目を伏せながらだけれども、潮さんは。

さっきの悲鳴と同じくらい大きな声を、鎮守府の大浴場に響かせるのだ。

最近は一日1000字程度になってきています。ちょうどいい。
うちの潮ちゃんは魔性じゃなく、黒髪ロングの清楚系です。

明日か明後日くらいに更新できたらいいなあと思っています、では。

最近天津風に性的な魅力しか感じなくなってきてやばい
ちょこっと投下します

曙「ちょっと、潮。あんた何言ってんの」

曙「こんなクソ提督なんかに気を使わなくたって」


うん、君はもう少し僕に気を遣おうか。
知らないと思うけどクソ提督はね、実は君の上官なんだよ?



潮「あぅぅ……曙ちゃん……」


いつもなら、曙さんの一喝で尻込みしてしまう潮さん。

だけど、今日は何故だか、少しだけいつもと違うようだ。

潮「そんなんじゃ、ないの…」

曙「え」


いつもと違って、潮さんのことばに、曙さんのほうが身体をこわばらせる。


潮「その、提督は、いつもこわがりな私にも優しくしてくれるから、だから…」

潮「提督が困ったときくらい、少しでも助けになりたいな、って」

曙「な、なによあんた。そんなクソ真面目な考え方、良くできるわね?」


曙さんお得意の憎まれ口も、こんな真っ正直なことばを前にしては分が悪かった。

皮肉屋にはストレートな思いのぶつけ方が一番効果的なのだと、僕も思うんだ。

だって…


漣「メインヒロインキターーー!」

朧「確かに、この優しさはメインヒロインなのかな?」

漣「ねね、提督はどう思――」


そうやって外野が盛り上がっているなかで、僕は。


提督「……やばい、なんか泣きそう」

漣・朧「そんなに!?」


ど直球の優しさ(しかも、爆撃なし)に、これ以上ないくらいの衝撃を受けていたのだから。

そう。

今日の鎮守府の日常を物語にするとしたら…

ヒロイン役は間違いなく潮さんだろうと、心の中で呟きながら、僕はしばらく感動に打ち震えた。



提督「いまなら潮さんの優しさについて、論文一本書けそう」

潮「ふぇぇ!?」

朧「だから、そんなに!?」


朧さんの素っ頓狂な声って、かなり珍しいかもしれない。

でも、何がおかしいのさ、当然のことだろう?
むしろ僕は潮さんの聖母のような優しさにを後世に伝える義務があるのかもしれない。


潮「そ、そんな事されたら、恥ずかしくて死んじゃいますぅ」

曙「なんでクソ提督の頭がおかしくなってるのよ」

漣「…しばらくおちょくるのやめようかな」


あの漣さんが、何故だか深刻そうな声色で呟くのが聞こえて。

意味が分からない僕は、ますます首を傾げることになるのだった。

今日は少なめで勘弁してつかぁさい


潮「私なんて、ひんそーでちんちくりんな身体ですぅ」

曙「は?」

自分の中で何故か潮と雪歩が被りました。
72か共通点があるのかもね。

辛くて見れなかった四月は君の嘘のラスト2話見てきました
では、いきます

潮「あ、あのう……こう、でしょうか?」


不安げな潮さんが尋ねてくる。

こればかりは妥協出来ないので、僕は注文を追加した。



提督「うーん、やっぱりもう少し強く、かな」

潮「ふぇぇ……」


ゴシゴシと、僕はけっこう強い力で擦られるのが好きなのだ。

漣「提督は強く擦られるのが好き、っと。メモメモ」

提督「身体を洗うときの話だよねそうだよね!?」

漣「そうです、身体を洗う時の話ですよ?」


漣さんが言うともう、他意があるようにしか聞こえないんだけれども。

それも、すっごく邪な意味での。

提督「潮さん、まだ足りないかなあ」

潮「ご、ごめんなさいぃ」


スポンジにまるで力が入っていないのだから、それも仕方がない。

背中を向けているけれども、潮さんがへっぴり腰なのが簡単に想像できた。

でもそんな事を言うと、また僕の発言を曲解してセクハラしようとする娘がいるので、何も言わないでおく。

朧「潮、もうちょっと腰に力を入れて――」

提督「だからセクハラだってば、それ!」


反射的に反応する僕だけれども、これは決定的な失敗だった。


朧「え?」

提督「は?」

漣「ほう」


だって、そう、今のは。

もしかしなくても、今発言したのは漣さんではなく朧さん、でしたかね……?

漣さんではなく、朧さんが発言したということ。

つまりそれは、”そういう”意味ではなくて、純粋なアドバイスだった訳で。

にゅふふ、と漣さんが、猫のような不気味な笑い声をあげる。


提督「あ、いや、あの……」

漣「ご主人様ご主人様、なんで腰を入れるとセクハラなんですか~?」

曙「さささ、サイッテー!死ね、クソ提督、クソ提督、クソ提督っー!」


潮「?」

朧「潮は気づかない方が良いよ?」


次の瞬間。

朧さんの忠告もむなしく、潮さんのスポンジを動かす手がピタリと止まる。

潮「え……あ、あっ!?」


ボン、と、潮さんの顔が茹で上がる音がした。

やばいやばい、これはやばい!お風呂場で、水着姿の駆逐艦娘にセクハラだなんて!


提督「う、潮さん!」


僕の声かけが引き金となって、


潮「ぴゃぁぁぁぁぁぁぁ!」

提督「ぎゃあああああ!?」


艦娘の怪力で走らされたスポンジは、まるで僕の背中の肉をごっそりと削り落とせるかのような摩擦を引き起こしたのだ。

……背中、ホントに大丈夫だよね?

潮「ご、ごめんなさいぃっ」

曙「ちょっと、大丈夫なの!?」


漣「これが究極のダイエット方法……」

提督「大丈夫だし、しかも僕、ダイエットする必要ないし」


朧「提督、今無駄に敵を増やす発言はやめてくださいね口を開かないでください」

なんで別方向から怒られるの!?

みんな痩せる必要ないし、別にじゃないか。

朧さんだって、見たところ大分スマートな……いやうんやめよう。




そう、こういう時こそ落ち着かなければならない。

大体の場合、ここからさらに余計な事をして騒ぎが起こるのだから。


それで、そんな意思は全くないのに、セクハラだとか言われて爆撃をくらうのだ。

ここでは曙さんにクソ提督クソ提督と言われて、漣さんにおちょくられるくらいだと思うけれど。

提督「落ち着け、落ち着け。僕が何もしなければ大丈夫、大丈夫」


漣「これだからご主人様をからかうの、やめられないよね~」

朧「漣、あんたって本当に」

曙「どうしようもないわね」


うん、大丈夫。僕が用心していれば、もう何も起こるわけがないんだから。

無責任作者「提督が大丈夫つってんだから大丈夫やろ」

本日以上です
あと、もう一つ書き始めたネタがあるのですが固まり次第スレたてしようかなと思いますのでよろしく
自分にしては珍しく半分くらい書き上げてありますがタイトルが浮かばねーんだ
そしてその際は神通ちゃんスレを一度仕舞おうかと思います

曙が可愛すぎて最近つらいので投下します

提督「うう、背中が、背中が染みる……」

潮「提督、大丈夫ですか?」

曙「自業自得でしょ、馬鹿なんだから」


曙さんのことばが辛辣だけれども、おっしゃる通りで、今回ばかりは仕方がない。

潮さんが気にしすぎないように、なるべく平気なふりをしよう。

朧「さて、二人共、背中は流し終わりましたね」

提督「うん、ありがとう。助かったよ」

曙「片手が塞がってると、やっぱり不便よねえ」



まあその不便というのも、あと数時間のはなしだ。

一緒にお風呂、と聞いたときはどうなることかと思ったけれども、後は問題無いだろう。

……そうやって、僕が油断した時に声をかけてくるのは。


漣「んじゃ、ご主人さま、こっち向いて下さい」


そう、決まって漣さんなんだ。



提督「? 漣さんのほう?」

漣「あー、違う違う、身体ごとです!」

提督「え? ああ、うん?」

風呂椅子に腰掛けたまま、首だけ回そうとした僕だけど、それじゃ駄目らしい。

良く分からないけれど、それじゃあ曙さんにも協力してもらわないといけない。

手が繋がった状態では、身軽にくるりとターンを決めるわけにはいかないからだ。



提督「曙さん、一緒に」

曙「ん」


濡れたタイルに足を取られないように気をつけて、慎重に立ち上がる。

ゆっくりとした動作で、ちょうど僕が中腰になったところで、気になって聞いてみる。



それがいけなかった。

提督「でも、何で急に立て、だなんて?」

漣「だって、前も洗わないといけないっしょ~?」

提督「は? ま、前っ!?」



それはつまり、漣さんたちが洗うつもりだったのが背中だけじゃないという訳で。

多分それはみんな、親切心から出たことばで、悪気はないわけで。

純粋な少女たちの好意は、それだけに僕を慌てさせるのに十分だった。

提督「いいい、いい! いいから! 自分で洗うからっ」

朧「提督、そんなに遠慮しくても――」



遠慮しなかったらそれこそ犯罪だよ!

そう言おうとして――いったい、いつから僕は鳥頭になったというのだろうか。

ついさっきまで注意していた事をすっかり忘れて、勢いよく振り返ろうとしてしまった。

曙「ちょっ、クソ提督危ないっ」

提督「しまっ――!」


つるり、と、足元を滑らせる音がして。

ドンガラガッシャ!

提督「ふぎゃ!?」


風呂桶をひっくり返し、石鹸があらぬ方向へ飛び出して、おまけに僕は仰向けにすっ転んだ。

目をつむったまま、背中をしたたかに打ち付けた衝撃に悲鳴を上げる前に、さらにもう一撃。



ドン、と、何かが僕の全身に落ちてきた。軽いような、重たいような……そんな中途半端な印象。

不思議と”それ”は、背中に感じるタイルと違って、柔らかくて、なめらかな感触を僕の全身に伝えてきた。



これ、いったい何だろう?

提督「いたたた、何?」


目がまだチカチカする。思考が回らない。
降ってきたモノの正体を確かめようと、自由な方の手でそいつを触ってみた。


ふに。


??「ひゃんっ!?」

提督「あれ?」


何だか、聞き覚えのある声が耳元でしたような?

右手で”曙さん”の手を繋ぎながら……曙さん?

どこからか沸いた疑惑を振り払うように、僕はもう一度左手を走らせた。

曙「ばっ、ばか、だから、どこ触ってるのよ!」

提督「……」

曙「ひゃ、んっ……ちょっ、もうやめっ」



僕の上にある物体の感触を確かめようとする度に、曙さんの悲鳴があがる。

ここから導き出される結論はというと、やはり。




まさか。

いや、まさか、ね?

だけれども、そんな僕の現実逃避は、そう長くは続かない。

視界から闇が徐々に晴れて、じんわりとした景色の中、僕が見上げていたのは。


提督「や、やあ、曙さん」

曙「こ、こ、こ、こ……!」

あれ、ニワトリだったかな?

曙「この、クソバカセクハラ提督ーっ!」



涙目になりながら、拳を作った利き手を存分に振りかぶって。

僕の頬に狙いを済ましている、曙さんの姿だった。

漣「あちゃあ、流石ご主人サマ」

朧「もしかして漣、狙ってたでしょ」

漣「まさか。何か起こらないかなあ、とは思ってたけど」

潮「提督、大丈夫ですかあ!?」


曙さんの見事なストレートを受けて、ぐわん、ぐわんと揺れる頭が考えていたのは。

いったい、曙さんの”どこ”を触ってしまったのだろう、ということだけ。


たぶん、伝わって来た感触からして、背中だとは思うんだけれど。

万一、違った場合のことを考えて……何故そう思ったのかは、ことばにしないことにする。


そんな下ならない、邪な思考を働かせながら、僕は意識を手放した。

やっとお風呂編が終わりました、あとは布団に入るだけじゃ

お約束

【艦これ】少年提督「釣りのお誘いかあ」曙「だ、誰からよ」【ラノベ風SS】
【艦これ】少年提督「釣りのお誘いかあ」曙「だ、誰からよ」【ラノベ風SS】 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1444740955/)

こちらも、どうぞよろしく。このお話よりも若干あとの時間軸です。

>>449
むしろ何もなければ失礼に値するまである

曙ちゃんと二人でルパン三世視聴して、オトナなシーンになってしまった時の反応を見ていたい

提督「いやあ、でもこれで一日を乗りきったなあ」



どうにかこうにか(社会的には)無事に入浴を済ませることが出来た。

大浴場を出たところで待っていた夕張さんの最終チェックを受けたけれども、特に異常は無し。

明け方、起きる頃には二人の手をつなぎ止めている磁力も切れて、解放されるだろうとの事だった。



つまり、後は本当に寝るだけでよしという訳だ。女の子たちと同じ部屋で寝るのは褒められたことじゃないけれども、今回は非常事態。

先例もあることだし、仕方がないと思う。

これでようやく、僕と曙さんのドタバタ劇も、目出度く終わりを告げることとなる。

だから、曙さんもほっとしているだろうと思って、隣の様子を窺ってみた。



曙「う、うん。そうね」

提督「曙さん?」



何だか、様子がおかしい。ちょっと、僕の思っていたのと違う態度だ。

”やっと離れることができて、せいせいする”くらいは言われると思ったけれど……

提督「どうしたの、曙さん。元気ないみたいだけれど?」

曙「え、あっ……う、うん」


提督「大丈夫? どこか調子、悪い?」

曙「いや、あの……そういう、わけじゃ」



湯あたりでもしたのだろうか。大浴場でもかなりドタバタしたし、心配だ。

いつもと違っていまの曙さんはしおらしい表情で、僕の問いかけにも生返事。

それに戸惑った僕は、救いを求めようと他の三人へと視線を向けてみるけれど……

漣「ねえねえ、おぼろん、潮」


どうやら曙さんの心配をするよりも、彼女たちは内緒話に夢中な様子だった。

漣さんがしきりにこちらを見ながら、目を見張る朧さんや潮さんに何か言っている。



提督「あの三人、何を話しているんだろうね?」

曙「さあ」

提督「?」


うーん、曙さんはやっぱり元気が無いみたいだけれど……

他の三人が慌てていないところを見ると、あまり焦る必要が無いんだろうか?

などと僕が首を傾げていると、こそこそとした話し合いが終わったようだ。

漣さんが妙に得意げな顔をして、発言権を得ようと手を上げた。


提督「どうしたの、漣さん」


挙手の必要はないんだけどなあ、と苦笑しながら、僕。


漣「ではでは、私たちはここで失礼しようかと思います!」

提督「は?」

しばし、ことばの意味が分からずに固まる僕に、今度は朧さんが、


朧「ですから、私たち三人はいつもの部屋で寝るので」

潮「曙ちゃんと提督には、ここでお別れを、と」



二人のことばで、今更ながらに気づいた。

僕たち一行は丁度、執務室へ繋がる通路と、第七駆逐専用の寮部屋へ続く階段との分岐に差し掛かっていたのだ。

でも、僕が……僕たちが指摘すべきなのは当然、そこじゃない。


曙「って、ええええええええええ!?」


僕と四人の他には誰もいない鎮守府の廊下に、悲鳴が染み渡っていく。




漣さんたちの発言の意味するところを理解した曙さんは、一瞬のうちに僕のやろうとしたことを全部済ませてしまった。


すなわち、悲鳴をあげて顔を真っ赤にして、全身を硬直するところまで、一切合切を。

どうやら、もうひと波乱ありそうだぞ、と、僕は覚悟を決める事にした。

今日は下準備したところまでです
曙視点も組み込みつつまとめていきたいです

バカとテストと召喚獣、を見直してたら曙ちゃんそっくりなキャラがいました。
それでは投下します。

第七駆逐の部屋にある私の布団は、漣たち三人の手で後から運ばれてきた。

元々執務室にはクソ提督仮眠用の布団がひと組置かれていたため、用意するのは私の分だけ。

それを見た漣がふざけて「もしかして、持ってくる必要無かった?」とかほざいたので、三人まとめて怒鳴って追っ払ってやった。

逃げ足だけは速い奴らだ。



曙「これでよし、っと」


残された私とクソ提督でも、あとの作業はなんとか出来たし。

テーブルや来客用の椅子なんかを部屋の端に片付けてスペースを作り、布団を並べて準備完了。

うん、あとは……


提督「後は寝るだけ、だね」

曙「そ、そうね」



そう、後は寝るだけだ。

大きな本棚と執務机と端に追いやった家具に囲まれた状態で、二人並んで寝るにしては狭く感じるこの部屋で。

そう、この部屋で、クソ提督と私が、寝るだけだ。

って、無理、無理、無理~っ!



お風呂に入る前は、初めての秘書艦業務の疲れもあってか、意識していなかったけれども。

改めて仕切りなおして『さあ、一緒に寝ましょう』なんて、ハードルが高すぎる。

もちろんただ一緒に眠るだけなんだから、何かあるが訳無いのは分かってる。



分かってるんだけれども……

それでも、敷かれた布団を前にすると、心臓の高鳴りが抑えられない。

もうこれ以上は早くならない、って、痛いくらいに私の心臓は脈打っていたのだ。

そう言えば、クソ提督はどう思っているんだろうか。

私と……女の子と二人きりで、寝る事について?



全然ちっとも、何とも思っていないのかな?

それとも……ちょっとは、ドキドキしてくれているんだろうか。

いまの私の……百万分の一くらいには、ドキドキ、してくれているんだろうか。



ねえ、クソ提督。

どっち、なの?

私といて、ちょっとは緊張してくれているの?

提督「ねえ、曙さん」

曙「な、何よ」


平静を装って、私はクソ提督に返事をするけれども、続くことばが来ない。

彼はじっと、何かを試すように私のことを見つめている。


海のように碧く、美しい瞳。

耳に溶け込んでいく、ボーイ・ソプラノの声。


そのすべてが私に向けられていると気が付くと、何故だか涙が出てきそうになる。

提督「どっちかな?」

曙「は?えっ、ななな、何がよ!?」



内心が見透かされたようで焦る私を見て、クソ提督はきょとんとした。

あ、危ない危ない。ここで余計なことを口走ったら、朝まで後悔で寝られなくなってしまう。

ことばだけでは意味が分からない、と彼の手元に視線をやって、ああ、先走らないで良かったと、私は胸をなで下ろした。

提督「部屋の明かり、曙さんはどっちが良いのかなって。僕は真っ暗派なんだけどね」

提督「第七駆逐の部屋では、寝るとき、いつもどうなのかな」



執務室の照明を操作するリモコンを手にして、もう一度クソ提督が口をひらいた。

寝る際に部屋の明かりを全部消すのか、それとも残すのかということだろう。


……ええ、そうね。

そりゃあ、それを持ったまま聞かれれば、どんな要件かなんてすぐに分かるでしょうけどっ!

もう、なんなのよっ。私は心の中で毒づく。声の方はというと、呆れすぎて出てこない。

こっちはこれだけ固くなってるってのに、あんたが気にするトコロはそこなワケ!?

緊張とともにやるせなさまでもが、私の中で最高潮に高まった。



それでも、いまのはタイミングがおかしかっただけで、相手に悪気は無い。

だから、この怒りはストレートにぶつけられない。万が一ぶつけたら、怒っている理由まで話さなくちゃならなくなるし、そんな事は出来ないから。

それでもこのモヤモヤを少しでも解消したかったので、せめて照明の件は譲ってもらう事にした。



第七駆逐の部屋は、真っ暗派ではないのだ。

曙「茶色よ」

提督「へ? 茶色?」


分かんないの、と私はリモコンを奪い取って、カチカチっとボタンを押していく。

小さく電子音が鳴って、執務室は小さな豆電球の明かりを残し、薄暗さを得た。

その様子をみて納得したのか、クソ提督が、



提督「ああ、だから茶色かあ」

曙「いいから、もう寝るわよ」

茶色って言い方、あまり一般的ではないのかしら?

第七駆逐のみんながそう言ってるから、私も使っているんだけれど。

それにしても、クソ提督の呑気さったら、なんて腹立たしいんだろう!

こっちはすごく、すごく緊張していたというのに……


部屋のあかりだなんて、どうでもいい事を真っ先に聞いてくるなんて、そんなの。

私と二人きりで夜を明かすことを、なんとも思っていない証拠じゃない!


なんだか過剰に反応してしまった私の方がバカみたいだと。

そうやって毒気を抜かれて、すっかり油断している私に。

布団に潜り込みながら、薄暗がりの中で、クソ提督が呟いた。

提督「やっぱり、緊張するよね」

曙「えっ?」


ね、ねえ。い、いまの、何?

さっきのが私の聞き間違いはなかったとしたら……

クソ提督の方も、ちょっとはドキドキしているって……

……そういうこと、なんだろうか。


さっきの、部屋の明かりをどうするか、だなんてどうでもいい質問。

あれは、本音を言えなかったクソ提督がとっさにこぼした照れ隠し?

暗闇にしなくって、良かった。でも、まだ明かりが足りないから、同じことだろうか。

隣で寝るクソ提督がどんな顔をしているか確かめるにはもう、室内は暗すぎた。

本日以上
僕も今日はぼのたそと一緒に寝ます

美少年は同性からも狙われるからね仕方ないね

フルメタル・パニック4期ですよ、4期!
もしかして最近のオタクはフルメタ知らんのでしょうか、テッサにまた会えると思うと平静でいられないんだけど

さて、ちょこっとだけ更新します

ああ、駄目だ。やっぱり、眠れる気がしない。

小さな豆球だけがぽつんと一つ、星のように執務室の夜空に瞬いているのを見上げながら、私は心の中でため息をついた。

その明かりが頼りなく、私の隣で寝ている人が確かにクソ提督なんだということを教えてくれている。



彼に握られた手が熱い。

身体はというと、まるで茨のうえで寝ているかのように固くなっているし、心臓のドキドキは収まってくれるどころか激しさを増していて、いまも時を刻んでいるはずの大時計の音すらかき消してしまっていた。



とんでもない一日だったからとても疲れているはずなのに、ぜんぜん寝付ける気がしない。

曙「んっ……」


私はあまり寝相が良い方じゃない。

こういう日は布団の中でもぞもぞしながら眠りに落ちるのを待つのだけれど、すぐ隣にクソ提督がいるんじゃそれも出来やしない。



提督「やっぱり眠れそうにないや」

曙「えっ」


思考が内側に潜っていたためか、クソ提督のことばは頭の中に入らずに抜けていった。

そんな私の反応をどう勘違いしたのか、隣から少し慌てた口調が続く。

提督「あ、ご、ごめん。起こしちゃったかな?」

曙「べ、別に……私、寝つきが悪い方だから」


嘘だ。寝つきが悪いのは本当。だけどいま寝れないのは、そのせいじゃない。

だけれども鈍感なコイツは私のことばを疑おうともせずに、



提督「そっか。じゃあ、僕と同じだね」

提督「僕も、不安だったり、気分が高ぶっていたりするとなかなか眠れないから」

相手の顔が見えないのに、クソ提督が私に笑いかけたのが分かった。

いつものあの、柔らかで繊細な……こちらを包み込むようなあの笑顔。


曙「な、なによ。私と一緒に寝るんじゃ、不安だっていうの?」


何なんだろう。胸が締め付けられる。

それを誤魔化すためにいつもの憎まれ口を叩いたのに、


提督「違うよ、曙さんと一緒に寝てるかと思うと、ドキドキしちゃうから――」

提督「ああ、えっと。違うんだ、これは決してやましい意味なんてないからっ!」


とどめを刺しに来るなんて、本当に……

本当にずるいやつなんだと、思った。

提督「だからさ」

提督「眠くなるまででいいから……少しだけ、お話しない?」

曙「えっ」

提督「駄目、かな?」


動揺して、こいつのこと以外何も考えられなくなっている状態の時に、そんな事言われたら。



曙「うん……」

曙「いいわよ」


素直にそう答えるしか、ないじゃない。

お話(意味深)
このあともこれまで通りいたって健全なやりとりが続きます

あとミスって酉付けちゃったから言いますが、投稿スレの方に本編にぶち込めなかった小ネタ書いたんで良ければ見てやってください

それではまた

ようサボったものよ。ま、まあ忙しかったし!
(曙ちゃんとクソ提督の会話を考えてたのと、ラノベガッツリ読んでたのが原因)

声を潜めて、クソ提督が、ぽつりぽつりと語りだす。


提督「今日は本当に、色々なことがあったね」

曙「ありすぎて、疲れたわよ」


そうやってぼやく私に、そうだねと薄く笑う気配がして。

それにつられて、私も少しだけ笑った。

なんだか枕が心地いい気がするのは、落ち着いてきた証拠かもしれない。

提督「夕張さんや青葉さんには困ったものだよ」

曙「鎮守府の騒ぎの半分はあの二人のせいよ」


提督「ふふ、かもしれない」

曙「そうよ、まったく」


それでも、クソ提督が二人を責めることはしないと思う。

あの二人のドタバタに巻き込まれるのは迷惑だけれども。

本当に本当に、迷惑で、たまったものじゃないんだけれども。


でも、あいつらの起こす騒ぎは嫌いじゃない。

私がそう思うんだから、多分コイツも同じ気持ちのはず。

提督「でもそのおかげで、今日は楽しかった」

提督「歳下の艦娘を秘書艦にしたのも、初めてだったしね」


曙「いつもと違って、手を抜けたから……かしら?」


提督「ち、違うよぅ」



少し慌てて否定するところが、なんだか可愛い。

いつも鈴谷がからかっている理由が分かる気がする。

歳上組の艦娘からすれば、クソ提督なんか絶好の獲物だろうし。

提督「でも、明日からが大変なのは本当」

提督「瑞鶴さんたちが大規模演習から帰ってくるから、その事後処理があるし」



ああ、そっか。演習自体は今日で終わりって、昼間の報告書にあったっけ。

きっと、参加した各艦娘への評価だったり、色々とやることがあるんだろう。

提督「何故か鈴谷さんは不機嫌だったし、夕張さんには名目だけでも罰則がいるし」

曙「……」



ほんっと、年上のお姉さま方に振り回されているのね。

夕張の方は大丈夫そうだけれども、コイツ、鈴谷が不機嫌になった理由が分かるかしら?

……分からないでしょうね。だってそれが分かるなら、そもそも鈴谷が不機嫌になるはずがないもの。

提督「後は暁たちか。第六駆逐隊の四人の連携」

曙「今日の七駆との演習、酷かったものね」


私抜きの、三人の第七駆逐隊に、暁たち第六駆逐隊はボロ負けだった。

クソ提督の言うとおり、連携がなってないんだから当然の結果だけれども。




曙「旗艦をかえるとか、するの?」


私が思いつくのはそれくらい。暁が旗艦だと悪い、なんて言うつもりはないけれど。

例えばいつも冷静な響に任せれば、それなりに落ち着くかもしれないと思って。

提督「ふわぁ……」

大きなあくびを一つついて、クソ提督。


提督「誰に替えても、あの四人はデコボコするさ」

提督「普段は大人しい電だって、実はけっこう頑固なんだよ?」



ああ、なんだかそれは分かる気がするわ。

相槌を打とうとしたけれども、クソ提督につられてあくびが出たので、上手くいかなかった。

これ以上難しい話を受け付けるのを、眠気を感じてきた脳が拒否しているのかもしれない。

それに、とクソ提督。


提督「暁が旗艦なのは、かわらないよ」

提督「雷でも響でも、電でもない」


第六駆逐隊の旗艦は暁にしか任せないから、と。

そう言うクソ提督の考えを、もっと聞いてみたいけれども。

何故だか不意に、別のことが気になってしまって、上手くことばが出てこなかった。

そんな私の無言を、”もう寝る”という意思表示だと捉えたのか……

それきりクソ提督も、口を開くことはなかった。



カチ、コチと、思い出したかのように大時計の音が戻ってくる。

クソ提督はもう、眠ってしまっただろう。だから私は、ちょっとだけ素直になって。



そう、ちょっとだけ素直になって、こう口にした。






曙「なんで私のことは、呼び捨てで呼んでくれないの?」

普段ひねくれている私にしては、驚くほどあっさりと。

心に芽生えた気持ちを、まっすぐに放つことが出来た。

本日以上です
自分で書いててアレだけど、曙ちゃんが好きすぎてヤバイ

>>51への流れ弾にワロタ
今日は少しだけ、もうじき幕となります

ずっとずっと、気になっていた。

瑞鶴や鈴谷たちみたいに歳上の艦娘たちは”さん”づけで。

暁や雷たち歳下のチビっ子たちは呼び捨てにしているクソ提督。



だけど、同じように歳下なはずの第七駆逐隊――いや、違う。

なんで”私”のことまで”さん”づけにするんだろうって。

それがどうしようもなく気になっていた。

曙さん、曙さんとコイツに呼ばれるたびに、何だか知らないけれど私は……

クソ提督と自分との間に、距離があるように感じてしまうのだ。


それは、何故だか分からないけれども、嫌だ。とっても、とっても、嫌だ。

何で嫌なのかは、眠気を感じた頭が上手く働かなくて、よく分からない。

でも、とにかく自分のことは、呼び捨てで呼んで欲しい。その気持ちは、変わらない。

薄れていく意識の中で呟いた最後の一言は、ちゃんとことばになったかどうかも疑わしい。

曙「”曙”って呼びなさいよ、クソ提督」



でも、まあいっか。

どうせクソ提督も、寝ちゃっているんだし。



繋いだ手から伝わる心地よい感覚に浸りながら、私は静かに意識を手放した。

今日はここまで、200レス程度で終わらせるつもりだった気がするのですが長くなったものです。
それにしても、曙ちゃん俺のこと好きすぎるやろ・・・

>>524提督は俺の事好きだよな!?

>>528が美少女だったらセーフ、美少女だったらセーフっ!)

前に「ダブルアーツ?」というコメントがありまして、それがきっかけで読みました。
すんごい面白いわ、残念ながら元ネタではないです。ジャンプで”鋼の錬金術師”をやろうとしたらあんな感じでしょうか。

それでは本編投下です。

提督「んっ……くぅ、もう起きる時間か……ふわぁ」


海風が運ぶ朝の日差しを感じて、僕の意識はゆっくり覚醒へと向かっていく。

着任した頃は空母艦娘の部屋のソファなんかで寝ていたこともあり、朝は強い方だ。



鎮守府の主として一番に起きていないと……という理由ではなく、寝ぼけた翔鶴さんが、僕を妹と間違えて抱きつかないように自衛するためだ。

だってそんな現場を見られたら、僕は命がいくつあっても足りやしない。

……もっともそれは、穏やかに照れる姉ではなく、激怒した妹の少々過激なお仕置きによって、だけれども。



そんなわけで、他の誰よりも早く起きるという悲しい習性が身体に染み付いてしまったんだ。

提督「でも、まだ眠いや。昨日は色々なことがあったから……」


寝癖のついた髪の毛をいじりながら、もう片方の手で布団を払い半身を起こして、


提督「あれ……?」


気がついた。




提督「手が! 繋いだ手が、ちゃんと放れてる!」


やった、これで晴れて自由の身だ!

寝ぼけながらも、半分の脳を使って歓声を上げた。

思えば昨日は、大変な苦労をした一日だった。

あと少しで、部下の艦娘との醜聞という誤報が広まるところだったし、

水着の女の子たちとお風呂に入った後意識を失うなんて、一歩間違えばセクハラだ。



それでも、自由になってしまえば、いつも通りの執務が出来る。

今日の騒ぎを知らない艦娘たちには、落ち着いてゆっくりと説明できるし。

それに曙さんだって僕から解放されれば、第七駆逐隊に戻ることが……って。



提督「あれ、そういえば曙さんは?」


まだ霧がかかった思考をどうにか回転させて、ようやく彼女の姿が見えない事に気が付いた。

提督「ええと、たしかにいっしょに眠りについた……よね?」



意味なく呟きながら、昨日の夜の記憶を頭の中で必死に手繰り寄せる。

手を繋ぎながらお互い眠りについたのは確かだった……はず。

そうだ、二人で昨日一日のことを振り返りながら……ええと、最後に何を話したっけ?



隣に敷いた布団に目をやれば、見事に平坦で膨らみがないのが分かる。

いくら細くて華奢な体つきの彼女であっても、毛布に包まっているのならもう少し膨らんでいるはずだろう。

提督「……先に起きて、出て行っちゃったのかな?」


だとしたら、僕に負けず劣らずの早起きさんってことになるけれど……

手が繋がって苦労したのは彼女も同じはずだから、解放された嬉しさのあまり?




提督「だとしたら、ちょっと寂しいかな」


そりゃあ、男の僕と一日いっしょというのは、嫌だったのかもしれないけれど。

ほんのちょっとでも楽しかったという気持ちがあれば、朝も言葉を交わしてくれただろうから。

提督「でも、昨日のあの態度から言っても、そこまで嫌われているとは」

……断言出来ないけれども、嫌われていないと信じたい。



曙「んっ……んぅ」



などと感傷に浸っていると、あれ?

どこからか、聞き覚えのある声が……?

曙「んんぅ……むにゅ、あしゃなのに、真っ暗?」

曙「……ふぁ、またわたし、もーふにくるまって寝ちゃったのかぁ……」



もう一度隣に目をやる僕だけれども、やはりさっき見たとおり、本来いるべき場所に主の姿はない。



でも。

もぞもぞと、毛布が動くのを身体で感じる。

それは隣の、空っぽの布団の上の、ではなく……僕の、だ。


提督「ま、まさか……」


頭では必死にその事実を否定するけれど。

まだ毛布をかけたままの、僕の腰のあたり……そこが、ごそごそと……?



そう、丁度寝相の悪い女の子が、”人の布団に転がり込んできたらこんな感じになります”
と言わんばかりの膨らみが、確かに動いていた。

提督「いやいやいや、まさかね」


なんて目を背けてばかりはいられない。覚悟を決めないと。

これから起こりうる騒ぎを最小限にするべく、脳内であらゆるシミュレートをしながら。

僕は恐る恐る、くしゃくしゃになった毛布に手をかけて、



提督「お、おはよう、あけぼ――」

曙「んっ……ほはよ……クソてい――」



提督「……」

曙「……」


降りる沈黙。

提督「あのね、落ち着いて聞いて欲しいんだけど」


なるべく優しく声をかけながら、それでも次に来る展開が何となく見えてしまって。


曙「ぴにゃあああああああああああ!?」

提督「やっぱりこうなったぁ!?」


執務室をに響き渡る悲鳴が、どうか他の艦娘たちに聞こえていませんように、と。

それだけを祈りながら、僕は動揺する彼女をなだめるのだった。


ちなみに、ボヤけていた意識なんて、この頃にはとっくに覚醒していた。

提督「……ごめん」

曙「べ、別にクソ提督が悪い訳じゃないでしょ」

曙「わ、私の寝相が悪かっただけなんだから」



提督「……」

曙「な、なによ」


僕に食ってかかるんじゃなくて、自分の非を認めるなんて珍しい。

でも素直にそう言ったら怒られるだろうから、口に出さない事にしよう。

曙「怒らないから、言ってみてよね」

提督「ホントに怒らない?」

曙「うん」


じゃあ、言うけど。


提督「素直に謝るなんて珍し……ごめんない睨まないで」


怒らないって言ったくせに。

そんな、今までにない会話が照れくさくて、二人して笑う。

あれ……でもこれ、よく考えたら相当アブナイ状況じゃないだろうか?



事故で手が繋がっていたとはいえ、女の子と二人きりで一夜を明かす。

そして、目が覚めたら同じ布団の上で、はにかみながら見つめ合っている。

言い訳……じゃない、原因だったお互いの手は、とっくに解放されている訳だし。



……何も知らない人が見たら、完全にアウトだ。

曙「?」

曙「どうしたのよ、クソ提督?」

提督「い、いや、何でもないよ、アハハ……」


寝汗なんてかいてないのに、背筋がベットリと湿っているのは。


(1)昨日の騒ぎを一切知らない。
(2)そして、僕のこの場面を見て、烈火のごとく怒りそうな……

脳裏に、条件を満たす一つの可能性が浮かび上がってきたからだ。

その可能性を、心の中で慌てて(必死に)否定しようとする僕。


提督「(ないない、うん。だって、演習の終わりは昨日の夕方だよ?)」

提督「(演習先で夜を明かして、早朝から出発するとしたら……)」

提督「(うん……どんなに早くても、帰ってくるのは今日の昼前のはず)」

曙「ふふ、変なクソ提督」


僕の百面相が笑われているのなんて、今はどうでもいい。

だって、考えられる限り最悪の、恐ろしい事態が起きないって分かったのだから。

提督「うん、問題無いから大丈――」

瑞鶴「演習から帰還したよ、提督クン!」

提督「――夫」



ああ、忘れていた。

この人は、僕がせっせと頭の中で考えて、やっとこさ導き出した答えを……

一足飛びに超えてきてしまうっていうことを。

執務室の扉が元気よく開いて、浅葱色の髪が、舞い込んできた風と踊っている。

紅色のスカートから伸びた脚と、太陽の様な微笑み。勝気な瞳が真っ直ぐに僕を見据えて。



……。

…………。

………………。



考えうる、最悪の事態に直面して、心の中でこう呟いた。

僕にとっての波乱の一日というのは、どうやら昨日ではなく今日だったらしい。

本日ここまでとなります。おそらく次の投下が最後であり、金曜日~日曜日の間には決着としたいです。
それにしてもこの執務室、ペッタンコしかいないな・・・・・・

最後の投下となります、よろしくお願いします。

演習が終わってから、ロクに睡眠も取らないで航行してきたのかしら?

目元に真っ黒な隈をこさえた瑞鶴が、ヒステリックにわめき散らしている。



瑞鶴「……あ、アンタ、駆逐艦の子に何してるの!?」

提督「だから誤解なんだってば、瑞鶴さん!」

瑞鶴「誤解って何がよ!?」



一番に執務室で出迎えを受けようとして、アテが外れてしまった瑞鶴の怒りは収まらない。

慌てて弁解しようとするクソ提督だけれども……これじゃ火に油だわ。

提督「その……僕たちは別に、いやらしいことを」

瑞鶴「いやらしいことをしてたって言うの!? サイッテーっ!!」

提督「だからそうじゃないって!」

瑞鶴「じゃあ、この状況は何だって言うのよ!?」


……昨日の鈴谷の気持ちがよく分かる。

蚊帳の外に置かれるのって、本当に面白くない。


ううん、違うか。

クソ提督が私じゃなくて他の女の子の方を見ているから、面白くないんだわ。

だって昨日あんなに近くに感じることが出来た距離が、いまは遠く遠く感じるもの。


何故だか、昨日のことが全部夢だったんじゃないかって、そんなことまで思ってしまう。

瑞鶴に言い訳をしながら、ちらちらとクソ提督がこちらに視線を送ってくる。

たぶん、上手く話を合わせて欲しいというお願いだろう。



一緒に手を繋いで、押し倒されて、他の七駆ともお風呂で、おまけに朝は一緒の布団。

……うん、正直に話しても話さなくても、爆撃決定ね。

曙「はぁ、仕方ないんだから」



こうやって頼られるのも悪くはないかもと、私はどこか諦めたようなため息を一つ。

そうだ、どうせ私たち二人が一緒に過ごしたという確かな証なんて、何もないんだし……



この状況に適当な理由をつけて、”彗星”が”九九艦爆”になる、そのくらいの手助けはしてあげようと思った。

どうやったところで、私とクソ提督の関係は、何も変わらないんだから。

そう思って口を開きかけた私だけれども、続くクソ提督のことばを聞いて。

考えが、変わった。



提督「そうだ、ねえ。 曙の説明も聞いてあげてよ、瑞鶴さん」

曙「へ?」



呆気にとられて、中途半端に開きかけた口がそのまんまになる。

いま、クソ提督は、なんて……?

瑞鶴「……!」


瑞鶴はいまのささやかな違いにすぐに気がついて、かたちの良い眉を吊り上げた。

それに対して私はというと、


曙「へぇ、ふーーん」

提督「?」

提督「どうしたのさ、曙。急にニヤニヤしちゃって」


クソ提督の指摘通り、頬が緩んでしまって仕方がない。

なのにコイツは、自分がどんなことを仕出かしたのか全く分かっていないみたいで。

提督「えっ、なに、なに。何で瑞鶴さんが余計不機嫌になるの?」

曙「さあ、なんでかしらね、”瑞鶴さん”?」

瑞鶴「あああ、アンタ、くくく、駆逐艦のくせに、いい度胸してるじゃないっ」



今までは遠くから見ているだけだったけれど、今日からは違う。

……ううん、正確に言えば昨日から、ね。



その事を、今のところ一歩も二歩も前を走っているライバルに宣言するには。

さっきの挑発だけじゃちょっと、いや……全然、足りやしない。

駆逐艦は、限界まで突っ込んでいってナンボだってことを。

瑞鶴にも教えてあげないといけないわね。


曙「いけない、もう七駆で集まる時間だわ」


そう言って自由になった身体で駆け出して、すれ違いざまに。



曙「でもね瑞鶴、本当に何もなかったのよ?」

瑞鶴「そうなの?」


おや、と小首を傾げる空母艦娘に頷いて、私は続ける。

曙「うん」

曙「一日中手を繋いで鎮守府を歩いて、抱き合うみたいに押し倒して、一緒にお風呂に入って」

曙「おまけにクソ提督の布団に私が潜り込んじゃったこと以外は、何も無かったわ」

提督「ちょっ……あ、曙!?」



ああ、それから、一番大事なことがひとつ。



曙「後は……これからコイツが私のことを、呼び捨てるようになったこと以外は何も、ね?」

提督「い゛っ!?」

さらりと手を振りながら別れを告げて、執務室をあとにする。

背後から殺気と、それに怯える気配を感じるけれど気にしない。



廊下に出た私は漣たちに合流するために、第七駆逐隊の部屋を目指す。

何かが爆発する音と、男の子の悲鳴に振り返りながら一言。



「ばーか」



ペロリと舌を出しながら、満面の笑みを浮かべて。

いま、私はスタートを切ったんだ。




【艦これ】キスから始まる提督業!【ラノベSS】
【艦これ】キスから始まる提督業!【ラノベSS】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1429975036/)

既にご承知かもしれませんが、スレ立て以来一度も貼ってないらしいので。
少年提督、瑞鶴はここから持ってきています。曙は当スレが初登場です。

6月から始めたスレがここまで長期化するとは思いませんでしたが、無事着地出来ました。
反省点も多いですが、まずはお話を締められたことに満足したいと思います。

それでは、最後までお読みくださった方がいましたら、ありがとうございました。

そうそう、漫画を勧めてくれた方ありがとうございます。
ラノベ、小説、アニメに比べ不思議と漫画はそんなに読まないので、興味をもったやつは読んでみます。
多分最後に心動かされた漫画は、数年前に完結したガンスリンガー・ガールですね。

ちなみにもう一つのスレはどうするか考え中ですので、しばらく生かしておきます。
時間稼ぎに投稿スレでやったやつを投下しておきます。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年07月06日 (月) 02:23:23   ID: qHGgokAi

同じシーンを視点変えて繰り返すのが鬱陶しい

2 :  SS好きの774さん   2015年08月29日 (土) 20:00:53   ID: or6ILyvH

d( '-' )

3 :  SS好きの774さん   2015年09月05日 (土) 23:45:23   ID: XRkpzKf9

続き期待してます

4 :  SS好きの774さん   2015年10月11日 (日) 22:48:32   ID: 0yZx-FA0

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