【艦これ】電「将来の夢なのです?」 (44)


提督「ああ、電は将来何になりたいのかなって聞きたくなってさ」

電「電が将来何になりたいの……ですか」

電「司令官に話すのは少し恥ずかしいのです」

提督「別に恥ずかしがる必要はないだろう。興味あるから聞いてみたいな」

電「はわわ……笑わないでくれる?」

提督「電の夢を笑うわけないだろう、ささっ、聞かせてくれ」

電「強引なのです……分かったのです、言うのです」

提督(電の夢かぁ……ケーキ屋さんとか、保育士さんとかかなあ。どちらにせよ、可愛らしい夢なんだろうなあ)

提督(さてさて、電の答えは――)わくわく

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電「電は将来、軽巡洋艦になりたいのです!」

提督「すまん意味が分からん」

電「はわわ! ごめんなさいなのです! ……いきなり言っても意味が分からないよね?」

提督「ああ、すまない。できればもうちょっと、私にも分かりやすく言ってくれると助かる」

電「なのです。ちゃんと分かるように言うのです!」

電「電は将来――」


電「5500トン級の軽巡洋艦になりたいのです!」

提督「すまん余計に理解ができない」

電「はわわ!? ごめんなさいなのです! 電の説明が下手だったのです!」

提督「いや、それ以前の問題だと思うけど……なんで軽巡洋艦になりたいんだ? しかも5500トン級の」

電「それなのです!」びしっ!

提督「こらこら、人を指差すんじゃありません」

電「ご、ごめんなさいなのです!」

電「でも今から言う将来の夢を叶えるためには、軽巡洋艦になる必要があるのです」

提督「将来の夢? 軽巡洋艦だけじゃないのかい?」

電「むしろこっちが本命なのです! 軽巡洋艦はその前提なのです!」

電「それを聞いてもらえれば、司令官はきっと電が軽巡洋艦になりたいと言った理由がはっきりするのです!」

提督「お、おう……」

提督(なんか今日の電はやけにノリノリだな……?)

電「電は5500トン級軽巡になって――」


電「阿武隈さんの跡を継いで第一水雷戦隊旗艦になるのです!」

提督「ごめん、全然はっきりしない」

電「え……? でも、駆逐艦じゃ小さすぎて司令部施設を積めないのです……」

提督「まあ、そうだね」

電「駆逐艦だと臨時旗艦はできても、通信設備や要員等を置くスペースの関係で、ずっと旗艦として指揮を執るのは難しいのです……」

提督「だから軽巡洋艦になりたいのか?」

電「なのです!」

提督「でもなんで5500トン軽巡なんだい? それこそ阿賀野や大淀みたいな最新鋭の軽巡とかになれた方が、電にとっていいんじゃないかな?」

電「もちろんそうだけど……」


電「電は駆逐艦だから、そこまで高望みはできないのです」

提督「なんで微妙に現実見てるんだこの子は」

電「それに阿武隈さんに憧れるのです! だから5500トン軽巡がいいのです!」

提督「阿武隈にね……なんでそこまで阿武隈に憧れるんだい?」

電「それは……キス島撤退作戦なのです」

提督「キス島撤退作戦……か。あれは成功したのが奇跡とも言える作戦だったね」

電「敵に囲まれたキス島の守備隊の皆さんを、阿武隈さんは駆逐隊を見事な指揮で率いて、霧に紛れて救出したのです」

電「それだけじゃないのです。決して目立つ役割じゃないけど、電達を率いて、護衛、輸送、救出任務に奔走する阿武隈さん……」

電「憧れるのです! みんなを助ける大黒柱なのです!」

提督「なるほどなあ。たしかに電が憧れるのも納得できるよ」


電「それにキス島で作ってくれたおにぎり、それとおはぎはとってもおいしかったのです!」

提督「なぜそこで食い気を出した!?」

電「でも料理上手なところも憧れるのです! 阿武隈さんは電達が訓練で頑張った後、たまに好きなもの作ってくれるのです!」

提督「ああ、そういえばときどき電達がおいしそうに食べてたね」

電「阿武隈さんの料理はとってもおいしいのです!」

提督「あはは、電は意外と食い意地が張ってるんだなあ」

電「はわわ! そ、そんなことないのです!? 電だけじゃなくて、みんなおいしいって言ってるのです!」

提督「すまんすまん、ちゃんと分かってるよ」

電「もう……でもそう言ってくれるなら、良いのです。電こそ怒ってごめんなさい、なのです」

提督「こちらこそすまなかったな」

電「司令官は悪くないのです。それに――」


電「司令官は阿武隈さんにとっくに胃袋つかまれてるから、電以上に分かってるはずなのです」

提督「ちょっと待て」

電「え、でも阿武隈さんの手料理で司令官のハートはイチコロよって、雷ちゃんが言ってたのです」

提督「くっ、あの背伸びさんめ! 分かったようなことを言いやがって! でも良い子だから許す!」

電「司令官が着任したばかりの話だけど、司令官が阿武隈さんのだし巻き卵を食べて泣きそうなほど感動してたのを思い出すのです」

電「『生まれて初めてお袋以外の女の子の手料理を食べた……しかもこんなにうまいものを。もう死んでもいいや』って言ってたのです」

提督「やめて!? 忘れたい過去を掘り返さないで!?」

電「え? でもあの味は一生忘れられないって司令官たまに言ってるのです」

提督「それとこれとは話が別だ」

電「そうなのです? よく分からないけど、分かったのです」

提督「ああ、分かってくれたらそれでいいよ」

電「なのです。話が逸れてしまったのです。えっと――」


電「第一水雷戦隊、電! 旗艦! 先頭、出撃します!」ビシッ!

提督「なぜいきなり阿武隈の真似を!?」

電「話が逸れてたから、電なりに軌道修正したのです。でもちょっと強引でごめんなさいなのです……」

提督「あ、ああ。それはありがとうな……」

電「つまり、電の夢は5500トン級軽巡になって、第一水雷戦隊の旗艦になるのです! 阿武隈さんの後は電が継ぐのです!」

提督「そ、そうか」

提督(けど、はっきり言って駆逐艦が軽巡洋艦になるとか、無茶があるよなあ……清霜じゃないけど)

提督(ここはキッパリ言って諦めさせた方がいいのだろうか?)

霞「話は聞かせてもらったわ!」バンッ!

電「霞ちゃん!?」

提督「おっと霞、いきなりドアを思いっきり開いたらだめだ。壊れたらどうする」

霞「あ、そ、そうね。ごめんなさい。気をつけるわ」

提督「いや、気をつけてくれるなら良いよ」

霞「ええ。それで電。あなたはなにバカなこと言ってるのよ」

電「バカ!? 電はバカじゃないのですー!?」

霞「バカに決まってるでしょ! 阿武隈さんの後を継ぐ? 一水戦の旗艦? 電がなれるわけないでしょ!」

電「やってみなくちゃ分からないのです!」

提督(まあ霞の言っていることはある程度は正論だよなあ……)

霞「やらなくても分かるわよ!」

電「そ、そんなことないのです!」

提督(とはいえちょっと言い過ぎなところはあるな。そろそろ止めるか)

提督「おい霞、その辺で――」


霞「だって一水戦の旗艦は霞がなるんだから! 電はなれないわね!」えっへん!

提督「電を説得してたんじゃなくて、おまえが一水戦旗艦になりたいのか!?」

霞「あによ、藪(やぶ)から棒に。これは霞と電の、夢と希望を掛けた一騎打ちよ! 司令官といえど邪魔はするんじゃないわよ!」

提督「やたら大げさなことになってる!?」

電「霞ちゃん、言い過ぎなのです」

霞「ごめんなさい。けどここは譲れないわ! 例え電が相手だって負けないわよ!」

電「むっ、電だって霞ちゃん相手でも負けないのです!」

霞「ふん、良い度胸じゃない。かつての大戦を末期まで戦い抜いた霞に、簡単に勝てると思わない事ね」

電「電だって簡単に負けるつもりはないのです。昔も――そしてこの鎮守府の初期艦として、伊達に戦歴は積んでないのです」

霞「面白いこと言ってくれるじゃない。それじゃあ、あなたの実力を見せてもらおうかしら」

電「望むところなのです」

霞「……」ザッ

電「……」ザッ

提督「お、おいやめろ二人とも! 執務室で戦うつもりか!?」

霞「……」

電「……」


霞「……やるじゃないの。正直見直したわ」

電「霞ちゃんも、とってもすごいのです!」

提督「……は?」

電「霞ちゃんとは前以上に仲良くなれそうなのです!」

霞「そうね。私達、いい戦友になれるわよ。断言するわ」

ガシッ!

電「なのです!」

提督「どういうこと!? なんで数秒間対峙してただけで分かり合ってるの君たち!?」

霞「真の実力者なら、対峙しただけで相手の力量が大体分かるでしょうが。そんなことも知らないの?」

提督「理不尽に罵倒された!?」

電「司令官、ご迷惑かけてごめんなさいなのです。電はお茶を淹れてくるのです」

提督「ああ、頼む……なんだか無駄に疲れた」

提督「しかし……対峙しただけで力量が分かるなら、普段の訓練や出撃でとっくお互いの能力は知ってるんじゃないのか?」

霞「!?」

電「!?」

提督「なぜそこで驚く?」

霞「そ、それはその……あれよ! 実際に対峙することによって、真の力量を見極めるとか、電の夢がどれぐらい本気なのか確かめるとか、そういう意味があったのよ!」

電「な、なのです!」

提督「そういうものなのか?」

電「そういうものなのです!」

霞「なのです!」

提督「なのですがうつってるぞ霞。しかし、二人とも本当に阿武隈に憧れているんだな」

電「はわわ!?」

霞「はわわ!?」

提督「落ち着け二人とも。特に霞」


電「司令官、お茶なのです!」

提督「いつの間に淹れてきたんだ!? 数秒前、そこで霞と一緒に驚いてたよな!?」

電「長年秘書艦務めてれば、これくらい当然なのです!」

提督「秘書艦は関係あるのか!?」

霞「霞と肩を並べるなら、その程度やってもらわないとね」

提督「そっちもそっちで妙な納得してるし……」

電「あ、今のなしなのです」

提督「ん、どういうことだ?」

電「未来の一水戦旗艦なら、これくらい当然なのです」

提督「なぜ一水戦旗艦にこだわった」

提督「……で、お互いの夢の本気度はどれくらいだったんだ?」

電「霞ちゃん的には、とってもOKです!」

提督「なんとなく凄そうなのは分かった」

霞「電なら良い水雷戦隊旗艦になれるわよ。霞さえいなければね」

電「電も負けないのです!」

提督「あはは、頑張れよ二人とも」

電「頑張るのです! そのためにまず軽巡洋艦になるのです!」

提督「しかし、どうやって軽巡洋艦になるつもりなんだ?」

電「それは改二になって、コンバート改装という可能性があるのです!」

電「鈴谷さんも、重巡洋艦から航空巡洋艦、そして攻撃型軽空母になったのです! 電だって駆逐艦から軽巡洋艦になるのも夢じゃないのです!」

提督「いやあ、船体の大きさ的に無理があるんじゃないかな……?」

霞「まっ、やる前から諦めてたらなにもできないわね。電も霞も改二になって、コンバート改装で軽巡洋艦になってみせるわ!」

電「なのです! 電はまだ改二になってないから、これからなのです!」


霞(改二)「そうね……電と違って霞ってば既に改二なのに、ホントバカ……」ずーん

電「霞ちゃーん!?」

提督「今まで忘れてたのか!?」

霞「どうして……どうして霞は改二乙で乙型駆逐艦じゃなくて、乙型軽巡洋艦にならなかったの……?」

提督「知らんがな」

電「司令官、いつもと口調が違うのです!?」

提督「あー、なんだ霞。軽巡洋艦にならなくても、駆逐艦にしかできない役割はそれこそ沢山あるだろう」

霞「……分かってるわよそんなの。こんなの、ただ霞がわがままなだけ。そんなこと……」

電「霞ちゃん……」

初霜「いえ、霞! 諦めるのはまだ早いですよ!」バンッ!

霞「初霜!?」

電「初霜ちゃん!?」

初霜「霞、あなたのそれはわがままじゃありません……目指すべき目標――夢です!」

霞「夢……! そう、夢……ね」

霞「でも一体どうすれば……?」

初霜「お二人は水雷戦隊旗艦になりたいのでしょう? 臨時旗艦ではなく、正式な旗艦に」

初霜「それなら、実際に旗艦をやってる人に訊くのはどうかしら?」

霞「それだわ!」

電「それなのです!」

提督「そうなのか!?」

電「きっと阿武隈さんなら道を示してくれるのです!」

霞「ええ、そうね!」

初霜「はい、きっと大丈夫です!」

提督「君達のその無条件の信頼はどこから来てるんだ!?」


電「着任からずっと、電は阿武隈さんにお世話になってるのです」

霞「そうね……前世から続く縁――かしら」(胸元のリボンを触りながら)

初霜「一緒に輪形陣でお祝いしたときに思ったんです……阿武隈さんなら安心してついて行けると」

提督「電と霞はまだしも、初霜は一体何を言っているんだ」

電「なにはともあれ、第二小隊先行します! 阿武隈さんにアドバイスをもらいに行くのです!」

霞「そうね! 善は急げよ!」

初霜「ええ、行きましょう! 夢のその向こうへ!」


タタタタ――

提督「走って行っちゃったよ。なんでそんなにハイテンションなんだ……特に初霜。明らかに無理してる感じだったぞ」

提督「まあ……楽しそうだし、仲が良いのは素晴らしいことだ。別にいいか」

提督「……いや、やっぱ心配だ。ちょっと追いかけて様子を見てみよう」ガチャ

提督「ってもう廊下にいないだと!? 速すぎだろう三人とも!?」

弥生「……司令官、いきなり執務室から出てきて大声あげてる……どうしたのかな?」

如月「ふふ、弥生ちゃん。司令官は阿武隈さんと会えなくて寂しいのよ」

睦月「およ? たった数時間会ってないだけじゃないのかな?」

菊月「まったく、情けない……以前の毅然(きぜん)とした司令官はどこに言ったんだ」

皐月「そう? ボクは今の司令官の方が好きだよ?」

菊月「……別に悪いと言ってない」

提督(なんか散々言われてる……)


――鎮守府・食堂。

暁「もぐもぐ……おいしい! このオムライスとってもおいしいわ!」キラキラ

白露「うん! 白露もこのオムライスとっても好きだよ!」

時雨「もう、姉さんってば。そんなに早く食べたら消化に悪いよ」

阿武隈「ふふっ、気に入ってもらえたのなら、あたしも嬉しいです」

島風「うん! おねーちゃんのお料理はどれも凄くおいしいよね」

雷「ねえねえ、阿武隈さん! 雷にもこのオムライスの作り方教えて!」

磯風「ほう、雷。雷も料理の楽しさに気づいたようだな。うむ、良いことだ」

蒼龍「磯風ちゃんも本当に上達したよね。阿武隈の指導のおかげかな?」

阿武隈「もう、蒼龍さんってばからかわないでください。磯風ちゃんが頑張ったからですよ」

磯風「まったく。師匠は謙遜(けんそん)が過ぎる」

暁「阿武隈さん、お代わりはあるかしら?」

阿武隈「あれ? 暁ちゃんもう食べちゃったの?」

若葉「暁、あまり食べ過ぎるな。おいしいのは分かるが」

暁「た、食べ過ぎじゃないわよ! 暁は一人前のレディーなんだから、これくらいへっちゃらなんだから!」


――ドドドドドド!

三日月「あれ、誰か走って来ますね。あれは――」

阿武隈「電ちゃんと霞ちゃん、それに初霜ちゃん?」

電「阿武隈さん!」

霞「あのね!」

初霜「私達、その……その……」

阿武隈「ほら、そんなに慌てないの」

電「ご、ごめんなさいなのです」

阿武隈「大丈夫? 本来なら走っちゃ駄目って言うところだけど、なにか急ぎの用事なんだよね?」

初霜「はい! 是非とも阿武隈さんに訊きたいことがあって――」

阿武隈「訊きたいこと? なにかな?」

霞「阿武隈さん、霞は……霞達は……」


霞「軽巡洋艦になりたいの!」

阿武隈「……ふえ?」

電「正確には第一水雷戦隊の旗艦になりたいのです!」

阿武隈「えっと、電ちゃんは前にも言ってたよね……? え? 霞ちゃんも?」

霞「電が阿武隈さんを目標に頑張る姿を見て気づいたの……霞も一水戦旗艦になりたいって!」

阿武隈「そ、そうなんだ……」

初霜「そして私はそんな二人を応援したいんです! もちろん輪形陣で!」

暁「なんで輪形陣!?」

初霜「ふふっ、冗談です」

暁「や、やるわね初霜……暁もうっかりツッコんでしまったわ」

蒼龍「あはは、暁ちゃんドンマイ」

電「なので、どうすれば軽巡洋艦になれるか教えて欲しいのです!」

阿武隈「ええ!? でもあたしも、生まれながらの軽巡洋艦で、後から軽巡洋艦になったわけじゃないし……」

電「そ、そうだよね……」

霞「そ、そうよね……いきなり無茶言って悪かったわ」

初霜「つい先走ってしまったわ……いくら阿武隈さんでも、さすがに無茶苦茶でしたね」

阿武隈「電ちゃん、霞ちゃん……」


時雨「それでも阿武隈なら……阿武隈ならきっとなんとかしてくれる!」

白露「そこにしびれる憧れる!」

阿武隈「無理だからね!? 変な期待掛けられても困ります!」

時雨「えー?」

白露「えー?」

阿武隈「そんな風にしても無理なものは無理です」

白露「そっかー残念だけど仕方ないよね……」

時雨「阿武隈さんには失望したよ」

阿武隈「なんでそんなに辛辣(しんらつ)なの?」


時雨「それでも阿武隈なら……阿武隈ならきっとなんとかしてくれる(笑)!」

白露「そこにしびれる憧れる(笑)!」

三日月「(笑)!? なんですかそれは!?」

阿武隈「笑わないでください!」

時雨「(仮)の方が良かったかな?」

磯風「それはそれで意味不明だが」

白露「えー?」

時雨「えー?」

蒼龍「えー? 阿武隈ってば文句多いぞー?」

阿武隈「蒼龍さんも乗らないでください!」

時雨「もう、それなら阿武隈さんはなにが良いの? 僕もこれ以上はネタ切れだよ」ぷんすか!

阿武隈「む。ふふーん、そんな生意気なことを言うのはこの口かな~?」

時雨「むにゃ?」

阿武隈「ふふ、悪い子な時雨ちゃんにはおしおきです。えいえい」

時雨「ひゃめてひょ、ひゃびゅひゅまひゃん」びろーん

阿武隈「時雨ちゃんのほっぺた柔らかいですねえ」

若葉(あれくらいだとちっとも痛くなさそうだが……)

雷(阿武隈さんも時雨もただ遊んでいるだけなのよ)


白露「はっ!? 時雨がやられているということは、次はあたし!?」

阿武隈「せーかいです! 白露ちゃん覚悟ー!」

白露「うわーっ!? にっげろーっ!」

阿武隈「あっ、こら! 食堂で走っちゃ駄目です!」

若葉「その通りだ」がしっ

白露「うえっ!? 若葉に捕まった!?」

島風「だめだよ、白露ちゃん。追いかけっこはちゃんとお外でやらなきゃ」

白露「う……そうだね、ごめんなさい」

阿武隈「はい、良く出来ました。島風ちゃんも白露ちゃんもえらいえらい」なでなで

島風「えへへ。阿武隈さん、もっと撫でて撫でて!」

白露「もー、白露は子供じゃないんだから、すぐに頭撫でてこないでってば」

時雨「その割にはうれしそうだね」

白露「そ、そんなことないってば!」

暁「やはりレディーセブンは伊達じゃないわね……阿武隈さん、素敵だわ!」キラキラ


電「つまりレディーに近づけば、それだけ阿武隈さんに近づけるってことなのです?」

初霜「なるほど、レディーになることが軽巡洋艦になる道だということみたいね!」

阿武隈「どうしてそうなるの!?」

蒼龍「そっか、やっぱり電ちゃん達は気づいちゃったかー(棒)」

電「やっぱりそうなのです!?」

阿武隈「蒼龍さん何言ってるの!?」

三日月「完全に面白がってますね蒼龍さん……」

若葉「まあ楽しそうだし、良いんじゃないか?」

霞「じゃあこの鎮守府の中でも最高のレディーを目指してやるわ!」

暁「最高のレディー……!?」


暁「どう考えても暁が最高のレディーってことよね! 暁も一水戦旗艦を目指して頑張るわ!」キラキラ

阿武隈「暁ちゃーん!?」

電「暁ちゃんもライバルになってしまったのです!?」

霞「良い度胸じゃない! 霞だって負けないわ!」

初霜「ふふっ、皆さん頑張ってください」

三日月「こうして目標に向かって、みんなで頑張るのも良いですね」

蒼龍「そうね。さて、電ちゃん、霞ちゃん、暁ちゃん。この中で誰が一番になるかな?」

白露「一番……!?」


白露「ちょっとまったー! いっちばーん凄い一水戦旗艦になるのは白露なんだから! いっちばーん!」

阿武隈「ふええええ!? 白露ちゃんまで!?」

電「今度は白露ちゃんまで一水戦旗艦を目標にしてしまったのです!?」

霞「それがなによ! 良いじゃない、競争相手は多ければ多いほど燃えるものよ!」

電「な、なのです! 負けないのです!」

三日月「みなさん、凄い闘志……! 水雷力が150……160……170……! どんどん上昇してます!?」

阿武隈「水雷力!? なにそれ!?」

三日月「ちなみに阿武隈さんの水雷力は8000以上ですね」

白露「8000以上!? そりゃ間違いだって! スカウターの故障だよ!」

時雨「安心しなよ。白露相手にかいお……おっと、阿武隈拳は使わないさ」

阿武隈「基準が分からないんですけどぉ!?」

初霜「三日月さん、その目に付けた機械どこから持ってきたんですか?」

三日月「あ、これ明石さんからもらいました」

若葉「明石さんは一体どんな技術を持っているんだ?」

時雨「さあ? 僕としてはむしろ暁のレディー度でも測れる機械が欲しいけど」

暁「それは無理ね、なぜならそんな機械を使っても暁のレディー度は測定不能なんだから!」えっへん!

白露「なにおー! あたしだって、時雨達のお姉ちゃんなんだから! レディー度だって暁が相手でも簡単に負けないからね!」

白露「あたしが白露型の一番艦として時雨達の見本になるんだから!」

時雨「僕の見本……!?」


時雨「ずるいよ姉さん。僕だって姉さんの背中ばかり追いかけていられない。僕だっていっちばーんな水雷戦隊旗艦を目指してみせるよ!」

阿武隈「とうとう普段クールな時雨ちゃんまで!?」

白露「時雨……」

時雨「姉さん、競争相手がいないと、いっちばーんにはなれない。そしていっちばーんを目指すなら、僕を倒すくらいの気概を見せないとね」

白露「ふふっ、しょうがないなあ……じゃあ二人でいっちばーんを目指そうよ!」

時雨「もう、姉さんって僕の話を聞いてたの?」

白露「聞いてたよ? それがなにか?」

時雨「まったく……姉さんはずるいんだから」

白露「さあ、張り切っていくよー! いっちばーん!」

時雨「いっちばーん」

電「電だって一番になるのです! いっちばーん! なのです!」

霞「霞だって負けないわ! いっちばーん!」

初霜「ふふ、いっちばーん!」

三日月「い、いっちばーん!」

暁「いっちばーん!」

若葉「若葉だ」

蒼龍「あはは。若葉ちゃんってば、そこはいっちばーんじゃないんだ」

暁「暁だってレディーとしていっちばーん頼られる水雷戦隊旗艦になるんだから!」

雷「頼られる……!?」


雷「はいはーい! 雷にもっと頼っていいのよ! 雷は将来、阿武隈さんのように頼られる水雷戦隊旗艦になるんだから!」

阿武隈「そう言ってくれるのは嬉しいけど、もはやなにがなんだか……」

電「電だって阿武隈さんにずっと教わって、成長してきたのです! 一番弟子として、頑張るのです!」

磯風「ふっ――いいだろう、弟子になったのが早いか遅いかだけで全て決まるわけでないということを、この磯風が証明してみせよう」

磯風「師匠(阿武隈)の跡を継いで一水戦旗艦になるのはこの磯風だ! 例え姉弟子の電さんであろうと、この磯風は手加減しない!」

電「望むところなのです! 恨みっこなしの勝負なのです!」

霞「ちょっと! 霞を置いて盛り上がるなんて良い度胸ね!」

暁「暁だって負けないんだから!」

白露「ふふーん! 白露がいっちばーんだよ!」

時雨「ここは譲れない」

雷「雷だって譲らないわ!」

初霜「フレー! フレー! 皆!」バサバサ!

若葉「初霜……その『一水戦ファイト!』と大きく描かれた旗、どこから持ってきたんだ?」

初霜「自作しました!」

三日月「自作!? 凄いですね! あ、この刺繍凝ってますね。これは相当苦労したはず……」

蒼龍「あはは、三日月ちゃんそういう方向に思考が行くんだ」


島風「もー! さっきから島風置いてみんなで盛り上がってずっるーい!」

阿武隈「ごめんね島風ちゃん。ついついポカンとしちゃってた」

島風「もう……でも良いよ、にひひ」ぎゅー

阿武隈「ふふ、それじゃ島風ちゃんも一緒にお話しよっか」

島風「うん!」

連装砲ちゃん「ぼくもぼくも」

島風「もちろん! 連装砲ちゃんも一緒だよ!」

連装砲ちゃん「わーい」よじよじ

島風「って、どうしたの連装砲ちゃん? 阿武隈さんに登ったりして」

蒼龍「響ちゃんがいつも阿武隈に登ってるの見て、真似したくなったとか?」

阿武隈「それはちょっと困るんですけど……」


連装砲ちゃん「15.2cmれんそうほうちゃん! かれいにたんじょう!」ビシッ!

阿武隈「連装砲ちゃんまで軽巡砲になりたいの!?」

島風「むー。連装砲ちゃんってば12.7cm連装砲ちゃんじゃ不満なの!?」

三日月「なるほど、連装砲ちゃんはそのために軽巡の阿武隈さんに登ったんですね」

霞「何言ってるの? 12.7cm連装砲が15.2cm連装砲になれるわけないじゃない」

島風「軽巡になりたいって言ってる霞ちゃんが、それ言うのおかしいよね!?」

初霜「皆さん、凄い元気ですね! よし、皆で軽巡洋艦を目指しましょう!」

阿武隈「初霜ちゃん!?」

「「「おー!」」」

阿武隈「どうしてみんなノリノリなの!? 食堂だからみんな少し落ち着いて! お願いだから!」


熊野「話は全て聞かせてもらいましたわ!」バンッ!

阿武隈「熊野さん!? いきなりどうしたんですか?」

熊野「ふふっ、阿武隈。電さんに急ぎ伝言を伝えに来たんですの」

電「電に……ですか?」

熊野「電さん。とうとうその日が来たんですのよ」

電「その日……? 一体どうしたのですか?」

熊野「あなたが改二になる日がですわ!」

電「……え? ふえええええ!?」

初霜「ず、ずいぶん急な話ですね」

熊野「元々、電さんの練度は十分に高いのですのよ。少なくても、この鎮守府で阿武隈さんに次いでと言えるほどには」

阿武隈(えっと……本来は喜ぶところだと思うんだけど……なにか違う気がするような)

熊野「あと、必要なのはきっかけ……そして、今日それが補完され、電さんは改二になる条件が整いましたのよ!」

暁「きっかけ……はっ、まさか!?」

熊野「そう、次の段階に進むという、電さん自身の強い意志ですわ!」

暁「やっぱりそうなのね! 電が軽巡洋艦になるという意志をこれ以上ない強い形で表明したことが、次のステージへの扉を開いたのね!」

蒼龍「えっと……暁ちゃんの理解が私の理解を超えているんだけど」

霞「さすが電……霞が認めただけのことはあるわね」

若葉「ああ、さすが電だ。その決意は並大抵のものじゃない」

電「これで……これで電は軽巡洋艦になれるかもしれないのです!」

熊野「さあ、電さん! 善は急げですわ! 工廠(こうしょう)に行きますわよ!」

電「了解なのです!」


タタタタ――!

阿武隈「行っちゃった……」

三日月「いつになくハイテンションでしたね、熊野さん」

提督「ふう……やっと見つけたよ。電と熊野が慌ただしく出て行ったが、あれはなんだったんだ?」

阿武隈「あっ、提督。実はですね――」

提督「電が改二に? いや、そんな話は聞いてないが……」

初霜「そうなのですか?」

阿武隈「やっぱり、なにかおかしいと思いましたけど……」

雷「司令官のところに話が行ってないとかじゃないの?」

白露「それか熊野さんの勘違いとか?」

時雨「もしくは姉さんがいっちばーんじゃないとか」

白露「それはありえないから」

若葉「二人は何を言ってるんだ」

提督「ともかく、一応確認してみるか」

初霜「ってあれ……電?」

阿武隈「電ちゃん? どうしたの、そんなに落ち込んで?」

?「阿武隈さん……電は軽巡洋艦になれなかったのです」

熊野「電さん……落ち込むのは分かりますが、今は改めて皆さんに紹介しないといけませんわ」

?「なのです……」


いなづま「護衛艦いなづま改二なのです! 軽巡洋艦にはなれなかったけど、これからも頑張るのです!」

阿武隈「六十年ほど時代が進んでるーっ!?」

暁「いいいいい、電!? なんか背も伸びてるんだけど!?」

雷「おおおお、落ち着きなさい暁!? そんなんじゃ頼れるレディーにはなれないわ!」

若葉「雷こそ落ち着くんだ。目に優しい若葉を見て、癒やされると良い」ずいっ

阿武隈「若葉ちゃんも落ち着いてください」

蒼龍「いったい電ちゃんになにがあったのーっ!?」

熊野「さすがに熊野もこれは完全に予想外でしたわね……」

三日月「予想できる人がいたら、その人は予知能力者ですよ!?」

霞「……ぽかーん」

初霜「ああっ!? 霞がショックで完全に呆然としているわ!」

時雨「そりゃライバルがいきなり時代を六十年も先取りすれば、そうなるよね……」

白露「ふっ、霞は甘いね。白露は逆に燃えてきたよ! いっちばーん!」

時雨「いっちばーん」

島風「電ちゃんすごーい! でも速さなら島風も負けないから!」

磯風「この磯風の姉弟子である電さんなら、これくらいやっても納得だな」

三日月「そうですか……?」

阿武隈「でも電ちゃん、どうやって護衛艦になったの?」

いなづま「それは電にも分からないのです……でも、これで阿武隈さんともっと一緒に働けるのです!」

阿武隈「もう……今までも電ちゃんにはすっごくお世話になってるんだけどなあ。それこそあたしの方が見習わないといけない位なんですけど」

いなづま「そ、そんなことないのです! 電の方がお世話になってるのです!」

阿武隈「えへへ、それじゃあお互い様かな」

いなづま「……ふふっ、なのです! これからも阿武隈さんやみんなと一緒に頑張るのです!」


霧島「それはこの私、霧島がご説明しましょう!」バンッ!

暁「あっ、艦隊の頭脳である霧島さんだわ!」

雷「霧島さんならきっと分かりやすく説明してくれるわね!」

霧島「ふふっ、そう言ってくれるなら期待に応えないといけませんね」

霧島「電ちゃんがなぜ護衛艦いなづまになれたのか……その鍵は阿武隈――あなたにあるわ!」ビシッ!

阿武隈「ふえ!? あ、あたしですか!? なんで!?」

白露「そうだよ! いきなり阿武隈さんが関係しているって言われても、意味分からないって」

霧島「ごもっとも。その理由を分かりやすく説明しましょう」

霧島「阿武隈は以前の大戦、それと現在……それぞれ長期に渡り、第一水雷戦隊の旗艦を務めていますね」

霧島「今更ですが水雷戦隊は軽巡洋艦を旗艦として、配下にいくつかの駆逐隊を置いて構成されます」

霧島「一時的に駆逐艦が旗艦を務めるなど例外があったりもしますが、ここでは置いておきましょう」

雷「うん、それで?」

霧島「要するに、阿武隈は長らく駆逐艦の子達の上官……つまりお姉ちゃんみたいな役割を務めてきました」

阿武隈「そういう風に言われると、少し恥ずかしいんですけど」

提督「別に恥ずかしがる必要はないだろう、本当のことだ」

時雨「その通りさ、むしろ誇っても良いんじゃないかな」

阿武隈「そ、そうかもしれないけど」

霞「なによ、時雨が褒めてあげてんだから素直に受け取りなさいな」

阿武隈「……うん、そうだね。時雨ちゃんありがとう。霞ちゃんもありがとうね」

霞「……別に」

霧島「ふふっ。それだけじゃなく、阿武隈は人懐っこくて穏やかな性格で、駆逐艦の子達から好かれてます」

霧島「つまり――」

三日月「つまり……?」


霧島「阿武隈の一水戦旗艦の経験と、駆逐艦の子達を惹き付ける人柄がいろいろ混ざって、駆逐艦の子達を成長させるよく分からないエネルギーを生み出している――様な気がします!」

初霜「完全に適当言ってるだけですよねそれ!?」

暁「それって結局なに一つ分かってないってことじゃないのおおおおおお!?」

霧島「私達はその謎エネルギーをNAP――なんだかよくわからないアブゥパワーと名付けました」

霞「そんなんどうでもいいわ!?」

霧島「まあ今後使うこともないでしょうし、覚える必要もないでしょう」

白露「やっぱり使わないんだ!?」

時雨「白露、NAPにそんなに興味があるの? いいよ、なんでも訊いてよ」

白露「時雨にNAPのなにが分かるって言うの!?」

磯風「なんてことだ……時雨の方が磯風より師匠を理解しているとは……」

磯風「この磯風、弟子として情けない……!」

霞「時雨のいい加減な発言を真に受けてんじゃないわよ!?」


響「つまり阿武隈さんにいつも私がよじ登っているのは、NAPを手にいれるためだったんだよ」よじよじ

阿武隈「だから、いきなりあたしの背中に登ってこないでくださいってば……もう、響ちゃんってば」ぷにぷに

響「阿武隈さんこそ、ほっぺたつつくのやめてくれないかな」

雷「そういう割には嬉しそうじゃない響」

響「そんなことないさ」

いなづま「つまり阿武隈さんから一杯エネルギーもらえば、もっと頑張れるのです!」

島風「にひひー、島風も阿武隈さんからエネルギー一杯もらうんだから!」

白露「あ、ずるーい! 白露がいっちばーん阿武隈さんからエネルギーをもらうんだから!」

時雨「ここは譲れない」

初霜「私もご一緒します!」

三日月「三日月も負けません!」

若葉「この瞬間を待っていた!」

暁「あ、暁も一緒なんだから!」

雷「雷もいっきますよー!」

磯風「この磯風、師匠に全力で向かおう!」

霞「ちょっと! あんた達――あーもう! 霞もやるわ!」


――ドドドドド!

阿武隈「ふえ……? ふええええええ!?」

白露「いっちばーん!」

いなづま「なのです! 阿武隈さん捕まえたのです!」

阿武隈「ちょっとみんな落ち着いて、重い――ふえ、髪の毛くしゃくしゃにしないでええええぇ!?」

蒼龍「あはは……阿武隈が揉みくちゃ」

提督「相変わらずだなあ。みんな楽しそうだね」

阿武隈「のんきに見てないで助けてくださいよぉ!?」

熊野「あら、良いじゃないですの。人気者で、むしろ羨ましいですわ」

霧島「霧島も同感です」

阿武隈「そりゃ嫌じゃないですけど、ちょっと痛いし重いんですけど!? とりあえず響ちゃん危険だから降りてー!」

響「阿武隈さんエネルギー充填率はまだ10%だから、無理だね」

阿武隈「低すぎ!? あとどれくらい時間掛ける気なの!?」

?「ふふ……電ちゃんが護衛艦になったとみんな信じ切っているみたいね」

?「みんなすっかり騙されているっぴょん……」

霧島「む、貴方達は!?」


由良『ドッキリ大成功』(←プラカード)

阿武隈「ふえ……ドッキリ?」

三日月「ドッキリって……まさか」

卯月「そう! 今までの話、うっそぴょーん!」

白露「……はい?」

時雨「……つまり、電が護衛艦になったってことがかな?」

卯月「その通りだぴょん! 電ちゃんは護衛艦じゃないし、改二にもなってないぴょん」

雷「そうだったの!?」

暁「あ、暁は最初から知ってたわよ!」

卯月「その割には声が震えてるぴょん」

阿武隈「まあたぶんそうじゃないかって思ってましたけど……由良お姉ちゃんまで一枚噛んでるのは意外でした」

由良「ごめんね阿武隈ちゃん。ついみんなの可愛い姿を見たくなっちゃって。阿武隈ちゃんも含めてね」

由良「ちなみに電ちゃんの背が高かったのは、ヒールなの」

電「ちょっと足が痛いのです……」


阿武隈「えへへ、でもちょっと大人びた電ちゃんも素敵だったよ」

電「そ、そうかな……? なら嬉しいのです」

提督「まあ、薄々分かってたけどな……改二なんて情報が事前に来ないのも変だし、電の改装もいくらなんても時間掛からなすぎだったしね」

提督「そもそも電も霞も初霜も、テンション変だったからね。特に初霜が」

初霜「や、やっぱり変でしたでしょうか……」

時雨「初霜そういうの苦手そうだしね、仕方ないさ」

卯月「むう……もうちょっとこだわりが必要だったぴょん……?」

霧島「まあ、ちょっとしたサプライズですし、これくらいでちょうど良いかと」

阿武隈「……少しだけ大変な目に遭いましたけど。まあ怒る程でもないですし」

蒼龍「ふふ、良いじゃない皆に揉みくちゃにされたくらいだし。むしろ嬉しいんじゃない?」

阿武隈「ちょっと体が痛いです……それで響ちゃん」

響「なんだい?」


阿武隈「いつまであたしの背中に負ぶさっているんですか?」

響「阿武隈さんエネルギーが、充填120%になるまでだよ」

阿武隈「それはいつになるの?」

響「あと4時間くらいだね」

阿武隈「長すぎです!?」

白露「いっちばーん!」

阿武隈「きゃっ!? し、白露ちゃん……お腹に突っ込んでこないでください」

時雨「じゃあ右側に、いっちばーん」

阿武隈「お腹じゃなきゃ突っ込んで良いってわけでもないです!?」

島風「島風はおねーちゃんの左側ー!」

阿武隈「島風ちゃんまで!?」

磯風「くっ、出遅れたか……師匠が完全に埋まってしまった」

若葉「諦めるのはまだ早い。どこかに隙間がないか探すぞ」

阿武隈「探さなくて良いです! 皆さん、そんな変なパワーなんてないって言ってるんですから、取りあえず落ち着いてくださいぃー!」


響「無駄だね」ぎゅー

霞「惨めよね」ぎゅー

時雨「残念だったね」ぎゅー

阿武隈「ひどい!?」

霞「前に皆の前で霞の頭を撫でるなんて恥ずかしい目に遭わせたんだから、これくらい報いとして受けなさいな!」

提督「霞がドッキリに参加したのは、阿武隈に対する意趣返しのためだったか」

雷「もの凄く仕返しになってない気がするわね」

三日月「そうですね。電さんや阿武隈さんと遊びたかっただけだと思います……」

阿武隈「うう……こうなったら。みんな、てーとくや熊野さんだって空いてますよ!」

提督「あはは、阿武隈も甘いな。今阿武隈が引っ付いている子達がわざわざ離れて私達の方に来るわけが――」

文月「えへへ~、司令官の背中大きい~」よじよじ

長月「なるほど、こいつはいいな」

提督「っていつの間にーっ!?」

阿武隈「えへへ、提督に沢山遊んでもらって良いですからね」

文月「やったー!」

菊月「ここはやはりスニーキングミッションを遂行するとしよう……」

提督「まあいいか……幸い今は時間に余裕があるしな。一緒に遊ぶとしよう」

阿武隈「はい、一緒に遊んであげてください。文月ちゃん達も喜びます!」


電「それで、電はいつ軽巡洋艦になれるのです?」

熊野「ところで、電さんはいつ軽巡洋艦になれるのかしら?」

「「「そこに戻っちゃうの!?」」」


これで終わりです。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。

本作は下記の話の設定を引き継いでおります。
ですが、読まなくても本作を理解するのに支障はないと思います。

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ドタバタが可愛すぎてもう愛しさしかない、乙

レギュラー陣以外にももっと色んな艦娘を見てみたいな

乙とコメントありがとうございます

>>41さん
そう言ってくださりありがとうございます。ほのぼのドタバタは個人的に趣味です。
たしかに最近ネタもそうですがワンパターン化してる気もしています……

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