阿武隈「もー、さっき大変だったんですよ。文月ちゃんと子日ちゃんに、ポッキーゲームってなに? って訊かれちゃって」
阿武隈「なんとかうまく誤魔化しましたけど、すっごく困りました」
提督「あはは、それは大変だったなあ……ところで、ポッキーゲームってなんだ?」
阿武隈「ふえ? ……えっと、提督も知らないんですか?」
提督「なんだ……その、すまん。子供の頃からそういう遊びには少し疎くてな」
提督「だが相撲とかボール遊びならだいぶ遊んだな。あの頃は大勢で夕方まではしゃぎ回って――」
阿武隈「あ、その……ポッキーゲームって言うのは、そういう遊びとは少し違いまして」
提督「そうなのか? あ、いやさっき説明しにくいって言ってたな。無理して説明してもらわなくても良いぞ。後で個人的に調べるから」
阿武隈「い、いえ! 大丈夫です!」
阿武隈「他の子に訊かれても困りますし……」ぼそっ
提督「なにか言ったか?」
阿武隈「いえ、なんでもないです」
阿武隈「えっと、ポッキーゲームって言うのは二人がポッキーの両端をくわえて、端から途中で折れない様に食べていくというゲームなんです……」
提督「ふむ……うん? それだと最後まで食べきったら……」
阿武隈「え、ええ。提督が想像した通りになります、はい……」
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提督「す、すまない。それはたしかに説明しにくいな、うん。だがおかげで助かった」
提督「また後で文月や子日のように何も知らない子に訊かれて、知ってる子に教えてもらうように言ったらセクハラになりかねないからな」
阿武隈「ああ、たしかに……そんなことにならずに良かったです」
提督「しかしポッキーゲームか……それだけ聞くと普通に子供達がやるゲームのように誤解しそうだな」
提督「一体誰がそんなゲームをするのか……」
阿武隈「普通に考えて恋人同士でやるんでしょうねえ」
提督「恋人同士か……」
阿武隈「は、はい。恋人同士でやるようなゲームです……」
提督「……その、阿武隈」
阿武隈「て、てーとく。あたし、実はポッキー持ってたりするんです……」
阿武隈「てーとくも、やってみたいって思ったりします? その、ポッキーゲーム……」
提督「相手によるな。けど――」スッ
阿武隈「あっ……」
提督「阿武隈が相手ならやりたい。というより、阿武隈以外とはやろうと思わないな」
阿武隈「えへへ……あたしもです」
提督「いいのか、阿武隈?」
阿武隈「は、はい……あたし的にはOKです」
提督(そうして阿武隈はポッキーを口にくわえこちらに顔を向ける)
提督(その顔は既に真っ赤だ。けど、柔らかな笑顔を私に対して向けてくれている)
提督「それじゃあ、行くぞ……これはすごく恥ずかしいな」
阿武隈「あ、あたしの方がもっと恥ずかしいですよぉ」
提督「その恥ずかしさを抑えて、こうしてやってくれているだろう? とても嬉しいな」
阿武隈「そ、そう……? ってだから恥ずかしいんだから早くしてくださいってば!」
提督「あはは、すまない。けどかわいいぞ」
阿武隈「かわっ!? ……て、てーとくのバカッ!」
提督「そう動くな。ポッキーが折れる」
阿武隈「えっ!? それは困ります……ってだから誰のせいだと思っているんですか」
提督「阿武隈が可愛すぎるせいだな。私は悪くない」
阿武隈「むー」
提督(阿武隈の顔が近い。ポッキーがすごく甘く感じる……)
提督(もう触れそうな程に近づいてきた。阿武隈の柔らかな髪が触れ、赤いクチビルに目が引き寄せられる)
阿武隈「……んっ」
提督「……っ」
阿武隈「……えへへ、てーとく、ごちそうさまです」
提督「そうだな。私もごちそうさま、かな……すごく甘かった」
阿武隈「……うう、すっごく恥ずかしいよぉ」
提督「あはは、それはお互い様だ。それに――」
阿武隈「ふえ? ――んっ」
阿武隈「……はあっ、もう提督ってば。もうあたしの口にポッキーはありませんよ?」
提督「私はこう見えて欲張りだからな。ポッキー一本じゃ足りないんだ」
阿武隈「もう、てーとくってば欲張りさんですねえ。良いですよ。そ、その……満足するまで食べてください」
提督「それじゃあお言葉に甘えて」
阿武隈「んっ……えへへ、てーとく」
阿武隈「でも、せっかくポッキー開けたのに、ちょっともったいないですね」
提督「それじゃあもう一回ポッキーゲームをやるか?」
阿武隈「もう、提督がやりたいんじゃないですか?」
提督「そうだな。けど阿武隈だって話を振ってきたじゃないか」
阿武隈「じ、実はあたしももう一回やりたいなーって……そのあたし、すごい変な子になってます」
提督「それはお互い様だ。というか私の方が明らかに変だと思うぞ」
阿武隈「むー。提督は変じゃありません……とっても素敵です」
提督「ありがとう。そうだな、阿武隈の期待と支えにちゃんと応えられる提督でいないとな」
阿武隈「提督はちゃんと応えてくれてます……あたしも、提督が支えてくれるから、頑張れているんですから」
提督「ああ、ありがとうな阿武隈」
阿武隈「えっと……ポッキーくわえながら見つめ合って話しているのって、やっぱりすごい恥ずかしいですね」
提督「私は満足だぞ。ポッキーくわえた阿武隈のかわいい顔を間近で見ていられるからな」
阿武隈「もうてーとくってば……でも、あたしも提督のすぐ近くでこうしていられて幸せです」
提督「ああ、私も幸せだぞ」
阿武隈「んっ……二回目も折れなかったですね。あたし達、息ぴったりですねえ」
提督「そうだな。阿武隈は相手に合わせるのが上手いからな」
阿武隈「相手がてーとくだからここまで上手く出来るんですからね……えへへ」
電「……」じー
時雨「……」じー
霞「……」じー
提督「ってお前たち!? いったいいつからそこに!?」
阿武隈「ふえ? ……ふえええええええ!?」
電「お二人が幸せそうでなによりなのです! 司令官と阿武隈さんが幸せだと電も嬉しいのです」(←よく分かってない)
時雨「あわわわわ……えっと、その……雨はいつか止むさ」(←絶賛混乱中)
提督「思いっきり晴れてるんだが」
霞「あ、あんたら執務時間でないとはいえ、執務室でなんてことを……」
阿武隈「え、えっとその……」
霞「キスなんてしたら赤ちゃんができちゃうじゃないの!」
阿武隈「……はい?」
霞「朝潮姉さんが言ってたわ! 愛する男女がキスをしたら赤ちゃんができちゃうって!」
提督「おい朝潮!? なに盛大な勘違いをして、それを霞に教えてるんだ!?」
霞「阿武隈さんに赤ちゃんができたら、第一水雷戦隊は誰が指揮を……」
霞「でも司令官と阿武隈さんの赤ちゃんならきっと可愛くて良い子になるわね! 弟にしろ妹にしろ楽しみだわ!」(←やっぱり混乱中)
提督「しっかりしろ! 阿武隈は霞のお母さんじゃないぞ!」
電「司令官と阿武隈さんの子供なのです? ……とっても楽しみなのです! いつ生まれるのです?」
時雨「雨が止む頃には立派な赤ちゃんが誕生してるさ」
阿武隈「さ、三人ともしっかりしてー!」
この後、上手く説明するのに提督と阿武隈はかなり苦労したそうです。
すみません、即興な上遅れました。
ポッキーの日を認識するのがもう少し早ければ……無念!
拙くとても短いですが、読んでくださった方ありがとうございました。
乙にゃしぃ!阿武隈さんかわいい!
咥えながら喋る器用な奴ら
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