電「赤城さんは司令官さんと一番仲良しなのです」 (27)

・短編
・男提督
・支部と重複投稿

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「提督提督ー。お腹がすきましたー」

「オラ」

「……あのー、なんですかこれ」

「銀のスプーン」

「この一航船・赤城になんてものを出すんですか!!」

「うるせーな猫様と一緒にご飯食べられて感謝する所でしょォ~~? 何遍うちのボーキすっからかんにするつもりだよお前」

「痛い! 痛いです! 喋りながら肘つねらないでください! 何ですかこの地に足のついた痛さ!」

「もうお前マジで出撃させねーぞ、仮に出撃させるとしたら轟沈させるようヲ級に懇願するから」

「そんな私怨まみれの指揮官嫌すぎですよ!


「提督って威厳が足りませんよね」

「赤城、お前、どうした? 真っ昼間から喧嘩を出血サービスの大安売りか? 買うぞ?」

「こっちが流血しそうなので遠慮させてください……」

「なら黙ってろ食っちゃね妖怪」

「なんですかその胡乱な名前」

「別名妖怪ボーキ置いてけ」

「提督首だ! なあ提督だろ、提督だろうお前」

「お前不敬罪で粛正な」

「それはちょっと」

「はふはふ」

「食堂に人がやけにいねえと思ったら案の定だよ。それ誰の分だ」

「加賀さんのですよ!」

「通りであいつ涙目でお腹さすってたワケだ……あいつも地味に腹ぺこキャラだよなァ」

「そんな加賀さんに提督は何をしたんですか? 腹パンですか?」

「お前俺のことなんだと思ってんの? 普通にカロリーメイトくれてやったよ」

「ええ!? この赤城には銀のスプーンだったのに!?」

「行いの差な」

「うううう……どうぞ」

「これは……烈風の片翼?」

「仕方ないので、あげます」

「お前……」

「えへへ」

「まず食ってんじゃねぇぞ赤城ィ!!」

「ぐふぅ! この遠慮ない腹パンッ!」

ミス
×一航船→○一航戦


「第1回! チキチキ、提督大改造計画~!」

「チェンジで」

「ルールは簡単です! 提督のその下野な口調を改めて、もっと品のある振る舞いをさせた者の勝利です!」

「シカト決め込んでんじゃねえよ」

「あの……そのマジな表情でニューナンブを引き抜かないでください……」

「で、何だっけ? デコは50点、目は30点だったか」

「ちょっとォ! その遊びどう転んでも死人が出ますよねェ!」

「ハイハイ……んで、何だってんだ」

「その口調ですよ! 変えましょうよもっとインテリっぽく」

「えェ~~~~」

「うわ面倒くさがりすぎでしょ……まあまあ試しにどうぞ」

「…………ご苦労だった。お前はもう就寝しろ」

「ぶふっwwwww似合ってないですwwwwww」

「鼻は40点にするか……」

「ひいいいいいいいいい」

「司令官さん、点検は終わったのです。消灯時刻なのです」

「電か、お疲れさん。じゃあお子様はお部屋でおねんねだな」

「はいです。司令官さんも遅くならないように気をつけてください」

「ハイハイ。じゃ俺はボーキ倉庫見てから寝るから」

「? ボーキサイト……ああ、赤城さんが忍び込んでないかならチェック済みなのです!」

「あいつお前らからも信用ないのな……ちなみに天井裏とか壁に擬態してないかとか調べた?」

「!? 赤城さんそんなことするのですか!?」

「調べてないんなら減点だな。じゃあ俺が見てくるから、おやすみ」

「あ、はいです。……ふふ、赤城さんは司令官さんと一番仲良しなのです」


「今日お前出撃だっけ」

「そう聞いてますけど」

「またボーキが減るのか」

「嫌そうな表情ですねぇ」

「まあ使わなきゃ意味ないか」

「そう考えるのが一番ですよ」

「まあ食ってる間テメェの間抜け面が拝めるしな」

「提督、女の子相手にその言い草はあんまりです」

「お前は女の子にしちゃ何かおかしいだろ」

「本気だしたら可愛い乙女なんですよ、私」

「今も可愛い乙女だろ」

「……奇襲は卑怯です」

「ふん……」

「えへへっ」

「じゃあ」

「はいっ」







「一航戦・赤城、出ます!」




「……全艦、帰還したのです」

「…………」

「司令官さん、ごめんなさい、です……赤城さんを、失ったのです……」

「…………そうか」

「司令官さん、あの、その、」

「…………戦争だから、な。全員ドッグに入って修理してもらえ、ご苦労だった」

「ぁ……了解しました、です」

「…………」

「…………」


「……赤城……」

「……ボーキサイトが余るようになっちまったな」

「…………」

「ぁー……電、俺って威厳ないかな?」

「? そんなことはないのです。確かにここはまだ規模は大きくないのですが……」

「そっか。まあ、これから大きくしていくさ。けど、まあ、威厳はあるに越したことはないな、確かに」

「司令官さん?」

「ん……どうした、何か、用があるのか?」

「い、いえ。失礼しますなのです」

「ん、いや、ああ」

「あれ、長門さんに金剛さん、何の話をしてるのですか?」

「電か。いや、うちの提督についてな」

「テイトクはベリークールな日本男児デース!」

「私も冷静な性格だと思う。礼儀正しい言葉遣いだし、武人としても尊敬している」

「電は最古参でしたネ? やっぱり前からクールガイだったのですカー?」

「…………」

「電?」

「……司令官さんは、前からカッコ良かったのです」

「やはりか、私たちはいい提督の下につけたのだな」

「テイトクのような日本男児は素晴らしいデース!」

「……そう、ですね」

「司令官さん、点検は終わったのです。消灯時刻なのです」

「ご苦労だった。もう遅い、お前も就寝しろ」

「はいです。司令官さんも遅くならないように気をつけてください」

「ああ。その前にボーキサイトの倉庫を見てからにするがな」

「? ボーキサイトもチェック済みなのです!」

「侵入者が天井裏や壁に擬態してないかどうか調べたか?」

「……司令官さん、そんなことする人は、もうこの鎮守府にはいないのです……」

「別に、どこの誰だとかじゃない。ひょっとしたらボーキサイトが変に減ってるかもしれないだろう」

「……司令官さんは、司令官さんが探してるのは、それは残骸みたいなものなのです。探してるうちにどこかに行ってしまいそうで、電は司令官さんのことが心配なのです」

「別にどこにも行きはしないさ。……じゃあ俺は行ってくる、部屋に戻れ」

「あ……はいです」




「……赤城さんは、今も、司令官さんと一番仲良しなのです」



終わり

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年10月27日 (月) 23:07:53   ID: nONrelFr

怖く感動できる物語であった

2 :  SS好きの774さん   2015年02月12日 (木) 16:27:53   ID: UUce4GpU

なんというか‥‥‥悲しいな

3 :  SS好きの774さん   2015年11月04日 (水) 22:23:48   ID: zMGlKBqh

泣きそうになった

4 :  SS好きの774さん   2016年06月14日 (火) 16:22:10   ID: 4QT4JoFZ

寂しいなあ  乙でした

5 :  SS好きの774さん   2016年12月17日 (土) 19:42:37   ID: Z8d36o0f

悲しすぎる

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