【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ11】 (331)


このスレは安価で

結城友奈は勇者である
鷲尾須美は勇者である

を遊ぶゲーム形式なスレです


目的


・久遠さんのいる未来へ
・みんながいる未来へ


安価

・コンマと選択肢を組み合わせた選択肢制
・選択肢に関しては、単発・連取(選択肢安価を2連続)は禁止
・投下開始から30分ほどは単発云々は気にせず進行
・判定に関しては、常に単発云々は気にしない
・イベント判定の場合は、当たったキャラからの交流
・交流キャラを選択した場合は、自分からの交流となります


日数
一ヶ月=2週間で進めていきます
【平日5日、休日2日の週7日】×2


能力
HP MP SP 防御 素早 射撃 格闘 回避 命中 
この9個の能力でステータスを設定

HP:体力。0になると死亡。1/10以下で瀕死状態になり、全ステータスが1/3減少
MP:満開するために必要なポイント。HP以外のステータスが倍になる
防御:防御力。攻撃を受けた際の被ダメージ計算に用いる
素早:素早さ。行動優先順位に用いる
射撃:射撃技量。射撃技のダメージ底上げ
格闘:格闘技量。格闘技のダメージ底上げ
回避:回避力。回避力計算に用いる
命中:命中率。技の命中精度に用いる

※HPに関しては鷲尾ストーリーでは0=死になります


戦闘の計算
格闘ダメージ:格闘技量+技威力+コンマ-相手の防御力
射撃ダメージ:射撃技量+技威力+コンマ-相手の防御力
回避率:自分の回避-相手の命中。相手の命中率を回避が超えていれば回避率75%
命中率:自分の命中-相手の回避。相手の回避率を命中が超えていれば命中率100%


wiki→【http://www46.atwiki.jp/anka_yuyuyu/】  不定期更新 ※前周はこちらに


前スレ
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ1】
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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ2】
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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ3】
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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ4】
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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ5】
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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ6】
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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ7】
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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ8】
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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ9】
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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ10】
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ10】 - SSまとめ速報
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天乃「ありがとね、来てくれて」

樹「呼ばれなかったらどうしようって、思ってました」

本当、どうしようって思ってた

久遠さんが私を呼ばない可能性はなくはなかった

だって、直ぐに抱え込んじゃうから

春信さんとのこと、抱え込んで

今日はもう会わないとか、ありえるから……

そう考えた樹は、

天乃に笑みを浮かべたまま首を振ると、息をつく

樹「そして結局、ここに来てたかもしれません」

天乃「もしもそうだったら、きっと。私は貴女に来ないでって言ってたんでしょうね」

樹「今の久遠さんは言わないんですか?」

天乃「貴女が恋しくてね」

冗談めかして笑いながらも

頬が赤いのを見つけた樹は困ったように笑って頷く

本気でそう言われるのは、嬉しくも恥ずかしかったからだ


天乃「私ね」

樹「はい」

天乃「唇だけは、残してもらったの」

樹「…………」

天乃「それ以外は、許しちゃったけど……」

秘部への挿入はもちろん、胎内射精

胸や腰、臀部などの愛撫

ほぼすべてを許した中で、唇だけは守った

それは、決して性交渉において不要だからではなく

天乃が一番好きで

挿入が拒否できない以上、もっとも護りたいことだったからだ

天乃「キスだけは、どこにもしなかった」

樹「……久遠さん」

天乃「春信さんね、優しかった」

そういった天乃の体を

樹は何も言わずに、抱きしめた


天乃「いつ……」

樹「言わなくても、別に良いです」

樹はそれを聞きたくないのではなく

それを、言わせたくなかった

何も思ってないんだと、

仕方が無かったんだと

そう割り切ろうとしているのが、分かっているから

だから樹は

春信に抱きしめられた体を、抱きしめ直す

樹「これから、いくらだって私が抱きます。だから、何も言わないでください」

天乃「………………」

樹「もう、誰にも。二度と、させませんから。だから、そんなに」

悲しい顔をしないでください

言葉を飲み込み、

樹はより強く、天乃の体を抱いた



1、抱きしめ返す
2、何も言わない何もしない
3、ありがとう
4、キスして
5、キスする
6、樹……


↓2


天乃「樹……キス、して」

樹「もちろんです」

天乃「んっ……っ」

言われるやいなや

待っていましたと言わんばかりに唇を押し付けて

樹は天乃の体をゆっくりと、ベッドに押し倒す

九尾の手伝いのもと

入浴したとは言え、春信に汚されたことに変わりはない

だから

樹「んっ、っ、ふ……」

唇を重ね、舌を絡め、

唾液を混ぜ合い、息を吸い、息を吸わせながら

裾から忍ばせた手で、柔らかい乳房に触れた



天乃「い、いつっんっ」

樹「軽くするだけです」

天乃「っは……ぁ……」

唾を飲まず、飲ませず重ね続けた唇の奥、

ねっとりと蒸された口腔から舌を引き抜くと

天乃の熱っぽい吐息と共に

つぅーっと伸びた唾液が樹たちをつなぐ

樹「……もう一度」

天乃「んぅっ」

樹「んっ、っ、んくっ……」

春信とのえっち

その悲しさ、寂しさからこわばっているであろう体をほぐすために、キスをして

自分の欲求を満たすために、

舌先や中腹ではなく、根元まで深く絡めていく


最初こそ、

カッカッ、コッコッ……っと

歯の接触があったものの

段々と慣れてきたのか音は消え

その代わりに艶かしい音がこぼれ出す

天乃「い、いつ……はぁっ、はぁっ……」

うるんだ瞳、

口元から伝い流れる唾液

はだけた裾から見える可愛らしい窪み

樹「んっく……コクッ」

キスを一旦中断し、向けた目に映ったその光景に

我慢できずに生唾を飲み、手を握る

樹「綺麗です……素敵です」

そして、

樹は天乃の首筋に噛み付いた


では、本日はここまでとさせていただきます
明日は可能であればお昼頃からとなります

あちらのスレは埋めでお願いいたします





九尾「少しは自重しようという考えは――」

樹「一応、自重してますよ」

九尾「!?」

では、本日も進めていこうと思います


入浴してから運動不足、時間不足だからか

ほんのりと舌に感じる、清潔な石鹸の味に、樹は顔をしかめた

もちろん、不潔でないことは当たり前だけれども

洗ったばかりの味気ないものよりも

そこから蒸したものの方が、樹は好みだった

悪いこと、考えちゃってるなぁ

そんな内側の自分に悪態をつきつつ、

首筋を舐めながら登り、耳たぶをぱくっと咥える

天乃「ひぅっ」

ビクッとした天乃の体、可愛らしい悲鳴

その調味料に舌鼓を打ち

微笑んだ樹は普通に唇を重ね合わせると、

天乃と見つめ合う

樹「キスマークって、知ってますか?」

天乃「キスマーク?」


樹「唇で吸い上げて、跡をつけるんです」

天乃「……痛そうね」

樹「ちょっと痛いらしいですよ」

洋服に隠されてみることができない大部分

そこに昨日の淫美な姿を脳内投写して、首を振ると

樹は服の上から体を撫でて、頬に触れる

樹「もっとも、私はそういうのをする気はないですけど」

嘘だ

本当は一瞬考えた

そもそも、考えてなければ言う必要なんてなかった

でも

樹「久遠さんの体に、傷をつけたくはないので」

考え直した

だって、こんな体に変な痣なんてつけたくないし

自分のもの。みたいなことをしなくても

久遠さんは……何も言ってないのに唇を守ってくれるような人だから

誰かが手を出そうとしてもちゃんと断ってくれる

そんな安心感があるから


信頼じゃなくて、安心感

思考からくる信頼という言葉ではなく

心からくる安心という思い

それだけの想いが樹にあり、天乃にある

天乃「キスマーク……もうつけたじゃない」

樹「え?」

天乃「記憶と心に、強く、刻まれちゃってる」

樹「ぅ」

熱っぽい吐息、上気した頬

シーツにばらまかれた桜色の髪

揺れ動く隠れた胸

どれもこれもが情欲をそそる中での言葉に

樹は

なんてことを言ってくれるのかと、襲い掛かりそうになって

唇を噛み締めた


天乃「樹?」

樹「久遠さんは……もう少し言葉に気を使うべきだと思います」

天乃「傷つけるようなこと、言った?」

違う。そうじゃない

傷つけるような言葉ではなく

誘いすぎてるから、困るのだ

樹が天乃に恋をしているから余計に敏感になっているのかもしれない

けれど

勇者部全員を陥れた魅惑のちからの一片は

天乃自身が持っているものであることに、気付いて欲しいと樹は思っていう

樹「久遠さんがいまのままだとですね」

天乃「うん」

樹「私が、久遠さんに手を出しちゃう危険性が非常に高いです」

もう毎日エッチです。と、樹は言った



1、それは、困るわね
2、私はいいけど。樹は嫌なの?
3、でも、変なこと言わないようにって気をつけてるわよ?
4、それはもう。頑張るしかないわね
5、ふふっ、まだ中学一年生なのに。大人になっちゃって……可愛い


↓2


天乃「ふふっ、まだ中学一年生なのに大人になっちゃって……」

自分でもまだ中学三年生で

それより二つもしたな樹の大人っぽい? 言葉

それが嬉しくて、

そう言った樹の必死さが愛らしくて

天乃は嬉しそうに笑う

樹「っ」

あまりにも軽率だ

樹は天乃のためを思って警告しているのに

その熱を冷ますどころか、さらに加熱させてしまっているのだから

天乃「樹ってば、可愛――んっ!」

樹「んっ、ちゅ……んっふ」

天乃「んぅ……んんっ、んぅっ」

ベッドに思いっきり押し付けられ、

唇を押しつぶされ、口腔を支配され、蹂躙され、侵略されていく

その激しさと力強さに、呼吸さえも阻まれて呻いても離れず

樹「っは……はっはぁ」

天乃「はぁっ、はっ、はぁ……ゴクッ、っは……はぁっはぁっ」

自分にも相手にも限界が来てようやく、離れる

荒い呼吸の最中、流し込まれた唾液を飲み込んだ天乃の口から

弄ばれたぬるぬるな舌が飛び出す

口も半開きで、痺れたように閉じれない


天乃「いひゅき……ちょ、んんっ!」

喋らせない

警告をした上で、アレなのだから

樹「ちゅ……ズズッ……ゴクッ、ちゅっ……ペロッ」

理性をねじ伏せた情欲によって動く体は

なおも唇と舌による濃密な絡み合いを続け

プツッ、プツッ、プツッ……と

スナップボタンゆえのカウントダウンを始める

天乃「っはぁ……あ……っんんっ」

唇から離れたかと思えば、首筋を舐められ

服を脱がしていない方の手による、素肌への接触に

ビクビクと、続々と体を震わせ、喘ぐ

天乃「んくっ、っぁ……ふ……」

抵抗なんてできるわけがない

嫌じゃないけれど

嫌とかどうとかの問題ではなく

ただただ……その力が根こそぎ、奪われていったからだ

1日のまとめ

・  乃木園子:交流無()
・  乃木若葉:交流無()
・  土居球子:交流無()
・  三ノ輪銀 :交流無()
・  犬吠埼風:交流無()
・  犬吠埼樹:交流有(キス、一緒、抱く、呼ぶ、キスして、可愛い)
・  結城友奈:交流無()
・  東郷美森:交流無()
・  三好夏凜:交流無()
・  三好春信:交流有(性交渉、大丈夫?)
・     九尾:交流有(介抱)

・      死神:交流無()
・      稲狐:交流無()
・    夢路瞳:交流無()
・     神樹:交流無()



9月6日目終了後の結果

  乃木園子との絆 38(少し高い)
  乃木若葉との絆 35(少し高い)
  土居球子との絆 30(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 54(高い)
  犬吠埼風との絆 75(かなり高い)
  犬吠埼樹との絆 160(かなり高い)
  結城友奈との絆 79(かなり高い)
  東郷三森との絆 101(かなり高い)
  三好夏凜との絆 93(かなり高い)
  三好春信との絆 46(少し高い)
   夢路瞳との絆 12(普通)

     九尾との絆 57(高い)
      死神との絆 43(少し高い)
      稲狐との絆 22(中々良い)
      神樹との絆 5(低い)

 汚染度***%


全部やると前スレと同じくらいかかりそうなので、割愛しましたが
最終日なので、最後の最後までやったほうがいいです?


では、えっちのあとの会話だけ
安価なしで入れてます


天乃「もうっ、ばかっ」

樹「えへへ」

本気で怒っていない優しい声と弱々しい右手を受け止めて、樹は笑う

昨日もエッチして、今日もエッチして

本当に毎日するのかもしれない

そんなことを考えながら、

樹は天乃の膨らんだ頬を指で押す

天乃「ふーっ!」

樹「わっ」

瞬間、狙ったように強く吐かれた息が耳をくすぐって

樹が思わず声を上げると

天乃はくすくすと嬉しそうに笑う

多分、動けないなりの精一杯の仕返しだったに違いない

その子供みたいな反抗や

それで喜ぶ子供っぽさが

先輩である天乃を余計に愛らしく見せていると、天乃自身は知らない

きっとこれからも、ずっと気づかないままなのだろう


天乃「樹のえっち」

樹「否定はできないですね」

好きだ、大好きだ

本当に

優しくて、温かくて、強くて、弱くて

格好良くて、可愛くて

樹「久遠さんがエッチなので、私もエッチになっちゃいました」

天乃「私は違うわよ」

樹「じゃぁ、もうキスは無しですね」

天乃「なんでそうなるのよっ」

もっと早く、出会えていたら

もっと早く、勇者になれていたら

久遠さんだけに背負わせることなく、今を迎えられていたんだろうか

そう考えずにはいられない


そして、

樹のそんな気持ちを察せてしまう鈍感な天乃は

優しく微笑んで、樹の頭を撫でる

樹「……久遠さん」

そんなことは考えなくていいと

それがあったから、今があるのだと

過去の自分を責めてしまいそうな樹の思考を引き戻していく

天乃「もうすぐ、大切で大事な戦いがある。なのに、そんなつまらない事考えてたらダメでしょ」

樹「つまらなくは、ないです」

天乃「つまらないわ。だって、すべきことをしただけだし。全部終われば元通りになるかもしれないんだから」

そんな希望はないし

そこまで期待もしていない

神樹様や世界が自分にとってとても冷酷であることを天乃は知っているからだ

けれど、それでも、1%の可能性があるだから

天乃「そんなことよりも、戦ったあとの楽しいことを考えましょう」


樹「楽しいこと……久遠さんに抱きしめられたいです」

天乃「それなら、いつも……」

樹「両手でぎゅって。力いっぱい、ぎゅーって!」

天乃「失神しちゃうわよ?」

樹「いい夢が見られそうです」

力いっぱい戦後の要求を述べる樹に苦笑した天乃

それに対してもなお、樹は夢を見て、希望を持って、笑顔で言う

したいこと、してほしいこと

たくさんある

樹「遊園地のアトラクション全部回ったり」

天乃「そうそう。ジェットコースター乗りたい」

樹「一緒にお出かけして、美味しいもの食べて」

天乃「うん」

樹「映画見たり、手を繋いで歩いたり、お弁当作ってきましたって。食べてもらったり」

天乃「お弁当作ってきたわって。食べさせてあげたり」

樹「今日は学校、何時に終わりますか? どこで待ち合わせしますかって、予定を立てて」

天乃「うん、うん」

樹「制服着たまま、久遠さんとエッチしたいです」

天乃「うん……それはちょっと」


樹「それは冗談ですけど、でも。制服着てる久遠さんが見たいです」

樹は未来を考えて、思って

そしてなにより信じて、嬉しそうに語る

その姿を見つめる天乃もまた、幸せそうで

その二人を影の奥から見守る九尾だけが……顔をしかめて、首を振る

護りたいものがあると

救いたいものがあるのだと

身を粉にして戦い続けた少女には今一度、

背負って貰わなければいけないからだ

天乃「今だって、着てあげても良いのに」

樹「ううん。制服だけは治ったらって決めてるんです」

天乃「どうして?」

樹「学校に行く姿が、見たいからです」

天乃「本当は?」

樹「久遠さんの着替えが覗きたいからです」

天乃「もうっ、えっち」

樹「言う流れにした久遠さんが言わないでくださいっ」

きゃっきゃっ、きゃっきゃっと

緊張感のない前夜

けれどもきっと、二人にとっては――それが一番、良かったのだろう


では、6日目終了7日目に入りますが
少し中断します

最終決戦に関しても、
多少の省略込みでやる予定です


マップとしては、下記のような状態

http://i.imgur.com/zZWOohN.png


では、初めて行きます


その日は、朝からどこか気だるい感じがした

天乃「……ん」

樹「えへへ」

傍らで眠る樹の寝顔を見て、

そうか、今日はまだ日曜日か。と

天乃は端末を見て、ふと気づく

夏場じゃなかったら風邪ひいてるのかな。と

布団の中の自分たちの姿に、息をつくと

陽の陰からすっと、九尾が姿を現した

九尾「呑気なものじゃな」

天乃「朝から晩まで、毎分毎秒。気を張ってたら疲れちゃうでしょ?」

九尾「だからとそう、幾度も性行為をしなくても良いと思うがな」

天乃「……それで? 貴女が妖狐の姿で茶目っ気がない理由は?」

九尾「うむ。あと数時間。早ければ、一、二時間程度じゃ」

天乃「……そっか」

なにが。とは聞かず

天乃はただそう言って、樹の肩を揺すると、

樹は起きてますよ。と、眠気の感じない瞳で天乃を見つめた


九尾「主様に言うておく事がある。樹、下がれ」

樹「私が聞かない方が良い事なんですか?」

九尾「善し悪しの区別をつけることはせん」

したところで、

どちらにせよ「じゃぁ残ります」という以外想像できないからだ

だからこそ、そんな無駄なことは言わない

九尾「下がれ、犬妹」

樹「嫌です」

九尾「樹!」

樹「どんなことであれ、これ以上久遠さんだけの問題にはしたくないッ!」

九尾の怒号

むき出しにされた刃のごとく鋭い牙

されど

樹は怖気付くことなく、言い返す

樹「今までたくさん背負わせた。それは九尾さんだって分かってるはずです!」

九尾「お主が聞いたところで、出来ることなど何一つないッ」


天乃「ちょっと二人共」

天乃当人を置いて、怒り心頭の両者の間に口を挟む

どちらも大切な存在だ

その二人がどんな理由であれ、争っているなら止める

それが自分が原因ならば、なおさらだ

天乃「そんな熱くならなくたっていいんじゃない?」

樹「何言ってるんですかっ」

天乃「残念だけど、怒鳴っても私には響かないわ」

樹「っ」

天乃「でも、怖い顔してる樹は見たくないし、九尾。貴女のそういうきつい姿。好きじゃないわ」

九尾「…………」

天乃はたった二言三言で場の空気を沈下させ、

熱を奪い去ると、大きく息をついて――


1、樹にも聞いて貰いましょう
2、樹、ありがとう。でも……ちょっと出ててくれないかな


↓2


天乃「九尾、樹にも聞いて貰いましょう」

九尾「…………くっ」

一瞬、

反論有りげな表情を浮かべた九尾だったが

数回瞬きをして、首を振ると

妖狐の姿からいつもの女性体へと切り替えて、椅子に座る

九尾「よかろう。じゃが、樹」

樹「はい」

九尾「これは重要なことじゃ。戦闘の士気にも関わる。他言無用じゃぞ」

樹「……内容次第、です」

忠告を受けて、樹は言う

士気にも関わるということは

ごく普通の重要。という言葉よりもずっと重い意味が込められる

茶目っ気の強い九尾が真面目であるのがいい証拠だ

けれど、それでも

内容次第では全員で決めるべき

そう思ったからこその、返答だった


その気持ちを察してか

忠告に反した言葉にも関わらず

九尾はため息だけでそれを流し、告げる

九尾「今回、主様には人身御供。つまり、人柱になって貰う」

天乃「えっ?」

樹「なっ」

人身御供

人柱

そこまで馴染みのない樹でさえ

それがなんなのかうっすらと感づいて、目を見開く

樹「それって――」

九尾「ふむ……やや語弊があるか。ではこう言おう。依代になって貰わねばならぬ。と」

天乃「私の精神体というか魂というか。そういう部分が消えるのなら変わらないんだけど?」

九尾「そうじゃな……ならば、訂正の必要はないかも知れぬ」


九尾「今回、主様から神樹に触れてもらう」

天乃「私から? 樹海にある神樹に?」

九尾「満開を使うときに、神樹と繋がれと言っておるのじゃ」

簡単に言えることではないが

簡潔に言えば

神樹様からのアクセスを受けるのではなく

神樹様にアクセスをする。ということだ

九尾「主様らの言う散華と満開の流れはそこにある」

樹「!」

九尾「良いか? 正しくは、満開によって散華しているのではなく、散華によって満開しているのじゃ」

得たから失うのではなく、失ったから得る

原因と結果の入れ替わり

九尾「神樹による精霊の補填は、死なせぬように。という恩恵に近い」

満開ゲージをため、満開し、代償を払い、精霊を得る

それは何かがおかしい

満開のために代償を支払っているというのなら

なぜ、ゲージなんかを貯めなければいけない

初めから代償を支払って、満開すればいいはずだ

ゲージなんていらないはずだ


九尾「妾は神樹とは別じゃ。ゆえに、それが真実かどうかは定かではないがな」

しかし、少なくとも

満開のせいで代償を支払っているわけではないはずだと、九尾は言う

天乃「それで、なんで私から触れなくちゃいけないの?」

九尾「神樹は消費した部分を、穢れた不要な部分として消去している可能性があるからじゃ」

天乃「消去って、じゃぁ」

九尾「いかにも。このままでは何度満開しようが消耗していくだけじゃ」

だから、

天乃が神樹にアクセスし、蓄積された膨大な情報の中から

失われたものを引きずり出さなければいけないのだ

九尾「その接続時、あるいは接続後。主様は一時的に体のすべての機能を神樹と同化することになるじゃろう」

樹「神樹……様と、同化?」

九尾「うむ……最悪、そのまま戻ってくることができずに神樹と完全に同調する恐れがある」


同調してしまったらどうなるのか。それは聞かなくても分かる

樹は天乃へと目を向けると

そっと……手を握る

天乃「樹……」

樹「久遠さん……」

九尾「妾が行おうとしているのはそれじゃ。ゆえに、出て行けといった」

天乃一人なら

おそらく、確実に承諾させることができたはずだ

けれど、樹がいたら

それはきっと、確実とはならない

見つめ合う二人から目をそらした九尾は

大きく息をついて、目を向けさせる

九尾「神樹との同化後、戻ることができてもいくつか問題は残るやも知れぬ」

返還される身体機能は

奪われた機能そのままではなく

神聖的な力が働いている代替になる可能性があることなど……色々あるのだ


九尾「主様」

天乃「……犠牲になるかもしれない道か、このままの停滞か」

それを選べと言っているんでしょう。と

天乃は九尾を見つめて、樹へと視線を下げる

ギュッと握られた手

密着する体の熱と震え

そして、心配そうな表情

昨夜

あれだけしたいことを語った

その夢や希望を捨て、安定を得るか

捨てずに、賭けに出るか……


1、治るかも知れないのなら、頑張るわ
2、死ぬ可能性があるのなら、やめておくわ



↓1-↓3


天乃「治るかも知れないのなら、頑張るわ」

樹「っ」

ビクッと震えた樹の体を抱きしめて

天乃は九尾を見つめる

もちろん、考えなしにそういったわけじゃない

天乃「貴女だってなんの策もなしに、賭けさせるわけじゃないんでしょう?」

九尾「……うむ。妾は久遠家に使える精霊じゃ。何もせぬわけには行くまい」

天乃「うん。ありがと」

無理をさせる、危険な賭けをさせる

それなのに、

笑みを浮かべて礼を言う天乃から目を逸らして、

九尾は姿を消し

二人きりになった部屋で、樹は天乃を見つめる

樹「もしも戻ってこなそうだったら」

天乃「だったら?」

樹「一日中久遠さんとエッチしてもうやめてって言いに来させます」

天乃「流産する可能性、あるものね」


樹「あっ……」

天乃「流産したらまた春信さんとエッチしないといけなくなっちゃう」

樹「そ、それはダメですっ」

天乃「うん……私も嫌よ」

天乃はそう言うと、

樹に折り重なるようにしてベッドに倒れこみ、

そのまま、唇を重ね合わせる

樹「っは……」

天乃「ふふっ、立場逆転」

樹「久遠さん……」

天乃「私が治ったら、したいこと。見つけた」

ニッコリと

とても意地悪でとても温かい

幸せそうな笑顔で

天乃「私から、樹に色んな事がしたい」

久遠さんは、そう言った


そして――

私達は

世界は

誰も知らない世界で

誰も気づくことのない世界で

とてつもなく大きな戦いへと、挑む


では、此処までとさせて頂きます
明日はできれば通常時間から


戦闘は現実時間一ヶ月はくだらなくなりそうなので
非安価でさくっと進めてしまう予定です



天乃「ん……」

樹「! 久遠さん、良かった! 起きてくれて……」

夏凜「天乃! よか――」

天乃「天乃……? 誰? 私は陽乃よ」

樹「!」


では、少しだけですが進めていこうかと思います


夏凜「ば、バーテックスが勢揃いって……」

風「こんなの……」

勝てるわけがない

そう思いそうな恐れのある心を抑えて、風は首を振る

自分は部長だ

勇者部のリーダーだ

しっかりしろと。

みんながいるんだから平気だと

そう、言おうとして――

珠子「あーっ、若葉が骨付鳥持ち込んでるぞ!」

風の緊張感を吹き飛ばす声が、響いた

若葉「んなっ、これは園子のためにだな……」

珠子「天乃っ! 骨付鳥はオヤツに入るのか!?」

天乃「ん~……アウトで」

若葉「っ」

樹「おやつは300円以内ですよ。若葉さん」

若葉「なぜだっ!」

風「それはこっちのセリフだぁっ!」


園子「どうしたの~?」

風「どうしたもこうしたもない! 今、これから、大切な戦いがあるのに!」

天乃「………………」

風「なんでそんな、緊張感ないのよ……」

みんながいるから大丈夫

そうは思っていても

怖いものは、怖い

不安なことは不安で

風は握りしめた拳を、震わせる

銀「そんな肩肘張って立ってしゃーないだろ」

東郷「そうね……ですが、風先輩が間違っているわけではありません」

ただ

天乃たちはその常識の範疇にはいない

間違っていなければいいわけではないのだ

東郷「緊張すべきというと語弊があるかもしれませんが、気を抜くべきではないかと」

天乃「樹っ、私骨付鳥も食べたい」

樹「終わったら食べに行きましょう。うどんも」

天乃「うんっ」

東郷「……………」

友奈「あはは……」


夏凜「風」

風「っ」

バシっと肩を叩かれ、

風は声をかけてきた夏凜へと目を向ける

夏凜は夏凜でもう諦めているのか、

呆れ混じりの苦笑を浮かべて、首を振る

夏凜「何を言ったって無駄よ。そういうチームなんだから」

風「……でも」

夏凜「それに、天乃達が変に緊張してる方が怖いわよ」

天乃を筆頭に、園子、銀、若葉、珠子で形成されたチーム破天荒

風を筆頭に、友奈、東郷、夏凜、樹で形成されたチーム勇者部

個性的なメンバーが偏っている以上

空気感が相容れないのは、もはや仕方がないことだ

園子「久しぶりに勢ぞろいだから、気分上々だよ~」

銀「須美森とは離れてるけどな」

東郷「銀、せめて須美か美森かどっちかにして」

天乃「はいはい、みんなーそろそろ――暴れるわよ」


パンパンっと、天乃が手を叩くと

無駄話が止んで、全員の目が向く

天乃「耳が聞こえないから、意見は却下するけど」

夏凜「おい」

天乃「世界のためとか平和のためとか、だいそれた事考えなくていいから」

風「……………」

天乃「今隣にいる人、前にいる人、後ろにいる人」

樹「………」

天乃「周りにいる人としたいこと、やりたいこと、そんなことを考えて、邪魔者を蹴飛ばすつもりで行きましょ」

世界のため、平和のため

誰かの為、なにかのため

そんな難しい考え方なんて必要ない

緊張するだけ、怖くなるだけ不安になるだけの心構えなんて必要ない

天乃「自分の欲望に素直になっちゃいなさい。この戦いに必要なのはそれだけよ」

園子「欲望かぁ……」

天乃「それじゃぁ……行きましょうか」

そう言って差し出した天乃の手の上に次々と、手は重なっていく


そして


「「「「「ふぁいとーっ、おーっ!!」」」」」


戦いの火蓋が、切って落とされた


では、本日はここまでとなります
できれば今週中には
明日は可能なら、通常時間



若葉「どうだ。やはり【おや】だろう?」

園子「柔らかい【ひな】かな~」

若葉「なん……だと……?」


珠子「園子のサポートはタマに任せタマえ!」モグモグ
園子「よろしく~♪」モグモグ


では、初めて行きます


天乃「園子、球子。バックアップは任せるわ」

園子「りょ~かーい」

球子「任せタマえ!」

天乃「銀、若葉。園子の守備範囲内でうまく散開して。必ず、一人にはならないように」

若葉「了解した」

銀「で? 天乃はどうするんだ?」

各員に指示を出す天乃を見つめ、銀は問う

ふざけていたのが何かを隠しているとは思っていないし

あそこに無理があったとも思っていない

けれど……聞かなければいけないと思った

天乃「私は全体のカバーに入るわ」

銀「天――」

天乃「言っておくけど、死ぬつもりはないわよ。まだ、樹の声すら……聞けてないしね」

その笑みは

その声は

銀を黙らせるには、十分なほど真実に満ちていた

銀「可愛い声してる。と、思う。園子的癒し効果があるぞ」

天乃「ふふっ、それは期待に胸が膨らむわね」

球子「膨らむなーっ!」

若葉「そろそろ無駄話はやめろっ! 来るぞ!」

若葉がそう叫んだのと同時に、空を無数の矢が覆い隠した


園子「……わぁ」

球子「そ、園子?」

園子「久しぶりだねぇ」

あの時は、気づいたときにはもう遅かった

ギリギリで防いで

ボロボロになって

大切なものを奪われた、最初の……一撃

園子「待ちわびたよ~」

園子はそのトラウマを思い返し

されど震えず、恐れず、にこやかな笑みを浮かべ、手を挙げる

その瞬間、降り注ぐ矢の雨は一閃に巻き込まれ掻き消えた

園子「この時を……ね」

球子「た、タマの出番……なさそうだな」

そう言うのも無理はない

というのも

園子は精霊を21体有しているが、

天乃のように身体機能を完全に補って五体満足にしてくれるような力のある精霊はいない

なら、どうするか。どうなるか

それは必然的に――園子の武装強化へと回される

ゆえに

ニッコリと笑みを浮かべた園子の周囲には

数十もの槍の穂先が浮遊しており、その全てを園子が一括管理している

それはもはや、中距離戦闘要員ではなく

近―遠の隔たりのない

ある種の固定砲台だと、言えるかも知れない


園子「あの時の悲劇はもう、繰り返さない」

銀「…………」

園子「大丈夫、だからね? ミノさん。安心して?」

銀「園子こそ、安心してくれ。アタシは二度と。園子を置いていったりなんかしないからな」

園子「……うん」

二人は言葉を交わし、互をその瞳に捉える

けれどそれはほんの数秒間で

銀は背を向けて――駆け出す

銀「今度も守る……守らなくちゃ、いけないッ!」

叫び、

樹海の根を掻き分け、一直線にバーテックスへと向かう

左右で轟く爆音と勇者の叫び

空に舞い上がる黒煙

降り注ぐ矢とそれをかき消す園子の槍

さっきまでの明るい賑やかさとは一転した空気を肌に感じる銀は

ピリっとした嫌な気配に気づき、勢いそのままに身を翻す

刹那

ズドンッ! っと、蠍座の尾先が目の前を叩き潰した


銀「ッ!」

衝撃に体が揺れ、足が止まると

背後の木をへし折り、牡羊座が銀の――

若葉「はぁぁッ!」

目の前に叩き落とされ、沈黙する

銀「若葉っ」

若葉「先行しすぎだ。主様の指示を忘れたか?」

銀「いや、一応園子の守備範囲内だと思ったんだけどな……」

若葉「分かってるならいいが、銀。私達は一人じゃない。それを忘れるな」

銀「……わかってる」

刀と斧

武器の異なる二人は共に顔を見合わせ、頷く

封印の施されていない牡羊座、蠍座はまだ健在で

そして、若葉が付けた牡羊座の傷は――

銀「?」

若葉「どういうことだ?」

――傷は、塞がらなかった


樹「御霊がっ!」

東郷「………………」

御霊はバーテックスの体内にあるのだから

封印しなくてもそれが目視できるようになることに関しては

疑問はない

しかし問題は、バーテックスが再生していないという点だった

バーテックスの再生阻害の力を持っているのは天乃だけ

つまり、それ以外の勇者は封印を施さなければ行けず

そのまま倒すことは出来ないはずだった

でも、

風「たぁぁぁっ!」

友奈「っ!」

風の一撃、友奈の一撃

東郷の銃弾、夏凜の一撃、樹の一撃

どの攻撃を受けても、

バーテックスは体を再生させることはなくて

このままでも倒すことはできるのだと……勇者達の心に、僅かな安心

針穴ほどの余裕が、生まれた


では、此処までとさせて頂きます
あすもできれば通常時間より



球子「見タマえ! ミタマがタマのおかげで出てきたぞ! やはり、あとはタマに任せタマえ。諸君!」

若葉「その言葉、もう少しなんとかならないのか?」

園子「気になるなら、ワカ。を、付ければいいんじゃないかな~」

若葉「付けるかッ!」


では、再開していきます


バーテックスの驚異は複数あるが、

その中でも厄介なのが回復力だ

圧倒的な巨体と火力を持っていても、

削り通すことができれば倒すことが出来る

終わりがあるという安心感がある

その安堵を打ち消し、絶望へと叩き落としてきたからだ

それが、今

失われている

ゆえに

友奈「行ける、やれるよっ!」

風「封印しなくていいって言うなら、話は早いッ!」

夏凜「全力でたたきつぶすッ!」

勇者たちの活気に満ちた声が上がる。雄叫びが上がる

流れは、勇者たちの味方をして

少女たちはみな、その勢いに乗って行く


そんな友奈達を後方支援する園子は

総毛立たせる悪寒を感じ、身震いする

園子「……嫌な予感がする」

球子「なに、言ってるんだ?」

園子「わからないけど、なんだか……」

なんだか、嫌な予感がするんだ

心の中で繰り返すのと同時に

生唾を飲み込んでいることに気づき、園子と

その隣にいた球子は目を見開いて、顔を見合わせる

球子「回復力はタマ達にとって、最悪のハンデだった」

園子「それを失ったということは、限界が近いということかもしれない」

本当の本当に、総力戦なのかもしれない

けれど、

もしも

そうではないのだとしたら……


流れをつかみ、勢いに乗れば乗るほど

園子は不安になっていく

友奈、夏凜、風、樹、

銀、若葉、天乃

みんなが獅子奮迅の動きを見せ、

ことが有利に進んでいる中で、園子は……思う

ならば、バーテックスにとってもっとも驚異なのは何か。と

それは……

園子「天さん……? 天さん?」

球子「ん?」

園子「天さんだ……バーテックスにとって厄介なのは天さんとその力」

回復に対し機能不全を起こさせる最強の力

もし、それに対抗するのを諦めたとしたら

そんなものは、あるだけ無駄だと考え、回復力を自ら捨てたのだとしたら……

園子「それがもしも……捨て駒として利用されてすらいるのだとしたら」

そこまで考え、

園子はバーテックスの狙いに気づき、声を張り上げる

園子「油断しないで―――っ!」

けれど、それは――遅すぎた


友奈「たぁぁっ!」

力強く握った拳で、牡牛座の頭を穿つ

砕け、飛び散る欠片

その奇怪な美しさの雨の外

迫る蠍座の尾に気づき、友奈は打ち返すために身構える

今まではその回復力ゆえに

物理攻撃に関しては回避以外の余地がなかった

防御してもダメージが通るし

打ち壊しても回復されて意味がなくなるからだ

でも、その部位欠損によって力を削ぐことができるのなら

真っ向から打ち合うことにも意味はあると、考えた

だから友奈は

友奈「一つでも、多く!」

蠍座の尾を打ち返し

――カッ!

友奈「えっ?」

ズドンッ! という爆音とともに、吹き飛んだ


若葉「なっ」

流れを叩き割る、炸裂音

天高く舞い上がった砂塵の中から飛び出す

桃色の矮躯

勢いに乗りつつあった勇者のそれを止めるには十分で

心にできた隙間

余裕、その小さな隙をこじ開けるには……十分だった

風「友――」

樹「お姉ちゃんよそ見しちゃダメッ!」

風「!」

ぴたりと足の止まった風の足元の地面がひび割れ、うお座が飛び出し

風「うわぁぁっ!」

ぐるりと回転した天秤座の一撃が風を打ち飛ばす

若葉「くっ」

一人一人

東郷「優位性を犠牲にしての賭けなん――っ!?」

ズドォォォンッ

一つ一つ

銀「っ!」

削り取っていく

殺せなくても

完全には倒せなくても

最強最悪の厄介者との戦いに、邪魔が入らないようにと排除する


天乃「人気者は辛いわね」

九尾「のんきなことを言うとる場合ではないぞ」

天乃「……うん」

もちろん、天乃の周囲から邪魔者を一掃するだけが目的ではない

天乃の目の先、バーテックスの進行方向から

瞬きする瞬間にも、樹海が侵食されていく

一つ、久遠天乃の排除

二つ、神樹以前。樹海の侵食による結界解除

その二つのために、バーテックスは自らを囮として

犠牲として、突き進んできていたのだ

よく見ると、

バーテックスの巨躯に隠れた星屑とは別種の丸い球体が

樹海を……食べ進んできていた

天乃「稲荷」

稲狐「……………」

天乃「ご主人様に、奉納を」

だから天乃は、稲荷の使いではなく

稲荷そのものを、呼び起こす


神樹や樹海

この結界を守ることに特化した、神

二度目に現れたその姿は

九尾と同じく衣に身を包んだ女性らしい容姿で

狐のお面をかぶっていた

天乃「貴女なら、あの程度の侵食に打ち勝てるでしょう?」

稲神「…………」

稲荷は何も言わず、ただ頷くと

じっと天乃を見つめて首を振る

九尾や死神のように言葉を持つことができなかった神の身を案じている空気に

天乃は苦笑を返して、息をつく

天乃「今ここでやらなくて。誰がこの世界を守るのよ」

稲神「……………」

天乃「私たちしか守れないのなら。私達が守るしかない。穢れは全て私が貰ってあげるから。全力で――舞いなさい」

主の自信に満ち満ちた言葉

拒否も拒絶もできるわけはなく

稲神はこくりと頷いて……世界のために舞い始めた


では、此処までとさせて頂きます
頑張れば戦闘は明日で終わるかもしれません

だいぶ省略もしているので……
おそらくですが、終わりまで安価はないかもしれません


では、初めて行きます


稲荷神が舞い始めてすぐ

樹海全体がパッっと明るさを増して、光り輝くと

侵食された部分

食い抜かれた部分

その全てが包み込まれ、修復されていき

その分だけ、天乃の体は汚染されていく

天乃「んっ」

急激かつ、大量に流れ込んでくる不快なものに

天乃は思わず呻いて、足を止める

体の底からじわっと広がっていく不快感

今までは一瞬だった

気づかないうちに穢れていた

それが、今は

じわじわと自分の体が穢れていっているのを感じさせられている

天乃はその初めての感覚に、体の冷たさを感じた


天乃「ねぇ、九尾」

九尾「なんじゃ」

天乃「……死ぬのって、こういう感覚なのかな」

九尾「………………」

立ち尽くし

自分の震える手を見つめる主を見つめ、九尾は小さく息をつく

死ねない自分には、死ぬという感覚はわからない

どれだけの命を殺めようとも

死ぬという感覚だけは得ることができないからだ

しかし、今は

九尾「集中すべきことが、あるじゃろう。主様」

天乃「……そうね」

食い破ることに特化したバーテックスによって食い破られた結界の穴から

星屑が大挙して押し寄せてきている

通常のバーテックスに加え、星屑

その大群相手にはもはや、多勢に無勢

質と量で線よくて気に大幅に劣ることとなった勇者に、余裕はなかった

>>112ミス


天乃「ねぇ、九尾」

九尾「なんじゃ」

天乃「……死ぬのって、こういう感覚なのかな」

体の芯から冷めていく感覚

力がスーっと抜け落ちて

膝から崩れ落ちてしまいそうな、感覚

九尾「………………」

立ち尽くし

自分の震える手を見つめる主を見つめ、九尾は小さく息をつく

死ねない自分には、死ぬという感覚はわからない

どれだけの命を殺めようとも

死ぬという感覚だけは得ることができないからだ

しかし、今は

九尾「集中すべきことが、あるじゃろう。主様」

天乃「……そうね」

食い破ることに特化したバーテックスによって食い破られた結界の穴から

星屑が大挙して押し寄せてきている

通常のバーテックスに加え、星屑

その大群相手にはもはや、多勢に無勢

質と量で戦力的に大幅に劣ることとなった勇者に、余裕はなかった


銀「なんなんだ一体!」

波のように押し寄せる星屑を切り払いながら、

銀はいらだち混じりに声を荒らげた

バーテックスの中で最速を誇る双子座は

力がない分、その速度のみが武器といっても良くて

それを封じることができれば

ただの動く案山子でしかないにも関わらず

銀「くっ、邪魔だッ!」

星屑や他のバーテックスと移動速度を合わせ

単独での先行を絶対にしないように調節していた

そのせいで、双子座のバーテックスを狙い撃つことができず、

切り裂こうとすれば星屑に阻まれ

動きが止まった瞬間、他のバーテックスによる重い一撃が体を打つ

銀「はぁっ……はぁっ……っ」

出ることのない血と汗を拭くように額を拭い、

銀は迫り来る軍勢を睨む

銀「このままじゃまずい……っ」


頑張りに頑張っても

通常の状態では手数に限界がある

さらに、

星屑を一撃で屠ることができるとしても

バーテックスはそんなにやわではない

バーテックスの相手をする分だけ星屑は横から抜けていき、

星屑を相手にした分だけ

バーテックスは傷を負うことなく、万全の状態

そして、容易に攻撃を仕掛けることができる

銀「園子!」

叫んでも、返事はない

だからと言って振り返る余裕もない

振り返った瞬間

致命的な一撃を貰いでもしたら

一時的にでも離脱しなければならなくなる

そうなるわけにはいかないからだ

銀「周りの状況がどうなってんのか……星屑が邪魔すぎるッ!」


知りたくても知ることができない周りの状況

そして、

時々轟く爆発音や、重く揺れる樹海の木々が

銀の不安を煽っていく

銀「少なくとも、すぐ近くに若葉がいるのはわかるけど……」

合流は出来そうにない。と

強く唇を噛み、

銀は力強くバックステップを踏み

着地の瞬間、地を蹴り弾丸のような速度で水瓶座のバーテックスを突き飛ばし――一回転

水瓶座の体を切り裂くと

銀「どけぇッ!」

そのまま投擲し、周囲の星屑を刻む



片手の武器が消えた隙間を縫って

銀「っぐ――」

双子座が銀の体に突っ込み、

銀「っあ゛!」

樹海の木へとぶつかって、押しつぶした

では、此処までとさせて頂きます
普通に終わりません、失礼しました
あすもできれば通常時間から



↓現在の戦況(マップ)↓
http://i.imgur.com/DsQRotD.png




では、初めて行きます


園子「数が多すぎて捌ききれない……」

この苦しい戦況は

園子にでさえ、余裕を与えることはなかった

いつもの間の抜けた声ではなく

不安のある声で、園子は言う

園子「天さんが大きいの二つに射手座を相手してくれてなかったら……全滅。してるかも」

広範囲攻撃を可能としている射手座

他のバーテックスを凌ぐ巨体と力を持つ獅子座

その獅子座ですらも凌駕する獅子座の進化系

それに加えて無数の星屑を相手にしてくれている天乃の存在

それが、

バーテックスにとっても、園子達にとっても一番大きなものだった


久遠天乃を討ち取ることができれば

バーテックス側の勝利は確定したと言っても過言ではないし

久遠天乃さえ討ち取られることがなければ

樹海やこの世界は少なくとも守り通してもらえるからだ

園子「……やっぱり、天さんは要だね~」

園子も決して弱くない

それは、

勇者チームの最終防衛ラインとしての役目を

ギリギリとは言えしっかりと守れていることからも伺い知ることができる

星屑の数には遥かに劣る遠隔式の槍

それでもなお、

各星屑の進行速度などから防衛ライン最接近を推測したりすることで

水際での完全撃退を行うそれはそうそう真似できることではない


園子「でも、いずれ押し切られる……」

いくら園子でも

樹海全域をカバーできるほどの力は持ち合わせていない

だからこそ、

天乃のチーム、勇者部チームで

右と左に分かれている

もちろん、信頼していないわけではないが

それでも、厳しいと、園子は思い、首を振る

園子「私が気落ちしてたら――ダメだよねっ!」

穂先一つで星屑数匹を刺し貫き、消し去って

園子はなお迫る大群を眺める

園子「時間は稼ぐよ~」

満開をしていいと言われるまで

その時間まで、園子は絶対に保ってみせると、足に力を込め

槍を振るった


樹「久遠さん……」

星屑や

樹海の木々のせいで、天乃の姿は見えない

それでも

その方角に天乃を感じ、樹が目を向けると

樹海に阻まれようと

星屑に阻まれようと

絶対に視界に入ってくる規格外の巨体

その体の一部が切り崩されていくのが、見えた

樹「久遠さんっ」

見えなくても、聞こえなくても

久遠さんの一つ一つの行動が、勇気をくれる。力をくれる

樹「あんなに大きいバーテックス二体を相手にして。それでも、負けずに立ちふさがって……」

恋人がそんな頑張っているのに

自分は無数の雑兵ごときで手間取っていていいのかと、考え

樹「良いわけないッ!」

樹は叫ぶ


樹「っ!」

右手から伸ばした光り輝く鶴で周囲の星屑を一掃し、

何層にも組み上げた光の罠を設置して、まるごと握りつぶす

樹「!」

それでも、油断はできない

倒した瞬間

どこからともなく星屑が湧き出てきたのだ

締め潰す?

防御?

それじゃ遅いっ!

瞬時に判断した樹が慌てて身を翻すと、星屑は通過して、

ドゴンッっと、

乙女座の爆弾が直撃して弾け飛ぶ

樹「っ……」

もしも回避できなかったら

そう思うと、樹は恐怖に手が震えて……唇を噛み締めた


九尾「主様」

天乃「なによっ!」

怒鳴るように言い、跳躍した瞬間

さっきまでいた足場が弾けとんだ天乃は

次の足場に着地した瞬間、蹴り出して

目の前の星屑を切り伏せ、

隣の星屑を蹴り飛ばして後ろに飛び

もう一度勢いよく駆け抜け、獅子座のバーテックスの体の一部を切り崩す

天乃「はぁっはぁ……もうっ、用事があるなら手短にね」

いくら天乃であろうと、勇者であろうと

体力の限界というものがある」

たとえかすっただけでも、重傷足り得る天乃は

常に全力でいなければならず

相手のレベルも高いがために、もうすでに息が上がり始めていた

そんな中、九尾は言う

九尾「そろそろ満開をする。準備せい、我が愛しの主様」


では、ここまでとさせて頂きます
あすもできれば通常時間から


満開、無双……そして……


では、初めて行きます


天乃「……ッ」

九尾の言葉を聞き取ったのと同時に

周囲が強く輝きを放ち、天高くに大きな花が咲き誇る

結城友奈、東郷美森、犬吠埼風、犬吠埼樹、三好夏凜、乃木園子

現存している勇者達の、満開

そして

九尾「乃木若葉、土居球子、郡千景、伊予島杏、高嶋友奈、三ノ輪銀、久遠陽乃、白鳥歌野の分じゃ」

九尾は自分の胸元に手を充てがうと

八つの光を取り出して、空に咲く花へと登らせていく

天乃「貴女、まさか」

九尾「……否定するつもりはない。が、それを悪行であると認めるつもりはない」

九尾が持つ八つ

それに通ずるものを天乃は知っていて

だからこその言葉に、九尾はそれだけしか言わなかった

いや、それだけしか言えなかった

謝る気はなかった

悪いと想うつもりもなかった

全ては

九尾「我が、愛しき主の世界のために」

ただ、それだけだ


ここまでに、いくつのモノを犠牲にしてきただろう

どれだけのものが犠牲になってしまったのだろう

誰も知らないだけで

誰も気づかないだけで

みんなが見て見ぬふりをしているだけで

足元が屍の山であることに、変わりない

天乃「……………」

何かを守るためには、何かを犠牲にしなければいけない

それは、絶対に変えることのできない理だ

理不尽な等価交換だ

天乃「罪は、私も背負うわ」

九尾「主さ――」

天乃「となると。犠牲にしたくせに。死ぬなんて罪深いことは出来なくなっちゃうわね」

天乃はくすくすと、笑う

多勢に無勢の状況で

圧倒的に不利な状況で

久遠天乃は、笑って――言う

天乃「見せてあげるわ。私の力を」

その力は全てを飲み込み、

全てに寄生して、全てを吸い上げていく


天乃「私の満開は、とても毒々しい」

色の抜けた樹海

落下しながら砂となって消えていく星屑

身動きができなくなって倒れ伏すバーテックス

それらを眺める天乃は、

右手に握る刀を構えて、息をつく

天乃「…………………」

神樹様からではなく、

自分から繋いだせいか

次から次へと、自分の中の何かが吸い上げられていくのを感じる

気を抜いたら倒れるかも知れない

気づいたら、白い天井を見上げているかもしれない

気づいたら、お婆ちゃんになっているかもしれない

そんなことを考えながら、

この子は無事に生まれてきてくれるのかな。と

まだ妊娠すら確定してないお腹を撫でて、苦笑する


天乃「ねぇ、九尾」

九尾「?」

天乃「私。ちゃんと帰って来れるのかしら」

九尾「………………」

目の前に広がる色の失われた世界

樹海も、自分の手も、刀も、何もかもが、色がない

そんな世界を見つめる天乃は

感じる不安の一片を、急日に訊ねる

けれど、九尾は答えてくれなくて

だから、もう一度言う

天乃「わた           」

九尾「確証はない」

耳が聞こえないから、きっと気づいてはいない

でも、天乃は耳だけでなく、声までもなくしていて

けれど、きっと同じことが言いたかったのだろう。と

天乃の声無き声に、

九尾は非情にもそう答えて首を振る

九尾「主様が抜かねば、誰も抜かぬまま。ただ抜かれていく」

天乃「             」

九尾「だからこそ。抜かねばならない。その手で」


九尾の言葉は、

私が言ったはずの疑問への答えではなくて

声も出なくなっちゃったのかな。と、思って笑う

樹に迷惑をかけると思う

みんなに心配をさせると思う

でも、だけど

今いるみんなを守るために

失ったモノを奪われたモノを

取り返すために必要なことなのなら……と

天乃は軽く頷いて、刀を構えた

これは正真正銘の神の一撃

様々なものを犠牲にした上での一撃

現行の、とてつもなく大きな戦いへのピリオドを打つ一刀

天乃「         」

頑張ってくるね

頑張って、帰ってくるね

誰にも届かず聞こえないことを知りながら

天乃はそう思い、そう口にし

天乃は刀を――振るった


では、此処までとさせて頂きます
あとは、樹視点でのエピローグになるかと思います



大赦職員八人の魂=死んだ勇者の代用


遅くなりましたが、進めていきます


樹「ぁ……」

捌ききれないほど溢れ出てくる星屑

その中に紛れて、少しずつ進行してくるバーテックスの軍勢

その全てが

何かに気づいて一点に群がっていく

平原に咲き誇る、たった一輪の花めがけてミツバチが集うように

全ては、そこに収束していく

そして、

空に咲き誇った光の花がその中央に、降りていく

樹「久遠さん……っ」

負けるとは、思っていなかった

世界が壊されちゃうとは、思ってなかった

不安はなかった

信じるとか、信じないとかじゃなくて

人が好きで、世界が好き

それなのに、世界に嫌われてきた人が

それでもなお、世界を守ると、みんなを守ると言ったから

その時の笑顔がこの圧倒的に不利な戦況でさえも

希望として、頭の中に、心の中にずっとあったから

私は、この戦いが絶対に勝利できるものであると、

信じるんじゃなく、安心していた


それでも、

怖くないかと聞かれたら

怖くないです。と

大丈夫かと聞かれたら

大丈夫です。と

不安じゃないかと聞かれたら

不安なんかじゃないですよ。と

本当に、そう言えるだろうか

本当に、そう思ってるだろうか

樹「ぁ……く……」

目の前で全てが終わっていく

世界に虐げられて

多くの人に蔑まれ、強要され、翻弄され

それでも、人を愛していて、世界を愛している

そのたった一人が全ての責任を背負って、長い戦いに終止符を打つ


それを、私は認めた。許した

死んでしまうかもしれないその行いを

大好きな人がしようとしているのを知りながら、

樹「だから……」

つーっと頬を何かが伝っていく

認めたはずなのに

許したはずなのに

それでいいと、覚悟は決めてあったはずなのに

帰ってくるといったから

それを信じて……信……

樹「っ」

どれだけ信じていても

樹「ゃ……」

どれだけ強く、覚悟を決めても

樹「……行かないで」

私は、私の心は

不安で、怖くて、悲しくて、辛くて、苦しくて、悲しくて

樹「行かないでくださいッ!」

心から強く、拒絶する

でも

樹「ずっと、ずっと一緒に、そばにい――」

その声は、その思いは届くことはなくて

世界にとっての希望の光が世界を――切り拓いてしまった


樹「ぁ……久遠さんっ!」

驚異が跡形もなく消え去って

世界を祝福するかのように、光の雨が降り注ぐ中

一心不乱に、駆け出す

樹「っ……」

途中で変身が解けても

体力が切れかかっても

久遠さんがいるであろう場所に、駆けていく

樹「久遠さん……久遠さんっ!」

樹海の根をよじ登って

滑り降りて

制服を汚し、足に怪我しながらも、ただ、走って

樹「はぁっ……はっ……けほっ……」

天乃「…………」

樹「見つけ、ましたっ」

久遠さんの元に、たどり着いた


樹「一人で、こんなところに行くから……時間、かかっちゃいました」

元々、耳が聞こえていなかった久遠さんに

そんなことを言っても無駄だと分かっていても

言葉を投げかける

一瞬で帰ってきてくれてないかな。なんて

淡い期待をして

でも

樹「………………」

わかってるんです

わかってるんですよ。久遠さん

そんな簡単な話じゃないって

直ぐに終わる話なわけがないって

でも

樹「っ」

抱きしめても

体を揺さぶっても

なんの反応も示してくれないことが

凄く……悲しかった


風「樹っ、天乃っ!」

樹「お姉ちゃん……」

戦いが終わって、時間が経ったからか

樹海化が解けて学校の屋上に戻されると

お姉ちゃんがすぐに声をかけてきて

でも、私と私が抱き抱える久遠さんを見て

すぐに、喜んでいた表情が曇った

風「樹……?」

夏凜「なによ、どうし……」

友奈「園ちゃんも今は動けなくなっちゃったし。同じ状態になっちゃったの?」

東郷「ただの力の使いすぎ。なら、目を覚ますと思うけれど……」

園子さんを背負った友奈さんと

それを見守る東郷先輩は不安そうに言って

目をつむったままの久遠さんを見つめる

夏凜「と、とにかく。医療班を呼ばないと話にならないわ」

風「そ、そうね」


お姉ちゃんが呼んでくれた医療班の人たちは

久遠さんと園子さんを丁寧にストレッチャーに乗せると

私たちも検査が必要だからと、乗るように指示してきた

樹「私は、久遠さんの方に乗りたいです」

「しかし」

樹「一緒が、いいんです」

医療班の人たちが顔を見合わせて、困った顔をする

きっと、久遠さんと園子さん

特に、久遠さんは私たちとは別の病院に連れて行くつもりだったんだと思う

でも、私がもう一度願い出ると

「分かりました。仕方がありませんね」

と、渋々許可を出してくれた

断られたら車の屋根上にしがみつくつもりだった。とは

言わないでおいた

風「樹、天乃のこと。悪いけどよろしくね」

夏凜「何言ってんのよ。樹が言うならともかく。あんたがいうことじゃないでしょ」

風「それはそうかもしれないけどさ」

樹「大丈夫だよ。お姉ちゃん」

そう言って、笑顔を見せる

久遠さんが戻ってこない可能性を知っているという不安を

お姉ちゃん達にまで――感じさせないために


それから、一ヶ月が経過した10月

夏服も完全に終わって、冬服に衣替えをして

お姉ちゃん達三年生が受験だと、大慌てになり始める時期

樹「……久遠さん、受験はしないんですか?」

勇者部に仮入部している三年生のはずの久遠さんは

余裕綽々といった様子で、だんまりのままだった

樹「久遠さんなら一夜漬けでなんとか出来そうですけどね」

冗談ぽく、笑ってみせると

誰も、笑わず

私がしゃべるのを止めると、部屋は静まり返って

外の音が鮮明に聴こえてくる

樹「……っ」

もう一ヶ月

まだ一ヶ月

頭の中は、【まだですか?】と、催促していて

辛い気持ちが、手のひらに爪痕を残して痛みが走る


言いたいことは山ほどある

ぶつけたい気持ちがたくさんある

その全てを押し殺して、私は久遠さんにあるものを見せた

樹「見てください。検査結果が出たんですよ」

久遠さんは何も言わない

何も見ない

それでも、続ける

樹「久遠さん、ちゃんと妊娠。できてるんですよっ」

それでも……久遠さんは何も反応してくれない

樹「流石です。春信さんは。本当に、凄い人です」

少し前から、久遠さんの体温が

以前入院していた時の通常の体温よりも高い状態が続いていることを気にした看護師さんに

春信さんがもしかしたら。と、言ったことで検査をしてなければ。多分。まだ分かってなかった

その状態が続いてると妊娠してる可能性が高いなんて

私でも知らなかったのに

樹「凄く良く、勉強してて……負けられないなって思いました」


今はその話じゃないですよね。と

笑って話を区切らせて、久遠さんの手を握る

樹「もう一ヶ月……妊娠周期で言うと、六週目だそうで。胎嚢も確認できたそうです」

当たり前なことだけど

それは春信さんの子供だから

私にとってものすごく嬉しいことかと聞かれたら複雑ではあるけど

久遠さんが生きてる証だと考えれば

何よりの吉報だった

樹「このままだと、目を覚ましたら大きいお腹。ですよ?」

その驚くさまを見て

申し訳ないと思いつつ、苦笑する

きっと、とても可愛い驚き方、慌て方をするに違いない

赤ちゃんが危ないから、ちゃんと冷静にさせなきゃいけないよね。と

責任を感じて、息をつく


樹「久遠さん、文化祭がもう少ししたらあるんです」

三年生に関しては

受験もあるということで自由参加になってるけど

少なくともお姉ちゃんは参加する気マンマン

といっても、

一応受験の合間で、息抜きは必要で

中学生最後の文化祭ということもあって

三年生全員が、やる気に満ち溢れてたりするんだけど……

樹「……私達は劇をやります。しかも、私が主役のお姫様をやるんです」

そう言って

お姉ちゃんと園子さんが協力して作り上げた台本を

久遠さんに見せる

樹「勇者様を待つお姫様役です。本当は、友奈さんが主役の勇者のお話の予定だったんですけど」

お姉ちゃん達が私を気遣ってくれたのかもしれない

その友奈さんが主役のお話の別視点を、新しく書き出してくれた物語

樹「……私も、ちゃんと待ってます。ずっと。待ってます」

久遠さんの頬をそっと撫でて、キスをしようとして……離れて

樹「面会時間も終わりだと思うので、また明日来ます。久遠さん、また、明日です」

そう言い残して、何度も振り返りながら病室を後にした


では、此処までとさせて頂きます
あすもできれば、通常時間からとなります


月単位で飛ばしたりなんだりでやっていく予定ですので
うまくいけば今週中には終わるかと思います


では初めて行きます


そのお見舞いの日から、一週間くらい経った日のことだった

いつも通り久遠さんの所に行くと

珍しく、春信さんとお医者さんがいて

何か、真剣な話をしていて

春信「犬吠埼さんか……丁度いい所に。とは、言えないかもしれないが……」

樹「?」

春信さんは私に気がつくと、

少し複雑な表情でそう言って

お医者さんに一礼して、席を外すように言うと

「では、また後ほど」

樹「ありがとうございます」

「ううん。貴女も。いつもご苦労様」

産婦人科のお医者さんは笑顔で私に挨拶して

そのまま病室を出ていく


樹「何か、あったんですか?」

春信「……そうだな」

樹「?」

春信「……………」

春信さんはとても言いにくそうで

その表情は、私を不安にさせるような

ちょっと、怖い表情で

私が一歩近づくと、春信さんは息をついて首を振って

春信「黙っていても仕方がないな。犬吠埼さん。驚かないでくれ。とは言わないが。落ち着いて聞いてくれ」

樹「え?」

春信「彼女をさらに詳しく検査した結果、心音が二つ確認できた」

樹「ふた……つ?」

春信「そうだ。彼女の場合一卵性双生児を……解りやすく言えば、現段階で。彼女は双子を身篭っている」

凄く、衝撃的なことを言った


樹「双子って、双子。ですか?」

春信「そうだ。先ほどの医師によればそれは確定事項だということだ」

樹「……………」

春信さんは

この先何か不幸なことが起きない限り

久遠さんは双子を産むことになる。と言う

信じがたいことだったけれど

春信さんがそんなウソをつかないことと

お医者さんの診断書を見せられては、信じるしかなくて

春信「……双子の場合、一人よりも母体への負担は大きくなる」

樹「それくらいは、知ってます」

春信「だが、彼女は。久遠さんはきっと。それでも、と、言うだろう」

樹「久遠さんも、子供も。無事に出産を終えられる可能性はどのくらいなんですか?」


春信さんの言葉を無視するような形で、

当たり前の疑問を尋ねると、

春信さんは少し暗い表情で首を振ると

久遠さんを一目見て、私へと向き直った

春信「健常な母体であっても……ハイリスクな出産だ」

樹「はい」

春信「彼女の場合、絶対安静という条件はクリアできるだろうが、この状態だ」

樹「春信さ――」

春信「っ」

春信さんの握りしめた拳の音が聞こえて

私の、答えを催促する声は押し込まれて消える

その音が、春信さんの辛さを、苦しさを

そんな事を考えるのなんて嫌なんだという気持ちを伝えてきた

春信「母体のことを考えなければ、帝王切開を施したりすることで。100%ではないが、子供を無事に摘出できる可能性は高い」

樹「久遠さんは……」

春信「今の彼女に麻酔を使えば、二度と目を覚まさなくなる可能性は格段に上がるだろう」

樹「………………」

春信「残念だが、彼女が目を覚まさないまま出産時期に入った場合。久遠さんは諦めるしかなくなる」


樹「あ……諦める?」

諦めるって、なんですか?

諦めるって、どういうことですか?

頭の中、心の中

湧き上がる強い感情が、口元から響いたブチッっという音で一気に引いて

ポタッと……病院の白い床に、赤いシミが一つ。ついた

春信「……私は。君と同じ気持ちだと並べることはできないと思っている。だが、私も彼女を諦めたくはない」

樹「………………」

春信「まだまだ、出産の時期は遠い。それまでに彼女が戻ってくる事を願おう」

春信さんはそういうと

手持ちのカバンの中から、白い箱を取り出して

私の手に、持たせた

春信「妊婦用のケアクリームだ。彼女が自分で行えない代わりに、君がやってあげると良い」

私には、荷が重い。と

春信さんは少しだけ笑って私の方を叩いた

春信「君だけで難しいのなら、いくらでも。私たちが手を貸そう」

樹「…………」

春信「だから、君はできる限りのことしてあげてくれ。それができるのは私ではなく、君なのだから」

そう言い残して、春信さんは病室を去って

私と、久遠さんだけが取り残された


樹「……久遠さん、双子だそうです」

多分、春信さんたちの話を聞いていたなら、

わかってるかもしれないけど。と、笑ってみせる

でも、笑顔よりも涙が先に来た

喜ぼうとしても

このまま失ってしまうかもしれないという悲しさが前に出た

樹「久遠さんっ!」

ギュッと、

痛いと言われそうなくらいに強く。手を握る

それでも、久遠さんはなんの反応も示さなかった

ピクリとも動かなかった

それでも、体は温かくて……

泣いたらダメだと押さえ込む私の心を強く、揺さぶる

それでも。私は

樹「元気な双子の赤ちゃん。産んでくださいね」

泣くまいと唇を噛み締めて、笑ってみせた


では、此処までとさせて頂きます
あすもできれば通常時間から

エピローグの最中ですが今後はまだ未定です


では、進めていきます


樹「もう、大丈夫そうですね」

時間が経つのは、あっという間で

気づけばカレンダーにつけたバッテン11月の半ばに差し掛かっていて

常に誰かが付き添っていなければいけないほど酷かったつわりも

段々と、収まってきていて

お見舞いに来たら口から吐瀉物が溢れかけてる。なんていうことも

なくなった

樹「……でも」

そっと手を握ると

あれだけ温かかった体温は下がっていて

このまま完全に冷え切ってしまうんじゃないか。と不安にさせる

ううん、不安にさせられることはない

だってずっと……

元から。私は不安なんですから


久遠さんのおなかの中には双子がいる

まだ、性別が分かる段階にまでは来てないけれど

でも、晴海さんたちが言うには、女の子の双子らしい

片方は神樹……様由来の女の子

片方は戦いによる穢れを担った女の子

相反する二つの力を共存させるのではなく

分け合い、そして手を取り合う形へと

何かの力が働いて、変化した可能性があるらしいです

難しいことは、私にはわかりません

でも

樹「これはきっと、世界にとって私達にとって。とっても大きな分岐点なんだと思います」

久遠さんなら双子だけに? と、茶化してくれるかも知れない

でも、そんなことを言ってくれる人のいない寂しさが

我慢に我慢を重ねる心を、撫でる

樹「っ………」

泣かないと決めた久遠さんの前で。私は

もう、泣きそうだった

泣きたかった

泣けば叱ってくれるんじゃないかというなんの根拠もないちっぽけな希望が

私の疲れた心を、押し出そうとしていた


夏凜「別に、我慢する必要なんて。ないんじゃないの?」

樹「!」

不意にかけられた声にハッとして手を離し、

声のした方へと振り向くと

夏凜さんが困った様子で、息をついた

夏凜「天乃だって、あんたが無理するよりは泣いてくれた方が良いっていうと思うけど」

樹「……泣いたら、久遠さんが責任感じちゃいます」

夏凜「あるんだから、仕方がないじゃない」

樹「………………」

私が咄嗟に答えられずにいると

夏凜さんは深々とため息をつき、私のことを……抱きしめた

樹「は、放してくださいっ」

夏凜「疚しい気持ちなんかないわよ。ただ、さ」

樹「夏凜さ……」

夏凜「樹にはこういうのが、足りてないんじゃないかって。思うのよ」


夏凜「私も、天乃達に会う前まではそうだった」

厳密には少し違うけど。と

夏凜さんは付け加えて、続ける

夏凜「そんなのは要らないとか。大丈夫だとか。言い聞かせて。結局、全然大丈夫じゃなかった」

樹「……………」

夏凜「天乃の担当になって、嫌だ何だ言いながら。私何してたか覚えてる?」

樹「それは……」

夏凜「手話よ。手話。さんざん嫌味言っときながら、話し相手が、関わることのできる相手ができて。私は嬉しかったのよ」

自分のことを話しているのに

夏凜さんは呆れ混じりに話し続けて

困ったように笑う

夏凜「強がってた頃の私に今の樹は似てんのよ」

樹「…………」

夏凜「……無理すんな。強がんな。樹は一人じゃない。みんながいるから。だから、辛かったら。ちゃんと泣け」


夏凜「あんたと同じくらい。天乃を好きだって自負はあんのよ。私だって」

夏凜さんはそう言って

抱きしめる腕の力を少しだけ強くした

それは凄く痛かった

凄く苦しかった。凄く辛かった。

体がじゃなくて……心が

樹「っ」

一ヶ月や二ヶ月経っても

目を覚ますどころか体の反応は全くなくて

それどころか

生きているのか死んでいるのかわからなくなりそうで

このまま死んでしまうんじゃないかと不安にさせるような状態の久遠さんの手を、強く握り締めた

樹「私にいろんなことがしたいって、言ったじゃないですかっ!」

なのに

なのに……っ

樹「ぅぅっグスッ」

溜め込んでいた涙が溢れていく

耐えてきた言葉が抜け出していく

樹「私だって……したいことたくさんあるのにッ!」

けれど

泣いても、叫んでも

久遠さんは……目を覚ましてはくれなかった


樹「ぐすっ……うっ……なんでっ」

夏凜「……………」

樹「なんで何も……言ってくれないんですかっ!」

自分の気持ちを投げつけたのに

久遠さんはいつもと変わらず、目を閉じたままで

夏凜さんは何も言わないで

ただじっと久遠さんを見つめて首を振ると、振り返って出口へと向かう

夏凜「今日は帰るわよ。樹」

樹「嫌です」

夏凜「明日も学校でしょうが」

樹「学校なんて――」

夏凜「樹!」

樹「っ……」



夏凜「天乃の為に看護師になるんじゃなかったの? 学校のテストが近いんじゃなかったっけ?」

夏凜さんの抑揚のない冷たさの感じる声に耳を傾け

目では久遠さんを見て、目をギュッと瞑って席を立つ

樹「また来ます……テストで100点を一科目ででも出して見せますっ」

一人で勝手に作った約束

久遠さんは何も言わなかったし反応もなかったけれど

病室を出ようとした瞬間、「期待してる」と、言われたような気がして振り向く

夏凜「樹?」

樹「……何でもないです」

九尾さんは言った

神樹様に完全に同調してしまう可能性があるって

そして

園子さんは言う

時々、天さんを近くに感じるんだ。と

最悪の結果は

現状で最も可能性の高い……結末だった


では、此処までとさせて頂きます
あすもできれば似たような時間から


今週中目標
乃木若葉の続きが出る前に。なんとかできればな。と


では、初めて行きます


友奈「樹ちゃん」

樹「っ」

友奈「今日も……久遠さんのところに行くの?」

学校が終わってすぐ、

下駄箱に来たはずなのに、

友奈さんは私のところに駆け寄って、声をかけてきた

でも

そんな会話は必要ないと思った

だって

行くのは、当たり前のことだ

樹「行きますよ。友奈さんも行きますか?」

友奈「う、うん。行く……というか」

樹「?」

友奈「私が行くから……たまには。その。部室に顔を出そう?」


樹「……もう、12月の中盤なんです」

友奈「それは分かってるよっ。えへへ……テストがあるし」

友奈さんはおとぼけた様子で笑うと

あんまり自信ないんだよねーと、明るい声で言う

無理してポジティブな考え方をしようとしてるのか

それとも

私のために無理をしてくれてるのか

友奈さんの声も、雰囲気も

どこか……影が差していた

樹「3ヶ月以上経ってるんです……だからきっと。もう起きてくれるはずなんです」

友奈「………………」

樹「だから、ごめんなさい」

自分が友奈さん達に気を使わせているんだって自覚はある

でも、

今日こそは、今日こそはと

時間が経つたびに、そんな際限のない希望が頭の中で産まれては消えて

産まれては消えて

また……産まれていた


友奈「じゃ、じゃぁ私も一緒に行くっ!」

樹「無理しなくてもいいんですよ?」

友奈「無理はしてないよ。私も。久遠さんのことは気になるからね」

友奈さんはそう言うと

すぐに履き替えるからね。と言って

友奈「お待たせっ!」

私が靴を履き帰るよりも早く、回り込んできた

そんなに急がなくても

そんなに慌てなくても

いなくなったりは……しませんよ。友奈さん

樹「早いですね、下着が見えかけましたけど」

友奈「ぇっ!?」

樹「嘘です」

友奈「え……ぁ、だ、だよねっ!」

恥ずかしそうに笑う友奈さんも、可愛いと思う

でも

私の頭の中、記憶の中の久遠さんの照れ笑いには

やっぱり勝てないと、思って笑った


樹「こんばんは、久遠さん」

友奈「こんばんはーっ」

がらっと、病室に入ると

看護師さんが私たちを見て笑みを浮かべて

何かあったら呼んでね。と、病室を出ていく

友奈「どっか行っちゃったよ?」

樹「私と入れ替わりでいてくれる担当の看護師さんです。久遠さんを一人にはできませんから」

友奈「へー……そう考えると。樹ちゃんは看護師さんだねっ」

樹「まだまだ勉強不足ですけど、そうなるのが夢ですっ」

友奈さんの嬉しい言葉に

いつかぶりかの明るい返事を返して、久遠さんの体に負担をかけないように気を遣いながら

少しだけ、寝巻きをはだけさせる

友奈「久遠さん、今どのくらいなんだっけ?」

樹「22-23週ですね。双子なので。もうちょっぴりお腹が出てきてるんですよ」

友奈「もう、そんななんだね……」

樹「そうなんですよ」

友奈さんの疑問に答えながら

久遠さんの体にクリームを優しく塗り、足や腕のマッサージを負担が掛からない程度に行った


では、此処までとさせて頂きます
あすもできれば通常時間から


風「樹はまだ……大丈夫」


では、初めて行きます


友奈「手馴れてるね、樹ちゃん」

樹「毎日の日課ですから。怠ると、目を覚ましてから大変なので」

友奈「……大変じゃない?」

樹「好きなことをするのに、大変かそうじゃないかは関係ないんです」

友奈さんの問いかけに答え、クリームをしまって振り返ると、

友奈さんは驚いた様子で私を見ていたけれど

すぐに、「そっか」と、嬉しそうに笑った

友奈「私も、東郷さんのお手伝いするのは全然、大変じゃなかったなぁ」

感慨深そうに、友奈さんは呟く

東郷先輩もまた、

久遠さんと同じようにひとつ前の世代から勇者で

両足と記憶を満開によって失っていた

でも、久遠さんのおかげで徐々に機能を取り戻した東郷先輩は

もうだいぶ前から、歩けるようになって

友奈さんが車椅子を押す必要はなくなったのだ


樹「……………」

友奈さんの懐かしむような様子から目をそらして

なんの反応も示さない久遠さんを見つめ、手を握る

そして、興味本位で。聞く

樹「寂しいとは、思ったりしないんですか?」

友奈「寂しい?」

樹「はい……東郷先輩にいつもしてたことをする必要がなくなって。東郷先輩から、友奈さんの必要性が消えて……」

それで、寂しいとか

勿体無いとか

なにか思ったりしなかったんですか?

と、聞くと

友奈さんは困ったように、髪を掻く

友奈「そんなこと考えてなかったから、必要性が消えたっていうのはグサッと来ちゃった」

樹「……………」

友奈「でも、確かにそうだよね。東郷さんから……私を必要とする理由の一部は消えちゃったのかも」


しょんぼりとした友奈さんだったけれど

でもね。と、すぐに笑みを浮かべた

友奈「その分。東郷さんと出来ることが増えたんだ」

樹「デートとかですか?」

友奈「で、デートじゃないけど……前と後ろじゃなくて。並んで歩けるのは。すごく嬉しかった」

友奈さんの語る笑顔は嘘じゃないし無理もしてない

本当の、本心からの言葉だった

友奈「確かに樹ちゃんの言うとおりかもしれないけど。でも。その分。それ以上に、嬉しいことや楽しいことが増えた」

樹「……………」

友奈「幸せだって思えて。東郷さんに私が必要。じゃなくて、私に必要なんだなってことも思えた」

友奈さんは恥ずかしいのかもしれない

ちょっぴり頬を赤らめて、半笑いになりながら、言う

友奈「な、何が言いたいのかっていうと。つまり、全然。勿体無いとか寂しいとかは思わないよーってことかなっ」


私の興味があっただけの言葉にも

友奈さんは本気で、全力で答えてくれた

もちろん、私だって同じ気持ちだ

久遠さんの介護が必要なくなって

久遠さんの中から私の必要性が薄れちゃったとしても……

できなかったことができる嬉しさと、楽しさと、幸福感を得られるのなら

樹「私は、目を覚まして欲しいです」

心のどこかで、

久遠さんが目を覚ますことなく

ずっと、自分便りな久遠さんで居て欲しいと思っているのかもしれない

なんて

目を覚まさない原因を自分の中に探し出した私の言葉に

久遠さんはやっぱり……何も言わない

樹「……………」

友奈「樹ちゃん……」

樹「わかってた。ことですから」

心配そうな声に、笑ってみせて

私はいつも通りに自習セットを鞄から取り出す

夢のため、久遠さんのため

一生懸命になっている時だけが……唯一。嫌なことを考えなくていい時間だった


では、此処までとさせて頂きます
あすもできれば通常時間から



友奈「……東郷さんにはもう。私って必要ない?」

東郷「悲しそうな友奈ちゃんなら、必要ないわ」ギュッ


では、初めて行きます


最近、良く夢を見る

ゆっくりと、欠けていく夢

気づいたらドアの前に立っていて

私は入っていいですか? と、ノックする

ドアを開けると、つまらないくらいに何もなく

ただ、窓際にベッドがポツンっと、置いてある

すべての夢で共通しているのはそこまでだ

最初はそのベッドに、久遠さんがいる

久遠さんは「あら、いつ来たの?」と

窓に映る私に気づいて振り向いて

嬉しそうな笑顔で「樹だけに」なんて。つまらない冗談を言う

私は何言ってるんですかと、苦笑いしてて

久遠さんも暇だったんだもん。と、笑う

それから他愛もない話をして、楽しんで

明るかった窓の外は暗くなって、

久遠さんが寂しそうに「もう、お別れね」と、言う

私はまた来ますから。と、名残惜しそうに返して――目を覚ました


次は、部屋に入ると

窓際のベッドにいる久遠さんらしき人が

私に振り向いて「無理してこなくてもいいのに」と、言う

らしき人。というのは

窓から差し込む光が、その人の顔を隠しちゃうからだ

私は無理しなくていいと言われたので

その人に「無理じゃないですよ」と、ちょっぴり不満げに返す

すると、

相手の女の人は「そんなことないわ。だって、疲れた顔してるわ」と

近くの椅子に座ってる私の頬に触れながら

どこか申し訳なさそうに言う

窓に映る私は、私からしてみれば普通だった

でも、その人から見れば疲れているように見えるみたいで

手で追い払うような仕草をすると「来るのは時々でいいわ。私よりも。自分を大切にしなきゃ」と、言う

そこで私が、それでも毎日来ます。久遠さんの笑顔が見たいから。と

久遠さんであろう人に言ったところで……目を覚ました


次は部屋に入ると

その時から既に窓際のベッドにいる人は私を見ていた

やっぱり顔は見えなかったけれど

その人が見ているということだけは理解った

私が「起きてたんですね」と、いうと

その人は少し黙り込んで、くすくすと困ったように笑う

だから、どうして笑うんですかと、

ムッとして言うと

その人は「別に。起きてるわけではないからね」と、ちょっぴり悲しげに言う

ベッドに横になっているその人は

体が不自由で、立って歩くことができない

それを言ったんだろうと「私が手を貸しますよ」と、言うと

その人は手だけを差し出し「じゃぁ、握ってて。貴女のことを感じたいから」と、言った


私が車椅子には乗らないんですか? というと

その人は「必要ないわ」と、申し訳なさそうに言う

その人とは他愛ない話をした。と、思う

でも、私は終始……その人の名前を呼ぶことはなかった。と

目を覚ましてから気づいて

樹「……久遠さん」

自分が泣いていたことに、気づく

なにかの前兆かもしれないと思って

色々な面で警戒していたけれど

その日も久遠さんは目を覚ますことはなく、

状態が悪化することもなく時間だけが過ぎて行った

そして、夜、寝る前に

樹「お姉ちゃん」

風「?」

樹「私、疲れてるように見える?」

と、聞いてみた


風「ん……まぁ、疲れてると思うわよ」

樹「そう、かな」

風「少なくとも。そう聞いてくる時点で疲れてるってことだと思うわ」

樹「………………」

風「天乃を想う気持ちも分かるけど。会った時に疲れた顔してたらダメなんじゃない?」

おねえちゃんはそう言うと、

私の頭を優しく撫でて、おやすみ。と部屋に入っていく

樹「……………」

夢の中で、久遠さんに疲れてるって言われて

お姉ちゃんも

はっきりとは言わなかったけど、疲れてるように見えてるんだと思う

樹「久遠さん……っ」

考えるだけ、思うだけ

それだけで寂しさがどっと押し寄せてきて

一気に目頭が熱されて、ポロポロと涙がこぼれ落ちていく

樹「声が聞きたい、表情が見たい、手を握って欲しい、抱き締めて欲しい……」

寂しいよ。辛いよ

苦しいよ、悲しいよ

怖いよ、不安だよ

樹「久遠さんっ」

久遠さんがあんな状態になってから三ヶ月半

私はきっと……体ではなく心が疲弊しきっていたんだと思う

その日、私だけの部屋で

泣き疲れて気を失うまで……泣いていたんだと

後から、お姉ちゃんに聞かされた


では、此処までとさせて頂きます
あすもできれば似たような時間から


では、本日も非安価となりますが進めていきます


「樹ちゃんはクリスマス、どうするの?」

樹「え?」

「クリスマスだよ。ク リ ス マ ス 」

テストが終わって、返却された冬休み前最後の日

クラスメイトは楽しげな顔で、そう聞いてきた

「樹ちゃんはやっぱり勇者部の人達と?」

樹「………………」

「樹ちゃん?」

樹「あ、ぇ? なに?」

「大丈夫?」

クラスメイトは心配そうに言うと

自分の額と私の額に手を当てて、熱はないみたいだけど。と、呟く

「最近……というか、だいぶ前から上の空なこと多いよね」

樹「そうかな……」

「それはもう。恋をしたあの人へ、想いよ届け、フライングマイハート! 的な具合に」

樹「……………」

「あれ、図星?」


樹「図星……なのかな」

「誰か意中の相手でもいるの?」

樹「……でも。その人はずっと遠くに居るんだ。すごく近いのに。すごく遠いんだ」

当たり前だけど

クラスメイトは久遠さんを知らない

私が毎日誘いを断って病院に行っていることは知っているけど

それがなんでなのか、誰と会っているのか

クラスメイトは追求してこなかったし

私も言おうと思ったことがないからだ

だから、急にそんなことを言ったとき

クラスメイトは唖然とした表情で私を見つめて

すぐに、私の頬をムギュっとつまんだ

「それって、樹ちゃんが毎日会いに行ってる人?」

樹「………………」

「治るかどうか不安で、気にしすぎて。だから、テストも赤点ギリギリだったの?」

意外に、鋭い


クラスメイトは勘が鋭いのか

私がそう思ったのと同時に、

ちょっとばかりムッとして、私の頬を解放して息をつく

「それが悪いことなんて言わないけどね。樹ちゃん、すぐ顔に出てくるんだよ?」

樹「…………………」

「悩んだら相談。なんでしょ? 勇者部は」

クラスメイトがそう言って、肩を叩く

ちょっぴり痛いと思いながら、クラスメイトを見ると

クラスメイトは教室の入口を見ていて

その視線を追うと

東郷「……ちょっと。お話できる?」

樹「東郷先輩?」

東郷先輩が呼んでいて

私は躊躇しながら、クラスメイトを見ると

行ってきなさいよ。と、背中を押された


東郷「ごめんね、来てもらっちゃって」

樹「いえ、なにかしていたわけでもないですから」

私の返しに、東郷先輩は特に何も言わず、

しばらく黙り込んで、私を見る

その目は力強くて

でも、その表情は悲しさを感じさせる

そんなどちらでもない東郷先輩は私の手を握ると

ちょっと暑いわね。と、優しく囁く

そして

東郷「久遠さんは何もできないだけで意識がある可能性があるわ」

と、

私が唖然としてしまうことを、平然と伝えてきた


では、此処までとさせて頂きます
明日はできる時間はわかりましたが、出来そうな時間に勧めていく予定です



では、本日も進めていこうかと思います


樹「どういう……ことですか?」

東郷先輩が嘘や冗談を言うとは思わない

でも

そんな簡単に受け入れることができるものでもなかった

なんの反応も示さない

でも、意識だけはある。なんて……

東郷「久遠さんは別に脳の機能が停止してる脳死とは違うわ」

樹「それは……はい。植物状態のようなものだと聞いてます」

東郷「そこで思ったのよ。脳波の測定をしてみたら、なにか希望が見えてくるんじゃないかって」

樹「……………」

東郷先輩の声色は明るくて

きっと、それが悪い結果ではなく

いい結果だったんだろう。と、なんとなく想像できて

けれど、疲れきった心は舞い上がることなんてできなくて

私は、喜んで食いつきたいと思いながらも

言葉は出ず、感情も表に出てこさせられなかった


そんな私に、東郷先輩は優しい目を向けた

もうちょっとだよ。と、優しい言葉をくれた

ポンポンっと、優しく肩を叩いてくれた

東郷「ちゃんとね、反応があったの」

樹「っ……」

東郷「樹ちゃんの名前を出すとね。グンっって大きく動くの」

樹「そんなの……っ」

偶然だ

儚い希望

風前の砂粒だ

そう思おうとする私の心と、でももしかしたらと考える思考の食い違いに

頭痛がして、ふらつく

それでも歯を食いしばって

東郷「これを見てみて」

東郷先輩が鞄から取り出した封筒を受け取る


久遠さんの入院している病院名が書かれた大きな封筒

その中には数枚の紙が入っていて

端の方に、久遠さんの名前と脳波測定結果という文字が書いてあって

分類別のグラフが大きく乗せられていた

樹「………………」

真横に伸びてる直線が三ヶ月前

同じく真横に伸びている直線が二ヶ月前

同じく真横に伸びている直線が一ヶ月前

そして、

直線だった線が大きく乱れているのが、先週

東郷「今朝、届いたの」

樹「……ずっと。やっていたんですか?」

東郷「目を覚まさないまでも。樹ちゃんが少しでも気が楽になればと思って」

樹「この、反応がなかったグラフも。全部東郷先輩がとどめておいてくれたんですか?」

東郷「……ええ」


東郷先輩は一瞬。躊躇った

でも、きっと

ここで嘘をつくわけには行かないと思ったんだと思う

少し辛そうな表情で頷く

樹「………………」

東郷先輩も

私たちと一緒に久遠さんのところに行った時に

何度も声をかけて

手を触れて

意識が戻るかも知れない。と、頑張ってくれていた

それなのに

それが全部無駄だったと

何も聞こえず何も感じてはもらえていなかったと

そんな現実を毎回突きつけられていた東郷先輩は

どれくらい……辛かったんだろう

どれくらい……苦しかったんだろう

どれくらい……悲しかったんだろう

そう思うと

ただ反応がないというだけで折れかけていた自分がとたんに情けなくなった


東郷「私は知らなかった。樹ちゃんと違って。何も知らなかった」

東郷先輩はそう言って、俯く

九尾さんは士気が下がるからと

東郷先輩達みんなの満開全てを久遠さんが引き継ぎ、

さらに大きな満開を

本当の満開を行うということを伏せていた

その結果、久遠さんが今の状態になると分かっていたからだ

東郷「樹ちゃんはそれを知っていたのに黙ってた」

樹「それは」

東郷「だから、おあいこ」

東郷先輩は笑った

疲れの見える笑顔を、私に向けた

ずっと

この三ヶ月半の間ずっと

重すぎるものを背負って、隠して

私たちに接してくれていた東郷先輩の笑顔は

いまだ疑念を抱こうとする私の心を。支えてくれた


支えられた心は、歪まなくなって

見たこと、聞いたこと

その全てを真っ直ぐに受け止めてくれて

樹「っ……ぅ……」

久遠さんがまだ反応できなくても

少しずつ、しっかりと戻ってきていることを感じ取って

信じて、留めて、受け止めてくれて

耐え難い熱に、ポロポロと……涙がこぼれ落ちていく

東郷「よく頑張ったわ。樹ちゃん」

東郷先輩は私の体を抱きしめると

背中を軽く叩きながら、声をかけてくれた

頑張っていたのは東郷先輩も一緒なのに

なのに……東郷先輩は私のことを気遣って

優しく。抱きしめ続けてくれた

その小さくて大きな希望を胸に

私はもっともっと。頑張ることを決めて

今までと同じように。それ以上に明るく、楽しく

久遠さんに語りかけて、接するようにした

ううん、自然とそうなっていた


√ 12月31日 夜(病院)


1、二人で年末を過ごす
2、みんなで 年末を過ごす


↓2


東郷先輩から心の支えを貰ってから早くも数日が経って

気づけば、年末

無事復帰した園子さんも交えた勇者部全員で

久遠さんの病室で年を越すことにした

別に示し合わせたわけじゃなかった

でも

夏凜さんが年末をどう過ごしたいか

そう、みんなにメッセージを送った結果が

満場一致で久遠さんの病室だった

風「病室で集まって年を越すなんて。二度とないでしょうね」

夏凜「あって欲しくないわよ」

園子「でも、みんなで集まるって言うのはこの先も続けたいな~」

東郷「そうね……風先輩が高校生になっても。また」

夏凜「……高校生になれればいいけど」

風「今の時期にそういうの止めてっ」

樹「…………………」


病室はとても明るかった

とても賑やかだった

お腹が大きくなった久遠さんを囲むようにして椅子に座っているからか

まるで、久遠さんも話に参加しているような気分だった

でも、みんなは久遠さんが聞こえたりしていても

何も言わず何も反応していないことを知らないわけじゃない

時々、ちらっと久遠さんを見ては

ちょっぴりと残念そうな顔をして時計を見る

夏凜「ふわぁ……ふぅ。あと、何分?」

風「10分くらい? 眠いなら寝ていいのよ? お子様にはきついでしょ?」

夏凜「あんたねぇ……」

友奈「でも、確かにちょっと眠くなってきちゃったかも」

東郷「いつもは寝ている時間だからね」

園子「zzz……はっ、寝てないよ~……zzz」

樹「園子さんは限界ですね」


チッチッチッチッ……と、

全員に見えるように置かれた時計が時間を刻んでいく

あと9分

あと8ふ……

風「年越しうどん。も一回食べる?」

東郷「唐突過ぎませんか?」

風「いやぁ、ほら。乃木に夏凜に友奈。ウトウト組が増えてきたし」

樹「それとこれとは関係ないよ。お姉ちゃん」

東郷「まさか……お腹が空いたんですか?」

風「そういうわけじゃないんだけど。眠気覚ましに。ね」

お姉ちゃんは東郷先輩の視線に冷や汗を流しながら、否定して

欠伸をするような素振りを見せて、苦笑する

うどんを食べるのが眠気覚ましになるのか。という疑問はないらしく

東郷先輩は太りますよ。と、痛恨の一撃を加え、お姉ちゃんの目を覚まさせた


樹「……久遠さん」

ぎゅっと、手を握る

当たり前のように何も言わず

瞬き一つしない人形のような久遠さんを見つめると

お姉ちゃんが私の頭を軽く撫でてきた

風「今年は本当に良く。頑張ったわね。樹」

樹「お姉ちゃん……」

風「出来なかったこと。やらなかったこと。それを頑張って、出来るようにしていった樹は本当に偉い」

お姉ちゃんは嬉しそうに言いつつも、

目元に涙を携えていて

風「花嫁修業みたいだって、思ってたけど。本当にそうなっちゃって」

東郷「炊事洗濯等に加えてお裁縫も頑張って習得してましたね」

樹「まだ、完璧とは言えないですけど。でも」

ちらっと、久遠さんを見る

それもこれも全部、久遠さんにしてみせたかったことなんですよ。と

何度も伝えてきた言葉を心の中に浮かべる


樹「……久遠さん」

とうとう、今年中に戻ってきてくれることはなかった

それが言えるようになってしまうまでの残りの5分間

私は時計を見続けた

久遠さんの手を握ったまま、ずっと。時計を見続けた

東郷「友奈ちゃんたち。起こします?」

風「無理に起こすこともないんじゃない?」

東郷「夏凜ちゃんに後で小言言われても知りませんよ?」

風「やっぱり起こす」

お姉ちゃんと東郷先輩が寝ちゃっていた友奈さんたちを起こして……残り一分

園子「ふわぁ……あと何秒かな~?」

東郷「20秒……19……18……」

園子「……そっかぁ」

園子さんは久遠先輩を一瞥して、辺りを見渡して、息をつく

今年中は難しいと思ったのかもしれない

それはみんなも一緒で

除夜の鐘が聞こえるまでの間に、全員が久遠さんの手に手を重ねて目を閉じる

そして

ゴーン……ゴーン……

どこかから鐘の音が聞こえて、

一年が終わり、一年が始まった


友奈「………………」

みんながゆっくりと目を開けて、

久遠さんの方を見つめる

何も言わない

なんの反応も示さない

風「……と。というわけで! 今年もよろしく!」

その空気をまずいと思ったのか

お姉ちゃんが声を張り上げて、空気を裂く

東郷「よろしくお願いします」

それを皮切りに、

園子「今年から。が正しいかもしれないけど。よろしくね~」

多少、明るさを削がれながらも

友奈「よろしくお願いしますっ」

一人ずつ、挨拶をしていく

そして皆が皆を見渡す中で

樹「よろしく……お願いします」

私だけは見渡したあとに、久遠さんを見つめて言う

一番言いたかった相手

一番最初に言い合いたかった相手

その人は、言い返しては――

天乃「……うどん食べてないから。年越しキャンセルで」

樹「え?」

そうやってふざけて……

樹「っ」

天乃「ダメ?」

樹「ダメですっ!」

言い返しては、くれなかった


夏凜「……は、ぁ、あんた!」

天乃「?」

夏凜「なんなのよ! なんでっ!」

今までの辛さ、苦しさ、悲しさ

それらをすべて押し流すようなあっさりとした久遠さんの姿勢に、

涙さえなく、夏凜さんが怒鳴ると

久遠さんは小首をかしげて、頷く

天乃「よくわからないけど、若葉が助けてくれたのよ」

九尾「若葉は元々、素戔嗚尊として主様に遣えていたからのう」

風「きゅ、九尾!」

九尾「年神を連れゆくのは当然じゃろう」

くすくすと、どこからともなく現れた九尾さんは笑う

なにがなんだかわからない

それは私だけじゃなくみんなが同じで

困惑して、唖然としているにも関わらず、

久遠さんだけはいつもの調子で

天乃「マーボ丼を食べたいわ」

樹「……体、壊しちゃいますっ!」

天乃「そうよね……残念」

悩むことも、考えることも

何もかもを……放棄して――


1、抱きしめる
2、キスをする
3、天乃の頬をつねる
4、遅いじゃないですか。と、怒鳴る
5、今度、作ってあげます。と。言う


↓2


樹「久遠さん」

一度はしようとして

天乃「な――っ」

けれども諦めた――キスをする

久遠さんは接触の一瞬だけ驚いて

すぐに、受け入れてくれた

見開いていた目をゆっくりと閉じて

驚きに戸惑っていた唇を解して

久遠さんは私に全てを委ねて、ベッドへと横になっていき

私は唇同士をつなげたまま、

そのあとを追うようにして折り重なる

みんなの視線を感じる

けれど、誰ひとりとして言葉を発することはなくて

私達は私たちの世界へと、入り込んでいった


では、此処までとさせて頂きます
明日は早めの再開となる予定ですが
エピローグですので、おそらく安価はなしとなります



寝ていたのは約4ヶ月ですね


では、進めていきます


ごめんねと、久遠さんは言う

待たせちゃったねと、申し訳なさそうに言う

だから私は

樹「そう思うなら、言うべき言葉がほかにあると思います」

と、言い返す

久遠さんは「怒ってる?」と聞いてきたけれど

自分のほほの膨らみを感じながら、私は答えずに久遠さんを見つめる

きっと、久遠さんには睨んでいるように見えてるに違いない

押しに弱い久遠さんは、

元々自分が悪いということも相極まって

困った顔で、お姉ちゃんを見る

天乃「ふ、風……」

本当、こういうところが可愛くて仕方がない

困りに困って右往左往してる久遠さんの瞳が愛らしくて仕方がない

そんな自分を悪い子だと評する心に、これは久遠さんが悪いから。と、もう暫く様子を見ていると

久遠さんはハッとしたように目を開く

天乃「あけましておめでとう、いつ――」

樹「ふざけてます?」

天乃「……割と真面目だったんだけどな」


年始の言葉をかき消すと、

久遠さんは自分の大きなお腹を一瞥して、息をつく

天乃「ありがとね。待っててくれて」

樹「………………」

天乃「改めて言おうと思うと気恥ずかしくて。ついつい先延ばしにしちゃったんだけど」

久遠さんは照れくさそうな表情で私を見て、

お姉ちゃんたちに視線を巡らせて、私へと戻す

そして

天乃「ただいま」

樹「っ」

久遠さんは満面の笑みでそう言った

ずっと聞きたかった言葉

言われたかった言葉

ありがとう、ごめんなさいよりもずっと

久遠さんが帰ってきてくれたことを心身ともに実感できる

とても簡単で、誰もが使う。一言

樹「……お帰りなさいっ、久遠さんっ!」

久遠さんらしい適当なやり取りの遠回りで引きかけていた涙が溢れていく

自分がどんな顔しているのか分からないほどに、ぐちゃぐちゃで

でも、嬉しさに満ち満ちている心が、笑顔だよ。と、囁く


私の待ち続ける生活は、一年とともに去っていった


風「天乃が目を覚ましたら、怒るつもりだったんだけど」

夏凜「全くよ。怒るに怒れないわ」

園子「天さん、感動する空気すら壊しに来たからね~」

園子さんの困り声に、

お姉ちゃん達はうんうんと頷いて、

友奈さんもちょっぴり困り顔で笑う

まとまりがないように見える

喜んでいないようにも見える

でも、みんな内心はすごく喜んでいるんだと

醸し出される空気感は物語る

全ての元凶である久遠さんを見てみると、

悪気がないどころか

してやったりというような満足気な微笑みを浮かべていた

多分、

そういうふうに、騒がれるのが気恥ずかしかったのかもしれない

私と二人きりだったらどんなふうな年始になっていたんだろうかと、ちょっと。気になった


天乃「そういえば、樹」

樹「は、はい」

天乃「この調子だと。文化祭はちょっと見に行けないと思うわ」

樹「あ………」

天乃「そこだけはごめんね」

久遠さんは残念そうに呟く

そうだ

久遠さんはもう妊娠30週近くで

もちろん、動くなとか外出するなというほどではないけれど

私と同身長

つまり、同年代の久遠さんが妊婦として、何も知らない人たちの前に姿を現すことは

あまり、勧められたことじゃないし

そこで早産になってしまったりなんかした場合、大変なことになる

ただでさえ、一卵性双生児という普通より大変なことになってるんだから

わがままは、通せない

樹「久遠さんが無事に子供を産むためですから。文句はないですよ」

天乃「うん、ありがと」


夏凜「じゃぁ、うちの兄貴にでも。文化祭の撮影班でもやってもらうわ」

園子「にぼっし~さすが~」

天乃「なかなか良質なダシが出るじゃない」

夏凜「ダシなんか出てないわよっ!」

園子さんと久遠さん

園子さんの「にぼっしー」呼びは諦めたみたいだけど

久遠さんは久しぶりなせいか、まだ諦めきれないらしい

……諦めるしかないというのが

夏凜さんには可愛そうですけど

夏凜「と、とにかく。天乃をそうしたのは兄貴だし。そのくらいはね」

天乃「どちらかと言えばして貰ったんだけどね。春信さんの都合がつくようならそうしてくれると嬉しい」

夏凜「有給でも取るでしょ。兄貴なら……まぁ、取らなきゃ溜めるだけなんだから。使わせとかないとね」

天乃「体調。気をつけるように言ってね? 私がご飯作ってあげられればいいんだけど。この通りだから」

風「そんなこと言うと樹がヤキモチ妬くわよ」

樹「久遠さんはそういう人だって知ってるから平気だよ。お姉ちゃん」

東郷「その平気という言葉は正しいのかしら?」


会話に久遠さんが混じってくる

普通の人からしてみれば当たり前で、些細な変化

でも、私達はそれが嬉しくて

私たちだけじゃなく

眠たそうだった友奈さんや夏凜さん、園子さんまですっかり目が覚めて

年越しのことなんてすっかり忘れ

時間も気にせず話し込む

久遠さんが眠っている間に何があったのか、何をしていたのか

これからどんなことをする予定で、どんなことがあるのか

語って聞かせていたことを

久遠さんの言葉を交えて……会話とする

樹「えへへっ」

当たり前を

普通を

日常を

私達は噛み締めて生きていく

当たり前であること、

普通であること

日常であること

それが実はとても脆く、儚く、特別なことであることを

私達はこの一年で強く、思い知らされたからだ


√ 4月?日 (病院)



天乃が目を覚ましてから、数ヶ月経ったある日のこと

分娩室の近くの待機椅子には樹以外の勇者部

そして

そのすぐ横の壁に寄りかかる春信の姿があった

春信「……………」

夏凜「落ち着いてるわね」

春信「……そう見えうのなら、何も言うな」

夏凜「……そのほうがよさそうね」

夏凜は春信と一言交わしただけで察して、息をつくと

そわそわとしていたり

ウロウロと落ち着きのない勇者部一同を見渡す

夏凜「あんた達が緊張してたって、なんにもならないでしょ。少し落ち着きなさい」

風「だ、だって……姪が。もうすぐ姪が生まれんのよ!?」

夏凜「それは私のはずなんだけど」

風「天乃は犬吠埼家なんだからあたしよ。アタシ!」

夏凜「はぁ……」

緊張してるのは私もなんだけど……風を見てると嫌でも落ち着けるわね

大事な唯一の家族

その恋人が子供を産むんだから仕方がないといえば仕方がないけど


友奈「二人共女の子なんだよね?」

東郷「ええ。そうみたいよ」

友奈「双子の女の子かぁ……久遠さんに似てるのかな? 春信さんに似てるのかな?」

銀「それ、後ろ側だったらどうなるんだ?」

園子「ミノさんみたいなイケメン女子の誕生だよ~」

銀「アタシは別にイケ……そ、そんなくっつくな~っ!」

言いながら身を寄せてくる園子と

それに対して照れくさそうに押し返す銀

そのふたりを眺めながら、若葉は深く息を吐く

若葉「平和だな」

球子「……過去がどうだったか。タマ達がどうだったか。なんて、今ここには関係ないぞ」

若葉「分かっている。ただ、私達が見てきた陽乃のアレとどうしても比べてしまうんだ」

球子「……若葉」

若葉「分かっている」

球子「だったら――暗い顔すんなーっ!」

若葉「っゃ――球子ぉっ!」

むぎゅっとお尻を鷲掴みにされ、若葉が怒鳴る

その騒がしさは、分娩室の中にまで届いていた


樹「聞こえてますか?」

天乃「っ、ぅ……ちょっ、ひっぁ……」

樹「っ!」

手を握る手が強く握り締められて、

樹は思わず叫びそうになって歯を食い縛る

今叫ぶべきは自分じゃない

叫んでいいのは

ものすごく大きなお腹で

分娩台に横たわって、必死で子供を産もうとしてる久遠さんだ

そして、今から出てくる子供だ

樹はそう強く心に決めて

握り締められるだけの痛みなんてちっぽけなくらい痛い思いをしている天乃を見つめ、

汗に濡れた顔をタオルで拭う

天乃「はぁっはぁっ……っ、さ、裂けるかもっ」

「大丈夫ですよ、ゆっくり。ゆっくりでいいですから。息を吸って……吐いて……」


助産師の指示に従ってゆっくりと頑張って、

それでも激しい痛みに呻く天乃を、樹はじっと見つめ続けた

痛い、辛い、苦しい

ずっと聞いてきた出産というものを目の前で見て

それでも、自分はその全てを分かるなんて言えないんだろうな。と

樹は思い至って、天乃の頬を拭い、手を握る

経験しなければ、わからない

経験しなくても知ることはできる。学ぶことはできる

でも絶対に、理解はできない

だから、頑張ってなんていないけれど。と

樹は天乃に優しく笑みを向けて

樹「そばにいますよ。ちゃんと、この手を握ってます」

それだけを告げる

辛そうで、苦しそうで、痛そうで

荒い呼吸も収まらない中で、天乃は「ありがと」と、樹に答える


これは絶対にしなければいけないことだ。と強制された出産だ

そうしなければ生きていくことはできないからと

諦めたからこそ行うことになった出産だ

ゆえに、それは望んでいないことだったと言えるのかもしれない

けれど、

天乃も樹も生まれてくる子供にそんなことなんて関係がなくて

そんなことで愛されない理由にも、愛さない理由にもならないと分かっている

だから

どんな子供が生まれてくるのかと、楽しみで、待ち遠しくて

頑張って、頑張って、頑張って

そして

樹「ぁ……」

一人の頭が見えて、ゆっくりと体が見えて

ぬるっとした小さな小さな子供が完全に姿を現して元気な声が病院の中に響き渡る

そしてそのすぐ後にもう一人……

双子の女の子がこの日。産まれてきた


天乃「……見て、ほら。顔が一緒」

樹「まだ生まれて十数分ですからね」

分娩室から出れるようになるまでの二時間程度

樹と天乃とその子供は四人でとどまって、

子供を刺激しすぎないように小声で話す

天乃は嬉しそうで、

樹も嬉しそうで

影から見守る九尾は、昔はどうだったかと思い返し

懐かしんで、首を振る

昔は昔、今は今だからだ

樹「そういえば、春信さんがもう早速出生手続きとかしに行こうとしてるらしいですよ」

天乃「気が早いわね」

樹「さっきちらっと見ただけですけど。看護師さんがすごく困ってました」

天乃「どうして?」

樹「子供の名前が記入されてないからです。決めてませんよね。名前」

天乃「……そう。だったわね」


春信と天乃の子供ではあるが

恋人の関係があるのは樹で

誰がどう決めるべきかのかと悩んで、考えて、相談しているうちに

名前が決まるよりも先に子供が生まれてきてしまったわけだ

春信はそのことなんて頭から抜けて

手続きしなければ。と、焦ったに違いない

そんならしいようならしくないような

ちょっと残念なミスをする春信を思って、くすくすと笑う

天乃「まぁ、春信さんがちゃんと結婚相手を見つけて。その相手が出産した時の練習になったなら良かったかな」

樹「あまり、良くはない気がしますけど」

でも

子供たちには呆れられちゃいそうだけど

そんな風にちょっぴり緩いのが自分たちなんだと、樹は苦笑する

大人になったらしっかりできるだろうか

それは分からない

でも、少なくとも

天乃や勇者部のみんなと一緒に大人になることができるのだと

樹は嬉し涙をこぼし、拭って


樹「子供の名前、決めましょうか」


そう言って、笑みを浮かべる

誰一人として欠けることのなかったこの世界は

これからもずっと……続いていく

そして

新たに生まれた二人の子供が成長し、

その力に気づいたとき――世界は大きく動くのだろう



クリアデータ:久遠天乃は勇者である(happy end④)

データを保存


……………………


・久遠天乃のデータを使用することが可能です
・伊集院沙織のデータを保存しました
・夢路瞳のデータを保存しました
・相反する双子のデータは保存することを許可されていません
・乃木若葉のデータの保存に失敗しました
・土居球子のデータの保存に失敗しました
・久遠陽乃の初期データが不正に作成されています
・久遠陽乃のデータを使用することが可能です
・九尾の∀※#@§error!!  error!!


・乃木若葉は勇者であるを開放しました
・久遠陽乃は……であるを開放しました?


では、今回の物語もこれにて終了とさせていただきます
今回もありがとうございました。お疲れ様でした

いろいろなっていますが、
物語に関してはしっかりとハッピーエンドなので安心して頂ければな。と



ニューゲームに関しては特に考えていなかったのと
二作通して久遠さんを主人公としてやってきて
今更久遠さん以外で改めてやり通せるのかという疑問もあるので
とりあえず、一旦休憩を挟みたいと思います
21時ころには戻れるかと思います


では、初めて行きます


舞台設定としては


・久遠天乃は勇者である(今回作成したデータ再利用)

・結城友奈は勇者である

・鷲尾須美は勇者である

・乃木若葉は勇者である

・久遠陽乃は……である?(久遠天乃は勇者であるの西暦版)


の5つです

久遠天乃、久遠陽乃に関しては、キャラメイクなしでのスタートとなります
それ以外に関してはキャラメイク等から行います


まずはじめに舞台設定の選択となりますが
45分頃からの多数決とさせていただきます

あれクオンサン以外キツイって話だったのにキャラメイクあるの?


>>292
キャラメイクなしだと選択肢が狭いかなと
久遠さんスレで問題がなければ削ってしまいます



では、申し訳ありませんが
今回も完結するために、
いずれにしてもキャラメイクを抜かせていただこうかと思います

久遠さんの設定変更または、再利用になります。ご了承ください


55分からやらせていただきます


1、久遠天乃は勇者である(前回設定流用)
2、結城友奈は勇者である
3、鷲尾須美は勇者である
4、乃木若葉は勇者である
5、久遠陽乃は……である?(前回の西暦編)


↓1~↓3


久遠 天乃(くおん あまの)

中学3年生(学校には通っていない) 髪:ピンク 瞳:橙 髪型:ポニー(ロング)

身長148cm バスト84cm  誕生日6月6日

家族構成(姉、兄、父親、母親、祖父、祖母)

麻婆が好きできのこが嫌い

カラー:黒 武器:素手・刀  性格:自由気まま

過去:先代勇者(ステータス前回のを若干引用します)

現在:園子とお祀り状態

満開:7回(味覚、聴覚①、聴覚②、記憶①、片腕(左)、片足(右)、片足(左))

精霊(大熊猫、天火明命、スサノオ、カワウソ、稲荷、穿山甲、死神、九尾 )



前回の設定を流用だとこちらになります


現在置かれている状況の変更が可能です

また

精霊を
久遠天乃は勇者であるの最新版(銀、若葉、球子、カワウソ、稲荷、死神、九尾、天火明命)へと更新が可能です



1、精霊を更新する
2、現在の状況を変更する
3、両方を変更する
4、変更しない


↓1~↓3


現在の状況を変更します


1、自宅療養
2、保健室の主
3、行方不明(死神による隠密と、九尾によるまやかし)
4、勇者部の設立者で特別クラスの三年生


↓1~↓3


久遠 天乃(くおん あまの)

中学3年生(学校には通っていない) 髪:ピンク 瞳:橙 髪型:ポニー(ロング)

身長148cm バスト84cm  誕生日6月6日

家族構成(姉、兄、父親、母親、祖父、祖母)

麻婆が好きできのこが嫌い

カラー:黒 武器:素手・刀  性格:自由気まま

過去:先代勇者(ステータス前回のを若干引用します)

現在:勇者部の設立者で特別クラスの三年生

満開:7回(味覚、聴覚①、聴覚②、記憶①、片腕(左)、片足(右)、片足(左))

精霊(大熊猫、天火明命、スサノオ、カワウソ、稲荷、穿山甲、死神、九尾 )



では、こちらでのスタートとなります
勇者部設立者となるので、風とは知り合いの関係になりますので
後ひとつ安価を取ります


1、樹に会ったことがある
2、樹には会わないようにしていた


↓1~↓3


では、それで進めていきます
あとは開始時点での絆値判定になります


友奈+4 樹+1 東郷+2


↓1  コンマ一桁 +5  +個人差 


風+7  園子・九尾・死神・稲荷+10


  ↓1コンマ一桁 +10


物語開始前 まとめ

変更・現在の状況
祀られから、勇者部の設立者へ


物語開始前 絆値


  乃木園子との絆 25(中々良い)
  犬吠埼風との絆 22(中々良い)
  犬吠埼樹との絆 16(普通)
  結城友奈との絆 19(普通)
  東郷三森との絆 17(普通)
     九尾との絆 25(中々良い)
      死神との絆 25(中々良い)
      稲狐との絆 25(中々良い)
      神樹との絆 5(低い)


では、この設定で明日からまた初めて行こうかと思います
ありがとうございました


スレに関しては、こちらを落として
また別でスレを立てる予定となります

【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【一輪目】
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【一輪目】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1464699221/)


では、上記のスレからリスタートとなります

満開での代償箇所等、微調整はしていく予定です

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