【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ8】 (1000)

このスレは安価で

結城友奈は勇者である
鷲尾須美は勇者である

を遊ぶゲーム形式なスレです


目的


・未来を作る


安価

・コンマと選択肢を組み合わせた選択肢制
・選択肢に関しては、単発・連取(選択肢安価を2連続)は禁止
・投下開始から30分ほどは単発云々は気にせず進行
・判定に関しては、常に単発云々は気にしない
・イベント判定の場合は、当たったキャラからの交流
・交流キャラを選択した場合は、自分からの交流となります


日数
一ヶ月=2週間で進めていきます
【平日5日、休日2日の週7日】×2


能力
HP MP SP 防御 素早 射撃 格闘 回避 命中 
この9個の能力でステータスを設定

HP:体力。0になると死亡。1/10以下で瀕死状態になり、全ステータスが1/3減少
MP:満開するために必要なポイント。HP以外のステータスが倍になる
防御:防御力。攻撃を受けた際の被ダメージ計算に用いる
素早:素早さ。行動優先順位に用いる
射撃:射撃技量。射撃技のダメージ底上げ
格闘:格闘技量。格闘技のダメージ底上げ
回避:回避力。回避力計算に用いる
命中:命中率。技の命中精度に用いる

※HPに関しては鷲尾ストーリーでは0=死になります


戦闘の計算
格闘ダメージ:格闘技量+技威力+コンマ-相手の防御力
射撃ダメージ:射撃技量+技威力+コンマ-相手の防御力
回避率:自分の回避-相手の命中。相手の命中率を回避が超えていれば回避率75%
命中率:自分の命中-相手の回避。相手の回避率を命中が超えていれば命中率100%


wiki→【http://www46.atwiki.jp/anka_yuyuyu/】  不定期更新 ※前周はこちらに


前スレ
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ1】
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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ2】
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ2】 - SSまとめ速報
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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ3】
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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ4】
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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ5】
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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ6】
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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ7】
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SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1454831460



天乃「……なにこれ」

白を基調とした九尾の装束

黒を基調とした死神の装束

しかし、

新たな天乃の装束は様々な色が混在していた

黄色、緑、赤、桃、青、橙に加えて、

当然、白や黒もあり、さらにそれ以外の色も

それは確かに美しく

確かに毒々しく

確かに、禍々しいもので

友奈達は唖然とその姿を見つめていた

天乃「私、こういう色物系苦手なんだけど」

銀「容姿は地味じゃないくせして、私服はいつも地味だったもんな」

天乃「それは関係ないでしょ」

若葉「無駄話は後だ。違和感が無いなら、さっさとバーテックスを仕留めるぞ」

球子「それには同感するぞ」


1、移動 ※マップより座標選択 黄色は神速使用
2、待機 ※先に勇者部と敵が行動
3、隠密 ※SP30消費で1ターンの間姿を消す
4、直感 ※ひらめき、必中がかかる
5、待機指示 ※敵のみ先に行動

↓2


http://i.imgur.com/WN6X76o.png


天乃「とりあえず、前進。仕掛けてくるかも知れないから油断はしないで」

死神と九尾の力を併用しているからか、

どちらか片方を身にまとっている時よりも

はるかに強い力を感じる

でも、満身はしない

どれだけ強い力を身に付けようとも

自分自身はやはり人間なのだ

勇者であろうと巫女であろうと

そうでなかろうとやはり人間で

強いように見えて弱い存在であると天乃は分かっているのだ

天乃「……………」

今まで感じたことのない違和感

触れるべきではないと警笛を鳴らす心臓

けれどもそれは違和感ゆえに、触れる以外の道がない

そして、それらは天乃達が動くと同時に動き出す


双子座は走る

ただひたすらに走る

向かう先に勇者がいるとしても

いや、いるからこそふたご座のバーテックスはひた走る

勇者に殺されるために

あるいは勇者を殺させるために

ただ、無駄に、無意味に、無慈悲に……食い殺されることだけは避けるために

ソレは白い体を跳ねさせるようにして迫ってくる

しかし

最悪ではなく、最良なことに

それは双子座よりもほんの少し早いだけだった

ゆえに、双子座は勝利を確信する

目の前に勇者がいる

追いついた。たどり着いた

そして人知れず、双子座はにやりと笑った


天乃「な……ッ」

ふたご座のバーテックス彼らは天乃達に何もしなかった

まるで、そこにある石像であると認識しているかのように

近づき、横を抜けていく

銀「なんだ!?」

若葉「くっ、私たちを馬鹿にしているのか!?」

天乃「そうじゃない」

何かが近づいてきている

遠くからなにか白いものが迫ってきているのが見える

大きい樹木はなんの意味もなく

エノキダケのように容易くへし折られていく

天乃「そうじゃない……」

樹「逃げてるんです」

球子「逃げてる……?」

樹「アレから……あの、なにかおかしなものから逃げてるんですよッ!」

樹は叫ぶ

それが近づいてきてようやく

その恐ろしさに気がついたからだ


不明→天乃  命中不可  ただし特例により  ↓1コンマゾロ目で命中


天乃「っ!」

ほとんど一瞬だった

巨木の隙間から見えていた白いものが消え、

なんの邪魔もなくソレが視界を埋める

天乃「見える」

けれど天乃はその速度にですら追いついていた

否、追い抜いていた

白い球体の大きな切れ込みが開き

そこから見える刃のような歯が自分を串刺しにしようとしたのを見て、確認し、

人にとっては素早く、

神にとってはゆっくりと躱す

天乃「焦る必要なんて――」

しかし

グシャリと音がした

バキッと音がした

グチャッと音がした

汚い食べこぼしのようにボトッとそれは落ち、転がる

天乃「………ちょ、ちょっと」

転がり、天乃へとたどり着いた双子座の頭部はすぐに、砂となって消えた


天乃「食事してるのは何度も見たけど、人型は……」

樹「っ」

友奈「そんなっ……そんなっ!」

風「嘘……っ」

それはバーテックスを喰らった

けれども双子座のバーテックスという人型の存在が目の前で食い殺されるという凄惨な映像は

もしも自分たちが

あるいは知り合いの人々がその立場であったらという恐怖をつくり出した

動きが止まる

恐怖に震え、絶望に押し出されていく希望によって吐き気を催す

けれど幸運なことに

それをトラウマとしながら

それを戦う糧とした少女がいた

球子「今更怯えるなッ、勇者なんだろッ!」

天乃「……球子」

球子「お前らはなんだッ! 逃げることしかできない奴か。それとも、戦うことのできる奴か! どっちなんだ!」

夏凜「っ………」

球子「戦えないなら逃げろ、タマが守ってやる! でも戦えるのなら戦えないやつを守れッ! 現代勇者ッ!」

http://i.imgur.com/y1xivcn.png


1、不明を攻める
2、ふたご座を討伐する
3、勇者部行動後に行動
4、直感 ※SP10消費  絶対命中、絶対回避
5、魂   ※SP48消費  ダメージ2.5倍
6、覚醒  ※SP70消費  二回行動
7、勇気  ※SP60消費  熱血、必中、不屈、加速、直撃、気合


↓2


天乃「自信のある子だけ私に手を貸して。他は、ふたご座をお願い」

自信があってもできるのならばあれの相手は自分に任せて欲しい

しかし、

それを納得して受け入れてくれるほど

樹達は天乃に無関心ではない

だからこその判断

だからこその指示

それに全員が頷く

若葉「私達は主様と同じくやつを攻める。異論はないな?」

銀「当然」

球子「ああ、それが正しい」

一人で勝手に突出することのなくなった若葉の姿を球子は見つめ、頷いた


天乃→不明 ↓1 必中 ただし、ゾロ目で回避   01~10  30~39  70~79でCRI

若葉→不明 ↓2 01~65で命中    ゾロ目でCRI

球子→不明 ↓3 01~30で命中    ゾロ目でCRI

銀→不明 ↓4 01~80で命中    ゾロ目でCRI

樹→不明 ↓5 0ゾロ目で命中


天乃→2600ダメージ

若葉→920ダメージ

球子→725ダメージ

銀→650ダメージ


不明に4895ダメージ

不明消滅

別働隊、双子座討伐完了



その白い球体に嘘偽りはなく

まるでマシュマロのように容易く、刃が通る

天乃「………っ」

軽い

余りにも軽い

空気を切っているかのような手応えのなさ

銀「なんだこれ」

同じく攻撃した銀も若葉も球子も

全員がその違和感に疑問を抱く中、

白い何かは塵となって消滅する

いつも出てくる光はなく、ただ、粉となっていくその散り際はバーテックスよりもさらに奇妙で

樹「核が……無い?」

新たな戦いが控えているのだと

天乃たちへの知らせとなった


√ 8月3日目 夜(某所) ※火曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地、球子との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、球子
12、イベント判定
13、勇者会議

↓2


夏凜「あれについては、流石に大赦も調査中。残念ながら、詳細不明」

風「解ってるのは核がなく、バーテックスを食べちゃう化物ってところかしらね」

バーテックス自体も化物だ

しかし、あれはそれ以上の化物であることは間違いない

天乃「斬っても斬ってる感じがしなかった」

若葉「私もだ。豆腐……というべきか。容易く真っ二つになったんだ」

東郷「恐らくですが、あれには耐久力というものが存在しないのかと思います」

殴れば凹むのではなく、四散し、

斬れば真っ二つに分かれていく

そんなものすごく脆い何か

樹「なぜ、そんな未完成なものが樹海に……」

銀「案外、あれが完成って可能性もある」

銀の一言に全員の目が向けられ、

続けにくくなった銀は困った顔で天乃を見る

けれども、天乃は続けて。と、言わんばかりに頷いた

銀「要するに、一点特化っていうか。双子座を見ただろ? ひと噛みでグチャグチャになった」

球子「銀が言いたいのはつまり、例え精霊の特別な守りがあろうと、それごと噛み砕かれるってことだ」


もしもそれが本当なら、

そう考えるなと、勇者たちは頭の中に強く、強く言葉を叩きつけた

手が震える。足が震える

恐怖に震える奥歯がかちかちと……音を立てる

樹「で、でも。それならどうして双子座のバーテックスを――」

九尾「それはお主達に恐怖を植え付けるためじゃろうな」

友奈「きょ、恐怖……?」

九尾「昔、人間は作物を荒らすカラスに対し、殺したカラスを吊るし、見せしめにしていたと聞く。恐らくはそれに似たものじゃ」

天乃「……逃げても無駄。追いかけて食い殺してみせるってこと?」

九尾「断定はできぬが、あれ以外が侵入しなかった理由。ただ妾達の元へと逃げてきた理由としては十分じゃろう」

九尾にでさえ、

あれは初顔合わせで、情報が少なかった

確かに、似通った存在である星屑が外の世界には溢れている

しかし、それとは全く比べ物にはならない

大きさは約10m、口径は双子座を余裕で飲み込めるほど

人間なら、勇者全員であれど余裕で食べられるだろう


風「で、でもさ。耐久力がないって言うなら簡単に……」

球子「あれが一人一体くらいの量で来てくれるなら、簡単かもな」

若葉「絶望的観測としていうが、あれは殆ど中身がない。普通のバーテックスより、低コストで量産可能に思える」

もしそうなら

本当に、そんなことが可能だったのなら

樹「っ………」

飲み込む、掻き消す、忘れる、捨てる、逃げる

考えるな、言うな、思うな

そうやって、本当の絶望的観測から目を背ける

夏凜「で、その対策も踏まえて、大赦は一度全員の端末をよこせって来てるわけだけど。どうする?」

一度絶望し、砕け、再び積み上げていく夏凜は

ほかの勇者部のメンバーとは違って、そこまで動じることなく問う

夏凜「身内っていうか、内部で争ってる場合じゃないし……当然といえば当然だけど、今までのことは一応不問にするとも来てるわ」


天乃「不問にする。ね」

樹「ごめんなさい」

天乃「別に樹が謝る事ではないわ」

元はといえば、向こうが余計な手出しをしたせいで反乱を起こしたのだから

不問にするのではなく、

不問にしてもらう代わりに強化か何かをする。というべきな気もするが、

重要なのはそこではない

なにかができるのか。という点だ

九尾「正直、主様に関しては渡す必要はなかろう。むしろ、弱体化の危険性もある」

天乃「それ以前に、私はもう神樹の加護を受けられる立場ではないしね」

樹「私たちは……」

樹は迷う

自分達は反逆者であり、逃亡者

改修などしてもらう立場ではないし、良くなるという保証もない


1、大丈夫よ。してくれるというのなら、してもらいなさい
2、貴女達の好きにしなさい


↓2


天乃「私は無理強いはしないし、ダメとも言わないわよ」

樹「……………」

天乃「貴女達の好きにしなさい」

そう言って、天乃は笑みを浮かべた

嘘偽りのない表情

本当に、心から、委ねてくれているのだとわかる表情

だからこそ、樹は首を横に振った

樹「私は、渡しません」

風「樹、なんで?」

樹「私は大赦や神樹……様と戦うと決めたから。だから、渡さない。渡しちゃいけないんだよ。お姉ちゃん」

決意の上に、起こした戦い

たくさん傷つけ、苦しませた

それを不問にするわけには行かない

その責任をすべて投げ捨ててはいけない

夏凜「だったら、私も。敵に回すと決めた以上。樹の言うとおり、不問になんてされても困る」

その考えに、夏凜も乗った


風「東郷、それに友奈は?」

東郷「私は、万全であるためにも提出を推奨します」

友奈「私も……東郷さんに同じかな」

天乃「それで、風は?」

勇者部は五人

二人ずつで意見の別れた今、

部長であり、リーダーでもある風の意見でそれは決定になる

妹の意思を尊重するか

東郷の言うとおり、万全を期すために提出するか

風「くっ……あたしの意見が全てっていうのはこうも難しかったのかっ」

九尾「他の者の意思を捻じ曲げ従わせ。失敗の責を負い、成功の得を与える。それが長じゃ。決めよ部長。主がその者達の長ならば」

風「…………………」

樹を見て、夏凜を見て

友奈を見て、東郷を見て、天乃を見る

大赦に敵対した。しかし、万全を期す必要があるのは事実だ

死んでは意味などない

だから

風「樹、端末を出しなさい。大赦に送るわ」

樹の意思を捻じ曲げ、その辛い気持ちを背負い、生存への道を探し出す

樹「……理解った」

風「ごめんなんて。言わないからね」

生きて欲しい。死なないで欲しい

みんなを生かす。そのためならば、みんなに恨まれよう

犬吠埼風は年長者として、リーダーとして

それを決意した

1日のまとめ

・  乃木園子:交流無()
・  乃木若葉:交流有(戦闘勝利、勇者会議)
・  土居球子:交流有(呼び出し、戦闘勝利、勇者会議)
・  三ノ輪銀 :交流有(お相手相談、戦闘勝利、勇者会議)
・  犬吠埼風:交流有(戦闘勝利、勇者会議)
・  犬吠埼樹:交流有(戦闘勝利、勇者会議)
・  結城友奈:交流有(戦闘勝利、勇者会議)
・  東郷美森:交流有(戦闘勝利、勇者会議)
・  三好夏凜:交流有(戦闘勝利、勇者会議)
・  三好春信:交流無()
・     九尾:交流有(呼び出し、戦闘勝利)

・      死神:交流有(戦闘勝利)
・      稲狐:交流無()
・    夢路瞳:交流無()
・     神樹:交流無()
・     男性:交流無()


8月日3目終了後の結果

  乃木園子との絆 19(中々良い)
  乃木若葉との絆 24(中々良い)
  土居球子との絆 20(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 42(少し高い)
  犬吠埼風との絆 60(高い)
  犬吠埼樹との絆 108(かなり高い)
  結城友奈との絆 55(高い)
  東郷三森との絆 55(高い)
  三好夏凜との絆 78(高い)
  三好春信との絆 30(中々良い)
   夢路瞳との絆 12(普通)

     九尾との絆 43(少し高い)
      死神との絆 33(中々良い)
      稲狐との絆 22(中々良い)
      神樹との絆 5(低い)

 汚染度***%


では、今回は此処までとさせて頂きます
再開は可能なら通常時間となります



九尾「生きるとは、成長するということ。ゆえに、滅ぼさねばならない」

九尾「積み上げた歴史を、零とするために」


では。少しだけ進めていきます

√ 8月4日目 朝(某所) ※水曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地、球子との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、球子
12、イベント判定

↓2


天乃「樹、端末はもう?」

樹「はい。朝一で渡すことにしたみたいで」

樹は普段通りを心がけている。しかし、

その表情にはほんのわずかの悲しさが見える

樹だって風の気持ちや考えが理解できないほど馬鹿ではない

でも、それでも。お姉ちゃんなら解ってくれる。と、

樹はどこかで期待してしまっていたのかもしれない

樹「学校にも復学するように、大赦の方から言われました」

天乃「まぁ、高校生ならともかく、まだ義務教育の真っ只中だものね」

樹「久遠さんもダメですかって、聞いたんですけど。彼女には無理ですって」

天乃「耳が聞こえない、両手足の内動くのは右手のみ。それで普通の学校というのはいささか無理があるわよ」

苦笑する

悲観はしていない。もう慣れた


樹「あの、そこでひとつ相談があるんです」

天乃「……ん」

ちょっぴり申し訳なさそうというべきか

控えめというべきか、

ためらい感じる表情で天乃は大方察した

けれど、あえて何も言わずに相談を聞く姿勢に移る

どんな理由があるにせよ、

そこに何があるのかも観ずに根っこから突き飛ばすのは間違っているからだ

樹「学校。なんですけど……私、このまま行かずに久遠さんと一緒にいようかなって」

天乃「……恋人としては嬉しい言葉ね」

樹「……ダメ、ですか?」



1、ダメよ
2、貴女が以前語ってくれた夢。それは一体どこに行くの?
3、私は口出ししないわ。それで本当にいいと思っているのなら、そうしていいと思うわ


↓2


天乃「そうね。それに答える前に、私からもひとつ、聞きたいことがあるのだけど」

樹「なんですか……?」

天乃「貴女が以前語ってくれた夢。それは一体どこに行くの?」

樹「っ……それは、でもっ」

一人にしたくない

おいて行きたくない

わけのわからない敵の出現だけでなく、

大赦からの男性との大人な交流の催促の件もある

樹は自分の夢と現実の対処

それを天秤にかけた上で、復学拒否をしようとしていたのだ

けれども、天乃にそれを言われては天秤などただの糸に吊るした皿でしかない

天乃「それは貴女による私の事を想ってくれた夢。だから、無理にそれを叶えろだなんて強制はしない」

樹「…………………」

天乃「私にとってはとても嬉しくて幸せなことでも、貴女にとってその夢の優先度なんて現実しだいで変わってしまうものだからね」


天乃の言葉はとても優しく、相手を考え、思ってくれているのが分かる

けれど

樹は薔薇のように刺々しいものに感じる

天乃「貴女のその休学が、貴女のその夢よりも優先されるべきというのなら、そうしなさい」

樹「……っ、久遠さんはどうして。怒らないんですか?」

怒ると思っていたわけではない

けれど、本来なら復学するべきだ

通えるのに通わない

通えない人からしてみれば、それほど憎たらしい嫌がらせはないはずだ

けれど天乃はいつもの変わらない年不相応な穏やかな表情のままで、言う

天乃「怒る理由がないからよ。貴女はそれが大切だと思ったから悩んだし、悩んで決められずに相談にまで来た」

樹「………………」

天乃「それを感情だけで批判するなんて私にはできないし、してはいけないと思ってるわ」

樹「っ」

天乃「誰かに言われるがままではなく、貴女の意思で悩み、考え、決めたことを私は尊重する。恐れずに選びなさい」


それはあまりにも狡い

泣くようなことでもないのに、

別に責めているわけでもないはずなのに

とても、泣きたくなってくる

あと二年でこんな考え方のできる人になれるのだろうか

後輩に対して、こんなにも優しく

けれども力強く背中を押すことができる人間になれるのだろうか

それは多分………

樹「………………」

夢はどうするのか

天乃はそれと似たようなことを聞いた

考えさせるために、悩ませるために

その上で、天乃は言った

それを必ずしも実行する必要はないし強制もしないと

それはやはり、悩ませるため、考えさせるため

樹「私は……」

将来のためにああするべき、こうするべきといった損得勘定の抜き取られた思考はとてもシンプルで

それゆえに、純粋に自分がもっとも優先したいこと。進むべき方向へとつま先を向けてくれる

樹「私は、やっぱり、学校に行きます」

天乃「そう。多少なりと遅れているのだから。テストでは赤点を取らないようにね?」

樹「大丈夫です。追試なんて、受けてられませんからっ」

休学してまでそばにいようとするなんて、烏滸がましいにも程がある

信じているのなら、愛しているのなら

ちゃんと学校に行き、学ぶべきことを積み重ねていくべきだと樹は考えを改めた


では、此処までとさせて頂きます
明日も可能なら似たような時間となります


では、少し進めていきます


√ 8月4日目 昼(某所) ※水曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地、球子との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、球子
12、イベント判定

↓2



01~10 九尾
11~20 祖母
21~30 春信 
31~40 沙織
41~50 男性
51~60 夏凜
61~70 球子
71~80 若葉
81~90 友奈
91~00 東郷

↓1のコンマ  


夏凜「話は聞いてるんでしょ?」

天乃「まぁね」

樹達が復学することになった

なら、学校に通っていなかった夏凜はどうなるのか。という話だが、

夏凜も転校生として、

友奈たちと同じ讃州中学へと通うことが決まったのだ

夏凜「大方、友人はこちらで預かっている。妙な真似はするなってところでしょうね」

天乃「それか、裏切った……というべきか定かじゃないけど。そんなアナタの監視をしたいのかもしれない」

夏凜「……世の中、上手く行かないことばかりね」

大人ですらない夏凜の達観したような一言に、

天乃はくすくすと笑って「何言ってるのよ」と、呟く

天乃「上手く行かない中で、いかに喜びを感じるのかが人生ってものよ」

夏凜「あんたって、私達が背伸びしても言えそうにないことを平然と言うわよね」

天乃「先輩だもの」

天乃は笑みを浮かべている

けれど、夏凜はそれは本当に心の底からのものではないのかもしれないと

理屈では語れない何かで、感じた


夏凜「一応、大赦に端末を渡したわけだけど、代替の端末が支給されたわ」

天乃「流石に連絡が付かないのは困るからね」

夏凜「バージョンアップ完了まで一週間。向こうは攻めて来る気配はないって言ってたけどどう思う?」

バーテックスが襲来してくるか否か

九尾や死神が警告をしてきていないし、

天乃もそういった不穏な気配は今のところ感知できていない

けれど、絶対にないという保証はない

天乃「良くて五分五分ってところよ」

夏凜「……それって高い? 低い?」

天乃「あの詳細不明のせいで3割減してるのよ」

あの食いちぎる力

あれがもしも、結界さえも食い破ることが出来るのだとしたら……

そんな最悪の事態を考慮した結果ゆえに、

5割でも十分すぎるほどに甘い評価だった


夏凜「なるほどね……で、私を呼んだのはそいつの話をするため?」

先程から夏凜ばかり質問しているが

呼んだのは天乃で呼ばれたのが夏凜だ

つまり、何かを聞きたいのは夏凜ではなく天乃の方なのだ

夏凜「それとも、大赦に連絡して……兄貴を連れてきて貰う?」

天乃「そのこと、覚えてたのね」

夏凜「あんたは私を鳥頭だとでも思ってるわけ?」

呆れつつも、怒りはない

天乃のただの冗談だと分かってさえいれば

この程度なら可愛いものだ

そうでなくとも

軽口を叩くほどの余裕のある日常

それがとても尊いものであると。夏凜ももう、わかっている


1、春信を呼んで貰う ※夕方交流
2、球子に関して
3、九尾に関して聞く
4、詳細不明について
5、貴女は久遠家をどこまで知ってる?


↓2


では此処までとさせて頂きます
あすも可能であれば同じような時間から



夏凜「どこまで知ってるか……そうね」

夏凜「久遠っていうのが、狐のコンコンが訛って聞こえたから。って程度かしら」


では、少し進めていきます


天乃「私が呼んだのは貴女が私……久遠家についてどのくらい知っているのかと思ってね」

夏凜「久遠家について。ね……何かあった?」

天乃「自分の家について、私。何も知らないから」

以前は知っていたのかもしれない

けれど、今となっては

そう、二年間の記憶を失うよりも前に、天乃は家族の記憶を失っている

だから、変態の兄、自称一般人の姉が居ることも、

出会って話して学んだことだ

夏凜「……そうね。まぁ、私は所詮ただの勇者だから。あんたが首突っ込むような問題の答えは多分持ってないわ」

天乃「それでも。教えて」

夏凜「………………」

天乃の困った表情に、

夏凜はガシガシと手荒く髪を掻いて息をつく

夏凜「理解った。知っている限りのことは話してあげるわ」


夏凜は言った通り自分が知る久遠家の全てを話した

久遠家は現状、

母親があとを継いでいるが、祖母は大赦の中枢で今も権力を保っていること

兄と姉が揃って自称でしか一般人を語れないこと

久遠家は昔から曰くつきで呪われた家系であるという噂が流れていること

夏凜「……役立たずでしょ? あんたの疑問に対してはさ」

天乃「呪いって、具体的にはどう言う感じの呪いなの?」

夏凜「あー……なんだっけ。確か、全てに嫌われる呪い。だった気がする」

それはとても曖昧な記憶

今思えば、まじめに聞いておくべきだったと思うが、

その話を聞いたとき。夏凜は「バカじゃないの?」と、噂を流してきた相手を一蹴してしまったのだ

他人に興味がなかった

他人と関わる気がなかった

でも。だからこそ

余計な知識なく天乃と接することができたのだから

後悔するのは少し違う


夏凜「いや、人間関係を壊さずにはいられない呪いだった気もする」

天乃「なによそれ」

噂らしい、意味不明な呪いの名称

けれども、

魅惑の力が働いているのならば、あながち間違いではないのかもしれない。と

天乃は笑えずに首を振る

誰かの恋人あるいは、誰かの夫や……一つの可能性として妻を、

久遠家の人間が奪い去っていないという保証はない

誰かが好きな誰かを好きになってしまった時

この力は嫌でも……行使されてしまっていたに違いないからだ

夏凜「でもあんたは重要な一本柱。むしろ、あんたがいなくちゃ人間関係が壊れるまであるのよね。恥ずかしい話だけど」

ついこの前も、

天乃ロスによって樹と戦闘まで行った夏凜としては

本当に、冗談にならないことだった


夏凜「つまり、噂なんて解釈次第で変わるから気にすんなってことよ」

天乃「まぁ、真実のみの噂ならそれはもはや噂ではなく真実の暴露だものね」

夏凜「……多分そういうこと」

天乃の笑顔は本当に貴重だ

殆どが辛そうで、悲しそうで

けれども気遣っているが故の嘘の笑顔だが

本当に、本心で、誰かの為の無理もない笑顔と言うのは

とても貴重で、珍しい

夏凜「………………」

天乃「どうかした?」

夏凜「いや、別に」

今さっきも天乃は笑顔だった

当然のように、何か思い悩みながらも隠している

蓋のような笑顔

夏凜「たまには蓋を外してサランラップで閉じることをおすすめするわ」

天乃「何の話?」

夏凜「なんでもない」

心が読める精霊が欲しい

なんて、夏凜はありえない能力を求める自分に向かって、ため息をついた


√ 8月4日目 夕(某所) ※水曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地、球子との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、球子
12、イベント判定

↓2


01~10 九尾
11~20 祖母
21~30 春信 
31~40 沙織
41~50 男性
51~60 風
61~70 球子
71~80 若葉
81~90 友奈
91~00 東郷

↓1のコンマ  


では此処までとさせて頂きます
あすもできれば同じような時間から


若葉「話は聞かせて貰った。私が夫の役割を担おう」

天乃「なんの話を聞いたのよ」

若葉「主様の結婚阻止作戦だ」


では、少しだけすす目用かと思います


若葉「主様、体の方はなんともないか?」

天乃「ええ、まぁ。相変わらずだけど……なに?」

若葉「いや、なに。主様が先日行使したあの力は、精霊の力が打ち消しあってあの特殊な壁が発生しないらしいんだ」

天乃「…………………」

若葉「それに、通常よりも倍以上体に負担がかかるらしいから、その……なんだ。心配だったんだ」

若葉は少し照れくさそうに言うと、

平気ならいいんだ。と、ちょっぴり嬉しそうな笑みを浮かべる

天乃「……特殊な壁」

それはきっと、精霊によるあの致命傷を避ける盾。護りのことだろう

当たらなければどうということはないが

万が一の可能性を考えれば、それはかなりの痛手だ

けれど、

初めはそんなもののない、死と隣り合わせの戦いだった


1、ふふっ。ありがとう
2、ところで、球子とはもう話したりした?
3、他に九尾は何か言ってなかった?
4、心配はいらないわ。初めはそういう戦いだったんだもの
5、ところで。ねぇ、私の男性との件についてなんだけれど……


↓2


天乃「心配はいらないわ」

若葉「しかし……」

天乃「初めはそういう戦いだったんだもの。大丈夫」

ただでさえ危険な戦いが、

さらに危険になるというのに

天乃は笑ってみせた

安心させるため。だとしても

若葉にはとても普通の少女には見えなかった

もちろん、一般人と比べてではなく、ほかの勇者と比べて。だ

天乃「むしろ以前に戻るだけで昔以上の力が使えるのなら願ってもいないことだわ」

若葉「主様は死に場所でも求めているのか?」

天乃「……まさか。そんなことありえないわ」

若葉「本心……だと見えるんだが」

しかし、そうは思えない

若葉の記憶にある天乃の行動がどうしても、

それを嘘に見せようとしているからだ


天乃「なぁに?」

若葉「いや……」

若葉はためらいながらも、

九尾との会話を思い出そうと目を瞑る

いや、思い出すためなんかではない

そんな必要なんてない

あの言葉は脳裏に焼き付いている

だからそう、これは覚悟を決めるためだ

若葉「はっきり言わせてもらっても良いか?」

天乃「どうしたのよ。急に」

若葉「私には主様のその表情が仮面を被っているようにしか見えない」

天乃「…………………」

若葉「九尾は言っていたんだ。大赦の仮面と似たようなものだと」

あれにはプライバシーの保護なんてまっとうな理由はなく

あれはただ単に、偽るためのものだ。と

仮初の服従、屈服

天乃が同じく服従しているわけではないことは分かっている

しかし、真実を偽ろうとしている

その部分に関して言えば、同じと言える

若葉「主様は信頼できる人がいないのか?」


天乃「まさか」

若葉「ならばなぜ、誰にもその心の内を明かさない」

天乃「……信頼しているからこそ。大好きだからこそ。言えないこともある」

若葉「主――っ!」

まただ

また、天乃は笑みを浮かべる

儚げで、悲しげで、

辛そうで、苦しそうで

しかしそれはとても美しく、人を惹きつけ盲目にする

天乃「私の一言はそうね、真夏の海水浴場に雪が降るくらい、空気が読めていないのよ」

若葉「それはつまり、珍しく、貴重で、奇跡的で、誰もが目を向けずにはいられないということか」

天乃「それでも別に間違いじゃないかもね」

若葉「なら、私はその雪が見たい。私たちはその貴重な経験がしてみたい」

天乃「若葉……」

若葉「いつでも可能な海水浴なんかよりも、真夏の雪合戦を私たちにやらせてくれ。主――いや、天乃」

若葉も笑う

それはとても挑戦的な、挑発としか受け取れないような笑みだった


天乃「……まったく、貴女は九尾に感化されすぎているんじゃないかしら」

困りきった笑みを浮かべて、

天乃は首を横に振る

そんなことはできないと

降るはずはないのだと

それはただの、有り得ない冗談

エイプリルフールにでさえ使えないような戯言だと

自分の言葉を破壊する

天乃「私はこれでいいと思っているのよ。このままでいるべきだと思っているのよ」

若葉「しかし私たちは」

天乃「知らぬが仏って言葉もあるのよ。若葉。余計なことをしないでね」

若葉「……っ」

まだだ。

まだ今一歩、及ばない

その気持ちを吐露させるには自分は力不足なのだと、若葉は痛感して呻いた


では、今回はここまでとなります
明日も可能なら同じような時間から




大地「話は聞かせて貰った」

若葉「なっ」

大地「人工雪を用意しよう」

若葉「違う。そうじゃない」


では、遅くなりましたが少し勧めます


√ 8月4日目 夜(某所) ※水曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地、球子との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、球子
12、イベント判定

↓2


01~10 九尾
11~20 祖母
21~30 春信 
31~40 樹
41~50 男性
51~60 風
61~70 球子
71~80 銀
81~90 友奈
91~00 東郷

↓1のコンマ  


銀「天乃、大変だ!」

夕食後の穏やかな時間の流れを、銀は打ち壊した

もっとも、銀の焦りに満ちた表情から察するに、

それは銀の登場以前に壊れていたらしい

天乃「どうかしたの?」

銀「夏凜が男をぶん殴ったんだ!」

天乃「お兄ちゃんなら大丈夫よ」

銀「そこで兄貴が当たり前のように出てくるのはものすごく可哀想なんだけど……そうじゃない」

現在の家の男女比は男1に対し女9

つまり、殴られたのは一人しかいない

と、思ったけれど違うらしい

でも、ゴメンネとは言わないよ

銀「天乃の自称恋人の男が来たんだ。で、会って早々帰れって夏凜がさ」

天乃「それで?」

銀「どうしても会いたい。相手がそうしつこいから……まぁ、夏凜も流石に我慢できなかったんだろうな」


天乃「……その人は?」

銀「まだ外にいる」

天乃「どうしても会いたいのね」

誰に会いたいんだろう。なんて

考える必要はない

自意識過剰だと思いたくなることだけれど

彼が会いたいのはきっと私だ

銀「天乃」

天乃「なに?」

銀「天乃が良いって言うなら連れてくる。でも、ダメだって言うなら追い返す。何が何でも。全力で」

銀の表情には一人ではない意志を感じる

きっと、ここに代表できたのが銀というだけであって、

樹達全員の問いかけなのだろう

その答えしだいで、彼の今後が決まるということ……


1、いいわ。連れてきて
2、追い返して


↓2


天乃「いいわ、連れてきて」

銀「理解った」

天乃「みんなにも。ちゃんとそれを伝えておいてね?」

じゃないと中に入れた時点で迎撃されかけない

彼は別にそういうたぐいのものではないけれど

きっと。多分

樹達からしてみれば、彼はきっと

そう。きっと……

だから

銀「天乃に隠し事は出来そうにないな」

天乃「そんなことはないわよ」

苦笑すると、銀は困ったように笑って首を振る

銀「連れてくる。ちょっと待っててくれ」

そういった銀はいつも通り、姿を消した


「……ありがとう。許可をしてくれて」

天乃「許可してもらえなかったら居座るつもりだったんでしょう?」

「……ごめん。すまない。隠し事をして。偽って」

男の人は申し訳なさそうに呟く

それは謝って許されること?

言葉だけの謝罪で許してもいいこと?

天乃がじっと男の人を見つめると、

男の人は天乃を見つめ返して、拳を握り締める

「で、でも。僕が。僕が君を……好きなのは、嘘じゃない」

天乃「………………」

嘘だとか、信じられないとか

言い返すことがきっと、この男への最大の罰となるだろう

気持ちが強ければ強いほど、

それを拒絶された辛さ、それを二度と受け入れられることがないという悲しさは絶大だからだ

「本当に、僕は……っ」

しかし

彼もそれが分かっている

その最悪を想定しながらも、男の人は天乃にそう言っているのだ


天乃「ねぇ、聞きたいことがあるんだけど」

「僕に答えることが出来るのなら」

天乃「貴方は私に恋人が居ることを知りながら。接触してきた。相違はない?」

「……ないです」

むしろそうでなければおかしい

記憶喪失とは言え、

絶対にありえないことを偽ってしまったら違和感はとてつもなく大きいし

つまりそれはありえなくない範囲で偽るのが妥当というわけで

その範囲を知らないはずがないからだ

天乃「で。その恋人がこの家にいるのだけど。話した?」

「彼女にはもう、けど……」

天乃「けど?」

「彼女は何も言わなかった。ただ、僕を見ていたんだ。ずっと、何も言わず。瞬きすらせずに」

天乃「………………」

「そのあとだ。三好夏凜が帰れと怒鳴って僕を殴ったのは」


男性はほほの痛みを思い出したように、真っ赤な頬を擦る

痛みが走るのだろう

我慢特有のしかめっ面をして、男性は首を振る

天乃「………………」

痛そうだ。とは思うけど

でも、同情はしない

けれど、自業自得だとは思わない

彼は確かに悪いことをした

許されないことをした

けれど、

それは久遠家の

もっと言えば、お祖母様の余計な手出しが根本的な原因だから……



1、私は春信さんを選んだの。だから、貴方はもう。普通の人と。普通の恋に落ちなさい
2、貴方を責めない。そんな権利は私にはない。でも、ごめんなさい。たくさんの意味で、私は貴方にそう言うわ
3、どうしてそんなに私にこだわるの?
4、樹の気持ち、貴方はわかってる?


↓2


では、此処までとさせて頂きます
明日は土曜日ですが、可能であればお昼頃からとなります



天乃「樹の気持ち、貴方はわかってる?」

「知らないよ。僕は君を奪う側だか――」

九尾「待たれよ!」

天乃「!?」

九尾「死刑……おっと間違えた。失敬。それはできぬぞ」


では少しずつ進めていきます


天乃「……………」

とはいえ、ここで祖母の余計な手出しのせいで。と

謝罪をしたところで話は進退することはないだろう

そんなことはない。依頼を受けた自分が悪いんだ

男性はきっとそう言うに違いない

自分が悪いと思っている人間の常套句

もちろん、九尾曰く冤罪請負人の天乃もそんな人であり

男性の回答なんて透けて見えているのだ

天乃「それで……樹の気持ち、貴方はわかってる?」

「……僕はそれをされたことがない。だから、決して解るといってはいけないと思っている」

天乃「………………」

「けど、僕が彼女の立場であると想定しての回答は……言葉にできない。感情だけで言えば、これはきっと怒りだ」

上手い言葉が見つからないのではなく

言葉にできないのだ

茫然自失というべきか、ただ心の内でなにかが燃え滾り

けれども何もかもが熱を失って冷めていく

とても怖く、とても嫌な感覚を男性は想定しただけの立場でありながら、覚えた

それが実体験なら……想像などできるはずもない


「本当にひどいことをしたと、今更ながらに思う。いや、ずっと思っていたんだ」

天乃「ならどうして、貴方は私の恋人だと偽り続けたの?」

罪悪感があったのなら、

すぐにでも謝罪をすべきだっただろう

本当は健気にも毎日会いに来ていた犬吠埼樹

彼女こそが本当の恋人であると伝えるべきだった

しかし、それをせずに男性は偽った。その理由は……

「自分のせいだと、思わないで聞いて欲しい」

天乃「?」

「一度君を騙したあと、凄く罪悪感を覚えてね。冗談だとか、嘘だとか。言うことも考えたんだ」

けれど、でも

男性はそれを言うことなく偽り続けた

「でも、騙したのに。なのに、僕に……君の笑顔が向いていることが嬉しくて、それが悲しい顔になると思ったら、言えなくなった」

いいや違う。

それはいいわけだ

本当は

「……本当は」

天乃「本当は?」

「自分が君のことを支えていると。そう思えることが嬉しかったんだ……最低だよ。自己満足だ。あまりにも酷い」

罪悪感があった

自己嫌悪もあった

最低で、最悪で、酷いことをしているという自覚もあった

けれど、それでも

絶対に無理だと思っていたこと。それが、偽りであれど叶っていた事が嬉しくて、手放したくなくて

「ごめん……僕は君の心を捻じ曲げようとした。彼女に向いているものを、記憶ごと全て僕のものにしようとした」

天乃「……………………」

「許してくれなんて言わない。むしろ、僕を許さないでくれ」

そういった男性は、痛みに呻くような表情で胸元を握る

とても苦しそうで、辛そうで

しかしそれでも、どこかにその痛みを受け入れているような感情が見えた


天乃「…………」

男性の言葉が止まって、沈黙がひょこっと顔を出す

樹の気持ちを聞いたはずなのに、

男性自身の気持ちの吐露になるとは思っていなかった

しかし、樹の気持ちを怒りの一言に集約したことに関して

天乃は間違っているとは思わない

下手に悲しいとか、辛いとか

同じ立場でもないのに語ったとしたら、そこには「ふざけるな」という言葉が必要だったに違いない

天乃「……………」

問題は彼の問いにどう答えるか。だ

罪を認め、その罰を受け入れ

許さないでくれという彼に、なんと答えるかだ

当たり前でしょう。と、当然のように答えるか

何も言わずに沈黙を肯定とするか

それとも、彼の願いを却下するか……


1、自分のしたことを理解していると解ったから、十分よ。もう、自分を責めるのは止めなさい
2、どうしてそんな事を望むの? 許して欲しいから。だから謝罪に来たんじゃないの?
3、何も言わない
4、まぁ、そう簡単に許せることでもないわよね
5、私は貴方を責めるつもりは微塵もないわ


↓2


天乃「まぁ、そう簡単に許せることでもないわよね」

「……何処か、他人事みたいに聞こえるね」

天乃「被害者は私というより、樹だもの。私はただ嘘をつかれただけ。ただ、それだけだもの」

天乃は嘘をつかれた

しかし、樹の視点になって考えてみれば、

記憶喪失を理由に彼女を奪われそうになったという、非常に非道なことをされた被害者だ

天乃「樹は貴方の謝罪を聞いて黙っていたんでしょう?」

「……うん」

天乃「なら、それが答えということになるんじゃないかしら」

いささか考えたくないことではあるが、

樹が対象が誰であれ、酷く強い憎悪の念を抱いているということに他ならない

確かに、許しがたいことだったとは思う

しかしながら、そこまで強い負の感情を抱いてしまっていることに、天乃は危機感を覚えた

天乃「あまり長く話していると、貴方の明日が無くなってしまいそうだし、もう帰りなさい」

「……僕はもう二度と、君の前には現れない。でも、それでも。僕は死ぬまで君を想い続けるよ。きっと。僕は君を忘れられないからね」

困ったような笑みを浮かべて、男性は踵を返す

心臓が弾け飛んだような胸の痛みに、呻くことはなく

ただ、それを受け入れて、足を踏み出す

この痛みとともに生きていく。そう、男性は決めたからだ


1日のまとめ

・  乃木園子:交流無()
・  乃木若葉:交流有(心配はいらない)
・  土居球子:交流無()
・  三ノ輪銀 :交流無()
・  犬吠埼風:交流無()
・  犬吠埼樹:交流有(進路相談、問いかけ)
・  結城友奈:交流無()
・  東郷美森:交流無()
・  三好夏凜:交流有(久遠家について)
・  三好春信:交流無()
・     九尾:交流無()

・      死神:交流無()
・      稲狐:交流無()
・    夢路瞳:交流無()
・     神樹:交流無()
・     男性:交流有(謝罪、別れ)


8月日4目終了後の結果

  乃木園子との絆 19(中々良い)
  乃木若葉との絆 25(中々良い)
  土居球子との絆 20(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 42(少し高い)
  犬吠埼風との絆 60(高い)
  犬吠埼樹との絆 110(かなり高い)
  結城友奈との絆 55(高い)
  東郷三森との絆 55(高い)
  三好夏凜との絆 79(高い)
  三好春信との絆 30(中々良い)
   夢路瞳との絆 12(普通)

     九尾との絆 43(少し高い)
      死神との絆 33(中々良い)
      稲狐との絆 22(中々良い)
      神樹との絆 5(低い)

 汚染度***%


√ 8月5日目 朝(某所) ※木曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地、球子との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、球子
12、イベント判定

↓2


01~10 九尾
11~20 祖母
21~30 春信 
31~40 樹
41~50 夏凜
51~60 風
61~70 球子
71~80 銀
81~90 友奈
91~00 東郷

↓1のコンマ  


樹「久遠さん、少し良い?」

天乃「少しじゃなくても。私は全然構わないわよ?」

お世辞ではなく、本心で

樹だけでなく、したしい相手なら天乃は大歓迎だった

もちろん、その中でも樹は特別だが

天乃「それで?」

樹「その、今って本来は夏休み期間ですけど、その……」

天乃「?」

樹「ふ、復学するにあたって補習があるというか。だから、私もみんなも学校に行かないといけないんです」

天乃「……そう」

それはつまり、

朝や昼など、特定の時間は樹たちとは会えなくなる。ということだ

復学するのに加えて、

今は絶好の補修期間と言える夏休み。それも当たり前と言えば当たり前だ

樹「久遠さんのお兄さんとお姉さんがいるので心配はしてません。でも、夏休みなのに残念です」

天乃「学校に行くというだけでしょう? 今からそれで大丈夫なの?」


苦笑しながらそう言うと、

樹は困ったように息をついて、項垂れる

天乃「永遠の夏休みというのも。それはそれで残念なものよ?」

樹「そう言われると、何も言い返せません」

天乃「補習だって、別に嫌がらせでやるわけではないし。今回は特例だもの」

復学し、追いつけないなんていうことにならないためであり、

復学とか抜きに追いつけていない落ちぶれた学生のスケットではない

時期が時期なだけに嫌がらせにも思えるけれど、

教師は教師で折角の休日に仕事をしているという相手側の犠牲を考慮するべきだ

先生なら当然。なんていうのは有り得ない

樹「それは分かってます。それに自分で決めたことなので、嫌だなんて言えないです」

天乃「そうね」

樹「ただ、久遠さんの傍を離れることになるっていうのを、ちゃんと言っておかないといけないなって」

天乃「……そうね」


1、貴女の為だもの。私もそのくらいの寂しさは、我慢するわ
2、補習のない日は楽しみましょう
3、ところで、昨日の彼についてはもう、ては出さないでくれる?
4、それにしても。学校ね……懐かしいわ


↓2


天乃「ところで、昨日の彼についてはもう手を出さないでくれる?」

樹「……もう二度と会わないようにするって、家を出る前に言ってましたから」

樹は思い出すのも嫌そうに、顔をしかめる

相当嫌われているらしい

仕方がないといえば仕方がない

これも嘘つきの罪、一瞬の幸福の代償

天乃「何もかもが等価とは限らないものね」

樹「えっ?」

天乃「なんでもない」

首を振って笑う天乃を見つめて、樹は悲しげに頷く

みんな知ってる。みんな分かってる

久遠さんの浮かべる笑顔のほとんどが、何かを隠しているものだって

あの男の人に会えなくなったのが寂しい?

ちがう、それは多分違う

久遠さんはあの人のことを。ほとんど無関係だったのに、心配してるんだ

それを知られないように、笑ってるんだ


樹「……………」

天乃「樹?」

樹の表情が沈んだ暗いものになったのを察して、

天乃はその名前を呼ぶ

人の感情の浮き沈み、その心の動きに関して

天乃は一部を除けば敏感なのだ

樹「例えば、です」

天乃「うん」

樹「私が今、何でもないですよって笑ったら信じますか?」

天乃「……それはまた、難しい質問ね」

何かあったから、気落ちしたのだ

しかし、何もないですよという相手を疑って、否定して……

それで事態が好転する可能性はそう高くない


1、貴女のことだもの。信じるわ
2、その場では信じるけれど。他の人に聞いて回るかも知れない
3、信じない……でしょうね


↓2


天乃「正直な回答をすると、その場では信じるけれど。他の人に聞いて回るかも知れないわ」

樹「そうですよね」

それで、裏で解決する。なんてことはしないで

もう一度あって、話して

その時に助けられるように、何かができるように

色々と考えてくれる

久遠さんはそういう人だ

樹「私も真っ向から否定したりはしないです。そうなんですねって、言うと思います」

けれど、それ以上何ができるのかが分からなくて

なにかしても足を引っ張ったりしてしまうだけのような気がして、

結局……落ち込むだけで

樹「久遠さんは私が落ち込んだことに気づいたと思います」

天乃「…………ええ」

樹「それを調べると、きっとみんなはこう言います。自分の胸に手を当てればわかるんじゃないかって」

天乃「私が原因だって、言いたいのね」


友奈に言われ、

若葉に言われ

それでもまだ自分に問題がないのだと思っているとしたら

それは相当な大馬鹿者である

しかしそれなら

自分に問題があるとわかっていながら

それを改善せずに続ける

それはなんというべきか……答えはひとつ、愚か者だ

樹「分かってるならどうして、久遠さんは隠してばかりなんですか?」

天乃「問題が多すぎるのよ。山積みの宿題の上に、えへへっこれ追加ね。なんて酷い事私には無理」

樹「…………………」

天乃「大赦と和解のようなことをしたから一つ片付いたけれど、新しい敵や私が作っちゃった問題もいくつかあるでしょう?」

樹「でも。だけど……」

天乃「ただでさえ手詰まりの中、私の余計な言動で事態を最悪な方向へと悪化させたくはないの」

解って、樹

そういう事はなかったが、天乃の瞳ははっきりとそう求めているのだと

樹にはわかっていた


樹「それなら、それなら私は宿題を床に薙ぎ払って久遠さんの問題を一緒に解きます」

天乃「何を言って……」

樹「それに、宿題はクラス全員に配られるものですから。久遠さんの宿題は私たちの宿題でもあるはずです」

実際は宿題なんかではない

ただの問題、ただの厄介事だ

しかも、

それは天乃の心の内、我儘でしかない

天乃「樹、あのね。私は――」

樹「久遠さんには笑顔でいて欲しいんです」

天乃「樹……」

樹「久遠さんが嘘の笑顔だと、私たちも嘘の笑顔しか見せません。負のスパイラルっていうのになっちゃうかもしれません」

それでもいいですか?

樹は問う

意地悪な疑問、意地悪な問い掛け

聞く必要のないことを聞く、酷い話だ


1、私が言いたいことはとても迷惑な話よ。それでも?
2、ほかの事が片付いてからでいいでしょう?
3、他の問題は後回しにしていいことなの? 違うでしょ?
4、ありがとう。でも、考えさせて


↓2


天乃「私が言いたいことはとても迷惑な話よ。それでも?」

樹「久遠さんが迷惑をかけてくれるのなら。それはとっても嬉しいかなって」

天乃「…………ふふっ、そう」

思わず驚き、笑う

解らなかった事じゃない

樹だけでなくみんながそうなのだ

いろいろな面で迷惑をかけ、助けられてきた勇者達は

その一方でほとんど自分の内側に隠し、頼ろうとはせず頼られるだけの天乃のことを、助けたかったのだ

できることは全力で

できないことはできるように協力して

そうする準備は整っている

あとはそう、ただ

久遠天乃がたった一言、わがままを言ってくれれば良かっただけなのだ

助けてと、その。たった一言を

天乃「簡単に答えたことを後悔するくらいとても重い話かも知れないわよ?」

樹「一人で抱えるよりは、ずっと軽くなると思います」

天乃「解決なんてできずに、嫌な思いをするかもしれないわよ?」

樹「独りぼっちで嫌な思いをするよりは、いいと思います」


天乃「そう」

樹「はいっ」

その考えも、その気持ちも

樹達が改めると、天乃には到底思えない

面倒なことは嫌だ

大変なことはしたくないし、疲れたくない

ましてや他人のことならできるのならば関わりたくない

そういうのは道徳心に満ち満ちた今でも消えていない

けれどそう、樹達は勇者だ

讃州中学の勇者部

スローガンはそう、人々のためになることを勇んで実施する部。だったか

天乃「後悔しても、知らないわよ?」

樹「久遠さんに公開して貰うので。それ以上はもうないです」

天乃「言うようになったわね。貴女も」

樹「久遠さんの、恋人ですからっ」

満面の笑みを浮かべる二人

そこに偽りは……きっとない


では、一旦ここまでで中断とさせていただきます
二一時ころには再開できる予定ですが
時間は前後する可能性もあります



九尾「妾もそろそろ真実を話さねばな」

天乃「えっ?」

九尾「妾こそが、久遠陽乃じゃ」

天乃「!?」

九尾「 ウ・ソ・じ・ゃ 」


では、再開します


√ 8月5日目 昼(某所) ※木曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地、球子との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、球子
12、イベント判定
13、勇者会議

↓2


01~10 
11~20 
21~30 ばてくす「ちわーす。遅刻しました」

31~40 
41~50 
51~60 
61~70 
71~80 樹海化

81~90 
91~00 

↓1のコンマ  


樹「会議を始めます」

風「樹が仕切るの?」

夏凜「二年後には部長なんだから。まぁ、その練習に付き合うのも悪くはないと思うわよ」

二年後

無事にその年月を生き残り、学校へと通うことができていること

そして、何も壊れていない日常が続いていることが大前提の言葉を

夏凜は平然と言う

知ってか知らずかは……そう。きっと知っての言葉だ

東郷「では、樹ちゃん。議題は?」

樹「久遠さんに関してです」

天乃「それ。当人がいてもいいやつなの?」

友奈「久遠さんの恋人になるならないとかではないですし。平気かと」

笑いながら答えた友奈に、

天乃は居ても良いなら良いけど。と、呟く

恋人になるならないだったら

それは当然、当人がいるべきではない

きっと、ひどく醜い争いが繰り広げられるからだ


若葉「では、樹。具体的にはあま……主様の何を話す?」

樹「そうですね。現状、全員が共有している問題が2つかあります」

そう言った樹はテーブルの上にホワイトボード代わりのノートを開き、

見開きで書かれた言葉を二つ、指差す

東郷「一つは前に話した子供に関して」

夏凜「で、もう一つは昨日私が聞かれた久遠家について」

天乃「ちょっと、夏凜貴女……」

夏凜「悪いわね。私も勇者部だから」

昨日話したことにも関わらず、

夏凜に久遠家について聞いたことがもう、全員に広まっているらしい

ヒーローネットワークは数時間おきに同期している可能性もある

友奈「久遠さんの家に関しては、大きいおうちとか、見てわかるようなことしか分かってないよね」

東郷「インターネットで調べてみたけど、友奈ちゃんの言う通り誰でも知っていいような差し支えないようなことしか載ってないわ」

風「そこで。まぁ、お兄さんお姉さんに聞いてみたわけだけど、残念ながら。久遠家には隠し事があるくらいしか分からなかった」

天乃「貴女たち何してるのよ」

銀「聞いてわかるだろ。天乃が夏凜に聞いたから。みんながその問いかけに答えようとしてるんだ」


天乃「いや、その、私が聞きたいのはそういうことじゃなくて」

少し違うが、勝手に何してるのよ。というような意味合いでの言葉だ

もちろん、それもまた聞く必要はなく

話を聞いていれば分かることだ

天乃「………………」

樹「隠し事ってなに?」

風「そこまでは残念ながら。お兄さん達も詳しくは知らないみたい」

若葉「となると、正式な後継者にしかそれは伝えられていない可能性が高いな」

夏凜「そこで二人が聞きに行ってくれてるんだけど……祖母じゃなく母親も答えてはくれないみたいよ」

そう言った夏凜が机に置いた端末の画面には

晴海から『普通にダメだった』というとても簡単な失敗の連絡が表示されていた

天乃「なんなのよ。この行動力」

友奈「普段久遠さんが相談してくれないので。みんなその分全力全開なんですよ」

友奈は笑顔で言う

一歩間違えれば皮肉になりかねないと思ったが

そんなつもりがないことは百も承知で

天乃は言いかけた言葉を飲み込んで、息をついた


風「そういうこと。で、もうひとつの方に関しても。これは時間が結構あったからかなり調べたわ」

天乃「もうひとつの方って」

子供を作ることに関して、風は樹と同じくらい

もしかしたら樹以上に頑張っていたかもしれない

大切な妹

大切な親友

自分が犯した、強引な行い

それに理由があれど

あれは卑劣で、最低で

本当ならばもう、関わるなんてことをしてはいけないようなことで

だから、そう

夏凜「私たちはあんたのように見透かすことなんて出来やしない。でも」

東郷「私達はみんな、同じ想いを持っています。だからこそ、私達はそこにどんな想いを抱いているのかを知ることが出来るんです」

夏凜「それ私の台詞」

友奈「違うよ夏凜ちゃん。皆の想いだよ」

友奈は笑う

天乃が今までしてこなかった偽りのない笑顔

曇りのない、晴れ晴れとした笑顔だ

天乃「………………」

球子「良い仲間じゃんか。調べてる内容がちょっとアレではあるけどな」

若葉「それを調べなければならない世界が悪い」

球子「……そうだな。世界が悪い」


銀「それで、調べた結果なんだけど……噂程度でしかないんだ」

東郷「私の方でも調べてみたんだけれど、そういう技術らしきものがあった。らしい。というものばかりよ」

あった

らしい

過去形で、不確定

それを聞いた球子はそれも仕方がないだろう。と、心の中に言葉を作る

ほとんどのものが300年前に失われた

だから、仕方がないことなのだ

天乃「そういう技術?」

友奈「同性の間でも子供を作る技術です」

夏凜「正確には、それが出来るかもしれなかった技術。だけど」

天乃「……できるの?」

樹「残念ながら、その技術はすでに失われている可能性が高いそうです。どこの病院でも、有り得ないと言われました」

若葉「言われた……つまり聞いて回ったのか」

球子「藁にもすがるってやつだろ。そんな冷たい言い方するなよ」

若葉「そんなつもりはない。ただ、そこまでできる行動力が単純に羨ましいと思っただけだ」


風「つまり、今のままでは打つ手無しってことが明らかになっただけってこと……ごめん」

天乃「別に謝る必要はないわ」

本当に、謝罪をする必要はない

何とかして欲しいとお願いしたわけではないし、

なんとかできるような簡単なことでもない

天才的な研究者ならともかく

研究者どころか大人ですらなく、

子供数人に出来ることなど限られているのだから

本当に……仕方がないこと

夏凜「……ほかになんか方法はないわけ?」

樹「方法がないから、打つ手がないという答えが出たんです」

友奈「もういっそ。みんなで経験すれば怖くない。とか……」

東郷「それはあまり勧められたことじゃないわ。友奈ちゃん」

友奈「そう。だよね……ごめん」



1、大丈夫よ。嫌な人が相手ならともかく、春信さんだもの
2、私のことを考えてくれているのは嬉しいけど、あまり無茶なことはしないで
3、夏凜。春信さんに連絡をして、ここに呼んでもらえるかしら。話がしたいわ
4、ありがとう。ごめんなんて、みんな言わなくていいのよ。解決しなくても。私はみんなにそこまでして貰えただけで嬉しいわ


↓2


天乃「夏凜。ひとつお願いがあるのだけど」

夏凜「ん」

天乃「んって、私まだ何も」

夏凜「兄貴を呼んで欲しいんでしょ? 知るべきことを知ってないから」

夏凜はわかりきったように、笑う

それは誇張でもなんでもなく

本当にわかっているからこその笑み

見透かすことはできないが、通わせることはできる。と

夏凜はそう信じているからだ

天乃「うん。そう。よろしく」

夏凜「理解った。呼んどく。多分、夕方か夜になるかも」

天乃「それで十分よ。ありがとう」

夏凜「呼ばない解決を目指したんだけど……ったく、世界は理不尽なんてもんじゃないわね」

天乃「甘さを刺殺したのが世界だもの。仕方がないわ」

そう言って笑う天乃を、みんなが悲しげに見つめる

頼ってといい

けれども何も成し遂げることができなかった自分達

無力さを痛感し、勇者たちは空を見上げる

星が落ちて世界が終わる。そんな危険なことが起きないものかと

ちょっとだけ、考えた


√ 8月5日目 夕(某所) ※木曜日

01~10 
11~20 春信

21~30 
31~40 
41~50 春信

51~60 
61~70 
71~80 春信

81~90 
91~00 樹海化

↓1のコンマ  


春信「君と話すのは、とても久しぶりだ」

天乃「そうね。私はそれで良かったと思ってるわ」

春信「そうだな。君からしてみれば私は――」

天乃「私といると、貴方はソファでしか寝てくれないんだもの」

春信「……そうだった。君はそういう人だったね」

天乃のちょっぴり嬉しそうな笑顔から目をそらして、春信は呟く

普通なら、天乃の言葉は貴方と離れることが出来たから。なんて

そんな少し突き放すような意味合いを持っている

しかし、天乃の言葉となると

その意味は大幅に改変されてしまっているのだ

天乃「猫背になっていないようでなによりだわ。肩を痛めたりもしてない?」

春信「君が心配するようなことは何もない。至って健康――っ」

気が付くと、天乃の瞳が目の前にあった

目と目の距離はとても近く、鼻と鼻がぶつかってしまいそうな距離で

春信は思わず言葉が消えた

天乃「そう。それは良かったわ。健康的な生活をしてくれてるみたいで。隈もないし、それを隠してる感じもない。瞳の充血も。ないし」

春信「そ、それを確認するためとは言え、久遠天乃。近づきすぎだ」

天乃「……あら。ごめんなさい。貴方のことだから変に取り繕うかと思って。つい、まじまじと」

苦笑して離れた天乃を目で追う

見ていれば、普通の少女

口を開けば、楽しい少女

共にいれば、優しい少女

春信「………………」

春信は妹からの問いを脳裏に浮かべ、

十分に魅力的だと、答えを思う

けれど、それを口にする勇気はなく

天乃をいつまでも見ている勇気もまた、なかった


では、此処までとさせて頂きます
明日もできればお昼頃からとなります



夏凜「兄貴はさ。天乃に何も思わないの? 異性として」

春信「思うが。しかし、だからこそ……私は彼女に何もできない」

夏凜「なん――」

春信「何を隠そう。私は生粋のヘタレだからな」

夏凜「馬鹿なの?」


では、本日も進めていこうかと思います


天乃「話は……その。どこまで聞いているの?」

春信「新種のバーテックスに関しては聞いている」

違う。そうじゃない

春信は自分自身の心の中で、不正解だと思う。そう、思うだけだ

妹である夏凜に言われたこと

それに関することを問われているのだと分かっているのに

春信は言い出せない

天乃「そう……あれはちょっと。ううん、すごく厄介よ」

春信「君がそういうのなら、私達としては最低最悪で最凶で最恐である。と、思うべきなのだろうか」

天乃「そうかもしれないわね」

彼女は苦笑する

単純に春信の返しが面白かった。そんな笑みではなく、

どこか。そう

困っているような、笑顔

しかし、三好春信は勇者ではない

彼もまた、愚か者と呼ぶに値する人間だ



1、何も言わない
2、私と……その。私の考えについて。夏凜からは聞いてないの?
3、貴方は今、好きな人とか……その。将来を考えている人は、いる?
4、嫌なら嫌と。はっきり言って欲しいの。ベッドを拒絶してソファで寝る貴方がよく思わないことは私、分かってるの
5、春信さん……今日来て貰ったのは。お願いがあるからなの


↓2


天乃「春信さん……今日来て貰ったのは。その……」

春信「………………」

天乃にしては、歯切れが悪い

控えめなだけで鈍感ではない

むしろ、鋭敏だからこそ奥手になった三好春信はその理由をすぐに脳裏に呼び出す

けれども、「なんだい?」、「どうかしたのかい?」、「言いにくいのなら、無理しなくていい」なんて

察しているからこそ、春信は言えない

知らないからこそ、言えることがあって

知っているからこそ、言えない言葉もある

そしてその逆もまた、同じであるのだから

言葉というものは本当に……厳しい

天乃「お願いがあるからなの」

春信「……そうか」

少女らしい、愛らしさを感じるもじもじとした仕草

言いづらそうに結ばれた唇、その先に希望を求め、影から見える絶望に気づき中途半端な輝きを持つ瞳

生まれてからもう、世間的には大人と言える程には生きてきた春信だが

そんな異性の姿など、見たことはなかった

だから、春信は自分から目を向けて、声をかけて、耳を傾けることが出来なかった


天乃「……………っ」

春信「………………」

天乃の手に握り締められた布団の立てる、微かな生地擦れの音が

黒板を引っ掻いたようなあの音に似て、聞こえる

嫌に響き、集中力を乱して、思考を鈍らせるそれと、同じように

春信「……久遠、天乃」

天乃「その。えっと」

春信「っ」

天乃「っ」

お互いに、譲歩する

だから余計に距離感がつかめない

下手に出ればいいのか、上の立場でいればいいのか

平行線……直線上に並び、向かい合って居ればいいのか。何も分からない

春信「………………」

春信は酷く、強い嫌悪感を示す表情を浮かべ、胸元を握り締める

暗く沈み、明るさを損ないかけている少女に対して

春信は儚さゆえの愛らしさを感じていたからだ

それはきっと、異性であり、多少なりとも交流が有り、好意があるがゆえの弊害

不謹慎にも高鳴る心臓なんていっそ止まれば良いと、春信は自分を呪う

けれどそれをあざ笑うように、部屋も、世界も

天乃と春信を二人きりで、置き去りにしていた


春信は夏凜との会話を、思い出す

妹は言った。「兄貴とエッチなことするなんて、天乃には役不足よ」と

確かにそうだろう。否定はしなかったし出来なかった

まともに動けないから炊事洗濯何一つできず、耳が聞こえないから話もしづらい

けれども彼女は曲がりなりにも久遠の後継者だ

だから地位はそれなりなんてちっぽけなものではないし、

雀が鷹と繋がるような有り得ない飛び級をすることになるだろう

だから大赦の中には、免許もないのに持っている高級車

つまるところの肩書きのための装飾品でしかないという人もいる

春信「………………」

しかし、夏凜が言ったのは力不足ではなく、役不足だ

春信が否定しなかったのも、自分の地位、能力その他諸々を含めた三好春信という人間が、

久遠天乃という少女に対して、はるかに力不足である。という点だ

彼女はできないことも、できるようにしようとする人間だ

味覚がないなら科学を用いて、完璧な数式のもとに、計算された味崩れのない料理を完成させるだろう

動けないのなら勇者の力を用いてでも動き、家事を行うだろう

耳が聞こえないからと、相手の口の動きを読む読唇術を自力で会得したように

彼女は努力家というには努力をしすぎている。本来ならば、馬鹿になんてされるような存在ではない

敵視され、疎まれ、蔑まれ、恨まれ、憎まれ、嘲笑され、陰口を叩かれるような子ではない

だから思う、彼女の相手に、自分は全くと言っていいほど相応しくはないと

それが結婚ではなく、たった一度の性交渉であるとしても。だ


だから春信は、天乃の言葉が出てくる前に

その願いが心を縛る前に

春信「私は、君の相手になることはできない」

天乃「っ」

春信「すまない」

答えを返し、謝罪をする

最低だ、酷すぎる

人間のすることではない。消えてしまえばいい

いくつもの軽蔑を自分にする

けれども、それはむしろ自分の心を慰めることにしかならないのだと、天井を見上げる

上じゃなくてもよかった

ただ、目の前の少女の表情が分からなければ、それで良かったのだ

逃げて、逃げて、逃げる

妹の願い、少女の願い、その恋人の願い

それら全てを裏切ってしまいそうな自分の心が、堪らなく……恐ろしくて

三好春信は、少女の願いに壁を立ててしまった


天乃「…………」

別に驚くことじゃない

春信にだって心に想う人はいるだろう

もし仮にそれがいないのだとしても

いないからこそ、断る可能性はあったのだから。と

天乃は見開いていた目、言葉半ばで開いていた口を閉じようと、拒絶の理由を思う

春信「………………」

天乃「………………」

交わせる言葉がなくなった

拒絶されたのに行為を求めるなんて

最低であると天乃は考えているからだ

そういうことならありがとう。ごめんなさい

そう言って、分かれる以外の道は……ないのだろうか


1、よければ、その……ダメな理由を教えて欲しいの
2、まだ。何も言ってなかったのに
3、そう。わざわざごめんなさい。ありがとう
4、何も言わない
5、そっと手を握る


↓2


天乃「そう。わざわざごめんなさい。ありがとう」

春信「いや、私こそすまない。君の願いを。私は……」

天乃「春信さん」

拒絶してしまった

そう言おうとしているのだと天乃は気づいて、名を呼ぶ

春信の声が止まり、視線が向けられ

天乃は首を横に振る

笑おうとしているのに

取り繕わなければいけないのに

なぜかそれは、できなくて

天乃「言わないで。お願い」

春信は何も悪くないのだから

願いの押しつけをしようといた自分が悪いのだ

天乃はそう思い、言い聞かせ、言う

天乃「大丈夫。誰かほかの人……探すからっ」

まっとうに愛してくれるであろう男性も

心を許すことのできる春信も

どちらも選べなくなった少女は、そう言って笑みを浮かべる

春信「っ…………」

双方が傷つくだけの回答などに、意味はあるのだろうか

あるにせよ、ないにせよ

その選択をする

だからこそ――彼女たちは愚か者だと、呼ぶに値するのだ

√ 8月5日目 夜(某所) ※木曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地、球子との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、球子
12、イベント判定

↓2


01~10 九尾
11~20 夏凜
21~30 樹海化
31~40 樹
41~50 夏凜
51~60 風
61~70 球子
71~80 樹海化
81~90 友奈
91~00 東郷

↓1のコンマ  

http://imgur.com/YAAilpZ


世界というのは、とても意地が悪い

天乃に助けて貰っているくせに

例え傷心中であろうと、容赦なく真実を曝け出してくる

天乃「……戦い? そう、死神、九尾。お願い」

若葉「良いのか?」

天乃「さらに変なのが増えた以上。ノーリスクではいられないわ」

それはそうだ

しかし、若葉は天乃が普段とは少し違うことに気付いていた

だから、不安だった

普段しないようなミスもしてしまうのではないかと

ここで、わざと死んでしまうのではないかと

また、勝手に。犠牲になってしまうのではないか。と

天乃「……私は今、遊ぶつもりはないの。その辺をよく、考えてちょうだい」

二つの力を交えた勇者、久遠天乃は無表情でそういった

代替端末でも変身出来たのね
それとももう返ってきたんだろうか

>>318

会話には登場させなかったのにエクセルにはいる不具合
バーテックスの都合のいいように修正します

ではなく、正しく修正します

http://i.imgur.com/yhnV8kd.png



天乃「みんなは遅れてくることに期待してもいいの?」

球子「どうだろうな。端末の改修が行われてるだろうし、その作業完了がいつかわからない」

銀「となると、あたしたちであれを相手すると考えたほうがいいかも」

若葉「それしかないだろう。もしかしたらに期待しすぎるのは危険だ」

若葉の緊張感を高める一言に、

天乃はたった一言「そうね」とだけ返して前を向く

期待はするものではない

押しつけのような期待でも

それが裏切られると、少しは嫌な気持ちにもなるものだ

それが受け入れられるのは難しいことだとわかっていたとしても……

天乃「行きましょう」



1、移動 ※マップより座標選択 赤は神速使用
2、待機 ※先に敵が行動
3、隠密 ※SP30消費で1ターンの間姿を消す
4、直感 ※ひらめき、必中がかかる
5、待機指示 ※敵のみ先に行動

↓2


不明A→天乃 命中判定↓1 ゾロ目のみ命中

不明B→天乃 命中判定↓2 ゾロ目のみ命中


若葉「主様ッ!」

天乃の動きは軽やかで、

たとえ詳細の分からない相手でも大丈夫だというような余裕が見える

いや、余裕が見えすぎていた

だからこそ

それはとても危なっかしく

ほんの数ミリのズレ、些細なミスで取り返しがつかなくなりそうな怖さがあって

思わず怒鳴った若葉を、天乃は見返して、笑う

天乃「大丈夫よ」

若葉「何が大丈夫なのか……ッ、私には何一つわからないっ!」

天乃「本当に、大丈夫。心配なんてしなくて良いから」

若葉「っ…………」

球子「問題が多過ぎるんだ。なのに、あの春信とかいう奴が変にこじらせて」

銀「無理言うなって。向こうには向こうの理由がある。向こうがどうだった。だからこうなるのも仕方がない。それは違うだろ」

球子「………………」

銀「向こうがこうだった。だからあたしたちはこうする。そうなるべきだろ。球子」

違うか? と、問う銀を一瞥して、球子は頷く

そんなことは言われなくても分かっている

けれど、そんな風に次を考えられるような余裕は現状……ないのだ

http://i.imgur.com/dF8aDqB.png



1、不明を攻める
2、球体を攻める
3、直感 ※SP10消費  絶対命中、絶対回避
4、魂   ※SP48消費  ダメージ2.5倍
5、覚醒  ※SP70消費  二回行動
6、結城  ※SP60消費  熱血、必中、不屈、加速、直撃、気合


↓2


天乃→球体  判定↓1 必中  01~10 41~50 71~80 でCRI

若葉→球体 ↓2 必中   ゾロ目でCRI

球子→不明A ↓3 01~30で命中    ゾロ目でCRI

銀→不明B ↓4 01~80で命中    ゾロ目でCRI

天乃→2500ダメージ
若葉→920ダメージ
球子→ミス
銀→650ダメージ


球体に3420ダメージ
不明Bに650ダメージ

球体を破壊しました


その球体も正体のわからない、噛み砕くことに特化していると思われる敵と同じように白い

けれどもそれは甲殻類のような硬さを持っていた

けれども

天乃「甘く……見ないでちょうだい」

天乃は一息ついて、刃を振るその手に力を込める

簡単だった

とても容易かった

それは卵の殻のようにひびを走らせ、その身を砕かせて

天乃は中身のない球体を引き裂く

その瞬間、真っ白い霧があたり一面に広がり

天乃は思わず、咳き込んだ

天乃「けほっ、っ、ぅ」

球子「大丈夫か?」

めまいはない

脱力感もない、眠気もない

天乃「ええ、平気」

自分の体が正常であることを確認して、天乃は平然と答えた

不明A→天乃 命中判定↓1 ゾロ目のみ命中

不明B→天乃 命中判定↓2 ゾロ目のみ命中


手も足もなく

尻尾がなければ触手もない

ただ噛み付こうとしているだけのその攻撃が天乃に当たるはずがなかった

天乃「遊ぶ気はないと、言っているでしょう?」

左から迫る白い塊をバックステップで容易に躱すと

右から迫る巨躯と地面との隙間を縫って躱す

見て避ける

それが簡単にできる

それほどまでに、今の天乃の能力は高いのだ

しかし、まだ油断はできない

いつ何が起こるのかわからない

それが戦いだからだ

http://i.imgur.com/bVoWtp6.png


1、不明Aを攻める
2、不明Bを攻める HPー650
3、直感 ※SP10消費  絶対命中、絶対回避
4、魂   ※SP48消費  ダメージ2.5倍
5、覚醒  ※SP70消費  二回行動
6、結城  ※SP60消費  熱血、必中、不屈、加速、直撃、気合


↓2

天乃→不明A  判定↓1 必中  01~10 41~50 71~80 でCRI

若葉→不明B ↓2 01~65で命中    ゾロ目でCRI

球子→不明A ↓3 01~30で命中    ゾロ目でCRI

銀→不明B ↓4 01~80で命中    ゾロ目でCRI


天乃→2600ダメージ

若葉→920ダメージ

球子→1450ダメージ

銀→650ダメージ


不明Aに4050ダメージ

不明Bに1570ダメージ

不明両者消滅
戦闘を終了します


天乃「……このくらいなら、いいのに」

破壊力が増したとは言え、

攻撃が簡単に通り、

封印の必要もなく誰でも消滅させられる

それなら、下手なバーテックスよりずっと戦うのが楽だ

けれど、きっと

物事はそんなに優しくない

若葉「樹海化が解けるようだな……何事もなくて良かった」

天乃「そうね」

誰も傷つかず、誰も苦しまなかった戦い

だからこその不安を……天乃は心の奥に追いやった

√ 8月5日目 夜(某所) ※木曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地、球子との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、球子
12、イベント判定

↓2


九尾「まぁ、妾の魅惑の力にでさえ抗うヘタレじゃからな。そう容易くは行くまい」

天乃「……見てたの?」

九尾「全て見聞きしておる。妾は精霊じゃからな」

くつくつと、九尾は笑う

九尾の魅惑のチカラでさえ手を出させられなかったのなら、

それは相当な強い心をもっているのだろう

絶対にすべきではない

そんなは止めが何よりも強固に働いているということだ

妹の親友

親友の妹

妹の親友の恋人

考えてみれば、そんな複雑怪奇な関係で

手を出し渋るのも無理はないだろう。と、九尾は思い、

誘惑の力が今も働いているのならともかく

ないのならば、最終手段を使う他ない

そう考えて、息をついた


九尾「主様の交友関係がもう少し広ければのう」

天乃「……そうね。大赦の大人の人なら何人かいるわ」

もういっそ、それでもいい

そう、諦めたような言い方だ

張り合いがなくてつまらない

そう思いながらも、表情では天乃を気遣う悲しさを表して、首を振る

それは嘘じゃない

本心だ

普通に生きていられたのなら

勇者であったとしても、ちゃんと体が動くのなら

少し障害があったとしても、鷲尾須美程度のものだったのなら

きっと、交友関係はもっと幅広いものだったに違いない

九尾「……主様の自己犠牲の賜物じゃな。父親のような男に身を委ねるのもひとつの選択じゃ」

天乃「お父さんみたいな人。ね。ふふっ、たった一回だけだもの。それでも……いいのかな」

九尾「ふむ……せめてもう少し、主様の我儘は聞けぬのかえ? そんなことは絶対にしたくない。妾相手にならば、そう言うのも良かろうに」


自分の言葉が何かの布石に思われることは百も承知だ

茶化し、騙し、

傷つけ、嘲笑し、

否定し、対立もしてきたのだから

天乃からの印象がいいものだとは思っていない

本当、素晴らしいほどに最低な生き方の賜物だと、九尾は苦笑する

けれども、九尾はその生き方をかえるつもりはない

反省もせず、後悔もしない

そうして行くと決めた以上は、曲げることはしない

九尾「誰よりも人を愛するがゆえに、主様は誰もが見えるよう、誰よりも一段上にいる」

天乃「………………」

九尾「だから誰も、主様を子供だとは思わない。尊敬する者は先人とし、恐れるものは化物と呼ぶ」

天乃「私は……」

九尾「そうじゃな。少し、大人になりすぎた」

九尾の精一杯の優しい声は

天乃の耳には届かない

取り繕った表情は、その想いに気づかせない

けれども、それでいいのだと

九尾は天乃の頭を二度、手の平で優しく叩く

九尾「少しは子供になるが良い。妾は主様の助けなどいらぬ。その弱さに絶望したりはせん。妾は……そう。化物じゃからな」


1、私は誰とも、したくない
2、春信さんが良かったの……本当に。異性の中で、私はあの人が一番だからっ
3、ダメよ。だめ……春信さんは嫌だって。だからっ
4、なんでこんな、こんな私……嫌なことのために、嫌な思いしなくちゃいけないの?
5、黙って、九尾に抱きつく
6、なら教えて。貴女はなに? 久遠家って一体なんなの?


↓2


天乃「っ」

九尾「おっと……妾は抱き枕ではないのじゃがな……」

その言葉は届かないし

その声には意味がない

それを分かっているからか

自分の体に感じる燃えるように冷たい少女の体を、

九尾はいつもの嘲笑の代わりだとでも言うかのように、抱きしめて

懐かしさを感じ

あのときは立場が逆だったのだと、思い返して苦笑する

我儘を言えと言われたのは久遠家の人間

そう、陽乃ではなく、自分だった

九尾「子が成せぬのならば死ぬ。それを伝えれば春信も認めるじゃろう」

天乃「……え?」

九尾「最数手段。その効力は絶大じゃ。使ってみるかえ?」


天乃「でも、それは」

九尾「主様の嫌いな自己中心的な言葉。きゃつの意志も思いも関係なしに、自分を救えと願うことじゃ」

天乃「私は――」

九尾「しかし、それの何が悪い。理由を告げ、泣きすがり、助けて欲しいと願うことの何が悪いッ!」

天乃「っ」

自分のために誰かを犠牲にしたくない

それは立派な考えだ

バカみたいに優しく

バカみたいに人想いで

バカみたいな自己犠牲

九尾「主様は久遠の人間だ、人に角の生えた化物の一族だ。じゃがな、それでも主様は人じゃ」

天乃「………………っ」

九尾「主様は我儘を言うと必ず叶えてくれる。自分のためにただ強制させるとでも考えておるのだろう」

天乃「それは」

九尾「そんなわけあるかッ! この、自己愛の化け物めッ! 我儘は人に救いと選択を求める。ただそれだけでしかないッ」

力強く怒鳴る九尾の迫力に

天乃は目を見開いて、身を縮める

けれど関係なしに、九尾は続けた

九尾「我儘を聞き、どうするかは相手が決めること。自分には出来ぬというのならば春信のように拒絶するだけじゃ」

天乃「っ」

九尾「しかし、我儘の理由も知らずにした拒絶は後悔する。絶対に。知っていれば別の選択をしたかもしれないとな」


九尾「主様は春信のために、言いたくないのじゃろう? しかし、それは結局、きゃつのためにはならぬ」

天乃「でも」

九尾「む? でも私可愛いし魅力的だから私の我儘って強制だと思うの。えへへっとでも思うとるのか? 気色悪い」

天乃「っ……貴女の方が気色悪いからそのくねくねするのやめてお願い」

九尾「くふふっ」

吹けば飛んで行きそうな声は、力強く

中途半端だった瞳には、だんだんと力強さが戻ってきている

それを感じているからこその笑みは、

九尾にしては珍しく、優しかった

九尾「要するに、好きなだけ我儘を告げ、選択をさせるが良い」

天乃「……………」

九尾「人生における人の為の選択は犬妹のように何かを変える切欠となる。選択を与えぬことこそ強制であると気づけ、我が愚かなる主様」

酷く強い言い方で

とても、正しい言い方でもなかったかもしれない

けれど、間違っていない

だから否定も批判もできない

天乃「……そうね。私は間違っていたのかもしれないわ」

九尾「人は間違い続ける生き物じゃ。しかし、間違えた数だけ、正しいことを為せる生き物であると。妾は信じておる」

九尾はそう言って天乃の頭を撫でると

満足そうに姿を消した


では、少し早いですが今日はここまでとなります
明日はまた通常通りとなります
また、平日は時々できない場合もありますが、そのときは一言入れます



wikiに関してはなんとか追いつくようにします
樹さえ作っていなかったのには驚きました


では、再開していきます


1日のまとめ

・  乃木園子:交流無()
・  乃木若葉:交流有(勇者会議)
・  土居球子:交流有(勇者会議)
・  三ノ輪銀 :交流有(勇者会議)
・  犬吠埼風:交流有(勇者会議)
・  犬吠埼樹:交流有(勇者会議)
・  結城友奈:交流有(勇者会議)
・  東郷美森:交流有(勇者会議)
・  三好夏凜:交流有(勇者会議、春信を)
・  三好春信:交流有(お願い、終了)
・     九尾:交流有(我儘)

・      死神:交流無()
・      稲狐:交流無()
・    夢路瞳:交流無()
・     神樹:交流無()


8月日5目終了後の結果

  乃木園子との絆 19(中々良い)
  乃木若葉との絆 26(中々良い)
  土居球子との絆 21(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 43(少し高い)
  犬吠埼風との絆 61(高い)
  犬吠埼樹との絆 110(かなり高い)
  結城友奈との絆 56(高い)
  東郷三森との絆 56(高い)
  三好夏凜との絆 80(高い)
  三好春信との絆 32(中々良い)
   夢路瞳との絆 12(普通)

     九尾との絆 45(少し高い)
      死神との絆 33(中々良い)
      稲狐との絆 22(中々良い)
      神樹との絆 5(低い)

 汚染度***%


√ 8月6日目 朝(某所) ※金曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地、球子、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、球子
12、イベント判定
13、春信

↓2


天乃「ごめんなさい。断られたのに、また呼び出して」

春信「いや、気にすることではない」

こないという選択も春信には当然、あった

なんの予定がなくとも、

予定があるからそれは出来ないと嘘をつけば断ることができただろうし、

嘘をつくのが嫌なら、偽りなくそれはできないといえば良かった

けれど、

彼は「少し待ってくれ。必ず行く」と、答えてしまった

そして、来てしまった

春信「………………」

してしまったこと続きだ。と、春信は息をつき、

何かを思う、少女を見つめた

春信「昨日の件。か?」

天乃「……そうよって、言ったら貴方は帰る?」

春信「私の答えを聞いてなお、繰り返すのなら。聞かないわけには行かないだろう」


あれは本当にひどい拒絶だったと、

春信自身も思っていた

天乃や樹、夏凜達の気持ちを守るため

それを裏切らないため

そんな理由があるとはいえ、少々に留まらず性急だったからだ

しかし、けれども、だからこそ

その春信の答えは確固たる意思の下に導き出されたものであると

天乃にも伝わったはずで

それでも同じことを繰り返すというのなら

彼女にもまたそれ相応の理由があるのだと、春信は考えたのだ

天乃「ありがとう」

春信「礼も不要だ。久遠天乃。話を聞こう」

天乃「うん」


1、私はね? 子供を作らないと体の中が戦いによって蓄積した穢れに満たされて、死んじゃうらしいの
2、春信さんは私のこときらい?
3、どうして、昨日あんなふうに拒絶したの?


↓2


聞いたら引き返すことはできないだろう

これは本当にずるい言葉だ

教師の、成績に響くぞ。という言葉なんて比にもならないほど

きっと、そう

不可抗力で、無敵で、最強で、最低な言葉

けれど、それは我儘だから

どうしても、聞いて欲しい言葉だから

聞くか聞かないかの選択は蹴り飛ばして

どんな言葉かの忠告も

自分の代わりに埋葬して、言う

天乃「私はね? 子供を作らないと体の中が戦いによって蓄積した穢れに満たされて、死んじゃうらしいの」

春信「……な」

天乃「だから、お願い……こんなこと頼めるのも、頼みたいのも貴方だけ。だから、お願い春信さん。私を……抱いてください」

胸元に宛てがわれた小さくも力強い手

頑張り続け、ボロボロになった

よく見れば華奢な体

そして

泣き出してしまいそうな、張り詰めた表情

けれどもそこには儚さを携えた笑みがあって

春信「わた………っ」

目を見開く春信は少女のそれに沈黙し、

一直線に答えそうな唇を噛み切って言葉を押し込んだ


春信「……とても、そうだ。とても魅力的な言葉だ」

天乃「春信さん、血が……」

春信「大義名分であり、不可抗力であり、何があろうと無責任でいられる素晴らしい言葉だ」

強く、強く拳を握り締め、

瞳は天乃を見ることなくそらして隠す

春信は少女を美しいと評価している

そして

春信は少女を愛らしいとも評価している

そして、

とても魅力的な異性であると、認識している

故に乗らない手はなく、出さない手などないはずなのに

春信は首を横に振る

春信「しかし私は、それではいけないと思っている」

天乃「……ダメなの? どうしても?」

春信「その前に私の話を聞いて欲しい。それから、話を進めよう」


青年にとって、少女はどんな存在だろうか

無理やり婚約者にされ、ひとつ屋根の下で生活させられた人

妹の大切な親友

妹の親友の恋人

数少ない心からそうであると言える親友の、妹

けれどもそれらは全て他称のための言葉

玄関先の表札、ポケットにしまった名刺

その程度の、差し障りのないようにと誰かが作ってくれた文字列

春信「正直に言おう。私は君を異性だと思っている」

妹がどうとか

親友がどうだとか

周りがどうだとか

そんなものは全て切り捨てて、異性であると青年は思っていた

春信「だから私は純粋に人として。男として。君に愛らしさを感じ、好意を抱いている」

天乃「………………」

春信「しかし君は妹の親友だ。親友の妹だ。妹の親友の恋人だ。そんなもの、持ち続けて良いはずなどない。持ち出して良いはずなどない」


春信「しかし、叶うのならば私は君を愛したいと思う。最低だと思いながら、欲ゆえに、願いを抱く」

青年は少女を嫌っていない

むしろ、真逆に好意を抱いている

しかし、だからこそ

青年は。春信は……天乃を拒絶するという選択をした

妹の、兄ならば平気であろうという信頼

妹の親友の、彼ならばという信頼

少女の、貴方ならという信頼

その全てを裏切りかねない自分の心が、恐ろしいからだ

春信「私はたった一度でも、君を全力で愛するだろう」

天乃「…………………」

春信「そして、もう一度、もう二度、もう三度。と……君を求め始めるに違いない」

天乃「私は」

春信「君に恋人がいようと。それが、彼ではなく彼女であるがゆえに、私でしか埋めようのない愛があるがゆえに」

春信は少女を

久遠天乃を心から愛している

だからこそ

拒絶する意思はとても強く、とても脆い

春信「はっきり言おう……私は君を好きになった。久遠天乃。私は君を……愛し続けたい」


ではここまでとさせていただきます
あすもまた可能なら通常時間から

再開=安価は避ける予定
1レスくらいは挟みます


九尾「永遠か、一瞬か」


では、少しずつ勧めていきます

1、九尾の勇者で一撃
2、死神の勇者で一瞬
3、混在の勇者で一殺

なんて言うこともありえます


天乃「春信さん……っ、私はっ」

春信「そうだ。君には犬吠埼樹がいる」

天乃「ならっ、どうして」

それを知らないのならば、

まだ、救いようがあったのに

少女は思い、涙を携えた悲しげな表情で首を振る

天乃「私には樹がいるの……樹がいるのっ!」

春信「しかし、それでも君は私を求めてきた」

少女よりも背が高く

少女よりも優位に立てる五体満足の青年

彼は少女の両肩に手を添えると、ほんのわずかに、自分の方へと引き寄せる

春信「だから私は君を求める。私の体の代わりに心が欲しいと」

天乃「っ」

春信「さぁ、君の答えを聞かせてくれ」


天乃「っ、ぅ……っ」

何を考えているのか分からなくなった

なにか間違えたのだろうか

全部間違えていたのだろうか

彼の為を思い、彼を気遣い、

見せていた優しさは全て……仇となって返されることになるのだろうか

少女はこらえきれない涙をこぼし、唇を噛み締める

そんな人だとは思ってなかった

こんな人だなんて思っていなかった

そう思う心を見透かしたように、彼は首を振る

春信「それは君の理想の押しつけだ。私は異性だ。君を愛さないはずがない」

天乃「っ………」

春信「どうだ? 君は心を私に差し出してくれるのか? 死にたくはないのだろう?」


1、それはできないッ!
2、平手打ち
3、なら。もういい
4、体だけではダメなの?

↓2


天乃「それはできないッ!」

右手だけで青年の両手を払い除け、睨み上げる

天乃「私は死にたくない。ええ、そう。死にたくないわ。でも」

涙に濡れた表情

止めどなく悲しみを滲み出させる瞳

どちらも弱々しいであろうこの場面で

少女のそれらは頑丈な意志によって、力強さを保っていた

天乃「この心は渡せない。この心があるから、私は生きていたいと望んでいるんだもの」

春信「…………」

天乃「だから心を差し出さなければ生きられないのなら――潔く、私は死ぬわ」

その本心を称えるように胸を張り、

命を捧げようとしているかのように、少女は手をあてがう

その迫力に

その意志に

その力強さに

春信は呆然としていたが、

しばらくすると、見開いていた瞳をとじ、息を吐いて笑みを浮かべた

春信「だろうね。そうでなければ私が困る」

天乃「………え?」

春信「私は曲がりなりにも異性な私が君を求められない理由……拒絶が欲しかったんだ」


春信「私は経験の浅い男だ。拒絶されなければ君を求め続けてしまう可能性は多いにある」

天乃「……………」

春信「だから求めた。君の拒絶を……怖い思い、辛い思い、悲しい思い、色々させてすまない」

語っていたことのほとんどは嘘じゃなければ演技でもない

久遠天乃という少女の優しさに惹かれ始めていたのは事実だ

その容姿が異性として素晴らしいものであると評価していることも事実だ

けれど、だからこそ

拒絶がないままつながることを避けたかったのだ

春信「しかし、これで君も分かっただろう? 我儘に強制力などありはしない。いかなる理由があろうと、相手は選択しているのだと」

天乃「あ、貴方まさか……っ」

春信「すまない。九尾と密会した」

天乃「っ」

春信「彼女は君を信じていた。主は必ず正しい答えを出す。だから安心して我儘を言え。と」

天乃「もしも間違えていたら?」

春信「そのときはすまないが、私が拒絶していた」


天乃「っ……私、貴方に。その……本当にっ」

春信「年上の男として、君にはひどいことをしたと思っている。しかし、君も異性相手にひどい願いをしているのだ。許してくれ」

天乃「それは……言われたら反論はできないけど」

それ以降はお付き合いできません

気持ちを通わせることはできません

振り向くこともありません

ただ、子供を作らせて頂くだけです

改めて考えれば、本当にひどい申し出だと

天乃は涙を拭って苦笑する

春信「子供に関しては安心するといい。私は独身でね。経済面では自信がある。それに、子を愛する気持ちも充分持ち合わせていると自負している」

天乃「……でも貴方に子持ちなんてマイナスイメージが付くわ」

春信「命をさすがり、守ること。それがマイナスになるのなら。それは世界が間違っているのだろう。気にすることはない」


天乃「そう……なら安心できる」

少女の笑みは本当に愛らしい

けれども青年は抱くべきではない想いを抱かぬようにと

少女の拒絶を思い出す

春信「君の命に関わるのなら、事は早めに済ませるべきかも知れないな」

天乃「う、うん」

春信はとても大切で、重要な抑止力を手に入れたのだ

これでもう

絶対に血迷うことはないと安心できる

春信「しかし……その。君は平気か?」

天乃「?」

春信「私は経験がない。無論、相手などいないがゆえに君にそれを差し出すことに抵抗はない」

天乃「っ、は、春信さんっ!?」

春信「……す、すまない。しかしだ。しかしだな。もしも、彼女との……」

春信はそれ以上言うことはできず、

言葉はそのまま闇の中へと消えていく

けれども何を言いたいのか

天乃にはしっかりと、伝わっていた


ではここまでとさせていただきます
信じるものは報われるはずです。恐らくですが



九尾「れでぃふぁーすと。というものか」

春信「ま、待て。それは何か違う」

九尾「はて? 樹を最初の相――」

春信「わ、私が悪かった! すまないやめてくれッ!」


では、少しだけ勧めます


√ 8月6日目 昼(某所) ※金曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地、球子、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、球子
12、イベント判定
13、春信

↓2


樹「昨日の襲撃の件もあるので、補習には行きたくないって言ったんですが……」

天乃「端末が完全に使えるようになるまではまだ時間がかかるって?」

樹「はい。バージョンアップなども行うそうで、完了は昨日含めて5日。なので4日後です」

つまり、

その4日間、襲撃があった場合は天乃達だけで相手をすることになる

といっても、天乃たった一人ではなく、

若葉に球子に銀がいるという現勇者メンバーに劣ることのないメンバーゆえに、

そこまで心配はいらないかもしれない

天乃「貴女達の補習開始は?」

樹「本当は今日だったんです。けど、今日は昨日の件で延期で明日からだそうです」


樹「なので、明日からは朝は多分、平気ですけど。お昼とかは……」

天乃「それは承知の上で貴女を止めなかったのよ」

寂しくならないといえば、嘘になるかもしれない

けれど数日会えないとかではなく、

一日の中のたった数時間だけ学校に行くだけだ

そこまで寂しく思うことでもない。と

天乃は苦笑して、樹の手を握る

天乃「ちゃんと勉強してきなさい。貴女が望んだことなのだから」

樹「……はい」

天乃の琥珀のように綺麗な瞳と

樹の翡翠のように澄んだ瞳が見つめ合う

こうして近しく

なんの問題もなく寄り添うのはいつ以来かと

記憶は振り返りながらも、体は進む

樹「…………………」



1、何も言わない
2、春信さん、受け入れてくれたわ
3、私ね、春信さんに愛したいって言われたの
4、貴女に任せるわ
5、春信さんに経験がないままで平気かって、言われちゃった


↓2


天乃「その前に」

樹「……………」

天乃「ちょっと大事? な、話をしたいわ」

進んできた樹の体に手を宛てがって、首を振る

そうしたい気持ちはあるけれど

その前に、話すべきことがあるからだ

樹「なんですか?」

天乃「春信さんにね? 経験がないままで良いのかって言われちゃって」

樹「経験……っ、経験ですか」

天乃「う、うん」

確認したわけでもない彼女の二言目

顔が熱い、きっと真っ赤だ

そう思い、ちらっと目を向けた樹の顔も、どことなく赤みがかっていて

思わず、目をそらした

天乃「そう、経験……なの」


樹「け、経験ですか……」

同じことを繰り返す樹は持て余した手を遊ばせて、俯く

話の流れ的にその言葉が意味することはわかる

わかるから、恥ずかしい

私も、樹も

樹「っ」

天乃「……どう、する?」

樹「聞かれても困ります」

キスでさえ、簡単に数えられる程度しかしてなくて

風に「なにそれ本当に付き合ってるの?」とか言われる始末で

そこまで性的なつながりを重要視してないと言い訳はしているけれど

やっぱり、意識していないわけではない

春信とのたった一度の好意に激しい拒絶をしているのを見ると、

意識していないと言いつつかなり意識しているのがよくわかる


樹「何もなければもっと……その。ゆっくりと進めて行きたかったなって」

天乃「そこには私も同意するわ。私も貴女も中学生。あなたに至っては一年生だもの」

同年代の性事情は全く知らない

もう色々と経験しちゃってますよ的な

風曰く、特急列車系がいるかも知れないし

手を繋ぐのですら躊躇っちゃう

風曰く各駅停車系が居るかもしれない

しかし、

風曰く女性専用車両の天乃と樹はそれらに左右されず、

自分たちのペースで繋がっていきたいと思っていたのだが

こうなってしまってはそうも言ってられない

天乃「だからその、無理強いは……するつもりないから」

樹「でも」

天乃「初めての経験が貴重だって話は聞いてるけど、私たちは別に。その……体で繋がってるわけじゃないもの」

樹「それはそうですけど。でも……」

どちらもまだ幼い

そのことが、樹に答えを渋らせた


では、此処までとさせて頂きます
あすも可能であれば似たような時間の予定ですが、
できない可能性もあります


1か4なら樹からのキスタイムの予定でした


では、一時間ほど進めていきます


樹にはごく普通の

そう、保険の教科書に載っている性交渉の方法

その必需品……というべきかどうかは置いておくとして

女の子相手にした場合に必要な付属品がないのだ

それはもちろん、天乃にもない

耳や尻尾が生えるのだから

頑張ってそれを生やしてくれませんかと祈ることも選択肢の一つだが

春信と行為をするのは天乃であって、樹ではない

つまり、この場合は女の子役は天乃が担当するべきなのだ

樹「保健の教科書には同性のしかたも載せておくべきだと思います」

天乃「電子化された保健の教科書になら載ってるとは思うけど。正式採用の教科書には流石にね」

樹「もちろん冗談ですよ」

もしも同性とのそういう行為が一般的になっていたら、

まず間違いなく自分よりも魅力的な人が言い寄っていたに違いないと、

樹は考え、苦笑した


樹「その、とりあえず、春信さんとの行為を認めたあとなのにアレなんですけど」

天乃「うん」

樹「もうちょっと、先延ばしにして欲しいです」

天乃「へ……」

率直だった

余りにもど直球で

天乃「ふふっ、あはははっ」

天乃は思わず見開いてしまった目を閉じて、笑う

性交渉の重要性を、

久遠天乃は子供のための行為としか認識していない

それは、中学校一年中盤以降、5科目+αはともかく

保険体育など捨て去った勉強だったからだ

けれど

樹「だ、大事なことなんですっ」

天乃「樹?」

樹「私はファーストキスだって……もらえてないからっ」


天乃「あれは……」

ファーストキスは奪われた

本当にあれが最初だったのかは定かではないけれど

天乃が覚えている中で、

一番初めにされたのは、あの強引なキスで

その相手は樹じゃなかった

樹「だ、だから。その……ちゃんと考えたいんです」

どうするべきなのか

もし、最初の相手を務めるとして

何をどうして、どうすることで男性役となることが出来るのか

もしも最初の相手にならないのなら

気持ちにどう整理をつけ、自分の初めての経験をどうするのか

考えることがあったのだ

樹「三日ください。三日でちゃんと考えて、覚悟を決めて。どうするのか……話します」


無理に天乃と繋がり、

体を傷つけ、取り返しのつかないことをしてしまうかも知れないがゆえに、

無理に自分の気持ちを押し通すことなど樹にはできず、

けれども天乃のその大事な1番を簡単に譲りたくないという

わがままもあるから、決着がつかない

なりふり構わず押し倒し、行為ができたらどれほど楽かと考えて、

樹は罰と言わんばかりに手の甲を抓る

樹「久遠さん」

天乃「うん?」

樹「私がもしも、最初の相手を春信さんに譲ったら失望しますか?」

それはとても、大切な問



1、私の答えを聞いたらもう、それは貴女の悩みではなくなるわよ?
2、しないわ。貴女が三日間も、悩んでくれたから
3、どうかしら……その時になってくれなきゃわからないわ
4、どうかしら。ただ、悲しい気持ちには。なる可能性もあるんじゃないかしら


↓2


ではここまでとします
あすもできれば同じような時間となります



九尾「主様。良いことを思い付いた」

天乃「なに?」

九尾「妾なら、勇者部五人、主様、主様の精霊三人の九人全員相手できる」

天乃「ふざけないでよ」


失礼しました。今日はやっていきます


天乃「ねぇ樹」

樹「……はい」

天乃「私の答えを聞いたらもう、それは貴女の悩みではなくなるわよ?」

樹「どうしてですか?」

相談するだけ

答えのヒントをもらうだけ

少なくとも、樹はそれだけのつもりなのに、

天乃はそんな小さなことではないと言う

それがわからず、首を傾げる樹に

天乃は小さな笑みを向けた

天乃「例えば貴女の前に距離的に差違のない別れ道があったとして」

樹「?」

天乃「その片方に、通れるけれど通りづらくなる岩があったとしたら。どっちを通る?」

樹「それは岩のない方……ですけど、それと何の関係があるんですか?」

天乃「私の返答はその岩よ。ほとんど答えを確定させてしまう。言うなれば解説ではなく解答を見るようなもの」

だから言わない。と、天乃は首を振った


樹「……解説じゃなくて、解答。ですか」

それはつまり、

その問題がどうやって答えにたどり着くのかを飛ばして

答えだけを見る。ということ

そこには理解がなければ過程もなく

当然のように、悩みもない

樹「そうかもしれないです」

久遠天乃の頭の中で展開される物事の理解の仕方

そこに、自分が追いつくことは難しいだろう。と

樹は思っている

実際に、今だって解説がなければ理解が出来なかった

たった二年。されど二年

けれどもそれ以上の違いが自分たちにはある

それがどこか寂しく、悲しく、辛い

樹「分かりました。ちゃんと、悩みます」

自分は天乃の隣にいる人物として相応しくないと、

示されているような気がするからだ


√ 8月6日目 夕(某所) ※金曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地、球子、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、球子
12、イベント判定
13、春信

↓2


樹「……………」

天乃「………………」

私とエッチなことをするかどうか

樹はそれを真剣に考えてる

多少の知識はあるとしても、

それは学んでも差し支えのない健全な部分だけであり、

しかも男女による行いしか知らないから、無理もない

普通じゃない経験をしてきた私でも

流石にそんな経験はないし

あったらそもそも。こんな悩みなんて必要ない

樹「……久遠さん」

天乃「うん?」

樹「手短なものだと野菜を――」

天乃「却下。それ以前に食べ物を粗末にしちゃダメ」

樹「そ、それくらい分かってます。ただそう言うのもあるって、話です。流石にしませんっ」


天乃に即答されると思っていなかった樹は、

顔を赤くして、否定する

自分でも流石にないと思ったとはいえ、実はちょっぴり考えたからだ

樹「そういえば久遠さん」

天乃「今度はどんな特殊なこと?」

樹「特殊じゃないです。ただ少し、気になることがあって」

樹は悩んでいるというよりも、

どこか不安そうな表情で切り出す

樹「久遠さんは今でも、男の人を好きになれますか?」

天乃「私が好きなのは樹だけど。そういう話ではなく?」

樹「す、好きな性別って意味です……」

迷いのない一言に、

樹は思わずぶれかけて、笑った


1、なれないことはないと思うけど
2、なれると思うわ
3、どうかしら。わからないわ


↓2


では、此処までとさせて頂きます
明日は通常通り、できれば昼ごろからとなります


園子「――野菜とか良いんじゃないかな」

大赦「野菜……良い」カタカタカタ――ッターン

大赦「あの、ところでこのメール相手のいっつんって一体」

園子「迷える白百合ちゃんだよ~」


では、再開していきます


天乃「どうかしら。わからないわ」

樹「分からないんですか?」

天乃「私は……そうね。元々は男の子との恋愛が普通だと思ってた」

男の子を好きになって

男の子と恋人になって

男の子と結婚して、家族をもって、お婆ちゃんになって、

そして、死ぬ

そういうのが当たり前だと思っていたし

もしかしたら恋愛せずに独身のまま生涯を終えることもありえると思っていた

むしろ、例外はその独身だけだと思っていた

天乃「けど、今は貴女を好きになって。貴女と恋人になってる」

樹「……………」

天乃「結局ね。私は性別で好きになるわけじゃないのよ。だから、男の子を好きになれるのかは、分からない」


樹「つまり、久遠さんは女の子が好きっていうわけでもないんですね」

天乃「言い換えればそうね。つまり、私は貴女が好きなのよ。女の子だからとかじゃなくてね」

樹「えへへっ」

我慢してても、思わずにやける口元を覆って、樹は天乃を見つめる

天乃は人が好きなのだ

きっと、性別だけでなく容姿でも人を選ばず、

その人の言動や性格で、ちゃんと判断している

学校にいれば、

友達が出来なくて寂しい思いをする人がきっと、いなくなるに違いない

天乃「だから逆に言えば、男の子や女の子。もしかしたら両性も好きになれるかもしれない」

樹「り、両性……?」

天乃「男の子になりたい女の子とか、女の子になりたい男の子とか。私は別に。それを否定はしないしね」

樹「そういう人っているんですか?」

天乃「いないとは限らないんじゃないかしら。時々、病院かなにかの手術項目にそういう感じのが入ってるの見たから」


樹「そ、そうなんですね……」

まだまだ理解できないものが世界にはある

まだ中学一年生なのだから仕方がないこととは言え、

恋人とエッチなことをすることで悩んでいる自分が、

そんなすぐ分かるような事を知らなかったことに、樹はため息をつく

そんな未熟者はまだ早いのではないか。と

天乃「だから樹が男の子になっても。私は貴女を好きでいるわよ」

樹「……そういうのも、アリですね」

天乃「え?」

樹「独り言です」

女の子が男の子になる

そんなことが出来るのなら……そう

そうなってしまえばいいのではないか。と、

樹はそれを選択肢の一つに加えた


天乃「ところで、樹」

樹「はい?」

天乃「補習の方は問題なさそうなの? 明日からよね?」

樹「それに関しては必要なものは大赦が支給してくれたので揃ってます」

讃州中学のカバンや制服等は自宅から持ち出したが、

ノート等の消耗品に関しては、支給してくれたのだ

天乃「そう」

樹「見学だけでも、させてくれれば良いんですけど」

大赦はそれさえも無理だといった

いても意味がない

いても邪魔だと

一部の天乃を毛嫌いする人は、そう拒絶した

天乃「部活中の生徒に、誰だあれ。なんて不審者に思われるのもゴメンだしね」

樹「……それはないと思います」

むしろ転校生とか思われて賑わってしまいそうな気がする



1、それで。話も終わったのだし。一度だけ。しておく?
2、それでね? 樹、あなたから見て九尾はどう思う?
3、昨日、私が頼むよりも先に全員で話し合っていたのには驚いたわ
4、樹。この先、私に何かがあっても。貴女は貴女のままで居てちょうだいね


↓2


天乃「それで。話も終わったのだし。一度だけ。しておく?」

樹「……そうですね」

言葉はそれだけで十分だった

右手の人差し指を唇にあてがう天乃を見つめ、樹は頷く

最後にしてから、どのくらいの時間が経っただろう

最後の触れ合いから、ここまで

どれくらい、待ち望んでいたのだろう

樹「………………」

天乃の右手を掴んで引き剥がして

勢いそのままに、ベッドへと押し付けると

彼女は抵抗も拒絶もせず、すんなりと受け入れて目を瞑る

樹「っ」

ベッドに広がった桃色の髪は、まるで白いキャンバスに描かれた満開桜のように美しく

思わず、壊してしまうのを恐れて動きが止まる

天乃「……どうしたの?」

けれど

掴んだ右手に握り返されて、

開いていく瞼の隙間から、橙色の瞳が現れて

その美しさゆえに、見蕩れて、引き込まれて

樹「……何でもないです」

樹は天乃の唇に、唇を重ね合わせた


樹「…………」

思えば最後はひと月前で

あの時は本当に、絶望的な状況だった

友奈が重傷で、夏凜が不安定で

自分たちが監禁された状態で

それからまたすぐに、風が意識不明の重傷を負い、

天乃が記憶を失って

樹「………………」

たった一ヶ月間なのに

それは一生を過ごしても経験しないようなことを詰め込んでいた

辛かった

苦しかった

悲しかった

怖かった

でも、その全てがここに収束するのなら

自分はこれからもまた、何に対してでも頑張ることができる

樹「……………」

天乃「!」

樹「……ぇへへ、久遠さんの味がします」

樹はそう思って、天乃の唇を咥えて……ひと月分を楽しんだ


√ 8月6日目 夜(某所) ※金曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地、球子、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、球子
12、イベント判定
13、春信

↓2


夏凜「聞いたわ。兄貴から」

天乃「春信さんも口が軽いわね」

夏凜「まぁ……妹の親友とエッチなことするのに、黙ってられる人じゃないのよ」

天乃「わかってるわ。冗談よ」

夏凜は呆れているような口ぶりで

けれどどこか少し悲しげな表情を浮かべていた

夏凜「すまないって。兄貴は謝ってた」

天乃「どうして?」

夏凜「恋人が居るあんたと、理由があるとは言えそんなことするから」

だから、すまないと兄貴は言った

理由があるならしていい

そんな簡単なものだったら恋人なんて関係も、夫婦なんて関係もただの肩書きで

不倫なんていうものも、でっち上げで合法化されてしまう

夏凜「兄貴は私達の死と隣り合わせの人生を知ってるし、あんたと樹の葛藤の末の交際も知ってる」

だから

だからこそ

夏凜「兄貴はそこに誰かが割り込まなければいけない流れをどうにも出来なかったことを悔やんでる」

天乃「そんな必要……」

夏凜「あんな硬い人でも。昔はね。私に向かって俺は夏凜のヒーローだ。なんて言う時期もあったくらいには正義感があんのよ」


それはただの昔話

まだ仲が悪くなっていなかった時の話だ

だから春信の内面なんて変わっていてもおかしくはない

けれど、夏凜は春信は何も変わっていないのだと、確信していた

夏凜「あの日曜日、兄貴は言ったのよ」

天乃「?」

夏凜「こういう時間を守るのは私達の役目で、夏凜達はその理由であるべきだ。なのに何故、世界はその逆なんだろうなって」

天乃「……………」

こういう時間

それはきっと、何事もなく流れていく日常

何も知らない人々が

今もなお使い捨てていく穏やかな時間のことだろう。と

天乃は頭の片隅で理解し、口を閉じる

夏凜「だから私は言ってやったわ。妹だとか、女の子とかで舐めんな。私たちの方がうん百倍強いってね」

天乃「そしたら?」

夏凜「それでも。お前は私の妹で。みんなはその親友だ。だからこれからも、私は、お前達のために働くって」

天乃「……惚気話?」

夏凜「ち、違うわよッ!」


天乃「でも、それだけ貴女が好きってことなんでしょうね」

夏凜「……まぁ、それは分かってるし。だから、前よりは仲良くしてあげてるわよ」

照れくさそうに、夏凜は呟く

仲悪かったのが仲良くなった

大赦やバーテックスともそんな平和的な解決ができればいいな。と

考えてすぐに、それは無理だと首を振る

大赦はともかく、バーテックスは絶対的に不可能だ

言葉がわかる分からないではなく

それ以前に、向こうに歩み寄る意思が存在しないからだ

夏凜「まぁ、別に。嫌いじゃ。なかったし」

天乃「……………」


1、それで、ほかに春信さんと話してないの?
2、夏凜。ごめんね。春信さんのこと
3、なに? 春信さんが好きなの?
4、ツンデレね
5、そういえば。春信さんは私のお兄ちゃんと友達だし……


↓2


天乃「他には、何か話したりしてないの?」

夏凜「これは言うべきかわからないんだけど、一応」

天乃「?」

意味ありげな切り出し方天乃が首をかしげると

夏凜は顔をしかめて、息をつく

相当危険な話題なのか

それとも、重要な機密情報なのか

夏凜の表情に危なげなものを感じながらも

ちょっとした期待に元々膨らんでいた胸躍らせる天乃を見つめ

夏凜「兄貴がね、風俗店に行くべきかどうか凄く本気で悩んでた」

夏凜は本気でそういった


天乃「……えっ?」

夏凜「いや、誰かになんか言われたみたいで。彼女に恥をかかせないためにも勉強が必要らしいんだ。って」

天乃「う、うん?」

期待していたものと何か違う

いや、全く違うとがっかりする反面

風俗とかいうよくわからない言葉に、疑問符を浮かべた天乃だが、

夏凜はなおも続けた

夏凜「書店で女の子の体。とかいう本を買う所を瞳が見たって言ってたし。向こうは向こうで結構必死なのかもね」

天乃「そこまで頑張る必要はないと思うんだけど……」

夏凜「ただでさえ嫌なことだから、痛いだけで終わらせたくないんじゃないの?」

天乃「痛いの?」

夏凜「ん……まぁ、そんな感じのことをよく聞くし見たわ。ネットで」

それすら知らない天乃に不安を抱きながら、

自分だけが恥ずかしい思いをしてるのでは。と

気恥ずかしさを感じて、夏凜は頬を掻く


天乃「そうなのね……ところで。風俗ってなに?」

夏凜「さ、サービス業……?」

天乃「コンビニみたいな感じなの?」

夏凜「あ、いや。なんていうか……」

言わなければよかったと後悔しつつ、

どうせ誰にでも構わず聞き出そうとするんだろう。と

夏凜は諦めて、首を振る

夏凜「え、えっちなこと……してくれる店ってこと」

天乃「そんなお店あるの?」

夏凜「あ、兄貴曰く。独り身の人のために合法的なものが許可されてるとか」

天乃「そう……ねぇ」

夏凜「?」

天乃「女の人同士のもあるの?」

夏凜「さぁ? 管理側が同性愛者にも救済が必要だと判断しているなら、あるんじゃないの?」


天乃「……ちょっと行ってみようかしら」

夏凜「はぁッ!?」

天乃「もちろん、利用はしないわ。そこで働いてる人に、女の子同士のやり方を聞きたいの」

夏凜「馬鹿でしょあんた……」

行ったら確実に、「知りたければ私を指名してね」とかなんとか言って店入りして

樹のためになら一生懸命になれちゃう天乃の事だから

そのまま平気で指名しちゃって変なことされるッ

体は不自由だけど容姿は良いし

女の子相手にしているのならそういう人っていうこともあり得る

何が言いたいかって言うと天乃は絶対に狙われるッ!

天乃「か、夏凜?」

目の前で頭を抱え、

縦横無尽に頭を振り続ける親友の異常さに

さすがの天乃も冷や汗を感じて、目を見開く

天乃「ね、ねぇちょっと。夏り――」

夏凜「ダメッ! ぜーったいにそんなとこ行くな! っていうか連れてかないッ!」


天乃「う、うん……なんか良く分からないけど、ごめんなさい。そうするわ」

夏凜「よし」

なんなら私が教えてあげる。と、言いたいところだが、

それができないのが現状だ

天乃のことだ、ありがとう。と言いつつ素直に言うことを聞いてくれるだろう

けれど、そうしたらきっと

やってはいけない以上のことを、やってしまいそうだから

夏凜「とにかく、兄貴がそういうところ利用するかどうか悩んでるわけ」

天乃「その話だったわね」

夏凜「あんたがその……兄貴がそういう店で経験してるのが嫌とかあれば伝えるけど」



1、私のためなんでしょう? 口出しはしないわ
2、春信さんに害があるのなら、ダメ。そうじゃないなら別に
3、春信さん。女の人苦手なんじゃなかった? それなら、痛くても良い。無理して上手より、してない精一杯の方が良い
4、何も言わなくていいわ。彼が悩んでいるのなら。邪魔をしたくない


↓2


天乃「私のためなんでしょう? なら、口出しはしないわ」

夏凜「けど」

天乃「彼が私のためになると、考えてる」

それはつまり、

天乃のことを考えず、ただ単にその行為を行おうとしているのではなく

ちゃんと考えた上で

それでも、天乃の為になると思ってやろうとしてくれているということ

天乃「それに、初めては大切だって聞いたわ」

夏凜「……それは」

天乃「その大切なものを勉強に使う彼の意志を、私は尊重したい」

夏凜「………………っ」

そんなことを言われたら、何も言えない

そんな自信に満ちた表情をされたら

天乃を傷つけることになるかもしれないと思っていた自分が、情けなくなってくる

夏凜「あんたって、本当に……中学生には思えないわよね」

天乃「え、な、なんで? この場面でどうしてそんなことになるのっ!?」

夏凜「なるからなってんのよ」

下に見えるとは一言も言っていない

それでもそう思っている親友を見つめ、夏凜は嬉しそうに笑っていた


1日のまとめ

・  乃木園子:交流無()
・  乃木若葉:交流無()
・  土居球子:交流無()
・  三ノ輪銀 :交流無()
・  犬吠埼風:交流無()
・  犬吠埼樹:交流有(性交渉について、キス)
・  結城友奈:交流無()
・  東郷美森:交流無()
・  三好夏凜:交流有(春信について、口出ししない)
・  三好春信:交流有(性交渉の交渉)
・     九尾:交流無()

・      死神:交流無()
・      稲狐:交流無()
・    夢路瞳:交流無()
・     神樹:交流無()


8月日6目終了後の結果

  乃木園子との絆 19(中々良い)
  乃木若葉との絆 26(中々良い)
  土居球子との絆 21(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 43(少し高い)
  犬吠埼風との絆 61(高い)
  犬吠埼樹との絆 113(かなり高い)
  結城友奈との絆 56(高い)
  東郷三森との絆 56(高い)
  三好夏凜との絆 83(高い)
  三好春信との絆 35(中々良い)
   夢路瞳との絆 12(普通)

     九尾との絆 45(少し高い)
      死神との絆 33(中々良い)
      稲狐との絆 22(中々良い)
      神樹との絆 5(低い)

 汚染度***%


√ 8月7日目 朝(某所) ※土曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地、球子、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、球子
12、イベント判定
13、春信

↓2


01~10 九尾
11~20 春信
21~30 樹海化
31~40 樹
41~50 夏凜
51~60 風
61~70 球子
71~80 若葉
81~90 友奈
91~00 東郷

↓1のコンマ  


春信「朝から押しかけてすまない」

天乃「それは別にかまわないけれど……」

夏凜の昨日の相談からして

今日今すぐ行為をしよう。なんていうものではないだろう。と

天乃は判断しつつ、首を傾げる

ではなぜここに来たのか、分からないからだ

天乃「……お出かけでもするの?」

春信「いや、それは流石に彼女に申し訳ない」

天乃「あらそう。じゃぁ、どうしたの?」

春信はそれは無理だというような表情で首を振る

彼女が補習に向かっている隙を狙ってのデートなど

春信にはする勇気がないからだ


春信「実は、折り入って君に相談がある」

天乃「相談?」

春信「ああ。君にはもう伝えてあるが、私は性交渉の経験がない」

天乃「うん」

春信「それでは女性に痛い思いしかさせられないだろう。と、知人に言われたのだ」

天乃「あっ」

夏凜から聞いた話の中に似たような切り出し方をしたものがあったことを思い出しつつ、

春信はそこらへんにものすごく真面目で

自ら相談しに来る可能性もあったことを今更ながら、思い出す

春信「そこで私は風俗というものに行こうと思ったのだ」

天乃「う、うん」

春信「しかし。なんだ。女性はそういうことを好まないと夢路に聞いた。ので、一つ聞きたい」

天乃「えっと。風俗行って良いか良くないかってこと?」

春信「端的に言えばそうなる。朝から女性にする話ではないと分かっている。だが、先延ばしにはできないと思ったのだ」

天乃「う、うーん……」

春信「返答次第では、ほかに聞くべきこともあるのでね」



1、ほかに聞くこと?
2、別に気にしないわ。必要だと思ったなら、風俗くらい私は良いわよ
3、行くことを許可することが貴方に無理させることになるなら、ダメよ
4、そんなこと、言わなければバレることなんてないのに
5、私が風俗くらいで嫌悪するような人に見える?


↓2


天乃「別に気にしないわ」

春信「そうなのか……?」

天乃「あの人がどう言ったのか知らないけれど。必要だと思ったのなら気にしないわよ」

春信「君はやはり、私には勿体無い女性なのだろうな」

天乃「へっ?」

風俗に行くか行かないかの質問を真面目にしてきたかと思えば、

急に褒め出す春信の言動に戸惑って

間の抜けた声が天乃の口からこぼれた

春信「夢路にそうなのかと聞いたら当たり前だと怒られてね。普通ありえませんとまで言われたんだ」

天乃「そういうものなのかしら?」

春信「彼女が怒ったのだ。そういうものだろう。それを許せる心を持つ君はやはり、とても素晴らしいと思う」

だからといって風俗に手を出すことを正当化するつもりはないが

それでも

それを許せてしまう広い心を持っている天乃を、春信は純粋に評価していた


春信「性感帯というものを知っていれば満足させられると聞いたので、聞こうと思ったのだが。その必要はなかったな」

天乃「なにそれ」

春信「この本によれば性的に感じやすい部分らしい。個人差があるというので、君はどこなのか聞こうと思ったのだ」

天乃「ん……セックスについて?」

春信の出した本を受け取り、天乃は表紙を見て、目次を見る

300頁ほどの、性行為について書かれた本らしい

定価3500円とは高いのか安いのか、良く分からない

春信「だが、答えを得るよりまずは学んでくるとする。ありがとう。久遠天乃」

天乃「うん。お礼を言われるようなことはしてないけれど。頑張って」

何をどう頑張ってなのか

天乃には良く分からなかったが

性行為について勉強するというのだから、

ただ男女が子供を作るための行為。なんていう簡単なものではないと思ったのだ

天乃「でも。そんなに頑張らなくて良いから……ほどほどにね」

春信「分かっている」

どちらも未経験で疎い

それがものすごく面倒くさいものだと、盗み聞きしていた九尾は溜息をついた


では、此処までとさせて頂きます
明日はまた可能なら通常時間から
平日は時々出来ない時があり、連絡ができ無い時もあります
二三時半過ぎて始まらなければ基本的にありません



九尾「当店の人気No.1。九ちゃんじゃ」

春信「!?」


では、少しだけ進めていきます


√ 8月7日目 昼(某所) ※土曜日

九尾、死神、銀、若葉、晴海、大地、球子、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、晴海
5、大地
6、球子
7、若葉
8、イベント判定
9、春信

↓2


01~10 九尾
11~20 銀
21~30 樹海化
31~40 樹
41~50 夏凜
51~60 風
61~70 球子
71~80 若葉
81~90 友奈
91~00 東郷

↓1のコンマ  



――――――――――――――――――――――

 学校は平和です

 補習はやっぱり補習で

 しかも今日は最後にやった授業の復習なので

 正直な話退屈です

 でも、もちろんこれはお昼休みですよ

 授業中にメールは出来ないので

 
 昼休みも限られているので、本題に入るとですね

 明日、デートしませんか?

――――――――――――――――――――――

メールだからか、

それとも、もはやそれは樹にとって恥じることではないのか

……きっと、後者はありえない

天乃「デート……?」

そういえば、明日は日曜日だ


天乃「デート……うーん」

大赦による余計な監視がつきそうで

それは多分、デートとは呼べなくなってしまいそうな気がしなくもない

二人きりのはずなのに、

十数人に近い人数でのデートとかもあり得る

天乃「誘いは、嬉しいんだけど……」

日曜日はせっかくの、補習のない日

ゆっくりさせてあげたい気もするし

普通にデートできるのならともかく、

四六時中見られていそうなデートなど、あまり喜ばしく思えないが……



1、九尾を呼ぶ
2、うん。どこかに出かける?
3、家でゆっくりしましょう


↓2


天乃「九尾」

九尾「デートにいかぬのか?」

九尾はやはり一から百までしっかりと見ていたのだろう

言われるよりも早く、九尾は天乃に問う

もちろん

行きたいと思いながらも、

不安材料があるがゆえに躊躇っていると知りながらだ

天乃「そう言われてもね。普通に行けば、私たちは監視されるわ」

九尾「それは違うのう」

天乃「?」

九尾「されるのではなく、もうすでにされている。じゃ。主様もその存在は感じておろう?」

天乃「それはまぁ、分かってるから言ったのよ。デートも監視されるって」

だって、きっと

そういう空気を読んでくれないだろうし


天乃「だから、貴女を呼んだ」

九尾「逢瀬の手助けをしろと言うのかえ?」

天乃「うん。できるでしょ? 貴女なら」

九尾「……くふっ。ふふふっ」

それはとても嬉しそうな笑い声だった

天乃にその声は届かない

けれども、九尾の表情からその感情を読み取り、

天乃は問う

天乃「できないの?」

九尾「愚問じゃ主様。人間を騙すなど、この世界を騙すよりも容易」

天乃「やってくれる?」

九尾「主様の望みとあらば。きかぬわけには行くまい」

九尾はにやりと笑って、頷く

嬉しかった

あの天乃が、たとえ些細なことであろうと、

我儘を言ってきてくれたことが

九尾はとても、嬉しかったのだ

九尾「任された。妾の全力を持って。逢瀬を守り抜こう」

天乃「そこまで……大げさな話じゃないんだけどね」


では、此処までとさせて頂きます
あすも可能なら同じような時間から




「……勇者の監視に向かった部隊との連絡途絶!」

「なんだとッ!」

九尾「そして誰もいなくなった」

「!?」


では少しだけ進めていきます


√ 8月7日目 夕(某所) ※土曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、球子
12、若葉
13、春信
14、イベント判定
↓2


春信はメールです


天乃「どうだった? 補習は」

東郷「今日は復習がメインだったので、問題はありませんでした」

しかし、

問題がなかったのに、東郷は肩をすくめて、苦笑する

というのも、

正しくは「私は問題ありませんでした」だからだ

天乃「友奈と夏凜は宿題が大変そうね」

東郷「予習用の宿題に加えて復習用の宿題も……それに、明日が休みだからさらにって感じです」

天乃「それを自業自得で片づける辺り、貴女。友奈に対してしっかりとしてるわね」

東郷「愛ゆえに……です。久遠さんだって、樹ちゃんが今も不抜けてて宿題を沢山貰ってきてたら同じこと言いますよね?」

天乃「その自信は……ないかも」


なんだかんだ言いつつも

自分は樹に手を貸してしまうかもしれない

そんな自覚が、天乃にはあった

東郷「甘いですね、久遠さんは」

天乃「やっぱりそう思う?」

東郷「ですが、その冬に炬燵のような久遠さんの甘さがあるからこそ。頑張れることもあると思います」

天乃「冬に炬燵って」

久しく感じていない暖かさは記憶の片隅にも残っていない

これまでは四季に関係なく基本的に布団の中だったからだ

東郷「ふふっ、でも。樹ちゃんは本当に変わったわ」

天乃「ええ」

東郷「風先輩と同じ時間に起きて、家事を手伝うようになって、勉強だってちゃんとやっていて。本当に」


東郷は本当に嬉しそうに語る

自分の恋人ではないし、自分の姉妹でもない

けれど

とても大好きな部活の仲間

とても大切な友人

だからこそ、心から嬉しかった

東郷「樹ちゃん、先生にちゃんとやっていて偉いな。なにか目標でもあるのかって聞かれて」

天乃「聞かれて?」

東郷「間を開けることもなく、看護師になりたいですって。言ったんです」

まだ中学一年生

それでも明確な目標を持っている樹を、

東郷は人として尊敬に値すると思った

東郷「変わろうと思えば変われる。変えることが出来る。それを見せてくれる樹ちゃんは勇者部の希望です」


天乃「樹が希望ね……頭に神をつければ神樹になるけど」

東郷「別にそういう意味ではないですし、それに……頭につけるのは久遠では?」

天乃「…………………」

東郷「ふふっ。顔を赤くして目を伏せる久遠さんはとても愛らしいです」

以前のような衝動が今もなお胸に渦巻いていたらきっと

また間違いを犯していただろう

その不安に息を呑み、東郷は首を振る

今はもう、それを考える必要はない

東郷「そういえば、風先輩と夏凜ちゃんからなにか聞きましたか?」

天乃「何かって?」

東郷「まだ話してないんですね……えっと。端末が戻ってきたら動作確認のために模擬戦がしたいと言っていたんです」

まだしたいといっただけで、するとは言っていなかったが、

たぶんきっと、可能ならしたいに違いない


1、模擬戦ね……良いわよ。もちろん、貴女達も
2、ええ。良いわよ
3、私よりお姉ちゃん達の方がいいんじゃない?
4、勇者部の中で勝ち残った人と。私が戦ってあげる。なんていうのはどう?
5、いっそ勇者部対私たちでもいいのよ?


↓2


では、短いですがここまでとなります
明日も可能なら同じような時間からとなります


天乃「いっそ勇者部対私たちでもいいのよ?」

風「は、ハンデとかは……」

天乃「5対4の人数差?」

風「ハンデになってなーいっ」


では、本日も少しだけ進めていきます


天乃「いっそ、勇者部対私達でもいいのよ?」

東郷「久遠さん達……ですか」

面白い試みだと東郷は思った

東郷、友奈、風、樹、夏凜に対して、

天乃、銀、若葉、球子の四人と言うのは、人数的なハンデしかない

たったそれだけではきっと、不利なのは変わらない

勝率も低いままだ

けれど

東郷「不可能と対峙しておくのも……大事な経験かもしれません」

天乃「不可能?」

東郷「分かりました。その勝負。久遠さん側の人数不足というハンデ付きになりますが、それでよろしければ」

天乃「大丈夫。こっちにはお姉ちゃんもいるから」

東郷「……えっ?」

天乃「ごめん。嘘だからそんな絶望に浸った顔しないで」


東郷「知っていますか? 久遠さんのお姉さんは友奈ちゃんにとって、ある種のトラウマなんです」

天乃「ええ知ってるわ」

もう二ヶ月ほど前の話だ

あの人間らしからぬ鬼神の力を目の当たりにすれば、

誰だってそうなるに違いない

東郷「やはり……」

天乃「その現場にいた一人というか、関係者だもの」

天乃はそう言いつつ苦笑し、

東郷はそれを見つめて……小さく頷く

東郷「普段は表には出してませんが、お姉さんの笑顔を見ると友奈ちゃんの顔が強張るんです」

あの友奈がそこまで怯えている

それに気づいた東郷は聞いてしまったのだ

あの天乃に、その姉である晴海は一撃を決められたのだと

勇者に対して、一般人であるはずの晴海が。だ

それは正直、異常だと東郷は思っていた


東郷「夏凜ちゃんも言ってました。あの人は別格だって」

天乃「でしょうね。私も勝てないとは言わないけど。怪我させないような戦いは絶対に無理」

もちろんそれは本気での戦いであり

模擬戦ならばその限りではない。が

白熱した結果模擬が取れた戦いになる可能性もある

ゆえに、晴海の参戦は許可できない

天乃「とりあえず、勇者部対私達に異論はないのね?」

東郷「はい。問題はありません」

天乃「よしっ。じゃぁみんなにも話しておいてね。私も……本気だから気合入れなさいって」

模擬戦だからとては抜かない

勇者対勇者なのだから、重度のケガの心配はきっとない

東郷「負けるつもりはありません。勝つ気で挑ませていただきます」

天乃「望むところよ」



※端末の戻る8月9日目に模擬戦


√ 8月7日目 夜(某所) ※土曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、球子
12、若葉
13、春信
14、イベント判定
↓2


友奈「東郷さんから聞きましたっ。模擬戦やるんですよねっ」

天乃「嬉しそうね」

友奈「はいっ」

友奈が戦うことが好きというのはないとは思う

けれど、誰かを守るために力は必要で

力を得るため、強くなるために戦いは必須で

それを憧れである天乃との模擬戦によって学べるということが、

友奈は凄く嬉しかったのだ

友奈「久遠さんと敵として戦うのは嫌です。でも、模擬戦での相手なら。嬉しいです」

ニコニコしている友奈からは嬉しいという感情しか感じられない

それは悪いことではないし

むしろ、周りにもその明るい気分を広めることができるくらいにそれは純粋で

それゆえに、凄くいいものでもあると。天乃は思った


友奈「東郷さんも言ったと思いますけど。勝つ気マンマンですよ。私達」

天乃「あら、言ってくれるじゃない」

友奈「えへへっ」

なら勝った方は負けた方になんでも命令できる

そういう感じの罰ゲームとかがあってもいいわよね? なんて

意地悪なことを思いつく

今の流れなら確実にうんと言わせられるだろう

友奈が相手だから、余計に

友奈「樹ちゃんたちもすごいやる気で。夏凜ちゃんなんてすごーっく張り切っちゃってるんです」

天乃「模擬戦の時に疲れてなければいいけど」

友奈「あはは……一応言っておきます」

当日に疲労でダウン

ありえないとは……さすがの友奈にも言えなかった


1、じゃぁ、頑張ってるご褒美に。勝った方が負けた方になんでも一つ命令できるというルールにしましょう
2、ところで。貴女。お姉ちゃん苦手?
3、そういえば、貴女お姉ちゃんがトラウマって聞いたけど。あの時に何話してたの?
4、言い忘れたけど。お姉ちゃんも参戦するからね?  ※しません
5、私は本気で行くわ。当然、銀たちも。だからあなたたちも遠慮なく全力出来なさいね?


↓2


では、ここまでとなります
あすもできれば同じような時間から



天乃「そういえばお姉――」

友奈「っっ!!」ガタガタ

天乃「ご、ごめん」


では、再開していきます


天乃「そういえば、あなたにひとつ聞きたいことがあるのよ」

友奈「聞きたいこと、ですか?」

なんだろう? とでも言うようなきょとんとした表情を友奈は浮かべる

模擬戦の流れだから戦闘に関してかな

それとも、今日の補習に関してかな……

天乃「貴女、お姉ちゃんがトラウマって聞いたけど……」

友奈「ぅ」

天乃「あの時に何話してたの? ……友奈?」

想定外の問に、

天乃よりは大きいとは言え、やはり小さい体をさらに縮こませて

友奈は目を伏せ、体を震わせた

天乃「大丈夫……?」

友奈「っ、だ、だ大丈夫です。えへへ」

冷や汗を振り払って、友奈は笑う

思い出すだけでも、怖くて痛い

自分が受けたわけでもないあの紫色の痣

それを友奈は今も鮮明に覚えているからだ


友奈「あ、あの時話したこと……ですよね?」

天乃「別に大事なことってわけでもないから無理しなくてもいいのよ?」

友奈「いえ……」

本当に、大したことを言ったわけではないと友奈自身も思う

あの言葉で自分がなにか出来たわけではない

むしろ何もできず、天乃に痛い思いをさせてしまった

その後悔の強い記憶

でも、だからこそ友奈は思い出す

友奈「何してるんですかって聞いて。邪魔しないでって言われて」

天乃「うん」

友奈「久遠さんになにかするつもりなら、邪魔しますって、言っただけです」

それなのに

そう意気込んだのに

天乃「……友奈?」

友奈「本当に……言っただけでした……っ」

友奈はたまらず、泣き出していた


友奈「私、何も出来ませんでした。助けて、あげられませんでした」

何度思い返しても

あそこで、あの場所で

自分が何かできるとは思えない

何かをしたところで自分がボロボロにされる未来しか見えない

それは今の自分自身が同じ場面に遭遇したとしても覆すことはできないであろう確定事項のようなものだと、

友奈は諦めたくないと思いつつも、思わずにはいられない

友奈「ごめんなさい……」

あの時言うことができなかったこと

それをようやく言うことができた

けれども、それは天乃の問がなければ言うことは出来なかっただろう

うやむやのまま、辛い記憶として残るだけだっただろう

友奈「っ……ごめん、なさい」

友奈は今更ながら

自分自身の不甲斐なさや弱さを強く実感して……俯いた




1、引き寄せる
2、それで……貴女は諦めるの? それとも、頑張るの?
3、……そうね。悪いと思ってるなら。私のお願い聞いてくれる?
4、気にしてないわよ。あんなの。正直言ってなにか出来たほうがおかしいわ
5、何も言わない

↓2


天乃「それで……?」

友奈「えっ?」

天乃「貴女は諦めるの? それとも、頑張るの?」

友奈「私は……」

慰めてくれると思ったわけではないし、

慰めて欲しいと思ったわけでもない

けれども天乃のさっぱりとした返答に、

友奈は思わず間の抜けた声で聞き返す

天乃「大事なのは躓かないことじゃなくて、躓いたあとどうするかでしょ?」

友奈「…………っ」

天乃「貴女一人じゃ無理な挫折だと言うのなら助けてって言えば良い。別にそれは恥ずかしいことじゃないんだし」

どこかで妖怪の一種である化け狐がお前が言うなと悪態をついたが、

それを知る由はなく、天乃は続けた

天乃「頑張るって言うなら私達は手を貸すわ。でも、諦めるというのなら。無理強いはしない」

友奈「あ、諦めるなんて……出来るわけないじゃないですかッ」

大切で大好きな親友達

どこまでもぼろぼろになっていく、後輩のような先輩である天乃

守りたいものがある。助けたい人達がいる

だから

友奈「私は強くなりますっ、久遠さんよりも。誰よりも……っ、それで私は……私はっ」

天乃「ゆ――」

友奈「久遠さんが頑張る必要のない世界にするんだっ!」

結城友奈は――求める


では、此処までとさせて頂きます
あすもできれば同じような時間から


友奈「諦められるわけないじゃないですか」

天乃「そ――」

友奈「強さも……久遠さんも!」

樹「そうですか……友奈さん。少し、お話しましょう」

友奈「!?」


本日は投下なしで
天乃のステータス管理
YPの振り分けを行おうかと思います

YP振り分けに関しては範囲安価で決める予定です


安価の仕様↓

現在所持しているYP1050分だけ複数選択可能ですが
範囲内のレスが選択したスキルをすべて習得するのではなく
範囲内で選択されたものを集計し、過半数以上が選択したもののみを習得します

【安価で進行】結城友奈は勇者である【満開2回目】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1421235603/641)
【安価で進行】結城友奈は勇者である【満開2回目】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1421235603/651)


まず初めにどちらに振り始めるか


1、特殊技能
2、精神


↓1~↓3



安価の仕様↓

現在所持しているYP1050分だけ複数選択可能ですが
範囲内のレスが選択したスキルをすべて習得するのではなく
範囲内で選択されたものを集計し、過半数以上が選択したもののみを習得します

片方で使いすぎるともう一方は習得できなくなる場合があります
予めご了承ください

では特殊技能からといたします

1、集中力(SP消費80%)          100
2、命中力(L1で命中+10 L2で+20)   Lx20
3、回避力(L1で回避+10 L2で+20)   Lx20
4、精神力(L1ごとにSP+5)         Lx30
5、クリティカル(CRI+20%)          50
6、援護攻撃(隣接するキャラに援護攻撃) Lx40
7、援護防御(隣接するキャラに援護防御) Lx40
8、カウンター(Lにつき5%で反撃) Lx20

9、インファイト(L1で格闘+15)   Lx25
10、ガンファイト(L1で射撃+15)  Lx25
11、ATKコンボ(隣接する敵にも攻撃) 150

12、撃ち落とし(Lにつき5%で攻撃弾く) Lx30
13、切り払い(Lにつき5%で攻撃弾く) Lx30
14、気力+(命中回避被弾で気力+2) 80
19、迅速(機動+1)              Lx50
20、体力(HP+80)              Lx40


↓1~5


※天乃は現在カウンターL2です


安価の仕様↓

現在所持しているYP1050分だけ複数選択可能ですが
範囲内のレスが選択したスキルをすべて習得するのではなく
範囲内で選択されたものを集計し、過半数以上が選択したもののみを習得します

精神コマンドの方も控えていますので、ここで使いすぎると精神コマンドは習得できなくなる場合があります
予めご了承ください

2 2 3 3 5 12 12 13 13
2 2 3 3 5 12 12 13 13 11
2 2 3 3 5 12 12 13 13 11
                11

命中L2  =40
回避L2  =40
CRI    =50   
撃ち落とし L2 =90
斬り払い  L2 =90
ATKコンボ    =150

$=460消費



↓5は多いので3にします
次は精神


1、友情(味方のHP全回復)              150
2、  絆(全員のHP50%回復)             200
3、信念(特殊効果を無効化)               50
4、熱血(ダメージ2倍)                  100
5、闘志(ダメージ1.5倍)                  50
6、分析(相手のステータス把握+命中・回避-10%) 80
7、集中(命中・回避+15%)               50
8、必中(絶対命中)                    100
9、閃き(絶対回避 )                   100
0、不屈(ダメージを10に)                  80
11、予測(相手の命中・回避を半減)            100
12、気合(気力+10)                     60
13、気迫(気力+30)                     100
14、愛情(気力150 HP全快)                  150
15、取得しない


↓1~↓3

隠密、神速、ど根性、覚醒、直感、魂、勇気 は習得済み


安価の仕様↓

現在所持しているYP590分だけ複数選択可能ですが
範囲内のレスが選択したスキルをすべて習得するのではなく
範囲内で選択されたものを集計し、過半数以上が選択したもののみを習得します



1 2 3 5 14
2 3 9 11 14
2 11 14

2(絆:200)、14(愛情:150)確定
1、5、9はなし
3、11が過半数で追加

2、3、11、14を習得(総計500P)

絆、愛情、信念、予測

http://i.imgur.com/QwBI2UA.png

とりあえず、入力のみになります

命中、回避に関しては L×20なので
普通に60ですね。失礼しました

精神力の方で計算していたようです


では、ここまでとなります
明日はできれば通常時間から通常通り進めていきます


九尾「精神コマンド、愛情は樹と隣接していると、能力値が上昇するのじゃ」

天乃「しないわよ」

九尾「おっと……それは愛情じゃなく欲情――」

天乃「しないってば」


遅くなりましたが、少しだけ


天乃「私が頑張らなくていい世界か……」

友奈には悪いけれど

そんな世界を望んではいない

多少なりとも頑張る必要があってもいいから

みんなが無事で、平和で、穏やかに生きていける

そんな世界が私は欲しい

天乃「じゃぁ、とりあえず」

友奈「?」

天乃「子供……つくろっか」

ニッコリと、満面の笑みで

天乃は冗談にならない冗談を言い放つ

友奈「そ、それはっ」

天乃「もちろん冗だ――」

友奈「久遠さんとはつくれな――えっ?」

天乃「えっ?」

友奈「……あはは」

苦笑して、誤魔化した


1日のまとめ

・  乃木園子:交流無()
・  乃木若葉:交流無()
・  土居球子:交流無()
・  三ノ輪銀 :交流無()
・  犬吠埼風:交流無()
・  犬吠埼樹:交流有(メルメル)
・  結城友奈:交流有(トラウマ、諦めるか否か)
・  東郷美森:交流有(模擬戦)
・  三好夏凜:交流無()
・  三好春信:交流有(風俗経験)
・     九尾:交流無()

・      死神:交流無()
・      稲狐:交流無()
・    夢路瞳:交流無()
・     神樹:交流無()


8月日7目終了後の結果

  乃木園子との絆 19(中々良い)
  乃木若葉との絆 26(中々良い)
  土居球子との絆 21(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 43(少し高い)
  犬吠埼風との絆 61(高い)
  犬吠埼樹との絆 114(かなり高い)
  結城友奈との絆 58(高い)
  東郷三森との絆 57(高い)
  三好夏凜との絆 83(高い)
  三好春信との絆 36(中々良い)
   夢路瞳との絆 12(普通)

     九尾との絆 45(少し高い)
      死神との絆 33(中々良い)
      稲狐との絆 22(中々良い)
      神樹との絆 5(低い)

 汚染度***%


√ 8月8日目 朝(某所) ※日曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、球子
12、若葉
13、春信
14、イベント判定
↓2


01~10 九尾
11~20 銀
21~30 樹海化
31~40 樹
41~50 夏凜
51~60 風
61~70 球子
71~80 若葉
81~90 友奈と樹
91~00 東郷

↓1のコンマ  


球子「みんな張り切ってるみたいだな」

天乃「そうね」

端末がない

だから怠るなんていうことはなく

むしろ、だからこそ通常の自分たちをもっと強くしようとしている

球子「模擬戦、タマ達はどうする?」

天乃「どうするって?」

球子「いや、タマ達と友奈達ではレベルが違いすぎるだろ? 本気でやったら怪我じゃすまないぞ」

球子は冗談や嫌味で言っているわけではなく、

本当に心配しているからこそ、そう言った

精霊の守りが入ることは確実だ

しかし、だからといって

本気の一撃を防ぎきれるかどうかは別の話だ

天乃「手を抜くべきだって言いたいの?」

球子「少なくとも、あの本気モードにはならないべきだ」


本気モード

九尾と死神の力両方を行使した天乃が現状持ちうる最強の一手

もちろん、その状態での満開こそが一番ではあるが

それを使うのは模擬戦でおろか通常のバーテックスとの戦いの時にでさえ、有り得ない

よって一番はやはり二重勇者なのだが

それでも精霊の守りの上から大打撃を与えられるほどの威力を誇っている

天乃「みんな、私がその力を使えると知ってるのよ?」

球子「向こうの力次第にすればいい。条件をクリアしたら隠しボスとの戦闘開始って具合に」

天乃「……………」

一理ないわけではない

確かにそれは魅力的だ

向こうのやる気もさらに高まる可能性もある

しかし、初めから本気で相手をするというのも……


1、死神の勇者で戦う
2、九尾の勇者で戦う
3、本気で戦う
4、条件付きっで本気モードを使う

↓2


では、短めですがここまで
明日はできればお昼頃から
遅くても17時ころからとなります


では、少しずつ初めて行きます


天乃「そうね、条件付きってことにしましょうか」

そのほうが全員やる気になるだろう

それに、そのほうがやる気あるいは躍起になって意地でも使わせようとしてくる人もいる

そのほうがきっと、限界というものを蹴飛ばしやすい

球子「もちろん、タマ達は本気出すぞ。弱いからな」

天乃「貴女達が弱いなんて言ったら、夏凜に怒られる」

球子「いついかなる時も上には上が居る事を忘れるな」

天乃「?」

球子「陽乃がよく言ってたんだ。天才は凡人に絶対に勝てないことがあるって」

天乃「絶対に勝てない……?」

唐突ななぞかけに混乱する天乃に、

球子は自慢げに鼻を鳴らして、人差し指を立てる

球子「敗北数、挫折数、夢の大きさらしい。陽乃はそれを、強くなるための必需品だって言ってた」

天乃「陽乃、さんは陽乃さんで、色々あったんでしょうね」

球子「だろうな……まぁ、だからタマも常に自分は誰かよりも弱いと思うことにしてる。もちろん、勇者部よりは強いと自負もしてる」

天乃「こらこら、慢心はしたらダメでしょ」


球子「あはははっ……ははっ」

天乃「球子?」

球子「やっぱり、天乃は陽乃に似てるな」

体が不自由になってしまった

経緯は違うにせよ、それは共通しているし、

一部に差はあれど、顔立ちはソックリで

でも、だからこそ

常に危険で、けれども温もりがあったあの教室が懐かしくなる

球子「……300年も経ったんだ。なくて当たり前だっていうのはわかる。けど。それはそれで寂しいな」

天乃「……………」

球子は笑顔でそう言った

どうしようもないことだと分かっている

けれど、彼女がここにいないというのが――物足りない

球子「ちょっと出かけてくる。夕方には戻る」

天乃「うん……気をつけてね」

邪魔になるだけ

だから天乃は一緒に行こうか? と、声をかけることはできなかった


√ 8月8日目 昼(某所) ※日曜日

樹ちゃんとのデートです

行き先


1、樹任せ
2、遊園地
3、海
4、天乃の通っていた学校巡り
5、図書館
6、イネス


↓2


樹「久遠さんの通っていた学校ですか?」

天乃「うん。貴女、前に制服に興味もってたでしょ?」

樹「えーっと……」

だいぶ前の話だ

天乃の部屋に行った日、かかっている制服が気になったし

それに関して少しではあれ聞いたのは事実だ

樹「確か、久遠さんの家は場所が違うから讃州中学ではなかったんでしたよね」

天乃「ええ」

久遠さんみたいな人が入学式にいたりしたら、

お姉ちゃんと同学年だし、1年生の綺麗? 可愛い?

……綺麗で可愛い新入生って噂になってお姉ちゃんが聞いてるはずだし

というか、違うって言ってたもんね

天乃「神樹館って知ってる?」

樹「知ってます。私が通ってたところよりもずっといいところですよね」

天乃「そうね。格式高いというか。お嬢様チックな学校。その中等部が私の通ってた中学校よ」


天乃「その辺に行こうかと思って。ダメ?」

樹「全然嫌じゃないですよ」

天乃と一緒ならばどこだっていい

どこにだって行きたい、どこにだって行ける

どこだって楽しい

樹「久遠さんの1年生の頃の話とかも聞きたいです」

天乃「1年生ね……ふふっ、少しだけならね」

樹の無邪気な笑みに、天乃は笑みを返す

樹は天乃の車椅子を押しているため、隣には並べない

けれど、それでも

話すために立ち止まり必要があるとしても

それでも、

二人きりのデートが樹はすごく嬉しかった


天乃「1年生の頃は部活はしてなかったけど、運動部のスケットをやってたの」

樹「弓道部とかですか?」

天乃「なんで?」

樹「久遠さん、そういうの似合いそうなので」

弓道には凛々しい、と、樹は思っているのだ

長い髪を結び、道着をき込み、胸当てを付け

弓を構え、引き絞る佇まい

的をじっと見つめ、その一点に充てるために神経を研ぎ澄ませ

放つその一瞬まで緩むことのない緊張感

だから樹は、

樹「似合います」

断言する

天乃「残念だけど、普通のサッカーとかバスケとか……なぜか男の子から部活に混ざってくれって言うのが意外と多かったかな」

樹「……なんとなくわかります」

天乃が分からないなぜかの部分

樹はそれを完璧に理解して、顔をしかめる


樹「試合とかに出たりしたんですか?」

天乃「ううん。それは先生に反則だからって」

部活の正規な部員ではないということもあるが、

一番の理由は天乃が普通の中学生と比べて、

身体能力が圧倒的に上だったからだ

サッカーではゴールキックで1点獲得したり、

バスケでは自分のゴール下からのシュートを決めたり

野球では絶対に打たれないと豪語する主将の変化球で校舎4階の窓を割ったり

天乃「体育でも、私がどっちのチームになるかって話になるからいつも審判やってた」

樹「……少し、嫌な話ですね」

天乃「そうでもないわよ。強くなりたくて強くなったんだもの。なるべくしてなったものよ」

笑える話ではない

そんなポジティブな話でもない

なのに、天乃は笑う

樹「……私達は、久遠さんにだけ審判はやらせません」

天乃「…………」

樹「絶対にです」

その心の強さに、樹は目をそらすことなく向き合っていく


樹「久遠さんだけが強いわけじゃないですから」

自信はない

きっと、いや、絶対に

久遠さんの方が強いということは分かってる

私も、お姉ちゃんも、友奈さん達みんなも

けど、それでも

明日の模擬戦で私達は全力を見せる

全力でぶつかって、自分の限界を見つける

それで――その先に行く

天乃「そうね。貴女達も充分強いわ」

樹「えへへっ、当然です」

勇者だからではなく

同じく、守りたいものがあるから

樹の笑顔の裏側

そこに力強い思いを感じて、天乃は嬉しそうに笑った


他愛もない話をしていると、

離れていると思っていた中学校はいつの間にか目の前だった

樹「ここですか?」

天乃「ええ。私の通ってた中学校よ」

神樹館中等部

讃州中学の校舎と見た目はそう変わらない

けれど、門前に警備員がいたり、部活の掛け声が力強いなど

樹は多方面で優れているように感じた

樹「中に入るのは……難しいですか?」

天乃「確か、部外者は事前に申請してたりしないといけなかったはずよ」

しかも、部活の練習試合など

しっかりとした証明ができるものでなければいけない

けれど

天乃「私はここの生徒なのよね」



1、入る
2、入らない


↓2


天乃「入ってみましょ。入れたらだけど」

樹「はいっ」

子供が悪戯を考えついたかのような可愛らしい笑顔

それにダメだと言うことはできず、樹は笑顔で頷く

天乃が通っていた学校

叶うのなら、その内装が見てみたかったからだ

「ん? どうかしたのかい?」

天乃「私、二年前から……どうかしら。たぶん、休学扱いになってる久遠天乃。なのだけれど」

「二年前から……? ちょっと待っていてくれるかい? 確認する」

警備員の一人はそう言うと、

傍らにいたもうひとりになにか指示を出して数分

ふたりの警備員は顔を見合わせると、頷いた

「確かに久遠天乃という生徒がいたことは確認できた。今、生徒手帳を持っているかい?」

天乃「ううん、持ってないの」

「そうか……ならなにか身分証になるものはあるかな?」

天乃「期限が切れてる気がするけど……保険証くらいならあるわ」


「確かに、更新されていないね」

天乃「ええ」

渡した保険証を受け取り、苦笑する

流石に二年前の保険証には効力がない

自分が今持っているものすべてが、二年前で止まっている

だから

天乃「手をわず――」

「だけど、生徒に君の名前があることは保証された。こちらにある名簿の顔写真と今の君も一致している」

樹「え?」

「だから問題ない。通っていいよ。ただし、下校時間は守るんだ。いいね?」

天乃「ありがとう」

明らかに問題がないということはない

けれども警備員は天乃がワケありであることを察して、見逃した

事件を起こすような訳ありではなく

二年前から保険証が更新されず、体が不自由になってしまうような訳あり

「あの子、ただ入院してたってわけじゃないんだろうな」

「まぁ、普通に入院してたなら更新されてるだろう。それに、この休学の日は大災害の時だ」

「神樹館の小学生も2人、たしかこの日以降……」

「なんにせよ、あの子が悪さして捕まったら。俺たち二人揃って処罰だな」

警備員の一人はそう言って、笑った


樹「い、良いんですか?」

天乃「厚意には甘えておきましょ」

どういう考えがあったのかは定かではないが、

少なくとも、何か企んでいるように感じなかったのだ

だから、そこに甘えても問題はない。という考えらしい

天乃「私のクラスは……ここよ」

神樹館中等部、一年一組

それが天乃のいたクラスだ

しかし、二年経過した今、天乃が使っていた席は見知らぬ男子生徒が使っているらしい

夏休みにも関わらず、

机の中にほぼ全て置いていくその生徒の今後を、

天乃は考えないことにした

樹「ここで久遠さんが授業を受けてたんですね」

天乃「ええ。懐かしいわ」

席に座った樹を見つめ、天乃は思い出す

天乃「ほんと……懐かしい」


樹「久遠さん……」

天乃「別に悲しいとか、そういうわけじゃないんだけど」

自分の知っているクラスは影も形もない

まだ二年だ

三年生のクラスに行けば、知っている生徒の名前が必ずあるだろう

そして

おそらく、原級留置が行われていなければ、

天乃の名前もその三年生のどこかのクラスに名前が置かれているに違いない

樹「久遠さんのクラスに行ってみませんか?」

天乃「私の名前だけのクラスに?」

樹「戦いが終わったらまた、通えるかも知れないですよ?」

その可能性は極めて低い

生き残る気はあるが、そういう問題ではなく

体が治るのかどうか等、問題はほかにある


1、行く
2、行かない


↓2


天乃「……そうね。せっかく来たんだもの」

学校に通える可能性は低く

このまま名前だけの在籍で中学校を卒業することになる可能性は高い

悲しい話だが、それが現実だ

けれど

せっかく学校に来たのだ

自分のクラスがどこで、席がどこで

クラスメイトの名前はどういうものなのか

それくらい知っても、バチは当たらないだろう

樹「この学校にも車椅子用の昇降機があって残念です」

天乃「? どうして?」

樹「久遠さんを抱っこしてても、変に思われないじゃないですか」

天乃「何言ってるのよ。貴女は」

えへへっと照れくさそうに笑う樹に、

天乃は困った笑みを返して、首を振る

元気がないように見えたのかもしれない

だからきっと……そんな冗談を

樹「冗談では、言ってないですよ」

天乃「……貴女って子は」


樹「えへへっ」

久遠さんが好きだ

すごく、大好きだ

だから嘘じゃない

悲しそうだから、寂しそうだから

ぎゅっと抱きしめていたい

見られていても良いから、そうしたい

そんな思いが、ある

けれど、今はそうしても。強がられるだけだから

樹「とりあえず一組から見てみましょう」

天乃「一年一組、二年一組、三年一組って進んでればこのクラスだろうけど……」

全四クラスの三学年

そのどこかにあるのだから気長に探せばいい

そう思った矢先

樹「たぶん、この席です」

樹はそう言って一番後ろの窓際の机の中から何かを取り出した


天乃「どうしてわかるの?」

樹「机に久遠さんのプリクラが貼ってあります」

天乃「私の……?」

だいぶ昔の話でほとんど記憶にはないが

確かに、入学初日だったか

クラスメイトの女子とプリクラに行った記憶がある

その時のプリクラが一枚、机の右上にネームプレートと一緒に貼られていた

樹「あと、机の中にこれが」

そう言って、樹は手紙を差し出す

女の子らしい可愛らしさのある桜色の便箋

封は天乃の瞳の色を意識してか、蜜柑のシールで

表には久遠さんへと書かれており、

裏には一年生の頃のクラスメイトの名前が書いてあった

天乃「勝手に見ていいものなの? これ」

樹「全部久遠さん宛だと思いますよ」

天乃「……全部?」

樹「全部です」

言われて机の中を覗くと、

机の中に、たくさんの便箋が並んでいた


樹「きっと、みんな久遠さんが戻ってきてくれるのを待ってるんだと思います」

天乃「……みんなは戻ってきた私に何を期待してるのよ」

樹「また、笑顔を見せてくれること。じゃないですか?」

少なくとも、私はそう思う

1年生で別れて以降、会うことのできていない2年間

その寂しさを私は知らないから思うとしか言えない

けれど、

今、ここにいる私が言いたいのは

今、ここにいないみんなが言いたいのは

樹「みんな、久遠さんを忘れてなんていません」

天乃「………………」

樹「久遠さんのいた時間は無くなってなんか。ないんです」

だから

樹「そんな寂しそうな顔。しないでください」

その、たった一言だ

01~10 
11~20 クラスメイト

21~30 
31~40 
41~50 クラスメイト

51~60 
61~70 
71~80 沙織

81~90 
91~00 

↓1のコンマ  


天乃「私は別に寂しいなんて」

樹「思ってます。みんなのために自分を隠してきたから、久遠さん自身がわからなくなってるんです」

天乃「………………」

それは少し違う

寂しいだなんて思わなかった

ただ、残念だと思っただけで

ただ、微かな虚無感を感じただけで

天乃「私は」

樹「はい」

天乃「寂しそうな顔、していたの?」

樹「はい」

寂しいと断言することは出来ない

けれど樹は迷わず答える

ここにいたはずなのに

そんな、悲しそうなものを樹は感じたからだ


天乃「そっか」

樹がそういうのなら、そうなのかもしれない

右手にある桜色の便箋

机の中の複数の便箋

それを見て、嬉しいと思ったのだから

抜けきっていた温かさを感じたのだから

きっと

天乃「誰だって。寂しいのよ」

樹「そうですね」

天乃「……卒業式には、出たいな」

樹「出ましょう。絶対に」

天乃の背後から、覆いかぶさるように抱きしめる

車椅子の硬さなんて気にならない

鉄の冷たさなんて意味はない

左手と右手をつなぎ合わせて、より密接に

そして二人の影は――重なった


√ 8月8日目 夕(某所) ※日曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、球子
12、若葉
13、春信
14、イベント判定
↓2


※帰宅済み


天乃「………………」

樹「………………」

部屋で二人きりになって、黙り込む

喧嘩はしていない

むしろ、仲が良すぎて、気まずくなる

というのも、

デートの最後の方、教室の中で誰も見ていなかったとは言え、

雰囲気に流されてしてしまったのだ

それが尾を引いて帰りは無言、今も無言だった

天乃「えっと……」

樹「は、はいっ」

天乃「べ、別にファーストキスではないんだし。こんな、黙り込まなくても」

樹「く、久遠さんだってずっと……黙ってるじゃないですか」


天乃「私は、その……教室でするとは思わなくて」

樹「ど、どこかでするつもりだったんですか?」

天乃「……どこかでできればなとは。思ってたけど」

樹「っ」

照れくささに紅くなって

強く言わず、控えめに言って

チラっと見てくる久遠さん

あの魅了の力なんて目じゃないほどにその姿は誘ってくる

けど、でもここで我慢……

天乃「まさか、あの場面でするなんて考えてなくて」

樹「ぅ」

天乃「貴女で満たされちゃったからか。まだ、感じるの」

だから何を言ったらいいのか分からなくて

天乃はそう言って笑みを浮かべて、息をつく

樹「く、久遠さんは……ほんと、ずるいです」

我慢、できるのかな


天乃「嬉しかった。暖かかった。気持ち良かった……どれか一つじゃなくて、全部だったし」

なら、ありがとうって言うべきなのかしら。と

久遠さんは言う

けど、その一言でも多分足りないのよ。と

久遠さんは困ったように言う

樹「あの、久遠さん」

天乃「?」

樹「久遠さん、キスがしたかったんですか?」

天乃「したかったのは、否定しないけど……そのためにデートを受けたわけじゃないわ」

樹「それは」

天乃「ただ、貴女と二人きりで出かけたりとか。全く出来ていないと思ったからなの」

樹「えっと」

天乃「そのデートの最後でするっていうのは、ロマンチックかなって」

神樹様じゃなくてもいいので、神様

ここでどーんって行ってもバチは当たるんですか?

樹はそう考えて、首を振った

無理強いはいけないと、思ったからだ


天乃「……………」

樹「……………」

話すだけ話して、天乃が黙り込むと樹が話し出す

なんていうことはなく、

樹は天乃を見ているようで見ていない視線を泳がせて、沈黙する

天乃「樹」

樹「なんっ、なんですか?」

天乃「大丈夫?」

明らかに動揺している

噛む必要のない言葉を噛んでいるし

何より顔が赤い

天乃「………………」

樹も、恥ずかしかったのかしら

それとも……



1、外では極力するのやめましょ
2、今も。二人きりね
3、春信さんとも多分する。だから、貴女としておきたかったの。ごめんね
4、あ、明日の模擬戦楽しみにしてるわ
5、……する?



↓2


天乃「……する?」

樹「!」

樹の体がビクッとして、

彷徨っていた視線が一点に集中する

傷つけるかも知れない

嫌がるかも知れない

怖がらせるかも知れない

そんな風に、

いろんなことを考えていそうな瞳

でも

天乃「心配いらないわ」

樹「っ」

天乃「だって……私も、したいから」

その一言に、言葉は思い浮かばなかった

ただ、椅子に座るのをやめて

距離を置くのをやめて

ただ、手を掴んで

1と1ではなく、限りなく1になるほどに密着する

久遠さんの唇は、お昼のメロンの味がした


天乃「……美味しい?」

樹「破廉恥です」

天乃「この状況でそれを言う?」

小さく笑う天乃が顔を近づけると、

樹は左手の人差し指でそれを制して、笑みを浮かべる

ちょっぴり、意地悪な笑顔だ

天乃「なに?」

樹「久遠さんはする? って言いました」

天乃「だから?」

樹「今回はずっと、されてて下さい」

それは言葉の綾

そういう隙もなく、樹にキスをされる

でも

樹のキスは優しいから、嫌じゃない

むしろ、大好きだ


√ 8月8日目 夜(某所) ※日曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、球子
12、若葉
13、春信
14、イベント判定
↓2


01~10 九尾
11~20 銀
21~30 樹海化
31~40 樹
41~50 夏凜
51~60 風
61~70 球子
71~80 若葉
81~90 友奈
91~00 東郷

↓1のコンマ  


若葉「世継ぎの件は取り敢えず片付いて良かった」

天乃「まぁね」

若葉「しかし、だからといって所構わずその。なんだ……接吻をするのはどうかと思うが」

天乃「良いじゃない。別に悪いことはしてないんだから」

いうだけで照れる若葉をよそに、

天乃は平然とそう言って、苦笑する

誰かに見られたわけじゃない

卑猥なことをしたわけでもない

ただ、好きであることを伝えただけ

天乃「貴女、ファーストキスもまだなのね」

若葉「っぐ……わ、私は精霊だっ! そんなことなどしないッ!」

天乃「ふふっ、意地になっちゃって」

からかう時の天乃は輝いている

その主の愛らしさを須佐之男として記憶している

だから余計に、照れくさかった


若葉「……こほん。まぁ、とにかく明日の答え次第では変わる」

天乃「答え……あぁ、そうね」

少しばかり考えないようにしていたけれど

明日は模擬戦だけじゃない

明日は、樹があの事に関して答えを出す日でもある

その答えしだいでは……

若葉「答えが気に入らなくても、嫌な顔は――」

天乃「しないわよ」

若葉「しかし」

天乃「しない……出来ないわ。だって、私はあの子に何も言わなかったんだから」


もしも春信さんに譲ったらどうしますか? と、樹は言った

それに対して、天乃は答えを半ば強制することになるからと、答えなかった

だから、

樹の答えがたとえ、気に入らないものであったとしても

天乃にはそれに対して文句を言う権利がない。嫌な顔する権利もない

悩めと言った

考えろと言った

だから……何も言えない

天乃「それが樹の決めたことなら、それでいい」

若葉「しかし……いや、主様も覚悟しているのか」

天乃「覚悟してるわけじゃないわ。ただ、諦めているだけ……かな」


その行為の重要性、貴重性が分かっていなかったにせよ、

行為がどういうものかを分かっていたのだから

たった一言……樹とが良い

そう、我儘を言えば良かったのに、言わなかった

今更我が儘を言うようになって

今更、そのことを後悔する

けれどやっぱり

今更嫌だなんて……

天乃「そんな都合のいいこと、言えないもの」

若葉「そうか」

天乃「怒らないの?」

若葉「怒っても、意味がないからな」

だから言ったじゃないか

そう言ったところで、心をさらに傷つけるだけ

若葉「……いざという時は、私の生大刀の鞘にしてやってもいい」

天乃「何言ってるの?」

若葉「なっ! きゅ、九尾がそういえば主様が喜ぶと……ッ!」

天乃「ごめん、意味がわからない」


天乃「ふふっ、でもありがと」

若葉「っ……く……」

喜ぶと言われたから言ってみれば、笑われて

けれども嬉しそうな顔をされては文句は言えない

若葉は複雑な赤色に頬を染め、俯く

若葉「主様が嬉しいのなら……」

天乃「意味は良く分からなかったけど。気遣ってくれてるのは分かったわ」

若葉「う、うむ……」

取り敢えず九尾から武力行使で聞き出そう

若葉はそう、心に決めた



1、明日の模擬戦。頑張りましょ
2、今までのことはもう無理。でも、これからはちゃんと。嫌なことは嫌だって言うようにするわ
3、だからもしもの時は、私を鞘にしてね
4、ねぇ、貴女。子孫に会いたいと思う?


↓2


では、此処までとさせて頂きます
明日もできれば通常時間から



若葉「子孫……だと?」

九尾「マ゛マ゛ァッ!」

若葉「み、認めるものかぁッ!」


九尾「I'm your child」
若葉「Nooooooooooo!!」
こうですかわかります


では、少しだけにはなりますが進めていきます


天乃「ねぇ、若葉」

若葉「ん?」

天乃「貴女。子孫に会いたいと思う?」

若葉の子孫、乃木園子

全てではないが、

一部を九尾たちから聞いている若葉はもう、その存在を知っている

300年後の血縁者だ。気にならないわけがない

しかし、若葉は首を横に振った

若葉「その気持ちがないと言えば嘘になる。が、あうわけには行かない」

天乃「どうして?」

若葉「私が自分を本当に乃木若葉であると認められるまで、私は乃木の人間ではないからだ」

嘘だ。屁理屈だ

本当はただ、怖いだけだ

自分の家の現状を見るのが……怖いだけだ


若葉「だから、 まだダメだ」

若葉は覚悟ができていなかった

300年後も自分の家が存続している

それはとても嬉しいことだ

しかし同時に、

300年前にも起きていたという戦いが

今もまだ継続しているという衝撃を、若葉は認められない

だから、

自分が300年前の人間であると信じたくはないし、

乃木園子に会い、自分が先祖であるということを見せ付けられるのが

堪らなく怖かった

天乃「そう……まぁ、そうよね」

若葉「……すまない」

天乃「謝ることじゃないわ。若葉が何か悪いってわけでもないんだから」


若葉「そうだな」

しかし、逃げ続けるわけには行かない

若葉は今も昔も戦いの中にいる

記憶があろうがなかろうが、それは変わらない

だから

いずれ向かい合うべき時が来る

自分は何者なのか、いつの時代に生き

その時代と今は何が変わり、何が変わらずにいるのか

若葉「もう少し、時間をくれ。主様」

天乃「いくらでも。好きなだけ、考えて頂戴」

若葉「……感謝する」

天乃の笑みに、若葉は暖かいものを感じて頷く

答えを急かさないその姿勢は

若葉にとってはとても……ありがたかった


1日のまとめ

・  乃木園子:交流無()
・  乃木若葉:交流有(子孫)
・  土居球子:交流有(模擬戦について)
・  三ノ輪銀 :交流無()
・  犬吠埼風:交流無()
・  犬吠埼樹:交流有(デート、存在、キス)
・  結城友奈:交流無()
・  東郷美森:交流無()
・  三好夏凜:交流無()
・  三好春信:交流無()
・     九尾:交流無()

・      死神:交流無()
・      稲狐:交流無()
・    夢路瞳:交流無()
・     神樹:交流無()



8月8日目終了後の結果

  乃木園子との絆 19(中々良い)
  乃木若葉との絆 27(中々良い)
  土居球子との絆 23(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 43(少し高い)
  犬吠埼風との絆 61(高い)
  犬吠埼樹との絆 118(かなり高い)
  結城友奈との絆 58(高い)
  東郷三森との絆 57(高い)
  三好夏凜との絆 83(高い)
  三好春信との絆 36(中々良い)
   夢路瞳との絆 12(普通)

     九尾との絆 45(少し高い)
      死神との絆 33(中々良い)
      稲狐との絆 22(中々良い)
      神樹との絆 5(低い)

 汚染度***%

√ 8月9日目 朝(某所) ※月曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、球子
12、若葉
13、春信
14、イベント判定
↓2


※模擬戦は夕方


風「今日のお昼に、ちょうど全員に戻ってくるわ」

天乃「そう。じゃぁ、予定通り夕方ね?」

風「そうなるわね……」

業務的な会話

それが途切れると、二人は言葉を失って黙り込む

樹や天乃に関して

もっと明確に言えば、

天乃がいずれするあの行為に関して

二人共思う所があるがゆえに、言いにくい

別の話題を振ることは簡単だろう

けれど、それでは逃げるだけでしかない

風「樹が結構悩んでるのよね」

だから風は、切り出す

風「なにか聞いても、私が答えを出さなくちゃいけないの一点張りでさ」

天乃「なにかしらないかって言いたいの?」

風「樹が悩むことなんて、大体天乃関連でしょ」

確かに、間違いではない


では、ここまでとなります
あすもできれば通常時間からとなります




樹「……………」

風(い、樹が真剣に悩んでる……っ!?)

樹「うーん」

樹(双頭の振動付きのを買うにはお金が足りないや……)

風「……頑張れ。樹っ」


では、少しだけ進めていきます


天乃「そう言われてもね……」

知らないわけがない

むしろ、その問題の中心にいるのが天乃だ

風のことだから

真相を話しても、樹に答えを出させてと言えば、

きっと、下手な口出しはしないでいてくれるだろう

しかし、樹が言わないのなら、

言わないべきなのかもしれない

風「天乃?」

天乃「えっと……思い出してみるからちょっとまって」

さて、どうする

最近、わざと呼ぶのを避けているけれど

風をお義姉ちゃんとするのなら、性行為するか否かは重要なことだし

言ってしまうべきかもしれない……


1、ごめんね。わからないわ
2、私とエッチなことするかどうかで悩んでるのよ
3、ごめんなさい。言えないわ


↓2


天乃「怒らないで聞いて欲しいんだけど」

風「……なにその嫌な予感しかしない前置き」

風は冗談っぽく言うが、

内心、恋しちゃったかのように心拍数が跳ね上がっていた

樹と天乃のことだ

女の子と女の子のことだ

私達の間に子供が出来ちゃったの。なんて報告ではないことは確実

むしろ、天乃と樹のことを考えるならそれは吉報と言えるし

じゃぁなんなのかと考えたとき、

思いつくのは一つ

風「まさか別――」

天乃「私とエッチなことするかどうかで悩んでるのよ」

風「……えっ?」

天乃「え?」

風「いや、あ、そう……そりゃ大事なことだしね」

……まだだったのか

樹が子供作り許可してたからもう済んでるものかと……


天乃「なんでそんな平然としてるの? 私と樹がエッ――」

風「恋人なら、するでしょ」

確証はないけど。と、続けた風は、

慌てているからかえっち、えっち言う天乃の唇に人差し指を押し当て、目をそらす

むしろ女の子同士の恋愛という普通の恋愛から逸れているなら

年齢性別関係なく

ちょっぴり大人のコースに踏み出していてもおかしくないはずだ

なのに

なのにまだ……ものすごく悩むレベルとは何事なのかと

風は息をつく

天乃「恋人なら当たり前ってこと?」

風「もちろん確実とは言わないけど、そういうことしたいって思うもんじゃないの?」

天乃「……思ったことはない。かも」

風「デートしたあと二人きりになった時にも……?」

天乃「キ、キス……くらいなら」

風「……そっか」

照れくさそうに言う天乃を見つめ、思う

普通に行けば、

行為に手を出すまでにあと半年以上は必要なんだろうなぁ……と


風「まぁ、とにかく。あたしは二人がすることに異論はない」

天乃「な、なんで?」

風「なんでって……天乃は樹以外の人とソレをしなくちゃいけないのよ?」

それを仕方がないことだと見逃しながら

恋人との行為をダメだと咎めるなんて、アタシにはできない

樹が大事

天乃が大事

だからそういうことは大人になってからと思う気持ちもある

けれど、それじゃ遅い

それじゃ間に合わない

だからそれこそ【仕方がない】を使うべきだって思う

風「樹ができないっていうなら押し倒せ! アタシが許可する!」

天乃「そんなことっ」

風「まぁ……天乃が出来ないなら出来ないでいい。でも、後悔だけはしないようにね」

どちらにせよ無理強いはしないし、責めもしない

それは樹が言ったとおり、それぞれの問題だからだ


では、此処までとさせて頂きます
明日明後日
少なくとも明後日は確実に投下はなしの予定になります


天乃「私……まだエッチしたことなくて」

友奈「私で練習しますか?」

東郷「射撃なら得意です」

夏凜「私から出汁を取れるかしら?」

風「ふっ……お姉ちゃんに任せなさい」

樹「取り敢えずみなさん……正座してください」


では、本日は進めていきます


√ 8月9日目 昼(某所) ※月曜日

九尾、死神、銀、若葉、晴海、大地、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、晴海
5、大地
6、球子
7、若葉
8、春信
9、イベント判定
↓2


天乃「銀、銀。居るなら出てきてちょうだい」

銀「どうかしたのか?」

天乃「あら……用がなければ呼んじゃいけないの?」

銀「茶化すだけなら帰るぞー? あたしだって、今回の模擬戦は手を抜きたくないんだから」

普段と変わらない口調

けれども、その表情には言葉に内真剣さが込められていて

天乃は不適切だと分かりながらも、笑みをこぼす

天乃「やる気に満ち満ちているわね」

銀「当たり前だ。向こうはともかく、あたし達はダメージが直に体にくる。痛いのはあんま好きじゃない」

精霊だから痛覚なんてほとんどないけどな。と、銀は笑う

元は人間、そして勇者になって、精霊になった銀

普通では絶対にできない経験を経てもなお

その笑みは……変わらない


銀「それに、向こうは本気だ。天乃相手だろうと全力だ」

たとえ勝ち目がないと分かっていても

勇者部は全身全霊、全力全開でぶつかってくる

それと相対するというのに、どうして手を抜くことができるのか

銀「それなら、答えてやるのが筋ってもんだろ」

天乃「それでも、私は奥の手は条件付きよ」

銀「そもそも、天乃の奥の手は死神の力で精霊ガード突き破るだろ。多分」

天乃「……確かに」

だからこそ

それはその模擬戦を超えた本戦に近い戦いになってもやりあえるという確信が持てなければいけない

銀「武器変えれば良いだけならイイんだけどな」

残念ながら、天乃の貫通能力は武器ではなく、

天乃自身が付与されている能力であるがために、

武器を変えようが、捨てようが

攻撃手段問わず、貫通能力を持ちかねないのが現状だ

ゆえに、武器を変えて全力全開は天乃にはできなかった


銀「それで、あたしを呼んだのは樹を傷つけるのが怖いって相談か?」

天乃「どういう流れでそうなるのよ」

いや、確かに話の流れで見るなら

そういう疑問を持ち出すのも無理はないかもしれないが

天乃からその話を振ったわけではない

だから、銀は笑って首を振る

銀「天乃の事だから、本気にはなれないんじゃないかと、思ってさ」

天乃「なれるわよ。なれなきゃダメでしょう? あの子達を本気で想っているのなら」

傷つけるのが怖い。それは間違いだ

彼女達に怪我をして欲しくない。それは誤りだ

それらは相手のことを本気で考えられていないがゆえの、自己満足だ

銀「……なら、どうしてあたしを呼んだんだ?」



1、貴女。弟に会いたい?
2、銀のお墓参り行かない?
3、樹のこと……押し倒せって風に言われてね……
4、精霊界みたいなのってあるの?
5、今日ね? 樹が答えをくれるの


↓2


天乃「実は、樹のこと押し倒せって風に言われてね……」

銀「どうしようか悩んでる。と」

天乃「いや、残念ながら私には押し倒すことなんてできないから悩んでるわけじゃないのよ」

勇者になれば不可能じゃない

けれど、勇者の力を使えば押し倒すのではなく襲いかかることになる

けれど、普通の状態では右腕しか動かせない

要するに、樹に押し倒してもらう他ないのだが

それでは樹が断った際の対応としては不適切だ

銀「なら、アタシが天乃の方に樹を押し倒せばいいのか?」

天乃「ごめん。それも違う」

銀「なんだ、違うのか」

天乃「その。断られたらどうするか。私ね……全く考えてなかったなって思ったのよ」

春信にそのまま最初の相手をお願いすることになる

そう思ってはいたが

それは断られたあとどうするかを考えてのものではなく

ただ、流されるままに行き着くであろう結果を推測したに過ぎない


銀「えーっと。つまりどういうことだ?」

天乃「樹が私とその……エッチしてくれるとは限らない。それを全く考えていなかったの」

銀「ん。んー……ん? えっと、なんだ。つまり、今更怖くなった……いや、違うか」

樹とえっちなことをせずに春信と行為をする

それが当たり前だと考えていた天乃は

自分が晴信に渡そうとしていた初めての経験というものが

恋人にとってはとても大切で尊いものであることを知った

それゆえに……天乃は恐れているのではないか



銀「天乃は考えてるふりしてるだけで、考えてなかったんだろ」

天乃「……………」

銀「樹が天乃とのその……えっちなことをしないかもしれないってことを」

恐れているからこそ考えようとしなかったのではないか。と

銀は思ったのだ

銀「しかもほとんど無意識に。で、風にもし断られたらの可能性を指摘されて……今更焦りだしたと」

天乃「べ、別に焦ってるわけじゃ……ないのよ」

銀「じゃぁ、この話はここで終わりだな」

天乃「ま、待って。まだ終わらせないで!」

銀の言葉があながち間違いではないからこそ

天乃は銀を……見逃せなかった


では、ここまでとさせていただきます
明日は確実にありません。
その影響で明後日もない可能性がありますが
明後日はできれば通常時間となります



天乃「ま、待って。まだ終わらせないで!」

銀「ところが断っちゃうんだなー」

天乃「っ……いじわるっ! ばかっ」

銀(うわ……冗談とか言いにくいなぁ)

久遠さん可愛い
天乃「べ、別に焦ってるわけじゃ……ないのよ」
銀「じゃぁ、この話はここで終わりだな」
天乃「ま、待って。まだ終わらせないで!」
この目をそらしてたけど慌ててみたような感じがもうね


では、今日は進めていきます


銀「ん?」

天乃「そんな意地悪言わなくてもいいじゃない……」

銀「天乃が正直にならないからだろ?」

樹にしたってそうだ

一人で小難しく考えずに

自分がどうしたいのかだけを考えれば良いのに。と

銀は考え、息をつく

けれど

それは銀が最も得意なことで

天乃達には最も苦手なことだ

そう簡単には、進まないだろう


けれどそれすらも銀は考えない

簡単に行くか、行かないかではなく

今ここで言うべきか言わないべきか

それだけしか考えない

問題も、答えも

銀は全てを単純に、そして簡潔に見定める

銀「風みたいに押し倒せとは言わないけど」

天乃「うん」

銀「その答えが気に入らなかったときは、気持ちを隠さず言った方が良い」

天乃「でも、言ったら樹が困るし」

銀「じゃぁなんで悩ませたのさ」

銀は困ったように言うと

進展はなさそうだと首を振って、姿を消す

困らせるのが嫌なら、そもそも言わなければよかったのだ

悩ませず、考えさせず、

ただ、流れに身を任せて自分の体を捧げていれば良かったのだ

なのに天乃は樹に言った

樹を悩ませ、樹に考えさせた

それ自体が答えなのだと

天乃が気づくことは……


√ 8月9日目 夕某所) ※月曜日


夏凜「ルールの確認をするわよ」

天乃「ええ」

形式は勝ち抜き戦ではなく、5対4の乱戦形式

戦闘不能や行動不能にはできないため、

勇者に関しては精霊による守りが3回発生した場合に失格・離脱となる

精霊である銀や若葉達に関しては

ダメージを3度あるいは一定以上通された場合、失格・離脱となる

満開はダメ。絶対

風「以上。なにか追加することはある?」

天乃「んー」


1、勝った組は負けた組になんでも一つして貰えるって言うのは?
2、そっちは5回でもいいのよ?
3、特にないかな


↓2


天乃「勝った組は負けた組になんでも一つして貰えるって言うのは?」

風「ほう」

夏凜「はっ、言ってくれるじゃないの」

夏凜は強気に言う

けれど、心の中の不安は消しされない

力量の圧倒的な差は歴然だ

この日まで端末があろうとなかろうと

各々鍛錬は積んできた

けれど……それでも

夏凜「っ」

ネガティブになる思考をかき消すための痛みを噛み砕く

その一方で、樹は一歩踏み出し天乃と見つめ合う

樹「受けます」

友奈「樹ちゃん……?」

樹「本当の戦いなら命を懸けてます。だから、小さくても何かを懸けるべきです」


銀「だってさ。若葉は依存あるか?」

若葉「主様が決めたことなら従う。勇者部一同が依存なければ構わないが……」

若葉は友奈達を見渡す

少し不安そうに見える

けれど、100%ではない自信だからこそ、

若葉は満足げに頷く

100%の自信はただの慢心だ

自信がないからこそ、人は全力になれる

若葉「彼女の意見に異論はないか?」

東郷「樹ちゃんの言葉は間違ってないもの。異論なんてありえません」

友奈「そう、だね。うん……本当なら命懸けなんだっ」

風「樹に先に言われるとはね……まぁ、そういうことだから」

球子「じゃぁ両チーム合意となったところで……始めるか!」

球子の掛け声に押されるようにして全員が初期位置につく

全力の勇者同士の戦いが……始まる


では、此処までとさせて頂きます
あすもできれば同じような時間から
できなければ明後日のお昼頃から再開予定



風(勝ったら天乃の初めてを貰うか)

夏凜(……なんでも一つ。ね。間違えて買ったエッチになるサプリを飲んで貰うかな)

東郷(勇者部のブログに写真使わせて貰おうかしら)

友奈(一日だけ、コーチお願いしたい……)

樹(ダメ。だよね……この結果でどうするか決めるなんて)


http://i.imgur.com/wZEG1dD.png

設定等に時間がかかったので今日はなしになります
マップに関してはこんな感じで、
バテクスと戦うときと同様の戦闘方法になります


再開はお昼頃、予定としては12ー14を予定しています

http://i.imgur.com/gQknM4e.png

マップ修正


では、昨日の分も含めて進めていきたいと思います


天乃「銀、盗み聞き出来る?」

銀「離れてるし、こそこそしてるし」

そう言って、銀は首を横に振る

もちろん、できたとしても教えるつもりはない

それでは何も面白くないからだ

若葉「とはいえ、あの陣形に意味がある可能性もある。注意は必要だろう」

球子「そうか? ただ遠距離の東郷、中距離の樹が二段三段に下がってるだけだと思うんだけどなぁ」

天乃「……そうね」

自分達を抜いた通常陣形

あれの意味は球子の言う通りの可能性が高い

けれど、それ以外の意味もある可能性があるというのもまた事実だ

天乃「いずれにしても、手を抜くことなく全力で返り討ちにしてあげれば良いだけよ」

若葉「もとよりそのつもりだ。練習試合とはいえ――負けは好かない」

球子「だな。先輩勇者ってものを、見せてあげようじゃないか」

銀「それじゃ……行くぞッ!」



1、移動 ※移動先指定 赤は神速使用  
2、待機 ※勇者部が先に行動
3、隠密 ※SP30消費 3ターン狙われなくなる
4、信念 ※SP32消費 状態異常が効かなくなる
5、予測 ※SP14消費 自分に対する相手の命中・回避半減
6、直感 ※SP10消費  絶対命中、絶対回避
7、魂   ※SP48消費  ダメージ2.5倍
8、覚醒  ※SP70消費  二回行動
9、勇気  ※SP60消費  熱血、必中、不屈、加速、直撃、気合


↓2


1、移動 ※移動先指定 赤は神速使用  
2、待機 ※勇者部が先に行動
3、隠密 ※SP30消費 3ターン狙われなくなる
4、信念 ※SP32消費 状態異常が効かなくなる
5、予測 ※SP14消費 自分に対する相手の命中・回避半減
6、魂   ※SP48消費  ダメージ2.5倍
7、覚醒  ※SP70消費  二回行動
8、勇気  ※SP60消費  熱血、必中、不屈、加速、直撃、気合


↓2

直感使用SP10   390/400

http://i.imgur.com/hAFl6E3.png

天乃 J-12へ

若葉→風 命中判定↓1 ゾロ目 または61~80で回避

銀→友奈 命中判定↓2 ゾロ目 または61~80で回避

球子→夏凜 命中判定↓3 ゾロ目 または61~80で回避



若葉「行くぞ風!」

風「!」

一直線に風へと向かう

目の前に居たからではなく

若葉自身が風と戦うべきと思っているからだ

自分と風に何か通ずるものがあると確信はない

けれど、それでも自分は風を試す必要があると若葉は考えている

若葉「覚悟ッ!」

若葉の行動は馬鹿げているほどに真っ直ぐだ

しかし、簡単に回避を許すほど遅くはない

風「くっ!」

実質数秒、体感1秒未満

その一瞬のうちに、若葉は肉薄する

大きく捻った体、見えない右手

それを認めた時点でもう遅く

犬神「………………」

気づけば、神々しい光の壁が若葉の刀を押さえ込んでいて

風「なっ……」

若葉「1回だ。犬吠埼風」

圧倒的だと……思った


友奈「風先ぱ――」

銀「よそ見をするなッ!」

友奈「!?」

砂浜というだけあって、

土やアスファルトと比べて明らかに動きづらい

そう油断したわけじゃない

よそ見をしていても、気を緩めたわけでもない

なのに、

友奈は接近に気付かなかった

銀の声が聞こえるまでずっと、

彼女の刃が目の前に迫るまでずっと

友奈は三ノ輪銀に気付かなかった

友奈「ど、どうして……なんでっ」

銀「あたしはここにいる……友奈、お前は何を見てるんだッ!」

牛鬼によって怪我はない

けれど精霊がいなければきっと……

友奈「っ」

友奈は慌てて首を振った


夏凜「わかってた……わかってたけどッ!」

球子「たァッ!」

夏凜「ッ!」

風がやられた

友奈もやられた

じゃぁ次は……そう考える余裕すらなく

普段は頼もしく思える球子の旋刃盤が飛来する

回避は……出来るッ!

一瞥し、故意に地面を踏み抉って姿勢を崩した瞬間、

頭上を旋刃盤が切り裂く

夏凜「私はやれるっ」

怯える余裕も何もない

一瞬で立て直せ

そう考えた時にはもう遅く、

背後に気配を感じた夏凜は崩した体勢のまま振り向く

球子「もう少し、頑張りタマえ」

夏凜「なっ」

背中に強い衝撃を受け、地面を無様に転がる

回避できたのではなくさせられた

それを今更知っても――無意味だった


風→若葉 命中判定↓1 ゾロ目で命中

友奈→銀 命中判定↓2 ゾロ目で命中

夏凜→球子 命中判定↓3 01~45で命中 ゾロ目CRI

東郷→銀 命中判定↓4 01~55で命中 ゾロ目CRI

樹→若葉 命中判定↓5 ゾロ目で命中



友奈「負けてられないっ!」

銀「無駄だ!」

友奈の拳も

風「くっ、このっ!」

風の剣も

樹「お姉ちゃん!」

樹の力も

東郷「狙い撃つ……っ」

東郷の狙撃も

全て、銀達には通用しない

狙っても当たらない

がむしゃらにやっても躱される

けれど、それでも

夏凜「私は……完成型勇者なのよっ!」

三好夏凜は諦めない


夏凜「っ!」

柔らかい砂の足場を踏み抜く勢いで蹴り出す

躊躇をするな

相手だけを見るな

足元だけを見るな

夏凜「球子ッ!」

球子「来いっ!」

足全体で地面を捉えず、

つま先だけで地面を踏み込み方向を変える

夏凜「……っ」

球子「遅いぞ夏凜っ!」

夏凜「うるさいっ!」

自分自身がまだまだ未熟だというかのように、

過剰な運動に似た血の味を感じる

夏凜「私が完成型? ふっ……有り得ない」

この程度で運動不足を感じて、

この程度で敗北しかけている

それのどこが完成型なのか

自分で言っているのに、呆れた夏凜は苦笑して、球子を睨む


夏凜「届けえッ!」

けれどそれでも

未熟で、未完成だとしても

完成には程遠いとしても

自分は勇者なのだと、刀を握る手に力を込めて、踏み出す

夏凜「!」

球子「っ!」

右手の一撃が旋刃盤に弾かれ、跳ね上がった瞬間

踏み込んだ左足を軸に一回転し、球子を盾ごと蹴り飛ばした夏凜は

そのまま後ろに跳躍して――着地

夏凜「まだだ!」

その瞬間、

球子目掛けて弾丸のように突っ込み、

左の刀で球子の旋刃盤を弾き飛ばすと

右の刀を首元に宛てがって、止まる

球子「おっ」

夏凜「はぁっ……はぁ……い、一回よ」

球子「……お見事」

ただでは負けない

なんの収穫もない敗北など許せない

その執念が、夏凜を動かしていた

【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ9】
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ9】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1457248757/)


現状→http://i.imgur.com/XAwv3Xr.png


こちらは埋めてしまってください


若葉→風 命中判定↓1 ゾロ目 または61~80で回避

銀→友奈 命中判定↓2 ゾロ目 または61~80で回避

球子→夏凜 命中判定↓3 ゾロ目 または61~85で回避

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