【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ1】 (1000)


このスレは安価で

結城友奈は勇者である
鷲尾須美は勇者である

を遊ぶゲーム形式なスレです


目的


・バーテックスの殲滅
・秘密の解明


安価

・コンマと選択肢を組み合わせた選択肢制
・選択肢に関しては、単発・連取(選択肢安価を2連続)は禁止
・投下開始から30分ほどは単発云々は気にせず進行
・判定に関しては、常に単発云々は気にしない
・イベント判定の場合は、当たったキャラからの交流
・交流キャラを選択した場合は、自分からの交流となります


日数
一ヶ月=2週間で進めていきます
【平日5日、休日2日の週7日】×2


能力
HP MP SP 防御 素早 射撃 格闘 回避 命中 
この9個の能力でステータスを設定

HP:体力。0になると死亡。1/10以下で瀕死状態になり、全ステータスが1/3減少
MP:満開するために必要なポイント。HP以外のステータスが倍になる
防御:防御力。攻撃を受けた際の被ダメージ計算に用いる
素早:素早さ。行動優先順位に用いる
射撃:射撃技量。射撃技のダメージ底上げ
格闘:格闘技量。格闘技のダメージ底上げ
回避:回避力。回避力計算に用いる
命中:命中率。技の命中精度に用いる


戦闘の計算
格闘ダメージ:格闘技量+技威力+コンマ-相手の防御力
射撃ダメージ:射撃技量+技威力+コンマ-相手の防御力
回避率:自分の回避-相手の命中。相手の命中率を回避が超えていれば回避率75%
命中率:自分の命中-相手の回避。相手の回避率を命中が超えていれば命中率100%


wiki→【http://www46.atwiki.jp/anka_yuyuyu/】  不定期更新


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1437905159



主人公設定


久遠 天乃(くおん あまの)

中学3年生(学校には通っていない) 髪:ピンク 瞳:橙 髪型:ポニー(ロング)

身長148cm バスト84cm  誕生日6月6日

家族構成(姉、兄、父親、母親、祖父、祖母)

麻婆が好きできのこが嫌い

カラー:黒 武器:素手  性格:自由気まま

過去:先代勇者(ステータス前回のを若干引用します)

現在:園子とお祀り状態

満開:7回(味覚、聴覚(左)、聴覚(右)、記憶①、片腕(左)、片足(右)、片足(左))



20時頃または20時半からの再開とさせていただきます


……精霊も必要だったのを忘れていました。
再開時に、6体募集しますので、よろしくお願いします

1体は死神固定です


満開数+1が精霊数なので、あと7体ですね。失礼しました


まずは精霊を7体決めたいかと思いますが

25分から一気に7体分の安価をとりますのでもう少しお待ちください



天乃のサポート精霊

↓1~↓7


ちょっと違うものがいますが、何とかできるかとは思いますので
そのまま使います

大熊猫:力(攻撃力)
天火明命:生命
スサノオ:力(武器)
カワウソ:幻惑
稲荷:繁栄
穿山甲:力(武器)


死神:死
九尾:


2年前、四国の大橋が災害によって破壊された

しかし、それは災害などではなく、【戦いの被害】だ

それを知っているのは大赦の人間

そして、先の戦い

通称、瀬戸大橋の戦いを生き延びた3名の内2名

久遠天乃と乃木園子のみである

もう一人の生存者は、記憶喪失ゆえに知らない

そして、その記憶喪失も

その他の身体機能の喪失全て……勇者ゆえの代償であることを知っているのもまた

大赦の一部の人間と、2人の少女だけである

「……さて、と」

今日から赴任してきた新人の大赦職員

彼女もまた、これから接触する少女たちが勇者であり、敬うべき存在としか知らされていない

「頑張るぞ、私っ!」

意気込んだ女性は、ゆっくりと少女たちのいる部屋のドアを開けた


「             」

天乃「?」

室内に入ってきた見知らぬ女性は

慌てた様子で何かを叫ぶように言い放ち、ヘッドバッドするような勢いで頭を下げる

忙しないその様子を見ていた天乃は

昨日、新しい担当がくる。と

もう一人の人が教えてくれたことを思い出して、ため息をつく

こんな人が担当なんてできるの……?

天乃『ねぇ、口が見えないわ。何言ってるのか全然わからない』

「?」

天乃『聞いてないの? 私、耳が聞こえないの。それと、上手く喋れないから電子端末を使うって聞かされなかった?』

せっせと電子端末に文字を打ち込んでいた少女が手渡してきた端末の文字を読み、

そう言えばそうだったと思い出した女性が目を見開く

「………あっ!」

天乃『しっかりしてよ。お願いだから』

「えっと……」

またしても慌てて、メモ帳に言葉を書き出そうとした新人に対し、

枕をぶつけて目を向けさせる

天乃『顔を見せてくれれば十分よ。口の動きさえ見せて貰えれば大体は把握できる。でも、早口は無理だから止めてね』


「ごめんなさい。今日からお世話係になったんです」

天乃『見れば解るわ。変に緊張しなくても良いから』

「あ、ありがとうござ――」

「久遠様!」

「ましっ!?」

怒鳴り声が室内に響き、

初めて聞いた怒号に女性がビクッと震えて振り返ると

明らかに怒り心頭な先輩職員が天乃のもとへと近づき

返してください。と、手を差し出す

天乃『あら。なんのことかしら?』

「久遠様の端末ですっ! 一体何度盗ませるおつもりですか!」

天乃『私は別に命じてないわよ? ただ、端末があればもう少し楽しいかなーって、愚痴を言っただけで』

死神「ソウデス。ヨ。ソモ、ソモ、カンリ、フジュウブ、ン? ナノガイケナイ、ンジャ、ナイカナ~?」

「園子様の真似してもいけないことはいけません」

死神「イジワルナヒト」

「余計なことは伺いません。まずはお返しください」


忽然と姿を現した死神のような何かに対して

冷たくあしらった職員に、天乃は枕の裏から端末を取り出して、渡す

死神「ツギハ、オヒルニウカガイマスノデ~」

「もう二度と来ないで下さい!」

先輩、凄い怒ってるなぁ……

というか、敬うべき人たちって教えられたはずなんだけど

全然敬ってる感じがしないような……

「良いですか?」

「は、はいっ!」

「貴女の任務は、久遠様ならびにこの死神を監視することです。不自由な主人はともかく、精霊の方は本当に質が悪いので気をつけなさい」

良いですね! と

先輩職員は確認を聞くこともなく、部屋を出ていく

どうやら

天乃やその精霊は物凄く嫌われているらしい

けれど、それでも瀬戸大橋の戦いを生き延びたのだから、解らないものである


「あの、久遠様」

天乃『うん?』

「良いのですか? あんな風に……」

天乃『別に? 本当の目的は達成したし』

「本当の目的?」

そう言った天乃は動く方の手を死神に差し出して

死神は小さく頷くと、どこからともなくプリンを取り出してその手に置く

天乃『あの職員がストレスに耐えかねて奮発した一個600円のプリンらしいわ』

「えっ?」

死神「ワタシ、キイタ。コレスゴクオイシイ。ダカラ、クオンサンノタメニ、モッテキタ」

天乃『死神、お願い』

死神「ハーイ」

死神はプリンをスプーンで一掬いすると

天乃の口へと入れていく

天乃『美味しい!』

死神「ヨカッタ!」

「……………うーん」

世話係ではなく、監視

でも……私には凄く荷が重い仕事のような気がしてならないです


天乃『貴女も食べてみる?』

「え、でも」

天乃『私には一口で十分なのよ』

「ですが……」

死神「タベテ、イイノヨ?」

久遠様は美味しいと言った

でも、それなら私にくれるはずがない

そもそも、一口で十分の意味が解らない

死神「クオンサンハ、アジガワカラナイノ。ダカラ、アナタノカンソウガホシイ」

「味が解らないって……でも、美味しいって」

天乃『プリンだもの。思い出せれば味は解る』

「……………」

手渡されたプリンはコンビニとかで見かけるプラスチックの容器ではなく

有名なところの刻印がある瓶で

女性の記憶が正しいのであれば、朝早くに並ばなければ買えないことだってあるほどのものだった

天乃『でも、記憶の中だけじゃ、ちょっと。満ち足りなくてね』

「それで、私の食べた感想を?」

天乃『ええ』


「うぅ………」

明らかに先輩への冒涜だ

でも、世話係は任された大事な仕事で

天乃は大切で敬うべき存在で

お願いを聞いてあげなければ不機嫌になってしまうだろう

「頂きます」

舌の上に残ることなく消えたクリーム色のプリンは

液体のように一瞬にして溶解し、ふんわりとした甘さを味覚と嗅覚に広げる

こげ茶色のカラメルソースはほろ苦いけれど

プリンの甘さを邪魔するどころか名前の通り絶妙に絡み合って

より甘さを引き立て、舞台裏の黒子のように、味という舞台だけを残していつの間にか消える

舞台そでから見えるような違和感さえも、歯の隙間などに残したりしない完璧なエスケープ

「まさに味の演劇っ!」

天乃『はぁ?』

「ぁ……いえ。その、甘くてほろ苦くて美味しいです」

天乃『でしょうね』


天乃「……………」

隣で寝ている園子を一瞥し、天乃は小さく息を吐く

新しい世話係で遊ぶのもありだが

8体いる精霊と話をするのもありだ

できる事は限りあるけれど、決して少ないわけではない

死神「アッチムイテホイ!」

「あっ」

死神「ワタシノカチネ」

「そもそも死神さん目しか動かさないじゃないですかっ!」

……何やってるんだか

まぁ、死神が楽しんでいるのなら、別に良いけれど


1、精霊と話す ※もういちど相手を選択します
2、園子と話す
3、新人と話す


↓2


天乃「……………」

園子「う~ん……おはよ~天さん」

天乃は園子の体を揺らして起こすと、もうすぐお昼よ。と、言葉を打ち込む

耳が聞こえないからと言って

完全に喋れないわけでもない

けれど、自分が何を言っているのか頭の中でしか解らないから

上手く話すことが出来ない

例えるなら、電子端末ではなく、パーソナルコンピューターでのブラインドタッチというものだろうか

頭の中で言葉は選択できているけれど、自分の指がその言葉を選んでいるのかどうかが解らない

まぁ、パソコンの場合、画面を見ているからなんと打ったのか解るという違いがあるけれど

天乃『新しい世話係が来たみたいよ』

園子「また1人辞めちゃったんだ」

天乃『さぁ? 他の部署に行った可能性もあるし』

園子「今度の人も、辞めさせちゃうの?」

天乃『私はただ、この閉鎖的空間で出来る限りの自由を謳歌してるだけ。辞めさせたいなら、大赦が止めればいいだけの事よ』


園子「怒ってるの?」

天乃『別に……。この体の障害だって貴女と同じく自ら率先したものにすぎないし』

そう言って笑みを浮かべる天乃を園子は見つめる


天さんは本当に供物として取られたのかな……


満開と散華を繰り返した園子は

普通の勇者と比べてかなり神に近しい存在へと昇華した

だからこそ、その拭えない違和感が強調されてしまう

天乃「?」

園子「えへへ~何でもないよ~」

天乃『そう』

20回も散華していながら

話せて、見えて、聞くことのできる園子

たった7回で、聞けず、歩けず、話せず、記憶をなくし、片腕を動かせなくなった私

さて、どちらが不幸なのやら



1、ねぇ園子。須美の現状を知りたくない?
2、ねぇ、園子。ここから抜け出さない?
3、バーテックスについての議論
4、わっしー×死神さん本について
5、私、此処から抜け出そうと思うの


↓2


天乃『ねぇ、園子。須美の現状を知りたくない?』

園子「知りたいけど……」

天乃『聞いたって教えてくれない。だから、教えてくれる子に、見に行って貰うのよ』

園子「もしかして、死神さんに行って貰うってこと~?」

天乃「…………」

園子の問いに、天乃は頷く

大赦の職員に何度聞いても

鷲尾須美に関しては教えてくれない

が、

教えられないような事情があると言う事がそれで明白になってしまっており、

精霊のガードゆえに死んではいないことが確実

であれば、会わせること、教えることに不都合があると考えられる


大方、私のように記憶が奪われていてそれが運悪く私達との記憶。とかなのだろうけど……


天乃『真実が明らかになるまでは、憶測でしかないからね』

園子「大丈夫なのかな~?」

天乃『平気よ。普段ふざけているけれど、死神は私の命令に忠実な子だから』

園子「そうだね~」

聞いたのはそう言う事じゃないんだけど、まぁいいかな~……私も知りたいし


では、ここまでとさせて頂きます

初めからかなり厳しいスタートですが、久遠さんならきっとやらかしてくれると思います


wikiの方に例の資料をあげましたが

あくまでオマケ程度のものであり、18歳未満は検閲できません


また、一応試験的に開いたところ、どれもこれもtxtでは絶望的に見難いので
見る場合はPDFを推奨しますが
docxでも構いません

これでは見れないなどありましたら別途用意するので報告の方お願いいたします


では、再開しようかと思います


天乃『ということで、死神』

死神「デモ、ワタシ。イナクテヘイキ?」

天乃『問題ないわ。彼女は貴方と同じで性格が悪いだけだもの』

園子「きっと、飼い主に似たんだね~」

気の抜けた声で遠慮ない一言を呟く園子を一瞥すると

天乃はよろしくね。と、死神の頭を撫でて背中を押す

死神「ラジャー!」

死神がパッと姿を消し

3人だけになった室内で新人の女性があたりを見渡す

「久遠様。死神さんはどこへ?」

天乃『疲れたから寝るって。貴女が遊んでくれたおかげよ。ありがとう』

「そ、そんなっ! ほ、褒められるようなことなんて」

照れくさそう顔を赤くして

パタパタと手を振る女性から目を逸らした天乃はにやりと笑う

……ちょろいっ!


√ 4月1日目 昼

園子、新人ちゃん、九尾との交流が可能です

1、園子
2、新人ちゃん
3、九尾
7、イベントの判定

↓2


√ 4月1目 昼


01~10 先輩職員怒りの乱入
11~20 神託
21~30 春信さん
31~40 夏凜ちゃん
41~50 九尾
51~60 死神さんのご帰還
61~70 春信
71~80 神託
81~90 先輩怒りの突撃昼ご飯
91~00 九尾

↓1のコンマ  


天乃「っ……!」

何の前触れもなく、天乃の視界が強く揺らぐ

ただの眩暈ではない

かといって、病気でもない

天乃「くっ」

瞼の裏で、星が降る

巨大だから、目の前なのか

目の前だから、巨大なのか

その一粒の星は天乃に向かって落ちてくる

園子「天さん……っ」

動かせる右手で目を抑え、小刻みに体を震わせる天乃に何もできない自分にわずかな苛立ちを覚えながら

園子は女性職員へと目くばせする

園子「お願い、天さんの手を!」

「は、はい!」

まだ芽吹いていない天乃にとって

神託はあまりにも重く

女性職員の手の温かさをその手に感じながら――意識を失った


真っ暗な世界

そこが自身の夢の中であることをすぐに悟って

天乃はゆっくりと瞼を上げていく

「久遠様!」

園子「天さん!」

のぞき込む一人の顔

聞こえてきた2人の声

天乃「っ………」

過剰な情報量に痺れる頭を軽く振って

天乃は園子へと目を向ける

天乃『どのくらい……?』

園子「30分くらい、かな」

「正確には27分と43秒です。久遠様、お身体の調子は?」

天乃『平気よ……まだ少し、くらくらするけど』


「何があったんですか?」

天乃『星が見えたわ……あの時と同じように』

「星……星って」

絶対に忘れないように憶えておけと言われたことを書き溜めたメモ帳を取り出して

どこかに欠いた覚えがある。と、ページをどんどん捲っていく

「あった!」


【久遠様または園子様が神託をお聞きになられた場合】


1つ、星との距離

2つ、星の数

3つ、星の大きさ(恐らく距離に相当)

以上の事を必ず聞き、報告すること


マニュアルを隅から隅まで読み込み、メモ帳の空白部分を開いてペンを握る

私の大事な仕事だ。しっかりしなきゃ

「久遠様、その星の数や距離、大きさ等を出来る限り詳しくお願いします」


久遠様が教えてくれた星の情報

数は一つ、距離は限りなく近く、大きさは限りなく大きい

距離ゆえの大きさの可能性もある

「はい、はい。そうらしいです」

上部の人間に連絡する女性から目を逸らして

まだわずかに違和感のある左目を抑える

戦いが、また始まる

銀を失って、体の自由を失ってまで勝ち得た世界

それでもまだ、平穏は一過性のものにしかなり得ないらしい

園子「天さん、もしも戦いが始まったら。ここを出ていく?」

天乃『その時の気分によるわ』

園子「そっか、なら90%ぐらいの可能性があるんだね」

天乃『どういう考え方してんのよ。貴女は』


困った後輩の言動にため息をついて

天乃は人型のお札が張り巡らされた天井を見上げる

恐らくは私たち以外の勇者がいる

須美がどこに連れて行かれたかはわからないけれど

恐らくは後継の勇者の所かしらね

須美が今一度勇者と成れるのであれば

リメイクされた勇者システムを扱えるし、以前の段階で優秀な副官タイプだったのだから

リーダーたり得るのかはともかくとしても、重要な戦力になるはずだし……

天乃『……………』

「久遠様、星って一体何なんですか?」

天乃『勇者の敵。みたいなものよ』

一部の職員は無知だけれど、知っている人間は知っている

新人の一般人にはまだ詳しく知る権利なんてない

……いや、知らない方が。きっと、幸せでいられるはずだ

もっとも、私達が勇者であることを知っている時点で、もう遅いのかもしれないけれど


√ 4月1日目 夕 (近いうちに戦いがあります)

園子、新人ちゃん、九尾との交流が可能です

1、園子
2、新人ちゃん
3、九尾
4、イベントの判定

↓2


九尾「主様の贔屓している黄泉の者は居らぬのか?」

天乃『今はお願いを聞いて貰っているのよ』

九尾「成程。つまり、主様の事を喰らうのならば今の内。と言う事かえ?」

言うや否や

体の不自由な天乃の上に覆いかぶさるようにして

九尾の化けた女性はにやりと笑い、舌をチロチロと覗かせる

「久遠様!」

天乃『平気よ』

「ですがっ!」

九尾「くっくっく、案ずるでない。妾の大事な大事な主。手出しはせん」

それよりも。と

九尾は呟きながら天乃の上から動き

ベッドの上に座り込むと、困った笑みを浮かべる

九尾「彼奴らが来るぞ。妾の勘では明日にでも、再び会いまみえることになる」

天乃『曖昧な言い方しないで、絶対に明日来るって言ったら?』

九尾「回避の余地はあるべきだとは思わぬか? ぬしらの頑張りは2年では安かろう?」


「……………」

まるで人間だ

白い着物を着ていてまるで旧世紀よりも旧世紀の書物の女性のような

美人を人物化したような姿

でも、人間ではなく

久遠天乃の精霊の一つ、九尾だ

この九尾と死神だけが人の言葉を理解し、学習し、話すことが出来る

もっとも、1つだけでも理解し、話す時点で異常であり

それは久遠天乃を監視する理由の一つでもある

天乃『高いか安いかの話でもないでしょうに』

九尾「で、あろうな」

天乃『……私が戦うと言ったときは』

九尾「妾は主様の為のモノにすぎぬ。望むのならば。妾は手となり足となろう。それが、妾の役目」

園子「………………」

こういった存在がいるからこそ

園子の不安は留まる事を知らずに膨れ上がっていく

アレはただの精霊なのか

果たして、本当に神樹様によって作り出されたモノなのか。と

九尾「………………」

園子「!」

不意に目が合って、園子は慌てて目を逸らす

その不安を、その疑心を

何もかもを見られてしまうような、気がした


ではここまでとさせて頂きます
明日も同様の時間からになるかと思います



九尾の背中にはファスナーがあって、中には三ノ輪家のご息女がいます
九尾は本来狐ですが、能力の特性上人型にもなれます
九尾は最重要なキャラかもしれません
九尾は性格が悪いです
天乃の特殊性を現すために、スペックが強化されています


……ほぼすべて嘘です


では、再開します


九尾「して、主様よ」

天乃『なに?』

九尾「妾と添い遂げる気に、なったのかえ?」

天乃『馬鹿な事言わないで』

九尾「くっくっく、声が無ければ主様の拒絶など愛おしい恥じらいにしか見えぬぞ」

小馬鹿にしたような笑い声をあげながら

一人満足そうにする九尾から目を離して、ため息をつく

須美は依然、私に対して性格の悪い人だ。と言った

もっとも、銀は面白い人だと満足そうだったし、園子だって楽しそうで

ただ須美を標的に悪戯しすぎたがゆえの性格悪い。という評価だったのだろうけれど

九尾は本当に性格が悪い。とはいえ、冗談を除けば悪さをしないからまだ救いはある……かもしれない

九尾「主様、主様。妾は主様と遊びがしたいぞ」

天乃「…………………」


1、頭を撫でてあげる
2、精霊についての話を聞く
3、添い遂げる(大赦から離脱します)
4、貴女。死神と仲悪かったりする?
5、勝手に一人で遊んでなさい
6、何がしたいのよ


↓2


天乃『一つ聞きたいのだけど、良いかしら?』

九尾「よかろう」

天乃『貴女、死神のことを黄泉の者。と呼ぶでしょう? 他の子はちゃんと名前で呼ぶのに』

九尾「なにか、問題でもあるのかえ?」

天乃『問題。と言うほどの事ではないけれど、仲が悪いのかなと思って』

実際にいがみ合っているような姿を見たことはないし

仲が悪い。と、表立って目立つようなことは今のところはない

とはいえ、傍にいるのはストレスを感じてしまう。なんていうことがないとも限らないわけで

九尾「妾が彼奴を黄泉の者。と言うのは、そのまま黄泉の者だからに他ならぬ。彼奴もそれに関して異は唱えておらぬしな」

天乃『死神とは違うの?』

九尾「妾も一応は神の獣ぞ。他の者を神と呼ぶのは好かぬ。もちろん。主様ならば、神と呼んでも構わぬが」

天乃『恥ずかしいから止めて頂戴』

九尾「ふむ……そうか。二度言うが、そのような反応を彼奴はせぬ。ゆえに、妾は黄泉の者と呼んでおる。特別関係に支障はない」


天乃『死神を神様だと認めてない、とかは?』

九尾「そのようなことはありはせん。ただ、人間が個々に信ずるものを神とするように、妾にもまた、信ずるものがあると言うだけの事」

天乃『それならいいのだけど……』

九尾「相も変わらず、我が主様は優しきものよ」

天乃『なによ急に』

九尾は満面の笑みを浮かべながら

恐らくは前足部分であろう左手で天乃の頭を撫でると

細めていた瞳をわずかに開いて見つめる

九尾「案ずるでない。妾たちが主様を悲しませることなどありはせん。当然、心配も同様に」

天乃「………………」

九尾のその言葉に対して

天乃は疑うこともなく、軽く頷いて頭に触れる手を握る

人間ではないからか、ひんやりと冷たいその手は雪のように白かった


√ 4月1日目 夜 (二日目昼に戦闘)

園子、新人ちゃん、九尾との交流が可能です

1、園子
2、新人ちゃん
3、九尾
4、イベントの判定

↓2


天乃『ねぇ』

「えーっと……ここはこうして」

天乃「っ!」

「っ!?」

ぼふっと柔らかい感触に追突され

メモ帳の確認に集中しすぎていた女性はそのまま流れるように体を傾かせて

「きゃぁ!?」

ガタンッという大きな音と共に、椅子から転げ落ちた

「いたたっ……」

天乃『怪我はない? 悪かったわ。ちょっと強く殴りすぎた』

「大丈夫です……なんとか」

天乃『死神がいれば代わりに呼んでくれるのだけど、いないから手を出しちゃって……』

「私こそすみません。マニュアルの確認に夢中になっちゃってて」


「あの、それで私になにか?」

天乃『ええ、ちょっとね』

研修バッチなんてものはつけていないが

新人なのは解りきった女性職員

何を聞いたって重要なところはおそらく知り得ていない

得られる情報はきっと微々たるものだろう

とはいえ世話係になっているのだから

私の事についても、少しくらいは知っているかもしれない



1、貴女、家族は?
2、ねぇ。私の事についてどこまで知ってる?
3、ねぇ。外の世界は2年前と比べてどのくらい変わった?
4、新しい勇者がいるのはどこ?
5、べつに。ただ無視されてるのが嫌だっただけ



↓2


天乃『新しい勇者がいるのは何処なの?』

「新しい勇者はまだ解りません。各地区に候補者がチームを組んでる。みたいな話は聞きましたが」

天乃『なるほど』

2年前の段階で、私達しか正式な血族はいなくなっていたはず

それを考えれば、各地に散らばっているチームが全員血縁とは考えにくい

天乃『一般人も採用することにしたのね』

「上の人も苦渋の選択だったそうですが……そのようです」

天乃『じゃぁ、その中でもっともなりそうなところは?』

「そうですね。適正値最高の女の子がいる讃州中学校という噂がありますよ」

天乃『讃州中学……?』

天乃にとっては聞きなじみのない校名

少なくとも、自分の通っていた中学校の名前ではない

「そこの勇者部が、勇者適正検査でなる可能性があると判断された子達のチームです」

天乃『勇者部ね……』

本当の勇者を経験した天乃からしてみれば

そんな部活名はふざけているようにも思えた


天乃『……………』

とはいえ、

何も知らない人もいるのであれば

そういう名前も無理はないのかもしれない

天乃『意外と素直に教えてくれたけれど、平気なの?』

「私が学んだことに関しては、今のところ久遠様と共有しても問題ないものだと聞いているので」

多分大丈夫

……大丈夫だよね?

一部は聞いた話ゆえの不安はあったものの

女性は首を横に振って気持ちを落ち着けると

誤魔化すような笑みを浮かべる

「ですが、喋りすぎだって怒られるかもしれないので。内密に願います」

天乃『ふふっ、貴女を外されるのは惜しいかもね』

「そう言って貰えると、嬉しいです」

心の中でガッツポーズする女性を横目に

天乃はだってちょろいから。と心の中で笑う

後は死神が戻ってきてから……かな


ではここまでとさせて頂きます


纏めは次の再開時
または明日の朝に出します


1日のまとめ

・  乃木園子:交流有(新人、鷲尾須美について)
・     九尾:交流有(死神との関係)

・      死神:交流無()
・  新人女性:交流有(対面、勇者候補について)
・     神樹:交流無()


4月の1日目終了後の結果


  乃木園子との絆 10+X()
  新人女性との絆 5(少し低い)
     九尾との絆 10+X()
      死神との絆 10+X()
      神樹との絆 0+X()

  ※Xに関しては再開時に判定して追加
    +補正がつくのは、開始以前からの交流有のキャラのみ


予定通り、まとめのみとなります

4月は7日目までとして、それ以降は5月1日目とする予定です


再開予定でしたが、時間も時間なので各キャラの絆値補正の判定のみ行います



↓1 園子

↓2 死神

↓3 九尾



コンマの一桁分を+で補正   ぞろ目ならコンマ一桁を2倍して+補正


入れ忘れ


↓1 神樹

1日のまとめ

・  乃木園子:交流有(新人、鷲尾須美について)
・     九尾:交流有(死神との関係)

・      死神:交流無()
・  新人女性:交流有(対面、勇者候補について)
・     神樹:交流無()


4月の1日目終了後の結果


  乃木園子との絆 19(中々良い)
  新人女性との絆 5(少し低い)
     九尾との絆 14(普通)
      死神との絆 12(普通)
      神樹との絆 0(低い)


こうなりました


ついでにですが、以前沙織にもつけたように
身近な人になるので、新人ちゃんにも名前を設定しようかと思います



23:05分から 何個かアイデアを頂いて
その中から多数決で決めると言う形になります



まずは候補を

↓1~↓4

獦子鳥 桜 あとりさくら


>>170は最初の文字がコピペでは『?』 通常検索『あと』、『あとり』でも出ないので申し訳ありませんが無しで行かせていただきます


1、長谷五月
2、夢路瞳
3、淡路観月
4、名取吹雪


↓1~↓5




では、優先権で2とさせて頂きます

新人ちゃんは以降、夢路さん、またはひとみちゃん。ひとみん、ゆめぴー等々となります



http://i.imgur.com/jPgKrdn.png

暫定的な天乃のステータス
精霊が7体+先代からということで、前回より格段に上です


今日は以上になります

明日こそは物語を進める予定です


では、さいかいします



√ 4月2日目 朝 (昼に戦闘があります)

園子、新人ちゃん、九尾との交流が可能です

1、園子
2、新人ちゃん
3、九尾
4、イベントの判定

↓2


九尾「主様、どうやら、妾の予感は正しいようじゃぞ」

天乃『と、言うと?』

九尾「人間どもの敬う神樹なるものの近くに、宿敵の力を感じるのだ。間違いないぞ。彼奴らは再び来る」

九尾は意味ありげな表情を浮かべながら、目を細める

天乃から聞いた話でしかないが、バーテックスは天乃の親友である三ノ輪銀を殺した敵

敵なのだから殺し殺されは当たり前と言えば当たり前だろう

しかし、自分達精霊が一足早く生まれていれば。という悔いは拭えない

九尾「今はもう、妾達が居る。主様も、新なる勇者の小娘どもも死なせはせぬ」

天乃『…………』

九尾「妾を信じることが出来ぬか?」

天乃『そう言うわけではないけれど……』


また戦いが始まってしまう

あれだけ大きな被害を被っておきながら勝ち得た平和は

たった2年しか続かなかったのだ

それを考えてしまうと、どうも……虚しくなる

いつまで戦えばいいのか

いつになれば終わるのか

考えても……きっと無駄だ

天乃『実はちょっと、迷ってるの』

九尾「聞こう」

天乃『ここを抜け出して勇者の戦いに参加するか。このまま傍観するかの2択なんだけどね』

九尾「主様の事だ。迷わず前者であると妾達は迷うことなく決めつけていたのだが……」

天乃『なんでよ』

九尾「主様が優しい人間だからだ。それ以外の理由など、ありはせん」


天乃『優しい優しいってなんなのよ貴女達は』

九尾「それは妾の言葉であろうに……」

何人たりとも見過ごせないような

優し過ぎる……いや、お人好しと言えてしまうような人格でありながら

天乃はそれを認めようとしないのだ

園子曰く、ツンデレと言う事らしいが、九尾には理解できる言葉ではなかった

九尾「まあよい。主様の悩み。打ち明けよ」

天乃『そうね……私も出来るなら手を貸したいのだけど。それにはいくつか問題があるのよ』

九尾「と、言うと?」

1つ、園子を一人にしてしまう
2つ、大赦と敵対することになる
3つ、経済的支援が一切ない
4つ、帰る場所がないため、寝る場所も何もない
5つ、大赦の命令如何では、勇者とも争うことになる

天乃『っていう感じなのよ』

九尾「ふむ……そう言えば主様。家族の記憶が一切ないのだったな。妾達が幼少からお供していれば……」

天乃『言っても仕方のないことよ。園子もさすがに私の家までは知らなかったみたいだし』


天乃『それに、私が記憶喪失で、両足と左腕が動かない上に耳が聞こえないなんて知ったら……きっと悲しませちゃうし』

九尾「……それは、家族の事を考えての事であろう?」

天乃『それが?』

九尾「やはり、主様は優しいではないか」

天乃『いい加減にしてよ!』

声なき怒号に対して

九尾はくすくすと上品な笑い声を零して、首を横に振る

そんな心優しい人間に対して

ここまでひどい仕打ちが出来る神樹と言う存在を、

天乃と同様に九尾はあまりよく思っていなかった

九尾「ふむ……勇者の内、誰かを妾とカワウソの術で惑わし、操るのはどうじゃ?」

天乃『却下。そんなことしたくない』

九尾「であれば、戦闘において誰か一人あるいは全員を懐柔するほかあるまい。その誰かに宿を提供して貰えばよい」

天乃『懐柔って……』

九尾「その勇者部とやらの人間の中にも、優しきものは居るであろう。そのものに頼み込めばよい。それならば主様も良かろう?」

それがダメなら、公園や駅のイスで眠るほかないぞ? と、九尾はやや脅すように言い捨てた


1、ホームレス生活
2、勇者の戦いを傍観する
3、誰か一人、あるいは誰かを懐柔することにする



↓2


天乃『解ったわ。誰かを懐柔するわよ』

九尾「果たして、主様にそれが出来るのかどうか」

天乃『出来るわよ。というより、出来ないで外でホームレスなんてしてたら絶対に襲われるわ』

九尾「襲われる? 誰に?」

天乃『誰にって、それは……えっと……』

学校をさぼったりなんだりと

ごく小規模な悪さをする人間はいるものの

人を襲ったりするなんていう非常識極まりない事件は全く耳にしたことがない

けれど、天乃は拭えない危機感に身体を震わせて、苦笑する

天乃『そんな気がするのよ』

九尾「……妾かもしれぬな」

天乃『貴女一応女の子でしょう?』

九尾「くくッ、いつ、同性を襲ってはならぬと決まった? それでなくとも、妾は獣ぞ?」

ぺろりと舌なめずりする九尾を一瞥して天乃はため息をつく

いつものやられなれた冗談

九尾は好きなのだ。悪戯が


http://i.imgur.com/59KchY0.png

ステータス正式版

レベル・能力を補正(先代からで10は低いため)

精霊追加忘れ:天火明命

技修正



では、戦闘が始まります


二度と来ることがないと思っていた

でも、久遠天乃は再びこの世界にやってきた

神樹様からの救難信号である樹海化警報を鳴らしていた端末を手に

天乃は高台から遥か遠方、懐かしき敵の姿を見据える

天乃『敵は1体のようね。勇者は4人だけど……』

九尾「どうやら、勇者とは呼べぬようじゃな」

死神「クオンサン!」

天乃『貴方一体どこで油を……』

死神「スミ! スミガイル! ナマエ、チガウケド……スミ! ワタシミツケタ!」

天乃『解ったから落ち着きなさい』

興奮する死神を宥めて、調べてきてもらった話を聞く

どうやら、理由は解らないが

鷲尾須美は東郷美森と名乗って生活しているらしく

天乃と同様に車椅子での生活を余儀なくされているらしい

天乃『東郷美森……』

九尾「敵よりもまず、会いにゆくかえ?」

天乃『………………』


1、移動 ※マップより座標選択
2、待機 ※先に勇者部と敵が行動
3、隠密 ※SP30消費で1ターンの間姿を消す
4、加速 ※SPを8消費して 機動+2


↓2




http://i.imgur.com/LdqD5bH.png


天乃『そうね、とりあえずはほかの勇者に近づきましょ』

向こうだって同じく端末の支給をされているはずだし

されているのであれば、マップで天乃がいることが解っているはずだ

天乃『九尾、貴女元の姿に戻りなさい』

九尾「解っておる。妾は主様の足じゃからな」

九尾が元の妖狐の姿に戻ると、天乃はその背に跨る

両足が使えない為、移動範囲はかなり制限されるうえに

攻撃だってろくにできない

それをカバーするのが、九尾本来の役目なのだ

その分九尾にはアタック面でのサポートはほぼ全くできないが

足代わりとなるだけで十分だった

九尾「主様、振り落とされるでないぞ?」

天乃『解ってる』

九尾「……戦いの場では言葉を使ったらどうじゃ? 多少乱れても、有無では差があるぞ?」

天乃『考えておく』

九尾「そうか……ではゆくぞ!」

九尾は四本の足で力強く地を蹴り、樹海の中を駆けていく

天乃「………………」

東郷美森と鷲尾須美。名を変えた少女の事を思い、息をつく

足はおそらく、供物だ。

名前を変えたのは……やっぱり記憶喪失?

自分と同じよな状況であろうことを考えて、首を振る

考えたくない。でも、もしも本当にそうなのだとしたら

私はなんて、声をかけたらいいんだろう……?

風「ちょっと待って!」

天乃「!」

九尾「おや……」

九尾が思いっきり急ブレーキをかけて

危うく振り落とされそうになった天乃は大声を響かせた張本人へと、目を向ける

風「少し、良い?」

金髪で、大剣を持つ少女と、同じく金髪で気弱そうな女の子

それは勇者部に所属する、犬吠埼姉妹だった


ではここまでとさせて頂きます


戦闘終了は今週中を予定しています


では、再開します


風「        」

天乃「………………」

風「      」

天乃「?」

焦っているのか

それとも、元々そう言う人なのか

凄い剣幕の少女の口の動きはあまりにも早く激しく

天乃は読唇することが出来ずに首を傾げる

風「    」

九尾「主様、どうやら。主様は勇者なのか? と、彼奴は疑問のようじゃぞ?」

天乃「……………」

勇者部のメンバーしかいないと思っていた所に天乃の登場だ

困惑するのも無理はなかった


1、「違うと言ったら?」
2、『違うと言ったら?』
3、「ええ、そうよ」
4、『ええ。そうよ』
5、『今はそれよりも、アレを何とかしましょう』
6、「今はそれよりも、アレを何とかしましょう」


↓2


※「」と『』の違いは、口で言うか、端末を使って見せるかの違いです


天乃「…………」

ごくっと生唾を飲み込み

頭の中で言葉を何度もリピートする

今は聞こえないだけで、昔は聞こえていた

だからきっと大丈夫だろう。と

風「どっちなのよ……」

恐らくは姉の方の言葉を初めて読めた天乃は

出来る限りの笑みを浮かべて、頷く

天乃「ええ、そう、よ」

風「本当に?」

天乃「嘘な、んて……ついても。仕方が、ない。でしょう?」

間違えてしまうことが無いように

慎重に言葉を区切り、相手の様子をうかがう

不自然だと思われただろうか

馬鹿にしてると思われただろうか

でも、早く喋ったりはきっとしない方が良いから……


樹「お姉ちゃん」

風「解ってる……」

装いを見る限りでは

バーテックスなる異形とは想像もできない

けれど、狐に跨っている姿はまるで勇者のようには見えず

何なのかと考えれば真っ先に先住民族なんて言葉が浮かぶ

けれど、樹海に先住民族がいるなんて大赦からは聞いていない

風「……っ」

少し離れた場所から炸裂音が聞こえ

それはだんだんと近づいてくる

迷っている暇、躊躇っている暇があるのか……?

風「解った。今は貴女を信じる。アタシは犬吠埼風。こっちは樹」

天乃「久遠、天乃よ」

風「一緒にアレを倒しましょ。久遠」

天乃「そのつもりよ」

http://i.imgur.com/Uyx6tfD.png


九尾「どうやら、彼奴の行動力は脅威にはならないようじゃの」

天乃「そう、ね」

九尾「しかし、主様のちゃんとした声は初耳じゃが、なかなかどうして。良い声ではないか」

天乃「……うるさい」

九尾「その声と目つき、妾は嬉しいぞ」

流暢にひとの言葉を話し

まるで人間のような笑い方をする狐を姉妹は見つめて、互いに顔を見合わせる

なにあれ

解らない

視線で話して、首を振る

天乃「とりあえず、は……」

風「……無理はしないで」

天乃「解ってる」




1、移動 ※マップより座標選択
2、待機 ※先に勇者部と敵が行動
3、隠密 ※SP30消費で1ターンの間姿を消す
4、加速 ※SPを8消費して 機動+2


↓2


天乃「…………」

端末をチェックしてみると

東郷と友奈は初期位置から微動だにしていない

この状況下で敵を待ち伏せと言う作戦はおそらく選択していないだろう

つまり……

天乃「この、二人。なんだけど」

樹「友奈さん達は隠れててもらってます」

風「東郷が車椅子でね……こんな場所じゃ逃げられそうもないから」

九尾「ふむ……どうするのじゃ? 主様よ」

九尾の言葉を読んでから、もう一度端末に目を落す

東郷の所に行けば敵から少しばかり離れることになる

でも、東郷美森と言う少女が本当に鷲尾須美であるのかどうかが、天乃は気になっていた

かける言葉が見つからないかもしれない

それでも、知らなければいけないと。思った

例え、彼女の中から自分の存在が消えていようと生きている姿が見てみたかった

精霊の守りがあるから。と

押し潰すだけだった不安を取り除きたかった

天乃「会いに行きましょう」

だから、天乃は東郷美森のもとへと向かった


友奈「!」

幾度目かの爆発音

近づく恐怖に震える親友を見つめ、結城友奈は自分のそれを押し殺して拳を握りしめる

友奈「……私」

少し遠くに、大きな異形の生物。バーテックスの姿が見える

風や樹はあれと戦いに行った

しかし、友奈と東郷は初めから解っていた風はともかくとして

樹と同じようにすら、出来なかった

当たり前だ。行動できた樹が凄いだけであって

2人は何もおかしくはない。それが、普通の反応なのだ

東郷「友奈ちゃん!」

友奈「っ」

親友の大きな声に驚いて振り返った瞬間

すぐ近くの根に何かが降り立つ

九つの尾を持ち、しなやかな体をふわりと軽そうな体毛に包まれた白狐

その背に跨る、見たことの無い少女

九尾「……黄泉の者の言葉に偽りはなかったのう。主様」

天乃「…………………」

東郷「……………」

友奈「き、狐が、喋った……?」

狐に跨る少女、天乃は東郷と見つめあって

悲しそうに、首を横に振る


――間違いない。東郷美森は、鷲尾須美だ


では、ここまでとさせて頂きます




天乃(あの歳不相応なバスト……間違いない。ヤツだ!)

東郷(あの歳不相応な身長……忘れるわけがない。ヤツだ!)


では、少しばかり進めようかと思います


天乃「……あ、ぇ、っと」

東郷「っ…………」

天乃「………………」

久しぶりね。と、声をかけようとして。止めた

天乃を見つめる東郷の瞳に再会を喜ぶような色はみじんも感じられず

見つめられている動揺、現状への恐怖しか感じ取れなかったからだ

須美はあの時、二度の満開を行った

その結果が両足と記憶?

それとも供物は両足だけで、記憶は二次被害的な何か……?

東郷「……なにか?」

九尾「主様」

いずれにしても

天乃「くっ」

東郷美森に鷲尾須美としての記憶がないことは

確定的に明らかだった



1、貴女が、東郷美森?
2、……ずっと。ずっと探してたわ。私と一緒に事故に遭った。女の子
3、勇者にはならないの?
4、勇者にはならない方が良い。得られるものがある分。失うものがあるから
5、貴方達の事を守る代わりに、家に泊めてくれないかしら?


↓2


天乃「勇者には、ならない方が良い。得られる、ものがある分。失う、ものがあるから」

片言になりながらも天乃は何とか言葉で伝える

勇者になれば力が手に入る

戦う力

守る力

でも

日常を失う

友達を失う

自分の身体だって、失ってしまう

友奈「なにを、失うんですか?」

天乃「大切なもの。かしらね」

同じ勇者部のメンバーが勇者である以上

真実と言う残酷なものは教えてはあげられなくて、隠す


東郷「………………」

自分を見つめていた瞳に影が差した事に気づき

東郷は目を細めてみたものの

すでに影は通り過ぎて、さっきまでと何も変わらない瞳に戻っていた

……大切なもの

はぐらかされると、逆に気になってしまう

悪戯心でも、好奇心でもなく

自分と何かかかわりがあるんじゃないかと。少しだけ

困惑する東郷の隣で

友奈「それでも!」

不意に、友奈が声を張り上げた

天乃「!」

東郷「友奈ちゃん……?」

友奈「それでも私は……守りたいですっ!」

端末を握りしめ、大親友である東郷を一瞥した友奈は

炸裂音のするバーテックスの方へと体を向ける

怖くないと言えばウソになる

こんな忠告を聞かされて悩まないなんて無理だよ

でも。でもね、東郷さん。風先輩、樹ちゃん

そして、勇者の人

友奈「私は勇者になる」

九尾「ほう……?」

友奈「なったら失う。ならなくても失う。それなら――なった上で守り抜く!」

友奈の強い意思に反応して、端末の機能は作動し

結城友奈を勇者と認めてその身を特別な姿へと変えていく

友奈「それが、勇者だって私は思うから!」


天乃「……後悔するかもしれないわよ?」

友奈「しません」

天乃「言い、きれるの? 後になっぇ、やっぱりだなんて。言えな、くなる。かもしれないわよ?」

友奈「今やらなくちゃ、東郷さんや風先輩。樹ちゃんの事を守れない。後で後悔するよりも、今後悔はしたくない」

友奈は意志の籠った強い瞳を天乃へと向けると、

流れるように東吾へと視線を変えて、笑みを浮かべる

友奈「待っててね、東郷さん。すぐに終わらせてくるから」

東郷「友奈ちゃ――」

ダンッっと地面を蹴って跳躍し

結城友奈はバーテックスへと一直線に向かう

天乃「……………」

失敗だったかしらね

須美……東郷の友人のことは巻き込まないようにしようと思ったのに……

あんな子だったなんて

九尾「主様。どうやら、小娘たちと彼奴が接触したようじゃぞ」


友奈の攻撃 命中判定 ↓1 01~88で命中 ぞろ目でCRI

風の攻撃 命中判定 ↓2 01~83で命中 ぞろ目でCRI

樹の攻撃 命中判定 ↓3 01~91で命中 ぞろ目でCRI


風の攻撃 340ダメージ
友奈の攻撃 555ダメージ

合計 895ダメージ  乙女座  HP105



乙女座の攻撃


→友奈  回避判定 ↓1  01~79 で命中


友奈に87ダメージ



樹「と、止まって!」

叫びながら、自身の武器である光の蔓を振るう

しかし、

樹「っ!」

その攻撃は虚しくも空を切った

遠くで見るだけでも巨大な敵を前にして、竦んだ樹は思わず目を閉じてしまったのだ

その隙をついて、バーテックスは友奈へと種を飛ばす

友奈「くっ!」

どうする……?

避けられる……? ううん、無理だっ!

直進する友奈は躱す術がないと即座に判断して、咄嗟に顔の前で腕をクロスする


友奈「!」

その腕に種がぶつかる直前

友奈の精霊、牛鬼が割って入り半透明の光を迸らせて主を守る

友奈「っ」

バチバチという激しい音が消え、

目の前に迫る巨躯

怖い。やっぱり怖いよ……でも

東郷さんが後ろにいるんだ。だからッ!

友奈「うおぉぉぉぉっ!」

力強く地を踏みしめ、思いっきり跳躍

体を回転させ――

友奈「倒すッ!」

力強く蹴りを叩きこむ

その流れを受けてすかさず、風も一太刀を喰らわせた


東郷「……友奈ちゃん」

天乃「っ………」

バーテックスに大きなダメージを与えられている

けれど、それだけではだめだ

私の力があるのならともかくとして

ただただ勇者の攻撃をするだけでは延々と再生され続けてしまう

じり貧の戦い

それが、天乃達先代がなめさせられた苦汁

九尾「主様!」

天乃「解ってる」

行かなければならないだろう

でも……

天乃はちらっと、東郷を見つめた



1、移動 ※マップより座標選択
2、待機 ※先に勇者部と敵が行動
3、隠密 ※SP30消費で1ターンの間姿を消す
4、会話 ※東郷と交流。ターン消費します


↓2




http://i.imgur.com/cftb5h9.png


では、途中になってしまいますが、ここまでとさせて頂きます
明日は予定ではお昼頃からのスタートです




……外さなければ勝ちです


では再開します


技の使用選択

1、突撃   威力800
2、草薙剣  威力1250 命中・CRI+10



↓2


九尾「主様、投げるかえ?」

天乃「ううん、斬り伏せる」

九尾「痛くは投げぬぞ?」

天乃「そう言う問題じゃないわよ」

天乃が唯一動く右手を掲げると、一瞬の輝きと共に

紅蓮に身を包んだ人型の精霊が姿を現す

天乃「久、しぶりに、貸して頂戴」

その精霊に言葉を離す知はなく

軽く頷き、少し変わった刀身の剣を天乃に差し出す

草薙の剣あるいは、天叢雲剣などと呼ばれる剣

天乃「……行って」

九尾「承知!」

地を駆ける獣

右手に剣を持ち、その妖狐に跨る人間

その姿はあまりにも神々しく

そしてなによりも――異質だった


天乃「っ」

振り落とされまいと

柄を加えて自由にした右手で九尾の首に腕を回す

せめてもう片方の腕

あるいは足が動かせたら楽なのだけど……

望んでも得られないものは仕方がない

無理なものは無理なのだ

天乃「!」

九尾「案ずるな!突っ切る!」

バーテックスの炸裂弾の射出口が自分達に向いたのを察知して

九尾は踏み込む足に力を籠め、スピードを上げる

ただ回避するだけでは追尾してくる攻撃

ならば。と、九尾は種を見定める

九尾「妾に武の才はない。だからこそ、妾に知があるのじゃ」

射出されてから着弾するまでの時間を予測したうえで

着弾する寸前で体を右に逸らす

九尾「ぬるいっ! そなたの力はそこまでかッ!」

1つ、2つ、3つ

射出され、道を阻むものすべてを掻い潜りたどり着く

九尾「あとは主様のお力ぞ」

天乃「勝手なこ、と。を言ってくれ、るじゃないの!」

風さえも切り裂く刀身を水平に構える

無意味な動作は不要の一撃決殺の一太刀

天乃「ふ―――っ!」

弾幕を抜けられたバーテックスがその巨躯で仕掛けようとしたのと同時に

ほぼゼロ距離。肉迫した天乃はその剣をバーテックスの体に切り込ませる

意外なほどに、柔らかい

否――当然のごとく。容易だった

一閃は閃光となってバーテックスの核もろとも真っ二つに引裂く

風「!」

樹「凄い……」

友奈「あれが……勇者……?」

体は砂に、核は光へと還るその中心で

剣を鞘に納めた少女が首を振る

天乃「……やり辛い」

煌めき、靡く髪。黒混じりの装束

反して全身が白く輝く妖狐

その姿を見た誰もが、口をつぐんだ




バーテックスに1460ダメージ  戦闘終了


風「あんた一体……」

天乃「通りすがりの勇者Aよ」

風「……………」

解りきった嘘に、風は顔を顰めて目を伏せる

互角。あるいは自分が上なのであれば

多少強引な手でも話を聞くことは出来る

しかし、圧倒的

絶対的な力の差が、自分と天乃にはある

それが解らない風ではなかった

樹「強いんですね。久遠さん」

友奈「久遠さん?」

風「えっと。久遠天乃って言うらしいわ。どこの人かは。知らないけど」

天乃「ふふっ」

九尾「歓談中悪いがの。時間が来たようじゃ」

九尾の言葉に、全員が樹海が徐々に光に包まれていっていることに気づいて身構える

天乃「……………」


1、風の手を掴む
2、樹の手を掴む
3、友奈の手を掴む
4、東郷の手を掴む
5、誰にも触れない


↓2


光に包まれていく中で

天乃は咄嗟に樹の手を掴む

樹「久遠さん!?」

風「い、樹!」

この子なら、変な野次も何もなく

純粋に話を聞いてくれそうだし

強すぎる正義感で、なんかちょっと危ない橋を渡るようなこともないだろうし

死神「ツレテイク?」

天乃「ええ、連れてく」

樹「死神!?」

忽然と姿を現した死神は驚く樹に目もくれず、

手にした鎌で空間を切り裂き、強制送還から別枠を作り出す

天乃「ちょっと借りるわよ。風」

風「樹ぃーっ!」

天乃と樹が抜け出した瞬間

樹海は完全に白く染まり――元の世界へと戻っていった


樹「っ………ここは」

天乃「どこかの公園。かしらね」

死神「クオンサンガイキタクナイトコロ、ノ、チュウシン?」

天乃「というと?」

死神「アノヒトタチ、ト。タイシャノ。アイダ」

見覚えのない姿の公園

公園の名前を見てみても、聞き覚えはまるでない

もっとも、2年も世界から隔離されていたのだから

知らないことが増えていたとしてもおかしくはないのだろうけど

樹「            」

天乃「?」

樹「聞いてますか?」

振り返った樹の言葉に、天乃は首を傾げて

そう言えばまだ耳が聞こえないことは教えてなかった。と、気づく


樹「久遠さ……え?」

もう一度声をかけようとしたところで

樹もまた、あることに気づいて口をつぐみ、

目を擦り、もう一度天乃の事を見つめて

それが現実であることを認識して、目を伏せる

さっきまで妖狐に跨っていた少女は

同じ部活で友人の東郷と同じように車椅子に座っていたのだ

樹「もしかして、足……」

天乃「まぁね」

樹「………………」

それなのに、勇者として戦ってるの……?

あの敵に怯んだりしないで?

驚くのも無理はない

戦うどころか、日常生活においても足が動かせないと言うのはかなり制限される

段差を登るのは難しいし、座っている分手が届く場所も限られてくる

なにより、自由と言うものがだいぶ薄れてしまう

それなのに、久遠天乃は戦っていたのだから


天乃「……どうかした?」

樹「     」

天乃「…………」

怯えているのか、緊張しているのか

余りにも口の動きが小さく、天乃は見取れずに首を横に振る

このままでは会話が成り立たない

憐れんだ瞳で見られるのはあまり好きではないし

寧ろ嫌なのだが……仕方がないだろうか

樹「解りませんか?」

天乃「……………」

何が解らないのかが解らない

耳が聞こえないことが不便なのだと

改めて、思い知った


1、『悪いけれど。私、耳が聞こえないの。口を見せて話すか、メモしてくれる?』
2、「悪いけれど。私、耳が聞こえないの。口を見せて話すか、メモしてくれる?」
3、さぁ? 解らないわ
4、それよりも、貴女の家に行かない?
5、勇者部の中の誰なら家に泊めてくれると思う?

↓2


※ 1、2以外は、耳が聞こえないことを隠し続けます


天乃「悪、いけれど。私、耳が、聞こえないの。口を、見、せて話すか……メモ、してくれる?」

樹「耳……? でも、ちゃんと」

天乃「読唇術ってやつよ。だから、口、見せて欲しいの」

樹「そう言う事だったんですね」

思い返してみれば

普通の人よりも言葉の区切りが多いし、

その声にはどこか不安定な部分があったが

耳が聞こえないのなら、納得がいく

樹「でも、だとしたら……」

天乃「気に、しなくていいわよ」

樹「…………」

天乃自身、気にされるために言ったわけではないし

されればされるほど、自分が哀れに思えて嫌になるのだ

そもそも、耳が聞こえないことを話したのは

そんな自分に気を使って欲しいからではなく、意思疎通をするためだ

そこに本音も建前もない


樹「それで、ですね」

天乃「ええ」

樹「お姉ちゃんたちが見当たらなくて。どこにいるのかなと……」

もう一度聞いた樹の端末が震える

樹「もしも――」

風『           』

樹「う、うん。お姉ちゃんたちは」

どうやら、風からの電話だったらしく

風はもちろん、友奈や東郷も無事らしい

……が

樹「む、無理だよ」

風『          』

樹「じ、事情があって……久遠さんは電話とかは」

樹の焦り具合、動揺する瞳から察するに……凄い怒ってそう

妹をどこかへと連れ去られたのだから無理もない

けれど、電話でどれだけ野次を飛ばされても耳が聞こえないのだから意味はないし痛くもない


樹「じゃ、じゃぁ……えっと。ちょっと待って」

天乃「?」

端末を手で押さえた樹は

ひきつった笑みを浮かべると、口を動かす

天乃「?」

うどんのかめや

讃州中学、勇者部

犬吠埼家

そのどこかで夕方に会う……というか会わなければいけないらしい

天乃「……………」

3つとも知らない場所ではあるが、どんなところかは想像がつく

さて、どこにするべきか


1、かめや
2、勇者部
3、犬吠埼家


↓2


天乃「それなら、貴女達の家で」

天乃の答えに頷き、

樹はもう一度端末に耳を当てる

樹「聞こえた? ……うん。久遠さんがその方がって」

風『           』

樹「ちゃんとした話するなら、やっぱり……」

風『      』

樹「ううん、久遠さんは讃州中の制服じゃないよ」

耳が聞こえないせいで

樹の言葉を見ることくらいしかできない

そのもどかしさに唇を噛み締めて、息をつく

聞こえないものは聞こえない。仕方がないことなのだ

樹「うん。うん。解った。大丈夫だよ。うん、後でね」

そう言った樹は端末を軽くタップして通話を終了すると

天乃の方へと目を向けて、笑みを浮かべた


樹「久遠さんは学校とか……」

天乃「問題ないわ」

樹「良かった……のかな?」

可愛らしく首を傾げた樹は

それならこのまま家に行きましょう。と、天乃の車椅子の背後

持ち手部分を掴んで押す

けれど

樹「んーっ! ぅぅぅぅぅーっ!」

力一杯押して、わずかな進度

東郷先輩の車椅子より一回りほど大きいだけなのに……っ

樹「す、す、ま、な、いぃぃぃ~っ!」

後先考えない全力で何とか動く

というか

ただ単に地面が抉れながら滑っただけで

タイヤ自体はまったく動いていない

これでは夕方にですら、家に帰るのは不可能だろう

樹「ブ、ブレーキ……解除してください」

天乃「押してくれるの? 電動だから別に良いのだけど……」

樹「そ、そうなんですか?」


天乃「愛と信頼の大赦印の入った特注の車椅子なのよ」

電動式で、駆動可能距離は最大80km

充電は完了まで約6時間ほど必要ではあるが

寝ている間にしておけばいいので問題はない

片手しか動かせず

ブレーキ等がだいぶ困難な天乃にはこれが必要不可欠なのだ

天乃「重いわよ?」

樹「手押しのなら、押せましたけど……」

天乃「手押しと電動比べてもね……座ってたのは誰? おじいちゃんおばあちゃんでしょう?」

電動で動く分、手押しの車椅子と比べると重量は倍以上

そこにちっこいとはいえ、少女が乗っているため、重量は約80kgもある

手押しの車椅子とおじいちゃんおばあちゃんを合わせたとしても、少なくとも10kgは重い計算だ

電動から手動に代えたところで重さは変わらないし

樹の体力の限界はすぐに来てしまうだろう


樹「が、頑張ってみます」

天乃「……………」

貴女には無理よ。と

厚紙に包んで言ってあげたのにもかかわらず

樹は意気込んで、ぐっと握り拳を見せる

自分はやれる子だと、思って欲しいのだろうか

天乃「樹」

樹「は、はい」



1、おんぶして
2、良いわよ。自分で行ける
3、お願いするわ


↓2


天乃「良いわよ。自分で行ける」

樹「そうですよね」

ちょっと残念そうな顔をしながらも

樹は笑みを浮かべて天乃の隣を歩く

天乃「………………」

出来る子だと思って欲しいのではなく

ただ、何らかの関わり合いが欲しい

ううん、そうじゃなくて

なにか、きっかけが欲しいのかもしれない

天乃「樹」

樹「はい……?」

ちょいちょいっと手招きする天乃に顔を近づけると

不意に樹の髪が潰されて、髪型を崩さないようにと気の使われた優しい手が

ほんの少しだけ、頭の上で踊る

樹「っ……」

天乃「貴女の気持ちは嬉しかったわ。ありがとう」

樹「いえっそんなっ」

決して悪い人ではない

それが解って、樹はさっきよりも嬉しそうな笑みを浮かべていた




√ 4月2目 夕


コンマ  01~10   35~44   71~80


愛と信頼の大赦印の回収班


↓1




天乃「意外だわ。まだ、大赦の方に連絡してないのね」

風「これからするつもりよ」

でもその前に。と

風はやや厳しい目で天乃を睨む

風「色々と聞きたいことがあるわ」

天乃「聞きたいこと?」

風「あたしが聞いた話では、勇者はあたし含めて4人だけだった。つまり、天乃は存在しないはずの勇者ってことよ」

天乃「……………」

存在しないはずの勇者どころか

元々いた勇者なのだが……そんな話は知らないらしい

先代の勇者がいると言ったところで私も園子もボロボロの状態だから

会わせてと言われても会わせられないし、そうなれば不信につながる

存在自体を秘匿するのは常套手段……かな

天乃「だから?」

風「天乃がどこの久遠天乃なのかを教えて欲しいのよ。学校とかも含めて。ね」


天乃「学校ね……」

風「見たところ。なんていうか、制服とも私服とも言い難い服装だし」

白無地の着物のような服

だが、帯はしっかりとしたものではなく

どちらかと言えば、患者衣のような感じのある衣服が気になって

風は問いながら、天乃の服の裾を掴む

天乃「寝間着よ。中は下着しかつけてないから――捲らないで」

裾を捲ろうとしていた風の手をパシッと叩いて

天乃は少し怒った声で注意する

樹「ね、寝間着ってあの。えっと……パジャマじゃ」

天乃「そうとも言うわ」

大赦のあの部屋にいた天乃は

樹海化と共に死神の力で空間に割り込んだのだ

着の身着のままであるのは仕方がないことだった

天乃「学校に関しては通ってないわ。色々と不便でね」

風「不便……?」



1、勇者としての活動もあるからよ
2、両足、片腕、耳についての事を話す
3、私は特別、別所で勇者認定されたのよ。だから、貴女に情報はなかった
4、そこでなんだけど……ここに泊めてくれない?
5、大赦に監禁されてたのよ。勇者適正が高いから絶対に逃すなって

↓2


天乃「まず、見て分かる通り足は動かないわ」

風「まず?」

樹「久遠さんは耳も聞こえないみたいなの」

風「あっ」

樹に対し、久遠を電話に出してと言った際の答えが

即答の了解ではなく、出せない。出来ない。というものだった理由だと気付いて

風は悪びれた様子で樹を一瞥し、天乃を見下ろす

風「そんな事情があったんだ……」

天乃「あとはこの左腕。全く動かないわ」

樹「え?」

風「まったくって、全然ってこと?」

天乃「そうよ。文字通りただのお飾りでしかないわ」

左右見比べてみると

ある程度のリハビリはしているのか、目に見えるほどの違いはないが

確かに、多少の差があった


風「待って。待って……」

足が動かないのは事実だろう

耳だって、樹まで嘘をつくはずがないから事実だろう

左腕だって……どれだけむにゅむにゅと柔らかさを堪能しても

微動だにさせようとしないのだから、嘘だとは考えにくい

つまり、

そんな状態でも勇者をやらされているのだ

選ばれたばかりではないのは

あの戦い方。あの物怖じしていない攻め方からして風にも解った

あれは戦いなれたベテランの力だ。素人では絶対にない。と

風「天乃、あんた。どうして」

天乃「……色々とあったのよ」

風「………………」

言葉は単純だった

けれど、その瞳には複雑と言う言葉では表しきれないほど混沌としたものが見えて

風は続けるための言葉を見失ってしまった


風「っ………」

樹「お姉ちゃん?」

風は腕が震えるほどに力強く端末を握りしめる

天乃についての報告をしようと思った

けれど

今ここで報告してしまったら

またどこかに連れていかれて

戦いの日まで拘束されて

ただ、戦う為だけに生きることになるんじゃないか

そう思うと、今自分の所にいるという報告は出来なかった

風「あのさ、提案なんだけど」

天乃「?」

風「今から聞いてみるけど……東郷か友奈の所に行く気はない?」

天乃「なぜ?」


風「あたしの家はその……」

メモに何かを書き留めると

風は樹には見えないように天乃へと向ける


【大赦からお金を貰ってるから、報告とかあって厳しいのよ】


天乃「……………」

2人暮らしの食費などが

急に増えたら何か別の事に使っているんじゃないか? とか疑われるだろうし

今までの金額で3人となると、ずいぶんと厳しくなる

天乃「でも、2人は平気なの?」

風「それを今から聞いてみる。ダメだったらその時は……」

樹「?」

風「少しだけ、我慢しましょ」


01~10 風
11~20 友奈
21~30 東郷
31~40 友奈
41~50 風
51~60 東郷
61~70 新人ちゃん
71~80 友奈
81~90 東郷
91~00 風

↓1のコンマ  



√ 4月2日目 夜

東郷、九尾、死神、友奈との交流が可能です

1、東郷
2、友奈
3、死神
4、九尾
5、イベントの判定

↓2


※東郷宅に移動済み


東郷家の承諾を得た天乃は

真横に友奈の家がある東郷邸に来ていた

天乃「本当に平気なの?」

東郷「友奈ちゃんの家もだけれど、私の家が一番車椅子での生活に不自由がないと思うわ」

天乃「そうかもしれないけど……」

話しながら東郷を見て、須美と照らし合わせる

やっぱり、間違いはない

それに、髪に付けているリボンは

あの日、あの場所で園子が須美に渡したリボンに間違いない

東郷「……? なにか?」

天乃「車椅子二台あっても平気なくらい、広い部屋なのね」

東郷「そうね。部室などと比べると、移動に支障が出ないようにある程度広めに設計されているみたい」

天乃「ちゃんと考えてくれる両親で良かったわね」

東郷「久遠さんのご両親も考えてくれているのでは?」

天乃「んー……そうね。確かに、そうかも」


両親の事は何も覚えてない

どんな顔だったか、どんな声だったのか

身長はどのくらいで、どんな性格で、どんな料理を作ってくれたのか

何もわからない

兄がいたのか、姉がいたのか、弟がいたのか、妹がいたのか

そもそも、兄弟がいたのか、両親が健在だったのかさえ。解らない

その記憶は、失われた

天乃「………………」

東郷美森は鷲尾須美

私の親友だった女の子

1つだけ歳が下の、ちょっと硬い性格だけど優しい性格の真面目な子

この子の記憶もきっと。失われている


1、私のこの障害は勇者になったせいなのよ。だから、ならない方が良い
2、貴女のそのリボン。よく、似合ってるわね
3、ねぇ。幸せだった?
4、勇者になることが怖い?
5、貴女、記憶喪失だったりする?


↓2


天乃「たった一人、勇者にならなかった貴女には言っておくわ」

東郷「……はい」

天乃「私のこの障害は勇者になったせいなのよ。だから、ならない方が良い」

東郷「その障害が……勇者になったせい?」

そう易々と受け入れられることではなくて

考えて、悩んで

鵜呑みには出来ないと思いながらも

自分の持つ障害を使っての冗談は普通言わないし

冗談にしてはあまりにも重すぎる。と、首を横に振る

信じるべきか、疑うべきか

判断がつかない。決められない

東郷「……全て。ですか?」

天乃「全てよ」

東郷「っ」


その返答はあまりにも早かった

嘘をつくぞと意気込む悪戯っ子のような素早さ

でも、そこに悪意の感じる空気は一切含まれてなどいない

だからこそ

それが信じただと思わずにはいられなくて……俯く

東郷「        」

天乃「東郷?」

東郷「           」

天乃「顔を見せてくれないと、私は」

死神「ジブンノセイデ、ユウナ、チャンガ……ッテ」

天乃「……そう」

守る為にと勇者になった親友の結城友奈

彼女の事を真っ先に……心配するのね


1、抱きしめる
2、一つ、良い手があるわ。友奈の端末を壊すのよ
3、その心配を、友奈にさせないために。貴女だけはなってはダメよ
4、かけられる言葉なんてなかった


↓2


俯いていて

何を言っているのか解らない

でも、俯いているから

その体が、震えているように見えるから

東郷「!」

天乃は唯一動く右手で東郷の体を引き寄せる

天乃「ごめんね。貴女の声は聞こえない。言葉が解らない。でも、気持ちだけは解るつもりだから」

東郷「        」

天乃「大丈夫よ。友奈はまだなっただけで。何もしていないから」

東郷「        」

背中を東郷の指がなぞって

声の代わりの言葉が描かれていく


でも。私を守る為に……


天乃「でも、忠告の上であの子は勇者になった」

東郷「     」

天乃「だから貴女は悪くない。でも、その気持ちがあるのなら勇者にはなっちゃだめよ」


東郷「      」

天乃「良い子ね」

肩に乗せた東郷の頭がコクリと頷いたのを感じて

天乃は右手で頭を撫でる

記憶を失って

鷲尾須美としての人格まで損なわれてしまっているのだとしても

優しい子のままであることが嬉しくて

天乃はもうちょっとだけその腕に東郷の温もりを感じて

清涼感の感じる仄かな甘さを思い出させる匂いを感じて

ちょっと泣きそうな目を閉じる

天乃「誰にも障害は負わせない。その為に、私はここに来たのだから」

東郷「      」

無理はしないで下さい

背中にそう綴った東郷の体を

もうちょっとだけ強く抱きしめる


……今度こそ、誰も不幸にはしないわ

1日のまとめ

・  乃木園子:交流無()
・  犬吠埼風:交流有(戦闘、接触、妹誘拐)
・  犬吠埼樹:交流有(戦闘、誘拐)
・  結城友奈:交流有(戦闘、忠告)
・  東郷美森:交流有(戦闘、忠告、抱きしめる、障害について、宿泊)
・     九尾:交流無()

・      死神:交流無()
・    夢路瞳:交流無()
・     神樹:交流無()


4月の2日目終了後の結果


  乃木園子との絆 19(中々良い)
  犬吠埼風との絆 7(普通)
  犬吠埼樹との絆 8(普通)
  結城友奈との絆 7(普通)
  東郷三森との絆 11(普通)
   夢路瞳との絆 5(少し低い)

     九尾との絆 14(普通)
      死神との絆 12(普通)
      神樹との絆 0(低い)



01~10 大赦
11~20 瞳
21~30 大赦
31~40 大赦
41~50 大赦
51~60 瞳
61~70 大赦
71~80 大赦
81~90 瞳
91~00 大赦

↓1のコンマ 



一桁が奇数で、真夜中でのイベント 


天乃「!」

カサカサと近づく害虫の気配を感じて目を覚ます

でも、目を覚ますことが出来ただけで。何もできない

ベッドから抜け出して逃げることも

入り込めないように、ドアを塞ぐことも

抵抗の為に武器を手にすることも

ドアの前で誰かが立ち止って

カチャ……と、出来る限り音をたてないように気を使った音が部屋に響く

ほんの僅かな気配で目を覚ませるような特訓をしてなければよかった

そうしたら

気づいたらどこか別の場所って、なるだけだったのに

「……居ます」

「障害があるとはいえ、勇者です。彼女の右手を優先して抑えなさい。失敗すれば、最悪死にますよ」

「はい」

こそこそと丸聞こえの声に苦笑する気力さえなかった

次の瞬間、数人が一斉に部屋の中へと侵入し

天乃の右腕を二人がかりで抑え込み、強引に体を持ち上げる――が

九尾「お待ちくだされ、そこの方々。妾の方がそのような小娘よりも美味であるぞ? どうじゃ? 妾と遊ばぬか?」

白い衣に身を包んだ女性が立ちはだかった


「          」

「            」

九尾「ぬしらになかろうと、妾にはある。その娘は妾のモノじゃからな」

担ぎ上げられたせいで、侵入者の顔は見えなくなって

何を言っているのかはわからない

でも、見える九尾の言葉から判断して、天乃は目を瞑る

何が妾のモノ。よ

心の中ではどうせ、いい気味だとか無様だとか思って笑っているくせに

「           」

九尾「妾は気が短いぞ。忠告は二度までじゃ。それでも聞かねば、喰らうぞ?」

「    」

「          」

仕事だからと迷っているのかしらね

死神はともかくとして

九尾は本当に殺しかねない……




1、悪いことは言わないから、逃げなさい。死ぬわよ
2、止めなさい。ここは東郷の家よ。血で汚さないで
3、九尾。良いから……このまま、大人しく連れていかれましょう
4、何も言わない



↓2


天乃「止めなさい。ここは東郷の家よ。血で汚さないで」

九尾「むっ……」

「      」

「       」

大赦の人間が何か言ってはいるが

耳が聞こえない天乃には静寂でしかなく

異議ありげな九尾の顔が目に映る

九尾「主様……今度は本当に、抜け出せぬぞ」

天乃「でも、東郷の家を汚したら迷惑でしょう?」

九尾「……承知した。妾に任せるがよい」

にやりと笑った九尾は大人しく大赦の人達に道を開けて

最後の人が通るや否や

そのあとに続いて家を出ていくそして――

九尾「のう、一つ問いても良いか?」

「       」

九尾「東郷の家と言うものは、この門を潜れば終わり。それで間違いはなかろうな?」




01~10 21~30 41~50 61~70 81~90


で、神隠し


コンマ判定↓1


天乃「っ! 答えちゃ――」

九尾扮する女性の表情から

悪意とも何ともとれる危険なものを感じて叫ぶ

しかし

「     」

誰かが言ってしまったのだろう

執行のゴーサインが出た瞬間九尾はその九つの尾を用いて大赦の人間を一人残らず喰い尽す

九尾「東郷の家は汚しておらぬ。これで良いじゃろう? 主様」

自分の尾についた赤黒い何かをペロッと舐めた九尾は

ニタリと笑って、地面に転がる天乃の体を掴む

天乃「貴女、なんてことッ!」

九尾「神に触れし者共が神隠しにおうただけのこと、主様が気にすることではなかろう?」

天乃「そう言う問題じゃない!」

九尾「ならば、主様はあのまま何もできぬただの飾りにされるべきだったと?」

天乃「それは………っ」

言い返そうとした天乃は

九尾の傍らで細長い小動物の姿を見た途端、

急激な眠気に襲われて、闇の中へと落ちていく

九尾「主様の心は尊い。しかし、それではなにも救えぬ……眠れ。今宵のすべてはただの夢ぞ」


1日のまとめ

・  乃木園子:交流無()
・  犬吠埼風:交流有(戦闘、接触、妹誘拐)
・  犬吠埼樹:交流有(戦闘、誘拐)
・  結城友奈:交流有(戦闘、忠告)
・  東郷美森:交流有(戦闘、忠告、抱きしめる、障害について、宿泊)
・     九尾:交流有(見逃し)

・      死神:交流無()
・    夢路瞳:交流無()
・     神樹:交流有(神隠し)


4月の2日目終了後の結果


  乃木園子との絆 19(中々良い)
  犬吠埼風との絆 7(普通)
  犬吠埼樹との絆 8(普通)
  結城友奈との絆 7(普通)
  東郷三森との絆 11(普通)
   夢路瞳との絆 5(少し低い)

     九尾との絆 15(普通)
      死神との絆 12(普通)
      神樹との絆 -1(低い)



√ 4月3日目 朝

東郷、九尾、死神、友奈との交流が可能です

1、東郷
2、友奈
3、死神
4、九尾
5、イベントの判定

↓2


√ 4月3目 朝


01~10 東郷
11~20 瞳
21~30 友奈
31~40 大赦
41~50 死神
51~60 友奈
61~70 東郷
71~80 瞳
81~90 死神
91~00 東郷

↓1のコンマ  


天乃「っ……ベタベタ」

物凄く嫌な夢を見た

なのに、それがどんな夢だったのかがまるで思い出せない

全身が総毛立って

水浴びしてしまったくらいに濡れた体

それほどの悪夢だったはずなのに

天乃「ううん……だからこそ。かな」

右手で車椅子を引き寄せて、息を吐く

今まではお手伝いさんがいた

でも、今はもう誰も居ない

天乃「いける……大丈夫」

もう一度深呼吸

車椅子の持ち手を掴んで右腕の力だけで車椅子へと飛び込む

けれど

飛び込んだ先でバランスをとることが出来なかった天乃は

そのまま持ちて部分から身を乗り出して

ドサッ! っと、大きな音を立てて、床を転がる


天乃「痛っ……」

どたどたと

東郷の家の落ち着きにはに使わない足音が部屋へと近づき

ノックすらすることなく、扉が開け放たれた

瞳「久遠様! 何をなさっているのですか!」

天乃「貴女……」

瞳「話すよりもまず手を――ってぬるぬるしてますよ!?」

天乃「汗かいちゃった」

瞳「うー……っ、どうでも良いです!」

意を決した瞳は

自分の服がぬれてしまうことも厭わずに

天乃の体を抱えて、そのまま車椅子へと座らせる

瞳「……普通にいい匂いですね」

天乃「なんで嗅ぐのよっ……馬鹿じゃないの」

瞳「好奇心で、つい」


天乃「まったく……で、なんでここに?」

瞳「久遠様、昨夜。大赦からの迎えは来ましたか?」

天乃「来てないと……思うけど」

来たような気はする

でも、記憶にはない

だから多分来てないだろう。と

天乃が困惑しながら答えると、瞳は少し困った様子で

目じりの当たりに指をあてて小さく唸る

瞳「そうですか。なら、少なくとも久遠様は関係ないようで何よりです」

天乃「どういうこと?」

瞳「昨夜、久遠様をお迎えに行った6人が誰一人として戻らなかったらしいんです」

だからその人達の捜索と、可能なら久遠様を連れ戻せと命令を受けてここにいるんです。と

瞳は苦笑しながら天乃の瞳を見つめる

瞳「大赦に戻られますか?」



1、戻る
2、戻らない


↓2


天乃「戻らない」

瞳「そうですか。なら、不可能です。と、報告書には書いておきます」

天乃「そんな簡単でいいの? 私はこんな体だから連れ戻すなんて簡単よ?」

自分一人では車椅子にでさえ乗り込めない

それほどまでに無力な少女

それが、久遠天乃だ

けれど、瞳は首を横に振ると

メモ帳を確認して、頷く

瞳「構いません。可能ならば。という話ですので。それに、行方不明の6名が最優先ですから」

天乃「……そう」

瞳「大丈夫です。久遠様の言う通り、そのような体では何もできませんから」

天乃「嫌な理由ね」

瞳「でも、事実です」

そう言った瞳はまた様子見に行けと言われるかもしれませんのでと前置きをしたうえで

またいつか。と、手を振り去っていく

天乃「行方不明の6人……か。無事だと良いけれど」


少女は全てを知っている。しかし――何も知らなかった


では、ここまでとさせて頂きます
明日はもしかしたら出来ないかもしれませんので
その場合は明後日の再開になります



九尾「妾ならば、友奈を救えるかもしれぬぞ?」

東郷「友奈ちゃんが……助かるのなら」

……その後、友奈の姿を見たものはいなかった


九尾はちょっと死神より危険だな
天乃の為なら他は全部切り捨てるレベルだし言うこと聞かないし…

>>404
残念ながら言うことは聞いてるんだよな
『止めなさい』『東郷の家よ』『汚さないで』
に対して
『中断』『家の外』『一人残らず』
だったわけだからな

それにしても、右腕しか動かせないとか要介護レベルだな…そんなロリ巨乳が1人でいたらハイエース不可避


では、再開しようかと思います


√ 4月3日目 昼

九尾、死神との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、外出(行先はあとで)
4、イベントの判定

↓2


√ 4月3目 朝


天乃「……………」

別に必要ない召喚紋様を空中に描き

その中心点を指で突くと

死神「ハァイ」

どこからともなく死神が現れて

手なのか指なのか解らないところで

天乃の突き出した指に触れる

死神「ヨンデクレテモ。イイノヨ?」

天乃『結構神経使うから疲れるのよ……貴方の前でくらい。楽させて』

死神「ワタシニハ、コエ。キカセタクナイノ?」

天乃『いじけない、いじけない』

よしよしと死神の頭を撫でながら

そのまま自分の膝の上に誘って、子猫のように可愛がる

暇だった2年間

なにも許されなかった2年間

園子と話す以外で唯一の憩いの時間を懐かしむように、窓の外を眺めた


温かかったり冷たかったり、そのどちらでもなかったり

良く解らない死神の体は今は温かい

天乃『外に出てきたけど……思えば、私一人じゃどこにも行けないのよね』

死神「ワタシガイル」

天乃『でもね、本当に何もできないのよ。私。恥ずかしい話だけど、お手洗いでさえ誰かと一緒じゃないとダメなのよ』

死神「……………」

天乃『お手洗いにまで連れて行ったり、便座に座らせてくれる? その後、下着とか履かせてくれる? 車椅子まで支えてくれる?』

死神が手助けしたいと思ってくれているのは

凄く良く解るし、凄く嬉しい

でも、死神は死神だ

小さな体の精霊でしかない

人を介護できるほどの能力は持ち合わせていないのだ

天乃『ごめんね。意地悪言って』

死神「ウウン。ワタシ、キットデキナイ……ゴメンナサイ」

必要のない謝罪を述べる死神の頭を撫でて

天乃は小さく、ため息をついた



1、ところで。行方不明の6人のこと、なにかしらない?
2、私、ずっとこのままなのかしら
3、貴方と九尾はなぜ話せるの?
4、ねぇ死神。私の身体を拭いてくれない?
5、またバーテックスは来ると思う?
6、戦いになった時、東郷達の事も守ってあげて欲しいの


↓2


天乃『ところで。行方不明の6人のこと、なにかしらない?』

死神「ユクエフメイ? タイシャノヒト、イッテタコトデショウ? ワタシ、シラナイワ」

天乃『本当に?』

死神「ウン。シラナイ。キノウ、キュウビオキテタ」

天乃『貴方は?』

死神「グッスリ」

よく眠れたと言うかのように

死神は天乃の手から逃れると

小さな体をクルクルと舞わして、空中でピタッと止まる

死神「カイミン!」

天乃『精霊の癖に』

死神「セイレイモ、ツカレル。バリアダッテ、ムゲン、チガウ。イツカキット、クダカレル」

天乃『無敵ではないの?』

死神「ヒャクパーセントノホショウ、フカノウ。キュウビイッテタ。ニクタイ、マモレテモ。タマシイマデ、マモレルホショウハナイ。ッテ」

今は東郷の家ってことでいいの?

>>424

そうですね。東郷さんの家になります


天乃『私、そんなこと聞いてないわよ?』

死神「ダイジョウブ。クオンサンハ、ワタシガマモルカラ」

天乃『でも、100%はないんでしょう?』

死神「ワタシノチカラデマモレルノハ、99%アト1%ハ、クオンサンナラダイジョウブ」

にこっと笑う死神に

天乃は苦笑しながら頭をポンポンッと叩いて

首を横に振る

それじゃ、死神が守るから大丈夫。だなんて言えないじゃない

天乃『99%は100%守ってくれるのね?』

死神「エット、100%ハ、ムリダカラ、99%の99%……」

天乃『あら? それじゃ、のこった99%の中の1%はだれが?』

死神「ソレハ……エーット……」

グルグルグルグルと

死神は悩みに悩んで回り続ける

悩むと回る、死神の癖

すこし、意地悪し過ぎちゃったかな


√ 4月3日目 夕()


死神「!」

空中を遊泳していた死神は

不意に動くのを止めて、天乃の事を見つめる

天乃『来たのね、また』

世界の時間が止まって

世界の色が失われて、世界がつくりかえられていく

大赦。そして勇者はそれを、樹海化と呼ぶ

九尾「寝る間も与えてはくれぬのか?」

天乃『おそよう。九尾。もう夕方よ』

九尾「くっくっく、妾が居らず、不浄には行けたのかえ? 主様、必要ならば妾がおしめを取り換えようぞ」

天乃『余計なことはいいから、さっさと人型から戻りなさい。戦いよ』

九尾「主様は獣使いが荒いのう……しばし待つがよい」

そう言った九尾は瞬く間もなく一瞬で姿を妖狐に変えると、

4本の足を折って、地面に伏せる

九尾「よいぞ。主様」

天乃『ありがとう。死神。行くわよ』

死神「ワカッタ!」

勇者の姿に変身し、九尾の背中に跨る

勇者部とは大分離れた場所に出てきてしまっているみたいね

敵は……どうやら、1体だけらしい

行かなくても何とかなるかしら?




1、移動 ※マップより座標選択
2、待機 ※先に勇者部と敵が行動
3、隠密 ※SP30消費で1ターンの間姿を消す
4、加速 ※SPを8消費して 機動+2


↓2



http://i.imgur.com/jG48yDF.png


では、ここまでとさせて頂きます
また、今更ですが、この話はやはり、原作とはだいぶ変わったものになります


では、再開します


http://i.imgur.com/7Oj1g1z.png



天乃『勇者部も、バーテックスも真っ向勝負ってスタンスなの?』

九尾「そのようじゃのう」

笑う場面でもないのに、九尾はどこか楽しげな表情を浮かべる

戦いが好きなわけではないはずだけど……

なにか、理解できない笑いのツボでもあるのかしらね

九尾「ところで……主様よ」

天乃『うん?』

九尾「少し前から気になって居るのだが、なにか。近づいてきておる」

天乃『なにか?』

近づく何か

東郷は車椅子

友奈や風、樹は前に行った

その奥にバーテックス

じゃぁ、なにが近づいてきていると言うのか

九尾「どうじゃ? 軽く叩いておくかえ?」

天乃『…………』



1、叩く
2、傍観する


↓2


天乃『不確定要素は排除するわ』

それがどのようなものなのか解らないのであれば

天乃、あるいは東郷達にとって災いとなる可能性があると言う事だ

それなら、まずは叩く

あとで対処しておけばよかったのだと、後悔はしたくない

天乃はそう決めて、九尾の後ろ首を右手で小突く

九尾「衝突軌道じゃ。落ちたら救えぬぞ」

天乃『問題ない』

九尾「逃さぬぞ!」

九尾のいる崖の上を

ほんの一瞬、赤い閃光が駆け抜けていったのを天乃の瞳が捉えた瞬間

九尾は雄叫びをあげて地を蹴り、ほんの一瞬で紅蓮の闖入者へと追いつく

「なっ」

天乃「行かせないわよ!」

誰なのか、なんなのか

それは後で確かめればいい

天乃「九尾!」

九尾「もとよりそのつもりじゃ!」

そう叫んだ九尾は追いつくや否や、

逃げようとした異物へと強引に突っ込む

そして

バチバチッ! という聞き覚えのある音が響き、紅い閃光は地面へと真っ逆さまに墜落していった


「                」

天乃「あら?」

天乃が墜落した何かを追って下に下りた天乃

その視界に入ったのは

紅蓮の猛々しい衣装に身を包んだ女の子だった

「        」

天乃「……………」

パンパンッと腕や足についた汚れを払っていた

何か。とかじゃなくてこの子

私の考え、というか記憶と言うか

たぶん絶対だけど……勇者だわ

「                」

天乃「?」

「―――聞いてんの!?」

顔を合わせた最後の言葉だけ読み取れた天乃は

困ったように、苦笑いを浮かべる

当たり前だが、凄く怒っているようだ


天乃「えっと……」

「いきなり仕掛けてくるなんてどういう神経してんのよあんた」

天乃「貴女だって、くるなんて連絡受けてないわ」

「緊急で決まったんだから仕方がないでしょうが」

荒々しく言い捨てた少女は

あんたが久遠天乃でしょ。とため息まじりに言うと

手に持っていた刀を消滅させて、端末を取り出す

夏凜「私は三好夏凜。天乃、あんたの世話係兼お目付け役そして――勇者よ」

天乃「……どういうこと?」

夏凜「知らないわよ。私だって本来はもう少し調整するはずだったのに、中途半端に出させられたんだから」

天乃「そう」

恐らくは今朝、天乃が瞳に対して

戻るつもりはないと言ったことが原因だ

連れ戻せないのであれば

そのままほかの人間と組ませて監視しようという目的だろうか



1、つまり貴女は8割勇者ね
2、じゃぁ、プロトちゃんって呼ぶわね
3、家はどうなるの?
4、調整って……貴女まさか人造……
5、何で貴女なのよ。友奈が良い
6、何で貴女なのよ。瞳が良い
7、何で貴女なのよ。あの姉妹が良い
8、悪いけれど、よろしくね


↓2



01~10 犬吠埼家
11~20 夏凜ちゃんといっしょ
21~30 瞳ちゃんが2人を養う羽目になる
31~40 夏凜ちゃんといっしょ
41~50 夏凜ちゃんといっしょ
51~60 犬吠埼家
61~70 瞳ちゃんが2人を養う羽目になる
71~80 夏凜ちゃんといっしょ
81~90 瞳ちゃんが2人を養う羽目になる
91~00 犬吠埼家

↓1のコンマ  


天乃「家はどうなるの?」

夏凜「犬吠埼風って知ってるわよね? あんたが最初に逃げ込んだとこ」

天乃「? ええ……」

夏凜「そこで4人よ。あんたは車椅子没収。自由に出歩かれても困るしね」

夏凜はけだるそうに言うと

そう言うわけだから。と、踵を返す

天乃「ちょっと待って」

夏凜「? なによ」

夏凜が監視は解る

たしか、風も大赦支給のお金だからそこに住むのも解る

でも、そうなると……

天乃「貴女、要らなくない?」

夏凜「風や樹は学校があるから四六時中あんたを見てられないのよ」

天乃「じゃぁ、つまり貴女は、にぃと夏凜ちゃん……?」

夏凜「ニートじゃなくて三好よ! 三好夏凜!」

天乃「あぁ……図星夏凜ちゃんね?」

にっこり満面の笑みを浮かべて天乃が言うと

ブチッと音が聞こえそうなほど苛立ちを募らせた表情で

夏凜は口元を引くつかせながら、言葉を紡ぐ

夏凜「どーやら、バーテックスの前にあんたと決着つけるべきみたいね」

天乃「ごめんなさい、私、耳が聞こえないの」

夏凜「嘘つくなッ!」

そう怒鳴って斬りかかろうとした瞬間

戦闘が終わったのだろう、樹海化が――解けた


では、ここまでとさせて頂きます
明日、明後日は問題ありませんが、明々後日は出来ない可能性があります



頑張れ夏凜、負けるな夏凜、いつかきっと、良いことある


では、さいかいしようかとおもいます


風「聞いてない。聞いてない」

天乃『だ、そうよ』

夏凜「でしょうね。大赦もある程度予想していたとはいえ、送る日に襲来するとは予定外だったろうし」

風が困ったように顔を顰めてメールとにらめっこするのを一瞥して

夏凜は天乃へと目を向ける

夏凜「あんたは端末出せ」

天乃『WHY』

夏凜「なぜも何もない。良いから早く――」

出せ。と、

差し出した手を天乃は突いて、携帯端末ではなく

意思疎通用の電子端末を掲げる

天乃『W=渡す? H=ふざけないで Y=やだ』

夏凜「どっちでもいいわよそんなこと! 良いから渡しなさいよッ!」

天乃「ちょ、いやっ」

夏凜は左手で天乃の右手を抑え込むと

左手で天乃の身体の隅々までまさぐって端末を奪い取る

友奈「そんな無理矢理取らなくても……」

夏凜「大赦から絶対に回収しろって命令なのよ。部外者は口挟まないで」

友奈「部外者って、同じ勇――」

夏凜「あんた達と私は違うわ。ただ選ばれただけのアマチュアなあんた達と違って、私はずっと鍛錬してきた完成型勇者よ。一緒にしないで」


東郷「だからって、右手しか動かせない久遠さんに強引な事をしていい理由にはならないはずよ」

夏凜「大赦からは多少強引でも構わないって言われてんのよ」

四肢の内右手だけしか動かせない少女に対して

多少強引な手を使っても構わないと言う組織

その組織が悪いのか

そう言われるような天乃が何か危険なのか

考えた末に、風は天乃を見つめる

天乃『なによ』

風「いや、なんでもない」

不満足な体での勇者活動

大赦による拘束

お目付け役の派遣

強引な手を使っても構わないという指示

やっぱり、天乃は危険なの? なんて、言えるわけがなかった

夏凜「とにかく、風。あんたの家に行くわ。異論はないわね?」

風「……それが大赦からの指示なら従うほかないでしょ」

風は少し嫌そうに呟くと

友奈と東郷に別れを告げて、付いてきて。と、天乃と夏凜を家へと招いた


√ 4月3日目 夜(犬吠埼家)

九尾、死神、夏凜との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、イベントの判定

↓2

※風、樹はイベント判定で当たった時のみ


01~10 風
11~20 死神
21~30 樹
31~40 九尾
41~50 夏凜
51~60 樹
61~70 死神
71~80 風
81~90 九尾
91~00 夏凜

↓1のコンマ  


樹「し、失礼します」

天乃『あら、樹?』

樹「はい、その……あの人がお姉ちゃんと話してるので様子を見に」

天乃『監視に来たわけじゃなくて?』

樹「監視なんて、したくないです」

その場しのぎとかではなく

本心からの言葉だと解るほどの暗い面持ちに

天乃はくすくすと笑って、電子端末を手放す

天乃「貴女の事、一瞬であれ、誘拐したのよ? 私」

樹「でも、何かしたわけじゃないですし。それに、久遠さんは悪い人には見えないかなって、私思うんです」

天乃「どうして?」

樹「なんとなくですけど……でも、そんな気がするんです」

樹は天乃の横になったベッド脇の椅子に座ると、天乃の顔をまっすぐ見つめる

どこかお姉ちゃんと似た穏やかな顔つき

やっぱり、悪い人だなんて思えない

樹からしてみれば

こんなつらそうな体の天乃に対して、

命令があったとはいえ、乱暴な事をした夏凜の方が、悪い人に思えた


樹「あの、久遠さん」

天乃「うん?」

樹「実はその。気になることがあって」

夕食の時、

利き手が使えるなら食べられるでしょ。と言った夏凜の代わりに

食べるのを手伝っていた樹だからこそ、抱いた疑問

樹「……もし、間違っているなら間違ってるって言ってください」

天乃「ええ。良いけど」

樹「久遠さん、もしかして食べ物も……というか、味覚もダメになっていたりしますか?」

お姉ちゃんの料理は特殊な味付けなんてしてなくて

あのつんつんしている三好夏凜さんですら、美味しいって素直じゃない形ではないけど認めてくれたのに

久遠さんだけは、一口一口が本当に微妙に、近くだからこそ気づけるくらいに微妙に辛そうだった

樹「なにか嫌いなものがありますかって聞いた時、久遠さんは躊躇わず無いって言いましたし、それは嘘じゃないかなって思って」

天乃「………………」

だから、

嫌いな食べ物が混ざっていたからでも

料理が美味しくなかったからでもなく

食べ物自体の味が解らないから、美味しいも何もないんじゃないか。と、樹は思ったのだ



1、そんなことはないわ
2、ええ、そうよ


↓2


天乃「ええ、そうよ」

樹「や、やっぱりっ! どうして言わなかったんですか?」

天乃「ただでさえ手間かけさせてるのに、私だけの為にほかの作らせたり、全員にあわせて貰うなんて、迷惑じゃない」

樹「そんなこと……」

辛いことのはずなのに

苦しいことのはずなのに、笑顔を浮かべる天乃に対して

樹は怒ることも、注意することも出来なくて

言葉に迷って俯き、首を横に振る

天乃「幸せの味が感じられるしね」

樹「でも、味のない食事なんて」

天乃「良いわよ。気にしなくて。本当に」

気遣おうとしてくれる気持ちは嬉しいが

そこまで迷惑をかけるのは……好ましくなかった

天乃「風が私達の為に作ってくれてるのに、そういうの要らない。味なんて、いいから流し込む料理にして。なんて絶対に言いたくないし」

樹「久遠さん……」

天乃「悪いわね、樹。でも……そういうことだから」


では、ここまでとさせて頂きます
明後日はやはり、投下無しですね。明日の次は、明々後日になります



天乃「つらかったのは、料理が甘すぎただけよ」

樹「そんなはず……」

天乃「だって、貴女が食べさせてくれるんだもの」

樹「!?」


では、再開します


樹「久遠さんは平気なんですか? それで」

天乃「どんなに不味い料理だろうと、匂いさえ誤魔化して貰えれば平気だけど……」

樹「そう言う意味じゃないです」

樹は首を横に振り、天乃の動かせる右手を掴む

女の子らしい手というには

少しばかり、力強さのある天乃の手

顔に出さず、言葉にはしなくても苦労の解る、感触

樹「この家では、ゆっくりして良いんですよ?」

天乃「こんな体だもの。いつも――」

樹「体以外のものも。です」

遠慮なんてしなくて良いという樹の気遣い

それが解らない天乃ではないけれど

それでもやっぱり。と、笑みを浮かべる

天乃「その言葉だけで十分よ。ありがとう樹。貴女はいい子ね」

あまり迷惑はかけたくない

絶対にする必要がないのなら、しなくて良い

それは、身の回りの世話すべてをして貰いながらも

何一つ返すことのできない少女のせめてもの――気遣いだった

1日のまとめ

・  乃木園子:交流無()
・  犬吠埼風:交流有(戦闘)
・  犬吠埼樹:交流有(戦闘、味覚障害)
・  結城友奈:交流有(戦闘)
・  東郷美森:交流有(戦闘)
・  三好夏凜:交流有(先制攻撃、家)
・     九尾:交流無()

・      死神:交流有(行方不明について)
・    夢路瞳:交流有(戻らない)
・     神樹:交流無()


4月の3日目終了後の結果


  乃木園子との絆 19(中々良い)
  犬吠埼風との絆 8(普通)
  犬吠埼樹との絆 11(普通)
  結城友奈との絆 8(普通)
  東郷三森との絆 12(普通)
  三好夏凜との絆 4(低い)
   夢路瞳との絆 6(普通)

     九尾との絆 15(普通)
      死神との絆 13(普通)
      神樹との絆 -1(低い)



√ 4月4日目 朝(犬吠埼家)

九尾、死神、夏凜との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、イベントの判定

↓2

※風、樹はイベント判定で当たった時のみ


天乃『ねえ、夏凜』

夏凜「……………」

天乃『かーりーんー』

本当にただのお目付け役というだけであって

変に干渉したりするつもりは全くないと言う意思表示だろうか

天乃が電子端末に文字を打ち込み、掲げても

すぐ近くの椅子に座り込んだ夏凜は見向きもしない

天乃「ねぇ。ねぇってば」

夏凜「…………………」

天乃「喋ってよ。こっち見てよ……」

夏凜「……なんなのよ。トイレ?お 風呂? 食事?」

あからさまに不機嫌そうな表情と声の夏凜は

天乃を睨むように一瞥して、呼んでいた本を閉じると

ため息をつきながら、天乃の視線と自分のそれを繋ぎ合わせた


夏凜「あんたとは極力関わるなって言われてんのよ」

天乃「極力って?」

夏凜「あんたの事、トイレとかに連れていったりとか」

天乃「……私、自分じゃ脱ぐことできないんだけど。そのあたりは?」

夏凜「必要なら」

素っ気ない夏凜の対応は

瞳よりも前にいた大赦職員の事を思い出させる

あまりにも無機質な対応だった

向こうは向こうで私を人形みたいにするし

私からしてみれば、機械というか、ロボットみたいな人

今思い出してみても、凄くつまらない人と日々だった

天乃「ねぇ、夏凜」

夏凜「………………」



1、私の世話、嫌?
2、私の事嫌い?
3、無理に世話しなくて良いからね?
4、貴女に家族はいる?
5、ごめんね。こんな何もできない人の世話係になんかさせられて
6、なかよくしましょう?

↓2


天乃「貴女に家族はいる?」

夏凜「……………」

天乃「どうなの?」

天乃が寂しげな声で聞いても

夏凜は口ではなく、本を開くだけ

答える気はない。ということだろうか

天乃「そんななら端末返して」

夏凜「……端末は別の所に送ったわ。もう手元にない」

天乃「だったら話し相手になってくれたっていいじゃない」

夏凜「なる必要ないわよ。あんたが特訓の相手になれるって言うなら、まだ話は別だったかもしれないけど」

鍛錬してきた2年間の間

良く耳にした、武術に関して突出した力を見せたという少女の話

どれだけ頑張って、聞いても

やっぱり彼女の方が凄いと言われた2年間

夏凜「……そんな体じゃ、付き合えないでしょ」

天乃「えっ、ごめんなさい。私、女の子は恋愛対象じゃなくて」

夏凜「人の話を聞け!」


両足が動かせず、立てない

左腕が動かなくて、使い物にならない

本当に勇者なのかと疑わずにはいられないほど

満身創痍と言っても過言ではない状態の天乃

こんなのが、そんな強い子には思えない

夏凜「まぁ、アンタなわけ。ないか」

天乃「なにが?」

自分よりもはるかに武術において優れた名も知らぬ少女を思い、

夏凜は小さく息を吐いて、首を横に振る

夏凜「こっちの話よ」

天乃「……なんなのよ。もう」

いつかあの子よりも優れていると言われたい

その為にも、鍛錬して、鍛錬して力をつけたい夏凜にとって天乃は枷でしかない

だから、夏凜は天乃に対してあまり快く思ってはいなかった

夏凜「暇なら寝てなさいよ」

天乃「……家族は?」

夏凜「うっさい」

天乃の質問を一蹴し、夏凜は耳を塞ぐためだけにイヤホンをつけて、本の中の文字列とにらめっこする

もし天乃の事を快く思っていないわけではなかったとしても

きっと……夏凜は家族の事を話さなかっただろう


夏凜「……………」

夏凜にも家族はいる

父親がいて、母親がいて、兄がいる

けれど、果たして向こうは自分の事を娘だと思っているのか

夏凜は本の内容を右から左へと流しながら、考えて

無駄な事だと、目を瞑る

どうせ、兄貴さえいれば良い

自分なんて必要はないんだ。と、ため息をつく

天乃「……ため息多い」

夏凜「癖よ」

天乃「……そう」

つまらなそうな天乃の言葉に目を向けて

理由等はともかくとしても、天乃は夏凜を必要としているのだから

少しくらいなら、相手にしてあげるべきだったかもしれない。と後悔した


では、ここまでとします



今回の夏凜はやや厳しめですが、このスレ終わる頃まで持つかどうか……


では、遅くなりましたが少しだけやらせていただきたいと思います


√ 4月4日目 昼(犬吠埼家)

九尾、死神、夏凜との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、イベントの判定

↓2


天乃「ねぇ、九尾」

夏凜「私は三好夏凜よ」

天乃「違う、貴女じゃない」

夏凜「はぁ?」

貴女じゃない。と、言われても

この部屋の中には夏凜と天乃しかいないうえに、

仮に九尾が精霊であろうと、呼び出すための端末は没収済みだ

なんなのよ一体……頭でも狂ったわけ?

耳が聞こえないがゆえに

幻聴でも聞こえているんじゃないかと思った夏凜の横で

九尾「なにようじゃ? 主様」

白い衣を身に纏った女性が顔を覗かせた

夏凜「…………はっ?」

九尾「?」

夏凜「あ、あんた誰よ!?」

ガタンッ! と椅子を蹴飛ばして立ち上がり

近くに立てかけておいた木刀を握って、夏凜が怒鳴る

風じゃない。犬吠埼の家の人間じゃない……ッ

誰も家にいれてないのに、なんで、どうやってッ


九尾「何を言うか。主様が今言うたではないか。九尾。と」

夏凜「……いや、いやいやいや!」

九尾「何じゃおぬし、騒々しいのう」

夏凜「あんたどっからどう見ても人間じゃない!」

人型の精霊ならば

夏凜にも義輝と言う人型のような精霊がいる為に、考えられなくはない

だが、人型と言うにはあまりにも人間的すぎる

背格好は見事な女性で、言葉は流暢

はっきり言って、精霊なわけがない

夏凜「正直に言いなさい。言わなければ、ぶっ叩く」

九尾「……妾に武の才はない。争うつもりはないぞ」

夏凜「あんたに在ろうがなかろうが、関係ないわよ」





1、成り行きを見守る
2、止めて九尾。夏凜を傷つけないで
3、止めて夏凜。九尾よ。本当に、私の精霊の九尾なの



↓2


天乃「止めて九尾。夏凜を傷つけないで」

九尾「……主様の大切なものを奪った輩ぞ」

天乃「ただの端末と、夏凜の身体や命は等価じゃない」

九尾「喜べ、妾の主様は優しい人間ぞ」

夏凜「ッ!」

九尾の不敵な笑みに危険を感じて振り返ると

人一人どころじゃなく飲み込めてしまいそうなほどの九つの尾がひしめき合っていた

夏凜「あんた……武の才はないって」

九尾「武はなくとも殺しは容易。武の才があろうと、不意の一撃にはただの人形じゃからのう」

にやりと、九尾が笑う

底知れない邪悪な何かがある。そんな気がしてならなかった夏凜は

天乃へと振り返る

天乃「?」

夏凜「…………………」


身体能力的には人畜無害と言えるであろう天乃

その内面は悪戯っ子の一面があるというか

人の名前にでさえ余計な言葉を挟んでくるような性格だ

夏凜「……理解できない」

その一方で、精霊は人の姿で人の言葉を話し、

人を殺めることに何のためらいもなく、何の疑問もない

悪魔と言う言葉ですら生温く感じてしまいそうな邪悪な存在

明らかに不釣合い。明らかに、支え合う存在じゃない

夏凜「…………………」

天乃あるいは九尾の考察が間違っている可能性もある

そう結論付けた夏凜は、ため息をついて、椅子に座ると、そっぽを向く

九尾「妾とこやつを合わせる為に呼んだのかえ?」



1、ええ
2、ううん。夏凜が話し相手になってくれないから
3、ねぇ、貴女は行方不明の件。何か知らない?
4、学校に連れて行ってくれない?
5、一緒に寝ない?


↓2


天乃「ねぇ、貴女は行方不明の件。何か知らない?」

九尾「行方不明の件……というと、先日あの小娘が言うてたことか」

天乃「そう」

天乃の問いに、九尾はこめかみに指を当てて小さく唸ると

残念そうな笑みを浮かべて、首を振る

九尾「済まぬな、主様。妾は一昨日、主様の傍を離れてはおらぬゆえ、外については知らぬのだ」

天乃「……そう」

九尾「主様はあったこともない者共に対してでさえ、心を痛めるのかえ?」

天乃「会ったことはないけれど。でも、私を迎えに来た……って話だから」

天乃は言いながら表情を暗くして

右手で前髪を軽く払うと、ため息をつく

だから、申し訳ない気持ちがある

無いだなんて嘘はつけない

なにせ、何か危険な夢を見た。その日に行方不明なのだから

九尾「主様は馬鹿じゃのう。目に見えるすべてのモノを拾うていては、籠はすぐに溢れてしまうではないか」

そう。だからこそ

穴をあけて少しでも量を減らしてやらねばならぬのだ

そんな九尾の心の内を知らず、天乃は笑みを浮かべて九尾の手を握って頷いた


では、ここまでとさせて頂きます
明日は出来れば正午 無理そうならいつものように14時15時以降の予定です


穴のあいた籠は、最期にはカラになる

乙ー
ところで安価は2じゃない?


では、薦めていこうかと思います

>>545
投下開始後30分後や、安価二回目以降は端末は原則下にずらしています


天乃「確かに、その通りかもしれないわね」

九尾「じゃろう?」

天乃「だけど、そうとも限らない」

九尾「ほう……?」

天乃「そもそも、そこにどれだけ入れられるかが問題じゃないの。だって、たとえ一個でも。持ち手が倒れれば零れるでしょう?」

沢山入っていようがいまいが

持っている人間が崩れれば終わりというのは一理ある

しかし

拾えば拾うほど、理不尽なまでに容赦なく崩れ落ちてしまい易くなるのもまた事実

九尾「ならば、何が問題と?」

なら、重要なのは何か

なら、何が問題なのか

主の言葉を待つ九尾はじっと天乃の顔を見つめる

天乃「結局は……その器を持つ人。その人の周り。なんじゃないかしら」


天乃「持ち手に技量があれば、たとえ100個でも溢れない積み方が出来る」

それと同じように

100個でも溢れ無いように、前へと進んでいくことが出来る

けれど、その持ち手の周りの人が

持ち手に対して急かしたりなんだりと、するような人だったら

きっと、その人は技量に関係なく器を落してしまうだろう

天乃「……なんて。ね」

九尾「主様は、それが出来ると言う自負があるのかえ?」

天乃「さぁ? 私は自分の事でさえ何もできないもの。解らないわ」

くすくすと笑う天乃を一瞥して

九尾は乗り出しかけた体を正して、目を瞑る

九尾「ならばなぜ、そのようなこと言う」

天乃「貴女が私をバカだと言ったから。かしらね」

笑みの浮かぶ天乃の表情は無邪気で、子供らしさがあって

ただの反抗みたいなものだと、九尾は思って苦笑する

やはり、主様は子供じゃな

少しだけ嬉しくも、少しだけ……悲しかった


√ 4月4日目 夕(犬吠埼家)

九尾、死神、夏凜との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、イベントの判定

↓2

※風、樹、友奈、東郷はイベント判定で当たった時のみ


天乃「ねぇねぇ、夏凜ちゃん」

夏凜「       」

天乃「こっちを見てくれないと、言葉が解らないわ」

天乃がそう言うと、夏凜は読んでいた本をパタンッと閉じて

天乃の方へと向き直り、少しばかり不機嫌そうな表情で、息をつく

夏凜「なに? って言ったのよ」

天乃「何の本を読んでるの?」

夏凜「別に、大した本じゃないわよ。意味もないし」

ただ、買ったからには読んでおかないと

無駄になっちゃうと思っただけだし

本を鞄に仕舞った夏凜は、ずっと座っていたからか

変に疲れた体を大きく伸ばす

夏凜「ついでに言うと、あんたが読むようなものでもないから、見せないわよ」

天乃「……良いじゃない、ちょっとくらい」

夏凜「ダメなものはダメ」

天乃「そっか……」

夏凜「そういうことだから――」

天乃「貴女も年頃の子だものね……いけない本も読むわよね……うぅっ」

夏凜「違うわよ!」


天乃「じゃぁ、見せて?」

夏凜「個人的な本だから駄目だって言ってんのよ」

天乃「……強情な人ね。貴女は」

夏凜「ただ、あんたに見せたくないものってだけよ」

ため息をついた夏凜は、

自分の鞄の中身に代用品がないのを確認して、首を横に振る

休みはまだ先だ

少し難しいかもしれない。でも、まぁ……

ポリポリと頬を掻いて、夏凜は天乃を見つめた

夏凜「でも。なんか読みたいものでもあるんなら、用意してあげるけど?」

天乃「あー……ううん。それは良い」

夏凜「はぁ? なによそれ。本が読みたいんじゃ――」

天乃「一人じゃ読めないもの」

夏凜「ぁっ」

天乃「だから、気持ちだけ」

天乃は嬉しそうな笑みを浮かべながらも

少し、申し訳ないなーっと言うような感情を残し、ごめんね。と、呟く

天乃「貴女の読んでいる本に興味があっただけなの。ごめんね」

夏凜「……別に」


やろうとしたことが空回るのなんて

いつもいつもずっと前から変わらない、当たり前の事

夏凜「私こそ、あんたの体のこと知ってるのに、悪かったわね」

呼吸するみたいに、普通に、当たり前のように

行動は空回って――失敗に終わる

天乃「謝る必要なんてないのに」

夏凜「なら忘れておいて」

天乃「……………」

話さないと言ったのに、話してくれて

言ってもないのに、気遣おうとしてくれて

決して悪い子では、無いんでしょうね

それが嬉しくて、天乃は聞こえないようにくすっと笑う



1、貴女は優しい子ね。夏凜
2、本当に、気持ちは嬉しかったのよ。夏凜
3、ねぇ、夏凜。貴女に家族は?
4、ねぇ、貴女は満開って知ってる?


↓2


天乃「貴女は優しい子ね。夏凜」

夏凜「っ!」

天乃「貴女の言葉が否定であろうと、私は私のその考えを捻じ曲げないわ」

夏凜「あんた……ッ」

恥ずかしそうに頬を紅潮させながらの怒った表情を見つめて

天乃はふふっと、笑う

そんな顔はまったく怖くないし、むしろ可愛い

そしてなにより事実であることを言葉よりもより鮮明にしてるわ。夏凜ちゃん

夏凜「天乃!」

天乃「え?」

夏凜「         」

天乃「ちょ、ちょっと!」

夏凜は天乃の名前を呼び、気を向けさせた瞬間

自分の口を隠し、天乃には絶対に聞こえない言葉を呟く

夏凜「……ふんっ!」

天乃「な、なによ! なんて言ったのよ、ねぇっ!」

夏凜「二回も言わないわよ」

天乃「隠すなんてひどいじゃないっ、もうっ!」

そっぽを向いた夏凜

その夏凜に手を伸ばして聞き出そうとする天乃

じゃれ合っているような2人の部屋に入り込む夕焼けは段々と少なく、そして暗くなっていく

夏凜「……ふふっ」

けれど

笑うことの少なかった少女の表情は、明るくなっていた


√ 4月4日目 夜(犬吠埼家)

九尾、死神、夏凜との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、イベントの判定

↓2

※風、樹はイベント判定で当たった時のみ


01~10 風
11~20 死神
21~30 樹
31~40 瞳
41~50 夏凜
51~60 瞳
61~70 死神
71~80 風
81~90 九尾
91~00 夏凜

↓1のコンマ  


瞳「えー……その、一つ重要な言伝を頼まれていまして」

天乃『なに?』

瞳「私は、そんなことありえないと思うんですが……」

煮え切らない物言いの瞳は

困ったように頬を掻いて、苦笑いを浮かべる

向こうで急に呼び出されたかと思えば

天乃にこういえば解決するから。と、言われた言葉

天乃『なんなの?』

瞳「端末を、返して頂けませんか?」

天乃「…………」

瞳「久遠様の端末が無くなったんです。忽然と、何の前触れもなく!」

天乃には夏凜が付きっ切りだ

そしてなにより、端末が送られたのは以前天乃がいたのとは全く別の場所だ

それで犯人なわけがない

そう信じた瞳の前で、天乃は死神を呼ぶと、手を差し出す

天乃「返して、だって」

死神「シカタナイワネ」

天乃「はい、これ」

天乃が死神から受け取り、見せてきた何かは

まさに、消え去った天乃の端末だった


瞳「……え?」

天乃「正直言って、端末をはく奪するのなんて無意味なのよ。私からはね」

天乃の命令に関係なく

死神は必ず端末を回収しに行く

それは死神にとっての遊びであり、

樹海化した際に大変なことにならないように。という警戒であり

天乃が常に万全で戦うための、サポートだ

瞳「そんな」

天乃「貴女の先輩はよくこう言ったわ。久遠様の精霊は異常だ。本当に神樹様の精霊なのですか?って」

瞳「………………」

天乃「確かに、私の精霊は夏凜達の精霊と比べるとまるで違うしね」

しかし、それが神樹様の精霊であるのか否かは

天乃自身にでさえ、解らない

満開をして、体の機能を失って、その結果出てきた精霊たちだ

天乃「貴女も、私を異常者扱いする? 構わないわよ。別に」

瞳「久遠様……」

天乃「先輩が私を敬っていないように見えたりしなかった? つまり、そう言う事よ」


瞳「……………」

普通に人の言葉を話したり、

人の姿をしていたり

精霊自体をよく知らない瞳でさえ、

正直に言うのなら、異常だと思っていた

けれど、瞳は少し悲しそうな表情を浮かべると

天乃の右手を握って、首を横に振る

瞳「精霊が久遠様のサポートをするためにいると言うのであれば、おかしくはないと思います」

天乃「……………」

瞳「久遠様はこの手と首、頭しか動きません。耳だって聞こえない」

それなのに、ほかの人と同様

意思疎通が出来ず、本当にただ戦闘においてのみサポートするような精霊というのは

神樹様に不敬な事を承知で言うのであれば

やっぱり、配慮に欠けていると思わずにはいられない

瞳「もっとも、勇者を戦わせるための存在としか見ていないのなら……別ですが」

天乃「……そんなこと言って、平気なの?」

天乃の冷静な一言に目を見開いて

瞳はガタッと音を立てて立ち上がる

瞳「い、今のはなしです! 忘れてください!」


瞳「と、とにかく。ですね。端末は回収させていただきます」

仕切り直しとでもいうかのような咳払いをして

瞳は天乃から端末を受け取ると、鞄の中にしまう

瞳「ところで、久遠様」

天乃「?」

瞳「三好様や、犬吠埼様との生活はどうですか?」

天乃「どうですかって言われても」

ずっと寝たきりでいるのだからどうもこうもない

片手ではろくに本は読めない、ゲームも出来ない

テレビだって字幕が無ければ会話を理解できないし、出来たとしても

BGMも何もない無音映像でしかない

瞳「率直な感想で構いません。三好様の態度や、犬吠埼姉妹の態度等で、問題等がある。とか」

天乃「そうね………」



1、特にないわ
2、みんなともう少し仲良くなりたい。かな
3、夏凜が何か読んでいるみたいなんだけど……内容を教えてくれないの
4、樹は良いわ。あの子、私好きよ
5、風は良いお母さんになりそうね。料理の味は解らないけど、きっとおいしいだろうし

↓2


天乃「みんなともう少し仲良くなりたい。かな」

瞳「三好様達が好意的ではない。と?」

天乃「ううん。そんなことないわ、みんな良い子よ」

夏凜は多少空回りするけれど

人を気遣うことが出来るし、からかってみると反応が良くて面白い

樹も同じように気遣うことが出来る良い子だ

ちょっとした事にも良く気づくし、なにより姉の為にと迷わず勇者になった姿勢は凄いと思う

それを喜ばしいと思えるかは別だけれど、その強さは褒められることだ

風は少し女の子らしさを欠いた言動があるけれど

それでも炊事洗濯を担っていると言うだけあって

風の良く言う女子力はともかくとしても、母性は満ち溢れている

天乃「ただ、貴女達の指示で基本的に一緒にいるのは夏凜だから」

瞳「みなさんにも、自由に近づいてきてほしい。と言う事ですか?」

天乃「というより、私からあの子達に接することを許して欲しいかなって」

瞳「それは……」


許可をしてあげたいことではあるが

残念ながら……それは許されていない

そもそも大赦直属の夏凜がいるとはいえ

こうして大赦から大きく離れた場所にいると言う事自体、認められたことではない

その許可できない理由をはっきりとは知らされていない瞳は

どうするべきかと唸って俯く

瞳「         」

天乃「見えない」

瞳「         」

天乃「見えないってば」

何か言ってるのか

それとも何も言ってないのか

定かですらない瞳の体を天乃は頑張って伸ばした手で揺らす

天乃「ダメなら言いの。別に」

瞳「東郷様ならびに、結城様は無理かと思いますが、家の中ですし……ある程度は仕方がないですね」

にこっと笑った瞳は目をこすり、耳を塞いで首を横に振る

ダメだと言ったところで

完全に抑制することなんてできはしないことは

大赦の人間も解っていることだろう

その点を踏まえて、瞳は良いですよ。と、呟く

瞳「ただし、呼んで来て貰うのですよ? 来てしまったものは……仕方がありませんから」

天乃「貴女……」

瞳「ふふっ、それでは私は帰りますね。久遠様」

嬉しそうな瞳はさっと踵を返すとそのまま部屋を出ていく

天乃「………………」

呼んで来て貰う。誰に? 夏凜に?

違う。きっと……

死神「ウン?」

天乃「これから貴方の仕事が増えるかも」

この子だ

1日のまとめ

・  乃木園子:交流無()
・  犬吠埼風:交流有(同居)
・  犬吠埼樹:交流有(同居)
・  結城友奈:交流無()
・  東郷美森:交流無()
・  三好夏凜:交流有(同居、家族、優しい子)
・     九尾:交流有(行方不明)

・      死神:交流無()
・    夢路瞳:交流有(仲良く)
・     神樹:交流無()


4月の3日目終了後の結果


  乃木園子との絆 19(中々良い)
  犬吠埼風との絆 9(普通)
  犬吠埼樹との絆 12(普通)
  結城友奈との絆 8(普通)
  東郷三森との絆 12(普通)
  三好夏凜との絆 7(普通)
   夢路瞳との絆 7(普通)

     九尾との絆 16(中々良い)
      死神との絆 13(普通)
      神樹との絆 -1(低い)

√ 4月5日目 朝(犬吠埼家)

九尾、死神、夏凜、風、樹との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、樹
5、風
6、イベントの判定

↓2


少し中断します
18:30頃には再開予定ですが、遅れる場合もあります
その場合は、19:00頃となります


では、再開いたします


風「天乃の差し金か」

天乃「そう。私の優秀な死神さんよ」

死神「エッヘン」

くるりと回った死神は一瞬だけ威張るようなしぐさを見せると、

そのまま何をするわけでもなく、姿を消す

風「……なんなの、ほんとに」

主の命令に従うのは解る

しかし、まるで人間と同レベルの性質を持っているのは、理解できない

もちろん、精霊と言う不可思議な生き物なのだから

そういうのがいてもおかしくはないのかもしれないが

風「それで、どうしたのよ」

天乃「東郷や友奈は私に対して何か言ってる?」

風「ん~何かお見舞いでも持って会いに行こう。みたいな話はしてる」

天乃「お見舞いね……」

風「何か欲しいものある?」


天乃「欲しいものって聞かれてもね」

風「急に聞かれても困るわよね……」

あははっと苦笑した風は気づいたようにそう言えば。と切り出す

風「天乃って、口に残るような粘っこいもの苦手なの?」

天乃「え?」

風「実はさ、東郷が牡丹餅持って行くって話になった時、樹がそんな感じのこと言ってたのよ」

天乃「樹が……?」

味覚がないと言う話はしたけれど

そんなことを言った覚えはない

とはいえ、確かに間違ってはない

味一つしないものが、口の中にいつまでも残っているなんて言うのは

想像するだけで吐き気がする

風「それならほら。夕食のメニューには控えておこうと思って」




1、そうね、苦手かな
2、ううん、平気よ
3、そんな気にしなくてもいいのに


↓2


天乃「そんな気にしなくてもいいのに」

風「気にするわよ」

天乃「え?」

風「経緯はどうあれ、今は天乃も犬吠埼家の一員なんだから」

もちろん夏凜も。と、付け足して

風は天乃の右手に触れる

自分と同じくらいの少女達

それでも、風、樹と合わせれば4人なのだ

風「何もできないって、あんたは思ってるかもしれないけどさ。いるのといないのとでは、やっぱり違うのよ」

天乃「風……」

風「ごめん、なんか変な話になっちゃったわ」

二人では広すぎる家

3人では、より鮮明になる欠けた空間

だからこそ、たとえ両足が動かせず、耳が聞こえず、片手だけしか動かせないのだとしても

その存在は何かが出来るということよりも、重要だった

風「つまるところ、苦手なら苦手って言ってくれれば極力避けるってこと……まぁ、野菜とかは頑張ってもらうけど」


天乃「野菜が嫌いとかは……いや、キノコが無理」

風「なんで?」

天乃「だってキノコってあれでしょう? 菌でしょ? 具現化した菌とかありえない」

あからさまに嫌そうな表情を浮かべる天乃に対して

風はそっか。と、苦笑する

天乃「なによ」

風「別に~?」

謎の勇者、久遠天乃

体にいくつもの障害を持つ少女

でも、嫌いな食べ物があったりする。女の子

風「ねぇ、天乃」

天乃「うん?」

風「天乃は戦闘において一人で戦況を覆せる重要な存在よ。だから、日常生活ではガンガン甘えて来なさい」

天乃「……考えておく」

まだまだ謎だらけ

でも、少しだけ天乃の事が解った気がした


√ 4月5日目 昼(犬吠埼家)

九尾、死神、夏凜との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、イベントの判定

↓2


01~10 夏凜
11~20 死神
21~30 九尾
31~40 夏凜
41~50 あっ、夏凜の本
51~60 死神
61~70 九尾
71~80 夏凜
81~90 死神
91~00 九尾

↓1のコンマ  


死神「クオンサン」

天乃「……?」

死神「ネテル?」

天乃「ううん、起きてるけど……」

死神「ナラヨカッタ」

死神は何処となく嬉しそうな声でそう言うと

天乃の左わきのスペースに身体を滑り込ませる

天乃「ちょ、ちょっと」

死神「イツモ、ソノコガイタ」

天乃「………」

死神「デモ、イマハヒトリ」

だから、自分は傍にいてあげよう。と

死神は誰から言われたわけでもなく、

どこからともなく沸いたその考えに従って、天乃の体に自分の体を摺り寄せる

死神「イヤ?」

天乃「嫌というか……急すぎて理解できてないわ」


死神「クオンサンイッタ。ナカヨクナリタイッテ」

天乃「ええ」

死神「ワタシモネ? モットナカヨクナリタイナッテ」

精霊の癖に……

そう思いながらも、天乃は死神を突っぱねたりすることなく

胸を抱くようにしながら右手を左に回して、死神の頭を撫でる

天乃「仲良くなりたいの?」

死神「ウン」

天乃「どうしても?」

死神「ウン」

天乃「……………」

主様と呼ぶ九尾

久遠さんと呼ぶ死神

付き従う精霊としては前者であるべきなのかもしれない

しかし、天乃としては……名前の方が嬉しかった




1、抱きしめる
2、そうね、私もよ
3、聞いてたのね、話
4、なら……特別に名前で呼んでも良いわよ?
5、貴方はどうして……そんなにも特別なの?


↓2


天乃「なら……特別に名前で呼んでも良いわよ?」

死神「アマノ!」

天乃「こら」

死神「アマノチャン、アマノサン……アマノサン!」

天乃「なんかむずむずする」

天乃はそう言いながらも

そうね、天乃さんね。と、死神の頭を撫でる

天乃と呼び捨てされたことはある

でも、【天乃さん】なんて呼ばれ方は初めてで

それはやっぱり、特別な気がした

天乃「ねぇ、死神」

死神「ナァニ? アマノサン」

天乃「仲良くなれた感じ、する?」

死神「ウン!」

死神の嬉しそうな仕草に

天乃まで少し嬉しくなって、笑みを浮かべる

異常なのかもしれない

でも、その特別だからこそ感じられる嬉しさを

天乃は否定することなく、受け入れた


√ 4月5日目 夕(犬吠埼家)

九尾、死神、夏凜、風、樹との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、樹
5、風
6、イベントの判定

↓2

※東郷、友奈は判定でのみ


01~10 友奈
11~20 東郷
21~30 夏凜
31~40 風
41~50 樹
51~60 夏凜
61~70 東郷
71~80 樹
81~90 友奈
91~00 風

↓1のコンマ  


東郷「あれから、どうですか?」

天乃「どうもこうもないわ」

東郷「……私が歩けるのなら、この車椅子に乗せて外出でもさせてあげたいわ」

天乃「でも、歩けたら」

東郷「車椅子はここにはない」

歩けないから、車椅子がある

歩けるから、車椅子がない

天乃「誰かを補うためのモノで、それ以外の誰かを補うのなんて、無理よ」

東郷「そうですね……無ければならないからあるんだもの」

東郷はくすくすと笑って

きぃぃっと車椅子をゆっくりと動かし、天乃のもとに近づく

東郷「ずっと寝たきりですか?」

天乃「お手洗いと食事以外は基本的に……東郷?」

東郷「………………」

東郷は車椅子のタイヤが動かないようにストッパーをかけると

ゆっくりと前のめりになって、天乃の横になっている布団に顔から倒れ込み

少しして、顔を上げると笑みを浮かべた

東郷「ふぅ……大丈夫そうですね」

天乃「何がよ!」


東郷「寝たきりでは、布団が洗えず汗などの匂いが染み込んでしまうと思ったのよ」

天乃「だからって」

東郷「普通に久遠さんの匂いだったわ」

天乃「ッ!」

どんな表情だろうと問題外なのは変わらない

けれど

匂いを嗅がれて普通に久遠さんの匂いでした。なんて

笑顔で言われるのこそばゆくて、天乃は顔を赤くして、顔を逸らす

東郷「         」

天乃「………………」

東郷が何かを言っているのだろう

壁に写る東郷の影が、忙しなく動いていた



1、貴女がそんな人だなんて思わなかった
2、代わりに貴女の匂いを嗅がせなさい!
3、へ、変な匂いじゃなかった……?
4、何も言わず、耳を塞ぐ
5、東郷の、馬鹿っ



↓2


天乃「へ、変な匂いじゃなかった?」

恐る恐ると言った様子で目を向けてきた天乃

その表情は、東郷の知る天乃のどんな表情よりも、愛らしさがあって

東郷は思わず目を見開き、咄嗟に目を閉じた笑顔を作る

天乃「ど、どうなの?」

東郷「えっと、ね……」

友奈と似たような経験が東郷にはあった

しかも、布団なんて間接的なものではなく、髪の毛で。だ

でも、なぜだろう

どうしてか解らないけど……ドキッとする

東郷「……………」

天乃「と、東郷?」

視線の先に見える、小さな体

桃色の髪を枕元に広げ、綺麗な白い肌をほんのりと赤く上気させた天乃

東郷はごくりと息を呑んで、確信する

きっと、久遠さんが恥ずかしがっているせいだ

そのせいで……私にまでそういうのが移って照れくさく感じるのだ。と

しかし原因が解ったところでどうしようもなく、

東郷は天乃と見つめあうのを止めて、答えた

東郷「少し蒸れていたけれど、でも。花のような優しい匂い……だったわ」


天乃「っ……!」

東郷「ぁっ」

思わず、正直にしかも明確な答え方をしてしまったことに気づいて

今更ながら、目を伏せる

最後に見えた表情は今にも泣きそうな感じだった

恥ずかしいからかもしれない

怒っているからかもしれない

悔しいからかもしれない

車椅子を奪われて、自分で好きに入浴さえ出来ず、

出来たとしても自分一人ではしっかりと洗う事すらできないのだから

多少なりと、汗の匂いがあっても仕方がない。むしろ、その程度で済んでいるのが凄いことだって言うのに

東郷「その……全然、気にしなくて良いわ。良い匂いだったから」

天乃「なっ」

東郷「で、でも。もしあれならお風呂とか私が連れて行っても」

天乃「もう良い! もう良いから言わないでッ!」


東郷「あ……その……」

天乃「貴女、意外と容赦ないのね」

怒ったような口調で天乃が言うと

東郷は編集中のデータが強制終了で吹き飛んだような表情を浮かべ

首を横に振る

東郷「ごめんなさい」

自分も布団の上にいる時間の長い時期があったから

ただ何となく、その時の自分のようになっていないかと。気になっただけだった

天乃「もう良いわよ。別に……」

東郷「……………」

恥ずかしそうな天乃を前に

東郷は申し訳なさを感じながらも愛らしさを感じて、目を瞑る

小学生くらいの女の子の事傷つけておいて、愛らしいだなんて

私……今夜はお清めが必要ね

強く唇を噛みながら、東郷はそう決心した


√ 4月5日目 夜(犬吠埼家)

九尾、死神、夏凜、風、樹との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、樹
5、風
6、イベントの判定

↓2


天乃「どうして呼ばれたか解る?」

樹「その……はい」

天乃「でしょうね」

呼ばれる理由がなくても呼ぶことはあるが

呼ばれる理由があるのなら、呼ばれるのが当たり前

別に怒っているわけではない

これから叱ろうと言うつもりもない

樹だって、悪気があっていったわけではないだろう

そもそも

天乃は樹に【流し込む料理にしてとは言えない】と言った

流し込む料理が良いという相手に対し、牡丹餅なんてとてもじゃないが食べさせられない

そう思うのは、なにもおかしなことではない



1、牡丹餅の件、ありがとう
2、そんなに気遣わなくたって、良いのよ?
3、今日は一緒に寝てくれるわよね?
4、ねぇ、夏凜が読んでる本。何か知ってる?



↓2


天乃「牡丹餅の件、ありがとう」

樹「はいっ、反省してま……え?」

天乃「嬉しかった」

樹「久遠さん……」

叱られると、思っていた樹の予想に反して

天乃はは声にも表情にも怒っているような感情はなく

本当に心から嬉しそうで、優しい笑みを浮かべていた

天乃「私は貴女にどんなものが無理だと言った覚えはないわ」

樹「でも、久遠さんは流し込む料理って言いました」

天乃「……そんな一言で?」

樹「久遠さんの気持ちになって考えた時、辛いだろうな、苦しいだろうなって思ったら……つい」

いつものように東郷から振る舞われた牡丹餅を食べた時に樹はそう感じたのだ

もちっとしたもち米

ねっとりとした濃厚な餡

飲み込むには何度も何度も噛む必要があって

飲み込めたとしても、喉には口内や喉の当たりには餡の食感が残る

樹「久遠さんに辛い思い、して欲しくないんです」

天乃「……そっか」


では、ここまでとさせて頂きます
明日は通常通り、21時半か22時からとなります




東郷「……あの久遠さん。可愛かったわ。小学生の愛らしさを実感したわ」

夏凜「いやいや、あれで一応は風と同い年だから」

東郷「!?」


では、再開します


樹「久遠さんはただでさえ、辛い思い、苦しい思いをしていると思いますし……」

樹はそう言いながら

戦いの時でさえ、動かせていない両足と左手

そして、天乃の瞳をまっすぐ見つめる

樹「この部屋に、この家に、そして、私達といる時だけは。うんっと楽をさせてあげたいと思ってます」

天乃「…………」

樹のジェスチャーまで使った大げさな表現

でも、心はきっとそんな大げさなものでさえも小さいほどに

大きく、強く、広く、果てしなく

天乃の事を、思って、考えているのだろう

黙り込む天乃の視線に苦笑しながらも

樹は「本当にそう思っているんです」と、笑みを浮かべる


つい先日まで赤の他人だった

今だって、知人と言えるかどうかのレベルでしか交流していない

なのに、風も、樹も東郷も

そして少し疑問はあるが、夏凜も……まるで友人のように話してくる。接してくる

天乃「………………」

なぜ、この子達が勇者に選ばれてしまったのか

天乃はなんとなくと言うあいまいなものではなく、解った気がした

樹「め、迷惑……ですか?」

天乃「そんな申し訳なさそうな顔で聞かないで……迷惑って言えないじゃない」

樹「えぇっ!?」

天乃「嘘よ」

樹「っ!」

天乃「有難迷惑だったわ」

樹「同じじゃないですかっ」

悲しそうな顔をしたり、嬉しそうな顔をしたり

表情豊かな樹を前にして、天乃はくすっと笑う




1、ありがとう樹、嬉しいわ
2、樹……戦闘では、全力で私を頼りなさいね
3、頭を撫でる
4、ねぇ樹……今夜はどう? 一緒に寝ない?



↓2


天乃「樹……戦闘では、全力で私を頼りなさいね」

樹「良いんですか……?」

天乃「日常生活では頼りっぱなしなんだもの。出来ることくらいは誰よりも力にならないとね」

そう言った天乃の笑みを見て

樹は最初の戦いにおける、無敵と言えるような力強さを思い出す

自分と同じくらいの身長

顔つきは少し大人びてはいるけれど

やっぱりどこか子供っぽさのある笑顔

そして、両足と左手が動かせないという特大なハンデを背負いながらも

天乃は一撃で敵を屠った

そんな久遠さんが手を貸してくれるのは……凄く、心強い

天乃「私の気持ちが少し、解った?」

樹「え?」

天乃「私はいつも……今貴女が抱いたものを、貴女達に感じてるのよ」

樹「そ、そんなこと急に言われてもっ」

天乃「ふふっ」

樹「っ~~~~~~!」

自分達が凄く感謝されて、凄く頼られて、凄く心強いと安心感を抱かれている

それを改めて、強く思い知らされた樹は

照れくささに耐えきれなくなって、顔を真っ赤にしていた

1日のまとめ

・  乃木園子:交流無()
・  犬吠埼風:交流有(同居、嫌いなもの)
・  犬吠埼樹:交流有(同居、牡丹餅、頼って)
・  結城友奈:交流無()
・  東郷美森:交流有(匂い)
・  三好夏凜:交流有(同居)
・     九尾:交流無()

・      死神:交流有(名前で呼んで)
・    夢路瞳:交流無()
・     神樹:交流無()


4月の5日目終了後の結果


  乃木園子との絆 19(中々良い)
  犬吠埼風との絆 11(普通)
  犬吠埼樹との絆 16(中々良い)
  結城友奈との絆 8(普通)
  東郷三森との絆 14(普通)
  三好夏凜との絆 8(普通)
   夢路瞳との絆 7(普通)

     九尾との絆 16(中々良い)
      死神との絆 15(中々良い)
      神樹との絆 -1(低い)


では、短いですがキリも良いのでここまでとさせて頂きたいと思います


樹ちゃん=友奈+夏凜という格差
空気友奈ちゃんとは言わないであげてください

今回は雌狐が余計な事しそう
樹「嫌です! 嫌、止めてください!」
雌狐「良いではないか、良いではないかー」

しかし相変わらずキャラを天使化させるなあ……樹さん可愛い


では、再開します


√ 5月1日目 朝(犬吠埼家) ※土曜日

九尾、死神、夏凜、風、樹との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、樹
5、風
6、イベントの判定

↓2

※東郷、友奈は判定でのみ


01~10 友奈
11~20 東郷
21~30 夏凜
31~40 風
41~50 樹
51~60 夏凜
61~70 東郷
71~80 樹
81~90 友奈
91~00 風

↓1のコンマ  


風「おっはよー天乃」

天乃「なによ……騒々しい」

朝早く起きている天乃にとって

朝っぱらからの突撃企画は無意味

そんなことを解りきっている風は苦笑すると

天乃用のバリエーションに乏しい洋服タンスから、適当な服を引っ張り出すと

天乃に向けてこれでいい? と、問う

天乃「なんなのよ」

風「なにって……着替えるんだから一つしかないでしょ」

天乃「?」

風「今日はわが勇者部の部活を見学でもして貰おうかなって思ってるのよ」

いうやいなや、さっそくと天乃の体を抱えようとした風の腕を掴んで

どこからともなく現れた夏凜が首を振る

夏凜「認められないわ」

風「良いじゃない、ちょっとくらい」

夏凜「良くないから言ってんのよ」


風「偶には外出させてあげたっていいじゃない」

夏凜「それがダメだって言ってんのよ」

風「なんで?」

夏凜「天乃の分の車椅子がないからに決まってんでしょうが」

夏凜的には

外出させるのはいいことだと思っているし

監視しなければいけない立場の夏凜にだって

偶には外に出て激しく運動したいと思うことだってないわけじゃない

しかし、車椅子がない以上、天乃は常に誰かが背負っていなければいけないのだ

風「そんなの」

夏凜「あんたは部活の監督者、樹には無理。友奈も無理。東郷は絶対無理で、東郷の車椅子は一台のみ」

大赦に言えば、車椅子を用意してくれるだろうが

車椅子だけでなく、余計なものまで用意することだろう

夏凜「必然的に私が背負うことになる……さすがにそこまでしてやる義理はないわ」



1、大赦に頼んでみて? 余計な付き人なんて、慣れっこだし。見てみたいわ
2、風。ありがとう、気持ちだけ受け取らせて貰うわ
3、私……そこまで重い?
4、そこらへんのベンチとかに置いておいてくれればいいから……じゃ、だめ?


↓2


天乃「大赦に頼んでみて? 余計な付き人なんて慣れっこだし。見てみたいわ」

夏凜「あっそ」

なぜか不機嫌そうに言った夏凜は

端末を手に取ると、素早くメールを打って大赦に送る

天乃「……どう?」

携帯のバイブレーションも、着信音も解らず

訊ねてくる天乃に夏凜は首を横に振って、端末の画面を見せる

表示されているのは、新着なし

送ってすぐ返ってくると期待はしてなかったけれど

どうなるのかしらね……

風「とりあえず準備だけしておきましょ」

夏凜「じゃぁ、そっちは任せるわ。連絡来たらこっちでいろいろ言っておく」

風「よろしく」

そう言うと、風は天乃の体をお姫様抱っこの形で抱き上げると

お風呂場にまで連れていく

出かける前の入浴は、たとえ介護が必要であってもさせてあげるのが、勇者部だ


01~10 瞳
11~20 春信
21~30 先輩職員
31~40 瞳
41~50 ……おや? あれは本当に職員か?
51~60 先輩職員
61~70 ヘルパーチックなおばちゃま
71~80 瞳
81~90 春信
91~00 先輩職員

↓1のコンマ  


瞳「というわけですので、私が来ました」

天乃「結局、貴女なのね」

瞳「ええ、色々と問題もありまして」

問題。と言っても

天乃によって精神的に追い詰められた職員がいると言う噂にビビッて

本来介護担当の人達が軒並み拒否したあげく

誰一人として立候補しなかったために、瞳になった

つまり盥回しにされただけ……なんて、言えるわけないよね

困ったように苦笑した瞳は夏凜に駆け寄ると、一礼する

瞳「        」

夏凜「当然よ」

瞳「         」

夏凜「別に」

背中を向けている瞳の言葉は解らなくても、夏凜の言葉は解る

けれど、会話の内容は全く掴めなかった


√ 5月1日目 昼(商店街) ※土曜日

九尾、死神、夏凜、風、樹との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、樹
5、風
6、友奈
7、東郷
8、瞳
9、イベントの判定

↓2


今日の部活動……というかボランティアと言うか

勇者部の活動は商店街の清掃

風や樹、友奈はあっちへこっちへと場所を分担して掃除を行い

勇者部の一員と勘違いされた夏凜も

渋々と言った様子ではあれど、ゴミ拾いをしていて

車椅子でも両手の動く東郷はトングを使いながら、一つ一つごみを丁寧に集める

天乃「私だけ」

友奈「?」

天乃「私だけ……なにもしてない」

友奈「これは勇者部の活動ですから、久遠さんはどんなことしてるのかなーって、見ていてもらえれば。それで」

天乃「じゃぁ、夏凜は?」

友奈「夏凜ちゃんは……」

言葉を探す友奈は少し離れたところでゴミを拾い、

恐らくはカラスにやられたであろう生ごみに、憤慨している夏凜を見て、微笑む

友奈「夏凜ちゃんも勇者部部員です。仮入部……ですけどねっ」

こういったのは秘密ですよ。と

友奈は口元に指を当ててにこっと笑う

友奈は夏凜に、入部してほしいのかもしれない


では、ここまでとさせて頂きます

15日は恐らく投下は出来ませんので、ご了承ください



夏凜「こらーッ! 煮干しを食べ残すな!」

カラス「!?」


では、再開します


友奈は楽しそうな笑顔を浮かべて話し、

嫌そうな顔一つしないで、清掃を続ける

綺麗になっていくのが嬉しい

その過程を見ているのが好きという人もいるだろう

けれど

友奈の表情は掃除そのものというよりも

誰かの為に行動しているという事に対して、

喜んでいるのではないか。と天乃は思った

天乃「…………………」

戦いに身を投じた理由だって

戦い、生き残るではなく

守り抜く。という、人様の為を思っての言葉だった

要するに……友奈は根っからの勇者気質って所かしらね


そう考えながら友奈を見つめていると

ふと、気づいたように目を向けてきた友奈と目が合う

友奈「えへへ……じっと見られてると、なんだか恥ずかしいです」

天乃「何言ってんのよ」

友奈の照れくさそうな表情と言葉に、天乃は苦笑する

商店街の清掃をしている時点で

通りすがりの主婦やら会社員。学生等々から注目を浴びているのは言うまでもない

とはいえ、じっと見られていると。なのだから

チラチラとみられている分には気にならないのかもしれないけれど

見ていて貰えればと言ったのはほかでもない友奈だ


1、貴女の照れた顔が見たいから、終わるまでずっと見てるわね
2、あら。貴女が見ていてと言ったんじゃない
3、何か手伝えることある?
4、ねぇ、私は? 私は勇者部員じゃない?
5、ねぇ友奈……今からでも勇者を止める気はない?


↓2


天乃「ねぇ友奈……今からでも勇者を止める気はない?」

友奈「無いです」

友奈は天乃の言葉に作業の手は止めつつも

言葉を濁すことも、迷う事さえもなく

はっきりと、拒絶する

友奈「風先輩から聞きました。この世界を守る為に、勇者が必要なんだって。バーテックスを倒さなきゃいけないんだって」

天乃「……………」

友奈「そして、風先輩や樹ちゃん、夏凜ちゃんに久遠さんが戦ってるのに、やっぱりやめますなんて、言えないよ」

友奈は笑みを浮かべながら、首を横に振ると

やっぱり、久遠さんは良い人だよね。と、呟いて

東郷の事を一瞥し、天乃を見つめる

友奈「東郷さんのために言ってくれてるんだよね……でも、東郷さんにも同じこと言われて。同じこと、伝えたから」

天乃「……友奈」

友奈「国を守るなんて大それたことは私、まだまだ言えない。でも、みんなを守りたいしみんなの力になりたい」

だから。と

友奈は言葉を繋ぎ、天乃の手を握って、笑う

友奈「私は勇者を続けます」

天乃「………………」

友奈の意思はきっと変わらない

例え、満開による後遺症があると知ってもなお

友奈ならば戦い続けることだろう

そして、きっと

そうしなければ守れなかった。と、園子や天乃と同じいいわけを、自分にするのだろう


天乃「……そっか」

今の私には、満開による後遺症と言うものが存在し

いずれ体を動かすことも、モノを見て、聞いて、話すことさえも出来なくなる。という真実

壁の外の、破壊された世界くらいしか、説得

……いや、脅迫の手段はない

しかし、友奈にはきっと無意味で

天乃がそのどちらか

あるいは両方を伝えたところで

友奈ならば、それなら私が頑張ります。と、

天乃には、友奈が余計に張り切ってしまうだけにしか思えなかった

天乃「……まぁ、貴女が居なくても。私一人で十分なんだけどね」

友奈「そ、そんなことは解らないじゃないですか。沢山攻めてきたらどうするんですか?」

天乃「満開を使えば殲滅出来るわよ。私は日常生活では無能でも、そっち方面では優秀なの」

友奈「言われなくてもみましたから、解ってます」

一番初めの戦いのあの破格の強さは、正直

桁違いなんてレベルじゃなかったし……だから風先輩達はともかく

私達はついつい、【久遠さん】なんだよね

むー………

天乃「?」

友奈「えへへ、何でもないです」

天乃が不思議そうに首を傾げたのに対して、

じっと見ていた友奈は照れくさそうに笑って、首を振った

流石に小学生高学年とか、中学1年生くらいだとしても

そこまで仲良くないのに、くーちゃんなんて呼んだら怒られるよね

√ 5月1日目 夕() ※土曜日


01~10 記憶にない男の人
11~20 
21~30 夏凜
31~40 
41~50 樹
51~60 
61~70 友奈
71~80 
81~90 東郷
91~00 風

↓1のコンマ  


※特殊条件化に付き、イベントの判定


では、ここまでとさせて頂きます


規格外の東郷さんがいるのと、天乃は着る服がゆったりした物なので胸は判断基準外です


では、再開します


夏凜「      」

ポンっと天乃の肩を叩いた夏凜は

そう言えば……と、天乃の耳の件を思い出して

会話がしやすいように前に回り込む

夏凜「で、どうだった?」

天乃「何もできなくて申し訳なかったわ」

夏凜「あんた、一応は飲み物の配給とかしてたでしょ」

天乃「そうだけど……それだけだったからね」

天乃は夏凜達がゴミ拾いなどで動き回る中

みんなが脱水症状にならないように飲み物を配ったり、

タオルを渡したり、受け取ったりと

天乃なりにできる事はしていたはずだ

それでも、自分だけがみんなとは違う楽な事をしていると言うのが

天乃は気に入らなかったらしい

夏凜「出来ないことを出来なかったって言うのは、無駄でしょうに」

天乃のそんな態度に、夏凜は思わず強い口調で言い放つ


夏凜「あんたができる事を出来なかった。出来たはずなのに出来なかった。それならわかる。でも、違うでしょ」

天乃「そうよ」

夏凜「それでも出来る事はやった。移動係のあの役立た……移動係がバテても、そんな体で、じっとしてれば良いものを、馬鹿みたいに協力しようとした」

天乃「そんな言い方しなくたって」

夏凜「事実なんだから仕方がないでしょうが」

飲み物が欲しいと思ったときに、飲み物を手渡して

汗が煩わしく感じるようになってきた時に、タオルを渡してくれた

的確だった。完璧だった

会話をするために人の顔を見て読唇術を習得したその努力が感じられるような

良いサポートだと、思った

ううん、私は思ってる

だからこそ……天乃の何もできなかったという態度が気に入らなかった

夏凜「とにかく、あんたはやれることを頑張った。それを他人と比べる必要なんかないのよ」

天乃「………………」



1、うん、ありがとう夏凜
2、夏凜はそういう比較とか……嫌いなの?
3、……怒ってるの?
4、褒めてくれてるの?
5、夏凜も凄く頑張っていたわよね

↓2


天乃「うん、ありがとう夏凜」

夏凜「ったく……」

にこっと笑みを浮かべる天乃から目を逸らし、

夏凜は困ったように髪を掻いて、ため息をつく

右手しか動かないくせに、妙にアグレッシブな天乃

そのお守りという立場は退屈で、つまらなくて

苛立ちが募るだけのモノだと思っていた

でも……

いら立ちが募ることはあるけど

けど、まぁ……退屈はしないかもしれない

夏凜「なんとなく、友奈の言おうとしてたことが解る気がするわ」

天乃「なんのこと?」

夏凜「別に」

言うだけ言って、夏凜は天乃の後ろに回り込んで

車椅子の持ち手を掴み、押して動かす

天乃『教えてくれてもいいじゃない』

天乃がそう入力した電子端末を掲げると、

夏凜はくすっと笑って受け取り、

夏凜『教えなくたっていいじゃない』

と、入力して天乃の膝上に置く

思えば初めて押した車椅子

抱っこするよりも、おんぶするよりもずっといい

夏凜「さぁ、帰るわよ」

そう言って少し足を速めると

風が前からぶつかってくるからか

自分と同じシャンプーの微かな甘い匂いがした


√ 5月1日目 夕(犬吠埼家) ※土曜日

九尾、死神、夏凜、風、樹との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、樹
5、風
6、イベントの判定

↓2

※東郷、友奈は判定でのみ


帰宅後、車椅子を奪われた天乃は

今までと同じように、ベッドの上に四肢を投げ打って天井を見上げる

窓を開けて貰うことはあるし、そこから外を見ることは出来るけれど

やっぱり、全身で外の空気を感じる外出は……凄く、気持ちが良かった

天乃「貴方は……ずっと消えていたから解らない?」

何もいない空間にそう問いかけると

ソンナコトナイ。と、

死神が姿を現して、一回転した

死神「アマノサンタノシイ。ワタシウレシイ」

天乃「あら、そうなの?」

死神「ウン」

天乃「でもね、私が言ったのは外が気持ちよかったかどうか。なのよ」

少し空気を貼りつかせるような声で言うと

死神はぐるぐると回り出して

死神「ヨクワカラナカッタ、ゴメンナサイ」

と、頭を下げているつもりなのか、一回転する

怒っているつもりも責めるつもりもなかった天乃は

くすくすと笑って、可愛いペットのような死神の頭を撫でた


天乃「ねぇ、死神」

死神「?」

天乃「東郷は勇者じゃないでしょう? それでも、また呼ばれるの?」

初戦は誰一人として勇者ではない状態で、軒並み巻き込まれたようなものだったが

二回目は東郷以外は全員勇者で

東郷が必ずしも必要なんてことはないにもかかわらず、

まるで戦うことを迫るかのように、東郷を巻き込んで樹海化した

まさかとは思うけど……

天乃「あの子、一般人だから巻き込まれないか心配だわ」

死神「ソレヲ、ネラッテルカモ、ネ。ソレナラ、ユウシャニナルシカナイカラ」

天乃「まさか」

死神「ツギモイタラ、ソウカモ、シレナイワ」

死神の言葉に

天乃は右手の甲を自分の額に当てて、ため息をつく

そんなことは……許されるはずがない



1、もしも東郷が攻撃に巻き込まれそうになったら助けてあげて
2、ところで、夏凜の読んでる本を知ってる?
3、ところで、私の端末は?
4、それはそうと、九尾も行方不明については知らなかったみたいよ
5、ところで、死神さん……私。みんなと仲良くできてるかしら


↓2


天乃「それなら……ねぇ、死神」

死神「?」

天乃「もしも東郷が攻撃に巻き込まれそうになったら助けてあげて」

死神「ワッシーヲ?」

死神は疑問があるように言って、くるりと回る

それはそうだ

だって、死神は天乃の精霊だ

他の人間なんて守る理由はないし、意味もない

そんなのは命令であれど、主人である天乃を守ることを優先させるべきだ

けれど

死神「アマノサンガ、ソレヲノゾムノナラ。ワタシハ、ワッシーヲマモルヨ」

天乃「……ほんとに?」

死神「ウン。ダッテ、ワタシハ、アマノサンノカラダダケジャナクテ、ココロモマモリタイカラ、ネ」

死神はそれが当たり前のように、言う

いや、当たり前なのだ

天乃の1番目の精霊である死神

唯一バーテックスを屠る力を与えていた死神

死神「ダイジョウブ、ワタシハ。ゼッタイニ……ギンノヨウナコトニハサセナイ。ソレガ、ヤクソクダカラ」

天乃「……そうね」

彼あるいは彼女にとって

その他にとっての異常であろうと――それが、普通なのだ


では、ここまでとさせて頂きます
明日は通常通り、出来るかと思います



神樹「勇者になってくれないと縛ることが出来ない……」


では、再開します



√ 5月1日目 夜(犬吠埼家) ※土曜日

九尾、死神、夏凜、風、樹との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、樹
5、風
6、イベントの判定

↓2


樹「久遠さん、どうかしたんですか?」

天乃「どうかしてなきゃ、呼んじゃダメなの?」

樹「そう言うわけでもないですけど……」

天乃は樹から目を逸らして天井をまっすぐ見つめる

普段、身の回りの世話をして貰っているわけでもない健常者のちょっとしたおふざけ

それなら良いかもしれない

でも、普段世話をして貰っているのに

何の用事もなく呼ぶのは……迷惑でしかないだろう

……理由

呼んだ理由かぁ……

樹「?」



1、ねぇ樹。私って貴女より年上? それとも下?
2、ごめんね、理由は特にないの
3、可愛い貴女の顔が見たかった……とかで誤魔化せない?
4、朝昼の熱が冷めなくて……誰かと一緒にいたいなって思ったの
5、勇者部ってようはボランティア部なの?


↓2


天乃「朝昼の熱が冷めなくて……誰かと一緒にいたいなって思ったの」

樹「熱が冷めないって……」

天乃の言葉を聞いた途端、

樹はあたふたとして、部屋を出ようとしながらも

やっぱり。と、引き返す

樹「久遠さん」

天乃「うん?」

お姉ちゃんがいっつもしてくれるやり方

したことないから、うまく解らないかもしれないけど……

樹「し、失礼しますねっ!」

天乃「っ」

樹「んー………」

樹は自分の額と天乃の額をくっつけて小さく唸る

少し熱いような気がする

でも、本当にただ気がするだけのような気もする

樹「久遠さん、その。ちょっと失礼しますね」

天乃「ちょ、ちょっと!」


樹は天乃の襟ぐりを軽く広げると

うなじの辺りを指でなぞって、汗をかいているかどうかを確かめる

樹「……あれ?」

ベタベタするどころか

程よいさらっとした感触に、樹は思わず声を漏らす

熱……全然違う熱?

今更ながら気づいて、恐る恐る天乃を見てみると

天乃は少し怒ったような表情を浮かべていた

天乃「あのね……そう言う意味じゃないのよ」

樹「ごめんなさい」

天乃「肉体的にじゃなく、精神的な熱が冷めてないっていうか……」

樹「体育祭とかで興奮してる。みたいな感じですか?」

天乃「少し違うかもしれないけれど、そんな感じかしらね」


樹の献身ゆえの失態に

天乃は強く怒ることはなく、優しい口調で答える

樹「でも、それで誰かと一緒にいたいって……」

天乃「ほら、私……車椅子もなくて不自由でしょう? それを外側から心にジワジワと染み込ませられるみたいで、嫌なの」

天乃の寂しそうな、困り顔の苦笑に

樹は余計な言葉を返すわけにはいかない。と

言葉をせき止めて、首を横に振る

夏凜さんにも、お姉ちゃんにも

そういうことしちゃだめだ。なんて言われなかったし

樹「あの」

天乃「やっぱり、だめだった?」

樹「いえ、その……久遠さんが良ければ。ですけど」

天乃「?」

樹「今日は私と寝ませんか?」

一緒にいたいと言うなら

久遠さんが熱を一気に奪われて、嫌な思いをしちゃうって言うなら

それくらいしても……良いよね?



1、貴女が良いなら……喜んで
2、そこまではお願いしてないけど……
3、えっ?



↓2


天乃「えっ?」

樹「え?」

天乃「えっと……あのね。樹」

樹「は、はい」

天乃の困惑した表情から

自分が的外れなことを言ったのだと悟った樹は

あからさまに申し訳なさそうな表情で天乃の言葉を待つ

天乃「私は寝るまでの話し相手が欲しいかなって、感じだったというか……その。ね?」

樹「そうですよね……私、先走っちゃって」

天乃「貴女の気持ちは嬉しいわ。でも多分夏凜が怒るわ」

きっと、必要以上の接触はするなって

もしかしたら、見逃してくれるかもしれないけれど

あの子も一応は仕事でやっていることだもの

認めてあげたくても、認めてあげられないことだってある

樹「そう、ですね」

天乃「ありがとね、樹」

樹「いえ、私はそんなお礼なんて……」


私はただ、お姉ちゃんたちにはうまく貢献できなくても

久遠さんになら、役に立てるかもしれない

そう思っただけ……

樹「おやすみなさい、久遠さん」

天乃「ええ、おやすみ。樹」

久遠さんの笑顔を見てから、私は部屋の電気をオレンジ色にして出ていく

本当に先走っちゃった

良く考えれば、一緒にいたいって言うのが

一緒に寝たいになるわけないのに

樹「恥ずかしいなぁ……私」

そう呟いた樹は、もう寝よう。と、決め込んで自室へと消えていった

1日のまとめ

・  乃木園子:交流無()
・  犬吠埼風:交流有(部活、部活誘い)
・  犬吠埼樹:交流有(部活、熱が冷めない、寝ない)
・  結城友奈:交流有(部活、勇者について)
・  東郷美森:交流有(部活)
・  三好夏凜:交流有(部活、大赦に頼んで、ありがとう)
・     九尾:交流無()

・      死神:交流有(東郷を守って)
・    夢路瞳:交流有(車椅子担当)
・     神樹:交流無()


5月の1日目終了後の結果


  乃木園子との絆 19(中々良い)
  犬吠埼風との絆 13(普通)
  犬吠埼樹との絆 19(中々良い)
  結城友奈との絆 11(普通)
  東郷三森との絆 15(中々良い)
  三好夏凜との絆 12(普通)
   夢路瞳との絆 7(普通)

     九尾との絆 16(中々良い)
      死神との絆 16(中々良い)
      神樹との絆 -1(低い)


では、ここまでとします
明日は出来ない予定です




勇者部「久遠さんと仲良くなりたい」


では、再開しようかと思います


√ 5月2日目 朝(犬吠埼家) ※日曜日

九尾、死神、夏凜、風、樹との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、樹
5、風
6、イベントの判定

↓2

※東郷、友奈は判定でのみ


√ 5月2目 朝


01~10 友奈
11~20 東郷
21~30 夏凜
31~40 風
41~50 樹
51~60 大赦
61~70 友奈
71~80 樹
81~90 東郷
91~00 風

↓1のコンマ  


風「おはよう、天乃」

天乃「おはよう」

昨日とは打って変わって静かにドアを開け、

風は天乃の部屋に入り込む

起きてから朝食等の準備を終えた時間とはいえ

やはり、まだ早い時間だと言うのに

起きている天乃の事を見つめ、妹を思い。息をつく

あれはあれで可愛いものだから良いけれど

やっぱり、いつかはちゃんと起きれるようになって貰わないといけないかもしれない

天乃「どうしたの? 今日も、勇者部活動?」

風「ううん、今日はお休み」

天乃「あら、そう」


以外にも。と言うのは少し失礼かもしれない

だって、昨日はあんなにも楽しそうにしていたわけだし

少しばかり残念そうな天乃を見つめた風は、にやりと笑う

風「なぁに? 入部したくなっちゃった~?」

天乃「そんなこと言ってないでしょ」

風「またまた~、そんなこと言っちゃって」

天乃『奉仕部とか、ボランティア部ならまだしも。勇者部とか恥ずかしいし』

風「勇者が何を言うか」

天乃「それはそれ、これはこれ」

周りが勇者の中で勇者であることと

周りが勇者ではない中で、勇者と名乗るのではわけが違うのだ




1、でも。そうね。勇者部は……嫌いじゃないわ
2、それでなくても……誰かに。と言うより、勇者部に奉仕するくらいしかできないし
3、ねぇ。風。貴女は知ってて、【勇者部】にしたのよね?
4、夏凜が何よ。この羞恥心捨てた部活名。とか言ってたわ


↓2


天乃『ねぇ、風。貴女は知ってて、【勇者部】にしたのよね?』

風「知っててって……?」

天乃「それが、勇者に誘うことだって」

風「……………」

天乃の時代は複数の中の一部のチームではなく

久遠天乃、鷲尾須美、三ノ輪銀、乃木園子の四人一組のみしかいなかった

つまり、天乃達が戦うことは確定だった

でも、今回は違う

複数の中の一チームだけが選ばれると言うシステム

しかし、その選ばれるかもしれない。の中に入れたことに変わりはない

天乃「辛くなかった?」

風「や、やめて……天乃。変な事」

天乃「貴女がどうも思わなかったって言うのなら、私は別に良いけれど……」


風は勇者部を作った

勇者適正のある友奈、東郷そして……妹である樹を集める為に

その真意さえ話すことなく

可能性の中に引きずり込んだ

風「……天乃に何が解るのよ」

天乃「……何もわからないわ」

風「だったら、変なこと言わないで」

天乃「…………………」

自分が抱えていることを話せるほど、仲は良くなくて

睨むように言い放った風の瞳をまっすぐ見つめて、天乃は息をつく

天乃「悪かったわ」

ただ、知りたかった

大切な人を巻き込むことを選択させられた風の気持ちを

不安だった。心配だった

いつかその抱える何かが、犬吠埼風を酷く傷つけてしまわないだろうか。と

天乃「ごめんなさい、風」

まだ……聞けるような間柄じゃなかったみたいね


√ 5月2日目 昼(犬吠埼家) ※日曜日

九尾、死神、夏凜、樹との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、樹
5、イベントの判定

↓2

※東郷、友奈は判定でのみ


√ 5月2目 昼


01~10 友奈
11~20 東郷
21~30 夏凜
31~40 友奈
41~50 樹
51~60 大赦
61~70 夏凜
71~80 樹
81~90 東郷
91~00 樹

↓1のコンマ  


夏凜「………………」

近くの椅子にどっと座り込んだ夏凜は

本を読むわけでもなく

やや怪訝な顔つきで唸ると、天乃を見つめた

夏凜「あんた、風と樹に何か話した?」

天乃「どうして?」

夏凜「いや……なんか元気ないから」

夏凜は少し困った様子で、呟く

直接何かを言われたわけではない

けれど、2人の纏う空気が少しばかり暗めなものだと、感じたのだ

聞いても大丈夫。とか、何でもない。とか

恍けるけれど

きっと、何でもなくはない


天乃「2人に……ね」

樹に対しては感謝を述べただけ

風に関して言えば……心当たりはあるけれど

天乃「二人が元気ないだなんて、貴女心配するのね」

夏凜「うっさい」

それが、夏凜のやるべきことの一つだ

久遠天乃の身の回りの世話をしながら

その存在による犬吠埼姉妹

および、勇者部である友奈や東郷への影響を随時報告しなければならない

大赦側がなぜ、そこまで厳しくするのかは知らないが

そうしろと言われている以上、夏凜はやらなければいけないのだ

夏凜「で、何かしたわけ?」



1、正直に話す
2、してないわよ
3、樹に少しちょっかいを……ね。ふふっ
4、風に勇者部を作った事、後悔してないかって聞いたのよ
5、樹……一緒に寝たかったのかしら?

↓2


天乃が昨日、樹と話した事

樹に一緒に寝て良いかと聞かれて断ったことを話し、

風には今朝

勇者部を作ったことについて聞いたことを話すと

夏凜はいやいや。と、首を横に振る

夏凜「私は別に、樹があんたと寝ようが怒ったりしないわよ」

天乃「そうなの?」

夏凜「大赦がどういうかはともかく、私は2人が仲良くしてるってくらいでしか報告する気はないし」

天乃「そうなのね……」

夏凜「そもそも、極力関わるなっていうのは私の話よ。あくまで、私はあんたを客観的立場で観察しないといけないんだから」

夏凜はそう言ってから

ハッと気づいて天乃を見つめると

その満面の笑みに大きくため息をついて、項垂れる

話す必要のないことを……話すなんて

私……何やってんのよ、まったく


夏凜「で、風になんでそんなこと聞いたわけ?」

天乃「言わなきゃダメ?」

夏凜「別に、これは私の個人的な質問よ」

樹に関しては特に報告することはないが

風に関しては何らかの接触で精神的に若干の影響あり。と、報告するのは確定だ

それでも理由を聞くのは、

大赦側に正確な報告を求められた際にちゃんと説明できるようにするため

そこを説明できないからと

秘匿しているだとか、強制執行だとか

面倒なことになるのは避けたかった

なにより、大赦自らの尋問か何かによって

九尾とかいう謎めいた人型の精霊の猛威に晒されてしまうことは、避けなければいけないと、思った


1、辛くはないのかなって、思ったのよ
2、悪いけど、貴女は関係のないことよ
3、ねぇ。犬吠埼家について、貴女は何か知らないの?


↓2


天乃「辛くはないのかなって、思ったのよ」

勇者という辛いことを知りながら、

勇者部と言うものを作り上げ、友奈や東郷を引き込み

自分の大切な妹まで、風は勇者部に導いた

天乃「風は部長として、姉として。きっと、全部抱えていると思う」

夏凜「…………………」

天乃「私はただの部外者だから。第三者だから……その気持ちを、聞いてあげられないかなって、思ったのよ」

巻き込んだ人には、そんなことは絶対に言えないだろう

自分にそう言った指示を出した大赦側の人間である夏凜にだって、言えないだろう

でも、そのどちらでもない自分には。と、思った

けれど――ダメだった

悲しそうな表情を浮かべる天乃を見つめて

夏凜は少し目を細めて……その頭に触れる

天乃「っ?」

夏凜「……あんたは、ほんと。何もできない無能なんかじゃないわ」


天乃「夏凜……?」

夏凜「っ!」

名前を呼ばれて気づいた夏凜は

天乃の頭から手を離し、その手を左手で押さえて、首を振る

夏凜「なんでもない」

天乃「何でもないって」

夏凜「ほんと、なんでもないから」

羨ましいと思った

凄いと思った

片手だけなのに……他人の為になろうとすることが出来る、天乃の事が

夏凜「とにかく……仲良くもないくせに、そんな踏み入ったこと聞いたから怒ったってわけね」

天乃「ええ、面目ない話だわ」

夏凜「あんた、そこらへん盲目なところあるって言うなら、気を付けないと後々面倒なことになるわよ」

夏凜の忠告に

天乃は困った笑みを返して「解ってるわ」と、答える

夏凜「ならいいけど……」

この優しいだけの不自由な少女が、

一体、どれほどの脅威になると言うのか

なぜ、これほどまでに強く監視し、報告しなければならないのか

夏凜の中に……疑問が生まれた


√ 5月2日目 夕(犬吠埼家) ※日曜日

九尾、死神、夏凜、風、樹との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、樹
5、風
6、イベントの判定

↓2

※東郷、友奈は判定でのみ


√ 5月2目 夕


01~10 風
11~20 樹
21~30 夏凜
31~40 東郷
41~50 友奈
51~60 樹
61~70 友奈
71~80 風
81~90 東郷
91~00 夏凜

↓1のコンマ  


では、ここまでとさせて頂きます
明日は少し早く再開するかと思います


夏凜「やばい、客観的立場じゃなくなる……っ」

大赦「仕方ありませんね。伊集院様を送りましょう」

沙織「久遠さんっ大好き」

大赦「なん……だと……?」

では、再開しようかと思います


樹「あの……」

天乃「樹?」

いつも少しばかりこっそりしていると言うか

ちょっとオドオドとしたものがある樹

けれど、

ドアを静かにあけてこっそりと覗き込み、

そのまま入ろうともしない今日は

いつも以上にオドオドしさを感じた

天乃「そんな隙間から覗いてないで入ってきなさい」

樹「でも」

天乃「昨日の事を気にしてるの?」

樹「……………」

天乃「……まぁ、良いから。おいで」

天乃が右手でちょいちょいっと手招きをすると

樹はちょっとためらいながらも

部屋の中、天乃のベッドの隣の椅子に座り込んだ


天乃「どうしたのよ」

樹「私、ちょっとずるいことしたなって……」

天乃「ずるいこと?」

久遠さんの声が優しくて

それがまた、私には辛い

樹「………………」

天乃「……樹」

特に何かされた覚えはないけれど

樹のどこか申し訳なさそうな表情に

天乃は今までの樹とのやり取りを思い出す

やっぱり、一緒に寝たかったのかしらね

それとも……そんなこと言ってないって

気遣いに困った姿勢で答えたのが、いけなかったかしら


1、樹。今日は一緒に寝る?
2、そう言えば……夏凜は別に気にしないそうよ
3、先走った事、気にしてるの?
4、なにがずるいの?



↓2


天乃「樹、今日は一緒に寝る?」

樹「え?」

天乃「夏凜に話してみたけど、われ関せずって感じだったわ」

樹「でも」

天乃「嫌なの?」

樹「うっ」

天乃の寂しそうで、残念そうで

懇願するような揺れのある瞳に

樹は目のやり場に困って、彷徨わせる

それでも、天乃はしょんぼりとした雰囲気を崩すことなく

樹から天井へと視線を変えて、首を振る

天乃「……ごめんね」

樹「え?」

天乃「いつも私といるのに、そんなことまで……したくないわよね」

樹「そ、そんなことないですっ! も、元々言いだしたのは私なわけで、えっと……良いなら、ぜひ……」


樹の必死な言葉に、ちょっとだけ罪悪感を感じて

天乃はもう一度、ごめんね。と、呟く

天乃「本当に無理強いするつもりはないわ」

樹「でも」

天乃「昨日は昨日。今日は今日」

昨日どうだったかなんて関係ない

昨日、自分が言いだしたから。なんて関係ない

それは断って終わったのだ

天乃「そう考えて良いのよ。樹」

樹「久遠さん……」

樹が何で悩んでいるのか解らない

それなら、昨日の話自体を昨日で終わりにしておけばいい。と、考えたのだ

そもそも、悩む必要なんて、どこにもありはしないはずなのだから

天乃「ね?」

天乃のそんな優しげな表情に、

樹は暫く目を奪われて……俯く



01~10 一緒に寝る
11~20 ありがとうございます
21~30 一緒に寝る
31~40 ごめんなさい
41~50 ありがとうございます
51~60 一緒に寝る
61~70 ありがとうございます
71~80 一緒に寝る
81~90 ごめんなさい
91~00 ありがとうございます

↓1のコンマ  


樹「             」

天乃「なぁに?」

樹「           」

天乃「樹?」

俯いたままの樹

斜めに見える口では、

動いているのは解るが、なんて言っているのかが解らない

天乃「ごめんね、樹。なんて言ってるの?」

樹「っ」

天乃「樹?」

ハッと気づいたように顔を上げた樹は

天乃を見つめながら少しばかり安どした様子で、息をつく

樹「何でもないです、気にしないで下さい」

天乃「凄く気になるのだけど……」

樹「ただ……久遠さんが良いなら。一緒に寝たいって、言っただけです」

照れくさそうな表情で、樹は言うと

準備してまた夜に来ますね。と、早々と立ち去っていく

天乃「……死神に聞けば、なんて言ってたのか解るかも」


01~10 
11~20 樹海化

21~30 
31~40 
41~50 
51~60 
61~70 犬吠埼姉妹

71~80 
81~90 
91~00 犬吠埼姉妹 

↓1のコンマ  


続けて樹交流なのでイベント判定のみ


風「……………」

天乃「……あ、あら、風」

樹「お邪魔します……ほら、お姉ちゃんも」

樹は風の手を引いて部屋の中に入れると

机などを少しばかり動かしてスペースを作り、

自分達が寝る為の布団を床に敷く

その間も、風は天乃から目を逸らすようにしていた

天乃「ねぇ、樹」

樹「はい」

天乃「なんで、風がいるの?」

樹「お姉ちゃん、なんだか久遠さんの事気にしているような感じだったので」

天乃「ので?」

樹「連れて来ちゃいました」

にこっと笑った樹を、風と天乃は同時に見つめ、

互いの視線をぶつけ合う

……さて、どうしたものかしらね


では、ここまでとさせていただきます


樹交流から、犬吠埼姉妹交流に変更


神樹「姉妹に挟まれて川の字と言うのも、悪くないと思うんですよ。ほれほれ」


だいぶ、はやいですが、あと少しで始めようかと思います

投下に関しては、22時半過ぎても来なければ無し。という感じですね
出来ても30分程度になってしまうので

過去SSはいつでも貴方の心の中にいます


樹「よいしょ……っと」

天乃「なにしてるの?」

樹「3人分の布団を敷けるようにしたいなって」

天乃「3人分って……ベッドあるのに」

机やイスなどをすべて端っこに寄せた樹は、

自分と風の分の布団を敷くと、

限界まで両端に寄せて、真ん中のスペースを見つめる

入って布団7割くらいかな……

自分と風の布団に重ねる形でなら入るのを確認して

樹は風の方を見つめると、「お姉ちゃん」と、呼んで

天乃の手を握る

風「……本気?」

樹「せっかくみんなで寝るんだし……お姉ちゃんは、久遠さんとも並んで寝たいと思わない?」

風「あたしどうこうというより……」

天乃「?」

風「あん……天乃はどうなの?」


1、私は気にしないわ
2、貴女が良いなら
3、そうね……ちょっと、困るかな


↓2


天乃「私は気にしないわ」

風「そう……」

天乃の微動だにしない表情を一瞥すると

少し黙り込み、自分の頭に触れると樹を見つめる

樹「お姉ちゃん?」

風「……解った。今日だけよ。今日だけ」

樹「やった、ありがとう。お姉ちゃんっ」

風「ったく……」

調子いいんだから……樹は

でも、朝の事で話すなんてことは樹の前ではできないし

天乃も……たぶん、この場で聞いてくるなんてことは流石に無いはず

風「天乃、抱き上げるわよ」

天乃「ええ」

風「せーのっ」

天乃「んっ」

天乃の体を風が抱き上げ、その隙に樹が天乃の分の布団を真ん中に敷き、

そのまま天乃の体を真ん中に下ろす

つまり、樹、天乃、風。という形にならざるを得ないわけだ

風が出口側なのは、天乃を連れ出す役割は樹には無理だからである


樹「えへへ……」

天乃「ちょ、ちょっと樹……あまりくっつかないで」

樹「このくらいじゃないと、ベッドにぶつかっちゃうので」

天乃「もう……」

148cmの小柄な少女と小柄ではあるが、部分的に秀でつつ筋肉質な少女

そして、163cmの少女の3人

とはいえ、ベッドを足せば4人いるようなものの為

狭いと言えば、狭いくらいに余裕はなかった

風「樹ーっ、あんまり天乃に迷惑かけちゃだめよー?」

樹「うん、解ってる」

風「天乃」

天乃「うん?」

風「樹がくっつきすぎるようなら、もうちょっとこっち来ても良いわよ」

そう言うと、

風は体を少しだけ布団からはみ出させて、天乃が動くスペースを作る

天乃「でも、それだと貴女布団から出ちゃうでしょう?」

風「5月だし、布団から少しはみ出てるくらいが涼しくて良いってもんよ」

天乃「………………」




1、言葉に甘える
2、ううん、このままでいいわ
3、そんなわけないでしょう。良いから、貴女こそこっちに来なさい



↓2


天乃「そんなわけないでしょう。良いから、貴女こそこっちに来なさい」

風「いや、でもそうしたら」

天乃「良いから……っ」

風の事を引き寄せようとして、左手が動かないことを思い出し

右腕を支えとして上体を起こし、

左腕を下敷きにしながら風の右腕を掴むと

天乃は力強く、風の体を自分の方へと引き寄せる

風「っ!」

天乃「右腕しか動かない分、力はあるのよ。私」

風「みたいね……」

天乃の胸部にぶつかった顔を軽く撫でて、風は困ったように息をつく

風「そのまま寝るつもり?」

天乃「頑張れば仰向けに……」

風「布団の上とはいえ、変に背中打つし。樹の手とか潰しちゃうでしょうが」


風はそう言うと、

体を起こして天乃の体を抱くようにして背中に手を回し、

樹の腕や手が潰れないように整えてから

天乃の体に衝撃がないよう、ゆっくりと体を下す

風「自分の身体とは言え、一応は……労わらないと」

天乃「……そうね」

枕に広がった桃色の髪

旅館などで着ることの多い簡易浴衣の皿に簡易版を身に纏う身体

慎重に反して自分よりも圧倒的な胸囲

その妙な艶めかしさに、風は小さくため息をつく

天乃「風?」

風「……なんでもない」

天乃の方に身体を寄せたまま、仰向けになって風はそう答える

天乃のあの問いがただの好奇心、悪戯心ではないことくらい。解ってる

でも、そう簡単に口にできる事じゃない

そう簡単に、誰かに明け渡して良い責任ではない

犬吠埼風は部長であり、大赦より遣わされた者なのだから

1日のまとめ

・  乃木園子:交流無()
・  犬吠埼風:交流有(同居、勇者部、一緒に寝る、傍に)
・  犬吠埼樹:交流有(同居、一緒に寝る)
・  結城友奈:交流無()
・  東郷美森:交流無()
・  三好夏凜:交流有(同居、正直に話す、辛くないか)
・     九尾:交流無()

・      死神:交流無()
・    夢路瞳:交流無()
・     神樹:交流無()


5月の2日目終了後の結果


  乃木園子との絆 19(中々良い)
  犬吠埼風との絆 16(中々良い)
  犬吠埼樹との絆 22(中々良い)
  結城友奈との絆 11(普通)
  東郷三森との絆 15(中々良い)
  三好夏凜との絆 15(中々良い)
   夢路瞳との絆 7(普通)

     九尾との絆 16(中々良い)
      死神との絆 16(中々良い)
      神樹との絆 -1(低い)


√ 5月3日目 朝(犬吠埼家) ※月曜日

九尾、死神、夏凜、風、樹との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、樹
5、風
6、イベントの判定

↓2

※東郷、友奈は判定でのみ


風と樹が学校へと向かった後、

夏凜が席をはずしている隙に、九尾の名を呼ぶ

九尾「なにようじゃ」

天乃「……貴女は結界の外。つまり、彼らの動きについては解らないの?」

九尾「妾が神樹様とやらであるのならば、それも知り得よう。しかし、残念ながら妾はキツネじゃ」

クツクツと小馬鹿にするような笑いを零しながら

九尾はベッドの上に戻された天乃の髪に触れる

九尾「主様もまた、残念ながら……である以上、知ることなど無理じゃな」

天乃「…………」

九尾「そう怖い顔をするでない。妾は主様の敵ではないぞ」

天乃「解ってるわよ」

厳密に言えば、不可能ではない

今すぐ九尾の背に跨り、壁の向こう側へと駆ければいいのだ

そうすれば1から100までとは言わずとも知ることは出来る

しかし、そうなれば後を追う者がいるだろう


九尾「彼奴等が来ないことが気がかりか?」

天乃「来ないなら来ないで嬉しいことはない。でも、もう来ないなんてことはきっと無いでしょう?」

九尾「如何にも。彼奴等の狙いは解らぬが……あれで終わりとは言えぬじゃろうな」

天乃「……私が撃退ではなく、消滅させたのを含めて、現状は5体。どう思う?」

天乃がそう聞くと

九尾は低く唸って天乃の髪から胸元

下腹部の当たりに手を滑らせて、優しく撫でる

九尾「主様もじゃが、人間とて、子を孕む事が出来る。ゆえに、彼奴等にそれが出来ぬとは思えぬ」

天乃「消滅に意味はない。と?」

九尾「いや、子が親になるために時を要するように、彼奴等にもそれは不可欠じゃろう。襲撃までの2年に誤魔化しはきくまい」

天乃「……そうね」

九尾「案ずるな。主様は強い。現勇者である小娘共の誰よりも。そして――彼奴等の生み出した最大の獅子座とやらよりもな」

天乃「その上がいる可能性は?」

九尾「その問いに必要性が見出せぬぞ。主様。進化あるいは適応を考えないほど、主様は無能ではあるまい?」

天乃「ただの確認よ」


九尾「ならば良いが」

天乃「………………」

バーテックスはただの敵だ

壁の外にいた星屑と名付けられた存在もまた、敵だ

それはある意味、明確にカテゴライズされていると言っても良い

けれど、九尾は良く解らない

彼女は味方だと言う。精霊だと言う

他の精霊と同じように、満開をした後に付与された存在だ

だから、精霊であることはきっと間違いない

でも……本当に味方なの?

その不安は2年経った今でも拭えない

仲良くなっているとしても

心のどこかにしこりのように不安が残る

九尾「主様も、五体不満足なら子を作ると良いぞ。きっと、良き勇者が産まれよう」

天乃「馬鹿なこと言わないで」



1、私に男の子の知り合いなんていないわ
2、ねぇ……貴女は本当に味方なのよね?
3、貴女のことを教えて
4、貴女の概念ではともかく、私達の考えでは、中学生で子供は早すぎるわ
5、ねぇ……壁の外の事。みんなに話すべきだと思う?
6、ねぇ、満開について。みんなに話すべきだと思う?
7、何も言わない


↓2


天乃「貴女の概念ではともかく、私達の考えでは、中学生で子供は早すぎるわ」

九尾「小娘に業を背負わせる世界の常識など、片腹痛いわ」

天乃「っ」

九尾「そもそも、血筋が足りないからと一般人から徴兵する現状を変えるにはそれしかあるまい」

血筋にこだわらなければいけない夏と言えば、そうでもない

しかし、巫女や勇者の正式な血筋であれば

その力をより強く、より完全に扱うことが出来る可能性は高い

ゆえに、一般人よりは血の繋がりのある人間の方が良いのは明白だった

九尾「1年で1人。双子ならば2人。しかし、戦えるまでには少なくとも11年。余裕はあるまい」

天乃「でも」

九尾「妾達精霊の補助があるからと維持するのではなく、次に繋げるべきじゃろう? 主様はともかく、園子なんぞは特にな」

天乃「けれど、それは私達が戦いで死ぬ可能性が高かった時の話でしょう。今は」

あくまで反論しようと言う姿勢の天乃に

九尾は舌舐めずりして目を細めると、睨むように見つめる

九尾「勘違いするなよ主様。妾達は勇者の死を防ぐに過ぎぬ。蓄積された疲労を解消する存在ではない」

天乃「それって……」

九尾「来るべくして訪れる死は、もはや運命と同義。妾達にそれを防ぐ手立てはない」


天乃「…………………」

九尾「そもそも妾達が主様達の死を完全に防げるのであれば、主様達は成長すらできぬ」

天乃「なぜ?」

九尾「成長とはすなわち、死に向かう事じゃからな。ゆえに、完全な不死には不老が不可欠なのじゃ」

九尾はそう言うと、

天乃の寝間着のひもをほどき、露わになった白い肌を撫でる

天乃「ちょっ……」

九尾「主様が精霊を得て以降も、胸は育っておろう?」

天乃「触らないで……っ」

九尾「つまり、妾達は卵の殻が砕けぬようにできるが、罅が入っていくことは阻止できぬのだ」

天乃「っ……罅が入り続けたら、割れる?」

九尾「如何にも――と、またのう。主様」

天乃「ちょ、ちょっと!」

九尾は軽く頷き、夏凜の足音が聞こえたからか

天乃の寝間着を戻すことなくぱっと姿を消す

それとほぼ同時に、ドアが開いた

天乃「ぁ……」

夏凜「……着替えたいの?」

天乃「ううん……直してくれると。嬉しいわ」


√ 5月3日目 昼(犬吠埼家) ※月曜日

九尾、死神、夏凜との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、イベントの判定

↓2


01~10 死神
11~20 夏凜
21~30 瞳
31~40 死神
41~50 夏凜
51~60 大赦
61~70 瞳
71~80 訪問者
81~90 夏凜
91~00 どうも、お話を伺いに来ました

↓1のコンマ  


瞳「久遠様、招集です」

天乃「招集……?」

瞳「はい。なんでも、大赦のずっとずっと上の偉い人が話があるとかで」

天乃「なにそれ」

瞳「私もあったことは……というか、私への指示は封書で、届けてくれた先輩ですら知らないレベルでした」

大赦の上の上

ずっとずっと偉い人となると、大赦の創設に携わったレベルの可能性が高い

そこからの呼び出し

天乃「拒否権は?」

瞳「あるはずがありません。外に数名待機しています」

瞳はそう言うと天乃の手を握り、首を横に振る

出来れば手荒な真似はさせたくない

もっとも、手荒な真似を行使したところで

九尾「……………」

後門の狐に食い殺されるのが目に見えている

瞳「久遠様。どうか、犠牲無き選択を」

天乃「………………」



1、悪いわね……嫌よ
2、解ったわ


↓2


天乃「……解ったわ」

瞳「ありがとうございます。久遠様」

天乃「気にしないで」

瞳「……すみません」

命令通りだ

筋書き通りだ

だからこそ、瞳は苛立たしさを感じずにはいられなかった

天乃「なぜ謝るの?」

瞳「いえ……すみません」

久遠天乃の精霊は特異性が強く、

天乃に対して手を出した場合は怪我を免れることはまずできない

だからこそ、捨て駒を連れて

それをあえて強調するように。そして、犠牲が無いようにと願う

瞳「………………」

精霊には特異かつ、過剰防衛的な面がある

しかし、久遠天乃にはそれが無い。むしろ、精霊と違って殺傷を強く拒む傾向にある

命令を出した人間は、捨て駒を用い、犠牲が出ることを持ち出せば

天乃が抵抗することなく、素直に、従順に。命令に従うと言う事を解っているのだ

それが、瞳には卑怯で、最低で、許しがたかった

でも、一社員としてそれを拒絶できず、実行するほかなかったことが――悔しかった

瞳「すみません」

だからこその謝罪を、瞳は送り届けるまでずっと……つづけた


では、ここまでとさせて頂きます
明日はいつもの時間になるかと思います



九尾「……しかし、主様は身長は伸びてないのう」

天乃「そ、そういう人だっているわよ」

九尾「ふむ。それならば良いが……」

九尾「主様も、五体不満足なら子を作ると良いぞ。きっと、良き勇者が産まれよう」→確かに
九尾「小娘に業を背負わせる世界の常識など、片腹痛いわ」→解る

だから勇者適正最高の友奈ちゃんか、初代勇者の末裔の園子ちゃんか、俺と子供を作るべきなんだよ


少ししたら再開予定です

足は足の付け根から。という認識です
腰はまた別物
腕や手に関しては足先から付け根までと同様に、一本丸々という認識
指、手、肘から下、上などで分かれている可能性もありますが、とりあえず、基本的には上記の認識です


「こちらでお待ちください」

天乃「……呼んでおいて、会う気はないのね」

「……失礼します」

天乃の言葉に答えることなく

瞳の先輩よりもずっと上の役職であろう男性は一礼して部屋を去っていく

待てと言われて会う気はないのね。と、天乃が言ったのは

決して、相手側が遅刻しているからではなく

待たされている部屋には大きなモニターが設置されているからだ

しかも、ほかの誰かが座る椅子がないにもかかわらず。だ

天乃「………………」

静寂の中で待機すること数分

ブツッ……ッと言う音が鳴って

モニターの電源が入り、画面には天乃が大きく映る

天乃「何のつもりよ」

天乃は声が聞こえない

ゆえに、顔さえ映さない映像など無意味

それを、大赦は解っているはずなのに……


天乃「……聞こえてるんでしょう?」

天乃がもう一度問うと、

画面の下にゲームの台詞ウインドウのようなものが表示され、

『聞こえています。そして、見えています』

と、言葉が流れていく

あくまで、自分の姿はさらさないつもりらしい

天乃「なぜ、ここに連れてきたの?」

『6人。この言葉に、憶えはありますか?』

天乃「……園子以外の勇者人数。あるいは、行方不明者」

『そうです。行方不明者です』

上の立場にいるかのような文字列に

天乃は少し嫌な気分になりながらも、ため息をつく

天乃「それが?」

『現在捜索中ですが、見つかりません』

天乃「そんなこと――」

『誰一人として、姿も、持ち物も。当日使った車でさえ跡形もなく。です。お分かりですか? ただの職務怠慢では、ないのです』


そんなことを言われたところで、どうしようもない

解らないことは、解らない

知らないことは、知らない

死神に聞いた。九尾にも聞いた

でも、何もわからなかった

天乃「だから……なんなの?」

『彼らの消息を、貴女は知っているはずです』

天乃「知らないわ」

『では、貴女の精霊が知っているはずです。お分かりでしょう? 貴女の精霊は、貴女の指示以上に動くのだと』

天乃「………………」

もちろん、知ってる

大熊猫、素戔嗚尊、穿山甲、カワウソ、天火明命達が自己判断で勝手に動いたことはない

けれど、死神と九尾だけは動く

勝手に、自由に

天乃「でも、二人とも知らないって言ったわ」


天乃の言葉に相手は暫く沈黙すると

諦めたのか

それとも、この場は引くつもりなのか

『そうですか』

と、淡々とした言葉だけを流す

天乃「呼んだ理由は、それだけ?」

『いえ、本題は別にあります』

本題が別

つまり、行方不明の件よりも重要であろう問題に対して

少しばかり身構える天乃の姿がモニターにはしっかりと映る

自分の一挙一動が全て撮影されている

そう思うと、酷く落ち着かなかった

天乃「なんなの?」

だから、急かした

それに対して、

『貴女には、犬吠埼の家から移って貰うつもりです』

モニター下部の文章はぶれることなく……告げた




1、嫌よ
2、どうして?
3、どこに?
4、夏凜と二人きり?
5、ふざけないで


↓2


天乃「嫌よ」

『しかし、三好夏凜の報告では犬吠埼風に悪影響がある。と、判断できます』

天乃「それは」

『貴女は本来、いるべきではない勇者。お分かりですか? 貴女は、あの輪の中にいてはならないのです』

わざと、同じことを繰り返す文章を睨みつける

足が動くのなら

両腕が動かせるのなら

今すぐにでも……モニターを砕きたい

そんな苛立ちを覚えた天乃は唇を噛んで、首を振る

『今居るその部屋での生活を強いることもできるのですよ。久遠天乃』

天乃「…………………」

『貴女は特別なのです。その影響は全てにおいて、絶大なのです。自覚するべきです。貴女自身の特異性を』

神樹様の神託を受けることが出来た

満開し続けた園子ですら得ることのできなかった神に抗う術を

銀の命と引き換えに、天乃は得た

精霊を超越した知恵を持つ2体の精霊

悪く言えば異常。良く言えば特別

それが、久遠天乃と言う勇者

天乃「悪影響って言ったって……ただ、不機嫌にしちゃっただけで」

『貴女は勇者部の輪を乱す。邪魔者です』

天乃「っ………」


大赦側の予定としては

結城友奈、東郷美森、犬吠埼風、犬吠埼樹、三好夏凜

この5人で勇者部は完成のはずだった

しかし、久遠天乃の乱入によって、

夏凜の端末の調整は早期に打ち切られることになったほか

本来、転入させるはずだったのを転入させることが出来なくなった

言葉通り、大赦からしてみれば天乃は邪魔者だった

『もちろん、それは勇者部において。ですそれ以外に関してはそのようなことはありませんよ』

天乃「邪魔者なの? 風や夏凜がそう言っているの?」

『彼女達は貴女同様に優しさがあります。思っていたとしても。言う事はないでしょう』

しかし、考えてみてください。と

文字は間髪入れずに流れていく

『日常生活において、全てを世話しなければいけないような者を、邪魔だと思わない人間はいるのでしょうか?』

天乃「っ……やめて」

『彼女達は平気だと言うでしょう。しかし、心身のどこかに疲労は溜まる。不満が溜まる』

天乃「そんなの……っ」

『それでも、貴女は彼女たちの傍で迷惑であり続けますか? それなら、止めません』


右腕だけで自分の体を抱きしめて

天乃は首を横に振る

自分が迷惑になっていることなんて解ってる

自分が邪魔でしかないことなんて解ってる

1から100まで介護が必要な人を……喜んで受け入れるなんて

そんな素晴らしい人なんて滅多にいないなんてことは……解ってる

風も、夏凜も、友奈も、東郷も……そして、樹も

頼っていいと言う。平気だと、大丈夫だと言う

その言葉も表情も……嘘に思えてしまいそうでならない

天乃「私……」

九尾「……いずれにせよ。主様は邪魔者ということで相違はないか?」

天乃「っ」

『………九尾。ですね?』

九尾「主様は世話係を要する。それは今の家じゃろうと、主らの望む場所であろうと変わりはない。相違ないな?」

『…………………』

九尾「現勇者の小娘共はともかく、主らは主様を厄介者。邪魔者だと思っている。相違ないな?」

『…………………』

九尾「答えよ下郎。喰い殺すぞ」


人の姿でありながら、

九尾は白い牙をむき出しにして、怒りを露わにしていた

からかうのが好きだ

困らせるのが好きだ

けれど……愚弄されるのは、大嫌いだ

『やはり、久遠天乃の精霊は自立型の特殊な精霊ですね』

九尾「……………………」

『主である久遠天乃に対して、物事を隠すことも必要であればする。相違ないか? 九尾』

九尾「妾に牙をむかせるのが狙いか? その為に、妾の主様の心を犯したのか?」

『否定はしません。しかし、久遠天乃を犬吠埼の家から動かしたいというのも。目的です』

声なき声の文章だけの存在

それはあまりにも冷淡に、流れ続ける

九尾「……好かぬ。妾は主が嫌いじゃ」

『構いませんよ。わたくしは悪意の精に取りつかれたくはないのでね』

九尾「主様。帰ろうぞ」

そう言って、九尾は天乃の手を引いた


1、帰る
2、帰らない


↓2


天乃「……うん」

天乃は力なく頷くと

そのまま九尾に背負われて、黙り込む

九尾「              」

『…………………』

九尾「              」

体が微動して

九尾が何かを話しているであろう事は解る

でも、モニターの文字列は点を並べ続けるだけ

九尾の口は見えない

天乃「…………………」

帰るのは少し怖い

でも、此処にいたくはない

そう思った天乃が九尾に抱き付く右腕に力を込めると

九尾はハッとしたように目を瞑って――天乃を連れ出した


では、ここまでとさせて頂きます



①九尾が出しゃばってくるまでが狙い
②天乃のビクついている姿を見たい変態
③優しい言葉をかけるはずだったのに、ついついきついことを言ってしまった
④そう言えば自分のもとに孫のような存在として来てくれると思った寂しい老人


いずれか。または全部はずれ



では、再開します



√ 5月3日目 夕(犬吠埼家) ※月曜日

九尾、死神の交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、イベントの判定

↓2

※風、樹、夏凜、東郷、友奈は判定でのみ


死神「クオンサン、ダイジョウブ?」

天乃「ええ、大丈夫よ」

死神「カラダジャ、ナイヨ?」

天乃「……ええ。それでも」

大丈夫。とは、言えない

ただ正論を言われただけ

暴論、あるいは極論に近い正論を言われただけ

でも……不安になってしまった

耳が聞こえないから、背中を向けられたら何を言われているのか解らない

何か隔たりがあれば、何も解らない

もしかしたら、背中を向けた時にはため息をついているかもしれない。悪態をついているかもしれない

どうしてこんなやつを……だなんて、文句を言ってるかもしれない

今、目に見えるドアの向こうで

姉妹だったり、夏凜を加えた3人だったりで喧嘩しているかもしれない

天乃「……………」

樹や風達がそんな人だと疑っているわけでも、信じられないわけじゃない

でもだからって……自分の存在が周りに対してどれ程の枷になっているのか。と

怖くならないなんてことは、今の天乃には無理だった


天乃「……ねぇ」

死神「ナァニ?」

天乃「私……ここにいても良いの?」

死神「クオンサンハ、ヒトリジャイキテイケナイ。ココジャナクテモ、ダレカガイナイト、ダメヨ」

天乃「……………っ」

九尾が話を聞いていた

だから、死神が聞いてないなんてことはないらしく

死神は天乃の言葉のだいぶ先を進んだ答えを返す

死神「クオンサン」

天乃「?」

死神「タタカイデ、アシデマトイ。イル。クオンサンハ、ミステルノ?」

天乃「そんなこと、言わなくたって」

死神「イッテ」

やや強引な死に神を一瞥して

天乃は天井を見つめた


1、守るわ
2、手を貸すわ
3、何もさせないわ


↓2


天乃「守るわ」

死神「ユウシャブハ、ソウイウヒトタチバカリ」

天乃「……………」

死神「シンパイナラ、ワタシガイエノナカノハナシ、ゼンブオシエル」

でも。と

死神は首を振るような動作をすると

天乃の顔に近づき、小さな小さな手で、触れる

死神「キット、クオンサンハソレデザイアクカンヲイダク」

天乃「どうして?」

死神「シンジテアゲラレナカッタッテ、クヤムカラ」

知ったようなことを言う……いや、知ってる

うん、そうだ

確かに私はそういう人間かもしれない

死神「イツキハカクシゴト、ニガテ……ダカラ。ドウシテモ、フアンナラ。キク」

天乃「……そうね」


内々で勝手に盗み聞くようなことをするよりも

正々堂々と、邪魔者なのか迷惑なのか足手纏いなのか

当人たちに聞くべきだ

天乃「樹の方が良いのね?」

死神「ウン」

風も樹も

答えは変わることなく「そんなことない」だろう

しかし、二人に言った際の反応は違うだろうし

どちらかと言えば、樹の方が解りやすいだろう。と

死神は判断していた

天乃「そっか」

死神「ヨンデクル?」

天乃「……ううん。まだいい」

呼ぶかどうかは、まだ決められない

だって、呼んで聞いてしまったら

もう後戻りはできないのだから


√ 5月3日目 夜(犬吠埼家) ※月曜日

九尾、死神、夏凜、風、樹との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、樹
5、風
6、イベントの判定

↓2


天乃「ねぇ、夏凜」

夏凜「なによ」

天乃「本、読まなくなったのね」

夏凜「まぁ……ね」

夏凜はそう言うと

自分の胸の下あたりで掌を上に向け、

空気を掴むようにしながら下に下ろす

夏凜「言ったでしょ、必要なくなったって」

天乃「言ったかしら?」

夏凜「言ったわよ。たぶん」

そうため息をついて

夏凜は少し困ったように目を擦ると、背筋を伸ばす

夏凜「そう言えば、あんたって髪切らないの?」

天乃「長い方が好きなの」

夏凜「結んだりは?」

天乃「着替えさせてもらってるのに、髪まで整えて貰うのは、ちょっとね」


では、ここまでとさせて頂きます


実は久遠さん、変身時以外の髪型は基本的にストレート


22:30ごろからになるかとは思いますが、やる予定になります


夏凜「そっか」

聞いておきながら、

そこまで興味がなかったかのような反応に

天乃は少し顔を顰めて、夏凜を細目で見つめる

天乃「なんなの?」

夏凜「いや……あんたさ。服もファッション云々度外視した着脱のし易さ重視のものしかないでしょ?」

天乃「だから?」

夏凜「なんていうか……」

夏凜は言葉を用意していなかったのだろう

天乃の質問と追及するような瞳から目を逸らして、ん~っと唸る

……なんなのよ。一体

少し不自然さを感じるしぐさに、天乃は小さく息を吐く



1、そう言う所には気を使ってるとでも?
2、なによ。誰かに聞いてって頼まれたわけ?
3、なんなのよ
4、自分はオシャレ出来るって、言いたいわけ?


↓2


天乃「そういう所には気を使ってるとでも?」

夏凜「いや……というか、使ってないの?」

天乃「使うなんて欲張りは出来ないわよ」

夏凜「風や樹なら、頼めば喜んでしてくれるんじゃないの?」

風や樹が髪を整えたいと言われて

面倒くさいから嫌だとか、欲張っているだとか

そういったことを言ったりすることは絶対にありえないだろうし

夏凜が言った通り、むしろそのことを喜ぶ

でも……だからこそ。言えるわけない

相手が喜んでくれるとしても、

手間は手間。迷惑は迷惑。欲は欲

天乃「私は別にこのままでも不自由はないわ」

夏凜「そうかもね……そもそも、結んだりしないそのままだって髪型と言えば髪型だし、おしゃれだし」


天乃「……やっぱり」

夏凜「?」

天乃「やっぱり、貴女。なんか適当じゃない?」

夏凜は大赦から派遣されてきた勇者であり

人並みの学習はしているものの、修行に明け暮れていた日々の中で

オシャレと言うものを学ぶことはなかった

だから、ああしたらいい。こうしたらいいなんてアドバイスはそもそも出来ないことだ

でも……割と普通に返答したはずなんだけど

少し考えた夏凜は、焦りを飲み込んで首を振る

夏凜「そんなことはないわよ。ただ、あんたの言ってることもそうだなって思っただけで」

天乃「本当に?」

夏凜「んなことで嘘なんてつかないわよ」

天乃「……でしょうね」

クスクスと笑う天乃を一瞥する

後ろはもちろん、前髪にも髪留めはなく、

中学生なんだから……まぁ、多分きっと普通なのかも

というか、普通じゃなかったら私も普通じゃないことになるけど……化粧もしてない

装飾品の類を一切持たない天乃は

きっと、それで満足しているのかもしれない


夏凜「………………」

しかし、夏凜自身も気にしたことはなかったが

周りの服装や容姿と見比べると

仕方がないこととはいえ、やっぱり女の子としては可哀想な気がした

着せやすく、脱がせやすいゆったりとしたAラインのような服

装飾品は一切なく、髪はまっすぐ下ろしたまま

身なりに気を使い始めるのは早ければ小学校からで

色々な方面で意識し始める中学生ならば気にしているのがほぼ当たり前と言っても良い

夏凜「でもさ」

天乃「うん」

夏凜「服はともかく、髪くらいは少しくらい整えても良いんじゃないの?」

天乃「………………」


1、出かけられないのに?
2、そうね……でも良いわ。面倒はかけたくない
3、どうしたのよ……今日はやけに食いつくじゃない
4、私で人形遊びしたいのならどうぞご勝手に


↓2


天乃「どうしたのよ……今日はやけに食いつくじゃない」

夏凜「別に深い意味はないわよ」

天乃「浅い意味ならあるの? ただの好奇心?」

夏凜「そう……かも」

夏凜はややためらった様子で呟く

本当に好奇心だろうか

どう思っているのかと気になった

その点だけを言えば確かに好奇心かもしれない

でも………

天乃「ん?」

目の前のほとんど寝たきりの少女の怪訝そうな表情に

夏凜は小さく息をつく

夏凜「あんた、車椅子に乗った時に髪を前に出してたでしょ。東郷みたいに」

天乃「ええ」

夏凜「……いや、ごめん。ただそれだけ」

天乃「良く解らないんだけど」

夏凜「言おうと思った言葉を度忘れしたのよ……」

困ったように言う夏凜を見つめていた天乃は

不意にくすっと笑うと、

天乃「それならあなたはこれから、うっ夏凜ちゃんね」

夏凜「それは止めろっ」

風にだけは絶対に聞かれたくなかった


夏凜「……………」

東郷みたいに髪を前に出してた

だからどうってわけじゃない

でもいつもと違う姿はやっぱり、

いつも感じるものとは違う印象を受けた

だから……いや、だからってわけでもないし

それが必要なわけでもない

夏凜「やっぱり、好奇心だ」

ただストレートに下ろしているだけではなく

束ねていたり、編んでいたり

いろんな服装が無理なら髪型で

ちょっと違う天乃を……なんて

夏凜「……………」

退屈なのよ、ただ。監視しているだけの毎日なんて

そう思いながらも

夏凜は決して、口に出すことはなかった

1日のまとめ

・  乃木園子:交流無()
・  犬吠埼風:交流有(同居)
・  犬吠埼樹:交流有(同居)
・  結城友奈:交流無()
・  東郷美森:交流無()
・  三好夏凜:交流有(同居、気にしない、食いつく)
・     九尾:交流有(子作り)

・      死神:交流有(迷惑、守る)
・    夢路瞳:交流有(招集、承諾)
・     神樹:交流無()


5月の3日目終了後の結果


  乃木園子との絆 19(中々良い)
  犬吠埼風との絆 17(中々良い)
  犬吠埼樹との絆 23(中々良い)
  結城友奈との絆 11(普通)
  東郷三森との絆 15(中々良い)
  三好夏凜との絆 18(中々良い)
   夢路瞳との絆 9(普通)

     九尾との絆 17(中々良い)
      死神との絆 19(中々良い)
      神樹との絆 -1(低い)


では、ここまでとさせて頂きます


明日はいつものようにできればお昼頃からとなります
スレ立ても、その時に行う予定です


では、14時頃から牛歩となるかと思いますが、薦めていきます


√ 5月4日目 朝(犬吠埼家) ※火曜日

九尾、死神、夏凜、風、樹との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、樹
5、風
6、イベントの判定

↓2

※東郷、友奈は判定でのみ


01~10 風
11~20 樹
21~30 夏凜
31~40 東郷
41~50 友奈
51~60 樹
61~70 友奈
71~80 風
81~90 東郷
91~00 夏凜

↓1のコンマ  


樹「おはようございます、久遠さん」

天乃「あら……どうしたの? 学校は?」

樹「まだ時間あります」

通学用の鞄を椅子の脇に置くと

樹は少しだけ。と言って椅子に座る

樹「……久遠さんって、中学生ですか?」

天乃「一応はね」

樹「そう、ですよね」

小学生かもと思っていたけれど、

小学生にしろ、中学生にしろ。学生だ

本当なら学校行って勉強もあるけど……友達や部活仲間との楽しい時間がある

体育祭、文化祭、修学旅行

それ以外にだって、行事がある

それらすべてを、久遠さんは経験できないんだよね

樹「………………」

でも、今日はそれを言いに来たわけじゃ、ない


樹「久遠さん」

天乃「なに?」

樹「何色が好きですか?」

天乃「?」

唐突な好みの問いに天乃は少し黙り込んで、

そうね。と、呟く

天乃「黒かしら」

樹「なんか、ちょっと意外ですね」

天乃「そう?」

樹「久遠さんは明るい人だから、好みも明るいものなんじゃないかなって……勝手に」

ごめんなさい。と

必要のない謝罪を呟いて、樹は黒なんですね。と繰り返す

天乃「それがどうかしたの?」

樹「知りたかったんです」

天乃「そう」

樹「はいっ」


嬉しそうに頷く樹を一瞥して天乃は小さく、息をつく

昨日の夏凜といい、樹といい

何か企んでいるのか、それとも

ただの好奇心だけなのか

……別に、疑ったりしてるわけじゃないけど

でも、気になってしまう

自分に対してかけてくる言葉に、裏があるんじゃないか。と

精霊がいる以上殺されはしないだろう

でも、なにかされる可能性は否定できないし、拒否も出来ない

だから、別に。気にする必要なんてないのに

天乃「………………」

昨日の大赦での話が、まだ脳裏にこびり付いていた




1、好きな色で、なにするの?
2、ねぇ樹……迷惑なら迷惑って言ってね?
3、ねぇ。風は私の事何か言ってる?
4、……ありがとね



↓2


天乃「ねぇ樹……迷惑なら迷惑って言ってね?」

樹「……………」

天乃「樹?」

樹は驚いた様子で目を見開くと

少しして首を振り、目を瞑る

迷惑してるように見えたのかな

嫌々やってるように、見えたのかな

確かに、お世話する内容によっては

ちょっとだけ、本当にちょっとだけ……うぅって思うことはある

でも、

【風「これはちょっと。って思うことがあるかもしれない。でも、それをして貰わなきゃいけない天乃はもっと辛いはずよ」】

お姉ちゃんが言った事を考えたり

お世話されてる時の久遠さんの申し訳なさそうな表情とかを見ていると、そんな風には思えない

樹「迷惑なんて、そんなことはないです」

天乃「……本当に? 気遣って言ったりしなくても」

樹「でも、どうしても迷惑な事を言うなら。そうやって、迷惑かなって思うのを止めて欲しいです」

天乃「だけど――っ」

樹は天乃の言葉が終わるよりも素早く

天乃の両頬をぎゅっと摘んで横に伸ばす

樹「それで、こんな風に嬉しそうにありがとうって。言って欲しいです」


久遠さんがお礼を言わないわけじゃない

むしろ、なにかをしてあげると、

久遠さんは必ずありがとうって言ってくれる

でも……いつも申し訳なさそうなありがとう

嬉しそうに笑っている素振りを見せても

どこかに、申し訳ないなって思いが見える

樹「久遠さんのお世話は迷惑じゃありません。嫌な事でもありません。私達が、頼まれたからしてることでもありません」

天乃「………………」

樹「したいから。やってあげたいから、してるんです」

だから

だからむしろ……

樹「久遠さんこそ、私達が迷惑だったりしませんか?」

部活に連れ出したり、ことあるごとに部屋に来たり

ずっと監視していたり……

樹「……それが迷惑なんじゃないかなって」



1、そんなことないわ
2、そっか……貴女も私と同じように不安だったのね
3、そうね……監視は嫌かな。でも、部屋に来てくれるのは嬉しいわ



↓2

【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ2】
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ2】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1440313909/l50)

では、続きは次スレからになります

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