【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ2】 (1000)

このスレは安価で

結城友奈は勇者である
鷲尾須美は勇者である

を遊ぶゲーム形式なスレです


目的


・バーテックスの殲滅
・秘密の解明
・仲良くなろう


安価

・コンマと選択肢を組み合わせた選択肢制
・選択肢に関しては、単発・連取(選択肢安価を2連続)は禁止
・投下開始から30分ほどは単発云々は気にせず進行
・判定に関しては、常に単発云々は気にしない
・イベント判定の場合は、当たったキャラからの交流
・交流キャラを選択した場合は、自分からの交流となります


日数
一ヶ月=2週間で進めていきます
【平日5日、休日2日の週7日】×2


能力
HP MP SP 防御 素早 射撃 格闘 回避 命中 
この9個の能力でステータスを設定

HP:体力。0になると死亡。1/10以下で瀕死状態になり、全ステータスが1/3減少
MP:満開するために必要なポイント。HP以外のステータスが倍になる
防御:防御力。攻撃を受けた際の被ダメージ計算に用いる
素早:素早さ。行動優先順位に用いる
射撃:射撃技量。射撃技のダメージ底上げ
格闘:格闘技量。格闘技のダメージ底上げ
回避:回避力。回避力計算に用いる
命中:命中率。技の命中精度に用いる


戦闘の計算
格闘ダメージ:格闘技量+技威力+コンマ-相手の防御力
射撃ダメージ:射撃技量+技威力+コンマ-相手の防御力
回避率:自分の回避-相手の命中。相手の命中率を回避が超えていれば回避率75%
命中率:自分の命中-相手の回避。相手の回避率を命中が超えていれば命中率100%


wiki→【http://www46.atwiki.jp/anka_yuyuyu/】  不定期更新 ※前周はこちらに


前スレ
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ1】
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ1】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1437905159/)


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1440313909



天乃「そっか……貴女も私と同じように不安だったのね 」

樹「え?」

天乃「私も貴女も、相手に不安を感じてたってことよ」

天乃は樹達にとって迷惑な存在ではないか。と

樹達は天乃にとって迷惑な存在ではないか。と

互いに互いを、迷惑ではないかと……不安になっていたのだ

なんて……似た者同士なのかしらね

天乃「ふふっ、ねぇ樹」

樹「なんですか?」

天乃「私は貴女達を迷惑だなんて思ってないわ」

樹「……私だって、久遠さんを迷惑だなんて思ったりしません」

天乃の意図に気づいてか

樹は少し間を置いてから同じように言葉を繰り返すと

天乃と見つめあって、おもむろに笑い声を零す

天乃「そういうこと」

樹「はいっ、そう言う事ですねっ」

静かだった部屋。暗かった部屋が、少しだけ……明るくなった気がした


√ 5月4日目 昼(犬吠埼家) ※火曜日

九尾、死神、夏凜、風、樹との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、イベントの判定

↓2


01~10 死神
11~20 九尾
21~30 夏凜
31~40 大赦
41~50 死神
51~60 稲荷
61~70 夏凜
71~80 死神
81~90 九尾
91~00 夏凜

↓1のコンマ  


死神「クオンサン、クオンサン」

天乃「どうしたの?」

死神「イイコト、カンガエタ」

死神は楽しげな声で言いながら

天乃の体に触れると

仮面の奥の赤い瞳をぎゅっと瞑る

天乃「……?」

特別何かが変わった様子はなく、

天乃が困惑していると、死神は赤い瞳を天乃へと向けた

死神「ワタシノチカラ、ミエナクスル」

天乃「そんなことも出来たわね……」

死神「ユウシャニナレバ、アルケル。オデカケシヨウ?クオンサン」

天乃「あらあら……」



1、夏凜にもちゃんと話してからね
2、ふふっ、そうね……良い考えだわ
3、ダメよ。夏凜が困るわ


↓2


天乃「夏凜にも、ちゃんと話してからね」

死神「カリン、イイッテイワナイ」

天乃「言われなかったら……そうね。諦めましょう?」

死神「デカケタクナイ?」

不思議そうな死神に対して

天乃は首を横に振ると、右手を伸ばして

死神の頬であろう部分に触れる

天乃「出かけたいわ。でも、夏凜を困らせてまでは。ね?」

死神「……クオンサンガ、ソレデイイナラ」

少しばかり残念そうに言いながら死神は姿を消し、

少ししてからドアが開く

夏凜「なによ」

天乃「え?」

夏凜「あんたの精霊が呼びに来たわよ。あんたが呼んでるって」


天乃「そこまでしてくれなくてもいいのに」

夏凜「はぁ?」

天乃「こっちの話」

お節介な精霊の事を考えて、少女はくすくすっと笑うと

ベッド脇の椅子を指さして、座って。と、呟く

……なんなの?

以前から精霊が呼びに来ることはあり、

それは何ら不思議なことではなかった

でも、

一つ一つの所作が気になって仕方がない

呼ばれたから?

天乃がからかってくるような奴だから?

それとも……

まだ、好奇心は消えていないから?

夏凜のそんな悩みなどしらず……天乃は



1、ねぇ、お出かけしたいわ
2、ねえ、出かけて良い?
3、私がここからいなくなったら、夏凜は困る?
4、ねぇ夏凜。デートしない?


↓2


天乃「ねぇ、お出かけしたいわ」

夏凜「我慢しなさい」

天乃「どうしても?」

夏凜「どうしても」

夏凜ははっきりと言っておきながらも

どこかばつが悪そうに、下唇を噛む

土曜日や日曜日くらいなら

勇者部の部活とでも言えば、許容して貰える可能性はあるだろう

いや、実際に許可をもらうことは出来た

でも、それ以外の日は……

一週間のほとんどが家の中で、本は読めないテレビも見れない。運動も出来ない

私だったら、耐えられる?

きっと、耐えられない

夏凜「天乃」

天乃「うん?」

夏凜「私は、あんたが可哀想だから連れ出すとか。そういうことは何一つしてあげられないわ」


夏凜「あ、いや……しないわ」

天乃「?」

夏凜「とにかく、あんたに同情なんてしないって言ってんのよ」

何もできない

だからせめて外出くらいはさせてあげよう

連れ出してあげよう。そんな風に考えて

大赦に連絡したが最後、一発で監視任務からさよならバイバイ

適当な後任があてがわれることだろう

夏凜「前に言った通り、私は客観的じゃなくちゃいけないのよ。言い換えれば、第三者の立場」

天乃「だから、同情はしないし関わりもしない?」

夏凜「そう」

天乃「……そっか」



1、ごめんね
2、ありがとう
3、何も言わない


↓2


天乃「ありがとう」

夏凜「は、はぁ? 意味わかんない……」

何もできない

同情さえも、関わってあげる事さえも

そう言ったのに……なんでありがとう。なんて

夏凜「あんた馬鹿じゃないの?」

天乃「どうして?」

夏凜「だって、私はあんたに何もしないって」

天乃「そうね。でも、監視はしていてくれるんでしょう?」

少女は誰しもがそんなことされたくない

そう思うような監視と言う言葉を用いて、少し嬉しそうに笑った

天乃「それってほら。ずっとそばにいてくれる。みたいな意味でもあるわけだし」

夏凜「っ………」

天乃「何を読んでるのか見せてくれないし、意地悪なこと言うけれど。でも、私は夏凜がそこにいてくれるだけで、嬉しいわ」

何か企んでる

悪いことを……たくらんでるんだ。そうに違いない

そんな思考を放り投げる夏凜は……思わず見開いていた眼を閉じて、顔を伏せた


天乃の違う姿が見てみたいと、好奇心を抱いた

監視されるということにでさえ、ありがとうと言えてしまうほど

なにもない天乃の姿に、申し訳ないと、思った

夏凜「……っ」

私は何も悪くない

私は天乃の体をこんなにしたわけじゃない

でも……なんなのよ

なんで、こんな

天乃「夏凜?」

夏凜「          」

自分の胸を押さえつける夏凜に声をかけ

手を伸ばした瞬間、その手は強く弾かれてひりひりと痛んだ

天乃「っ」

夏凜「あ……」

天乃「……ごめん、なんて言ったのか見えなくて」

夏凜「っ」

何で申し訳なさそうな顔をするのよ

あんたが悪いわけじゃないじゃない

あんたが何かしたわけじゃないじゃない

あんたが耳を塞いでいるわけじゃないじゃない……っ


夏凜「私は……私はただ、それが任務だから」

任務だから、監視してるだけ

じゃぁ、任務じゃなくなったら?

お役目解放、家の中にいる必要なし

大喜びで外に駆けだして前みたいに鍛錬に取り組む

夏凜「っ」

そんなこと、出来る自信がない

そんなこと、喜べる気がしない

任務だから

ただそれだけの理由で……ここにいるのだろうか

天乃「そうよね……でも、それでも。ありがとう。かな」

夏凜「………勝手に言ってろ」

変わることのない天乃の言葉に

夏凜は心苦しそうに、言い放った


√ 5月4日目 夕(犬吠埼家) ※火曜日

九尾、死神、風、樹との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、樹
4、風
5、イベントの判定

↓2

※東郷、友奈は判定でのみ


01~10 風
11~20 樹
21~30 九尾
31~40 東郷
41~50 友奈
51~60 樹
61~70 友奈
71~80 風
81~90 東郷
91~00 死神

↓1のコンマ  


死神「ドウカ、シタノ?」

風と樹も帰ってきた夕方

暗くなった部屋のカーテンを小さな手で閉めて

電気をつけると、死神は不思議そうにくるっと回る

死神「イツモナラ、カリンガ、ツケルノニ」

天乃「……私ね、夏凜の事怒らせちゃったかもしれない」

死神「オコッテタ、ノ、カナ?」

人の言葉を話すことが出来るし

ある程度なら感情の起伏もある

しかし、相手の感情を100%理解することは、まだ死神には出来ないのだ

天乃「だって……手、弾かれちゃったんだもの」

死神「イタイノ?」

天乃「ちょっとだけね」


死神「カリンモ、イタイッテイッテタ」

天乃「え?」

死神「エット……」

死神は天乃に近づくと

横になっていても、主張の激しい胸元に小さな手を触れさせると

カリンモ。と、もう一度つづけた

死神「ココヲオサエテ、イタイッテ」

天乃「………………」

死神「カリン、オコッテタノ?」

天乃「……どう、なのかしらね」

雰囲気でもあるい程度察せはするけれど

口を見て、言葉を理解し

顔を見て、感情を理解する

それが相手からの意思を受け取る方法

でも、今回は顔が見えなければ口も見えなかった

だから、どんな感情を抱いているのか。というのは

最後の最後、少し怒っているような雰囲気と表情での「勝手に言ってろ」くらいでしか判断はできなかった


天乃「……貴方はどう思った?」

死神「クオンサンミタイ?」

天乃「?」

死神「クオンサンガ、コウカイシテイルトキミタイッテ、オモッタ」

死神は少し困ったように言って

ウン、ソンナカンジ? ダッタ。ト、オモウ?

と、最終的にもう一度疑問符をつけて、くるりと回る

天乃「…………………」

後悔してた? 夏凜が?

なにに? お出かけを許可できないって言った事?

何もできないって言った事?

でも、それは夏凜がお役目だからこそ、仕方がないことのはず



1、夏凜はなにを後悔してたと思う?
2、風を呼んで
3、樹を呼んで
4、夏凜を呼んで
5、九尾を呼ぶ


↓2


※誰かを呼んだ場合、選択キャラに相談します


風「……夏凜がねぇ」

天乃「ええ」

死神に封を呼んで来て貰った天乃は

死神との会話を含めて

夏凜についての事を話した

夏凜は怒ってるのか

それとも、何かを後悔してるのか

それとも、もっと別の何かなのか。と

風「………………」

夏凜と話した時、特別怒っていると言う感じはしなかった

ただ、少し上の空と言うか

悩みがあるんじゃないかな……とは、思った

風「夏凜は多分、葛藤してるんじゃないの?」

天乃「葛藤?」

風「そっ、葛藤」


風「役目だから~とはいってもさ、夏凜って意外と天乃の気にしてんのよ」

天乃「そうなの?」

風「夏凜が最初、天乃が耳が聞こえないからって何しようとしてたか知ってる?」

天乃「ううん」

風「手話よ。手話。本を買って一個一個頑張ってたのよ、あの子」

風はわが子の成長を見つめる母親のような瞳で

どこか遠くを見ながら、嬉しそうに笑う

絶対言うなと言われたけど

でも、悩ませた夏凜が悪いってことで……ね

風「夏凜は良い子よ」

天乃「知ってる」

風「じゃぁ、解るんじゃない?」

風はそう言うと

ドアの方を一瞥して、困ったように首を振ると

小さくため息をついて、天乃を見つめる

風「任務の責任感と、天乃を思う優しさ。どっちで動くべきか……夏凜が悩んでるんだって」


風「天乃も知ってる通り、夏凜は別に悪いやつじゃないからさ」

天乃「……そうなのね」

夏凜が優しい子だなんてことは、知ってた

でも

そんな風に悩んでるなんてことは知らなかった

言ってくれないと解らないのは当然だと思う

でも、耳が聞こえたら

手が動かせたら

歩いて部屋の外に出ることが出来たら

……ううん

自分が出来ないことのせいにしても仕方がない

天乃「夏凜にありがとうって言ったら、怒るかしら」

風「悩ませることになると思うけどねぇ、ふっふふっ、それはそれでいいかも」

天乃「悪いこと考えてない?」

風「んー……きのせいじゃない?」

あからさまに嘘だと言うような表情で

風はにやりと、笑った



√ 5月4日目 夜(犬吠埼家) ※火曜日

九尾、死神、夏凜、風、樹との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、樹
5、風
6、イベントの判定

↓2


01~10 風
11~20 樹
21~30 夏凜
31~40 東郷
41~50 友奈
51~60 樹
61~70 友奈
71~80 風
81~90 東郷
91~00 夏凜

↓1のコンマ  


風「天乃、どうだった?」

天乃「……チラチラしてたわね」

天乃が歩いたりできないとはいえ

夕食は四人で取る。それが犬吠埼家の決まりな為、

今日も今日とて、風と樹によってリビングで食事をとった時

夏凜は天乃をちらちらと見ていたのだ

何か言いたいけど言えない

本当にそれでいいのかどうかと、躊躇っているような表情で

風「それでいてこっちが見ると、何見てんのよ! だしねぇ」

天乃「貴女が見てるのにね」

風「ほんと、解りやすいったらない」

くすくすと笑った風は

軽くため息をつくと、それで? と、切り出す

風「どうするのよ。天乃は」


天乃「どうするって言われてもね」

夏凜が自分の身の振り方で悩んでいるのなら

寧ろ、天乃は何もしないべきだ

夏凜のやり方を、見守るほかない

第三者ではなく、当事者なのだから

風「あたしとしては、険悪ってわけでもないし傍観するのもアリなんだけど」

天乃「けど?」

風「煮え切らず、うじうじしてるのを見ると背中を押したくなるって言うか、お尻に火をつけたくなるって言うか」

天乃「あらあら」

夏凜は急かされると勢いに走っちゃいそうだし

そうなると……手が付けられなくなっちゃいそうなのよね

少女は困ったように風を一瞥して

弾かれた自分の手の甲を見つめる

どうするか……ではなく、どうしてほしいか



1、私は夏凜と仲良くしたいわ
2、私はいずれ、夏凜と結婚する予定なの
3、決定は夏凜に委ねるわ
4、そう。じゃぁ……任せるわ


↓2


天乃「決定は夏凜に委ねるわ。だから、急かしたりはしないでね」

風「解った」

風は嬉しそうに笑うと

天乃の見つめていた手を握る

天乃「っ、な、なに?」

風「東郷みたいに白いわよね、天乃って」

天乃「まぁ、ね」

東郷よりも外出してなければ運動もしていないのだから

日焼けしたりなんだりしていないのは当たり前と言えば当たり前だった

少し、羨ましい

雪のように白くてきれいな肌

でも、それがまた

差を明確にしているのだと……風は思って首を振る

風「チュウしていい?」

天乃「は?」

風「この肌に、キスマーク的な何かつけてみたいな……と」

天乃「許可すると思ってるの?」

風「そーよねぇ」


風「ちょっとだけ」

天乃「ダメよ」

風「指先!」

天乃「ダメって言ってるでしょ」

異性はもちろん

同性に指先を吸われるのも、あんまり嬉しくないことだ

けれど、どうしてもというのなら

受け入れるしかない。と

天乃は少し顔を顰めて、息を呑む

天乃「……どうしてもしたいの?」

風「え?」

天乃「私の体にキスマークっていうのをつけたいのかって聞いてるの」

風「それはまぁ……なんというか、していいなら」

拒否から一転した態度に

風は頬に浮かんだ汗を拭って、苦笑する

風「でも、冗談だから。してみたいなぁとは思ったけど、冗談だから。ね?」


この流れはまずいかな。と

風はそう言いながら天乃の手を放して、席を立つ

天乃に対していろいろしている風達

その見返りとして求めてくるのであれば

そう言ったことも拒むことは出来ない

そんなことを言いだしそうな、気がしたのだ

天乃「良いの?」

風「いや、そういうことしたら体洗う時にばれるし」

天乃「確かにそうね。じゃぁ、良いのね?」

風「う、うん」

思わず間の抜けた返事をして、風は息を吐く

ちょっとだけドキドキした

色々な意味で

風「…………おやすみ」

天乃「ええ。お休み」

……お風呂入って頭冷やそう

そう思いいたって、風は部屋を出ていった

1日のまとめ

・  乃木園子:交流無()
・  犬吠埼風:交流有(同居、キスマーク、夏凜について①、夏凜について②)
・  犬吠埼樹:交流有(同居、迷惑、好きな色)
・  結城友奈:交流無()
・  東郷美森:交流無()
・  三好夏凜:交流有(同居、お出かけ)
・     九尾:交流無()

・      死神:交流有(お出かけ)
・    夢路瞳:交流無()
・     神樹:交流無()


5月の5日目終了後の結果


  乃木園子との絆 19(中々良い)
  犬吠埼風との絆 22(中々良い)
  犬吠埼樹との絆 26(中々良い)
  結城友奈との絆 11(普通)
  東郷三森との絆 15(中々良い)
  三好夏凜との絆 20(中々良い)
   夢路瞳との絆 9(普通)

     九尾との絆 17(中々良い)
      死神との絆 20(中々良い)
      神樹との絆 -1(低い)


では、ここまでとさせて頂きます


お風呂場

樹「私もキスマーク付けますね」

夏凜「じ、じゃぁ、私も」

九尾「ならば妾も呪印を」

天乃「やめて!」


ストレート天乃は自分用に用意はしてますが
頂いた画像を加工したものなので出せないですね
2歩進んで3歩戻る画力でいずれ描いて参考用に出すかもしれません


では、再開しようかと思います


√ 5月5日目 朝(犬吠埼家) ※水曜日

九尾、死神、夏凜、風、樹との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、樹
5、風
6、イベントの判定

↓2

※東郷、友奈は判定でのみ


01~10 風
11~20 樹
21~30 夏凜
31~40 東郷
41~50 友奈
51~60 樹
61~70 友奈
71~80 風
81~90 東郷
91~00 夏凜

↓1のコンマ  


東郷「久しぶりですね、久遠さん」

天乃「そうね、3日ぶりくらいかしら」

東郷「土曜日の部活からだから……そうね。3、4日だわ」

そんな久しぶりの再会になってしまうのも無理はない

なにせ、犬吠埼家と東郷の家は決して近くはない

ましてや、自転車で楽に。というわけにもいかない東郷が

学校に行けず、家に一日中いる天乃と会うことなど出来るはずがないのだ

天乃「今日はどうしたの?」

東郷「久遠さんの顔が見たかった。というのでは不足ですか?」

天乃「あらやだ……照れてあげない」

東郷「別に照れて欲しいわけではないのですが……」

そう言いつつも

ちょっとばかり期待していた自分に息を吐いて、首を振る

東郷「実際、大した理由はないわ。ただ、顔を見ておきたいと思っただけなの」

天乃「そっか」


天乃「車椅子なのに、わざわざ?」

東郷「………ええ」

ほんの数日合わなくて、寂しくなった。とかではない

しかし、部室で風と樹が天乃についての話をしている時

少しばかり疎外感を感じた

そして、好奇心が沸いた

そして……会いたいと、思った

だから久遠さんの顔が見たかった。と言うのは、嘘じゃない

天乃「わざわざありがとね」

東郷「いえ、お礼を言われるほどのモノでは……」

行きたいと頼めば車が連れて行ってくれる

だから、そう。別に

私に負担があるわけじゃないのだから



1、でも。わざわざ来てくれるなんて……私の事が好きなの?
2、東郷の腕を引いて、ベッドに引き倒す
3、友奈は?
4、私が嬉しいから、ありがとうなのよ。貴女がそう思っていなくても。ね



↓2


天乃「私が嬉しいから、ありがとうなのよ。貴女がそう思っていなくても。ね」

そう言った久遠さんの表情は

とても子供が見せるとは思えないような、

愁いを帯びた笑みを浮かべていて

東郷「………………」

夏凜ちゃんをからかったりして遊ぶ

そう言われている人には見えないほど

大人っぽいと、思った

東郷「……あの」

天乃「うん?」

東郷「私、実は牡丹餅を作ってきたの」

天乃「え?」

東郷「久遠さんの為って言いたいけれど、みんなの為。そこに久遠さんの分もあるの」


天乃「えっと……」

東郷「苦手とは、聞いたけど……」

でも、牡丹餅は友奈ちゃんがほめてくれた食べ物

美味しく作れるように

なんども、何度も……作り続けた和菓子

嫌いな食べ物かもしれない

苦手な食べ物かもしれない

でも、それでも食べて欲しいと。思った

東郷「一口だけでも、良いの」

天乃「………………」

東郷「……駄目、かしら」

恐る恐ると、東郷は天乃に向かって聞いた


1、一口だけなら
2、そこまで言うなら……一つ。頂くわ
3、ごめんね、無理
4、……無理よ。私、味覚がないから


↓2


天乃「そこまで言うなら……一つ。頂くわ」

東郷「口に合わなかったら、そう言って」

天乃「ええ」

口に合うも、なにもない

だって、天乃には味覚がないのだから

東郷「では……」

東郷は濃い目の紫色の丸い和菓子をお箸で小さく切り出すと

一口分のそれを天乃の口元へと運ぶ

天乃「っ」

ぐにゅりと、口の中で牡丹餅が潰れて

舌や頬の裏、歯や唇の裏にまで磨り潰されたもち米が流入していく

味がない。ただ、匂いだけは仄かに甘い

でも、味がみじんも感じられなくて

何とも言い難いものを咀嚼し、飲み込むと

舌の中腹から喉の奥まで

どろっとした液体と固体の混じり合った

中途半端で不快な感触がねっとりと流れ落ちていく

天乃「ぅ………」

天乃は吐きそうになって、ぎゅっと目を瞑る

せっかく作ってきて貰ったのだから……吐くわけにはいかない


東郷「……やっぱり、苦手ですか?」

天乃「っ………」

答える余裕などなく、

天乃は東郷をちらっと見て笑みを返すと

まだ一口しか食べてないわ。と、先を促す

東郷はその仕草に少しばかり疑問を抱きながらも

言われた通りに天乃の口へと一口ずつ、牡丹餅を運んでいく

天乃「んっく……っ、ん……」

最後の一口を口に含んだ天乃は

目元の涙を悟られないように拭うと

ごくっと飲み込んで息を吐く

天乃「……ふぅ」

東郷「どう、でしたか……? 美味しく、無かったですか?」



1、美味しいとは思うけれど。でも、やっぱり苦手だわ
2、ううん、美味しかったわ
3、そうね……でも。嫌いなものは嫌い。かな



↓2


天乃「美味しいとは思うけれど。でも、やっぱり苦手だわ」

東郷「そうですか……ごめんなさい。無理させて」

天乃「ううん、良いのよ。気にしないで」

申し訳なさそうな東郷に対して

天乃は少し困ったような笑みを浮かべながら、首を振る

天乃「貴女の気遣いでも、私が好きになれなかっただけだから」

東郷「そんなっ」

天乃「私の好き嫌いはね。結構頑固なのよ」

くすくすっと自嘲するように笑った天乃は

ありがとね。と、呟いて、項垂れる東郷の頭を撫でる

まだ口腔に残るべっとりとした半固形の感触

その嫌悪感を悟られないように、天乃は東郷が部屋を出るまでずっと

笑みを絶やすことはなく

天乃「げほっけほっ……っ……ぅぇ」

独りぼっちになった部屋で急き込んで、耐え忍んでいた涙を零した


では、ここまでとさせて頂きます


天乃の四肢および聴覚が不自由なことは全員知ってます
ただし、味覚に関しては樹のみ

夏凜は大赦の人間で、世話を任されてはいますが
メインは監視なので、詳細は全くです


では、少しだけ進めようかと思います


√ 5月5日目 昼(犬吠埼家) ※水曜日

九尾、死神、夏凜との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、イベントの判定

↓2


01~10 死神
11~20 九尾
21~30 夏凜
31~40 大赦
41~50 死神
51~60 稲荷
61~70 夏凜
71~80 死神
81~90 九尾
91~00 夏凜

↓1のコンマ  


夏凜「………………」

天乃「………………」

夏凜は天乃の監視だ

だから、風や樹のいない日中は基本的に天乃の部屋で

一緒に過ごしていなければならない

たとえ、どんなに気まずさがあっても。だ

夏凜「………………」

天乃「…………?」

夏凜「っ」

ひしひしと感じる視線に、天乃がちらっと目を向けた瞬間

夏凜は慌てて目を逸らす

……なによ。言いたいことがあるなら言えば良いのに

そう思いながらも、天乃は急かすまいと、口をつぐむ

どうするかは、夏凜に委ねると決めたのだ


夏凜「………………」

いつもなら。そう、普段通りの私なら

会話なんて必要ない

気にすることなんて意味がないって、切り捨てられるのに

話しかけたい。でも、話しかけられない

そのもどかしさに顔を顰める夏凜は

少し長めのため息を漏らすと、天井を見上げて……目を瞑る

何もしてないのに、疲れがたまる

緊張しているのかもしれない

気にしすぎているのかもしれない

そう思った夏凜は、激しく首を横に振って、自分の頬を抓る

緊張なんかしてないっ

気にしすぎてなんか……気にしてなんか、ないっ

夏凜「っ」

天乃「………………」

一人で勝手に悶絶する夏凜を一瞥して、天乃は――



1、言いたいことがあるなら、言って
2、どうしたのよ。何か悩み?
3、逃げ出さないって約束してあげるから。休んだら?
4、ねぇ、夏凜。少しお出かけしない?


↓2


天乃「どうしたのよ。何か悩み?」

恐らくは自分の事だと解っているからこそ

天乃はあえて、そう切り出す

黙り込んで待つよりも、

話題を変に逸らすよりも

怒鳴り散らすのでも良いから

溜めこまず、何かを言った方が

夏凜の為になるかもしれない。と、思ったからだ

夏凜「悩みって……わけじゃないけど」

天乃「そんな深刻そうな顔してるのに?」

夏凜「……うっさい」

夏凜は否定せずに、力のない声でそう言うと

天乃を一瞥して、首を横に振る

夏凜「深刻なわけじゃない。ほんと、些細な問題なのよ。ただ、どちら側に行けばいいのかって、だけなんだから」


天乃と仲良くして、勇者部としての絆を高めて

より完璧で完全なチームワークでの戦闘を可能にするか

自分だけはあくまでチーム外の人間として

ある程度の線引きをして、必要以上にかかわらないようにするか

ただ、それだけなのよ

でもどちらも上り坂で……先が見えなくて

だから、夏凜は迷う

夏凜「周りが求めるのはBの道。でも、私は」

天乃「夏凜は?」

夏凜「………………」

そこまで来ているのなら、もう答えは出ているはずなのに

夏凜は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべて、俯く

私はAの道……仲良くしたいと。思っているのか

夏凜「ねぇ、天乃」

天乃「うん?」


夏凜「………………」

耳を傾ける少女の表情は、優しげだ

向けられる瞳は、温かい

だからこそ。

いや、そうであっても……あるいは、そうであるからこそ

夏凜は下唇を噛んで首を振る

夏凜「本当に必要だと思ったら、相談する」

天乃「……え?」

夏凜「今は……まだ自分で考えたいから」

違う。そうじゃない

自分で考えなければいけないことなのだ

大赦側の言い方を参考にするのであれば

天乃の友人となり【望まれざる者】に成り下がるのか

天乃の抑止力として【望まれる者】であり続けるのか

夏凜「…………………」

そんな答えなど、簡単に出せるわけもなかった


では、ここまでとさせて頂きます



九尾「ん? AかBの乳? Bの乳じゃろ。主は」

夏凜「乳じゃなくて道!」


22時ごろから1時間ほど再開予定です


√ 5月5日目 夕(犬吠埼家) ※水曜日

九尾、死神、夏凜、風、樹との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、樹
5、風
6、イベントの判定

↓2

※東郷、友奈は判定でのみ


01~10 風
11~20 樹
21~30 夏凜
31~40 稲荷
41~50 友奈
51~60 樹
61~70 友奈
71~80 風
81~90 東郷
91~00 夏凜

↓1のコンマ  


風「ただいまー、天乃」

天乃「なんなのよ、いきなり」

風「いやー二人っきりでしょ? 何かあったんじゃないかなって思って」

からかうような口調で言いながらも

風はいたって真面目な表情で問う

犬吠埼家で暮らしているから。それもある

でもやはり、勇者としてもそうだが

友人のようにあるいは家族のように接している天乃と夏凜

2人の事が、風は心配だったのだ

……って、胸張って言えたらいいんだけどね

天乃「何か。ね……どうなのよ。貴女から見た夏凜は」

風「そこまで変わってない気もするわねぇ……」

それはつまり、

まだ何も答えを導き出せていないと言う事に他ならない


天乃「ならもう、聞くまでもないじゃない」

風「そう言われれば、そうなんだけどね」

行き止まりにぶつかった会話が消えていくのを見送るように

風は天乃を見つめて息を吐く

ベッドに横になって

上半身だけを起こし、布団の上、下腹部の当たりで手を重ね合わせながら

窓の外をボーっと見ている天乃は

少し……

いや、きっと夕日のせいもあるのだろうけど……

風「っ……あのさ、天乃」

天乃「?」

風「天乃は夏凜の事、嫌い?」



1、可もなく不可もなく
2、今の段階では、どうにも言えないわ
3、どちらかと言えば、好きね
4、大好きよ。あの子、弄り易くて
5、まあまあね

↓2


天乃「どちらかと言えば、好きね」

風「好きなんだ」

天乃「どちらかと言えば……だからね?」

何か考え出そうとしていた風を見つめて

天乃は呆れたように同じ言葉を繰り返す

好きか嫌いかの二択しかないのなら、

嫌いと言うには、嫌なところがないし

そう思う天乃は視線を感じて、睨む

天乃「なによ」

風「べっつにー?」

天乃「なんなのよ」

にやにやと、苛立ちを覚える笑みを風は浮かべる

何かおかしなことを言ったわけじゃない

馬鹿にされるようなことも言っていない

しかし、風にとっては……弄る絶好のチャンスだったのだ

風「あれれ~? あたし、好きか嫌いかで答えてなんて言ってないぞ~?」

天乃「な……っ」


風「って、思っただけだから」

天乃「普通そうだって思うじゃないっ」

風「だとしても、さらっと好きって言えたわけだし……」

友達や家族を好きだって言ったり、思うのは

何も悪いことではない

むしろ、良いことだと思う

けど……なんでかな

天乃「それが何なのよ……良いじゃない。別に」

風「悪いことじゃないけど」

天乃「じゃぁ、なんなのよ」

風「いや……なんていうか」

追及するような天乃の瞳から目を背けながらも

ひしひしと感じる視線に、風は頬を掻く

風「………………」

そのあと聞こうと思っていた自分への気持ち

それを知るのが怖くなって、からかわれたがゆえの「嫌い」にしようとした。なんて

意味が解らないし、バカげている

自分でしておきながら、そう思った風は天乃を見つめると

風「ごめん。ちょっと、からかってみたくて」

冗談で終結するように、笑いながらそう言った

では、ここまでとさせて頂きます


明日に関しては出来ない可能性もあり、22時が過ぎたら確実に無いと思います


出来そうなので、21:30より、再開予定です


天乃「そう言う気持ち解らなくはないけれど……でも、私そんな感じだった?」

風「……怒ってる?」

天乃「そんなことで怒ったりはしないわよ。私だって夏凜にしてることなんだから」

そう言いながらも

ほんの少し膨れているような天乃を見つめて

風は優しげに微笑む

天乃「なに?」

風「いや、別に」

凄く、弄りがいがある。なんて言えない

不覚にも

そしてあたしも天乃も女の子だけど

可愛いと思ってしまった。なんて言えない

……樹には悪いけど、第二の妹みたいで。嬉しい

風「天乃って、兄か姉がいたんじゃないかなぁって思っただけ」

天乃「……なぜ?」


風「ただの思いつきなんだけど、天乃がお姉ちゃんとか、お兄ちゃんとか。似合うんだよね、言ってるの」

天乃「言ったことないんだけど……」

風「無くてもあるのよ。妹オーラってやつがね」

風はそう言いながらニヤリと笑うと

天乃の肩をポンポンっと叩く

天乃「………………」

嫌な予感しかしない

そう思った天乃正しく、

風はだから。と切り出して

風「あたしのこと、風お姉ちゃんって呼んでくれない?」

と、言いだして、ほら。ほら。と、急かす

天乃「………………」


1、言わない
2、お姉ちゃん
3、お姉さま
4、姉上
5、姉貴
6、姉御
7、……お、お姉、ちゃん?


↓2


風「ほら、一回だけでいいから」

天乃「………解ったわよ」

催促してくる風を見つめていた天乃は

少し困った表情を浮かべると、ゆっくりと目を逸らし

だんだんと紅潮していく頬を指で掻く

天乃「……お、お姉、ちゃん」

ちょっぴり震えた声

照れのある表情

逸れながらも、僅かにこっちへと向く視線

風「っぐ」

可愛い

天乃「これでいいんでしょ……妹馬鹿っ!」

そう言い放つや否や

右手で布団を引き上げて、天乃は顔を覆う

風「       」

風は目を見開いたまま、茫然として

殴られ続けるパンチングボールのような心臓を宥める為に、胸を抑える

……妹だ。天乃は絶対妹だッ!

風はそう確信した


√ 5月5日目 夜(犬吠埼家) ※水曜日

九尾、死神、夏凜、風、樹との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、樹
5、風
6、イベントの判定

↓2

※イベント判定では、風に確変


樹「……なにか、あったんですか?」

天乃「……別に」

樹「久遠さん?」

天乃の食事の手伝いは、普段なら樹だった

しかし、今日に限っては

風が自分がやると言い出し、お風呂までも自分やると、言いだした

流石に全部任せるのは。と、夏凜が言うと

風はそんなの気にしなくて良いから~と、かなり上機嫌で

樹「お姉ちゃんに何かされたんですか?」

その一方で、天乃は少し不機嫌な感じだったのだ

何かあったのは明白だ

天乃「……………」


1、風にね、お姉ちゃんって言わされたのよ
2、ねぇ、樹。私って妹オーラある?
3、ねぇ……樹お姉ちゃん
4、お願いだから掘り返さないで


↓2


天乃「ねぇ、樹。私って妹オーラある?」

樹「妹オーラ?」

天乃「妹っぽいかってこと」

樹「えっと………」

樹自身が妹であり、姉と言う立場を経験したことがないため

妹っぽさがどういったものなのか

それをはっきりとは言えない

自分と照らし合わせてみると、答えはあるにはあるが

それはとても……失礼なことで

樹「解らないです」

天乃「そっか」

樹「お姉ちゃんに言われたんですか?」

天乃「ええ……お姉ちゃんお兄ちゃんって言葉が似合うとか、妹オーラがある。とか」


困ったように言う天乃を見つめて

樹は苦笑いを浮かべると、小さく息をついて

樹「お姉ちゃんがごめんなさい」

と、一礼する

悪気はなかったにしろ

本当に妹かも解らないのに、

そんなこと言うのは、やっぱりちょっと、失礼な気がしたのだ

天乃「別に貴女が謝る事じゃないわ。怒ってもないし」

樹「でも」

天乃「良いから。ね?」

樹「……………」

そう言って微笑む天乃は

妹と言うより、姉のようだと。樹は思って首を振る

これじゃぁお姉ちゃんと一緒だよ……

天乃「樹?」

樹「な、何でもないです!」


樹「……………」

天乃「樹?」

樹「久遠さんって、妹とかいたんですか?」

天乃「えっと……」

妹がいたかどうかなんて、知らない

そもそも、家族構成自体知らない天乃には、どうとも答えることは出来ない

でも、何か答えなければと、思考を巡らせる天乃は

樹を見つめる

樹にだけは、味覚の話もした

いっそ……記憶のことだって話してしまっても良いのかもしれない


1、私ね、実は家族の記憶もないの
2、ええ、いたわ
3、ううん。いなかった
4、そうね……今目の前にいるわよ?



↓2


天乃「ねぇ、樹」

樹「はい」

天乃「私ね、実は家族の記憶もないの」

樹「え……?」

嘘ですよね? とか

何言ってるんですか。とか

普通の人相手になら

冗談めかしているんだろうと、言いだせる

しかし、天乃は違う

耳が聞こえず、両足が動かず、左手も動かない上に、味覚がない

記憶がないと言われても、不思議ではなくて

でも、そんなことはないと、言いたくて

けれど、疑ってかかることは……樹には出来なくて

樹「……それも、色々あった。からですか?」

天乃「ええ」

天乃の残念そうで、寂しそうで、悲しそうなたった一言と表情に

樹までも悲しさを覚えて、俯く

どうして

どうして、世界は久遠さんに対してこんなにも厳しいんだろう

神樹様は、なにをしているんだろう?

そう思わずには、いられなかった


では、ここまでとさせて頂きます
明日は普通にできるかと思います


風「あたしにとっての妹で」

樹「私にとってのお姉ちゃん」

姉妹「嫁いできて、くれませんか?」


SNK「……こんな感じかな~」


では、再開し用かと思います


樹「久遠さんは……悪い人じゃないですよね?」

天乃「さぁね……どうかしら」

自分あるいは人から見て悪くはないとしても

神樹様もとい、神様から見れば悪。という理不尽さがないとは言えない

だって、見ているものが違うんだもの

同じものを見ている人でさえ、答えは十人十色

別のものを見ているのなら、それは言うまでもなく別にしかなり得ないのだ

天乃「貴女は――」

樹「良い人です。久遠さんは優しくて、凄く。良い人です」

天乃に聞かれるよりも早く

樹はそう答えると

嫌でも逃げることが出来ないと知りながら

天乃の体を、ギュッと抱きしめた


天乃「い、樹……?」

樹「こんな体になるまで……ううん、なっても。頑張ろうとしてるんですから」

天乃「………………」

樹「そんな人が、悪い人なわけ……ありません」

樹は顔が見せられず、

言葉が伝わっていないと解りながらも、そう言って

もっと強く、もっと大きく

久遠天乃という存在を知るために、抱擁の力を強くする

天乃「樹……」

樹「…………」

顔を天乃の体に擦り付けるようにしながら

樹はゆっくりと顔を上げると、天乃と視線がぶつかった

樹「今日は、離しません」

天乃「でも」

樹「……絶対です。今日は二人きりで、寝るんですっ」

不満足な体でも頑張り続ける天乃の傍で

自分だけ怠けるわけにはいかないのだと、強い意思を抱いて樹は天乃に寄り添い続けた

1日のまとめ

・  乃木園子:交流無()
・  犬吠埼風:交流有(同居、夏凜③、お姉ちゃん)
・  犬吠埼樹:交流有(同居、妹オーラ、記憶喪失、添い寝)
・  結城友奈:交流無()
・  東郷美森:交流有(嬉しい、牡丹餅)
・  三好夏凜:交流有(同居、悩み)
・     九尾:交流無()

・      死神:交流無()
・    夢路瞳:交流無()
・     神樹:交流無()


5月の6日目終了後の結果


  乃木園子との絆 19(中々良い)
  犬吠埼風との絆 26(中々良い)
  犬吠埼樹との絆 30(中々良い)
  結城友奈との絆 11(普通)
  東郷三森との絆 18(中々良い)
  三好夏凜との絆 22(中々良い)
   夢路瞳との絆 9(普通)

     九尾との絆 17(中々良い)
      死神との絆 20(中々良い)
      神樹との絆 -1(低い)


√ 5月5日目 夜(犬吠埼家) ※木曜日

九尾、死神、夏凜、風、樹との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、樹
5、風
6、イベントの判定

↓2

※東郷、友奈は判定でのみ 樹判定強


01~10 風
11~20 樹
21~30 夏凜
31~40 樹
41~50 友奈
51~60 樹
61~70 友奈
71~80 風
81~90 東郷
91~00 樹

↓1のコンマ  


樹「……zzz」

天乃「……まったく」

離さないと言ったのは、寝るまで。ではなく

寝ていても。だったらしい

樹は天乃の手を体に抱き寄せながら、

余った左手をシートベルトのように、天乃の体の上を横断させていた

天乃「この、引っ付き虫め」

樹「……zzzz」

天乃「………」

元々、右手しか動かせない為、

何をすることも出来ない天乃は普段、何もない天井を見つめるか

カーテンの隙間から見える青空や曇り空を見て

適当な天気予報を考えたり、死神たちと話したりするくらいしかしていない

天乃「……悪くはないわね」

だから、樹の寝顔を見ると言うのも、悪い気はしなかった

……寝言が聞けないのが、残念だわ


天乃「……………」

時間は、朝の6時

風はすでに起きているか

もうすぐ起きると言った時間だが

身体能力的に家事など出来ない天乃は

この時間に起きる意味なんてない

それでも起きるのは、天乃の身体がそう出来てしまっているからだった

天乃「さて」

樹「zzzzzzzzzz」

気持ちよさそうに寝ている樹を起こすのは、少しばかり気が引ける


1、だからって悪戯しないとは限らない
2、寝入る
3、九尾を呼ぶ
4、死神を呼ぶ



↓2


天乃「九尾」

九尾「残念ながら、九尾相談室は平日午前10時から、午後5時までじゃ。出直すがよい」

パタパタと尻尾を振った九尾は

妖狐の姿のまま床の上で丸くなると、寝息を立てる

天乃「そういうの良いから」

九尾「……ふむ。なにか用でもあるのかえ?」

天乃「あるから呼んだのよ……悪いけど」

九尾「その子娘を床に引きずりおろすのか?」

天乃「そんな強引なことしなくて良いし、そうしてとも、言ってないでしょう」

九尾の勝手な発言に顔を顰めると

天乃はそう言って、樹の可愛らしい寝顔を見つめた


九尾「妾の美しい寝顔が見たいのかえ?」

天乃「自分で美しいって言うのはちょっと」

確かに、九尾の顔立ちは美しいと言えるだろう

その容姿もまた、美しいと言えるかもしれない

けれど、九尾のそれはまがい物だからこそ。だ

九尾本来の姿は現在の妖狐であって、女性ではない

もっとも、九尾曰くどちらも九尾とのことだが……

九尾「して、主様よ。妾に何用じゃ」

天乃「……そうね」

九尾もある程度のお願いは聞いてくれるが

死神ほど良心的な叶え方とかではない

お願いをするならするで、気を付けた方が良いかもしれない



1、バーテックスの襲来について
2、久遠天乃の不幸について
3、樹を、樹の部屋に起こさないように優しく戻してきてくれる?
4、東郷は鷲尾の記憶を思い出せると思う?
5、ねぇ、貴女の身体で私を包んでみてくれない?


↓2


では、ここまでとさせて頂きます



死神人生相談室 ※年中無休
九尾悩み相談室 ※平日午前10時~午後17時


では再開使用かと思います


天乃「私の人生って、不幸だと思わない?」

九尾「主様がそう言うのであれば、そうなのじゃろうな」

天乃「……冷たくない?」

九尾「仕方あるまいて。妾は主様ではない。ゆえに、妾は客観的測量しかできぬからな」

天乃「っ」

九尾は少し困ったように言うと

樹の体を揺らさないように、天乃の左手に触れて

そのまま流れるように、天乃の両足に触れる

天乃「ん……」

九尾「主様が人にすべてをして貰う事。人から見れば、それは楽でとても羨ましいものかもしれぬ」

天乃「そんなこと、ないでしょう?」

九尾「では、問いを変えよう。仕事に追われる人間がいたとする。主様は、その人間が不幸だと言うか?」



1、不幸……かしら
2、できる事がある。それはとても幸せなことだと思うわ


↓2


天乃「できる事がある。それはとても幸せなことだと思うわ」

天乃がそう言うと、

九尾はそう言うと解っていたかのようににやりと笑って

くっくっくっと、嘲るような笑い声を零す

天乃「な、なによ」

九尾「あまりにも、望んだ答えじゃったからのう。妾は嬉しいぞ」

天乃「馬鹿にしてる?」

九尾「くくっ……さて、主様は幸せだと言ったが、その人間は幸せだと思っていないかもしれぬ」

天乃の言葉を苦笑で中断させた九尾は

天乃の睨むような視線を気持ちよく浴びながら、

そのまま話を続ける

九尾「仕事、仕事。仕事……いっそ何もできない方が幸せだ。とな」

天乃「そんな……」

九尾「その人間は主様を見て思うのじゃ。お前は良いよな。何もしなくても、周りが全部やってくれるんだから。と」

天乃「………………」

もちろん、その人間がそう思うのかどうかもわからない

しかし、その人の人生が苦しいばかりであるのなら

きっとその人間は天乃の事も考えずに、そう思ってしまうのだ

九尾「人は人の苦を知らぬ。ゆえに、幸福も知らぬ。人に他人の生の幸は決して語ることは出来ぬのじゃよ。主様」


天乃「何も出来ないことが幸せ。だなんて……」

九尾「出来ないことに用はない。人間が望むのは、何もしなくて良いこと。じゃ」

九尾のはっきりした物言いに、

天乃はハッとしたように目を開いて、首を振る

理解が出来ない

何もしなくて良いなんて、そんな

ただ人に迷惑をかけるだけの生活が幸せだなんて

天乃には……理解が出来なかった

九尾「主様のような、人の為の心を持つ者には理解できぬか?」

天乃「納得いかないわ。自分だけ楽してるのよ? そんなの」

九尾「ならば言おう。楽な生が不幸? ふざけるな。と」

天乃「…………………」

九尾「人間とはそういうものじゃ。持つ者は持たざる者を。持たざる者は持つ者を羨む。愚かな生き物よ」


九尾の言葉は……否定を許さない

しかし、現在の人類にそのような人はいないと言っても過言ではなかった

なにせ、小学校の時から一週間の時間割において

かなりの時間を道徳に割いていて

それが少なくとも義務教育の間は続いていたし

それはずっと前から……の、はずなのだ

九尾「見えてる世界は、人間でも違う」

天乃「?」

九尾「のう……主様よ」

天乃「なに?」

九尾「人間同士でさえ同一にモノが見れぬなら、感じられぬなら。神と人はどれほど大きな差でモノを見ているのじゃろうな」

天乃「…………さぁ、ね」

そんなことは天乃には解らない

自称神獣である九尾にでさえわからないのなら

解らないのは当たり前と言っても良いほど、難解なものだった


√ 5月6日目 昼(犬吠埼家) ※木曜日

九尾、死神、夏凜との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、イベントの判定

↓2


01~10 死神
11~20 九尾
21~30 夏凜
31~40 九尾
41~50 大赦
51~60 夏凜
61~70 死神
71~80 稲荷
81~90 大赦
91~00 夏凜

↓1のコンマ  


夏凜「あんた、今日は樹と寝たんだっけね」

天乃「そうだけど……なに? 貴女も一緒が良いの?」

夏凜「え、あー……」

夏凜は変に言葉を伸ばしながら

天乃とは別の方向をじっと見つめて、

不意に、目を見開いて首を横に振る

夏凜「そんなことしないわよっ!」

天乃「そんな大口開けなくたって良いんじゃない?」

夏凜「大口……?」

天乃「怒鳴ったって事」

夏凜「……怒鳴ってないわよ。別に」

天乃は、まるで声が聞こえてるかのように会話を成り立たせる

それゆえに忘れがちだが、天乃は耳が聞こえてはおらず

夏凜が怒鳴ろうと、叫ぼうと

天乃にとっては高低のないただの言葉でしかないのだ


夏凜「そう言えば、あんたって耳が聞こえないのよね」

天乃「ええ」

夏凜「………………」

今更な言葉に困惑しながらも答えた天乃は

ほんの少しだけ顔を顰めて夏凜を見つめる

その一方で、夏凜はおもむろに椅子から立ち上がると

天乃の方に前のめりになって手を伸ばす

天乃「ちょ、なに、夏り――」

夏凜「…………」

右手で右手を抑えて、左手で天乃の目を覆う

振ろうとする首を枕に押し付けて固定し、

震える唇を凝視する

天乃「なんのつもりよ……」

夏凜「………………」

何のつもり……なんだろう

仕方がないとはいえ、

橙色の瞳がじっと見てくるのがなんだか嫌だった

そう言ったら、許して貰えるだろうか?

そう考えた夏凜は、目を塞いでいるままでは意味がない。と

深くため息をつく

その音は、天乃には聞こえない


抵抗してこない

いや、抵抗できない天乃をじっと見下ろしながら

夏凜は息を呑んで、首を振る

こうして何かしたかったわけじゃない

ただ。そうだ

耳が聞こえない状態で、目を塞いだら

どんな反応をするのかと……気になった

夏凜「っ………」

天乃「ねぇ……なにするつもりなの?」

夏凜「……………」

我ながら、なんて馬鹿馬鹿しいのかしら

自分自身に呆れた夏凜は瞬きをすると

天乃の瞳を覆っていた手を退かす

夏凜「……怖かった?」



1、少しだけね
2、全然。私は貴女を信じてるから
3、したいことがあるなら言ったらどう? どうしてもって言うなら、拒否はしないわよ


↓2


天乃「………別に、怖くはなかったけど」

夏凜「けど?」

天乃「………………」

天乃は最初。そして今も

夏凜の悩みには干渉しないべきかとも思っていたが

突拍子もないことをされたりしては、流石に迷惑も重なっていく

天乃「したいことがあるなら言ったらどう? どうしてもって言うなら、拒否はしないわよ」

だから、天乃はあえてそう問いかける

踏み出せない夏凜への懸け橋

本当なら自分から来てほしかった

けれど、それが出来ないのなら……と

夏凜「…………………」

夏凜は天乃の右手を手放すと

沈黙したまま椅子にどっと座り込んで

そのまま顔を上げることなく、俯く


私は勇者だ

それも、勇者を止める為の勇者

止める為なら武力行使も厭わない、冷酷かつ非情でなければいけない

……そうじゃない

私は、勇者を止める為ではなく、討つ為の勇者だ

天乃「夏凜?」

目の前で夏凜の名前を呼ぶ、

非力で、弱弱しくて、脆そうな裏切りの勇者を討つ為の勇者

その為の鍛錬を続けてきた二年間

夏凜「くっ……!」

それが、こんな1ヵ月とかその程度で

無意味になってしまいそうな自分の弱さが腹立たしく、

夏凜はギリッと歯軋りしながら、天乃を睨む

夏凜「だったらっ」

天乃「だったら?」

夏凜「私と勝負しろ! 天乃ッ!」

私の二年間がもう無意味になったのか

それとも、まだまだ意味が有るのか……そして

私は今、本当はどうあることを望んでいるのかを、知るために

天乃「……強いわよ。私は」

夏凜「ふんっ、どーだか」

天乃は夏凜の申出を嫌な顔一つせずに、受け入れる

勝負は夕方、風達が帰って来てから行うことになった


では、ここまでとさせて頂きます

夕方はイベント戦闘
結果が見えてるなんて言わないであげてください


夏凜
http://i.imgur.com/7HCbtFo.png
天乃
http://i.imgur.com/mmzr0Vi.png


wiki修正中……再開は12時以降 遅くて14時頃を予定しています


では、あと少ししたら再開いたします


風「夏凜! 本気でやるの!?」

夏凜「ええ」

風「天乃も?」

天乃「夏凜がやりたいって言うんだもの」

天乃がそう言いながら車椅子のまま砂浜へと向かおうとすると

夏凜は「ちょっと待て」と、車椅子の持ち手を掴んだ

夏凜「そのままやる気?」

天乃「ハンデが必要かなって思ってね」

夏凜「ッ!」

困ったような表情で

おどけたようにそう言う天乃を夏凜は睨みつけ、

天乃の腕を引き上げるとそのまま手を離す

天乃「痛っ……」

当然、立てもしない天乃はそのまま倒れ込み、夏凜を見上げる

夏凜「そのままで、私の攻撃が躱せる? 私に攻撃が出来る?」

天乃「………でも」

夏凜「私も勇者の姿になる。だから、あんたもなりなさい」

夏凜はそう言うと、

倒れたままの天乃に背を向けてあらかじめ定めておいた立ち位置へと向かい

勇者の姿へと、変身した


九尾「さて、主様の気遣い虚しく、小娘は勇者を所望しておるぞ」

天乃「……気遣いなんて、優しいものではないわ」

ただ挑発しただけ

夏凜が人間の夏凜のまま戦うことが無いように

人間のままでも精霊の守りは入るだろう

けれど、勇者と普通の人間では

その耐久値、傷の回復力には差が少なからず出てくる

だから、勇者になって貰う必要があった

天乃「さて、勇者にならないとね」

九尾「妾で良いのか? それとも、黄泉の者がよいか?」

天乃「……なによその選択肢」

九尾「今回、妾は足である必要が無かろう? 偶には……良いではないか」


1、死神で
2、九尾で


↓2


天乃「嫌よ。何か……怖いし」

九尾「主様は酷い女子じゃな……もう良い。勝手に死神に抱かれよ!」

ぷいっと怒ったような表情を逸らした死神は

人間の姿から妖狐へと姿を切り替えると

分け目も振らず駆け出して、そのまま空気のようにどこかへと消えていく

天乃「………なんなの?」

死神「キュウビハイツモ、ノリモノ。ダカラ、タマニハ、ダキツキタカッタ?」

天乃「……それなら日ごろの行いを正さなきゃね」

小さく息をつき、天乃は九尾の頭を撫でて、勇者へと姿を変えると

補助機能であろう触手のようなもので、直立姿勢を維持して夏凜を見定める

天乃「どちらにしても、私の両足は使えないし、左手も使えないわよ」

夏凜「だったら、私も片手でやってあげるわ」

天乃「気遣いは嬉しいけど、両手で来て良いわ」

夏凜「……そう。じゃぁ、木刀を一本受け取りなさい」

夏凜はそう言って自分の木刀を一本投げ渡すと

すぐに身構え、天乃が構えるのを見終えてからすぐに――駆け出した

夏凜「行くわよッ!」


↓1 天乃回避判定

   夏凜攻撃命中率125%  ただし

ぞろ目・01~25で回避 




夏凜「……………」

私は2年間、バーテックスに対しても

そして、対久遠天乃の抑制勇者としての鍛錬を積んできた

いわば、対人戦を散々経験してきたと言う事

それでなくても天乃はただの的だ

両足はぶら下がっていて、左手もぶら下がっているだけ

あの疑似的な足では私の動きについてこれるはずがない

夏凜「………っ!」

天乃「っ!」

変なブラフを作ることなく一直線

足元の砂を蹴り飛ばし、木刀を振り上げて天乃に向かって跳躍

そして、天乃の構えた木刀に振り下ろすと

ガンッ! っと力強い衝撃が腕を伝う

夏凜「ぐっ……っ」


木刀を用いた防御は片腕ながら見事なものだと思った

押し切ろうとしても、天乃側の木刀が柔軟に揺れるせいで力は分散されて逃げていく

でも、分散できるだけ

夏凜「そんなものでぇぇぇっ!」

雄たけびをあげ、支えのない天乃の木刀の剣先へと木刀をスライドさせていく

天乃の左腕が動くのなら

その動きにも確実に対応してきて

今度は、私が防御させられていたかもしれない

でも、現実は動かない

天乃「っ!」

私の木刀が剣先から逃げ出した瞬間、天乃の木刀は上に向いていた力に引っ張られて

跳ね上げられたかのように、腕ごと上へと弾けていく

天乃と仲良くなりたい

天乃をもっとよく知りたい

そんな思いは、そんな願いは

そんな――過ちは

夏凜「斬り伏せてやるッ!」

天乃「ぐっ」

そう叫んだ私の木刀は

天乃の体に強くめり込み、弾き飛ばした


樹「久遠さんっ!」

弾き飛ばされ、倒れ込んだ私に

樹が泣きそうな顔で駆け寄ってくる

胸が痛い

当たり前よね……まともに喰らっちゃったんだから

でも、それだけじゃない

それだけの痛みじゃ……なかった

樹「久遠さん、大丈夫ですか!?」

天乃「……うん」

夏凜「なにが強いのよ。どこが強いのよ。あんた」

天乃「ごめん」

夏凜「期待して損したわ……ったく、さっさと立ちなさい」

悪態をつきながらも、夏凜は助け起こそうと

天乃に手を伸ばした



1、ごめん、一人にして
2、ありがとう
3、悪いけど、樹と帰りたいわ


↓2


天乃「ごめん、一人にして」

夏凜「一人って。あんた一人じゃ帰れないでしょうが」

天乃「良いから……お願い」

天乃は倒れ込んだまま夏凜に告げて、

そのまま樹へと視線を流すと、貴女も。と、付け加える

樹「……解りました。後で、精霊ででも連絡ください」

樹は少しためらいながらも

そう言って、渋る夏凜の背中を強く押して連れていく

天乃「……ありがとう、樹」

その背中を見送り、

天乃は汚れるのは今更だし。と、砂浜に身体を投げ出す

潮風が冷たく

波の音が余計な涼しさを感じさせる

天乃「負けちゃった……」

夏凜に悪いとは思う

でも、

本当なら負けるはずなんてなかった

勝てるはずだった

ハンデがある。だから負けた。それは解る。納得がいく

でも、でも……、でも……っ

天乃「っ……悔しい」


天乃「躱す手も、反撃の手も……全部考えられたのに……」

どれもこれもが、自分の今の身体では不可能だった

左手、右足、左足

どれか一つでも動かせるのなら

たった一つだけでも回避の手が見出せたのに

何もできなかった

本当は強いのに、本当は、もっともっと……

夏凜の期待にだって、応えることが出来たはずなのにっ

天乃「っ…………」

悔しかった

悲しかった

辛かった

苦しかった

天乃「……泣きそう」

冗談交じりにそう言って

天乃は自分の潤んだ目元を拭った


01~10 九尾
11~20 死神
21~30 
31~40 友奈
41~50 樹
51~60 男の人
61~70 東郷
71~80 風
81~90 夏凜
91~00 

↓1のコンマ  


天乃「……あーあ、砂だらけになっちゃった」

風に怒られるかな。なんて

馬鹿みたいなことを考えてくすくすっと笑う

敗者にふさわしいだらしのない格好

地面を這いずって、車椅子に座ろうとする惨めな姿

ほんと……バカみたい

天乃「っ……!」

右手の力だけで体を起こし、

車椅子の足かけに上体を乗せ、

肘かけをつかんで、前のめりに車椅子へと乗り込み

ぐるっと体を反転させて、座り込む

天乃「っはぁっ……はぁっ……はぁ……」

車椅子に座る

たったそれだけの動作で、疲労がたまる事に

天乃はため息をついて、死神に助けを呼ばせた


√ 5月6日目 夜(犬吠埼家) ※木曜日

九尾、死神、夏凜、風、樹との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、樹
5、風
6、イベントの判定

↓2

※判定は樹多め


天乃「ごめんね、一人にしてっていったり、来てって言ったり」

樹「いえ。頼ってくださいって言ったのは私だし……それに……」

天乃「?」

樹「な、何でもないですっ!」

言葉を空気にとけさせた樹は、

天乃の瞳に気づいて、激しく首を振ると

少し照れくさそうに笑って否定しながらも

樹「頼って貰えて……嬉しいです」

と、呟く

天乃「私は頼ってるっていうか、甘えてるような感じなのに?」

樹「私で良ければガンガン甘えてくれても良いですよ」

天乃「……そっか」


少し、ううん

樹がそう言ってくれるのは凄く嬉しかった

樹は年下だけど、

不思議と恥ずかしいと思うことはない

ただ単に、色々なお世話をさせているから、

羞恥心自体を損なってしまっただけかもしれないけれど

樹「胸とか、痛くないですか?」

天乃「全然平気よ。この通り、平常運転」

天乃が笑みを浮かべると

樹は少し悲しそうな表情を一瞬だけ浮かべて首を振る

樹「なら、良かったです」

左腕が動かせたら勝てましたか。なんて言う必要はない

こんなハンデだらけの戦いなんて、勝てる方が凄い。その負けをいつまでも引っ張るなんて

天乃に対して失礼だと、思ったのだ

樹「ところで、どうしたんですか?」



1、今日も一緒じゃ、ダメ?
2、戦闘では、夏凜を頼りなさい
3、笑ってくれてもいいのよ?
4、少しだけ、貴女を抱かせてくれない?



↓2


天乃「笑ってくれてもいいのよ?」

樹「笑いません」

天乃「……あんな簡単に、惨めになるくらいに吹っ飛ばされたのに?」

樹「久遠さんは強いです……私はそれを、知ってますからっ」

それに

あんなハンデだらけの試合なんか、無効試合のはず

だから

そんな、弱いなんて思わないで下さい

惨めだなんて、言わないで下さい

天乃「いつ……」

樹「笑わない。馬鹿にもしない。私は久遠さんの事……絶対に弱いなんて言わない」

天乃「………………」

樹「だから、そんな不安そうな顔しないで下さい。久遠さんの事。妹にしちゃいますよ?」


天乃「い、妹……?」

樹「はいっ、なんだか今の久遠さんは、その……」

天乃「樹?」

樹「と、とにかく、妹っぽい何かを感じますし……」

樹は言葉をあやふやにしながら

ポリポリと頬を掻くと、すっと目を逸らす

甘えてくる

それだけでほんの少しだけ妹っぽいのを感じるのに

弱気な姿を見せられたらもう完全な妹だよ……多分中学1年生だし

東郷先輩みたいな部分があるけど、背は低いし。きっと

でも、それを認めたら私の胸は。で、でも……成長は人それぞれだよ。うん

空気を読まない思考を流して

樹は天乃の柔らかい頬をむにっと揉む

時々、お姉ちゃんがしてくれるように……

樹「私は久遠さんが凄い人だって、知ってるよ。だから、ね?」

樹は笑顔を携えて、そう言った


天乃「……何言ってるのよ」

樹が、風の妹であることを強く感じて

天乃はくすくすっと笑う

天乃「私は凄い人よ」

樹「はい」

天乃「別に、励まされたからとかじゃなく、よ?」

樹「解ってます」

ニコニコしている樹に、

本当に解っているのかと不安を覚えながらも

さっきまでの悔しさとかを拭えた天乃は

小さく息を吐いて、樹を見つめた



1、ありがとね。お姉ちゃん
2、ありがとね、樹
3、ねぇ樹……貴女が良ければ、一緒に寝る?
4、樹。今なら貴女がしたい事。何でもしてあげるから言ってごらん?


↓2


天乃「樹。今なら貴女がしたい事。何でもしてあげるから言ってごらん?」

樹「えっ?」

天乃「キスマークが付けたければつけても良いわよ?」

樹「き、キスマークっ!?」

天乃はそう言うと

自分の首筋の辺りを露出させて、樹を見つめる

天乃「抵抗しないし、後で文句言ったりしないから」

樹「で、ででもっ、お姉ちゃんとかに見られちゃうし……」

天乃「貴女が嫌じゃなければ、お風呂当番を貴女がしたらいいのよ」

樹「……………」

確かにそうかもしれない

キスマークがどんなものかを漫画知識で知っている樹は

紅潮した頬を隠すように両手で顔を追うと、首を振る

でも、でもでもでもっ!

私も久遠さんも女の子だよ……っ!


キスマークに関しては思いっきり冗談でしかないが

何でもする。と言う事に関しては本気だったし

もちろん、樹が天乃にしたいことであっても、受け入れるつもりだった

樹「っ~~~~~~」

天乃「……………」

けれど、樹は思いのほか悩みに悩み、悩みぬいて

困り果てた表情で、ため息をつく

天乃「どうしたの……?」

樹「キスマークじゃなくて、キスでも。だったりしますか?」

天乃「キスって……ぁ、でも。そう、ね。私が上げられる数少ないものだし、欲しければ」

樹「……そうですか」

久遠さんって女の子に恋する人なのかな。なんて考え出した樹は

頭を抱えて、唸る

どうしようっ、どうしたら良いのーっ! お姉ちゃぁーんっ!


困った時の神頼みver.樹


01~10 土曜日半日おつきあい(朝、昼) 
11~20 一緒に寝る
21~30 土曜日丸一日お付き合い
31~40 久遠さんの体
41~50 キスマーク
51~60 土曜日半日おつきあい(夕、夜)
61~70 一緒に寝る
71~80 土曜日半日おつきあい(朝、昼)
81~90 土曜日丸一日お付き合い 
91~00 土曜日半日おつきあい(夕、夜)

↓1のコンマ  


樹「き、今日も一緒に寝るっ!」

即席で作ったクジのようなものから一枚引くと

樹はそう言って、天乃に紙を見せつける

走り書きのような、崩れた文字で書かれた言葉

天乃はそれを一瞥して、樹を見つめる

天乃「良いわよ。貴女がそれだけでいいなら」

樹「それだけって……」

天乃「一緒の布団って言うオプションは如何? 今ならサービスで無料よ?」

樹「サービスなら……じゃ、無いですよっ!」

樹は真っ赤な顔でそう言うと

天乃の両肩を抑え込むような形で、掴みかかる

樹「そ、そう言ういかがわしい言葉はダメです!」

天乃「いかがわしい……?」

樹「漫画でそんな感じのこと言ってましたっ!」

とにかく禁止です! と、一方的な樹の言葉を受け入れて

天乃は樹の事を、迎え入れた

1日のまとめ

・  乃木園子:交流無()
・  犬吠埼風:交流有(同居)
・  犬吠埼樹:交流有(同居、笑う、命令権)
・  結城友奈:交流無()
・  東郷美森:交流無()
・  三好夏凜:交流有(同居、戦闘、敗北)
・     九尾:交流有(不幸、選ばない)

・      死神:交流有(戦闘)
・    夢路瞳:交流無()
・     神樹:交流無()


5月の6日目終了後の結果


  乃木園子との絆 19(中々良い)
  犬吠埼風との絆 27(中々良い)
  犬吠埼樹との絆 33(中々良い)
  結城友奈との絆 11(普通)
  東郷三森との絆 18(中々良い)
  三好夏凜との絆 24(中々良い)
   夢路瞳との絆 9(普通)

     九尾との絆 18(中々良い)
      死神との絆 21(中々良い)
      神樹との絆 -1(低い)


纏めの日にちがずれていたので、>>298で修正


このまま続行します


√ 5月7日目 朝(犬吠埼家) ※金曜日

九尾、死神、夏凜、風、樹との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、樹
5、風
6、イベントの判定

↓2

※東郷、友奈は判定でのみ 樹判定強


01~10 風
11~20 樹
21~30 夏凜
31~40 東郷
41~50 友奈
51~60 樹
61~70 友奈
71~80 樹
81~90 東郷
91~00 樹

↓1のコンマ  


天乃「ん……」

樹「……あ」

天乃「あら……樹」

一緒に寝たのだから

目を覚ました瞬間、目の前にいることは何もおかしくはなかった

でも

樹が起きていたのだ

天乃に揺らされたりしてではなく

天乃が目を開いた瞬間にはもう、起きていたのだ

天乃「寝坊、したかしら」

樹「してないですよ」

天乃「……じゃぁ、どうして、貴女」

樹「そ、そう言う時だってあります」


時間はいつも通りの朝6時

風から言われるのは、ほぼ毎日ギリギリの時間にしか起きない。と言う事だけ

だから、

こういう時間に起きてしまうことがある。と言うのは

あり得ると言えば、あり得るのかもしれない

天乃「眠くないの? 二度寝しても良いわよ? 起こしてあげるから」

樹「大丈夫です……目はばっちり覚めてますから」

天乃「そう……授業で寝たりしない?」

樹「ね、寝たりはしないと思います……」

あたふたした様子の樹は

いつもと比べると、ほんのりと顔が赤い

もしかしたら……


1、熱でもあるの?
2、額と額をくっつけて検温
3、……どうかしたの?
4、なに? 首筋にキスマークはもう出来ないわよ?


↓2


天乃「熱でもあるの?」

そう言って顔を近づけると、

樹は違います。と、言い放って天乃の胸元に手を押し当てる

樹「っ」

天乃「っ」

底なし沼に飲み込まれるような、圧倒的な質量

それがありながら、相反する弾力を持ち、

手の平だけでなく、手の甲にまで

満ち潮によって段々と岩場を飲み込んでいく波のような感覚が押し寄せてくる

樹「ぅ……」

沈みそうで沈まない手の甲は、海に浮かぶ孤島となって

取り残された理性はその中心で、息をつく

揉むか揉まれるか

その二択………それなら――

風「んー、樹はここかぁ?」

樹「っ!」

お姉ちゃんの声が聞こえた瞬間

慌てて手をひっこめて、布団の中に隠す

それと同時にドアが開き、

お姉ちゃんは私の頭が布団から見えているのを確認したのか

風「天乃。どうせ起きてるんでしょ?」

天乃「え、ええ」

風「悪いけど、時間までには樹のこと、起こしてくれる?」

天乃「解った」

そう言うと、もう一度ドアが閉まる音がして

足音は遠ざかって行った


樹「っ……ごめんなさい、久遠さん」

天乃「別に良いけれど……大丈夫?」

樹「は、はい」

さっきよりも顔を赤くした樹

それに対して心配そうな表情を浮かべる天乃に対して

樹は苦笑いを浮かべると、もう起きますね。と言うや否や

ベッドから飛び出していく

天乃「……本当に大丈夫なのかしら」

九尾「なぁ、主様よ」

天乃「九尾?」

何の前触れもなく現れた九尾は

天乃の呼びかけに反応することなく、問いを続ける

九尾「主様は男が好きか?」

天乃「おのこって……男の子?」

九尾「いかにも。付け加えるのなら、恋慕じゃぞ?」

天乃「恋慕……まぁ、恋愛とかはまだ未経験だけど。多分、普通に男の子と恋愛するんじゃない? それが?」

九尾「いや、なに。主様を妾の嫁にする方法を考え着いたのじゃが、強引の方が、面白いじゃろう?」

天乃「絶対にならないからね?」

九尾「くっくっく。それは残念」

残念と言いながらも

九尾はそこはかとなく嬉しそうに、笑っていた


√ 5月7日目 昼(犬吠埼家) ※金曜日

九尾、死神、夏凜との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、イベントの判定

↓2


01~10 死神
11~20 九尾
21~30 夏凜
31~40 大赦
41~50 死神
51~60 稲荷
61~70 夏凜
71~80 死神
81~90 九尾
91~00 夏凜

↓1のコンマ  


夏凜「………………」

天乃「………………」

夏凜は朝もそうだったけれど

積極的に話しかけようとする姿勢はなくなったように感じる

その変わり。というにはやや違いすぎるかもしれないが

どこかピリピリとした空気を常に放っていた

天乃「ねぇ」

夏凜「……なによ」

天乃「えっと」

夏凜「用がないならいちいち話しかけてこないで」

天乃「なんでそんな突っぱねるのよ……」

夏凜は言葉も、以前より厳しくなった。ような気がする


夏凜「元々そう言う役目だったからよ」

天乃「でも、昨日までは」

夏凜「昨日までは、でしょ」

そう言った夏凜は

目を伏せて、寂しいオーラ全開の天乃を見つめて、ため息をつく

別に夏凜とて突っぱねたいわけではない

しかし、戦闘能力的な危険人物ではないことが定かになった以上

下手に関わることは避けるべきなのだ

夏凜「私は、決めたのよ」

天乃「なにを?」

夏凜「あんたとはこれ以上仲良くならないって」

天乃「……仲良くなろうとしてくれてたの?」

夏凜「ぁ、ちが、も、もうなっちゃってるって意味よ!」

天乃「仲良くなったって思ってくれてたのね」

夏凜「ぅぐ………」

邪推するならば、これも策略

しかしながら、純度の高い瞳にそんな謀略を垣間見ることさえ出来ず

夏凜は早々に追い詰められて、目を覆った




1、でも。そうよね……貴女はお役目があるものね
2、嬉しいわ
3、ふふっ、どうしたの?
4、私が弱かったせいで、こうなっちゃうの?



↓2


天乃「嬉しいわ」

夏凜「あ、あんた――」

天乃「大赦の人は、あの新人の人はともかく。みんな冷たくて……」

園子は元から友人であるため、

冷たいなんて言うことはないが

大赦の職員のほとんどから、天乃は冷遇されていたのだ

天乃「だからね、嬉しいのよ。貴女が仲良くしてくれてたのが」

夏凜「わ、私は仲良くなんてっ……してな……っ」

天乃「だからね、夏凜。ありがとう」

夏凜「っ…………」

仲良くしないと言ったのに

冷たくあしらうそぶりを見せたのに

なんで、なんでっ……なんで天乃は……

夏凜「っ」

力強く握りしめた拳

手の平に爪が突き刺さってピリッと痛む

夏凜「馬鹿じゃないの……あんた」

天乃「え?」


夏凜「そういえば、私が考え直すとか思ってるわけ?」

天乃「ううん」

夏凜「ほらやっぱ……えっ?」

天乃「貴女がそう決めたなら、それで良いわ。寂しいけど、でも。それがお役目ってものだからね」

お役目の辛さそして非情さを知っているからこそ

天乃は悲しいと言う感情を押し隠しながらも、笑みを浮かべて、夏凜の頭に手を伸ばす

天乃「たとえひと時でも私を友人だと思ったのなら、突き放したりしないで」

夏凜「わた」

天乃「貴女は優しい子だもの。辛いでしょう? だから、必要な時だけここに来る。そうした方が良い」

夏凜「っ……………」

突き放さないで。そう言ったから考え直してほしいと言うかと思った

けれど、それどころか

自分の事は気にすることなく、夏凜の事を気にする言葉に

夏凜は顔を顰めて、首を振る

夏凜「そ、そんなこと出来るわけないじゃない……っ、私は、役目があるんだから!」

いきり立った夏凜の足に蹴飛ばされ、

椅子が音を立てて倒れ、場の空気を断ち切る

夏凜「っ!」

その瞬間、夏凜ははっとしたように体をビクつかせると

すぐに椅子を起こし、逃げるように部屋を出て行った


√ 5月7日目 夕(犬吠埼家) ※金曜日

九尾、死神、風、樹との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、樹
4、風
5、イベントの判定

↓2

※東郷、友奈、夏凜は判定でのみ 夏凜判定 低


01~10 風
11~20 樹
21~30 九尾
31~40 東郷
41~50 友奈
51~60 樹
61~70 友奈
71~80 風
81~90 東郷
91~00 夏凜

↓1のコンマ  


ではここまでとさせて頂きます


まだ先ですが、9月3日はでき無い予定です
明日は東郷さんイベントから


では、少しずつ進めて以降かと思います


東郷「こんばんは、久遠さん」

天乃「あら、東郷じゃない。どうしたの?」

東郷「友奈ちゃんの代わりに、様子を見に来ました」

東郷は少し困った表情で言いながら

ゆっくりと車椅子を動かして、天乃のもとへと向かう

友奈は現在、運動部系の依頼のほとんどを請け負っている為

中々、顔を出すことが出来ないのだ

本来なら風と分担してやるのだが

食事等の世話に関しては風が必要不可欠

その為、

風が放課後、長く残っていることは出来ず

必然的に部活動のスケットなどは友奈一人で担当することになってしまっているのだ

天乃「……なるほど、悪いわね」

東郷「久遠さんは何も悪くないわ」

天乃「ううん、悪いのよ」

だって、私の世話があるから。なんだもの


そんな気持ちを読んだのか、

東郷は天乃を見つめると、笑みを浮かべた

東郷「風先輩、大喜びですよ。もう一人妹が出来たって」

天乃「……何言ってるのよ」

東郷「そして、2人も家族が出来たって」

天乃「………………」

天乃がいることで、犬吠埼家に来た三好夏凜

そして、それを待ちわびていたかのように、空いていた席と部屋

すっぽりと収まったあの日

最大で6人。でも、4人で使うような食卓に

しっかりと、4人が集ったあの日

風と樹がとてもうれしそうだったのを、私は知ってる

東郷「久遠さんがここにいる事。それを悪いなんて言う人は、きっといないわ」

天乃「大赦にも?」

東郷「それは解らないけれど。少なくとも勇者部のみんなも、私も。そして夏凜ちゃんもきっと、言わないと思うわ」


東郷の自信に満ち満ちた言葉を受けて

天乃は少しばかりぼーっと東郷を見つめると

おもむろにくすっと笑って「そうね」と、呟く

天乃「貴女達はそう言う人だものね」

東郷「そうですよ? だから、あまり暗い顔してるともっと子ども扱いされかね……あっ」

天乃「……どういう意味?」

東郷「い、いえ。忘れてください」

天乃「東郷」

東郷「なんでもな」

天乃「東郷」

東郷「………………」

天乃の冷たさを感じるような鋭い目つきに、

東郷は耐えきれず目を逸らして、息を吐く

東郷「怒りませんか?」

天乃「場合によっては」

東郷「その……私達の間では、久遠さんは妹扱いになってます」

天乃「………………」

九尾「ふっ」

天乃「笑うなッ!」


天乃「なんでそんなことになってるのよ」

東郷「実は、お昼の事なのだけど……」

東郷はそう言うと、ことの顛末を天乃に簡潔に伝えた

天乃は犬吠埼家でどの位置にいるのか。という話になって

風が妹。と言い、樹がお姉ちゃんであり妹っぽいと言い

友奈が解らないと言い、東郷がなら2対1で妹ね。と言ったらしい

天乃「貴女ね……」

東郷「すみません、まさか本当に妹扱いで決定するとは思わなくて」

天乃「まったくもう……」

深くため息をついた天乃は

東郷から目を逸らして……窓を眺めた



1、もう、東郷なんて嫌いよ
2、どうせ、背が低いわよ
3、ところで、学校で変わった事とかない?
4、ねぇ、どうしたら夏凜と仲良くなれると思う?
5、ねぇ東郷、今日は樹、具合悪くなかった?


↓2


天乃「ところで、学校で変わった事とかない?」

東郷「変わった事……ですか。とくには思い当たらないですね」

東郷は少し考えながらも、申し訳なさそうに首を振る

学校生活を思い返してみても

普段と変わったことは無かった。と、思う

でも、学校の中ではなく

外での事も加えるのなら……一つだけ

東郷「でも、これを見てください」

天乃「?」


      ~~~~~~~~~~~讃州中学緊急便り~~~~~~~~~~~~

        近頃、讃州中学校付近で不審者の目撃情報があります。
        当校の近くと言う事で、偶然かとは思いますが、
        当校の生徒による目撃情報が多数寄せられてます。
        狙いが当校および生徒とは限りませんが、
        念のため、一人での下校はしないようにしましょう。

        また、怪しい人を見かけた場合はすぐに通報・助けを呼びましょう

      ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

東郷「月曜日から、だそうです」

天乃「……不審者ね」


天乃「友奈は?」

東郷「友奈ちゃんはもう家に帰ったって連絡ありました。疲れてへとへとだ~って」

天乃「……そう」

讃州中学校が狙いなのか

それとも、讃州中学の生徒が狙いなのか

気になるのは、月曜日から。という点

それまでなかったのだから、日曜日あるいは土曜日に

讃州中学関連で何かあった。と、考えるのが自然でしょうね

天乃「東郷、私に会いに来るなんてしなくて良いから。友奈と帰りなさい。それか、みんなで帰る事」

東郷「……なるべくそうします。でも、ちゃんと会いに来ます」

東郷はそう言うと

そろそろ帰りますね。と、部屋を出ていく

九尾「妾ではないぞ」

天乃「解ってるわよ。そんなことは」

……少し、心配だわ


では、ここまでとさせて頂きます





大赦仮面「不審者……どこだ!」

警官「お前だよ」


では、再開しようかと思います


√ 5月7日目 夜(犬吠埼家) ※金曜日

九尾、死神、夏凜、風、樹との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、樹
5、風
6、イベントの判定

↓2

※夏凜は判定でのみ。確率低


ごめんなさい、夏凜は選択できないです
消すの忘れてました


下記でお願いします



√ 5月7日目 夜(犬吠埼家) ※金曜日

九尾、死神、風、樹との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、樹
4、風
5、イベントの判定

↓2

※夏凜は判定でのみ。確率低


01~10 風
11~20 夏凜
21~30 樹
31~40 風
41~50 稲荷
51~60 樹
61~70 九尾
71~80 風
81~90 樹
91~00 夏凜

↓1のコンマ  


夏凜「……………」

天乃「……どうしたの?」

夏凜「いつもの監視」

夏凜はぶっきらぼうにそう言うと、

ベッド脇の椅子にどっと座り込んで、ため息をつく

でも、監視と言いながら

夏凜の目は、私に向かない

天乃「………………」

部屋には重苦しい沈黙が流れて

呼吸さえもビクビクと怯えて、必然と小さくなっている

そんな気がした

夏凜「……私は別に、優しくなんてない」

天乃「え?」

夏凜「優しくなんてないわよ……私は」


そんな中で、夏凜は唐突にそう言うと

元気のない瞳を天乃へと向けて、首を振る

夏凜「あんたがまともに動けないのを知っていながら、本気で殴った」

天乃「………………」

夏凜「素手じゃなくて、木刀で」

自分の迷いを断ち切るために

自分の愚かな思いを切り伏せる為に

夏凜「私はあんたを本気で……っ」

未だにじんわりと反動の残る両手

目を瞑れば、

鈍い感触、鈍い音、どこからか響く悲鳴、聞こえたうめき声が蘇る

夏凜「……なのになんで、あんたは私を気遣うのよ。ありがとうなんて、言ったのよ!」

天乃「……………」

罪悪感ゆえの理不尽な怒りだと解っていても

夏凜はそう、叫ばずにはいられなかった



1、障害がある私にとって、誰かといられる時間、誰かと話せる時間は何よりも。楽しいのよ。幸せなのよ
2、だって、貴女は私の友達だもの
3、理由がどうであれ、貴女は私の傍にいてくれたからよ
4、殴られたのは私が弱かっただけ。貴女に非はないわ
5、引き寄せる


↓2


天乃「まったく」

天乃はそう言いながら、夏凜の手を強引に引っ張って

自分のもとへと引き寄せると

右腕だけで、抱きしめる

天乃「馬鹿な子ね、貴女は」

夏凜「       」

天乃「そんな難しく考えなくても良いくらいに、簡単よ」

夏凜「       」

拘束から抜け出そうとする夏凜がもがく

それでもまったく拘束の手を緩めず、天乃は笑みを浮かべる

何も聞こえない

だからこそ、一方的に言葉をぶつけることが出来る

天乃「たとえ、一時でも。楽しい時間をくれた貴女が大切だからに決まってるじゃない」

夏凜「        」


腕の中で夏凜が暴れるのを止めると、

ぎしぎしと騒がしかったベッドの軋みが止み、再びの静寂が場を包む

テレビを見る事、本を読むこと

ゲームすること、運動すること、食べる事

何もかもを楽しめなくなった天乃にとって

誰かと一緒にいる事、誰かと話をしていることが唯一、楽しいことだった

だから

たとえほんの一握りの時間であっても、

傍にいて、話をしてくれた夏凜の事を

天乃は友人だと思っているし、大切に思っていた

天乃「貴女を気遣う理由なんて、それで十分よ」

夏凜「          」

天乃「聞こえない聞こえない」

夏凜「          」

冗談ではなく、本当に聞こえない天乃は、

それさえも良いように扱って、くすくすと笑った


01~10 継続

11~20 
21~30 
31~40 継続

41~50 
51~60 
61~70 継続

71~80 
81~90
91~00 

↓1のコンマ  


夏凜「………………」

片腕だけのくせに、まったく抜け出せそうにない

馬鹿力

いや、私が抜け出したくないと。思っているのかもしれない

夏凜「……………」

馬鹿はどっちよ、天乃

私はあんたの傍にいるだけ

楽しくお喋りしたりなんてしてもいない

それでも、大切だから。なんて……

夏凜「……お人好しも、度が過ぎてるわよ」

どうせ聞こえない

どうせ解らない

だからこそ、夏凜は小さくため息をついて、笑みを浮かべる

夏凜「あんたのこと、友達……くらいには。思っといてあげる」

天乃「聞こえない聞こえない」

夏凜「聞こえないから言ってんのよ、馬鹿」

夏凜はそう言って

天乃の背中に回した腕に、少しだけ力を入れた



では、ここまでとさせて頂きます
明日はやるかと思いますが、明後日はないかと思います

1日のまとめは明日の早朝か、明日の再開前に




九尾「…………くふっ」

夏凜「!?」

九尾「のう、主さ」

夏凜「やめろーッ!」


では、再開します

1日のまとめ

・  乃木園子:交流無()
・  犬吠埼風:交流有(同居)
・  犬吠埼樹:交流有(同居、熱)
・  結城友奈:交流無()
・  東郷美森:交流有(交流、変わった事)
・  三好夏凜:交流有(監視、嬉しい、引き寄せる)
・     九尾:交流無()

・      死神:交流無()
・    夢路瞳:交流無()
・     神樹:交流無()


5月の7日目終了後の結果


  乃木園子との絆 19(中々良い)
  犬吠埼風との絆 28(中々良い)
  犬吠埼樹との絆 35(中々良い)
  結城友奈との絆 11(普通)
  東郷三森との絆 20(中々良い)
  三好夏凜との絆 28(中々良い)
   夢路瞳との絆 9(普通)

     九尾との絆 18(中々良い)
      死神との絆 21(中々良い)
      神樹との絆 -1(低い)


√ 5月8日目 朝(犬吠埼家) ※土曜日

九尾、死神、夏凜、風、樹との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、樹
5、風
6、イベントの判定

↓2

※東郷、友奈は判定でのみ 友奈判定高め


01~10 風
11~20 樹
21~30 東郷
31~40 友奈
41~50 夏凜
51~60 風
61~70 友奈
71~80 樹
81~90 友奈
91~00 東郷

↓1のコンマ  


友奈「久遠さーんっ!」

天乃「ゆ」

友奈「お久しぶりですっ」

部屋に駆け込むや否や、

天乃には意味のない大声で叫んだ友奈は

椅子に座るよりも先に

ビシッっと敬礼して、天乃に微笑みかける

天乃「えっと……結城結城さん。だったかしら」

友奈「ゆ、結城友奈です!」

天乃「あぁ……そう。そうだったわね。忘れてた」

友奈「!」

天乃の言葉に、笑みを崩した友奈

表情は寂しげで、頬には汗が伝う

そんな友奈を一瞥し、

天乃は首を横に振ると、笑みを浮かべた


天乃「ごめんね、そんな悲しそうな顔しないで。ちゃんと覚えてるから」

友奈「久遠さんっ!」

天乃「ふふっ、ごめんね」

怒ったような友奈は

言葉通り「ような」。でしかなく、

全然可愛らしい姿を見つめる天乃は嬉しそうに謝罪を口にする

はっきり言えば、全く反省していないのだ

友奈「全然会えなかったから、本当に忘れちゃったんじゃないかって……」

天乃「ほんの一週間程度よ? 忘れたりしないわ」

友奈「でも……」

友奈はもう一度寂しそうな表情になると

小さく首を振った



1、どうしたの?
2、何か嫌な事でもあった?
3、友奈の出方を待つ
4、正直に言えば、少し寂しかったわ
5、大丈夫よ。貴女みたいなかわいい子。忘れるわけないわ


↓2


天乃「嫌なことでもあった?」

友奈「嫌なことは、別に」

天乃「そうなの? なら――」

友奈「でも」

天乃「?」

友奈「……………」

それは別に嫌な事じゃない

友奈は嫌な事だと言う事だけは否定して口を開く

友奈「樹ちゃんも、風先輩も、東郷さんも。みんな久遠先輩の話、するんです」

天乃「私?」

友奈「昨日はどうだったとか、こうだった。とか、なにしたとか、色々」

天乃「あらあら」

友奈「私が久遠さんに会えないから教えてくれてるのかなーって言うのは解るんだよね」

天乃「何か不満?」

友奈「ううん、不満じゃないよ。でもね、ただ聞くことしかできないのは、なんだか寂しいなって……」

そう言って、

えへへっ、我ままだよね。と、友奈は困ったように笑った


天乃「寂しい……ね」

友奈「久遠さんの事を聞けば聞くほど会いたいなって強く思うようになっちゃったからかな」

天乃「そんなに私に会いたかったの?」

友奈「うん」

友奈は曇りのない満面の笑みでそう答えると

だから。と、続ける

友奈「今日……というか、お休みの日が凄く待ち遠しかったよ」

天乃「そっか」

友奈「うんっ」

いろいろしているとはいえ、

かなり仲が良いとまではいかない友奈はそんなことを言いながら

にこにこと、嬉しそうな表情を浮かべる

ほんと、良い性格をしてる

ほんと、嫌な性格をしてる

天乃「期待は、無碍にされなかった?」

友奈「まだわからない。かな……」

友奈は何かを隠しているような素振りでそう言って、目を逸らした


では、ここまでとさせて頂きます

明日は予定では投下はなく、
やるとしてもwikiの編集くらいになるかと思います

明後日は通常通りにやる予定です



土曜日。つまり翌日は日曜日。つまり……tまり


では、進めていこうかと思います

√ 5月8日目 昼(犬吠埼家) ※土曜日

九尾、死神、夏凜、風、樹、東郷、友奈との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、樹
5、風
6、東郷
7、友奈
8、イベントの判定

↓2


01~10 風
11~20 樹
21~30 夏凜
31~40 東郷
41~50 友奈
51~60 樹
61~70 夏凜
71~80 友奈
81~90 風
91~00 東郷

↓1のコンマ 


東郷「早速、久遠さんに会いに行ったみたいですね」

天乃「ええ、朝からいきなりよ」

東郷「友奈ちゃん、凄く会いたがってたから……」

東郷は品のある微かな笑い声を漏らしながら

天乃を見つめる

別段、天乃に嫌がっている様子はない

……よかった

ホッと息を吐いて、胸中で胸をなで下ろす

東郷「今日は楽しみですね」

天乃「?」

東郷「えっ……?」

天乃「何の話?」

東郷「………………」


東郷「えーっと……」

天乃「なに?」

友奈が意図して言わなかったのか

それとも、久しぶりの再会で喜んでいたから、

言うのを忘れてしまったのか

はかりかねた東郷は困ったように首を振って

言わないのは迷惑よね。と、

ドッキリ的な予定だった場合の謝罪の句を考えつつ、口を開く

東郷「実は今日、みんなでお泊りするのよ」

天乃「……どこで?」

東郷「風先輩の自宅……つまり、ここで。よ」

天乃「……私、何も聞いてないのだけれど」

東郷「やっぱり……」



1、夏凜は良いって?
2、誰の発案?
3、部屋割りとかって決まってるの?
4、なに? もしかして私って嫌われてるの?


↓2


東郷のやっぱり。という言葉が多少気になったものの、

天乃はそれを切り捨てるように目を閉じると、

少ししてから東郷へと目を向けた

天乃「部屋割りとかって、決まってるの?」

東郷「それは、まだ」

天乃「……そう」

別に嫌いな人がいるなんてことはないし、

誰と一緒になろうと別に気にしない

あまり関われていない友奈から、一番親しいかな。と、

自分なりに思っている樹まで

誰であろうと別に良いけれど、やっぱりそこは気になったのだ

相手によっては話題を用意しておきたいしね

まぁ、テレビもなにも見れないし聞けないから

用意することなんて出来はしないんだけど

天乃「まぁ、東郷ではないでしょうね。きっと」

東郷「そうね……残念だけれど」


要介護である天乃

そして、足の動かない東郷は

車椅子があるとはいえ、同室にはできないだろう。というのが

天乃と東郷二人の揃った見解だった

東郷「でも、一日……ううん、寝るときだけなら別に動けなくてもいいと思うの」

天乃「まぁ、そうね」

東郷「けれど、風先輩のことだから」

天乃「なにかあるの?」

東郷「大した問題はないのよ? でも、くじ引きで決めよう。とか言いそうな気がして」

問題はないと言いつつ、

ランダム性の非常に高いくじ引きで決まる可能性を考える東郷は

少しばかり困ったように、笑った

天乃「なら、同じ部屋になったら宜しくね」

東郷「こちらこそ、よろしくお願いします」

決まったわけではないけれど

でも、二人はどうなるのかわからない夜のことを考えて、挨拶を交わした


では、此処までとさせて頂きます
明日は普通に通常通りとなると思います

土曜日ですので、22時半からの再会もありえます


くじ引き=コンマ


では、遅くなりましたが再開しようかと思います


√ 5月8日目 夕(犬吠埼家) ※土曜日

九尾、死神、夏凜、風、樹、東郷、友奈との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、樹
5、風
6、東郷
7、友奈
8、イベントの判定

↓2


天乃「九尾、ちょっと」

九尾「? 妾は何もしてはおらぬぞ?」

天乃「まだ何も追求してないんだけど……」

なにか問題が起きたから呼んだわけでもなく

ましてや、なにかしたのかと追求すらしていないにも関わらず、

自白する九尾を横目で睨んで、ため息をつく

どうせ。いつもの冗談だ

天乃「少し気になることがあるのよ」

九尾「主様の身長なら、残念ながらもう止まっておるぞ?」

天乃「そういうことは聞いてない」

九尾「ふむ……樹にミリ単位で負けている。ということもか?」

天乃「えっ?」

九尾「?」

樹に身長で負けてるッ!?

慌てて頭に触れてみたけれど

どうなっているのかなんて、判らなかった


そう、分からない

普段布団の中に入っているだけの私の身長と

樹の身長を見比べることなんて出来はしない

つまり――

九尾「残念ながら、主様。分かるぞ。主様と小娘は同衾した仲じゃからのう」

天乃「……嘘じゃなくて?」

九尾「事実じゃ」

くつくつと笑いながら、九尾は私の肩のあたりをポンポンっと叩くと

もう片方の手で自分の口元を覆い隠す

九尾「案ずるな。勇者部の妹様」

天乃「っ!」

九尾「くくっ、愉快愉快……さて、挨拶はここまでにして、主様よ」

天乃「なに?」

九尾「なに? ではなかろう。主様が妾を呼んだのではないか」



1、バーテックスの侵攻について
2、不審者について
3、ねぇ、昨日。夏凜がなんて言ってたのかわかる?
4、貴女と死神で勇者の能力に違いがあるの?
5、ちょっとまって。樹と私の身長。本当はどうなのよ


↓2


天乃「貴女、この前死神で変身か、貴女で変身かって選択肢出したでしょう?」

九尾「うむ」

天乃「貴女と死神で勇者の能力に違いがあるの?」

九尾「如何にも。妾と黄泉の者とでは性質そのものが違う。ゆえに、主様が扱える力も変わるであろうな」

九尾はそう言うと

女性の姿から白狐の姿に切り替えて

九本の尻尾を自由自在に動かす

九尾「主様が動かせぬ3本。しかし、妾ならばそれを賄うためのモノが九つある。賄ってもなお、6つじゃ」

天乃「……動かせるようになるの?」

九尾「精霊は勇者の補助が目的じゃからな。不可能ではあるまい」

天乃「そのほかには?」

九尾「身長が伸ばせるぞ」

天乃「どのく――」

九尾「嘘じゃがな」

天乃「怒るわよ? 私」


九尾「怒った主様も可愛いぞ」

天乃「あのね……」

九尾「大きな違いといえば、妾にとって彼奴等は食事。というくらいじゃな」

天乃「どういうこと?」

九尾「人間が豚や鳥、牛などを食し、生きながらえているのと似たような原理じゃ。もっとも、妾は生きることが目的ではないがの」

九尾は平然と、そう言った

理解はできる

どういったものなのか、想像がつく

でも、よくわからなくて、首を振る

天乃「貴女、本当に精霊?」

九尾「如何にも。その言葉に偽りはない。じゃがのう。主様よ」

天乃「?」

九尾「敢えて言うのであれば、妾は稲荷の使いの狐とは別物じゃ。同等に捉えてくれるな」

天乃「………………」

九尾「妾は九尾ぞ。可愛い可愛い、我が主様」

くすくすと嘲笑するような笑い声を部屋に響かせ

九尾は音もなく姿を消す

天乃「嘘なのか冗談なのか。わかりにくいのよ……全く」

そう悪態をついた天乃は

冗談ばかりの九尾の言葉を頭の片隅には置いておく。というくらいにとどめて、

深くため息をついて頭に触れる

天乃「……背、伸びないとか。嘘でしょ」

今度誰かに測ってもらおうかしら

まだ14なんだけど……まだ中学3年生なんだけど……

天乃「流石に……ね?」

靴などのサイズですら一切変わった覚えがないことは

敢えて、考えることを止めた


では、此処までとさせて頂きます
明日は予定通りなら、お昼頃  大体12、13時ころからとなるかと思います


戦闘時に、死神か九尾かで選ぶことが可能になります
能力などが異なりますので、明日にでも出す予定です


では、13時より牛歩で再開していきます

本来は交流選択の安価ですが、イベント中のため
コンマ判定からになります


01~10 風
11~20 樹
21~30 夏凜
31~40 東郷
41~50 友奈
51~60 樹
61~70 夏凜
71~80 友奈
81~90 風
91~00 東郷

↓1のコンマ 


東郷が言ったように、

お泊まり会の部屋割りはくじ引きに決まった

樹「………………」

天乃「……よろしく」

樹「よろしくお願いします」

その結果、

天乃と一夜を共にするのは樹になり、

2人はそろって困ったように苦笑する

天乃「お泊まり会の意味、ちょっと無くなっちゃったかもしれないわね」

樹「そうですね……友奈さんか東郷先輩の二人でじゃんけん。とかの方が良かった気がします」

天乃「でも、これはこれで。ね。公認だし」

樹「そうですね。なんだか、特別な気がします」


樹「……………」

久遠先輩の体は、凄く温かい

でも、決して暑苦しさを感じたりはしない

丁度良いっていうのは失礼かもしれないけど、

心地よさのある、いい抱き枕のような感じがする

天乃「………?」

樹がジッと見つめてきていることに気づいた天乃は、

伺いを立てるような視線を送る

けれど、樹は心がそこにないかのように無反応で

ただ一点。天乃を見つめて、ため息をつく

樹「…………………」

久遠さんの体は温かい。でも、左手や両足はひんやりしている

まるで、そこには血が通っていないかのように

樹「……あの、久遠さん」

天乃「うん?」

樹「抱いていいですか?」


天乃「抱くって、私を?」

樹「はい」

天乃「樹には、私はちょっと重いと思うわ」

樹とほぼ同身長とはいえ、

一部筋肉や脂肪が樹より秀でている天乃、

樹よりも重いのは確実で

樹が自分よりも重いものを持ち上げられるほど鍛えているわけではない以上、

少し無理がある話だった

けれど

樹「持ち上げたりはしないですよ」

天乃「そうなの?」

樹「はいっ、抱いて寝たいなって。思っただけなので」

天乃「……………」


1、貴女も抱かせてくれるなら良いわ
2、いいわよ。好きにしなさい
3、天井のシミを数えていれば終わる?
4、そのくらい、別に言わなくてもいいわよ?


↓2


天乃「いいわよ。好きにしなさい」

樹「ありがとうございますっ」

ただ抱き枕になってあげるだけ

それなのに、樹は心から嬉しそうな声でそう言うと

天乃の両手をギュッと握る

樹「嬉しいです」

天乃「そこまで喜ばれると……ちょっと照れるわね」

樹「……………」

両手を握ると、その違いがよりはっきりと鮮明になる

片手ずつならひんやりしてる。と、言えるけれど

両の手を掴むと明らかに冷たいんだってわかる

樹「久遠先輩の体、今日は私が温めます」

天乃「暑くならない程度に、お願いね」

どちらも純粋、無垢で

そこから面白味のある方向に転びそうもないと判断した覗き魔獣は

姿を現すこともなく、消えていった


すっかり暗くなった夜

寝息が聞こえても良いくらいに静かだからか、

ほかの部屋からは話し声が少しだけ、聞こえてくる

天乃「……………」

樹「盛り上がってるみたいですね」

天乃「そうなの?」

樹「あ……えっと、そんな感じの声が聞こえます」

天乃「……そう」

樹「………………」

話すために、向かい合っている樹は

きょとんとした天乃の表情を見つめて、

申し訳なさを感じて、目を伏せる

聞こえること前提の会話

しないように気をつけてたのに……

天乃「夏凜は楽しそう? それとも、嫌がってる?」

樹「えっと……どっちだろう。そこまではっきりとは聞こえなくて」

天乃「そっか、楽しめてるといいんだけど」


天乃は気にしていない

それでも、樹は気を使わずにはいられなくて

天乃の気にしていないような素振りでさえ、

自分たちに気を使わせまいとしているだけのような気がして、ならなかった

樹「………」

実際問題、

味覚がないこと、記憶がないことは樹以外の誰にも言っていないのだから

天乃「んっ」

樹「……………」

天乃「樹?」

少しだけ強く、天乃の体を抱きしめて

樹は天乃の首筋のあたりに顔を沈めた



1、どうしたの?
2、騒ぐことはできないけど、でも。私も楽しいわよ?
3、頭を撫でる
4、気を使わなくていいのよ。言葉はわかるし何より、言ってくれないと分からないんだから



↓2


天乃「騒ぐことはできないけど、でも。私も楽しいわよ?」

樹「……でも」

天乃「別に、騒いだりすることだけが楽しいわけじゃない。特に、私なんかはね」

樹「……でも、久遠さんって凄く活発なイメージがありますよ?」

天乃「まぁ、そうでもあるけれど……」

以前は確かにそうだった

もちろん、その心が消えたわけではないし、

今でもわいわいとした少し騒がしいと思うような空気も好きだ

むしろ、そういう空気を作ったりしてしまうタイプだ

けれど

天乃「私的には誰かと居られるだけでも、幸せだし、楽しいのよ」

樹「どうしてですか?」

天乃「それがなによりも尊く幸せで、大切で儚くて脆い。そんな掛け替えのないものだと知っているから。かしらね」


天乃は冗談めかして言う

でも、それは天乃が経験し、思い知らされた現実の残酷さ

だからこそ、冗談めかしていても

樹には笑い話で済ませることはできず、頷く

樹「私も、これからは大切にします」

天乃「?」

樹「私も、お姉ちゃん達も勇者だから」

だからきっと、

それは何処か遠くの話ではなく

いつか私たちに起こりうるものだと思うから

樹「一つ一つを大切にしようかなって」

天乃「……うん。いい心がけだと思う」

樹「だから、その……」

天乃「うん?」

樹「私が二度寝しようとしたら、止めてください」

天乃「……ふふっ、はいはい」

大人びた意思のある言葉を言いながらも

まだまだ子供らしいお願いをする樹に微笑んで

天乃は快く、そのお願いを引き受けた

……どうやって止めるか。を、言及せずに

1日のまとめ

・  乃木園子:交流無()
・  犬吠埼風:交流有(同居)
・  犬吠埼樹:交流有(同居、部屋割り、楽しいこと)
・  結城友奈:交流有(お泊まり、交流、嫌なこと)
・  東郷美森:交流有(お泊まり、部屋割り)
・  三好夏凜:交流有(監視)
・     九尾:交流有(能力について)

・      死神:交流無()
・    夢路瞳:交流無()
・     神樹:交流無()


5月の8日目終了後の結果


  乃木園子との絆 19(中々良い)
  犬吠埼風との絆 29(中々良い)
  犬吠埼樹との絆 38(中々良い)
  結城友奈との絆 14(普通)
  東郷三森との絆 22(中々良い)
  三好夏凜との絆 29(中々良い)
   夢路瞳との絆 9(普通)

     九尾との絆 19(中々良い)
      死神との絆 21(中々良い)
      神樹との絆 -1(低い)


√ 5月9日目 朝(犬吠埼家) ※日曜日


01~10 
11~20 起きれたー

21~30 
31~40 
41~50 
51~60 死にかけたー

61~70 
71~80 
81~90 ベッドから突き落とされたー

91~00 

↓1のコンマ 


九尾「なんじゃ……まだ起きておらぬのか?」

天乃「ええ」

九尾「どれどれ……夢を悪夢に……」

天乃「しないでね?」

九尾「確実に飛び起きれて大好評なんじゃが……」

九尾は残念そうに呟くと

樹の額に触れようとしていた指を引っ込めて

天乃のことを見つめる

九尾「先日は、目を覚ましていたんじゃがのう」

天乃「そういえば……」

九尾「のう、主様よ」

天乃「うん?」

九尾「次から起きれなかったら体にキスマークなるものを付ける。という条件をつけるのはどうじゃ?」

天乃「意味わからないんだけど」


九尾「分からぬとは……主様、それは冗談か?」

天乃「冗談じゃないわよ」

九尾「まったく……主様は白米よりも純なる白じゃのう」

九尾はやや困ったようにそう言い捨てると、

精霊特有の空中浮遊をしながら、

天野に覆いかぶさるようにして、右腕を掴む

天乃「なにしてるのよ」

九尾「時期に分かる」

天乃「っ!」

九尾は鼻先を天乃の首に這わせると、

わざとらしく鼻息を荒々しくして、息を吹きかける

天乃「ちょ、ちょっと……」

九尾「ふむ。この辺か」

天乃「やめっ……このっ……」

首から肩へ流れていく滑らかな曲線

鎖骨を覆う肉と皮膚を唇だけでパクッと咥える

唇の端から端その切れ目までしっかりとくっつくその場所は咥えるには凄く絶妙な場所だった


九尾「……っは、ふぅ……」

そこから何をするわけでもなく

九尾は離れて息を吐き、吸い込むと

自分の口元を濡らす唾液を拭って、天乃を見下ろす

天乃「貴女、なにを……」

九尾「どの辺りが適しているのか。と」

天乃「首じゃ見られるじゃない」

九尾「じゃが、それゆえに、主様が所有物であることを示せるではないか」

天乃「人をモノ扱いしないで」

九尾「ククッ、人もモノではないか。人間はそれを自覚しているから人物という言葉を作ったのだろう?」

九尾は冗談ではなく

本気の瞳で天乃を見定めると、くすくすと笑って、首を振る

九尾「この世にあるものは例外なく、モノじゃよ。主様。そこに魂があるからと、無理矢理区別しているに過ぎぬ」

天乃「どうしたのよ、急に」

九尾「……主様は消耗品と同様であることを忘れているのではないか。と、思うてな」


天乃「わかってるわよ」

九尾「……新たな代償を蓄えているだけだというのならばかまわぬ。しかし」

天乃「わかってるからッ」

樹「ん……っ」

天乃「っ……」

樹がすぐ横で寝ていることも忘れかけていた天乃の大声に

樹が小さく唸って、抱き枕替わりの天乃の体を抱きしめる

それが、天乃の高ぶった心を……沈めていく

天乃「分かってるわよ」

守るためには満開が必要で

満開には代償が必要で

それには今のこの楽しく幸せな時間という記憶が持って行かれてしまう可能性がある。ということも

でも

天乃「だからって、つまらない日々は過ごしたくないじゃない」

九尾「ふむ……まぁ良い。夢々忘れるなよ主様。失った時、苦しむのは主様だけではないことを」

九尾はそう言い残して、姿を消す

九尾は現実だ

私が現実逃避をしてしまわないように導く……質の悪い、現実だ


天乃「……まったく」

九尾のせいで、少しだけ気分が悪くなった

でも、妹のようにも思える樹の幸せそうな笑顔を見ていると、

そんな嫌な気分も、多少なりと和らぐわけで

天乃「幸せそうに寝ちゃって……」

樹「すぅ……すぅ……」

少し、羨ましい

そして少し、妬ましい

天乃「抓ってあげようかしら」

樹「zzz……」

天乃「……………」


1、何もしない
2、頬をつねる
3、頬をつつく
4、ほっぺむにぃ
5、おでこにキス
6、頭を撫でる
7、一緒に寝る


↓2


天乃「……やめときましょ」

どちらかといえば悪意な気持ちも削がれた天乃は、

ちょっと困ったように苦笑して

自分の体に抱きつく可愛らしい後輩勇者の頭を優しくなでる

天乃「まだ、起きる時間でもないし」

一つ一つを大切にしたいといった

その言葉、その気持ち

天乃は樹のそれらがただ衝動的なものなだけではないと、信じて

天乃は撫でながら、樹の体を少しだけ、

自分の方へと抱き寄せる

天乃「大切にするのよ……樹」

たとえ

いつか私がいなくなってしまう時が来たとしても

自分も、周りも

一つ一つを大切にするというその言葉を絶対に、忘れないでね


√ 5月9日目 昼(犬吠埼家) ※日曜日

九尾、死神、夏凜、風、樹、東郷、友奈との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、樹
5、風
6、東郷
7、友奈
8、イベントの判定

↓2


東郷「樹ちゃんとは、問題ありませんでしたか?」

天乃「ううん、昨日も言ったけど経験済みだから」

東郷「そう……」

天乃「そこはかとなく残念そうに見えるのは気のせいかしら」

東郷は昨日、夏凜と組むことになったのだが

樹が言っていたように、盛り上がったのだ

残念ながら、悪い意味で

その分、何事もなく平穏無事に終えた天乃と樹の二人組が

少しばかり、羨ましかった

東郷「夏凜ちゃんが友奈ちゃんは勇者に向いてないって言うから」

天乃「それで、貴女はそんなことないって反論したのね」

東郷「ええ……それでちょっと、言い争いに」

天乃「だから夏凜は貴女と目を合わせるのですら避けてた。と」

東郷「……はい」


天乃「うーん……」

夏凜は少しきつい言い方をしたりするし

言わなくてもいいこと

つまり、余計な事を言ってしまうような

少しばかり人付き合いが不得手な部分がある

けれど、

夏凜が勇者には向いてない。なんて

絶対に争うことになる事を言うかと聞かれたら……

天乃「……庇えないっ」

ため息をついて、首を振る

良くも悪くも直球なのよね……夏凜は

東郷「?」

天乃「そうねぇ……」



1、私に任せなさい
2、確かに、友奈は勇者に向いてないわ
3、貴女は本当に、友奈が勇者に向いてると思ってる?
4、夏凜ともう一度話してみたら?
5、夏凜のこと、嫌いになった?


↓2


では、一旦中断させていただきます
再開は20時頃を予定しています


遅くなりましたが再開します


天乃「私に任せなさい」

東郷「でも」

天乃「今のままじゃ、きっと夏凜とまた喧嘩になるだろうからね」

夏凜だって喧嘩したいわけじゃないとは思う

でも、素直になれない可愛い子だから、

きっと、また変な言い方しちゃって面倒なことになるからね

まずはちゃんと話しておかないと

東郷「私は……そんな血の気が多いわけでは」

天乃「でしょうね、でも。友奈のことになるとまた別でしょ?」

東郷「それは……そうかもしれません」

一瞬困った表情になりながらも

東郷はあっさりと認めて面持ちを暗くする

東郷「自分でもいけないとは解っているのよ……でも」

天乃「ちょっと、甘すぎるのかもね。貴女は友奈に対して」


天乃「それが悪いだなんて言わないわ。私にも、もしかしたらそういう相手がいるかもしれないし」

東郷「いるんですか?」

天乃「………………」

東郷「久遠さん?」

天乃「……さぁ? まだ、いないかもね」

天乃は少し悲しそうな笑顔を作って、首を振る

よく、園子や銀のことを庇っていた天乃としては

少しどころじゃなく、悲しい会話だった

なにせ、

東郷……ではなく、鷲尾須美もまた

天乃が東郷に言ったように、天乃に対して、「久遠さんは甘すぎるんです!」と、言ったのだから

天乃「とにかく、少しは考えたほうがいいのかもしれないわ」

東郷「善処します」

天乃「うん」

少し元気がなくなってしまったようなきがする東郷を見送って

天乃は部屋で一人、ため息をついた



√ 5月9日目 昼(犬吠埼家) ※日曜日


1、今すぐ夏凜を呼ぶ
2、とりあえず、夕方からにしておく


↓2



√ 5月9日目 有(犬吠埼家) ※日曜日


夏凜呼び出し前の判定
外れた場合は、夏凜に直結



01~10 風
11~20 
21~30 九尾
31~40 
41~50 友奈

51~60 
61~70 
71~80 樹

81~90 
91~00 東郷

↓1のコンマ 


天乃「悪いわね、わざわざ来てもらっちゃって」

夏凜「別に……あんたから来られるよりはマシよ」

いきなり襲撃してくることはないかもしれない

けれど

ドアのノックさえなく入ってくる可能性があるからだ

夏凜「……で、なによ」

夏凜は少し嫌そうな顔をしながらも、

いつものように椅子に座ると

天乃のことをジッと……睨む

天乃「そんな睨まないで」

夏凜「あんたの気まぐれなのか、東郷からの差し金なのか。気になったのよ」

天乃「……さすが、耳が早い」

くすっと笑って冗談めかしては見たものの

夏凜の厳しい瞳は衰えることなく、天乃を見つめる

夏凜「……あんただってわかってんじゃないの? 友奈が向いてないって」


天乃「どうしてそう思うの?」

夏凜「そんな顔してるから」

天乃「どんな顔なんだか」

苦笑しながら夏凜を見つめた天乃は、

ため息をついて、頭を振る

確かに、向いていないとは思う

誰に対しても優しくて

友達思いで、友達のためなら頑張れる

いい子だ、優しい子だ

実に、勇者向きの性格だ

でも……それでは向かない

天乃「早死するタイプね」

夏凜「そう……私もそう思ったのよ」

天乃「だから、優しい夏凜ちゃんはやめさせようとした」

夏凜「そ……違うわよ! べ、別にそんな気はないっ!」

急に怒鳴った夏凜に

どこからともなく現れた九尾は巻きついて、笑う

九尾「妾知ってるぞっ、天邪鬼って言うんじゃ」

夏凜「んなっ……違うから!」


夏凜「は、な、れ、ろッ!」

九尾「……友達くらいには」

夏凜「ッ! あんたまさか……」

九尾「お人好し、度が過ぎてる……ところで、妾は抱きつくのが癖でのう……」

夏凜「っ……っ、くっ」

夏凜は怒りか恥ずかしさか

顔を真っ赤にしながら九尾を睨むと

拳を強く握り締めて、俯く

夏凜「好きに……しろっ」

九尾「くふふっ、では遠慮なく」

夏凜「っ!」

後ろから覆いかぶさるようにして夏凜にまとわりついた九尾は

夏凜の頬に頬を擦り付けるとニヤニヤと笑う

九尾「みよ、これが羽衣狐じゃ!」

天乃「……楽しそうね、貴女」


九尾「妾の新しいおも……面白い人間じゃからのう」

夏凜「……で、天乃」

天乃「?」

夏凜「東郷は、どうだった?」

天乃「そうね……悩んでたわよ。言い争ったって」

もっと言えば

悲しそうにも感じる表情だった

ううん、きっと、悲しかったんだと思う

東郷は昨日、夏凜と一緒の部屋ってなって

仲良くしよう。仲良くなろうって、思っていたはずだから

夏凜「……東郷は、友奈のこと気にしすぎなのよ」

天乃「うん」

夏凜「ねぇ天乃」

天乃「無理よ」

夏凜が言うよりも早く、否定する

友奈から勇者を取り上げることなんて、今の私達には―――

九尾「妾なら容易じゃぞ。その程度」

夏凜「え?」

羽衣狐が……会話を繋げた


九尾「友奈とやらの戦意を奪えば良いだけのことじゃろう?」

夏凜「そうだけど……」

九尾「妾に委ねよ。小娘の戦意など、粉々に砕いてやろう」

夏凜「っ………」

一瞬、期待した

少しだけ、任せようかと迷った

でも

夏凜「あんたには任せない」

こんな奴には、任せられるわけがない

九尾「勇者をやめさせたいのではないのか?」

夏凜「それでも、あんたにだけは……頼らない」

九尾「……後悔しても、妾は手を貸さぬぞ」

夏凜「後悔なんてしないわよ」

どうなるか分かったものじゃない

最悪、心そのものを壊すかも知れないんだから

夏凜はそう言い切って、椅子から立ち上がると

そのまま部屋から出て行き、

その姿を見つめていた天乃は困ったように、ため息をつく

天乃「……九尾、憑いてってるわよ。夏凜」


では、此処までとさせて頂きます

明日は通常よりも早く、19時ころからとなる予定です




羽衣狐「妾を着ているのだ。服は要らぬだろう」

夏凜「やめろッ!」

http://i.imgur.com/9qEuEgT.png

九尾による変身としては、死神の回復阻害がなくなりますが
その分、一撃の破壊力が大きくなったり、色々と違いがあります

どちらで戦うかは、安価で選択になります


再開は19時~19時半の間に予定しています


では、再開します


√ 5月9日目 夜(犬吠埼家) ※日曜日

九尾、死神、夏凜、風、樹との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、樹
5、風
6、イベントの判定

↓2

※東郷、友奈は判定でのみ


01~10 風
11~20 樹
21~30 夏凜
31~40 東郷
41~50 友奈
51~60 樹
61~70 夏凜
71~80 友奈
81~90 風
91~00 東郷

↓1のコンマ 


樹「久遠さん、夏凜さんが……」

天乃「九尾は悪戯に関しては聞き分けないから、諦めるしかないわ」

樹「……………」

らしいです、夏凜さん

なんて、念話じみたことをしてみて、ため息をつく

夏凜が嫌がれば嫌がるほど、

九尾はしつこく憑き纏い、悪戯の限りを尽くす

それを見ながら笑えるほど

樹は意地悪ではなかったのだ

樹「久遠さんでも、無理なんですね」

天乃「基本的には言うこと聞いてくれるんだけどね、好きなことに関しては本当。それこそ子供なのよ」

樹「見た目はあんなに美人なのに……ですか?」

天乃「九尾曰く、魅了するため。とかなんとか。アレの実際年齢は中学生とかなのかもね」

樹「聞いてみますか?」


天乃「教えてくれるかもしれないけど、意味不明な要求されるからやめておきなさい」

樹「意味不明……?」

天乃「貴女の弱みとか」

樹「よ、弱み……」

朝起きれないことは公然の事実だし

それは頑張って直そうとしてる

片付けが出来ないこと……は、

特に弱みでもない気がするし……

悩んだ末に、樹は苦笑して思考を逸らす

樹「呼び戻したりはできませんか?」

天乃「できないことはないけれど……」

樹「夏凜さんのために、お願いできませんか?」

樹は心配そうな顔でそう言うと、

お願いします。と、頭を下げた


1、わかったわ
2、そうね、貴女もお願いを聞いてくれるなら
3、無理よ……私、あの子に八つ当たりされたくない



↓2


天乃「わかったわ」

樹「ありがとうございます」

天乃「っ……まったく」

樹の嬉しそうな顔を見ると

いつも、悪戯心が無くなってしまう

それが悪いことだとは言わないけれど

でも……なんなのかしらね。この感じ

天乃「死神さん」

死神「ハーイ」

一声呼ぶと、ポンっと音がしそうな感じで死神がどこからともなく姿を現す

天乃「九尾のこと、呼んできてくれるかしら」

死神「クオンサンヘイキ? マタ、サワラレルヨ?」

天乃「うん……もう諦めた」

死神「ワカッタ」

死神はそう言うやいなや、すぐに姿を消すと

それとほとんど同時に、どこからともなく九尾が帰ってきた


天乃「あら、おかえり」

九尾「お帰りじゃなかろう……っ! 黄泉の者に斬られたら妾の体が半分に切られたケチャップになると言うておるじゃろうに!」

天乃「貴女が度が過ぎてるって、聞いたのよ」

九尾「ぐぬぬ……っ、主か、犬妹!」

樹「ひっ」

本気で怒っているのか、

女性の姿ではなく、妖狐となった九尾は

牙を剥き出しにして、樹へと迫ると

唾液を滴らせて、唸る

九尾「喰うぞ、小娘」

樹「っ……」

嫌な予感がした

いつか、感じたような悪寒

いつか、どこかで見たような光景

天乃「九尾!」

滴りそうな冷や汗を拭うことなく怒鳴ると

九尾はくすくすと笑って、天乃を見つめた

九尾「案ずるな、命は奪わぬ。熟す前の果実というのも、たまには良いと、思うただけじゃ」


ぺろっ……と、

九尾は自分の口元を舐めて

呆然としている樹の肩に前足を乗せようとした瞬間

バチバチ! と、火花が飛び散って

九尾が大きく退いた

樹「こ、木霊?」

九尾「案ずるな。殺しはせぬと言うたじゃろう?」

九尾がにやりと笑いながらそう言っても

木霊は樹の前から微動だにすることなく

小さな丸い身体を壁として――樹を守る

九尾「            」

木霊「            」

天乃「………?」

九尾「               」

九尾と木霊

じっと見つめ合う二人の空気は牽制しているというよりも

何かを話しているかのように穏やかだった


やがて、九尾は諦めたようにため息をつくと

つまらなそうな瞳を天乃へと向けてゆっくりと近づき、

飛びかかった瞬間、女性の姿に切り替えて天乃の右手を押さえ込む

九尾「仕方があるまい。主様で我慢じゃな」

天乃「主人で我慢ってどういうことだか説明して欲しいんだけど?」

九尾「若さが足りない」

天乃「ぶっ飛ばすわよ、貴女」

九尾「これはこれは、失礼失礼。妾は小学生には興味がないのじゃ」

天乃「っ~~~!」

絶対に殴るッ!

そう決め込み、全身の力を右腕一本に集中させる

でも、人間とはいえ神獣の力には対抗しきれず、僅かにしか浮かない

九尾「くふふっ、無駄じゃ無駄」


01~10 火明命
11~20 死神
21~30 
31~40 稲荷
41~50 
51~60 スサノオ
61~70 
71~80 大熊猫
81~90 
91~00 カワウソ

↓1のコンマ 

空欄で、神は非情だった


九尾「妾の勝ちじゃな、主様」

天乃「っ……」

九尾はにやりと笑うと

天乃の首の付け根から、鎖骨まで

獣の長い舌でぺろっと舐める

天乃「っ……」

九尾「くふふっ」

微かな塩気を味わいながら

存在を知られ、逃げ出そうとする汗を肺に溜め込む

天乃「なにして……っ」

普段されることのない首に対しての

ざらついた舌の愛撫を神経は過敏に反応して、声が震える

九尾「そこの小娘に教えてやろうと思うてな」

樹「私に………」

九尾「のう。主様よ」

天乃「な、なに……よ」

九尾「主様が誰のものなのか。教えてやろうではないか」

天乃「私は誰のものでもな――っ」


いいや、主様は妾達のモノだ

九尾「……そう。神樹なる者共のものなどでは、決してない」

天乃「ひくっ……」

天乃の首にパクッ喰らいつく

牙は立てず、歯も立てない

人間の柔らかい唇で包むように、皮膚を挟む

舐めて解し、吐息を当てて温めて

ゆっくりと、じっくりと、吸い上げていく

天乃「っ、くっ……」

九尾「………………」

少しずつ、慎重に、痛みがないように優しく

それでいてしっかりと、刻み込まれるように

時間をかけて、作り上げていく

九尾「……っは」

天乃「九尾……っ」

九尾「主様の体はこれ以上誰にもやらぬ。契約じゃ。我が愛しき主様」

赤い痕のついた天乃の首を優しく撫でて、九尾はそう言った

1日のまとめ

・  乃木園子:交流無()
・  犬吠埼風:交流有(同居)
・  犬吠埼樹:交流有(同居、頭を撫でる、了承)
・  結城友奈:交流有(お泊まり)
・  東郷美森:交流有(お泊まり、私に任せて)
・  三好夏凜:交流有(監視、九尾憑き)
・     九尾:交流有(モノ①、モノ②、契約)

・      死神:交流無()
・    夢路瞳:交流無()
・     神樹:交流無()


5月の9日目終了後の結果


  乃木園子との絆 19(中々良い)
  犬吠埼風との絆 30(中々良い)
  犬吠埼樹との絆 40(中々良い)
  結城友奈との絆 15(普通)
  東郷三森との絆 25(中々良い)
  三好夏凜との絆 31(中々良い)
   夢路瞳との絆 9(普通)

     九尾との絆 23(中々良い)
      死神との絆 21(中々良い)
      神樹との絆 -1(低い)


√ 5月10日目 朝(犬吠埼家) ※月曜日

九尾、死神、夏凜、風、樹との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、樹
5、風
6、イベントの判定

↓2

※東郷、友奈は判定でのみ


01~10 友奈
11~20 死神
21~30 東郷
31~40 稲荷
41~50 風
51~60 樹
61~70 樹海化
71~80 九尾
81~90 夏凜
91~00 アノ日のこと

↓1のコンマ 


友奈「久遠さん、おはようっ!」

天乃「……おはよう」

友奈「?」

天乃「気にしなくていいから、用件があれば、言って」

布団を引き上げて、口元までしっかりと隠す天乃を不思議に思いながらも、

友奈は言われた通りに気にすることをやめて、嬉しそうに笑う

友奈「私気づいたんです」

天乃「なにに?」

友奈「放課後に来れないなら、朝に来たらいいんじゃないかって」

天乃「……何もそこまでしなくても」

友奈「私が久遠さんに会いたいだけです。迷惑なら……控えるけど」

少しションボリとした表情で

優奈は呟くと、天乃をちらっと見つめる

その表情は……ずるい



1、いいけど、毎日はさすがに大変だからやめなさいね
2、なんでそこまで会いたいのよ
3、だめよ


↓2


では、此処までとさせて頂きます


体の半分は神樹に
もう半分はバーテックスに
バラバラになった自分の体を集める冒険が始まるかもしれません


では、少しだけになるかとは思いますが、進めようかと思います


天乃「なんでそこまで会いたいのよ」

友奈「なんでって聞かれると……困るんですけど」

天乃「あなた自身のことでしょう?」

友奈「そうだけど。なんでかな……久遠さんを一人にしちゃいけないって思って」

監視役である夏凜がいる

世話係を担う犬吠埼姉妹が居る

だから、天乃は一人じゃないはずなのに

友奈「おかしいよね」

天乃「私が不自由な体だからほうっておけない。とかじゃないの?」

友奈「そうなのかなぁ……」

その可能性もあるかもしれないけど

でも

それとはまた、別のような気がするんだよね……


考えても、分からない

分かるのは

ただただ。久遠天乃という存在が頭の片隅に引っかかって

いつまでも、気を引かれるということくらいだった

友奈「えへへ、久遠さんって保護欲を刺激するのかも」

天乃「東郷といい、友奈といい……私のこと馬鹿にしてるの?」

妹扱いしようとしたり

保護欲が刺激されると言ったり

ちょっぴり不満のあった天乃の瞳に気づいて

友奈はごまかすように笑うと、首を振る

友奈「そ、そんなつもりはないよ! 本当にただ、放っておけないなって思うだけで」

天乃「保護欲なんて、親が子供に感じるようなものじゃない」

友奈「久遠さんが私の子供……?」

天乃「貴女やっぱり馬鹿にしてるでしょうっ!」


友奈「そんなつもりないのにーっ!」

ちょっとした言い争いのような、

友達同士の軽い喧嘩みたいな流れは

天乃と友奈の空気を悪くするどころか良くしていく

登校前に早起きをしてまで作った時間は

とても、楽しくて

友奈は心からの笑みを浮かべる

友奈「また、来れたらきます」

天乃「来るのはいいけれど、無理してまで来ないこと。それを約束しなさい」

友奈「……………」

あくまでも人を気遣うその姿勢に

友奈は少し呆然として、天乃の視線にはっと気づいて首を振る

友奈「ありがとう久遠さん。久遠さんも無理とかしちゃダメだからね」

天乃「ええ」

友奈「じゃぁ……いってきます!」

そう言って学生カバンを持って部屋を出ていく友奈を見送って、ため息をついた


√ 5月10日目 昼(犬吠埼家) ※月曜日

九尾、死神、夏凜との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、イベントの判定

↓2


では、ここまでとさせていた抱きます
明日はできれば21時半から初めたいと思ってはいますが
無理なら通常通り22時カラとなります




天乃「私ってそんなに幼く見えるの……?」

九尾「胸部の大きさを誇示してみたらどうじゃ?」

天乃「嫌よそんな恥ずかしいこと!」


では、いつも通りになってしまいましたが、進めていきます


01~10 死神
11~20 九尾
21~30 夏凜
31~40 大赦
41~50 死神
51~60 稲荷
61~70 夏凜
71~80 死神
81~90 九尾
91~00 夏凜

↓1のコンマ  


夏凜「ねぇ、天乃」

天乃「うん?」

夏凜「あのさ……前に、言ってたでしょ。あんた」

天乃「なにを?」

主語のないあやふやな言葉ではさすがに理解できず、

天乃が首をかしげながら、問うと、

夏凜は目を逸らして

夏凜「出かけたい……とか」

と、呟く

天乃「えっと……言ったわね」

5日くらい前のことだったかしらね

死神と話して、夏凜が許可してくれたらって言って

天乃「それで貴女はダメって言ったんだったわね、意地悪」

夏凜「仕方ないでしょうが。私だって任務っていうか、お役目を受けていたわけだし」


天乃「で……それを今更なに? お出かけでもさせてくれるの?」

夏凜「………………べ、別にあんたの為じゃないけど」

天乃「えっ?」

夏凜「だからあんたの為じゃないけど、どうしてもって言うなら連れてってやるって言ってんのよ!」

夏凜の勢い任せの声に

天乃は暫く唖然として、思い出したようにクスッと笑う

天乃「私のためでは、ないのね」

夏凜「そう言ってるでしょ」

天乃「……そっか」

素直じゃないのか

それとも、本当に私のためなんかじゃないのか

最有力なのは、後者なのかしらね。やっぱり



1、私のためじゃないなら、別に
2、じゃぁお言葉に甘えて
3、ううん。悪いけれど良いわ。連れて行ってもらうほうが迷惑だろうし


↓2


天乃「じゃぁ、お言葉に甘えて」

夏凜「言っておくけど、あんたの好きな場所とかに連れて行くとかはできないわよ」

天乃「うん。連れ出してもらえるんだもの。それ以上の我侭は言わないわ」

夏凜「……なら、いいけど」

夏凜はそう言うと

ほら、手伝ってあげるから着替えるわよ。と

天乃の体を抱き抱えて、ベッドに座らせ、適当な服を引っ張り出し、天乃に重ねる

夏凜「あんた、前にも言ったけど……」

天乃「簡単でいいのよ。着せてもらう服なんだから」

先回りして答えた天野をジッと見つめた夏凜は、

小さく息を吐いて、また箪笥の中を漁る

夏凜「まぁ、手間がないって点に関して言えば、嬉しいけど」

天乃「でしょ?」

夏凜「あんたはさ、不満に思ったりしないわけ?」

天乃「好奇心がぶり返してきちゃったの?」


以前のように服に関して聞いてくる夏凜に対して

夏凜が以前逃げるのに使った言葉をそのまま使って、首を傾げる

天乃「どうして服に興味を持たないのか。髪を結ったりしないのかって」

夏凜「いや、それに関してはもう解ってるから興味はないわよ」

天乃「ならどうして不満に思わないか。なんて聞いてくるのよ」

天乃はおしゃれがしたいだなんて思わない

考えたりさえしない

そんなことを求めるなんて図々しいにも程があると思っているし

そうでなくても、元々の体型ゆえに人並みの服装で別にいいと思っていたからだ

夏凜「なんで聞くのか……か」

天乃「?」

夏凜「………………」

夏凜は手作業を止めると、

何かを言おうとしたものの、躊躇って首を振り、

困ったように笑ってため息をつく

夏凜「好奇心よ。あんたがちゃんと服装整えたりしたらどうなるのかって」

天乃「別に普通よ?」

夏凜「その普通を知らないから、言ってんのよ」

夏凜は苦笑しながら言いつつも

表情にはどこか残念そうな感情が紛れ込んでいた


01~10 
11~20 不審者

21~30 
31~40 
41~50 瞳

51~60 
61~70 風・樹
71~80 
81~90 少女
91~00 

↓1のコンマ 


ではここまでとさせていただきます


仲が悪いように見える夏凜
でも実は、二番目に絆値が高い


では、再開いたします


夏凜「近場で悪いけど」

天乃「ううん、いいのよ……ありがとう」

夏凜が天乃を連れてきたのは、

犬吠崎家のすぐ近くにある砂浜だった

夏凜「下ろすから動かないで」

天乃「うん」

夏凜「っ……と」

夏凜は砂浜に降りるための階段の砂を蹴り払うと

おぶっていた天乃を座らせて、息をつく

近場とは言え、部屋から考えれば多少距離があり、

人一人おぶっていたとなれば、その苦労は距離の比ではなかった

夏凜「窓からじゃ見えないでしょ。あんたの部屋」

天乃「匂いはするんだけどね」

夏凜「足……入れる?」

天乃「ううん、それはちょっと」


だんだんと暖かくなりつつあるとは言え、まだ五月

さすがに海の水はかなりの冷水に感じるかもしれない

そこに気付かなかった夏凜は

自分の手を波に浸して

夏凜「っ……」

確かにダメだわ。と、天乃を一瞥して首を振る

こういう時は釣り……って言いたいんだけど

そう思いながら、

天乃の左手が力なく垂れ下がっているのを見つめて、目を伏せる

本当に……何も楽しめないじゃない

……………

………………ん

夏凜「天乃」

天乃「うん?」

夏凜「あんた、貝殻とか興味ある?」

天乃「どうして?」

夏凜「いや、その……」

夏凜は少し照れくさそうにしながら、

自分なりには。と、前置きをしつつ「綺麗だと思ったんだけど」と

ついさっき拾ったばかりの貝殻を、天乃へと手渡した


多少の砂汚れはあるけれど

欠けはなく、傷もなく

天然ゆえのいびつな模様もない無地の貝殻

当然ながら、身はなく下蓋もないけれど

しっかりとした、一枚の貝殻だった

夏凜「別に要らなければ捨てて良いけど」

天乃「………………」

少し残念そうな声で言う夏凜と貝殻を交互に見つめて

天乃は――


1、ありがと
2、ねぇ……割れないように穴を開けることはできる?
3、捨てないわよ。私からしてみれば、友達からの大切な贈り物だもの

↓2


天乃「捨てないわよ」

ううん、捨てられるわけがない

汚れていて、欠けているような汚い貝殻とか

実は怪我をしてしまえ。みたいな意味のこもった鋭い貝殻だったとしても

天乃「私からしてみれば、友達からの大切な贈り物だもの」

夏凜「っ」

天乃「凄く、嬉しいから」

夏凜「ぁ………」

悲しいなんて感情の一切感じられない笑みを浮かべている、ちょっぴり泣きそうな顔と

風になびき、自分と同じでありながらどこか違うフローラルな匂いを流れさせるまとめられていない長い髪

それらに司会を埋め尽くされた夏凜は暫く呆然として

夏凜「私からしてみれば。って、なによ」

ぎりっと歯ぎしりさせながら、問う

>>614訂正




天乃「捨てないわよ」

ううん、捨てられるわけがない

汚れていて、欠けているような汚い貝殻とか

実は怪我をしてしまえ。みたいな意味のこもった鋭い貝殻だったとしても

天乃「私からしてみれば、友達からの大切な贈り物だもの」

夏凜「っ」

天乃「凄く、嬉しいから」

夏凜「ぁ………」

悲しいなんて感情の一切感じられない笑みを浮かべている、ちょっぴり泣きそうな顔と

風になびき、自分と同じでありながらどこか違うフローラルな匂いを流れさせるまとめられていない長い髪

それらに視界を埋め尽くされた夏凜は暫く呆然として

ぎりっと歯ぎしりさせながら、問う

夏凜「私からしてみれば。ってなによ」

天乃「え?」

夏凜「なんなのって、聞いてんのよ」


天乃「なんなのって聞かれてもそのままの意味でしかないけど」

夏凜「そのまま? なにが」

天乃「なんで怒ってるのよ……」

夏凜「怒ってないわよ」

いや、怒ってる

自分でも判るくらいに怒ってる

ううん。そうじゃない

自分に対して……イライラしてんのよ。私は

夏凜「……そんなだから、九尾に天邪鬼だなんて」

天乃「?」

夏凜「訂正しなさいよ」

天乃「なにを?」

夏凜「私からしてみれば。って言葉よ」

あぁ……回りくどい

天乃が首をかしげてる

わからないって顔してる

夏凜「あんたから見たら友達だけど、私から見たら違う。みたいな意味になるでしょうが」

どうしてこんな言い方しかできないのよ

どうして、何かを利用しなきゃ言いたいことも言えないのよ

気付いて欲しい

気づいて欲しくない

相反する感情を携えて……夏凜は天乃を見つめた


では、此処までとさせて頂きます


急ですが、明日は諸事情によりできない可能性がありますので
出来る場合はいつもどおり22時半までには再開予告しますが、予告なければ明日は投下なしとなります



九尾「天邪鬼とは言うが、天乃に弱いと書いても、あまのじゃく。だったりするのじゃ」

夏凜「ッ」

九尾「くかかっ」


遅くなりましたが、やりたいかと思います


天乃「貴女から見たら……違わないの?」

夏凜「っ……あんた、わざと言ってんの?」

天乃「わざとって」

夏凜「だから……その」

夏凜は強く、強く拳を握り締める

言葉が逃げていかないように

ほかの何かと入り混じって、変質してしまわないように

夏凜「だからっ」

天乃「?」

夏凜「私も……私もあんたのこと」

なにものにも毒されていない、三好夏凜の久遠天乃への言葉

まだ気付かれていないかもしれない

でも、

夏凜「友達だって思ってるって……ことよ。ばかっ」

ならばこそ、言わなければいけない。と、握り締めた思いを投げつけて

恥ずかしさに、目をそらした


天乃「友達……? 貴女も? 私のことを?」

夏凜「何回も言わせ……っ」

本当に、嬉しそうだった

嬉しすぎて、困惑していて

現実だと思いたいのに思えないような

そんな、複雑な表情を浮かべる天乃を一瞥して

夏凜は天乃にデコピンを放つ

天乃「っ」

夏凜「あんたがどう捉えようとしたのか知らないけど。痛いってことはつまり、そういうことだから」

天乃「……そう、よね」

ただの監視

ただのお役目の相手

そうとしか思ってくれないだろう。と

どこか諦めていた相手からの言葉は紛れもなく……現実で

天乃「ありがとね、夏凜」

夏凜「っ……あんた、こういう時はホント。子供っぽいわよね」

2人の少女は茜色に染まりつつある空を映す海を眺めながら

ただただ、静かな時間を二人で過ごす

それはとても。特別な時間だった


√ 5月10日目 夕() ※月曜日

01~10 
11~20 夏凜
21~30 
31~40 風・樹
41~50 
51~60 友奈
61~70 
71~80 不審者

81~90 
91~00 

↓1のコンマ


空欄なら、通常選択に移行  


√ 5月10日目 夕(犬吠埼家) ※月曜日

九尾、死神、夏凜、風、樹との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、樹
5、風
6、イベントの判定

↓2

※東郷、友奈は判定でのみ


天乃「死神さん、死神さん」

死神「ハァイ」

天乃「夏凜がね、友達って言ってくれたわ」

死神「シッテタ」

天乃「そうなの?」

死神「キュウビモ、シッテル。クオンサン、キコエナイダケ」

死神はそう言いながらも

ヨカッタネ。と、天乃と同じように嬉しそうに言いながら、

くるりと回って、天乃を見つめる

死神「ワスレチャ、ダメ」

天乃「え?」

死神「カリントノ、タイセツナ。キオクダカラ」

天乃「……うん。忘れたくは、ないわね」


そうは言っても

満開した時に失うものは自分で定めることなんてできない

そもそも、またしても記憶を奪われるとは限らない

今動く右手ですら

持って行かれてしまう可能性が……あるのだ

天乃「ねぇ、死神さん」

死神「?」

天乃「……………」

色々と気になることがある

死神がそれを答えられるかどうかは分からないけれど

聞いてみるのもアリではあるのかもしれない



1、友奈の気になる。という発言について
2、不審者について
3、襲撃に関して
4、死神について
5、稲荷について


↓2


では、ここまでとさせていただき明日

明日は可能であれば13時 無理そうなら14時ころからとなります

おつおつ
単発が取っても10分後位まで誰もレスしなかったら確定させていいんじゃないか


では、少しずつ進めていこうかと思います

>>644
そうですね、それも考えておきます


天乃「貴方が分かるかどうかは別として、聞きたいのだけど」

死神「ウン」

天乃「朝の友奈について、どう思う?」

私のことを一人にしてはいけないと思ったと言ったし

それに関して分からないとか、おかしいとか、聞かれると困るとか

少し不明瞭な部分があった

これが男女であるのなら

恋に気付かない純情な女の子。というのもありえなくはないのかもしれない

しかし、天乃も友奈も女の子であり

その仮説はありえない。と、天乃は切り捨てて死神を見つめる

天乃「なんらかの力が働いてるとかは……ないわよね?」

死神「チカラ?」

天乃「九尾あるいはカワウソの幻術的な力でのある種の催眠のようなもの。とか」


死神「ソレハ、デキルトオモウ。デモ、チガウンジャナイカナ」

天乃「どうして?」

死神「スルイミナイ。ユウナナラ、ソレナクテモ。ナカマニデキル」

天乃「……そうね」

たしかに、説得しても通用しない相手にならば

そういう催眠のような手を行使する可能性はなくもないが

友奈のように強制の不要な相手には使う必要などまずないし

ただの労力の無駄でしかないだろう

死神「タダ、ワタシニハワカラナイ」

天乃「?」

死神「チカラニツイテクワシイノハ、ワタシヨリモキュウビ」

天乃「分かることだけでいいのよ?」

天乃がそう言うと、死神は少し困ったようにくるりと回ると

じっと天乃を見つめて……答える

死神「ワタシハ、クオンサンニイッタ。ワタシハイザナウモノ。ト」

天乃「ええ、あなたに出会った時に聞いたわ」

死神「ソウイウコト。ジャナイカナ……アルトスレバ、ソレハワタシノセイ」


天乃「貴方のせい……?」

死神「ウン。ワタシノナニカガ、ユウナノコトヲイザナッテイル」

天乃「……………」

それは死に向かっているのか

それとも、ただ気を引いているだけに留まってくれるのか

死神にはきっと、そこまでのことは分からない

言葉を理解したりする知能はあるが

そこには特化していない故の欠損があるのだ

天乃「詳しくは九尾に聞くしかなさそうね」

死神「ワカルト……イイネ」

天乃「ええ」

能力で相手の気持ちをどうこうしているなんていうのは

あまり、気持ちのいいものではないものね

なんとか、できればいいのだけれど……


√ 5月10日目 夜(犬吠埼家) ※月曜日

九尾、死神、夏凜、風、樹との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、樹
5、風
6、イベントの判定

↓2


風「どーしたの? 夏凜との件?」

天乃「うん。その報告かしら」

風「まー聞かなくてもわかってる」

天乃「でしょうね」

風の少しばかり呆れたような物言いに、

天乃はちょっぴり困った笑みを浮かべる

実際は困っているわけではないのだが

風「何があったにせよ、最終的には丸く収まったなら深くは聞かない……つもりなんだけどさ」

天乃「うん」

風「丸いどころか、パズルみたいにがっちり組み合わさってるのを見ると、好奇心が引き出されるのよねぇ」

天乃「別に何か変なことはないわよ?」

ただ、特別なことがあった

なんの変哲もない平和で、だらだらとしたのどかな時間と空気を

2人だけで過ごしただけの。特別

天乃「夏凜が認めてくれただけ。ただ、それだけなの」


風「………………」

その表情は、茶化すことを許さなかった

口を挟むことを許さなかった

それは、神樹様の結界よりも精霊の守りよりもはるかに

強固な何かに守られているかのように、何者の干渉も許さず

音さえも、遮断する

風「………………」

いや、そうじゃない

ただアタシ自身が何もしない方がいいって

このまま見ていたいと、思っているだけ

天乃「……友達だって」

天乃がそう言ってようやく、

風は縛りが解けたかのように微笑みを携えて

風「よかったじゃない」

と、答えた


風「まぁ、夏凜は悪い子じゃないし、当然の結末よね」

天乃「ふふっ、そうかもしれないわね」

風「……………」

天乃には不思議な魅力がある

放っておけない

守ってあげたい

支えてあげたい

傍にいてあげたい

樹に対する保護欲というかなんというか

それと似たようで似ていないような感覚

風「……あのさ」

天乃「?」

風「夏凜は天乃に好き。とか、言った?」

天乃「何言ってるの?」


風「ちょっとした興味で」

天乃「言われてないけど……」

風「そっか」

天乃「なんなのよ」

何かを言いかけた天乃から目をそらして、

考えるために俯く

夏凜はそう思っていないのか

それとも、言えなかっただけなのか

天乃「なんなのよ。ねぇ、ちょっと」

風「……………」

天乃「ふーう~?」

何かを愛らしいと思うのは、おかしいことじゃない

けれど、これは

この、なんだかよくなさそうな何かは……

風「……………」


01~10 
11~20 誰だってやらかすことはある。そう、人間ならね

21~30 
31~40 
41~50 続く

51~60 
61~70 
71~80 無意識って怖いね

81~90 
91~00 

↓1のコンマ  



空欄なら何もなし


天乃「風?」

風「……なんでもない。おやすみ、天乃」

天乃「ええ……疲れてるなら無理しないでね」

風「ありがと」

天乃の優しさに笑みを向けて、部屋を出た風は

自室に戻るやいなや、ため息をつく

風「………っ」

天乃のような世話の焼ける存在を愛らしいと思うのは

きっと、自分の性格上仕方がないのかもしれない。と、風は割り切って目を瞑る

樹や夏凜

友奈や東郷はどう思っているのだろう

どう感じているのだろう

風「…………大赦からの、連絡?」

思考を遮断するように震えた端末

内容を確認した風は……黙って天井を見上げた

1日のまとめ

・  乃木園子:交流無()
・  犬吠埼風:交流有(同居、夏凜について、気になる)
・  犬吠埼樹:交流有(同居)
・  結城友奈:交流有(会いに来た、会いたい理由)
・  東郷美森:交流無()
・  三好夏凜:交流有(監視、お出かけ、友達)
・     九尾:交流無()

・      死神:交流有(友奈について)
・    夢路瞳:交流無()
・     神樹:交流無()


5月の10日目終了後の結果


  乃木園子との絆 19(中々良い)
  犬吠埼風との絆 33(中々良い)
  犬吠埼樹との絆 41(中々良い)
  結城友奈との絆 18(普通)
  東郷三森との絆 25(中々良い)
  三好夏凜との絆 35(中々良い)
   夢路瞳との絆 9(普通)

     九尾との絆 22(中々良い)
      死神との絆 22(中々良い)
      神樹との絆 -1(低い)


√ 5月11日目 朝(犬吠埼家) ※火曜日

九尾、死神、夏凜、風、樹との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、樹
5、風
6、イベントの判定

↓2

※東郷、友奈は判定でのみ


01~10 風
11~20 友奈
21~30 東郷
31~40 稲荷
41~50 夏凜
51~60 死神
61~70 樹
71~80 大赦
81~90 九尾
91~00 大赦

↓1のコンマ  


天乃「っ!」

九尾「くふふっ」

眠りの深淵から一気に掬い上げられるような悪寒を感じ、

天乃が目を開けた瞬間

妖狐の瞳が2つ、視界に入った

天乃「九尾!」

九尾「ぬるいッ!」

天乃「っ」

動かせる右手を九尾めがけて振り抜き、

躱した九尾のなびいて残る長い髪を掴む

九尾「くっ」

天乃「逃がさないわよ……ッ」

右腕だけの力

けれど、たった一本で2年間頑張ってきた腕の力は

そう安安と逃げられるものじゃない

天乃「私の首のこの印……消しなさい」

九尾「くくっ、嫌じゃ。と、言うたら?」

天乃「消させるわ。死神に」

九尾「妾を斬ったところでそれは消えぬよ。主様」


天乃「笑う余裕、あるのね」

九尾「妾は尾を含めば13もの手足と言える。主様はたった一つ。差は歴然じゃ」

天乃「この髪、引っこ抜いたらどうなる?」

九尾「髪が消えるだけのこと。髪も肉体も装飾に過ぎん」

九尾の相変わらずの余裕な表情

当たり前だ

言われたとおり、差は歴然

技術があっても扱う手足がなければ無いのと同じなのだ

九尾「諦めてその身を捧げよ、主様」

天乃「嫌よ……寝込みを襲うような人に誰が捧げるのよっ」

九尾「一理あるのう。くくくっ」

不敵な笑みを浮かべた九尾は

天乃に対して両手を上げて降参の意思を示すと

緊張が解けたのか、息をつく

九尾「その印はのう。主様。妾と主様の関係をより強くするためのものじゃ」

天乃「関係を強くするため?」

九尾「いかにも。主様に妾の妖力を与えるためにある。じゃが、主な理由は物に名を書くのと同じ理由じゃ」


天乃「やっぱりそういうためのものじゃないっ!」

九尾「くく、冗談じゃよ。まったく……主様は自分のことを何も分かっておらぬのだな」

天乃「……どういうこと?」

九尾「言われたじゃろう? 特別じゃと。影響力は絶大じゃと」

天乃「……………」

今月の初めの方……だったかしら

確かに言われたわね

大赦に呼び出されて。そんなことを

九尾「主様の影響力は、男女問わぬのだ」

天乃「というと?」

九尾「主様の纏う力は人を交合へと誘う……印はそれを抑制するためじゃ」

天乃「交合?」

九尾「印なくば、いつか喰われるぞ」

それでも良いのであれば外すが。と

九尾は印のついた天乃の首に触れて、呟く


九尾「昨日の主様の疑問の答えがそれじゃ」

天乃「盗み聞きしてたのね」

九尾「聞こえたのだから仕方があるまい」

くすくすと笑うと

九尾は金色の瞳を天乃に向けて

ぺろっと、舌を見せる

九尾「それは黄泉の者が持つ生まれ持っての力じゃ。使役する主様に移ったのじゃろうな」

天乃「死神の……じゃぁ、やっぱり」

九尾「原因は彼奴じゃよ。じゃがのう……それはいわば呪いのようなもの。黄泉の者の力を得た代償と割り切るほかない」

九尾はそう言うと

天乃の首の印をなぞり、鎖骨を撫でて

胸元へと手を忍ばせる

天乃「っ」

九尾「親しきものほどその影響は強くなる。気を付けよ主様。主様は非力すぎるのじゃからな」




1、じゃぁ、この印に代償はないの?
2、貴女が一番危険でしょうに
3、現時点で影響を受けてるのは誰?
4、じゃぁ……夏凜が私を友達って言ったのは



↓2


天乃「じゃぁ、この印に代償はないの?」

九尾「ふむ。あるぞ」

天乃「なに?」

九尾「主様が妾に近づく」

天乃「つまり?」

九尾「いずれしっぽが生え、耳が生える。もちろん、妖狐の力が流れる印がある時だけじゃがな」

九尾はさらっと言いながら

天乃の臀部に手を回し、頭を撫でて

尻尾と耳がないことを確認する

九尾「それと、印の効力を強めるために、また主様と交わる必要がある」

天乃「また、キスマークを?」

九尾「主様の女である証を妾の力に染めれば半永久的じゃがな。それでは主様が妖狐に堕ちるからのう……」

九尾は少し困ったように呟いて

天乃の印のあたりに顔を近づける

天乃「なにを」

九尾「………………」

すんすんっと匂いを嗅いで、舌先でペロッと舐める

天乃「ひっ」

九尾「まだ平気じゃな。とにかく、力を借りるとはそういうことなのじゃ。夢々忘れるでないぞ」

……そう。たとえ、神樹なるモノの力を借りたとしても

同じように、近づいていく。ということを


では、少し中断します
20時半には再開予定ですが、遅れて21時になる可能性もあります


天乃の影響力については、死神=伊耶那美の名前の由来から


遅くなりましたが、再開します


√ 5月11日目 昼(犬吠埼家) ※火曜日

九尾、死神、夏凜との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、イベントの判定

↓2


01~10 死神
11~20 九尾
21~30 夏凜
31~40 大赦
41~50 死神
51~60 稲荷
61~70 夏凜
71~80 死神
81~90 九尾
91~00 夏凜

↓1のコンマ 


天乃「ん……? どうしたのよ」

窓の外から夏凜へと視線を移した天乃は

馬鹿にするようなものではなく

仕方がないわね。とでも言うよな薄い笑みを浮かべる

天乃「そんな顔して」

夏凜「……天乃」

天乃「ん?」

夏凜「……………」

握り締められた端末

力を入れすぎて震える拳

昨日と一転した、悲しそうな表情

何かあったのは明白だった

天乃「大赦から指示でもあった? 私を殺せって」

夏凜「そこまでのことじゃ……」

天乃「なら、別に一生の別れでもないんでしょう?」

夏凜「……あんた、知ってんの?」

天乃「ううん。でも、干渉しすぎたんじゃないかなーとは、思ってたから」


久遠天乃は干渉しすぎた

勇者部や三好夏凜は干渉されすぎた

天乃という毒に、冒され過ぎた

夏凜「っ」

天乃「窓は、あるかしら」

夏凜「……………」

天乃「監視は誰かがいるのかしら」

夏凜「天乃……私」

天乃「貴女がいけないわけじゃないでしょう?」

夏凜の言葉を言われるよりも前に理解して

天乃は笑みを浮かべながら、首を横に振る

ふざけることがある

茶化すことがある

でも、天乃にも真面目に考え、悩むことはある

そして、例えそんな時であろうと

天乃「私は元々危険人物だったのだから」

天乃は何よりもまず……相手のことを優先する


夏凜「一応、あと3日くらいは平気だから」

天乃「うん」

夏凜「でも、それ以降は……あんたを隔離する」

天乃「うん」

あと3日

たったそれだけしか、天乃とは一緒にいられない

なにが危険人物だ

なにが不安定だ

誰かを友達だと思って何が悪い

誰かと仲良くしたいと思って何が悪い

大赦のくせに……なんで、そんなことすら許してくれないのよ

夏凜「っ………」

それこそが、毒されていると言われた思考回路だと気づいて

夏凜は目をつむって息を吐く

夏凜「天乃。出かけたくない?」



1、出かける
2、出かけない


↓2


天乃「そうね……どこに連れて行ってくれるの?」

夏凜「あんたが行きたそうな所」

天乃「私が行きたそうなところ?」

夏凜は「そう」と、答えると

少し待っててと言い残して部屋を出ていく

天乃「……どこかしら」

家族のところ?

海?

夏凜の家?

公園?

それとも……

天乃が行き先を考えていると

夏凜は樹や風がいつも来ている制服の予備を天乃に見せる

夏凜「樹と同じ身長なら、樹ので――」

天乃「真面目に言ってるなら怒るわよっ」

夏凜「じ、冗談よ……風のを借りるわ。それなら多少差があっても平気でしょ」

2人は讃州中学の勇者部へと……向かった


01~10 
11~20 沙織
21~30 
31~40 不審者

41~50 
51~60 
61~70 沙織

71~80 
81~90 変質者
91~00 

↓1のコンマ  


√ 5月11日目 夕(讃州中学) ※火曜日


噂の不審者とやらに警戒していたものの

どうやら、今日は運良くいなかったらしい

もしかしたら、放課後に現れるだけで

それ以外の時間にはいないだけかもしれないが

天乃「……これが不審者なの?」

夏凜「みたいね……」

勇者部の部室にきた天乃は

学校から配られたであろう注意を呼びかける手紙から目を離し

夏凜へと疑いの目を向ける

天乃「ドッキリ?」

風「だったら良いんだけどね……残念なことに、それが本当の本当に不審者らしいのよ」

天乃「………………」


身長は大体170ほど、髪は短く薄い桃色

瞳の色は橙色

不審者の姿はまるで男体化した天乃のようだった


では、此処までとさせて頂きます


何もなければ、
6月1日目より、天乃は場所移動になります


早いですが、少ししたら再開します


友奈「ねぇ、久遠さん」

天乃「ん?」

友奈「その人、久遠さんに関係ある人なんじゃないかな?」

友奈は手紙を受け取ると

そこに書かれた人物の絵を見つめ

もう一度天乃を見つめて、頷く

似てる

凄く似てる

背は久遠さんよりずっと高くて、髪の色は少し薄いらしいし

人の書いた絵だから

本当に全てこの通りだとは限らないけれど。でも

友奈「私ね、この人は実はすごく優しい人なんじゃないかなって」

天乃「どうして?」

友奈「帰りに校舎の窓から見えたこの人は、誰かに会いたがってるように見えたんだ。誰かを待ってるように見えたんだ」

天乃「………………」

友奈「だから久遠さん。会って……あげようよ」


友奈は天乃の事情を知らない

記憶喪失だなんて知らず

天乃が犬吠崎家にいるのはただ大赦から風達が勇者ゆえ

一任されただけ。と、思ってる

だから、そう言えるのだ

天乃「………………」

友奈「ね? 久遠さん」

友奈の瞳は純粋だ

友奈の表情には裏がない

人探しをしている不審者の事を思っての、優しい提案なのだろう

でも

天乃「……私の関係者。ね」

会うのにはメリットがあるかもしれない

でも、デメリットもある



1、会ってみる
2、やめておく



↓2


天乃「良いわ。会ってあげる」

樹「久遠さんっ」

天乃「……大丈夫よ。きっと」

私の関係者

絵の通りの顔つきなのなら年齢はせいぜい20前半

これで父親というのは難しい以上

きっと、お兄ちゃん。なんだろう

樹「……でも」

天乃「平気」

どちらにも不利益なことはある

でも、何も知らずに延々と彷徨うよりは

非情だろうと、現実を教えてあげるべきだと思う

天乃「校門のところに行けば、会える?」

風「会えるとは思うけど……」

夏凜「なにかしようとしたら私が守ってあげるわよ」

天乃「うん……ありがとう」

素直な感謝に対して、夏凜は目を背けると

照れくさそうに笑って

夏凜「私はあんたの付き人なんだから。当然よ」

と、ぶっきらぼうに言い捨てた


その人探しをしているという男性

いや、青年は校門に寄りかかるようにして、佇んでいた

まるで、今日。天乃が来てくれると分かっていたかのように

夏凜「下がってて」

天乃「でも」

夏凜「良いから。まずは私が誰を探してるのかを聞いてくる」

借り物車椅子の天乃と

健常者の夏凜とでは非常時の対処能力には天と地ほどの差がある

ゆえに、それは英断だと言えたかもしれない

夏凜「そこのあんた」

「ん?」

夏凜「誰かを探してるって、聞いたけど」

「……ああ、探してる。俺の大切で可愛い妹を探してる」

夏凜「……………」

「勇者部っていう連中が一緒にいたと思う。って聞いたんだけど、夏凜は知ってるか?」

夏凜「っ!」

その男が、三好夏凜という人間を知らなければ――だったが


夏凜「あんた、私のこと」

「知ってるよ。知ってる。それに……もう見えてるからな。妹が」

夏凜「………………っ」

逃げろというべきかもしれない

でも

そんな言葉を投げかける隙さえ、この変質者はくれない

鍛錬による直感が、警笛を脳に響かせる

「そう怖がるなよ。俺は妹なら誰だっていいわけじゃぁないんだ」

夏凜「はぁ?」

「人様の妹に手を出すほど落ちぶれちゃいないってことだよ。妹が好きなんだ。そのくらい弁えてるよ」

清々しいほどの柔らかい笑み

けれど、紡ぎ出される言葉の異常さに体が震える

怖いから?

気持ちが悪いから?

なんでもいい……これは悪寒だ

夏凜「会わせてあげようかとも思ったけど気が変わったわ。帰れ、変質者」

睨みつけるように言い放ち

夏凜は部室から拝借した作り物の刀を男に向けた


風「ちょ、ちょっと!」

東郷「夏凜ちゃんが刀を向けるなんて」

天乃「……………」

遠巻きに見つめている以上

天乃だけでなく、風達にも会話は聞こえず

何がどうなってそうなったのかは分からない

ただ、青年は終始笑みを浮かべていた

ただ、それだけだった

天乃「………っ」

知らない

ううん、きっと、私が覚えていないだけで

あの人は私の……関係者なんだろう

天乃「夏凜……」


1、私のために争うのは止めて!
2、夏凜やめなさい!
3、見守る


↓2


天乃「夏凜やめなさい!」

夏凜「っ」

慌てて叫ぶ

なんで叫んだかはわからないけど、でも

危険だと思った

何も覚えていないはずなのに……いや

あの人のあの構え

あれは記憶がなくても体が覚えてる構――っ

「                 」

天乃「ひっ!?」

何かを叫んでる

何を言ってるかは見えないけどなにか……じゃないっ

近づいてきてるっ!

樹「お、おおおねぇえちゃんっ!」

風「ちょ、無理無理無理ッ!」

青年は夏凜が天乃に振り向いた瞬間

横をすり抜けて天乃へと一直線に駆け出したのだ


風が慌てて天乃の車椅子を反転させようとしたが

その時にはもう、遅かった

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁまぁぁぁぁぁぁぁぁのぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」

天乃「いやぁぁぁぁぁぁ!」

言葉が読めた

感情が見えた

その瞬間、たまらず叫び声をあげてしまった

探し人に出会えた嬉しさがあるのかもしれない

でもだからと言って歓喜の表情で名前を叫びながらの全力疾走など

恐怖以外のなにものでもなかった

九尾「世話の焼ける主様じゃなッ!」

そんな声が頭に響き

一瞬だけ辺りが眩く光り輝くと

白い衣を身に纏った女性が天乃の前に立ちふさがっていた

「っと」

九尾「去れ小僧。妾の主様に手出しは許さぬ」

「可愛い妹との再会なんだ。去るべきはそっちだろう」

九尾「ふんっ……生意気だのう。素直に去るのであれば、妾が一晩――」

「すまん。あんたの体よりも、2年間成長した妹の体の方が興味あるんだ。悪いな」


九尾「……主様。この気持ち悪い人間はなんじゃ。殺すぞ。喰らうには気色が悪すぎる」

「気持ち悪いとは失礼な。人間。誰だって妹や弟が大好きに決まってるだろ」

風「いや……そこまで、常軌を逸してはないと、思います」

樹「お姉ちゃんが引きすぎて敬語になってる!?」

「お姉ちゃん……? そうか、キミも仲間――」

風「一緒にするなぁッ!」

風はそう怒鳴って、九尾の隣に並ぶ

そして

夏凜「追い詰めたわよ……変質者!」

夏凜が青年の背後を取る

風「今なら、逃げても追わないわ」

九尾「どうじゃ? 尻尾を巻いて逃げ出さぬか?」

3対1の多勢に無勢

しかも一人は人間の姿とはいえ精霊だ

けれど、それを知らないからなのか

青年は困ったように笑って、ため息をついく

「2年間もお預け食らってた俺が、目の前に妹出されて我慢できるわけないだろ。いい加減にしろ」

九尾「知るか戯け!」


夏凜「…………っ」

九尾の怒号は合図だ

変態から私は見えていない

足音さえ消せれば、動きを悟られることなんてない

ゆっくり、慎重に

散々鍛錬してきたことだ

ゴクリ吐息をのみ、柄の感触を確かめるように

一つ一つの指を握り直していく

手練だ。絶対に

でも、私は天乃を……守るんだ!

強い思いを込めて足を踏み出し、

砂粒がジャリっと音を立てるよりも素早く、

斜め下へと構えていた模造刀を振り上げる……が

「いい匂いがするな」

夏凜「っ!」

青年は振り向くことなく右足で刀身を蹴り壊すと

そのまま一回転して夏凜の腕を掴み、引き倒す

「妹の匂いがするんだ。音を消そうが息を殺そうが。妹の匂いが近づけば分かるんだよ」

夏凜「ふざけ」

「あんまり手荒な真似はさせるなよ……我慢してるんだから」

夏凜「っ!」


手についた砂を払うように手を叩いた青年は

立ちふさがる二人の守り手を見つめると

目を細め、口を細めた畏怖さえ感じる笑みを浮かべる

「いい加減、抱きしめたいんだよ」

九尾「こ、この変態……化物かなにかか」

「頼むよ。そろそろ空気が吸いたいんだよ」

九尾「くっ……」

浮かべているのは笑み

けれど、それは喜楽ではなく狂気を放つ

「2年前の妹の下着はもう尽きた。でも、もうひとりの妹じゃ満ち足りなんいんだ」

天乃「…………………」

「なぁ、天乃。その胸に顔をうず……抱きしめさせてくれ」



1、悪いけれど、私は貴方の言葉が聞こえないし、貴方を知らないわ
2、ねぇ。貴方は私のお兄さんなの?
3、ごめんなさい。私は耳が聞こえないの
4、ごめんなさい。私は貴方を知らないわ
5、貴方がそれでみんなを傷つけないのなら
6、嫌よ


↓2


天乃「嫌よ」

「なん……だと?」

夏凜「当たり前でしょうが! なにが下着が尽きた。もう一人じゃ満足できない。よ、変態!」

「俺は変態じゃない、シスコンだ!」

風「どう見ても変――」

友奈「風せんぱーい! 先生呼んできましたーっ!」

その声に九尾以外の全員が校舎の方に目を向けると

東郷と友奈そして男性教師の一団が天乃達の方へと駆け寄ってきていた

「ったく……風先輩。ね」

風「……なに?」

「あんたがこの中のリーダーつまり、勇者部の犬吠埼さん。だろ」

風「だったどうなのよ」

「で、そっちが妹の樹ちゃん。あれが友奈ちゃんで、車椅子の東郷さん」

夏凜「あんたまさか」

「いいや、別に誰かに手を出すなんてつもりはないよ。ただ、夏凜と犬吠崎姉妹はどうも、天乃の匂いが強く感じる」


青年はそう言うと

近づく教師の一段を一瞥して、ため息をつくと

風を見つめて手を振る

「今度、犬吠崎さんの家にお邪魔することにするよ。そこにいるんだろ? 天乃はいつも」

風「!」

「じゃぁな」

そう言い残した瞬間

青年は全力で校門のほうへと駆け出す

「逃がすな! 閉めろ!」

男性教師が叫ぶと、

校門の近くにいた生徒は慌てて押し閉める

けれど、青年は横の壁を蹴り上がると

そのまま壁の向こうへと軽々と飛び越えて逃げていく

樹「どうしよう……お姉ちゃん」

風「っ………」

早ければ明日にでも来るだろう

どうしようかと悩んだ末に、風は東郷と友奈に振り向いた


では、ここまでとさせて頂きます
明日は出来れば通常通り21時半か22時となります
22時半超えても何もなければ無しとなります



帰宅先は東郷家か結城家


遅くなりましたが、少しだけ再開します


√ 5月11日目 夜() ※火曜日

1、東郷家
2、結城家
3、あえて、犬吠崎家

↓2


√ 5月11日目 夜(犬吠崎家) ※火曜日


九尾、死神、夏凜、風、樹との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、樹
5、風
6、イベントの判定

↓2



01~10 変態
11~20 夏凜
21~30 樹
31~40 風
41~50 稲荷
51~60 樹
61~70 九尾
71~80 風
81~90 やつは窓からやってくる
91~00 夏凜

↓1のコンマ  


九尾「すまぬな、主様よ」

天乃「なにが?」

九尾「武の才を持たぬ妾に、彼奴は討てぬ」

天乃「あの男の人のこと?」

いかにも。と。九尾は悔しそうに頷く

鍛錬を積んでいる夏凜を討つことができるのは

夏凜がまだ子供ゆえに、隙が多く弱点が多いからだ

けれど、あの男は違った

九尾「主様が見れたかは知らぬが、彼奴は夏凜の動きを完全に把握していた。そして、次に動くのは妾だということも」

天乃「……………………」

九尾「彼奴を殺すことはできるかもしれぬ。じゃがな、主様よ。彼奴を一度殺す為に、妾は少なくとも拾は死ぬ」

天乃「そんな大げさな」

九尾「主様を手に入れるためであれば……彼奴は鬼神にもなりうる。現に、あれは狂者だった」

ただの変態な気がするけれど。と

天乃は困ったようにため息をついて青年の姿を思い浮かべた


色々と総毛立つような気持ちの悪いことを言われた

けれど、あの人はずっと言ってた

妹。と

もしそれが本当なら、私はあの人の妹だってことになる

天乃「……私もあんな性格だったのかしら」

下に妹や弟がいるのかは知らないけど

兄姉妹弟に対してあんな異常な愛情を持っていたのだろうか

天乃「っ……いやいや」

鳥肌が立って、首を振る

そんな自分の姿など

想像することさえ……脳が拒絶したのだ

天乃「あの人、また来るかしら」

九尾「次は死ぬ覚悟で討つ。容赦はせん」



1、ううん。次はちゃんとお話しようと思う
2、じゃぁ、貴女の力で私を勇者にしてくれる? ちょっと、戦ってみたいの
3、殺すのはダメ。誰であっても


↓2


天乃「ううん。次はちゃんとお話しようと思う」

九尾「正気か主様! 彼奴の瘴気に当てられて気が狂うぞ!」

天乃「こらこら」

部屋に響く、天乃の小さな苦笑混じりの声

九尾はいささか不愉快そうに眉を吊り上げながらも、

天乃の表情を見つめて、黙り込む

天乃「…………………」

あの人は変態だ

あの人は自称シスコンだ

でも、私のお兄さんかもしれない

私の家族かも知れない

だから

天乃「話がしてみたいのよ」

九尾「主様……」

天乃「記憶にはないし、きっと。記憶が戻ったりもしない。でも、家族との記憶が何一つないよりは……あったほうが良いじゃない」


九尾「……変態でもか?」

天乃「うっ」

九尾「胸や尻を触られ、唇を奪われても良いのか?」

天乃「そ、そんなことはしない……って、信じたいけど」

でも、信じられる要素が何一つない

見えた言葉の危険度がとてつもなかったからだ

九尾「まぁ良い。話くらいなら妾は止めぬ。じゃが、彼奴が動いたら殺す。良いな?」

天乃「殺すのは……」

九尾「格上に対し手加減せよ。とは、主様は妾に死ねというのか?」

九尾の厳しい言葉に天乃が黙り込むと

九尾は不満ありげにため息をつくやいなや、どこかへと姿を消してしまった

天乃「だって……お兄さんだったら。ううん、そうでなくても。人が死ぬのは嫌よ。例え、変態さんでも」

そう言いながらも

天乃は自分の体が狙われているかもしれないという恐怖に右腕だけで身を抱きしめて

ぎゅっと……目をつむった

1日のまとめ

・  乃木園子:交流無()
・  犬吠埼風:交流有(同居)
・  犬吠埼樹:交流有(同居)
・  結城友奈:交流有(来校)
・  東郷美森:交流有(来校)
・  三好夏凜:交流有(監視、登校)
・     九尾:交流有(天乃の魅力、変態)

・      死神:交流無()
・    夢路瞳:交流無()
・     神樹:交流無()


5月の11日目終了後の結果


  乃木園子との絆 19(中々良い)
  犬吠埼風との絆 34(中々良い)
  犬吠埼樹との絆 42(中々良い)
  結城友奈との絆 19(普通)
  東郷三森との絆 26(中々良い)
  三好夏凜との絆 37(中々良い)
   夢路瞳との絆 9(普通)

     九尾との絆 24(中々良い)
      死神との絆 22(中々良い)
      神樹との絆 -1(低い)


では、キリもいいので此処までとさせて頂きます



明日の再開時に判定
……おや? 窓が開いているじゃないか


遅くなりましたが、再開します


√ 5月12日目 朝(犬吠埼家) ※水曜日


01~10 侵入者

11~20 
21~30 
31~40 いつも妹の傍に這いよる不審者

41~50 
51~60 
61~70 
71~80 ほら、やっぱり玄関から直接お邪魔しなきゃ。ね?

81~90 
91~00 目を覚ますと、そこは戦場だった

↓1のコンマ  


朝の日差しがだんだんと登り始め、

カーテンを眩くしていく頃

ぴくぴくっと三角形の耳が動き、天乃が目を覚ます

天乃「……そっか、今日は一人だったっけ」

別に寂しいということはない

けれど

最近は樹と寝たりしていたからか、

自分ひとりだけのベッドはなんだか広く感じるのだ

うん、寂しくは。ないけれど

天乃「……………」

今の時間は誰が起きてるだろうか

風はもしかしたら起きてるかもしれない

あと、夏凜も

精霊たちも、呼び出せば来る。かもしれない


√ 5月12日目 朝(犬吠埼家) ※水曜日

九尾、死神、夏凜、風との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、風
5、イベントの判定

↓2


01~10 風
11~20 夏凜
21~30 死神
31~40 風
41~50 稲荷
51~60 樹
61~70 九尾
71~80 窓
81~90 樹
91~00 夏凜

↓1のコンマ  


樹「お、おはよう、ございますっ……!」

天乃「樹?」

実際は足音が響いていたのだが

天乃にとってはなんの前触れもなく、樹が部屋へと入ってきた

慌てて整えたのだろう

髪は所々跳ねていて

まぶたはだいぶ閉じかかっているけれど

それでも、樹は天乃の部屋に来たのだ

天乃「どうしたのよ」

樹「いえ、その……朝でも起きれるんだってことを見せたくて」

天乃「そんな無理しなくてもいいのに」

樹「無理……じゃないです」

なにかしたくてもできない天乃

何かしようと思えば出来るのに、やれない自分

それが嫌で、変わろうと思った

何かができる自分というものを、見せたかったのだ


そんな気持が伝わってくるような樹の眠たそうな表情に、

天乃が嬉しそうに笑みを浮かべると

合わせるようにして、小さな三角形の耳がピクっと動く

天乃「ん?」

樹「えっ」

天乃「……あれ?」

違和感を感じた天乃と

違和感を見た樹は二人して黙り込み、沈黙が生まれて

その原因はバレた身を隠すかのごとく、縮こまる

けれど

樹「あ、頭……久遠さんの頭にっ」

天乃「…………っ」

じっと見られる気恥ずかしさに天乃が頬を染めると

その頭に現れたそれもまた

照れて顔を隠すように、凹む

そして

樹「く、久遠さんに耳が生えたーっ!」

樹里の絶叫が部屋に響く

九尾が言ったように、少しだけ近づいちゃったらしい

でも、耳は耳としてはまったく機能していなかった


では、此処までとさせて頂きます

もう少し長くできるといいんですが、今のところはこれが限度ですね
出来れば、明日は21時半から。無理そうなら22時ですが
それも無理な場合はなしになります


では、また少しですがやろうかと思います


天乃「そんなにまじまじと見ないで」

樹「っ、っ!」

元々ちっちゃ可愛いお姉ちゃんだった久遠さんに犬のような狐のような

とりあえず、耳が生えた

早起きしたし、これはもうきっと夢なんじゃないかな

でも

胸が凄く痛い

病気とかじゃなくて内側から殴られてるような痛さを感じる

だからきっと、これは夢じゃないんだ

樹「………久遠さんが照れてると、屈むんですね」

天乃「だから?」

樹「いえ、その……」

可愛いって言ったらどうなるんだろう

そんな疑問を抱きながらも

樹は言う勇気がなくて、首を振る

樹「何でもないです」


ドキドキする

触りたい

撫でたい

ギュッてしたい

そんな欲望に駆られながら、耐え忍ぶ樹は

照れの残る天乃をジッと見つめたまま、黙り込む

訪れた沈黙は

照れた少女と、浮かない表情の少女の間をするりと抜けて

照れているだけだった天乃の視線を樹へと誘う

天乃「……………」

触りたいのかな

でも

この耳に触られると

なんだかまずい気がするのよね……



1、触ってみる?
2、このことは秘密にしてね?
3、九尾に言って刻印を消してもらう
4、似合わない……わよね

↓2


天乃「……ねぇ、触ってみる?」

樹「いいんですか!?」

天乃「っ」

張り上げられた大声

乗り出した体に、天乃以上にその耳は驚いて、ピンッと立つ

……どうしようすごく可愛い

そんな張り裂けそうな思いを胸に、

樹はふっと息を吐いて心を落ち着ける

天乃「や、優しくしてくれるなら。うん」

樹「っ!」

半強制的な潤んだ瞳の上目遣い

照れくさくて桃色な頬

落ち着ける心なんて、ここにはない

これ以上近づいたら

この耳に触ったら

私の心臓の音が……聞こえちゃう

でも

樹「優しく、優しくしますっ」

我慢なんて出来ません


そろ~っと手を伸ばす

ゆっくりとしたその動きはまるでスロー再生で

いつ来るのかと、怯える耳はピクピクと忙しない

天乃「まだ?」

樹「さ、触りたいんですけど」

天乃「?」

樹「もう少し、待ってください」

耳の可愛らしい挙動を見ていると、触って終わらせてしまうのがもったいなく思えてしまう

でも、どうしようもなく触りたい

目に見えない何かが押し合う樹の手は段々と天乃の耳に近づく

そして、毛先に触れる程度の距離でサッと、手が動いた

その瞬間

天乃「っ!?」

耳はぴくっと反応して、ぴんっとそそり立つ

樹「…………」

ゴクリと息を呑み

今度はその質感を確かめるように、耳先のとんがり部分をつまむ

天乃「っ」

樹「耳だ」

これ、本物の耳だっ!


それが分かった途端

樹は耳を含めて、頭を撫でる

天乃「っ、んんっ……」

羞恥心を表情に浮かべながらも

抵抗のできない天乃の吐息に、樹は心を促進させられて手が動く

押しつぶすように、力強く

天乃「んっ」

それでいて、表面を滑るようにやんわりと

天乃「っぁ」

けれど、決して弱すぎない

天乃「っ」

けれど、決して強すぎない

天乃「ぃ、樹……っ」

程よい力加減を模索して、樹は天乃の耳と触れ合う

天乃「はぁ……っ、ぅ」

樹「…………………」

真っ赤な表情、心地よさからか、緩んだ表情

恥ずかしさの熱に温められた吐息

そんなものを見せられて、聞かされて

樹の溜め込まれた思いが揺さぶられないわけはなく

樹「……久遠さん、今すごく可愛いです」

気づけば

樹はそんなことを口走っていた


ではここまでとさせて頂きます



樹「どうして我慢できなかったのか。ですか?」

樹「出来なかったからに決まってるじゃないですか」


では、ゆったり再開しようかと思います


天乃「か、可愛いなんてっ」

照れ隠しに顔を伏せても耳はピョコっと立ったまま

嘘はつけない誤魔化せない

素直な可愛い耳をじっと見ていた樹は

唐突にわれに返って口を塞ぐ

樹「っ」

なんて言った

なんて言っちゃったの私っ!

天乃「私も女の子だし、可愛いって言われて嬉しくないわけじゃないけれど、でも、なんていうか」

可愛いって言っちゃった

うん、確かに可愛いけどっ

可愛いけど―――

天乃「……すごく、恥ずかしい。かな」

樹「」

耳を嬉しそうにぴこぴこさせながら、

頬を赤くしてはにかんだ久遠さんはとても愛らしくて……

お姉ちゃん……どうしよう。私、なんかいけないこと考えちゃいそうな気がする


√ 5月12日目 昼(犬吠埼家) ※水曜日

01~10 

31~40 

91~00 


↓1

上記範囲でヤツ


√ 5月12日目 昼(犬吠埼家) ※水曜日

九尾、死神、夏凜との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、夏凜
4、イベントの判定
5、お出かけ申請


↓2

4、5はヤツの判定アリ


01~10 死神
11~20 九尾
21~30 どーも、こんにちは
31~40 大赦
41~50 死神
51~60 稲荷
61~70 夏凜
71~80 窓
81~90 九尾
91~00 夏凜

↓1のコンマ  


死神「クオンサンキツネニナッチャウノ?」

天乃「ならないけど……」

でも、それに近づくことはあるだろう

というか、近づくと言われてしまった

天乃「んー……」

天乃は自分の頭に生えた耳に触れたあと、

自分の臀部に手を伸ばして軽く撫でる

天乃「尻尾は無いみたいね」

死神「ハエテクルノ?」

天乃「ええ、いずれ」

死神「キュウビノチカラヲカンジル」

天乃「でしょうね、九尾のせい……みたいなものだし」

実際は死神の抗えない呪いのような付与効果を抑制するためゆえに、

九尾というよりは死神のせいかもしれないのだが

死神「キル? ワタシノチカラナラ、ソレ。オトセル」


天乃「斬るって、この耳だけ無くせるの?」

死神「ウウン。キュウビノチカラゴト」

天乃「そう……」

耳だけならまだしも

九尾の力というのならば、九尾自身に外して貰う方が

いろいろな意味で安全だろう

九尾が拒否するわけでもない以上、なおさらだ

死神「イツキニカワイイ。イワレタ。ウレシイ?」

天乃「それは……」

死神「クオンサンガ、ノコシタイナラ。ソレデモワタシハイイヨ」

天乃「…………」

死神「ワタシガオナジコトシテモ、クオンサン、ワタシトオナジカメン。デテクルダケ。カワイクナイカラ」




1、残す
2、残さない
3、死神のお呪い


↓2


天乃「……消してくれる?」

死神「ワカッタ」

死神は再度の問もなく、鎌を振り上げる

九尾はこの印がなければ

交合へと誘ってしまうと言っていた

でも、どうしたことか

この印のせいで発現した耳によって

樹が少しばかり、おかしくなった

天乃はそのことが気になって

外しておいたままだったらどうなるのか。と

疑問を抱いたのだ

死神「イタクナイヨ。スグ、オワル」

天乃「っ!」

言葉とともに振り下ろされた鎌は天乃の体を空気のようにすり抜けていく

痛くない。

なにも感じなかった

けれど、天乃が自分の頭に触れると、耳は綺麗に無くなっていた


死神「コレデ、キエタヨ」

天乃「……みたいね」

死神は生き物というのにはやや問題があるからなのか

これといった変化はない

天乃「ふぅ……」

少し強く吹く風が窓を叩く中、

静かな部屋に横たわる天乃はため息をついて、死神を見つめる

死神「?」

天乃「ありがと」

死神「ドウイタシマシテ」

お礼を言われたことが嬉しくて、周る死神から窓の外へと目を映す

うっすらと見える顔は照れくささがまだ残って言えるのかほんのりと赤いのだと気づき

天乃は首を振って、苦笑する

天乃「可愛いって言われたからって……大げさよ。私」


√ 5月12日目 夕(犬吠埼家) ※水曜日


01~10

11~20 
21~30 侵入者 
31~40 
41~50 
51~60 いつも妹の傍に這いよる不審者

61~70 
71~80
81~90  ほら、やっぱり玄関から直接お邪魔しなきゃ。ね?
91~00 

↓1のコンマ  


では、此処までとさせて頂きます


九尾「……外したからじゃぞ」

遅くなりましたが、22時半より少しだけ勧めたいかと思います


日が落ち、夕焼け色に染まりゆく空を眺める天乃は

もうそろそろ、風たちが帰ってくるんだろうか。と

音の少ない犬吠崎家に足音が帰ってくるのを期待して笑みを浮かべていると

ガシャンッと

窓のふちに何か良からぬものが引っかかって

天乃「?」

がしゃがしゃとそれを揺らしながら

お呼びじゃないソレは、登山用にも見える大きなリュックを背負い、

満面の笑みを浮かべながら、階下から上り詰めてきた

「見つけたぞー」

天乃「っ!」

「窓を開けてたら危ないじゃないか。俺にとってはここも入口の一つなんだから」

天乃「そ、そんなこと言われたって……」

「1階じゃないとか、そういうの。妹を前にした俺には関係ないな」

青年はにやりと笑うと

天乃の断りもなく、部屋の中へと入ってきてしまった


「……ふぅ」

天乃「っ…………」

いつも樹や夏凜たちが座る椅子を避けると、

青年は入るときに脱いだ靴を袋に入れて、ため息をつく

天乃がいる犬吠崎家は割と良い位置にある

そのため、窓にワイヤー引っ掛けて壁登りなど常人ができるはずはなく

滴りそうな汗が、その努力を物語っていた

天乃「……………」

どうして、そこまでするの?

疑問だった

抱かずにはいられない

彼は自分を妹だという

けれど、ただの妹にそこまでするだろうか

壁を登ってまで、会いに来るのだろうか

天乃「………っ」

そこまでしてくれるのに、

記憶がないことが物凄く、申し訳なかった


1、あの……ごめんなさい。私には記憶がないんです
2、どうしたのよ。兄さん……ここまで無茶するなんて
3、九尾を呼び出す
4、どうしてここまでするんですか?


↓2


天乃「どうしたのよ。兄さん……ここまで無茶するなんて」

「どうしたのって言われても会いたかったからとしか言えないな」

くくくっと笑った青年は天乃のことをジッと見つめると、

大きく息を吸って

そして吐いて、もう一度大きく息を吸って

満たされたような笑みを浮かべ、胸をなで下ろす

「この部屋には天乃の匂いが満ち満ちてるな。お兄ちゃんはこれからも頑張れそうだ」

なにが? と

問う気力さえ湧くことなく、ただただ心の底から

こんな人が兄ではありませんようにと祈る

「で、天乃」

天乃「?」

「いつものちゅーはどうした。チューは」

天乃「えっ?」

そんな気持ちを知らず、

あにと名乗る青年は、寂しそうにそういった


「どうした? いつもお帰り! って、してきたじゃないか」

天乃「っ」

嘘だ

嘘だと信じたい

でも……本当かも知れない

記憶になく、こんな奇人の言葉を信じられるはずなどないが

もしも本当にそんなことをしていたとしたら

そして、その日課のような行いをしなかったら

天乃「キス……」

「ほら、ほらっ」

天乃「…………」

私が記憶喪失であることを、知ってしまうかもしれない



1、ごめんね、兄さん。さすがにもう恥ずかしいわ
2、する
3、ごめんなさい。私、記憶がないの
4、2年前だからあやふやなのだけど……してたっけ?


↓2


天乃「ごめんなさい。私、記憶がないの」

「…………………」

兄かもしれない人の言葉だったし

記憶をなくしていることを隠していたいのであれば、キスをするべきだった

でも、

天乃はキスをせず、本当の事を話すことにしたのだ

天乃「兄さん。とは言ったけど……貴方が本当に――」

「そんなことは知ってたよ」

天乃「えっ?」

「天乃が記憶喪失なんて、分かってたって言ったんだ」

青年は悲しむ様子も

怒るような素振りさえも見せずに

天乃の頭を優しくなでると、微笑む

「天乃は俺のこと、兄さん。じゃなくて、お兄様って呼ぶからな」

天乃「……そう、だったんだ」


「そうだな……お前が信じられるかどうかは別だけど」

天乃「?」

青年は自分のポケットをまさぐると、

天乃と青年が写った写真や身分証明書を取り出して、天乃へと差し出す

写真は合成できる可能性がある

けれど、国が発行する嘘偽りのない身分証明書は

青年が天乃と同じく久遠家の人間であることを示していた

そう、つまり

天乃「貴方は私の兄さ……お兄様なのね」

「そーそーそうなんだよ! ほら、もう一回」

天乃「え?」

「久しぶりだからもっと聞かせてくれ。ほら、リピーツ!」

天乃「えっと……お兄様?」

「もう一回」

天乃「お兄様」

「もっと切羽詰まった感じで!」

天乃「お兄様っ!」

「やったぜ」


天乃「お兄様って言われるのがそんなに好きなの?」

「2年間もお兄ちゃんって呼んでくれなかったからなぁ」

天乃「呼んでくれなかったって、言われても……」

会うことができなかった

そもそも、兄が居ることなんて忘れ去っていたのだから

呼ぶことなんて……?

天乃「ねぇ」

「んー?」

天乃「私の読み間違いなら、いいんだけど」

培った読唇術を失敗するとは思えない

けれど、さっきとまったく違う気がして、天乃は問う

天乃「私、2年間なんて呼ばなかったの?」

「お兄ちゃん。だよ。お兄様は俺が呼んで欲しかっただけ」

天乃「っ」

「ちなみにお兄様は録音済みだ」


してやったりというような、

満足そうな笑みを浮かべる青年を睨む

お兄様ならお兄様でいい

お兄ちゃんならお兄ちゃんでいい

でも、

天乃「私、記憶がないの」

「らしいな」

天乃「なのに、嘘をついたの?」

お兄様って呼んでたとか言って

本当かどうかは知らないけど、それを録音して

お兄様は嘘。本当はお兄ちゃんと呼んでいた。なんて……



1、遊ばないで!
2、九尾!
3、夏凜!
4、最低……最低だよ。貴方は


↓2


天乃「最低……最低だよ。貴方は」

「……天乃」

本当に同じ久遠と言う苗字だと分かって

顔には出さなかったし、言葉にもしなかったけれど

嬉しかった

嬉しかったのに……なのにっ

天乃「っ……嘘つき」

「……すまん」

青年は天乃の悲しげな表情から目をそらすことなく、

ただ率直に一言謝罪をして、でもな。と、言葉を切り開く

「俺はお前に過去に縛られて欲しくないんだよ。覚えてないこと、思い出せないこと。それで苦しんで欲しくないんだ」

天乃「…………………」

「そもそも俺ですら2年前、天乃が履いてた下着がピンクのリボン付きか、赤いリボンつきかで記憶が曖昧なんだから」

昔の事を忘れるのなんて当たり前だ

そんなのは誰にだってありえる仕方がないことなんだ

「大事なのは思い出すことでも、思い出せないことへの謝罪でも、その記憶を捨てることでもない」

青年はそう言うと、天乃へと笑みを浮かべ

「思い出せないから諦めて前を向く。それも正しいかも知れない。でもな、やっぱり。思い出せないならせめて、新しく知るべきだろ?」

そう言って、天乃のパジャマの裾をつまんで捲った瞬間

「あっ、リボンついてな――」

風を切る右フックが、青年の頭を直撃した


天乃「変態っ!」

「俺はただ記憶を定かにしようとしただけで」

天乃「だからって捲らなくたって良いじゃない!」

捲られたパジャマの裾をぎゅっと抑え、

真っ赤な表情、涙で潤んだ瞳で睨む天乃がそう怒鳴ると

殴られたにも関わらず

痛がる様子を全く見せない変態はため息をついて、

困ったように首を振る

「じゃぁ、教えてくれるのか?」

天乃「え?」

「今何色履いてるの? 装飾は? 生地は?」

天乃「ぅ……それは……っ」

天乃が言えないと知りながら

天乃が履いているのがどんなものか知りながら

変質者はわざと天乃を困らせて、にやっと笑う

「まぁ、白無地のコットンだって、知ってるけどさ」

変態はそう言うと、天乃の箪笥からどうどうと下着を一枚抜き取った


では、此処までとさせて頂きます


そろそろ真面目な話に移ります。兄基準で


では、ゆっくりと進めていこうかと思います


天乃「な、何してるの!?」

「いや、新しいやつが必要だろ?」

理解が出来ない妹に対し、

理解が出来ないというように首を傾げる兄

当たり前だ

もう履いているのに、

新しいのが必要なんて意味がわからない

粗相をしたならともかく、そんなことはないのだから

しかし、兄はしびれを切らしたのか、ため息をつくと

新しい方の下着を天乃に見せながら、

空いた手を差し向ける

「今履いてるの、交換しようぜ」

天乃「そろそろ、私の精霊呼び出すわよ」

「冷たいやつになっちゃったんだな……天乃」

天乃「何がよ」


「例えば水が欲しい奴がいたとする」

天乃「うん」

「天乃は飲みかけだけど、水を持ってるとする」

天乃「それで?」

「近くに水場はなく、自販機もお店もない」

天乃「田舎なのね」

「その人は男だが、死にかけだ。水を飲まなきゃ脱水症状ですぐにでも死ぬだろう」

そこでだ。と、

兄は人差し指を天乃へと向けると

「お前はどうする? 水を飲ませてやるか? 見捨てるか?」

天乃「それは……水をあげると思うけど」

自分の持っている水一つで人が助かるのなら

それなら迷わず水をあげる

天乃が質問に困惑しながらも答えると、

「だろ? だからほら、パンツくれ」

兄は手をさらに突きつけた

天乃「意味わからない」


「なんで?」

天乃「なんでって言われても……別に死なないでしょ?」

「分からないじゃないか」

天乃「貴方みたいな人が死ぬ姿なんて、想像できないもの。だから、死なないわ」

本当に、想像なんて出来ない

死に様を想像するなんてことは

天乃にとっては絶対にしたくないことだから。かもしれないが

それであっても、絶対的に生きていてくれるだろう。という

底知れない安心感があったのだ

……変態なのに

「お兄ちゃんって、呼んでくれないのか?」

天乃「嘘つきとなら、呼んであげても良いけど」

「にーにーでも良いから……」

天乃「………………」



1、で、本当はなんでここに来たの?
2、見てわかると思うけど、私は右手しか動かないから脱げないわ。欲しければ、自分で取ったら?
3、かりーんっ! 助けてー!
4、九尾お願い!
5、本当に、お兄ちゃんって呼んでたの?
6、もう帰って


↓2


天乃「で、本当はなんでここに来たの?」

妹、妹と妹だけにしか興味がなさそうな言動

けれど、それだけでここまでするとはとても思えなかったのだ

それに、

大きいリュックサックには何が入ってる?

天乃「何が目的なの?」

天乃の空気がからかうことのできるような柔らかいものではなくなったのだと

変質者である兄はすぐに察して、息をつく

「そうだな……まず言っておくべき。いや、見せたほうが早いかもしれないな」

そういった兄はリュックサックのポケットをすべて開けると

逆さにして大きく振る

天乃「なにを――?」

「見てわかるとおり、中には何も入ってない。下着を盗む予定も多少なりとあったが、目的は別だ」

天乃「別?」

「そう。本来の目的はお前を連れ帰ることだ」


天乃「……私を?」

「今みたいに一般家庭で預かられてるなら夜這いもできるから万々歳なんだが……な」

けれど

きっと夜這い云々の問題ではないのだ

ただ夜這いできないだけなら我慢しよう

2年間も耐えたのだからこれからも我慢しよう

死に別れすら、覚悟せざるを得ず、

いつか来る別れをいつも、思い描い続けているのだから

その程度なら、我慢してみせよう

「友達にすら会えない環境なんて、嫌だろ?」

天乃「貴方……」

「そうだよ。俺も、お前のお姉ちゃんも……いや、久遠家そのものが、大赦の一部なんだ」

天乃「………………」

「帰ってこい。そうすれば、俺が、俺たちが。お前を守ってやる」


1、帰らない
2、帰る
3、夏凜達にお別れをしてからでもいい?


↓2


天乃「じゃぁ、夏凜達にお別れをしてからでもいい?」

「別れなんて要らないな。別に、会えなくなるわけじゃないんだから」

天乃「そうなの?」

「あいたきゃいつでも会わせてやる。そう出来るようにする為に、連れ帰るんだからな」

青年は初めて兄らしく言うと

天乃の頭を軽く叩くように撫でる

天乃「っ」

やって貰った覚えのない触れ方

でも、懐かしく、暖かく

そして心地よくて、天乃は兄を見上げる

「?」

天乃「……………」

学校で待ち伏せするような不審者で

下着を要求するような変態で

マンションをクライミングするような変質者だ

でも……きっと

私の……本当のお兄ちゃんなんだ


√ 5月12日目 夜(犬吠埼家) ※水曜日



01~10 
11~20 夏凜
21~30 
31~40 風

41~50 
51~60 
61~70 刺客

71~80 
81~90 樹
91~00 

↓1のコンマ  


この家から出ていくこと

そして、久遠の家に戻ること

どうしようもないほどの変態だけど

待ち伏せしていた青年は本当の兄であること

犬吠崎家にいない東郷や友奈にはメールとかでの連絡になるが

樹達にはすぐに話した

風「そっか……まぁ、大赦の施設よりはマシかしらね」

夏凜「アタシも一緒ってわけにはいかないわけ?」

天乃「うん。そうなると夏凜にまで面倒事が及ぶ可能性があるみたいだから」

夏凜「護衛を減らすための嘘じゃないの?」

夏凜が訝しげに言いながら青年を睨むと、

兄はくくくっと笑って

「俺は義妹でもいいんだぞ」

と、にやりと笑う

その瞬間、背筋が凍るような衝撃を感じた夏凜は自分の体を抱きしめると

変態になんて渡したくない……と、呟く

>>913 修正


この家から出ていくこと

そして、久遠の家に戻ること

どうしようもないほどの変態だけど

待ち伏せしていた青年は本当の兄であること

犬吠崎家にいない東郷や友奈にはメールとかでの連絡になるが

樹達にはすぐに話した

風「そっか……まぁ、大赦の施設よりはマシかしらね」

夏凜「私も一緒ってわけにはいかないわけ?」

天乃「うん。そうなると夏凜にまで面倒事が及ぶ可能性があるみたいだから」

夏凜「護衛を減らすための嘘じゃないの?」

夏凜が訝しげに言いながら青年を睨むと、

兄はくくくっと笑って

「俺は義妹でもいいんだぞ」

と、にやりと笑う

その瞬間、背筋が凍るような衝撃を感じた夏凜は自分の体を抱きしめると

変態になんて渡したくない……と、呟く


夏凜や風が色々と言いながらも

天乃が久遠家へと行くことを認める中でただひとり、

ずっと沈黙していた樹は天野を見つめると、一歩だけ近づく

樹「久遠さん」

行かないで

そばにいて

樹「っ」

言えないよ

だって、そう言って残ってくれたりなんかしたら

大赦の人に、もう二度と会えなくされちゃうかも知れないって

夏凜さん言ってたもん

樹「行っちゃうんですね」

天乃「ええ。でも、会えなくなるわけではないらしいから」

樹「寂しくなります」

天乃「でも、楽になるわ」

樹「楽なんていらない……私は、楽なんかよりも……」


樹はぎゅっと目を瞑ると

天乃に言おうとした言葉をまるまる飲み込んで、首を振る

言ったら困らせる

言ったら変に思われる

ただ、お姉ちゃんとして

家族として

そう思っただけのはずだけど……でも

少女漫画で見かけたその言葉は

そんな意味なんかではなかったから

天乃「樹?」

樹「久遠さん……私。久遠さんのお世話嫌じゃないですよ」

天乃「え?」

樹「大変だなって思うことはありましたけど、やりたくないとは一度も思いませんでした」

天乃「……………」

樹「だって、久遠さんは私の……私の大好きな、2人目のお姉ちゃんだから」


楽なんかよりも、久遠さんが欲しい

そんな恥ずかしい言葉の代わりの言葉を告げた樹は

それでも恥ずかしかったのだろう

顔を赤くしながら目をそらすと

樹「出来たら毎日、会いに行きますね」

そう言って、笑う

天乃「ええ、楽しみにしてる」

帳の降りた闇の中、黒に溶ける夜逃げのごとく

少女を連れて、兄は自宅への道をまっすぐ駆け抜ける

天乃「……………」

ありがとう、樹、風、夏凜

迷惑かけて、ごめんね

ほんの1ヶ月程度ではあったけれど

貴女達の家にいられて、幸せだったわ



※久遠家に移動しました

1日のまとめ

・  乃木園子:交流無()
・  犬吠埼風:交流無()
・  犬吠埼樹:交流有(狐耳、触る、好き)
・  結城友奈:交流無()
・  東郷美森:交流無()
・  三好夏凜:交流無()
・     九尾:交流無()

・      死神:交流有(呪い消し)
・    夢路瞳:交流無()
・     神樹:交流無()


5月の12日目終了後の結果


  乃木園子との絆 19(中々良い)
  犬吠埼風との絆 34(少し高い)
  犬吠埼樹との絆 46(少し高い)
  結城友奈との絆 19(中々良い)
  東郷三森との絆 26(中々良い)
  三好夏凜との絆 37(少し高い)
   夢路瞳との絆 9(普通)

     九尾との絆 24(中々良い)
      死神との絆 23(中々良い)
      神樹との絆 -1(低い)


では、続行します


√ 5月13日目 朝(久遠家) ※木曜日


01~10 兄
11~20 
21~30 姉
31~40 
41~50 兄
51~60 
61~70 姉
71~80 
81~90 兄
91~00 

↓1のコンマ  


天乃「んっ」

目を覚ますと、微妙に柔らかくそして、硬い何かに右手が触れる

天乃が温かいそれを軽く摘んでみると

頭上というべきか

少し上から微かな呻き声がこぼれ落ちてきた

天乃「えっと……」

段々と覚醒していく頭で思ったのは

なんか、狭くなってる? という疑問だった

もともと身動きしにくい現状、ベッドの広狭なんてどうでもいいことではあったが

昨夜、横になった時より明らかに狭かったのだ

天乃「まさか」

人肌のぬくもり

筋肉のような柔らかくも硬い感触

聞こえてきた呻き声

恐る恐る上を向くと、変態の顔が視界に入った


天乃「っ!」

足が動かないから蹴り飛ばせない

壁に挟まれ、構えの取れない右腕では、

大した力も出せない

大声で叫ぶ? 九尾を呼ぶ? 死神を呼ぶ?

瞬間的な判断を求められている天乃

その横で、変質者はゆっくりと目を開ける

「     」

天乃「っや」

「     」

天乃「やめ、汗、汗臭いからっ」

右腕だけの抵抗は虚しく

天乃の体は兄へと抱き寄せられ、顔が密着した体の寝起きのにおいに、厳しく拒絶を示すと

青年は天乃の頭を撫でると、ジッと見つめ合って

「なら、一緒にお風呂入るか」

と、天乃を抱き抱えた



1、助けてお姉ちゃん!
2、助けて九尾!
3、とりあえず顔面パンチ
4、お風呂に入れてくれようとするのは嬉しいけど、お姉ちゃんが良い
5、変なことしないなら。いいよ


↓2


天乃「助けてお姉ちゃん!」

「ばっ、おま」

天乃が叫び、兄が慌てる

常に静寂を保つ天乃の耳には聞こえない何かが

兄には聞こえているのだろう

「いいか、じっとしてるんだぞ」

天乃「え?」

「良いから」

兄の声と表情は今までになく真剣で

頬には冷や汗が流れ落ちていく

その視線の先でドアノブがゆっくりと回る

そしてドアがわずかに開いた瞬間

凄まじいほどの嫌な空気が流れ込み、

対象ではない天乃ですら、目を見開いて、総毛立っていた


「今、悲鳴が聞こえた」

「そ、そうみたいだな。虫がいたとかで」

「虫。虫かぁ……それって大きい?」

笑っていない

怒っていない

当然、泣いてもいない

無表情、無感情

そんな様子で部屋に入ると、虫と言いながら

兄のことをジッと見つめる

「例えば、お兄ちゃんみたいに。とか」

そこで初めて、姉は笑う

三日月のような細い瞳、細い口で

ニッコリと、満面の笑みを浮かべた

「……ここでやるのは天乃に被害が出るぞ」

「じゃぁ、出よう? なんで私が怒ってるのかは……言わなくてもいいよね?」

「来いよちっぱい! パッドなんて捨ててかかってこい!」

そう言い捨てるやいなや、

兄は窓を開け放って外へと逃げ出し、姉もまためにも止まらない速さで窓から飛び出していってしまった


1、死神勇者で追いかける
2、九尾勇者で追いかける
3、追いかけない


↓2


相手は人間

いや、戦うと決まったわけでもないが

細かい動きができるのは死神の方ではない

天乃「九尾!」

九尾「あの娘、相当な手練と見える。あの変態を仕留めてくれるやも知れぬな」

九尾はあからさまに嬉しそうな声と表情で言い、

高笑いを付け加えると、天乃の体にまとわりついて、勇者の姿へと変化させる

天乃「仕留める……なんて」

真っ黒な死神とは対照的に

白が目立つ九尾の勇者衣装を鏡でちらっと確認してから

天乃は2人を追って、庭へと飛び出す

そこではすでに

兄姉の熾烈な争いが繰り広げられていた


一旦休憩入ります

再開予定は20時
遅くて21時になるかと思います


目標:兄姉戦終了まで


では、やっていきます


「天乃に手を出すなんてっ!」

「手は出してないぞ、添い寝しただけだ!」

添い寝しただけとは言うが、

天乃が寝るとき、兄が部屋にいなかったことは確認済み

要するに、夜這いしたのだ

そのあとに何もせず、布団の中に潜り込んだだけだとしても

許せるはずなどなかった

「本気でやるから、変態」

「今日は何回、胸を揉ませてくれるんだか」

兄がにやりと笑った瞬間

姉は初動を省略し地面を蹴る

「せぃ!」

ほぼ一瞬でゼロ距離に近づき、

間合いを確かめることなく、

頭を蹴り飛ばす勢いで右足を振り抜く

だが――それは文字通り振り抜いていた


「っ」

「甘い甘い」

兄は上半身を仰け反らせ、姉の蹴りを易々と回避して、笑う

狙いが甘い?

足が遅い?

判断が悪い?

いいや違う……変態のくせにっ

「このっ!」

振り抜けた足をそのまま一周させ

着地する前に左足で同じ軌道を描かせる

「!」

その蹴りを受けるか否か

考えるまでもなく――後ろに飛び退く

「っと」

当たれば致命傷

最悪、しばらくは片腕が使い物にならなくなるからだ

「後ろに下がったわね」

「おいおい」

当たらなかった?

違う、当てなかった

攻撃する隙さえ与えなければ、それで良い

「ッ!」

左足が着地すると同時に地面を蹴って斜めに飛んだ姉は

兄と体が並んだ瞬間、兄の背後

死角になるのを見計らって右足を振り上げる

「ったぁ!」


それは死角だった

確実に決められるはずだった

けれど

「そら!」

「っ!」

右足の脹脛に衝撃を感じ、目を向けると

兄の左拳によって、右足は軽々と打ち上げられていた

「残念だな」

打ち上げられた足に勢いはなく

衝撃によって限界まで開いた股を急いで閉じてももう遅い

例えそれが、数秒程度の速さで行われたとしても。だ

「いい脚だ」

「っ!」

兄はくるぶしを掴むと、力いっぱい引き込む

釣られて動く足はつま先立ちだ

けれど、

「ん、お前今日は赤な――」

「見ないでッ!」

右足が兄の肩に乗る位置まで来た瞬間

兄の体を支えに体を浮かせ左足で兄の胸元を穿つ

さすがの兄も回避しきれず、姉の足を手放して地面を一回転がって飛びのき

蹴り飛ばされた胸を撫でて、息を吐く

「赤いパンツはひと蹴りで見ていいのか?」

「そんなわけ無いでしょ!」


「けほっ……そうか」

「普通なら呼吸。止まるはずなんだけど」

「そんなの、人に向けてやったらいけないって」

「人にはやらない。人には、ね」

「お兄ちゃん泣くぞ」

冗談っぽく笑いながらも

ずきっと響くような痛みは誤魔化せない

骨は折れてない

心臓にだってそんなダメージはきてない

けれど、確かに撃ち抜かれたその衝撃が、尾を引いていた

全速力で斜め右に飛び、目がそれを追う頃にはもう

姉は左へと跳躍していた

なら次はまた右か。と、脳が先周りしようとした裏を突いて

姉は左側。死角へと消える

「こっちだよ」

「ぐっ!」

耳元から聞こえた声に慌てて右腕をガードに回す

しかし、鈍痛は腹部に襲ってきた


「これでも、私は小さい頃から。そう、お兄ちゃんと同じくらい鍛錬してきたんだ」

「っ……」

「私は不要品。でもね、そんな私でも、あの子を守ることはできるよ。馬鹿兄」

「鍛錬してなきゃ、今頃死んでるぞ」

兄の言葉は余裕を見せる

けれど、その表情に全くの余裕はなかった

兄が天乃を好いているように

姉もまた、天乃を好いているのだ

だからこそ

「いつもとは全然違うな。挑発、しなきゃよかった」

だからこそ、自衛するときよりもずっと、ずっと……

「今の私は強いよ。だって、あの子の為だから」

胸を突かれ、腹部を突かれた兄の呼吸は乱れている

それとは対照的に、姉の呼吸は至って正常

波の消えた海のように、穏やかで

どちらが優勢なのかは言うまでもなかった


天乃「……なにあれ」

九尾「ふむ。変態が負けておるのか?」

天乃「あのお兄ちゃんが押されてるなんて」

天乃より身長が高く

心なしか筋肉もついているが、バストで大敗している姉

その姉は明らかに本気で

対峙する兄もまた、きっと……本気になろうとしていた

天乃「なんでこんな」

九尾「生物は常にそういうものじゃろう? 伴侶を奪い合い、相手を負かそうと躍起になる」

天乃「でも、あれは私の」

九尾「血縁同士が穢れているなど、人間が定めた鎖でしかない。概念はそんなものには縛れぬよ」

もっとも

本当に伴侶を奪い合っているとは限らないが


1、もうやめて!
2、見守る
3、お風呂! お風呂に入ろうよ!



↓2


天乃「もうやめて!」

「!」

「あっ」

天乃「やだよ……せっかく帰って来れたのに。なのに、私のせいで喧嘩なんて……」

天乃はポロポロっと涙をこぼし始め、

首を横に振ると、そのまま崩れるように地に座り込む

天乃「私は喧嘩させるために帰った来たわけじゃないのにっ!」

「…………っ」

いち早く駆け寄ったものの、青年はため息をついてもう一人の妹に振り返る

自分ではダメだと

お前のほうが適している。と

「……あ、天乃」

天乃「お姉、ちゃ」

そっとかけられた声ではなく

自分に覆いかぶさった影に、顔を上げた天乃は

小さな声で、その影の主を呼ぶ

「っ!」

涙に濡れた顔。震える声

天乃「お姉ちゃん……喧嘩、しないで」

「し、しないしない! こんな変、お兄ちゃんとなんて喧嘩しないから! 泣かないで! ね、ね!?」

もう二度と泣かせるものか。と、姉は深く心に誓って兄を睨むと

「あぁ、もうしないよ。ごめんな」

兄もまたそう言って、バツが悪そうに額を抑えた


天乃「お兄ちゃん、ただ一緒に寝ただけだから」

「う、うん……そっか」

天乃「お風呂は、あれだけど。それくらいなら……別に良いから」

犬吠崎家から

暗い夜道をおぶって歩いてくれたのだ

それくらいは許してあげても、全然良かった

ううん、そうでなくても

世話をしてもらうのだから

ある程度のことはされても拒否するつもりも嫌だという気もなかった

「姉の方は?」

天乃「もちろん、おねえちゃんも全然良いよ」

天乃は子供っぽい無邪気な笑みで答えると

だけど。と、付け加えて二人を見渡す

天乃「ちゃんと言ってくれたら。だからね? いつの間にかいるなんて、ダメだからね」

「あぁ、分かった。じゃぁ早速だけど――」

天乃「今日は喧嘩したからダメっ」

「ぐすん」

言い放ってぷいっと顔を逸らした天乃を見つめ

兄と姉は顔を見合わせると、困ったように笑う

帰ってきてくれたんだね

あぁ、帰ってきた。帰ってきてくれたんだ。大切な、妹が

「お帰り、天乃ちゃん」

姉はその嬉しさに泣きそうになりながら、笑みを浮かべていた


では、今回は此処までとさせて頂きます


今回、久遠家は大赦関係者です


では、再開します


√ 5月13日目 昼(久遠家) ※木曜日

九尾、死神、兄、姉との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、姉
4、兄
5、イベントの判定

↓2


01~10 兄
11~20 姉
21~30 死神
31~40 九尾
41~50 稲荷
51~60 大赦
61~70 姉
71~80 兄
81~90 九尾
91~00 死神

↓1のコンマ  


九尾「しかし主様よ」

天乃「うん?」

九尾「争いごとは好かぬのか?」

天乃「そうね……できる限り仲良くいてほしいと思うわ」

いつ、何があるか分からないからこそ

いつ、何があっても

後悔することがあったとしても

こんな別れ方になってしまった。なんて

悲しい思いはしないようにしたいから

天乃「微笑ましい喧嘩なら良いけど、あんなひどい戦いは流石にね」

九尾「まぁ、あの変態を退治するためじゃからのう。凄惨なモノにもなるじゃろうて」

天乃「そういうのが嫌だって言ってるのよ」


天乃「変態とはいえ、お兄ちゃんなんだし」

九尾「家族ぐるみで騙している可能性を考えないあたり、主様は警戒心が足りぬな」

九尾はくつくつと笑うと

もちろん、本当に騙しているなどとは言わないが。と

補足を付け加えて、口角を釣り上げる

九尾「主様、黄泉の者に妾の呪いを解かせたであろう?」

天乃「ええ」

九尾「あの変態は異性じゃからより強く惹かれるはずじゃ」

そう言って真剣な眼差しを向ける九尾に対して

天乃は少し困ったように首をかしげると

今以上に? と、問う

すると九尾は「そうじゃな……」と溜め込んで

九尾「次は添い寝ではすまぬかも知れぬ。用心するのじゃぞ。主様」

そう言い放った


1、じゃ、じゃぁ……もう一度呪いかけて
2、添い寝ですまないって、どういうこと?
3、ところで、お姉ちゃんについて何か分かることない?
4、ところで、お兄ちゃんについてわかることない?
5、ねぇ、バーテックスは?



↓2


天乃「添い寝で済まないって、どういうこと?」

九尾「ふむ……あの男。言動は気色悪いが、一貫して主様への愛がある」

それゆえに、

少々やりすぎるところはあるが、超えてはいけない一線だけは決して超えないという

正直に言えば当たり前ではあるが、一応の安心感がある

しかし

天乃の影響を受ければその一線はもはや意味を成さなくなるかもしれない

そびえ立つ巨大な壁であろうと

易々と登りきって超えてしまうかもしれないのだ

天乃「愛……だとして、それがどうなるの?」

九尾「例えば、そうじゃのう……。今はまだ添い寝じゃろう?」

天乃「うん」

九尾「しかし、主様と性的な交わりを含めた同衾を求めるようになる」

天乃「……そんなの、嫌よ」

九尾「愛ゆえ、思いゆえ、今以上に肌が触れ合うじゃろうな。好意一つ伝えるために、接吻さえしてくるやも知れぬ」


九尾「主様のその力は思いを増長させる。ゆえに、あの男は……」

天乃「そのせいでお兄ちゃんが変態になっちゃった。とかじゃないの?」

九尾「……あの異常さ。その可能性もないとは言えぬ。しかし、あるとも言えぬ」

九尾は困ったように言うと

だれかの気配を感じたのか、耳をぴんっと立てて、扉を睨むと

天乃の耳に口を近づけた

九尾「いずれにせよ、彼奴は変態じゃ。貞操守りたくば用心するべきなのじゃよ」

天乃「…………っ」

たくさんのことをして貰うことになるだろう

かなり頼りきりになってしまうことだろう

そのお礼にしてくれ、させてくれと言われたら

天乃「言われたら……私は」

拒否できるのだろうか

拒否が許されるのだろうか

天乃「……怖い」


では、此処までとさせて頂きます
明日も同じような時間からの再開になるかと思います



次の朝は、パジャマがはだけているかもしれない……っ!


では、再開いたします

√ 5月13日目 夕(久遠家) ※木曜日

九尾、死神、兄、姉との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、姉
4、兄
5、イベントの判定

↓2


※樹、夏凜、風、東郷、友奈は判定でのみ



01~10 勇者部一同
11~20 風
21~30 樹・夏凜
31~40 友奈・東郷
41~50 兄
51~60 姉
61~70 樹海か!
71~80 樹
81~90 兄
91~00 稲荷

↓1のコンマ  


久遠天乃が使っていたとして与えられた部屋

でも、そこにあるほとんどのものに覚えがない

家族に関する記憶をまるまる喪失したということはつまり

家族よりも勇者のみんなとの接触が増えた以前がほとんど消え失せているということにほかならないからだ

天乃「……でもあれ、須美達が来ていた神樹館の制服なのよね……そしてあっちが」

天乃が通っていた讃州中学とはまた別の由緒正しき中学校

その制服を着ていた覚えは、ほんの少ししかない

そうやって部屋を見渡していると

狐の置物のようなモノが視界に入った

……あんなものあったっけ?

お兄ちゃんが来た時

お兄ちゃんが連れてきてくれたとき

お兄ちゃん達を追いかけたとき

九尾と話をしたとき

それらを考えて……いや、違う。と首を振る

天乃「貴方は確か、私の精霊稲荷の使い。だったわよね」


天乃「2年を長い付き合いというべきなのかはわからないけれど……まだ、2回目よね」

狐を引き連れて、本物の稲荷

宇迦之御魂神が姿を現し、精霊としての契約をした時

そして、今日ここに姿を現した

この2回しか、天乃と稲荷の使いが出会っていない

天乃「戦いがあの大橋以降なかったとは言え、いくらなんでも少なくない?」

稲狐「…………………」

天乃「そういえば、貴方は話ができないのよね」

稲荷の使いはこくりと頭を垂れると、

それを頷きとして天乃を見つめる

それが当たり前なのに、

喋らない神の使いは少し、不気味にも思える

死神や九尾に毒されているのかもしれない

稲狐「……………」

天乃「?」

天乃が黙り込んでいると、稲荷の使いは忍び足で天乃へと近づくと

どこからともなく一通の文を取り出す

天乃「読め。と?」

稲狐「…………」

稲荷の使いはコクっと頷くと、文を天乃の手元に落とした



1、読まない
2、読む
3、ご主人様はどうしたの?



↓2


おそらくは稲荷から出されたであろう手紙を手に取り、

天乃は恐れ半分で開封する

天乃「……………」

一応どころか、れっきとした神からの文はやや言葉が難しい

けれど、なんとか解読して口に出す

天乃「……んーと」

稲荷は穀物や農業の他

幅広い分野で進行を得ていた為に補填できる幅は圧倒的に広い

それゆえに、行き来することは難しいが

一応は神樹様の結界である樹海をもその能力の影響下に置いている

だから

天乃「また、なのね」

稲狐「……………」

近いうちに、また戦いが起こるということを

稲荷は早期に察知して、伝えにきたのだった


天乃「……あと」

その重要な連絡のあとに続いて書かれていたのは

私の特異体質についてだった

どうやら、惹きつけてしまう体質は死神だけでなく

九尾によるものでもあったらしい

だから狐耳が生えていても

樹がやや暴走仕掛けてしまったのだ

天乃「あら」

それに関してはもはや呪いであり、邪気に近いものであるため

本当の意味で祓うことが可能だという

頼めば、もう。誰かを引きつけてしまうなんてことはなく

お兄ちゃんの変態性が無くなってくれるかも知れない



1、祓ってもらう
2、祓ってもらわない
3、ねぇ、貴方の能力ってなんなの?

↓2


では、此処までとさせて頂きます
一応ギリギリなのでつぎスレを立てましたが

【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ3】
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ3】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1442930969/)

投下はいつもの時間まで出来ませんので、落とされてしまった場合は新しく立てます

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