【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ10】 (1000)


このスレは安価で

結城友奈は勇者である
鷲尾須美は勇者である

を遊ぶゲーム形式なスレです


目的


・子供を作る
・生き抜く――みんなで!


安価

・コンマと選択肢を組み合わせた選択肢制
・選択肢に関しては、単発・連取(選択肢安価を2連続)は禁止
・投下開始から30分ほどは単発云々は気にせず進行
・判定に関しては、常に単発云々は気にしない
・イベント判定の場合は、当たったキャラからの交流
・交流キャラを選択した場合は、自分からの交流となります


日数
一ヶ月=2週間で進めていきます
【平日5日、休日2日の週7日】×2


能力
HP MP SP 防御 素早 射撃 格闘 回避 命中 
この9個の能力でステータスを設定

HP:体力。0になると死亡。1/10以下で瀕死状態になり、全ステータスが1/3減少
MP:満開するために必要なポイント。HP以外のステータスが倍になる
防御:防御力。攻撃を受けた際の被ダメージ計算に用いる
素早:素早さ。行動優先順位に用いる
射撃:射撃技量。射撃技のダメージ底上げ
格闘:格闘技量。格闘技のダメージ底上げ
回避:回避力。回避力計算に用いる
命中:命中率。技の命中精度に用いる

※HPに関しては鷲尾ストーリーでは0=死になります


戦闘の計算
格闘ダメージ:格闘技量+技威力+コンマ-相手の防御力
射撃ダメージ:射撃技量+技威力+コンマ-相手の防御力
回避率:自分の回避-相手の命中。相手の命中率を回避が超えていれば回避率75%
命中率:自分の命中-相手の回避。相手の回避率を命中が超えていれば命中率100%


wiki→【http://www46.atwiki.jp/anka_yuyuyu/】  不定期更新 ※前周はこちらに


前スレ
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ1】
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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ2】
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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ5】
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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ6】
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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ8】
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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である【データ9】
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SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1459762730



風「ま、まさかの後輩系……っ!」

天乃「あっ」

風「!」

天乃の目が。獲物を見つけた猛禽類のような鋭い瞳が、向けられた瞬間

風は今、声をあげたことを後悔し。気づけば体を大きく後退させていた

危険だ。これは早急に終わらせる必要がある

脳裏で弾けるその電波信号を風が実行しようとしたまさにその時

天乃「お姉さま……なんで逃げるんですか?」

風「ふぐぁっ」

天乃「私のこと……嫌い、ですか?」

夏凜「なっ!」

友奈「うっ」

見つめられている風はもちろん、

すぐそばにいた二人までもが、冷や汗を滴らせる

天乃の物悲しそうな表情。切なげに潤む瞳に

自分たちが悲しませてしまったのだと、思い込まされかけているからだ

だがもちろん、天乃は全部演技だ

からかうための、演技でしかない


風「そ、そんなことは」

天乃「そんなことは……?」

友奈「そ、そんなことないですよ! 久遠さん!」

天乃「友奈さん……でも。私っ」

友奈「ひゃっ」

ぎゅっと手を握られて、見つめられて

友奈は可愛らしい声を上げて、反射的に体を引く

その反応に天乃は一瞬驚いた素振りを見せると

何かを察したかのように目を見開き、より悲しげな表情を浮かべて。首を振って手を離す

天乃「ごめん、なさい……友奈さん。私のことなんて。嫌い。ですよね……」

友奈「わ、わーわーっ! 好き、すきです、大好きですっ!」

天乃「……ありがとう、ございます」

友奈「余計に悲しそうな顔にーっ!」

ションボリとした天乃は、傍らの夏凜を見つめる

何も言わず。ただ、夏凜を求めているかのような寂しげな瞳

例えるのならそれは、捨てられた子犬の瞳。だが、夏凜は目を背ける

どうせ演技だ。乗せられてたまるものか。と。思ったからだ


しかし、天乃からのアクションは何もなかった

声をかけてこない。触れてこない

諦めて次に向かったのだろう。そう思って目を向けた夏凜は

自分の愚かさを、浅はかさを、思慮の浅さを――悔いた

天乃「っ、うっ……ぐすっ……」

夏凜「んなっ!?」

泣いてる? いや、演技。演技。落ちつつけ三好夏凜っ!

焦る夏凜は心に総響かせて、息を呑む

しかし、空気ではなく唾を飲み込んだ音は大きく、ゴクリと。鳴って心を乱す

手汗がじわじわと溢れ出し、冷や汗が出てきて、体が嫌に暑くなっていく

なにこれ、私が泣かしたみたいじゃない。泣いてないけど。泣いてな――

否定に否定を重ねる夏凜の耳にポトッと落下音が聞こえ……それが連続しているのだと気づいて、夏凜は音の発信源を見つめる

天乃「ぐすっ……うっ……」

めい一杯引き上げた浴衣の裾で目元を拭う天乃

その膝のあたりに……数滴のシミが出来ていた


夏凜「えっちょ、ま、ほ、本気で泣いてる!?」

天乃「ご、ごめんなさい。夏凜さ。私……困らせないようにって……うっ。で、でも……っ」

夏凜「うぐっ」

顔が赤く、瞳が潤っている天乃の悲しげな謝罪に、

夏凜はありもしない罪悪感で強く心を打たれ、言葉を失う

無視をしたから。そっぽ向いたから

それがいけなかったんだ……それが、天乃を……

夏凜「ってぇ――んなわけあるかぁ!」

そういきり立った瞬間、

すぐ目の前にまで近づことしていた天乃が驚いて倒れこみ

天乃「きゃあっ!」

嘘偽りなく、本気で驚き怯えた悲鳴があがった

夏凜「あっ」

天乃「うっ……」

夏凜「ご、ごめん。ほんとに、これは私が悪い」

そういわれ、差し出された手を受け取ると

樹「……あの。久遠さん。私には何もないんですか?」

樹が残念そうに聞いてきた


天乃「樹ちゃんに……ですか?」

樹「は、はいっ」

天乃「それは……その……あはは……」

演技なのか、それとも本当に照れくさいのか

天乃は桃色に染め上げてしまった頬を指で掻き、苦笑する

その仕草だけでも、樹はドキドキとして

今すぐにでも抱きついて気持ちを叫びたいと思って

けれど、頑張って堪えて息を呑む

そして

天乃「は、恥ずかしいので……できれば言いたくなかったんですけど」

樹「なんですか?」

天乃「えっと。ですね……樹ちゃん」

樹「はいっ」

天乃「私は樹ちゃんが大好きです……世界中の誰よりも。樹ちゃんのことを。愛していますっ」

天乃は恥ずかしさを携えた満面の笑みで、そう言った


東郷「まずいです。非常にまずいです……」

春信「もう、終わらせておくべきでは?」

風「いいや、まだよ!」

九尾「そうじゃそうじゃ」

まだ王様ゲームは二回しか行っていない

が、その二回目で死屍累々となったのは事実。だが、やはりまだ二回なのだ。と

風は王様を決めるための箱を中央に置く

友奈「ま、まだやるんですか?」

銀「そうですね。賛成です」

若葉「そう膨れるな。銀。私は努力を評価している」

銀「ありがとなーっ、あたしの支えは若葉だけだーっ」

若葉「うわっ。きゅ、急に抱きつかれては困るっ!」

夏凜「で、やるの?」

球子「そもそも、人数の半分、5回やる予定だったからなー。タマはやるぞ」

風「よーし! じゃぁ――王様だーれだッ!」


01~10 天乃
11~20 友奈
21~30 樹
31~40 風
41~50 銀
51~60 夏凜
61~70 若葉
71~80 九尾
81~90 東郷
91~00 春信
00以外のぞろ目 球子

↓1のコンマ

※天乃10% 他、9%



風「あっ。王様はまたあたしだ」

九尾「ぬ……もしや主。不正を行ってはおらぬな?」

風「な、ないない」

九尾の鋭い威嚇に苦笑しつつ、風は次の箱へと手を伸ばす

風「さ、さーて……次はっと」




1:天乃 2:春信 3:夏凜 4:若葉 5:東郷 6:友奈 7:樹 8:銀 9:球子 0:九尾


↓1のコンマ

※ぞろ目なら風と
※誰の箱から引くのかは前回の王様決めコンマ表を再利用


※夏凜

01~10 煮干を食べる
11~20 相手の物まね
21~30 デコピン
31~40 二人称を自分の名前にする
41~50 手を繋ぐ
51~60 相手の好きな点を一つ言う
61~70 頭を撫でる
71~80 今一番、したいこと
81~90 相手を褒める
91~00 サプリを飲む

↓1のコンマ  


天乃「ま、また私?」

東郷「そして私ですね……」

さっきの今で天乃と対面する東郷は、

悪戯に高められた心音を抑えようと、深呼吸をしつつ天乃から目を逸らす

目を合わせたらまた元通りになる気がして落ち着けなかったからだ

しかし、現実はどこまでも優しくはないらしく

風「命令は、コレ!」

東郷「相手を褒める……ですか?」

天乃「うーん。東郷を褒める。ね……簡単だわ」

嬉しそうな声を漏らす天乃に目を向けると

風の手元、命令文を見つめて笑う横顔が見えて……東郷は思わず赤面する

綺麗? 可愛い? 優しい? 温かい? 心地いい? 安心できる? 強い? 格好いい?

とても、頼りになる? 柔らかい?

考えれば考えるほど言葉が浮かんではぐるぐると回りだしていく

そんな東郷は、俯いてしまっていた


天乃「ねぇ、コレ。どっちから言わないといけないとかあるの?」

風「ん。言えるほうが先で良いわよ」

言えばそれでいいらしい

それなら東郷を待つ必要はないのか。と

天乃は小さく息をつく

東郷を褒める言葉はたくさんある。かけたい言葉はたくさんある

けれど、全部を言う必要はきっとない

その中のたった一つで、いい

天乃は何を言うべきか、頭の中で言葉を選ぶ

友奈「東郷さん、すごい悩んでる……」

夏凜「言葉が見つからないって、感じじゃなさそうだけど……」

東郷の顔が紅潮していることに気づいている夏凜は、

天乃を見つめ、苦笑する

大方、天乃に心乱されてるのね。と、夏凜はわかっているからだ


1、東郷は可愛い子よ。とても優しくて。一生懸命で。目を離せない可愛い後輩
2、やっぱり。東郷と言えばぼた餅よね。友奈立ちの笑顔を見ていると。私も食べたくなってくる
3、東郷は可愛くて綺麗な大和撫子ね
4、東郷は真面目で凄いわ
5、東郷は胸だけが大きいわけじゃないから妬ま……羨ましいわ


↓2


天乃「じゃぁ、私から」

東郷「っ」

天乃「こんな。なんていうか。言わされてるような形で言うつもりはなかったんだけど……」

天乃はそう前置きをして

それでも目を合わせようとしない統合に不満を抱いたわけでもなく、苦笑すると

小さく息を吐いて、笑みを浮かべたまま口を開く

天乃「貴女は可愛い子よ。とても優しくて。一生懸命で。目を離せない可愛い後輩」

私が言えたことじゃないかもしれないけどね。と

天乃は付け足し、さらに続ける

天乃「その猪突猛進なところはデメリットではあるけど、メリットでもある。だからその心意気を大切に。みんなと。この先も頑張って」

東郷「っ…………」

言われた東郷だけでなく、全員が黙り込み、息を呑む

つい数分前のふざけ切った姿が嘘のような真面目な言葉

そこに相手を想う気持ちの強さを感じ、

愛情深い表情に相手のことをどれだけ考えているのかを感じて

みんなが、ただ、天乃の言葉を聞く

しかし、全員は共通して――思う。「天乃が言うな」と


東郷「久遠さんは。いえ、久遠さんを褒める言葉なんてたくさんあります」

綺麗、可愛い、優しい、強い、温かい、安心感、格好いい、癒される、和む、落ち着く

一杯、一杯ありすぎて選んでなんかられない

東郷は頭の中で回り続けるそれらの言葉を鷲掴みにして、溜息と一緒に投げ出す

多すぎても伝わらない

なら、いっそ自分なりの言葉でまとめてしまおう

そう決意し、

東郷は高鳴る胸に手を当てて、天乃を見つめた

東郷「久遠さんは私の憧れです」

天乃「え……ぁ……っ」

東郷「そうやって、褒められて。気づいて。照れるところなんて大好きです」

一瞬で顔を真っ赤にして、手で顔を覆った天乃に、

東郷はためらわず言う。聞こえないなんて関係ない

これは全員に向けての言葉なんだと、樹に振り向く

東郷「……文句は、聞かないわ」

樹「文句なんてありません。東郷先輩が久遠さんを大好きでも構いません。私は、久遠さんを愛してるので」

天乃にだけ届かない言葉。けれど、気持ちだけは十分すぎるほどに伝わっているのだろう

みんな、その言葉に対抗する言葉は思い浮かばなかった


風「……まぁ、でしょうね」

天乃「う?」

友奈「良かったですね。久遠さんっ」

天乃「えっ?」

樹の言葉が聞けなかった天乃が友奈の言葉に困惑すると

すぐ目の前にいた樹と目があう

見つめ合う瞳は潤っていて、頬は赤い

けれど、とても幸せそうだった

樹「私は愛してますよ」

天乃「えっと……」

樹「久遠さんは。どうですか?」

照れ臭さがありながらも、笑みを浮かべながら問う樹

対する天乃は唐突な問いかけに戸惑って。けれど

天乃「愛してる。世界で一番、貴女のことを」

好きだと言って、愛してると言って

ふたりの少女は強く、手を握った


01~10 東郷
11~20 友奈
21~30 樹
31~40 風
41~50 銀
51~60 夏凜
61~70 若葉
71~80 九尾
81~90 天乃
91~00 春信
00以外のぞろ目 球子

↓1のコンマ

※東郷10% 他、9%


4/5  次で最後です


1:風 2:春信 3:夏凜 4:若葉 5:東郷 6:友奈 7:樹 8:銀 9:球子 0:九尾


↓1のコンマ

※ぞろ目なら天乃と
※誰の箱から引くのかは前回の王様決めコンマ表を再利用


天乃「あっ」

風「えっ?」

天乃「うーん……」

王様になって喜んだのも束の間

天乃は困った表情で、二回目のクジの紙を風に見せる

風「きゅ、九尾!?」

九尾「くふふ。姉妹じゃ。何を引いても問題はあるまい」

誰のくじを引くのかを引いてみれば……九尾

当人は楽しそうに

とても愉しそうにしている上に、

姉妹なら問題ない。という怖すぎる言葉が見えた

しかし、引かないというルール違反は興ざめだ

球子「なんか危ないのだったら寸止めだぞ」

風「う、うん」

樹「はいっ」

ふたりの返事を聞き、天乃は九尾の箱からくじを引く

※九尾

01~10 ポッキーを咥えて半分に折る
11~20 キス
21~30 抱きしめる
31~40 首に噛み付く
41~50 相手を口説く
51~60 体を限界まで密着させる
61~70 相手の肩以外を揉む
71~80 耳に噛み付く
81~90 体を絡めあう
91~00 相手と恋愛姓名判断をする

↓1のコンマ  


風「体を限界まで密着させる……?」

樹「た、確かに。お姉ちゃんとならまだセーフ……です」

天乃たちとでもまだ、セーフかもしれない

けれど、春信と誰かだったら不味かった

その辺を、九尾は全く考えていないのだと、全員が察して、九尾を見る

九尾「むぅ……つまらん」

若葉「まさか、もっとひどい内容があるというのか……?」

九尾「くふふ。見てのお楽しみじゃな」

銀「ひ、引きたくないなぁ……」

あの銀でさえ、そこには手を出したくないと身を引く

パンドラの箱やブラックボックス

玉手箱など摩訶不思議で奇想天外な内容が入っていそうな箱は、

バーテックス相手にするよりも、苦手だったのだ


風「じゃぁ、樹」

樹「うん」

風が手招きをすると、

樹は抵抗もなく近づいて、風の両脇に自分の腕を差し込み、

背中に手を回して、胸元に顔をうずめる

樹が密着してきたのを肌で確認し、風は樹を覆うようにして腕を回し抱きしめる

樹「なんだか……久しぶりだね」

風「ほんと……」

中学生になってから、こんなふうに抱き合うことなんて

何かで大喜びしたときも、なかったような気がする

ゆえに、風も樹も

その懐かしさ、暖かさに思いを馳せて、もう少しだけ強く。抱き合う

風「九尾のやつだから心配したけど」

樹「うん……私たちなら、全然いいかな」

天乃とは違った心地よさと温もりに

樹は少し涙ぐんで、風はそれを……ぬぐい去った


銀「風、どうだった?」

樹「柔らかかったですよ。制服とかで隠れてるけど、実は意外とあるんです」

球子「ほほう」

風「な、なに!?」

嬉しそうに言う樹から向かってきた視線

それに嫌な気配を感じて体を覆って隠すと、視線の正体

球子がニヤッと笑う

球子「もぎ取ってやるぞ」

風「とらんでいいっ!」

ふたりを微笑ましく見つめる天乃の横で

言い合うふたりを見つめ、ため息をつく夏凜は首を振る

風は確かに抱きしめられるのもいいが、

抱きしめられるよりも、抱きしめる方が自分は良い。と感じているからだ

その気持ちを察したわけではないけれど

その姿を見た天乃は苦笑して、夏凜の肩をつつく

天乃「そういえば夏凜、しばらく犬吠埼家だったのよね」

夏凜「まぁね……だから。ってわけじゃないけど。いろいろ知ってんのよ。私は」

その声色はわからなくても、自慢げなことだけはわかった


01~10 樹
11~20 友奈
21~30 東郷
31~40 風
41~50 銀
51~60 夏凜
61~70 若葉
71~80 九尾
81~90 天乃
91~00 春信
00以外のぞろ目 球子

↓1のコンマ

※樹10% 他、9%


最後


1:風 2:春信 3:夏凜 4:若葉 5:東郷 6:天乃 7:樹 8:銀 9:球子 0:九尾


↓1のコンマ

※ぞろ目なら友奈と
※誰の箱から引くのかは前回の王様決めコンマ表を再利用

※東郷

01~10 手を繋ぐ
11~20 膝枕
21~30 抱きしめる
31~40 腕を組む
41~50 見つめ合う
51~60 頭を撫でる
61~70 相手のものまね
71~80 今一番したいこと
81~90 ポッキーを咥えて半分に折る
91~00 相手の好きな点を一つ言う

↓1のコンマ  


天乃「うー……本当にやらないとダメ?」

九尾「妾のやつでやり直してもいいのじゃぞ?」

友奈「それは私が決めることですよ。九尾さん」

九尾が悪いことを考えていると察して、友奈が割り込んで引き剥がす

天乃と春信

いずれ見つめ合う以上のことをしなければいけないということは、

この場にいる全員が知っている

だから、少しでも

しばらくの間見つめ合うだけでも。と

風達も、樹も。天乃の問に首を振る

樹「……見つめるだけですから」

しかし、そう言いながらも。樹は手汗の滲む手を握り締める

春信「ごほん……距離はこのくらいで良いか?」

天乃「ええ。いいと思う」

布団の上で正座して、顔を向け、見つめる

距離は大体、横に置いた枕二つ分の距離だ。少し離れてはいるけれど

近すぎず遠すぎない距離としては、許容範囲だ


天乃「………………」

春信「………………」

ただ、黙って見つめ合う

そこには自分達しかいないかのように

二人だけの世界を構築していくかのように、視線を交わし、

相手の体を自分の視界に収めて包む

その静寂は、ふたりの呼吸だけが一定の感覚。一定の音で響き、

いつの間にか天乃の呼吸に、春信の呼吸が重なる

天乃「………っ」

春信「っ、目を。そらしてもいいか?」

天乃「ダメ。私を見て、春信さん」

動きそうな春信の手をつかみ、天乃は目を合わせる

指定された時間は五分だ。まだ、1分くらいしか経ってない

天乃「私と、もっと先のことをするとき。ずっと。私以外を見ているの?」

春信「……そうだな。すまない」


天乃「私以外の人は、どうなの? 見れてる?」

春信「……みんなが居る前で言う事ではないと思うが」

天乃「ふふっ。それもそうね」

春信の困った表情に、天乃は笑みを浮かべて

けれど、絶対にそらすまいと。鼻先を見る

本当に目を見てしまっては、絶対に耐え切れないからだ

春信「久遠天乃」

天乃「もう。天乃でいいのに」

春信「……いや、それはまだ。犬吠埼の姉妹にも出来ないことだ。許して欲しい」

天乃「そう。残念ね」

いつまでもフルネームだったり、君。という呼び方では

もちろん、それが必要だとは言わないが

何かをするとき。少し、空気を乱してしまいそうだ


1、ねぇ、なら天乃くん。とかどう?
2、みんなと同じように久遠さんは?
3、じゃぁ。私は春信さんを春くんって呼ぶわ
4、春信さんは、準備。いつごろ終わりそうなの?


↓2


天乃「それなら、みんなと同じように久遠さんはどう?」

春信「ふむ……」

天乃「それも難しい?」

天乃の声は何も変わらない

残念そうでも悲しそうでもなく

楽しそうでも嬉しそうでもなく。ただ、疑問を感じる声

きっと、無理だと言っても仕方がないと言うだろう

難しいといっても無理強いはしてこないだろう

けれど、そうやって甘えてばかりでいいのか。と、春信は天乃を見つめたまま息を呑む

春信「く、久遠……さん」

天乃「ぁ――う、うん。うんっ、久遠さんよ」

不慣れだ。下の名前でもない

けれど、今までとは一歩前進できた呼び方に、天乃は驚きつつ目明るい笑みを零す

春信「まだ、時々フルネームで呼んでしまうかもしれないが。できるだけ。久遠さん。と、呼ぼう」

天乃「ええ。それでいつか、天乃って。呼んでちょうだい」

嬉しそうな天乃の笑みと声に、春信は軽く頷く

自分のちょっとした努力で変化させられる。喜ばせることができる

それが目に見えて分かった事が、少し。嬉しかったのだ


では、此処までとさせて頂きます
明日はできれば通常時間となります
また、王様ゲームは終了となります



春信「久遠さん」

天乃「うん」

春信「久遠さんっ」

天乃「うんっ。うんっ!」

風「恋人か!」

樹「呼べるようになって良かったですねっ」ギリッ


では、少しずつ始めていきます


01~10 
11~20 夜這い

21~30 
31~40 
41~50 九尾の悪戯

51~60 
61~70 
71~80 夜這い

81~90 
91~00 九尾の悪戯

↓1のコンマ  

1日のまとめ

・  乃木園子:交流無()
・  乃木若葉:交流有(旅行、王様ゲーム)
・  土居球子:交流有(旅行、王様ゲーム)
・  三ノ輪銀 :交流有(旅行、王様ゲーム)
・  犬吠埼風:交流有(旅行、王様ゲーム)
・  犬吠埼樹:交流有(旅行、王様ゲーム)
・  結城友奈:交流有(旅行、王様ゲーム)
・  東郷美森:交流有(旅行、王様ゲーム)
・  三好夏凜:交流有(旅行、王様ゲーム)
・  三好春信:交流有(旅行、王様ゲーム)
・     九尾:交流有(王様ゲーム、久遠さん)

・      死神:交流無()
・      稲狐:交流無()
・    夢路瞳:交流無()
・     神樹:交流無()



8月14日目終了後の結果

  乃木園子との絆 19(中々良い)
  乃木若葉との絆 33(中々良い)
  土居球子との絆 30(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 51(高い)
  犬吠埼風との絆 72(かなり高い)
  犬吠埼樹との絆 134(かなり高い)
  結城友奈との絆 67(かなり高い)
  東郷三森との絆 69(かなり高い)
  三好夏凜との絆 91(かなり高い)
  三好春信との絆 41(少し高い)
   夢路瞳との絆 12(普通)

     九尾との絆 52(高い)
      死神との絆 40(少し高い)
      稲狐との絆 22(中々良い)
      神樹との絆 5(低い)

 汚染度***%


√ 8月15日目 朝(旅館) ※月曜日


↓1コンマ左の数字が奇数で居る  偶数でいない

    右側の数字で人数


いつも通りに目を覚まして

いつもと違う天井を見て、いつもと違う空気を吸う

匂いがなくて、音もない。それでも違うものを感じる天乃は、

首だけを動かして横を見る

左側には樹がいて、右側には風がいる

天乃「……入ってこなかった」

敷布団である以上、

こっそりと入ってきてもおかしくはなかった

けれど、二人も。それ以外の3人も

だれも潜り込んでくることはなかった

まぁ、期待していたわけじゃないけど。と、天乃は息をつく

天乃「……樹、まだ寝てる」

視線の先で目を瞑り、一定の感覚で胸を浮かせる樹に、天乃は笑みを浮かべる

当たり前だ

天乃の起床時間は誰よりも早い

多少早く起きるようになった。という程度の樹にはまだ難しいのかもしれない


1、手を伸ばす
2、見つめる
3、何もしない
4、九尾を呼ぶ
5、好きよ。樹


↓2


天乃「……ふふっ」

可愛らしい寝顔を見つめていると、思わず笑みが溢れる

穏やかで、今この時が平和だと感じることのできる可愛い寝顔

好きだ

本当に、心から。私は

天乃「……好きよ。樹」

そういうと、寝ているはずの樹は目を開いて笑う

嬉しそうに、幸せそうに

可愛らしく清々しい笑顔に、天乃は一瞬呆然としながらも

観念して顔を赤くする

樹「すきです。私も」

天乃「っ」

樹「えへへ」

布団の中を這って来たのだろう

言葉と一緒に、天乃の手を樹が握った


樹「久遠さん」

天乃「……起きてたのね」

樹「久遠さんの声が聞こえただけです」

樹は照れることなく言う

実際は恥ずかしいけれど

そんなことよりも。というものはあるもので

樹は羞恥心によって前後不覚にはなるまいとしていた

というのも、目の前にいる恋人の恥じらう姿を見るためだ

少し、九尾さんっぽくなっちゃったかな。と、樹は苦笑する

樹「……本当は起きてました」

天乃「でしょうね」

樹「久遠さんの寝顔が見たかったので」

天乃「嘘」

樹「本当です」


天乃「……………」

樹「そんなに見つめても。本当です」

好きな人のいろんな顔が見たいと思う

それは、その人を本気で愛している人として当然なのかもしれない

嬉しい顔、楽しそうな顔、幸せそうな顔

気の抜けている顔、隙だらけな顔、寝顔

もちろん、見たくない表情だってあるけれど、でも

天乃の寝顔が見たかったのは事実だ

夜ふかしするか、早起きするか

夜ふかしが圧倒的に楽ではあるが、やっぱり。早起きしてみるほうが達成感がある

だから、樹は頑張った

樹「久遠さんのためなら、頑張れます」

天乃「どちらかというと、自分のためでしょ」

樹「久遠さんが関係することなら、すごくがんばれます」

天乃「……ちょっと複雑」


樹のその気持ちは嬉しいが

それが自分の寝顔を見るために行使されたのだ。無理もない

けれど、やっぱり

朝が弱くて怒れなかった樹が

たとえ目的が不純? であっても起きることができるようになったという変化

あるいは成長は、天乃からしても喜ばしいことで

だから、天乃は照れくさそうにしながらも。笑みを浮かべる

天乃「変じゃなかった?」

樹「可愛かったです。凄く」

天乃「ぅ」

樹「写真撮ろうかと思っちゃいました」

けれど、思っても実行には移せなかった

少しでも動いたら起きてしまうかもしれない

一瞬でも目を離したらそこでもう。見られなくなってしまうかもしれない

そう思うと、気づけば天乃の眠っている横顔に釘付けになっていたからだ


言葉にできないほど辛くて、苦しくて、悲しい過去がありながら

今もなお、辛くて大変な人生を強いられている天乃が

目の前で静かな寝息を立てている

樹にとってそれは、ある意味日常の象徴のようだった

好きという気持ち

大好きという気持ち

愛しているという気持ち

決して衰えることのない熱を持ち、樹は天乃を見つめる

どれだけ言葉にして放熱しても、際限ない熱は心も体も熱くする

だからこそ、樹はその熱が失われた時の虚しさを考えそうになって

また。天乃の声。天乃の姿。天乃の存在を求めて触れる

樹「起きてくるまで、握ってていいですか?」

天乃「……私が握ってるはずなんだけど」

樹「私の握られた手を、さらに握ってるので、私が握ってます」

樹にとって久遠天乃という少女はなくてはならない存在であり

天乃にとって犬吠埼樹は欠けてはならない存在である

天乃「じゃぁ、離さないでね」

樹「いっそのことくっついちゃっても。いいです」

冗談っぽく笑って天乃を見る樹の頬は赤い

そして

言葉を投げかけられた天乃の頬も、赤かった


では、此処までとさせて頂きます
あすも可能であれば通常時間から
投下のない可能性もあります

では、少しずつ初めて行きます


樹「久遠さん」

天乃「……なに?」

樹「一緒にお出かけ……旅行。出来てよかったです」

もう二日目。最終日

けれど、まだ二日目の朝。そんなポジティブに考えながらも

樹は天乃を見つめて言う

天乃「どうしたのよ。そんなしんみりと――」

樹「ひとつだけ。とても大事なことがあるんです」

天乃「大事なこと?」

天乃の問になりかけの言葉に、樹は頷く

その表情は暗く、悲しそうで

その大事なことが少なくとも良い事ではないことだけは

天乃に伝わった

樹「復学に伴って、みんな、。元の家に戻ることになりました」

天乃「え……?」

樹「もともと、今いる場所から讃州中学までは車を使っても数十分かかります。だから……」


補習なら、そのくらいの時間がかかっても少し問題はあるとしても許容範囲

しかし、普通の授業・登校となれば話が変わる

登校時間は補習の時よりも断然早い

勇者部だけではないがゆえに、遅れもなにも調節はできない

そして、天乃と一緒に居るため。そんな我儘の為に

送り迎えを続けることはできない。と、言われたのだ

樹「この旅行が決まったのが急なのは。それが理由です」

天乃「………………」

樹「私達も急だったんです。夏休み以降は各自の自宅に戻れって。急に言われて」

嫌だと言った。お願いしますと言った

けれど、その申請は容易く蹴飛ばされて散った

樹「私達は裏切り者で反逆者なので。その、必要以上の特別扱いはできないんだと思います」

天乃「裏――」

樹「たくさんの人を傷つけました。誰かに操られたわけじゃなく。私自身の意思で」

否定しようとした天乃に、樹は首を振って否定をぶつけ返す

自分がしたことを理解している。だから、樹は唐突な命令にも強く批判・反抗・抵抗出来なかった

していいはずがないと、割り切っていた

樹「……ごめんなさい」


天乃「別に貴女が謝ることでもないわ」

仕方が無かった。なんて言葉は使えない

樹や夏凜の反逆行為は天乃が要因であることは間違いないからだ

けれど、元を正せば

天乃が満開によって記憶喪失になったあと、偽の恋人を差し向けたり

樹達から遠ざけようとしたのが一番の原因だ

ようするに、大赦の自業自得というのが100点の回答かも知れない

しかし、天乃はそれを言うような性格ではない。だから、その答えにはたどり着かない

天乃「大切な記憶を忘れた私にも。責任があるもの」

樹「でもっ」

天乃「たとえ、それが満開の後遺症だったとしても。忘れた時点で私が悪い」

本当に大切なら。本当に大事なら

満開の後遺症であろうと、覚えているべきだった

そう言う天乃の手を、樹は強く握って首を振る

見つめる瞳には、涙が溜まっていた


樹「力になれなかった私も……悪いです」

出来ることには限界があったのは分かっていた

けれど、それでも

限界の限界まで何かをしていれば、あんなことにはならなかったかもしれない

あの時からずっと、樹はそう思っていて。だから、思う

樹「久遠さんは久遠さん自身を。私は、私自身を悪いって言います」

天乃「そうね」

樹「だから……」

みんな悪い。みんな悪くない

言葉を二つほど挟むだけで意味の代わる言葉を思い浮かべる

互いに自分が悪いと言い合って

互いに相手は悪くないと言い合う

それならば、相手を思う樹の妥協案は――


1、みんな悪い
2、みんな悪くない
3、バーテックスが悪い
4、神樹が悪い



↓2


天乃「みんな悪い?」

樹「う……久遠さんらしいというか。らしくないというか」

樹は怪訝そうな表情で天乃を見ると、

困った久遠さんです。と、苦笑する

天乃「なんで笑うのよ」

樹「いえ。どっちも悪くない。誰も悪くない。それもいいなって思ってはいたんです」

誰も悪くない世界

それは凄く良い事だって思った

でも、誰も悪いと言ってくれないから

だれも自分を責めようとしないから。余計に、

そんな優しい人たちを傷つけてしまったんだという罪悪感が湧き出てくる

それに

樹「でも久遠さん。そう言うと絶対に……そうね。それでいいと思う。なんて、言いますよね」

天乃「……よくわかってる」

樹「だったら、久遠さんも、私も。二人で妥協するべきなんじゃないかなって。思いました」

だれもその罪を抱くことなく捨てていき、天乃に嫌な顔をさせるくらいなら

置いていかれそうなその罪を、一緒に持って行きませんか。と、声をかける方がいい

樹「だから神樹様も、バーテックスも。大赦も。私たちもみんな悪いって思います」

天乃「不毛な言い争いをするよりは、いい妥協点かな」

樹「はいっ」

天乃の和むような微笑みに、樹は笑顔で返事を返す

嬉しいことも、楽しいことも、辛いことも、悲しいことも、苦しいことも、悪いことも、良い事も

全部を共有していきたい

樹「……あと」

病める時も健やかなる時も……えへへっ

それはまだ。言わないことっ

樹は今でも十分、幸せだった


では、此処までとさせて頂きます
あすも可能であれば通常時間から


3週目は全く考えていませんが、可能なら。という感じですね
とりあえずはこの2週目を終わらせることだけを考えています


では、本日も初めて行きます


√ 8月15日目 昼(旅館) ※月曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、球子
0、若葉
11、春信
12、イベント判定
13、旅館といえば…温泉だよねっ

↓2


※延長戦
※夕方に帰宅となります


1、みんなで行く
2、樹
3、風
4、友奈
5、東郷
6、夏凜
7、九尾


↓2  行く相手を選択

※多数選択もOKです


湯けむりが視界に見える大浴場の中

湯船に浸かる天乃は傍らで静かに入浴する樹をチラっと見て。声をかけた

天乃「ありがとね。付き合ってくれて」

樹「いいですよ。これくらい」

天乃の温泉に行きたいという申し出を、樹は嫌な顔一つせずに承諾した

温泉に連れて行き、入浴させ、洗ってあげて、部屋に連れていく

全部やってあげなければいけない

その間、この旅館で自分がしたいことを何一つ出来なくなってしまうのだが

樹にとっては、それ自体がしたいことだからだ

樹「夕方に帰るので、汚れる海に行くよりもずっと良いです」

天乃「……そうね」

樹「はい」

ふたりの会話が途切れると、

時間も時間ということもあってか、静かな大浴場には温泉の沸く音だけが響く

けれど、その静寂未満の沈黙は決して嫌なものではなく

冷たくて、苦しくて、寂しいものでもない

その静けきお湯の中で、天乃の手に何かが触れる

天乃「ぁっ」

樹「……えへへ」

天乃「樹なの?」

樹「お湯の中なら、人が来ても見られません」

見られても問題はないですが。と、苦笑すると

樹は手を握る手に力を込めた


樹の率直に示してくる好意を、天乃は好ましく思ってる

けれど、今は温泉

ただでさえ温まっているのに

さらに熱くなったら大変だと、頬の熱さを感じた天乃は首を振る

天乃「のぼせちゃう」

樹「……お姉ちゃん達も呼んでくるべきでした」

天乃「あの子達の前では確かに平気だけど。でも、あまり見せつけたくないわ」

恥ずかしいから。とは言わず、言葉を止める

そして握られた手を振りほどかないまま、むしろ握り返して、樹から目をそらす

天乃「みんなと一緒も好きよ。でも、二人きりの方が。私はす……」



その一言。されど一言

それがとても恥ずかしくて、言いにくくて

天乃「私は過ごしやすい」

天乃は言葉を入れ替えて、樹へと寄り添う


樹「……そうですね」

天乃が本当は別のことを言おうとしたこと

その別の言葉がなんだったのか

全部分かっていながら、樹は気の抜けた言葉を返す

もちろん。それが天乃の視界には入っていないと知りながら。だ

樹「………………」

天乃「……………」

今は言葉なんて必要ない

握り合う手が想いを伝え、寄り添いあう体が心を繋ぐ

誰しもが得ることのできる穏やかな時間

誰もが当たり前に教授している平穏な時間

それが貴重なものであることを知る二人は

人々が【勿体無い】と【浪費】だと言いそうなその時間を過ごす

樹「また、こんなふうに旅行が出来るといいですね」

天乃「……うん」


しようと思えばできないことはないのかもしれない

けれど、簡単なことではなかった

勇者にとって、平和な時間というものは幻想でしかない

特に、この世界は結界に包まれていて、

その結界の外は星屑と呼ばれる欠片達で溢れ返っている

そんな非情なる現実を知っているがゆえに、天乃にとって

今の時間は特別以外の何者でもなくて

樹「……………」

握られている手からより強い束縛を感じて、樹は天乃を見る

表情に変化はなさそうに見える

けれど、その奥ではきっと不安なんだろう。と、握り返すと

天乃と目が合った

樹「バーテックスが来ても平気です。みんな、いますから」

天乃がなぜ不安になったのか。真相を知っているわけではない

それでも樹は、そう言って笑みを浮かべた



1、……うん
2、樹に壁の外について話す
3、そうね。みんないれば平気よね



↓2


では、ここまでとなります
あすもできれば同じような時間から





天乃「樹、実はね。壁の外は――」

樹「……知ってます。私は神樹様の半身ですから」

天乃「!?」

樹「嘘です」

九尾「嘘ではない。いつから、自分が人間だと錯覚していた」

樹「!?」


では、本日も初めて行きます


天乃「……………」

頼もしい雰囲気を頑張って醸し出す恋人を見つめる

そろそろ頃合だろうか

バーテックスが無限に湧き出てくるような状況に陥っていて

大赦が言っていたように、バーテックスを12体倒せば全部終わるなんていうのが

ただの嘘だということもわかっている

それに、樹はひとりじゃない。勇者部のみんながいる

そしてなにより、樹は強い

戦う力ではなく、心がとても。強いから

天乃「樹、大切な話があるわ」

樹「大切な話。ですか?」

天乃「ええ。壁の外についてよ」

この世界の最大の秘密

大赦が隠し続けた最悪の現実

天乃「壁の外は――」

樹「バーテックスで一杯なんですよね」

天乃「え?」

樹「えっ?」


天乃の困惑に樹の驚きが重なる

樹にとっては、むしろそれしかないとさえ思っていた

倒しても倒しても出てくるバーテックスの軍勢

それゆえに、

結界の外は獅子座から双子座に、詳細不明のバーテックス

それらがうじゃうじゃと群れをなしていると思っていたのだ

けれど

樹「違うんですか?」

天乃「違うっていうか……えっと」

樹「久遠さん?」

バーテックスと比べれば、星屑なんて言葉通り屑でしかない

群れをなしていても、数が多いだけでバーテックスには及ばない

天乃「樹、まさかずっとそう考えていたの?」

樹「はい。同じバーテックスが出てきた時からずっと……そうなんじゃないかなって」

天乃「……っ、ふふっ。あはははっ」

神妙な面持ちが湯面に映っているのを見た天乃は

それがおかしくて、バカバカしくて、笑い声をこぼす

樹「久遠さん?」

天乃「ふふっ。ごめんなさい。おかしくって……私。なんでずっと。言わなかったのかなって」

一人で壁の外の現実を抱えて、どれだけ勝利を積み重ねても

どうせまた。バーテックスが現れると悲観して。平和を実感することが中々できない

そんな今までの自分を、笑い飛ばした


天乃「別に、バーテックスがたくさんいるわけじゃないの」

樹「じゃぁ、何がいるんですか?」

天乃「バーテックスを生み出す星屑。星座ってほら。いくつかの星で作られてるでしょう? それと同じよ」

樹「言われてみれば……そうです」

今までそんなことは考えなかった

今まで、バーテックスはバーテックスだと思っていた

けれど、確かにそうだ

バーテックスが持つ12の名前。星座

それは全部、星と星をつないで作られた形の名前

樹「強いんですか?」

天乃「数は多いけれど、バーテックスと比べたら大したことはないわ」

樹「久遠さんの大したことないは私たちのとは範囲が違う気がしますけど……でも。バーテックスみたいに強くないなら。大丈夫ですね」

安堵の息をついた樹は胸をなでおろして笑みを浮かべる

でも、安心はしても慢心はしない

多勢に無勢という言葉がある。一つ一つが弱くても数が多ければ匹敵する力になることもできる

だから、樹は天乃の手を握って目を向けて

樹「私達も。一人じゃなければ大丈夫ですね」

一人で無茶を繰り返す勇者に、あえて。言い直した


天乃「……謝ったほうがいい?」

樹「別に怒ってないですよ」

天乃「嘘」

樹「ホントです」

握り合っていた右手と左手はいつの間にか離れて

けれど、右腕と左腕が絡まって……距離はもっと近づく

本当は少し、壁の外がどうなっているのかを知って怖くなった

バーテックスで溢れかえってしまっている。という最悪の状況は予想しておいただけで

心のどこかではそんなことはないと楽観的に考えていたからだ

でも、それをずっと一人で抱え込んできた恋人を隣にして、

受け入れず、騒ぎ、恐れ、怯え、悲観するなんてことはしたくなかった

そしてなにより、樹は大好きで大切な天乃達がいればきっと大丈夫なはずと信じていた

だから、樹は天乃の体を抱きしめる

服の隔たりさえない抱擁

湯船の温かさを忘れさせるような体の熱さ

濡れ髪から滴る雫が時を刻んでいく

天乃「いつ……き……?」

樹「……いなくならないでください。ずっと一緒にいてください。私達には久遠さんが必要です。欠けたら……ダメなんです」

抱きしめていては聞こえない

それを分かっていながら、樹は言葉を紡ぎ、より強く天乃の体を抱きしめていく

その存在を自分に染み込ませるように

その存在に自分を染み込ませるように

強く、強く抱きしめた


もう少しできればとは思いますが、ここまでとなります
あすもできれば似たような時間から




友奈「……は、入っちゃダメかな」ドキドキ

東郷「ダメよ」チラッ

風「キスしないのかしら」ジーッ

夏凜「あんたら……趣味悪いわね」ハァ

園子「何でもかんでもキスすれば良いわけじゃないんだよ~。にぼっし~」キラキラ

夏凜「!?」


では、初めて行きます


√ 8月15日目 夕(某所) ※月曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、球子
12、若葉
13、春信
14、イベント判定
↓2

01~10 風
11~20 樹
21~30 友奈
31~35 東郷
36~40 夏凜
41~50 銀
51~60 若葉
61~70 春信
71~80 大赦
81~90 球子
91~00 九尾

↓1のコンマ  


若葉「終わったな」

天乃「ええ。楽しかったわ」

若葉「いや、旅館もそうだが……この生活もだ」

若葉の言葉に、天乃は頷く

兄と姉がいて、樹がいて、風がいて

友奈がいて、東郷がいて、夏凜がいて

銀がいて、若葉がいて、球子がいて、春信がいる

それはもう、学校が始まったら終わる

学校が始まる一日前には少なくとも終わる。これは決定事項だ

天乃「別に、会えなくなるわけじゃないし」

若葉「そうかもしれないが、何も言わなくていいのか? 何もしなくていいのか?」

天乃「……何もって」

誰と何をするのか、誰に何を言うのか

しなくていいのか? という、しなければ後悔するとでも言うかのような問に当てはまるものを考え、

天乃は若葉を見つめ、顔をしかめた

天乃「若葉のえっち」

若葉「なっ! なぜだっ!?」


若葉「わ、私はただ。主様が勇者部の皆としておきたいことはないのかと思っただけで」

別にそんなえっちと言われるような

如何わしい事など考えては……いや、待て。確かに少し考えた

確かに、主様と犬吠埼さんが。その。なんだ。あれだ

大人の行為をしないのかと考えた。だが、決して

そんなえっち言われるような不埒な考え方をしたわけじゃなくてだな……

天乃「長い。一言で」

若葉「っぐ……主様を心配しただけだ」

考えに考え、頬を染める若葉は照れくさそうにそう言う

言葉とは裏腹に顔が赤いのは、追求された恥ずかしさと

大人の行為について、少し。考えてしまったからだ

……本当に九尾曰く【濃密な絡み合い】をするのだろうか?

天乃「心配ね……ありがと」

若葉「別に礼を言われるようなことではない。精……友人として。当然だ」


精霊と言おうとして友人と言い換える

自分を人間と思いたいから

というのも少なからずあるが、若葉自身

自分と天乃が対等ではないにしても、友人関係ではあると思いたかったのだ

それは、

若葉がこの世界に来てから、今日この時間まで

共に過ごしてきたからこそ、生まれた願いと思いだ

天乃「若――」

若葉「ダメか?」

天乃「?」

若葉「精霊の私が主様を友人というのはダメか?」

恥じらいと不安を合わせた表情で、若葉は天乃を見つめていた


1、親友にはなれないの?
2、家族でもいいのよ?
3、私はずっと。そのつもりだったけど?
4、ならその主様っていうの。やめましょ?
5、恥ずかしがっちゃって。かわいっ


↓2


天乃「何言ってるのよ。今更」

若葉「なに?」

天乃「私はずっと、そのつもりだったわよ」

若葉「っ」

天乃「ふふっ、当たり前じゃない」

驚いた若葉を見つめて、天乃は楽しげに笑う

若葉だけじゃない

銀はもちろん、球子だって、死神だって、稲荷だって、カワウソだって

大事な仲間で、一緒に戦い抜いてきた仲間だ

そこには当然。九尾も……

天乃「むしろ、貴女をただの精霊として扱うなんてできないわ」

若葉「……そうか」

天乃「うん」

若葉「ありがとう。主……いや、久遠さん」

天乃「前に天乃って言われた気がするんだけど」

若葉「あ、あれは勢いだっ。忘れてくれっ」


天乃「私だって若葉って呼んでるんだから良いのに」

若葉「本当にいいのか?」

天乃「変なあだ名じゃない限り。良いも悪いもないと思うわよ」

悪意の込められたものじゃなくて

その人が相手を考えて、思って、作ったあだ名なら怒ることはないし、それでいいとも思う

それ以前のもともとの下の名前で呼ぶくらいなら、まったくもって問題はない

天乃「若葉のわをとってカバって呼んだり、バカ葉って呼ばれたりは嫌でしょうけど。若葉って呼ばれるのは嫌じゃないでしょ?」

若葉「そのたとえはなんとかならないのだろうか……」

天乃「じゃぁ。若子ちゃん」

若葉「……う、うむ」

満面の笑みで読んでくる天乃に、

実は悪意があったり楽しんだりしているんじゃないのかという疑問を抱きながら、

若葉は困り顔で頷くと、息をつく

確かに、そういうのは良くないけれど

普通に名前で呼ばれることに関しては全然平気だった

……もっとも。例えがひどすぎて比較できなかったのだが


天乃「だから貴女も天乃って呼んでいいのよ。もちろん。どうしても呼びにくいなら強制はしないけどね」

ちょっと寂しそうにしながらも、

天乃は笑みを浮かべて、若葉から目を離す

主様と呼ぶのは主従関係を表しているようで好みじゃない

でも

九尾は……きっと。言っても天乃とは呼ばない

もともと、こっちが望むとはぐらかしたりするのが好きな性格だしね

若葉「わかった。善処する」

天乃「うん。無理はしなくていいからね」

若葉「ああ。せっかく呼べるようになっても無理しては意味がないからな」

精霊である若葉も

それを従えている天乃も

ふたり揃っての笑い声が響く部屋に差し込んでいた夕日は段々と沈み、

そして――夜がやってくる


√ 8月15日目 夜(某所) ※月曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、若葉、晴海、大地、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、晴海
0、大地
11、球子
12、若葉
13、春信
14、イベント判定
↓2



01~10 風
11~20 樹
21~30 友奈
31~35 東郷
36~40 夏凜
41~50 銀
51~60 若葉
61~70 樹海
71~80 大赦
81~90 球子
91~00 九尾

↓1のコンマ  


では、此処までとさせて頂きます
明日はできればお昼頃から9月を少しでも進めたらと思います



友奈「私、シンクロしました」

天乃「……え?」

友奈「異次元同位体の私と久遠さんは、恋人……」

天乃「!?」

九尾「久遠さん……二股に興味ありませんか?」

東郷「友奈ちゃんはそんなこと言わないわ!」


お昼からはできませんでしたが、16時頃から初めていく予定になります


友奈「久遠さん。こんばんはっ」

天乃「ん? こんばんは……?」

友奈「えへへ。挨拶は大切ですよ」

楽しげに笑う友奈の表情

普段通りに見せかけてはいるが、本当に見せかけているだけなのだと、天乃は瞬時に察した

人を見る目はある

読唇術を身に付ける上で、人の表情から嘘か本当かを見分ける術も身につけた

そんな天乃を騙せるほど、友奈は女優ではない

天乃「そうね。大切ね」

友奈「もう、寝ちゃいますか?」

天乃「寝ようとしてるように見える?」

友奈「うーん……見えないです」

ベッドに横になっているとは言っても、

今はベッドの半分を起こして、上半身を起こしている状態だ

だからまだだろうと判断した友奈の答えに、

天乃は嬉しそうに「正解」と、返した


天乃「ふふっ。よく見てるわね」

友奈「はいっ。久遠さんが何を求めてるのか。ちゃんとわかるようにって思って」

最初の頃は全然分からなかった

何をどうしたらいいのか。どうして欲しいのか

今、どうしたいのか、どうしたかったのか

最初は全部言葉で伝えて貰わなくちゃいけなくて

そんな素振りも、言葉もなかったけれど

恥ずかしい思いだってきっとさせてしまった

でも今はもう、そんな思いはさせないようにとみんなで頑張って、覚えて、出来るようになって

けど……

友奈「……樹ちゃんから言われました」

天乃「…………………」

友奈「もう、久遠さんに伝えちゃったって」

もう、お世話の必要が無くなった

出かけるときに行ってきますと言って。気をつけてねって言われて

帰ってきて。ただいまって言って。おかえりって言われる

そんな久遠さんとの生活はもう、終わる

自分の自由な時間が増える。勇者部としての活動が再開できる

でも。だけど……少し、寂しい


天乃「ええ。聞いたわ」

友奈が何を言いたいのかわかっている天乃は

いつもと同じく、平然として頷く

習慣にしていたことが無くなる

それは解放されるのと同時に、寂しくも思う

面倒だった。大変だった。辛かった

それだけならともかく

そこに何か思い入れがあるのなら、喪失感は比例して大きくなるからだ

天乃「でも。貴女にも。東郷にも家族がいるわ。みんな、一緒にいたいはずよ」

小さく息を吐いて、優しく言うと

友奈は悲しさを押し隠した表情で首を振る

友奈「久遠さんも」

天乃「?」

友奈「久遠さんも……家族ですっ」

他人から友達

友達から親友

そして、恋人になれなかったけれど。でも

友奈「短くて長い時間。一緒に暮らしたから。だから、家族です」

天乃「友――」

友奈「東郷さん達も。銀ちゃん達も、久遠さんも。みんな勇者一家です」

永遠の別れじゃない

電話はできなくてもメールはできる

にも関わらず永遠の別れかのような感情をあらわにする友奈に、天乃は――



1、大げさなんだから
2、ふふっ。そうね。家族ね
3、あら。貴女は私の愛人よ?
4、抱きしめる
5、頭を撫でる


↓2


さらに言葉を続けようとした矢先、

頭がポンポンっと叩かれて

ゆっくりと、優しく。包むように……撫でられて

友奈「あっ」

天乃「少し落ち着きなさい」

友奈「………………」

そう言われて初めて

友奈は自分が身を乗り出していることに気づいて、椅子へと戻る

天乃「よしよし」

友奈「……えへへ」

家族と言った手前

年齢的に見ても、精神的に見ても

今、この状況を見ても

自分は妹なんだろうなぁ……と、考えて笑みを浮かべる

会いにくくなる

でも、二度と会えないわけじゃない

平日なら放課後

休みの日ならお昼から。会おうと思えば会えるんだ

天乃「っ」

友奈「もう少し、お願いします」

でも、寂しいものは寂しい

だから、離れそうだった天乃の手を掴まえて、そういった


天乃「友奈、撫でられるの好きだったっけ?」

友奈「そう言う、わけじゃないですけど……」

でも、どうなんだろうかと、友奈は思った

撫でられるのが好きだったのかどうかと考えてみると

別にそんなことはないかなと思う

でも、今こうして撫でて貰ってるのは、嬉しいし、好きだ

撫でられることではなく、その手で触れて貰っているのが嬉しくて好きだ

そんなことを考えていると、頭の上の動きは止まっていて

重みは、なくなっていて

思わず、自分の手で触れると、目の前の天乃は少し呆れるような笑みを浮かべていた

天乃「もう少し撫でてあげようか?」

友奈「……………………」

どうしようと、考えて

すぐに、天乃の手が疲れるからと、首を振る

友奈「いえ。もう、大丈夫です。ありがとうございました」

ただ、撫でて貰っただけなのに嬉しかった。凄く幸せだった

凄くドキドキして、恥ずかしさじゃない熱さを感じた

友奈「私、久遠さんが好きです」

だからか

嘘をつけない友奈は無意識のままに、言い切ってしまった


天乃「ええ。私も貴女のこと好きよ」

友奈「えっ?」

天乃「親友として。貴女が言う家族として」

その言葉の本当の意味に気づかないまま、天乃は自分が思った言葉をそのまま返す

後押ししてくるものがあったとは言え

それが強制力の強いものだったとは言え

ファーストキスを譲った相手である天乃への好意

それを無意識に伝えてしまったかと思えば伝わってなくて

でも、それでいいんだと。友奈は笑みを浮かべる

友奈「私もです」

みんな、久遠さんが好きだ

樹ちゃん達と同じ意味でも、樹ちゃんと久遠さんの間にある好きとは違う意味でも

でも、同じ意味になっちゃいけない。未満の好きじゃないといけない

ううん。それが、いい

友奈「久遠さん」

天乃「うん?」

友奈「大好きですっ」

友奈はもう一度。自分の意志で思いを告げて抱きつく

別れてもなお、常にそばにあると。感じたいからだ

1日のまとめ

・  乃木園子:交流無()
・  乃木若葉:交流有(関係)
・  土居球子:交流無()
・  三ノ輪銀 :交流無()
・  犬吠埼風:交流無()
・  犬吠埼樹:交流有(みんな悪い、温泉、壁の外)
・  結城友奈:交流有(撫でる。気持ち)
・  東郷美森:交流無()
・  三好夏凜:交流無()
・  三好春信:交流無()
・     九尾:交流無()

・      死神:交流無()
・      稲狐:交流無()
・    夢路瞳:交流無()
・     神樹:交流無()



8月15日目終了後の結果

  乃木園子との絆 19(中々良い)
  乃木若葉との絆 35(少し高い)
  土居球子との絆 30(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 51(高い)
  犬吠埼風との絆 72(かなり高い)
  犬吠埼樹との絆 137(かなり高い)
  結城友奈との絆 70(かなり高い)
  東郷三森との絆 69(かなり高い)
  三好夏凜との絆 91(かなり高い)
  三好春信との絆 41(少し高い)
   夢路瞳との絆 12(普通)

     九尾との絆 52(高い)
      死神との絆 40(少し高い)
      稲狐との絆 22(中々良い)
      神樹との絆 5(低い)

 汚染度***%


このまま続投します
9月に入りますが、9月は最終月となります

通常通り進めば7日目の夜が最終日となる予定です


√ 9月1日目 (某所) ※月曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、球子
0、若葉
11、春信
12、イベント判定
13、勇者部にメール

↓2

※勇者部と春信はメールになります



1、放課後、会える?
2、どう? 久しぶりのクラスメイトは
3、私がいなくて寂しい人ー
4、誰か、暇な私に付き合ってくれる人いる?
5、行ってらっしゃい。久しぶりで大変なこともあるだろうけど。頑張れっ


↓2


天乃「……………」

今まで居た人達がいなくなった家

しかも、一人二人ではなく、五人もの人がいなくなった家は

耳が聞こえなくても、静かになったと、寂しくなったと。解って

天乃は端末を取り出すと、

勇者部全員を宛先に指定して、メールを打つ

副題はなく、絵文字もなく

ただ一言、放課後に会えるかどうか。訊ねたメール

それを送ってすぐに、一通目のメールが東郷から届いた


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 勇者部の依頼を確認してからになりますが、

 時間がありましたらお会いすることができるかと思います

 ですが、安心してください

 樹ちゃんには依頼を任せませんので

 学校側で問題がなければ、樹ちゃんだけは確実に行けます

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


天乃「別に樹とは言ってないんだけど。いや、うん。嬉しいけど……」

東郷の気遣いに、天乃が気恥ずかしそうな表情をしたのと同時に、続々とメールが届いた


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 離れてまだ二日三日なのに、もう寂しくなったの?

 ほんと。天乃ってば寂しがり屋ね~

 勇者部のサイトを再開したばかりだし

 多分、そこまで依頼は来てないと思うからいけると思うわよ

 もっとも

 重要だったり緊急の案件じゃない限りは

 後回しにして会いにいくつもりだったんだけど

 
 樹がね。

 抱き枕なしじゃ寝れなくなっちゃって

 ほんと、困ったもんよねー

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

天乃「風から……」

元々来る予定だったらしい

それが嬉しくて端末を抱き――

天乃「ひゃぁっ!」

ヴィーッ、ヴィーッっというバイブに驚いて、声を上げてしまった


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 別に、あんたがどーしてもって言うなら……

 なんて

 嘘よ

 会えるなら会いにいくわ

 私も一応、勇者部の部員としてやらないといけないこともあるだろうし

 それが問題なければ。だけど

 あんたは二の次よ。二の次

 じゃないとなんか

 私が堪え性ないみたいだし

 /(^o^)\

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

天乃「最後のはなんなのよ。なにこれ」

変に隠すことなく素直さのある夏凜のメール

最後の一文が気になったが、多分。深い意味はないだろう

天乃「というより……まるで私が堪え性がないみたいな言い方じゃない」

事実なのだから。仕方がない


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 はいっ。会いに行けたら行きます

 行けなくてもメールします

 写真もとって、送ります

 もう9月で

 もしかしたら久遠さんはこのまま、卒業になっちゃうかもしれません

 でも、それでも

 学校がどんなものか感じて欲しいから


 私と

 私たちと

 久遠さんは、どこでも。どこまでも一緒ですから

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

そんな友奈のメールには、一枚の写真が添付されていて、

開いてみると、なぜか下駄箱の写真で

天乃「これ、撮ったのは東郷ね」

アングルは少し低く、送り主の友奈は下駄箱のネームプレートの一つを指差している

それゆえの答えを見引き、そして

天乃「あっ」

友奈が指差しているネームプレートが、【久遠天乃】になっていることに気付いた


天乃「……友奈」

もしかしたら作ったのは友奈ではなく、東郷の可能性もある

けれど、きっと

作ろうと言ったのは友奈だろう

久しく見ていない紙製のネームプレート

……懐かしい

天乃「あの子ったら」

その優しさに心が温かさを感じて、

窓に映る自分の嬉しそうな顔に、苦笑する

数ヶ月前のあの日

大赦の希望通りあそこに残ったままだったらきっと

永遠に感じることのできなかった思い

それを抱く天乃のもとに

勇者部の一番下で、天乃との関係が一番上の樹から、メールが届いた


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 会いたいです

 寂しいわけじゃないです

 でも、会えるなら、会いたいです

 時間が許す限り、久遠さんと一緒にいたいです

 
 なんて、なんだかしんみりとしたメールになっちゃうので

 久遠さんへの答えだけ、書きます


 行きます。みんなで

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

久しぶりの授業後ということもあって

きっと疲れているはずだ

それでも会いに来てくれるという樹達のメールを受けて

天乃はたまらず泣きそうなほどの目頭が熱くなって、首を振る

天乃「ありがと」

電話ではなく、メールだからこそ感じ取れる気持ち

視覚でも聴覚でもつながっていないからこそ、表に出すことのできる感情

天乃「嬉しいっ」

天乃は子供のような笑みで、そう言った


√ 9月1日目 昼(某所) ※月曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、球子
0、若葉
11、春信
12、イベント判定

↓2

※勇者部と春信はメールになります



1、今から会えない?
2、バーテックス。どうなっているかわかる?
3、園子に会えない?
4、夕方、みんな来るのだけど……春信さんも来る?
5、ねぇ。私たちのその……アレだけど。催促とかされてるの?


↓2


ここ最近、平穏無事な日常として過ぎて言っているのは嬉しい

けれど、その分不安だった

襲撃がなければ、その分のバーテックスはあとに回る

それが貯まり溜まっているのだとすれば

次回の戦いは12星座+1の13体と9人になるかもしれない

もちろん、勝てないことはないだろうが

被害は、確実だ

天乃「…………春信さんに聞いてみましょう」

春信が知っている可能性は低くない

というのも、

瞳と春信が現状、勇者部に最も近しい大赦の味方の人間だ

一般人からのし上がった程度とはいえ

ある程度の情報は共有されているはずなのだ


しかし、

天乃が考えていた通りに。とは、いかなかったが

それでも、かすかな情報が入ってきた

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 いや、すまない

 私も気にはなっているのだが

 現在調査中らしく、まだ分かっていない

 相手によっては

 久遠天乃の方がわかっているんじゃないのか? と

 ややトゲのある返しさえくる始末でね

 だが、それでも分かったことがある

 最近、巫女の女性陣がざわついていると耳にした

 もしかしたら

 近いうちに襲来するのかもしれない

 トゲのある言い方をしてくるのも、その緊張感ゆえの可能性もある

 注意して欲しい

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 


天乃「……巫女が?」

天乃はもう、神樹様から嫌われているため

お告げを聴いたりすることは基本的にできなくなってしまっているため

どんな内容のものが巫女に伝わったのかはわからない

けれど、春信が聞いたとおり

巫女がざわつき、大赦が緊張感に包まれているのだとしたら……

天乃「襲撃が近いっていうの?」

その可能性は、十二分にある


天乃「………」

ただ、その場合はおかしい所がある

その襲撃があるという情報が夏凜達には伝わっていない。という点だ

もしもそれが事実なら、

夏凜達には授業関係なく伝わるはずで

もしも伝わっているなら、向こうからその連絡が来るはず

それが来ていないということは

この情報はまだ、夏凜達には伝わっていない可能性が極めて高い

ならなぜ、襲撃の可能性を伝えないのか……だが

九尾「襲撃してくる勢力が桁違いだから。じゃな」

天乃「えっ?」

九尾「その下級巫女共に伝わった形は知らぬが、少なくとも。類を見ぬものじゃったであろうな」

それゆえに、信じられず

それゆえに、真相を確かめる時間を取って、伝達に遅れが生じているのじゃ。と

唐突に現れた九尾は、言葉を紡ぐ


天乃「貴女……壁の外がどうなっているのか知ってるの?」

九尾「大体のことは知っておる。が、残念ながらもう手遅れじゃ」

天乃「なっ」

九尾「主様が死ぬ事前提で力を使いきれば樹達に被害はなかろうが。そうでなければ、被害は確実じゃな」

九尾はさも当たり前のように

表情は欠片ほども変えることなく、淡々と言う

九尾「誰に言うても。みな、己の犠牲のみで片付けようとする。手に負えなくなるまで。言うわけには行くまい」

天乃「っ」

九尾の言うことは間違っていない

みんなはみんなのことを大切にしているがゆえに

自分が。と、率先して満開して、散華していくだろう

それは天乃にとっても九尾にとっても、望んでいない展開

だから、九尾は伝えることなく過ごしてきた

もちろん、何もしてこなかったわけでもない

九尾「主様、夕方。世界のために時間を作れるかや?」

天乃「……世界のため?」



1、樹達は?
2、ええ。できるわ
3、……夜じゃダメなの?


↓2


天乃「……ええ。できるわ」

夏凜たちには悪いと思いながらも、

天乃は一緒に行くことを決めて、頷く

みんなには一言、会えないことを伝えておくべきだろう

九尾「うむ。そうでなければ困る」

天乃「大事なことなんでしょう?」

普段、おちゃらけた事ばかり言ったりやったりで

真面目でも時折不敵な笑みを浮かべている九尾が

まだ、一度も笑っていない

その違和感に、天乃はそう言わざるを得なかった

九尾「そうじゃな……。もっとも。必要かどうかはまた別じゃがのう」

天乃「? 何するの?」

九尾「乃木園子に会う」

天乃「え……?」

九尾「この戦いは少しでも戦力が多い方が良いからのう。出れるのならば、出てもらうほうが良い」

九尾の考えはわからない

けれど、やろうとしていることは大変で

でも、だからこそ大切なものなんだと。天乃は……感じた


√ 9月1日目 夕(某所) ※月曜日


01~10 風
11~20 樹

21~30 
31~40 
41~50 友奈

51~60 
61~70 
71~80 夏凜

81~90 
91~00 東郷

↓1のコンマ  


ぞろ目全員


普通では絶対に会わせて貰えない

だから、非公式に侵入して、園子がいるであろう部屋へと向かう

不思議と、どこに園子が隠されているのか

天乃は誰に言われたわけでもなく、分かっていて

けれどそれは多分

九尾が下調べをしたかなにかなんだろう。と

久しぶりに九尾のチカラで勇者になった天乃は、思いながら、扉を開ける

園子「誰~? あっ」

天乃「久しぶりね」

園子「天さんだ~っ」

天乃「ええ。天さんよ」

相も変わらずな包帯姿に、天乃は痛々しさを感じつつも

それを口にすることはなく、

嬉しそうな表情を浮かべる園子の動かない手を、握り締めた

天乃「本当、ごめんね。一人にして」

園子「ううん。だって、私はこんなだから。すっごいお荷物だもん。仕方がないよ~」


園子「それにね。ひとみんがすっごい仲良くしてくれたから。平気だったんだ~」

天乃「ひとみんって瞳のこと?」

園子「うん。私がお願いするとね~。天さんのこと、教えてくれて」

だから、どんなことがあったのか

そして、どうしてきたのか。全部、園子は聞いている

園子「よかったよ~。天さんが世界を滅ぼす道に行かなくて」

天乃「私が世界を滅ぼす?」

園子「天さんにはその力があるからね……天さんに凄くすごーく厳しい世界だったから」

嫌になったり、絶望したり

悲観したり、なんだりして世界を滅ぼしてしまう可能性は大いにあったし、

実際、大赦は天乃のその力を恐れて、あんなことを繰り返してきた

もっとも、それこそが本末転倒な事になりかねない危険なことだったのだが

園子「天さん。ミノさんが死んじゃってから。何でもかんでも。一人でやろうとするようになって……心配だったんだよ?」

天乃「園子……」

園子「でも。いい仲間に恵まれて。幸せそうで。楽しそうで。私。嬉しかったよ~」


園子はまるで自分のことのように嬉しそうに話し、

笑顔を向けて、天乃を見つめる

園子「それで、天さんはどうしてここに来たの~?」

天乃「それは」

九尾「園子。主も共に戦えぬかと。問うためじゃ」

九尾はそう言いながら、勇者部にも支給されているものとほぼ同型

しかしながら、所々に使用しているがゆえの傷跡が見えて

天乃と園子は揃って、目を見開く

天乃「貴女、それっ」

九尾「お主のじゃ。向こうにはカワウソとそれによる幻影を配置済みじゃ。職員は基本触れぬ物。分かりはすまい」

園子「…………」

園子は端末から九尾へと視線を移動させると、

天乃へと切り替えて、困った笑みを浮かべた

園子「私がいても。今更、邪魔にならないかな~?」



1、そんなことないわ
2、大丈夫よ。みんな。優しいから
3、貴女が来てくれるというなら。私は関係をサポートするわ
4、無理強いはしないわ


↓2


天乃「大丈夫よ。みんな、優しいから」

園子「うん~聴いてるよ~」

天乃「それに、ほら。私だって後から来たのに仲良くしてもらえたんだし」

一番初めの頃を思い出して、

そういえばあの最初の戦闘で樹を誘拐したんだっけ。と

思わず笑って、首を振る

今はそっちは関係ない

園子「そうだね~……天さんも仲良く出来たんだから。私もできるよね~」

天乃「園子?」

嫌味とかではない、園子の言葉

表情は悲しそうで、そこに秘められた気持ちに気づいて、

天乃は……頷く

天乃「大丈夫。あの子はもう、自分の記憶が満開のせいだって気づいてるから」

園子「っ」

天乃「私も。一から頑張ろうって決めて。それで、ここまでこれたから」

銀「大丈夫だ。園子。あたしも一緒にいてやる。それに、相手がいれば。0じゃない」


園子「み、ミノさん……?」

銀「すごいだろ? これも天乃の力なんだ」

不意に現れた、

もう二度と見れないと思っていた人

もう二度と聞けないと思っていた声

瞳は天乃達に会う機会が少なかったため、

その存在の情報まではいっていなかったがゆえに園子は知らず

だからこそ、再会の喜びはとても。とても大きくて

園子「夢じゃ、ない?」

銀「ああ」

園子「抱きしめてくれる?」

銀「仕方ないやつだなぁ。園子は」

銀は笑いながらもしっかりと、優しく園子の体を抱きしめて

頭を優しくなでるような手つきで叩き、背中を撫でる

園子「温かい……温かいよ~ミノさん~っ」

銀「今は、もう一度。生きてるからな」

抱き返せないもどかしさを感じながら、園子は嬉しさに涙を零す

その間も銀は園子を抱きしめて、涙を拭って、困ったやつだと苦笑する

そして

園子「わかったよ。天さん。私も。私も一緒に戦うよ~」

今はここから動くことはできない

けれど、必要になったら

そのときがきたら絶対に参戦するという約束を、園子と天乃は交わした


√ 9月1日目 夜(某所) ※月曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、球子
0、若葉
11、春信
12、イベント判定
13、勇者部にメール

↓2

※勇者部と春信はメールになります


では、本日は此処までとさせて頂きます
明日は少し早めで17時ころからを予定しています




園子「でも」

若葉「諦めるな! それでも私の子孫か!?」

園子「!?」

九尾「!?」


では、少しずつ始めていこうかと思います


1、園子の参戦と園子についてを話す ※鷲尾須美は伏せます
2、こっちから希望してたのに、ごめんね?
3、学校はどうだった?
4、来るべき戦いについて
5、園子の参戦と園子についてを話す ※鷲尾須美含む


↓2


天乃「このあたりが、別れ目かしらね」

銀「ん?」

天乃「私が言うとおりにメール打ってくれる? 少し、長くなるから」

差し出された端末と、天乃を見比べると

天乃は冗談っぽく笑う素振りもなく、ただ一言「よろしく」と、言う

その表情はいたって真剣で

けれど、どこか懐かしんでいるような遠くを見てる瞳で

銀は手を伸ばしつつも、躊躇って手を浮かせたまま静止する

銀「須美についても話すのか?」

天乃「隠し通せることじゃないわ」

銀「須美……東郷は大丈夫なのか? 戦いが近いんだろ?」

天乃「信じられないの? 須美を。東郷を」

銀「…………………」

天乃の淡々とした物言いに、銀は目を見開いて、俯く

信じられない? 誰が。誰を

そんなわけない

信じられなかったら

銀「園子を任せるわけ、ないじゃんか」

銀がひったくるように端末を受取ると、天乃はくすくすと笑いはしたが

それ以上は何も言うことなかった

宛先は勇者部全員

銀「内容を教えてくれ」

そう言うと、天乃は園子が参戦すること

そして、乃木園子が誰でなんなのかをできるだけ簡潔に纏めて

途中に出てきた鷲尾須美という少女についても、真実を打ち出していった


乃木園子という少女について

その少女の参戦について

その少女の仲間であり

天乃達と同世代の勇者である鷲尾須美の存在

そして、その鷲尾須美という少女の過去と現在

気になる点が山積みのメールへの返信は

普段即答してくれる勇者部のだれも、一時間少々経ってもなお。返しては来なかった

まだみんながいるとき

あるいは、別れを切り出された。というと語弊が生じるかもしれないが

その話をした旅館で

全員が集まることのできる場で語っておくべきだったのかもしれない

もっとも。そのときはまだ園子の参戦が決まっていなかったのだが……

天乃「返事。来ないわね」

銀「すぐに返せる内容じゃない。それに、電話ができるのなら電話したかったと思う」

さらにいえば、家に来ていい時間なら。突撃してきていたに違いない


天乃「ねぇ、銀」

銀「ん? なんだ?」

天乃「貴女、死んだ時のこと。覚えてる?」

銀「……そうだなぁ」

はぐらかすように語尾を伸ばして、天井を見上げる銀は

あの絶体絶命の状況での自分

あの最期の自分を思い出して、目を瞑る

あの時、あたしは最期に何を思ったんだったか

弟やクラスの友達、家族のことを考えて

須美や園子のことを考えて……

絶対に背負わせてしまうだろうな。と、天乃のことを心配していた

天乃「?」

銀「あんまり覚えてないな」

天乃「考える時間を作っておきながら……わざとらしい」

目を合わせて来た銀のはにかんだ表情に、

天乃は苦笑を返して、頷く

天乃「まぁいいわ。言いたくないことなら。無理に言わなくていい」

銀「そうしてもらえると、助かるよ」


最期に親しい人のことを思うのは何も不思議なことじゃない

けれど、

その走馬灯と言うべきか、回想と言うべきか

そのシーンの最後に出てきたというのは、なんだか特別な感じがして、言いにくかったのだ

銀「………………」

小学生三人と中学生一人という年齢差のあるあの時のチームが上手くいっていたのは

天乃が小学生とでも馴染める子供っぽい性格だったがゆえだ

そして、そんな性格ながら日常でも非日常でも頼れる存在だった天乃は

銀だけでなく、三人にとってのお姉ちゃんで、憧れだった

そしてその気持ちは今も。変わらない

銀「天乃。あたしさ」

天乃「うん」

銀「天乃のこと、好きだ」

天乃「…………………」

銀「だからもう、二度と悲しい顔。させないって約束する」


天乃「……今、そんな話してた?」

銀「いや、昔のこと思い出して。ちょっと。思う所があって」

きっと、凄く泣いたはずだ

きっと、凄く怒ったはずだ

きっと、凄く後悔したはずだ

きっと……自分を強く責め立てたはずだ

いや、それは【きっと】なんて不確かなものじゃなく

これまでの戦闘から、よくわかったことだった

銀「昔の天乃は何よりも、チームプレーを重んじて。誰か一人が損する戦闘は絶対にしなかった」

天乃「………それは」

銀「でも、あたしがここに着た時の戦闘は本当に酷い戦い方で……変えちゃったんだな。壊しちゃったんだなって。思ったよ」

銀は言いながら、天乃の手を握り締める

ずっと言いたくて

でも、言っても意味がないから、言えなかった事

銀「ごめんな、天乃」

それを伝えた銀は手を引き、揺らいだ体を抱きしめた


天乃「……銀」

銀「だから勇者部のみんなには感謝してる。もちろん、東郷になった須美にもな」

園子が言っていたように

みんなとの出会いがなければ

みんなとの交流がなければ

あの中の誰かが欠けていたら

きっと、天乃は今もなお。壊れたままだっただろう

自分という存在を蔑ろにする程度ではなく

戦闘のための道具としか考えていない、

ある意味【もっとも望まれた勇者】になっていたに違いない

ヴィーッヴィーッっと端末が振動して

勇者部代表としての風から

明日の朝、みんなで話そう。というメールが返ってきたことを通知する

銀「もう一度、みんな集合だ。だから今度こそ。生き抜こう。みんなで」

そう願うように言った銀に対して、

真面目であろう空気を壊すような苦笑を漏らして

天乃「ふふっ。何馬鹿なこと言ってるのよ。当たり前でしょう?」

天乃は答えた


↓1コンマ一桁+二桁

  00なら20

1日のまとめ

・  乃木園子:交流有(参戦依頼)
・  乃木若葉:交流無()
・  土居球子:交流無()
・  三ノ輪銀 :交流有(過去)
・  犬吠埼風:交流有(放課後)
・  犬吠埼樹:交流有(放課後)
・  結城友奈:交流有(放課後)
・  東郷美森:交流有(放課後)
・  三好夏凜:交流有(放課後)
・  三好春信:交流無()
・     九尾:交流有(世界のために)

・      死神:交流無()
・      稲狐:交流無()
・    夢路瞳:交流無()
・     神樹:交流無()



9月1日目終了後の結果

  乃木園子との絆 38(少し高い)  ※経過時間分追加
  乃木若葉との絆 35(少し高い)
  土居球子との絆 30(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 54(高い)
  犬吠埼風との絆 73(かなり高い)
  犬吠埼樹との絆 138(かなり高い)
  結城友奈との絆 71(かなり高い)
  東郷三森との絆 70(かなり高い)
  三好夏凜との絆 92(かなり高い)
  三好春信との絆 41(少し高い)
   夢路瞳との絆 12(普通)

     九尾との絆 54(高い)
      死神との絆 40(少し高い)
      稲狐との絆 22(中々良い)
      神樹との絆 5(低い)

 汚染度***%



√ 9月2日目 朝(某所) ※火曜日

01~10 風
11~20 樹
21~30 東郷
31~40 友奈
41~50 兄
51~60 姉
61~70 夏凜
71~80 若葉
81~90 大赦
91~95 九尾
96~00 春信

↓1のコンマ  


天乃「………?」

朝、いつものように目を覚ますと

視界には入口のドアではなく、男物の服を着込んだ何かが映る

すぐ脇の端末を手に取って時間を見て、小さくあくび、

カーテンの隙間から見える陽の光の強さに

今日も晴れてるんだろうな。と、想像して苦笑する

天乃「……で。人の部屋で何してるの?」

大地「ボク、マネキン」

天乃「そういうのいいから」

大地「いや、なに……お前が一人じゃ寂しいんじゃないかなと思ってな。抱き枕になりに来たんだよ」

照れくさそうな笑みを浮かべながら、

必要ないならいいんだけどな。と、続ける大地に、

天乃は冷ややかな眼差しを向けず。満面の笑みを浮かべた

天乃「うん。要らないから帰っていいよ」

大地「そこはありがとうじゃないのか!?」

天乃「寂しくないし、寂しかったら銀や若葉に球子がいるし。居なくてもお姉ちゃんが居るし」

九尾「わ、妾は?」

天乃「エッチなことするからダメ」

九尾「きゅぅ……」


天乃「それに、人の寝顔を携帯の待ち受けにしようとしてるでしょ?」

大地「正しくは、天乃の喜怒哀楽。人面四季待受だ。可愛いぞ?」

天乃「勇者パンチしていいの?」

大地「ん? 何もしてないのにご褒美くれるのか? 兄孝行できる天乃のこと、兄ちゃん愛してるぞ」

満面の笑みという皮肉が通じていないのか

それとも、分かっていてやっているのか

確実に後者の大地は変態らしい恍惚とした表情で、頬を差し出す

大地「一発どうぞ」

天乃「ごめんなさい。触りたくない」

大地「……ちぇ」

舌打ち一回

それだけで思考を改め直した大地は、

さっきまでとは明らかに違う表情で、問う

大地「みんながもう一度ここに来るそうだ。大切な話があるらしい」

天乃「うん。もうメールが来てる」

大地「すーみんの事。話すんだな?」

天乃「……誰かから聞いたの?」

大地「お兄ちゃんを甘く見ちゃいけない。それだけだ」


大地「お前が話すことを決めたなら何も言うことはない」

天乃「じゃぁ、なんなの?」

大地「いや、ただ。一つ。天乃がどうしてもって言うなら、九尾」

九尾「…………………」

大地「すーみんの記憶も、上書きしてやることはできないか?」

大地の言葉に、九尾は毛を逆立てて

怒りを感じさせるような鋭い瞳を向け、唸る

九尾「どんな記憶、気持ちを忘れたのか。それを知るか否かは主でも主様でもなく小娘が決めることじゃ」

大地「……そうだな」

天乃「待って。九尾。貴女、私以外にもそれができるの?」

九尾「……貴様、これが狙いか」

大地「どうだろうな」

九尾の噛み付く言葉に、

大地は真面目な表情のまま、静かに答える

悪ふざけばかりの兄の、悪ふざけのない言動

だからこそ、空気はとても、重かった


九尾「……もちろん。主様に施したのと同様。記憶の上書きは不可能ではない」

天乃「なっ」

九尾「じゃが、主様にしたのと同様に。それをどうするかはきゃつが決めることじゃ」

九尾はさっきと同じことを繰り返して、

大地をひと睨みして姿を消す

これ以上

この記憶に関する話をする気はない。という意思表示だ

大地「もし、すーみんが今回の話で取り乱したりしたときの切り札として使うんだ」

天乃「……………」

大地「みもりんが受け入れられずとも、しっかりと前を向けたら。このことは言わなくてもいい」

天乃「おにいちゃ」

大地「最終手段の有無は、大切な話をするときは大事だからな」

大地は笑って、そういった


そして、その兄との話を終えてから暫くして

どこかの学校の始業の鐘がなったのとほぼ同時に、五人の勇者が天乃の部屋を訪れた

そのせいか

爽やかな快晴の外とは反対に、

部屋の中は少し、暗い空気が立ち込めていた

風「あの、さ」

天乃「うん」

風「本当なの? 東郷が先代の……天乃と同じ時の勇者で、名前も違ってたって」

天乃「嘘はつかないわよ」

天乃の声も、表情も

人を騙そうとしている演技感のない、真面目なもので

風達はそれぞれ顔を見合わせ、

一人、胸元に手を宛てがって沈黙する東郷へと視線が集中する


友奈「……東郷さん」

東郷「大丈夫」

友奈の小さくて可愛らしい手

そして、優しい声を感じて、東郷は笑みを浮かべて答える

東郷「過去の私が勇者だった。嘘だと言い切れない証拠がここにはあります」

一人だけ多い精霊の数と、それに比例している体の機能不全

信じるには十分な証拠で

そうでなくても、天乃の現状を見れば明白で

もし、それすらなくても

天乃がそんな衝撃的な冗談を言うはずがないという信頼がある

東郷「久遠さん。私は、鷲尾須美の記憶を持っていません」

天乃「うん」

東郷「大切な記憶を無くして……きっと。久遠さんには辛い思いをさせていたと思います」

話したいのに話せない

喜びたいのに喜べない

きっと、すごく辛かったはずだ。と、東郷は天乃を見つめた


東郷「今まで、抱え込ませてしまって……すみませんでした」

東郷は車椅子に座ったままではあったが、

そういうのと同時に、謝罪の意を込めて、頭を下げた

自分の記憶喪失や両足が満開のせいだと気づいたとき

天乃と自分が同じく勇者だったのだと気づいたとき

その時に聞いていたら。教えて貰おうとしていれば

もっと早く、この話を解決することができていたはずだから

天乃「何言って……」

東郷「以前、言いました。私達は久遠さんを選んだ。と」

天乃「え、ええ」

東郷「ですので、神樹様はもう敵のひとつと同じです。今更、このことで取り乱して暴走するなんてありません」

安心してください。と

東郷は天乃の心配してそうな表情に、苦笑を向ける

そもそも

大切な人の記憶を奪われて大暴走した友達がいたり

親友や友達が意識不明の重体に追い込まれたり

大切な先輩が記憶を失って、体を散々犠牲にしていったりとかを経験している東郷は

自分のことだけで大暴走するような精神では、もうなかった


夏凜「神樹様が敵ってあんたねぇ……」

東郷「久遠さんに味方した時点で。夏凜ちゃんもそう思っているんじゃない?」

夏凜「それは」

風「そもそも。うちの妹と一緒になってど派手にやらかしたわけだし~?」

樹「うっ……私を出すのはひどいよぉ~」

あの大変だった暴走事故も

みんなにとっては笑い話でしかないらしい

そんな、みんなの姿を見つめて。天乃は思わず笑った

東郷「久遠さん?」

天乃「ふふっ。あははっ。ごめんなさい。だって……悩んでた私がバカみたいで。つい」

風「ほんと。あたしも心配して損したわ」

東郷「酷いですね。風先輩。信じてくれなかったんですか?」

風「そ、そんなわけないけど」

東郷「なんて、冗談ですが……久遠さん。そこでひとつ伺いたいことがあるんです」

天乃「?」


東郷「久遠さんも同じく記憶を失って。でも、九尾さんに上書きしていただいた。と、言われました」

天乃「うん、さすがね東郷」

初めからそのことを考えていたのかもしれない

東郷は天乃の褒め言葉に小さく笑うだけで、本題を進めた

東郷「それは私にも施せることですか?」

天乃「施せたとして、して欲しいの?」

東郷「……出来るのなら。このリボンの意味を知りたい。そして、久遠さん達にしっかりとした。謝罪をしたい」

常備しているリボンに触れ、東郷は物悲しそうな笑みを見せる

自分が忘れたこと

それを思い出して誤魔化すのではなく

それを思い出して、何を忘れてしまったのかを

天乃達に言いたい。その気持ちは、嘘じゃない



1、九尾。お願い
2、……九尾はどう? これなら文句はない?


↓2


天乃「………ふぅ」

東郷の気持ちを聞いてなお、

九尾がそんなことができないと嘘をつくわけにも行かず、

天乃は小さく息をついて、九尾を呼び出す

天乃「どう? これなら文句はない?」

九尾「ふむ……当人である小娘が望む事ならば良かろう。じゃが、忘れるな。これは妾の力じゃ」

東郷「というと?」

九尾「お主の記憶と同様のものではあるが、それでも真の記憶ではない」

東郷「心得ています」

東郷の素早い返事

けれども適当じゃない強い意志の感じる瞳

九尾はそこに異議を唱えず、ただ、ため息をつく

九尾「良かろう。なれば妾と接吻を」

東郷「えっ?」

天乃「あー……確か、そうだった」

東郷「そういうのは早――んっ」

拒否できなかった

拒絶できなかった

東郷はなすすべなく九尾に唇を奪われて。そして

奪われていたものを、取り戻して――気を失った


では、此処までとさせて頂きます
明日はできれば通常時間となります






九尾「っは……どうじゃ」

東郷「友奈ちゃんの方が上手」

友奈「東郷さん……」ポッ

夏凜「それなら若葉も負けてないわよ」

若葉「なぁっ!?」

風「ふ、風紀が乱れてるーっ!?」


では、本日も初めて行きます


√ 9月2日目 昼(某所) ※火曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、球子
0、若葉
11、春信
12、イベント判定
13、勇者部にメール

↓2

※春信はメールになります
※東郷は目を覚ますかはコンマです

01~10 風
11~20 樹
21~30 東郷
31~40 友奈
41~50 銀
51~60 若葉
61~70 夏凜
71~80 東郷
81~90 銀
91~95 九尾
96~00 球子

↓1のコンマ  


友奈「……まだ、眠ってます」

天乃「そう……まぁ、私もしばらくそうだったと思うし、仕方がないわね」

友奈「これで、東郷さんは鷲尾……さんの記憶を取り戻すんですよね?」

天乃「ええ。そのはずよ」

友奈の表情は、それを喜んでいるようには見えない

けれど、笑っていて

それが無理しているものだとはっきりと理解っていた天乃は、

ただ静かに、友奈を見据える

友奈「記憶が戻ったら、東郷さんはどうなるんですか?」

天乃「どうなるって?」

友奈「上手く言えないですけど。えっと……東郷さんとしての人格と鷲尾さんとしての人格があると思うんです」

天乃「うん」

友奈「どっちが、残るのかなって」


天乃「そのことね……」

鷲尾須美としての記憶

東郷美森としての記憶

それが混ざり合った少女は一体何になるのか

友奈はそれが不安で、心配らしい

あるいは、東郷美森が消えてしまうことを恐れている。と、言ってもいいかもしれない

天乃「確かに、普通に記憶が戻るわけじゃないし。私ともちょっと違うから絶対無事とは言えないかもしれない」

友奈「っ」

天乃「ごめんね? 安心させてあげたい気持ちはあるけど、だからこそ適当なことは言えない」

友奈が不安を解消するために話しかけてきた

それを知りながらも、天乃は不安を煽ってしまう言葉を返して息をつく

けれど、それは意地悪でしているわけじゃない

天乃自身、どうなるか定かではないのだ


天乃のときは、記憶が消えてから戻るまではほんの数日だったのに対し

東郷は記憶が消えてから二年もの歳月が経っている

その間に形成された人格が、過去の記憶の上書きによってなんの影響もないとは限らない

ただ……

天乃「九尾がそこらへんを考えていないとは思えないのよね」

友奈「え?」

天乃「九尾のことだから、そのまま上書きする危険性を把握しているはずなのよ」

だからこそ、

記憶を戻すか否かを東郷に決めさせたのだろうし

戻す直前に、あくまでこれは九尾のちからである。というようなことを言ったのだろう

天乃「九尾が何らかの対策をしていれば、東郷に変な影響を与えずに上書きできているはず」

友奈「…………」

それは推測

ゆえに、安心できる要素は殆どなくて、友奈は変わらず不安そうだった


1、頭を撫でる
2、大丈夫よ。東郷は戻ってくるわ。貴女のために
3、貴女が東郷を信じなくてどうするの?
4、大丈夫。九尾はふざけてる時はとことんふざけてるけど。真面目な時は真面目よ
5、ところで、九尾と東郷のキスに関して何か思ったりした?

↓2


天乃「大丈夫よ」

友奈「っ」

天乃「大丈夫。東郷はちゃんと戻ってくるわ」

鷲尾須美としての記憶が上書きされたとしても

ここまで生きてきたのは東郷美森であり、

鷲尾須美の記憶は過去でしかない

だからきっと、戻ってくることができる。と、天乃は信頼を言葉にして、友奈を見つめる

天乃「貴女のためにね」

友奈「久遠さん……っ」

天乃「それに、須美は人格破壊するほど凶悪な子じゃないし、洗脳したわけでもないんだから。大丈夫よ」

友奈「そう、ですよねっ」

まだ少しの不安を感じる表情

けれど、さっきよりもずっといい表情で

その信頼、その思いに応えるかのように、

それから暫くして……東郷は目を覚ました


東郷「っ……」

まだ痛む頭を押さえながら、ゆっくりと目を開ける

失ってしまった数ヶ月もの記憶が一気に流れ込んできたからか

熱を出した時のような、気怠さがあって……

友奈「東郷さんっ」

東郷「友奈……ちゃ、ん」

友奈の声ですら頭に響く中、辺りを見渡して

ずっと忘れてしまっていた人たちを探す

けれど、園子や銀はもちろん、天乃も別室で

東郷は少し悲しそうな表情で、首を振る

東郷「ごめんね友奈ちゃん。心配、かけちゃったね」

友奈「ううん。良いよ。東郷さんが目を覚ましてくれたなら、それで」

東郷「友奈ちゃん……」

嬉しそうな友奈の抱擁を受け入れながら、

取り戻した記憶を、呼び起こす

乃木園子、三ノ輪銀、鷲尾須美、久遠天乃

今の勇者部のように仲の良かったあの頃を思い出して

そして。失われてしまった銀とまた話すことが出来るという奇跡に

東郷美森として、須美は涙をこぼした 


では、本日はここまでとなります
あすもできれば似たような時間から



友奈「東郷さん!」

須美「? 私は鷲尾須美です」

友奈「っ――勇者パーンチ!」ドンッ

須美「きゃぁぁぁっ」ドサッ

友奈「東郷さん!」ダキッ

東郷「ハッ……友奈、ちゃ……痛っ!?」


では、初めて行きます



√ 9月2日目 夕(某所) ※火曜日


 東郷美森から交流を求められています


 1、受ける
 2、受けない  ※通常の交流選択へ


↓2


東郷「すみません。二人で話がしたいなんて我儘……」

天乃「良いわよ別に。貴女から来て貰ったわけだし」

東郷「ありがとうございます」

東郷の様子に関して、既に友奈達から聞いていたし

今、自分の目で確かめても

須美の記憶が戻ったからといって、

何かが極端に変わってしまったわけではないというのは間違いなさそうだった

天乃「それで?」

東郷「はい……その。まずはじめに謝罪をしなければいけないと思いまして」

天乃「?」

東郷「記憶を戻していただく前に謝罪を。と、言いましたよね……?」

天乃「う、ん? うん、そういえば」

言って初めて思い出したかのような天乃の表情に、

東郷は謝罪よりも先にため息をついて、慌てて口を押さえる

東郷「すみません。つい」

天乃「ふふっ。いいのよ。貴女、いつもいつも。ため息ついてたから。癖が戻っちゃったのね」

記憶と一緒に、鷲尾須美としての久遠天乃への対応が戻ってきてしまったに違いない

そう言いながら不敬を受け流す天乃に対し、

東郷は「すみません」と、半ば意地の謝罪を口にして、続けた


東郷「私はとても大切な記憶を失ってしまっていて……その……」

親友の死

園子が担当教師に言った忘れないであげて。という言葉

それは自分も思っていたことなのに

綺麗さっぱり、忘れ去っていた

今も手元にあるリボン。これの意味を。大切さを。忘れていた

そして……

東郷「すみませんでした」

天乃「……………」

東郷は深く頭を下げると、そのまま下げ続けた

5分経っても頭を上げない東郷に、天乃は「いいから顔を上げて」と、言ったが、

それでもさらに5分経つまで上げることはなく

上げてまたすぐに、申し訳なさそうに切り出した

東郷「あの最終決戦で、私は久遠さんに酷い事を言ってしまったわ」

天乃「……別に、貴女が間違っていたわけでもないし」

東郷「いえ。あの場ではきっと。正反対の言葉を投げかけるべきだったんだと思います」


粉骨砕身

自己犠牲

その言葉に一片の偽りもなく、

体現していた天乃に対し、

鷲尾須美は「今の久遠さんは嫌いです」と、言ってしまったのだ

でも、言ってすぐに言いすぎたって後悔して

この戦いが終わったら謝って、ちゃんと。正しく言おうって思っていた

なのに

まさかそれが鷲尾須美としての最期の言葉になると思っていなかった

東郷「あの最後の日、久遠さんは一人で離れた場所にいました」

天乃「ええ」

東郷「それ、私のせいなんです。そのっちは久遠さんも一緒に連れて行こうって提案してくれていたのに、私は」

過去の悔いを思い出し、東郷は自身を戒めるかのように唇を噛み締め、

手のひらに爪痕を刻み込ませていく

東郷「そのっちにでさえ。今のあの人は嫌いよ。と、言って。放っておきましょうって嘘をついて。結果が、あの最悪の布陣でした」


一番近くにいて欲しい人

一番、頼りになる勇者と離れすぎた布陣

それでも、天乃はわざわざ電話で連絡をしてきてくれた

今からそっちに行く。勝手に動かないで。と

その時の天乃の精神状態を考えれば、その言葉で仕方が無かったはずだ

なのに

東郷「私は嫌です。と、断って。久遠さんなんて嫌いですなんて言って……満開して」

天乃「…………………」

ほとんど意地みたいなものだった

銀を失った戦闘のとき、もしも自分がもっとしっかりしていれば

天乃が二度目の攻撃の盾になって致命傷を負うことだってなかったはずで

そうだったなら、銀が単身で撃退することにもならなかったはずで……

だから、私はやれるんだと。頑張れるんだと、見せたかった

東郷「……すみませんでした」

天乃「もう、終わったことよ」

東郷「でも」

天乃「貴女に嫌いだと言われたとき。私は考え直すべきだった。なのに考え直さず、この有様」

過去の悲劇、今の惨劇

それを天乃は笑い飛ばして、東郷の手を握った

天乃「貴女も私も。どっちもどっち。どちらかが悪いんじゃない。どっちも悪いのよ」


天乃「それでいいじゃない。謝られるのは私、嫌いだし」

東郷「……………」

ね? と、天乃は子供みたいな表情で詰め寄る

驚くことはない

それが久遠天乃という人だ

いや、以前は貴女は悪くない。私が悪いのよ。だったのだから、

これは今の久遠天乃。と、言うべきかもしれない

そんなことを考えながら、東郷は照れくさそうな笑みを浮かべて、天乃を見つめる

東郷「ここで私が食い下がっても。久遠さんは譲ってはくれませんよね」

天乃「ええ」

東郷「……では。私と久遠さん。両成敗しましょう」

天乃「?」

東郷「……怒られる覚悟は、できています」

そう言った東郷は――



01~10 抱きつく
11~20 告白
21~30 キス
31~40 飛び込む
41~50 額にキス
51~60 告白
61~70 抱きつく
71~80 キス
81~90 ほほキス
91~00 抱きつく

↓1のコンマ  


では、此処までとさせて頂きます
あすもできれば通常時間から

本当は好きだと言いたかった



東郷「久遠さん……チュッ」

天乃「なっ」

東郷「怒られる覚悟はでき――っ!?」ゾクッ

「怒……る? え、東郷先輩はもしかして。怒るだけで済むとか思う人なんですか?」

東郷「っ!」

樹「九尾さん。私、そんなこと言わないです」


では、本日も少しだけ進めていきます


天乃の肩に手を置き、グッと力を込める

すると、体を支えられない天乃は当然、東郷のほうに傾いて

東郷「―――――」

天乃「っ」

東郷はほんの一瞬、天乃の頬に口づけをして

事故ではなく故意であると、東郷は笑みを見せた

天乃「あ、貴女……」

東郷「これが私の気持ちです。いえ、あの時の。私の気持ちです」

本当は唇にしたかったんじゃないのか

そう考える頭を振り、違う。と、思う

鷲尾須美のときは、【これ】が限界だった。最上級だった

だから、あの頃の好意の表現はこれで間違っていないんだと、俯く

天乃「………………」

東郷「二年間。本当に。すみませんでした……っ」

樹よりもずっと長い関係があって

二年前の段階でもう、そういった気持ちはあったのに

勇気がなくて、理解ができなくて、問題があって

強く想いきる事ができなかったがゆえに奪われたものを取り戻した苦しさを、噛み締める

二年前に伝えていれば全然違う結果だった

それはきっと、推測じゃない

でも、もう。何もかも遅いから

東郷「これからも――よろしくお願いします」

そう言って、表情を隠すために頭を下げた


√ 9月2日目 夜(某所) ※火曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、球子
0、若葉
11、春信
12、イベント判定
13、勇者部にメール

↓2

※勇者部・春信はメールになります


メール内容


1、ねぇ。樹。エッチなことは……どうするの?
2、……あなたにね。言っておくべきことがあるの ※犬吠埼夫妻の件
3、須美や園子との関係は気にならないの?
4、次の戦い。本当に危険な戦いみたい……


↓2


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ねぇ、少し聞きたいことがあるの

 といっても、ひとつだけ……なんだけど

 貴女とその、エッチなことをする。っていう話にはなったでしょ?

 あれ、どうするのかなって

 別に、その。早くエッチしたいとか、そういうわけじゃないんだけど

 多分、そろそろ春信さんが大赦から催促され始めるだろうし

 そうなったら私……春信さんとしないとだろうから

 樹がいつするって決めてくれてるなら

 私、それまではなんとしてでもエッチ拒否するから

 だから、教えて欲しいなって……

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


若干引き腰な文章だとは思いつつも

これ以上考えても無駄に文章が増えるか、別分からなくなるだけだろう。と

天乃は勢い任せに送信を選択する

天乃「……ハレンチな人って、思われちゃうかな」

送ってからでは今更だ

けれど、後から気になりだした天乃は天井を仰ぎ見て、息をつく

そして意外にも

メールは素早く返ってきた 


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 正直な事を言うと

 最期とは限りませんが、

 近ぢぃかあるっていう話の大きな戦いが終わってからにしようかなって

 考えてました

 やりたいこと。それも小さなことじゃなくて大きなこと

 それをやっちゃうと、満足して

 力が出せないとかじゃなく、限界を超えてしまいそうな気がしたからです


 でも、言われてみれば確かに催促される可能性があります

 もしかしたらもう、春信さんは催促されてて

 なんとか押し留めてくれているという可能性もありますよね

 で、ですから。その

 久遠さんさえよければ……明日とか。明後日とか……y夜 

 えっちょなこと、どうですか?

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

天乃「……………」

一見、落ち着いているようにも見えるが、ところどころミスっているあたり

内心ではすごい動揺しているに違いない

そのままないがしろにして逃げるつもりだった。なんていうことはないのだろうが

少なくとも、

直ぐにやるなんていう予定はなかったに違いない


それが明日とか明後日とか来たのはきっと、【ついに来ちゃった】というものがあって

元々いつかすると気のために決め込んでいた意思が、

ここで延期を申し出ることで、変に崩れたり壊れたりしないように

早期決着を求めたのかもしれない

もしくは、辛い戦いの後に

戦闘以外で辛いこと(天乃と春信の性交渉)が待っている

という状況であることに気づき

それを解消しようとしているのかもしれない

天乃「明日か……明後日……っ」

一気に日付が近づき、リアル感が増してきたエッチな行為

そのせいか、天乃の心臓は弾けるくらいに強く高鳴って

表情は、すごく赤くなっていた

天乃「えっち……樹と。どうしよう」



1、水曜
2、木曜
3、金曜

↓2


※土曜日、日曜日は諸事情により不可


では、此処までとさせて頂きます
明日はできれば通常時間から



天乃「き、金曜日……かな」ポチッ

風「金曜日かぁ……まぁ。妥当かしらねー」ポチッ

樹「お姉ちゃん、何してるの?」

風「あっ」

樹「えっ?」


では、少しだけ進めていきます


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 それなら、金曜日にしましょ?

 ほら、互いにやっぱり気持ちの整理というか

 心の準備ってやっぱり必要だと思うし

 樹のことだから多分、勉強してくれてるのかなって思うけど

 その復習だって大事だと思うし

 
 それに、ほら

 今週の土曜日なら、貴女達学校……休みじゃない?

 だからその、えっちなことをして

 やることやったからさようなら。なんて、寂しいことというか

 味気ないというか、物足りないというか

 雰囲気壊しちゃうようなことにならなくて済むから……

 でも、ほんと。樹が用事あるなら別に希望通りじゃなくていいからね

 部活とか優先してくれていいから。中学生ってやっぱりそういう方向に向くべきだから

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


短い返答を心がけたはずの文章は長くて

短い時間でを考えたはずなのに当然のように……経っていて

天乃「……考えすぎなのかしら」

そう思いながら、送信を選択した


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 あの、それってつまり

 お泊りするってことですよね?

 ダメなのかなーって思ってたのでアレなんですけど


 久遠さんから誘ってもらえたのなら安心です

 ……何が安心なのかわからないですけど

 でも、お泊りしてもいいってことですよねっ

 喜んで金曜日にしますっ



 追伸

 ちゃんと勉強してます

 なので、久遠さんは全部私に任せてもらって大丈夫ですっ

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天乃「えっ?」

泊まるかどうかなんていうメールを送った記憶のない天乃は、

樹の感激に反して首をかしげて自分のメールを見返して

どう考えてもお泊り要求していたことに気づいて、顔を真っ赤にする

天乃「な、なんで私こんなメール……っ」

それが本心

だからこそ、天乃は身悶えることもできず、訂正することもできず

ただ、恥ずかしさに赤面していた


↓1コンマ一桁+二桁

  00なら20


 軽い補正有

1日のまとめ

・  乃木園子:交流無()
・  乃木若葉:交流有(須美・過去)
・  土居球子:交流有(須美・過去)
・  三ノ輪銀 :交流有(須美・過去)
・  犬吠埼風:交流有(須美・過去)
・  犬吠埼樹:交流有(須美・過去、エッチに関して)
・  結城友奈:交流有(須美・過去、大丈夫)
・  東郷美森:交流有(須美・過去、好意)
・  三好夏凜:交流有(須美・過去)
・  三好春信:交流無()
・     九尾:交流有(須美・過去)

・      死神:交流無()
・      稲狐:交流無()
・    夢路瞳:交流無()
・     神樹:交流無()



9月2日目終了後の結果

  乃木園子との絆 38(少し高い)
  乃木若葉との絆 35(少し高い)
  土居球子との絆 30(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 54(高い)
  犬吠埼風との絆 73(かなり高い)
  犬吠埼樹との絆 138(かなり高い)
  結城友奈との絆 71(かなり高い)
  東郷三森との絆 100(かなり高い)  ※記憶上書きの補正
  三好夏凜との絆 92(かなり高い)
  三好春信との絆 41(少し高い)
   夢路瞳との絆 12(普通)

     九尾との絆 54(高い)
      死神との絆 40(少し高い)
      稲狐との絆 22(中々良い)
      神樹との絆 5(低い)

 汚染度***%


√ 9月3日目 朝(某所) ※水曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、球子
0、若葉
11、春信
12、イベント判定
13、勇者部にメール

↓2

※春信はメールになります
※勇者部もメールになります


メール内容


1、子供の件に関して、催促とかされていますか?
2、巫女の件。あれから変わりはないですか?
3、東郷美森に、鷲尾須美について教えました
4、会えませんか?



↓2


では、此処までとさせて頂きます
この場合は1になります


前回と今回のまとめ前のコンマ判定は
園子と東郷(須美)の2年分や記憶復帰の好感度補正です

では、遅くなりましたが安価部分だけでも進めていこうかと思います


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 子供の件に関して、催促されていたりする?

 あれからだいぶ時間が経っているし

 そろそろ、春信さんにそういう通達とか来てるんじゃないかと思うの

 もちろん

 来てないなら来てないで良いんだけど

 春信さんが無理言って先延ばしにしてるとかなら


 言って欲しいの

 そこまで、負担かけたくないわ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

天乃「こんな感じ……よね?」

おかしなところがないかをチェックして、メールを送る

春信さんのことだから

バレるまでは黙秘するだろうけど、

バレたあとまで黙秘することはない。はず

もしも無理してくれていたなら

そのときは……早めにしないと。面倒なことになったら嫌だもの


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 その件に関しては、そうだ

 申し訳ないが、一部の上部の者から催促の通達が来ている

 だが、あくまで一部だ

 大赦上層部の総意による命令ではない

 ゆえに、それは命令という肩書きがあるだけで強制力はない

 だから

 それに対し、私が保留していようと君が罪悪感を抱く必要はない

 行為を行うのは私と君だ

 上の者ではなく、私たちだ

 ただでさえ憚られる行いをするというのに

 催促され、焦って行う道理などない

 
 君達が問題なくなるまで

 上層部からの通告は全て。私が責任を持って抑えよう

 それが、抗えない私が君にできる唯一のことだ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 


天乃「…………」

春信からのメールは送った文章に対しては少し長い

けれど、それはいかにも春信らしい。と、天乃は苦笑する

どうやら、思ったとおり催促されていて

けれど、樹達のためにと。押し留めてくれているらしい

天乃「春信さん、首にされちゃわないのかな……」

したらどうなるのか

それがなんとなく想像付いていれば

そんな愚かな行為はしないだろうが……しかし

ここまで愚行を重ねてきた大赦に、天乃は不安を覚えた


天乃「春信さんをクビにされたくなければ、さっさとやれ。とか」

道徳教育の行き届いたこの時代

そんな非人道的な脅しがされるのか疑問だと言いたいところだが

する可能性は十二分にある

そうなったとき、自分はどうするのかと考えて、

天乃は明るい窓の外を眺める

思考を表す快晴

燦々と輝く太陽に、天乃は笑みを浮かべて息をつく

天乃「きっと。樹との行為がまだでも……するかな」

大赦という組織は大半の仕事に繋がっている

それはつまり、春信がクビになった場合

再就職できる可能性はほぼゼロに近いということだ

大赦の系列の会社ならまず、不採用確定かも知れない


天乃「春信さんに……」

なんてメールを返そうか

今週の金曜日以降なら大丈夫。と、送るか……

いや、行為をする。ということなら

金曜日以降しかありえない

天乃「樹との、約束だもの」

この口約束を破っても

樹はきっと怒らないだろう

ただ、悲しそうに、残念そうに、仕方がないですよね。と、笑うだけだろう

でも

そんな笑顔にさせるのは

怒られるよりもずっと……嫌なことだ



1、ありがとう。でも、金曜日以降なら。もう平気
2、春信さん。あまり無理はしないでね
3、春信さんはいつしたいとか希望はあるの?


↓2


では、短いですがここまでとなります
明日はできればお昼頃ですが
14時、15時頃になる場合もあります


九尾「樹と交尾したあと、春信と交尾……盛んじゃのう」

天乃「なっ、何言って」

九尾「ここに妾の調合した増強剤なるものがあるのじゃが……」

天乃「要らないわよ」

樹「ください。1ダースで」

天乃「!?」


では、本日も。勇者出発です


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 ありがとう、春信さん

 無理させちゃって、ごめんなさい

 でも、もう平気

 金曜日以降なら、いつでも大丈夫だから

 ここまで保留にしてくれてありがとう


 する時は、よろしくお願いします

 私も少し学んでおくけど、でも。何かできるわけじゃない

 けど、春信さんに、お人形遊びみたいな退屈さも寂しさも、虚しさも

 感じさせないように、頑張ります


 PS.

 促進剤の方、よろしくお願いします
 それがないと、何度もすることになっちゃうかも知れないので

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天乃「……なんか、不思議なメールよね」

普通なら、恋人じゃない異性にこんなメールは送らないし

互いに謝りあって、申し訳なさ・罪悪感を少しばかり感じている

好きではあっても、交際していない人と子供を作らなければならない天乃

好意はあれど、自分以外の人と交際している人を妊娠させなければならない春信

どちらも交際していなければ、もっと。穏便に済ませられる話だったかもしれない

天乃「けど、私は樹を選んじゃったし、この気持ちを譲るつもりはない」

不幸の真っ只中にありながら、天乃は笑みを浮かべて、メールを送る

そうすることで、この世界の存続に繋がるのなら

仕方がないと、割り切るしかないものだからだ


けれど、そもそも

樹とでは子供が作れないけど

子供が欲しかった。ということにでもすれば、嘆くようなことじゃなくなる

養子ではなく、自分で産んだ子供が良いというのは

女性ならない話ではないからだ

樹もきっと、

多少無理矢理ではあるかもしれないが

そんなポジティブ思考で納得しているに違いない

天乃「まぁ、その話は春信さんには通用しないわけだけど……」

人助け・善意

そう言った考え方をするには、恋人持ちとの性交は業が深すぎる

それでも決断してくれた

ほかの人に投げることなく

悩み、苦しみ、悩み抜いて……決めてくれた

だから

天乃「するときは……今ある春信さんへの気持ちを。全力で捧げないとね」


↓1コンマ


01~50 土 51~00 日

ぞろ目以降


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 そうか……なら、申し訳ないが。土曜日で願いたい

 このようなことは、

 私も君も手早く終わらせておいたほうがいい

 なにより、これ以上私が保留すると

 君に余計な手出しをされかねないのでな


 薬に関しては用意しておく

 勉強をしたとはいえ、不得手だと思うが

 今回だけ、よろしく頼む 

 こんなこと言うのはおかしいが

 行為をする上で、君に罪悪感は必要ない

 君は魅力的な人だ

 君を抱くことに罪悪感はあれど、嫌悪感はない

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天乃「土曜日……」

樹と行為をした次の日。というのは性行為への常習性を感じさせる

けれどもちろん、天乃はそんな破廉恥な少女ではないし

春信や樹もそんなではない

ただ、偶然が重なっただけだ

天乃「日も開けずにエッチなことして、平気なのかしら」

そんな不安を抱きながら、

きっと大丈夫よね。と天乃は頷き、

これ以上、先延ばしにするのは申し訳がない。と

了承のメールを返した


√ 9月3日目 昼(某所) ※水曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、球子
0、若葉
11、春信
12、イベント判定
13、勇者部にメール

↓2

※勇者部、春信はメールになります


天乃「死神さん……いる?」

死神「イツデモドコデモ、ワタシハイルヨ」

天乃「ふふっ。そうね」

くるくるりと回って自己紹介のようなポーズを取る死神に、

天乃は笑みを返して、頷く

死神だけじゃない

九尾も若葉も球子も銀も

みんな、目には見えていないだけで、

すぐそこにいるようなものなのだ

死神「ケッセン、フアン?」

天乃「……どうかしら。不安って言えば、不安なんだけど」

なぜかというべきか

当たり前だというべきか

不安なのは目先のエッチな行為であり

いずれくる決戦に関しては、二の次で

天乃「なんだか、えっちの方が大事な気がするの。なんでかしらね……みんなが、いてくれるから?」

天乃は自分自身に、苦笑した


死神「ミンナガイルカラ? ナンデ?」

天乃「きっと大丈夫。絶対大丈夫。そう、安心してるのかも」

いや、

きっと安心ではなく、慢心でも油断でもなく

これは強い信頼だ

みんななら大丈夫。みんなと一緒なら、やり遂げることができる

そう、信じられるからだ

天乃「その点、えっちは私と樹だったらい、私と春信さんだったり」

周りに頼るわけにはいかないのだ

エッチをほかの誰かに見てもらって

こうした方がいい。というアドバイスを貰うとか

上手くいかない時に手を貸してもらうとか

まさか、そんなことするわけにはいかない

そう考えると、正直な話

天乃「えっちの方が手ごわいわ」

死神「ウンウン、クオンサンハ、ソレデイイ。クオンサンハ、ニンゲン。ダカラ」

天乃「?」

死神「ニンゲン、フツウ、タタカウ、シナイ。ソンナナヤミナイ。ダカラ、クオンサンハ、ソレガ、タダシイ!」


天乃「貴方……」

死神「クオンサン、ズット。フツウガヨカッタッテ。イッテタ。ダカラ、ワタシ、ウレシイ」

恋人以外の人との性行為

それもまた普通とは言えないのだが、そんな意地悪は言えなかった

死神は天乃をずっと見守り、身守ってきた

その中で培った感情を、目一杯

それも、天乃のために見せる姿を茶化すほど意地悪ではないし

素直に、嬉しかったからだ

死神「ズット。ズットタタカウコトカンガエテ。マモルコトカンガエテ。フツウノコト。カンガエテナカッタ」

天乃「……勇者。だからね」

死神「ソレデモ。ユウシャブハ、フツウダッタ。ユウシャニナッテモ。ミンナ、フツウダッタ」

天乃「それを、私が乱したのよ」

死神「ミダレタ。ダカラコソ。ユウシャブハ。イツキハ、クオンサンニ、トドイタ」

天乃「………………」

死神はその小さな手を、天乃の頭に乗せ

大地たちがやるように、ポンポンっと叩く

死神「ヨカッタネ。クオンサン」


精霊のくせに、生意気だ

人間じゃないくせに、生意気だ

ちっぽけな存在のくせに、生意気だ

そんな思ってもないことを考えながら

天乃はくすくすと、笑う

小さな手の感触は、優しすぎて軽すぎて

髪を風がなでているようにしか思えない

でも、そこに込められた気持ちは強く……感じた


1、生き残りましょう。みんなで
2、もしも戦いが終わったら。貴方達はどうなるの?
3、人間らしくなってきたわね
4、……ありがと。私も嬉しいわ
5、キスしてあげる


↓2


天乃「じゃぁ、生き残りましょう。みんなで」

死神「クオンサンモ?」

天乃「ええ。私も。貴方も」

浮遊する死神を捕まえて、

じっと、目と目で見つめ合って、笑みを浮かべる

人間じゃない。精霊

けれど精霊ではなく、人間らしい死神はもちろん

九尾達もみんな、一緒に過ごした仲間で、家族だ

天乃「みんなで、生き残るのよ」

ここからまた、さらに体が動かなくなる可能性だってある

けれど、それでも

死ぬことだけはしないようにする

それが、戦う上での最重要なjこと

もちろん、なんの犠牲も払わなくて済むのが理想だけれど……

きっと。そんなうまい話はない


死神「ワタシモ、キュウビモ。ミンナ、ガンバルヨ」

天乃「ええ、お願いね? 頼りにしてる」

死神「ウン」

死神のやる気は十分で

つい先日の様子を見る限りでは

九尾も、若葉たちも戦意に乱れは見受けられない

というか、やる気は十分で

九尾に至ってはなにか作戦があるような感じだった

あの、九尾が立てた作戦は少し、怖いものがあるけれど

みんなのためにというようなあの姿勢を

信じてあげるべきだろう

死神「クオンサン」

天乃「?」

死神「ワタシハ、クオンサンヲ、シンジテル」

死神はそう言って、

仮面の奥の瞳で、笑みを伝えてきた


天乃「あら、ありがと」

死神「ウン」

死神は頷くと、一瞬だけパッと姿を消し、

天乃の動かない左手に触れる

死神には特殊な力がある

けれど、動かなくなった左手を動かすことも

足の代わりになることもできない

でも、それでも

死神「ワタシハ、クオンサンノヒダリウデニ、ナル」

物理的な意味ではなく、立場的な意味で

死神はそういったのだろう

そうできる自信があるというような表情に、天乃はクスッと笑って息をついた

天乃「ええ、貴方たちみんな。私のかけがえないパートナーよ」

死神「ウンッ」

近いうちに起こる戦いは、きっと……大丈夫だと、信じよう


√ 9月3日目 夕(某所) ※水曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、球子
0、若葉
11、春信
12、イベント判定
13、勇者部にメール

↓2

※勇者部・春信はメールになります


01~10 風
11~20 友奈
21~30 東郷
31~40 樹
41~50 夏凜
51~60 九尾
61~70 稲荷
71~80 大地
81~90 大赦
91~00 晴海

↓1のコンマ  


↓1コンマ


奇数で来客 偶数ならメール


余りにも穏やかで、

常人なら昼寝でもしてしまいそうな時間

それは天乃も同じく

若干、寝そうになっていた時だった

天乃「きゃぁっ」

ヴィーッヴィーッっという強めの振動に襲われて

思わず悲鳴を上げた天乃は

ちょっぴり不満げに宛名を見つめて

天乃「樹じゃない……そっか。ここまで来れるとは限らないものね」

樹からだとわかった瞬間、嬉しそうに笑みをこぼした

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 今日は行けなくてごめんなさい

 行こうとも思ったんですが、サイト復旧して

 勇者部の活動が再開したのが周知された途端、

 忙しくなっちゃったんです

 なんて。書いて思ったんですが

 言われてもないのに言い訳してると、なんだか不倫してるみたいですね

 
 あっ、もちろん。私はそんなことしません


 そして、もちろん

 金曜日は有給です? 勇者部休んで行きます


 これに関しては、先生の用事でも、勇者としての用事でも

 絶対にゆるぎませんっ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

天乃「ふふっ、樹ってば」

結局何のためにメールしたのか

あっちに行ったりこっちに行ったりしてる文章

言うなれば、今日の活動報告。のようなもの

けれど

理由もなくメールをすることができるというのが幸せなことだと

今の天乃は想い、微笑む

理由がなくても、メールは嬉しい。来てくれるのはすごく嬉しい


意外と、天乃は寂しがり屋の気があるのだ


天乃「それにしても、金曜日って意外に近いわよね……?」

今日は水曜日で、夕方

明日は木曜日で、明後日はもう金曜日だ

天乃「あ、明後日!?」

端末のカレンダーで確認し

自分で選んだその日に衝撃的な近さに驚き、

声を上げ、顔を真っ赤にする

昨日の時点で考えたからまだ数日あると思った

けど、よくよく考えてみれば、昨日の夜に話したのだ

1日なんて、有ってないようなものだったのである

天乃「や、やだどうしよう……っ」

心構えが必要。みたいなこと言っておきながら

何にも考えずだらだらと一日を潰した気がする

いや、潰した

天乃「私いま……すごい焦ってるっ」

焦っていると自覚できているのならまだ平気。と、言いたいところだが

おそらく、平気ではない


天乃「樹は平気なの? 平気……なのよね」

じゃなければ、あんな余裕のありそうなメールは送ってこないだろう

バクバクと、

耳が聞こえないのに聞こえそうなほど強く高鳴る胸に手を宛てがって、

天乃「すぅ……」

深呼吸

天乃「っ、けほっけほっ」

できなかった

樹とするという点では覚悟なんて必要ない

でも、初めてのエッチなこと。という点で

天乃はとても不安で、怖くて、心配で……

天乃「別のこと考えなきゃ……じゃ、なくて、メール。メール返さなきゃ」


1、うん。私もすぐ帰って待ってる
2、樹は緊張してない? 大丈夫?
3、土曜日にね? 春信さんとすることになったわ
4、どうしよう。樹……すごい。緊張してきちゃった


↓2


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 どうしよう、樹

 私、すごい。緊張してきちゃった

 明後日なのよね

 金曜日、今日水曜日で、だから

 心構え必要みたいなこと言ってたの

 あれ、自分自身に対してだったみたい

 すごいドキドキしてるの

 樹に大変な思いさせるだけだったらどうしよう

 樹に面倒な思いさせたらどうしよう

 樹のこと、全然満足させてあげられなかったらどうしよう

 考えれば考えるほど不安で、怖くて

 気持ち……収まらない

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

天乃「……っ」

勢いだけでメールを打ち、確認して

余りにも自分らしさのない文章に……ため息すら出なかった

緊張に体を震わせて

決して寒くないのに、時々奥歯がぶつかり合って、骨を揺らす

天乃「こんなメール、送れるわけ無いっ」

編集メールを削除して、端末をベッドの上に。投げた


天乃「………………」

毛布に包まって目を瞑ると

落ち着くどころか、心臓の音がより強く感じられて

その激しさに、思考をどんどん乱されていく

そんな自分自身のことを不甲斐ないと思いながらも

そんな自嘲の言葉でさえ、かき消され、苦しくなって、呼吸までもが乱れ始める

天乃「はっ、はっ……っぅ……」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 私、すごい緊張してきちゃった

 明後日なのよね。樹と……するの

 今から何言ってるんだって、樹は思うかもしれないけど

 私、初めてだし

 それに、体は不自由で

 迷惑とかかけたりしないかなって……怖くて

 樹はそんなことないよって言ってくれると思うけど……

 ごめんね樹、私、このまま金曜日になっちゃいそう

 どうしよう……樹

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  


天乃は意を決して息を呑み、端末をもう一度手に取って。文章を作っていく


その一時間近くかかったメールに対する返事は

とても、早かった

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  

 >私、初めてだし

 久遠さん。私【達】ですっ

 その、
 
 私がもう経験したことあるみたいなのやめて欲しいですっ


 私も緊張してます

 久遠さんを気持ちよくできるかとか、痛い思いさせないようにとか
 
 今も宿題そっちのけで復習してます

 ……あっ、これお姉ちゃんには秘密です


 でも、同じくらいに楽しみなんです

 久遠さんと、私だけが出来ること。最初で最後の初体験が、できるから


 ↓落ち着くためのおまじないです↓

 上手い下手、迷惑等々は考えず、

 私たちだけの思い出が出来るって喜びましょう

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  
 
天乃「………っ、樹」


胸の苦しさに呻きながら、

宿題を傍らに放置してえっちな勉強に勤しむ樹を想像して、苦笑する

えっちな勉強に限らず、普段もそうしていそうな気がしたからだ

そして

それで怒られたのか、風への口止めの一文がまた、それらしくて

天乃「もうっ……私はこんなに真面目なのにっ」

思わず、笑った 


天乃「そうね」

上手い下手を考えて、不安になって怖くなっても

結局、うまくいくはずなんてない

天乃「私たちだけの、大切な思い出。なのよね」

春信ともえっちをする

けれど、初めての行為という

とても貴重らしい体験は、樹とだけしかしない。できない。やらない

天乃「うん……っ」

不安で、心配で、怖いけれど

でも、とても……嬉しいことだ

天乃「樹っ、私……楽しみにしてるからっ」

まだ収まりのつかない鼓動を感じながら

天乃は端末を抱いて、樹を想う



1、楽しみにしてるね
2、ありがとう
3、ごめんね。【私達】よね
4、宿題、ちゃんとやってね


↓2


では、一旦休憩とさせていただきます
再開は21時~21時30分頃を予定しています


では、初めて行きます


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  

 そうね、ごめんなさい

 私達よね。初めてなのは

 樹、どんどん成長していっちゃうから

 なんだか、追い抜かれちゃった気分になってたのかもしれない

 実際、えっちな知識は樹の方が上だろうし……


 ふふっ

 犬吠埼先生……私にえっちな授業してください。みたいな感じかしら


 冗談はともかく、

 背も多分、抜かれちゃってるだろうし

 胸の大きさだけしか勝てないってすごい恥ずかしい

 
 ……樹、身長伸びなくなるおまじないとか。知らない?

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

天乃「こんな感じかしらね」

だんだんと落ち着きを撮りも押してきた天乃は

メールをうって、満足そうに頷き、送った 


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 先生と生徒ですか……

 平和になって、そういうことにも知識や耐性がついたら

 いいかもしれないです


 身長伸びなくなるお呪いは、

 互いに掛け合うと意味がないそうなので、言えません

 
 私は今の久遠さん、大好きです

 大きくなっても大好きです

 小さくなっても大好きです


 久遠さんがどれだけ変わっても、

 大好きな気持ちは私の気持ちなので、絶対に変わらないからです

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 

天乃「樹……って、ちょっとまって」

最後まで読んで泣かないにせよ

嬉しいと思ったのに、

読み返してみれば……途中で止まってしまった
 
互いに掛け合うと意味がないとは何事なのか

追求するメールを即座に送ったが

満面の笑みを浮かべる顔文字を使った文章で、逃げられてしまった

天乃「冗談……よね?」

会う前から身長止まってたし。と、

悲しみだけが……増した


√ 9月3日目 夜(某所) ※水曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、球子
0、若葉
11、春信
12、イベント判定
13、勇者部にメール
14、チャットアプリ
15、459チャンネル

↓2

※勇者部、春信はメールになります


1、【街の平和は】勇者部活動記録【お任せあれ!65件目】(650)
2、神樹様は女神なのか男神なのか(3)
3、讃州市変態30人目(259)
4、讃州市中学総合スレ(331)
5、妹だけど、愛さえあれば関係ないよね?20ラブパワー(990)
6、妹だけど、愛さえあれば関係ないよね?21ラブパワー(10)
7、【くっころ】海岸の二刀流女剣士さん5スレ目【くっころ】


↓2


天乃「久しぶりね……掲示板見るのって」

最近はその時間があっても余裕はなかった

知らない掲示板がかなりの数あるなかで

気になるスレッド

ほぼ確実に勇者部についてのスレを見つけた天乃は

それを見てみることにした

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名前:大赦に変わって神樹様がお送りしています 投稿日:300/09/??

 勇者部の公式ホームページ復活してる!!


名前:大赦に変わって神樹様がお送りしています 投稿日:300/09/??

 ↑いつの話してるんだ


名前:大赦に変わって神樹様がお送りしています 投稿日:300/09/??

 タイムリープとは、喜びが絶頂に達した際に行われる
 過去の記憶への回帰という説がある
 彼はきっと、選ばれし人間なのだ


名前:大赦に変わって神樹様がお送りしています 投稿日:300/09/??

 この流れ、10回目ッス


名前:大赦に変わって神樹様がお送りしています 投稿日:300/09/??

 で?
 公式サイトで6人目の情報は出てないの?


名前:大赦に変わって神樹様がお送りしています 投稿日:300/09/??

 ない

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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

名前:大赦に変わって神樹様がお送りしています 投稿日:300/09/??

 そもそも、6人目なんているの?


名前:大赦に変わって神樹様がお送りしています 投稿日:300/09/??

 讃州中学に通ってるけど、影も形もないと思う


名前:大赦に変わって神樹様がお送りしています 投稿日:300/09/??

 夏休みくらいに学校で見たって話は?


名前:大赦に変わって神樹様がお送りしています 投稿日:300/09/??

 海にもいたよーな気が


名前:大赦に変わって神樹様がお送りしています 投稿日:300/09/??

 遊園地にもいたよーな気が


名前:大赦に変わって神樹様がお送りしています 投稿日:300/09/??

 俺の隣にもいるよーな気が


名前:大赦に変わって神樹様がお送りしています 投稿日:300/09/??

 君のお母さん若いね


名前:大赦に変わって神樹様がお送りしています 投稿日:300/09/??

 おいやめろ


名前:大赦に変わって神樹様がお送りしています 投稿日:300/09/??

 どこまでが本当なんだ……


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天乃「なにこれ……6人目?」

そんな話は聞いた覚えがないし

まず、園子は学校に行っていないからありえない

自分も学校にはいけないということで、省く

残ったのは、伊集院沙織で

大穴で、歳を勘違いされた晴海だ

もちろん、それ以外の一般生徒の可能性も多いにあるが……

もしくは

天乃「銀達が勝手に出かけてとか」

ありえない話ではない

これは後で確認が必要になるかもしれない。と

考えつつ、下にスクロールしていく

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名前:大赦に変わって神樹様がお送りしています 投稿日:300/09/??

 夏休み付近の学校、遊園地、海が本当


名前:大赦に変わって神樹様がお送りしています 投稿日:300/09/??

 少し前に勇者部員との目撃情報なかったっけ


名前:大赦に変わって神樹様がお送りしています 投稿日:300/09/??

 それ本当かどうかわからないし


名前:大赦に変わって神樹様がお送りしています 投稿日:300/09/??

 それ言ったら全部嘘かも


名前:大赦に変わって神樹様がお送りしています 投稿日:300/09/??

 いやいや、一番初めは5月頃の商店街だったはず
 別スレのくっころ剣士さんが入部前だったかで
 
 今回その人が入部してたから、また話題が出てきたんだから


名前:大赦に変わって神樹様がお送りしています 投稿日:300/09/??

 よく覚えてるな……


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


天乃「あー……」

ここまで流し読みして、ようやく

その噂の6人目が自分であることに気づき、

思わず、言葉が伸びた

天乃「期待させて悪いけど、私部員じゃない」

というか、

中学生であるかどうかですら怪しい

もちろん、讃州中学ではないところで在籍しているけれど

いないのとほとんど変わらない

天乃「じゃぁ、このくっころ剣士って夏凜のこと?」

一体なぜそんなあだ名がつけられたのか、

激しく気になるところだが……



1、くっころ剣士ってなんでくっころ剣士なの?
2、残念だけど、6人目はいないわ。学校も違うし
3、夏休み明けでいないなら違うんじゃない? ほら、ただの知り合いとか
4、書き込まない
5、なんでその人を気にしてるの?


↓2


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

名前:大赦に変わって神樹様がお送りしています 投稿日:300/09/??

 なんでその人を気にしてるの?


名前:大赦に変わって神樹様がお送りしています 投稿日:300/09/??

 レディスはご丁寧に


名前:大赦に変わって紳士がお送りしています 投稿日:300/09/??

 勇者部員の声を聞いた人曰くKさん(仮名)は
 部員Tと同様に目を引く人なのですよ

 なので、もしも勇者部員なら
 部活の応援とかに来てもらおう。という魂胆だと思われます 


名前:大赦に変わって紳士がお送りしています 投稿日:300/09/??

 イグザクトリィ


名前:大赦に変わって神樹様がお送りしています 投稿日:300/09/??

 なにこの流れ。不気味 


名前:大赦に変わって紳士がお送りしています 投稿日:300/09/??

 それが定かじゃなくても、レディスだと思ったら紳士

 それが掟


名前:大赦に変わって神樹様がお送りしています 投稿日:300/09/??

まるで意味がわからんぞ


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天乃「えっ? 女の子だってバレてるの? なんで?」

誰か知らない人が、フォローのような何かをしてくれてはいるが……

メールアドレスの欄や名前欄等

すみずみまで確認しても、性別が分かるようなものはない

天乃「というか、Kさんってもう完全に私じゃない」

そしてTさんは東郷だ。と

天乃は勘付いて、身震いする

ここまで勘の鋭い人たちに

遊園地とかも全部見られていたとしたら

それはつまり……樹との交際も

天乃「……まぁ、それは別に知られてもむしろオッケーよね」

恋愛目的によって来る人が減るのだから、好都合だ


天乃「でも、ごめんなさい」

どれだけ期待しても

自分は讃州中学の人間でなければ、

学校に通うことが出来る体でもなく

当然、応援なんてできる体じゃない

天乃「だから諦めてね」

部活に呼ぶとか、付き合いたいとか

もはや勇者部の関係ない話題へと飛躍していく流れを見過ごし、

ページを閉じて目を瞑る

もう夜で

明日は木曜日

その次は金曜日で、その次は……

天乃「んっ……お姉ちゃんのせいで。ちょっと、体が不味いかもしれない」

したくても出来ないことを振り払うように頭を振って

天乃は少し強引に……寝ることにした

1日のまとめ

・  乃木園子:交流無()
・  乃木若葉:交流無()
・  土居球子:交流無()
・  三ノ輪銀 :交流無()
・  犬吠埼風:交流無()
・  犬吠埼樹:交流有(メール、不安)
・  結城友奈:交流無()
・  東郷美森:交流無()
・  三好夏凜:交流無()
・  三好春信:交流有(えっちについて)
・     九尾:交流無()

・      死神:交流有(普通であること)
・      稲狐:交流無()
・    夢路瞳:交流無()
・     神樹:交流無()



9月3日目終了後の結果

  乃木園子との絆 38(少し高い)
  乃木若葉との絆 35(少し高い)
  土居球子との絆 30(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 54(高い)
  犬吠埼風との絆 73(かなり高い)
  犬吠埼樹との絆 140(かなり高い)
  結城友奈との絆 71(かなり高い)
  東郷三森との絆 100(かなり高い)
  三好夏凜との絆 92(かなり高い)
  三好春信との絆 42(少し高い)
   夢路瞳との絆 12(普通)

     九尾との絆 54(高い)
      死神との絆 43(少し高い)
      稲狐との絆 22(中々良い)
      神樹との絆 5(低い)

 汚染度***%


では、今回はここまでとなります
明日は出来れば通常時間から



九尾「報酬の、主様と樹のえっちな動画じゃ」

園子「むふふ~いい仕事して……!?」

園子「わわわっ!? 急ににぼっしーのお兄さんのいりこが!」ピシッ

九尾「春信と主様の交尾も含めた豪華二本立てじゃ」

園子「供給過多だよ~……」グスッ

では、本日も初めて行きます


√ 9月4日目 朝(某所) ※木曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、球子
0、若葉
11、春信
12、イベント判定
13、勇者部にメール

↓2

※勇者部、春信はメールになります


01~10 風
11~20 友奈
21~30 東郷
31~40 樹
41~50 夏凜
51~60 九尾
61~70 稲荷
71~80 晴海
81~90 大赦
91~00 春信

↓1のコンマ  


↓1 コンマ 奇数来客  偶数メール


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 薬の方、受け取ることが出来た

 ただ、飲んですぐに効果が出てくるものではないらしいので、

 今日の夕方頃に久遠さんの所に届くよう手配をしておいた

 前日、金曜日の夜で構わないので

 あらかじめ、摂取しておいてもらえると助かる

 すまないが、よろしく頼む


 ……余計な事だが

 今の自分の心をうまく形容できない

 恐れているのかそれとも、期待をしているのか

 不思議なものだ

 君に告げた風俗店への出入りの時、

 こんな風に感じることはなかったのだが、やはり。身内だからなのだろうか

 答えたくなければ構わないが、君はどう思っているのか、教えて欲しい

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天乃「……どう思ってるのか」

これにはなんて返すべきだろうか

どうしようもないことだと解っているけれど

できる事ならしたくない。と、困らせることを言ったりとか……

天乃「まぁ、春信さんに頼んだのは私なんだけど」

そしてそれは苦渋の決断に近いものであることを

天乃本人だけでなく、春信も解っている

だから、そんな冗談を天乃は言えないし

言ったとしても、困らせることはきっと出来ない 


答えたくなければ構わない

春信はそう言っているが……

天乃「多分、昨日の私に近い状態なのよね」

もちろん、凄くドキドキして

あわや過呼吸。とまではいかないかもしれないけど

自分の回答が手助けになるのならと……考える

天乃「そもそも、春信さんは私とすることをどう思っているのかしら」

ドキドキの理由じゃなくて

私みたいに樹とするのが嬉しいとか。どうとか

春信さんは嬉しいのか、嫌なのか

前話していた時のままなら、きっと。嫌と言う事だけはないと思うが……


1、私もちょっと複雑ですね。やっぱり。子供を作る目的でのえっちだからでしょうか
2、楽しみ……とは言えませんが。どうなるのかという一種の期待はあると思います
3、私も怖いです。けれど、大丈夫だって。信じてます
4、春信さんの事。私、好きですよ。だから、そんなに怖がらないで下さい
5、ごめんなさい。私も良く……解ってないの

↓2


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 私も怖いです

 けれど、大丈夫だって信じてます

 他の誰かならアレかもしれないけれど

 春信さんだもの

 
 まだ、えっちがどんなものか完全には解らないから

 適当な事言う事になりますけど

 もしかしたら、凄く痛いものなのかもしれない

 でも

 春信さんなら優しく丁寧にしてくれそう

 痛いとしても、ちょっとで済みそう

 だから大丈夫。なんて。

 ……ある意味、
 
 春信さんとのえっちに、期待してる。みたいな感じなのかな

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天乃「……おかしくないかな」

自分の思ったことをとりあえず綴って、

一番上に戻って、下にスクロール

特に変な部分が無いかを流し見て、送る

天乃「少しでも、春信さんが落ち着くことが出来ればいいんだけど……」

自分が樹にして貰ったように

自分が春信の助けになれればいいな。と、天乃は笑みを浮かべて端末を抱きしめた


では、短いですがここまでとさせて頂きます
今週中に金曜日の夜くらいに行ければと思っています

明日も可能であれば、似たような時間から

http://i.imgur.com/X2UKILn.jpg
久遠さんの再現を試みましたが
人生、そうそう上手くはいかないってことのようです


では、本日も進めていきます


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 君は本当に、私を困らせてくれる人だ

 もちろん、悪い意味ではないが


 丁重に。そして優しくと言うのは当然の事だと思っているが

 ちょっとの痛みで済むかどうかというのは、保証は出来ない

 もちろん、ここまで

 いや、当日までしっかりと学んでおく所存だ

 しかし、女性に痛みを与えることなく行うことが出来る技術

 それの獲得が出来ると言うほどの自信はない

 だが、君の期待に応えられるよう

 最大限の努力は行うつもりだ

 当日はよろしく頼む

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天乃「責任、感じさせちゃったかな」

相も変わらずなお堅いメールを読み終えて、一息つく

少し前まで色々な意味で未経験だったのだ

技術不足でも責めることは出来ない

そもそも、天乃側からしてあげられることがほとんどないのだから

贅沢は、言えない

天乃「ごめんね、春信さん……ありがとう」

たった一回の性交渉

子供を急かされて行うそれに、

全力を注いでくれる春信に、天乃は感謝を述べた


√ 9月4日目 昼(某所) ※木曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、球子
0、若葉
11、春信
12、イベント判定
13、勇者部にメール
14、チャットアプリ
15、459チャンネル

↓2

※勇者部、春信はメールになります


メール内容

1、春信とのえっちの日程
2、バーテックスの襲来について
3、学校について
4、6人目の部員
5、今日の夕方について


↓2


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 ねぇ、今日の夕方はどう?

 ついこの前アレだったけど

 今日はちゃんと居るから、どうかしら

 もちろん。

 無理にとは言わないけど……

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簡潔に打ち込んで、勇者部に一斉送信

よく読めば……いや、

軽く流し読みしただけでも

天乃が寂しがっているのが滲み出ているが

天乃「勇者部の活動。溜まってるわよね……手伝えることがあればいいんだけど」

とはいえ、東郷のようにパソコンが得意なわけがなく

かといって、運動部系の手伝いが出来るわけもなく

そもそも、讃州中学の人間ではなく……

ため息しか出ないその現状に悩んでいると、端末が震えた


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 んー今日かあ
 
 どうだろ。猫の里親探しとか

 やることあるっちゃああるのよねぇ……

 まぁ、それは同じネコ科動物の夏凜に任せても良いんだけど

 他にも色々あるからなぁ

 それでも、天乃に会いに行きたい気持ちはあるんだけど

 何分、遠くてね 


 ん~……ごめん。樹だけはなんとか行けるように調節してみる


 そうそう

 金曜日、樹がどうしてもって言うから休み入れておいたわよー

 その分、他みんなに仕事割り振ったから

 邪魔は絶対に入らないから安心しなさい

 まぁ? なにするのかは? 知らないけど?

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天乃「やっぱり……」

勇者部の面々が天乃のもとに来るための一番の障害は部活動ではなく

その距離にある

行くだけ、帰るだけならともかく

往復する必要がある以上相当な時間を要するわけで

そこに部活動が重なってくるとどうしても……と、なってしまうのだ

天乃「お兄ちゃんに引っ越し頼めばやってくれそうだけど。大赦が許さないでしょうね」

根本から妨害してきそうだと息をついて

最後まで目を通す

天乃「……何するか知ってるでしょ。風」

樹が言ったとは限らないが、

知っていることだけは、確かだった


では、短いですが本日はここまでとなります
明日も出来れば通常時間から


では、本日も進めて以降かと思います


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 申し訳ありません

 本日こそはと思いましたが、

 文化系の部活動の手伝いがありまして

 お伺いすることが出来ないんです

 文化祭がだんだんと近づいてきている関係上、

 依頼の増加は仕方がないことですが……

 ぜひ、久遠さんも来てください

 開催はまだ数ヵ月先ですが、予約しておかないと

 久遠さんはふらっと、違うことしてしまいそうなので 

 もちろん、樹ちゃんからのお誘いでしたら。そんなこともないとは思いますが

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天乃「……うんまぁ、ない。と、思うけど」

それがさも当たり前のように書かれると

流石の天乃も気恥ずかしくて、首を振る

……別に悪いことしてるわけじゃ、ないし

天乃「そもそも、樹からじゃなくたって。ちゃんと行くわよ」

もちろん、どうしても免れられないようなことが無ければ。だが


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 私は無理よ。いけない

 あんたのメールから滲み出てくる

 捨て犬みたいな感じのものを蔑ろにはしたくないんだけど

 私には私の

 しいては勇者部には勇者部のやることがある

 安心しなさい

 あんたの家が遠いから行かない

 そんなつまらない理由じゃないわ

 第一、あんたはそう言う風に誘っておきながら

 こっちが別の何か蔑ろにすると罪悪感感じる面倒くさい性格だし

 とにかく、また今度。それこそ土曜日とかにはちゃんと会いに行くわ

 だからもう少し、我慢しなさい

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天乃「……解ってくれてるんだかいないんだか」

そう呟いて、苦笑する

確かに、自分は他人からしてみれば面倒くさいかもしれないと、思ったからだ

ただ、土曜日と言うのは

逆にこっち側がいただけない

天乃「流石に、夏凜に春信さんとのエッチを見られるのはちょっと」

いや、誰にでも見られたくは、無い


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 行きたいですっ

 会いに行きたいですっ

 でも、部活のお手伝いが……うぅぅっ

 学校でも久遠さんに会うことが出来るなら

 お昼とか、一緒にお弁当食べたりとか

 出来たら、良かったんですけど

 
 とにかく、ごめんなさいっ

 誰か一人なら。と言う事なので

 今日は? 今日も?

 樹ちゃんが行きます

 楽しんでくださいね

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天乃「学校で会えるなら、そもそもこんな悩みないんだけどね」

友奈らしいと言えばらしい飛び具合に、

天乃はクスクスと笑って、最後まで読む

みんなして、樹を来させようとしてくれているらしい

でも、

幸か不幸か、今の天乃と樹はかなり会いたい。というほどではない

というのも、明日。とても重要な事をするため

まだ会いたくないと言う気持ちが僅かながらあるからだ

それは樹のメールにも表れていた


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 みんなが、久遠さんに会いに行きなよって、

 背中を押してくれます

 その気持ちは凄く嬉しいですが

 正直、明日の事もあるので会いたくはないです

 なんていうか

 明日やるべきことを今日やってしまいそうと言うか

 明日もやるのに、

 練習。みたいな言い訳つけて今日もやっちゃいそうと言うか


 あの、もしも久遠さんが

 多少の間違いが起きても大丈夫とかなら……

 私が行きます

 どうですか?

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会いたいのか、会いたくないのか

素直に解釈するなら会いたくない。と、取るべきなのだろう

しかし、

それなら別の人に行って貰う。と言うだけで良いはずだ

態々、最後に行って良いのかどうか聞くと言う事は、つまり……

天乃「……樹」


1、良いわよ。貴女だもの
2、そうね。互いの為に止めておきましょ


↓2


では、ここまでとなります
明日も出来れば似たような時間から


夕方に薬到着
何もなければ夜で、金曜日


では、本日も進めていきます
目標・夕方


天乃「…………」

来て欲しくないと言えば、嘘になる

けれど、やはり

明日の為にも会うべきではないと思った

樹もきっと、同じ気持ちだ

会おうと言われたら流されて、会ってしまうし

会わないと言われたら会わずにいる

要するに、自分では決めにくいのだ

悪く言えば優柔不断、中途半端に言えばどっちつかず

天乃「……明日。だもんね」

明日だ。あと少しだ

そう考える天乃は【互いの為にも止めておきましょう】と、メールを送る

天乃「そう。止めておいた方が良い」

何が起こるか解らない

だからこそ天乃は、そう決めた


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 そうですね……

 少し我慢すれば、会えるわけですし

 それに。その前日に我慢できなくて。なんてことしちゃったら

 色々と台無しです

 解りました

 今日は控えることにします

 ただ、私が行かない分誰かが行く。というのは多分難しいと思うので

 すみません

 今日も多分。いけないです

 
 なんだか、明日の夕方大変なことになる気がします

 メールは出来ても

 その、見れない聞こえないだから

 寂しいと言うか、物足りないと言うか

 だからその……もし明日の私が強引な事したら。ちゃんと叱ってくださいね

 お願いします

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天乃「なに言ってるのよ」

普通は叱られたくないのに、叱ってくださいと言ってくる樹の文章

再度目を通した天乃は、「私もかもね」と、息をつく

右手だけではそこまで無理のしようがないから心配はないだろうが、

寂しさや物足りなさを感じるのは同じ

だから、少し強く求めてしまう可能性はあるのだ


天乃「明日。明日なのよね」

昨日よりかは軽く

けれど、平常時よりはずっと強く激しい心臓の脈動を感じで

天乃は目を瞑る

明日はこれを二人分感じられるのだろうか

明日はそれくらいに、密着するのだろうか

それとも、晴海の時のようにただ一方的にして貰うだけになってしまうのか

天乃「……出来るなら、してあげたいけど」

多少は出来ないこともないが

やはり。難しい

天乃「もうちょっと。練習しておくべきだったのかな……」

勇者部相手の練習はやはり、憚られるが

姉相手なら多少は……

そう考えて、天乃は息をついて思い出しかけた記憶を放棄する

体が火照っても。どうにもできないからだ


√ 9月4日目 夕(某所) ※木曜日


01~10 沙織

11~20 
21~30 
31~40 瞳

41~50 
51~60 
61~70 沙織

71~80 
81~90 
91~00 瞳


↓1のコンマ  


沙織「久しぶりだね、久遠さん」

天乃「貴女は……えっと。伊集院さん。よね?」

沙織「うんっ。正解」

滅多に来ることの無い沙織は

自分の名前を憶えていたことが嬉しいのか、

明るい笑みを浮かべて、無地の紙袋を取り出す

沙織「この中に促進剤が入ってるから。使ってね」

天乃「ありがとう……でも、どうして貴女が?」

沙織「男の人だと、久遠さんに手を出す危険があるからかな」

沙織は冗談っぽく笑って言うと

天乃の目に見えるくらいにわざと、息を吸って頷く

沙織「女の子の匂いが強いし。久遠さんえっちぃからね」

天乃「っ」

沙織「それがなくても、エッチな事をする時に使う薬を、関係ない異性から渡されるのって嫌でしょ?」

天乃「うーん……どうかな。考えてなかった」

沙織「流石」

天乃「なによその反応」

天乃のひと睨みに対して、沙織ううん。何でも、と手を振って誤魔化した


沙織「あと、あたしが来たのは聞きたいことがあるからなんだよね」

天乃「聞きたい事?」

沙織「うん」

沙織は相変わらずな気の抜けるような笑みのままで

他愛のないことのような雰囲気だったにもかかわらず

沙織「九尾って、一体。誰の精霊なの?」

その質問は、穏やかではなかった

天乃「え?」

沙織「死神さんが久遠さんの精霊なのは確実なんだけど、九尾だけ。違うんじゃないかなって」

天乃「言ってる意味が解らない。私が満開したから、九尾は精霊として――」

沙織「九尾は少なくとも、久遠さんのお祖母様の時からいたはずだよね?」

天乃が言い終えるのを待たず、

沙織はすかさず言葉を挟んで天乃を見つめる

沙織「ならどうして、九尾は初めからいなかったのかな」

天乃「………………」

沙織「あたし、そこが気になって、そう言えば、久遠さんの精霊は死神さんも九尾も守護結界が使えるって聞いたのを思い出して」

天乃「それが何?」

沙織「本来、結界が使えるのは1人につき一匹の精霊のはずなのにおかしいなって思って」

だから九尾は誰の精霊なのか気になっちゃったんだ。と

沙織は相変わらずな表情で、言った


では、今回はここまでとなります
明日も出来れば通常時間から

5月はゴールデンウィークも日曜日すらも関係なく
投下無しまたは通常時間(22時~)が基本になるかと思います


13時ころから、薦めていく予定です


天乃「それは、まぁ。確かに」

沙織は詳細を知らないみたいだが

九尾は祖母よりももっと前

若葉達先代勇者の時からいる古株の精霊であり、

300年間を記憶している妖狐だ

それが抱える謎は天乃ですら、完全には解っていない

九尾の本当の主人に関しても同様だ

今までずっと自分の精霊だと思って居たけれど

確かに、結界を張れる精霊が二体いるし

勇者に出来る精霊も二体いて

しかも、その二つを合わせた勇者にまでなることが出来る

不自然な点は……かなり多い


天乃「九尾に直接聞いてみた?」

沙織「あたしが聞けるわけないよ」

天乃「それもそうね」

沙織が天乃の知り合いで

一般人か勇者なら関わりたくなくても関わってくる可能性はあるが

沙織は普段、大赦にいる人間ゆえに

九尾と関わることが出来ていないのだ

もちろん、その方が沙織の為なのだが……

沙織「久遠さんも、九尾がだれの指示で動いてるのか、聞いてないんだよね?」

天乃「ええ」

沙織「じゃぁ、今久遠さんが呼べば九尾はここに来てくれる?」

天乃「聞くつもりなの?」

沙織「うん」


1、止めておいた方が良いわよ。下手に関わると碌なことにならないわ
2、まぁ。貴女がそうしたいって言うならいいけど
3、呼んでも来るか解らないわよ?
4、九尾は私の精霊よ。少なくとも。今はね



↓2


天乃「九尾は私の精霊よ。少なくとも。今はね」

沙織「それは解ってるよ。でも、そうじゃなくて」

沙織は天乃の言葉に困ったように声を漏らし、

自分の髪を数回、指で掻くと

ふっと息を吐いて、天乃を見つめた

沙織「久遠さん。久遠さんはそれでいいんだね?」

天乃「言葉の意味は――」

沙織「嘘だ。解ってる」

天乃「…………」

沙織「良いよ。解った。それで良いなら……」

ううん。久遠さんがそう決めたなら。と

沙織は答えを貰えなかったにも拘らず、

どこか嬉しそうな笑みを浮かべて、続ける

沙織「あたしは詮索しない。九尾が何を求め、何のために今も生きてるのか。気になるけど」

天乃「…………」

沙織「でも確かに。久遠さんの事を守ってくれてるもんね。それで、良いよね」


沙織は天乃から目を逸らし、

誰も居ない空間を見つめて、くすりと笑う

沙織「………………」

気になることは沢山あって

久遠さんの言葉だけでは何も解決なんてしていないけど

でも。そうだ

そんな謎だらけだったとしても

久遠さんが九尾を信じているのなら

それはきっと、世界やみんなを救える

久遠天乃と九尾が行える何かなんだと思う

それなら、あたしは何も言えない。ううん、言わない

沙織「心優しい久遠さんの信頼を。私は信じてるよ」

天乃「何を言ってるのか。解らないわ」

沙織「久遠さんのそう言う所、あたしは好きだよ」

沙織はそう言うと、困ったようにため息をついた天乃の頬に、口づけをした


天乃「なっ」

沙織「これは久遠さんが答えをはぐらかした罰」

にこっと、沙織は明らかに悪い笑みを浮かべると

天乃の顔を固定し顔を近づけて……額をぶつける

天乃「ちょ、ちょっと貴女……」

沙織「久遠さん。気づいたら犬吠埼さんと付き合ってるんだもん。酷いよ」

天乃「何がよ」

沙織「私は男の子と恋愛する。みたいなこと言ってたくせに」

天乃「そんなこと言われても困るわよ」

確かにそんなことを言ったかもしれないが

それは昔の話で今は今だ

そもそもの話

女の子を好きになったのは結果的な事であって

根本的な好意は犬吠埼樹へのものだ

樹が女の子だからこうなのであって

男の子であったとしても、出会いさえあれば。きっと。こうなっていただろう


沙織「犬吠埼さんは会いに来ないみたいだし。愛が無いんじゃないかな」

天乃「本気で言ってるなら、流石に……怒るけど?」

沙織「そこで疑問形になられると。怖さ倍増だ」

沙織はおどけた表情で天乃から離れると

ごめんね。冗談だから。と、笑みを零して息をつく

沙織「これだけ頑張った久遠さんだもん。誰とどう恋をしても。咎められる謂れはない」

天乃「……………」

沙織「でも、この世界を続けるためには久遠さんが子供を作らないままなのはダメなんだ」

だからあれは止められないし、しないなんてことは出来ないよ。と

沙織は悲しげにつぶやいて、一礼すると

また今度会えたら会いに来るね。と、部屋を出ていく

天乃「……………」

残された天乃は、夕日すら入らなくなってきた部屋の

暗い影を見つめて、息をつく

部屋には必ず暗所がある。そしてきっと、心にも暗所がある

信頼を置いている九尾にもきっと。それはあるだろう


√ 9月4日目 夜(某所) ※木曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、球子
0、若葉
11、春信
12、イベント判定
13、勇者部にメール
14、チャットアプリ
15、459チャンネル

↓2

※勇者部、春信はメールになります


勇者部及び天乃の連絡用SNSアプリは

勇者専用のNARUKOではなく、

普通の一般的に使われているアプリだ

というのも、天乃が神樹様に嫌われた影響なのか

天乃が大赦に嫌われてるからアク禁にされたのか

いずれにせよ、天乃がそれを使えないからだ

天乃「けどNARUKOっていうのも、変な名前よね」

勇者専用のものならば、大赦が名付けたものなのだろうが

一般に流通しているものと比べると、ただのSNSアプリらしくない呼び名だ

天乃「……穀物を守る為の道具。人が穀物で勇者は道具。鳴らすのは……大赦かな」

今更解りきった道具という言葉を呟き、

天乃は苦笑して、現行のグループの所へと入っていく


01~10 全員
11~20 友奈、樹、東郷
21~30 夏凜、東郷
31~40 風、友奈、樹
41~50 全員
51~60 匿名お兄ちゃんと全員
61~70 夏凜
71~80 友奈
81~90 友奈、夏凜
91~00 風、夏凜

↓1のコンマ  


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   :天乃が入室しました

 風:ん?

 友奈:久遠さんだ

 樹:珍しいですね。久遠さんがこっちに来るなんて

 天乃:気が向いたから着てみたのよ。ダメ?

 風:いや、全然

 樹:大歓迎です

 友奈:大歓迎ですっ

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天乃「あの二人は……」

同タイムでほぼ同じ言葉を流してきた二人に苦笑して、

天乃は画面を軽くスクロールする

天乃「タロット占いの話をしてたのね」

どうやら、今回は3人で樹の占いについて、話をしていたらしい


何でも、樹の占いはよく当たるらしく

恋愛関係はもちろんの事、

勝負事に関しても、時々占って欲しいと言う依頼が来るそうで

噂が広まってるからか

直接教室に頼みに来る生徒までいるらしい

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 天乃:で、困ってると

 樹:困るほどではないんですけど、もっと増えたらと思うと

 友奈:確かに、昼休みとか潰れちゃうよね

 樹:それに関しては部室に行ってるのでなんとか

 風:少なくとも、授業間の5分間は厄介よね

 天乃:……九尾に教師役やって貰おうか

 風:大変なことになるから止めろーっ

 天乃:冗談よ。それにしても、凄く当たるの?

 風:それはもう。なんならやってみる?

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


1、やってみる
2、止めておく
3、風の事を占う
4、友奈を占う
5、世界を占う


↓2

01:00 02:01 03:02 04:03 05:04 06:05 07:06 08:07 09:08 10:09
11:19 12:18 13:17 14:16 15:15 16:14 17:13 18:12 19:11 20:10
21:20 22:06 23:05 24:04 25:03 26:02 27:01 28:00 29:21 30:20
31:21 32:07 33:08 34:07 35:06 36:05 37:04 38:03 39:02 40:19
41:00 42:08 43:09 44:16 45:17 46:02 47:03 48:10 49:01 50:18
51:00 52:09 53:10 54:15 55:18 56:01 57:04 58:09 59:00 60:17
61:01 62:10 63:11 64:14 65:19 66:00 67:05 68:08 69:21 70:16
71:02 72:11 73:12 74:13 75:20 76:21 77:06 78:07 79:20 80:15
81:03 82:12 83:13 84:14 85:15 86:16 87:17 88:18 89:19 90:14
91:04 92:05 93:06 94:07 95:08 96:09 97:10 98:11 99:12 00:13

↓1のコンマ


※カード番号  

この方法だと足りないことに気づかなかったです


↓1のコンマ 奇数:正位置 偶数:逆位置


少し中断します
先ほどは寝落ちしました。失礼しました


コンマ28:00=愚者
コンマ67:奇数=正位置
愚者の正位置

意味を簡潔に現すと

自由、型にはまらない、無邪気、純粋、天真爛漫、可能性、発想力、天才

では、再開していきます


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 天乃:じゃぁ、やってみてくれる?

 樹:ちょっと待ってください

 風:やってるやってる

 友奈:どんな状況ですか?

 風:すぐ終わるって

 天乃:待てないの? 貴女達

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

待てと言われて待たず

実況を始めようとする風の姿

タロットカードを手に、占いっている樹

端末を手に

きっと、自分の事じゃないのにドキドキしているであろう友奈

それぞれを考え、思い

天乃は嬉しそうに、笑う


そしてしばらくして、

樹のでました。という文字が上がってきた

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 天乃:良いやつにしてくれた?

 樹:ずるはしてないですっ

 樹:でも、久遠さんらしい結果だと思います

 友奈:女帝?

 天乃:友奈、夜中……気を付けてね?

 友奈:えぇぇっ!?

 風:んー愚者だってさ。書いてあるのは

 天乃:?

 樹:愚者の正位置です

 樹:意味は色々ありますが、自由とか無邪気、純粋、天真爛漫、天才。とか悪い意味はなくて

 樹:一説には、愚者のカード番号が【0】であることから、始まりと終わり。というものもあります

 風:始まりと終わりねぇ……他はともかく、意味深な感じがするわね

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


天乃「他はともかくって……」

友奈のなんとなくな女帝と言う言葉も気にはなったが

風の言葉にも、少しばかり嫌味を感じる

もちろん、

友奈は当然ながら風にも悪気があるわけではないだろうし

天乃自身、そんなことで立腹するような狭心者でもない

天乃「さてさて……」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 樹:そして、愚者のカードに描かれている人は

 樹:黄金の冠を持っているんですが、それには神様と対話の象徴と言われているんです

 風:対話か……バーテックスも神様なら対話できるのかもね

 風:けど……

 友奈:風先輩?

 天乃:ん? どうかした?

 樹:いえ、大丈夫だそうです

 樹:宿題、やり忘れてたそうです

 風:友奈ーッ!

 友奈:な、何ですか?

 風:いうなーっ!

 天乃:やり直さなくて良いから。やりなさい

 風:あ、はい。すみません

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


天乃「まぁ、きっとそんな理由なわけがないと思うけど」

風が宿題をやり忘れている

そんなミスをするとは思えない

色々とふざけている人ではあるが

やるべきことはやっている人だと、天乃は評価しているからだ

では、なぜあそこで詰まったのか

それは多分【対話できても許せない】からだ

天乃「両親を死なせた原因と和解なんて。出来るはずがない」

なら、自分はどうだ

戦いで守りきることが出来なかった

そんな原因の一つである自分は、どうなんだろうか

考え、首を振り

ついた寂しげなため息は、夜の闇に消えていく


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 友奈:久遠さん、お母さん見たい

 樹:幼稚園では、人気がありそうですよね

 友奈:怒ると怖いけど、優しいから子供達に人気で

 友奈:ついつい、甘やかしちゃいそうな……

 天乃:ねぇ、友奈。今讃州中学の後門にいるわ

 友奈:えっ!?

 樹:友奈さん……

 友奈:私悪いこと言っちゃった!?

 友奈:ごめんなさいっ!

 天乃:勇者姿で移動すると楽ね。今、かめやに到着したわ

 友奈:ほ、ほんとうにくるにゃぬ

  :友奈が退室しました

 樹:え?

 天乃:私じゃないわよ?

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


01~10 
11~20 拉致

21~30 
31~40 
41~50 
51~60 誘拐

61~70 
71~80 
81~90 
91~00 

↓1のコンマ  


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 天乃:ちょっと。大丈夫なの?

 樹:東郷先輩なら、状況が解るかと……ちょっと待ってください

 天乃:悪いけど、よろしく

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


天乃「何なのよ一体」

ちゃんと返信していたのだから

急な眠気に襲われて寝落ちしたわけではないはずだ

あり得ることと言えば、

脅かしすぎて、ビビッて端末を落してしまった。だが……

そう考えていた天乃の髪を風が撫でる

天乃「何で開いて――ッ!」

締まっていたはずの窓が開いている不可解な現象を目の当たりにするのと同時に

部屋に何かの気配を感じて、目を向ける。と

友奈「――! ――!」

天乃「えっ」

縛られた友奈が、そこにいた


天乃「……まず、そう。まず。そうね、深呼吸しましょう」

目を閉じて、大きく息を吸って吐く

そしてもう一度、ベッドわきを見る

友奈「――! ――!」

じたばたする友奈が、いる

残念ながら夢ではないことを認識した天乃は

どうせ彼女の仕業だろう。と

ため息をついて、「九尾」と、名前を呼ぶ

九尾「妾は知らぬぞ」

天乃「貴女以外に誰がいるのよ」

九尾「……それもそうじゃな。くかかっ」

天乃「笑い事じゃないわよ。何してるのよ。貴女」

友奈への多大な迷惑と、樹達への無駄な心配を考え、

ちょっぴりお怒りモードの天乃を見つめ、九尾は笑う

九尾「主様を侮辱したからのう。喰ってやろうかと」

天乃「止めなさい」

九尾「安心するがよい。何も命を取るわけではない」

天乃「?」

九尾「主様と樹の交尾の参考の相手役にするだけじゃ」

天乃「絶対に止めなさい」


天乃「とりあえず、解放してあげて」

九尾「ふむ……仕方があるまい」

九尾は渋々と言った感じで友奈の手枷、足枷、猿轡を外して、

つまらなそうなため息をつく

ため息をつきたいのは、天乃の方だ

天乃「大丈夫?」

友奈「はい……急に窓から入ってきて。気づいたら縛られちゃってて」

天乃「怖くなかった?」

友奈「九尾さんだって言うのはすぐにわかったので。悪戯だろうなぁ。とは」

友奈は困ったように笑うと、

自分の端末を揺らす東郷達の心配に対して

九尾に天乃の家に連れてこられた事を送って、息をつく



1、もう仕方がないから、泊まって行きなさい
2、九尾。今すぐ帰してきなさい
3、悪かったわね、九尾が勝手なことして
4、それはそうと……女帝だのなんだの。よくもまぁ、言えたわね


↓2


天乃「もう仕方がないから、泊まって行きなさい」

友奈「良いんですか?」

天乃「ええ。貴女が平気なら」

友奈「やったーっ」

誘拐の被害者は、

加害者の家に泊まれることが嬉しいらしく

満面の笑みを浮かべて、ベッドへと近づく

天乃「なんでそんな嬉しそうなのよ」

友奈「久しぶりの、久遠さんですから」

そう言いながら、樹ちゃんに悪いかな。と

困ったように呟いて、首を振る

良く解らないが、葛藤しているようだ

友奈「一緒のお布団は止めておきます」

天乃「あら、どうして?」

友奈「樹ちゃんが会えてないのに、私がそうするのも。あれかなーって」


九尾「なら、妾と寝るかえ?」

友奈「え?」

九尾「妾が気持ちよく、寝させてやろう」

九尾は何やらたくらんでいるような悪い笑顔で友奈を誘うと、

両肩に手を置いて、どこかから出した布団の上に座らせた

天乃「……その灯篭。どこから出したのよ」

九尾「夜伽を過ごすうえで必須の道具じゃ。無知な小娘は黙って見ておれ」

天乃「夜伽って、貴女まさか」

友奈は夜伽の意味を知らないのか

困惑した表情を浮かべているが、あまりにも。良くない

九尾の事だ、加減をわきまえてはいるのだろうが

その加減の度合いが問題なのだ


1、友奈、良いから私と寝ましょ
2、九尾、絶対にダメよ
3、友奈はエッチな事って興味ある?


↓2


天乃「九尾、絶対にダメよ」

九尾「うむぅ……解っておる」

九尾は残念そうに言うと、

友奈の隣で横になって、目を瞑る

もしかしたら、本気でやるつもりはなく

友奈に関しては、言っていた通り

九尾的にはあの言葉が侮辱に思えて、

悪戯悪戯しただけなのかもしれない

九尾「……一応」

天乃「?」

九尾「一応、妾も準備しておいたと言うのに」

天乃「九尾?」

九尾「なにゆえ、処女の晴海を選んだのか理解できぬ。愚か者めっ」

一方的な言葉を投げて、

九尾はふんっと鼻を鳴らして、友奈を抱きしめる

友奈「きゅ、九尾さ」

九尾「慰めてくりゃれ」

友奈「そ、そう言われても……」


中々、寝付くことが出来なかった

1日のまとめ

・  乃木園子:交流無()
・  乃木若葉:交流無()
・  土居球子:交流無()
・  三ノ輪銀 :交流無()
・  犬吠埼風:交流有(メール、占い)
・  犬吠埼樹:交流有(メール、占い)
・  結城友奈:交流有(メール、占い、誘拐、お泊り)
・  東郷美森:交流有(メール)
・  三好夏凜:交流有(メール)
・  三好春信:交流有(えっちについて)
・     九尾:交流有(誘拐)

・      死神:交流有()
・      稲狐:交流無()
・    夢路瞳:交流無()
・     神樹:交流無()



9月4日目終了後の結果

  乃木園子との絆 38(少し高い)
  乃木若葉との絆 35(少し高い)
  土居球子との絆 30(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 54(高い)
  犬吠埼風との絆 75(かなり高い)
  犬吠埼樹との絆 142(かなり高い)
  結城友奈との絆 75(かなり高い)
  東郷三森との絆 101(かなり高い)
  三好夏凜との絆 93(かなり高い)
  三好春信との絆 43(少し高い)
   夢路瞳との絆 12(普通)

     九尾との絆 55(高い)
      死神との絆 43(少し高い)
      稲狐との絆 22(中々良い)
      神樹との絆 5(低い)

 汚染度***%


√ 9月5日目 朝(某所) ※金曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、球子
0、若葉
11、春信
12、イベント判定
13、勇者部にメール
14、チャットアプリ
15、459チャンネル

↓2

※勇者部、春信はメールになります
※友奈のみ、通常交流


天乃「友奈、起きなさい」

友奈「ん……ぅ」

天乃「友奈、学校。絶対に間に合わないわよ」

天乃がそう言っても、

ラッパ起床は伊達ではないらしく、一向に目を覚ましそうはない

けれど、九尾がいる

九尾「目覚めの一触……くふふっ。一触と書いて一食と読む」

友奈「ん……ふにゃぁっ!?」

布団の中で何があったのかはわからないが

友奈は顔を赤くして飛び起き、九尾をじっと見つめる

少なくとも、まっとうな手段ではなかったようだ

友奈「な、なにするんですかっ」

九尾「おぬしがいつまでも寝ておるからじゃ。学校とやらに、行くのじゃろう?」

友奈「うぅ……そうだけど……」


天乃「まったくもう……」

九尾「仕方があるまい。制服等。妾が取って来よう。主様、その小娘が寝たら叩き起こすのじゃぞ」

天乃「言われなくても」

ここから友奈の家に行き、学校に行くと言うのはやや時間がかかるが

友奈の家に寄ると言う点をなくせばわずかではあるが時間に余裕が出来るし

九尾が戻るまでにせめてシャワー等だけでも済ませられればなお良しだ

友奈「ごめんなさい」

天乃「ううん、もとはと言えば九尾が悪いんだし」

そもそも、

昨日の夜の時点で九尾が誘拐さえしなければ……と

天乃は悪態をついて、手をパンパンっと叩く

天乃「友奈、寝ちゃだめよ?」

友奈「ふぁい……」



1、ねぇ友奈。次の戦いは厳しいものになるけど。無茶はしたらダメよ?
2、文化祭で、勇者部は何かやるの?
3、どう? 学校は楽しい?
4、友奈はエッチな事に興味あるの?
5、今日ね、樹と大人の階段上っちゃうのよ

↓2


天乃「そう言えば、友奈」

友奈「?」

天乃「貴女、エッチな事に興味はあるの?」

友奈「ふぇ……えっ!?」

適当な反応から一転

目を見開いた友奈は眠気が吹っ飛んだのか

顔を真っ赤にして、目を逸らす

天乃「どうしたの?」

友奈「ど、どうしたのって。あ、えっと、あのっ」

天乃「やっぱり、まだそう言うのは考えてない?」

友奈「うぅ……」

天乃としては純粋な疑問なのだろう

しかし、友奈にとってはそんな簡単な言葉ではなく

かといって、自分だけ妙に意識していると言うこの現状が

変に羞恥心を刺激していた


天乃「まぁ、まだ中学二年生だものね。急ぐ必要があることでもないし」

友奈「うぅぅっ」

天乃「私と一つしか変わらないけど、私が特別なだけだし」

天乃は問いに答えていないにも拘らず

いや、答えられていないからこそ

それが悪いことや遅れているなどとは考えないようにと、

フォローの言葉を並べていく

友奈「あ、あのっ!」

天乃「うん?」

友奈「私だって、その……少しは興味ありますっ!」

天乃「あら」

友奈「興味あると言うか、持ったって。言うべきだと思うんですけど……」

最初は天乃の子供の件に関して

何か穏やかに解決できる方法はないものかと調べていたのだが

やはり、そう言う関連のことを調べていると

そう言う関連のアダルティなものもひょっこりと頭をちらちら見せてくるわけで

友奈「そういうの、興味あるとダメですか?」

友奈は恥ずかしそうで悲しそうな表情で聞いてきた


天乃「……………」

興味があることがダメなわけではないし

もしそれがダメだと言うのなら

明後日、異性と性行為を行うどころか、

薬まで使って妊娠しようとしている自分はどれだけダメな人間なのか。と

小一時間ほど考える必要があるだろう

第一、

これに関しては良し悪しはなく

早すぎるか否かという問題があるだけだ

中学二年生で異性と付き合いだす人もいるのだ

えっちな事に多少の興味を持っていても、早すぎる。と言う事はないはずだ


1、どこまで興味あるの?
2、一人ですることもあるの?
3、誰かとそういうことしたいとか思う?
4、好きな男の子。いるの?
5、別に問題はないと思うわ


↓2


では、ここまでとさせて頂きます
来週は通常時間で可能かと思いますが
再来週に関しては、半分ほど投下しない可能性があります



天乃「誰かとそういうことしたいとか思う?」

友奈「……久遠さん」

天乃「え?」

友奈「久遠さん、誘ってるんですか?」グイッ

天乃「えっ、ちょっと……友――」


友奈「誘わなければ、襲わなかったのに」


では、少しだけですが、薦めていきます


天乃「なら。誰かとそう言うことしたいとか思う?」

友奈「えっ?」

天乃「うん?」

友奈の驚きに、天乃は平々凡々な疑問符を浮かべて、

首を傾げる

そうだ。天乃にとってはその程度の質問なのだ

意地悪でも、冗談でも

からかうわけでもなければ、カマかけでもなく

ただ純粋に

興味があると言われたから。その対象がいるのかという疑問

問題をさらに詳しく解き明かそうとしているだけでしかない

友奈「んー……えへへ」

天乃「あら。その反応はいるってことかしら」

照れ隠しの笑みと、薄いピンク色の頬

誤魔化すように頭を掻く仕草を見つめ、天乃が言うと

友奈は笑みを困惑に切り替えて、首を振る

友奈「多分、教えちゃいけないものだと思います」

天乃「教えちゃいけない?」

友奈「はい」


天乃「あらあら。それはまた……」

友奈「えへへ」

天乃が楽し気に笑う一方で、

友奈は変わらず困り果てた笑みを浮かべて、息をつく

それも当たり前かもしれない

なぜ教えちゃいけないのか

それを目の前の朴念仁は絶対に解っていないからだ

天乃「樹なら諦めてね? 九尾とかならまぁ……応援するけど」

あんまり希望はないわよ。と

残念そうに天乃が言う中、友奈は苦笑して首を振る

樹は諦めてと言っただけ、ましかもしれない

天乃「東郷は?」

友奈「東郷さんは私の大親友です」

天乃「……じゃぁ、私のお兄ちゃんとか。春信さん?」

友奈「えーっと……ノーコメントで」


友奈「………………」

久遠さんは楽しそうだ

久遠さんは幸せそうだ

東郷さんのように

夏凜ちゃんのように

風先輩のように

きっと、心を打ち明けても。それは揺るがないのだろう

でも、辛いと感じない

苦しいと思わない

久遠さんが誰か別の人と

そう、樹ちゃんと幸せそうにしていても

ううん、幸せそうにしているから。私も幸せでいることが出来る

友奈「久遠さん」

天乃「?」

友奈「友達として。先輩として。それ以外の意味でも……結城友奈は。心から大好きですよ」

友奈は雫の輝く満面の笑みで、そう言った


√ 9月5日目 昼(某所) ※金曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、球子
0、若葉
11、春信
12、イベント判定
13、勇者部にメール
14、チャットアプリ
15、459チャンネル

↓2

※勇者部、春信はメールになります


天乃「九尾、出てきて」

九尾「ふむ……真面目なことかや?」

天乃が呼び出してすぐ、

九尾はあらかじめそのつもりだったかのように、

椅子に座った状態で姿を現す

その表情は、いつものような茶化すものではない

九尾「全てに答えることは、今は出来ぬやも知れぬ」

天乃「……………」

九尾「しかし、主様の問いが妾に答えられるものなれば、答えよう」

自分から言いだす姿勢に、

不安がないと言えばウソになるかもしれないが

しかし、

九尾にしか答えられないことや、聞きたいことがある

背に腹は、変えられないだろう


では、ここまでとさせて頂きます
明日は可能であれば少し早め。21時半頃の予定

真面目な話か、エッチな話か


通例通りとなってしまいましたが、少しだけ進めようかと思います


九尾「もっとも、この後に控えてることもある」

天乃「っ」

九尾「可及的速やかに解決すべきは……これやもしれぬのう」

九尾は茶化すようではなく

しかしながら、煽るような表情で下腹部を指でつつき、

ぐるぐると渦を描いて天乃の顔を覗きこむ

たしかに、

数時間もしない内に、物凄く大切なことがある

それなのに

下手に悩みを増やしても良いものなのかどうか

天乃は迷って……


1、貴女が本当に仕えているのは誰?
2、貴女は一体何なの?
3、えっちな事。貴女、出来るの?
4、私が死んだら。銀達はどうなる?

↓2


天乃「もしもの話だけど」

九尾「うむ」

天乃「私がどんな理由にせよ、死んだら銀達はどうなるの?」

自分の死が銀達の消滅に通じているのかどうか

それが気になった天乃の問いに

九尾は困った表情で首を振ると、答えた

九尾「それは聞くまでもないことじゃと思うが……まぁよい」

天乃「?」

九尾「主様の力があってこその精霊じゃ。主様が失われればみな消える。それは当たり前の事じゃろう」

天乃「でも、特例と夏あるんじゃないの?」

九尾「うむ……しかし少なくとも、主様が死すれば。銀達はみな消滅は免れん」

しかしその逆はイコールではなく、

精霊が全滅しようが、天乃が一緒に消滅するなんて言うことはない


天乃「その言い方、何か気になるんだけど」

九尾「ふむ……」

それでも食い下がるような天乃の視線と言葉に、

九尾はため息をついて、頷く

時期も時期で頃合いだと思ったのかもしれない

九尾「そうじゃな。妾は例外として残留することになる」

天乃「……やっぱり」

九尾「沙織との話。いや、それが無くとも、主様ならば勘付いていたとは思うが……」

九尾はそう前置きしておきながら

すぐには言わず、間をおいて

直前まで言うべきかを迷い、再び天乃を見つめ返した瞳は

いつもの九尾のそれとは……違っていた

九尾「妾は個人ではなく、久遠という家に仕える精霊じゃ」

そして九尾はそのまま続けて

九尾「正確に言えば、今もなお久遠陽乃の精霊として仕えておるのじゃ」

もっとも、消滅するか否かには関係ない事じゃが。と

重要なことを、さらっと流した

失礼しました。ここまでとなります
連日アレなので
恐らく今日(水曜日)は投下休みします


では、本日は進めて以降かと思います


天乃「……陽乃さん?」

九尾「うむ」

天乃「どういう事? 陽乃さんがまだ生きてるとでもいうの?」

抱いて当然の疑問

それに対する九尾は少し、悲しげな表情で首を振ると

嘲笑するわけでも、呆れたわけでもなく

ただ、紛らわすためだけにため息をついた

九尾「まさか。陽乃は人間じゃ。何事もなくとも寿命は尽きておる」

天乃「何事もって?」

絶えない疑問

その問いかけに、九尾は愛想をつかすことなく。答える

九尾「主様の祖母は今いくつか記憶にあるかえ?」

天乃「確か、まだ60行くか行かないか。よね?」

九尾「如何にも。主様の家系は総じて若くしてこの世を去っておる。その理由が、妾の力じゃ」

天乃「つまり、なに? 貴女が久遠家に仕えているせいで、久遠の家の人間は長生きできないってことなの?」


九尾「詳細を省けばその解釈に誤りはない」

天乃「…………」

九尾「現に、祖母の母は39で死去し、その母もまた30代半ばで死去しておる」

話が一気に飛んだせいなのか

それとも、理解を拒んでしまっているのか

上手く飲み込めずに困惑した表情を浮かべる天乃に対し

九尾は話を続けた

九尾「その理由が、純粋な巫女の力に割り込んだ妾の力という。毒のせいじゃ」

天乃「毒……?」

九尾「本来そこにあるはずのないものを割り込ませたことで、他が圧迫され、負荷が掛かっている。ということ」

九尾はそう言うと、

椅子の上に横並びで乗せられる尻尾の最大数

3本を乗せると、後から4本目を無理矢理に乗せて見せる

すると、一番最初の尻尾は半分ほどはみ出して……椅子から落ちてしまった

九尾「これが、今の久遠家の現状じゃ」

天乃「成程……つまり、キャパオーバーで自壊? まで行かなくても早死にしちゃうと言う事なのね?」

九尾「そうじゃな。その一番最初だった陽乃が死んだのは、19の時。今は力に慣れてだいぶ。長生きできていると言えるじゃろう」


天乃「19って……子供は?」

九尾「2歳になるかならないか。じゃったな」

天乃「い、いたの?」

九尾「うむ。早死にすることをあらかじめ伝えておいたからのう。未来のためにと。陽乃はそれを選択した」

それ。というのが、

かなり早い段階で出産を経験するという事だと、天乃はすぐに気づき、

それこそが、

久遠家が早期に子供を作らされる本当の理由だと、知った

天乃「じゃぁ、私も……」

九尾「いや、主様に関しては早死にするかどうかは解らぬ」

天乃「どうして?」

九尾「祖母で現状55まで生きておるならば、主様の母親は短くともそこまで行く。ゆえに主様はそれ以上行く可能性が高い」

そして。と

九尾はそのまま間髪入れずにつづけた

九尾「主様は歴代の中で陽乃と同等かそれ以上に力がある。下手なことをしなければ、問題なく生きることもできるじゃろう」


天乃「下手な事……ね」

それに含まれる事柄によっては、

見事なまでに早死に確定なのだが

今の状態で九尾がそう言うのならば、恐らく

満開などはそれには当たらない可能性は十分にある

九尾「とはいえ、人間はかならず死ぬ。一つ一つの選択を、成否はともかく大事にするがよい」

九尾はそう言うと、

紙ぶくろから沙織が持ってきた促進剤を天乃に手渡し、

どこからともなく出した水をちらつかせる

天乃「飲まないとダメなのよね」

九尾「如何にも。これを忘れた場合、二度めの交尾が必要になる可能性もある。これもまた、大事にすべき選択じゃ」

天乃「……ありがと」

一言お礼を言って薬を飲む

九尾「そろそろ犬妹の来る頃じゃな。ゆっくり楽しめ。ゆっくり味わえ。蜜の味」

怪しげに笑いながら、九尾はそんな言葉を残して消えていった


では、ここまでとさせて頂きます
明日も出来れば通常時間から

さくっと終わらせる予定です



九尾「…………」カポッ

陽乃「ふぅ。着ぐるみはあっつい」

陽乃「自分に似た人とのエッチとか。興味あったんだけどなぁ」


では、本日も進めていきます



√ 9月5日目 夕(某所) ※金曜日

・樹との交流固定


学校が終わったであろう時間から少しして

樹は1人で、天乃のもとにやってきた

家に帰ってから来たらしく、

服はもう制服ではなく、荷物もいつもの通学用の鞄ではなかった

天乃「……早いわね。全速力だったでしょ」

樹「えへへ……はい」

隠したつもりはないが

易々と見抜かれていることに苦笑して

樹は椅子に座り込む

樹「最初は荷物を持って学校行くことも考えたんですけど。流石に……」

天乃「?」

樹「エッチの為の道具を持って行くのは気が引けちゃったんです」

誰かが勝手に鞄を開ける。なんていう心配はないのだろうが

そこはやはり、気の持ちようだ

それに、開けられないにせよ。着替え等も含めて入っている鞄は大きく、興味の対象になる

そうなれば、中身を問われるのは確実で

着替えが入っていると言えばどこに行くのかと話題になったりするだろうし

面倒なことになるのは避けられなかっただろう


樹「……いよいよ。今日ですね」

天乃「うん」

樹「ドキドキ、しますね」

天乃「そうね」

これから大切で大好きな人と、エッチをする

ずっと覚悟を決めて来て

今日の朝、いよいよだ。と、楽しみだと

そう思っていたはずなのに

心も体もリラックスできていたはずなのに

顔を合わせてみれば……動悸は止まなくなっていた

樹「っ……ん」

息を呑み、深呼吸をして目を瞑る

頑張れ。頑張れ。頑張れ。頑張れ……思い出を、作ろう

心の中でそう唱えて目を開くと、

気恥ずかしそうに頬を染めた天乃と目が合った


天乃「え、っと。ごめんね。私は服も脱いであげられないから……」

樹「そ、それに関してはまずは脱がないでやりたいです」

天乃「え? 脱がないでできるの?」

樹「えへへっ。この日の為にいろんなエッチの勉強しましたからっ」

キョトンとする天乃に、

樹は満面の笑みで答える

樹「……………」

久遠さんといると凄くドキドキするのに

凄く安心も出来るから、不思議だ

久遠さんと何をしたいのか

どんなことをしたいのか

一人エッチの設定に使って。ちゃんと頭の中で考えてきたんだ

それに、久遠さんに気持ちよくなって貰うんだ

一生懸命すぎてたら、久遠さんに気を使わせるだけだって知ってるよね?

樹「久遠さんは、いきなりスタートと。キスから。どっちが良いですか?」

頑張れ、私



1、キス
2、スタート


↓2

恐らく、以降終了まで安価はありません


天乃「それって、大事な質問?」

樹「その……途中から私もエッチに夢中になっちゃうと思うので」

途中から最後まで

愛に溢れた強姦紛いの事になるとは樹もさすがに思っていないが

夢中になったらきっと

自分がしたいことをしてしまうに違いない

だからこそ、樹は番最初くらい

天乃の希望通りにしたかったのだ

天乃「じゃぁ、キスが良い」

樹「キスですね?」

天乃「うん。優しくても激しくても良いから。まず……私の気持ちを。落ち着かせてほしい」

天乃はそう言うと樹の方を向いて、目を瞑る

それを見ていた樹は狡い。と、心に思った

樹「私がまた。ドキドキしちゃうじゃないですか」

天乃「――んっ」

言いながら、天乃の両肩を掴んで唇を重ねる

フレンチじゃなくてソフトキス

樹「っ……んっ」

数秒の接触で離れて、自分の唇を舐めて潤し

天乃の唇にもう一度重ね合わせて。今度は少し圧迫するように押し付けた


では、ここまでとさせて頂きます
明日も出来れば似たような時間から

暫く安価はなしでいちゃつかせます



九尾「……」REC

風「妹の成長記録……」REC

大地「……記録」REC


園子「犯罪の証拠だよ~」REC


では、遅くなりましたが少しだけ進めていきます
安価はおそらくありません


樹「んっ」

天乃「っ……」

押し付けるようなキスをしながら、

右手を天乃の後頭部に回して、ゆっくりと横にしていく

横になって欲しいとか

横にしますとか

そんな言葉なんかいらない

ただ、そうしようとすれば応えてくれる

樹「っは、ぁ……」

天乃をベッドに寝かせて離れると、

樹の口元から名残を惜しむかのように、糸が伸び

天乃の口元を濡らす

それを汚らしいと思うことなく

そして、拭うこともなく

天乃は閉じていた目を開いて、樹と見つめ合って、微笑む


天乃「いいのよ? したいことをして」

樹「……わかってます」

自分の中のスイッチはもう入っているのだと、樹は自覚していて

それでも暴走せずに

しっかりと手順を踏んでいこうとしているのは、愛ゆえだ

傷つけないように。痛い思いをしないように

優しく、暖かく、ぬくもりのある思い出になるようにと、

樹はずっと考えてきたからだ

そして、樹は3度目のキスをする

天乃「んっ」

樹「ん……ちゅ……」

今度は、押し付けることなく吸い上げるキス

天乃の唇の隙間から、僅かに吸い上げられていく唾液を口に含み、飲み込んで

それでも密着して、

視界の外

けれども探らずに、一度で天乃の手を握る


天乃「んぅ」

樹「んく……」

握ってきた樹の手を、天乃はギュッと握り返す

それを起点として樹は天乃の唇の両端を包むように押し、

唇を開かせて、舌を割り込ませる

天乃「んっ」

その瞬間

ピクっと天乃の体が反応したのを感じて、舌を引く

まだ早かったのかもしれない

そう考える樹の舌に、天乃の舌が触れ、誘うように引き

また触れて、また引く

樹「……………」

天乃「……………」

大丈夫だから。続けて

そう言いたいのだと、樹は判断して舌と舌を触れ合わせ、

慎重に絡めていくと

それに応えて、天乃の舌も絡みつく


天乃「んんっ、んく……んっ」

舌を絡めて解き、

舌先、表面、裏面を舐め合って、一旦引き抜くと

純粋な愛情を表すかのような透き通る透明の糸が二人を繋ぐ

樹「っは……はぁ……はっ」

天乃「ん……」

乱れた呼吸を正すこともなく舌を延ばし、舌先で触れ合って

舌を絡ませて、半開きの唇のまま、重ね合わせると

どちらとも取れない口の中で艶かしい音が反響する

その音を聞き、相手の舌を味わう中、

樹は空いていた左手を天乃の胸にあてて……ゆっくりと撫でる

天乃「んんっ、っ」

樹「んっ、んちゅ……んっ」

まずは揉まず、服の中にも手を入れずに

円を描くようにまんべんなく胸を撫でながら、それでも、キスを続けた


舌を通じて、天乃の体の熱を感じ、震えを感じ

どれだけ感じてくれているのかを感じ取りながら

樹は左手で乳房を撫でる

押しつぶすように強く、押し伸ばすように優しく

山を登るようにだんだんとてっぺんまで近づけて

天乃が不安にならないか

天乃の体が強ばっていないかと、注意を払い、胸を包むようにしながら

人差し指で乳頭に触れる

天乃「んっ」

ぴくっと天乃の体が動いたのと同時に

先端がちょっぴり隆起しているのを指に感じた樹は

つながっていた唇を離し、

天乃「はぁっは……んっ」

熱っぽい呼吸と、色っぽい表情の天乃を見つめ

樹「脱がします」

と、一方的に告げて、寝巻きのボタンを外していく

天乃は小さく頷いただけで抵抗することなく

インナーに包まれた上半身を、曝け出した


では、本日はここまでとさせていただきます

要:書き溜め

かもしれません


では、本日も進めていきますが
同様に安価はないかと思います


誰しもが着用する、無地の白いトップス

色気の欠片もないそれも、

胸の膨らみがあると、また別物だと樹は思った

そして

出かけていないためにブラジャーをつけていないこと

夏場で僅かながら汗に濡れていること

それもあるが、やはり

胸に引かれ、伸びた前襟から見える首筋が目を引きつけた

普段は主張することがないからこそ

それは隆起した胸よりも魅力的で、興味を誘う

樹「んくっ」

樹は思わず生唾を飲み込んで、鎖骨の辺りに顔を近づけると

ゆっくりと口を開いて唇で歯を覆い隠し、噛み付く

天乃「んんっ」

予期せぬ刺激に天乃の体が大きく震え、

樹は一旦離れたが、今度は舌を出して鎖骨のくぼみから喉仏のあたりまで舐めて

再びくわえ込む


ベタつきもネバつきもせず

当たり前のように言われるしょっぱさもない汗を舐め取りながら

樹は握り締めた天乃の手を離さずに

トップスの上から胸を揉み解す

乳頭の方へと搾り出すように

心臓の方へと押し戻すように

優しく。それでいて皮膚を摩擦する力強さを加えた手の動きに温められて

天乃が小さく呻く

天乃「っ……んっ」

樹「んちゅ……んくっ」

鎖骨の凹みにキスをし、わざと吸い上げながら離れて

淫靡な音を響かせる

天乃「い、樹……」

樹「わかってます」

天乃の寂しげな声に答えて、そっと唇を重ね、離れて

少しだけ角度を変えてまた重ねて、離れて。また重ねて

歯車のようにぴったりと唇同士が密着する位置を見つけ出し、舌を絡める


樹「んっ」

天乃「っ……んっ、んくっ」

樹「っ」

久遠さん……積極的だ

ただ受身に徹するだけだとは樹も思ってはいなかった

けれど、

離別の拒否を示すように

自分から舌を強く絡めて来るとは、思っていなかったのだ

舌にまとわりつく唾液が根こそぎ持って行かれるのを感じながら

樹は胸元からトップスの裾までゆっくりと手を這わせ、

天乃の柔肌に直に触れる

天乃「んっ……ふ……」

いきなり臍にまで行かず、腰回りをマッサージするように撫でて

地肌への接触に体を馴染ませていく

初めはビクビクとしていた天乃の体が、

落ち着きを取り戻してから、臍の窪みに親指で蓋をして押す


普段外気に触れることの少ない天乃の体は

一般の人に比べて、直の接触に関して敏感で

天乃「んぅっ」

押した瞬間、天乃が呻いたのを口腔で受け止めた樹は

ちゅぷりと淫猥な水音を零しながら舌を解いて、唇を離す

樹「くすぐったいですか?」

天乃「んっ」

天乃は声を出さず、ふるふると首を横に振る

その言葉にしないという仕草が

今この場では先輩ではなく一人の女の子であり、恋人であるという愛おしさを感じさせ

樹は小さく微笑む

樹「大好きです」

聞こえないことを口惜しく思い

それでも耳元でそう囁いた樹は耳たぶをパクっと咥え

中指と人差し指で天乃の脇腹をスッと撫でる


天乃「んっ……ふっぅ……」

ビクビクっと天乃の体が反応を示すと、

樹は親指で体の縦の中心線をなぞり

左胸を下から優しく包む

久遠さんの息、熱っぽい……大丈夫。ちゃんと出来てる

自分の不確かな技術

それでも天乃の気分を高められていることを実感しつつ

天乃の手を握る手の力を緩め、離れることを示唆する

天乃「っ」

怖いんだ……久遠さん

でも、大丈夫ですよ

熱っぽさに潤む天乃の瞳

無垢ゆえの不安をそこに感じた樹は服から手を抜き

頬をそっと撫でて、軽くキスをする

樹「大丈夫です。まだ、続けます」

天乃「ぅん」

目の前の表情に笑みが生まれ

握り締められていた手の圧迫が消えると

樹は微笑みかけて

両手で天乃の胸元へとトップスをたくし上げる

脱がせないのは

一気に脱がせると行為が寸断される上に

羞恥心が大きく揺さぶられ、行為自体に抵抗が生まれる可能性があるからだ


少しずつ、丁寧に。焦る必要なんてない

ここまで来るのに時間がかかった

大変な努力が必要だった

悲しいことや辛いこと、苦しいこともあった

だからこそ、

今流れていくこの遅くも早い時間の大切さを二人は知っていて

一分一秒。一瞬さえも大切に、丁重に扱っていく

そこに愛があるのなら。尚更

樹「んっ……ちゅっ」

天乃「んくっ」

力強さを感じる腹筋の周り、弱さと優しさの塊にキスをした樹は

アンダーバスト

胸の付け根を舌で舐める

天乃「んんっ」

対する天乃の体の反応で

他人がどうであるかを知らないが

少なくとも、天乃に関して言えば胸が性感帯の片割れであることを樹は確信した


天乃「っは……はっ……んっ……」

姉との練習はもっと手早かった

ほんの数分足らずでさっと終わるようなものだった

話に聞いたものだって、ああしてこうしてと、簡単そうだった

なのに、樹の行為はそんな想定をひっくり返すほど、丁重で

樹……ゆっくり過ぎる

こんな、染み込むようなやり方だなんて、聞いてないっ

天乃は思わず、心の中で叫ぶ

でも、嫌じゃない

一つ一つの行為、刺激に樹の愛が溢れていて

キスだって自分から求めてしまうほどには心地よかった

樹「ん……ズズッ」

天乃「ふぁぁっ!」

乳房を吸われ、甘美な悲鳴を上げてしまった天乃は、

気恥ずかしさに涙をこぼして、右手で自分の口を抑える

やめてと思う反面、もっとして欲しくて

でも声を聞かれたくない、出したくないという気持ちがそうさせた


天乃「んっんっ、ふ……っ」

樹「…………」

天乃の声が押し殺していたものから

押さえ込んでいるがゆえの、くぐもったものに変わったことに気づいて、

樹は顔を上げると

樹「……綺麗」

日の出の美しさを彷彿とさせるような天乃の薄紅色の肌に

思わず感嘆の声を漏らす

声を必死に我慢する可愛らしさと朱に染めた肌の美しさ

対極に近い二つを兼ね備える姿は樹の情欲を強く揺さぶり、

樹は自分の口元から欲望がツゥーっと伝い落ちていくのに気づいた

もっと味わいたい。もっと欲しい。もっと……気持ちよくさせてあげたい

思うやいなや、樹は天乃の乳房に吸いつきながら裾を引き上げ

天乃のコンプレックスになっていた桃と見紛うそれを完全にむき出しにすると

樹「んぁ………パクッ」

天乃「んんんぅっ!」

天乃の隆起した先端とその周囲の輪に、吸い付いた


では、ここまでとなります
明日はできるだけ早めの再開をしたいと思っています


安価はないので、スキあらば投下してできるだけ早めに終わらせる予定ですが
余裕がなければ数日書き溜めて一日でバッと終わらせるかもしれません

どちらにせよ、長引きそうです。すみません


では、本日も少しだけ進めていきます


愛情の味付けが添えられた天乃の体は

どんな高級な食材よりも、凄腕の料理人が手がけた最高級の逸品よりも

樹の心を満たし、体を満たす

樹「んっ、んっく、んっく」

天乃「っんっんんっ!」

天乃が体を快感に震わせる一方

樹は自らを授乳を求める赤子として吸い続ける

味はない。母乳だって出てこない

けれども、樹は吸いついていたいという思いが止まらなかった

唇に感じるたっぷりとした柔らかい乳房

噛み締めたらちぎれてしまいそうなほどに華奢ながらもぷっくりと立つ乳頭

その感覚に無味の幸福を感じるからだ

無垢色の乳輪を吸盤のように吸い上げながら

舌で先端にとぐろを巻き、絞り、

ちゅぽっ……と、口に空気が流れ込んできたのを合図に

果実の幹を甘噛みする


天乃「んっ!」

樹「んちゅっ……っ」

右の胸を舐め、吸い付き、咥えながら

左胸に切なさと寂しさを感じさせないようにと

右手で型崩れしないように揉みながら、中指、人差し指の順番で先端をぴんっと弾く

天乃「んっ、くっぁっ……っ」

唇で胸を揉み、手で乳頭をつまみ、クニクニと弄びながら

天乃の体の震えや嬌声の間隔が狭まってきていること

その反応がより大きくなってきていること

部屋に充満する恋人の香りに、だんだんと愛情が醸し出す淫らな匂いが紛れてきていることを

樹は感じた

樹「ん……ぁ」

天乃「あんまり、見ないで……っ」

樹が飲み込みきれない唾液が胸に滴るのを見つめ、

上気した顔をまじまじと見つめると

天乃は恥ずかしがって顔を逸らし、その動きがまた

樹の気持ちを加速させる

好きっ……好きですっ。ドキドキして止まらないっ

まだ天乃にしか刺激を与えていないのに、

ずっと望んできた行為ができている悦びを感じる体はもう、準備が整っている

それほどに樹は天乃を愛していて

だからこそ。それでもまだだと樹は唾を飲み込む


天乃「ん、ゃ……」

下着もパジャマのズボンも履かせたまま

左手で胸を愛撫し、右手を脇に滑らせて側面のふくらはぎの辺りまで這わせる

ここまでするのはやりすぎだろうか

おかしくはないだろうか

そんな考えを振り払い、樹は天乃の足を余すところなく撫で解しながら

少しずつ、股座との距離を狭めていく

自分が触れなかった所は、春信に奪われてしまうかもしれない

そんな心配・不安があるから樹は天乃の体の隅々まで触れ、味わい、愛す

ううん。そんなものがなくても、私はきっとこうしてた

樹はそう思いながら、視線を向けてくる天乃に、笑みを向ける

天乃「……いつきっ」

樹「好きですね、久遠さん」

天乃「んっ……好きっ」

正直に答えた天乃と唇を重ねて、舌を絡める

熱を帯びた口腔は最初よりもぬめぬめと暖かい


天乃「んっ、んく……んっ」

樹「んっ、ちゅっ……っは……んっ」

呼吸のために離れて、舌だけでキスをしながら

樹は左手で乳房を味わいつつ、右手で天乃の両足を少しずつ広げていく

悟られないようにゆっくりと

Tの字に近かった体制を、だんだんと大の字に移行させながらも

天乃の体に触れ続ける

全身を撫で回され、体がほぐれた天乃はどこもかしこも敏感で

少しほうっておかれた場所が疼いたかと思えば、樹の指先が触れて快感の刺激が脳を打つ

天乃「んっ……ふっぁ……私、なんか……」

荒々しく熱っぽい呼吸を繰り返す天乃の言葉に

樹は軽く頷き、天乃のえっちな所に人差し指を食い込ませる


天乃「んっ、っあぁっ!?」

一番敏感になっていたところの刺激

無意識に待ち望んでいた刺激が駆け巡った天乃は目を見開き、口を半開きにして声を上げ

秘部の辺りにヌメっとした不快感を覚えて涙を零す

天乃「あっあぁ、ゃ……なんか私っ汚い……っ」

せっかく愛してくれているのに

大事にしてくれているのに

大切なことなのに

粗相をしてしまったと溢れ出る涙を樹は舐めとって、唇を塞ぐ

見開かれた瞳と開いた瞳

視線が交錯し、天乃が目をそらすと

樹はそれを許さないとばかりに唇を吸い上げ、舌を吸い上げ意識を向けさせる


すると、天乃は樹の肩に手を押し当て、キスを突き放して

悲しそうに首を振る

天乃「ごめんなさい……私。下着の中が――っんぅっ!」

けれど樹は人差し指で天乃の割れ目をなぞり、摩擦して温める

天乃の吐息、自分の心音

それらに紛れてはいるが、くちゅり、くちゅりと淫猥な水音が微かに聞こえ

樹は天乃の陰部に触れる指を中指と人差し指の2本に増やして擦る

天乃「んっ、やっ、あっあっ……っんんっ」

樹「ん……」

樹は胸を揉むのを止めて左手を天乃の頬に添えると

自分の胸を胸に押し付け、嬌声溢れる天乃の口を口で塞ぎ

そしてなおも、下着と寝巻きの上から愛の窓口に間接的な接触を続ける


初めてではないにしても、慣れてない感覚なら戸惑うのは当たり前で

怖くて、不安で、申し訳ないと思うに違いない

それがなんであるかを知っていても

初めて自慰を試した時は粗相をしてしまったのだと思った

そんな経験があるからこそ、樹は天乃の謝罪の言葉も気持ちも何もかもを吸い上げて、奪う

天乃「んっ、んんっ! んーんっ!」

樹「んっ、んぅ……んふっ……コクッ」

天乃の悲鳴が口いっぱいに響き渡り、

見開かれた瞳に溜まった涙が続々と流れ落ちていき、体が大きくびくんっと跳ねたのを感じて

つぅーっと唾液を滴らせながら唇を解放して、天乃の手を取り

樹「触ってみてください」

と、樹は自分の湿った下着に天乃の手を触れさせる


樹「私もです」

天乃「はぁっ……はぁ……ぁ……はぁっ……」

樹「だから安心してください。体が気持ちよくなってるだけですから」

自分の意志でキスをした樹と違い、

呼吸が覚束なくなってしまった天乃はただ呆然と樹を見つめて

何がなんだかわからないままに、頷く

下腹部が熱い……じゅんってして、きゅんってして

樹の事しか、考えられない

ぼやけた思考のまま、天乃は樹を見つめる

樹が大丈夫というのなら。安心していいというのなら。と

天乃は信じきって、全てを委ねて

天乃「キスしたい……樹……」

と、求める


樹「焦らしていいですか?」

天乃「っ……ゃっ」

樹「冗談です」

ふるふると嫌そうに首を振った天乃に唇を重ねた樹は

自分の舌や唇

そこにまとわりついていた唾液がスポイトのように吸われていくのを感じながら

天乃の寝巻きの下に手を忍び込ませると、

食い込み気味ゆえに判る隆起した陰核を指で押す

樹の手首によってできた寝巻きの隙間から淫らな空気が溢れ出して

形容しがたい魅惑的なその香りに鼻腔をつつかれ、ただでさえ強く感じる自身の情欲がまた一段と強くなり、

さらに発情していくのを自身の股座の湿り気で自覚した樹は下唇を噛む

久遠さんとくっつきたい。久遠さんを全身で感じたい……っ

一歩先を要求する自分自身に、樹は待てと指示を出す


始めたばかりですがすみません少し中断します
21時頃には再開できるかと思います

言い忘れましたが、おそらく安価はありません


では、初めて行きます


天乃が性交渉の経験者ならこんな丁寧さなど多分必要ないし

自由に自慰が出来て、気持ちよさが体に染み込んでいるのならそれもまた必要なかっただろう

しかし天乃は未経験で、自慰だってしたことのない清廉潔白、無垢と呼ぶに値する少女だ

それは障害を持つがゆえに、守られた清純

言い換えれば神が作り上げた美しき純潔の供物

だが、そんなことなど樹には関係ない

ただ単に、ただ純粋に

純なる乙女である天乃と優しい愛を育みたいだけだ

天乃「んっ、んんっ……ぅ……」

天乃の恥丘に触れる指が感じる水気が擦り合わさって、

くちゅりぬちゅりと、艶かしい音を響かせる

そして、

羞恥と快楽の嬌声を口移しされる樹は天乃の体が一回目を迎えようとしているのだと気づき

絡まれるだけだった舌を逆に絡めて天乃の口の中を吸い上げていく


天乃「んっ、んっ、んんぅ!」

樹「ちゅっ……んちゅ、ちゅむ――っ」

口腔が吸い上げられて、下腹部の熱を押さえ込んでいた力までもがだんだんと上に向かっていくのを感じ、

天乃は慌てて樹の肩を掴む。けれど、樹はその不安と自身の息の限界が近いことを悟りながらも続ける

天乃「んーっ、んんっ! ふーっ! ふーぅっ!」

口を塞がれた天乃の鼻息の粗さ、その熱を身に受けた樹は

大丈夫ですよ。全部受け止めますから

と、心の中で囁き、その気持ちを天乃の舌に絡めて流し込むと同時に

天乃の陰唇のふち周りを擦る指を素早くし、快感を養分に実る小さな芽をつまみ上げる

その瞬間

天乃「っ―――んんんんんんぅぅぅっ!」

口の中に消えていく天乃の喘ぎ声が大きくなって

肩を掴んでいた力がかなり強くなって――だんだんと弱くなっていく中

下着によって防がれはしたものの、液化した快楽を指に感じた樹は

乱れた呼吸をし、放心する天乃のズボンを脱がせると

自分も下着姿になって、天乃と体を重ね合わせた


樹「気持ちよかったですか?」

天乃「き、聞かないで……っ」

樹「照れてる久遠さん、素敵です」

じゃなくて無敵かな。と

樹は余裕のなくなった自分の心に問う

けれど、もう我慢できないとばかりに欲望を押し出した心は、

天乃の呼吸もまとまらないうちにフレンチキスを行う

天乃「んっ、くっぁ……ぁっ……んっ」

樹「ん。ちゅ……じゅるっ……ズッ……コクッ」

舌から搾り取ったエキスを飲み干し、天乃の唇を舐めると

左右の胸を鷲掴みにして、胸の谷間をぺろっと舐める


天乃「ひっ、つあぁっ」

そのまま人差し指で乳頭を弄り、

手のひらと四本の指で揉んだり挟んだり絞ったりと乳房の肉質を堪能し

臍の辺りまでつぅーっと舌で舐めて味わう

天乃「ふっ……くぅぅぅっ」

達したばかりの天乃の敏感な体がビクビクと震ええているのを感じながらも

樹は天乃の臍の凹みを舌で掘り進み、唇でくわえ込んで……吸い上げる

天乃「んっ、っあぁぁっ」

樹「ちゅっ……じゅじゅ……じゅるっ……ズズッ」

溢れ出ていく自分の唾液

それによる淫猥さを演出する音を聞き、樹はハッとして顔を上げる


天乃「んっ……ぅ……ぅ」

ビクビクとしながら、口元に手を当てて必死に声を押し殺している天乃が視界に入り、

樹は自分の手がいつの間にか天乃の下着を半分ずらしていたことに気づいて、ゴクリと唾を飲んだ

ここから先は本当にデリケートなことだ

初めてでするべきかどうかと聞かれたら、ほとんどはしないべきだと言うかも知れない

でも、自分以外の誰かとエッチをするという確定事項が、樹を先へと促す

樹「久遠さん」

天乃「な、に……?」

樹「口をつけてもいいですか?」

その口づけの先が口や頬、手でも腕でも胸でもなく

自身のデリケートなところであることに気づくのには少し時間を要したが、

そこからは、早かった

天乃「や、優しく……してくれるなら」

直ぐに顔を背けてしまったけれど、その一瞬見えた照れくさそうな笑みと言葉は

樹の脳裏に写真のように強く貼り付く


樹「……はいっ」

樹の返答に、天乃は言葉を返さなかった

ただ、小さく頷いただけだった

その応えを受けて、樹は天乃の下着の上から軽いキスをすると、

浮き出た突起を唇で甘噛みする

天乃「んんっ!」

樹「ん……ちゅ―――じゅずズっ」

天乃「んくぅんんっ!」

樹「んぐっ!」

それごとシミを作る水気を吸い上げると、

天乃の腰が大きく跳ねて、淫らな唇と樹の唇は下着越しに強いキスを交わして離れる

鼻先に付いた愛の分泌液が醸し出す淫猥な匂いを感じても、

樹はもう暴走することなく、天乃の下着を脱がした


天乃「樹も、脱いで」

樹「え?」

天乃「私もする」

邪気のない天乃の言葉に、樹は少し驚きながらも

そういうのなら。と、下着を脱ぎ

どうするのかと聞くと、天乃はこっちに向けてと、要求する

つまりは俗に言うシックスナインという体位で行うということだ

天乃がその体位を知っているのかはともかく、

自分だけが気持ちよくなっていくのは嬉しくないらしい

その気持ちに、樹は心の中でお礼を良い、表に出てきてしまった笑顔を向けて体を横にすると

天乃の体も右手を上に横向きにして、抱き合う

樹「したことあるんですか?」

天乃「……ない」

樹「なら」

天乃「でも、樹がしてくれるの……ちょっと良かったから」

照れくささを押し隠しながら答えた天乃は、

ゴクリと生唾を飲んで、淫靡な香りを感じる樹の恥丘をぺろっと舐める

しょっぱいような、しょっぱくないような

ほぼ無味に近いさらっとした水気を飲み込んだ天乃はぺろっぺろっと、

樹の陰唇のぴったりととじたところを舐める

樹「っ……」

気持ちがいいというよりはくすぐったい方が強い

けれども確かな愛を感じる体が反応するのを感じた樹は

天乃の割れ目を指で開き、舌先を挿入する

天乃「んくっ!」

普段絶対にしないこと。感じないこと

それを受け、耐え切れずに声を漏らす

気持ちいい……ぞくぞくする……っ

未知の感覚に期待してしまう体の震えを受けた天乃は

樹にされているように、割れ目を押し広げて舌を挿入しようとしたが、

穴が小さくて入っていかない。それもそうだ

逆さになっている以上、穴の位置も逆になっているのに、

膣口ではない方に挿入しようとしているのだから当たり前だ

そしてそれゆえに偶然、小さな出口の上にある快感のレバーを舌で舐め上げられた樹は

樹「んぎゅっ!?」

天乃「っあぷっ」

不意をつかれた衝撃で思いっきり体をのけぞらせ、

秘部を天乃の顔に押し付けてしまった


そして

天乃「んぶっ……んっ――あむっ」

あろう事か、目の前が真っ暗になった天乃が快楽のスイッチをくわえ込み、

飴のように舌上で転がしてくれたおかげで、

樹「ひぁっ……だっ、ぇ……あっんぁああっ!」

樹は準備万全だった下腹部の熱を天乃に向かって一気に放出して、

一瞬で意識が飛びかけて、脱力する

天乃「ぅ……濡れた……」

樹「ぁ……ぅ……はっはっ……あぅ……はぁっ……はっ」

一気に持って行かれた樹は肩で息をして、

あっけにとられて動きの止まった天乃の愛欲の挿入口の内回りを舌でぐるりと一周する

天乃「ひあぁっ」

天乃の口から心地いい悲鳴が聞こえ、樹は満足げに頷き

快感によって皮から露出した陰核を舌で舐め、咥えると

ずずずっとわざと空気を含んで吸い上げる


すると、刺激に驚いた天乃の腰が引けて、

咥え込まれた敏感な所が唇にしごかれ、さらに強い刺激で天乃の脳を痺れさせ

天乃「んくっぅぅ――っあぁぁっ!?」

天乃は思わず、今までよりも大きい悲鳴を上げる

この声……好きです

意地悪な意味ではなく、純粋な好意で樹は思う

偽りのない声

幸せであるからこその声

それが春信のためにも出てしまうのだろうかと、

樹は考えないようにと首を振る

気持ちが良ければ声は出てしまうし、

天乃が春信に対して異性としては高い信頼と好意を持っていることを樹は知っているからだ


樹「………」

樹は体を起こし、顔と顔が向き合う体位に戻すと

手を握り締めて、自分の愛欲に濡れた天乃の唇にキスをする

普段から感じる優しい匂いと、今だからこそ感じる愛情の匂い

二つが混じりあった幸福感を感じる樹が天乃の体に自分の体をすり寄せると

天乃の乳頭と自分のそれがぶつかり合って、絡み合い、

合わせるように舌を絡め合う

身長が同じだからこそ、どちらも無理なく唇を重ねられるし体は同じところが密着する

樹「んっ、んっ……ぬちゅ……ちゅっ」

天乃「ぁっ……っ、んふ……んっ」

舌を絡めながら、呼吸のために唇だけを離すと

ぴちゃぴちゃと普遍的な音が聞こえたが、二人にとってはとてもえっちな音で

紅潮した表情を向け合い、見合う二人は舌も唇も離れさせると、

困ったように笑う


キスが好きです

キスが好きなの

同調した仕草に込められた想いや言葉も合わさっていて

それに気づいたからこそ、天乃は樹の手を引き倒し、樹は天乃の体を押し倒す

左足を重ねて、右足を重ねて

秘部を重ねて、臍を重ねて

胸を押しつぶして、肩を重ねて、天乃の体に樹の体が蓋をする

樹「キスできないですね」

天乃「私の胸のせい?」

樹「おあづけにします?」

天乃「まさか」

天乃が即答すると樹は苦笑して、

両手を握り合わせたまま、天乃の頭の両脇に手をついて

足を外側に配置して覆いかぶさる


天乃「良いよ……私を導いて」

樹「無自覚で言ってるのなら、凄いです」

天乃「ぇ――んむっ」

離れるたび、間があくたびに

的確に情欲を揺さぶってくる天乃を賞賛し

大好きなキスを、プレゼントする

そのまま体を下ろしていくと、胸が初めに重なって次に腰が重なることに気づいた樹は

胸を圧迫しながら、陰核を接触させる

天乃「んっ」

樹「っ」

押しつぶされていくのではなく

上下左右に逃れようとしているがゆえのすり潰されていく感覚に

天乃と樹は嬌声を共鳴させて、手を強く握り合ったが

樹「久遠さん、手を離してください」

樹はそう言うと、まずは自分の手を緩める

天乃「う、うん……」

この体位でもできないことはない

けれど、すり合うための動きが少ししづらかった樹は

自由になった手を、天乃の脇下に通して後ろから肩を掴んで固定すると

まずは胸から、ゆっくりとすり合わせ始めた


隆起した小さな芽が互いに押し合って寄り添いあって絡み合い、

大きさの異なる乳輪が接触し、天乃の乳房が押し潰れていく

くりゅくにゅ……と、僅かな硬さのある乳頭の感触

むにゅ、もにゅ……と、硬さがなく押した形にフィットしてくれる乳房の感触

樹は波を打つように体をくねらせながら天乃と体を接触させ、それを感じとる

枕にしたい……

そんな欲望を抱く頭を振り、樹は押しつぶす動きから乳頭だけの軽い接触へと切り替える

天乃「んっ、やっ……なにこれっ……」

樹「っ……んっ」

側面を擦らせたり、先端でキスをしたりと

やっている自分でさえ、こそばゆくなってくるようなかすり程度の触れ合いだが

だからこそ意識はそこに集中してより敏感になっていく

天乃「んっぁっやだ……体が変……恥ずかしいっ……」

そんな軽すぎるものでも感じることに気恥ずかしさを覚えた天乃が呟く

かすかな接触でしかないのに、下腹部はきゅんっと疼き、

奥底の熱がまた貯まり始めているけれど、それ以上は絶対に上がりきらないという停滞を察したのだろうと感じた樹は

天乃の乳房を押し上げるように体を押し付け始めた

天乃「んっ、っ……く……んんっ」

揉みあげられるのと同時に、すり潰されていく胸の奥

刺激を受ける乳腺から感覚を受けた天乃は思わず嬌声を漏らす

胸が弱いの……? 私

以前春信が言っていた強く感じると言われる性感帯がそこであることにようやく気づいた天乃は

樹が既に気づいていたことにも気づいたが、遅く

樹「いただきます」

天乃「あっ、やめ、やっ、んんっあぁっ!」

揉み解され、温まっただけでなく、

度重なる焦らすような触れ合いに敏感になっていた乳首に食いつかれた天乃は

びくんっと反応し、上体を大きく逸らして体を震わせる


天乃「や、やぁ……吸わないで、やだっ、んんっ!」

樹「んちゅ……ぺろっ」

天乃「ひゃぁっぁ……ばかぁっ」

吸わないから舐める。なんていう行動を取ってきた樹にそういったのが……悪かったのだろう

樹は何も言わず、咥えこんだまま天乃へと目を向けると

絶対に良い意味ではない満面の笑みを浮かべた

天乃「やったら許さないからっ、許さなっ……んっんんぅっ!」

天乃に言い終えさせることなく、

聞こえないこともお構いなしにちゅーっとわざとらしい音を立てて吸い上げると

ビクビクっと体がはねたのを感じて、

樹は舌先で先端の中央の母乳が出るであろう開口部を開かせるように乳首を何度も甘噛みする

噛むたびに味が出るわけではないが、びくっびくんっと反応し、

押し殺した声を漏らす天乃の反応もっと出したくて舌でこね回し、乳輪大の大きさにすぼめた唇で乳房を吸い上げた


天乃「はぁっはぁっ……ぁっ……」

樹「久遠さん、体震えてます」

きゅぽんっと、スポイトらしく可愛らしい音とまではいかなかったが

水気の感じるちゅぱっ……という音が鳴るほどに吸い付かれた天乃は

今もなお残る感覚に空気が触れるたびに感じて、嬌声を漏らして震える

天乃「弱いの……だからっ」

樹「好きなんです。久遠さんのおっぱい」

天乃「ぅ……」

嘘でもいたずらでもない

本当に好きだ

味なんて関係なく、大好きだ

だからこその言葉に、天乃は気持ちよくなるから。なんていう理由で拒絶出来る訳もなく

天乃「わ、わかった……好きにして。揉むなり吸うなり噛み付くなり。貴女の気持ちを。私に刻んで」

樹「刻み込んじゃいます……久遠さんの体に私の気持ちを」

樹はそう言うと、

手で揉めない代わりに自分の胸を押し付けて揉み合い、

口いっぱいに乳房を吸い上げ、もみゅもみゅと頬張って

唇を這わせて、乳頭を咥えるのではなく

きゅぽっと音を立てたがるように、勢いよく吸い込む

けれど、

樹「んっぁっ!」

天乃「んくぅっ」

天乃もされるがままというわけはなく

伸ばした右手で樹のへそ周りを撫で回したあと、

ぷっくりと僅かながら頭を見せる陰核を中指の腹で摩って、反撃する


樹「んっ、久遠さ、そこは――ぁっ」

天乃「知らないっ」

樹「んくぅっ!」

中指で撫でられ、人差し指と中指でギュッと摘まれた樹は

目を見開いて体をのけぞらせると、戻りざまに天乃の乳房に食らいつく

天乃「んっ!」

樹「……次久遠さんが摘んだら。ここが伸びることになりますよ」

天乃「うっ……」

脅しに天乃が躊躇ったのを見計らって、樹はにやりと笑う

樹「それでも吸いますけど」

天乃「そんなのズル――んんっ!」

勝負なんてしていない

ただ、どちらも今この行為の終わりが見えてきて

それを終わらせたくないがために、先送りをしているだけだ

体を震わせた天乃が熱っぽい吐息を漏らして、樹を見つめると

樹は軽く頷いて腰を下ろし、恥丘に隠れ潜む快楽の建造物を接触させる

樹「ゆっくりやりますね」

天乃「はっはぁ……ん……無理、私もう我慢できない」

樹「大丈夫です。私もですから」

先延ばしにするための責めあいは体の準備を万全にしていて

ただ接触させただけの刺激でも一瞬、てっぺんに達しそうな快感を受ける

困ったように笑った樹が、ゆっくりと体を動かし始めた


陰核だけでなく、陰唇も触れ合って擦れ合うために、

挿入のための潤滑液が擦れて、くちゅり、くちゅりと卑猥な音を立てて

摩擦によって発生する隠微な匂いに、樹は情欲を促されて、生唾を飲む

耳と鼻……久遠さん、感じないんですよね

それを残念に思いながらも決して顔には出さずに樹は淫らな触れ合いを少しずつ加速させていく

くちゅり、くちゅりというのんびりとした音が

くちゅっ、くちゅっ、くちゅっと速さを増して

ぱちゅっ、ぱちゅっ、ぱちゅっと激しさを増していく

擦り付けるだけだった腰の動きはいつの間にか打ち付けながらすり合うものに変わっていて

二人の乱れた呼吸と熱っぽさが、同調し始めた

天乃「はっはっはっ……んっ、ぁっ……んっ」

樹「はぁっ、はぁっ……んんっ、くっ……んんっ」

天乃「激し……んんっ、あっあぁっ、樹っ、いつきぃっ」

樹「久遠さんっ……んんっっぁっ、はっ、はっ……ぁっ……んっ」

キスしたい。キスしたい……ちゅーしたいっ

そう思い、願いながらもできないもどかしさを感じながら

天乃は右腕だけで樹を抱き、樹は両手で天乃の肩を抱き

すり潰すように強く、敏感なところをぶつけ合い、

唇代わりの淫らな唇同士でキスをして――

快楽の一線を一緒に超えて、嬌声を響かせた


では、此処までとさせて頂きます
8日含め、できれば通常時間という形になります
連絡なしにない場合もあります


今更思い出しましたが、本題の喪失がまだなのでもうしばらく掛かるかと思います
ご了承ください


では、初めて行きます
例によってもうしばらく安価はないと思います
ご了承ください


夕焼けが明るさを損なっていき、暗闇に包まれていく室内で

二人の少女は折り重なったまま、動かない

同時に達した熱は冷めず、下腹部の疼きも止まらない

ジンジンするというべきか、きゅんきゅんするというべきか

そんなくだらないことを考えてみても、気は紛れず

天乃の唇に目を向けてしまった樹は許可なく口づけをする

天乃「んっ……んくっ」

樹「っ、んっ……っは……んっ」

けれど、天乃もまたそれを望んでいて

拒否することなく、逆に求め自ら唇を吸う

舌を絡めず、唇を合わせたり押し潰したり

呼吸をしっかりと挟みながら、何度も何度も熱烈なキスを行う

離れるたびにちゅぷ、ちゅぽっと音がする

世界は二人のその世界を壊さぬようにとしているかのように静寂に包まれ

時間は静止したかのように、絶妙なオレンジ色の照明を差し続ける


唇を合わせるたびに押しつぶされる胸

擦れる乳首の心地よさに震えながらもキスを求め

情欲の器からつぅーっと伝い落ちていくのを感じながらも、二人は繋がって

冷めない熱をさらに温めると

樹は自分の鞄からこの日のためにと用意をした双頭のディルドを取り出す

天乃「っは……はぁっ……んっ」

樹「これを、入れるんです」

天乃「はい、るの……?」

樹「大丈夫です」

一般的なサイズは知らないが、

自分の割れ目のサイズからこのくらいなら平気だろうというサイズを選んである

それに

天乃「んんっ!」

天乃の恥丘に触れると、ぬちゅりと淫猥な音が響き

中指が膣口の中に入りかけるくらいには準備が整っていた


樹「久遠さんのここ、指一本なら入りそうですよ」

天乃「な、なんで言うのよ……っ」

樹「久遠さんが、可愛いからです」

天乃「っ、んっ」

褒めながら、人差し指の腹で割れ目を数回なぞって

指先に少しずつ力を入れていく

押し込むのでもねじ込むのでもなく

すり込むように、ゆっくりと膣口に沈み込ませていく

天乃「んっ、くぁ……ぁっ――んっ」

ビクッびくんっと快感に震えだす天乃の情欲の扉がだんだんと重くなっていくのを感じた樹は、

天乃と唇を重ね、舌を絡めて意識を逸らす

天乃「んっ、んんっ、んぁ……」

樹「ん、ん……んくっ……ちゅ」

力を抜いてなんて言ったら意識させる。だから、抜かせるんじゃなくて、抜き取る

学んだことを頭の中で繰り返し、天乃の舌を味わいながら

樹は中指の第一関節が沈んだことに感覚で、気づくとクイッと、曲げた


天乃「っ!?」

びくんっと天乃の体が仰け反り、

不慣れな感覚に戸惑う天乃の瞳が泳ぐ

何が起きたのかわからない

ただただ、内側から快感に貫かれた痺れだけを感じる天乃は

自分の秘部がなにか小さなものを咥えていることに気づいて、目を見開く

樹「もう少し動かしますね」

天乃「動かすって、樹。何入れて――っぁっ!」

奥に進まれるとその何かに吸い付いた恥丘が擦れ

抜き出されると、内側の肉壁が擦られる上に、

樹の指に挟まれた敏感な突起がつまみ上げられ、扱かれる快感に

天乃は耐え切れずに嬌声を上げて、体をよじらせる

天乃「やっ、あっ、あっ……んっ……いつきっ、やっ」

樹「ん……ちゅっ」

天乃「んんぅぅっ!!」

心地よさに呻き、シーツを握り締める天乃の右手

それを一瞥した樹が乳首に吸いついて甘噛みすると、天乃は腰を大きく震わせて――達する

迸った愛の雫を受けた樹は自分の手を舐めて、頷く


挿入する前に重要なのは感じさせて、

潤滑剤の代わりになるものを出してもらうことだが

挿入時に大事なのは、それが気持ちのいいことだと体に知ってもらうことだ

男性器のように、生命の躍動を感じるものならばともかく

無機質な愛の代行者を利用するのならそれはとても重要なことだった

特に、まだ処女である上に自慰の経験がない天乃は快感に不慣れで

確実に心地よさよりも痛みが上位に来る

だから、天乃の性感帯を刺激するのに合わせて挿入を行い

それにより心地よさであると錯覚させる

天乃「はぁっはぁっ……んっ」

何度か達した天乃の膣口がヒクヒクと震えているのを確認し、

樹は人差し指と中指をくっつけて自分の秘部を擦り、濡らすと

その二つの指を横ではなく縦に重ねて、天乃の割れ目に挿入していく


天乃「んっ……く、ぁ……あぁっ」

ぐにゅっ……と膣内に指の第一関節まで挿入し

上に重ねていた中指をゆっくりと人差し指の横にスライドしていくと

ぬちゅ、くちゅ……と淫らな音が部屋に響いて

くぷ……っと、二本の指が横並びに変わると同時に

天乃「んくぅっ!」

天乃がびくんっと、快感に跳ねる

挿入の心地よさを知り、窮屈な中に二本差し込まれた天乃の入口は強く収縮し

樹の指を締め付けることで、さらに内壁がこすられて、気持ちよくなっていく

樹「わた……しも」

天乃のよがる姿、嬌声、淫らな音と匂いにすっかりそそられた樹は

空いた手を自分の陰部に触れさせて、ゆっくりと刺激しつつ

天乃の割れ目に差し込んだ指を少しだけ開き、時計の秒針のように傾けていく


天乃「んんっ、んっ、っ、んぁっ……あっ、やっ、樹っ」

入口がほぐれていくと、

今度は指の第二関節まで挿入し、第一関節まで引き抜き、差込、引き抜き

指をぐるりと回して内側を刺激し

内側の感じる部分を探して、内壁に指の腹部を押し当てながら

摩っていくと、ほんのわずかに膨らんでいるようなところを見つけて撫でると

天乃「まっ、だめっ!」

天乃からの強い拒絶を受けて指を止める

少し、圧迫しすぎたかな……

そんな樹の心配のとおり、天乃はすごく恥ずかしそうな表情で、漏れちゃう。と呟く

自分で挑戦済みの樹と違って、天乃はやはり一からなのだ

それでも、樹は見放すことなく天乃に口づけをして

さっきよりも優しく、なめらかにさっき見つけた部分を摩っていく

すると

天乃「んっ、っ、ぁっ……んっ、ぅ……んっ」

最初はおびえるような声だった天乃の声に、喘ぎ声が混じり始めた


ではここまでとさせていただきます
長くても今週中には5日目を終わる予定です
ここまでいちゃつけてなかった八つ当たりで長いのかもしれません。すみません


春信に関してはそこまで長い描写の予定はありません
そういう系統の話ではありませんので。ご了承ください


では、少しだけ進めます


樹「久遠さん、気持ちいいですか?」

そう尋ねると恥ずかしそうに頷き、

天乃は樹を見つめて、答える

天乃「でも、なんか変……開けられちゃってるの……」

指による開口が初体験な天乃は不安そうだった

もちろん、指以外での開口もしたことはないし、

洗う時はもちろん、若干開くけれど、

内壁をこするような開き方はしたこともされたこともなかったからだ

天乃「でもね、悪くない……」

不安と困惑の入り混じる表情を浮かべる天乃は、小さく笑みを浮かべる

それが可愛らしくて、ドキドキさせられて

樹はごくりと喉を鳴らして、

天乃の敏感な場所を指先でマッサージするように刺激していく


天乃「んっ、んっ……くぁっ」

天乃の体がだんだんと感じやすいものになっていき、

卑猥な水音がより一層激しさをまして来たのを確認した樹は、

自分の膣口もしっかりと準備が出来ていることを確認して、頷く

本当は天乃の手で入れて貰いたかったが、

天乃「はっ……はぁ……ぁっ」

びくんっ、ぴくっ。と、

快楽に打ち震えている状況では出来ないだろう

そう思って自分でディルドを握ると、その手に天乃の手が重なって止まる

樹「久遠さ――っ」

どうしたのかと目を向けると、天乃は自力で上体を起こし、

樹のことを押し倒すと、瞳を見つめ、告げる

天乃「てつ、だわせて……」

まだまだ震えている声

それでも、頑張ろうといている

それでも、ちゃんと考えてくれている

樹「……はいっ!」

その嬉しさに、樹は満面の笑みで答えた


とはいえ、

自分のですら殆どいじった事のない天乃が簡単に入れられるわけはなく、

樹は左手で自分の陰唇を押し広げると、

天乃の手と自分の手に握られたディルドの片方の先端を、

出口ではなく、入口に押し当てる

樹「そこ……です」

天乃「わかった……」

先端が触れただけでぬちゅりと音がする樹の陰部は、

既に練習済みのおかげか、ディルドの先端部分は割合楽に沈み込んでいく

ぐにゅ……くちゅ……くぷっ……

そんな恥ずかしくとも淫猥な音に耳を刺激され

ディルドの隆起した部分にぐりゅっと敏感な部分をこすられて――

樹「っあぁぁっ」

思わず嬌声を上げる


半分ほど達した樹の膣口付近はより一層艶やかに濡れ、

滑りの良くなったディルドはさらに進んで、かすかな抵抗に止まった

樹「ぁ……」

ほんの少し破けたのか、

奥底でピリっとしたかすかな痛みを感じ、樹はそれが膜であると気づいて深呼吸する

ほぐしたりなんだりしたとはいえ、喪失の痛みは半端ない。と、見た樹は

緊張する体をリラックスさせるために、天乃を見つめる

樹「ちゅー……してください」

天乃「深く?」

樹「久遠さんを味わえる方で」

そう言うと、天乃がしてきたのはやっぱり。フレンチなキスだった

唇を重ね合わせ、押し開くと舌を挿入して絡める

ネットリとした熱と唾液が流れ込んでくるのを感じながら

樹は天乃の手をポンポンっと叩いて、先を促す


樹「んちゅ……んっ」

天乃「っは、ぁむ……んんっ、っぁ、んん……」

天乃と唇を合わせ、舌を絡めていると

下腹部に入り込んできている異物がぐりゅっと内壁を削り

ミリ単位のスピードだった速度が一気に加速して、ぐちゅりと――貫く

樹「むくぅぅぅぅっ!」

その瞬間

快楽の熱とは違う、ヒリヒリとした熱さを感じた樹は、

とりあえず動かすべきではないと、天乃の手を握って動かせないようにする

天乃「っは……平気?」

樹「っ……」

ピリピリとした痛みは引いてきているものの、

それのせいか、淫らにパクパクとする自分の秘部を一瞥して、

樹「ちょ、ちょっとずつ私のことを突いてくれませんか?」

痛みを消すため、和らげるために。樹はそう言った


では、此処までとさせて頂きます
あすも可能であれば勧めていく予定となります

土曜日までには、エッチは終わるかと思います



この流れでアレですが、例のルート分岐後です
http://www46.atwiki.jp/anka_yuyuyu/pages/73.html
縦書きがいいなど何かありましたら、お願いいたします


>>1疲れてるよね
wikiで縦書きって注意してるのに>>812で縦書きが良いなど。。。って
オマケでも本気になってくれるその姿勢は好きだし嬉しいけど多少サボって良いんだぞ


初めようかと思いましたが、
明らかにこのスレの内容が引っかかってる変更があるみたいですね

ただ、このスレを落として向こうで途中から。というのは
スレの重複などの問題があるらしいほか
管理者によるスレ移動が可能らしいので

このまま続けてしまおうかと思います


では、初めて行きます


樹のお願いに答えて天乃がゆっくりと引くと

ぐちゅり、ぐちゅ……という音が樹の秘部から零れ落ちていく

強く意識をすると胎内の無機質感を感じるが、

どちらかと言えば入り口部分の咥え込んでいる感覚のほうが強く

それよりもじわっと広がる痛みのほうが強い

樹「っ……」

気持ちよくしていても痛いのか

それとも自分が意識しすぎていたから敏感に感じてしまっているのか

それを考えつつ、天乃を見ると

彼女もまた、樹を見ていて……二人は何も言わず

ただ、それが当たり前であるかのようにそっと唇を重ねた

陰唇の内側に巻き込まれるような感覚は、

吸い上げられる唇とリンクして

挿入されたディルドの感覚、咥え込んでいる異物感は

天乃との熱っぽい舌との絡み合いに紛れていく

樹「んっ、っ、っぁ」

天乃「んちゅっ、ちゅ……んくっ」

その間も、天乃の手が決して止まることなく上下に動いていたおかげで

樹の体は痛みに慣れ、

快感を得る余裕を取り戻し、心地よさが感覚に戻り始めた

久遠さん……温かい……

舌先で触れ合い、味わって、唇を押し付け合い、支え合う濃密なキス

抱きしめられているわけでもないのに、体の内側からも外側からも

その温もりに包まれていく樹は

下腹部の痛みがさっきまでの熱に変わったのを感じて

天乃との接吻に意識を集中する


そして

自分の子宮口にまで愛欲の採掘機が掘り進んできているのを感じながら

樹は天乃の手の動きに合わせて、腰を動かす

くちゅ、ぷちゅ……という軽い音

ぐぷ、ぐちゅ……という鈍い音

それらを織り交ぜ奏でる淫らな体が快感を得て、高ぶっていく

痛みは無い。ディルドの無機質な冷たさもない

ただただ暖かく。心地良い

……男の人が相手だったら。初めからそうなのかな

と考えて、樹は首を振る

考えたくないからではなく、その必要が無いからだ

世間がなんと言おうと、

樹は天乃以外に恋愛的な感情での好意を抱くつもりはないし

それに通ずる行為もまた、する気は無い



でも、天乃にはその選択権が無い

したくなくても一度は必ずさせられて、子供を作らされる

一人じゃなく大勢作れ。限界までやれ

そう言われてたらと思うと、

樹は天乃を独占したい気持ちが湧き出てくるのを感じて

天乃「んむ……んっ」

樹「ズズッ……」

思わず、天乃の口腔を吸い上げる

こういうのだけは、春信にも許さない

本当の本当の気持ちはえっちだって許したくない

でも、しなければいけない。しなければ天乃を失う

そういわれたら、許すほか無い

それさえなければ、

いまもまだ普通にキスだけがえっちなことだっただろう

それもこんなディープなものではなく、軽くて健全なキスだ

でも、今はそんな義務のある現実に生きていて

こうして、エッチなことをしている

だから樹は天乃の顔を抑え、舌を絡めたまま思いっ切り唇を押し付けると

唾液の糸を繋いで離れる

天乃「っは……はぁ、もぅ。激しすぎるわ」

四肢をベッドに投げ出し、肩で呼吸する天乃の艶やかな姿を見て

自身の秘部に埋め込まれた擬似的な異性の証を見て

樹は自分が男の子だったら

もちろん、強姦になりかねない優しさの無い性交はしないけれど

もっと全力でしてたかも。と、苦笑する

樹「久遠さんのここも、準備出来てますね」

そういって、天乃の割れ目に触れるとぬちゅ……と

潤滑剤代わりの水音が艶かしく響き、

天乃「う、うん……恥ずかしいけど。期待してるんだと思う」

天乃は照れくさそうに、答えた



音も匂いも感じない。両足も動かない

けれどしっかりと感じる体やその愛の窓口が

期待に震えているのを、天乃は感じていた

その恥らう姿に、

もう何度目かも分からないほど刺激され、

促されてきた情欲を振るわせた樹は

挿入しやすいように、天乃の股をもう少し開くと

少しずつ入れて行きますね。と、天乃に告げて先端部分をつき立てた

天乃「っ」

樹とすることだから怖がらないように

そう思っても、体はビクつく

戦いに慣れた体

傷つくことが当たり前な精神

それでも怖じ気付いたように震える自分は女の子なんだと

天乃はここに来て改めて思って、樹を見つめる

天乃「樹」

樹「なんですか?」

名前を呼ばれたとき、樹はキスを求められると思った

天乃はキスが好きだし、自分もしたから天乃も……と

だけど、天乃は唯一動く右手を樹の頬に当てると

そんな予想を裏切って

天乃「私に、女の子の痛みを教えて」

と、誘う

樹「っ」

あぁもう

どうしてそんなに可愛いんですか

どうしてそんなに色っぽいんですか

どうしてそんなに……人を魅了しちゃうんですか

襲いたく、なっちゃうじゃないですか

呆れ、喜び、高ぶる樹は嬉々とした表情で頷くと

天乃の手を握り、キスをしてゆっくりと挿入を始めた


樹「んっ……」

初めは天乃の膣口を開くことはできず、

むしろ挿入する側である樹の中が更に奥へと抉り込み、子宮口への圧迫を感じて呻く

痛みが消えたとは言え、動いていないと明確に異物感を感じる樹は

中の口までこじ開けられてしまわないか不安に思いながら、天乃の秘部を押していく

天乃「っ……ぁ」

ぐにゅ……と、かすかな侵入を感じ

呻く暇もないまま、ぐぐぐっと入り込んでくる感覚を覚え、

涙を溜めた瞳を見開いて、樹を見つめた

天乃「さ、さっきと違う……っ」

樹「指2本……っ、ぅ……とは、違いますから」

樹の指による軽い拡張と似たものを想像していた天乃は

その不快感と心地よさのアンサンブルに戸惑って、

その様子を見ながらも、樹は自分の腰を押し込んでいく


一気に突き破ることがないようにと、

慎重に慎重を重ねているからか、

天乃の恥丘からはぐぷぷ……っと、

愛液が空気を含み、破裂する音が連続して響く

その汚らしいとも思える音も

今の空気の中では気分を高揚させるものでしかなく、

天乃に挿入しているという悦びを

下腹部の感覚、目と耳で感じる樹は天乃の腰を少しだけ持ち上げて体制を変えると

天乃「んむっ」

天乃の唇を――奪った

樹「んちゅ、んっ、んく……ん……」

自分は男で天乃が女

そんな錯覚を覚えているわけではないけれど、

かすかな支配感を感じる樹は少し、暴走してしまったのだろう

天乃「んっ、んんっ……」

舌を絡めて絞り上げ、裏筋を舐め、表面を舐めて舌の感覚を麻痺させ、

天乃「んっ……んふ……ん、ぁ……」

樹「っは……あむ……」

天乃の舌を引っ張り出して、咥える


天乃「ぅぁ……あ……」

樹「ん……んむんむ……」

天乃の舌を唇で揉みしだき、

天乃の体から力を奪い去って……解放する

天乃「っぁ……」

半開きの口、はみ出た舌に、溢れる唾液

淫欲を誘うような天乃の骨抜けな状態を見つめながら、

樹はディルドへの軽い反抗を感じて、腰を止める

樹「久遠さん」

天乃「ぅ……?」

樹「多分、膜に当たったと思うんですけど……痛みはありますか?」

天乃「ん……特には」

天乃の表情に嘘や我慢を感じることはなく、

樹は「なら良かったです」と、自分の陰部に突き刺さったディルドが、

薄いピンクっぽい色で汚れているのを見て、息をつく


きっと、運動してきた人と、運動してこなかった人の差だろう。と、

樹は思った

体が柔らかい人など

運動系の女の子はその運動の途中で膜が破れてしまう人もいる。というのを

処女について調べてるときに知ったのだ

天乃はまさしくそこに該当していて

完全に破れはしなかったが、少し破けていて痛みをそこまで感じないようになっているんだろう。と

樹は考え、頷く

これならすぐにでもいけるはずだ

樹「……じゃぁ、もらっちゃいますね」

天乃「うん――んっぅ……」

ぐぐぐっ、ぐっ……ぐちゅ……っと

ある一線を超えたのを感じ、襲ってこない痛みに首をかしげると――

ヒリヒリとした痛みがじわっと広がってきて、

天乃「んにゅっ!」

思わず、変な声を上げた


天乃「じわじわくるっ……んんっ!」

樹「ゆっくり動かすので。痛かったら言ってください」

言うやいなや、下腹部に力を込めて抜けにくくすると

樹はゆっくりと腰を引き、数センチ出てきたらまた挿入する

天乃「んっ、くぁ……っ、んっ」

くぷ……くちゅ

ぐちゅ、くちゅ……と

艶かしい音をさせながらそれを繰り返していると

天乃の表情が苦しそうな顔から、

熱っぽく可愛らしい表情へと戻っていくのを見て、

自分と天乃の架け橋を見つめると

天乃の割れ目からもほんの少しだけ赤っぽいピンク色の液体が零れ出しているのが見えた

天乃「んんっ……はぁっぁ……」

樹「大丈夫ですか?」

天乃「大丈夫……それより、お願い。動いて」


天乃「私のこと、もっと強く……突いて」

自分の中にある異物感

その不快感が嫌なのか、男子には絶対に聞かせたくないことを言う天乃に対して、

樹は唇を重ねると、鈍速だったピストン運動の段階を上げて、突き始めた

天乃「んっ、っぁっ」

樹「っ、はっ、はっ……んっ、んくっ……はっ」

くちゅ、くちゅ、くちゅっという艶かしい音が、

ぐぷっ、ぐちゅ、ぐちゅっと激しさを増した淫猥な音へと変化していく

これが自分の本当の性器だったら

陰核がこの中で扱かれていたら……

樹「……ゴクッ」

ありえないことを想像した樹は、

途中までしか差し込まなかったディルドをさらに押し込むように打ち付け、

天乃の子供部屋を叩く

天乃「ひぁっ!」

樹「んっ!」

それは同時に、樹自身の子宮口も叩くことになっていて

天乃が仰け反ったのと同時に、樹も体を震わせた


内側から強く押し上げられるような感覚

それは苦しいのと同時に、

とてつもない心地よさを感じさせる

樹「はっ、はっ……ぁ、ぁんっ」

天乃「んっ、ぁっ、ぁっ、っぁ……んっ」

ぐちゅ、くちゅっと喘いでいた陰唇は、

深く打ち付けることでキスするようになったからか

ぱちゅっ、ぱちゅっとより淫猥な音を出し始めた

けれど、

樹は腰を打ち付ける速度を落とすどころか

より強く、より早く動かしていく

樹「はぁっ、はぁっ」

天乃「んんっ、んぁぁっ」

子宮を打ち貫かれる感覚、内壁を擦られる感覚、陰部同士での接吻の心地よさ

打たれるたびに、胸を揺らす天乃の体

激しくしたいと思うのには十分で。勢いでそうさせるには十分で

樹は天乃との性交をより淫らで激しいものに昇華していく


天乃「んっ、んっ、ぁっぁっんっっぁっ」

突き上げ、突き上げられる気持ちよさがピークに近づくと

天乃の喘ぎ声が激しく、淫らで熱っぽさを増していく

久遠さん……イっちゃいそうなのかな

樹「久遠さんっ、久遠さんっ」

自分の呼吸が覚束なくなってしまうことを厭わず、

樹は天乃の声を呼び始めて

天乃もまた

天乃「んっ、いちゅきっ……いつ……っあんっいつきぃっ」

激しく突かれ、乱れながらも名前を呼ぶ

天乃も樹も下腹部の熱は限界に来ていて

けれど、相手と一緒がいいからと堪えようとしていたのだ

天乃「いつきっ、んっぁっ、あぁっ、はあぁっ、んっ」

樹「久遠さんっ、くおんさ……ぁっ、んっ」

けれどもそれも限界で

だからこそ、二人はその合図を送るように名前を呼び始め

ぎゅっと、手を握り合う


天乃「私、もうっ……っ、樹っ」

樹「んっ、っ……」

天乃の握り返してくる右手の力がだんだんと強くなっていくのを感じ

天乃の絶頂が近くなって膣に力が入り始め、

自分で自分を突くような形に変わってしまった樹もまた、限界が来ていて

天乃「樹っ、樹っ、んんっ、つぁ……ぁっ」

樹「はぁっはぁっ、んんっ、久遠さんっ」

腰を動かしながら、天乃の方に顔を近づけて

天乃はそれに答えて……キスをする

ちゅ……んちゅっ、くちゅ……ぴちゃ……

ぐちゅ、くちゅ、ぱちゅ……ぱちゅっ

上からもしたかも、そんなみだらな音が響き。そして

樹「んくっ、っぁっ」

天乃「んっ、ぁっいつきっ」

膣口を完全に未着するように打ち付けて――

樹「んぅぅぅぅぅっ!」

天乃「んぅぅぅぅっ!」

二人同時に――達した


樹「はぁっはぁっぁ……」

天乃「んっ……はぁっぁ……」

汗ばんでいたり、えっちな水でビチャビチャな二人は

それを拭うこともなく抱き合ったまま、ベッドに横になる

ディルドも抜く余裕はなくて、まだ繋がったままだ

それなのに

樹「んちゅ……」

天乃「んっ」

胸を押し付け合いながら、キスをする

余韻を逃したくなかった

もっと、感じたかった

だから、キスをして、キスをして、キスをして……熱のこもった眼差しで相手を見る

樹「好きです。大好きです……すごく、気持ちよかったです」

天乃「私も……えっち、すごくよかった」


天乃「最初はね。ちょっと怖かったんだけど。樹、すごく上手なんだもの」

樹「たくさん頑張ったんです。満足して欲しくて」

天乃「大満足っ、大好きっ」

そういった天乃は、樹の唇に軽くキスをして、笑みを浮かべる

樹の努力を感じた

樹の愛を感じた

樹のすべてを感じた

天乃「ありがと」

樹「……えへへっ」

淫らで濃厚なエッチをした

ネットリとしたキスもした

それなのに、こんな軽いキスでもまだ顔が赤くなって

照れくささを感じる自分に、樹は苦笑する

樹「良かったです」

自分の敏感なところで天乃の体内を経験できなかったこと

それは男にしかできないこと

だから樹は、それだけがすごく悔しかった


では、此処までとさせて頂きます
エッチはこれで終わりです
お待たせして申し訳ないです
次回からは安価を始めることが出来るかと思います


>>819
バッドエンドは疲れと、心の痛み、やりすぎだという良心の叱責のほか、
書き続けたら病みそうだったので
予定の3分の1で区切ってます。なので十分サボらせて頂いてます。すみません


では、初めて行きます


天乃「ねぇ、樹」

樹「なんですか?」

天乃「…………」

樹ととても大切なことをした

樹と、人生で一度しかできない経験を分かち合った

その余韻も熱も冷めていないのに、

明日のことを言うのはひどいだろうか。と

天乃は考えて、樹の手をぎゅっと握る

樹「久遠さん?」

キスがしたいのだろうか

もう一度したいのだろうか

そんなエッチなことが先にくる自分のエッチさに、

樹は、目をギュッと瞑って考えを振り払う


天乃「……………」

明日、私は春信さんとエッチをする

樹と最後にしたことを、

道具なんて扱わずにして、子供を作るための行為をする

春信さんのことが嫌いなわけじゃないのに

むしろ、

どちらかといえば好きな部類だと言えるかもしれないのに

なのに……涙が溢れそうになる

樹とのエッチを経験して

それがとてつもなく、罪深いことだと。知ってしまったからだ

天乃「樹、あのね……」




1、私。明日春信さんとするの
2、キス。しよう?
3、もう少し、続けよう
4、ありがとね……ほんとに


↓2


天乃「私……明日春信さんとするの」

樹「え?」

天乃「黙っててごめんね。貴女とエッチの日を決めたあとに決めたの」

驚きを露にする樹に対し告げた天乃は

ただでさえ小さな体がさらに小さく見えてしまうくらいに暗い雰囲気を醸し出す

それは樹も同じだった

そもそも、そんな重要な話を明るい話にすることなんてできるはずがない

天乃「でも、私。樹との気持ちを奪われるつもりは、ないから」

樹「っ……」

天乃「この気持ちも、あの温かさや悦びも。上書きされたりしないから」

樹が悲しそうだから

だから、天乃は精一杯の笑顔を浮かべて、樹の頬に触れる

天乃「安心して、ね?」

樹「安心って……そんな心配。してるわけじゃないです……っ」


天乃「っ」

触れていた手を握り締められ、

天乃が沈黙すると、樹は直ぐに言い返す

樹「春信さんに負けるほど、この気持ちは。久遠さんに見せてきた気持ちは弱くないです」

不安なんかない

信頼しているとか言うだけ無駄なくらいに、信じてる。安心してる

ただ、嫌だった

ただ、悔しかった

自分ができないことをできる春信に、嫉妬していた

そんな自分の醜さに、樹は近づけかけた唇を引き戻して、

小さくため息をつき、唇を舐める

樹「それに……もしも久遠さんがなにかされて。その気持ちを壊されたら。私、この世界を滅ぼすかもしれません」

天乃「ふふっ、冗談にならないわね」

樹「私、本気です」



1、大丈夫よ。私には九尾がいるし、あなたへのこの思いがあるんだから
2、そうね。でも、私も同じような気持ちだから
3そしたら、私は操られて、あなたの敵になるかもね
4でも、壊す前に私の壊された心を救ってくれるんでしょう?
5、知ってるわ。前科があるんだもの


↓2


天乃「でも、壊す前に私の壊された心を救ってくれるんでしょう?」

樹「久遠さ――」

樹が何かを言う前に、唇を重ねて

舌を交えることもなく、ただ呼吸を止めて押し付ける

数秒か、数分か

しばらく重ね続けた唇を離すと

つぅーっと滴るものにも目も呉れず呆然とする樹に

天乃「こういうふうに」

と、少し楽しそうに言う

エッチをしている時の濃厚なキスと比べたら弱い

けれど、確かなキスの感触だった

樹「ぁ………はい」

王子様のキスではなかったけれど

自分の中の嫉妬や怒りの感情が容易くかき消された樹は

そっと、自分の唇に触れた


自分のか

それとも天乃のものか解らない潤いが指先を濡らす

ただの軽いキスなのに、

胸のドキドキは激しくなって

エッチなことを経験した体は。少し、疼く

樹「久遠さんが、いけないんです」

明日、春信さんとするのなら

だったら、今日はもうしたから。なんて我慢する必要ないはずだ

それなら、明日しようと思った分も

今日という日に詰め込んでしまおう

樹はそう考えて、天乃の唇を奪う

お風呂に入らなくてよかった

着替えなくてよかった

そうしてたらきっと、もう一度入浴して

もう一度……着替える必要があったに違いない


√ 9月5日目 夜(某所) ※金曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、球子、若葉、春信との交流が可能です

犬吠崎樹からえっちな交流を求められています

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、球子
0、若葉
11、春信
12、イベント判定
13、勇者部にメール
14、チャットアプリ
15、459チャンネル

↓2

※勇者部、春信はメールになります
※樹のみ、通常交流


では、此処までとさせて頂きます
樹との交流は事後会話的なものに留めます
基本、イチャつき系安価しか出てこないと思います



バッドエンドに関して、流れだけのものを、
http://www46.atwiki.jp/anka_yuyuyu/pages/73.html【バッドエンド①のページ下部】
こちらに出しておきましたので
興味がある方のみ、どうぞ
苦手な方は、おやめください


では、少しだけ進めていきます


樹「えへへっ」

天乃「何笑ってるのよ、もう……」

久遠さんは照れくさそうにそう言って、布団の中に顔を隠した

夕方の激しいえっちの後

ご飯を食べて、お風呂に入ってってしたのに

夜になってまた、樹達はエッチをした

達。というよりは、樹がしたという方が正しいかも知れない

もっとも、天乃は別に嫌がらなかったし

むしろ乗っていたというか乗らされていたというか

簡潔に言えば、合意のうえだったので問題はないだろう

樹「久遠さんの声、すごくエロ可愛いです」

天乃「いつもの声? それともエッチの時の声?」

樹「いつもの時は可愛くて、エッチの時は色っぽいです」


天乃「ならもう、喋るの止める」

樹「笑わせる自信はありますよ」

きゅっと唇を結んだ天乃に対して

樹は冗談めかして言いながら、

なにかを揉むかのように手を動かして天乃へと近づけていく

天乃「わ、笑う声はどんな感じ?」

樹「幸せそうで。癒される感じです」

天乃「無理やりされても幸せじゃ――ひゃぁっ」

樹「えへへっ」

脇腹の真横ではなく、どちらかといえば背中よりの部分

そこが、久遠さんの弱点だ

下手に脇を擽ると、捕まって仕返しされるから……えへへっ

天乃「笑ってないで――っん!」

樹「ビクビクして可愛いです」

天乃「もぉっ!」

つんつん

つんつんつん……つんっ

樹がつつくたびに、ビクッと体を跳ねさせて声を上げる

そんな反応が好きで、可愛くて、癒されて

樹は思わず、続けてしまった


天乃「うぅ……」

樹「…………」

エッチの最中もだけど

エッチをしたあとの久遠さんも、基本的にはいつもより弱々しい

というか、女の子女の子してて

年相応で、見た目相応。そんな華奢な感じがある

樹「……久遠さん」

天乃「なによ」

樹「今の久遠さんはそうやってきつくしようとしても。可愛いだけですよ」

天乃「っ」

だから、またドキドキする

HからKに過ぎたはずなのに、また。戻ってしまいそうな感じがする



1、いつもは可愛くないの?
2、いつもはどうなの?
3、イタズラなKiss
4、樹も可愛いわ
5、貴女、性格変わるわよね
6、も、もうっ……えっち


↓2


天乃「貴女も可愛いわよ」

樹「久遠さんと同じくらいですか?」

天乃「私よりも」

樹「久遠さんより上はないです。天井です。天だけに」

天乃「……………」

樹が言いたいことに、気づかなくて

そんな意図もなく流そうとした天乃だったが、

樹の悲しそうな顔に気づいて、気づく

天乃「……ごめん」

樹「えぅ」

違う、そうじゃない

そう言い出すこともできず、樹は笑ってごまかした


天乃「ご、ごめんね。ほんと。私冗談とか苦手だから」

樹「……冗談ばっかりの久遠さんが苦手なんですか?」

天乃「もう……、むくれちゃって」

ぷくっと頬を膨らませながら

嫌味ですかと言わんばかりの目を向けてくる樹のほほに触れて、笑みを浮かべる

可愛い

柔らかい

温かい

優しい

それ以外のたくさんも詰まった犬吠埼樹という少女

天乃はその顔を見つめ

天乃「可愛いわよ。本当に」

そう言うと、優しく唇を重ねる

寝る前のキスは――大人の味がした


では、此処までとさせて頂きます
5日目終了ですが、まとめは明日にでも

6日目夕方は春信と交流固定
そして、7日目に最終決戦



6日目のスケジュール(仮
朝:樹とイチャイチャ→昼:樹とイチャイチャ→夕:春信と交流→夜:樹とイチャイチャ

乙!
つまりあれか

樹「じゃあ、また後で」
春信後
樹「久遠さんっ!」

これ戦いの最中にキスとかし出すやつや

>>884
天乃「うん、またあとでね」
春信後
天乃「春信さん、もっと…もっとして!」

1日のまとめ

・  乃木園子:交流無()
・  乃木若葉:交流無()
・  土居球子:交流無()
・  三ノ輪銀 :交流無()
・  犬吠埼風:交流無()
・  犬吠埼樹:交流有(初えっち、こころを救う、連戦、可愛い)
・  結城友奈:交流有(えっちについて、誰かと)
・  東郷美森:交流無()
・  三好夏凜:交流無()
・  三好春信:交流無()
・     九尾:交流有(死んだら)

・      死神:交流無()
・      稲狐:交流無()
・    夢路瞳:交流無()
・     神樹:交流無()



9月5日目終了後の結果

  乃木園子との絆 38(少し高い)
  乃木若葉との絆 35(少し高い)
  土居球子との絆 30(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 54(高い)
  犬吠埼風との絆 75(かなり高い)
  犬吠埼樹との絆 150(かなり高い)
  結城友奈との絆 79(かなり高い)
  東郷三森との絆 101(かなり高い)
  三好夏凜との絆 93(かなり高い)
  三好春信との絆 43(少し高い)
   夢路瞳との絆 12(普通)

     九尾との絆 56(高い)
      死神との絆 43(少し高い)
      稲狐との絆 22(中々良い)
      神樹との絆 5(低い)

 汚染度***%


すみませんが、
今日は諸事情でまとめ出しのみとさせていただきます

明日、できれば明日
もしかしたらあすもやらずに明後日となります
明後日に関しては、通常よりも早いスタートとなります

本日も難しいですね。すみません
明日は早めで18時頃からのスタートを見込んでいます

では、少しずつ始めていきます


√ 9月6日目 朝(某所) ※土曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、球子
0、若葉
11、春信
12、イベント判定
13、勇者部にメール
14、チャットアプリ
15、459チャンネル

↓2

※勇者部、春信はメールになります
※樹のみ、通常交流


朝、まぶたの裏にまで太陽の光が差し込もうとする中

カシャッっと

自然を壊す音が聞こえて、目を開けると

端末を持った樹がニコニコしていた

天乃「……………」

ニヤニヤという下品さのあるものではなく、

ニコニコという幸せ感に、天乃は物怖じしながら、

端末を掴んで、横にずらす

天乃「おはよう」

樹「えへへっ、おはようございます」

天乃「消すのと、同じ顔を撮られるのどっちがいい?」

樹「撮っていいですよ」

躊躇なく、樹は言う

天乃の可愛らしく

そして美しさのある寝顔を、樹は削除したくなかったのだが

それ以前に

天乃になら、別に写真を撮られることは嫌じゃなかったのだ


天乃「じゃぁ、端末どかして。目を瞑る」

樹「ん……」

天乃「そんなギュッとしないで。普通に。自然に」

そう言われた樹は、

目を閉じたまま、深呼吸をして

息と一緒に力を抜いていく

天乃「……………」

キス、しちゃおうかな……

目をつむっているし

したらばれるだろうけど、そこはした後だから消すとかどうとか出来な――

樹「まだですか?」

天乃「っ! ま、待って。待って。ちょっと操作が」

樹「ぶれないように気をつけてくださいね?」

天乃「う、うん」

不意にかけられた声に跳ね上がった心に手を宛てがった天乃は

端末の画面に表示される樹の寝顔から目を逸らして、撮影する


――もちろん。見事にブレた


樹「私が瞬間移動してますね」

天乃「だ、だって……片手じゃ撮りにくいし」

樹「ドキドキしたわけじゃないんですね」

天乃「ぅ」

樹は多分、悪戯のつもりで言ったのだろう

けれど、天乃は目を見開くやいなや

顔を赤くして、目を逸らす

見事、大正解だった

樹「久遠さん」

天乃「べ、別に……ほら。片手だから」

樹「久遠さん」

天乃「なに――?」

つんつんっと胸をつついてくる樹の口ではなく、瞳に目を向けると

照れくさそうに笑った樹は、画像を表示させた端末を見せてきた

樹「経験者は語る。です」

樹の端末の画像もまた――ブレていたのだ

樹「もちろん、そのあとちゃんと撮り直しましたけど」

天乃「何枚撮ったのよっ」

樹「10枚くらいです?」

天乃「もうっ!」


樹「だ、だって久遠さんが気持ちよさそうに寝てたので」

天乃「だからってそんな撮らなくても」

樹「これから何千万枚、何億万枚って撮る予定なんですけど」

天乃「位が色々飛んでるんだけど……」

樹「一日1枚でも、1年で365枚ですし」

多分、一日一枚じゃ止まらないと思うので。と

樹は悪びれた様子もなく、笑う

天乃「……………」

そうだ

一日一枚の写真だとか

一日に数千枚は撮らないといけないような枚数の写真を撮る気はないけれど

でも、

これからもこの関係は続いていく

どちらかが欠けることはなく、ずっと……


戦いでの損害をまったく気にしていない

そんなものが全くない未来を見る樹の表情は

とても明るく、幸せそうで

天乃「……ふふっ」

天乃は思わず、笑った

樹「なんですか?」

天乃「う、ううん。何でもない」

そう。なんでもない

ただ、嬉しかった

ただ、幸せだった

だから、なんの弊害もなく笑みがこぼれただけのこと


1、ねぇ樹。今日はどうする?
2、樹、キスしてもいい?
3、貴女とみんなと居れて良かったって。思ったの
4、好きよ。樹
5、貴女に愛されてる私は、幸せ者ね


↓2


天乃「樹、キスしていい?」

樹「……私からするのじゃ。不満ですか?」

天乃「なに、聞いてるのよ」

キスをしていいかと聞けたのに

どっちがいいかなんていうのは恥ずかしくて

頬を染め、目をそらした天乃の頬を捉えると、

樹はズズッと布団の上を這って、唇を重ねる

そして

樹「っは」

天乃「っ……」

数分もしないうちに離れて

目をそらしたままの天乃を見つめる

横目ではあるけれど、口は見えていて、言葉も読めるだろう

そう判断した樹は、そのまま口を開く

樹「久遠さんからしないなら、もう一度します」

天乃「ちょっ」

樹「時間切れです」

天乃「んっ」

目を向けて着た瞬間、唇を重ねる


樹「っは……えへへ」

天乃「樹、あな――っ」

するのもされるのも、キスはキス

どっちも大好きで、嬉しいけれど

どちらかといえば、樹はするのが好きだった

だって、恥ずかしがる久遠さんが、可愛いんだもん

口には出せないけど。と、樹は思って笑みを浮かべる

見開いて、段々と閉じていく瞳と紅潮した頬

好き。大好き、愛してる

その強い気持ちを渡すみたいに唇を押し付けると

天乃は応えるように、押し返す

天乃「……………」

樹「………………」

そのくらいの気持ちなら平気で受け止められるわよ

そんな挑発のような笑を浮かべる天乃の手を握り、下着の中、胸に触れる

天乃「っ、ひゃんっ!」

樹「……その挑発、受けて立ちます」

天乃「ま、待って。ごめん。朝からはダメっ、昨日だって結構頑張って……」

樹「このくらいの気持ちなら、平気なんですよね」

天乃「ごめんなさ――っ!」


朝食は、大事です


天乃「うぅ……」

樹「久遠さん、昨日からいつも以上に女の子らしくなりましたよね」

天乃「それは褒めてるの? 馬鹿にしてるの?」

樹「連戦大歓迎です」

天乃「貴女は……凄くエッチな子になったわね」

天乃がそれはもう無理。と

右手で制する中での言葉に、樹は苦笑して、頷く

樹「自覚は、あります」

でも、気持ちが止まらないのだ

どれだけ愛しても、どれだけ愛されても

捧げた分だけ、吸い取られた分だけ

いや、それ以上に。無尽蔵に気持ちが湧いてくる

でも、それだけじゃない

樹「温かくて、優しくて、強く感じることができるんです。癒されるんです。安心できるんです。落ち着くんです」

天乃「……………」

樹「久遠さんと繋がってると、くっついてると。全部……何もかもが大丈夫だって。思えるんです」

だから

樹「私はいつも、久遠さんのことを求めちゃってるんだと思います」


樹は笑顔だ。けれど、

そこには不安があって、恐怖があった

もしかしたら。という

考えたくもない可能性のある未来

誰も望まない未来

たった一人がすべてを背負い、世界を守って

誰も傷つかず、誰しもが傷つく護られた未来

天乃の頭の横、

樹の手が、シーツを握り締めシワが寄っていく

樹「私は……」

天乃「樹……」

それ以上を言わなくても、天乃には理解った

人からの好意には鈍感だったくせに

そう言った、恐れや不安などには、敏感だったからだ


天乃「………………」

樹は怖いんだ。不安なんだ

どうしようもないとなった時

私が、一人で全部抱えてやっちゃわないか。って

来るべき戦い

それに対し、大丈夫だなんだと思いながら

心のどこかでは不安を抱え、怯えている

勝てないことではなく

試合に勝ち、勝負に負けるというような最悪の結果が怖いのだ

樹「本当は一日中、久遠さんと一緒にいたいです」

学校に連れて行って勇者専用の特別教室で一緒に勉強して

一緒の家に帰って……一緒にいろいろとして……

樹「ずっと、久遠さんを感じていたい」

でなければ、

火が消えた鉄鍋のように、心が冷たくなっていくからだ



1、抱きしめる
2、キスをする
3、大丈夫よ。私は……貴女と一緒にいたいもの
4、私も、貴女を感じていたい
5、そうね……樹をえっちな子にしたバーテックスを殲滅して。ずっと一緒にいましょうか


↓2


天乃「大丈夫よ」

樹「久遠さん……」

天乃「私は……貴女と一緒に居たいもの」

そういった、天乃の笑みに

樹は何も言わなかった

何も言えなかった

ただ、離れていた体を天乃の上に重ねるように下ろして

胸に、顔を埋める

天乃「貴女も。でしょ?」

樹「……はいっ」

天乃の体を抱きしめて、頷く

戦いが終わったら、この体は治るだろうか

治ったら

声を聞いて、料理を食べて、一緒に歩いて

私と同じ世界を。見て欲しい

樹「一緒に、いたいです」

天乃は樹を、樹は天乃を

神樹様の根よりも深く

神々の遺恨よりも強く愛している


√ 9月6日目 昼(某所) ※土曜日

九尾、死神、風、樹、銀、東郷、夏凜、球子、若葉、春信との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、銀
4、風
5、樹
6、友奈
7、東郷
8、夏凜
9、球子
0、若葉
11、春信
12、イベント判定
13、勇者部にメール
14、チャットアプリ
15、459チャンネル

↓2

※勇者部、春信はメールになります
※樹のみ、通常交流


天乃「樹、もう。お昼だわ」

樹「……時計、壊しちゃダメですか?」

天乃「ダメ」

樹「じゃ、じゃぁせめて端末の電源を落とすのと、時計を裏返すのだけは……」

天乃「どうしたのよ」

樹は時間を言われるのも、時間を見るのも嫌がって

ついには時計を裏返して、端末の電源を落とす

刻一刻とあの時間が近づいてきている

それをゆっくりと知らされるのが、嫌だった

樹「あと、数時間後には春信さんがきて。久遠さんの鍵穴に鍵を入れて、子宝ゲットするんですよね?」

天乃「そうなんだけど。なんていうか、うん……樹。大丈夫?」

樹「……ふざけてないと、このまま久遠さん誘拐しちゃいそうなんです」

天乃「……そっか」

自分の体に感じる強い拘束感

痛くも苦しくもなく

むしろ優しく暖かいそれを受け入れる天乃は、笑みを浮かべて樹の頭を撫でた


樹はふざけてないと。と、言ったが

誘拐をするという点においては

まったくもってふざけてなどおらず、真面目だった

子供を作ることがしきたりだとか、溜まりに溜まった穢れをなんとかしないと死んでしまうとか

そう言われて、仕方がなく

春信との行為を認めたものの

九割九分の心が嫌がっていることに変わりはないのだ

樹「久遠さん……」

そっと名前を呼んで、擦り寄って

ただでさえ近い体を密着させる

樹「私、胸はこのままでいいかなって思いました」

天乃「どうしたのよ。突然」

樹「胸が小さければ小さいほど、久遠さんと密着できるので」

大きいことを羨ましいと思ったこともあったが

今は小さくて良かった。と、

成長しなかったことを喜んで、笑みを浮かべる


天乃「……樹」

ごめんねと、言うべきだろうか

ありがとうと、言うべきだろうか

目の前で笑みを浮かべる恋人に

恋人以外の男性と性交して子を成そうとしている自分は

それを認めてくれた彼女に

なんと、言うべきだろうか

なにを、するべきだろうか

天乃「…………」

天乃はためらいながらも……決める


1、ありがとう
2、ごめんね
3、夜に、また。エッチしてくれない?
4、今からエッチしましょう?
5、抱きしめる
6、キスをする
7、私から春信さんの匂いがしても。嫌いにならないでね


↓2


なにも言わずに、樹の体を抱きしめる

それだけではなにも解決しないかもしれない

けれど、今できるのはこれだけしかない。と

考えた天乃の抱擁を受けて

樹もまた、何も言わずに抱きしめ返す

何も言わない、ただ相手を感じるだけ

周りの音など一切感じず

ただただ、

久遠天乃という恋人を

犬吠埼樹という恋人を

互いに感じ合い、互いに擦り付け合う


本当に、これだけでいいのかしら

樹は抱きしめてくれてるけれど

なにも言わない

本当は言いたいことがあると思う

本当は、してほしいことがあると思う

本当は……きっと

ううん、それはもう何回も聞いた

何回も示してくれてる

でも、私は……

そうする意外に道はない

誰かとそうしなければ

本当に好きな人と一緒に生きていくことができない

ごめんね、樹

でも、それ以上の言葉は言わない。思っちゃいけない

貴女の心を奪ってごめんなさいなんて

そんな言葉は口が裂けても言えない


文句を、言うわけには行かない

もう、さんざん久遠さんに言っちゃってるけど

ここまできて

あと数時間まで迫ってきて

今更

やっぱりして欲しくないだなんて言えない

しないまま、生きていく道を探そうだなんて言えない

ずっと、探したんだ

九尾さんに聞いたり、お祖母さんに聞いたりして

でも、それ以外の方法は見つからなかった

だから、諦めるしかない

春信さんの匂いがつかないように

ついても、拭えば消えるように

久遠さんが、私の彼女だって春信さんが分かるように

私の存在を染みこませていく

……なんて、ちょっと病的かな

えへへっ、柔温。柔温

今はただ、久遠さんが私を感じてくれれば……それだけでいいや

大好きです。天乃先輩っ

……なんて言っちゃったり。えへへっ


二人の思いは交錯して、織り成す時間は刻一刻と

春信との時間に近づけていく

樹「久遠さんと一緒にいると」

天乃「うん?」

樹「時間があっという間に過ぎていっちゃいます」

天乃「私も、貴女といると早く感じるわ」

樹「春信さんも、一緒だと嬉しいです」

春信が天乃をどう思っているのか

樹はそれを知らないわけではない

けれどもあえてそう言って、唇を重ねる

樹「一緒の家にいるのは辛いので出かけます」

天乃「うん」

樹「終わったら、エッチしようって連絡ください」

天乃「うん」

樹「えっ?」



天乃「ふふっ、嫌いじゃないもの。あなたとのえっち」

樹「ぅ……何言ってるのって照れた表情。期待したんですけど」

そう言って

照れさせるはずが照れて、目をそらした樹に対し、

天乃は嬉しそうな笑みを浮かべて、抱きしめる

天乃「バレてるのよ。その邪な心はね」

樹「そのしてやったりな顔も、好きです」

天乃「…………もぅっ」

樹「えへへっ」

好きだ。大好きだ

本当に、心から

離れたくない、このまま居たい

何人たりとも、この間には入れないぞと――示したい

そう想う心を押さえ込み

犬吠埼樹は、去っていく

そして、そのときは来た


では、此処までとさせて頂きます
以前の告知通り、割愛予定です
あすもできれば、通常時間から


別板の件ですが
色々と問題がありそう(主に樹といちゃつけない)なので
次スレはそちらに立てることになるかと思います
URLがダメみたいな話を聞いたので
建てたあと、wikiに追加しますので
お手数ですが、そちらからお願いします


では、本日も初めて行きます


春信「彼女は、いないのだな」

天乃「ええ。少し前まではいたんだけどね」

春信「……………」

春信は天乃の様子を伺うようにしながら、

辺りを見渡して、息をつく

天乃「もっと女の子らしい華やかな部屋にしておいたほうが良かった?」

春信「いや。そういうわけではないんだ」

部屋の内装に関して、

自分もさほど変わらず殺風景な春信には文句が言えなかった

そして、

春信は文句が言いたいわけじゃない

ただ

春信「この部屋で、してもいいのかと。思ったんだ」

樹との思い出あるだろうこの部屋で

本当に行為をしてしまってもいいのかという、ためらいがあった


天乃「……樹の匂いがする? 換気はしたんだけど」

春信「そういうことでは。なくてだな……」

初々しく頬を掻き、

目を逸した春信は考えそうな頭を振って息をつく

ほのかに匂いは感じる

そういった行為の勉強をした今

頭の中で思い描くことは、容易い

けれど、だからこそ

春信は答えに困って沈黙する

天乃「なら、どうしたの?」

春信「ここは君と――」

天乃「久遠さん」

春信「……ここには、久遠さんと彼女の大切な記憶があるはずだ」


天乃の体が不自由であるがために

行為を行うために部屋から離れたという可能性は極めて低い

ならば、そう

この場で

今目の前にあるベッドで……ことに及んだ可能性が高い

それなのに

そのテリトリーあるいは、その一線を

踏み躙ってもいいのかと、春信は悩んでいた

天乃「そう、ね」

春信「そこに、その……なんだ。私が重ねてしまってもいいのかと。思ってな」

天乃「……貴方は、本当に優しい人ね」

春信「偽善だ。褒められるようなことではない」



1、この部屋で
2、どっかのホテル
3、春信の家
4、正面の晴海の部屋
5、隣の大地の部屋

↓2


天乃「なら、どこかのホテルにでも行きましょうか」

春信「……そのほうがよさそうだ」

大赦に入って

女子中学生をホテルに連れ込んで

子供を作ることになる。なんて

大赦を目指していた頃の自分は毛頭考えてはいなかっただろう。と

春信は考えて、くすりと笑う

天乃「どうかした?」

春信「いや。昔の自分はこんなことをするなんて考えなかっただろうな。と」

天乃「考えられてたら、貴方は天才でしょうね」

春信「いや、紙一重で変態だっただろう」

天乃「あらあら」

これから恋人ではない人と、えっちをする

にも関わらず、心は荒れることなく穏やかで

春信との会話は、楽しかった


天乃「春信さん、ひとつだけお願いしてもいい?」

春信「ひとつだけでなくてもいいのだが……」

天乃「欲張ってもいいことないからね」

春信の言葉にそう返した天乃が笑うと、

春信もまた、困ったように笑って首を振る

まだ中学生なのだから

冗談でもじゃぁあれもこれもと言っても良いはずなのに……

天乃「あのね、唇だけは何もしないで」

春信「……もちろん、できる限り必要のないことはしない予定だ」

天乃「それで、春信さんは満足できるの?」

春信「君……久遠さんは犬吠埼樹の恋人だ。無駄に踏み入るような無礼な真似は避けたい」

天乃「……これからエッチするのに。真面目ね」

春信「そういう性分だ」


そして、春信は天乃を抱き

自分ではなく、他人の恋人である美しくも愛らしい少女と共に

未来のための大切な種を――芽吹かせる


では、此処までとさせて頂きます
樹との行為が数十レスなのに、春信は三行…
あすもできれば通常時間から




春信「妊娠させるには、穴を開けたゴムが有効だと聞いた」

天乃「えっ?」

九尾「くふ、くははははっ」

春信「嘘……だったのか」



では、はじめていきます


春信「私は、手を貸さないほうがいいか?」

天乃「エッチまでしたのに、今更だと思うけれど」

春信「しかし……」

天乃「それに、このまま下着つけるのは嫌よ。汚れるし」

天乃の言葉に、

春信は困ったように首を振る

性行為を行ったのに

後処理だったりケアだったりから目を背けるのは確かにおかしい

もちろん、天乃がそれを全部一人で行えるのなら話は別だが……

春信「そう言われると、弱い」

天乃「だって、股から貴方のせ――」

春信「く、口にはしなくていい。しないでくれ」

天乃「……?」

天乃との性行為をできる限り早く、簡潔に

そのための準備をしてきた春信の性的要求は

まだ収まりがついていない

流石に、増強しすぎたのだ


春信「君は、なんだ……もう少し気を使うべきだ」

天乃は以前、魅了の力があるだのなんだの言っていて

今はそれがなくなったという話を聞いてはいるが

そんな力がなくても関係ないと、春信は思っている

というのも、天乃は基本的に警戒心が極めて低く

言動のほとんどが相手の気を引くものばかりだからだ

今だってそうだ

仕方がないこととは言え、

一糸まとわぬ姿のまま四肢を投げ出し、

秘部から白濁液を流して胸を上下させていて

ケアを手伝って欲しいと言っているのだから

春信「私が卑劣な男だったら、どうする」

天乃「…………」

春信「一度という約束を破り、二度三度と――」

天乃「貴方が卑劣な人だったなら、一度目もなかったと思うわ」

春信「……君という、人は」

天乃「ふふっ。思ったことを言っただけよ」


そう言って笑う天乃を見つめ、春信は息を呑む

それがいけないのだと言って、何かが変わるだろうか?

いや、変わらないだろう

天乃「?」

春信「……そうか」

精神的にどれだけ大人びていて

異性・同性との性行為

妊娠・出産を経てもなお

この少女は……きっと、この純粋さを損なわない

春信「………………」

相手がいなければ恋人にしたいと、思ってしまう

もう一度抱きたいとさえ。思ってしまう

けれど、その純真無垢な信頼と

真っ直ぐな瞳がつくる笑みに、邪な心はかき消されていく

春信「それは喜ばしいことだ。少し、複雑でもあるが」

天乃「そうよね。ごめんなさい」


そんな会話をしていると、

二人だけだった部屋に、ドアを開けることもなく三人目が姿を現した

九尾「そのままでは主様が風邪をひく」

天乃「九尾っ」

春信「そうだな。すまない」

天乃「じゃぁ――」

九尾「良い。妾がやる。春信。主も、反り勃たせたままでは辛かろう?」

いつものおちゃらけた様子の無い指摘

春信と天乃は一瞬だけ目を合わせて、九尾へと目を向けた

春信「否定はできない。すまない。感謝する」

九尾「気にすることはない。主には欠かせぬものを提供させた。欲するならば妾が相手にもなってやるが」

春信「……いや、気持ちだけで十分だ」

天乃「………………」



1、本当に平気?
2、ありがとね、春信さん
3、出産には立ち会ってくれるの?
4、子供を育てる件だけど……どうなってる?


↓2


天乃「本当に平気?」

春信「なっ…」

天乃「?」

九尾「はぁ……」

天乃「な、なんでため息ついたの?」

九尾は答えることなく、

もう一度大きくため息をついて首を振る

何を考えているんだ。とか

馬鹿なんじゃないか。とか

いろいろ言うべき事はあるが、言ってもどうして。と

また聞いてくることが目に見えているからだ

本当に、穢れなき主様だ

春信「だ、大丈夫だ。心配ない」

天乃「でも」

九尾「……春信の性欲が尽きるまで、主様が子宮を吸引器代わりに吸い続ける気がないなら聞くな。馬鹿者」


天乃「吸引器?」

九尾「春信、妾ならば相手をすることもかまわぬのじゃぞ?」

春信「いや、本当に構わないでくれ……私が自ら招いたことだ」

しっかりと効果等を把握し

用法用量を守っていれば一度で終えることもできたはずだ

それを怠ったがゆえに、未だ収まりがつかないというのなら

それは自業自得というものだ。と春信は考えていた

九尾「ふむ……道端の女子に手を出さぬようにな」

春信「分かっている」

天乃「春信さ――痛っ!」

ゴツンっと頭を叩き、言葉の止まった天乃を一瞥すると

九尾はそそくさとケアを行って、天乃を着替えさせた

天乃「た、叩かなくたって」

九尾「春信にどれだけ我慢を強いるつもりじゃ。お主は」


九尾はちょっぴり怒った様子で

春信本人は困った様子で

ふたりを交互に見た天乃は頬を掻いて、目を逸らす

天乃「そうよね。樹もだけど、一回で満足なんて難しいのよね」

九尾「そういうことじゃ」

その言葉には

さすがの春信も赤面して、目を逸らす

未だに天乃に欲情しているということを

素直に認められるわけがないからだ

天乃「ごめんなさい」

だがしかし

謝られても困るのが心情だ

手でして欲しいだとか、胸を使っても良いだろうかとか

欲望に身を委ねれば言える言葉もたくさんあるが……

天乃は恋人でも、俗に言うセックスフレンドという存在でもない


正しく言えば

妹の親友で、親友の妹で、妹の親友の恋人である

要するに、他の人の恋人なのだ

春信「気にしないでくれ」

だから春信はそう言って天乃の罪悪感を拭う

これ以上、樹のテリトリーを穢したくない

これ以上、自分の気持ちが……

春信「っ………」

天乃「春信さん?」

春信「支度が済んだら出よう。長居するのはよくない」

天乃「払ったお金の分だけゆっくりし――痛っ」

九尾「……………」

天乃「痛いっ、九尾、ちょっと。本当に痛……」

九尾「春信の痛みじゃ。この、たわけっ」

春信「そこまででもない……だが、感謝する」

九尾「うむ。辛ければ呼ぶと良い。妾なら、いつでも相手してやれる」

そんな三回目の言葉に、春信は沈黙を返した



ホテルを出ます
夜に移行します


では、此処までとさせて頂きます
あすもできれば通常時間からとなります

スレはその再開時に建てる予定です
予定としては>>933です


このルートのエッチ春信パートは精神的に来ると思うので
今のところ予定はありませんが、出せればwikiに追加します


では、本日は進めていこうかと思います
一応、つぎスレはwikiの方で追加済みになります



√ 9月6日目 夜(某所) ※土曜日

犬吠埼樹と交流が可能です


1、呼ぶ
2、呼ばない


安価↓2


では、続きはつぎスレとなります
>>1のwiki内部につぎスレURLがあります

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