【艦これ】提督「執務室に落書き?」FINAL【安価】 (319)

提督「一体誰がこんなことを…」

執務室のどこに落書きされていた?>>4




このスレは以前書いた
提督「執務室に落書き?」
【艦これ】提督「執務室に落書き?」【安価】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1421568871/)
【艦これ】提督「執務室に落書き?」リベンジ【安価】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1421756689/)
【艦これ】提督「執務室に落書き?」3回目【安価】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1422185819/)
【艦これ】提督「執務室に落書き?」4回目【安価】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1422789771/)
【艦これ】提督「執務室に落書き?」5回目【安価】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1424000275/)
【艦これ】提督「執務室に落書き?」6回目【安価】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1424520039/)
【艦これ】提督「執務室に落書き?」7回目【安価】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1425211737/)
【艦これ】提督「執務室に落書き?」8回目【安価】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1425727356/)
【艦これ】提督「執務室に落書き?」9回目【安価】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1426335596/)
のやり直しです(完結はしています)

前回起きたことはすべてなかったことになっているので、
前回は見ていなくても問題ありません

いよいよ最終回!よろしくお願いします!

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1426938990

椅子

提督「椅子に落書きされてやがる…」

提督「うーん…」

どうしますか? >>8
1.聞き込みを行う(相手の名前も含めて)
2.現場検証
3.落書きの内容の確認
4.その他(何をするかも含めて)

提督「何か変わったところはないだろうか…」ガサゴソ

提督「…ん?これは…」

何を発見、もしくは何に気付いた?>>12

紙切れを発見

提督「何だこの紙切れ?」ヒョイッ

提督「…何か書かれてあるな」

内容>>15

もうドジっ子なんて言わせません!by五月雨

『もうドジっ子なんて言わせません! by五月雨』

提督「…五月雨?」

提督「確かに五月雨の字だが…何でこんな内容の紙が執務室に落ちてるんだ?」

提督「…どうしよう?」

>>19

ほうち

提督「ま、いっか」ポイッ

提督「それよりも今日はもう仕事がないから、暇なんだよなぁ…」

提督「何しよう」

>>25
1.鎮守府内を散策
2.読書
3.エロゲー
4.訓練

落書きを確認する

提督「せっかくだからなんて書いてたかもう一回確認するか」

提督「えーと…」

>>28

五月雨は提督の事が大好きです!

『五月雨は提督の事が大好きです!』

提督「へぁっ!?」

提督「あ、あれ?さっき見たはずなのに改めて見たらなんか変な声が出たぞ」

提督「…わからん」

コンコン

提督「ん?どうぞー」

>>33「失礼します」ガチャッ

五月雨

五月雨「失礼します」ガチャッ

提督「!」

提督「さ、五月雨か…どうした?」

五月雨「えと…御用があってきたのですが…」

提督「ああ…」

五月雨「>>40

愛してます提督

五月雨「愛してます提督」

提督「え…?」

五月雨「ずっと、ずっと好きでした」

五月雨「初期艦として、ずっとあなたをサポートしてきて…」

五月雨「ずっと近くで、あなたを見ていました」

五月雨「そんな中で、いつしか私は、あなたに恋心を抱くようになっていったんです…」

提督「五月雨…」

五月雨「…すみません。迷惑ですよね、いきなり…」

提督「そ、そんなことは」

五月雨「ごめんなさい。失礼しました…ッ」ダッ

提督「お、おい!五月雨!」ダッ


五月雨「あうっ」コケッ

提督「…」

五月雨「うぅ…」ヒリヒリ

提督「だ、大丈夫か?」

五月雨「すみませぇん…」ウルウル

五月雨「はぁ…こんなことじゃ、ドジっ子脱却なんて、夢のまた夢ですね」

提督「…別に、脱却しなくてもいいんじゃないか」

五月雨「提督…?」

提督「お前がドジを踏んだら、俺がカバーしてやる」

五月雨「で、でも…提督に、迷惑をかけちゃいます」

提督「別に俺は、そんなの気にしない」

提督「今までだって、迷惑だなんて言ったことあったか?」

五月雨「それは…」

提督「ドジっ子のままでいい。五月雨は、五月雨のままでいいんだ」

提督「そんな五月雨だから、俺は…」

五月雨「えっ…」

提督「…すまん、何でもない」

提督「それより、痛みは引いたか?」

五月雨「あ…はい。何とか」

提督「そうか…ところで五月雨」

五月雨「はい?」

提督「これ、お前の仕業か…?」

五月雨「!あ、あはは…すみません」

提督「…あ、あんまりこういうことするんじゃないぞ」

提督「特に、こういう内容は…」

五月雨「…はい」

五月雨「それでは、失礼します」バタン

提督「おう」

提督「さて…まだ結構時間があるが、何をしよう?」

>>47
1.鎮守府内を散策
2.読書
3.エロゲー
4.訓練
5.スネークごっこ

結婚の書類を買いに行く

アイテム屋


明石「あら、提督?いらっしゃいませ!」

提督「おう、明石」

明石「何か買われるんですか?」

提督「ま、まあ…その…」

明石「?」

提督「け、ケッコンの書類を…」

明石「え!?」

明石「え!?え!?提督、誰とケッコンするんですか!?」ズイッ

提督「い、言わなくてもいいだろうが…」

明石「だってだってー!気になるじゃないですかー!」

提督「…」

提督「じゃ、>>52してくれたら教えてあげる」

タダに

提督「タダにしてくれたら教えてあげる」

明石「ぐっ…提督なかなか痛いところをついてきますね」

提督「で、どうするんだ?」

明石「う~…」

明石「…3割引きじゃダメですか?」

提督「ダメです」

明石「じゃ、じゃあ半額」

提督「ダメです」

明石「…じゃあいいです…」

提督(あ、いじけた)

執務室


提督「結局正規の額で買ったが…まあいいや」

提督「…まだ練度足りてないからな。あと少しだけど…その時まで取っておこう」

提督「そうこうしてるうちにもう夜か…」

提督「…相変わらず暇だ」

どうしますか?>>56

五月雨に書類を渡しに行く

提督「五月雨ーはどこかなーっと」

時雨「提督?どうしたんだい?」

提督「お、時雨。五月雨どこにいるか知らない?」

時雨「>>62

提督の部屋

時雨「提督の部屋だよ」

提督「俺の部屋?執務室じゃなくて?」

時雨「うん。さっき行くって言ってたよ」

提督「そうか…わかった、ありがとう」


夕立「時雨ー。食堂行かないっぽいー?」タッタッ

時雨「夕立…」

時雨「…何か、面白いことが起きそうな気がする!」

夕立「え?」

時雨「よし、見に行こう!夕立もくるんださあ早く!」グイグイ

夕立「え!?ちょ、ちょっと!引っ張らないでー!どこ行くっぽいー!」ズリズリ

提督の部屋


提督「五月雨ー、いるのかー?」ガチャッ

提督「…ん?」

何を見た?>>67

提督を静かに待つ五月雨

五月雨「…」

提督「さ、五月雨?」

五月雨「こんばんは、提督」

提督「何やってるんだ?俺の部屋で」

五月雨「>>71

さっきの告白の答えを聞きに来た

五月雨「さっきの告白の答えを聞きに来ました」

提督「…そういえば、まだだったな」

五月雨「…私は、提督のことが好きです」

五月雨「提督は、私のこと、どう思ってるんですか?」

提督「…」

提督「…これが、俺の答えだ」スッ

五月雨「これって…ケッコンの書類?」

提督「まだ練度足りてないから、渡さないでおこうと思ったんだが…」

提督「なんか、渡さないといけないような気がしてな」

五月雨「…ふふっ。何ですか、その理由」クスクス

提督「わ、笑うな!俺にだって、よくわからないんだ!」

五月雨「…ありがとうございます。でも…」

五月雨「…これは、お返しします」スッ

提督「え…?」

五月雨「い、いえ!別に嫌なわけじゃないんです!」

五月雨「ただ、それは…」

五月雨「…その時になったら、提督から、渡してください」

提督「…そうか」

提督「そうだよな。わかった、これは俺が持っておく」

ザワ・・・ザワ・・・

提督「ん…?」

サミダレトテイトクガケッコンダッテ…!?

イモウトニサキコサレチャウッポーイ

テイトクッテロリコンナノカナ

ワカラナイッポイ

提督「何やってんだお前ら」ガチャッ

時雨「」

夕立「」

時雨「…ごめんなさい。つい出来心で…」ヒリヒリ

夕立「ゆ、夕立は時雨にそそのかされただけっぽい!」ヒリヒリ

提督「言い訳はいい。盗み聞きをするとは何事か!」

時雨「うっ…」

五月雨「提督。もう許してあげてください」

提督「…そうはいってもな」

五月雨「時雨も夕立ももういいから。もうしないなら提督も許してくれるよ」

提督「しょうがねぇな。もう行っていいぞ」

時雨「うぅ…ありがとう五月雨」

夕立「まだ頭がジンジンするっぽい~」ジンジン

提督「…ところで五月雨」

五月雨「はい?」

提督「明日、秘書艦頼む」

五月雨「!は、はい!」

提督「よろしくな」

翌日 執務室


提督「…五月雨遅いな」

提督「何かあったのかな?」

ドタドタドタドタ

五月雨「て、提督!大変です!」バタンッ

提督「五月雨!?どうした!」

五月雨「>>81

深海棲艦が攻めてきた

五月雨「深海棲艦が攻めてきました!」

提督「何だって!?」

提督「て、敵艦隊の規模は!」

五月雨「正確にはわかりませんが、かなり大きいことは間違いないようです」

五月雨「そして…『姫』クラスが三隻もいるそうです…」

提督「なっ…!?」


駆逐棲姫「…」ザァァァ

空母棲姫「…」ザァァァ

戦艦棲姫「…」ザァァァ


提督「くそっ!こんないきなり来るとは…!」

五月雨「提督、どうしますか?」

提督「迎え撃つしかない!艦隊を編成して、直ちに迎撃せよ!」

提督「じゃあ、五月雨…頼んだぞ」

五月雨「はい。必ずや敵を打ち負かして見せます!」

提督「後で支援は出す。まずは持ちこたえてくれ…」

五月雨「はい!」


五月雨「じゃあ皆さん!お願いしますね!」

金剛「YES!みかんをひねり潰すように潰してやりマース!」

霧島「お姉さま、その表現はどうかと…」

時雨「昨日の覗きの分、しっかりやらないと!」

夕立「手遅れっぽい?」

加賀「そろそろ敵と遭遇します…戦闘に備えてください」

一同「はい!」

加賀「…敵艦見ゆ!」

五月雨「砲雷撃戦、始めてください!」


金剛「撃ちます!Fire!」ドーン

イ級「…!」ドカーン

霧島「お姉さま、だからいきなり駆逐艦から狙わないでください…」ドーン

金剛「Shit!そういう霧島だって駆逐艦フルボッコにしてるデース!」ドーン

霧島「わ、私は…計算して撃って…」ドーン

金剛「そんなのlieデース!霧島はliarネー!」ドーン


時雨「すごいなぁ…会話しながら全弾命中させてるよ」

五月雨「加賀さん!敵の動きはどうですか!?」ドーン

加賀「今のところ特に変わった動きはないわ…ッ!」

加賀「『姫』クラス三隻!こちらに向かっています!」

五月雨「え!?もう!?」

夕立「気づかれるのも当然だったし、仕方ないっぽい」ドーン

時雨「そうだね。とにかく今は、周りにいるこいつらをどうにかしないと…!」ドーン

五月雨「そう…だね。今はどうにか…!」ドーン


金剛「霧島は昔からそうデース!私と同じことするくせに自分のことは棚にあげまーす!」ドーン

霧島「お姉さまだってそうじゃないですか!私のすることに口出ししてきて…!」ドーン


時雨「あっちはいつまで続くのかな?」

夕立「任務放棄して殴り合いにだけはならないでほしいっぽい」

五月雨「はぁ…はぁ…」ドーン

時雨「五月雨、大丈夫?」ドーン

五月雨「大丈夫…このくらいで!」ドーン

時雨「でも、ずっと前衛で戦ってるじゃないか」ドーン

夕立「少しは下がって休むといいっぽい」ドーン

五月雨「でも…」


加賀「『姫』クラス三隻!間もなく遭遇します!」

夕立「来た…!」

時雨「五月雨、どうする?」

五月雨「まずは制空権を!加賀さん、お願いします!空母棲姫に気を付けてください!」

加賀「了解したわ」バシュン

空母棲姫「ヒノ…カタマリトナッテ…シズンデシマエ……!」ヒュンヒュン


加賀「くっ…かなり厳しいみたいね」バシュン

五月雨「そんな…」

夕立「!敵艦載機、来るっぽい!」

ドカーン

五月雨「きゃぁっ!?」

時雨「五月雨!」

五月雨「だ、大丈夫…何とか避けたから」

加賀「…何とか制空権はとれたみたいだけど、航空優勢止まりね」

五月雨「そうですか…わかりました、ありがとうございます」

時雨「金剛さーん、霧島さーん。いい加減真面目にやってくれないかな?」

金剛「What?…oh,sorryデース」

霧島「いつの間にあんなに近くに…」

夕立「二人が喧嘩してる間に…」

金剛「まあそんなことはどうでもいいデース!全砲門、Fire!」ドーンドーン


空母棲姫「クッ…!」ドカーン


金剛「Yes!これで奴はただのカカシデース!」

霧島「お姉さま、油断しないでください!戦艦棲姫の攻撃が来ます!」


戦艦棲姫「シズミナサイ…!」ドーン


霧島「お姉さま、危ない!」ザッ

ドカーン

金剛「霧島!」

霧島「くっ…大丈夫です。まだ戦えます…!」

五月雨「霧島さん、無理せず下がってください!」ドーン

時雨「でも、あとは戦艦棲姫に気を付ければ、勝てる…!」ドーン

夕立「夕立と時雨があいつらを倒しに行くから、五月雨は雑魚を引き付けてほしいっぽい!」ドーン

五月雨「わかった!気を付けてね!」ドーン


時雨「…あれ?」

夕立「どうしたっぽい?」

時雨「駆逐棲姫が見当たらない…」

夕立「え?本当だ…いないっぽい」

時雨「…まさか!」


加賀「…!五月雨さん!後ろ!」

五月雨「え…?」

駆逐棲姫「オチロッ…!」ドーン

五月雨「うわぁ!?」ドカーン


空母棲姫「サクテキヲオロソカニスルカラダ…」ニヤリ

金剛「五月雨!この…!」ドーン

駆逐棲姫「フフッ…」サッ

五月雨「うぅ…」ボロッ

霧島「下がってください!私より重症です!」

五月雨「そうする…わけには…!」

五月雨「…あっ」ガクン

加賀「五月雨さん!」


五月雨(体が…動かない)

五月雨(あと…一発でもくらったら…)

駆逐棲姫「…」ガシャン

五月雨(提督…ごめんなさい…私…ここまでみたいです…)


???「一番先に、敵に攻撃!」ドーン

駆逐棲姫「!?」ドカーン

五月雨「白露…?」

白露「ごめん五月雨!遅くなっちゃった!支援艦隊、到着だよー!」

五月雨「そう…よかった…」

白露「あと…この人も来てくれたよ」

提督「よう」

五月雨「て、提督!?」

白露「どうしても来たいっていうから…船に乗って来てもらったよ」

提督「鎮守府では厳重警戒させてるし、何かあったらすぐ連絡させるようにしているから大丈夫だ」

五月雨「そう…ですか…」

白露「さあ、五月雨も乗った乗った!」ヒョイッ

五月雨「うわぁっ!?」

白露「じゃあ、私たちは雑魚を片付けてくるから。じゃあねー!」ザァァァ

提督「ありがとなー、白露!」


提督「大丈夫か?五月雨」

五月雨「何とか…」

提督「ボロボロじゃないか…すまない。俺の作戦のせいで…」

五月雨「提督は悪くないです!私が油断したから…」

提督「とにかく、もう無理はするな。あとのことは他の奴らに任せておけ」

五月雨「…そうですか」

五月雨「でも私は…まだ戦いたいです」

五月雨「一緒に戦って、みんなの役に立ちたいです…」

提督「五月雨…」

五月雨「…でも、今行っても足手まといになるだけですからね」

五月雨「大人しく…ここで待ってます」

提督「…どうしても戦いたいか?」

五月雨「提督…?」

提督「どうしても戦いたいのか?」

五月雨「…」

五月雨「…はい」

五月雨「敵は、かなり強いはずです」

五月雨「だから、倒すために…少しでも、役に立ちたいです…!」

提督「そうか…」ゴソゴソ

提督「五月雨。お前、さっき戦ってた中で、練度が上がったみたいだな?」

五月雨「?そうですね。今99で…」

五月雨「!」

提督「思ってたよりも早く、『その時』は来たみたいだな」スッ

五月雨「…こんなところでするんですか?」クスクス

提督「こんなところとは何だ。一生忘れられないだろう」

五月雨「そうですね…」

五月雨「…ありがとうございます、提督」

夕立「もうっ!雑魚が邪魔っぽい!」ドーン

時雨「他の人たちがひきつけてくれてるはずなのに、こんなに来るなんて…!」ドーン

戦艦棲姫「…」

夕立「おかげで少しずつしかダメージ与えられないっぽいー!」ドーン

時雨「!夕立、後ろ!」

夕立「…え?」

ドカーン

時雨「夕立!!」

夕立「…あれ?痛くないっぽい」

時雨「え?さっき軽巡が君のこと狙ってて…」

五月雨「二人とも、大丈夫?」ザァァァ

夕立・時雨「五月雨!」

時雨「あれ?さっき白露から大破したって聞いたんだけど…」

夕立「どういうこと?」

五月雨「そんな話はあとあと!まずは肉薄しないと!」

時雨「う、うん…」

夕立「ぽい…」

時雨(!その指輪…)

時雨(…海の上でとは、提督なかなか面白いことをするねぇ)

五月雨「やぁー!」ドーンドーン

夕立「今までと動きが違うっぽい…」

時雨「ケッコンすると、強くなるっていうのは知ってるけど…ここまで変わるものなのかな?」

五月雨「二人ともー!早くいくよー!」ドーン


時雨「暗くなってきたね…」

夕立「朝から出撃してたのに、時間が経つのは速いっぽーい…」

五月雨「…二人とも、気を付けて…視界が悪くなるよ」

時雨「わかってるさ」

夕立「それにしても…」


空母棲姫「…」

戦艦棲姫「…」


夕立「あと何発撃ち込めばいいっぽい?」

時雨「さすがに駆逐艦だけじゃ無理があるよ…」

五月雨「金剛さんたちもたまに援護してくれるけど…向こうも状況が悪いみたいだね」

夕立「さすがに疲れてきたっぽい~」

五月雨「でも、暗くなってきたってことは…」

夕立「夜戦っぽい!?」

時雨「…チャンスはあるみたいだね」

五月雨「じゃあ、二人は空母棲姫を倒して!」

時雨「え!?五月雨は!?」

五月雨「私は…」チラッ

戦艦棲姫「…」

五月雨「…戦艦棲姫と戦う」

夕立「そんな!?無茶っぽい!空母棲姫は中破してるからいいけど、ほぼ無傷の戦艦棲姫と一人で戦うなんて…!」

時雨「そうだよ!そんなこと…!」

五月雨「大丈夫。無茶はしないつもり」

時雨「でも…!」

五月雨「一人で倒そうなんて考えてないよ。二人が空母棲姫と戦ってるうちに引き付けて、ある程度ダメージを与えておくから、二人は空母棲姫を倒したらこっちに来て、一緒に倒してほしいの」

夕立「…本当に大丈夫っぽい?」

五月雨「大丈夫!ドジは踏まないから!」

五月雨「たぁー!」ドーンドーン

戦艦棲姫「グッ…」ドカーン

五月雨(効いてる!夜戦なら攻撃はちゃんと通る…!)

五月雨(この調子で…!)

戦艦棲姫「…」ガシャン

五月雨(!攻撃が来る…!急いで避けないと!)


五月雨「…え?」コケッ

五月雨「うわぁ!?」ズザザ

五月雨「あいたたた…」

五月雨「って、しまった!」

戦艦棲姫「…」ニヤリ

五月雨「あ…」

戦艦棲姫「シズミナサイ…!」ドーン


五月雨(ああ…だめだ、私…また、こんな…)

五月雨(さっきも…同じようなことがあったのに…)

五月雨(こんな時にこけるなんて…)

五月雨(さっきドジ踏まないって、言ったばかりなのにな…)

五月雨(提督…ごめんなさい)


ドカーン

五月雨「…あれ?」

五月雨「…なんとも、ない…」

五月雨「…!時雨…!」


時雨「…心配になって、夕立に任せて様子を見に来たら…」シュゥゥゥ

時雨「まったく…こんな時にドジ踏むなんて…」

時雨「世話の焼ける妹だよ…!」


五月雨「時雨!大丈夫!?」

時雨「大丈夫…沈みはしないさ」

時雨「僕のことは気にしなくていいから…」

時雨「あいつを…倒すんだ…!」

五月雨「時雨…」

五月雨「…わかった!」

五月雨(役に立ちたいって思ってきたのに、結局迷惑かけちゃった)ガシャン

五月雨(ドジも踏んじゃったし、何やってるんだろう、私…)

五月雨(…でも、せっかく時雨が守ってくれたんだもん)

五月雨(このチャンス…この命…!絶対に無駄にしない!)

戦艦棲姫「…」ガシャン

五月雨(絶対に…!)

五月雨「絶対に!負けない!!」ドーン

戦艦棲姫「!」ドーン


ドカーン

──────────

──────

───

提督「お、入渠終わったか、五月雨」

五月雨「はい。やっと終わりました。時雨はまだみたいですけどね」

提督「そうか…それにしてもよくやったよ」

五月雨「いえ…私なんて、時雨に守られちゃいましたし…」

五月雨「最後の敵の砲撃だって…直撃してたら、沈んでたかもしれません」

提督「まあ生き残ったから何でもいいのさ」

提督「ただ…時雨には感謝しないとな」

五月雨「本当ですよ…一昨日覗きに来たことを考えると微妙ですけどね」

提督「ははっ確かに」

提督「…なあ、五月雨」

五月雨「はい?」

提督「ちょっと手だせ」

五月雨「?」スッ

スポッ

五月雨「え…?」

提督「いや何、その…ちゃんと、言ってから渡さないといけないと思ってな」

五月雨「提督…」

提督「今まで、言ってこなかったから、ちゃんと言わないといけないと思って…」

五月雨「…今更ですね」クスッ

提督「う、うるさい!まったく…」



「五月雨。お前が、好きだ。ずっと俺のそばにいてくれ」

「…はい」


終わり

おまけ


五月雨「どうしよう…勢い余って提督の椅子に落書きしちゃった…」

五月雨「うぅ…逃げよう!そうしよう!」ダッ

ペラッ

五月雨「あれ?何か落ちた…」ヒョイッ

『もうドジっ子なんて言わせません! by五月雨』

五月雨「…私の字に似てるけど、こんなの書いてないし…」

五月雨「そもそも背中に張り付けてないし…」

五月雨「…私に字が似てて、こんなことをしそうなのは…」

バタンッ

涼風ー!


終わり

──────────

──────

───

提督「よーし、今日も一日頑張るぞいっ!」

提督「…なんか死にたくなってきた」

提督「…ん?こんなところに落書きが…」

提督「…!」




『この世界の秘密を知りたくはないか?』


完結編に続く

というわけで、来週このスレで完結編を書く予定です
完結編の注意事項

・シリアス展開

・艦これ考察の一部を使用

・安価はちょっとだけやる予定(話の大筋には関係なし)

・さすがに今までの全部見たほうがいい

大体こんな感じです。まあよかったら見てください
今回は私の嫁がメインということで…
気を利かせてくれたのでしょうか。ありがとうございます

お待たせしました!
完結編を今から始めたいと思います
多分それなりに長くなります

提督「この世界の秘密、だと…?」

提督「どういうことだ?誰かのいたずらか?」

提督「それにしても掛け軸に落書きとは、どうしたものか…」

提督「せっかく川内が書い、て…」

提督「…前にもこんなことが、あったような…」



長門『私が秋月を執務室で襲って存分に楽しんだ後にその喜びを掛け軸に表現させてもらった』



提督「ッ!!」ズキン

提督「何だ…頭が…!」

提督「くっ…どういうことだ…?」

提督「今まで執務室に落書きなんてされたことはない…」

提督「だったら、この記憶は…?」


大和『提督をペロペロできなかった鬱憤をこのような形で…』


提督「ッ!!また…!」ズキン

提督「…机にも、何かある気が…」


『そろそろ気づき始めてるんじゃないかしら?』

提督「…机にも、同じような落書きが…」

提督「ここに落書きされたことも、前にあったような…」



如月『いくら司令官に気付かせるためとはいえ、汚しちゃったからね』



提督「…次は、床かな…」


『前になかったはずのことが、あったことに』

提督「…やはり、落書きが…」

提督「この落書きと…この記憶は…?」


川内『そこで、あのことを忘れないように、そして、自分のけじめのために、書いたんだよ』


提督「…ソファー、だな」


『そしてあなたは、そのなかったはずのことの記憶をもとにこの落書きをたどっているんでしょう?』

提督「…なぜ、こいつは俺の今の状況を…?」


天津風『司令と結ばれたかったから……えぐっ……ケッコンカッコカリの書類に……ぐすっ……』


提督「…ケッコンカッコカリの…書類…」


『あなたのその記憶は、この世界の秘密と関係しているわ』

提督「何…?」


雪風『…もしかして司令、表しか見てないんですか?』


提督「…改造提案書」


『だから、世界の秘密を教えてあげてもいいわ』


提督「そいつはありがたいな…」

提督「…ん?裏にも書いてあるな」


『でも、すぐには教えてあげない』

提督「…は?」

提督「おちょくってるのか?こいつ…」


秋月『すみません、おびき寄せる為の細工の為に入りましたよ』


提督「…落ち着け、まだ落書きはあるはずだ…」

提督「もう一度机だ…」


『私とゲームをして勝ったら、教えてあげてもいいわ』

提督「ゲームだと…?」


磯風『ってことがあったなんて、言えるかー!』


提督「…卵焼き…」

提督「って、違う違う。軍帽だ」


『ルールは簡単。私を見つけることよ』

提督「ふむ…」


夕張『面白そうだからよ!!』


提督「…なんかあんまり思い出したくないのを思い出してしまった気がする…」

提督「いや、そんなことはどうでもいい。春雨の額…」

提督「…って、ここに春雨はいないじゃないか」

提督「じゃあ別の場所に…?」


ガチャッ

提督「ん?」

ポイッ

春雨「zzzzzzzzzz」ドタッ

提督「…って春雨!?」

提督「おい、大丈夫か!?」

春雨「zzzzzzzzzzzzzzzz」

提督「…眠ってるだけのようだ。よかった…」

提督「って、そうだ!」ババッ


シーン


提督「…廊下には誰もいないな」

提督「くそっ…逃げられたか」

提督「…」


『私はちゃんと、鎮守府内にいるから、安心していいわ』

提督「まあ、今来たんだから、そうだろうな…」


五月雨『!あ、あはは…すみません』


提督「…最後は、椅子かな…」


『さあ、私は誰でしょう?』

提督「ノーヒントかよ、くそっ…!」

提督「完全にコケにしてやがるな…」

提督「…鎮守府内って事は…艦娘のうちの誰かか?」

提督「じゃあ手あたり次第に…」


>>136

寝てる春雨を起こして聞いてみる

提督「そうだ、春雨に聞けばいいんだ」

提督「おい、春雨…っていない!?」

提督「ん?何か紙が…」


『彼女は何も覚えていないと思うけど、協力されたら厄介だから回収させてもらったわ』

『安心して。ちゃんと部屋に送っておくから』

『あと、艦娘にこのゲームのことを話すことは禁止よ』


提督「マジかよ…」

提督「そうなると…」


>>139

春雨の部屋に行ってみよう

白露型の部屋

提督「春雨ー、いるかー?」コンコン


シーン


提督「入るぞー?」ガチャッ

春雨「zzzzzzzzzzzzz」

提督「春雨だけ…しかも寝てるな。普通に送ってくれたみたいだな」

提督「途中で誰にも会わなかった…やはり足跡を残すような真似はしない、か…」

提督「ただものじゃねえな」


>>142

起こしてみようか

提督「おい、春雨…」ユサユサ

春雨「ん…司令官…?」

提督「大丈夫か?」

春雨「え?どういうことですか?」

提督「い、いや…」

春雨「ずっと部屋で寝てただけですけど…」

提督(寝てたの連れてきただけかよ…)

春雨「あの、何か…?」

提督「いや、何でもないんだ。あまり寝すぎるなよ」

春雨「はい…?」


提督「起こしてみたものの、話すわけにもいかないから何もせず出てきてしまった…」

提督「…そういえば、額の落書き、消えてたな。丁寧な奴だな…」

提督「…それにしても、俺が負ける条件って何だろう?」

提督「間違えたら負けなら、ちゃんと書いておくだろうし…」

提督「うーん…」

提督「…とりあえず誰かに当たってみるか」


>>145

長門

提督「おーい、長門」

長門「提督じゃないか。どうした?」

提督「あ、いや、その…」

長門「?」

提督(そういえばなんて言えばいいんだろう)

長門「何か用があるんじゃないのか?」

提督「まあ、そうなんだが…」

提督(仕方ない、単刀直入に聞こう…)

提督「長門」

長門「何だ?」

提督「世界の秘密を知ってるのは、お前か?」

長門「…」

長門「…大丈夫か?提督」

提督「え?」

長門「急に世界の秘密とか…何を言っているんだ」

提督「いや、その」

長門「ちゃんと休んだ方がいい。じゃあ私はこれで」スタスタ

提督「…うん」

執務室


提督「違ったな…結局帰ってきてしまった」

提督「…ん?机の上になんか紙が…」


『クスクス…ノーヒントじゃ難しかったみたいね』

提督(当たり前だ)

『じゃあヒントを一つあげる…私は、あなたの落書きの記憶…その中で落書きをした人ではないわ』

提督(ということは、あの10人の中にはいないってことか)

『それと、あなたのさっきのセリフ、気に入ったから、これから私を探す時に問い詰めるときはそれでお願いね』

提督(マジかよ…ということは違ったらめちゃくちゃ恥ずかしいな)

提督(それにしても…これが書かれてるってことは、監視されてるのか?)

提督(…深く考えない方がよさそうだ)

提督「さて…」


>>150

榛名

提督「おーい、榛名ー」

榛名「提督?どうしたんですか?」

提督(あれ言わないといけないのか…やだなあ)

提督「榛名」

榛名「はい?」

提督「世界の秘密を知ってるのは、お前か?」

榛名「…」

榛名「提督、何の話ですか?」

提督「え?」

榛名「榛名にはよくわからないのですが…」

提督「い、いや、何でもない。忘れてくれ」

榛名「?はい…」

提督「榛名でもなかった…なんか鉈持ってた気がするから、そうかなって」

提督「…また紙が増えてる」


『あらあら…まあ、まだ難しいわよね』

『じゃあ二つ目のヒント。落書きの記憶の中での私の行動はあまり関係ないわ。今回の榛名のように考えちゃだめよ』

『あともう一つヒント。私は、8回現れたわ』


提督「8回?どういうことだ?」

提督「…」

>>156

加賀さんいっぱい出てた気がするし加賀さん

提督「加賀ー。いいかー?」

加賀「提督?何でしょう」

提督(なんか慣れてきたな…)

提督「加賀」

加賀「はい」

提督「世界の秘密を知ってるのは、お前か?」

加賀「…」

加賀「ふ…ふふ…」

提督「!!」

加賀「ようやくたどり着いた、というわけね」

加賀「ビンゴよ。おめでとう、提督。あなたの勝ちよ」

提督(雰囲気が変わった…)

提督(こいつは…)

提督「お前…加賀じゃないな?」

加賀?「そうね…私は『加賀であって加賀ではない』といったところかしら?」

提督「何言ってるか全然わかんねえな」

加賀?「後でわかるはずよ…」クスクス

提督(なんだ?こいつは…)

提督(妙に強いプレッシャーを感じるぜ…)ビリビリ

加賀?「それより、聞きたいことがあるんじゃなかったのかしら?」

提督「!そ、そうだった」

提督「世界の秘密ってのは、何のことだ?」

加賀?「そうね…約束通り、教えてあげてもいいけど…」

提督「何だ?まさか、またゲームするとかいうんじゃねえだろうな」

加賀?「そんなこと言わないわ。ただ…」

加賀?「本当に知ってしまってもいいのかしら?」

提督「…どういうことだ?」

加賀?「これ以上は言えないわ…」クスクス

提督「…」

提督「…お前が言い出したことだろうが」

加賀?「そうよ」

提督「だったら、さっさと教えろ」

加賀?「…後悔しない?」

提督「しない」

加賀?「そう…」

加賀?「じゃあ、教えてあげるから、まずは戻りましょうか」

提督「?どこにだ?執務室か?」

加賀?「いいえ…」


加賀?「現実に、よ」

提督「…え?」


──────────

──────

───

提督「…うう…」

提督「…ここは…?」

ゴウンゴウン

提督(加賀っぽい誰かと…話してたと思うんだが…)

提督(何か…変な装置に…つながれて…)

提督(…どこかで見たような、装置だ…)

???「アラ、起キタノネ」

提督(誰だ…?)

提督「…!!」

戦艦棲姫「ソンナニ驚カナクテモイイジャナイ」

戦艦棲姫「気分ハドウカシラ?」

提督「最悪だな…」

提督「あと、お前の声聞き取りづれえんだよ」

戦艦棲姫「アラ、ゴメンナサイ」

ザザッ

提督「…?」

戦艦棲姫「これでいいかしら?」

提督「どういうことだ…!?」

提督「おい、今何をしたんだ?」

戦艦棲姫「まあまあ、落ち着きなさいよ。あとで教えてあげるから」

提督「くっ…」

戦艦棲姫「別にあなたに危害を加える気はないから安心して」

提督「…そうか」

戦艦棲姫「さて、と…何から話そうかしら?」

戦艦棲姫「…じゃあ、あなたの質問に答えるようにしましょう」

提督「聞きたいこと多すぎなんだけどな」

提督「…じゃあ、俺が今置かれている状況とこの場所について教えてもらおうか」

戦艦棲姫「あら、思い出せない?」

提督「ああ。まったく」

戦艦棲姫「そうね…じゃあ、まずあなたの後ろにある装置の周りを見てもらおうかしら?」

提督「装置の周り…?」

提督「…!」


長門「…」

大和「…」

如月「…」

川内「…」

天津風「…」

雪風「…」

秋月「…」

磯風「…」

夕張「…」

五月雨「…」


提督「お前ら…!」

提督「おい!こいつらに手え出してねえだろうな!」ガチャガチャ

戦艦棲姫「まあまあ落ち着いて。大丈夫よ」

戦艦棲姫「彼女たちには眠ってもらってるだけよ。何も危害は加えてないし、これから加える気もないわ」

提督「…本当だろうな?」

戦艦棲姫「ええ。もちろん」

提督「…まあいいだろう」

提督「…で、どういうことなんだ?」

戦艦棲姫「彼女たちとあなたは、任務で北方の泊地まで行く予定だったそうね?」

提督「…そういえばそういうことがあったな」

戦艦棲姫「その情報を手に入れた私たちは、待ち伏せをして移動中のあなたたちを捕獲したのよ」

戦艦棲姫「で、ここ…私たちの本拠地に連れてきて、あなたたちをその装置につながせてもらったわ」

提督「つまり、俺たちは囚われの身ってことか…」

戦艦棲姫「そういうことね」

マトリックスみたいな状態?

提督「…ところで、さっきまで俺と話してた加賀って…」

戦艦棲姫「ええ。私よ」

提督「じゃあ、お前に聞くけどさ」

提督「世界の秘密ってのは、何だったんだ?」

戦艦棲姫「そうね…まず、『世界』っていうのは、さっきまで私とあなたがいた世界よ」

提督「ってことは、この…今俺たちがいる世界とは別なのか?」

戦艦棲姫「そうよ」

>>170
大体そんな感じです。服は着てるしカプセルにも入ってないけど

戦艦棲姫「それで、秘密っていうのは、その世界の正体のことよ」

提督「正体?」

戦艦棲姫「ええ。さっきまで私たちがいた世界は…」

戦艦棲姫「あなたたちが作り出した、精神世界よ」

提督「精神世界…?なんだそりゃ」

戦艦棲姫「あなたたちの記憶や意志…そういった脳の情報をバラバラに組み合わせて、あの世界を脳内で作り出したの」

提督「つまり、俺たちは妄想の世界にいたと」

戦艦棲姫「まあそんな感じね。実際には意識だけが飛ばされただけだけどね」

提督「じゃあお前ら深海棲艦は、そんなことが可能だってのか?」

戦艦棲姫「いいえ。私たちにそんな能力はないわ」

戦艦棲姫「可能にしたのは…あなたたちが繋がっている、その装置よ」

提督「…これが?」

戦艦棲姫「ええ。この装置によって、あなたたちの脳内の情報を読み取って、精神世界を作り出し、あなたたちを飛ばした…」

戦艦棲姫「実は私もその装置とつながってるの。ほら」

提督「本当だ。でも、俺たちのとは違う管のようだが…」

戦艦棲姫「まあ、私はその世界を観測しただけだからね。あなたたちの仲間の…加賀としてね」

提督「…加賀であって加賀でないっていうのは?」

戦艦棲姫「あの世界の加賀は、あなたたちの脳内の情報から作り出されたもの。その加賀を通して私は観測していた。」

戦艦棲姫「でも、私は観測するだけ…彼女の行動に、私の意思は反映されないわ」

戦艦棲姫「つまり、あの加賀はあなたたちの記憶が作り出した加賀だけど、私が観測者として内側にいた、ということよ」

戦艦棲姫「それと…あの世界を作り出す条件なのだけれど」

戦艦棲姫「情報を読み取った人物が登場することが絶対で…あと、2つのファクター…要素が必要よ」

提督「ファクター?」

戦艦棲姫「ええ。『基軸行動』と『基軸人物』よ」

戦艦棲姫「基軸行動っていうのは、情報を読み取った人物がとらなければならない行動のことよ」

提督「情報を読み取ったのは、こいつらだよな?」

戦艦棲姫「ええ、そうよ」

提督(あの世界でこいつらが必ず取った行動…)

提督「…落書き、か?」

戦艦棲姫「その通り」

戦艦棲姫「そして、もう一つのファクターの『基軸人物』は、世界に必ず登場しなければならない人物よ」

提督「必ず登場…?」

提督(そんな奴いたっけ?)

提督(加賀…もとい戦艦棲姫は登場しなかった時もあったし)

戦艦棲姫「あら、わからないの?」

提督「別にクイズをやってるわけでもないし…さっさと教えてくれ」

戦艦棲姫「あらあら…もっと自分を大切にした方がいいわよ?」

提督「何の話だ…ん?」

提督「まさか…」

戦艦棲姫「わかったみたいね」

提督「…俺、か?」

戦艦棲姫「そうよ。基軸人物は、基軸行動を無視できるわ。今回の場合、落書きをしなくてもあなたの情報は読み取らせてもらった、ってことよ」

提督「そうか…」

戦艦棲姫「ちなみに…10もの精神世界を体験してきたから、ずいぶん時間が経ったと思ってるかもしれないけれど…」

戦艦棲姫「装置につないでからまだ一時間程度しか経過していないわ」

提督「そりゃ随分とご都合主義だな」

戦艦棲姫「今頃お仲間が必死になってあなたたちを探しているでしょうねぇ…」クスクス

提督「…」ギリッ

提督「…つまり、まとめると」

提督「俺たちはお前らにつかまってこの装置につなげられて」

提督「精神世界を体験して」

提督「脳の情報を読み取られたと」

戦艦棲姫「そういうこと」

提督「…ところで、この装置なんだが…」

戦艦棲姫「ん?」

提督「精神世界で、見た気がするけど…」

提督「お前の記憶は入ってないんだろ?じゃあ、誰が…」

戦艦棲姫「…そういえば、装置につなげるときに、起きちゃった子がいたわね」

提督「…夕張か?」

戦艦棲姫「そうだったかしら…」クスクス

戦艦棲姫「艤装もないのに、大暴れしちゃって、大変だったわよ」

戦艦棲姫「最後まであなたたちを助けようとして…まったく、滑稽だったわ」クスクス

夕張「…」

提督「てめぇ…」ギロッ

戦艦棲姫「そんなに怒らないでよ。それより、まだ聞きたいことがあるんじゃないの?」

提督「…そうだな」

提督「このタイミングで、俺をわざわざ起こして、このことを教えた理由は何だ?」

戦艦棲姫「…別に理由はないわ。面白そうだったからよ…」

戦艦棲姫「それに、言ったじゃない。『後悔しないか』って。あなたの意思を尊重したのよ?」

提督「後悔か…」

提督「確かに絶望的な状況だが、現実を知ったからって後悔はしねえよ」

提督「むしろ、気づかずに眠ってた方がよっぽど後悔するぜ」

戦艦棲姫「本当かしら…」クスクス

提督「…恐らく最後の質問になるが…」

戦艦棲姫「ええ。わかってるわ」

戦艦棲姫「『脳内の情報を読み取って精神世界を作った理由』でしょう?」

提督「…その通りだ」

戦艦棲姫「…あなたは、得体の知れない機械が目の前にあったらどうする?」

提督「え?」

戦艦棲姫「どうしてもその機械を調べないといけない時…どうする?」

提督「な、何の話だ?」

戦艦棲姫「私だったら…一度、分解してみるわ」

戦艦棲姫「部品の一つ一つを…念入りに調べるために」

戦艦棲姫「色々試して、組み合わせてみたり…そうして、『理解』するの」

戦艦棲姫「完全に理解したら…その機械は私の思うままよね?」

提督「おい!何の話をしている!」

戦艦棲姫「まだわからない?機械はあなたたちの脳。部品はその情報。そして組み合わせて『理解』する」

戦艦棲姫「精神世界は、この『理解』までの過程だったのよ」

戦艦棲姫「『理解』したものは思うまま…支配できる」

提督「…まさか」

戦艦棲姫「あなたたちは強い。私たちも、ここまで苦戦するとは思わなかったわ」

戦艦棲姫「だったら、提督のあなたと、主力の艦娘…こちらのコマにしてしまえばいいと思ったの」

提督「!!」

戦艦棲姫「装置について言い忘れてた事があったわ」

戦艦棲姫「この装置でつながっているものは、装置を介して脳がリンクしているの」

戦艦棲姫「つまり、他人の脳に、やろうと思えば干渉できるってことよ」

戦艦棲姫「でも、この干渉は『理解』された者に対してしかできないの…」

提督「ということは、俺たちを…!」

戦艦棲姫「ええ。あなたたちは『理解』されたの。だから干渉できる。支配できる」

提督「おい!よせ!やめろ!」ガチャガチャ

戦艦棲姫「暴れても無駄よ…」

戦艦棲姫「さあ、身も心も私にゆだねて…」

戦艦棲姫「私に…支配されなさい…!」

提督「やめろおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

──────────

──────

───

金剛「はぁー…提督、みんな…どこにいるデース…」

比叡「お姉さま…きっとみんな無事ですよ」



大淀「空母の皆さん。何かわかりましたか?」

赤城『いえ…彩雲を飛ばしていますが、まったく手がかりが見つかりません…』

加賀『こちらもです。ですが、もう一度飛ばしてみます』

大淀「お願いします」


陽炎「無事かな…天津風に、雪風、磯風…」

不知火「…大丈夫ですよ。幸運艦の雪風がいるんですから」

陸奥「長門…提督…どこに行っちゃったの?」

ドタドタ バタンッ

那珂「た、大変だよー!」

陸奥「那珂!?どうしたの!?」

那珂「て、提督たちが帰ってきたー!」

陸奥「ええっ!?」


ザァァァァ


提督「…」

長門「…」

大和「…」

如月「…」

川内「…」

天津風「…」

雪風「…」

秋月「…」

磯風「…」

夕張「…」

五月雨「…」


陸奥「ほ、本当だわ…」

陸奥「提督!どこ行ってたの!?」

提督「やあ陸奥。心配をかけたな」

提督「大淀。すぐにみんなを呼び戻すように通信をかけてくれ」

大淀「は、はい…」

陸奥「で、どうしたのよ?」

提督「いやなに、泊地に向かう途中で深海棲艦につかまっただけさ」

陸奥「ええ!?」

提督「でもその後、返り討ちにしてやったから」

陸奥「そ、そうなの…すごいわね」

陸奥「…あれ?後ろに誰かいる?」

提督「ああ…鹵獲したんだ」

戦艦棲姫「…」

陸奥「せ、戦艦棲姫!?」

提督「言っただろ。返り討ちにしてやったって」

陸奥「そこまでやったの…」

提督「さて、俺はこいつを執務室に連れて行って処分を決めるから、長門と一緒についてきてくれないか?」

陸奥「いいけど…」

長門「…」

戦艦棲姫「…」

執務室


提督「さて…」

長門「…」

陸奥「…長門?どうしたの?」

長門「…気にするな。疲れてるだけさ」

陸奥「そう…?」

提督「…そろそろかな」

陸奥「?何が?」

提督「長門」

長門「はい」ジャキン

陸奥「…え?」


ドカーン

金剛「な、何の音デース!?」

比叡「執務室のほうからです!行きましょう!」ダダッ

大和「…」ザッ

金剛「大和…?」

比叡「大和さん、今、執務室のほうから爆発音が…!」

大和「…」ジャキン

ドカーン

金剛「…え?」

比叡「かっ…はっ…」ドサッ

大和「…」シュウウウ

金剛「ひ…え、い…?」

大和「…」ジャキン

金剛「や、大和…?何をして…」

大和「安心してください」


大和「すぐに同じ所に送ってあげますよ」ジャキン

ドカーン

睦月「き、如月ちゃん!?どうしたの!?」

神通「下がって…いつもの彼女とは違います…!」

如月「…ダメじゃない、睦月ちゃん…避けたら」ジャキン

神通「ッ!」ジャキン

ドーン

如月「…」

神通(避けたけど…こっちも外しちゃった…)

如月「神通さん…私と戦いたいの?」

神通「戦いたくなんてありません!どうして…!」

如月「そう…」

如月「その甘さが命取りよ」

ドーン

睦月「…え?」ドサッ

神通「!?睦月さん!?しっかり…」

川内「甘いなあ神通。戦場で背中を見せるなんて」ジャキン

神通「え?姉さん…?いつの間に…」

川内「神通が如月と話してた時だよ。華の二水戦なんて言われてるけど、甘いねー」

ドーン

神通「そん、な…」ドサッ

陽炎「くっ…」

不知火「三人とも、どうしたんですか…!」

黒潮「いつもと全然ちゃうやん…!」

天津風「私たちは変わったのよ…」

磯風「もうお前たちに負けることはない…!」ジャキン

ドーン

黒潮「ぐはっ…!」

不知火「黒潮!この…!」ドーン

雪風「そんな攻撃が雪風に通用するとでも思ったんですか?」シュバッ

不知火(しまった!接近され…)

ドーン

陽炎「不知火!」

陽炎「そ、そんな…」

天津風「絶望に浸ってる暇はないわよ」ジャキン

陽炎「天津風…」

陽炎「どうして…どうしてこんなことを…!」ポロポロ

天津風「…どうしてでしょうね」

ドーン

赤城「加賀さん!鎮守府の様子が…!」

加賀「帰ってきたら、こんなことになってるなんて…」

赤城「とりあえず偵察機で様子を見ましょう!」バシュンッ

加賀「そうですね…」バシュンッ

ズドドド

赤城「…え?」

加賀「全部、撃ち落とされた…?」

赤城「じゃあ、攻撃機を…!」バシュンッ

ズドドド

加賀「どうして…!?」

赤城「一体どんな敵が…」

加賀「!赤城さん、矢がもうありません!」

赤城「くっ…捜索にもだいぶ矢を使ってましたからね」

秋月「この時を待ってました」ジャキン

赤城「え…?秋月さん…?」

加賀「いつの間に、後ろに…」

ドーン

ドーン

春雨「かっ…」ドサッ

時雨「春雨!」

夕立「夕張さん、どうしちゃったっぽい!?」

夕張「別に、どうもしてないわよ!」ジャキン

ドーン

時雨「くっ…!」シュバッ

夕立「時雨!二人同時で叩くっぽい!」ジャキン

時雨「そうだね…」ジャキン

ドーンドーン

夕張「…」シュバッ

時雨「よけられたか…」

夕立「でも、2対1ならこのままやれば勝てるかも…!」

夕張「…誰も一人だなんて言ってないわよ」

ドーン

時雨「うわぁ!?」

五月雨「…」

夕立「時雨!」

時雨「大丈夫、かすり傷程度だ…」スクッ

時雨「それにしても…」

五月雨「…」ジャキン

時雨「五月雨まで…!」

夕張「よそ見してていいのかしら!?」ジャキン

時雨「!」

夕立「っぽい!」ドーン

夕張「くっ…!」

時雨「夕立!」

夕立「こっちは任せるっぽい!」

時雨「五月雨!一体どうしたんだ!」ドーン

五月雨「時雨には関係のないことだよ」シュバッ

時雨「ある!だって…」

夕立「時雨伏せて!」

時雨「!」シュバッ

ドーン

五月雨「キャァッ!?」シュバッ

夕張「!ご、ごめんなさい五月雨ちゃん!流れ弾が…」

夕立「隙あり!」ドゴォ

夕張「うっ…!」ドタッ

五月雨「夕張さ…」

時雨「動くな!」ジャキン

五月雨「…!」

夕立「時雨!チャンスは今しかないっぽい!撃って!」

時雨「で、でも…」

夕立「そいつは私たちの知ってる五月雨じゃない!撃つしかない!」

五月雨「…」

時雨「…うぅ…」

夕立「早く!」

ガシッ

夕張「だから言ってるじゃない…」ジャキン

夕立(!つ、つかまれて避けられな…)

夕張「よそ見してていいのかしら!?」

ドーン

時雨「ぐっ…」

ヘタッ

時雨「僕には、できない…!」

時雨「妹を、撃ち殺すなんて…!」ポロポロ

五月雨「時雨…」

ジャキン

五月雨「…ごめんね」

ドーン

陸奥「長門!?どうしたの!?」ドカーン

長門「どうしたもこうしたもない!私は自分の義務を全うしているだけだ!」ドカーン

陸奥「違うでしょ!あなたの義務は…」

長門「海の平和を守ることだ!」ジャキン

ドカーン

陸奥「ぐっ…」

陸奥「そこまでわかってるなら…どうして…!」

長門「簡単な話だ。人間に従っていては海の平和は守られない。そのことに気付いただけだ」

長門「なあ、戦艦棲姫?」

戦艦棲姫「フフフ…ソウネ」

陸奥「戦艦棲姫…あんた、長門や提督に何をしたの!?」

戦艦棲姫「別ニ…チョット気ヅカセタダケヨ」

戦艦棲姫「人間ノ愚カサニ」

戦艦棲姫「ネエ提督?」

提督「そうだな…」

陸奥「提督…どうして!?どうしてこんな…」

提督「…すまん陸奥」

提督「俺たちには…こうすることしかできないんだ」

陸奥「そんな…」

戦艦棲姫「私タチガ連レテキタ、他ノ艦娘タチモ、他ノ所デ暴レテルワ」

戦艦棲姫「サラニ…私タチノ仲間…空母棲姫ヤ駆逐棲姫ナンカモココニ向カッテイルワ」

戦艦棲姫「鎮守府ガ壊滅スルノモ時間ノ問題ネ…」

陸奥「こんな…こんなことって…!」

戦艦棲姫「サア、提督…コレカラ頑張リマショウ?」

戦艦棲姫「海ノ平和ノタメニ…」


BAD END

HAPPY ENDも書きたいけど疲れたしさらに長くなりそうなので今日はもうやめます
また後日、できるだけ早く書きますので

加賀じゃなかったってこと?

>>207
どういうことです?

じゃあ、HAPPY ENDのほうを書きます
分岐は>>183の後からです

──────────

──────

───

提督「…うぅ」

提督「…?ここは…?」

提督「あたり一面真っ白だ…さっきまで、確か戦艦棲姫と…」

長門「お、提督が来たぞ」

提督「長門…?それに、みんな…」

磯風「まあ、とりあえずこっちに来い」

夕張「お茶でも飲んで…話でもしようや…」

提督「それはお断りする」

提督「ここはいったい…?」

大和「私たちが作った、精神世界です」

提督「え!?俺たちだけでも作れるの!?戦艦棲姫が装置をいじらないとできないのかと思った…」

天津風「さあ…まあ現にできたしいいんじゃない?」

大和「そうですよ。強く願ったら、できたんですよ」

提督「そんなあっさりできるもんなのかよ…」

雪風「雪風も一生懸命願いました!」

提督「…じゃあお前のせいじゃね?」

提督「ところで…お前ら、何で俺と戦艦棲姫が話していたことを…?」

如月「私たち、眠っていたけれど、話は聞いてたのよ」

川内「意識だけはあった、っていうのかな」

提督「そうだったのか…」

提督「…そうだ!確か、戦艦棲姫に、支配されかけて…」

提督「どうなったんだ!?現実の俺たちは!」

秋月「多分…今、支配されるか否かの瀬戸際だと思うんです」

提督「そんな…」

五月雨「大丈夫ですよ、提督」

五月雨「それを防ぐために、私たちはこうして世界を作ったんです」

提督「どういうことだ?」

長門「今しがた、みんなで話していたんだ」

長門「どうしたら支配されずに済むのかってな」

如月「そして、一つの結論にたどり着いたの」

如月「私たちが互いに互いを干渉すればいいって」

提督「…?どういうことだ?」

磯風「奴は、私たちの脳はリンクしていると言った」

磯風「リンクしている、奴が私たちを支配しようとしているんだ…だったら」

磯風「同じようにリンクしている私たちが、私たち自身を『奴に支配されないように』干渉したらどうか?」

夕張「戦艦棲姫は私たちを支配しようとしてくる。私たちは、私たちを支配されないようにする」

夕張「つまり…」

提督「パラドックスを起こす気か?」

川内「その通り」

提督「しかし…そんなこと可能なのか?」

大和「わかりませんが…精神世界を作ることができたんです」

大和「きっと…いえ、必ず、できます」

提督「だが、奴は装置を介して俺たちはリンクしていると言った」

秋月「確かに、そんなパラドックスを起こせば、装置はエラーを起こすか、壊れてしまうでしょう」

秋月「もしかしたら、脳に障害が残るかも…」

提督「それだけじゃない。下手したら死ぬかもしれない」

提督「そんなことは…」

五月雨「提督」

提督「!」

五月雨「提督は、このまま戦艦棲姫に支配されてしまってもいいんですか?」

提督「それは…」

提督「…そんなことは、できない。許さない」

提督「絶対に…支配なんかされない!」

五月雨「じゃあ、やってみましょう」ニコッ

雪風「大丈夫ですよ、司令!幸運の女神がついてます!」

提督「ああ…!」

提督「よし!やってやろう!」

提督「全員、支配されずに…」

提督「生きて、帰るぞ!!」

「了解!!!」

提督「…う…」

戦艦棲姫「?様子が…」

提督「うぅ…」

バチッ

戦艦棲姫「!?装置が、ショートし始めている!?」

戦艦棲姫「一体、何が…!?」

提督「う…うおぉぉ…」

バチバチッ

提督「うおおおおおおおおおおおお!!!」

バチッ バチバチッ ドガッ バキッ

ドカーン

戦艦棲姫「そ、そん、ナ…装置ガ…」

提督「はぁ…はぁ…」

提督「何とか…なったか…」

ザザッ

提督「…ッ!?」

提督(なんだ…これは…?)

戦艦棲姫「キ、貴様…」

提督「…また声が聞き取りづらくなったな」

提督「お前は、あの時点で若干俺の脳を支配し、自分の声が聞こえやすいようにいじったんだな」

提督「ってことは…装置はぶっ壊れちまったようだな」ニヤリ

戦艦棲姫「許サナイ…絶対ニ…!」

長門「…う…」ムクリ

大和「うまく…いったみたいね…」スクッ

提督「よーし、みんな無事だな」

戦艦棲姫「逃ゲラレルト…思ッテイルノカ…!」

提督(ッ!まずい!)

川内「提督!伏せて!」

提督「!」

ヒュッ ボンッ

戦艦棲姫「ガッ…ナンダ!?コレハ!?」モクモク

提督「煙玉…?」

川内「ほら、逃げるよ!」

ダダダダダ…

提督「お前、よく煙玉なんて持ってたな」

川内「はは、まあね。運よくとられてなかったよ」

磯風「で、司令…どうする気だ?」

天津風「艤装がないと、私たち、何もできないわよ!?」

五月雨「いつ追手が来るかもわかりませんし…」

如月「っていうか、この要塞迷路みたいじゃない!?」

提督「落ち着け、お前ら」

提督「艤装は、こっちにあるはずだ。ついてこい」

一同「…?」

要塞内の一室

ウィーン

雪風「ほ、本当にありました…」

秋月「司令、何でわかったんですか?」

提督「装置を壊した時…戦艦棲姫の記憶の一部と思われるものが俺の脳に入ってきた」

提督「で、お前らの艤装をこの部屋に運ぶ記憶もあって…」

夕張「な、なるほど…」

長門「じゃあ、早速装着しよう」

ガチャッ ジャラジャラ

長門「…ん?」

提督「どうした?」

長門「鎖がついてて…装備できん」

提督「何!?壊せないのか!?」

長門「無理だな…かなり頑丈だ」

提督「くそっ…時間もないのに」

五月雨「…そういえば、妖精さんは?」

提督「!そうだ!妖精さんなら外せるんじゃないのか!?」

如月「でも…いないわよ?」

大和「一体どこに…」

雪風「あ!あそこにいます!」


妖精さん「───!」ガチャガチャ


長門「拘束されているな…これくらいなら外せそうだ」

提督「頼んだ」

妖精さん「────! ─────!」

夕張「三分ほどで外せるそうです」

提督「そうか…じゃあそれまで追手に見つからないように」

ウィーン

リ級1「イタゾ!」

リ級2「ツカマエロー!」ダダダ

提督「うわ、タイミング最悪ー!」

川内「ど、どうする!?」

秋月「どうするって…」

提督(…!艤装と一緒に、俺の軍帽と軍刀も置かれてある…)

提督(…鎖にはつながれてないようだ)

磯風「おい!まだ外れないのか!」

妖精さん「─────!」

磯風「くっ…」

提督(一か八か…!)

リ級「ウオラー!」ジャキン

五月雨「キャァッ!?」

提督「うおおおおおおおおおお!!!」ガキン

リ級1「ナ…!?」

五月雨「て、提督!?」

提督「ここは俺が食い止める!」

天津風「大丈夫なの!?」

提督「三分くらいもたせてやるさ!」ガキン

リ級1「人間ノクセニ…!」グググ

リ級2「我ラニ刀一本デカナウトデモ!?」ジャキン

提督「させるか!」バシン


川内「提督って、あんなに強かったの!?」

大和「さあ…」

磯風「だが、刀で深海棲艦と渡り合える実力の人間なんて聞いたことないぞ…」

如月「ちょっと!まだなの!?」

妖精さん「────!」

秋月「あとちょっとって言われても…」


提督「おらぁ!」ガキン

提督「はぁ…はぁ…」

リ級1「フフフ…動キガ鈍ッテキタゾ」

提督(くそ…さすがにきついぜ)

リ級2「隙アリ!」ジャキン

提督「!」ドガッ

提督(まだなのか!?)


夕張「もっと急いでよ!」

妖精さん「──────!」

夕張「何よこのチビがー!」

雪風「まだですか?」ヒョコッ

ガチャッ

長門「…外れたな」

夕張「えぇ…」

提督「ぐっ…」フラッ

リ級2「コレデ終ワリダ!」ジャキン

提督(ここまでか…?)

ジャキン

提督「!!」シュバッ

ドカーン

リ級1「ガハッ…」

リ級2「ソ、ソンナ…」ドサッ

提督「はぁ…はぁ…良かった…」フラフラ

長門「提督、大丈夫か?」

提督「ああ…助かったよ」

天津風「じゃあ、早くここから出ましょう!」

秋月「そうですね…長居は危険です」

提督「そうだな…」

提督(おっと、その前に…)カチッ

五月雨「提督?何してるんですか?」

提督「何でもない。行こう」

如月「司令官、出口までの道、わかる?」

提督「ああ。こっちだ…」

タッタッタ…

──────────

──────

───

ゴポ・・・ゴポポ…

ゴゴゴゴゴ

ザバァァァァ

大和「ぷはっ…」

川内「何とか、海上に出たね」

提督「ああ…」プカプカ

雪風「…司令、何で浮かんでるんですか?」

提督「お前らみたいに水上を走れないからだよ・・・」プカプカ

長門「じゃあ、私が担ごう」ヒョイッ

提督「ありがとうよ…」

磯風「さあ、早く帰ろう。追手が来てしまう」

天津風「でも、ここがどこかもわからないのよ?どうやって帰ったら…」

大和「提督、わかりませんか?」

提督「…すまん、そこまではわからない」

五月雨「でも、どちらにしても早く離れたほうがいいですよ。追手が来たら…」

提督「いや、追手は迎撃する」

夕張「え!?何言ってるんですか提督!?」

提督「どうやら…」

ゴゴゴゴゴゴ

ザバァァァ


戦艦棲姫「逃ガスカ…逃ガスモノカ…!!」ゴゴゴゴゴ

提督「…簡単に逃がしてはくれなさそうなんでな」

如月「すごい殺気・・・」

磯風「しかも、戦艦棲姫以外にも、深海棲艦が…」


ザバァ ザバァ ザバァ

ル級「…」

タ級「…」

ヲ級「…」


天津風「…確かに、簡単には逃げられないわね」

秋月「戦艦や空母もいる・・・あの時とはわけが違いますね」

長門「しかし提督…さすがに提督を担いだまま戦う自信がないぞ」

提督「心配はいらん」

提督「そろそろ来るはずだが…」

長門「?」

ザァァァァァ

大和「な、何ですか?この音」

夕張「近づいてくる…?」

ザァァァァァ

如月「何あれ?艦娘や深海棲艦じゃないみたいだけど…」

五月雨(…どこかで見た気がする)

ザァァァァァ ザパァ

提督「よし、長門、俺をこいつに乗せろ!」

長門「え?あ、ああ…これは?」ヒョイッ

提督「俺の自慢の船、『GO!GO!提督号』だ!」

川内「ええ!?あれ実在したの!?」

提督「当たり前だ」

夕張「驚いたわね…」

天津風「でも、どうしてここがわかったのかしら?」

提督「俺の軍帽の裏には、スイッチがついている」

提督「そのスイッチを押すことによって、俺の位置をGPSで提督号に伝達し、自動操縦で俺のところまでやってくるようになっている」

提督「しかもMAXスピードでな」

磯風「何をやっているんだ…」

提督「まあ、俺が危険なことに変わりはないが…この船はそれなりに丈夫だし、ある程度の防衛機能はついている」

提督「ちょっとやそっとじゃ沈まないさ」

雪風「そうなんですか…」


戦艦棲姫「貴様ラ…生キテ帰レルト思ッテイルノカ…!?」

提督「ああ、思ってるね」

提督「てめえらなんざぶっとばして、さっさと帰るさ」

戦艦棲姫「…イイダロウ…」

ゴゴゴゴゴゴゴ

戦艦水鬼「…二度トソンナ口ガキケナイヨウニシテヤロウ・・・!!」

長門「…おい、怒らせてしまったようだぞ」

五月雨「戦艦水鬼になっちゃいましたよ!?」

提督「・・・大丈夫だ、問題ない」

夕張「それ死亡フラグです」

提督「だったら折ればいいだろう」


提督「安心しろ、お前ら」

提督「お前らは、俺の自慢の艦娘たちだ」

提督「こんなところで、負けるわけがないだろう?」

如月「そうよね…」

如月「…沈むわけ、ないわよね?」

提督「ああ、その通りだ」

提督「いいか!奴は深海棲艦のボスのはずだ!」

提督「奴を倒せば全てが終わる!」

大和「全てが…」

秋月「終わる…」

提督「この、人類と艦娘と、深海棲艦との戦いの終着点はここだ!」

提督「ここで全てが決まる!!勝つも負けるも、お前ら次第だ!」

提督「負けるわけにはいかない…」

提督「絶対に、勝つんだ!!」

提督「簡単にだが、作戦を説明する!」

提督「まず、長門!」

提督「敵戦艦の掃討を頼む!全員ぶっとばしてやれ!」

長門「いいだろう。殴り合いなら任せておけ」

提督「次に、大和!」

提督「お前は戦艦水鬼への牽制と、俺の護衛を頼む!」

大和「倒さなくていいんですか?」

提督「ああ。おそらく・・・いや、間違いなくお前一人では無理だ」

提督「まずは牽制をしてくれ」

大和「了解です」

提督「次、秋月!」

提督「対空射撃を頼む!一人できついと思うが…やれるか?」

秋月「大丈夫です。任せてください」

提督「次、夕張!」

提督「潜水艦の掃討を!対潜装備なら提督号に積んでたと思う…ほら」ポイッ

夕張「何で積んでるんですか…ありがたいけど」パシッ

提督「もしものためにな。それちょっと改造してるけど」

夕張「本当!?よーし、色々試してみるわ!」

提督「最後に、川内、如月、天津風、雪風、磯風、五月雨!」

提督「駆逐艦、軽巡、重巡、それと、できれば空母の掃討をしてくれ!」

川内「夜戦はー?」

提督「後でな」

如月「ふふ、了解よ」

天津風「了解したわ」

雪風「はい!わかりました!」

磯風「了解した」

五月雨「頑張ります!」

提督「よし、総員、準備はいいな!」

一同「はい!」

提督「最終決戦だ!行くぞ!!」

提督「暁の水平線に…」

提督「勝利を刻めぇ!!!」

長門「うおおおおおお!!!」ドカーンドカーン

ル級「何ダ!?滅茶苦茶ニ撃ッテクルゾ!」

タ級「ヒルムナ!コッチダッテ撃チカエシテヤレ!!」ドカーン

長門「そんなもの、当たるかぁぁ!!」ドカーンドカーン

ル級「オ、オイ!奴ノ砲撃ノセイデ、ヨク見エナイ!当タラナイゾ!」

タ級「大丈夫ダ!ソレハ奴モ同ジ!砲撃ガオサマッタ瞬間ヲ狙エバ…」

フッ

タ級「!ヨシ、今ノウチニ…エ?」

長門「…」ズン

タ級(イ、イツノマニ・・・ココマデ接近シテ・・・)

メキャッ

長門「おらああああああああああ!!!」ドゴォ

タ級「グハァ!!」バビューン ドシャァ

ル級「タ、タ級!」

ル級(信ジラレナイ…アノ一瞬デ接近シテ・・・素手デアンナニ殴リトバスナンテ…)

長門「遅いぞ」スッ

ル級「!!」

ドゴォ

ル級「ガハッ…」ドサッ

長門「さあ、次はどいつだ!」

長門「うおおおおおお!!」ドカーン ドゴォ


戦艦水鬼(…バカメ…)

戦艦水鬼(一隻ダケ出テキテ…私ガオ前ヲ狙ワナイトデモ思ッタノカ?)

戦艦水鬼(マズハ提督ヲ狙ウトフンデ、大和ヲ護衛ニツカセタノダロウガ…甘カッタナ)

戦艦水鬼(私デモアノ距離ヲ狙ウノハ難シイ・・・ソレヨリモ一隻ズツ沈メテヤル)

戦艦水鬼「沈メ…!」ジャキン

ドカーン

戦艦水鬼「!?」

戦艦水鬼「ホ、砲撃!?一体ドコカラ!?」

戦艦水鬼(長門カ!?)サッ


長門「どうしたどうしたぁ!!」ドカーン


戦艦水鬼(…違ウヨウダ)

戦艦水鬼(…今ノ砲撃、間違イナク戦艦クラス・・・)

戦艦水鬼(…マサカ、アノ距離ヲ!?)


大和「少しでもおかしな真似をしてみなさい・・・次は当てます」シュゥゥゥ

ヲ級「…」シュババババ

ブォォォォォォォォォ

戦艦水鬼(!ソウダ、イイゾヲ級。アレホドノ艦載機、大和デモスベテハ手ガダセマイ)

戦艦水鬼(ツイデニ長門ヤ駆逐艦、軽巡タチモ…)

ズドドドドド

ヲ級「!?」

戦艦水鬼「…何!?」

ヲ級「…!」シュババババババババ

ブォォォォォォォォォォォォォ

戦艦水鬼(大和ノ仕業カ・・・?デモ、大和ヨリモモット手前デ落トサレタヨウナ…)

戦艦水鬼(マアイイ。サッキヨリモ多クノ艦載機。今度コソ全テハ無理ダ…)

ズドドドドドドドドドドドド

ヲ級「!?…!!??」

戦艦水鬼(マタ!?シカモ、マタ大和ヨリ手前!)

戦艦水鬼(…マサカ、アノ駆逐艦ノ仕業…?)

戦艦水鬼(奴ダケデ、アノ量ノ艦載機ヲ…!?)


秋月「何度でも来なさい。何度でも撃ち落としてあげます」

秋月「みなさんは…この秋月が守ります!」

川内「よっと!やっぱり数が多いなあ」ドーン

夕張「情けないわねえ」

川内「む!そんなこと言わなくてもいいじゃん!」

夕張「ごめんごめん…」ポイッ

夕張「…どうでもいいけどさ」

川内「ん?」

ドカーン

夕張「あんた、今私が爆雷落とさなかったら、今頃潜水艦の餌食よ」

川内「…恩を着せたつもり?」

夕張「まさか」ニヤリ

川内「それにしても、その装備どう違うの?」

夕張「なんか…爆雷は軽く自動追尾するみたいね」

川内「何それすごい」

夕張「ソナーは敵の動きの予測までしてくれるし」

川内「何それすごい」

夕張「提督もすごいの作ったわねぇ」

夕張「…いや、明石さんに頼んだだけかな」

川内「はぁ…それにしても、早く夜戦したいなぁ…」ドーン

夕張「まだ昼でしょ…ていうか、夜戦せずに済んだ方がいいでしょうが」ドカーン

川内「だってだってー!夜戦したいー!夜戦夜戦夜戦ー!」ドーンドーンドーン

夕張「わぁお、全弾命中」

夕張「仕方ないわねぇ…」ゴソゴソ

夕張「ほら、これあげるわ」ポイッ

川内「?なにこれ?」

夕張「まあ、私が開発した夜戦アイテムよ」

夕張「夜戦になったらそのスイッチを押してみなさい」

川内「夜戦!?やったー!」

夕張「じゃ、夜戦まで我慢しなさい」

川内「えー!尚更待てないよー!」

夕張(しまった、逆効果だったか…)

如月「もう、数が多いわ!」ドーン

天津風「本拠地、だからね…!そりゃあ湧いて出てくるでしょうよ!」ドーン

磯風「燃料や弾薬がもつかどうか…」ドーン

五月雨「無駄撃ちは避けたいところですね・・・!」ドーン

雪風(う…こんなときに、くしゃみが出そう…)ムズムズ

天津風「…!雪風!後ろ!」

ツ級「…」ジャキン

磯風「ダメだ、間に合わない!」

雪風「は…は…」

ドーン

雪風「はっくしょん!」ガクッ

シュバッ

リ級「…エ?」

ドーン

雪風「うぅ…」ゴシゴシ

五月雨「…くしゃみした反動で、頭が下がって…」

如月「砲弾が頭上を通って、見事にリ級に当たったわね」

天津風「斬新な弾薬の節約法ね」

磯風「いや、できるの雪風だけだろ」

提督「…よし、いい感じだな」

大和「あの、提督…」

提督「ん?何だ?」

大和「おかしいと思いませんか?」

提督「…何が?」

大和「いえ、あの、いいことなんですけど…」

大和「…皆さん、捕まえられる前より、格段に強くなった気がします」

大和「私だって、あそこまで砲弾が届くなんて、撃つまで思いもしませんでしたよ」

提督「ふむ…」

提督「そのことについてだが、一つ仮説がある」

大和「仮説?」

提督「ああ…」

提督「ズバリ、原因はあの装置にあると思う」

大和「あれ…ですか?」

提督「そうだ。奴は、あの装置を介して俺たちの脳がリンクしていると言った」

提督「さらに、精神世界を作ったりしたんだ…」

提督「脳内で膨大な情報の交換が行われたっておかしくない」

提督「で、その情報の交換によって、無意識に俺たちの脳は学習した」

提督「自分が今まで知らなかったような体の動かし方や、力の入れ方みたいなことをな」

提督「その結果、こうして強くなったってことだと、俺は考えた」

大和「そういえば、提督も強くなってたんですよね、あれ」

提督「ああ…一か八かだったが、何とかなってよかったよ」

大和「…ところで、あの装置でつながってた者が強くなってるってことは…」

提督「そうだな…」

提督「戦艦水鬼…あいつも強くなっているだろう」

大和「まだ気づいていないんでしょうか?」

提督「恐らくそうだろう…できれば気づく前に倒したいが…」

提督「…無理だろうな」

ザザッ

提督「ん?通信?」ピッ

川内『あー、提督?こっちはあらかた終わったけど、どうしよう?』

提督「おお、早かったな。じゃあいったんここまで来てくれ」

川内『了解』ピッ

大和「早いですね。あとは長門さんと夕張さんが終われば、戦艦水鬼だけじゃないですか」

提督「…そう簡単にはいかないだろうな」

大和「え?」

川内「はーい、帰ってきましたー」ザァァァァ

提督「おう、お疲れ」

天津風「数は多かったけど、意外と大したことなかったわね」

磯風「さすがに空母全ては無理だったがな…」

提督「まあ大丈夫だろ。秋月ががんばってくれているからな」

提督「だが…艦載機切れを待っても、無理だろうし…」

提督「じゃあとりあえず、六人には空母の掃討を改めて───」

ドカーン

大和「キャァッ!?」

提督「何!?」


提督「全員、無事か!?」

雪風「はい…」

五月雨「何とか…」

大和「一体、どこから…!?」

提督「…恐らく、気づいたな」

大和「!まさか…!」

提督「ああ…不味いな」

提督「大和、戦艦水鬼に接近して、牽制を続けてくれ」

大和「いいですけど…提督の護衛はどうするんですか?」

提督「こいつらの何人かに頼むさ。さあ、早く!」

大和「・・・わかりました!」ザァァァァ

提督「よし、じゃあ川内と磯風、空母の掃討を頼む」

提督「二人だけで厳しいかもしれんが…」

磯風「いや、問題ないだろう」

川内「大丈夫だって!任せて!」

提督「じゃあ、頼んだ」


提督「それで、如月、雪風、天津風、五月雨は待機だ」

五月雨「待機?どういうことですか?」

提督「いや、恐らく…」

ザザッ

提督「はい」ピッ

秋月『司令ですか?今、新たな深海棲艦の軍勢が、恐らく司令から見て二時の方向付近に現れました!』

ザザッ

長門『こっちも新たな戦艦が現れた。掃討は長引くと思う』

提督「そうか…わかった。対処する。二人はそのまま戦闘を続けてくれ」

秋月・長門『了解!』ピッ

提督「やはりか…」

如月「どういうこと?」

提督「ここは深海棲艦の本拠地。戦闘となれば、当然他の所の深海棲艦が支援に来るだろう」

天津風「じゃあ、キリがないじゃない!?」

提督「そうだ…しかし、やるしかあるまい」

提督「敵の支援艦隊の規模がわからないからな…できるだけ多く向かった方がいいだろう」

提督「では、四人全員、掃討に向かってくれ」

雪風「え!?それじゃ、司令の護衛が…!」

提督「でも、普通の艦隊戦じゃ必要ない役割だし…」

如月「タンカー護衛みたいなものじゃないの?」

提督「…まあ、そうかもな」

提督「でも、やっぱり人数が多い方が…」

五月雨「ダメです!提督をおいていくなんて、私たちにはできません!」

提督「だが、俺を連れていくわけにもいかんだろう?」

五月雨「・・・そうですけど…」

如月「…私が残るわ」

提督「如月?」

如月「私は睦月型…旧型の駆逐艦。他のみんなよりも、性能は劣っているわ」

如月「足、引っ張っちゃうかもしれないから…」

提督「そんなこと…!」

天津風「…如月。もしかしたら、すごいやつが司令を狙ってくるかもしれないのよ?」

天津風「…守り切れるの?」

如月「大丈夫よ」

如月「この身に変えても…司令官は守りきるわ」

天津風「…そう」ニコッ

天津風「司令。如月ならきっと大丈夫よ。司令をちゃんと守ってくれるわ」

提督「いや、そういう問題じゃなくて…」

雪風「じゃあ、如月さん、お願いしますね!」

五月雨「こっちも頑張りますからー!」

提督「あー、もう!勝手にしろー!」

提督「なあ、如月…本当に大丈夫か?」

如月「大丈夫よ。彼女たち、みんな強いから」

提督「いや、あいつらもだけどさ…お前も心配なんだよ」

如月「もう…くどいわね」

如月「護衛対象なら護衛対象らしく、大人しく守られてなさい!」

提督「・・・はい」


提督「…あ、そうだ」ゴソゴソ

如月「司令官?どうしたの?」

提督「…あったあった。ほら、如月、やるよ」ポイッ

如月「…これって…」

如月「お守り?」

提督「ああ。その通り」

如月「これ、あの世界でも私に渡してくれたものよね?」

提督「そうだ。あそこでは守ってくれなかったけど…」

提督「…今度は、ちゃんと守ってくれるはずだ」

如月「…司令官」

如月「ありがとう」クスッ

天津風「くっそー!やっぱり多いわね!」ドーン

五月雨「一体どれだけいるんでしょう?」ドーン

雪風「ひぃふぅみぃ…とても数えられませんね」ドーン

五月雨「まだ駆逐艦や軽巡ばかりだけど、奥には空母や戦艦が…いたらやだなあ」ドーン

天津風「そんなこと言ったって…」

雪風「…私が見てきましょうか?」

天津風「ちょっと!?雪風!?」

雪風「大丈夫ですよ。ちょっと見てくるだけですから」

五月雨「で、でも…やっぱり危険じゃ…」

雪風「大丈夫です!雪風は沈みませんから!」ザァァァァ

五月雨「あ…行っちゃった」

天津風「しょうがない…五月雨!行くわよ!」

五月雨「は、はい!」


雪風(うーん…見たところ、戦艦や空母どころか重巡すらいない…)

雪風(駆逐艦、軽巡、雷巡しか見当たらないし…)

雪風(大丈夫そうですね。じゃあ、二人のところに戻って…)

雪風「・・・あれ?」

天津風「雪風、どんどん進んじゃうんだから…」ドーン

五月雨「攻撃せずに進めるなんて、さすが幸運艦だね」ドーン

天津風「まあ、その調子で無事だといいんだけど…」

ドドーン

五月雨「…今の砲撃音、おかしくなかった?」

天津風「確かに…敵のかしら?」

「ひゃぁっ!!?」

天津風「!雪風の悲鳴!?」

五月雨「天津風ちゃん、あれ!」


雪風「うぅ…」ドテッ


天津風「雪風!?何で倒れてるの!?」

雪風(ぎ、偽装の調子が…)

雪風(砲撃もうまくいかないし、立つこともうまくいかなくなっちゃった…)

雪風(敵の攻撃も直撃はしてないけど、もうボロボロ…)ボロッ

チ級「…」

雪風(どうしよう…このままじゃ)

チ級「…」ジャキン

雪風(急にこんなに、不幸な目にあうなんて…)

雪風(みんな…ごめんなさい)

雪風「幸運艦も…不沈艦も…この世にないのね」

ドーン

雪風「…」

雪風(…あれ?なんともない…)

チ級「…」

ドタッ

雪風「…え?」


天津風「雪風ぇぇぇぇぇ!!!」シュゴォォォォォ

雪風「あ、天津風ちゃ…って、速い!?」

天津風「大丈夫!?立てる!?」

雪風「うん…ちょっと艤装の調子が悪いけど…」

天津風「…よかった、間に合って」

雪風「…ごめんなさい」

天津風「大丈夫よ。さあ、戻りましょう」


五月雨「やっと追いついたー!天津風ちゃんすごい速さで行っちゃうんだもん」

雪風「本当…島風ちゃんより速いんじゃないんですか?」

天津風「そう?えへへ…帰ったら島風に自慢してやろう」

提督「そうか…ご苦労だったな。雪風、船に乗って休むといい」

雪風「はい…すみません」

提督「いいんだ。よくやった」

天津風「じゃあ、私たちは引き続き掃討してくるわね」

提督「ああ、頼む」


如月「ねえ、司令官…」

提督「どうした?」

如月「他のみんな、大丈夫かしら…」

如月「特に、ずっと戦ってる長門さん、夕張さんに、秋月ちゃん…」

提督「…そうだな」

長門「はぁ…はぁ…」フラッ

長門(くそ…終わりは見えている、が…)

タ級「クラエッ!」ドカーン

長門「くっ…」シュバッ

ル級「マダマダ!」ドカーン

長門「ぐぁっ…!」

長門(…また、支援が来たりするのか?)


夕張「あー、もう、しつこい!」ポイポイッ

ドカーンドカーン

夕張(さっき通信入ったけど…潜水艦にも支援が入ってるみたいね)

夕張(私のところに集まってくるのが幸いだけど…)

夕張(いつまでもつかしら…)

ドーン

夕張「キャァッ!?」

夕張(ダメージが…蓄積されていく…)

秋月「はぁ…はぁ…」

秋月(撃ち落とすだけって言っても…集中力がいるし…)

秋月(体力も、どんどん…)

秋月「…負けない!」ズドドドド


提督「…そろそろ、体力もきつくなってきてるだろう」

如月「やっぱり…そうよね」

如月「まだ、支援は来るのかしら…?」

提督「…」

大和「はぁっ!」ドカーン

戦艦水鬼「クラエッ!」ドカーン

大和「くっ…やるわね」

戦艦水鬼「フフ・・・オ前一人デイツマデモツカナ?」

大和「あなたこそ…一人で大丈夫なのかしら?」

戦艦水鬼「…ソウダナ。一人ジャ厳シイダロウ」

戦艦水鬼「ダカラ援軍ヲ呼ンデイルノダ」

大和「なんですって!?」

戦艦水鬼「何ダ知ラナカッタノカ。オ前ノ味方ハ苦シメラレテイルト思ウゾ?」

大和「なんてこと…」

戦艦水鬼「サラニ、今呼ンデイル援軍ノ中ニハ、空母棲姫、駆逐棲姫、軽巡棲姫ナンカガイル・・・」

戦艦水鬼「無論、他ニモ大量ニ呼ンデイル」

大和「嘘でしょ…」

大和「じゃあ、私たちはどうしたら…」

戦艦水鬼「ドウシヨウモナイ。タダ…」ジャキン

戦艦水鬼「…ココデ死ヌダケダ」ドカーン

大和「!しまっ…」

チュドーン

大和「くっ…はぁ…はぁ…」ヨロッ

戦艦水鬼「ホウ…アレヲ避ケタカ」

戦艦水鬼「ダガ、直撃ヲ免レタダケノヨウダナ?」

大和「黙り、なさい…」

大和「そんな口が叩けるのも、今のうちよ…!」

戦艦水鬼「フフ、ソレハコチラノセリフダ」

戦艦水鬼「モウジキ、空母棲姫ガ率イル艦隊ガ到着スルダロウ・・・」

戦艦水鬼「ソウナレバ、貴様ラハ本当ニ終ワリダ」

ブーン

戦艦水鬼「ホラ、噂ヲスレバ、飛ンデキタゾ」

戦艦水鬼「空母棲姫ノ艦載機・・・ガ…?」

ブーン

大和「…あれは…」

戦艦水鬼「艦娘ノ・・・艦載機?」

ヒュー

ドカーンドカーン

戦艦水鬼「グッ!?」

戦艦水鬼「ドウナッテイル・・・!貴様ラノ中ニ空母ハイナイハズダロウ・・・!」

大和「そうね…確かにそうよ」

大和「つまり、私たちにも援軍が来た、ってことね」

戦艦水鬼「何・・・!?」

ザザッ

提督「はい」ピッ

秋月『司令!?今、味方の艦載機が…!』

提督「本当か!?よし!」

如月「ど、どういうこと?」

提督「よく考えろ如月…提督号がここに到着したってことは…」

如月「…はっ!」

如月「ここの位置が鎮守府のみんなにも知られる!」

提督「そういうことだ」ニヤリ

提督「提督号に送られた位置情報は、鎮守府の司令室にも送られている」

提督「おそらく、大淀が感づいてくれたんだろう」

提督「そうでなくても…いきなり船が発進するんだ。そりゃどこに行くか見てみるだろう」

如月「そういうことだったのね…」

ザザッ

提督「はい」ピッ

春雨『提督ですか!?無事なんですね!』

提督「よう春雨、心配かけたな」

春雨『本当ですよ!急にいなくなったって聞いて…金剛さんとか大暴れでしたよ』

提督「はは、すまんな」

春雨『ところで、そちらに向かおうとしたのですが、どうにも敵艦隊に遭遇する確率が高くて…』

春雨『空母棲姫なんかもいる艦隊とも出会いましたよ』

春雨『まだそういう艦隊がいるんですけど…どうしましょうか?』

提督「ああ、倒してくれ。そいつらはこっちに向かっているはずだからな。足止めだけでもいい」

春雨『了解しました』ピッ

ザザッ

提督「ん?また通信か」

加賀『加賀です。提督…無事で何よりです』

提督「おお、加賀か…すまんな」

加賀『いえ…』

加賀『ところで、今艦載機をそちらに飛ばしたはずですが、どうでしょう?』

提督「バッチリだ。さすがだな」

加賀『そんなことは…しかし、こちらにも敵艦隊がいるため、先ほどのような支援はあまりできません』

提督「そうか…いや、仕方ない。敵艦隊の掃討に尽力してくれ」

加賀『了解です』ピッ

提督「…これで、敵の支援は立たれたわけだ」

雪風「っていうことは…」

提督「ああ。これで戦艦水鬼に集中できるな」

大和「・・・あなたたちの支援は、もう来ないそうよ」

戦艦水鬼「何ダト・・・?」

大和「残念だったわね。あと残っている戦力も、じきに片付くでしょうね」

大和「あなた、本当に一人になっちゃうわよ?」

戦艦水鬼「…ダマレ」

大和「残念だけど…これが現実よ。もうあきらめたら?」

戦艦水鬼「ダマレダマレマダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレマダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレマダマレダマレダマレダマレダマレ」

戦艦水鬼「ダマレェ!!!!」ジャキン

大和「!!」

ドカーン

提督「・・・ん?」

如月「何か、飛んでくる…?」

ドザァッ

大和「が…ぐ…」ピクピク

提督「大和!?おい、大丈夫か!?」

如月「酷い…早く船に乗って休んで!!」

大和「…うぅ…すみません、提督…挑発しすぎちゃったみたいです…」

提督「大丈夫だ。もう休め…」


提督「大和を吹っ飛ばすほどの砲撃か…」

如月「司令官、ここにいるのは危険じゃないかしら…」

提督「あ、ああ、そうだな。大和の牽制もなくなったからな…」

提督「…そうか。よくやったな。そのまま残っててくれ」ピッ

提督「川内たちは無事空母を撃退したそうだ」

如月「そう…」

提督「さて…川内たち以外は敵を掃討して帰ってきたわけだが…」

長門「…」ボロッ

大和「…」ボロッ

天津風「…」ボロッ

雪風「…」ボロッ

秋月「…」フラッ

夕張「…」ボロッ

提督「非常にまずいな…」

提督「天津風もやられたんだな…」

天津風「ごめんなさい・・・避けそびれちゃって」

提督「疲れてたんだろう。十分頑張ってくれた」

提督「秋月はかなり疲れてるようだが…」

秋月「だ、大丈夫ですよ…」フラフラ

提督「いくら直接的な戦闘がなかったとはいえ、ずっと対空射撃をしてたんだ。疲れただろう」

提督「そんな状態で勝てるほど、奴は甘くないはずだ。悪いが、休んでてくれ」

秋月「…すみません」

提督「五月雨はまだ大丈夫そうだな」

五月雨「はい。他のみんなががんばってくれたので…」

提督「ということは…現在戦えそうなのは、如月、川内、磯風、五月雨か…」

提督「…もう暗くなるな…」

如月「夜戦するなら、確実に当てないと…勝てないわよ?」

提督「わかってるさ。ただ…探照灯や照明弾なんて誰も持ってないし」

提督「船にも積んでないしな・・・」

夕張「…あ」

提督「どうした?夕張」

夕張「そういえば…」

──────────

──────

───

提督「で、こういう作戦なんだけど、いいかな?」

川内『いいと思うよ。四人であいつを倒すには、確実に当てないといけないからね』

提督「じゃあ、頼んだ」ピッ

提督「よし、如月、五月雨、準備はいいか?」

如月「ええ」

五月雨「はい!」

提督「よし、じゃあ…」

シュゴォォォォ

提督「…何の音だ!?」

五月雨「提督、伏せて!」

ドカーン

提督「砲撃!?まさか、バレたか!?」

如月「まだ来るわよ!」

ドカーン ドカーン

提督「くっ…」

提督「これじゃあ身動きもとれな…」

シュゴォォォォォ

提督(あ…まずい)

提督(直撃する…!)

ドカーン

提督「…あれ?」

提督「直撃したと思ったんだがな…」

五月雨「て、提督…!」

五月雨「如月ちゃんが…!」

如月「…」シュゥゥゥ

提督「如月…!」

提督「おい、如月!」

提督「まさかお前、俺をかばって…!」

如月「…言ったでしょ…」

如月「…この身に変えても、司令官のことを守るって…」

提督「…」

如月「ねえ、司令官…」

如月「如月のこと…忘れないでね」

ゴポポ・・・

提督「…」

五月雨「如月ちゃん…!」ポロポロ

提督「…五月雨、行くんだ」

五月雨「提督…?」

提督「早く行けぇ!!」

五月雨「…」

五月雨「…はい」

ザァァァァ

提督「…」

戦艦水鬼「フン・・・提督ハ助カッタカ・・・」

戦艦水鬼「ダガ、駆逐艦ガ一隻沈ンダヨウダナ」

戦艦水鬼「フフフ…マッタク、カバウナド、愚カナモノダ」

磯風「貴様ぁ!」ドーン

戦艦水鬼「!」シュバッ

磯風「チッ…」

戦艦水鬼「ココマデ近ヅクトハナ・・・気ガツカナカッタ」

磯風「貴様…よくも仲間を…!」

戦艦水鬼「安心シロ」

戦艦水鬼「オ前モスグニ沈メテヤル」ジャキン

ピカッ

戦艦水鬼「!」

戦艦水鬼「タ、探照灯・・・!?」

磯風「くらえ!」ジャキン

ドーン

戦艦水鬼「グハッ…」

戦艦水鬼「油断シタ・・・探照灯ヲ持ッテルトハ」

磯風「まだまだぁ!」ドーンドーン

戦艦水鬼「クッ…」

戦艦水鬼「調子ニ乗ルナ!!」ドカーン

磯風「!!」シュバッ

戦艦水鬼「ホラホラドウシタ!」ドカーンドカーン

磯風「くっ…攻撃の隙がない…!」シュババッ

戦艦水鬼「…ン?マブシクテ、今マデヨクワカラナカッタガ…探照灯ハオ前ガ持ッテイルノデハナイノカ」

磯風「だったらどうした!」

ユラァ

戦艦水鬼「…ホウ、アノ遠クニイル軽巡ガ持ッテルノカ」

戦艦水鬼「ダッタラ!」ジャキン

磯風「!しまった!」

ドカーン

戦艦水鬼「フフ・・・ハハハ!!直撃ダ!確実ニ沈ンダ!」

戦艦水鬼「コレデ探照灯ハナイ・・・オ前ノ攻撃ハモウ当タラナイ」

磯風「そ、そんな…」

戦艦水鬼「アト戦エルノハ…オ前ト駆逐艦ガモウ一隻ダケダナ」

磯風「勝てるわけが、ない…」ヘタッ

戦艦水鬼「ソウダ、勝テルワケガナイ」

戦艦水鬼「圧倒的ナ力ノ差ニ、今頃気ヅキタノカ!!滑稽ダナ!」

戦艦水鬼「大人シク私ニ支配サレテオケバヨカッタモノノ・・・」

磯風「うぅ…」

戦艦水鬼「デハ、サラバダ」ジャキン

ドーン

戦艦水鬼「…何?」シュゥゥゥ

戦艦水鬼「ナゼ…私ガ攻撃ヲクラッテ・・・?」

???「よーし、やっぱりここまで近づけばちゃんと当たるね」

戦艦水鬼「!オ前・・・サッキ沈メタハズダロウ・・・!」

川内「いやー、ここまで見事に引っかかるとはね。磯風もナイス演技!」

磯風「…」ニヤリ

戦艦水鬼「ド、ドウイウコトダ!?ナゼ生キテイル!?」

川内「やだなあ。あれは偽物だよ」

川内「スイッチのついた箱を夕張からもらったんだけど、スイッチを押すと、身代わりの人形が出てきて、対象物に探照灯を照らしてくれるの」

川内「ゆっくり動いていくから、本物みたいだったでしょ?」

川内「名付けて忍法探照灯身代わりの術ってところかな?」

戦艦水鬼「クッ…ダガ、所詮軽巡ガ一隻増エタダケ。戦況ハ大差ナイ・・・!」

五月雨「じゃあこれでどうですか!」ドーン

戦艦水鬼「ッ!・・・イツノ間ニ…!」

磯風「五月雨、遅かったじゃないか」

五月雨「うん…ごめんね」

戦艦水鬼「雑魚ガ・・・近クニ寄ッテチョコマカト・・・!」

川内「私たちは近距離専門だからね。近くによれば確実に当てるよ」

戦艦水鬼「ダマレ…ダマレェ!」ドカーン

川内「うおっ!?」シュバッ

戦艦水鬼「一撃デモ当タレバ貴様ラは沈ム!当テレバイイダケノコトダ!」

川内「磯風!五月雨!作戦通り、私がこいつの動きを抑えるから、攻撃を当てるんだ!」

磯風「わかってはいるが…」ドーン

五月雨「そう簡単には…いきませんよ…!」ドーン

戦艦水鬼「ソコダァ!」ドカーン

磯風「ぐっ!?」

五月雨「キャァッ!?」

川内「二人とも、大丈夫!?」

磯風「あ、ああ…」

五月雨「何とか…大丈夫です」

戦艦水鬼「他人ノコトバカリ気ニカケテテイイノカ!?」ドカーン

川内「うぉおっと!」シュバッ

戦艦水鬼「私ノ動キヲ抑エルト言ッテオキナガラ、オマエガウマク動ケテイナイゾ!」ドカーンドカーン

川内(確かに…私のほうが押されてる)

川内(どうすれば…!)

戦艦水鬼「ハハハ!タッタ一隻デドウニカナルト思ッタノカ!」

???「じゃあ、二隻ならどう?」

ドーン

川内「え?誰・・・ってええ!?」

磯風「どういうことだ…!?」

戦艦水鬼「キ、貴様モサッキ沈メタダロウ!ドウナッテイル!?」

戦艦水鬼「ナンナンダコイツラハ!?」


如月「如月参上!な~んちゃって♪」

五月雨「嘘…如月ちゃん、何で…?」

如月「ごめんね、五月雨ちゃん。だますようなことして」

五月雨「ど、どうやって!?だって…」

如月「簡単な話よ。ダメコンよ」

五月雨「ダメコン…?」

如月「そう。司令官がお守りをくれたんだけど、その中に応急修理女神が入ってて…」

如月「でも、司令官は知ってたのよね。教えてあげないなんて、ひどいわぁ」

五月雨「そう…」

五月雨「よ、よかった…!」ヘナヘナ

如月「あらあら、まだ気を抜くには早いわよ」

如月「…こいつを、倒さないとね」

戦艦水鬼「フ・・・フザケルナァァァァ!!!マトメテ沈メテクレル!!!」ジャキン

川内「させないって!」ドーン

戦艦水鬼「グッ…グオォォォォォ!!!」ジャキン

如月「私のこと、忘れてない!?」ドーン

戦艦水鬼「キ・・・貴様ラァァァァ!!」

川内「磯風、五月雨、今だ!」

磯風・五月雨「了解!」ジャキン

戦艦水鬼「貴様ラ…ナゼダ」

戦艦水鬼「ナゼソンナニ必死ニナル!?ナゼ人間ナンカニ従ウ!?」

戦艦水鬼「ナゼ・・・私タチト戦ウ!」

磯風「…簡単な話だ」

磯風「守りたい場所がある」

川内「守りたい仲間がいる」

如月「守りたい人がいる」

五月雨「そして…」

五月雨「守りたい海がある!!」

戦艦水鬼「…!」

「守りたいもののために、私たちは戦っているんだ!!」

ドーン

(ああ…そうか)

(そうだったのか)

(こんなにも真っ直ぐで、強い…曲がらない意志を…)

(この子たちは、持っているんだ…)

(私よりも、ずっと強い…)


戦艦水鬼「…勝テルワケ、ナイワヨネ」

──────────

──────

───

戦艦棲姫「…」プカプカ

提督「…よう」

戦艦棲姫「…久シブリナ気ガスルワ」

提督「俺もだよ」

戦艦棲姫「…トドメ、ササナイノ?」

提督「いやぁ、別に」

五月雨「…聞きたいことがあります」

戦艦棲姫「…何カシラ?」

五月雨「あなたたちは、何者なんですか?」

戦艦棲姫「…フフ」

戦艦棲姫「ソレナラ、提督ガ知ッテイルハズヨ」

長門「そうなのか?提督」

提督「…ああ」

──────────

──────

───

「工場長ー、廃液たまってきたんスけど、どうしますか?」

「あー?そうだな…海にでも流しとけ」

「えー!それ不味くないスか?」

「大丈夫だって!海は文句言わねぇから!」ガハハ


ケガスナ・・・



「ってー!」ドーン

「よし、この海戦、我々が優勢だな!」

「それにしても…何もない平和な海で、戦争なんてしていいんですかねぇ」

「ああ?そんなこと気にしてたら生きていけねぇよ!」

「いいんだよ!きっと母なる海は許してくれるって!」


アラスナ・・・

ウミガナクテハ、オマエラハイキテイケナイ

ウミガアルカラコソ、イノチハアルノダ

ソノハハナルウミヲ、ケガシテ、アラシテ・・・

スキカッテニシテオイテ・・・

モンクハイワナイダト!? ユルシテクレルダト!?

フザケルナ!!


ウミヲケガシ、アラシ、ハジヲシラヌニンゲンドモ・・・

コレイジョウウミヲブジョクスルナラ・・・


戦艦棲姫「鉄槌ヲ、クダシテヤラネバ・・・」

───

──────

──────────

提督「…お前たち、深海棲艦は、海を汚し、荒らす、人間たちへの怒りや恨み…それが具現化したものだ」

戦艦棲姫「…ソノトオリヨ・・・」

戦艦棲姫「ヤッパリ…記憶ガ、流レコンデタノネ…」

提督「お前たちは、海を守るために、人類と戦ってきた…」

戦艦棲姫「ソウヨ…」

提督「そんな中、艦娘が突然現れた」

提督「艦娘によって、人類は深海棲艦に対抗できるようになって、今に至るわけだ」

夕張「じゃあ、艦娘って…?」

戦艦棲姫「…艦娘モ、私タチト同ジヨウニ海カラ生マレタ存在・・・」

戦艦棲姫「私タチガ海ノ人間ヘノ怒リヤ恨ミガ具現化シタモノナラ・・・」

戦艦棲姫「艦娘ハ、人間ヲ守リタイトイウ海ノ慈愛ノ心カラ生マレタ存在ナノヨ・・・」

戦艦棲姫「アナタタチト私タチノナカデ、似テイル子ガイタリシタデショウ?」

戦艦棲姫「ソレハ、同ジ海カラ生マレタ存在ダカラヨ…」

戦艦棲姫「…私タチハ、海ヲ守ルトイウ義務ガアリナガラ、海デ戦イ、アラシテキタ…」

戦艦棲姫「矛盾シテイルノヨ、私タチハ」

戦艦棲姫「コンナ矛盾シタ存在ダカラ・・・負ケルノハ当然ヨネ・・・」

提督「…そうか」

提督「だが、これでお互い目指すところは同じということはわかっただろう」

提督「お前らの言う通り、人間には海を荒らし、汚す奴がいるさ」

提督「でも、話の通じない奴らばっかりじゃない。お前らの言い分を聞いてくれる奴くらい…」

戦艦棲姫「無理ヨ」

戦艦棲姫「私タチハ、アマリニモ殺シスギタ。人間モ、艦娘モ…」

戦艦棲姫「ソンナ存在ヲ、受ケ入レルナンテ、不可能ヨ」

提督「そんな…」

戦艦棲姫「…ソレニ」

戦艦棲姫「…モウ、消エルミタイダカラネ」サァァァ

提督「!!」

提督「お、おい!どういうことだ!?」

戦艦棲姫「私タチノ、本来ノ願イ・・・『海ヲ守ル』トイウ意志…」

戦艦棲姫「ソレヲ立派ニ受ケ継グ存在ガ、現レタノ…」

戦艦棲姫「ソレナラ…コンナ矛盾シタ存在ハ、イラナイノヨ・・・」

提督「…」

戦艦棲姫「安心シテ…艦娘ハ残ルワ…」

戦艦棲姫「マダ…人間ヲ、守ラナイト、イケナイカラ…」

提督「…そうか」

提督「…約束しよう」

提督「君たちの、『海を守る』という意志は、俺たちが引き継ぐ」

提督「絶対に、平和で、静かな海を取り戻してみせる」

戦艦棲姫「…本当?」

提督「ああ、本当だ」

戦艦棲姫「フフ・・・ソウ」

戦艦棲姫「…キタイ、シテイルワ…」

戦艦棲姫「ジャア、ネ…バイ・・・バイ・・・」

サァァァ・・・

提督「…」

五月雨「…提督」

提督「…ああ」



提督「帰ろう」

一か月後


長門「提督。深海棲艦の被害現場の処理なんだが…」

提督「それはお前に一任するって言ったろ」

大和「提督。工業都市の水質汚濁の件ですが…」

提督「勉強しろって言っとけ」

五月雨「提督。X国とY国の講和条約なんですけど…」

提督「ああ。あとで行くから」

天津風「島風がかけっこしたいって」

提督「お前が行け」

雪風「司令!青葉さんが盗撮してます!」

提督「お前が怒ればいいだろ。あの時みたく」

夕張「提督。資材もっとちょうだいよ」

提督「無理だ」

秋月「司令!牛缶食べましょう!」

提督「おう、昼にな」

磯風「じゃあ、私の卵焼きもどうだ?」

提督「ああ・・・ん?」

川内「じゃあその後夜戦しよ!」

提督「え?」

如月「じゃあ私とも・・・♡」

提督「えぇ!?」

提督「はぁ…忙しすぎて目が回る」

提督(あれから、俺たちは深海棲艦の被害の処理と、戦艦棲姫の意志を受け継ぐため、海を守るための活動を行っている)

提督(当然、どれも楽ではない)

提督(だが、約束したんだ。絶対に、平和な海を取り戻すってな)

提督(…あいつが見たら、なんて言うかな)

五月雨「じゃあ、提督来てくださーい」

提督「おう。ちょっと待ってくれ」

提督「…ん?」

提督「こんなところに落書きが…」

提督「…!」

提督「…ふっ」

五月雨「提督ー!早く早くー!」

提督「ああ、今行く」

バタン




『アリガトウ』





提督「執務室に落書き?」 終わり

以上です。見てくださった方、ありがとうございました
一回目を書いたときは、こんなに続かせる気は全くなかったのですが、
キリのいいところまでやろうと思ってつづけたところ…十スレにもなりました
完結編のことは5回目か6回目くらいに思いついたので、まあノリで書いたものです。あんまり気にしないでください
色々酷いなぁ…と思うところもありましたが、こんなssに付き合ってくださり、ありがとうございました
また、暇だったらなんかssを書きたいと思うので、読んでくれればうれしいです
本当にありがとうございました!!

このSSまとめへのコメント

1 :  岡崎   2015年03月31日 (火) 06:50:42   ID: GtZ7QdxQ

おつかれさまでした。

2 :  SS好きの774さん   2015年05月05日 (火) 02:48:36   ID: nw59rqI3

よかったよ。

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