真姫「もし叶うことなら」 (54)
ラブライブSS
まきっと
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誰も居ない音楽室で音を奏でる。
それが日課だった。
家に帰れば憂鬱だった。
とはいえ、仲の良い友人がいるわけでもなく、捨てたはずの音楽に縋っている情けない日々だ。
そして日が落ちる頃に下校する。
愛してるばんざい。
何にばんざいしているのやら。
あぁ、お手上げって意味ねきっと。
乙女心は変わりやすいとは言うけれど。
私のガチガチの心は変わりそうにない。
閉鎖された音楽室で今日も同じようにピアノを弾く。
真姫「はぁ……」
ため息一つ。音も途切れる。
夢を見ていられる少女時代はもう終わっている。
音楽の道なんて閉ざされている。
親の跡を継ぐ。
きっと幸せなことよね。なんて欺瞞を重ねながら生きていく。
そうやって大人になっていく。
独りはもう辛くない。慣れてるから。
何度目かの放課後。
未だに私の寄ってくる人間は居ない。
むしろ私が遠ざけている。
素直じゃないことも知ってるし、人付き合いが上手いほうじゃないと思ってる。
合わせるだけなんて耐えられないから。
少しずつ鬱屈としてきた。
真姫「……すぅ」
発散するために歌を歌う。
誰も聞いていないけれど、精一杯の気持ちを込める。
素直になれない私の唯一の自己表現。
曲が終わる。さて、帰りましょうか。なんて思った時に……
パチパチパチパチ
――――――転機が訪れた。
ずかずかと私の空間に入り込んでくる、得意じゃないタイプ。
穂乃果「ねぇ、貴女歌上手いね!」
穂乃果「ピアノ弾けるって凄い!」
穂乃果「なによりも可愛いねっ!」
何この台風みたいな人。
矢継ぎ早に感想を言ってくる。
賞賛ばかりで嬉しいには嬉しいけど……ねぇ。
穂乃果「いきなりなんだけど……アイドルやってみない!?」
真姫「……意味分かんない!」
本当に意味がわからない。
どうして、初対面の人間に突拍子も無いことを言えるのか。
でも、少しだけ……
少しだけ何かが揺れ動いたのは事実だった。
次の日から、少しだけ、ほんの少しだけ意識をするようになった。
なるべく考えないようにしている時点で、すでに考えていることからは逃げられない。
真姫「あぁ~! もう!」
ジャーンとピアノを鳴らす。
真姫「ふぅ」
落ち着いて一呼吸。なんだか穏やかじゃなくなった放課後を、元に戻すためにまた歌う。
でも、本当は。
パチパチパチパチ
今日も期待してたんじゃないかなって。
穂乃果「やっぱり歌上手いよ!」
当然でしょ。なんて謙虚じゃないかな。
穂乃果「それであのぉ~」
真姫「しつこいですね」
粘着性のある台風はどうやったら消えるのかしら。
穂乃果「アイドル……やりませんか!」
真姫「どうしてアイドルにこだわるの?」
単純な疑問。それに対して――――
穂乃果「ここを廃校にしないために……! 私は学校が好きだから!」
――――何の迷いもなく答えられた。
曇りなき瞳ってこういうことを言うのかしら。台風のくせに。
真姫「ふぅん。でも……」
穂乃果「あ、そうだ腕立て伏せ出来る?」
真姫「いや出来ますけど……」
穂乃果「やって?」
真姫「はぁ!? なんで……」
穂乃果「出来ないの?」
えらく挑発的な態度が気に入らない。
むしろ私が出来ないと思われるが癇に障る。
真姫「ふふ、こんなものよ」
腕立てを軽々とこなす。
穂乃果「おぉー!」パチパチ
当然じゃないこれくらい。
穂乃果「じゃあ笑いながら出来る?」
いよいよ持って理解が出来なくなってきた。
あぁ、もうやればいいんでしょ!
穂乃果「えへへ、難しいでしょー!」
なんで勝ち誇ってるのよ……くっ……
真姫「……アイドルと何の関係があるんですか?」
穂乃果「うーん笑いながら踊るのが難しいよって教えようと思って……」
なんて馬鹿げてる……くだらない理由だった。
真姫「……帰ります」
穂乃果「わかった……」
そう、ようやくわかってくれたのね。
穂乃果「じゃ、じゃあ曲を作ってくれる?」
前言撤回。何もわかっていない。
穂乃果「あ……ピアノは弾けるけど作曲は出来ない?」
真姫「それくらい出来ます!」
穂乃果「じゃあお願い! 歌詞はこっちで作るから!」
穂乃果「ありがとう! 西木野さん!」ギュッ
真姫「あっ……」
手を握られるなんて久しぶりだった。
そして、乗せられている自分がいることにも気づいてしまったんだ。
真姫「逃げようとしても台風の目の中にいるんじゃねぇ……」
やることを終えた暴風の塊を、私はただただ見送った。
まぁ、それからしばらくして私もスクールアイドルになるんだけど……
凛「真姫ちゃん!」
花陽「真姫ちゃん!」
二人はどう思っているか知らないけれど、私にとって親友ができた。
真姫「何よ二人とも」
凛「お昼ごはんたーべよ?」
花陽「いっぱいおにぎり作ってきたよー」
凛「かよちんおにぎり作りすぎだにゃー!」
真姫「へぇ、花陽はおにぎり作るの上手ね」
花陽「真姫ちゃんのお昼ごはん豪華……」
凛「いただきまーす!」
真姫「ちょっと、なに人のところから取ってるのよ!」
なんて、前の私じゃ考えられないわね。ふふ。
花陽「あはは、真姫ちゃん花陽の作ったおにぎり食べる?」
真姫「えぇ、ありがと」
花陽「あ……その代わり……」
どうやらお米に目が行っているようね。なるほど。
真姫「白米食べてもいいわよ」
花陽「ほんとっ!?」
キラキラと目を輝かせている。……ただの米よね。
真姫「さて、もらうわよ」
凛「あーっ! 凛のミニトマト!」
真姫「ふふ、お返しよ」
凛「じゃあ凛はラーメンサラダもらうよー!」
真姫「どうぞ召し上がれ」
ラーメンサラダは凛用に作ってもらったんだけどね。うちのシェフに。
凛「今日も練習楽しみだねー!」
真姫「そうね、楽しみね」
花陽「今日はどんな練習をするのかなぁ」
放課後、独りでピアノを弾いてた頃とは違う。
今は8人の仲間と一緒に目標に向かって進んでいる。
誰かと何かをすることなんて、無かったはずなのに。
暗い水の底から私を引っ張りだした人が中心にいる。
脳天気な台風こと、高坂穂乃果を求心力として活動しているμ’sに私は参加している。
そして私には一つの悩みがある。
彼女の前で何度かピアノを弾いていた時、
一緒にやろうという誘いを拒否する私の手を引こうとしている時……
ううん、きっと初めて出会った時からきっと――
――西木野真姫は高坂穂乃果に惹かれている。
今日はここまでです。お疲れ様でした。
惹かれている、なんて想うのは簡単だけど……
穂乃果「真姫ちゃーん!」
真姫「何よ」
穂乃果「おっはよー!」
真姫「もう放課後よ」
なんて風にそっけなく応えている。
穂乃果「えー!? 真姫ちゃん知らないの~?」
真姫「何を?」
穂乃果「おはようは業界用語なんだよ!」
真姫「そ、スゴイスゴイ」
穂乃果「あーっ馬鹿にしてる!」
してるつもりもないんだけどね。
ころころ変わる表情を見るのが好き……なんてね。
ガチャリ
穂乃果「あ、絵里ちゃん希ちゃん! おはよーっ!」
覚えたての言葉を使いたいのか、すぐに違う目標を見つけたようね。
真姫「はぁ……」
凛「真姫ちゃん穂乃果ちゃんに冷たくないかにゃ」
真姫「別に……そんなことないわよ」
花陽「じー」
真姫「な、何よ、見つめないで」
凛「じー」
花陽「じー」
真姫「……あぁ、もうわかったわよ!」
仕方ない。この親友二人に暈して話して納得させよう。
……親友。いいものね。
穂乃果「だからねー! おはようっていうのはねー!」
海未「穂乃果……」
ことり「朝から言ってるね♪」
にこ「常識でしょ……」
絵里「ハラショー!」
希「そういう意味があったんやなぁ~」
幸いにも他の6人はおはよう談義で盛り上がっているわね。
真姫「実は……なんとなく穂乃果のことを考えててね……」
凛「うんうん」
真姫「考えないようにしてるんだけどつい……」
花陽「……真姫ちゃん」
真姫「何?」
花陽「……穂乃果ちゃんのこと好きなの?」
わ、私が穂乃果を好き!? 惹かれているのは確かかもしれないけど……好き!?
真姫「いや、ありえないでしょ……」
だって女の子同士よ私たち。
凛「凛と穂乃果ちゃんはどっちが好き?」
真姫「穂乃果」
凛「ショック受けたにゃ……」
真姫「冗談よ」
凛「じゃあ本当は?」
凛と穂乃果……かぁ。
友人としてなら間違いなく凛ね。
先輩としてなら穂乃果かしら。
……じゃあ穂乃果とことりと海未なら……?
…………決められないわね。
真姫「決められないわ」
凛「どうして?」
真姫「好きの種類が違うからよ」
花陽「えへへ、ちょっと嬉しいかな」
はにかんだ花陽を見ると私も嬉しくなるわ。
花陽「そういえば真姫ちゃんは穂乃果ちゃんのことどんな風に考えているの?」
どんな風に……か。
真姫「……おせっかいすぎる恩人?」
凛「あはは、穂乃果ちゃんにはぴったりかも」
花陽「穂乃果ちゃんが聞いたら怒りそうだね♪」
真姫「そうかも」
あっちで談笑している穂乃果に視線を向けると、まだ熱っぽく話している。
その姿を見ると自然と笑みが溢れてくる。
あの元気の温度にあてられたのかもしれないわね。
凛「あ、真姫ちゃん穂乃果ちゃん見て笑ってる~」
む、よく見てるじゃない。
花陽「本当に幸せそうだよ真姫ちゃん」
そうなのかしら。
真姫「二人が言うならそうなのね……」
半分は自覚してるかもしれないけど、もう半分くらいは無意識の部分ね。
なんだかそういうところを見られていると思うと照れるわね。
凛「今度二人で遊んでみたら?」
……二人で。
花陽「色々な穂乃果ちゃんを見れるかも?」
私がまだ知らない穂乃果を……
真姫「……気が向いたらね」
クールを装ってみるけどバレてるみたい。
凛、花陽。あんたたち顔が笑ってるのよ!
今は絶対口に出しては言わないけど……
ありがとね。
――――――自宅――――――
相談をするともやもやって消えるのね。
穂乃果と二人きりで遊ぶ……
ハードル高くない?
そもそも私って穂乃果の家に入ったことないのよね。
皆となら何度も遊んでるけど……
私と二人きりで遊んで楽しいのかしら。
凛と花陽と私で遊んでるから純粋に二人っていうのは……ねぇ。
なんだか緊張するわね。
真姫「明日はせっかく休みなんだから……」
休みに一人なんてつまらないわ。うん、よし。
TRRRRR
穂乃果『真姫ちゃん?』
う……いざ声を聞くとドキドキするわ。
メールにすればよかったかな。
真姫『あ、あのさ、明日遊ばない?』
穂乃果『』
え、なにこの無言。私なにか間違った?
穂乃果『真姫ちゃんが誘ってくれるなんて初めてだね!』
真姫『そ、そうかしら?』
そりゃあ恥ずかしくて誘えなかったからね。
穂乃果『うんうんっ! あ、真姫ちゃんの家に行きたい!』
えぇっ!? 私の家!?
真姫『別にいいわよ、面白いものあるかしら?』
穂乃果『ふふ、いっぱいあるよ! じゃあおやすみっ!』
真姫『おやすみ』
穂乃果『明日が楽しみになったよっ!』
………………
穂乃果が家に来る。
…………………………
部屋片付けないとね……。
真姫「ふふ」
明日がとっても楽しみね。
今日はここまでです。ゆったりペースで行きます。お疲れ様でした。
部屋の片付けはOK。
やることはしっかりやった。
後は穂乃果を待つだけね。
……掃除に時間がかかりすぎて少し寝不足なのはしかたないわ。
ママに友達が来るって話したら笑ってたわね。
……あぁ、早くこないかしら。
…………来ない。
すっぽかされた……?
あはは、すごく楽しみにしてたのにそれは私だけだったのかな、なんて。
そんなことを思ってたら、着信音が。
ディスプレイには『高坂穂乃果』と書かれている。
すぐに出ると来ない理由がわかった。
穂乃果『真姫ちゃんの家ってどこだっけ?』
……そういえば案内したことなかったわね。
どっと力が抜けてしまった。
苦笑しながらも、心は疼いている。早く会いたいな……と。
真姫「ほんっと信じらんない!」
穂乃果「いやーてっきり真姫ちゃんが迎えに来てくれると思ってたかな」エヘヘ
真姫「そうならそうって言いなさいよ……」
穂乃果「こうぶらぶら歩いてたら見つかるかなって……」
真姫(なんだかんだ名家が多いから見つけにくいかも)
穂乃果「う~真姫ちゃんちょっとくっつくよ」ピトッ
真姫「どうしたのよ」
穂乃果「ちょっと寒くて……薄着すぎた」
真姫「バカね」
穂乃果「ふーんだ、バカっていうほうがバカなんだよ真姫ちゃん!」
真姫「子どもみたい」クスクス
穂乃果「子どもだもーん!」
当り障りのない言葉を交わしながら、私の家まで歩いて行く。
密着している穂乃果を意識しないのはとっても難しいけどね。
腕が……温かい。
穂乃果「わ~真姫ちゃん真姫ちゃん真姫ちゃん!」
真姫「耳元で大きな声を出さないの」ペシ
穂乃果「真姫ちゃんの家ってこんなに大きいの?」
真姫「そう? 普通じゃないこれくらい」
穂乃果「ほえ~皆で集まっても広そう!」
……たしかに穂乃果の部屋で全員は厳しいわね。
穂乃果「おじゃましまーす」
真姫ママ「あら、いらっしゃい……高坂穂乃果さん?」
穂乃果「そうです! ……あれ前に会ったこと有りました?」
真姫ママ「いいえ、真姫ちゃんがよく話してた先輩って貴女のことかなって」
穂乃果「え……」
真姫「ほら、穂乃果行くわよ! ママも余計なこと言わないの!」グイッ
穂乃果「わわっ、真姫ちゃん引っ張らないでぇー!」
真姫ママ「あらあら」クスクス
穂乃果「真姫ちゃん」
真姫「駄目よ」
穂乃果「お願い」
真姫「だめ」
穂乃果「おねがぁい……」
真姫「……いいわよ」
流石ことり直伝の上目遣いね……私を屈服させるなんて……
穂乃果「やったー! ベッドー!」バフ
穂乃果「ごろごろ~ごろごろ~」
微笑ましい光景ね。いや、ベッドメイキング頑張ったんだけどね昨日。
穂乃果「穂乃果の家のベッドよりふかふかだね!」
真姫「そうみたいね」ボフ
穂乃果「それに大きいから二人で寝ても大丈夫!」
ちらっと見ると屈託のない笑顔が向けられる。
邪な思考なんて微塵もないのねきっと。
真姫「穂乃果って綺麗ね」
素直な、本当に素直な感情だった。
穂乃果「ま、真姫ちゃん。なんか照れるんだけど……//」
あぁ、声に出ちゃってた。
真姫「私が言ってるのは容姿とかじゃなくて――――」
声に出してコンマ1秒。すぐに後悔した。
穂乃果「穂乃果はどうせ綺麗じゃないですよー」ツーン
拗ねられてしまった。
いや、その表情はすっごく可愛いんだけど……だけど……
真姫「ほ、ほら穂乃果は綺麗より……可愛い!」
精一杯のフォローなんだけど……うぅ、ジト目が痛い。
穂乃果「確かに真姫ちゃんの方が綺麗ですよー」
明らかに皮肉なのにその言葉に少し嬉しくなるのはどうなんだろう。
真姫「…………ありがと」
顔が熱い。火傷してるみたい。
穂乃果「真姫ちゃん……イチゴみたいに真っ赤だよ?」
大丈夫? なんて聞いてきておでこをピタリとくっつけられる。
穂乃果「熱は……ないみたいだねっ」
真姫「ぇ……ぁ…………ぅ」
穂乃果の顔が近い。こんなに至近距離で見つめるのは初めてで……
体温がぐっと上がる。心臓の鼓動が早くなる。
今、穂乃果を押せば……何かがわかるかもしれない。
最近の穂乃果に対する想いの正体が。
――なんてこと考えはするけど出来る訳もなくって。
真姫「うぁ……」バフ
穂乃果を避けてベッドシーツに顔を埋める。
穂乃果「だ、大丈夫なの真姫ちゃん!」
真姫「大丈夫大丈夫。心配しないで」
穂乃果の熱に充てられただけよ。
穂乃果「……よしっ」
何かを決意したような声。
穂乃果「ちょっとごめんね~ほいっ」
私の頭が持ち上がる。そして柔らかいものが敷かれた。
それにいい匂い。……ふとももね。
……
…………
………………
意識してしまった瞬間、思考が止まった。
ほほほほほのかのふとももももも!?
天国はここにあったのね……
現実から離脱、ユメノトビラを開いてしまった感じ。
変になっちゃったみたい、私。
――――――――――――
穂乃果「まーきちゃん」
真姫「スースー」
寝ちゃってるみたい。
穂乃果が来て疲れちゃったのかな?
昨日夜遅くまで起きてたみたい。
いつもより動きが鈍かったからね。
ゆっくり休んでね。真姫ちゃん。
それと……いつもありがとう。
――――――――――――
変な世界にトリップしてたみたいね。
目を開けるとそこには穂乃果が居た。
穂乃果の膝枕で……寝てたのね。
穂乃果「ぐっすり眠れた?」
真姫「うん」
ちょっともったいないなって思っちゃって。
穂乃果「夜更かしはだめだよ?」
真姫「うん」
見透かされてたみたい。
穂乃果「もう少しこのままで居る?」
真姫「……うん」
微睡みを言い訳に、少し太陽を見つめていたかった。
台風の目なんていう安心できないものじゃなくて。
誰にでも優しい陽の光を浴びていたかった。
まじまじと穂乃果を見上げる。
夕日に照らされている穂乃果は少し大人びて見えた。
色々考えているように見える。
その表情には憂いや不安といった、いつもなら見せないような表情ばかり。
穂乃果でもこんな顔するんだ……って当然のことを思い出す。
穂乃果も、私たちと同じなんだから。
穂乃果だけに背負わせちゃいけない。
少しでいいから支えてあげようなんて漠然と……本当に漠然と思った。
私の視線に気づいたのか、また柔和な顔に戻る。
なんだかんだで……お姉さん……ね。
穂乃果「じゃあね、真姫ちゃん」
真姫「今度はしっかり遊びましょうね」
結局、穂乃果に対しては何もわからないままだった。
花陽や凛の言うようにこれが恋愛としての好きかはどうかは不明のままだ。
ひょっとしたら憧れかもしれない。でも花陽達の言うとおりかもしれない。
そして、もっと違う感情かもしれない。
一日遊んだくらいでわかるほど甘いものではないらしい。
ふふ、それでも穂乃果と遊んだ今日一日はとても楽しかった。
きっとこれだけが唯一の事実かな。
穂乃果「まったねー!」
大きな声を出して手を振る穂乃果。
まったくもう、近所迷惑というか恥ずかしいわ……
真姫「穂乃果! また遊びましょうね!」
穂乃果「うん!」
でも、大声で応えなきゃって……気づいたら大声で返事しちゃったわね。
……顔だけ火傷しそうね。
明日からどうするかは、もう決まっちゃった。
一日でわからないなら、そうね。
もし叶うなら、わかるまで穂乃果の隣に居たいわね。
ううん、居るわ。必ず。
だって私、こう見えても負けず嫌いなんだからね。
覚悟してなさい穂乃果。
この気持ちがわかるまではずっと……ずっと。
私が貴女の傍にいてあげるんだからね!
FIN
お疲れ様でした。期間が長くなってすいません。
読んで下さった方々有難うございます。
来年も思いつき次第、書いていきますのでよろしくお願いします。
過去作を最後に宣伝させていただきます。それでは皆様良いお年を。
真姫「もし叶うことなら」
真姫「もし叶うことなら」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1418221376/)
凛「海未ちゃんのことなんて嫌いだよ!」 海未「……帰ります」
凛「海未ちゃんのことなんて嫌いだよ!」 海未「……帰ります」 - SSまとめ速報
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穂乃果「ねぇ、凛ちゃん抱きしめて?」凛「……やだよ」
穂乃果「ねぇ、凛ちゃん抱きしめて?」凛「……やだよ」 - SSまとめ速報
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穂乃果「真姫ちゃんは何色の穂乃果が好き?」真姫「じゃ、じゃあ……」
穂乃果「真姫ちゃんは何色の穂乃果が好き?」真姫「じゃ、じゃあ……」 - SSまとめ速報
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ことり「ことりは海未ちゃんの包帯になってあげる」
ことり「ことりは海未ちゃんの包帯になってあげる」 - SSまとめ速報
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にこ「どうして……どうしてなのよ!」 穂乃果「穂乃果にはわからないよ……」
にこ「どうして……どうしてなのよ!」 穂乃果「穂乃果にはわからないよ……」 - SSまとめ速報
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海未「好きです!」 穂乃果「ごめんなさい……」
海未「好きです!」 穂乃果「ごめんなさい……」 - SSまとめ速報
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希「私の騎士様」
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希「穂乃果ちゃんはどうしてあんなに慕われてるんやろ」
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海未「穂乃果!ことり!おめでとうございます!」
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希「寂しいなぁ、ウチも誰かに慰めて欲しい」
希「寂しいなぁ、ウチも誰かに慰めて欲しい」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1392321630/)
見れない人用 http://ssmatomesokuho.com/thread/list?trip=S54RkZf7aI
このSSまとめへのコメント
がんばれー