ラブライブSS!
りんがべー
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海未「1,2、3、4……」パンパン
海未「凛! 動きが早いです! 周りに合わせてください!」
凛「わかったにゃ!」
海未「真姫! もっともっと大きく動いてください!」
真姫「わかってるわ!」
海未「花陽! 自信を持って踊ってください!」
花陽「う、うん!」
海未「はい、ここまで! 休憩です!」
凛「うぅー海未ちゃん厳しいにゃ……」
真姫「しょうがないでしょ、言ってることは本当なんだし」
花陽「私ももっと頑張らないと……」
海未「絵里、そちらはどうですか?」
絵里「んーにこがちょっと遅れてるくらいね」
にこ「どういうことよ!」
絵里「冗談よ」フフ
希「にこっち体力足りひんからなぁ」
にこ「うっさい!」
穂乃果「絵里ちゃん穂乃果はどうだった?」
絵里「んー元気があるのはわかるけどもっと丁寧にね」
ことり「穂乃果ちゃんは元気だからねぇ」
絵里「そういうことりは……そうね、花陽と同じようにもっと自信を持てばいいかな」
ことり「あはは、はぁい♪」
絵里「じゃあ今日の練習はここで解散!」
海未「ことり、今日もいいですか?」
ことり「うふふ、いいですよぉ」
穂乃果「穂乃果も!」
海未「また食べる気ですか……」
ことり「ことりは穂乃果ちゃんにならいいよ♪」
海未「ことりは穂乃果に甘すぎです!」
穂乃果「え~いいじゃん太らないんだし!」
海未「どーのー口が言いますか!」グイッ
穂乃果「痛い痛いっ! うみひゃんいたい!」
ことり「あははっ」
希「絵里ちーパフェ食べる?」
にこ「まぁたいくのー?」
希「にこっちは誘ってないんやけどー!」
にこ「いいわよ、にこはおうちにかーえる!」
絵里「一緒にいくわよ、にこ」
にこ「絵里が言うなら仕方ないわねぇ」
希「うちだってにこっちと一緒やよー♪」
にこ「はいはいじゃあいこっか」
希「いこー♪」
絵里「押さないのー! 希ー!」
凛「かーよちん! まーきちゃん! 帰るにゃ!」
花陽「そうだね、凛ちゃん」
真姫「練習が終わると楽しそうね」
凛「むー! 練習は楽しいけど怒られるのは嫌なの!」
真姫「誰だってそうでしょうけど……」
凛「凛なんて今日だけで10回以上怒られてるんだよ!?」
花陽「それは凛ちゃんが一番素質があるからじゃないかなぁ」
真姫「そうね、どんどん動きが良くなっているのがわかるわ」
凛「絵里ちゃんの方が優しく教えてくれるよー」
真姫「穂乃果を見てればわかるけど、海未はスパルタ傾向にあるから……」
花陽「その分成長すると思うよ凛ちゃん!」
凛「二人が言うなら……そうだね!」
――――――――――――
凛「そんなに凛はだめかなぁ……」
かよちんや真姫ちゃんが励ましてくれたのはわかる。
海未ちゃんの言ってることってすっごく正しいんだろうけど……
凛「やっぱり凛は苦手にゃぁ……」
強い口調でがーっと言われちゃうとつい泣きそうになっちゃう。
凛は嫌われてるのかなぁ。
……こういう考えはやめよう!
凛「明日は全体練習がいいなぁー」
今日は組分けだったから自然と怒られる回数が増えただけ。
きっとそうだよ!
明日も頑張るよー!
海未「今日も組分けですね」
凛「にゃっ……」
真姫「凛、やな顔しないの」
そうにゃ、まだ海未ちゃん班になると決まったわけじゃ……
海未「では一年生は私が見ますね」
終わったよ……
絵里「ん、後は任せて♪」
海未「頼りにしてます、絵里」ニコッ
これくらい笑って凛も褒めてもらえたらなぁ。
地獄の時間が始まったにゃ。
海未「凛!」
怒られるのは慣れちゃったけど、やっぱりきっつい。
ちょっとでも気を抜くとうるっとしちゃう。
凛「わかってるよ!!」
海未ちゃんは皆にそういう風に接してるのはわかってるよ。
でもでも、凛は……
凛は穂乃果ちゃんみたく強くはないよ……
だからってわけじゃないけど……
練習が終わった後にかよちんと真姫ちゃんに愚痴っちゃう。
凛「疲れたよー」
真姫「今日の練習は一段と熱が入っていたわね」
花陽「でもいい練習が出来たと思う!」
凛「えぇ~あんな練習が続いたら凛もうやだよー」
真姫「ほーら、そういうこと言わないの」
凛「だって真姫ちゃんとかよちんは怒られてないじゃん!」
花陽「うぅ、花陽は結構言われてるよぉ」
真姫「私もそれなりに注意はされてるわよ?」
凛「練習したくないよぉ……」
真姫「絵里の組にしてもらえば?」
凛「そんなこと言ったら何を言われるか……」
花陽「……海未ちゃんのこと嫌いなの?」
……いつもいつも凛ばっかり怒って……
そうだよ、海未ちゃんだって凛のことが嫌いなんだ。
どうせかよちんと真姫ちゃんしかいないし……
凛「海未ちゃんのことなんて嫌いだよ!」
花陽「うわわっ!?」
真姫「凛、いきなり大きな声出し過ぎよ」
凛「いいの! 嫌い嫌い! もっと言うよ!」
ちょっとスッキリしたよ。
真姫「あんまり人のことを悪く言ったらだめよ?」
花陽「うん、花陽もそう思うよ凛ちゃん」
凛「……言い過ぎたかも。ごめん二人とも」
ちょっと反省。そうだね、不満を二人にぶつけちゃいけないね。
――――――――――――
海未「ふふ、今日の練習は楽しかったですね」
ことり「海未ちゃん凄い嬉しそうだね」
海未「やっぱり一年生組は教えれば教えるほど伸びていくのがわかりますから」
ことり「さてさて、その手に持っているなんですかぁ?」
海未「わかっているのに……聞かないでくださいことり」
ことり「えへへ、差し入れのクッキーだなんて海未ちゃんも好きだねっ♪」
海未「ちょっと厳しくもしましたから……甘いモノは身体の疲労をですね!」
ことり「ことりと一生懸命がんばったもんね♪」
海未「……作ったからには喜んで食べて欲しいですから」
ことり「努力してる海未ちゃん、好きだよ~」
海未「なっ、からかわないでくださいっ!」
海未「喜んでくれますかね……」
ことり「あたりまえだよ!」
海未「味はたしかに穂乃果も美味しいと言ってくれましたが……」
ことり「もう、心配し過ぎだよ」
海未「ですが……」
ことり「デザインだってお米とかラーメンとか……」
海未「……出たとこ勝負です!」
ワイワイワイ
海未「何やら騒がしいですね」
ことり「楽しくお話してるのかな?」
『海未ちゃんのことなんて嫌いだよ!』
海未「……」パサッ
ことり「う、海未ちゃん……」
海未「……帰ります」スタスタ
ことり「海未ちゃん……」
今日はここまでです。お疲れ様でした。
――――――2分後――――――
ブーン
ことり「あ、海未ちゃんからメールだ……」
『クッキー忘れてしまいましたね。
誰も私の作ったものなんていらないでしょうから、
私の机においておくか、面倒なら捨ててしまってください』
ことり「そんなこと出来ないからことりが食べておくね……送信っと……」
ことり「……クッキーせっかく美味しく出来てるのに……そうだ」
ガラッ
凛「あ、ことりちゃん!?」
真姫「あら、1年生の教室にどうしたの?」
ことり「んークッキー作りすぎちゃって……皆で食べようかなって」
花陽「ことりちゃんの手作りクッキー!」
凛「凛も食べたいにゃー!」
ことり「ちょっと割れちゃってるけどいい?」ザラザラ
真姫「へぇ、ラーメンとかデザイン凄いのね」
花陽「気持ちがこもってます!」
凛「美味しいよー!」モグモグ
ことり(ほら、こんなに美味しいって言ってくれるんだよ海未ちゃん)
花陽「わわっ、お米の模様!」
真姫「ことりって手先が器用ね」
凛「ことりちゃんって優しいしこんなお菓子も作れるし……海未ちゃんとは大違いだよ!」
ことり「ふむふむ、凛ちゃんは海未ちゃんにどんなイメージを持ってるのぉ?」
凛「怖い、厳しい! 凛ばっかりいっつも怒ってる!」
ことり「あはは、確かに海未ちゃんは厳しいし怖いって思われても仕方ないけど……」
ことり「その人のマイナスになることって絶対しない人だよ、海未ちゃんは」
真姫「ま、海未はそういうタイプね」
凛「でも、凛は怒られるのはもういやだよー」
花陽「凛ちゃん……」
ことり「……そのクッキーは海未ちゃんが作ってくれたんだよ?」
凛「え……」
ことり「じゃあまた明日ね♪」ピシャッ
――――――――――――
海未「……そうですね、嫌われる可能性なんて忘れていました」
海未「穂乃果やことりに慣れすぎていただけなんですね」
海未「凛が嫌いと言うなら……仕方ないですよね……」
PRRRRR
海未『絵里、頼み事が有ります』
絵里『ん、どうしたの? 海未?』
海未『――――明日の練習ですが』
――――――練習――――――
絵里「はーい今日は一年生組は私が担当するわね」
海未「要するにいつものメンバーとは逆ですね」
穂乃果「うぇー海未ちゃん厳しいんだよぉ……」
海未「穂乃果?」ニッコリ
穂乃果「なんでもありませんっ!」ピッ
にこ「ふふ、にこにーの華麗なステップに海未もメロメロにこ☆」
希「にこっち一番怒られるかも♪」
にこ「なんでよ!」ビシッ
ことり「……海未ちゃん」
海未「さ、練習を始めますよ!」パンパン
凛(ふぅ、海未ちゃんじゃなくてよかったよ)
絵里「はいはい、ぼちぼちこっちも始めるわよー」
真姫「絵里がこっちってなんかあったの?」
絵里「……え? 気分転換よ? マンネリは良くないでしょ?」
花陽「絵里ちゃんとは新鮮だから楽しみです!」
凛「よーっし! いっくにゃー!」
絵里「やる気満々ね、びしっと行くわよ!」
海未「……」チラッ
海未(……凛は笑顔ですね)
海未(私の他にも指導できる人はいますし……極力任せましょう)
海未「はい、にこ! 足がもつれてますよ!」
にこ「わ、わかってるにこ~☆」ゼェゼェ
希「いや、にこっち疲れてるやん」
にこ「にこは余裕よ!」
海未「希! ダンスに集中!」
希「りょーかい!」
穂乃果「ほっはっほっ!」
ことり「…………」
海未「ことり! もっと元気よく!」
ことり「は、はい!」
絵里「なるほどなるほど」
凛「てやー! とあーっ!」タタタタンッ
真姫「ふぅ……」トントントン
花陽「ふんふんふん♪」トトントトン
絵里「はいストーップ!」
凛「え、凛なにかダメだった!?」
絵里「はいはい、そんなに怯えない」
真姫「じゃあなんで止めたのよ絵里」
絵里「凛、最近お風呂あがりに柔軟してる?」
凛「し、してないにゃ……」
花陽「えぇっ、海未ちゃんに言われてたよぉ!?」
凛「だ、だって……」
絵里「柔軟性は日頃の生活にあっても困らないから忘れないようにね?」
凛「はーい……」
絵里「真姫は指先には集中できるけど、爪先までは集中できてないからそこまで意識してね」
真姫「そう言われるとそこまで意識してなかったわね」
絵里「花陽はそうね、出来るんだから全面に気持ちをだしてね?」ギュッ
花陽「は、はいっ!」
絵里「はい、今日の練習はおしまいよ!」
凛「あー久しぶりに楽しかったにゃー!」
真姫「凛、今日は張り切ってたわねいつもより」
花陽「凛ちゃん褒められてたねっ♪」
凛「えっへへー! 凛だってやればできるんだよー!」フフン
絵里「そうね、やっぱり凛はスポーツが得意なだけはあるわね」
凛「運動なら誰にも負けないし~♪」
絵里「ふふ、その調子よ。これからも頑張ってね」
凛「うんっ!」
凛(ふーんだ、凛だってやればできるもん!)
海未「今日の練習は終了です!」
穂乃果「どひゃー疲れたー!」
にこ「ぜぇぜぇ、にこにーは余裕よ……げほごほ」
希「にこっち無理し過ぎちゃうん?」
にこ「なんであんたは平気なのよぉ!」
希「いや、うちダンス得意やから……」
ことり「お疲れ様っ、海未ちゃん♪」
海未「ことり、ありがとうございます」ゴクゴク……チラッ
海未(……やっぱり絵里が適任ですね。嫌いな人と顔を合わせるのは気分が良くないでしょうから……)
海未「絵里、私は稽古が有りますのでお先に失礼します」ペコリ
絵里「……? 身体は冷やさないようにね」
海未「はい」
ことり「海未ちゃん……」
穂乃果「今日の海未ちゃんなんか変だったね」
にこ「にこは怒られっぱなしだったんですけど!」
希「にこっちが踊りに変なアレンジ加えるからやん?」
にこ「ぐぬぬ……」
海未(……今まで伸びてくれると信じて指導してきました)
海未(私では凛の才能を伸ばすことは出来ないでしょう)
海未(…………)カリカリ
海未(……一応思ったことをノートにでも書いておきましょう)
………………
…………………………
……………………………………
海未「……私自身も練習しなければ」
――――――――――――
凛「ほらー! やっぱり凛だって出来るじゃん!」
真姫「調子に乗りすぎよ、凛」
花陽「でも今日の凛ちゃんはキレがあったよ!」
凛「褒められて凛は伸びるタイプにゃ!」
真姫「はいはい、よかったわね」
凛「真姫ちゃんちょっと適当に流さないで!」
真姫「凛が運動系が凄いのは知ってるから別に……」
凛「……真姫ちゃん」
真姫「何よ」
凛「照れるよ……///」
真姫「……イミワカンナイ!」
花陽「あはは、明日も頑張ろうね!」
凛「絵里ちゃんに言われたから柔軟しないと!」
真姫「面倒臭がらずにやりなさいよー」
花陽「忘れないように私がメールするね!」
凛「ありがと、かよちん!」
テクテクテク
花陽「あ、私ノート忘れちゃった……取ってくる!」
凛「待ってるよー」
真姫「早く取ってきなさいよねー」
花陽「ごめんっ、二人とも!」タタタッ
花陽「うぅ~どうして私ってこんなにどんくさいのかなぁ……」
ガラッ
海未「ふぅ……」
花陽「!?」ササッ
花陽(ええっ!? なんで海未ちゃんがまだ部室に……? 向かう先は屋上……?)
花陽「二人を待たせてるから……早くノートを……ん?」
『μ’s』
花陽「……海未ちゃんのノート……?」
花陽「一ページだけ……」
ピラッ
『メンバーの特徴・伸ばすべきポイント』
花陽「達筆……だなぁ……」ピラピラ
花陽「ぎっしり書いてる……私の欄にはやっぱり自信が……」
花陽「あ……」
花陽(今日書いたのかな……)
『凛は私ではどうにも出来ない。絵里に任せて出来るだけ離れましょう。
嫌いな人が近くにいては人は成長しにくいでしょうから。書いてて物悲しいですね』
花陽「海未ちゃん……」
花陽「はぁ……はぁ……」
凛「かよちん遅いにゃー!」
真姫「ん、行きましょうか」
花陽「ねぇ、凛ちゃん明日海未ちゃんに謝ろっ?」
凛「いきなりどうしたの?」
花陽「……クッキーももらったから、お礼もねっ?」
凛「かよちんが言うなら……」
真姫「何かあったのね?」
花陽「うん……多分だけど、この前凛ちゃんが嫌いって言ったの海未ちゃん知ってると思うの」
真姫「だから今日は絵里に……なるほどね」
凛「う……でもあれは……」
花陽「凛ちゃん!」
凛「わかった……海未ちゃんにちゃんと謝る」
花陽「うんっ!」
今日はここまでです。お疲れ様でした。
――――――土曜日――――――
凛「いい天気だにゃー」
とってもいい天気。太陽が眩しくて、絶好の練習日和!
でも……
凛「やっぱり謝らないとダメだよね……」
かよちんにも言われたし、凛も面と向かって言われたら傷つくかも。
…………凛は悪くないよ。海未ちゃんが厳しすぎるのがいけないんだよ……
うぅ、言い訳ばっかり浮かんでくる……
いっそのこと忘れたふりして謝らない……とか。
あ……かよちんに嫌われるのはやだよ!
凛「仕方ないにゃ……」
花陽「おはよう、凛ちゃん!」
凛「おはよー!」
真姫「おはよう、凛」
凛「真姫ちゃんおはよー!」
花陽「じー」
凛「か、かよちん?」
花陽「凛ちゃん、昨日言ったこと忘れてない?」
凛「もー! わかってるよぉ!」
真姫「顔がひきつってるわよ凛」
凛「真姫ちゃんまでー!」
うぅ、しっかり二人にはバレてたみたい。
逃げ道がないよ……
なんか胸がきゅっとする。
締め付けられてるような……
嫌な汗とドキドキが止まらない。
凛「おっはよーにゃー!」
振り払うようにドアを勢い良く開けると……
凛「あれ?」
そこに海未ちゃんがいなかった。
穂乃果「やっほー凛ちゃん」
穂乃果ちゃんが遅刻しそうなら海未ちゃんがいないのもわかるんだけど……
ことり「おはよ、凛ちゃん♪」
二人がいるのに海未ちゃんがいないのは変だ。
花陽「あれ? 海未ちゃんは?」
かよちんが凛の代わりに聞いてくれたよ。
絵里「あー海未は休みよ」
なーんだ、謝る必要もなかったねー!
ほっと一安心!
真姫「凛……」グイッ
凛「いっ!?」
凛の気持ち今日ばればれかもしれないなぁ。
凛「さー練習だよー!」
さっきまでの嫌な胸のときめきは消えちゃって、今は練習のことしか考えられないっ!
花陽「凛ちゃん……」
真姫「はぁ……やれやれね」
絵里「……凛」
凛「どうしたの、絵里ちゃん」
絵里「今日は凛が指揮するのよ?」
凛「え……?」
絵里「海未が休んだから、真姫と花陽……穂乃果の3人をお願いするわね」
凛「えええええええっ!? 凛がっ!?」
絵里「希達を見たほうが良かった?」
凛「そうじゃなくって……」
絵里「じゃあ決まりね」ニッコリ
凛「う、うん……」
希「なぁ、絵里ち強引すぎない?」
にこ「そもそも凛に指導なんて出来るの?」
絵里「うーん、海未からの提案なのよね」
ことり「海未ちゃんが……?」
絵里「どうしてもって言うからねぇ」
希「なんか考えでもあるんかなぁ」
絵里「それはそうと、私達はきっちりやっていくわよ!」
ギャーギャー
絵里「あっちは見ないようにしましょう」
希「最悪、全体は絵里ちが見ないとね」
にこ「あ、飛んだ!」
ことり「何やってるんだろう……?」
凛「凛がこのチームのリーダー……」
真姫「穂乃果がいるだけでいつもと変わんないでしょ?」
花陽「頑張って凛ちゃん!」
穂乃果「さー凛ちゃん! 何をするっ!?」
凛「ま、まずはストレッチを……」
穂乃果「凛ちゃん隊長!」ビシッ
凛「は、はい!?」
穂乃果「しっかり指導して欲しいであります!」
真姫「また穂乃果が変なコト言ってる……」
真姫「いいからやるわよ」
花陽「ストレッチでいいんだよね?」
凛「う、うん!」
穂乃果「無視しないでよぉ~」ジタバタ
どんなものかと思ったけど……
なんだ海未ちゃんのやってることなんて簡単じゃん!
凛「1! 2! 3!4!」パンパン パパン
真姫「ちょっと凛! 手拍子ずれてる!」
凛「あ……あれ?」パパパパン
花陽「は、早すぎだよぉ!?」
穂乃果「ふふん、穂乃果はそれにも合わせれるよ!」タタタタンッ
真姫「そんなステップないでしょ!」
穂乃果「飛んでたほうが格好良くない?」ピョンピョン
凛「ちょ、ちょっと待つにゃー!」
花陽「あわわわわ……」
前言撤回……
海未ちゃんのやってること難しすぎるよ……
凛(あ、真姫ちゃんずれてる……)
真姫「はぁ……はぁ……っ!」
凛(でも一生懸命だから……)
穂乃果「てやーっ!」
凛(穂乃果ちゃんはもっと全体を……)
凛「あ……う……」
花陽「えいっ!」
凛(かよちん動きが大きくなってるにゃ……)
穂乃果「いぇい! 凛ちゃんどうだった?」
凛「い、いいんじゃないかな……?」
真姫「嘘ね」
花陽「遠慮してる……?」
穂乃果「顔が笑ってないよ凛ちゃん?」ジー
凛「お、怒らないでね?」
カクカクシカジカ
穂乃果「ふーんなるほどなるほど……」
真姫「結構良く見れてるんじゃない?」
花陽「動きが大きくは意識してみたの! ……雑になっちゃってたみたいだね」
凛「う、うん! だから皆そこらへんを直していけばもっと……」
『凛! 周りに合わせてください!』
凛「もっと良くなるんじゃないかなって……」
そっか、そういう風に見えてたのかな。
花陽「凛ちゃん?」
凛「……難しいね」
真姫「何が?」
凛「皆をこうやって指導して、アドバイスするのって……」
穂乃果「穂乃果はいっつも海未ちゃんに怒られてるんだけどなぁー!」
凛「それも含めて……言わなきゃダメなことなんだって思った……」
正直、こんなこと続けてたら……凛は疲れちゃう……
凛「まさか……」
え、嘘……休んだのってもしかして……凛のせい……?
今日はここまでです。お疲れ様でした。
凛……謝らないと……
凛「え……絵里ちゃん」
絵里「どうしたの? 凛?」
凛「今日、海未ちゃんが休んだのって……」
絵里「あ、あー家の事情かな……」
露骨に目を逸らされた……?
これは嘘……?
真姫「急にどうしたのよ?」
花陽「……」
凛「凛、ちょっと行ってくる!」タタッ
穂乃果「あ、待ってよぉ! 凛ちゃーん!」
花陽「穂乃果ちゃん、凛ちゃんを行かせてあげて?」
希「色々動き出したようやなぁ」
にこ「なにか知ってるの?」
希「ううん、なんにも♪」
にこ「……怒るわよ?」
ことり「……うん♪」
凛が謝らなかったから……ちゃんとしなかったから海未ちゃんは……
……今すぐ謝らないと……!
凛「え……」
海未ちゃんの家おっきいよ……
なにこれ? 豪邸……? 真姫ちゃんの家とおんなじくらい……?
凛「どうしよう……」
迷ってても仕方ないや……えいっ!
ピンポーン
海未母「あら、海未さんのお友達ですか……?」
凛「……はい、星空です……」
うわー綺麗な人だなぁ……海未ちゃんにそっくり……
海未母「海未は稽古中ですので、どうぞお上がりになってください」ニコッ
凛「稽古……?」
海未母「よろしければ見ていきますか?」
凛「はい……」ペコリ
凛「わぁ……」
広い弓道場……あれ、学校のより広いのかな……
海未「……ふっ!」
白い一筋の線が的に当たった。
おー……あんな遠くの的に当てるなんて海未ちゃん凄いにゃ……
海未母「……海未さん、雑念があります。もう一度」
海未「……はい」
えっ……当たったのにだめなの……?
海未ちゃんも真剣に見えるのに……
凛にはわからない世界だよぉ……
凛が来てから1時間以上も続けてる……
その間、何度も何度も当ててるのに海未ちゃんがお母さんに褒められることはなかった。
それでも海未ちゃんは何も言わない。
これが……普通なの?
凛がおかしいのかな……
海未母「……海未さん今日は上がって下さい」
海未「ですが……」
海未母「お友達もお見えになっていますよ」
海未「……凛……!?」
凛「……お、お疲れ様……」
海未「……ありがとうございます」
き、気まずい……
わぁ……海未ちゃんの部屋何にも……な……!?
凛「お人形!?」
海未「これはその……ことりがプレゼントしてくれたもので……」
凛「じゃ、じゃあこのお饅頭みたいな時計は……?」
海未「穂乃果からの……」
凛「そ、そうなんだ……」
海未「……」
凛「……」
会話が続かないよー! かよちん助けてー!
凛「か……」
海未「?」
凛「かよちん、今日の練習で動きが大きくなってたにゃー!」
わぁぁぁっ!? 凛のばかばか! イミワカンナイ!
海未「そうですか……花陽が……」クス
あ、海未ちゃんが笑ってくれた……かよちんありがと!
海未「凛……」
凛「な、何?」
うぅ、見つめられると怒られそうで怖い……
海未「……凛はどうして私の家に?」
凛「あの……その……練習休んだから……お見舞いのつもりだったんだけど……」
海未「絵里から理由は聞いていなかったのですね……」
凛「あはは、凛慌てすぎちゃったかな……」
海未「……凛」
えっ、海未ちゃんが近くに……
目を瞑った次の瞬間に温かさを感じたよ。
海未「私のみを案じてくれたのですね。有難うございます」
ぎゅっと抱きしめてくれた海未ちゃんはとっても温かくて……
凛「えへへ……」
つい笑っちゃった。
ちょっとしたあと離してくれて、凛をまたじっと見てる。
海未「凛、ごめんなさい……」
海未ちゃんから出てきた言葉は意外だった。
……っていうかそれ凛が言わなきゃいけないのに……!
凛「なんで海未ちゃんが謝るの……!」
海未「はは……凛は私の事を好いてはいないのに、気を使ってお見舞いに来てくれたじゃないですか」ニコ
笑ってるのにとっても寂しそう。
わかってるよ、凛が悪いってわかってるよ!
凛「やだ!」
海未「な、何がですか?」
突然の大声でびっくりさせちゃったみたい。
でも構わない!
凛「凛が悪いのに海未ちゃんがどうして謝るの!?」
海未「それは……」
凛「だから海未ちゃん! ……ごめんなさい!」ペコリ
海未「凛、いいんですよ」
凛「え……」
海未「誰でも好き嫌いは有ります」
海未「だから……その無理しなくても」
凛「だからそうじゃないの!」
凛「あの時は……ちょっとイライラしてて……」
凛「凛ばっかり海未ちゃんが怒るから、海未ちゃんが凛のこと嫌いかなって思って……」
あぁああっ、違う、海未ちゃんを言い訳にしちゃいけない……
海未「凛、私も悪いのです。だからごめんなさい」ギュッ
凛「……でもっ」
海未「凛」
そっと優しくぎゅっとしてくれて、なんだか力が抜けてきちゃった。
海未「改めて、有難うございます」
その言葉で凛はふにゃーってなっちゃった……
耳元で囁くのは禁止にゃ……
海未ちゃん二人っきりだとこんなに抱きしめたりしてくれるの……?
海未「あ……抱きしめたりするのは嫌でしたか……?」
凛「ううん……もっと撫でて欲しい……」
恥ずかしいけど今なら大丈夫……な気がする。
海未「それでは失礼します」
髪を撫でてくれて、くすぐったい。
ちょっと眠くなってきちゃった……
海未「ふふ、このまま寝てしまってもいいですよ、凛」
お言葉に甘えて……お膝を借りるよー……
凛「海未ちゃん……」ウトウト
海未「何ですか……凛」ナデリナデリ
凛「う……ん……」
海未「寝てしまいましたね。おやすみなさい凛」
今日はここまでです。お疲れ様でした。
凛「う……ん」
はっ、と目が醒めたんだけどお膝温かいにゃ……
凛「海未ちゃー……ん?」
海未「」スー
海未ちゃんも凛を膝に乗せたまま寝てたよ。
凛の頭重くないかな。
んっ……んっ?
凛「あれ?」
海未ちゃんの手が添えられてて動けない……
凛「動かしたら起きそうだよ……」
……海未ちゃん綺麗だなー。
皆の前だと厳しい海未ちゃんだけど、二人の時は優しい海未ちゃん。
普段がキリッとしてるせいでなんか新鮮な気分。
どっちが本当の海未ちゃん? なんて疑問はなくって。
両方とも海未ちゃんなんだなって思ったよ。
そう、ただ凛が知らなかっただけなんだ。
こんなに……とっても優しい海未ちゃんが居たんだってことに。
凛「疲れてる……のかな」
心がズキっとする。
海未ちゃんは優しいから、隠してるのかもしれない。
凛のせいで傷ついて疲れちゃったんじゃないかって。
凛「ひどいこと……言っちゃったもんね……」グスッ
涙が溢れる。あぁだめだ。海未ちゃんのお膝が濡れちゃうよ。
ひとしきり後悔した後も涙が止まらない。
拭っても拭っても、ごめんねって謝っても、止まってくれない。
凛「ぐすっ……ごめんね……海未ちゃん……」
寝ている海未ちゃんに謝るずるいこと。
あんなこと言わなければよかったなんて、思ってももう遅い。
後悔だけが積もって、不安なことばっかりで埋め尽くされそうになっちゃう。
凛「ごめんなさい……」グスグス
もちろん返ってくる言葉はない。
――――そのはずだった。
海未「凛、泣かないでください」
凛「だって……だって……」
海未「いいのです」
凛「よくっ……ないよっ……」グスグス
海未「いいえ、いいのです」
海未「凛は謝り、私は許した。これのどこがいけないのですか?」
凛「でもっ……凛は海未ちゃんに酷いことっ……」
海未「……凛」
凛「はい……」
海未「それでは、罰を与えましょう」
凛「……海未ちゃんの気が済むならなんでも……」
やっぱり、海未ちゃんは隠してた。
凛が悪いんだから、海未ちゃんには吐き出してもらわないと……
ちょっと怖いけど……
海未「それでは、私と二人でゆっくり話しましょう? これが罰です」
凛「えっ?」
なんてことを考えてたから、変な声が出ちゃった。
海未「ほら、私とゆっくり話すのに泣き顔はいりませんよ?」
凛「うっ、うん!」
海未「はいっ、もっと笑う!」
凛「……」ニコ
海未「良く出来ました」ナデナデ
ずるい……海未ちゃんずるい……
こんなに笑った顔が可愛いなんてずるい……
反撃だよ!
凛「凛、海未ちゃんの笑顔好きだよ」
海未「なっ……//」
ちょっとは恥ずかしがってくれるかなっ!
得意そうな顔をしてたのがバレたのか、海未ちゃんはじっと見てきて……
海未「私も凛の笑顔……好きですよ」
凛「あ……あうぅ……////」プシュー
とてつもないカウンターをもらった……にゃ……
――――――――――――
私は私で凛と話したかったのです。
しかし凛はとても罰を与えて欲しかったようでした。
そのくせとても怯えていました。
凛がああいう思考に至ったのは、私のせいであると自覚しています。
だから、凛が一方的に悪いなんて思ってもいないです。
責任の一端は私にあると理解していたからこそ……
いいえ、これは建前でしょうね。
ただ凛と話したかった。
もっとゆっくり、色々知りたかった。
罰なんて言葉は、喋りたかっただけでしょうね。
私の予想通り……いえ、予想以上にころころ凛の表情は変わりました。
泣き虫なのは知っていましたが、まさかこれほどなんて……
と言ったら凛は怒るのでしょうね。あはは。
それは置いておいて。
とにかく笑顔が可愛いのが凛の特徴です。
感情を隠すのはお世辞にも上手いとはいえませんが……
その分、爆発させるのが上手です。
泣き顔然り、笑顔然り。
プラスの方向に矢印が向けば、強い原動力になります。
そのプラスの表情を間近で見ることの出来る私は幸せかもしれません。
凛「海未ちゃん?」
海未「あ、なんでしょうか?」
凛「今の凛の話聞いてなかったでしょ!」
海未「すみません、凛の事を考えていまして」
む~と膨れ顔になったり、急に紅くなったり忙しそうです。
凛「そういうのはずるいって言ったでしょ!」
照れてる顔もいいですね。
海未「あはは、ごめんなさい」ニコニコ
凛「絶対反省してない!」プンスカ
えぇ、当然です。
海未「ところで、凛」
凛「なにさー!」
ちょっと投げやりな言葉遣いです。でもいいですよ。
海未「いつまで、私の膝に頭を乗せていますか?」
凛「~~~~っ/////」
この日、一番の赤面を見ることが出来るのですから。
お疲れ様でした。今日はここまでです。
色々と攻撃されちゃったけど、海未ちゃんとの時間はとっても楽しくて。
帰るのがもったいなくなってきた。
希望にすがるように、名残惜しそうに海未ちゃんを見上げる。
海未「凛、今日は泊まっていきますか?」
凛「えええっ!?」
なんでわかっちゃうの!? 海未ちゃんエスパー!?
海未「ふふ、凛がとても帰りたくなさそうだったので」
にこりと笑う海未ちゃんにまたまたノックアウトされかけて……
凛「う、海未ちゃんが良ければ……」
海未「はい」ニッコリ
結局もっともっと居れることになっちゃった。
今までは海未ちゃんが悪い意味で弱点だったけど……
今はいい意味で海未ちゃんが弱点になりそう。
海未ちゃんの一挙手一投足が気になり始めて、じーっと見つめちゃう。
お膝は柔らかいし、いい匂いだし……凛はここから離れたくないよー
海未「すっかり気に入ってもらえたようで」
にこにこ顔の海未ちゃんは練習中見ないから癒やされる。
きっと凛、今だらしない顔してるかもねぇ……えへへ。
海未「……凛、失礼します」
凛「えっ?」
海未ちゃんの指が首筋に……
ちょっとドキドキ……
首元に指が這って行ってもぞもぞする。
凛「待って海未ちゃん!」
海未「……ふむ」
海未ちゃんは全く聞いてる様子がなくって、凛の弱いところを探しているみたいな……!
凛「くすぐったい! 海未ちゃ……あははははっ」
腋とかお腹とかっ……ギブギブギブ!
海未「なるほど。凛はそこが弱いのですね」ニコニコ
凛「ひぃっ……ひぃっ……」
息ができなくなりそうだった。え、なにこれ、こんな海未ちゃん知らないよぉ!
凛「つーん」
海未「あぁっ、凛申し訳ありません」
凛「なにさー! やめてって言ってもやめてくれなかった海未ちゃんが悪いよ!」
海未「し、しかし……」
おろおろする海未ちゃんも可愛い。
完璧人間に見えてたけど、そんなイメージは今日一日で吹っ飛んじゃった。
もっと仲良くしておけばよかったなぁ。もったいない。
ううん、今からでも仲良くしよう!
凛「一緒のお布団で寝てくれたら許してあげる!」
海未「……」
あれ、さっきまで積極的だったのに急におとなしくなっちゃった……?
海未「その前にお風呂……入りませんか?」
凛「あ……そうだね!」
…………流されて返事しちゃったけど……大丈夫かなぁ。
ざぱーん
凛「ひ……広い……」
見渡す限り、お風呂なんて表現じゃ小さすぎて……
温泉? って言ったほうが正しいかも。
海未「それではごゆっくり……」ガラララ
なんだ、海未ちゃんも一緒に入ってくれるんじゃないんだ。
なーんてねっ、あの海未ちゃんと居たら、凛なにされるかわかんないし!
凛「まずはつかるにゃ!」
ちゃぽん……
凛「生き返るにゃ……」
お金持ちだなぁ。真姫ちゃんもそうだけど、μ’sのメンバーって凄い……?
うん。考えるのはやめとこやめとこっ。
ふわぁぁぁ……とってもいい香り……
この温泉自体がリラックス出来る場所みたい……
ぐぅ……はっいけないいけない。
ここで寝ちゃったら風邪引いちゃうし、海未ちゃんも待ってるから早く上がらないと……
……石鹸だ。ボディソープみたいなのは……あ、あった。
海未専用って書いてある……
でも海未ちゃんのイメージは……あーわかった。多分、二人の趣味かも。
専用は使うと怒られそうだし、凛は石鹸で……モコモコモコ
海未「お背中流しに来ました。凛」フゥ
凛「にゃあぁぁぁあっ!?」
し、心臓が止まりそうに……
海未「あ、ボディソープ使いますね」ゴシゴシ
凛「背中気持ちいいにゃぁ……」
胸がバクバク言ってるよぉ……!
凛「ね、ねぇ海未ちゃん」
海未「何ですか?」
凛「そのボディソープは……」
海未「これは……私の趣味です」
凛「えっ、意外かも……」
海未「失礼な、私だってこういうものには興味くらい持ちます」
凛「あはは、てっきりことりちゃんと穂乃果ちゃんのプレゼントかと……」
海未「!? ……どうして知っているのです……!」
凛「野生の勘にゃ!」
海未「それを言うなら女の勘でしょうに……」ワシャワシャワシャ
海未「痒いところはありませんか?」
凛「海未ちゃん手慣れすぎ……」
海未「穂乃果やことりには何度もしてあげてますから」ニコニコ
凛「病み付きになっちゃいそうだよ……」
申し訳ありません。今日はここまでです。
海未「さて、上がりましょうか」
凛「だめだよ!」
海未「どうしてですか?」
凛「凛ばっかりしてもらってるから海未ちゃんにも!」
海未「ふふ、お言葉に甘えますかね」
凛「……海未ちゃん髪キレイ……」
海未「凛も綺麗ですから、心配しないで下さい」
……そういうのじゃないよ。
きめ細やかさが違うというか……手入れが行き届いているというか……
やっぱり大和撫子だなって……。
凛「あ、洗うよー!」
ふんわりしてる……触り心地がいいなぁ。
海未「凛?」
凛「あ、ごめんねっ」シャカシャカ
でもでも、凛も安心しているところがあって……チラッ
海未「どこを見ているのですか、凛」
胸は凛と同じくらいで安心にゃ♪
海未「てやっ!」ビシッ
凛「ったー!?」
海未「邪な気配を感じたのでつい……」
凛「胸が凛とおそろいだって思っただけなのに!」
海未「……ほぉ」
凛「しまったにゃ!」
海未「……悪気はなさそうなので許します」
凛「えへへ、凛今日は許されてばっかりだね」
海未「問題を起こさなければいいのです」
凛「そうかもねー」
海未「ふふ」
凛「あはは」
こうして楽しいお風呂タイムは終わりを迎えたよ。
凛「さってこれから夜の時間だにゃー!」
海未「もう22時ですね。寝ますよ凛」
凛「うっ……せめて日付が回るくらいは……」
海未「ゲームはおろか漫画もないですから……」
凛「うぅ……」
海未「電気を消してゆっくり話しませんか?」
凛「うん、いいよ」
海未「では、凛こっちに来て下さい」
凛「うん……ん?」モゾモゾ
海未「凛は温かいですね」
凛「えっ、海未ちゃんの布団で寝ていいの?」
海未「えぇ、せっかく二人きりなのにもったいないでしょう?」
……凛、明日まで保つかなぁ。なんて。
嬉しくて嬉しくて、どうにかなっちゃうかも。
凛「海未ちゃん」
海未「何でしょう?」
暗闇の中で海未ちゃんと目が合う。吸い込まれそうな瞳で真っ直ぐ見つめてくれる。
凛「海未ちゃん、疲れたりしない?」
海未「……練習の話ですか?」
凛「うん、今日凛が指揮してみたけど凄い疲れちゃったから」
海未「私は疲れないんですよ」
冗談のような言葉。今までなら信じてたかも。
凛「嘘ばっかり。人を注意するってエネルギーをい~っぱい使うんでしょ?」
海未「バレてしまいましたか……」
凛「だったら……」
海未「いいんですよ、皆が成長してくれればそれだけで疲れは吹っ飛びますから」
凛「でも、凛みたいに勘違いする人だって……!」
海未「それでもいいのです。μ’sが進化してくれれば」
凛「それじゃあ……」
海未「ふふ、なら凛が癒して下さい」ナデナデ
凛「海未ちゃんそれずるいよ……///」
凛は全然頭は良くないけど……
このまま続くと海未ちゃんが倒れそうで怖いよ。
凛「海未ちゃんは1年生に……ううん、凛に頼るのは嫌?」
海未「……嫌じゃないですよ」
凛「じゃあもっともっと頼って……お願いだよ」グス
海未「凛は泣き虫ですね本当に……」ナデリナデリ
凛「だってだって……海未ちゃんこのままじゃ……」
海未「……さて困ったことが一つあるんです」
凛「なに……?」
海未ちゃんの困ってることってなんなんだろう……?
海未「何分、私は人への頼り方というものを知らないのですよ凛」
凛「うん……」
海未「だから、教えてください凛」ニコニコ
凛「わかった! 凛がしっかり教えるよ!」ニコッ
海未「では、具体的にお願いしますね」
どうしよう、自信満々だったけど……どうしよう?
海未「凛?」
凛「そうだ! 海未ちゃんは毎日凛に相談すること!」
海未「ふむ、相談というのは……」
凛「今日1日……起こったことで一番、人に聞いてほしくないことを凛だけに!」
海未「なるほど、いいですよ」
凛「あ……凛だけじゃなくてもいいからね。皆で相談して解決すれば……」
海未「ふふ、凛は優しいです」
凛「そ、そんなこと……」
海未「今の凛、とても可愛らしいですよ」
今日の海未ちゃん……格好いい……。
じゃない!
凛「もー! からかわないで!」
海未「からかってませんよ?」
素で言ってるならもっと恥ずかしいっ!
海未「早速相談しましょうかね」
凛「え?」
海未「聞いてくれるのですよね?」
凛「う、うん!」
海未「私は凛に嫌われていると思っていました」
海未「でも、そうではなくて安心したのですよ凛」
凛「うっ……」
海未「泣くのは禁止です」ニコ
海未「人には聞かれたくないことですが……」
海未「凛には聞いて欲しかったことを話しました」
そう言った海未ちゃんの表情は慈愛に満ちた……
お姉ちゃんのような顔だったよ。
凛「……ありがとう海未ちゃん」
海未「いえいえ、こちらこそ」
凛「やっぱり一年の差って大きいのかなぁ」
海未「急にどうしたのですか?」
凛「ううん、今の海未ちゃんと話したらなんか差を感じちゃってさー」
海未「凛は知らないだけですよ」
凛「……?」
海未「私より優れているところなんてたくさんありますよ凛には」
凛「そうは思えないなぁ……」
海未「私より可愛いですからね」
凛「あーもう可愛いとか異うの禁止だってば!」ポカポカ
海未「ふふ、すみませんつい…………フワァ」
凛「……ねよっか海未ちゃん」
海未「眠気が来てしまいましたね……おやすみなさい凛」
凛「うん、おやすみ海未ちゃん」
凛「ねぇ……海未ちゃん」
海未「スースー」
凛「……好きだよ、海未ちゃん」
寝ている海未ちゃんに対しての言葉。
やっぱり凛ってずるいかも。
色んな海未ちゃんを見た今日。
凛の中の海未ちゃんイメージは瞬く間に変わっていった。
尊敬できる先輩だってことに気づいちゃったんだ。
それと同じくらい一緒に居たい。側でもっと見ていたいとも。
恋心……とはなんか違うかなっ。
でも、海未ちゃんが疲れたら支えてあげたいなってくらいには今日一日で好きになったよ!
えへへ、なんだか恥ずかしいね。
明日も海未ちゃんといっぱいお話をしよう。
また違う海未ちゃんが見れるかもしれない。
だから今日はおやすみなさい。
大好きな海未ちゃん。明日もよろしくね。
FIN
お疲れ様でした。ここまで見て下さって有難うございます。
それではまた次の作品で。
このSSまとめへのコメント
早く続き読みたい
続きが気になるぅ!!
続き待ってます
続きがきになる
うみりんいいよね!
とても良いうみりん!
でも一つだけ気になったのは海未ちゃんの笑い方は、
あははじゃなくてうふふ、かな?
続きも期待してます!
かわいい
リリホワ最高じゃー
うみりん最高じゃ〜^
天使がいる
乙!!
最高なんじゃあ~
何か感動して泣きそうになった·····!
流石りんうみ。うみりん