【艦これ】提督「単(ワン)カップ湾泊地の日常や!」 (23)


 北の孤島にあるという、単カップ湾。その日常を皆様に御覧いただきたい。つまりは、オムニバスだ!
(一部劇場版のネタバレあり)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1483740842


・泊地に秋雲先生用の備品が実装されました。


大淀「ついに申請が通りましたね!」

提督「せやろ! ホンマこれ本来泊地にないと業務ならんやろこれ。
   ということで大本営を必死に宥め賺して申請通したんや!
   これで大淀の業務も捗るな!」

大淀「本当です、200人近い艦娘が在籍している以上、この手のものは必須だったんですけどね。
   今まで手作業でやってたのがおかしいんですよ」

秋雲「秋雲! 出頭しました! イラストの発注~?」

提督「何を言うか秋雲、とりあえずこれ見てみ」

秋雲「おお、こ、これはまさか……、リソグラフと丁号機!? それでこれはまさかの……」

提督「せや、製本機や。これがあれば冊子作るんがうんと楽になるからな」

大淀「今までコピー機と大きいホッチキスで全員の分の冊子つくってましたからね」

提督「まさか本土の印刷会社に発注する訳にもいかんしなぁ、コピーやとアホみたいにコストかかるし」

大淀「確か20枚超えると一枚当たりのコストが逆転するんでしたよね。コピー機だと一枚大体5円で、
   リソグラフだとええと、いくらでしたっけ?」

提督「流石に忘れたわ。でも100枚単位の印刷やったらかなりのコストダウンやぞ」

秋雲「でもこれ、単に自慢したいってだけじゃないよね、使わせてくれるよね!」

提督「申請したら使ってもええんやで、ただし、消耗品代は出してくれよ。
   コピー機使ってた時も取ってたし」


秋雲「あぁ~本づくりが捗る~、コピー機使ってた時も負担してたし、
   その位ならお賃金から出しまっす! やったぁ!」

大淀「でも秋雲さん、最低限のコストしかかかってないとはいえ、ちゃんと利益は出てます?
   赤字抱えてたりしてませんよね?」

秋雲「んー印刷会社に出した時は大概トントンかちょっと足が出るってところかなぁ?
   でもこれで原価で出せるとなったら、あぁ夢が広がるぅ」

提督「……まぁ税務署に疑われない程度にな」

秋雲「わかってるよぉ、でもそんな何千とかじゃないから大丈夫」

大淀「それですと逆に頼んだ方がいいですよねぇ」

秋雲「そうそう、手作業でやるとなるとやっぱりしんどいからねぇ。
   秋雲さんの捌く数ならこれでも十分! いやぁ提督本当にありがとう」

提督「まぁワイらより活用してくれたら機械も本望やろ」


冬の祭典締め切り前日

秋雲「あぁ~今頃印刷所に割増料金払うつもりでやってたのが懐かしいわ~」

秋雲「ゆとりある締め切りっていいわぁ、捗る~」

陽炎「秋雲、ちょっといい?」

秋雲「どしたの~?」

陽炎「いやちょっと思ったんだけどさ、泊地で本が作れるって言ってたよね?」

秋雲「そうそう、これからは印刷所に頼まないで自家製本だからね、締め切りも余裕余裕」

陽炎「でも自分で本作って、現地まで運ばないといけないんだよね?
   その分の余裕はちゃんとあるの?」

秋雲「あ~そういえばそうかぁ、でも製本は一日あれば余裕だし、
   一応艦娘だから、秋雲が捌く程度なら運べるしいけるいける」

陽炎「後で痛い目見ても知らないからね」

秋雲「心配性だなぁ、ゆとりのある秋雲さんはそんなの気にしないよ」


冬の祭典出発前日

秋雲「あぁ~ようやく終わったぁ。後は印刷して本にするだけだね」

秋雲「じゃぁまずはデータをリソグラフに移して、と」

秋雲「おー流石早いなぁ、この紙がシャって出てくるのが堪らない、んー素敵」

秋雲「お? あれ? 何で途中で……、って詰まったのか、じゃあ詰まりを取って……」

秋雲「よしOK、これでまた印刷……、ってまた詰まったの?」

秋雲「仕方ないなぁ……、よしOKってあれ? あ。やっべ原稿乾く前に触っちった、
   この分はコピーしておくか……」

秋雲「よし印刷終わり! 後は表紙を写真用紙で印刷してから、この原稿を丁号機にかけて、
   本にして、製本したら終わり!」

秋雲「丁号機ちゃんお願いね!」

秋雲「おーどんどん冊子ができる、いいねぇこれ、文明の利器最高だよ!
   ……? あれ? 余った? 数は同じなのに……、まさか落丁?」

秋雲「うへぇこれ一冊一冊確認かぁ……、ページ番号振ってれば良かったなぁ……。
   よしこれか、これに余ったのを挟んで……」

秋雲「じゃあ次は製本……、これは大丈夫かな?
   んーこの機械にセットするだけで本ができるのはいいねぇ。接着剤が匂うけど」

秋雲「あーこの作業を一冊一冊やるのか……、案外面倒だなぁ」

秋雲「って数百冊をこれやらないと駄目かぁ、消耗品代だけとはいえ、
   人件費考えないとダメだなこりゃぁ。でもサクサクできるからいいや」

秋雲「いつも印刷してくれてる印刷屋さんには感謝しかないなぁ。
   って、あれ? これできた本が何かはみ出してる!?」

秋雲「あーこれ表紙がA3だからA4の紙挟むとはみ出るのかぁ、この数を手作業は、死ねる。
   何か……、あ、これか、大淀さんが作る冊子はいつもきれいだけどこれ使ってるのかぁ」

秋雲「断裁機っていうのかぁ、これで余ったところを切るんだねぇ。
   一応一冊切ってみよう、原稿にかかったらアウトだからねぇ……」

秋雲「それっ、と。よし原稿にはかからなかった。余白持たせてて良かったぁ。
   まぁ多少ずれるかもだけどこれでいいや」

秋雲「やっと完成かぁ……、結構時間かかったから二日くらいに分けた方がいいかもな~」

秋雲「よっしこれを運んで明日は東京だぁー!」


年明け


秋雲「…………」

陽炎「何、秋雲、元気ないじゃない? どうしたの?」

秋雲「在庫が……、在庫がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

陽炎「あぁ……、売れ残ったのね……」

秋雲「秋雲さんのお手製の薄い本の何がいけないのさー!!」

陽炎「言っちゃ悪いけど何か邪念籠ってそうじゃない?」

秋雲「ひどい!!」

陽炎「てかエロ本とかなら普通に安定して売れそうなのにどうしたのよ?
   締め切り伸びたとか言ってダラダラした本でも書いたの?」

秋雲「んー今回というか毎回全年齢だよ、元乗組員の魂にインタビューして、
   回答を漫画にしてるって感じで。毎回好評だったんだけどなぁ」

陽炎「あら? そうなの? そういうところで売ってる本って全部エロ本だと思ってたわ」

秋雲「世の中にはエロ本率0%だったマリ見てなるものもありまして……」

陽炎「そうなの。で、何で売れなかったの?」

秋雲「何でだろう……? 護衛任務中に停泊して盲腸の手術してたのを、
   今までの最高の画力で描いたんだけどなぁ……」

陽炎「手術の場面も?」

秋雲「そりゃメインだからもうね、誰にも負けないって自信あるよ」

陽炎「んー私たち艦娘は血には慣れてるけど、買ってくれる人は慣れてないんじゃ?」

秋雲「それかぁ!!」


・入渠ドックに新施設が導入されました


天龍「おい提督! お前入渠ドックに何しやがった!」

提督「ん? どうしたんだ天龍?」

天龍「どうもこうも無ぇ! 何なんだよあれ! 風呂入ったらビリビリするとかおかしいじゃねぇか?
   漏電かと思ったぞ! 明石に聞いても特に異常はない提督が何か付けたって言ってたぞ!」

提督「あーあれかぁ。君らの入渠時間短くしようと思って電気風呂導入したんや」

天龍「電気風呂ぉ!? って何だよそれ、何か格好いいぞ」

提督(こやつ本気か……?)

大淀(提督……、聞こえますか、今あなたの脳内に直接話しかけています。
   天龍さんの生きていた年代は文化~~が最先端でしたし、電気って付くと格好いいって
   考え方も普通だと思います)

提督(大淀!? こいつ直接脳内に……!? 受話器を置いて下さいネタが捗るやんけ!)

提督「あーまぁ、疲労回復に効くみたいやから、今度はビビらずに入ってみたらええんやで」

天龍「別にビビってねぇよ! まぁ格好いいし今度はじっくり入ってやるよ」

提督「そうしてくれるとありがたい、あぁ、電気の強さはドックの横のツマミで調節できるからな」

天龍「おーし分かったぜ。俺好みの電気にしてやらぁ」

提督「んーいきなり導入は刺激が強かったかなぁ、でもあれ気持ちええねんなぁ。
   ピリピリするけど」

青葉「司令官! 電気風呂の評判はどうでした?」

提督「んー天龍はビビってたなぁ。他は……、今愛宕と龍驤が入渠してるんやっけか。
   出てけぇへんってことは気持ちよぅ漬かってるんちゃうか?」

青葉「海野十三の妖精さんに聞いた甲斐がありましたね」

提督「いやまぁ、ええんやけどな。電気風呂の怪死事件とかいう小説書いてる人に聞くのは正直
   どうかとは思うんやけどなぁ」

青葉「まぁ効果は抜群ですから!」

提督「まぁせやねぇ……」


入渠ドック

愛宕「あぁ~~、肩に効くわぁこれ……」

龍驤「せやろ~、電気風呂は疲れに効くんやで」

愛宕「タンクが重いから本当凝るのよねぇ肩が。でもこのお風呂があったら楽になるわねぇ」

龍驤「ウチは脚に来るなぁ、結構艤装不安定やし」

愛宕「実艦が実艦だし仕方ないわよねぇ~」

龍驤「ファッキンロンドン海軍軍縮会議やわ」

愛宕「でもいいこともあったんじゃないかしら?」

龍驤「まぁ無制限に海軍増やしてもアカン言うのは分かるけどなぁ~」

愛宕「そうよ~。八八艦隊計画実行してたら日本は何年後に破綻してたか分からないしね~」

龍驤「身の丈に合ったモンで満足せななぁ。着物があるからテスト前に帝劇行きたなるとかアカンやろ」

愛宕「それは大和さんよねぇ~。あぁでも本当これ効くわねぇ」

龍驤「ホンマ風呂は命の洗濯やなぁ~。あぁほぐれる~」



提督「おっ愛宕に龍驤は風呂あがったんか、こころなしかキラキラしてへん?」

愛宕「あのお風呂で凝りが大分ほぐれたからねぇ~」

龍驤「せやせや。後は風呂上りに酒あったら完璧やな」

提督「しゃーないな冷蔵庫から取っていき、一本だけやぞ」

愛宕・龍驤「「やったぁ!」」

提督「電気風呂は好評そうやね、大本営に上げたら他でも電気風呂設置するやろか」


入渠ドック

プリンツ「ビスマルク姉さま! なんだかこのお風呂ピリピリします!」

ビスマルク「我慢なさいプリンツ、これがいいのよ」

Z1「僕はこれ苦手だなぁ……」

Z3「これは、いい……」

Z1「えっマックス本当? じゃあ我慢して入っておくよ」

ビスマルク「ほらプリンツ、肩まで入ってちゃんと100数えるのよ」

プリンツ「はぁい」

Z3「そういえばこの前、ポーラさんが酔っぱらった状態で入ろうとして止められてたわね」

Z1「デンキ・ブーロはお酒飲んで入ったらダメなんだねぇ」

ビスマルク「そうじゃなかったら熱燗浮かべてたのにねぇ」

Z3「ねぇビスマルク、あなた本当にドイツ人なのかしら?」

ビスマルク「……もう日本人でもいいかもしれないわね」

プリンツ「えぇー! 光栄あるクリークスマリーネから抜けちゃうんですか!?」

ビスマルク「正直もうずっとここで暮らしたいわねぇ」

Z1「あぁビスマルクさんが完全に日本化しちゃってるよ。グラーフさんが来たら大変なことになりそう」

Z3「グラーフ・ツェッペリン、本当に居るのかしら? 都市伝説じゃないの?」

ビスマルク「そんな訳ないじゃない。現に他の鎮守府には居るし」


プリンツ「でもちょっとグラーフさんは来るの怖いかも。
     何か艦載機が空軍所属になってて『ルフトバッフェは一階級上である!』とか言いそうで」

Z1「プリンツさんはこっちのアニメ観すぎじゃないかなぁ? そんなモルヒネデブじゃあるまいし」

ビスマルク「そうよ、他の鎮守府でもそんなことは起こってないらしいから」

プリンツ「そっかぁ、なら大丈夫だね。でもそうなるかもってアキグーモが言ってたんだよ」

ビスマルク「あの娘は一度ガツンと言わないとねぇ。シャルンが来たら一緒に脅かしてやろうかしら」

Z1「幽霊戦艦がゲンコーヅクエに向かってるアキグーモの後ろから驚かせる?」

Z3「捕獲した忌雷でも仕掛けてやればいいのよ」

ビスマルク「でもあれ駆逐艦とか潜水艦の一部にしか反応しないじゃない?
      アトミラールは冗談まぎれにロリコン忌雷って言ってたし」

プリンツ「アキグーモは育ってる方ですしねぇ」

Z3「私だって、ちんちくりんじゃないのだけれど」

Z1「まぁそこはね、何かがあるんじゃない?」

ビスマルク「じゃあそろそろ出るわよ。あーお風呂上りのビールが楽しみね!」

プリンツ「おビール様! おビール様!」

Z1「プリンツさんはどこで変な日本語覚えてくるんだろう?」

Z3「どうせアキグーモかサザナーミでしょ」


ビスマルク「上がったわよ、お待たせ」

プリンツ「次はテンリューさんに、ナガートさんに、ムサシさん?」

Z3「いい、お風呂だったわ」

Z1「慣れると気持ちいいよねぇ」

天龍「電気風呂は友達……、電気風呂は友達……!」

龍田「天龍ちゃん、まだ電気風呂苦手なのね」

長門「やはり、好かんな」

陸奥「気持ちいいのに」

武蔵「お姉ちゃんお風呂変わって!」

大和「はいはい、一緒に入ってあげますから我慢しましょうね」


提督(何かエラいモン見た気がする、気のせいか……?)

漣(ご主人様、現実を見ましょう)

提督(ファッ!? こいつも直接脳内に!?)


・単カップ湾?

瑞穂「そういえば提督、何でここは単(ワン)カップ湾泊地なんですか?
   単冠(ひとかっぷ)湾泊地じゃないんですか?」

提督「元帥閣下の鶴の一声で決まったんや……。
   実は大関酒造とのネーミングライツ契約結んでるやぞここ」

瑞穂「そうなんですか? でもこんな僻地で宣伝になります?」

提督「まぁ戦時国債買わせて押し付けたんやと思うわ。でも企業の製品名そのままつけるんも、
   微妙やったらしいからこんな名前になったらしいわ。
   あとワンカップ大関湾泊地ってしてもーたら他と被るからアカンらしい」

瑞穂「よくわかりませんが、深い事情があるんですね」

提督「せやねん」


・大掃除

曙「何よこの巨大な日本酒&ウイスキー棚は!」

提督「スマンな。ワイとか大淀とか那智とかポーラとかがアホみたいに貯めとるからなぁ」

曙「飲まないのに貯めてるの!? こんなにあっても飲み切れないでしょう!」

提督「ちゃうんや……、年末とかイベント終わりとかで開放的になったら、
   つい買ってまうんや……。この前も5万位ウイスキー買ってもうてたし」

曙「クソ提督、そんなに飲んだらアル中になるわよ!」

提督「大丈夫、積み酒やから一気に全部飲むつもりはないんや。
   後ワイのだけやのうて大淀とか那智とかポーラとか隼鷹とか武蔵とか伊19とかが勝手に飲むし」

曙「管理ガバガバよねぇ……」

提督「まぁ飲む時はウイスキー一晩で半分くらい開けるんやけどな。
   気まぐれやから飲まん時のが多いし。それに眺めるんも楽しいんやで」

曙「まぁクソ提督が楽しいんならいいけど。で、ここどう掃除するの?」

提督「一回酒外に出してやな、棚掃除するやろ、んで瓶拭いてまた戻してくれたらええよ」

曙「分かったわよ。クソ提督もちゃんと手伝いなさいよ!」

提督「部屋の掃除終わったら手伝うで」

曙「さっさと終わらせるのよ」


曙「じゃあ棚の掃除終わったから次は瓶ね。何で艦娘なのに酒屋みたいな真似するのよ」

提督「まぁスマンやで。瓶は優しく拭いたってや。コルク悪なってて折れるかもしれんから」

曙「何それ? お酒腐ったりしないの?」

提督「蒸留酒やったらまぁ案外腐らんモンやで。この前陶器の瓶に入ってたウイスキー、
   いざ開けてみたら半分くらいに量減ってたんやけど普通に飲めたし」

曙「何かもう色々ガバガバよね」

提督「そんなモンでええんや、集めるのも楽しいんやし」

曙「このクソ提督は釣った魚にエサやらないタイプね。最低」

提督「なんでや! ちゃんと普段から掃除したり拭いたりしてるんやぞ!」

曙「じゃあなんでこんなホコリのついた瓶が……、って何よこれ!
  全部山崎って書いてあるじゃない! しかも中に変な棒入ってるし!
  鳳翔さんが醤油に昆布入れてるの見たことあるけどあれと同じなの?」

提督「あーそれは大淀のや。あいつは山崎しか飲まへんから。
   あとその棒は酒を熟成させるために入れてるんやと。
   あいつ本来は山崎25年ラッパする豪傑やけど流石に値上がりしすぎて懐が痛なった言うて、
   安い若い山崎にそんな棒きれ入れてごまかしてるんや」

曙「そういえば礼号作戦終わった後に『霞ちゃんを讃えよ!』って叫びながら、
  足柄さんと練り歩いてたけどそんな悪い酒の飲み方してたのね……」

提督「大本営との折衝はストレス貯まるからその位大目に見たったって」

曙「霞によぉく言い聞かせてもらっておくわよ。じゃあ拭き終わったからしまうわね」

提督「よしワイも手伝うわ。さて正月はどの酒開けようかなぁ……」

曙「真面目にやりなさいよ!」

提督「このオークチップ入れた梅酒そろそろいけるやろか……」

曙「この泊地に必要なのは戦力じゃなくて禁酒法ね……」


 なお、禁酒法制定はアイオワとサラトガの強硬な反対によって頓挫した模様。
「なんで黴の生えたプロヒビションに今更従わないといけないのよ」
はアイオワの弁である。


・ナポリタンが出ました!


ローマ「何なのこれ、茹ですぎじゃない? というか何かこうブヨブヨしてるんだけど」

イタリア「んー新食感。ヤポンのスパゲッティも悪くないわ」

ローマ「姉さん正気!?」

ザラ「んーケチャップ使ってますよねぇ、味が平面的な感じが……」

ポーラ「でもビールには合いそう、おビール様! おビール様!」

リベッチオ「不思議なスパゲッティねー、チーズが欲しい気がする」

アイオワ「あー懐かしいわねこれ。海軍の味だわ!」

サラトガ「んーこの茹でまくったスパゲッティ、いいわね」

ローマ「犯人はお前らかぁ!」

アイオワ「何? 本場と違うから怒ってるのかしら?」

サラトガ「わがステイツのレシピでは、30分は茹でないと」

ローマ「私の好みのゆで時間の4倍以上、ですって……!?」

イタリア「ごめんなさいね~、この子特に硬めのパスタが好きなので」

提督「おっ、ローマも硬めが好きなのか。でもナポリタンはこういうものだぞ」

アイオワ「私ができた頃には20分に変わったんだけどね、
     私好みはこのブヨブヨとしたスパゲッティよ!」

ローマ「提督が硬めが好きってのは意外ね、そういうところいい加減だと思ってたけど」

ポーラ「ポーラ知ってますぅ、提督は茹でるのを待ちきれない単なるせっかちさんですって~」

ザラ「茹で始めて、レンジでレトルトのソースを調理し終わったらちょくとく味見してますしね」

イタリア「それも最近面倒だからと、最近はもっぱら冷凍のスパゲッティがメインだとか」

ローマ「冷凍の……、スパゲッティですって!?」

リベッチオ「わぁ、ローマさんが怒ったぁ」


ウォースパイト「缶詰のスパゲッティより、千倍はおいしいわ!」

ローマ「缶詰……!? うーん!」(バタッ)

提督「おう、ローマ大丈夫か!?」

イタリア「缶詰のスパゲッティなんて劇物をローマに教えるから……」

提督「それどうなんの? ブヨブヨとかそんなレベルじゃないだろうに……」

ウォースパイト「まぁ、その認識で間違いないわね。パンに挟むと意外といけるわよ」

コマンダンテスト「我が国ではスパゲッティのヨーグルト和えが有名ですね」

提督「何やおフランスも我が国みたくスパゲッティをマヨネーズで和えたみたいなんがあるんやね」

イタリア「ちょっとローマを休ませて来ますね」

提督「お、すまんな。」

ザラ「みんな……、ローマさんとスパゲッティにごめんなさいした方がいいと思います……」

アイオワ「今度シカゴピザをお見舞いに持っていくわ!」

サラトガ「んーその山火事にガソリンぶちまけるような真似はどうかと思うわ」

ポーラ「そんなことより、ビールありませんか?」


 後日、ウォースパイトからBBCのエイプリルフール映像、「スパゲッティの成る木」を
見せられたローマは諦めて、本物のスパゲッティの布教にいそしむようになったそうな。


鳳翔「少し芯が残ってますけど、本当にいいんですか?」

ローマ「スパゲッティはこっちのウドーンと違って水で締めないから、
    余熱で温まって出すときには丁度いい茹で具合なのよ」

鳳翔「そうなんですか、勉強になります」

ローマ(ホウショーさんとマミーヤさんを落とせば、これからもアルデンテを食べられるわね!)

アイオワ「Hey! ホウショー、今度出すスパゲッティは20分茹でて出してね!」

ローマ「アイオワァァァァァァ!!」


・晴れ着ほっぽちゃん

提督「間違い、無いんやな?」

瑞鶴「ええ、北方AL海域にて、晴れ着を付けていた北方棲姫を確認したわ」

提督「わかった。下がってよろしい、任務ご苦労やった」

瑞鶴「失礼します」

大淀「提督、先ほどの報告に何か引っかかる点でもありました?」

長門「晴れ着とは……、能天気なものだな」

提督「いや、おそらく、冬頃に三越で確認されたという深海棲艦の情報と一致してると思ってな」

大淀「三越本店にて戦艦棲姫、集積地棲姫並びに北方棲姫が洋服を買っていた、という話ですか」

長門「今着ている晴れ着は三越で仕立てたものだとでも?」

提督「まぁ大本営に確認してもらわな分からんけどな、あり得る話っちゃあり得る話やろ?」

大淀「まぁそうですけど、三越の方は肌の白い白人さんと思って普通に接客したと言っていましたが」

提督「あぁ三越の人らに落ち度は無いで。むしろ下手に手出したらそれこそアカンやろし」

長門「何を言っているんだ提督、見つけた時点で捕虜にでもすれば良かっただろうに」

提督「まぁそれも手ではあるんやけどな、あいつらも戦闘ばかりを望んでいるという訳やない。
   それが分かっただけでも結構な収穫や思うぞ」

大淀「買い物をしていただけ、ですよ。面倒を避けただけでは?」

提督「その面倒を避けるって思考も、和平につながると思うんやがなぁ」

長門「提督よ、深海どもは絶滅させるべきではないのか?
   たとえあれが我々の元となった艦の、悪い怨念が元で、沈んでしまった艦娘の成れの果てでも。
   それでも、私達が一人も沈まず、あいつらを殺し続ければ、戦争は終わるのではないか?」


提督「その近衛文麿的な発想はまず捨てような、長門」

長門「誰が近衛文麿だっ!」

提督「まぁこういう場合の最適解言うか、敵さんも一枚岩やないってことやろ。
   北方棲姫とか、港湾棲姫辺りはどちらかというと戦闘は嫌いらしいとの分析もあるしな」

大淀「『カエレ!』の台詞だけなんですが、大胆な分析ですね」

提督「まぁでも平和的に買い物をする文明的な側面も見せたやろあれ。
   じゃあイギリスいやローマに倣って、”Divide et impera”や」

大淀「分割し、統治せよ。ですか、確かに一部でも講和に応じれば、
   それだけ深海棲艦の圧力も減ると言えば減りますしね」

長門「流石にそれは深海どもに希望を持ちすぎではないのか?」

提督「まぁ甘いかもしれんが、端から絶滅という極端な思考もアカンやろ」

長門「むむむ……」

提督「少なくとも、沿岸から深海棲艦を一掃するだけでも、大分楽になると思うんやけどな。
   近海に潜水艦ウヨウヨはいかんやろ」

大淀「漁師さんもおちおち漁にも出れませんしね」

長門「だからこそサンマ漁とやらに駆り出されたものだが……」

提督「まぁ言うても史実でも海防艦みたいなんもおったしな。ロシアの船に拿捕されそうになったら、
   日本の巡洋艦が助けに来たとか、漁業権も立派な利権やし」

長門「確かに、漁師も国民、その生活の当ても保護しないと駄目ということか」

提督「んでサンマん時に北方棲姫は手振ってサンマは居ないって否定してたやん?
   つまり戦闘は避けたいっちゅう意思表示やん。これわざわざ滅ぼす必要があるか?」

大淀「要するに絶滅戦争は避けたい、ということですか?」


提督「まぁせやねぇ。深海を絶滅されるとか、どんだけ金と命がかかるんやと」

長門「しかし、それに付け込まれて、裏切られたら目も当てられないぞ」

提督「そんな時はそれこそサカタインダストリィとかTeam R-Typeみたいな真似しったらええんや」

大淀「確かに、深海棲艦を倒したら艤装が手に入るってのも変な話ですしねぇ。
   深海をもって深海を制す、というのは艦娘使っている時点で既定の路線かもしれないですし」

提督「んーそれもまだ疑問があるんよねぇ。例えば、水母棲姫倒したら瑞穂、
   水母水姫倒したらコマンダンテストが出てきたってのはあるけどやな」

長門「仲間は疑いたくないが、瑞穂やコマンダンテストは雰囲気がなぁ。
   後は駆逐水姫の後に萩風だとか、防空棲姫の後に照月だとかあっただろう?」

提督「せやけど後にな、瑞穂も萩風も照月も、他の艦と同様に艤装が見つかることが判明したやろ。
   おそらくやけど、コマンダンテストも同様になる思う。せやから思うんやが、
   あいつらは別に深海棲艦が艦娘になったんやのうて、深海棲艦に封印されとった。
   せやから、後々他の艦と同様に出てくるようになったんちゃうか、って思ってるんや」

大淀「姿が似ているだけで他の艦と同じ、ということですか」

提督「これが単に姿が似ている、じゃなくて、封印していた瑞穂やら萩風やらに、
   影響されてあぁなったならまた希望が増えるんやけどな。
   影響される余地があるってことは、説得できる余地もあるんちゃうかって」

長門「どこまでも楽観的だな、提督は」

提督「まぁ楽観できる部分見つけんと延々続く戦争なんざやってられんで。
   それが希望なんかは分からんけど」

大淀「まぁそもそも、深海と交渉するにしても、全くツテがありませんけどね」


提督「まぁなぁ。北方棲姫の晴れ着でも褒めたら案外仲良くなれるかもよ。
   烈風はまぁ、噴進機の改修用に烈風余ってるしええやろ」

長門「だが我々の技術の漏洩に繋がるかもしれんぞ」

提督「まぁ今更ちゃう? 深海地獄猫やっけ? あれなんかワイらのよかよっぽど強いやん。
   それに深海飛び魚艦爆やっけ? あれも頭おかしい性能やし。
   今更こっちの技術が漏れたかて、大した影響はない思うんやけどなぁ」

大淀「考えは分かりますが、下手をすると深海融和派として弾圧されかねませんよ?」

提督「そこらのさじ加減はホンマ難しいなぁ。大淀はスマンけどそうならん程度に、
   大本営に話通してくれへんかな? 上手く行ったら貯金全部出して山崎50年買ったるから」

大淀「いいんですかそれ、クビになる程度じゃすまないと思いますが」

提督「まぁどっちかというと大本営に硬軟どちらでも取れるように備えてます。
   せやからそっちでも対応できるようにお願いします、って感じでええから」

大淀「それでは山崎50年だけじゃなくてザ・ニッカ40年も付けてください。
   割と綱渡りになると思いますんで」

提督「あれ? 大淀は山崎党じゃないの? あんだけ山崎の瓶持ってるんやし」

大淀「一本じゃ足りないってことです」

提督「さいでっか。ワイの預金はボロボロなってまうなぁ。
   折角退役ん時は最高の酒買えるようにしてたんやけど」

長門「大淀も命がけで大本営を説得するんだ。その位は出して当然だろう。
   私は飲まないから関係ないしな」

大淀「長門さんは本当ストイックですよねぇ。酒は健康に悪いから飲まないなんて」

長門「酔っぱらう位なら甘味を取ってその分動いていたいのさ」

提督「まぁそういうこっちゃ。でもこれからどうなるかはホンマ分からんしな。
   とりあえずは次の大規模作戦に備えとかなアカンしな。講和にするにしろ、
   滅ぼすにしろ勝ち続けるんは大前提やし」

大淀「そうですねぇ。勝たないと講和どころの話じゃないですしね」

長門「うむ」

提督「じゃそろそろええ時間やしご飯行こか、今日は何やったっけ?」

長門「今日はサラトガがチキンを焼いてくれるそうだ、胸が熱くなるな」

提督「鶏か、ええ感じやね」

大淀「では行きますか」

提督「あぁ、行こう」

今回は以上です。何か一本まるまる書けるネタが浮かばなかったのよねぇ。
ちなみにリソグラフと丁合機はバイトで使ったことあります。緑の紙が詰まりやすかったんよねぇウチで使ってたリソグラフ。
製本機使った経験は無いですね。というか薄い本作ったこともないですしww

アイオワやサラトガが言ってるスパゲッティのゆで時間は塩野七生の「イタリアからの手紙」に書いてました。
20分ってあるのは原典に当たると、2インチに切ったマカロニを20分ゆがいて15分放置って書いてましたが。
スパゲッティまでは詳しく見てないですね。原典はアメリカ海軍のThe Navy Cook Bookの1944年版をネットで見かけたので
ちょっと見た程度です。

和平云々は劇場版だと割と絶滅思考で、
こちらの三越コラボだとあんな感じでしたんで公式も敢えて色々分けているのかなぁと。
二次創作作者の方でも見解が分かれそうな部分ですよね。

ではhtml化依頼だしてきます。

過去作です。
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おつ
相変わらず落ちが弱いww

おつ
投稿スレの身だしなみのSSの作者さんかな?
まったり日常話もなかなかですな

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