明石「んー、でもポーラさんは見た感じ正常なんですよねぇ。

　　　黄疸とか出てませんし」

大淀「いや、530000ですよ530000、死んでてもおかしくないですって！！」

明石「でも現に生きてますからねぇ」

大淀「それが不思議なんですよ！！　健康診断終わってからも普通に出撃してましたし」

明石「でも艦娘の健康診断値ってまず正常の範囲なんですよねぇ。

　　　あんだけ食べてる戦艦組や正規空母組も全く普通の値ですし。

　　　お酒大好き組も異常な値は出たことないですし」

大淀「それが普通なんですけどね、とりあえずどうしましょう？」

明石「再検査でしょうね、でもこれだけ極端な値だとエラーとかの可能性もあるかと」

大淀「……まぁ冷静に考えたらそうですよね」

提督「ということでだ、ポーラ、鎮守府にお医者さんがやってきてくれるそうだ」

ポーラ「注射はもう嫌です」

提督「いやお前さんのためだから、明日先生が来られるから、

　　　今日はワインはほどほどにな。朝から晩まで精密検査だそうだ」

ポーラ「ほどほど、つまりいつも通りですね～」

提督「なんでやねん。ザラ、済まないがポーラを今日明日と頼む！！」

ザラ「了解しました！　さぁ、ポーラ、今日はワインをいつもの半分にするわよ！！

　　　後バンシャクは無し！！」

ポーラ「ザラ姉のorco！！　diavolo！！　ザラ姉！！」

ザラ「最後は罵倒じゃないでしょ」

医者「ということでポーラさん、今日は一日よろしくお願いしますね」

ポーラ「早く終わらせてワイン飲みた～い」

医者「私としましては禁酒を申し付けたいんですけどね、

　　　まぁ十中八九機器の異常だと思われますが、

　　　万が一ということもありますので、これから頑張ってください。

　　　艤装にそういうモットーを掲げられてるらしいですし、

　　　禁酒もいいチャレンジですよ」

ポーラ「禁酒なんて簡単です～、私だって何回も禁酒してます～」

医者「はいはい」

提督「どんな感じですか？」

医者「んーそうですねぇ、見た感じですと全く異常が無いように見えるんですよ。

　　　肝臓の触診もしましたけど、炎症のようなものもありませんでしたし。

　　　まぁ詳しい結果は検査の数値が出てからですね」

提督「結果出るまでどの位かかります？」

医者「そうですねぇ、急なご依頼でしたし、

　　　申し訳ないですが、2～3日は見ておいて下さい。

　　　本当ならもっと早いんですけど、最近ウチの病院も忙しいですし」

提督「商売繁盛ですね」

医者「あんまり繁盛はして欲しくないですね、提督さんも一緒でしょう？」

提督「違いありません」

医者「じゃあポーラさん、次は心電図取りますね。

　　　少しヒンヤリしますけど、我慢してください」

ポーラ「うぅぅ、おしゃけ……」

医者「今日の夜までの辛抱ですから」

ポーラ「でも昨日はザラ姉に言われて夕方の五時から一滴も飲んでないもん！！」

医者「まだ24時間経ってないじゃないですか、頑張って下さい」

ポーラ「むぅぅぅぅ……」

医者「禁酒なんて簡単っておっしゃってたじゃないですか、

　　　頑張れ、頑張れ」

ポーラ「ベルルスコーニみたいな人に言われてもちょっと……」

医者「……、少々厳しくいきましょうか」

ポーラ「あぅぅぅ」

提督「どうです、ポーラの様子は」

医者「んーそうですねぇ、本当所見ですと全く異常はなさそうなんですよねぇ」

提督「やはり機械のエラーでしょうか」

医者「ただ私も艦娘に関しては知らない事が多いですし、

　　　慎重に見極めたいところですね」

提督「確かに、普通の外傷も高速修復材で一発で治りますしね、

　　　内臓の病気ももしかしたら治っているのかもしれませんしね」

医者「便利そうですけど、少々反動とかが無いか気になるところです」

提督「確かにそうですねぇ。ただ作戦の都合上、高速修復材を使わない訳にも……」


「ヴェアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア！！！！！！！！！！！！！」

提督「何だ！？　あの悲鳴は聞き覚えがあるぞ！！

　　　先生、ここは危険ですので、一旦避難してください、なるべく海から離れた場所に！！」

医者「分かりました！！」


「サケヲクレェェェェェェェェェェェェェェェェ！！！！！！！！！！！！！！！！」


提督「おじさん何が起こったか大体把握しちゃったぞぉ……。

　　　まぁとりあえずは鎮圧だ」

提督（無線）「手空きの戦艦、空母は直ちに医務室に艤装を展開の上向かってくれ！！

　　　　　　　おそらくだが、重巡棲姫が現れた」

大淀（無線）「どういうことですか！？」

提督「予想はしているが考えている暇は無いぞ！！　被害が出る前に早く！！」

大淀「了解しました！！」

大和「で……」

武蔵「これが……」

長門「その……」

陸奥「正体って」

加賀「訳ですね」

赤城「パフェおいしいです」

ポーラ（大破）「…………、ヴィーノ、グラッパ、マルサラ、うーん……」

提督「まぁ予想通り、ポーラが何らかの強いストレスで、

　　　重巡棲姫に一時的に変質したんだろう」

大淀「やはり禁酒と健康診断ですか？」

提督「さぁ、どうだろうな。ただ深海どもと艦娘の関係を探る鍵にはなるだろう」

大和「そうですね……」

武蔵「だが、ここまで容易に深海棲艦に変質するとなると、

　　　ポーラを置いておくのも少々考え物かもしれんな」

長門「……つまり仲間を見捨てろと？」

陸奥「長門抑えて、強いストレスってことは、

　　　ポーラにはのびのびさせていた方がいいってことよね、提督」

提督「まぁそうだろうな。控えるのを控えてもらうというのも変な話だが」

加賀「少々目に余りますが、この場合は仕方ありませんね」

赤城「おかわりはまだですか？　戦闘が終わったらお腹が空きまして」

提督「だろう加賀、赤城も食事制限したら多分だな……」

加賀「納得しました」

赤城「次は……、ガトーショコラが食べたいです」

提督「思ったんだが、やっぱりγ-GTPが530000だったことにショックを受けてたのかもな」

大淀「そうでしょうか？」

提督「ほら俺がいきなりぶっ倒れたし」

大淀「私も結構騒ぎましたしねぇ……」

提督「まぁ検査の結果次第だけど、もうちょっと緩くしてやってもいいかもな」

大淀「確かに、いきなり深海棲艦になられるよりは、いいかもですが……」

提督「ガチガチに締め上げてギンバイ横行とかされてもたまらんだろう？」

大淀「そうですねぇ。考えておきます」

提督「そうしてくれ」

提督「どうだポーラ、健康診断の結果来たんだろう？」

ポーラ「ですよ～提督、私のγ-GTPは53でした。安心ですよ～」

大淀「ダメです」

ポーラ「え？」

大淀「平常値は32以下ですので、その値はダメです」

ポーラ「そんな～」

提督「んーしかしだなぁ、また測ったら今度は正常かもしれんぞ大淀。

　　　それに高速修復材で治るかもしれんし。

　　　一回やってみるか？　高速修復材かけた後に再検査を」

大淀「甘いんじゃないですか？」

提督「ま、それにその位の数値なら多分俺の同僚にもたくさんいるだろうし、大目に見てやろう」

大淀「来年どうなっても知りませんよ」

ポーラ「やった～、でも今暑いんでワインじゃなくてコーラの気分です」

提督「おい待ってそれは俺の！！」

ポーラ「ｸﾞﾋﾞｸﾞﾋﾞ……。これは……、お酒！！」

大淀「……提督、執務中に飲むとはいい度胸ですね。

　　　何飲んでたんです？　コーラハイか何かですか？」

ポーラ「でも味はブドウ、いやレーズンを液体にしたみたいな味でしたね～。

　　　　ヴィーノじゃないし……、ドルチェのマルサラかな？　にしても甘すぎるような……」

提督「それはシェリー酒の一種のペドロヒメネスって奴でな。

　　　色が濃いから炭酸で割ったらまんまコーラなんだよ」

大淀「提督、さては以前からやってましたね……！！」

提督「何のことかなぁ……？」

ポーラ「んーなかなかいいですねぇ。レモン入れたらもっとおいしいかも」

大淀「ポーラさん云々よりも、まずは提督の禁酒からですね。

　　　霞さーん！！　霞さーん！！」

霞「霞よ！！　ガンガン行くわよ！！」

提督「おい待ってマジで止めて！！　飲めないと俺死ぬ！！」

大淀「いい薬です。あと提督も健康診断受けないとダメですね」

提督「俺は正常値だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！！」

どっとはらい