久「あんたが三年生で良かった」京太郎「……お別れだな」 (314) 【現行スレ】

まず注意書き

・このスレは京太郎主人公の安価スレです

・いわゆる設定改変してるので上記の内容も含めて苦手な方は注意

・安価ですがバトルや成長要素はありません でも好感度はあるかも

・息抜き用のスレなので結構適当です

・ようやくエンディングに突入

・今までありがとうございました




過去スレ

京太郎「俺が三年生?」久「私が幼馴染じゃ不満?」
京太郎「俺が三年生?」久「私が幼馴染じゃ不満?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1421331009/)

京太郎「俺が三年生?」照「私が幼馴染……二番目だけど」
京太郎「俺が三年生?」照「私が幼馴染……二番目だけど」 - SSまとめ速報
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京太郎「俺が三年生?」咲「私だって幼馴染だもん……一応」
京太郎「俺が三年生?」咲「私だって幼馴染だもん……一応」 - SSまとめ速報
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京太郎「俺が三年生?」小蒔「初めては私です!」
京太郎「俺が三年生?」小蒔「初めては私です!」 - SSまとめ速報
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京太郎「俺が三年生?」由暉子「ゆきみだいふく、食べませんか?」
京太郎「俺が三年生?」由暉子「ゆきみだいふく、食べませんか?」 - SSまとめ速報
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京太郎「俺が三年生?」咏「婿養子とかいいんじゃね? 知らんけど」
京太郎「俺が三年生?」咏「婿養子とかいいんじゃね? 知らんけど」 - SSまとめ速報
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京太郎「俺が三年生?」マホ「お兄さんと一緒です!」
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京太郎「俺が三年生?」美穂子「傍にいられるだけでいいんです」
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京太郎「俺が三年生?」玄「私の、育ててほしいな」
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京太郎「俺が三年生?」ネリー「手、つないでもいい?」
京太郎「俺が三年生?」ネリー「手、つないでもいい?」 - SSまとめ速報
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京太郎「俺が三年生?」恒子「ねぇねぇ、お姉さんの相方やってみない?」
京太郎「俺が三年生?」恒子「ねぇねぇ、お姉さんの相方やってみない?」 - SSまとめ速報
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京太郎「俺が三年生?」エイスリン「ツキ、キレイ……」
京太郎「俺が三年生?」エイスリン「ツキ、キレイ……」 - SSまとめ速報
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京太郎「俺が三年生?」誓子「えっちなこと……しても、いいよ?」
京太郎「俺が三年生?」誓子「えっちなこと……しても、いいよ?」 - SSまとめ速報
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京太郎「俺が三年生?」淡「えへへ、だーい好き!」
京太郎「俺が三年生?」淡「えへへ、だーい好き!」 - SSまとめ速報
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京太郎「俺が三年生?」初美「もっと傍にいてもいいですかー?」
京太郎「俺が三年生?」初美「もっと傍にいてもいいですかー?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1492788369/)


エピソードを時系列順にまとめたwiki
http://www62.atwiki.jp/kyo3nen/

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1511719827

日が変わったとこでこんばんは

安価取りたいんですけど、人いますかね?

それじゃ、この中からお好きなのをどうぞ
済がついてるのは選べません


個別

大星淡 済
天江衣 済
桧森誓子 済
姉帯豊音 済
三尋木咏 済
神代小蒔 済
ネリー・ヴィルサラーゼ 済
宮永照  済
エイスリン・ウィッシュアート 済
白水哩 済
竹井久
福路美穂子 済
松実玄 済
薄墨初美 済
滝見春 済
石戸霞
園城寺怜 済
真屋由暉子 済
清水谷竜華 済
鶴田姫子 済


特殊

久照
久美穂子
小蒔霞
哩姫
怜竜


16分まで

締め切り
割ってきます

コンマ判定

霞:1-36
久:37-63
哩姫:64-81
怜竜:82-90
久美穂子:91-00


直下

ヒッサで了解
個人で残る霞さんは間違いなく重い部類です

前スレ1000に関しては…まぁ、なんとかします
ともあれ、おそらくこのスレで終わるのでもう少しだけお付き合いください

したらば

おひさー

もう少ししたら始めます

んじゃあ、スタートします



久「番号あったー?」

京太郎「ちょっと待て……って人多くて全然近寄れねーなぁ!」

久「だから早く行こうって言ったのに」

京太郎「布団の魔力が俺を離さなかったんだ……」

久「はいはい、とりあえずちょっと離れるわよ」



久「ここらへんでいいかな?」

京太郎「こんなとこじゃなおさら見えないだろ」

久「じゃーん、双眼鏡」

京太郎「おお! って、それじゃ下の方が見えなくないか?」

久「とりあえず屈んで」

京太郎「……踏まれるのはやだからな?」

久「踏まないから、ほら」

京太郎「わかったよ」

久「それじゃ、失礼しますっと」

京太郎「うぐっ」

久「こら、苦しそうな声出すな!」

京太郎「んなこと言われたってさ……」

久「いいから立つ。スタンダップ」

京太郎「あーもう」



京太郎「……見えたか?」

久「ちょっと待ってよ。まだ右の方見てないから」

京太郎「わかった。もうちょっと太ももの感触を楽しんでる」

久「……もしスカートだったら絞め殺してたわね」

京太郎「それだったらそもそも、肩車なんてしようとしてないだろ」

久「まったくね……あ、あった」

京太郎「マジか、あっさり見つかったなぁ」


ゆみ「……なにをしてるんだ」



久「あら、ゆみも合格発表見に来たの?」

ゆみ「私も一般受験だからな」

京太郎「掲示板の周りすごいぞ。すごいというかヤバイ」

ゆみ「心配には及ばない。もう確認し終わったよ」

久「咲いた?」

ゆみ「咲いたな」

京太郎「俺も咲いたらしい」

ゆみ「そうか、おめでとう」

京太郎「こっちこそな」

久「おめでと」

ゆみ「ところで、いつまでそうしているんだ?」

久「あ、そうね。用は済ませたから……よいしょっと」

京太郎「ふぅ、急に首周りが寒くなったな」



智美「わはは、迎えに来たぞー」


ゆみ「蒲原、どうしてここに」

智美「ユミちんの合格を祝うために決まってるじゃないか」

ゆみ「まったく、もし不合格だったら……いや、ありがとう」

智美「わはは、礼には及ばないぞ」


京太郎「せっかくだし、一緒に昼飯どうだ?」

久「そうね、無事合格決めたことだし」

ゆみ「ああ、構わない」

智美「それじゃ、車回してくるからちょっと待ってて――」


「「ちょっと待てっ!」」



智美「なんだなんだ、ちょっと待っててほしいのはこっちだぞ」

京太郎「お前、今なんつった?」

智美「だからちょっと待っててって」

ゆみ「その前だ、その前!」

智美「礼には及ばない?」

京太郎「戻りすぎだ!」

ゆみ「ふざけているのか!」

智美「二人とも元気良すぎだぞ。ここはドライブで気分を――」


「「それだっ!!」」



久「ちょっとちょっと何事?」

智美「わはは、さっぱりだぞ」

京太郎「わかれよっ、むしろお前がわかってなきゃダメだろ!」

ゆみ「とりあえず近場で済ませよう。蒲原、車は?」

智美「もうあったまってるぞ」

ゆみ「できれば凍結させといて欲しいな……徒歩で向かうからどこかに駐車しておいてくれ」

智美「なるほど、それで食後のドライブに備えるんだな」

京太郎「お前は車内を頭文字Gで台無しにしたいのか……」

久「よくわかんないけど、集合場所は駅前ね。美穂子もこっち来てるみたいだし」

智美「わはは、了解」





智美「えーっと、それじゃあ二人の合格を祝して――乾杯っ!」


美穂子「おめでとうございます、二人とも」

ゆみ「ありがとう。受かっていて正直ホッとしたよ」

京太郎「俺みたいのが合格して、なんか申し訳ない気もするけどな」

久「もし落ちてたら私の苦労に見合わないでしょ」

京太郎「主に苦しんでたのは俺だから……」

智美「わはは、巻き添えで簀巻きにされたぞ」

ゆみ「簀巻きにされたのはちゃんと勉強しないからだな」

京太郎「むしろ簀巻きに関しては俺が巻き込まれた感ある」

久「結託して逃げ出そうとするからでしょ」

ゆみ「結局は足の引っ張り合いで自滅していたが」

美穂子「まぁまぁ、お料理も来ましたし、冷める前にいただきませんか?」





久「そういえば、卒業の方は大丈夫なの?」

京太郎「なに言ってるんだよ。そこまでヤバいことはしてないっての」

智美「わはは、女性関係はヤバイことになってたり」

京太郎「それと卒業は関係ないから!」

久「もはや否定すらしない……というより、できないってところね」

美穂子「……」

京太郎「うっ、非難がましい目と悲しい目……」

智美「モテる男は辛いなー」

ゆみ「いい加減にしておけ、蒲原。そもそも卒業が心配されてるのはお前だぞ」

智美「わはは、耳に痛い」

久「簀巻きにされるほど頑張ってたんだから、ねぇ?」

智美「頑張らされていたとも言う」

京太郎「まったくだよ……」


京太郎(てか、簀巻きにした側が言う事じゃねぇよ)



美穂子「でも、こうしてこの場を設けられたわけですし」

久「まあ、全滅したらしたで名目が慰める会になってただけなんだけど」

美穂子「もう、久ったら」

京太郎「気にすんな、みほっちゃん。久ちゃんの鬼畜っぷりはいつものことだから」

久「ほう?」

智美「ついでにユミちんの非道っぷりも」

ゆみ「……聞くに堪えないな」

久「じゃあ、あれね。この怒りは雀卓にぶつけましょう」

京太郎「雀卓は友達じゃないのかよ」

久「サッカーボール一色の部屋に住んでる人と一緒にしないでよ」

美穂子「なら、そろそろ出ます?」

久「いつものとこに行きますか」

京太郎「久ちゃんの暴れっぷりが見られるわけだ」

智美「わはは、応援してるから頑張れ」

久「なに言ってるの?」

ゆみ「お前たちもやるんだ」





京太郎「もう、もう麻雀は勘弁してください……」

智美「わはは……死ぬ……」

美穂子「だ、大丈夫ですか?」

久「なに言ってるのよ」

ゆみ「まだまだこれからじゃないか」


京太郎「……やばい」

智美「あれは相当根に持ってる……」

京太郎「ここはどうする?」

智美「素直に頭を下げよう」

京太郎「待て、ちょっと想像してみろ」


久『ダメ』

ゆみ『ダメだな』


智美「……殺られる」

京太郎「……殺られるな」

智美「もう逃げたいぞ……」

京太郎「よく見ろ、加治木がさりげなく退路を塞いでる」

智美「わはは、ノーフューチャー……」





まこ「……」


久「あ、まこおかえり」

ゆみ「お邪魔している」

美穂子「ごめんなさい、ちょっと騒がしくしちゃってるけれど」

まこ「まぁ、お客さんが増えるのは悪いことじゃあないがの……」


京太郎「」

智美「」


まこ「こがぁなとこに死体転がしとくのは迷惑じゃけぇ、はよ片付けんかい」

久「そうね」

ゆみ「ほら起きろ、蒲原」

智美「うぅ……」

美穂子「京太郎さん、起きてください」

京太郎「うっ……天使がいる……天国か」

久「まだ寝ぼけてるなら、もう半荘いっとく?」

京太郎「間違った……地獄だ……」





ゆみ「それじゃあ」

美穂子「また今度、呼んでください」

智美「したらなー」

久「まだ雪あるし気をつけてね」

美穂子「ええ、久たちも」

智美「わはは、帰りはドライブだなー」

ゆみ「それだけは絶対にない」

京太郎「……お前らホントに気をつけろよ」


久「さ、私たちも帰る?」

京太郎「だな」





久「送ってくれてありがと」

京太郎「いつものことだろ」

久「いつものこと、ね……そのいつもって、まだ続くの?」

京太郎「あん?」

久「その……大学、行く気あるのかなって」

京太郎「……まだ、どうしようか迷ってる」

久「そ、なら早めにね」

京太郎「ああ、そうだな」

久「明日はバイト?」

京太郎「まぁな。今度東京行かないといけないし」

久「……」





久「はぁ……」

まこ「部室まで来てため息かい」

咲「あの、京ちゃんは?」

久「さぁね。今頃東京じゃないの?」

咲「東京……」


優希「優希ちゃんのおかえりだじぇ!」


まこ「おかえり。買い物はバッチリかの」

優希「おう!」

和「私がいなかったら、お金を全部タコスに使ってましたよね?」

優希「た、タコスには私のコンディション維持という重要な役目が……」

まこ「ま、一個ぐらいなら大丈夫じゃけぇ」

久「もう部費の中からタコス代は分けといたほうがいいんじゃない?」

咲「今までも部費を使ってたんじゃないんですか?」

久「半分はね。あとはほとんどあいつの自腹よ」

咲「うわぁ……」



和「竹井先輩、お久しぶりです」

久「そんなにかしこまらないでよ。その方がこっちも楽だし」

優希「じゃあタコス代ちょーだい」

久「私にたかるんじゃないの」

優希「こうなったら頼みの綱は先輩! ……ってあれ、いないじぇ」

久「あいつは東京よ」

和「卒業旅行でしょうか?」

久「さぁ、むこうでやることがあるみたいだけど」

まこ「ほうか……で、半荘どうじゃ?」

久「そうね、せっかくここまで来たんだし」

優希「はいはーい! 私も打つじぇ」

咲「えっと、和ちゃんはどうするの?」

和「私は買ってきたものをしまいますから、咲さんが打ってください」

咲「うん、わかったよ」

久「いっちょ揉んでやりますか」





咲「それじゃ、また明日」

和「お先に失礼します」

優希「お疲れだじぇー」


まこ「で、あんたは?」

久「えー? もうちょっといちゃダメ?」

まこ「戸締りせんと帰れんじゃろが」

久「じゃあ鍵だけ置いてってよ。私がしとくから」

まこ「……まぁ、あんたなら大丈夫かの」

久「まだまだ顔利くしね」

まこ「悪用しないように」

久「わかってるってば」





久「……」


『……全国、行けるかな?』

『俺が、つれていくよ』


久「約束、守ってくれたのよね。それも二回も」


『知ったことじゃないな。俺は俺の好きなようにやるさ』

『バカみたい。強引でこっちの気持ちは考えないってわけ?』

『だけど、久ちゃんの隣にいる』


久「とか言ってたくせに、この前のインハイが終わってからは好き勝手しちゃって」

久「……そっか、その時にはもう、ちゃんと約束は果たしてたのよね」

久「だから私、受験勉強なんてさせてたんだ」

久「やだな、束縛ってやつだ」

久「……今頃、東京でなにしてるのやらね」

久「やっぱり、宮永照と……」



京太郎「ちわーっす」


久「……」

京太郎「なんだよ、微妙な顔して」

久「別に、東京にいると思ってたから」

京太郎「日帰りだよ、日帰り。さっきこっちに帰ってきたんだ」

久「やることってのは済ませてきたわけ?」

京太郎「まぁな」



照『……そっか、やな予感はしてたけど』

京太郎『照ちゃんには、最初に言わなきゃって』

照『それはそれで特別、なのかな』

京太郎『……一番キツいだろうから、後に回すとさ』

照『私が最初ってことは……そういうことだよね』

京太郎『ああ、多分それで正解だ』

照『よりにもよってあの女なんだ……』

京太郎『叩かれても殴られても……最悪刺されてもかまわないと思ってる』

照『そんなこと、しないよ。京ちゃんには幸せになってほしいから』

京太郎『照ちゃん……』

照『あ、でもあの女がイヤになったら、いつでも私のとこに来てもいいから』

京太郎『そうならないように気をつける』

照『私はいつでも待ってるから』



京太郎「……さすがにキツかったけどな」

久「なにやってきたかは、察するけど」


久(……向こうの気持ちがわかるってのも問題よね)

久(なんか、自分のことみたい)


久「それで、帰って来るなり学校に来てどうしたのよ」

京太郎「さっきまこっちゃんに会ってさ。久ちゃんがため息ついてるからなんとかしろって」

久「はぁ……そこ座って」

京太郎「なんだよ、いきなり」

久「いいからいいから」





久「重くない?」

京太郎「問答無用で座ってきて言うことかよ」

久「別にいいでしょ。いつだったかもこうしてたし」

京太郎「二年前だな。部長がいなくなったあとだっけ」

久「……あの時は二人だけだったのにね」

京太郎「幽霊部員はいたけどな」

久「いないも同然だから問題なし」

京太郎「つーか、俺たちもう麻雀部じゃないだろ」

久「あ、そういう寂しいこと言っちゃう?」

京太郎「寂しいことでも、前に進まなきゃな」

久「そうね、なら私も言っておかないと」

京太郎「このまんまでか?」

久「この状態なら顔見えないでしょ? 見られてたら恥ずかしいし」

京太郎「つまり恥ずかしいことを言うと」

久「いいから黙って聞く」



久「……一年の最初は、ずっとウザったく思ってた。でも、ちゃんとこっちに引き戻してくれて」

久「二年のときはまこが来てくれたけど、あんたがいなかったら個人戦にも出てなかったと思う」

久「それで、三年生になって、一年生が三人も来てくれて……」

久「……あんたが三年生で良かった」

久「だって、私一人だったら、あんなとこまで行けなかった」

久「京太郎がいなかったら、インハイで優勝なんて……」

久「だから、今までありがと」


京太郎「……きっと、俺が三年じゃなくても同じだったよ」

京太郎「仮に、俺が咲たちと同じ新入生で久ちゃんと面識がなくても、きっと麻雀部に入ってた」

京太郎「そんでもって、久ちゃんを支えてた」


久「……なんでそう言い切れるのよ」

京太郎「さぁ、そういう運命なんじゃないか?」

久「根拠ないし、適当なこと言ってるでしょ」

京太郎「たらればの話なんてみんな似たようなもんだろ。起こりようがないんだし」

久「夢ないこと言っちゃってさ」

京太郎「それに、俺はこれからもって言葉が聞きたいな。だから――」



京太郎「好きだよ、久ちゃん」


久「……遅い」

京太郎「ごめん」

久「信用できない」

京太郎「厳しいな」

久「でも……私も好き」

京太郎「久ちゃん……」

久「京太郎……」


「なんだ、まだ残ってた……ってお前ら!」


京太郎「げっ」

久「あーあ……」





久「すっごい怒られちゃったわね」

京太郎「当たり前だろ。あれでもまだ手加減されてた方だぞ」

久「顧問の先生で良かった」

京太郎「まったくだ」


久「……それでさ、これからどうするの?」

京太郎「そうだな……とりあえず大学に入るよ」

久「とりあえず?」

京太郎「そうしたら傍にいられるだろ」

久「動機が不純ね」

京太郎「入る理由なんてどうでもいいんだよ。問題はその後だろ」

久「そうかも。けど、聞きたかったのはそれじゃないのよね」

京太郎「つーと?」

久「さっきの続き、しないの?」

京太郎「ああ、それな……久ちゃん」

久「んっ……」



久「よろしくね、これからも」

京太郎「もちろん、こっちこそな」


久「ね、家にお邪魔してもいい?」

京太郎「うちの母さんのうざったさに我慢できるならな」

久「そんなのいつものことでしょ」

京太郎「それもそうか……そうだ、ついでに墓参りでもしてやってくれ」

久「そうね」

京太郎「あいつも久ちゃんと付き合い長いし、きっと喜ぶよ」

久「また泣きそうになったら胸貸してあげる」

京太郎「ああ、そうしてくれ」




『エンディング――今までと、これからも』

というわけで終了

安価取りたいけど、人いますかね?

それじゃ、この中からお好きなのをどうぞ
済がついてるのは選べません


個別

大星淡 済
天江衣 済
桧森誓子 済
姉帯豊音 済
三尋木咏 済
神代小蒔 済
ネリー・ヴィルサラーゼ 済
宮永照  済
エイスリン・ウィッシュアート 済
白水哩 済
竹井久 済
福路美穂子 済
松実玄 済
薄墨初美 済
滝見春 済
石戸霞
園城寺怜 済
真屋由暉子 済
清水谷竜華 済
鶴田姫子 済


特殊

久照
久美穂子
小蒔霞
哩姫
怜竜


39分まで

締切
割ってきます

コンマ判定

怜竜:1-13
霞:14-63
哩姫:64-00


直下

リザべコンビで了解
……哩姫かぁ

というわけで、朝一映画なんで寝ます
おやすみなさい



・どこかの未来、美女(メイド水着)と野獣


京太郎 「うわぁ、中間死んだー!」

久「こら、人の部屋来て騒がない」

京太郎「だってさ、スコアがレッドだったんだぞ」

久「赤点ね、赤点。また戒能プロみたいな言い方して」

京太郎「やばいって。なんか赤点だったらレポート提出とかいう恐ろしい噂があるんだよ」

久「それぐらいぱっぱとやっちゃえばいいじゃない」

京太郎「けっ、出来るやつはみんなそういうんだよ!」

久「なんかめんどくさい方向にシフトしてきたわねぇ」

京太郎「もうゴーストライターがやってくれないかな」

久「内木くんとか?」

京太郎「一太か……小学生の写真一枚でいけるか?」

久「やめなさい。先に事案であんたが捕まりかねないし」

京太郎「じゃあどうするんだよ! もう幼女の写真をエサにするしかないだろ!」

久「自分でやれ」

京太郎「ぐはっ」

久「私もちょっとは手伝ってあげるから」

京太郎「マジでか、久ちゃん!」

久「本当にちょっとだけだからね」

京太郎「それでも助かるって」

久「報酬は先払いね」

京太郎「金取るのかよ!」

久「ちょっとこっちも手伝ってもらいたいことがあるの。ちょっと待ってて、着替えてくるから」





久「お待たせ」

京太郎「……なにそのフリフリの水着」

久「メイド風の水着だって。まこが夏限定でこれで接客したらどうだろうかって」

京太郎「なんかもう、本当になりふり構わなくなってきたな……」

久「それよりもどうなのよ。グッとくる?」

京太郎「グッとくるっていうか……ムラっとしてきた」

久「ちょっと、マジメにやってよ。レポート手伝ってあげるんだから」

京太郎「悪い、無理っ」ガバッ

久「きゃっ」


京太郎「久ちゃん……いいよな?」

久「好きにしなさいよ、バカ……」





まこ「で、どうじゃった?」

久「どうもこうも、夏限定とはいえアレはまずいかもね。風営法に引っかかりかねないし」

まこ「ふぅむ、過激すぎたと」

久「まったくね……おかげでしばらく動けなかったし」

まこ「動けなかった?」

久「あ、それは聞き流して。男は大体野獣だって話だから」

まこ「つまり、一晩中サカってたと」

久「それプラス一日中ね。あー、酷い目にあった」

まこ「やれやれ……ほいじゃあアレはやるけぇ、よろしくどーぞ」

久「なに言うのよ、あんなのしょっちゅうやってたら身がもたないわよ」

まこ「ならうちで処分してーー」

久「ちょっと待って、いらないとは言ってないから」

まこ「はぁ?」

久「もらえるものはもらっておくにこしたことはないし……」


久「ああいうのもたまになら……ね?」



というわけでメイド水着実装記念
エンディング後の一幕でした

哩姫は明日か明後日になると思われます

したらば

こんばんはー

もう少ししたらやろうかと

んじゃあ始めます



姫子「次、こっち来っていつですか!」

京太郎『いきなりなんだよ。なんかいいことでもあったのか?』

姫子「先輩があっちこっちで女の子ばたぶらかしとーと思い出しました」

京太郎『言い方っ!』


京太郎『そりゃ、事実の一端を含んでないことも無きにしも非ずだけどな?』

姫子「大半真実やないですか。私とも哩先輩ともキスしたくせに」

京太郎『あ、やめて。それ持ち出されたら反論できなくなる』

姫子「ほら、やっぱし」

京太郎『……まぁ、自分でもそういうのはいい加減なんとかしようとは思ってるんだよ』

姫子「そいって、本命ば決めるってこつですか?」

京太郎『うわぁ、その言い方やだなぁ』

姫子「そがん言うても事実やないですか」

京太郎『うぐっ』

姫子「なら、今ここで返事を――あ、やっぱいいです」

京太郎『頼まれても言わねーよ。電話口でなんて失礼だしな』

姫子「――もしダメでも最悪鎖で縛って既成事実を……」ブツブツ

京太郎『うおーい、なんか不穏当な言葉が聞こえるんですけどっ』

姫子「とにかく、いつ来っかちゃんと教えてください」



姫子(きっとそん時、先輩は私に……)


京太郎『そうだな……ゴールデンウィークあたりにはそっちに行けそうだ』

姫子「なんですか、はっきいしませんね」

京太郎『無茶言うな、まだ一ヶ月以上先の話だろうが』

姫子「しょんなかですねぇ……とりあえずりょーかいです」

京太郎『お前の予定は?』

姫子「んー、前半は家で、後半は学校ですかね?」

京太郎『ん、それじゃあ佐賀だな』

姫子「うち来ます?」

京太郎『そっちが迷惑じゃなければな。そういや、あいつも帰ってくるんだよな?』

姫子「哩先輩ですか?」

京太郎『ああ、まあな』

姫子「……」



姫子(先輩ん言葉には、どっかいつもと違う響きがあって)

姫子(やけん、やな予感が頭ん中に浮かんで……)


姫子「いますよ」

京太郎『ん、そうか』

姫子「とにかくっ、デートとプレゼント楽しみにしてますから! そいぎっ」

京太郎『あ、おい――』ピッ


姫子「……うん、きっと大丈夫」


姫子(あん二人がくっつくなら、私的にもあり)

姫子(想像すっとちかっと……ホントにちかっとだけ痛いけど)

姫子(京太郎先輩にはビンタかひっかくかして、哩先輩にはおめでとうって)

姫子(ついでにしかともなかイタズラでもして……嘘泣きとか、ほっぺたにキスとか)

姫子(そいで完璧……)


姫子(――少なくともこん時は、そがん思ってた)





哩「京太郎……」

京太郎「哩――んっ」


姫子「あ……」


姫子(私には、大好きな先輩が二人)

姫子(深か絆で結ばれとる人と)

姫子(縛り付けてでも、つながりたい人)

姫子(ばってん、そん二人が、抱き合って、キスして……)


姫子「あ、れ……」


姫子(本当なら、二人ん前で涙でも見せて、嘘泣きですって舌出して)

姫子(女ったらしの先輩にはビンタん一つでもくらわして、不意打ちでほっぺたにキスして)

姫子(そいで、最後には二人におめでとうって……)

姫子(やけん――)



姫子「なんね、こい……」


姫子(想像してた、はずなのに……)

姫子(大丈夫って、思ったのに……)

姫子(心ん中でもこがん黒かもん、絶対ダメなのに)

姫子(どっかから際限なく溢れてきて……)


姫子「――っ」


姫子(私は、そん場からちん逃ぐった)





姫子「……」


姫子(二人は互いにすいとって……やけん抱き合って、キスして)

姫子(つまり、そいは――)


姫子「……ダメやね」


姫子(しかつか頭で考ゆっとも、いっちょんまとまらん……)

姫子(そいばってん、私ん中の黒か気持ちは澱のようにどんどん溜まって……)

姫子(口からひっと出たのは――)


姫子「――置いてかれちゃった」


姫子(そん一言は真実のように思えて)

姫子(そいがぐちゃぐちゃな心ん中にくるった答えはシンプル)


姫子「置いてかれるなら――」





京太郎「悪い、お前の気持ちに応えられなくて」

哩「……そう」


哩(そん言葉を予想してなかったとは言えん)

哩(そがんこつも十分あっと思ってた)

哩(やけん、表面上は冷静でいられた)

哩(……あくまでも、表面上は)


哩「もう顔上げてよかよ」

京太郎「……多分結構ひどい顔してるから、見せたくないんだよ」

哩「私は見たいかな」

京太郎「キツイ事言ってくれるな……」

哩「そいはこっちも同じやけん」

京太郎「まったくもってその通りだ」


哩(彼はそがん言うと、顔ば上げて――)



哩「……こすかね」

京太郎「もうなんとでも言ってくれ」

哩「そがん顔しよったらね……くらすっとも考ゆったけども」

京太郎「骨の一本ぐらいならくれてやる」

哩「やけん、よかて」


哩(そいでも、もやもやとした気持ちは残って)

哩(……後で泣こうかな)


哩「こん後は?」

京太郎「ん……あいつと会う約束してる」

哩「そう、姫子と」

京太郎「こっちに他の知り合いもいないしな」

哩「ならそん顔、どがんかすっとよかて思う」

京太郎「まじかぁ……まだ時間あるし、顔洗っとこうかな」

哩「そうやね」



哩(姫子と会う……そいはこっちに来よっけん、当然の流れ)

哩(ばってん、私は思かぶって)

哩(そいは、姫子にはどがん答えるか、ということで……)


京太郎「あいつ、今年もプレゼントよこせってうるさかったんだよな」

哩「……」

京太郎「今日渡すって言ったけど、まだなにも買ってないんだよなぁ」


哩(私にとっては、そいが答えになった)

哩(つまり、京太郎は姫子を――)


哩「――っ」


哩(心ん中にあったのは、祝福とちかっとした痛みと……)

哩(判別がつかん、黒か気持ち)


哩「……」ギュッ



哩(外側から胸ば抑えても、なんにんならんで)

哩(なんでか、姫子ん泣き顔が浮かびよって)


『まいるぜんばぁい、いがないで~』


哩(私が卒業すって時にいつも……ああ、そっか)

哩(――今度は、私が置いてかれる番か)


京太郎「おい、大丈夫かよ」

哩「……」

京太郎「哩、哩……!」

哩「あ……京、太郎」

京太郎「……悪い、いい気分なわけないよな」



哩(本当なら、抑えなきゃならん気持ち)

哩(やけん、どーろこーろせんといけなくて)

哩(……無理、無駄、なんにんならん)


哩「もう、ダメ……」


哩(スッと、距離ば詰める)

哩(いつもと同じ匂いと、温もり)

哩(ばってん、これからはもう……)


哩「京太郎……」


哩(私ん肩に京太郎ん手)

哩(引き離そうと――そん力はばってん、あくまでも優しくて)

哩(私は、京太郎の首筋に手ば回して――)



京太郎「哩――んっ」


哩(そこでようやく自分の気持ち、そん正体に気づいた)

哩(あいは――チリっとした嫉妬と、寂しさ)


哩「……ごめん」

京太郎「いや、俺も悪い……っつーか俺が悪い」

哩「やっぱイケメンやね」

京太郎「褒めてもなんも出ないぞ……さて、俺はもう行くかな」

哩「うん、頑張って」


哩(京太郎ん背中ば見送って、そこで気づいた)

哩(あん黒か気持ちが、いつんはじゃあこまかくなっとる……)

哩(……そいがどこに行ったかも知らんで)





京太郎「……遅いな、もう30分過ぎてるぞ」

京太郎「今まで多少遅れることはあっても、ここまでのはなかったよな」

京太郎「寝坊か時間の勘違いか……何かトラブったか」

京太郎「……とりあえず電話だな」プルルル


姫子『せん、ぱい……?』


京太郎「思ったよりあっさり出たなぁ、おい」

姫子『どがんしたとですか?』

京太郎「こっちのセリフだっての。まさか寝起きか?」

姫子『……あがん見せられて、そいこそ無理ですよ』ボソッ

京太郎「とにかく、なんもないなら早く来いよ。なんなら迎えに行くぞ」

姫子『……なして優しくすっとですか』

京太郎「なんでって、基本お前には甘くしてると思うけど」

姫子『……』

京太郎「姫子? おーい、大丈夫かー?」


姫子「大丈夫なわけ、ないやないですか……」



京太郎「うわっ、いたのかよ」

姫子「いました。先輩が来っ十分ぐらい前から」

京太郎「新手のイタズラかよ……」

姫子「ね、先輩?」

京太郎「なんだ? プレゼントならもうちょっと待ってくれよ」

姫子「先輩は、鎖ってどがん思います?」


姫子「すいとー人をつないで、つなぎとめて」

姫子「すいとー人とつながれて、つなぎあって」

姫子「どこにも行かないで、どこにも行かせない」

姫子「そがん関係、よかて思いません?」


京太郎「お前、なに言って――」

姫子「えいっ」バチッ

京太郎「――あがっ」ドサッ


姫子「思ったんです。置いてかれるなら、どこにも行けんようにすればって」

姫子「あ、こいですか? スタンガンですけど、命に別状はなかって聞きました」

姫子「まぁ、どっか障害残っかもですけど、大丈夫ですよ」

姫子「私がずーっと一緒にいてあげますからっ」





京太郎「うっ……」


京太郎(どこだ、ここ……)

京太郎(そもそも俺、なにしてたんだ?)

京太郎(姫仔たちに会うために佐賀に来た……だよな?)

京太郎(約束の前に哩に会って、その後は……)ジャラ

京太郎(鎖……つながれてるのか?)


姫子「あ、先輩。やっと起きたとですか」

京太郎「ひめ、こ……」

姫子「はい、京太郎先輩の姫子です」

京太郎「こぇ、なん……」


京太郎(……舌が回らない)

京太郎(おまけに、足の感覚が鈍い……)

京太郎(たしか、最後にすごい痛みが走ったような)



姫子「まだダメージ残ってます?」

京太郎「おまぇ、なにしぇ……」

姫子「無理せんでも、私がしっかりお世話してあげますよぉ」


姫子「とりあえず、こい飲んでください」

京太郎「……」

姫子「やですか? しょんなかですね……んっ」

京太郎「――っ」ゴクッ

姫子「ん、心配いらんですよ。毒ってこつはありませんから」


京太郎(飲まされたけど、直ちに異常はなさそうだ)

京太郎(……そもそもなんなんだ、この状況は)

京太郎(こいつはなんで俺にこんなことを……)

京太郎(本当なら、デートしてプレゼントも買ってやって、その後――)



京太郎「くっ……!」

姫子「効いてきました?」


京太郎(なんだこれ、体が……!)


姫子「がば元気になっ薬、飲んでもらいました」

姫子「ホントはそがん抜きでしたかったですけど、哩先輩やないと乗り気になれんと思いまして」


京太郎(こいつ、なに言ってんだ……)

京太郎(ダメだ、体が熱くてなにも考えられないっ)


姫子「あはっ、先輩もすっかりやる気やないですか」

姫子「私も、んっ……準備はオーケーです」

姫子「いっぱい、いーっぱい気持ちよかこつしましょうね、せぇんぱい♪」





姫子「んっ……もうお腹ん中、タプタプです」

京太郎「はぁ、はぁ……ひ、姫子」

姫子「なんですか? あ、まだし足りんと?」

京太郎「お前、なんでこんなこと……!」

姫子「なしてって……私が先輩んこつがばすいとーからですけど」

京太郎「お前な、それだったらちゃんと――」


姫子「哩先輩ですよね?」


京太郎「……は?」

姫子「見ました。二人がキスしとっとこ」

京太郎「お前、まさかそれで……」

姫子「だって、やじゃなかとですか? 置いてかれるの」

京太郎「そんなわけないだろ、だって俺はお前に好きだって言うためにここまで来たんだぞ!」

姫子「あはは、うれしゅうばってん、無理せんでもよかとですよ?」

京太郎「バカ野郎! 俺の話ちゃんと聞いてんのかよ!?」

姫子「はい。やけん先輩が本心からそがん言ってくれるまで、待ってます」

京太郎「だからな――」



哩「姫子……!」


姫子「あ、哩先輩。遅かけん、先にいただいちゃいました」

哩「自分がなんばしょっとかわかっとっと!?」

姫子「しょんなかですよ。私、二人に置いてかれたくなかとですから」

哩「もうよか……京太郎ば解放しんしゃい」

姫子「そいで、二人して私ば置いてくんですよね?」

哩「やけん――」

京太郎「ダメだ、今のこいつには全然話が通じない」

姫子「京太郎先輩がウソ言いよっけん、私ばすいとーって」

京太郎「……こんな感じなんだよ」


姫子「あん時、キスしとっ二人ば見て、思いました」

姫子「おめでとうって言わんと、おめでとうって言わんとって」

姫子「ばってん、無理でした」

姫子「心ん中に黒か気持ちがどんどん広がって」

姫子「ああ、私は二人に置いてかれるんだって」



哩「……」


哩(ああ、そっか……)

哩(私ん中にあったはずの黒か感情は、姫子んところに……)

哩(今、流れてくっこん気持ちも元は私んもんで……)


哩「……京太郎」

京太郎「悪い、情けないけどお前の力を借りなきゃ――んむっ」

哩「んっ――ごめん、ばってん私も……」


哩(もし姫子が京太郎ん気持ちば受け入れれば、今度は私が置いてかれる)

哩(なら、いっそこんまま……)

哩(……ころか女やと自分でも思う)

哩(そいばってん、京太郎と……)



姫子「えへへ、こいで哩先輩も一緒ですね」

哩「姫子はそいでもよかと?」

姫子「当然です。こん前もあがん泣きよったやないですか」

哩「……そう」


哩(私たちん心はつながっとる)

哩(そいがどがん歪なもんでも……)


京太郎「お前ら……」

哩「大丈夫、大丈夫やけん」

姫子「待っててくださいね。今元気になっ薬、飲んでもらいますから」


哩(そして、私たちは――)





姫子「ん、今動きました」

哩「しばらくはおとなしくしとっとね、よか?」

姫子「大丈夫ですよ、産休取りましたし」

哩「私生活でって意味やけん」

姫子「そいぎ先輩も一緒です。まだ目立っとらんですけど」

哩「まぁ、そいは自分でわかっとっけん、大丈夫」

姫子「とか言ってますけど、哩先輩こそなんも言わんで無茶しません?」

哩「……まいるよ」

姫子「あはは、持ちネタ出た」


『哩姫コンビ、ダブル妊娠発覚――!!』


姫子「あ、すごい。見出しにデカデカと乗ってますよ」

哩「けっこう騒がれとっとね」

姫子「IPS細胞がどうとかで、お互いの遺伝子で受精したんじゃないか……とか書いてますね」

哩「なんね、そいは」

姫子「ホントですよね。私たちにはちゃーんと愛すっ旦那様がいるのに」

哩「そうやね」



京太郎「おかえり、二人とも」


姫子「ただいまです」

哩「ただいま」

京太郎「ちょうど晩飯できたんだ。冷めないうちに食おうぜ」

姫子「そいより帰ったらなんばすっか、忘れちゃいました?」

京太郎「バカ、忘れるわけないだろ。ほら……」

姫子「――んっ」

京太郎「哩も」

哩「――んっ」

京太郎「愛してるよ、哩、姫子」



姫子「今夜もいーっぱいしましょうね」

哩「こら、妊婦は安静にせんとダメやろ」

姫子「やけん、そい哩先輩にもちかっぱブーメランですよ?」

哩「うっ……」

姫子「しかも明日は産休前の最後の試合やけん、京太郎先輩ん愛をチャージせんと」

哩「そいは……」


京太郎「冷めるぞー」


姫子「はーい」

哩「すぐ来っけん、待っとって」




『エンディング――鎖という名の絆』

というわけで終了

言うのを忘れてましたけど
特殊エンドはものによってはかなり特殊な状況になるので注意してください
今回のは一応は姫子エンドからの分岐になります

安価は明日にぶん投げておやすみなさい

京太郎は一応自分の意思で二人と一緒にいます
ただ、心が二人に向いているかどうかは……

それはそうと、安価取りたいんですけど、人いますかね?

それじゃ、この中からお好きなのをどうぞ
済がついてるのは選べません


個別

大星淡 済
天江衣 済
桧森誓子 済
姉帯豊音 済
三尋木咏 済
神代小蒔 済
ネリー・ヴィルサラーゼ 済
宮永照  済
エイスリン・ウィッシュアート 済
白水哩 済
竹井久 済
福路美穂子 済
松実玄 済
薄墨初美 済
滝見春 済
石戸霞
園城寺怜 済
真屋由暉子 済
清水谷竜華 済
鶴田姫子 済


特殊

久照
久美穂子
小蒔霞
哩姫
怜竜


20分まで

満場一致なんで霞さんでいきます

それじゃあ、また今度



・二年、元日、眩いもの


京太郎「うぅ……さむっ」ブルッ

京太郎「ちょっと散歩のつもりで出たけど、普通に寒いな……」

京太郎「初日の出まで粘ろうと思ったけど、中入ってようかな」

京太郎「コタツに入りながらのんびりと……寝るな、このパターンは」

京太郎「ちょっと夜更かししてたからなぁ」


霞「あら、おはよう」


京太郎「早いな」

霞「色々と準備があるの」

京太郎「年末年始は大忙しか」

霞「もう慣れたわ。実は今も散歩しているだけだし」

京太郎「俺もそうなんだけど……寒くないか?」

霞「そうかしら?」タユン

京太郎「……あついしぼうで寒さ半減ってか」

霞「……どういう意味かしら?」

京太郎「気にするな! お前が唯一無二の財産を持ってるってだけだ」

霞「なにを言っているの?」

京太郎「いいからいいから。ほら、肩凝ってないかー?」モミモミ

霞「あ、ちょっと」



京太郎「お、こりゃ結構凝ってんな」

霞「もう……いきなりなにするのよ」

京太郎「うちのばあちゃんの鋼鉄の肩でならした俺の腕、見せてやるよ!」

霞「ちょっ――あっ、んんっ」ビクン

京太郎「おいおい、変な声出すなよ」

霞「だれのせいだと……んぁっ!」ビビクン

京太郎「……」


京太郎(やべ、変な気分になってきた)

京太郎(体動かすたびに凶悪なアレがプルプル震えてるし……)


京太郎「ひょっとしたら、追いつめられてるのは俺なのか……?」

霞「いいから、んっ……もう、許してぇ……」ビクンビクン





霞「それで、なにか申し開きは?」

京太郎「調子に乗りました」

霞「はぁ……あなたはいつもこんなことをしているの?」

京太郎「まぁ、たまたまだよ」

霞「ふんふむ、たまたまであんなことをするのね」

京太郎「あんなことって言うけどお前、肩揉んだだけだからな」

霞「それは……たしかにそうね」

京太郎「だろ?」

霞「だけど、セクハラに該当するという見方もできそうじゃない?」

京太郎「うっ、それはまぁ……」

霞「今回は許してあげるけれど。……肩が軽くなったのもたしかだし」

京太郎「うんうん、一目見たときから肩凝ってそうだとは思ったんだよ」

霞「……わかるものなの?」

京太郎「だってなぁ」


京太郎(そんな重そうなものぶら下げてりゃ、だれだってそう思うわ!)

京太郎(それと……)



京太郎「肩凝りそうな生き方してるなって」

霞「……」

京太郎「というのは、俺の勝手な印象だけどな」

霞「……そう」

京太郎「ま、人間生きてれば大なり小なりなにか背負ってるもんだ。多分な」

霞「あなたは、それを重いと思ったことはないの?」

京太郎「さぁね。そっちは?」

霞「自分はまともに答えないのに、人には平気で聞くのね」

京太郎「話し相手なんて、それぐらい無責任なのがいいんだよ」

霞「それは……いえ、そうなのかもしれないわね」

京太郎「ははっ、あとはせいぜい肩揉みぐらいだな」



京太郎「お、日ぃ出てきたんじゃないか?」


霞「……」

京太郎「どした?」

霞「少し、眩しくて」

京太郎「たしかに寝不足の目にはちょっと沁みるな」

霞「ええ、そうね」

京太郎「……昨日はありがとな」

霞「なにかしたかしら?」

京太郎「四人で結託して色々やってたろ」

霞「気づいていたの?」

京太郎「なんとなくな」



京太郎「そういや、ヤケド大丈夫か?」

霞「ヤケド?」

京太郎「飲み物、熱かったみたいだからさ」

霞「そ、それは……」カァァ


霞「むせただけ、むせただけなのっ」グイグイ

京太郎「ちょっ、落ち着け落ち着け」

霞「違うのっ、違うったら違うの――!」



というわけで二年の元旦のエピソードでした

哩姫は単に済の付け忘れです
申し訳ない

というわけで去ります

おひさしこんばんはー

もうちょっとしたら始めようかと

んじゃ、始めます



京太郎「……」


『お願いだから、黙ってて』

『あなたにそれを言われたら、私は……』


京太郎「……はぁ」


「出た、辛気臭いため息」

京太郎「なんだよ」

「かわいい息子が悩んでて、気にならない母親はいないの」

京太郎「なんか、ぞわってきた」

「ちょっとどういう意味よー!」

京太郎「冗談だよ、冗談」



京太郎「別に大したことじゃないから」

「わかった、恋の悩みね」

京太郎「なんでそうなるかなぁ」

「自前の恋愛センサーね」

京太郎「余計なものまで感知してそうだな」

「いいから、話しちゃいなさいよ」

京太郎「あーもう、うざったいな……」


京太郎「なんか色々抱え込むやつがいてさ」

京太郎「大丈夫じゃなさそうなのに大丈夫って言い張っててさ」

京太郎「そんでもって、すごい頑固なんだよ」


「ふんふむ……霞ちゃんね」

京太郎「なんなの、エスパーなの?」

「ズバリ、これぞお母さんの恋愛センサーなのよ」

京太郎「もう話打ち切っていいかな」

「ダメ、せっかくだから全部ゲロっちゃいなさい」



京太郎「……なんとかしてやりたいとは思ったんだよ」

京太郎「でも、自分にそんな資格とか覚悟があるのかって思ってさ」

京太郎「結局なにもできなかった」

京太郎「いや……大丈夫って言葉に甘えて、なんにもしなかったんだ」


「なるほどねぇ……それで、一つ確認していい?」

京太郎「なにさ」

「好きなの?」

京太郎「……それ、関係あるか?」

「大ありじゃない。だって、それって相手とどうなりたいのかに直結するし」

京太郎「どうなりたい……」


『今までどおりでいられるなら、なにも望まないわ』


京太郎「思い知らせてやりたい」

京太郎「閉じこもって出てこないなら、こじ開けて連れ出して、そして――」

京太郎「自分の幸せってやつと、向き合わせたい」



「うーん、青臭い!」

京太郎「あんたがしゃべらせたんだろ!」

「でも、それでいいんじゃない?」

京太郎「……青臭いうえに、独りよがりだ」

「恋ってそういうものじゃない?」

京太郎「恋……これって恋なのか?」

「なにを今更。要約したら、その子に夢中で、しかも幸せにしてやりたいってことじゃない」

京太郎「いや、そこまでは言ってないんだけど」

「だったらまずは自分が向き合って、伝えることは伝えちゃいなさい」

京太郎「聞いてねーし……」


京太郎(資格と、覚悟……どっちもまだ固まってない)

京太郎(だけど――)


京太郎「決めた。とりあえず会いに行く」

「その後は?」

京太郎「決めてない」

「あらら」

京太郎「そこらへんは道中どうにかするよ」

「そう……なら一つだけ」



「私のことは気にしなくてもいいから、好きなようにしてきなさい」


京太郎「いきなりなにさ」

「なんとなく」

京太郎「まぁ、普段からしてないけどさ」

「えー? ちょっとはしてよ」

京太郎「どっちなんだよ」

「ふとした時に思い出して」

京太郎「はいはい」


「……霞ちゃん、よろしくお願いね」

京太郎「なんかさ、いやに気にかけてない?」

「ちょっと昔の知り合いに似てるから」

京太郎「昔の知り合い?」

「うん……だから、きっといつか、幸せだって思えるようにしてあげてね」





霞「……」


『私では、ダメ?』

『私では、あなたを支えられない?』


霞(違う、違う違う……っ)

霞(これは、ただの気の迷い)

霞(こうして滝に打たれていれば、自然と消えていく雑念)


『ま、それでも不十分っていうんだったら俺に任せとけ。肩揉みぐらいだったらしてやるよ』


霞(だから、そんなに優しくしないで)


『はは、美人ってのは怒っても美人だな』


霞(だから、そんな風に笑わないで)

霞(そうすれば、私は……)





明星「お疲れ様です、お姉様」

湧「タオル、どうぞ。体冷えちゃいます」

霞「ありがとう、二人とも」

明星「すごい集中力でした」

湧「やっぱり霞さんってすごいなぁ」

霞「大したことじゃないわ。……ちょっとだけ我慢強いだけ」


初美「お三方ー、そろそろおやつなのですよ」


霞「もうそんな時間なのね」

初美「のめり込みすぎなのですよ」

霞「そうかしら」

初美「何事もほどほどが一番ですからねー。倒れられても困りますし」

湧「あの、私もそう思うというか……まだ水も冷たいですし」

明星「お姉様が倒れたら、みんな心配しちゃいます」

霞「そうね……ごめんなさい、これは私のわがままね」

初美「さ、反省したらちゃちゃっと着替えちゃうのですよ」

霞「ええ、そうするわ」

初美「……」


初美(どうしたものですかねー……)





巴「そうなんだ……」

初美「さすがにあのままじゃまずいといいますかねー」

巴「心配、だよね」

初美「というよりも、見るに堪えないのですよ」

巴「姫様もちょっと心配してるみたいだし」

初美「霞ちゃん、隠してるようで隠せてないですからねー」

巴「原因ってやっぱり……そうなのかな」

初美「それはもう、どうしようもないのですよ。ほら、恋は落ちるものと言いますし」

巴「落ちるものかぁ……うん、重力には逆らえないしね」

初美「そのうち霞ちゃんのにっくき脂肪の塊も重力に負けて……おっと、話がそれたのですよ」

巴「は、はっちゃん……」





小蒔「はふぅ……おやつ食べたら急に眠気が……」

春「眠そうにしてるのはわりといつものこと」

小蒔「そ、そうですか?」

春「疑いようもなく」

小蒔「むぅ……やっぱりここはその、いめーじの払拭にあたりたいと思いますっ」

春「具体策は?」

小蒔「ええっと……そうです! こーひーを飲むとか!」

春「なるほど、コーヒー……」


『に、にがいですっ。こんなの絶対飲めません!』


春(――ってなりそう)


春「悪いことは言わないから、やめておいたほうがいい」

小蒔「なんでですかっ」

春「コーヒーは大人の味だから」



霞「……」スタスタ


小蒔「あ、霞ちゃん」

霞「……あら、小蒔ちゃん?」

小蒔「大丈夫ですか? ぼうっとしてました」

霞「ちょっと、晩御飯の献立で悩んでいたの」

小蒔「食材が足りないなら、私お使い行きますよ?」

霞「ありがとう、小蒔ちゃん。でも、私が行くから大丈夫よ」

小蒔「でも――」

霞「ごめんなさい。本当のことを言うと、他にも用事があるの」

春「……」

霞「だから私が行った方が都合がいいの」

小蒔「そうですか……じゃあ、気を付けて行ってきてくださいね」

霞「ええ」


小蒔「……やっぱり、ちょっと変です」

春「私もそう思う」

小蒔「でも、私も意気地なしです」


小蒔「聞きたいことが、聞かなきゃいけないことがあるはずなのに……」





京太郎「……うーん、わからん!」

京太郎「あの石頭が素直に話聞いて頷くわけないよな……」

京太郎「最悪、無理矢理っていう手も――」


初美「悪巧みですかー?」


京太郎「なんだお前か」

初美「なんだとはなんですか」

京太郎「ほっとしたって意味だよ」

初美「むむっ、なにかやましいことがあると見ました」

京太郎「やましいことっていうか……誘拐?」

初美「犯罪者発見なのですよ!」

京太郎「冗談だ冗談……六割ぐらいは」

初美「わりと本気ということですねー……」

京太郎「そんなわけで石戸は元気か?」

初美「ダメダメですね」

京太郎「ダメダメか」

初美「……最近は、神境にいること自体が辛いんじゃないかって」

京太郎「……そうか」



京太郎(やっぱり、一筋縄じゃいかなさそうだな)


京太郎「なあ、小蒔と話したいことがあるんだけど」

初美「姫様なら神境ですねー」

京太郎「なら外に呼んできてもらえるか?」

初美「内緒話ですか?」

京太郎「ああ、ちょっとお前らの日常をぶっ壊すことになるかもしれないけど」

初美「それはまた、穏やかじゃないですねー」

京太郎「だから、先に謝っておきたい」

初美「……霞ちゃん、ですか?」

京太郎「ああ」

初美「ふぅ……なら仕方ないですねー」





霞「……」


霞(時間が解決してくれる、というけれど)

霞(この痛みはいつになったら消えてくれるのかしら)

霞(……いいえ、痛いなんてこと自体ありえない)

霞(だって、私は――)



京太郎「今、暇か?」

霞「……来ていたのね」

京太郎「ああ、先に手紙は送ったよな」

霞「そうね……」

京太郎「話がしたい」

霞「ごめんなさい、ちょっと忙しいの」

京太郎「そうか。じゃあいつならいい?」

霞「わからないわ。少したてこんでいるから」

京太郎「……もしかしなくても、避けようとしてるだろ」

霞「そんなこと――」

京太郎「ないとは言わせないぞ」

霞「……」

京太郎「小蒔たちも気づいてる。お前が辛そうだって」

霞「そんなこと、ないわ」

京太郎「薄墨も言ってた。ここにいるのがいやなんじゃないかって」

霞「そんなわけ……」

京太郎「ないって言えるなら、ちゃんとこっち見て話せよ」

霞「……いやよ」

京太郎「いいからっ」グイッ

霞「あっ……」



京太郎「……泣いてるじゃないか」

霞「どうして……どうしてこんなことするのよ」

京太郎「お前の本心が聞きたいから」

霞「話せば、離れてくれるの?」

京太郎「聞いてから決める」

霞「ふぅ……なら、話すわ」


霞「……望んでここに来たはずなの」

霞「初美ちゃんたちと一緒にいたくて、ここに来たはずなのに……」

霞「でも、怖いの……」

霞「お役目だからって、務めを果たさなきゃって……そう思ってたのに」

霞「でも、あの夏の……私が失敗して、小蒔ちゃんを危険な目にあわせたあの時から……怖くてたまらないの」

霞「またああなるんじゃないかって、私の失敗で全てを失うんじゃないかって……」

霞「だから、もっと……もっと心を強く持たなくちゃいけないの」

霞「たとえそれで、自分の心が押し殺されたとしても」



京太郎「それが、お前の本心か」

霞「……もう、いいでしょ。いつも通りでいさせて」

京太郎「悪いけど、無理だ。そもそも、俺が一番聞きたかったことがまだだから」

霞「……どういう意味かしら」


京太郎「あの時、俺はお前が大丈夫だって言ったから、その言葉に甘えた」

京太郎「結局のところ、踏み込む覚悟と勇気が足りなかったんだ」

京太郎「お前の言葉で決心がついたよ」

京太郎「お前が不幸ぶって自分を抑え込むなら、俺が無理やりにでも引きずり出してやろうって」

京太郎「他のだれでもない、俺がお前を幸せにしたい」

京太郎「俺はお前が好きだからさ、なんでもなくても笑ってるとこが見たいんだよ」


京太郎「ダメか?」

霞「……聞かなかったことにするわ」

京太郎「じゃあ何度だって言うよ……俺は――」

霞「……ダメ、やめて」

京太郎「お前が、石戸霞が――」

霞「やめてって、言ってるでしょ……!」

京太郎「――好きだ」

霞「言わないでって、言ったのに……」



霞(だってこんなの……応えられるわけがない)

霞(私が応えてしまったら……)

霞(でも、もう――)


霞「だってあなたにそれを言われたら、私はきっと抑えられなくなるから……」

霞「ずっと、ずっと蓋をしてようと思ったのに……」

霞「――好き、あなたのことが好きなの!」

霞「そうよ、初恋よ!」

霞「本当はなにもかも捨ててあなたといたい!」

霞「でも、私にはそれができないの……!」


京太郎「それがお役目だから、か」

霞「ええ、そうよ」

京太郎「先に謝っておく。俺はお前のこのままでいたいって願い、ぶっ壊すから」



小蒔「霞ちゃん」


霞「――っ!」

小蒔「全部、聞いてました」

霞「ち、違うの、今のは……」

小蒔「全部本心、なんですよね?」

霞「そんなことっ」

小蒔「私もずっと聞きたいことがあったんです」


小蒔「霞ちゃんは、私の身代りというお役目をどう思っていたのかを」


小蒔「今までずっとずっと聞けませんでした」

小蒔「霞ちゃんの優しさに甘えて……ううん、きっと怖かったんです」

小蒔「一緒にいたいから……それを聞けば、離れてしまうかもしれないから」

小蒔「でも、きっとそれがいけなかったんですね」

小蒔「だから聞かせてください」

小蒔「霞ちゃんは、私の身代りという立場でいいのかどうかを」



霞「……いいわけ、ない」

霞「うんざりしていたわ……」

霞「なにかを我慢して、なにかを諦めて」

霞「それがお役目だから、お役目だからって……」


小蒔「……そうですか」

霞「ごめんなさい……忘れて」

小蒔「ううん、忘れません」


小蒔「霞ちゃん、あなたをこの神境から追放します」


霞「……え?」

小蒔「お役目があなたの幸せを縛るというなら、解放します」

霞「ま、待って」

小蒔「今までありがとうございました……本当に」

霞「小蒔ちゃん、私は……!」



小蒔「それと、京太郎様」

京太郎「ああ」

小蒔「私の、大事なお姉さんをお願いします」

京太郎「もちろんだ」

小蒔「それと――えいっ」ペチッ


小蒔「これが私の心を弄んだ罰、ということで」


京太郎「……痛いな」

小蒔「じゃあ、これから霞ちゃんを大事にしてあげてください」

京太郎「わかってるよ」


霞「小蒔ちゃん、私は、私は……」

初美「いつまで呻いてるのですか」

霞「初美、ちゃん?」

初美「これ、最低限の荷物はまとめておいたのですよ」

霞「そんな、私本当に……」

初美「……自業自得なのですよ。無理に抑え込んでるから」

霞「だって、私はそうすることでしか……」

初美「ほら、さっさと行っちゃうのですよ」

霞「あっ……」



霞「それでも、私はみんなと……!」

初美「そんなの、私たちだって一緒なのですよ……!」


初美「でも、霞ちゃんは自分の幸せを見つけようとしないから!」

初美「だれかのため、だれかのためって……だれかのせいにしてるから!」

初美「だからっ、ここから離れて、いっぱいいっぱい幸せになってもらうのですよ!」


初美「だから、私からもおねがいするのですよ」

京太郎「当然だろ」

初美「憎たらしいですねー」

京太郎「……お前たちから大事なもの、奪ってくからな」


霞「あ、あぁ……」

小蒔「……いつか、あなたが心の底から幸せだと思えるようになるまで」

霞「小蒔、ちゃん……」

小蒔「それまで、お別れです」





霞「……」フラフラ

京太郎「ほら、転ぶぞ」

霞「……ついてこないで」

京太郎「俺が放っておくと思うのか?」

霞「……」

京太郎「なあ、どこ向かってるんだ?」

霞「……わからないわ」


霞「私には、もう帰れる場所なんて……」


京太郎「なら、俺と一緒に来るか?」

霞「……元はといえば、あなたがっ」パンッ

京太郎「――いって」



霞「あなたが、あんなことをするから!」パンッ

霞「あなたが、私なんかを選ぶから!」パンッ

霞「あなたが……私たちの前に現れたから!」パンッ


霞「あなたが、あなたがあなたが……!」グイッ

京太郎「ちょっ、叩きすぎ――んむっ」

霞「――あなたが、好き。それでも、好きなの……」

京太郎「……そうかよ」

霞「許さない、絶対に許さないわ……だから――」


霞「――ずっと、放さないで」





「……結局、親子ってことなのかしらね」

「京太郎か?」

「霞ちゃん、連れ出しちゃったって」

「そうか」

「心配じゃないの?」

「あいつならなんとかするだろ。それよりも、君は大丈夫なのか?」

「まぁ、これで直りかけてた実家との関係も悪化しちゃうけどね」


「でも、これで良かったんじゃないかしら?」

「ほら、私たち今、幸せじゃない?」





小蒔「……」


巴「姫様、考え事ですか?」

小蒔「ちょっと、空を見てました」

巴「空、ですか?」

小蒔「この空の下に、霞ちゃんもいるんだなって」

巴「……せめて私も見送りたかったですね」

小蒔「ごめんなさい、私の独断で」


春「まったくもってその通り」


春「おかげで黒糖を渡せなかった」

巴「あはは、はるるはブレないね」

春「明星たちはまだ落ち込んでるけど」

巴「……しかたないかな、私だって……」

小蒔「……」



小蒔(霞ちゃんがいなくなって、色んな変化がありました)

小蒔(たとえば御飯です)

小蒔(ほとんど霞ちゃんが受け持ってたのを、みんなで分担するようになりました)

小蒔(それと、私たち一人一人も……)

小蒔(初美ちゃんはみんなのお手本になろうと頑張ってます)

小蒔(巴ちゃんは明星と湧と一緒にいる時間が増えました)

小蒔(多分、二人が寂しくないようにだと思います)

小蒔(春は相変わらずのように見えて、黒糖の量がちょっぴり増えました)

小蒔(そして私は――)


小蒔「霞ちゃん……」


小蒔(こうして、時々空を見上げて祈っています)

小蒔(どこか遠い空の下で、あなたたちが幸せに暮らしていますように……と)




『エンディング――どこか遠い空の下で』

というわけで終了

眠いのでおやすみなさい
安価は多分明日で

昨日はぐっすりスヤスヤでしたね……

それはそうと、安価取りたいんですけど、人いますかね?

それじゃ、この中からお好きなのをどうぞ
済がついてるのは選べません


個別

大星淡 済
天江衣 済
桧森誓子 済
姉帯豊音 済
三尋木咏 済
神代小蒔 済
ネリー・ヴィルサラーゼ 済
宮永照  済
エイスリン・ウィッシュアート 済
白水哩 済
竹井久 済
福路美穂子 済
松実玄 済
薄墨初美 済
滝見春 済
石戸霞 済
園城寺怜 済
真屋由暉子 済
清水谷竜華 済
鶴田姫子 済


特殊

久照
久美穂子
小蒔霞
哩姫 済
怜竜


32分まで

締切
とりあえず割ってきます

コンマ判定

小蒔霞:3の倍数以外
久照:3の倍数、かつ奇数
怜竜:6の倍数


直下

3の倍数じゃないので姫様と霞さんで
……またシリアスなんですけど

今日はこれで失礼します

お久ー

顔とか洗ったら始めます

んじゃ、そろそろ始めます

多分これまでのエンディングの中で最長じゃないかと



『お名前と連絡先、教えていただけませんかっ』


京太郎「うっ……」


『愛しています、京太郎様』


京太郎「こ、まき……」


『好き、好きなの……あなたが好きなの』


京太郎「うぁ……」


『お願い、今だけだから……明日からはいつもの私に戻るから……』


京太郎「お、れは……」


京太郎「――っ」ガバッ

京太郎「……はぁ、なんつー夢見てんだ」



霞「おはよう、今日は遅いのね」


京太郎「なんだよ、また勝手に入ってたのか」

霞「だってあなた、私が作らないとちゃんと朝ご飯食べないじゃない」

京太郎「ちょっとぐらいなら食べなくっても大丈夫だって」

霞「いいから食べて。もうできてるわ」

京太郎「ああ、いい匂いすんな……」グゥ

霞「お腹は正直なのね」クスクス

京太郎「別に食べたくないわけじゃないから」

霞「じゃあ用意しちゃうわね」





京太郎「ごちそうさま」

霞「おそまつさま」


霞「ねえ、今日は?」

京太郎「珍しいことに暇。たまにはごろごろしてようかな」

霞「そうね、ゆっくり休んで。家事は私がやっておくから」

京太郎「お前だって仕事あるだろ。いいよ、別に」

霞「今日はお休みなの」

京太郎「……あー、そうだったか」

霞「だから気にしなくてもいいの」

京太郎「じゃあちょっと出かけるわ」

霞「なら掃除しておくわ」

京太郎「だから、お前がそこまでする必要ないって」

霞「いいえ、だって私は――」


京太郎「ただのお隣さん、そうだろ?」



京太郎「だからさ、俺のことなんて気にしなくてもいいんだよ」

霞「……どうして、そんなことを言うの?」

京太郎「もう十分だってことだよ。いつまでも引きずってないで前を向かないとな」

霞「――いやっ!」


霞「あなたの口からそんな言葉聞きたくない!」

霞「あんなことになっても私を引き留めたのにっ、傍に置いたくせに……!」

霞「突き放すなら最初から突き放してよ!」

霞「それなら、私もあなたを……」フラッ


京太郎「おい、霞っ」ガシッ

霞「あなたを……諦められたのに」

京太郎「……もういいから。寝てろよ、顔色悪いぞ」

霞「……部屋に戻るわ」ヨロヨロ

京太郎「どうせ隣に戻るだけだったらここで休んでろ。俺はなんか買ってくる」

霞「あ、待って――」


京太郎「んじゃ、おとなしくしてろよー」バタン


霞「……ただのお隣さんだったら放っておけばいいじゃない」





小蒔「葉桜……」


『――っと、ギリセーフ……大丈夫か? お転婆姫さんよ』


小蒔「もう、随分前のことみたいです」

小蒔「そのころの私はまだなにも知らなくて」

小蒔「大好きな人たちと会えなくなるなんて思いもしないで……」


春「姫様、そろそろ」


小蒔「わかりました、今行きます」

春「……大丈夫?」

小蒔「春が心配するようなことはありませんよ」

春「そう……」


『関節キスは好きな人と、本当のキスは契りを結んだ殿方と』


小蒔「今なら、お母様の言葉の意味が分かる気がします」

小蒔「……本当に好きな人とは結ばれないから、なんですね」

小蒔「京太郎様、霞ちゃん……」


小蒔(小蒔は今日、夫婦となる殿方と顔を合わせます)

小蒔(……京太郎様以外の男性と)





巴「姫様の様子、どうだった?」

春「いつも通りに見えた」

巴「そう……」

春「でも、平気なはずない」

巴「……どうしてこうなっちゃったんだろうね」

春「そんな決まってる。……全部、あの人のせい」

巴「はるる、それは――」

春「私は絶対許さない……許せない」

巴「……」


巴(はるるがこんなに怒るなんて……)

巴(そっか、好きだったんだもんね)

巴(私も……)



初美「はいはいはーい、暇ならこっちを手伝うのですよー」


初美「ほら、はるるは向こう。明星たちがテンパってるのですよ」

春「ん、わかった」タタタ


巴「ごめんね、ちょっと姫様が心配で」

初美「それは無理もないのですよ」

巴「でも、はっちゃんは変わらないね」

初美「私まで沈んでたら、暗くてどうしようもないですからねー」

巴「……うん、そうだね」

初美「ささ、巴ちゃんは表のお掃除を手伝うのですよ」

巴「えっと、ちょっと難しいかな」

初美「まぁまぁ、サボりたい気持ちはわかりますがねー」

巴「そうじゃなくて、はるるが向こう行っちゃったから私が姫様についてないと」

初美「うげっ、じゃあ広い境内をひとりきりで掃除ですかー!?」





京太郎「引きずってないで前を向け、ね」

京太郎「……まぁ、自分のこと棚に上げないと何も言えなくなるよな」


「あら? たしかあなた石戸さんの……」


京太郎「えーっと、どちらさまでしたっけ?」

「やだもう、忘れちゃったの!?」

京太郎「んー……」


京太郎(いや、本当にだれだっけ?)

京太郎(というかこのおばさん、なんとなくうちの母親と同じにおいがする……)

京太郎(……母さん、元気かな)


京太郎「……そうだ、たしか霞の職場の先輩でしたっけ」

「そうそう、やっと思い出してくれた?」

京太郎「すいません、ど忘れしちゃってたみたいで」


京太郎(てか、一度ちらっと顔合わせただけだよな、たしか)



「霞ちゃん、無理しないようにちゃんと見ててあげてね。昨日だって大変だったんだから」

京太郎「昨日? なにかあったんですか?」

「フラフラしてたし、吐き気で食欲もなかったみたいなの」

京太郎「そんなに具合悪かったのか……」

「だからカレシのあなたがしっかり看病してあげること。いい?」

京太郎「彼氏じゃないです」

「そうなの? 時々一緒に帰ってるみたいだし、てっきり同棲してるものだと思ってた」

京太郎「昔からの知り合いで、今はただのお隣りさんですよ。親切にしてもらってますけど」

「えー? 霞ちゃんはあなたにラブだと思うんだけど」

京太郎「ははは、そんなまさか」

「さてはあなた……朴念仁で唐変木ね!」

京太郎「そんなわけ……」


京太郎(……ないわけないよなぁ)


「とにかく、霞ちゃんの気持ちにしっかり応えてあげること! それとも、カノジョさんいたりするの?」

京太郎「いない、ですね」

「じゃあなんも問題ないわね!」



京太郎(あるよ、ありありだよ)

京太郎(そもそも俺は……)


『……俺は小蒔と一緒に生きていくことにした』


京太郎(一回断ったようなもんだろ)

京太郎(そんな都合よくいってたまるか)


京太郎「すいません、買い物あるんでそろそろ」

「あ、もしかして霞ちゃんのお見舞い?」

京太郎「今朝も具合悪そうにしてましたから」

「やっぱり? じゃあお大事にって伝えておいてくれる?」

京太郎「もちろん」

「それと、風邪だったら誰かに移せばって言うし……ね?」

京太郎「……」



京太郎(ね? じゃねーよ)

京太郎(ホントこういう手合いは……)


「じゃあ、うちの本屋のアイドルをよろしくね」

京太郎「アイドル?」

「知らない? 霞ちゃん目当てのお客さん、結構いるんだけど」

京太郎「初耳ですね」

「うかうかしてたら取られちゃうかも……じゃあね~」


京太郎「……ま、その方が全然いいよな、今よりは」

京太郎「あいつにとっても、俺にとっても」

京太郎「だけど……もう半年か」

京太郎「潮時ってやつなのかもな」





『……俺は小蒔と一緒に生きていくことにした』


霞(わかってる。彼は小蒔ちゃんを選んだ)


『お前にだけは言っとかなきゃいけないと思ったから』


霞(やめて……そんなこと聞きたくもない)


『……さぁ、ここでサービスタイムだ。恨み言でも罵倒でも、なんだったら包丁まではギリオーケーだ』


霞(だけど、私は我慢して……)

霞(我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して――)


『お願い、今だけだから……明日からはいつもの私に戻るから……』


霞(――取り返しのつかない間違いを一つ、犯してしまった)





霞「んっ……」


霞(……寝ちゃってたのね)

霞(それにしても……)


霞「なんて、ひどい夢なの……」

霞「すごい寝汗……着替えたいわ」


京太郎「ほら、サイズ合わないだろうけど」


霞「どうしてここに……」

京太郎「自分の部屋にいるのは当然だろ」

霞「そう、だったわね」

京太郎「具合は?」

霞「平気よ」

京太郎「本当か? お前の先輩に昨日も具合悪かったって聞いたけど」

霞「……だから今日はお休みになったの」

京太郎「なるほど、休まされたのか。お前の平気、大丈夫は信用できないからな」

霞「あなたも人のことは言えないじゃない」

京太郎「自分のことは棚上げしなきゃ、なんにも言えないからな」

霞「呆れた開き直り……」

京太郎「それよりも飯とシャワー、どっちにする?」





霞「ごちそうさまでした」

京太郎「おそまつさまでした」


京太郎「はは、今朝とは逆だな」

霞「ごめんなさい、あなたの手をわずらわせてしまって」

京太郎「いいって。普段世話になってるし、それに料理も久しぶりで楽しかったし」

霞「でも私は……」

京太郎「はい、ここでデザートの登場だ」

霞「あなたに対してもとても償いきれない――むぐっ」

京太郎「いいからオレンジ食え」

霞「……しゃべらせてくれてもいいじゃない」

京太郎「今日のお前は辛気臭いことばっかだしな。……それに、そもそも悪いのは俺だから」

霞「それは――むぐっ」

京太郎「はいもう一個ぉ」





初美「うへぇ……やっと終わったのですよ」

初美「まったく……こーんな広いところを一人で掃除しろとか、罰ゲーム以外の何物でもないですねー」


久「やっほー、元気してた?」


初美「あれれ、お久しぶりなのですよ」

久「久しぶり。他の人たちは?」

初美「中ですね」

久「じゃあちょっと上がらせて……って、いきなりアポなしで来ちゃったけど大丈夫?」

初美「思いっきり来客予定があるのですよ」

久「あらら、我ながらバッドタイミングね……それじゃ、手短に挨拶だけにしようかな」

初美「えーっと、それは、なんといいますか……」

久「京太郎たち、いるんじゃないの?」

初美「……もういないのですよ」

久「もしかして出かけちゃった? あちゃー、本当にタイミング悪いわねぇ」

初美「……」



初美「もう帰っては来ない、という意味なのですよ」


久「えーっと、浮気でもして追い出されたとか?」

初美「……」

久「え、やだ、黙らないでよ。本当にそうなの?」

初美「それは……」

久「はぁ……まぁいいや。じゃあ神代さんに聞いてくる」

初美「ダメなのですよ」

久「しょうがない……じゃあ大人しく帰って――」


久「――やるわけないでしょっ」ダッ


初美「あっ、待つのですよ!」

久「そう言われて待つ奴なんているわけないでしょ!」

初美「たしかに!」





『ごめん、俺にはもうここにいる資格がないんだよ』

『それでもっ、私は京太郎様と……!』

『……ホントごめんな、小蒔』


小蒔(あの時、無理にでもついていけたら)

小蒔(お母様の言いつけを破ってでも、外に出ていっていれば)

小蒔(私は、今も京太郎様と……)


『霞ちゃん……』

『みんなのこと、お願いね』

『……はい』


小蒔(一人で背負いこんでいることには気づいていたはずなのに)

小蒔(聞きたいことがあったはずなのに)

小蒔(それとずっと向き合わないまま、私は……)





『こらー! 観念するのですよっ』

『あーもう、しつっこいわねぇ!』


巴「あれ? はっちゃんと……だれ?」

小蒔「だれか、来客でしょうか?」

巴「なんだか聞き覚えのある声のような」


久「お邪魔します!」


巴「た、竹井さん!?」

久「京太郎、どこ行った――うわっ」

初美「やーっと捕まえたのですよ!」

久「ちょっと、放してよ……!」

初美「放せと言われて放す奴はいないのですよ!」

久「さっきの意趣返しかっ」

初美「その通り!」



巴「えっと、何事なのかな?」

初美「不法侵入なのですよ!」

久「そっちがはっきりしたこと教えないからでしょ!」


久「一体京太郎に何があったっていうのよ!」


巴「えっと、それは……」

久「ほら、口つぐむ」

初美「とにかく、今日はお客さんが来るからもう帰るのですよっ」


小蒔「二人とも、下がってください」


巴「……わかりました」

初美「むぅ、姫様がそういうなら」





久「それで、なにがあったの?」

小蒔「あの二人……京太郎様と霞ちゃんは、問題を起こして追放された……それだけです」

久「問題って?」

小蒔「お答えできません」

久「あのバカが石戸さんと浮気したとか?」

小蒔「お答えできません」

久「……しばらく会わないうちにすっかり他人行儀ね」

小蒔「……今までがおかしかったんだと思います」


小蒔「あの夏の日に、あなたたちを迎え入れなければ」

小蒔「私は恋も嫉妬も……なにも知らないままでいられた」


小蒔「……お引き取りください。もう話すことはありません」

久「そうね……だけど一個だけ言わせて」


久「悲劇のヒロイン気取り?」

久「自分からはなにもしようとしないで被害者面?」

久「要するに諦めたんでしょ。あいつのことも石戸さんのことも」

久「アホらしい……こんな女に取られたなんてね」


久「それじゃ、さようなら。なんにもできないかわいそうなお姫様」

小蒔「帰って! 帰ってください!」

久「言われなくても!」





久「あーもう、むしゃくしゃする……!」

久「信じて送り出した幼馴染が行方不明って? しかも破局してるし!」

久「こんなことならもっと……」


初美「ちょっと待つのですよー」


久「なに、お礼参り?」

初美「どこの不良ですか」

久「違うの?」

初美「ちょっと姫様のフォローをと」

久「……まあ、こっちも多少八つ当たりは混じってたけどね」

初美「やっぱり。フラれた女の未練は――いひゃいいひゃい!」

久「喧嘩なら買うわよ?」ギリギリ





霞「……」ムスッ

京太郎「まだ怒ってるのかよ……悪かったよ。たしかにあのオレンジはちょっと酸っぱかった」

霞「……オレンジはおいしかったわ」

京太郎「じゃあなに、問答無用で口に突っ込んだことか?」

霞「……」

京太郎「やっぱそれかぁ。無理やりはよくないよな、うん」


霞(違う、そうじゃない)

霞(私が何よりも許せないのは、自分)


『自分のしたことの意味、わかっていますね?』

『……はい。どのような罰も甘んじて受け入れます』

『ならば、ここを去りなさい。それがあなたに与える罰です』

『わかり、ました』


霞(現状に、幸せを感じてしまっている自分が許せない)

霞(私のせいでなにもかも壊れてしまったのに)

霞(それなのに、どうしてこの人は……)



霞「どうして、あの時私を引き留めたの? 私なんてほうっておけばよかったのに」

京太郎「あのなぁ、あんな糸の切れた凧みたいなやつ、放っておけるわけないだろ」

霞「……そうね、あなたはそんな理由で無茶をする人だったわね」

京太郎「……あとはさ、居場所がほしかったんだよ」


京太郎「あそこにいられなくなって、今更帰るわけにもいかなくてさ」

京太郎「じゃあ俺はどこに行ったらいいんだろうって」

京太郎「そしたらお前が隣にいて……よし、こいつのために頑張ってみようって」

京太郎「……いや、結局は自分のためだな」


霞「自分のため……」

京太郎「ああ、思えば強引につき合わせちゃってたよな」

霞「それで、あんな倒れるまで無理して働いて……」

京太郎「……二部屋分の家賃はさすがに失敗したと思ってるよ」

霞「同じ部屋でも構わなかったわ」

京太郎「それでも線引きはいるだろ、やっぱり」

霞「今は、必要?」

京太郎「……霞」



『それでもっ、私は京太郎様と……!』


京太郎「悪い、まだ……」

霞「……でも、あなたは私を傍に置いた」

京太郎「ああ」

霞「私を、必要としてくれたのよね?」

京太郎「そうだよ」

霞「そう……」


霞「今日は帰るわ……また明日」





『あなたは、あの子の傍にいる資格を失った』

『……』

『その意味はわかりますね?』

『……はい』

『それならば、早いうちに去ることです。……これ以上辛くなる前に』

『お世話に、なりました……』

『……結局、こうなってしまうのですね』


京太郎「……俺は、もうあそこには戻れない」

京太郎「小蒔と一緒にいる資格も、ない」

京太郎「ここが俺の今の居場所」

京太郎「そしてここにはあいつが、霞がいる」

京太郎「それなら、このままあいつと……」


『私も……愛しています、京太郎様』


京太郎「――っ」ダンッ

京太郎「どんだけ未練ったらしいんだ、俺はっ……!」





『そしたらお前が隣にいて……よし、こいつのために頑張ってみようって』


霞(……もし、許されるならこのまま)

霞(過去を全部捨てて、彼と一緒にいられるなら……)


――ピンポーン


霞(来客? こんな朝早くに)

霞(彼は仕事に行ったし……)


『あれ、こっちも留守?』


霞(この、声は……)





久「えーっと、ここかな?」

久「……うん、住所も建物の名前もあってる」

久「201は……あった」ピンポーン


久「……出ない」

久「まぁ、働いてるならしょうがないか」

久「じゃあ次は隣ね」ピンポーン


久「あれ、こっちも留守?」

久「まいったわねぇ……」

久「んー、場所はわかったし、また夕方にでも――」


霞「やっぱり、竹井さん」



久「あら、いたんだ」

霞「どうしてここが……」

久「まぁ、色々伝手があって、調べてもらったの」

霞「……何の用?」

久「元気にしてるかの確認。神境では色々とあったみたいだし」

霞「そう……小蒔ちゃんたちに会ったのね」

久「色々とわけわからなくてさ、みんな口つぐんじゃうし」

霞「無理もないわ。……いい思い出とはとても言えないもの」

久「それで、当事者のあなたならどうかなって」

霞「悪趣味ね」

久「だってそれであいつが苦しんでるんだったら、なんとかしたいし」

霞「……そう、彼のために」

久「あ、本人には言わないでよ。恥ずかしいから」

霞「わかっているわ」

久「それで、話す気ある?」

霞「……」





久「……大体わかったわ。それでここに来たわけ」

霞「ええ……神境を出た後は、彼がこの部屋を見つけてくれて……私の分の家賃まで賄って」

久「はぁ? そんな無茶してたの?」

霞「一度、倒れたわ」

久「あのバカ……」

霞「……彼は悪くないわ。私が精神的にまいっていたせいよ」

久「それなら意地張らないで、一部屋だけにしちゃえばよかったじゃない」

霞「線引き、なんだって」

久「はぁ……そういう関係じゃないからってことでしょ」

霞「……ええ」

久「ありがと……それとごめんなさい」

霞「悪かったのは私よ。あなたが気にすることはないわ」

久「それでも、辛くなかったわけじゃないでしょ?」

霞「……どうかしら」

久「思うに、それが一番悪いのよ。我慢しすぎ」

霞「初美ちゃんにも、同じことを言われたわ」

久「じゃあ2対1ね」


久「それじゃ、そろそろお暇するわ」


霞「これからどうするの?」

久「あいつの顔見てから決める」





京太郎「デネブ、アルタイル、ベガ……夏の大三角か」

京太郎「今頃インハイか……なつかしいな」

京太郎「ん?」ガチャ


京太郎(鍵、開いてる?)

京太郎(また霞が上がってるのか)


久「あ、おっかえりー」


京太郎「……久ちゃん? なんで?」

久「鍵だったら石戸さんにちょっと貸してもらったから」

京太郎「いやいや、そこじゃなくて」

久「大学なら休みだから。ほら、夏休み」

京太郎「そこでもないから……どうしてここにいるってわかったんだよ」

久「龍門渕さんとか智葉とか、あと獅子原さんのカムイ? とか色々協力してもらったのよ」

京太郎「なにそれこわい」

久「とりあえず、体は大丈夫そうで安心した」

京太郎「ま、丈夫なのが取り柄だしな」

久「でも一回倒れたんだって?」

京太郎「うぐっ」

久「それも変な意地張って」

京太郎「ま、まあ……もうそれは過去の話だから」

久「そうね……じゃあ本題」



久「神代さんと別れたんだって?」


京太郎「……」

久「……はぁ、やっぱりそうなるか」

京太郎「もう終わったことだって」

久「って口で言ってるだけでしょ」

京太郎「そんなこと――」

久「全部聞いたから」

京太郎「……霞からか?」

久「ちょっと気の毒なことしたけど」

京太郎「できるならそっとしておいてほしいんだけど」

久「あんたがさ、もう振り切って幸せそうにしてるなら、それでもいいと思った」

京太郎「幸せだよ、十分にさ」

久「そうそう、薄墨さんから聞いたんだけどね」



久「神代さん、新しい婿を取るんだって」


京太郎「……そりゃそうなるだろ」

久「それで、感想は?」

京太郎「別に」

久「その割には辛そうな顔してるじゃない」

京太郎「俺にはもう関係ない」

久「なんでそう思うのよ」

京太郎「だから、もう終わったことだって――」

久「ウソつくな」


久「私があんたのウソを見抜けないわけないでしょ」


久「終わったなんて思えてない」

京太郎「……やめろ」

久「関係ないなんて思えてない」

京太郎「やめろ」

久「あんたはまだ、神代さんのことが――」



京太郎「――やめろって言ってるんだよ!!」


京太郎「未練なんてあるに決まってんだろ!」

京太郎「今でも夢に見る! 起きたら隣にいないことがたまらなく辛い!」

京太郎「だけど俺になにができる!?」

京太郎「俺はもうあそこにいる資格がないんだよ!」


京太郎「はぁ、はぁ……」

久「……」

京太郎「だから、もう……ほっといてくれ」

久「資格ってなに?」

京太郎「それは――」


久「あんた、要するに逃げたんでしょ」

久「俺には幸せにする自信がないからって」

久「それでこんなところで腐って……」

久「いい加減にしろ、この種無し野郎っ!!」



京太郎「このっ、ピンポイントでデリケートゾーン抉りやがって!」

久「相手のことを考えて? そうしたほうが幸せだから?」

京太郎「ああ、そうだよ!」

久「大人になったつもりかこの朴念仁!」


久「ストーカーまでして私を麻雀に引き戻したあんたはどこ行った!」

久「好きなら、愛してるなら、自分の手で幸せにしてみせなさいよ!」

久「それであんたも幸せになってさ……私を、安心させてよ」

久「この女と一緒になって、良かったんだって」


京太郎「……結局、自分のためかよ」

久「そうよ、悪い?」

京太郎「いや、わかりやすくていい」

久「それで、どうするのよ」

京太郎「あの日、伝えられなかったことを伝えに行く」

久「向こうの都合は?」

京太郎「知るかよ、そんなの」

久「……それでいいのよ」





『未練なんてあるに決まってんだろ!』

『今でも夢に見る! 起きたら隣にいないことがたまらなく辛い!』

『だけど俺になにができる!?』

『俺はもうあそこにいる資格がないんだよ!』


霞「……」


霞(わかってる……いえ、わかってた)

霞(だって、朝起こそうとしたら寝言で呟いてるし)

霞(彼は今でも小蒔ちゃんを愛しているんだって)

霞(まだ半年しか経ってないのに……忘れられるわけないじゃない)

霞(私なんて、一年経っても無理だったんだから……)


霞「だれかのため、自分のため……」


霞(私は……)





久「せいぜいフラれないようにね」

京太郎「そうしたらまた日本一周でもして、それからまたアタックするよ」

久「なにそれ、すっごい迷惑」

京太郎「焚き付けたのは久ちゃんだからな」


京太郎「じゃ、ちょっと行ってくる」


久「……やっぱり人間、そうそう変わらないわよね」

霞「あなたの気持ちも?」

久「さぁ、どうかな」

霞「……私も行くわ」

久「我慢はやめるの?」

霞「さぁ、どうかしら」

久「……なんにしても、後悔だけはしないようにね」

霞「大丈夫よ、もうそれには慣れっこだから」


霞「それに……もう一人じゃないから」





小蒔「……」

巴「姫様、もうお休みになったほうが――」

小蒔「もう少し、星を見ていたいんです」

巴「……わかりました。それじゃあ、お茶とお茶請け、持ってきますね」

小蒔「はい、お願いします」


小蒔(……ダメですね。まだみんなを心配させちゃってます)

小蒔(霞ちゃんもこんな気持ちだったんでしょうか?)


小蒔「今日会った殿方……私は、あの方と」グッ

小蒔「ふぅ……いけませんね、ちょっと気晴らし……また木に登ってみましょうか」

小蒔「その方が、星もよく見えますよね」





小蒔「んしょ、よいしょ……登れました!」


『あーもう、気ぃつけろよー』


小蒔「……心配しなくても、もう慣れちゃいました」

小蒔「あなたがいない、日常にも……」

小蒔「だから、私は……」ポロッ

小蒔「あれ、おかしいです……悲しくなんて、ないのに」

小蒔「……ウソです」

小蒔「全部全部ウソです」

小蒔「好きです、傍にいてほしいです、愛しています」

小蒔「京太郎様……!」


京太郎「呼んだかー?」


小蒔「え……きゃっ――」ガサッ



京太郎「――っと、ギリセーフ……大丈夫か? 小蒔」

小蒔「どう、して……」

京太郎「あの日さ、やり残したこと思い出して」

小蒔「……お引き取りください、あなたはもう」

京太郎「知らねーよ。しきたりとか立場とかお役目とか、そういうのはもううんざりだ」


京太郎「資格がないって、お前はダメだって言われて諦めてた」

京太郎「そんで、その方がお前のためになるって決めつけて逃げてた」

京太郎「でも、それでいいわけないんだよ」

京太郎「だって俺は、あの時全部伝えてなかったんだから」

京太郎「俺がどうしたいか、俺がなにをしたくないか」

京太郎「そんな当たり前なことを、伝えられなかったんだ」


『それでもっ、私は京太郎様と……!』


京太郎「お前は、ちゃんと言おうとしてくれたのにな」

小蒔「……」

京太郎「だから言うよ」



京太郎「小蒔、お前と一緒にいたい。離れたくない」

京太郎「資格なんて知らないし、いらない」

京太郎「お前に人並みの幸せをやることはできないかもしれないけど、俺なりに幸せにする」

京太郎「だから、ずっと俺の傍にいてくれないか」


小蒔「どうして……どうして今更そんなこと言うんですか」

小蒔「二人がいなくても頑張ろうって、みんなを支えていこうって思ってたのに……」

小蒔「全部、全部ダメになっちゃいました……!」ポロポロ


京太郎「じゃあ俺の目論見通りだ」

小蒔「ひどいですっ、最低ですっ、人非人ですっ」

京太郎「それぐらいで一緒にいられるなら安いもんだよな」

小蒔「京太郎様なんて、京太郎様なんて……」



巴「……姫様」


小蒔「と、巴ちゃん」

巴「正直になってください」

小蒔「そんな、私はっ」

巴「寝言で自分がなんて言っているか、わかってます?」

小蒔「うっ……」

巴「そんな夢に見るぐらいなのに、大丈夫なわけないじゃないですか」

小蒔「でも、私は霞ちゃんからみんなのことを……!」



春「よろしくされる側の姫様がよく言う」


小蒔「春まで!」

春「姫様が頑張ったらむしろ空回るし」

小蒔「ひどいです!」

春「大丈夫大丈夫って言って余計心配させてるし」

小蒔「そんなことないですっ」

春「知らぬは当人ばかりとはこのこと」

小蒔「あうっ」



初美「まぁ、努力だけは花丸ですけどねー」


小蒔「初美ちゃん!」

初美「中身が伴ってないので結局ダメダメなのですよ」

小蒔「ダメダメじゃないです!」

初美「それはそうとですね」

小蒔「わきに置かないでください!」

初美「特別ゲスト、つれてきたのですよ」



霞「……久しぶりね」


小蒔「え……」

巴「霞、さん」

春「……」

京太郎「……お前もついてきてたのか」

初美「入り口でうろうろしてたのを確保したのですよ」

霞「……ちょっと、入りづらくて」

京太郎「まぁ、気持ちはわかるよ」

初美「何を言うのですか。ずけずけと入ってきたくせに」

京太郎「それで遠慮するかどうかは別問題だろ」


小蒔「ちょっと待ってください!」


小蒔「正直に言います……私は、また二人に会えて嬉しいです。でも……」

霞「……ええ、もう元には戻れない」

小蒔「――っ」

霞「みんな、少し小蒔ちゃんと二人きりにしてもらってもいいかしら?」



初美「好きにするのですよ」

巴「……姫様がいいなら」

春「……知らない」

霞「ありがとう、みんな」


京太郎「じゃあ、待ってる間お茶でももらうか」

初美「どんだけ図々しいのですかっ」

京太郎「まぁまぁ、来客だと思ってひとつ」

春「黒糖、用意する」

巴「お茶、冷めちゃったから淹れなおしてきますね」

初美「それでなんで歓迎ムードですか!」





小蒔「……霞ちゃん」

霞「半年ね、あれから」

小蒔「はい、半年ぶりです」

霞「……実は、ここに来る途中、小蒔ちゃんのお母様と連絡を取ってきたの」

小蒔「お母様と、ですか?」

霞「ええ……」





『それが、どういう意味か分かっているのですか?』

霞「はい、重々承知しています」

『あなたの役目はたしかにあの子の身代わり……しかし、それが神代に成り代わるなど』

霞「私は神代にはなれません……でも、この子なら」

『まさか……』

霞「ええ、彼の子供です」

『ありえません……だからこそ彼は居場所を失ったというのに』

霞「可能性はゼロではなかったはずです」

『それでも、限りなく低い。なぜなら――』

霞「はい、それは他ならぬ私が一番よくわかっています」


霞(もう大丈夫だと思ってた)

霞(でも、抑えきれなかった)

霞(私はあの日――)


『好き、好きなの……あなたが好きなの』

『お願い、今だけだから……明日からはいつもの私に戻るから……』



霞(彼は、私をやさしく引き離して、首を横に振った)

霞(そして我に返った私は、その場を逃れようと走り出して……)


『霞っ』


霞(私をかばった彼は、交通事故で生殖機能をほぼ失った)

霞(神代の婿の役目は、子をなすこと)

霞(それを果たせないのであれば、その資格を失う)


霞「彼はきっと小蒔ちゃんを連れ出します。そうなったら、代わりが必要かと思われます」

『……』

霞「それとも、ウソだと疑いますか?」

『……いいえ、あなたはそんなつまらないことはしないはず』

霞「……」


霞(彼は何も知らない)

霞(この子のことも、私を抱いたことも)

霞(いいえ、あれは私が彼を術で眠らせて……)



『いいでしょう……あなたの覚悟をくみ取ります』

霞「ありがとうございます」

『……これで小蒔は幸せになれると思いますか?』

霞「ええ、彼とならきっと」

『私は、あなたにも幸せになってほしかった』

霞「私に、ですか?」

『あなたは、昔の私に似ていたから……』

霞「……」


『なんだよ、また勝手に入ってたのか』

『だってあなた、私が作らないとちゃんと朝ご飯食べないじゃない』

『ちょっとぐらいなら食べなくっても大丈夫だって』

『いいから食べて。もうできてるわ』

『ああ、いい匂いすんな……』グゥ

『お腹は正直なのね』クスクス

『別に食べたくないわけじゃないから』

『じゃあ用意しちゃうわね』


霞「私は幸せでした……だから、きっと大丈夫です」





小蒔「霞ちゃんたちが戻ってこられるようになった……そうですよね?」

霞「……戻るのは私だけよ」

小蒔「え、じゃあ京太郎様は……」

霞「それはもう、どうしようもないの」

小蒔「そんな……」

霞「だから、あなたが一緒に行ってあげて」

小蒔「……え?」

霞「私があなたの代わりになる……だから」

小蒔「そ、そんなのダメですっ」

霞「どうして?」


小蒔「……ずっと、怖くて聞けませんでした」

小蒔「霞ちゃんはずっとお役目のために我慢してて……」

小蒔「それはとても辛いことだったんじゃないかって」

小蒔「私の、身代わりという立場が」



霞「……よかったのよ」

霞「辛かった、苦しかった、うんざりしてた」

霞「でも、みんなと一緒にいられた」

霞「離れてようやく、私の居場所はあそこだったんだって気づいた」

霞「それに……ねえ、触ってみて?」


小蒔「えっと……」オズオズ

霞「ここにもう一人いるの」

小蒔「霞ちゃん、それって」

霞「彼は小蒔ちゃんにあげるけど、彼の子は私がもらうわ」

小蒔「そんな、もうダメだって言ってました」

霞「ゼロとゼロに近いでは、大きな違いがあるということね」

小蒔「羨ましいです……でも、霞ちゃんはお母さんになるんですね」

霞「ええ」

小蒔「……決めました」



小蒔「私もお母さんになります」

小蒔「それはとっても大変で、時間のかかることかもしれません」

小蒔「けど、いつかきっと、京太郎様の子供を産みます」

小蒔「霞ちゃんだけに独り占めはさせません!」


霞「……欲張りなのね」

小蒔「ズルした霞ちゃんに言われたくないですっ」

霞「やってみるといいわ……できるなら」

小蒔「やります、やってみせます……それでいつか」


小蒔「また、みんなで……」

霞「ええ、そうね」





小蒔「お待たせしました」

京太郎「話、終わったか?」

小蒔「はい」

京太郎「それじゃあ、これからだけど――」

小蒔「ついていきます」

京太郎「……いやまあ、連れ出す予定ではあったけど、こうもすんなりいくとは」


春「そんなこともあろうかと」

初美「荷物は用意しているのですよ」

京太郎「いや、お前らも準備よすぎだろ」

巴「いつか、こんな風になるんじゃないかなって」

京太郎「どこをどうしたらそんな予想が――って、うちの母親か」



霞「小蒔ちゃんをおねがいね」

京太郎「心配すんな。返せって言われても返さないから」

霞「……今までありがとう。あなたがいなければ、私は……」

京太郎「俺こそ、今まで傍にいてくれてありがとう、だよ」

霞「あなたと過ごした半年、楽しかったわ」

京太郎「ああ、悪くなかった」

霞「それに、かけがえのないものももらえた」

京太郎「なんだそりゃ?」

霞「ふふ、ナイショ」


小蒔「みんな、今までお世話になりました」

春「うん、実際その通り」

初美「ですねー」

巴「あはは……」

小蒔「うぅ~、みんなひどいですっ」


小蒔「とにかくっ、お別れですけどさようならは言いません!」

小蒔「だってまた会えますから」

小蒔「だからみんな、またいつかです」





初美「……行っちゃいましたねー」

巴「姫様、幸せになれるかな」

春「京太郎が一緒だし、問題ない」

初美「それよりも……」


霞「……」


初美(問題はこっちなのですよ)


春「……忘れないで」

霞「なにかしら」

春「私は、あなたを許したわけじゃない」

霞「……わかってるわ」


初美(あちゃ~、はるるはキレッキレ)


巴「……ごめんなさい、心の整理がまだ」

霞「構わないわ。それだけのことを私はしてしまったのだから」

巴「すみません……」


初美(巴ちゃんも……)

初美(やれやれ、ですねー)





霞「やっぱり、うまくいかないものね」

初美「ま、しょうがないのですよ」

霞「初美ちゃんはいつも通りなのね」

初美「一人ぐらい味方がいないと、霞ちゃんもまいってしまいそうですからねー」

霞「……ありがとう、初美ちゃん」

初美「お礼はしっかり関係修復してから言うのですよ。まだ明星たちもいるのですよ」





京太郎「小蒔」

小蒔「なんでしょうか?」ギュッ

京太郎「いやにくっつくなって思って」

小蒔「えっと、ダメでしょうか?」

京太郎「……いや、半年分には足りないな」

小蒔「それなら……んっ」


小蒔「ずっと、私を離さないでください」


小蒔「愛してます、京太郎様」

京太郎「ああ、俺も愛してる」





「ん~……こっちはあったかいな」

「いててて、ずっと座りっぱなしだったからなぁ」

「ここが鹿児島……」


(中学の卒業旅行……という名目で訪れたこの地)

(ここで僕の父さんと母さんは出会ったらしい)

(両親はいわゆる駆け落ちで一緒になったらしく、そのためかあまり昔のことを語らない)

(隠されると余計気になるというやつだろうか)

(母さんの故郷、海が綺麗だというその場所が見てみたい――僕はその一心でここにいる)

(……卒業旅行でほぼ日本一周したという父さんの影響もないとはいえない)


「えっと、霧島だっけ?」


(あまり多くを語らない僕の両親だが、調べればそれなりに情報は出てきた)

(そもそも母さんは二十年ぐらい前に、女子麻雀のインターハイで大暴れしたらしい)

(その時の所属校の名は、永水女子)

(なんでもみんなして巫女服姿で試合に出たりと、中々のインパクトだったとか)



「このバスでいいのかな?」


(そしてバスに揺られること数十分)

(僕は――)


「やべ、ここどこだよ……」


(――見事に降り過ごした)

(海沿いのガードレールにもたれ、ちょっと途方に暮れる)


「……しょうがない、ちょっと歩くか」





(結果的に言えば、バスを降り過ごしたのは正解だったと思う)

(海沿いの道をのんびり歩くのは散歩コースと考えれば、悪くない)

(加えて、今の時期だと満開とはいかないがちらほら桜が咲いている)

(これを考えれば、悪くないどころかおつりまでくる)


「これが霧島の海かぁ」


(一応、これで旅の目的を果たしてしまったことになる)

(それはそれでいいのだが、すぐに帰ってしまうのはもったいない)

(だけど……)


「……なにしようか」


(ここで計画性のなさが露呈した)

(というより、ほとんど行き当たりばったりで、決めていたのは飛行機の予定ぐらいだ)

(当然宿もとっていないし、帰りの便もとっていない)

(……参考にしたのが父さんの話だったのがいけなかったかもしれない)



「ま、いーや」


(観光ガイドはなくても、携帯という心強いツールがある)

(これでいろいろ調べれば……)


「あ、電池3パーセント……」


(携帯の命は風前の灯だった)

(まずは充電しないことには調べ物もおぼつかない)

(とりあえずはコンビニを――)


「やめたやめた」


(――探すのはやめて、また歩き出す)

(行き当たりばったりだからこそ面白い)

(父さんのそんな言葉を思い出したからだ)

(それに、そんな状況でこそあるのかもしれない)

(父さんと母さんのような、運命の出会いというやつが)



――ドンッ


「きゃっ」


(柔らかい衝撃と、女の人の声)

(よそ見しながら歩いていたらぶつかってしまったらしい)


「すいません、大丈夫ですか?」

「いいえ、こちらこそ」

「立てますか?」スッ

「あ、すみません」


(その人は、巫女服を着ていた)

(年は多分、僕よりもちょっと上で……胸がものすごく大きい)

(胸が、ものすごく、大きい)


「どうかなさいましたか?」

「あ、ああ……あはははは」

「?」


(もう笑うしかなかった)

(顔はやたらと熱いし、変な汗まで出てくる始末)

(だって、この人はそれほど綺麗で……あ、そうか)

(もしかしたら、あれか。これはあれなのか)

(これが俗にいう……一目惚れというやつなのか)



「お揃い、ですね」

「おっ、おおお、お揃い?」


(どもった……どもった上にうわずって裏返った)


「髪の色、そっくりじゃありません?」

「た、たしかに」


(言われてみればその通りだった)

(僕の髪は、父親譲りの金髪)

(良くも悪くも目立つこの地毛だが、この人との共通点になるならば悪い気はしない)

(とりあえず、どうにかして話題を……!)


「あああ、ああののっ」

「はい?」


「お名前と連絡先、教えていただけませんかっ」




『エンディング――それを運命と呼ぶならば』

ようやっと終わり……クソ長かった
もう当社比300%です

このエンディングは姫様のエンディングからの分岐になります
分岐点は、ある場面で霞さんが我慢できるかできないか
ちなみに最後の少女の見た目は金髪バージョンの霞さんってことで

安価は後日にぶん投げておやすみなさい

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