京太郎「俺が三年生?」咏「婿養子とかいいんじゃね? 知らんけど」 (1000)

まず注意書き

・このスレは京太郎主人公の安価スレです

・いわゆる設定改変してるので上記の内容も含めて苦手な方は注意

・安価ですがバトルや成長要素はありません でも好感度はあるかも

・息抜き用のスレなので結構適当です




過去スレ

京太郎「俺が三年生?」久「私が幼馴染じゃ不満?」
京太郎「俺が三年生?」久「私が幼馴染じゃ不満?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1421331009/)

京太郎「俺が三年生?」照「私が幼馴染……二番目だけど」
京太郎「俺が三年生?」照「私が幼馴染……二番目だけど」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1424967959/)

京太郎「俺が三年生?」咲「私だって幼馴染だもん……一応」
京太郎「俺が三年生?」咲「私だって幼馴染だもん……一応」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1428250237/)

京太郎「俺が三年生?」小蒔「初めては私です!」
京太郎「俺が三年生?」小蒔「初めては私です!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1432920266/)

京太郎「俺が三年生?」由暉子「ゆきみだいふく、食べませんか?」
京太郎「俺が三年生?」由暉子「ゆきみだいふく、食べませんか?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1436794762/)


エピソードを時系列順にまとめたwiki
http://www62.atwiki.jp/kyo3nen/

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1439383761



・二年、冬、鎖でつなぐもの――if


京太郎「コーヒーとミルクティ、どっちがいい?」

姫子「ミルクティで」

京太郎「ほら」

姫子「ん、ありがとうです」


京太郎「こんな寒空の下でなにやってんだかな」

姫子「デート?」

京太郎「そんな大層なものじゃないだろ」

姫子「じゃあ逢引ですかね?」

京太郎「なんかデートより響きが重くなったな」

姫子「むぅ……先輩、ノリ悪かですよ」

京太郎「そんなにデートがいいならデートってことにしていいけどよ」

姫子「上から目線はんたーい」

京太郎「少なくとも身長は俺の方がずっと高いけどな」



姫子「……実はですね、今こうやって外におるのも頭冷やすためなんです」

姫子「今まで部長と一緒に色んなことして、見て、触れて……」

姫子「ばってん、一緒じゃダメで独り占めしたいことができて」

姫子「最初は同じもんに興味ば引かれたのは絆の深さかて思うたんですけど」

姫子「部長が独り占めばしたいって思っとることに気がついて、私もそうだって気づいて」

姫子「こい、どうしたらよかとですかね?」


京太郎「……とりあえず、それは分けられるものじゃないんだよな?」

姫子「どうですかね? 少なくとも物理的に分けたらなんも意味がなくなるこつはたしかです」

京太郎「……今一瞬悪寒が走った」

姫子「風邪ですか?」

京太郎「さあな……でも俺はあまり有効なアドバイスができそうにない」

姫子「あはは……気にせんでよかとですよ」

京太郎「悪いな」


姫子「そもそも当人に相談してどがんすって話ですし」ボソッ


京太郎「でもまあ、愚痴とかそういうのは聞き流してやるから好きなだけどうぞ」

姫子「聞いてくれるんじゃなかとですか?」

京太郎「聞くよ? すぐ流すけどな」

姫子「もう……でも先輩のそういうとこ、嫌いじゃなか……です」



姫子「ううん、むしろ……」


姫子「先輩」

京太郎「ん?」

姫子「私の顔ば見てください」

京太郎「なんだ、あらたまって」

姫子「こがなやぁらしか子と向き合えるんですよ?」

京太郎「お前の根性がやらしいのは認めるけどな……これでいいのか?」

姫子「……」

京太郎「で、なに――」グイッ


姫子「――んっ」



姫子「ぷはっ……先輩、背ぇ高すぎですよ」

京太郎「……は?」

姫子「キスしやすい身長差が15センチらしいですけど、先輩はどんぐらいでしたっけ?」

京太郎「182だけど……ってそうじゃないだろ! お前いきなりなにしてんだよ!」

姫子「どうでした? 私のファーストキス」

京太郎「マジか、お前初めてだったのか……正直そうは見えなかった」

姫子「先輩も初めてでした?」

京太郎「いや、俺は……って違う!」

姫子「なぁんだ、ちかっと残念です」

京太郎「俺のことはいいだろ……それよりお前だ。何考えてるんだよ」

姫子「理由ば知りたいとですか? じゃあ、にぶちんな先輩に教えてあげます」


姫子「先輩のこと、すいとっけん……欲しいです……我慢、できません」



京太郎「……お前はあれか、肉食系か」

姫子「あはは……」

京太郎「まあ、そこらへんは俺もだけどな」

姫子「――んむっ」

京太郎「やられっぱなしってのも面白くないしな」

姫子「強引ですよぉ」

京太郎「今のはあくまでも仕返しだっての」


京太郎「本番はこれからだろ」ギュッ



姫子「んっ……」

京太郎「そういやさ、エッチしやすい身長差とかもあるのか?」

姫子「た、たしか……20センチぐらいやったと思います」

京太郎「20センチね……お前の身長は?」

姫子「んぁ……162、ぐらいです」

京太郎「ちょうど20センチか……なら試してみるか」

姫子「ヤル気まんまんじゃなかとですかぁ……」

京太郎「お前だってさっきからモゾモゾしてるだろ」

姫子「先輩がそがん力強く抱きしめてきよるからぁ……」

京太郎「やっぱ期待してるってことか」

姫子「そいは……」

京太郎「まあ、俺も我慢できなくなってきたしな」

姫子「優しく、してください」

京太郎「よし、じゃあ激しくしちゃおうかな」

姫子「ん、それはそれで……」

京太郎「いいのかよっ」





京太郎「ふぅ……」

姫子「あ、はぁ……す、すごかぁ……」ビクンビクン

京太郎「……大丈夫か?」

姫子「せんぱぁい……もっと、もっとぉ」

京太郎「うっ……」ムクムク

姫子「ここ、まだ元気じゃないですかぁ」

京太郎「それは全面的にお前が悪いっ」ガバッ

姫子「ぁんっ、先輩のけだものぉ」





京太郎「はぁ、はぁ……」

姫子「あ、んぁ……」

京太郎「さすがに疲れた……てか寒い」

姫子「んっ……もうギブですか?」ツヤツヤ

京太郎「……なんだかお前は元気そうだな」

姫子「あはは……もう腰が上がらんです」

京太郎「じゃあ引き分けだな」

姫子「でも今日の私はハンデ付きですよ? 女の子の初めては負担かかりますし」

京太郎「速攻で気持ちよさそうにしてたやつが何を言うか」

姫子「もう……こげなときぐらいは優しくしてほしか……」

京太郎「あー、はいはい」ナデナデ

姫子「ん……こんなんで誤魔化される思うたら大間違いですよ?」

京太郎「じゃあ、どうしたら誤魔化されてくれるんだ?」

姫子「キスしてください。んっ」

京太郎「お安い御用で」





姫子「先輩」

京太郎「どうした?」

姫子「愛しとーよ」

京太郎「お、なんかランクアップしたか?」

姫子「むっ」

京太郎「冗談だって、むくれるなよ」

姫子「じゃあ先輩もちゃんと言ってください」

京太郎「あー、姫子」

姫子「なんですか?」

京太郎「……愛してる」


姫子「んんっ……!」ビビクン


京太郎「え、なにその反応」

姫子「せ、先輩……私また……」

京太郎「バカ、いい加減帰るぞ!」

姫子「あーん、先輩のいけずぅ」




つづ……かない

てなわけで姫子とのもしもでした
ちなみに物陰でカタカナにしたら外人っぽくなる部長が悶えてます

それにしても前スレの1000……
下手したらみんな病むんですけど……
大星さんはまだ未登場だし

まぁ、気が向いたらifでやります



・二年、秋、苗字と名前


京太郎「あー、疲れたー」

「起き抜けに何言ってるのよ。まだ若いんだからシャキッとしなさいよ」

京太郎「つっても最近忙しすぎてさ……修学旅行が終わってやっと落ち着いたんだよ」

「そういえば、なにか進展あったの?」

京太郎「進展? 何の話さ」

「だからぁ、久ちゃんのことよ」

京太郎「そういや最近生徒会長になったな。あれ、学生着会長だっけ?」

「もう、そういうことじゃなくて! 男女の仲よ!」

京太郎「またそれか……ないよ」

「えー? 修学旅行なのに? 夜這いとか夜這いとか」

京太郎「そもそもずっと野郎と一緒だったし……あ、そういえばはやりんに会えたな」

「あんた好きよねぇ」

京太郎「いいだろ、俺の中では永遠にアイドルなんだよ」

「そんなことばっか言ってるから恋人ができないんじゃないの?」

京太郎「うっ……」

「はぁ……とにかくこれでも読んで女心を勉強しなさい」





京太郎「なんか雑誌渡されたけど……読んだほうがいいのか?」


『女性の心理が丸分かり!』


京太郎「……まぁ、なんとも胡散臭いキャッチフレーズだけど」ペラッ

京太郎「なになに?」


京太郎「えーっと、やたらボディタッチが多いのはダメ……?」


京太郎「ボディタッチ、ボディタッチねぇ……」

京太郎「そういや国広に言われたっけ」

京太郎「ってことは案外当たってる?」

京太郎「……まぁ、次だ次」


京太郎「ふんふん、馴れ馴れしい呼び方はダメ……?」


京太郎「うーん、そういや馴れ馴れしいってのはよく言われるよな」

京太郎「やっぱ直した方がいいのか?」

京太郎「でも今更どうこうできるもんとは思えないし……」

京太郎「まぁ、ちょっとそこらで試してみるか」





久「あら、ここらで会うのも珍しいじゃない」

京太郎「おう、久ちゃ――竹井」

久「……は?」

京太郎「いやー、今日はいい天気だなー」

久「いや、曇ってるじゃない」

京太郎「あ、マジだな」

久「なんなんだか……とりあえず私には普通にしてなさい」

京太郎「だよなぁ……めっちゃやりにくいし」

久「せっかくだし、お昼一緒に食べない?」

京太郎「あ、うん」





京太郎「結局いつも通りに接してしまった……」

京太郎「まぁ、久ちゃん相手だしな」

京太郎「もうちょっと違う相手を……」


まこ「おや、こがぁなところで奇遇じゃの」


京太郎「まこっちゃ――染谷」

まこ「……は?」

京太郎「散歩か?」

まこ「ま、まあそうじゃが」

京太郎「そっか、じゃあ俺はもう行くな」

まこ「はぁ」


まこ「……なんか悪いもんでも食ったのかの?」





京太郎「なんか今のもいまいちだったな」

京太郎「だれか他にいい相手は……」


美穂子「あ、京太郎さん」


京太郎「丁度いいところに」

美穂子「はい?」

京太郎「久しぶり、福路」


美穂子「え――」


京太郎「今日は部活の方はいいのか?」

美穂子「あ……はい」

京太郎「俺もだけどな……ならさ――」



京太郎(っと、待て待て)

京太郎(馴れ馴れしいのはダメで、ボディタッチもダメ)

京太郎(今無意識に肩に手を回そうとしてたな)

京太郎(いきなり誘うのもあれかな?)


京太郎「いや、やっぱいいや」

美穂子「……え?」

京太郎「時間とらせて悪かったよ。じゃあな、福路」

美穂子「あっ……」


美穂子「……どうして」





京太郎「ここ数日色々やってみたけど……あんま効果があるようには思えないんだよな」

京太郎「そもそもあの雑誌自体なんかあれだったし」

京太郎「ま、いつも通りが一番か」


華菜「死ぃねー!」


京太郎「おわっ、いつもより鋭い蹴りだな」

華菜「もはや許してはおけないんだし!」

京太郎「どうした、そんないきり立って。拾い食いでもしたか?」

華菜「先輩がすっごい浮かない顔をしてるのはお前が原因に決まってる!」

京太郎「お前はなにかと俺のせいにしたがるよな……」

華菜「うるさい覚悟っ!」

京太郎「せいっ」

華菜「いたいしっ」

京太郎「まあいいや……今度一緒に遊ぼうってみほっちゃんに伝えといてくれ」

華菜「だ、だれが!」

京太郎「まあ、お前が言わなくても俺が言うけどな。じゃ、そういうことで」

華菜「絶対に許さないからなー!」





おまけ


京太郎「元気だったか、神代」

小蒔「……」ポロッ

京太郎「ど、どうしたっ」

小蒔「京太郎様……私に、なにかいたらない点があったのでしょうか?」ポロポロ

京太郎「ないない! 全部俺が悪かった! だから泣かないでくれ!」

小蒔「じゃあ、名前で呼んで抱きしめてください」

京太郎「わかったよ……小蒔」ギュッ

小蒔「えへへ……」スリスリ





超おまけ


京太郎「久しぶり、宮永」

照「うん、久しぶり、須賀くん」

京太郎「……あれ?」

照「どうしたの、須賀くん?」

京太郎「て、照ちゃん?」

照「用がないならもう行くね、須賀くん」

京太郎「ま、待ってくれ! 俺が悪かった! 許してくれ照ちゃん!」

照「……じゃあもうあんな呼び方しない?」

京太郎「しない! 絶対しない!」

照「よろしい」



お盆休みが終わるまでは小ネタで誤魔化す所存ー
まあ、明日からは仕事の毎日なわけですが……


それはともかくとして、お好きなキャラをどうぞ
登場済みのキャラに限ります
以下のキャラは不可

以下のキャラは『不可』です


照・玄・美穂子・小蒔・健夜・豊音・竜華・衣・マホ・久・咲・怜・和・霞・誓子・はやり・揺杏・由暉子・宥・白望


下10まででコンマ高いの二つ

まいひめで了解

それじゃ、しばらく失礼します



哩→京太郎 二回目


哩「須賀くんについて?」

哩「……あの、そいは答えねばならんことと?」

哩「あ、いや……別に思うところがあっとかそがん理由じゃなかっ」

哩「別に私があいつのことすいとっとか……」

哩「……ち、違うよ? 今のはものの例えで事実とは必ずしも一致せんというか……」

哩「……はい、そん通りです」

哩「ふぅ……まいるよ」




姫子→京太郎 二回目


姫子「またですか? んー、どうしよっかなぁ」

姫子「あ、答えたくないわけじゃなくて、先輩へのアピールになったらなーって」

姫子「にぶちんなのか鋭いのかよくわからないとこありますからね」

姫子「あの手のタイプは押さなきゃいかんと思いますし」

姫子「うーん……まあ、直球が一番ですかね?」

姫子「てなわけで、せーんぱい」フリフリ

姫子「すいとーよー」


なお、これを京太郎が見るかどうかすら不明
哩のifがあるとしたら、京太郎が押す形になりそうですね
常識的な分、あまり大きな動きができないというか

それじゃ、失礼します

京太郎「またあいつはふざけて……」

みたいな感じになるんじゃないですかね?
哩が言ったらまた別の反応になるとは思いますが

それじゃ、風呂とか済ませたら始めます

危ない危ない、一瞬寝てた

それじゃ、そろそろやります



・二年、秋、月見の夜に


純「んー、今日の仕事もおしまいかー」

京太郎「だな、俺もそろそろ帰るか」

純「もう帰るのか? ゆっくりしていってもいいと思うけど」

京太郎「それもいいけど、明日は早いから」

純「麻雀部の朝練でもあるのか?」

京太郎「まぁ、部員獲得のための方策をな」

純「ふーん……あれ? お前のとこって個人戦上位いなかったっけ?」

京太郎「ああ、久ちゃんな」

純「学校的にも当然ほっとかないだろうし、宣伝にもなるんじゃねーの?」

京太郎「それな……そのはずだったんだけどな……」

純「そ、そうか……よくわからないけど聞かないでおく」



京太郎「そういや、今月は結構龍門渕に来てるような気がするな」

純「そうだっけ? バイトは久々のような気がするけど」

京太郎「バイトはな。あとは誕生日がどったらこうたらでちょくちょくだな」

純「あー、そういえば」

京太郎「お前ら誕生日かたまりすぎなんだよ。あと一週間しないうちに国広のじゃん」


智紀「ちなみに私だけがハブられてる」


純「うわっ、いたのか」

京太郎「お疲れ」

智紀「どうも」

京太郎「どうもって、さっきまで一緒に働いてたよな?」

智紀「……」スッ

京太郎「……相変わらずつれないな」

智紀「身の危険を感じる」

京太郎「ちょっ、俺をなんだと思ってるんだ!」

純「いや、ある意味結構正解だと思うぜ。胸は大きい方が好きみたいだし」

京太郎「お前もか!」





京太郎「よーっす」

衣「きょうたろー!」パタパタ


衣「晴れて自由の身か」

京太郎「俺は囚人か」

衣「衣は閉じ込めてでも一緒にいて欲しいけど」

京太郎「だからそれは無理だって」ピシッ

衣「あうっ」



京太郎「そろそろ帰るよ。またな」

衣「むぅ、きょうたろーはもっと衣に構うべきだ!」

京太郎「今日あれだけ世話してやったのに今更何を言うか」

衣「それはそれ!」

京太郎「これはこれってか? しょうがないな、ちょっとだけだからな」

衣「うむ、奇特なことだ」

京太郎「上から目線はもう少し背が伸びてからにしなさい」

衣「牛乳は毎日飲んでるよ?」

京太郎「あとはよく寝るだけだな。じゃあ、おやすみ」

衣「うん、おやすみ……違う! 衣ははぐらかされないんだからっ」

京太郎「おっと、気づいてしまったか」

衣「気づかいでか!」

京太郎「わかったわかった。で、どうすればいい?」


衣「ちゅーがしたい」



京太郎「ふんふん……なるほど、ちゅーね。あれか、ネズミごっこでチューチュー、みたいな」

衣「違う、接吻のこと。男女の親愛の表れだと聞いたよ」

京太郎「ああ、そっちな。お前にはまだ早い。あと五年ぐらい待ちなさい」

衣「むっ、衣はもう嫁娶が許される年なんだから!」

京太郎「えっと、結婚ができる年齢ってことでいいのか?」

衣「きょうたろーと赤縄の契を結んだって構わない」

京太郎「お、おう……」


透華「まったく、なにを騒いでいますの?」



京太郎「このちびっ子が中々離してくれなくてさ」ポンポン

衣「ふみゅ」

透華「なにかはわかりませんが、あなたが悪いに決まってますわ」

京太郎「決めつけ良くないよ!」

衣「そうだ! きょうたろーが悪い!」

京太郎「尻馬に乗るのはやめような!」

透華「ええい、紳士なら潔く己の非を認めなさいな!」

京太郎「認める非がないんだって!」


一「……あのさ、とりあえず話聞こうよ」





京太郎「というわけだ」

透華「……」プルプル

京太郎「……どした?」


透華「ハレンチですわ!」バチコーン!

京太郎「いてっ!」

一「あちゃー」

京太郎「今なんで叩かれた!? 」

透華「いいですこと? 女性の唇を奪うということは――」

京太郎「だからなんで俺が迫ったみたいな話になってんだよ!?」

透華「問答無用ですわ! そこに直りなさい!」

衣「ついでに泊まっていくといいよ」

京太郎「泊まらないからなっ」





透華「なるほど、事情はわかりましたわ」

京太郎「やっとわかってくれたか……超疲れた」

透華「ま、まぁ、不幸な行き違いがあったことは認めますわ」

京太郎「は? 不幸な行き違い?」

一「透華、恥ずかしいのはわかるけど」

透華「うぅ……申し訳ありませんわ」

京太郎「よし、よく言えたな」ワシャワシャ

透華「なにをしますの!」

衣「衣も衣もっ」

京太郎「お前はこうだ」ムニッ

衣「ひゃっ」

京太郎「だれのせいでこんな苦労したと思ってんだ」ムニムニ

衣「ひゃめろぉー」

一「じゃあぼくはここで」ツンツン

京太郎「ちょっ、脇腹をつつくのはやめろ」

一「もうこのへんでいいんじゃない? セクハラ良くないよ?」

京太郎「それもそうか……」パッ



衣「わっ」

京太郎「ま、とりあえずまた今度な」

透華「須賀京太郎。明後日はこちらに来られますの?」

京太郎「明後日ね……夜だったら大丈夫じゃないか?」

透華「午後七時にここに集合すること。よろしくて?」

京太郎「わかったよ。断ったら拉致られそうだし」

一「拉致って……」

京太郎「そういうわけだ。また来るから我慢してくれ」

衣「しょうがない。きょうたろーはまだ衣のものではないからな」

京太郎「俺は高いから、欲しいなら覚悟しとけよ?」

一「ちなみにバイト代は?」

京太郎「そういうアシストは期待してないぞー」





衣「明後日……満月の夜か」

透華「晴れそうだし、お月見なんていいと思いますわ」

衣「お月見!」

透華「早速準備を、と言いたいところですが」

衣「とーか、どうかした?」

透華「どうかしたもなにも、さっきのことですわ」

衣「さっきの……ちゅーのこと?」

透華「いいこと? 年頃の女性がみだりにあんなことを言ってはいけません」

衣「衣は一番お姉さんだから問題ない」

透華「まあ、あの男が進んで間違いをおかすとは思いませんが……」

衣「じゃ、衣はハギヨシのとこ行くから」

透華「あ、お待ちなさい! まだ話は……」

衣「おっだんご、おっだんご~」





京太郎「見送りありがとな」

一「いいよ、別に」

京太郎「帰りは気をつけろよ」

一「屋敷の敷地内を歩くだけなのに、なんの危険があるのさ?」

京太郎「ここってたしか岩山あったろ」

一「え、初耳なんだけど」

京太郎「あれ? 研修で行かなかったのか? 俺はそこで色々やったんだけど」

一「あー、その話はまた今度にしない? とんでもないこと言われそうだし」

京太郎「そうだな。そろそろ帰るよ」

一「うん、じゃあね」

京太郎「今日はありがとな」

一「ボクはなにもしてないよ」

京太郎「色々アシストしてくれたろ。なんだかんだで助かったよ」

一「そんなに言うんだったら……誕生日期待しちゃってもいい?」

京太郎「露骨なハードル上げは勘弁な」

一「冗談だよ。おめでとうって言ってくれるだけで十分だもん」

京太郎「ま、ちょっとは期待して待ってろ」

一「うん」

京太郎「じゃあな」





ハギヨシ「お団子、ですか?」

衣「うん、お月見の日に食べようかなって」

ハギヨシ「わかりました。明日学校が終わったら一緒に作ってみましょうか」

衣「やたっ」


ハギヨシ「お団子……一度レシピを調べておきましょうか」

ハギヨシ「一緒に作るといった手前、作り方を知らないでは格好がつきませんからね」





京太郎「こんばんはーって、なにやってんの?」


純「」

智紀「」

一「」


衣「きょうたろー!」

京太郎「なにこれ、お前の仕業?」

衣「今日は満月だからな!」

京太郎「ああ……ご愁傷様」

衣「きょうたろーもやる?」

京太郎「パスパス」

衣「むぅ、ちょっと残念」

京太郎「そういや龍門渕は?」

衣「とーかは色々準備してるって」

京太郎「ふーん、ハギヨシさんもそっちかな」

衣「きょうたろー、こっち」グイグイ

京太郎「お、なんだ?」

衣「準備が終わるまで衣の部屋で待とうよ」





衣「どうぞー」

京太郎「お邪魔しまーす」

衣「座って座って」

京太郎「今日は俺がお客様か?」

衣「衣がバッチリお世話してあげるんだから」

京太郎「うーむ、この」


京太郎(まるで妹か娘)

京太郎(お兄ちゃんって呼ばせてみたい)


衣「待ってて、今おだんご持ってくる」タタタッ


京太郎「お団子ね……そういやお月見シーズンか」

京太郎「俺もお茶でも淹れるか」


衣「あ、どこ行くの?」



京太郎「お茶でも用意しようかって思って」

衣「きょうたろーはお客様なんだから座ってなきゃダメ!」

京太郎「いや、でも手っ取り早いし」

衣「ダメったらダメ!」


衣「これ食べて待ってて!」


京太郎「……妹の成長を喜ぶべきか?」

京太郎「あ、この団子うまいな」





衣「粗茶ですがどーぞ」

京太郎「ああ、ありがとう」

衣「おだんご食べた?」

京太郎「あれハギヨシさんが作ったのか?」

衣「ううん、衣の特製だよ?」

京太郎「やるじゃないか。お茶もちゃんと淹れてきたし」

衣「えへへ、褒めて褒めて」

京太郎「えらいぞー」ワシャワシャ

衣「わー」





衣「よいしょ」

京太郎「向かいに椅子があるのにここに座るか」

衣「ダメ?」

京太郎「いや、軽いしいいよ」

衣「こうしてると思い出すね」

京太郎「ころたんの麻雀教室か?」

衣「あのころはきょうたろーしかいないって思ってたんだけど……」

京太郎「龍門渕に感謝しとけよ?」

衣「うん……でも、きょうたろーにも感謝してる」

京太郎「俺にか? 大したことしてないけどな」

衣「大したことじゃなくても、向き合ってくれた。それで十分だから」

京太郎「ま、もらえる感謝はもらっておくよ」


衣「あ、月が見えた」

京太郎「まぁ、満月だよな」

衣「なんかムズムズしてきた……」

京太郎「トイレにでも行きたいのか?」

衣「違う!」



衣「まったく……きょうたろーはでりかしーに欠けるな」

京太郎「はは、悪いな」

衣「じゃあちゅーして」

京太郎「またそれか……最近の子供はませてんな」

衣「こどもじゃない!」

京太郎「あー、はいはい」


京太郎(とは言っても、膝の上に乗せてるから逃げ場がない)

京太郎(さて、どうするか……)

京太郎(別にどこにって言われてないし、誤魔化せるか?)


京太郎「わかったよ。じゃあこっち向け」

衣「んしょ、これでいい?」

京太郎「おう、じゃあ――んっ」


京太郎(ま、額だったらそんな重くもないだろ)



衣「……おでこ?」

京太郎「まあな。別に場所指定されてないし」

衣「ずるいっ!」

京太郎「ははは、これが年の功ってやつだ」

衣「もう一回! ちゃんとして!」

京太郎「本日のサービスは終了しました」

衣「烏滸言はいいから手をどけて!」

京太郎「ダメったらダメ」

衣「むぅ……ならっ――」

京太郎「いてっ!」

衣「これでどうだ!」

京太郎「思いっきり吸いやがって……腕に跡残ったじゃん」

衣「これは印だ。きょうたろーは衣のだっていう」

京太郎「そ、そうか……」


京太郎(首にキスマークつけられたことあるって言ったらどうなるだろうか?)



衣「……少なくとも今は」

京太郎「そんな短くていいのか?」

衣「うん、縛り付けてもどこか行っちゃいそうだし」

京太郎「俺は浮気性の男か」

衣「だって、今のきょうたろーからは色んな香りがする」

京太郎「香り? 香水とかは使ってないけど」

衣「衣を楽しませてくれそうな、妖異幻怪の類の」

京太郎「また身も蓋もないことを」

衣「きっときょうたろーにはそういう輩を引き寄せる性質があるんだな」

京太郎「ははは……」


衣「でも、全部もらうのは衣だから」



京太郎「この欲張りめっ」グリグリ

衣「わひゃっ」


京太郎(全部もらう、か)

京太郎(たしかに俺が関わってきたやつらは普通じゃないのも多いよな)

京太郎(そいつらを全部……同類がいるってのは、やっぱ嬉しいんだろうか)


京太郎「ま、頑張れよ」

衣「じゃあちゅー、もう一回」

京太郎「どうしてそうなる!」


京太郎(さて、今度はどうやって誤魔化そうか)



てなわけで終了です

安価取りたいけど、人います?

それでは、二年編までに登場したキャラからお好きなのを一人どうぞ
セリフ欄の前に名前が表示されたキャラに限ります
ただし、照は選べません

22分まで 同一IDは省きます

いきなりどうしたのみんな……
とりあえずキャップで了解

『二年、秋、ロッカーの中』が解放されました

選択済みエピソード

・一年
入学式、久との再会
春、美穂子登場
春、二人のあいだにある壁
美穂子再び
初夏、久との対立
初夏、美穂子への依頼
初夏、美穂子との特訓
初夏、決戦前夜
決戦
初夏、リスタート
夏、新たな出会い
夏、欠けた月
夏、初めての執事(アルバイト)
夏、衣の麻雀講座
今宵、月が満ちるとも
夏休み、遠征初日
夏休み、松実姉妹
夏休み、遠征二日目――鹿児島
夏休み、眠り姫
夏休み、遠征三日目――大阪
夏休み、目覚めぬ未来
夏休み、遠征四日目――岩手
夏休み、八尺(実際には六尺五寸)
夏休み、遠征最終日――東京
夏休み、グランドマスター
夏の始まり
エピローグ
その後の美穂子
秋、バイト執事再び
秋、衣の誕生日(略してころたん)
秋、膝枕の日
秋、祭りの後で
秋、恋敵?
冬、雪の降り始め
冬、年の初めに
冬、画面の向こう側
冬、節分の前の日
冬、アラフォー(予備軍)
三月八日、一年後の誕生日
三月十五日、好みのタイプは?
三月十六日、初めてのお出かけ
三月、おもちと温泉と
三月、温泉のあとのマッサージ(意味深)

・二年
部活動紹介、まこ入部
春、学食にて
美穂子との再会
初夏、ストーカー?
初夏、池田の逆襲
初夏、タイムリミット
初夏、県予選開始
初夏、団体戦決着
初夏、縺れた糸
初夏、まこの苦労日記
初夏、ライバル
夏、全国へ
夏、ワールウィンド
夏、奈良の王者
夏、修羅の国のクールビューティー
夏、大阪の魔物
夏、大阪の姉妹
夏、神代の姫
夏、一番目と二番目
夏、スリーピングビューティ
秋、次の目標
秋、まこの苦労日記その2
秋、二人と一人
冬、旅行に行こう
冬休み、小悪魔
冬休み、ゆきみだいふく
冬休み、神社の娘と王者の進路相談
冬休み、はとこ
エピローグ
五月十日、膝枕とおんぶ
八月二日、パンツの日
秋、月見の夜に
秋、キャットチャンバー
秋、初めての学校祭
秋、牌のお兄さん
秋、こどな
秋、苗字と名前
冬、記憶と縁
冬、王者の休日
冬、蓼食う虫もなんとやら
冬、鎖でつなぐもの
三月、主役のいない旅行
三月、ゆきが消える前に

・三年
優希との出会い
春、和の初恋?
春、インハイチャンプ
初夏、最後の一人
初夏、不和
和の悩み
咲との微妙な関係
優希の好物
初夏、合宿
初夏、家庭訪問@原村家
初夏、最後の県予選
初夏、鏡
初夏、見えない彼女の見つけ方
初夏、決意
初夏、県予選決勝戦
初夏、東風とビギナーズラック
初夏、個人戦9位と卓上の天使

・EX
小学五年、幼馴染
小学五年、嫉妬
中学二年、初夏、ゆみとの出会い
中学二年、夏、試合観戦
中学二年、三月、照との別れ
中学三年、初夏、空白

『三年、秋、天照大神』の解放条件を一部満たしています

三年編のインターハイを終わらせることで完全に解放されます


現在選択可能エピソード

1・二年、秋、ロッカーの中

2・三年、初夏、花天月地――嶺上の花と海底の月



>>+2

2で了解
またくっそ長くなりそうな予感

それじゃ、おやすみなさい

くっそ眠い……
土曜にも休みが欲しい所存

それはともかくとして、お好きなキャラをどうぞ
登場済みのキャラに限ります
以下のキャラは不可

以下のキャラは『不可』です


照・玄・美穂子・小蒔・健夜・豊音・竜華・衣・マホ・久・咲・怜・和・霞・誓子・はやり・揺杏・由暉子・宥・白望・哩・姫子


下10まででコンマ高いの二つ

うーむ、無効票がちらほら……
そろそろ選べるのを列挙したほうがいいかな
とりあえず無効票は飛ばします

というわけで奈良の王者と留学生で
三尋木プロは何回か取られたんで見送ります

しばらく失礼します



やえ→京太郎


やえ「須賀京太郎? ……あいつか」

やえ「そうだな……一言で言うならにわかだな」

やえ「人を食ったような態度でおちょくってくるし、まったく意地悪なやつだよ!」

やえ「え? にわかとあんまり関係ない?」

やえ「そ、それはあれだ……まぁ、多少優しいところはあるかもしれないけど」

やえ「こっちの考えをピタリと当ててくるところなんかはよくわかってくれてる、と言えなくもない……のか?」

やえ「なんにしてもあいつはにわか! これに変わりはない!」

やえ「え? 恋人疑惑について?」

やえ「そ、そんなにわかなことに言及できるかっ」

やえ「まぁ……上着のお礼は言ってやってもいいかもしれないけど」




エイスリン→京太郎


エイスリン「キョータロ? Hmm……」

エイスリン「In Japanese……アイジン?」

エイスリン「Put in English? ……My dearest, my first love」

エイスリン「I need him, want him……love him」カァァ

エイスリン「エ……ソコマデキイテナイ?」

エイスリン「~~っ」バタバタ


危ない、途中で寝そうだった……

ちなみにアイジン→愛人→愛(しい)人……という解釈です

というわけでおやすみなさい

眠い……
もうちょっとしたらやります

じゃあ始めます

あ、寝落ち注意報出しておきますね



・三年、初夏、花天月地――嶺上の花と海底の月


華菜「結構な点差だなー」

純代「……面目ない」

未春「トップの清澄との点差は大体80000……正直厳しいかも」

星夏「む、無理ですよこんなの……」


美穂子「華菜、大丈夫?」

華菜「もちろんですよ! 華菜ちゃんはどっかの誰か以上に諦めが悪いんですから!」

美穂子「……頑張って」ギュッ

華菜「はい、去年のリベンジもきっちり果たしてきますよ」


「池田ァ!」


華菜「にゃっ!?」ビクッ

「気合入れてやって来い! みっともない試合したらわかってるんだろうな?」

華菜「が、頑張ってきまーす!」





桃子「ただいまっす」

佳織「あ、おかえりなさい」

睦月「おつかれさま」


桃子「ごめんなさいっす。一位も二位もまくれなかったっす」

ゆみ「気にするな、点数自体は増えてるんだから」

智美「わはは、尻拭いありがとう」

ゆみ「威張って言うな」

智美「ユミちんは手厳しいなー」


桃子「あとはお任せするっす」

ゆみ「ああ……トップとの点差は40000とちょっと。ひっくり返せない数字じゃない」

智美「強気だなー、勝算は?」

ゆみ「さて、な……私は自分にやれることをやるだけだ」


ゆみ「じゃあ、行ってくるよ」


智美「わはは、やってこい、ユミちん」

佳織「が、頑張って」

睦月「頑張ってください」

桃子「先輩、応援してるっす!」

ゆみ「みんな、ありがとう」





透華「はぁ……なんだか疲れましたわ」

純「そりゃあれだけはしゃげばな?」

智紀「はしゃいでたかどうかはともかく、無駄な動きが多かったのはたしか」

透華「うっ……」

一「まぁ、透華も頑張ったんだからさ」

透華「そこで擁護されたらまるで私が失敗したみたいに聞こえるでしょ!」

一「あ、ごめん」

透華「いや、しかし原村を倒せなかったのは事実であって……」ズーン

一「と、透華は十分やってくれたよ!」

純「収支的にはプラスだよな」

智紀「これだったら楽に逆転できる」

透華「みんな……そういえば衣は?」



衣「ここにいるよっ」ヒョコ


透華「ぬわっ」

一「なに今の声」

透華「衣! どこから顔を出していますの!?」

衣「ちょっと窓の外で月を見ていた」

純「そういや今日は満月だったな……」

衣「うん……月が満ち、衣の力も満ちた」


衣「ふふっ、サキと打つのが楽しみだ!」





「いよいよ大将戦が始まりますね」

靖子「清澄がトップで次いで龍門渕……鶴賀がその後を追って風越が最下位か」

「風越がここから巻き返すのは難しいでしょうね」

靖子「私だったらひっくり返してみせるけどね」

「注目の選手はやはり天江衣ですが、池田選手も去年以上に強くなっています」

靖子「鶴賀の加治木はミスが少なく、抜け目がない……機会があれば即座にひっくり返しにかかるだろうな」

「あとは、これまで奇跡的なツモを何回も披露してきた宮永選手ですね」

靖子「極めて運に頼った打ち方だ。だが、それがただの運でないとするならば――」


靖子「――この大将戦には、魔物が二人いるということになるな」





京太郎「あーもう、お前な! なんで速攻迷子になりかけてんだよ!」

咲「だ、だってぇ」

京太郎「あんなに自信満々で出て行った結果がこれかっ。格好つかないにも程があるわ!」

咲「むぅ」

京太郎「まぁ、一人で行かせようとしたこっちにも責任はあるけどさ……着いたぞ」


京太郎「すいませーん、最後の一人連れてきましたー」


華菜「むっ!」

ゆみ「……ほう」

衣「あっ」


京太郎「……なんか知った顔ばっかだな」

咲「も、もう離してっ」カァァ

京太郎「はいはい、しっかりやってこいよ」



京太郎「じゃあ俺はもど――」


華菜「とりゃっ」


京太郎「ってまたかよ」ヒョイ

華菜「さっきはよくも騙してくれたな!」

京太郎「こんなとこでお前な……下手したら問題になるぞ?」

華菜「カメラは避けたから大丈夫だし」

京太郎「他の奴の目があるだろうが。ほら、めっちゃ見てる」

華菜「うっ……」


衣「猫風情がきょうたろーになにすんのよー!」


華菜「にゃっ!?」

衣「去年みたいにコテンパンにしてやるんだからっ」

華菜「か、華菜ちゃんこそギッタンギッタンにしてやるし!」



京太郎「ふぅ、喧嘩は二人が同じレベルじゃないと起こらないって聞くけどな……」

ゆみ「相変わらず君の周りは賑やかだな」

京太郎「ああ、そういやお前が大将だったな」

ゆみ「そういうことだ。悪いが一位を取りに行かせてもらう」

京太郎「言っとくがうちの大将は相当だぞ」ポン

咲「わひゃっ」

ゆみ「だろうな……間違いなく強敵ぞろいの卓だ」


ゆみ「だけど、それは諦める理由にならないな」


ゆみ「感謝しているよ。私がここにいるのもきっと君のおかげだ」

京太郎「俺? この前久しぶりに会っただけだろ」

ゆみ「まぁ、その前にあったときはひどい顔してたが」

京太郎「それって中三の時の話か? 勘弁してくれよ……」

咲「……」

ゆみ「やるからには全力でやらせてもらう。よろしく」

京太郎「それだったらこっちに言え」

ゆみ「ああ、そうだな……あらためてよろしく」

咲「……よろしく、お願いします」





京太郎「ただいまー」

久「おかえり。咲は大丈夫そう?」

京太郎「特に不調ってことはなさそうだけど」

久「なによ、その含みがある物言い」

京太郎「いや、相手が強すぎるんだよ」

久「龍門渕の天江衣かしら?」

京太郎「ああ、去年久ちゃんが戦った小蒔と照ちゃん……そいつらと同格だろうな」

久「……」

京太郎「咲が全力を出せたら点差もあるから大丈夫だとは思う」

まこ「今のままではきついということかの?」

京太郎「それもやってみなくちゃわからないけど……ほら、あいつ結構打たれ弱いから」

まこ「あー」



優希「はいはいしつもーん!」


京太郎「なんだ?」

優希「その、こまきとかてるちゃんって一体だれなんだじぇ?」

まこ「去年の鹿児島代表、永水女子の神代小蒔に、それとインターハイチャンピオンの宮永照じゃな」

久「チャンピオンはもちろんのこと、神代さんも個人戦ではかなり強かったわ」

優希「ふむふむ、なるほどー」

和「あの、チャンピオンはもしかして咲さんの……」

久「姉、だそうよ」

和「……そうですか」


和(咲さんは先輩と幼馴染……じゃあ、そのお姉さんも)

和(照ちゃん……そう呼んでました)

和(部長と同じか、それ以上に仲がいいということなのでしょうか?)


京太郎「どうかしたのか?」

和「あ……いえ」

京太郎「大丈夫だ。あいつを信じようぜ」

和「はい……」


和(ここで負けたら……)

和(お願いします、咲さん)





咲「カン……ツモ、2600・1300」


咲「リンシャンツモ、2000オール」


ゆみ(開幕からの二連続ツモ)

ゆみ(なるほど、大将に据えるわけだ。これは相当だな)

ゆみ(さて、どうするか……)


華菜(なんだよこいつ、ヤバすぎるじゃないか!)

華菜(魔物を二匹も退治しなきゃいけないのか……)

華菜(あーもう、清澄!)


咲(ふぅ、出だしはこんな感じかな?)

咲(天江さんに注意しろって言われたけど……)



衣「……」


咲(今のところ、なんにも感じない)

咲(まだ本気じゃないってことなの?)


衣「……無聊」


咲「え?」


衣「無聊無聊無聊!」

衣「京太郎が言ってたお前の力はその程度?」

衣「欠望した、失望したよ」

衣「衣は今日この時を希求していたというのに……もういい」


衣「さぁ、御戸開きと行こうか」ゴッ


咲「――っ」ビクッ

華菜「来た……!」

ゆみ「これが……」





衣『海底撈月!』


京太郎「本気出してきたな……」

まこ「二回連続海底ツモ上がりか……」

久「まだこっちが上だけど、時間の問題ね」

優希「咲ちゃん、ガンバレ!」

和「咲さん……」



咲(重いよ……下に引きずりこまれていくみたい)

咲(苦しくて息ができなくて……でも)ズズッ


衣「――んっ?」

咲「――カン……ツモ」



咲(森林限界を超えた嶺上の花には、届かない!)


咲「2000・1000!」


衣「ほう……これはこれは」


ゆみ(今、一瞬だけあの引きずりこまれる感覚が緩まった?)

ゆみ(清澄……なにかしたのか?)

ゆみ(まあいい、今は乗らせてもらおう)





咲(支配力じゃ及ばなくても、嶺上牌をツモれれば勝機はある)

咲(カンができれば……でも、刻子がないよ)

咲(それなら――)


咲「――ポン」


ゆみ(オタ風を鳴いた? 一体何のために)

ゆみ(……まさか、カンをするためか?)

ゆみ(ならば――)


咲「来た……カン」


咲(加槓……これで!)


ゆみ「――ロン」



咲「……え?」

ゆみ「嶺上牌を取る必要はない、そう言った……槍槓だ」


咲(字牌の槍槓……それって、まさか!)


ゆみ「国士無双、32000」



桃子「先輩かっこいいっす!」

智美「ユミちん決めてくれるなー」

佳織「国士無双って一番点数高いやつじゃ……す、すごい」

睦月「妹尾さんがそれ言うのはどうかと思う」

智美「まったくだなー」

桃子「かおりん大砲は二回ぶっぱなしたっすからね」

佳織「ええっ」





ゆみ(さて、どうにか二位にこぎつけたか)

ゆみ(さっきの国士は奇跡みたいなものだ)

ゆみ(手が進まないならいっそと無茶を狙ったのが当たった……それだけだ)

ゆみ(だが、なんにしてももらえるものはもらった)

ゆみ(前半のラス親……上がっておきたいところだ)


咲(……どうしよう、三位に落ちちゃった)

咲(天江さんに集中してて、あっちに注意が行かなかったよ……)

咲(まだそこまでの点差じゃない……けど)


ゆみ「ノーテン」

華菜「ノーテン」

咲「ノーテンです」

衣「聴牌」





透華「衣が上がれないなんて……」

純「今更様子見ってわけでもなさそうだしな」

智紀「多分、清澄の子が原因」

一「宮永咲……須賀くんが言ってた子だよね」



ゆみ(結局ノーテンで流局か)

ゆみ(まだもう半荘ある)

ゆみ(巻き返せるチャンスはいくらでも、な)


華菜「……ツモ」



咲「えっ」

ゆみ「……」

衣「ほう?」


華菜「まったく、さっきから華菜ちゃん無視して盛り上がりすぎだし」

華菜「でもそろそろ終わりだし」

華菜「ここから華麗に逆転して――」


ゆみ「いいから早く点数申告をしてくれないか?」


華菜「わかったよもう……はい――」


華菜「四暗刻単騎、16000オール!」

華菜「さぁ、連荘だし!」





美穂子「華菜……!」

未春「やった!」

星夏「ま、また役満……」

純代「でもこれで鶴賀と僅差で三位」

「あいつ……やるじゃねえか」



衣「……ふふっ」

衣「楽しい……楽しい!」

衣「衣は今、楽しい!」


華菜「な、なんだよいきなり」トン


衣「ロン、8300」


華菜「え゛っ」


ゆみ(早い……!)

華菜(海底ツモだけじゃないのかよぉ)


衣「後半も楽しみだ!」





『前半戦終了!』


久「……なんともハラハラする展開ね」

まこ「国士の槍槓は痛かったのぉ」

京太郎「四位か……まだ逆転できないこともないけどな」

和「……」ギュッ

優希「のどちゃん……」


京太郎「……」


京太郎(なにか、なにかできることはないか?)

京太郎(あいつだって昔のように打ててたら、もっと……)

京太郎(……昔のように?)


京太郎「ちょっと出てくる」

久「咲のところ?」

京太郎「ああ、最後のアドバイス」

久「そう……じゃあ私の伝言も頼むわ」

京太郎「わかった」





咲「最下位……どうしよう」

咲「このままじゃ部長の夢も、和ちゃんも……」


京太郎「なに暗い顔してんだよ」


咲「……」

京太郎「まぁ、お前の気持ちもわかるよ。俺もハンドの試合ででっかいビハインド背負ったときは暗い気分になったさ」


京太郎「そんなわけで先輩からのアドバイスだ」



咲「今更なんですか……」

京太郎「余計なこと考えないでリラックスしろ。家にいる時みたいにさ」

咲「こんな状況じゃできないよ……」

京太郎「じゃああれだ。試合後のご褒美のことでも考えとけ」

咲「ご褒美?」

京太郎「主に出費は俺だから、好きなものでいいぞ」

咲「……わかりましたからもうほっといてください」

京太郎「はいはい。じゃあ俺は退散するよ」


京太郎「最後に一つ。勝敗は気にせず楽しめって久ちゃんが言ってたぞ」


京太郎「じゃあな」

咲「……」


咲「無理だよ、そんなの」





「大将戦もいよいよ後半に突入しました」

靖子「さっきから役満が飛び出してるな」

「龍門渕の一人浮きで、鶴賀と風越が僅差……そしって清澄が最下位ですか」

靖子「他のところが上がり下がりしている中で龍門渕だけは安定している。さすがと言ったところだね」

「このまま優勝は龍門渕で決まりでしょうか?」

靖子「おいおい、まだ半荘も残ってるんだぞ? それに、清住が黙りっぱなしとも思えない」

「宮永選手でしょうか?」

靖子「あの久が連れてきた秘蔵っ子だからな。まだ何かやってくれると私は思ってるよ」





咲(リラックスしろ、楽しめって言われても……)


ゆみ「ロン、7700」


華菜「ツモ、4000・2000!」


衣「ふふっ、海底撈月! 6000・3000」


咲(こんなんじゃ、楽しめないよ……)

咲(場の支配は多少抑え込めてるけど、なんだか上がれる気がしない)

咲(牌だって応えてくれないし……)

咲(どうして、こんな時に傍にいてくれないの?)

咲(お姉ちゃん、京ちゃ――)


咲「あっ」



咲(欲しいもの、一つだけならあった)

咲(……負けたく、ないな)


咲「すみません、靴下脱いでもいいですか?」

「えっ、ああ……構いませんよ」

咲「よいしょ……」ヌギヌギ


衣(サキの雰囲気が変わった?)

衣(まだ楽しませてくれるということか……!)


衣「……サキ」

咲「なに?」

衣「衣には欲しいモノがある」

咲「うん、私も」

衣「きょうたろーが欲しい。焦がれて焦がれてやまない」

咲「そう……でも、渡さない」


咲「京ちゃんは、絶対に……!」ゴッ



華菜(何の話だかさっぱりだし)

ゆみ(話の内容はさておき、清澄が盛り返してきそうだな)


咲「……」ズズズッ


咲(場の支配……私のは天江さんほど色々できるわけじゃない)

咲(もともと勝ちもせず、負けもしないように使ってたものだから)

咲(プラスマイナスゼロ……これやるのはいつぶりかな?)


華菜(なんだ、これ? 自分が進んだぶん、戻らされるような……)

ゆみ(引きずり込まれる力が弱まったと思ったら、今度は……!)


衣「支配の力が強まった……面白い!」





咲「ロン、12000」


衣「ツモ、2600・1300」


咲「ツモ、4000・2000」


華菜(なんだよこれ……)

ゆみ(化物の独壇場だとでも言うのか?)


咲「ツモ! 6000オール!」

衣「――っ」


衣(衣が競り負けた!?)

衣(支配力が拮抗してきている……そうなのか?)

衣(もう月も昇りきったはずなのに……)



華菜(あーもう! 調子乗んなっ!)


華菜「リーチ!」

華菜「一発ツモ! 8100・4100!」


咲「なっ」

衣「まだ折れないか」

華菜「いい加減華菜ちゃんもまぜろよ!」


ゆみ(オーラス……私のラス親か)

ゆみ(まわりは強敵はおろか、化物まで揃っている)

ゆみ(だけどまだ、勝ちの可能性はゼロじゃない)

ゆみ(私一人諦めるわけにはいかないな……!)


ゆみ「……ツモ、4000オール」

ゆみ「こんな楽しい試合なんだ。私もまぜてくれ」



華菜「ふふん、どうせ勝つのは華菜ちゃんだし」

衣「ふん、烏滸言をほざく」

華菜「よくわかんないけど馬鹿にされた気がするし!」


ゆみ「連荘だ」


ゆみ(ここに至って、誰もが逆転のチャンスがある)

ゆみ(天江の圧力とは別のものが広がり、拮抗しているせいか)

ゆみ(ダマで18000、リーチで24000……是非もない)

ゆみ(ここで終わらせる……!)


ゆみ「リーチ!」


華菜(にゃにゃっ! すごい手が来たし! リーチで数え!?)

華菜(もうオーラス。これを上がれないようじゃ勝ちは見えない)

華菜(なら、やることは一つだし!)


華菜「リーチ!」





「鶴賀と風越がリーチをかけました」

靖子「勝負を決めにかかってるな」

「しかし、鶴賀はダマで張り通せば次局もあるのでは?」

靖子「たしかにその方が確実に上がれるが、決着がのびたぶん誰かが上がる可能性も増える」

「なるほど」

靖子「それに、今は勢いがある。それに乗ったんだろうな」


靖子「最後の大一番、見逃せないな」


靖子(衣、今のお前ならわかるだろう?)

靖子(そこにいるのは自分で麻雀を売っている者たちばかりだ)





衣「あはっ」

華菜「な、なんだよ」

衣「福楽は刹那の中にある……今まさにこの時だ」


衣「リーチ!」


衣「この熱気に、衣も身を任せてみようと思う」

衣「サキもそう思わないか?」


咲「……うん」

咲「麻雀って、やっぱり楽しいよ」

咲「だから、全力で勝ちに行く……ポン!」


ゆみ(また加槓か? あいにく、今は国士を張っていない)

華菜(でも、なんかヤバそうなオーラだし)

衣(嶺上の花を咲かせるつもりか? でもそれじゃ衣には届かない)



咲「――カン」

咲「もいっこ、カン」

咲「さらに――カン!」


ゆみ(いったいどこまでいくつもりだ……!?)

華菜(くっそ、見てるだけなんて!)

衣(まさか――)


咲「最後に……カン!」


咲「ツモ……四槓子、役満です」





『長野県予選決勝、勝利をもぎ取ったのは――清澄高校ですっ!!』


京太郎「やったな!」パシッ

久「そうね!」パシッ

まこ「やれやれ、一時はどうなることかと思うたが……」

和「咲さん……私、迎えにいってきます!」ダッ

優希「私も行くじぇ!」ダッ


京太郎「一年坊たちは行っちまったな」

まこ「わしらはどうする?」

久「行きましょう。抱きついてなでなでしてあげなきゃね」

まこ「なんじゃそりゃあ……」





咲(プラマイゼロ……久しぶりにやったけどうまくいかなかったな)

咲(最後のリーチ棒三本分、はみ出ちゃった)


衣「サキ」

咲「なに?」

衣「礼を言う。こんなに麻雀を楽しめたのは久しぶりだ」

咲「私も……久しぶりに心から麻雀を楽しいって思えた」

衣「役満で負けるなんて……きょうたろーと打った時のことを思い出す」

咲「え?」


華菜「おい、清澄の!」


咲「な、なんですか」

華菜「来年は、来年はこうはいかないんだからな!」

咲「は、はぁ」

衣「それ、去年も衣に言ってたよ?」

華菜「うっ……とにかく! 覚えておくし!」タタッ



咲「……なんだったんだろう?」

ゆみ「来年か……私にももう一年あればな」

咲「あ、お疲れ様です」

ゆみ「見事だった。あんな役で上がるやつは初めて見たよ」

咲「あはは……私も初めてです」

ゆみ「楽しかったよ。もう少しだけ打っていたかった」

衣「本当に? 本当に楽しかった?」

ゆみ「ああ……負け惜しみに聞こえるかもしれないが」

衣「ううん、衣も真に楽しめたっ」

ゆみ「機会があったらまた打とう。じゃあ」

衣「ばいばーい!」


和「咲さん!」

優希「咲ちゃん!」



咲「和ちゃん、優希ちゃん」

和「ありがとうございます、本当に……」

咲「そんな、私だって勝ちたかったし……」

優希「咲ちゃんにはこの先輩特製タコスを進呈するじぇ!」

咲「そ、それはちょっと興味が……」


衣「……ペンギンさん」


和「エトペンのことですか?」

衣「そうか、その子の名はエトペンというのか……ちゃんと持ち主に会えたんだな」

和「まさか、これを拾ってくれた人って……」

衣「うん、衣がきょうたろーに預けた」

和「あ、ありがとうございますっ」

衣「べ、別に衣はペンギンさんがかわいそうだと思っただけで」


京太郎「なんでそこで素直にならないんだ、お前は」グニグニ



衣「ひょうひゃろー!」

京太郎「咲、よく頑張ったな」

咲「う、うん」

衣「離せっ、まったくきょうたろーは」

京太郎「まったくはこっちのセリフだ……ほら、迎えが来たぞ」


透華「衣っ!」


衣「透華……」

透華「よく、頑張りましたわ」

衣「でも、負けちゃった」

透華「私たちには来年がある……気にすることはありませんわ」

衣「うん……」

透華「戻りましょう。みんな待ってますわ」

衣「わかった。じゃあきょうたろー、サキ、さよならだ」

京太郎「気をつけて帰れよ」

咲「また一緒に打とうね」



久「咲っ」ダキッ

咲「わっ」

久「あーもう、よくもやってくれちゃってぇ」スリスリ

咲「ちょっ、ぶ、部長!?」


優希「部長がご乱心だじぇ」

和「でも、ちょっと気持ちはわかります」

優希「まさかのどちゃん、そっちの気が!?」

和「違います! そっちってどっちですか!」


まこ「やれやれ、止めんのか?」

京太郎「いいだろ、たまにはさ」

まこ「じゃな」





久「さ、帰るわよ!」

優希「今夜は祝杯だじぇ! 飲んで食いまくりだじぇ!」

和「ゆーき、お酒は二十歳になってからですよ?」

まこ「いやいや、冗談じゃろ」


京太郎「お前、やっぱ強いよな」

咲「お姉ちゃんほどじゃ……」

京太郎「どうだろうな。照ちゃんもお前は強いって言ってたし」

咲「お姉ちゃんが……」

京太郎「俺のアドバイス、役に立ったろ?」

咲「うん」

京太郎「そういやさ、何か欲しいものとかあるか? ほら、ご褒美の件」

咲「あ、そういえば」

京太郎「今思い出したって顔だな」



咲(ど、どうしよう……本当に欲しいものなんて言えないし)

咲(じゃあ何か別のもの? ……急には思い浮かばないよ!)


京太郎「ものすごく悩んでるとこ悪いけどさ、別に今じゃなくていいんだぞ?」

咲「で、でも……後になって誤魔化されるのはやだし」

京太郎「お前は俺をなんだと思ってるんだ……」


咲(本当に欲しいものは言えないけど……)


咲「あの、じゃあ……」


咲(これぐらいなら、ありだよね?)


咲「手、つないで帰ってもいい?」


咲「――京ちゃん」




『三年、初夏、男子個人戦』が解放されました

選択済みエピソード

・一年
入学式、久との再会
春、美穂子登場
春、二人のあいだにある壁
美穂子再び
初夏、久との対立
初夏、美穂子への依頼
初夏、美穂子との特訓
初夏、決戦前夜
決戦
初夏、リスタート
夏、新たな出会い
夏、欠けた月
夏、初めての執事(アルバイト)
夏、衣の麻雀講座
今宵、月が満ちるとも
夏休み、遠征初日
夏休み、松実姉妹
夏休み、遠征二日目――鹿児島
夏休み、眠り姫
夏休み、遠征三日目――大阪
夏休み、目覚めぬ未来
夏休み、遠征四日目――岩手
夏休み、八尺(実際には六尺五寸)
夏休み、遠征最終日――東京
夏休み、グランドマスター
夏の始まり
エピローグ
その後の美穂子
秋、バイト執事再び
秋、衣の誕生日(略してころたん)
秋、膝枕の日
秋、祭りの後で
秋、恋敵?
冬、雪の降り始め
冬、年の初めに
冬、画面の向こう側
冬、節分の前の日
冬、アラフォー(予備軍)
三月八日、一年後の誕生日
三月十五日、好みのタイプは?
三月十六日、初めてのお出かけ
三月、おもちと温泉と
三月、温泉のあとのマッサージ(意味深)

・二年
部活動紹介、まこ入部
春、学食にて
美穂子との再会
初夏、ストーカー?
初夏、池田の逆襲
初夏、タイムリミット
初夏、県予選開始
初夏、団体戦決着
初夏、縺れた糸
初夏、まこの苦労日記
初夏、ライバル
夏、全国へ
夏、ワールウィンド
夏、奈良の王者
夏、修羅の国のクールビューティー
夏、大阪の魔物
夏、大阪の姉妹
夏、神代の姫
夏、一番目と二番目
夏、スリーピングビューティ
秋、次の目標
秋、まこの苦労日記その2
秋、二人と一人
冬、旅行に行こう
冬休み、小悪魔
冬休み、ゆきみだいふく
冬休み、神社の娘と王者の進路相談
冬休み、はとこ
エピローグ
五月十日、膝枕とおんぶ
八月二日、パンツの日
秋、月見の夜に
秋、キャットチャンバー
秋、初めての学校祭
秋、牌のお兄さん
秋、こどな
秋、苗字と名前
冬、記憶と縁
冬、王者の休日
冬、蓼食う虫もなんとやら
冬、鎖でつなぐもの
三月、主役のいない旅行
三月、ゆきが消える前に

・三年
優希との出会い
春、和の初恋?
春、インハイチャンプ
初夏、最後の一人
初夏、不和
和の悩み
咲との微妙な関係
優希の好物
初夏、合宿
初夏、家庭訪問@原村家
初夏、最後の県予選
初夏、鏡
初夏、見えない彼女の見つけ方
初夏、決意
初夏、県予選決勝戦
初夏、東風とビギナーズラック
初夏、個人戦9位と卓上の天使
初夏、花天月地――嶺上の花と海底の月

・EX
小学五年、幼馴染
小学五年、嫉妬
中学二年、初夏、ゆみとの出会い
中学二年、夏、試合観戦
中学二年、三月、照との別れ
中学三年、初夏、空白

『三年、秋、天照大神』の解放条件を一部満たしています

三年編のインターハイを終わらせることで完全に解放されます


現在選択可能エピソード

1・二年、秋、ロッカーの中

2・三年、初夏、男子個人戦



>>+2

1で了解

上埜さん激おこですね

それじゃ、沈みます

こんばんわー

もうちょっとしたらやります

それじゃ、始めます



・二年、秋、ロッカーの中


久「明日、美穂子が来るってさ」

京太郎「みほっちゃんが? なんでまた」

久「なんでって、遊びに来るんでしょ」

京太郎「ふーん、遊びにね」

久「あ、変なことは考えないようにね」

京太郎「別に変なことなんて考えてないって。ただちょっと一緒にご飯でもって思っただけだ」

久「つまり、可愛い女の子を誘ってご飯を、あわよくばその先をと」

京太郎「言ってない、そこまで言ってないから」

久「私だったら別にいいわよ?」

京太郎「じゃあ飯食いに行こうぜ。今日のレディースランチはうまそうだし」

久「その後は?」

京太郎「そうだな……保健室にでも寝に行くか?」

久「あら、いいの?」

京太郎「じょ、冗談だから……」





京太郎「というわけで、明日みほっちゃんが遊びに来るらしい」

まこ「はぁ、そうですか」

京太郎「おいおい、興味ナッシングか」

まこ「いや、買い物に付き合わされた原因がそれかと思うと」

京太郎「なんだよー、先輩と後輩のコミュニケーションじゃないか」

まこ「わしゃあ、ただ引っ張り回されてただけのような気がします」

京太郎「そう言うなって。ちゃんとジョークグッズだって手に入ったし」

まこ「ジョークグッズって……何する気ですか」

京太郎「ほんのささやかなおもてなしってやつだ」ゴソゴソ


京太郎「ほら、これよくできてないか?」ヒョイッ



まこ「うわっ、こ、この黒光りしたボディはっ」

京太郎「触った感じとかめっちゃリアルだろ思うんだよ。本物触ったことないけど」

まこ「……この、今にも飛んできそうなブツをおもてなしに?」

京太郎「ジョークグッズだからな。一発驚かせて終了だよ」

まこ「下手したら部長に絞め殺されそうなもんですけどね」

京太郎「そしたら俺の命が終了だ」

まこ「そんなとこで命張ってどうするんですか」

京太郎「いや、でもどんな反応するのかすっごい楽しみなんだよな」

まこ「先輩は童心を忘れない方のようで」

京太郎「だろ? いつまでも少年のように真っ白な心なんだ」

まこ「いたずら小僧の間違いでしょうに」

京太郎「じゃああれか、好きな子をいじめたくなる小学生の心理か?」

まこ「どっちでもいいですけど、ふざけすぎると本気で怒られますよ?」

京太郎「うっ……たしかにマジギレされたら手に負えなくなるな」

まこ「それがわかっとるんなら不用意な真似はしないように」





京太郎「やっぱこの黒光りしたGはまずいか……」

京太郎「買い物の最中に盛り上がりすぎて我を忘れてたな、こりゃ」

京太郎「他には……触るとビリっとくるキーホルダーに振動機能付きの棒、あとはなぜか売ってた清澄のセーラー」


京太郎「……俺は一体何を買ってるんだ」


京太郎「ヤバイ、どうしようこれ。処分に困る」

京太郎「というか後輩の女子をつれてこんなものを買うって……我を忘れるってレベルじゃねーよ」

京太郎「家に置いとくのは危険だし……主に母親の目が」

京太郎「かといって捨てるのもなんか気が引けるし……」

京太郎「そういや、部室に使ってないロッカーあったよな?」

京太郎「誰も開けないだろうし、明日の朝イチそこに放り込んどくか」





久「雨降ってるわねぇ」

京太郎「ほんといきなりだよな。今日は晴れるって言ってたのに」

久「帰るまでに止んでくれるといいんだけど」

京太郎「最終手段として傘立ての傘をかっぱらうという手も」

久「はいはい、冗談ね」


久「じゃ、先に部室行ってるから」

京太郎「おう、俺も掃除が終わったら行くよ」

久「あ、それだったら部室来る前に購買で飲み物とか買ってきてくれない?」

京太郎「わかった。適当に選んでくる」

久「お願いねー」





京太郎「飲み物人数分と、小腹が空いた時用の菓子パン」

京太郎「まあ、こんなとこか」

京太郎「にしても、飲み物はまだ部室にあったような……2リットルのお茶」

京太郎「あれ、そういや今日はだれか来るって言ってたっけ?」

京太郎「……そうだ、みほっちゃんだ」

京太郎「てことはこれ、飲み物一人分足りないな」

京太郎「うーん……ま、一旦部室に置いてからだな。引き返すのも面倒だし」

京太郎「さて、もう来てるかな――」ガチャ


美穂子「――え?」


京太郎「……えっと、お着替え中でしたか?」

美穂子「は、はい……急に雨が降ってきて」

京太郎「そうか……他のやつらは?」

美穂子「濡れた制服を乾かしに……あと、着替えを持ってくるって」

京太郎「ってことは、それまでは下着姿なのか」

美穂子「そ、そうみたいです」



京太郎「……」

美穂子「……」


美穂子「~~っ」カァァ

京太郎「ちょっ」ガバッ

美穂子「むぐっ――」

京太郎「大声出す前に話を聞いてくれ、マジで」

美穂子「――」コクコク


京太郎「いいか? これは覗きじゃない、事故だ」

美穂子「――」コクコク

京太郎「何事もなければ、俺がここから出て行って終了だ」

美穂子「――」コクコク

京太郎「よし、じゃあ手を離すから慌てず騒がず――」



『着替えあった?』

『今日は体育もなかったからちょっと』

『そうよねぇ』


京太郎「やばいっ、久ちゃんたちが来た!」

美穂子「――っ」


京太郎(こんなとこ見られたら間違いなく面倒なことになる)

京太郎(どこかに、隠れないと……!)


京太郎「こっちだ!」グイッ

美穂子「きゃっ」





久「美穂子、ごめーん……あれ?」

まこ「もぬけの殻、ですね」


京太郎「……」

美穂子「……」


京太郎(狭い、それにちょっと暑い……)

京太郎(こんなに密着してるせいか?)モゾッ


美穂子「んっ」

京太郎「わ、悪い」

美穂子「だ、大丈夫です」フニョン

京太郎「――っ」


京太郎(よく考えなくてもまずくないか、これ?)

京太郎(こんな狭い中で下着姿のみほっちゃんと密着してるなんて……)

京太郎(狭いところが落ち着くって言った奴誰だよ)

京太郎(そもそも俺だけ隠れればよかったんじゃあ……)ダラダラ



美穂子「汗、すごい……」

京太郎「ごめん、離れようにも狭くてさ」

美穂子「あ、別に嫌というわけじゃなくて」


美穂子(男の人の匂い……)

美穂子(いやだわ、なんだか体が熱い)キュッ


久「どこ行ったのかしら?」

まこ「とりあえず連絡してみては?」

久「そうね」プルルル


プルルル


久「あら、携帯はカバンの中か」

まこ「参りましたね……」



京太郎「とりあえず、あの二人がいなくなったら出よう」

美穂子「はい……」


久「……あれ?」

まこ「どうかしたんですか?」

久「このビニール袋……購買の?」


京太郎(やべっ、買ったもの床に放りっぱなしだった!)

京太郎(そもそもカバンも置きっぱじゃねーか……!)


まこ「そういえば、先輩のカバンもありますね」

久「……ちょっと電話してみようかしら」


京太郎(今かかってきたら音でバレる……!)

京太郎(マナーモード、マナーモードにしないと!)ゴソゴソ



美穂子「ひゃっ、へ、変なところ触らないでっ」

京太郎「悪い、非常事態だからっ」

美穂子「ぁんっ……」ビクン


久「……」プルルル


京太郎「……」ブー、ブー


久「……出ないわね」

まこ「トイレにでも行ってるんですかね?」

久「そうねぇ……あ、わかったわ」


久「ズバリ、美穂子はあのロッカーの中よ!」


京太郎「――っ」

美穂子「――っ」



まこ「ロッカーの中に隠れていると?」

久「ええ、京太郎がいきなり入ってきたから、ロッカーの中に隠れた……こんな感じじゃない?」

まこ「それだったら先輩が席を外した時点で出てくるでしょうが」

久「えー? 名案だと思ったんだけど」

まこ「それより探しに行ったほうがいいと思いますけど」

久「それもそうね……美穂子もトイレかもしれないし」

まこ「ここらは人も少ないからあの姿でもいけないこともない……ですかね?」


京太郎「び、ビビった……」

美穂子「どうなることかと思いました……」

京太郎「でもいい流れだ。このまま二人が出て行ってくれれば、俺たちも出られる」


京太郎(ちょっと残念な気もするけど、このままだったら色々我慢できなくなりそうだし)



まこ「じゃあ行きますか?」

久「あ、染谷さんはここに残ってくれる?」


京太郎「――なんっでだよっ」ガタッ


久「あら? 今なにか動いたかしら?」

まこ「さぁ? 強い風でも吹き付けたんじゃないですか?」


京太郎「あ、危ない危ない……」


久「まあいいわ。ともかく、だれかが戻ってきた時のために残っていてほしいのよ」

まこ「そういうことなら了解です」

久「じゃ、よろしく頼むわね。ちょっとそこらへん探してくるから」


京太郎「……一体いつになったら出られるんだ?」

美穂子「……どうなんでしょう?」





京太郎「……」

美穂子「……」


京太郎(時折触れる、少し汗で湿った柔らかい素肌の感触)

京太郎(胸元や首筋にかかる吐息……甘い匂いがするのは気のせいか?)

京太郎(触れるか触れないかの位置で震える、下着に包まれたおもち)

京太郎(そしてなにより――)


美穂子「あっ……」


京太郎(こちらをうかがうように向けられる、左右で色の違う瞳)

京太郎(俺の視線とぶつかると、恥ずかしそうにそらされる)

京太郎(……上目遣いは卑怯だろ)

京太郎(どうする? この精神攻撃に耐えられなくなるのも時間の問題だ)


まこ「……」ペラッ



京太郎(染谷は雑誌をめくってすっかり待機モードだ)

京太郎(いっそ誰かに助けを求められたら――)


美穂子「……」


美穂子(頭が、クラクラするわ)

美穂子(酸素が足りない? いいえ、違う)

美穂子(きっと、こんなにも近くにいるから)

美穂子(この人の匂いに包まれて、すぐに触れられる距離で、時々視線が絡み合って)

美穂子(もう少しこのままでいたいとさえ思ってしまう)

美穂子(でもそれは多分いけないことで……)

美穂子(苦しそうに何かを我慢しているこの人を、私のわがままに付き合わせるわけには――)



京太郎「――そうだ、その手があった」

美穂子「え?」

京太郎「メールで染谷を部室の外に誘導しよう。そしたら出られる」

美穂子「あ……そう、ですね」

京太郎「よし、じゃあ早速……」


『悪い、ちょっとトラブった』

『手を貸してほしいから玄関の方まで来てくれないか?』


京太郎「こんなもんだろ」ピッ


まこ「――ん?」

まこ「……やれやれ、しょうがない」ガラッ


京太郎「成功だ、出て行った!」

美穂子「よかった……」ホッ

京太郎「引き返してくる可能性もある。足音が聞こえなくなるまで待とう」



京太郎「……」

美穂子「……」


京太郎「行ったか……」

美穂子「そうみたいですね……」

京太郎「出るか。悪いな巻き込んじゃって」

美穂子「埋め合わせ、してくれます?」

京太郎「……なるべく穏当な方向で」

美穂子「ふふ、考えておきます」

京太郎「ま、下着鑑賞代だと思えばな」

美穂子「あ……」カァァ

京太郎「さ、早くシャバの空気でも――」ガチャ


久「まこー?」ガラッ


京太郎「……」バタン



久「あれ、トイレかしら?」

久「しょうがないわね……戻るまで待ってようかな」


京太郎「……」

美穂子「また出られなくなっちゃいましたね」


京太郎(なんという間の悪さ!)

京太郎(入れ替わりかよ! 途中ですれ違わなかったのかよ!)

京太郎(どうする? これ以上は色々限界だし……そうだ!)

京太郎(また携帯で誘導すれば――)


京太郎「……バッテリー切れ」

美穂子「はい?」

京太郎「昨日充電しておけばよかった……半分残ってるから楽勝とか言ってたのが仇になったかー」



京太郎(ということは、また誰もいなくなるまでこのままか……)


京太郎「……」ジッ

美穂子「?」プルン


京太郎(うん、死ねるな)


美穂子「……あの?」

京太郎「み、見てないから。触りたいとか思ってないから」

美穂子「何の話ですか?」

京太郎「ああ……極めて内面的な話だから気にしなくてもオーケーだ。それより、どうかしたのか?」

美穂子「ちょっと、お願いがあるんですけど……」


美穂子「その……もたれかかってもいい、ですか?」


京太郎(うわぁ、トドメ刺しにかかってきたー)



美穂子「足が疲れてきて……」プルプル

京太郎「こんな狭い中で変な体勢だしな……」

美穂子「あの、迷惑だったらもうちょっと我慢しますから……」


京太郎(とか言われたら断れるわけないじゃんかよー)

京太郎(もう覚悟を決めるしかない……聖人のように、木石のごとく)

京太郎(――よし、覚悟完了!)


京太郎「わかったよ。そういうことなら胸の一つや二つ余裕で貸すよ」

美穂子「それじゃあ、失礼しま――きゃっ!」ギュッ

京太郎「ちょっ、そんな強くしがみつかれたら……!」


京太郎(ヤバイヤバイヤバイ!)

京太郎(ここに来て会心の一撃とかなに考えてんの!?)

京太郎(俺の覚悟確実に崩しにかかってるよな!?)

京太郎(我慢するのやめるぞ? いいのか!?)


美穂子「足に、なにか変な感触がっ」

京太郎「へ、変な感触?」

美穂子「ヌメっとしてて、虫みたいな……」



京太郎(ジョークグッズかよ!)

京太郎(そういやここに入れてたんだった!)


美穂子「やだ、気持ち悪い……取って、取ってくださいっ」ムギュムギュ

京太郎「――っ」プツッ


京太郎「みほっちゃん、俺もう――」ギュッ


ガチャ


久「ねえ、なにしてんの?」


京太郎「ひ、久ちゃん?」サァ

美穂子「うぅ……あれ、久?」


久「言っとくけど、私今すっごく機嫌悪いから」

久「なんか自分の場所が取られたみたいでさ……!」


京太郎(あ……今日が俺の命日かもしれない)





京太郎「以上です。下心は欠片もありませんでした……」


久「発見したときは間違いを犯す一歩手前に見えたんだけど?」

京太郎「バカ! あれでも必死に耐えたんだよ!」

久「うるさい黙れ」

京太郎「……はい」


美穂子「久、私にも非があるの。だから……」

久「はぁ……わかってるわよ」

京太郎「そうか、わかってくれたか」

久「じゃあもう一時間正座ね」

京太郎「じゃあってなんだよ! てか許される流れじゃなかったのか!?」

久「あんたのしたり顔見てたらイラッときたから」

京太郎「理不尽すぎるっ」


まこ「戻りましたー」



久「おかえりなさい」

まこ「まったく……すっかり騙されたわ」

美穂子「ごめんなさい。迷惑をかけてしまったみたいで……」

まこ「いやいや、悪いのは大体うちの先輩ですから」

京太郎「くっ、何か言いたいけどその通りすぎて……!」


久「まぁ、染谷さんも戻ってきたし、そろそろ正座はいいわよ」


京太郎「ふぅ……あ~、ビリビリしてきた」

久「そしてさっさと外へゴー」

京太郎「ちょっ、足痺れてる奴に言うことか!?」

久「少なくとも美穂子の制服が乾くまでは立ち入り禁止だから」

美穂子「私は別に……その、今更ですし」モジモジ

久「見ての通り非常に危険な状態よ」

京太郎「いや、出てかなくてもいいって言ってくれてるようにしか見えねーよ」



まこ「ん? この黒光りしたブツは……」

久「げっ、まさかそれって……!」

美穂子「い、いやっ」ビクッ

京太郎「待て! あれおもちゃだから! ジョークグッズだから!」


久「な ん で! そんなもの持ち込んでんのよあんたはっ!」ギリギリ


京太郎「ぎ、ギブギブ……俺の命が終了しちゃうっ」

まこ「まぁ、もう十分じゃないですか? 先輩も反省してるみたいですし」

久「本当かしら? ……まぁ、いいわ」パッ

京太郎「久しぶりに死ぬかと思った……」

まこ「それより先輩。昨日買ったもの全部持ち込んでるんですか?」

京太郎「まぁな。ロッカーの中に放り込んで忘れてたんだけど」

まこ「ふむ……ならアレもありますよね?」





美穂子「どう、かしら?」クルッ


京太郎「いい! メッチャいい!」

久「悔しいけど似合ってるのよね……」

まこ「購入理由不明の制服がこんなとこで役に立つとはのぉ……」


美穂子「ちょっと胸のあたりはキツいんですけど……」


久「……」ギュウウ

京太郎「……久ちゃん、痛い」

久「なにも言わないで抓られてて」

京太郎「いや、無茶言うなよ」


美穂子「ふふっ」


京太郎「……」グッ

久「……」ギュウウウ

京太郎「だからいてーっての!」




『美穂子は清澄の制服(ちょっと胸がキツい)を手に入れた!』

選択済みエピソード

・一年
入学式、久との再会
春、美穂子登場
春、二人のあいだにある壁
美穂子再び
初夏、久との対立
初夏、美穂子への依頼
初夏、美穂子との特訓
初夏、決戦前夜
決戦
初夏、リスタート
夏、新たな出会い
夏、欠けた月
夏、初めての執事(アルバイト)
夏、衣の麻雀講座
今宵、月が満ちるとも
夏休み、遠征初日
夏休み、松実姉妹
夏休み、遠征二日目――鹿児島
夏休み、眠り姫
夏休み、遠征三日目――大阪
夏休み、目覚めぬ未来
夏休み、遠征四日目――岩手
夏休み、八尺(実際には六尺五寸)
夏休み、遠征最終日――東京
夏休み、グランドマスター
夏の始まり
エピローグ
その後の美穂子
秋、バイト執事再び
秋、衣の誕生日(略してころたん)
秋、膝枕の日
秋、祭りの後で
秋、恋敵?
冬、雪の降り始め
冬、年の初めに
冬、画面の向こう側
冬、節分の前の日
冬、アラフォー(予備軍)
三月八日、一年後の誕生日
三月十五日、好みのタイプは?
三月十六日、初めてのお出かけ
三月、おもちと温泉と
三月、温泉のあとのマッサージ(意味深)

・二年
部活動紹介、まこ入部
春、学食にて
美穂子との再会
初夏、ストーカー?
初夏、池田の逆襲
初夏、タイムリミット
初夏、県予選開始
初夏、団体戦決着
初夏、縺れた糸
初夏、まこの苦労日記
初夏、ライバル
夏、全国へ
夏、ワールウィンド
夏、奈良の王者
夏、修羅の国のクールビューティー
夏、大阪の魔物
夏、大阪の姉妹
夏、神代の姫
夏、一番目と二番目
夏、スリーピングビューティ
秋、次の目標
秋、まこの苦労日記その2
秋、二人と一人
冬、旅行に行こう
冬休み、小悪魔
冬休み、ゆきみだいふく
冬休み、神社の娘と王者の進路相談
冬休み、はとこ
エピローグ
五月十日、膝枕とおんぶ
八月二日、パンツの日
秋、ロッカーの中
秋、月見の夜に
秋、キャットチャンバー
秋、初めての学校祭
秋、牌のお兄さん
秋、こどな
秋、苗字と名前
冬、記憶と縁
冬、王者の休日
冬、蓼食う虫もなんとやら
冬、鎖でつなぐもの
三月、主役のいない旅行
三月、ゆきが消える前に

・三年
優希との出会い
春、和の初恋?
春、インハイチャンプ
初夏、最後の一人
初夏、不和
和の悩み
咲との微妙な関係
優希の好物
初夏、合宿
初夏、家庭訪問@原村家
初夏、最後の県予選
初夏、鏡
初夏、見えない彼女の見つけ方
初夏、決意
初夏、県予選決勝戦
初夏、東風とビギナーズラック
初夏、個人戦9位と卓上の天使
初夏、花天月地――嶺上の花と海底の月

・EX
小学五年、幼馴染
小学五年、嫉妬
中学二年、初夏、ゆみとの出会い
中学二年、夏、試合観戦
中学二年、三月、照との別れ
中学三年、初夏、空白

というわけで二年編の安価は終了です
これからはほぼ三年編一筋になると思われます
もともと自分が飽きないためにあんなやり方してたんですけどね

安価とかコンマ判定はこれからもちょこちょこ入れる予定です

ともかく次回は『・三年、初夏、男子個人戦』です

それじゃ、おやすみなさい

超適当にやってるので制服が伏線になるかどうかは気分次第です
まぁ、機会があれば再登場はするとは思いますが

龍門渕、鶴賀、風越の中から好きなの一つどうぞ
あと選んだ学校に所属するお好きなキャラも一人併記してください

15分まで

たいして人いないと思って長めにしたのに……

美穂子 9
衣 5
桃子 4
透華 1


というわけでコンマ判定


1-47:美穂子
48-73:衣
74-94:桃子
95-00:透華


下2

ということで鶴賀さんちのモモに決定

そんじゃ、もうちょっとしたらほんの少しだけやります

そんじゃ、始めます



・三年、初夏、男子個人戦


京太郎「咲、喉渇いてないか? お茶あるぞ」

咲「別に……」

京太郎「じゃあ腹減ってないか? さっき購買で菓子パン買ってきたんだ」

咲「だ、大丈夫だから……」

京太郎「あ、肩揉んでやろうか? お前はあんまこってなさそうだけど――」

咲「あーもうっ、あっち行ってて!」


久「……なにかしら、あれ?」

まこ「ふむ、思春期の妹にかまう世話焼きな兄、デリカシーに欠けるエディションっちゅーところかの」

久「妹と兄、ねぇ」

まこ「昔馴染みということじゃ。前からあんな関係だったのかもしれんの」

久「なんにしても、私の知らない時期なのよね」



和「先輩と咲さん、なんだかいつもより距離が近いように見えますね」

優希「もしかして、一線を超えてしまったとか?」

和「そ、そんなオカルトありえません!」

優希「もちろん冗談に決まってるじぇ」


京太郎「……」ズーン


和「……落ち込んでますね」

優希「まるで妹に嫌われたシスコンの兄だじぇ」

和「大丈夫でしょうか?」

優希「こういう時の対処法は……思いっきり甘えてあげることだじぇ!」


優希「せんぱーい、ターコースー!」


京太郎「しょうがないな……ほら、大事に食べろよ」

優希「いっただきまーす! むぐむぐ……ごちそうさまだじぇ!」

京太郎「ものの二口でっ」


咲「さっきまでは私にかまってたのに……京ちゃんのバカ」





久「京太郎、ちょっといい?」

京太郎「ん? 部活はもう終わりじゃないのか?」

久「大したことじゃないけど、これ」

京太郎「……牌譜?」

久「去年の男子個人戦のやつね。参考になりそうなのピックアップしてみたの」

京太郎「ピックアップって……これけっこう多くないか?」

久「男子の方が女子より競技人口が多いのよ。まぁ、最近は女子の方が粒ぞろいって言われてるんだけどね」

京太郎「たしかに雑誌で取り上げられてんのも女子ばっかなんだよな」

久「それは単に見栄えの問題だと思うけど……はい」

京太郎「おう、サンキュー。悪いな、久ちゃんも練習があるのに」

久「今まであんたにしてもらったことに比べればね」

京太郎「……久ちゃん、俺は」

久「自分のためだって言いたいんでしょ? じゃあこれは私の自己満足だから黙って受け取ること、いい?」

京太郎「参ったな、そう言われたらな」

久「ま、頑張んなさい」

京太郎「で、他になんもないの? 激励のキス的な」

久「バーカ、調子乗んな」





京太郎「さて、まだ明るいな……」

京太郎「せっかくだし、もう少しどこかで打っとこうかな?」

京太郎「ネト麻よりも生の相手と打ちたいし」

京太郎「まこっちゃんのとこでも行ってみるかな……ん?」


――キキーッ!


京太郎「……なんだあのフォルクスワーゲン。危ない運転すんなー」

京太郎「停車して誰か降りてくる? いや、誰もいないような……」

京太郎「いや待て、やっぱり誰かいる」ジー

京太郎「あれは……」





桃子「ふう、どうにか車を降りることに成功したっす」

桃子「加治木先輩がいないのにあの運転はさすがに辛いっすよ……」

桃子「うちの部長さんは初心者マーク付きなのに無理しすぎっすね」

桃子「かおりん先輩……なむなむ」


京太郎「お、やっぱり。たしか東横だよな?」


桃子「うわっひゃあ!」ビクン


京太郎「うおっ、びっくりさせるなよ」

桃子「それはこっちのセリフっすよ!」

京太郎「いくらなんでも過剰に反応しすぎだろ」

桃子「それは、話しかけられるはずないとこで話しかけられれば――」



桃子(私が、話しかけられた?)

桃子(特になにもしていないはずなのに……)

桃子(この金髪さん、本当に……)


桃子「……」ジー

京太郎「なんだよ、見物料取るぞ?」

桃子「……」ジー

京太郎「突っ込めとまでは言わないけど、無視か」

桃子「……」ジー

京太郎「……ほっぺたつまんでやろうかな?」


桃子(やっぱりそんなすごそうな人には見えないっす)

桃子(一見ただのチャラ男にしか)

桃子(偶然が二度続いた? でも――)



桃子「――なにしようとしてるっすか?」

京太郎「こっちのこと無視するからほっぺたつねってやろうかと」

桃子「ま、またそうやって私の体に触れようと……!」

京太郎「あー、この前のは事故だ。悪かったよ」

桃子「……本当っすかね?」ジトッ

京太郎「てかお前、後ろから近づいてきてたろ。そんなピンポイントで狙えるか」

桃子「じゃあ、そこかって掛け声は?」

京太郎「後ろからの気配を察知して……とか?」

桃子「どこの達人っすか」

京太郎「知るか」


桃子「……もうわかったっすよ」

京太郎「そうか、そりゃよかったよ」

桃子「つまり、金髪さんは隙あらば女の子の体に手を伸ばす変態さんと」

京太郎「お前がなんにもわかってないことはわかった」

桃子「こうなった以上、放置しておくわけにはいかないっす……!」

京太郎「え、なにこのめんどそうな流れ」


桃子「勝負っすよ!」





京太郎「……もーいーかい?」

京太郎「なんて言っても聞こえるはずないか」

京太郎「まったく……高三になってかくれんぼをやるはめになるとは……」

京太郎「デパートのこのフロアに隠れてるんだよな?」

京太郎「まぁ、それだったら見つけられないこともないか」

京太郎「さて、久ちゃんとならしたかくれんぼの腕、見せてやるとするか」



桃子(かくれんぼ勝負、しかも私は隠れるだけ)

桃子(これ以上有利な条件はないっす!)

桃子(普通通りにしてた今までならともかく、本気で隠れる気になった私を見つけるのは不可能)

桃子(……あのおっぱいさんならそれでも見つけてくるかもしれないっすけど)

桃子(とにかく、この勝負に勝ったら先輩との過去を洗いざらい聞き出すっす)

桃子(そして用が済んだら後はポイーっすよ!)


京太郎「お、ここにいたか」



桃子「……へ?」

京太郎「案外普通に隠れてたな。拍子抜けした」

桃子「な、なななっ、なんでっすか!?」

京太郎「なんでって言われても、隠れてるのを見つけるのがこの遊びだろ」

桃子「な、何かの間違いっす……」

京太郎「んで、これは俺の勝ちってことでいいんだよな?」

桃子「うう、うぅぅぅ」プルプル


桃子「もう一回! もう一回っす!」


京太郎「いや、素直に負けは認めようぜ」

桃子「しょ、勝負は一度きりと誰が言ったっすか?」

京太郎「あー、そういうこと言っちゃうか」

桃子「とにかく! 私が隠れて金髪さんが鬼っす!」





桃子「ここなら……」

京太郎「はいみっけ」


桃子「いくらなんでもここは……」

京太郎「いたいた」


桃子「まさか通風口に隠れてるとは思わないっすよね?」

京太郎「残念、見つけちゃうんだな」





桃子「イカサマ! イカサマに決まってるっす!」

京太郎「言うに事欠いてそれか」

桃子「きっと発信機がついてるに決まってるっす!」

京太郎「ま、疑いたいならお好きにどうぞ。なんも見つかんないと思うけどな」

桃子「うぅ……」

京太郎「で、もう負けを認めるのか?」

桃子「……」プイッ

京太郎「沈黙は肯定な。それじゃ、買った方の言うことをひとつ聞くだっけ?」

桃子「な、なでも言えばいいっす。覚悟はできてるっすからっ」

京太郎「うーん、じゃあ……」




桃子「イカサマ! イカサマに決まってるっす!」

京太郎「言うに事欠いてそれか」

桃子「きっと発信機がついてるに決まってるっす!」

京太郎「ま、疑いたいならお好きにどうぞ。なんも見つかんないと思うけどな」

桃子「うぅ……」

京太郎「で、もう負けを認めるのか?」

桃子「……」プイッ

京太郎「沈黙は肯定な。それじゃ、勝った方の言うことをひとつ聞くんだっけ?」

桃子「な、なんでも言えばいいっす。覚悟はできてるっすからっ」

京太郎「うーん、じゃあ……」



桃子(ああ……きっとこれで清らかな体とはおさらばっすね)

桃子(しかも相手がこの金髪の変態さんだなんて……)

桃子(先輩……私、汚されてしまうっす)


京太郎「飯食いに行くか」

桃子「……え?」

京太郎「もう晩飯時だし、腹減っててさ」

桃子「そ、それだけっすか?」

京太郎「もしかして変なことされるって思ってたか? 青いなぁ、後輩!」

桃子「ちょっ、違うっすよ!」カァァ





京太郎「うーん、外で食うラーメンはやっぱうまい」

桃子「……」ズズー

京太郎「どうした? さっきから黙り込んでるけど」

桃子「……別になんでもないっす」

京太郎「そうか? まあ、ここのラーメンはおいしいからな」


桃子(……屋台に女の子連れてくるってどうなんすかね)

桃子(もしかして、女として見られてないっすか?)

桃子(それはそれでムカつくっす……!)


京太郎「ほい」

桃子「え? なんすかこれ」

京太郎「玉子。物欲しそうにこっち見てたから」

桃子「……もらえるものはもらっとくっす」

京太郎「うん、やっぱり素直が一番だな」





京太郎「ごちそうさーん」

桃子「ごちそうさまっす」


京太郎「どうだった? おいしかったか?」

桃子「悪くはないっすね」

京太郎「つまりおいしい、と」

桃子「そんなこと言ってないっす」

京太郎「お前はどうも俺の言葉を素直に受け止めようとしないからな」

桃子「……ふんっ」プイッ

京太郎「あらら」



京太郎「……加治木のことだろ?」

桃子「はい?」

京太郎「お前、加治木のことが聞きたかったんだろって」

桃子「な、なんでわかったっすか」

京太郎「なんでもなにも、あいつぐらいしか接点無いだろ」

桃子「それは……そうっすね」

京太郎「まぁ、別に隠すようなことでもないし教えてやるよ」


京太郎「あいつとは中二のとき初めて会ったんだ」

京太郎「ハンドボールの練習試合の時に声掛けられてさ」

京太郎「それから一回試合見に来て……あとは中三になるまで顔を合わせなかったな」

京太郎「あいつは……恩人なんだろうな」

京太郎「きっとあの時強引に引っ張ってもらわなかったら、俺はここにいなかったと思うし」



京太郎「かいつまむとこんな感じ」

桃子「……恩人っすか」


桃子(私も、あの時先輩が来なければ、ここにはいなかった)


桃子「……じゃあ、仲間っすね」ボソッ

京太郎「帰りはどうするんだ?」

桃子「あ、電車っす」

京太郎「じゃあ駅まで送ってやろう」





京太郎「じゃあ、気をつけろよ」

桃子「金髪さんも気をつけるっすよー」


京太郎「……だいぶ態度が軟化したな」

京太郎「まぁ、ツンツンされるよりはいいか」

京太郎「さて、結局練習はできなかったな」


ハギヨシ「おや、京太郎くん」


京太郎「あれ、ハギヨシさん」

ハギヨシ「奇遇ですね」

京太郎「買い物の帰りですか?」

ハギヨシ「少し自分のものを切らしてしまって、ですね」

京太郎「さすがに今は燕尾服じゃないんですね」

ハギヨシ「一応はプライベートなので」



ハギヨシ「そういえば、京太郎くんは個人戦に出場すると聞きましたが」

京太郎「あ、はい。最近はけっこう練習してます」

ハギヨシ「そうですか……実は、私も個人戦に出場したことがあるんですよ」

京太郎「え、マジですか?」

ハギヨシ「京太郎くんと知り合う前ですが、お嬢様にせっつかれまして」

京太郎「どうでした? 代表までいっちゃいました!?」

ハギヨシ「残念ながら……私は麻雀に打ち込んでいたわけではないので」

京太郎「なら、俺がリベンジしてきますよ」

ハギヨシ「それでは、お願いしましょうか」

京太郎「任せてください!」



選択済みエピソード

・一年
入学式、久との再会
春、美穂子登場
春、二人のあいだにある壁
美穂子再び
初夏、久との対立
初夏、美穂子への依頼
初夏、美穂子との特訓
初夏、決戦前夜
決戦
初夏、リスタート
夏、新たな出会い
夏、欠けた月
夏、初めての執事(アルバイト)
夏、衣の麻雀講座
今宵、月が満ちるとも
夏休み、遠征初日
夏休み、松実姉妹
夏休み、遠征二日目――鹿児島
夏休み、眠り姫
夏休み、遠征三日目――大阪
夏休み、目覚めぬ未来
夏休み、遠征四日目――岩手
夏休み、八尺(実際には六尺五寸)
夏休み、遠征最終日――東京
夏休み、グランドマスター
夏の始まり
エピローグ
その後の美穂子
秋、バイト執事再び
秋、衣の誕生日(略してころたん)
秋、膝枕の日
秋、祭りの後で
秋、恋敵?
冬、雪の降り始め
冬、年の初めに
冬、画面の向こう側
冬、節分の前の日
冬、アラフォー(予備軍)
三月八日、一年後の誕生日
三月十五日、好みのタイプは?
三月十六日、初めてのお出かけ
三月、おもちと温泉と
三月、温泉のあとのマッサージ(意味深)

・二年
部活動紹介、まこ入部
春、学食にて
美穂子との再会
初夏、ストーカー?
初夏、池田の逆襲
初夏、タイムリミット
初夏、県予選開始
初夏、団体戦決着
初夏、縺れた糸
初夏、まこの苦労日記
初夏、ライバル
夏、全国へ
夏、ワールウィンド
夏、奈良の王者
夏、修羅の国のクールビューティー
夏、大阪の魔物
夏、大阪の姉妹
夏、神代の姫
夏、一番目と二番目
夏、スリーピングビューティ
秋、次の目標
秋、まこの苦労日記その2
秋、二人と一人
冬、旅行に行こう
冬休み、小悪魔
冬休み、ゆきみだいふく
冬休み、神社の娘と王者の進路相談
冬休み、はとこ
エピローグ
五月十日、膝枕とおんぶ
八月二日、パンツの日
秋、ロッカーの中
秋、月見の夜に
秋、キャットチャンバー
秋、初めての学校祭
秋、牌のお兄さん
秋、こどな
秋、苗字と名前
冬、記憶と縁
冬、王者の休日
冬、蓼食う虫もなんとやら
冬、鎖でつなぐもの
三月、主役のいない旅行
三月、ゆきが消える前に

・三年
優希との出会い
春、和の初恋?
春、インハイチャンプ
初夏、最後の一人
初夏、不和
和の悩み
咲との微妙な関係
優希の好物
初夏、合宿
初夏、家庭訪問@原村家
初夏、最後の県予選
初夏、鏡
初夏、見えない彼女の見つけ方
初夏、決意
初夏、県予選決勝戦
初夏、東風とビギナーズラック
初夏、個人戦9位と卓上の天使
初夏、花天月地――嶺上の花と海底の月
初夏、男子個人戦

・EX
小学五年、幼馴染
小学五年、嫉妬
中学二年、初夏、ゆみとの出会い
中学二年、夏、試合観戦
中学二年、三月、照との別れ
中学三年、初夏、空白

てなわけで終了です
若干タイトル詐欺でした

次回は『・三年、初夏、南風』です

そんじゃ、おやすみなさい

というか、南浦さんが本編に出てくるのはいつになることやら……

もうちょっとしたらやります

そんじゃ、そろそろやります



・三年、初夏、南風


久「さて、明日ね」

京太郎「いよいよか」

久「日程は予選一日に本戦一日……駆け足ねぇ」

京太郎「去年はもうちょい余裕あったよな」

久「まぁ、団体戦の方も色々変わってたみたいだけど」

京太郎「そうだな……」

久「……」


久「もしかして、緊張してる?」

京太郎「そりゃあな。試合の前はこうなるよ」

久「ふーん」


京太郎(こんな時、どうしてたっけ?)


『京ちゃん、頑張って』


京太郎(……そうだ、照ちゃんがいたんだ)



久「だったら、こんなのはどう?」ギュッ

京太郎「……ちょっと暑い」

久「じゃあもっと暑苦しいことしちゃおうか……たとえばこんな――」


久「――んっ」チュッ


久「ま、今は頬で妥当かしらね」

京太郎「今はって……」

久「続きは代表になれたらってこと」

京太郎「まいったな……こんなにされたんじゃ頑張らないわけにはいかないよな」

久「そんなに私とキスしたいの?」

京太郎「どうだろうな……でも悪いな、気合い入れてもらってさ」

久「いっつも私がしてもらってたことだしね」

京太郎「あれー? 俺いっつもこんな大胆なことしてたっけ?」



久「なんにしても頑張って。応援してるから」

京太郎「おう」


まこ「……で、いつまで抱き合っとるんじゃ?」


久「あら、まこ」

京太郎「……いるならいると言ってくれ」

まこ「あがぁな雰囲気の中に割って入る自信はないのぉ」

久「もうちょっとだけそっとしておいてくれても良かったんだけどねー」

まこ「そしたら今度はうちの一年たちに見られるんじゃが」

久「うーん、それはちょっと刺激が強いかしら?」

まこ「部室でなにするつもりだったんだか……」


久「それじゃ、続きはまた今度ね」パッ

京太郎「ああ、ありがとな」

久「だったら愛してるくらい言いなさいよ」

京太郎「はは、じゃあそれもまた今度ってことで」





京太郎「明日か……」

京太郎「久しぶりの真剣勝負だな」

京太郎「……どこまでやれるんだかな」

京太郎「俺のオカルト……本当にそんなものがあるんなら……」

京太郎「ふぅ、もう寝るか」

京太郎「久ちゃんのせっかくの応援、無駄にしたくないからな」





久「みんな、準備はいい? まずは今日の予選を勝ち抜くわよ」


優希「東風戦だけとかボーナスステージだじぇ」

まこ「ま、やるだけやってみるかの」

和「あの、先輩も出場するんですか?」

京太郎「まぁな。最後の年だし、ちょっと挑戦してみようかなって」

咲「京ちゃんが? 大丈夫かな」

京太郎「なんの心配だ、なんの」グリグリ

咲「や、やめてよ……」


久「はいはい、そろそろ会場入りするわよー」



京太郎「俺だけハブだもんなー」

まこ「男女で別々じゃからな」

和「先輩、頑張ってくださいね」

京太郎「お前らもな」

優希「先輩……」ガシッ


優希「お昼に、タコスの差し入れお願いするじぇ」


京太郎「自分で買いにいけっ」ビシッ

優希「あうー! 鬼畜の所業なんだじぇー!」





京太郎「うっわ、人めっちゃ多い」

京太郎「女子も多いけど男子はそれ以上か……」

京太郎「それでも女子の方が実力的には上なんだっけ?」

京太郎「なんつーか、身近にすごいのがいるからな……よーく納得できる」


「ふぅ……」


京太郎「女子? こんなとこでなにやってんだ?」

京太郎「彼氏の見送りとか? ……羨ましい」


(待ち合わせ時間からもう五分……)ソワソワ

(それなのにお爺さまはまだ来ない)ソワソワ

(いいわ……待つのには慣れてるから)ソワソワ



京太郎「なんかかわいそうなぐらいソワソワしてんな……」

京太郎「彼女待たせてんじゃねーよ」

京太郎「……あーもう!」


京太郎「君、誰かと待ち合わせ?」

「……そういうのはいいんで」

京太郎「いや、ナンパとかじゃないから。大体彼氏持ちに手を出すわけないだろ」

「彼氏持ち? 一体何の話を――」


「数絵ー、すまんすまん」



「待たせたか?」

「いえ、それほどは」

「間違ってここの場所を伝えてしまったようだ」

「やはりそうでしたか……」


京太郎「……えっと、この人が彼氏?」

「……数絵、こいつは?」

「私に声をかけてきた不審者です」

京太郎「それはあんまりだろ!」

「よし、ちょっと屋上へ来い。久しぶりに切れちまったぜ」

京太郎「違う違う違う!」





なんだ、そういうことなら早く言え」

京太郎「爺さん……あんた孫の言うこと無条件で信じすぎだろ」

「わ、私は嘘を言ったつもりはっ」

京太郎「お前も人の話はちゃんと聞こうな」


「南浦聡、こっちは孫の数絵だ」

「……よろしく」


京太郎「須賀京太郎、今日は個人戦に出る予定の全然怪しくない高校三年生です」

数絵「そ、そのことは……」

京太郎「まあ、それはいいよ。それよりそっちも個人戦に出るんじゃないのか?」

聡「お、そうだった。数絵、エントリーを済ませてこなければな」

京太郎「間に合わなかったじゃ目も当てられないからな」




聡「頑張れとは言ったが、あれは無理だろうな」

数絵「さっきの人ですか?」

聡「須賀京太郎といったか……運に見事に見放されている」

数絵「それがあの人の特性だと?」

聡「いや、あれはおそらく素だ。恐ろしく麻雀に向いていない」

数絵「そうですか……なんだか哀れですね」

聡「それは本人もわかっていそうなものだが……」


聡(しかし、同時に奇妙な気配も感じた)

聡(なにかを隠し持っている手合いということか?)


数絵「お爺さま?」

聡「ああ、すまない。では行こうか」



京太郎「えっと、対局室は……ここか」

京太郎「初戦だ。気張らなきゃな」


久『なんにしても頑張って。応援してるから』


京太郎「久ちゃん……行ってくる」

京太郎「……よし!」





京太郎「ロン、5200」


京太郎(なんだ、これ)


京太郎「ツモ、1300オール」


京太郎(いつもと違う……)


京太郎「ロン、12000」


京太郎(いつもより、断然ツイてる……!)


京太郎「ツモ、8000オール!」





京太郎「あー、調子いいな」

京太郎「いっつもアレだった反動か? このタイミングで来てくれるんだから神様もわかってるよな」

京太郎「この調子で午後も勝ち抜いちゃうかー?」グゥ

京太郎「とりあえず飯食うか。久ちゃん達と合流しよう」


聡「お、また会ったな」


京太郎「南浦の爺さん」

聡「いいとこに来た。ちょっと頼まれてくれ」

京太郎「はぁ? 俺、腹減ってんだけど」

聡「まぁそう言うな。俺のいないちょっとの間だけ数絵を頼みたい」

京太郎「いやいやいや、針のむしろはやだよ」

聡「それでは頼んだぞ。数絵は向こうにいる」

京太郎「ちょっ」


京太郎「……強引な爺さんだよな」





数絵(お爺さま、まだかしら?)

数絵(先に食べてていいと言われたからお湯を注いだけど……)


数絵「三分、まだかしら?」


京太郎「隣、座るぞ」

数絵「ああ、どうぞ――って、あなたは」

京太郎「機会があったな。須賀さんちの京太郎くんです」

数絵「……」ジー

京太郎「た、頼むからなんか反応してくれよ」

数絵「……ふぅ」

京太郎「ため息!? それもそれで傷つくなぁ」



数絵「あの、何か用でも?」

京太郎「見かけたから声をかけようと思っただけ」

数絵「暇な人なんですね」

京太郎「あのさ、もうちょっと態度を軟化させてくれるとありがたいんだけど……」

数絵「そうする理由がないですから」


数絵「あなたと話す益がありません」

数絵「だって、あなたからは何も感じない」

数絵「運気の流れも、場を支配するような圧力も」

数絵「私は自分を磨くため、自分の麻雀を証明するためにここにいる」

数絵「だから、あなたみたいな人に付き合ってる時間は――」


数絵「……あなたは、本当にさっきと同じ人?」

京太郎「あれだけ言っといてなんだよ……」ズーン

数絵「そんな、さっきまでとは全然……」

京太郎「まぁいいけどさ……カップ麺、伸びてるんじゃないか?」

数絵「あっ」





聡「戻ったぞ、数絵」

数絵「……おかえりなさい」ムスッ

京太郎「やっと帰ってきた……」

聡「……なにがあった?」

京太郎「ラーメン伸びてお孫さんが激おこぷんぷん丸」

数絵「……違いまず」ムスッ

聡「そうか、世話をかけた――」


聡「……愛を貪り、おのが糧とする」

聡「そうか、そういうことか……」


京太郎「はぁ? いきなりポエムか?」

聡「その力は自覚的に使っているのか?」

京太郎「力? 何の話だよ」

聡「無自覚……ならばその方がいいかもしれんな」

京太郎「まぁいいや。それじゃ俺はもう行くよ。いい加減腹ペコだし」

聡「ああ、礼を言う」

京太郎「次があったら俺の話を聞いてからにしてくれ、それじゃ」



聡「……また珍しいのが出てきたもんだ」

数絵「なにかわかったんですか?」

聡「おおよそは見えた。お前もあいつが朝出会った時と全く違うことには気がついたろう?」

数絵「不可解です……あんなに急に運気が太くなるなんて」

聡「あれはやつ自身のものじゃない……そういうことだろう」

数絵「それがあの人の特性だと?」

聡「なんにしてもあいつには惚れるなよ。お前が麻雀を続けたいならな」





京太郎「久ちゃん、調子どう?」

久「……ああ、京太郎」

京太郎「具合でも悪いのか?」

久「そういうわけじゃないけど、なーんかツイてないのよね」

京太郎「あー、そういう日もある」

久「あんたはいっつもこの状態じゃない」

京太郎「ところが残念。午前はいっぱい稼いできちゃったんだな」

久「それ本当?」

京太郎「俺の勇姿、久ちゃんにも見せたかったぜ」

久「……今日は槍でも降るのかしらね?」

京太郎「俺がツイてると天変地異レベルだってのか」

久「ま、一日くらいは麻雀の神様が振り向いてくれる日もある。そういうことかしらね?」

京太郎「明日も続いてほしいけどな。飯は全員で食べるのか?」

久「そうね。今買いに行ってもらってる」

京太郎「じゃ、俺もなんか買ってきますかね」



選択済みエピソード

・一年
入学式、久との再会
春、美穂子登場
春、二人のあいだにある壁
美穂子再び
初夏、久との対立
初夏、美穂子への依頼
初夏、美穂子との特訓
初夏、決戦前夜
決戦
初夏、リスタート
夏、新たな出会い
夏、欠けた月
夏、初めての執事(アルバイト)
夏、衣の麻雀講座
今宵、月が満ちるとも
夏休み、遠征初日
夏休み、松実姉妹
夏休み、遠征二日目――鹿児島
夏休み、眠り姫
夏休み、遠征三日目――大阪
夏休み、目覚めぬ未来
夏休み、遠征四日目――岩手
夏休み、八尺(実際には六尺五寸)
夏休み、遠征最終日――東京
夏休み、グランドマスター
夏の始まり
エピローグ
その後の美穂子
秋、バイト執事再び
秋、衣の誕生日(略してころたん)
秋、膝枕の日
秋、祭りの後で
秋、恋敵?
冬、雪の降り始め
冬、年の初めに
冬、画面の向こう側
冬、節分の前の日
冬、アラフォー(予備軍)
三月八日、一年後の誕生日
三月十五日、好みのタイプは?
三月十六日、初めてのお出かけ
三月、おもちと温泉と
三月、温泉のあとのマッサージ(意味深)

・二年
部活動紹介、まこ入部
春、学食にて
美穂子との再会
初夏、ストーカー?
初夏、池田の逆襲
初夏、タイムリミット
初夏、県予選開始
初夏、団体戦決着
初夏、縺れた糸
初夏、まこの苦労日記
初夏、ライバル
夏、全国へ
夏、ワールウィンド
夏、奈良の王者
夏、修羅の国のクールビューティー
夏、大阪の魔物
夏、大阪の姉妹
夏、神代の姫
夏、一番目と二番目
夏、スリーピングビューティ
秋、次の目標
秋、まこの苦労日記その2
秋、二人と一人
冬、旅行に行こう
冬休み、小悪魔
冬休み、ゆきみだいふく
冬休み、神社の娘と王者の進路相談
冬休み、はとこ
エピローグ
五月十日、膝枕とおんぶ
八月二日、パンツの日
秋、ロッカーの中
秋、月見の夜に
秋、キャットチャンバー
秋、初めての学校祭
秋、牌のお兄さん
秋、こどな
秋、苗字と名前
冬、記憶と縁
冬、王者の休日
冬、蓼食う虫もなんとやら
冬、鎖でつなぐもの
三月、主役のいない旅行
三月、ゆきが消える前に

・三年
優希との出会い
春、和の初恋?
春、インハイチャンプ
初夏、最後の一人
初夏、不和
和の悩み
咲との微妙な関係
優希の好物
初夏、合宿
初夏、家庭訪問@原村家
初夏、最後の県予選
初夏、鏡
初夏、見えない彼女の見つけ方
初夏、決意
初夏、県予選決勝戦
初夏、東風とビギナーズラック
初夏、個人戦9位と卓上の天使
初夏、花天月地――嶺上の花と海底の月
初夏、男子個人戦
初夏、南風

・EX
小学五年、幼馴染
小学五年、嫉妬
中学二年、初夏、ゆみとの出会い
中学二年、夏、試合観戦
中学二年、三月、照との別れ
中学三年、初夏、空白

ってなわけで終了です
ウトウトしてたけどどうにかなった……

次回は『三年、初夏、代賞』です

それじゃ、おやすみなさい



・三年、if、魔物に愛された男


「――きて……ちゃん」ユサユサ


京太郎「んん……」


「――起きて、京ちゃん」ユサユサ


京太郎「んぁ……咲?」

咲「おはよ、京ちゃん」

京太郎「……なんで?」

咲「なんでって、毎朝のことだよね」

京太郎「……そうだっけ?」


京太郎(毎朝のこと?)

京太郎(あれ……いつもは目覚ましか母さんに起こされてたような)



咲「じゃあ、はい。いつもの」

京太郎「い、いつもの?」

咲「うん……したいって言ったの京ちゃんだよ?」

京太郎「したいって、なにを?」

咲「だから、おはようのキス! もう、言わせないでよ……」


京太郎(どうしよう、全く身に覚えがない)

京太郎(これじゃまるで恋人同士……)

京太郎(俺の記憶が混乱してるのか?)

京太郎(こいつが嘘ついてたら絶対ボロ出すし……)


咲「あ、でも舌入れたらダメだよ? 学校行けなくなっちゃうし」

京太郎「し、舌だって?」

咲「そ、そんなにしたいんだったら、いいけど……」モジモジ

京太郎「きょ、今日は体調悪いからっ」

咲「あ、どこ行くの!?」





京太郎「な、なんだったんだ?」

京太郎「咲のやつ、悪い物でも食ったのかよ」

京太郎「寝間着のまま外に飛び出してきちゃったけど……」


「あ、見つけました」


京太郎「あれ、小蒔? どうしてここに」

小蒔「もう、探したんですよ? 起きたらお布団の中からいなくなってますし」

京太郎「悪い悪い……って、あれ?」

小蒔「さぁ、帰りましょうか」


小蒔「――あなた」



京太郎「あ、あなた?」

小蒔「? どうかしたんですか?」

京太郎「不思議そうな顔すんなよ、俺がおかしいみたいじゃないかっ」

小蒔「実際おかしなこと言ってます。だって、私たち夫婦の契を交わしました」

京太郎「夫婦の契!?」

小蒔「はい、初めてはホテルのベッドで……」ポッ


京太郎(身に覚えがないパート2!)

京太郎(こいつもかよ!)

京太郎(捕まったらヤバそうな雰囲気しかしねー!)


京太郎「じゃ、じゃあ俺ちょっと用事があるから……」

小蒔「……女の人、ですか?」

京太郎「いや――」



小蒔「霞ちゃんや春たちだったらまだ許せます」

小蒔「でも、それ以外の女性だったら私――」


小蒔「――その方が羨ましくて妬ましくて……なにするかわかりませんよ?」ニコッ


京太郎「え、なっ――足が……!」

小蒔「ふふ、わかってもらえたんですね」


京太郎(なんだこれ、何かに押さえつけられてる!?)

京太郎(また過保護な神様か!)


――キキーッ!


衣「きょうたろー、こっち!」

京太郎「――っ、体が動く……!」

衣「早く!」

京太郎「くそっ」

小蒔「あ――」


バタンッ キキーッ!





京太郎「ふぅ、助かった……」

衣「大丈夫?」

京太郎「ああ、なんとかな……」

衣「うん、これも偏にハギヨシの運転技術のおかげだ」

京太郎「ともかく、ありがとな」ナデナデ

衣「えへへ、褒められた」

京太郎「一体二人ともどうしちまったんだかな」

衣「まったくだ! きょうたろーは衣の伴侶だというのに!」

京太郎「……あん?」


衣「だって、ずっと傍にいるって約束してくれた。家族になるって」

衣「衣のこと、泣かせないって」


京太郎(またこれかよ!)

京太郎(なんだこいつら、どっか別の世界から電波受信してるんじゃないだろうな!)

京太郎(くそ、車の中じゃ逃げ場がない……!)



衣「ともかくこれで安心だ」

衣「今は衣がいるし、ハギヨシもいる」

衣「このまま屋敷まで帰ろう」


京太郎(ヤバい、そこまでいったらもう出られない予感しかしない)

京太郎(どうにかして車を止めないと!)


京太郎「ぐっ、いたたたたたたっ!」

衣「きょ、きょうたろー?」

京太郎「腹が……今すぐトイレ行かないとヤバい!」

衣「なんだそんなことか。大丈夫、衣がちゃんと処理してあげるから!」




京太郎(全然大丈夫じゃねーっての!)

京太郎(汚物の処理とか愛が大きすぎだろ!)

京太郎(どうする、このままじゃ一生屋敷に軟禁……冗談じゃない!)


ハギヨシ「二人とも、捕まってください!」


キキーッ!


京太郎「あいたっ」

衣「あうっ」


「京太郎くん、早く降りて!」


京太郎「ありがたい!」

衣「きょうたろー、待って!」





京太郎「ここまで来たら大丈夫か?」

京太郎「……助かったよ」


豊音「いえいえ、困ったときはお互い様だよー」


豊音「私も京太郎くんのピンチにいてもたってもいられなかったから」

京太郎「そうか……ん?」


京太郎(俺のピンチに? どうやってそれを察した?)

京太郎(それに、なんの脈絡もなくここに来てるって、もしかして)

京太郎(……違うかもしれないし、確認だけはとっておくか)


京太郎「なあ、姉帯」

豊音「なに?」

京太郎「今日はいきなりどうしたんだ? こっち来るなら連絡くれよ」

豊音「ごめんね? 京太郎君にも秘密にしておきたかったから」

京太郎「なんだ、サプライズのつもりか?」

豊音「えへへ、実はね?」



豊音「京太郎くんを、連れて帰っちゃおうかなって」


京太郎「……やっぱりかー」


豊音「えっとね、京太郎くんを連れて帰って、結婚してね?」

豊音「それからそれから、ちょっと恥ずかしいけど……子供作ったりとか」

豊音「そしたら私たちもお父さんやお母さんみたいになれると思うんだ」


京太郎「そ、そうか……」ダラダラ

豊音「きゃっ、言っちゃったよー!」

京太郎「じゃあ、ちょっと腹痛いからトイレ行ってくるよ」

豊音「うん、私はここで待ってるね?」

京太郎「それじゃ」タタッ





京太郎「危なかった……」

京太郎「あいつが素直なやつで助かった」

京太郎「まぁ、見つかったらなにされるかわからないけど」

京太郎「……考えないようにしよう」

京太郎「にしても、喉渇いた。汗かきすぎたか?」


「あれ、お兄さんやないですかーぁ」


京太郎「――っ」

憩「? どうして身構えとるんですか?」

京太郎「お前、もしかして俺に会いに来た?」

憩「自意識過剰ですかーぁ?」

京太郎「いや、違うならいいんだ」



京太郎(そうだよな、こいつとは東京で一回会ったっきりだし)

京太郎(俺の考えすぎか……)


憩「見たところお疲れみたいですけど」

京太郎「ああ、ちょっと朝からハードで……」

憩「ふむ……飲み物、いりますかーぁ? 私の飲みかけでよければ」

京太郎「ん、もらう。正直喉カラカラでさ」チュー


京太郎(生き返るー)

京太郎(あーもう、こいつが天使に見えてきた)

京太郎(格好と相まって白衣の天使?)

京太郎(癒される……気が抜けて体の力が――)


京太郎「――あれ?」ガクッ

憩「薬、効いたみたいですねーぇ」

京太郎「く、薬?」

憩「心配はいらへんですよーぉ? ちょーっと力抜けるだけですから」

京太郎「ちょっ――」バタッ



憩「んしょ、お兄さん重いですねーぇ」

京太郎「な、んで、こんな……」

憩「えー? 決まっとるやないですかーぁ」


憩「お兄さんのこと、欲しくて欲しくてたまらないんですよーぅ」


憩「気にせずじっとしてていいですよーぉ? 優しく、優しくしますからーぁ」

京太郎「か、考え、なおせ……」

憩「お兄さん初めてですかーぁ? うちもですよーぉ」

京太郎「くっ……」


京太郎(万事休すか……!)

京太郎「意識が、遠くなって――」





京太郎「――はっ!」

京太郎「今のは……夢?」

京太郎「はは……だよな、現実のわけないだろ」

京太郎「もう朝かー、全然休んだ気がしないな」


「あ、起きてたの?」


照「はい、お水」

京太郎「ああ……ありがとう、照ちゃん」

照「うなされてたみたいだけど、大丈夫?」

京太郎「なんかすごい夢見てさ……てか、照ちゃんはなんでここに」

照「なんでって……ここ、私たちの家だよ?」

京太郎「家、俺たちの?」


「ママー、お腹空いたー!」


照「料理の途中だから下に降りてるね」

京太郎「あ、ああ……」

照「京ちゃん、大好き」チュッ


京太郎「家、子供……」

京太郎「はは、これも夢、だよな?」




つづくわけがない



最後におまけ


「……私たちの出番がない!」

「そーだそーだ! 慰謝料が発生するよコレ!」


京太郎「いや、そもそもお前らのこと知らないし」


「あわっ!? あんなことしたくせに! 責任取れー!」

「借金返せー! あとついでに結婚!」


京太郎「だから知らねえつってんだろうがっ」




おしまい

前スレ1000はこれで勘弁してください

ifがある人はその世界線の記憶を持っているということで

ちなみに次回のタイトルは『代償』の方が正解です
なんであんな風に変換されたんだか……

それじゃ、おやすみなさい

おはようございます

淡の出番は確定的ですが、ネリーは安価しだいです

それはともかくとして、今日はやる予定なので安価出しときます

清澄以外の長野のキャラをどうぞ
登場してないキャラは無効です

下1~下5で多数決

もう福路さん確定ですね

それじゃ、また夜にでも

こんばんはー

もうちょっとしたらやります

それじゃ、始めます



・三年、初夏、代償


京太郎「何食おうかなー?」

京太郎「ゲン担ぎにトンカツとかか?」

京太郎「うーん、今更だしな」


美穂子「京太郎さん?」


京太郎「お、みほっちゃん」

美穂子「お昼はもう?」

京太郎「いや、これから。なににしようか迷ってて」

美穂子「そうですか……」

京太郎「みほっちゃんはもう済ませたのか?」

美穂子「あ、華菜たちと約束してますから」

京太郎「あの猫娘ね」

美穂子「みんなで食べられるように重箱を持ってきたんです」

京太郎「じゅ、重箱か……」



京太郎(自分だって試合があるだろうに……)

京太郎(さすがというべきかなんと言うか)


美穂子「それで、あの……一つだけお願いがあるんですけど」


美穂子「ダメ、ですか?」チラッ


京太郎(はい、必殺技入りましたー!)

京太郎(その上目遣いは大抵の男に効くんだよなぁ)

京太郎(もちろん断るという選択肢はない)



京太郎「わかった、君のためなら」ガシッ

美穂子「え、ええっ」

京太郎「悪い、つい体が」パッ

美穂子「あ、嫌というわけじゃないですから」

京太郎「……なんか、随分優しくなったよな」

美穂子「私、ですか?」

京太郎「二年前はそれこそ思いっきり警戒されてたからな」

美穂子「それは、えっと……誤解してましたから」

京太郎「実はさ、あの頃ってわりかし不純な考えで声かけてたんだよな」

美穂子「不純?」

京太郎「そーそー、はっきり言ってどストライクだったんだよね、みほっちゃん」

美穂子「どすとらいく……私が……あの、それって」カァァ

京太郎「話それちゃったな。で、お願いってなんだ?」

美穂子「えっと、その……」モジモジ



美穂子「これ、良かったら食べてください!」


美穂子「それじゃ……」


京太郎「……ふむ、弁当か」

京太郎「余らせたからってパターンかな? 勘違いしないでよねっていう」

京太郎「にしては適量なんだよな。多すぎず、少なすぎずというか」

京太郎「どう受け取ったものか……」

京太郎「とりあえず勘違いしとこうかな」





京太郎「というわけで弁当をもらいました」


まこ「妙に浮かれとると思うたらそういうことかい」

久「美穂子の手作り……おいしいのが保証されてるようなものよね」

和「お弁当……その手がありましたか」グヌヌ

咲「私も作ってこればよかった……」グヌヌ

優希「二人ともぐぬぬってるじぇ」


京太郎「さーて食べようかな……おお!」

京太郎「とても余り物の寄せ集めには見えないな、これは」

京太郎「どれから食べようかなー」



久「じゃあ、この唐揚げもらうわね」ヒョイ

京太郎「ちょっ」

優希「タコさんウィンナーゲットだじぇ!」

京太郎「まっ」

咲「だし巻き玉子……えいっ」パクッ

京太郎「おまっ」


まこ「やれやれ、見事にたかられとるのぅ」

和「お弁当、お弁当……」ブツブツ

まこ「こっちはこっちでこれか」


京太郎「てめぇら俺にも食わせろや!」





京太郎「よし、みんな飯食ったな? 午後もやってやろうぜ!」


まこ「なんじゃ、いやに元気じゃの」

咲「さっきのお弁当に何か悪いものでも入ってたのかな?」

和「先輩……心配です」


京太郎「お前らさ、もう少しテンション合わせてくれよ……」

咲「だって、普段あんなにボロ負けしてるんだよ?」

まこ「男子は数が多いけぇ、午前でふるい落としがあるんじゃろ?」

咲「落ちた現実が信じられなくてハイテンションになっているのかと思って」

京太郎「……しまいには泣くぞ?」


久「はいはい、そこまで」



久「ともかく、無事に午後を迎えられそうだし、みんなでベストを尽くしましょう」

和「あの、ゆーきの姿が見えないんですが」

まこ「たしかに。迷子かの?」

京太郎「まさか。こいつじゃあるまいし」

咲「わ、私だって迷わないときもあるもん」

まこ「その言い方だと、迷子になる時の方が多いように聞こえるんじゃが……」

久「優希ねぇ……もうすぐ帰ってくると思うんだけど」


優希「追加のタコスゲットだじぇっ」


久「あら、おかえり」

京太郎「いないと思ったらタコスか」

優希「それもこれも先輩が買ってきてくれないからだじょ!」

和「普通は自分で買うものですよ?」

優希「ともかく、これで午後もかっ飛ばしてくんだじぇ!」



京太郎「こいつもいつにも増して元気だな」

まこ「あれじゃろ、今日は東風戦しかないからの」

咲「優希ちゃん、午前が終わってダントツでトップだし……」

優希「ふふん、もっと褒め称えていいんだじぇー」


和「……調子に乗ってますね」

京太郎「……ごめん、俺もじつは超浮かれてる」

和「先輩はその……普段があれなので仕方ないというか……」

京太郎「言葉を濁す優しさは嬉しいけど、それはそれで地味に突き刺さってるからな?」

和「す、すみません」

京太郎「まぁ、気にするな。今日で昨日までの汚名とはおさらばしてやるさ」


久「そろそろ時間ね」

京太郎「おっと、俺は向こうの会場だから急がないとな」

久「午後でいきなり失速しないようにね」

京太郎「わかってる。久ちゃんもこれから追い上げてくんだろ?」

久「当然」

京太郎「じゃ、お互い頑張ろうぜ」

久「そうね」





「さて、男女ともに一日目、午後の試合が始まりましたね」

靖子「始まる前からわかっていたことではあるけれど、今年の女子は中々に粒ぞろいだね」

「今年の長野は魔境などと囁かれているという話も聞きます」


靖子「風越や龍門渕は言わずもがな、それを破った清澄、同じく全く無名ながらも互角に渡り合った鶴賀……」


靖子「それぞれが違う県に配置されていたら、そろって全国へ進んでいてもおかしくはない」

「その団体戦に出場していた面子が今度は個人戦で争う……大荒れは必至ということでしょうか」

靖子「それより私は男子の方も気になるがね」

「男子というと……こちらは逆に団体戦に出場しなかった選手が目立っていますね」

靖子「ここ数年は女子に押され気味の印象だったが、渡り合えそうなのも出てきているな」

「女子同様、男子の試合からも目が離せませんね」





京太郎「ロン、7700」


京太郎(午前に引き続き、午後もツイてる……)

京太郎(もちろん、こんな急にツキが良くなるなんて偶然がそうそうあるとは思えない)

京太郎(もしこれが俺のオカルトってやつなら、なんで急に効果が出たのかもわからない)

京太郎(それでも、今戦うための武器になるなら、なんだって使ってやるさ!)


京太郎「……」


京太郎(来た、これで聴牌だ)

京太郎(これを捨てれば三面張……リーチをかけて上がれる見込みは十分にある)

京太郎(でも……)


京太郎「リーチ」


京太郎(あえて、こっちを捨てる)

京太郎(地獄単騎、久ちゃんがよくやる悪待ち)

京太郎(ゲン担ぎ……それだけじゃない、今なら――)


京太郎「ツモ、4000オール!」





京太郎「っしゃ! 予選通過!」

京太郎「今日は終始調子が良かったな」

京太郎「久ちゃんの真似だってうまくいったし」

京太郎「さて、みんなはどうかな?」


聡「予選は通過できたようだな」


京太郎「ああ、南浦の爺さん。またこっちで待ち合わせか?」

聡「さて、な」

京太郎「なんだよ、それ。お孫さんのことはいいのかよ」

聡「数絵なら無事に予選を勝ち抜いた」

京太郎「まぁ、あれだけ生意気なこと言ってたからそれぐらいはな」

聡「それより、お前の周りで不調な奴はいなかったか?」

京太郎「不調? 思い当たらないけど」

聡「それならいい……ではな」



京太郎「一体何しに来たんだ?」

京太郎「まさか俺の様子見に来たってことはないよな?」

京太郎「今日会ったばかりのやつにそこまで気をかけるわけないし」

京太郎「てか、俺の周りで不調なやつね……」


久『そういうわけじゃないけど、なーんかツイてないのよね』


京太郎「そういや、久ちゃん調子悪そうだったな」

京太郎「まあでもそれぐらいだったらひっくり返しちゃうよな」

京太郎「自他ともに認める逆境に強い女だし」

京太郎「さて、色々気になるし合流するか」





京太郎「よーっす」

まこ「ああ……どうじゃった?」

京太郎「無事予選通過」

まこ「それは……奇跡じゃな」

京太郎「だからそれはもういいって……」


京太郎「そういや、他のやつらは?」

まこ「一年生たちは連れ立ってお花摘みじゃ」

京太郎「またか……もしかしてミーティングでもしてるんじゃないだろうな?」

まこ「どうじゃろな」

京太郎「で、久ちゃんは?」

まこ「……調子が良くないみたいでの、少し休んどる」

京太郎「風邪かな? 明日本戦だしゆっくり休まないとな」

まこ「……」

京太郎「どした? まこっちゃんも風邪か?」

まこ「久のことなんじゃが……」

京太郎「なんだよ、隠し事か? 言えよ、俺らの仲だろ」



まこ「……落ちた」


京太郎「ん?」


まこ「予選で、落ちたんじゃ」


京太郎「……え?」



選択済みエピソード

・一年
入学式、久との再会
春、美穂子登場
春、二人のあいだにある壁
美穂子再び
初夏、久との対立
初夏、美穂子への依頼
初夏、美穂子との特訓
初夏、決戦前夜
決戦
初夏、リスタート
夏、新たな出会い
夏、欠けた月
夏、初めての執事(アルバイト)
夏、衣の麻雀講座
今宵、月が満ちるとも
夏休み、遠征初日
夏休み、松実姉妹
夏休み、遠征二日目――鹿児島
夏休み、眠り姫
夏休み、遠征三日目――大阪
夏休み、目覚めぬ未来
夏休み、遠征四日目――岩手
夏休み、八尺(実際には六尺五寸)
夏休み、遠征最終日――東京
夏休み、グランドマスター
夏の始まり
エピローグ
その後の美穂子
秋、バイト執事再び
秋、衣の誕生日(略してころたん)
秋、膝枕の日
秋、祭りの後で
秋、恋敵?
冬、雪の降り始め
冬、年の初めに
冬、画面の向こう側
冬、節分の前の日
冬、アラフォー(予備軍)
三月八日、一年後の誕生日
三月十五日、好みのタイプは?
三月十六日、初めてのお出かけ
三月、おもちと温泉と
三月、温泉のあとのマッサージ(意味深)

・二年
部活動紹介、まこ入部
春、学食にて
美穂子との再会
初夏、ストーカー?
初夏、池田の逆襲
初夏、タイムリミット
初夏、県予選開始
初夏、団体戦決着
初夏、縺れた糸
初夏、まこの苦労日記
初夏、ライバル
夏、全国へ
夏、ワールウィンド
夏、奈良の王者
夏、修羅の国のクールビューティー
夏、大阪の魔物
夏、大阪の姉妹
夏、神代の姫
夏、一番目と二番目
夏、スリーピングビューティ
秋、次の目標
秋、まこの苦労日記その2
秋、二人と一人
冬、旅行に行こう
冬休み、小悪魔
冬休み、ゆきみだいふく
冬休み、神社の娘と王者の進路相談
冬休み、はとこ
エピローグ
五月十日、膝枕とおんぶ
八月二日、パンツの日
秋、ロッカーの中
秋、月見の夜に
秋、キャットチャンバー
秋、初めての学校祭
秋、牌のお兄さん
秋、こどな
秋、苗字と名前
冬、記憶と縁
冬、王者の休日
冬、蓼食う虫もなんとやら
冬、鎖でつなぐもの
三月、主役のいない旅行
三月、ゆきが消える前に

・三年
優希との出会い
春、和の初恋?
春、インハイチャンプ
初夏、最後の一人
初夏、不和
和の悩み
咲との微妙な関係
優希の好物
初夏、合宿
初夏、家庭訪問@原村家
初夏、最後の県予選
初夏、鏡
初夏、見えない彼女の見つけ方
初夏、決意
初夏、県予選決勝戦
初夏、東風とビギナーズラック
初夏、個人戦9位と卓上の天使
初夏、花天月地――嶺上の花と海底の月
初夏、男子個人戦
初夏、南風
初夏、代償

・EX
小学五年、幼馴染
小学五年、嫉妬
中学二年、初夏、ゆみとの出会い
中学二年、夏、試合観戦
中学二年、三月、照との別れ
中学三年、初夏、空白

てなわけで終了ー
書きながらだと遅くなりますね

次回は『三年、初夏、いつも傍にあるもの』です

それはそうと怜竜ヒロインの話めっちゃ書きたい
ジゴロな京太郎と怜竜の三角関係みたいな感じで

それじゃ、おやすみなさい

怜竜の話はこのスレと根本的に設定が違うからやるとしても新スレですね
場合によっては18禁ですからね、間違っても一応健全なこのスレじゃちょっと

それはともかくとしてもう少しで始めます

そんじゃ、始めます



・三年、初夏、いつも傍にあるもの


京太郎「久ちゃん……」

久「……ああ、いたのね」

京太郎「……」

久「あーあ、やらかしちゃった」

京太郎「残念、だったな」

久「ホントにね……でもまぁ、団体戦があるから」

京太郎「……どうして」


京太郎(どうして、笑ってるんだよ)

京太郎(どうして、何も言わないんだよ)

京太郎(俺に気を使っているのか?)

京太郎(俺が、そうさせているのか?)



久「予選突破、おめでとう」

京太郎「あ、ああ」

久「まったく、普段ならきっと逆のはずなのにね」

京太郎「本当だ、本当ならこんなこと、ありえない」

久「私のツキがあんたに取られちゃったのかも……なんてね」

京太郎「はは、そんなわけ――」


聡『……愛を貪り、おのが糧とする』

聡『それより、お前の周りで不調な奴はいなかったか?』


京太郎「……まさか」

久「ただの冗談じゃない。そんなに気にしなくても」

京太郎「悪い、用事が出来た。先に帰っててくれ」

久「あ、京太郎……」


久「……ちょっと見栄はりすぎたかしら」

久「本当は慰めてほしかったんだけどな……」





数絵「お爺さまはまだかしら……」ソワソワ


京太郎「ちょっといいか?」


数絵「ひゃっ」

京太郎「驚かせて悪いけど、爺さんはいないのか?」

数絵「あなたはいきなり人の後ろから……!」

京太郎「それはもう謝った。爺さんはどこだ」

数絵「……お爺さまに何の用ですか?」

京太郎「いいから爺さんに会わせろ!」

数絵「――っ」


聡「俺に何のようだ、若造」


京太郎「あんた、俺の力がどうとか言ってたな。不調な奴がいるかどうかとも……」

京太郎「知ってるんだろ? 知ってるんだよな……!?」


聡「……数絵、席を外せ」

数絵「わかりました」


聡「さて、何が聞きたい?」

京太郎「さっきから言ってるだろ。あんたが知ってること全部だ!」





京太郎「そんな、嘘だろ……」

聡「気づかなければそれでいいと思っていたんだがな……」

京太郎「そんなオカルト、ありえねぇよ……」

聡「だが、真実だ」


聡「己を愛する者の運気を奪う……それがお前の力だ」


聡「俺もじっくりと観たわけではない。説明には不足があるかもしれん」

京太郎「でも……」

聡「ああ、今日お前の運気がいきなり向上したのも、それと呼応するように不調な者が現れたのも……」

京太郎「俺の力が原因、だってのか」

聡「……信じる信じないは自由だ。どう向き合うかも自分で決めるしかない」

京太郎「……」

聡「だがお前に責任はない。気休めにもならないかもしれんが、それも事実だ」



聡「悩め、答えは自分にしか見つけられん……ではな」


京太郎「……好き勝手言いやがって」

京太郎「でも、まだだ……まだ、確証がない」

京太郎「確証? 何言ってるんだかな」

京太郎「まだ俺のせいじゃないって思いたいのか?」

京太郎「それでも……」プルルル


『もしもーし、あなたの三尋木プロですよー』


京太郎「早速で悪いけど、聞きたいことがある」





咏『要するにさ、想いが向き合ってないと何にも起きないんだよねぃ』

咏『片想いじゃ成立しない、だからお兄さんの周りには向けられた想いだけがうようよ浮かんでる』

咏『だから誰か一人にしぼらないと意味がない……ま、全員愛してるなんて言ってのけるやつは例外かね?』


京太郎「向けられた想いと、向かい合う……」


京太郎(龍門渕の屋敷でくじけそうな時、俺は誰を想った?)

京太郎(小蒔を取り戻すために神様に挑んだ時、俺は誰に呼びかけた?)


京太郎「全部、力を貸してもらってたのか……」

京太郎「当たり前だ……あんなタイミング良く役満が出るわけ無いだろ」

京太郎「そっか、そうだったのか……」


京太郎「じゃあ、やっぱり俺のせいってことじゃん」

京太郎「久ちゃん、ごめん、ごめん……」


京太郎「……謝りに、いかなきゃな」

京太郎「謝ったって、今更どうしようもないけど……」





久「ふぅ……」

久「明日、みんなを笑って送り出せるかしら?」

久「いいえ、部長なんだもの、しっかりしないと」

久「……」


久「どうして、こんなことになっちゃったのかな」


久「やだ、なんか泣けてきた……」

久「家に誰もいなくてよかったかも……」



プルルル


久「……だれよ、こんな時に」

久「……無視しよ」


プルルル


久「しつこいわね……」

久「ほっといてよ、もう……」


プルルル


久「ああもう!」

久「電源切って――」


『須賀京太郎』


久「京太郎……」ピッ

久「もしもし」



京太郎『久ちゃん……寝てたのか?』

久「ん、そんな感じ」

京太郎『そうか……今、家だよな?』

久「うん」

京太郎『今から行っていいか? 話したいことがある』

久「今から? ……いいけど」

京太郎『てか、もう家の前だから鍵開けてくれるだけでいい』

久「なによそれ……ちょっと待ってて」ピッ


久「ホント、いいタイミングで来てくれるわよね」

久「慰めに来たって雰囲気ではなかったけど……」


久「京太郎、開いてるわよ」


京太郎「悪いな、こんな時間に」

久「どうしたの? もしかして明日の試合が不安?」

京太郎「……ごめん」

久「いいわよ、そんな気にすることじゃ――」


京太郎「――ごめん、全部俺のせいだった」





久「……にわかには信じがたい話ね」

京太郎「……」

久「でも、本当なのね」


京太郎「ごめん……今更遅いけど」

京太郎「俺の能力のせいで、久ちゃんは……」

京太郎「俺が、個人戦に出たいなんて言わなければ……!」


久「……」


久(正直、なんでなのよって当たり散らしたい……そんな気持ちもある)

久(でも、そんなことより)


京太郎「ごめん、ごめん……」


久(こいつのこんな姿、見てられない……)

久(なんであんたが泣いてるのよ……)



久「ふぅ……ホント、しょうがないんだから」


久「もうやめときなさい、その悲劇のヒーロー」

京太郎「なんだよそれ、そんなつもりじゃ……」

久「あんたがそう思わなくても、傍から見ればそうなのよ」

京太郎「だからって――」


久「いいから、人の話を聞きなさいよ」


久「たしかに予選落ちは悔しいし、やりきれないわよ」

久「でも、あんたが本戦に出られたのが嬉しいの」


京太郎「それは結局久ちゃんを犠牲にしたってことだろ!」

久「いいから聞く!」


久「あんたの能力、それで私は割食ったわけだけど、見方を変えれば素敵な能力だと思わない?」

久「だってさ、人のつながりとか絆って見えないし曖昧なものだけど、それを証明してくれてるってことでしょ?」

久「それに、私の想いが完全に一方通行じゃないってことでもあるし」



京太郎「……無理だ。そんな風に割り切れねぇよ」

久「でしょうね。でもそれもあんたの一部じゃない」

京太郎「……一生ついてまわるってことか」

久「だから! ひっくるめて肯定してあげるって言ってんの!」

京太郎「――っ」


久「こういうのはいつもあんたが他の子にやってることだと思うんだけどね……」

久「とにかく、その代わり半端なことしたら許さないわよ?」

久「やるからには徹底的にやって、いっそ優勝でもしてきなさい!」


京太郎(ああ、今ならわかる)

京太郎(この糸みたいなのが俺と久ちゃんをつないでいるんだ)

京太郎(絆やつながりの証明か……)


京太郎「……わかった。やってくるよ、久ちゃんの分までさ」

久「うん、ちゃんと見てるから」





「長野県予選の本戦も男女ともに残すところあと一試合です」

靖子「色々波乱があったが、これで終わりだな」

「これが終わった後、上位の三名が全国大会への切符を手にします」

靖子「女子の福路はおそらく鉄板……宮永や原村も十分圏内だ」

「男子の方はほぼ確定のように思えます。この四人の成績がずば抜けている」

靖子「問題はだれが落ちるかだ」


靖子(須賀京太郎……まさかここまで来るとはね)

靖子(もしかして久が上がってこられなかったことと関係があるのか?)


「さぁ、いよいよ試合開始です……!」





京太郎(もう最後の試合……案外落ち着いてるな)

京太郎(背中押してもらってここまで来たんだ。やるだけやってやるさ)


京太郎「……風か」


京太郎(照ちゃんは、俺の太陽だ)

京太郎(離れてても俺が進む道はきっと、その光で照らされてる)

京太郎(それなら久ちゃんは、風だ)

京太郎(俺一人じゃどうしようもない時、背中を押して、引っ張ってくれる)

京太郎(初めて会った時も、照ちゃんがいなくなって空っぽになった時も……そして今も)

京太郎(なんだ……能力なんか関係なしに俺は助けられてるのか)

京太郎(……やろう。徹底的に)

京太郎(今の俺には久ちゃんがついてる……!)


京太郎「……よし」



「ククッ……考え事はもういいのかい?」

「なら打とう。こっちはウズウズしてるんだ」

「……」


京太郎(眼前の相手たちは化物ぞろい)

京太郎(とてもじゃないが色々な意味で高校生離れしてる)

京太郎(でもやってやるさ。堂々と、真正面から)


京太郎「須賀京太郎だ。よろしくな」


「赤木……ここで自己紹介とはな」

「阿佐田だ。よろしく頼む」

「傀……と呼ばれています」


京太郎「さぁ、始めようか……!」





『試合終了――!!』



京太郎「ふぅ……」


「ククッ……随分疲れてるみたいだな」

京太郎「こんなに濃いのは久しぶりだよ」

「ああ、俺もそう思う。機会があればまた打とう」

「それでは……」

「じゃあな、京ちゃん」


京太郎「……男に京ちゃん呼ばわりとか気持ち悪いっての」


京太郎(でも、これで綺麗さっぱりだ)

京太郎(これだけ全力を出したんだからな)

京太郎(ハンドができなくなった時から燻ってたものがなくなった)

京太郎(それだけでも、ここに来た価値がある)

京太郎(だけどまぁ、欲を言うなら……)


京太郎「勝ちたかったな……」

京太郎「僅差で負けとか、一番悔しいじゃんかよ……」





久「……おかえり」

京太郎「ただいま……悪い、力貸してもらったのに」

久「いいわよ。別に勝ってこいって言ったわけじゃないし」

京太郎「それはそれで期待されてなかったみたいでもにょるな」

久「ま、とりあえず今度からビシビシ働かせるからそのつもりで」

京太郎「マネージャー業に逆戻りか……それはそれでいいか」


久「じゃ、行きましょ?」


京太郎「ああ、みんな待ってるもんな」

久「あ、このあとまこのとこで打ち上げやるけど、どう?」

京太郎「行くよ。食べて飲んで騒いでやる」

久「不参加とか言っても引っ張っていく気だったけどね」

京太郎「選択権なしか」

久「そういうこと」ギュッ


京太郎「……手、つないだまま行くのか?」

久「たまにはいいでしょ」

京太郎「ああ、悪くない」




『三年、初夏、お兄ちゃんと一緒』
『三年、初夏、将来の夢』
『三年、初夏、好きこそものの上手なれ』
『そのころの阿知賀編』

が解放されました

選択済みエピソード

・一年
入学式、久との再会
春、美穂子登場
春、二人のあいだにある壁
美穂子再び
初夏、久との対立
初夏、美穂子への依頼
初夏、美穂子との特訓
初夏、決戦前夜
決戦
初夏、リスタート
夏、新たな出会い
夏、欠けた月
夏、初めての執事(アルバイト)
夏、衣の麻雀講座
今宵、月が満ちるとも
夏休み、遠征初日
夏休み、松実姉妹
夏休み、遠征二日目――鹿児島
夏休み、眠り姫
夏休み、遠征三日目――大阪
夏休み、目覚めぬ未来
夏休み、遠征四日目――岩手
夏休み、八尺(実際には六尺五寸)
夏休み、遠征最終日――東京
夏休み、グランドマスター
夏の始まり
エピローグ
その後の美穂子
秋、バイト執事再び
秋、衣の誕生日(略してころたん)
秋、膝枕の日
秋、祭りの後で
秋、恋敵?
冬、雪の降り始め
冬、年の初めに
冬、画面の向こう側
冬、節分の前の日
冬、アラフォー(予備軍)
三月八日、一年後の誕生日
三月十五日、好みのタイプは?
三月十六日、初めてのお出かけ
三月、おもちと温泉と
三月、温泉のあとのマッサージ(意味深)

・二年
部活動紹介、まこ入部
春、学食にて
美穂子との再会
初夏、ストーカー?
初夏、池田の逆襲
初夏、タイムリミット
初夏、県予選開始
初夏、団体戦決着
初夏、縺れた糸
初夏、まこの苦労日記
初夏、ライバル
夏、全国へ
夏、ワールウィンド
夏、奈良の王者
夏、修羅の国のクールビューティー
夏、大阪の魔物
夏、大阪の姉妹
夏、神代の姫
夏、一番目と二番目
夏、スリーピングビューティ
秋、次の目標
秋、まこの苦労日記その2
秋、二人と一人
冬、旅行に行こう
冬休み、小悪魔
冬休み、ゆきみだいふく
冬休み、神社の娘と王者の進路相談
冬休み、はとこ
エピローグ
五月十日、膝枕とおんぶ
八月二日、パンツの日
秋、ロッカーの中
秋、月見の夜に
秋、キャットチャンバー
秋、初めての学校祭
秋、牌のお兄さん
秋、こどな
秋、苗字と名前
冬、記憶と縁
冬、王者の休日
冬、蓼食う虫もなんとやら
冬、鎖でつなぐもの
三月、主役のいない旅行
三月、ゆきが消える前に

・三年
優希との出会い
春、和の初恋?
春、インハイチャンプ
初夏、最後の一人
初夏、不和
和の悩み
咲との微妙な関係
優希の好物
初夏、合宿
初夏、家庭訪問@原村家
初夏、最後の県予選
初夏、鏡
初夏、見えない彼女の見つけ方
初夏、決意
初夏、県予選決勝戦
初夏、東風とビギナーズラック
初夏、個人戦9位と卓上の天使
初夏、花天月地――嶺上の花と海底の月
初夏、男子個人戦
初夏、南風
初夏、代償
初夏、いつも傍にあるもの

・EX
小学五年、幼馴染
小学五年、嫉妬
中学二年、初夏、ゆみとの出会い
中学二年、夏、試合観戦
中学二年、三月、照との別れ
中学三年、初夏、空白

『三年、秋、天照大神』の解放条件を一部満たしています

三年編のインターハイを終わらせることで完全に解放されます


現在選択可能エピソード

1・三年、初夏、お兄ちゃんと一緒

2・三年、初夏、将来の夢

3・三年、初夏、好きこそものの上手なれ

4・そのころの阿知賀編



>>+2

3で了解

ともあれ今回判明したのが、京太郎は少なくとも三人に恋愛的な意味で好意を向けたことがあるということです
ちなみにマホが真似できないといったのは正確じゃありません
真似できないというより、真似しても意味がないというのが正解です
能力の対象は女性ですので
まぁ、レズビアンがいたらどうなるかはわかりませんが……

というわけでおやすみなさい

唐突に安価

鶴賀から一人どうぞ

下1〜下5

うーむ、これは……

じゃあコンマで決めます

ムッキー 下1
かおりん 下2
ワハハ 下3
モモ 下4
かじゅ 下5

一番高いので

ムッキーで了解

IDが被るって初めて……

それじゃ、また日が変わりそうな頃にでも

オッペケテンムッキー!

という名言があるかどうかはさておき、もうちょっとしたらやります

そんじゃ、始めます



・三年、初夏、好きこそものの上手なれ


優希「先輩、タコスをお願いするじぇ!」

京太郎「はいよ」


優希「先輩、タコスプリーズ!」

京太郎「あー、はいはい」


優希「先輩、ターコースー!」ヒシッ

京太郎「ええい、うっとおしいわ!」


京太郎「お前は今日何回目だ!?」

優希「うえーん、先輩がいじめるー」

京太郎「素敵な棒読みをありがとうなっ」



咲「今日は優希ちゃん、タコスいっぱい食べてるね」

和「どう見ても先輩に迷惑をかけすぎです……!」

久「うーん、やる気を出してくれるのはいいんだけどねぇ」

まこ「個人戦のことを引きずっとるんじゃろうな」

久「それ、最も引きずりたいのは私だと思うんだけど」

まこ「あんたはしっかり立ち直ったじゃろが」


京太郎「とりあえずそろそろ控えろ。晩飯入らなくなるし太るぞ?」

優希「でも、もっと食べて力をつけないとやってられないんだじぇ……」

京太郎「お前な……」

和「ゆーき、先輩の好意にこれ以上甘えるのは良くないと思います」

優希「うう……」ジワッ

京太郎「わかったわかった……原村、心配してくれてありがとな」

和「そ、そんな……」



京太郎「久ちゃん、俺とこいつ、早退させてもらうわ」ヒョイ

優希「なっ、おーろーせー!」

久「あー、途中でおまわりさんに捕まらないようにね」

京太郎「もちろん」


咲「……何する気なのかな?」

和「先輩だから心配はいらないとは思いますけど……」

咲「そうかなぁ?」





京太郎「それで、お前はどうしたんだ」

優希「……まずはタコスを」

京太郎「あー、わかったわかった。俺の方で勝手に推測します」


京太郎(さて、なにでこんがらがってるんだか)

京太郎(まぁ、有力なのはつい最近のことだよな)

京太郎(これで家庭の事情とか言われたらお手上げだけど)


京太郎「……個人戦」

優希「じぇっ」ピクッ

京太郎「……咲、原村」

優希「じぇじぇっ」ギクッ

京太郎「うんまぁ、大体わかった」

優希「名探偵か!?」

京太郎「だとしたら世の中は名探偵だらけだな」



京太郎「要するに、同じ一年のあいつらは個人で全国進出した……それが気になってるんだろ?」

優希「うぅ~」ジワッ

京太郎「お前な……打ち上げの時は元気そうにしてたろ」

優希「後になって考えたら、自分の不甲斐なさが目についちゃって……」

京太郎「まぁ、そういうのはよくあるけどよ」


京太郎(こいつの場合、何も考えずにやってた方がうまくいくんだとは思うけど……)


優希「……」シュン


京太郎(このままじゃそれも無理そうだな)


京太郎「よし、気分転換にタコスでも食うか?」

優希「……先輩の奢り? それとも手作り?」

京太郎「残念、作るのはお前だ。好きこそものの上手なれってな」





京太郎「というわけで色々呼んでみました」


ハギヨシ「今日はよろしくお願いします」

美穂子「いえいえ、こちらこそ」

ゆみ「なぜ私が……」

睦月「私は完全にアウェイなんですけど……」


優希「今日はどういう集まりだじぇ?」

京太郎「お前の特訓のために集まったんだよ」

ゆみ「いや、私たちはいきなり連れてこられたんだが」

京太郎「暇そうに歩いてたからさ」

睦月「今日は一応部長の引継ぎをする予定で……」

優希「鶴賀の新部長さんか?」

睦月「うむ……あ、団体戦ではどうも」

優希「おお、そういえば!」

美穂子「それを言ったら私もね」

優希「あのメンバーが揃うとは……数奇な運命だじぇ」

美穂子「そうね、仲良くしましょう?」

睦月「いや、龍門渕の人がいないから」



京太郎「部長の引き継ぎって……お前、部長だったっけ?」

ゆみ「いや、違う」

京太郎「……一体どういうことだってばよ」

ハギヨシ「京太郎くん、材料などは大丈夫ですか?」

京太郎「ああ、これから買いに行きます」

ゆみ「……こちらは?」

京太郎「ああ、俺の師匠。色々すごい人なんだ」

ゆみ「師匠? 想像がつかないな」

ハギヨシ「師匠とは少々大げさですね。私は執事の基本中の基本を教えただけですよ」

ゆみ「執事……もしかして本職の方ですか?」

ハギヨシ「萩原と申します」

ゆみ「加治木です。……それで、この集まりは?」

京太郎「お、そうだな。説明がまだだった」

ゆみ「普通説明が先じゃないのか?」





ゆみ「……事情は大体分かった。帰ってもいいか?」

京太郎「まぁまぁ、そう言うなって。うちの一年坊助けると思ってさ」

ゆみ「ふぅ、部長の引継ぎをする予定だったが……」


睦月「この長いのは?」

優希「これか? 猫蛇のセアミーだじぇ!」

美穂子「あら、かわいいわ」


ゆみ「完全にそんな雰囲気じゃなくなってしまったな」

京太郎「だろ? てなわけで行こうぜ」

ゆみ「仕方ない。別に急ぎでもないからよしとするか」

京太郎「決まりだな! ハギヨシさん、車まわしてもらえます?」

ハギヨシ「お安い御用です」





京太郎「えー、というわけで本日のメンバーを紹介します」

優希「レクリエーションみたいでワクワクするじぇ!」

京太郎「はいはい、今はおとなしくな」


京太郎「こちらが先生役の二人」

ハギヨシ「僭越ながら、本日は指導役を務めさせていただきます」ペコッ

美穂子「えっと、よろしくお願いします」ペコッ


京太郎「それから、味見役の二人がこちら」

ゆみ「請け負ったからには全力を尽くすつもりだ」

睦月「た、食べるだけなら……」


京太郎「そんで、アシスタント役で会場提供者の俺、須賀京太郎と、本日の主役はこちらに」

優希「先輩!」

京太郎「何か質問か?」


優希「味見役にコンバート希望だじぇ!」



京太郎「はい却下ー。他に質問ある奴は?」

優希「私の話が終わってないじょ!?」

京太郎「主役がコンバートしてどうすんだ。はい、説明責任も果たしました」

優希「むむむ……そもそも気晴らしにタコス作りってなんなんだじぇ?」

京太郎「いつもと違うことしてみればいいんじゃないかとな。それに、上達したらいつでも自分で美味しいタコスを用意できるんだぞ?」

優希「おお、それは一理あるじぇ」


京太郎「てなわけで、みんな準備はいいか?」


ハギヨシ「私はいつでも」

美穂子「はい」

ゆみ「味見の準備と言われてもよくわからないが」

睦月「き、緊張してきたぁ」

優希「ちょっとトイレ!」タタッ


京太郎「主役が足並み乱してきたかー」





睦月「辛っ!」

優希「あらら? この燃えるような赤はやりすぎちゃった感じか?」

ハギヨシ「ではサルサを少し減らして、代わりにケチャップを足しましょう」

優希「うん、それでいってみるじぇ!」


ゆみ「……なんか水っぽいな」

優希「野菜豊富なタコスもありだとおもったのに……」

美穂子「トマトが多かったのね。少し減らして玉ねぎも使ってみる?」

優希「シャキシャキで美味しそうだじぇ!」





京太郎「うんうん、順調だな」

ゆみ「目的は達せられそうか?」

京太郎「まぁな。いい感じにのめり込んでるよ」

ゆみ「まったく、君は良い先輩だな……ところで、ご両親は帰らないのか?」

京太郎「この土日は二人で旅行だよ。カピまで連れてっちゃってさ」

ゆみ「カピ?」


睦月「こ、これは……!」ワナワナ


ゆみ「なにかあったのか?」

睦月「こ、これ! すっごいレアカードですよ!」

ゆみ「……プロ麻雀カードか?」

睦月「瑞原プロの水着姿に着物と扇子が違うバージョンの三尋木プロ……そしてぐぎぎっとウィンクしてる小鍛冶プロまで!」

京太郎「ああ、それな。なんかうちの親が勝手に飾っちゃってさ」

睦月「どれだけお金をかければこれほどのものを!?」

京太郎「なんか悪いんだけど……どれも貰い物なんだ」


京太郎(しかも本人たちからの)


睦月「も、貰い物……」ワナワナ

京太郎「……欲しいならやろうか? ダブってるし」

睦月「是非!」





優希「できたじぇ、究極のタコス!」


睦月「うむ……おいしい」

ゆみ「名前に負けている感はあるが、たしかにおいしい」


優希「おいしいをいただいたじぇ!」

ハギヨシ「たいへんよくできました、ですね」

美穂子「ふふ、頑張ったわね」ナデナデ


優希「先輩、どーぞ」

京太郎「どれ……」

優希「……」ドキドキ

京太郎「うん、おいしいな」

優希「やった!」





美穂子「それじゃあ、また今度」

ゆみ「せめて今度からは事前に連絡してくれ」

睦月「カード、ありがとうございましたっ」

ハギヨシ「それでは、私が責任をもってみなさんを送ります」


優希「バイバーイ、だじぇ」

京太郎「ま、ハギヨシさんがいるんだったらなんら心配いらないな」

優希「そうなのかー?」

京太郎「そうなんだ」


京太郎「それで、気分転換になったか?」

優希「気分転換? なんのことだじぇ?」

京太郎「うんまぁ、効果はあったみたいだな」





京太郎「本当に一人で帰れるのか?」

優希「心配は無用だじぇ」

京太郎「よし、なら夜はお腹を出さず暖かくして寝るように」

優希「いきなりアットホームな心配になったじぇ」

京太郎「とりあえず気をつけること」

優希「ん、りょーかい」


京太郎「しかし、これでお前も一人前のタコス職人か」シミジミ

優希「我ながら恐ろしい上達ぶりだじぇ」ウンウン

京太郎「まぁ、これで俺が作ってやる機会も減るかもな」

優希「……」


優希「それは、いやだじぇ」


優希「他にどんなにすごくておいしいタコスがあっても、先輩のが一番いいから……」

京太郎「そうか? まだまだ俺の方が腕は上だからな」

優希「むぅ、そういうことじゃないんだじぇ!」

京太郎「照れるな照れるな」ワシャワシャ

優希「はーなーせー!」



選択済みエピソード

・一年
入学式、久との再会
春、美穂子登場
春、二人のあいだにある壁
美穂子再び
初夏、久との対立
初夏、美穂子への依頼
初夏、美穂子との特訓
初夏、決戦前夜
決戦
初夏、リスタート
夏、新たな出会い
夏、欠けた月
夏、初めての執事(アルバイト)
夏、衣の麻雀講座
今宵、月が満ちるとも
夏休み、遠征初日
夏休み、松実姉妹
夏休み、遠征二日目――鹿児島
夏休み、眠り姫
夏休み、遠征三日目――大阪
夏休み、目覚めぬ未来
夏休み、遠征四日目――岩手
夏休み、八尺(実際には六尺五寸)
夏休み、遠征最終日――東京
夏休み、グランドマスター
夏の始まり
エピローグ
その後の美穂子
秋、バイト執事再び
秋、衣の誕生日(略してころたん)
秋、膝枕の日
秋、祭りの後で
秋、恋敵?
冬、雪の降り始め
冬、年の初めに
冬、画面の向こう側
冬、節分の前の日
冬、アラフォー(予備軍)
三月八日、一年後の誕生日
三月十五日、好みのタイプは?
三月十六日、初めてのお出かけ
三月、おもちと温泉と
三月、温泉のあとのマッサージ(意味深)

・二年
部活動紹介、まこ入部
春、学食にて
美穂子との再会
初夏、ストーカー?
初夏、池田の逆襲
初夏、タイムリミット
初夏、県予選開始
初夏、団体戦決着
初夏、縺れた糸
初夏、まこの苦労日記
初夏、ライバル
夏、全国へ
夏、ワールウィンド
夏、奈良の王者
夏、修羅の国のクールビューティー
夏、大阪の魔物
夏、大阪の姉妹
夏、神代の姫
夏、一番目と二番目
夏、スリーピングビューティ
秋、次の目標
秋、まこの苦労日記その2
秋、二人と一人
冬、旅行に行こう
冬休み、小悪魔
冬休み、ゆきみだいふく
冬休み、神社の娘と王者の進路相談
冬休み、はとこ
エピローグ
五月十日、膝枕とおんぶ
八月二日、パンツの日
秋、ロッカーの中
秋、月見の夜に
秋、キャットチャンバー
秋、初めての学校祭
秋、牌のお兄さん
秋、こどな
秋、苗字と名前
冬、記憶と縁
冬、王者の休日
冬、蓼食う虫もなんとやら
冬、鎖でつなぐもの
三月、主役のいない旅行
三月、ゆきが消える前に

・三年
優希との出会い
春、和の初恋?
春、インハイチャンプ
初夏、最後の一人
初夏、不和
和の悩み
咲との微妙な関係
優希の好物
初夏、合宿
初夏、家庭訪問@原村家
初夏、最後の県予選
初夏、鏡
初夏、見えない彼女の見つけ方
初夏、決意
初夏、県予選決勝戦
初夏、東風とビギナーズラック
初夏、個人戦9位と卓上の天使
初夏、花天月地――嶺上の花と海底の月
初夏、男子個人戦
初夏、南風
初夏、代償
初夏、いつも傍にあるもの
初夏、好きこそものの上手なれ

・EX
小学五年、幼馴染
小学五年、嫉妬
中学二年、初夏、ゆみとの出会い
中学二年、夏、試合観戦
中学二年、三月、照との別れ
中学三年、初夏、空白

『三年、秋、天照大神』の解放条件を一部満たしています

三年編のインターハイを終わらせることで完全に解放されます


現在選択可能エピソード

1・三年、初夏、お兄ちゃんと一緒

2・三年、初夏、将来の夢

3・そのころの阿知賀編



>>+2

3で了解

何度も寝落ちして申し訳ない

それじゃ、去ります

世間で騒がれてるシルバーウィークというものがない悲しみ……

それはともかくとして、お好きなキャラをどうぞ
登場済みのキャラに限ります
以下のキャラは不可

以下のキャラは『不可』です


照・玄・美穂子・小蒔・健夜・豊音・竜華・衣・マホ・久・怜・和・霞・誓子・はやり・揺杏・由暉子・宥・白望・哩・姫子・やえ・エイスリン


下10まででコンマ高いの二つ

爽と灼ってことで

それじゃ、ちょっとの間失礼します

灼→京太郎


灼「あの人のことですか? ……別にいいですけど」

灼「見た目軽薄、デリカシーに欠ける……勝ったらすぐ調子乗るし」

灼「でも、お節介なとこは嫌いじゃない」

灼「ハルちゃんの十分の一ぐらいは信頼してあげてもいいかも」

灼「あと、あの人と何かあるたびに玄がうるさい」

灼「あれは正直わずらわし……」




爽→京太郎


爽「えー? 須賀くん?」

爽「いいよねー、ノリとか」

爽「こっちの無茶ぶりにも対応してくれそうなとことかさ!」

爽「しかしなぁ、ニブチンっぽいのがなー」

爽「チカのことであれだけ後押ししたのになー」

爽「今度はユキも巻き込んで湯けむりドッキリ作戦を決行するべきか……」


そういうわけで、もうちょっとしたらほんの少しだけやります

それじゃ、始めます



・そのころの阿知賀編


『奈良県大会団体戦、ついに決勝です!』


やえ(やはり来たか、阿知賀)

やえ(最後に立ちふさがるのはお前たちだと思っていたよ)

やえ(先鋒の選手とは打ったことがないが、おそらく手ごわいのだろう)

やえ(だがしかし! 勝つのはこの――)


やえ「リーチ!」


やえ(晩成だ!)



玄「ツモ! タンヤオ三色ツモドラ9で数え役満です!」


やえ「」


タンヤオでドラ9って誰かがアホみたいにカンしたのか?

>>627
クロチャーがドラでカン一回、それで雀頭がドラになって、加えて赤ドラ三つでドラ9です



穏乃「いやった! 全国進出!」

憧「なんか最後の試合だけ妙についてたわね」

灼「玄の数えとか」

玄「そんなに褒められると照れちゃうよぉ」

宥「灼ちゃんの地和もすごかったよ?」

灼「あれは……きっとハルちゃんのおかげ」


憧「ついに全国かぁ」

穏乃「和に会おう、絶対に!」

憧「当然」

三四五345③④⑤(7777)88

五5⑤は赤ドラ 7はドラ 8はカンドラ

例としてはこんな感じです


玄「全国……まだ見ぬおもちに胸が膨らむのです!」

灼「でも、玄が楽しみなのはそれだけじゃないよね」

玄「?」キョトン

宥「あ、わかった。京太郎くんだ」

灼「竹井さん、今年も出場するって言ってたから」

宥「じゃあ京太郎くんもきっとついてくるよね」

玄「そ、そんな……会えたらいいなーってちょっとは思ったけど……」テレテレ

宥「うふふ、クロちゃんかわいい」


憧「あれ、でもその人って付き合ってる人がいたような……」



玄「ふぇ?」

宥「え?」

灼「……」

穏乃「どしたの、みんな?」


やえ「阿知賀の諸君!」バーン!


やえ「団体戦での戦いぶり、見事だったとしか言い様がない」

やえ「君たちはにわかではないと認めざるを得ないだろう」

やえ「だがしかし! 個人戦ではこうはいかない」

やえ「覚えておくといい!」ビシッ



灼「……うちには個人戦出場者いないから」

やえ「……は?」

灼「だから、団体戦だけ」

やえ「……」ピシッ


玄「」

やえ「」


穏乃「二人して固まってるね」

宥「ど、どうしよう」アタフタ

灼「めんどくさ……」

憧「あれ、小走先輩だったような……」

穏乃「何の話?」

憧「だから、須賀って人と付き合ってるの」

カンはリーチの後だったんじゃないですかね?
無警戒だった理由は……まぁ、それまで玄が控えめだったか晩成が慢心してたかで
ぶっちゃけるとあまり深くは考えてません


玄「――っ」

やえ「――っ」


穏乃「あ、息ふきかえした」


玄「そんな……私のことおもちって言ってくれたのに色んなとこ見たり見られちゃったりしたのに……」

やえ「な、なにをにわかなことをっ! あんな意地悪で人をおちょくってくるような奴!」


憧「ふきゅっ、あ、あんなに必死に否定するってことはやっぱり……」

穏乃「? 違うって言ってるよ?」

宥「クロちゃんしっかりっ」ワタワタ


灼「はぁ……ハルちゃん早く戻ってこないかな」



選択済みエピソード

・一年
入学式、久との再会
春、美穂子登場
春、二人のあいだにある壁
美穂子再び
初夏、久との対立
初夏、美穂子への依頼
初夏、美穂子との特訓
初夏、決戦前夜
決戦
初夏、リスタート
夏、新たな出会い
夏、欠けた月
夏、初めての執事(アルバイト)
夏、衣の麻雀講座
今宵、月が満ちるとも
夏休み、遠征初日
夏休み、松実姉妹
夏休み、遠征二日目――鹿児島
夏休み、眠り姫
夏休み、遠征三日目――大阪
夏休み、目覚めぬ未来
夏休み、遠征四日目――岩手
夏休み、八尺(実際には六尺五寸)
夏休み、遠征最終日――東京
夏休み、グランドマスター
夏の始まり
エピローグ
その後の美穂子
秋、バイト執事再び
秋、衣の誕生日(略してころたん)
秋、膝枕の日
秋、祭りの後で
秋、恋敵?
冬、雪の降り始め
冬、年の初めに
冬、画面の向こう側
冬、節分の前の日
冬、アラフォー(予備軍)
三月八日、一年後の誕生日
三月十五日、好みのタイプは?
三月十六日、初めてのお出かけ
三月、おもちと温泉と
三月、温泉のあとのマッサージ(意味深)

・二年
部活動紹介、まこ入部
春、学食にて
美穂子との再会
初夏、ストーカー?
初夏、池田の逆襲
初夏、タイムリミット
初夏、県予選開始
初夏、団体戦決着
初夏、縺れた糸
初夏、まこの苦労日記
初夏、ライバル
夏、全国へ
夏、ワールウィンド
夏、奈良の王者
夏、修羅の国のクールビューティー
夏、大阪の魔物
夏、大阪の姉妹
夏、神代の姫
夏、一番目と二番目
夏、スリーピングビューティ
秋、次の目標
秋、まこの苦労日記その2
秋、二人と一人
冬、旅行に行こう
冬休み、小悪魔
冬休み、ゆきみだいふく
冬休み、神社の娘と王者の進路相談
冬休み、はとこ
エピローグ
五月十日、膝枕とおんぶ
八月二日、パンツの日
秋、ロッカーの中
秋、月見の夜に
秋、キャットチャンバー
秋、初めての学校祭
秋、牌のお兄さん
秋、こどな
秋、苗字と名前
冬、記憶と縁
冬、王者の休日
冬、蓼食う虫もなんとやら
冬、鎖でつなぐもの
三月、主役のいない旅行
三月、ゆきが消える前に

・三年
優希との出会い
春、和の初恋?
春、インハイチャンプ
初夏、最後の一人
初夏、不和
和の悩み
咲との微妙な関係
優希の好物
初夏、合宿
初夏、家庭訪問@原村家
初夏、最後の県予選
初夏、鏡
初夏、見えない彼女の見つけ方
初夏、決意
初夏、県予選決勝戦
初夏、東風とビギナーズラック
初夏、個人戦9位と卓上の天使
初夏、花天月地――嶺上の花と海底の月
初夏、男子個人戦
初夏、南風
初夏、代償
初夏、いつも傍にあるもの
初夏、好きこそものの上手なれ
そのころの阿知賀編

・EX
小学五年、幼馴染
小学五年、嫉妬
中学二年、初夏、ゆみとの出会い
中学二年、夏、試合観戦
中学二年、三月、照との別れ
中学三年、初夏、空白

『三年、秋、天照大神』の解放条件を一部満たしています

三年編のインターハイを終わらせることで完全に解放されます


現在選択可能エピソード

1・三年、初夏、お兄ちゃんと一緒

2・三年、初夏、将来の夢



>>+2

1で了解
これは咲ちゃんの出番ですね

それじゃ、超眠いのでおやすみなさい

シルバーウィークってなんだっけ?

それはともかく安価です
京太郎よりも学年が下のキャラを一人どうぞ
長野限定です

下1〜下5で多数決
5人で割れた場合はコンマ高いので

ころたん一強

やる気があったら夜やります
なかったら国広くんの誕生日を祝います



・二年、九月二十一日、プレゼントの意味


京太郎「一緒に出かけよう」

一「え、なにさいきなり」

京太郎「だから、一緒に出かけようって」

一「ボク、これからお仕事なんだけど」

京太郎「大丈夫、上の方には話は通しておいたから」

一「本人には事後承諾なんだね……わかったよもう」

京太郎「よし、じゃあ早速」グイッ

一「わっ」





京太郎「これなんかどうだろう……いや、こっちかな?」

一「……なんで服買いに来てるの? しかもボクの」

京太郎「常々思ってたんだよ。お前のその寒そうな服の趣味をどうにかしようって」

一「そんなに変かな?」

京太郎「女の子がお腹を冷やすのは良くないだろ」

一「過保護なお兄ちゃん?」

京太郎「とにかく! いい加減年貢の納め時だ、観念しろ」

一「たかが服にどういう言い草なのさ……」





京太郎「……決まらない!」

一「まだやるの?」

京太郎「そもそもお前がダメ出ししまくるからだろうが!」

一「だって着たくない服を着てもさ」

京太郎「あーもう! そもそも本人に確認とってる時点でアウトじゃねーか!」

一「それ今更じゃない?」

京太郎「はいもう意見はシャットアウトしまーす」

一「うーん……あ、そういえば今日、誕生日なんだけど」

京太郎「……うん、そうだな!」

一「あ、忘れてたでしょ」

京太郎「そんなことないよ? ちょっと記憶の彼方に飛んでただけで」

一「意訳すると忘れてたってことだよね?」

京太郎「いやー、微妙にニュアンスが違うというか……」

一「忘れてたんだよね?」

京太郎「……まあ、そういう見方もできるな」

一「あーあ、期待しとけって言ってたのにさ」

京太郎「うぐっ……こ、これから買う予定だったから。ほら、服選んでるだろ?」

一「じゃあさ、ボクが選んでもいい?」

京太郎「それは……」

一「いいよね?」

京太郎「……わかった、好きなの選べ」





京太郎「……本当にこれでいいのか?」

一「なにさ、ちゃんとしたの選んだじゃん」

京太郎「普段のハイセンスな私服とは外れてるからさ」

一「ハイセンスって……」

京太郎「まぁ、いいや。このカーディガンな」

一「うん。ピンクでかわいくない?」

京太郎「そうだな。これを上から羽織れば肌の露出も減ることだろうよ」

一「人を露出趣味みたいに言うのやめない?」

京太郎「え、違ったのか?」

一「……そろそろ怒るよ?」





純「お、国広くん、それおニューだな」

一「うん、須賀君に買ってもらったんだ」

純「ってことは誕生日プレゼントか……」

一「ボクが言うまですっかり忘れてたみたいだけど」

純「服のプレゼントかぁ……」

一「? どうかしたの?」

純「ちなみにさ、男が女に衣服をプレゼントする意味って知ってる?」

一「え、知らないけど……」

純「その服を脱がせたいって意味なんだってよ」

一「え……えっ?」カァァ

純「ま、あいつのことだから深くは考えてなさそうだけど」

一「だ、だよね」

純「んじゃ、おやすみー」

一「う、うん……おやすみ」


一「……どうしよう、顔から熱がひかないや」



というわけで誕生日おめでとう

国広くんのifはテーマが届かない想いなので後味が悪くなる可能性大
人死にもありますし

じゃあ、もうちょっとしたら始めます

そんじゃ、やります



・三年、初夏、お兄ちゃんと一緒


咲「だからっ、もう子供扱いしないで!」

京太郎「さ、咲?」

咲「もう京ちゃんなんて知らないっ」

京太郎「咲ぃー!」



京太郎「……俺は、どうしたらいいんだ」ズーン


久「……これ、どうかしたの?」

まこ「ああ、また咲にそっぽ向かれただけだから気にせんでもええじゃろ」

久「懲りないわねぇ」


京太郎「反抗期、反抗期なのか?」



久「反抗期って……父親か兄かって話よね」

まこ「いや、見たまんまじゃろ」

久「兄貴面ってことよね」

まこ「そもそも最初はもっと距離を取られてたと思うんじゃが」


京太郎「くそ、咲がグレたらどうやって照ちゃんに顔向けしたらいいんだ……」

和「あの、先輩?」

京太郎「原村か……最近、咲の様子がおかしいと思わないか?」

和「そんなことはないと思うんですけど……」

京太郎「じゃあ俺にだけっ?」

和「あ、それは……」

久「はいはい、後輩を困らせない」

京太郎「久ちゃん……咲が、咲がぁ」





久「要するに、あの子は妹みたいなものなんでしょ?」

京太郎「……言われてみればそうだな」

久「言われるまで自覚はなかったのね」

京太郎「だってさ……今までずっとツンツンしてたあいつが昔みたいに呼んでくれたんだぞ?」

久「嬉しかったのはわかったから」

京太郎「嫌われてるなんて考えただけで……ううっ」


久(あんな呼び方されてる時点でそんなわけないでしょ)


久「とにかく、あんたはもうちょっと接し方を考えなさい」

京太郎「接し方? 俺はあいつの為を思ってだな」

久「それよそれ。べったりしすぎなの」

京太郎「構いすぎってことか?」

久「その通り。何事も程々がいい具合にいくの」

京太郎「程々……わかった、やってみるよ」

久「ま、いいお兄ちゃんになれるよう頑張んなさい」





京太郎「接し方か……」フニフニ


衣「ふみゅ」


京太郎「いいお兄ちゃんか……」フニフニ


衣「ふみゅ」


京太郎「なぁ、どう思う?」

衣「とりあえず、ほっぺたふにふにはやめればいいと思う」





衣「ふむ、サキが……」

京太郎「やっぱりベタベタしすぎか?」

衣「衣はそれが嬉しいけど……」

京太郎「そうか?」

衣「でも、多分サキと衣では求めるものが違うんだと思う」

京太郎「求めるもの?」

衣「うん、きっとサキは……」

京太郎「同じ妹でもタイプが違うってことか」

衣「妹?」

京太郎「お前も咲も妹みたいなもんだからさ」

衣「むぅ」プクー

京太郎「どうした、むくれたのか?」

衣「ふんっ」

京太郎「あらま」





京太郎「怒って部屋に閉じこもっちゃったよ」

透華「あなたねぇ……」ハァ

京太郎「やっぱり妹扱いはダメなのかな?」

透華「ダメに決まってますわ。あの子の気持ちを考えなさいな」

京太郎「あいつが家族が欲しいっていうなら兄でも悪くないと思うんだけど」

透華「たしかに出会って間もないころはそれでも良かったのでしょうが、今はもう手遅れですわ」

京太郎「手遅れかぁ……じゃあお前は?」

透華「は?」

京太郎「俺でよければ妹みたいにかわいがってやるけど」


透華「……ふぅ」



京太郎「可哀想なものを見る目はやめなさい」

透華「これは哀れみの視線ですわ」

京太郎「それ同じ、同じだから」

透華「あなたが兄? ……はっ、役不足ですわ」

京太郎「哀れみの次は蔑みか!」

透華「馬鹿なこと言う前に衣に謝ってくること……わかりましたわね?」

京太郎「そうだな……」

透華「では、私はこれで」


京太郎「役不足ね……」

京太郎「そのまんま受け取ったら、俺は兄という立場に収まらないってことだよな」

京太郎「ま、考えすぎか」





咲「……」チラッ


京太郎「お望みのタコスだ。ありがたく食えー」

優希「うむ、よきにはからえー」


咲「・・・・・・」チラッ


京太郎「また髪いじってもいいか?」

和「あ、先輩さえよければ……」カァァ


咲「むぅ……」イライラ





まこ「ふむ」

久「なにいきなり納得してるのよ」

まこ「咲がいらついとるみたいじゃな」

久「ああ、それね」

まこ「加えて、他の一年が構われとるのをしきりに気にしとるわ」

久「あの子もあの子でわかりやすいのよねぇ」

まこ「あれ、あんたのアドバイスじゃろ」

久「あんまりベタベタするなって言っただけだけど?」

まこ「ま、効果は目に見えて出とるようじゃが」

久「あいつが気づかなかったらあんまり意味ないのよね」





京太郎「あれからあまり咲に構わないようにしてみたけど……」

京太郎「これといって変化がない」

京太郎「接する機会が減った分、噛み付かれなくなっただけだ」

京太郎「しかもなんかイライラしてるみたいだし……」

京太郎「もしかしてやらかしたかな?」


咲「京ちゃん!」


京太郎「は、はいっ」

咲「優希ちゃんにタコスをほいほいあげるのは良くないと思うよ?」

京太郎「いや、だってあいつが俺が作ったやつがいいって言うから……」

咲「でもあまり甘やかすのは為にならないよね?」

京太郎「それはそうかもしれないけどさ」


京太郎(な、なんだなんだ?)

京太郎(向こうから話しかけてきたと思ったら、すっげー噛み付かれてんだけど!)

京太郎(これが真の反抗期だとでも言うのか……?)



咲「あと、女の子の髪って軽々しく触っていいものじゃないんだよ?」

京太郎「あれはちゃんと許可とったし……」

咲「先輩の言うことは断りにくいってのもあるんじゃないかな?」

京太郎「そ、そんな……」


京太郎(こえー! なんかこえー!)

京太郎(なんだこの、今までの鬱憤が爆発したみたいな……)


咲「あとは……」

京太郎「ま、まだなにかあるのか?」

咲「……」ソワソワ


咲「い、一緒に帰ってもいい?」





京太郎「……なぁ、咲?」

咲「な、なに?」

京太郎「服の袖つかまれると動きにくい」

咲「じゃあこっちで……」

京太郎「学ランの裾でも同じだからな」

咲「京ちゃんは黙って歩いてればいいのっ」

京太郎「いや、それだったらもう手を掴んでもいいからさ」

咲「い、いいの?」

京太郎「どーぞ」

咲「それじゃ……」オズオズ


京太郎「……」

咲「……」



京太郎「こうしてるとさ、昔のこと思い出すよ」

咲「うん」

京太郎「お前、俺のことお兄ちゃんって呼んだことあるの覚えてるか?」

咲「……うん」


『きょうちゃんきょうちゃん』

『むっ、咲はダメ。別の呼び方にするといい』

『えー? じゃあ……おにいちゃん?』

『……すっげー、なんかドキドキするな、それ』

『……やっぱり京ちゃんでいい』


咲「よく、覚えてる」



京太郎「懐かしいな……なんでか照ちゃんにダメだしされたけど」

咲「それって、すごいわかりやすかったと思うんだけど」

京太郎「まぁ、きっと俺がお兄ちゃんって新鮮な響きに動揺してたからだろうな」

咲「……それでいいんじゃないかな」

京太郎「お、正解か」


京太郎「……でも、俺じゃお前の兄貴は力不足かもな」

咲「どうしてそう思うの?」

京太郎「なんだかんだでお前はすごいやつだからな」

咲「私、すぐ迷子になるしよく転んじゃうよ?」

京太郎「お前がちんちくりんなのはどうしようもない事実だけど」

咲「むっ」

京太郎「他の誰にも真似できないことができる……すごいやつってのはそういうもんだと思うよ」

咲「……」



咲「お兄ちゃんで、いいよ」


京太郎「え?」


咲「京ちゃんがそうしたいなら、そうすればいいよ」

咲「私も、別に嫌じゃないから……」


京太郎「……そうだな、お前がそう言ってくれるなら」

咲「うん」


京太郎「よーし、お兄ちゃん明日も頑張っちゃうぞー!」


咲「でもあんまりべたべたしないで……恥ずかしいし」

京太郎「あ、はい」

咲「で、でも他の人に構いすぎるのもダメだからねっ。優希ちゃんとか、和ちゃんとか」

京太郎「うんまぁ、ほどほどにしとく」

咲「あとっ、べたべたするなって言ったけど、放置もダメなんだからっ」

京太郎「注文多いなっ」



選択済みエピソード

・一年
入学式、久との再会
春、美穂子登場
春、二人のあいだにある壁
美穂子再び
初夏、久との対立
初夏、美穂子への依頼
初夏、美穂子との特訓
初夏、決戦前夜
決戦
初夏、リスタート
夏、新たな出会い
夏、欠けた月
夏、初めての執事(アルバイト)
夏、衣の麻雀講座
今宵、月が満ちるとも
夏休み、遠征初日
夏休み、松実姉妹
夏休み、遠征二日目――鹿児島
夏休み、眠り姫
夏休み、遠征三日目――大阪
夏休み、目覚めぬ未来
夏休み、遠征四日目――岩手
夏休み、八尺(実際には六尺五寸)
夏休み、遠征最終日――東京
夏休み、グランドマスター
夏の始まり
エピローグ
その後の美穂子
秋、バイト執事再び
秋、衣の誕生日(略してころたん)
秋、膝枕の日
秋、祭りの後で
秋、恋敵?
冬、雪の降り始め
冬、年の初めに
冬、画面の向こう側
冬、節分の前の日
冬、アラフォー(予備軍)
三月八日、一年後の誕生日
三月十五日、好みのタイプは?
三月十六日、初めてのお出かけ
三月、おもちと温泉と
三月、温泉のあとのマッサージ(意味深)

・二年
部活動紹介、まこ入部
春、学食にて
美穂子との再会
初夏、ストーカー?
初夏、池田の逆襲
初夏、タイムリミット
初夏、県予選開始
初夏、団体戦決着
初夏、縺れた糸
初夏、まこの苦労日記
初夏、ライバル
夏、全国へ
夏、ワールウィンド
夏、奈良の王者
夏、修羅の国のクールビューティー
夏、大阪の魔物
夏、大阪の姉妹
夏、神代の姫
夏、一番目と二番目
夏、スリーピングビューティ
秋、次の目標
秋、まこの苦労日記その2
秋、二人と一人
冬、旅行に行こう
冬休み、小悪魔
冬休み、ゆきみだいふく
冬休み、神社の娘と王者の進路相談
冬休み、はとこ
エピローグ
五月十日、膝枕とおんぶ
八月二日、パンツの日
秋、ロッカーの中
秋、月見の夜に
九月二十一日、プレゼントの意味
秋、キャットチャンバー
秋、初めての学校祭
秋、牌のお兄さん
秋、こどな
秋、苗字と名前
冬、記憶と縁
冬、王者の休日
冬、蓼食う虫もなんとやら
冬、鎖でつなぐもの
三月、主役のいない旅行
三月、ゆきが消える前に

・三年
優希との出会い
春、和の初恋?
春、インハイチャンプ
初夏、最後の一人
初夏、不和
和の悩み
咲との微妙な関係
優希の好物
初夏、合宿
初夏、家庭訪問@原村家
初夏、最後の県予選
初夏、鏡
初夏、見えない彼女の見つけ方
初夏、決意
初夏、県予選決勝戦
初夏、東風とビギナーズラック
初夏、個人戦9位と卓上の天使
初夏、花天月地――嶺上の花と海底の月
初夏、男子個人戦
初夏、南風
初夏、代償
初夏、いつも傍にあるもの
初夏、好きこそものの上手なれ
初夏、お兄ちゃんと一緒
そのころの阿知賀編

・EX
小学五年、幼馴染
小学五年、嫉妬
中学二年、初夏、ゆみとの出会い
中学二年、夏、試合観戦
中学二年、三月、照との別れ
中学三年、初夏、空白

てなわけで終了です
他に選ぶものがないんで次回は

『三年、初夏、将来の夢』

になります
のどっちのターン到来

それじゃ、おやすみなさい



・二年、九月二十四日、お揃い


京太郎「懐が寂しい……」

京太郎「そろそろ金貯めとかないと」

京太郎「今月は誕生日が多すぎなんだよなー」


京太郎「さて、どうすっかな」

京太郎「街をぶらつこうにも、暇はあれど余裕は無し」

京太郎「久ちゃんは用事があるって言ってたし」

京太郎「Roof-Topに冷やかしに行ってみるか?」

京太郎「うーむ……ん? あれって……」


美穂子「……」


京太郎「だーれだ」サッ

美穂子「ひゃっ」ビクッ

京太郎「おっと、目隠しは取らないぞ?」

美穂子「……あの、京太郎さん?」

京太郎「わかっちゃったかー、心が通じ合ってる証拠かな?」

美穂子「こんなことしてくる人はあなたしかいません」

京太郎「ありゃ、そうか」





京太郎「この前ぶりだな。元気してた?」

美穂子「この前……」カァァ

京太郎「ああ……嫌な、事件だったな」※『二年、秋、ロッカーの中』を参照

美穂子「私はそこまでイヤじゃ……」

京太郎「まあそれは置いとくか……今日は俺に会いに来たとか?」

美穂子「あ、久と約束があって」

京太郎「なんだ、久ちゃんの用事ってそれか」

美穂子「誕生日だからどこかに出かけようっていう話になったんです」

京太郎「なるほどなるほどー……って、誕生日?」

美穂子「はい、今日で17歳です」

京太郎「マジか。なんにも用意してない」

美穂子「気持ちだけで十分ですから」

京太郎「待て、約束までまだ時間あんの?」

美穂子「えっと、少しなら」

京太郎「よし、じゃあプレゼント買いに行くか」





京太郎(とは言ったものの、金はあまりない)

京太郎(しかも何を買えばいいのかよくわからないときた)

京太郎(本人に聞くのが一番っちゃあそうなのかもしれないけど)


京太郎「うーむ」

美穂子「あの、無理に買ってくれなくてもいいですから」

京太郎「いやいや、ここは見栄を張らせてくれ」

美穂子「もう……」

京太郎「なんか欲しいものとかないの? できれば安いので」

美穂子「そんなすぐには……あ」

京太郎「なんでも言ってくれていいぜ。できれば安いので」

美穂子「なら……」





京太郎「本当にそれで良かったのか?」

美穂子「はい、これが良かったんです」

京太郎「まぁ、たしかに値段は抑え目だったけど」


京太郎(カピバラのキーホルダー……)

京太郎(なんかデジャブるな)


京太郎「喜んで受け取ってくれるなら、なによりだ」

美穂子「返せって言われても返しませんよ?」

京太郎「そんなケチなことは言わないって」

美穂子「ふふっ」

京太郎「もうそろ時間か?」

美穂子「そうですね。そろそろ行かないと」

京太郎「そっか……じゃあ久ちゃんと楽しんできてくれ」

美穂子「はい」

京太郎「じゃあな、誕生日おめでとう」





京太郎「まあ、金がないからおとなしく帰宅だな」

京太郎「あれ? 鍵かかってる……母さんはお出かけ中か」

京太郎「じゃあカピのやつ、寂しがってるだろうな」

京太郎「さて、たまには思いっきり遊んでやるとするか」ガチャ


京太郎「……カピバラの、キーホルダー」


京太郎「そういやこれ、前にみほっちゃんからもらったんだっけ」

京太郎「……もしかして、同じものか?」





美穂子「ふふっ」

久「……さっきからニヤついてるけど、なにかあったの?」

美穂子「これ、さっきプレゼントしてもらったの」

久「キーホルダー? それ、なんか見覚えあるわね」


美穂子(これでお揃い……)

美穂子(あの人も気づいてくれたかしら?)




『美穂子はお揃いのキーホルダー(色違い)を手に入れた!』

というわけで誕生日おめでとう

今日の更新はなしですけど、先に安価取っときます
お好きなキャラをどうぞ
長野限定で

下1~下5

票が五人に割れたらコンマ高い人で

ころたん人気……!

もいっこ安価
長野の一年生を一人どうぞ

下1~下5

例のごとく割れたらコンマで

優希で了解

それじゃ、失礼します



・二年、秋、初めての学校祭――if


豊音「ここだよ。さっき歩いてる時に見かけたんだ」

京太郎「休憩所?」

豊音「疲れたんだったら、いいかなって」

京太郎「それはいいんだけど……」


京太郎(なんでこの部屋、こんなカーテンで見えなくしてんの?)

京太郎(まさか……休憩所って書いてヤリ部屋とか読むわけじゃないよな?)


豊音「仮眠をとりたい人用にベッドもあるって!」

京太郎「マジか……アウト気味だな」

豊音「ほら、入ろ?」グイッ

京太郎「ちょっ」





京太郎「……」

豊音「なんか、薄暗いね」

京太郎「……」

豊音「それに、なんか変な声も……」

京太郎「……」

豊音「みんな風邪ひきさんなのかな?」


京太郎(……あかん、予想が的中したっぽい)

京太郎(しかもこの甘ったるい匂い……体が熱くなりそうだ)


「ご利用はお二人さまで?」

豊音「あ、はい――」

京太郎「悪い、やっぱやめとくわ」

豊音「え、お休みしなくていいの?」

京太郎「多分、全然休まらなさそうだしな」

豊音「?」

京太郎「ほら、行くぞ」グイッ

豊音「わっ」





京太郎「危ないところだった……ああいうのって都市伝説じゃなかったんだな」

豊音「あそこ、危ないとこだったのかな?」

京太郎「まぁ、怪我する危険とはまた別の意味でな」

豊音「ふーん?」

京太郎「とりあえず別のとこ行こうぜ。休むならベンチでもできるんだし」

豊音「うん……でも、ちょっとベッドで横になりたいかなーって」

京太郎「具合悪いのか?」

豊音「えっとね、ちょっと体が熱くて頭がボーッとして、それにお腹の下がなんか……」

京太郎「えっ」


京太郎(お腹の下ってなに、なんなのよ)

京太郎(まさかさっきの部屋の……)

京太郎(そういえば、俺もなんか体が……)


豊音「ね、ねぇ、京太郎くん?」

京太郎「な、なんだ?」

豊音「どこか人のいない場所、知らない?」





豊音「わぁ、ちょー薄暗いよー」

京太郎「この用具室なら今はあまり人も来ないし、マットを敷けばベッドの代わりにもなるだろ」

豊音「じゃあ、早速……えいっ」

京太郎「――むぐっ」

豊音「ぷはっ……ちゅーってすごいよ」

京太郎「い、いきなりだな……」

豊音「ごめんね、もう我慢できないんだ。京太郎くんのこと見てるとドキドキして、体がムズムズしちゃうの」

京太郎「こんにゃろっ」ガバッ

豊音「きゃっ」

京太郎「そんなの俺も同じだっての。人のいない場所に行きたいとか言いやがって」

豊音「あはは、両想いだね……いいよ」


豊音「好きに、して……?」


京太郎「言われなくても」





豊音「……こうやって抱っこされるの、好きだな」

京太郎「言えばいつでもしてやるぞ」

豊音「うん……ね、京太郎くん?」

京太郎「なんだ?」

豊音「ちょーすごかったね」

京太郎「……思い出したらまた……」ムクムク

豊音「……もしかして、もう一回したいのかな?」

京太郎「ダメか?」

豊音「ううん、いいよ」


豊音「私もまたムズムズしてきちゃった」


京太郎「じゃあ、お言葉に甘えて――」

豊音「――ぁん」




つづ……かない

てなわけであねったいさんとのもしもでした
なお、このあとお持ち帰りされたかどうかは不明

風呂入ったら始めます



豊音「ところで、あの休憩所ってなにが危なかったのかな?」

京太郎「ああ……説明するのはあれだけど、今更隠すこともないか」

豊音「ちょー気になるよー」

京太郎「じゃあちょっと耳貸して」


豊音「わっ、わわわわわわわっ」ボンッ

京太郎「以上が一般的な意味でない休憩所の概要です」

豊音「わ、私そんなところに京太郎くんを連れ込もうとしてたなんて……」カァァ

京太郎「うん、どっからどう見てもえっちな女の子だな」

豊音「ご、誤解だよー!」



というわけで始めます



・三年、初夏、将来の夢


京太郎「よう、今日は遅いな」

和「掃除当番です」

京太郎「そっか、俺は別件だけどな」

和「なにかあったんですか?」

京太郎「ああ、進路相談がどうたらでさ」

和「進路……先輩は進学するんですか?」

京太郎「ああ、それな……正直考えてない」

和「……え?」

京太郎「だから呼び出されたんだよなぁ」

和「部長と一緒の大学にいくものと思ってたんですけど」

京太郎「久ちゃんと一緒のとこな……そこまで勉強は得意じゃないんだけど」

和「わ、私でよければ教えますからっ」

京太郎「いや、たしかにお前は頭良さそうだけど、後輩に勉強教わるってどうなのよ」

和「ですけどっ」



京太郎「あーもう、お前が心配することじゃないっての!」ワシャワシャ

和「きゃっ」


京太郎「逆に聞くけど、原村には夢とかないのか?」

和「わ、私の夢ですか?」

京太郎「そうそう、進路に悩む俺の道標になってくれ」

和「あの、勉強を教わるのはいやって言ってましたよね?」

京太郎「それはそれ、これはこれ。あくまで参考だから教わるってわけじゃない」

和「えっと、じゃあ……」



和「まず、大学には行こうと思っています」

京太郎「まあ、今時は大体そうだよな。やっぱ法学部か?」

和「それはまだ決めてないですけど」

京太郎「じゃあ、なりたいものが決まってるってわけでもないのか」

和「そ、それは、その……」アセアセ


和「や、やっぱり言えませんっ!」


和「……あ、すみません。いきなり大声出しちゃって……」

京太郎「気にすんな。無理に言うことないって。さ、部活行こうぜ」

和「はい」


和「……お嫁さんだなんて、恥ずかしくて言えません」





衣「うちで執事をやればいいと思うよ」

京太郎「なんだお前、藪から棒に」

衣「きょうたろーが進路に悩んでるって聞いて」

京太郎「つまりハギヨシさんコースか」


和「あの、どうして天江さんがここに?」

衣「ノノカ! ペンギンさんは健在か?」

和「エトペンならここに」

衣「それは重畳」ウンウン


衣「それできょうたろー、どう?」

京太郎「いやー、それはなんともな……自由がなくなりそうだし」

和「あの、だからどうしてここに」


ハギヨシ「それは私がお答えしましょう」


和「い、いつの間にっ」

ハギヨシ「お静かに、他の方が対局中ですので」

和「あ、はい」





和「え、遊びに来たんですか?」

衣「うん、透華たちは忙しいからって来られなかったけど」

和「そうだったんですか……」

京太郎「つっても、たいしたお構いはできないんだよな……雀卓の他にはなんもないし」


ハギヨシ「……」スッ

久「あら、お茶のおかわり? ありがとう」


京太郎「むしろこっちが何かしてもらってる始末」

衣「衣も早く打ちたい」ウズウズ

和「それならパソコンでやればどうでしょう?」

衣「ぱそこん……その箱のことだよね」

京太郎「まぁ、ネト麻はいいかもな……よし、ちょっとこっち来なさい」





衣「おかしい、こんなの絶対おかしい!」


京太郎「なんだ? 動かし方はさっき教えたよな」

衣「衣がこんな箱相手に大敗を喫するなんて……!」

京太郎「あらま、ご愁傷様」


咲「何騒いでるの?」


京太郎「ああ、ようやっと終わったのか」

咲「うん、なんとか一位取れたよ……」

京太郎「ん、そうか」

咲「……ねぇ、私一位とったんだよ?」

京太郎「なんだ、褒めて欲しいってか? しかたないなぁ」

咲「ち、ちがうもんっ」



衣「衣の支配が全く通用しないなんて……面妖な!」

和「そういえば、咲さんもこれは苦手でしたね」

まこ「同類同士、そこも同じっちゅーことかの?」

久「卓も空いたし、天江さんも打つ?」

衣「やらいでか!」

久「私ももう半荘やっとくかな……他に入りたい人は?」


まこ「わしは誰もいなかったらで構わんよ」

和「あ、じゃあ入ります」

優希「た、タコス切れだじぇ……」シオシオ


久「こっちはしおしおか。京太郎ー?」

京太郎「なんだー?」

久「ちょっとこの子と一緒にタコス買ってきて」

京太郎「りょーかい。ほら、しっかり立て」

優希「おんぶー」

京太郎「馬鹿言ってるとタコスが遠のくぞ?」

優希「はーい」





優希「タコスうまー!」

京太郎「部室に着く前に、もはや一個消えそうだな」

優希「その分いっぱい買ったから大丈夫だじぇ」

京太郎「俺の財布からお金が出てったような気もするけどな」

優希「それは……体で返すじぇ」ポッ

京太郎「はいはい、五年経ってから出直してきなさい」

優希「……遠回しなプロポーズ?」

京太郎「これでプロポーズになるんだったら、俺は何人に求婚したことになるんだろうな?」



京太郎「そういやさ、お前はなんか将来なりたいものとかあるのか?」

優希「将来の夢? うーん、パッとは思いつかないじぇ」

京太郎「まぁ、だよな」

優希「あえて言うなら……タコス?」

京太郎「……自分自身がタコスになることだ、的なあれか?」

優希「それはさすがに違うじぇ」

京太郎「じゃあ作る側だな。うん、悪くないんじゃないか?」

優希「どっちかって言うと食べる側がいいじぇ」

京太郎「メキシカンと結婚すればいいんじゃないかな?」

優希「それなら先輩の方がいい!」

京太郎「つまり、俺に主夫になってタコスを作り続けろと」

優希「お金は私がドーンと稼いでくるから問題なし!」

京太郎「俺はその、養われてる状態にすっごい抵抗感があるんだけど」

優希「そうかー? 女子プロも多いし、主夫やってる男の人もいると思うじぇ」

京太郎「おいお前、女子プロの前では絶対その話をするんじゃないぞ」



優希「ところで、後輩の夢を聞き出して一体何が目的なんだじぇ?」

京太郎「興味本位? 原村も夢があるっぽいこと言ってたし」

優希「のどちゃんの夢?」

京太郎「ああ、教えられないって突っぱねられたけど」

優希「ふむ……言うのをためらうほどのエロエロなものと見た!」

京太郎「んなわけないだろ。あいつに限って」

優希「わからないじぇ? のどちゃんは結構ムッツリだから」

京太郎「ムッツリ云々は置いとくとして、自分の夢を語るのに抵抗があるやつだっているだろ」

優希「……やっぱり先輩はのどちゃんに甘いじぇ」

京太郎「甘いもなにも、普通にしてたら俺も普通に接するってだけだからな」

優希「でも風越のおねーさんには色々迷惑かけたって聞いたじょ?」

京太郎「うっ、それは若気の至りってやつでだな……」

優希「ともかく、のどちゃんは私の嫁だから手を出しちゃダメなんだじぇ」

京太郎「嫁、ねぇ」


京太郎(まぁ、あんな嫁さんがいたら大抵の奴は喜びそうだよな)





恵「帰ったぞ」

恵「……和、いないのか?」


シャー


恵「シャワー中か……まったく、小さい頃はいの一番に飛びついてきたというのに」

恵「将来の夢はお嫁さん、だったか……懐かしいものだ」


『友達が、できたんです』


恵「……思えば、転校続きで負担を強いてきた」

恵「今日は私が夕飯を作るとするか」

恵「そういえば、進路のことは詳しく聞いていなかったな」

恵「前に聞いたときは大学には行くと言っていたが……」

恵「まあいい、食事のついでに聞いてみるとするか」

恵「……インターカレッジで活躍している大学を調べておこう」



ガチャ


恵「上がったようだな。私も部屋に荷物を置いてくるか」


和『ふぅ……将来の夢、ですか』


恵「ん?」


和『お嫁さん、なんて言ったら恥ずかしいですよね』


恵「……そうか、和は小さい頃の夢をまだ……」

恵「安心するような、心配なような……」

恵「親の心境というのは複雑なものだな」


和『先輩は、どう思うでしょうか?』

寝てた……
続きはおとなしく次にします

こんばんはー

もうちょっとしたら昨日の続きを再開しようかと

そんじゃ、始めます



和『お嫁さん、なんて言ったら恥ずかしいですよね』


恵「……そうか、和は小さい頃の夢をまだ……」

恵「ほっとするような、心配なような……」

恵「親の心境というのは複雑なものだな」


和『先輩は、どう思うでしょうか?』


恵「……待て、本当にそうなのか?」

恵「あの年になれば、夢に対して具体的なヴィジョンを持っていても不思議ではない」

恵「まさか……相手がいるのかっ!?」

恵「先輩……そうか、あの男かっ!」


恵「和、和ぁっ!」ドンドン


和『きゃっ! な、なんですか!?』


恵「お前にはまだ早い、早いぞぉっ!」





京太郎「じゃあもう鍵閉めるぞー」


優希「優希選手、一番乗りで帰宅だじぇ!」

咲「染谷先輩と部長が先に帰ったから、一番は無理じゃないかなぁ?」

優希「スタート地点が一緒じゃないとレースは成立しない! ってなわけで咲ちゃん行くじょ!」ガシッ

咲「ええっ」

優希「あのタコスの星目掛けて一直線だじぇ!」

咲「そんな星、聞いたことないよっ」



京太郎「さっきはボロ負けでしおれてたのにな」

和「……」

京太郎「さ、俺らも帰るか」

和「は、はい……」

京太郎「原村、具合でも悪いのか?」

和「そういうわけじゃなくて……あの、先輩は明日の放課後になにか予定が?」

京太郎「うーん、部活以外は特に」

和「そ、そうですか……」

京太郎「?」

和「ふぅ……せ、先輩っ」


和「明日、私の家に来てくれませんかっ」





京太郎「……なぁ、原村の父さんが俺に話ってなんなんだよ」

和「私もよくわからなくて……すごい取り乱した様子でした」

京太郎「なんだぁ、それ?」


京太郎(さっぱり理由に心当たりがない)

京太郎(俺と原村の父さんの関わりってこの前、家に行った時だけだよな?)

京太郎(その時に気に食わないことをしちゃったとか? でも時間経ちすぎだよな)


和「着きました」

京太郎「ここに来るのは二度目か」

和「父も待ってると思うので、早速家の中に――」


恵「……」ゴゴゴゴゴ


京太郎「……帰ってもいいかな?」

和「……一人にしないでください」

京太郎「……わかったよ」





京太郎「……」

恵「……」ゴゴゴゴゴ


京太郎(な、なんて威圧感……)

京太郎(俺、本気でなんかしたかなぁ?)

京太郎(原村はお茶を用意するとか言って引っ込んじゃったし)


恵「須賀、京太郎くんだったな?」

京太郎「は、はい」

恵「君に聞きたいことがいくつかある」

京太郎「聞きたいこと、ですか」


京太郎(問答無用ってわけじゃなさそうだな)

京太郎(なんにしても恐いことには変わりないけど)



恵「いいか? 絶対誤魔化したりせず答えてほしい。絶対にだ」

京太郎「……わかりました」

恵「では早速……君は高校三年生だったな。進路は決まっているのかね?」

京太郎「いえ、正直まだ大学に行くかも定かではないです」

恵「そ、そんな見通しの甘いことで……!」ビキビキ


京太郎(えぇー? なんで青筋立ててんの!?)

京太郎(正直に答えろって言ったじゃん)


恵「まあいい……では次の質問だが」ギロッ

京太郎「……はい」


京太郎(原村……頼むから早く戻ってきてくれ)





恵「……次が最後の質問だ」


京太郎(や、やっと終わる……)

京太郎(終始威圧感出しまくりだし、青筋ピクピクだし)

京太郎(しかもすごい目で睨んでくるから生きた心地がしなかった……)

京太郎(今まで聞かれたのは俺の進路、将来の展望、経歴に家族構成……さあ、次は何を聞かれる?)

京太郎(ここまで来たらなんでも答えてやるよ……!)


恵「娘……和のことをどう思っている?」


恵「これまでと同じように正直に答えて欲しい」

京太郎「……」


京太郎(今までと毛色が違うな)

京太郎(本当の本当に聞きたかったことって、これなのか?)

京太郎(なんの意図があるのかはわからないけど)


恵「どうした、答えられないのか?」

京太郎「いえ――答えます」





和(お茶が入りました)

和(先輩とお父様を二人きりにしてしまいましたが、大丈夫でしょうか?)


京太郎『いえ――答えます』


和(二人で話を? ちょっと気になりますね)


京太郎『仲間思いで友達思いで……将来の夢も持っていて』


和(だれのことでしょうか?)


京太郎『この前なんて、俺の進路を心配して勉強を教えるなんて言ってきたんですよ』


和(もしかして……私?)



京太郎『ぬいぐるみがないと寝られないなんて可愛いところもあって』


和「――っ」カァァ


京太郎『でもちょっと一人で抱え込もうとするとこもあって』


和「……」


京太郎『なんかとっ散らかってるな……でも一つ言えるのは』


京太郎『和さんは間違いなく、俺にとって大事な人です』


和「……ふぁ」





恵「そうか、よくわかった」

京太郎「すいません、なんかあんまり整理できてなかったんですけど」

恵「いや、生の声とは得てしてそういうものだ。職業柄、よくわかっているつもりだよ」

京太郎「それで、俺は何を試されてたんですかね?」

恵「それなら心配ない……合格だ」


恵「娘を……和をよろしく頼む」


京太郎「はい、わかりました」

恵「では私は失礼する。少し考え事がしたい」





恵「ふぅ……」


恵(こんな日が私にもやってくるとはな)

恵(嬉しくもあり寂しくもある……なんとも不思議な気持ちだ)


和「お父様……」

恵「冷蔵庫にケーキが入っている。彼と二人で食べなさい」

和「あの、今日先輩を呼んだ理由って」

恵「ふっ、お前にはまだ早いものと思っていたのだがな……私はお茶だけもらおう。部屋で飲む」

和「あっ……」

恵「お前の夢、叶うことを私も期待しよう」





京太郎「しかしなぁ、なんなのか最後までよくわからなかったな」

京太郎「よろしく頼むって……もしかして先輩として信頼されてなかったとか?」


和「先輩」


京太郎「ああ、お茶入ったのか」

和「はい、それからお父様がケーキを」

京太郎「お、うまそうだな」

和「早速食べます?」

京太郎「そうだな、食べるか」

和「じゃあ……はい」


和「あーんしてください」



京太郎「……原村、俺は手が不自由なわけじゃないぞ?」

和「……なんで名前で呼んでくれないんですか?」

京太郎「いつもと同じだよな?」

和「お父様の前では違いましたよね?」

京太郎「同じ原村だからまぎらわしいだろ」

和「……呼んでくれないんですか?」ジッ

京太郎「うっ……しょうがないな」


京太郎「和……これでいいか?」


和「……」ポワー

京太郎「……大丈夫か?」

和「はいっ、大丈夫です!」

京太郎「そ、そうか……」

和「じゃあ、口開けてください♪」

京太郎「あ、それまだ続いてたのね」



選択済みエピソード

・一年
入学式、久との再会
春、美穂子登場
春、二人のあいだにある壁
美穂子再び
初夏、久との対立
初夏、美穂子への依頼
初夏、美穂子との特訓
初夏、決戦前夜
決戦
初夏、リスタート
夏、新たな出会い
夏、欠けた月
夏、初めての執事(アルバイト)
夏、衣の麻雀講座
今宵、月が満ちるとも
夏休み、遠征初日
夏休み、松実姉妹
夏休み、遠征二日目――鹿児島
夏休み、眠り姫
夏休み、遠征三日目――大阪
夏休み、目覚めぬ未来
夏休み、遠征四日目――岩手
夏休み、八尺(実際には六尺五寸)
夏休み、遠征最終日――東京
夏休み、グランドマスター
夏の始まり
エピローグ
その後の美穂子
秋、バイト執事再び
秋、衣の誕生日(略してころたん)
秋、膝枕の日
秋、祭りの後で
秋、恋敵?
冬、雪の降り始め
冬、年の初めに
冬、画面の向こう側
冬、節分の前の日
冬、アラフォー(予備軍)
三月八日、一年後の誕生日
三月十五日、好みのタイプは?
三月十六日、初めてのお出かけ
三月、おもちと温泉と
三月、温泉のあとのマッサージ(意味深)

・二年
部活動紹介、まこ入部
春、学食にて
美穂子との再会
初夏、ストーカー?
初夏、池田の逆襲
初夏、タイムリミット
初夏、県予選開始
初夏、団体戦決着
初夏、縺れた糸
初夏、まこの苦労日記
初夏、ライバル
夏、全国へ
夏、ワールウィンド
夏、奈良の王者
夏、修羅の国のクールビューティー
夏、大阪の魔物
夏、大阪の姉妹
夏、神代の姫
夏、一番目と二番目
夏、スリーピングビューティ
秋、次の目標
秋、まこの苦労日記その2
秋、二人と一人
冬、旅行に行こう
冬休み、小悪魔
冬休み、ゆきみだいふく
冬休み、神社の娘と王者の進路相談
冬休み、はとこ
エピローグ
五月十日、膝枕とおんぶ
八月二日、パンツの日
秋、ロッカーの中
秋、月見の夜に
九月二十一日、プレゼントの意味
九月二十四日、お揃い
秋、キャットチャンバー
秋、初めての学校祭
秋、牌のお兄さん
秋、こどな
秋、苗字と名前
冬、記憶と縁
冬、王者の休日
冬、蓼食う虫もなんとやら
冬、鎖でつなぐもの
三月、主役のいない旅行
三月、ゆきが消える前に

・三年
優希との出会い
春、和の初恋?
春、インハイチャンプ
初夏、最後の一人
初夏、不和
和の悩み
咲との微妙な関係
優希の好物
初夏、合宿
初夏、家庭訪問@原村家
初夏、最後の県予選
初夏、鏡
初夏、見えない彼女の見つけ方
初夏、決意
初夏、県予選決勝戦
初夏、東風とビギナーズラック
初夏、個人戦9位と卓上の天使
初夏、花天月地――嶺上の花と海底の月
初夏、男子個人戦
初夏、南風
初夏、代償
初夏、いつも傍にあるもの
初夏、好きこそものの上手なれ
初夏、お兄ちゃんと一緒
初夏、将来の夢
そのころの阿知賀編

・EX
小学五年、幼馴染
小学五年、嫉妬
中学二年、初夏、ゆみとの出会い
中学二年、夏、試合観戦
中学二年、三月、照との別れ
中学三年、初夏、空白

というわけで終了ー
次回は

『三年、夏、楽しい合同合宿(地獄編)』

です

今回の京太郎のギルティな言動は
大事な仲間と言えばいいところを大事な人といったことです

それはともかくとして、お好きなキャラをどうぞ
登場済みのキャラに限ります
以下のキャラは不可

以下のキャラは『不可』です


照・玄・美穂子・小蒔・健夜・豊音・竜華・衣・マホ・久・怜・霞・誓子・はやり・揺杏・由暉子・宥・白望・哩・姫子・やえ・エイスリン・灼・爽


下5まででコンマ高いの一つ

三尋木プロで了解ー

それじゃ、ちょっと失礼します



咏→京太郎 三回目


咏「お兄さんのこと? あんたも飽きないねぃ」

咏「そもそもあいつ、ちょーっと年上への敬意ってやつ? それが足んないと思うんだよ」

咏「こんな和服美人が目の前にいるのに微妙な反応だしさ」

咏「ま、それはあたしがタメ口許したせいかもねぃ。知らんけど」

咏「色々してやったし、そろそろ誠意ってやつを見せて欲しいかね?」

咏「どういう意味かって?」

咏「やっだなぁ、それぐらい察してちょーだい」

というわけで三回目の三尋木プロでした

プロたちの中では頭一つ抜けてます
戒能プロとかのよりんとかも出ればいいですね
まぁ、そこらも全部コンマ次第ですけど

それじゃ、ちょっと早いけど失礼します

気が向いた&ゾロ目だったんでアコチャーのもどうぞ


憧→京太郎


憧「須賀京太郎? あー、あの」

憧「あの人、なんか馴れ馴れしいのよね」

憧「人の名前連呼してくるし……肩触ってくるし」

憧「ああいうのがチャラ男っていうのよね」

憧「きっと女の子相手に強引に迫って、壁際で手をついて逃げられなくしてそのまま……ふきゅっ」

憧「あーもうっ、何考えてんのよ私っ」


ちなみに最初から好感度が高いキャラは心証が変わらなかったりします
ころたんとか豊音とか

今日は更新不可です
たった今帰って来たばかりです
そして多分明日もできません

というわけで先に安価だけとっておきます

長野四校の能力もちキャラを一人どうぞ

下10まで

10人もいるかなと思ったけど以外にいた

ともあれ桃子、衣、美穂子で了解

それじゃ、また今度

日付が変わる頃にこんばんは
マホの能力は個人的に士郎の投影みたいなものだと思ってます

それはさておき、もうちょっとしたら始めます

そんじゃ、そろそろ始めます



・三年、夏、楽しい合同合宿(地獄編)


久「ツモ、4000オール。これで私の勝ち抜けね」


優希「もうオケラだじぇ……払える点棒がありません」

咲「負けちゃった……」

まこ「もうすっかり本調子のようじゃの」

久「やっとって感じだけど。あんなにガッツリ取られたんだもの、回復にも結構時間がかかったってことね」

まこ「取られた? 回復?」

久「ああ、こっちの話よ。なんにしても全国に間に合って良かった」

優希「追加のタコスはまだかー?」

久「今、買い出し中よ。もう少し待つ」

咲「そういえば、和ちゃんと一緒なんだっけ」

まこ「ありゃあクジで対局から外れたからじゃけぇ。妬むな妬むな」

咲「そ、そんなこと思ってないですっ」


京太郎「ただいまー」

和「頼まれたもの、買ってきました」


優希「た、タコスー!」ガバッ

京太郎「おわっ、飛びついてくるな!」





久「じゃあ、みんな揃ったから本題入るわよ」


優希「本題? 前フリもなかったじぇ」

和「きっと合宿のことじゃないですか?」

咲「あ、そういえば県大会突破したらまたやるって言ってたね」


京太郎「うーん、事前に情報漏れしてんな」

まこ「というか前に話しとったじゃろ」

久「あ、いいのいいの。重大なのはそこじゃないから」

京太郎「他に何かあったっけ? 俺も知らないんだけど」

久「この前ちょっと美穂子と加治木さんと龍門渕さんとで集まってね。部長会議ってやつね」

まこ「鶴賀の部長は別の人じゃろ」

久「そうだっけ? まぁ、とにかくその時に話し合ったわけ」

京太郎「ふーん、だいたい話が見えてきたな」

久「てなわけで発表しまーす。注目ー」パンパン



久「なんと今度の合宿は、うちと風越と鶴賀と龍門渕の四校でやることになりました!」


和「ということはつまり」

咲「合同合宿?」

優希「だじぇ」


久「あら、思ったより反応薄いわね」

京太郎「なぁ、それって俺も参加なんだよな?」

久「今更仲間はずれにするわけないでしょ。問題ある?」

京太郎「いや、男女比がやばいことになるんじゃないかってな」

まこ「今更何を言うとるんじゃ」

久「ほんと、今更ね」

京太郎「一昔前の俺なら喜んださ」

まこ「喜んだんかい」

京太郎「でもよく考えてみろ、針のむしろだぞ?」

久「大丈夫よ、萩原さんもくるから」

京太郎「マジか!」



優希「枕投げが楽しみだじぇ!」

和「え、エトペンは投げませんっ」

咲「温泉、楽しみだなぁ」


まこ「麻雀と関係ないとこで盛り上がっっとるのぅ」

久「うーん、一応強化合宿なんだけどね」





優希「来たじぇ! 温泉旅館!」

和「前に行ったところよりも大きいですね」

咲「他の学校の人たちはまだかな?」

京太郎「もうそろじゃないか? お、あれあれ」


美穂子「こんにちは」

華菜「よーっす、来てやったぞー」


久「久しぶりね」

美穂子「ええ、調子はどう?」

久「もう本調子よ。ま、打ってみればわかるか」

優希「おねーさん!」

美穂子「あら、タコス食べる? いくつか作ってきたのだけど」

優希「もちろん!」



華菜「くっそぅ、キャプテンはあいつのこと甘やかしすぎだし」

京太郎「なるほど、つまりは自分が甘やかされたいと」

華菜「いつの間に後ろんにっ」ブンッ

京太郎「ちょっ、おまっ、いきなり回し蹴りか!」サッ

華菜「なんで避けるんだよ!」

京太郎「避けるわっ」

未春「か、華菜ちゃん? いきなりどうしたの?」

華菜「止めるなみはるん! こいつは不倶戴天の敵なんだし!」

未春「え、えぇっ」

京太郎「悪いね、こいつ、なんでか、俺を、敵視しててさっ」

華菜「だから避けんなっ」

未春「すごい、ヒョイヒョイかわしてる……」



「池田ァ!!」


華菜「ひっ」

「てめぇ、他校の生徒に迷惑かけるなんていい度胸じゃねえか」

華菜「あわわわわっ、た、退却だし!」タタッ


「まったく……すまない、うちの生徒が迷惑かけた」

京太郎「気にしなくてもいいですよ、いつものことだし」

「いつものこと?」

京太郎「それより、バイク乗ってたりしました?」

「あん? まぁ、昔な」

京太郎「俺は現役です」

「そうか……久保貴子、風越のコーチをやってる。よろしくな」スッ

京太郎「清澄の須賀京太郎です」ガシッ

貴子「さて、逃げ出した猫でも捕まえてくるか。また後でな」



まこ「相変わらずあんたの周りは騒がしいのぉ」

京太郎「俺自身は騒がしくないのにな」

まこ「寝言は寝て言わんかい」

京太郎「ひどっ」


和「そういえば、先輩はバイクの免許を?」

京太郎「まぁな。まだ後ろに誰か乗っけたことはないけど」

和「あの、じゃあ私が!」

京太郎「お、おう……あれは鶴賀じゃないか?」



ゆみ「……」ゲッソリ

京太郎「どうした、死にそうな顔して」

ゆみ「……ああ、須賀か」

京太郎「到着早々お疲れだな」

ゆみ「峠越えは、つらかった……」

和「なにがあったんでしょうか?」


桃子「……」ソロー


和「あの、私に何か用ですか?」

桃子「――っ、やっぱりわかるっすか」

和「そこにいるのに見えないなんて、おかしいじゃないですか」

桃子「そうっすよね!」



ゆみ「驚いたな、モモがいることに気づくなんて」

京太郎「そうかぁ? 言うほど影が薄いとは思わないぞ」

ゆみ「匂いで判別するやつはいるんだが」

京太郎「俺にはそっちのほうが驚きだよ」


桃子「おっぱいさん、今日は一緒に温泉に入るっすよ」

和「お、おっぱいさん?」

桃子「なんかおかしいっすかね?」


ゆみ「なんにせよ、モモに友達ができるのなら歓迎すべきことだよ」

京太郎「なんかお姉さんみたいな目をしてるな」

ゆみ「そんなものじゃないさ。だが、あいつを強引に連れ出したのは私だからな」

京太郎「そうか」

ゆみ「さて、そろそろ君たちの部長に挨拶をしてこようかな」

京太郎「おう、後でな」



衣「きょうたろー!」


京太郎「お、龍門渕も到着か」

衣「うん、衣が一番乗りだ! 褒めて褒めてっ」

京太郎「よしよし」ワシャワシャ

衣「えへへー」


咲「……なにしてるの?」


衣「サキ! 息災だったか」

咲「久しぶりだね。とりあえず京ちゃんから離れたらいいんじゃないかな?」

衣「何故?」

咲「とにかくっ」グイッ

衣「やだっ」ヒシッ

京太郎「あー、お前ら喧嘩すんなよ」



透華「ここで私の登場ですわ!」


京太郎「お、保護者の登場か。お宅の子を引き取ってくれ」

透華「まったく……毎度のことながら無礼ですわね」

京太郎「そのぶん誠意がこもってるからいいんだよ」

透華「覚悟なさい。今日は悲鳴を上げるほどこき使ってやりますわ……!」

京太郎「ハギヨシさーん! お宅のお嬢さんなんとかしてー!」

透華「んなっ!?」


ハギヨシ「呼びましたか?」


京太郎「うーん、いつものことながら見事な現れっぷり」

ハギヨシ「たまたまですよ。それより、なにか困ってることでも?」


咲「離れるの!」グイグイ

衣「やだってば!」ギュウウ

透華「このっ、このっ!」ゲシゲシ


京太郎「……とりあえず助けてくれません?」





京太郎「よいしょっと……荷物はこんなとこか?」

久「運んでくれてありがと」

京太郎「今日は自由時間なんだっけ?」

久「そうね。夕食はみんな一緒に摂る予定だけど」

京太郎「俺とハギヨシさんはその手伝いだっけ?」

久「ま、格安で使わせてもらってるんだから仕方ないのよねぇ」

京太郎「せっかく着いてきたんだしそれぐらいはやるさ」

久「あ、そういえば今日はゲスト呼んでいるんだけど」

京太郎「ゲスト? プロとか?」

久「ハズレ。会ってみてのお楽しみってことで」

京太郎「隠し事かよ、気になるなー」

久「和と優希は確実に驚くでしょうね」

京太郎「あの二人が……ってことは中学校の頃の知り合いか?」

久「あら、ヒント出しすぎちゃった?」

京太郎「これでも察しはいいほうだと思ってる」

久「それが全部に行き届くかというと、違うのよね」ハァ

京太郎「はぁ?」

久「とりあえずご褒美も用意してるから期待して待っててちょうだい」

京太郎「なにそれこわい」





京太郎「ふぃー、ちょっとハードだったですね」

ハギヨシ「ええ、中々に歯ごたえのある仕事でした」

京太郎「人数に対して俺ら二人ってバランス悪くないですかね?」

ハギヨシ「いつだったか、パーティーの一切の取り仕切りを任された時よりはまだマシですね」

京太郎「……何気にハギヨシさんも苦労してます?」

ハギヨシ「それも今の私の血肉となってますから」

京太郎「やだ、かっこいい」

ハギヨシ「一段落着いたところですし、京太郎くんも少し休むといいですよ」

京太郎「今はみんなのんびりしてるだろうな……じゃあお言葉に甘えます」





京太郎「あー、コーヒー牛乳うまー」

京太郎「まだ風呂上りじゃないからちょっとフライング気味か」

京太郎「さて、俺もむこうに顔出そうかな」

京太郎「……ん?」


マホ「どうしよう……マホ、ピンチです」


京太郎「あの子……なんでこんなとこに」

京太郎「にしてもまた迷子か?」

京太郎「……変な奴が寄って来る前になんとかするか」


京太郎「君、どうかしたのか?」

マホ「お、お構いなく……あれ?」

京太郎「久しぶりだな。夢乃マホちゃんだっけ?」

マホ「えっと、お兄さんは……そういえばお名前、聞いてなかったです」

京太郎「そういや名乗った覚えもなかったな……須賀京太郎、よろしくな」

マホ「よろしくです!」


京太郎「とりあえずコーヒー牛乳でも飲むか?」

マホ「マホ、フルーツ牛乳の方が好きです」





京太郎「ふんふん……またはぐれたのか」

マホ「そうみたいなんです……」シュン

京太郎「迷子センターでも行くか?」

マホ「やですっ」

京太郎「冗談だって。ここにそんなものがあるかどうかもわからないしな」

マホ「むぅ、お兄さん意地悪です!」

京太郎「悪かったよ。……で、目的の部屋は?」

マホ「えっと――」


京太郎「……」

マホ「どうかしました?」

京太郎「ああ、大丈夫だ」


京太郎(ここって久ちゃんたちの部屋だよな?)

京太郎(まさか、ゲストってこの子か?)


京太郎「この部屋ならわかる。案内するよ」

マホ「わぁ、ありがとうです!」





美穂子「あら、京太郎さん……その子は?」

京太郎「ああ、久ちゃんが呼んだみたいでさ」

美穂子「久が?」


マホ「あのっ、もしかして福路美穂子さんですかっ?」


美穂子「どこかで会ったこと、あったかしら?」

マホ「この前の個人戦、見てました!」

京太郎「ということだな。この有名人め」

美穂子「そんな、有名人だなんて……」

京太郎「全国、頑張れよ」

美穂子「はい、頑張ります」


マホ「もしかしてお二人は恋人同士なんですかっ?」キラキラ



美穂子「こ、恋人っ」カァァ

京太郎「あー、そうだったら良かったんだけどな」

マホ「違うんですか?」

京太郎「残念ながらな」

マホ「ごめんなさいです! マホ、げすのかんぐりしちゃいました」

美穂子「い、いいのよ別に」

京太郎「ま、勘違いされて悪い気はしないよ……で、お前はなにしてんだ?」

マホ「?」


桃子「あらま、またバレちゃったっすね」



マホ「いきなり人が現れました!」

桃子「いやー、これじゃ迂闊にイタズラもできないっすねー」

京太郎「まるで常日頃からしてるみたいな言い方だな」

桃子「それほどでもないっすよ?」

マホ「こちらの方は東横さんですよね?」

桃子「わ、私のことを知ってる人がいようとは……!」

京太郎「いや、お前普通にテレビには映ってたからな」

桃子「あ、そういえばそうっすね」

マホ「先輩の試合だからよく覚えてます!」

京太郎「先輩ねぇ」


京太郎(もしかしなくても和のことだろうな)


桃子「そういえばこの人はなんで固まってるんすかね」

京太郎「ああ、みほっちゃんは今思考の迷宮の中にいる……んだと思う」

桃子「なんすかそれ?」



衣「うん? 奇幻な気配を追ってきてみれば……」


衣「この娘が――」

マホ「すごいです!」

衣「へ?」

マホ「あの天江さんがマホの前にいるです!」ダキッ

衣「わ、わっ」


桃子「あの子、中学生っすよね?」

京太郎「そうだな」

桃子「見た目じゃどっちが年上かわからないっすね」

京太郎「まったくだな」


衣「えーい、離せっ」

マホ「あ、ごめんなさいです」

衣「まったく、最近の中学生は……!」

京太郎「ぷぷっ」

衣「笑うな!」プンプン



衣「とにかく! こうなったら打ってもらうんだから!」ビシッ

マホ「え、マホですか?」

衣「丁度面子も揃っているし」

京太郎「面子?」

衣「あ、きょうたろーは入ってないよ。後があるし」

京太郎「と、いうことは」

マホ「マホと」

桃子「私と」

京太郎「そこで固まってるみほっちゃん?」


美穂子「……あれ? どうかしました?」





マホ「ま、マホの親ですね……」


京太郎(とはいえ、正直この子が打つのを見てみたいという気持ちは俺にもある)

京太郎(あの時感じたものが間違いじゃないなら、きっと……)


マホ「つ、ツモです! えっと……」

美穂子「あら? 手が出来上がってないんじゃない?」

マホ「え? 本当ですか?」

桃子「チョンボっすね」

マホ「あうぅ……」

衣「……」


京太郎(チョンボ……初心者ってのは本当だったか)

京太郎(さて、どうすればいいかな)


京太郎「……落ち着け」

マホ「はい?」

京太郎「落ち着いて一人ずつ、目の前の相手をイメージするんだ」

マホ「……はい」スゥ


桃子「?」

美穂子「……」

衣「……来たか!」





マホ「この牌、河とみなさんの視線、切り出す位置を考えれば……」トン

マホ「通りました!」


美穂子(……当たり牌を避けた)

美穂子(この打ち方、まるで……)



桃子(よしそろそろステルスが効いてきたっすね)トン


マホ「それ、ロンです!」

桃子「なっ」


桃子(リーチしていたのに気づかなかった!?)

桃子(それじゃまるで……!)



マホ「リーチです!」


衣(この引きずり込まれるような重圧、最終盤でのリーチ)

衣(間違いない)


マホ「海底ツモです!」


衣(この娘、衣の力を写し取ったか!)





マホ「あうぅ……惨敗です」

美穂子「よしよし、元気出して」


京太郎「蓋を開けてみれば順当な結果に終わったな」

衣「衣が一番じゃないのが順当なの?」プクー

京太郎「まだ満月じゃないしな」

桃子「それでもこっちは十分疲れたっす……」


久「あ、いたいた」


京太郎「久ちゃん」

久「まったく、どこいったかと思えば……」

京太郎「そういえば迷子を一人確保したんだよ」

久「迷子? ……ああ、夢乃さんのことね」

京太郎「ゲストってあの子のことだよな?」

久「そういうこと。手間が省けてちょうどいいわね」

京太郎「そういや俺になんか用なのか?」

久「ご褒美の準備が整ったからね……ほら、みんな行くわよ」


マホ「清澄の部長さんです! ようやく会えました!」

美穂子「あ、もう時間なのね」

桃子「みたいっすね」

衣「きょうたろー、早く行こっ」



京太郎「なあ、ご褒美ってなんなんだよ」

久「うーん、そうね……経験値アップ的な?」

京太郎「はぁ?」

久「ほら、あんたって能力に頼りたくはないんでしょ?」

京太郎「まぁ、そりゃあな」

久「だったら純粋に積み上げるしかないじゃない」

京太郎「……なぁ、なんとなく話は見えてきたけどよ」

久「察しがよくて助かるわ」

京太郎「いやいや待て、俺は大会に出るわけじゃないんだぞ?」

久「でもこれ強化合宿だし、あんたもれっきとした部員なわけだし……ね?」

京太郎「たしかにそうだけどっ」

久「じゃあ問題ないわね。喜びなさい、これから県大会で覇を争った者たちと思うさま対局ができるのよ?」

京太郎「やっぱりか!」

久「美少女ばかりよ? 天国じゃない」

京太郎「地獄の間違いだろ!」

久「あ、ちなみに風越のコーチと靖子も参加してくれるって」

京太郎「やっぱり地獄じゃないか!」





京太郎「」チーン


ハギヨシ「……大丈夫ですか?」


京太郎「」


ハギヨシ「死して屍拾う者なし……せめて私が看取りましょう」

京太郎「……いや、勝手に殺さないでください」



選択済みエピソード

・一年
入学式、久との再会
春、美穂子登場
春、二人のあいだにある壁
美穂子再び
初夏、久との対立
初夏、美穂子への依頼
初夏、美穂子との特訓
初夏、決戦前夜
決戦
初夏、リスタート
夏、新たな出会い
夏、欠けた月
夏、初めての執事(アルバイト)
夏、衣の麻雀講座
今宵、月が満ちるとも
夏休み、遠征初日
夏休み、松実姉妹
夏休み、遠征二日目――鹿児島
夏休み、眠り姫
夏休み、遠征三日目――大阪
夏休み、目覚めぬ未来
夏休み、遠征四日目――岩手
夏休み、八尺(実際には六尺五寸)
夏休み、遠征最終日――東京
夏休み、グランドマスター
夏の始まり
エピローグ
その後の美穂子
秋、バイト執事再び
秋、衣の誕生日(略してころたん)
秋、膝枕の日
秋、祭りの後で
秋、恋敵?
冬、雪の降り始め
冬、年の初めに
冬、画面の向こう側
冬、節分の前の日
冬、アラフォー(予備軍)
三月八日、一年後の誕生日
三月十五日、好みのタイプは?
三月十六日、初めてのお出かけ
三月、おもちと温泉と
三月、温泉のあとのマッサージ(意味深)

・二年
部活動紹介、まこ入部
春、学食にて
美穂子との再会
初夏、ストーカー?
初夏、池田の逆襲
初夏、タイムリミット
初夏、県予選開始
初夏、団体戦決着
初夏、縺れた糸
初夏、まこの苦労日記
初夏、ライバル
夏、全国へ
夏、ワールウィンド
夏、奈良の王者
夏、修羅の国のクールビューティー
夏、大阪の魔物
夏、大阪の姉妹
夏、神代の姫
夏、一番目と二番目
夏、スリーピングビューティ
秋、次の目標
秋、まこの苦労日記その2
秋、二人と一人
冬、旅行に行こう
冬休み、小悪魔
冬休み、ゆきみだいふく
冬休み、神社の娘と王者の進路相談
冬休み、はとこ
エピローグ
五月十日、膝枕とおんぶ
八月二日、パンツの日
秋、ロッカーの中
秋、月見の夜に
九月二十一日、プレゼントの意味
九月二十四日、お揃い
秋、キャットチャンバー
秋、初めての学校祭
秋、牌のお兄さん
秋、こどな
秋、苗字と名前
冬、記憶と縁
冬、王者の休日
冬、蓼食う虫もなんとやら
冬、鎖でつなぐもの
三月、主役のいない旅行
三月、ゆきが消える前に

・三年
優希との出会い
春、和の初恋?
春、インハイチャンプ
初夏、最後の一人
初夏、不和
和の悩み
咲との微妙な関係
優希の好物
初夏、合宿
初夏、家庭訪問@原村家
初夏、最後の県予選
初夏、鏡
初夏、見えない彼女の見つけ方
初夏、決意
初夏、県予選決勝戦
初夏、東風とビギナーズラック
初夏、個人戦9位と卓上の天使
初夏、花天月地――嶺上の花と海底の月
初夏、男子個人戦
初夏、南風
初夏、代償
初夏、いつも傍にあるもの
初夏、好きこそものの上手なれ
初夏、お兄ちゃんと一緒
初夏、将来の夢
夏、楽しい合同合宿(地獄編)
そのころの阿知賀編

・EX
小学五年、幼馴染
小学五年、嫉妬
中学二年、初夏、ゆみとの出会い
中学二年、夏、試合観戦
中学二年、三月、照との別れ
中学三年、初夏、空白

というわけで終了です
特に選択肢もないので次回は

『三年、夏、楽しい合同合宿(天獄編)』です

それじゃ、おやすみなさい

こんばんはー
今日は眠いので無理っぽいです
安価だけ先に取っときます

風越、鶴賀、龍門渕の中から一つどうぞ

下5まで

龍門渕 2
鶴賀 1
風越 2


コンマ判定

1-40 龍門渕
41-60 鶴賀
61-00 風越


直下

間を縫って鶴賀ですね
了解です

じゃあついでに次スレの安価もとっておきます
キャラ絞ってくるので少々お待ちください

お待たせしました
では、この中から一人どうぞ


ゆみ
華菜
美穂子
桃子
優希

マホ
佳織

10票集まるか、15分まで

結構早く埋まったな
マホが三票なので決定です

それじゃ、おやすみなさい

こんばんはー

まぁ、安価に関しては頑張ってもらうしかないです

もう少ししたら始めます

そんじゃ、始めます



・三年、夏、楽しい合同合宿(天獄編)


京太郎「ふわぁ……」

ハギヨシ「おはようございます」

京太郎「おはようございます……」

ハギヨシ「昨晩はお楽しみでしたね」

京太郎「とんだ死亡遊戯でしたよ……精神的な意味で」

ハギヨシ「それだけ慕われているということでは?」

京太郎「だとしたら、きっとやつらは慕い方を間違えてますね」


ハギヨシ「さて、私は朝風呂に行ってきますが、京太郎くんは?」

京太郎「あ、俺も行きます」





京太郎「うーん、いまいち疲れが取れない」

京太郎「やっぱり昨日のアレがきつかったんだな……」フゥ


ゆみ「なんだ、随分お疲れのようだが」


京太郎「ああ、加治木か」

ゆみ「昨日はどうも」

京太郎「おかげで俺は地獄を見たよ」

ゆみ「そう言わないでくれ。あんな機会はめったにないと思うぞ?」

京太郎「レアだからっていいってわけじゃないからな?」

ゆみ「はは、私も自分がやれと言われたら逃げ出したくなるな」


京太郎「それより練習はいいのか?」

ゆみ「今はちょうど休憩時間なんだ」

京太郎「そういえばそんな時間か」

ゆみ「せっかくだし、うちの部屋に来ないか?」

京太郎「鶴賀のってことだよな」

ゆみ「忙しいなら無理強いはしないが」

京太郎「いや、ちょうど暇だ。遊びに行くよ」





ゆみ「ここだ、入ってくれ」

京太郎「おじゃましまーす」


智美「おお、ユミちんがボーイハントを」

ゆみ「馬鹿なことを言うな。モモと睦月は?」

智美「ムッキーはジャンケンに負けて飲み物買いに行ってる」

佳織「桃子さんはその、お花摘みです」

ゆみ「そうか、わかった」


ゆみ「二人とも顔は見たことがあるとは思うが紹介しておく」

京太郎「清澄の須賀京太郎だ。よろしく」


智美「わはは、つまりはユミちんのボーイフレンド――」

ゆみ「蒲原、口は災いの元という言葉を知らないのか?」ギリギリ

智美「いたいいたいこめかみはいたいっ」



京太郎「加治木もあんなことするんだな……」

佳織「あの、清澄のマネージャーさんですよねっ?」

京太郎「ああ、うん。言いたいことはわかるけどマネージャーではないから」

佳織「え、ええ!? 執事さんと一緒に働いてたし、てっきりそうなのかと……」

京太郎「ですよねー」


智美「す、須賀くん、助けてくれ……このままじゃユミちんに……」

ゆみ「人聞きの悪いことを言うな」

京太郎「なんつーか、仲良しだな」

智美「だろー? ユミちんは私にぞっこんで――」


ゆみ「叩こうか?」ベシッ

智美「事後承諾の愛がいたいぞっ」



佳織「せ、先輩……そこらへんで勘弁してあげてください」

ゆみ「そうだな……すまない、見苦しいところを見せた」

京太郎「いや、楽しそうなとこでなによりだ」

智美「ふぅ……愛ゆえの攻撃……これがヤンデレというやつか」ウンウン

加治木「蒲原?」

智美「わはは、冗談冗談」





ゆみ「というわけで、須賀とは中学の頃の知り合いなんだ」

佳織「私たちと会う前からお友達だったんですね」

智美「なんだ、元カレじゃないのかー」

ゆみ「残念ながらな」

京太郎「てか、たった数度会っただけで恋人とか進展早いな」

智美「わはは、百戦錬磨っぽい須賀くんだったらきっと大丈夫だぞ」

京太郎「人を見た目で判断するのはやめなさい」

智美「じゃあ試しにかおりんに迫って、どうぞ」


佳織「ふぇ?」


京太郎「なんでそうなるかな」

智美「いいからいいから」グイグイ

ゆみ「ほどほどにしておけよ?」ハァ

京太郎「ああもう、しょうがないな……」


京太郎(まあ、向こうも遊びだってわかってると思うし、多少ふざけても大丈夫か)

京太郎(チャラ男チャラ男、俺はチャラ男……よし)



京太郎「妹尾さん、ちょっといいかな?」

佳織「なんですか?」

京太郎「君のこと、よく知りたくてさ」ギュッ

佳織「ひゃっ」

京太郎「ほら、俺、前から妹尾さんのこと気になってたんだよね」

佳織「あ、あわわわっ」プシュー

京太郎「あのさ、佳織って呼んでもいい?」

佳織「お、おおおおおっ」カァァ


佳織「お友達からでっ!」ダッ


京太郎「……」

智美「……」

ゆみ「……」


智美「わはは、予想以上だったぞ」

京太郎「なぁ、あれって振られたってことでいいのか?」

ゆみ「知るか」





桃子「ただいまーっす」

ゆみ「おかえり」

京太郎「お邪魔してるぜ」

桃子「金髪さんもいたんすね」


智美「わはは、私もいるぞー」ブラーン


桃子「……なんで吊るされてるんすかね?」

智美「まったく、モモも酷い仕打ちだと思うだろ?」

ゆみ「蒲原、まだ自分の悪ふざけを反省していないようだな」

智美「わ、わはは……」

京太郎「まぁ、そろそろいいんじゃないか? 俺もふざけすぎたのは確かだし」

智美「す、須賀くん……」ジーン

ゆみ「ふぅ、君がそう言うなら仕方ないな」



桃子「そういえばかおりん先輩は……」

睦月「た、ただいま……ジュース重かったぁ」

桃子「あ、むっちゃん先輩」

智美「遅かったなー」

睦月「すいません、ちょっとカードの話題で盛り上がっちゃって」

ゆみ「まさか、レアカードが当たったのか?」

睦月「あ、今日開けた分は藤田プロだけでした」

智美「わはは、やっぱ偏ってるんじゃないか?」

京太郎「カードってプロ麻雀カードか……」ピピッ


京太郎「そんじゃ、もうそろ行こうかな」

桃子「もう行っちゃうんすか?」

京太郎「呼び出しくらった。ほれ」


優希『昼前のタコスを所望! というか遊んでほしいじぇ』



睦月「お昼前なのにタコスって」

ゆみ「わかった、じゃあまた後でだな」

智美「かおりんに会ったらよろしくー」

京太郎「多分だけど、俺が声かけたらパニくるんじゃないか?」

桃子「だから一体何があったんすかね?」


智美「簡単にまとめるとだなー、須賀くんがかおりんをもてあそんだ……みたいな?」


桃子「えっ」

睦月「まさか」

京太郎「違うからな? たしかに胸の大きい子は好みだけど、今回はこいつにそそのかされただけだから」

桃子「ちょっ」サッ

京太郎「だから違うつってるだろーが。警戒してんじゃねえよ」

智美「わはは、今度はモモを口説いてみるかー?」

京太郎「あのさ、こいつもっぺん吊るしてもいいかな?」

ゆみ「好きにしてくれ」ハァ





優希「今日の晩御飯もおいしくて万々歳だじぇ」

咲「でも昨日のとはなんかちょっと違う感じがしたんだけど」

久「それね、単純に作ってる人が違うのよ」

和「板前さんが変わったんですか?」

久「ヒント、格安料金の理由の一つ」

優希「うーむ、どういうことだじぇ?」

咲「あの、もしかしてそれって」

久「ああ、ダメダメ。すぐわかっちゃったらつまらないし」

まこ「いいから早う教えてやりんさい」

久「えー?」

和「萩原さんたちが作ったということでいいんですか?」

まこ「あと、うちの副部長と風越のキャプテンもな」

優希「おお、なるほど!」

久「もう、ネタばらし早すぎ」

和「あれを先輩が……」

久「萩原さんもいたから美穂子とイチャイチャしてたってことはないと思うわよ?」

まこ「多分気にしとるのはそこではないじゃろ」



優希「それにしても、先輩が嫁に欲しいじぇ」


和「ゆーき!?」

咲「ええっ!?」


優希「そしたら、毎日美味しいタコスとご飯にありつけるんだじょ?」

和「ダメですダメです! お嫁さんは私です!」

咲「け、結婚なんて許さないんだからっ」



久「あいつは主夫なんてやりたがらないと思うんだけどね」

まこ「そうかの?」

久「世話焼きだけど、家でおとなしくしてるのは絶対嫌がるでしょうね」

まこ「たしかにの……しかし、今までのサポートの立場には不満はなかったんじゃろうか?」

久「ま、あいつもじっとしてたわけじゃないしね……それに、負い目もあるだろうし」

まこ「負い目、ね」

久「言い換えたら私への愛ってとこかな?」

まこ「あー、はいはい」


久「あいつ、今はなにしてるのかいらね?」

まこ「片付けも終わったけぇ、休んどるんじゃろ」

久「ま、そうよね」





京太郎「いやー、好評でしたね」

ハギヨシ「和食を作るのは新鮮ですね」

京太郎「確かにあの屋敷で和食が出てくるところは想像し難い」

ハギヨシ「正直、その点で福路さんの助力はありがたかった……あらためてお礼を申し上げます」

美穂子「そんな……私の力なんて微々たるものですし」

京太郎「謙遜すんなって、いつでもお嫁に行けるってか?」

美穂子「お、お嫁」カァァ

京太郎「そうそう、みほっちゃんならいいお嫁さんになれると思うぜ」

美穂子「もう、またからかって……!」

京太郎「はは、可愛いなぁ」

美穂子「~~っ、し、失礼します!」



ハギヨシ「……私は君の将来が心配ですね」

京太郎「まぁ、進路に迷ってるのは本当ですけどね」

ハギヨシ「痴情のもつれで刺されたとテレビで見ないことを祈りましょう」

京太郎「いやいや、そんなまさか」


京太郎「それよりこの後、どうします?」

ハギヨシ「お風呂をいただくのもいいですが……」チラッ

京太郎「お、あれは……」

ハギヨシ「久しぶりに腕が疼きますね……どうですか?」

京太郎「やっちゃいます?」

ハギヨシ「決まりですね」

京太郎「じゃあ、一汗かきますか」





純「7-6、ハギヨシさんリード」


京太郎「取られた!」

ハギヨシ「まだまだ、全力には程遠いですよ」

京太郎「くそ、俺のスピードが通用しないなんて……!」


一「……ねぇ、あれなにやってるのかな?」

智紀「見ての通り卓球」

一「ちょっとボクが知ってるのとは違うような……」

智紀「若干テニヌ臭がするのは確か」


純「7-7、次、須賀のサービス」



京太郎「っしゃ! 長野のスピードスターをなめないでくださいよ」

ハギヨシ「やりますね……では、私のとっておきを披露しましょう」

京太郎「なっ、球が静止して……!?」

ハギヨシ「これが『ブラックホール』です」


一「球が空中で止まるってどういうことなのさ?」

智紀「あれは強烈なスイングで空間そのものを削り取って球を止めている」

一「ごめん、意味がわからない」


純「10-7、ハギヨシさんリーチね」


ハギヨシ「これまでですね」

京太郎「……まだ勝ち誇るには早いんじゃないですか?」ゴト

ハギヨシ「パワーアンクル……そんなものを付けてあれほどのスピードを」

京太郎「さぁ、ここからが本番だ!」


一「あんなもの普段付けてたっけ?」

智紀「少なくとも私は見たことない」

一「だよねぇ」



純「10ー10、デュースね」


京太郎「いきますよ……!」

ハギヨシ「ふっ、どうやら私も本気を出さなければいけないようだ」

京太郎「望むところだ!」


一「なんだか長くなりそうだね」

智紀「二人とも熱くなってる」

純「なぁ、どっちか代わる気ない?」

一「え、それはちょっと」

智紀「私も遠慮する」

純「マジかぁ」





京太郎「あー、気持ちいー」

ハギヨシ「ふぅ」

京太郎「なんか貸切っぽくていいですね」

ハギヨシ「丁度シーズンの直前だからでしょうね」

京太郎「でなきゃこんな大人数で部屋は取れないか」

ハギヨシ「さて、私はサウナにいってきます。京太郎くんは?」

京太郎「あ、俺はもっかい露天の方に入ってきます」

ハギヨシ「では、また後で」

京太郎「上がったら一緒にコーヒー牛乳ってことで」


京太郎「やっぱいい眺めだな」

京太郎「温泉も夜空も独り占めってか?」

京太郎「ま、女子の露天風呂に人がいるかもだけど」


『やっぱり広いっすねー』

『は、走ったら危ないよ』


京太郎「ん? だれか来たのか?」





桃子「やっぱり広いっすねー」

佳織「は、走ったら危ないよ」

桃子「かおりん先輩も早く来るっすよ」グイッ

佳織「わわっ」


佳織「ふぅ、気持ちいいねぇ」

桃子「先輩たちがいないのは残念っすけどね」

佳織「加治木先輩と智美ちゃんとでお勉強だっけ?」

桃子「すっごい悲しげな目で見られたっすね」

佳織「あはは……」


智紀「お邪魔する」



佳織「あ、沢村さん」

智紀「さっきはよくもやってくれた」

桃子「なんかあったんすか?」

佳織「えっと、一緒に麻雀したんだけどね……」

智紀「見事に緑一色をかまされた」

桃子「かおりん大砲炸裂っすか」

佳織「ぐ、偶然だよぉ」

智紀「正直、腸が煮えくり返って仕方ない」

佳織「ひぇっ」

智紀「冗談。でもリベンジはするつもり」

佳織「あの、お手柔らかにお願いします」


和「今度また料理の話、教えてください」

美穂子「ええ、私でよければ」



桃子「あ、おっぱいさんと風越のキャプテンさん」

美穂子「お邪魔しますね」

和「だからその呼び方は……」


智紀「おっぱいさんだとこの場にいるみんなが該当する」ポヨン

佳織「そんな、私はその……」ポヨン

美穂子「意識したことはないのだけど……」ポヨン

桃子「む、たしかに……じゃあピンクのおっぱいさんってことで」ポヨン

和「ピンクって……なんだかその、いやらしくありません?」ポヨン





京太郎「……そういや、壁一枚隔てて女風呂か」

京太郎「やっぱり結構聞こえるな」

京太郎「出てった方がいいかな?」

京太郎「……まぁいいか」

京太郎「聞き流してりゃいいんだよな」

京太郎「どうせ俺がいることは知らないだろうし」

京太郎「言わぬが花、知らぬが仏ってね」





桃子「ところで、ピンクのおっぱいさんと風越のおっぱいさんは、なんの話をしてたんすかね?」

和「あの、もとの呼び方で結構です」

桃子「そうっすか?」

和「そうです」

美穂子「私もその呼ばれ方はちょっと」

桃子「わかったっす」

智紀「ちなみに私は?」

桃子「龍門渕のおっぱいさん、もといメガネさんっすね」

智紀「なるほど、安直」

桃子「いやぁ、それほどでも」

智紀「褒めてない」


佳織「じゃ、じゃあ私はどう呼ばれてたのかな?」

桃子「かおりん先輩はかおりん先輩っすよ?」

佳織「ええっ」



桃子「で、話を戻すっすけど」

佳織「なんの話だったっけ?」

智紀「そこの二人がしていた話の内容」

美穂子「あ、そうだったわね」

和「別に、大した話ではないんですけど……」





桃子「つまりあれっすね」

智紀「気になる男が自分より料理が上手だから、同じく料理が上手い人に話を聞いてたと」

桃子「ああ、勝手にまとめられたっ」


和「私も料理が苦手というわけじゃないんですけど、比べたらその……」

美穂子「大丈夫よ。その人のことを思って作ったらきっと」

和「そうでしょうか?」

佳織「そうですよ!」

桃子「わ、かおりん先輩が食いついたっす」

佳織「少しぐらい不出来だって心がこもってれば想いが伝わるって――」


佳織「その、漫画でも、言ってました……」カァァ


智紀「なんで照れてるの?」

佳織「あうぅ……」

桃子「さては……気になる人がいるとか!」



佳織「違う違う違うっ、誤解だよぉ!」


桃子「これは……」

智紀「確実に黒」

和「実は私もちょっとだけ恥ずかしいんですけど……」

美穂子「気になる人がいるのは普通のことなんだから、恥ずかしがる必要なんてないわ」

佳織「だから違いますってばぁ」


桃子「ここまで来たらすっごい気になるっすねぇ」

智紀「私はそれほどでも」

桃子「じゃあ、ここは女子会らしく恋バナでもどうすかね?」

和「恋バナ、ですか」

美穂子「……いいんじゃないかしら? せっかくだから仲良くしましょう」

智紀「私はどうでも」

佳織「は、恥ずかしいよぉ……」

桃子「みんなが話すから大丈夫っすよ」

佳織「それなら、いいかな?」

桃子「決定っすね」





『違う違う違うっ、誤解だよぉ!』


京太郎「おーおー、盛り上がってるなぁ」

京太郎「それに対して男湯の静けさよ」

京太郎「ま、独占ってのも悪い気分じゃないけどさ」

京太郎「ふわぁ……もう少しゆっくりしてくか」





美穂子「――私の話は以上ね」


桃子「恋のライバルに、三角関係っすか」

佳織「わぁ……ロマンチックですね」キラキラ

智紀「それこそ漫画みたいな話」

和「……」


和(今の話って……この人もやっぱり)


桃子「おっぱいさんとキャプテンさんの話は終わりっすね」

智紀「じゃあ次はあなた。言いだしっぺなんだからいい加減話すべき」

桃子「それもそうっすね。まぁ、私の場合はそこまで色っぽい話ではないんすけど」


桃子「私のことを見失わない人がいるっす」

桃子「ほら、私って黙ってたら常時ステルス状態っすから」

桃子「最初はいきなり胸に触ってくるわ……最悪の印象だったんすけどね」

桃子「でも普通に声かけてくるし、かくれんぼでも見つけてくるし」

桃子「そうしてるうちに打ち解けちゃった、みたいな感じっすね」



佳織「いつも自分を見つけてくれる人かぁ」

美穂子「素敵な出会いだったのね」

和「私としては、見失うというのがよくわからないんですけど」

桃子「そこらへんはおっぱいさんも特別っすね」

智紀「ひとつ聞くけど、それって恋バナなの?」

桃子「さぁ、よくわからないっすね」


桃子「さぁさぁ、次行くっすよ」ビシッ

智紀「……私?」

桃子「そうっすよ。メインディッシュは最後っす」

佳織「え、メインディッシュって私なの?」

智紀「とは言っても、特に話すことがない」

桃子「えー? なにかないんすか? 身近な男性の話でもいいっすから」

智紀「それなら……」


智紀「まず、身近な男その一」

智紀「完璧超人、隙がない」



桃子「……え、それだけっすか?」

和「というか、今の人って執事さんですよね?」

美穂子「ああ、萩原さんのことだったのね」

佳織「な、なにか恋バナっぽいエピソードは……」

智紀「ない。あの人は誰にでも優しくて穏やかだけど、そのぶん心の壁が分厚い」


智紀(約一人、そんなのお構いなしに付き合ってる人がいるけど)


智紀「じゃあ次、身近な男その二」

智紀「軽薄、お調子者、そのくせ仕事はできて雇い主からも気に入られてる……一回どついてやりたい」


美穂子「……あらあら」

和「……これはなんというか」

桃子「負の感情がこもり気味っすねぇ」

佳織「でも、そういう悪印象って好意に転じやすいって――」


智紀「なに?」ギロッ



佳織「ま、漫画で言ってたような……」

桃子「ま、まぁ、メガネさんの話はこれぐらいにするっすよ」

智紀「ふぅ」

桃子「じゃあ、いよいよメインディッシュっすね!」

佳織「は、はいっ」

和「実は、私もちょっと気になってたりします」

美穂子「ふふ、どんなお話が聞けるのかしら?」

桃子「じゃあかおりん先輩、お願いします……っす」


佳織「えっと、ほんとそんなちょっと気になってるだけっていうか……」

佳織「まだ知り合って間もないし、全然相手のこと知らないというか……」

佳織「でも向こうは私のこと気になってたって言ってて、もっとよく知りたいって言ってて……」

佳織「それに、名前で呼んでもいいかって……」カァァ

佳織「わ、私、男の人にそういう風に言われたのも、アプローチされたのも初めてで……」

佳織「と、とにかくっ、私の話はおしまいです!」



智紀「きっとその男はチャラ男」

美穂子「頑張って、きっとうまくいくわ」

和「私も応援しますっ」

佳織「あ、ありがとうございます」

桃子「……」


智美『簡単にまとめるとだなー、須賀くんがかおりんをもてあそんだ……みたいな?』


桃子(あれー? なんかこれ、まずいことになってないっすかね?)


――バシャンッ


佳織「――っ」

美穂子「……あら?」

和「何の音でしょうか?」

智紀「多分、隣」

桃子「男湯の方ってことっすか?」

佳織「ど、どうしよう、今の話筒抜けだったんじゃ……」オロオロ

桃子「む~……あ、この壁、穴が空いてるっすね。どれどれ……」





京太郎「――zzz……ゴボゴボ」

京太郎「……ぶはっ!」バシャンッ

京太郎「あっぶね、寝落ちしかけてた……」

京太郎「……なんか静かだな。隣の人たちはもう上がったのか?」

京太郎「俺も上がるかな。ハギヨシさん待たせてるだろうし」ザパッ

京太郎「……」

京太郎「なんだろう、見られてる気がする」

京太郎「こっちか……?」





桃子「き、金髪さんが隣に……!」

佳織「き、金髪さんって?」

桃子「もとい須賀京太郎さんっすよ!」


美穂子「え、じゃあもしかして」

和「今までの話は……」

佳織「全部聞かれてた?」

智紀「みたい」


美穂子「――っ」カァァ

和「――っ」カァァ

佳織「あうぅ……」カァァ


桃子「ちょっ、押さないでほしいっす……! ああっ!」バターン!


智紀「……あーあ」





京太郎「……」


美穂子「……」

和「……」

佳織「……」

桃子「……」

智紀「……ふぅ」ヤレヤレ


京太郎(ありのままに今起こったことを話すぜ)

京太郎(視線を感じたから近づいてみたら、いきなり壁が倒れて見知った顔が全裸で倒れ込んできた)

京太郎(もちろんガン見なんてしてない。即座に顔をそらしたさ)

京太郎(むしろ一瞬で網膜に焼きついてしまった)

京太郎(一人だけバスタオルを装備していたが、まさに天国のような光景であることには違いない)

京太郎(さて、あとは相手がどれだけ冷静に話を聞いてくれるかだ)



京太郎「先に言っておくけど、俺はさっきまで寝てたから何も知らないし、一瞬で目をそらしたから何も見ていない」

美穂子「ほ、本当になにも聞いてないんですか?」

京太郎「ああ、そこは女神さまに誓ったっていい」

和「わかりました……先輩がそう言うなら」

桃子「かおりん先輩、聞かれてなかったみたいっすよ」

佳織「よ、よかったぁ」ホッ

智紀「そもそも、向こうを覗こうとした時点で悪いのはこっちだから」

桃子「うっ、それは置いとくっすよ」


京太郎(よかった……比較的話が通じるやつらばかりで)

京太郎(あとはこのまま穏便に撤退を願うだけだ)


京太郎「なぁ、とりあえず――」


久「……なにこれ」


京太郎「その声……まさか久ちゃんか?」

久「私は、この状況の説明を求めてるんだけど?」



京太郎(やばい、雲行きが怪しくなってきた)

京太郎(ここでしくじれば天国が天獄になるのは明白だ)


美穂子「あのね、これには事情があって」


京太郎(でもみほっちゃんが味方についてくれるなら――)


透華「す、が、きょ、う、た、ろ、う!」

智紀「あ、透華」

透華「このようなハレンチな行為、殿方の風上にも置けませんわ……!」


京太郎(おいおい! よりにもよってなタイミングで話を聞かない奴が現れちゃったよ!)


京太郎「待て! まずは落ち着いて話すべきだ!」

透華「問答無用!」


華菜「――そうだし!」



華菜「この機に乗じてキャプテンの裸を舐めまわすように見てたんだろ!」

京太郎「なんでお前までくるかなぁ!?」

美穂子「な、舐めまわすようにって……」カァァ

京太郎「見てないって言ったろ!?」


華菜「今日こそ年貢の納め時だしっ!」

透華「その腐った性根、叩き直してやりますわ!」

京太郎「あーもう! てめぇら少しは人の話を聞けっ!!」


久「えーと、これは私が手を下さなくてもいいってこと?」

まこ「助けてやったほうがいいと思うがの」



『ぬわーーっっ!!』


ハギヨシ「今の声は……京太郎くん?」

ハギヨシ「……どうか、せめて安らかに」





久「さ、帰るわよー」


京太郎「……」ボロッ


咲「……ねぇ、なんか京ちゃんボロボロじゃない?」ヒソヒソ

優希「きっと、昨日私たちが寝てるあいだにパーティーがあったんだじぇ」ヒソヒソ

和「……」カァァ


久「あんたね、いつまで辛気臭い顔してるのよ」

京太郎「別に、世の理不尽さを儚んでただけだよ」

久「私とまことで弁護してあげたでしょ」

京太郎「散々ボコボコにされた後でな」

久「うっ、確かに助けに入るのが遅れたのは認めるけど……」

京太郎「ふぅ、冗談だよ。正直助かった。ありがとな」

久「なによ、このひねくれもの」

京太郎「久ちゃんには言われたくないかな」



まこ「すまんすまん、土産を選ぶのに手間取った」


優希「はーい、私の分はありますか」

まこ「あほう、うちの常連さんの分じゃ」

優希「ぶーぶー!」


久「まこも来たし、そろそろ出発ね」

京太郎「だな、行くか」


久「……ねぇ?」

京太郎「ん?」

久「今回もその、色々押し付けちゃったけど……」

京太郎「ああ、気にすんな。いやってほど打ったし」

久「じゃあ……楽しかった?」

京太郎「うん、まぁ……天獄と地獄?」

久「……ねぇ、なんかそれ良い意味で言ってなくない?」

京太郎「まぁ気にすんな。帰ろうぜ」




『三年、夏、ストーカーズ』
『三年、夏、プライスレスなもの』
『三年、夏、ドライブ(と書いて決死行と読む)』
『その頃の阿知賀編その2』
が解放されました

それじゃ、次スレです

京太郎「俺が三年生?」マホ「お兄さんと一緒です!」
京太郎「俺が三年生?」マホ「お兄さんと一緒です!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1444502844/)

安価とかはこっちで取ります

あとは埋めちゃってください
1000に関してはいつも通りで

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom