【咲 -Saki- SS】 大学編 - いちご味 - ちゃちゃのん「おかえりなさい」 (833)




【こんな作品です】


・このお話はOSaKadAteQさんの『胡桃・洋榎の大学SS』を原作としてお借りした、『咲-Saki-』の大学SS作品です。

(許可は頂きましたが 筆者はOSaKadAteQさんではないので、元作品外の部分はあくまで筆者が脳内補完した想像の展開です)


・咲 本編ではモブキャラ的な扱いだった、ちゃちゃのんこと 佐々野いちごを主人公とした作品です。

・パロディやオマージュが多数含まれますので、そういったものが苦手な方はご遠慮下さい。

・過去のちゃちゃのん関連SSネタなども、多数使わせて頂いてます(愛ゆえに)

・愛ゆえに、それがこの作品の全てです。



・詳細はこの後 書きますので、そちらもお読み下さい。





SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1450099989






住み慣れた土地を離れて一年――



最近 何故だか、昔のことをよぅ思い出す―――





小学にゃぁ 倉橋本島まで35号を通る、日に数本のバスに揺られて通っちょった。


近所にゃぁ、年の近い子も あまりおらんかったけぇ。


娯楽といやぁ 大好きな婆っちゃや、近所の爺っちゃたちとした 囲碁や将棋、そして麻雀。


いちごちゃんは麻雀が上手いの~と褒められて、将来はそのままプロの雀士になれるもんじゃと思っちょった。






チャンネルの少ない ローカルテレビに映った、アイドルさんがとっても眩しくて。


そりゃぁもぅ別の世界、おとぎの国のお姫さまみたいに思われて。


涙が出るほど憧れた。







才能とか、限界とか。


そんなこと考えたこともなく。



あの頃、世界は全ての人に優しくて。




どこまでも 平等なもんじゃった――――







ちゃちゃのんにゃぁ、やっぱり無理だったんじゃろか。



ついついしてしまう自問自答。




考えてみたトコロで、確かな答えなど 出るはずもないんじゃが――――



…………
………
……






ここは…


山と海とトンボロの島。


おそらく明治の頃から 何百年と変わっちょらんじゃろう、潮の薫る古い碁盤の目の町並み。



遮蔽物一つない、見渡す限りの蒼い空と碧い海。


あの小高い丘に見えるんは、子どもん頃 よぅ通ったお宮さんじゃろか。




全てが懐かしいと思えるこの風景。


ここはちゃちゃのんの故郷、鹿老渡かの……?




雪じゃ……


こんな季節に珍しいのぅ…?


でも、潮っけ多いここでは きっと積もらんじゃろね。



積もることさえ許されん 淡い雪たちが、何故だか 今はとても悲しく思われて……







―――


あそこにおるんは…



誰じゃったかの……?




ちゃちゃのん、たぶんあの人のこと…



知っちょった はずなんじゃが―――――





http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira096476.jpg
鹿老渡





ガタンッ!!

「はひっ!?」


きょろきょろ


「――――///」



ちゃちゃのん(ちゃちゃのん、いつの間にか 教室で寝こけちょったみたいじゃ…///)

ちゃちゃのん(良かった、誰にも 気付かれちょらんようじゃ――///)



あくまで平静を装いつつ、教室の窓から見える 桜並樹に視線を移す。


ちゃちゃのん(――春じゃの……)


ちゃちゃのん(二度目となる大阪の桜。 とっても綺麗で、まるで あの淡雪みたいじゃ―――)ホロリ…







◇ ◇ ◇ちゃちゃのんからのお願いじゃ◇ ◇ ◇



         ,. . .-―: : : : : :―-. . _
        . : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
     /: :': : : : : : : : : : : : : : : : : : ': : :`: .
.    ,. : :/: : : : : : : : : :': : : : : : 、: : 丶: : : :.`ヽ
.   / : : ': : : : :./: : : /: : : : : : : : ヾ: : ヽ: : : : : :ヽ
.   ': : : :i: : : : :/: : : / !: : : : : ト、: : !、: : :ヽ: : : : : :.}
  {: : : :!:l: : : :!_!: : :゙‐{: : : : :!:!‐!: : }_l: : : lヽ: : : :,.'

.   ヽ:、:.:{: : :.! ヾ:{  ヽ、: : };' ノ:ノ  l: : : :リ: : :/
    ゙、i ゝ、: :{ ,ィ兀下     '"兀心、l !/: -‐'ソ
      l: l: : : :! 比少       込刈. !: : : :.l: :l
.    ; :l : : l:.i   ,,,   ,.    ,,,  .!: : : : !: :l
     , :.! : : l: ト、              ,.':{: : : :l:!: :、
.    /,' : : : :.!:l: :> 、  ` ´  ,. <〃l.: : :l: :、: :、
    '〃: !: : :!:{: :l: : :l:.i.      !: :l: :{!: :.!: :.!: :.ヽ :゙、
.   {;'゙!: :、: : :!:ゝヽ/\    /\:.:゙、: }: ;': : : :): ;!
    ゙、、ヾ;ヽ:.;..'"ソ!   >ー<   !`ヽ'{:/:_: : ;'. '"





このお話は咲SS界隈では やきうスレのイッチさんとしてお馴染み、OSaKadAteQさんの傑作大学SS


胡桃「そーゆーのいーから愛の告白!」洋榎「あ……好きです……」(前編)
胡桃「そーゆーのいーから愛の告白!」洋榎「あ……好きです……」 - SSまとめ速報
(http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1354025977/)


胡桃「そーゆーのいーから幸せにする!」洋榎「ああ……絶対……!」(後編)
胡桃「そーゆーのいーから幸せにする!」洋榎「ああ……絶対……!」 - SSまとめ速報
(http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1354201244/)


――を読んで とても感銘を受けたっちゅう、このスレの筆者が


『終盤相当巻いたので書いてないエピソードとか多々ありますが、各自脳内補完していただけたらなと思います』

――っちゅう、イッチさんのすばらなコメントを勝手に拡大解釈して


本編中では殆ど描かれることのなかった、広島のアイドル雀士(照れるのぅ)『佐々野 いちご』こと

ちゃちゃのん視点の物語を筆者なりに脳内補完し、オマージュさせて貰ったスピンアウト的なSS作品なんじゃ。


スピンアウトっちゅうても、サイクロンマグナム的なヤツでも、F-MEGA的なぶっ飛んで隣のコースにショートカットでもないけぇの!!







間違っても本作には聖帝様とか、汚物は消毒だ~~の人とかは、出てこんけぇ気ぃつけるんじゃよ。


当然、デッカイ婆っちゃとかも出ないんじゃ (ん~~ ちゃちゃのん、それは ちょっと残念じゃ……)




じゃけぇ、大まかな設定や出来事は元となる作品と、ほぼ同じ流れじゃが

あくまで一ファンによる、二次(三次?)創作っちゅうことになるけぇ


実際にOSaKadAteQさんが 設定として考えとったもんとは、大きくズレちょるじゃろうし

別の世界線で起こった、もぅ一つの可能性の物語くらいに考えちょって貰えると、これ幸いじゃ(ぺこりん)




それと元作品の『胡桃・洋榎の大学SS』とはまた別の作者さんの作品じゃが、同じく世界観を共有する


憧「あんたなんて大っ嫌い!」
憧「あんたなんて大っ嫌い!」 - SSまとめ速報
(http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1357569256/)


――の設定なんかも 考慮に入れさせて貰っちょるんで、まだ読んだことない人にゃぁ こっちもちゃちゃのんのお勧めじゃ。



ちゃちゃのんも、白馬の王子さまとの素敵な恋がしてみたいのぅ。






その他…

筆者がこれまでに読んだ ちゃちゃのん関係のSSネタを、一部 お遊び程度にお借りさせて貰っちょるよ♪

先人さんたちが書かれた ちゃちゃのん作品を、ホンのちょっとでもええけぇ カタチにしてみたい。


そうすることで、以前に読んだことある人にゃぁ 懐かしい思ってもらい

知らんかった人にゃぁ これが知るきっかけとなってくれたら、それはとっても嬉しいなって思ったみたいじゃ。



そんなわけでパロディやオマージュ、原作にないオリジナル要素の追加等が駄目な方は ご遠慮頂けるとありがたいかのぅ。

(作中でネタにさせて頂いた ちゃちゃのんSSは、どこかでご紹介させて貰えればと 思っちょるんじゃ♪)



それと読んどる人が場面やキャラを視覚的にイメージしやすく、よりキャラに愛着持って貰えるよう

拾った画像なんかを、ペタペタ貼ることがあるかもしれんそうじゃ。



その辺は怒られたら自粛しますとかゆーとったが、ほんなら最初から しなけりゃええのに。

人の作った映画なんかを やたら自分の手柄みたいに見せたがる、愛からくるファン心理のようなもんじゃろか。



関係者の皆さま方に於かれましては、どうか生暖かい目でもって 一緒んなって楽しんで貰えたら嬉しいんじゃが―――


「どうかいの!」ドキドキ

「ロン」

「!?」アゥッ





―――でもって、このスレの著者は東のモンじゃけぇ。

広島弁や大阪弁、九州の方言なんかも ほぼさっぱりじゃ(´Д` )

なんかこの言い回しは変じゃぞとかあっても、あまり怒らずに

皆さまの中で、各自 脳内変換しておいて貰えると ありがたいかのぅ。 ホロリ…




さらに この筆者は今回がSS初投稿のニワカじゃ。

正直 作法とかも よー分からんので、ドキドキのビクビクじゃ。


何かおかしな点とか不備なんぞあったら、王者の皆さまから暖かく教えて貰えると とっても嬉しいんじゃ♪







【※こういうのは ヤメての~~】


・一応 R指定は無い作品なんで、露骨にえっちぃ画像やグロ系の画像を貼るのは遠慮して欲しいのぅ。


・色んな考えの人がおるとは思うんじゃが、各キャラクターや声優さんへの愛着を否定するのは遠慮して欲しいかのぅ。

これはそういう人向けの作品じゃけぇ、そう思う人には たぶん合わないと思うんじゃ。

(筆者は充分キモいけぇ、改めてキモー筋くん言われると やっぱり凹むみたいじゃ…)


・ミスミ爺さんから種もみをヒャッハーしたり、爺さんを養分に種もみを育てるような世紀末的行為はどうかと思うんじゃ。



・とにかくみんなで楽しみたいけぇ、他の人を傷付けるような中傷コメントは控えてもらえると とっても嬉しいんじゃ。







筆者から



筆者はちゃちゃのんの声優さんでもあった、故・松来未祐さんの昔からのファンです。



実際 今回のこの作品は松来未祐さんが、病気療養のために休業なされたのが書き始めたきっかけでした。



なのにあのような結果となってしまい、帰らぬ人となってしまったこと 本当に残念で仕方がありません。




松来未祐さん、これまで本当にありがとうございました。




松来未祐さんは、筆者が今後とも一番大好きな声優さんだと思います。














【咲-Saki- SS】 大学編 -いちご味-



ちゃちゃのん「おかえりなさい」









第一章 GOOD DAY












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佐々野 いちご(ちゃちゃのん)





【大学の教室】



ちゃちゃのん「…………」ボンヤリ

チャラ男「ねぇねぇ、ちゃちゃのん。 この後 うちのサークル、新入部員連れて飲み行くんだけど 一緒に行かない?」ズイッ

ちゃちゃのん「――え!? あっ… ちゃ、ちゃちゃのんのことけ…?」ドキッ

チャラ男「そりゃ~、ちゃちゃのんって言ったら 他にいないでしょ~~」ハハッ



ちゃちゃのん「ぁ… すまんのぅ。 ちゃちゃのん行っても、荒れるだけじゃし。 みんなで楽しんできての…」エヘヘ

チャラ男「え~~~ ちゃちゃのんまた来ないの~~ ノリ悪いんじゃね~~!?」


ちゃちゃのん「えと、ごめんの… ちゃちゃのん、これからちょっと行くとこもあるけぇ…」





ガタイのイイ男「おぅ、自分 早よせ~や!! どうせ誘っても佐々野は来ぃ~~へんて!!」ガララ

チャラ男「そんなの、分かんね~だろ。 三顧の礼って言葉 知ってる?」

ガタイのイイ男「知っとるけど、それ別に 関係ないやろ。 勧誘サボってナンパとかしとらんで、自分もはよ勧誘ロード来ぃや!!」

チャラ男「へいへい、分かりましたよ。 あ~ メンドクセー」ポリポリ




ちゃちゃのん「はぁ…」ホッ

チャラ男「あっ、ちゃちゃの~ん!! 今週の日曜デートしよ~~ね♪」ズイッ

ちゃちゃのん「ふぇっ!?」ビクッ


ガタイのイイ男「だから、さっさとしろや!!」ドカッ

チャラ男「グッハ!? てめっ… ケツを…」ヨロロ…



ササノンヤツハ ヤメトキ… キョネン イロイロ ウワサ アッタヤロ…

デモ チョーカワイインダシ… ベツニ ヨクネ…

ケツ イテ…





ちゃちゃのん「――――――ふぅ、ちゃちゃのんも行こ…」スック


ちゃちゃのん(声の大きぃ人、ガーってくる人は… ちょっと苦手かのぅ…)



ちゃちゃのん「勧誘ロード… 麻雀部のぅ……」


ちゃちゃのん(一年近いブランクじゃし。 ちゃちゃのんの実力じゃ、きっと全然通用せんじゃろな―――)


ちゃちゃのん(本校舎にある麻雀部、とりあえず見に行ってみようかの……)





プワァーーーーン

ガコガコ…


ガヤガヤ


バスガツイタデーーー!!



ちゃちゃのん(鹿老渡を卒業して、それなりに有名で偏差値も高い 大阪の大学に進学して一年――)トテトテ


ちゃちゃのん(あの高3のインターハイで、すっかり自信をなくし――)トテトテ


ちゃちゃのん(結局 去年は、強いっちゅう ここの麻雀部にも入らんかった――)トテトテ



ちゃちゃのん(そもそも麻雀部のある この本校舎は、ちゃちゃのんの新設校舎からは遠いし――)トテトテ


ちゃちゃのん(あん頃は、仕事の方を優先させよー 思っちょったしのぅ―――)トテトテ




オーーーーーイ!

ちゃちゃのん(それなのに、ちゃちゃのん。 なして今更、こないなとこ来ちょるんじゃろ。 はぁ、未練じゃのぅ……)トテトテ


オーーーイ!!

ちゃちゃのん(ん…?)






「つかまえたっ!」グワシッ

ちゃちゃのん「うっひゃぁっ!?」ビビクーーッ


「へへ…… その顔、間違いないな…」

ちゃちゃのん「あ、あぁ… あんたは……!?」



洋榎「久しぶりやな!!」

洋榎「えーっと… ちゃちゃ… なんだっけ……?」

洋榎「佐々木? 笹岡…?」

ちゃちゃのん「ちゃちゃのんは 佐々野じゃ!!」プンスカ

洋榎「おぅ、そうそう… それそれ♪」カカッ




洋榎「ウチのこと覚えとるか?」

ちゃちゃのん「そりゃあ、まぁ……」ボソッ


ちゃちゃのん(姫松高校の愛宕 洋榎(あたご ひろえ) 高校3年のインターハイで――)


ちゃちゃのん(ちゃちゃのんは彼女に役満を振り込み、結果として鹿老渡は団体戦を一回戦で敗退――)


ちゃちゃのん(その後の個人戦でも、ちゃちゃのんはまた彼女にヤられてしもうたんじゃ)



ちゃちゃのん(そんなん、忘れられるわけないけぇ……)アウゥ…



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愛宕 洋榎




ちゃちゃのん(もしかして、同じ大学だったんじゃろか?)


ちゃちゃのん(確かに、彼女は 地の人じゃし。 そんなことも、あるのかもしれんが―――)




洋榎「ま~ とにかくこっち来いや!!」グイッ

ちゃちゃのん「え、ちょ、ちょ~~っ!?」ワワッ


洋榎「お~~い、見つかったで~~!!」

ちゃちゃのん「え、何がじゃ!?」




「うわ、ホントに誰か連れてきた!?」

洋榎「ほら、自己紹介――」




ちゃちゃのん「えと、佐々野です……」


胡桃「鹿倉 胡桃(かくら くるみ)だよ」


セーラ「セーラやで~~♪」


塞「臼沢 塞(うすざわ さえ)です。普段は理系キャンパスに通ってます」




ちゃちゃのん「ど、どうも……(な… なんじゃ、この状況…?)」ドキドキ


ちゃちゃのん(ありゃ、この人たちも どこかで見たことあるような……)


洋榎「よっしゃ、これで決まりやな! 5人集まった!!」

ちゃちゃのん「だから 何がじゃ!?」




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鹿倉 胡桃





愛宕さんたちに 聞いた話をまとめると(説明してくれたんは、主に鹿倉さんと 臼沢さんじゃけど…)



体育会系なノリの大学麻雀部に 馴染めんかった愛宕さんが


鹿倉さんやセーラさん、臼沢さんたちと一緒に 非公式サークルを作ろ いうことになって


その5人目のメンバーを探しちょった時に、偶然 知った顔のちゃちゃのんが通りかかったんで捕獲したと…


まぁ、そういうことみたいじゃな。



因みに何をするサークルなのか聞いたが、本人たちにも よぅ分かっちょらんらしい(ホンに大丈夫なんじゃろか…)




何じゃか、流されちょるような気もするんじゃが


正直、麻雀部に入る覚悟もなかった ちゃちゃのんは…


愛宕さんたちに誘われたことに、ちょっと ホッとしちょった。




それに、このメンバーと話しちょると


高校時代に戻ったようで、不思議と気持ちが楽になったけぇ―――




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江口 セーラ


ちゃちゃのん「そういえば、臼沢さんは理系なんじゃね」

塞「あぁ、うん、そうだよ」

ちゃちゃのん「じゃあ、仲間じゃね♪」

ちゃちゃのん「ちゃちゃのんも理系で、こことは別のキャンパスなんじゃよー♪」


洋榎「え、そーなん!?」

胡桃「じゃあ塞と同じ××キャンパス?」

ちゃちゃのん「――あ、そっちじゃのうて」

ちゃちゃのん「新設された、○○キャンパスの方じゃ……」



洋榎「何や、場所としては結構ええとこやんか」

ちゃちゃのん「でも、駅から結構遠いし… 何より学部が一個しか無いけぇ、サークルなんかも全然のうて――」

胡桃「あ、それでわざわざこっちまで?」

ちゃちゃのん「うん……」

セーラ「そら大変やなー」



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臼沢 塞




ちゃちゃのん「――去年1年、あのキャンパスのサークル 色々と回ったりもしたんじゃが…」

ちゃちゃのん「どーものぅ……」ボソッ

洋榎(……?)



胡桃「あ、1回生じゃないんだね」

ちゃちゃのん「うん… ちゃちゃのんは2回生じゃよ」

洋榎「なんやウチらと同期か、てっきり浪人組かと…」

ちゃちゃのん「違うけぇ!!」



塞「じゃあ、サン付けなくてもいいわよ」

胡桃「うん、気軽に呼んで!!」ヨロシクー

ちゃちゃのん「わぁ、ほんとけ?」パァッ


ちゃちゃのん「じゃあちゃちゃのんのことも、気軽に好きに呼んでな~~♪」エヘヘ…

胡桃(この子、何か可愛いわね…)


洋榎「おい、アイドル崩れ!!」

ちゃちゃのん「それはあだ名じゃのうて 罵倒じゃ!!」





そんなこんなあって、ちゃちゃのんは いつの間にか


愛宕さんたちのサークルに、顔を出すようになっていったんじゃ。




愛宕さんとセーラさんは、ここにゃぁ 麻雀特待生として入ったそうじゃが


愛宕さんは、麻雀部に馴染めず そのままドロップアウト。



セーラさんは、愛宕さんたちのサークルにも付き合いつつ

麻雀部の活動も、しっかりと頑張っちょるそうじゃ。





正直――


インハイでのことが 全く気にならんゆーたら、やっぱり嘘になる思うんじゃが。


あれはちゃちゃのんが、足らんかっただけのことじゃ。


愛宕さんが悪いわけじゃにゃぁ…



そんなことは、ちゃちゃのんにも よー分かっちょるんじゃ。


じゃけぇ そのことで、ちゃちゃのんは 愛宕さんを恨んだりはしちょらんょ。





洋榎「ほんなら、あだ名は『のんちゃん』でええんちゃう」ケラケラ

ちゃちゃのん「それもぅ、佐々野の原型残っちょらんじゃろ!!」


洋榎「それか『枕』か…」

ちゃちゃのん「してないから!?」








まぁ……


愛宕さん本人の性格にゃぁ、若干の難があるような気もするんじゃが…



それはさておき せっかくのみんなとの出会い、大切にしていけたらええって ちゃちゃのん思うんじゃ♪





【喫茶店】


哩「ほい、いちごミルクティー」コトッ

ちゃちゃのん「わぁ、ありがとぉ♪ はぁ~ ほんのり香るストロベリーが堪らんの~~♪」スンスンッ

洋榎「いちごミルクティーとかなんやねん、普通にミルクティーでええやん!!」

ちゃちゃのん「ちゃちゃのんは、これが好きなんじゃ♪」



洋榎「ちゅーか、そないなもんメニューにはなかったやろ!!」

哩「去年のかき氷シロップの残りがあったんでな」

洋榎「いちごシロップ混ぜただけなんかい……」

ちゃちゃのん「あつっ… でも美味しいんじゃ…」ズズッ…

洋榎「――本人喜んどるみたいやし、まぁ~ 別にええか…」




ちゃちゃのん「にしても、胡桃ちゃんたち遅いの~~」ズズッ…

洋榎「セーラは麻雀部。 いいんちょは漫んとこのカテキョー終えてから、キッドと一緒に来るらしいで…」

ちゃちゃのん「いいんちょって… あぁ、胡桃ちゃんけぇ…」

洋榎「やたら口うるさくてな。 アイツ委員長みたいやねん」


ちゃちゃのん(そりゃお調子いの愛宕さんが、注意されるよーなこと ばっかりしちょるからのような……)





ちゃちゃのん「確か胡桃ちゃんって 浪人中の漫さんトコで、家庭教師のバイトをしちょるんじゃよね」

洋榎「せやねん。 漫のヤツ、ウチらの大学が第一志望やからな―――」

洋榎「いいんちょは勉強してウチの大学に試験合格しとるし、距離的にも都合が良かったんでウチが紹介したんやで~~」

ちゃちゃのん「なるほどのぅ……」



ちゃちゃのん「でも、キッドって――?」

哩「キッドとか、普通に誰んことか分からんと…」

洋榎「なんでや、塞んヤツのあの片メガネ 怪盗キッドみたいやろ!!」

ちゃちゃのん「あぁ、塞ちゃんのことじゃったか……」ポンッ



哩「ありゃ、モノクルいうばい」

哩「何でもアレは鼻や目元の窪みに引っ掛けるように装着するんで、彫りの深くない日本人には不向きらしい」

ちゃちゃのん「へぇ~ そうなんじゃ。 アレって、そういう名前なんじゃね……」フムフム

哩(私も塞のヤツに聞いて知ったんやが……)



ちゃちゃのん「でもアレをして、読書に耽る塞ちゃんは絵になっとったの~~///」エヘヘ

哩「ああ、まるで老紳士の肖像画のようにサマになっとったばい」

ちゃちゃのん「酷い!?」





彼女は白水 哩(しろうず まいる)さん。


インターハイでは、新道寺女子ダブルエースの部長さんとして大活躍じゃったが


高校卒業後は西の最高学府で『なんとか細胞の研究』を後輩の子と一緒にしたいゆー理由で、大阪に来たんじゃが。


結果として 関西弁に染まりつつある哩さんは、二年続けて受験に失敗。


今年 一年遅れで受験した後輩の子だけが、その大学に合格してしまったそうじゃ。


じゃけぇ 哩さんは今年で二年目の浪人生活っちゅうことになっとるそうじゃ(来年こそ、何とか合格して欲しいのぅ…)




そんな彼女は、大阪に来て以来 この喫茶店でバイトを続けちょるそうじゃ。


店長さんがとっても気のええ人らしく、色々と融通してくれるゆーこともあって


今じゃぁ ここが愛宕さんたちサークルメンバーの、たまり場になっちょるそうじゃ。





お洒落なお店ゆー感じではないんじゃが


大きな声で騒いでもええ雰囲気じゃし、ご飯もとっても美味しいし


何よりも雀卓が置いてあるっちゅうんが、たまり場の決め手になったとか。



そういうちゃちゃのんも、今ではここがすっかりお気に入りじゃよ♪






哩「――にしても、まさか佐々野がこいつらとつるむとはな。 正直、少し意外やったわ」

ちゃちゃのん「あはは、ちゃちゃのんもびっくりじゃったよ~」ヘヘッ

ちゃちゃのん「愛宕さん、ホンに突然なんじゃもん…」


洋榎「せやから、その愛宕さんいうの やめとき。 何や、落ち着かんでかなわんわ…」

ちゃちゃのん「えっ… ほんなら、何て―――」



カランカラン…

胡桃「本当よ。そんなのアホの子でも、カニ道楽でも何でも良いから」


ちゃちゃのん「あっ、胡桃ちゃんに塞ちゃん。 待っちょったよぅ♪」フリフリ


洋榎「アホの子でもカニ道楽でもないわ!! 誰がエイリアンにガッチリホールドされた シガニー・ウィーバーやねん!!」

洋榎「ウチは浪速のスーパー美少女 ヒロエちゃんやで~~♪」キラリん☆

胡桃「そーゆーのいーから…」



哩「らっしゃい、今日は何にするばい?」

塞「あっ、二人とも軽く食べてきたんで いつものドリンクで――」

哩「了~解」スタスタ





洋榎「で、カテキョの方はどうなんや? 漫のヤツはええ子にしとるか?」

胡桃「小学生じゃないんだから、しっかり勉強してるわよ」

胡桃「漫ちゃん 覚えも良い方だし、集中力も凄いよ。 ただ――」


洋榎「ただ、何やねん?」

胡桃「あの子、ムラッけありすぎて。 試験の最中に、集中力切れなければ良いんだけど…」フゥー

ちゃちゃのん(もなか食べたくなってきたのぅ……)

洋榎「あ~ 爆発やな。 漫んヤツは前っからそうやったもんな~~」



洋榎「恭子のヤツは、よく罰ゲームを設けて ハッパかけとったで」カカッ

胡桃「罰ゲームかぁ… 集中してもらうには、そういうのも一つの手なのかもね」ムムッ

塞「別にご褒美でも良いと思うけど、漫さんにはそっちの方が良いんだっけ?」

洋榎「おぅ、漫のヤツはドMやからな~」ケラケラ

ちゃちゃのん(ドMって……///)


哩「ふ~ん… 世の中には、ずいぶん変わった趣向のヤツがおるんやな」コトッ

洋榎「………」

胡桃「………」

塞「………」

ちゃちゃのん「ほぇ―――?」



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白水 哩




そのあとゴールデンウィークに、みんなでどっか旅行しようゆー話になり


何個か案は出たんじゃが、みんなそれぞれに予定あるけぇ


あんま遠くにゃ行けんっちゅうことで、今日の雑談はお開きに。


久しぶりにお友達(そう思われちょったら嬉しいんじゃが)との お出かけじゃぁ~


何だかとっても楽しみで、ついつい笑顔がこぼれてしまうんじゃ♪





カラン コロン…

ちゃちゃのん「ちゃちゃのん こっちじゃけぇ、ほんじゃーね♪」フリフリ

洋榎「お~~ のんちゃん、さい・ならやで~~」

胡桃(岩尾…)

哩(岩尾か…)

塞(フットボールアワー……)



ちゃちゃのん「…………」モジモジ

洋榎「何や、どないしたん?」

ちゃちゃのん「ひ… ヒロちゃん……」テレッ

ちゃちゃのん「ちゃちゃのんのこと… あの時、誘ってくれて ありがとの…///」テレッ

ちゃちゃのん「ほんじゃ、またの~~///」タタッ…




洋榎「ヒロちゃんて… ウチのことか~~」

洋榎「あんのアホンだら、ホンマ恥ずかしいやっちゃな……///」

胡桃「はは、素直な良い子じゃない。 じゃ、私と塞もそろそろいくね」

胡桃「あとその のんちゃんネタ。ちゃちゃちゃん分かってないみたいだし、そろそろ止めときなさいよね」ジャーネ

塞「それじゃ、哩さん ご馳走様でした」スタスタ





哩「おぅ、洋榎――」チョイチョイ

洋榎「ん、何や?」

哩「佐々野って、確かアイドルしとったやろ。 それって、今も活動しとんの?」


洋榎「そういやアイツの口からは、まだなんも聞いとらんけど… どうなんやろ?」

洋榎「去年の今頃は雑誌なんかでも チラホラ見かけとったが、最近活動しとるとかあんま聞かんな」

洋榎「――で、あのアホがどうかしたん?」



哩「あ~ ま~~ 何だ… これはお前らには余計な話なのかも知れんのやが…」ポリポリ

哩「後んなって噂を耳にしても面倒や思うから、一応 お前には話しとくばい……」

哩「ま~~ これはあくまでただの根も葉もない噂なんやろが、佐々野と同じキャンパスの学生たちが前に話しとったんや――」

洋榎「……………」










哩「去年、佐々野んヤツが『枕』しとったって―――」











ゴールデンウィークに、みんなとお出かけじゃ。


どこ行くんじゃろうなぁ、ちゃちゃのん 今から楽しみじゃ♪ ルンルン






プルルルルルル…


久しぶりの事務所からの電話。


あの件から


随分と経った。



ちゃちゃのん、ようやっと仕事に復帰出来るんじゃろか――――





ヒロちゃんたちのおかげで



ちゃちゃのん、ちょっとだけ前向きになれた気がするけぇ




ちゃちゃのん、もっともっと頑張らなくっちゃいけんよね!!






そして楽しみじゃった ゴールデンウィーク♪



洋榎「あふれる人ごみ!」

洋榎「立ち込める名物の香り!」

洋榎「写真を撮りまくる観光客!」

洋榎「超有名なものの数々!」

洋榎「道・頓・堀ーーーーー!!」ヤッホーーーイ


洋榎「って、何ッで地元やねん!!」ガイドマップ バシーーーーン

塞「おおっ、ノリツッコミ」


胡桃「仕方ないでしょ、遠出は皆厳しかったんだから!!」

洋榎「そこは勢いと情熱と無鉄砲さでGOやろ~~!!」

ちゃちゃのん「あはは、無茶言わんの~」


漫「佐々野先輩、確かアイドルの仕事入ったんですよね」

ちゃちゃのん「まぁ… 深夜のローカルテレビで、水着着るだけのお仕事なんじゃけどね…///」テレッ

胡桃「すごいなぁ……」ジブンノムネ ペタペタ

塞(胡桃……)ドウジョウ


洋榎(…………)



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上重 漫




セーラ「で、ドコ行くんや? GWはOBとの接待麻雀ばっかやし、俺はどっかで気晴らししたいでー!!」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのんは、お洋服とか見たいかの~」

哩「私はこのへんの喫茶店を、少し見てみたいな。 あと本屋…」

漫「あっ、私も参考書とか少し見たいかも…」


塞「じゃあ3時間後に集合ってことで!!」

胡桃「オッケー、かいさーん!!」

洋榎「待て待て待て待て待て!!」

胡桃「ん…?」


洋榎「何で解散やねん!! 腐っても皆で旅行みたいなもんやで!?」

洋榎「折角やから、皆で一緒に回ったらええやん!!」




メンバーの大半にとっては地元っちゅうことで、各自別行動でお買い物ゆー流れんなったが


せっかくみんなでの旅行。 一緒に観光したいって、ヒロちゃんが子どもみたいにゴネたもんじゃから


結局、みんな一緒にワイワイ大阪観光するっちゅうことになったんじゃが……



いきなり道頓堀から離れとるんは、なんでじゃろ―――?






ジュー ジュー

ちゃちゃのん「わぁ~ お好み焼きじゃ~♪」

塞「ごくり…」

セーラ「これワリカンか? だったら今日は死ぬほど食ったるで~~」ジュルリ

洋榎「どや、これが大阪名物 上重焼きやで~~!!」クリンッ ジュー ジュー

漫「て、ここウチの店やないですか~~~! 何やねん!!」



ちゃちゃのん「へぇ~~ 漫ちゃんの実家って、お好み焼き屋さんなんじゃね」

漫「ですわ。 せやから姫松の頃は、よぅ先輩たちにたむろされとりましたわ~~」シクシク

胡桃(まぁ、私は知ってたんだけど…)




漫母「あら、胡桃センセー。ウチの子がいつもお世話んなっとります~~」ズイッ

胡桃「あっ、どうも。 こちらこそ、いつも美味しいお好み焼き頂いちゃって……」

漫母「それにしても、胡桃センセー いつ見てもクリンクリンで可愛ええな~~」

漫母「ホンマ、ビリケンさんみたいやわ~~ ウチの子にならへん?」ホオズリ ホオズリ

胡桃「えっ… それはちょっと―――」


漫「もぅ、センセー困っとるやん。 ホンマ恥ずかしいから、おカーチャンはあっち行っててーな!!」シッシッ

漫母「何やねんこの子は。 反抗期やろか、オカン寂しいわ~~」





セーラ「おー 上手い上手い!! 焼きはともかく、やっぱ漫んとこはタレがひと味違うねん」ハグハグッ

洋榎「何でや、ヒロエさんの焼き具合がサイコーやねんで!!」ジュー ジュー

胡桃「うん、美味しい…」モグモグ


塞「本場のお好み焼きかぁ。 そういえば、まだ数える程しか食べてなかったなぁ…」ムシャムシャ

哩(確かに、これはなかなか。 今度アイツにも、食べさせてやりたいばい)パクパク



ちゃちゃのん「たまにゃぁ大阪風もええモンじゃのぅ~」ハフハフッ

胡桃「そっか、ちゃちゃちゃんのトコは広島風だっけ…」

漫「センセー 広島の人に広島風いうと、怒られますよ~~」

塞「やっぱり広島の人って 大阪のお好み焼き、口に合わなかったりするの?」

ちゃちゃのん「ほぇっ、そんなことはないんじゃよ~~」ブンブン


ちゃちゃのん「確かに過剰に対抗心持っちょる人もおるようじゃけど、ちゃちゃのんはどっちも大好きじゃよ♪」

セーラ「お~~ やっぱ いちごは話の分かる赤ヘルやで♪ ホレ、これも食ってええんやで~~」ホイッ

ちゃちゃのん「せ~ちゃん、ど~もありがとな~~♪」パクッ

漫「ちょっ、それ私のじゃないですか~~!?」

胡桃「もぅっ、バカみたい…」



セーラ「そんで、いちごんトコのお好み焼きはどんなんや?」

ちゃちゃのん「そうじゃのぅ、ちゃちゃのんは ほぼろ流じゃけど―――」



漫母「胡桃ちゃん、おかわりやで~~」ズズイッ

胡桃「あ、どうも…」モグモグ

塞(餌付けされてる…)






せ~ちゃんが食べ過ぎて エレエレする騒ぎもあったけぇ



お昼の後は、ちゃちゃのんのお買いものに付き合ってもらったり


哩さんリクエストの喫茶店でのんびりお喋りしたり、楽しい時間を満喫出来たんじゃ♪





ワイワイ ガヤガヤ


ちゃちゃのん「のぅのぅ、あの信長書店って 何のお店じゃろ…?」スタスタ

胡桃「何だろ、やっぱり信長っていうくらいだし古書店とかかな?」トコトコ


ちゃちゃのん「あそこに漫ちゃんの参考書とか、置いちょらんかのぅ?」

洋榎「…………」

塞「…………」

哩(洋服は、また今度でええか……)


漫「あ、私の参考書はまた今度でええですから、先 行きましょ…」ハハッ




※良い子のみんなは、信長書店がどんなお店か調べてはいけないよ!!





洋榎「――そーいや自分ら、いつ誕生日なん?」

ちゃちゃのん「ちゃちゃのんはタレント名鑑見たらのっちょるよ」フフン


洋榎「どうせやったら、誰かが二十歳になる度に集まってパーっと騒ごうや!!」

塞「あ、それはちょっと楽しそうかも…」

ちゃちゃのん「無視!?」


漫「私は誕生日来ても、まだ19なんですけどね……」

セーラ「あ、俺の誕生日 ちょっと前に終わったで~~」

哩「私もこの前 終わった(姫子との旅行、楽しかったばい///)」ゾクゾク

洋榎「あちゃ~~ 自分ら4月組かぁ…」


洋榎「じゃあ 今からバースディソング歌ったるさかい、顔面ホールケーキぶつけして祝ったろか?」

哩「ころすぞ」

セーラ「ヤルからには、自分ヤられる覚悟出来とんのやろな…」ギロッ

洋榎「あ、どうもスンマセン……」




ちゃちゃのん「ヒロちゃん どうもありがとな。 今日はとっても楽しかったけぇ♪」エヘヘ

洋榎「お、おぅっ……」アセッ


ちゃちゃのん「ヒロちゃん……?」






―――というわけで、


おそらく『胡桃・洋榎の大学SS』当時にはまだ分かってなかった、各キャラの誕生日設定とか

こちらの世界線では原作である咲準拠として、ちょこっと設定変更してみました。


因みに原作の設定はこんな感じみたいですね。



【誕生日順+各キャラの簡単な紹介(身長は2年前、高校生当時のもの)】

04/16 白水 哩(しろうず まいる) 元新道寺女子高校 身長159cm

04/22 江口 セーラ(えぐち せーら)元千里山女子高校 身長160cm

07/18 愛宕 洋榎(あたご ひろえ)元姫松高校 身長155cm

09/15 鹿倉 胡桃(かくら くるみ)元宮守女子高校 身長130cm

12/14 佐々野 いちご(ささの いちご)元鹿老渡高校 身長148cm

01/06 上重 漫(うえしげ すず)元姫松高校 身長148cm

02/15 臼沢 塞(うすざわ さえ)元宮守女子高校 身長154cm






それから暫く経って―――




♪~ チャン チャン チャン チャラランラ…


ちゃちゃのん(―――?)

ちゃちゃのん(にゃんこオバちゃんからじゃ。 またバイトのお手伝いかの――)



大阪に住んどる母方の叔母から、バイトの手伝いを頼まれた。


ちゃちゃのんの気のせいかもしれんのじゃが、どうもヒロちゃんがよそよそしい気がするのぅ。



よっし、ここは一つ バイトのお誘いでもしてみようかの!!







にゃー にゃー にゃー


洋榎「メイド服… ねこみみ… ねこのシッポ…///」

ちゃちゃのん「ヒロちゃん何しょーるん、早よ制服に着替えにゃあかんよー」にゃー

洋榎「おまっ、なに言うとんねん!!」


洋榎「ええバイトあるから手伝え言うんでついて来たけど、ここメイド喫茶やないかい!!」

洋榎「ウチ 恥ずかしゅうて、こないなカッコで接客なんぞ出来るかっちゅうねん!!」テレッ


ちゃちゃのん「え~~ 制服 とっても可愛ええじゃろ。 それにここぁメイド喫茶じゃのうて、にゃんにゃんカフェじゃよ♪」にゃー

洋榎「自分、それ何や余計に如何わしいやろ!!」

ちゃちゃのん「もぅ、そんなことないけぇ…」



ちゃちゃのん「にゃんにゃんカフェはお客さんが、店内の可愛いにゃんにゃんたちを眺めたり、撫でたり――」

ちゃちゃのん「一緒んなって にゃんにゃん遊んだりして、心癒される 憩いの場所なんじゃよ~~~」にゃー

ちゃちゃのん「じゃけぇ、ちっとも如何わしくなんかないんじゃよぉ♪」エヘヘー

洋榎(にゃんにゃんて、ホンマ猫の話なんやろな。 このアホの言い方が、何や如何わしく聞こえんで…)



ちゃちゃのん「言うなりゃぁ、ここは現代社会っちゅう砂漠に疲れた人たちを潤す、心のオアシスじゃけぇ♪」


ちゃちゃのん「それにメイド喫茶と違うて、若い男の人よりも にゃんこ好きのOLさんとかがメインじゃけぇ平気じゃよ♪」にゃー


洋榎「そ、そんなら… ま~ ええやろ……///」



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ちゃちゃのん「わぁ~~ ヒロちゃんは、黒猫ちゃんがとってもよぅ似合うの~♪」にゃー

洋榎「せやろー さすがやろー? もっと褒めてもええんやで~~♪」ムフフ

ちゃちゃのん「ほんじゃ~ お次はペルシャとか、ミケなんてどうじゃろ~~」ガサゴソ


洋榎「て、それはもぅええわ!! そろそろ仕事しようや!!」シャー

ちゃちゃのん「あ、そうじゃったのぅ。 ちゃちゃのん、うっかりしとったんじゃ…」




にゃー にゃー にゃー

洋榎「にしても、ホンマねこパークやなぁ」

ちゃちゃのん「ま~ にゃんカフェじゃけぇのぅ…」にゃー

洋榎「こない猫屋敷で食事とか、衛生面は平気なんやろな?」

ちゃちゃのん「そのへんはやっぱり一番気ぃ使っちょるみたいじゃよ。 色々とルールなんかもあるわけじゃし…」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのんたちの主な仕事は、給仕とお店のルールやマナーをお客さんに教えてあげることじゃよ」

洋榎「そのルールを、よう知らんっちゅうねん」

ちゃちゃのん「そのへんはちゃちゃのんが説明するけぇ、分からんかったら呼んでくれればええよぅ♪」

ちゃちゃのん「そういえば、日本で一番最初のにゃんカフェは大阪みたいじゃの~~」にゃー




カラン コロン…

ちゃちゃのん「お嬢さま、お帰りなさいませにゃ~♪ 今日もいっぱい癒されていって欲しいんじゃ~~♪♪」にゃー

ちょっと疲れたOL「あら、いちごちゃんじゃない。 またオバさんに駆り出されちゃったの~~」

ちゃちゃのん「あはは… おかげさんで ちゃちゃのんも、すっかりここの にゃんこちゃんじゃよ///」にゃはは



カラン コロン…

淋しがりの主婦「あらあら、いちごちゃん。 今日はピンクの可愛い子猫ちゃんなのね、とってもお似合いよ~」

ちゃちゃのん「えへへ、どうもありがとにゃ~~♪」シッポフリフリ




洋榎「………(ウチ、今日 初めて佐々野んこと、心底スゲーヤツやって思ったで…)」





女店長「いちごちゃん、ええ子じゃろ~~」ズイッ

洋榎「あっ、店長さん。 どうもお世話んなってます」

女店長「今どきあんなええ顔で笑える子、ちぃーとおらんけぇのぅ」

女店長「時々手伝いお願いしとるんじゃが お客さんにも大人気じゃし、正式にウチで働いてもらえんかの~~」カカッ


洋榎「ま~ 確かに、アイツには こういう仕事は天職や思いますわ」

女店長「でもな~ あの子、どうも男の人が苦手みたいでのぅ…」

洋榎「あっ、そうなんや…」

女店長「本人表情にゃ出さんようしとるようじゃけぇ、男の人と話す時 あの笑顔がチラッと曇るんじゃ」


女店長「そがーなこって、ホンマにアイドルとかなれるんかいのぅ」

女店長「ぶち繊細な子じゃけぇ。 芸能界の荒波にあの子が耐えられるんか、ワシャそこが心配で心配でのぅ……」

洋榎「…………」





洋榎「大丈夫やないですか。 アイツ、たぶん意外と強いやっちゃで……」ニッ

洋榎(インハイのあの大舞台で、ウチにあないボコられたんに――)

洋榎(そのウチに、めっちゃええ笑顔してくるんや。 ありゃきっとホンマもんの大アホやで―――)

女店長「…………」ホゥ



女店長「そか、それ聞いてオバちゃん ちぃーと安心したわ」

女店長「これからも、いちごのヤツと仲良くしたってな~~」バン バンッ

洋榎「あたたっ、痛いっちゅーねん!? そないバンバン叩くなや!!」





にゃー にゃー にゃー


洋榎「は~~ シンド。 流石のヒロエさんも、体力と愛想力の限界を感じるで~~」フゥ…


ちゃちゃのん「あ~ ヒロちゃん、お疲れさまなんじゃ♪」

ちゃちゃのん「疲れたじゃろ。 こっちはちゃちゃのんやっとくけぇ、暫くスタッフルームで休んどってえ~よ~」

洋榎「おぅ、あんがとさん。 ほんなら、ちょっくら休ませてもらうで~~」





【スタッフルーム】


洋榎「よいしょっと…」ソファー ズムッ



にゃー にゃー にゃー

洋榎「何や、自分らも休憩中か。 別にホールにおっても、やること変わらんやろ」ナデナデ


ペロ ペロ…

洋榎「てぇ、なに登って来とんねん!? こら、ペロペロすんなや!!」アセッ



にゃー にゃー にゃー

洋榎「はぁ、お前らのせいでメッチャねこ臭くなったで。 まぁ、ええわ…」



にゃー にゃー にゃー

洋榎「は~~ 何や癒されんで。 そういや、夕べはあんま寝とらんかったな―――」ウトウト…



にゃー にゃー にゃー

にゃー にゃー

にゃー




ちゃちゃー


ちゃちゃー ちゃちゃー


洋榎「う~むぅ…」

洋榎「何やねん。 さっきからちゃちゃちゃちゃ、やかましでぇ~~」フワァー



ちゃちゃのん「ちゃちゃー」ヒョコン


ちゃちゃのん「ちゃちゃのんじゃー」キャッキャッ


ちゃちゃのん「………」プルプル


洋榎「――――は?」


ちゃちゃのん「ちゃちゃー」オズオズ




洋榎「はぁーーーーーーーーッ!? 何やねん、コイツら!!」

ちゃちゃのん「っ!?」ビクーーーッ



洋榎「ちっさ!! うっわ、ちっさ!? 何や グレムリンサイズのちっさい佐々野が、ぎょうさんおんで~~~!?」

ちゃちゃのん「ちゃ… ちゃちゃー」プルプル


洋榎「ありゃ、何やよう分からんけど怯えとる…? 怖いのはこっちやっちゅーねん…」

洋榎(―――コイツラ、噛み付いたりせんやろな…)オソル オソル


ちゃちゃのん「………」ウルウル





洋榎「あ~ 怖ない怖ない。 ウチはとっても優しい、スーパー美少女ヒロエちゃんやで~~」

ちゃちゃのん「………」ジー


洋榎「ホレホレ、いちごのアメちゃんあるで~~」スッ

ちゃちゃのん「………」ジー




ちゃちゃのん「ちゃちゃー」ペロペロ


洋榎「おっ、くいついた♪ 何や よう分からんけど、ちょっと可愛ええな~///」

洋榎「お~ ええ子 ええ子やで~~」アタマ ナデナデ


ちゃちゃのん「ちゃちゃ~っ♪」キャッ キャッ


ちゃちゃのん「ちゃちゃのんもじゃー」トコトコ



ちゃちゃのん「………チャチャ」プルプル


洋榎「おっ… なんや、自分らもナデナデして欲しいんか?」

ちゃちゃのん「ちゃちゃー」ナデテ ナデテ



洋榎「やっばぁ、コイツラむっちゃ可愛ええやん♪ こっちゃ来い、こっちゃ来い♪♪」ホレ ホレ


ちゃちゃのん「ちゃちゃー」ペロペロ


ちゃちゃのん「ヒロエじゃー」ダキツキ


ちゃちゃのん「………コウリョー」プルプル





ちゃちゃのん「ちゃちゃー」ペロペロ


洋榎「それにしても、ホンマこいつら可愛え~わ~~」ウズウズ




洋榎「お~♪ 何やコイツ、ホッペタぷにぷにやんか~~」ウリウリー


ちゃちゃのん「ちゃちゃー やめるんじゃー」プルプル プニプニ


洋榎「おっ、一丁前に嫌がっとんのか? 何やよー分からんけど、無性に苛めたなってきたで~~」ハァハァ


洋榎「ホレホレホレホレ~~~~」ワッシ ワッシ ワッシ ワッシ


ちゃちゃのん「うっきゃ~~ なっ なにするんじゃー」プルプル プルプル


洋榎「ここなんか~ ここがええのんか~~」ハァハァ



ちゃちゃー ちゃちゃー


ちゃちゃー







お~い… ヒロちゃ~……



大丈夫かぁ~~~



洋榎「はっ!?」




にゃー にゃー にゃー


ちゃちゃのん「あっ、起きたんじゃ…」


洋榎「こっ、ここは…?」キョロキョロ


ちゃちゃのん「ヒロちゃん、大丈夫? 何だか にゃんこに埋もれて、随分うなされとったみたいじゃよ…」


洋榎「うっぎゃ~~ 夢か~~~~い!!」ガバァッ


ちゃちゃのん「うひゃっ!? びっ、びっくりしたんじゃ…」ドキドキ



洋榎「て、毛布…?」

ちゃちゃのん「ヒロちゃんちょっと前まで 気持ち良さそうに寝ちょったけぇ、ちゃちゃのんが―――」

洋榎「そか、そいつはありがとさん…」


洋榎「てっ、バイト! まだバイト中やったろ!?」

ちゃちゃのん「あ… バイトの方はもぅ終わったけぇ、心配せんでもええよ~」

洋榎「なっ…?」



ちゃちゃのん「今日はそんな忙しくもなかったけぇ。 ヒロちゃんの分はちゃちゃのんが やっといたけぇ平気じゃよぉ」

ちゃちゃのん「オバちゃんも、また来てな~って ご機嫌じゃったしのぅ♪」


洋榎「あちゃ~ そりゃ申しわけないことしてもうたな。 自分も気付いとったんなら起こせや~」


ちゃちゃのん「ヒロちゃんがあんま気持ち良さそうじゃったけぇ、ついの…」エヘヘ



ちゃちゃのん「でも、何か怖い夢でも見ちょったん? 途中からずいぶん息が荒かったようじゃが…?」


洋榎「あっ、あ~ あれな~~(ちゃちゃー ちゃちゃー)」トオイメ


ちゃちゃのん「ん…? ちゃちゃのんが、どうかしたんか…?」ジーー



洋榎(あれは魔物やったな。 ウチの中に眠る何や得体の知れん属性みたいなモン――)

洋榎(無理やり引きずり出されそうになった感じやったで…)ドキドキ



洋榎(佐々野いちご。 恐ろしいヤツかもしれん…)ゾクゾク


ちゃちゃのん「何じゃろ……?」パチクリッ




ぐぅ~~~

ちゃちゃのん「おりょ…?」

洋榎「おっと、そういや小腹が空いてきたで…」グゥー



ちゃちゃのん「あっ、ほんならちゃちゃのんち来よるん? 今日のお礼に夕飯くらいご馳走するんじゃ♪」テレッ

洋榎「おっ、ええんか。 そういやいいんちょんトコにはよぅ行くけど、自分トコにはまだ行ったことなかったな」



ちゃちゃのん「あっ、勝手に荒らしたりは しちゃ駄目じゃよぉ!!」

洋榎「わ~っとる、わ~っとるって!! 洋榎さんを信用して~な!!」ニッコリ




にゃー にゃー にゃー


ちゃちゃのん「お~ よしよし♪ にゃんちゃん達、また来るけぇの~~」バイバイ


ばたんっ…





【佐々野家】



ちゃちゃのん「じゃ~ 夕飯作ってくるけぇ、ちょっと待っちょってな~~♪」パタパタ

洋榎「お~ よきに計らえ~~」クツロギー





洋榎(ここが佐々野の部屋か。 何やちょっと緊張してきたで…)


洋榎(いいんちょんトコはわりとこざっぱりしとったが、コイツんトコはやっぱファンシーやな~~)キョロキョロ



洋榎「というわけで~ 定番の家探しタイムやで~~」タッタカター


洋榎「やっぱいいんちょん時だけやるんは 不公平やもんな~~♪」タッタカター


洋榎「何やスケベ~なモンはないんか~~♪」キョロキョロ




洋榎(いちご、にんじん、ぶどう、ばなな、ねこ、うさぎ、いぬ、くまのぬいぐるみ――)

洋榎(他にも名前を出しにくいねずみとあひるに、何やよ~分からんぬいぐるみまであるやん)


洋榎(おぉっ!? アレは幻の超像可動シリーズと言われる『R・ネエロ』!?)

洋榎(――て、それはただウチが欲しいモンやったわ……)




洋榎(おっ、何やギターとかもあるやん。 ま~ どうせ下手の横好きなんやろなぁ)


洋榎(それと… 机の上にオルゴールとか色んな種類の絵はがきなんかもあるけど、誰かと文通でもしとんのやろか?)




洋榎(何やろう。 綺麗に片付いてはいるんやが、新しいモンから古いモンまで 物がゴチャっとしとんなぁ)キョロキョロ


洋榎(コイツはきっと捨てられんタイプやな)カクシン





洋榎(いちご日記…? て何やねんそのネーミング、小学生かぃ!!)


洋榎(何か中に挟まっとるみたいやけど――)


洋榎(まぁ、流石に中まで見るんはヤメといたるで…)


洋榎(ヒロエさんの海より深い慈悲の心に、感謝するんやで~~ て、ん―――)ガサゴソ





洋榎「何やねん、これ…?」ピロンッ


洋榎「いちご柄のプリント―――?」


洋榎「布みたいやけど、衣服か何かなん―――?」ヒラヒラ





ちゃちゃのん「ヒロちゃん、お待たせなんじゃ~~♪」トコトコ


ちゃちゃのん「て~~!? なに勝手に、ちゃちゃのんの洋服ダンス漁っちょるんじゃ~~///」ハワワッ




洋榎「おぅ… 自分、コレ何やねん?」ピロンッ


ちゃちゃのん「ふぇっ… そっ、それは……」


ちゃちゃのん「い… いちごパンツ言う、腰巻きじゃよ……///」カァァ


洋榎「腰巻き!? は~ これが噂に聞くパンツ言うモンか~~」ジロジロ





ちゃちゃのん「う、うん… ちゃちゃのんの婆っちゃたちの頃は、普通に皆しちょったみたいじゃよ…」


洋榎「そんで、自分いつもしとんのか? 何や年寄りくさいの~~」



ちゃちゃのん「ちゃ、ちゃちゃのんじゃって、別にいつもはしちょらんよ~~///」


ちゃちゃのん「でも、いちごパンツは 婆っちゃとの思い出じゃけぇ……」


洋榎「ほ~ 何や面白そうな話やないかい―――」




ちゃちゃのん「てぇ、もぅこの話はええじゃろ~~ はよご飯 食べんと冷えちゃうじゃろ~~///」アセッ


洋榎「おぅ、そうやったな。 ウチもぅお腹ペコペコのペコちゃんやねん…」グゥゥー





洋榎「ほな、いっただっきま~~す!!」


ちゃちゃのん「いただきます…」




パクパク

パクパク


洋榎「おっ、この煮付け美味いやん♪」モグモグ

ちゃちゃのん「牡蛎フライは大丈夫じゃったかの? オバチャンに渡されて、悪くなる前に使いたかったけぇ」

洋榎「お~ 全然イケとるで。 鮮度落ちたのは勘弁やけど、コレはベリーグーやねん♪」グッ

ちゃちゃのん「そりゃぁ良かったんじゃ♪」モムモム



パクパク

パクパク


ちゃちゃのん「……今日は、ヒロちゃん誘ってみて良かったんじゃ…」ポソ

洋榎「――――?」ムグッ




ちゃちゃのん「最近ヒロちゃん、ちょっとよそよそしい感じじゃったろ…」


ちゃちゃのん「それで、今日は思いきって誘ってみたんじゃ…」




ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、今日はヒロちゃんと いっぱいお喋り出来て楽しかったんじゃ…」ハグッ


洋榎「………」カチャ








―――去年、佐々野んヤツが『枕』しとったって……







ちゃちゃのん「ヒロちゃ――?」


洋榎「すまんかったなぁ、枕なんて変なあだ名で呼んで…」ポリポリ


ちゃちゃのん「ほぇ…?」キョトン





洋榎「芸能界っちゅうトコは、きっとウチが考えとる以上に 大変なトコなんやろな~」


洋榎「生き残るため、売れるためにはどんなことでもせにゃアカン。 それこそ泥水すすってでも―――」




ちゃちゃのん「えっと…?」


洋榎「だから大丈夫やで、ウチはどんな佐々野でも受け止めたる――」


洋榎「何があっても、ウチらは心の友やで~~」(慈悲の眼差し)


ちゃちゃのん「ちょ ちょ ちょ~~ 何じゃい、その観音さまみたいな 慈悲に満ちた眼差しは~~!?」


ちゃちゃのん「まるでちゃちゃのんが、枕しちょるみたいじゃろ~~!!」








洋榎「―――しとらんの?」ン?


ちゃちゃのん「しとらんわ!! 前にも、そう言うたじゃろ~~!!」コラァッ




洋榎「あ、あはは… そうなん? 何や、ウチ変に気ぃ回し過ぎたわ~~」


ちゃちゃのん「まったく、どうも近頃様子がオカシイ思ちょったら―――」

ちゃちゃのん「ちゃちゃのんのこと、ずっとそんな目で見ちょったんじゃな…」プンスコッ


ちゃちゃのん「大方、変なウワサでも真に受けたんじゃろ……」





洋榎「あ~ ま~~ そんなトコや。 スマン スマン…」ヘヘヘ


ちゃちゃのん「でも、ええよ。 全く根も葉もない噂ってわけでもないんじゃし……」



洋榎「それって…?」




本当はこんな話、誰にもする気はなかったんじゃが…




何でじゃろう…




そん時、ちゃちゃのんは―――



ヒロちゃんに誤解されたままっちゅうんが、たまらなくイヤじゃと思ったんじゃ―――









ちゃちゃのん「その… ちゃちゃのんな……」


ちゃちゃのん「去年 前の事務所を辞めて、つい最近まで芸能界 干されちょったんじゃ……」


洋榎「………」





ちゃちゃのん「ちゃちゃのんバカじゃけぇ。 芸能界のこととか、そういうの何も分かっちょらんかったんじゃ……」


ちゃちゃのん「アイドルになって皆にいっぱい笑顔届けて、それで落ち込んどる人を少しでも元気付けてあげられたら嬉しいの~って――」


ちゃちゃのん「そう思ってお仕事、頑張っちょったんじゃ―――」





ちゃちゃのん「ちゃちゃのんの事務所は、そんなに大っきなトコではなかったんじゃが…」


ちゃちゃのん「マネージャーさんからはいっつも、君は笑顔で頷いてればそれでええんやでって言われとっての―――」







ちゃちゃのん「…………」グッ


ちゃちゃのん「その日はどこかの局の、とっても偉いプロデューサーさんゆー人に紹介されて…」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、いつも通り笑顔で頷いちょったんじゃが――」



ちゃちゃのん「何じゃかよー分からんうちに 変なトコに連れ込まれて、ちゃちゃのん怖くなって必死に暴れて逃げたんじゃ―――」カタカタ


洋榎「佐々野……」





ちゃちゃのん「それでそのこと、マネージャーさんに話したら」


ちゃちゃのん「エラいことしてくれたねって、凄く怖い顔で怒られて……」フルフル



ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、そのまま事務所を辞めることになってのぅ……」


ちゃちゃのん「新しい事務所でも、ちゃちゃのんは暫く仕事しちゃいけないって言われて―――」ジワッ


洋榎「………」





ちゃちゃのん「―――やっぱり、言いつけ破ったちゃちゃのんが 悪かったんじゃろか……」ポタポタ


洋榎「ア、アホ抜かせ!! そんなんちゃちゃが悪いわけないやん!!」


洋榎「それよりそのプロデューサーとマネージャー、しっかりぶん殴ってやったんやろ~な!!」



洋榎「そんなんの言うこと聞くようやったら、それこそホンマもんのアホンだらやで!!」


洋榎「あ~ もぅ、何やメッチャムカつくわ~~~」






ちゃちゃのん「ヒロちゃん、ごめんのぅ…」ポロポロ


洋榎「そ、そんなん、別にえ~わ……」




洋榎「ウチの方こそスマンかったな。 何や怖いこと思い出させたみたいで―――」ギュッ


ちゃちゃのん「あっ……」



洋榎「ま~ なんや… 暫くそばに居たるから、自分ちょっと落ち着き……」



ちゃちゃのん「う、うん……///」ギュッ






ちゃちゃのん「すぅ…すぅ…」


洋榎(泣き疲れて、寝てもうたんやろか……)


洋榎(ま、今日はウチの分まで働かせてもうたし… そんくらい、勘弁したるわ……)




洋榎(にしても、何やコイツええ匂いすんな。 それにまつ毛とか、メッチャ長いやん…)ドキドキ


ちゃちゃのん「すぅ… すぅ……」ギュゥ



洋榎(それにコイツ、どんだけ無防備やねん。 ウチは抱き枕やないんやでぇ……///)ドキドキ



むにむに…


洋榎(それにこのむにむにと当たる感触… アカン、何やメッチャムカついてきた……)イラッ




ボカッ


ちゃちゃのん「あいたーーー!?」


ちゃちゃのん「ちょっ、ヒロちゃん何するの~~」ウルウル


洋榎「うっ、うっさいわ ボケーー!! 自分、いつまで木のぼりウィンキーみたいにしがみついとんねん!!」





ちゃちゃのん「うぅっ、ヒロちゃんは優しくないの~~」シクシク


洋榎「喧しいわ!! こない優しさのカタマリ、バファリンも裸足でジョイナー走りやで~~~!!」


ちゃちゃのん「くすっ…」


洋榎「あっ…?」



ちゃちゃのん「ふふっ、そういうトコ何だかヒロちゃんらしゅうて安心するのぅ」エヘヘ


ちゃちゃのん「ずっと一人で抱え込んどったからじゃろか―――」


ちゃちゃのん「いっぱい喋って、いっぱい泣いたら、何だか随分と楽になった気がするんじゃ……」





洋榎「で、今はもぅそういうの平気なんやろな?」


ちゃちゃのん「うん。 今のマネージャーさんは女の子じゃし、今度の事務所はそ~いうの無いトコじゃけぇ平気じゃよ」


ちゃちゃのん「その代わり、ステップアップには色々と地道な努力が必要そうじゃけどね~」ヘヘッ



洋榎「そか、んじゃ~ 頑張るしかないわなぁ」


ちゃちゃのん「うん、ちゃちゃのん頑張るんじゃ♪」ニコッ



洋榎「へへっ、せいぜい気張るんやで~~」





【いちご日記】


6月××日(はれ)




今日 いちごはヒロちゃんと、ようやっと本当のお友達になれた気がするんじゃ。



婆っちゃにゃぁ、そういうお友達 たくさんおったんじゃろか?




ヒロちゃんにいちごパンツのこと、年寄りくさい言われてまったんじゃ。



うぅっ、恥ずかしいんじゃ。



いちごは可愛ええ思うんじゃがのぅ。





男「ど~も、お久しぶりじゃね。 さっ、お婆さんに挨拶しんさい」


老婆「お~ お~ こりゃまた 随分と可愛ええ子じゃの~~」カカッ



いちご「ちゃ… ちゃちゃの、いちごじゃ… です…」オソル オソル


老婆「お~ ちゃちゃの、いちごちゃんかぃ! 可愛ええ名前じゃの~~」カカカッ


男「ちゃちゃのじゃの~て、佐々野じゃろ」



いちご「えと、ちゃちゃの… さ、ささの… じゃ… です…」フルフル ウルウル


男「ど~も この子は臆病すぎましてなぁ。 来年にゃ保育園じゃってのに、ホンに心配じゃよ……」ハァ


老婆「ええんじゃ、ええんじゃ。 ちゃちゃの、可愛いくてええじゃろぉ。 の~ ちゃちゃのちゃん♪」カッカッ



いちご「あ… ありがと… なんじゃ…///」テレッ











女「転勤って、あなただけ…?」


男「本社の意向でのぉ。 急なことじゃし、お前といちごは暫く お婆さんのトコに行って貰うゆーことで ええかのぅ?」


女「それはええんじゃが、あそこにゃぁ 小学校も――」



いちご「………」ギュッ


男「いちごはお婆さんにゃ、よぅ懐いとるよぅじゃし。 この子にゃ、あ~いうのんびりした環境の方がええんかもしれん」


男「ええ子んしとるんじゃぞ、いちご」ナデナデ


いちご「…………」コクコク






♪~ チャン チャン チャン チャラランラ…


ちゃちゃのん(あっ、ヒロちゃんからメールじゃ…)


ちゃちゃのん(麻雀大会やるから胡桃ちゃんちに集合。 なおメルティキッスを持参するように…)フムフム


ちゃちゃのん(胡桃ちゃんちで麻雀大会 楽しそうじゃの~♪ でも、何でメルティキッスなんじゃ?)







ちゃちゃのん「あっ、胡桃ちゃんヤッホー♪」ブンブン

胡桃「あっ、ちゃちゃちゃん。道、大丈夫だった?」ヤホ

ちゃちゃのん「うん、ちょっと迷ったけぇ。 大丈夫じゃったよ~~」ヘヘ

洋榎「迷った言うて、ウチにナビ頼んできよったクセによう言うで」

ちゃちゃのん「もぅ、ヒロちゃんのかばちたれぇ…」ムゥ



洋榎「そんで例のブツは、ちゃんと持って来たんか~?」

ちゃちゃのん「ん、コレのことかの。 はい、メルティキッス♪」ポン

洋榎「まいど、おおきにやで~~」

胡桃「もぅ、別に毎回徴収しなくても… 好きだけどさぁ……」ハズッ





【胡桃の部屋】


ちゃちゃのん「ほぇ~~ 胡桃ちゃんのお部屋、ずいぶん綺麗に片付いちょるんじゃね~」キョロキョロ

セーラ「んじゃ、またやっとくか~」タッタカター

洋榎「おぅよ、お主も好きよの~~」タッタカター


胡桃「だから、それはもぅやめなさいっての!!」ケリッ





胡桃「ロン!!」

ちゃちゃのん「あぅっ、また振ってしもうた…」

ちゃちゃのん「胡桃ちゃんは、ホンにテンパイ気配が読めんの~」ウーン

洋榎「のんちゃんは、誰にでもすぐ振り込んでまうやろ~~」カカッ

ちゃちゃのん「そっ、そんなことないけぇ!!」



ちゃちゃのん「ちゅーか、その『のんちゃん』ゆーのヤメるんじゃ。 胡桃ちゃんに聞いたんじゃぞ!!」モー

洋榎「ちょっ、いいんちょ、何チクっとんねん!?」

胡桃「うるさい、そこ!!」ビシッ

洋榎「あ、はい…」

洋榎「て、そんなんで誤魔化されんでぇ!!」ガー

セーラ「ま~ えーやないか、はよ続き打とうや~」ハハッ





ジャラ ジャラ ジャラ ジャラ…


洋榎「の~ いいんちょのそれって オカルトなん?」タン

胡桃「ん~ どうかな。リーチなしのダマテン縛りって以外、私自身 特に意識してるわけじゃないし」タン



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セーラ「しっかし、ホンマ オカルトってスゲーわな~~」タン

洋榎「自分んトコいたあの病弱そうなの。 ありゃ、ホンマもんのオカルトやろ」

セーラ「せやな、何や怜のヤツ 幽体離脱みたいなことまでした言うとったで~~」



ちゃちゃのん「う~~ん…」コト

ちゃちゃのん「ちゃちゃのんは、そういう不思議な力って ちょっと憧れるかのぅ」

セーラ「せやけど… 怜のオカルトは何や命を削られとるようで、あんまアレに頼りすぎるんはアカン思ったで…」

洋榎「せやな。 ま~ この洋榎さんの天才的ヨミと 動物的カンの前には、どんなオカルトも通用せんやろーがな~~」タン

胡桃(うるさい…)タン


セーラ「よー 言うで、個人戦で自分オカルト使いにヤられとったやないかい」タン

洋榎「アレは、他のヤツらが沈みすぎての収支負けやんか…」



ちゃちゃのん「えっと、どうかいの…」コト

洋榎「あ、それロンや!!」パララッ

ちゃちゃのん「!?」アウッ



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ちゃちゃのん「そういえば胡桃ちゃんのアレ、『カクラサマ』ゆーんじゃろ?」

胡桃「ん~、マスコミとかだと そう呼ばれてたわね」ジュース ズズー


ちゃちゃのん「それってやっぱり、遠野物語のカクラサマが由来なんじゃろか?」



胡桃「ん、たぶん。 ま~ 他にも座敷わらしとか、河童とかいろいろ言われてたけど…」

洋榎「座敷わらしとか、ホンマそっくりやん!!」カッカッカ

セーラ「オカッパ頭やから、カッパかいな!!」ゲラゲラ

胡桃「殴るわよ…」イラッ


ちゃちゃのん「もぅ、二人とも そういう失礼なこと言わんのぉ…」モー


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胡桃「後は、シロのも『マヨヒガ』とか言われてたわね」

洋榎「お~ あの悩むと打点高くなるっていうアレな」パリポリ

ちゃちゃのん「元々は遠野物語にある 迷い込んだ家から何か持ち帰ることで、富や幸福を得られるゆーヤツじゃよね」



セーラ「んじゃ、塞んヤツの防塞ゆーのもそうなん?」

胡桃「マスコミで言われてた『塞の神』については、遠野物語では一文程度で あんまり多くは書かれてないよ」

胡桃「でも柳田先生が遠野物語の前に書いた、石神問答って本の中では―――」

胡桃「塞の神さまについて色々と書かれてるって、確か 塞が言ってたかな……」



ちゃちゃのん「ほ~か、ほ~か。 さすが塞ちゃん、物知りじゃのぅ」フムフム

洋榎「何や? 赤ずきんちゃちゃのんは、そういうのに興味あるん?」パリポリ

ちゃちゃのん「ちょっ… 何じゃ、その呼び方は!?」



ちゃちゃのん「まぁ、本とかの話は昔から結構好きじゃよ。 ちゃちゃのん、読書家じゃけぇ♪」エッヘン

洋榎「何やねん、その無駄アピール。 アホの子のクセしよってからに――」

ちゃちゃのん「もー ちゃちゃのんは、インテリ芸人じゃ!!」

セーラ「おっ、いちごは芸人志望か?」

ちゃちゃのん「芸人じゃないけぇ、ちゃちゃのんはアイドルじゃ!!」モー

胡桃「バカみたい!」ズズー ベコッ





ジャラ ジャラ ジャラ ジャラ…


セーラ「そういや 怜のオカルトは、先天的なもんやなかったなぁ」タン

洋榎「そうなん?」トッ

セーラ「以前 倒れた時に生死の境を彷徨って、そん時から見えるようなった言うとったで~~」



胡桃「―――そういうキッカケによる認識から始まって、意志の力で花開くとか。 そういうものなのかな……」タン

ちゃちゃのん「………?」コト



胡桃「塞は自分の力のことを、明確に認識してるらしいよ」

胡桃「それで対局中は常に自分を塞の神さまとして振舞って、その力を行使してるみたい」

セーラ「思い込みの力に現実が引っ張られる~ みたいな話やろか?」タン

ちゃちゃのん「ほぇ~~ そういうモンじゃろか……」

洋榎「オカルトやな~~」ポン




胡桃「オーラみたいなのって、信じる方?」タン

ちゃちゃのん「う~ん、ちゃちゃのんは… 信じちょるかのぅ」

ちゃちゃのん「はやりん先輩とか、清澄の原村さんとか… オーラみたいなんある気ぃするけぇ」コト

洋榎「お~ それって、自分に決定的に足らんヤツやないか」カカッ

ちゃちゃのん「うぅっ…」ナミダメ


洋榎「あっ、スマン… 自分、めっちゃ気にしとったんやな?」ポン

胡桃(う~ん… 確かにちゃちゃちゃんには、そういうの足りてないよね…)タン


セーラ「オーラ力に目覚めたいんやったら―――」

セーラ「フェンリルで海と大地の狭間の世界まで飛翔して、聖戦士イ=チゴサ=サノになればええんちゃう?」

ちゃちゃのん「わけがわからないんじゃ…」ウゥッ



セーラ「でもやっぱ 元チャンピオンとかすこやんには、そういう凄みみたいのある気ぃするわな」

胡桃「オカルトからくる威圧感みたいの? 普段は全然なんだけど、対局中のトヨネにも そういうのあったかも」


洋榎「やっぱオーラの源 ゆーたら、『ウチは最強やでー!!』みたいな感じの 内からにじみ出る自信やろ!!」

洋榎「自分に足りんのはやっぱそれやねん。 ほなもっと自信持ちや~~」ニコッ



ちゃちゃのん「そ、そうじゃろか…」エヘヘ タン

洋榎「お、それロン!! 清老頭で32000やな」パララッ

ちゃちゃのん「はぅっ!? そんなん考慮しとらんよ…」ポロポロ

胡桃(酷っ)

セーラ(コイツ鬼やろ…)


               ___

            ,. .:': : : : : : : :`: : ..、     l二二二 フ
           /..:: : : : : : : : : : : : : : : \      / <[][]
         /: : : /: : : l: : : : : : :.l : : :', : :ヽ.__  .//ヽ.ヽ
      ,. .-v': : : :,' : : ノ!: : : : : : :.lト:、 :.',: : : ヽ: :、 ̄    ̄
     /: : : ,': : ; :.,:/: :l l: : : : : : :.l i: :.\il: : : : :; : :ヽ  O
    ,': : : :.!: : i: :lト;: : |:Lゝ:'; : j.: / .j: :./:リ.!: : : : :i: : : i  o

     i: : : : l: : :l: :l! ,,ム示、ヽ从/ .示半z, jl: : : l/i: : : !
    ゝ: : 人: :ゝ:|./lkr必l!     lkr必!.} j/: ノト; :.:丿
    ((. i:.(:ト;.:.`ーイ とつ''¨   '   とつ .l!:l : : i ):.l
    ヽ ー=-: :l:ト   |!''''   --    ''' .j、l: : : !'イ
     /: : l|.: l:lゝ, {;  (     )    ノ人: : :.i
      //: :.l!: :.i:l:j: :.>..          ...:く:(: : :.!: :..i
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      ゝ ): :.';: :.ト、j: : !: :!=|      |: : l: j:.l': V : : .人
     丿:!: :.): !:|:l Yi/ ` 、 _r'´ \リ/:.:.(: : :.( _ ))

    /:.イ:.:/:ヽY!jヽ;!!   /  ̄|ト、. .|/: :/):) 、: :、:(
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   !::! ./ ゝニ=-    ´  l::::::::::/   `j/  , 'イ ヽ
   ゝ./ ヽ   /       ヽ:-:〈      \  / |
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ジャラ ジャラ ジャラ ジャラ…


セーラ「は~ 何や眠たなってきたで~」ショボ ショボ

洋榎「おっ、ほんならそろそろ賭け麻雀でも始めるか?」



ちゃちゃのん「賭け…?」

胡桃「もぅ、またアレやるの。 ホンッとバカみたい…」ハァ

ちゃちゃのん「賭けって何じゃ…? ちゃちゃのん、お金賭けるんはちょっとのぅ…」

洋榎「アホか、ンなもん賭けるかい!! ウチみたいな美少女が麻雀で賭けるっちゅうたら、アレしかないやろ!!」クネクネ

セーラ「せや、脱衣やでーー!!」グッ



ちゃちゃのん「えっ、えぇぇぇ~~~~!?」アセッ

ちゃちゃのん「そっ、そんなんちゃちゃのん無理じゃよぉ!?」アウアウ

洋榎「女同士やん、平気や平気。 胡桃なんてキューピーちゃんのクセして、なかなかの脱ぎっぷりやで~~」ケラケラ

胡桃「うっさいわよ///(キューピー言うな!!)」


セーラ「ま~ ノリやノリ♪ あんま深く考えんでええんちゃうか~~」カッカッカ




ちゃちゃのん「うぅ… 早く帰りたいんじゃ……」フルフル




ちゃちゃのん「どうじゃろ…」コト

洋榎「ほい、それローーーン!!」バキューン

ちゃちゃのん「えぇっ!?」

セーラ「山越しとか、自分ホンマひっでーやっちゃな~~」ゲラゲラ

胡桃(完全に悪ノリだわ。ちゃちゃちゃん、ご愁傷様…)ハァ






洋榎「じゃ、いちごちゃ~~ん。 もう一枚いってみよっか~~」



ちゃちゃのん「うぅっ、そういうのやめるんじゃぁ……」ウルウル


セーラ「いよっ、エロカメラマン洋榎~~~♪」ヒュー ヒュー





ちゃちゃのん「うぅ、あんまり見ちゃ駄目じゃぞ……///」ヌギヌギ



胡桃(これが乙女の恥じらいかぁ…)ジー


セーラ(これがアイドルの生脱ぎいうヤツか、何やメッチャエロいで…)ジー


洋榎(………………)パシャッ


ちゃちゃのん「パシャッ――?」ホェッ





洋榎「―――あっ、ワリ。 つい写メってもうた…」


ちゃちゃのん「ちょ~~ 何を撮っとるんじゃ~~!! 流出とかしたらマズイじゃろ~~~!!」ギャー


洋榎「おわっ、ちょっ… 自分、ちょっと落ち着けや~~~!?」ウォォッ



ドタ ドタ ドタ ドタッ


ワー ワー ギャー ギャー・・・



???「…………」


ドンッ!




一同「「あっ――」」





胡桃「ほら、壁ドンされちゃったじゃない。 滅多なことじゃされないってのに……」ヤレヤレ


セーラ「流石に騒ぎすぎたみたいやな」ハハッ


ちゃちゃのん「うぅ、すまないんじゃ…」グズッ


洋榎「ま~ 何や、悪かったわ……」ポリポリ





胡桃(それ以降 ちゃちゃちゃんいる時の脱衣ルールは、何となくNGみたいな流れになった…)





七夕の頃―――


今からみんなでヒロちゃんちに遊びに行くトコじゃ。


そういえば ヒロちゃんちに行くの、今日が初めてじゃったのぅ。




胡桃「で、結局 哩ちゃんは来られないんだね」

洋榎「バイト外せないんやって…」

セーラ「ははは、バイト戦士は真面目やなー」

塞「ていうか、いつもいきなりすぎるのよ…」ハァ

洋榎「まーまー、そう言わんと」


ちゃちゃのん「こんな大人数で押しかけて、ホンに大丈夫かいのぅ…」オズオズ

洋榎「ノーウェイノーウェイ」

洋榎「モーマンタイ、イッツオーライ、アイムファインセンキュー」

胡桃「意味よく分からずに喋るのやめようよ」

洋榎「とにかくオカンには話し通してあるしな」



セーラ「いやー、会うの久々で楽しみやわー」

塞「そっか、千里の監督さんなんだっけ」

ちゃちゃのん「……麻雀について、ちょっとお伺いしたくなるのぅ」




【愛宕家】



洋榎「たっだいまー」ガチャ

絹恵「おかえりー」

胡桃「おじゃましまー……」

ちゃちゃのん「あ…」

絹恵「えっ…」

塞「……ど、どーも」ヘコッ

絹恵「ひあぁぁぁぁあぁあぁっ!?」

絹恵「し、失礼しましたー!!」ダダダダダッ



セーラ「はっはっは、いきなり真っ裸を見るとインパクトあるなー」

塞「お風呂あがりだったみたいだし、悪いことしちゃったかしら……」

洋榎「あ、そーいやサプライズしよ思って、人呼ぶこと言うとらんかったわ」

塞「おい」

胡桃「後で謝りなよ!」

洋榎「へーい」


ちゃちゃのん(妹さん、スタイルえーのぅ…)ホェー






模試を終えた漫さんも途中で合流し、妹さんも含めた皆での麻雀大会。


このメンバーが集まりゃぁ、やっぱりいつも通りの麻雀ちゅう流れになるんじゃね。



ほんでもって、やっぱりいつも通りのぐだぐだテンションになっちょるんじゃ――――



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愛宕 絹恵



ちゃちゃのん「そっかぁ。 妹さんは、今は麻雀よりサッカーなんじゃね」


絹恵「ですわ。 お姉ちゃんやオカンに憧れて、麻雀やったりもしてましたけど…」


絹恵「麻雀と同じくらい、やっぱサッカーも好きなんやな~ 思いまして。 私って昔からブレまくりなんですわ…」ハハッ



ちゃちゃのん「分かるんじゃ、ちゃちゃのんも同じじゃけぇ…」


ちゃちゃのん「大切にしたいモンいっぱいあるのに、この両手じゃ とても掴みきれないんじゃ―――」


絹恵「でも、悩んだ結果 上手くいく。 そんなことも たまにはある… みたいですよ―――」


絹恵「それに、私は――――」






洋榎「おー、さっきからそっちで何の話しとるんやー?」ジャララ…

絹恵「ん、ん~~ 通勤ラッシュは痴漢が多くて困るわ~~ みたいな話やでぇ」シーー

ちゃちゃのん「へっ? あぁ、うん… そうじゃの…」エヘヘ



ちゃちゃのん「ちゃちゃのん。 ちょっと距離あるんじゃが、通勤ラッシュの時間はキャンパスまで歩いちょるんじゃ…」

漫「痴漢ですか~ 分かります。 胸に腕とかグイグイ当てられたりして、アレは結構イヤですわ~~」

ちゃちゃのん「うん… よぅ後ろから匂い嗅がれたりとか、凄く怖いんじゃ…///」ウツムキ

漫「あ~ 佐々野先輩とか絶対何も言えなそうですもんね~ ルックスもスタイルもええし、痴漢からしたら最高のカモネギですわ」

ちゃちゃのん「うぅ、そうなんじゃろか……」



洋榎(痴漢な~ そういや会うたことないの~)

胡桃(痴漢か… 下校中、コート姿の変なオジさんにアメ貰ったことならあるけど…)

胡桃(あの人、私がぺろぺろするの暫く見てたなぁ……)



セーラ「そういや、前に浩子… フナQにセーラー服着せられて電車乗ってた時に、俺も尻揉まれたことあるで~~」

セーラ「腹立ったんで、思いっきり蹴りくらわしたったけどな~~」カカッ


洋榎(ん…? これってもしかして、モテる自慢っちゅうヤツなん!?)




塞「あ~ そういえば、私もこの前 痴漢にあったな~~~(棒)」

洋榎(!?)

胡桃(塞!?)



塞(ごめん胡桃。 私もそっちに括られるのは、ちょっとイヤかな……)



そんなこんなありつつ、麻雀大会も終了して―――




洋榎「と、いうわけで~、勝ちまくった記念にパーっと騒ごうや!!」

セーラ「ええなー!!」

以上、トータル大勝組。




塞「――まあ、いいけど。 あんまり騒ぐと怒られるんじゃ…」

漫「先輩のお母さん、ごっつ怖いって聞くし…」

以上、トータルトントン組。




胡桃「なんでもいい…」ハァ

ちゃちゃのん「こんなん考慮しとらんもん……」ウルウル

以上、トータル大負け組。




絹恵「お姉ちゃん。 この人数だとさすがに同時にご飯食べるとか難しいんじゃ」

洋榎「あ、せやったら―――」

ちゃちゃのん(――――?)



洋榎「おっくじょーーーーう!」イヤッホーーイ

セーラ「うっはー、たっけーー!」wwwww

胡桃「うわぁ、本気で屋根に登ってる」

ちゃちゃのん「あ、あああ、危ないよぉ」アセアセ



洋榎「おーい、皆も来いて!!」オーイ

塞「あー、もう… あのまま放置してもご近所迷惑なっちゃうだろうし」

塞「いこ、胡桃」

胡桃「……はぁ」

胡桃「しょうがないなぁ」ヨイショッ

ちゃちゃのん(へっ、胡桃ちゃんたちも行くんか!?)アワワッ



塞「おお、風が気持ちいいね~」

胡桃「うわー、たかーい」

洋榎「ホレホレ、絹とちゃちゃもはよ来ぃて!!」

ちゃちゃのん(あわわっ、あんなこと言われちょるんじゃ!?)

絹恵「もぅ、しゃ~ないな~ 佐々野さん、ウチらも行きましょか」ヨッ




ちゃちゃのん「あわわ… ホンに押したら怒るけぇね!!」ビクビク

漫「超へっぴり腰……」

洋榎「へーたれーー」ゲラゲラ

ちゃちゃのん「う、ううううるさい!!」フルフル

ちゃちゃのん「あ、て、手ぇはなさんといてね 妹さん!!」ギュッ

絹恵「はい はい」クスクス



胡桃「星が見えないのが残念だね…」


ちゃちゃのん「本当じゃ。大阪の夜はロマンチックじゃないのぅ…」





今夜の鹿老渡の夜空はどうなんじゃろぅ。


鹿老渡の夜は、お星さんがとっても綺麗じゃった―――




ちゃちゃのんも…


いつかあの満天の星空の下、誰かと一緒に夜空を見上げる日が来るんじゃろうか。


そんな素敵な相手が、ちゃちゃのんにもいつか現れるんかのぅ。




漠とした期待、将来への不安、いつ訪れるか分からん恋への憧れ。



幾度となく繰り返してきたそんな空想が、どんよりとした大阪の夜空に鈍く去来した―――






洋榎「ちなみにもっと夜になると更にロマンチックじゃなくなるでぇ」

ちゃちゃのん「ふぇ!?」

洋榎「暴走族の排気音がBGMになるしな~」ニシシ

セーラ「バイクのライトに照らされた塀の落書きが見られんでーー」カカッ


ちゃちゃのん「大阪、こわいんじゃ……」フルフル



洋榎「ほれほれ、ちゃちゃもジャンプしてみ」ピョンッ

ちゃちゃのん「嫌じゃー! 落ちてまぅーー!!」プルプル

セーラ「そんな屋根の真ん中やったら、大丈夫やって」ゲラゲラ


洋榎「スリルは大事やで! 万引きとかと違ぅて、犯罪にならんスリルは貴重やで~~!!」ケラケラ

ちゃちゃのん「絶対に嫌じゃーー!!」ヘバリツキー





胡桃「…………」


胡桃「~~~~~~」ボソ


塞「ん? 何か言った――?」



胡桃「―――んーん、なにも」フフ





視界の端、何かを呟いちょった胡桃ちゃんの姿が……



その時のちゃちゃのんにゃぁ、何故じゃかとても印象的なモノに見えた―――――



セーラ「お、あれバイトやん」

塞「あ、ほんとだ」

洋榎「ああ、やっぱ飯とか作ってもらおう思って、強引に呼んだねん」

胡桃「ひどっ…」

洋榎「あ、でもちゃんとアイツと連れからは材料費とか取らんし」フフン

塞「そのへんはしっかりしてるんだ……」



ちゃちゃのん「連れって?」

洋榎「ああ、知らんかった?」

洋榎「アイツ、同棲しとんねん…」

セーラ「ほれ、手ぇ繋いで歩いてきとるやろ」ヒヒッ

塞「あれは絶対ルームシェアの友人どころの関係じゃないわね」



胡桃「誰か双眼鏡持ってないかな」キョロ キョロ

洋榎「アイツの観察は誰も止めんのかい!!」

塞「まぁ、ほら、私たち色気のある話題って少ないから……」ハハ





洋榎「おーい、バイトー!」 ブンブン

セーラ「ハラヘッタデー! だーっしゅ!!」

哩「!?」ビクッ

塞「あ、思わず手ぇ離した」

ちゃちゃのん「何じゃか初々しいのぅ」エヘヘ



絹恵「あ、私も見せてもろてええです?」

胡桃「もちろん」ハイ

塞「部屋から双眼鏡持ってきてくれたの、妹さんだしね」



洋榎「はっはっはー、お熱いねー!!」

セーラ「らーぶらぶやなー!!」ヒュー

洋榎「らーぶらぶ! あそれ! らーぶらぶっ!!」ヒュー ヒュー

哩「殺す! そこ動かんとけや、ぶっ殺しちゃる!!」ビシィ


胡桃「すごい ご近所迷惑だよね」

塞「あ… すっかり大阪に染まってきた先輩に、ちょっと引いてるよ後輩ちゃん」

ちゃちゃのん「可哀想じゃのぅ…」



結局、屋根の上でのバーベキューは 煙が立ちすぎるし危ないからと即中止に―――




洋榎「せやったら、近所の焼肉屋の駐車場でバーベキューパーティーとかどうや?」

胡桃「馬鹿じゃないの!!」

ちゃちゃのん「えっ、そんなんダメじゃよ~~」アセッ




店員「すみませんお客様、当店の駐車場でそのような迷惑行為は……」

洋榎「あ、はい、すみません」

セーラ「アホや~~~」ゲラゲラ

ちゃちゃのん「もぅ、それみんさいや~~」アセアセッ


セーラ「もぅ、いつも通り哩ん店でええやろ。 腹減って死にそうやで~~」グキュウゥゥー




ホンにヒロちゃんは、いつでも行き当たりばったりで



とりあえず面白そうなら、何でもかんでもやってみようっちゅう感じじゃった。



そんなヒロちゃんの行動に、ちゃちゃのんたちはいつだって振り回されっぱなしだったんじゃ。




哩「のぅ、佐々野…」ボソッ

ちゃちゃのん「哩ちゃん、何じゃ?」

哩「その、スマンかったな」

ちゃちゃのん「へっ…?」



哩「佐々野の妙な噂、洋榎に吹き込んだのは 私たい―――」

哩「ホンッマ、スマンかった!!」フカブカ

ちゃちゃのん「ちょっ、ヤメるんじゃよぉ、哩ちゃん!?」アワワ



ちゃちゃのん「ちゃちゃのん全然気にしちょらんし… むしろそのことにゃぁ、とっても感謝しちょるんじゃ!!」

哩「感謝やと――?」

ちゃちゃのん「そうじゃ… その噂のおかげで、ちゃちゃのんヒロちゃんと仲良うなれたんじゃけぇ…」

哩「…………」



ちゃちゃのん「じゃけぇ、どうもありがとの」ヘヘヘ

哩「そか、ならええんや。 本当に良かった…」フフッ




ちゃちゃのん「ほうじゃ♪ の~ 哩ちゃん…」ジロジロ

哩「何や?」

ちゃちゃのん「その… ちゃちゃのんとも、ぜひお友達になってもらえんじゃろか…?」テレテレ

哩「ん!?」


ちゃちゃのん「…ダメかのぅ?」

哩「あ、ああ… 分かった。 これからもヨロシクばい」テレッ

ちゃちゃのん「えへへ、どうもありがと~の♪」ニコッ


哩(まったく、変なヤツばい。 しかし所詮 我々は同極同士、おそらく相性の方は良くないやろな…)ジー

ちゃちゃのん(………?)ホヘ?






姫子「ぶちょー、さっき佐々野さんと 何の話ばしちょってん?」ススッ

哩「あ、いや… 大した話じゃなか… それより、私はもぅ部長じゃないと何度も――」

姫子「じゃ~ 浪人番長の方が良かですか~~?」ニッコリ

哩「あ、部長で……」タジッ



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鶴田 姫子




ザー ザー ザー

ちゃちゃのん「うひゃ~~ 急な雨じゃ~~~」バシャバシャッ

ちゃちゃのん(ん、アレって…?)



ちゃちゃのん「胡桃ちゃ~~ん♪」ダキッ

胡桃「うわぁっ!?」ドキィ

胡桃「て、ちゃちゃちゃんかぁ。 もぅ、ビックリさせないでよ~」

ちゃちゃのん「えへへ、ゴメンの~~」ビショビショ

胡桃「てか、ちゃちゃちゃん、びしょ濡れじゃない。 大丈夫?」

ちゃちゃのん「あ… 濡れた身体でしがみついたけぇ、胡桃ちゃんまで びっしゃこなってもーたかのぅ。 ごめんのぅ」

胡桃「え、あ… 私は別に大丈夫だけど……」




ちゃちゃのん「ほ~か、ほ~か。 胡桃ちゃんも哩ちゃんトコ行く途中、降られたんじゃね」フムフム

胡桃「うん。 降ってきてすぐ雨宿り始めたから、私は平気だったけど…」

ちゃちゃのん「じゃ~ ちゃちゃのんも、一緒に雨宿りしていくんじゃ♪」

胡桃(そんだけ濡れねずみになってから、雨宿りしても… あ…)ジー


胡桃「ん…」ゴソゴソ

ちゃちゃのん「ん、何じゃ?」

胡桃「はい、タオル。 ちゃんと拭いとかないと、風邪ひいちゃうよ」フキフキ


胡桃(あと、何か透けてるし……///)

ちゃちゃのん「胡桃ちゃん、どうもありがとなんじゃ♪」ヘヘッ

胡桃(この子 見てると、本当に心配になるのよね~~)フゥ



ちゃちゃのん「それにしても、突然の雨じゃったの~~」

ちゃちゃのん「ちゃちゃのん用意周到がモットーなんに、一生の不覚じゃったよ~」トホホ

胡桃「この分だと、梅雨明けはもぅちょっと先みたいだね(本人は用意周到なつもりなのね…)」



胡桃「ちゃちゃちゃんは、試験勉強は大丈夫そう?」

ちゃちゃのん「うん。 少しずつやってきたけぇ、たぶん何とかなるじゃろ」

胡桃「へ~ 感心だね。 あの行き当たりばったりにも少しは見習わせたいよ」

ちゃちゃのん「それって、ヒロちゃん?」

胡桃「そっ、アイツってば せっかくセーラが貰ってきてくれた過去問もやらずに、夏休みの旅行の計画立てたり――」



胡桃「ホンッと楽しいこと以外には興味ないっていうか… 大体いっつもテキトー過ぎるのよ!!」プンプン

ちゃちゃのん「…………」エヘヘ

胡桃「てっ、何その笑い!?」

ちゃちゃのん「あ、ゴメンのぅ。 ただ ちょっとええなって―――」

胡桃「はぁ…?」




ちゃちゃのん「前にヒロちゃん、ゆーとたんじゃ。 大学で再会した頃の胡桃ちゃん、元気なかったって――」


ちゃちゃのん「でも今は、とってもイキイキしちょるじゃろ。 それが何だか、妙に嬉しくなってのぅ♪」ヘヘッ


胡桃「あ――――」








洋榎「うーん… あん時みたいに生き生きして、喋ってほしいんやけどなあ…」



洋榎「やっぱり、岩手の仲良しさんがおらんのがあかんのやろうか――」






胡桃「――――くすっ」


胡桃(そういや 最近はあの頃ほど、高校の頃のことばっかり振り返らなくなってるかな…)


胡桃(モチロン今でも宮守のみんなのことは大切。 だけど、きっと今も大切になってきてるんだろうな―――)



胡桃(それって… やっぱりアイツや、みんなのおかげなのかな――――)




ザー ザー ザー

ちゃちゃのん「はぁ、ちゃちゃのんも もっと麻雀強ぅなりたいの~~」

胡桃「ちゃちゃちゃん 打ち方も綺麗だし、決して弱くはないと思うんだよね」

胡桃「ただ打ち方が綺麗なせいか、思考が読まれやすいのかな」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、そんなに分かりやすいんかの~~」

胡桃「まぁ、かなり… 相手のトラッシュトークにも、すぐ引っかかるし…」

ちゃちゃのん「そうなんじゃね…」ズーン

胡桃(分かりやすいな~~)




ちゃちゃのん「ちゃちゃのんにも、胡桃ちゃんみたいな気配消しとか出来んじゃろか?」

胡桃「打ち方を真似るだけなら出来るだろうけど、きっとそれだけじゃ不十分だよ」

ちゃちゃのん「そうなんか…?」


胡桃「うん、私のがオカルトなのかどうかは、ま~ とりあえずおいといて…」




胡桃「私って小さくて、昔からあんまり目立たない子だったんだ…」

ちゃちゃのん「……?」



胡桃「トヨネは… あの高身長や瞳の色なんかのせいで、よくいろんな人から怖がられて、いつも一人ぼっちだったみたい…」


胡桃「話してみればとっても優しくて良い子だって、すぐに分かるはずなのにね―――」




ちゃちゃのん「そういえば、ちゃちゃのん 豊音さんにサインをお願いされたことあったのぅ」


ちゃちゃのん「凄く良い子だったんじゃ。 ちゃちゃのんも豊音さんとお友達になれるじゃろか…」


胡桃「トヨネがそれ聞いたら『ちょーうれしいよー』って泣いて喜んじゃうかもね」フフッ

ちゃちゃのん「胡桃ちゃん、今のモノマネ なかなか似ちょったのぅ♪」

胡桃「うっ… 今のは忘れて///」





ザー ザー ザー


胡桃「トヨネはその特徴から背向のトヨネとか、山女とか言われててね…」

ちゃちゃのん「あ、この前の遠野物語の話じゃね―――」



ちゃちゃのん「豊音ちゃんって、確か凄いオカルト使いなんじゃよね?」

胡桃「トヨネのオカルトの源は、その境遇やコンプレックスにあると思うんだ…」



胡桃「前に熊倉先生が言ってたんだけど―――」

胡桃「この手の能力には生まれ育った環境だったり、本人の強い願望だったり、その人の持つ個性が強く影響するんじゃないかって――」

ちゃちゃのん「ほぇ~ そうなんじゃね…」


胡桃「ん、私やトヨネのは、たぶんコンプレックスゆえの力だと思うんだ―――」





胡桃「だから何ていうか、ちゃちゃちゃんは…」

胡桃「望む望まざるに関わらず、人の視線を集めちゃうタイプだし… ま~ 無理かな!!」キッパリ

ちゃちゃのん「うぅ、そんなキッパリと… ちょっと残念じゃ」ガッカリ

胡桃(ホント、羨ましいなぁ―――)





ちゃちゃのん「でも、胡桃ちゃんはやっぱり凄いのぅ…」

胡桃「えっ、何で…?」

ちゃちゃのん「じゃって、自分のコンプレックスを武器にしちゃったんじゃろ?」


ちゃちゃのん「きっとちゃちゃのんにゃぁ出来ん思うけぇ。 胡桃ちゃんはやっぱり凄いんじゃ…」


胡桃「ん、そんなたいそうなもんじゃないってば……」モー




胡桃「それに、私の能力なんて半端なもんよ…」

ちゃちゃのん「それって……?」




胡桃「前に清澄のマナー悪い部長さんから聞いたんだけどね…」


胡桃「ステルス桃。 卓上だけじゃなく、完全にこの世界から 気配を消し去れるみたいな人がいるんだって――」

ちゃちゃのん「ふぇぇっ、何じゃそれ!?」



胡桃「すぐ隣にいても、その存在を誰にも気付かれない。そんな体質の人なんだって―――」






ちゃちゃのん「それは… 何じゃか、ちょっと寂しいのぅ……」シュン



胡桃「ん、そうだね……」コクッ







ザー ザー ザー


ちゃちゃのん「その人のこと、しっかりと見つけてくれる人は おったんじゃろうか…?」



胡桃「どうかなぁ。 でも、そうだといいね……」シンミリ



ちゃちゃのん「胡桃ちゃんのこと、ちゃちゃのん ちゃんと見ちょるけんね」ジッ


胡桃「ん… ありがと……///」






胡桃「思えば、私の能力が半端なのは… 宮守のみんながいたからなのかな…」


胡桃「塞がいて、シロがいて、トヨネにエイちゃん、熊倉先生。 みんながいたから―――」


ちゃちゃのん「胡桃ちゃんは、完全な能力が欲しかったん…?」




胡桃「ふふっ、いらない… かな……」



胡桃「みんながいてくれたから、私は消える必要もなかったわけだし…」



胡桃「高校3年のインターハイ。 負けちゃったけど、あれは宮守のみんなにとっては 今でも最高の想い出だから―――」



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ちゃちゃのん「そっかぁ。 それは、とっても羨ましいのぅ……」


胡桃「………ちゃちゃちゃんにとっては、あんまり良い思い出じゃない?」チラッ



ちゃちゃのん「………う~ん、どうじゃろ…」


ちゃちゃのん「実はちゃちゃのんにも、よぅ分からないんじゃ」アハハ




ちゃちゃのん「それでも、あの日の巡り合わせにゃぁ 心の底から感謝しちょるよ…」


ちゃちゃのん「アレがなかったら、きっとちゃちゃのんたちは こうしてお喋り出来ちょらんけぇの~~」ヘヘヘ


胡桃「そうだね」クスッ





ちゃちゃのん「へっくちゅっ!!」ブフォッ

胡桃「ちょっと、ちゃちゃちゃん大丈夫!?」

ちゃちゃのん「うぅ~~ すっかり冷えてもうたんじゃ~~」フルフル

胡桃「ちゃちゃちゃん、鼻拭いて鼻!? あんた一応アイドルなんでしょ~~!!」フキフキ

ちゃちゃのん「うへぇ~~ いつもすまないのぅ~~」ズズッ

胡桃「もぅ、それは言わない約束でしょ…」






洋榎「…おぅ、お前ら何やっとんねん?」ジー

胡桃「雨やどり…」

洋榎「さだまさし…?」

ちゃちゃのん「とってもぬくいけぇ、胡桃ちゃんで充電中じゃ~」ベタベタ

胡桃「何か、寒いからって さっきからこの調子で…///」ベタベタ



洋榎「―――おぅ、そっか… もぅ雨やんどるでぇ……」



<筆者が勝手に選ぶ、さださんの好きな曲ベスト○○>


その時の気分で好きな順位も変わるので、特にベスト10縛りとか順位付けはありません。

さださんの曲の全てを知ってるわけではないので、たぶん筆者が知らない名曲もたくさんあると思います。

筆者の作風が重めなのは、そういう作品が好きだからだと思います(申し訳ないです)

曲コメントはてきとうに浮かんだものだけ書いてます。



前夜(桃花鳥)(トキソング。今日 改めて聴いてこのSSのテーマに近い曲だな~と思いました)
防人の詩(筆者は何故か砂の器を思い出します)
二軍選手(夢破れ組には恐ろしく刺さる曲です)
道化師のソネット(例えが多い名曲)
風に立つライオン(壮大な名曲)
精霊流し(ファフナーを思い出す、定番の名曲)
案山子(親の顔が見たくなる名曲)
距離(都会って怖いね)
初雪の頃(故郷ソング)
夢の吹く頃
坂のある町
桐の花
まほろば
マグリットの石(藤子不二雄Aさんのブラックユーモア短編にも同名のありましたね)
療養所(婆っちゃ切ない曲)
黄昏迄
極光(オーロラソング)
Birthday
夢一色
遥かなるクリスマス
償い(暗黒動揺チコタンとならぶ名曲。ドライブ中に聞くとシビレるご機嫌なナンバー)


秋桜(山口百恵さんで有名ですが、元々さださんが提供した曲です)
ほおずき
椎の実のママへ(馬鹿野郎! なんでこんな歌詞を書いた! 言え!!)
雨の夜と淋しい午後は
雨昴(雨やどり+昴)さださんと谷村さんの薄い頭のネタソング



尚 筆者がさだソングにハマったきっかけは

CD田中という某ラジオの1コーナーからという、不純な理由です。





後日―――


試験期間も終了し、季節はいよいよ夏!!





ジャラ ジャラ ジャラ ジャラ…


洋榎「いや~ 試験明けのこの開放感、やっぱサイッコーやで~~!!」イヤッホーイ

ちゃちゃのん「結局 ロクに勉強せんかったクセに、よぅゆーんじゃ…」

胡桃「…………」充電中



塞「何か、胡桃とちゃちゃのん、ずいぶん仲良くなったよね」

ちゃちゃのん「えへへ、そうじゃたら嬉しいのぅ~~///」テレテレ

胡桃「ちゃちゃちゃん柔らかいし、とっても良い匂いする…」充電中



洋榎「いつまでもちゃちゃの膝上おらんで、はよ自分の卓に戻れや! 四人なのにサンマになってまうで!!」

胡桃「これは私の人間椅子だから大丈夫」ツブス…

ちゃちゃのん「えっ!?」

洋榎「自分、いつものマナーはどこいったんや!!」




ワイ ワイ ガヤ ガヤ


塞(フフッ… ホント。 胡桃が私たち以外とこんなに仲良くなるなんて、ちょっと驚いたかも…)


塞(ま~ シロも関東の大学で色々と頑張ってるみたいだし、こうやって胡桃の世界が広がるのは良いことだよね…)


塞(ま… ちょっぴり、寂しい気もするけどさ……)





夏休み、みんなといっぱい遊びた~~い!!


そう思っとったんじゃが、アイドルにとって この時期はとっても忙しい。




痩せぎすの男「ちゃちゃのん、応援してますね~~」

ちゃちゃのん「どうもありがとなんじゃ~~♪」アクシュ アクシュ


小太りの男「ちゃちゃのんの水着姿! ちゃちゃのんの水着姿~~!!」パシャパシャ

ちゃちゃのん「うぅ、ちょっと恥ずかしいんじゃが、可愛く撮ってのぅ…」エヘヘ


クレバーなサム「応援、している―――////」

ちゃちゃのん「うん。 どうもありがとね~~~♪」フリフリ





チハヤ「ちゃちゃのん、そ~~れ!」パス

ちゃちゃのん「よし、アタックじゃ!!」タタッ

ちゃちゃのん「ふぎゃっ!!」ズルッ ベチャ…


チハヤ「あはは、ドンマイ…」

ちゃちゃのん「うぅっ、足元にワカメが… チハちゃん、ゴメンのぅ…」ウウッ

チハヤ「来年、また頑張ろ♪」

ちゃちゃのん「うん、来年こそは2回戦進出じゃね♪」





そんなこんなで、みんなと会えないまま、夏休みはあっちゅう間に過ぎていった…


まるで時間を飛ばされたのかと錯覚するほど、あっちゅう間に――――




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ちゃちゃのん(は~ 今日もお仕事 疲れたんじゃ…)ベッドニ ポフッ


ちゃちゃのん(でも、とっても充実した毎日じゃったかのぅ……)


ちゃちゃのん(仕事を出来んかったあの頃を思えば、これはイヤな疲れではないんじゃろう――)




ちゃちゃのん(でも、何かが足りん気がするんじゃ……)


ちゃちゃのん(ヒロちゃんたちは、夏休み何しちょったんじゃろか―――)






♪~ チャン チャン チャン チャラランラ…


ちゃちゃのん(あっ、ヒロちゃんからのメールじゃ…)


ちゃちゃのん(へ~~ 夏休み、胡桃ちゃんと哩ちゃんと沖縄旅行したんか~~♪)


ちゃちゃのん(え~な~~ ちゃちゃのんも、行きたかったんじゃ……)




ちゃちゃのん「はぁ、夏休み… 結局、みんなとは殆ど遊べなかったのぅ…」



洋榎「おぅ、待っとったで~~」ヨッ

ちゃちゃのん「あっ、ヒロちゃん! 久しぶりじゃの~~♪」テテテッ



洋榎「何や、毎日 水着で巡業しとったっちゅうわりに、あんま日焼けとかしとらんのやな」

ちゃちゃのん「そりゃぁ、日焼け止めはしっかりしちょるけぇのぅ」


ちゃちゃのん「ヒロちゃんこそ、沖縄旅行したっちゅうわりに ちっとも焼けちょらんね?」

洋榎「ま、ま~な… 通は はしゃがず、敢えて屋内レジャーやねん…」ハハハ

洋榎(結局、マクドで延々だべっとっただけなんやけどな……)

ちゃちゃのん「ん………?」





ちゃちゃのん「そんでヒロちゃん、今日はどうしたんじゃ?」

洋榎「おぅ、ま~ 今日は胡桃たちとも都合つかんかったんでな。たまには自分に付き合ってやろ思ったんや…」



洋榎「まっ、どうせヒマなんやし。 買い物くらいなら付きあったるで~~」

ちゃちゃのん「へへっ、それは楽しそうじゃね♪」



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ちゃちゃのん「にしても、ヒロちゃんは相変わらず、お洋服のバリエーション少ないのぅ」

洋榎「え、ええやん別に!! そんなのキャラ付けやキャラ付け!!」

ちゃちゃのん「何じゃ、そりゃぁ?」


洋榎「ツインテキャラが急にポニテにしたり、メガネっ子がコンタクトにしたり。 そういうのキャラを大事にしない言うやろ」

洋榎「せやから このいつもの変わらん洋服も、ウチのキャラの一部やねん。 藤子先生んキャラみたいなモンやで!!」

ちゃちゃのん「そんなことゆーて、相変わらずお母さんに 買うてきて貰っちょるだけなんじゃろ…」

洋榎「やっかましいわい!!」




ちゃちゃのん「そうじゃ♪ ほんなら今から、ちゃちゃのんがヒロちゃんのお洋服 コーディネートしちゃダメじゃろか?」

洋榎「―――!?」

洋榎「ま、ま~ ええけど… 自分のみたいな、そういうヒラヒラしたのとかは無しやからな。 ハズいわ///」

ちゃちゃのん「うん、了解じゃよぉ♪」エヘヘ





イラッシャイマセーー


洋榎「う~~ やっぱこういう着なれん格好は、恥ずかしいで…///」

ちゃちゃのん「そんなことないんじゃ。 カジュアルでいてちょっぴり大人可愛い感じが、とっても似合っちょるよ~~」ヘヘヘ


洋榎「大体、こういうのは絹みたいのが着た方がやな…」ブツブツ

ちゃちゃのん「ヒロちゃん、気付いちょらんだけで、本当はとっても可愛いんじゃから。 もっと自信持って大丈夫じゃよ~♪」


洋榎(何やろ、コイツに諭されるとか。 メッチャ調子狂うで……///)



デートとは違うけぇ、仲の良いお友達とのショッピングじゃ。



こういうのを、きっとささやかな幸せってゆーんじゃろうね―――





洋榎「おっ… ちゃちゃ、この雑誌に載っとんで~」ホレ

ちゃちゃのん「あっ、うん。 この前、秋服モデルの仕事をやったんじゃ…」




ワイワイ ガヤガヤ プップーー


洋榎「ん、あの人だかりは何やろ?」

ちゃちゃのん「ん~ 何じゃろう。 警察の人とかも結構おるみたいじゃね…」

洋榎「何や この辺も物騒になってきたから、気をつけんとアカンなぁーー」

ちゃちゃのん「うん、そうじゃね……」




カラン コロン…


洋榎「おっ、なかなかええ感じの雑貨屋やん」キョロキョロ

ちゃちゃのん「じゃろじゃろ、ちゃちゃのんもこの前見つけたばかりの、お気に入りのお店なんじゃ!!」

ちゃちゃのん「可愛いオルゴールとか、絵はがきなんかも色々あるんじゃよ♪」



洋榎「うぉっ、あっちの古着コーナー見てみ!! あの謎の玩具師TOY魔人さんデザインの サザエボンTシャツあんで~♪」ポケボン、テツワンナミヘイモ…

ちゃちゃのん「あ、本当じゃ。 ちゃちゃのん、初めて見たんじゃ…」ビミョー…

洋榎「このナイスバッタ感、やっぱサイコーやな!!」ドヤッ

ちゃちゃのん「えっ、ちゃちゃのんは別に……」


洋榎「おー、ちゃちゃ。 ウチがサザエボン着るから、自分はキティボンで、この後 そのへん練り歩こうや?」

ちゃちゃのん「えっ、これ着るん? テンション上がった修学旅行生みたいで、ちゃちゃのんはイヤじゃよぅ…」アセッ

洋榎「ちぇっ、ノリの悪いやっちゃな!!」

ちゃちゃのん「ちゃちゃのんは、別にノリとかテンションでは生きとらんけぇのぅ……」



洋榎「――――ちゃちゃ、何か欲しいモンとかあるか?」


ちゃちゃのん「ん…?」


洋榎「まぁ、今日は洋服のコーデとか色々してもろたしな。 ま~ 一応、お礼くらいはさせろや…」



ちゃちゃのん「ヒロちゃん―――」






ちゃちゃのん「そうじゃのぅ、それじゃぁ…」トコトコ



ちゃちゃのん「ちゃちゃのんは… これが良いんじゃ♪」ソッ



洋榎「―――いちごのヘヤピン?」


ちゃちゃのん「ん―――――」コクッ





洋榎「何や、ずいぶんやっすいモンでええんやな…」



洋榎「そりゃ ロクにバイトもしとらん身やし、あんまお高いもんねだられても困るんやが―――」


洋榎「もぅちょっと位なら、出せるんやで?」



ちゃちゃのん「ん~ん… ちゃちゃのん、これがええんじゃ―――」


洋榎「ま、別にええねん。 ちょっと待っとれ…」ポリポリ




アリガトーゴザイマシターー


洋榎「ほい、安モンのプレゼントやで~~」



ちゃちゃのん「うん、どうもありがとの――――」エヘヘ




洋榎「そ~いや ちゃちゃはゼミどうするか、もぅ決めたんか?」

ちゃちゃのん「ん、ま~ 一応の。 説明会いくつか行ったんじゃが、一番興味あったトコに行こうかなって思っちょるよ」


洋榎「それってどんなゼミなんや? 面白そうなん?」

ちゃちゃのん「ん~ 秘密じゃ。 ま~~ ちょっと面白そうではあったかのぅ…」

洋榎「ちぇっ、ケーーーチ!!」


ちゃちゃのん「だって、何だか少し恥ずかしいし……」

ちゃちゃのん「それよりもヒロちゃんはどうするんじゃ?」

洋榎「ウチか、ウチはそこまでやりたいこともないからなぁ。 ま~ 予定は未定やな!!」カカッ

ちゃちゃのん「ふぅ、どうせそんなことじゃと思っちょったよ…」




洋榎「あ~ 出席しなくても平気なうえに、卒論も楽なトコどっかにないやろか」メンド


ちゃちゃのん「たぶん、無いんじゃないかのぅ…」モー




ヒロちゃんは相変わらずじゃ……





たくさんの空想はするものの


将来の自分の姿がイマイチ想像出来んでいた。



このままアイドルとして、ずっとやっていけるんじゃろうか。



それとも、将来はプロの雀士として やっちょるんじゃろうか。





ちゃちゃのんにゃぁ、そうと信じられるほどの 確固たる自信なんてないしのぅ。



じゃけぇ今やれることを頑張って、その時のために自分の可能性を少しでも拡げておけたらと思っちょるんじゃが。






時計の針は、今も時を刻み続けちょる。



ちゃちゃのんたちも、いずれは大人になっていくんじゃよね。




大人になるとゆーことへの言い知れん不安、周りから置いていかれることへの焦り。





ちゃちゃのんは――



そん時になって、本当に何かを選ぶことが出来るんじゃろうか――――





ついついしてしまう自問自答。



うん、今はまだ考えないでおこうかの。



きっと、答えなんて出るはずもないんじゃ――――










ちゃちゃのん「えへへ、いちごのヘヤピン… 似合うじゃろか?」チラッ



眠りにつく前。



誰に見せるわけでもなく、一人こっそり鏡の前でオシャレしてみる。




不思議と不安な気持ちが和らぎ、幸せな気持ちで 眠りにつくことが出来たんじゃ――――





【いちご日記】


9月××日(くもり)



ヒロちゃんとのお出かけ、とっても楽しかったけぇ。



胡桃ちゃんや、塞ちゃん、せーちゃん、哩ちゃん。



みんなが一緒じゃから、きっといちごは幸せなんじゃ♪




こんな幸せな時間が、いつまでも続けばええのぅ―――





今日、ヒロちゃんにいちごのヘアピンを プレゼントしてもらったんじゃ



いちごのおめかしした姿、婆っちゃにも見せてあげたかったのぅ――――





可愛ええって、ゆーてくれるじゃろか――――?





老人「ありゃ~ まぁた、いちごちゃんの勝ちじゃのぅ」


いちご「も、もぅ 一回… ええ じゃろか……?」ワクワク


老婆「カッカッカ… ホンにちゃちゃのちゃんは 麻雀が大好きじゃの~~」カッカッ




いちご「えへへ… いちごは、大きくなったら… プロのまあじゃんの人になるんじゃ… よ…」テレテレ


老人「ほぉ、プロか? そいつは凄いんじゃの~~」





老婆「あのキラキラんアイドルさは、もぅ ええんか?」


いちご「あぅ… ア、アイドルさんにも… なるん… じゃよぉ…」テレテレ




いちご「そんで… いつか、王子さまに… 見つけてもらうんじゃ…」エヘヘ


老人「んぁ、王子さまぁ?」





老婆「カッカッカ… 最近、ちゃちゃのちゃんは シンデレラの絵本に夢中らしいわ!!」カカッ



いちご「うん… 王子さまが… いちごをむかえに、来てくれるんじゃ……///」エヘヘッ


老人「いちごちゃんはホンに欲張りじゃの~~」


老婆「ヒヒヒ… 子どもん頃は、そんくらいでエエじゃろ!!」





老婆「夢、叶うとええのぅ――――♪」ナデナデ



いちご「う、うん―――///」











【咲-Saki- SS】 大学編 -いちご味-



ちゃちゃのん「おかえりなさい」









第一章 GOOD DAY









カンッ!






【幕間】




~ 佐々野いちごの『チャチャのんのん☆Radio♪』~





ちゃちゃのん「皆さん、こんばんはなんじゃ!!」



ちゃちゃのん「えっと、これにて出会い編となる、第一章は終了じゃよ」


ちゃちゃのん「なっ… なんじゃか、とっても照れくさいのぅ~~///」テレッテレー



ちゃちゃのん「これから少しこの幕間を挟んで、その後に第二章の開始じゃね♪」




ちゃちゃのん「因みにこの幕間は 佐々野いちごの『チャチャのんのん☆Radio♪』として、筆者が語りたいことを語ったり…」

ちゃちゃのん「本編では登場しちょらんキャラクターをゲストさんとしてお呼びしたりする、ま~ 完全な息抜きの場じゃね」


ちゃちゃのん「なおこのラジオは海と大地と時の狭間に存在するものらしいんで、ここでの登場人物と本編の登場人物は 基本的には関係ないそうじゃ」


ちゃちゃのん「当然 キャラ崩壊も激しくなると思うんで、そういうのが嫌いな人は 完全スルーでヨロシクの~」ペコリン





ちゃちゃのん「それではさっそくじゃが、今回のゲストさんをお呼びしたいと思うんじゃ!! どうぞ~~~♪」テッテレー


やえ「どうも、元晩成高校 麻雀部部長の小走やえだ。佐々野いちご、今日はヨロシク頼むぞ」バーン

ちゃちゃのん「キャー 本物のやえちゃんじゃ~(≧∇≦)♪ やっぱりカッコイイんじゃ~♪」キャッキャッ


やえ「ふっ、奈良県個人1位は伊達ではないのだよ」




ちゃちゃのん「ちゅうわけで、今回のゲストさんは みんな大好き小走やえちゃんじゃよ♪」


ちゃちゃのん「と、まぁ… 呼んでおいてなんじゃが、何でやえちゃんがゲストさんなんじゃろうね…?」ハテナ?

やえ「きさま、ニワカか!!」

ちゃちゃのん「ひっ!?」ビクゥッ


やえ「失礼。とりあえずノルマは果たしておこうと思ってな」

ちゃちゃのん「ノルマ…?」




やえ「私がゲストの理由か、それはお互いせんぱ… いや、私が王者だからに決まっているだろう」キッパリ

やえ(大体、私は結果としてプラス収支だったわけだし―――///)ムムムッ



ちゃちゃのん「この王者の風格。 努力と実力に裏打ちされた、カッコたる自信にゃぁ ちゃちゃのんも憧れるんじゃ♪」

やえ「ふふん、まっ 当然ね…///」テレッ




ちゃちゃのん「えへへっ」ジー

やえ「……………」

やえ「おい、進行…」ポソッ

ちゃちゃのん「おっと、ちゃちゃのんうっかりしとったんじゃ…」ヘヘッ

やえ(こいつメインで本当に大丈夫か…?)



ちゃちゃのん「えっと… 小走先輩がゲストの理由は、ヒロちゃん以外でちゃちゃのんと絡ませるんなら――」ヨミヨミ

ちゃちゃのん「やっぱり小走先輩かな… という筆者のイメージから… だそうじゃ…」ヨミヨミ

やえ「棒読みヤメろ―――」オイッ




ちゃちゃのん「ちゃちゃのんたちにその記憶はないが、きっとインターハイの時に どこかで会ったことがあるのかもしれんのぅ~」

やえ「ああ、もしかしたらそんな世界がどこかにあったのかもしれないな」



ちゃちゃのん「そこではちゃちゃのんとやえちゃんは恋に落ちたり、ケーキを食べさせあったりしとるかもしれんよぉ///」テレッ

やえ「私がお前のクリを食べ、お前が私のいちごを食べているかもしれないぞ…」フフッ

ちゃちゃのん「えっ、何でそんな具体的―――」コワイッ

やえ「そこで引くんじゃない」コノヤロ



やえ「時に、お前はいちご牛乳は好きか?」

ちゃちゃのん「うん、大好きじゃよ♪」

やえ「そうか… 因みにただ聞いただけだ」ドヤ

ちゃちゃのん「えっ、何で―――」



ちゃちゃのん「ほ、程よくグダって来たのでそろそろ、お便りコーナーに入ろうかの~」アセッ


やえ「あぁ、進めてくれ」



ちゃちゃのん「岩手県 ラジオネーム『クルミ割らないでよ人形』さんからのお便りじゃ♪」



ちゃちゃのん「え~ 何故か本編で『知っているのか雷電!?』的な便利キャラ扱いされてます――」ヨミヨミ

ちゃちゃのん「私、別にそんなキャラじゃないんですけど。 正直、気持ち悪いです。 バカじゃないの」ヨミヨミ



ちゃちゃのん「えっと、らいでん…? そもそもこれは何の話じゃろ…?」

やえ「ふっ、ニワカは相手にならんよ」

ちゃちゃのん「知っているんか やえちゃん!?」

やえ「うむ」



やえ「お前を含めレギュラー陣がバカばかりだからな。 だから比較的常識人なヤツに、そういう解説役が押し付けられたのだろう」シレッ

ちゃちゃのん「えっと、何か色々と酷くないかのぅ…」


ちゃちゃのん「まぁ、確かにヒロちゃんやせーちゃんはアレじゃけぇ、塞ちゃんは物知りそうなイメージあるじゃろ」

やえ「あ~ あの限りなく透明に近い何かか… アヤツは今のところほぼ空気――」

ちゃちゃのん「ちょ~~~ 何を言っとるんじゃ!?」アセッ



やえ「宮守勢はオカルトキャラも多く熊倉師父の影響もあって、そっち方面の知識があってもそれほど違和感ないからな」

やえ「あと、たぶん本来解説役に回る予定だった 臼沢の出番が予想以上に少なくなったから――」

ちゃちゃのん「だから、それ以上はヤメるんじゃ~~~!!」ワー

やえ「はい、答えたぞ」



ちゃちゃのん「ど、どうもありがとなんじゃ。 塞ちゃんゴメンの~~」



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ちゃちゃのん「東京都 ラジオネーム『原作至上主義』さんからのお便りじゃの♪」



ちゃちゃのん「ちゃちゃのんって、こんなアホでしたっけ?」ヨミヨミ

ちゃちゃのん「私が思う原作ちゃちゃのんと、だいぶイメージ違うんですが…」ヨミヨミ


ちゃちゃのん「うぅっ… ちゃちゃのん、別にアホじゃないんじゃ……」



ちゃちゃのん「でも、そう感じたんなら、それについては もぅゴメンなさいとしか言えんかのぅ……」シュン

ちゃちゃのん「理由は、やっぱり筆者の力不足による所が大きいんじゃろうね」

やえ「ま~~ 方言も完璧エセだしな」

ちゃちゃのん「そりゃぁ筆者が地元人じゃないけぇ、ニュアンスとかもよぅ分からんし……」ゴメンノ



ちゃちゃのん「方言については筆者の勉強不足と、そこまで拘る時間も余裕もなかったっちゅうのが大きな理由かのぅ」

ちゃちゃのん「それに仮にネイティブな方言が出来たとしても、広島弁 分からん人が理解出来ん会話になってまったら それはそれでマズイしのぅ」

ちゃちゃのん「女の子の広島弁すごく可愛ええと思うんじゃが、時々シーンと語感が合わんような場面もあって」

ちゃちゃのん「そういう時は凄く悩むんじゃが、若干変えたり、使わんかったり、書いては消して、書いては消して―――」

ちゃちゃのん「何度もそんなことばかりしちょったせいで、仕上げの時間も足りなくなるし、統一感もなくなるし(涙)」ウウウゥ…

ちゃちゃのん「ま~ そういうどうでもええ事情みたいのあって、今のカタチになっちょるそうじゃよ……」



やえ「ま~ ただのクソみたいな言いわけだがな……」

ちゃちゃのん「うん、まぁ~ そうなんじゃけどね……」シュン



ちゃちゃのん「あとこの作品は『咲 本編』ではなく、あくまで『胡桃と洋榎の大学SS』を原作にしちょるけぇ――」

ちゃちゃのん「各キャラクターの設定や喋り方なんかは、基本的にゃぁ そっちを参考にさせて貰っちょるかのぅ」


ちゃちゃのん「もっと言うとちゃちゃのんの性格は、大学SSとやきうスレを基本部分の7として―――」

ちゃちゃのん「残りの3は、松来さんがこれ迄に演じられてきたキャラの要素を、色々と取り入れた『ハイブリッドなちゃちゃのん』になっとるそうじゃ」


ちゃちゃのん「具体的にどのキャラの性格が反映されちょるのかとか、想像してみるのもマニアックな 通の楽しみ方かもしれんね♪」

やえ「そのレベルの通とか、どんだけ少数派なんだか…」



ちゃちゃのん「ま~~ SS作品ゆーのは初めから原作とは別モンなわけじゃし、そういうのを前提として」

ちゃちゃのん「原作は原作で当然素晴らしいけれど、これはこれでま~ 良いんじゃないくらいに思って」

ちゃちゃのん「一緒になって 前のめりに楽しんでくれたら、とっても嬉しいと思うわけじゃが――――」


ちゃちゃのん「ま~ 無理なものは無理かもしれんけぇ、あとはご本人さんの判断にお任せするしかないんじゃけどね」ペコリン


やえ「ま~~ だいぶメタな話をしたが、そういうことみたいだな―――」



やえ「大体 こんなニワカに優しくない話を、読んでくれる変わり者なんて本当にいるのか?」

ちゃちゃのん「ま~ そのへんは考えても仕方ないけぇ、今は頑張って最後まで書ききる努力をするんじゃ♪」




ちゃちゃのん「え~~と、続いては大阪府 ラジオネーム『おつお(本名)』くんからじゃ。本名なんじゃね?」

やえ「変な名前だな」

ちゃちゃのん「いやいや、そんなん言ったらイカンじゃろ。 ちゃちゃのんは素敵な名前じゃと思うぞ♪」


ちゃちゃのん「レモンさん、こんにちは。 いや、いちごじゃけぇ…」



ちゃちゃのん「えっと、ボクには二人の姉がいます。そしてオトンは女の人で、上の姉と同い年です」ヨミヨミ

ちゃちゃのん「因みにオカンはオトンが女子高生の時の部の顧問だったそうで、その時に出来ちゃった子がボクだったそうです」ヨミヨミ

ちゃちゃのん「複雑な家族ですけど、ボクもみんなも支え合いながら お互いのことを大事に思っています」ヨミヨミ

ちゃちゃのん「でも最近 小学校のクラスメートたちから、お前の一族呪われとるで~っとよくバカにされます――」ヨミヨミ

ちゃちゃのん「一体 ボクはこれから、どうしたらいいんでしょうか…」ヨミヨミ



やえ「………」

ちゃちゃのん「コレ、ちょっと重いのぅ。 あと、何か理解不能で頭が痛くなってきたんじゃが…」

やえ「まぁ、心配しなさんな」

ちゃちゃのん「そっ、その心は…?」

やえ「私は小3の頃からマメすらできない」


ちゃちゃのん「えっと、それはどういうことじゃろ?」

やえ「ツライのは最初のうちだけということだ。 あと私は凄い―――」


ちゃちゃのん「えと、今はツライかもしれんけど、家族のみんながおったらきっと乗り越えていける―――っちゅうことじゃな…?」


ちゃちゃのん「おつお(本名)くん、家族を大切にして強く生きていくんじゃよ~~」フリフリ



ちゃちゃのん「こんな答えで、本当に大丈夫だったんじゃろか…」オズオズ

やえ「こんなアホみたいなラジオの1コーナーで、そこまで面倒みれるものかよ」

ちゃちゃのん「―――な、なんちゅうことを!?」ヤメテッ





ちゃちゃのん「それじゃぁ、続いては北海道 ラジオネーム『DD』さんからのメールじゃ。どうもありがとの♪」


ちゃちゃのん「新キャラ増えたし、ちゃちゃのんのファンやめます」ヨミヨミ

ちゃちゃのん「……………」ズーン

やえ「ニワカか?」



ちゃちゃのん「ちゃちゃのんもなぁ、こうゆーのがファンの中での一種の愛情表現っちゅうんは分かっとるんじゃ…」

ちゃちゃのん「それは別に良いんじゃが、ちゃちゃのんノミの心臓じゃけぇ…」

ちゃちゃのん「誰かに嫌われたんじゃないかと不安になって、やっぱりちょっと悲しくて、傷つくんじゃ…」ウゥッ



やえ「愛情表現…? 単純にお前のことが嫌いになっただけではないのか…?」

ちゃちゃのん「そっ、そんなことはないんじゃ!?」

ちゃちゃのん「な、ないはず… ないと、思う… なかったら、ええんじゃが―――」シクシク



やえ「え~い、鬱陶しい!! その程度のことでメソメソするんじゃない!!」ケリッ

ちゃちゃのん「あいたっ!? ちょっ、ヤメッ… 痛っ、本気で痛いんじゃ!?」ゲシゲシ ゲシゲシ


やえ「勝手に去る者など相手にするな。 むしろその倍ファンを増やすよう精進せんか!!」タワケガ!!

ちゃちゃのん「うぅ、分かったんじゃ。 やえちゃんありがとの…」イタタ…



ちゃちゃのん「でもたとえ愛情表現の一種だとしても、それを見た同じファンの子が傷つくこともあるけぇ」

ちゃちゃのん「使いどころはちゃんと考えて、出来れば○○のファンになりますの方をメインにしてあげて欲しいのぅ…」

ちゃちゃのん「どうかみんなに優しく、ファンの子同士仲良くのぅ♪」フリフリ



やえ「腹パン…」ボソッ

ちゃちゃのん「ひっ!?」ビクゥッ

やえ「ん、どうかしたか?」

ちゃちゃのん「あっ、イヤ… 別に何でもないんじゃ―――」ビクビク





ちゃちゃのん「お次は長野県 ラジオネーム『ヒグラシかなかな』さんからじゃ。 どうもありがとの♪」


ちゃちゃのん「あたしはお前らのことなんて よく知らないし!!」ヨミヨミ

ちゃちゃのん「でもキャプテンがメールしてみたらって言うから、仕方なくするだけなんだし!!」ヨミヨミ

やえ「ふん、ニワカか…」


ちゃちゃのん「キャプテンがお前らに料理をご馳走したいって言うんで、招待してあげるだけだし!」ヨミヨミ

ちゃちゃのん「華菜ちゃんはもぅ誰にも負けないから、今度 麻雀で勝負だし!!」ヨミヨミ

ちゃちゃのん「て、華菜ちゃんって 言っちゃっとるんじゃ…」アリャリャ



やえ「風越の猫又娘からの挑戦状か、面白い――」ニッ

やえ「よし、今から乗り込むぞ! もちろんお前も一緒に行くぞ、いちご!!」スック

ちゃちゃのん「えっ、今から!? じゃってまだオンエアー中―――」アセッ

やえ「後は例のオクラ入りフィルムの音声部分でも、てきとうに流しておけば良いだろう! さっ、行くぞ!!」

ちゃちゃのん「えっ、アレ―――?」スタッフサン?


ちゃちゃのん「あ、ええんじゃ…」バカナ…



ちゃちゃのん「そっ、そんなわけで今回の『チャチャのんのん☆Radio♪』は これにてシマイじゃ!!」アセアセッ

ちゃちゃのん「色々とグダグダじゃったと思うが、ホンの少しでも楽しんで貰えたじゃろか?」

ちゃちゃのん「それじゃ 音声の後の本編 第二章『愛が咲いた日』の方も、楽しんで貰えたらとっても嬉しいんじゃ―――」


ちゃちゃのん「じゃあの♪」フリフリ





やえ「いちご、遅いぞ~~~!!」

ちゃちゃのん「やえちゃん、ゴメンのぅ!!」アワワッ



やえ「ほら、私の手を握ると良い」スッ

ちゃちゃのん「あ、うん…」



ちゃちゃのん(やえちゃんの手、とっても力強くて温かいんじゃ…)


ちゃちゃのん(やえちゃんに手を引かれて走ったことが、前にもどこかであったような気がするのぅ…)



ちゃちゃのん(でもそれは、きっとここではない どこかなんじゃな―――)




ちゃちゃのん「やえちゃん、ありがとの―――」ギュッ


やえ「ん、あぁ… 気にするな――――」ギュッ


タッタッタッタッ…





カンッ!



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【オクラ入りフィルム・音声部分】



洋榎「近道したところ、足がミゾにはまってもうたんや」




突然やけど、ウチの名前は愛宕 洋榎(超絶☆美少女である)


高校の頃は麻雀部の部長とかして人望もあり、チーム不動のエースやった(有り余る才能がコワイでホンマ)



これはそんな西の天才セサリスト・愛宕 洋榎ちゃんの身に起きた 忌まわしき事件である――――





今 ウチは、とっても困っとる。


大学の帰り道、知り合いの店に行こう思って近道したところ、足がミゾにはまってもうたんや。



洋榎「ぬ、抜けへん。 全く何やねん、この状況…」クッ

洋榎「しかもこんな日に限って、ケータイ忘れるとはなぁ…」アカン

洋榎「何や よー分からんのやけど、この状況は非常にヤバイとウチのセブンセンシズが囁いとんで…」


洋榎「かと言って、こんな裏道に誰も人なんて来るわけが―――」




がさっ…

洋榎「て、さっそく誰か来たやん!?」ナゼッ!?


洋榎「あっ! あんたは!?」

ちゃちゃのん「!?」



洋榎「て、ちゃちゃかぃ…」ハァ

ちゃちゃのん「およよ… ヒロちゃんじゃ。 こんなトコで何しちょるんじゃ?」


洋榎「見て分からんのかい! 足がミゾにハマってもうたんや…」

ちゃちゃのん「あ、ホンマじゃ…」ジロジロ



ちゃちゃのん「フムフム…」ウロウロ

洋榎「何をいつまでも見とんねん! 早よ助けてーな!!」

ちゃちゃのん「あ、うん… そうじゃったの。 見事なハマり具合に、ちゃちゃのん見惚れてしまったんじゃ…」ウッカリジャ


洋榎「何や自分、いつも以上に変やで…?」


ちゃちゃのん「とりあえず、ちゃちゃのんは どうしたらええんじゃろ―――?」






洋榎「あ、ま~ とりあえず 電話持っとるんなら貸してくれや?」チョイチョイ


ちゃちゃのん「ほーか、ほーか、ヒロちゃんの足を引っ張ればええんじゃな―――」フムフム

洋榎「ん、そんなこと言ってへんけど…?」



ちゃちゃのん「ヨイショっと…」


グイーーーーー


洋榎「あいたたた~~~~っ!! 痛い、痛い、痛いわ、ボケェ!!」

ちゃちゃのん「あっ、ゴメンの」パッ

洋榎「痛った~~~ 自分、ホンマ何やねん!!」

洋榎「誰も無理やり引っ張れなんて言うとらんやろ!!」

ちゃちゃのん「スマンのぅ…」テヘヘ



ちゃちゃのん「あ、そうじゃ… ちゃちゃのん名案を思いついたんじゃ!!」ポンッ

洋榎「おっ、何や何や?」




ちゃちゃのん「―――聴いて下さい、ちゃちゃのん音頭♪」

洋榎「はい…?」



ちゃちゃのん「いちごのように~ かわいくて~♪」

洋榎(うぉっ、コイツ 突然に歌い出しおったで!?)



ちゃちゃのん「いちごのように~ 甘酸っぱい~♪」

洋榎「おぅ、ちゃちゃ… 自分 ホンマどうしたんや? 今日の自分、マジで何やおかしいで?」ゾッ



ちゃちゃのん「それがいちごの、生きる道~~~♪」

洋榎(ヤバイ。コイツ誰かに操られとるみたいに、まるで瞳に光が宿っとらん―――)ブルブル



~~~~~~~~~~~♪



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ちゃちゃのん「ちゃちゃのん音頭、どうじゃったかの?」ワクワク


洋榎「あ… ええんちゃうか(とりあえず、刺激せんようしとくか…)」ハハッ

ちゃちゃのん「ほうじゃろ、ほうじゃろ♪ ちゃちゃのんみたいに、かわええ歌じゃろ~♪」ニッコニコ

洋榎「…せやな」イラッ



洋榎「そんなことより、早よ助けて~な…」

ちゃちゃのん「そんなこと―――?」

洋榎「あ、メッチャええ歌やったで~ もぅ全米のウチが泣いたんちゃうか!!」ヘヘヘ

ちゃちゃのん「ほうじゃろ、ほうじゃろ♪ ちゃちゃのんみたいに、かわええ歌じゃろ~~♪」ニッコニコ

洋榎(殴りてぇ…)イライラッ



ちゃちゃのん「とりあえず、もぅ一回 引っ張ってみようかの―――」ズイッ

ズボッ


ちゃちゃのん「あ…」

洋榎「あ…」



ちゃちゃのん「ん、しょ…」グイグイッ

ちゃちゃのん「へへへっ、ちゃちゃのんの子鹿のような足も、ハマってもうたみたいじゃ…」テレッ

洋榎「自分、ホンマふざけんな!! マジで何やねん!!」

ちゃちゃのん「えへへ、ちゃちゃのんはうっかりさんじゃけぇ…」テヘペロッ

洋榎(こんのド畜生がぁ~~~~)ブルブル



洋榎「自分、もぅええわ。 とりあえずケータイ貸し、レスキューでも呼べば何とかなるやろ」

ちゃちゃのん「残念ながら、バッテリー切れじゃ…」

洋榎「―――使えんヤツやな」ボソッ

ちゃちゃのん「今、なんか言うたじゃろ…」

洋榎「別にぃ…」





洋榎(はぁ~~ マジでどないしよ。 こんな裏道、普通 誰も通らんやろ~し……)


ちゃちゃのん「はぁ、ちゃちゃのんの優しすぎる心が あだになってしまったのう…」ヤレヤレジャ

洋榎「…………」イラッ



洋榎(しかも一緒におんのが、こんな突然歌い出すような 頭クルクルパーのアホたれやで……)


洋榎(あぁ~~ 絹ぅ~~ 助けてくれ~~~~)

洋榎(今度ブラジル人で住所不定の天然パーマおじさん、家に居候させてあげたい言うても反対なんかせんから~~~)



ガサッ

絹恵「――あれぇ、お姉ちゃん。 こないなトコで何しとるんや?」

洋榎「おわっ!? 何で絹がこないなトコに!!」

絹恵「何でやったかなぁ、気がついたら いつの間にかこんなトコに来とったわ……?」


洋榎「なんやそら。 まぁ~~ 今は何でもええわ―――」

洋榎「早く、ここから助けてくれへんか!? 足がミゾにハマってもぅたんや!!」(懇願)

ちゃちゃのん「ちゃちゃのんからも お願いじゃ~~!!」(同上)



絹恵「あれ、もしかして佐々野 いちごさん!?」

ちゃちゃのん「うん、ちゃちゃのんは 佐々野いちごじゃよぉ~~♪」


洋榎「おっ、おい、絹!? 佐々野とか、どうでもええから―――」オイオイ

絹恵「お姉ちゃん、私 佐々野さんと話しとるんやで。 ちょっと黙っとってな~~~」キッ

洋榎「あ、はい……」



絹恵「私、佐々野さんのファンなんですよ~~♪ 写メ お願いしてもええですか~~?」ワァッ

ちゃちゃのん「えへへぇ、それは嬉しいのぅ~ 可愛く撮ってな~~~♪」ポーズ


絹恵「はい、ポーズ」パシャ


洋榎「……………」


. / /: :.,ィ: : : : : : : : : : : : : : : \i
/ / / i: : : : : : : : : :i: : : : : : : :.\
__i /  /: : : : : : : ;ィ: :}: : : : : : : : : : :.
 i 「`7 /!: : : :∠」_ ハ: i: : : : : : : : :i

=-x /// : :/   ! 「 卞}: : : : : : : : :}
::::i.   / / ==ェx、_ i/i: : : : : : : :/
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_/ ヘ    .i  \.    !:/
》ェ≪    |    \   /
.|| || 》__/     `ヽ

.|| |〃 ̄`ヾ      ハ





絹恵「うん、とっても可愛く撮れた♪」フフッ

ちゃちゃのん「え~~ ちゃちゃのんにも、見せて見せて~~♪」やいやいや

洋榎「いや あの~~ そんなことより、そろそろ助けをやな……」



ピロピロピロ


絹恵「あっ、電話や―――!?」ピッ

絹恵「あ、オカン? あ~ うん、そうなんだ… 了解やで~~」


洋榎(何でこの状況で、電話とか普通にしとんねん……)

ちゃちゃのん(やっぱりちゃちゃのんは、写真映りの方もバッチリじゃのぅ~~~♪)ルンルン


絹恵「ゴメンな~~ オカンからの急な呼び出しや。 私そろそろ行かなくちゃ―――」バイバイ

洋榎「えっ、ちょっ、絹!? ウソやろ、せめて携帯を―――」

ちゃちゃのん「急な呼び出しじゃ、しゃあないのぉ。 忙しいとこスマンかったのぅ~~」フリフリ

絹恵「そんな、私も楽しかったですよ。 あっ、お姉ちゃん。 オカンが夕飯までには 帰って来い言っとったで―――」 ジャッ


タッタッタッ… シーーーン




洋榎「…………うおぉ~~~いぃ!! いったい、何やね~~~~~~ん!!!」(怒号)


ちゃちゃのん「わっ、急に大きな声とか出してどうしたんじゃ。 ビックリするじゃろ……?」

洋榎「自分もさっきから何やねん!! 今、助けてもらう絶好のチャンスやったろ!?」ウガーー


ちゃちゃのん「……あっ、ホンマじゃね。 ちゃちゃのん、すっかり忘れちょったんじゃ…」テヘヘッ

洋榎「ぐぬぬぬ…… コイツはぁ~~~」ブルブル

ちゃちゃのん「ヒロちゃんは、とりあえず少し落ち着いた方がええ思うでぇ~~」

洋榎(何で急にエセ大阪弁やねん……)イラッ




ちゃちゃのん「そんな心配せんでも、大丈夫じゃって。 きっとまた心優しい人が 助けに来てくれるじゃろ~~」

洋榎「あのな~~ こんな辺鄙な裏通り、そうそう人なんて来るわけないやろ―――」



ガササッ

洋榎「!?」

ちゃちゃのん「ほら、やっぱり来てくれたんじゃ♪」

洋榎「は、うそやろ……?」




塞「あっ、あれ。 洋榎とちゃちゃのん――――」カチコチ

ちゃちゃのん「あっ、塞ちゃんじゃ~~ やっほ~~~♪」フリフリ

洋榎「このアホはど~~でもええから、早くウチを助けてくれんか!?」

塞「えっ!?」

ちゃちゃのん「………ヒロちゃんは酷いことを言うのぅ」




塞「―――なるほど、二人ともミゾに足がハマっちゃったんだ」フムフム

洋榎「そうなんや。 早よ、何とかしてくれへんか~~~!!」


塞「うん、分かった。 それじゃあ、とりあえずちゃちゃのんから―――」

洋榎「えっ、何で!?」

塞「えっ、駄目だった……?」キョトン

ちゃちゃのん「ヒロちゃん………?」



洋榎(何やここでグダグダ騒いどったら、まるでウチが器の小さい人間みたいやん……)


洋榎(どうせ二人とも助けてくれるはずやし、ここは冷静にウチの番を待つんや。 待つんやで洋榎……)ググッ



塞「それじゃぁ、ちゃちゃのん引っ張るね」

ちゃちゃのん「う、うん」



すぽっ

塞「あれ、何か思ったより簡単に抜けたね」

ちゃちゃのん「まぁ、ちゃちゃのんの足は細いからのぅ」ヘヘンッ

洋榎「………」イラッ




洋榎「じゃあ、お次はいよいよ…」ヨッシャ


塞「あ、ちゃちゃのん、足首の所ケガしてるよ」

ちゃちゃあのん「あっ本当じゃ。 どうりで痛いと思ったんじゃ……」

塞「バイキンとか入ったら大変だよ。 早くお医者さんに見てもらわないと。 歩ける?」

ちゃちゃのん「うん、ゆっくりじゃったら………」イタタッ



塞「それじゃぁ、ちょっとちゃちゃのん病院まで送ってくるから」

洋榎「いやいやいやいや、ちょっと待たんか~~~~い!!」

洋榎「その前にウチのこともチョチョイと助けてや!! 病院はその後でもええやろ!!」



塞「ちゃちゃのん病院まで送ったらまた来るから。 少しの間くらい待てるでしょ」

洋榎「いやいや、無理無理無理!! 実はウチも足が痛いねん。 きっと折れとるんや、助けて~~なぁ!!」イタタターー

塞「いや、それ絶対に嘘だよね……」シラーー



洋榎「いや、まぁ… それは、その……」ウッ

ちゃちゃのん「ヒロちゃん、ウソは良くないんじゃよぉ…」(同情の眼差し)

洋榎「じゃかぁしいわ!! 自分に言われると、通常の三倍は腹立つでぇ!!」ムキーーー



塞「もぅ付き合いきれないよ。 ちゃちゃのん行こう…」

ちゃちゃのん「う、うん… ヒロちゃん、ゴメンのぅ。 後で助けに来るからのぅ~~」ヒョコヒョコ


スタスタ…… シーーーン




洋榎「……行ってもうた。 また一人か」

洋榎「ちゃちゃのヤツはクソの役にも立たんかったが、やっぱ一人は寂しいで……」





洋榎「な~~に、どうせまたすぐにガサゴソと、誰かがやって来るんやろ……」ヘヘッ



シーーーン


カァー カァー カァー


洋榎「誰も来ないな……」




シーーーン


洋榎「もぅ辺りはすっかり真っ暗。 カラスも帰ってまったで……」




洋榎「……うっ、ひっく、うぅ………」

洋榎「うわ~~~~~~ん!!」(大泣き)

洋榎「寒いよ~~ お腹空いたよ~~ 一人は寂しいよぉ~~~!!」

洋榎「絹~~~ オカン~~~ 誰か助けて~~~な~~~~!!」ウワーーン ワンワン




シーーーン


洋榎「もし雨とか降ってきたら、どないしよう……」


洋榎「うぅ、ウチ、このままここで死んでまうんやろか……」




ガササッ


洋榎「!?」ビクッ





雅枝「洋榎~~」


洋榎「おっ、オカン~~~!!」

洋榎「うわ~~~~ん!! ウチ、ホンマ怖かったんやで~~~~!!」ダキツキッ



雅枝「洋榎~~~」

洋榎「―――ん、オカン…? なんか様子変やで? それにその手に持った 凶悪な釘バットは何やねん?」タジッ



雅枝「洋榎ぇ、夕飯までに帰れ言うたやろ~~ そないな悪い子にはお仕置きやで~~~~」ゴゴゴゴ

洋榎「えぇっ、帰れ言われても、ミゾに足がハマってしもうたんやで!?」ホレホレ


雅枝「だからこのバットで、自分のケツかち上げて 引っこ抜いたろ言うとるんやないか~~~」ゴゴゴゴ

洋榎「アカン、このオカン瞳に光が宿っとらん。 まるで誰かに操られとるみたいや……」



雅枝「今から 私はお前を殴る! ていうか、かち上げる!!」

雅枝「しかし、これはバツのためじゃない、お前を励ますためなんや!!」

洋榎「ちょ~~~ 何やその泣き虫先生超ひも理論!?」




バッチィ~~~~~ンッ!!

洋榎「うぎゃああああぁぁぁ!!」(漫☆画太郎風)

ピクピク ピクピク



雅枝「あれっ、私はいったい――――?」ハッ

雅枝「確か絹から洋榎がミゾにハマっとる聞いて、迎えに出たはずなんやけど―――」キョロキョロ



雅枝「ん、洋榎…? こないなとこで、そない真っ赤に尻腫らして何 倒れとるんや?」





洋榎「…………あはっ」ブチンッ





洋榎「あはははははははははははははははははははははははははh」

雅枝「洋榎!?」ギョッ



洋榎「なんやこれーー!! めっちゃおもろいやーーん!!」あはははははは

洋榎「なんで誰もウチのこと助けてくれへんの~~~~!!」あはははははは

洋榎「必死にお願いしたよなぁ。 聞こえなかったとかないやろぉ~~~!!」あはははははは

洋榎「そっちがその気やったら、こっからは地獄甲子園編の開幕やで~~~~!!」あはははははは


雅枝「ひっ、洋榎。 と、とりあえずちょっと落ち着こうなぁ………」ドードーヤデ



洋榎「ええで、ええで~~ 今からウチはオカンを襲えばええんやな~~~~!!」ぐへへ


洋榎「すまんなぁオカン。 これも神の見えざる意思いうヤツやねん………」ワキワキ ツカツカ


雅枝「あ、足もぅ抜けとるみたいやで。 良かったな洋榎~~~」アセアセッ



洋榎「こっから先は18禁に突入や~~~~~~!!」ヒャホーーーッ

雅枝「ひっ、ひろえ~~~~~!?」ギャーーーー







キンクリッ(まさに外道!!!)




塞「―――洋榎、約束通り戻ったわよ」スタスタ

ちゃちゃのん「ヒロちゃ~~~ん、お待たせしたの~~~」ブンブン

胡桃「ちょっとぉ、何で私まで……」

絹恵「ま~ ま~ 丁度途中で会ったのも、何かの縁ですし―――」





雅枝「」ヒクヒク ハテッ

一同「「え"っ………」」ビクッ




ゆら~~~り…


洋榎「自分らもか~~~~~~~~~~~~~~ッ!!」キシャーーーッ






もいっこカンッ!!


幕間 終劇


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アホな内容でスミマセン。


筆者ではあの伝説の溝シリーズのような、ぶっとんだ鬼畜安価展開は到底出来ないです(今回は特にまんま使わせてもらった感じです)



これはOSaKadAteQさんや、他の安価スレを書かれてる方にしてもそうなんですが


このシリーズのイッチさんは無茶ぶり安価への対応が本当に上手で、とても筆者には出来ないな~と感心させられます。


このシリーズのちゃちゃのんは、可愛いんだけどイラつく面白いキャラになってますね。




この溝シリーズとちゃちゃのん音頭シリーズによって、SS界隈での洋榎、ちゃちゃのんの組み合わせは かなり認知度を上げたんじゃないでしょうか。


そういう意味でも、ちゃちゃのんSSを語るうえでは外せない作品だと思います(笑)




もし興味を持たれた方は、是非 一度読んでみて下さい。


尚、ミゾシリーズにはエロ、シモ、バイオレンス要素が多々含まれますので、そのへんは自己責任で宜しくお願いします。




【ネタ元作品等をいくつか紹介します】


・えり「近年巷では捨てちゃちゃのんが増えて問題となっています」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1353842575

捨てちゃちゃのん。 この作品のほのぼのとした感じにとても癒されます。



・ちゃちゃのん「現実から逃げ出したい……」
http://blog.livedoor.jp/ssweaver/archives/25511696.html

ちゃちゃのんとやえさんのSS。 二人の魅力がとても伝わる名作だと思います。





【溝シリーズ・ちゃちゃのん音頭シリーズ】


・洋榎「近道したら足がミゾにはまってもうた」※安価スレ
洋榎「近道したら足がミゾにはまってもうた」 - SSまとめ速報
(http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1351582240/)

溝シリーズ、始まりの基本形。 今回の話はこのネタをほぼ使わせて貰ってます。

尚 溝シリーズのネタ元は某エロ漫画なので、R18要素が安価に含まれやすいのはそのためだと思います。



・ちゃちゃのん「帰り道に足がミゾにはまってしもうた」※安価スレ
ちゃちゃのん「帰り道に足がミゾにはまってしもうた」 - SSまとめ速報
(http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1390562679/)

溝シリーズちゃちゃのんver。 ちゃちゃのんを助けてあげて下さい。



・いちご「ちゃちゃのん音頭のCDが全く売れんのう・・・」※安価スレ
いちご「ちゃちゃのん音頭のCDが全く売れんのう・・・」 - SSまとめ速報
(http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1352697243/l50)

ちゃちゃのん音頭シリーズ。 腹パン。 イケメンじゃない方のシロという言葉が個人的にツボです。



・玄「花田さんの頭のあれは、甘いフルーツの房!?」
玄「花田さんの頭のあれは、甘いフルーツの房!?」 - SSまとめ速報
(http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1354614617/l50)

カオスな内容ですけど、何か好きなんですよね。



・洋榎「妙な二人組に絡まれてもうた」\ワハハー/ \サトミー/ ※安価スレ

ちゃちゃのん出ません。 とにかくラストが笑撃的過ぎます。




・SS紹介 ちゃちゃのん音頭シリーズ(○○にはまるシリーズ)

筆者がお世話になった、まとめサイトです。 現在 紹介されているURL(リンク)は、ほぼ生きてませんが名前で検索してました。












【咲-Saki- SS】 ちゃちゃのん・大学編 -いちご味-



ちゃちゃのん「おかえりなさい」









第二章 愛が咲いた日













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天使のように愛らしい女の子。


子どもの頃はよぅそうやって、周囲から もてはやされちょった。




小学に通うようになった頃から、たびたび男の子たちから告白を受けた。


昔から気の弱かったちゃちゃのんは、それを上手に断ることも出来ず。


ただただ相手が諦めてくれるのを待ち続け、しまいにゃぁ泣き出す始末。



時にゃぁ そんことが、あらぬ誤解を招き問題となった……




『玉美ちゃんが広瀬くんのこと好きって知ってるくせに、広瀬くんを盗った!!』



ちゃちゃのん、ただ告白されただけなのに…


女の子たちからは男好き、ぶりっ子、泥棒ネコなどと陰口を叩かれ…



つらくても、悲しくても、ただ大人しくジッと耐え、文句ひとつ言えずに泣いているような…



そんな大人しいだけの子じゃった――――





クラス替えのたびにそんなことが起こり


噂を立てられないよう、ちゃちゃのん 出来るだけ男の子たちと距離をおくようになった。



男の子たちからの告白も、いつの頃からか本気のものではなくなり


ちゃちゃのんが断りきれず困ってる姿を見て、他の子たちが楽しむというような遊びに変わっていった。




そんなちゃちゃのんを支えてくれたんが、鹿老渡の婆っちゃや近所の爺っちゃたち。


ちゃちゃのんの楽しみは、婆っちゃたちとの麻雀と、アイドルになるという空想に胸を躍らせることじゃった――――





大学生になり、たびたび合コンや飲み会に誘われたが大半はお茶を濁して断った。



男子たちからの強引なお誘いを断りきれず、参加したサークルの飲み会。


男子たちからはもの珍しげにあれこれと質問攻めされ、やたらお酒を勧められ…


多くの女子たちからは白い目で見られ、そこはとても居心地 悪い場所じゃった。



大体まだ未成年なのに、何でみんな平気でお酒とか飲んどるんじゃろ…?


ちゃちゃのんがソフトドリンク飲んどると、ノリが悪いと非難され、周囲はイッキコールで盛り上がる。


突然放り込まれた大学生という場のノリっちゅうモンにも、ちゃちゃのんはどうも馴染めんかった。




一部の女子たちから、たびたび合コンのメンバーに誘われた。


どうもちゃちゃのんおると、医大生など上のランクの男子学生さんたちとの合コンがセッティングしやすいからということらしい。



体良く利用されちょるんじゃろうな、ということは分かっちょったんじゃが…


ちゃちゃのんたちの新設キャンパスにゃぁ学部が一つしかなく、授業メンバーも大体同じ顔ばかり…


そんな中であまり波風立てたくもなかったんで、時々 顔だけ出してちゃちゃのんは早めに切り上げた。





暫くして、ちゃちゃのんが枕やっちょるいう噂が流れた。


隔離キャンパスじゃったから、そんな噂はすぐ全体に広まった。


あることないこと囁かれ、ちゃちゃのんは周囲から奇異の目に晒された。



みんなにとって大切なのは本当ではなく、面白おかしいスキャンダルだったんじゃろう―――





そんなちゃちゃのんじゃったが、大学2回生の春にヒロちゃんたちと再会した。


愛想笑いでなく、本当の笑顔でいられる場所を ちゃちゃのんは得ることが出来たんじゃ。





ちゃちゃのん「そんでヒロちゃん、この前の胡桃ちゃんとの誕生日デートは楽しかったん?」

洋榎「デートて…///」

洋榎「ん、まぁ… そうやな、オモロかったで~~」ニカッ



ちゃちゃのん「ほうじゃ、ツイッターに万馬券当てた書いとったがありゃぁホントけ?」

洋榎「お、おぅ…」ドキッ


ちゃちゃのん「ほぇ~ ヒロちゃんは、ギャンブル運もスゴイんじゃの~~」

ちゃちゃのん「あの後 いっさい続報 流れんかったけぇ、ちゃちゃのんてっきり万馬券失くしたんかと思ったんじゃ―――」


洋榎「うぐぅっ(全くもって、その通りやっちゅうねん…)」グヌヌ



洋榎「そうそう、この前ちゃちゃと行った雑貨屋。 いいんちょに教えたったら、気に入ったみたいやで!!」

ちゃちゃのん「え、胡桃ちゃんに!?」

洋榎「そやで… ん、もしかして教えたのマズかったか…?」


ちゃちゃのん「そ、そんなことはないけぇ!! ほんで胡桃ちゃんも楽しんでくれたんじゃろか?」

洋榎「お~ いいんちょんヤツも意外と乗り気になって、後半は二人でメッチャはしゃいだで~~~」



ちゃちゃのん「そか、良かったんじゃ…」


ちゃちゃのん「胡桃ちゃんのせっかくのハタチの誕生日が、酷い思い出にならんでホンに良かったのぅ」


洋榎「確かに… ハタチの誕生日ん思い出が、漫のヤツの爆発じゃ~ あんまりやしな~~」カカッ

ちゃちゃのん「まったくじゃね…」ヘヘヘ




【先日 行われた胡桃ちゃんのハタチのお誕生会】



洋榎「と、いうわけで、いいんちょ誕生日おめでとーー!!」

パンパンパーーーン


ちゃちゃのん「胡桃ちゃん、ハタチおめでとなんじゃ♪」カンパーイ

塞「胡桃、誕生日おめでとう」カンパイ

漫「おめでとうございます先生!!」カンパーイ

絹恵「胡桃さん、お誕生日おめでとです」カンパイ

胡桃「うん、みんなどうもありがとう♪」カンパイ


セーラ「これで堂々とビール買えるようなったなーー」ゴキュゴキュ

洋榎「いいんちょのナリじゃ、学生証 出さな捕まんで~~!!」

胡桃「そこ、うるさい!!」


胡桃「ねぇ、哩さん。 お店貸し切らせてもらっちゃったりして 大丈夫だったの?」

哩「ま、お前らは常連やしな。 店長も誕生日祝い言うとるし気にせんでええよ…」




洋榎「はい、スピリタスーー!!」テケテケッ


洋榎「でもって、泡盛との焼酎割り~~」ドバドバー

胡桃「ちゃんぽんだよ、それは!!」

洋榎「ほら、さあ、ぐいっと!!」

胡桃「絶対いや!!」ブンブン



漫「あっ、飲まないんですか?」

漫「じゃあも~~らい」 グイッ

セーラ「あ」

洋榎「あっ!」

胡桃「!!」

塞「あちゃー……」


漫「あ、もしかして乾杯まだしてなかっ――――」




ドババババババババ

洋榎「ぎゃーーーーっ、漫が爆発しおった~~!!」ウォォッ

胡桃「ネウロの被害者みたいなビジュアルで 胃液吐いてるぅっ!!」ヒィッ

絹恵「いや~っ!! 胡桃さんにプレゼントした SGGK森崎選手のサインがぁっ!?」ギャー



漫「」ビクッ ビビクンッ

ちゃちゃのん「ちょ、痙攣しちょるよ!?」アセアセ

塞「仰向けにして、ゲロで溺れるわ!!」

ちゃちゃのん「ふぇ、仰向けって危ないんじゃ――」アワワッ

セーラ「寝ゲロさすなら、とりあえず頭を少し高くして横向けとき!! ジミヘンやボンゾみたいんなってまうで~!?」



哩「うわっ、何やってんだ!?」

塞「そっち持って!!」

セーラ「こら、自分とりあえず大人しくしとき!!」

バタバタバタバタ




胡桃「……」

塞「あ、胡桃は外出てて」

胡桃「え?」


塞「誕生日、台無しにしてごめん――」

ちゃちゃのん「あはは… せめて楽しんできて欲しいけぇ、ここは任せてくれてええよ―――」

胡桃「で、でも……」

哩「私からも頼む」

哩「こいつちょっと外に出して、見張っておいてくれ」

洋榎「え、ウチも退場!?」

哩「当たり前だ。 出禁にせんだけ感謝してほしいばい…」


洋榎「うぅ……」





パタパタ パタパタ



ちゃちゃのん「塞ちゃ~ん、漫ちゃんの方はどうにか落ち着いたみたいじゃ。 今は絹ちゃんが一緒じゃよ」タッタ…

塞「ふぅ、了解。 店の掃除の方もあらかた片付いたトコ…」ハァ


哩「自分ら客なのに、手伝ってもらったりしてスマンかったなぁ」

塞「まぁ、汚したのは私たちだしね。 気にしないでよ」プーン


哩「それにしても、自分くっさいな~~」ウグッ

塞「悪かったわね。ずっと吐瀉物の中心で、漫ちゃん塞いでたのよ…」クッ

ちゃちゃのん「あはは、それは塞ちゃんお疲れさんじゃったね」

哩「備え付けの使ってええから、とりあえず今着てるもん洗濯してシャワーでも浴びてこいや」

塞「えっ、でも着替え――」

ちゃちゃのん「ちゃちゃのん仕事帰りじゃけぇ、着替えあるよ。良かったら使ってくれてええんじゃ♪」

塞「あ、うん… どうもありがと…」





塞「はぁ~ ようやくスッキリしたわ。 本当に今日は思い出深い誕生日パーティーになったわ」

ちゃちゃのん「あはは、漫ちゃんの記憶にゃぁ いっさい残っちょらんかもじゃけどね」ヘヘ

塞「ちゃちゃのん、この洋服どうもありがとね」

ちゃちゃのん「え~よ、え~よ♪ 塞ちゃんとは体型もそんなに変わらんしのぅ」



セーラ「何やいちご、それ仕事着かぁ~ 何か歌ったり踊ったりしてくれるんか~?」ヌッ

ちゃちゃのん「いや、しないから!!」モゥ

塞「あはは、さっきまでちゃちゃのんが着てた方を借りちゃったからね」

ちゃちゃのん「ゴメンの、一度着たのとか貸して」テレッ

塞「気にしないで、ちょっと良い匂いするしね」スンスンッ

ちゃちゃのん「――――///」



塞「胡桃たち、今頃どうしてるかなぁ…」

ちゃちゃのん「…………」


塞「案外 私たちのこととか忘れて、楽しいデートの真っ最中かもね」ハハッ

ちゃちゃのん「―――そうかもしれんのぅ」



塞「………」

塞「ちゃちゃのんは良かったの…?」

ちゃちゃのん「へっ、何がじゃ…?」


塞「二人だけで送り出しちゃってさ―――」



ちゃちゃのん「ヒロちゃんも胡桃ちゃんも、ちゃちゃのんにとって大事なお友達じゃ…」

ちゃちゃのん「胡桃ちゃんのハタチの誕生日が楽しい思い出になるんなら、それはとっても嬉しいことじゃよ…」


塞「―――そうだね」





ちゃちゃのん「―――塞ちゃんこそ、何で胡桃ちゃんと行かんかったんじゃ?」

塞「えっ…?」



ちゃちゃのん「じゃって、塞ちゃんと胡桃ちゃんは昔からの親友同士じゃろ」

ちゃちゃのん「今日だって、みんなでのパーティーなければ 二人でお祝いやるはずだったってゆーし…」

ちゃちゃのん「毎週、二人でお泊まり会もやっちょる聞いたし… その……///」



ちゃちゃのん「ちゃちゃのんは… 胡桃ちゃんのエスコート役は、てっきり塞ちゃんじゃと―――」




塞「ま、毎回 同じ顔だと… いい加減、胡桃のヤツも飽きるかなってね―――」ハハ


塞「それに胡桃はまだまだ外の世界を知らなさ過ぎると思うの。 だから、こういうのも良い勉強になるかな~って思うわけ…」ポリポリ


ちゃちゃのん「……ふふっ、塞ちゃん。 何だか、胡桃ちゃんのお母さんみたいじゃね」ヘヘヘ

塞「ちゃちゃのん、それは酷いよ~」

ちゃちゃのん「あはは、ゴメンの。 胡桃ちゃんの話をする時の塞ちゃん、心底 胡桃ちゃんのこと心配しちょるように見えたけぇ…」

塞「そ、そりゃ心配だよ。 ずっと一緒に育ってきた姉妹みたいなものだし―――」


塞「心配… しないわけないよ……」ボソッ



ちゃちゃのん「えへへ、胡桃ちゃんは幸せモンじゃね」

ちゃちゃのん「ちゃちゃのんにも、そんな素敵な王子さまが現れんかのぅ…」ボソッ




塞「ちゃちゃのんってさ、もしかして理想の恋人が王子さまとかなの?」

ちゃちゃのん「えっ、ちゃちゃのんの理想の恋人が白馬の王子さまって、何で分かったんじゃ!?」ドキッ


塞「いや、分かるでしょ。 ていうか、大学生になって白馬って…」ブフッ

ちゃちゃのん「な、なんで笑うんじゃ~~///」カァァ



塞「馬って…… ジョッキーなの、北アメリカ大陸でも横断しちゃうの――」ブフォッ


ちゃちゃのん「お、女の子じゃったら~ 誰でも憧れるモンじゃろ~~///」



ちゃちゃのん「そ、そりゃちゃちゃのんじゃって… ちょっと子どもっぽいかの~~とか、思っちょるんじゃよ…」ボソボソ


ちゃちゃのん「て、いつまで笑っとるんじゃ~~~!!」コリャーー




塞「ごめん、ごめん… つい塞ぎきれなくて――」ククク

ちゃちゃのん「む~~~」ブゥ

塞「ちゃちゃのんらしくて、とても良いんじゃないかな」ハハ

ちゃちゃのん「塞ちゃん、絶対バカにしちょるじゃろぅ」ムゥ

塞「してない、してない(真顔)」ブンブン

ちゃちゃのん「じゃったら ええんじゃが――///」



ちゃちゃのん「その、何ちゅうかな… ちゃちゃのんじゃって、馬がど~こうゆーとるんじゃないんじゃよ…」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのんがツラい時に、しっかりちゃちゃのんのこと見つけてくれるような…」


ちゃちゃのん「そんなシンデレラの王子さまみたいな人がええんじゃ―――///」テレテレッ




塞「ぶふぅっ…」

ちゃちゃのん「今、スッゴイ笑ったじゃろ…」ジトーー

塞「エッ、ナンノコト――?」シレッ



ちゃちゃのん「もぅ… ええんじゃ、ええんじゃ… どうせちゃちゃのんはお子さまじゃ……」スーン


塞「ほらほら、拗ねない拗ねない…」ハハ




塞「でもちゃちゃのんって、男の人ちょっと苦手よね」

ちゃちゃのん「そっ、そんなことはないんじゃ。 せーちゃんとも、仲ええし――」

塞「いやいや、アレは一応 生物学的には女だからね…」ブンブン


ちゃちゃのん「ん、まぁ… 子どもの頃、よぅからかわれちょったし……」

ちゃちゃのん「もしかしたら、そういう苦手意識はあるのかもしれんのぅ―――」


塞「あ~ 小さい男の子って、好きな子とか可愛い子によくイタズラするよね」

ちゃちゃのん「嘘の告白で泣かされたり、リコーダーや運動靴、体操着なんかをよく隠されたり 盗まれたりしたんじゃ…」ウゥ…

塞「あ~~~(察し)」



塞「でも白馬の王子さまだって野郎なわけでしょ。 それは良いの?」

ちゃちゃのん「アレは全く別の生き物じゃけぇ。 なんちゅうか、ちゃちゃのんにとってあまりリアルな存在ではないんじゃ…」

塞(ま、私にとってもリアルじゃないけど……)



ちゃちゃのん「ちゃちゃのんにとって王子さまは 囚われのお姫さまを助け出してくれるような、空想の中の憧れなんじゃよ…」


塞「南向きにしか歩けない勇者や、亀やゴリラにさらわれたお姫さまを助けに跳ねる ヒゲ兄弟の配管工みたいな…?」


ちゃちゃのん「―――そういう例えはヤメるんじゃ」




塞「でもそんなんで、アイドルの仕事とか平気なの?」


ちゃちゃのん「確かに、今でも少し戸惑うことはあるんじゃが――」

ちゃちゃのん「ちゃちゃのんはファンの子たちの笑顔、とっても大好きじゃよ♪」ニコッ

ちゃちゃのん「ファンの子たちが喜んでくれたり、幸せな気持ちになってくれるのが とっても嬉しいんじゃ…」


ちゃちゃのん「落ち込んどる人、疲れとる人に少しでも元気を分けてあげられた ええ思っとるんじゃ―――」




ちゃちゃのん「ちゃちゃのんもツラかった時、憧れのアイドルさんのキラキラな笑顔に いっぱい元気分けて貰ったけぇ――」


ちゃちゃのん「じゃけぇ、ちゃちゃのんもそんな素敵なアイドルさんみたいに なりたいって思ったんじゃ……」ヘヘ



ちゃちゃのん「今はまだまだ全然じゃし、本当はちゃちゃのんにゃぁ 向いとらんのかもしれんのじゃが――」


ちゃちゃのん「今はただ、まっすぐ前だけ見て頑張りたいって… 最近、ようやっとそう思えるようになってきたんじゃ……」




塞「そっか、ちゃちゃのんは偉いね」フフッ

ちゃちゃのん「へ、そうかの…?」


塞「うん、私たちの年でそれだけ考えられてるんなら 充分なんじゃない」

塞「芸能界のルールとかよく分かんないけど、ちゃちゃのん見てると何か応援したくなるんだよね…」


塞「それって実はアイドルとして、凄い才能なのかもしれないよ」ハハ

ちゃちゃのん「そ、そうかのぅ。 何だかテレるの~~///」テレテレ


塞「うん、ちゃちゃのん見てるとハラハラするっていうか、凄く心配になるし…」

ちゃちゃのん「それは、褒められとるんじゃよね…?」




セーラ「んじゃ、俺はこれで失礼すんで~~」ホナナ

哩「あぁ、またな」


カッチ


カッチ


カッチ



哩「そろそろ終電の時間やけど、アイツら結局 帰って来んかったな~」

哩「漫のヤツは落ち着けてから 絹たちと帰したってメールしといたし、お前らもそろそろ帰った方がええで――」



ちゃちゃのん「あ、うん…」

塞「これ以上いても迷惑だろうし、私たちもそろそろ帰ろっか…」スッ

ちゃちゃのん「そうじゃね…」ヨイショ




カラン コローン


ちゃちゃのん「わぁ~~ 綺麗なまん丸お月さまじゃのぅ♪」

塞「本当だ、今夜はとっても良い月だね」



塞「胡桃のハタチの誕生日も、もぅ終わりだね…」トコトコ

ちゃちゃのん「そうじゃのぅ」トコトコ



塞「二十歳の自分なんて、子どもの頃はどんなもんかなって思ってたけど――」

塞「やっぱりそんな劇的には変わらないものよね…」ハハッ


ちゃちゃのん「うん… まだまだちゃちゃのんたちは、大人の世界に片足入れただけのひよこじゃね」



塞「ちゃちゃのんは芸能活動もしてるし、きっと私たちの中では一番大人の世界を見聞きしてるんだろうね」トコトコ

ちゃちゃのん「そうかもしれんが…」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのんはそこで一歩を踏み出せず、自分の殻から抜け出せずにおるしのぅ…」トコトコ




ちゃちゃのん「大人になるっちゅうことは、自分の中にある大切な何かを失うっちゅうことなんじゃろうか…?」カンカンカンカン


塞「…………」カンカンカンカン



ちゃちゃのん「ちゃちゃのんは、ずっと今のままでいたいのぅ……」カンカンカンカン





プワァァァ――――――――ン


塞「―――私は外から来る 悪しき存在を境界にて防ぐモノ」 ガタタン ガタタン


塞「塞の神であり、中国・道祖神である。 さァ、かかってくるがいいよ…」ガタタン ガタタン



ちゃちゃのん「さ、塞ちゃん――?」ガタタン ガタタン



塞「はは、少し中二っぽかった…?」テレッ

塞「今のは私がチカラを使うときのイメージって言うか、設定なんだ…」ハハ

ちゃちゃのん「設定…?」


塞「そっ、設定……」



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http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira096612.jpg



塞「塞の神さまっていうのは、昔から日本に伝わる外からくるモノを防ぐ『防塞』の神さまなんだけどね」トコトコ

塞「今では中国の行路の神さまでもある『道祖神』なんかとも 習合しちゃってるの」トコトコ



塞「外から来るモノを退ける神さまが、外来のものと結びついて一緒くたになっちゃってるとか… 何だか変な話じゃない?」

ちゃちゃのん「確かにのぅ…」ホゥホゥ

塞「で、私は思ったわけ…」トコトコ



塞「塞の神さまは敢えて外から来たモノを防がず、その身の内に取り込んだんじゃないかって」トコトコ


ちゃちゃのん「身の内に、取り込む―――」トコトコ



塞「ずっと岩手に引き籠って、色んなモノから胡桃たちを遠ざけるだけじゃ 駄目なんじゃないかって」


塞「外の世界にも目を向けてみれば、きっと悪くないものだってあるはずでしょ」


塞「そういうことを、私は熊倉先生やトヨネ、エイスリンたちに教えてもらった気がするの―――」


ちゃちゃのん「塞ちゃん…」




塞「大人になったからって、たぶん私たちはそんなに変わらないよ」


ちゃちゃのん「そうかのぅ…」




塞「そりゃ… 生きてるんだし、少しずつ変化はしていくんだろうけどさ」


塞「それは何かを失うんじゃなく、きっと混ざり合っていくってことなんじゃないかな」



塞「大切なモノさえ見失わなければ、私たちはきっと大丈夫……」







塞「迷子になんてならないよ―――」







ちゃちゃのん「えへへ、道の神さまのお墨付きっちゅうわけじゃね♪」ニコッ



塞「ん、そんなトコかしら。 流石に、恥ずかしくなってきたけど…///」テレッ







そうじゃの、ちゃちゃのんたちはきっと大丈夫。




大切なモノさえ見失わなければ、何があっても きっと大丈夫なはずじゃ――――




塞「じゃ、私はこっちだから。 今日は洋服どうもありがとね」バイバイ


ちゃちゃのん「今日は塞ちゃんの中二なトコも見れたし、とっても楽しかったんじゃ♪」


塞「ちょっ、恥ずかしいから、胡桃たちには言わないでね///」


ちゃちゃのん「分かっちょるんじゃ♪ ほんじゃ~の」フリフリ






塞「あっ…」


ちゃちゃのん「ん…?」




塞「ちゃ… ちゃちゃのんはさ―――」






洋榎のこと…




どう思ってるの……?






ヒロちゃん―――?





とっても大切な……







とっても大切な、ちゃちゃのんの親友じゃ―――――







なぜ……





この時、あんな質問をしたのか……







ちゃちゃのんの、答えの意味するところを……






私、臼沢 塞は……









まだ本当の意味では、理解出来てはいなかったように思う―――――







秋が去り、そろそろ本格的な冬の到来を感じるようになってきた ある日の夕暮れ時。


もぅ今年も終わりなんじゃなぁ……


長いようでとても短い、そしてとても色んなことがあった 一年じゃったの――――




ワイワイ ガヤガヤ


ちゃちゃのん「…………」キョロ

金髪長身の男「やぁ、そこの可愛いらしいお姫さま。 もし良かったら、これから俺と一緒に タコスラーメンとか どうっスかね?」

ちゃちゃのん「えと、その… ちゃちゃのんは…」アセッ

金髪長身の男「あ、もしかしてタコスラーメン嫌いだった? じゃ~ 大阪っぽくお好み焼きデートとか?」


ちゃちゃのん「あ、その… ちゃちゃのん、待ち合わせしとるんじゃ…」アセアセッ

金髪長身の男「そ、そうなんだ。 にしても、キミみたいな可愛い娘を待たせるなんて、まったく酷いヤツだねぇ……」

ちゃちゃのん「そ、そんなことは… ないんじゃ――」

金髪長身の男「ところで、キミって野球とか興味あったりする?」

ちゃちゃのん「ほぇ、野球―――?」



洋榎「よっ、ちゃちゃ! 遅れてスマンかったな~!!」ヤホッ

ちゃちゃのん「あっ、ヒロちゃん♪ そ、それじゃ… ゴメンのぅ…」ペコリン タタッ

金髪長身の男「ありゃりゃ、残念……」ポリポリ

金髪長身の男「せっかく大阪組んだりまでスカウトに来たってのに、収穫はゼロかぁ。 はぁ、タコス買って帰ろ……」ガクッ




洋榎「何や自分、ま~た妙な男に絡まれとったな。 自分、ナンパ男とか引き寄せる特殊なフェロモンでも分泌しとるんか?」

ちゃちゃのん「ヒロちゃんが、いつも遅刻するからじゃろ~~」モー


ちゃちゃのん「あ~いう時間は、ちょっと不安じゃ……」ポソ

洋榎「悪ぃ悪ぃ、夕べは胡桃たちとついつい徹麻で盛り上がってもうてな~」シシシ



ちゃちゃのん「もぅ夕方なんじゃが…」ヤレヤレジャ

洋榎「ヒロエちゃんは夜の女やねん!!」




洋榎「そういや、仕事上がりやったんか?」

ちゃちゃのん「うん、ちゃちゃのんお正月番組の出演も決まったんじゃよ♪」

洋榎「お~ 凄いやん、どうせモブキャラその一とかなんやろうけどな~」カカッ

ちゃちゃのん「―――どうせ、ちゃちゃのんはモブキャラじゃもん…」ズーン

洋榎「まぁ、そんなんイチイチ気にすんなって。 仕事増えてきたみたいやし、自分これからやろ!!」

ちゃちゃのん「そ、そうじゃね… ちゃちゃのん頑張るんじゃ♪」エヘヘ



ちゃちゃのん「…最近、みんなとなかなか会えんの~」

洋榎「最近はセーラやザワも、何や忙しいみたいやしな」

ちゃちゃのん「せーちゃんは麻雀部の方が大変そうじゃし、塞ちゃんも授業とかゼミの準備で忙しくなってきちょるよぅじゃの」

洋榎「バイトと漫にいたっては、脱浪人生活かかっとるしな~~」



洋榎「ま~ ウチはそれなりに顔合わせとるが、ちゃちゃはキャンパスも離れとるしな~」

ちゃちゃのん「こうやって、だんだんみんなと会えなくなっていくんかの……」ハァ

洋榎「だ~か~ら~ イチイチ落ち込むなって!!」

バカッ!!

ちゃちゃのん「あいたーーーーーっ!?」


ちゃちゃのん「じゃけぇ、そのすぐ頭を引っぱたくのヤメるんじゃ!?」ウルウル

洋榎「おおっ、悪ぃ悪ぃ… 自分のイジケ顔見とるとツイな~~」カッカッカ

ちゃちゃのん「暴力反対じゃよぅ……」

洋榎「アホ!! これは暴力やのうて、ツッコミやん!!」


スパーキーーン!!

ちゃちゃのん「大阪の人は何てバイオレンスなんじゃ…」フルフル




それぞれが忙しくなり、最近はだんだんとみんなで集まる頻度が減ってきちょった。



そんな中でヒロちゃんは、ちゃちゃのんに時間を合わせて こうしてたびたびお買い物なんかに付き合ってくれるようになった。





『せっかくのお誕生会、中止にしてしまってゴメンの』ポチポチ ポチポチ



『みんなへの連絡、どうかヨロシクお願いの……』ポチポチ ポチポチ



ちゃちゃのん「送信……と」ピッ





ちゃちゃのん「はぁ、残念じゃのぅ…」





12月14日はちゃちゃのんのハタチのお誕生日じゃが



その日はあいにく朝から仕事で、みんなとは会えそうもないので中止にしてもらった。





【12月14日】


ちゃちゃのん「どうもお疲れ様なんじゃ~~~」ペコリン

グラサンオヤジ「ちゃちゃのんちゃん、お疲れちゃ~~ん!!」




ちゃちゃのん(ふぅ… テッペンは越えんかったが、もぅすっかり遅くなってもうたんじゃ)トコトコ


ちゃちゃのん(うぅっ、今夜はいつも以上に冷えるのぅ)トコトコ


ちゃちゃのん(ちゃちゃのんのハタチの誕生日、もうすぐ終わりじゃの…)


ちゃちゃのん(あ、そういえばメールが入っちょったのぅ…)ゴソゴソ



ちゃちゃのん(胡桃ちゃんに塞ちゃん、せーちゃんや哩ちゃんたちからのお祝いメールじゃ!?)


ちゃちゃのん(パーティーに来れなくて残念、何のことじゃろ―――?)


ちゃちゃのん(でも、みんなどうもありがとの♪)



ちゃちゃのん(友達っちゅうんは、やっぱりぬくいもんじゃね……)フフッ





ちゃちゃのん(そういえば、ヒロちゃんからはお祝いメールなかったのぅ…)


ちゃちゃのん(ま~ また、いつもみたいにどこかで大騒ぎでもしとるんじゃろうね―――)





ちゃちゃのん「およ…?」

???「ガチガチ、さむさむさむ……」ブルブル


ちゃちゃのん(ちゃちゃのん家の前で、誰かうずくまっちょる…?)



ちゃちゃのん「あ、あの… だ、大丈夫かの…?」オズオズ

???「お、お、お……」


洋榎「遅いわ、こんボケーーーーー!!」ウガーー!!

ちゃちゃのん「うひゃ!? ひ、ヒロちゃん、何でここにおるん!?」ビクゥッ




洋榎「――――ホレ」ズイッ

ちゃちゃのん「あ、これ…?」

洋榎「胡桃たちからの誕生日プレゼントや。 さっきまで自分の誕生日祝いっちゅうて、一緒に飲んどったんや…」


ちゃちゃのん「え、でも… 今日のお誕生会は中止って、連絡お願いしたはずじゃけど…」



洋榎「………」

洋榎「悪っるい、そんこと伝えんのすっかり忘れとったわ♪」テヘヘ

ちゃちゃのん「えぇぇぇ~~~~~!?」ガビーーーン


洋榎「うひゃひゃひゃひゃ、主役抜きのお誕生会も意外と盛り上がったで~~~♪」ゲラゲラ


ちゃちゃのん「あわわ、胡桃ちゃんたちに悪いことしたんじゃ~~」ヒェッ




ちゃちゃのん「あ…」ジッ

洋榎「ん…?」


ちゃちゃのん「これ、ちゃちゃのんのマフラーじゃけど――」ホドキ ホドキ


ちゃちゃのん「ヒロちゃんちょっと震えちょるよ。 今夜はとっても寒かったじゃろ… よっと…」ファサァー


洋榎「お… おぅ、サンキュ…///」





洋榎「でも… 出来れば 部屋、入れてもらえんやろか…」サムイシ…


ちゃちゃのん「え、あ… そうじゃの… ちゃちゃのん、うっかりじゃ…!?」タハハ




【佐々野家】



洋榎「はぁ~ 人類の叡智こたつ、ホンマ生き返んで~~♪」ヌクヌク



洋榎「それんしても、ちゃちゃのヤツ。 なかなか戻ってこんな…」キョロキョロ


ちゃちゃのん「ヒロちゃんお待たせさんじゃ。 お湯入れて来たけぇ、ゆっくり温まって来てええよ♪」パタパタ

洋榎「えっ、風呂!? 別にそんなんええて!?」アセッ

ちゃちゃのん「冷えた身体にゃぁ、やっぱりお風呂じゃろ♪ 遠慮せんでもええから、ゆっくり入って来てのぅ♪」ニコニコ




かぽ~~~~ん


洋榎(くっ、ちゃちゃのヤツにすっかり流されてもうたで)ブクブク

洋榎(アイツ、時々強引なトコあんな。 あ、この入浴剤ええ香りやな……)


洋榎(それんしてもええ湯やな~~ 極楽極楽、はぁ~ ビバノンノン~~♪)





洋榎「おぅ、風呂サンキューな! 身体温まったで~~!!」


ちゃちゃのん「そうかそうか、それは良かったんじゃ♪」




ちゃちゃのん「それでヒロちゃんは、わざわざみんなのプレゼントを届けに…?」

洋榎「せやねん。 自分 今度はいつ会えるか分からん言うとったから、こうしてウチが預かって来てやったんやで~」

ちゃちゃのん「へへっ、それはどうもありがとなんじゃ♪」



ちゃちゃのん「でも そんならメールくれれば、あんな寒い思いせずに済んだんじゃ――」

洋榎「ははは、どうせならサプライズプレゼントといこ思ってな~~」ポリポリ

ちゃちゃのん「いつもの有り余るエンターテインメント精神が 裏目に出たんじゃね」クスクスッ

洋榎「あ、あんま笑うなや…///」




洋榎「それはさておき、アイツらのセンス悪いプレゼントの品評会でも始めようで♪」ウキウキ

ちゃちゃのん「え~~ そういうの良くないんじゃよぉ~~」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのんはプレゼントをくれるっちゅう、その気持ちが一番嬉しいんじゃ…」モー

洋榎「はいはい、ワロスワロス…」ガサゴソ


ちゃちゃのん「全然、聞いてないんじゃ…」ガクッ





洋榎「セーラのプレゼントは、いつも通りスルメやな…」ガサゴソ

ちゃちゃのん「せーちゃん、スルメ好きじゃのぅ」

洋榎「その場で自分がツマミに出来るからやろ……」



洋榎「ザワからは、何やよ~分からん絵本やな…」オモンナイ

ちゃちゃのん「ノルウェーの作家、ヨースタイン・ゴルデルの絵本じゃよ。この前、塞ちゃんとソフィーの話で盛り上がったんじゃ」

洋榎「絵本なら森のボノロンでええやん、洋モンはよー分からんで」ゴシャノホシ

ちゃちゃのん「ソフィー面白いのに―――」



洋榎「胡桃のプレゼントは、ドラマのDVDか…?」ガサゴソ

ちゃちゃのん「実写版ネギま、茶々丸登場シーン。 何じゃろコレ…?」

洋榎「ネギまってアレやろ、何や可愛い女の子がぎょうさん出てくる…」

ちゃちゃのん「ほうほう、そうなんか…」フムフム

ちゃちゃのん「この茶々丸って名前、ちゃちゃのんにちょっと似とるの。 やっぱ可愛ええんじゃろか…」ドキドキ

洋榎「はい、DVD鑑賞会スターート!!」ガチャ ウィーーーン

ちゃちゃのん「こ、こら… 何を勝手に―――!?」












洋榎「…………」

ちゃちゃのん「…………」







洋榎「……ホラー?」

ちゃちゃのん「いや、違うじゃろ!?」コラッ



ちゃちゃのん「茶々丸、ロボットじゃったね…」

洋榎「せやな…」



洋榎「ちゃちゃも、いつかあ~いうドラマの仕事が出来るとええな…」

ちゃちゃのん「え、あ… うん…… そうじゃの……」

洋榎「何やねん、その間は……」




ちゃちゃのん「ははは、それで… ヒロちゃんも、何かプレゼント持ってきてくれたんか?」

洋榎「あぁ、ウチからは… コレやな…」ゴトトッ


ちゃちゃのん「いちごのリキュールと、ミルク…?」

洋榎「いちごのリキュールの上に、ミルクを注いで『ストロベリー・みるく』いうカクテルになるらしいでぇ」

洋榎「見た目も綺麗で女子に人気やっちゅうから、ちょっと作ってみよ思って 持ってきたんや」ヘヘヘ




洋榎「―――何やねん、その意外そうな顔は…」ジッ

ちゃちゃのん「いや、じゃって… こんなマトモなモン、ヒロちゃんがくれるなんて… のぅ…」コウリョガ…

洋榎「ホンマ、失礼なやっちゃな~~ とりあえず、グラス2つと氷 頼むで…」

ちゃちゃのん「あ、うん… そうじゃね……」パタパタ





洋榎「自分、今まで未成年言うてアルコールちっとも飲まんかったやろ」コトッ

洋榎「せやから、せっかくのハタチの誕生日。 自分の好きそうなん、一緒に飲んだろ思ったんやで…」カランカランッ

ちゃちゃのん「ヒロちゃん…」ウルウル



洋榎「ま~ どうせボッチな自分のことや…」トクトクトクトク

洋榎「ハタチの誕生日の夜を、寂しく枕でも濡らして過ごすんやろな思ったし―――」トクトクトクトク


ちゃちゃのん「どうも、ありがとうの…」ジワァ

洋榎「アホ!! こんなんでイチイチ感動すんなって!?」



ちゃちゃのん「うん、ゴメンの… でも―――」

ちゃちゃのん「ちゃちゃのんのハタチの誕生日、もぅとっくに終わってもうたんじゃ…」エヘヘ

洋榎「眠るまでが誕生日。 ま、細かいことはええやん」ヘヘッ





洋榎「ほい、乾杯!!」コンッ


ちゃちゃのん「か、乾杯なんじゃ…」コツッ






洋榎「遅れてもうたが、誕生日おめっとさん!!」ゴクッ



ちゃちゃのん「どうも、ありがと、なんじゃ―――///」キュッ








ちゃちゃのん「ひゃひゃ、これは美味しいのぅ…///」コクコク

洋榎「おぅ、ウチも始めて飲んだが、なかなかイケルやん!!」ゴクッ


ちゃちゃのん「そうじゃの~ まるでいちごみるくみたいで、とっても飲みやすいんじゃ…///」トクトクトク

洋榎「ん、自分 ちょいペース早ないか…?」


ちゃちゃのん「そっ、そんなことはないけぇ!! 平気じゃ、平気ぃ!! うきゃきゃ♪」





ちゃちゃのん「ヒロちゃんの髪型ってぇ、何じゃかヤシガニみたいでぇ… カッコええの~~♪」ヒャヒャヒャ


洋榎「あ、あ~ せやろ、流石やろ… ハハッ」


洋榎(コイツ、カクテル一杯で意識イキおったんか? 結構、酒癖悪そうやな……)



ちゃちゃのん「その髪切ってもええかのぅ? ヤシガニ屠るじゃけぇ~~///」キャッキャッ


洋榎「言うとる意味はよー分からんが、とりあえず自分のそのハサミはボッシュートやで!!」パッ

ちゃちゃのん「あっ、ちゃちゃのんのハサミがぁ!?」フェッ




ちゃちゃのん「ふぇ、ふぇぇぇん… ヒロちゃがぁ、ちゃちゃのんの~ 盗ったんじゃ~~~~!!」ウェーーーン


洋榎「こ、こら!! 自分、何でマジ泣きやねん!?」エェッ

ちゃちゃのん「ふぇぇぇ~~~ん えん えん……」




洋榎「ほれほれ、あんま~~~い いちごのドロップあるで~~」シュピッ

ちゃちゃのん「ふぇぇぇ… あ、いちご味じゃ……」ジー



洋榎「せやねん。 これサクマ式なんやでぇ、石とちゃうんやで~~」フリフリ

洋榎「自分が泣くのやめたら、コレ貰えるんやで~~~」ホレホレ

ちゃちゃのん「…………」ジー




洋榎「よ~しよし、ええ子やで~~~ ホイッ」


ちゃちゃのん「えへへ、ヒロちゃ… どうも、ありがとの―――////」ニコニコ






ちゃちゃのん「じゃけぇ ちゃちゃのん、やっぱりこっちがええんじゃ~~♪」ゴキュ ゴキュッ

洋榎「あ、バカ… 自分もぅヤメとけて!?」




ちゃちゃのん「ぷっはぁ~~~~っ!!」クゥーーッ


ちゃちゃのん「にゃは、にゃはは…///」ボーー


洋榎「おぅ、自分 平気か? とりあえず水でも飲んどき…」ホイッ




ちゃちゃのん「…………ヒロちゃんは、優しいのぅ…///」ポワーン


ちゃちゃのん「ちゃちゃのんは、とっても感激なんじゃぁ…///」ポロポロ


洋榎「今度は泣き上戸かい!! ホンマ手のかかるやっちゃな~~」


洋榎「ほらほら、さっさとその涙ふき…」ハァ




ちゃちゃのん「ふにゅぅ~~~~~~~///」ダキツキー

洋榎「おわぁっ、いきなり何や!! そないにしがみつくなて!?」ウォッ


ちゃちゃのん「うにゃにゃにゃにゃ~~~~~~~///」ホオズリ ホオズリ

洋榎「こ、こら、お前 ホンマ離せって~~~///」


ちゃちゃのん「ヒロちゃん~~~ 大好きじゃよ~~~~~///」チュッ チュッ チュッ


洋榎「ほっぺにチュッチュッすんな~~~///」ギャーーー







ヒロちゃの用意してくれた、ストロベリー・ミルクゆーカクテルは



とっても口当たりが良うて、ちゃちゃのんにも飲みやすいもんじゃった。




それはちゃちゃのんの好きな、いちごみるくのような――――




とっても可愛くて、ちょっと甘酸っぱい、そんな素敵な恋の味―――




このポカポカでホワホワな、不思議な気持ちはいったい何なんじゃろう――――





???「アカン… コイツ、完全にストパニっとるで!?」





ちゃちゃのんの目の前にいる… この人は誰じゃろぅ―――?




ちゃちゃのんの、王子さま――――?





ちゃちゃのん胸の内側から込み上げてくる




この暖かくて不思議な、甘酸っぱいモノは、いったい何じゃろう――――?






う… う…… うぇえぇぇぇ~~~~~~~~~







いちごのように~ かわいくて~♪



いちごのように~ 甘酸っぱい~♪




それがいちごの、生きる道~~~♪



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かぽ~~~~ん


ちゃちゃのん(うぇぇ、死にたい……)シクシク


ちゃちゃのん(酔って何も覚えちょらんのじゃが、思いっきりやらかしてもうたみたいじゃ…)シクシク



洋榎「おぅ、ちゃちゃ。替えの服、ここ置いとくで~~」


ちゃちゃのん「あ、ありがと…///」ブクブクブク


ちゃちゃのん(はぁ、自己嫌悪……)


ちゃちゃのん(きっと、呆れられてしもうたの……)ハァ







ちゃちゃのん「ひ、ヒロちゃん… どうも、さっきはゴメンの…」オズオズ


ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、酔っちょって何も覚えとらんのじゃが… 何か変なこととかしたかの?」


洋榎「あ、いや… 別に……///」ポリポリ


洋榎「酔いの方はもぅ大丈夫なん?」


ちゃちゃのん「う、うん… もぅ落ち着いたけぇ、大丈夫じゃよ…」




洋榎「まぁ、何や… とりあえず自分は人前で飲むの、もぅヤメとき…」


ちゃちゃのん「あ、うん… そうするんじゃ―――」シュン…





洋榎「服、借りてまってスマンなぁ」


ちゃちゃのん「そんなんちゃちゃのんのせいじゃし、ええんじゃ…」

洋榎「サイズ、全然合っとらんけどな…」ボソッ

ちゃちゃのん「あはは、そうじゃの…///」


洋榎(丈はウチのより短いクセに、胸まわりダボダボ、腰まわりキツキツ。 この怒りどうしてくれようか…)グヌヌ


ちゃちゃのん「…………ん?」ハテナ?





ちゃちゃのん「あ、そうじゃ…」


洋榎「………?」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、来年の伊勢神宮のテレビ中継に出ることになったんじゃ♪」ヘヘッ

洋榎「お~ それは凄いんちゃうか~ 弥次、喜多さんやん!!」


ちゃちゃのん「伊勢神宮の大祭『式年遷宮』の企画らしくてのぅ、ちゃちゃのんは巫女服姿で出る予定じゃよ♪」

洋榎「巫女さんっちゅうと、あの永水のおっぱいさんと、ロリ痴女のヤツが真っ先に頭に浮かぶのは何でやろな~~」

洋榎「特にあのロリの方、何となくやたら印象に残っとるで……」



ちゃちゃのん「そりゃぁ まぁ、あのインパクトにゃぁ 誰も勝てんしのぅ……」トオイメ

洋榎「ちゃちゃもあのロリの格好で出たら、きっと目立てるんちゃうか?」カカッ

ちゃちゃのん「いや、普通に捕まってまうじゃろ!?」



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ちゃちゃのん「そんでな、ちょっと不安じゃし… 今度、一度 伊勢神宮に参拝してこよう思っとるんじゃ…」

洋榎「おっ、そんならみんなも誘って、大晦日から元旦はお伊勢さんに二年参りと行こうや!!」



ちゃちゃのん「えっ、でも… これはちゃちゃのんの私用じゃし!?」

洋榎「きっかけなんて何でもえーねん!! 自分かて、久しぶりにみんなと会いたい言うとったやろ!!」


ちゃちゃのん「う、うん。 そうじゃけぇ……」


ちゃちゃのん「でもちゃちゃのん、まだその日 行けるか分からんよ」

洋榎「まぁ、そん時ゃそん時でええねん。 とりあえずみんなに声掛けといたるわ!!」シシシッ

ちゃちゃのん「うん、ありがとの。 みんなとお伊勢参りかぁ、楽しみじゃね♪」





ちゃちゃのん「ぁ…… ふわぁぁ………」

洋榎「何や、眠たなってきたか?」


ちゃちゃのん「う、うん…/// 今朝早かったし、お酒もまだ少し入っとるみたいじゃ…」

洋榎「んじゃ、もぅそろそろ寝よか? 時間も時間やし、泊まってってもええか?」



ちゃちゃのん「え… あ、うん… ええ…ょ///」テレッ


ちゃちゃのん「でもいくら可愛くても、ちゃちゃのんのこと襲ったりしちゃダメじゃよ」


洋榎「襲うか、ボケ!!」

ボカッ

ちゃちゃのん「あいたーーっ!!」





洋榎「そんじゃ、流しちょっと借りんで~」ヨッコイショ

ちゃちゃのん「うん、ええよ~」




ちゃちゃのん「……………」カキカキ


洋榎「はぁ~ スッキリ。 んじゃ寝よか… て、何しとんねん?」ペタペタ

ちゃちゃのん「あ、別に… 何でもないんじゃよ」エヘヘ

洋榎「ふ~ん… ま、ええけど…」



ちゃちゃのん「毛布用意したけぇ、ヒロちゃんはカーペットに毛布でええかの?」

洋榎「え~ そんなん腰痛いわ、ちゃちゃのベットに寝かせて~~な!!」

ちゃちゃのん「え、でも… そんなん……///」

洋榎「このサイズなら二人くらい平気やろっと…」ボフッ



洋榎「はぁ~ ふかふかでご機嫌やで~~ 何やちゃちゃの匂いもすんで~~~」ゴロゴロ クンクンッ

ちゃちゃのん「ちょ… そういうのヤメるんじゃ!?」アワワ

洋榎「あ… 変な毛とか落ちとらんかな、ミクロの決死圏やで!!」



ちゃちゃのん「あ~~ もぅ、電気消すんじゃ!?」///



ポチっとな…


洋榎「あ、クソ!! せっかくの未知との遭遇が!?」





ちゃちゃのん「お、お邪魔… するんじゃ…///」ソロソロ

洋榎「お~う、良きにはからえ~~!!」コイコイ


ちゃちゃのん(な、何でちゃちゃのんが……///)ソロソロ




ちゃちゃのん「………///」ドキドキ


洋榎「朝 起きたら寝ゲロ詰まらせて、隣で変死体とかマジ勘弁やで~~」


ちゃちゃのん「ヒロちゃんのバカ…」グスン…


洋榎「ジョークや、ジョーク♪」カッカッカ



カッチ

カッチ

ペロンッ

ちゃちゃのん「きゃっ!?」

洋榎「お、手ぇ当たったか? スマン、スマン♪」


ちゃちゃのん「……もぅ///」



カッチ

カッチ

カッチ

ちゃちゃのん(いつもは気にならん時計の音が、今夜はやけに耳に入るんじゃ……)

ちゃちゃのん(うぅ、何じゃか緊張して眠れなくなってきたのぅ…)ドッキ ドッキ ドッキ


洋榎「…………」



カッチ

カッチ

カッチ

ちゃちゃのん「ヒロちゃん…」

洋榎「ん……」

ちゃちゃのん「今日は… どうもありがとの……////」ドッキ ドッキ ドッキ


洋榎「ん… ぐぅうぅぅぅぅ~~~~~~~」


ちゃちゃのん(………寝付きええの~~ その性格が、ちゃちゃのん ちょっと羨ましいんじゃ…)




洋榎「ぐぉおぉぉ~~~~~」モミッ

ちゃちゃのん「ちょっ、ど、どこ触っとるんじゃ!?」アワワッ

洋榎「ぐふふ、なかなかええで~~」モミモミ モミモミ

ちゃちゃのん「あっ、ちょ、やっ、やめっ……///」ヒャウッ



洋榎「でも絹ぅ~ ちょっと、小さなったんちゃうか~~~」ウヘヘェ

ちゃちゃのん「…………」ピシッ


ギュッ


洋榎「アウチ!?」


洋榎「ありゃ、夢…?」キョロキョロ


ちゃちゃのん「…………バカ///」





【いちご日記】


12月××日(はれ)



いちごのハタチの誕生日、友達のヒロちゃんにお祝いしてもらったんじゃ♪



みんなからのプレゼントも嬉しかったのぅ~~




それからヒロちゃんの持って来た、ストロベリー・ミルクいうカクテルも飲んだんじゃよ。



いちごも もぅお酒を飲める年齢なんじゃよ。



ストロベリー・ミルク、とっても美味しかったんじゃが、その後の記憶が全然ないんじゃ。



どうもいちごは、お酒に あまり強くないみたいじゃ。



ヒロちゃんにも注意されたし、これからはちょっと気をつけようかのぅ……





婆っちゃとも、一緒にお酒を飲んでみたかったんじゃ――――






いちご「の、のぅ、ばっちゃ……」


老婆「ん、なんじゃ。 ちゃちゃのちゃん?」


いちご「いちごが… き、キラキラんアイドルなるんに、まずひつようなモンって何じゃろぅ…?」


老婆「そうじゃのぅ、歌とか踊りとか、色々あるんじゃろうが… まずはやっぱり、アレかの…」


いちご「アレって…?」ワクワク



老婆「呼び方じゃよ♪ 愛称っちゅうんか? アイドルさにゃ、そがぁ可愛ええ愛称みたいのあんじゃろ?」カッカッカ


いちご「かわええ、あいしょうかぁ♪ いちごじゃ、ダメかのぅ?」


老婆「いちごも可愛ええ思うが、名前に親しみを込めた呼び方が愛称っちゅうんじゃないんかのぅ」


いちご「そうなんじゃ。 何だか、むずかしいのぅ…」シュン


老婆「そがぁ難しゅう考えんでもええじゃろ。 ちゃちゃのちゃんが呼んでもろーて、嬉しい思う呼び方とかでええんじゃ」


いちご「うれしい、よび方…?」



老婆「ちゃちゃのちゃんは、何て呼ばれた時が一番嬉しいんじゃ?」






いちご「ちゃちゃの… ちゃちゃの、ちゃんって…」モジモジ



いちご「そう、ばっちゃに言ってもらった時が… いちばんうれしいんじゃ……///」エヘヘ






老婆「ヒッヒッヒ… そか そか。 ほじゃけど ちゃちゃのじゃ、名前じゃのうて 苗字んなっちまうがええんか?」


いちご「…………」コクコク




老婆「ほうじゃのぉ……」


老婆「じゃったら、ちゃちゃのちゃんを短くして、『ちゃちゃのん』とかどうじゃ?」


いちご「わぁぁ、ちゃちゃのん♪ アイドルみたいで、とってもかわええんじゃ~~~♪」パァァァッ


老婆「お、ちゃちゃのん… 気に入ったんかぁ?」


いちご「うん♪ これからいちごは、アイドル『ちゃちゃのん』じゃ♪」ニッコリ



老婆「お~ お~ ぶち可愛ええ笑顔じゃな♪」カッカッカ


いちご「ほぇ…?」


老婆「アイドルっちゅうんは、みなを笑顔にしてくれるモンなんじゃろ」


老婆「じゃったら、まずはアイドルである ちゃちゃのんがいつも素敵な笑顔でおらにゃぁのぅ」ナデナデ




いちご「う、うん… ちゃちゃのんのえがおで、みんなをえがおに… えがおに……」フルフル


老婆「何じゃ、どうかしたんか?」




いちご「ちゃちゃのん、ちょっと自信ないんじゃ…」ウル


いちご「ちゃちゃのん… 学校だとばっちゃといる時みたいに、わらえないんじゃ…」フルフル


いちご「いつもからかわれちょるし… ちゃちゃのんは、きっとかわいくないんじゃ……」ウルウル


老婆「ちゃちゃのん…」





老婆「お~ぅ… 今日はちゃちゃのんに、プレゼントがあるんじゃ!!」カッカッカ


いちご「えっ、何じゃろう?」ワクワク


老婆「じゃっ じゃじゃ~~~ん♪」テケテケッ




いちご「えっ、何じゃコレ… いちごもようの… 布?」ピロン


老婆「カッカッカ… ちゃちゃのん位の年じゃと、あまり馴染みがないんかのぅ…」


老婆「こりゃぁ、いちごパンツゆー女性用の腰巻きじゃよ」


いちご「ほへぇ~~ これがパンツ言うんかぁ~~?」ジロジロ



老婆「ワシらの若い頃はの、このいちごパンツゆーんは選ばれし美少女のみが着用を許されちょった 伝説の宝具じゃったんよ!!」ドーーーン


いちご「そ、そうなん…?」


老婆「そうじゃとも。 バアさんも若い頃いちごパンツ履いちょるトコを、映画監督目指しちょった爺さんに見初められてのぅ――――////」ウンヌンカンヌン





いちご「ほへぇ~~ いちごパンツっちゅうんは凄いモンじゃの~~」キラキラ


老婆「そうじゃよ。これさえありゃぁ、ちゃちゃのんも選ばれしヒロインじゃ!!」ドヤッ


老婆「じゃけぇ、もっと自分に自信持ち。 お前はワシの可愛ええ、可愛ええ孫娘なんじゃ」ナデナデ


いちご「ばっちゃ……」ウルッ




老婆「すぐにゃぁ無理かもしれんけぇ、ちぃーとずつでもええんじゃ」


老婆「勇気を出して、一歩ずつでええから 歩み寄っていってみるんじゃ…」



老婆「そうすりゃ… いつかきっとちゃちゃのんの良さを分かってくれる、そがぁな友人も出来るじゃろ―――」ギュッ


いちご「へへへ、ばっちゃ… どうもありがとの…///」


いちご「ばっちゃは、とっても ぬくぬくなんじゃぁ…」ギュッ






いちご「ばっちゃ… ずっと、ちゃちゃのんの… そばに―――」




いちご「いつまでも… いなくならんでのぅ――――」ギュゥーーー







「ぐぉぉ~~~ お前、いい加減に離れろや~~~~!!」ギブギブッ



ちゃちゃのん「ばっちゃ―――ッ!?」ギュゥーーー


洋榎「だ~か~ら~~ 離せ言うとるやろ~~!!」

ちゃちゃのん「ほぇ……?」パチクリッ


ちゃちゃのん「えっ、えぇぇっっ!!!?」バッ ズルッ



洋榎「あっ!?」

ちゃちゃのん「ふぇ…!?」



ドンガラガッチャーーン!! ガンッ! ゴンッ! ゴスッ!! ドガドガ ドガガガッ!!!


ちゃちゃのん「あいたたたぁ~~~~ ベッドから思いっきり、ピタゴラスイッチ落ちして死にかけたんじゃ~~!!」




洋榎「…………」ジーー

ちゃちゃのん「―――ヒロちゃん?」


洋榎「なるほど、それがいちごパンツいうヤツかぁ…」ホゥ ホゥ




ちゃちゃのん「…………///」カァァァッ


ちゃちゃのん「きゃぁぁぁぁーーーーーーっ!!」



パッシーーーーーーーーン!!





チュン チュン チュン チュン…



洋榎「あいたた、思いっきり引っぱたきおって。 大体、自分が朝ぱらから寝ぼけてやな――」イテテッ


ちゃちゃのん「うぅっ、ヒロちゃんゴメンのぅ……」ゴシゴシ



洋榎「―――自分、何や夢でも見て泣いとったんか?」


ちゃちゃのん「あ… 何でもないんじゃ、ちゃちゃのんは元気じゃよ~~♪」ヘヘヘッ




ちゃちゃのん「てぇっ、もぅこんな時間じゃ~~~!?」アワワ

洋榎「ん、何かあるんか…?」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、今日も仕事じゃよぉ!! は、早く出ないと~~!!」アタフタ


洋榎「ったく、ホンマ慌ただしいやっちゃな~~~」





ちゃちゃのん「鍵をしてっと…」カチャリ



ちゃちゃのん「あ、ヒロちゃん。 夕べはどうもありがとの♪」ヘヘ


洋榎「まぁ、なかなか楽しかったで! じゃ、お伊勢参りにはちゃんと来るんやでぇ!!」フリフリ


ちゃちゃのん「―――うん♪」ニコッ





久しぶりにみんなとのお出かけ。


みんな元気にしとるかのぉ、何だか今から楽しみじゃ♪




あっ、胡桃ちゃんにメールでもしておこうかの。


『お伊勢参り、今から楽しみじゃね。 ちゃちゃのんも行けたら行きたいんじゃ♪』ポチポチポチ



あっ、塞ちゃんにも…


『伊勢神宮の2年参り、今から楽しみじゃね♪ でもちゃちゃのん、その日 行けるかまだ分からないんじゃ。 一緒に行けたらええね…』ポチポチポチ



ポチポチポチ


ポチポチポチ


ポチポチポチ






【大晦日・伊勢神宮】


ちゃちゃのん「はぁ、はぁ… 遅くなったんじゃ。 みんなまだ待っててくれとるじゃろか…」カッコ カッコ カッコ


ドンッ

ちゃちゃのん「きゃっ!? ど、どうもスマナイんじゃ…」ペコリン


ちゃちゃのん「うぅ… それにしても、なんて人が多いんじゃ…」ウルウル


ちゃちゃのん(よく見ると、警察の人も結構いるのぅ―――?)





洋榎「――お前らウチを何だと…」


胡桃「見た目はオトナ、頭脳はコドモ」

塞「理性というアプリをうっかりアンインストール」

胡桃「超えちゃいけないラインの上で反復横跳び」

塞「見ている分には楽しいけど、傍に置いておきたくないタイプ―――」


洋榎「ウチだって泣く時は泣くでぇ?」グヌヌ



洋榎「まあ、とにかく、もう来るから待っとけて―――」




ちゃちゃのん「はい、どーん!!」セナカドーン

胡桃「うわ、びっくりした…」

塞「あ、来たんだ」

ちゃちゃのん「リアクション、うっすぅ!?」ガーン



塞「いや、まあ… そりゃあ、ねぇ…」

胡桃「さんざっぱら来られたら来たいって、スパムかってくらい毎日メール送ってくるし」

ちゃちゃのん「ちゃちゃのんこれでもテレビとか出とるんじゃよ、もっと驚いちょくれよぉ…」ウルル

胡桃「でも、そのわりにマスクもないのに全然注目されないよねぇ」


ちゃちゃのん「……所詮、量産型の雨後の筍アイドルじゃけぇ……」ズーーン


塞(イマイチぱっとしないの、気にしてたんだ……)





胡桃「まぁ、本当のことはさておき、ちゃちゃちゃん久しぶり♪」

ちゃちゃのん「胡桃ちゃんは相変わらず、言うことがキツイのぅ…」ヘヘッ

ちゃちゃのん「じゃけぇ、そんなトコも可愛ええんじゃぁ♪」ダキツキッ

胡桃「こら、そうやってすぐ人にひっつくんじゃないわよ!!」キモチワルイッ

ちゃちゃのん「じゃって、みんなと会うのも久しぶりなんじゃもん。 ちゃちゃのん、とっても嬉しいんじゃ♪」キャッ キャッ



塞「ていうか、ちゃちゃのん振袖じゃん。 着崩れするよ!?」

胡桃「まさか、そんなに気合入れて来るとはねぇ」バカミタイ…

ちゃちゃのん「えへへ、せっかくのお伊勢参りじゃけぇ。 どれをレンタルしようかとか、随分 悩んだんじゃ~」ヒラヒラ


ちゃちゃのん「今日はちゃちゃのんも、塞ちゃんと一緒のお団子頭じゃよ♪」クルリンッ

塞「ちゃちゃのんのは左右に一つずつのふわっとしたツインだね。とっても似合ってるよ」ハハッ



洋榎「何や自分。 やけに遅いと思ったら着物選びと、着付けで遅れとったんか!?」

ちゃちゃのん「えへへ、ゴメンのぅ。 久しぶりにみんなと会える思ったら、嬉しくてのぅ…///」テレッ

洋榎「まぁ 自分の場合、基本的にカタチから入るタイプやもんなぁ…」

ちゃちゃのん「うぅ、返す言葉もないんじゃ……」



胡桃「でも私たちは普段着だし、一人だけ超浮いてるよね」

ちゃちゃのん「そ、それは、考慮しとらんかったんじゃ…」ウゥッ

塞(考慮してなかったんだ……)




ちゃちゃのん「そっかぁ、せーちゃんは今日は千里山の時の友達と―――」カッコ カッコ

塞「漫ちゃんと哩は、それどころじゃないだろうしねえ…」

ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、今日は二人の分まで合格祈願しておくんじゃ!!」グッ





ワイワイ ガヤガヤ


塞「それにしても、本当に人が多いわね」

胡桃「まぁ~ 今が一番の書き入れ時だろうしね」

洋榎「ホンマ、人がゴミのようやな!!」

胡桃「言うと思ったけど、アンタもそのゴミの一部だからね」



ちゃちゃのん「えっと、伊勢神宮には内宮、外宮、別宮など合わせて125の宮社があり、外宮から内宮の順序で回るのが習わしと…」ヨミヨミ

ちゃちゃのん「参道の中央は神さまが通るから、通っちゃいけん。 鳥居の前では軽く一礼を…」ヨミヨミ フムフム


ちゃちゃのん「みんな分かったかの? て、あれ…?」ポツーーン





ワイワイ ガヤガヤ


ちゃちゃのん「はわわっ… ちゃちゃのん、さっそくハグレてまったんじゃ!?」ガーン


ちゃちゃのん「こ、こんな時こそ慌てずに… 文明の利器、ケータイじゃ!!」シャキーン!!


バッテリー切れ…


ちゃちゃのん「うぅ、電池切れなんじゃ……」ガックシ







???「おいっ!!」グィィー


ちゃちゃのん「うひゃぁっ!?」ビクゥッ


洋榎「自分、何やっとんねん!! さっそくはぐれんなや…」アホカ…


ちゃちゃのん「あっ、ヒロちゃん…」ホッ




胡桃「早くしなさいよーー! 置いてくわよ!!」


洋榎「まったく、ちゃんと付いてくるんやで…」


ちゃちゃのん「あっ、ヒロちゃん!!」カッコ カッコ

洋榎「ん…?」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのん来るまで、みんなを引き留めてくれてありがと~な♪」ニコッ


洋榎「たまたまや、たまたま…」





ちゃちゃのん「あっ、参道の真ん中は神さまの通り道なんじゃ…」ダメジャ


ちゃちゃのん「しっかり鳥居に一礼せんとのぉ…」ペコリン



洋榎「自分、ホンマさっさと来いって!! 大体、こんなぎっちぎちの人ごみん中で 神様の通り道もクソもないやろ!!」


ドゲシッ

ちゃちゃのん「あいた~~~っ!?」





胡桃「ほらほら、はぐれないようにね!!」プリプリ

洋榎「相変わらず保護者やなあ、いいんちょ」カカッ

ちゃちゃのん「見た目は一番コドモなんにのぅ♪」クスッ

胡桃「うるさいそこっ!!」



洋榎「ほな、手、つないどこか~」

胡桃「こ、コドモ扱いしないでってばっ!!」

洋榎「まぁまぁ、マジで離れられても困るしな♪」



胡桃「うぅ……」ぎゅっ

洋榎「はっはっは」

胡桃「は、はっずかしいこれ…」




洋榎「………」

洋榎「ウチら、こうやって手ぇ繋いでたら 恋人に見えたりするんやろか?」

胡桃「ななっ///!?」



塞「いや、いいとこ親子じゃない?」

ちゃちゃのん「確かに、ちゃちゃのんがもう片方の手を持ったら、親子ーって感じになるのぅ」ぎゅっ

塞「あ、それは拘束された宇宙人って感じになるね」ハハッ

胡桃「そこまで小さくないから!!」ウガー





ちゃちゃのん「えへへ、ホンに胡桃ちゃんは ちんこでやおいじゃけぇのぅ~♪」ナデナデ

胡桃「は…?」ギョッ

洋榎「ちん…」ンッ?

塞「!?」



ちゃちゃのん「ほぇ、どうかしたんか…?」キョトン

胡桃「え、いや… 別に……///」シセンソラシ

洋榎「はよ、行こうや…///」シセンソラシ


塞「………」ポチポチポチッ




塞(広島弁でちんこは身長が低い、やおいは柔らかい… か―――)フムフム


塞(今のうちに少しは自覚させとかないと… あの子、今にお茶の間ドン引きさせかねないわね……)


塞「ちゃちゃの――!?」ハッ



ワイワイ ガヤガヤ


塞「はぐれた………」ポツネーン






ゴーーン


ゴーーン


洋榎「おっ、除夜の鐘や…」

胡桃「もぅ… グズグズしてるから、二年参り間に合わないじゃない」

ちゃちゃのん「これだと普通の初詣ってことになるんかのぅ…?」

洋榎「まぁ、どっちでもええやん!!」カカッ


ゴーーン


ゴーーン


洋榎「煩悩の数が108いうのは、その人ごとに違う具体的なモンやっけ―――?」

洋榎「それとも、仏教的なアラヤシキぃ~みたいな難しい漢字のが決まっとんのやろか?」


胡桃「三毒だっけ? 一応、決められた108種はあったと思うけど…」

胡桃「―――でも108っていうのは、すごく多いよってことでも良かったんじゃなかった?」

胡桃「宗派とか教義によっては、煩悩の数が4万以上あったりするって話だし。 よくは知らないけどさ…」

ちゃちゃのん「ほぇ~ 煩悩ってそんなにいっぱいあるんかぁ…」


洋榎「4万以上て… そらアクロバティックに鐘を撞く、少林坊主の血管も切れてまうでぇ!!」カカッ

ちゃちゃのん「あ、ちゃちゃのんもそういうお坊さん見たことあるんじゃ――」クスッ

ちゃちゃのん「みんなで、サッカーするんじゃよね♪」

胡桃「いや、それはきっと違うと思うよ――」



洋榎「とりあえず、ムッツリーないいんちょは煩悩の数も多そうやな~~」

胡桃「何でそうなるのよ!!」




ゴーーン


ゴーーン



ちゃちゃのん「ちゃちゃのんが呉におった時は、大晦日にゃぁ除夜の汽笛を聞いて年越ししたのぅ」シンミリ

洋榎「おっ、あの呉港に停泊しとる艦船が一斉に『ボーーーーン!!』って汽笛鳴らすゆーアレか!! 何やカッコええやん!!」

胡桃「へぇ~~ 何か良いね…」


ちゃちゃのん「うん。 アレは知らんと、ホンにビックリするんじゃ…」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、小さい頃はいつもアレで泣いとったらしい…///」テレッ


胡桃「あれ… そういえばちゃちゃちゃん、そっちに住んでたことあるんだ?」

ちゃちゃのん「ん… うんと小さい頃と、中学の時に……」

洋榎「ほぅ、ほぅ…」


ゴーーン


ゴーーン



洋榎「ウチが戦艦になったら、さしずめ『重巡洋艦・愛宕姫』やな!! 何やカッコええやろ!!」ドヤッ

ちゃちゃのん「ヒロちゃんの洋もかかっとるんじゃね」ツヨソウジャ


洋榎「自分らは雑魚キャラやしな。 きっと青色の『駆逐艦・胡桃 & いちご』やろーなー!!」カッカッカッ

ちゃちゃのん「うぅ、いちご船は何か弱そうじゃ…」

胡桃「何かムカつくわね…」イラッ


胡桃「あんたなんて、蟹工船にでも乗ってなさいよ」

洋榎「そんなんストライキやっちゅねん!!」

ちゃちゃのん「カニ、食べたいのぅ…」


ゴーーン


ゴーーン



胡桃「ん、そういえば塞は…?」

ちゃちゃのん「ありゃ、いつの間にかおらんね…?」キョロキョロ


洋榎「銀色の『軽巡洋艦・臼沢丸』はレイテ沖にて散ったんやな…」ホロリ

胡桃「何言ってんの!? てか、何で塞の方が私よりレアリティ上なのよ!!」

ちゃちゃのん「レアリティ…?」



ゴーーン


ゴーーン


ゴーーーーン



ちゃちゃのん「あ、年越しじゃね」


ちゃちゃのん「皆さま 明けましておめでとうございます… なんじゃ♪」フカブカ


胡桃「ん、あけましておめでと」ペコッ


洋榎「おめでとさんさん さんころり~♪ ハッピー ニュー イヤーやで!!」シュバッ







胡桃「あ、ケータイ見たら塞から着信たくさん来てた…!?」ピッ ピピッ



胡桃「塞、あけましておめでとう~♪」フフッ


洋榎「お、ちょい貸してんか!!」パシッ



洋榎「よっす、おめでとさんやで~~♪ 今、どこおんねん?」



ちゃちゃのん「あっ、ちゃちゃのんにも…」


洋榎「お~ お~ 了解やで~!!」ピッ プツッ

ちゃちゃのん「あ――」



洋榎「ん、何や…?」


ちゃちゃのん「ん~ん、何でもないんじゃ……」シュン





そんなこんなありつつも 塞ちゃんと合流し



目的であるお伊勢参りを済ませた、その帰り道のこと―――






ちゃちゃのん「そういえば、ちゃちゃのん 年またぎジャンプするの忘れとったんじゃ…」ガッカリ

胡桃「いや、別にしなくて良いでしょ。 ていうか、それって何の意味があるの?」


塞「あ~ 『年越しの瞬間、俺は地球いなかったんだぜ! 凄くね!!』って言うアレだよね。 アレって結構みんなヤルもん?」

洋榎「そら一度はヤルやろ! ちなみに愛宕家は全員やっとんで~!!」ケラケラ

塞(愛宕の家系。 残念な人たちなんだね……)




塞「大体 地球にいなかったって言うには、地表から500kmはジャンプで離れないといけないらしいよ」

ちゃちゃのん「ほぇ~ 塞ちゃんは物知りじゃね。 ちゃちゃのんも頑張ってジャンプせんと…」フムフム

洋榎「ま~ 細かいことはど~でもええやん!!」バンバンッ

塞「ちょっ、肩を叩かないでよ…」モー




ちゃちゃのん「あっ、そうじゃ… せっかくじゃし みんなで記念の写真撮らん?」

洋榎「お~ ええんとちゃう!!」

胡桃「うん、私も撮りたい、かな」

塞「いいと思う」





ちゃちゃのん「それじゃ まずはちゃちゃのんが、みんなの写真を撮るんじゃ♪」カッコ カッコ

洋榎「いやいや、そんなら誰かに頼んで撮ってもらおーや!!」キョロキョロ




洋榎「そこのタコみたいなおっちゃ~ん! 悪いんやけど、ウチらの写真撮ってくれへん?」タタッ

洋榎「今ならそこの売り出し中のアイドルと、一緒の写真 撮らせてもらえんで~~♪」

ちゃちゃのん「ちょっ、ヒロちゃ…///」アセッ

タコみたいなおっちゃん「おっ、本当かぃ!?」




洋榎「おっ、タコ社長 男前やな~~!! ハイ、チーズやで~~」

タコみたいなおっちゃん「―――何か、年甲斐もなく照れちゃうねぇ」ワクワク ソワソワ

ちゃちゃのん「もぅ、可愛く撮っての~~///」テレッ


洋榎「社長~~、しっかり女優さんの腰に手ェ回してやらなアカンでぇ~~」

ちゃちゃのん「!?」

タコみたいなおっちゃん「おっ、そうかい?」デレデレ

洋榎「おっ、ええで、ええでぇ~ そのだらしない表情 頂きやで~~」


塞「バカやってないで、早く撮る!!」バシッ

洋榎「あたっ!?」カチッ


パシャ






タコみたいなおっちゃん「それじゃ~ 可愛いお嬢ちゃんたち、写真 撮るぞ~~!!」

洋榎「おぅ、可愛く頼むで~~!!」メガネ ソウチャク

胡桃(何、馴染んでんだか…///)


塞「ていうか、洋榎… 何そのメガネ…」ダサッ

洋榎「西暦メガネ知らへんの?」ミレニアーーム


塞「ニューヨーカーたちの うかれメガネでしょ、知ってるわよ」

ちゃちゃのん「あ~ 2000年頃から始まったっちゅう、0と0の部分がメガネになっちょるヤツじゃの」

胡桃「確か2010年に死滅するとか予言されてたらしいけど、何だかんだで現在まで生き残ってたんだね…」

ちゃちゃのん「マヤのアレみたいなモンかのぅ…」フムフム



塞「そんなのしてたら、可愛くも何もないでしょうに…」クスッ

洋榎「何やねん、ザワの怪盗キッドも似たようなモンやろ!!」ムキー

塞「うっさい!! そのネタいつまで引きずってんのよ!!」

胡桃「一緒に写るの、ちょっと恥ずかしいね」フフッ

ちゃちゃのん「まぁまぁ、おめでたいお正月じゃけぇ。 みんなで仲良くのぅ♪」エヘヘ



ちゃちゃのん「あの… メガネしてるのと、外したの両方 撮って貰ってもええじゃろか…?」ペコリ



タコみたいなおっちゃん「おまかせあれだぜぇ!!」ガッツポ



一同「「お願いしま~~す♪」」


パシャ


パシャ


パシャ





ワイワイ ガヤガヤ


洋榎「いや~ 話の分かる、ええオヤジやったな~」カッカッカ

塞「私はあんたの厚かましさが怖いわよ」

胡桃「結局、ちゃちゃちゃんにサインまで書かせてるし」

洋榎「ウチなりのマネージメントや、マネージメント!!」シシッ



ちゃちゃのん「ホンに『タコ社長さんへ (はぁと)』なんてコメントで良かったんじゃろか…」


洋榎「おっちゃんがそれでって言うんやから、別にええやん」





ちゃちゃのん「――えへへ、可愛く撮れとるのぅ」ジッ

胡桃「ま、約一名 超浮きまくってるけどね」クスッ

ちゃちゃのん「もぅ、それは言いっこなしじゃよ~~」





ワイワイ ガヤガヤ


洋榎「にしても、駅までの道も相変わらずの人ごみやな」スタスタ

胡桃「まぁ、さっきまで程ではないけどね」トコトコ

塞「こりゃ、帰りの特別電車も混んでそうね」


ちゃちゃのん「あぅ…」ヒョコヒョコ




洋榎「ん、ちゃちゃ…?」

胡桃「ちゃちゃちゃん…?」


ちゃちゃのん「あはは、何でもないんじゃ――」ヒョコヒョコ




洋榎「て、自分 足引きずっとるやん!!」

胡桃「もしかして、靴擦れとか?」

ちゃちゃのん「ん、ちょっと捻っちゃったみたいじゃ…」

塞「ちょっとそこのコンビニで湿布とか買ってくるから、そこのベンチで待ってて!!」タタッ



胡桃「痛い?」

ちゃちゃのん「ん、ちょっと…」

洋榎「そんな慣れん厚底のこっぽりみたいん履いてくるからやで」

ちゃちゃのん「うぅ、ごめんのぅ…」シュン





塞「とりあえず使えそうなの買ってきたんで、応急処置だけしちゃおっか」タタッ

洋榎「おつかれさ~~~ん」

ちゃちゃのん「塞ちゃん、後でお代は支払うからの…」

塞「えっ、別に良いって…」ペタペタ マキマキ



塞「はい、完了!! これでだいぶマシになったんじゃないかしら」

ちゃちゃのん「どうもありがとの…」



洋榎「よっこらしょっと…」シャガミ

胡桃「?」

ちゃちゃのん「ヒロちゃん…?」



洋榎「あと少しなんやし、駅まで位ならウチが担いだるわ…///」

ちゃちゃのん「えぇっ!! そんなんええよ!?」


洋榎「そんなんでまたハグレられたら面倒やろ!! ええからしがみついとけて!!」ウガッ

ちゃちゃのん「えぇ… でも、のぅ…」チラッ


胡桃「ま、良いんじゃない…」

塞「洋榎がへばったら私が代わってあげても良いよ」フフッ

洋榎「アホッ、ウチがそんくらいのことでへばるかい!!」



ちゃちゃのん「あ… じゃぁ、その… お願いするんじゃ…////」ペコッ


胡桃「じゃ、ちゃちゃちゃんの履物は私が預かっとくわね…」





ちゃちゃのん「ん、しょっ…」シガミツキ

洋榎「お、何や背中に柔らかい感触が…」ムニュ ムニュ

ちゃちゃのん「うぅ、恥ずかしいんじゃ……////」ギュゥ

胡桃(――う、羨ましくなんか、ないんだから……)ジブンノムネ ペタペタ

塞(胡桃……)ドウジョウ




洋榎「ふんぬっ!!」グオッ

ちゃちゃのん「うひゃっ!?」ガクンッ

塞「ちょ… 大丈夫…?」

洋榎「へっ、平気や 平気ぃ~~!!」プルプル

胡桃「全然、平気そうには見えないけどね」


ちゃちゃのん「うぅ~ これじゃと、まるでちゃちゃのんが重いみたいで 恥ずかしいんじゃ~~///」カァァッ

塞「まぁ、胡桃よりは重いんだろうけどね」

胡桃「そこで私を比較に出されてもねぇ…」フクザツ



塞「この際 三人で騎馬戦持ちでもして、お神輿みたいに揺すりながら駅まで運ぶ?」

胡桃「ぷっ…」

ちゃちゃのん「胡桃ちゃんにゃぁ 騎馬戦の下は無理じゃろ。 ちゅーか、それは流石に恥ずかしすぎるんじゃ…///」ヤメテッ

洋榎「あ"~~ もぅ自分ら少しは黙っとれってぇ!!」ズンズン ズンズン

ちゃちゃのん「あっ、ゴメンの……///」




スタスタ スタスタ……


ちゃちゃのん「…………////」


洋榎「ふん…………///」






【帰りの電車内にて】



ガタンゴトン ガタンゴトン…


洋榎「はぁ~~ メッチャしんどかったわぁ~~」ゼェゼェ ハァハァ

胡桃「お疲れさま」

塞「途中で諦めると思ったけど、ホントよく最後までやったわね」


ちゃちゃのん「ヒロちゃん、ホンにゴメンの~~~///」ワタワタ


胡桃「注目されまくりで、私たちも恥ずかしかったわ」




塞「あっ、あっち座席一つ空いたし、ちゃちゃのん座って来て良いよ」

ちゃちゃのん「えっ、でも…」キョロ

洋榎「え~て、え~て、取られる前にさっさと座っとき!!」シッシ


ちゃちゃのん「う、うん……」スゴスゴ






ちゃちゃのん「…………」チラッ


ちゃちゃのん(さっきの写真、やっぱりみんなとってもええ顔しとるのぅ……)フフッ






プシューーッ


ちゃちゃのん(あ、隣の座席が空いたんじゃ…)


黄色髪の少女「ゔっわぁーーい!! 空席み゙ぃっけ~~~っ!!」ダダダーーーーシュ!!

黄色髪の少女「ほっ!!」フンギ スポッ


ちゃちゃのん(何じゃか、元気な子じゃのぅ。 でもこんな時間に大丈夫なんじゃろか?)

眠たげな少女「もぅ、そんなに走ったら他のお客さんに迷惑だよー」トトト…


黄色髪の少女「に゙しし、ごめ゙~~~ん゙!!」ポリポリ

眠たげな少女「もぅ中学2年生なんだから、その喋り方も治した方が良さげだよー」



ちゃちゃのん「中学生… 保護者の人とかおらんの? 子どもだけで、この時間は危ないんじゃよ…」

眠たげな少女「あっ、すみませんー 途中まで保護者代わりのお姉ちゃんと一緒だったんですけどー」

ちゃちゃのん「あ、ゴメンの… つい心配んなって、聞いてみただけなんじゃ…」ブンブン



黄色髪の少女「おっきなおもちを追っかけてって、そのままハグレちゃったんだぞ~~っ!!」フンヌッ

ちゃちゃのん「おもちを追いかけて…? 保護者のお姉さんの方がハグレちゃったんか…?」

眠たげな少女「まぁ、いつものことなのでー さっき連絡とれたし、私たちは先に帰ろっかーっていう所存ー」

眠たげな少女「そういうお姉さんも、なかなか良いものをおもちのようでーー」

ちゃちゃのん「ふぇっ!? そ、そうじゃろか…?(さっきから、いったい何の話じゃろ…?)」



ちゃちゃのん「そのお姉ちゃんがちょっと心配な気もするんじゃが、帰り道は二人で大丈夫なんか?」

黄色髪の少女「ゔん゙!! 駅に゙レジェンド呼ん゙だから゙平気だよ゙~~っ!!」フンギッ

眠たげな少女「レジェンドは私たちの先生ですよー」

ちゃちゃのん「ほか、ほか、この子 しっかりしとるし、先生来るなら安心かの…」





眠たげな少女「振り袖姿ってことは、お姉さんもお伊勢参りの帰りですかー?」

ちゃちゃのん「うん、そうじゃよー お嬢ちゃんたちも そうなんじゃね?」

黄色髪の少女「ゔん゙! 今年はア゙ゴヂャーと、シズヂャーたちの大学受験だし、ア゙ヤ゙ヂャーは高校受験だがら゙ーーっ!!」

眠たげな少女「友達の合格祈願にお伊勢参りしたいと考えた所存ー」



ちゃちゃのん「お姉ちゃんも今日は友達の合格祈願に来たんじゃよ。 みんなが受かるとええね♪」エヘヘ

黄色髪の少女「ゔん゙! あ゙り゙がどゔ~~!!」ニコニコ




ちゃちゃのん「あっ、この席… 座ってくれてええんじゃ…」ヨット…

眠たげな少女「えっ、でもー」


ちゃちゃのん「ええよ、ええよ。 ちゃちゃのんの友達はあっちにおるしのぅ♪」フリフリ





ちゃちゃのん「それに 一人だけ座席がないんは、やっぱり可哀想じゃろ……」


ちゃちゃのん「座るんなら、みんな仲良くが ちゃちゃのんはええんじゃ―――」


黄色髪の少女「ん゙ん゙――?」

眠たげな少女「お姉さん、どうもありがとー♪」ニッコリ




ちゃちゃのん「それじゃ ちゃんと保護者さんたちと連絡とり合って、しっかり帰るんじゃよ」バイバイ

黄色髪の少女「ばいばーーーい!!」ブンブン

眠たげな少女「ご心配、痛み入りますー」ペコリ





ちゃちゃのん「えへへ、来ちゃった…」ヒョコヒョコ


洋榎「自分、何やっとんねん」アホ


胡桃「お人好し」フゥ


塞「はは、まー 良いじゃない…」





洋榎「おっ、あっちのグレイ優先シートが空いたで~! 今度はいいんちょ 座って来ぃ!!」


胡桃「あれはシルバーシートよ! 拘束されたグレイ型宇宙人違うから!!」



塞「そんなネタ、いったい誰が分かるってのさ…」ハァ





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宇宙人優先席




みんなとのお伊勢参り、ホンに楽しかったのぅ。


ヒロちゃん、胡桃ちゃん、塞ちゃん…


みんな、とってもキラキラしちょったんじゃ。




これはちゃちゃのんが 幼い日に憧れた。



あのキラキラなアイドルさんに感じとったもんに似ちょるんじゃろか。





ちゃちゃのんにとって、それは何より尊くて、大切なモノ。


それが、今 この瞬間にゃぁ 確かにあったんじゃ。



ちゃちゃのんは、それを失いたくないんじゃ。







みんなと一緒に写ったこの写真は、ちゃちゃのんの宝物―――



この日のことを、ちゃちゃのんは きっと忘れないと思うんじゃ――――






【胡桃の部屋】



ちゃちゃのん「みんな~ 遅れてごめんじゃよ~~」トタトタ ガチャッ

ちゃちゃのん「仕事が長引――――」


セーラ「」ゲロゲロゲロゲロ

ちゃちゃのん「うっきゃ~~! 玄関から地獄絵図ッ!?」ヒェエェーー


セーラ「ゲロが出るでー……」ビビクン

ちゃちゃのん「ちょ、大丈夫!?」


洋榎「大丈夫、大丈夫!!」

洋榎「セーラはサークルで吐き慣れとるし、マジのヤバいボーダーライン弁えとるからな」

胡桃「ウチの床は無事でも なんでもないからね!?」モー



洋榎「ま、メンツも揃ったことやし、学生らしく恋話でもするか!?」

ちゃちゃのん「うわぁ、珍しいのぅ!?」

塞「さっきまで酒飲みながら、自分たちの大学時代は色恋沙汰がなさすぎるって くだまいてたのよ…」フゥ

塞「鬱陶しいなら、洋榎を"塞ぐ"けど……」

ちゃちゃのん「その手のアクエリアスは―――」アセッ




一月の松の内も終わる頃、いつもの胡桃ちゃんの部屋でみんなと新年会じゃ♪





ちゃちゃのん「大体 恋話っちゅーても、このメンバーじゃ盛り上がらんじゃろ…」

ちゃちゃのん「ヘタしたらみんな恋人居ない歴=年齢じゃあ……」

胡桃「寂しいこと言わないでよ!!」


洋榎「―――しかし、残念ながら……」チラッ

塞「……」チラッ




セーラ「あー 吐いたらすっきりした!!」

ちゃちゃのん「え…?」


胡桃「もう、床は自分で拭いてよね!!」

セーラ「はい、はい」


胡桃「あと、この罰でのろけ話よろしくね!!」

セーラ「はい、はい」



ちゃちゃのん「え、ええええええええええええええええええ!?」






洋榎「千里山で、参謀っぽいメガネおったやろ」

ちゃちゃのん「う、うん!!」


洋榎「アレと付き合うとるらしいで」

ちゃちゃのん「えぇっ!?」



塞「しかも高校卒業時に告白されて、ずっと続いてるんだとか…」

ちゃちゃのん「ほぇぇ~~~」


胡桃「しかも遠距離恋愛だって…」

ちゃちゃのん「すごいんじゃ~!!」オメメキラキラ




ちゃちゃのん「のー のー、なんて告白されたん!?」


ちゃちゃのん「今、どのくらい会っちょるん!?」


塞「メチャクチャ食いついてる……」

胡桃「乙女だねっ」



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船久保 浩子(フナQ)




塞「それで、その…… どこまでイッたの?」

ちゃちゃのん「えぇっ!? 塞ちゃん、そんなんエッチじゃよぉ!?」キャッ

塞「い、いいでしょ別に… 女しかいないんだから!!」

塞「き、きき、気になるじゃない!!」テレッ


ちゃちゃのん「確かに、気になるのぅ……///」カァァッ




セーラ「あー、ヤッたで」

ちゃちゃのん「きゃーーーーっ!! きゃーーーーーっ!!」////

塞「うわー、おっとなーーっ!!」



ちゃちゃのん「え、ど… どど、どうやってその、したん…?」///

塞「やっぱりホテルとかいくの?」




きゃーーーーっ!! きゃーーーーーっ!! きゃーーーーーっ!!




洋榎「あの食いつきっぷりが怖い……」カタカタ


胡桃「アレがオトナになるってことなのかな……」カタカタ





ドンッ!




一同「「あっ――」」




洋榎「また壁ドンされてもうたな……」アーア

塞「ちょっと騒ぎすぎちゃったか…… ごめんね」

セーラ「今度は壁ドンし返してみるかーー?」

胡桃「やめて!!」

ちゃちゃのん「うぅ、たびたび すまないんじゃ……」



洋榎「なんもかんもバイトが悪い!!」

胡桃「え…?」


セーラ「そうやな、哩が素直に店で酒盛りさせてくれたら良かったんや!!」

胡桃「今日が何月何日か、分かって言ってる?」


セーラ「何もかんも浪人が悪い…」

洋榎「二浪ってやっぱクソやわ!!」

胡桃「酷い言い草」

塞「本人が聞いたらブチ切れるわよ…」




ちゃちゃのん「でも、どうせ恋話するなら、哩ちゃんにも来て欲しかったのぅ…」


塞「あー……」

胡桃「結局 付き合ってるのかなぁ、あの二人って……」



洋榎「あ~~ デビ子なぁ…」

セーラ「誰やっけ…?」

洋榎「ほら、あの新道寺で大将やっとった」

セーラ「おー おー あのデビルマンレディーみたいの!!」ポンッ


胡桃「いい加減、その共通認識やめなさいって…」


塞「二人は同棲してるって話だし、やっぱり付き合ってるのかな…?」




洋榎「ん~~ あれは付き合っとるやろな…」

塞「まぁ… 洋榎ん家に行った時も、手繋いで歩いてたしね」

洋榎「それになぁ。 ウチ 沖縄旅行で、見てもーてん…」

ちゃちゃのん「あ、去年の夏に胡桃ちゃんと哩ちゃんと行ったっていう……」



洋榎「風呂場でな、あいつの首元にキスマークついとってん…」

塞「うわぁ…」

セーラ「何で見とんねん!!」

洋榎「いや、シャンプー取ろうと横向いたら、ちょ~どあいつが髪の毛洗ろててな」


洋榎「こう、ちらっと…」


ちゃちゃのん「えっ、えっちぃのぅ……///」カァァ





塞「でも、もしかしたら虫さされかもよ」

胡桃「キスマークがどんなものか、よく知らないけどね…」

洋榎「いや、その、なんや……」



洋榎「胸にも同じようなのがあってん…」

ちゃちゃのん「うわわわわっ///」アワワッ


胡桃「何でそんなとこまで見てるのよ!?」

洋榎「いや、首のキスマークから思わず目線そらしたら、胸が目に入ってきて……」


洋榎「ええなー あんくらいの乳欲しいな~~ 思って凝視しとったら、キスマークが……///」

ちゃちゃのん「うわぁ… ヒロちゃんはヒロちゃんで、えっちじゃのぅ…////」


塞「凝視は駄目でしょ!!」

洋榎「なんでや! 大きかったらつい見てまうやろ!!」

胡桃「―――おっきい方がいいんだ……」ムゥ

洋榎「そらな…」

洋榎「絹の触ったことあるけど、アレはホンマ異次元やで~~」ワキワキ

塞「触るなよ……」モー




ちゃちゃのん(…………////)カァァ


セーラ「どないしたんや?」


ちゃちゃのん「えっ、あっ… うぅん、何でもないんじゃ!!」




ちゃちゃのん(誕生日の夜のこと、思い出しちゃったんじゃ……////)カオ マッカッカ





セーラ「まあ、気になるんなら、本人に聞いてみればええやん!!」

塞「えっ!?」


洋榎「せやな! 壁ドンされた恨みつらみも言いたいしな!!」

胡桃「ちょ…」



洋榎「と、いうわけでお電話やー!!」ピポパポピ…

洋榎「―――出んなぁ」トゥルルルル… トゥルルルル…


セーラ「こら、出るまで電話やろ!!」

洋榎「おう!!」トゥルルルル… トゥルルルル…


胡桃「殺されるわよ……?」


ちゃちゃのん「もぅ、ヤメた方がええんじゃよ~~」アセアセッ




セーラ「とぅるるるるるるるるるるるるん… はい、もしもし―――」

洋榎「で… 自分はスルメを耳に当てて、いったい誰と電話しとんねん…」


コノデンワハ ゲンザイ デンパノ トドカナイ トコロニアルカ…

胡桃「あ、着信拒否られたかな」





その日の夜更け…



「ぐぉお~~ ぐおぉ~~~」



「う~~ん、むにゃむにゃ……」




ちゃちゃのん「はぁ… 何だか、すっかり目が冴えてしもぅたみたいじゃ…」


ちゃちゃのん(そりゃぁちゃちゃのんじゃって、そういうことに全然 興味がなかったわけじゃないんじゃ)


ちゃちゃのん(素敵な人と恋に落ちて、いつかは… その… そういう関係に、なるんじゃろうなって……////)


ちゃちゃのん(でも、正直 それはもっと遠い未来の話で… ちゃちゃのんたちにゃぁ関係ないことじゃって、どこかでそう思っとったんじゃ……」




ちゃちゃのん「こうやって、みんな大人になって行くんじゃな……」ボソッ


???「まだ、起きてたんだ…」


ちゃちゃのん「あ、胡桃ちゃんけ…?」


胡桃「何だか私も目が冴えちゃって、ちょっと散歩でもする…?」


ちゃちゃのん「う、うん……」



塞「…………」






アオォーーーン ワォン ワォンッ…




ガコッ ガコンッ


胡桃「はい、いちごミルクのホット」ソッ

ちゃちゃのん「あ、ありがとなんじゃ…///」アチャチャッ


ちゃちゃのん「胡桃ちゃんがこんな時間に夜歩きなんてして、補導とかされんじゃろか…?」ドキドキ

胡桃「少なくともアンタより、年上ですからね」プシュ



ちゃちゃのん「…………」プシュ

胡桃「はぁ、何かビックリだよね。 あ~いうのって、あんま免疫ないしさ…」

ちゃちゃのん「そ、そうじゃね……///」コクコク



ちゃちゃのん「……漫ちゃんと哩ちゃん。 試験上手くいくとええのぅ」

胡桃「う、うん、そうだね……」コクコク

ちゃちゃのん「…………」





ちゃちゃのん「こ、恋のこととか… 胡桃ちゃんはどう思っちょるんかの……?」チラッ

胡桃「な、何よ、急に……」


ちゃちゃのん「あはは、何となくなんじゃけど……」テレッ



胡桃「こい、こい、こい……」


胡桃「と、とりあえず… カープ坊やは、もぅ少し野球に集中するべきなんじゃないかな……」

胡桃「ラグビーとかプロレスとか。 プロゴルファー猿・the野球じゃないんだからさぁ―――」

ちゃちゃのん「いやいや、マエケンとか堂林とか 赤ヘル談義はまた今度でええじゃろ!?」


胡桃「また今度でもしないわよ…」


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ちゃちゃのん「そうじゃのぅて… 人を好きになるって、どういうことなんじゃろねって……」


胡桃「あ~~ まぁ、分かってたけどさ……」





胡桃「好きな人に、こうであって欲しいっていう 自分の勝手な願望を求めたり…」


胡桃「好きな人を、自分だけのものにしたいって思ったり…」


胡桃「そういう、自分本位な幻想の押し付け―――とか?」




ちゃちゃのん「もぅ、胡桃ちゃんは夢のないことを言うの~~」


胡桃「恋に恋する… そんな年でもないでしょう……」フゥ





胡桃「じゃ~ 一応 聞いとくけど、ちゃちゃちゃんはどう思ってるわけ?」


ちゃちゃのん「――――ちゃちゃのん、よぅ分からんのじゃ……」シュン


胡桃「何それ、バカみたい」




胡桃「大体 ちゃちゃちゃんって、昔からモテたんでしょ…」


胡桃「誰かを好きになるって気持ち、分かんないの―――?」








婆っちゃのことが大好きじゃ。


ヒロちゃんや、胡桃ちゃん、塞ちゃんたちのことも大好きじゃ。


鹿老渡のみんなのこと、今でも大切に思っとる。



その気持ちに、嘘はないはずじゃ―――




じゃけぇ この大好きっちゅう気持ちと、恋をするっちゅう気持ちは…



やっぱり、ドコかが違っとるんじゃろね。






恋をするっちゅうこと。


誰かを本気で愛するっちゅうこと。



胡桃ちゃんにゃぁ、言えんかったけど…




それは、自分の全てを相手に差し出すっちゅうこと。



自分の全てを捧げてもええっちゅうこと、だったりするんじゃろか……?





そして、季節はバレンタインの頃――――






【某スタジオ・楽屋】



チハヤ「あれ、ちゃちゃのん それって…?」

ちゃちゃのん「あ、うん… 手作りチョコの作り方を調べとったんじゃ…」


チハヤ「え~ もしかして、ちゃちゃのん熱愛発覚!? お相手は誰なのかな~?」


ちゃちゃのん「あ、そんなんじゃないんじゃが… その、大切な人に感謝の気持ちを伝えたくてのぅ……///」



チハヤ「てぇ、それ何も違わないでしょ~~ 羨ましいわね~~~!!」コノコノッ

ちゃちゃのん「あはは、チハちゃんもちゃちゃのんにとって大切な人じゃけぇ~ バレンタイン楽しみにしちょってのぅ♪」イタイ イタイ

チハヤ「そか、じゃ~ 見逃してあげる…」



チハヤ「まぁ… アイドルなんて言っても、一人のおんなの子だもん――」


チハヤ「もし本気の相手がいるんなら、くれぐれも後悔しないようにしなさいよね……」


ちゃちゃのん「―――ん」コクンッ









ちゃちゃのん(バレンタイン、一日仕事が入っちゃったの……)



♪~ チャン チャン チャン チャラランラ…


ちゃちゃのん(ヒロちゃんから、メール……? いつもの胡桃ちゃんたちとの集まりかの…?)



『―――その日はちゃちゃのん、一日仕事なんじゃ。 ゴメンの…』ポチポチ ポチポチ


ちゃちゃのん「送信……と」ピッ



ちゃちゃのん「みんなにチョコ渡すの、別の日になっちゃうのぅ……」ハァ






結局 今年のバレンタインは、ファン感謝イベントで一日終わっちゃったのぅ。




カラン コロン…


哩「いらっしゃい。 おぅ佐々野か、久しぶりやな~」

セーラ「おいーーっす!!」

胡桃「ちゃちゃちゃん、お久しぶり」

塞「やっ」



ちゃちゃのん「みんなお久しぶりじゃねぇ。 はい、ハッピー バレンタインなんじゃ♪」ドゾッ

哩「わざわざ手作りか? 悪いな…」

セーラ「おっ、美味そうやん!!」

胡桃「ちゃちゃちゃん、わざわざありがとね♪」

塞「ちゃちゃのんは良い子だね」ナデナデ



ちゃちゃのん「えへへ、少し遅くなっちゃってゴメンの。 当日は一日仕事だったんじゃ……」



胡桃「それにひきかえ、アイツときたら…」フンッ

ちゃちゃのん「アイツ……?」


哩「…………」





カラン コロン…



洋榎「えー、というわけで…」

洋榎「二日酔いで潰れとったわけなんで……」

洋榎「もうバレンタイン終わったけど、皆チョコくれへんかな~~って」ナンカ、チョーダイ!!



ちゃちゃのん「もう、しょうがな――」

哩「死ね!!」

塞「ないわよ!!」

セーラ「もう残っとらんでー」


胡桃「ちゃちゃちゃんも、こんな奴にあげなくていいから!!」

ちゃちゃのん「え、あ… うん……」



洋榎「なんでや!!」

洋榎「別に約束してたわけでもないし、ええやん!!」

塞「ま、そーなんだけどさー」

塞「でもバレンタイン終わったし、チョコあげなくてもいいでしょって…」

洋榎「うぎぎぎぎ……」


胡桃「バカみたい…」フンッ



ちゃちゃのん(胡桃… ちゃん……?)






結局 その後、ヒロちゃんにチョコをあげることはなかった。



ちゃちゃのん(バレンタインのチョコ、ヒロちゃんにあげそびれてしもうたのぅ……)パリポリ



ズキンッ



何故じゃか、ちょっぴり胸が痛かった――――






二回生での最後の試験も終わり…




ちゃちゃのん「みんなは試験の方はどうじゃったん?」


塞「あ~ 私はいつも通りだったけど。 胡桃の方が……」ハハッ


胡桃「あ~~ あんなヤツらと勉強会なんてするんじゃなかった…」

胡桃「電車で無理なものは、やっぱりバイクでも無理なのよ……」ブツブツ


ちゃちゃのん「ん…?」


塞「試験期間中に洋榎やセーラと徹麻してて、見事に試験に寝坊したらしいよ」


ちゃちゃのん「そ、それはご愁傷様なんじゃ……」






胡桃「あ、そういえば… この前の伊勢神宮特集の、ちゃちゃちゃんの巫女服姿見たよ」


塞「あ~ みんなで一緒に見てて、洋榎がテンション上がって爆笑してたらしいね」


ちゃちゃのん「うっ、別に爆笑するトコなかったじゃろ……」










冬が終わり、また新たな春がやって来る。


ちゃちゃのんたちは、三回生へと進級しとった。




胡桃ちゃんに家庭教師をしてもらっちょった、一浪中の漫ちゃんは


第一志望じゃった、ちゃちゃのんたちと同じ大学にゃぁ受からんかったものの


同格とされる隣県にある大学の方は見事に合格、今年からは晴れて大学生っちゅうことじゃね。





そして、二浪中の哩ちゃんじゃが


どうやら、今年も西の最高学府にゃぁ 届かんかったそうじゃ。






哩「今年落ちたら、受験は終わりばい」



哩「やりたかった研究は、代わりにあいつがしてくれているばい」


哩「麻雀部の時と同じで、重荷にするのは心苦しか―――」


哩「けど… 夢は、代わりにあいつが叶えてくれると信じとるばい」


哩「だから、心置き無くドロップアウトできる……」




――これは後から胡桃ちゃんに聞いた話じゃが


そう言っていた哩ちゃんは、どこか寂しげであり


どこか安心したような、そんな表情をしとったそうじゃ。





きっと夢を託した後輩の姫子ちゃんのこと、心の底から信じちょるんじゃろうね。



そう思える人がいるっちゅうこと… それはとても羨ましいことじゃと、ちゃちゃのん 思うんじゃ。





そんな大学受験を諦めた哩ちゃんじゃが…



当面は今のお店で、料理の勉強をしながらバイト生活を続けるそうじゃ。





何でも、哩ちゃんにゃぁ 新しい夢が出来たとか―――




哩「それに… 新しい夢も出来たしな……」




哩「――幸せな家庭」テレッ








哩ちゃん、姫子ちゃんと末永くお幸せにの。




ちゃちゃのんは、いつでも二人のこと応援しちょるけぇのぉ♪




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そして、ちゃちゃのんたちはっちゅうと…



ちゃちゃのんと塞ちゃんは、ゼミが始まりそっちに多くの時間を取られるようになった。



せーちゃんは麻雀部の最上回として、最近ではそっちの活動がメインになっちょるそうじゃ。




ヒロちゃんはっちゅうと…


結局、ゼミも決まらんかったようじゃね。


まぁ~ 自業自得なんじゃし、仕方ないんじゃけど。



胡桃ちゃんは、まだあまり生活的な変化はないようじゃった。





――そんなこともあってか…



最近はヒロちゃんと胡桃ちゃん、二人で遊んどることが多いようじゃ。






たとえどんなに環境が変わろうと


変わるはずなどない、ちゃちゃのんたちの関係。



でも、たぶんそれは胡桃ちゃんのいう恋と同じ。


ちゃちゃのんの中にある、勝手な幻想だったんじゃろう。



まだこれといって、変わったことなどないはずなんじゃが…


ちゃちゃのんたちの周りの何かが、少しずつ変わり始めとったんじゃと思う。





それがいったい何じゃったんか。


ちゃちゃのんにゃぁ、まだよう分からんかったが。



ただ漠然とした不安だけが、ちゃちゃのんの胸の内から離れんかった。






ジャラ ジャラ ジャラ ジャラ…


ちゃちゃのん「えへへ、ツモじゃよ♪」パララ…

胡桃「ん…」

セーラ「あちゃー」

洋榎「てぇ、ちゃちゃはまた平和(ピンフ)かい!! 男だったら、もっとデカイ手も目指そうや!!」

ちゃちゃのん「じゃって… おっきいの狙うと、決まってヒロちゃんに潰されるんじゃもん…」オンナジャシ…



洋榎「平和なんてクソくらえなんや、クルックーしとる東鳩を見たら豆鉄砲やでぇ!!」ビスビスビスッ

ちゃちゃのん「え~ 平和はとっても大切なんじゃよぅ…」

胡桃「東鳩さんに怒られるわよ…」



セーラ「せやねん、俺らは破壊と混沌の探求者。 デトロイトでメトロイドはオモロイドやねん!!」

胡桃「とりあえず、アンタもよく分からずに 口走るのやめなさいね」



洋榎「これよりウチらは超ピンフバスターズ、漢字に直して超平和バ―――あたっ!?」ビシッ

胡桃「だから、そういうのいいから!!」シャー

洋榎「へーーい…」



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ジャラ ジャラ ジャラ ジャラ…


洋榎「いちごの~ように… かわいくて……」ボソッ

ちゃちゃのん「……?」


洋榎「いちごの~ように… 甘酸っぱい……?」

セーラ「ん……?」


洋榎「それがいちごの~ 生きる道~~」

胡桃「今度は何よ…?」




洋榎「おぅ。 何やちゃちゃのヤツが、今度CDデビューするらしいやん」


洋榎「ほなここは一つ ウチらでちゃちゃが歌いそうな、ヒット間違いなしの新曲でも作ったろ思ったんや!!」カッカッカ

ちゃちゃのん「いや、確かに今度CDデビューはするんじゃが… 何で音頭調なんじゃ?」


セーラ「ええやん、ええやん!! 何や面白そうやし、みんなで考えようや♪」ヨッシャー


胡桃「コイツラって、基本的に面白ければ何でも良いのよね…」


ちゃちゃのん「何じゃろう。 気持ちだけは嬉しいんじゃが、正直 イヤな予感しかしないんじゃ…」






「ま~ とりあえず、いちごをプッシュしとけばええんちゃう?」


「あの…」


「そこはちゃちゃやしなぁ。 やっぱアホっぽい方がええやろ…」


「ちょっ…」


「サビんトコは『ちゃちゃのん音頭~♪』で決まりやな!!」


「じゃけぇ、何で音頭なんじゃ!?」


「2番はどうすんねん?」


「一応、可愛い感じにしといてあげたら。 あと可愛い自分が大好きな感じで…」


「ひどっ!?」






洋榎「そういや今年の学祭は、ずいぶんと早い時期にやるらしいやん…」

胡桃「あぁ、そういえば今年は春季大学祭だったね」

ちゃちゃのん「大学祭のぅ。 そういえば去年は行けんかったし、あまり大学祭の思い出ってないのぅ…」



洋榎「来年はウチらも4回生で、どうせ無理やろうし…」

洋榎「今年くらいはウチらのサークルで、何か参加せーへん?」

ちゃちゃのん「あっ… まだその自称サークル設定、生きとったんじゃね…」

胡桃「でも今だってセーラや、塞、ちゃちゃちゃんはかなり忙しいんだし。 ちょっと難しくない?」


洋榎「まぁ、何でもええねん。 ようは思い出作りみたいなもんなんやから!!」




セーラ「そんなら、ちょっとした上映会とかどうや?」

洋榎「上映会って映画撮影か? それこそ知識とか機材いるやん?」


セーラ「そのへんのことは浩子に頼めば何とかなるやろ。 丁度、ゴールデンウィークに帰省するらしいで…」

洋榎「あー、フナQのヤツこっち帰るんや」

ちゃちゃのん「それって、確かせーちゃんの恋人さん…///」



胡桃「それでそのフナQさんに頼めば、何で大丈夫なわけ?」


セーラ「言っとらんかったっけ? 浩子のヤツ『絶対 黒沢とか、なんとかスキー兄弟みたいな映画監督なるで~~』言うて、東京の芸大に行っとんねん」

ちゃちゃのん「ほぇ~~ そうなんじゃね…」



セーラ「丁度 帰省中にてきとうな短編撮りたいから、何人か手頃な役者捕まえとけって頼まれとったんや」シシシッ


胡桃「あれ、何か体良く利用された?」


ちゃちゃのん「でも、何か楽しそうじゃね…」エヘヘ






【ゴールデンウィーク】


フナQ「ちょっと、カメラさん!! もちっとシャッキリ動いてや~!!」ビシッ

セーラ「へーーい!!」ヨット



洋榎「えっと、突然やねんけど… ウチの名前は愛宕洋榎……」

洋榎「かっこ 超絶☆美少女である。 かっことじ」ヨミヨミ

フナQ「ちょー ちょー ちょー 役者さーん。 な~にセリフでカッコとか読んどんねん!!」アホナン?



フナQ「自分が台本に手を加えたい言うから、書き直したったんやで~~ あと天才セサリストって何やねん!?」

洋榎「あっ、スンマセン…」ペコッ




ちゃちゃのん「聴いて下さい… ちゃちゃのん音頭…///」モジモジ

ちゃちゃのん「いちごのように… かわいくて……///」ボソボソ

フナQ「ストップ、ストーープ!!」

ちゃちゃのん「えっ…」ビクッ


フナQ「女優さ~ん!! 何を恥ずかしがって、ボソボソ歌っとんねん!!」

フナQ「この場面の意味とか、ちゃんと分かっとるんですか? お客さんに『コイツはヤバイヤツ…』って思わせんでどないすんねん!!」


フナQ「自分は理不尽な神の意志に操られた哀れな人形。 マリオネットなんやで~!!」

ちゃちゃのん「すっ、すまないんじゃ…」ペコリン

フナQ「別に謝らんでもええですわ!! とりあえず、あんま舐めくさった演技しとるようやと―――」


フナQ「アンタ、マジで沈めんでぇ…!!」ギラリッ


ちゃちゃのん「あわわわわ……」ガクガク ブルブル





塞「うわぁ、こりゃ思ってたよりも本格的だね。 ちゃちゃのん、超涙目だよ」

胡桃「うん、私 雑用メインで良かった」


塞「私はこの後、そこそこセリフあるのよね。 うぅ、緊張するなぁ~~~」

胡桃「フフッ、塞の大根っぷり楽しみにしてる」


塞「いや、ま~~ 確かにそういうのは、得意じゃないけどさぁ……」

胡桃「対局の時なんかは、結構 中二設定ノリノリじゃない」

塞「うぐっ、それ冷静に言われると結構キツイなぁ……」



塞「だいたい何なのよ、このアホな台本…」ペラペラ

胡桃「溝シリーズっていう、結構有名なシリーズものなんだってね」



塞「ブッ飛んだ神の意志に操られるゲストキャラと、それに苦しめられる主人公を神の視点から笑う滑稽劇で――」

塞「お約束の展開が多数存在するがゆえに、その演者の力量、監督のセンスや技量が問われる作品―――だっけ?」


塞「基本プロットは船久保さんらしいけど、洋榎とセーラがかなり悪ノリで手を加えたみたいだよ」

胡桃「バカみたい…」



フナQ「照明さ~ん、しっかり仕事してな~~!!」

塞「あっ、はい!!」





フナQ「はい、カーーット!! 暫く、休憩しとってや~!!」

セーラ「浩子もお疲れさーん!! ホイ、ドクペ飲むやろ!!」スッ

フナQ「あ、うん… ありがとさん……///」ソッ


フナQ「カメラ結構重いやろ、腕とか平気…?」

セーラ「おーう、余裕 余裕♪ 普段から鍛えとるからな、体力と麻雀だけが取り柄やねん!!」グッ グッ

フナQ「うん、よぅ知っとるでぇ。 他にも、ええトコ ぎょうさんあるゆ~~のもなぁ…///」

セーラ「ん、そんなトコあったやろか…///」ポリポリ

フナQ(ウチはセーラのことなら、何だって知っとるんやでぇ……)




洋榎「はぁ~~ こりゃ予想以上にシンドいで~」パタパタ

胡桃「ん、お疲れさま… はい、ジュース」スッ

洋榎「おっ、さっすがいいんちょ 気ぃ利くやん!!」


胡桃「フナQさんだっけ、何か凄い人だね~~」

洋榎「ま~ アイツは昔から職人気質やからな。 凝り性やし、妥協ってヤツが出来ひんヤツやねん」ゴクゴクッ

胡桃「そういえば、確か従姉妹なんだよね?」


洋榎「せやねん。 ウチのオカンから見て、姪っ子やな」

胡桃「じゃ~、もし二人がくっついたら、いずれはセーラとも――」

洋榎「うっ、イヤな想像させんなや……」



洋榎「まぁ… アイツとは昔からライバルやけどウマも合うし、どのみち長い付き合いにはなるんやろうけどな」

胡桃「クスッ、確かにアンタら良いコンビよね」

洋榎「ん、そう見えるか?」


胡桃「うん。 カトケンみたいな迷走しっぱなしの、ダメダメ珍コンビってヤツ?」

洋榎「うっわ、何やねんその古っるい例え!? 岩手めんこいTV、どんだけ時代に取り残されとんねん!!」

胡桃「もー 多方面から怒られるから、そういうのやめなさいってば~~」フフッ




ちゃちゃのん「…………」ボー

塞「ちゃちゃのん、お疲れさま」

ちゃちゃのん「あ、塞ちゃん…」

塞「気になる……?」ヨイショ

ちゃちゃのん「えっ、何がじゃ…?」ギョッ



塞「あの二人、最近よく一緒にいるよね」


ちゃちゃのん「え、あ… うん、そうみたいじゃね……」





ズキンッ



あぁ、またじゃ。



三回生になった頃からじゃろうか。



うぅん、もぅ少し前からだったんかもしれんの。



あの二人見ちょると、何だか胸のトコがチクチクするんじゃ。





以前までと何も変わらん、あの二人のたわいない談笑。



それなんに 何かが違って見えるんは、どうしてなんじゃろぅ。



その何かが、今もちゃちゃのんの胸を締めつけとるんじゃろうか――――





雅枝「おっ、やっとる やっとる!!」スタスタ

絹恵「お疲れさまで~す」ガサガサ



フナQ「あれ、オバちゃんと絹ちゃんやないですか…」

セーラ「おっ、監督さん ちーーす!!」ブンブン

雅枝「浩子がこっち帰ってる聞いてなぁ、ちょっとした挨拶でもと思ったんや。 絹!!」チョイッ


絹恵「あっ、これオカンからのカンパのお菓子とジュースです」ドサドサッ


フナQ「あ、こりゃどーも… ホンマ助かりますわ~~」



洋榎「何や知らんが、愛宕一族が続々集まってきたで~~」

胡桃「これはきっと、何か良からぬことが 起こるわね…」

洋榎「いや、別に何も起こらんやろ!? 怖いこと言うなや…」ブルッ




フナQ「あ、そうや!? オバちゃんと絹ちゃん、この後 時間ある?」

雅枝「ん、まぁ~~ ゴールデンウィーク中は、それなりに空いとんで?」

絹恵「私もです……」


フナQ「ちょ~~ シーン追加したい思っとったんやけど、手ぇ~ 貸してくれへんかな~~」ニタニタ

雅枝「ん… ま~ 何や面白そうやし、別にええで…」

絹恵「はぁ、ま~~ 私も構へんけど…」

絹恵(浩子ちゃんのあのニタニタ顔は、ちょっとイヤな予感がするけど……)




フナQ「じゃ、撮影再開すんでー!! 二日で終わらせなアカンのやから、気合入れてくで~~!!」ギラリ

洋榎「へ~~い!!」

ちゃちゃのん「ひっ!!」ビクビクッ



フナQ「あっ… そこのおチビさんは、釘バット作っといて貰えるかな?」

胡桃「え"っ……」





【そして、打ち上げ会――】


セーラ「撮影終了… クランクアップを祝して、カンパ~~イ!!」


一同「「かんぱ~~~い!!」」




ワイワイ ガヤガヤ


哩「船久保か~、久しぶりやな」

フナQ「おろろ~ 誰や思いましたら、これはこれはお懐かしゅう…」

フナQ「辛酸なめちゃんな二浪生活の末、大学受験を諦めたっちゅう 元新道寺のエースフリーターさんやないですか~」ニヤニヤ

フナQ「インターハイん時は、大変お世話んなりました~~ すっかり大阪弁も達者になられたようで 何よりやね~~~」ニタニタ


哩(コイツ……)イラァッ



セーラ「ハハッ、可愛ええヤツやろ。 浩子はごっつい照れ屋さんやねん!!」

フナQ「もぅ、セーラったら… こないな人前でおノロケなんて、ウチ恥ずかしいわ~~///」バッシ バッシ!!


ドス ドス ドスッ


セーラ「あたっ、あたたっ… マジ痛いで、浩子さん~~!!」ギブ ギブ





塞「でも撮影は終わっても、これからの編集作業がまた大変でしょ」

セーラ「ま~ その辺のことは、浩子に任せとけば平気やろ~~」


フナQ「色々とコキ使ってもーたしなぁ、そっちの方はウチに任せとき!!」

フナQ「そもそも編集作業こそ、映像制作の醍醐味なんやで~~」ジュルリ


セーラ「浩子は昔からデータ収集とか緻密な分析とか、そういう影の努力を惜しまん ガンバリストやねん」カッカッカ

塞「あ、そうなんだ…」ハハッ


フナQ「もぅ、セーラったら… こない人前でそないノロケんでも、ウチ恥ずかしいわ~~~///」バッシ バッシ!!


ゲシ ゲシ ゲシッ


セーラ「あたっ、あたたっ… 弁慶の泣き所を的確に攻めるんはマジ勘弁やで、浩子さ~~ん!!」ギブ ギブ



セーラ「浩子がどんだけ、ガンパリストかやて?」


セーラ「そら小さなヒシャクでタイタニック号にチマチマ水を注いで、デカプリオ沈めてまうレベルのガンバリストやねん!!」ヒャヒャヒャッ

フナQ「もぅ、ウチ ホンマ恥ずかしいわぁ~~///」テレッテレーーッ


塞(フナ幽霊……?)ハハハ…





洋榎「う~~ん… やっぱアイツら、ホンマ仲ええなー」ゴクゴク

胡桃「少し独特だけど、ちょっと羨ましくなるね…」


洋榎「いいんちょでも、あーいうバカップルな感じには憧れ持つんやな?」カカッ

胡桃「そりゃ、私だって女ですから… それくらいは、ね……///」ボソッ




胡桃「ところで、お尻の方はもぅ大丈夫…?」

洋榎「大丈夫なわけあるかい!? オカンのヤツ、もぅ少し手加減しろっちゅうねん……」クッソ…

胡桃「確かに、アレはやばかったね…」アハハ


洋榎「あ、ウチちょいトイレ……」

胡桃「もぅちょっと恥じらい持ちなさいよ…」バカ…




洋榎「は~~ やっぱまだ尻がズキズキすんで~~~」イテテッ

セーラ「おぅ、洋榎!! この後ちょっと時間ええか……?」

洋榎「お~ ええで~~」


セーラ「まーなんや… 浩子んこと、自分には色々世話んなったしな……」ヒソッ

洋榎「ん、ああ――――」







ちゃちゃのん「…………」ズズッ

フナQ「CQ CQ ハロー トビー君!!」ヨッ

ちゃちゃのん「あっ、浩子さん…」



フナQ「女優さんが一人こないな外で、しみったれた顔して何やっとんの?」

ちゃちゃのん「あ… ちゃちゃのん、お酒に弱くて…」

ちゃちゃのん「場の空気に酔いそうじゃったから… その…」メセンソラシ



ベロンッ


ちゃちゃのん「うひゃっ!! ひっ、浩子さん……!?」エェッ

フナQ「ん~~ あんたが今、嘘をついとるんか、舐めてみれば分かるかな~ 思ったんやけど……」

フナQ「これは何の味やろな~~ あいにくとデータ不足で、よー分からんわ~~」ペロリッ

ちゃちゃのん(ひぇぇ~~ やっぱりこの子、怖いんじゃ……)ビクビクッ



フナQ「今、ウチのこと怖い思ったか? インハイの相手がアンタみたいのなら、こんだけで調子崩して きっと楽勝やろうなぁ~~」

ちゃちゃのん「えと…」





フナQ「アンタ可愛ええのぅ。 アイドルなんやって…?」

ちゃちゃのん「あっ、はい…」

フナQ「ウチなぁ… 色んな人の心理とか、行動のサンプルなんかを集めるんが好きなんや」

フナQ「でな~~ この二日間アンタんこと見とって、ちょっとうまそーやなー思っとったんや…」

ちゃちゃのん「えっ…?」





フナQ「アンタの内側に溜まっとるモンに、興味ある言うとるんや―――」




フナQ「ウチにアンタの全部、根金際しゃぶり尽くさせて貰えへんやろか~~~」ベロリッ


ちゃちゃのん「ひぃぃっ!?」カタカタ



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フナQ「アンタさぁ、好きなヤツとかおらへんの?」


ちゃちゃのん「―――ちゃちゃのん、よぅ分からないんじゃ……」

フナQ「はぁ~ 自分のことなんに分からへんの?」



ちゃちゃのん「―――ちゃちゃのん、今までそういう気持ちになったことなかったけぇ…」

フナQ「…………」フーーン





ちゃちゃのん「あ、あの……?」チラッ


フナQ「やっぱそうや。 ウチが何でアンタに興味持ったんか、ちょっとだけ分かったわ……」

ちゃちゃのん「それって……?」



フナQ「ウチな~ アンタんこと、メッチャ嫌いやわ~~ ごっつ気に食わんヤツやなって思うでぇ~~!!」

ちゃちゃのん(えぇ~~~!?)フルフル




フナQ「アンタ可愛ええもんなぁ。 今まできっと努力なんてせんでも、相手の方から勝手に言い寄って来たんやろ」


フナQ「努力せんでもええから、恋に価値を見い出せんかったんやないんか?」


ちゃちゃのん「……………」フルフル





ズキンッ



努力しなくてもええ。



それはかつてちゃちゃのんが、最も言われたくない思った言葉じゃった。



自然と目頭が熱くなる、視界が滲む、ちゃちゃのん 弱虫じゃけぇ――――






「佐々野さんはええじゃろ。 可愛ええんじゃから…」



「勉強出来んでも、運動出来んでも 別に問題なんてないじゃろ……」




そう言われたくなかったけぇ、ちゃちゃのんはいっぱい いっぱい努力したんじゃ。




勉強も、運動も、麻雀も。



誰よりも、いっぱい努力したつもりじゃった。



でも いつん頃からか、それら全てが無駄だったと悟らされた―――




いくら頑張っても勉強の方は中の上が精一杯。



運動に到っては人並み以下、ノロマじゃ、ウンチじゃと よぅからかわれちょった。




そして、ちゃちゃのんが 何よりずっと努力を続けてきた麻雀さえも…




「32000―――― 思ったより痛いんちゃうか?」





ちゃちゃのんにゃぁ、みんなを見返すだけの才能なんて 初めからなかったんじゃ……





そして、ちゃちゃのんにゃぁ…



可愛ええだけで何も出来んヤツっちゅう、周りからの視線だけが残された。




惨めじゃった――――






フナQ「アンタみたいに綺麗に産まれて ずっとモテてきた子には、きっとウチみたいなんの気持ちなんて分からんやろな~~」



フナQ「とりあえずそうやって泣いときゃ、頭空っぽの男連中なんかが チヤホヤしてくれたんやろ……」




――アンタだって、外見以外の全部を否定されてきた、こんな惨めな私の気持ちなんか……



――きっと、分かりっこないじゃろぅ………






フナQ「そんなんやからなぁ、本気で誰かを好きになったことも ないんとちゃうか―――」




ちゃちゃのん「―――アンタに、ちゃちゃのんのいったい 何が分かるって言うんじゃ!!」


フナQ「!?」




ちゃちゃのん「ちゃちゃのんじゃってなぁ、いっぱいいっぱい努力したんじゃ!!」


ちゃちゃのん「勉強も、運動も、麻雀も、いっぱいいっぱい努力してきたんじゃぁ!!」



ちゃちゃのん「そんでも、いつだって褒められるんは… 見た目んことだけで――――」フルフル




ちゃちゃのん「まるでそれ以外のこと 全部が否定されちょるようで、辛かったんじゃ… 痛かったんじゃ……」ポロポロ




ちゃちゃのん「ちゃちゃのんは、これまでの人生――――ずっと努力を否定されて 生きてきたんじゃよ………」ポロポロ








ちゃちゃのん「それに、ちゃちゃのんにだって……」




ちゃちゃのん「好きだって… そう想える人くらい… いるんじゃよぉ……」ポロポロ






涙と一緒にこぼれ落ちた、思いがけない告白。



その告白に一番驚いたのは、きっと他ならぬ私。




――ウチのこと覚えとるか?


――よっしゃ、これで決まりやな! 5人集まった!!


――その愛宕さんいうの やめとき。 何や、落ち着かんでかなわんわ



――ま~ なんや… 暫くそばに居たるから、自分ちょっと落ち着き……




――ほい、安モンのプレゼントやで~~




――遅れてもうたが、誕生日おめっとさん!!




その時、私の頭の中にあったもの――――それは愛宕 洋榎という人との想い出だった。






ああ、そうだったんか…




私はいつの頃からか貴方に、本気で恋しとったんじゃね―――







ずっと、親友だと思っとった。



もしかすると無意識のうち、そぅ思い込むようしとったのかもしれん。





貴女と胡桃ちゃん。



最近は二人のことばかり、ずっと見ていたような気がする。



二人が楽しげに談笑しとる姿を見て、胸がズキンと苦しくなった。



私の知らない話題で盛り上がる二人に、胸がきゅーーと締めつけられた。



きっとこの感覚が、本気で恋をするということだったんじゃな―――





ずっと感じとった違和感。



それはきっと、私の中にも、二人の中にも―――



以前までとは違う…



友情とは別の、恋心という感情が……



確かに芽生え始めとったからなんじゃろう――――







フナQ「…………」




ベロンッ


ちゃちゃのん「うっひゃっ!? なっ、なに……」ビクゥッ


フナQ「ふ~ん、この涙の味… きっとこれがアンタの真実の味――――なんやろね」ペロリッ

ちゃちゃのん「えっ、えっと……」



フナQ「やっぱアンタ―――ウチが睨んだ通りの極上の味やったでぇ……」ニヤリ


ちゃちゃのん「えと、その……」キョトン




フナQ「―――あはは、ごめんな~~~ さっきまでのなぁ、実は全部 お芝居だったんやわ~~~~!!」

フナQ「ど~してもアンタのこと、知りたくてな~~ 悪いとは思ったんやけど、アンタが何に対して怒るのか 試させてもらってん!!」

フナQ「ホンマ、堪忍したってや~~~~」ヒラアヤマリ



フナQ「あ、因みにこの『その人を知りたければ、その人が何に対して怒りを感じるかを知れ―――』っちゅうんは、とある偉人さんの教えでな~~」

ちゃちゃのん「あぅ あぅ……」パクパク





フナQ「ウチな~ 興味あるモン目の前にすると、ど~しても抑え利かなくなってまうねん!! ホンマ困ったクセやで、しかし…」


ちゃちゃのん「こ、怖かったんじゃ……」ポロポロ ポロポロ


フナQ「おわっ、マジ泣き―――!?」


フナQ「ここまで泣き虫とは、流石のウチも考慮しとらんかったで……」アセアセッ





唐突に引き戻された現実―――



全身の力が抜け、そして今度は先程までとは別の感情により 身が竦んだ―――



他者から向けられた害意ではなく、私自身が向けた悪意の感情、そして嫉妬の感情に気づかされた―――



普段 決して表に出すことのない、そういう黒い感情の発露にも慣れとらんかったけぇ――――



ただただ、そのことにカラダが震え、涙が溢れた――――





ちゃちゃのん「えぐっ、ひっく……」ポロポロ

フナQ「ええ子、ええ子、浩子ちゃんは怖ないで~~」サスリ サスリ




ちゃちゃのん「うぅ、ゴメンの… ちょっと落ち着いたんじゃ…」

フナQ「そかそか、いちごオレでも飲むとええで~」ホイッ

ちゃちゃのん「うん、どうもありがとなんじゃ…」ズズッ

ちゃちゃのん「…………」




ちゃちゃのん「浩子さん、その… さっきは、ゴメンの……」

フナQ「ん…?」



ちゃちゃのん「『アンタにちゃちゃのんの 何が分かるんじゃ――』とか、酷いことを言ったんじゃ……」シュン

フナQ「はぁ~~ それウチが無理やり言わせたようなモンやし、なんでアンタが謝んねん」



ちゃちゃのん「経緯とかは関係ないんじゃ―――」

ちゃちゃのん「ちゃちゃのんが申しわけないと思っちょるから謝る。 それだけなんじゃ…」ペコリ


フナQ「こりゃまた、ずいぶんとまっすぐにお育ちだこと……」





フナQ「――ウチも、今回はちょっと反省したで。 流石にやり過ぎやったと思うわ」

フナQ「本心ではないにしろ、アンタの心の傷をえぐるような真似して ホンマすまんかったな」フカブカ


ちゃちゃのん「そか… それじゃ、これでちゃちゃのんたちは仲直りじゃね♪」ニコッ

フナQ「ん……///」



フナQ「アンタぁ、今後ウチのセーラに そういう笑顔とか向けんの禁止な!!」ビシッ

ちゃちゃのん「ええっ、何で!?」

フナQ「うっさい!! 理由なんてどうでもええんじゃ!!」クワッ


フナQ「アンタ、やっぱ気に食わんわ―――」フンッ

ちゃちゃのん「えぇ~~~」フルフル




フナQ「あ~ あと浩子さんもやめとき、何や気持ち悪い!!」

フナQ「とりあえず、浩子とかフナQとかにしたってや!! あっ、Qちゃんは無しやで!!」

ちゃちゃのん「う、うん……」コクッ



ちゃちゃのん「……浩子ちゃんって、ちょっとヒロちゃんに似とるのぅ」クスッ

フナQ「あんなアホたれと一緒にせんといて~~~!!」ガッデムッ






フナQ「なぁ、アンタさっき―――見た目のことしか褒められたことない、言うとったやろ?」

ちゃちゃのん「う、うん……」コクッ

フナQ「それって、そないコンプレックスみたいに思うことなん?」

ちゃちゃのん「…………」


フナQ「それって、そんだけアンタの容姿が周囲から見て 突出しとったいうことなんやろ?」




ちゃちゃのん「そんなん… ちゃちゃのんが努力して、自分の力で手に入れたものじゃないけぇ……」ポソッ

フナQ「だから誇れないか? ハッ、何をアホ抜かしとんのやろな、この子は…」


フナQ「可愛いだけしか取り柄がないって、そら結構なことやないかい!!」

ちゃちゃのん「!?」




フナQ「それがアンタの一番の武器なんやろ? だったらそれを、何よりも誇らんで どうすんねん!!」



フナQ「そこをさらに磨かんで、どないするんや―――?」アァンッ





フナQ「ええかぁ、世界っちゅうんはな~~ どこまでいっても不平等なモンなんやで!!」

ちゃちゃのん「じゃけどっ―――」




フナQ「望む、望まざるに関わらず―――」


フナQ「神さまの恩恵にあずかれるヤツ、あずかれんヤツは存在するんや!!」



フナQ「だから アンタは与えられた武器を、ただ活かせばええねん―――」



フナQ「実際 アンタがアイドルなれたんやって、ソイツのおかげなんちゃうんか?」

ちゃちゃのん「それは………」




フナQ「それはアンタの両親が与えてくれた武器。 だったら、もっと胸張ってもええんちゃう―――?」


ちゃちゃのん「お父さんと、お母さんが……」





ちゃちゃのん「そう、かもしれんの――――」








フナQ「それになぁ……」

フナQ「アンタ、ヒロエ以上に麻雀で勝つための努力―――してきたって言えるか?」

ちゃちゃのん「それは……」




フナQ「アイツは昔からバカで アホで いい加減なヤツやけど、麻雀が大好きで大好きで 仕方ないヤツやで~~」


フナQ「悔しいけどなぁ… アイツは麻雀に関してだけは、天才や思う―――」

フナQ「アイツの麻雀は、どこまでも純粋でガキみたいな楽しい麻雀や」


フナQ「分析に分析を重ねて 理論でガチガチに固めた、ウチのデータ麻雀とは根本的にちゃう」

フナQ「モチロンどっちが正しいとか、そんなん無いんやけど―――」




フナQ「アイツ以上に才能あるか、アイツ以上に麻雀に対して全力でなきゃ―――アイツには勝てんのとちゃうか?」


ちゃちゃのん「そうじゃの、ちゃちゃのんは―――」


ちゃちゃのん「多分ヒロちゃんほど、麻雀バカにゃぁ なりきれちょらんね……」




フナQ「ま… 負ける時は負ける、それも麻雀なんやけどな~~♪」カカッ


ちゃちゃのん「ふふっ、そうじゃね♪」







フナQ「さっき言うとった好きなヤツの話やけど、アンタこれからどうしたい思っとるんや?」


ちゃちゃのん「―――そんなん、よ~~分からんよぉ///」モジモジ…




ちゃちゃのん「浩子ちゃんとせーちゃんの時は、どうじゃったん?」チラッ

フナQ「ウチか…?」




フナQ「ウチな~~ 好きなヤツの事は、何でも知っときたいタチやねん……」

フナQ「セーラへの気持ちに気付いた後は、それこそセーラのこと無我夢中になって調べ尽くしたで~~」ジュルリ

ちゃちゃのん「調べ尽くす―――?」



フナQ「ウチにとって、情報いうんは光や―――」

フナQ「光があるから、世界の色やカタチがくっきりと浮かび上がる。 見えるからこそ、安心して真っ直ぐ歩くことも出来るんや」

ちゃちゃのん「それは、何となく分かる気がするんじゃ…」





フナQ「佐々野いちご、ニックネームはちゃちゃのん。 家庭の事情により、幼少時から数回の引越し歴アリ――」

フナQ「身長は高校時代と変わらず148センチのままだが、バストの方は文教堂さん特典サイズにまで成長――」ケッ

フナQ「高校の時よりちょっぴり体重が増えたと、現在ダイエット中。 特に感じやすいところは―――」

ちゃちゃのん「ちょっ、ちょっ、ちょーー!! いったい何の話じゃ!?」アワワッ



フナQ「ん? こんくらいは普通、本人と会う前に要チェックやろ?」

ちゃちゃのん「ちゃちゃのんのことは、別にええんじゃよ~~(大体 特典てなんじゃ!?)」

フナQ「何や、ホンマ肝っ玉の小さいヤツやな~~」ヤレヤレヤ



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文教堂さん特典




フナQ「ま… そうやって色んなモン調べることで、ウチはセーラへの想いをカタチにしていったんや」

フナQ「セーラの好きなモン、好きな場所、好きな匂い、好きな食べ物。 嫌いなモノから、何気ない仕草や細かな癖――」

フナQ「セーラの弱いトコ。 月の予定日。 爪の伸びる長さからの、その好不調に至るまで―――」

フナQ「愛する人の全てをしゃぶり尽くす程に、調べ尽くすこと―――それがウチの愛し方やねん………」

ちゃちゃのん「………………」アウアウッ



フナQ「ま… そういうの きっと世間さま的に言えば、キモいとか、ストーカーや言われるんやろうけど……」


フナQ「でもなぁ、セーラんヤツは違ったんや――――」



フナQ「アイツはこんなウチの性格も何もかんも… 全部ひっくるめて、笑って受け入れてくれたんや」

フナQ「アイツはウチの全てを包みこんでまう程、どこまでも懐が深くて、どこまでもおっきいヤツやねん―――」ウットリ


フナQ「ホンマ… アイツからオッケー貰えた時は、気が狂うかと思うくらい嬉しかったで~~////」クネクネ

ちゃちゃのん「あはは、やっぱせーちゃんはカッコええね♪」



フナQ「アイツに変な色目とか使うたら、その左右にぶら下がっとるパタパタ引っこ抜いたるでぇ……」ギロリッ

ちゃちゃのん「しない、しない!! 絶対にしないんじゃ!!」フルフル パタパタ





フナQ「せやけど… お互い離れた大学に入って、遠距離恋愛 続けとるうちに…」


フナQ「ウチの方が寂しさに耐えきれなくなって、一度は本気で『別れよ―――』いう話にまでなったんやで……」

ちゃちゃのん「えっ!?」



フナQ「今頃、セーラのヤツ浮気しとるんやないかとか。 ホンマはウチのことなんて、どうでもええ思っとるんちゃうかとか…」

フナQ「離れとると相手のこともよう見えなくなって、ドンドン光も薄れていって、不安だけが積もってまってなぁ―――」


フナQ「ウチ… セーラ以外から可愛ええとか褒められたこと無いし、女としての自信もなかったんや……」

ちゃちゃのん「…………」




フナQ「せやからメールの返事遅かったり、セーラからウチの知らんヤツのこと楽しげに話されたりすると、どうしようもなく腹が立ってなぁ…」

フナQ「そんなんで随分、セーラのヤツに当たり散らしたりもしたわ……」



フナQ「そんな自分がどうしても許せなくなって、ウチの方から『お互いのためにならんから、もう別れよか―――』て言ったんや……」


ちゃちゃのん「浩子ちゃん……」





フナQ「そしたらセーラのヤツ、『今の大学辞めて、すぐ自分のトコに行ったるわ!!』とか本気で言い出しおって―――」


フナQ「ホンマ、どうしようもないアホやねん…////」


ちゃちゃのん「えへへ、そんだけ本気で愛されとるんじゃね……」ニコッ


フナQ「おっま、自分 何を恥ずかしいこと言っとんねん!? 嫌やわ、も~~/////」テレテレッ



グリ グリッ ギュゥゥーーーッ


ちゃちゃのん「いたっ、いたたっ!! ちゃちゃのんのツーサイドを、グリグリするんはやめるんじゃ~~!?」ヤメテーー



フナQ「おろっ… このシッポ、メッチャ もふもふしとるやないか♪」モフモフ モフモフ


ちゃちゃのん「ちょっ、人の髪で もふもふするんもヤメるんじゃよぉ!?」アワワッ




もふもふ もふもふ もふもふ……


フナQ「はぁ~~ 自分のシッポ、なかなかの もふもふっぷりやったで~~♪」タンノウ タンノウ



ちゃちゃのん「うぅ… ちゃちゃのん、弄ばれたんじゃ……」シクシク





フナQ「アンタはやっぱネコやろかなぁ、でもそういうヤツに限って意外と―――」ククク…

ちゃちゃのん「浩子ちゃん…?」



フナQ「セーラのヤツなぁ、普段はあない男前なくせして… あっちの方はてんでネコやねんで~~」クックック


ちゃちゃのん「ネコ…? ニャンコちゃんのことけ?」ハテナ



フナQ「ネコっちゅうんはな~~~~~」ゴニョゴニョ

ちゃちゃのん「~~~~ッ!?」ボッ




フナQ「クックック~~ッ アンタは一体どっちなんやろな~~ 興味あるで~~~」ニヤニヤ

ちゃちゃのん「アゥゥ……////」カオ マッカッカ



ちゃちゃのん「えと… ちゃちゃのん、そろそろみんなのトコに戻ろぅかの……///」アセ アセッ

フナQ「おっ、せやな。 随分と長話してもうたし、そろそろ片付け入っとるかもな~~」





カラン コロン


塞「あ、ちゃちゃのん。 ずっと見なかったけど、どこいたの?」

ちゃちゃのん「ちょっと、酔い冷ましに外で涼んどったんじゃ…////」

塞「本当だ、顔 真っ赤だよ。 今日は珍しく随分と飲んじゃったみたいだね……」ダイジョウブ?

ちゃちゃのん「えっ、コレはその… う、うん… 大丈夫じゃょ……////」カァァ



フナQ(あ~いう反応されると、もっとからかいたなるで~~)クックック



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カラン コロン


セーラ「そんじゃ、お疲れさ~~ん!!」ブンブン

胡桃「お疲れさま」

塞「うん、またね」バイバイ

ちゃちゃのん「ほんじゃーの♪」フリフリ





フナQ「佐々野……」チョイチョイ

ちゃちゃのん「あ、浩子ちゃん。 今日はいろんなお話、聞かせてくれてありがとの」



フナQ「―――ま、さっきの話なんやけど…」

フナQ「正直 ウチはアンタの恋路とか、そういうのどうでもええねん」

ちゃちゃのん「ん―――」


フナQ「ただ、何もせず… 何の答えも出さずに不戦敗とか、そういうのイっちゃんイヤやねん―――」

ちゃちゃのん「…………」



フナQ「せやから、もし好きなヤツがおるんなら―――」

フナQ「自分みたいのは無様な突撃かまして、盛大に玉砕でもしてまえばええねん……」ククッ

ちゃちゃのん「うぅっ、酷いんじゃ…」



フナQ「ま… ウチはウチで、アンタはアンタや―――」

フナQ「後は勝手にしたらええわ………」ジャーナ



ちゃちゃのん「浩子ちゃん、今日はどうもありがとな」



ちゃちゃのん「……………」








愛宕 洋榎―――



今日 私は貴方のことが好きだったことを、初めて自覚した。




それはきっと、大好きな友達や婆っちゃに向けてきた好きとは違う好き。




私はいつの間にか―――貴方に、恋しとったんじゃね。






そして、それを知ることで…



私の中にあったモヤモヤの正体が、嫉妬だったと気付かされた。




ちゃちゃのんは―――――これから、一体 どうすりゃええんじゃろぅか。






【後日――】



カラン コロン


ちゃちゃのん「みんな、お久しぶりじゃのぅ」

胡桃「ちゃちゃちゃん、久しぶり」

哩「佐々野か、らっしゃい」



ちゃちゃのん「ヒロちゃんやせーちゃん達は、まだ来とらんのじゃね?」キョロ

胡桃「うん、塞は今日はゼミの飲み会だって」



ちゃちゃのん「結局 ちゃちゃのん、GW序盤に例の撮影やって、あとサンマにちょっと参加しただけじゃったのぅ…」

胡桃「ちゃちゃちゃん、仕事忙しくなってるもんね。 アイツは相変わらず暇みたいで、ウチに来てはグダグダしてたけど…」

ちゃちゃのん「胡桃ちゃんとヒロちゃんは、相変わらずみたいじゃね…」ヘヘ

胡桃「ん、最近は麻雀のメンツ集まらなくてもフラッと来て、二人でお酒飲んだりとかしてるかな」


哩「駄目な大学生の典型やな。このモラトリアム満喫組が…」チッ


胡桃「アンタにそれ 言われたくはなかったけど―――」


胡桃「まぁ 私も今の『流されるままにハーレム島的な自堕落生活はどうなの―――』とは思ってる……」ハァ




カラン コロン


洋榎「よっ、お待たせさんやで~~!!」

セーラ「よーそろーー♪」

ちゃちゃのん「あ、ヒロちゃんとせーちゃん」

胡桃「本当に待ったわよ」

哩「相変わらずのいつものメンツやな」



胡桃「で… この前のフナQさんから届いた、完成フィルムの件はどうなったの?」

セーラ「おーー アレならポシャったで~~!!」ゲラゲラ

洋榎「ウチら非公式サークルやし~~」

洋榎「元の溝シリーズが18禁いうのもあって、学校側から上映許可 降りんかったわ~~!!」カッカッカ


胡桃「は……?」


ちゃちゃのん「えぇえぇぇぇぇ~~~~~~~っ!?」





あの苦労はいったい、なんだったんじゃ…



この件はちゃちゃのん達の間では黒歴史とされ、なかったっちゅうことにされたんじゃ―――







洋榎「近道したところ、足がミゾにはまってもうたんや…」


お蔵入り 決定!! ドン!!





ちゃちゃのん「そんなん、考慮しとらんよ~~~~~」ポロポロ


               ___

            ,. .:': : : : : : : :`: : ..、     l二二二 フ
           /..:: : : : : : : : : : : : : : : \      / <[][]
         /: : : /: : : l: : : : : : :.l : : :', : :ヽ.__  .//ヽ.ヽ
      ,. .-v': : : :,' : : ノ!: : : : : : :.lト:、 :.',: : : ヽ: :、 ̄    ̄
     /: : : ,': : ; :.,:/: :l l: : : : : : :.l i: :.\il: : : : :; : :ヽ  O
    ,': : : :.!: : i: :lト;: : |:Lゝ:'; : j.: / .j: :./:リ.!: : : : :i: : : i  o

     i: : : : l: : :l: :l! ,,ム示、ヽ从/ .示半z, jl: : : l/i: : : !
    ゝ: : 人: :ゝ:|./lkr必l!     lkr必!.} j/: ノト; :.:丿
    ((. i:.(:ト;.:.`ーイ とつ''¨   '   とつ .l!:l : : i ):.l
    ヽ ー=-: :l:ト   |!''''   --    ''' .j、l: : : !'イ
     /: : l|.: l:lゝ, {;  (     )    ノ人: : :.i
      //: :.l!: :.i:l:j: :.>..          ...:く:(: : :.!: :..i
.     i:iヽ: :l!: : Y: l: : l: :> .. __ .. <:.l: :!:i ): :.j: : :.i
      ゝ ): :.';: :.ト、j: : !: :!=|      |: : l: j:.l': V : : .人
     丿:!: :.): !:|:l Yi/ ` 、 _r'´ \リ/:.:.(: : :.( _ ))

    /:.イ:.:/:ヽY!jヽ;!!   /  ̄|ト、. .|/: :/):) 、: :、:(
.  ./:/  ,l: iイ )/.  リ /:::>‐._//`ヽ!: :.i'イ  .): :) ヽ
   !::! ./ ゝニ=-    ´  l::::::::::/   `j/  , 'イ ヽ
   ゝ./ ヽ   /       ヽ:-:〈      \  / |
.    /   ', l         |:::::::i       `// !






洋榎「ま、そんなわけでや。 ウチとセーラで相談した結果…」

胡桃「まだ何かあるの?」


洋榎「ウチら非公式サークルの学祭参加を拒否した、大学側への抗議の一環として~~」


セーラ「ここはやっぱり、定番のゲリラライブやろ!!」ビシッ



ちゃちゃのん「えっ、そういうの普通にマズイんじゃ―――」

胡桃「また、思い付きだけで…」ハァ




洋榎「ちゃちゃ、自分がギターとメインボーカルやで!!」ビシッ

ちゃちゃのん「えぇぇっ、ちゃちゃのんも参加するんか!?」アセッ



洋榎「前にライブとかもしっかり出来るよう、いっぱい練習しとる言うとったやん!!」

ちゃちゃのん「そっ、それはそうなんじゃけど―――」アウゥ…

胡桃「それに、衣装とか演奏機材とかも用意しないとだし…」



洋榎「機材の方は代行に頼んだら、何とかしてくれる言うとったで~~」ニシシ

胡桃「姫松の代行さん、いったい何者なのよ……」



ちゃちゃのん「ほんなら、ライブ衣装の方は……」

洋榎「それも、ウチに秘策アリや――」ニヤリッ

ちゃちゃのん「………?」



洋榎「ちゅーわけで、これから暫く時間あるヤツは練習には強制参加やで~~」

胡桃「で、練習場所は……?」

洋榎「当然、いいんちょの部屋―――」

胡桃「壁ドンで三・三・七拍子されるっての!!」





【でもって、大学祭・当日】



ワイワイ ガヤガヤ


洋榎「おー おー なかなかの盛況っぷりやな~~」

胡桃「あっ、あそこのワタ飴とチョコバナナ美味しそう♪」テテテッ

塞「あはは… 胡桃ったら、あんなにはしゃいじゃって…」

ちゃちゃのん「…………///」モジモジ



メガネの男「あのぉ、ちゃちゃのんさんですよね? 一緒に写メ良いですか?」モエーー

ちゃちゃのん「あ、はいにゃ……///」

洋榎「おっ、写メならウチが撮ったるで~~♪」ヨコシ



パシャ パシャ


メガネの男「どうもありがとうございましたぁ♪ 今度、CD買いますね~~///」モエモエ

ちゃちゃのん「あ、ありがとなんじゃ……///」フリフリ


洋榎「にゃんにゃんカフェ『にゃんじゃけぇ』もヨロシク頼んまっせ~~!!」

メガネの男「あ、はい…」ヘコヘコ





遡ること数時間前――



ちゃちゃのん「衣装って、これにゃんこオバちゃんトコの制服じゃろ!?」

洋榎「可愛ええし、自分にはコレが似合っとるからええやん!!」


ちゃちゃのん「じゃけど… にゃんこのおらんトコで着とったら、ただのねこミミメイドコスじゃし…///」モジモジ

洋榎「そんなん自分やったら、すぐに気持ち良ぅなるやろ!!」カカカッ

ちゃちゃのん「人のことをどこかの、変態美術教師みたいにゆーのはヤメるんじゃ!!」




洋榎「ちなみにウチらバックは、ライブ用に高校時代の制服を持参したでぇ~~」

塞「それはそれで、ちょっと恥ずかしいんだけどね……///」


洋榎「ちゃちゃは制服の使用料代わりに、今日一日これ着て店の宣伝しながら 学祭まわるいう契約になっとるでぇ!!」

ちゃちゃのん「うぅっ、オバちゃんまで酷いんじゃ…」



洋榎「自分がウチら以外の学生とも馴染めるよう、気ぃ利かせてくれたんちゃうか?」

ちゃちゃのん「オバちゃん……」ジーン


洋榎「まぁ、嘘やけど…」シシシッ

ちゃちゃのん「うっ……」



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哩「らっしゃーい、SAN値直葬・ロマンシング佐賀弁当はいらんかね~~」

洋榎「おっ、自分らこんなトコで何やっとんねん?」

胡桃「あれ… 哩ちゃんと、それに姫子さんも…」

姫子「皆さん、おいでませ~~♪」


哩「ウチの店長から学祭の出店で売って来い言われてな、今日は姫子に手伝ってもろて出張販売中ばい」

姫子「あ、これはウチの地元の名物弁当ばい」ドゾッ



胡桃「あっ、先生の目玉焼き 美味しそう~」

塞「このモンスターの肉ってヤツ、何の肉なのか超怖いんだけど…」ブルッ

哩「食い合わせ表いるか?」


塞「……食って、セミにんげんとかにならないでしょうね?」

胡桃「いや、流石にそれはないでしょ…」



洋榎「さしずめバイトはローニンやなぁ♪」カカカッ

哩「もぅ浪人ちゃうわ。 出会い頭チェンソーでカッさばいたろか…」イラッ





哩「で、佐々野は… なんでねこミミメイド?」

姫子「あら、可愛い♪」キャッ


ちゃちゃのん「うぅ… ちゃちゃのんにも、よぅ分からんのじゃ……」

塞「ま、あまり触れないでおいてあげてよ」ハハハッ



洋榎「そや… せっかくやし、ちゃちゃ。 弁当の売り子、手伝ったればええんちゃう」

ちゃちゃのん「そうゆーと思ったんじゃ。 哩ちゃんにゃぁ いつもお世話になっとるけぇ、少し手伝ってもええじゃろか?」ニコッ

哩「そりゃ助かるが、ええんか?」

ちゃちゃのん「うん、モチロンええよぉ♪」




ちゃちゃのん「佐賀名物、ロマンシング佐賀弁当はいらんじゃろか~~?」ニャー


覆面の男「あ、本物のちゃちゃのんさん。 サイン良いですか?」

ちゃちゃのん「うん、ええよ~♪」ニコッ

覆面の男「えと、『覆面パパさんへ――』でお願いします…///」

ちゃちゃのん「ええけど、何で覆面しちょるん…?」

覆面の男「ポリシーなもので…」フッ

ちゃちゃのん「そ、そうなんじゃね……」





イラッシャイマセーーー


哩「それにしても、佐々野のヤツは本当に働きモンやな~」

胡桃「哩ちゃんも、相当だとは思うけどね」パクパク

姫子「やけん、何してこげん早か時期に大学祭なんてすっと?」

塞「就活のこともあるんだろうけど、秋にはもぅ大体の高校生が志望大学決めちゃってるから――」

塞「少しでも早くやって、この学祭も大学案内の一環として組み込むって方針なんじゃないかな~~」モグモグ

姫子「あぁ、そげん意味もあっとね」ホーー



塞「―――私たち、二人のお邪魔だったりしないかな」ヒソッ

哩「アホ、気ぃ使いすぎや。 大体、家ではいつも二人やし……///」ゴニョゴニョ


塞「ご馳走さまでした…」フゥ

洋榎「ぷはぁ… 雑な味かと思ったが、なかなかイケたでぇ!!」

哩「人の佐賀、舐めんなや―――」




ちゃちゃのん「ふぅ… やっとお弁当、売り終わったんじゃ♪」トコトコ

哩「お疲れさん♪ あれ、分けといた佐々野の分の弁当は?」

洋榎「ん、アレそうやったん? スマン、食ってもうたわ」タハハ…




胡桃「ふぅ、ご馳走様でした」

塞「七英雄がなかなか手強かったね」

胡桃「塞のはダンターグバーグ? 私のはシーフードスービエだったよ」

塞「あれ、みんな同じじゃないんだ。 無駄に凝ってるな~~」




ちゃちゃのん「あれ、ちゃちゃのんだけ 何も食べとらんのじゃ…」ポツーン

洋榎「荒れ野のマナでも、食べたらええんちゃう?」シランケド…

ちゃちゃのん「既に腐敗して、悪臭放っちょる時間じゃろ……」


胡桃「ちゃちゃちゃん、さっき買った りんご飴あるけどいる?」ハイッ

ちゃちゃのん「胡桃ちゃん、ありがとなんじゃ…」パクッ

塞(それで良いんだ……)




哩「さ~て… 仕事も終わったし、私と姫子はこれから二人で学祭 楽しむばい!!」

姫子「ばいば~いばい♪」

洋榎「おー この後のウチらのライブ、見に来るんやで~~」

哩「どうせゲリラやろ。 自分らが捕まって、説教くらうトコなら見とってやるわ」




【とある教室】


ジャラ ジャラ ジャラ……


ちゃちゃのん「あれ、ここって……?」

洋榎「うっ、流石にここには居づらいで……」コソッ



セーラ「おーーう!! 洋榎たちやん、ここで一局せーへん?」ブンブン

洋榎「あのアホんだら、デカイ声で呼びおってからに!?」


塞「ここは麻雀部員からあがったら役に応じた景品を貰える、麻雀部の出し物みたいだね」

胡桃「あ~ 麻雀特待生で入学したくせに、途中でドロップアウトしたから…」

ちゃちゃのん「そりゃ、顔も出しづらいじゃろ…」



ザワザワ ザワザワ……


洋榎「くっ、バレたからにはもぅええわ!! 麻雀部のヤツらから、景品ふんだくったるで~~!!」フンヌッ

セーラ「おぅ、洋榎ェ… 途中退場しおったヤツが、あんまウチらのこと甘く見ん方がええで~~」ゴオォォォッ

洋榎「上等じゃ、コラァ!!」ゴオォォォッ

セーラ「今日こそ、どっちが上か思い知らせたるわ!!」



塞「あっ、何か変なスイッチ入ったみたい…」

胡桃「バカみたい…」ハァ

ちゃちゃのん「長くなりそうじゃけど、ちゃちゃのんたちはどうしようかの?」キョロキョロ

塞「数局やって、アッチ長くなりそうならよそ行こっか…」



アッ チャチャノンダ…

ナンデ、ネコミミメイドフク?

コノマエノトクシュウ ミタデー

オレノチンロートーヲ… イワセネーヨ!!





塞「ちゃちゃのんの卓は、やっぱり大人気だったね」

ちゃちゃのん「ギャラリーが多くて、何だか恥ずかしかったんじゃ…///」ウゥッ

胡桃「あのギャラリー達の反応で、ちゃちゃちゃんの手牌とか自摸が大体 想像ついたしね…」

塞「まっ… お祭りだし、あんまりマナーとか厳しくは言えないもんね」フフッ



ちゃちゃのん「それに漫ちゃんと、絹ちゃんも遊びに来とったのぅ」

塞「うん、お互いの大学の友達連れて遊びに来てたね」

胡桃「漫ちゃんも今の大学に、ずいぶんと慣れてきたみたいだった」



塞「こうやって高校時代とは別のメンバーで、遊ぶようになっていくんだもんね。 ちょっと不思議…」

胡桃「まぁ、一部 腐れ縁っていうのもあるみたいだけど……」

塞「ハハッ、そりゃそうだ……」

ちゃちゃのん「…………」





こうしてイベント終了時刻となり、いよいよゲリラライブの決行じゃ―――






洋榎「―――詳細はこの前話した通り、屋外ステージでの全日程終了とともにミッション・スタートやで!!」

セーラ「最終ステージの部長には俺が既に話付けといたから、まぁ楽屋での準備の方は問題ないやろ」

塞「もぅ、どうにでもなれよ…」

胡桃「私たちサークル全体での最後の思い出作りとか言われたら、そりゃ断れないよね…」


ちゃちゃのん「あの、バンド名なんじゃが―――本当にアレでええんか?」

一同「「……………」」



洋榎「ま、ええんとちゃう」ハハッ

セーラ「他にコレといった案もなかったしな」カッカッカ


胡桃「やっぱり『まー☆じゃん天使』とか『スーチー牌』にする?」

ちゃちゃのん「……………」





セーラ「ヤバイ思たら即撤収、各員の健闘を祈る!!」




洋榎「オペレーション・ラグナロク―――開始やでーーッ!!」



一同「「おーーー!!」」








ワーワー キャーキャー



みなさ~~ん、こんばんは~~~!!



自分ら、大学生活はしっかり楽しんどるか~~?




ちゃちゃのんたちの歌を、聴いて欲しいんじゃーーー!!




俺たちの歌、しっかり聴いたってやーーー!!




チャチャノーーーン


セーラサマーー


オネーチャーーン


キッド~~~


センセー ガンバッテナ~~


キャーーッ イチゴチャーーーン!!




ワーワー キャーキャー





『聴いてください―――




いちごのように可愛いちゃちゃのんと 考慮しとらん仲間達で――――』







みんなで楽しもうと始めた即席のバンド。



短い時間ながら、みんな頑張って練習したんじゃが



きっと褒められたような 出来ではなかったじゃろうね。





そんでも 学祭を精一杯 楽しもうという、会場全体の熱気も相まって



ちゃちゃのんたちは、最高に楽しい時間を過ごさせて貰うことが出来たんじゃ。




そん時のことは、あんまりにも無我夢中で



ちゃちゃのん、正直 よう覚えちょらんのじゃけどね――――







ワーワー キャーキャー



(」・ω・)」うー! (/・ω・)/にゃー! (」・ω・)」うー! (/・ω・)/にゃー!




胡桃「あっ、係員が来た!?」


セーラ「ホナ、撤収と行くで~~~」ダダッ


ちゃちゃのん「みんな、今日はどうもありがとなんじゃ~~~」フリフリ


洋榎「ちゃちゃ、早よズラかんでーーー!!」ダダダッ


ちゃちゃのん「う、うん!!」



ドテッ

ちゃちゃのん「あぅっ!?」ヘタリコミ


洋榎「ちゃちゃ!?」アノバカ!?


係員「ちょっとキミ、こっち来なさい」グイッ



シャープシュート!!(物理) シュバ゙ッ


係員「ぐほっ!?」ドスッ


ちゃちゃのん「えっ!?」


洋榎「バカ!! 惚けとらんで、今のうちにさっさと逃げんで!!」グイッ


ちゃちゃのん「あ、うん… 係員さん、ゴメンの…」タタタッ






セーラ「二人とも、こっちやでぇーー!!」ダダダッ

洋榎「あれは代行の!?」ダダダッ

ちゃちゃのん「はぁ、はぁ…」フラフラッ



代行「ふふふっ… こんなこともあろうかと、待機してたのよ~~♪」

洋榎「ナイスや代行、出してええで!!」バッ

代行「は~い!! ぶっ飛っばすわよ~~~♪」グンッ



ガオンッ グォンッ グォンッ ガロロロロロロ~~~~ッ

ウヒャーーーーーー!!


代行「こういうのって、何だか燃えるわよね~~♪」ドルン ドルン ドルルルンッ

洋榎「安全運転!! とりあえず安全運転で頼んますーー!?」ウヒィィィッ

塞「ちゃちゃのん、大丈夫!?」ペシペシ

胡桃「あ、恐怖のあまり息してない……」プラン






係員「あたた、さっきのはいったい何だったんだ…?」




???「―――なかなか楽しませてもらったぞ。 キュアピースにちょっと似た少女よ…」フッ







【後日――】


ちゃちゃのん「はぁ…」

胡桃「どうだった?」

ちゃちゃのん「大学からも事務所からも、こってり怒られたんじゃ…」ウウッ

塞「まっ、ちゃちゃのんは完全に顔バレしてたしね~」

胡桃「セーラたちも大学側から、厳重注意されたみたいだよ…」



ちゃちゃのん「とりあえず注意だけで許してもらえて、本当に良かったんじゃ…」ウルウル

胡桃「セーラも部の方には影響ないみたいで、良かったって言ってた…」

塞「まぁ、セーラは言いだしっぺの一人だから仕方ないけど、ちゃちゃのんの仕事に影響しなくて本当に良かったね」



塞「それと軽い怪我した係員さん。 ちゃちゃのんのファンだったみたいで、フォロー入れてくれたんだってね」

ちゃちゃのん「うぅっ、悪いことしたんじゃ。 後でちゃんと謝らんと…」

胡桃「興奮した観客にヤられたって話だし、別にちゃちゃちゃんのせいじゃないでしょ」

ちゃちゃのん「そうじゃけど、やっぱり気になるじゃろ……」






ちゃちゃのん「―――でも、楽しかったのぅ…」ヘヘッ



胡桃「ふふっ、そうだね」フフッ



塞「うん、バカみたいに楽しかったね」クスッ






【いちご日記】


5月××日(はれ)




三回生の大学祭―――



また一つ、みんなとの大切な思い出が増えたんじゃ。



みんなと協力して何かをする、こんなん高校の時 以来じゃろうか。




あん時は、ちゃちゃのんのせいで悲しい結果になってしまったんじゃが…




鹿老渡のみんなは、今でも元気じゃろか。




今日のちゃちゃのんたちのライブ、婆っちゃたちにも見てもらいたかったんじゃ。








ちゃちゃのん「かろうと高校 まあじゃん部…?」


老婆「そうじゃ、ワシャ高校ん時にそこの部長だったんじゃ」


ちゃちゃのん「じゃったら、ちゃちゃのんも ぶちょーさんになりたいのぅ…」


老婆「ほいじゃが、今はここもあん頃以上に過疎が進んどるで… もぅ麻雀部も残っとらんそうじゃ……」


ちゃちゃのん「そうなんじゃ……」シュン



老婆「ワシが子どもん頃に通っとった 鹿老渡の小学校も、今はもぅないしのぅ…」


老婆「爺さんたちとの思い出がだんだんと のぅなってくようで、それはやっぱり寂しくもあるかのぅ……」






老人「お~~~う!!」


ちゃちゃのん「あっ、漁師の爺っちゃ…」


老婆「子どもたちを連れとるのぅ?」


ちゃちゃのん「だ、誰じゃろ…」オドオド




老人「こりゃウチの娘夫婦んトコの孫娘たちじゃ。 夏休みゆーて、今はウチで預かっとるんじゃ!!」カッカッカ


快活な長女さん「どうも初めまして」ペコッ


陽気な妹ちゃん「うわ~ 現地人発見じゃ!! スッゲ~~♪」


しっかりものの妹ちゃん「ちょっと、そげな言い方 失礼じゃよー」アセッ



老婆「おー おー こりゃまた可愛ええ子たちじゃの」カカッ


ちゃちゃのん「ちゃ、ちゃちゃのんじゃ……」コソッ





快活な長女さん「うわっ、可愛い~ 芸能人みたいじゃ♪ キミ、ちゃちゃのんって言うん?」


ちゃちゃのん「う、うん…」コソコソ



陽気な妹ちゃん「のー のー ボクたちと一緒に遊ぼうよーー♪」


しっかりものの妹ちゃん「迷惑じゃなけりゃ~~ お願いします♪」ニコッ


ちゃちゃのん「えと、ちゃ… ちゃちゃのんは……」キョロキョロ



老婆「ふふっ、せっかくのお誘いじゃで… みなと楽しんどいで♪」


ちゃちゃのん「う、うん……」コクリ




快活な長女さん「じゃ、浜の方まで行こうよ!!」タタッ


陽気な妹ちゃん「うわっほ~~い!! 競争じゃ~~~♪」ダダダーー


しっかりものの妹ちゃん「ちょっ、待ちなさいってばーー!!」タタタッ


ちゃちゃのん「えっ、ちょっ… 待って―――」タッタッタッ コケッ アウッ


快活な長女さん「だ、大丈夫!?」


ちゃちゃのん「だ、大丈夫じゃ……///」イタタ…








老婆「感謝するよ…」


老人「そんなん、たまたまじゃ たまたま」


老婆「そんでも、やっぱ子どもは子どもと遊ぶんがええ…」


老人「そうじゃな、ワシらがずっと守ってやるわけにもイカンしの」



老婆「あの子の悲しむ顔は、見たくないのぅ…」






快活な長女さん「そっかぁ、ちゃちゃのんはアタシと同い年なんじゃね」


ちゃちゃのん「う、うん… そうみたいじゃ……///」ビクビク


しっかりものの妹ちゃん「アタシたちはお姉ちゃんより一つ下で、双子なんじゃよ~」


陽気な妹ちゃん「やっほーい!! カニ捕まえたんじゃ~~♪」ピョンピョン


ちゃちゃのん「姉妹かぁ、ちゃちゃのんは… 一人っ子じゃけぇ、羨ましいのぅ……」シュン



快活な長女さん「また、一緒に遊べばええじゃろ」ニコッ


ちゃちゃのん「あ… う、うん……///」コクッ




陽気な妹ちゃん「うおっ、なんじゃコリャ!?」ギョッ


しっかりものの妹ちゃん「たこ壺じゃない? 何でこんなトコに置いちょるんじゃろ…」




陽気な妹ちゃん「おおっ、あの丘の上にカタコンベ発見♪ 藤岡探検隊、行っきま~~す!!」ダッシュ


しっかりものの妹ちゃん「じゃけぇ、一人で行くなっての~~!!」タッタッタ



快活な長女さん「ゴメン、あんバカは空気読むとか出来ん弾丸じゃけぇ…」ハァ


ちゃちゃのん「えへへ、楽しい妹ちゃんじゃね…」ヘヘッ





ちゃちゃのん「ここはちゃちゃのんたち かろうとの人が通っとる、昔からあるお宮さんじゃよ」


快活な長女さん「そうなんだ、じゃ お参りでもして行く?」


ちゃちゃのん「何を、お願いするんじゃ?」




快活な長女さん「また、こうやって一緒に遊べますように……とか?」フフッ


ちゃちゃのん「あ、ありがとの……///」テレッ






快活な長女さん「あっちの岬の方にゃぁ、何があるんじゃ?」


ちゃちゃのん「えと… あっちは確か私有地じゃけぇ、島民はあまり近づかんのじゃが―――」


ちゃちゃのん「岬のゆうれいの噂もあるし、あっちにゃ行かん方がええよぉ……」フルフル


陽気な妹ちゃん「岬のゆうれい!? 何それ、チョー楽しそう~~♪」ダダダァーー


しっかりものの妹ちゃん「また行っちゃたけど、どうすんじゃ?」


快活な長女さん「そろそろ夕方じゃけぇ、暗くなる前に捕まえて帰るしかないのぅ…」ゴメンノ


ちゃちゃのん「うぅっ、ゆうれい怖いんじゃ…」フルフル






「あなたたち、誰……?」


快活な長女さん「うわっ、出たァ!?」


ちゃちゃのん「うっきゃーーーッ!! ゆうれいじゃーーーッ!!」ヒィィッ


「くすくす…」




ちゃちゃのん「ほぇっ…?」


儚げな少女「あはは、幽霊とか失礼しちゃいますわ。 私、一応 まだ生きているのですけれど…」フフッ






快活な長女さん「へぇ、都会の方から病気療養でここに…?」


儚げな少女「ええ… ここはご飯も美味しいですし、空気も綺麗ですから。 とりあえず夏休みの間だけということで…」


快活な長女さん「ちゃちゃのん、早く立ったら?」


ちゃちゃのん「あぅぅ… 腰が抜けて……」ウルウル






快活な長女さん「ちゃちゃのん、遊ぼ~~♪」


ちゃちゃのん「あ、婆っちゃ… これからみんなと遊んでくるの…」チラッ


老婆「カッカッカ… ワシんこたぁ気にせんでええけぇ、みなで遊んどいで!!」


ちゃちゃのん「うん♪ 今日は岬の子のウチで、みんなにまあじゃんを教える約束なんじゃ…」ヘヘヘッ





快活な長女さん「また負けたァ!? ちゃちゃのんは麻雀上手いのぅ」


しっかりものの妹ちゃん「むむっ、こりゃぁなかなかに難しいのぅ…」


ちゃちゃのん「えへへ、コツさえ掴めば簡単じゃよ~♪」


儚げな少女「テーブルゲームでしたら、私にも出来そうですわね」フフッ


陽気な妹ちゃん「あはは、いつもの病弱アピールが出たんじゃ!?」


儚げな少女「うっ… 私、そのようなつもりはなかったのですが……///」





陽気な妹ちゃん「あ、またツモったんじゃ!? コリャ何ちゅう役じゃろ…?」


快活な長女さん「自分、何でそないに強いんじゃ……」クッ


しっかりものの妹ちゃん「こんなカンだけで生きとるようなんに勝てんとは…」クツジョク


ちゃちゃのん「妹ちゃんは、まあじゃんの神さまに愛されとるのかもしれんね。 ちゃちゃのんも、ウカウカしてられないんじゃ…」




優しげな女性「皆さん。 お夕飯出来ましたから、どうぞ今日は食べていって下さいね」


儚げな少女「あ、お母さま…」


快活な長女さん「あ、どうもスミマセン」


陽気な妹ちゃん「うわぁ~い、ハンバーグ~~♪」


ちゃちゃのん「あ… ちゃちゃのん、遅くなるって連絡せんと…」






儚げな少女「あちらの山の方に、蛍がいると聞いたのですが?」カチャ


快活な長女さん「えっ、このへんホタルおるん?」モグモグ


ちゃちゃのん「うん。 天候とかの条件合えば、今の時間ならほたるの きれいな光も見れるんじゃ♪」


陽気な妹ちゃん「あ、ボクもホタル見たいかも~~~」ムシャムシャ



しっかりものの妹ちゃん「ほじゃけど、今の時期いるんじゃろか?」パクパク


ちゃちゃのん「う~~ん、どうじゃろ。 源平にゃぁ、ちょっと遅いかもしれんの…」


陽気な妹ちゃん「とりあえず行ってみれば分かるじゃろ~~~!!」ガッチャン スック


しっかりものの妹ちゃん「あ、ちょっと待って――」モゴッ


儚げな少女「まだ子どもが食べてるでしょうが!!」バンッ



陽気な妹ちゃん「―――?」ピタッ


快活な長女さん「ん―――?」


ちゃちゃのん「おょっ…?」ハテナ



しっかりものの妹ちゃん「もしかして、今ん笑いドコじゃった?」


儚げな少女「な、なんでもないですわ…///」カァァッ







ちゃちゃのんに出来た、初めてのお友達。




みんなと過ごした、夢のようにキラキラな夏休み。




でもシンデレラにかけられた魔法は、必ず解けるものなんじゃ――――






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【咲-Saki- SS】 ちゃちゃのん・大学編 -いちご味-



ちゃちゃのん「おかえりなさい」









第二章 愛が咲いた日









カンッ!







【幕間】




~ 佐々野いちごの『チャチャのんのん☆Radio♪』~





ちゃちゃのん「皆さん、こんばんはなんじゃ!!」フリフリ




ちゃちゃのん「えっと、これにて第二章も終了となるわけなんじゃが……」



ちゃちゃのん「やっ… やっぱり、何じゃか 照れくさいのぅ~~~///」テレッテレー


???「チッ、カマトトぶりおって…」



ちゃちゃのん「さて、ほんじゃ~ こっから少しの幕間を挟んで、いよいよ物語が大きく動き出す 第三章の開始じゃよぉ♪」




ちゃちゃのん「因みにこの幕間は 佐々野いちごの『チャチャのんのん☆Radio♪』として、筆者が語りたいことを語ったり…」

ちゃちゃのん「本編では登場しちょらんキャラクターをゲストさんとしてお呼びしたりする、ま~ 完全な息抜きの場じゃね」


ちゃちゃのん「なおこのラジオは海と大地と時の狭間に存在するものらしいんで、例のごとくここでの登場人物と本編の登場人物は 基本的には関係ないそうじゃ」


ちゃちゃのん「当然 キャラ崩壊も激しくなると思うんで、そういうのが嫌いな人は 完全スルーでヨロシクの~~」ペコリン


???「大体、咲の広島弁キャラいうたら ワシじゃろが…」ブツブツ


ちゃちゃのん「あっ、今回のゲストさんの紹介が まだじゃったね」ゴメンノ




ちゃちゃのん「それではさっそくじゃが、今回もゲストさんをお呼びしたいと思うんじゃ!!」


ちゃちゃのん「みんな大好き。 我らが主人公チーム・清澄高校麻雀部 次鋒の染谷 まこちゃんじゃよ~~♪」テッテレー



まこ「あ、ど~も。 清澄の染谷 まこじゃ…」



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ちゃちゃのん「まこちゃんゆーと、やっぱり広島弁のメガネっ娘―――」

ちゃちゃのん「メガネを外すと可愛さと雀力アップ。 そして極めつけはメイド服じゃのぅ♪」


ちゃちゃのん「こんな萌え要素いっぱいなうえに、主人公チームで、麻雀も上手い―――」


ちゃちゃのん「しかも後輩ちゃんたちへの気配りも出来る。 とっても優しくて頼りんなる、頭脳派の先輩さんじゃよね~~~♪」スゴインジャ


まこ?「わりゃあ――」


ちゃちゃのん「ほぇ…?」




やさぐれまこ「そげんことゆーとって… 心ん中じゃ~~ ど~せワシんこと、エセじゃ、ワカメじゃ、キンクリじゃと、せせら笑っとんのじゃろ~~~」ケッ


ちゃちゃのん「えぇっ!? まこちゃん!?」




ワカメ「おい、これ書いとるクソ筆者ーッ!! げに可愛ええ思っとんなら、何でワシを主役でスピンアウトさせんかったーーッ!!」


ワカメ「佐々野とか、単なるかませのモブじゃろ~~ッ!!」


ワカメ「コイツやエイスリンのせいでな~~ ワシが一体 どんだけ迷惑しとるか、ちゃんと分かっとんのか~~!!」ムッキーーーッ!!





ちゃちゃのん「ま、まこちゃん!! お、お、お、落ち着くんじゃよ~~!?」アワワッ


ちゃちゃのん「本当の自分を思い出すんじゃ~ 本編のまこちゃんは、とっても可愛ええ女の子じゃろ~~!!」ワタワタ



まこ「はっ!? ワシは今まで一体何を…? どうやら、何者かに身体を支配されとったよ~じゃ―――」


ちゃちゃのん「あっ、まこちゃん… 正気に戻ってくれたんじゃの♪」ヨカッタ…





まこ「えらい醜態を晒してまったようじゃのぅ。 申し訳ないことをしたんじゃ…」ペコリッ


ちゃちゃのん「えへへ、そんなん別にええよ~~ 同じ広島弁仲間じゃけぇ、仲良うしよ~ね♪」ニコッ




まこ?「本来 広島弁はワシ一人で充分だったんじゃ。 それなんに、何故こがーなキャラ被りするようなヤツを出したんじゃ…」ブツブツ


まこ?「コイツは侵略者、そしてワシは防衛軍。 仲良くなぞ、出来るわけないじゃなイカ……」ブツブツ


ちゃちゃのん「ま、まこちゃん――?」エット…



まこ?「うっさい!! わりゃあみたいんは、ワカメ巻いて写真集でも出しゃぁええんじゃ!!」ビシィッ


ちゃちゃのん「えぇっ、何でワカメ!?」





ちゃちゃのん「ちゃちゃのんとまこちゃんの関係と言えば、アニメ 咲-Saki- 放送当時―――」


ちゃちゃのん「まこちゃん役の白石涼子さんが、広島の呉出身である松来未祐さんに 広島弁を教えてもらっちょった事でも有名じゃね」


まこ「その説は、色々とお世話になったのぅ…」ペコリ


ちゃちゃのん「えへへ、そんなことはないんじゃよ。 まこちゃん、これからもちゃちゃのんの分まで頑張ってのぅ…」


まこ「…………」




ちゃちゃのん「こ、この話題はやめようかの。 ちゃちゃのん、何だか とっても切なくなってきたんじゃ…」ホロリ


まこ「そ、そうじゃの……」




ちゃちゃのん「ほんじゃ、そろそろ恒例のお便りコーナーに入ろうかの~~」


まこ「そうじゃの、進行 ヨロシク頼むぞ…」







ちゃちゃのん「まずは鹿児島県 ラジオネーム『清浄気玉利仙全君』さんからのお便りじゃ♪」

ちゃちゃのん「う~~ん、なんじゃか難しい名前じゃの~~ さっきので、読み方は合っちょたんじゃろうか…」



ちゃちゃのん「いちごちゃん、好き好き大好き~~~~~(*≧∀≦*)♪」ヨミヨミ


ちゃちゃのん「それで… その隣に座っている、緑色の海藻類は何なのですか――?」ヨミヨミ

ちゃちゃのん「正直 いちごちゃんと同じ広島弁というだけで、私 許せないのですが…」ヨミヨミ


ちゃちゃのん「自分がいちごちゃんの引き立て役だということ、くれぐれもお忘れなきよう 宜しくお願い致しますわね」ヨミヨミ



ちゃちゃのん「―――という、ちょっと変わったお便りじゃね」

まこ?「―――おい!!」



ちゃちゃのん「緑色の海藻類って、何の話じゃろうね?」クノウセンパイ?

まこ?「わりゃあ、分かっとって わざと言っとりゃせんじゃろなぁ!!」


殺意のまこ「ちゅーか、このメールを採用したスタッフに、ワシャ殺意の波動が抑えきれんのじゃが……」グヌヌ…



ちゃちゃのん「よぅ分からんけぇ、とりあえずちゃちゃのんのことを 好いとってくれちょるようじゃね♪」

ちゃちゃのん「清浄君、どうもありがとの~~~~♪」フリフリ

殺意のまこ「よぅ分からんで 流すなや……」クソガ…






ちゃちゃのん「えっと、続きまして長野県 ラジオネーム『アイドル雀士とかマジうぜー』さんからのお便りじゃね♪」



ちゃちゃのん「ちゃちゃのんってさ~ じゃ~じゃ~ じゃろじゃろ 言ってっけど―――」ヨミヨミ

ちゃちゃのん「ロリババアか何かなの? マジ受けるんですけど~~~」ヨミヨミ


ちゃちゃのん「ちょっと顔が良いとかチヤホヤされてっけど、アンタこっち側の人間だってこと忘れないでよね」ヨミヨミ

ちゃちゃのん「あとウチらの方がアンタよりも 出番多かったんだから、そのへんヨロシク~」ヨミヨミ

ちゃちゃのん「あと乳デカいってだけでチヤホヤされてるヤツも、マジ爆発して欲しいっス」ヨミヨミ



ちゃちゃのん「うぅ、前のお便りで上げてもらった後に、思いっきり突き落とされたんじゃ……」ズーーン

まこ「じゃけぇここんスタッフは、何故に今のメールを 本人に読ませようと思ったんじゃろうな」ドSカ?


まこ「な~~んか今の口調とか、どっかで聞いたことあるような気もするんじゃが―――」ナガノジャシ…



まこ(怒)「たちまち、ロリババアとはなんじゃ。 わら いちびっとらんと、広島弁に謝りんさいな!!」

ちゃちゃのん「そうじゃよ~~ 別に広島弁はロリババアっちゅうわけではないんじゃよ~~」





ちゃちゃのん「でも、ちゃちゃのん お婆ちゃんっ子じゃし―――」

ちゃちゃのん「時々 お婆ちゃんっぽいねって、言われることはあるんじゃよ~~」エヘヘ


まこ「おっ、そうなんか? 因みにワシはお爺ちゃんっ子じゃよ」




ちゃちゃのん「縁側でお茶したり、にゃんことひだまりでお昼寝したりして、ぬくぬく過ごせたら幸せじゃと思うんじゃ~~♪」

まこちゃん「お~ そりゃぁええの~~ 何や、われんことちぃーと 誤解しとったかもしれんのぅ~~」


ちゃちゃのん「わぁ~~い、まこちゃんと理解し合えたんじゃ~~♪」キャッキャッ





ちゃちゃのん「ほぇ、さっきの『アイドル雀士とかマジうぜー』さんからの、追加メールがあるよぅじゃ―――?」ドレドレ


ちゃちゃのん「えっと、ま~ そうは言っても、同じ引き立て役に使われたもん同士―――」ヨミヨミ

ちゃちゃのん「少しくらいなら応援してやっから、雑魚は雑魚なりに とりあえず頑張ってみたら良いんじゃね…」ヨミヨミ



ちゃちゃのん「うぅ~~ 『アイドル雀士とかマジうぜー』さんは素直じゃないだけで、本当はとってもええ人なんじゃの……」ジワッ

まこ「えっ、たったこんだけで!? チョロいヤツじゃの~~」


ちゃちゃのん「別にちゃちゃのん、チョロくないんじゃよ~~」ムムッ

ちゃちゃのん「『アイドル雀士とかマジうぜー』さんはのぅ。 さっきはちょっと言いすぎたかなと思って、ちゃちゃのんのことを気遣ってじゃな―――」

飽きっぽいまこ「分ぁーった、分ぁーった。 その話長くなりそうじゃし、別に興味ないからええわ……」







ちゃちゃのん「そういえば ある世界線じゃと、ちゃちゃのんたちは はとこ同士らしいのぅ♪」

GSまこ「お~お~ そがぁなこともあったのぅ~~」



ちゃちゃのん「そっちの世界のまこちゃんは、京太郎くんっちゅう素敵な彼氏さんがおって―――」

ちゃちゃのん「カッコよく妖怪退治なんかも出来ちゃう、スーパー霊能力者さんなんじゃよね~~~」オメメ キラキラ

GSまこ「いや~~ 照れるのぅ……」ポポンッ オミミ ピョコピョコ



ちゃちゃのん「うわぁ~~ 黒猫ちゃんの尻尾とお耳じゃ~~♪」

GSまこ「ま~ ワシらの家系は化け猫や猫又を祖に持つ、霊的素質に秀でた一族じゃけぇのぅ」シッポ フリフリ


ちゃちゃのん「ええのぅ。 ちゃちゃのんは まこちゃんみたいな霊的素質があまりないけぇ、憧れるんじゃ―――」

GSまこ「ワレんトコの婆さんは、あんなに凄い霊能力 持っとったのにのぅ…」

ちゃちゃのん「うん。 婆っちゃは若い頃 お祓いとか降霊とか、そういうのが得意じゃって聞いたことあるんじゃ…」




GSまこ「ワシの場合はテンション上がったり 興奮したりすると、先祖返りで耳やシッポが出てしまうんじゃが―――」


GSまこ「ちゃちゃのんじゃって、意識を集中すりゃぁ 耳とシッポくらいなら出せるじゃろ」ピョコピョコ

ちゃちゃのん「うん、そんくらいなら ちゃちゃのんにも出来るんじゃ♪」



GSまこ「猫耳、出してもらってもええかの?」

ちゃちゃのん「う、うん。 久しぶりじゃけぇ、ちょっと緊張するんじゃ…」ドキドキ



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ちゃちゃのん「むむむっ… 集中、集中……」



ポポンッ

ちゃちゃにゃん「あは、出来たんじゃ♪」オミミ ピョコピョコ シッポ フリフリ


GSまこ「おぉっ、お見事♪ 相変わらずちゃちゃのんのは、上品で綺麗な三毛猫じゃな♪」



ちゃちゃにゃん「にゃはは… でもちゃちゃのんに出来るのはこれだけじゃし、まこちゃんみたいにゃぁ戦えんけぇ―――」


ちゃちゃにゃん「ちゃちゃのんのは、何の役にも立たん。 これといって意味もにゃい 能力なんじゃけどね……」ニャァ




GSまこ「ま、可愛ええからええんちゃう」ナデナデ


ちゃちゃにゃん「ふにゃぁ、ちゃちゃのん 耳とシッポが弱いんじゃよぉ~~~////」ニャァ ニャァ


ちゃちゃにゃん「それに一度出すと 酔ったみたいに言葉も変ににゃるし、上手に引っ込めたりも出来にゃくてのぅ~~」ニャーー

GSまこ「先祖帰りが弱点か!? ホンマ使えん能力じゃのぅ!!」


ちゃちゃにゃん「うぅっ、やっぱりちゃちゃのんは駄目にゃ子じゃ~~」フニャーー





ちゃちゃにゃん「えっと、とりあえずこのまま 次のお便りに行こうかにゃ」シッポ フリフリ

GSまこ「…………」ウズウズ


ちゃちゃにゃん「まこちゃん……?」ニャァ




GSまこ(横島)「とりあえず、ちゃちゃのんは 今からこのメイド服をきんさいな!!」バッ

ちゃちゃにゃん「にゃにゃっ、何でいきなりそうなるんじゃ!? しかもこれラジオじゃよ~~」ニャゼ?


GSまこ(横島)「理由とかど~~でもええんじゃ、そこに猫耳少女がおったらメイド服じゃろ~~!!」ニギニギ

ちゃちゃにゃん「ふにゃぁ~~ じゃけぇ、シッポと耳は触っちゃダメじゃよぉ~~~」ビビクンッ




フニャーー ヤメルンジャーー エエデハナイカ エエデハナイカ


ちゃちゃにゃん「うぅっ… よぅ分からんけぇ、メイド服に着替えさせられたんじゃ」ウルウル


GSまこ「ま~~ ワシも付き合ってやったんじゃけぇ、ええじゃろ別に」カカッ



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ちゃちゃにゃん「とりあえず気を取り直して、お便りに戻ろうかにゃ~~」


ちゃちゃにゃん「えっと、長野県 ラジオネーム『スガラブ 狂堕郎』さんからのお便りじゃ。 どうもありがとにゃ♪」シッポ フリフリ

GSまこ「スカイラブハリケーンじゃと……」ピクッ


ちゃちゃにゃん「うんにゃ、長野県の『スガラブ 狂堕郎』さんじゃよ~~」

GSまこ「また長野か、しかもちょっくり聞き覚えのある名前じゃの―――」

ちゃちゃにゃん「にゃはは、まこちゃんの気のせいなんじゃにゃいかのぅ」




ちゃちゃにゃん「ちゃちゃねぇ、にょんたか。 はい、にょんたか~~♪」ニャマリ

ちゃちゃにゃん「最近 色んな人から中二野郎とか、ハーレムンのホラ吹き男とか酷い言われようです―――」ヨミヨミ

ちゃちゃにゃん「まったくもって、風評被害も甚だしいです―――」ヨミヨミ

ちゃちゃにゃん「こんな可哀想な俺を、ちゃちゃねぇの愛の告白で癒して下さい。 宜しくお願いします」ヨミヨミ


ちゃちゃにゃん「じゃって―――このちゃちゃねぇ言うんは、ちゃちゃのんのことじゃろか?」ハテニャ?




GSまこ「ちゅうかさ~~」フルフル

ちゃちゃにゃん「まこちゃん―――?」ニャ


GSまこ?「この長野県のスガラブ 狂堕郎ってヤツ、ワシの彼氏の須賀 京太郎じゃないんかのぅ?」ミミポンッ シッポポンッ


GSまこ?「あんの浮気モンがぁ…… 次に会った時にゃぁ、シリに神通棍の刑じゃ!!」

ちゃちゃにゃん「まこちゃん、落ち着くんじゃ!? そんにゃことされたら、彼氏さん死んでまうんじゃよ~~」ニャニャッ


ちゃちゃにゃん「それにたぶん 須賀くんは須賀くんでも、まこちゃんの彼氏さんとは別の世界線の須賀くんじゃと思うんじゃ~~~」

GSまこ「なるほどのぅ、そういう考え方もあるんじゃな…」

ちゃちゃにゃん「落ち着いてくれて良かったにゃ~」ホッ





ちゃちゃにゃん「え~~と、風評被害にゃぁ ちゃちゃのんもあったことあるけぇ―――」

ちゃちゃにゃん「スガラブ 狂堕郎さんの気持ちは、ちゃちゃのんにもよぅ分かるんじゃ。 元気出してにゃ~~~♪」オミミ ヒョコヒョコ



GSまこ「それじゃ、ちゃちゃねぇからの愛の告白じゃな…」

ちゃちゃにゃん「えっ、それってホンにせんとダメにゃんじゃろか?」ドキドキ


GSまこ「そーゆー仕事じゃろ。 頑張ってのぅ~~~♪」カカッ

ちゃちゃにゃん「うにゃぁ~~ ちゃちゃのん、こぅいうのちょっと苦手なんじゃよぉ~~~////」





ちゃちゃにゃん「ス、スガラブ 狂堕郎さん―――」


ちゃちゃにゃん「ちゃちゃねぇが、ええ子ええ子してあげるけぇ―――」


ちゃちゃにゃん「そんにゃ、風評被害にゃんかに負けず、これからも頑張るんじゃよおぉ~~~////」フリフリ


GSまこ(横島)「コリャア!! ちゃんと愛の告白までせにゃぁ アカンじゃろ!!」クワッ

ちゃちゃにゃん「ふにゃっ―――!?」ビクゥッ




ちゃちゃにゃん「あ、愛しちょるよ~~ スガラブ 狂堕郎く~~ん!!」ミミマデ マッカ


GSまこ(横島)「まぁ… 今日んとこは、そんくらいで勘弁しちゃるわぃ」


ちゃちゃにゃん「ふにゃ~~ 恥ずかしかったんじゃ~~~////」ニャァーー





ちゃちゃにゃん「お次は、ニュージーランドにお住まいの『良かった探しでwaqu waqu』さんからのお便りにゃ♪」


ちゃちゃにゃん「海外の方からのお便りなんて、嬉しいにゃ~~ 『良かった探しでwaqu waqu』さん、どうもありがとにゃ♪」

まこ「ニュージーランド……」ピクッ



ちゃちゃにゃん「ワタシ日本の四季というものが、とてもダイスキデス」ヨミヨミ

ちゃちゃにゃん「さて、これはワタシがビート板で母国ニュージーランドに帰った時に起こった、ビックリなお話なのデスが―――」ヨミヨミ







ちゃちゃにゃん「ほぇ~~ それはキーウィもビックリにゃ お話じゃったの~~~」ニャァ

まこ「…………」


ちゃちゃにゃん「『良かった探しでwaqu waqu』さん、とっても楽しいお便りを どうもありがとにゃ――」シッポ フリフリ


ちゃちゃにゃん「にゃっ!? いつの間にかもぅコーナー終了のお時間みたいじゃ!? 何だか、あっちゅう間じゃったの~~」




ちゃちゃにゃん「にゃにゃっ!? 番組時終了まで、あと10秒――――!?」ニャント!?


ちゃちゃにゃん「えぇっ、にゃんでちっとも気付かにゃかったんじゃろ~~~!?」アワワッ


ちゃちゃにゃん「そっ、それでは今回のお相手は~~~」ニャニャニャッ


まこ「染谷まこ、と――――」


ちゃちゃにゃん「ちゃちゃの――――」



ブツッ






カンッ!



幕間 終劇




【続・ネタ元作品等をいくつかご紹介します】


個人サイト等の場合、思わぬご迷惑かかってしまうと困りますので URLは貼ってません。

興味を持たれた方は、タイトル検索から遊びに行って貰えるとありがたいと思います。



・私的素敵ジャンク

hannoverさんの、咲-Saki-等を扱った考察サイトです。

筆者も遠野物語等が大好物なので、とても興味深く読ませて頂きました。

宮守のオカルト話の参考にさせて頂きました。



・佐々野いちごのCHA-CHAラジオ!

かえんだん:オオムギさんの、咲関連SS等を扱うサイトです。

オオムギさんにはいつもご親切にして頂き、本当にありがとうございます。

佐々野いちごの『チャチャのんのん☆Radio♪』の参考にさせて頂きました(内容全然違うんですけどね…)



・GS染谷の忘備録 Report.10: 決戦! 全国高校麻雀大会 ‐インターハイ・遭遇編‐

ちゃちゃのんが登場するのはたぶん10と11で良いのかな。

ちゃちゃのんとまこがはとこで、にゃんこな世界線。 GS好きでしたね~~



・【咲】京太郎「ここが麻雀学園都市か……」※安価スレ
http://www59.atwiki.jp/toarukyoutarou/pages/1.html

Ⅰの須賀らぶではちゃちゃのんこと『ちゃちゃねぇ』が大活躍した、結構珍しい安価スレだと思います。

マイナーキャラがメインになるスレってやっぱり少ないので、とても嬉しかったのをよく覚えています。

主な能力はアイドルパワー、アルティメット・アイドルオーラ、結ばれし絆《アカイイト》、THE IDOLM@STER、卍解・天鎖斬月。

尚、筆者はアカイイトと聞くと、どうしてもこちらの作品が思い出されます。 とても大好きな作品です。



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【咲-Saki- SS】 大学編 -いちご味-



ちゃちゃのん「おかえりなさい」









第三章 オレンジワルツ













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次の年 いつも麻雀してくれとった、あの漁師の爺っちゃが亡くなった。



あの子たちが鹿老渡の爺っちゃのトコへ遊びに来ることも、もぅのぅなった。



病気療養のため避暑に来とったあの子も、その年以降 見かけることはなかった―――







男「やぁ、いちごさん。 初めまして。 お母さんに似たのかな、とっても可愛いらしい子ですね」


女「いちご、お父さんにしっかりご挨拶しんさい」



ちゃちゃのん「―――ちゃちゃのん、です…」


男「ちゃちゃのん…?」


女「コラ、ちゃんと挨拶せんと…」モゥ


男「あぁ、良いんですよ。 ちゃちゃのん、可愛い響きですね…」ニコッ





ちゃちゃのん「あの、一つだけお願いしてもええじゃろか…」グッ


男「ええ、何でも言って下さい」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのんの名前。 今の佐々野のままじゃ、イカンじゃろか…?」


男「え―――?」


女「この子ったら、またそがぁバカなコト言って…」



ちゃちゃのん「あの人に、ちゃちゃのちゃんって… もぅ呼んでもらえなくなってまうんじゃ…」ギュゥゥ


女「あの人って、お婆ちゃんはもぅ―――」




男「―――いいですよ」


ちゃちゃのん「えっ……」


男「佐々野 いちご。 私もとても素敵な名前だと思います」ポリポリ


男「それはお父さんから貰った大切なモノでしょうし、きっと他にも理由があるんでしょう……」


男「いちごさんがそこまで言うのでしたら、私はそんなこと気にしませんから」ニコッ


ちゃちゃのん「ありがとう… ございます……」ポロポロ




物静かで、とても優しそうな人じゃった。



そしてその少し困ったような笑顔が、お父さんに似ているなと思った。





大好きな婆っちゃがいなくなったその年―――



ちゃちゃのんは、婆っちゃたちとの思い出の鹿老渡を離れた――――






♪~ いちごのようにかわいくて~~


ちゃちゃのん(ん、ヒロちゃんからのメールじゃ。 ヒロちゃん、昨日も胡桃ちゃんと一緒だったんじゃな…)ポチポチポチ



ちゃちゃのん(……………)ポチポチポチ









洋榎「おぅ、ちゃちゃ!! 久しぶりやな~♪ 元気しとったか?」ヨッ

ちゃちゃのん「う、うん… 元気じゃったよ……///」


洋榎「にしても、ちゃちゃからのお誘いとか珍しいやん!! しかもあん時に買った洋服着て来いとか…」



洋榎「ホンマ、何かあったん?」

ちゃちゃのん「きょ、今日はちょっと… またヒロちゃんに、バイト頼もう思って……///」カァァッ

洋榎「何や、また如何わしいバイトやないやろな?」カカッ


ちゃちゃのん「にゃんカフェ、別に如何わしくなかったじゃろ!?」モー

洋榎「で、バイトってこれからなん?」

ちゃちゃのん「バイトは夕方からなんじゃが…」

洋榎「何や、まだ全然時間あるやん!?」



ちゃちゃのん「う、うん……」

ちゃちゃのん「そんでな… きょ、今日は… ヒロちゃんに、もいっこお願いがあるんじゃ……///」

洋榎「お願い…? 金策とか宗教の勧誘以外なら何でも乗ったるから言うてみぃ~~!!」ニカッ



ちゃちゃのん「あぅ… あぅあぅ……////」フルフル

洋榎「ん―――?」





ちゃちゃのん「その、今日のバイト終了までの時間……」



ちゃちゃのん「ちゃちゃのんと、恋人デートして欲しいんじゃ……////」カァァッ







ゴメンの。


ヒロちゃん、胡桃ちゃん。


ちゃちゃのんは、ウソつきなんじゃ。




卑怯で臆病なちゃちゃのんは―――


ウソをつくことしか出来ないんじゃ―――



魔法使いの魔法で全てを偽り、みんなを騙すことしか出来ないんじゃ―――






洋榎「へっ… こ、恋人デートやて!?」エエッ

ちゃちゃのん「あっ、つもりでええんじゃよ!? 今度、仕事で恋人デートみたいなシーンがあっての…///」アセアセッ

洋榎「あ、あぁ… つもりか… ええで、ええで…」



洋榎「でぇ~~ その仕事、しっかり恋人同士の濡れ場もあるんやろな~~?」ニシシ

ちゃちゃのん「そっ、そんなんないんじゃ!!」カァァ

洋榎「何や… そりゃ、自分 残念やったな~~」カッカッカ

ちゃちゃのん「もぅっ…」




洋榎「で、恋人デート言われても… これからバイトまでの時間どないするんや?」

ちゃちゃのん「今日はヒロちゃんが王子さま役じゃけぇ、夕方までのエスコートは全部お任するんじゃ…///」


洋榎「そらいきなりやなぁ。 まぁ、ええで。 王子さまのガウ級攻撃空母に乗ったつもりで、安心してついて来たってや!!」ヨッシャ


ちゃちゃのん「せめて、タイタニック号がええんじゃ…」ウゥッ





洋榎「そういや、ちゃちゃ… 馬が好きとか言うとったし、競馬場でも行くか?」

ちゃちゃのん「そういう馬じゃないんじゃが…」ウゥ…



洋榎「ほんなら、とりあえず海遊館でも行っとくかぁ!! ちゃちゃ、そういうの好きやろ?」

ちゃちゃのん「わぁ、ペンギンとかイルカのメルヘンショーとか見たいんじゃ♪」ワクワク





シャークワールド!!


シャーク岸田「」バクバクバクッ

洋榎「うぉっ、スッゴ!? あんなデカイ生肉もペロリやで!!」

ちゃちゃのん「うぅっ、怖いんじゃ 怖いんじゃ… 海面が真っ赤に……」フルフル



洋榎「うぉぉっ、アッチで『メガ・シャーク対ジャイアント・オクトパスショー』もやっとんで!!」スゴッ

ちゃちゃのん「来週の予定は『メガ・シャークvsクロコザウルスショー』になっとるんじゃ…」フルフル

洋榎「もしかすると、あのメカ・シャークとグレート・タイタンショーも見れるんやろか!?」ウォォッ


洋榎「この観たら損するB級感、ホンマ最高やでェ!!」シャァァーーッ





洋榎「悪ぃ、悪ぃ!! シャーク特集やっとったから、ついついテンション上がってもうたわ!!」


ちゃちゃのん「うぅ、ちゃちゃのんはもっと可愛いショーが見たいんじゃ…」






ちゃちゃのん「わぁ~~ ラッコじゃ、ラッコ!! ヒロちゃん、あそこにラッコの親子がおるんじゃ♪」キラキラ

洋榎「しっかり見とるから、そない引っ張んなって!?」グイグイッ


ちゃちゃのん「ラッコって、確か秘密のポケットがあるんじゃよね?」ワクワク

洋榎「そない未来式ネコ型ガジェットVer2.31みたいなんちゃうて、貝割る石とか入れとく肉のたるみやろ」

ちゃちゃのん「ぶぅ、アレはポケットじゃ……」


洋榎「まぁ、なんでもええわ。 おっ、あのラッコ貝殻叩き始めたで!!」

ちゃちゃのん「ほ、ホントけ?」クルッ



ラッコ「」ブンッ

ガンッ

ちゃちゃのん「うひゃぁっ!?」ワタタッ



ちゃちゃのん「あ、あのラッコちゃん、ちゃちゃのんに貝を投げつけてきたんじゃ」フルフル


洋榎「なになに、ラッコは水槽のガラスに貝殻を叩きつけることもあります……やて」

洋榎「叩きつけすぎて、強化ガラスにヒビ入ったこともあるみたいやで」ヒヒッ

ちゃちゃのん「うぅっ、怖いんじゃ…」







ちゃちゃのん「クラゲはふあふあでええのぅ~ このまま何時間でも見てられそうじゃ~~」ホワワァ

洋榎「お婆ちゃんみたいなヤツやな… まぁ確かに癒されるけど…」




洋榎「おっ、この後 イルカやペンギンのお食事ショーいうのもあるらしいで」

ちゃちゃのん「わぁっ、見たい見たい!! ヒロちゃん、行こ 行こ♪」ピョン ピョン

洋榎「分かった、分かったて…///」アンマ ハシャグナテ





バッシャーーンッ!!


ちゃちゃのん「ジャンピングキャッチじゃ♪ イルカって凄いんじゃのぅ~~」ウヒャーー

洋榎「イルカは昔から頭ええ動物、言われとるしな~~」オオー

ちゃちゃのん「ちゃちゃのんも知っとるよ。 イルカは海棲人類を育てたり、旧日本軍に軍事利用されたりしとったんじゃ…」

洋榎「それはドコソースやねん」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、もっと近くで見てくるんじゃ~~♪」タタッ

洋榎「あっ、あんま近づくと―――」



バッシャーーーーンッ!!


ちゃちゃのん「うぅっ、水浸しじゃ……」ビッショリ

洋榎「アホ、さっき解説のお姉さんが言うとったやん」



ちゃちゃのん「うぇぇ~~~」シクシク

係員「あの、大丈夫ですか…?」

洋榎「あ、気にせんとって下さい。 ただ残念な子なだけやさかい!!」フリフリ



ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、ペンギンショーも見たいんじゃ!!」ハヨイコッ

洋榎「まぁ、とりあえずドライヤーでも借りて 乾かしてから行くで…」

ちゃちゃのん「あ、う、うん…」





ちゃちゃのん「はぁ~~ イルカとペンギンのお食事ショー 楽しかったのぅ♪」ウットリ

洋榎「まぁ、楽しかったからええけど… あ~いうんは、いまいちスリルが足りんで…」

ちゃちゃのん「別にスリルとか、イランじゃろ!!」モー



洋榎「おっ、あっちに土産コーナーあんで?」

ちゃちゃのん「あっ、本当じゃ♪ ペンギンとかアザラシのぬいぐるみもあるんじゃ」トトトッ

洋榎「海洋堂のウシジマくんシリーズ、海洋深層水に沈むコンクリおじさんとかあったりせんやろか?」キョロキョロ

ちゃちゃのん「そんなんイランわ…」





洋榎「そや、何や欲しいもんあったら買うたるで?」


ちゃちゃのん「………ん」


洋榎「どないした、別に遠慮とかええんやで?」





ちゃちゃのん「ううん、別に欲しいのとかないけぇ… ええんじゃ……」エヘヘ


洋榎「そか、ならええんやけど…」




グウゥ~~~


ちゃちゃのん「ありゃ……?」

洋榎「スマン、ペンギンにエサやっとったせいか、ウチも何か食べたなってきたで~」ハハッ

ちゃちゃのん「ほんなら、ちょっと遅めのお昼でも食べよっか♪」クスッ






イラッシャイマセー


ガツガツ ムシャムシャ


ちゃちゃのん「ほぇ~ ヒロちゃんは、ホンによぅ食べるのぅ」

洋榎「戦士は身体が資本、食べんと24時間 戦えんやろ!!」ムシャムシャ


洋榎「ちゃちゃはもぅええんか?」

ちゃちゃのん「う、うん… ちゃちゃのん、ダイエットしとるし…」

洋榎「あんま無理なダイエットとかすんなや。 いくら自分がいいんちょより重いいうてもやな―――」カカッ

ちゃちゃのん「く、胡桃ちゃんは… 別に関係ないんじゃ……」プイッ



洋榎「ん―――そ、そんなら… そのポテト貰ってもええ?」

ちゃちゃのん「う、うん、ええよ…」




ちゃちゃのん「はい、あ~~ん♪」ヒョイ

洋榎「え゙っ……」


ちゃちゃのん「ん……?」

洋榎「いや、別に…///」キョロキョロ


パクッ


洋榎「はぁ、食った食った~」ポンポン

ちゃちゃのん「うん、美味しかったの…♪」





ちゃちゃのん「ほんじゃ、次は何処に行こっか」クルンッ


洋榎「せやなぁ、夕方からのバイトも梅田言うとったし、とりあえずHEP FIVEにでも行っとくか?」






洋榎「そや… この前、あの店 いいんちょと行った時にな―――」


ちゃちゃのん「―――何だか、ヒロちゃんデート慣れしちょるの…」


洋榎「ん……?」

洋榎「まぁ、いいんちょとは何度か来とるし……」ゴニョ



ちゃちゃのん「いくら恋人の演技っちゅうても、胡桃ちゃんに悪いことしとるんじゃろか…」ボソッ

洋榎「いや、別にいいんちょは―――」


ギュッ


洋榎「ちゃちゃ…?」



ちゃちゃのん「せ、せっかくのつもりデートじゃけぇ、手ぇくらい繋いでもええじゃろか…///」カァァ


洋榎「え、ええけど……///」





ちゃちゃのん「えへへ、相手がヒロちゃんじゃイマイチムードにかけるんじゃが―――」


ちゃちゃのん「お芝居いうても、せっかくのデートだもんね。 今日は、ヒロちゃんで我慢しておくんじゃ……////」ギュッ



洋榎「ふん、それはウチのセリフやっちゅうねん……////」








―――あの赤いおっきな観覧車、最後に二人で乗ってもええじゃろか…?




「えっ、せやけど… あの観覧車って確か…」


「ちゃちゃのん―――アレに乗りたいんじゃ…」スタスタ


「待てて、何やねん… ガラにもなく強引やな……」タタッ






ゴウンゴウン  ゴウンゴウン


「うわぁ~~ 凄っごい大パノラマじゃね♪」


「せやな、まるで人がゴミのようやで…」


「その例えは別にええわ。 ヒロちゃん、あの山は何じゃろう?」


「ありゃ、六甲山やで。 でもってあっちが生駒山で、そっちに広がっとるんが大阪湾やな!!」


「ふわぁ~ 凄いんじゃ……」






「きっと日が落ちた後の夜景も、素敵なんじゃろうね…」ポロポロ



「おいおい、こんなんでイチイチ泣くなって!?」



「あ、うん… ごめんの……」ポロポロ



「ちゃちゃのん、なんだか感動しちゃって……」ゴシゴシ





それから二人で、日の沈み始めたオレンジ色の空を ただ黙って眺めちょった――――








ゴウンゴウン  ゴウンゴウン


洋榎「よっと、足元 気ぃつけるんやで~」トッ

ちゃちゃのん「あ、うん… あっちゅう間の15分じゃったの…」ピョン


洋榎「そろそろバイトの時間やな」

ちゃちゃのん「そ、そうじゃね…」








ちゃちゃのん「ここじゃよ…」

洋榎「ここって、確か…!?」

ちゃちゃのん「オシャレなホテルじゃろ…」


ちゃちゃのん「関西じゃケッコー人気の結婚式場らしいんじゃが、ヒロちゃん来たことあるん?」

洋榎「あ、いや… 別に… 以前、哩のヤツが見とった雑誌で、見かけたな~~って!?」アセッ

ちゃちゃのん「哩ちゃんの夢は、素敵なお嫁さんじゃもんね…」フフッ





フレデリック「やぁ、いちごちゃん。 今日もベリーキュートなイチゴのツボミちゃんだね♪」

ちゃちゃのん「あ、おはようございます。 もしかして待たせてしまったじゃろか?」

フレデリック「いやいや、時間通りだよ♪ それで、そちらのお連れさんが例の…?」ホゥホゥ

洋榎「あ、どもです」ペコッ

ちゃちゃのん「は、はい。 だ、大丈夫じゃろか?」ドキドキ



フレデリック「流石いちごちゃんのご学友だ。 まだまだ原石って感じだけど、アイツに任せりゃ平気でショ!!」

ちゃちゃのん「よ、良かったんじゃ…」ホッ





フレデリック「じゃ、撮影準備に入るから お二人ともこちらへ」コッコッ



洋榎「あのイケメンな外人さんは何者や? あの物腰、ただモンやないでぇ…」ヒソッ

ちゃちゃのん「フリージャーナリストのフレデリックさん? 前はニューヨークにおったそうじゃけど、従軍記者なんかもしとったらしいのぅ…」

ちゃちゃのん「でもそういうの感じさせん、陽気で気さくなええ人じゃよ♪」




フレデリック「ロッキー、彼女たちの衣装とメイク頼んだよ」スパァーー

ロッキー「あ、あぁ… 任せて……///」ボソッ

ロッキー「あと、ここ禁煙、だから…」ボソッ

フレデリック「おっと、コイツは失敬…」ククッ




洋榎「あの陰気なマイケル顔した 長身お姉さんは? アレもきっとただモンやないでぇ…」ヒソッ

ちゃちゃのん「天才メイキャッパーのロッキーさん? オーストラリアと東南アジアのハーフで、色々とミステリアスな人みたいじゃけど…」


フレデリック「クックック、お姉さんね~ 確かに、彼 只者じゃないぜぇ…」ククッ

洋榎「か、彼て… あ、もしかしてそっちの人なん…?」




ロッキー「少し、ここで待ってて……」ボソッ

ちゃちゃのん「あ、はい…」






洋榎「にしても、ホンマに結婚式場の中なんやなぁ…」キョロキョロ

ちゃちゃのん「ここは18世紀フランスをイメージした『アイリスの間』ゆーそうじゃ」

洋榎「アイリスって、あのサ○ラ大戦に出てくる…?」

ちゃちゃのん「そん例えはよぅ分からんが、アイリスは『幸福』を表すフランス国花の一つじゃよ♪」



洋榎「そんなら、この黄色い紋様みたいのは?」

ちゃちゃのん「これは『フルール・ド・リス』ゆーて、アイリスやユリの花を意味しとって―――」

ちゃちゃのん「共和国になる以前のフランス王室が、紋章なんかに使っちょったりもしたそうじゃ…」


ちゃちゃのん「―――ちなみに、ユリの花もフランス国花の一つなんじゃよ」



洋榎「つーか、自分 何でそないに詳しいねん」

ちゃちゃのん「そりゃ、ま~ 仕事のことじゃし… 色々と事前に調べておいたんじゃよ…///」ゴニョゴニョ

洋榎「ま、大方そんなこったろう思ったで」シシシッ

ちゃちゃのん「ううう、うるさいんじゃよぅ……////」




ちゃちゃのん「でも、こんな素敵なトコで結婚式とか… やっぱり女の子の夢じゃよね……///」ハァ ウットリ

洋榎「せやろか、こういうトコはウチにはちょっと…」


洋榎「どうせやったら、こう―――もっとみんなでバカ騒ぎ出来るようなトコのがええねん!!」

ちゃちゃのん「くすっ、ロマンスよりも笑いのとれる式じゃろか? それはそれで、ヒロちゃんらしいんじゃ」フフッ


洋榎「そやで♪ アホみたいにスモーク炊いたり、ド派手なゴンドラで登場したり♪」

ちゃちゃのん「空中ブランコやったり、ワイヤーアクションしたり?」

洋榎「そうそう♪ 波平さんと海平さんの胸像でキャンドルサービスしたりな!!」カカッ

ちゃちゃのん「え~~~~~」

洋榎「そこのツッコミは『海平さん、火芯が一本多いですや~~ん!!』やで!!」

ちゃちゃのん「いや、そんなん知らんけぇ!?」






洋榎「ちゃちゃは―――やっぱ、こういうトコがええんか?」


ちゃちゃのん「う、うん… そりゃぁ、大好きな人と一緒ならどこでもええ思うんじゃが…」


ちゃちゃのん「やっぱり、こういうトコでの結婚式とか… ずっと憧れとったよ―――」


ちゃちゃのん「ゆ、夢、見過ぎじゃろか……////」カァァッ


洋榎「ウチの趣味やないけど… まぁ、ええんちゃう……」






洋榎「ていうか―――今更なんやけど、今日のバイトって……?」

ちゃちゃのん「うん… ジューンブライドじゃし、結婚式のPR活動のための カップル撮影っちゅう話じゃよ」

洋榎「ま、マジで!? ウチ、そんなん考慮しとらんで!?」アセッ

洋榎「大体、ウチら女同士やで―――」


ロッキー「それが、大事―――」コッコッ

ちゃちゃのん「あ、ロッキーさん…」

ロッキー「今回の企画は、最近少しずつ認知され始めた… 同性カップルに向けたもの…」



ロッキー「この式場は、以前からそういうカップルに対しても比較的 寛容…」

ロッキー「だから、この場所……」


ロッキー「この国では まだ法的に認められてないから、コレは その為の草の根活動……」

洋榎「あ、なるほど…」




洋榎「にしても、あの人 急に口数増えおったな…」ヒソッ

ちゃちゃのん「そんでヒロちゃんにゃぁ、今回の恋人役をお願いしたっちゅうわけじゃょ…」ヒソヒソ

洋榎「そう言われても、ウチ撮影なんて素人やで~~」

ロッキー「そういうのも、初々しくて良い…」ボソッ



ロッキー「俺もいつか、こんなトコロであの人と……////」ボソッ

洋榎「…………」






ロッキー「完了……」ボソッ

洋榎「うぉっ、タキシード!? 初めて着たんやけど、意外と似合ってまう自分がコワイで…」

ロッキー「少し、ここで待ってて……」ボソッ




フレデリック「おぉ、なかなか良いね。 さっきの私服姿も良かったけど、そのタキシード姿もなかなかに魅力的だ♪」コツコツ

洋榎「あ、ドモです。 で、ちゃちゃのヤツは?」

フレデリック「花嫁さんなら隣の部屋で準備中。 やはりあちらの方が時間かかっちゃうからね…」



フレデリック「でも、悪いね。 本当はキミも綺麗なウエディングドレスを着たかったんじゃない?」

洋榎「ええっ、ウチは別に!? どうせ、似合わんやろし…///」

フレデリック「そんなことはないさ。 きっとキミなら綺麗な花嫁さんになると思うけどなぁ」


フレデリック「でも、ま~ これもいちごちゃんなりの気遣いなのかもね」

洋榎「えっ…?」


フレデリック「ほら、よく言うでしょ。 結婚前にウエディングドレスを着ると婚期が遅れるって…」

洋榎「あ、あぁ……」

フレデリック「あの子、そういうジンクスとか結構気にするでしょ。 だからキミには仕事の手伝いで、そういうことさせたくなかったのかも…」


洋榎「ジンクス、ねぇ……」





梅田、HEP FIVEの観覧車に 恋人同士で乗ると別れる―――




洋榎(例のジンクスのこと、アイツは知っとったんやろか…?)


洋榎(ま、所詮 ウチらは今だけの つもりカップル… きっとどうでも良かったんやろな……)






ギィィィ…

ロッキー「お待たせ…」ボソッ


フレデリック「お、花嫁さんのご登場だ♪」

洋榎「えっ―――?」



コッ コッ コッ


ちゃちゃのん「その、どうじゃろか――?」ドキドキ

洋榎「あ、えと……////」ドキドキ



フレデリック「ククッ… 花婿さん 言葉を失うほど、可愛いってさ…」

洋榎「そ、そんなんちゃうでぇ!? ちゃうけど、その… 白が、よう似合っとんで……////」ボソッ


ちゃちゃのん「あ、ありがと……////」




ちゃちゃのん「その、ヒロちゃんも… とっても素敵じゃよ……////」


洋榎「お、おぅ… サンキューやで……////」ポリポリ




フレデリック「まったく、初々しいねぇ。 そんじゃ、ま~ そろそろ撮影始めさせて貰いますよ~」スチャッ

ちゃちゃのん「あ、はい… 宜しくお願いします…」

洋榎「えと、了解や…」カタカタ

ちゃちゃのん「ヒロちゃん、ガチガチじゃの…」クスッ

洋榎「や、やかましッ!?」



パシャ パシャッ



パシャ パシャッ






フレデリック「それでは、結婚の誓いをお願いします」


聖職者「―――誓いますか?」



洋榎「あ、えと… ち、誓いますゥ……///」



ちゃちゃのん「…………誓います///」






高校3年のインターハイ。



初めて会った時の貴方の印象は



対局中やたら話しかけて来る、とってもマナーの悪い人。



粗野で粗雑で、私が恋焦がれた王子さまとは程遠い人じゃった―――





フレデリック「それでは、お次は指輪の交換をお願いします」


洋榎「うぅ、メッチャ緊張すんで……///」カタカタ


ちゃちゃのん「…………///」






―――大学二年目の春、私は貴女と再会した。



再会した貴女は、やっぱり粗野で粗雑で強引じゃった。



でも凄く優しくて、とっても行動力のある人だと知った。



そんな貴女に、私はいつだって振り回されっぱなしじゃった。



貴女はいつだって自由気ままに振る舞って、私に元気と勇気を分けてくれた。






そんな貴方だったから…



きっと私は、恋してしまったんじゃろうね――――






フレデリック「それでは、お二人の誓いのキスをお願いします」


洋榎「ち、誓いのキスて……////」


洋榎「えと、演技やろ……?」





―――貴方と再会してから…



ちゃちゃのん、いっぱいの幸せもらったよ。



きっと、この人は、誰かを幸せにする力を持った人なんじゃ。






貴方への恋心。



その気持ちに気付いてから、



ずっと、私の胸を締めつけるものがあった。






―――あの一年前の七夕の夜



屋根の上、視界の端で見た胡桃ちゃんは、あの時 何とゆーとったんじゃろう。



胡桃ちゃんの誕生日の夜、きっとあの日は二人にとって 特別なものだったはず。



あのバレンタインの日の、胡桃ちゃんの気持ちを想う。




貴方と胡桃ちゃん―――



二人の過ごした、私の知らない たくさんの時間――――






今なら、いくら恋に鈍い 私にだって―――流石に分かるんじゃ。



胡桃ちゃんは、きっと貴方のことが大好きなんじゃ。



そして、きっと貴方も、そんな胡桃ちゃんのことを――――






ちゃちゃのんは――――今、とってもズルいことをしているんじゃろうね。







ちゃちゃのん「ヒロちゃん……////」ドキドキ


洋榎「ちゃちゃ……?」ドキドキ


洋榎「お、おぃっ!?」////





唇と唇が触れ合うほどに、大好きな貴女と近づくけれど…



きっと貴方の心が、私の心と触れ合うことは ないじゃろぅ。





ちゃちゃのんは、きっと周回遅れのスタートだったんじゃ。



ちゃちゃのんは、もぅ充分過ぎるほどの幸せ もらったけぇ…



もぅ、胡桃ちゃんにお返しせんと……








ありがとう、ヒロちゃん―――大好きじゃったよ……






サヨナラ―――




ちゃちゃのんの、初恋の王子さま―――





幸せな想い出、いっぱいいっぱい ありがとな――――










パシャッ



ピトッ…


洋榎「へっ、指……?」ポカーーン


フレデリック「グ~~ドッ!! 最後のキスシーンは実に迫真だったね!!」


ロッキー「撮影は、これで終了……」ボソッ







ちゃちゃのん「恋人の魔法は… もぅ解けてしもぅたみたいじゃね…」



ちゃちゃのん「続きは… ヒロちゃんが一番大切な時のために、とっておいての……」





ちゃちゃのん「―――どうも、ありがとの……」ポロポロ



洋榎「ちゃちゃ、自分 何で泣いとるんや…?」




ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、まだもぅちょっと仕事で残るけぇ。 今日はホンに、ありがとう……」


洋榎「あ、あぁ……」







ちゃちゃのん「今日はちゃちゃのんの無理、聞いてもらってありがとうございました…」ペコリ


フレデリック「いやいや、恋人役の変更くらいお安い御用だけどさ…」


フレデリック「本当に、これで良かったの―――?」


ちゃちゃのん「」コクリッ




ロッキー「…………アッシュ」ボソッ









ポツ… ポツポツ…



ちゃちゃのん「雨…? 予報は一日晴れ言うとったのに…」




ちゃちゃのん「6月の空は、ホンに気まぐれで 嘘つきじゃ……」







この日 ちゃちゃのんは、自分の気持ちにウソを付くと決めたんじゃ――――











中学の頃―――



ちゃちゃのんは、鹿老渡を離れ呉に住んどった。



大好きだった婆っちゃをなくし、悲嘆にくれとったちゃちゃのんを元気づけてくれた人。



それが、あの幼い日に夢見たアイドルさんじゃった。




それは偶然、耳にしたラジオの放送。



鹿老渡では聞けんかったラジオ番組に、あの人が出とると知った。





それまで別世界のお姫さまのように思っとった人が…



ちょっぴりドジで色々悩みもする、ちゃちゃのんと同じ普通の女の子なんじゃと知った。



彼女に抱いとった憧れは、やがて親しみへと変わり…



改めて、ちゃちゃのんのアイドルとしての目標となっていった――――







ある日、ちゃちゃのんは自分の今の境遇や悩みを



手紙にしたため、彼女のやっとったラジオ番組に投稿してみた。



程なくして、番組内で彼女がそれを読み上げ、真剣にお返事してくれた。





それが彼女の仕事じゃから…



それはそうなんじゃろうが、彼女のその真剣なお返事がただ純粋に嬉しくて…



彼女が悲嘆にくれとったちゃちゃのんに、元気を与えてくれたのは紛れもない事実なんじゃ。





ホンの少しの希望や喜び、幸せな思い出があれば―――




人は絶望せず、生きてゆけるモンだと知ったんじゃ――――









【胡桃の部屋】


胡桃「最近、ちゃちゃちゃん あんまり顔出さないよね…」ズズッ

洋榎「仕事も軌道に載ってきとるみたいやし、ゼミとか色々忙しいんやろ。 最近、メール送っても何や素っ気ないねん…」ブスゥ

胡桃「あんた、最近 お昼からよく飲むね。 身体に良くないよ…」

洋榎「ええやん、別に。 いいんちょはウチのオカンかっちゅうねん!!」ゴクゴクッ



ブブッ ブブブーーー

胡桃「あ、塞からメール…?」

洋榎「何や、これからこっち来るんか?」





胡桃「ちゃちゃちゃんが、倒れたって―――」


洋榎「んなっ――!?」ゴトッ









【某大阪の病院】



洋榎「ちゃちゃのヤツが倒れたって、ホンマなん?」ダダッ


塞「あっ、胡桃と洋榎。 うん… ゼミ休んでるって聞いて、 確認とったら―――」



塞「過労で、仕事中に倒れたんだって―――」








【病室】


ちゃちゃのん「あっ、ヒロちゃんと、胡桃ちゃんまで―――」

洋榎「おまっ、大丈夫なんか!?」

ちゃちゃのん「えへへ、みんな大袈裟じゃよ。 ちょっと疲れたまって、ふらついて倒れただけなんじゃよ…」

塞「過労で亡くなる人だっているんだから、甘く見ちゃ駄目だよ」

胡桃「そうだよ。 特にちゃちゃちゃんは、いつも仕事と大学でロクに休んでないんだから…」



ちゃちゃのん「仕事にも穴を空けてもうて、ホンに申しわけないことしたんじゃ…」ウゥッ

塞「またそんなこと言って… せっかくの機会なんだし、こういう時くらい何も考えずにゆっくり休みなよ!!」ポンポン

ちゃちゃのん「う、うん… 塞ちゃん、どうもありがとの…」




ちゃちゃのん「胡桃ちゃんとヒロちゃんも、わざわざ来てもらって申しわけなかったんじゃ…」

洋榎「―――こんアホんだら、倒れたんなら何でウチに連絡せんかったんや!!」


ちゃちゃのん「じゃ、じゃって… ここ病院じゃし、ケータイのバッテリーも…」

塞「洋榎… いくら個室でも、ここ病院だから……」シーー



洋榎「いや、スマン… 自分があんま水くさいんで、つい怒鳴ってもうたわ…」


洋榎「ウチら、仲間やんか………」チッ

胡桃「クスッ、確かにコイツのいう通りかもね…」

塞「うん、連絡くらいはして欲しかったね♪」


ちゃちゃのん「みんな、ゴメンの… 心配かけたくのぅて……////」シーツニモグリ




塞「ま、とりあえず大丈夫そうだし。 今日はこれで帰らせてもらうね」

胡桃「ちゃちゃちゃん、しっかり養生しなさいよ」バイバイ

ちゃちゃのん「うん。 せーちゃんや哩ちゃんたちにも、宜しく伝えといてな……」バイバイ






???「元姫松の洋榎さんに、元宮守のお二人さんですかー」コッコッ


???「どーやら いちごちゃんには、ええお友達おるみたいやねーー♪」




ちゃちゃのん「あ、憩(けい)先生―――」

憩「先生なんてイヤですよーぅ。 ウチは単なる医学生として―――」

憩「この病院でお手伝いさせて貰っとるだけなんやから、いつも通り 呼んで下さいー」


ちゃちゃのん「あ、うん… 憩ちゃん、ありがとな。 この個室も、憩ちゃんが融通してくれたそうじゃね…」

憩「お気になさらずー♪ この方がウチにとっても、都合良かっただけですからー♪」ウフフ

憩「それじゃ、今日の診察を始めちゃいますよーぅ」


ちゃちゃのん「う、うん……////」




憩「は~い、それじゃー 高校時代より大きく実った、そのお胸をぺろーんと出しちゃって下さいねー♪」

ちゃちゃのん「うぅっ、じゃからそういうセクハラ発言はヤメるんじゃ……///」モジモジ


憩「だって~、いちごちゃんの反応があんま可愛ええから~ ウチ、クセんなってもうたわー♪」ニッコリ


http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira097558.jpg
荒川 憩(あらかわ けい)




憩「ん~ まだ少し熱っぽいみたいやねー 過労は色んな病気を引き起こすから、気をつけなアカンよ~」ペタペタ サワサワ

ちゃちゃのん「とりあえず、自宅療養じゃ 駄目だったんじゃろか?」ウヒャッ

憩「そう言って、いちごちゃん絶対休まないやろ~~ だから、ダメですよーぅ」ペタペタ モミモミ

ちゃちゃのん「ちょーっ!? もーええじゃろ~~っ////」バッ

憩「むー そうやって反抗的だと、退院遅くしますよーぅ」

ちゃちゃのん「うぅっ、横暴じゃ…」ウルウル

ちゃちゃのん「…………」




ちゃちゃのん「のぅ、憩ちゃん……///」

憩「何ですかー?」




ちゃちゃのん「その、昨日ゆーとった話って… 本当なんじゃろか?」




憩「麻雀は――――大学でヤメる言う、アレですか……?」







ちゃちゃのん「うん。 インターハイで、個人2位の実力ある憩ちゃんなら…」


ちゃちゃのん「きっとプロでも実業団でも、やってけるはずじゃろ……」

憩「…………」



ちゃちゃのん「憩ちゃんは、プロになる力もないちゃちゃのんとは違うじゃろ。 それなのに―――」

憩「いちごちゃんなら、きっとプロや実業団からのお誘いだってあると思いますよーー」


ちゃちゃのん「それは、客寄せパンダとしてじゃろう……」



ちゃちゃのん「ちゃちゃのんはアイドルじゃし、それが間違っちょるとは思っとらんけぇ…」

ちゃちゃのん「そうやって食らいついていって、そっから実力つけてくゆーのも一つの道じゃと思う―――」


ちゃちゃのん「でも、ちゃちゃのんは……」キュッ




なでなで

ちゃちゃのん「憩、ちゃん…?」フェッ


憩「将来んこと、色々と悩んどるみたいやねーー」ナデナデ




憩「アレはいちごちゃんが高校2年のことやったかな。 麻雀強くなりたい言うて、ウチんとこに教わりに来たことあったなー」


憩「年下のウチに必死に頼み込んで、ホンマ真っ直ぐで 一生懸命な人やなー思いました~~」

ちゃちゃのん「あ、あん時は… ホンにお世話んなったんじゃ……///」



憩「でもなー その何に対しても一生懸命過ぎるトコ、いちごちゃんの悪いクセなのかもしれんよーー」


ちゃちゃのん「そ、そうじゃろか……?」





憩「ウチな、人の生命を救えるお医者さんになることが、子どもん頃からの夢やってん?」

ちゃちゃのん「憩ちゃんらしい、とってもええ夢じゃと思うよ……」



憩「これは医者だけに限った話やない思うんやけど、夢を叶える言うのはとっても大変なことだと思いますーぅ」

ちゃちゃのん「そうじゃろうね……」



憩「せやから、ウチはここできっちり麻雀を捨てよ思いました―――」


ちゃちゃのん「麻雀を、捨てる……」






憩「まだまだ戦いたい相手もいます。 未練がない言えば、きっと嘘になる思いますー」



憩「せやけど、本当にウチにとって一番大事なモノが何かと考えた時―――」


憩「そんことでだけは、後になって絶対に後悔はしたくないなーって思いましたーー」


ちゃちゃのん「憩ちゃんは、お医者さんの夢を選んだんじゃね……」





憩「もしかしたら ウチはいちごちゃんよりも、ちょっといい加減なのかもしれませんね―――」


憩「大切なモノ全部を掴むには、ウチの手は小さすぎると―――やってみる前に、見切りをつけてしまったんですよー」クスッ


ちゃちゃのん「そ、そんなことないんじゃ!! 憩ちゃんは、ちゃちゃのんの憧れるとっても凄い人なんじゃ!!」



憩「年下のウチに、何のてらいもなくそんなことが言えてまう。 そういう純粋さも、いちごちゃんの魅力やねー」ナデナデ

ちゃちゃのん「うぅっ、子ども扱いせんでよぅ……///」

憩「あはは、コレは失礼しましたー♪」






憩「それじゃー 今日の診察はこれでシマイやでー」バイバイ

ちゃちゃのん「け、憩ちゃん―――!?」

憩「―――?」


ちゃちゃのん「その、自分如きが何をって… 笑われてまいそうじゃけど……」フルフル




ちゃちゃのん「―――ちゃちゃのんと、麻雀で真剣勝負して貰えんじゃろか!!」

憩「…………」





憩「―――ええですよ」


ちゃちゃのん「ほ、本当け?」



憩「でも、それは今じゃ~ないですね~~」

ちゃちゃのん「ほぇっ!?」


憩「当たり前じゃないですか~ 過労で入院してきた人と、そんなこと出来ませんよーー」フフッ

ちゃちゃのん「ほ、ホンなら……?」



憩「いちごちゃんの、退院の日―――そこでお相手させてもらいますよーーぅ」

ちゃちゃのん「憩ちゃん、ありがと~の!!」ペコリン






正直 あの憩ちゃんを相手に、ちゃちゃのんの麻雀が通用するとは思わんし…



憩ちゃんとの対局で、ちゃちゃのんの悩みが解決するわけでもないじゃろう。



それでも勝負を申し込まにゃぁ、おれんかったんじゃ。



ただ純粋に、今の憩ちゃんと本気で麻雀してみたい―――ちゃちゃのん、そう思ったんじゃ。








【そして―――退院の日】



ちゃちゃのん「はぁ~ 数日間じゃったが、こんなにのんびり過ごしたのは ホンに久しぶりじゃったのぅ…」



憩「いちごちゃーん、おはようございます~ 今日も楽しい楽しい 診察のお時間ですよーぅ♪」ワキワキ

ちゃちゃのん「ひぃぃっ、ちゃちゃのんはちっとも楽しくないんじゃよ~~!!」ウルウル


憩「はぁ~~ いちごちゃん遊びも今日でシマイや思うと、何や寂しいですねー」

ちゃちゃのん「―――ちゃちゃのんもな、憩ちゃんと色んなお話出来て楽しかったんじゃ……///」




???「」ジーー

???「」ブツブツ


ちゃちゃのん「おょっ…? トビラのトコから、誰かが覗いとるんじゃが…」

憩「まったく もー 気の早い人たちですねーー」

ちゃちゃのん「だ、誰……?」ドキドキ



憩「今日、対局するって約束してたでしょー♪ 流石に二人じゃ、麻雀出来ませんからね~」

憩「ウチの患者さん、もとい… ウチの友達に声かけといたんですよーぅ」ニコニコ

ちゃちゃのん「それって、もしかして――!?」


憩「皆さ~ん、そないなトコで覗き見してるくらいなら、さっさと入って下さいよーぅ」





ガラ ガラ ガラッ


利仙「九州赤山の『藤原 利仙(りせ)』です。 お久しぶりですね、佐々野さん」ニコッ


もこ「」ブツブツブツ



藍子「知ってる思うけど、このブツブツ言ってんのが 愛知の星こと東海王者『対木 もこ』ね…」


藍子「―――でもって、アタシが静岡一位の『百鬼 藍子(なきり らんこ)』だよ♪」ヤホッ


絃「愛知の星は関係ないでしょう、藍子さん。 あ、私は一応 千葉MVPの『霜崎 絃(いと)』です。 いちごさん、お久しぶりです」ペコッ



ちゃちゃのん「わぁ~~ みんな久しぶりじゃね~~♪」


憩「ふふっ、あの時のメンバーに声をかけたらみんな集まっちゃいましたー」


藍子「アタシたち今でも荒川には色々世話になってるし、久しぶりにいちごにも会いたかったからね♪」



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利仙「何でも佐々野さんは、今では立派なアイドルさんになられたとか…?」フフッ

ちゃちゃのん「あ、うん… まだまだ駆け出しの、新米アイドルじゃけどね…////」エヘヘッ

もこ「」ブツブツブツ


利仙「あら、もこさんがサインを欲しいと仰っていますわ。 佐々野さん、もし宜しければ…」シキシ スッ

もこ「(―――言ってない!?)」ブツブツブツ


ちゃちゃのん「うん、ええよ♪ えっと、お名前は『もこちゃんへ――』で ええじゃろか…?」キュポンッ

利仙「あ、『りせちゃん LOVE(ハート)』で お願いしますわ―――」ニコニコ


ちゃちゃのん「う、うん…(もこちゃんへのサインなんじゃ…?)」スラスラッ



藍子「リセのヤツは相変わらずなんだな…」ヒソヒソ

絃「ええ、相変わらずの『いちごさん LOVE』みたいですね…」ヒソヒソ

絃「イベントには変装して、毎回参加されているようですし―――」

絃「先日行われた大学祭のゲリラライブにも、お手製のいちごちゃんグッズを身につけて駆けつけたとか」ヒソヒソ

藍子「素直にファンだって、言っちゃえば良いのに…」ヒソヒソ

絃「霧島山幽境に住む清浄な天女のイメージもありますし、それは照れくさいのでしょう…」ヒソヒソ


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利仙「―――そもそもりせと言うのは、もこさんの出世名の一つなのですわ」

利仙「でも私の名と被るので、普段はあまり使われていないようなのです…」ニコニコ

もこ「(―――違う!?)」ブツブツブツ



ちゃちゃのん「ほう、ほぅ、そうなんじゃね。 ちゃちゃのん、ちっとも知らんかったんじゃ…」フムフム

利仙(あぁ、私のこんなしょーもない嘘を間に受けて…)


利仙(いちごちゃんはマヌケでおバカさんなトコロも、また たまらなく愛らしいですわぁ……)ハァハァ

もこ「(―――コイツは…)」ブツブツブツ




憩「―――それでは、そろそろ対局開始といきましょうかー?」

絃「ここにいるメンバーは6人、対局には二人多いようですが…?」

利仙「私、今回は皆様の対局を見させて頂きますので… 後は佐々野さんと、憩さん以外が交代で入られては如何です?」

もこ「」ブツブツブツ

藍子「『了~~解!!』だってさ…」

ちゃちゃのん「流石、親友じゃね… もこちゃんの言葉、藍子ちゃんもしっかり聞き取れるんじゃの…」







ジャラ ジャラ ジャラ ジャラ…


ちゃちゃのん「ほんじゃ、対局開始じゃね…」


憩「宜しくですよーーぅ」


もこ「」ブツブツブツ


藍子「にしても、本来なら医学生5年目からの臨床実習を2年目で何故かしてたり―――」

藍子「病院の個室を手配して患者と麻雀したり、荒川YBJ先生は本当に不良医師だよね~~♪」ニヤニヤ


憩「ナキリさん、うるさいですよー ウチは優良学生だから、特別なんですよーぅ」ニッコリ


もこ「(―――憩について、あまり深く調べてはいけない……)」ブツブツブツ





絃「それで利仙さんは、いちごさんのベッドで何をされているのですか?」ジッ


利仙「私、先程から少々体調が優れませんので、こちらで横にならせてもらっておりますの…」スンスン ゴロゴロ





ちゃちゃのん(うぅ… 憩ちゃんはもとより、みんなちゃちゃのんよりも格上じゃ…)ゴクッ

憩「宜しくですよーーぅ」ニコッ

藍子(荒川 憩、相変わらず底の知れないヤツ…)タンッ


もこ「(憩のヤツも、この場にいるヤツ全員ぶっ潰す……)」グゴゴゴゴゴ…



ちゃちゃのん(うぅ… 全身総毛立つような、凄いプレッシャーじゃ…)ゾゾゾッ


ちゃちゃのん(頭痛と悪寒を感じる。 それに何だか、身体も重く感じるんじゃ―――)

ちゃちゃのん(能力者の持つ場に与える影響力いうヤツにゃぁ、相変わらず慣れんのぅ……)フルフル


ちゃちゃのん(この感じは嫌じゃ、早くこの場から逃げたいんじゃ……)タンッ




憩(モコちゃんの対局時に於ける暴力的な精神的変調と干渉力、明らかに以前よりも強まって来てますねぇ―――)


憩(これは能力者耐性の低い いちごちゃんには、ちょっと酷だったかもしれませんねー)チラッ


ちゃちゃのん「」フルフル…




もこ「(―――ツモ!! 4100・8100)」バンッ

藍子「ちっ、ヤられたか…」


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藍子「ロン、3900~♪」パララッ

もこ「」ブツブツブツ




ズズズズ…


ちゃちゃのん(怖い、怖い、怖い、怖いんじゃ―――)フルフル



ちゃちゃのん(そんでも―――ちゃちゃのんだって、ちっとは成長しちょるんじゃ!!)グッ




ちゃちゃのん(ちゃちゃのんじゃって、ここは逃げずに攻めるんじゃ!!)タンッ

憩「ロン、8000ですよーぅ」パララッ

ちゃちゃのん「あぅ…」



ちゃちゃのん(ちゃちゃのんの一人へこみ、やっぱり憩ちゃんたちは強いんじゃ…)クッ


憩「…………」





憩(高校で始めて出会った頃よりも、いちごちゃんは確かに成長してますよー)


憩(本来 いちごちゃんの持ち味は、堅実な読みと生来の臆病さから来る 鉄壁の防御…)


憩(例えは悪いですけど、小動物特有の第六感。 危険地帯に踏み込まないためのレーダーが人より優れとる―――)





憩(……でも彼女は、自分のそういうトコを激しく嫌っとる)

憩(だから、いちごちゃんは ここぞって時に、強引な手に走る傾向がある―――)



憩(高い手を狙いにいく時に伴う、振り込んでまうかもしれんいう不安や恐怖―――)

憩(それを打ち消そうと、彼女は恐怖という感覚を遮断する。 そうやって、彼女本来の臆病な性質を意識の外に追いやってまう―――)


憩(―――それが臆病な彼女が知らず知らずのうちに身に付けた、攻めに転じる際に用いる方法であり武器…)





憩(だから攻めに転じた時の彼女には、本来 備わっとるはずの第六感・危険察知の直感が働かない―――)


憩(これだったら きっと大丈夫。 大丈夫なはず。 大丈夫であって欲しい…)

憩(そういう根拠のない希望的観測に走るから、危機を察して引き返すいう選択も出来なくなる……)



憩(勝利のため、時には多少の強引な攻めも必要ですよー)

憩(せやけど選択肢の狭まったその不用意な攻めじゃ、自分の手だって相手に読まれやすくなっちゃいますよね―――)




憩「ロン、6400!!」パララ

ちゃちゃのん「あぅ あぅ…」フルフル




憩(いちごちゃんの攻め―――)


憩(それは一見、恐怖を乗り越えたかのようにも見えますけどーー)



憩(クスッ… いちごちゃん。 それは本当の意味での、恐怖の克服じゃ~ ないんやで―――)





利仙「あぁ、いちごちゃん頑張って… でもその悔しさで、今にも泣き出しそうなお顔もまた素敵ですわぁ…////」ハラハラ ゾクゾク

絃「もぅ、どっちなのよ… でも実際、三人の能力者相手に 非能力者のいちごさんじゃ厳しいですよね…」


利仙「―――能力者と非能力者ですか。 麻雀の強さがそういうので決まるようになったのは、一体いつ頃からなんでしょうね…」

絃「それは、やっぱり小鍛治プロたちの頃からじゃないんですか?」




利仙「ここ最近のプロ麻雀界は、能力者による非能力者狩りの歴史とも言えますわ…」


利仙「特別な能力を持たない方でも、その能力を研究し柔軟に対応された方たちは 今でも何とか頑張られていますが…」



利仙「古い麻雀に固執した老人たちの多くが、能力者たちの前にその地位を奪われていきましたね」

絃「それって、確か荒川さんが話されていた―――」




利仙「今のままだと、あと10年で麻雀界から非能力者は駆逐される―――」


利仙「もしくは―――」




利仙「あ~~ いちごちゃん!? そんな今にも泣きそうな顔なさらないで下さい、私が応援していますから!!」アァッ


利仙「いちごちゃんの悲しみは、ファンみんなの悲しみ!? 私がいちごちゃんの分まで泣いて差し上げますわ~~!!」ポロポロ

絃「おいっ……」





オオーイ オイオイ…


藍子「何だか、外野がうっさいな~~」ポリポリ

もこ「」ブツブツブツ

憩「ふふっ、楽しそうですねーー」タンッ


ちゃちゃのん(くっ… ちゃちゃのんの麻雀じゃ、やっぱり全然 通用しないんじゃ…)




絃「あ~~ 結局、いちごさんの一人焼き鳥でしたか…」

利仙「うぅっ、いちごちゃん……」ポロポロ




ちゃちゃのん「も、もぅ一戦 お願いします!!」ギュッ

憩「いいですよーぅ」ニコッ


藍子「絃、そんじゃ交代しよっか…」

絃「了解です♪」スッ





ジャラ ジャラ ジャラ ジャラ…


ちゃちゃのん(憩ちゃんたちのチカラに、翻弄されとったらダメじゃ…)


ちゃちゃのん(憩ちゃんたちのチカラを見極めて、そこに活路を見出すんじゃ……)タンッ





絃「ツモです」パララッ

憩「霜崎さん、なかなかやりますねー」フフッ

ちゃちゃのん「うぅっ…」ウルウル


ちゃちゃのん(くっ、泣いたらダメじゃ… 今は対局に集中せんと…)グッ


ちゃちゃのん(ここで出しきらんかったら、きっとまた後悔するんじゃ…)



ちゃちゃのん(ちゃちゃのんは、一人でもやれるってことを―――証明するんじゃ!!)





藍子「こりゃ、今回もいちごは駄目そうだね。 スッゴイ涙目だよ…」カワイソ

利仙「そうでしょうか……」

藍子「ん…?」




利仙「あの泣き虫で弱虫な いちごちゃんが、これだけへこまされても まだ歯を食いしばって涙を堪えてますわ…」


利仙「そりゃ、あの嗜虐心を誘うキュートな泣き顔と、ショックで脱力した あの考慮出来てない姿も とても素晴らしいのですが…///」クネクネ

藍子「いや、そういうの良いからさぁ…」



利仙「チカラの差を見せつけられても、まだいちごちゃんは諦めてないんですわ」

藍子「ほぉ~~♪」





ちゃちゃのん(うぅ… コレは、何だかとてもイヤな感じがするんじゃ…)スッ タンッ


憩(あらら… 攻めの姿勢に入ったいちごちゃんが引くなんて、これはちょっと珍しいですねー)

憩(振り込むかもっていう恐怖に耐えながら、あくまでも冷静に打って来とんのやねー)


憩(見た感じあまり変わったようには、見えへんかったけど…)



憩(これも今の友達さんのおかげなんやろか…)


憩(いちごちゃん、麻雀以上に心の方も―――)


憩(ホンのちょっとずつやけど、成長してきとるんやね―――)フフッ





ちゃちゃのん「つ、ツモッ!! 2000、4000じゃ!!」パララッ

憩「ありゃ、これはヤられましたねーー」




利仙「きゃーーー!! いちごちゃ~~ん、よく頑張りましたわ~~~!!」ダーーーーッ

ちゃちゃのん「えっ!?」クルッ

利仙「藍子さん、病院で黄色い声援とか… いささか、はしたないですわよ…」グリグリ

藍子「えっ、アタシか~~!?」




もこ「」ブツブツブツ

絃「ここに来て、憩さんから満貫の親っ被りとはなかなかやりますね…」



憩(……今のは能力者を想定した打ち筋。 いちごちゃん、だいぶ研究の方もしとったみたいやね…)


憩(フフ、そうでなくっちゃ 面白くないですもんねー)ワクワク



憩(ああ、やっぱり…)


憩(麻雀って楽しいんやなーー♪)ゾクゾク






ちゃちゃのん「のぅ、憩ちゃん―――」


憩「―――?」



ちゃちゃのん「やっぱり麻雀って、楽しいのぅ♪」エヘヘッ



憩「実はウチも、そう思っとったトコですよーーぅ♪」ニコッ






憩(他の人の二倍も三倍努力して―――)


憩(よぅやっと頑張っとるって分かって貰えるような、そんな不器用で要領の悪い女の子…)


憩(いつだって一所懸命なのに、行き先 間違えてばっかりで なかなか前に進めんのやけど―――)





憩「いちごちゃんは、初めて会った頃とちっとも変わってないんやなー」クスッ



ちゃちゃのん「あぅぅ… やっぱりちゃちゃのんは、進歩なしじゃろかぁ~~」ウルウル





憩(悲しい時に泣き、嬉しい時に笑う―――)




憩(そんなどこまでも真っ直ぐな いちごちゃんだから、ついつい応援したくなってしまうんですよーー)



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憩「―――それで、まだ続けられますかー?」

ちゃちゃのん「う、うん… 宜しく頼むんじゃ…」


もこ「」ブツブツブツ

藍子「お、今度はアタシと、もこが交代みたいだね…」ヨシッ





ジャラ ジャラ ジャラ ジャラ…


もこ「(―――利仙、前にいちごが能力者じゃないかって言ってたよね?)」ブツブツブツ

利仙「ええ、真偽のほどは定かではありませんが… 少なくとも私は今でも、そうだと思っておりますわ」


もこ「(でも彼女からは、何のプレッシャーも感じない。 現に憩だって―――)」ブツブツブツ

利仙「そうですわね… おそらく彼女自身には何の力もないし、自覚すら出来てはいないのでしょう…」




利仙「でも、ファンである私はこう思うのです。 いちごちゃん、彼女自身が空っぽの聖杯なのではないかと―――」


利仙「自身に向けられた周囲の感情を空の杯に注ぎ込み、それを自らの輝きへと変換する―――」


利仙「彼女は―――そういう精神感応系の能力者なのではないでしょうか…」


もこ「(―――何それ?)」ブツブツブツ





利仙「要するに―――いちごちゃんは、私たちの応援を力に変える《アルティメット・アイドルパワー》の持ち主なのですわ~~!!」キラキラッ


もこ「(―――うわぁ~ 痛い人がいる……)」ブツブツブツ


利仙「貴女にだけは、言われたくはありませんわ……」クッ





利仙「人よりも無垢で繊細な天使のような少女は、周囲からの好奇の視線を鋭敏に感じすぎてしまうもの…」アァ…


利仙「その受け止め方すら分からない少女にとって、それは時に重荷であり、心を引き裂く刃でもあったはず……」ギュッ



利仙「そうして心も翼も傷ついて、外部との繋がりを絶った孤独な殻の少女―――」


利仙「そんな少女が自らの内にまで響く声、とても暖かな想いのカケラによって 再び羽ばたけることを知ったのですわ―――」ラララーー


もこ「(―――いや、だからそれはただの痛いファンの妄想だよね……)」ブツブツブツ




利仙「妄想でもなんでも構いませんわ~ 私たちファンの声援が力になる―――そう思わせてくれる何かが、彼女には確かにあるのですわ…」



利仙「そして彼女の最大の魅力は、チカラとした輝きを 私たちファンに幸せというカタチで与えて下さるトコロなんですのよ!!」キラキラキラッ


もこ「(―――だから、それはただのアイドルとファンの関係なんじゃないの……)」ブツブツブツ






ちゃちゃのん(さっきから向こうで、何の話をしちょるんじゃろぅ…?)タンッ

憩「ロンですよーーぅ」パララッ


ちゃちゃのん(あぅぅ、つい集中 乱してもうたんじゃ…)ガックシ




もこ「(―――やっぱり、気のせいなんじゃ……)」ブツブツブツ


利仙「そ、そんなことはありませんわ。 くぅぅっ、ここでは満足な応援も出来ませんわ……」







数時間後―――



ちゃちゃのん「どうも、ありがとうございました…」ハァハァ


憩「おつかれさまでしたー」フゥ


もこ「(―――もぅ、無理……)」ブツブツブツ


藍子「うぷっ、チカラの使いすぎで 吐きそう…」ゼェゼェ


憩「能力も万能じゃないんやから、使いすぎはアカンですよーぅ」



ちゃちゃのん(何でじゃろぅ… 誰かが応援してくれとるような気がして、途中から身体が軽くなった気がするんじゃ…)ハテナ





絃「流石に荒川さんは圧倒的でしたけど、それでもいちごさん 途中からだいぶ調子を上げてきてましたね…」


利仙「うぅっ、いちごちゃん… 本当によく頑張ったね……」ポロポロ





ちゃちゃのん「みんな、今日はどうもありがとの」ペコリン


絃「こちらこそ、楽しかったですよ」


もこ「」ブツブツブツ


藍子「もこも楽しかったってさ♪」




利仙「まったく、佐々野さんはまだまだですわね。 仕方ないので、今度 私が個人的にご指導して差し上げますわ…///」ブツブツ

ちゃちゃのん「えへへ、どうもありがとなんじゃ…」


利仙「そ、それでは… しょうがないので、メアド交換でもしておきましょうか…///」フンッ

ちゃちゃのん「うん… リセちゃん、どうもありがとの~~♪」ポチポチ ポチット




藍子「素直に大ファンだって、言えば良いのに…」シシッ

絃「そういう利仙さんも、私は可愛いと思いますよ♪」フフッ


もこ「(利仙、嬉しそう…)」ブツブツブツ




利仙(いちごちゃんのメアドゲットですわ~~~♪)ニヘラーー



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憩「いちごちゃん、この後 迎えが…?」

ちゃちゃのん「うん。 夕方にヒロちゃんが、来てくれるゆーとったんじゃ…」


憩「それじゃ、それまでの時間―――ちょっとお散歩でもせーへんかー?」

ちゃちゃのん「うん、ええよ…」コクッ




憩「いちごちゃんは確か、ゼミで現代能力者麻雀に関する運命論や流れの存在証明、確率干渉なんかについての勉強してましたよねー?」

ちゃちゃのん「ん、知っとったんじゃね…///」

憩「まぁ、ウチも自分らのチカラが何なのか~とか、そういうの随分と調べてきましたからー」



憩「それってやっぱり、能力者麻雀の対策や研究のためだったんですかー?」

ちゃちゃのん「んー ま~単純に興味あったちゅうのもあるんじゃけど…」



ちゃちゃのん「能力を持たん人たちは、こっから先 どうなるんじゃろうなって―――?」


憩「…………」




ちゃちゃのん「憩ちゃんは、やっぱり能力者は非能力者よりも優れとるって思う…?」


憩「うーん、それはまた難しい質問ですねーー」




憩「ま~ ある側面では優れてると言えますけど、だからと言って全てにおいて優れてるってわけじゃーないですよねーー」


憩「勉強の出来る子、運動の出来る子、麻雀の上手な子、優しい子、元気な子、そういう個性の一つみたいなモノだと思いますけど…」




憩「でも、世の中にはそれを上位人類だとか、ニュータイプ言って もてはやす人たちもいますよねー」


ちゃちゃのん「その力の有無で人の価値が決まってまうのは、やっぱりイヤじゃよね…」



憩「ウチもそう思いますー でも これまでだって、足の速い人や頭の良い人。そういう持って生まれた才能で、人は評価されて来たわけですよね…」


ちゃちゃのん「それが自分の才能と思って受け入れる。 そういえば、浩子ちゃんもそんなことゆーとったのぅ…」


憩「船久保さんですかー あの人はとても頭の良い人やさかい… 世の不条理とかそういうもんが、昔からよく見えてたんでしょうねー」





憩「さっきいちごちゃんは、能力を持たざる者がこれから先どうなるか―――言うてましたけど…」


憩「それは―――能力を持つ側にしたって、同じじゃないですかーー」

ちゃちゃのん「―――?」





憩「さっき一緒に麻雀しとった、リセさんやモコちゃん達…」


憩「あの子らとウチが どうして以前から親交あったんか、考えたことありますか―――?」

ちゃちゃのん「そりゃ、お友達だからじゃ―――?」


憩「そうですねー 確かに友達なんですけど、あの子たちはウチの患者さんでもあるんですよーーぅ」


ちゃちゃのん「えっと、ドコか悪いんじゃろか…?」




憩「能力の反動による後遺症、チカラの制御方法、メンタル面でのケア、その他もろもろ…」


憩「ウチはそういう能力者にしか分からない、身体的・精神的な悩みの相談役なんですわー」


憩「特にモコちゃんは能力の影響が強い分 チカラの制御が難しいみたいで、精神的 変調なんかが心配なんですよー」


ちゃちゃのん「そ、そうだったんじゃ…」



ちゃちゃのん「だったら、あんなにチカラを使わせてしまって良かったんじゃろか…?」

憩「アレはアレで彼女たちにとっては、良いリハビリにもなってますからねー」


憩「単純にチカラを恐れて遠ざけるんやなく、それと向き合って生きていくこと…」


憩「そういうバランス感覚が、何よりも大切なんですよ―――」





憩「能力者はまだまだ未知な部分も多く、とても不安定な存在です―――」



憩「せやから、ウチはお医者さんになって―――同じ能力者である彼女たちの力になりたい思ってるんですよーーぅ」


ちゃちゃのん「それで、憩ちゃんはお医者さん一本に―――?」





憩「……大切な人たちの生き死ににも、直接 関わるお仕事ですからねー」


憩「それくらいの覚悟で挑まんと―――」





憩「ウチは、きっと後になって後悔するやろーなって―――そう思うんですよーーぅ」



ちゃちゃのん「……憩ちゃんは、やっぱり凄いんじゃ」


憩「あはは、そうやろかーー」



ちゃちゃのん(憩ちゃんの覚悟… それはちゃちゃのんのとは、まるで質の違うモノなんじゃ――――)






憩「それと、もう一つ―――」

ちゃちゃのん「ん―――?」



憩「いちごちゃんのお友達の塞さんや哩さん、漫さんたちにも、一応 気をつけるよう伝えておいて下さい―――」


ちゃちゃのん「えっと、何に―――?」



憩「ウチらの能力は、何も麻雀だけに限られたものではないですよねー」

ちゃちゃのん「それってゆーと…?」




憩「ま~ 代表的なのが、一巡先を見ることが出来るいう園城寺 怜(とき)さんの未来視。 アレは麻雀以外にも色々と応用が利くそうやねー」

憩「他にも妹尾(せのお)さんのラックは、あらゆる幸運を呼び寄せるとも言われとりますー」


憩「この手の能力の発現は競技麻雀だけに限らず、ここ数年 様々な分野で見つかり始めとりますよねー」



憩「そんなものを、科学者たちが黙って見過ごしておくと思いますか―――?」

ちゃちゃのん「えっ…」ゾッ





憩「―――流石にこの国ではまだ表面化もされてませんし、強引な手段もなされてはいないようですけど…」


憩「治療と称した、合法的な研究は既に進んでますーー」



憩「他所の国では、人体実験やら人為的な非能力者の能力開発なんかも行われとるとか……」

ちゃちゃのん「えぇぇぇっ…」ゾゾゾッ






憩「とりあえず現在 園城寺さんや妹尾さんは能力者保護に務める龍門渕の監視下にあるので、安全は確保されとるようですけど…」


憩「とりあえず そういう如何わしい研究機関には、気をつけるよう伝えといて下さいー」

ちゃちゃのん「うぅっ… 分かったんじゃ……」フルフル




憩「それと―――」

ちゃちゃのん「ま、まだあるんか!?」ビクッ




憩「現在 各国で能力者と非能力者の確執が、水面下で広がりつつあるようですよーぅ」


憩「中にはどちらか一方の根絶を唱える声まであるようで、実際にそういう過激なテロを警戒した動きも見られとるようですねー」

ちゃちゃのん「そういえば、何度かそういう警察の人とか見かけたんじゃ…」





憩「そして、それは麻雀の世界でも同じこと―――」


憩「そのうち麻雀界も能力者と非能力者リーグで、完全に分断されるかもっちゅー話も出始めとるみたいですよー」

ちゃちゃのん「そ、そんな話まで…」ヒェェッ


憩「ま~ 実際問題、能力自体が完全に実証されとるわけではないので、まだ先の話や思うんですけどねー」





憩「ただ、これから先―――世界はこの手の問題で、大きく荒れる思いますよーーぅ」

ちゃちゃのん「」ゴクッ





憩「あ、一応… この辺のことは、まだ内密にしておいて下さいねー」


ちゃちゃのん「な、何でちゃちゃのんに、こんな話をしてくれたんじゃ…?」




憩「う~~ん、どうしてでしょうねー」


憩「ただ いちごちゃんには、しっかりと考えたうえで 将来のことを決めて欲しい―――」


憩「……そう思ったのかもしれませんねーー」ニコッ





憩「ま~ ホンマは今 話したこと、その全てがウチの妄想の産物かもしれませんけどね~」フフッ

ちゃちゃのん「ほぇっ…?」



憩「まー 今はまだ話 半分くらいで受け取っておいて下さ~~い」ホナ、マタナー

ちゃちゃのん「あ、憩ちゃん―――」



憩「ん―――?」

ちゃちゃのん「今年の大会―――その、頑張ってな…」


憩「ふふ… それは今年が最後になる、セーラさんにでも言ってあげて下さいーー♪」





憩「ウチは――――強いですからねー」スッ


ちゃちゃのん「それ、憩ちゃんのいつもの決めポーズじゃね…」エヘヘッ





憩「それじゃ、いちごちゃん。 またなーー」フフッ


ちゃちゃのん「うん… 憩ちゃん、ホンに色々とありがとうの―――」フリフリ







ちゃちゃのん「はぁ… それにしてもまるで雲を掴むような、全く現実味のない話じゃったのぅ…」


ちゃちゃのん「いつもみたいに、また憩ちゃんにからかわれたんじゃろか… それとも―――」





オーーーーーーイ


ちゃちゃのん「あ、ヒロちゃんじゃ…」

洋榎「おぅ、もう元気になったんか~?」ツカツカ

ちゃちゃのん「あ、う、うん……」コクッ



洋榎「さっき離れてったナース服って、もしかして荒川か…?」

ちゃちゃのん「うん、今はこの病院でお手伝いとかしとるんじゃって…」


ちゃちゃのん「せっかくだし、声でもかけてく?」




洋榎「―――いや、ま~ 今日はええわ…」


洋榎「荷物くらい持ったるさかい、はよ よこし」ヒョイッ


ちゃちゃのん「あ、うん… ヒロちゃん、ありがとな……」ヒョコヒョコ







正直、今のちゃちゃのんにゃぁ―――世界の動きとか、そんな難しいことはよぅ分からんよ。



ただ目の前におる大切な人たちが 幸せであってくれたなら、それでええと思うんじゃ。



でもそんな当たり前の幸せを願う、みんなの想いが…



争いや対立を産んどるんだとしたら……





それはとっても悲しいことだって、ちゃちゃのん 思うんじゃ――――







今回の荒川病院編ですが…


これを入れると、どうしても最終的に消化不良になる部分が出るうえに、ラブコメものとして重くなるし


全体の整合性や世界観の統一感を損なうかな~と思ったんで、入れるかどうか結構悩んだトコでした。



でも、ま~ 思いついたネタは何でも詰め込もうが当初からのコンセプトだったので、とりあえずぶち込ませて頂きました。


自分としてはこの辺の話は番外編の部分と考え、マクロの中のミクロな世界こそが このちゃちゃのんの物語だと考えてます。


例え来るのが明るい未来でも、暗い未来でも―――自分に出来ることなんて泣いたり笑ったり、今を精一杯に生きることだけ。


ちゃちゃのんは英雄でも魔王さんでもなく、そういうごく普通の女の子なので……




尚 今回の利仙さんのキャラや、ちゃちゃのんの能力の一部は


【咲SS】淡「ここが白糸台高校麻雀部かー!」
【咲SS】淡「ここが白糸台高校麻雀部かー!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1392028470/)


を参考にさせて貰ったんですけど、このいちごちゃんLOVEな利仙さんが凄く面白くて好きなキャラです(笑)









女「鹿老渡高校に行く―――? ほいじゃが、あそこは…」


ちゃちゃのん「お母さん、お願いじゃよ……」






中学を卒業し―――



ちゃちゃのんは、お母さんの反対を押し切って鹿老渡高校へ進学した。



呉を離れ、今度は自分の意思で―――



ちゃちゃのんは、もぅ一度 婆っちゃと過ごした鹿老渡に帰って来たんじゃ。






???「あれ… アンタ、もしかして…」


ちゃちゃのん「ほぇ……?」



快活な長女さん「あ~~ やっぱりちゃちゃのんじゃ~!? うっわぁ~ 久しぶりじゃね~~♪」



ちゃちゃのん「あ、あ、あ、アンタはーーー!?」




そこで再会したのは、小学生の夏休み一緒に遊んだ あの三姉妹の長女さんじゃった―――





快活な長女さん「しっかし、自分 相っ変わらず可愛ええのぅ~~」


快活な長女さん「中学でも、絶対モテモテやったろ~~♪」ウリウリィィィィッ


ちゃちゃのん「え、えっ… そ、そんなこと、ないんじゃよぅ~~///」アセアセッ





ちゃちゃのん「で、でも、何でわざわざ鹿老渡に…?」


快活な長女さん「ん―――? 何でて、約束したじゃろ……」


ちゃちゃのん「――――!?」





快活な長女さん「また… 一緒に遊ぼうなって――――」シシシッ






ちゃちゃのん「そ、そんな理由で… ちゃちゃのん、おるかも分からんかったのに?」


快活な長女さん「ん、ま~~ 本当はそれが半分なんやけどな……」


ちゃちゃのん「半分……?」



快活な長女さん「もぅ半分は爺さんが過ごした、この鹿老渡高校にも興味があったんじゃ…」ポリポリ


ちゃちゃのん「あ―――」


快活な長女さん「ん、何じゃ―――?」




ちゃちゃのんと、同じ理由じゃった―――



婆っちゃたちの思い出いっぱい詰まった この鹿老渡高校に、ちゃちゃのんは入りたかったんじゃ――――






???「あらあら、私もお仲間に入れて下さいませんか…」


快活な長女さん「お、お、お~~ アンタは!?」


ちゃちゃのん「ゆ、幽霊少女さんじゃ―――!?」アワワッ


物静かな女の子「幽霊じゃありませんから、私 ちゃんと生きてますから!!」モー


一同「「アハハ……」」クスクスッ



病気療養で来とったあの子は、今ではすっかり元気になって この鹿老渡に入学してきたらしい。





物静かな女の子「私… 今度こそ、しっかり蛍を見ますわよ~~」


快活な長女さん「あはは、今度 みんなで一緒に探しに行こうよ♪」


ちゃちゃのん「それは楽しみじゃね~~♪」







ちゃちゃのん「生徒の数も少ないし、やっぱり麻雀部はもぅないんじゃね…」ガッカリ


物静かな女の子「はぁ、残念ですわね…」



快活な長女さん「なんじゃ、なんじゃ、そない湿気た顔して… 無いんなら、また作ればええだけじゃろ!!」


ちゃちゃのん「ふぇっ、じゃって… ちゃちゃのんたち3人だけじゃ―――?」




快活な長女さん「来年にゃぁ、ウチの双子の妹も入ってくる予定じゃけぇ―――メンバーなら、きっと集まるはずじゃ!!」ドンッ


ちゃちゃのん「そ、そんじゃぁ……」



快活な長女さん「来年にゃぁ、鹿老渡高校麻雀部の復活じゃ!!」ピース


ちゃちゃのん「婆っちゃが… 部長さんだった、麻雀部が……」ウルウル


物静かな女の子「くすくす、いちごさんったら… また、おもひでぽろぽろしてますわ~~」ウフフッ


ちゃちゃのん「そ、そんなん… しとらんけぇ……」ゴシゴシ




快活な長女さん「とりあえず空き教室はたくさんあるし、埃かぶった雀卓も見つけたし―――」ヨッシャッ


物静かな女の子「来年の本格始動に向けて、今から準備開始ですわね~~」パチパチパチパチ


ちゃちゃのん「おっ、お~~~」グッ






婆っちゃと過ごしたあの古い母屋で、ゴロリと横になる。



い草の懐かしい香りが、ちゃちゃのんの心を穏やかな気持ちにしてくれた。




ちゃちゃのん「婆っちゃ… ちゃちゃのん、いっぱいいっぱい頑張るけぇ…」



ちゃちゃのん「ちゃちゃのん達の頑張り、しっかり見とっての――――」







陽気な妹ちゃん「わ~~い、またツモったんじゃ~~~!!」パララッ


しっかりものの妹ちゃん「くぅ~~ 相変わらずバカヅキじゃのぅ…」チィッ


ちゃちゃのん「妹ちゃん、前から強かったけど。 また更に強くなったのぅ…」ホェー


快活な長女さん「まったく… コイツにゃぁアタシらに見えん、何かが見えとるんじゃろか…」



陽気な妹ちゃん「へへっ… 凄く調子ええ時は牌が光り出して、話しかけたりしてくるんじゃよ~~」


物静かな女の子「えぇっ、そんなことってあるんでしょうか!?」


しっかりものの妹ちゃん「またバカなこと言って… アンタ、何かヤバイ遊びでもやってないでしょうね~~」


陽気な妹ちゃん「ヤバイ遊びって何じゃ~~ そんなんしとらんわ~~!!」ホッホーーーイッ







快活な長女さん「そんで部長の件なんじゃが―――アタシはちゃちゃのんが ええ思うんじゃが、どうじゃろか?」


ちゃちゃのん「えぇっ、リーダーじゃったら ちゃちゃのんなんかよりも―――」



物静かな女の子「いちごさんは私たちの麻雀のお師匠さまですし、異議なしですわ」ウフフ


陽気な妹ちゃん「ちゃちゃのんは、鹿老渡のアイドルじゃもんね~~♪」ワーイ


しっかりものの妹ちゃん「アタシは、このバカじゃなければ 誰でもええと思うんじゃ…」フンッ




ちゃちゃのん「み、みんな… どうもありがとの…」ペコリン


快活な長女さん「だから、イチイチ泣かない~~!!」カッカッカ


ちゃちゃのん「ま、まだ 泣いちょらんわ~~~///」ウルウル


一同「「ワハハハハーー」」







ちゃちゃのん「はぁ… 練習試合、勝てんかったのぅ…」トボトボ


陽気な妹ちゃん「負けちゃったけど、ボクはとっても楽しかったんじゃ~~」


物静かな女の子「先鋒の妹さんが作ってくれたリードを、守りきれませんでしたわね~~」


ちゃちゃのん「次鋒のちゃちゃのんが、ドジってもうたからじゃ……」ウゥッ


しっかりものの妹ちゃん「別にちゃちゃのん一人のせいじゃないでしょ…」


快活な長女さん「うん、アタシも大将戦で挽回出来なかったわけだしね…」




ちゃちゃのん(みんながちゃちゃのんを麻雀のお師匠ゆーてくれとるが、ちゃちゃのん 今じゃ妹ちゃんよりも弱いんじゃ…)


ちゃちゃのん(もっともっと頑張って麻雀 強うならんと、県大会にも勝てないんじゃ…)


ちゃちゃのん(ちゃちゃのん―――お飾りの部長さんにゃぁ、なりたくないんじゃ……)







憩「え、ウチに麻雀の稽古をつけて欲しい―――?」


ちゃちゃのん「お、お願いするんじゃ。 ウチの近くにゃぁ、満足に麻雀 教えてくれっ人もおらんし…」


ちゃちゃのん「そんで色々探しちょったら、憩ちゃんはこの辺では敵なしじゃって聞いたけぇ―――」ペコリッ



憩「ほな、時々で良ければ ええですけどー ただ同じ麻雀仲間としてのアドバイスってことでもええやろかー?」


ちゃちゃのん「どうも、ありがとなんじゃ!!」パァァ…






憩「今度はウチの友達にも声掛けときますから、部員さんたちも是非 呼んであげて下さいねー」ホナナー


ちゃちゃのん「うん、どうもありがとなー」フリフリ






祝・鹿老渡高校 第70回 全国高等学校 麻雀選手権大会出場――――!!





陽気な妹ちゃん「うわっ、すっげ~~~!! ちゃちゃのん、デカデカと雑誌で特集されちょるよ~~~!!」


快活な長女さん「やっぱ全国大会効果は凄いのぅ~~♪ ほんで、ちゃちゃのんは何で靴を持っとるんじゃーー?」カカッ


ちゃちゃのん「えと、カメラマンさんからの要望で……////」テレッ


物静かな女の子「このカメラマンさん、なかなか出来ますわね……」ムムッ




しっかりものの妹ちゃん「でもあの全国制覇の宮永照よりも、大きく特集されちょるなんて… ビックリじゃねぇ~~」


物静かな女の子「いちごさんの この凶悪なまでの愛らしさをもってすれば、これくらいは当然ですわ~~♪」ウフフッ


快活な長女さん「アンタ、そんなキャラだったっけ……?」





ちゃちゃのん「でも、何じゃか 申しわけないんじゃ……」ボソッ


快活な長女さん「ん―――?」



ちゃちゃのん「これも全部、みんなで頑張った結果なのに―――ちゃちゃのん一人が、こんなに注目されてもうて…」


陽気な妹ちゃん「ヒヒヒ……ッ」


しっかりものの妹ちゃん「まったく、もぅ…」フゥッ


物静かな女の子「やれやれ、ですわね……」クスッ




快活な長女さん「ええか… これはアンタだから、注目されてんの―――」



快活な長女さん「アイドル目指してんでしょ、だったらもっと自分に自信持ちなさいっての!!」ポフッ


ちゃちゃのん「う、うん―――///」ドキドキ



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快活な長女さん「アタシらも三年で、今年が最後の全国じゃのぅ…」ゴクッ


物静かな女の子「フフッ、そうですわね~~」


陽気な妹ちゃん「ボク、頑張っちゃうよ~~~!!」


しっかりものの妹ちゃん「今年はきっと、去年よりもたくさん注目される……」ドキドキ




ちゃちゃのん「この鹿老渡高校を全国にアピールする、最大のチャンスじゃね―――」グッ







婆っちゃたちの、思い出いっぱい詰まった鹿老渡高校。



その数年後の廃校は、ちゃちゃのんたちが入学する前から既に決まっていた。



それでも ちゃちゃのんたちの頑張りで、何かが変えられるかもしれんと―――



そう思いたかったんじゃ。





そう思って――――あの時、ちゃちゃのんたちは戦っとったんじゃ。








一回戦の相手は――



岐阜の斐太商業―――



石川の鞍月高校――――



そして南大阪からは、あの全国屈指の名門・姫松高校――――





ちゃちゃのん「ちゃちゃのんの相手は、あの不動のエース言われとる愛宕 洋榎さんじゃな―――」



ちゃちゃのん「それでも、ちゃちゃのんたちは… こんなトコで負けるわけにゃぁ、いかんのじゃ――――」





「まもなくインターハイ1回戦―――」



「第7試合から、第9試合が始まります!!」


ワァァァァッ…



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ザザザーーーン…


洋榎「うーみーーーー!!」イヤッホーイ

胡桃「何気にこのメンツで海来るのって、初めてだね~」

塞「あれ、沖縄に行ったんじゃ…?」

哩「その話はやめろ…」


ちゃちゃのん「みんな、何じゃか久しぶりじゃよね…」エヘヘッ

胡桃「ちゃちゃちゃん あれから結構経つけど、体調の方はもぅスッカリ大丈夫なの?」

ちゃちゃのん「うん、元気 元気♪ 最近はまたゼミと仕事漬けの毎日じゃよ~~」

塞「もぅ、ちゃんと休養とらなきゃ駄目だよー」



洋榎「それんしても 海なんて久しぶりやから、一人で水着コーナー入り浸ってもーたわ」カッカッカ

絹恵「言うてくれたら、付き合ったのに」バイーンッ

洋榎「絹はいっぱい持っとるやん…」ストーン


ちゃちゃのん「ちゃちゃのんも、いっぱい持っちょるよ~~」ポヨンポヨン

漫「私も買いましたよ。 去年のでいいかと思ったけど、胸きつかったんでー」ドカーンッ

洋榎「………」ゲシゲシ

漫「あたー!?」

漫「ちょ、小キック連発 やめて下さいよ!!」

胡桃「……」ゲシゲシ

漫「先生まで!?」

胡桃「私なんてインハイ後の夏の水着、普通に着れるのに!!」

塞(胡桃なら、きっと小学生の頃のでも…)






洋榎「ま~ 何にせよ、今日は泳ぐでーー!!」


一同「「おーーーーーっ!!」」





  ク  ラ  ゲ  っ  !  !





洋榎「ちょ、一面クラゲやないかぃ!!」

ちゃちゃのん「ほわわっ、ふあふあじゃ~~~」

哩「まぁ、もう9月だしな…」

セーラ「試験終わった8月頭は、サークル組は合宿やらで忙しかってん。 しゃーなしやな…」カカッ

ちゃちゃのん「まっとうなサークル所属のせーちゃんや絹ちゃんは、8月半ばは大会じゃったしのぅ…」



塞「下旬は私達が岩手に帰ってたもんねぇ~」

洋榎「くそっ! 岩手についてきゃ良かったで!!」

塞「いや、連れてかないから―――」

胡桃「恥かかされちゃう…///」


セーラ「自分らの故郷ってアレなんやろ、行ったが最後 もぅ戻れない的な―――」

塞「どこのサイレントヒルよ…」




ちゃちゃのん「ちゃちゃのんはせーちゃんの水着見て、ちょっと安心したんじゃ…」

セーラ「男モノかもしれん、思ったんかー?」カカッ

ちゃちゃのん「ま、ま~の…」


セーラ「俺はそうしよ思ったんやけど、浩子に張っ倒されたわ~」カッカッカ

塞「当たり前でしょ、アンタ捕まるからね……」



セーラ「永水の副将とか、龍門渕のマジシャンのはええんか?」

塞「あ、あれはま~ 何て言うの… この国って、何故かあ~いう人種の治外法権が認められてる的なとこあるし―――)ボソ

ちゃちゃのん「あ~いう人種……?」

哩「合法ロリ、言いたいんちゃうか?」

塞「そんなストレートに…」



洋榎「じゃ~ いいんちょなら、全然イケるやん!!」

胡桃「いや、別にしたくないから!?」

セーラ「せやねん、何で自分だけ そないケレン味ないかっこしとるんや?」ダメヤン

胡桃「いや、別に私 ノーマルだし。 ていうか、何その そうじゃなきゃイケない的な反応―――!?」





胡桃「ま、泳げないなら 砂場で遊べばいいか…」ペタペタ

ちゃちゃのん「胡桃ちゃん―――」

胡桃「何よ…?」ペタペタ

ちゃちゃのん「お遊戯しちょるみたいで、可愛いんじゃ~~!!」ダキツキー


胡桃「うっさいわよ、このバカ!!」ゲシゲシ





セーラ「ほんじゃ、バレーでもしようや、バレー!!」ポーーン

塞「トヨネがいたら負けないんだけどねぇ」

絹恵「運動なら任せてー」ブンブンッ

セーラ「あと一人誰かーー!!」

塞「胡桃、組まない?」

胡桃「私にバレーを勧めるとは、塞も随分と非道になったね…」チンマリ

塞「わ、悪かったわよ……」



胡桃「哩ちゃん、入ったら?」

哩「ん―――?」

胡桃「ボールびしばし当たるし、好きそうだから…」

哩「ちょっとばかし、私に対するイメージの修正を図ろうか―――」

胡桃「違うの?」

哩「違う…」


哩「大体、残り一人しか入れないのに、恋人をおいていくわけないだろう…」ギュッ

胡桃「公言してから、腹立つくらいイチャつくようになったよね…」シネバイイノニ…





セーラ「足引っ張ったら、おでこに乳の文字を―――」

漫「末原先輩方式ですか!?」

セーラ「焼印するで~~」カカッ

漫「違う、もっと禍々しい別の何か方式やった!?」コッワ



絹恵「私のキャッチング技術、見とってな~」グッグッ

塞「ちゃんと、弾き返してね!?」

絹恵「私のキャッチング技術―――」

塞「キャッチしたらダメだからね!?」



洋榎「あー くっそ、出遅れたわ~~」

胡桃「審判でもやる?」

洋榎「ルール分からん…」

ちゃちゃのん「あ、じゃあ ちゃちゃのんが審判やるんじゃ…」トトッ



ちゃちゃのん「これでもアイドルビーチバレー大会で、今年は2回戦まで進出したんじゃよ!!」フフン

洋榎「微妙やなー」

胡桃「パッとしないね…」

ちゃちゃのん「えぇっ、チハちゃんと頑張って、去年よりも成績上がったんじゃよ!?」ガーーン

哩(インハイじゃ宮守は、そのパッとしない成績だったような…)




ホイミ ベホイミ ベホマラー…


洋榎「しっかし、見事にクラゲまみれやなー」

胡桃「泳ぐのは無理そうだね…」


洋榎「バイトとデビ子は?」

胡桃「あっちで砂風呂してるよ」

洋榎「お、楽しそうやなー」


胡桃「……まあ、楽しそうではあったよ」

胡桃「凄い愉悦の目で、姫ちゃんがじわじわと哩ちゃん埋めてたし…」

洋榎「ふーん。 ウチもどっさりかけたろかな」

胡桃「やめた方がいいんじゃないかなあ、完全に二人の世界だったし」





洋榎「とりあえず、海に来たからには泳がんとな!!」

洋榎「クッローーーーール!」ザババババ

胡桃「砂の上を泳いでるっ!?」


洋榎「このへん柔らかいから、軽く潜れるでー!」ザババババ



バチコーーーン!!

ブクブクブク…


セーラ「すまんすまん、ボールこっち飛んでこーへんかった?」タタッ

胡桃「飛んできて、代わりにスイマーが吹っ飛んだ…」

セーラ「は―――?」





塞「ボール見つかった?」

セーラ「何や、洋榎のヤツに直撃したらしいわ」カッカッカ

漫「もぅ、何マーズアタックかましとるんですか~~」



セーラ「ヨッシャ、今度こそ決めたるでーー!!」

塞「次こそ塞ぐ!!」

絹恵「ペナルティーエリア外からのシュートなら、私に任したって下さい!!」

塞「だからすぐキャッチングしようとしないの!?」


ちゃちゃのん(ヒロちゃん、大丈夫だったんじゃろか―――?)



バッチーーーンッ!!

ドギュルルルーーーーーッ!!

ちゃちゃのん「うっひゃーー!?」ビックゥッ


塞「ちゃちゃのん、ボンヤリしてると危ないよ~」

ちゃちゃのん「あっ、うん。 ゴメンの…」

ちゃちゃのん「…………」



ちゃちゃのん「えっと、今ので点数、忘れてまったんじゃ…」タハハッ

塞「え~~~」

セーラ「ま~ そんなん、だいたいでええねん!!」カカッ



漫「あ、今度はウチが審判しますから、ちゃちゃさんも参加したって下さいよ」

ちゃちゃのん「あ、うん…」ドキドキ

セーラ「いちごか、ま~ 丁度ええハンデやな」

ちゃちゃのん「いきなり おみそ扱いされたんじゃ!?」




セーラ「パスやでー」ポーーン

ちゃちゃのん「よし、ちゃちゃのんアタックじゃ!!」タタッ


ズルッ ドベッ

ちゃちゃのん「ふぎゃっ!?」

セーラ「ギャハハ、何で自分 ワカメで転けとんねん!! やっぱ、いちごはウンチやなーー」ゲラゲラ

ちゃちゃのん「うぅ~ その言い方はヤメるんじゃ~~!!」





絹恵「臼沢さん!!」

塞「よっし!!」タタッ


セーラ「いちご、ブロックやで!!」

ちゃちゃのん「う、うん…」ピョンコ


バンッ

ちゃちゃのん「うぎゃっ!?」

セーラ「おぉっ、ナイス顔面ブロック!!」

絹恵「石崎さん、ナイスガッツやで~~!!」



塞「えと、ちゃちゃのん ゴメン…」



漫「水挿すようですけど、点数入ってますからね……」


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セーラ「サーブと見せかけて~ ドッチボールやーー!!」ズギューーン


バチーンッ

セーラ「なんやて!?」



絹恵「この程度のボール、片手で充分やで~~」シュゥゥゥゥ…

塞「絹ちゃん、凄っ!! 何か、手から煙とか出てるよ!?」



絹恵「ウチ渾身のタイガーラブショット、くらえーーーッ!!」グワッ



ドッギャーーーーン!!


塞「いや、蹴っちゃ駄目でしょ!?」






漫「―――今ので、ボール粉砕されたでーーー」


ちゃちゃのん「もぅ、メチャクチャじゃ…」




セーラ「ボールのうなってもぅたし、何や遊べそうなもんでも探してくるか…」


漫「あ、ほんならウチらも行きますよ~~」






ザザザーーン


ちゃちゃのん(あっちにおるんは、ヒロちゃんと胡桃ちゃん―――?)


塞「あの二人、あっちで何を話してるんだろうね…」

ちゃちゃのん「あっ、塞ちゃん…」




ちゃちゃのん「そういえば塞ちゃんと胡桃ちゃん、しばらく岩手に帰っちょったんじゃよね…」

塞「うん、お正月にも帰省はしてるけど、久しぶりに宮守のみんなと色々お喋りした……」



塞「シロのことは、前にもちょっと話したっけ?」

ちゃちゃのん「マヨヒガの白望(しろみ)さん? 確か東京の麻雀名門校 龍門谷大学で、麻雀部の部長さん頑張ちょるって―――」



塞「うん、そうだったんだけど… シロのヤツ―――」

塞「今年の春先に未成年部員の飲酒事件があって、部は夏までの活動休止。 そのことに責任感じて、引責退部したんだって…」


ちゃちゃのん「それは、白望さん 落ち込んどったじゃろうね…」





塞「うん… 確かに暫くは、それで落ち込んでたらしいんだけど―――」


塞「今年新しく入った一年の子の頑張りに触発されたのか、最近はだいぶ元気とり戻したって…」

ちゃちゃのん「そっかぁ、それは良かったんじゃ…♪」




塞「ま… 相変わらずのものぐさで『ダルぃ』とか言って、ロクにお風呂にも入らないから―――」

塞「周囲から『シラミ』とか、アダ名付けられちゃってるみたいなんだけど…」フフッ

ちゃちゃのん「女の子にシラミっちゅうアダ名は、あんまりなんじゃ…」



塞「あとこの前 大学の友達との旅行で、フランスにあるギュスターヴ・モローの美術館に行って―――」

塞「モローの螺旋階段とか、何とかっていう多翼祭壇画を見られたとか―――珍しく、ちょっと興奮気味に語ってたなぁ」クスッ


ちゃちゃのん「白望さん、芸術学部ゆーとったもんね。 ちゃちゃのんも綺麗な絵画とか、そういうのは大好きじゃよ♪」




塞「本当は私たちと一緒にって 関西方面の芸術科も受けたんだけど、こっちの方は落ちちゃったのよね」

ちゃちゃのん「ほんじゃぁ、もしかしたら白望さんが ここにおったかもしれんのじゃね…」


塞「まぁ、シロはシロで今の大学生活 楽しくやってるみたいだし、こういうのを縁って言うんでしょうね……」

ちゃちゃのん「うん、そうかもしれんのぅ―――」



塞「エイスリンは相変わらずちょっと不思議ちゃんだったけど、日本語の方は随分上手になってたなぁ―――」






ザザザーーーン


塞「―――熊倉先生 病気療養中で、あんまり良くないみたいなんだ…」


ちゃちゃのん「―――そっかぁ、早く元気になってくれるとええのぅ…」


塞「あっちに残ったトヨネ一人に任せちゃって、何だか少し申しわけないって思っちゃった…」




塞「私たちもそろそろ本気で就活のこと考え始めなきゃいけない時期だし、大学4年間なんて本当にあっという間だよね…」


ちゃちゃのん「うん、ホンにあっちゅう間じゃのぅ…」




塞「就職のこととか 考えてなかったわけじゃないけど、大学卒業したら 一度あっちに帰ろっかなぁ……」


ちゃちゃのん「…………」



塞「胡桃は―――あの子は卒業した後のこと、どう考えてんだろ……」





ちゃちゃのん「胡桃ちゃんのトコにゃぁ、今もよぅ泊まっちょるの―――?」


塞「ん、うん… 最近はゼミも忙しいし、なかなか入り浸りってわけにもいかないんだけど―――」



塞「掃除とか洗濯の手伝いしたり、一緒にご飯食べたり、一緒に映画を見たりはしてるかな…」


ちゃちゃのん「相変わらず、仲良しさんじゃのぅ…」




塞「まぁ、そうしてる時間が私にとっては自然っていうか… 落ち着く時間だから……」



塞「胡桃といるとさ、何か 明日も頑張ろーーって気にさせてくれるっていうの? 」


塞「まぁ、そんな感じ―――」タハハ


ちゃちゃのん「ホンに、仲良しさんじゃね―――」クスッ



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塞「でも、胡桃に恋人とか出来たら―――きっと、そういう時間もなくなるんだろうね…」


ちゃちゃのん「それは、寂しいのぅ…」



塞「ま… それはそうなんだけど…」


塞「いくら姉妹みたいなもんでも、いつかはそういう日が来るって 分かってるからさ……」




塞「その時は、ちゃんとお祝いするよ――――」



ちゃちゃのん「塞ちゃん……」






塞「そういうちゃちゃのんは、たまには広島に帰ってるの?」


ちゃちゃのん「えと、仕事も忙しいし… 最近はなかなか帰れとらんのぅ―――」アセッ



塞「――――そっか」


塞「でも帰るとこあるんなら、たまには帰って 元気な顔の一つでも見せてあげなきゃ駄目だよ」


ちゃちゃのん「う、うん……」





ザザザーーーン



呉に住んどるお父さんとお母さんとは良好じゃけど…



何だか昔のお父さんに申しわけない気がして、ちょっと疎遠になりがちじゃった。




鹿老渡高校のみんなは、あの後も変わらず優しかったけど…



卒業以降、ちゃちゃのんは何となくみんなと会えずにおった――――






ザザザーーーン


洋榎「と、いうわけで、バーベキューやで!!」

塞「海辺のバーベキューか、なかなか素敵かもね」

セーラ「温泉やなかったけど、風呂も気持ち良かったでー!」フハァーー


洋榎「旅館の人のご好意で、焼き台借りられたでー!!」

哩「ちなみに食材は持参するルールだそうだ」

胡桃「え!?」


塞「誰か何か持ってきた!?」

ちゃちゃのん「よ、酔い止めのキャンディくらいしか……」アゥ

セーラ「フリスクあるでー」シャッシャッ

胡桃(あ、これはダメなやつだ…)



絹恵「バイク借りて、私 スーパー行ってこようか?」

塞「ここ来る途中にスーパー見かけた?」

絹恵「……」




洋榎「くらげって食えるんかな?」

胡桃「!?」

哩「まだ調理した経験はないな―――」

胡桃「まさか、食べる気!?」

ちゃちゃのん「目が本気(マジ)じゃ!?」

セーラ「うにくらげとか中華くらげはイケルんやし、何とかなるんちゃう?」

ちゃちゃのん「やめといた方が、ええと思うんじゃが…」



哩「安心しろ、毒見はかって出てやる」

洋榎「当然やろ」

胡桃(それさえもプレイなのかと思えてくる…)





洋榎「そうや、この後 定番の肝試しでもせーへん?」

胡桃「え~~~」

セーラ「えーでー そんじゃ、旅館の人にそれっぽい場所でも聞いとくか?」

塞「ていうか、もぅお盆シーズンでもないよね」



カタカタ カタカタ

絹恵「いちごさんが、そこで思いっきり震えとんでーー」

漫「ちゃちゃさんは相変わらずのヘタレっぷりやな~~」ケラケラ




ジュー ジュー ジュー

哩「調理、完了ばい―――」フゥ

洋榎「おっ、何や焼きゼリーみたいでイケそうなんちゃう?」

セーラ「ほな哩先生、毒見の方は頼んまっせ~~♪」カッカッカ




ぷるぷるぷる~

哩「――――」ゴクリ

塞「やっぱやめといた方が良いんじゃ?」





姫子「はぁ、何だかお腹すいてきたばい…」ボソ


哩「覚悟完了―――!!」クワッ



ガツガツ ごっくん


哩「―――完・食!!」フハァ




セーラ「おぉっ、流石は哩先生!! そこにシビレる―――」


塞「―――憧れはしないわよ…」



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洋榎「とりあえず即効性の何かはなさそうやし、ウチらも食うでーー!!」

セーラ「お… コリコリ食感で、なかなかイケるんとちゃう!?」クチャクチャ


胡桃「はぁ、仕方ないか… とりあえずお醤油でもつけて―――」チュル…

塞「まぁ、胡桃たちも食べるんなら……」



ちゃちゃのん「うぅ……」

洋榎「何やちゃちゃ、自分もしっかり味わっといた方がええで!!」カッカッカ


ちゃちゃのん「えとっ、ちゃちゃのんは… ダイエットしとるし、別にええんじゃ…」ビクビク

洋榎「まぁ、モノは試しやで。 こんにゃくゼリー思って食っとけて~~♪」ズズィッ

セーラ「そうやで、人生は何ごとも挑戦やで~~~♪」ホレホレッ


ちゃちゃのん「―――うぅ~~ や、ヤメるんじゃ~~~!?」






その後 みんなで体調崩して、ちゃちゃのんたちの一泊二日の旅行は終わったんじゃ――――







哩「私の調理は 完璧だったはずばい―――」


胡桃「あ、そこは自信持ってるんだ…」







瑞原 はやりの~~~♪



サラマンダーより ずっとはや~~~~い☆





♪~ チャチャチャチャッチャッチャ チャチャチャチャーーーーン☆



はやり「はーややー!! 良い子のみんなーー! こ~~んばんはーーーっ!! みんなのアイドル☆瑞原はやりだよ~~~♪」キュピーーン

ハッヤリーーン!! ハヤーーッ!! ハヤヤーーッ!! ハイノオネーーサーーン!!


はやり「今日は公開生放送ということで~ とっても素敵なゲストさんをお呼びしていま~~すっ☆」ダレダロー

ダレダローー?


はやり「ヒントはね~ 最近 関西の方で地味~~に人気を上げてきている、若手のアイドルさんなんだって~~」ダレカナーー

ダレカナーー?


はやり「あっ… でも17歳のはやりよりは、ちょっぴりお姉ちゃんなんだけどね~~~」テヘッ

ワハハハハ… ムリスンナーーー


はやり「今、(31)とか(39)とか言ったのは誰かな~~ そんな悪い子は~ 撲殺しちゃう~~ぞっ☆」ピピルピルピルピピルピーー

ワハハハハハハハ


はやり「はやや~~ そろそろゲストさんが来る頃だと思うんだけど、どうしたのかな~~~?」キョロキョロ

タムラウシローー!!




ちゃちゃのん「―――ど、どうも、初めまして… ちゃ、ちゃちゃのんなんじゃ…」ドギマギ

チャッチャノーーン!! イチゴチャーーン!! アイシテマスワーーー!!



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瑞原 はやり(17)




はやり「は~~い、というわけで~~♪ 今日のゲストさんは、はやりと同じアイドル雀士としても知られる 佐々野いちごちゃんだよ~~☆」パンパカパーーン


ちゃちゃのん「きょ、今日は、よ、ヨロシク、お願いしましゅ!!」カチコチ


はやり「あっれれ~~? いちごちゃん、もしかしてスッゴい緊張してる~~☆」



ちゃちゃのん「ひゃい!? あ、憧れの大先輩、牌のお姉さんのはやりさんの番組に出して貰えるなんて、思っても見なかったけぇ…」アセアセッ

チャチャノン ガンバッテーー


はやり「いちごちゃんのその飾らない広島弁って、とっても可愛いよね~~♪」


ちゃちゃのん「そ、そうじゃろか…? じゃったら、ええんじゃが……///」テレテレ




はやり「いちごちゃんは高校生の時に、インハイにも出たくらい麻雀が得意だけど―――」


はやり「将来的にはプロだったり、牌のお姉さんを目指す気はあるのかな~~?」


ちゃちゃのん「ふぇっ!? ちゃちゃのんそこまで麻雀強いわけでもないし、牌のお姉さんなんておそれ多いんじゃ……」アワワ…


はやり「うん♪ それはそうかもしれないね~~~~☆」


ちゃちゃのん「あぅっ!?」

ワハハハ ハヤリンキビシーー





はやり「さてさて、それではお次は~ いちごちゃんへの今日の はややーな質問コーナーだよ~~~☆」キャルルーーン

ちゃちゃのん「は、はい!! ちゃちゃのん、頑張るけぇ!!」ドキドキ



はやり「ラジオの前のみんなも、いちごちゃんと一緒に想像力を働かせてね~~~♪」ジャンッ




はやり「今 いちごちゃんは、地上数十メートルのビルとビルの間に架けられた鉄骨を 不安定な状態で渡っています―――」

ちゃちゃのん「ほぇ……?」



はやり「鉄骨の上、前を歩む知人の石田さんを突き落とさなければ―――いちごちゃんは後ろから来る他の人に突き落とされてしまいます…」


はやり「さ~ こんな時、いちごちゃんなら どうしますか~~~☆」ハヤヤーー


チッチッチッチッ…

ちゃちゃのん「―――えっと、何じゃろ この質問…? そんなん、分からんよぅ……」アワワッ


はやり「はやや~ 時間切れ~ 哀れ、いちごちゃんは奈落の底へと突き落とされてしまいました~~~」ブッブーー


ちゃちゃのん「えっ―――!?」ガーーン

チャチャノン ドンマーーイ





はやり「それでは~ いちごちゃんが、もしどちらかとお付き合いするとしたら―――」


はやり「アカギ似のクロサワと、クロサワ似のアカギ―――どちらとお付き合いしますか~~~☆」ハヤヤーー


チッチッチッチッ…

ちゃちゃのん「えっと、誰じゃ―――?」



はやり「はやや~ 時間切れだよ~~~」ブッブーー


はやり「もぅ~ いちごちゃん、全然遅いよ~~ そんなんじゃ、はやりみたいな素敵なアイドルにはなれないぞ~~☆」


ちゃちゃのん「はぅぅっ―――!?」






♪~ チャチャチャチャッチャッチャ チャチャチャチャーーーーン☆


ザザ… ザザザ……



洋榎「―――何やねん、この番組…」キッツ…

哩「はやりんはあ~見えて、泥臭いギャンブル漫画とか大好きやからな…」キュッキュッ


胡桃「これが噂に聞く、芸能界の新人いびりってヤツかな」

哩「いや、ラジオのはやりんは大体こんなやで。 全く悪気とかはないはずばい…」

哩「弄られて輝くタイプは徹底的に弄り倒す、それがプロのMCいうもんやろ…」キュッキュッ


胡桃「あれ、もしかしてファン?」

哩「嫌いじゃないばい……///」キュッキュッ


洋榎「あ、おかわり…」ゴトッ

胡桃「あんた、まだ飲むの…」






はやり「いちごちゃん、今日はどうもお疲れさま~~♪」

ちゃちゃのん「は、はやりさん。 きょ、今日はどうもありがとうございました!!」ペコリン




はやり「いちごちゃん、何だか凄く緊張してたみたいだけど… 大丈夫だった?」

ちゃちゃのん「うぅ、色々とご迷惑おかけしてしまって、本当にお恥ずかしい限りなんじゃ…」


はやり「あはは、はやりは別に良いよ♪ ファンの子たちも楽しんでくれてたし、きっと今日はアレが正解だったんだよっ☆」

ちゃちゃのん「えと……」



はやり「アイドルってファンの子たちに楽しんで貰ったり、勇気付けてあげたり、夢を見て貰うための存在でしょー」

はやり「そのためのやり方っていうのも、当然 一つじゃないと思うんだ―――」


はやり「はやりたちを笑ってもらうことで、会場のみんなが元気になってくれるんなら それもきっと正解なんだよ~~」




はやり「だからいちごちゃんも、恥ずかしいとか、自分には出来ないなんて、怖がってちゃ駄目だよっ☆」

ちゃちゃのん「は、はい!! ちゃちゃのんも、もっともっと頑張るんじゃ!!」



はやり「うん、うん、その調子♪ やっぱり素直な子って素敵だよね―――」


はやり「お胸のサイズも、はやりはいちごちゃんくらいがアイドルとして最高だと思うんだ~~☆」

ちゃちゃのん「えぇっ!? ちゃちゃのんは、はやりさんが羨ましいんじゃ!?」



はやり「でも無理はしちゃダメだぞ☆ いちごちゃん、この前 撮影の時に倒れたっていうじゃない」

ちゃちゃのん「は、はぃ……」


はやり「現場の人たちに迷惑かけちゃうのもそうだけど、やっぱりファンの子たちを心配させちゃいけないからね~~」



はやり「アイドルは―――常にアイドルたれってねっ☆」テヘッ







ピリリリリリリ……

オオサカユキノ デンシャガ ハッシャイタシマス……




ちゃちゃのん(やっぱりはやりさんはとっても優しくて素敵な、凄いアイドルさんじゃったのぅ…)


ちゃちゃのん(自分がどう見られたいかとかより、ファンの子たちに楽しんで貰うことを 何よりも大切に思っちょるんじゃ…)


ちゃちゃのん(きっとはやりさんは、大切な人たちの笑顔のためにアイドルしとるんじゃろうね―――)


ちゃちゃのん(そういうトコ、やっぱりあの人に似とるんじゃ―――)





ブブッ ブブブーーー


ちゃちゃのん(哩ちゃんからメール…?)


ちゃちゃのん(クリスマスの前後に、みんなで集まってパーティーするんか…)


ちゃちゃのん(そういえば、最近 みんなと会えとらんのぅ―――)


ちゃちゃのん(せーちゃんは、今度の大会でいよいよ引退じゃな…)





ちゃちゃのん(ヒロちゃんと胡桃ちゃん、二人はクリスマスの夜 どうするんじゃろぅ……)




ちゃちゃのん(うぅん、ちゃちゃのんにゃぁ――――関係ないことじゃろ……)フルフル







ワイワイ ガヤガヤ


胡桃「わぁ、凄い人」キョロキョロ

洋榎「そら、関西リーグ優勝かかった大一番やからなぁ」

塞「優勝か準優勝で、東西頂上決戦だっけ?」

ちゃちゃのん「今年勝ったら、ウチは12年ぶりなんじゃって~~」

漫「詳しいですね」


ちゃちゃのん「もらったパンフに書いとったんじゃ~~」ホレホレ

漫「いいなぁ、皆さんはバス付きの応援ツアーですもんねぇ」

哩「こっちは自費での応援だからな…」

絹恵「はは… まぁ、私たちは学校ちゃいますしね」


漫「ていうか、ウチのとこはそもそも今日まで残れなかったし…」

漫「ヒメちゃんトコも今日出とるそうですけど、多分勝てないくらいの差がついてますね…」



洋榎「絹ンとこは、まだ十分圏内やろ?」

絹恵「ええよー、どうせ私はガッコじゃ麻雀してへんし。 知り合いも麻雀部にはおらんし―――」

絹恵「こっち側にいるのもバレへんやろうし、今日はこっちで応援するわ」

絹恵「知らない同じ大学の人より、セーラさん応援したいしなぁ!!」



ちゃちゃのん(さっき憩ちゃんトコ行ったけど、部の人と打合せしとって話せんかったな…)

ちゃちゃのん(今日 応援するんはせーちゃんじゃけど、また後で声でも掛けに行こうかの―――)







洋榎「お!」

胡桃「あ!?」

絹恵「!?」

漫「これっ……!!」


ちゃちゃのん「おおおおおおお!!」

哩「……ふっ」

洋榎「か、勝ったああああああああああああああ!!」

胡桃「す、すごい! 関西リーグ優勝!!」

塞「これ、東西戦でもいけるかもね!!」


ワァァァァァーーーーーーーッ





洋榎「お、セーラの奴、インタビューあるみたいやで!!」

塞「部長じゃないみたいだけど、エースではあるしね」

胡桃「デジカメ デジカメ―――」

ちゃちゃのん「あ… ちゃちゃのん動画撮っとくけぇ、写真頼んでもええ?」

胡桃「オッケー、後で交換しようね!」





パシャ パシャ パシャッ


セーラ「えー…… 高校時代からの悲願で、一度も成せへんかった優勝―――」


セーラ「それをついに今日、成すことが出来ました!!」


胡桃「思ったより、まともに受け答え出来てるね…」





セーラ「見とるかぁ、浩子ーーー!! 俺はやったでーーーーー!!!」ブイッ キィィィーーーーン



塞「うわ、はっずーー///」


洋榎「でもええなぁ、ああやって叫べる相手がおるって…」

胡桃「……ほんとにねぇ」


哩「………」ニヤニヤ

胡桃「うわぁ、渾身の羨ましいだろって顔」グヌヌ

洋榎「ホンマ、殴りたいわーーー」



ちゃちゃのん(せーちゃん、とっても幸せそうじゃ。 ホンに良かったのぅ……)ホロリッ



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洋榎「しっかしあれやな… セーラがガッツリ削ったから、今日試合ない ゆーこんとこが総合3位か」

洋榎「ちょっくら、祝辞述べてくるわー」

漫「あ、私も!!」



胡桃「そーいえば… 姫松の他の人とは、あんまり会ったことってないなぁ」

塞「まあ、どこまで行っても友達の友達って感じだろうしねぇ…」

胡桃「友達の友達でも、頻繁に会えたら友達にもなるんだけどね」

哩「じゃ~ 今度のクリスマスに連れてきてもらうか?」



哩「結構大きな会場も取れたし、友人連れて皆で集まって交流を広げりゃええ」

胡桃「おお、まともな提案」

哩「人脈は広げておきたいばいね」



哩「佐々野のヤツに頼めば知り合いのアイドルの子とか、もしかしたら連れてきてくれるかもしれんぞ…」

胡桃「あるかもだけど、ちゃちゃちゃん そういうの苦手そうだよね」


塞「そういえば、ちゃちゃのんもどっか行っちゃったね……?」





ちゃちゃのん「憩ちゃん、4年連続の東西戦進出 おめでとなんじゃ―――」

憩「あ、いちごちゃん。 うん、おおきにな~~♪」




ちゃちゃのん「さっき、ヒロちゃんおった?」

憩「あはは… 2位おめでとやで、2位おめでとやでって、2位を連呼されてまいましたわーー」ハハッ

ちゃちゃのん「そりゃまた… ゴメンの、ヒロちゃん無神経じゃけぇ…」


憩「まー 本当のことやさかい、別にええんやけどねーー」





憩「にしても、今日のセーラさんはホンマ強かったな~~」

ちゃちゃのん「うん、役も高いし、何かいつもより聴牌スピードまで速かったんじゃ…」



憩「きっとアレが、セーラさんの持つ強さの一つなんでしょうねー」

ちゃちゃのん「せーちゃんも能力者ってことじゃろか?」



憩「アレはウチらが呼ぶ、能力とはまた別のモンやろなーー」

ちゃちゃのん「それって―――?」





憩「確固たる信念を持つ者には、大事なところで牌が応えてくれる――――」




憩「強靭な意志のチカラがツキを呼ぶこともある、そういう古くからある精神論に近いものかもしれませんねー」



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ちゃちゃのん「えと、それって能力とどう違うんじゃ?」


憩「ウチら能力者のチカラは場の流れや確率とか、ある限定的な事象に直接干渉する イビツなチカラや思います―――」



憩「対して、さっきセーラさんが見せたアレは―――」

憩「非能力者ゆえか、もっと自然的な…… 全体に対して働きかけるようなもん やったんやないやろか―――」




憩「患部を直接切ったりして治療する、外科的な西洋医学と―――」

憩「人の本来持つ自然治癒力により全体を治療する、調和型の東洋医学とでも言えば分かり易いんでしょうかねー?」


ちゃちゃのん「ほぇ~~ なるほどの~~~」




憩「そしてそういうんは、一度ハマるとそうそう崩せるもんやないですから とっても怖いんですよーーぅ」

ちゃちゃのん「憩ちゃんでも、怖いって思うくらいなんじゃね~~」



憩「ま~ ウチらの能力と違って、自由に発動出来たりするようなもんやないですけどねーー」

ちゃちゃのん「そうじゃのぅ… あまりそれに頼るわけにもイカンよね…」






憩「なんにせよ… これでセーラさんは、プロなり実業団なりに行けるでしょうねーー」


ちゃちゃのん「せーちゃん、卒業後も麻雀一本で行くゆーとったし 嬉しい限りじゃね♪」





憩「それで洋榎さんの方は、卒業後はどうするとか言うてましたか―――?」


ちゃちゃのん「ヒロちゃん―――たぶん、今もプロを目指しちょるはずじゃけど……」


憩「そうですか――――」


ちゃちゃのん「――――?」




ちゃちゃのん「ヒロちゃんが、どうかしたんじゃろか?」


憩「これはウチの勝手な想像なんやけどーー」





憩「――――たぶん今の洋榎さんじゃ、プロは無理やと思いますよーーぅ」







ちゃちゃのん「ヒロちゃんじゃ、プロにゃぁ なれん―――?」ドキッ


憩「ま~ それがウチが彼女の周囲の人から、話を聞いてみての率直な感想ですよーーぅ」



憩「大学に進学してからの洋榎さん、麻雀部もヤメて友達との対局しかやっとらんのでしょう?」

ちゃちゃのん「そ、それはま~ そうじゃけど… それは今のうちに麻雀以外の人生経験も、たくさん積んでおこう思ってのことみたいじゃし…」


ちゃちゃのん「それに今でもヒロちゃん、哩ちゃんやせーちゃん相手でも 決して引けは取っちょらんよ―――」


憩「それは麻雀ヤメてリザベーションも抜きの哩さんと、公式戦でないセーラさん相手での話ですよねー」




憩「仮に今日のセーラさんとやって、いちごちゃんは今の洋榎さんが勝てたと思いますかーー?」


ちゃちゃのん「そ、それは… たぶん、無理じゃろうね……」グッ





憩「洋榎さん、あの人は高校時代―――あまりに負けなさすぎましたかね…」


ちゃちゃのん「確かに… ヒロちゃんは全国大会でも、常にプラスの成績を残しちょったけぇ…」


憩「それが防御を得意とする彼女の強みでもあり、自信の源にもなっとるんやと思います……」



憩「麻雀いう競技は同卓の4人で点数を競い合うもんやけど、そこに持ち点共有の団体戦いう要素も加わると―――」

憩「必ずしも不安定な一位上がりよりも、安定した2位のプラス収支の方が大事になるいうこともありますよねーー」

ちゃちゃのん「それは、ま~ そうじゃろうね…」




憩「一位上がりこそ出来んかったけど 今回も自分はプラスやし、負けたんは他の人がへこみ過ぎたせいやと―――」


憩「個人戦の時でも、彼女はそうやって納得してまうクセがあったんやないかなーー」


ちゃちゃのん「……確かに、そういうトコあるかもしれんのぅ」





憩「全国でも常にプラスの成績だった彼女のことを、一部の人たちは非能力者最強とか呼んどるようやけど―――」



憩「その自尊心やプライドゆえか… 彼女は知らず知らずのうちに―――」

憩「分の悪い能力者との対局を無難に流し、プラスで終えようとする傾向があります…」


憩「せやけど、プロの世界では誰もがトップクラス。 それら全てを無難に流すわけにはいきませんー」




憩「そもそも彼女本来の持ち味は、自由にして天衣無縫な 対局相手すらも惹きつけてまう楽しい麻雀―――」


憩「それが失われてしまっては、仮にプロになれたとしても―――今より上は目指せんやろなーー」

ちゃちゃのん「…………」




憩「もしかしたら大学で麻雀を続けんかったのも、今の自分のメッキを剥がされるのが 怖い思ったからかもしれませんよーぅ」クスッ

ちゃちゃのん「そ、そんな!? ヒロちゃんは、そんな弱い人じゃないんじゃ!!」



憩「ま~ そうなのかもしれへんけど。 ともかく彼女は、高校時代に自分の中で一つの完成形を作ってしまったんやろな」




憩「彼女はまだ完成するには早すぎる―――ウチはそんだけの才能と可能性が、あの人にはある思ってますよって―――」フフッ


ちゃちゃのん「憩ちゃん……」






憩「せやから… 今の彼女が更に進化するには、そのプライドを一度粉みじんに粉砕する必要があるんやないかなーー?」ニッコリ


ちゃちゃのん「そ、それは―――」




憩「ただ流石のウチでも、洋榎さんクラスの人を一人で完膚無きまでにヘコますんは ちょっと厳しい思いますんで―――」


憩「そのうち洋榎さん潰すのに最適な人たち見つけて遊びに行きますよって、楽しみにしとって下さいねーー♪」アハハ


ちゃちゃのん「あはは……(憩ちゃんの笑顔は、時々 怖いんじゃ……)」フルフル





麻雀部員「憩さ~ん、そろそろ集合の時間みたいですよ~~」


憩「あ、すぐ行きますよーーーぅ」






憩「あの人には――――セーラさんと一緒に、将来 非能力者の柱になって貰いたい思ってますからねーー」ボソッ




憩「それじゃ いちごちゃん、またなーー♪」バイバイ


ちゃちゃのん「あ、うん… またの―――」フリフリ








そして、あのクリスマスイブがやってきた―――




「むしろイブこそサークル単位のイベントはない」ゆーことで、結局 パーティーはイブの日になったらしい。


恋人とクリスマスの夜を過ごしたいっちゅう人への配慮からか、昼前に集合して夜の11時を解散時間にしたそうじゃ。





ワイワイ ガヤガヤ


フナQ「よっ、久しぶりやなぁ~♪」ウィィーー

ちゃちゃのん「あ、浩子ちゃん。 お久しぶりじゃね…」


フナQ「なんや自分、相変わらずジュースなんか飲んで ショボくれたツラしとんな~~」ヒック

ちゃちゃのん「浩子ちゃんは、随分と楽しく呑んどるみたいじゃのぅ…」


フナQ「そらそうやろ、イブやでイブ!! 恋人たちと、星の鼓動は愛やで!!」



フナQ「ちなみにウチは、戸田尚伸センセの惑星(ほし)をつぐ者派やねん♪ 」カカッ


フナQ「岸センセの恐竜大紀行と、てんぎゃんなんかもええな~~~」ウヒャヒャッ


ちゃちゃのん「ははは……」ナンノ ハナシジャロウ?






フナQ「て言うか、自分… この前のセーラからのウチへの愛の告白、ちゃんと聞いとったんやろな~~♪」エイドリアーーン!!


ちゃちゃのん「う、うん… とっても情熱的じゃったのぅ…」ハハッ




オーーイ ヒロコーーー ドコイッタンヤーーー?


フナQ「おっと、ダーリンからのお呼びが掛かったみたいや。 あの寂しがり屋さんが~~~」カッカッカ


ちゃちゃのん「あ、浩子ちゃん。 そんじゃ、またの…」フリフリ


ちゃちゃのん「…………」




浩子ちゃんの他にも たくさんの友達の友達が集まり、会場はちょっとした社交パーティーみたいじゃ。



きっとこん中から、未来のプロ雀士になる人もたくさん出ることじゃろぅ。





そしてこの日は、ちゃちゃのんたちにとって―――



決して 忘れることの出来ん、思い出深い日となったんじゃ――――



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ワイワイ ガヤガヤ


ちゃちゃのん「………美味しいんじゃ」ボソッ



哩ちゃんの手料理は暖かくて、とっても美味しかった。



きっと哩ちゃんは、素敵な料理人とお嫁さんになれるじゃろうね。



会場はとても盛り上がっとって、ベロベロに酔いつぶれて居眠りする人までいるようじゃ。



こういう会場の持つ熱気みたいなモンに当てられ、ちょっとのぼせそうになる。



ちゃちゃのん(外に出て、少し夜風にでも当たろうかの…)





ちゃちゃのん「ひゃ~~ 今夜はいつにも増して、冷え込むのぅ…」ハァ


ちゃちゃのん「ありゃ、息が真っ白じゃ。 もしかしたら、雪でも降り出すかもしれんね…」



冬空の下の寒気が 上気した肌から熱を奪っていくのが感じられ、ええ気持ちじゃった。





ちゃちゃのん(…………)


ちゃちゃのん(何となく… あの場所に自分の居場所など、ないような気がしてしまう…)


ちゃちゃのん(ヒロちゃんたちと再会する以前によぅ感じとったこんな気持ちに、ちゃちゃのん 何で今更なっとるんじゃろぅ…?)




ちゃちゃのん「―――大阪の夜空は、やっぱり鹿老渡ほどロマンチックではないのぅ…」



そうやって暫くボンヤリしちょったら、視界の端によく知る二人がうつり込む。





あれは、ヒロちゃんと胡桃ちゃん。



いつになく真剣で、とても照れた様子のヒロちゃん。



前を歩くヒロちゃんと、静かにそれについていく 緊張した面持ちの胡桃ちゃん。




方向からして、二人は公園の方へと向かったみたいじゃ――――







ちゃちゃのん「ああ、今日が… そうなんじゃね―――」



何故じゃかそれを見ただけで、すんなりと納得出来てしまった。





ヒロちゃんと胡桃ちゃん。


最近も二人は、一緒にいることが多かったようじゃが…


まだ周囲からは、二人が正式に付き合い始めたゆー話は聞かされとらんかった。




もしかしたら、二人は既に―――とも思ったんじゃが…


塞ちゃんと哩ちゃんが、そのことに気付かんとも思えんし


何よりそうなった時に、ヒロちゃんたちが そのことをみんなに隠しておくとは思えんかった。


少なくとも、ちゃちゃのんたちの仲はそれくらいの信頼関係で成りたっとったはずじゃ。





ちゃちゃのん「これも… ちゃちゃのんの勝手な、希望的観測ゆーヤツなんじゃろか…」



そんな自嘲めいたことを思ってみたりもしたが、それはみんなに失礼じゃなと自己嫌悪する。






それに何となく、そうじゃないかと思っとったんじゃ。



だって、ちゃちゃのん―――今日一日、ずっとヒロちゃんのこと見とったけぇ……







今日は朝から、ヒロちゃんの様子がいつもと違って感じられた。



いつもこういう席では進んでお酒を口にするヒロちゃんが、今日はずっとソフトドリンクを飲んどった。


いつも通りハイテンションに振舞っとったけぇ、傍目で見ればそうと気付かんかもしれん。


ましてヒロちゃんは飲んでもあまり赤くならんけぇ、親しい者ほどいつも通り飲んどるって勘違いしてしまう。



それにカクテルかチューハイじゃ言わんばかりに、必要もないマドラーをソフトドリンク入ったコップにさしとった。


それでちゃちゃのんにも、何となく察しがついたんじゃ。




今日がヒロちゃんにとって、何か特別な日になるんじゃなって――――









――――恋人の魔法は… もぅ解けてしもぅたみたいじゃね…




ちゃちゃのん「ふふ、馬鹿じゃよね。 もぅあん時に、この気持ちも全部ウソにしたはずなのに…」



ちゃちゃのん「何でちゃちゃのん… 今でもヒロちゃんのこと、自然と目で追ったりしとるんじゃろぅ…」



ちゃちゃのん「はぁ… 未練がましいったらないんじゃ――――」







12月14日のちゃちゃのんの誕生日―――



今年はこのイブのパーティーもあったけぇ、特にみんなで何かしようゆー話もなかった。



去年の誕生日の夜は、ヒロちゃんにお祝いしてもらったんじゃったな。



たった一年前のことなのに、何だか随分と昔のことみたいに感じられるんじゃ。






あの頃は…



まだ何も考えずに仲良しの親友として、ヒロちゃんと接することが出来とった。



プレゼント品評会やったり、一緒にストロベリーミルクゆーカクテル飲んだり、一緒のお布団で寝たりもしたのぅ。



思い出すと恥ずかしさのあまり転げまわりたくなるような出来事も、今ではええ思い出じゃ。





ヒロちゃんたち、みんなと出会ってからの大学生活は―――ホンに楽しいことばかりじゃった。







ゴールデンウィークに、みんなと出かけた大阪観光。



ヒロちゃんと親友になれた、にゃんカフェバイトの夜。



初めてヒロちゃんちに行った七夕の夜に見た、大阪の星空。



ヒロちゃんと初めて二人でした、あの日のお買い物。



大晦日、みんなと一緒にお伊勢参りなんかもしたのぅ。



映画撮影やったり、ゲリラライブしたり、ドキドキがいっぱいじゃった。




あん時は きっとちゃちゃのんも、あのキラキラしたモンの中にいたんじゃよね。



何だか、ホンに随分と昔のことみたいに感じられるんじゃ――――







――正直 ウチはアンタの恋路とか、そういうのどうでもええねん



――ただ、何もせず… 何の答えも出さずに不戦敗とか、そういうのイっちゃんイヤやねん



――せやから、もし好きなヤツがおるんなら



――自分みたいのは無様な突撃かまして、盛大に玉砕でもしてまえばええねん……





ちゃちゃのん「アレ、なんでじゃろ……?」



不意に、いつの日だったか―――



浩子ちゃんに言われた言葉を思い出す。





ちゃちゃのんは―――



その答えゆーモンを―――ちゃんと出すことが出来たんじゃろか……?







――そんでヒロちゃん、この前の胡桃ちゃんとの誕生日デートは楽しかったん?


――ん、まぁ… そうやな、オモロかったで~~



――そうそう、この前ちゃちゃと行った雑貨屋。 いいんちょに教えたったら、気に入ったみたいやで!!





――何だか、ヒロちゃんデート慣れしちょるの…


――まぁ、いいんちょとは何度か来とるし……





――ほな、手、つないどこか~


――こ、コドモ扱いしないでってばっ!!


――ウチら、こうやって手ぇ繋いでたら 恋人に見えたりするんやろか?





ちゃちゃのん「出せたとか、出せないじゃない―――」



ちゃちゃのん「答えなんて、もぅ 最初から出とったじゃろ――――」ギュッ






それにちゃちゃのんは―――



何もヒロちゃんを、自分のモノにしよう思ったわけじゃないんじゃ――――





――ちゃちゃのんは… 胡桃ちゃんのエスコート役は、てっきり塞ちゃんじゃと…



――就職のこととか 考えてなかったわけじゃないけど、大学卒業したら 一度あっちに帰ろっかなぁ……



――胡桃は―――あの子は卒業した後のこと、どう考えてんだろ……



――胡桃といるとさ、何か 明日も頑張ろーーって気にさせてくれるっていうの?



――でも、胡桃に恋人とか出来たら―――きっと、そういう時間もなくなるんだろうね…



――いくら姉妹みたいなもんでも、いつかはそういう日が来るって 分かってるからさ……



――その時は、ちゃんとお祝いするよ――――





そういえば、今日の塞ちゃんからは香水の香りがした。



普段 そういうのすることのない彼女じゃけぇ、少し気になっとった。






塞ちゃんにとっての胡桃ちゃん。



二人が親友として、姉妹として過ごしてきた時間。





塞ちゃんは―――



きっと胡桃ちゃんのことを―――




一人の女性として、愛しちょるんじゃと思う――――







塞ちゃんは今日、胡桃ちゃんに その想いを伝えるつもりだったんじゃろか―――?




それとも 今の二人の関係を壊さないため、このまま何もせんつもりなんじゃろか―――?







ちゃちゃのんは―――




ただ大切なモノ、守りたかったんじゃ―――




みんなと過ごした、あのキラキラとした時間を壊さないため―――








だからあの日、ウソをついた―――




みんなとの幸せな時間、失いたくなかったけぇ――――












「――――――ちゃちゃ」





その時、不意に私が耳にしたもの――――それは大好きだった、貴方の声。








ちゃちゃのん「――――ひ、ヒロちゃん………?」



初めは幻聴かとも思ったけど、確かに貴女はそこにいた。




洋榎「なんや自分、顔 真っ青やで!! それにメッチャ身体 冷えきっとるやないか!?」


ちゃちゃのん「そ、そうじゃろか……」




顔が真っ青―――?



身体が冷えきっちょる―――?



そう言われるまで、全く気が付きもしなかったんじゃ……





洋榎「すぐ何か買ってくるから、とりあえずウチのコートでも羽織って待っとけな」ファサッ


ちゃちゃのん「あ、うん……」




何でこの人はこんなトコにおって、私のことを心配してくれとるんじゃろう……?





タッタッタッタッ


洋榎「ほれ、あつあつの缶ジュースやで。 身体暖まるから、これでも飲んどき」ホイッ


ちゃちゃのん「あ、ありがと……」



カシュ カシュ…


洋榎「何や、指かじかんで開けられんのか? 相変わらず、すっとろいやっちゃな~~」カカッ


ちゃちゃのん「あぅ、そんなことは、ないんじゃ…///」



洋榎「ホレ、ウチが開けたるから ちょい寄越し」ヒョイ プシュッ


洋榎「ほいっ」


ちゃちゃのん「ん……」



コクコクッ

ちゃちゃのん「ふぁ… ぬくぬくじゃ…」


ちゃちゃのん「でも、おしるこて… ちょっと飲みにくいんじゃ…」


洋榎「ホットのいちごオレ、見つからんかったんや。 味覚がお子様の自分には、缶コーヒーは早いやろうしな♪」カッカッカ


ちゃちゃのん「むぅ… ミルクたっぷりなら、平気じゃもん!!」




最近、あまり二人きりで話してなかったけぇ―――



こういうヒロちゃんとの軽口が、何だかとても懐かしいものに感じられた。





洋榎「だいぶ落ち着いたみたいやな」


ちゃちゃのん「あ、このコート… ヒロちゃんだって、それじゃ寒いじゃろ…」


洋榎「え~て、え~て、もぅ少し貸しといたるわ」





洋榎「最近… こうやってサシで話す機会も、なかった気がするな…」


ちゃちゃのん「そ、そうじゃったかの…」



洋榎「……ゼミと仕事、相変わらず忙しいんか?」


ちゃちゃのん「う、うん……」コクリ






それは―――半分は本当で、半分はウソ。



ちゃちゃのん、ヒロちゃんのことを ずっと避けとった。




会えない時間はツラかったけど、会えばもっとツラくなると思ったけぇ――――






洋榎「………」


ちゃちゃのん「………」


洋榎「………」


ちゃちゃのん「ヒロちゃん……」


洋榎「ん………?」




ちゃちゃのん「……どうして、こんなところにおるん?」


洋榎「どうしてて、そりゃ―――」



洋榎「自分が会場のどこ探しても おらんかったから―――」





ちゃちゃのん「―――さっき、胡桃ちゃんと公園の方に行ったじゃろ…」


洋榎「あちゃ… アレ、見られとったんか…///」



洋榎「ちょっといいんちょと、大事な話しとってな……」






胡桃ちゃんと、大事な話―――



分かってはいても、ヒロちゃんの口から聞かされると やっぱりツラいのぅ―――





ちゃちゃのん「そ、そんなら―――」



ちゃちゃのん「いつまでもこんなトコにおらんで、早く戻らにゃぁ イカンじゃろ……」


洋榎「……………」





洋榎「今は、戻れん―――」


ちゃちゃのん「…………?」






そう言った、貴女は―――




何かを決意したような真剣な面持ちで、とつとつと言葉を紡ぎ始めた――――







洋榎「あのな、最初は別に… そんなんやなかったんやで…」


洋榎「ただの昔の知り合い。 その程度や思っとった…」



洋榎「せやけど…」


洋榎「久しぶりに会って話してみたら、すっごく楽しくて… 何や、気持ち浮かれてまってなぁ……」




洋榎「だから、ついつい 一緒に居るようになって…」


洋榎「出来ることなら、もっとずっと一緒にいたいって―――」


洋榎「そう思って、ウチの方から結構 声かけたりもしたんやで……」


ちゃちゃのん「…………」




洋榎「……初めは、コレもきっと友情の一種なんやろなって―――」


洋榎「そう思っとったんや……」





洋榎「セーラとフナQのヤツが… 前に一度、本気で別れそうになったことがあるんやけど―――」


ちゃちゃのん「…………」




それは以前に浩子ちゃんから聞いた、二人の話じゃった……







洋榎「遠距離恋愛いうことで、きっとお互いに不安とかいっぱいあったんやろ~な」


洋榎「そん時、ウチもセーラからいろんな話を聞いとってなぁ―――」




洋榎「そんで―――自覚した」



洋榎「ああ、それじゃあ ウチのこの気持ちも、恋なのかもしれん―――って」




何でそんなことを、ちゃちゃのんに話すんじゃ――――






洋榎「あ~~ その、なんや…」


洋榎「初めて会った時は… なんやイケ好かんヤツやな~~くらいに思っとったんやで」ポリポリ


洋榎「別に運命とか、そんなん感じたわけでもないしな…」



洋榎「でも大学で再会した時にな、何や不思議とビビビッときたっちゅうか なんちゅうか―――」


洋榎「よぅ分からんのやけど、とにかく胸が高鳴ったんや!!」



洋榎「一緒におると、めっちゃ楽しくて……」


洋榎「―――て、コレはさっき話したか…?////」タハハ


ちゃちゃのん「…………」





洋榎「べ、別に見た目が好みとかってわけやないんやで!!」


洋榎「何やチビやし、ガキくさいヤツやし……」


洋榎「大体、ウチ… 最近まで、自分はノーマルやって思っとたし―――///」





洋榎「―――でも、そういうの全部 吹っ飛んで関係なくなってまうくらい……」




洋榎「真剣に、惚れてまったんやろな――――」




違うじゃろ……







洋榎「だから、ウチな……」




ちゃちゃのん「違うじゃろ―――」




洋榎「ちゃちゃ―――?」






ちゃちゃのん「それを言う相手は… ちゃちゃのんじゃのぅて、胡桃ちゃんじゃろ…」




ちゃちゃのん「なんで、ちゃちゃのんに――――そんな話を、わざわざ聞かせるんじゃよぉ……」



洋榎「な―――!?」





洋榎「なんでそこで、いいんちょが出るんや!!」




ちゃちゃのん「そんなん、ヒロちゃんが―――」グッ




ちゃちゃのん「胡桃ちゃんのことを、好きだからに決まっとるじゃろ!!」




洋榎「ち、違う――――」








洋榎「ウチは――――ウチはちゃちゃのことが、好きやねん!!」





ちゃちゃのん「―――――!?」








イッキに頭の中が真っ白になるのが分かった―――





目の前にいる貴女が何を言っているのか、理解が追いつかなかった――――








洋榎「いいんちょには、そのことで相談にのってもらっただけなんや!!」




でも、それじゃ…



胡桃ちゃんの貴方への想いは、いったいどうなってしまうんじゃ―――





ちゃちゃのん「胡桃ちゃんは、きっとヒロちゃんのこと――――」





洋榎「――――いいんちょは、ウチの大切な親友や」





とてもツラそうでいて―――




それでも迷いはないという決意の表情で、貴方はそう言った――――








洋榎「―――ホンマに、ちゃちゃのことが好きやねん」







洋榎「頼む――――ウチと、付き合って下さい…………」









決して聞くことなどない思っとった、大好きな貴方からのその言葉。




決して触れ合うことなどないはずだった貴方の心が、手を伸ばせば届くところにある。




そのことが ただただ嬉しくて、胸は激しく高鳴り、両の頬は紅潮し、瞳からはポロポロと涙が溢れ出た。





でも胡桃ちゃんの、胡桃ちゃんの貴方への一途な想いは どうなるんじゃ―――







あの日、あの時ついた、私のウソ―――




私は、貴方への想いよりも――――みんなとの変わらない関係を、あの時に選んだんじゃ。





私は、貴方のこと―――




もぅ既に一度、諦めてしまったんじゃ――――







小さい頃の私は―――



告白を受けるたび、どう答えればええか分からず…



ただ涙を流して、時が過ぎ去るのを待つような子じゃった。



そんなことをしても、その事実が消えるわけでもなく―――何の解決にもならんゆーのに。






ちゃちゃのん「うっ、うぅぅぅ…………っ」ポロポロ



洋榎「ちゃ、ちゃちゃ―――」




とても嬉しいはずなのに、凄く悲しくて、呼吸も満足には出来ない程に、胸が痛くて張り裂けそうで…




とめどなく溢れ出る私の涙に、とても戸惑う貴方。





貴方のこと、困らせたいわけじゃないのに―――




この涙は、ちっとも止まってはくれなくて――――







――胡桃は―――あの子は卒業した後のこと、どう考えてんだろ……




――胡桃といるとさ、何か 明日も頑張ろーーって気にさせてくれるっていうの?




――でも、胡桃に恋人とか出来たら―――きっと、そういう時間もなくなるんだろうね…




――その時は、ちゃんとお祝いするよ――――





不意に、混乱する思考に割って入ってきた ある一つのイメージ。







その次に、ちゃちゃのんがしたことは―――






大好きな貴方の気持ちに、ただ静かに頷くことじゃった―――――










ちゃちゃのんからの返事を貰えた貴女は―――




子供みたいな笑顔ではしゃぎ、そしてちょっぴり涙ぐんどった。




決意を持って気丈に振舞っとった貴方も、本当はとっても不安で不安で仕方なかったんじゃろうね。




大好きな貴方のその笑顔を守ることが出来て、ちゃちゃのんもとっても嬉しいんじゃ。







嬉しいはずなんじゃが……




何じゃろう、この虚ろな気持ちは―――




これがちゃちゃのんが憧れとった、幸せなんじゃろうか――――







結局、風邪をひいたかもしれんゆーことで



その日 ちゃちゃのんは会場には戻らず、そのまま帰宅した。



送ってくれるという、貴方からの申し出もあったが 遠慮した――――







サクサクサク…


ちゃちゃのん「雪じゃ……」




一人放心するよう、ゆっくりと電車に乗り―――



最寄りの駅に着いた頃にゃぁ、雪が降り出し 積もり始めちょった。





大好きな貴方からの告白を受け、付き合い始めることとなった思い出の聖夜。




ちゃちゃのん「ホワイトクリスマス……」





一人で眺める、電飾に彩られた聖夜の雪化粧が―――




ちゃちゃのんの心を、より寒く冷やしていく気がした――――







【いちご日記】




12月24日(ゆき)









いちごは、サイテーじゃ……




















いちご「の~ ばっちゃ…」


いちご「なして、まあじゃんは せっかく出会った大事なハイたちを、捨てにゃぁ いかんのじゃろ…」



いちご「ちゃちゃのんは、どの子とも お別れなんかしたくないんじゃ…」


いちご「ちゃちゃのんは… いつもみんなと一緒の方が、うれしいんじゃ……」



老婆「そうじゃのぅ… 確かに いつまでも、みんなで一緒にいられたらえ~の~~」ナデナデ






いちご「―――おとうさんは、いつ 戻ってくるんじゃろ…?」


老婆「…………」




老婆「ちゃちゃのん、何にでも別れっちゅうものは あるもんじゃ…」



老婆「―――そう遠くない未来… いつか婆っちゃも、ちゃちゃのんの前からいなくなるんじゃよ…」


いちご「ばっちゃが、いなくなっちゃうの……?」




老婆「そうじゃ―――それはどうしようもない、決まりごとなんじゃ…」



いちご「そんなん、イヤじゃょ~~~~」ポロポロ




いちご「ちゃちゃのんと、ずっと一緒にいてくれんとイヤなんじゃよ~~~」フエェーーーーーーーン







いちご「ふぇぇ~~~~ん、えん、えん……」


老婆「お~~ よしよし。 ホンに、ちゃちゃのんは泣き虫さんじゃの~~~」ナデナデ





老婆「ええか… 生きるっちゅうんは、そういうことなんじゃよ…」



老婆「ツラくて悲しい、受け入れられんような別れもあるじゃろぅ。 それは避けられんのかもしれん―――」



老婆「そんでも、それに負けずに生きてりゃ―――ドキドキと心の踊るような、嬉しい出会いだって きっとあるはずじゃて…」





老婆「いっぱい悩みゃ~~ええ、ツラい時ゃ いっぱい泣きゃ~~ええじゃろ」



老婆「そんでも全てを投げ出して、全部を無かったことにするんは駄目じゃ…」



老婆「それは、やっちゃいけねぇ―――」






老婆「それによ、サヨナラした牌たちとだって…」



老婆「ゲームを降りなきゃ、またいつかコンニチワも出来るじゃろ…」



老婆「だからよ、それでええんじゃ――――」ギュッ













【咲-Saki- SS】 ちゃちゃのん・大学編 -いちご味-



ちゃちゃのん「おかえりなさい」









第三章 オレンジワルツ









カンッ!






【幕間】




~ 佐々野いちごの『チャチャのんのん☆Radio♪』 短縮 特別版 ~





塞「えっと、皆さん こんばんは…」ガチガチ

胡桃「…………」



塞「ちゃちゃのんが体調不良ってことで、今回は短縮 特別版らしいんだけど―――」

塞「ちゃちゃのんったらクリスマスに身体冷やしたか、お正月にお餅食べ過ぎたかしたのかな…」ハハ…



塞「ま、ま~ その代理として、今回 何故か私たち二人が急遽 呼び出しくらっちゃいました…」

塞「正直、何を話せば良いのかとか全然分からないんだけど、とりあえず宜しくお願いします」ペコッ


塞「え、私の名前? あ、はい… 臼沢 塞です。 ほら、胡桃もご挨拶を―――」


胡桃「鹿倉… 胡桃です……」ボソッ




塞「物語の佳境だった三章も何とか終了ということで、次はいよいよ終章ですね」


塞「この話の原作でもある『胡桃と洋榎の大学SS』を、既に読まれたことある方なら分かると思うんですけど―――」

塞「実はこの三章のクリスマスで、原作エピソードは ほぼ終了しちゃってるのよね」



塞「―――というわけで、終章は ほぼここの筆者が勝手に考えた『俺の考えた超人』的な、オリジナル展開になっちゃってます」

塞「出来る限りすばらな原作の雰囲気を壊さないよう努力してるつもりですけど、如何せん実力不足で拙い部分なんかも多々あるんじゃないかな…」



塞「ぶっちゃけ、『この先の話なんて蛇足なんじゃないの――?』とか思う部分もあるわけですけど…」

塞「ちゃちゃのんの物語としてここで終わらせるのは、やっぱりちょっと違うかな~~とか考えたそうです」


塞「ま~そんな感じで、最後まで楽しんで貰えたら 嬉しいかな~~と思ってます」ハハ…





塞「物語も終盤ということで、段々と欝展開が増えてきてるのは申しわけないトコでしょうか…」


塞「ちゃちゃのんを始めとする咲キャラを、もっと好きになって欲しいと思って書いてるのに―――」

塞「むしろこれ読んでちゃちゃのんのことキライになる人とかいそうで、そのへんちょっと不安だったり…」



塞「それと話の内容的に胡桃ファンの方にはツラい展開になってしまって、本当に申しわけないです」ペコリ

塞「筆者も胡桃のこと好きみたいなんだけど… これに関しては、ま~ デリケートなトコだと思うしね…」

胡桃「塞、そーゆーのいいから―――」


塞「あ、うん。 ゴメンね、胡桃……」





塞「なお終章では、ちゃちゃのん以外のキャラへの視点変更が数回入ります(これ重要!!)」




塞「構成力ないここの素人筆者が視点変更とか安易に使うと、読み手の人の混乱にも繋がると思いまして―――」

塞「これまで極力やらない方向で 進めてきたんですけど、話の展開的にどうしても必要だと思って そういう形式にしたみたい」


塞「後はこれまでずっとちゃちゃのん目線だったのを切り替えることで、他のキャラから見た『ちゃちゃのん』も描きたかったのかもね」






塞「ジャン=ピエール・ポルナレフではない方の ジャン=ポール・サルトルさんは、『地獄とは他人である』と言ったけど…」

塞「他者の視線に晒されることで、人は一つの存在として凝固し、対自から即自存在として確定されるってトコかしら」

胡桃「塞。 話が堅いし、何を言ってるのか 分からないんだけど…」

塞「あぁ、うん。 筆者もよく分かってないから大丈夫…」


塞「要するに一人のキャラを多面的に描きたいなら本人視点の他に、第三者目線っていうのも必要かもねってことで良いんじゃない?」




塞「とりあえず終章では視点変更入るから、気をつけてねってことかな(大事なことなので、二回言ってみました)」





塞「それじゃぁ、今回は短いですけどお喋りはこのくらいにして―――」


塞「この後にてきとうなあらすじとか、どうでも良い登場人物紹介があって、それからぼちぼち本編再開みたいですよ」


塞「本編の方。 だらだらと無駄に長くなっちゃってますけど、ちょっとでも楽しんで貰えたら嬉しいかな♪」



胡桃「―――終章、私たちの出番あるのかな?」

塞「う~~ん、どうだろうね…」




塞「それでは、さようなら~~」フリフリ

胡桃「バイバイ……」フリフリ






カンッ!



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【~ショート ショート~】芋けんぴ、白馬の王子さまは動かない



洋榎「清老頭や。32000──思ったより痛いんちゃうか?」


ちゃちゃのん「そんなん考慮しとらんよ……」 ポロポロ





【鹿老渡高校 宿泊ホテル】


チュンチュンチュンチュン


ちゃちゃのん「…………」パチッ


ちゃちゃのん「―――チュンチュンが、チュンチュン鳴いちょる…」


ちゃちゃのん「最悪の寝覚めじゃ…」


ちゃちゃのん「もう何日もたつのに、未だに立ち直れん……」ゴソゴソ




ちゃちゃのん「ありゃ、ちゃちゃのんの 芋けんぴがないんじゃ―――」


陽気な妹ちゃん「あはは、あの芋けんぴ ちゃちゃのんのだったんじゃな!?」


陽気な妹ちゃん「ゴメンの~~ ボクが全部 食べちゃったんじゃ~~」テヘペロッ


しっかりものの妹ちゃん「もぅ、ホンに意地汚いんじゃから―――」


ちゃちゃのん「あぁ、別にええんじゃ… ちゃちゃのん、そういう気分でもなかったけぇ……」




『今日の占い、カウントダウーン!!』


『今日もっとも良い運勢は―――』



陽気な妹ちゃん「あっ、ボク『おはスタ』の方がええんじゃ♪」エイッ ポチッ

しっかりものの妹ちゃん「お子さまじゃのぅ~~」


陽気な妹ちゃん「そんなことないんじゃ、『コトリサンバ』もやっちょるよ♪」



ちゃちゃのん「はぁ、憂鬱な朝じゃのぅ…」フゥ






芋けんぴ、白馬の王子さまは動かない

カンッ!



白望「芋けんぴ、髪に付いてたよ」
白望「芋けんぴ、髪に付いてたよ」 - SSまとめ速報
(http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1348575833/)


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【― これまでのあらすじ ―】



高校卒業後、大阪の大学へと進学した佐々野 いちご(ちゃちゃのん)


ちゃちゃのんは大学二回生の春に、かつてインハイで破れた相手でもある愛宕 洋榎と再会する。


成り行きのままに、愛宕 洋榎、鹿倉 胡桃、臼沢 塞、江口 セーラらと一緒のサークル(?)に入ったちゃちゃのん。


サークルメンバーのたまり場となっている喫茶店でバイトをする浪人生の白水 哩、元姫松高校の絹恵や漫たちとも知り合う。


そして大学三回生になったちゃちゃのんは、自らの中にある愛宕洋榎への恋心に気がつき―――


そして、彼女たちの運命の輪が廻り始める。



みたいな話です…





【先人たちの、ありがた~い教え】


1、ぱんつは盗むな履かせるな

2、アカギには関わるな

3、ラスボスには触れるな

4、主人公を安易に殺すな

5、むやみにコンマを願うな





【― 登場人物紹介 ―】


※この登場人物紹介はこの作品内に於ける、各キャラクターたちの紹介文です。

原作 咲-Saki- のモノとは著しく異なりますのでご注意下さい。





◇ 佐々野 いちご(ささの いちご)(ちゃちゃのん)…12月14日生まれ。身長148cm(高校当時)



原作では、ほぼモブ的な扱いの本作主人公。 広島弁。

広島県 鹿老渡高校出身で、現在は洋榎たちと同じ 大阪の大学に通っている。

見た目は咲-Saki-キャラ屈指の可愛さを誇り(アニヲタWiki(仮)より抜粋)、当然 異性からは相当モテる。

高校時代からアイドル的人気のある美少女だったが、男の人はちょっと苦手らしい。

家庭の事情により家族とは疎遠になりがちなようだが、家族のことを大切には思ってる。 鹿老渡の婆っちゃ大好き。

大学進学後は大阪の事務所に入り、本格的にアイドル活動を始めるが…



性格は気弱で臆病なのんびり屋。 その場の状況に流されやすく、プレッシャーにも弱い。

日頃から用意周到をモットーとしているが、傍から見れば結構考慮出来てない。

とっても良い子。 努力家で勉強はそこそこ出来るが、ちょっと天然気味なアホの子 その1。

人見知りする方だが、仲良くなると途端にベタベタしだす、甘えん坊タイプ。

好きになった相手には、とことん尽くす性格。 駄目な人に引っかからないか心配。

綺麗なものや可愛いものが大好きで、怖いものや争いごとはとても苦手。

キャラクター生態系的には、ほぼ底辺にいるスライムのような存在。 あまり苛め過ぎないであげてね。


「底辺で這いずる者を見ておくのも、たまには…ね?」




尚、ちゃちゃのんの性格は原作 咲-Saki-というより、『胡桃・洋榎の大学SS』他、OSaKadAteQさんのちゃちゃのんをベースに

残りの味付け部分として、これ迄に松来未祐さんが演じられてきたキャラクターの要素を足した感じになってます。

やきうスレの方のちゃちゃのんは、洋榎をキングボンビーと呼んだり洋榎をライバル視してるトコもありますが、

こちらのちゃちゃのんは大学SS寄りなので、そういう要素はあまりありません。

勝てないと分かりつつも洋榎に置いていかれたくない一心で、必死に頑張るちゃちゃのんもいじらしくて凄く好きなんですけどね。

佐々木じゃのうて、ちゃちゃのんの名前は佐々野じゃ!!


主な呼ばれ方……佐々木、佐々野、いちご、ちゃちゃのん、ちゃちゃ、ちゃちゃちゃん、のんちゃん、赤ずきんちゃちゃのん





◇ 愛宕 洋榎(あたご ひろえ)7月18日生まれ。身長155cm(高校当時)



愛宕ネキ。 西の天才セサリスト。 後ひっかけの洋榎。 大阪弁。

大阪府 姫松高校出身で、基本的に頭はキレるが勉強は出来ないアホの子 その2。

現在はちゃちゃのんと同じ大阪の大学に通っており、サークルの発案者でリーダー格。


元々は麻雀特待生として大学入学したのだが、ノリが合わなかったという理由で麻雀部からはドロップアウト。

二回生の時に、ちゃちゃのん達の所属する非公式サークルをセーラや胡桃らとともに作る。

とりあえず集まって楽しいことしようが趣旨のごらく部で、特に明確な活動目的とかはない。



性格は楽しいこと大好きなお祭り娘で、誰とでもすぐ仲良くなれるタイプ。 悪く言うと厚かましい。

自由奔放で自信家のムードメーカー+トラブルメーカーだが、恋愛方面に関しては案外ヘタレなところもある。


対局中も口数が多く、トラッシュ・トークも多いため、対局者に注意されることも。

オカルト能力こそ使わないが、非常に優れた読みとカンを合わせ持ち 純粋に麻雀が強い。

楽しい麻雀が大好き。 つまらない相手はデク。 本来は防御を得意とし、ネットとかだと非能力者最強とか言われることもある。


「精神的プレッシャーは感じない、ただ強いだけだ」




妹はサッカー推薦で大阪の別大学に進学した愛宕 絹恵。

母親は元プロ雀士であり、千里山女子の監督をする愛宕 雅枝。

従姉妹には船久保 浩子がいる。 呪われた愛宕の一族である。



主な呼ばれ方……洋榎、ヒロちゃん、お姉ちゃん、ヘタレ、愛宕姉妹の残念な方、カニ道楽、ヤシガニ


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◇ 鹿倉 胡桃(かくら くるみ) 9月15日生まれ。身長130cm(高校当時)



岩手県 宮守高校出身。 表情の変化の少ないちびっこ。 ツッコミ役。

ちっちゃいけど結構気が強い委員長タイプで、わりと毒舌(ちっちゃくないよ!! )

マナーにも厳しく、対局時のトラッシュトークや無駄口の多い洋榎はよく叱られる。


「清澄には通用したみたいやけど一緒にしてもろたら困る、格が違うわ」

「そーゆーのいーから点数申告!」

「あ…… 5200です…」



麻雀の特徴として、火力は低いが守備が非常に堅い。

対局時はリーチをせず常にダマテンというスタイルで、テンパイ察知が困難。

一部では遠野物語に因んでカクラサマと呼ばれているが、それがオカルト能力なのかどうかは不明。



この作品の原作『胡桃・洋榎の大学SS』に於ける主人公。

大学で再会した洋榎に対して、友達以上の特別な感情を持っているようだが…

筆者も好きなキャラなんだけど、どうしても損な役回りになっちゃう可哀想な子。

大学一回生の時に同大学の洋榎と再会し、成り行きでサークルメンバーになることに。

浪人生だった漫の家庭教師の先生をしていた経緯から、漫からはセンセーとして慕われている。



主な呼ばれ方……胡桃、胡桃ちゃん、いいんちょ、センセー、座敷わらし、河童、ビリケンさん


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◇ 臼沢 塞(うすざわ さえ) 2月15日生まれ。身長154cm(高校当時)



岩手県 宮守高校出身。 赤髪お団子ヘアーと前髪パッツンが特徴的な女の子。 ツッコミ役。

作中屈指の常識人。 恩師に貰ったモノクル(スカウター)を愛用する知的文学少女。 でも理系の現実主義者。

同じ宮守高校だった胡桃と白望(シロ)とは昔からの友人で、姉妹のような関係(スール的でない方の)

ゼミ多忙な今でも週に一度は胡桃の家に泊まって、のんびりまったり過ごすのが彼女の習慣。

とても報われない恋してます(愛するがゆえに、見守る愛もあるんだよ…)



能力は見つめた相手の能力や役の進行を塞ぐ、防塞の力。

ただし、この能力は精神力と体力を激しく消耗するため、対局中ずっと使えるわけではない模様。

能力発動時に自らを塞の神さまとして振舞ったりと、ちょっと中二なトコもある。


「さァ かかってくるがいいよ…」

「悪石の巫女…!!」



親友である胡桃の紹介で洋榎たちと知り合い、成り行きでサークルメンバーになることに。

哩の働く喫茶店の常連で、メンバーが店にたむろするようになったのは塞の紹介がきっかけ。

メンバーの中ではちょっと距離を置き、保護者的な大人ぶった態度で自分の本音を隠す傾向がある。



主な呼ばれ方……臼沢、塞、塞ちゃん、ザワ、怪盗キッド、おばーちゃん、お団子、木星帰り、ハモンさん、


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◇ 江口 セーラ(えぐち セーラ) 4月22日生まれ。身長160cm(高校当時)



大阪府 千里山女子高校出身で、バスの発着を教えてくれるナイスガイヤデー

ショートカットのツンツン髪に学ラン羽織った出で立ちと男性的な格好を好み、スカートは苦手。

俺っ子だが、意外とお持ちのようだ(俺は男だ!!)

高い身体能力を持つ体力バカで、非常にアクティブ。 ここぞという場面で力を発揮する主人公タイプ。


細かいことに拘らないさっぱりとした男前な性格で、度量の方も大きい。

とても仲間思いで、自身の勝利よりもチームの勝利を最優先に考えている。



闘牌スタイルは基本的に高火力偏重型で、リーチを多用し大きく稼ぐのが得意。

ツモ上がりが多く、ここぞという場面での豪運火力っぷりにはワシズ様も目を見張るかもしれない。


「3900(ザンク)を3回和了るより、12000を和了る方が好きやねん」



同年代で同じ大阪出身の洋榎とは、以前からライバルであり親友の間柄。

洋榎と同じく麻雀特待生として大学入学。 麻雀部の活動の傍ら、洋榎たちのサークルにも顔を出している。

高校卒業時にフナQこと船久保浩子と付き合い始め、現在は遠距離恋愛中。



主な呼ばれ方……セーラ、せーちゃん、江口先輩、セーラー刑事(デカ)


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◇ シローズ鶴姫 ◇


◇ 白水 哩(しろうず まいる) 4月16日生まれ。身長159cm(高校当時)[図:左]


福岡県 新道寺女子高校出身。 常に表情を崩さない凛とした雰囲気が印象的な出来る女?

洋榎たち行きつけの喫茶店でバイトをしており、今では大阪弁が混じるくらい大阪に馴染んでいる。

とある研究の為 後輩の姫子と西の最高学府を目指していたが、二浪生活の末 先に合格した姫子に夢を託す。

現在は料理人と素敵なお嫁さんを新たな目標に、バイト生活に励む日々を送っている。


麻雀では、そこらの県代表エースとは格が違うと言われるほどの実力者。

哩が自らに飜数の縛りをかけ、その飜数以上で和了ると

姫子が同じ局で倍の飜数で和了れる『リザベーション』という能力を持つ。


尚、恋人である姫子とは同棲中。 もっぱら縛られる方が担当との噂だが…?




◇ 鶴田 姫子(つるた ひめこ) 3月26日生まれ。身長162cm(高校当時)[図:右]


福岡県 新道寺女子高校出身。 佐賀弁。

長い下睫毛が特徴的で、洋榎やセーラ等からはデビルマンレディやデビ子とか呼ばれてる。

高校卒業後は西の最高学府に一発合格を決め、入学を諦めた哩の分も とある研究を続けている。


縛られた哩にビビクンッとし、哩の成立させた『リザベーション』を開放するチカラを持つ。

現在は大阪にて哩と同棲中。 もっぱら縛る方に愉悦を感じるとか…?


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◇ 大阪 後輩組 ◇


◇ 愛宕 絹恵(あたご きぬえ) 1月20日生まれ。身長165cm(高校当時)[図:左]


大阪府 姫松高校出身。 ツリ目で眼鏡、姉よりも立派なモノをお持ちの洋榎の妹。

中学時代にサッカー部でゴールキーパーをしており、丸いものを見ると全力キックの衝動に駆られる。

高校時代は母と姉の影響で麻雀をしていたが、大学に入ってからはサッカー一本で頑張っている。

小さい頃はとてもお姉ちゃんっ子で泣き虫だった。


姉:愛宕 洋榎 母:愛宕 雅枝 従姉妹:船久保 浩子




◇ 上重 漫(うえしげ すず) 1月6日生まれ。身長148cm(高校当時)[図:中]


大阪府 姫松高校出身。 小柄で童顔だが、立派なモノをお持ちの弄られキャラ。

実家はお好み焼き屋さん。 大学受験に失敗して一浪していたが、胡桃の家庭教師のかいあってか翌年の受験は見事に合格。

駄目な時は全然駄目だが、調子の良い時には圧倒的なチカラを発揮する爆発力を持ったボンバーガール。

どうやら姫松時代の先輩のことが気になっているとかで、胡桃に恋愛相談をしていた。

胡桃のことをセンセーと呼び、洋榎によると若干のM気質だとか。




◇ 船久保 浩子(ふなくぼ ひろこ)(フナQ) 4月12日生まれ。身長165cm(高校当時)[図:右]


大阪府 千里山女子高校出身。 ジト目・眼鏡・外ハネが特徴。

研究者気質で分析能力に優れ、チームにおける参謀的なポジション。

先輩に対してもタメ口で話したりと、かなり容赦のない性格。

とにかく探究心の強い知りたがりさんで、時々 暴走することがある。


「うまいわー(うまいわ おまえのデータ…!!)」

「根金際しゃぶりつくしたるで…!!」


映画監督を目指し、東京の芸大にて勉強中。 今も恋人のセーラとは遠距離恋愛を続けている。

フナQとまこは書いてて楽しいキャラだし、筆者的お気に入りのせいかキャラ崩壊が特に激しいですね。

原作の彼女たちはもっと可愛いい女の子だということを、決して忘れてはいけない。


叔母:愛宕 雅枝 従姉妹:愛宕 洋榎、愛宕 絹恵


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◇ 荒川憩と愉快な仲間たち ◇


◇ 荒川 憩(あらかわ けい) 6月27日生まれ。身長153cm(高校当時)


大阪府 三箇牧(さんがまき)高校出身。 ナース服。 暗黒面には堕ちていない。

高校時代、インターハイ個人戦にて全国二位になる程の実力者。

ちゃちゃのんとは高校時代から親交があり、現在は医師を目指し大阪の大学病院に通うYBJな医大生。

以前から能力者の相談役等もしており、色々とそちらの世界のことに精通している。

院内でも特別な立場にいるようだが、彼女について探ってはいけない。

パンツ保持者の一人。 パンツは盗むな、履かせるな。




◇ 藤原 利仙(ふじわら りせ) 11月23日生まれ。身長156cm(高校当時)


鹿児島県 九州赤山高校出身。 オカルト能力者で荒川患者の一人。

天女のような服装をした女性で、インターハイでは個人戦代表。

モデルは紀伊神話に登場する、九州赤山(霧島山幽境)に棲む清浄気玉利仙全君。

本人には秘密のようだが、ちゃちゃのんの熱狂的ファンだったりする。




◇ 対木 もこ(ついき もこ) 10月1日生まれ。身長135cm(高校当時)


愛知県 覚王山高校出身。 麻雀を始めて五カ月で東海王者に登りつめた愛知の星。

普段からしている包帯は中二的なファッションであって、別に試合中に怪我をしたわけではない。

普段からブツブツと呟いており、干渉力の高いオカルト能力者。 荒川患者の一人。

能力の制御はあまり得意ではなく、対局中の精神的変調が大きく憩からは心配されている。

百鬼藍子とは、特に仲が良いらしい。




◇ 百鬼 藍子(なきり らんこ) 11月30日生まれ。身長158cm。


静岡県 后土学園出身。 静岡県の個人戦1位の実力者。

サバサバしたクールな性格だが、実は面倒見の良い色付きメガネっ子。

対局中に口から音波のようなものを出す。 オカルト能力者で、荒川患者の一人。

対木もことは特に仲が良く、もっぱら彼女の通訳担当。




・霜崎 絃(しもざき いと) 3月30日生まれ。身長163cm。


千葉県 須和田高校出身。 千葉県MVPの実力者。

何故かチャイナ服を着ており、転蓮華とか使える中国拳法の達人なのではと噂される。

メンバーの中では比較的常識人と思われる。 オカルト能力者で、荒川患者の一人。

余談だが 彼女と憩ともこは別世界線にて、ちゃちゃのんと同じスガラブメンバー。




◇ 熟した果実たち ◇


◇ 愛宕 雅枝(あたご まさえ) 7月11日生まれ。身長167cm。[図:左上]


全国屈指の強豪 大阪の千里山女子高校の麻雀部監督。元プロ雀士。

姫松高校の愛宕洋榎、愛宕絹恵の母であり、船久保 浩子の叔母にあたる。

性格は男勝りでイタズラ好き、ノリがよく強烈なツッコミが持ち味のようだ。




◇ 赤阪 郁乃(あかさか いくの) 10月7日生まれ。身長164cm。[図:左下]


前任である善野監督の入院期間、監督代行として赴任してきた姫松高校麻雀部の監督代行。

おっとり天然マイペースな性格で、そのあまりの空気の読めなさから「メンドくさい人」扱いされている。

意外な特技や謎の人脈など、色々と謎の部分の多い人物である。




◇ 水原 はやり(17) 7月13日生まれ。 身長151cm、体重49kg。[図:右]


島根県出身で、ベテランの感もある現役アイドルにして現役プロ雀士。 立派なおもちの牌のお姉さん。

安定感ある防御と、亜音速麻雀を得意とするスピード・スター。 その速度たるや、レンダーバッフェや冴木卓麻にも比肩する。

小学生の頃から地元のアイドル的存在で、子供麻雀大会にて何度も優勝し全国大会にも出場している。

彼女がアイドルを目指し、スピード・スターとなった経緯については、シノハユを読もう。

ツーサイドアップの髪型にフリフリ衣装、セットで上から☆を吊るしたりしているが キツくはない。

口癖は、「はやっ」、「はや~」等…


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◇ 幕間ダイバー ◇


◇ 小走 やえ(こばしり やえ) 3月20日生まれ。身長150cm(高校当時)


ニワカ先輩。 奈良県屈指の麻雀強豪校でもある晩成高校出身。

右をおさげ、左を縦ロールという奇抜な髪型が特徴的なツンデレさん。

努力と実力に裏打ちされた自信、王者の誇りを背負った威風堂々な振る舞い、

原作でのアレな扱いや、数々の名ゼリフ等からもよくネタにされがちな人気者。

メンタルの強さや堂々とした様には、ちゃちゃのんも憧れている。

ちゃちゃのんとやえさんの組み合わせ、筆者的にはアリだと思います。


「ニワカは相手にならんよ」


「お見せしよう、王者の打ち筋を!」


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◇ 染谷 まこ(そめや まこ) 5月5日生まれ。身長158cm(高校当時)


長野県 清澄高校出身。





◇ 鹿老渡高校 四天王 ◇

中央に鎮座まします 東西南北中央不敗スーパーアジアなちゃちゃのんを守護する、名もなき4人の聖闘士たち。

ちゃちゃのんと同じ鹿老渡高校出身の4人。 実際には名前はあるのだが、そのへんはま~ お察し下さい。




◇ 快活な長女さん


人見知りの激しい幼少時代のちゃちゃのんと、最初に友達になった快活な少女。 広島弁。

裏表のない快活な性格で、面倒見の良い 三姉妹の長女さん。 大将。

鹿老渡で漁師をしている爺さんの家に夏休みの間だけ泊まりに来たこときっかけで、ちゃちゃのんと知り合う。

本来 鹿老渡メンバーの中では、部長のちゃちゃのんではなく 彼女がリーダー格。




◇ 陽気な妹ちゃん


とても陽気で、好奇心旺盛、『考えるな、感じるんだ』のボクっ子弾丸アホ娘。 三姉妹の双子。 広島弁。

師父ヨーダに師事しフォースの力を感じ取ることで、不可思議なオカルトを使うことが出来る(大嘘)

本作内ではオリジナル設定として鹿老渡メンバー唯一のオカルト能力者になってます。 先鋒でチームの稼ぎ頭。




◇ しっかりものの妹ちゃん


しっかりものの常識人、ちょっと大人ぶるクセがある。 三姉妹の双子。 広島弁。

双子である陽気な妹ちゃんとは大の仲良しなのだが、素直になれずにいつも憎まれ口ばかり言ってしまう。

打ち筋はオーソドックスな守備型。 副将。




◇ 儚げな少女>物静かな女の子


幼少時代に南の都の南西9キロ地点から、病気療養のため鹿老渡の岬にある別荘に来ていた儚げな深窓の令嬢。

別名、幽霊少女。 鹿老渡メンバーでは、唯一の標準語(お嬢さま語)。 二年時は中堅、三年時は次鋒。

高校で再会した時には持病の方も完治しており、物静かな女の子として登場。 ちゃちゃのん大好き。

やや世間ズレしたテレビっ子で、好きな役者は田中 邦衛。 夕べの食事はビフテキ。

因みに原作 咲のパブリックビューイングに映っていた、黒髪ロングの女性は彼女である。


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◇ その他の人々 ◇


◇ 老婆


鹿老渡に住むちゃちゃのんの祖母。 広島弁。

本作のオリジナルキャラだが、ちゃちゃのんの人格形成に大きな影響を与えたわりと重要な人物。

若い頃はいちごパンツ派だったらしいが、晩年は……想像してはいけない。

ビジュアルとして、画太郎先生の描くような老婆を……想像してはいけない。




◇ チハヤ(本名:雨崎 千羽矢)

ちゃちゃのんとも仲の良い、同じ事務所に所属する島根県出身のアイドル歌手。

頭脳明晰スポーツ万能の完璧超人だが、それゆえか物事に対して関心の薄い時期があった。

アイドルビーチバレー大会にてイマイチ成績が振るわないのは、主に相方である ちゃちゃのんのせい。

ちゃちゃのんのアイドル友達としてやきうスレからの登場だが、その更に大元となる彼女がまた凄い。

持ち歌は アオイトリ。


「トッテモ、オイシイヨ!」




◇ マスター

哩の働く喫茶店の、空気のようなマスター。

気の良い人で、洋榎たちサークルメンバーにも色々良くしてくれるナイスガイ。

筆者の中でのビジュアルイメージは、まろまゆの「喫茶エトワール」マスター(CV.藤原啓治)




◇ 漫のオカン

気さくで陽気な漫の母。 大阪弁。

お好み焼き屋を経営する、大阪の明るいオバちゃん。

ちっちゃい胡桃がビリケンさんみたいと、とても可愛がっている。





◇ にゃんカフェ店長(にゃんこオバちゃん)


ちゃちゃのんの母方の叔母。 大阪在住。広島弁。

ちゃちゃのんのことを本気で心配してくれている、良い叔母さん。

結構ちゃっかりした性格で、客からも人気のあるちゃちゃのんを 自分の店で働かせたがっている。

制服のねこ耳メイド服はこの人の趣味で、黒猫やペルシャ、ミケなど色んな種類のものが用意されている。




◇ 捨てちゃちゃのん


個体差はあるが大体グレムリンサイズ。 雑食ではあるが、総じていちご味の物が大好きなペロリスト。 ちゃちゃ語。

基本的にちょっと臆病で、初対面の相手の前だと生まれたての小鹿のようにプルプルする。

性格は素直で従順。 こちらから愛情を示してあげれば、人懐っこく甘えん坊な性格も見せてくれる。

染まり易いので育て方を間違えると畜生化することもあるが、優しく愛情を持って接すれば 飼い主を守ろうと健気に頑張ったりすることも。

畜生化させなければ、特に呪われるということはない。 無性に泣かせたくはなるが、殴る蹴るとか『ダメ。ゼッタイ。』


「ちゃちゃー」 「ちゃちゃのんじゃ~~」 「ヤメるんじゃ~~」 「こうりょー」




◇ おつお(本名)


大阪在住。 高校の麻雀部監督(♀)と、その教え子(♀)の間から生まれた子。

上には父親(♀)と同年代の姉が二人いる。 わんぱくでもいい。たくましく育ってほしい。

クソ安価乙。




◇ タコみたいなおっちゃん


タコみたいな顔した、印刷工場を必死に自転車操業する粋なおっちゃん。

お喋りでお人好しで軽卒だが、情に厚い江戸っ子オヤジである。

「葬式無用。 生者は死者の為に煩わさるべからず」




◇ 覆面の男


なぞのじんぶつ。 覆面にテンガロンハット、電撃ムチ姿がよく似合うダンディなオジサマ。

ちゃちゃのんのファン。





◇ フレデリック・ランカスター 177cm・65kg [図:左]


国籍:O.C.U.オーストラリア。 元はニューヨークのトップ記者だったが、とある暴露記事を書いたことで左遷。

従軍記者として戦地を廻っていた頃は、自らも戦闘行為に参加。 回避や格闘にも優れるが、遠距離からの狙撃を得意とした。

当時 彼が著した記事「祖国達の島」は、社会に大きな影響を与えたという。

現在は戦地で知り合ったロッキーと共に、アジア圏を中心にフリーのジャーナリストとして活動中。




◇ ロッキー・アーミテジ 7月10日生まれ。190cm・80kg O型 ♂ [図:中左]


国籍:O.C.U.オーストラリア(オーストラリア人と東南アジア人とのハーフ)

とても寡黙だが、単に口下手なだけの模様。 天才メイキャッパー。 元陸防軍軍曹。

長身で眉目秀麗、エキゾチックな中性的容姿のため、女性からの人気は高いが当時から浮いた話はなかった。

除隊後フレデリックと行動を共にするが、戦場でのある報われぬ恋を今でも忘れられずにいる模様。

地雷処理部隊に所属していたこともある。




◇ クレバーなサム [図:中右]


とてもクレバーな男。




◇ 寂しがりのマーティン [図:右]


とても寂しがりの男。


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【OSaKadAteQさんのやきうスレ】 ※とても面白いですけど、非常に長いです(未完)

・咲「野球って楽しいよね。いっしょに楽しもうよ」※安価スレ
http://www34.atwiki.jp/sakipoke/pages/1.html











【咲-Saki- SS】 大学編 -いちご味-



ちゃちゃのん「おかえりなさい」









終 章 いつかのひかり













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大人の女性「それじゃ~ みんな、今から椅子取りゲームを始めましょうね」


子供たち「「は~~~~い」」



♪~ チャラチャララララ チャラチャラララランン…








小さい頃から―――



告白というものが、わりと身近なトコにあったけぇ。



ちゃちゃのん、わりとそういうもんに慣れちょると、どこかで錯覚しとった。



実は自分は恋愛上手なんじゃろか―――とか思ってみたり。





でも…



本当はそんなこと これっぽっちもなかったんじゃ。



それくらいは、ずいぶん前から気が付いとったよ。



ちゃちゃのんは、いつだって受け身だったから……






「俺、前から佐々野んこと… ずっと可愛ええ思っとったんじゃ…」





「いちごのことが好きじゃけぇ、ワシと付き合ってくれんじゃろか!!」






クラスの男の子、近所のお兄さん、名前も知らない男の人。




この言葉をゆーのに、いったいどれだけの勇気を振り絞ったことか。







きっと、ちゃちゃのんは―――





これまで告白してくれた相手の気持ちなんて、ちっとも理解出来とらんかったんじゃろうね――――








持つものと、持たないもの―――




与えられた才能と、与えられなかった才能―――




愛された人と、愛されなかった人――――





いつだって、人の座れる席の数には限りがある――――







いくら愛しても、愛されない―――





愛する貴女に愛されるのは、いつだって一人だけ―――








あぁ、世界は 何て不平等なんじゃろう――――





ちゃちゃのんはそうと自覚せず、いくつもの想いを断ち切ってきたんじゃな―――――










【 ~~ 洋榎 ~~ 】




あのイブの告白から、早いもんで数ヶ月が経つ。


その間に、新しい春が来て、ウチらは四回生へと進級した。



あれが最後の輝きだったかのように、ウチらの青春時代から少しずつ光が失われていった。




ザワのヤツはこれまで以上に研究室に入り浸るようになり、バイトの店にも殆ど顔を出さなくなった。




バイトのヤツは相変わらず、料理の勉強に打ち込んどるようやけど。


浪人時代の癖なんか もう本気で受験するわけでもないのに、合間を見つけては参考書を読んどる。



で――――今年の受験も落ちたらしい。


たぶん『趣味:受験』で、来年も再来年も受けるだけ受けて、きっと不合格になるんやろうな。




セーラのヤツは東西戦でもええ成績叩き出して、卒業後のドラフト入りも確実視されとるらしい。




漫のヤツは、姫松時代にウチとも一緒やった恭子に告白して 上手くいっとるみたいやな。


前に漫からカテキョーだった いいんちょに、恋愛相談受けとるいう話は聞いとったが


まさかホンマにあの二人が付き合うとは、人生ちゅうんは分からんもんやで。







で、いいんちょは―――


これはウチも後から聞いた話なんやけど…



あのイブの夜、ザワのヤツがいいんちょのフォローをしてくれたらしい。


何でもお気に入りのコートを、いいんちょの涙と鼻水でグショグショにされたとか。



それを冗談めかして話してくれたのは、誰でもない いいんちょやった。



私は平気だから、アンタが好きになった人を しっかり大事にしてあげなさいって…


必死に強がって、そう言えるいいんちょはカッコよくて、


そんでも、やっぱりドコか弱々しくて、正直 胸が痛んだ―――




ウチみたいな無神経モンには、ホンマに勿体無いくらい 強くて可愛いヤツやで――――







あの日、あの春の勧誘ロードで―――




いちごとの再会がなければ、何かが変わっとったんやろか。





アカン、何をアホなことを考えとるんや。




こんなん、ちっともウチらしくないで――――







哩「おい、まだ飲むんか? 自分、飲みすぎやで」

洋榎「やかましいわ。 ええやん、別にこんくらい!!」ヒック

哩「まったく、胡桃のヤツがおらんと、誰もコイツを止めるヤツおらんからな」



哩「で、今日も佐々野のあがり待ちか?」ミズヤデ

洋榎「ん、ま~な… て、何でお冷やねん!!」

哩「この前、お願いして佐々野の部屋の合鍵 作ってもらった言うとったやないか?」

洋榎「ま~ そうなんやけど、一人でアイツの部屋におっても何や落ち着かんし…」



洋榎「な、何やねん。 『この恋愛初心者のヘタレめ…』っていう、その上から目線の嘲笑は!?」

哩「いや、ま~ そのまんまやで。 この恋愛初心者のヘタレめが…」クククッ



洋榎「しゃ、しゃーないやん。 アイツ付き合い出してから、ウチのこと ちょっと怖がっとる気ぃすんねん…」

哩「そりゃま~ こんな野獣が、うさぎの小屋に入ってくればそうもなるで…」

洋榎「ちょっ、誰がヴァースキ大尉やねん!! あの人も結構 優しいとこあるんやで!!」




哩「お前は佐々野のこと、どう思っとるんや?」

洋榎「何を藪から棒に。 そら、大好きに決まっとるやん―――////」


洋榎「そらま~~ アイツはドジで、ノロマで、泣き虫で、どうしようもないアホアホアーホやけど…」


洋榎「誰にでも優しいヤツやし、素直やし、いつだって一生懸命で、ウチには釣り合わんくらいに可愛いヤツなんやで…」

哩「コイツ、思った以上にノロケてきおったな……」クッ




洋榎「―――だからこそ、何でアイツがあの時 泣きながらオッケーしてくれたんか…」




洋榎「今、何を思ってウチと付き合っとるんか―――分からなくなって、怖いんやないか……」







ちゃちゃのん「あ、ヒロちゃん。 今日もお待たせしてしまったかの?」

洋榎「いや、別にそんなんええで。 さっきまでバイトと駄弁っとったしな」カカッ

ちゃちゃのん「もぅ、哩ちゃんお仕事中なんじゃから。 あんまり迷惑かけたらアカンよ」



洋榎「夕飯まだやったら、どっかそのへんで一緒に食わへん?」

ちゃちゃのん「あ、うん。 ええけど……」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、収録押しててっぺん超えることもあるんじゃし。 あまり無理せんでな…」

洋榎「アホ、誰が無理とかするか。 こちとら好きでやっとるだけやねん…」コツン

ちゃちゃのん「あいた。 そか、ありがとな…」ヘヘ





いちごのヤツと付き合い始めてから もぅ数ヶ月が経つが、ウチらの関係は以前とあまり変わっとらん。



ウチはもっとラブラブデートとかしたかったんやけど、いちごのヤツが二人きりの時以外は友達でいたいと言ってきたからや。



ま~~ 考えてみれば、コイツは今 人気も上昇中の結構な売れっ子アイドルやし、当然といえば 当然なのかもしれんが。




だから、まだウチら二人の関係を知っとるのは、ごく一部の近しい友人だけや。



同性同士っちゅうこともあって、こうして一緒におっても ハタから見れば ただの大学の友達同士やしな。





付き合い始めた頃は ただただ幸せで、ウチも浮かれまくっとったから――――全然、気にならんかったんやけど……





最近 時々、『本当にウチら付き合っとんのか?』と、不安になることがある―――






ちゃちゃのん「あ、このケーキ美味しいんじゃ♪」


洋榎「自分、何で夕飯にケーキとか食っとるんや? 太るで~~」


ちゃちゃのん「仕事の後は、妙に甘いものが食べたくなるんじゃ…」エヘヘ






さびしがりのマーチン「あの~~ もしかして、ちゃちゃのん……だよね?」

ちゃちゃのん「うん♪ そうじゃよ~~」


さびしがりのマーチン「あ、やっぱり… あの~ この写真集『いちご畑でつかまえて』にサインして貰ってもいいかい?」ゴソゴソ

ちゃちゃのん「あはは… こういう場所で改めて見ると、流石にちょっとテレくさいのぅ…///」


洋榎「おっ、いちごのエロい水着写真集やん!!」

ちゃちゃのん「べ、別に水着以外の写真もあるんじゃよ…///」

ちゃちゃのん「あ、サインじゃったね。 ちょっと、待っちょってね…」カキカキ




さびしがりのマーチン「ど、どうも♪ あの、そこの人は…?」

ちゃちゃのん「あ、ヒロちゃんは学校の仲良しのお友達さんじゃよ♪」

洋榎「…………」


さびしがりのマーチン「ど、どうも… これからも頑張ってね…」スゴスゴ

ちゃちゃのん「うん。ありがとなんじゃ♪」フリフリ





ちゃちゃのん「それでヒロちゃん、就職活動の方はちゃんとやっちょるん?」

洋榎「いんや… どうせウチは、プロの雀士になるやろうし…」


ちゃちゃのん「そんための準備とか、何かしちょるん?」

洋榎「ま~ バイトと打ったり、漫や絹を捕まえてサンマしたりしとるけど―――」


洋榎「最近 アイツらデートやったり大学の仲間と遊んだりで、イマイチ集まり悪いんでちょっと困っとんで…」





―――たぶん今の洋榎さんじゃ、プロは無理やと思いますよーーぅ




ちゃちゃのん「……卒業まで、あと一年もないんじゃけぇ―――」

ちゃちゃのん「ヒロちゃんも、しっかり考えないと駄目じゃよ……」

洋榎「わ~った、わ~~った。 また今度、ちゃんと考えてみるわ」


ちゃちゃのん「もぅ… ヒロちゃんはせっかく凄い才能持っとるんじゃけぇ、勿体無いんじゃよ…」

洋榎「わ~~た、わ~~た、 また今度 しっかり考える言うとるやん…」

ちゃちゃのん「ふぅ……」






洋榎「な~~ ちゃちゃ、この後 遊びに行ってもええか?」


ちゃちゃのん「え、あ… うん…」


ちゃちゃのん「でもお母さん心配するじゃろうし、長居は無しじゃよ……」


洋榎「ちぇ~ つまらへんな~~」






ちゃちゃのん「あ、ヒロちゃん見て見て♪ あそこに綺麗な夜桜が咲いとるんじゃ!!」

洋榎「お~~ ホンマや、軽くライトアップもされとるやん。 今度、みんな誘って花見でもするか?」

ちゃちゃのん「ヒロちゃんは、どうせ花より団子じゃろ…」

洋榎「そらそうやろ。 いくら花見ても、ウチの腹は膨れんしな~~~」カカカッ

ちゃちゃのん「ホンット、風情がないんじゃから……」




洋榎「な~~ この辺なら人通りもないし、手ぇ繋いでもええか?」

ちゃちゃのん「え、あ… う、うん……////」

洋榎「…………///」キュッ

ちゃちゃのん「…………」





またや―――



付き合うようになって、改めて知ったことやが…



いちごはホンマ素直で優しくて、いいヤツや。



ウチの思い付きやワガママでも、大抵のことは何でも笑って許してくれる。



せやけど、ウチが恋人として接しようとすると、コイツはいつも決まってツラそうな顔をする。




コイツはウチのことを、本当はどない思っとるんやろか――――






洋榎「でも、さっきのアレ…」

ちゃちゃのん「アレ……?」

洋榎「ウチのこと友達って言うた、ファンへの対応。 何や自分、しっかりアイドルしとったで~」カッカッカ


ちゃちゃのん「あ、うん… そう、かもしれんの……」

洋榎「………」




言ってみて、自分でも 今のはちょっと嫌味な言い方だったかなと思った。



コイツの口から『友達』言われたことが、少し引っかかっとったのかもしれん。





ちゃちゃのん「ちゃちゃのんな、最近 あ~ゆ~ウソを普通に付けるようになってキタんじゃ…」



ちゃちゃのん「前は、すぐに顔に出ちょったはずなんじゃが…」




ちゃちゃのん「―――何じゃか、自分がドンドン汚れてくみたいで イヤじゃね……」シュン



洋榎「いやいや、その程度のウソ 今どき小学生のガキでも平気でつくやろ!?」





ちゃちゃのん「ちゃちゃのんがハタチになる前にな―――」


ちゃちゃのん「塞ちゃんと大人になるって何かな~~って、話したことあったんじゃ…」


洋榎「酒を飲んだり、ギャンブルやったり、ウチらはもぅすっかりアダルトな大人やで~~」



ちゃちゃのん「う~~ん… そういうんじゃなくて、もぅちょっとココロのお話じゃよ…」


洋榎「自分、そういう話 好きやな~~」






ちゃちゃのん「ちゃちゃのんな、そん時 塞ちゃんにこう言ったんじゃ―――」




ちゃちゃのん「自分の中にある大切なモノを失ってまで、大人になんてなりたくないって……」




ちゃちゃのん「―――ずっと、今のままでいたいって……」



洋榎「…………」






ちゃちゃのん「そしたら、塞ちゃんは こう言ったんじゃ…」



ちゃちゃのん「人は生きてる限り、少しずつ変化していくだろうけど―――」




ちゃちゃのん「でもそれは何かを失うんじゃのぅて、混ざり合っていくってことなんじゃないかなって―――」


洋榎「失うわけやない、か……」





ちゃちゃのん「ヒロちゃんには、今のちゃちゃのんはどう映っちょるんじゃろう―――?」



洋榎「…………」





いちごのヤツが何を一人で悩み、何と言って欲しかったんか―――正直ウチにはよぅ分からんかった。




そんでも夜桜を背に月明かりに照らされたいちごのヤツが、息を呑むほどに綺麗や思って―――



ウチの心臓は、ずっとドキドキしっぱなしやった。






ちゃちゃのん「塞ちゃんは、大人になってもそんなに変わらないってゆーとったけど―――」



ちゃちゃのん「ちゃちゃのんは、たぶん変わったと思うんじゃ……」



ちゃちゃのん(もしかすると、何も変われんかったのが 間違いだったんじゃろか―――)






洋榎「ちゃちゃは、今も昔も綺麗なままやで―――」



ちゃちゃのん「―――うん、ありがとな……」ヘヘッ





何でコイツは、こないツラそうな笑顔をするんや。




そういえば、ウチは最近 コイツの本当の笑顔を見とらん気がする。








ちゃちゃのん「ほんじゃ~、またの」フリフリ


洋榎「お、おぅ……」



いちごの部屋で軽くお茶をしながら 最近のことなんかを駄弁って、あまり遅くならない時間に別れる。






洋榎「ちゃちゃ―――」ガッ


ちゃちゃのん「ひ、ヒロちゃん―――」ビクッ




抱きしめて、そのままキスしようと思ったが―――



明らかにいちごの様子に怯えの色が伺えたから、結局 何も出来んかった。





ウチ―――もしかして、ホンマにヘタレなんやろか…




いや、せやかて いちごが嫌がっとんのに、強引にするわけにもいかんやろ。




ウチはいちごを幸せにするって決めたんや――――ウチはジョースターのダンナくらいの英国紳士やねん。






洋榎「こ、今度の休み、一緒に遊園地でも行かへん―――?」


ちゃちゃのん「えっ、で、でも………」



洋榎「そんくらいええやん。 頼んまっせ~ 神サマ、いちごサマ~~」ヒッシ


ちゃちゃのん「えっと… う、うん……」コクリ




いちごは人前でのデートとかを嫌がったが、こうやって拝み倒されると 困りながらも大抵のお願いは聞いてくれる。



ちょっとカッコ悪いが、ま~~ ウチも恋人の扱いにだいぶ慣れてきたっちゅうことにしとこやないか。



将来は『関白宣言からの関白失脚―――』って、うっさいんじゃ ボケぇ!!







まさかあのウチの告白も、ただ単に断りきれんかっただけやったとか、そんなんやないやろな。



でもコイツは告白に関してはこれまでも 随分と断ってきとるはずやし、流石にそれはないやろ。



もしそうやったら、流石のウチでも泣いてまうでぇ~~~




愛宕洋榎は、今日もクールに去るんやで――― シクシク








そういえば、いちごのヤツ 前にこんなことを言うとったな。



小さい頃に、とっても仲良くしてくれた男の子と女の子がおった。



人見知りの激しかったいちごは、学校におる時間はいつも その二人の後をついて歩いとった。



でもその関係も、男の子がいちごに好きだって告白したことがきっかけで壊れた。





女の子は、その男の子のことが好きやったから、いちごは一度に二人の友達をなくした。




その後 その二人なのか、別のヤツらなのかは知らんが、結構いじめられたりもしたみたいや。





もしかして ウチがアイツに告白したことで、そういうトラウマみたいのが蘇ったとか あるんやろか―――?






アサヤデーーーー!!


絹恵「あれ~ お姉ちゃん今日は随分とおめかしして、もしかしていちごちゃんとデート?」


洋榎「お、お~~ ま~~な……////」




絹恵「それにしても、お姉ちゃんがあんな綺麗で可愛い人と付き合うとるなんて…」

絹恵「正直、まだ信じられんで~~」

洋榎「何やねんそれ、ウチが頼まれたから付き合ってやっとるんやで~~~」



絹恵「へへっ、冗談やで。 お姉ちゃんのルックス以外の良さは、私だってよぅ知っとるよ♪」

洋榎「まずはルックスから褒めんか~~い!!」コラーー



絹恵「ま~ せいぜい嫉妬に狂ったファンの子たちから、夜道で背中ブッスリされんよう 気ぃつけるんやで~~~」ヒヒヒッ

洋榎「うぉ~~~ぃ、リアルに怖いこと言うの ヤメ~~や!?」ガクブル





洋榎(いよっし!! 今日のデートプランはバイトにも相談のってもろたし、我ながらパーペキやで~~~!!)



哩「―――佐々野のハートを、HQN DQN(はきゅんどきゅん)させるデートプランやと?」

洋榎「そうやねん。 何や、え~ アイデアとかないやろか? あ、縛りとかはなしの方向で頼むで…」

哩「自分、それが人にものを尋ねる態度か。 まったく……」フゥ


哩(―――私は、お前と胡桃のことも応援しとったんやがな…)




哩「そうやな… 一般的に人が恋人に求めるんは、自分にないものやろ…」

洋榎「ふんふん…」


哩「でや、可愛らしさや女の子らしさでは、自分がどんなに頑張っても佐々野には勝てへん…」

洋榎「何やごっつムカつくけど、ま~ ええわ。 そんで…?」


哩「せやから、自分はワイルドに引っ張ってくれる、頼りになる姿を佐々野にアピールするのがええんちゃうか?」

洋榎「おぉっ、ええやんそれ。 頂きやで♪」メモメモ







ちゃちゃのん「動物園―――? この前は確か、遊園地じゃって…」


洋榎「遊園地は動物園の後に行くで~ とりあえず動物園に行こうや。 ふわふわもふもふが、いっぱいやで~~♪」


ちゃちゃのん「う、うん… ちゃちゃのんも、ふわふわもふもふと 触れ合いたいんじゃ…」

洋榎「よっしゃ、決まりや!!」






カー カー カー バサバサバサッ


ちゃちゃのん「ヒロちゃん、ここはドコなんじゃ… さっきからヤケに墓地やらカラスが多い気がするんじゃが?」


洋榎「この辺は最近出来た大阪の外国人街で、何や地図にも載ってない世にも奇妙な動物園があるらしいで~~」ドコヤロ?


ちゃちゃのん「うぅっ… ちゃちゃのん、ちょっと不安になってきたんじゃ……」フルフル






受付らしき老婆「―――いらっしゃい」

ちゃちゃのん「うひゃっ―――!?」ビクゥッ

洋榎「おわっ、何やこの婆さん いきなり…」



受付らしき老婆「中学生かい―――?」

洋榎「いや、ウチらは誇り高き戦闘民族やで…」



受付らしき老婆「だったら―――半額で良いよ……」


洋榎「とりあえず、ここが例の動物園でええみたいやな。 ホイ、二人分の半額」チャラ



ちゃちゃのん「ちゃちゃのんの分、払うんじゃ…」ゴソゴソ

洋榎「え~て、え~て、今日はウチのおごりやで!!」

ちゃちゃのん「でも、何じゃか悪いのぅ…」





―――免責事項―――


当園は普通の動物園ではありません。 非常に危険です。

ケガや物損、生命の保証はいっさい致しかねます!


全ては自己責任です。


了承した上で、ご入園して下さい!!


尚 ご入園される際には、こちらの誓約書へのサインをお願い致します。







ちゃちゃのん「―――帰るんじゃ…」ボソッ

洋榎「へっ……」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのんは、今すぐ帰るんじゃ~~~」ウワーーーンッ



ガッシ

洋榎「待ち待ち待ち~~!! 何や、面白そうやん」

洋榎「生命の危険とか誓約書なんてのはネタやてネタ、最近そういう話題作りとかあるやん?」


ちゃちゃのん「うぅっ… 確かに、この前 そんなニュースも見たけど…」


洋榎「な、な、大丈夫やって。 何かあってもウチが絶対 守ったるから平気やで!!」

ちゃちゃのん「でも、怖いのとかは やっぱりイヤじゃよぅ…」ビクビク

洋榎「せっかく来たんやし、頼むて!! ちょっとだけ、ちょっとだけでええから見て行こうや!!」ナッ ナッ



ちゃちゃのん「うぅ、ヒロちゃんがそこまで言うなら… まぁ、ええけど……」コクッ


洋榎「いよっしゃ、摩訶不思議な大冒険に出発やで~~~♪」





機関車―――


洋榎「おっ、機関車や…」

ちゃちゃのん「うん、機関車じゃね…」




軍用車、装甲車、戦車、軍用ヘリ―――


洋榎「おっ、アレはダグラスのアパッチいうヤツなんちゃう? あっちには61式に多砲塔、お菓子の列車砲まであるで…」

ちゃちゃのん「そうなん―――?」



ちゃちゃのん「ちゅうか、ふわふわのもふもふたちはどうしたんじゃ?」


洋榎「ええやん、ええやん。 この外国のB級テーマパークな感じがたまらんやろ?」カッカッカ






ちゃちゃのん「この扉はなんじゃろ――?」

洋榎「ま、とりあえず 入ってみようや!!」ギィィーー



アゴの割れたトミー「ヘ~~イ、チーズ!!」パシャッ

恰幅の良いスザンヌ「サンク~~ス♪」

ライオン「」グルル…



洋榎「げぇっ… アイツら放し飼いのライオンと一緒に、記念写真撮ってんで!?」

ちゃちゃのん「うっひゃーーーーッ!?」ダダダッ

洋榎「あっ、コラッ!! そない走ると危ないで!?」




バタンッ ズルッ ベチャッ

ちゃちゃのん「うぎゃっ!?」

洋榎「ほら、またコケた…」






ペロペロ ペロペロ

ちゃちゃのん「うひゃっ、ちょっ… くすぐったいんじゃよ~~」ヘヘッ



黒虎「」ペロペロ

ちゃちゃのん「――――!?」


キューーー ヘタッ


洋榎「あ、死んだ!? せやけど、あのブラックタイガーを相手取るんは、流石に虎縞愛 溢れるウチでも…」ガクブル





洋榎「ええい、ままよ!! 虎穴に入らずんば、伊達直人にはなれんで~~!!」ウチハトラヤ、トラニナルンヤ!!


洋榎「ちゃちゃ~ 待っとれやーー!!」


虎々ちゃん「あ、お客さん―――」





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コッコダヨ、コッコダヨ~~♪





【園内 休憩所】


洋榎「ほい、替えのタオル。 自分、ちっとは落ち着いたか~~」


ちゃちゃのん「ありがと。 はぁ~~ ホンに死ぬかと思ったんじゃ……」ウルウル




洋榎「アレにはウチもビビったが… 何やとらのあなの店員さんが言うには、小さい頃から教育されとって 人は襲わんらしいで!!」


洋榎「さっきのおっさん達、獅子舞みたいや言うて ライオンに頭カミカミしてもらっとったしな……」


ちゃちゃのん「そんでも、怖いもんは怖いんじゃ!!」





ちゃちゃのん「それで、他はどんなトコロがあるんじゃ?」


洋榎「園内のデートコースやと、獰猛カンガルーとのハートブレイク・撲針愚(ボクシング)対決、剣山地獄ヤマアラシ・イチャイチャ相撲―――」


洋榎「ハートキャッチ・恐怖のピラニア 吊り橋渡り効果、死のジブラルタル・ワニ海峡心中物語なんかあるらしいけど、一応 行っとくか?」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのん… そんな男塾名物みたいなんにゃぁ、絶対に行かんけぇの!!」カタカタ






ちゃちゃのん「それに、ここのメニューは 何じゃ?」




―――スペシャルメニュー お品書き―――


マザーアントのカリカリ揚げ――

毒針のネズミの姿焼き――

女囚さそりっぽい何か――

ジャイアントワームのポリポリ揚げ――

スネークのステーキ――

アマゾンオオトカゲの素揚げ――

銀ギツネのソテー――

クロコダインフライドアーム――




洋榎「食う―――?」


ちゃちゃのん「食わんわ!!」




ドキドキ動物園でウチのワイルドタイガーっぷりをアピール大作戦―――これで合っとったんやろか?







【テーマパーク】


ちゃちゃのん「あ~ アルパカマーくんじゃ。 ラスカルやカピバラさんもおるんじゃよ♪」

洋榎「こっちのオスカルたちは、ちゃんと柵に入っとるな」

ちゃちゃのん「当たり前じゃよ。 地図にも乗っちょらん非合法動物園とか怪しすぎじゃって…」ラスカルジャ…

洋榎「何でや、ドキドキがいっぱいで楽しかったやん!?」


洋榎(ま~ ライオンと同じ檻に入った時には、流石のウチもちょっとだけ チビりそうになったけどな…)



ちゃちゃのん「わっふーー♪ このうさちゃん にゃんちゃん、もふもふじゃ もふもふ~~♪」スリスリ





グオォォォーーーーーーーーーーーーッ


ちゃちゃのん「うっひゃーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」


洋榎「うぉぉっ!!」




ちゃちゃのん「じゃから、ちゃちゃのん… 絶叫系とか、そーゆーのダメってゆーたじゃろ…」ゼェゼェ

洋榎「悪かった、悪かったて…」ハハッ





洋榎「せやけど、自分 そんなんでよぅリポーターの仕事とか務まんな~~」


ちゃちゃのん「怖がり方とかのリアクションがええゆーて、むしろそういう仕事を入れられて困っちょるんじゃ…」カタカタ

洋榎「カカッ、ソイツは災難やな~~」



洋榎「ほんじゃ、口直しにあそこのお化け屋敷にでも行っとくか?」


ちゃちゃのん「もぅ… そーゆーんは嫌じゃって、ゆーちょろうが…」





洋榎「おっ、アッチでお疲れ戦隊サンピンジャーショーやっとんで!!」


洋榎「とりあえず、お約束―――かおるクンの『遊園地でボクの握撃♪』してもらいに行こうで~~」


ちゃちゃのん「ヒーローショー? ちゃちゃのんは魔法少女の方がええかのぅ…」

洋榎「おっ、自分 魔法少女願望とかあるん?」


ちゃちゃのん「アイドルと魔法少女は、女の子の永遠の憧れじゃけぇのぅ♪」



ちゃちゃのん「やっぱりちゃちゃのんは、ピンクとかイエローに憧れるんじゃ…」

洋榎「自分、そないおデブなカレー好きがええんやな…」


ちゃちゃのん「それは昔の戦隊モノのイメージじゃろ。 魔法少女もののイエローはオシャレでキラキラした子じゃよぉ!!」







ちゃちゃのん「あっちにゃぁ、ガラス細工のお店とかもあるみたいじゃね…」


洋榎「んじゃ、ちょっと行ってみよか」






カララン…


ちゃちゃのん「わぁ、綺麗じゃの~~」キラキラ


洋榎「こういうの好きなん?」



ちゃちゃのん「うん♪ 手作りのガラス工芸は、その一つ一つがちょっとずつ違うんじゃ…」


ちゃちゃのん「じゃけぇ… きっとガラスの靴も、世界中でたった一人しか履けないんじゃ―――」


洋榎「せやけど、32文人間ロケット砲の女や、人間エグゾセミサイル使いの女でもなけりゃ、靴のサイズ同じヤツくらいおるやろ」


ちゃちゃのん「もぅ、そういうんはええんじゃよ~~~」ムーー







ちゃちゃのん「ガラス細工にゃぁ 長い歴史とか伝統があって、いっぱいの職人さんたちが魂込めて作ってきた心があるんじゃ―――」


洋榎「ま~ そうかもしれんな~~」




ちゃちゃのん「そもそもガラスっちゅうんは、腐食や酸化現象が起こらんけぇ―――半永久的に存在出来るものなんじゃ」


ちゃちゃのん「でもガラスっって、衝撃にゃぁ 凄く弱いじゃろ―――」





ちゃちゃのん「綺麗で透き通っちょって、光の透過でいろんな輝きを見せてくれて―――」


ちゃちゃのん「見とると心が落ち着くけど、次の瞬間にゃぁ 粉々に砕けてしまうかもしれん―――」



ちゃちゃのん「その永遠の中にある、脆弱さみたいなもんに―――人は心 惹かれてしまうのかもしれんのぅ……」


洋榎「…………」





綺麗で、透明で、一緒におるモンに安らぎをくれる―――




せやけど、乱暴に扱ったらすぐ壊れてしまいそうな、消えてしまいそうな、そんな儚げな存在――――




まるで、いちごみたいやな――――そう思ったが、流石に恥ずかしくて何も言えんかった。







ちゃちゃのん「の~ ヒロちゃん、ガラスと宝石の違いって何じゃと思う?」


洋榎「ん、そりゃま~ 作り方とか値段が違うんやないんか? 宝石の方がお高いイメージやで」


ちゃちゃのん「そうじゃの、ガラスよりも宝石の方が高いし希少じゃ…」



ちゃちゃのん「ガラスと宝石は共通点も多いんじゃが、最も違うトコは結晶体。 結晶構造の違いみたいじゃな…」



ちゃちゃのん「―――ガラスっちゅうんは基本的に『非晶質(アモルファス)』なんじゃが、宝石には『結晶』が多いんじゃ」

洋榎「えっと、それって何が違うんや?」


ちゃちゃのん「簡単にゆーと結晶っちゅうんは、原子や分子が規則正しいんじゃが、非晶質は不規則なんじゃよ」





ちゃちゃのん「宝石は原石を人がカット、研磨して、そのモノが本来持っとる美しさとか魅力を最大限に引き出したモンじゃ」


ちゃちゃのん「選ばれた石そのものが生まれた時から持っとったチカラを、誰かが見つけ出してカタチにしたものなわけじゃな―――」


洋榎「ま~ その辺は何となく聞いたことあるで」





ちゃちゃのん「対して、ガラスの主成分は石英ゆーて、これは特別なモノでもなくて そのへんの砂埃の中にも含まれちょるんじゃって…」


ちゃちゃのん「で、この石英とかを含んだ砂とか鉱物を、一度熱して溶かしたモノを 固めて作ったモンがガラスっちゅうわけなんじゃが―――」





ちゃちゃのん「ちゃちゃのんは、このガラスが好きなんじゃ――――」


洋榎「―――? ま~~ 綺麗やし、ウチも好きやで…」







ちゃちゃのん「―――よくアイドルのことを宝石とか、原石ってゆーじゃろ?」


洋榎「せやな、よぅ聞くで…」





ちゃちゃのん「……はやりん先輩とか、原村さんみたいな。 人とは違う特別なオーラみたいのを持っとる人は、きっと宝石なんじゃ」


ちゃちゃのん「でも、ちゃちゃのんは… きっとこのドコにでもある、ガラス玉なんじゃと思う―――」


洋榎「―――ちゃちゃ」






ちゃちゃのん「それでも、このガラス玉――――綺麗で、ちょっと可愛ええじゃろ」クスッ


洋榎「コイツ、自分で可愛ええ 言いおったな―――」ヘヘッ






ちゃちゃのん「だから、ええんじゃ―――ちゃちゃのんはこのガラス玉で…」


洋榎「ガラス玉ええやん。 ウチは親しみやすくて好きやで♪」



ちゃちゃのん「ん… ありがとの…」




ちゃちゃのん「それにガラスはの、一度砕けても――――熱っちゅう情熱を加えりゃ、また綺麗に輝けるんじゃよ……」






ウチにはあまり話さんけど、コイツはアイドルとして色々コンプレックス抱えて、悩みながらも頑張っとるんやろうな――――



ホンマは、もっといろいろ話して欲しいんやけどな――――








洋榎「暗なってきたし、そろそろ歩こか?」


ちゃちゃのん「――――?」






ちゃちゃのん「うわぁ~~ お星さまの海じゃ~~~!!」キラキラ


洋榎「この辺は夜間限定のイルミネーションエリアやねん。 凄いやろ!!」


ちゃちゃのん「うん、とっても綺麗で凄いんじゃ~~~♪」ホワワー





ちゃちゃのん「まるで妖精さんの、森の小径じゃね―――」


洋榎「この辺は、まさに光のアーチって感じやろ~~」






洋榎「…………」ギュッ


ちゃちゃのん「ひ、ヒロちゃん……?」




洋榎「べ、別にええやろ。 恋人らしく手ぇ繋いで歩くくらい……///」


ちゃちゃのん「う、うん………////」コクッ



洋榎「…………」ドキドキ







【~~数日前~~】



哩「はぁ~~~ なんや自分ら、付き合い初めて結構経つ いうのに、まだキスもしとらんのか!?」

洋榎「ちょっ!? 声がデカイわ、声が!!」



哩「おっと、スマンスマン。 それじゃ、自分ら 普段二人の時とか何しとるんや?」

洋榎「夕飯一緒に食ったり、ゲームしたり、映画見たり、最近あったこととか話したり―――」


洋榎「―――やっぱウチら、ちょっとおかしいんやろか?」ボソボソ




哩「あ~~ いや、別に変やない思うが。 清く正しいプラトニックラブ、そ~いうのも ま~素敵やとは思うで…」

哩「無論、双方の合意があればの 話やと思うけどな―――」


哩「片方に無理を強いるような関係は、きっと長続きせんやろ…」


洋榎「ま~~ そうやろな……」





哩「な~~ 自分ら、ホンマ付き合っとんの?」


グッサァッ!!


洋榎「……………」



哩「あれ、もしかして今の禁句やった?」スマン


洋榎「……………」フルフル



哩「いや、だから悪かったって。 怖いからその血の涙ヤメ~や」







哩「ま~~ 私が思うに、佐々野のヤツは押しに弱い―――」


洋榎「お、おぅ… ま~~ そういうトコはあるな…」




哩「あと、アイツは結構な妄想癖の持ち主や。 今だに王子さまとか、メルヘンなんかに憧れとる―――」


洋榎「せやな。 ウチもそう思うで……」




哩「だったら、壁ドンやで壁ドン。 夢見る乙女はクール系王子さまの壁ドンに憧れとるらしいばい!!」


哩「遊園地デートでええムード作って、そっから押して押して押しまくれば、佐々野かて きっとイチコロやで~」クククッ


洋榎「自分 それホンマやろな。 何やだんだん、からかわれとる気ぃしてきたで…」


哩「自分が相談してきたから答えてやっとんのに、何やねんその言い草は…」





哩「ええか、佐々野みたいなタイプは、自分を多少なり強引に引っ張っていってくれるタイプに弱いはずや…」


洋榎「そうやろか……」フムフム



哩「案外、自分が強引に来てくれるのを 待っとんのかもしれんで~~ 知らんけど…」







洋榎「…………」



洋榎「―――ちゃちゃ、今から観覧車に乗ろうや!!」


ちゃちゃのん「ほぇっ、随分と急じゃのぅ…」




洋榎「何や急に乗りたなったねん!! あ~~ ウチ もぅ我慢の限界や~~~」ジタバタ


ちゃちゃのん「そんな… お手洗い我慢出来ん、オインゴ兄ちゃんじゃあるまいし…」アセッ





洋榎「とにかく、今から乗るで~~~」ズンズン


ちゃちゃのん「ちょっ、そんな引っ張らんでも―――」ワタワタ







ゴウンゴウン  ゴウンゴウン


ちゃちゃのん「夜の観覧車、大阪の街の灯りがとっても綺麗じゃね…」


洋榎「せやな、まるで人がゴミのようやで…」


ちゃちゃのん「暗くて人は殆ど見えんじゃろ。 それにそれ毎回 言わなくてもええじゃろ…」







洋榎「ちゃちゃとこうして大阪の街を眺めるんは、これで2度目やな…」


ちゃちゃのん「うん、そうじゃね…」


洋榎「…………」




洋榎「前回は、自分がウチのことを強引に引っ張り込んだんやったな…」


ちゃちゃのん「そ、そうじゃったね……」





梅田、HEP FIVEの観覧車に恋人同士で乗ると別れる―――




聞かなくてもええと分かっとったのに、ウチはどうしても聞かずにはおれんかった。






洋榎「な~ ちゃちゃ……」


ちゃちゃのん「ん……?」





洋榎「自分、あの時。 梅田 HEP FIVEの観覧車にあるジンクス、知っとったやろ……」



ちゃちゃのん「…………」





ちゃちゃのん「――――うん、知っちょったよ」







洋榎「自分、ジンクスとかそういうの気にする方やったろ。 だったら、何で…」



ちゃちゃのん「…………」




ちゃちゃのん「ジンクスとか、そんなんただの迷信じゃよ…」



ちゃちゃのん「それにあの時ちゃちゃのんたちは、別に付き合っちょったわけじゃ……」



洋榎「確かに、あの日はちゃちゃに頼まれての、撮影終わるまでのつもりカップルやったな……」





だったら、今はどうなんや―――




ウチら、今はホンマに付き合っとるんか――――







洋榎「ちゃちゃは―――ウチのこと、ホンマに好きか?」




ちゃちゃのん「きゅ、急に何じゃ… そりゃ、好きに決まっちょるじゃろ……」ボソッ








洋榎「それは、友達としてか? それとも恋人としてなんか……?」




ちゃちゃのん「……………」






どうして……




恋人として好きやって、すぐに答えてくれないんや――――







ちゃちゃのん「ヒロちゃんこそ、胡桃ちゃんのこと――――どう思っとるんじゃ?」





ちゃちゃのん「好きって気持ちは、ホンに もぅないんか―――?」







洋榎「は―――何で今 その話が出るんや、いいんちょ 関係ないやろ!?」






何でここで、いいんちょの名前が出てくるんや―――




いいんちょのことを思うと 今でも胸が痛み、自分の中の冷静な部分が失われるのが分かる――――









洋榎「ウチにとって、いいんちょは… 大事な親友やって、あの時にも言うたやろ!!」ガシッ



ちゃちゃのん「いっ、痛いんじゃ…… ヒロちゃ―――」




頭に血が登りすぎて興奮のあまり、いちごの華奢な両腕を力いっぱい掴む体勢になる―――




ウチに押さえつけられた痛みからか、振りほどけない恐怖からか、いちごの端正に整った顔が少し歪む――――







ちゃちゃのん「ちゃちゃのんは、ヒロちゃんのこと―――」





ちゃちゃのん「今でも、親友として 好きじゃょ――――」




洋榎「―――――!?」







気がつくとウチは――――――嫌がるいちごに、強引にキスをしとった。





ちゃちゃのん「ヒロ、ちゃ…………」ポロポロ






最初は抵抗しとったいちごの、ガラス細工のように華奢で繊細な身体から、次第に力が抜けていくのが感じられた。





ウチといちご、二人のファーストキスは 悲しい涙の味やった―――――












【 ~~ 臼沢 塞 ~~ 】




塞「あ~~ 今日も疲れたわ~~~」

胡桃「いらっしゃい」



塞「ほんっと、疲れるわ…」


塞「あ~~ もぅゼミ室にも行きたくないーー!!」

塞「ねむたいよーー!!」


胡桃「アハハ、それまた言ってる。 今日も寝ていくんでしょ?」


胡桃「すぐに布団の準備しちゃうね。 あ、それともお風呂 入っちゃう?」


塞「ありがとー、胡桃。 いつもホント助かるよ♪」




塞「あ、胡桃はもぅ ご飯 食べたの?」

胡桃「まだだけど……」


胡桃「疲れてそうだし、私の方は勝手に食べとくよ」

塞「ごめんね」


塞「あ、でも、はい」

塞「宿泊費として、胡桃がこの前美味しいって言ってくれた お弁当買ってきたんだ」

胡桃「わっ、ありがとー♪」




ゼミの合間を見つけては会いに来る、胡桃との変わらない日常―――



胡桃の恋が一応の終わりをみせた あのイブの夜から、もぅ既に数ヵ月が経っていた。






胡桃「じゃ、電気消すね~~♪」ンッ


塞「うん、お願い」クスッ




精一杯背伸びをして、蛍光灯のヒモを引っ張ろうとする胡桃の姿にちょっと癒される。



補助ヒモ付ければって言ったのに、それは何だか子どもっぽいから嫌みたい。



別に、そんなこと気にすることなんてないんだけどね。





胡桃「今、笑ったでしょ―――」ムッ


塞「笑ってないけど、たぶん胡桃の気のせいじゃない?」


胡桃「……ま、いいけどさ」ンッショ




カチッ






胡桃「塞はもぅ一流企業への内定が決まりそうなんだよね。 あ~~ぁ、やっぱり理系は就活に強いんだね」


塞「何でも会社の偉い人が 私のゼミの研究内容を気に入ってくれたみたいで、たぶんこのまま決まると思うよ」


塞「胡桃は―――?」




胡桃「私はまだ全然。 このまま就職出来ない女として、哩ちゃんと同列に語られるのだけは避けなくちゃね…」ムムッ


塞「はは、それ哩が聞いたら きっと怒るよ」


胡桃「そっかな、むしろ言葉責めに喜ぶんじゃない」


塞「相変わらず、胡桃は容赦ないな~~」ハハハッ







胡桃「ゴメンね……」




塞「――――何が?」





胡桃「……塞はいつも忙しいのに、私のこと心配して来てくれてるんだよね?」








塞「それ、ただの口実だから―――」



胡桃「―――?」






塞「私は胡桃のトコで、こうやってグダグダしてる時間が好きなのよ…」



塞「だから、私は私のワガママでこうしてるだけなの…」




胡桃「そ、塞は勝手だね…」




塞「うん、私って勝手なんだ…」






先日、トヨネと熊倉先生に会いに岩手に帰った。



熊倉先生はだいぶ調子を取り戻してるようだったけど、やっぱり以前と同じとはいかないみたい。



その時に卒業したら岩手に戻ろうと思ってること、熊倉先生に話した。




『それが貴方のしたいことなの―――?』と、いつもの優しい声で尋ねられた。




『自分の気持ちに嘘ついて、後悔する生き方だけはしないでね―――』そう言われた。




モノクルなどなくても、やっぱりあの人の瞳には 私のことなど全てお見通しってことみたい。








私は、胡桃を守りたい―――




そのためにも、私は一人で生きられるように、先ずは自分自身の地盤を固めなくちゃならない。





お金より大切なモノはたくさんあるけれど、大好きな子を守れるような――――そんな大人に、私はならなくちゃ駄目なんだ。







だから胡桃が残るというのなら、私もこの大阪に残ろうと思う。





たとえ胡桃の気持ちが、まだアイツにあって、私のことなど見ていないと分かっていても。








胡桃「そうだ、塞。 今日は時間あるって言ってたよね?」


塞「うん、平気だけど…」




胡桃「久しぶりに哩ちゃんと、洋榎のトコにでも顔出してみない?」


塞「いいの……?」


胡桃「そりゃそうでしょ。 振られたからって『はい、友達ヤメます…』なんて、私はイヤだよ」





洋榎―――か…



あのイヴの夜以来、胡桃はアイツのことを そう呼ぶようになった。




胡桃はそれを『リスタート―――』と、言っていたけれど。




それは胡桃が、アイツへの想いに整理をつけようとしているということで良いんだろうか。








塞「ちゃちゃのんも、いるかもしれないよ―――」



胡桃「いや、別に… そんなの気にしないよ。 だいたい私は、ちゃちゃちゃんのことも大好きだし……」



塞「胡桃がもぅ大丈夫だって言うのなら、私も一緒に行くだけだよ」





きっと胡桃も、少しずつ前に踏み出そうと頑張っているんだろう。




何もしてあげられないけど、私はいつだって胡桃のこと 応援してるからね―――







カラン コロン


マスター「やぁ、いらっしゃい」


胡桃「あれ、哩ちゃんは… 今日はお休みですか?」


マスター「あぁ… さっき人生の終わりみたいな顔した、洋榎ちゃんが来てね…」


マスター「とっても大事な話があるみたいで、一緒に裏の方に行ったようだけど…」


胡桃「洋榎、が……」








洋榎「ウチは――――もぅ、シマイや~~~」ボロボロ


哩「分かった、分かったて。 それはさっきも聞いたばい」


哩「だから、この前のデートの時に、佐々野のヤツと何があったんや?」





洋榎「ウチ、『いいんちょのことホンマはどう思ってるの?』って、ちゃちゃに聞かれてな―――」



洋榎「ウチのこと、『ホンマは友達としてしか見てない』って、ちゃちゃのヤツに言われてな――――」





洋榎「そんで頭ん中 真っ白になってもうて…」



洋榎「嫌がるアイツに『ズキュウウウン』と、無理やりキスしてもうたんや…」ウゥッ


哩「そ、それはまた、随分と情熱的なキスやったなぁ…」アーーア





洋榎「そしたらアイツ、メッチャ泣いとってん…」



洋榎「凄くツラそうな顔しとった…」





洋榎「でもって泣きながら『ゴメンね…』って、 繰り返すように謝ってくんねん…」




洋榎「それって、もしかしてウチとはもぅお付き合い出来ませんいうことなんやろか!?」





洋榎「あ~~~ ウチは何てサイテーなことを、してしまったんや~~~!?」オロローーーーン


哩「う~~~ん、実にウザい。 ま~~ とりあえず焼き土下座でもして謝り倒すしかないやろ」






タッタ…


哩「―――ん、今 誰かおらんかったか?」








コツ コツ コツ…


ちゃちゃのん「……………ハァ」





ジャリ


胡桃「ちゃちゃちゃん…」




ちゃちゃのん「あれ、胡桃ちゃん。 こんな時間に、ちゃちゃのんのマンションの前に、どうして…?」





胡桃「ちょっと、久しぶりに話をしたくなって…」


ちゃちゃのん「う、うん… ほんで、塞ちゃんは…?」コクッ


塞「こんな夜遅くにゴメンね…」





胡桃「―――ついて来ないでって、言ったんだけどさ…」


塞「…………」



今、胡桃を一人に出来るわけないじゃない。





胡桃「ここで立ち話もなんだしさ、あっちの公園にでも行こうよ」


ちゃちゃのん「う、うん…」




胡桃「悪いけど、塞はここで帰って貰えないかな」


塞「…………」








ちゃちゃのん「悲しい、なごり桜じゃの…」


胡桃「―――?」





ちゃちゃのん「この公園の桜の花もだいぶ散ってしもうて、ちらほら薄紅色の若葉が混ざり始めとるじゃろ」



ちゃちゃのん「こういう葉桜になりかけとる、なごり桜がちょっと切なく見えたんじゃ……」




胡桃「そうかな。 綺麗な花が散るのは確かに寂しいけど…」



胡桃「それって、桜の木がそこで役目を終えるわけじゃないってことでしょ…」





ちゃちゃのん「散った桜の花びらと、これから芽吹く若葉たち…」



ちゃちゃのん「それって、同じ心を持ったものなんじゃろか―――」



胡桃「さぁ、私にはよく分かんないけど……」







ちゃちゃのん「でも、胡桃ちゃんと、こうしてお話するのもホンに久しぶりじゃの」



胡桃「……そうだね」



胡桃「お互い何かと忙しかったし、そういう感じでもなかったもんね」







ちゃちゃのん「ちゃちゃのんな、胡桃ちゃんにはずっと謝りたかったんじゃ…」



胡桃「謝る、何を―――?」







ちゃちゃのん「ヒロちゃんの、こと――――」



胡桃「…………」






胡桃「洋榎がアンタを選んだ、それだけのことじゃない…」




胡桃「―――それをどうして、何でアンタが謝る必要あるのよ?」



ちゃちゃのん「…………」







胡桃「それよりも、ちゃちゃちゃん。 洋榎に『友達』だって、言ったんだって―――?」




ちゃちゃのん「…………う、うん」






胡桃「何だって、そんなこと言ったの?」



胡桃「アンタだって、洋榎のこと 好きなんでしょ―――?」




ちゃちゃのん「…………うん、好きじゃよ」コク



胡桃「だったら、どうして―――」







ちゃちゃのん「でも、ちゃちゃのんは…」



ちゃちゃのん「それと同じくらい、胡桃ちゃんや塞ちゃんのことも大好きじゃ…」




胡桃「アンタ、それ本気で言ってんの?」ギリッ






ちゃちゃのん「本気じゃよ。 ちゃちゃのんにとって――――」




ちゃちゃのん「ヒロちゃんも、胡桃ちゃんも―――同じくらい、大切なお友達じゃ……」







ちゃちゃのん「これ、覚えちょる―――?」スッ




胡桃「それ、伊勢神宮で撮った……」





ちゃちゃのん「生憎とせーちゃんと哩ちゃんは、一緒ではなかったんじゃが…」




ちゃちゃのん「この時のみんな、スッゴく ええ顔しちょるよね―――」フフッ



胡桃「……………」







ちゃちゃのん「一人張り切っておめかししてきた、ちゃちゃのんだけ―――」




ちゃちゃのん「とっても浮いちょるって、みんなにたくさん からかわれたんじゃ…」






ちゃちゃのん「これは、ちゃちゃのんの 宝物じゃ――――」









ちゃちゃのん「ちゃちゃのんは―――」






ちゃちゃのん「あの頃みたいに、みんなで楽しく過ごしたいだけなんじゃ――――」











胡桃「バカじゃないの―――」





ちゃちゃのん「胡桃ちゃん――――?」








胡桃「私も、アンタも、アイツだってね、永遠に変わらないものなんて無いのよ…」






胡桃「それを、アンタは… いつまでも昔の思い出にしがみついて、今を全然 見ようとしてない―――」






胡桃「そういうの――――ホンット気持ち悪い…」




ちゃちゃのん「…………」







胡桃「アイツが、洋榎のヤツが…」




胡桃「いつ頃から、お酒をお昼からたくさん飲むようになったか知ってる?」




ちゃちゃのん「え………?」







胡桃「今にして思うとね―――アンタがアイツと、なかなか会えなくなった頃からなんだよ…」





胡桃「その意味、少しは分かってあげてよ―――」ギュッ




ちゃちゃのん「…………」








胡桃「アンタがそんなだったら、私が――――洋榎を奪うわよ」




ちゃちゃのん「…………」









ちゃちゃのん「胡桃ちゃんは、ホンにヒロちゃんのこと よぅ見ちょるね…」





ちゃちゃのん「胡桃ちゃんは、ちゃちゃのんなんかより…」




ちゃちゃのん「ヒロちゃんのこと、一途に想っとったのかもしれんね―――」




胡桃「…………」








ちゃちゃのん「そんな胡桃ちゃんにじゃったら、それも仕方ないのかもしれんの……」






ちゃちゃのん「その方が、きっとヒロちゃんじゃって――――」ギュッ








ちゃちゃのん「―――あ」




ちゃちゃのん「ちゃちゃのんとヒロちゃんな、まだ何もしちょらんけぇの…」






ちゃちゃのん「そりゃぁ、この前…」




ちゃちゃのん「事故みたいなキスだけは、してしもぅたけぇ――――////」ゴニョゴニョ




ちゃちゃのん「じゃ、じゃけぇ――――」










胡桃「――――ふっざけんな!!」





ちゃちゃのん「―――――!?」









胡桃「それって振られた私が可哀想だから、同情のつもり―――?」





胡桃「それとも、私が仲の良いお友達だから―――?」







胡桃「私と洋榎がくっつけば、アンタの言うお友達ごっこが続けられるの――――?」





ちゃちゃのん「そ、そんなつもりは――――」












胡桃「私はあの時―――」






胡桃「私の想いを、アイツに伝えたつもり――――」







胡桃「そりゃ、本当はもっと伝えたいことあったし、大分不恰好なカタチになっちゃったけど――――」








胡桃「私は私の恋に、自分なりの決着をつけた!!」







―――――それでも、アイツはアンタを選んだ。










それなのに―――






そのアンタが、後ろばっかり見て 前に進まないとか――――あんまりじゃない。









胡桃「アンタは、いつだって そうだった―――」






胡桃「私がアイツに告白するのを、ただ黙って待っただけ―――」






胡桃「アイツからの告白を、ただ黙って受け入れただけ―――」











胡桃「――――アンタ、本当は何も選んでないじゃない!!」





ちゃちゃのん「―――――!?」











胡桃「せめて… アイツのこと、誰にも渡さないくらい 言いなさいよ……」






胡桃「じゃないと、私――――どんだけ惨めなのよ……」ポロポロ






ちゃちゃのん「胡桃、ちゃん………」










私のことだけじゃない、それ以上に許せないのことがある――――






胡桃「私が大好きだった――――」






胡桃「アイツのアンタへの想いまで、ウソにすんな!!」













胡桃「こんな時くらい… ちゃんと戦いなさいょ………」ポロポロ






塞「胡桃、もぅいいよ。 帰ろう……」








胡桃「何よ、来ないでって言ったでしょ……」バカ…





塞「そりゃ来るよ、胡桃がツラそうな顔してる時だもの…」










ちゃちゃのん「あ、あの………」



塞「何か、ゴメンね…」



塞「胡桃は私が面倒みるから、ちゃちゃのんも涙 拭いてね…」








塞「ちゃちゃのんは私にとっても、大切な友達だけど―――」





塞「それ以上に、私は胡桃の理解者だから。 今は、手を貸してあげること出来ないから…」





ちゃちゃのん「う、うん………」








ちゃちゃのん「その、ごめんの―――」





ちゃちゃのん「胡桃ちゃんを傷つけるつもりなんて――――ちゃちゃのん、なかったんじゃ……」





塞「うん、分かってる―――」





塞「きっと胡桃も、それが分かってるから 余計にツラいんだと思う……」











ちゃちゃのん「それに、ちゃちゃのんは―――」





ちゃちゃのん「ヒロちゃんからの告白を、受ける入れた時―――」







ちゃちゃのん「塞ちゃんの、純粋な想いを――――」





ちゃちゃのん「自分勝手な、言いわけに使ったんじゃ……」






塞「そう、なんだ―――――」













塞「ほら、胡桃 鼻かんで」



胡桃「ん、ありがと…」チーーン






胡桃「ちゃちゃちゃんは…?」



塞「胡桃のこと気にしてたけど、とりあえず今は帰ってもらった」








胡桃「私―――ちゃちゃちゃんに、とっても酷いこと言っちゃった…」



塞「そう思うなら、今度一緒に謝ろうね」ヨシヨシ



胡桃「うん、そうする…」ズズ…







塞「それにしても、胡桃って意外と不器用だよね…」フフッ



胡桃「何それ…?」





塞「本当は洋榎のためだったんでしょ?」



胡桃「し、知らないわよ!! 私を振ったあんな薄情者のことなんて……////」




塞「ふふ、不器用な胡桃も可愛いって思うよ」




胡桃「塞――――」








胡桃「いつも、ゴメンね……」



塞「ん、何のこと?」








胡桃「―――私、きっと塞のこと…」



胡桃「これまでにも、いっぱい傷つけてるよね…」



塞「私はこれくらいじゃ傷つかないから、平気だよ……」





胡桃「ウソ、絶対 今だって傷ついてる……」



塞「そんなことないってば…」ハハッ






胡桃「塞のそうやって、いつも一人だけ大人ぶってるポーズ、ちょっとキライ…」



塞「うん、そうだね…」





塞「私も、あんまり好きじゃない……」







うん、胡桃の言う通りだね。




これは私の本心を覆い隠すためのポーズ―――





これでも自分じゃ、結構 器用で素直な性格だと思ってたんだけどなぁ――――








胡桃「私ね、ガンコだよ…」



塞「うん、知ってる」






胡桃「ずっと、気持ち―――変わんないかも知れないよ…」



塞「うん、知ってる」







胡桃「これからも塞のこと、いっぱい傷つけちゃうかもしれないよ…」




塞「良いよ。 私は傷つかないから…」






塞「大体 今まで私が胡桃のこと、どれだけ見てきたと思ってるのさ…」









塞「胡桃が歩けるようになるまで、ずっとそばにいるからね―――」




胡桃「私が、一人で歩けるようになったら――?」






塞「それは、どうだろう…」







塞「それはまた―――その時にでも、考えれば良いんじゃないかな」ハハッ




胡桃「何それ、バカみたい…」




塞「そうかな…?」






胡桃「ううん… バカなのは、私もかな……」








胡桃「何だか、トヨネたちにも 会いたくなってきちゃったな…」ヘヘッ



塞「あ、それいいね♪」





塞「今度の休日、一緒に会いに行こっか…?」








胡桃もちゃちゃのんも、きっと優し過ぎただけなんだ。




相手のことを思いやって、自分も相手も傷つけて。




純粋ゆえにいっぱい傷ついて、いっぱい泣いて。







私たちは、本当にどうしようもないくらいに未熟だ―――





でも私は、そんな不器用なこの子たちが大好きだし―――





とても愛おしくて、かけがいのないものだって感じてる――――










今はまだ、とても言えないけど――――






胡桃――――あなたのこと、私が絶対 幸せにするからね。
















そして、数日後の週刊誌の芸能記事にて―――





奇しくも、私たちはちゃちゃのんを見ることとなった――――








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~~ ちゃちゃのん 熱愛スクープ!? ~~




今、人気上昇中の若手アイドル・佐々野 いちご(ちゃちゃのん)に恋人発覚!?





お相手は同大学に通う、同性の女性との噂。



二人が某テーマパークにて、手を繋いで歩く姿などが目撃されている。



以前に二人は、同性カップル応援企画の挙式PR活動のモデルもしていたとか。





これまで、事務所移籍の際の噂以外では 異性の影を一切感じさせなかった



清純派の彼女だけに、そちらの人という可能性は意外と濃厚かもしれない。



現時点では仲の良い女友達という可能性も否定は出来ないが、真相の程は?






証言者M氏「とっても仲良さそうでしたし、可能性は高いんじゃないかな…」



証言者L氏「二人で観覧車に乗って、キスしてるようにも見えたけどね…」




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塞「胡桃、この記事読んだ?」



胡桃「う、うん… 洋榎はこのこと、知ってるのかな…」トゥルルルル…








洋榎「もしもし、いいんちょか」ピッ



胡桃「洋榎、ちゃちゃちゃんの記事は見た?」



洋榎「ああ、見たで……」





胡桃「それで、ちゃちゃちゃんとは もぅ話したの?」



洋榎「イヤ、連絡しても通じんかった…」



洋榎「事務所にも聞いてみたんやけど、アイツ 前から何日か休みとってたらしくて―――」



洋榎「事務所側もアイツが何処におるんかまでは、把握しとらんかったわ……」







胡桃「それで、どうするの―――?」



洋榎「どうする言われても、どうにもならんやろ…」ボソ




胡桃「どうにもならんって、ちゃちゃちゃん ほっとくの?」






洋榎「そら、気にはなるけど…」




洋榎「ウチ、アイツに酷いことしたんや。 ホンマ合わせる顔ないで……」







胡桃「洋榎のヘタレ!! 私を二人の仲人に呼ぶって約束、どうしちゃったのよ!!」





胡桃「つまんないことでウジウジしてる暇があったら、さっさと ちゃちゃちゃん捜しなさいよ!!」




洋榎「いいんちょ……」








胡桃「ホントはあの子だって、アンタのことが大好きなの!! それくらい、分かりなさいよ バカ!!」



洋榎「バカて、随分な言い草やなぁ。 大体 何でいいんちょに、そないなこと分かるんや…」



胡桃「…………」




胡桃(当たり前だよ。 だって私たちは、同じ人を好きになったんだもん…)




胡桃(貴方の良いところは、私たちが一番良く知ってるんだから―――)








胡桃「―――とにかく、さっさとちゃちゃちゃんを迎えに行くこと!!」




胡桃「それと、あの子に―――」




胡桃「『アンタなんかに心配されるほど、私はヤワじゃないわよ!!』って、文句言っといてよね!!」ジャーネ





洋榎「カカッ、了解やで。 いいんちょ――――」




洋榎「―――ホンマ、サンキューな…」





洋榎「やっぱいいんちょは、ええ女やで!!」










ツー ツー ツー ツーー



胡桃「…………」




塞「胡桃、平気……?」









胡桃「ヒロエの、バッキャローーーーーーーーッ!!!!」




塞「―――――!?」ドキッ











胡桃「ふぅ、ちょっとだけ スッキリした…」ハァ




塞「胡桃……?」






胡桃「アハハ、ゴメンね。 もぅ平気だから、それじゃ~ トヨネたちに会いに行こっか―――?」ヨイショ




塞「胡桃は、強いんだね」





胡桃「そうかな? それって、きっと塞のおかげもあると思うけど」ヘヘッ




塞「だったら、私も嬉しいかな……////」











塞「―――ちゃちゃのんは、大丈夫かな?」





胡桃「心配ないよ、アイツがついてるんだもん」







胡桃「後は任せたよ、洋榎――――」














あぁ、そうじゃ…






アレは――――若い頃の、ばっちゃ…









ちゃちゃのんの知っちょる ばっちゃとは









ずいぶんと違うんで、気づかんかったんじゃ――――












あぁ、ばっちゃ…




ずっと会いたかったんじゃよ―――





いっぱいいっぱい、お話したかったんじゃ―――






もぅ何処にも、いなくなったりしたらイヤじゃよ――――









ばっちゃ―――――






ばっちゃ―――














いちご―――




いちご―――――




いちご―――――――







「おい、いちご!! しっかりせんか―――!!」







ちゃちゃのんを必死に呼ぶ声、誰じゃろう?





なんでそんな心配そうな顔で、ちゃちゃのんのこと見とるんじゃ?





ばっちゃと会えて、今 ちゃちゃのんはとっても幸せな気分なんじゃよ。







もぅ少し、このままでいたかったんじゃが――――どうやら意識は覚醒へと向かっとるようじゃ。








『サヨナラ、ちゃちゃのちゃん―――――』












洋榎「おい、いちご!! 自分、しっかりせんか!!」ユサユサ










ちゃちゃのん「あ、ヒロちゃん――――?」





洋榎「こんアホンだら。 ようやっと見つけたでぇ!!」ギュッ









ちゃちゃのん「婆っちゃ、は――――?」





ちゃちゃのん「それに、あの淡雪―――――?」





洋榎「―――――?」








ちゃちゃのん「そか、アレは―――――全部、ちゃちゃのんの夢だったんじゃな……」ツゥーー













洋榎「いちご―――?」





洋榎「自分、泣いとるんか――――?」






ちゃちゃのん「へへ… 大好きじゃった人に、また会えたんじゃ――――」





洋榎「そか、良かったな」










ちゃちゃのん「うん、そんでな―――――『サヨナラ』って…」





洋榎「そうか―――」









ちゃちゃのん「もぅ独りじゃないけぇ――――婆っちゃがおらんでも 大丈夫じゃろって…」







ちゃちゃのん「最後のお別れ、言われてもうたんじゃ……」





洋榎「……………」









ちゃちゃのん「へへっ……」




洋榎「ん……?」










ちゃちゃのん「迷子のちゃちゃのん―――また、見つけ出してくれたんじゃね」







洋榎「あ、当ったり前やろ。 自分が迷子の時は、何度だってウチが見つけ出したるで―――」






ちゃちゃのん「うん、ありがと……」











洋榎「しっかし… まさか鹿老渡まで追って来ることになるとは、流石に思わんかったで――――////」





ちゃちゃのん「ヒロちゃんが来るなんて、ちゃちゃのんも驚いたんじゃ……」ヘヘッ








幼い日に夢見た、魔法の解けたシンデレラを見つけてくれた王子さま。





それとは、随分と違ったけぇ…








うぅん、そうじゃない。





この人は、あの日の王子さまの代わりなんかじゃない。






目の前のこの人は―――――きっとちゃちゃのんだけの……










洋榎「そんで自分、何だってこないなトコで倒れとったんや?」



ちゃちゃのん「ここはの… 婆っちゃが大好きじゃった、思い出の場所なんじゃ…」



ちゃちゃのん「ここに来れば、また婆っちゃとお話が出来るかもしれん 思っての……」




ちゃちゃのん「あぁ… 婆っちゃゆーんは、ちゃちゃのんが大好きじゃった―――」



洋榎「知っとるで―――」



ちゃちゃのん「ほぇ―――!?」








洋榎「コレに自分と婆さんとの思い出、いっぱい書かれとったからな」スッ




ちゃちゃのん「それは、ちゃちゃのんの―――」




洋榎「スマン。 これまで使うことのなかった合鍵、使わせてもらったんや」




洋榎「そんで、悪いとは思ったんやけど――――自分の部屋にあった、コレも読ませてもろた…」









洋榎「いちご日記――――」




洋榎「この日記帳は、自分がこれまで天国の婆さん宛てに送った絵はがきを、スクラップしたモンやったんやな」



洋榎「最初のうちは鹿老渡の実家宛てになっとるが、最近のは出さずにそのままスクラップしとるな」



ちゃちゃのん「…………」






ちゃちゃのん「それは… 夢の中で婆っちゃと会うための、一種のおまじないだったんじゃよ」



ちゃちゃのん「それを書いた夜は、いつも夢の中に婆っちゃが現れて、ちゃちゃのんとお話してくれたんじゃ」



ちゃちゃのん「最初のうちは鹿老渡の実家宛に送っとったんじゃが、お母さんにもぅ止めなさいって怒られてしもうて…」




ちゃちゃのん「そっからは、書いてスクラップするだけにしとったんじゃ…」



ちゃちゃのん「そんでも、婆っちゃにゃぁ しっかり届いたけぇ―――」









ちゃちゃのん「でも、最近は――――それでも婆っちゃと、全然 会えなくなって…」




洋榎「そんで休みをとって、婆さんの命日に鹿老渡に帰っとったんやな……」



ちゃちゃのん「う、うん……」コクッ






洋榎「何にせよ… コイツが、自分が何処におるんか 教えてくれたんやで…」




ちゃちゃのん「そか、婆っちゃが――――」










洋榎「そんで、大好きな婆さんとは――――会えたんやな?」




ちゃちゃのん「うん――――」







ちゃちゃのん「夢の中のちゃちゃのんは、何故だか小学生だったんじゃが…」




ちゃちゃのん「そこでは桜も散り始めちょるゆーに、雪が降っとってのぅ―――」





ちゃちゃのん「ちゃちゃのんは、その淡い雪が積もらんことを知っちょったけぇ――――何じゃかとても悲しくなって…」





ちゃちゃのん「シクシク泣いとったら、いつもと変わらん婆っちゃが――――」





ちゃちゃのん「まぁ~ 見た目は随分と違ったんじゃけど、婆っちゃが来てくれたんじゃ」




洋榎「…………?」







ちゃちゃのん「婆っちゃはちゃちゃのんが泣き止むまで、ただずっとそこにいてくれて…」





ちゃちゃのん「泣き止んだ後も、ちゃちゃのんの話を ただ黙って聞いてくれとったんじゃ―――」





洋榎「…………」










ちゃちゃのん「ちゃちゃのんの話が一通り終わったとこで―――」





ちゃちゃのん「婆っちゃは、『今日はお別れを言いに来たんじゃ―――』って……」





ちゃちゃのん「モチロン、ちゃちゃのんは そんなん嫌じゃって 引き止めようとしたんじゃが…」






ちゃちゃのん「『全てのモノにゃぁ、必ず始まりと終わりがあるんじゃよ―――』って、言われてしもうた…」







ちゃちゃのん「それに、『もぅ独りじゃないけぇ、婆っちゃがおらんでも 大丈夫じゃろ』って―――」









ちゃちゃのん「『サヨナラ、ちゃちゃのちゃん』って――――」







洋榎「いちご――――」











洋榎「せやけど、こんな道端で 寝とるヤツがおるか…」



洋榎「一応、年頃の女の子やろ。 自分、どんだけ無防備やねん……」アホ…



ちゃちゃのん「えへへ、申しわけないんじゃ…」









ちゃちゃのん「でも、ヒロちゃん。 よぅこん場所まで分かったのぅ?」




洋榎「あぁ、それはな―――」







「ちゃちゃの~~~~ん!!」



ちゃちゃのん「ほぇっ――!?」



洋榎「お、ようやく来たみたいやな……」ヒヒッ






快活な長女さん「ちゃちゃのん、ホンに久しぶりじゃの~~~!!」ダキッ




ちゃちゃのん「えぇっ、何で!?」








陽気な妹ちゃん「あっ、お姉ちゃんばっかり こすいんじゃ!! ボクもボクも~~~!!」ダキッ



しっかりものの妹ちゃん「ちゃちゃのんの、あんぽんたん。 ぶち心配したんじゃけぇ…」ウルッ



物静かな女の子「フフッ、私もいますわよ~~~♪」フリフリ




ちゃちゃのん「鹿老渡のみんな… 一体どうして……?」アワワッ








洋榎「自分、ケータイ 部屋に忘れてったやろ」



洋榎「家探ししとる時に着信あってな、見覚えある名前やったから ウチが代わりに出たんや」



ちゃちゃのん「あ……」





快活な長女さん「雑誌の記事読んで、心配だったんで電話したんだけど―――」



快活な長女さん「いや~~~ まさかそんお相手が、あの姫松の愛宕さんだったとは ビックリじゃよね~~~」アハハッ



洋榎「ちゅーわけで、先にちゃちゃの居てはりそうな場所を電話で聞いとったんや」ニシシ








ちゃちゃのん「………………」



物静かな女の子「いちごさん、どうかされまして?」



陽気な妹ちゃん「ちゃちゃのん、元気出せ~~~~~!!」



しっかりものの妹ちゃん「アンタの無駄元気を、ちゃちゃのんに分けてあげたいのぅ」









ちゃちゃのん「みんな、あの時はゴメンの……」





ちゃちゃのん「ちゃちゃのんが、不甲斐なかったせいで――――」ポロポロ




快活な長女さん「誰もちゃちゃのんのせいなんて思ってないけぇ」




快活な長女さん「自分 責めるんも、もぅそれくらいにしときんさい―――」ナデナデ




しっかりものの妹ちゃん「ちゃちゃのんってば、気にしすぎなのよ…」








ちゃちゃのん「じゃって、ちゃちゃのんのせいで―――」




ちゃちゃのん「鹿老渡高校は……」




物静かな女の子「それこそ、ちゃちゃのんは関係ないでしょう…」








洋榎「鹿老渡高校の廃校―――」



洋榎「ちゃちゃは、一度も言わんかったし…」



洋榎「ウチ、今日の今日まで ちっとも知らんかったで……」





しっかりものの妹ちゃん「大体、アレはずいぶん前から決まってたことだもんね…」




陽気な妹ちゃん「うん、ちゃちゃのんは何も悪くないんじゃ!!」




洋榎「せやな、どうせ全部 ウチが悪いんやし……」ズーーーン




快活な長女さん「いやいや、言ってない言ってない!!」ドードー










陽気な妹ちゃん「の~ の~ これから、みなで探検しようよ!!」


快活な長女さん「おっ、ええのぅ♪ せっかく集まったんじゃ、久しぶりにみなで探検ごっこでもする?」


しっかりものの妹ちゃん「たまにゃぁ、アンタもええことゆーのぅ…」


陽気な妹ちゃん「えへへ~、もっと褒めてくれてもええんじゃよ~~」ニッコニコ


しっかりものの妹ちゃん「このポジティブ、とろふわ脳め…」クッ




物静かな女の子「ちゃちゃのんと愛宕さんも、一緒に行きましょう♪」ニコッ


洋榎「探検ええやん。 ウチそういうの大好きやで~~♪」



洋榎「あ、それとウチのことは洋榎で頼むわ♪」ニッ


快活な長女さん「ふふ… 了解、洋榎♪」


ちゃちゃのん「……………」





洋榎「ほれほれ。 ちゃちゃもそないしょぼくれとらんで、今日は童心に返って れっつらごーやで~~!!」ギュッ



ちゃちゃのん「あ、ヒロちゃん……///」




物静かな女の子「あらあら、お二人とも本当にラブラブですのね」ホホホッ



洋榎「うっ、これはその… その場のノリっちゅうか なんちゅうか……///」



ちゃちゃのん「……………////」







陽気な妹ちゃん「川口隊長!! そこに巨大なヤシガニが!?」ビシッ


洋榎「なんやて!? そないな生物がいったいどこに――――」ワサワサ


洋榎「―――て、こりゃ ウチ自慢のヤシガニヘッドやで~~~!!」ズビシッ



陽気な妹ちゃん「「わーい!! 変テコ動物いっぱいじゃ~~!!」 デデデッ



快活な長女さん「あはは、アイツら何をやっとるんじゃ…」


しっかりものの妹ちゃん「アホが二人に増えたんじゃ…」







メイド服の少女「ほんだら、はんだら、すかどろば―――」



メイド服の少女「命が惜しけりゃ置いてきな、燃やして砕いて飲み込むぞ。 孫子の代まで居直るぞ~~~♪」ウフフッ



しっかりものの妹ちゃん「うふふって…」



物静かな女の子「ていうかなんの歌ですの、今のは?」



メイド服の少女「子守唄ですよ♪」




ちゃちゃのん「ちゅーか、誰じゃ… 何でメイド服…?」



キリリウサ「気に、するな…」キリッ




http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira100022.jpg
「私、助手なので…♪」ペカー






ちゃちゃのん「―――みんな、あん頃と変わっちょらんのぅ…」ヘヘッ



物静かな女の子「いちごさんだって、ちっとも変わってませんわよ」フフッ



ちゃちゃのん「そ、そうじゃろか……?」




物静かな女の子「えぇ、いちごさんは何年経っても変わらぬ、至高の愛らしさですわ~~~♪」ハァハァ スンスン



ちゃちゃのん「アハハ、ゆうちゃんは初対面の頃とは だいぶ印象変わったのぅ…」









快活な長女さん「ねぇ… これからみなで、あっこに行ってみない?」



陽気な妹ちゃん「あはは、サンセー♪」



しっかりものの妹ちゃん「ええと思う…」



物静かな女の子「まぁ、それは素敵ですわね♪」




ちゃちゃのん「ほぇ―――?」







【旧鹿老渡高校 麻雀部部室】



洋榎「おぉっ、ここが鹿老渡 麻雀部の部室か!!」



ちゃちゃのん「まだ結構 綺麗じゃね……」ドキドキ



快活な長女さん「そうじゃな。 ちぃーと埃 溜まっとるけぇ、払えば全然大丈夫そうじゃ♪」






シャーーーー


しっかりものの妹ちゃん「それにカーテン開ければ、明かりの方も充分じゃの…」



陽気な妹ちゃん「ほんじゃ、早く机を並べちゃおっか~~♪」ガタガタ



物静かな女の子「あっ、私も手伝いますわ♪」ヨイショ




ちゃちゃのん「机とか並べて、ここで何をするんじゃ?」







快活な長女さん「何って… 麻雀部の部室に、こんメンバーですっことゆーたら―――」



快活な長女さん「麻雀しかないじゃろ!!」ドンッ



ちゃちゃのん「雀牌、持ってきちょったんか…」





快活な長女さん「ま、何事も用意周到がアタシのモットーじゃけぇの」フフン



ちゃちゃのん「用意周到は、ちゃちゃのんのモットーじゃよぉ!!」








快活な長女さん「洋榎、アタシたち鹿老渡麻雀部との勝負――――受ける度胸はあるかの?」




洋榎「勝負か―――面白いやん」




洋榎「その勝負、買うたるでぇ~~!!」







ジャラ ジャラ ジャラ ジャラ…


洋榎「ロンやで…」パララ


しっかりものの妹ちゃん「うっそ、やられたわ…」



快活な長女さん「元姫松高校 不動のエース・愛宕洋榎、流石じゃのぅ」






洋榎「カカッ… ウチの本気、まだまだこんなもんやないで~~~!!」ダンッ


陽気な妹ちゃん「あっ、それロンじゃ♪」ヤッホーー パララ




洋榎「ていうか、その役って まさか―――!?」



陽気な妹ちゃん「うん、ちゃちゃのんがやられた清老頭って役じゃよ~♪」ニシシ





洋榎「そ、そんなん――――考慮しとらんで…」ガバッ



ちゃちゃのん「こりゃ~~ そりゃぁ誰の真似じゃ!?」



洋榎「誰て… 清老頭くらってポロポロ泣いとった、自分しかおらんやろ?」



ちゃちゃのん「大体 ちゃちゃのんは、そんな大股広げたりなんかしとらんわ……///」プンプン



一同((してたけどね……))






陽気な妹ちゃん「これでちぃーとは、あん時のちゃちゃのんの 意趣返しってヤツが出来たじゃろか?」ヘヘヘッ




洋榎「流石、ウチら姫松に5万点以上もの差をつけた先鋒やな。 自分、ホンマ強いで…」




洋榎「最近、まともな勝負しとらんかったからな。 何やメッチャ楽しくなってきたで!!」ワクワク









ジャラ ジャラ ジャラ ジャラ…


快活な長女さん「の~ ちゃちゃのん…」



ちゃちゃのん「――――?」







快活な長女さん「アタシさ…」



快活な長女さん「ちゃちゃのんのこと、ずっと好きだったんじゃよ……」



ちゃちゃのん「ほぇっ!?」








快活な長女さん「ちっとも気付いとらんかったじゃろ…」




快活な長女さん「ちゃちゃのん、そーゆーの昔から鈍かったけぇのぅ―――」フフッ




ちゃちゃのん「うぅっ、ごめんのぅ……///」カァァ…







陽気な妹ちゃん「アハハ、実はボクもだったりして~~~♪」




しっかりものの妹ちゃん「その、私も… 本当のお姉ちゃんみたいに、好いとったんじゃよ……////」テレテレッ





洋榎「何やねん。 自分モテモテやないか」



ちゃちゃのん「えへへ……////」テレッ




快活な長女さん「ちゃちゃのんは、ウチらのアイドルじゃけぇのぅ~~」ケラケラ





物静かな女の子「そのぅ… 実は、私もだったりして~~~///」ポッ ユビクルクル



快活な長女さん「イヤ… アンタのは、みな気付いとったじゃろ」



物静かな女の子「ななっ!! そんなバカなですわ!?」ショック!?



鹿老渡メンバー「「アハハハハ…」」






ちゃちゃのん「みんな……」



洋榎「へへッ……」








快活な長女さん「ま~ いろいろあるだろうけどさ、アタシらはいつだってアンタの味方だからさ…」



快活な長女さん「そのこと、忘れないでよね――――」




陽気な妹ちゃん「うん、ボクたちずっと友達だよ♪」



しっかりものの妹ちゃん「今度、大阪に遊びに行くけぇの…」



物静かな女の子「メールも送りますわね~~」




ちゃちゃのん「みんな、どうもありがとうの……」グスッ



陽気な妹ちゃん「アハハ、ちゃちゃのんがまた泣いた~~~♪」



しっかりものの妹ちゃん「幾つになっても、ちゃちゃのんは泣き虫さんじゃのぅ…」



物静かな女の子「ウフフ、お宝写真ですわ♪」パシャパシャ



ちゃちゃのん「うっ、うるさいんじゃよぉ~~!?」







快活な長女さん「洋榎、ちゃちゃのんのこと―――支えてあげてな」



洋榎「おっ、おぅ…」






陽気な妹ちゃん「ヒロエ、また麻雀しようね~~~♪」



洋榎「上等やん。 自分との決着は、プロの舞台で付けたるで!!」カカッ



陽気な妹ちゃん「プロかぁ~~ 楽しそうじゃね♪ ボクも頑張って目指してみよっかな…」










洋榎「アイツら、ホンマ ええヤツらやったな…」



ちゃちゃのん「そうじゃろ、ちゃちゃのんにゃぁ 勿体無いくらいの友達じゃ…」




ちゃちゃのん「すっかり暗くなってしまったのぅ……」









洋榎「ちゃちゃ……」




ちゃちゃのん「ん―――?」





洋榎「空、見てみ……」





ちゃちゃのん「空…? あぁ、本当じゃ…」




ちゃちゃのん「鹿老渡の夜空、凄いじゃろ―――」





洋榎「あぁ、満天の星空… 話には聞いとったが、これは想像以上やで――――」





ちゃちゃのん「そうじゃろ、ここはちゃちゃのんの自慢じゃけぇ♪」ヘヘッ










洋榎「ん… あっちの茂みの方でも、何か光っとんで…?」




ちゃちゃのん「本当じゃ、チカチカしちょるね。 アレって…」テテテッ









洋榎「お~ これってもしかして閉店だから早よ帰れでお馴染み、ホタルの光っちゅーヤツか?」



洋榎「そういや、ウチ 実際にホタル見るのって初めてやな~~」カンドー



ちゃちゃのん「この子は、日本の固有種。 ヒメボタルのメスみたいじゃね…」



洋榎「そこまで分かるんか?」





ちゃちゃのん「うん… ヒメボタルはゲンジやヘイケよりも小ぶりで―――」



ちゃちゃのん「冷光も、こういうチカチカとした短い明滅を繰り返すんじゃ」



洋榎「冷光って…?」




ちゃちゃのん「ホタルとか生き物の出す光は電球とかと違って熱を殆ど出さんけぇ、そう呼ぶんじゃよ」




ちゃちゃのん「それにヒメボタルは清流じゃなく、こういう茂みとか森に住んどるんじゃ…」



洋榎「へぇ~~ そうなんやな…」









ちゃちゃのん「まるでマッチ売りの少女が最後に灯す、マッチの炎みたいじゃね…」




洋榎「何やねん、その微妙な例えは…」




ちゃちゃのん「…………」









洋榎「そういや、普通 ホタルってもっとたくさんでおらへん? 何で一匹だけなんやろな?」




ちゃちゃのん「ヒメボタルの羽化は、大体5月から6月―――」




ちゃちゃのん「この子は、ちょっと あわてんぼさんだったのかもしれんのぅ…」




洋榎「間違って、他のヤツらよりも早く起きてまったっちゅーことか…」








洋榎「せやけど、確かホタルの寿命って短いんやろ…?」





ちゃちゃのん「うん、成虫になったホタルの寿命は1、2週間―――」





ちゃちゃのん「そして成虫になったヒメボタルのメスの寿命は、2日から3日じゃ――――」




洋榎「えっ、そない短いんか!?」








ちゃちゃのん「それにヒメボタルのメスは、仲間を探そうにも空を飛べないんじゃ…」




ちゃちゃのん「じゃけぇ… こうやって、必死に光を出して―――」




ちゃちゃのん「誰かが自分を見つけてくれるのを、ただ待ち続けとるんじゃよ――――」




洋榎「…………」







ちゃちゃのん「でも… それもこの時期では、きっと駄目じゃろう…」





ちゃちゃのん「たぶん、この子は――――このまま誰とも出会えないまま……」







洋榎「探してみようや―――」





ちゃちゃのん「ヒロちゃん――――?」









洋榎「そないなこと、勝手に決めつけんなや―――」




洋榎「コイツと同じあわてんぼが、どっかにおるかもしれんやろ…」





洋榎「諦める前にまず動け――――とりあえずやってみようが、ウチの信条やねん」





洋榎「ウチらでコイツの仲間、探してみようやないか――――?」ニッ




ちゃちゃのん「うん、そうじゃね――――」ニコッ



































ガサガサ…



洋榎「おっ―――!?」




ちゃちゃのん「あ――――!?」









ちゃちゃのん「他のヒメボタルたちの生息場所―――ホンにあったんじゃ…」




洋榎「何や… 多少 時期はずれ言うても、結構 群れになっとるやないか」ヘヘッ




ちゃちゃのん「うん、今年はこの辺り。 いつもよりも暖かかったんじゃろか…」





洋榎「それんしても、自分 泥だらけやで~~」カカッ




ちゃちゃのん「うぅっ、それはヒロちゃんもじゃろぉ~~~!!」









洋榎「ほんじゃ、さっきのあわてんぼは ここに放したるか…」




ちゃちゃのん「うん、そうじゃね♪」






ちゃちゃのん「仲間、見つかってホンに良かったのぅ――――」









洋榎「…………」




ちゃちゃのん「…………」




洋榎「綺麗やな…」




ちゃちゃのん「うん……」





ちゃちゃのん「よぅこうやって、婆っちゃや鹿老渡のみんなとホタルを見たもんじゃ…」







洋榎「冷たい光っちゅうわりには、こうやって集まっとると暖っかそうやな」




ちゃちゃのん「うん、そうじゃね…」




ちゃちゃのん「この光の群れを見とると、何だか胸のところが熱くなってくるんじゃ…」








ちゃちゃのん「蛍の光は、死者たちの魂―――」




洋榎「――――?」





ちゃちゃのん「昔からそう言われるくらい、蛍の光は人の心を惹きつけ 揺さぶるものだったんじゃ…」








ちゃちゃのん「きっと昔の人はこの儚げな光を、失った大切な人の魂に見立てて―――」




ちゃちゃのん「その人の死後の幸福なんかを、願ったりしたんじゃろうね」



洋榎「…………」






ちゃちゃのん「成虫になったホタルはな、何も食べず 綺麗な水だけで生きとるんじゃ―――」




ちゃちゃのん「じゃけぇホタルの光は、こんなにも綺麗で儚げなんじゃろか――――」




洋榎「ホンマ、切ない気持ちになる生命の灯火やな…」






ちゃちゃのん「ぷっ… ヒロちゃんもなかなかに詩人さんじゃのぅ♪」





洋榎「ア、アホッ!? こないな時に、茶化すなや…///」ツラレタ…




ちゃちゃのん「へへっ、ゴメンのぅ…」ツイ…







ちゃちゃのん「ちゃちゃのん昔から、こういう綺麗なものに強く惹きつけられとったんじゃが―――」




ちゃちゃのん「どうして綺麗なものって、こんなにも人の心を切ない気持ちにするんじゃろうね――――」




洋榎「この美しさも永遠やないって、見とるモンにそう思わせるんやろか?」




ちゃちゃのん「綺麗なものっちゅうんはドコか儚げで、滅びの象徴みたいな側面もあるのかもしれんね」








ちゃちゃのん「蛍の光は、死者たちの魂―――」




ちゃちゃのん「亡くなった人のこといつまでも忘れず、大切に慕い続ける心はとっても尊いと思うんじゃが―――」




ちゃちゃのん「あまり気持ちがそっちに向き過ぎると、自分も死者の側に引っ張られるような感覚になるんじゃ――――」




洋榎「て、それはちょっとヤバイやろ…」




洋榎「感受性 強すぎるのも考えもんやで~~」





ちゃちゃのん「あはは… それ小さい頃に、よぅ言われたんじゃ…」









ちゃちゃのん「でも、ちゃちゃのんな―――」




ちゃちゃのん「強くて、自由で、したたかで、たとえ泥の河の中でも立派に咲き誇れるような―――」




ちゃちゃのん「そんな力強くて、しぶとい花もええもんじゃなって――――ヒロちゃん見てて、そう思ったんじゃ」






洋榎「腐臭漂う泥の河って、そら大阪もんならカーネルオジさんかて道頓堀ダイブしてまうけど―――」





洋榎「とりあえず自分、今のは絶対 褒めてへんやろ?」





ちゃちゃのん「へへッ… それはどうじゃろね」フシュウハ イットランジャロ…







ちゃちゃのん「でもちゃちゃのんは、そんなヒロちゃんじゃけぇ――――」











洋榎「ちゃちゃ……」




ちゃちゃのん「ん………」








洋榎「その… 観覧車でのこと―――」





洋榎「あの時は、ホンマ すまんかった――――」









―――恋人の魔法は… もぅ解けてしもぅたみたいじゃね…





―――続きは… ヒロちゃんが一番大切な時のために、とっておいての……








洋榎「ウチは、ホンマ アホたれや――――」ギリッ





ちゃちゃのん「―――もぅ、ええんじゃ…」









ちゃちゃのん「それにちゃちゃのん――――そんなに、イヤじゃなかったよ……////」モジモジ






洋榎「ちゃちゃ――――////」










ちゃちゃのん「ちゃちゃのんの方こそ、ゴメンの…」





ちゃちゃのん「ヒロちゃんにも、胡桃ちゃんにも、塞ちゃんにも…」





ちゃちゃのん「ちゃちゃのんは、随分と酷いことをしたんじゃ――――」









洋榎「そんなん、ウチは別に気にしてへん――――」





洋榎「いいんちょかて、『アンタなんかに心配されるほど、私はヤワじゃないわよ!!』言うとったで…」





ちゃちゃのん「アハハ、胡桃ちゃんはやっぱり素直じゃないのぅ…」





洋榎「まったくやで、いいんちょは もぅちょい可愛げあった方がええと思うわ」ヘヘッ







ちゃちゃのん「………」




洋榎「………」






ちゃちゃのん「――――ヒロちゃん……」





洋榎「………ん?」





















ちゃちゃのんと―――――別れてもらえんじゃろか。


















洋榎「…………」







ちゃちゃのん「…………」












洋榎「――――自分が、そうしたい言うんやったら」










洋榎「ええで―――――」





















ちゃちゃのん「えへへ… これでまた、お友達に逆戻りじゃね…」







洋榎「せやな… それも案外、悪くないかもしれん…」カカッ














ちゃちゃのん「の~ ヒロちゃん―――」






ちゃちゃのん「明日はこのまま二人で、広島観光でもどうじゃろ?」






ちゃちゃのん「呉とか、たけはらとか――――ちゃちゃのんの育った町なんかを、いろいろ紹介したいんじゃ♪」





洋榎「おっ、そいつは楽しみやな♪」








流石に何年も人のおらんかった、婆っちゃの実家に泊まるわけにもいかんけぇ。






その日の夜は、ヒロちゃんと二人で鹿老渡にある宮林の旅館に泊まることにしたんじゃ。










洋榎「ぷっはぁ~~ 朝飯も美味かったし、何や港の香りが落ち着くで~~!!」



ちゃちゃのん「じゃろ♪ ここは鹿老渡でも有名な旅館で、江戸の頃にゃぁ材木なんかを扱っとったそうじゃ」



洋榎「確かに白壁の土蔵とか、何や由緒ありげな感じやもんな~~」








洋榎「おっ、何やろ… 海の向こうの方、何や島影みたいの見えんで?」



ちゃちゃのん「瀬戸内を挟んで、あっちにうっすら見えちょるんは、たぶん四国の愛媛じゃな…」





ちゃちゃのん「ここの入江は静かじゃけぇ」



ちゃちゃのん「その昔は潮待ちの港として、日向の国の藩主さんなんかも立ち寄られたりしたっちゅう話じゃよ」



洋榎「へぇ~~ 今は人影も少ないみたいやけど、昔は結構賑わっとったんやなぁ…」



ちゃちゃのん「うん… 婆っちゃが若い頃なんかは、小学校もまだあったそうじゃし」



ちゃちゃのん「今より、もっともっと人も多かったそうじゃ…」







ここでちゃちゃのんを育んだ鹿老渡という土地の説明をば少し(興味のない方はすっ飛ばして下さい)





鹿老渡は倉橋島(広島県呉市倉橋町)と、その南にある鹿島を繋ぐトンボロの島(陸繋島)で


山と山の間に挟まれた場所に集落のある、瀬戸内海に位置するとても景色の良い静かな港町のようです。


余談にはなりますが、ちゃちゃのんの声をされていた松来未祐さんも同じ呉市の出身ですね。



尚、鹿老渡は県道35号線 音戸倉橋線の終着点で、その先にある鹿島大橋を渡ると鹿島です。


なのでこの作中のちゃちゃのんは県道35号線を走るバスで、倉橋島にある小学校に通っていたという設定になってます。


因みに鹿老渡にあった小学校は平成9年に廃校となっており、現在は災害避難場所として残っているようですね。





そもそもこの鹿老渡という港町は、江戸時代に瀬戸内海を行き交う船舶との商売や潮待ちによる宿泊などを目的に作られたそうで


享保15年(1730年) 倉橋町の有力者達によって企画・整備され、現在もその碁盤の目のような街並みは維持されています。



穏やかな砂州、静かな入江は古くから風待ち、潮待ちの港として参勤交代の大名等にも利用されたそうですが、


現在は人影も少なく、何だか時間が止まってしまったような、とても景色の良い静かで穏やかな港町のようですね。



ちゃちゃのんのんびよりな、小学生時代のちゃちゃのんの生活…


そんなほっこり癒される内容な作品、誰か書いてくれませんかね~~






尚、以下のサイト様を参考にさせて頂きました。


興味のある方はそちらも合わせて読まれてみては如何でしょうか。


・何の変哲もない咲の地名紹介様「広島県代表・鹿老渡高校」

・のんびり屋の瀬戸内めぐり様「鹿老渡(倉橋島)」

・えいちゃん笠岡を走りまくる様「鹿老渡①」

・そぞろ歩き様「鹿老渡~倉橋島」

・ひろしま文化大百科様「鹿老渡と本浦」・宮林家住宅



http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira101491.jpg
※鹿老渡の位置

http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira101614.jpg






ちゃちゃのん「ちゃちゃのんが小さかった頃から、ここはちっとも変わっとらんけぇの…」




ちゃちゃのん「ここは、まるで時間の流れが止まっとるようじゃ……」






ちゃちゃのん「鹿老渡高校の廃校も、きっと時代の必然じゃったと―――」




ちゃちゃのん「今なら、そう思えるかのぅ…」




洋榎「ちゃちゃ……」






ちゃちゃのん「うぅん、それもちょっと違うかのぅ」




ちゃちゃのん「どうにもならんっちゅうことは、あん頃から みんな分かっとったんじゃ…」




ちゃちゃのん「じゃけぇ、テレビや雑誌の向こうのみんなの記憶にも―――」




ちゃちゃのん「鹿老渡高校っちゅうモンがあったこと、覚えておいて欲しい思って頑張っとったのかもしれん――――」




洋榎「…………」








ちゃちゃのん「―――あ」



ちゃちゃのん「だからっちゅうて、そこでヒロちゃんが申し訳なく思う必要はないけぇの!?」アセッ



ちゃちゃのん「勝負っちゅうんは そういうモンじゃって、ちゃんと分かっとるけぇ♪」ヘヘヘ




















ちゃちゃのん「そんなことより、今日は広島観光たっぷり楽しもうの♪」



洋榎「なぁ、昨日は ああ言うたが―――」



洋榎「この前の記事のこともあるやん。 ホンマにウチと観光なんかしても、ええんか…?」





ちゃちゃのん「ちゃちゃのんは、ヒロちゃんとがええんじゃが…」




ちゃちゃのん「ヒロちゃんは、やっぱりちゃちゃのんとじゃ―――迷惑だったりするんじゃろか?」




洋榎「―――いや、ウチはええんやけど……///」ドキッ




ちゃちゃのん「えへへ、ほんなら決まりじゃの~~♪」レッツ、ゴージャ♪







洋榎「な~~~」



ちゃちゃのん「ん…? 何じゃ、ヒロちゃん…?」



洋榎「どうでもええねんけど、自分のその変装 めっちゃダサイで~~」



ちゃちゃのん「えぇっ!? そ、そうじゃろか!?」アセッ




洋榎「何やねん、そのハート型のグラサンに尻みたいなピーチ帽といちご模様のケープは?」



ちゃちゃのん「お、おかしいのぅ… ちゃちゃのん、あんまり変装とかせんのじゃが」



ちゃちゃのん「これが今年の流行りじゃって、お洒落上手なチハちゃんに教えてもらったんじゃが…///」シリテ…




洋榎「業界の流行とか知らんが、どうせ自分 またからかわれたんやろ?」



ちゃちゃのん「うぅっ… そんなことないって否定しきれんのが、悲しいトコなんじゃ…」チハチャン…



洋榎「その様子だけで、現場での自分の立ち位置がよぅ分かんで~~」カカッ



ちゃちゃのん「うっ、うるさいんじゃよぅ!?」









洋榎「―――で、結局スタンダードな帽子と色メガネだけにしたんやな?」



ちゃちゃのん「へっ、変じゃろか…?」



洋榎「いや、なかなか似合ってんで~~♪」ニカッ








【たけはら】



ジュー ジュー


洋榎「おぉっ、これがたけはら名物、ほぼろ焼き言うヤツやな!?」ハフハフ ウマウマ



ちゃちゃのん「そうじゃよぉ、ちもさんのお好み焼きは 絶品なんじゃ♪」エッヘン



ちも「いちごちゃん、どうもありがとぅの♪」ニコニコ






洋榎「そういや、店主さんとちゃちゃは、どういう知り合いなんや?」



ちゃちゃのん「ちゃちゃのんの前のお父さんが、たけはらの生まれでのぅ」



ちゃちゃのん「お父さんが先代ほぼろさんのファンで、小さいちゃちゃのんも よぅここに連れてきて貰ったんじゃよ~」



ちも「いちごちゃん、あの頃は毎年 お父さんたちと憧憬の路を見に来とったよね~ 懐かしいわぁ~~♪」




ちゃちゃのん「ホンに、懐かしいのぅ…」









ちゃちゃのん「あ、ちもさん。 写真お願いしてもええじゃろか?」



ちも「うん、モチロンええよ~~♪ ホンなら、洋榎ちゃんも一緒に並んで~~」



ちゃちゃのん「せっかくじゃけぇ、ヒロちゃんも一緒にの♪」



洋榎「おぅ、ええで!!」








「おこのみや~~~~き♪」パシャ







ちゃちゃのん「ちもさん、どうもありがとなんじゃ♪」



洋榎「おおきにやで~~♪」




ちも「ふふ… 二人とも、とってもええ笑顔しとるよぅ♪」





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【広島駅】



ガタンゴトン ガタンゴトン


洋榎「おっ、広島名物の路面電車やな!!」



ちゃちゃのん「うん♪ ちんちん電車、もぅすぐ来るのぅ」



洋榎「ん、今 何か言うたか?」



ちゃちゃのん「じゃけぇ、ちんちん電車がもぅすぐ着くって―――」



洋榎「スマン、もっかいおっきな声で頼むで~~」ヒヒッ



ちゃちゃのん「もぅ、路面電車でええわ。 ヒロちゃんは、やっぱり意地悪なんじゃ…///」ブー






ブーー ピポン ピポン



洋榎「へぇ~ 路面電車なのに、5台繋ぎなんやな」



ちゃちゃのん「そうじゃよ。 こりゃぁ国産100%のグリーンムーバー系・5車体連接の超低床電車ゆーヤツじゃ♪」






ピンポーーン ガタガタン



みゆき《ご乗車、ありがとうございます。 本車輌はこれより発車 致しま~~す♪》



ちゃちゃのん「あっ、みゆきお姉ちゃ~~ん♪」フリフリ


みゆき「ほぇ……?」




みゆき《ありゃ~ いちごちゃんけぇ、ひーさ会わんかったねぇ!?》キーーン



ちゃちゃのん「お姉ちゃん、マイクマイク」ヒソヒソ



みゆき「うひゃぁ~~ し、失礼しました~~」アセアセッ


アハハ クスクス




洋榎「この人は?」



ちゃちゃのん「広島電鉄で働いちょる『鷹野 みゆき』お姉ちゃんじゃ」



ちゃちゃのん「ちゃちゃのんが中学時代、呉に住んどった時のご近所さんで色々とお世話になったんじゃよぉ♪」エヘヘ



みゆき「いちごちゃんとは何かと気が合ってのぅ、妹みたいに可愛がっとったんじゃよぉ~~♪」エヘヘ



洋榎(あ~~ 何や このお姉さんからも、ちゃちゃと同じ匂いするわ……)




みゆき「広島んことなら色々と教えちゃるけぇ。 おいでやんせ、広島へ♪」



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【宮島口 フェリー乗り場~~宮島桟橋】



ザザザーーーン


洋榎「うひょ~~ フェリーの風がメッチャ気持ちええでぇ!!」



ちゃちゃのん「原爆ドームにも行ったし、お次はいよいよ宮島じゃね」



洋榎「たけはら行ったり、呉行ったりで、今日はホンマ強行軍やったな~~」






洋榎「あ… そういや、ちゃちゃの憧れのアイドルさんって 確か呉の出身やったな」



ちゃちゃのん「う、うん……」




洋榎「その人って、どういう人なんや?」



ちゃちゃのん「……………」



洋榎「ん…?」






ちゃちゃのん「いつも一生懸命で、誰にでも優しくて、とってもファン想いな…」




ちゃちゃのん「周りにおる人や、ファンの子たちの心まで優しい気持ちにしてくれる―――」




ちゃちゃのん「そんなぽかぽかとした、自然と人の集まるひだまりみたいに暖っかい人じゃったよ……」




洋榎「―――じゃった?」









ちゃちゃのん「ちょっと前にな、病気で亡くなったんじゃよ…」




ちゃちゃのん「まだ、38になったばかりじゃった―――」



洋榎「そか、スマン……」






ちゃちゃのん「ええんじゃ。 人の死ゆーんは、誰にも避けられんもんじゃけぇ…」





ちゃちゃのん「本当はもっともっとたくさん生きて、いっぱい幸せになって欲しかったし…」





ちゃちゃのん「これから先も、ずっとずっとちゃちゃのんの目標でいて欲しかったんじゃが―――」





ちゃちゃのん「こればっかりは、どうしようもないことなんじゃ……」




洋榎「…………」









ちゃちゃのん「じゃけぇ… ちゃちゃのんだって、いつまでも泣いてちゃ駄目なんじゃ!!」




ちゃちゃのん「早く気持ちの整理つけなくちゃ、いけないんじゃ…」




ちゃちゃのん「あの人だって、きっとそんなん喜ばんはずじゃけぇ……」




洋榎「ちゃちゃ………?」







ちゃちゃのん「それにの―――」




ちゃちゃのん「誰だって、人はいつか必ずいなくなるもんじゃ」




ちゃちゃのん「そしてそれは、必ずしも年をとってからとは限らん」




ちゃちゃのん「そんな当たり前のこと、みんな分かっとるはずなんじゃが…」




ちゃちゃのん「分かっとっても、普段そういうこと あまり考えんようにしとるんじゃ」






ちゃちゃのん「それを考えること、認めるゆーことは――――とっても痛いことじゃけぇ……」












ちゃちゃのん「ちゃちゃのんはな――――」




ちゃちゃのん「婆っちゃの死からも、ずっと目をそらし続けてきたんじゃ…」




ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、冷たくなった婆っちゃが 柩の中に入るとこ、確かに見たはずなんじゃ」




ちゃちゃのん「それなのに、そのことをちゃちゃのん――――全く覚えとらんかったんじゃ……」







ちゃちゃのん「婆っちゃは亡くなったんじゃなく、どこかに行ってしまったんじゃと―――」





ちゃちゃのん「そう思い込むことで、婆っちゃがいつか帰ってきてくれるって思っていたかったんじゃな……」





洋榎「……………」










ちゃちゃのん「昨日、夢ん中で婆っちゃからお別れ言われて―――」





ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、ようやっとそれを受け入れようって思ったんじゃ」





ちゃちゃのん「これからはちゃちゃのんも、ちゃんと前を見ていこうって決めたんじゃ……」







ちゃちゃのん「これもきっと、ヒロちゃんやみんなの おかげだって思っとるよ」




ちゃちゃのん「どうもありがとなんじゃ、ヒロちゃん♪」ニコッ




洋榎「へへ、ちょっとテレくさいで…///」











ちゃちゃのん「あぁ、そうじゃ… ちゃちゃのんの憧れのアイドルさんなんじゃが」



ちゃちゃのん「ちょっぴりドジで、お茶目なベビーフェイスな人でのぅ…」



ちゃちゃのん「周りからはよぅ丸いとか、大食いとか、結婚出来ないとか、痴女とか、からかわれとったんじゃが―――」




ちゃちゃのん「そんでも決して怒らず、いっつも明るい笑顔で『雨にも負けず、風にも負けず』な強い人だったんじゃよ♪」ヘヘヘッ




洋榎「――――それは、どうなんやろな。 アイドルとして……」エット…











【宮島】



洋榎「ここがあの有名な宮島やな。 そういや、ウチ 今まで来たことなかったで!!」



ちゃちゃのん「神さまの島 宮島は『安芸の宮島』とも呼ばれる日本三景の1つで、大鳥居や厳島神社なんかが特に有名じゃ」



ちゃちゃのん「季節や時間帯によっても その情景を変える、とっても美しい島なんじゃよ♪」



ちゃちゃのん「歴史的にゃぁ3本の矢の毛利の元就さんと、陶 晴賢さんの厳島の戦い何かも有名でな―――」






洋榎「お~~ぅ、そんなことより、あっちの店でもみじ饅頭 売っとるで!!」



ちゃちゃのん「うん、もみまんは宮島の紅葉谷(もみじだに)に、ちなんだ銘菓じゃけぇ」



ちゃちゃのん「でもどうせ宮島で もみまん食べるんじゃったら、焼きたてのお店がええんじゃよ~~」



洋榎「そういうもんなん?」



ちゃちゃのん「うん… 宮島のもみまんゆーたら、やっぱり焼きたてほくほくが一番じゃ♪」



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洋榎「つーか… 自分のその『もみまん。』って言い方、何やちょっと卑猥な感じやな~~」



ちゃちゃのん「―――ちょっ、もみまんのドコが卑猥なんじゃ!?」////



ちゃちゃのん「もみ子ちゃんと、アルフレッド後藤クンにも失礼じゃろ!!」



洋榎「アルフレッド後藤隊長とか 誰やねん。 カミソリ後藤?」





ちゃちゃのん「アルフレッド後藤クンは、後藤製菓さんが考案した二足歩行のシカくんじゃよ」



洋榎「何で、シカが二足歩行やねん…」



ちゃちゃのん「そりゃぁ、まぁ… 前足を地面についとったら、もみじ饅頭食べられんし…」






洋榎「おぉっ、向こうの店にあるのって、あの幻の『元祖ぷよまん』やないか!?」



ちゃちゃのん「あっ、本当じゃ。 ちゃちゃのんも初めて見たんじゃ…」




洋榎「オバちゃ~ん、コレ一箱 ボヨヨンロック風にばよえ~~んと頼むでぇ!!」


アイヨーー



ちゃちゃのん「ヒロちゃんは、ホンにこういうレアモンが好きじゃのぅ」モー



ちゃちゃのん「あ……」テテテッ



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洋榎「で… 自分は何で宮島まで来て、クレープ食っとんねん」



ちゃちゃのん「へへっ… 美味しそうだったんで、ツイのぅ。 ヒロちゃんの分もあるんじゃよ」ハイ♪



洋榎「おぅ、サンキュ♪ ウチこういうのあんま食わへんから、ちょっと緊張すんで」モグッ



ちゃちゃのん「ヒロちゃんはお好み焼きとか、ケバブとか、辛いのよぅ食べちょるもんね」ハムッ





ちゃちゃのん「ちゃちゃのんはケーキとか 甘いの好きなんじゃが、ダイエットもあるけぇ 普段はなかなかのぅ…」



洋榎「はぁ~ 女の子やな~~」



ちゃちゃのん「そうじゃろか…?」





洋榎「ウチはどちらかっちゅうと男っぽい言われるから、自分のそういうトコ ちょっと羨ましいで…」



ちゃちゃのん「―――ちゃちゃのんは、ヒロちゃんのカッコ良いトコなんかに凄く憧れるかのぅ」ハムハムッ



洋榎「…………///」ムググ…



ちゃちゃのん「ヒロちゃん―――?」



洋榎「いや、別に何でもないで…///」



ちゃちゃのん「う、うん……?」






カポ カポ カポ


洋榎「おっ、鹿やで鹿!? 何やコイツら、ちっとも逃げんで こっち寄って来んで~」



ちゃちゃのん「あはは、ここの子たちゃ~ 平和ボケしとるけぇ。 きっと何かくれる思っちょるんじゃな」



洋榎「平和ボケの代表選手みたいなヤツが、よう言うで」



ちゃちゃのん「んもぅ… ちゃちゃのんのことは、別にええんじゃよぉ…///」






キューー キューーー


ちゃちゃのん「ゴメンのぅ。 今は鹿にエサをあげるんは、駄目なんじゃよぉ…」



洋榎「へぇ~ 今は鹿せんべいとか、やっちゃアカンのか?」



ちゃちゃのん「うん… 人から食べ物を貰うことに慣れすぎた鹿は」



ちゃちゃのん「ゴミを漁るようになって、ビニール食べたりして早死にしてまうんじゃ…」


ガジガジ





ガジガジ


洋榎「ところで自分、さっきから かじられとんでぇ」



ちゃちゃのん「ちょ~~ ちゃちゃのんの洋服なんか、カジっちゃアカンよぉ!?」アセアセッ



洋榎「カカッ 相変わらず、自分は動物にも舐められるタイプやな~」



ちゃちゃのん「もぅ… そんなんええから、助けて欲しいんじゃ~~」アウアウッ





グイグイッ


ちゃちゃのん「ちょっ… スカート、そんなに引っぱっちゃダメじゃって!?」アワワッ




ズルズル


ちゃちゃのん「わわっ、ちょっ… ちゃちゃのんを、引きずるのもダメなんじゃ~!?」ウヒャーー



洋榎「面白いから、暫く見とこかな……」








洋榎「おぉっ、あっちに五重の塔発見!? ドクター・ランドの国際シンジケート集団との死闘やで!!」アチャーー



ちゃちゃのん「別に死亡的遊戯とかは、行われとらんけぇの…」



洋榎「ほんなら、世界最悪の軍隊のムラサキな曹長とかのおる―――」



ちゃちゃのん「マッスルな塔も関係ないかのぅ…」









【厳島神社】



洋榎「おっ、あれが例の有名な厳島神社と大鳥居やな!?」



洋榎「おぉっ、デッカイ鳥居が海の中に浮かんどるで!!」スゴッ



ちゃちゃのん「今は満潮じゃけぇの。 潮が引けば、あそこまで 歩いて行けるんじゃよ」







ちゃちゃのん「社殿の方も、今の時間だと浮いちょるように見えるじゃろ」



ちゃちゃのん「瀬戸の海に浮かぶ、厳島神社の壮麗さは竜宮城にも例えられる程なんじゃ♪」



洋榎「海の上に浮かぶ朱塗りの社殿か。 流石は世界遺産、えらいもんやで」





ちゃちゃのん「厳島神社は本殿の他にも、平舞台に高舞台、海に浮かぶ能舞台や反橋、廻廊なんかで構成されちょるんじゃが」



ちゃちゃのん「今日はもぅ時間も無いんで、あまり多くは見て回れそうにないかのぅ」




洋榎「無限回廊とか聞くと、何やテンション上がらん?」ネクロゴンド?



ちゃちゃのん「ま~ ちょっとゲームっぽい響きじゃけぇのぅ」



洋榎「あと熾天使のゲートとかも、メッチャテンション上がるで―――」



ちゃちゃのん「ドSの上司に変態メガネさん、ハム☆スターも怖いんじゃ…」フルフル



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洋榎「おっ、アレって…?」



ちゃちゃのん「―――どうやら、今は結婚式の最中みたいじゃな」



洋榎「えっ… 厳島神社って、結婚式もやっとんの!?」



ちゃちゃのん「うん… 神社さんの祭事が多い 一月なんかは無理じゃけど、人気の式場の一つじゃよ」



洋榎「世界遺産で結婚式とか、そりゃ人気もあるやろなぁ」





洋榎「カカッ、これがホンマの『瀬戸の花嫁』いうヤツやん♪」




ちゃちゃのん「それ婆っちゃが大好きで、よぅ口ずさんどったんじゃ…」




ちゃちゃのん「瀬戸内海の島から嫁ぐ女性の心象を描いた歌で、昔は結婚式なんかでも よぅ歌ったんじゃとか…」




ザザザーーーン


たそがれる若者「マサさん……////」ポッ



洋榎「自分、誰やねん……」



ちゃちゃのん「――――?」ホエ?







ちゃちゃのん「ちゃちゃのんは、どちらかっちゅうと洋式ブライダルへの憧れ強かった方じゃが―――」



ちゃちゃのん「やっぱり広島モンなら、ここでの結婚式っちゅうのも憧れるのぅ…」ウットリ



洋榎「そのためにも、まずはええ相手を見つけんとな~~」カカッ



ちゃちゃのん「うん、そうじゃね♪」ヘヘッ



洋榎「――――――////」ドキッ



ちゃちゃのん「ヒロちゃん……?」





洋榎「んなっ… 何でもないわぃ、こんダラずがぁ~!!」ボコッ



ちゃちゃのん「あいたぁっ!? うぅっ、流石に今のは酷いんじゃ……」ウルウル



洋榎「…………」ドキドキ




洋榎(天使のような笑顔とか、不覚にもそんなこと思ってまったで――――////)ハズッ








【夕暮れ時】



ちゃちゃのん「焼きたてのもみまんと、宮島のかきも美味しかったのぅ♪」ハフハフッ



洋榎「そうやな。 あの揚げたてのもみじ饅頭いうのも、なかなか新鮮で良かったで♪」







ちゃちゃのん「お日さんも、だいぶ瀬戸内に落ちてしもうたけぇ―――」



ちゃちゃのん「そのへんの灯籠にも火が灯って、あの海の大鳥居もライトアップされたみたいじゃ」





洋榎「おぉっ、ホンマや。 はぁ~~ 綺麗なもんやで~~~」



ちゃちゃのん「…………」




洋榎「ん、ちゃちゃ―――?」







ちゃちゃのん「ちゃちゃのんが、随分と小さかった頃の話なんじゃが―――」




ちゃちゃのん「たけはらの憧憬の路に、家族で何度か行ったことがあってのぅ―――」




ちゃちゃのん「ちょっと… そん頃のことを、思い出しとったんじゃ……」




洋榎「家族との思い出か……?」




ちゃちゃのん「うん……」コクッ




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ちゃちゃのん「あの時のちゃちゃのんは、珍しく随分とはしゃいどってのぅ」




ちゃちゃのん「竹灯りを追って一人走り回っとるうちに、お父さんたちと はぐれてしもぅたんじゃ」





ちゃちゃのん「周りは人だらけゆーのに凄く寂しくて、心細くて―――」





ちゃちゃのん「まるで世界中で、ちゃちゃのんのこと知ってる人なんて」





ちゃちゃのん「もぅ誰一人としておらんよぅに思えてきて…」





ちゃちゃのん「そんなことを思っとたら、とっても怖くなってしもうて―――」





ちゃちゃのん「そんで大泣きしとったトコを、お父さんとお母さんが見つけてくれたんじゃが――――」









ちゃちゃのん「二人とも真っ青な顔して、凄く息も切らせとったけぇ」




ちゃちゃのん「今度は何だか、とてもイケないことをしてしまったような気がして―――」




ちゃちゃのん「そんでちゃちゃのん、ベソかきながら二人に凄く謝ったんじゃ…」






ちゃちゃのん「そしたら、とっても困ったって顔したお父さんが―――」




ちゃちゃのん「ちゃちゃのんの頭を、優しく優しく なでなでしてくれたんじゃ」




ちゃちゃのん「お父さんの手はゴツゴツとした大きなものじゃったが、おろおろとちゃちゃのんをあやす姿が あんまりにも可笑しくてのぅ」




ちゃちゃのん「それ見たちゃちゃのんは、今まで泣いとったはずなのにツイツイ笑ってしもうたんじゃ」





ちゃちゃのん「そんで今度はちゃちゃのんがお父さんの頭をなでなでしながら、こうゆーたんじゃ―――」







ちゃちゃのん「いちごはもぅ大丈夫じゃけぇ――――そんなに心配しないでねって……」















ちゃちゃのん「そんなに恐る恐る触らんでも―――」






ちゃちゃのん「いちごはそんな簡単に、どうにかなったりしないんじゃ……」




洋榎「…………」












ちゃちゃのん「いちごは… もぅ大丈夫……」フルフル…





洋榎「…………」ギュッ






ちゃちゃのん「ひ、ヒロちゃん………?」




洋榎「こんアホんだら……」






洋榎「自分――――それ、全然 大丈夫ゆーとるヤツの顔やないで!!」





ちゃちゃのん「……………」






洋榎「ホンマは、ちっとも平気やないんやろ――――?」












洋榎「フェリーの上で、大好きな婆さんとアイドルさんの話しとった時もそうやったんやな」





洋榎「泣き虫のくせに涙こらえて、必死に強がって――――」





洋榎「大切な人たちと、今度こそしっかりお別れしよう思ったんやろ…」






洋榎「そんなん――――大丈夫なわけないで……」







洋榎「ホンマはとってもツラくて悲しくてしゃーないんやろ」






洋榎「こんなウチだって、きっとおらんよりはマシやろ―――」





洋榎「あんま一人で無理とかして欲しくないねん……」





ちゃちゃのん「……………」ギュゥゥ









洋榎「ちゃちゃ………?」




ちゃちゃのん「ズルいんじゃ……」グスッ




ちゃちゃのん「もぅ泣かんって……」




ちゃちゃのん「笑って、笑顔でさよならするって決めとったのに……」ポロポロ








ちゃちゃのん「そんな優しくされたら――――涙、止められんじゃろぉ……」ボロボロ






洋榎「そいつは、スマンかったなぁ…」





洋榎「ウチな、実はちょっと意地悪やねん……」ナデナデ
































ちゃちゃのん「ぐすっ… ひっく……」ズズズーーー





洋榎「だいぶ落ち着いたみたいやな…」





ちゃちゃのん「うぅっ… ヒロちゃん、ごめんのぅ…」ゴシゴシ





洋榎「そんなん、別にえ~~て」





洋榎「ホンマにツラい時や悲しい時は、思いっきり泣いた方がええんやで…」ナデナデ





洋榎「自分の大好きな婆さんたちかて、きっとそう言うと思うで~~♪」ワシャワシャ





ちゃちゃのん「ちょ、ヒロちゃん!? ちゃちゃのんの髪を、ワシャワシャするんヤメるんじゃ!!」ウヒャアッ





洋榎「おっと… スマンスマン、つい…」





ちゃちゃのん「もぅ、今の流れで何がついなんじゃ…」









ちゃちゃのん「―――何か、前にもこんな感じのことあったのぅ…」クスッ




洋榎「お~~ 初めて自分の家で、晩ごはんご馳走になった時やな!!」ナツカシイデ




洋榎「自分の泣き虫は、あん頃からちっとも変わってへんゆーこっちゃな」カカッ




ちゃちゃのん「変わっとらんのは、ヒロちゃんの意地悪もじゃろぅ…」ムー




洋榎「ちょっ… この優しさの塊みたいなウチの、ドコが意地悪やねん!!」




ちゃちゃのん「さっき自分でも、そうゆーとったじゃろうが!!」



洋榎「言っとらんわ、ボケぇ!!」



ちゃちゃのん「も~~ ゆーとったじゃろ~~!!」




テーー ナンヤネン、コノカイワ!!


プッ… クスクス…


コラッ!! ジブン、ナニワラットンネン!!


ワラッテナンカ イナインジャ!!


テ、メッチャワラットルヤナイカ!!










洋榎「んで、その後どうなったんや…?」



ちゃちゃのん「ん……?」



洋榎「自分が迷子になって、親父さんたちに見つけて貰ったって話や」



ちゃちゃのん「あぁ、うん……」








ちゃちゃのん「その日の帰り道は―――」




ちゃちゃのん「ちゃちゃのんを真ん中にして、お父さんと、お母さん」




ちゃちゃのん「二人と手を繋いで、家族三人で仲良く帰ったんじゃ……」




洋榎「へへっ、ええ思い出やな…」




ちゃちゃのん「うん、とっても大切な家族の思い出じゃ……」





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ちゃちゃのん「……………」




洋榎「……………」










ちゃちゃのん「人の愛情とか、優しさって――――」





ちゃちゃのん「失ってみるまで、その本当の価値に気付けないもんなんじゃろか…」




洋榎「ま~ そういうもんかもしれんな…」









洋榎「絹のヤツもな―――」




洋榎「今ではウチよりもしっかりしとる位やけど、昔はめっちゃ泣き虫やったんやで~~」




ちゃちゃのん「ほぇ~~ そいつは意外じゃのぅ」





洋榎「アイツは昔っから、お姉ちゃんっ子でな~~」




洋榎「いっつもウチの後をついて来ては、ウチのすること真似とったわ!!」カカッ



ちゃちゃのん「姉妹かぁ…」




ちゃちゃのん「ちゃちゃのんは一人っ子じゃけぇ、そうゆーのって凄く羨ましいんじゃ…」








ちゃちゃのん「今のお父さん、お母さんにも…」




ちゃちゃのん「何だか久しぶりに、会いたくなってきたかのぅ…」ハァ




洋榎「おっ… せやったら、この後にでも会いに行けば ええやん―――?」




ちゃちゃのん「えぇっ!? そんなん無理じゃよぉ!!」ブンブン





ちゃちゃのん「だいたい、そんな急に押しかけたら迷惑じゃろ…」




洋榎「な~~に、家族相手に遠慮とかしとんねん!!」




洋榎「腹減った~~ メシ頼むで~~~ 言うて、ひょっこり顔出したらええねん!!」







洋榎「ちょっとウザがられるかもしれへんけど…」




洋榎「それはそれで、あっちも悪い気とかせ~~へんやろ」




洋榎「家族なんて、案外そんなもんやで―――」




ちゃちゃのん「そっ、そういうもんじゃろか……////」







洋榎「大阪に帰る前にでも、チラッと顔出してやろうや!!」




洋榎「きっと、喜んでくれる思うで……」ヘヘッ






ちゃちゃのん「そ、そんならヒロちゃんも…」





ちゃちゃのん「一緒に付いてきて貰っても、ええじゃろか……?」テレクサインジャ…





洋榎「ん!? ま、ま~~ そんくらい、ウチは別にかまへんけど……////」ドキドキ









ちゃちゃのん「家族の絆って、やっぱり素敵じゃよね…」





洋榎「ま~~ ウチはいつも一緒やから、時々ウザなるけど―――」











おかえりなさい――――










洋榎「そう言って貰える場所があるいうんは、やっぱ ええもんやって思うで……////」





ちゃちゃのん「うん、そうじゃね♪」ニコッ




洋榎「…………」ドキッ





洋榎(屈託のない、まるで子どもみたいな笑顔やと思った)




洋榎(嬉しい時に笑い、悲しい時に泣く、どこまでも真っ直ぐで純粋な…)




洋榎(それがコイツ、佐々野いちご 本来の魅力なんやと、何となくそんなことを思った――――)










洋榎「血は水よりも濃い言うけど、それにも負けへん繋がりいうのも あるんやろ~~か…?」





ちゃちゃのん「う~~ん、どうじゃろうね―――」











ちゃちゃのん「でもちゃちゃのんは、きっとあるって信じとるよ」





洋榎「ちゃちゃ―――」













ちゃちゃのん「あ、あのな… ヒロちゃん―――////」ドキドキ





洋榎「な、なんや―――?」





ちゃちゃのん「…………」
















ちゃちゃのんは――――














いちごは―――――やっぱり貴方のこと、大好きみたいじゃ。



























この世界で一番に、誰よりも愛しとるって思うんじゃ―――――


















洋榎「―――――いちご」





ちゃちゃのん「ヒロちゃんの想い、身勝手に断っておいて――――」





ちゃちゃのん「それを今更んなって、何をゆーとるんじゃって話なのは分かっとるんじゃ…」






ちゃちゃのん「――――ちゃちゃのんにゃぁ、本当はこんなこと ゆー資格なんてないのかもしれん……」













ちゃちゃのん「ちゃちゃのんは―――」





ちゃちゃのん「ヒロちゃんを、胡桃ちゃんを、塞ちゃんを傷つけた…」





ちゃちゃのん「じゃけぇ… あのまま流されるように、ヒロちゃんの想いを受け入れることが―――」






ちゃちゃのん「ちゃちゃのんにゃぁ、どうしても出来んかったんじゃ……」











ちゃちゃのん「ホンに、胡桃ちゃんの言う通りなんじゃ」





ちゃちゃのん「ちゃちゃのんは、これまでずっと流されるように生きてきたけぇ…」





ちゃちゃのん「大切な人と真正面から向き合うことが、怖かったんじゃ――――」












ちゃちゃのん「ちゃちゃのんは――――」






ちゃちゃのん「どうしようもないくらいに――――臆病で、弱虫じゃ……」フルフル





洋榎「……………」











ちゃちゃのん「じゃけぇ、ちゃちゃのんは―――」





ちゃちゃのん「一度 友達の関係に立ち返って、自分のほんとの気持ち見つめ直したい思ったんじゃ……」




洋榎「……………」












ちゃちゃのん「そんで、ようやっと分かった――――」






ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、やっぱりヒロちゃんが大好きじゃ―――」






ちゃちゃのん「ちゃちゃのんは、ヒロちゃんのこと失いたくないんじゃ――――」










ちゃちゃのん「たとえ、それで胡桃ちゃんと戦うことになっても…」







ちゃちゃのん「もぅ二度と、ヒロちゃんのこと諦めたりしないって決めたんじゃ――――」












ちゃちゃのん「今回のことで、ちゃちゃのんがヒロちゃんに嫌われたとしても」






ちゃちゃのん「今度はちゃちゃのんが、ヒロちゃんを振り向かせる番なんじゃ――――」












あの日、あの時ついた、私のウソ―――





魔法使いの魔法で全てを偽り、私は私を騙すと決めた――――










ちゃちゃのん「それでも……」




洋榎「……………?」







ちゃちゃのん「この想いだけは……」






ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、どうしても ウソにゃぁ出来んかったんじゃ――――」ポロポロ











洋榎「ホンマ、世話の焼けるやっちゃで…」





洋榎「泣き虫のクセして、一丁前にカッコつけおって――――」ソッ





ちゃちゃのん「ヒロ、ちゃん―――?」







洋榎「だいたい何を一人で決め付けて、自分の言いたいことだけ言っとんねん」











洋榎「今回のことでな―――」





洋榎「ウチも、いちごのええトコ、悪いトコ――――いっぱい知ること出来たで…」





洋榎「そんでウチも、分かったことがある――――」




ちゃちゃのん「……………」















それはウチの気持ちが―――――










あのクリスマスの夜から、少しも変わっとらんいうことや。





















いや、それもちょっと ちゃうか――――












あの日の夜よりも―――――――もっともっと愛しとるで、いちご。















洋榎「ウチは、いちごの全部が愛おしいんや―――」ギュッ






ちゃちゃのん「えへへ、ちゃちゃのんもじゃよ――――」ギュッ








ちゃちゃのん「ヒロちゃん――――震えとるんか……?」




洋榎「……………」










洋榎「ウチな、ホンマはずっと怖かったんや―――」





洋榎「いつか突然、いちごがウチの前から消えてしまうんやないかって―――」





洋榎「いちごのこと強く抱きしめたら、ガラス細工みたいに壊れてしまうんやないかって――――」





洋榎「いちごのこと好きになればなるほど、その念も強なってまってなぁ……」




ちゃちゃのん「ヒロちゃん………」










洋榎「まったく、情けない話やろ…」





洋榎「正直 ウチも、自分がこない情けないヤツやとは思わんかったで……」





ちゃちゃのん「――――大丈夫じゃよ…」ギュゥゥーー





洋榎「いちご……?」








ちゃちゃのん「そんなに怖がらんでも、いちごは大丈夫…」






ちゃちゃのん「急におらんくなったりなんてしないけぇ、大丈夫じゃよ…」







ちゃちゃのん「だからな――――もっといちごのこと、ぎゅってして欲しいんじゃ……////」






洋榎「いちご… ホンマ、大好きやで……」ギュゥゥーー






ちゃちゃのん「へへっ、そんなに何度も言われると照れくさいんじゃ……////」












ちゃちゃのん「ヒロちゃん、柔らかくて 暖かいんじゃ…」




洋榎「そ、そうやろか……?」




ちゃちゃのん「うん―――」





ちゃちゃのん「こうしてると、何だかとっても落ち着くんじゃ……」






洋榎「…………////」ドキドキ




ちゃちゃのん「――――?」









洋榎「そ、その――――キス、してもええ?」ドキドキ





ちゃちゃのん「もぅ、ヒロちゃんはエッチじゃのぅ……」ヘヘッ





洋榎「す、スマン……////」ドキドキ










ちゃちゃのん「うん、え~~よ…」






ちゃちゃのん「いちごの全部、もぅヒロちゃんにあげたけぇ……////」













洋榎「いちご……////」





ちゃちゃのん「ヒロちゃん……////」










いちごとの二度目のキス――――






それはとても幸せな、甘い甘い いちごの味やった―――――








京豚の僕が書いたオナニーSS、読んでくれよな!!!





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ちゃちゃのん「のぅ~~ ヒロちゃん―――」



洋榎「ん―――?」





ちゃちゃのん「色々あったけど…」




ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、これからもアイドルとして頑張ってみよう思うんじゃ―――」



洋榎「そうか―――」







ちゃちゃのん「そんでな、ちゃちゃのん――――ヒロちゃんとのこと、隠さんつもりじゃよ…」



洋榎「ええんか―――?」





ちゃちゃのん「そんでアイドルとしてダメんなるんじゃったら、それは仕方のないことなんじゃ…」




ちゃちゃのん「ちゃちゃのんにゃぁ、そんこと黙ったままファンの子たちの前で」




ちゃちゃのん「笑顔でいること、やっぱり出来そうもないけぇ……////」




洋榎「カカッ… 確かに単細胞な自分には、そんな器用な生き方は無理やろな~~」




ちゃちゃのん「むぅ… ちゃちゃのん、多細胞じゃもん……」









ちゃちゃのん「でな、そんでも ちゃちゃのんを応援してくれる」




ちゃちゃのん「ちゃちゃのんのこと、励みにしてくれるって人がおる限り」




ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、精一杯 アイドルとして頑張っていこう思うんじゃ―――」




洋榎「自分、何や随分と強うなったんやないか―――?」






ちゃちゃのん「―――もぅ、ちゃちゃのん 一人じゃないけぇ……////」キュッ




洋榎「うっ……////」テレッ









ちゃちゃのん「それにな―――」



洋榎「―――?」




ちゃちゃのん「フェリーの上でした、アイドルさんの話―――」



洋榎「…………」







ちゃちゃのん「人はいつか、必ずいなくなるもんじゃが―――」





ちゃちゃのん「そんでも、その人の残した想いや気持ちは、きっと永遠なんじゃ――――」






ちゃちゃのん「あの人の想いは――――今でもちゃちゃのんの中、しっかり息づいとるけぇ……」ギュッ





ちゃちゃのん「だから、ちゃちゃのんは大丈夫――――これからも頑張っていけるって思うんじゃ……」




洋榎「いちご………」









ちゃちゃのん「だ、だからっちゅうて―――」




ちゃちゃのん「ちゃちゃのんの目の前から―――」




ちゃちゃのん「突然いなくなったりしたら、絶対 絶対ダメじゃけぇのぅ!!」




洋榎「分~~とるわい。 こないな寂しがり屋 置いて―――」




洋榎「誰が一人で、何処かに行くかっちゅ~~話やで!!」






ちゃちゃのん「ほ、ホントのホントじゃよ!!」ヒッシ!!




洋榎「あぁ、約束する。 せやから、そない心配そうな顔すんなや…」ポフッ






洋榎「それとも自分、ウチのことそない信じられへん―――?」




ちゃちゃのん「――――////」ブンブン




ちゃちゃのん「ヒロちゃんのことじゃけぇ、もちろん信じちょるんじゃ!!」





洋榎「よしよし、ええ子ええ子やで~~」ナデナデ




ちゃちゃのん「へへ… ヒロちゃんのなでなで、何か安心するんじゃ…」










ちゃちゃのん「それじゃぁ……」





ちゃちゃのん「誓いの―――ゆびきりなんじゃ…」ソッ






洋榎「おぅ!! 二人だけの、誓いのゆびきりや♪」スッ











大人になるとゆーことは、自分の中にある大切な何かを失うこと―――






ちゃちゃのんは、一体 何をなくし――――代わりに、何を得たんじゃろうか――――?






それとも、塞ちゃんがゆーたように――――初めから、何も失ってなど おらんかったんじゃろうか――――?







今のちゃちゃのんにゃぁ、その答えは よぅ分からん――――







そんでも、今なら未来の自分たちを信じられるって――――そう、思うんじゃ。

















【後日―――】



洋榎「でへへ~~♪」



哩「…………」キュッキュッ






洋榎「でへへ~~~♪」



哩「……自分、最近あんま飲まんのやな?」



洋榎「おぅ、いちごのヤツに『あんま飲み過ぎちゃ駄目じゃよ』って、お願いされてもうたからな~~」



哩「は~~ さいですか……」キュッキュッ





洋榎「でへへ、いちごからのメールは まだやろか~~♪」ルンルン



哩(ウザッ……)ピキピキッ







哩「それんしても、例の佐々野の交際宣言には驚かされたばい」



哩「相手については誰とは言っとらんかったが、周囲のヤツはアレで大体分かったやろな」



洋榎「せやな。 正直、初めはウチもヒヤヒヤしとったが…」



洋榎「思っとった以上に、いちごを擁護してくれるファンが多かったんはありがたかったで…」



哩「何でか応援してあげたなる、それがアイツの人徳かもしれんばい」



哩「きっとこれが自分やったら、大炎上間違いなしやろな~~」



洋榎「喧嘩上等!! 文句あるヤツぁ、まとめて相手んなったるで~~~」フンッ!!



哩「煽るな、煽るな…」





哩「―――まぁ、異例の同性カップル宣言やったが…」




哩「そういうの応援してくれるファンも、たくさんおるっちゅうことやな…」




哩「世間の目とか法的なこともあるし、色々と大変なのはこっから先なんやろうけど―――」




哩「それは、私たちも同じか……」










洋榎「結婚が全てやなし。 大好きって気持ちさえありゃ、何とかなるやろ―――」




洋榎「とりあえず今は自分トコの後輩ちゃんの研究にでも、期待しとくで~~♪」




哩「ま、せいぜい期待しておくと良いばい―――♪」










♪~ いちごのようにかわいくて~~



洋榎「おっ、いちごからの呼び出しメールや♪」




哩「―――どうでもええけど、その着メロ何やねん……」











憩「いちごちゃーん、お久しぶりやね~~♪」フリフリ



ちゃちゃのん「―――あ、憩ちゃ~~ん♪」ヤッホー





憩「洋榎さんとの交際宣言の映像、ウチも見ましたよーーぅ」



ちゃちゃのん「へへっ、ちょっと照れくさいのぅ……///」





憩「それにしても、この可愛ええ いちごちゃんを独占されるなんて―――」



憩「ウチ、ホンマにショックやわ~~~~」ホオズリ ホオズリ



ちゃちゃのん「あはは♪ 憩ちゃん、くすぐったいんじゃよ~~~」





憩「ま~~ とりあえずリセさんには、釘は刺しときましたけどー」



憩「洋榎さんはしばらくの間、月のない夜に気をつけた方がええですね~~」



ちゃちゃのん「ほぇ…? 何でそこでリセちゃん―――?」





憩「あ~~ こっちの話やさかい、お気になさらずーーぅ♪」



ちゃちゃのん「――――?」



憩(いちごちゃんは、相変わらずのニブちんやな~~)フフッ








ちゃちゃのん「それで憩ちゃん、今日は―――?」



憩「あぁ、そうやったね…」





憩「前に話した『洋榎さん、ボッコシ凹ませたるで計画』なんやけどー」




憩「その助っ人さんが集まったんで―――」




憩「いちごちゃんには、洋榎さんを上手いこと誘い出して欲しい思いましてな~~~♪」ニッコリ




ちゃちゃのん「あはは、そうだったんじゃ……」








ちゃちゃのん「ほんで、そのメンバーって…?」



憩「まず一人目は元高校全日本 個人戦王者でもある、白糸台出身の宮永 照さん(現プロ)」



憩「でもって、もぅ一人が元高校全日本 個人戦三位・臨海女子出身の辻垣内 智葉さんやで~~」



ちゃちゃのん「ほぇぇ~~ よ~もそんな豪華メンバーが!?」ハワワッ



憩「―――で、当然 三人目は元高校全日本 個人戦二位やった三箇牧出身のウチやでー」





ちゃちゃのん「でも辻垣内さんって、確か今は海外留学中じゃろ…?」



憩「そうやで~ 今やガイト師匠 言えば『東洋の極妻・辻斬りガイト』と恐れられる、世界ランカーですよーーぅ」



ちゃちゃのん「辻斬りって―――」タジッ




憩「で~ そのガイト師匠が丁度こっちに帰国中やったんで、声かけてみたんやけど―――」



憩「腑抜けた洋榎さんを粛清する言うたら、『面白そうだ――』言うて超乗り気やったで~~♪」クスクス



ちゃちゃのん「こわっ―――」カタカタ








憩「それと、いちごちゃんと洋榎さんのラブラブ交際話を聞かせてあげたら―――」



憩「大先輩のはやりんとすこやんも、肩震わせて参加したがっとったで~~~」ニコニコ



ちゃちゃのん「いやいや、さっきの二人だけで もぅ充分過ぎるじゃろ~~!?」アセアセッ





憩「というわけで、いちごちゃん―――洋榎さんの方は上手いこと、宜しく頼みますね~~♪」




ちゃちゃのん「うん、了解じゃよぅ―――♪」





憩「…………」




ちゃちゃのん「………ん?」







憩「いや、何やちょっと意外やな~~ 思いまして~~」



ちゃちゃのん「ほぇ、そうじゃろか―――?」





憩「これから、いちごちゃんの大事な人ボコボコにするいうのに―――」



憩「いちごちゃん――――ずいぶんと余裕そうなんやもん」



ちゃちゃのん「あ~~ うん、そうじゃね―――」





ちゃちゃのん「憩ちゃんが、親友であるヒロちゃんの為に頑張ってくれとるけぇ」




ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、憩ちゃんのその気持ちがとってもとっても嬉しいんじゃ」




ちゃちゃのん「―――どうも、ありがとうね。 憩ちゃん♪」エヘヘ




憩「はぁ… いちごちゃんには、ホンマかないませんね~~」ヤレヤレ




ちゃちゃのん「――――?」




憩「これ以上 いちごちゃんと話とったら、ウチの毒っけ全部抜かれてしまいそうですよ~~ぅ」








ちゃちゃのん「―――それにのぅ」



憩「――――?」





ちゃちゃのん「ヒロちゃんは、こんなことで潰れるような弱い人じゃないけぇ」




ちゃちゃのん「きっと今回のことをバネに、雀士として更に強ぅなってくれるって信じとるんじゃ―――」




憩「ウチもそれには同意ですよーーぅ」ニコッ




ちゃちゃのん「ふふ……」



憩「いちごちゃん―――?」









ちゃちゃのん「ちゃちゃのんたち鹿老渡が、全国に行けたのも―――」




ちゃちゃのん「ちゃちゃのんがヒロちゃんと出会えたのも、憩ちゃんのおかげだって思うんじゃ―――」





ちゃちゃのん「―――憩ちゃんは、きっとみんなを素敵な方向に導いてくれる天使さんなんじゃ♪」ヘヘッ




憩「んもぅ… そういう恥ずかしいセリフは禁止ですよーーぅ!!」///









憩「とにかく洋榎さんは、きっと今より強くなりますよー」




憩「だってあの人には、いちごちゃんが付いてるから――――」





憩「きっとどんな困難やって、二人の愛の力で乗り越えていけるやろ~~~♪」ニッコニコ




ちゃちゃのん「うぅ~~~////」セキメン



憩「あはは、さっきのお返しですよーーぅ♪」ナデナデ



ちゃちゃのん「もぅ、憩ちゃんは意地悪なんじゃ―――////」










憩「―――いちごちゃん」



ちゃちゃのん「――――?」



憩「ん~ん… やっぱり何でもないですよーーぅ」クスクス



ちゃちゃのん「えぇ~~~~」



憩「ほな、また今度な~~」バイバイ







憩(いちごちゃん―――)




憩(ウチはな… いちごちゃんに――――)





憩(能力者と非能力者を繋ぐ架け橋であって欲しいって――――そうも思っとるんやで……)










それから、数日後―――



ヒロちゃんは完膚無きまでに、憩ちゃん達にボコボコにへこまされることとなった。




暴力的ですらある圧倒的な力の差を前に、ヒロちゃんの技術も経験もまったく通用せんかった。




それはこれまでヒロちゃんが大事に守ってきたプライドと自信、それら全てを破壊するには充分過ぎる大敗じゃった。










それからの数日間は、流石のヒロちゃんも酷い落ち込みようじゃったが―――




その更に数日後には見事に再起を果たし、打倒三強(ついでにプロ入り)を誓って猛烈に自身の麻雀を磨き始めたんじゃ。




やっぱりヒロちゃんは絶対に諦めない、とっても強い人なんじゃ。







ただ、その効果があまりに てきめん過ぎたんじゃろか?




大学の授業もそっちのけでの、麻雀三昧な日々だったけぇ




4回生の途中でヒロちゃんの留年が決まるっちゅうオチがついたんじゃ。




やっぱりヒロちゃんの芸人体質は治りそうもないみたいじゃな……








【クリスマス】



哩「それでは、クリスマスと、胡桃の内定祝い―――」



哩「そして洋榎の5回生決定を祝って、かんぱーーーーい!!」ニッコニコ



洋榎「うっぎゃーーッ! ココロに大ダメージっ!!」



セーラ「ギャハハハハ、やっぱ自分 サイッコーやなぁ!!」バンバン



塞「あ、あはは…」



胡桃「バカみたい……」





哩「このまま来年も再来年も、単位落としてええんやで…」ニヤニヤ



セーラ「もぅこのままバイトと同じ高卒でええんちゃう?」



漫「あと一年残って貰えれば、私と一緒に卒業出来ますね~~」



洋榎「うっさいわ、ボケッ!!」バカッ!!



漫「あたっ!!」








ちゃちゃのん「えっと… ちゃちゃのんも語学とかなら、教えてあげられるけぇ」



ちゃちゃのん「来年は麻雀だけでなく、勉強の方も一緒に頑張ろうの…」ヨシヨシ



洋榎「いちご~~~♪」ウルウル





セーラ「いちごにセンセーとか無理なんちゃう~~?」



ちゃちゃのん「え~~ そうじゃろか?」




漫「胡桃センセと違うて、いちごちゃん あっまあまですもんね~~」



セーラ「コイツは甘やかされると、際限なく付け上がるタイプやで~~~」



洋榎「何を言うとんねん、ウチはフクちゃんくらい繊細な女やでぇ!!」フルフル




絹恵「せやな~~ 憩さんたちにボコられた時も、お姉ちゃん メッチャへこんどったもんな~~」



洋榎「ちょっ、絹―――!?」








セーラ「おっ、その話 もっと詳しゅー頼むでぇ♪」



漫「あ… それは私も聞きたいかも…」



絹恵「すっかり自信なくしたお姉ちゃんを、いちごちゃんが甲斐甲斐しくお世話してなぁ―――」



洋榎「だ~~~ もぅそん話はシマイやシマイ!!」ブンブンッ



ちゃちゃのん「うぅ… 恥ずかしいんじゃ……////」



塞(…………)チラッ



胡桃「フン……」





塞(洋榎とちゃちゃのん、二人が本格的に付き合うようになった後―――)




塞(胡桃はそのことで遠慮されたり気を使われることを、何よりも望まなかった)




塞(それをされたら、きっと自分はみんなの友達ではいられなくなる気がするからと―――)








絹恵「でな~ この前も二人で広島まで憧憬の路を見に行ったとかで、ホンマらぶらぶみたいやで~~」




ちゃちゃのん「き、絹ちゃん~~~///」アウアウ





セーラ「センセーとか、きっとこのバカにエッチぃご褒美のおねだり ぎょうさんされんで~~」カッカッカ



洋榎「あ、それはええかも……」



ちゃちゃのん「ちょっ… ヒロちゃんまで、何を言っとるんじゃ!?」



胡桃「死ねばいいのに……」



塞「あ、あはは……」











ちゃちゃのん「――――く、胡桃ちゃん……」オズオズ



胡桃「ん――――?」




ちゃちゃのん「そ、その… 内定、オメデトなんじゃ……」



胡桃「ん、ありがと―――」



カンパイ カチンッ










【卒業の日】




そして、ちゃちゃのんは―――




大切な人と再会した、この想い出深い学び舎を 今日卒業した――――








洋榎「いよっ、ミス・キャンパス♪」



ちゃちゃのん「あはは… その呼ばれ方は、ちょっと恥ずかしいのぅ……////」



洋榎「ま~ ええやないか。 エルダーやろうと、エトワールやろうと、貰える称号はありがたく受け取っとけて♪」




洋榎「その大正女学生風のはいからさんルックも、なかなか似合っとんで!!」



ちゃちゃのん「へへ、どうもありがと……///」



ちゃちゃのん「てっきり またカタチから入っとるとか、からかわれる思ったんじゃ…」フリフリ





洋榎「―――せやな、まるで帝都物語みたいや…」



ちゃちゃのん「てっ、何じゃ その微妙に喜べん例えは!?」



洋榎「加藤 保憲 陸軍少尉―――」



ちゃちゃのん「そっちけ!?」



洋榎「ホンなら、荒俣センセ―――」



ちゃちゃのん「そ、それはちょっと……」




ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、由佳理ちゃんか恵子さんが良かったんじゃ…」ブー



洋榎「由佳理ちゃんは境遇的にヘビーやで…」ヤンドルシ…







ちゃちゃのん「でも、残念じゃったのぅ…」



ちゃちゃのん「ホントじゃったら、ヒロちゃんも今日 卒業だったのに―――」



洋榎「ぐっ、そん話はヤメ~や……」






洋榎「そういや、今日は親父さんたちも式に来とったんやろ…?」



ちゃちゃのん「うん、別にええってゆーたんじゃけどね…////」



洋榎「何だかんだ言うて、上手くやっとるみたいやん…」




ちゃちゃのん「うん… 最近はメール交換したり、会いに行ったりしとるんじゃ♪」





ちゃちゃのん「改めて、家族って―――」




ちゃちゃのん「ちょっとずつ、時間かけてなってくもんじゃって思ったんじゃ……」









ちゃちゃのん「……今の佐々野いちごとも、そろそろお別れかもしれんの」




洋榎「いちご……」








ビュウゥゥーーッ



ちゃちゃのん「うひゃっ!?」



洋榎「おっ…」





ちゃちゃのん「もぅ、急な春一さんじゃのぉ。 ビックリしたんじゃ…」



洋榎「袴のせいで、自分のいちごパンツ 拝めんかったんが残念やで!!」カカッ



ちゃちゃのん「んもぅ、またバカなこと言っとるんじゃ……」








ちゃちゃのん「大阪の桜――――今年も綺麗じゃね」




洋榎「せやな――――」









ちゃちゃのん「ヒロちゃん達と再会した日の桜も、こんな風に綺麗じゃったね」




洋榎「ん!? あぁ……」




洋榎「そういや、あん時もこんな風に桜が咲いとったな~~」





ちゃちゃのん「あの日の桜も、今日の桜も―――」




ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、きっと忘れないって思うんじゃ……」









洋榎「――――ん」




洋榎「そういや、そのいちごのヘヤピンって確か―――」




ちゃちゃのん「えへへ、気付いた――――?」ソッ






洋榎「たく… こういう晴れの日に、そないな安モンしおってからに…」




ちゃちゃのん「へへ… ちゃちゃのんは、これがええんじゃ――――////」







洋榎「その―――」




ちゃちゃのん「ん―――?」





洋榎「それ、よぅ似合っとんで―――////」




ちゃちゃのん「うん、ありがと――――」













洋榎「―――そんで、ゼミ連中との飲み会は楽しかったんか?」



ちゃちゃのん「うん、みんなでワイワイ楽しかったんじゃ♪」




洋榎「自分また酔って、周りのヤツにキスとかハグしまくらんかったやろ~~な…」ジーー



ちゃちゃのん「ちゃちゃのんじゃって、あの頃よりちょっとは強うなったし―――」



ちゃちゃのん「それにちゃちゃのん、ヒロちゃんおらんトコでお酒は飲まんようしとるんじゃ…」ムーー



洋榎「だったらええんやが、ホンマ気をつけなアカンで~~」



ちゃちゃのん「うん、気をつけるんじゃ……」




洋榎「ホンマ、アレはウチにとってもちょっとしたトラウマなんやで~~~」



ちゃちゃのん「うぅ~~ もぅその話はええじゃろ~~~!!」







ちゃちゃのん「そんでも、一回生の頃は同じキャンパスのみんなと」



ちゃちゃのん「こない仲良ぅなれるなんて、正直 思っちょらんかったんじゃ…」



洋榎「これもひとえに、ウチらのおかげやで~~」



ちゃちゃのん「へへっ、本当にその通りじゃね♪」







大学3回生の時にやったゲリラライブ。



アレが良かったのか、みんなのちゃちゃのんに対する認識も少しずつ変わり



今ではゼミにたくさんの友人も出来、気軽にお喋り出来るようなそんな関係になっとった。




辛いこともいっぱいあったけど、おかげでちゃちゃのんは――――あの頃よりも、少し成長出来たと思うんじゃ。








ちゃちゃのん「―――ほんでヒロちゃんは、今まで何をしとったんじゃ?」



洋榎「あぁ… ウチはさっきまで、いいんちょと二人で駄弁っとったで―――」



ちゃちゃのん「胡桃ちゃんと―――?」




洋榎「アイツんトコ、ゼミの飲み会なかったみたいで 一人暇そうにしとったからなぁ~」カカッ





ちゃちゃのん「そか、そんで―――胡桃ちゃん、何か言うとった?」









洋榎「卒業おめでと、親友――――」





洋榎「自分にそう伝えといてって、確かそないなこと言うとったで……」







ちゃちゃのん「そっか―――」




ちゃちゃのん「それは、ホンにありがたいんじゃ……」ジワァ




洋榎「カカッ、ま~~た泣いとるんか!? この泣き虫いちごが!!」



ちゃちゃのん「べっ、別に泣いたりなんてしとらんじゃろ!?」









洋榎「アイツは、ウチの一番の親友やで…」




洋榎「いちごのこと――――恨んだりなんてしてへんで…」ポンッ




ちゃちゃのん「うん、よぅ分かっちょるんじゃ―――」グスッ








ちゃちゃのん「だって… 迷子じゃった、ちゃちゃのんの背中―――」






ちゃちゃのん「誰よりも強く押してくれたのが、胡桃ちゃんじゃもん――――」









胡桃ちゃんのことを思うと、今でも胸のあたりがジンワリと痛む。





それでもそれは罪の意識とか、彼女への同情の気持ちなどでは決してないと思う。





傍から見れば滑稽に見えたかもしれんような、不器用なモンじゃったけど。





ちゃちゃのんたちは恥ずかしいくらい、精一杯の恋をしたんじゃ。







これは、その青春の残り火―――





それが今でも胸の奥で静かに揺らめいとるんじゃと、ちゃちゃのん 思うんじゃ――――











洋榎「そういや、いちご―――」




洋榎「自分、ホンマにプロや実業団には行かんで良かったんか?」





洋榎「実業団からのスカウトは、ずいぶん前から ぎょうさん来とったみたいやし―――」





洋榎「はやりんみたいに、アイドルしながらやってプロや実業団でやってく道もあったやろ?」





ちゃちゃのん「うん、ええんじゃ―――」







あの七夕の日にした、絹ちゃんとの会話を思い出す―――








ちゃちゃのん「そっかぁ。 妹さんは、今は麻雀よりサッカーなんじゃね」




絹恵「ですわ。 お姉ちゃんやオカンに憧れて、麻雀やったりもしてましたけど…」




絹恵「麻雀と同じくらい、やっぱサッカーも好きなんやな~ 思いまして。 私って昔からブレまくりなんですわ…」ハハッ





ちゃちゃのん「分かるんじゃ、ちゃちゃのんも同じじゃけぇ…」




ちゃちゃのん「大切にしたいモンいっぱいあるんに、この両手じゃ とても掴みきれないんじゃ―――」




絹恵「でも、悩んだ結果 上手くいく。 そんなことも たまにはある… みたいですよ―――」




絹恵「それに、私は――――」






それに、私は――――大好きなお姉ちゃんに、その道は任せましたから。














ちゃちゃのん「うん、ええんじゃ―――」





ちゃちゃのん「そのちゃちゃのんの夢は――――愛するヒロちゃんに、託すって決めたけぇ」





洋榎「カカッ… そいつは責任重大やな~~~」




ちゃちゃのん「そんでも、ヒロちゃんにだったら託せるって思ったんじゃ…」




洋榎「あっ… あったり前やろ!! 何せウチは西に降り立った天才 ヒロエさんなんやで~~!!」ドヤッ




ちゃちゃのん「うん♪ ヒロちゃんのこと、ちゃちゃのんは信じとるけぇの!!」







心の底から信じられる人がここにいる。




この人にだったら私の夢を託せると――――そう思える人がここにいる。





愛する人と同じ夢を共有出来るゆーこと、それはとっても幸せなことだから――――








ちゃちゃのん「それにな、ちゃちゃのんは―――」




ちゃちゃのん「ヒロちゃんとする楽しい麻雀が、大好きなんじゃ―――♪」



洋榎「…………?」







婆っちゃや、爺っちゃたちとした麻雀。



鹿老渡のみんなや、憩ちゃんたちとした麻雀。



そして、ヒロちゃんや胡桃ちゃんたち みんなでした麻雀。






ちゃちゃのんにとっての麻雀。





それはどんなものだったんじゃろうと、振り返る。








勝負に勝てた時、褒められた時、それはとっても嬉しかったけど




そのためだけに、ちゃちゃのんは麻雀を続けてきたわけじゃないって思うんじゃ。




泣いたり、笑ったり、ドキドキしたり、時にゃぁちょっとしたことから喧嘩もしたり…








ちゃちゃのんにとっての麻雀―――







それはいつだって、大好きなみんなとの繋がりだったんじゃ――――










ちゃちゃのん「勝っても負けても、楽しくて―――」




ちゃちゃのん「能力があっても、なくても関係ない―――」




ちゃちゃのん「友達や家族、愛する人、年の離れた初対面の人たちとも笑顔になれるような―――」







ちゃちゃのん「そんな、ただただ楽しいだけの麻雀もあるんじゃよって――――」






ちゃちゃのん「ちゃちゃのんはアイドルとして―――」





ちゃちゃのん「たくさんの子どもたちにも、それを知ってもらいたいって思ったんじゃ……////」テレッ





洋榎「はぁ… なんやねんそれ。 自分のオツムくらいに、あまあまな麻雀やな―――」





ちゃちゃのん「やっぱり、ちゃちゃのんの考えは あまあまじゃろか……?」




洋榎「せやなぁ… あまあまもあまあま。 まるで練乳たっぷりのいちご味やで!!」




ちゃちゃのん「まぁ、そうじゃよね……」










洋榎「せやけど……」




洋榎「まぁ、ウチはええ夢やって思うで――――」




ちゃちゃのん「ヒロちゃん――――?」







洋榎「世の中――――そんなバカもおった方が、オモロイやん♪」カカカッ




ちゃちゃのん「えへへ、バカはお互い様じゃったのぅ♪」




洋榎「アホ抜かせ。 ウチはバカが一周して、既に天才の領域やっちゅうねん!!」ドヤッ




ちゃちゃのん「それ、どんな自慢じゃよ~~」アハハ








夢を見る時間、夢を探す時間は 一応の終わりを迎え―――





これからは夢を実現させ、多くの人に夢を見て貰えるよう前に踏み出していく時間なんじゃ―――






それは口で言うほど、容易いことではないじゃろうけど―――






愛する貴女と一緒なら きっと何も恐れず歩んで行けるって、そう思うんじゃ――――













結婚式―――




今日は私たちにとって、とても大切な日になるじゃろぅ―――







あの後も大変なこと、いっぱいあったけど




そんな時、いつだって私の傍にゃぁ貴女がいてくれた。





早いもんで、あれから数年の月日が流れ




今では私たちも、一端の大人としてそれぞれの道を歩み始めちょった。









鏡に映る、純白の花嫁衣装に身を包み込んだ私。




白がよぅ似合っとるって、またゆーてくれるじゃろか―――?





愛する貴女と再会した、大学時代に思いを馳せる。




貴方とする結婚式は、これで二度目っちゅうことになるんじゃろうか―――?






あの頃の私は本当に何も見えちょらんような子どもで、いつだって間違えてばかりじゃったね。




後ろばっかり見とって、今ある大事なもの ちっとも見えとらんかったんじゃ。




私は今までずっと、たくさんの人たちによって守られてきたんじゃな…






お父さん「いちご、花嫁姿 とっても綺麗だよ―――」




お母さん「いっぱい幸せに、してもらうんじゃよ―――」





ちゃちゃのん「お父さん、お母さん。 今まで本当にありがとうございました―――」









みんなが私に教えてくれた、幸せの掴みかた。




それは私自身がそうありたいと望み、自ら手を伸ばすということ。




それにゃぁ ホンの少しの勇気と、現実に耐えるだけの強さが必要なのかもしれん。




生きていれば、辛いことや悲しいことだってあるじゃろう。




それでもそれら全てを、全部 無かったことにしちゃ 駄目なんじゃ。







幸せの掴みかた、それさえ忘れなければ…




ドキドキと心踊るような嬉しい出会いだって、きっとあるはずじゃけぇ。







これまでの全ての出会いに、きっと無駄なものなんてなかったんじゃ。






そして今はただ、みんなへのありがとうの気持ちで 胸がいっぱいじゃ――――











ちゃちゃのん「いちごは、本当に幸せモンじゃ――――」ポロポロ




お母さん「ホンにお前は、昔から泣き虫じゃけぇのぅ…」フフッ




お父さん「せっかくの可愛い顔が台無しだよ…」ソッ




ちゃちゃのん「お父さん、お母さん、ありがど……」ズズッ






お母さん「今のお前を見たら―――」




お母さん「あの人や婆っさまも、きっと喜んでくれるじゃろ…」ナデナデ




ちゃちゃのん「うん。 じゃったら、とっても嬉しいんじゃ―――」ギュウッ







あの日以来、婆っちゃが夢ん中で私に会いに来てくれることは もうなかった。






もし、私に唯一の心残りがあるとすれば―――





それはもぅ一人のお父さんや婆っちゃにも――――今日の私の姿を見て欲しかったゆーことじゃろか。










【数日前―――】



塞「やぁ、ちゃちゃのんは相変わらず綺麗だね」



ちゃちゃのん「えへへ、塞ちゃんはますます大人っぽくなったのぅ♪」



塞「そうかしら…? 本人的には、そういうのってあんま実感ないんだけど…」



ちゃちゃのん「へへ… ま~ そんなもんかもしれんのぅ」




その日は仲人をお願いした胡桃ちゃんの代理として来た、塞ちゃんと久しぶりにお話をした―――







塞「―――あ、 もぅ『ちゃちゃのん』って呼び方は、ヨシた方が良いのかな…?」



ちゃちゃのん「苗字 変わっても、ちゃちゃのんは ちゃちゃのんじゃけぇ」



ちゃちゃのん「みんなにゃぁ あの頃と同じ、ちゃちゃのんがやっぱり嬉しいかのぅ…」



塞「そっか、了~解♪」








塞「二次会は胡桃と元姫松の恭子さんが、幹事として動いてくれてるけど」



塞「料理の方は本職の哩に頼んだみたいだから、きっと期待して良いと思うわよ」



ちゃちゃのん「哩ちゃんの料理はホンに美味しいけぇ、今から楽しみじゃね♪」



塞「もぅバイトじゃないのに、洋榎には今だにバイトって言われてるんだよね…」ハハッ




塞「ちゃちゃのん……?」






ちゃちゃのん「その、塞ちゃんは―――」




ちゃちゃのん「胡桃ちゃんとは、相変わらずなんじゃろか…?」



塞「ん、ん~~ そうだね…」





塞「まぁ、相変わらずと言えば、相変わらずなのかしら―――」




塞「お互い自分の仕事をしつつ、半同棲みたいな感じではあるけど……」




塞「たぶん、胡桃は まだ――――」




ちゃちゃのん「そう、なんじゃ……」








塞「でも、ま~~ 別に心配とかはしてないんだ…」



ちゃちゃのん「――――?」







塞「私たちも、オトナだしさ」




塞「今回の仲人の件にしたって、きっと胡桃なりのケジメなんだと思うし…」




ちゃちゃのん「胡桃ちゃんは、やっぱり強いんじゃね…」




塞「うん、胡桃は強いんだ―――」




塞「しかも素直じゃないもんだから、私の立つ瀬がないって感じなんだけどね~~」トホホ…




ちゃちゃのん「塞ちゃんは、相変わらず苦労しとるみたいじゃね…」ヘヘッ









塞「でも、今回のこと 全部終わったら―――」




塞「きっとその時は、私の番だって思ってるの――――」




ちゃちゃのん「塞ちゃん……」








塞「まぁ、こっちはこっちで勝手にやるからさ―――」




塞「だからちゃちゃのん達は、自分たちの幸せのことだけ考えなさいよね」




ちゃちゃのん「うん、塞ちゃん ありがとぉの!!」






ちゃちゃのん「応援、しちょるけぇの―――」




塞「うん、ありがとう」







塞「それと、今回のこと――――本当におめでとね」





ちゃちゃのん「うん――――」コクッ












【再び、結婚式 当日―――】




フレデリック「やぁ、いちごちゃん。 今日は本当におめでとう♪」




ロッキー「おめでと……」ボソッ




ちゃちゃのん「あ、フレデリックさんにロッキーさん!!」







ちゃちゃのん「今回の挙式の段取り、本当に色々とお世話になりました」ペコリッ





フレデリック「な~~に、今をときめく売れっ子アイドル いちごちゃん―――」





フレデリック「その晴れ舞台に協力出来るなんて、こちらこそ光栄ってなもんですよ」ニッ









ロッキー「それにしても、あの原村 和には―――驚かされた…」ボソッ




ちゃちゃのん「あはは、そうじゃね。 彼女にも、感謝せんとのぅ―――」






アイドルにして、iPS細胞研究の第一人者でもある原村 和さん。




彼女が同性との電撃結婚を果たし、国民の注目を大きく浴びたおかげもあって




紆余曲折の末、女性同士でも国内で正式な挙式が行えるようになったんじゃ―――







これは余談じゃが…




同じくiPS細胞の研究をしとった、姫子ちゃんの方は




原村さんに先を越されたっちゅうて、とっても悔しがっとったみたいじゃ。








フレデリック「それになぁ、あの日のこと―――やっぱ気になってたからさぁ」




フレデリック「今日という日を迎えられて、本当に心から良かったって思ってるぜ…」




ちゃちゃのん「フレデリックさん―――」










そうなんじゃ―――




実は今回の式場は、あの日、あの時。




恋人の魔法のかかった貴方と二人で来た、あの梅田の結婚式場じゃ。






貴女は私を気遣ってか、広島の厳島神社でもええ言うてくれちょったけど





やっぱり私たち二人にとっては ここが一番しっくり来るということで、ここに決まったんじゃ。










あの時、貴女は―――




もっとバカ騒ぎ出来るような、そんなトコの方がええ 言うちょったね。






でもそんな貴女が真剣に考え、ここにしようと選んでくれた。




それはきっと私の幸せを一番に考え、私を想って選んでくれた結果なんじゃろ?








洋榎「う、ウチにとって一番の式場は、大事な人が喜んでくれるとこやからな…///」カァァァァ





洋榎「これでも何したら いちごのこと幸せに出来るのか~~とか、いつだって真剣に考えとるんやで……」









二人で式場の下見にと、またここを訪れた時




とっても照れくさそうにしながらも、貴方はそう言ってくれた。





もぅそれだけで、涙が溢れそうなほど幸せだったけど




また泣き虫と笑われそうじゃけぇ、私も何とか必死に涙を堪えてみせた。











フレデリック「にしても新郎・新婦ならぬ、ダブル新婦形式なことには驚いたねぇ」




ちゃちゃのん「へへっ、あの時はヒロちゃんにタキシード姿の新郎さんをやって貰ったじゃろ」




ちゃちゃのん「じぇけぇ今度はヒロちゃんにも、ウエディングドレスを着て貰いたい 思っとったんじゃ」





ちゃちゃのん「一生に一度かもしれん女の子の幸せ、ヒロちゃんにもちゃんと味わって貰いたかったけぇ―――」









これは、私のわがままじゃ…





最初 貴女は恥ずかしいけぇ、自分は新郎役でええ言うちょったが―――






最終的に貴女が私のわがままを聞いてくれるカタチで、二人揃ってウエディングドレスっちゅうことになった。













結婚式―――




それは多くの女性にとって、一生に一度の憧れの舞台。




純白の衣装に身を包み、二人の花嫁はバージンロードを歩く。




そして神さまの前で永遠の愛を誓い合い、二人は幸せなキスをする。








洋榎「―――ウチ、こんなんやから…」





洋榎「愛想つかされたりしないかとか、結構 気にしてんねんで…」






洋榎「―――どうしても、不安になってまうねん」





洋榎「いちごと過ごす時間が、あんまりにも幸せすぎて―――」






洋榎「ホンマにこないな時間がいつまでも続くなんてこと、あるもんかいなって――――」













そんなに、怖がらんでもええんじゃよ。





そんなに気ぃ使ってくれんでも、私は大丈夫。








貴方の優しい心遣い、ホンに涙が出るほど嬉しいけれど。






貴女と添い遂げると決めたあの日から、私の気持ちは揺るがない。










私の居場所はここ―――――大好きな貴方のとなり以外にゃぁ ありえないんじゃ。

















それに――――私は、よぅ知っちょるけぇ。





貴女が誰かを幸せにすることの出来る、たくさんの素敵を持った人なんじゃって。






だって私の中に芽吹いた たくさんの幸せ、こんなにも綺麗に咲かせてくれたんは貴方じぇけぇ。







だから愛する貴女に、これだけは伝えておきたいんじゃ―――――両手いっぱいの幸せの花を どうもありがとうって。











洋榎「ウチに いちごのこと――――幸せにさせてくれ!!」









いちご「はい――――幸せにしてください」















いちごの花言葉――――それは『幸福な家庭』








二人でこの幸福の花を、大事に大事に いつまでも育んでいこうな。



















【咲-Saki- SS】 ちゃちゃのん・大学編 -いちご味-



ちゃちゃのん「おかえりなさい」









終 章 いつかのひかり








カンッ!







というわけで、どうにかこうにか当初から予定していた終章 終了まで辿りつく事が出来ました♪



とりあえず正式な本編はこれにて終了ですが、この後 番外編的なエピローグがちょっぴり入る予定です。



敢えてここで番外編的というのは、人によってはここで終わりとした方がしっくり来るかも……とかちょっと思うからです。



要するにこの後のエピローグ部分を正式な続きとするも良し、あくまで本作の番外編として位置付けるも良しってな話ですね。




ま~~ 相変わらずのドン亀投稿になると思いますけど、気長にあとちょっとだけお付き合い頂ければ幸いです。





乙コメ感謝です。


保守っとかないと書き込み出来なくなっちゃうんですかね?

そういうのあまりよく分からないので、とりあえず保守しときます。


先月終わり頃から歯痛に悩まされ、現在 仕事の合間に歯医者通い。

何日か前に親知らず抜きましたけど、物凄く痛かったです…


この後 エピローグ書く予定だったんですけど、何を血迷ったか急に鹿老渡・小学生編とか書きたくなっちゃって…

全くニーズとかないだろうに、とりあえず今はオリジナルキャラの鹿老渡高校大将さん視点の番外編とかボンヤリ考えてます。

ホント、どうしてこうなった状態です。

でもって歯の痛みもあるし、イマイチしっくりこなくて長考に入りつつありますね。


とりあえず本編終わって一応の区切りもついたんで、あまり焦らずもぅちょい考えてイケそうなら書こうかなと思います。




元作品も合わせて読んでくれたようで、とてもありがたいです♪



元作品についてはあとがき部分でもまた触れるつもりでしたけど、この話の原作に当たるOSaKadAteQさんの胡桃と洋榎の大学SS

胡桃「そーゆーのいーから愛の告白!」洋榎「あ……好きです……」(前編)
胡桃「そーゆーのいーから愛の告白!」洋榎「あ……好きです……」 - SSまとめ速報
(http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1354025977/)

胡桃「そーゆーのいーから幸せにする!」洋榎「ああ……絶対……!」(後編)
胡桃「そーゆーのいーから幸せにする!」洋榎「ああ……絶対……!」 - SSまとめ速報
(http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1354201244/)



―――作品として凄く好きだから、純粋にお勧めしたいっていうのも勿論なんですけど、

このちゃちゃのん視点のSSでは、胡桃視点の話は敢えてあまり触れないようにしてます。

(ある程度のネタバレは避けられませんでしたけど、元作品の楽しみを残したいと思ってそういう作りにしました…)


例えば、ちゃちゃのんと再会する以前の胡桃や洋榎たちの1回生時代の物語だったり、

胡桃と洋榎の誕生日デート、胡桃の恋心、クライマックスとなる胡桃と洋榎のクリスマスの夜―――


そういう、このちゃちゃのん視点のSSだけだと分からない部分のドラマもあるんで

そういう意味でも、是非とも合わせて読んで貰えたら嬉しいなって思います。



モチロン、このちゃちゃのんSS自体が元作品の空白部分を勝手に拡大解釈させて貰ったモノなんで

こちら側から繋がってても、元作品側からこちら側にそのまま繋がってるってわけでは当然ないんですけどね。






勝手な空白部分 捏造の一例として―――



元作品で何度か洋榎主体で脱衣麻雀してるんですけど(色っぽい意味ではなく、駄学生の深夜テンション)

何故かちゃちゃのんがいる時には、一度も脱衣麻雀やってないんですよね(胡桃、塞、セーラあたりはスッポンポンになってる)


それって、何でなのかなって―――?


OSaKadAteQさん的には、特に深い意味なんてなかったのかもしれませんけど

もしかしたら、洋榎がちゃちゃのんのことを無意識のうちに意識しちゃってたからかもとか…

アイドルだし写真の流出とかあったらヤバイんじゃって、流石にみんなが気を使ったからかもとか…


そういうのを色々と想像しながら読むのが楽しくて―――


そうやって色々と自分なりに話を膨らませてたら、こんな話が出来上がったってな感じですね(我ながらキモい…)




ぶっちゃけ、途中からは文章として書かれてないのを良いことに


クリスマス―――ちゃちゃのんの描写がなかったんで、実は途中で帰ったんだよとか


書かれてる部分は最大限尊重するけど、原作 ちゃちゃのんの設定含め、


明記されてない部分は、こっちで自由に作っちゃおうってスタンスでやってた気がします。






本編終了からだいぶ間が空いちゃいましたけど、ボチボチ鹿老渡 番外編 始めていきますね。


ぶっちゃけまだ先の展開とか決めかねてますし、完全な見切り発車になっちゃいますけど


本編後半部分と一緒で、ゆっくり進行にはなっても途中で投げるってのはしないつもりです。




ちゃちゃのん大好きって方、松来さん好きでいてくれた方、ここまでの本編にちょっとでも興味持ってくれた方


超スローペースになるとは思いますけど、気長にお付き合いしてもらえると嬉しいです。




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大阪から届いた、一通の便り。



それは大好きじゃった、あの子からの招待状。





「何じゃ、この子猫の落書き…?」



「いや… 一応 本人的には、イラストのつもりなんじゃろか…?」



「普通 こうゆー手紙に、こんな妙ちくりんなモンとか描かんじゃろ」



「まったく。 ホンにこうゆー子どもっぽいとこ、あん頃からちっとも変わらんのぅ…」フフッ



少女趣味丸出しな子猫のイラスト、それが何じゃかあの子らしゅうて ちょっぴり可笑しい思った…









今日―――



初恋のあの子が、アタシの前でお嫁さんになる。




その相手というのは、当然 このアタシではないんじゃが――――











―――アタシさ…




―――ちゃちゃのんのこと、ずっと好きだったんじゃよ……






「ほぇっ!?」



「ちっとも気付いとらんかったじゃろ…」



「ちゃちゃのん、そーゆーの昔から鈍かったけぇのぅ―――」フフッ










それは、遅すぎた告白―――



大学時代―――アタシは鹿老渡で再会したあの子に、少し冗談めかしつつ そう告げた。



本当はそがぁなこと、最後まで言うつもりなんてなかったんじゃよ…





それを聞いた時のあの子ときたら…



まるで鳩が豆鉄でも喰らったような、見事な驚きっぷりじゃった。








それを聞いた時、あの子は いったいどない思ったことじゃろう…




およそムードもへったくれもない状況じゃったし、軽いジョークとして受け流してくれたじゃろか…?








本当は、ずっと会って話がしたい思っとったんじゃが…




きっとあの子はあの夏の日の出来事を、インハイでの敗北を…




ずっと自分のせいじゃ思い込んで、強い負い目に感じとったことじゃろう。






そうしていつからか、あの子はアタシたちと少し距離を置くようになって…




そうこうしとるうちにあの子は大阪の大学へ進学、そこで本格的に芸能界での活動を開始した。










雑誌やテレビで目にするあの子の姿は、以前にもまして綺麗になっとって―――





もうアタシらとは別の世界のモンなんじゃと、どっかでそう感じとる自分がおった。






あの子 、佐々野いちごは アイドルじゃ――――




そして、今日はそんな彼女の結婚式――――















「今日は来てくれて、ホンにどうもありがとぉ~」



「皆が来てくれて、とっても嬉しいんじゃ♪」ウルウル



「花嫁衣装、ホンによぅ似合っとる――」



「うん、どうもありがとの…///」エヘヘ



「とっても綺麗じゃよ、ちゃちゃのん……////」





ホンに、心の底からそう思った。




初めて出会ったそん時から、飛び抜けて可愛ええ子じゃ 思っちょったが…






幸せいっぱいの笑顔を浮かべた、今日の彼女は―――




これまで見たどんな彼女よりも綺麗で、呼吸するのも忘れて見惚れてしまった。








「あはは、お姉ちゃん顔が真っ赤じゃよ~~♪」



「うっ、うっさいわ!!」アホ!!



「さては花嫁姿のちゃちゃのんに、見とれとったんじゃな~~」ヒヒヒッ



「あ、アホッ!? んなわけあるかい!!」



「んもぅ… 恥ずかしいから、よしなさいってば~~」




「うぅぅ、私たちのアイドルいちごさんが… 人様のお嫁さんになってしまうのですね…」グスン



「いちごさんが、人妻に… 人妻に……」ブツブツ



「で、でも… それはそれで、なかなかに良き響きですわね…」フヘヘ…



「お~~い… よだれよだれ…… ゆーちゃん、はよ帰って来んしゃい!!」



「ハッ!? 私としたことが、何とはしたない…」ゴシゴシ



「あ、あはは…」



「自分ら、ちぃーとばかし黙っとこか……」プルプル











ワイワイ ガヤガヤ


「ヒロエだけに~~ 披露宴やねん!!」ギャハハ



「うっわ、くっだらな!? それ、言っちゃいますか~~」



「ブフッ、ヒロエだけに、披露宴…」ククッ



「何や、こんなトコに受けとるヤツおんばい…」



「んもぅ、バカみたい……///」ハズカシ…







ギャハハハハハハッ…


「何やあっちのテーブル、盛り上がっとんのぅ~」



「ヒロエだけに、披露宴……」フヒヒッ



「おわっ、何かこっちにも飛び火しとるんじゃ!?」



「そりゃぁ、アンタ流石に笑いの沸点 低過ぎじゃろぉ…」










~~~~~♪♪♪



「おっ!? 子供ん頃のちゃちゃのんの写真が流れ出したんじゃ!!」



「ロリちゃちゃのん、キタコレ!!」チョー カワエエンジャ



「これは、すばらなお宝映像ですわね。 後でお持ち帰り出来ないかしら…」



「………………」






披露宴のお約束、式の主役である彼女たちの半生を綴った 想い出の映像フィルム。





それはアタシたちが出会うより以前のものから、アタシたちが知り合った当時のものへと到り





そしてアタシの知らない、彼女が最愛の人と恋に落ちた 大学時代の馴れ初めの物語へと続いていく――――
















【咲-Saki- SS】 大学編 -いちご味-



ちゃちゃのん「おかえりなさい」









鹿老渡 番外編










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大きなモニターに映し出された、一人の愛らしい少女の写真。



アタシとこの少女が初めて出会ったのは、小学時代のある夏休みのこと。



鹿老渡で漁師をしとった祖父の家に、しばらく滞在することになったのが切っ掛けじゃった―――







漁師の爺さん「こりゃウチの娘夫婦んトコの孫娘たちじゃ。 夏休みゆーて、今はウチで預かっとるんじゃ!!」カッカッカ



快活な長女さん「どうも、初めまして」ペコッ



ちゃちゃのん「ちゃ、ちゃちゃのんじゃ……」コソコソッ





祖母の後ろに身を隠し、おそるおそるこちらの様子を伺う一人の少女。




とても可愛いらしい女の子で、アタシは彼女の笑顔を見てみたい思った。






今にして思えば、それがアタシの初恋―――




初めて出会ったそん時から、彼女はアタシの真ん中におったんじゃ。










ちゃちゃのん「ここはちゃちゃのんたち 鹿老渡の人が通っとる、昔からあるお宮さんじゃよ」



快活な長女さん「そうなんだ、じゃ お参りでもして行く?」



ちゃちゃのん「何を、お願いするんじゃ…?」




快活な長女さん「また、こうやって一緒に遊べますように……とか?」ポソッ



ちゃちゃのん「あ、ありがとの……///」テレテレ





とても気恥かしそうで、それでいてとても嬉しそうな




それは彼女がアタシに見せてくれた、初めての笑顔じゃった。







その日、アタシは―――





ちいさな翼の、可愛らしい天使と出会ったんじゃ――――










今回のこの鹿老渡・番外編、これまでの話からも分かるように 基本的にはちゃちゃのんの幼馴染で


この作品のオリジナルキャラ、鹿老渡高校 大将の『快活な長女さん』視点で進行してくことになると思います。


部分的にちゃちゃのん視点になる場面もあるかもしれませんけど、その辺はまだ未定です(まだ全然 書けてないので…)





加えてストーリーの都合上、鹿老渡メンバーに名前が無いのは不便なので



・快活な長女さんを「ちーちゃん」「ちー姉」※鹿老渡 大将、面倒見良い姉御肌


・双子の陽気の妹ちゃんを「よーちゃん」「よー」※鹿老渡 先鋒、アホの子、オカルト能力者


・双子のしっかりものの妹ちゃんを「しーちゃん」「しー」※鹿老渡 副将、ちまっこい、毒舌


・病気療養中の儚げな少女(幽霊少女)を「ゆーちゃん」(これは本編内でも使ってます)※鹿老渡 次鋒or中堅、病弱



と、今後は会話中で呼んでいくことになると思います。


やっぱり会話劇の時って、相手の名前を呼べないの不便なんですよね。


尚、快活な長女さんは長女からとっての「ちーちゃん」です。


流石に「かーちゃん」はないですわ…



島の風土のせいか、メンツのせいか、全体的に内容の方も取り留めない感じに だら~~んとしてます。




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ミーーン ミン ミン… ミーーン ミン ミン…


一同「「ちゃ~ちゃ~~の~~ん!! あ~そ~ぼ~~~!!」」




陽気な妹ちゃん「ありゃ、返事がないの~~」


病気療養中の儚げな少女「しかばね中かしら…?」


しっかりものの妹ちゃん「よーがあんま うっさいんで、居留守しちょるんじゃなか?」チラッ


陽気な妹ちゃん「えぇっ、ボクのせいなの~~!?」


快活な長女さん「ま~~ 留守ゆーならしゃーなしじゃな。 また後で来りゃぁええじゃろ」


病気療養中の儚げな少女「ですわね…」




陽気な妹ちゃん「ぶぅ~~ ボクのせいじゃないんじゃ~~!!」


しっかりものの妹ちゃん「い~~や、よーが悪か!! 夕べじゃって、アタシのおやつ勝手に食べたじゃろ!!」


陽気な妹ちゃん「そっ、そりゃぁ 今はええがのぅ~~」ブーブー


しっかりものの妹ちゃん「い~~や、良くないんじゃ!! 大体、よーは誰んでも厚かまし過ぎなんじゃ!!」


快活な長女さん「こりゃこりゃ、自分ら 人様んちの庭先で何アホな喧嘩 かましとんじゃ―――」


病気療養中の儚げな少女「うふふ、相変わらず お二人は仲良しさんですこと♪」


ベツニ、ナカヨシジャナイシ!!

ソウジャ ソウジャ!!

ウフフ…







** ねこの島 **




老婆「お~~ぅ お前さんたちゃ~ 確か、ちゃちゃのんの…」シャァァ



快活な長女さん「あっ、ちゃちゃのんのお婆ちゃん!! えっと、水やりじゃろか…?」



老婆「あ~~ こりゃ打ち水じゃ。 カッカッカ… 今日も暑ぅなりそうじゃけぇのぅ~~」シャァァ



陽気な妹ちゃん「バッチャン!! ちゃちゃのん、おるか?」


しっかりものの妹ちゃん「んもぅ、お婆さんじゃろ!!」ギュゥッ


陽気な妹ちゃん「いでで… べっ、別に何だってええじゃろ~~!!」





老婆「カカッ え~ え~♪ 子どもは元気が一番じゃ!!」


陽気な妹ちゃん「にしし… じゃろじゃろ♪ 子どもは元気が一番じゃぁ!!」ムンッ


しっかりものの妹ちゃん「むぅっ… 知らんわ、アホ カス…」フンッ


陽気な妹ちゃん「しーのアホアホアホアホ~~!!」ンベーー


しっかりものの妹ちゃん「アッ アホはアンタじゃ!! アホアホアホアホアホアホアホォッ!!」ンガーー


病気療養中の儚げな少女「うふふ♪」


快活な長女さん「ぐっ、コイツらは……」








快活な長女さん「アタシたち、ちゃちゃのんと遊ぼう思って来たんじゃが…?」


病気療養中の儚げな少女「いちごさんは、ご在宅でしょうか?」



老婆「お~ お~ ちゃちゃのんなら、きっといつもん縁側で 寝ちょるんじゃないかのぅ」


快活な長女さん「縁側で―――?」





老婆「今朝ぁ 一緒にラジオ体操に行ったもんじゃけぇ、眠たげじゃったしの~~」


快活な長女さん「鹿老渡でも子どもが集まって、ラジオ体操しとるんじゃろか?」


陽気な妹ちゃん「ちゃちゃのんも、スタンプ集めしちょるんか~~~?」


しっかりものの妹ちゃん「アンタ 無駄に早起きじゃし、そうゆーの大好きじゃもんな…」


陽気な妹ちゃん「うん、大好きじゃ!!」エッヘン!!



しっかりものの妹ちゃん「老人とアホは早起きじゃゆーしのぅ…」


陽気な妹ちゃん「ボクはまだピチピチの小学生じゃ~~!!」ムキーー


しっかりものの妹ちゃん「アホ言うとるんじゃ、アホ…」


陽気な妹ちゃん「なら良~~し!!」


しっかりものの妹ちゃん「ええんか!?」


快活な長女さん「てめぇら、ちぃーと黙っとりゃぁ!!」ホアチャーー


ドゲシッ


双子「「ガッハッ!!」」


ピク ピクッ…




老婆「ホンに元気じゃのぅ…」アリャーー


快活な長女さん「あ、いや… いつものことなんで~~」アハハ…


病気療養中の儚げな少女「バイオレンス姉ちゃんですわ…」








老婆「ここらは子ども 少ないけぇ。 早朝 日の出ん頃に漁師の爺さん連中に混ざって時々のぅ…」


快活な長女さん「あ~~~」ナルホド…






老婆「それに、あの子はのぅ―――」



快活な長女さん「――――?」








老婆「あの子は同年代の子と、なかなか上手く馴染めんトコあるけぇ―――」




老婆「これからも、仲良くしてやってな―――」ナデナデ




快活な長女さん「えと… は、はい……///」コクッ










フニャーー ゴロゴロ…


ニャーーゴ ニャーーーゴ…


ちゃちゃのん「むにゃむにゃ… おにく…」スヤスヤ…



クーー クーー


ペタペタ ペロペロ……


ちゃちゃのん「にくきゅ~~ ぱんち……」ムニャムニャ…




陽気な妹ちゃん「ちゃっちゃの~~~~ん!!」ドタドタッ ドタドタッ!!


ちゃちゃのん「ふっ ふにゃぁぁっ!?」ビグゥッ


フニャ ニャ ニャーーーッ




ちゃちゃのん「な… なんじゃぁ……?」ビクビクッ キョロキョロ


ニャー ニャーー ペロペロ…




しっかりものの妹ちゃん「アホが驚かせてまって ゴメンのぅ~~」



快活な長女さん「ちゃちゃのん、これから皆で遊びに行かんかの?」



病気療養中の儚げな少女「とても可愛らしい無防備な寝姿、グッジョブでしたわ♪」ウフフ



快活な長女さん「それんしても、すっごいにゃんこ祭りじゃのぅ~~~」



ちゃちゃのん「ありゃ、みんな……?」ホヘ?







ニャー ニャー ペロペロ…


ちゃちゃのん「へへっ… ちょっ、小春。 くすぐったいんじゃよぉ~~」キャッ



ペロペロ ペロペロ…


ちゃちゃのん「あははっ… そんなに甘えて、頼子はホンに甘えん坊さんじゃのぅ~~♪」ナデナデ




ペロペロ モグリモグリ…


ちゃちゃのん「ちょっ、クー子!! そんなトコ入っちゃ駄目じゃよぉ!?」アワワッ



サスリ サスリ ペロペロ ペロペロ…


ちゃちゃのん「えへへっ… じゃけぇそんなにペロペロしちゃ アカンじゃろぉ~~」ジタバタッ ゴロゴロ




快活な長女さん「ちゃ… ちゃちゃのん……////」ジーー


ちゃちゃのん「ほぇぇ~~!!」ガバァッ


ウニャー ウニャーー クーー クーー


アーー ウン… ウン… ゴメンノゥ…








快活な長女さん「お… お邪魔じゃったかの…?」アハハ



ちゃちゃのん「ふぇぇっ!? そんなこと、ないんじゃよぉ~~」ブンブン





ニャー ニャーー スリスリ…


ちゃちゃのん「へへへ… この子たちはここらに住んどる、島にゃんこさんたちでのぅ…」ナデナデ



ちゃちゃのん「ちゃちゃのんがこうして縁側でうつらうつらしちょると、一緒にゴロゴロしよう集まって来るんじゃよ~~♪」ヨシヨシ


フニャーー ゴロゴロ ゴロゴロ…




快活な長女さん「あ、はは… そ、そうなんじゃ…////」



病気療養中の儚げな少女「グレートですわ……」



ちゃちゃのん「へへ♪ 島の人たちによぅ懐いちょって、とっても可愛ええ子たちなんじゃ♪」ニコニコ









ちゃちゃのん「婆っちゃ~ ちゃちゃのん、皆と一緒に遊んでくるけぇ~」テッテッ…


老婆「お~~ぅ… いっぱい楽しんどいで~~」


ちゃちゃのん「うん、行ってくるんじゃ♪」フリフリ







ミーーン ミンミン… ジーリ シリジリジリ…


快活な長女さん「今日もまた暑ぅなりそうじゃ…」パタパタ


ちゃちゃのん「そうじゃのぅ。 今日もお天道さんとセミさん 元気いっぱいじゃ♪」トテトテ


病気療養中の儚げな少女「私も日傘を持ってきておいて 正解でしたわ」クルクル





しっかりものの妹ちゃん「それんしても、ここらぁ げにセミがせせろーしぃのぅ(うるさい)」トットッ


ちゃちゃのん「低い山に囲まれとるからかの~~?」


ちゃちゃのん「ここらぁクマゼミとかヒグラシ、オーシンツクとか種類も豊富じゃ。 婆っちゃがゆーとったけぇ!!」


病気療養中の儚げな少女「オーシンツクですか……」


陽気な妹ちゃん「オーシンツクってなんじゃ~?」




ちゃちゃのん「オーシンツク知らんの? よぅオーシン ズクズク 、オーシン ズクズクって鳴いちょろう?」


しっかりものの妹ちゃん「オーシン ズクズク…?」シットル?


快活な長女さん「ん~~ アタシもちぃーと分からんかのぅ…」


陽気な妹ちゃん「それって、ちゃちゃのんの創作ちゃうん~~?」アハハッ


ちゃちゃのん「創作 違うけぇ!! サビんとこで、オーシン ズクズクゆーちょるんじゃよぉ!?」


快活な長女さん「サビってなんじゃい…?」







ちゃちゃのん「オーシンツクの鳴き声にゃぁ、サビとイントロあるんじゃよぉ~~」



ちゃちゃのん「ぅ~ ウニュ~~~ イョィョィョ~~ ツッツク~~ ヴニュ~~ックっときて―――」ミブリ テブリ ミブリ テブリ



ちゃちゃのん「テンション上がってきたとこで、一気にサビの オーシン ズクズク オーシン ズクズク ウィヨースって来るんじゃよぉ~~」シャッシャカ シャッシャカ



一同「「~~~~~ぶはっ!! ぶはははははっ!!」」


ちゃちゃのん「うぇぇっ!? な、何じゃぁ!?」





陽気な妹ちゃん「ぶははっ… ウィヨーースってなんじゃぁ!?」


快活な長女さん「ぶふぅっ… ゴメ、堪えきれんかった―――ッ」ブフッ


しっかりものの妹ちゃん「ちゃちゃのん、身振り手振り 必死すぎぃ~~」クック…


病気療養中の儚げな少女「イョィョィョ~~~////(笑いを堪えてる)」プルプル


ちゃちゃのん「うぅ~~ そんなん考慮しとらんよ………/////」ナミダメ




快活な長女さん「ス、スマン… ほじゃけど、ちゃちゃのんのモノマネ可愛かったけぇ…」フルフル


しっかりものの妹ちゃん「うんうん。 可愛かった、可愛かった…」ブフゥッ


病気療養中の儚げな少女「ナイスガッツでしたわ♪」グッ


ちゃちゃのん「もぅ、ええんじゃよぉ~~///」ホロホロ…









病気療養中の儚げな少女「先ほどのオーシンツクですけど、ツクツクボウシのことではないかしら?」スタスタ


快活な長女さん「えっ、そうなん―――?」トコトコ



病気療養中の儚げな少女「ええ。 ウチの地元のお年寄りにも、確かそう呼ばれていたと記憶しておりますわ」


陽気な妹ちゃん「ツクツクボウシなら、ボクも知っちょるんじゃ~~!!」ピョコピョコ


しっかりものの妹ちゃん「ツクツクボウシの鳴き声は、ツクツクボーシじゃろぉ~~」トコトコ


ちゃちゃのん「オーシン ズクズクじゃ…」ポソッ


一同「「………………」」


ちゃちゃのん「………………」






ジーーー ツクツクボーーーシ ツクツクボーーーシ…


一同「「ま、まぁ… 言われてみりゃぁ、確かにそう聴こえっかもしれんのぅ……」」ウンウン


ちゃちゃのん「そうじゃろ、そうじゃろ~~♪」ヘヘヘッ






しっかりものの妹ちゃん「―――ゆーちゃんさぁ。 絶対 ツクツクボウシんこと、知っとって黙っちょったじゃろ…」ヒソッ


病気療養中の儚げな少女「うふふ、何のことでしょう? 私、今 急にそのことを思い出したのですわ♪」クルクル










キューーン キューーン


陽気な妹ちゃん「おりょ、また猫じゃ…?」


しっかりものの妹ちゃん「子猫、ぶち可愛ええんじゃ…」デュフッ




ガサガサッ グルルルル…


快活な長女さん「でっ、デカッ!?」ヒッ


しっかりものの妹ちゃん「草むらからトラァッ!?」ウヒィッ


陽気な妹ちゃん「さ、山月記じゃ!!」ウッギャーー




病気療養中の儚げな少女「―――いえ、あれは… 随分と大きいですけど、白い虎ねこかしら…?」


ちゃちゃのん「うん。 ちっこい子がミルカで、おっきい子がラスカラス―――」


ちゃちゃのん「この島に住んどる、にゃんこさんたちじゃよ~~♪」








しっかりものの妹ちゃん「こ、これが猫じゃとぉ。 メチャデカいんじゃ―――」デケェーー


陽気な妹ちゃん「ラスカラス、カッケーー!!」キラキラッ


快活な長女さん「だ、大丈夫なん…?」




ちゃちゃのん「とっても大人しいけぇ、全然 平気じゃよ~~」テッ テッ テッ



ちゃちゃのん「へへっ… ミルカとラスカラスは、相変わらず大の仲良しさんじゃね♪」ナデナデ…





ベロベロベローーー ズムゥーー


ちゃちゃのん「うひゃっ!? ちょっ、ラスカラ―――重たっ…」ジタバタ ジタバタッ


プチッ…



快活な長女さん「ちゃ、ちゃちゃの~~~ん!?」ウォォイッ


しっかりものの妹ちゃん「お、押し潰された!?」ギャーースッ


陽気な妹ちゃん「第三部・完!!」




ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、生きちょるよぉ―――」ウゴケナインジャ… ヒッパッテ クレンカノ…


チャチャノーーン ズルズル…






ピューーウ ピューーウ… ペロペロ…


ちゃちゃのん「もぅ~~ ラスカラス、強引すぎじゃよぉ~~~」アタタッ


快活な長女さん「ちゃちゃのん、怪我とかしちょらん…?」ビックリシタ…



ちゃちゃのん「大丈夫じゃけど、お洋服 草まみれじゃの…」ヨイショ パッパッ


病気療養中の儚げな少女「いちごさん、御髪にも葉っぱが。 まだ後ろにも付いてるかもしれませんわ…」スッ


ちゃちゃのん「あ、うん… ゆーちゃん、ありがとぉ♪」クルクル パタパタ




陽気な妹ちゃん「ラスカラス、もふもふじゃ~~」シガミツキ ギューー


しっかりものの妹ちゃん「ちょ、止めといた方がええんじゃよ…」オソルオソル


陽気な妹ちゃん「何でじゃ? この子、ぶちもふもふじゃよ~~~♪」






キューーン キューーン


グルルルル…


快活な長女さん「この子たちって、親子なんじゃろか?」


ちゃちゃのん「ん~~ん、ど~も 違うみたいじゃよ~」




ちゃちゃのん「でもラスカラスは、ミルカの親代わりなんじゃよ…」ヨチヨチ


ちゃちゃのん「ミルカも、ラスカラスのことが大好きじゃ思うし―――」


ちゃちゃのん「きっと、お互いが大切なんじゃな…♪」


快活な長女さん「―――うん、そうかもしれんのぅ」








快活な長女さん「それんしても前から思っとったんじゃが、この島ってホンにノラ猫が多いんじゃな…」


ちゃちゃのん「そうじゃのぅ。 この鹿老渡は『ねこ島』呼ばれっくらい、にゃんこさん達でいっぱいじゃ!!」


しっかりものの妹ちゃん「それって大半が誰かの家の飼いねこじゃなく、島に住みついとるノラってことじゃろか?」




ちゃちゃのん「うん、島の人たちみんなで面倒みとるゆー感じじゃけぇ―――」


ちゃちゃのん「誰んちのにゃんこっちゅー感覚は、あまりないかもしれんの~~」


快活な長女さん「へ~~ そういうもんなんじゃな…」



病気療養中の儚げな少女「誰かの家の猫ではなく、島の皆さん 皆の猫ですか―――」


病気療養中の儚げな少女「都会の方では、あまりそういう考え方ってありませんわね…」




ちゃちゃのん「婆っちゃは、ちゃちゃのん達と島にゃんこさん達―――」



ちゃちゃのん「ずっと昔っから一緒に共生しちょる家族じゃ、ゆーちょったんじゃ♪」





               ___

            ,. .:': : : : : : : :`: : ..、    連勝からの4連敗とか
           /..:: : : : : : : : : : : : : : : \      
         /: : : /: : : l: : : : : : :.l : : :', : :ヽ._そんなん考慮しとらんよ… 
      ,. .-v': : : :,' : : ノ!: : : : : : :.lト:、 :.',: : : ヽ: :、   
     /: : : ,': : ; :.,:/: :l l: : : : : : :.l i: :.\il: : : : :; : :ヽ  O
    ,': : : :.!: : i: :lト;: : |:Lゝ:'; : j.: / .j: :./:リ.!: : : : :i: : : i  o

     i: : : : l: : :l: :l! ,,ム示、ヽ从/ .示半z, jl: : : l/i: : : !
    ゝ: : 人: :ゝ:|./lkr必l!     lkr必!.} j/: ノト; :.:丿
    ((. i:.(:ト;.:.`ーイ とつ''¨   '   とつ .l!:l : : i ):.l
    ヽ ー=-: :l:ト   |!''''   --    ''' .j、l: : : !'イ
     /: : l|.: l:lゝ, {;  (     )    ノ人: : :.i
      //: :.l!: :.i:l:j: :.>..          ...:く:(: : :.!: :..i
.     i:iヽ: :l!: : Y: l: : l: :> .. __ .. <:.l: :!:i ): :.j: : :.i
      ゝ ): :.';: :.ト、j: : !: :!=|      |: : l: j:.l': V : : .人
     丿:!: :.): !:|:l Yi/ ` 、 _r'´ \リ/:.:.(: : :.( _ ))

    /:.イ:.:/:ヽY!jヽ;!!   /  ̄|ト、. .|/: :/):) 、: :、:(
.  ./:/  ,l: iイ )/.  リ /:::>‐._//`ヽ!: :.i'イ  .): :) ヽ
   !::! ./ ゝニ=-    ´  l::::::::::/   `j/  , 'イ ヽ
   ゝ./ ヽ   /       ヽ:-:〈      \  / |
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「黒田引退とか、そんなん考慮しとらんよ…」

カープ女子 ちゃちゃのんの、そんな嘆きが聞こえてきそうな今年の日本シリーズ。

今年は心情的にも特にカープ頑張れな感じでプロ野球 応援させてもらいましたけど、ホント残念でした。

でもここまで頑張って、広島ファンを盛り上げてくれたカープに大感謝。

本当にお疲れ様でした。






ザザザザーーン


ちゃちゃのん「ほんで、今日は皆でどこまで行くんじゃ…?」テクテク


陽気な妹ちゃん「今日は鹿老渡でいっちゃん北の、堀切橋まで探検じゃ!!」ヒャッハーー!!


ちゃちゃのん「ま~~ いっちゃんゆーても、歩いて15分もありゃ~~ 行けてまう距離なんじゃけどね…」



病気療養中の儚げな少女「北端の堀切橋から南端の鹿島大橋まで、30分も歩けば着いてしまいますものね」フフッ


しっかりものの妹ちゃん「そう考えっと、鹿老渡ってホンにぶち小っさい島なんじゃな」


ちゃちゃのん「北から南まで 長さでゆーたら2、3キロしかない、橋で繋がれた小さい島じゃけぇ」ヘヘッ





陽気な妹ちゃん「それにここらぁ、ぶちど田舎じゃ♪」ワハハ


ちゃちゃのん「うぅっ… どうせちゃちゃのんは、ど田舎モンじゃ…」


しっかりものの妹ちゃん「ちゃんと田舎モンゆー自覚あるんじゃの。 偉い 偉い…」ナデナデ






ちゃちゃのん「そりゃぁ… 小学校もないような小さな島じゃもん…」グスンッ


快活な長女さん「う~~ん… やっぱ小学校ないっちゅーんは、不便じゃよね…」


陽気な妹ちゃん「うぇっ、そんじゃ学校どうしとるんじゃ!? もしかして、勉強せんでええんか!!」マジッスカ!? マジッスカ!?


しっかりものの妹ちゃん「バカ、んなわきゃないがの!!」バカッ


ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、バスでおとなりの倉橋島まで通っちょるんじゃよ…」ヘヘッ


快活な長女さん「隣の島までバス通かぁ、そりゃぁ大変じゃのぅ~~」





病気療養中の儚げな少女「でも確か、鹿老渡にも高校はありましたよね?」


快活な長女さん「あ、鹿老渡高校…?」




陽気な妹ちゃん「そこって、昔 ウチの爺っちゃんも通っとったトコじゃろ?」


ちゃちゃのん「鹿老渡高校にゃぁ、ウチの婆っちゃも通っとったんじゃよ~~」





ちゃちゃのん「当時は婆っちゃが麻雀部の部長さんしちょって、とっても強かったんじゃって!!」


快活な長女さん「ウチの爺さんも麻雀好きゆーとったし、もしかすっと同じ部だったんじゃろか…」


しっかりものの妹ちゃん「あ~~ そういえば、そんな話 聞いたような気もするんじゃ…」




陽気な妹ちゃん「の~~ の~~ ちゃちゃのん!! 麻雀って楽しいんか!?」


ちゃちゃのん「うん♪ とってもとっても楽しいんじゃよ~~♪」パァァッ


しっかりものの妹ちゃん「うわぁ… ちぃーと引くレベルのぶちええ笑顔じゃな…」


快活な長女さん「こりゃぁ、ちゃちゃのんは相当な麻雀好きらしいのぅ…」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、婆っちゃたちとする麻雀が大好きじゃけぇ♪」





ちゃちゃのん「そうじゃ、今度 ちゃちゃのんが教えるけぇ。 皆で一緒に麻雀やってみんかの!!」


陽気な妹ちゃん「やりたい、やりたい!! ボクもみなで麻雀したいんじゃ!!」


しっかりものの妹ちゃん「アタシも、ちぃーと興味あるかのぅ…」


病気療養中の儚げな少女「テーブルゲームでしたら、身体の弱い私にも出来そうですわね♪」


快活な長女さん「そりゃぁ楽しげじゃ♪ ちゃちゃのん、今度アタシらにも麻雀教えたってな!!」


ちゃちゃのん「うん!! 今からとっても楽しみじゃね♪」







ちゃちゃのん誕生日おめでと~~♪


というわけで、気がつけばもう開始から1年ですね。

全く考慮してなかった番外編を見切り発車したのが主な原因なんですけど

とりあえず大学編 本編も終わった事ですし、あと少しだけ気ままにのんびり続けたいと思ってます。



そういえば、ちゃちゃのんの誕生日 12月14日って忠臣蔵の吉良邸 討ち入りの日でしたね。

14日というと、自分的には9月14日の松来さんの誕生日やバレンタインデーやホワイトデー

黄色い服でカレー食ったりするイエローデーみたいなイメージがあって、そういやそうだったって先日 ふと思いました。




そして煌先輩もすばらです言ってた『実写版 咲 -Saki-』

実写化特有の香ばしさが色々と醸し出されてる感じですけど、タコスがヤバイともっぱら評判みたいですねwww


果たして阿知賀編、全国編と続いて、実写版 ちゃちゃのんの登場はあるのか?

胡桃や初っちゃんは素直に子役を使った方が良いような(ていうか、初っちゃんの実写化は何かヤバイ…)

ま~ 何はともあれ、みんな頑張ってますよ。



てなわけで鹿老渡番外編の途中ですが、唐突にちゃちゃのん誕生日SSをぶっ込みます。

時間軸的には終章 後半あたりだと思いますが、完全なおふざけ的パラレルですのであしからず。






【12月14日 某スタジオ―――】



ちゃちゃのん「~~~~~♪」ヘヘッ


チハヤ「あれ~~ ちゃちゃのん、今日は随分とご機嫌なんじゃない?」


ちゃちゃのん「えへへ… そうじゃろか~~?」



チハヤ「もしかして、これから例の恋人さんとデートだったりして~~? 羨ましいぞ、このこのぉ~~」ウリウリィ


ちゃちゃのん「あいたたっ… そんなんじゃないけぇ、他の大学のお友達も一緒じゃよ~~」ヤメテーー


チハヤ「ありゃぁ~ そいつは残念だったわね~~」


ちゃちゃのん「んもぅ… そんなんじゃないんじゃよ~~////」テレテレッ




チハヤ「あはは、なんてね。 今日はちゃちゃのんの誕生日だったよね!!」


チハヤ「はい。 私からの誕生日プレゼント。 ちゃちゃのん、お誕生日 おめでと~~♪」


ちゃちゃのん「わぁ~~ ちゃちゃのんの誕生日、覚えちょってくれたんじゃ~♪」


ちゃちゃのん「チハちゃん、ど~もありがとぉ~~♪」



チハヤ「それ最近人気の香水なんだけど、ちゃちゃのんにどーかな~と思って 取り寄せてたんだ」


チハヤ「まぁ~ ちゃちゃのんは香水なんてしなくても、常時 あま~いストロベリーフレーバー醸し出してるけどね~~♪」フフッ


ちゃちゃのん「へへへっ、そりゃぁちょっとイヤじゃの~~~」







ジングルベーール ジングルベーール


ちゃちゃのん(今年ももぅクリスマスの季節―――)トコトコ


ちゃちゃのん(子どもん頃から、いっつも誕生日とクリスマスのケーキ 一緒だったけぇ)


ちゃちゃのん(クリスマスと分けてお祝いして貰えるゆーんは、やっぱええもんじゃのぅ…)ヘヘッ





ガチャッ

ちゃちゃのん「ありゃ、鍵が開いちょる…? ちゃちゃのん、今朝 締めるの忘れたかの…?」


ちゃちゃのん「あぁ、そういえば… 今日はヒロちゃんたちが先にお部屋の飾り付けとか、パーティーの準備してくれる言うとったの―――」




ちゃちゃのん「みんなぁ、ただいまじゃよ~~♪」クツ ヌギヌギ


ちゃちゃのん「パーティーの準備 全部やってもろーて、ホンにゴメンの―――」ヤッホーー トタトタッ


京太郎(実写)「お~~ぅ!! ちゃちゃのん、おかえり~~~♪」


ちゃちゃのん「!?」


京太郎(実写)「ん……?」


ちゃちゃのん「………………」コウチョク


京太郎(実写)「そんなに見つめられたら、照れちゃうぜ///」ニコッ


ちゃちゃのん「誰じゃ……?」


ちゃちゃのん(ちゅーか 顔とか神作画過ぎて、何か存在全てが異次元じゃ……)







ちゃちゃのん(そんなことより、この人 ホンに何者なんじゃ…? )ビクビク


ちゃちゃのん(とっても背ぇ高いし、髪の毛も金色じゃし、もしかしておっかない人……?)フルフル




京太郎(実写)「俺だよ俺、須賀 京太郎。 ちゃちゃのんが三年の時、俺もインハイ会場にいたんだけど、もしかして忘れちゃった?」


ちゃちゃのん(あ、麻雀関係の人じゃったか…)ホッ…



ちゃちゃのん「えと、ごめんの… あの時はちゃちゃのんいっぱいいっぱいで、実はよぅ覚えてないんじゃ……」


京太郎(実写)「えぇ!? ちゃちゃのん、俺のこと全っ然覚えてないの!! うわぁ~~ ショックだ~~~!!」アアアア…


ちゃちゃのん「ひゃぁぁ… ほ、ホンにごめんなさいなんじゃ!!」ナミダメ ヒラアヤマリーー



京太郎(実写)「ん~~ でも まっ、そっか… そうだよな~~」


京太郎(実写)「あんときゃ俺も補欠だったし。 会場でちゃちゃのんのこと探したけど、結局 見つけらんなかったもんな~~」ハッハッハッ


ちゃちゃのん(ありゃ… もしかして初対面……?)




ちゃちゃのん「あ、あの… それで須賀さんは、もしかすっとヒロちゃんたちのお友達さんとかなんじゃろか?」オソル オソル


京太郎(実写)「洋榎さん? あぁ、うん… 俺の彼女―――」


ちゃちゃのん「え"………」ピシッ




ちゃちゃのん「あの~~ 今、何てゆーたんじゃ……?」


京太郎(実写)「ん!? 俺、今 何か言った―――?」


ちゃちゃのん「ひ、ヒロちゃんが、須賀さんの彼女じゃって―――」


京太郎(実写)「あぁあぁあぁぁぁッ!!!!」グワァッ


ちゃちゃのん「うひゃぁっ!?」ビビクゥーーッ







京太郎(実写)「ちゃちゃのん!!」ガッシィッ


ちゃちゃのん「なな、な… 何……?」アウアウ


京太郎(実写)「俺のこと―――!!」ググッ


ちゃちゃのん「」カタカタ プルプル


京太郎(実写)「俺のことは――――京ちゃんって呼んでくれ!!」カッ


ちゃちゃのん「はひ――――?」




京太郎(実写)「いや、だからさぁ… 須賀さんって、何か他人行儀だろ?」


京太郎(実写)「だから俺は京ちゃんの方がいい。 分かるだろ、俺のこの気持ち!!」


ちゃちゃのん「は、はぁ……」


ちゃちゃのん(うぅ… オシッコ漏れるかと思ったんじゃぁ……)モジモジ





京太郎(実写)「ちゃちゃのん―――!!」カカッ


ちゃちゃのん「は、はひぃっ…」ビクッ


京太郎(実写)「サイン下さい!!」バッ


ちゃちゃのん「う、うん… ま~ ええけど……」カキカキ


京太郎(実写)「京太郎くん、大好き♪って―――入れてくれます?」


ちゃちゃのん「そ、それはちょっと…」




京太郎(実写)「握手もお願いします!!」ババッ


ちゃちゃのん「う… うん……」ニギニギ ギュッギュッ


京太郎(実写)「は~~~ ちゃちゃのんの手ぇちっさ~~ 柔らか~~~♪」ウットリ


ちゃちゃのん「あ、あはは……」




京太郎(実写)「ところで俺ってさ、何かこうあふれる福山ボイス感ない―――?」キリッ


ちゃちゃのん「あ… いや、特にそんな感じは……」







ちゃちゃのん「ほ、ほんで… きょ、京ちゃんは… どうしてちゃちゃのんの部屋におるん……?」オソルオソル


京太郎(実写)「あのちゃちゃのんに、京ちゃんって呼んで貰ったぁ~~ 感動だぁ~~~!!」ウォォォッ


ちゃちゃのん(ホンに何なんじゃ、この人……)




京太郎(実写)「ま、そんな冗談はさておき―――」


ちゃちゃのん(じょ、冗談じゃったんか!?)






京太郎(実写)「ちゃちゃのん――――誕生日、おめでとう~~♪」ニッコリ


ちゃちゃのん「ほぇ―――!?」


京太郎(実写)「今日はちゃちゃのんの誕生日だろ―――」


京太郎(実写)「だからこうやって、お姫さまのお祝いに来たってわけ♪」サワヤカーー


ちゃちゃのん「あ… ありがと……///」


ちゃちゃのん(みょ、みょーちくりんな人じゃが… もしかして、ええ人なんじゃろか……?)




京太郎(実写)「そんじゃま、一緒にケーキ食べてお祝いしようぜ~~」ヨイショ


ちゃちゃのん「け、ケーキ…? でも、まだヒロちゃんたちが―――」オタオタ


京太郎(実写)「気にしない、気にしない!! まずは俺とのお祝いからってことで良いでしょ?」


京太郎(実写)「ささ、お姫さまはお誕生席に座った、座った!!」


京太郎(実写)「いちごたっぷりのいちごのショートケーキ、好きでしょ?」


ちゃちゃのん「う、うん… いちごのショートケーキは大好きじゃ…」






京太郎(実写)「じゃっじゃじゃ~~~ん!! これがハギヨシさん(実写)お手製―――」


京太郎(実写)「イチゴの代わりに12体のいちごちゃんシュガークラフトを乗っけた、いちごのショートケーーキ!!」デデーーーン


ちゃちゃのん「イチゴが乗っちょらん!?」ガーーーン




京太郎(実写)「どうこのいちごちゃんとか、高校時代のちゃちゃのんそっくりでしょ?」


ちゃちゃのん「シュガークラフトって、あのクリスマスケーキとかに乗っとるサンタさんの砂糖菓子とかのアレじゃよね…?」


ちゃちゃのん「ほぇぇ~~ でもホンによう出来ちょるんじゃ…」スゴイ…


ちゃちゃのん(でも正直、ちゃちゃのんいっぱいでちょっとだけ気持ち悪いかのぅ…)ウーーン



京太郎(実写)「ほらほら。 このちゃちゃのんなんて、下から見るとちゃんと いちごパンツ履いてるんだぜ♪」ノソキコミ


ちゃちゃのん「ヤメて!!」





京太郎(実写)「それじゃ、ちょっと名残惜しいけど 切り分けてと―――」ズブリッ


ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、真っ二つ!?」フェッ


京太郎(実写)「ん―――?」


ちゃちゃのん「一応 これもちゃちゃのんじゃけぇ、避けてカットして欲しいかのぅ…」ブーー


京太郎(実写)「へへっ、ワリィワリィ~~」ズブズブ



京太郎(実写)「ほい、これがちゃちゃのんの分な」カチャ


ちゃちゃのん「ど、どうもありがとなんじゃ―――」






京太郎(実写)「そんじゃ、シャンパンで乾杯といこうか!!」


ちゃちゃのん「あ~~ ちゃちゃのん、お酒はダメなんじゃ…」フリフリ


京太郎(実写)「あれっ… ちゃちゃのん、アルコールとか全然ダメ?」


ちゃちゃのん「うん、ごめんのぅ…」




ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、どうも悪い酔い方しちゃうみたいでのぅ―――」


ちゃちゃのん「ヒロちゃんにも人前で飲んじゃ駄目って、キツく言われとっての~~///」ヘヘ…


京太郎(実写)「そっか、そんじゃ~ ちゃちゃのんはジュースで良いかな?」ハイ…


ちゃちゃのん「うん… これだったら平気じゃね♪」トクトクトク…




京太郎(実写)「いよっし!! それじゃぁ、改めまして~~」


京太郎(実写)「ハッピーバースデー ちゃ~ちゃの~~~ん♪」カンパーイ



ちゃちゃのん「京ちゃん、どうもありがとなんじゃ♪」カンパーイ






京太郎(実写)「それではバースデーソング代わりにぃ、ちゃちゃのん音頭のリクエスト~~♪」イエーーイ パフパフーー


ちゃちゃのん「ほぇっ、それをちゃちゃのんが歌うんか!?」ヤジャヨー


京太郎(実写)「ほらほら、つべこべ言わずに歌う歌う!!」ハヤク ハヤク


ちゃちゃのん「んもぅ、何でじゃよぉ~~」ウルウル




「いちごの~ように かわいくて~~♪」


「いちごの~ように 甘酸っぱい~~♪」


「それがいちごの~ 生きる道~~~♪」



「決して甘い~ 道じゃない~~♪」


「ベリーナイスな 人生を~~♪」


「産地直送 送りたい~~♪」


「遠い遠~い あなたにね~~~♪」



「辛いことも~ あるけれど~~♪」


「私の笑顔で 元気になって~~~♪」


「あ~~ ちゃちゃのん音頭~~♪ ちゃちゃのん音頭~~♪」


「誰かの幸せ~~♪ 私の幸せ~~~♪」



「ちゃちゃのん音頭~~♪ ちゃちゃのん音頭~~♪」


「それが私の~~~♪ 生きる道~~~~♪」







京太郎(実写)「ちゃちゃのん、サイコーー♪」ヒュー ヒューー


ちゃちゃのん「んもぅ… ホンになんなんじゃよぉ……」ブスゥ




京太郎(実写)「ま~ ま~ そうむくれずに、ケーキ食べよ」


京太郎(実写)「このシュガークラフトのいちごちゃんも、結構イケるんだぜ♪」ガブッ


ちゃちゃのん「ちゃちゃのんの頭部が―――!?」フェッ




ちゃちゃのん「あ、でもこれ… 凄っごく美味しい…♪」パクッ


京太郎(実写)「だろ。 ささ、遠慮せず、もそっと食いねぇ♪」ホレホレ


ちゃちゃのん「は~~ 美味じゃの~~ 何か、妙にクセになる味じゃ…」パクパク ウットリ


京太郎(実写)「そういや隠し味にブランデー使ってるとか何とか、言ってたような―――?」


ちゃちゃのん「ふぇぇ… これ、アルコール入っちょるんかぁ……////」


京太郎(実写)「あ~~ でもホント少量だよ。 モーマンタイ! モーマンタイ!!」ハハッ


ちゃちゃのん「そか、そか♪ じゃったら、なんも問題ないの~~///」ウェヘヘ


ちゃちゃのん「大体ちゃちゃのんな~~ ヒロちゃんゆーほど、お酒に弱くなんてないんじゃよ~~~」ブツブツ







京太郎(実写)「そんじゃ~~ ここらで一発!! 俺からちゃちゃのんへの、プレゼントタ~~イム!!」ドンドン パフパフーー


ちゃちゃのん「わふ~~♪ 京ちゃん、どうもありがとなんじゃ~~~♪」ワーーイ


京太郎(実写)「俺さまの愛がたっぷり詰まったナイスな贈り物、しっかりと受け取ってくれよな!!」キラーーン


ちゃちゃのん「えへへ~~ なんじゃろぅ~~ ワクワク♪ ワクワク♪」ルンルン


ちゃちゃのん「ほぇ―――?」ガサゴソ





ちゃちゃのん「ありゃぁ、これって~~ 制服かの~~?」


京太郎(実写)「そう!! ちゃちゃのんの高校の制服だぜ!!」グッ




ちゃちゃのん「ほんで、なんで京ちゃんからのプレゼントが制服なんじゃ~~?」ンーー?


京太郎(実写)「そんなん!! ちゃちゃのんに着て欲しかったからに決まってるでしょうが!!」グワンバッ


ちゃちゃのん「ほぇ~~ 何かよぅ分からんけぇ、とにかく凄い自信じゃの~~~///」


京太郎(実写)「屁のつっぱりはいらんですよ!!」ムンッ






ちゃちゃのん「ま、ま~~ 考えとくけぇ。 機会あったら、またそのうちにの~~///」ヘヘヘッ


京太郎(実写)「あいや、待たれい!!」クワッ


ちゃちゃのん「ん―――?」


京太郎(実写)「ちゃちゃのんは、それをすぐ着ないと駄目なんだ!!」


ちゃちゃのん「ふぇ… どうしてじゃ……?」


京太郎(実写)「俺がちゃちゃのんの制服姿を見たいからさ!!」ガカッ


ちゃちゃのん「ほぇ~~ 京ちゃんは残念なくらいの正直モンじゃね~~///」


京太郎(実写)「イヤ、今の無し。 ツイ本音が前面に―――」





ちゃちゃのん「そういやぁ、京ちゃんも何故じゃか高校の制服 着ちょるのぅ……」


京太郎(実写)「そう!! 俺だけ制服着てるなんてフェアじゃない!!」


京太郎(実写)「だから、ちゃちゃのんも制服を着なくちゃ駄目なんだよ!!」ズズィッ


ちゃちゃのん「そっ、そんなもんじゃろか……」タジッ


京太郎(実写)「そういうもんだって!! それが正しい人の道ってヤツさ。 だからちゃちゃのんも早く着替えないと!!」


京太郎(実写)「ちゃちゃのん、早くしないと仁義なきアイドルとか言われちゃうよ~~」ハヤク ハヤクーー


ちゃちゃのん「ちょ~~ そんなに急かされると 何か焦っちゃうじゃろ~~」アセアセッ



京太郎(実写)「早く着替えないと、こっちのミニスカサンタ衣装を着なくちゃいけなくなっちゃうよ~~!!」ヒラヒラッ


ちゃちゃのん「わ、分かったんじゃ。 プライベートのミニスカサンタは恥ずかしいけぇ、この制服 着るんじゃよ~~///」


京太郎(実写)「イエスッ!! 押し切った!!」グッ


ちゃちゃのん「んもぅ… 京ちゃんは強引じゃの~~~」フラフラ








ちゃちゃのん「ほんじゃ~ ちゃちゃのん、今から着替えるけぇ―――」


ちゃちゃのん「ちぃーとばっかし部屋から出ちょって貰えんじゃろかぁ~~~///」


京太郎(実写)「あ、大丈夫 大丈夫。 俺、目ぇ閉じてるし、ずっと後ろ向いてるから~~♪」ギュッ


ちゃちゃのん「ほうか、ほうかぁ~~ ほんじゃ~ 絶対こっち向いちゃダメじゃよ~~~」フラフラ


京太郎(実写)「オッケー!! 京ちゃん、嘘つかな~~い♪」チラッ






ちゃちゃのん「うんしょ、うんしょ…」ヌギヌギ


ちゃちゃのん「なんでじゃろ、さっきから妙に足元がフラつくのぅ…////」フラフラ



ちゃちゃのん「ありゃぁ~~ 頭が抜けないんじゃ……」モゴモゴ


京太郎(実写)「ちゃちゃのん、ボタン外してないからだよ~」


京太郎(実写)「ちょっと待ってて、俺が外してやっからさ―――」ヨイショ


ちゃちゃのん「あ~~ どうもありがとなんじゃ―――」







洋榎「アホか~~~~ッ!!」

スパコーーンッ!!

ちゃちゃのん「ぶぎゃっ!?」ドッテーーン


洋榎「自分、流されすぎ~~ッ!! スキあり過ぎ~~~ッ!! ホンマ、どこまでアホやねん!!」


ちゃちゃのん「あ~~ ヒロちゃんじゃ~~♪」ワッホーーイ


ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、ヒロちゃん来るん待っちょったんじゃよぉ~~♪」ダキツキィーー


洋榎「だぁ~~ 暑苦しいわぃ!! 離れんか、こんボケ~~///」グリグリ


ちゃちゃのん「えへへぇ♪ ヒロちゃんは照れ屋さんじゃの~~///」





京太郎(実写)「洋榎さん、お久しぶりです♪」


洋榎「超神作画ぁ!? てか、誰じゃ~~!!」キモッ

ドバキィッ

京太郎(実写)「げぶら~~ッ!?」ドッゴーーッ


洋榎「てっめぇウチのいちごに、何しくさっとんじゃ~~~!!」ドコドコドコッ


京太郎(実写)「ご、誤解だぁ!! 俺はただ、ちゃちゃのんの誕生日をお祝いしようと―――」ウゲェーー


洋榎「問答無用や、死にさらせ~~~!!」


ちゃちゃのん「ヒロちゃん、誤解じゃよ~~ 京ちゃん キモいけぇ、ええ人じゃよ~~」


洋榎「やっかまし!! 自分アルコール飲んだやろぉ~~ 何やちょっと酒臭いで~~」


ちゃちゃのん「ほぇ…? ちゃちゃのん、お酒なんて飲んどらんよ~~///」


洋榎「ちゅーか 自分、ちゃんと服装 整えんかい!! て、制服の方は着なくてええねん!!」ズビシッ


ちゃちゃのん「んもぅ、ヒロちゃんは注文が多いの~~」フラフラ





セーラ「何や~~ 俺らがケーキ取りに行っとる間に、メッチャ修羅場っとんで~~」オモシレー


塞「あはは… ホント、これどういう状況よ…」


胡桃「気持ち悪い……///」


哩「痴情のもつれいうヤツか―――?」







【数分後―――】



京太郎(実写)「超すんませ~~ん!! 自分、実写のクセに調子んのりました~~~」ドゲザーー


洋榎「んで、自分 ホンマなんなん…? 実写てなんやねん……」




京太郎(実写)「何か、俺ぇ… 実写ドラマの方で最初からいなかったみたいに扱われてぇ~~」


京太郎(実写)「俺の存在そのものが否定されたようで 辛かったんだよ~~ 悲しかったんだよぉ~~~」ダァァァ


京太郎(実写)「そんで俺だってちょっとくらい、良い目が見たかったんや~~ 美少女とキャッキャ、ウフフしたかったんや~~~!!」


洋榎「―――じゃかぁ~~しいわぃ!!」

ドゲシッ

京太郎(実写)「アインッ!?」



ちゃちゃのん「うぅ… 何て可哀想な話なんじゃ……」ホロホロ


塞「そ、そうかしら……?」




ちゃちゃのん「ちゃちゃのんも、よぅモブ扱いされちょるけぇ―――」


ちゃちゃのん「京ちゃんの気持ち、ホンに自分のことみたいに よぅ分かるんじゃ…」ポロポロ


洋榎「ん… ま~~ 確かに、ウチも存在の全否定は流石に哀れ思うんやが…」


胡桃「後の一文なければね……」


ちゃちゃのん「この京ちゃんは、残念なくらいの正直モンなんじゃよぉ~~」





洋榎「おぅ 自分!! いちごにちょっかい出したこと、しっかり反省したんやろなぁ?」


京太郎(実写)「ずびばぜ~~~ん!! これからはもっど、自分のキャラ大事にしていきま~~~す!!」ヒラアヤマリーー


ちゃちゃのん「よしよし、もうええんじゃよぉ。 辛いこといっぱいあったんじゃろ? 涙と鼻水もちゃんと拭かんとのぉ」ヨシヨシ


京太郎(実写)「うぅぅ~~ いちごちゃん、ありがどぅ~~~」ズズッ ブピピーー








ちゃちゃのん「よっし。 ホンじゃ~~ 改めて、今からみんなでパーティーじゃね♪」


洋榎「それって―――?」



ちゃちゃのん「京ちゃんも一緒に、みんなでパーーっと楽しんだらええと思うんじゃ!!」エヘヘッ


京太郎(実写)「い、いちごちゃん~~」ウルウル


洋榎「ま、まじか―――?」




セーラ「ええやん、ええやん!! お祭りは数が多い方が楽しいってな~~」カッカッカ


哩「ま~~ 確かに… このまま叩き出すって言うのも、後味悪いかもしれんばい…」


塞「うん。 ま~ ちょっと気の毒な感じだし、良いんじゃない―――ね、胡桃?」


胡桃「わ、私は別にどっちだって良いけどさ…///」





ちゃちゃのん「ヒロちゃんもええじゃろ―――」ニコッ


洋榎「あ~~ もう… いちごがそない言うんやったら、ウチかて賛成するしかないやん!!」


ちゃちゃのん「ヒロちゃん、ありがとなんじゃ~~~」ダキツキーー


洋榎「だ~~ もぅ!! だから暑苦しい言うとるやろ~~~////」








ワイワイ ガヤガヤ


塞「それじゃ~ ちゃちゃのん。 改めてケーキに挿した蝋燭の火を吹き消して…」


ちゃちゃのん「う、うん……」ドキドキ


ちゃちゃのん「ふ~~ ふ~~~」プルプル


洋榎「何やねん。 火ぃ、全然 消えとらんで~~~」カカッ


胡桃「ぷっ… ちゃちゃちゃん、超下手っぴ…」


京太郎(実写)「ちゃちゃのん、頑張~~!!」



ちゃちゃのん「うぅ~~ 思っちょったよりも、難しいのぅ~~///」フヒー フヒーー


哩「ぷっ、過呼吸で顔 真っ赤になっとる!!」ゲラゲラ


セーラ「ええかぁ… こうゆーんは、こ~~やって 一息で消すんやで~~~」ズモモモ…


ぶっほ~~~~~!!



京太郎(実写)「おぉっ!? もの凄い風圧で、蝋燭の火を一発で吹き消した!?」


ちゃちゃのん「ほぇ~~ せーちゃん、凄っごい肺活量じゃのぅ~~」


セーラ「カカッ、西の『め組』 火消しのキャンドルセーちゃんとはウチのことやで~~!!」ドヤッ







洋榎「そんじゃま… 今日はいちごのために集まってくれて、みんなサンキューやで~~」


洋榎「いちごの誕生日を祝してぇ――――かんぱ~~い!!」


一同「「ちゃちゃのん、誕生日おめでと~~~♪」」カンパーーイ


ちゃちゃのん「みんな、どうもありがとう♪」





京太郎(実写)「いちごちゃん―――改めて、今日は誕生日おめでとう////」


ちゃちゃのん「うん。 京ちゃんも、今日はどうもありがとなんじゃ~~♪」


ちゃちゃのん「たとえ出番なくとも、おらんかった事にされても―――これからもモブとして、強く生きていくんじゃよ~~」エヘヘッ


京太郎(実写)「ぐっほっ……」グッサァ


洋榎「ひでぇ…」


胡桃「鬼ね…」


哩「コイツは天使の皮ば被ったアクマばい…」


ちゃちゃのん「えぇ~~ 何でそうなるんじゃよぉ~~!?」



カッカッカ…♪ アハハハハ…♪






大好きな人たちと過ごす誕生日。



それは何ものにも代え難い、とっても素敵なみんなからの贈り物。



大切な人たちに支えられ、ちゃちゃのんは今日も元気いっぱいじゃ♪



そしてみんなにとっての次の一年が、今よりホンのちょっぴり素敵なものでありますように――――





ちゃちゃのん誕生日SS


カンッ!!









~ きよしこの夜 ~



メリークリスマーース!! カンパーーイ!!


ちゃちゃのん「ほうじゃ、ほうじゃ… この前 テレビで見たんじゃが―――」


ちゃちゃのん「ずっと昔のクリスマスにゃぁ、サンタさんじゃのーて 鞭打ちじーさんゆー人が来たんじゃって…」


洋榎「はぁ~ 何でクリスマスにむち打ちじーさんやねん!? トナカイ乗っとって、首でも痛めたんかぁ?」


セーラ「カカッ 何でそのむち打ちやねん!! スパーキングのことやろ!!」ズビシッ


漫「それドラゴンボールやないですかぁ。 スパンキングでしょ~~!!」


塞「それってお尻叩きのことだから、ちょっと違う気が―――」



ちゃちゃのん「う~~ん… 何かよー知らんけぇ、悪い子をムチで叩いたりして懲らしめるお爺ちゃんみたいじゃよ~~」


哩「鞭打ち……」


胡桃「して欲しいの…?」


哩「別に……///」ゴホンッ




胡桃「でもそれって『泣ぐ子はいねがぁ~~ッ!!』のナマハゲみたいなもんかしら?」


絹恵「ナマハゲ言えば東北ですし、胡桃さんちの方はエンカウント率高いんやろか~~?」


胡桃「ん、ま~ ナマハゲは秋田の男鹿が有名なんで、宮守の方にはたまに遠征してくる程度だよ…」


ちゃちゃのん「ほぇっ!? ナマハゲさんって遠征してくるん―――!?」


胡桃「うん。 ナマハゲが遠野に来るぞーーって触れ込みで、時々 なまはげ郷神楽がみやもりホールで公演したりする」


塞「あ~~ 何かそんなのあったね♪ 岩手と秋田の和太鼓コラボ企画みたいなヤツ」


ちゃちゃのん「ん… 何かちゃちゃのんが思っとったナマハゲさんとは、趣が異なるようじゃが…」コラボ…?


胡桃「このご時勢だもん。 ナマハゲだって手広くやらなきゃ、やってけないのよ…」


塞「あはは、そうかも。 あと岩手だったら吉浜のスネカが、ナマハゲに近いモノとして知られてるかしら」


ちゃちゃのん「スネカ…?」


塞「岩手の三陸町あたりに伝わる、来訪神の伝統行事でね―――」


塞「小正月の夜に奇怪な面を被ったスネカが、近隣の家々の怠け者や泣く子を戒めてまわるのよ」






セーラ「そういや、いちごはまだサンタとか信じとるクチか~~?」カカカッ


ちゃちゃのん「ほぇ!? そんなん当然じゃろう―――?」


一同「「―――――!?」」


セーラ「マジか……?」



ちゃちゃのん「へへっ… 冗談じゃよ、冗談~~♪」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのんじゃって、流石にサンタさんがお母さんってことくらい知っちょるよ~~」エヘヘッ


セーラ「せ、せやな。 自分の場合 そのへん分かりづらいんで、俺もリアクションに困ってもうたで」ヘヘッ


ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、信用ないんじゃの~~」ムーー


洋榎「自分 アホなんやし、しゃーないやん!!」


ちゃちゃのん「んもぅ… ヒロちゃんはホンに失礼じゃの~~」


ちゃちゃのん「サンタさんは多忙じゃけぇ、世界中の子どもみんなにプレゼントなんて出来るわけないけぇのぅ―――」


ちゃちゃのん「じゃけぇ、家の人がサンタさんの代わりにプレゼントを配っちょるんじゃろ。 ちゃちゃのん、ちゃんと知っちょるよ~~♪」ヘヘン


洋榎「あ~~ せやな。 もうそれでええわ―――」





胡桃「今ある赤い服に白いあごヒゲのサンタクロースのイメージって、コカ・コーラの広告が作ったキャラなんだっけ?」


漫「えっ、そうなんですか?」


哩「それって確かコークロア言う、都市伝説か何かの類やなかったか?」


塞「うん。 今あるサンタのイメージ自体はそれ以前からあったと思うんで、正確には違うと思うよ」


塞「ただその赤服サンタのイメージを世界の共通認識として定着させたのは、コカ・コーラの功績かもしれないわね」


ちゃちゃのん「コーラって、飲むと骨が溶けちゃうんじゃろ~~」


漫「それこそ子どもの頃よく聞いた都市伝説やないですか~~」イヤヤー


セーラ「コーラ飲むと必ずゲップ 出るんやで~~」ゲプッ


漫「それは、ま~~ 確実やろな~~~」






塞「クリスマスの話だけど、元々は一年で一番 太陽が出てる時間の短い『冬至のお祭り』だったらしいんだけど―――」


塞「闇の力が強まる冬至には死者や精霊たちが蘇るってことで、彼らに贈り物をして何とか死者の国に帰って貰おうっていう意味合いがあったみたい」


ちゃちゃのん「そん時に鞭打ちじーさんやって来て、悪い子たちを懲らしめてまわったんじゃね♪」


洋榎「そこで、何で鞭打ちじーさんの出番やねん!! やっぱそのセンスがよぅ分からんで!!」


塞「センス云々はちょっと分かんないけど、悪い子を叱ってくれるトコなんかはナマハゲと少し似てるかもね…」


ちゃちゃのん「きっとヒロちゃんはいっぱい鞭で叩かれてしまうのぅ~~」カワイソウ…


胡桃「アンタ、マナー悪いもんね…」


洋榎「うっさいわ、ボケ~~!!」




塞「ま~ それが後にキリスト教の聖ニコラウスと結びついて、オランダ語のシンテル・クラースがアメリカでサンタクロースになったんじゃなかったかな」


塞「そうやってアメリカ化したサンタクロースは本来の生者から死者への贈り物ってカタチから―――」


塞「生きてる人間同士の資本主義的な大量消費のプレゼント交換会に姿を変えていったってわけね」



セーラ「ま~~ そんな話はええやん。 そろそろ恒例のクリスマスプレゼント争奪 麻雀大会始めんで~~!!」ジャラジャラ


漫「ええですね~~♪ どうせ私ら『ギブミー チョコレート』にアメリカナイズされきった 現代っ子ですもんね~~」


絹恵「ま~~た、漫ちゃんは身も蓋もないことを―――」


塞「あはは… ま~ その通りなんだけどねぇ~」






セーラ「いちご~~ 自分、しっかり高いモン買うて来たんやろな~~?」


ちゃちゃのん「ふぇっ、そこでなんでちゃちゃのん―――!?」


哩「私らん中では、現役アイドルの佐々野が一番 金持ってそうばい…」


洋榎「麻雀の方は、相変わらずド下手やけどな~~」カッカッカ


胡桃「かもねぎ音頭でガバチョノバ♪」


ちゃちゃのん「んもぅ… うっさいんじゃよぉ~~」



ちゃちゃのん「それとちゃちゃのんのプレゼントは、等身大サイズのクマさんのぬいぐるみじゃよ~~♪」ホシイジャロ?


セーラ「めっちゃハズレやないかい!!」


塞「あ~~ あの部屋の端っこにある2m超えのバカでかい箱そうだったんだ…」


漫「ぬいぐるみの中から姉帯さんとか出てこんでしょ~~ね…」




ピンポーーン


胡桃「ん、誰かしら―――?」ヨット…


姫子「おすかなりました~~ 部長さんおんさんね~~?」


洋榎「鞭打ち爺さん、来たで来たで~~!!」パンパーーン


哩「ぶっ殺しちゃる!!」ガタッ


洋榎「はい、すんませ~~ん…」


姫子「――――?」




ちゃちゃのん「姫子ちゃん、メリークリスマ~~ス!! きよしこの夜じゃの♪」


きよしこ「きよしこと一緒にメリークリスマ~~ス!!」イヤッホーーイ!!


ちゃちゃのん「きよしこって誰じゃ!?」




もいっこカンッ!!






番外「鹿老渡・小学生編」 ** ねこの島 **




ザザザザーーン ミャー ミャー ミャーー


快活な長女さん「それんしてもここん海は、びっくりすっくらい綺麗で透き通っちょるのぅ」


ちゃちゃのん「うん。 ここは内海じゃけぇ、とっても穏やかでゆったりしちょるじゃろ」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、この綺麗で優しい鹿老渡の海が大好きじゃ♪」




儚げな少女「広島、倉橋の最南端にあたる 鹿老渡島―――」


儚げな少女「確かこの島全域が、瀬戸内海 国立公園に指定されてるんですよね?」


ちゃちゃのん「ほぇ… えっと…」キョトン


陽気な妹ちゃん「国立公園…?」




儚げな少女「瀬戸内海の真ん中に浮かぶ倉橋群島は―――」


儚げな少女「白い砂浜と透き通った海、手つかずの自然がそのまま残る奇跡の島―――」


儚げな少女「そんな瀬戸内海の奇跡とも呼ばれる倉橋の中でも、とりわけ安らげる場所がこの鹿老渡だとお聞きしましたわ♪」


ちゃちゃのん「そ、そうなんじゃ……」




ちゃちゃのん「なっ、何かそんなじゃったかもしれんの~~///」アセ アセッ


快活な長女さん「ちゃちゃのん、今のは絶対 知らんかったじゃろ~~」カカッ


しっかりものの妹ちゃん「ププッ、ちゃちゃのんってば 顔に出過ぎ~~♪」


ちゃちゃのん「ううう、うるさいんじゃよぉ!!」


ちゃちゃのん「そない難しいこと、ちゃちゃのん よぅ分からんよぉ……///」






陽気な妹ちゃん「の~ の~~ 国立公園ってなんじゃ~~?」


しっかりものの妹ちゃん「何か自然とかがいっぱいの、すっごいトコじゃろ?」


快活な長女さん「国が保護とか管理ばしちょる、自然公園のコトじゃなかったかの…?」


しっかりものの妹ちゃん「ヌーの群れいっぱいのサバンナとか、スーパーマンが子ども助けたデッカイ滝とか…?」


ちゃちゃのん「ヌーの群れとスーパーマン…?」




快活な長女さん「スーパーマンに出とったあの滝、何てゆーたかのぅ。 な、ナイジェリアの滝 じゃの~~て…」


儚げな少女「それはきっとアメリカ・カナダ国境のナイアガラの滝、ですわね」


快活な長女さん「お~~ そうじゃ、そうじゃ♪ それって確か、世界三大瀑布の一つなんじゃろ?」


陽気な妹ちゃん「世界、三大幕府じゃと―――!?」




儚げな少女「さて、それではここで問題ですわ―――世界三大瀑布、いちごさんは全部 言えますか?」ウフフッ


ちゃちゃのん「はわわっ、なんじゃろ~~ 鎌倉幕府じゃろ。 あと、江戸幕府に…」アワワッ


ちゃちゃのん「ありゃ… じゃけぇ世界の幕府ゆーことは、よその国にも幕府ってあったんじゃろか…?」


快活な長女さん「ちゃちゃのん、瀑布っておっきな滝のことじゃよ…」チョイチョイ


ちゃちゃのん「はぅっ!?」ガーーン


しっかりものの妹ちゃん「ちゃちゃのん、まさかのコイツと同レベル……」プププッ


陽気な妹ちゃん「コイツゆーなし!!」フンヌッ




儚げな少女「因みに主に日本で言われる世界三大瀑布は、イグアスの滝、ヴィクトリアの滝、ナイアガラの滝ですわね」


儚げな少女「いずれの滝も2国間にまたがっていて、国境の役割を果たしていることが特徴でしょうか」


ちゃちゃのん「ほぇ~~ ゆーちゃんは、ホンに物知りさんじゃのぅ…」


儚げな少女「うふふ… 病院では読書をしたり、映画を見るくらいしか 楽しみありませんでしたから…」






快活な長女さん「それんしても、しーの中では ナイアガラの滝=スーパーマンなんじゃな…」


しっかりものの妹ちゃん「へへっ… 随分 前に見た映画じゃが、妙にそのシーンが印象に残っとっての~~」


陽気な妹ちゃん「ボク、全然 見た覚えないんじゃよ~~?」ナンデジャーー?


しっかりものの妹ちゃん「よーはいついき映画始まっと、速攻 爆睡キメちょろ~~が!!」


陽気な妹ちゃん「へへへ~~ そ~じゃったかもしれんの~~~」



快活な長女さん「アタシはスーパーマンゆーと、地球を反対周りして時間を巻き戻したシーンが印象深いかの~~」


しっかりものの妹ちゃん「あ~~ アレは確かに印象的じゃのぅ…」


しっかりものの妹ちゃん「ほじゃけど、アレって いったいどーゆー原理なんじゃろうね…?」


ちゃちゃのん「な… 何かその… セガールと、アインシュタイン… 的な…?」


快活な長女さん「ちゃちゃのん、それ絶対 テキトーゆーちょるじゃろ…?」


ちゃちゃのん「はぅぅっ……///」


しっかりものの妹ちゃん「アンソニー、図星じゃった…」


儚げな少女「グレートですわ…」ボタボタ



ちゃちゃのん「ちょっ… ゆーちゃん、鼻血出ちょるよ~~~」ティッシュ、ティッシュ…


儚げな少女「これはこれは、どうもご親切に…」ウフフ…






ちゃちゃのん「ほ、ほんで… ヌーの群れゆーんは…?」


儚げな少女「タンザニア・セレンゲティ国立公園のグレイト・ミグレーションのことかしら―――?」


ちゃちゃのん「ぐれーと・みぐれいしょん…?」


陽気な妹ちゃん「きゃとる・みゅーてぃれーしょん…?」


しっかりものの妹ちゃん「アブダクション!?」


快活な長女さん「イヤ、それ何か別のアレじゃ!? ヌー、別にキャトミュられとらんじゃろ!!」


ちゃちゃのん「そりゃ ヌーじゃのぅて、ムー(MU)じゃのぅ…」


快活な長女さん「コイツら、ムー民じゃけぇ…」


陽気な妹ちゃん「ムーをバカにする、許さないんじゃ…」ガルル…


しっかりものの妹ちゃん「ムーはスーパーサイエンシーな、超科学書じゃ!!」


ちゃちゃのん「ぐれーと・みぐれいしょんは、ど~なったんじゃ…」




儚げな少女「グレイト・ミグレーションは、年に2回の自然界最大のビッグイベント」


儚げな少女「マラ川の合戦とも呼ばれる、ヌーの大群による大移動のことですわ―――」


快活な長女さん「ヌーの大移動!! こないだのわくわく動物ランドで見たんじゃが、ありゃ~ ぶち鳥肌もんじゃったのぅ!!」


陽気な妹ちゃん「おぉ~~ ありゃぁホンに テンション最初からクライマックス!! 動物たちの厳島合戦ゆー感じじゃったのぉ!!」フンスッ


ちゃちゃのん「ほぇ~~ そんなに凄かったんか…?」


快活な長女さん「そりゃぁもぅ… パッとさいでりあな、亜星さんもビックリじゃ!!」


ちゃちゃのん「なんでさっきから、妙に例えが古いんじゃろうね…」


儚げな少女「いちごさん、『 シー!!』 ですわ…」シーー


ちゃちゃのん「う、うん… 何かゴメンのぅ…」







儚げな少女「もう少し付け加えますと、ヌーを中心とする草食動物たちが、1000キロにも及ぶミグレーション(移動)の末―――」


儚げな少女「川幅約百メートルのマラ川へと一斉に飛び込み、雨季のセレンゲティを目指す 草食動物たちの大移動のことですわね」


ちゃちゃのん「動物たちのスッゴイ大移動じゃけぇ、ぐれーと・みぐれいしょんゆーわけじゃの…」



儚げな少女「その大地を埋め尽くすヌーの群れの数は、なんと数百万頭とも言われておりますのよ―――」


ちゃちゃのん「ふぇぇ… 数百万頭!?」


陽気な妹ちゃん「おぉ… それって、どんだけじゃ…?」


しっかりものの妹ちゃん「むむ… 数が多すぎてよー分からん……」


ちゃちゃのん「と… とにかくスッゴイ、いっぱいっちゅーことじゃな…」フンフム




儚げな少女「そしてそこには草食動物たちを狙う捕食者、プレデターである肉食動物たちも集まりますの」


陽気な妹ちゃん「まさに血湧き肉躍る、草食系 Vs 肉食系の大合戦っちゅーわけじゃな!!」



儚げな少女「川の中には世界最強の爬虫類ナイルワニ、対岸には百獣の王ライオンに、狩りの名手ハイエナ、世界最速の陸上動物チーター」


儚げな少女「そして上空からはハゲワシやハゲコウが包囲網を敷いて、草食動物たちが川へ飛び込む その時を今か今かと待ち受けているのですわ―――」


陽気な妹ちゃん「ぶち緊張感のある光景じゃ…」ワクワク



ちゃちゃのん「えっと… なんで、川に飛び込むのを待っとるんじゃ―――?」


快活な長女さん「ヌーは泳げんけぇの、溺れて弱ったトコなんかを狙っとるんじゃろ…」


儚げな少女「草食動物とはいえヌーの体重は300キロ前後とライオン以上ですからね。 正面からまともに戦ってはさすがのライオンも分が悪いのでしょうね」


儚げな少女「だから彼らプレデターたちは、身体の小さい子どもや川で溺れて弱っているトコロを狙うために集まって来るのですわ」






ちゃちゃのん「む~~ 何かそれって、ズルっこいんじゃ…」


ちゃちゃのん「そんなんヌーたちが、かわいそうじゃよ~~」


快活な長女さん「ま~~ 確かに一方的なデストロイじゃが、弱肉強食が自然界の掟じゃけぇ…」


陽気な妹ちゃん「志々雄さんも、言うとったけぇのぅ」


ちゃちゃのん「悪・即・斬……?」


しっかりものの妹ちゃん「いや、そりゃ違うじゃろ……」ベシッ




儚げな少女「う~~ん… 確かに可哀想ですが、やらないと自分や餌を待つ家族が飢え死にするわけで―――」


儚げな少女「百獣の王ライオンにしても、狩りは命懸けですから。 それぞれが今を生き抜くために必死なんですわ」


しっかりものの妹ちゃん「う~~ん… 大自然ゆーんは、げに厳しき世界じゃのぅ…」



儚げな少女「ま~~ そんな緊張感あるマラ川のほとりでのにらみ合いがありつつ、一頭のヌーの行動によって展開は大きく動きますの」


ちゃちゃのん「それって―――」



儚げな少女「ワニがいるかもしれない。深さも分からない。そんなマラ川に一頭の勇気あるヌーが決死のダイブをすることで―――」


儚げな少女「堰を切ったように他のヌーたちもダイブを始め、前を行くヌーが通ったルートをたどりながら、彼らは一列に川を渡り出すんです」


陽気な妹ちゃん「お~ それボクもテレビで見たんじゃが、その川渡りがまた凄いんじゃよ~~!!」


快活な長女さん「渡っとる途中で溺れるモンおったり、ワニに襲われるモンがおったりと、なかなかにエグいんじゃがのぅ」


ちゃちゃのん「うひぃっっ!!」フルル







儚げな少女「そうやって命からがら川を渡りきっても、今度は対岸のライオンやハイエナ、チーターたちが疲れたトコロを狙ってきますからね」


儚げな少女「身体の大きいヌーたちは集団で壁を作ってプレデターたちの攻撃をかわし、雨季のセレンゲティを目指しますの」


ちゃちゃのん「―――なんで、そんなん出来るんじゃろぅね…」


快活な長女さん「ちゃちゃのん―――?」




ちゃちゃのん「死んじゃうかもしれんゆーのに、自分から真っ先に川へ飛び込むなんて―――」


ちゃちゃのん「――――ちゃちゃのん、おっかのぅて… 怖くって… きっと動けなくなっちゃう思うんじゃ…」フルフル


快活な長女さん「あぁ… 最初に川に飛び込んだ、勇気ある一頭のヌー?」




快活な長女さん「ん~~ ま~~ アタシもそれが出来るかって言われりゃ、ちぃーと自信ないかのぅ…」


陽気な妹ちゃん「そうじゃのぅ、ヌーはぶち偉いヤツなんじゃ!!」


しっかりものの妹ちゃん「そういう話なんじゃろか…?」




儚げな少女「皆がただ震えてそこで立ち尽くしていては、乾きによる確実な飢えが待っていますからね」


儚げな少女「どんなに危険だと分かっていても、例えそこが死地だとしても、ヌーたちは川へ飛び込み 前へ進むしかないのかもしれませんわね」


儚げな少女「そうすることで一頭でも多くの仲間や家族を守り、自分たちの種を後の世まで繋いでいく―――」




儚げな少女「命を繋ぐために命を懸ける、それが自然界に於ける大いなる生命の繋がり『愛』というものではないかしら―――?」







陽気な妹ちゃん「あ、愛…? ゆーちゃんの話は、何じゃか壮大で難しいのぅ…」


しっかりものの妹ちゃん「ま~~ 何かええ話っぽいのだけは、何となく伝わってきたかの~」


快活な長女さん「ちゃちゃのん、分かった―――?」


ちゃちゃのん「え… あ~ うん… 愛って尊いんじゃの~~」ヘヘヘッ


儚げな少女「そう!! 愛とは、とても尊いものなのです!!」グッ


陽気な妹ちゃん「お~~ 愛かっけ~~!!」グッ




儚げな少女「愛は偉大! 愛とは正義! そして愛とは勝つものなのですわ!!」ググッ


儚げな少女「アイ!カツ! アイ!カツ!」


陽気な妹ちゃん「アイ!カツ! アイ!カツ!」ワッホーーイ!!


儚げな少女「皆さんもご一緒に~~!!」アイ!カツ! アイ!カツ!


しっかりものの妹ちゃん「アイ!カツ! アイ!カツ!(て、何で私まで…)」



儚げな少女「さぁ、いちごさんたちもご一緒にどうぞ!!」アイ!カツ! アイ!カツ!


ちゃちゃのん「ほぇっ!? えと……」


陽気な妹ちゃん「アイ!カツ! アイ!カツ!」タノシインジャヨーー


しっかりものの妹ちゃん「アイ!カツ! アイ!カツ!(意外と楽しい…)」


ちゃちゃのん「あ、アイ… カツ… アイ… カツ……///」テレッ


儚げな少女「もっと胸を張って、アイドルスマイルで楽しそうに~~!!」アイ!カツ! アイ!カツ!


ちゃちゃのん「アイ!カツ!! アイ!カツぅ~~~!!」


快活な長女さん「ゲシュタルト崩壊しそうじゃ…」



儚げな少女「いちごさん、今のはとってもグレートでしたわぁ♪」


ちゃちゃのん「えへへ~~♪」


快活な長女さん「何やっとんじゃ、コイツらは…」アイ!カツ! アイ!カツ!




病気療養のため鹿老渡まで来た、少し儚げな印象のあった、幽霊少女こと ゆーちゃん―――


彼女は凄いお嬢様で、博識で、アタシらの知らんようなこと 色々と知っとった―――


ほんでもって、最近 結構変なヤツじゃゆーことが分かってきた―――






快活な長女さん「一頭のヌーの話で思い出したんじゃが―――」


快活な長女さん「南極の皇帝ペンギンにも、何かそんなような話なかったかのぅ?」


儚げな少女「南極の、皇帝ペンギンですか―――?」


ちゃちゃのん「あ~~ ペンギンさん!! とっても可愛ええよね~~♪」パァァッ


快活な長女さん「お… 何かちゃちゃのんが食いついてきた!?」



ちゃちゃのん「ぺたぺた、よちよち歩く姿も可愛ええ思うし、ふかふかのもふもふじゃ~~♪」ペタペタ ヨチヨチ


ちゃちゃのん「あのキュートな姿 見ちょると、抱きまくらみたいにむぎゅ~~ってしたくなるんじゃ!! むぎゅ~~ってぇ♪」ムギューーー


儚げな少女「バカみたいにむぎゅ~~するいちごさん、これまたグレートですわぁ~~♪」


儚げな少女「あぁ… 私もむぎゅ~~されたい……」ハァハァ


しっかりものの妹ちゃん「おい……」ビシッ





しっかりものの妹ちゃん「ほいじゃが 野生のペンギンって、ちぃーと ヌメヌメ、ヌチョヌチョしちょって 生臭そうじゃの~~」


ちゃちゃのん「え"~~ ペンギンさんはそんなヌメヌメとか、ヌチョヌチョなんてしちょらんよ~~~」


しっかりものの妹ちゃん「え~~ そ~~じゃろか~~?」


ちゃちゃのん「そうじゃよ~~~!!」ンモーー




快活な長女さん「ちゃちゃのん、今度 可愛ええペンギンさんの抱き枕でも買ったらどうじゃ…?」


ちゃちゃのん「お~~ そりゃぁ とってもええ考えじゃのぅ♪」ポンッ


ちゃちゃのん「ペンギンさん抱きながらじゃったら、とってもリラックス出来て、上手に麻雀も打てるかもしれんしの~~」ヘヘヘッ


儚げな少女「え~~と… それはキャラ被り的にも、やめておいた方が良いかもしれませんわね―――」


儚げな少女「いちごさんの場合、ただでさえ広島弁にアイドル設定と被っちゃってるわけですし…」


ちゃちゃのん「ほぇ… キャラ被り―――?」


儚げな少女「あ~~ いえ… こちらのお話ですので、あまりお気になさらず…」ホホホ…


ちゃちゃのん「………? 妙なゆーちゃんじゃのぅ…」






儚げな少女「氷壁の水際で飛び込むのを躊躇っている、南極の皇帝ペンギンたち―――」


儚げな少女「一羽が飛び込めば海中に獰猛なアザラシがいるかどうか分かるのですが、誰だってその一羽にはなりたくありませんもの」


儚げな少女「ですから、ペンギンたちは氷の上で押し合い、へし合い―――」


儚げな少女「あ… へし合うというのは、HBの鉛筆をベキっとへし折るの『へし(圧し)』のことでして、つまりは圧力を加えて押すという―――」ペラペラ


儚げな少女「因みに根掘り葉掘り聞くの『葉掘り』とは、根を掘るの『根掘り』の部分に引っ掛けた語呂合わせから生まれた言葉だそうでして―――」ベラベラ


儚げな少女「しつこく、徹底的に、葉っぱの1枚1枚まで掘り返すかの如く、その詳細を細心に聞き回るという意味合いが―――」ベラベラ


陽気な妹ちゃん「う"るせぇ~~~!!」ズビシィッ


儚げな少女「はうぁっ!?」


ちゃちゃのん「ふぇぇっ!?」ビクゥッ


快活な長女さん「ちょっ!? おまっ!!」エエッ!!


しっかりものの妹ちゃん「アホッ!! ゆーちゃん、虚弱なんじゃぞ!!」ベシッ


儚げな少女「あ… どうか、お気になさらず♪ それにしても、今のはなかなかに お見事なツッコミでしたわね―――」ゲッフ ゲッフッ


陽気な妹ちゃん「ゆーちゃん、さっきから説明 長いけぇ!!」ブーー


快活な長女さん「じゃかぁしゃッ!!」ゴンッ


陽気な妹ちゃん「ギャンッ!?」




陽気な妹ちゃん「う~~ ゆーちゃん、ゴメンの~~~」イテテ…


儚げな少女「いえいえ、私 本当に全然平気ですから♪ ていうか、むしろご褒美ありがとうでございますわ―――///」


しっかりものの妹ちゃん「今、何かゆーたかの……?」


儚げな少女「いいえ、何も―――」ウフフッ







儚げな少女「ともかく氷壁のペンギンたちは、ツイてない最初の誰かが海へ落ちるのを待ち続ける―――確か、そんなお話でしたわね」


快活な長女さん「そうじゃ、そうじゃ。 確か そんな感じの話じゃったわ」


しっかりものの妹ちゃん「南極の皇帝ペンギン、なかなかに鬼畜じゃ。 伊達にエンペラー 名乗っちょらんのぅ…」


ちゃちゃのん「あぅあ~~ ペンギンさん、酷いんじゃ……」ウルウル


快活な長女さん「さっきの勇気ある一頭のヌーとは、エラい違いじゃの…」


陽気な妹ちゃん「じゃけぇ、それってまさに命懸けの おしくらまんじゅうじゃのぅ」


儚げな少女「ふふ、確かにその通りですわね」




快活な長女さん「おしくらまんじゅう、押されて泣くな~~♪」


陽気な妹ちゃん「あんまり押すとあんこが出るぞ~~♪」


しっかりものの妹ちゃん「あんこが出たら、つまんでなめろ~~♪」


ちゃちゃのん「あ… あんこ……?」




快活な長女さん「おしくらまんじゅうの歌じゃよ、ちゃちゃのん知らん―――?」


ちゃちゃのん「う、うん……」コクリッ


しっかりものの妹ちゃん「鹿老渡の方じゃ、友達としたりせ~~へんかった…?」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、友達おらんけぇ……」グスン


快活な長女さん(あ… これ地雷じゃ……)


陽気な妹ちゃん「あはは♪ ちゃちゃのん、どんま~~い!!」バシバシ


ちゃちゃのん「いたっ… よーちゃん、それ痛ぃけぇ……」




儚げな少女「いちごさん♪ のちほど私と二人で、親愛のおしくらまんじゅうしましょうね♪」ウフフッ


ちゃちゃのん「えぇ!? ホンにええんかぁ~♪」ウレシーー


儚げな少女「ももも… モチのロンですわ~~!!」ジュルリ


快活な長女さん「モチロン、そん時ゃ アタシらも一緒にのぅ!!」ズイッ


儚げな少女「ちぃっ… ですわ―――」ガッデム!!







ザザザザーーン ミャー ミャー ミャーー


ちゃちゃのん「それんしても、さっきのペンギンさんの話―――」トコトコ


ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、なんか地味にショックじゃったわ…」ムーー


快活な長女さん「何じゃ… それ、まだ気にしとったん―――?」スタスタ


陽気な妹ちゃん「あはは♪ ちゃちゃのん、ドンマイ!!」バンバン


ちゃちゃのん「あたた… じゃけぇ、よーちゃん それ痛ぃよぉ……」


陽気な妹ちゃん「ごめ~~~ん!!」




儚げな少女「ま~~ 確かに夢のないお話だったかもしれませんね…」


儚げな少女「ただ、それが本当にペンギンたちの習性として正しいものなのかどうか、本当のトコロは分かりませんし―――」


儚げな少女「私はこのお話自体がペンギンを比喩とした、人間社会の風刺の一つなのかなって―――」


ちゃちゃのん「人間社会の風刺―――?」




儚げな少女「誰だって酷い目には、あいたくありませんもの―――」


儚げな少女「自分が助かるなら、誰か他人を犠牲にしても構わない。 そう考えるのが人というものなのかもしれませんでしょう?」


ちゃちゃのん「そ、そんなもんじゃろか―――?」






儚げな少女「はてさて… それではいちごさんの本質は―――」


儚げな少女「勇敢なヌーと、他者の犠牲を待つペンギン、どちらなのでしょうね―――?」ウフフッ


ちゃちゃのん「ほぇぇ… ちゃちゃのんけ……?」


ちゃちゃのん「えと、その… ちゃちゃのんは、どうなんじゃろ……」


ちゃちゃのん「さっきの勇気あるヌーさんみたく… ちゃちゃのん、先頭に立って飛び込めるじゃろか……」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのん… は……」


快活な長女さん「…………?」




グゥゥ~~~


陽気な妹ちゃん「おろろっ… ボクのお腹センサーが、けたたましく鳴り出したんじゃ…」グゴゴゴゴ…


陽気な妹ちゃん「それ―――ボクじゃったら、真っ先に飛び込みたいかのぅ!!」


陽気な妹ちゃん「じゃって、早く飛び込みゃ ほんだけお魚 食べ放題、踊り食いパラダイスゆーことじゃろぉ~~♪」ニシシッ


しっかりものの妹ちゃん「ホンに、食い意地の張ったやっちゃのぅ~~」


儚げな少女「うふふ… それはとてもよーさんらしい、素敵な答えですわね♪」



快活な長女さん「カカッ!! 誰も空腹にゃぁ勝てんゆーこっちゃな。 のぅ、ちゃちゃのん―――」


ちゃちゃのん「ほぇ…? そ、そうじゃね、えへへ……」






陽気な妹ちゃん「あぁ~~ 橋じゃ!! あっちに橋が見えるんじゃ!!」


しっかりものの妹ちゃん「おぉっ、ホンマじゃ!!」


快活な長女さん「そら、あるじゃろ。 今日はそれを見に来たんじゃけぇ」


儚げな少女「あれが倉橋と鹿老渡を繋ぐ、鹿老渡 最北端の堀切橋ですわね…」




陽気な妹ちゃん「いよっしゃ!! あそこまで駆けっこじゃ~~!!」ダッシュ!!


しっかりものの妹ちゃん「ちょっ… 今のは、フライングじゃろ~~!!」ビー ダッシュ!!


儚げな少女「あらあら… お二人は、今日もお元気ですわね」フフッ


快活な長女さん「こりゃ、自分らちぃーと待ち―――」


ちゃちゃのん「あわわっ… ちょっ、待っ―――て…」ガッ コケッ

ズベチャッ


快活な長女さん「ちゃちゃのん!?」


儚げな少女「あらら…」




ちゃちゃのん「…………」


快活な長女さん「ちゃちゃのん… 今、モロに顔面からイカんかった…?」ダイジョブ?


ちゃちゃのん「ふぇぇ… こんなん、ぜんぜん考慮のうちじゃもん……」ウルウル…


快活な長女さん「そか… 考慮しとったら、次からはもちぃーと気ぃつけよか……」ポフポフ


ちゃちゃのん「あぅ… 頑張る……///」ツーー


儚げな少女「あら、いちごさん… 鼻血が出てますわよ。 はい、ティッシュ♪」ズムッ


ちゃちゃのん「ふぎゅぅ… うぅ…… ゆ~ちゃん、ど~もありがとなんじゃ……///」ハズカシ…




快活な長女さん「ほんなら… アイツらんトコにゃぁ、アタシが先に行っとくけぇ―――」


快活な長女さん「ちゃちゃのんとゆーは、後からゆっくり来るとええじゃろ―――」


儚げな少女「ええ、分かりましたわ。 はい、いちごさん♪」ズムッ


ちゃちゃのん「ふきゅっ……///」






【堀切橋】


ダカダカ ダカダカッ

陽気な妹ちゃん「いよっしゃ、到着ぅ!! ボクが一等賞じゃ~~!!」ピョンコ ピョンコ


しっかりものの妹ちゃん「くぅっ、結局 追いつけんかったんじゃ…」ゼハー ゼハーー


快活な長女さん「くぉらぁ~~!! 自分ら急にかけ出すな、ゆーちょろうが!!」ハッ ハッ


陽気な妹ちゃん「へへ~~ん… そりゃぁ目的ん場所 見えたら、一番乗りしたくなるじゃろ~~♪」


しっかりものの妹ちゃん「こんアホは、体力だけは人一倍じゃけぇの…」


陽気な妹ちゃん「およ…? ちゃちゃのんとゆーねぇは…?」


快活な長女さん「ゆーは身体弱いけぇ、走れんじゃろ。 ちゃちゃのんは、後からゆーと一緒に来るはずじゃ…」


しっかりものの妹ちゃん「あ~~ そりゃ悪いことしたかのぅ…」


快活な長女さん「ん、ま~~ 二人もすぐに追いついて来るじゃろ」






ザザザザーーーン


陽気な妹ちゃん「ん~~~ それんしてもこの橋、島と島を結んどるゆーわりにゃぁ あんま大っきくないんじゃな」


しっかりものの妹ちゃん「この堀切橋が北の倉橋と、鹿老渡を結んどるんじゃろ?」


しっかりものの妹ちゃん「橋の長さは… 30メートル、書かれとるの…」


快活な長女さん「確かに南にある鹿島ん方の大橋と比べっと、ちぃーとばかし地味かもしれんのぅ」


快活な長女さん「あっちはこっちの10倍以上の、340メートルゆーちょったし―――」




プオォーーーーン ボッ ボボボボッ ウォーーーイ!!


陽気な妹ちゃん「あっ、ジッチャンじゃ!!」ウォーーイ!!


しっかりものの妹ちゃん「ホンマじゃ!! 漁船から手ぇ振っとるんじゃ!!」オォーーイ!!


快活な長女さん「今から、ちょうど帰港するトコじゃろか―――?」



儚げな少女「この堀切橋は船舶を通すため、人工的に開かれた海峡なのかもしれませんわね…」


ちゃちゃのん「ようやっと追いついたんじゃ♪」


快活な長女さん「おっ、二人とも来たみたいじゃな」


儚げな少女「お待たせしてしまって申し訳ありません」


陽気な妹ちゃん「ちゃちゃのん、その鼻栓なんじゃ?」


ちゃちゃのん「あ~~ うん… ちょっとの……///」ヘヘッ





【堀切橋 近くのお好み焼き屋】


ジュー ジューー

陽気な妹ちゃん「お好み焼き、うっま~~!!」


陽気な妹ちゃん「は~~ 生き返るんじゃ~~~!!」フハーー


しっかりものの妹ちゃん「ホンに、いちいち大げさなヤツじゃの~~」


陽気な妹ちゃん「ソウルスティーール!!」シュバッ


しっかりものの妹ちゃん「ちょっ、それアタシが育てとったヤツ―――」


快活な長女さん「それんしても、ホンにここのお好み焼きは美味いのぅ…」ハフハフ


儚げな少女「鹿老渡の綺麗な海を眺めながら食べるお好み焼き、最高ですわ~~」ホクホク


ちゃちゃのん「よーちゃんもお腹すいとったみたいじゃし、丁度良かったのぅ♪」




陽気な妹ちゃん「オバちゃ~~ん!! このロシアンルーレットたこ焼きゆーの、5人分ええじゃろか!!」


ちゃちゃのん「ちょっ… そんなん、ヤメた方がええよ~~」アワワッ


陽気な妹ちゃん「ちょっとした運試しじゃ。 アタリは一つじゃけぇ、全然 平気じゃよ~~」


しっかりものの妹ちゃん「平気て、誰かが確実にアタリ引くんじゃぞ…」


陽気な妹ちゃん「当たらなければ、どうという事はないんじゃよぉ!!」フフン


しっかりものの妹ちゃん「殴りてぇ…」





オバちゃん「あいよ~~ ロシアンルーレットたこ焼き お待ち~~♪」ゴトッ


陽気な妹ちゃん「キタキタキタ~~ テンションアゲアゲじゃ~~~!!」


儚げな少女「これはDOKI DOKIですわね…」


ちゃちゃのん「うぅ… イヤじゃな~~~」オソル オソル



陽気な妹ちゃん「いっただっきま~~~す!!」ヒョイ パクッ


陽気な妹ちゃん「――――!?」ブッホーーーーッ


陽気な妹ちゃん「○×△□~~~////」ゴッホ ゴッホ…


儚げな少女「あらあら… 言いだしっぺが真っ先にアタリを引いてしまいましたわね」ウフフッ


快活な長女さん「いよっしゃ!!」グッ


しっかりものの妹ちゃん「へっへ~~ん、ざまをみろじゃ!!」ガッツポッ


陽気な妹ちゃん「み、水ぅ~~~~」プルプル…


ちゃちゃのん「酷い……」





ちゃちゃのん「じゃけぇ、これでもう安心じゃ―――」パクッ


ちゃちゃのん「――――!?」ブーーーーッ


ちゃちゃのん「○×△□~~~////」ゴッホ ゴッホ…


快活な長女さん「うぇっ!! ちゃちゃのん!?」ナンジャ!?


しっかりものの妹ちゃん「これはまさか、見えざる第2の弾丸―――!?」


儚げな少女「いえ、もしかすると… 先ほどのよーさんの奇行自体が、私たちの油断を誘うための巧妙なお芝居だったのでは…?」


陽気な妹ちゃん「~~~じ、実は… そうだったん… じゃ……」ウェッホ… ウェッホ… ミ、ミズ…


しっかりものの妹ちゃん「イヤイヤイヤイヤ!! 自分 メッチャボロ泣きやないかぁ!!」


オバちゃん「お嬢ちゃんたち可愛ええけぇ、オバちゃんからのアタリのサービスじゃ―――♪」カッカッカ


快活な長女さん「ちょっ… 何をシレっとゆーとんじゃ―――」






第174局 『好敵』にて、カラーページでちゃちゃのん再登場しましたね。

おまけに名前のない怪物扱いだった、鹿老渡高校 先鋒の津秋優奈さんも初登場。

クールな話しぶりからして、ちゃちゃのんよりしっかりしてそうな子でしたね。

でもって二人とも個人戦には出られるっぽいですし、個人戦が今からとても楽しみです。


ただ、ま~ やっぱりちゃちゃのんの声は松来未祐さんで再生されてしまうんで、

どうしても、嬉しいと同時にちょっぴり切ない気持ちにもなってしまいますね。



そんなわけで、新キャラの津秋優奈さんが登場しましたけど、

とりあえずこの話はこれまで通り、オリジナルの鹿老渡メンバーで続けていきたいと思ってます。





ちゃちゃのん「うぅ… まだ喉ん奥からカッカしとるんじゃ…」ケホ ケホッ


儚げな少女「いちごさん。 私のお水、もう一杯 如何ですか?」


ちゃちゃのん「ううん、もぅ平気じゃけぇ。 ゆーちゃん、どうもありがとの…」


儚げな少女「どういたしまして、ですわ♪」


ちゃちゃのん「―――えと、お好み焼きのお金なんじゃが… 後で、ちゃんと返すけぇ……///」モジモジ


儚げな少女「あら… あれは私のおごりですから、どうかお気になさらずに―――」


ちゃちゃのん「ふぇ… そ、そ~ゆ~わけにゃぁ、いかんよぉ。 ちゃちゃのん、ちゃんと返すけぇ!!」


儚げな少女「ふふっ、そうですわね。 いちごさんがそう仰られるのでしたら、お待ちしておりますわ」


快活な長女さん「そういや、あのオバちゃん。 ツケでもええゆーてくれとったのぅ」


ちゃちゃのん「こんな小っさな島じゃけぇ、顔見知りしかおらんし…」



陽気な妹ちゃん「にしても財布忘れるなんて、ちゃちゃのんはうっかりモンじゃの~~♪」シシシッ


ちゃちゃのん「むぅ… ちゃちゃのん、用意周到じゃもん……」


快活な長女さん「ちゃちゃのん、それよぅゆーけぇ イマイチ説得力ないの~」カッカッカ


しっかりものの妹ちゃん「残念ながら、ないの~~」ヘヘッ


ちゃちゃのん「じゃって… その……」ゴニョゴニョ…


快活な長女さん「ん……?」


ちゃちゃのん「う、ううん… 何でもないんじゃ!!」


快活な長女さん「あ、何じゃ……?」



ちゃちゃのん(と、友達と買い食いなんて… ちゃちゃのん、これまでなかったけぇ……)


ちゃちゃのん(そんなん、考慮出来んじゃろ……///)






快活な長女さん「ほんで、こっからどうするんじゃ――?」


しっかりものの妹ちゃん「ほうじゃの。 せっかく近くまで来たんじゃけ、こんまま倉橋にでも行って―――」


陽気な妹ちゃん「ほいほいほ~~~い!! 虫取りがええ思うんじゃ!!」シュバッ


快活な長女さん「確かに倉橋じゃったら、色々と遊ぶとこありそうじゃな―――」


儚げな少女「バスを使われるのでしたら万葉集で有名な桂が浜のビーチや温泉、長門の造船歴史館―――」


儚げな少女「島の反対になってしまいますけど、音戸の瀬戸にかかる音戸大橋なども興味ありますわね」


しっかりものの妹ちゃん「長門の造船歴史館ゆーと… もしかして、長門ゆかりの聖地なん?」


快活な長女さん「長門って、あの戦艦 長門!?」マジッ!?


ちゃちゃのん「おぉっ… 二人とも、凄い食いつきじゃ…」


儚げな少女「あらあら…」ウフフ


陽気な妹ちゃん「虫取り~~!!」






快活な長女さん「長門と陸奥は、日本の誇り~~♪」


しっかりものの妹ちゃん「栄光の40cm砲搭載・大艦巨砲主義ばんばんざいじゃ!!」フォーーッ


陽気な妹ちゃん「こげんちんちくりんなくせして、何が大艦巨砲主義じゃ―――」ツンツン グリグリ


しっかりものの妹ちゃん「てぇ~~~ッ!!」ドスゥッ


ちゃちゃのん「うひゃっ!?」


陽気な妹ちゃん「ふぐぅっ… い、今のは、なかなか効いたんじゃ…」ヨロッ


しっかりものの妹ちゃん「世界のビッグセブンは、伊達じゃないんじゃ!!」




儚げな少女「たいへん盛り上がっているところ、申し訳ないのですが… 昔は倉橋のことを、長門島と呼んだそうでして―――」


儚げな少女「長門の造船歴史館もおそらくそこから付けられたもので、お二人の思う戦艦 長門とはまた別かと…」


しっかりものの妹ちゃん「ありゃ… そいつはちと残念じゃの……」


儚げな少女「長門型戦艦・1番艦は山口県の西側、旧長門国が由来と聞いたことがありますし…」


儚げな少女「とは言っても、倉橋は昔から造船で有名な島でしたから」


儚げな少女「実物大の遣唐使船の模型とか、とても見ごたえあるそうですよ」





陽気な妹ちゃん「絶対、虫取りのが ええんじゃよ~~」ブーブー


しっかりものの妹ちゃん「そない虫取り推して、自分は子どもか!!」


陽気な妹ちゃん「しーじゃって、まだまだ子どもじゃろぉ!! てか、むしろ赤さんの域じゃ!!」


しっかりものの妹ちゃん「誰が赤さんじゃ!!」ガルル


快活な長女さん「ちゅーか、まんま子どもの喧嘩じゃの」カッカッカ


儚げな少女「とても微笑ましいですわ…」ウフフ



ちゃちゃのん「…………」モジモジ


快活な長女さん「――――ちゃちゃのんは、どうしたいんじゃ?」


ちゃちゃのん「えと、その… ちゃちゃのん、バスに乗るお金 持っちょらんけぇ…」


ちゃちゃのん「どちらかと言えば、虫取りがええかのぅ…」ヘヘヘッ


陽気な妹ちゃん「へへ~~ん♪ ちゃちゃのんも虫取り派じゃ~~!!」


しっかりものの妹ちゃん「ちゃちゃのんは、バス代 気にしとるだけじゃろ…」


しっかりものの妹ちゃん「ちゃちゃのん。 バス代くらいアタシらで払うけぇ、気にせんでええんじゃよ―――」


ちゃちゃのん「あ… ちゃちゃのん、虫さん好きじゃけぇ―――」パタパタ


しっかりものの妹ちゃん「へ~~ 何か ちと意外じゃの~~」


ちゃちゃのん「そ、そうじゃろか……」ヘヘッ


儚げな少女「そういえば、いちごさんは倉橋の学校に通ってらっしゃるんですよね?」


ちゃちゃのん「う、うん…」ドキッ


しっかりものの妹ちゃん「ん? 何じゃ、急に…?」


儚げな少女「あ、いえ… ただ急に思い出しまして…」



快活な長女さん「ん… そうじゃの……」


快活な長女さん「今から倉橋じゃと帰り遅ぅなりそうじゃし、とりあえず虫取りでええ思うんじゃが どうじゃろ?」


儚げな少女「そうですわね、私もそれで構いませんわ♪」ニコリ


陽気な妹ちゃん「おっしゃ~~!!」


しっかりものの妹ちゃん「ちぇ~~」ブスゥ


ちゃちゃのん「しーちゃん、ごめんのぅ…」


しっかりものの妹ちゃん「あ~~ ええよ、ええよ。 よーの案に乗っかるんが、気に食わんかっただけじゃし…」ポリポリ



ミーーン ミーーーン ジーーワ ジーーーワ…


快活な長女さん「―――ほんで、虫取りゆーても いったい何を捕まえるんじゃ? あのせせろーしぃセミでも採るんか?」


しっかりものの妹ちゃん「夏休みの虫取りゆーたら、当然 カブトやクワじゃろ!!」


快活な長女さん「それじゃったら、今からバナナトラップでも仕掛けて夜にでも採った方がええかもしれんのぉ」


ちゃちゃのん「バナナトラップ…?」


ちゃちゃのん「カブトムシがバナナの皮で滑って転ぶかのぅ…?」


陽気な妹ちゃん「なんでじゃぁ!!」スパーーン!!


ちゃちゃのん「あいた~~!!」



快活な長女さん「カブトやクワは、甘い樹液なんかによぅ集まるじゃろ…」


ちゃちゃのん「う、うん…」イタタ…


快活な長女さん「その習性を利用して、カブトやクワが集まるようなバナナを使った簡単なトラップを仕掛けるんじゃよ」


ちゃちゃのん「バナナを使ったトラップ…?」


快活な長女さん「ぶつ切りにしたバナナに砂糖や焼酎を混ぜて、それをカブトやクワが居そうな場所に吊るしておくんじゃ」


快活な長女さん「したら後はその日の夜か、次の日の朝にでも見に行けばオッケー。 簡単じゃろ…」


ちゃちゃのん「ほぇ~~ そうなんじゃ…」


陽気な妹ちゃん「大漁の時なんかじゃとカブトやクワが、うじゃ~~とクヌギの木なんかにひっついとるんじゃよ!!」


ちゃちゃのん「ひぇぇっ… それは、ちと怖いかもしれんのぅ……」





快活な長女さん「ちゃちゃのんは、どんな虫が好きなんじゃ?」


ちゃちゃのん「えっと… ちょうちょさんとか、綺麗で可愛ええ思うんじゃ…♪」


しっかりものの妹ちゃん「チョウチョゆーたら春頃じゃろ?」


ちゃちゃのん「ほぇ… そういえばそうじゃのぅ。 こん季節でも、時々 見かける思ったんじゃが…?」


陽気な妹ちゃん「チョウチョって、完全変態なんじゃろ!!」


快活な長女さん「ほうじゃが、その言い方はパピヨンっぽいからヤメ~~や…」


ちゃちゃのん「パピヨンゆーたら、ちょうちょさんのことじゃろ――?」


しっかりものの妹ちゃん「いや、ま~~ 想像するイメージゆーか、ニュアンスの問題じゃ…」


陽気な妹ちゃん「蝶、サイコーー!!」


快活な長女さん「……………」




儚げな少女「種類にもよりますけど、多化性のチョウチョは一年の間に数回の世代交代を繰り返しますから―――」


儚げな少女「春、夏、秋、冬と一年の間に何度も羽化する発生時期というものがあるそうですわ」


ちゃちゃのん「じゃけぇ、ちょうちょさんは 色んな季節におるんじゃのぅ」フンフム


儚げな少女「花札の『牡丹に蝶』。 あれは旧暦の6月の札ですから、今で言えば8月のチョウチョということになりますわね」


快活な長女さん「お~~ そういや、そうじゃの!!」


しっかりものの妹ちゃん「確かに牡丹に蝶は旧暦の6月じゃ…」


ちゃちゃのん「牡丹に蝶―――?」


陽気な妹ちゃん「ちゃちゃのん、かぶしたことないん?」


ちゃちゃのん「かぶって―――?」


快活な長女さん「かぶゆーたら、おいちょかぶじゃろ…」


快活な長女さん「こいこいなんかのめくり系なら植物や月の知識はいらんが、かぶにゃぁ必要になってくるんじゃよ」


ちゃちゃのん「ちーちゃんたち、随分と詳しいんじゃのぅ?」


しっかりものの妹ちゃん「ん~~ まぁ…」


陽気な妹ちゃん「とーちゃ達のシノギ見とったら、自然とのぅ!!」ヘヘッ


ちゃちゃのん「シノギ―――?」


ちゃちゃのん(ちーちゃん達のお父さん、任○堂の社員さんか何かなんじゃろか―――?)






【ミッション―――開始!!】


陽気な妹ちゃん「カミキリムシを捕まえるんじゃ!!」デデーーン!!


ちゃちゃのん「カミキリムシ………?」


しっかりものの妹ちゃん「はぁ……?」


快活な長女さん「何で、カミキリムシなんじゃ?」


陽気な妹ちゃん「カミキリムシを捕まえると、お金が貰えるんじゃよ♪」フッフーーン


しっかりものの妹ちゃん「本気(マジ)で…?」


儚げな少女「そういえば、以前 そのような話をどこかで聞いたことがあるような…」


しっかりものの妹ちゃん「ふぁ!? いつもん、よーのデマやないじゃと……」


儚げな少女「カミキリムシはミカンを始め、草花や樹木などほぼ全ての植物を駄目にしてしまいますから―――」


儚げな少女「四国や和歌山などの地域によっては指定害虫として、農協の方で買い取ってくれるとかなんとか―――」


しっかりものの妹ちゃん「それって、一匹いくら位になるんじゃ?」


儚げな少女「さぁ、そこまでは… 一匹、5円―――くらいでしょうか?」


快活な長女さん「うはぁ~~ メッチャ塵も積もればじゃなぁ…」




陽気な妹ちゃん「これぞ『カミキリムシを捕まえて、楽して億万長者』大作戦じゃ!!」ヒャッハーー


快活な長女さん「億万長者て、自分は一帯のカミキリムシを根切りんすっつもりか…」


快活な長女さん「あと、ちっともラクじゃね~~し!!」


しっかりものの妹ちゃん「一人でやっちょれや、ボゲッ!!」ケッ


陽気な妹ちゃん「何でじゃ~~~!!」カッハーー


ちゃちゃのん「あはは……」ホッ…



【ミッション―――失敗、残念!!】






陽気な妹ちゃん「おっ… でっかいクモじゃ―――」


ちゃちゃのん「ひぇっ!?」ズザ゙ッ


陽気な妹ちゃん「綿菓子みたいで、ぶち美味しそうじゃ~~」ジュルリ…


ちゃちゃのん「そ、そっちの雲じゃったんか……」ホッ





陽気な妹ちゃん「ありゃぁ!? 青き伝説甲虫・ヘラクレスリッキーブルー!!(つよさ200)」ビシィッ


ちゃちゃのん「ふぇぇっ!?」


しっかりものの妹ちゃん「ムシキングか!! ちゅーか、そんなん日本におるわけないじゃろ!!」


ヘラクレスオオカブト「……………」


しっかりものの妹ちゃん「―――て、ホントにいた~~~!?」ギャァァァッ!!


快活な長女さん「コイツは… ヘラクレスん中でも、超激レア級のブルーヘラクレス―――」ゴクリッ


儚げな少女「しかも、滋賀県 高島市の男性が作り出したという伝説のギネス個体―――181mm級の超大物ですわ…」


しっかりものの妹ちゃん「これ… 捕まえたらいくらで売れるんじゃろ?」ジリジリ


快活な長女さん「そりゃぁ もぅ、凄んごいじゃろ……」ジリジリ


陽気な妹ちゃん「ぶえっくしゅ!!」ブフォッ


ヘラクレスオオカブト「!?」ブーーーン


ちゃちゃのん「うひゃっ!!」シャガミコミッ


しっかりものの妹ちゃん「うぎゃ~~ 逃げたァァッ!!」ダダッ


快活な長女さん「逃がすなァ!! 絶対、生け捕りじゃぁ~~~!!」ダカダカダカッ


ちゃちゃのん「ほぇ~~ 凄い迫力じゃ…」


儚げな少女「皆さんから、野生の目覚めを感じますわね……」





ちゃちゃのん、誕生日おめでと~~♪

ということで、去年は咲 実写化の余波で京太郎(実写)な、おバカSS 書きましたけど

今年も懲りずに鹿老渡編とは別な、ちゃちゃのんの誕生日SS 書いてみようと思います。



今年はちゃちゃのんと津秋 優奈さんが、咲 本編にてカラーで登場しましたし

ちゃちゃのんと優奈さんを主人公にして、去年よりは少し真面目な感じで書いていくつもりです。

ただ、こちらの大学編と完全に別時空な内容になっちゃってますので、スレ分けました(こっちは優奈さんいませんし)

長さ的にはこちらの大学編の1章分くらいの分量でまとまればと思ってますけど、まだ未定です。

こちらのスレと違って出来るだけ早めに完結させて、それからこちらの鹿老渡編をまたゆっくり再会していけたらな~と考えてます。

ホント、ドン亀進行でスミマセン。


↓コチラです
【咲】優奈「佐々野先輩、お誕生日おめでとうございます!」
【咲 -Saki- 】優奈「佐々野先輩、お誕生日おめでとうございます!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1513247658/)





快活な長女さん「畜生!! 見失ったんじゃ!!」


しっかりものの妹ちゃん「くぅぅ… 何たる無念……」


陽気な妹ちゃん「残念じゃったのぅ~~」


しっかりものの妹ちゃん「てぇ~~ 自分がみょうちくりんなタイミングで、クシャミとかすっからじゃろ!!」


陽気な妹ちゃん「そんなんゆーて、クシャミと腹の虫は急にゃぁ止まれんモンじゃけぇの~~!!」ゲラゲラ


しっかりものの妹ちゃん「こんガキァ、ホンマ腹立つわ~~」グヌヌ…


ちゃちゃのん「残念じゃったの~~」


儚げな少女「皆さん、お疲れ様でしたわ…」




陽気な妹ちゃん「トカゲとかカエルって、惚れ薬の材料として売れるんじゃろ?」


しっかりものの妹ちゃん「うぇ… そりゃぁ、どこ情報じゃよ…?」


陽気な妹ちゃん「う~~ん… どこじゃったかのぅ……」


陽気な妹ちゃん「エリマキトカゲを探すんじゃ!!」イエーーイ!!


しっかりものの妹ちゃん「絶対、おらんじゃろ!!」アホッ


儚げな少女「うふふ……」




快活な長女さん「ちゃちゃのん―――虫とか、ホンマはあんま得意でもないじゃろ…」ヒソヒソ


ちゃちゃのん「う、うん… 実は、ちょっぴり苦手じゃ……////」





ボォーーーーーーッ ポン ポン ポン ポン…


ちゃちゃのん「あぁ… もぅこんな時間なんじゃな…」


儚げな少女「いくつかの船が、港の方に向かわれてますわね」


陽気な妹ちゃん「そういえば、あたりから美味しそうな匂いがしてきたのぅ…」スンスン


しっかりものの妹ちゃん「もぅすぐ、ゆうげの時間じゃな…」


陽気な妹ちゃん「う~~ お腹すいてきたんじゃ…」グゥーー


しっかりものの妹ちゃん「よーはいついき、そればっかりじゃ…」


儚げな少女「今日はたくさん遊びましたもんね♪」クスクス




ちゃちゃのん「漁師のじっちゃたちがな、帰り始める この時間―――」


ちゃちゃのん「あたりの家に明かりが灯り始めて、夜ご飯の匂いが島いっぱいに広がる この時間―――」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのんな、このあったかい時間がとっても大好きじゃ…」


快活な長女さん「ちゃちゃのん……」



日の出と、日の入りの時間―――


それがこの静かな港町である鹿老渡で、最も人の生活の匂いゆーもんを感じられる時間―――


年の近い遊び相手のおらんかった ちゃちゃのんは、ずっとこの景色を一人 眺めてきたんじゃろうか―――





快活な長女さん「夕日、綺麗じゃな…」


ちゃちゃのん「うん、そうじゃねぇ……」



地平の向こうへ沈んでゆくお日さんが、あんまりに赤く鮮やかじゃったけぇ


アタシたちは言葉を忘れ、しばらくの間 真っ赤に染まった西の海を眺めとった。







「あなたは、だ~~れ?」



ちゃちゃのん「ほぇ―――?」


儚げな少女「誰そ彼。 誰ですか、あなたは―――?」


ちゃちゃのん「えと… ちゃちゃのんは、佐々野 いちごじゃよ…?」


儚げな少女「黄昏時(たそがれどき)とか、逢魔時(おうまがとき)って言葉がありますよね」


ちゃちゃのん「えと… なんか古い感じの言葉じゃったかのぅ…?」


儚げな少女「えぇ、古くは『暮れ六つ』や『酉の刻』とも言われていたそうですが…」


儚げな少女「今ぐらいの夕暮れ時、隣の人の顔の判別も付きづらくなる この時間―――」




儚げな少女「誰そ彼。 誰ですか、あなたは―――?」


儚げな少女「昔の人たちはこう言って、お互いの存在を確認し合ったそうですわ」フフッ


快活な長女さん「あぁ、そういえば… いつの間にか、随分と薄暗ぅなってきたのぅ…」


ちゃちゃのん「鹿老渡は明かりも少ないけぇ、お日さま沈みきらんうちに帰らんとね…」


しっかりものの妹ちゃん「おうまがときって、おっかない妖怪とか幽霊が出る時間なんじゃろ?」


陽気な妹ちゃん「うぇぇっ、マジっすかぁ!?」





儚げな少女「逢魔時は大禍時(おおまがとき)とも言われ、昔から魔物や禍いと遭遇しやすい、とっても不吉な時間とされていますわ―――」


儚げな少女「いちごさんのような可憐な少女が一人歩きなどされていては、魑魅魍魎や悪鬼羅刹に攫われてしまうかも~~~!!」グヘヘヘヘ


ちゃちゃのん「ひぇぇっ… ゆーちゃん、おっかないこと言わんでよ~~~」ビクビク


快活な長女さん「うは~~~ ちみもうりょうって、絶対漢字で書けんヤツじゃろ~~!!」


儚げな少女「一般的に魑魅(ちみ)は山や石などから生じる怪、魍魎(もうりょう)は河や海など水から生じる怪とされていますわね」


快活な長女さん「それらをひっくるめて、『ちみもうりょう』ゆーわけじゃな…」



しっかりものの妹ちゃん「そうはゆーても―――」


しっかりものの妹ちゃん「やっぱうちらにとっては、そないな妖怪変化よりも人攫いのオジさんの方がおっかないじゃろ~~」


儚げな少女「それは、確かにその通りですわね―――」


快活な長女さん「うん、ま~~ そうかもしれんの~~~」クワバラ クワバラ


儚げな少女「いちごさん、お一人の時はくれぐれもお気をつけ下さいね―――」


ちゃちゃのん「ふぇぇ… じゃけぇ、どうしてちゃちゃのん……?」ビクビク


陽気な妹ちゃん「ちゃちゃのん、つっかまえたぁ~~~っ!!」ガッシィッ!!


ちゃちゃのん「ぴっ、ぴゃ~~~~~~~~っっっ!!!」ビビクゥーーッ




陽気な妹ちゃん「なんつってぇ~~~!!」ケラケラ


ちゃちゃのん「ぴゃ… ぴゃぴゃぴゃぴゃ…… ぴゃぴゃ………」カタカタカタカタ


しっかりものの妹ちゃん「ちゃちゃのん、壊れた……?」


陽気な妹ちゃん「ありゃりゃ……?」


快活な長女さん「自分、後でしっかり ちゃちゃのんに謝っとくんじゃぞ…」パカンッ


陽気な妹ちゃん「ちゃちゃのん、ごめ~~~ん!!」






陽気な妹ちゃん「ふは~~!! 今日は、ぶち楽しかったんじゃ♪」


しっかりものの妹ちゃん「うん、ホンマ楽しかったのぅ♪」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのんも、今日はとっても楽しかったんじゃ♪」


儚げな少女「私も、大変楽しい時間を過ごさせて頂きましたわ…」


快活な長女さん「ちゃちゃのん、今度はアタシらにも麻雀教えてな~~!!」


ちゃちゃのん「うん♪ 約束じゃね!!」ニコッ



これは小学時代のある夏休み―――


小さな島で出会った、初恋のあの子と過ごした―――


特別なことなど何もない、アタシにとって特別な日々の物語―――









** ともだち **



快活な長女さん「いよっしゃ、こいつでリーチじゃな!!」ドッ


ちゃちゃのん「あっ、それロンじゃ♪」


快活な長女さん「だ~~ またやられたァ!?」


ちゃちゃのん「ちーちゃん、狙いが大っきいけぇ。 河が読みやすいんじゃよ」ヘヘッ


陽気な妹ちゃん「ちーねぇは平家の猪武者じゃけぇ!!」カカッ


儚げな少女「長門の壇ノ浦ですわね―――」フフッ


快活な長女さん「ぐっ…」




ちゃちゃのん「もぅちょい相手の河も見て、考慮してかんとのぅ」


快活な長女さん「むぅ… そんなん気にしとったら、おっきい役なんて狙えんじゃろ…」


ちゃちゃのん「そこはいっぱい経験積んで、ちょっとずつ慣れてくしかないかのぅ」


ちゃちゃのん「ちーちゃん覚えるん早いけぇ、麻雀は焦らずじっくり 楽しくじゃよぉ♪」ニコニコ


快活な長女さん「流石、センセイ。 ええことゆーのぅ♪」


ちゃちゃのん「―――セ、センセイ!?」



快活な長女さん「ちゃちゃのんはアタシらにとって、麻雀のセンセイじゃけぇ―――」


ちゃちゃのん「そ… そうなんじゃ…」


ちゃちゃのん「な、何じゃか… 照れくさいの~~」テレテレッ






しっかりものの妹ちゃん「それんしても… よーのアホが、なかなか振り込まんの意外じゃったわ…」


儚げな少女「よーさんは奇襲メインでいて、退くべきトコロ しっかり退いている感じありますわね」


陽気な妹ちゃん「義経の八艘飛びじゃけぇ♪」イヨーーッ


快活な長女さん「ただのカンじゃろ…」


しっかりものの妹ちゃん「カンじゃな……」


陽気な妹ちゃん「カンとか、そんなん違うけぇ!!」


儚げな少女「―――というと?」


陽気な妹ちゃん「な、何となくイヤな感じする牌、手放さんようしとるんじゃ!!」


快活な長女さん「やっぱ、カンじゃったか―――」


しっかりものの妹ちゃん「カンじゃったな…」


陽気な妹ちゃん「何でじゃ!!」



ちゃちゃのん「カンの大半って、経験に基づくもんじゃけぇ―――」


ちゃちゃのん「経験浅いよーちゃんがそれを掴めとるんじゃとしたら、凄いことじゃって思うんじゃよ~~」








鹿老渡―――


この猫の多い小さな島で、ちゃちゃのんとゆーと知り合って数日―――


最近は5人で集まっては、麻雀ばかりしとった気がする―――





快活な長女さん「ふぁ~~ もぅこないな時間か……」トタトタ


夕べはちゃちゃのんに借りた麻雀の本 読んどって、すっかり寝るの遅ぅなったんじゃ。



快活な長女さん「しー おはよ。 よーは?」


しっかりものの妹ちゃん「ちー姉 おはよう。 よーじゃったら朝早ぅ起きて、お爺の船じゃよ」


快活な長女さん「そういや、夕べそんな話 しとったのぅ―――」


よーはうちら姉妹ん中でも一番の爺さんっ子で、よぅ爺さんの漁船に乗せてもらっとる。



快活な長女さん「しーは、今日 どうするん?」


しっかりものの妹ちゃん「特に予定もないんじゃが、ゆー姉に借りた本を読もぅ思っちょるよ」


快活な長女さん「そか、了解―――」



今日はちゃちゃのんも、用事あるゆー話じゃったし―――


アタシは、何して過ごすかのぅ―――



快活な長女さん「それんしても、今日も えぇ天気じゃ……」






ミーーン ミンミン…


快活な長女さん「最近はいつも皆と一緒じゃったけぇ、こうして一人で島の散策するんも少し新鮮じゃ…」


快活な長女さん「さ~~て… どっか、ええトコないかの……」


快活な長女さん「うぉっ、何じゃこりゃ!?」ギョッ




ようこそ かろうとへ―――


そう書かれた塀には、魚を釣り上げる 釣りキチ三平らしきパチモンの壁画。


快活な長女さん「これ、大丈夫なん…?」ナンカ イロイロト…


でもって三平のすぐ側面には、『またきてね!』という カープ坊やの謎壁画。


快活な長女さん「カープ坊や、標準語なんじゃな…」


快活な長女さん「――――でもって、コイツがまた ごっついのぅ……」


謎壁画のすぐ横に、異様な存在感をもって鎮座する―――


アンパンマンやバイキンマン、バカボンのパパ、ドラえもんら人気キャラクターたちの無数の晒し首。


ひな祭りのひな壇のように段差をつけて横に3列、更にその上空に紐でくくられ数珠つなぎになった首が2列。


その首実検の数、ゆうに50以上はありそうじゃ。



快活な長女さん「夏祭りの夜店とかで売られとる、キャラクターの顔が描かれたビーチボールか何かじゃろか…」


快活な長女さん「それが何でこんなトコに、大量に吊るされとるんじゃ……」


快活な長女さん「もしかすっと、新種の魔除けの類かもしれんの―――」ゴクリッ


快活な長女さん「おぉっ、怖っ……」



クーー クーー トテトテ…


快活な長女さん「ん… この子猫って―――」


快活な長女さん「確か ちゃちゃのんちによぅ入り浸っとる、セクハラねこ……」クーコ?


快活な長女さん「どっかに、向かっとる―――?」






【鹿老渡 どっかの広場――】


ミーーン ミンミン… ニャーー ニャーー


ちゃちゃのん「み、みんな~~ 今日はちゃちゃのんのコンサートに集まってくれて―――」


ちゃちゃのん「ど、どうも… ありがとなんじゃ~~~////」ペッコリン


しげにぃ「ぶししっ… い、いちごちゃん… とっても可愛いんだどぉ~~」シシッ


ちゃちゃのん「えへへ、そうかのぅ~~♪」テレテレッ


島にゃんこ「にゃ~ にゃ~~」


ちゃちゃのん「えへへ、ありがと~~♪」ニャンコ ナデナデ



しげにぃ「お、おらのママも美人だども、いちごちゃんも… とっても可愛ええんだどぉ!!」


ちゃちゃのん「これもしげにぃちゃんがくれた、アイドルさん衣装のおかげかのぅ?」ヒラヒラッ


しげにぃ「ししっ… いちごちゃん、本物のアイドルみたいなんだど!!」ヒュッ ヒュー ヒューー(吹けない口笛)


しげにぃ「お、おらの秘蔵のアイドルこれくしょんを… い、いちごちゃんが……」フガガッ


ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、いつかキラキラのアイドルさんになれるじゃろか…?」エヘヘーー


しげにぃ「い、いちごちゃんなら… ぜ、絶対、可愛い アイドル なれるんだどぉ~~!!」ウワーーイ


ちゃちゃのん「しげにぃちゃん……」ジーーン…





しげにぃ「あ… イチゴのアメちゃん、あげるんだど…」ゴソゴソ


ちゃちゃのん「わ~~い!! しげにぃちゃん、ありがと~~♪」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、イチゴのアメちゃん とっても大好きじゃ♪」コロコロ…


ちゃちゃのん「ホイッ!! にゃんちゃんたちにも、おすそ分けじゃ♪」


島にゃんこ「にゃにゃにゃ~~~!!」ベロベロベロッ


ちゃちゃのん「うひゃっ!? ちゃちゃのん舐めても美味しくないんじゃよ~~!!」


ちゃちゃのん「皆にゃぁ、こっちのアメちゃん溶かしたお水なんじゃ♪」ヨシヨシ


島にゃんこ「うにゃ にゃ~~ん」ペロペロ ペロペロ


ちゃちゃのん「ちゃんとしげにぃちゃんに、ありがとうするんじゃよ~~♪」サスサスッ



しげにぃ「ぶししっ… おらって、もしかして 優しい…?」


ちゃちゃのん「うん♪ しげにぃちゃん、とっても優しいんじゃ!!」


しげにぃ「しししっ… もしかして、今のおら とってもかっこいいのかど‥…?」キリッ


ちゃちゃのん「うん♪ とっても かっこええんじゃよぉ!!」


しげにぃ「ししっ ししししししし……」ニッカーーッ


島にゃんこ「…………」ペロペロ




しげにぃ「い、い、い、いちごちゃんは… おっ おらのこと―――」


しげにぃ「す、すすすす… 好きだったり、するのかど……?」ドキドキ


ちゃちゃのん「ほぇ―――?」


ちゃちゃのん「しげにぃちゃん を―――?」キョトン




しげにぃ「い、イチゴ味のアメちゃん… 大好きかど~~~!?」


ちゃちゃのん「うん!! 大好き~~~♪」パクツキッ


しげにぃ「しし! しししっ! お おら、とってもモテモテなんだど~~~」ウェヘヘッ




しげにぃ「し、仕方ないから… いちごちゃんは、おらだけのアイドルにしてあげるんだど…」キリリッ


しげにぃ「お、おらはとっても優しくて かっこいいから、たくさん感謝するといいんだどぉ~~!!」


ちゃちゃのん「ほぇぇ……?」キョトン






しげにぃ「じ、実はおら、アイドル衣装の他に、ブルマーとスクール水着も持ってきたんだど!!」ガサゴソ


しげにぃ「い、いちごちゃんなら、きっとこっちも似合うと思うんだど!!」


しげにぃ「い、今から、秘密のさつえい会するから、早くこっちに着替えるといいんだどぉ~~!!」フンスッ フンスッ


ちゃちゃのん「ほぇぇっ!? これってアイドルさんと関係あるんか?」


しげにぃ「も、もちろんアリアリなんだどぉ~~!!」コクコクッ


ちゃちゃのん「でも、何じゃかちょっぴり恥ずかしぃ気ぃするのぅ……///」ウーーン


しげにぃ「や、優しくて… か、かっこいい… このおらの言うことが 聞けないのかど……?」ジロリッ


ちゃちゃのん「し… しげにぃちゃん……?」ビクッ



しげにぃ「い、いちごちゃん!! さっきおらのこと、確かに大好きって言ったんだどっ!!」


しげにぃ「な、なのに!! 何で おらの言うことに、イチイチ口答えを するんだど!!」


しげにぃ「大好きなおらの言うこと、聞かなきゃダメなんだど!! 逆らったりしたら 絶対に許さないんだどぉ!!」フガー フガーー


島にゃんこ「フニャーーッ!!」


島にゃんこ「クーーーッ!!」





しげにぃ「お、お前ら、うるさいんだど!! ねこのくせに、おらに逆らうのか!!」シッシッ


しげにぃ「は、早くどっかに行くんだどぉ!!」ブンッ ブンッ


島にゃんこ「ニャーーーッ!!」


ちゃちゃのん「にゃんちゃん―――!?」


ちゃちゃのん「しげにぃちゃん、にゃんちゃんたちをイジメちゃ駄目じゃよ!!」


しげにぃ「うるさい! うるさい! うるさいんだどぉ~~!!」


しげにぃ「そうやって、みんなして!! おらのことバカにするんじゃないんだど~~~!!」フーーッ フーーッ


ちゃちゃのん「し、しげにぃちゃん!! どうしちゃったんじゃ!?」ウルウル



しげにぃ「こ この優しくて、かっこいい… お おお おらが―――」


しげにぃ「お着替えさせてあげるから、いちごちゃんは 大人しくしてるんだど……」フーーッ フーーッ


しげにぃ「い、いちごちゃ―――」フーーッ フーーッ








快活な長女さん「どっせ~~~~~~いッ!!」ダッシャーーー


ドッゴ~~~~~ッ!!


しげにぃ「ブッギャ~~~~~~~ッ!!」ドテーーンッ ゴロゴロゴロ…


ちゃちゃのん「~~~~~!?」


ちゃちゃのんに にじり寄る変態野郎の顔面に、あたしの怒りの全力ドロップキックが炸裂―――




ちゃちゃのん「ち… ちーちゃん……?」


快活な長女さん「おい… こんイボイボ まんまる学ラン野郎!!」ザッ ザッ


しげにぃ「あひっ… あひぃーっ な… なななな……」ハナジ ドボドボ…


快活な長女さん「わりゃぁ、こんないたいけな幼女 とっ捕まえてぇ、な~~に晒してくれとんじゃい―――」グィィーーッ


しげにぃ「お お前、何なんだど!! 何なんだど~~~~!!」


快活な長女さん「そりゃ こっちのセリフじゃ、こんボケカス まりもようかんがぁ~~~ッ!!」ボグッ ボグッ ボグゥッ


島にゃんこ「フッシャーーッ!!」ガリガリッ ガジガジッ


狼狽する野郎の顔面に、容赦なく怒りの鉄拳をぶちかます―――


ついでに近くの島ねこたちも、野郎の足を噛じったり 引っ掻いたりし始める―――




しげにぃ「い いたい!! 痛いんだど~~~」ハヒィーーッ ハヒィーーッ


しげにぃ「もぅ ヤメッ―――」ブワワッ



ちゃちゃのん「ちーちゃん、もぅヤメてぇ!!」ガバッ


快活な長女さん「ちゃちゃのん―――」


快活な長女さん「―――何で、こんなクソ野郎を庇っとるんじゃ……?」





ちゃちゃのん「しげにぃちゃん、ホントはとってもええ人なんじゃ!!」


ちゃちゃのん「時々 気が大きくなって変になっちゃうこともあるけど、ホントはとっても優しい人じゃもん!!」


ちゃちゃのん「じゃけぇ酷いこと、しないであげて欲しいんじゃ……」ポロポロッ


しげにぃ「い、いちごちゃん……」ジーーーン



ちゃちゃのん「そうじゃよね、しげにぃちゃん……」ニッコリ


しげにぃ「うぅ… お、おら、何てバカなことをしてしまったんだど……」ポロポロ


しげにぃ「お、おら、いちごちゃんのおかげで、すっかり目が醒めたんだど……」


しげにぃ「―――いちごちゃん… それに島のねこさんたちも、おらが悪かったんだど……」ペッコリ


島にゃんこ「フーーーーッ!!」ガリガリガリ


しげにぃ「あいたたたっ… ど、どうもごめんなさいなんだどぉ~~!!」ペコペコ



快活な長女さん「…………」


快活な長女さん「はぁ… ヤメじゃ、ヤメじゃ… アホくさ……」ポリポリ


ちゃちゃのん「ちーちゃん、ありがとぉ♪」




しげにぃ「お、おら… こ、これからは空き缶を拾ったり、人から感謝されることをして 尊敬される人間になるんだど~~!!」


ちゃちゃのん「しげにぃちゃん、頑張ってのぅ♪」ギュッ


しげにぃ「い、いい、いちごちゃん!! やっぱりいちごちゃんは、お おらだけの天使なんだど~~~!!」フガーーッ ダキツキッ


快活な長女さん「だぁ~~~ッ!!」


ゴッッッッ!!


しげにぃ「あひぃぃ~~!!」ゴロゴロ…


しげにぃ「はっ!? お おら、いったい 何を―――!?」キョロ キョロ


快活な長女さん「も~~ イヤじゃっ… こいつ……」






【鹿老渡 沿岸】


ザザザザーーーン


快活な長女さん「ほんで、さっきのトゲトゲは いったい何だったんじゃ?」スタスタ


ちゃちゃのん「さっきのって、しげにぃちゃん―――?」テクテク


ちゃちゃのん「しげにぃちゃんは毎年こん時期になると、ヤング婆ちゃんとこに帰省しちょる 近所のお兄ちゃんじゃ!!」


快活な長女さん「ヤング婆ちゃん―――どっちじゃよ……」


ちゃちゃのん「ヤング婆ちゃんは、ヤング婆ちゃんじゃよ~~」




快活な長女さん「ほんで、結構 前からの知り合いなん?」


ちゃちゃのん「昔から人見知りで、年の近い友達おらんかった―――」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのんにも優しくしてくれた、とっても大好きなお兄ちゃんじゃ♪」


快活な長女さん「大好き―――?」


ちゃちゃのん「うん♪ いつも いちごのぺろぺろアメちゃんくれるけぇ、とっても大好きじゃ♪」ヘヘッ


快活な長女さん「……………」



人見知りなくせに、とっても寂しがりで 人恋しくて―――


警戒心強いわりにゃぁ、ちょっと優しくされるとすぐ 懐いてまう単純思考―――



アタシが出会った初恋の天使は、アタシが思っとった以上にアホの子じゃった――――






快活な長女さん「ちゃちゃのん。 これまでアイツに妙ちくりんなこととか、されとらんじゃろうな?」


ちゃちゃのん「ほぇ… 妙ちくりんなこと―――?」パチクリッ


快活な長女さん「そ、その… さっきみたいな、変なことゆーか……///」


ちゃちゃのん「しげにぃちゃん、時々 さっきみたいに強引なトコもあるんじゃが―――」


快活な長女さん「あるんか!!」


ちゃちゃのん「あ、うぅん!? さっきみたいなしげにぃちゃんの持ってくる衣装を着ての撮影会とか、そんくらいのことじゃよ~~」パタパタ


快活な長女さん「あの変態… やっぱもっと どついときゃ良かったんじゃ…」


ちゃちゃのん「もぅ… 暴力は駄目じゃよ~~~」




ちゃちゃのん「ほんでもしげにぃちゃんは、ちゃちゃのんの夢―――」


ちゃちゃのん「いっぱい応援してくれちょるけぇ、やっぱり優しいお兄ちゃんじゃよ…」


快活な長女さん「そういや、ちゃちゃのんの夢って―――?」


ちゃちゃのん「へへっ… ちょっと照れくさいのぅ……」モジモジ








快活な長女さん「―――そっか、ちゃちゃのんの夢は、アイドルだったんじゃな。」


ちゃちゃのん「うん。 ちゃちゃのん、いつか夢に見た―――キラキラなアイドルさんになることが夢なんじゃ…///」ヘヘッ


快活な長女さん「――――なるほどのぅ……」


ちゃちゃのん「おょ… あんまり驚かんのじゃね……?」


快活な長女さん「あぁ… そういや、そうじゃな……」



ちゃちゃのん「もしかして、こん話 婆っちゃたちから聞いちょった…?」


快活な長女さん「いや、初耳じゃよ……」


ちゃちゃのん「反応うっすぅ……」ショボーーン





快活な長女さん「ほんで、ちゃちゃのんはプロの雀士には ならんでええん?」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのんはプロの麻雀の人にも、絶対なるんじゃよぉ!!」


快活な長女さん「んっ!? 両方―――?」


ちゃちゃのん「だ、駄目じゃろか……?」


快活な長女さん「そうじゃのぅ……」



快活な長女さん「ちゃちゃのんなら、きっとなれるじゃろ!!」


ちゃちゃのん「そ、そうかのぅ!! ちゃちゃのん、なれるかのぅ?」


快活な長女さん「もちろん大事なんは、こっからの頑張り次第じゃ思うが―――」


快活な長女さん「アタシも応援したるけぇ、とりあえず今 出来ることから頑張ってみたらええじゃろ!!」ポンポン


ちゃちゃのん「うん、ちゃちゃのん頑張るんじゃ!!」グッ



ちゃちゃのんのアイドルになるゆー夢を聞いたんは、たぶんこの時が最初じゃったと思うが―――


出会ったその瞬間から彼女はアタシにとっての特別じゃったけぇ、その話を聞いた時もアタシはどこか納得いったとゆー感じじゃった。






ちゃちゃのん「そういえば、今日はちーちゃん一人なんじゃね。 もしかして、お散歩中じゃった?」


快活な長女さん「そうなんじゃよ。今日はよーも、しーも用事あるゆーとったけぇ、たまにゃぁ 一人で島の散策でもと思っての…」


ちゃちゃのん「―――その持っちょるんは、スケッチブック?」


快活な長女さん「あぁ、うん。 海とか山とか、田舎の風景とか、そういうのスケッチするのが好きなんじゃよ…」


快活な長女さん「まぁ、ちょっとした趣味みたいなもんじゃな…」


ちゃちゃのん「ほぇ~~ とっても素敵な趣味じゃの♪」


快活な長女さん「普段やかましい奴らに囲まれとるせいかのぅ、時々一人でのんびりした時間を過ごしたくなるんじゃよ…」カカッ


ちゃちゃのん「ちーちゃんの絵、見せてもらってもええかのぅ?」


快活な長女さん「ま~~ 別に構わんけど―――」


快活な長女さん「ちぃーとばかし、照れくさいのぅ……///」




ちゃちゃのん「ちーちゃん、こーいう絵を描くんじゃね~~♪」ペラッ


ちゃちゃのん「優しくて、とってもぬくくて、なんじゃか心がぽかぽかしてくるんじゃ―――」


快活な長女さん「いやいや、そない大層なもんでもないじゃろ!!」


ちゃちゃのん「このお花の絵とかも、ちゃちゃのんとっても好きじゃよ♪」


快活な長女さん「あぁ、アイリスの絵じゃな。 菖蒲の仲間なんじゃが―――」


快活な長女さん「このジャーマンアイリスは花びらごとに色が違ったりして、虹の花・レインボーフラワーなんて呼ばれたりもするそうじゃ」


ちゃちゃのん「花びらごとに色が違うなんて、不思議じゃの~~」フムーー





ちゃちゃのん「ほんで、何かちーちゃんが描きたいものは見つかったんか?」


快活な長女さん「謎壁画と首実検の奇妙スポットなら見つけたんじゃがの~~」


ちゃちゃのん「あははっ、あそこ行ったんじゃね~~♪」




ちゃちゃのん「そうじゃ!! もし良かったら、この後 ちぃーと付き合ってもらってもええじゃろか…?」


快活な長女さん「そりゃぁ… これといった用事もないけぇ、全然 構わんのじゃが――」


快活な長女さん「どっか、ええトコの心当たりでもあるんか?」


ちゃちゃのん「へへっ、それは着いてからのお楽しみじゃよ~~♪」ルンルン


快活な長女さん「そいつぁ 楽しみじゃ!!」




ちゃちゃのんと二人 連れだって歩いとると、白く大きな建物とグラウンドが横目に映った。


快活な長女さん「あの建物って、確か例の小学校じゃよね…」


ちゃちゃのん「うん。 だいぶ前に閉校しちゃった、鹿老渡小学校じゃ。」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのんは倉橋の小学校に通っとるんじゃが、一応 今でも災害なんかあった時の避難場所には なっちょるんじゃよ。」


快活な長女さん「ここが、鹿老渡小学校―――」


ちゃちゃのん「本当じゃったら、ちゃちゃのんもここに通っとったんかの……」


子どもたちの気配の消え失せた白く大きな建物、本来の役割を終えた その姿が少し物悲しく感じられた―――





ミーーン ミンミン…

快活な長女さん「ちゃちゃのんさ~ もう山の中なんじゃが、どこまで行くんじゃ?」


ちゃちゃのん「へへっ、もうちょっとで着くんじゃよ~~」ザク ザク


快活な長女さん「そういや、島のこっち側にゃぁ まだ来たことなかったの…」ザック ザック…


胡子神社に荒神社、鹿老渡小学校の跡地を抜け、アタシたちは島の東側にある山の中を歩いとった。




快活な長女さん「そういや… この島って小っさいのも多いが、神社とかお寺さん結構あるんじゃな…」


快活な長女さん「ちゃちゃのんと初めて遊んだ、あの高台にあった伊勢の社もそうじゃったの―――」




ヒュゥゥゥ…

快活な長女さん「―――――!?」


薄暗い山道を抜け 明るく開けた場所へ出たところで、とても気持ちの良い海風がアタシたちの間を通り抜けた。


次の瞬間、アタシの視界全体に広がったのは 小高い丘と海との間の斜面いっぱいに広がる 太陽の花 ひまわり―――




快活な長女さん「おぉ… こいつぁ、凄いの……」


ちゃちゃのん「うん。 海辺のひまわり畑じゃよ―――」



常に潮風にさらされ続けることとなる、厳しい環境を ものともせず


そのひまわり達は、太陽に向かって その大輪の花を元気いっぱいに咲かせとった―――





ヒュゥゥゥ… バサバサッ

ちゃちゃのん「大丈夫―――?」


快活な長女さん「―――ちぃーと風があるようじゃが、ま~ 特に問題はないじゃろ…」シャッ シャッ


視界いっぱいに広がるひまわり畑と美しい鹿老渡の海をスケッチブックに描き写す―――




ちゃちゃのん「ほぇ~~ そうやって描くんじゃねぇ~~」ジロジロ ジーー


快活な長女さん「ちょっ!? そんな間近でじっくり覗き込まれると、流石に少し恥ずいんじゃ―――」


ちゃちゃのん「あぁっ、そうじゃよね!? ちゃちゃのん、反省じゃ……」


快活な長女さん(―――何か、ぶちええ匂いしたんじゃ……)ドキドキ




ちゃちゃのん「ちーちゃんは、ひまわり 好きかの?」


快活な長女さん「うん、大好きじゃよ。 何か ひまわりって、見とるうちに元気 貰える気ぃするけぇ」


ちゃちゃのん「うんうん、何かそんな感じ♪ お日さんの匂いでいっぱいじゃ!!」スンスンッ


快活な長女さん「ふふっ… 確かに―――」






ちゃちゃのん「妹のよーちゃんって、いつも元気いっぱいで ひまわりみたいな子じゃよねぇ」


快活な長女さん「そうじゃのぅ―――」


快活な長女さん「アレは太陽の子、元気の塊じゃけぇ―――アタシらもよぅ元気 貰っとるわ…」フフッ


快活な長女さん「ま~~ ドが付くアホぅじゃけぇ、いっぱい迷惑もかけられとるがのぅ……」


ちゃちゃのん「ありゃ~~~」


ちゃちゃのん・快活な長女さん「「ふふっ… あははは……♪」」




ちゃちゃのん「ちなみに、しーちゃんをお花に例えるとなんじゃろね?」


快活な長女さん「しーはのぅ―――」


快活な長女さん「こまくって、純粋で、ちぃーとばかし毒っぽいトコなんかは、『鈴蘭の花』と言ったところかのぅ―――」


ちゃちゃのん「そっかぁ、スズランのぅ… 雪みたいに真っ白で、可愛らしゅーて、しーちゃんにぴったりじゃね♪」


快活な長女さん「最近は毒が強ぅなりすぎて、ちぃーとばかし腐り始めとるよーじゃがの…」


ちゃちゃのん「ふぇぇ… 腐る……?」


快活な長女さん「はは… ちゃちゃのんは知らんでええ世界じゃな……」トオイメ…







【同日 鹿老渡・儚げな少女宅――】


しっかりものの妹ちゃん「ふおぉぉぉ~~~~!!」


しっかりものの妹ちゃん「ゆ、ゆー姉ぇぇ~~ まさか、これは~~ッ!!」


儚げな少女「むふふっ… 流石は同志しーさん。 よくぞ気がついて下さいました―――」キュピーーン


しっかりものの妹ちゃん「去年のお祭りでも長蛇の列からの圧倒的 売り切れ―――」


しっかりものの妹ちゃん「ネット上でもはぐれメタル状態になって久しい 幻の一冊……」


しっかりものの妹ちゃん「男の娘×男の娘という新機軸の最高峰『スズランの蕾――』やないか~~~!!」ドーーン


儚げな少女「まさしく、ですわ―――」クフフ…




しっかりものの妹ちゃん「そ、そして、こっちは―――!?」


しっかりものの妹ちゃん「その正当続編でもある、最新作… 悲恋『スノードロップの慰め――』」ガタガタ ブルブル


儚げな少女「スノードロップ(雪のしずく)には『希望』や『慰め』と言った素敵な花言葉がある一方、『あなたの死を望みます』と言った不吉な花言葉もあると誤解されていますの」


儚げな少女「それはイギリスのある農村地域の『ケガで亡くなった恋人の体にスノードロップをそっと置くと、彼は雪のしずくになってしまった――』という悲しい言い伝えがあるためだそうですけれど―――」


儚げな少女「これはその不吉な誤った花言葉をモチーフとした、禁断の愛の物語なのですわ―――」


しっかりものの妹ちゃん「ゆーちょることは よ~~分らんが、とにかく最高なんじゃ~~~~!!」ヒャッホーーー





しっかりものの妹ちゃん「ホンで、ゆーお姉さま!!」


しっかりものの妹ちゃん「コレは一体、どうやってゲットしたんじゃ!?」


儚げな少女「入手方法は企業秘密ですけれど、しーさんがこちら側だということを伺いましたので―――」フフッ


儚げな少女「昨日、何とか2冊目を手に入れたところなのですわ!!」


しっかりものの妹ちゃん「に、2冊……だと……?」ジュルリッ



儚げな少女「えぇ、これは私からのささやかながらの贈り物ですわ」ニッコリ


しっかりものの妹ちゃん「あぁ… マリアさまじゃ…… 聖母マリアさまが、ご降臨なされたんじゃ―――」ハハーー


儚げな少女「今年のお祭りも近いですわ。 今から気力を蓄えておかないと……」ムフフ…


しっかりものの妹ちゃん「ゆー姉… 病気療養中なのでは……?」


儚げな少女「細かいことを気にしてはいけませんわ。 さぁ、今日は心ゆくまで 読書に耽るとしましょう!!」


しっかりものの妹ちゃん「ガッテンじゃ!!」ビシッ







ザザザザーーーン


快活な長女さん「の~ ちゃちゃのん、海の向こうにうっすらと陸みたいなもんが見えるんじゃが―――」


ちゃちゃのん「ありゃ~ 忽那諸島(くつなしょとう)の中島かの~~」


ちゃちゃのん「島全体にみかん畑がいっぱいあって、夏にゃぁトライアスロンの大会なんかもやっとるそうじゃ」


快活な長女さん「てことは、あっちの方が四国になるんかの?」


ちゃちゃのん「うん。 ちょっと見えづらいんじゃが、あっちの方に見える島影が愛媛じゃね―――」


快活な長女さん「へ~~ 鹿老渡から四国って見えるんじゃな…」


ちゃちゃのん「瀬戸内を挟んだ、お隣さんじゃしね―――」




快活な長女さん「瀬戸内海にゃぁ、他にも色んな島があるんじゃろ?」


ちゃちゃのん「そうじゃの~~ 近いトコでゆーと、海軍兵学校のあった江田島や、厳島神社のある宮島なんかはとっても有名かの~」


ちゃちゃのん「後は猫と灯台で有名な男木島、桃太郎の鬼ヶ島伝説のある女木島、ひょっこりひょうたん島のモデルにもなったっちゅ~ ひょうたん島」


ちゃちゃのん「いっぱいのオリーブ畑とエンジェルロードがロマンチックな小豆島に、歴史的な町並みが見どころな本島、村上水軍でも有名な因島―――」


ちゃちゃのん「他にも直島や豊島、大島、淡路島に粟島とか、瀬戸内の島はどこも景色が綺麗じゃし、映画やドラマの舞台になった島なんかも いっぱいあるそうじゃよ―――」





快活な長女さん「確か、野うさぎで有名な島ってあったじゃろ?」


ちゃちゃのん「あ~~ うん… 竹原の大久野島のことかの―――」


ちゃちゃのん「うさぎと毒ガスの島 言われとって、地図から消された島としても有名じゃね―――」


快活な長女さん「おぉぅ… 何じゃか、随分と物騒な話じゃのぅ……」


ちゃちゃのん「もちろん今よりもずっと昔のことなんじゃが、そん島じゃぁ軍によって たくさんの毒ガスの製造、保管が行われとったそうでの―――」


ちゃちゃのん「軍の機密ゆーことで、そん島の存在は長い間 隠され、地図の上からも 消されてきたゆー話じゃな……」



ちゃちゃのん「そーゆーいきさつのあった島じゃけぇ、今ではそんな悲しい出来事をずっと忘れないために毒ガスの資料館が建てられ―――」


ちゃちゃのん「可愛いウサちゃんたちとたくさん触れ合える、癒しと平和に彩られた うさぎの楽園になったっちゅーわけじゃな!!」


快活な長女さん「なるほどの~~」




快活な長女さん「ほんで… そのうさぎたちって、もしかすっと そん時の毒ガス実験で使われとったゆー いわくのある―――」


ちゃちゃのん「いやいやいや!! そんなことはないけぇ!!」


ちゃちゃのん「それとこれとは、まったくもって別の話じゃけぇ!!」ブンブンッ


快活な長女さん「―――なぜ、そないに必死なんじゃ……」


ちゃちゃのん「…………」



ちゃちゃのん「えへへっ…」ニコッ


快活な長女さん「何か怖いから!! そのエンジェルスマイル!!」ヤメヨッ






ちゃちゃのん「確かに… そんな怖い噂話も あったみたいじゃが―――」コホンッ


ちゃちゃのん「実際にゃぁ、そんなことは ちっともないみたいじゃよ…」


快活な長女さん「あ、そうなん…?」



ちゃちゃのん「うん。島におる うさちゃんたちは、戦争の後に地元の小学校で飼われとった8羽がいつの間にか野生化して―――」


ちゃちゃのん「それが増えに増えて、今では1000羽を超えるくらいにまで増えたっちゅーのが真相みたいじゃな……」


快活な長女さん「うさぎの繁殖力、ハンパね~~~」


ちゃちゃのん「ほ、ほうじゃね……」



快活な長女さん「可愛い見た目して、うさぎの性欲はマジでヤバいってゆーしのぅ…」


ちゃちゃのん「…………」


快活な長女さん「うさぎのオスは絶倫、うさぎのメスは常に妊娠したがっちょる ゆーしのぅ……」


ちゃちゃのん「…………///」





快活な長女さん「常に捕食される側の、か弱い生き物じぇけぇ。 うさぎはたくさんの子どもを産むことで、絶滅の危機を免れてきたゆーわけじゃな―――」


ちゃちゃのん「この話は、もぅおしまいじゃ!!」


快活な長女さん「そうなん? まだもぅ少し ええじゃろ―――?」


ちゃちゃのん「しまいじゃ、しまい!!」


快活な長女さん「カッカッカッ!! ちゃちゃのんは、照れ屋さんじゃの~~~!!」


ちゃちゃのん「…………////」マッカッカ




快活な長女さん「それんしても、随分と島のこと詳しいんじゃな。」


ちゃちゃのん「あ、ちゃちゃのん… 竹原とは何かと縁があったけぇ……」


ちゃちゃのん「そん時に、大久野島にも行ったことがあるんじゃよ―――」


快活な長女さん「ほ~~ 縁、ゆーと……?」




ちゃちゃのん「竹原は、お父さんが生まれ育った街なんじゃ……」


ちゃちゃのん「そんで、ちゃちゃのんもな……」


ちゃちゃのん「お父さんに連れられて、何度か遊びに行ったことがあるらしいんじゃ―――」


快活な長女さん「ほぅほぅ……」



ちゃちゃのんが、大好きな婆ちゃん以外の家族の話をするのは 珍しいなと―――


ちゃちゃのんの話を聞きながら、何となく そんなことを思った―――






快活な長女さん「ちゃちゃのんの そん頃の話、もちっと聞いてみたいかのぅ…」


ちゃちゃのん「ほぇっ!? そんな話がええのん…?」


快活な長女さん「ま~~ 何となくじゃが―――」


快活な長女さん「ちゃちゃのんがイヤゆーなら、もちろん無理にとは言わんがの……」


ちゃちゃのん「―――別に、イヤではないんじゃが……」


快活な長女さん(イヤではないけど、あまりしたい話題でもないんかの……)




快活な長女さん「あぁ、えぇよ、えぇよ!! やっぱさっきのナシじゃ、ナシ!!」


ちゃちゃのん「ほぇぇっ―――!?」


快活な長女さん「よくよく考えると、あんま興味なかったけぇ!!」カッカッカ


ちゃちゃのん「そ、それはそれでちぃーと失礼な話じゃの…」ムゥ…


快活な長女さん「ま~~ 細かいこたぁええじゃろ!!」ポンポン




ちゃちゃのん「―――ちーちゃん、ありがと~~の……」


快活な長女さん「ん―――?」


ちゃちゃのん「何か、気ぃ使ってくれたっぽいけぇ……///」ヘヘッ


快活な長女さん「……………」


ポカッ


ちゃちゃのん「あいたぁーーっ!!」


ちゃちゃのん「何で、今 叩いたん―――?」ナミダメ


快活な長女さん「あ… イヤ…… 何でじゃろ……?」ツイ…







ちゃちゃのん「ちゃちゃのんな―――」


ちゃちゃのん「あの頃のことで、一つだけ よぅ思い出すことがあるんじゃ―――」


快活な長女さん(あ… 結局、話してくれるんじゃな……)




ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、ちっちゃい頃に竹原港から大崎下島の御手洗(みたらい)まで 家族で旅行をしたことがあったらしいんじゃが―――」


快活な長女さん「今でも充分 ちっさいじゃろ……」


ちゃちゃのん「今よりも、もっともっと ちっちゃい頃の話じゃよぉ…」ブーー


快活な長女さん「冗談じゃよ、冗談!! 御手洗ゆーと―――」


ちゃちゃのん「お、お手洗いじゃないけぇ!!」


快活な長女さん「まだ何もゆーとらんじゃろ……」


ちゃちゃのん「ほいじゃが、絶対 ゆーつもりじゃったろ……?」ジーー


快活な長女さん「ま~~の!!」カッカッカ


ちゃちゃのん「んもぅ……」






ちゃちゃのん「大崎下島の御手洗は鹿老渡と同じで、潮待ちの港として栄えた 港町なんじゃが―――」


ちゃちゃのん「そこの名所 歴史の見える丘公園で、ちゃちゃのん 迷子になってしまったことがあるそうなんじゃ……」


快活な長女さん「ん、よう覚えとらんの…?」


ちゃちゃのん「うん… その頃のことは―――」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、あまりよぅ覚えちょらんのじゃ……」


快活な長女さん「ま~~ ちっさい頃の話じゃしのぅ…」


ちゃちゃのん「うん………」




ちゃちゃのん「ただその時 一人の女の子に親切にしてもらったことは、今でも何となくじゃが思い出すことがあるんじゃ―――」


快活な長女さん「それって、どんな子だったんじゃ?」


ちゃちゃのん「綺麗な長い黒髪をした、物静かな印象の女の子じゃったかのぅ……」


ちゃちゃのん「その子は迷子になって泣きじゃくるちゃちゃのんに少し慌てながらも、絵本を読んでくれたり、楽しいお姫さまの物語を聞かせてくれたり―――」


ちゃちゃのん「そうやってお父さんがちゃちゃのん 見つけてくれるまで、一緒におってくれたんじゃ―――」





快活な長女さん「その子ってさ、ちゃちゃのんのともだち―――?」


ちゃちゃのん「ほぇぇっ!? ともだち―――!?」


快活な長女さん「いや… 何となくじゃが、そうなんじゃろかって―――」


ちゃちゃのん「えと、たぶん… そういうのとは、ちょっと違う気がするんじゃ―――」


快活な長女さん「そうなん……?」




ちゃちゃのん「ん…… 何となく、そう思うとしか言えないんじゃが―――」


ちゃちゃのん「会ったのも、その一度きりじゃったし……」


ちゃちゃのん「たぶん あの子にとって、あの日のことは 特別ではなかったと思うけぇ―――」


快活な長女さん(―――特別のぅ……)





ちゃちゃのん「ほんでも、ちゃちゃのんは―――」


ちゃちゃのん「あの日のことを とっても感謝しちょるけぇ、それでええ 思っとるんじゃ…」


快活な長女さん「ま… ちゃちゃのんがそう思うんじゃったら、きっとそうなんじゃろう!!」


ちゃちゃのん「うん……」



ちゃちゃのん「その子とまた出会えた時にゃぁ、今度はちゃんとお礼を言いたいって思っちょるんじゃ!!」


快活な長女さん「お礼、言えるとええね……」


ちゃちゃのん「そうじゃねぇ~~」ヘヘッ




ちゃちゃのん「な、なんじゃか… いつの間にか、妙な話になってしもうたの~~」テレッ


快活な長女さん「ちゃちゃのんが、昔っからボンヤリしとったゆーことがよぅ分かったんじゃ!!」カカッ


ちゃちゃのん「うぅっ… 否定したいけど、出来んのが悔しい……」


快活な長女さん「そうやって、しょっちゅう迷子になっては親父さん 困らせとったんじゃろうな!!」


ちゃちゃのん「んもぅ… その話はもぅええじゃろ……」







快活な長女さん「おっしゃ、こんなモンじゃろ!!」


小高い丘に広がるひまわり畑と、青く澄みきった鹿老渡の空と海をスケッチブックに描き終え 一息つくアタシ―――




ちゃちゃのん「ほぇ~~ ちーちゃん、ホンに絵ぇ描くん得意なんじゃね~~」


ちゃちゃのん「とっても 上手いんじゃ……」


快活な長女さん「ま~~ こん程度の風景画なら、誰だって ちぃーと練習すりゃ描けっようなんじゃろ。」


ちゃちゃのん「ん~~ん、そんなことはないけぇ――」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、ちーちゃんの このひまわり畑の絵 とっても大好きじゃよ♪」


快活な長女さん「そっか… じゃったら、こん絵は彩色まで仕上げ終えたら、ちゃちゃのんにあげるんじゃ!!」


ちゃちゃのん「ええの……?」




快活な長女さん「アタシの絵を褒めてくれたお礼じゃけぇ―――」


ちゃちゃのん「えへへ、ちーちゃん、ど~~も ありがと~~の♪」ニコッ


快活な長女さん「―――――///」


ちゃちゃのん「ちーちゃん……?」


快活な長女さん「いんや、何でもないんじゃ―――」


ちゃちゃのん「ほぇぇ…?」




快活な長女さん「それんしても、ここはホンにええトコじゃな…」ゴロンッ


ちゃちゃのん「ほうじゃろ、ほうじゃろ―――♪」ヨイショ


ちゃちゃのん「ここはとっても気持ちええ風が吹きよるけぇ、いつまでもこうしてたくなるんじゃ……」



優しい風がひまわり畑を通り 海岸線へと吹き抜ける、なだらかな丘の上―――


アタシたちは緑の絨毯に背をあずけ、どこまでも広がる青く澄みきった空を見上げながら 過ぎゆく時の流れを楽しんだ。







それから数日―――


アタシたちはいつものように顔を合わせては麻雀をする、そんな楽しくも変わらない日々を過ごしとった―――



しっかりものの妹ちゃん「だ~~!! もちぃーとシャッキリやらんかいッ!!」バンッ


陽気な妹ちゃん「イ~~ヤ~~じゃ~~~!! 」ブンブンッ


陽気な妹ちゃん「せっかくの夏休みに勉強とか、正気の沙汰じゃないけぇ―――」


しっかりものの妹ちゃん「やかましい!! 休みじゃけぇ、宿題があるんじゃろうが!!」


しっかりものの妹ちゃん「おとんから、アンタに宿題させるようキツく言われとるんじゃ!!」


陽気な妹ちゃん「夏休みはまだあるんじゃけぇ、別に今やらんでもええじゃろ~~」


しっかりものの妹ちゃん「そうゆーて、よーはいつぃき サボりよろ~~が!!」


陽気な妹ちゃん「むぅ~~~~~」


しっかりものの妹ちゃん「今日はちゃちゃのんも ゆー姉も用事があって来られんゆーとったけぇ、えぇ機会じゃろ!!」ホレホレッ


陽気な妹ちゃん「用事ってなんじゃ!!」


しっかりものの妹ちゃん「ちゃちゃのんは、夏休みの登校日じゃけぇ 遊べんゆーとったし―――」


しっかりものの妹ちゃん「ゆー姉も定期健診で今日から暫くの間は、実家から病院通いするってゆーとったじゃろ―――」




しっかりものの妹ちゃん「分かったら勉強じゃ、勉強ッ!!」


陽気な妹ちゃん「ボク 昆虫採集とセミ捕りで忙しいけぇ、勉強はまた今度にするんじゃ!!」ダッ


しっかりものの妹ちゃん「まて~~いッ!!」ガッシッ!!


しっかりものの妹ちゃん「それはいつぃき やっとろうが!! 今日は部屋で大人しゅ~ 勉強じゃ!!」


陽気な妹ちゃん「しーの裏切りモ~~ン!!」バタバタッ


しっかりものの妹ちゃん「知らんわ!! 自分に勉強させにゃぁ、アタシがおとんに沈められっじゃろ!!」


陽気な妹ちゃん「しーの鬼! 鬼! 鬼! 鬼! 鬼~~~ッ!!」


しっかりものの妹ちゃん「よーのアホ! アホ! アホ! アホ! アホ~~~ッ!!」



快活な長女さん「世は並べて事もなし―――」カキカキ


快活な長女さん「今日も平和じゃのぅ……」シャッ シャッ


快活な長女さん(そういや、今日は登校日ゆーとったが―――)


快活な長女さん(今頃 ちゃちゃのん、何をしとるんじゃろ―――?)


陽気な妹ちゃん・しっかりものの妹ちゃん「「ちーねぇ(姉)も 絵ばっか描いとらんで、コイツに何か言ってやって欲しいんじゃ!!」」ギャーギャー


快活な長女さん「え"え"っ!! 何でアタシが―――!?」







【倉橋島 とある小学校―――】


バシャバシャ キャハハッ キャッ キャッ…


男性教師「おら~~ お前ら、遊んでばっかおらんで 碁石を拾え! 碁石を~~!!」


男性教師「こら佐々野ォ!! お前まだ一つも拾えとらんじゃないか!! 何をやっとるんじゃぁ!!」


いちご「」ビクッ


いちご「ご、ごめんなさぃ… なんじゃ……」


男性教師「そう思うなら、いつまでもプールサイドで縮こまっとらんで、早よプールに潜らんか!!」


男子生徒1「先生~~!! 佐々野さんは水がおっかの~~て、プールに入れないんじゃよ!!」


女子生徒1「いちごちゃんはうんちじゃけぇ、しゃーないわ!!」キャハハッ


いちご「…………」シュン…



男性教師「水が苦手なら苦手で、水に慣れる努力すっとか やれっこともあろーに―――」チャポン


男性教師「ホレ… 先生が身体ぁ 支えとってやるけぇ、まずは水に浸かるトコから始めればえーがの!!」


男子生徒2「先生~~ それ確実に逮捕されるヤツ~~~」


女子生徒2「何か目つき いやらしい~~~」キモッ


男性教師「ア、アホッ!! 人聞きの悪いことをゆーんじゃない!!」





男子生徒1「じゃけぇ、いちごちゃんのスク水姿はサイコーじゃ~~ 思うわ!!」


男子生徒2「それな~~!! それだけがプールの日の楽しみじゃけぇ!!」


男子生徒3「いちごちゃ~~ん、こっち向いて~~~♪」ヒューヒューー


いちご「あ… えと……////」モジモジ



女子生徒1「うわっ… また出たんじゃ、男子の佐々野さん贔屓……」チッ


女子生徒2「ちぃーとばかし うちらより可愛え思ーて、ええ気になっちょるんじゃ……」


男子生徒1「ちぃーとばかし~~? 自分らプールに映る自分のツラぁ、よー見てからモノ言えや~~!!」


女子生徒2「はぁ~~ アンタ喧嘩 売ってんの~~~!!」


男性教師「コラ、お前ら~~!! 今 授業中って分かっとんのか~~~!!」


いちご「…………」




イヤじゃな―――


無神経な男子たちの視線、先生の大きな怒鳴り声―――


女子たちの冷ややかな視線、ぶつけられる重たくて黒い感情―――


こん場所におると、ちゃちゃのんはちゃちゃのんでは居られなくなってしまうけぇ――――






キーーン コーーン カーーン コーーーーン


男性教師「よし! これで今日の登校日は終了じゃ!!」


男性教師「各自 着替えが済んだら、真っすぐ寄り道とかせんで 帰るんじゃぞ!!」


生徒たち「「は~~~い!!」」



男子生徒1「は~~ 終わった 終わった…」


男子生徒2「こっからどうする? ゲーセンでも寄ってく?」


女子生徒1「着替え直して、呉の方まで買い物 行こうぜ~~」


女子生徒2「了解~~♪」


ワイワイ ガヤガヤ…




いちご「…………」


男性教師「佐々野、自分はこの後 居残り練習じゃ―――」ガッシ…


いちご「ひゃぅっ―――!?」ビクッ


男性教師「島人のクセに水が苦手じゃ、何かと困るじゃろ―――」


男性教師「今日は自分が泳げるようになるまで、先生が付き合ってやるけぇ 感謝するんじゃぞ―――」


いちご「あ、ありがとぅ… ございます……」シュン…


女子生徒3「セクハラ教師、マジ引くわ~~~」





男子生徒4「先生~~!! 俺も泳げないんで、コーチお願いしま~~す!!」


男性教師「あ~~ 今日は佐々野の指導が優先じゃけぇ、自分はまた今度じゃ―――」


男性教師「ていうか、自分 確か泳ぎ得意じゃったよなぁ―――」


男子生徒4「あれあれ~~ もしかして、俺がいると お邪魔だったりします~~~?」


女子生徒3「マジ引くわ~~~」クスクス


男性教師「バッ、バカな事 言うんじゃない!!」


男性教師「―――分かった、分かった。 残りたいなら勝手にせい!!」チッ


男子生徒4「あざーーす!!」




男子生徒4「佐々野さん、ヨロシク~~♪」


いちご「う、うん……」


男子生徒4「佐々野さんだけだと、何か心配だったからさ―――」ヒソヒソ…


いちご「あ、ありがとぅ………」ホッ…






バシャ バシャ

男性教師「先生が溺れないよう、身体で抱きとめてやるけぇ―――」


男性教師「佐々野もいつまでもビビッとらんで、早よ プールに飛び込まんかぁ!!」ヘイ、カモーーン!!


いちご「…………」フルフル


男性教師「そうやって固まとっても、ど~にも ならんじゃろ!!」


男性教師「最初は怖いかもしれんけぇ、勇気を出して 早ぅ飛び込まんかぁ~~!!」ガッシ


いちご「うっ、うひゃぁぁ~~ッ!! 足、足を引っ張らんでぇ~~~ッ!!」ナミダメ


男子生徒4「先生~~ 佐々野さん、マジで心底 嫌がってますよ~~~!!」


男性教師「だ~~ お前、うっさい!!」




ミーーン ミンミンミン…

男性教師「ま~~ 今日はこんなもんじゃろ、お前ら後片付けして さっさと帰るんじゃぞ!!」ペタペタ


男子生徒4「ほ~~い!!」


いちご「はぁ………」ヤット オワッタンジャ…



男子生徒4「あ、佐々野さん。 この後、ちょっと時間いい……?」


いちご「…………」








【倉橋島 とある小学校―――】



男子生徒4「実は俺さ…… 前からずっと、佐々野さんのこと良いなって思っててさ―――」


男子生徒4「佐々野さんさ、俺と付き合ってよ――――」


いちご「……………」




男子生徒4「佐々野さん、クラスのブスどもから苛められてるだろ…」


男子生徒4「アイツら、佐々野さんが可愛いからって 露骨な嫉妬とかしてんじゃね~~っつの……」


男子生徒4「それにクラスのバカ男子どもとか、あの変態クソ教師からも、何かいつもエロい目で見られてるっぽいじゃん!!」


いちご「……………」



男子生徒4「だったらさ―――」


男子生徒4「俺と付き合ってるってことにすりゃ良いと思うんだ!!」


男子生徒4「俺だったら、佐々野さんのこと守ってやれると思うんだよね―――」




ミーーン ミーーン


いちご「えと… その……」フルフル


男子生徒4「ん、何……?」


いちご「ちゃちゃ… うちは、その………」ジワァ…






いちご「その… そのぅ……」ポロポロ…


いちご「ぐすっ… ひっく………」グスグス…


男子生徒4「げっ、マジかよ… 本当に泣きだしちまったよ……」


男子生徒1「うわぁ~~ コイツ、いちごちゃんのこと泣かせとるわぁ!!」ガサガサッ


いちご「――――ひっ!?」ビクゥッ



男子生徒2「ぎゃははっ!! 自分、ホンマ サイテーじゃのぅ!!」


男子生徒3「いえ~~ぃ!! 俺たちの大勝利~~~!!」


男子生徒4「うっせぇよ!! 大体、出てくんのが 早ぇ~んだよ お前らはよ~~」チェッ


いちご「…………?」



男子生徒1「ゴメンのぅ、いちごちゃ~~ん!!」ポンッ


いちご「」ビクッ


男子生徒1「いちごちゃん、告白されっとすぐ泣いちゃうじゃろ―――」


男子生徒1「じゃけぇ、このイケメン気取りが いちごちゃんのこと落とせるとか言いよるけぇ―――」


男子生徒2「―――告白した後に泣かれっかどうか、ちぃーとばかし賭けをしとったんじゃよ!!」


男子生徒4「ま~~ そうなんだけど…… さっき言ったこと自体に嘘はね~~かんな……」チェッ


いちご「えと… その……」グスッ





男子生徒2「それはさておき、まだしっとり濡れスケな いちごちゃんのスク水姿―――」ハァハァ…


男子生徒3「ほんのり残る塩素臭と、いちごちゃんの鮮やかな濡れ髪、たまりませんの~~~」クンカ クンカッ


いちご「ひぃっ……!?」



男子生徒4「お前らな~~ あんまそういう目で俺のいちごを見るんじゃね~~よ!!」


男子生徒1「お前のじゃね~~し!! 泣かした張本人が何を言っても―――」



快活な長女さん「くぉ~~ら~~~~~~ッ!!」


ドッゴ~~~~~ッ!!


男子生徒4「うっぎゃぁ~~~~~ッ!!」


快活な長女さん「うぉりゃぁっ!!」バチコーーンッ


男子生徒1「ぐぼわっっっ!!」


快活な長女さん「うだらぁ~~ッ!!」ズビズバーーッ


男子生徒2「あべべべしっ!!」


快活な長女さん「おらおらおらおらぁ~~~ッ!!」ドコドコドコドコッ


男子生徒3「グペペペペ~~~ッ!!!」



快活な長女さん「ウチらのちゃちゃのんを、何 泣かしてくれとるんじゃ!! こんダボがぁ!!」


いちご「ちっ、ちーちゃん!?」



男子生徒ども「「何だぁ、やんのかこのクソアマがぁ~~~ッ!!」」


快活な長女さん「おっしゃぁ~~ッ!! 全員まとめて かかって来んか~~~い!!」ガルルル…


いちご「ちょ… ちーちゃ~~ん!?」


ドカッ バキッ グシャッ… グェェ…






【倉橋島 桂浜海岸・夕刻―――】

カァーー カァーー ザザザーーン


ちゃちゃのん「ちーちゃん、大丈夫……?」ヌレタオル、ポフッ


快活な長女さん「あいたたた、もちぃーと優しく頼むんじゃ……」


ちゃちゃのん「あぅぅ… ごめんのぅ……」



快活な長女さん「ちくしょう、アイツらマジで4人がかりで掛かって来やがんの―――」


快活な長女さん「男としてのプライドは無いんかっつ~~の……」


ちゃちゃのん「……………」



快活な長女さん「じゃけぇ最後はアタシの渾身の一撃で、アイツら見事に撃退してやったんじゃ!!」


快活な長女さん「ちゃちゃのんを泣かせるヤツぁ、このアタシがしばいちゃるけぇのぅ~~~」カッカッカッ


ちゃちゃのん「ケンカなんて… しちゃダメじゃよ………」


快活な長女さん「いやいや… 気に食わんヤツがおったら、そりゃもぅ命がけの抗争以外ありえんじゃろ!!」


ちゃちゃのん「じゃけぇ… さっきだって悪かったんは、ちゃちゃのんじゃけぇ……」


ちゃちゃのん「ちーちゃんが、擦り傷だらけになることなんてなかったんじゃ―――」グスッ


快活な長女さん「ちゃちゃのん………」


ズビシッ

ちゃちゃのん「うひゃぁっ!?」


ちゃちゃのん「―――なんで、チョップ……?」イタイ…


快活な長女さん「これでケンカ両成敗、これでおあいこじゃ―――」ニカッ


ちゃちゃのん「う… うん……」





快活な長女さん「それにしても、やっぱりちゃちゃのんは ようモテよるんじゃなぁ―――」


ちゃちゃのん「えっと、そんなことは……」


快活な長女さん「ま~~ ちゃちゃのんくらい可愛けりゃ、世の男どもがほっとくわけもないか……」


ちゃちゃのん「好きとか、嫌いとか―――」


ちゃちゃのん「ちゃちゃのんにゃぁ、よぅ分からんよ……」


ちゃちゃのん「それにちゃちゃのんに、それを言ってもらう資格とかないけぇ―――」


快活な長女さん「ちゃちゃのん……」




ちゃちゃのん「ちーちゃんは、どうしてあそこにおったん……?」


快活な長女さん「ん―――?」



快活な長女さん「そりゃぁ… ちゃちゃのんの学校がどんなトコなのか―――ちぃーと興味もあったけぇ……」


快活な長女さん「もしかして、迷惑じゃった―――?」


ちゃちゃのん「……………」


快活な長女さん「……………」



それは肯定から来る沈黙じゃろう―――


決してアタシと目を合わそうとしないちゃちゃのんの態度からも、それは容易に読み取れた―――


思えばちゃちゃのんは、以前にもアタシたちと一緒に倉橋に行くことを嫌がっとったような節があった―――






快活な長女さん「いよっしゃ!! 泳ぐかぁ!!」ヌギヌギ


ちゃちゃのん「ふぇぇっ!?」


ちゃちゃのん「ちょっ… ちーちゃん!?」


快活な長女さん「せっかくの綺麗な桂浜ビーチに、スク水姿のちゃちゃのん!!」


快活な長女さん「この状況で泳がんとか、ぶっちゃけありえんじゃろ!!」ポイポーーイ


そういうや否や、着ていたものを砂浜の上に次々と脱ぎ捨てていく―――



ちゃちゃのん「そ、そない恰好、もし誰かに見られでもしたら―――///」ヒェェッ


快活な長女さん「どおりゃぁ~~~っ!!」バシャーーンッ


ちゃちゃのん「うひゃっ、冷たっ!!」


快活な長女さん「ちゃちゃのんは、あれこれ考え過ぎじゃ!!」


快活な長女さん「海ん中は、ぶち気持ちええぞ~~!!」


ちゃちゃのん「うぅっ… そうはゆーても―――」


快活な長女さん「妖怪・磯女じゃ~~~ッ!!」ザバザバザバーーッ


ちゃちゃのん「ふぎゃぁ~~~ッ!!」

ドッボーーン!!


はっきりしないちゃちゃのんの腕を掴み、半ば強引に海の中に引きずり込んだ―――



快活な長女さん「どうじゃ!! ちぃーとは、さっぱりしたじゃろ!!」カッカッカッ


快活な長女さん「ん、ちゃちゃのん―――?」


ブクブク ブクブク…


快活な長女さん「うげっ!? 溺れちょる!!」






ちゃちゃのん「ゲホゲホッ……」


快活な長女さん「おぉぅ… ちゃちゃのん、大丈夫かぁ~~?」サスサスッ


ちゃちゃのん「し、死ぬかと思ったんじゃ―――」ハァハァ…


快活な長女さん「スマン、スマン。 まさか足の届くトコで溺れるとは思わんかったんじゃ―――」


ちゃちゃのん「…………」


快活な長女さん「ちゃちゃのん……?」


ちゃちゃのん「そりゃぁっ!!」

バッシャーーン!!


快活な長女さん「うぉっ!?」


ちゃちゃのん「へへへっ、これでおあいこじゃね―――」ニッコリ


快活な長女さん「まだまだ~~~!!」

バシャバシャッ


ちゃちゃのん「うひゃっ、冷たいんじゃ!!」ヒャーー


ちゃちゃのん「えいっ、えいっ!!」

バシャバシャッ


快活な長女さん「カッカッカッ!! ちゃちゃのんも、なかなかやるのぅ!!」



このSSまとめへのコメント

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2 :  MilitaryGirl   2022年04月19日 (火) 20:07:24   ID: S:8xggiA

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