戒能（どうしてこんな事になったんでしょうかね）

戒能（半年前のあの日まではまさかこんなことになるとは）


12/31
戒能良子19歳


戒能（今日で今年も終わりですか、高校卒業後プロへ行ってダメだった時のための保険として大学へ行きましたが）

戒能（大学生活もエンジョイできてますし、まあ特に何事もなく今年も終わりましたね。来年も平穏な年になれば良いんですけど）

戒能父「あー良子、ちょっと良いか」

戒能「ん、なに？掃除も終わったし別に良いけど」

戒能父「父さんな、母さんと離婚するから。っつーか正確にはもう書類も出して離婚してる」

戒能「……は？」


こうして私は1年の最後の日に特大の爆弾を落とされた

戒能（武者修行の旅に出ますか。とりあえず大阪へ行って、そこから東京を目指しましょう）

戒能（今の所持金は17万、まあなんとかなりますかね）

戒能（これはプロに入って活躍するための旅、トッププロになるには半端な覚悟じゃダメですね。負けても家には帰れない、それくらいの緊張感を持って……）

戒能（いや、「それくらい」じゃダメですね。実際に負ければ死ぬという状況を作り出さなければ、そしてそれを乗り越えられるくらいの雀力と精神力を身につけなければ今の私ではトッププロになるほどの力は得られない）


戒能（そう。もう実家には、いや、地元には戻って来られないくらい自分を追い込む）

4/17

戒能「グッドモーニングです」

戒能「ネカフェはジュース飲み放題ですから良いですね。これで下がもう少し柔らかければ文句無しなんですが」

戒能「…………」

戒能「いや野宿とか無理です。ないないノーウェイノーウェイ」

戒能「春の夜の寒さ舐めてました危うく凍え死ぬとこでしたよ」


戒能「でも今155000円ありますし、仮にこのまま1日5000円使っても30日は生きられます」

戒能「まあ雀荘で増やしますから問題ないんですけどね」

戒能（とは言ったものの麻雀ブームとともにフリー雀荘の数は減って来ているのが現実）

戒能（ギャンブルのイメージを払拭し、競技としてのイメージを根付けさせたいらしい）

戒能（そんな中でも未だ残ってるのは点5以下の低レートか、看板も出さずひっそりとやっている「高レート」のどちらか）

戒能（…………）

戒能（知らない人とお金を賭けるのは初めてですし、まずはレートの低い店から行きましょうか）




数時間後


戒能「ふぅ……」

戒能（これだけ打って5000円ですか、相手は正直強くなかった。しかし負ければ死へ近づくというプレッシャー、大会とは違い赤の入ったルール、そして祝儀に適応しきれませんでしたね）

戒能（ですが雀荘も思ったよりチョロいですね、まだまだ資金はありますし次は高レートにでも挑んでみますか）

戒能（ふぁ……ん～、だいぶ疲れましたしそろそろネカフェで寝ますか）

4/18

戒能（……寝過ごしてネカフェのパック時間を大きく超えてしまいました。延長料金高すぎじゃないですかね……）

戒能（もう11時ですね……さてさてこれからどうしますかね）


戒能（ん、カプセルホテルですか。料金は3000円、15時からチェックインできるみたいですね。どんな感じなのか気になりますし今日はカプセルホテルに泊まりましょう）

戒能（雀荘は……今日は良いですね、適当にブラブラしてみましょう）

4/19

戒能（カプセルに泊まりましたが中々良いですね、ここはサウナや銭湯もありますし）

戒能（ただネカフェに比べると少し高いのがネックですね、毎日泊まるのは厳しいです）

戒能「さて……武者修行の旅とは言え高校の合宿以来の大阪。少しくらい観光してもバチは当たりませんよね」

戒能「とりあえず目についた日本橋駅へ行ってみましょう」

戒能「歩きで行けない距離でもないですけど、お金ならまだあるし電車に乗りますか」

戒能「……服とか色々入れたこの鞄も邪魔ですねコインロッカーへ入れておきましょう。1回300円ですけどまあこれくらいなら使っちゃってもなんともないですよね」

梅田

戒能（……なんなんですかこれ）


1時間後

戒能（都会の駅はもっとシンプルにすべきですこの年になって迷子とかノーウェイ）

戒能「さて、なんとかたどり着きましたけどどうしますかね。せっかくの大阪ですし食べ歩きとかしますか」



戒能「ケバブサンドソースは辛いやつ」

戒能「たこ焼き8個入り」

戒能「バニラアイス」

戒能「串カツ2つとあと～」



戒能「歩いてたらいつの間にか難波まで来てました、そして3000円くらい浪費してしまいました」

戒能「この後USJへ行ったり観覧車に乗らなきゃ行けない気もしますが、流石に1人でUSJや観覧車はちょっと……」


戒能（ん？この辺に確か昨日ネットで見つけた高レートの雀荘があったはず。食べ歩きでだいぶお金減りましたしそろそろ増やす必要がありますね）

戒能（レッツゴーです）

20時間後

6/20

戒能（…………）

戒能（4万負けました）

戒能（…………徹夜で打って-4万）

戒能（中にはすっげー強い人もごく僅かに居ましたが多くは雀力自体はインハイの最上位レベルには及ばない人ばかり、ただやはりこの高レートで打ち続けてるだけあってこのルールに特化している）


戒能（……というかよく考えるとプロのルールと違う赤や一発裏有りのルールで打っても修行にならないんじゃ）

戒能（とりあえずどっかで寝ましょう、徹夜のせいで眠いです）


この時点で残金85000円

ここまで
続きは明日
そろそろ話が大きく動き出す頃

4/20夕方

戒能（結局あの後ネカフェで寝ました。しかしまだ夕方、今夜寝る場所を探さなくては……）

戒能（ゆっくりお風呂に入りたいですしカプセルホテルにしますか）


4/21
戒能（適当にブラブラしましょう）

4/22
戒能（そういえば大阪といえば姫松や千里山といった強豪校がありましたね。近くの雀荘へ行けば打てるかもしれませんし行ってみますか）


姫松
戒能（ここが姫松、結構田舎ですね）

戒能（そして着いてから気がつきましたがこんな昼間に来ても高校生と打てるわけがないですよね……）

戒能（雀荘で打ちながら下校時間を待ちますか）

夜
戒能（……よく考えなくても部活で麻雀打った後雀荘なんて来ませんよね普通）

戒能（麻雀では勝ってますけどここノーレートですからお金は増えてませんし）


戒能（…………なにやってるんでしょうか私は）





洋榎「ん？アンタもしかして戒能さんか？」

戒能「へ？」

だれだよ

洋榎「あれ？もしかしてちゃう？」

戒能「い、いや確かに戒能であってるけど」（この子は確か姫松の愛宕洋榎……でしたかね）

洋榎「おー！マジか！？戒能って確か愛媛やったやろ？なんでこんなとこおるん？もしかして大学こっちなん？」

戒能「えーっと……む、武者修行？」

戒能「というかなんで私の名前を」

洋榎「そら去ね、っともう一昨年やな、一昨年のインハイ個人戦3位なんやし麻雀部なら知っとってもおかしないやろ」

洋榎「つーか、一昨年個人戦で戦ったん覚えてへん？」

戒能「一昨年の個人戦……」

洋榎「…………」

戒能「……あー思い出しましたそうそう戦った戦ったうん覚えてるよ」

洋榎「絶対嘘やろ」

洋榎「ま、なんでもええわ。せっかくやし打とうや」

戒能「まあ良いけど……」

洋榎「つーわけでおっちゃん、席変わってくれへんか？一生のお願いや！」

客1「何回目の一生のお願いやねん。ま、洋榎ちゃんの頼みならしゃーないな」

洋榎「ほんま！？今度1回だけ手加減したるわ！」

客1「別にいらへんわそんなもん。そん代わり今度絹ちゃん連れてk洋榎「さーてさっそく打つでー」

客1「そんくらいええやろ！」

洋榎「うっさいわスケベ親父！こんな変態ばっかんとこ連れてきたら妊娠してまうわ」

客1「んなわけあるかボケ。まあきぃつけや、この姉ちゃん相当強いで。いくら洋榎ちゃんでも油断しとったら足元救われるで～」

洋榎「ひっさしぶりの格上相手や、油断なんかするわけないやろ」

戒能（姫松の愛宕洋榎、確かに中々の実力者ですけど……）

洋榎「ほな、さっそくはじめよか！」

戒能（プロを目指す以上高校生には負けるわけにはいきませんね！）