末原「どないしよう……」 (21)
――ホテル――
末原「あかん……どすりゃええんや……」
末原「二回戦は、運よく……というか、清澄のお情けと言うべきやな。ギリで勝てた」
末原「でも、次は……」
末原「気分転換に、散歩にでもいこか」
店員「ありがとうございましたー」
末原「東京のケーキ屋も中々悪くないんやな……いや、なんもかんも大阪の方が上やけど」
末原「明日のミーティングに備えて、はよ寝なあかんな。清澄、有珠山、臨海……どこも大将は怪物揃いやし」
末原「ホテルに戻らんと……お、流れ星か。勝てますように願っときましょうかね」
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末原「……あれ? 気のせいかな、流れ星が近付いて来とるように見えるんやけど」
末原「気のせいちゃうわ……うわ、ホンマかいな! 逃げんと」
末原「あかん、間に合わへ……」ピカー
咲『カン! カン!』
末原「うわッ! ぐっ……」ガクッ
咲『もいっこカン!』
末原「………………」
咲『全部ゴッ倒す!』
末原「…………………………」
末原「うぅ……ここはどこや? 南の島か何かか?」
末原「海、木、向こうに見えるんは山か? 幻覚か知らんけど、すぐそこに木星があるように見えるし……。スマホの電波も届いとらんようや」スッスッ
末原「しかも海ではイルカが泳ぎまわっとる……こんな浅瀬で? 聞いたことないで」
末原「確か、私に流れ星が落ちてきたんやったな。ここは、天国か地獄? 死んだんか?」
末原「クッソ……死ぬんやったらあのチーズケーキ、歩きながらでもくっときゃよかったわ」
イケボ『キキーッ。どうしてそうなるのかな』
末原「誰や! 私に何の用や!」
イケボ『私はここさ』
末原「ここ……? イルカが人の言葉を? ……死後の世界で見てる幻か」
イケボイルカ「ここは、木星軌道上のイオにあるネオスペース。私が君を、招待したんだよ」
末原「は……?」
イケボイルカ「トゥッ!」ザバー
末原「イルカが飛び上がって……なんや足があるで! しかもキモいわ! こんなイルカいるんかい!」
キモイルカ「それは、あんまり面白くないね」
末原「やかましいわ。で、アンタはどちら様で?」
キモイルカ「私は、ドルフィーナ星人のアクアドルフィン。このネオスペースの住人なんだ」
末原「ドルフィーナ星人のアクアドルフィン? そしてここは、ネオスペースっちゅう星……いや、ネオスペースって種類の星の一つなんか?」
アクアドルフィン「そうさ、君は理解力が高いね。とにかく、私の話を聞いてくれないか」
末原「はいはい、なんでもどうぞ。どうせ死後の私が見とるくだらない幻覚やろ」
アクアドルフィン「全ての戦いの源は光と闇の対立。いわば宇宙は、光と闇のバトルフィールド」
アクアドルフィン「言い方を変えると、悪と善が麻雀を続けている世界と言ってもいい」
末原「なんで麻雀なんや」
アクアドルフィン「問題でも?」
末原「……いや、話の腰を折って悪かったわ。はよ続けえや」
アクアドルフィン「宇宙は命を育む優しい闇の世界だった。だが、今宇宙は、破滅の光により滅びようとしている」
末原「我々は、その光と戦える正しき闇の力を持つ者を探して……君に、白羽の矢を立てたんだ」
末原「は……?」
アクアドルフィン「麻雀は、この光と闇の闘争に繋がるところがある。わかるだろう?」
末原「いや、全然」
アクアドルフィン「君が、嶺上開花使いに弄ばれたことは知っている」
末原「急に話が変わったな。そんな話題だしおって、喧嘩売っとるんか? ところでまた流れ星が近付い取るみたいやけど、あれはお仲間?」
アクアドルフィン「いや、そんなつもりは毛頭……不味い、光の手先が現れた!」
チュドーン
アクアドルフィン「君の力を見せてもらう時が来たようだ。奴を倒すために君の力を貸してくれ」
末原「力貸せゆーても、私にはサイコガンもスタンド能力もないで」
アクアドルフィン「奴らとの戦いにそんなものは必要ない。奴らとの戦いは、麻雀なんだ!」
末原「は……?」
光の波動の使者A「嶺上……嶺上……」
光の波動の使者B「開花……開花……」
末原「うわあ、近付きとうないわ」
アクアドルフィン「恭子……ワクワクを思い出すんだ。宇宙を救えるのは君しかいない」
末原「宇宙を救う、ねえ。宇宙を救うHERO末原恭子……ま、やる気がでんこともないわ」
アクアドルフィン「と、いうことは?」
末原「しゃーないからやったるわ! この私にしかできんのやろ?」
アクアドルフィン「君ならそう言ってくれると信じていたよ」
アクアドルフィン「君のパートナー役には私が入る。敵の準備もできているようだしね」
使者A「麻雀ワールド、セットオン」
使者B「麻雀ゲイザー、セット。麻雀卓、セット」
四人「デュエル!」
末原「……いや、ちゃうやろ!」
使者A「嶺上開花。更に嶺上。嶺上、嶺上、嶺上」
使者B「破滅の光の破壊衝動は、何度嶺上しても決して収まることはない。嶺上開花」
末原「めげるわ……」
アクアドルフィン「あ、国士無双十三面。もう一度だ。あ、惜しいな。もう少しでビギニングオブザコスモスだったのに」
末原「別の意味でめげるわ……」
アクアドルフィン「そうだ、恭子。我々ネオスペーシアンの力を君に授けなければならないな」
末原「もうアンタ一人でええんちゃう?」
アクアドルフィン「いや、そういうわけにはいかない。破滅の光が宿主にしている嶺上使い、ミヤナガサキを倒すことができるのは、君だけだ」
末原「は……?」
アクアドルフィン「まず手始めに、適当に牌を捨てて御覧」
末原「……これ、捨てるで」
アクアドルフィン「すると、目蓋の裏に我々、つまり君以外の三人の手牌が見えてこないかい?」
末原「……ホンマや」
アクアドルフィン「ツモる度に一人につき一つ、君は手牌を選んで、山の中のものと入れ替えることができる。これが、ネオスペーシアン・アクアドルフィンが君に授ける力さ」
末原「なら……これとこれ、アンタのは有利になるように、と」
使者A「ピピ……手牌が……」
使者B「嶺上できない、嶺上できない……」
末原「なんやこれ……ホンマに出来とる……ツモ! ラス・オブ・姫松!!」
アクアドルフィン「おお……今のでトビだったようだ」
末原「勝てたな……で、次は?」
アクアドルフィン「どうやら、子供の頃に抱いていたワクワクの心は取り戻せたようだね」
アクアドルフィン「君には、ゴッド末原になってもらう」
末原「は……?」
アクアドルフィン「その説明の前に、ネオスペーシアンのメンバーを紹介しよう」
アクアドルフィン「まずフレアスカラベ。フレアスカラベは、相手の持ち点が高ければ高いほど、より高い手で上がりやすくすることができる」
アクアドルフィン「二人目はエアハミングバード。彼は、直撃を受けた時に一度だけ時間を巻き戻し、なかったことにしてくれる」
末原「は……?」
アクアドルフィン「ブラックパンサーは一人分のオカルトを無効にする、もしくは同じオカルトを得ることができる」
アクアドルフィン「グローモスは、ツモった牌によって新たなオカルトを得る。そしてグランモールは……」
グランモール「俺の方はいつでもいいぞ。恭子、宮永咲とやらを倒しに行こうぜ!」
アクアドルフィン「まだメンバー紹介も終わってないじゃないか、落ち着いてくれ」
アクアドルフィン「グランモールは、触れた相手を家に帰すことができる」
末原「は……!?」
末原「それっておかしくないかな」
グランモール「一度の対局で一回しか使用できないからな。その分破格さ」
末原「破格なんてもんやないやろ。ほぼ勝ち確定ですやん」
アクアドルフィン「それらを以ってしても勝てるかどうかわからないのが、破滅の嶺上の光……宮永咲だ」
末原「清澄強すぎやろ、めげるわ……。というか、もはやキモいわ」
アクアドルフィン「破滅の嶺上を倒すためには、ネオスペーシアンの力を結集させる必要がある。その中心になるのが、君なんだ」
末原「ホンマかいな……」
アクアドルフィン「そして、ネオスペーシアン達の力を合算した時の姿が、ゴッド末原なんだ」
末原「ゴッド姫松にしてもらってもええですか? 学校の名前、背負いたいんですわ」
アクアドルフィン「じゃあゴッド姫松でいいよ」
末原「アンタ投げやりやな」
アクアドルフィン「あがる時の決め台詞は『レジェンダリーストライク』だから間違えないように」
アクアドルフィン「ゴッド姫松になるためには『未来への希望』と『仲間との絆』、そして『ネオスペーシアンと過ごした長い時間』が必要になる」
末原「時間だけはどうしようもあらへんな」
エアハミングバード「そう言うと思って、ペットのタキオンドラゴンに命じて精神と時の部屋を作っておいた」ニュッ
末原「なんで私の胸元から顔を出すんや! 普通の会話させてーな!」
エアハミングバード「私たちネオスペーシアンは全て、既に恭子の中に入っているからな」
グランモール「姫松のみんなにも、精神と時の部屋に移動してもらってるぞ」
末原「ゴッド姫松……やったるで! 私は勝ァつ!!」
アクアドルフィン「その意気だ! 破滅の嶺上・宮永咲を倒し、奴との戦いに終止符を打とう!」
グランモール「俺たちの戦いはこれからだ!」
――コマーシャル――
のよー「最強のHEROがデュエルに参戦するのよー」
洋榎「融合召喚! 現れろ、新たなHERO!」
のよー「ワクワクするデュエルを始めるのよー」
絹恵「E・HERO、M・HERO、そして……」
洋榎「C・HERO――コントラスト・ヒーローやで!」
のよー「遊戯王アークファイブ、オフィシャルカードゲーム!
ストラクチャーデッキ、HERO’s STRIKE! なのよー」
洋榎「ミラクルフュージョン、エマージェンシーコール、E・HERO ガイアなど多数再録!
環境に上り詰めたヒーロービートのエース、アナザーネオスや、アラヒの中心カード、ヒーローアライブも収録やでー」
絹恵「好評発売中!」
洋榎「ガッチャ! ルールを守って楽しくデュエル!」
漫「コナミ! ……って、私の出番、ここだけですか!」
洋榎「なら機械と融合して重爆撃禽 ボム・フェネクスにでもしたろうかー。爆発だけに」
カンッ
のよーに十代ストラクの宣伝をさせたくて書いた。後悔はしていない
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